い・も・う・と
- 1 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月08日(水)20時20分09秒
- 初小説です。
今までほとんど見たことのないアンリアルよしかごを書きたいと思います。
他にも、いろんなカップリングが出てくると思います。
主な登場人物は、吉澤、加護、後藤、石川、市井かな。
今はまだ、四分の一ぐらいしかできていませんが、放棄はしないつもりなので、
よろしくお願いします。
- 2 名前:第一話 投稿日:2003年01月08日(水)20時23分17秒
- 私が亜依にはじめてあったのは三年前の秋のことだった。
私の家族は十年前から、母と妹の希美の三人で暮らしていた。
その日は母さんの再婚相手と対面する日だった。私は朝から少し熱を出
していた。
「困ったわねえ、ひとみ、どうする?ひどいようなら、家で休んでいた
ほうがいいんじ
ゃない?」
「いい、行くよ。せっかくのご対面をこんな熱でだめにしたら、私の印象
が悪くなるよ。」
希美はと言うと、朝からずっとはしゃぎっぱなしだ。
「希美はうれしそうね。」
「そりゃそうだよ、希美は父さんのこと覚えてないからね。」
「そうねえ、お父さんが亡くなった時、希美はまだ赤ちゃんのころだった
から・・・。それよりひとみはどうなの?」
「私?もちろん賛成だったよ。どういう人かすっげえ楽しみ。」
うれしそうな母さんや希美を見るのは楽しかったし、私だって家族が増え
るのは悪い気はしない。期待だってしてる。
- 3 名前:第一話 投稿日:2003年01月08日(水)20時25分53秒
- 待ち合わせ場所のホテルに着いた。
「ロビーで待ち合わせ?」
「そう、どきどきしちゃうわ・・・・・。ほら、あそこだわ、加護さん!」
そこには、人のよさそうな男の人と、その人の娘らしい女の子がいた。
「おい、亜依、あいさつしなさい。」
「は、はじめまして、亜依です。」
「まあ!かわいいお嬢さんだこと。こっちが長女のひとみに次女の希美で
す。仲良くしてやってね。ひとみ!何ぼんやりしているの」
(かっ、かわいい、かわいすぎる。そりゃ加護さんに私より一つ下の娘
がいるって聞いてたけど・・・。ど、どうしよう、ひとめぼれしちゃっ
たよ〜!)
- 4 名前:第一話 投稿日:2003年01月08日(水)20時27分11秒
- 「す、すみません、この子今日少し具合が悪くて。」
「大丈夫かね?早くどこかであったかいお茶でも。」
喫茶店で・・・・・
「ひとみちゃん、熱があるんだってね。それならそうと言ってくれれば良
かったのに。」
「あ・・・いや、もう良くなりました。」
「無理させたみたいだな。今日はどうもありがとう。」
「お父さん、うちら外に行っていていい?」
「亜依、ひとみちゃんに無理させちゃ」
「あっ、私なら平気です。」
「ののも!ののも行く!」
「だって!二人の邪魔にならないように遊んで来まーす。二人とも、行こ!」
- 5 名前:第一話 投稿日:2003年01月08日(水)20時29分24秒
- そうして、近くの公園まで三人で散歩することになった。
(参ったなあ、見れば見るほどむちゃくちゃ好みだよ。)
「なあ。」
「は、はい。なんでしょうか?」
いきなり亜依に声をかけられて、つい驚いて敬語になってしまった。
「ひとみさんっておかしいな。誰にでも敬語使うん?」
「そういうわけじゃないけど。ちょっと緊張しちゃって。」
「中3やろ?うちのふたつ上、お姉ちゃんになるんやな。それと希美ちゃ
んはうちの一つ下やったな。」
「そうだね。」「そうれす。」
(妹か・・・・)
- 6 名前:第一話 投稿日:2003年01月08日(水)20時32分47秒
- 「それと・・・うち、妹もお姉ちゃんもほしかったんや。外見で人を判断
しちゃあかんっていうけど、第一印象ってあるやろ?二人のことはじめて
見たとき、絶対うまく行くって思えたんや。」
「うん、うまく行くよ。」
「ねえ、いきなりお姉ちゃんなんて呼ぶの照れるから、二人の事なんて呼
んだらえん?」
「えっと、よっすぃ〜でいいよ。結婚しても、加護姓じゃなくて吉澤姓の
ままだし。」
「ののはののって呼んでください。」
「よっすぃ〜にののやな。うちのことは亜依でもあいぼんでもどっちでも
ええわ。」
私はこの再婚壊したくなったけど、理由を聞かれたって答えられるわけ
が無い。
そして、亜依が吉澤家に来て、、いつのまにか3度目の春を迎えよう
としていた。
- 7 名前:第一話 投稿日:2003年01月08日(水)20時35分42秒
- 今日は、亜依の高校入試合格発表の日。
亜依は私と同じ女子高を受けた。
「よっすぃ〜、どきどきするわ。行きたいなあ、よっすぃ〜と同じ高校。」
「大丈夫だよ、絶対受かってるって。」
私の言葉どおり、亜依は私の高校に合格した。
今日は3年の新クラス割が発表される。
私も他の同級生と一緒に掲示板の文字を追っていった。
(2の3か、担任は・・・市井か、いやだなあ。他には誰がいるのか
な・・・。げ、ごっちんと同じクラス!)
そのとき後ろから声をかけられた。
「よしこ!おーっす、また同じクラスになっちゃったねえ。」
- 8 名前:第一話 投稿日:2003年01月08日(水)20時38分51秒
- こいつは後藤真希。1年のときからクラスが一緒で、私がこっそり内緒で
クラブハウスでバイトしていたのを偶然見つけ、それからしつこく私を自
分の所属している軽音部に勧誘しつづけている。よくもてて、かなり遊ん
でいるらしい。特定の彼女を作らず、いろんな女の子と遊んでいる、私の
もっとも苦手なタイプだ。
私のバイトしているクラブハウスでは、地元で人気の『モーニング』とい
うバンドがいて、私がある日、開店前のヒマなときに趣味のギターを弾い
ていたら、そのバンドのボーカルのなっちが聞いていたらしく絶賛され、
バイトの日は毎日、『モーニング』のサポートとして一緒にステージに上
がり、演奏させられている。このごろは私目当ての客も多いらしく、なっ
ちには正メンバーにならないかと誘われてもいる。
- 9 名前:第一話 投稿日:2003年01月08日(水)20時44分38秒
- 「そうみたいだね、ごっちん。じゃあ、そういうことで。」
「ちょっと待ってよ。春はいいねえ。なんか、新しい事始めようって気に
ならない?」
「何が言いたいの?」
「軽音部入ってよ。」
(やっぱり)
「やだ。」
「また、そんなこと言わないでさあ。ギターが必要なんだよー。」
「だからってなんで私が、他にも弾けるやついるじゃん。」
「そんなこと言っていいのかなあ?よしこが某ライブハウスに出入りして
いるの、市井ちゃんも後藤も知っているんだよ。生活指導にばれたらやば
いんじゃない?」
「なっ・・・、ごっちん!」
「市井ちゃんのやつ教師のくせに遊んでいるから。よしこがクラブハウス
でギター弾いてるって教えてくれたよ。あ・・・よしこって作詞作曲もや
るんだって?」
「ごっちん!私を脅そうたって、その手には乗らないよ。私は、ごっちん
や市井みたいにちゃらちゃらしてるや人が大っ嫌いなんだ。」
「よしこって顔に似合わず、硬派だこと。」
「うるさい。」
「新学期早々、何騒いでるんだ。」
- 10 名前:第一話 投稿日:2003年01月08日(水)20時46分01秒
- 見ると、市井が女生徒を連れて立っていた。
「けんかか?」
「違います、じゃあ、私は失礼します。」
そう言って私はさっさと歩いていった。
市井紗耶香。ごっちんと同じ位彼女のうわさの絶えない軟派教師。ただ、
最近本命の彼女ができたらしい。女同士付き合っているといううわさの絶え
ないこの女子高の中でも、ごっちんとこの市井先生の人気はかなり高いらし
い。
- 11 名前:第一話 投稿日:2003年01月08日(水)20時47分00秒
- 「どうしたんだ、後藤?」
「吉澤ひとみを軽音部に誘っていただけ。市井ちゃんも顧問なんだったら
まじめに勧誘したら?」
「いやがってるやつを無理やりいれてもなあ。」
「・・・吉澤?」
「どうした、梨華、吉澤を知ってるのか?」
「たぶん・・・」
「梨華ちゃん、よっすぃーになんかされたわけ?」
「ごっちんなんかに心配されなくても、あたしには先生だけよ。」
「わかったから、離れろってば、後藤、始業式には遅れるなよ。」
「分かってる。」
- 12 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月08日(水)20時50分59秒
- とりあえずここまでを第一話とします。
レスのage、sageは気にしません。
自分も両方の場合があると思うので・・・。
更新は週二回程度になると思います。
- 13 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月08日(水)21時35分43秒
- 元ネタはアレかな?
読んでてなんかすっごい懐かしかったです。
配役もいい感じだし、続き楽しみにしとりやす。
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月08日(水)22時27分52秒
- あまり見掛けないアンリアル「よしかご」なので、期待してます。
ギタリストよっすぃ〜、イイですね!
次回更新、楽しみにしてます。
- 15 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月08日(水)23時41分20秒
- こ、これは、、よしかご。仲良しなのに小説界ではそうでもない
よしかご。実は今自分の中で一推しでした。期待sage。
- 16 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月11日(土)20時50分59秒
- その日、ごっちんのことを考えないようにして、私は家に着いた。
「ただいまー」
「よっすぃ〜!見てっ、どう、似合う?」
亜依がうちの高校の制服を着て立っていた。
「・・・馬子にも衣装って本当だね。」
(やばい、めちゃくちゃかわいすぎる。)
「なに〜、ひっど〜〜。」
「逃げろ〜」
「ちょっと待ったー。よっすぃ〜、入学祝いにリクエストがあるんだけど。」
「いいよ、ちょっと待ってて。」
私はギターを持って、近くの川原に行くことにした。
- 17 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月11日(土)20時53分33秒
- 「何を弾こうか?」
「何でも、よっすぃ〜のギターを聞きたいだけやもん。」
「亜依は良くても、私は恥ずかしいよ、こんなところで・・・」
「だって、よっすぃ〜連れてってくれないじゃん、ライブハウス。今度
さ、お父さんたちに内緒で連れていってよ。」
「やだよ。」
「なんでえ?」
「どうしても。」
「あいぼん」
振り向くと、どこかで見た覚えがある、きれいな女の人がいた。
- 18 名前:第二話 投稿日:2003年01月11日(土)20時56分36秒
- 「あれー、梨華ちゃんじゃん。ひさしぶりー。」
「聞いたわよ、うちの高校合格したんだって。おめでとう。」
「うん、ありがとう。あ、紹介するわ、うちのお姉ちゃんになったひとみ。
よっすぃ〜、こっちは石川梨華ちゃん。小学校のとき、うちとよく一緒に遊
んだんだ。よっすぃ〜と同じ高校だよ。」
「同じ3年よ、よろしく、ひとみちゃん。」
「よろしく・・・、あ、思い出した、朝、市井先生と一緒にいた人だよね。」
「紗耶香も、ひとみちゃんのこと、軽音に欲しがってたよ。」
「せ、石川さんもごっちんの仲間なんですか?」
(まさかごっちん、こんなかわいい子まで手を出して・・・・)
「知らないの?うわさ。あたし紗耶香と付きあってんのよ。」
「・・・は?」
「どうしたの、よっすぃ〜?」
「何でも無い。先に帰ってる。」
- 19 名前:第二話 投稿日:2003年01月11日(土)20時57分39秒
- ひとみが帰った後、
「梨華ちゃんってば、よっすぃ〜をいじめないでよ。」
「よかったじゃん、家族が増えて。」
「うん、じゃあね梨華ちゃん。」
「うん、またね。」
後ろから亜依が追いかけてきた。
「よっすぃ〜!ちょっと待ってよ、足速すぎ。」
「亜依の友達ってタイプじゃないね。」
「どうしたの?梨華ちゃんいい子だよ。」
「悪の巣窟のメンバーだ。」
「何の事か知らないけど、梨華ちゃん好きやで、うち。昔っから大人っぽ
くって、なんかすごくかっこ良かったわ。」
「ふーん。」
- 20 名前:第二話 投稿日:2003年01月11日(土)21時00分31秒
- 私は亜依を守りたかった。神様の意地悪とか思っても、私の恋は、この家
族の幸せを壊せない。
だからあたしは、詞を書いていた。歌の中なら、愛だの恋だの好き勝手言
えるからだ。
(はあ、いつ見ても恥ずかしい詞。ごっちんが見たら泣いて喜ぶだろうな
あ。ライブなんかに亜依を連れていけるかよ。亜依の事ばっか、書いてる
んだから・・・。)
- 21 名前:第二話 投稿日:2003年01月11日(土)21時03分43秒
- 入学式
私が、片づけをしていると、友達と一緒らしい亜依に声をかけられた。
「よっすぃ〜!」
「よう、亜依。何組になった?」
「5組!この子中学で一緒だった高橋愛ちゃん。」
「あいぼん、誰?」
「うちのお姉ちゃん。」
「うそー、かっこいい。あいぼんはぜいたくだよ、何もあの人の事探す
必要なんて無いじゃん。」
「よっすぃ〜とあの人は違うもん。」
「あの人って?」
「聞いてくださいよ、あいぼんったら受験の日に手伝っていた上級生にほ
れちゃったんですよ。」
「愛ちゃん!!内緒って言ったやん。」
(ガ〜ン)
- 22 名前:第二話 投稿日:2003年01月11日(土)21時06分12秒
- 「亜依〜!!何で私に黙ってたんだ。そういう事!」
「何でって、何で言わなあかんのや〜!」
私達が言い争っているとき、私は一番聞きたくなかったやつの声が聞こえた。
「あれ〜、よしこじゃん。何してんの、もしかしてナンパ?」
振り向くと案の定、ごっちんが立っていた。
「いっしょにするな、ごっちんこそ何やってんだ、入学式に。」
「部活の勧誘。あ、よしこも考えてくれた?」
「冗談言うな!」
ごっちんは私の後ろの亜依達にようやく気がついたようだ。
- 23 名前:第二話 投稿日:2003年01月11日(土)21時10分37秒
- 「新入生?かわいーね。」
「は、はい。吉澤亜依です!」
「吉澤?」
「私の妹だ!いいか亜依、こんなやつに引っかかったら、人生を棒に振る
ようなものだぞ!」
「よっすぃ〜!」
「まあ、そういうことで、じゃあ、またね、よしこ。」
そう言って、ごっちんは戻っていった。
「よっすぃ〜、ひどいわ!なんで邪魔するんや。あの人がさっき言ってた
人なのに。せっかく親しくなるチャンスやったんやで。」
「・・・・・・・なに〜〜〜〜?」
- 24 名前:第二話 投稿日:2003年01月11日(土)21時14分07秒
- 「でも、よっすぃ〜の友達だったなんてよかった。ねえあの人なんて言
うの?同じクラスなの?そっ、そうだ、部活の勧誘って言ってたよね。
よっすぃ〜を誘うって事は軽音部!そうでしょ?うち軽音部はいる!!」
「はっ、バカか!亜依の音痴は自分でもよく知ってるだろ。あきらめ
なさい、亜依。」
「あ、そうやった。しまったー。だったらよっすぃ〜、一生のお願い!
軽音部はいってよ。そしたらうちも部室とか遊びにいけるし。ねっ、
ええやろ。お願いします!」
「これで、ホームルーム終わり!」
すぐに市井の周りに生徒たちが集まってくる。
「先生、その服かっこいい、どこで買ったの?」
「あ、これ?ごみの日に拾ってきた。」
「うそ〜」
「結構使えるのあるんだぜ。」
- 25 名前:第二話 投稿日:2003年01月11日(土)21時16分19秒
- 「先生」
「どうした、吉澤?おまえが話があるなんて珍しいな。」
「これ・・・」
ひとみは市井の前に軽音部への入部届の紙を出した。
「・・・まじ?」
「不本意ながら、妹をごっちんの悪の手から守るためです。」
それを見ていた周りの生徒が急に騒ぎ出した。
「聞いた?」
「ごっちん、よっすぃ〜が軽音はいるってー!」
「今年の文化祭楽しみだね。」
「練習見に行っていい?差し入れ持っていくから。」
そう口々にごっちんに声をかけていく。
- 26 名前:第二話 投稿日:2003年01月11日(土)21時19分07秒
- 「妹って?」
「今年入学しました。」
「そっか、後藤は何でか知らないけどもてるもんなあ。ところで、吉
澤はあんな詞を書くくらいだから、好きな子がいるんだろ。」
「そんな事先生には関係ないだろ。先生って生活指導よりたち悪いっ
すね。自分は生徒と付き合っているくせに。」
そう言って私は帰る用意をして、教室を出ていった。
- 27 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月11日(土)21時22分47秒
- 第二話終了
sage忘れたり、第二話と入れるのを忘れてたり、散々でした。
>>13
多分あってると思いますけど、あまり読み返さないでください。
ほとんど変わってないので・・・・。
>>14
よしかごは今マイブームですので。
僕もギタリストよっすぃ〜見てみたいですね。
>>15
ありがとうございます。
最近の僕は
よしかご>よしごま=よしやぐ>なちよし>>>その他
って感じです。結局よっすぃ〜が好きなんですが。
次の更新は火曜か水曜あたりになると思います。
- 28 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月12日(日)00時17分30秒
- よしかご>よしごま=よしやぐ>なちよし>>>その他
↑やべ、俺と一緒やん(w よしこはごとーさんから加護を守れるのか?
姉妹っていう設定がよしかごっぽくてとってもイイ!です。
- 29 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時10分25秒
- 放課後
「よっすぃ〜お待たせ。入部届出してくれたん?」
「うん」
「感謝するで、お礼にうちが何でもおごったるわ。」
(は〜あ、亜依の馬鹿やろう・・・)
翌朝
私が起きてくると、亜依が台所で何か作っていた。
「亜依、おはよ。なにやってんの?」
「弁当作ってるんや。よっすぃ〜にもあるで。うちの作るついでやけど、
はいこれ。」
「わたしの・・・?」
(すげ〜、めっちゃうれしい!あいがわたしのためになんて・・・)
「それと、こっちは後藤さんのなんやけど・・・。」
「な、なんでごっちんの分まであるんだ!亜依、ずうずうしいぞ。」
「そっか・・・よっすぃ〜が後藤さんに渡すの嫌なんやったら、うちが昼
休み渡しにいくわ。」
「何・・・余計悪い!私が持っていく。」
「よっすぃ〜。何で怒っとるんや?」
「別に怒ってない!」
- 30 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時12分28秒
- 昼休み
(は〜あ、最悪だよ。亜依を守るために部活に入ったとはいえ、これじゃあ、二人をくっつけるキューピッドじゃん。いくら亜依に頼まれたとはいえ・・・)
「よしこ〜、食堂行こ。」
「・・・」
「そんな顔しないでさあ、一応部活の先輩になったことだし、後藤もいろいろ教える義務があるんだよ。」
「弁当が二個あるから、食っていいよ、ごっちん。」
「どーしたのこれ?」
「私が作った。」
ごっちんは急に真剣な顔になった。
「・・・よしこ、ごめん。気持ちはうれしいけど、よしこは後藤のタイプ
じゃないんだ。友達としてなら大歓迎だけど。」
「・・・・・・・ふ・ざ・け・ん・な」
- 31 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時14分12秒
- 「ごめんごめんよしこ、後藤が悪かったからさ、そんなに怒んないでよ。
じゃあ、ありがたくいただきま〜す。」
ごっちんはそう行ってすぐ弁当をがつがつ食い始めた。
「よしこうまいよ。よしこは良い主婦になるねきっと。・・・後藤はお
断りだけど。」
「・・・・・・・・・」
「うそうそ、冗談だって。よしこが軽音入ってくれただけで後藤は満足
だよ。でもどうして急に入ってくれたの?」
「ノーコメント」
「ま、いいけどさ。よしこもわがままだねえ、頑固だし。」
「うるさい!ご飯粒一粒でも残すなよ。」
「よしこ、もしかして本当に後藤のこと好きだったの?」
私は問答無用でごっちんの頭にげんこつを食らわした。
- 32 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時17分34秒
- 放課後、私はごっちんに連れられて軽音部の部室まできた。
「新ギタリストの吉澤ひとみさんですね、よろしく。ボーカルの松浦亜弥です。
あややって呼んでください。」
「待ってました。ドラムの小川麻琴です。」
「キーボードの紺野あさ美です。これで完璧なバンドができますね。」
「よろしく、吉澤ひとみです。よっすぃ〜って呼んでいいですよ。」
(良かった、みんないい人そうだな・・・ごっちん以外)
「じゃあ、よっすぃ〜、モーニングのサポートやってるって本当ですか?」
(ん?)
- 33 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時20分28秒
- 「えっと、隣町のクラブだったよなあ。今度みんなで聞きに行こうな。」
「はい、私もよっすぃ〜の完璧な演奏を聴きたいです。」
(なんでみんなが知っているんだよ。まさかごっちんが・・・)
「吉澤は内緒なんだって、みんなあんまり言いふらすなよ。」
私が声のした方向に目を向けると、市井がニヤニヤ笑いながら座っていた。
「先生っ!!言いふらしてんのはあんたかよ!いいかげんにしろよ!」
「まあまあ、そんなに怒らずにさ。なんでもいいから弾いてみろよ。つい
でに歌も聴かせてくれよ。」
(は〜あ、生徒が生徒なら教師も教師だ・・・まともじゃない)
仕方無しに私はギターを弾きながら歌い始めた。
- 34 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時22分32秒
- 同時刻、亜依
「あ、梨華ちゃん」
「あいぼん、どこ行くの?」
「よっすぃ〜が軽音入ってくれたから、今から部室行くところや。」
「へえ。」
「梨華ちゃんは?」
「私もあいぼんと同じところ・・・?」
「どうしたの?」
「ギターだわ、歌も・・・」
「本当や、きれいな歌声やなあ、一体誰が?」
亜依と梨華が部室を覗いてみるとそこで歌っていたのは、ひとみだった。
「・・・よっすぃ〜が歌うん、うち始めて聴いたわ。」
「え?」
「家で歌ったことないんや。」
二人が話しているとちょうど演奏が終わった。
- 35 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時26分04秒
- 「そんなにじろじろ見んなよ。恥ずかしいんだぞ。」
「よしこ、今告白されたらOKするよ。」
「いい声してんなあ。あややの声とはまったく違ったタイプだけど。ボー
カル替えてもいいんじゃない?」
「ま、まあまあですね。あややのほうが上ですけど。(負けないわよ)」
「完璧です。」
「いつ聴いてもいい声だけど・・・なんでオリジナル歌わないの?」
「ほっとけ、あんな歌こんなところで歌えるか!!」
「まあ、これで完璧に文化祭いただきですね。」
「プッチモニもこれで安泰だぜ。」
「プッチモニ?」
「ああ、このバンドの名前だよ。後藤が決めたんだけど、いい名前でし
ょ、よしこ。」
「・・・」
突然部室が開いて亜依が入ってきた。
- 36 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時29分43秒
- 「よっすぃ〜、すごいやん。」
私はどんどん顔が赤くなっていくのを感じた。
「素敵な声ね、ひとみさん。」
「石川さん・・・」
それだけ入って石川さんは市井に近づいていった。
「ねえ先生、今日家に行ってもいい?」
私は近くにいたごっちんに話しかけた。
「・・・石川さんって部員?」
「違うよ。」
「でもさあ、市井もよくやるよなあ、えらそうな口きくくせに。」
「・・・あの二人の事はほっといたほうがいいよ、よしこ。」
「・・・どうしたの、ごっちん。らしくないなあ。」
「どうもしないよ。」
- 37 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時31分04秒
- 「あ、あの!後藤さん!」
(忘れてた)
「あれ確かよしこの・・・」
「はい、妹の亜依です。お弁当食べてくれましたか?」
「あ〜そういうことだったんだ。すごくおいしかったよ、良かったらまた
作ってちょうだい?」
「は、はい、ありがとうございます、喜んで・・・・」
私は亜依の口を無理やり押さえた。
「じゃあ、今日はバイトがあるんで帰らせていただきます。」
そう言い残して私は亜依を引きずりながら、出ていった。
- 38 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時32分35秒
- バイト先のクラブハウス
私がいつも通り、中に入って床を磨いていたら、小さい金髪の女の人が入っ
てきた。
「よっすぃ〜、おはよ。」
「矢口さん、おはようございます。」
矢口真里。私のバイト仲間で、モーニングのなっちとは周りも公認のカップ
ルだ。なっちと並んで、私の良き相談相手でもある。さすがに亜依のことは
何も言ってないけど。
私となっちが話していると、奥からなっちが出てきた。どうやら相当酔っ
払っているみたいだ。
- 39 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時34分23秒
- 「よっすぃ〜、いつも早いねえ。なっちは感動してるよ。」
「もう、なっちまたのんでんの?声が出なくなったらお客さん帰っちゃう
よ。」
「真里っぺ、大丈夫だよ。その時は替わりによっすぃ〜に歌ってもらうか
ら。今日も飛び入り参加期待してるよ・・・・なんかあったよっすぃ〜?」
「別に・・・」
なっちは私に近づいてきて、私の髪をくしゃくしゃにしだした。
「嫌な事もきっとそのうちなんとかなるよ。元気だしなよ。」
「ありがとう、なっち。」
(私はなっちの歌が好きだ。優しくて、心が洗われる気がする。中学の
ころも小遣いをためてよく聴きに通っていた。高校に入り、バイトをは
じめ、なっちと話すようになったときは本当にうれしかった。実物のな
っちも歌と同じように優しかった。)
客もたくさん入ってきて、モーニングのライブが始まった。
私はいつも通り矢口さんと一緒にそれを聴いていた。
- 40 名前:第三話 投稿日:2003年01月14日(火)19時37分31秒
- 「よっすぃ〜、おいらってさあ、はじめはなっちの追っかけだったじゃん。
なっちに近づきたくて毎日ここに通った。それなのにおいらが今なっちと付
き合っているなんて、とても不思議なんだ。・・・人生分からないよねえ。」
「・・・矢口さん、おばあさんみたいだね。」
「は〜あ、あんなにかわいかったよっすぃ〜が今やこの口の利き方。おいら
は悲しいよ。」
ライブのほうも中盤に入り、盛り上がっていた。
「じゃあ、この辺でいつものゲストを呼ぼう。よっすぃ〜、大丈夫か?」
私はいつものように返事をして、ステージに上がっていった。
(ここは家とは違った居心地の良さがする。少なくともこうしてステージ
の上で歌っている間は、自分の気持ちを素直に表現できる。もちろん、亜
依への想いも・・・・)
その時は私は気づいてなかった。盛り上がっている客の中で、一人静かに私のほうを見ている石川さんに・・・。
- 41 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月14日(火)19時46分10秒
- 更新終了。このままだとあと三回ぐらいで書き溜めていたのが底をつき
そうなので、がんばって書きたいと思います。
>>28名無し読者さま
本当に一緒ですか、それはうれしいですね。
僕も、よしかごといったら、やっぱり姉妹がぴったり合うと思います。
まだまだマイナーなよしかごですが、打倒かごま目指してがんばりたいです。
- 42 名前:14 投稿日:2003年01月14日(火)22時49分37秒
- 更新、お疲れ様でした。
よっすぃ〜、いよいよ軽音に入りましたか。
それにしても豪華なメンバー達ですよねw
ドラム、キーボードは自分のイメージにドンズバですよ!
(ところで、ベースっはごっちんなんでしょうか?)
クラブにひとりで来た石川さんが非常に気になります・・
次回更新、まったりとお待ちしております。
- 43 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)00時03分16秒
- よしかご姉妹設定、正直やられた!ってかんじです(w
石川さんの真意が気になるところですね。
- 44 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月17日(金)22時06分06秒
- 「ただいま。」
私が玄関から入ったら、ちょうど希美が部屋から出てきたところだった。
「お帰り、ひとみ姉ちゃん。遅かったね。なんかあいぼんが話があるって
待ってたみたいだよ。」
「分かった、ののも早く寝ろよ。」
コンコン
亜依の部屋をノックすると、すぐにドアが開いた。
「お帰り、よっすぃ〜。」
「ただいま、話って何?」
「後藤さんってお菓子とかすきかなあ?今度差し入れ持っていきたいんや
けど。」
「亜依さあ、ごっちんは止めたほうがいいよ。結構遊んでるって有名だか
ら。」
「・・・よっすぃ〜、なんでそんな事言うんや・・・歌ってるときのよっ
すぃ〜はかっこいいのに・・・」
「べつにいいでしょ・・・とにかくごっちんは止めたほうがいいよ。じゃ
あ、おやすみ。」
- 45 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月17日(金)22時10分46秒
- 私は自分の部屋に戻って考えてみた。
亜依が好きなのが、ごっちんじゃなかったら、私はどう思っただろう。
・ ・・・・あ〜あ、今日の私は何かおかしい。本当にみっともな
かったなあ。
翌日の放課後
軽音部の部室では、吉澤以外の部員は全員集まっていた。
「よっすぃ〜、今日来るかなあ、あややはどう思う。」
「別に来なくても、あややがいるから大丈夫ですよ。吉澤さんはモーニン
グでがんばってればいいんですよ。」
「そんな事を言っていると、本当に来ないようになるわよ。」
- 46 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月17日(金)22時13分55秒
- 「梨華ちゃん、驚かさないでよ。」
「ごめんね、先生いる?」
「うん、奥にいるよ。」
「ありがとう。」
そう言って石川は奥の準備室に入っていった。それからしばらくして、
ひとみが部室に入ってきた。すぐに後藤がからかう。
「ん、今日は、差し入れ持ってきてないの?」
「な・い」
「そっか、ざんねんだな〜。よしこの妹、亜依ちゃんだっけかわいか
ったなあ。後藤気に入っちゃった。」
ひとみの顔がどんどん赤くなっていく。それを見ながら後藤は笑いを
こらえていた。
- 47 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月17日(金)22時16分02秒
- 準備室
「キスして。」
「・・・あのさ、梨華ちゃん、うれしいんだけど、やっぱ市井は教師
だし、ここは学校だしさあ・・・」
「キスしてくれなきゃ、他の人を好きになるから・・・たとえば吉澤
ひとみとか。」
「え・・・・・・・・・・・・・」
「・・・冗談よ。」
- 48 名前:第四話 投稿日:2003年01月17日(金)22時19分26秒
- しばらくしたある朝
私とののが朝ご飯を食べていると、亜依がもう学校に行く準備をし
ていた。
「よっすぃ〜、今日うち週番やからさきに行くわ。」
「うん、行ってらっしゃい。」
「あ〜あ、ののも早く高校生になりたいのれす。」
「一体どうしたの、のの。」
「だってですねえ、あいぼん今日早起きしてお菓子作っていたのれす。
高校はお菓子持っていっていいんれしょ。」
(亜依め・・・私に黙ってごっちんに・・・)
- 49 名前:第四話 投稿日:2003年01月17日(金)22時21分46秒
- 私はすぐに学校へ行く用意をして、亜依の後を追いかけて玄関を出た。
「おはよう、吉澤さん。」
急に声をかけられたので振り向くと、石川さんがいた。
「あいぼんならもうバス乗ったわよ。」
「あ・・・そうですか。」
「どう、一緒に行かない?」
「あ、はい・・・」
「こないだ、吉澤さんのバイトしているクラブに行ったわ」
「・・・えっ!」
「あのオリジナルの曲良かったわ。片思いの曲だっけ。」
「いいいい石川さん」
「身につまされた」
「えっ、どういう意味ですか。」
「・・・・・」
石川さんはそれっきり黙ってしまった。
- 50 名前:第四話 投稿日:2003年01月17日(金)22時25分01秒
- そして、バスがもうすぐ着くころ
「紗耶香ってさあ、ああ見えて、そんなに経験ないの。キスも下手だし。」
「なっ・・・・」
(いきなり何言い出すんだこの人は。どうしてこんな人が亜依の友達だっ
たんだろう。)
放課後
軽音部の部室の前には大勢の人が集まっていた。
「あの人誰なの?かっこいいなあ。」
「新しく入った吉澤さんだって、ごっちんが言いふらしていたよ。」
「へー・・・・」
亜依も友達の愛ちゃんと一緒にその大勢の中にいた。
「・・・あいぼんのお姉さん、いいよねえ。今度のバレンタイン考えち
ゃうなあ。」
「愛ちゃんは気が早過ぎやで。」
「あいぼんは後藤さんでしょ。でもああいうかっこいい姉ちゃんと暮ら
していてよく恋愛音痴にならないね。」
「そやな・・こわいんやそういうの。」
- 51 名前:第四話 投稿日:2003年01月17日(金)22時28分15秒
- わたしは外から見ている亜依たちに気づいて、近づいていった。
「愛ちゃん元気?」
「はい!吉澤さんの演奏良かったです。」
「ありがと。」
「よっすぃ〜、差し入れ持ってきたから入ってええ?」
「おまえもしつこいなあ。」
「まあ、いいじゃん、お茶注いでくるね。」
結局みんなで休憩を取ることになった。
「いっただきま〜す。」
「うん、おいしいよ亜依ちゃん。」
「完璧ですね。」
- 52 名前:第四話 投稿日:2003年01月17日(金)22時31分35秒
- 「しかしこれで、文化祭も安心ですね。」
「うんうん、これで第一歩って感じ」
紺野とごっちんがしみじみと話していた。
「おおげさだなあ。」
「よっすぃ〜、甘いよ。プッチモニの目標はメジャーデビューなんだか
ら。」
「そうですよ。ここにいるみんなはでっかい夢を持っているんですから。
あやちゃんは世界の歌姫を目指してますし、まこっちゃんは、武道館で
ドラムソロをやりたいっていってます。
私は、オーケストラの指揮者になって完璧な指揮をするのが目標です。」
「そういうこと。よしこは夢とかないの?あんだけ上手いんだし、プロに
なりたくはないの?」
- 53 名前:第四話 投稿日:2003年01月17日(金)22時36分18秒
- 「私は別に・・・音楽が好きなだけだから。」
(プロか・・・・・・・考えてもみなかったな。)
「そんなかっこいい事言っても、後藤は落とせないよ。」
プチッ
「いい加減にしろ。そっちこそ私が好きならほっといてよ。」
「こっちだってよしこよりかわいい亜依ちゃんのほうがいいもんね。」
亜依の顔がみるみる赤くなっていく。
「亜依、帰れ!」
「だって・・・・」
「とにかく帰れ!」
私は亜依を部室から追い出した。
「どうしたのよしこ。もしかして本当にシスコン?」
「うるさい、早く練習しようよ。」
「あ、ああ」
- 54 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月17日(金)22時49分05秒
- >>42 14様
まあ、消去法で行くとそう言う事ですね。
ごっちんにベースは似合いませんかねえ。
>>43 名無し読者様
石川さんについては後々。
本当に文才なくて済みません。
辻ちゃんのほうが料理上手かったなんて・・・
でもハンバーグ食ってみたいなあ。
- 55 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時02分35秒
- 梨華の家に久しぶりに亜依が遊びに来た。
「変わらんなあ、梨華ちゃんち。」
「まあねえ、物持ちがいいから。」
「梨華ちゃんは大人っぽいなあ。うちももっと大人になりたいわ。」
「ごっちんのことが好きなの?」
「でも・・・よっすぃ〜がうるさいんやわ。」
「まあ、気持ちはわかるけど、ごっちんは止めれば?」
「後藤さんそんなに悪い人には見えんのやけど。」
「じゃあ、私がひとみちゃんに近づいてもいいのね。」
「・・・え、だって梨華ちゃんには先生が・・・」
「ほっといてよ。」
- 56 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時05分23秒
- 翌日の放課後
私の教室に石川さんが入ってきた。
「先生もひとみちゃんも部活一緒にいこ。」
最後の授業の担当だったので、当然市井先生もいる。
「梨華、担任が面談すっぽかされたといって怒ってたぞ。三年なんだからちゃんと進路も考えろよ。」
「説教くさいよ、やっぱり学校の先生なのね。」
そう言って、石川さんは私のほうをチラッと見ながら、走って出ていった。
「梨華、待ちなさい。」
ごっちんと一緒に部室に入ったとき、他のメンバーが何か話していたのが、気
になった。
そして、部活の後、バイトの日だったので、クラブに向かった。
- 57 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時07分16秒
- もうすぐライブが始まる。
私がいつも通り、入り口付近で立っていた。
「あ〜、もう始まるよ。」
「よッすぃ〜、来たよ〜。」
(げっ)
振り向くと、軽音部の四人プラス石川さん・・・それと亜依が入ってきた
ところだった。
「なんだよ!みんなして・・・」
「いや〜、内緒にして驚かせようと思って。」
「亜依まで・・・」
「だって、楽しそうやんか。・・・うわ〜音おっき〜、おもしろ〜。」
もうステージではモーニングのライブが始まっていた。
- 58 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時08分39秒
- (やばい・・・・・逃げよう)
私が外へ逃げようとしていると、ステージ上のなっちに呼びとめられた。
「よっすぃ〜!今日ももう出番だよ〜、早く早く。」
「なっち、今日はパスパス。」
そう言って出口のほうに振り向くと、軽音部の連中が待ち構えていた。
そして、私の腕をとると、無理やりステージ前まで引っ張っていった。
「よしこそんなに照れないでさあ。」
「いやだ〜!」
抵抗むなしくついにステージまでのぼらされた。
「今日は友達もいるみたいだし、盛り上がっていくよ。」
そして、私のオリジナルの曲が始まった。
(だめだ、歌えない・・・)
なかなか歌い出さない私に見ていたお客たちもざわざわし出した。
「よっすぃ〜、どうしたの?」
「ごめん・・・今日は伴奏だけ・・・」
結局私はこの日のライブで歌うことは無かった。
- 59 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時10分00秒
- ライブが終わり、静かになった客席に私となっち、それと矢口さんだ
けが座っている。.
「よッすぃ〜、元気出せよ。」
「ごめん、なっち・・・・」
「なっちは別にいいんだけど、よっすぃ〜の歌を聴きに来たお客さん
だってたくさんいたじゃん。どうしたの、よっすぃ〜。」
「・・・・・」
(ごっちんたちだけなら良かったけど、亜依の前で歌えるはず無いじ
ゃん。)
黙り込んだ私にたまらず矢口さんが口を開いた。
「なっち、もういいじゃん。よっすぃ〜にだって不調の時あるよ。」
「まあいいけどさあ、つらい事があったら、なんでもなっちに相談し
てよ。」
「ありがとう、なっち、矢口さん。」
そう言って私はクラブハウスを出た。
外に出ると、亜依が一人立っていた。
「よっすぃ〜。」
「ごっちんたちに送ってもらえば良かったのに。」
「いいじゃん、よっすぃ〜と帰りたかったんやもん。」
- 60 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時11分13秒
- わたしは亜依と一緒に歩き出した。
五分ほど黙って歩いていると、亜依が口を開いた。
「今日はなんで歌わんかったん?」
「あ・・・あれはもともと歌詞がないんだよ。」
「うそ・・・梨華ちゃんが素敵な片思いの歌だって言ってたんやで。」
「もういいじゃん、早く帰ろ。」
再び沈黙になった。
そして、家まであと少しになったところで、また亜依が話し始めた。
「なあ、よっすぃ〜・・・片思いの歌って好きな人おるん?」
「・・・・・・・・・・・い、いるよ」
「じゃあうちと同じやな。お互いがんばろうな。」
亜依がそういったとき私たちはちょうど、家の前まできていた・・・。
- 61 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時12分28秒
- 翌日、私は一人部室で作詞をしていた。
夢中だったので、部室に誰か入ってきたのにも気づかなかった。
「なになに・・・私を立ち止まらせたのは、月じゃない、星でもない、
君のせいだよ・・・ひとみちゃん、かっこいい―。」
「な、何見てるんですか、石川さん。」
「もう、石川さんじゃなくて梨華ちゃんって呼んでよ。そんなに照れなく
ていいからさあ。」
「分かりましたよ、石・・・梨華ちゃん。いいから私のことはほっといて
よ。なんで、私にかまうんですか。」
「決まってるじゃん、紗耶香やめて、ひとみちゃんにするの、いいでしょ?」
「は?」
- 62 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時13分31秒
- 同時刻、亜依は部室に向かう真希を見つけ声をかけた。
「ごとうさーん。」
「おお、亜依ちゃんじゃん、今日も差し入れあるの?」
「は、はい、今日はクッキーです。」
「いつもありがとうね。うれしいよ。」
「よっすぃ〜は?」
「ああ、先に行ってるみたいだよ。」
二人は部室の前に着いた。
「んあ?他にも誰かいるのかな、話し声が聞こえる。」
- 63 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時14分39秒
- 「・・・私のこと嫌い?」
「き、嫌いって・・・そんなんじゃなくて、わ、わたし・・・」
「じゃあ何?はっきり言って。」
バタン
わたしが入り口のほうを向くと、亜依とごっちんが立っていた。
(あ、亜依・・・・・)
ごっちんが口を開いた。
「悪いけど、ここ部室なんで、続きはよそでやってくれる?」
亜依が突然外へ走って出ていった。
「亜依!!」
わたしが追いかけようとすると、ごっちんに止められた。
「な、なにする・・・・」
「ここはよしこじゃなくて後藤の出番だよ。妹のお守りももう卒業し
たら?・・・よしこは梨華ちゃんのほうでしょ。」
そう言ってごっちんは亜依を追いかけていった。
- 64 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時16分01秒
- 学校の近くの公園で真希と亜依はブランコに乗っていた。
「ジュース買ってこようか?」
真希は亜依にたずねた。
「あ、お金・・・・。」
「いいっていいって、おごってあげるよ。」
「ありがとうございます。後藤さん。」
「ごっちんでいいって。」
真希はすぐ近くの自動販売機に向かっていった。
「はい。」
「ありがとう、ごっちん。」
- 65 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時17分38秒
- 「・・・亜依ちゃんもシスコンかもね。ま、あれだけよしこに大事にさ
れてちゃ無理ないけど。」
「うちももう高校生やし、よっすぃ〜から離れせなあかんと思ってはい
るけど。・・・よっすぃ〜の好きな人って梨華ちゃんやろか。」
「梨華ちゃんのほうはどうなの?友達なんでしょ。」
「・・・梨華ちゃんはよっすぃ〜のこと好きみたい。」
「なら良かったじゃん。よしこも恋人がいたほうがまともな人生送れる
だろうし。」
真希がそう言うと、亜依は泣き出しそうな顔になった。
「そんな顔、亜依ちゃんには似合わないよ。」
「そ、そうやな〜。こんな事でなんで泣きそうになるんやろ。」
そう言って亜依は無理に笑顔を作った。
- 66 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時20分12秒
- 「・・・後藤もよしこ離れとやら手伝おうか?」
「え?」
「亜依ちゃん、後藤の彼女になろうよ。・・・嫌ならいいけど。」
亜依は驚いたあとまた泣き出しそうになった。
「同情なんてやめてください。」
「ちがうよ、亜依ちゃんには笑っていて欲しいから。・・・ちょっとき
ざだったかなあ。」
真希は照れながら答えた。
亜依は安心したような顔になった。
「よかったわ、ごっちんやっぱいい人やなあ。」
- 67 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時21分40秒
- ひとみの家
「よっすぃ〜、ちょっとええ?」
私が居間で、希美とテレビを見ていると亜依に呼ばれた。
私は亜依に連いていって、亜依の部屋に入った。
「亜依、何の用?」
「・・・梨華ちゃんと付き合うん?」
「そんなわけないじゃん。」
「無理せんでええよ。梨華ちゃんいい子やで。」
「何言って・・・」
「うちの心配ならもうええわ。うち、ごっちんと付き合う事になったわ。」
私は呆然とした。
「今日、付きあおうって言われたわ。」
私は部屋を飛び出した。
「よっすぃ〜!」
亜依の声が聞こえたが、走るのを止めず家の外へ出た。
そして、どこという当てもなく走りつづけた。
- 68 名前:第5話 投稿日:2003年01月23日(木)21時24分18秒
- 私が家に帰ったのは、それから三時間後だった。
家に入るともうみんな寝ているようだった。
私は亜依の部屋に入った。
亜依もぐっすり眠っているようだった。
「は〜あ、いい気なもんだな。私の気持ちなんて全然知らないで。」
私はじっと亜依の寝顔を見た。
(本当にかわいいなあ)
だんだん顔が亜依の顔に近づいていく。
「誰にもやらない・・・」
あと数センチで唇が重なろうとしたとき、
「くしゃん」
亜依がくしゃみをした。
そのくしゃみで私は正気に戻った。
(何やっているんだ、私は)
私は亜依が起きないように注意しながら、急いで亜依の部屋を出、自
分の部屋に戻った。
そのころ亜依の部屋では、ずっと寝たふりをしていた亜依が、顔を真
っ赤にして布団にもぐりこんでいた。
- 69 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月23日(木)21時28分37秒
- 次の次の更新ぐらいから、原作と違うものとかが入るかもしれません。
他のカップリングも出していきたいです。
では、また次回に・・・。
- 70 名前:42 投稿日:2003年01月24日(金)02時29分49秒
- おぉ〜、気づかないうちに更新されてましたぁ〜!
よっすぃ〜とあいぼん、お互いにやっぱり素直になれないのかなぁ・・
だんだんせつなくなって来ました(泣)
何気にいしよし風味になってるし・・石川さんも謎ですねぇ。
ごっちんのベースは合ってると思いますよぉ。
よっすぃ〜、ごっちんは何か弦楽器系統の香りがしますw
他CPも期待しています。
- 71 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月24日(金)17時04分17秒
- せ、せつねぇ〜。。原作は知りませんが、面白いです。
ちょっとマンガにしたい感じ。もしくはハロモニの寸劇とか(←無理)
- 72 名前:第6話 投稿日:2003年01月29日(水)22時05分22秒
- 3日後の日曜日
亜依は真希との初デートの朝を迎えていた。
亜依がそろそろ出発しようと下に下りたら、ひとみも出かける用意をし
ていた。
「よっすぃ〜もどこか行くん?」
「せっかくの日曜だし、川原でギターでも弾こうかと思って。亜依は?」
「ごっちんに映画に誘われて・・・」
「そ、初デートってこと。楽しんできなよ。心配しなくても付いていった
りはしないから、じゃあ。」
そう言ってひとみは出ていった。
- 73 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月29日(水)22時06分52秒
- 真希と映画を見た後、亜依は喫茶店に入った。
「あの、ごっちん話があるんやけど・・・」
「んあ、何?もしかして愛の告白とか?」
「いえ、・・・うちよっすぃ〜離れもう少し待つことにするわ。」
「んあ?」
「え、えっと・・・ごっちんが嫌いってわけじゃないねんけど。ってかむし
ろ好きなんやけど・・・もう少し気持ちの整理をしようと思ったんや。」
「気持ちの整理って何?」
「よっすぃ〜がまだ言ってないんやったらうちも言えんわ。ごめんなさい。」
真希はあきれたような顔で見ている。
「だから、こないだの事もう少し待ってくれん?」
「ふ〜ん、亜依ちゃんも本当シスコンだねえ。それが克服できるまで後藤
に待てって?」
「うちのこと嫌いになってもええわ。」
「いいよ、後腐れないほうがいいもん。」
「ありがとうございます。じゃあ、また明日。」
亜依はそう言って喫茶店を出ていった。
後に残った真希は亜依の後姿を見ながら、つぶやいた。
「後腐れねえ・・・後藤も人のこと言える立場じゃないんだけど・・・。」
- 74 名前:第6話 投稿日:2003年01月29日(水)22時08分05秒
- 三日後
亜依は相変わらず、プッチモニに差し入れを持ってくる。
「よっすぃ〜、今日はクッキー作ったんや。味見してくれん?」
「いいって、味見しなくてもおいしいのは知ってるよ。」
「ケチ―、いいもん、よっすぃ〜のためだけに作っとんちゃうもん。」
「だったらごっちんだけに持っていけば。」
「うるさいわ、よっすぃ〜こそ梨華ちゃん泣かしたらあかんで。」
「・・・お先。」
私は亜依より先に出発した。
私たちは何かギクシャクしていた。亜依はごっちんの事を私に話さなく
なり、私は私でキス未遂事件から亜依の顔をまともに見れなくなった。
(・・・まあ、一度や二度くらい魔がさすことだってあるさ。)
- 75 名前:第6話 投稿日:2003年01月29日(水)22時09分47秒
- 放課後
私とごっちんが到着したとき、軽音部室前は人であふれていた。
「これどうしたの、ごっちん」」
「さあ・・・」
私たちが不思議に思ってると、一人の生徒が私たちに気づいた。
「あ、よっすぃ〜だ。」
「え、どこどこ?」
すぐに私は生徒たちに囲まれた。
「よっすぃ〜、早く歌ってよ。」
「この前後輩の二年生がライブハウスで聞いたって。」
「すごく上手いってうわさしてるよ、みんな。」
私は戸惑いながらも、部室の中から感じてくる亜弥ちゃんの怒りが伝わ
っていて早くこの場から逃げ出したくなった。
「私はギターだから歌わないよ。」
そう言いながら私は人ごみを掻き分け部室の中に滑り込んだ。
(うわ〜、やっぱ相当亜弥ちゃん怒ってるみたい。・・・あ、忘れてた、
ごっちんは大丈夫かな)
外を見てみると、案の定ごっちんは捕まっていた。ものすごく不機嫌な
顔をして・・・。
- 76 名前:第6話 投稿日:2003年01月29日(水)22時11分11秒
- 「ねえねえ、ごっちんもそう思うでしょう?よっすぃ〜が歌えばプッチモ
ニのファンも絶対増えるよ。」
「みんなもう帰ってくれない?バンドの事は後藤たちの問題だから。そ
れに後藤はプッチモニのボーカルには亜弥ちゃんしかいないと思うし。」
どうやら周りもごっちんの静かな怒りに気づいたようだ。
「何よ、そんなに怒らなくても・・・」
周りの生徒たちはみんな帰っていった。
ごっちんが部室に入ってきた。
「さあ、みんな練習しよ。」
どうやら亜弥ちゃんの怒りも収まったようだったので、練習が始まった。
(亜依が来た日から私は歌ってない。歌おうとしてもなぜか声が出なく
なる。・・・でも、本当は歌いたい。)
- 77 名前:第6話 投稿日:2003年01月29日(水)22時12分14秒
- 練習が一段楽して休んでいると、亜依と梨華ちゃんが入ってきた。
「みんなー、差し入れ持ってきたで〜。」
「いつもありがとうね、亜依ちゃん。」
みんな口々に礼を言って、持ってきたクッキーをつまみ始める。
私もつまんでいると、梨華ちゃんに呼ばれた。
「ひとみちゃん、ちょっと来て。」
私は言われたとおりついていくと、屋上についた。
「この前の告白、本気だよ。」
「・・・私好きな人がいます。」
「知ってるよ、あんな片思いの詞を書くくらいだもん。・・・どうして告
白しないの?」
「言えません・・・告白したら壊れてしまうから・・・」
「そっ、でも、このままずっと一人でいる気?」
「・・・・・・」
「私は無理ね、そんなの。いつも誰かにそばにいて欲しいの。・・・で
も、誰も私のこと本気になったりしないのね。紗耶香だって・・・子供
扱いだもん。」
梨華ちゃんは寂しそうな顔をしてそう言った。
- 78 名前:第6話 投稿日:2003年01月29日(水)22時14分05秒
- 今日はモーニングが新曲を初披露したライブだったけど、それほど盛り上
がらなかった。
モーニングのメンバーはライブの後いつものように、ビールを飲みなが
ら話していた。
「今日の客、ノリが悪かったね。せっかくの新曲やったのに。」
「やっぱり?私もそう思った。何でだろう?」
「・・・よっすぃ〜が歌わないからだよ。」
なっちが私を見ながら言った。
「アンコールが来ても全然歌わないから、客もしらけたんだよ。よっす
ぃ〜、一体どうしたの?悩んでるんだったら、なっちに相談してよ。」
私はもう耐えられなかった。亜依への思いを一人でしまいこんでいるの
は。だから私はなっちに全て言ってしまおうと思った。
「・・・分かった、なっち聞いてくれる?・・・外で話そ。」
「いいよ。じゃあみんな、なっちはちょっと外行って来るよ。」
- 79 名前:第6話 投稿日:2003年01月29日(水)22時16分32秒
- そう言って私となっちは外に出て、近くの公園に入った。
「もう大丈夫、なんでも言ってみて。」
「なっち・・・私の親再婚したって言ったよね。」
「うん」
「それで私に新しい妹ができたんだ。」
「うん知ってるよ。・・・前来てた子だよね。かわいいね。」
「・・・うんかわいいよ。」
「なっちにも妹がいるん「好きになっちゃったんだ。」」
「え?」
「妹の事が・・・」
「・・・・・」
(言っちゃった。どうにでもなっちゃえ。なっちもやっぱ驚いてるよ〜)
- 80 名前:第6話 投稿日:2003年01月29日(水)22時20分06秒
- 「よっすぃ〜、つらかったんだね。」
「・・・・・」
「そっかあ・・・あの歌詞はそういう事だったんだね。」
「誰にも言わないでよ。」
「言わないよ。でもさあ、その妹の事はあきらめられない?」
「無理だよ。」
「・・・よっすぃ〜さあ、妹の立場も考えた?」
「どういうこと?」
「なっちもそうだから、女同士ってのは別に女同士ってのは別にいいと
思うけど・・・。
でも妹でしょ、いくらよっすぃ〜が愛していても、妹が姉ちゃんと付き
合いたいと思う?それに万一両思いだったとしても、悲惨な結末しかな
いよ。」
「・・・・・」
「夢みたいな話だよ・・・じゃあ、そろそろ戻ろうか」
「ごめんなっち、私このまま帰る。」
「そっかあ、じゃあまた明日。」
「バイバイ」
私はなっちと別れた後、家まで歩いていた。
(なっちの言った事は正しい。でも、こんな話を聞くくらいなら笑われ
たほうがましだった。・・・・私は夢を見てはいけないのだろうか・・・)
- 81 名前:加ト吉 投稿日:2003年01月29日(水)22時30分47秒
- >>70 42様
レスありがとうございます。
いしよしは結構入るかもしれません。
他の脇役にもカップリングは用意しています。
>>71 名無し読者様
ありがとうございます。
もっともっと切なくしていければ、と思っています。
更新遅れ気味で申し訳ありません。
本当は明日しようかと思ったんですが、某テレビ雑誌でよっすぃ〜と加
護ちゃんのツーショットを見てうれしくなり更新しました。
と言う事で、また次も遅れると思います。すみません。
- 82 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月30日(木)23時54分09秒
- ・゚・(ノД`)・゚・。あう”ー。ダブルで禁断…
よしかごはリアルに今最も危険なかほり漂う組合せですね(w
- 83 名前:第七話 投稿日:2003年02月02日(日)17時05分06秒
- もうすぐ夏休みに入る。
文化祭は9月のはじめにあるので、より一層ごっちんたちは練習し出した。
最近、亜依はなぜか無理をしながらも、私のことを姉ちゃんと呼ぶようになった。
その理由も分からないせいもあって、私はいらいらしていた。
ある日の部活中、私のいらいらは限界に達していた。
「ごっちん、私のギターソロのときに横から入って来ないでよ!他のみんなも本気でやってるの、それで。音が外れたりテンポが遅れたり、そんなんでプロになれると思ってんの?」
いきなりキレ出した私にみんなあっけに取られたようだったが、すぐごっちんが私に文句を言ってきた。
「よしここそギターソロっていっても、コピーばっかじゃん。少しはアレンジとかしたらどうなのさ。」
「な、なんだって〜、もう一度言ってみろ!」
周りも正気に戻って、私たちを止めに入った。
- 84 名前:第6話 投稿日:2003年02月02日(日)17時06分58秒
- 「二人ともやめてください。」
「「うるさい!」」
なおも口喧嘩は続き、後少しで手が出そうになったとき、市井に止められた。
「いい加減にしろ!!吉澤、後で職員室に来い。」
結局、事の発端の私は市井に連れられて職員室で説教された。
「まあ、吉澤は後藤に無理やり入れられたようなもんだからコンサートなんてどうでもいいかもしれないけどさあ、後藤たちはずっと楽しみにしてたんだよ。喧嘩なんかでせっかくのバンド壊してしまうなんてもったいないよ。」
「・・・・・」
「それにさあ、バイトの件も黙っててやってるんだから、これ以上騒ぎを起こすなよ。」
- 85 名前:第6話 投稿日:2003年02月02日(日)17時09分42秒
- 「そうやって、上手い事丸くおさめようとする、やっぱ教師ってわけ。」
「吉澤もだいぶひねくれてきたな・・・梨華の影響?」
「別にいいじゃないですか、そんな事。結局先生は遊びだったんでしょう。」
「人聞きの悪いこと言うな、教え子に手を出すほど落ちぶれちゃいないよ。」
「・・・梨華ちゃんは本気だったんですよ。」
「どうかな、梨華は寂しかっただけだ。別に私じゃなくても・・・・」
急に口を閉ざした市井の視線をたどると、職員室の入り口で立っている梨華ちゃんがいた。
「じゃあ、私はこれで。・・・失礼します。」
「吉澤」
私は市井を無視して、梨華ちゃんを連れ学校を出た。
そして、近くの公園のブランコに腰掛けた。もちろん梨華ちゃんも隣のブランコに座った。
- 86 名前:第7話 投稿日:2003年02月02日(日)17時11分10秒
- 「優しいね、ひとみちゃん。」
「別に・・・」
「ふ〜、私さあ、両親いないんだ。今はおじいちゃんの家に住んでるの。」
「え?」
「驚いた?」
「いや、結構そんなところあるんだなあと思って。」
「・・・ひとみちゃんはお父さんが死んだときどう思った?」
「あんまり覚えてないけど、ひとがいなくなるって妙な感じだった。」
「私は全然覚えてないんだ。二人が死んだの二歳のときだったの。交通事故・・・でも本当に覚えてなくて、涙流した事もないし・・・・・私って冷たいのかなあ。」
「そんなもんじゃないかなあ。」
「ありがとう、ひとみちゃんならそういうと思った。」
梨華ちゃんは涙を流していた。
- 87 名前:第7話 投稿日:2003年02月02日(日)17時12分14秒
- 「やだ、なんで涙が出るんだろう・・・」
ザッ
気づいたときには私たちは唇を重ねていた。
「ねえ、ひとみちゃん。好きな子がいるって言ってたけど、かなわない恋なんでしょ?だったら私のことを見てよ、私のこと分かってくれる人をやっと見つけたんだから・・・」
(夏なのに梨華ちゃんの唇や手は冷たかった。まるで氷のようで、私が抱きしめたら溶けちゃいそうな気さえする。私も梨華ちゃんとならやっていけそうな気がする。たぶん・・・きっと梨華ちゃんとなら分かり合える。なっちが言ってたのもこういう事だろう?)
- 88 名前:第7話 投稿日:2003年02月02日(日)17時13分19秒
- 一方、亜依は真希とデートをしていた。
「これでやっと亜依ちゃんも自由になったんでしょ。」
「自由?」
「よしこは梨華ちゃんと付き合ってるんでしょ。」
「ああ、そうやったな。はよ危ない世界から脱出せなあかんな。」
「そういうこと。次どこ行こうか?」
「そうやなあ・・・ゲーセン行こ、ストレス解消に。」
「いいけど、そんなにストレスたまってるの?」
「ごっちんって意外と話よく聴いてんなあ・・・」
「でもさあ、梨華ちゃんとよしこかあ、世の中わからないよね。まあよしこがいいなら良かったんだろうね、それで。」
「そうやな・・・」
- 89 名前:第7話 投稿日:2003年02月02日(日)17時14分27秒
- 「ねえ、亜依ちゃんそろそろ教えてよ。」
「え?」
「前のデートのとき気持ちの整理がしたいって言ってたじゃん。よしこも亜依ちゃんも何か後藤に隠し事あるでしょ。よしこから離れられないわけってそれに関係あるんじゃない?」
「・・・ごめんごっちん、うちからは何も言えんわ。」
「そっか」
「あ、加護ちゃんじゃん。」
- 90 名前:第7話 投稿日:2003年02月02日(日)17時15分25秒
- 急にかけられた声に驚いて振り向くと、亜依の小学校のころの友達だった里紗が立っていた。
真希が不思議そうな顔をして理沙に尋ねた。
「加護ちゃんって誰?人違いじゃないの?」
「え?でも・・・」
「・・・うちであっとるで。久しぶりやなあ、里沙ちゃん。実はうちの親再婚して、今は加護じゃなくて、吉澤っていうんや。」
「あ、ごめん。そうだったの?今度みんなで同窓会やろうよ。私幹事やるから。じゃあ、また今度招待状出すね。ちゃんと来てよ。」
そういって里紗は高校の友だちらしい数人のグループのところに戻っていった。
「じゃ、じゃあ・・・ごっちん。うちもこの辺で・・・」
「ちょっと待ってよ亜依ちゃん!」
走って逃げ出した亜依だが、すぐに真希に捕まった。
- 91 名前:第7話 投稿日:2003年02月02日(日)17時16分22秒
- 「亜依ちゃん・・・もしかしてよしことは・・・」
「ご、ごめんなさい、ごっちん。よっすぃ〜とうちは本当の血のつながった家族じゃないんです。黙っていてごめんなさい。」
「そ、そうだったんだ。じゃあ、よしこは・・・。言ってくれてありがと、亜依ちゃん。じゃあ、ここでバイバイ。後藤はちょっとよしこのとこに行ってくる。」
そう言って真希はひとみの家に向かって走り出していった。
- 92 名前:第7話 投稿日:2003年02月02日(日)17時17分18秒
- ひとみは家で一人で作詞をしていた。
突然チャイムが鳴ったので、ドアをあけたら真希が立っていた。
真希は走ってきたのか、呼吸が乱れていた。
「ど、どうしたの?ごっちん。」
真希は息を整えて声を出した。
「・・・よしこ、ごめん!!」
いきなり土下座をしだした真希にひとみは驚いたが、部活でけんかした事を謝っているのかと考えた。
「ごっちん、土下座なんていいよ、もともとのけんかの原因は私だったんだし。私のほうこそごめん。」
「違う、けんかの事じゃなくって・・・亜依ちゃんから聞いたんだ。よしこと亜依ちゃんが本当の家族じゃないって。」
「え?じゃあ・・・」
- 93 名前:第7話 投稿日:2003年02月02日(日)17時18分17秒
- 「本当にごめん、よしこ。よしこの気持ち考えてなくって。後藤そんな事知らなかったから・・・よしこ、亜依ちゃんが好きなんでしょ?一人で悩んでたんでしょ?後藤そんなことも気づかずに・・・本当にごめん。」
真希の謝罪を聞くうちにひとみはだんだん冷静に戻っていった。
「もういいよ、ごっちん。ほら、もう立っていいから。」
「よしこ・・・いいの?このまま後藤と亜依ちゃんが付き合っても。」
「私にはどうしようもないよ。」
(そう、私にはどうしようもないことだ。・・・ごっちんにばれたって私と亜依の運命が変わるわけでもない。・・・そう、私も市井みたいに上手くおさめていくしかないんだ・・・)
- 94 名前:加ト吉 投稿日:2003年02月02日(日)17時26分00秒
- >>82 名無し読者様
レスありがとうございます。
そういって頂くとやりがいがあります。
また少しいしよしが入ってしまいました。
さくら組いいですね。よしかごが離れなくて良かった。
次は一週間後くらいになると思います。もう下書きが尽きたので・・・。
- 95 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月08日(土)23時47分40秒
- よしかごの時代がキター!!…と、言ってみるテスト(w
ごっちん、気の良さそうなかんじでヨカッタ
- 96 名前:第八話 投稿日:2003年02月11日(火)19時18分43秒
- 夏休みに入り、プッチモニのメンバーたちは学校だとギャラリーが多いという理由で、昼の間ひとみのバイトしているクラブハウスで練習する事となった。
このクラブハウスはモーニングでもっているような物なので、オーナーも私が頼むとすぐにOKしてくれた。
学校とは比べられないほど、設備はそろっているし、毎日のようになっちに見てもらえるので、みんな喜んでいた。(市井は学校側を説得するのに苦労したらしいけど・・・)
プッチモニがここで練習をしているのを知っているのは、メンバーと教師以外では、亜依や梨華ちゃんらわずかだった。
私が亜依への想いを告白してからも、なっちは普通に接してくれていた。
「よっすぃ〜、そこ一人ずれてるよ!」
「後藤さんも遅れ気味だよ!」
「亜弥ちゃんももっと心をこめて歌って!」
・・・・なっちは厳しかった。
ごっちんたちは憧れのなっちに指導してもらえて、本当にうれしそうだったが・・・
3時過ぎになるといつも亜依が差し入れを持ってくる。
- 97 名前:加ト吉 投稿日:2003年02月11日(火)19時21分21秒
- こんなパターンの練習が夏休み中ずっと続いた。
そして夏休みも後1週間に迫った8月25日に事件は起こった。
練習はいつもどうり終わり、私はバイトがあるので、みんなを見送った後、営業の準備をしようと、控え室を開けたら、矢口さんが机に顔を伏せて泣いていた。私は驚いてすぐに声をかけた。
「や、矢口さん!一体どうしたんですか?なっちとけんかでも!?」
矢口さんは驚いたらしく、肩をびくっとさせながら私のほうに振り向いた。
「あ、よっすぃ〜に悪いとこ見られたな。ごめん、なっちとけんかとかそんなんじゃないんだ。・・・実は、なっちたち・・・デビュー決まりそうなんだ。」
「え〜!!」
私は本当に驚いた。
- 98 名前:第八話 投稿日:2003年02月11日(火)19時23分51秒
- 「昨日東京のプロダクションの人が来て、どんどん決まっていったみたい。」
「・・・・・」
「泣いたりしててごめん。なっちたちが東京に行くのかと思うと寂しくなっちゃって。」
「でも、矢口さん。なっちはプロなんか別になりたくないって・・・」
「みんな乗り気なの、なっち以外。なっちはおいらのことを考えて、悩んでるんだって。なっちも馬鹿だよね、なっちのいないモーニングなんてモーニングじゃないのに。」
そういうと矢口さんはまた泣き出した。
「おいらだって・・・おいらだってやっぱ離れたくないよ・・・」
私は何も声をかけることができなかった。そして、そっとしておこうと静かに部屋を出た。
- 99 名前:第八話 投稿日:2003年02月11日(火)19時25分35秒
- 部屋の外に出るとなっちが立っていた。
「なっち・・・・」
「よっすぃ〜、ちょっと外行こ。」
私は黙ってうなづくとなっちの後についていった。
「よっすぃ〜、黙っていてごめんね。」
「・・・矢口さん泣いてました。」
「うん・・・」
「私は・・・なっちと矢口さんみたいな関係がうらやましかった。二人を見てると私もなんか元気になれた。なっち・・矢口さんのことどうするの?」
「すっごく悩んだけど、やっぱり今度の話は受けるつもり。ずっと音楽やるにはそのほうがいいし・・・。歌えたらどこでもいいやって思ってたけど、認められたら野望が出てきて・・・。なっち、ダサいね。」
「そんなこと・・・」
「よっすぃ〜とも一緒にできないね。まだ歌えない?」
「歌は・・・もういいよ」
- 100 名前:第八話 投稿日:2003年02月11日(火)19時27分59秒
- 「そんな事言っちゃだめだよ。ファイナルライブではちゃんと歌ってよ。」
「ファイナルって・・・いつ?」
「3日後の8月28日。」
「早いよ・・・寂しくなるね。」
「それで、よっすぃ〜に聞きたいんだけど、高校卒業したら東京でて、モーニングの正式メンバーにならない?」
「え?」
「よっすぃ〜はなっち達のメンバーみたいなものだし、歌いたいんでしょ。それに、亜依ちゃんへの思いを吹っ切るにはそのほうがいいんじゃない?」
「冗談言わないでよ、なっち。じゃあ私はライブの準備しなくちゃ行けないから!矢口さんとも仲直りしてよ。」
あたしは慌ててライブハウスの中に戻った。ドアを閉め、息をついた。
(なっちが冗談を言ってんじゃないってことは分かってる。・・・東京か・・・そう言えば私3年生だったんだ。いい加減進路も考えなきゃね・・・。・・・私にとって一番大切なものはなんなんだろう、私はその大切なものを見失ってしまいそうで怖かった。)
- 101 名前:第八話 投稿日:2003年02月11日(火)19時30分21秒
- 8月26日
翌日もみんなは練習のために集まった。なっちはまだ来てなかった。そこで私は昨夜のことを話した。
案の定みんなも知らなかったらしく驚いていた。
「よしこ、モーニングがデビューするって本当?」
「うん、それでさあ、私に考えがあるんだけど・・・。あさってのモーニングのラストのときも練習あるでしょ、だからその練習のときに私達でライブしない?」
「はあ?何いってんのよしこ。」
「そのライブをなっちに聞いてもらお、もちろん矢口さんや他のモーニングのメンバー、市井先生とか他にも呼びたい人が呼べば呼んでいいし。それで、なっちにお別れを言おうよ。それに文化祭のリハーサルにもなるし・・・。」
私がそんな提案をするとみんな乗り気になっていた。
「よしこにしてはいいこと言うね〜」
少しごっちんのことばが気にかかったけど。
「よし、そうと決まったら張り切って練習しよう。」
そうごっちんが言い、みんな練習に取り組み出した。
その話を後から来たなっちにも伝えると、なっちもすごく喜んでいた。
- 102 名前:第八話 投稿日:2003年02月11日(火)19時33分43秒
- 8月27日
私はいつもより早く来て従業員室で作詞をしていた。
しばらくしてトイレに行きたくなり作詞ノートをそのままにしたままトイレに向かった。
10分後、部屋に戻ると、私の作詞ノートを梨華ちゃんが開いて見ていた。
「何してんの!!勝手に触るな!」
私が慌ててノートを取り上げた。そして、梨華ちゃんが泣いているのに気がついた。
「いい加減にしてよ、よっすぃ〜ひどすぎるよ。自分で歌わないのに片思いの詞だけは書きつづけて・・・。馬鹿にしないでよ。よっすぃ〜はあきらめきれないんでしょ、私と付き合っても忘れられない恋をしたままで・・・。違う?」
「梨華ちゃん、こんな話やめよ、けんかしても意味ないよ。」
「・・・確かに私はよっすぃ〜が私の事を好きになるまでまつっていったけど・・・。よっすぃ〜の片思いを忘れさせるために付き合ってもいいよ、でも、よっすぃ〜は忘れようとしてないじゃない。それとも、よっすぃ〜まで私に同情してるわけ?」
- 103 名前:第八話 投稿日:2003年02月11日(火)19時35分01秒
- 「ちがう!!・・・確かに私はあきらめきれないでいるけど、でも梨華ちゃんの事軽く考えてるわけじゃないよ!」
「よっすぃ〜の好きな子誰か知ってるよ。」
「え?・・・言って見てよ」
「嫌よ、私を侮辱する気?・・・やっぱり私のことなんて誰も・・・」
気がついたら私は梨華ちゃんを抱きしめていた。
「そんな事自分で言うなよ・・・」
「・・・キスしてよ、よっすぃ〜」
私は梨華ちゃんの顔を見た。
「ごめん、できない・・・」
パン!!
梨華ちゃんが私に平手打ちをした。
「馬鹿!!」
そう言って梨華ちゃんは部屋を出ていった。
- 104 名前:第八話 投稿日:2003年02月11日(火)19時37分12秒
- しばらくして、ごっちんが入ってきた。
「よしこ、おはよー」
「おはよ」
「いま梨華ちゃんとすれ違ったけど・・・来てたの?」
「うん、まあ。」
「・・・よしこさあ、明日歌ったら?自分の歌のほう。」
「・・・・・」
「亜依ちゃんへの思いも全部吐き出しちゃえ、それからでも遅くないよ、亜依ちゃんから離れるには。・・・ごとーはその方がいいと思う。よしこ、なっちに誘われてるんでしょ。このまま卒業して東京行ったら逃げるのと同じだよ。」
「・・・なっちが私を誘うのはその方が私にとっても亜依にとってもいいからだよ。」
「よしこも馬鹿だねえ、亜依ちゃんがそれで喜ぶと思う?」
私は何も言い返せなかった。
30分後に練習が始まってからも、私はさっきの梨華ちゃんやごっちんが言ったことを考
えていた。
- 105 名前:第八話 投稿日:2003年02月11日(火)19時38分26秒
- 休憩時間、真希は差し入れを持ってきた亜依を誘って外に出ていった。
「ごっちん、話って何や?」
「もう待てない。」
「え?」
気づいたら亜依は真希に抱きしめられていた。
「な、何すんねん、ごっちん!」
「ごとーのこと好きなんでしょ、ならいいじゃん。」
真希の唇と亜依のそれとの距離が短くなっていく・・・。
- 106 名前:第八話 投稿日:2003年02月11日(火)19時39分49秒
- 「いや・・・・・よっすぃ〜!!!」
亜依がそう叫ぶと、真希は抱きしめるのをやめた。
「・・・やっぱり?」
「・・・あ」
亜依はすぐに走り去っていった。
それを見て真希がつぶやく。
「・・・決定的か・・・」
「あきれた。からかうのもいい加減にしたら?」
真希が振り向くと、そこには梨華が立っていた。
「梨華ちゃんこそよしこのこと放っておいていいの?」
「いいの、もう決めたの。」
「決めたって?」
「よっすぃ〜をうんと後悔させてやる。後で泣きついても無駄だって思い知らせてやるの。」
「・・・梨華ちゃん怖いよそれ。」
「なんとでもいえば・・・」
- 107 名前:加ト吉 投稿日:2003年02月11日(火)19時46分02秒
- ようやく100突破!!
>>95 名無し読者様
ありがとうございます。ごっちんはこれからどんどんいい奴?にしていく
つもりです。
よしかごの時代・・・来るといいなあ。
一週間後の予定が少し遅れてしまって申し訳ありませんでした。
これからもこんな間隔になると思いますがよろしくお願いします。
- 108 名前:70 投稿日:2003年02月13日(木)03時28分12秒
- 更新、お疲れ様でした。
梨華ちゃんの決心がコワイ・・
ごっちんはよしかごの本当の気持ちを分かってるんですね。
お互いが別なベクトルに向かってるよしかごを、何とか橋渡ししてあげて
欲しいです。
- 109 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月13日(木)22時26分49秒
- 石川がちょっとかわいそうだなぁ・・・
- 110 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月15日(土)13時47分32秒
- 石川さんがどのように後悔させるかひっかかります。
あいぼんかわいいなぁ…ていうかよしかごちょっといいかも(w
吉の「TVでは見せないイイコト」に加護ちゃんも気付き始めてるのかな
- 111 名前:第九話 投稿日:2003年02月15日(土)17時08分59秒
- 8月28日 ライブ当日
ライブ開始は2時からだ。私達はライブの準備で大忙しだった。
開始1時間前になっちが矢口さんと一緒に現れた。
「よっすぃ〜」
「なっちに矢口さん、来てくれてありがとうございます。」
「ってゆうか〜、うちらのためのコンサートなんでしょう?」
「そういえばそうでしたね・・・。」
見ると、なっちと矢口さんは仲良さそうに腕を組んでいた。
「矢口さん・・・仲直りしたんですか?」
「うん、許しちゃった。」
「毎日朝と夜最低二回は電話するのが条件だって。そんなのなっちにしたら当然って感じなんだけどね。」
「ま、なっちに会いたくても、東京だったら2,3時間で行けちゃうしね。それに、遠距離恋愛ってのもあこがれてたんだ。」
と、二人で行ってお互いに照れている。
「よかった。」
この二人を見ていたら私は自然とそうつぶやいていた。
- 112 名前:第九話 投稿日:2003年02月15日(土)17時10分47秒
- 「じゃあ、おいら達は席のほうでいるから。ほら、なっち早く行こ。」
二人が去ってから、だんだんと招待していた人たちが入ってきた。
亜依は友達の愛ちゃんと一緒に入ってきたし、市井先生や学校の友達、モーニングの他のメンバーたちも入ってきた。
そして、30分前になって梨華ちゃんが入ってきた。梨華ちゃんはまっすぐごっちんと話していた私のところまで歩いてきた。
「ひとみちゃん、ちょっと来て、話があるの。」
私が返事をする前にごっちんが口を挟む。
「だめだよ、もうすぐ本番始まるんだし・・・。」
「ごっちんに言ってるんじゃないの、ね、少しだけならいいでしょ?」
「分かった、じゃあごめんごっちん、すぐ戻るから。」
私はそう答え、外に向かっていた梨華ちゃんの後を追った。
- 113 名前:第九話 投稿日:2003年02月15日(土)17時12分03秒
- 私達は、私がなっちに亜依の事を告白した公園までついた。
「何、話って。もうすぐ開始だから後でもいいならそうしてくんない?」
私がそう言っても梨華ちゃんはなかなか口を開かない。
もう開始10分前になる。
「梨華ちゃん、悪いけど、話はライブ終わってから聞くよ。」
私は我慢できなくなり、もう戻ろうとした。
「だめ!」
突然梨華ちゃんが声をあげた。
「今聞いて・・・でないと決心が鈍るから。あんた達を地獄に落とすって決めたんだから!」
見ると、梨華ちゃんの目から涙があふれていた。
「あいぼんは・・・いいえ亜依はねえっ・・・ずっとあんたが好きだったのよ!!」
「え?」
「3年前に、あなたと初めて会ったときから・・・
- 114 名前:第九話 投稿日:2003年02月15日(土)17時17分44秒
- 3年前
亜依はひとみと初めて会った後、梨華の家に来た。
「どうだった、あいぼんのお父さんの再婚相手いい人だった?」
「うん、吉澤さんはとってもいい人やったし、うちの妹になる希美ってことも仲良くなれそうなんやけど・・・」
「どうしたの、何かあった?」
「その・・・吉澤さんのもう一人の子供、うちのお姉ちゃんにあたるんやけど・・・お姉ちゃんって思えるか自信ないんや。」
「どうして?もしかしてめちゃくちゃ性格悪いとか、顔が気持ち悪いとかそういうの?」
「ち、違うんや・・・逆にめちゃめちゃ感じええ、かっこええ人で、うち・・・」
「あいぼん、もしかして・・・好きになっちゃったの?」
梨華が尋ねると、亜依は真っ赤な顔でうなずいた。
- 115 名前:第九話 投稿日:2003年02月15日(土)17時19分16秒
- 「困るんじゃないそういうの・・・」
「そやからうち、嘘ついんや。絶対上手くいくとかいって・・・梨華ちゃん、誰にも言わんといて、うち必死で隠すから。そのお姉ちゃんになる人とも、妹になる希美ちゃんとも、お母さんになる吉澤さんとも、お父さんと一緒にみんな仲良く暮らしたいんや。・・・みんな幸せに暮らすんやから、うち自分の気持ちぐらい隠して見せる。だって、そんなん知れたら、うちらは家族じゃなくなるんやから・・・。」
「あいぼん・・・・・」
「そのうち梨華ちゃんもその人に会うと思うんや・・・その時うちが自然にいられたら上手くやっとると思ってや。・・・上手く家族でやれてるって・・・。」
- 116 名前:第九話 投稿日:2003年02月15日(土)17時21分10秒
- 梨華ちゃんからその話を聞かされ、私の頭の中は真っ白になった。
「春に私が二人に会ったとき、亜依は笑ってあんたを紹介してた。だから私は、私と同じ一人ぼっちだった亜依が幸せになれてよかったって、本当にその時はそう思っただけなのに・・・あんたたちときたら・・・・・!」
私は気づいたら走り出していた。その後を梨華ちゃんの声が追いかける。
「あんた達なんか、うんと苦しめばいいのよ!!」
(嘘だ・・・そんな事あるわけない・・・そんなことが・・・・)
「どうする、まだよしこ戻ってこないよ!」
「やばいです、このままじゃ完璧なライブが・・・」
真希達が騒いでいると、やっとひとみが戻ってきた。
「よしこ遅いよ、もう一分もないよ!」
「よっすぃ〜、息が上がってるよ、大丈夫!!」
「はい、よっすぃ〜水、早く飲んで!」
私は麻琴が出した水を飲んで、ようやく落ち着かせた。
「よしこ・・・」
「みんな、行こ!」
「「「「お〜!!!!」」」」
- 117 名前:第九話 投稿日:2003年02月15日(土)17時22分45秒
- ライブが始まった。
ステージに上がってギターを弾き始めてからも私の頭の中は真っ白だった。
(梨華ちゃんの話が本当なら私と亜依は最初の出会いから同じ気持ちを胸に秘めて、お互いに嘘をつきながら、お互いをだましながら、私達は・・・・)
時は流れ、もう次の曲がラストになった。
- 118 名前:第九話 投稿日:2003年02月15日(土)17時25分18秒
- そのラストの曲が終わり、客席からのアンコールの声を聞いたとき、私は中央の亜弥ちゃんのもとに向かった。
亜弥ちゃんや他のみんなも私に気づいた。
「どうしたの?よっすぃ〜」
「ごめん、亜弥ちゃん。最後に私に歌わしてくれない?」
亜弥ちゃんは少し不満そうな顔を見せたが、私の真剣な顔を見てうなずいた。
「よしこ!?」
ごっちんが驚いて私に声をかけたが私は気にせずに歌い出した・・・
- 119 名前:第九話 投稿日:2003年02月15日(土)17時28分10秒
- 土砂降りの雨の日も 曇りのち晴れの日も
君と一緒に笑えるようなそんな二人でいたい
出会わなければ良かったのかも
この気持ちがつらいときもある
今まで宝物と呼べるものは何一つ見つけられなかった
でもようやく見つけたよ
間違ってても 罪だと知っても
見失わずにいよう 本当の気持ちを
押さえきれない気持ちをぶつける勇気がなくて
毎日がただ君の事で終わっていくよ
そのしぐさも笑い声さえ胸熱くする
一番大切な事 あなたと見つけたい
そうさ 本当の私を 気づかせてくれたのは
君の笑顔だけだったから・・・・・
- 120 名前:第九話 投稿日:2003年02月15日(土)17時30分16秒
- 亜依は私が歌い終わると涙を流しながら出口に向かって走り出した。
私もすぐ追いかける。
(亜依・・・・・)
亜依は公園にいた。
「・・・亜依?」
「来んといて!」
私の声に気づき、私に背を向けたまま亜依が叫んだ。
「亜依・・」
「よっすぃ〜の好きな人が誰かなんてどうでもよかったんやけど・・・でもうちはもうだめなんや・・・限界や。よっすぃ〜やって悪いんやで・・・そやからうち無理してお姉ちゃんって呼んでたんや。ほんま馬鹿なんやから・・・・・」
- 121 名前:第九話 投稿日:2003年02月15日(土)17時32分20秒
- 私は亜依の後ろから亜依を抱きしめた・・・・・
「や、やめて・・・お姉ちゃん・・・」
「・・・いやだ」
気づいたら私も涙を流していた。
「・・・よっすぃ〜」
亜依がようやく振り向いた。
そして私達は唇を重ねた・・・・・
(私達はもう後戻りはできなかった・・・)
- 122 名前:加ト吉 投稿日:2003年02月15日(土)17時43分27秒
- はじめに言っておきますがまだ続きます。
>>108
ここで言っていいか分からないけど、まあこれで二人はくっついたと言う事で・・・
>>109
石川にも理由があると言う事で・・・。
まあ、最後にはハッピーエンドになる?かも。
>>110
よし、これで吉かごファンが増えたぞ。(笑)
少し展開が早くて済みません。
早くラブラブなよしかごを書きたかったもので・・・。
石川についてはそのうち番外編でこうなった理由を書きたいと思います。
軽くバラスと後藤が関係しています。
では、また次回。
- 123 名前:加ト吉 投稿日:2003年02月15日(土)20時36分54秒
- ちなみに歌の歌詞はいろんな歌から取って混ぜました。
- 124 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月18日(火)18時58分37秒
- 天かい早くても結構です。
もうよしかご大好きになりました。
- 125 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月21日(金)20時40分06秒
- 俺はいしよしヲタだが、リアル度でいうならよしかごだと思ってる(汗)
というわけでこのスレ注目してます。。
- 126 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時42分49秒
- それからの数ヶ月は怒涛のように過ぎていった。
学園祭も成功を収め、その後の部活中も見学者が絶える事はなかった。
モーニングも正式にデビューが決まり、デビュー曲も週間チャートで3位を記録し、テレビやラジオにひっぱりだこで忙しくなっているようだ。
そして、私自身にとっては最高に幸せな数ヶ月だった。
私と亜依は家族であり、姉妹であったが、そんなのは人前でだけの約束になった。
そう、秘密の恋が始まっている。
今日も、なっちのいなくなったクラブハウスで私はバイトを続けていた。
- 127 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時44分25秒
- 「どうした、よっすぃ〜?そんな考え込んじゃってさあ。悩みがあるんならなんでもこの矢口お姉様に相談してみなさい。」
矢口さんはなっちがデビューしてからもいつも通り、明るく振舞っていた。
私はそんな矢口さんを本当に尊敬している。
「別に、悩みなんてありませんよ。」
「・・・なっちの誘い断ったんだって?」
「・・・はい。」
「CD聞いた?モーニングの。」
「もちろん、ちゃんと予約して買ったよ。もう何十回も聞いたし。」
「気合入ってるよねえ。メジャー第一弾だもん。よっすぃ〜がいれば一位も夢じゃなかったのにって、昨日電話でぐちぐち言ってたよ。」
「そっか、でも、私ここ離れたくないし。」
「そう、じゃあ地元の大学いくの?」
「そのつもり、私馬鹿だしさあ、他のところ行ってまでやりたい事ないから・・・。」
- 128 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時46分12秒
- 「よっすぃ〜、勉強しなきゃだめじゃん。バイトなんかしてていいの?」
「そうだね、私、もう歌わなくてもよくなったし。」
「なんで?なっちと関係あるの?」
「違うよ、じゃあ矢口さん私は閉店の準備があるんで。」
ステージではちょうど、今日の最後のバンドが演奏し終わったところだった。
それから20分後、私は片づけを終え、帰ろうと外へ出た。
「よっすぃ〜!迎えに来たで〜。」
(私は亜依のためだけに歌ってたから・・・もういいんだ。不安がないといったら嘘になるけど、私にはこの笑顔だけで幸せな気持ちになれるんだ。)
「亜依さあ、一人でこんな遅くに出歩くなよ。危ないでしょ。」
「だってえ、家じゃああんまり二人きりになれへんし、学校の行き帰りぐらいしか一緒に歩けへんし。そやから・・・」
私はそんな亜依がかわいくてしょうがない。気づいたら亜依を抱きしめていた。
「そう、じゃあ遠回りして帰ろっか。」
「ちょ、ちょっとよっすぃ〜。誰か知ってる人通ったらやばいやん。」
「大丈夫・・・きっと大丈夫。」
(私は亜依のためならなんでもする。もう後に戻れないこの恋のためなら・・・)
- 129 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時48分05秒
- ある休日、亜依と一緒に川土手でギターを弾いていると、梨華ちゃんが向こうから歩いて来るのが見えた。あっちも私達に気づいたようだが、そのまま近づいてきた。
梨華ちゃんとはあれ以来一言もしゃべっていなかったし、向こうから声をかけてくる事もなかった。
「・・・梨華ちゃん。」
私が最初に声を出した。
梨華ちゃんも立ち止まって私達のほうを向いた。
「どう感想は?今二人とも幸せ?」
「「・・・・・」」
「周りの人をだましながら恋愛して幸せ?今は幸せでもそのうち壊れるのが分かってるのに。」
「そういう言い方やめてよ。私は梨華ちゃんには悪い事したと思ってるし、それは謝るけど、もう自分自身に嘘をつかなくていいからその事は感謝してるんだ。」
「私がキューピッドってわけ?誤解しないでよね。私だけいやな目見るのが我慢できないだけよ、今にきっと後悔するわ。」
さっきから黙っていた亜依がようやく口を開いた。
「梨華ちゃんは不幸なふりしてるだけやで。」
それを聞いた梨華ちゃんは何も言わず、再び歩き始めた。
私達ももう帰ることにした。
- 130 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時50分16秒
- 「梨華ちゃんって、私の生い立ちと似てるんだって。」
「ふ〜ん、そやから梨華ちゃんうちに優しかったんかなあ。」
「驚かないの?」
「関係ないわ、それで梨華ちゃんが不幸だって言うなら、よっすぃ〜だって不幸って事じゃん。」
「・・・亜依って頭がいいのか馬鹿なのかわかんね〜。」
「よっすぃ〜気を悪くせんといてや。梨華ちゃんはうちみたいに素直に好きって言葉言えへんだけや。」
そんな話をしてるうちに家に着いた。
「「ただいま〜」」
「お帰り。遅かったわね。」
「ごめん、ちょっと友達と話しこんじゃって。」
私達はそのまま二階の私の部屋に入った。
- 131 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時52分14秒
- 亜依はさっきからうつむいたままだ。
「どうしたの、亜依?」
「いや、うちも梨華ちゃんの事嘘つきって言えへんなあと思って。お母さんにも黙ってよっすぃ〜と付き合ってるし。前はよっすぃ〜の事忘れようと思ってごっちんと付き合おうとしてたんやもん。・・・もっと早くよっすぃ〜と出会いたかったわ。」
亜依の目からは涙が流れていた。
そんな亜依をとても弱々しく思い、私は抱きしめた。
「あ、ごっちん・・・」
今日は久しぶりの部活なので、いつもより早く部室に言ったらすでに先客がいた。
ごっちんと二人きりになったのはお別れライブ以来初めてだ。
「よ、久しぶりだねよしこ。」
「って今日の朝も教室にいたじゃん。」
「でも、二人きりってのは無かったじゃん。」
「まあね。」
「よしこ・・・亜依ちゃんとの事については何も言わないよ。」
「・・・ごっちん、亜依とはやっぱり遊びのつもりだったの?」
「もしそうだとしても、そのおかげで夢がかなったんだから感謝してよね。」
「ごっちん・・・」
(いつもながらこのごっちんのことだけは何を考えているのかさっぱり分からない。ごっちんが一番大切なものってなんなんだろう。)
- 132 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時52分59秒
- 「こんにちは。」
私達が振り向くと部室の前に愛ちゃんが立っていた。
「お、愛ちゃん久しぶり。あさ美ならまだ来てないよ。」
私はなんでここであさ美の事が出てくるのか分からず、ごっちんのほうへ向いて不思議そうな顔をしていたら、ごっちんもそれに気づいた。
「あ〜、よしこには言ってなかったっけ。愛ちゃんとあさ美付き合い出したんだよ。」
「うそ!?いつから?」
「えっとたしかモーニングのお別れライブのときに、愛ちゃんから告白したんだっけ?」
「は、はい。」
愛ちゃんのほうへ目を向けると、これ以上ないってほど真っ赤になっていた。
「へ〜、そうだったんだ。全然知らなかったよ。」
「ま、今じゃああさ美のほうがべたぼれって感じだけどね。」
「あの・・・吉澤さん。」
「何?」
「ありがとうございました!」
「へ?」
- 133 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時54分04秒
- ごっちんのほうを見るとごっちんも何のことだか分かってないみたいだ。
「私があさ美さんと付き合えるようになったのも、吉澤さんがライブの最後に歌った歌のおかげです。そのおかげで、私はあさ美さんに告白する勇気が出たんです。」
「そうだったの?でも礼なんていいよ、私が勝手に歌ったんだし。」
「自分だけじゃなくて他人の恋まで実らせるなんて、よしこの歌ってすごいね。」
「ごっちんに誉められてもね・・・あ、そうだ、市井先生に進路希望の紙提出してなかった。今から行ってくるね。」
そう言って、急いで私は職員室に向かった。
- 134 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時55分01秒
- 「あの・・・市井先生、これ」
「おお、吉澤、次からは遅れんなよ。」
「先生・・・梨華ちゃんって前からあんなんだったの?」
「あんな・・・ねえ。まあね、市井は1年のとき担任だったけどあの時はまだそんなに・・・吉澤、おまえ梨華と付き合ってんの?」
「前に少し・・・でもだめだった。私どうしても・・・・・」
「吉澤はずっと片思いの歌を歌ってたんだっけ。好きな子いるんじゃしょうがないよ。少しはその片思いの相手と進展した?」
私は顔が真っ赤になっていくのが自分でも分かった。
- 135 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時55分47秒
- 「かわいいなあ、吉澤は正直者で。梨華のあれはくせみたいなものだ、深く気にすんなよ。」
「気にすんなったてあっちが突っかかってくんだよ。先生だって人事じゃないでしょ、気にならないほうがおかしいって!」
「市井なんかより後藤に聞けば?」
「へ?・・・・・なんで?」
「なんでってあれ・・・ひょっとして吉澤知らなかったの?」
「だから何の事?」
「あっちゃ〜、そっかまずったな。てっきり・・・・・」
「なんだよ、はっきり言えよ。気分悪いじゃん!」
「・・・だからつまり市井が言った事は内緒だよ。梨華、市井にちょっかい出してくる前に後藤とちょっとな・・・・付き合ってたんだよ。」
「うそ!!」
私はあさ美が愛ちゃんと付き合っている事を知ったときより驚いた。
- 136 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時56分35秒
- 「嘘言ったってしょうがないじゃん、市井はさんざん梨華からぐち聞かされたんだ。間違いないよ。後藤がだらしないだのなんだの・・・」
市井先生はその時の事を思い出していたのか、ひとつため息をついた。
「まあ、市井に言わせりゃ梨華があんなんだから後藤が愛想尽かしたんだと思うけど。梨華も本気で人を好きになろうって必死なんだろうけど、守られたいって気持ちが強すぎて裏目に出てんだよなあ。何かの拍子にすげえいい女になりそうだけど、市井にはできないな。」
市井先生はそれだけ言って職員室を出ていった。
「先生・・・・・」
私には気づけない事ばかりだった。やっぱり経験の差かなと思い、私は少し悔しかった。
市井先生はやっぱり大人だ。
- 137 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)00時58分04秒
- それから私は部室に戻る途中に偶然亜依に会った。
「あ、よっすぃ〜。いいとこで会ったわ。」
「どうしたの?」
「なあなあ、今度の日曜遊園地に行かへん?ペアの入場券が商店街の福引で当たったんやけど。」
「へ〜、でも私絶叫系とか苦手なんだけど。」
「大丈夫やって、うちがついとるから。」
「バ〜カ、行くよもちろん。」
「よっしゃ!久々のデートや。じゃあ、うちちょっと用があるきん先に部室行っといて。」
「うん、じゃあね。」
亜依との久しぶりのデートが決まり、私は上機嫌にその日の部活に取り組んだ。いつになくやる気の私にみんな戸惑っていたみたいだが。
その上機嫌のせいでごっちんと梨華ちゃんの事は私の頭の中から忘れ去られていた。
- 138 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)01時00分13秒
- 次の日の放課後、私とごっちんは掃除をサボって遊んでいた。
すると、亜依と愛ちゃんがごみ捨てに向かっていたのでごっちんが声をかけた。
「お〜い、ダブルのあいちゃ〜ん。」
二人もこっちに気づき、ごみを捨てて、すぐにこっちに来た。
「二人して何してるんですか?」
はじめに愛ちゃんが声をかけてきた。
「んあ?後藤とよしこは掃除サボって日本のこれからの未来について語っていたの。」
「は?何言ってんのごっちん。いつそんな話が出た?」
「冗談に決まってんじゃん。よしこにはジョークが通じないんだから。」
私たちのやり取りを見て亜依と愛ちゃんは笑い出した。
「後藤さんも吉澤さんも面白いですねえ、じゃ、私達は掃除の続きがあるんで。」
そう行って愛ちゃんはごみ箱を持って教室のほうへ戻ろうとしたので、私達も戻ることにした。
- 139 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)01時01分01秒
- 「あのっ、ごっちん!」
背後から声がしたので振り向くと、亜依がまだ立っていた。
「んあ?」
「あの・・・・・ごめんなさい!」
それだけ言って亜依は走って戻っていった。
「ちょっと、あいぼん待ってよ。これ重いんだから。」
愛ちゃんもそんな亜依を追いかけて走っていった。
所変わって一年の教室
「あいぼんってば、後藤さんの事やめちゃったの?」
「まあね。」
「なんで〜?もったいないあいぼんの考えている事よくわかんないや。だいたい入学のときから追いかけていたのは何だったのよ。振り向かせといて振っちゃうなんてさあ・・・」
「ごっちんだって本気じゃなかったんやわ。」
「ちょっと待って、だって、って事はあいぼんも本気じゃなかったの?二人して馬鹿みたいじゃん。あいぼんらしくないね。」
「愛ちゃん・・・ごめんね。うち誰でも簡単に好きになれるから、それで忘れれると思ってたんや。・・・ほんとはうち・・・」
「そっか、何かわけがあるんだね。それより日曜どっか行かない?」
「だめ、日曜はデート。」
「えっ!?」
「よっすぃ〜と」
「なんだあ、仲良いねお姉ちゃんと。」
「うん」
- 140 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)01時03分04秒
- そして日曜日になり、私は出かける準備をしていた。
ちょうど準備ができた頃、亜依が部屋に入ってきた。
「仕度できた?」
「うん。」
「カメラ忘れんといてや。よっすぃ〜がジェットコースターで怖がっているとこ撮ってあげる。」
「誰が持っていくか・・・・・」
亜依は朝から上機嫌で余程楽しみにしていたらしい。
「あら、どこか行くの?」
二人で階段を降りて出かけようとするところを母さんに見つかった。
- 141 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)01時04分21秒
- 「うん、ちょっと・・・」
「行き先ぐらい言いなさいよ、心配するじゃない。」
「遊びに行くだけだよ。」
「どこに?」
「・・・遊園地」
「遊園地?二人だけで?」
「ののも行く〜!」
いつの間に聞いていたのか希美が居間から飛び出してきた。
「どこどこ?ののも行きたい、ののも〜。」
「二人とも希美も連れていきなさいよ。二人で行くより多いほうが楽しいでしょ。」
亜依のほうを見るとかなり困った顔をしている。
「あ・・・あの学校の友達が来る・・・かも・・・」
「やだやだ〜、ののも行く〜!」
「お願いよ、そんなところめったに連れてってやれないし・・・ね、良いでしょ?ひとみ。」
「そっそうだね・・・」
母さんににらまれて、私は仕方なく承諾した。
隣では亜依が深いため息をついていた。
- 142 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)01時05分05秒
- 遊園地
「次あれ!二人とも早く行くのれす。」
遊園地に入って一時間、もうすでに私は希美に付き合わされて疲れ切っていた。
「希美、元気だね〜。」
「だって、乗り物全部乗らないと入場料がもったいないのれす。」
「のの、行ってええよ。うちらここにいるからさ。」
「一緒に乗りたいのれす。」
「私達一休みしてるから、少し一人で回っといでよ。」
「しょうがないのれす。」
そう言って希美は乗り物のほうへ向かって走っていった。
「亜依ごめんね。変なことになっちゃって。」
「のの楽しそうやから、これはこれでよかったんちゃうの?」
「そうだね。」
「やっと二人きりになれたし、少し歩かへん?」
そう言って私達はあまり人がいない休憩所のほうへ歩いていった。
- 143 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)01時06分00秒
- 「えっとれすね〜、普通のアイス二つと八段アイス一つください。」
「大丈夫?気をつけてね。」
その頃、希美は売店で二人へのお土産のアイスを買って、自分は八段アイスをなめながらさっき二人がいた場所に戻っていた。
「あれ?どこ行ったのれしょうか・・・?」
「そろそろ戻ろうか、希美が戻ってくるし。」
「うん、今度は二人で来れたらええな。見つからないようこっそり出なくちゃ。」
「バカ。」
「うちだんだん嘘つくのに慣れてきたみたいやな。・・・よっすぃ〜といたいだけなんやのに。」
「亜依・・・」
私は亜依を抱きしめてキスをした。
- 144 名前:第十話 投稿日:2003年03月01日(土)01時06分50秒
- ベチャ!!
突然物音がしたので唇を離して振り向くと、希美が立っていた。
地面には私達のお土産だったらしいアイスが二つ落ちていた。
自分のはもう食べていたらしいが・・・。
「希美・・・」
「の、のの。アイス買ってくれとったんか?落としてしもうて、うちが替わりの買ってくるわ。」
「帰るのれす。」
「のの!」
希美はそのまま走って遊園地を出ていった。
避けられない最初の分かれ道が目の前に来ていた。
- 145 名前:加ト吉 投稿日:2003年03月01日(土)01時07分49秒
- 更新終了
- 146 名前:加ト吉 投稿日:2003年03月01日(土)01時10分42秒
- >>124
今回もかなり展開が早いです。
>>125
でしょでしょでしょ〜う(笑)
リアル度ではよしかごが一番だと思ってるんで。
- 147 名前:加ト吉 投稿日:2003年03月01日(土)01時12分05秒
- 少し更新が遅れたので、いつもより大目に更新しました。
待っている人は少ないと思うけど・・・
- 148 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月01日(土)03時18分13秒
- 待ってましたあ!
波乱のヨカーン
- 149 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月04日(火)03時08分47秒
- おー!高紺もある〜♪
密かに好きなCPが結構あるので楽しみですw
- 150 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月04日(火)19時57分13秒
- そりゃぁ自分のお姉ちゃん二人がそういう関係だったらショックだよな、のの(w
よしぼん好きだったんですが書いてくれる人が少なかったんでうれしいです
- 151 名前:加ト吉 投稿日:2003年03月06日(木)21時41分02秒
- 月曜の朝、私と亜依は学校へ行く準備ができているのに、希美はまだ下りてこない。
「ひとみ、希美の事起こしてきて。何ぐずぐずしているのかしら。」
私は母さんに言われて仕方なく希美の部屋に行った。
「希美、学校遅れるよ。希美?」
「・・・・・」
希美は布団を頭からかぶったまま、私の言葉にも返事をしない。
「おい、朝ご飯だってさ。何すねてんのよ。」
「何って、ひとみ姉ちゃんが一番よく知ってるはずなのれす。」
「希美!!」
希美は私が無理やり布団を剥ぎ取ると、枕をぶつけてきた。
「あいぼんをとるな!!のののことまだ子供って思ってんのれすか?なんで亜依ぼんの事好きになったりするのれすか!」
「・・・・・」
「なんで、いまさら本当の家族じゃないような事・・・」
それだけ言って希美はかばんだけ持ってそのままダッシュで学校へ行った。
(まいったね・・・こりゃ。いつかこんな日が来るとは思っていたけど、やっぱり面と向かって非難されるときつかったりして・・・)
- 152 名前:第十一話 投稿日:2003年03月06日(木)21時43分26秒
- 「よっすぃ〜、今度の連休暇?」
放課後、私はいつものようにバイト先に行き、開店準備をしていたら、矢口さんに声をかけられた。
「うん?」
「だったらおいらと旅行行かない?」
「へ?」
「東京、昨日なっちから電話があって、遊びに来てだってさ。だからよっすぃ〜も。なっちの部屋に泊めてくれるってさ。」
「・・・それはやっぱり矢口さん一人で行くべきじゃないの?わざわざなんで私まで・・・」
「いいじゃんいいじゃん、久しぶりにみんなで遊ぼうって言ってるんだし。それになっちもよっすぃ〜のこと心配してるみたいだし、顔見せてやれば?」
「・・・考えとく。」
「そうそう、前向きにね。決めたら早めに連絡してね。」
「うん。」
(なっちか・・・なっちに亜依と付き合っている事を言ったらなんて言うだろう。なっちの忠告を無視した私のことを・・・)
- 153 名前:第十一話 投稿日:2003年03月06日(木)21時45分47秒
- rrrrrr
そんな事を考えてたら、携帯が鳴った。
私が出てもしもしと言うと、亜依の暗い声が返ってきた。
「よっすぃ〜?」
「うん、亜依?」
「バイト何時まで?まだ終わらんわなあ。」
「どうしたの?」
「うち一人じゃどうしてええか分からんから・・・ののがおかん達にうちらのこと言ったんや。」
恐れていた時がとうとう来た。
- 154 名前:第十一話 投稿日:2003年03月06日(木)21時46分55秒
- バイトが終わったその30分後、私は自分の家の前にいた。
「ふ〜、どんな顔して入ろうか。」
「ひとみなの?」
私のため息が聞こえたのか、玄関のドアを開けて、母さんが顔を出した。
「ただいま・・・」
「何してんの?早く入りなさい。風呂沸かしてあるわよ。」
「うん・・・」
「ひとみ・・・お父さんが話したいって。」
私は母さんに言われるまま、家に入り、そのまま父さんのいる居間へ向かった。
居間のドアを開けると父さんも私に気づいたようだった。
父さんは新聞を広げてはいるが落ち着かないようだった。
- 155 名前:第十一話 投稿日:2003年03月06日(木)21時48分10秒
- 「お帰り、遅かったな。」
「いつもと一緒だよ。」
「3年なんだしバイトもいい加減にしないとな。勉強はやってるのか?」
「まあね。」
私はなかなか本題を切り出さない父さんにいらいらした。
「あのさ、そんなこと言いたいんじゃないんでしょう。早くしてよ。」
「そうか・・・正直言ってなんと言っていいのか困っているんだ。」
父さんは一つため息をつき、新聞をたたみ、私のほうへ向き直った。
「母さんはずっとひとみと亜依の様子がおかしいって気づいててね。父さんたちが口出しする事じゃないと思っていたんだが・・・おまえ亜依とは・・・」
「妹だなんて思ってない。」
- 156 名前:第十一話 投稿日:2003年03月06日(木)21時51分13秒
- 「そうか・・・私達は家族になれたと思っていたんだがね。冷静に考えて見なさいひとみ、その恋は一時の熱じゃないのかね?」
「私も亜依も今まで家族だからって我慢して・・・父さんたちより先に私が亜依と出会っていたら誰も文句言わなかったのに。」
「ひとみ・・・」
「どうせうちには血のつながりなんてないんだし。」
私はすこしはなれたところで目を赤くしている母さんに気づいた。
「じゃあ、私風呂に入るから・・・」
そう言って私は浴室に入った。
その後、浴槽につかりながら、さっきの母さんと父さんの顔を思い出していた。
(自己嫌悪・・・なんで私はあんな事を言わなければならなかったのだろう。)
- 157 名前:第十一話 投稿日:2003年03月06日(木)21時53分09秒
- 風呂から出て自分の部屋に戻った後、ふと思いついてなっちに電話をかけてみた。
「はい、安倍だベさ。ただいま留守にしてるべさ。用がある人はメッセージを話すべさ。」
どこの方言だよ、と思っていたらなっちは北海道出身だってことを思い出した。
「なっち、私ひとみ。今度の連休だっけ、矢口さんとそっちいくことにしたから。せっかくの再会で悪いと思うけど、いろいろ話したい事あるんだ。・・・じゃあそう言う事で・・・」
それだけ残し電話を切った。
カチャ
部屋のドアが開いて亜依が入ってきた。
「なんや、電話やったんか。」
「うん。」
「何一人でぶつぶつ言ってるんかと思ったわ。とうとうおかしくなったかなって。」
「バ〜カ。」
「・・・父さん何って?」
「一時の熱だって。」
「何それ。」
「私・・・二人にひどい事言っちゃった。」
「よっすぃ〜・・・」
- 158 名前:第十一話 投稿日:2003年03月06日(木)21時55分22秒
- 次の日の朝の食卓はとても静かだった。
そんな中私は旅行の事を切り出した。
「あのさ〜、私今度の連休にバイトの人と東京へ旅行行こうと思うんだけど・・・」
「そう・・・いいわね、行ってくれば。これから勉強ばっかで遊べないと思うし。」
「そうだな。気分転換になるだろう。行ったらいい。」
予想に反して、母さんも父さんも反対しなかった。
まあ、気分転換して亜依とのことを考え直せってことだと思うけど。
「・・・ごちそうさま、行ってきます。」
「うちも行かんと。」
私の後に続いて亜依も学校へ行く用意をして、玄関を出た。
「よっすぃ〜、よく平気やなあ。」
「平気じゃないよ。だから旅行に行くんだ。」
「ええなあ、誰と行くん?」
「矢口さん。」
「誰!?」
「なっちの恋人だよ。亜依も見た事あるだろ。」
「あ〜、モーニングの・・・会いに行くん?」
「うん、まあ私は付き添いみたいな感じだけど。」
「ええなあ、うちもよっすぃ〜といつかどっかいってみたいわ。・・・夢みたいな話やなあ。」
(いつかそんな日が来る事があるのだろうか・・・亜依も私もそれが難しい事は知っているんだ。でも、そんな日が来る事を私は願っている。)
- 159 名前:第十一話 投稿日:2003年03月06日(木)21時56分32秒
- 「よっすぃ〜、こっちこっち!」
ついに東京旅行の日が来た。私は矢口さんとの待ち合わせ時間の30分前に駅に着いたのだが、もうすでに矢口さんは来ていて、私を見つけると、飛び跳ねながら私を呼んだ。
「よっすぃ〜、遅いよ。おいらなんか2時間前から来てたのに。」
(2時間前から来てるなんてよっぽど今日を楽しみにしてたんだなあ。)
「かわいいね、矢口さん。そんなにうれしい?」
「何言ってんの、当たり前じゃん。よっすぃ〜と旅行できるんだから。」
「え?」
「冗談に決まってんじゃん。早く行こ!」
そうしてそれから40分後に来た新幹線に二人でのりこんだ。
(矢口さんが元気で良かった。久しぶりになっちに会ったら話したい事はたくさんあるけど、なっちは私に何を言うかだいたい予想はついている。この旅行は私にとってどんなものになるだろうか・・・?)
- 160 名前:加ト吉 投稿日:2003年03月06日(木)22時05分35秒
- >>148
待っててくれましたか。
波乱ね〜、期待に応えれるといいんですが。
>>149
高橋の相手紺野か小川か松浦か辻か迷ったんですが・・・
>>150
自分もよしかご書いてくれる人が少ないんで自分で書こうって気になったんですよ。
今回は少し少なめで済みません。
次回はまた1週間後になると思います。
あ〜、ラジオ始まるまでに終われなかった。
皆さん、カンチョウは辞めましょう。
- 161 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月06日(木)22時38分40秒
- わーい、更新されてるっ!
障害は多いでしょうが二人には幸せになってほしいなぁ
よっすぃ〜がいない間、あいぼんとののは大丈夫なのかな
続きが気になって仕方ないです
1週間後、楽しみにしてます!
- 162 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月10日(月)23時02分33秒
- よしおや、ぼんを置いて旅行にいくのかえ・・・
もうひと波乱ありそうなヨカーン
- 163 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月23日(日)14時27分07秒
- 更新まだかなー
- 164 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時40分56秒
- 東京駅
「なっち〜!!」
「真里っぺ〜!!」
「あいたかったよ〜」
「なっちも〜」
二人は私のいることを忘れて、お互いを見つけたとたん抱き合った。
「・・・あの〜」
「よっすぃ〜!」
ようやく気づいてくれた。
「おおきくなったねえ、よっすぃ〜。」
「別に大きくなってなんか・・・。」
「そう・・・久しぶり。」
「うん。」
「じゃあ、なっちの豪邸に案内しましょうか。」
「はいはい。」
私達三人は駅を出発した。
- 165 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時43分11秒
- 「で、二人はどっか行きたいとこある?」
「えっと、おいらは〜、ディズニーシー!」
「馬鹿だねえ、週末にそんなとこ行ったら、人しか見えないよ。よっすぃ〜は?」
「私は、なっちの歌が聞ければどこでも。」
「そ?じゃあ、なっちの家でいいね。」
そんな事を話している間に、どうやら、なっちの部屋があるらしいマンションについた。
豪邸までは行かなくても、駅から五分ってとこで外装もきれいなので、相当高い事は間違い無い。
- 166 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時45分22秒
- 「ここがなっちの部屋。」
「「うわ〜!!」」
中もかなり広く、きれいにしてある。
「その辺座ってね〜。お茶でも入れるから。」
「おいらがやるよ。なっちがちゃんと生活できているかチェックしてあげる。」
「じゃあ、お願いね。」
矢口さんはキッチンのほうへ行って、広いリビングに私となっちが残された。
「元気そうだね。」
「よっすぃ〜もね。留守電聞いたよ、話したいことあるって?」
「ああ、うん・・・まあ・・・あとでいいよ。」
- 167 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時46分15秒
- 「なっち〜」
玄関のほうから声が聞こえてきた。
「ああ、言うの忘れてたけど、他のメンバーも来るって言ってたんだ。」
「そうだったの?」
なっちが説明してすぐ、メンバーたちが入ってきた。
「お〜、来てる来てる。」
「よっすぃ〜、ひさしぶり。」
みんなが口々に再会の言葉を言ってくる。
いつのまにか、矢口さんも来て、メンバーに声をかけていた。
メンバーが持ってきた酒のせいで、なっちの部屋は宴会場へと変わった。
私は酒は飲まなかったけど、久しぶりに心から笑えた楽しい時間をすごした。
(私はずっと前からなっちに助けられてきたけど、それは今も一緒のようだ。ずっと前・・・私が亜依の事をまだ知らなくて、普通にバイトをして過ごしていたときからずっと・・・)
- 168 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時47分43秒
- 二時間後なっちの部屋で意識があったのは、未成年の私と人一倍酒に強いなっちだけだった。
私はなっちに呼ばれてベランダへ出た。
「まあ、よっすぃ〜座ろ。」
私はなっちの隣に座った。
夜風が私を冷ましていった。
「まりっぺがさあ、うらやましいって言ってたよ。よっすぃ〜、彼女と離れたくないから東京出てこないって言ったんだって?」
「・・・うん。」
「まりっぺがよっすぃ〜はなんか吹っ切れたみたいっていってたけど、なっちからみるとまだまだって感じだよ。・・・何があったの?」
「やっぱそうかな・・・私今妹と付き合っているんだ。」
「え?」
- 169 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時49分12秒
- 「付き合うまではなんとかなるって思ってたけど、やっぱなかなか上手く行かないよ。うちの親もどうしたらいいか悩んでるみたいだし・・・。」
「ばかだね・・・。」
「そう、私は馬鹿で単純なんだ。子供みたいに好きなもの手放す事ができないし、それでいて、誰も不幸にしたくないって思ってる。」
「ホント、馬鹿だね・・・。でも、そんなよっすぃ〜好きだよ。大丈夫、誰も不幸になったりしないって。」
なっちは私を見て微笑んでいた。
「・・・ねえ、なっちは前よっすぃ〜にあきらめたほうがいいって言ったけど、亜依ちゃんもよっすぃ〜のこと好きだったわけだよねえ?」
私は顔を赤く染めながらうなずいた。
- 170 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時50分30秒
- 「じゃあ家族に理解してもらうしかないね。」
「なっち・・・」
「なっちはさあ、よっすぃ〜が悲惨な結末迎えるんじゃないかって心配したけど、よっすぃ〜がその道を選んだんだから・・・それだけの勇気があればなんだってできるよ。」
なっちは上を向いて夜の星を見上げながら言った。
「なっち前によっすぃ〜と亜依ちゃんの事、夢みたいな話って言ってたけど、でもよっすぃ〜はそれを現実のものにしたんだよ。だから今夢みたいって思ってることも絶対できるよ。」
私は気づいたら涙を流していた。
今まで人前で泣いた事なんて無かったけど、その時は本当に自然に流れてきた。
「え、どうしたの?よっすぃ〜」
「・・・なっちはやっぱり私のスターだよ。」
なっちは照れて、なっちも酔ってきたと言って部屋に戻っていった。
- 171 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時53分34秒
- 翌日
なっちは矢口さんに無理やりディズニーランドに連れてかれた。
私はメンバーと一緒にその日を過ごした。
夕方帰ってきた矢口さんと一緒にそのまま東京駅に向かって、なっち達に見送られ、私達は家路についた。
矢口さんと分かれ、家に帰る途中私はいろんなことを考えた。
そして、私の頭の中で何かが光った。
家に帰ったその日はそのままベッドに直行した。
- 172 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時54分59秒
- 翌日の連休明けの昼休み、私は亜依と一緒に弁当を食べていた。
「よっすぃ〜、東京どうやった?」
「・・・・・」
「どうしたん?ボーっとして。」
「あ、ごめん・・・。」
「「まあ、ののも相変わらずだし、うちも考えてしまうけど・・・。」
「なんとかするよ。」
「よっすぃ〜?」
「・・・もうちょっと頭整理するから・・・。私ちょっと放課後用あるから、先に帰ってて。」
「うん。」
(昨日私が思いついた事・・・亜依にはまだ言えない。それは自分でもどきどきするくらいの賭けだからだ。私は歌いたい。歌うのはどこだってできる・・・つまりここじゃなくても、たとえ東京でもできるってことだ。私がもしあの家から離れたら、もしいなくなったら、私の家族は何かが変わるだろうか・・・。東京に出ようか・・・でも、そんなに上手くいく話あるわけ無いよ。だいたいなっちは私を過大評価し過ぎなんだ・・・でもなっちは言った・・・夢は現実にできるって・・・。)
- 173 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時56分23秒
- 放課後、私は久しぶりに部室に入って、ギターを弾いていた。
「あれ、よっすぃ〜。一人で何しんの?」
振り向くと、あさ美が立っていた。
「みりゃあわかるだろ、あさ美こそ愛ちゃんと仲良くやってる?」
「もちろん。今日も待ち合わせしてるんだ。たまたま前通っただけ。そういう事だから、じゃあね。」
「うん。」
あさ美が出ていった後、私は一人でギターを弾きながら歌った。
(こんなのは初めてだ。私は誰のためでもなく、私自身のために歌いたい。)
そして、私は自分の考えを亜依に告げることにした。
- 174 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時58分11秒
- 吉澤家
気まずい雰囲気での夕食は変わっていない。
「ごちそうさま・・・亜依、話があるんだけど。外行こう。」
「うん。」
「待ちなさい、こんな時間にどこ行くの?」
母さんが止めに入ったけど、私と亜依はそのままリビングを出た。
リビングのドアを閉めてしばらくそのままでいたら、父さんたちの会話が聞こえてきた。
「まあ、いいじゃないか、母さん。」
「でも・・・」
「私達が戸惑ってる以上にあの子達も辛いはずだよ。結論を出すまでしばらく待ってみようよ。」
それまで黙って聞いていた希美が口を開いた。
「父ちゃんは平気なのれすか?・・・ののは分からないれす。ひとみ姉ちゃんもあいぼんも好きらけろ、のの達は家族れすよね?ののは本当の家族ってなんなのか分からなくなったれす・・・。」
私と亜依はその場から離れ、外に出て、そのまま二人とも黙っていつもの川原まで行った。
- 175 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時58分59秒
- 川は空に光っている月や星のせいできらきら輝いていた。
「お魚が光っているみたいや。」
「そうだね。」
「・・・・・」
「・・・・・」
「よっすぃ〜・・・うちの事嫌いになるん?」
「なんで・・・」
「だってよっすぃ〜変やもん。」
「好きだよ、きっと一生嫌いになれないよ。」
「ほんま?」
「ああ、だからそれを忘れないで聞いて欲しい。」
「ん?」
「私が東京行くって言ったら・・・どうする?」
「・・・え?」
- 176 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)09時59分40秒
- 「東京の大学受けるって言ったら・・・」
「なんでや・・・なんで?どうしてそんな事言うんや?地元の大学受けるって言ってたやん!」
「・・・・・」
「・・・よっすぃ〜?」
「父さんや母さんは私のこと一時の熱だって言ってた。でもそれは違うって、この熱は一時なんかじゃない、本物だって分かって欲しいんだ。私は離れても好きな気持ちは変わらない・・・それが分かれば父さんたちはどうするか見てみたいんだ。」
私は亜依の顔をまともに見れなかった。
私は亜依が泣き出すと予想していたから・・・でも、予想は外れた。
- 177 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)10時00分20秒
- 「馬鹿!!」
「へ?」
「何格好つけとんや!離れんでも気持ち変わらへんのやろ!?そんなんで父さんたちが納得するわけあると思う?」
「わかんない。」
「よっすぃ〜、いつかこんな事があるって覚悟しとったんやろ?後に戻れへんって分かって飛びこんだんちゃうん?一人で知らんとこに逃げるつもりなんか!?・・・うちは嫌や、よっすぃ〜と離れたくないわ!」
「亜依・・・。」
「なんだ、あんたたちだったの。」
はっとして二人が振り向くと梨華ちゃんが立っていた。
- 178 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)10時01分03秒
- 「夜道で騒いでるから何事かと思ったわ。」
「「梨華ちゃん・・・。」」
「こんな所でけんか?大変ね、人目を気にして。どう、私の言った通りだったでしょ?」
「梨華ちゃん・・・」
「だから止めろって言ったのに・・・幸せになれない恋なんてしないほうがいいわよ。」
「・・・ごっちんもそんな事を言ったの?」
「な!?」
梨華ちゃんは私の口からごっちんの名が出たのに動揺した。
亜依はごっちんの名がどうして出たのか不思議に思ってるようで、私の顔を見ていた。
「ごっちんはそんな事言わないよね!ごっちんが梨華ちゃんの事を不幸にしたのか?梨華ちゃんは誰かを好きになっても自分で幸せになれないって決めてるんじゃない?」
バチン!!
梨華ちゃんの平手打ちが飛んだ。
梨華ちゃんは目に涙を浮かべ、私をにらんでいた。
「梨華ちゃん・・・幸せになろうよ。」
梨華ちゃんは返事をせずにそのまま走って行った。
- 179 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)10時01分46秒
- 「・・・どういうこと?」
「さあ。」
「梨華ちゃん・・・市井先生の話のときでもあんな顔しなかったのに・・・。」
「・・・亜依、私は逃げたくて言ってるんじゃない。おまえが分かってくれなきゃ父さんたちは納得できないもんね、考えといてよ。」
私達はそれからしばらくして家に帰った。
(なっち・・・なっちの部屋から見た月と同じ月を今見てるよ。その月が白く道を照らしているよ、私達の家に続く道を・・・。毎日歩いていたこの道が天国に続いてると私は信じてるから。・・・だから神様どうか私の知ってるみんなを幸せにしてください・・・)
- 180 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)10時02分27秒
- 次の日、亜依は真希にメールで放課後に会う約束をした。
放課後、真希は待ち合わせの喫茶店に入った。
亜依はもう来ていた。
「ごめんごめん、遅れて。」
「こっちこそ呼び出したりしてごめんなさい。」
「いいよいいよ、で、用って?」
「・・・・・」
真希が用件について聞くと、亜依はうつむいたまましばらく答えなかった。
- 181 名前:第十二話 投稿日:2003年04月08日(火)10時03分19秒
- 「・・・・・うち、誰にも相談できんで・・・うちとよっすぃ〜の事知っとるん、ごっちんと梨華ちゃんだけやから。梨華ちゃんはうちに会う気分じゃないと思うし、もうごっちんしか・・・」
真希は亜依の目に涙が浮かんでいるのに気づいた。
「・・・亜依ちゃん?」
「・・・・・」
「どうしたの!?亜依ちゃん!」
「・・・よっすぃ〜が・・・よっすぃ〜がいなくなっちゃうよ〜」
真希は時間が止まったような感じがした・・・
- 182 名前:加ト吉 投稿日:2003年04月08日(火)10時08分59秒
- >>161
一週間後とか言っといて・・・本当に済みません。
>>162
波乱は・・・無かったかも。
>>163
申し訳ありません。
本当に皆さん申し訳ありません。
言い訳はしません。
次回は二週間以内には・・・多分。
- 183 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月08日(火)20時19分51秒
- 待ってました!毎日ここ覗いてたよ〜
無理なさらずに自分のペースで上げてって下さいね。
>「・・・よっすぃ〜が・・・よっすぃ〜がいなくなっちゃうよ〜」
に泣けました…
- 184 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月11日(金)11時42分55秒
- >・・・うちは嫌や、よっすぃ〜と離れたくないわ!
あああああいぼん・゚・(ノД`)・゚・。
よしこーなんとかしてやってくれや・・・・更新乙です。
- 185 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時20分51秒
- 翌日の3年のホームルーム
市井先生がみんなに紙を配る。
その紙には第五回進路調査と書かれていた。
「みんな、見たら分かるだろうがこれが最後の進路調査だ。あさってまでに記入して提出するように。」
私が周りを見渡すと、半分以上の生徒がその場で記入していた。
斜め後ろに座っているごっちんも書いていた。
- 186 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時25分13秒
- 「ごっちん、もう書いてんの?」
「んあ?ああ、地元ばっかだし、近くで行けそうなの適当に書いてるだけ。」
「ふ〜ん、気楽でいいね。」
「まこっちゃんや、あやや、それにあさ美だってそうだよ。」
「え?」
「まこっちゃん達、卒業してもプッチモニ続ける気でいるんだって。だから後藤も一緒に付き合おうかなって。それに・・・」
「それに?」
「よっすぃ〜には関係無いよ。それよりよっすぃ〜。」
「ん?」
「亜依ちゃん泣いてたよ。」
「そっか・・・。」
- 187 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時26分08秒
- 場面変わって一年の教室では亜依と愛が話していた。
「そっか、じゃあもう吉澤さんに会えなくなるのか。」
「なんで?」
「だって東京の大学受かったらそうなるじゃん。それにもしかしたら東京で就職したりして。」
「そんなことない!」
「な、何むきになってんの?」
「よっすぃ〜はどこにも行かへん。東京やって気まぐれでゆうとるだけや。」
「でもさあ進路決めるのは吉澤さんの自由でしょ。亜依ぼんが口出しても仕方ないよ・・・」
「分かっとるけど・・・。」
- 188 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時27分03秒
- 放課後、亜依は一人で帰っていた。
「亜〜依ちゃん。」
振り向くと真希が立っていた。
「ごっちん・・・。」
「よっすぃ〜、かなり本気みたいだよ。」
「・・・」
「許してやれば?」
「うちやってそうしたいんやけど・・・よっすぃ〜の言っとる事って本当に賭けやもん。うちらの家族がどう変わるかなんて分からへんのに・・・もし今のまま変わらへんかったら、・・・うち怖いんや。」
「そっか。」
- 189 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時28分13秒
- 「よっすぃ〜がそばにいたら、周りが何を言っても我慢できるんや。でも、離れたらどうなるか・・・それによっすぃ〜も一回なっちさんのとこに行ったらなかなか戻って来ん気がして。」
「・・・よっすぃ〜はさあ、亜依ちゃんのために変えようと必死なんだよ、きっと。この先何年もこのままでいるわけにはいかないでしょ?」
「そう・・・やけど。」
「信じてやんなよ、絶対そうだって。」
「あの・・・」
「ん?」
「一つ聞いてもええ?」
「どうぞ。」
「梨華ちゃんとはただの友達やったん?それとも・・・」
- 190 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時29分13秒
- ひとみはいつものクラブに来ていた。
ステージでは最近出てきたバンドが歌っている。
客の盛り上がりからして結構人気はあるようだ。
だが、その歌もひとみの耳に止まることは無かった。
ゴツン!
いきなりひとみは頭に衝撃を受けた。
「いってぇ〜。」
見上げると矢口さんが仁王立ちしていた。
「何してんのよ。バイトは休みのはずでしょ?」
「ちゃんと金払って入ってんだからいいじゃん。」
「受験勉強は?」
「えっと・・・今日は休み。」
「あっそ、余裕があるんだね。大学落ちてもうちに賠償請求しないでよ。」
「うるさいな、もう!音聞こえないじゃん。」
「ハイハイ」
そう言って矢口さんは離れていった。
- 191 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時29分56秒
- その後も歌を真剣に聞くのでもなく、ぼうっと壁を背に座っていた。
不意に視線を感じたのでそちらを見た。
「ごっちん?」
「よう、よしこ。」
「な、何でこんなとこに?」
「客が来たらだめなの?」
「別に・・・」
真希はそのまま近づいてきてひとみの隣に座った。
「よしこも性格悪いね。知らんふりしてさあ。」
「へ?人聞きの悪いこと言わないでよ。何の事?」
「後藤が気づいてないと思って陰で笑ってたんでしょ。」
「だから何の事!?」
「・・・だからさあ、何で亜依ちゃんまで知ってんの?・・・梨華ちゃんとの事。」
- 192 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時31分30秒
- 真希の顔は真っ赤になっていた。
それを見たひとみは思わず噴き出してしまった。
「や、やっぱり笑った!!」
「だ、だってごっちん、耳まで真っ赤なんだもん!!」
「よしこ!!」
二人で騒いでいると矢口さんが走ってきた。
「ちょっと二人とも静かにしてよ!」
「ご、ごめん。」
「今日のバンド人気があるから下手したら袋叩きだよ。今度騒いだら二人ともつまみ出すからね。」
「「は〜い。」」
また矢口さんは持ち場に戻っていった。
- 193 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時32分36秒
- 「・・・バカ。」
「よしここそ笑う事ないじゃん。」
「ごっちんだって水臭いじゃん。ひとこと言ってくれれば。」
「いつから水臭いって言われるほどの仲になったの?後藤の事嫌いじゃなかったの?」
「だって私、梨華ちゃんに悪い事したし・・・。私と梨華ちゃんの事、見てて嫌だったんじゃない?」
「後藤も同じ事よしこにした。・・・よしこから亜依ちゃん取ろうとしたし。」
「ごっちん?」
「・・・後藤、中学のときに通ってた塾で梨華ちゃんに初めて会ったんだ。今の高校受けたのも梨華ちゃんに一緒に行こうって誘われたから。」
ひとみの驚いた顔を見て、真希は不満げな声を出す。
「何?そんなに珍しそうな顔しないでよ。」
「いや、ごっちんの柄じゃないと思って・・・。」
「後藤もそう思うよ。でも、その頃はまだガキだったから・・・梨華ちゃんの事だってまじだったからさあ。」
- 194 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時33分24秒
- (なんだか見てはいけないものを見てるような気がする。私の隣にいる人は私の嫌いだった後藤真希じゃないみたい・・・。)
「梨華ちゃんさあ、お兄ちゃんが欲しかったんだって。」
「え?」
「頼れるお兄ちゃんが欲しいって子供の頃からの夢だったんだって。」
ひとみは前に梨華が両親はいないって言ってたときの事を思い出していた。
「後藤は梨華ちゃんが望む頼れるお兄ちゃんにはなれなかった。梨華ちゃんも後藤が頼りないから強がってさあ、そうこうするうちに梨華ちゃんはいちーちゃんに目をつけたの。やっぱり頼れる人が欲しかったみたい。」
「・・・」
「だから梨華ちゃんがよしこに乗り換えたとき正直いってなんでって思ったんだ。今思えば、亜依ちゃんがうらやましかったとか家の事とかいろいろあったってわかるけど・・・でもさあ・・・」
- 195 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時34分34秒
- 三年前
「ごっちん、私と同じ高校目指そ?」
図書館で本を探していた真希に梨華が声をかけた。
「私寂しくて気が狂いそうなの。」
「う、うん・・・いいよ!後藤も梨華ちゃんと一緒の高校行きたいって思ってたんだ。」
「ホント?」
「うん、後藤がんばる!!」
「・・・ごっちん、かわいいね。でもさあ、それだけじゃだめなの。ごっちんは私より大きくなれる?」
「んあ?後藤、梨華ちゃんより背高いよ?」
「バカね、背ばかり高くてもだめなのよ。」
真希は梨華を強く抱きしめた。
そうしながらさっきの梨華ちゃんの言葉の意味を考えていた。
(分からないよ。大人じゃなくてもこんなに強く抱きしめる事もできるのに・・・好きなだけじゃいけないの?梨華ちゃんの寂しさを埋め尽くせるなら何だってするのに・・・子供の後藤にはだめなのかなあ?)
- 196 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時35分28秒
- ひとみは真希の話を黙って聞いていた。
「・・・ごっちん、今でも梨華ちゃんの事・・・」
「よしてよ、今だから言えたけど後藤だって結構傷ついたんだよ。」
「ごめん。」
「だって考えてみてよ・・・これ見よがしに他の人といちゃつかれたら後藤だってムカってくるよ!だから後藤だって・・・。」
「ちょ、ちょっと待ってよ!もしかしてそんなくだらない理由で今までいろんな女の子と遊んでいたの!?」
「くだらないって何!?」
「くだらないよ!やっぱりごっちん、梨華ちゃんの事好きなんじゃない!?」
- 197 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時36分30秒
- 「悪かったね!!後藤だって梨華ちゃんを救いたかったんだよ!よしこが亜依ちゃんの事とか家がどうとか言う理由で梨華ちゃんに言い寄られて・・・後藤がどんなに複雑だったのか分かる!?後藤はそんなの持ってないけど・・・梨華ちゃんの本当の寂しさなんて分からないかもしれないけど・・・いい加減後藤だって一人前なんだって梨華ちゃんに分からせてやりたかったんだ!!」
「・・・」
真希に言い返す言葉を考えていたら、肩をたたかれた。
ひとみが振り返ると、怒りの形相を浮かべた矢口さんが立っていた。
「あ・・・」
問答無用で矢口さんは二人を店の外につまみ出した。
外に出てからしばらくは二人とも口を開かなかった。
- 198 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時38分32秒
- 先に開いたのはひとみだった。
「だったら・・・さっき言った事をもう一度梨華ちゃんに言ってよ。梨華ちゃんだって本当は分かってるはずだよ。」
「・・・」
「梨華ちゃんを幸せにするのはごっちんだよ。・・・幸せって言うのは自分で選べるものだと思いたいよ、私は。」
「フ〜」
ため息をついた真希の顔が幾分柔らかくなったようにひとみには思えた。
「詞を書いている人は哲学的だね。よしこにそんなこと言われるなんてさ・・・。」
真希は二人がつまみ出されたクラブのドアを見ていた。
- 199 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時39分17秒
- 「ねえ、プッチもさあ、こんなとこで演奏してみたいね。」
「できるよ、きっと。大学行っても続けるんでしょ?あさ美やまこっちゃん、亜弥ちゃんだって賛成すると思うよ。」
「よしこもだよ。」
「え・・・?」
「帰ってくるんでしょ、東京行っても。亜依ちゃん待ってるってさあ。・・・がんばってね、後藤ももう少し・・・やってみるから・・・。」
そう真希から言われたときのひとみの顔は涙があふれていたのかもしれない。
気づくと、ひとみは真希に抱き付いていた。
「ちょ、ちょっとよしこ。」
どうやらライブが終わったらしく、クラブからどんどん客が出てきた。
- 200 名前:第十三話 投稿日:2003年04月12日(土)21時40分46秒
- その中の熱狂的ファンらしい数人の男が二人に気づいた。
「おい、おまえらだな、いいとこで騒いでたの。ちょっと顔を貸せよ。」
「「失礼しま〜す!」」
二人はダッシュで逃げた。
五百メートルほど走って、もう追いかけてこないと思った二人は走るのを止めた。
運動不足のせいか二人とも息が切れていた。
「あ〜。びっくりした〜。」
「よしこが悪いんだよ。」
「バカ、ごっちんだよ、だいたいごっちんが・・・」
二人は顔を見合すと、耐えきれなくなって笑い転げた。
ひとみも真希も今までこんなに笑った事無いって言うほど笑いあった。
笑いがおさまってからも二人はいろいろ話し合った。
ひとみは真希に亜依と初めて会った時の話や家族のことなどを話し、真希もひとみに梨華との出会いの事や市井先生の事などを話した。
その晩、ひとみと真希はお互いがお互いの事を親友と思えるようになった・・・。
- 201 名前:加ト吉 投稿日:2003年04月12日(土)21時46分07秒
- >>183
今回は早くできました。
>>184
今回はほとんどあいぼんは出てこなかったです。
そして、よっすぃ〜、誕生日おめでとう。
これでまたよっすぃ〜が年上になっちゃった。
そして、200到達。
- 202 名前:第十四話 投稿日:2003年05月01日(木)19時03分59秒
- 「よっすぃ〜遅いな。勉強もせんとどこほっつき歩いとんや。そんなんで東京の大学や受かると思ってるんやからなあ・・・ほんま馬鹿やなあ。」
亜依は玄関の前でひとみの帰りを待っていた。
「馬鹿って誰のこと?」
いきなりのひとみの声に慌てて亜依は答える。
「あ、お帰りなさい!」
「散歩行く?」
「ええわ、また二人で出て行ったら母さん心配するし。」
「そうだね。・・・明日進路調査の紙、提出しなきゃいけないんだけど・・・」
「ふ〜ん。」
「書いていい?」
亜依は小さくうなずいて、それから顔をうつむいた。
- 203 名前:第十四話 投稿日:2003年05月01日(木)19時07分26秒
- 「・・・今さっきごっちんと会ってきて、私達の新たな野望ができたんだ。」
亜依は顔を上げ、ひとみの顔を見つめた。
「いつかプッチでさあ、モーニングと同じ矢口さんのところのクラブでライブやるんだって。私も一緒にギター弾くんだ。亜弥ちゃんとツインボーカルってのも面白いかもね。」
「・・・よっすぃ〜もプッチモニで・・・?」
「そうだよ。」
いつしか亜依の目には涙があふれていた。
「ホントにホント?」
「何?そんなにおかしい?鼻水出てるよ。」
「馬鹿よっすぃ〜、めちゃくちゃおかしいわ!そんなん絶対見んと気が済まんわ。」
「亜依・・・」
「・・・ごめん、よっすぃ〜・・・少しでも信じれんと思ったりして、寂しいのはよっすぃ〜やって同じやのんなあ。」
顔を赤くした亜依を見ながらひとみの顔はほころんでいた。
- 204 名前:第十四話 投稿日:2003年05月01日(木)19時08分50秒
- 亜依の頭をなでながらひとみはつぶやいた。
「・・・うれしいね。」
「そんなのんきな事言うとる場合?よっすぃ〜みたいな馬鹿どこの大学も入れてくれへんで。ほんまにその自信どっから来るんか知りたいわ。」
「教えてあげるからこっち向いて。」
「ん?」
頭に?を浮かべながら振り向いた亜依は唇に柔らかい感触を感じた。
「亜依がいるから私は自分自身に自信が持てるんだ。」
すぐに唇を離してひとみは亜依にささやいた。
「・・・馬鹿。」
再び二人の唇の距離は0になった。
- 205 名前:第十四話 投稿日:2003年05月01日(木)19時09分37秒
- 「ただいま。」
ひとみは居間に入って父さんと母さんに声をかけた。
「お帰り、遅かったのね。晩御飯どうする?」
ひとみに気づいた母さんが聞いてくる。
「いいよ、それより話があるんだけど・・・」
「何?」
新聞を読んでいた父さんもひとみのほうに顔を向けた。
「私、東京の大学受けていい?」
「おまえ金がかかるから地元でいいって言ってなかったか?」
「気が変わったんだ。それに、やりたい事ができたし。」
「あ!もしかしてひとみ、あの子・・・亜依がいるからこっちじゃ行けないなんて思ってるの?」
「・・・それもあるけど。」
- 206 名前:第十四話 投稿日:2003年05月01日(木)19時10分20秒
- 「あきらめる気なのね、それがいいわ。ひとみがそう思うなら少しあの子から離れたほうが・・・」
「誰もあきらめるなんか言ってないよ。」
「え?」
「この恋が本物だってそれを父さんたちに分かってもらうために離れてみせる。」
しばらくの間父も母も一言も発さなかった。
「・・・いい加減にしなさい、ひとみ。私や希美の気持ちを考えてみて。」
「母さん、そういう言い方は面白くないよ。ひとみは真面目に言ってるんだから。」
「あなた!面白いとか面白くないとかの問題ですか!?」
「だってうちには血のつながりは無いんだろう?」
母さんは口を開けたまま固まった。
ひとみも不安そうに父を見た。
- 207 名前:第十四話 投稿日:2003年05月01日(木)19時11分03秒
- 「前にひとみに言われたとおりだよ。私とひとみは親子じゃないし、母さんと亜依もそうだろ?ひとみと亜依だって本当の姉妹じゃない、希美だって。」
「あ・・・あなた・・・あなたまで何てことを言うんですか!?私が一体どんな気持ちで・・・」
「血がつながっても家族と言えないくらいつながりを無くした人たちもいる。世間にはそういう家庭もあるんだ。それに比べたらうちなんてどこよりも立派な家族していると思うんだ。ひとみ、おまえもそう思ったから今まで言えなかったんだろう?」
「・・・うん。」
「私はひとみも亜依も希美も母さんも大好きなんだ。おまえと亜依がどうなるかなんて分からないけど・・・もしどんな結果になっても、私達は何よりも大切な家族なんだってそれだけは信じさせてくれるかね?」
ひとみの目にも母さんの目にも涙があふれていた。
- 208 名前:第十四話 投稿日:2003年05月01日(木)19時12分20秒
- 「・・・うん、もちろん。だから私達のことを父さんたちも考えて。時間かかってもいいから。」
父さんは穏やかな顔でうなずいた。
「いいだろう、見せてもらおうか。」
「ありがとう、父さん。」
ひとみはそう言って居間から出ていった。
「あなたって人は・・・」
「私が考えていたのはそういう事なんだ、母さん。愛する人たちに囲まれて暮らすのが希美の言ってた本当の家族なんじゃないかってね。」
「あなた・・・」
「ゆっくりでいいから、みんなで幸せになろうよ。」
- 209 名前:karry 投稿日:2003年05月26日(月)21時22分02秒
- ほぜむ
- 210 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月08日(日)20時47分49秒
- 保全。
- 211 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月24日(火)22時35分15秒
- 作者さん続き期待して待ってるよ
- 212 名前:加ト吉 投稿日:2003年06月26日(木)17時34分39秒
- すみません
もうすこし待ってください。
今リレーのほうとか参加してまして・・・
- 213 名前:名無し読者 投稿日:2003年07月26日(土)01時05分05秒
- まちます
- 214 名前:第十五話 投稿日:2003年08月03日(日)15時32分14秒
- 「あ、愛ちゃん」
「吉澤さん、おはようございます」
日曜日、わたしが練習をしに、軽音部室に向かっていると、前を愛ちゃんが歩いているのに気がついた。
「あさ美ちゃんに頼まれて、差し入れ持ってきたんだ」
「ありがと、あさ美と上手くいってるみたいだね」
「え・・・まあ」
愛ちゃんのあさ美に対する呼び方があさ美さんからあさ美ちゃんに変わった事からも、二人が順調に進んでいる事が分かる。
- 215 名前:第十五話 投稿日:2003年08月03日(日)15時34分54秒
- 「愛ちゃん、ありがとう。あ、よっすぃ〜も来たんだね」
二人が部室に入ると、真っ先にあさ美が気づいて、声をかけてくる。
わたしが、部屋を見渡してごっちんの姿を見つけると、ごっちんと目が合って、ごっちんがウインクをしてきた。
私とごっちん、二人だけの秘密ができてからは、それまで抱いていたごっちんに対する嫌悪感がみじんも無くなっていった。
それどころか、それまでごっちんを嫌っていた事のほうが不思議に思えてくる。
「ニヤニヤして気持ち悪いよ、よしこ」
そんな事を考えていたら、ついつい口元が緩んでいたみたいで、すかさず、ごっちんにからかわれる。
何でか分からないけど、そんなことでさえ、今は楽しく感じる。
亜依がいて、ごっちんがいて、お母さんやお父さん、希美もいて、部活のみんなもいる。
私は本当に幸せなんだと実感している。
- 216 名前:第十五話 投稿日:2003年08月03日(日)15時36分43秒
- 「はい、のの、できたで。名づけて、あいぼん特製ジャンボパフェ」
希美の目の前にアイスやらポッキーやらプリンやらがのった大きなパフェが出てくる。
ひとみが部活に行ったので、亜依は久しぶりに希美と遊ぶ事にした。
「あのさあ、あいぼん・・・ひとみ姉ちゃん、東京の大学行くってホント?」
「え、のの、どうして知っとるん?」
「お父さんに聞いた」
「・・・そっか」
「のの、よくわかんない。あいぼんがお姉さんになったとき、うれしかった。それから、あいぼんの事もひとみ姉ちゃんと同じ本当のお姉ちゃんだって思おうとして、なのに、ひとみ姉ちゃんはあいぼんのこと妹だと見てないし・・・何が正しいのかわからないです」
亜依は希美の頭をなでながら、言った。
- 217 名前:第十五話 投稿日:2003年08月03日(日)15時37分25秒
- 「ごめんな、のの。でも、ののはうちの妹やで。これからもずっと・・・」
いつのまにか空になったパフェの器を名残惜しそうに見つめながら希美は小さな声でつぶやいた。
「ありがとう」
「うちはさあ、親子とか姉妹とかどうでもええねん。それよりこんなに好きやと思える人に出会えて、最高に幸せや。よっすぃ〜もうちもやっとそう思えるようになったんや」
「のの、姉ちゃんにひどいこと言ったのれす」
「大丈夫やって、よっすぃ〜もうちものののこと大好きだから・・・ののはうちらのこと嫌いになったん?」
「のの、あいぼんのこと姉ちゃんにとられると思って・・・」
希美の顔が赤くなったのを見て、亜依は微笑んだ。
「よ〜し、のの。もう一個パフェ作ったるで」
- 218 名前:第十五話 投稿日:2003年08月03日(日)15時38分12秒
- 夜、夕食を食べ終えた私が自分の部屋で詞を作っていたら、希美が勢いよく入ってきた。
手には一杯になったスーパーの袋を持っていた。
「なに?」
「あげる!」
そう言って、希美は袋の中身を全部机の上に出す。
中身はアイスクリームとお菓子ばかりだ。
「いきなり何?宿題手伝って欲しいの?今は無理だからもう少し経ってからね」
「違うのれす!差し入れれす!勉強がんばってくらさい」
そのまま出て行こうとする希美に私は声をかける。
「希美、こんなに食べられないよ・・・小遣いはたいたんでしょ?一緒に食べようよ」
「・・・分かったのれす。ののも食べてあげるのれす」
「よ〜し、じゃあ私はこれから食べようかな」
「ののはこれで」
そうして、一晩かけて二人で机の上のアイスとお菓子を食べ尽くした。
と言っても八割は希美が食べたのだが・・・
- 219 名前:第十五話 投稿日:2003年08月03日(日)15時41分48秒
- 翌日は予想通り、二人ともアイスとお菓子の食べ過ぎでおなかを壊した。
「よっすぃ〜もののも、あほやなあ、いい年して恥ずかしいわ!はい、薬!」
「ありがとうれす」
「おなかに響くから大声は止めて」
「ホントにもう・・・我が子ながらあきれるわ・・・ひとみ、今日塾は?」
「今日は無理、パス」
「ごめん、姉ちゃん」
「いいって、一日くらい。よし、希美、ゲームでもやるか?」
「・・・うん」
「そんなことしないで、二人ともおとなしく寝てなさい!」
お母さんの言葉を無視して今のテレビに向かってゲームを始める。
「・・・もう」
「まあお母さん、ええやんか」
「そう・・・ね」
少しずつ本当の家族に近づいていっている気がする・・・
- 220 名前:第十五話 投稿日:2003年08月03日(日)15時44分02秒
- 「梨華、友達が来たわよ!」
「分かった」
母親に呼ばれて、梨華が玄関のドアを開けると、真希が立っていた。
「・・・・・なに?」
「よしこ、東京の大学受けるんだって」
「え?・・・そう、やっぱり無理だったんだ」
「違うよ、よしこは未来を変えるために行くんだ・・・だからごとーも見習おうと思う」
「見習うって?」
「ごとー、やっぱ梨華ちゃんの事が忘れられない。まだ好きなんだ。梨華ちゃんにとってごとーは頼りないかもしれないけど、梨華ちゃんが望むなら、一生懸命梨華ちゃんの事支えるから・・・卒業式のときまでに返事考えといてね」
「・・・ごっちん」
「じゃあ・・・」
真希は顔を真っ赤にさせながら、それだけ告げると、走って帰っていった。
梨華の顔が負けず劣らず、赤くなっていたのには気づかずに・・・
- 221 名前:加ト吉 投稿日:2003年08月03日(日)15時46分59秒
- まず遅くなった割に少ないし、文章がおかしいし、本当にすみません。
一応次回で完結の予定ですがいつになるかわかりません。
今月中を目標にがんばりたいとは思うけど・・・
- 222 名前:加ト吉 投稿日:2003年08月03日(日)15時48分01秒
- まず遅くなった割に少ないし、文章がおかしいし、本当にすみません。
一応次回で完結の予定ですがいつになるかわかりません。
今月中を目標にがんばりたいとは思いますが・・・
- 223 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/09/20(土) 14:59
- 保全
- 224 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/12/23(火) 20:22
- 保全
- 225 名前:加ト吉 投稿日:2004/01/19(月) 17:19
- えっと、今更なんですけど続ける気はあります。
でもとりあえず受験生なので、早くとも四月頃になりそうです。
まあ、それも合格したらですけど・・・
- 226 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2004/04/15(木) 00:28
- その言葉を信じて保全
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