― SEVENTEEN ―
- 1 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)22時55分09秒
- えーと、お久しぶりですが、またお付き合い頂けたら嬉しいです。
とは言え連載というような長いものにするつもりはありません。
同じ題名の娘小説がないか心配です……。
- 2 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)22時58分28秒
―――恋は肉体を欲し、友情は心を欲する―――
- 3 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)22時59分53秒
「―欲する。カンポアモール……。
かぁ〜〜〜分かってるねこの人は。
いいかぁみんなちゃんと覚えときぃ。結局なぁなんだかんだ言ったって恋愛は肉欲やねん」
「先生表現がエロイっす」
「なんやぁ吉澤、何処らへんがエロイん?」
「っ…どこがって……ニクヨクとか……」
「あははっ可愛いなぁ〜。うんうん、その心無くさんといてな」
「頭触っちゃダメですよ神聖なんですから!先生も言ってたじゃないすか!」
「触っちゃダメなんはインドとかタイとかあの辺。ここはゴッツ日本やっちゅーねん」
「あ、なるほど……」
「「「アハハハ」」」
- 4 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時02分04秒
楽しげな笑い声が響き渡る教室。
ポカポカした午後の昼下がり。
そんな中ウトウトして居眠りするのは嫌いじゃない。
変わらない平和な毎日。
生涯でセブンティーンは最も印象に残る年なんて言うけど、そんなのウソ。
現実なんてこんなもんだって受け入れてるから、別に卑屈になったりすることもない。
ほんのちょっぴり退屈な気はするけど、色々あって大変なのよりは性に合ってる。
刺激的な生活なんて別に欲しくない。
マッタリ平穏に過ごしていきたい。
そんな風に思ってます。後藤真希17歳。
- 5 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時03分11秒
「吉澤はほんまオモロイな。そのアホキャラは狙ってるんか?」
「狙ってませんよ!アホキャラでもないし!!」
盛り上がってるなぁ……
なかざーの授業人気あるからねぇ……関西弁でテンポが良くて面白くて割かし綺麗とかなんとか、、
でもなかざーって言葉遣い荒いしガサツなのに声は柔らかいんだよねぇ〜
これは……寝るなっていう方が無理ですぞ……
「ふっああ〜〜〜……はぅ〜……ムニャムニャ」
大きく一つあくびをして本格的に夢に入っていこうと思ったその時だった。
「お〜いデッカイあくびやなぁごっつぁん」
ん……?
- 6 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時06分20秒
虚ろな視界に人影が入り込む。
「起きてますかぁ〜?」
「…………」
まだ視界はボヤけてるけどどうにか金髪を確認。
あ、なかざー……
眠気眼でコクリと頷く。
と同時に頭にパシンという衝撃。
うっ……
「どうや眠気覚めたやろ」
「…………」
も一度頷く。今度はちょっと大きめに。
「よし。
って事でえーと、、なんやっけ」
あたしの頭を教科書でパシンと叩いたなかざーは、再びヒールをカツカツ鳴らして歩きながら話し始める。
「あーそう肉欲や、肉欲。えーとつまりな!心だけを求めてるうちは友情で、それ以上を求める気持ちが湧いたらその時点で恋って事なんやけど、、それ言ったら男は恋しまくりっちゅー事になるやろ?な、どーよ、ごっちん」
うぬ!?
- 7 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時07分21秒
急に話を振られて体がビクッと跳ねた。
反射的になかざーの方をむくと、やたらやんわりした表情。
「恋愛に関しての授業くらい参加してーな」
その笑みの奥に何を思ってるか大体想像つくから怖い……。
つまり、たまには真剣に聞けって言いたいんだよねぇ……。
えーと……
「こ、心も体も両方欲しいと思ったら恋なんじゃ…ないですかねぇ……はは……」
「おっ分かってるやんかぁ〜。
体も欲しいだなんて、ごっちん案外大胆ね。ふははは!」
あ……しまった思わず……
自分で言っておいてやたら恥かしくなってしまう。
誤魔化そうと髪を触ってるごとーをよそに、何が楽しんだかバカ笑いをしてるなかざー。
- 8 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時08分14秒
びみょ〜にムカつきを覚えたそんななかざーの授業だったけど、
のちにこの授業が役立つ事になるなんて、その時は思いもしなかった。
- 9 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時13分32秒
―――――――
―――――
「きをつけ!!」
「、、ありがとうございました!!」
「「「ありがとうございました!!!」」」
中学からの流れでなんとなく入ってるバスケ部。
キャプテンの挨拶に続いて威勢のいい声で全員で挨拶をし、長い1日もこれでようやく終わりを告げる。
あとは家に帰ってお風呂入ってテレビ見てあったかい布団でぬくぬくと寝るのみ♪
ん〜〜楽しみだねぇ。
「は〜いそれじゃちゃんと片付けして帰れってな。あともう時間遅いから三年生責任もって後輩家まで送ってくんやで〜」
えっ!?
ワイワイと更衣室に向かう部員に付け加えたのは顧問のなかざー。
なかざーは担任でもあり部活の顧問でもある。
ちょっ、いーよ一人で帰れるよ!!三年待ってたら帰るの遅くなっちゃうじゃん!!
大体バスケのバもしらないような人間がなんの権利があってそんな、
幾ら顧問がいなかったからってさぁ……
「って事みたいだからごとー、一緒に帰ろっか」
!?
- 10 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時14分26秒
ぶつぶつと心の中で文句を言いながら怒りを溜め込んでいると、突然背後からポンを肩を叩かれた。
「あ……いちーちゃん……」
三年のキャプテン、市井紗耶香。
基本的に性格が合わないというか、正反対な感じだから入部当時は何となく手嫌いしていた。
やたら厳しいし、なんか熱いし、ちょっと今時いないかなっていう感じで、ステレオタイプ?っていうのかな?
とにかく、ごとーの苦手な人種だった。
「?何?いちーじゃ不安?」
「え、あ、いや……」
「ていうか三年が送ってくっていう意味がよく分かんないけどね。一年くらいの差で何がどう違うっていうんだか。これが男女なら別だけどさー」
「………………」
「まぁね、実際いちーよりごとーの方が強いと思うから、何かあったら守ってよ」
そんな冗談を言ってニッと笑ういちーちゃん。
つられてごとーもちょっと笑う。
あれ……ごとー怒ってたはずなのにな……
- 11 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時17分11秒
「んじゃちょっと急いで片付けしちゃうから、待っててね」
ポンポンとごとーの頭に手をのせて、ニコリと微笑んで走っていった。
「…………」
そう、最初は確かに苦手というか、下手したら嫌っていたんだけれど、接してみると案外優しくて……
上下関係とか苦手で、だから教師ともホント合わなかったし中学時代も先輩には嫌われたしごとーも嫌いだった。
なのに、いちーちゃんとは何故だか上手くいっている。
いちーちゃんタイプの人間は、ごとーみたいの一番嫌うはずで、実際周囲の人間にもごとーを手嫌いしている人は沢山いる。
けど練習で散々叱ってもいちーちゃんはちゃんと親身に接してくれる。どうやら嫌われてはいないようで。
ていうか、好き嫌いとかしない人なのかもしれないけど。
誰がみても可愛くなくてムカつく後輩だと思うんだけどなー……
自分で分かってるなら変えろよって感じだけどね……あはは……
- 12 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時18分14秒
とにかく、誰かに甘えれるってなんかいいなって、初めてそんな風に思わせてくれたのが、いちーちゃんだった。
自分でも不思議なくらい、いちーちゃんに接する時はなんか他の人と接する時と違う。
普段は“クールでハードな後藤さん”で通ってるんだけどな…。
セッセとボールを片付けたり床拭きしたりしているいちーちゃんを目で追いながら、
もうすぐいなくなっちゃうんだよなぁ…
なんてちょっぴり感傷に浸っていた。
- 13 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時19分07秒
―――――
―――
―
「ねぇいちーちゃん」
「ん?」
「いちーちゃんインターハイ終わった後も部活出る?」
帰り道、いつもは友達と帰ってるんだけど、今日はいちーちゃんと。
なかざーの訳分からない命令にちょっとだけ感謝かな……。
「ん〜や、出ないよ。つーかごとー、そのタメ語部活で使っちゃダメだぞ……?ってこれ何回も言ってるけど……」
「出ない…出ないのかぁ〜……」
「お〜い人の話聞けよ〜…」
虫の鳴き声が聞こえる真っ暗な夜道を、二人肩並べて歩く。
うちの学校は女子校で、いちーちゃんはボーイッシュで男前、おまけにバスケ部キャプテンときてるもんだからやたらと人気がある。
だから廊下で偶然会ったりして話なんかしてると、凄い怖い視線を浴びたりする。
二人っきりで帰ってるとこなんて見られようものなら、何される事か……。
- 14 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時20分23秒
「ごとー?」
「え、あ〜聞いてるよぉ。でもだってもういなくなっちゃうじゃん」
「まぁそうだけどさ……。てゆーか、なんでそんな事聞くの?」
男タラシってレッテル貼られちゃってるごとーは、どうやらボーイッシュな先輩と話す事も許されないらしい。
別に男タラシじゃないんだけど、なーんかそういう風に見えるらしく。
素直に共学行ってれば良かったなぁって最初は凄い後悔した。制服可愛いから来たんだけど、怖いんだもん女子高。なんかみんなギラギラしてて。
やだねぇ欲求不満な人達って。
「ごぉと〜〜。何ボーッとしてんだよ」
「!?あっゴメンゴメン。あはは……」
「どうしたの?なんか今日変だぞ?」
なんかあった?っと顔を覗き込んでくる。
この顔が欲求不満の女の子を刺激するのか。いちーちゃんも大変だねぇ。
「……もしかして虐めとかあってないよねごとー……」
「虐め!?なんで??」
「いやぁ〜……ごとー可愛いからさ」
へ………
- 15 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時22分20秒
「……別に……魚とか言ってる人いるくらいで虐められてはいないよ……」
あーホント学校じゃなくて良かった…。可愛いとかいちーちゃんに言われてるの聞かれたら殺されるよごとー……。
でも、ちょっと嬉しいな。殺される値打ちの言葉貰っちゃったよ…あはっ
「魚(笑)そっか、なら良かった」
「良くないよ。魚だよ」
何故かやたら照れちゃったごとーは、赤い顔見られないよう下向いてモジモジしながら歩いていた。
「そそんなことより、さっき何か聞かなかった?」
誤魔化すように話を戻してみたり。
「あ〜えーと、だからなんでそんな事聞くのかって」
「そんな事って?」
「インターハイ終わったら部活出ないの?って、ごとー聞いたじゃん」
「ん……だって……
な〜んか、寂しくなるなって思ってさ…………」
!?あっヤバイまたっ…………
無意識に…………
- 16 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時24分15秒
昼間の授業に続いて、またちょっと恥かしい事を無意識に口走ってしまった。
いちーちゃんが変な事言うから悪い……。
ハッと我に返っていちーちゃんを見ると、いちーちゃんは別にこれといって反応する事なく、ただ遠くを見たままだった。
「……ふぅん……ごとーもそんな風に思ったりするんだ……
……ちょっと意外……」
「……何それごとーだって人間だよ。魚じゃないよ」
「あははっそうだね、ゴメンゴメン今の取り消しね」
楽しげに笑いながら、ごとーの頭をクシャクシャっと撫でる。
…………なんでそんな顔で笑ってられるのさ……
乱れた髪の毛を手グシで梳かしながらいちーちゃんの横顔をチラッとみた。
離れ離れになっちゃうんだよ……?
- 17 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時25分42秒
いちーちゃんとはかれこれ1年半くらいの付き合いになる。
普通の友達と違って、後藤達は単なる部活の先輩後輩だから、一緒に遊んだ事もないし互いの家に上がった事もなければプリクラだって取った事ない。
なんていうか、友達とはちょっと空気が違う。二人っきりで一緒に遊びに行くとかってちょっと想像がつかない。やっぱりこれは上下関係があるからだと思うけど……。
だから、いちーちゃんが部活を引退したら、接点を完全に失ってしまう……
きっとそのままもう会う事もなくなる……。
もう、どーせ会えなくなる人だから。
そうどっかで思って出たなげやりな気持ちの言葉だったかもしれない。
でもとにかく、今度はちゃんと意識してそれを言った。
「いちーちゃんは、寂しくないの……?ごとーと……会えなくなっちゃうの……」
- 18 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時26分24秒
立ち止まって、静かにその言葉を投げかけた。
いちーちゃんの足が止まる。
「「……………………」」
ちょっと驚いたような顔でゆっくりと振り返るいちーちゃん。
すぐに、返事が来ると思った。
だってそんな困るような質問でもないじゃん?
いつものいちーちゃんなら“寂しくないって言ったらウソになるけど、でも思い出は無くなる訳じゃないし”とかそんなちょっと臭い台詞ですぐに返事をしてくれるはずで、、
なのに……
……あ、あれ……?
無言のいちーちゃん。無言のごとー。
二人の時間が止まる。
いちーちゃんが何かを迷っているようなちょっと虚ろな目でごとーを凝視する。
そして……
- 19 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時27分10秒
「……寂しいよ……」
ドクンと、心臓が跳ね上げるのが自分で分かった。
……いち……ちゃん……?
長い長い沈黙のあと、いちーちゃんは今まで見せた事のないような熱い視線でごとーを見つめ、ポツリとそう言った。
- 20 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時28分54秒
生涯でセブンティーンは最も印象に残る年なんて言うけど、そんなのウソ。
現実なんてこんなもんだって受け入れてるから、別に卑屈になったりすることもない。
ほんのちょっぴり退屈な気はするけど、色々あって大変なのよりは性に合ってる。
刺激的な生活なんて別に欲しくない。
マッタリ平穏に過ごしていきたい。
そんな風に思ってた。
後藤真希17歳。
― SEVENTEEN ― 〜to be continue〜
- 21 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時29分52秒
- 題名絶対被ってる気がする……一応調べたんですが……被ってたらどうすればいんだろう……
- 22 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時31分31秒
- ヒサブリなんでなんか投稿にムッチャ緊張してます……
えーとばれんたいんですが、放棄した訳じゃないので、安心、はできないかもしれないけど、ガンガリマスので温かく見守ってやって下さい。
- 23 名前:O-150 投稿日:2003年01月09日(木)23時36分43秒
- あと、一人称が「ごとー」になってますが、次回から「後藤」で行きます。間違って直さないで投稿してしまいまして……
いちごまですが、ここで書くには食傷すぎると思うので、少しでも新鮮さを出せるようにガンガリマス。まだ大分食傷内容続くと思いますが、、。
- 24 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月10日(金)00時21分08秒
- またO-150さんの作品が読めるとは(感涙
- 25 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月10日(金)00時49分26秒
- イイ滑り出しですねぇ〜!
ググっと引き込まれました。
SEVENTEEN、自分の青春時代を思い出してしまいました・・
次回更新、お待ちしております。
- 26 名前:名無し読者。 投稿日:2003年01月10日(金)01時05分46秒
- なつかしい。
すっごく楽しみです。
いちごまの陰に・・・やぐちゅーなんか登場したりしますか?
- 27 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月10日(金)01時21分12秒
- O-150タン
キ━キ━キ━キ━(゚∀゚∀゚∀゚∀゚)タ━タ━タ━タ━!!!
意味不明レススマソ。
- 28 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月10日(金)01時50分07秒
- お、こっちで連載するんですか。
最初、短編との事だったのでちょっと得した気分w
がんがってください
- 29 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時04分46秒
- レスありがとうございます。
もうあの頃いた人はいないのでは・・なんて思ってたので覚えてて貰えて嬉しいです。
>>24
また飼育でかける日がくるとは(感涙
って感じですホントに。。もう無いと思ってたのに・・。
またお付き合い頂けたら嬉しいです。
>>25
ごまがそういやSEVENTEENだなって思って、一年しかないからその間に急いでなんか書かないとと思ったのです(w
青春時代思い出して頂けると嬉しいっす。。
>>26
やぐちゅうはぁ・・今んとこ予定してないですねぇ・・。
完全に二人の世界を書こうと思ってるので。。
やぐを出すって事はあるかも分かりません。てか出そうかな。
>>27
いえいえ意味不明レス歓迎です(w
そのAAもらい!どっかで使おっと(ワクワク
>>28
せっかくだからこっちでやる事にしました。意外と長くなりそうなんで・・。
ありがとうございますガンガリマス!
て事で逝きます。第二部。
- 30 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時07分34秒
-
― SEVENTEEN ―
始まりは大抵ほんの小さな事からで。
気付く事の方が少なくて。
見逃して、いつのまにか渦中にポツンと立っている。
気付いた時にはもう、足掻く術さえ失ってる。
- 31 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時08分59秒
「ナイッシュー!!」
「紗耶香左!!」
「速攻!!」
ダムダムダムッ
キュッキュッ
「ふぁ〜〜〜〜ぁ……」
ん〜〜いちーちゃんは今日も元気で爽やかだ…………
こっちは死ぬ程眠いってのに…………
三年生がゲームをしてる脇で一年二年は座って観戦。
みんな殆どお喋りしてて見てないけど、後藤はいつもいちーちゃんの綺麗で上手いプレーをワクワクしながら見てる。
ていうかシュート決めた時の顔が好きなんだよね。入って当然みたいな、自信に満ち溢れた表情が。でも何故か嫌味じゃないのがいちーちゃん。
だけど、今日はいちーちゃんの顔がたまにボヤける。ボールも三つも四つも見えたりする……。
いちーちゃんのシュートが魔球になってる……。
- 32 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時09分40秒
「ゲーム終了〜!!」
昨日後藤は結局殆ど寝れなかった。
原因は勿論……
「紗耶香ぁなんか今日一段と気合入ってなかった?」
「そう?ふつーだけどね」
「バッチリキマってたよね」
「どっちが?」
「勿論ボール」
「いやどっちもだよ」
「あはは」
ゲームが終わったいちーちゃんが部員と談笑しながら後藤達の方に近づいてくる。
今日はなんかずっといちーちゃんを目で追いっぱなしだ。
昨日あの後、後藤といちーちゃんは終始無言で、別れるまで妙な空気のままだった。
後藤が言葉につまっちゃったせいだと思うんだけど……。
- 33 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時12分06秒
その妙な緊張がまた蘇ってきた。喋りながら歩いてくるいちーちゃんとの距離が縮まる事に、何故か心拍数が上がって緊張も増す。
ステージの前に列になって座り込んでる一二年の間を割って、ステージに置いてある荷物からタオルを出し、汗を拭いてるいちーちゃん。
10メートルくらいの距離のとこで笑ってるいちーちゃんの横顔をジッとみてると、髪を掻き揚げてドリンクを口に運んだいちーちゃんと突然バチッと目があった。
うっ……
目があった途端微動だにせず固まってしまう後藤。
ドリンクを飲みながらパチクリと不思議そうに横目で後藤を見て、でもドリンクを口から離すのと同時に視線は外れてしまった。
口元を拭いながらから再び友達と会話を始める。
それは特に意識的な感じでもなく、自然だった。
どうやら後藤一人で昨日の事を意識しているらしい。
- 34 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時15分38秒
大袈裟に考えすぎなのかな……
まぁ確かに、寂しいよって別に普通の言葉だもんねぇ……
多分誰だって寂しいよって答えるだろうし……
でもなんていうか……
ちょっと普通の空気じゃなかったっていうか………
って……思い込み……?
…考えてみればいちーちゃんて、そういう別れとか出会いとか人一倍重要なものに捉えてそう。
ていうか、ごとーじゃなくたって、ちょっとでも仲良くしてる人にはみんな「寂しいよ……」って心込めて言うんだよきっとあの人は。
そうだよ!そーだよきっと!
な〜〜〜んだ。そっかそっか。
やだなぁごとー、何だと思ってんのさねぇ……
だからタラシとかって言われちゃうのかも……
正直、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけだけど、いちーちゃんもしかしてごとーの事……、、
なんて変な事思ってしまったのは事実です。はい。
ものすごい自意識過剰でした。ごめんねいちーちゃん……そんな訳ないのにねぇ……。
いちーちゃんが幾ら女の子にモテるったってそんなんじゃないだろうし……。
いちーちゃんゴメン。
- 35 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時17分17秒
納得してペコリと心の中で懺悔したら、胸の辺りの突っかかりがストンと落ちた。
なんせ昨日からその事で頭がいっぱいだったからねぇ……
だってさぁ〜〜ごとーそういう世界わかんないし……
いきなりそんなんなったらそりゃ困るよ……
「ごとー」
「はぃい!?」
そんな事を考えていたらいつの間にか目の前にいちーちゃんが立っていて、ビックリしてすっとんきょうな声をあげてしまった。
「今日これで部活終わりだけど、ちょっと早めに終わったからさ、前ごとー言ってたやつ、やる?」
「前言ってたやつ……?」
「ほら、学校全体、、」
「!!え!?ホントに!?!?やるやる!!、、ていうかいちーちゃん今日時間大丈夫なの?」
「うん今日は大丈夫」
「じゃやる!やりたい!!」
やっぱりいちーちゃんはふつーだ。
やっぱり昨日のあれは深い意味なかったんだ。
- 36 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時21分01秒
―――――
―――
「ホントに二人だけでいいの?沢山いた方が楽しいんじゃ、、」
「わ〜かってないなぁ。一対一の勝負だから楽しいんじゃん」
懐中電灯をピカッと後藤の顔に当ててニッと笑ったいちーちゃんは、それじゃ行くぞぉ!としんちゃんの物真似で言って壁に腕と頭をついた。
そしてスゥっと大きく息を吸い込むと、
「い〜〜ち!に〜〜い!さ〜〜ん!し〜い!」
「…………」
「ご〜〜お!ろ〜、、何やってんだよ早く走れってば」
「……やーいちーちゃん嫌がってた割にノリノリだなと思って」
なんかすっごい面白くて噴出した後藤は、お腹を抱えてケラケラ笑った。
「いちーはやると決めたらやるのっ。いーから早く走れってば」
「意外と子供っぽいんだね」
ケタケタと笑い続ける後藤に、うっさいと口を尖らせて言ういちーちゃんの顔はちょっぴり赤くて。
- 37 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時21分34秒
「ふははは!いちーちゃん照れてる!」
「照れてない!ていうかもう待ってやんない。いちにーさんしーごーろくしちはち」
「待って早いよ数えるの早い!!」
突然マッハで数え始めたいちーちゃんに、慌てて後藤は駆け出した。
真っ暗な廊下を、懐中電灯一つ持って、
夜の学校鬼ごっこの始まりだ!
- 38 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時24分02秒
―――――
ルールは簡単。一人が学校の中を逃げ回って、それを鬼が捕まえればいい。
ただし掃除用具ロッカーとか狭いとこに入っちゃダメっていうのと、出来るだけ動かないとダメ(隠れんぼになっちゃうから)、そして逃げる人は懐中電灯消しちゃダメ。鬼は消してもOK。
管理人さんとか、残ってる教師とかいるかもわかんないから、そういう人に見つからないようにするのもある意味ゲーム。
うちの学校は階段が東と西に二つあって、廊下も中庭を囲うように円になってるから、学校全体鬼ごっこやるには最適だって前に後藤がいちーちゃんといる時に言った事があった。
その時は、廊下走ったら怒られるじゃんとか生徒会長みたいな事言ったり、鬼ごっこなんてもうそんな体力も気力もないよって年より臭い事言って相手にしてくれなかったのに、、
ちゃーんと覚えててくれたんだね。
鬼ごっこ自体もすんごい嬉しかったけど、いちーちゃんの心遣いが更に嬉しくて、後藤はヒサビサに胸躍らせながら、シンと静まり返る学校を、子供の頃を思い出しながらダッシュで走った。
- 39 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時26分03秒
しかもね、後藤鬼は捕まえるのめんどくさいから嫌いだって言ったらいちーちゃん、捕まえたら交代だかんなって、渋々だったけどじゃんけん無しに鬼を買って出てくれたんだ。
「そーゆーとこが好きなんだよねぇ♪」
小声で呟いたつもりだったのに、夜の学校の廊下は思いの他音が響いて、自分で言ったくせに自分でビックリしてキョロキョロと周囲を見渡した。
良かった誰もいない……
や、好きって別に深い意味はないんだけど……
なんて一人で照れて自分にフォローを入れてみる。
- 40 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時27分19秒
そして走りながら角を曲がったところで、おわっ、と足が止まった。
「これがいちーちゃん言ってたやつかぁへぇ〜〜初めて見たよーなんかカンドー」
廊下を抜けてホールに出ると、赤いレーザービームみたいのが無数に張り巡らされていたのだ。
よくスパイ映画なんかで見る、あれ。
間隔を置いて何個か置いてある太い柱から、色んな方向に糸のように細い光線が出てる。
触れると“ジリリリリ!!”ってけたたましい音で防犯ベルが学校中に鳴り響くっていちーちゃんが言ってた。なんでそんなの知ってんだか。
中央の太い柱の所に置いてあるドデカイ水槽がブゥ〜ンと嫌な音を発しながらボンヤリ光ってて、その中をシーマンみたいな大きな魚がユラユラと泳いでるのがまた不気味。
熱帯魚じゃなくてほんと魚なんだよね。お金かけるとこ間違ってるよ。
うちの学校侵入されて困る事も物も無いないじゃんねぇ〜何頑張ってんだろ。
あ、夜中に解答用紙盗みに着たりする生徒いるかもしれないからかな?
……いるぅ……?そんなメンドイ事するくらいならごとーは素直に赤点取りますよ。
- 41 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時29分07秒
こういう訳の分からない所にお金をかける辺り、都内でも有名なお嬢様私立校だって事を実感させられる。
別に生徒達はお嬢様意識ないんだけどね。
お嬢様がこーんな遅くに夜の学校で鬼ごっこしないってねぇ〜。しかも侵入者みたいに赤外線センサー潜ってさぁ〜。
よっ……と。
体制を低くして一個目のセンサーを抜ける。
あ、後藤がお嬢様意識ないだけか。あはは
続けてひょいひょいとセンサーを跨ぎ、水色チェックの制服のスカートが触れないよう抑えながら、障害物競走みたいな感覚で無数のセンサーを簡単にすり抜けた。
これ、意味なくない?簡単すぎるよ。
こんなのに引っかかるドロボーいたらアホだよ。
いとも簡単にすり抜け3階へと軽い足取りで階段を上って行った後藤だったけど、
「おっわこれ……無理でしょ……。ひょえーごとー捕まえる前に自分掴まっちゃうよー……」
動き易いようにとジャージ着てるのに膝をガクガクさせながらセンサーを跨ぐ人がいたなんて知る由もなく。
- 42 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時30分24秒
―――――
3階の廊下を歩きながら、中庭を見下ろせる窓を通して向かい側の廊下や一階二階の廊下を目を凝らして見る。
いちーちゃんもうとっくに数え終わってるよねぇ。今どの辺いるのかなー
自分は懐中電灯を点けてるから、多分いちーちゃんからは後藤が何処にいるかすぐ見つけれるはず。
この廊下の真下とかにいたらわかんないだろうけど。
あと教室入っちゃえばわかんないだろうけどね。
だからすぐ追ってくると思うんだけど、、まだこない。
いちーちゃん怖がりだけどそれより捕まえる事に真剣になって、懐中電灯消して足音も消して追ってきてるかもしれない。
もしかしたらもうすぐ後ろにいたりして……
警察に追われてる逃走犯みたく、パッと振り返って懐中電灯を拳銃のように胸から真っ直ぐ突き出した。
ピカッと廊下を奥まで照らし、神経を集中する。
ジリジリと警戒しながら色んな角度に光を当てて辺りを見回す。
- 43 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時32分12秒
追ってこないなぁ。
いちーちゃん何やってんだぁ?
拍子抜けした後藤は、スピードを落としてテクテクと歩き、逆にいちーちゃんに発見され易くしてみる。
けど実際いちーちゃんはまだ赤外線センサーに苦戦中だったので意味無かった。
「なんかホント侵入者の気分……おわあぶね!!今触れなかった!?ねぇ」
一階ホールで独り言の激しいいちーちゃんをよそに、後藤は3階廊下を西に向かって歩く。ついには鼻歌なんかも歌いだして、辿り付いた階段から下に降りていく。
スタート地点の一階の西側の階段のとこに到着。
グルッと一週してきた後藤はまた同じコースを辿る事にした。
逆にいちーちゃん見つけて脅かしてやろっと♪くくく。
再びダッシュで廊下を駆け抜ける。
そしてホールに出ると、センサーの奥の方に小さな光を見つけた。
あっいた!
「いちーちゃ〜〜ん!」
- 44 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時33分30秒
やっとこさセンサーを抜け階段を上がるとこだったらしい。
はっと振り返ったいちーちゃんは前にいるはずの後藤が後ろに周ってる事に驚いている様子。
いちーちゃんに向かって笑顔でブンブンと手を振る。
「あはっいちーちゃん遅いから一週しちゃったよごとー」
「クソッなんでそんな早いんだよ!」
後藤の煽りに反応したいちーちゃんはダッシュでこっちに向かってきた。
けど後藤を捕まえるにはせっかく苦労して抜けたセンサーをまた通らないといけない訳で。
「いちーちゃん頑張れぇ」
余裕の笑みでヒラヒラと手を振ると、二回目だからか持ち前の負けん気でか割かしスイスイとセンサーを抜けてこっちに向かってくる。
ギリギリまでは逃げないぞー。
気合入れていちーちゃんを待つ。
床に這いつくばって四つんばいでセンサーを潜るいちーちゃん。
「あんよはじょーず。あんよはじょーず」
笑顔でパチパチ手を叩きながら煽ってみたり。
いちーちゃんのくぅ〜っていう屈辱に耐える声がなんか快感。
ごとーSっぽいなぁ(笑)
- 45 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時35分49秒
そしていちーちゃんが最後のセンサーをハードルみたいに飛び越えたと同時に後藤も猛ダッシュで駆け出した。
「まてごとー!!」
学校中に聞こえるような大声で叫びながら後藤を必死で追ってくるいちーちゃん。
「くっ…ふは!ふははは!!」
なんかわかんないけどすんごい楽しくて笑ってしまう。
鬼ごっこってこんな楽しかったっけ!?
- 46 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時36分37秒
いちーちゃんもなんか今まで見た事もないくらいハイテンションで、逮捕してやるぅ!!なんて訳わかんない事叫んでる。
足には自信ある後藤はいちーちゃんを振り切って、角を曲がった所にすぐある教室に飛び込んだ。
けどいちーちゃんは後藤が階段を上ったと思ったらしく、教室の前を通り過ぎタタッと階段を駆け上がっていった。
後藤はまた先回りして東側の階段をいちーちゃんより早く駆け上がって、いちーちゃんの前に現れて煽って逃げる。
それの繰り返し。
もう一方的にいちーちゃんを振り回してる感じ。
たまにいちーちゃんの方から見つかると、いちーちゃんはニッて嬉しそうに悪戯っぽく笑って猛ダッシュでおっかけてくる。キャーキャー言いながら後藤も全力で逃げる。
それだけなのに、すんごい楽しくて、後藤は時を忘れて子供の頃みたいに頭ん中空っぽにして走り回った。
- 47 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時37分33秒
日常は非日常を知って意識出来るものだって、初めて分かった。
後藤はいつからか、何かがストップしちゃってたんだ。
それに気付く事もなく、ただ毎日を送ってた。
受け入れれば楽だと思ってた。
一日中無意味に拘束されるつまんない授業とか、先輩方の言いなりになんなきゃいけないギスギスした部活とか、渋谷のマックでダラダラ友達と時間潰したり、体目当てのギラギラした男達と合コンしたり、なんかそういう日常を全部全部忘れて、全部全部忘れて。
今だけ子供にタイムスリップッ。いえー!
- 48 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時39分54秒
*****
- 49 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時41分52秒
―――――
「ふわぁっ……ハァッハァッ」
どれくらい経っただろう。
もう二時間は軽く超えてる気がする。始めたのが7時くらいだったから、9時か10時くらいかな?
再びいちーちゃんを振り切って教室に飛び込んだ後藤は、前かがみになり膝に手をついて息を整えた。
部活やって鍛えてるはずなのに小っちゃい頃より体力が落ちてる気がする……。
あの頃は何時間走ってても全く疲れなかった。
ごとーも年かねぇ……
セブンティーンで年とか言ったら世のお姉様方に怒られちゃうかな。
流石に疲れた後藤は、てきとーに飛び込んだ教室の真ん中らへんの机に息を吐きながらドカッと座った。
立ち止まるのは基本的にルール違反なんだけど、まぁちょっと休憩って事でいいでしょ。
タイム!!ってやつだよ。よく使ったなぁその言葉。
机にだらりと体を預けて突っ伏した後藤は、小さい頃の事を思い出していた。
子供の頃後藤は鬼ごっこの天才って呼ばれてた。
勿論鬼の方じゃなくて逃げる方の天才だったんだけど。
- 50 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時43分24秒
“真希ちゃん早すぎるよぉ!!”
そういえば初恋だった男の子、足遅くていっつもごとーの事捕まえれないでいたな。
ごとーは捕まえて欲しくてその子にだけわざとゆっくり走ったりしたっけ。
捕まえれないと他の子にいっちゃって鬼が替わっちゃうから、なんとかして掴まりたくて。
捕まえて。早く捕まえてって……心の中で唱えてた。
けど、この時間がもっと続いて欲しいって矛盾した気持ちもあって、、
掴まった瞬間、嬉しいけど少し寂しかったの覚えてる。
なつかしーなぁ……。
あれは小学校入る前くらいだったから、もう10年経つのかぁ……
ブレザーのポケットから手鏡を出して、乱れた髪を整えながら自分の顔を見る。
大人になったもんだよねぇ
人生なんてきっとあっという間なんだろな……
なんて感傷に浸っている時だった。
- 51 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時44分25秒
『ガタンッ』
っ!!!!
ビクリと体が椅子から跳ね上がった。
な、何…?いちーちゃん……?
おそるおそる後ろを振り向くと、誰もいない。
「おーいいちーちゃ〜ん…?怖がらせたってダメだからね」
ゆっくりと立ち上がってあちこちに懐中電灯を照らしながらソロソロと逃げる準備をする。
「いちーちゃ〜んいるんでしょー」
机の下やドアの影を照らす。けれどいちーちゃんの姿はない。
……あれ……?
なんか心拍数が上がり始めた後藤は、懐中電灯をあちこち照らしながら後ずさりして教室から出た。
それと同時に、さっきまで出てた月が雲に隠れて、、
月明かりで薄暗く照らされていた廊下が完全に真っ暗になってしまった。
- 52 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時45分29秒
……ちょっと……夜ってこんな暗かったっけ……?
「いちーちゃ〜ん……?もういーよー出てきてよぉ」
物の見事に真っ暗。少しは目が慣れてるとは言え、数メートル先はもうなんも見えない。
ドッドッと心臓が音を立て始める。
EXITの光が所々廊下にあるくらいで、他に光が全く無い。
五感が鋭くなってくると、さっきまで全く気にならなかった音の静けさまでやたら気になってくる。
冷静になってみると、夜の学校一人で歩くのってそーとー怖い事かもって気がしてきた。
ていうか、怖いよこれ……。
よく怪談物とかで夜の学校ってあるよねぇ……
急にスーって人が歩いてたりするかもしんないじゃん!
や、ヤバイなんか足すくんできた……。
「いちーちゃん!!」
せっかくさっきまで凄い楽しかったのに、後藤を怖がらせたいちーちゃんに腹が立ってきて、怒った声で叫んだ。
けど声が震えて全然怒ってるように聞こえない。
- 53 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時46分43秒
シン。
何度呼んでもリアクションがない。
ていうか、物音一つしない。
ホントに隠れているんだろうか。
ホントにいないっていう可能性もあるんじゃ……
「……いちーちゃん……?も、いーよごとーの負け!降参!だから出てきてよ……」
廊下の壁に張り付いたままジリジリと足を進めていく。
ドッドッドッドッ
うんともすんとも言わないとこみると、ホントにいない気がしてきた。
- 54 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時48分19秒
早く見つかろうと思って、後藤はガクガク震え始めた足を頑張って進めながらいちーちゃんの名前を呼び続けた。
「いちーちゃ〜んごとーもう降参だよー……いちーちゃ〜〜ん…」
自分の声がやたら響いて、それも恐怖心を助長する。
段々声が小さくなってきて、ついには声を出す事も出来なくなってしまった。
もう30分くらい経った気がするけど、いちーちゃんがいない。
さっきまでは何度逃げてもすぐに見つけれたし見つかった。
なのに、今は後藤ゆっくり歩いてるにも関わらずいちーちゃんに見つからない。
このままいちーちゃんに見つかんなかったら……
たった一人誰もいない広い学校で、、。
一気に恐怖心が湧き上がった。
コワイ。
コワイ。
コワイ。
怖いよいちーちゃん……
早く見つけてよ……
いちーちゃん……
- 55 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時48分52秒
『カタッ』
「ひゃっ……!!」
再び耳に飛び込んできた物音で、ついに足がすくんで動かなくなってしまった。
そしてその場にしゃがみ込もうとした時。
- 56 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時49分33秒
「っっよっしゃ後藤真希捕獲!!!」
「っ!!!!…………」
人間本当に恐怖を感じると声なんて出ないもんだ。
バクン!と心臓が爆発したと同時に一瞬気が遠くなって何が何だか分からなくなった。
「??ごとー?どした??捕まえたよ?」
人間の本能なのか、反射的に耳を塞いで目を閉じた。
体に人間の体温を感じようやく徐々に五感を取り戻していく。
ゆっくり目を開けると、後藤の後ろから覗き込むようにひょっこり顔を出してるいちーちゃんと目が合った。
パチクリ。
瞬きをしたと同時にボロッと涙が零れて。
「……っも〜〜〜〜〜!!!!バカバカいちーちゃんのバカァ!!!!」
- 57 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時52分25秒
「なっ何ちょっ……なしたのごとー…苦し…んですけど……」
ギュッと力いっぱい抱きついて顔を埋める。
「……怖かったよぉ……」
後藤のガタガタと震える体と声でようやく理解してくれたいちーちゃんは、「ゴメンネ」と子供をあやすようによしよしと頭を撫でてくれて。
でも落ち着いていいはずの心臓が、全く落ち着いてくれない。
「ごとーお化け屋敷とか平気って前言ってたじゃん」
「ウソ物は平気なの……本物は誰だって怖いよ……」
「ごとーを捕まえるのに真剣でいちー全然そんなの忘れてたよ…」
「ごとーより怖がりの癖にズルイよ…」
「心頭滅却すれば夜もまた楽し」
「何それ意味分かんない」
笑いながらズッと鼻をすすって顔を上げると、いちーちゃんが親指で涙の後拭ってくれて。
恐怖心から開放された安堵感からか、なんとなくもう一度いちーちゃんに顔を埋めて身を預けた。
後藤の手がぶつかっちゃったのか、いちーちゃんの懐中電灯がカタンと落ちた。
改めてギュッと抱きしめられる。
やはりドキドキが収まらない。体の微かな震えも止まらない。
- 58 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時53分17秒
「「…………」」
それどころかさっきよりも五感が冴え冴えしていて、音の静けさやけに感じて、、
真っ暗な中二人っきりだっていうのを突然意識してしまった。
「えっと……も、もう遅いし帰ろ…?」
パッと体を離して、誤魔化すようにいちーちゃんが落とした懐中電灯を拾ってあげる。
ね?と手渡すと、そうだね、といつもと変わらない落ち着いた声でいちーちゃんは言った。
- 59 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時54分21秒
そして後藤が落ち着きなくしてると、いちーちゃんは突然、
「学校出るまでごとー鬼だよ!」
ニヤリと笑ってダッシュで駆け出した。
「えっ!?!ちょっなんでさもう終わったじゃん!!」
「誰も終わりなんて言ってないじゃん!」
子供みたいな事言って走ってく。
「待ってよ怖いって言ってるじゃん!!」
また遠ざかっていったいちーちゃんを慌てて追いかける。
二人の足音が再び校内に響き渡って、騒がしくなった。
そっか、走ってたら怖くないんだ。
走ってたから怖くなかったんだ。
いちーちゃんそれ分かってやってるのかな。単に負けず嫌いなのかな……。
負けず嫌いいちーちゃんがおかしくて、後藤はプッと噴出した。
- 60 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時56分03秒
あまりにタイミングバッチリで、噴出したのが合図かと思った。
『ジリリリリリリリ!!!!!』
「「え!??!!?」」
「ちょっ…はぁ!?!?ごとーお前何やってんだよ!!!」
もう何度も何度も潜り抜けてお茶の子さいさいだった赤外線センサー。
慣れすぎたせいか、油断をしてしまったらしい。
プッと噴出した時にどうやら微かに引っかかったみたいで……。
防災訓練は何回かした事あったけど、こんなに音おっきかったっけ!?
あまりにけたたましく鳴り響くベルに、もう混乱しまくりの後藤といちーちゃん。
「どどうしよいちーちゃん!!!」
「どうするもこうするも……」
ホントに侵入者みたいに慌てまくって、地団駄を踏みながら挙動不審にキョロキョロ周囲を見渡す二人。
いちーちゃんは後藤の手をガシッと掴んだ。
「逃げるが勝ち!!!」
- 61 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時57分44秒
いちーちゃんに手を引かれ、二人は今までにないくらい猛スピードで走り出した。
遠くで人の走る足音が聞こえる。
しかもよりによってこんな時に月が雲から顔を出して、廊下が薄明かりで照らされてしまった。
当然後藤たちも照らされる。
「ヤバイよ人来る!」
後藤といちーちゃんは冷や汗掻きながらダッシュで走る。
もう散々走ってクタクタのはずなのに、火事場のバカ力ってやつらしい。
自分てこんな早かったっけ?と思うくらい。
逃げてるけど、恐怖心以上に爽快だ。
走りながらいちーちゃんをチラッと見ると、いちーちゃんもそう思ったみたいで、後藤と目が合うと今日一番の笑顔で笑った。
笑ってる場合じゃないのに、後藤もつられて笑ってしまう。
- 62 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)06時58分43秒
もしかしたら今が鬼ごっこの本番なのかもしれないね、いちーちゃん。
さっさと鳴らしてれば良かった?
んーどうかな。
でも、またやろうねっ。
目と目だけの会話だったけど、後藤はいちーちゃんにそう言った。
いちーちゃんはニコリと微笑んだ。
- 63 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時01分26秒
*****
- 64 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時03分02秒
―――――
「おはよぉ〜」
「おっごっちんおはよー」
「よしこ〜〜ごとー数学の宿題忘れちったよー」
またいつもと変わらぬ日常が始まる。
昨日はちょっと、夢の世界にいすぎたようで、朝起きてから本当の意味で目が覚めるまで少し時間が掛かった。
「忘れたんじゃなくてやらなかったんでしょ〜?梨華ちゃんに見せてもらいなよ」
「んあーそうだぁね。梨華ちゃ〜〜ん、、っていないよ」
「あれ?まだ来てないのかな。珍しいね」
いつもはクラスの一番二番を争って早く来る梨華ちゃん。
もうチャイムも鳴るし、こんな遅いのは珍しい。
けど深く考えず後藤は梨華ちゃんが来るまでマッタリと待つ事にした。
昨日の疲れも残ってて、よしこの世界のジョークに付き合う気力もなくボーっとしてる後藤。
- 65 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時04分17秒
そしてグッタリする事数分、もうチャイムもなろうという時に、ようやく梨華ちゃんが教室にかけこんできた。
「ちょっとちょっとちょっとちょっと!!!ちょっとごっちん!!!」
「お、おはよ〜梨華ちゃん。なしたの?」
後藤を見つけるなり突然駆け寄ってきてグラグラと肩を揺らす梨華ちゃん。その様子はちょっと尋常じゃない。
けどなんでも大袈裟な梨華ちゃんだから、きっと宿題を忘れたとかそんな程度だと思った。
けど、それは全く的外れだった。
後藤はまだ、昨日の余韻から完全に抜けれていなかったらしい。
だから、いきなりぶつけられた現実は、強烈すぎた。
「いちーさん退学だって!!!」
- 66 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時04分54秒
「へ……」
思ってもみない言葉に、後藤の思考回路は一瞬ストップする。
「はぁ!?マジで!?」
よしこが目を丸めて叫ぶと同時に周りからもウソだのヤダだの甲高い声が上がる。
「な、なんで……?」
退学という字が疑問符と一緒にグルグル回ってる中に、更に理解不能な言語が追加された。
「……カクセーザイだって……」
教室が一気にざわめきだす。
カクセーザイ……?
カクセーザイ…………覚醒剤!?
- 67 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時06分35秒
「……………あっははは!!!」
「ごごっちん……?」
思わず手を叩いて爆笑してしまった。ここ最近で一番面白いジョークだ。
「いちーちゃんがそんな、あの人程イマドキの女子高生から掛け離れてる人いないよ」
お腹を抱えて笑ってる後藤を見て、しゅんとしている梨華ちゃん。
よしこも同意見らしく、あの人程クスリとか似合わない人はいないって頷いてる。
「だって職員室で話してるの聞いちゃったんだもん……ホントっぽいよ…?」
「なんて話してたのさ」
「影で市井がバラまいてるって……。市井は勿論退学で、でもその前にヤってる人全部聞き出さないとって……」
「はぁ〜教師もバカだね。ここまで頭悪いと教わる気しないよね。まぁ元々教わってないけどね。あはっ」
理由は置いといて、どうやら退学させられてしまうのはどうやらウソではないようだ。
ケラケラと笑いながら、心の中ではひどく動揺していた。引退どころの話じゃない。
- 68 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時09分18秒
後藤はもう殆ど聞いてなかったけど、梨華ちゃんは申し訳無さそうな顔で話を続けていた。
「けどね、いちーさんのロッカーから出てきたらしいよ……?」
「ハメられたんじゃない?市井さんモテる分振られて恨んでる人とかストーカーとか多そうだし」
「でもでも……」
よしこの意見は別に梨華ちゃんを否定してる訳じゃないのに、なんか段々泣きそうな顔になってきていて、不憫に思ったから話を終わらせる事にした。
「情報ありがと梨華ちゃん」
ニコリと笑ってあげると、嬉しそうにしてルンルンと軽い足取りで席に戻っていった。
- 69 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時09分50秒
「やぁでも実際ヤバイね市井さん……」
神妙な感じで呟いたよしこの言葉は最もだった。
話が裏でどう膨らんでるのか分からないけど、教師は決め込んでるっぽい。
うちの学校は一応伝統ある由緒正しい女子高な訳で、学校としてはお嬢様校気分でいる。
ドラッグなんてとんでもない。世間で広まってきてるのなら尚更、すぐに根を見つけたら排除すると思う。
真偽なんて多分そんなに追求しないで簡単に退学させていくだろう。
後藤は気が気じゃなくて、チャイムが鳴ってホームルームが始まっても落ち着きなくソワソワしていた。
早く直接会ってホントなのか効きたい。
じれったくて、ホームルームがやけに長く感じた。
- 70 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時10分25秒
「いちーちゃん!」
ホームルームが終わると真っ先にいちーちゃんの教室に飛んでいった。
ドアから叫ぶと、案の定嫌な視線が集まる。
いちーちゃんへの来客がとにかく煙たがられるのは承知の事だった。
「ごとー…?」
- 71 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時11分08秒
―――――――
―――――
――
「ホントだよ」
「へ……?」
「退学」
「あ、あーなんだ……」
「なんだって事ないじゃん一大事だよ」
「いや、うん、一大事だよ……」
「インターハイにも出れないしさ、高校卒業資格も取れないしさ、部活も学校も何の為に3年間必死こいてやってたか訳わかんなくなるじゃん」
人気のない階段のところで、後藤といちーちゃんは壁にもたれるようにして喋っていた。
ハァと溜息をついたいちーちゃんは小窓に移動して頬杖をつき、遠くを見た。
「そうだよね……」
気の効いた慰め文句の一つ思いつかない後藤は、ただ相づちを打つ事しか出来なかった。
もうチャイムも鳴って授業始まるんだけど、いちーちゃんは気にした様子は無い。
退学を突きつけられた今、もう単位に興味が薄れてるんだろう。
- 72 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時11分48秒
「ど〜〜すっかなぁ……いちー推薦で大学行こうとしてたからさぁ〜今更大検取って受験なんて無理だよ」
「……いちーちゃんなら出来るとは思うけど…」
「無責任な事言うんじゃあない」
後藤の前にきてオデコを小突いて、自慢じゃないけど成績良いけど点数あんまよくないんだ、と苦笑いを浮かべた。
「何それ、どうやったらそうなんの?」
少しでもこのモヤモヤした嫌な気分を紛らわせたくて、小突かれた後藤は大袈裟によろけて、いちーちゃんの言う矛盾にちょっと笑ってみせる。
「いつも笑顔でハキハキと。後藤もこれやってみ。成績一気に上がるよ」
「ははは……世渡りじょーずだねぇ」
「上手だったら退学なんてなんないけどね」
「…………」
言葉に詰まってしまって、沈黙が訪れた。
- 73 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時13分30秒
何も言えずいちーちゃんを横からじっと見る。
部活でしか殆ど会わないから、制服姿のいちーちゃんはちょっと新鮮だ。
うちの学校指定のノータイのワイシャツにグレーのブレザーがやけに似合ってる。
けど、退学したらもう制服姿もジャージ姿もバスケプレーも何もかも見る事ができなくなってしまう…。
制服とかジャージとかバスケプレーとか以前に、いちーちゃんともう会えないんだ。
どっちにしろ部活引退したら会えなくなるんだから、それがちょっと早まっただけといえばそう。
でもそういう事じゃない。
こんなお別れの仕方はイヤだ。
不本意で退学なんて後味悪すぎる。
部活だっていちーちゃん頑張ってたのに、かわいそすぎる。うちの学校強くないけどキャプテンはいちーちゃんで、いちーちゃんの代わり出来る人なんていない。いちーちゃんじゃないとダメだよ!
「何とかなんないの…?」
数十秒の沈黙の後、ポツリとそう言った。
- 74 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時14分29秒
「多分無理」
返事はすぐに返ってきた。
「ごとーせんせーに言ってあげるよ!いちー先輩は絶対そんな事しませんって!」
「…………ありがと。ごとーは優しいね」
いちーちゃんは後藤の頭を撫でた。どっか寂しげな笑顔で。
「だってホントの事だもん……」
「やっぱ好きだな。ごとーのそーいうとこ」
- 75 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時15分39秒
「ぇ……?」
違う、いちーちゃんは“そういうとこ”が好きって言ったんだよ…。
ごとーだって昨日そーゆーとこが好きって自分で言ったじゃん……。
一人でドギマギしてると、
「お別れすんの勿体無いね」
トーンの低いやけに落ち着いた声でいちーちゃんが言った。
「そそうだよ勿体ないよ…ダメだよお別れしちゃ」
- 76 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時16分30秒
「でももう実家に帰る事決定しちゃったんだ」
「え!?じ、実家って……?」
「北海道の方の田舎。親がその話教師に聞かされるなりすぐ帰って来いって」
「何それ……」
「そういう訳だから」
「えっちょっちょっと待ってそういう訳って諦め早すぎるよいちーちゃん!何か他に手があるかも、、」
しれない……じゃん……
息を荒げて顔をあげた。
瞬間、視界が暗くなった。
柔らかい匂いが鼻を掠め、、
そして、柔らかな感触を口元に感じた。
- 77 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時17分15秒
「サボんないでちゃんと卒票しろよ」
ごとーバカだから、それがいちーちゃんだと理解するまで、時間が掛かって、、
「昨日の鬼ごっこ凄い楽しかった。高校生活で一番の思い出になったよ。ありがとね」
いちーちゃんがいつもと変わらない笑顔で言うから、
「最後にごとーと遊べて良かった。
最後にごとーと話せて良かった」
それがお別れの言葉だと理解するまで、時間が掛かって、
- 78 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時18分09秒
待って……待ってよいちーちゃん……
ごとー達やっと昨日…初めて二人で遊んだんだよ……?
…………違う……
“最後だから”遊んでくれた……んだ……
言葉を話そうとするのに、口がパクパク動くだけで声にならない。
ただ、涙となって溢れてくる。
- 79 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時18分40秒
やだ。やだよ……
鬼ごっこ、またやろうねって……
「じゃあね」
行かないで…………
「バイバイごとー」
いちーちゃん……
- 80 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時19分42秒
そしていちーちゃんは、後藤の前からいなくなった。
唇にだけ、ぬくもりを残し。
ごとー鈍感だから
そのぬくもりに感じたものが
恋心だと分かるまで
時間が掛かってしまった。
― SEVENTEEN ―
- 81 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時21分06秒
- もう100いきますね。早いな・・
- 82 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時21分57秒
- 行間の取り方の感覚が分からない・・。
- 83 名前:O-150 投稿日:2003年01月10日(金)07時23分55秒
- 同人ノベルス。百合を書こうって思ってたのに・・。
これは違う、違うぞ・・。
えー、第二部終了です(ペコリ
- 84 名前:マーチ。 投稿日:2003年01月10日(金)14時12分41秒
- こんな展開になるとは!
びっくりです…いちーちゃん…。
はじめまして、いちごま好きでちょこっと書いている者です。
O-150さんのいちごま大好きなので、連載が楽しみです!
がんばってください。
- 85 名前:ぶらぅ 投稿日:2003年01月11日(土)13時48分13秒
- はじめまして!
実は最初にハマッタCPはいちごまでした(w
そしてO-150さんの小説で更に♪
ですから新作とても嬉しいです!
あちらもたまにROMっていました
他にもメンバーが出てくるのでしょうか?
楽しみに続き待っています!
がんばってください
- 86 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月13日(月)18時23分23秒
- あっちから飛んできました。
なんかすごい展開でびっくりです。
続きも大変楽しみにしてます。
- 87 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月16日(日)14時32分49秒
- 保全
- 88 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月16日(日)14時36分25秒
- すいませんageちゃいました!
sageます!!
- 89 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月01日(土)23時46分04秒
- マッタリ待ちます。
- 90 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月27日(木)23時31分35秒
- ほぜん
- 91 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月12日(土)19時59分24秒
- の〜んびりと待ってます。
- 92 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月19日(土)10時40分58秒
- まだかな?
- 93 名前:名無し市 投稿日:2003年04月27日(日)23時14分21秒
- おーさんガンガレ!!
ほのぼのゆっくり、待ってるよ。
ヽ^∀^( ´ Д`)<ガンガレ!おーさん。
- 94 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月04日(日)05時35分59秒
- ( ´ Д `)<んぁ・・・待ってるよぅ・・・zzz
- 95 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月28日(水)16時28分07秒
- 保全
- 96 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月12日(木)13時22分51秒
- 保全
- 97 名前:O-150 投稿日:2003年06月21日(土)04時53分43秒
- 半年もノンリアクションで本当に申し訳ありません・・。
只今新作を並行して書いておりまして、
どっちも出来上がるまでは上げない事にしました。
こちらはあと手直しだけですが、何分やる事が色々ありまして、完成できずに僕自身イラついてます。
諸事情による我侭更新ですので、待ってくれとは言いません。
ただ、放棄だけはしませんので、それだけはお伝えしておきます。
- 98 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月03日(木)00時48分10秒
- そうですか、良かった
新作もこちらの方も両方期待してます
- 99 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月02日(土)14時37分32秒
- 保全
- 100 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月29日(金)11時06分50秒
- 保全
- 101 名前:鈴珠 投稿日:2003年09月04日(木)19時48分02秒
- こ、こんな展開になるなんて・・・
なんかすでに目ぇウルウルなんですが(汗
“セブンティーン”…私はまだなのであります(^−^;)
私のセブンティーンはどうなるのでしょうか?
続き期待してます♪頑張ってください♥
- 102 名前:鈴珠 投稿日:2003年09月04日(木)19時49分22秒
- ごめんなさい・・・
ageてしまいました(滝汗
逝ってきます
- 103 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 01:23
- ( ´ Д `).。oO(保全だよぅ)
- 104 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/14(火) 16:17
- ヽ^∀^ノ <超超長庁蝶期待してまっております!
- 105 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/25(土) 19:12
- ( ´ Д `)<待ってるよぉ
ヽ^∀^ノ <期待してる!
ほじぇ〜ん
- 106 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/30(日) 08:57
- ほ
- 107 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 18:14
- ぜ
- 108 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/28(日) 22:00
- ん
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