ポンコツろぼっと

1 名前:   らくえん 投稿日:2003年01月11日(土)17時04分22秒
  ぼくたちはドコにでもいて


    ドコにもいない


      さがしてみる?

                  楽園を
2 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年01月11日(土)17時26分04秒
 イキナリ間違えてしまった・・・・(泣

 ちょっとパラレル系が書きたくなったんで、コッチにお引越しして来ました。
 ポンコツろぼっとと申しまして。

 取り敢えず設定

 まき:怖がりな兔。 耳がピッと立っている  ひとみの従姉妹
 ひとみ:ヤンチャな兔。 耳と目が垂れている まきの涙に弱い
 まり:哀れな豹。  猫だ猫だと虐められてる 努力が報われないタイプ
 あいぼん:イタズラ好きな熊  はちみつとまりとイタズラが大好き
 のん:純粋過ぎる羊  世間知らず。 かおりの妹
 なつみ:『楽園』唯一の人間。 あいとの散歩の途中、ひょんな事から『楽園』に入り込む
 あい:忠実ななつみの飼い犬(コリー)。 フリスビーとなつみの歌が好き
 けい:常識的な猫 『楽園』で一番の常識人 それ故、冗談が苦手
 かおり:ロボ(ry デムパ塔。 ののを必要以上に甘やかす
 まこと:へタレと言う言葉が似合う柴犬 あさみとあいの間で揺れる
 あさみ:化学を愛するコアラ いつかまことを実験材料に・・・
 りさ:情報通なスピッツ 『楽園』内で見かけたあらゆる事件をメモメモ・・・
3 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年01月11日(土)17時29分07秒
 りか:夢見がちな黒猫 けいも好きだが、『楽園』にやって来たあいも気になりだし・・・
 
 こーゆーカンジです。別にCPとか考えて無いんで「なつみとあいの話が見たい!」とか
 「まりとかおりの話が見たい!」とかありましたらゆって下さい。
 また、気まぐれで人物が増えるやも知れません。


 でわ、本編に行きたいと思います。
4 名前:らくえんの始まり 投稿日:2003年01月11日(土)17時32分16秒
 その日はいつもと変わらない朝の筈だった

 「ふぅ〜!やっぱり朝の散歩はきっもちいぃねぇ?あい」
 「わん!」

 いつもと同じ道
 いつもと同じ公園

 何も変わらない筈だった
5 名前:らくえんの始まり 投稿日:2003年01月11日(土)17時36分52秒
 「わぅん!」
 「ん?あい、フリスビーしたいの?」
 「わん!わん!」
 「よぉし、行くよ!」

 なつみは空に向かって思い切りフリスビーを放った
 何も変わらない、いつもと同じ遊びだった

 「あ!マズイ!」

 なつみの放ったフリスビーは大きな大きな円を描いて飛んだ
 まるで意思を持ったかの様に

 「わんわん!」
 「あ、あい!!」

 あいは走った
 いつもと同じ遊びだったから
6 名前:らくえんの始まり 投稿日:2003年01月11日(土)17時41分18秒
 フリスビーは気持ち悪くグネグネ飛んだ
 なつみの力じゃ有り得ないくらい、遠くへ

 「わん!」
 「あい!待ってってば!!」

 解き放たれたあいを追いかけるなつみ
 だが、なつみの足は遅く、どんどんどんどん距離が離れていく

 「あいー!!」


 来た事の無い道に出た


 フリスビーはまだ飛んで


 あいもまだ追いかけてて


 なつみも追いかけてて



 いつかいつしか






 フリスビーの勢いも収まり








 狭い路地の、小さな扉の前で








 落ちた。
7 名前:らくえんの始まり 投稿日:2003年01月11日(土)17時46分17秒
 「わふっわふっ」

 満足そうにフリスビーを咥えているあい

 「・・・ドア?」

 なつみはあいへのご褒美も曖昧に

 ゆっくり、扉のノブに、手を伸ばした


 「・・・なんだろう・・・?」


 「ぅうー・・・わんわん!」

 あいがナ二かを感じ取ったのか、急に威嚇し始めた

 「あーい、黙ってなさい」

 言葉が分かるワケでも無いのに、あいを制し

 なつみはギュッとノブを握った

 「・・・熱い・・・」


 ノブは熱を持っていた
 日陰の路地が太陽の熱を吸い込んだわけでも無く
 誰かが熱した後も無く
 ただただ熱く
 でも、心地良い温度だった
8 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月11日(土)17時46分55秒
兔ってなんだろう? ウサギなら兎のはずだし……??
9 名前:らくえんの始まり 投稿日:2003年01月11日(土)17時48分36秒
 なつみは意を決したようにノブを回す

        カチャッ

 ノブに鍵はかかっておらず、簡単に回った

 「あい、おいで」

 近寄ってきたあいのロープを掴むと

 ゆっくりゆっくりドアを開け
 その光景を目にした
10 名前:らくえんの始まり 投稿日:2003年01月11日(土)17時53分03秒
 「わぁっ・・・」

 緑が広がっていた
 急に何処かにタイムスリップしたかのように
 其処は明らかに・・・『異空間』だった

 「わん!」

 あいが急に駆け出す

 「ちょ、あい!!」

 なつみをあいを追いかけて『異空間』に迷い込む

 緑の草原を駆け抜け
 川のせせらぎを追い越し
 森のざわめきを
 空の色を


 此処は何処だろう?




 敢えて言うなら







        『楽園。』
11 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月11日(土)22時36分26秒
>>8
ウサギは、兎・兔・卯と、いった感じにいろいろあったりするよ。
スレ汚しスマソ
12 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月12日(日)11時23分13秒
なんか新しい感じだなぁ
13 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年01月12日(日)13時42分37秒
8> 名無し読者様。 あー、そう言われるとそうですね。でも確かこれでも意味は通じると思いますが?
11> 名無し読者様。 わざわざ調べて頂いてスイマセン。以後此方も気を付けます
12> 名無し読者様。 絵本のような感覚で見て頂けたら幸いです
14 名前:らくえんの住人達 〜兎〜 投稿日:2003年01月12日(日)13時46分39秒
 ヤンチャな兎の耳がピクリと動いた

 それに合わせて怖がりな兎にも『音』が届いた

 二人は目を見合わせると、その『音』のした方向に駆け出した
15 名前:らくえんの住人達 〜兎〜 投稿日:2003年01月12日(日)13時51分34秒
 「ひとみっ!まってぇ!!」
 「おそいよ、まきぃ!!」

 走っては立ち止まり、走っては立ち止まり
 兎達は走る

 「ねぇ、『今度』はどんな人かな!?」
 「知らないよぉ!」
 「やさしいかな!?」
 「わかんないよ!」
 「ゆうこさんみたいかな!?」
 「わかんないってばぁ!!」



 そして兎はなつみに出会った
16 名前:らくえんの住人達 〜兎〜 投稿日:2003年01月12日(日)13時55分00秒
 「ひ、ひとみ!・・・・にに、人間!!」

 まきは急に怯え出し、ひとみの背中に隠れた

 「こんにちわぁ」

 ひとみは平気な様子でなつみに話し掛ける

 「こ・・・・こんにちわ?」

 なつみは異様なモノを見るような目で二匹を見下ろした

 確かに異様だと思うだろう

 二匹の兎はまるで人間に近かったからだ
17 名前:らくえんの住人達 〜兎〜 投稿日:2003年01月12日(日)14時02分46秒
 普通四本足で立つ筈の兎は二本足で立ち
 体を覆う体毛は、まるで人間の着る服のよう
 ひとみは、パーカーに短パン
 まきは、パーカーにスカート
 本来在るべき手足はまるで着ぐるみのような手足
 ニーソックスとも見れる布とスカートの間には、肌が

 それ以前にまず、顔からして人間の顔なのだ
 人間の目、耳、鼻、口
 サラサラの髪が風に揺れてる

 しかし、頭を見ると、兎の耳のようなモノが付いてる
 後ろを見れば、きっと尻尾も生えてるだろう

 年齢は、5、6歳くらいだろうか?

 まるで、何かのコスチューム・プレイのようだ
18 名前:らくえんの住人達 〜兎〜 投稿日:2003年01月12日(日)14時11分29秒
 「なぁに?君達、こんなの付けてー」

 なつみは苦笑してひとみの耳を軽く引っ張った

 「わぁ!痛い!!」
 「え?」
 「痛い!痛い!」

 ひとみは耳の痛みを訴えかける
 なつみは思わずパッと手を放す

 「・・・本物の・・・・兎の耳・・・・?」

 ひとみは痛そうに耳を撫で、まきも心配そうに耳を撫でている

 「だって、ひー達うさぎだもん」
 「そぉだよ!ひとみとまきは、兎だもん!」

 なつみは目を凝らして二人を見た

 パーカーやスカートは兎も角、問題は手足。

 ニーソックスや、着ぐるみの手足に見えた其には、ふわふわの毛が
 その形や色を象っていたのだ


 「・・・・嘘でしょ・・・?」

 なつみの目の前がクラッと歪んだ
 あまりにも、有り得ない世界に、頭が着いて行かないのだ
 こんな、まるで、御伽話にも無さそうな世界に
19 名前:らくえんの住人達 〜兎〜 投稿日:2003年01月12日(日)14時19分31秒
 ひとみはなつみに一歩近づく

 「おねぇさん、ドコから来たの?なんてなまえ?」
 「なっちは・・・・なつみ、安倍なつみ。 日本人だよ?」
 「にほん・・・?じゃあ、やっぱり外から来たんだね?」

 ひとみの目がキラキラ輝き出す

 「にほんってトコにも、ひー達みたいなの、いる!?」
 「え・・・?」

 居ないに決まっている
 こんな、動物とも、人間とも分からない異形のモノなんか

 「ごめ・・・見た事無い、かな?」
 「そっかぁ・・・」

 ひとみは残念そうに項垂れる

 「あ、ねぇ、あいを知らない?なっちの大事な犬なんだけど・・・
 あのね、これくらいのコリー犬で・・・」
20 名前:らくえんの住人達 〜兎〜 投稿日:2003年01月12日(日)14時28分20秒
 「あい・・・?」
 「いぬ・・・?」

 二匹そろって首を捻る

 「いぬは『まこと』と『りさ』しか見たことないよ?」
 「うん。それいがい見たことないよ?」
 「その、『まこと』と『りさ』も、君達みたいなの?」
 「うん。この島のみーんな、そうだよ?」
 「えー?ちがうよひとみ!かおりはちがうじゃん!」
 「あ、そっか」
 「かおり?」

 二人の話を聞いてると、どんどんどんどん住人の名前が出て来る

 物知りのかおり
 知りたがりのりさ
 いつも困ってるまこと
 果実が好きなのん
 はちみつが好きなあいぼん
 変なりかちゃん
 大好きなけいちゃん
 奥森のあさみ
 ちっちゃいまり


 これが、二人の知る限りのこの島の住人らしい
21 名前:らくえんの住人達 〜兎〜 投稿日:2003年01月12日(日)16時46分04秒
 「あい・・・ドコ行ったんだろう・・・」

 なつみは眉を寄せて考えた
 その様子を見ていたまきの口が開く

 「あのね、かおりに聞けばいーと思うの」
 「あ、そか、かおりは何でもしってるもんね」

 二匹はなつみの手を取ると

 「あんないしてあげる!」

 とニッコリ笑った

 「う・・・うん!」

 その無邪気な笑顔に負け、なつみは『物知りかおり』の元へ向かう事になった・・・
22 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年01月12日(日)16時59分40秒
ここはどこだろぅ?やっぱり地球・・・♪
なんて歌詞が頭の中でグルグル回っております(w

あ、申し遅れました。銀板でも書いているポンコツろぼっとと申します
訳分かんない設定で、しかも駄文ですが、良かったらお付き合い下さい(苦笑

あ、次のかおりが登場した次ら辺からリクで書きたいと思います
冒頭に書いた通り、『まきとあいぼんの話が読みたい!』『ひとみとかおりの話が読みたい!』
など、色々好きなカプでリクして下さって良いです。
まぁ、基本的に恋愛とは程遠い話なんで、それだけご了承下さい。
23 名前:よしごま好き。 投稿日:2003年01月12日(日)20時20分22秒
新しい話だぁ!
ほのぼの系で好きですv
やっぱひとみとまきの話が読みたいなぁ(w
更新がんばってください。
24 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月12日(日)21時09分34秒
なんかまったりしたお話で良いですね。
続き楽しみにしています。

個人的には紺ちゃんと麻琴の話が読みたいです。
25 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月13日(月)10時22分37秒
よしとやぐが見たいです!
26 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月13日(月)17時27分09秒
25さんと同意見っす
27 名前:読者1号 投稿日:2003年01月13日(月)22時26分18秒
自分もひとみとまきが見たいッス
28 名前:しゅう 投稿日:2003年01月13日(月)23時56分51秒
なちまりが見たいっす〜!
29 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月14日(火)11時12分50秒
お疲れ様です。私は25の名無しさんと同じでひとみとまりが読みたいです。このふたりの話意外と少ないんで…お願いします
30 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月14日(火)18時33分03秒
すごく好きな感じのお話なので楽しみです。
ひとみとまきとか、やぐぼん、ののかおとかのお話がみたいです!
(キャラ設定的にこの組み合わせのお話はおもしろそう)
31 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)01時58分11秒
おがこん
いしたか
やぐまり

見てみたいw
32 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)11時18分40秒
ぜひ、やぐよしがお願いします!!
どのCPになっても期待してますんで頑張ってください!!
33 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)14時20分16秒
やぐまり→やぐよし
だ、何書いてんだw
34 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年01月16日(木)17時27分07秒
23> よしごま好き。様。 はい、新しい話ですよー♪こっちも宜しくお願いします〜
               あい、『兎』ですね頑張ります!
24> 名無し読者様。 ほのぼのマターリを目指してるんですよ(無理?
             『コアラ・柴』ですね了解しました
25> 名無し読者様。 『兎・豹』ですね、分かりました
26> 名無し読者様。 はい、こちらも『兎・豹』で。
27> 読者1号様。 『兎』、と了解しました〜
28> しゅう様。 『なつみ・豹』ですね!分かりました♪
29> 名無し読者様。 『兎・豹』ですね。ほぅ、このカプ少ないんですか・・・(無知
30> 名無し読者様。 『兎』『豹・熊』『羊・ロボ』ですね、出来るだけ頑張ります!!
31> 名無し読者様。 『コアラ・柴』『あい・黒猫』『兎・豹』ですね、頑張ります
32> 名無し読者様。 『兎・豹』ですね。いやぁ〜多いなぁ、やぐよし(驚
35 名前:らくえんの住人達 〜ロボ〜 投稿日:2003年01月16日(木)17時34分16秒
 寂しいロボは待っていた

 丘の上、ひとりぼっちで

 寂しいロボは待っていた

 戻って来る筈の無い『歴史』を

 寂しいロボは待っている


 今日も明日も明後日も


 きっと未来永劫、待ち続ける。


 オイルの涙を零しながら
36 名前:らくえんの住人達 〜ロボ〜 投稿日:2003年01月16日(木)17時39分54秒
 「ちょっ・・・待つ・・・・べ、さ?」

 なつみはハァハァと息も絶え絶えだ

 「なんだ、『人間』はよわいなぁ」
 「そうだよ、丘まであと少しなのに・・・」

 なつみの足の遅さを知らない二匹の兎
 運動神経がお世辞にも良くないなつみ

 「ちょ・・・やすまし・・・て」

 とうとうなつみはしゃがみ込んだ
 足の速い二匹に追い付くまで、きっと一生分の体力を使ったんだろう。

 「・・・ひとみ、どぉする?」
 「・・・わかんない」

 二匹は困惑した顔でお互いを見合わせる
 目の前でゼェゼェと息を吐いているなつみに、悪気が生まれたからだ
37 名前:らくえんの住人達 〜ロボ〜 投稿日:2003年01月16日(木)17時46分15秒
 ひとみはまきに目配せして、駆け出した
 まきはなつみに近寄る

 「・・・だいじょうぶ?」

 まきもしゃがみ、なつみに視点を合わせる
 心配しながらも、1mは優に離れてるまき。やはりまだ、怖いのだろう

 「あ・・・れ?・・・もうひと・・」
 「ひとみなら、すぐもどって来るよ」

 まきがチラッと視線を横に向ける
 なつみもそれに合わせて視線を向けると、ひとみが笑顔で走って来た

 「っとっとと!・・・はい、おねぇちゃんお水!」
 「・・・え?」

 ひとみは竹で出来たコップのようなモノに水を入れ、なつみに差し出したのだ
38 名前:らくえんの住人達 〜ロボ〜 投稿日:2003年01月16日(木)17時49分58秒
 キラキラと、綺麗な笑顔

 「あ・・・ありがとぅ・・・」

 なつみはゆっくり手を伸ばし、竹筒を受け取ると、ゆっくり端に口を付けた

 「それ飲んだら、早くかおりのトコいこーね?」

 優しい口調のひとみ

 「うん。早くいかないと、夕ぐれになっちゃうもん」

 おどおどとした口調のまき


 「(不思議な仔達・・・)」


 なつみはコクコクと喉を鳴らし、冷たい水を体中に流し込んだ
39 名前:らくえんの住人達 〜ロボ〜 投稿日:2003年01月16日(木)17時52分23秒



 水を飲み終えたなつみは自分でも驚く程に疲労が回復してるのに気が付いた
 しゃんと立ち上がり、二匹に微笑みかける

 「ゴメンね?ありがとう。 行こっか?」

 二匹は嬉しそうに、にぃっと笑って

 「「うん!」」

 と大きく頷いた
40 名前:らくえんの住人達 〜ロボ〜 投稿日:2003年01月16日(木)17時54分40秒
 二匹に手を握られ、引っ張られるように歩くなつみ
 ぎゅうっと握るひとみに、少し、間隔を空けて握るまき
 そんな二匹の後姿を見て、自然に笑みの零れるなつみ



 『物知りかおり』の居る丘は、後少し
41 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年01月16日(木)17時55分20秒
スイマセン、急用が入ったんで、今日は此処で中断します
42 名前:らくえんの住人達〜ロボ〜 投稿日:2003年01月17日(金)13時32分37秒
 「かおりっ!かーおーりーぃ!」

 丘に駆け上がり、声を張り上げるひとみ

 「かおりぃ〜、教えてほしいことがあるのぉ」

 続いてまきもかおりを呼ぶ

 「居ない、の・・・?」
           「居るよ」
 「ヒャッ!」

 急になつみの後ろから声が降って来た

 「かおり!」
 「あ〜、かおりぃ」

 二匹は一斉に振り返る

 「何の用?・・・なつみ、さん?」
 「え・・・」

 なつみは驚く点がいくつもあって戸惑っていた

 ひとみとまきは『ミュータント』なのに、かおりは人間の形だ
 しかし、気配も何も感じられない
 そして何より、どうして自分の名前を知ってるんだろう?、と

 その表情を見て理解したのか、かおりはニコッと小さく笑うと

 「触ってみて」

 自分の頬を軽く突付いた
43 名前:らくえんの住人達〜ロボ〜 投稿日:2003年01月17日(金)13時40分30秒
 なつみは言われた通り、ゆっくりとかおりの頬に触れる

 「・・・・・冷たい。」

 冷たかった
 そして、無機質のような感触
 肌のようで肌では無い、異物の感触

 「かおりはね・・・人間じゃないの」

 小さく、ポツリと呟いた

 「息もしてない、モノも食べない
 ただ、ずっとココに居た。気が付いたら、かおりはココに居た。座ってた
 自分が生きてないのに気が付くのは、その後直ぐだった。」

 一瞬、悲しそうな目をしたのは、なつみの見間違いだっただろうか・・・?
 更にかおりは続ける

 「かおりはこの『楽園』が生まれた時から居るの
 だから、色んな人を見て来た。
 でも、みんな出て行っちゃった。『お告げ』が舞い降りて・・・
 皆言ったよ?『絶対また逢いに来る』
 だから、かおりは待ってるの。いつかの遠い日の人達を」

 かおりはそれだけ言うと、ペタンと座り込んだ
44 名前:らくえんの住人達〜ロボ〜 投稿日:2003年01月17日(金)13時47分20秒
 「どうして・・・なっちの名前を知ってたの?」

 なつみもかおりの隣に座る

 「かおりは、なんでか分からないケド、この中に色んな情報が飛び込んで来るの」

 かおりは、トンッと人差し指で自分の頭を突付いた

 「さっきちょっと居なかったのは、あなたとあいの情報が来たから
 取得しやすい所に居たの」

 『あい』と言う言葉に反応するなつみ

 「あ!なっちね?あいを、なっちの大事な犬を探してるの!
 今、あいがドコに居るか分かる!?」

 「ちょっと待って・・・・・・・」

 かおりは急に遠くを見始めた

 「か・・・おりさん?」

 かおりは反応しない




 まだまだ










 まだまだ












 「ん、分かった。」

 かおりの『交信』が終わるのは、それから1時間後だった
45 名前:らくえんの住人達〜ロボ〜 投稿日:2003年01月17日(金)13時54分48秒
 「え!本当!?」

 待ちくたびれていたなつみに、パァッと笑顔が

 「あいはね?奥森に迷い込んでるわ。アナタを探して泣いている・・・・」

 それを聞いたなつみはスックと立ち上がった

 「ありがとう!なっち行くね!!」
 「奥森は、この丘を降りて、真っ直ぐ行けばあるから・・・
 ひとみ、まき?案内してあげ・・・・」

 振り返った先に、二匹は居なかった

 「たくもぅっ、コレだから兎は・・・・」

 かおりはブツブツ文句を言いながら立ち上がった

 「途中まで、案内してあげる」




 そう言うと、有無を言わさず歩き出した
 なつみもそれに続く

 『奥森のあさみ』『いつも困っているまこと』の居る奥森へ・・・
46 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年01月17日(金)13時59分25秒
ロボ・・・と言い難いかおりの存在ですが、『交信』するんでやはしロボなんでしょう(w
次からリクを消費したいと思います〜
順番は話の流れに合わせたいんで、順番とかはそんなに関係無いです
次はたぶん『コアラ・柴』ですね
47 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月17日(金)22時34分28秒
ほのぼのしててあったかいです。
設定もいい感じで。
48 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月18日(土)12時29分31秒
今からでもリク平気でしょうか?
加矢&なっちで。
49 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月22日(水)00時45分37秒
いまさらリク、便乗!
なちまりきぼん。。話の展開上むづかしいならいいです。
なんにしても、楽しみにしてます。
50 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年01月22日(水)13時46分07秒
47> 名無し読者様。 ありがとうございます!  この設定、自分も気に入ってるんですよ
48> 名無し読者様。 はい、大丈夫ですよ  豹・熊×なつみで!
49> 名無し読者様。 はい、豹・なつみですね?分かりました!大丈夫です。
51 名前:らくえんの住人達〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月22日(水)13時49分52秒
 無力な柴犬は困っていた

 どうしようも無い、自分の無力さを

 頭の良いコアラは考えた


 考えて、考えて、考えた


 この柴犬の素晴らしい部分



 考えて考えて考えて・・・・・
52 名前:らくえんの住人達〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月22日(水)13時53分22秒
 「・・・・ねぇ、あさみちゃん」
 「なぁに?まこと」
 「まこってさ・・・なんなんだろうね?」
 「うぅ〜ん・・・・」

 あさみは頭が良かった
 でも、哲学を知らなかった
 
 まことも頭は良い方だ
 だけど、自分の疑問が哲学だとは知らなかった
53 名前:らくえんの住人達〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月22日(水)14時01分04秒
 「あ、ねぇ!このクスリのんだら分かるよ!絶対!!」

 あさみは怪しい色のした液体を持ち出した

 「!?あさみちゃ・・・くっさ・・・・」
 「ええ?そうかなぁ?」
 

 コアラのあさみは知らない
 犬の尋常な程の嗅覚を

 「でも味は大丈夫だよぉ!きっと!!」
 「・・・・・」

 まことはぎゅうっと目を瞑って一口ソレを舐めた


 「QM*◇Дk・・・ё!ё!ё!!?」


 まことは口から煙を上げて声にならない声を出した



 「あわわわわ!!まことぉ!!!」


 コアラは決して殺人兵器を生み出そうとしてる訳では無い事を祈ろう
54 名前:らくえんの住人達〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月22日(水)14時05分20秒
 ガサガサッ!!


 白目を剥くまことの頭上を、『何か』が駆け抜けた

     ポタッ

 「んんぅ・・・?」

 まことの頬に、小さな粒が
 思わず拭い取り、口にやる

 「・・・しょっぱ・・・・?」

 涙だった

 「・・・?」

 まことは首を傾げて走り去った『何か』を見詰めた
55 名前:らくえんの住人達〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月22日(水)14時13分10秒
 「あのぉ・・・・」

 急に降って来た声にビクッと体を跳ねるまこと

 「え!?だだだ、だれ!?」

 現れたのは・・・なつみだった

 「こんにちわ、・・・えと・・・『いつも困ってるまこと』、ちゃん?」

 優しく笑うなつみに安心したのか、小さくパサパサと尻尾を振るまこと

 「うん。まこです」
 「そっかぁ、君は犬なんだね?なっちねー今探してる子がいてね・・・?」

 なつみはゆっくりまことの頭を撫ぜた

 「くぅーん」

 まことは大きく尻尾を振り、喉を鳴らして鳴いた
 目を細めて、気持ち良さそうだ


 「ああああの!アナタ誰ですか!?」
 「ん?」

 なつみが声のした方に目を向けると、木にしがみ付いて、警戒した目をするあさみが居た
56 名前:らくえんの住人達〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月22日(水)14時23分22秒
 「ぷっ」

 なつみは思わず吹き出した
 それもそうだ。あさみの今の姿はとても滑稽なのだ

 「あさみちゃぁん、この人イイ人っぽいよ?」

 まことがなつみの足に擦り寄りながら言う

 「まことあぶない!!その人がきゅうにバクハツしたらどーするの!?」
 「えぇっ!?」

 まことは飛び退いた

 「なっち人間なんだから爆発するわけ無いしょー?
 もー、失礼な子だなぁ・・・」

 なつみは頬を膨らませ、木からあさみを剥ぎ取り、抱き寄せた

 「わわっ!なに!?」
 「ねぇ、『奥森のあさみ』ちゃんはどんな動物?」
 「へっ・・・?」

 なつみの突拍子の無い質問にあさみの眼鏡がずり落ちる

 「あさみちゃんはねー、コアラだよー」

 あさみの代わりに答えるまこと

 「へー、お前コアラなのー?可愛いねー」

 なつみはまたニッコリ笑いかけると、あさみに頬寄せた

 「あー、いーなぁ」

 まことはなつみの足元でケンケン軽く吼えた

 「ふふふっ、君も後で抱っこしてあげるよ」
 「やったぁ!」
57 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年01月22日(水)14時29分13秒
あい、今日は此処までです〜
んん〜・・・・・おがこんって難しいですねぇ・・・(汗
先ず書いた事が無いので更に・・・・
こんなんでやっていけるのか?自分(泣

あ、いちおー補足
あさみは『あいつが〜』のあのファッションです!
白衣!眼鏡!おにぃちゃ(殴
まことはストレートジーンズにYシャツ、ちっちゃなネクタイ
ってトコでしょうかね
58 名前:麻ーチ 投稿日:2003年01月23日(木)03時52分00秒
∬∬*´▽`)<くぅーん
柴犬まこ超可愛いっす!期待大!!
59 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月24日(金)16時45分24秒
リクなんですけども。
辻ちゃん、加護ちゃんが姉や大好きなヒト(?)を自慢しあうお話。
ちなみに辻・・・飯田さん。
    加護・・・矢口さん、で。
60 名前:まめ大福 投稿日:2003年01月26日(日)11時01分28秒
新スレおめでとうございます。
ほのぼのしてて、よいですねー!
こちらも、読ませていただきます。がんがってください。
61 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年01月30日(木)17時02分35秒
58> 麻ーチ様。 柴犬まこ可愛いですか!!(喜  有難う御座います!!
          期待にそぐわないように頑張りたいと思います
59> 名無し読者様。 はい了解しましたー 熊・羊で『大好きな人を自慢し合う』、と
60> まめ大福様。 有難う御座います。ほのぼの感が伝わって嬉しい!
           頑張りますんで、生あったかい目で見守ってやって下さい・・・(w
62 名前:らくえんの住人〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月30日(木)17時08分29秒
 「・・・でね?なっちはあいの行方を探してるの」

 まことを膝に乗せたまま、なつみはあさみにあいの行方を聞く
 あさみはその事が気に食わないのか、少し、眉をしかめている

 「・・・そんな犬、見ませんでしたよ」
 「そっか・・・」

 なつみは残念そうに項垂れる

 「ね、ねぇ!まこなんとなくわかるよ!!」

 膝の上で大人しくしていたまことが急に吠え出す

 「本当!?」
 「うん!えらい?えらい?」
63 名前:らくえんの住人〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月30日(木)17時15分41秒
 首を伸ばして、上目使い気味になつみを見るまこと

 「まこと、なんでわかるの!?」

 あさみが驚いたように眼鏡をかけ直す

 「えとね、さっきあさみちゃんの変なくすり飲んで、倒れた時に
 知らないいぬの匂いが、まこの上をとおったの」

 それはきっとその『あい』だと、自信満々のまこと

 「変なくすり・・・」

 あさみは自分の薬が『変』と言われた事にショックを受けてるようだ

 「本当!?それ、もしかしたらあいかも・・・
 ありがと!まこっちゃん!」

 なつみはニッコリ笑ってクシャクシャとまことの頭を撫でる

 「えへへっ」

 まことは嬉しそうにそれを受ける



 「・・・・・・」


 そんな二人を見詰めるあさみはとても複雑そうな表情を崩せずにいた
64 名前:らくえんの住人〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月30日(木)17時20分04秒
 「よし!なっちその犬が行った方に行ってみるね!?」

 なつみはまことを膝から下ろすと、スックと立ち上がる

 「あっちの方だから」

 まことは先程過った影の方向を指差す

 「うん!ありがと」

 なつみは優しい笑みを溢すと、ゆっくり手を振り、歩き出した


 まことはニコニコ笑って、同じ様に手をブンブン振り、なつみを送り出した
65 名前:らくえんの住人〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月30日(木)17時26分44秒
 「・・・まこと」
 「ん?」

 まことの振り返った先で、あさみは泣きそうな表情をしていた

 「ああああさみちゃん!?」

 まことの表情は一気に曇り、眉毛がハの字にならんばかりに困った表情になる

 「どうしたの?」

 まことはあさみの横にピッタリ座り、頭を摺り寄せる

 「まことの・・・まことが、あんな楽しいかおしてるの・・・はじめて見た
 まこと・・・あさみといっしょにいても、あんなかおしない・・・!」

 クシャっとあさみの顔が歪み、ボロボロボロボロ、大粒の涙が零れ始めた
66 名前:らくえんの住人〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月30日(木)17時32分32秒
 「まこと、あさみといても楽しくなかったんだね・・・!!」


 あさみはまことの困った顔か、悩んだ顔しか見た事の無いような気がした
 いつも一緒に居たのに、そんな小さな事にも気が付かなかった事に


 涙が、止まらない




 「・・・ごめん」

 まことは否定しない
 きっと自分でも気が付いてたから


 あさみの傍に居ながら
 ずっと無理していた自分

 実験台になる事を拒まず
 悩ませる事しか知らず、考え込む事しか知らず


 「ごめん・・・なさい」


 今は、謝る事しか出来ない
67 名前:らくえんの住人〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月30日(木)17時44分30秒
 「・・・まこね、さっきのおねぇちゃんとしゃべってるの、楽しかった
 まこね、はじめてもとめられた気がしたの
 なんでかワカンナイけど、なでてもらえたの、うれしかった」


 甘える事は罪では無い
 だけど、今の二人には分からなかった




 あさみは、フッと顔を上げると、ジッとまことを見た
 今も、困った表情をしてるまことが視界いっぱいに広がる

 「・・・・・・あさみちゃん?」


 あさみはゆっくりまことの頭上に手を伸ばす
 まことはゆっくり瞳を閉じる


    くしゃくしゃくしゃ


 「・・・・へへっ」

 照れたように笑うまこと
 あさみは何も言わず、ずっとまことの頭を撫で続けた

 「・・・あさみ、もっとまことの色んなかお見れるようにガンバる」

 静かに言い放つあさみ

 「うん・・・じゃあまこも、がんばる」

 まことは瞳を持ち上げ、あさみをジッと見詰め出す
68 名前:らくえんの住人〜コアラ・柴犬〜 投稿日:2003年01月30日(木)17時50分53秒
 「なに、がんばるの?」

 あさみの疑問に、小さく頭を傾げる

 「・・・・こ、これから考える」
 「 ぷっ 」

 まことの言葉に思わず噴出すあさみ

 「あはははははは!」

 まことも、あさみに合わせ、笑い出す

 「へへ・・・はははは!」


 シンクロする笑い声は、止まらなかった
 木々を揺らし、風を騒がせ

 奥森に大きく大きく、響き渡った






 もう直ぐ、日が暮れる。
69 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年01月30日(木)17時54分19秒
はい、短いですが今日はココまでです。
あさみの気持ちは恋に近く
まことの気持ちはまだ友情。
そんな感じで書いたんですが・・・上手く表現出来たでしょうかね・・・?(汗

さて、次はたぶん黒猫・コリー(石高)あたりですかな
70 名前:楽園の住人〜黒猫・コリー〜 投稿日:2003年02月05日(水)18時25分15秒
 夜に紛れる黒猫が居た

 住人が家々に消え行く夜を、徘徊する黒猫が居た


 『夜だけは自分のモノ』と



 だけど黒猫には本当は何も無かった



 だけど、黒猫は『寂しさ』を知らない
71 名前:楽園の住人〜黒猫・コリー〜 投稿日:2003年02月05日(水)18時33分48秒
 「フフッ、もうすぐ夕暮れだわ」

 りかはゆっくり立ち上がった

 「そろそろ、あそびに行こうかしら」

 長めの黒のスカートを揺らし、優雅に枝の上を歩く
 そして、軽く飛んだかと思えば、綺麗に巻かれた縦ロール髪を靡かせ、地面に降り立った

 「・・・きょうはドコに行こうかしら・・・やっぱり、けいさんの家かな〜?」

 これからの楽しみに思考を巡らしてると、微かな物音が
 りかの小さな耳がピクッと反応する

 「だれぇ!?」
72 名前:楽園の住人〜黒猫・コリー〜 投稿日:2003年02月05日(水)18時39分41秒
 「ヒッ!」

 物音の正体が、悲鳴交じりの息を吸う

 「だれ?ねぇ、こわくないから出てきてよ」

 りかは優しく微笑みを浮かべると、物音のした方に歩み寄る
 その茂みの前に立つと、控え目に掻き分け、覗き込んだ

 「・・・いぬ?」

 そこには、小さく肩を強張らせ涙目でじぃっとりかを見る動物が居た
 だけどその動物は、りかの見た事の無い動物だった

 「あなた、名まえは?」

 りかは返答をじっと待つ
 その動物は、息を飲み、ゆっくり『名前』を吐き出した



 「あい・・・」
73 名前:楽園の住人〜黒猫・コリー〜 投稿日:2003年02月05日(水)18時45分39秒
 「あい・・・?」

 あいは小さく一回、コクリと頷いた

 「ねぇ・・・なつみはどこ・・・?あいのだいすきななつみは、ドコ・・・?」

 あいの瞳いっぱいに涙が溢れ出す
 瞬きをすると、小さな粒がポロポロと零れる

 「なつみはあいのごしゅじんさまなの、あいがきゅうに走ったから・・・
 なつみ・・・いなくなっちゃったぁ・・・!」

 ブワッと一気に涙が溢れ出す

 「あい・・・かえりたい!・・・なつみのトコにかえりたいよぉ・・・!!」

 泣き出すあいに、戸惑うりか

 「え?な、なつみってだれ?」

 あいはそれ以上答えず、ただわんわん泣くばかりだった
74 名前:楽園の住人〜黒猫・コリー〜 投稿日:2003年02月05日(水)18時54分13秒
 「ねぇ、なかないでよぉ」

 りかは困り果て、いつもより更に眉を寄せる
 だけど、一向にあいが泣き止む様子は無い

 「こまったなぁ・・・」
 「ぅぐっ・・・なつみぃ!わぁああん!!」

 泣き止まないあいを見かねたりかはぎゅっとあいの両手を握る

 「ほらっ、なかないで!このりかがいっしょになつみをさがしてあげるからっ」

 あいは少し、泣くのを止め、りかをじっと見る

 「・・・・うん・・・うん!」

 あいは大きく何度か頷いた
 それを見たりかは、なんだか温かい気持ちになり、微笑んだ。


 「とりあえず、奥森を出てみよう?ここにはいないかもしれないよ?」

 りかはキュッとあいの手を握り直す

 「うんっ」

 あいも答えるように握り返した
75 名前:楽園の住人〜黒猫・コリー〜 投稿日:2003年02月06日(木)16時09分24秒
 あいの来た方向を引き返す二人
 周りはとっぷりと闇を纏っている

 「・・・」

 闇夜の森に慣れていないのか、あいは不安げに繋いでる手に力を込める

 「ん?」

 りかが視線を向けると、あいも

 「こわい・・・」
 「こわい?」

 いつもこの闇の中で過ごしているりかには恐怖は無かった
 だから、あいの言う『こわい』の意味も分からなかった
76 名前:楽園の住人〜黒猫・コリー〜 投稿日:2003年02月06日(木)16時18分28秒
 だんだん歩幅を狭めるあいに対して、りかは悠々と歩く
 キョロキョロと周囲に目を配らせるあいに対して、りかは真っ直ぐ前を


    ガッ

 「ぎゃんっ!」

    ドサッ


 木の根にでも引っかかったのか、あいが勢い良く倒れる


 「きゃっ!?」


    ドサッ


 何故かりかまで倒れる
 あいがりかのロングスカートの裾を引っ張ったからだ


 「ちょ、ちょっとぉ!」
 「ご、ごめんなさぃ!」



     「あわわっ!!」


 「え・・・?」


    ドサッ


 「ぐぇっ」
77 名前:楽園の住人〜黒猫・コリー〜 投稿日:2003年02月06日(木)16時23分08秒
 倒れているりかの上に、誰かが降って来た

 「・・・!!なつみ!なつみの匂いだ!!」

 あいはガバッと立ち上がり、降って来た人物に駆け寄る

 「なつみ!なつみ!」

 降って来た人物・・・なつみは何がなんだか分からない顔をする

 「あい・・・?あなた、あいなの!?」
 「そうだよなつみ!あいだよ!!」

 あいは千切れんばかりに尾を振り、なつみの頬を舐め上げる

 「わっ!ちょ、キモッ!」
 「わぅ・・・ごめんなさい・・・」



 「どーでもイイから早くりかのうえからどいてぇぇええ!!」


 なつみの下から、りかが悲痛な叫びをあげた
78 名前:楽園の住人〜黒猫・コリー〜 投稿日:2003年02月06日(木)16時31分09秒
 「え?あ!ゴメンねぇ」

 なつみは急いでりかの上から退ける

 「もぅ・・・なんなのよぉ・・・」

 りかはワザとらしく頬を膨らませ、服に付いた土を払う

 「りか!りか!このひとがなつみだよ!なつみだよ!」

 あいはりかに飛び付いてなつみを指差す

 「なつみの下できいてたわよ」

 りかは手櫛で髪を梳くと、なつみに向き直す

 「・・・にんげんじゃない」

 りかの体が硬直する
 それは初めてとも言える『恐怖』だった

 「やだ・・・どうしてにんげんがいるの・・・?」

 りかはゆっくり後ずさりする

 「あの・・・怖く、無いよ?」

 なつみはぎこちなく笑うと、ゆっくり、りかの頭に向けて手を伸ばした

 「さわらないでっ!!」
 「痛っ!」

 りかは自慢の爪を出して、なつみの手を払った

 「なつみ!?」
79 名前:楽園の住人〜黒猫・コリー〜 投稿日:2003年02月06日(木)16時37分31秒
 なつみの手のひらに、うっすら、赤い線が

 「なつみ!なつみ!いたい!?いたい!?」

 あいが心配そうに吼える


 「・・・っ」


 りかはクルッと踵を返すと、走り出した


 「あ!りか!!」




 木に飛び上がり、葉を掻き分け、枝々に飛び移り

 静かな夜に相応しくない音を立て、りかは逃げた


 飛び移りながらりかは胸を握り締めた


 あいとなつみを見た瞬間、りかの心が切なくなったのだ

 それは今もりかを責める


 嬉しそうな笑顔のあいと、優しいなつみの笑顔







 この時りかは、初めて『寂しさ』を知った
80 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年02月06日(木)16時41分15秒
はい、短いですが石高終了です。
なつみやあいとの出会いで揺れるりか。
心境の変化が無い彼女に起きた変化は、これからのキィになるやもしれません

次更新は・・・きっとヤンチャ兎・豹(よしやぐ)でしょうかね?たぶん・・・
81 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月08日(土)13時52分14秒
よしやぐ、好きなので次の更新、楽しみに待ってます
82 名前:N・K@たかー 投稿日:2003年02月11日(火)16時44分17秒
やっとこ読めたぞぅ

がんがれー よしやぐはオイラも楽しみさ(w
83 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月16日(日)22時47分51秒
この話メチャ癒されます。
頑張ってくださいね。今度のよしやぐも楽しみにしてます。
84 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年02月20日(木)13時47分07秒
81> 名無し読者様。 遅くなってスイマセン(汗 期待に答えられるように頑張ります。
82> N・K@たかー様。 有難う御座います♪
             よしやぐ・・・あんまし書いた事無いケド、がんがる(爆
83> 名無し読者様。 いい、癒されますか!?有難う御座います!!頑張ります!!
85 名前:らくえんの住人〜ヤンチャ兎・豹〜 投稿日:2003年02月20日(木)13時53分26秒
  哀れな豹は人知れず泣いていた


  誰も認めてくれないから



  哀れな豹は、人知れず泣いていた






    愛する人達が、次々に居なくなってしまったから


    認めてくれた者達が居なくなってしまったから
86 名前:らくえんの住人〜ヤンチャ兎・豹〜 投稿日:2003年02月20日(木)14時00分02秒
 「ああもぅ、まきをおくったらこんな時間になっちゃったよ・・・」

 夜道を、ひとみが駆けている
 まきの家から野原を一つ、丘を一つ越えた所にある自分の家に帰る為

 「オバケとかでたらやだなぁ・・・」

 楽園の住人は殆ど暗くなると外には出ない
 暗闇に、何も見出せないから

 ひとみは駆ける
 家々の灯火を頼りに
87 名前:らくえんの住人〜ヤンチャ兎・豹〜 投稿日:2003年02月20日(木)14時09分32秒
 ひとみは家に帰る途中、いつも気になる家があった
 野原と、丘の間にある小さな家

 風前の灯火のような明かりしか点いておらず、薄暗い
 うっすら見える窓の向こうには、机の上に突っ伏してる、『何か』

 「オバケ・・・じゃなさそうだけど」

 ひとみは遅くなったついでに、その部屋を覗く決意をした
 好奇心が、ひとみを突き動かす






 「・・・あれ?」




 誰も居ない
 机の上には、今にも消えそうな蝋燭一本
 食べかけのスープ
 伏せられた写真立て


 「おっかしいなぁ・・・」
 「なにがおかしいのよ?」

 ひとみはビクッと肩を竦めた
 他の動物より敏感な瞳の耳でも聞こえ難いぐらいの声が
 キョロキョロと辺りを忙しく見渡す



 「てか、なに人のいえのぞいてんのさ」

 バッと見あげた丘の先
 月明かりに照らされた
 バケツを持った豹、一匹
88 名前:らくえんの住人〜ヤンチャ兎・豹〜 投稿日:2003年02月20日(木)14時19分42秒
 「なんだ、まりかぁ」

 ひとみは安堵の溜息と共に、胸を撫で下ろす

 「なんだ・・・じゃないでしょ?こんな時間に、まりのへやのぞいて
 なんのつもり!?」

 「まりこそ、こんな時間になにしてんの?」
 「見ればわかるでしょ?水をくんできたの。」

 まりは重たそうにバケツを持ち、丘を下って来た

 「ごはんのとちゅうに?」

 ひとみは食べかけのスープを窓越しに指差した

 「アレはもう今日はたべないの」
 「そう?」

 まりは丘を折り終えると、バケツを置いて、一息吐いた

 「てか・・・ひとみのいえってこの近くだったっけ?」
 「うん。この丘をこえたところ」

 ひとみは丘の先に視線を送る

 「じゃあ、早くかえりなさいよ」
89 名前:らくえんの住人〜ヤンチャ兎・豹〜 投稿日:2003年02月20日(木)14時25分55秒
 まりはいつも他の住人と関わるのを苦手としている
 まりも、りかと同じ『夜の住人』に近いのかもしれない

 「ねぇ、まり?なんでそんななの?」

 ひとみが思わず溢した

 「ひー、まりはもっと笑ってるひとだとおもってた
 ゆうこさんや、さやかさんといっぱい話して、いっぱい笑ってたもの」

 『ゆうこ』『さやか』という単語にまりが異常反応する

 「あの二人のなまえは出しちゃいけないルールでしょ!?
 おきてを忘れたの!?」

 まりの剣幕に、思わず後ずさるひとみ
90 名前:らくえんの住人〜ヤンチャ兎・豹〜 投稿日:2003年02月20日(木)14時32分31秒
 「だって・・・あんまり話したことなかったケド、ひー、あの人たち好きだったもん!
 なんで名まえを言っちゃイケナイのかわかんないよ!」
 「おきてだからよ!しかたないじゃない!!」

 ボロッと、まりの瞳から、涙が

 「まりだって!まりだって・・・っ!!
 だけど、おきてにしたがわなきゃいけないじゃない!!
 さいしょからいなかった事にしなきゃイケナイじゃない!!
 まりは、ひとみなんかより、もっともっとずっとずっとあの二人が好きだった!
 さやかとゆうちゃんが大好きだった!!」

 わぁっと声をあげ、泣くまり
 ひとみは、眉をしかめまりを見下ろす事しか出来なかった
91 名前:らくえんの住人〜ヤンチャ兎・豹〜 投稿日:2003年02月20日(木)14時52分13秒
 「まりをみとめてくれるゆうちゃんはもぅいない
 まりの頭をなでてくれるさやかはもぅいない
 大好きな二人はもぅいないの!!」

 膝から崩れ落ちるまり
 両手で顔を覆い、泣き叫んだ

 「おねがいだから、もぅ言わせないで!」


 ひとみは思った
 ひとみの大事な大事なまきに『お告げ』が来たら、自分もこうなるのか、と

 一人で過ごす、朝、昼、晩
 小さな蝋燭に、消えそうな火
 食べかけのスープと、無くならない思い出


 ひとみは思わずまりを抱き締めた
 抱き締め、優しく頭を撫でた

 クシャクシャと、髪が揺れる度に月の色が揺れる


 「ゆぅちゃ・・・ゃかぁ・・・!!」

 まりも、ひとみに縋るように抱き返し、ひたすら泣き続けた
 いつしか、ひとみの目にも涙が浮かんでいた



 まりの声があまりにも切な過ぎるから
92 名前:らくえんの住人〜ヤンチャ兎・豹〜 投稿日:2003年02月20日(木)14時59分04秒


 ひとしきり泣き終えると、まりはゆっくりひとみから離れた

 「まり・・・ねるから」
 「あ・・・うん」

 寂しさしか映さないまりの瞳に、月だけが浮かぶ

 立ち上がり、バケツを持ち、ドアに向かうまり
 ひとみも、ゆっくり丘を登る


 「・・・まりも、早く『お告げ』来ないかなぁ・・・」


 まりの悲しい呟きを、ひとみは聞かなかった事にした
93 名前:らくえんの住人〜ヤンチャ兎・豹〜 投稿日:2003年02月20日(木)15時08分09秒
 丘を登りきると、自分の家が見えてきた

 クルッと振り返る
 ひとみの中で変換された『気になる家』は『まりの家』

 小さな灯火の消えた家



 ひとみは急に寂しくなった


 急にまきに会いたくなった


 こんなに誰かに会いたくなるのは初めてだった


 ひとみの目には、まりの家が映っている


 「・・・」




 ひとみは踵を返して駆け出した


 自分の家のドアを開け、ランプに明かりを









 「っただいま!」









 やるせない気持ちや、寂しさを吹き飛ばす為
 ひとみは出来るだけ大きな声で『ただいま』を言った
94 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年02月20日(木)15時16分17秒
更新遅い上にメッチャ薄い更新で申し訳無い・・・

なんだかやぐがヒッキーみたいですが、きっとヒッキーです(死
裕ちゃんといちーちゃんとの繋がりが強過ぎた為、引篭ってるわけです。
しかし・・・この状況であと4本のよしやぐリクはOKなんだろうか・・・?

あ、ちなみに裕ちゃんといちーちゃんは設定上名前だけしか出さないんで悪しからず・・・

次は・・・夜が明けて 兎(よしごま)、又は羊・ロボ(ののかお)のどちらかだと思われ。
95 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月22日(土)10時32分38秒
矢口切ないなぁ…。
96 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月26日(水)22時46分07秒
やぐよし良かったです。矢口が可愛そうで・・ひーちゃんとあいぼん(やぐぼん好きなんで)、矢口を救ってくれ〜
早くよしごまが見たいんで、更新待ってますね!
97 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年03月07日(金)16時29分21秒
95> 名無し読者様。 切ないですよねぇ・・・(汗 最初はもっと違ったカタチも考えたんですが・・・
96> 名無し読者様。 おや、やぐぼん好きが居た!(・∀・)! やぐを救えるのはどちらでしょう・・・?
            よしごま期待・・・したら、ののかおより先によしごま・・・?
98 名前:らくえんの住人達〜ロボ・羊〜 投稿日:2003年03月07日(金)16時45分20秒
  小さな羊はいつもお話を聞いていた

  大好きな、大好きな姉から



  小さな羊はいつもお話を聞いていた


  そのお話を、この『楽園』の歴史とは知らず・・・






    そして、小さな羊は知っていた


    大きな事実


 
    大好きな姉が、本当の姉では無いという事実








    だけど、小さな羊は姉が大好きだった
99 名前:らくえんの住人〜ロボ・羊〜 投稿日:2003年03月07日(金)16時55分11秒
 「かおちゃーん?かおちゃーん」

 のぞみが丘の上でかおりを探している
 きっとまた、電波でも受信しているのだろうか?かおりの姿は丘から無い

 「もーぅ、なんでいないんれすかー?」
 「のんちゃん」

 ぬぼっと、のぞみの後ろから急に現れるかおり

 「あ、かおちゃん♪」

 のぞみの太陽のような輝きを放つ笑顔に、かおりも薄く微笑する
 だけど、本人は笑ってるつもりでも、他人から見れば、全然笑って無いのが、彼女の悲しさ

 「ねぇ、かおちゃん。のんはおはなしききにきたのれすよ」
 「おはなし?」
 「うん!」

 のぞみはニコニコ笑いながらペタンと座った
 かおりもその隣に座る


 「今日はどんなお話がいい?」
100 名前:らくえんの住人〜ロボ・羊〜 投稿日:2003年03月07日(金)17時02分36秒
 「おつげのおはなしがいいのれす!」
 
 『お告げ』と聞いてかおりは眉をひそめた
 何故だかのぞみは、『お告げ』の話が好きで、何回も何回も聞きたがった

 「のんちゃん・・・『お告げ』の話はあんまりしちゃいけないってこの間も言ったよね?」
 「だってぇ、のん、おつげのおはなしがききたいんれす!」

 かおりは困った
 『お告げ』は口外してはならない
 『お告げ』を受けた者の話をしてはならない

 だけど、『お告げ』の話をしないときっとのぞみは泣くだろう
 かおりの中を葛藤がグルグル回る
101 名前:らくえんの住人〜ロボ・羊〜 投稿日:2003年03月07日(金)17時11分31秒
 「あのね・・・お告げっていうのは・・・」

 かおりは負けた
 のぞみを泣かせたく無い気持ちに負けたのだ
 のぞみは目を輝かせ、うんうん。と頷きながら聞く


 「お告げっていうのは、この楽園が生まれてからもぅ決まっているものなの
 誰が一番最初で・・・その次は・・・その次は・・・」

 「さいしょはあすちゃんだったよね?」

 のぞみがニコニコしながら横槍を入れる

 「そうね・・・あすか・・・どこか、悲しい仔だった・・・」

 かおりが遠くを見詰め、続ける。

 「つぎがぁ、あやっぺでぇ・・・つぎがぁ、さやちゃん!」

 のぞみが得意そうに指を折る

 「のんちゃん・・・良く覚えてるね」
 「らって、かおちゃんからいっぱいきいたんれすもん」

 えへへ、と照れて笑うのぞみを、かおりは悲しく見ていた
102 名前:らくえんの住人〜ロボ・羊〜 投稿日:2003年03月07日(金)17時16分56秒
 「そうね・・・皆・・・皆居なくなっていった・・・
 誰が決めたのか分からない・・・『お告げ』のせいで・・・」

 かおりは奥歯を噛み締めた
 かおりは楽園の者皆愛していた
 フとした瞬間、お告げが舞い降り、居なくなる
 そんなシステムが大嫌いだった

 「何が目的でお告げを下すのかは誰も知らない・・・
 知ってるとしたら・・・神様だけ・・・」

 「のんも、いつかはくるんれすか・・・?」

 のぞみは心配そうにかおりに聞いた

 「のんもいつか、かおちゃんをおいて
 ろっかにいかなきゃいけないんれすか・・・?」
103 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年03月07日(金)17時17分34秒
ちょっと急用でちょっと中断します
104 名前:らくえんの住人〜ロボ・羊〜 投稿日:2003年03月08日(土)17時15分01秒
 感情の乏しいかおりに、のぞみの心配を取り除ける笑顔は作れなかった
 涙も流せなかった
 怒りも露わに出来なかった
 そんな自分が悔しくて、かおりはまた、奥歯を噛み締めた

 「そ・・・そうね・・・のんちゃんも・・・いつかは・・・」

 神様に祈りたい瞬間っていうのは、何時、どんな時かは人それぞれである
 かおりの場合は、今、この瞬間。

 自分の大事な妹を、連れ去らないで、と祈った、願った

 神に
105 名前:らくえんの住人〜ロボ・羊〜 投稿日:2003年03月08日(土)17時21分40秒
 「じゃあのんは、かみさまにおねがいするれすよ!」

 のぞみは片手を上げた
 その片手の小さな指は人差し指だけ残し、曲がり
 かおりに向かって、振り下ろした

 「『さいごにかなうおねがい』に、かおちゃんにぷぇぜんとをおくるのれす!」
 「プレゼント・・・?」

 のぞみは大きな笑顔で、大きく頷く

 「かおちゃんに、のんから、なみらをぷぇぜんとするのれす!」

 舌ったらずながら、自慢げに

 「かおちゃんに、あたらしいかんじょうをぷぇぜんとするんれすよ」
 「のんちゃん・・・」

 かおりは嬉しくて堪らなかった
 でも、それ以上に、悲しくて堪らなかった
 そんな複雑な感情を、上手く表せず
 クシャクシャっと、のぞみの頭を撫でた

 「ありがとぅ・・・のんちゃん。」
106 名前:らくえんの住人〜ロボ・羊〜 投稿日:2003年03月08日(土)17時33分35秒
 「いつも・・・いつもかおりは貰ってばかりだね・・・
 あすかからは・・・新しい仲間を
 あやっぺからは・・・ほんの少しの笑顔を
 さやかからは・・・のんちゃんを
 ゆうちゃんからは・・・また、新しい仲間を・・・」

 かおりは思う
 この楽園のループは、何時終わるのか、と

 永遠に終わらないのだろうか?
 皆、かおりだけを残し、去って行く
 そして、誰かの手によって、増えていく

 かおりは憎む
 どう足掻いても、独りにしかなれない自分
 居なくなってしまう住人達
 決定されるお告げ

 「のんがなみらをあげるから、のんがいなくなったら、いっぱいないてくらさいね?」


 かおりは更に思った
 泣き出したい瞬間っていうのは、きっと、今この時だと

 この可愛い妹を無くしたら、きっと自分が自分では無くなるんじゃないかという、恐怖。



 そして、いつか自分の番が来たなら願おうと








 この、楽園の、崩壊。
107 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年03月08日(土)17時37分49秒
ほのぼの宣言をしたのに・・・なんでか毎回切なげになってしまうのは何故・・・?
性分?性格?
しかも短いとか(鬱
さて、お告げの謎(なの? も少し解けて来ましたが、何となくややこしくなったのは
気のせいでしょうか?(爆

さて、次は兎(よしごま)でしょうかね?
108 名前:N・K@たかー 投稿日:2003年03月09日(日)21時29分44秒
…ああ…なんかせつない…
やっぱポンさんの書くモノはスキだと思うオイラ
109 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月20日(木)12時05分34秒
切ないね。
でもこーゆー雰囲気が結構好きだったり。
110 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年03月25日(火)15時06分10秒
108> N・K@たかー様。 スイマセン(汗 ほのぼのがどうしても切なくなってしまうんです
                好きだと言って頂けて有難いです(喜
109> 名無し読者様。 ほのぼのを目指してるんですがね・・・(泣
              こーゆー雰囲気もありなんでしょうか・・・?
111 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年03月25日(火)15時09分10秒
       怖がり兎は前に進めない


       怖くて怖くて、進めない





       何が怖いのか、解らないケド









       怖くて、怖くて、進めない







       ひとみが居なければ














       どこにも行けない怖がり兎
112 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年03月25日(火)15時19分21秒
 ひとみはまきの家のドアを叩いていた

 「ま〜き〜!」

 昨夜の事が頭から離れないひとみは、早くまきに会いたかった
 まきのふにゃっとした笑顔が、ひとみを安心させる唯一のものだった



 「は〜・・・・・ぃ」
 「はやくおきろ〜!!」

 ひとみはだんだんイラついて来てドアノブを回した

 「入るよ〜?」
 「やぁ!まだはいんないでぇ」

 まきの言葉なんか聞かないで
 ひとみはまきの家に入って行った
113 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年03月25日(火)15時24分57秒
 「まきー?」

 ひとみは真っ直ぐまきのベットに向かった
 案の定、まきはまだ布団に潜っていた

 「おきろよ〜!」
 「もぅちょ・・・」
 「ま〜きぃ!」

 ひとみは乱暴にまきを覆い尽くしている布団を剥いだ

 「うぅ・・・」

 迷惑そうに瞳を開くまき
 まだ眠たそうに、コシコシを瞼を擦り、欠伸をした

 「ぉはょぉ・・・」
 「おはよ」

 ひとみはテキパキとまきのパジャマを脱がすと、着替えを用意した

 「ひー、パンやいてくるから」
 「ん・・・」

 まきが着替えている間、朝ご飯を用意するのはひとみの日課だった
 そうでもしないとまきは何もしないからだ
114 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年03月25日(火)15時29分09秒
 ひとみは厚めにパンを切り、火をおこし、スープを温めた

 「?」

 台所をテキパキと動いていたので気が付かなかったが・・・誰か居る
 シーツにくるまり、眠っている

 「まきー?コレなにー?」
 「・・・・・」

 返事が返って来ないのは知っていた
 まきの頭が起きるまではまだかかる

 「・・・・?」

 ひとみはソッとシーツを剥いだ

 「あ・・・」


 丸まるように眠っていたのは


 迷い込んだ『人間』




 なつみだった
115 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年03月25日(火)15時37分22秒
 「・・・?見たことないな・・・この仔・・・」

 ひとみは首を傾げた
 なつみの腕の中に眠る、あいを見詰めた

 「まぁいぃや・・・おねぇちゃーん、朝だよー?」

 ひとみは考えるのを止め、なつみの肩を揺らした

 「んぅっ・・・・」

 なつみはまきと違ってすぐ起きたので安心した

 「おねぇちゃん」
 「あ・・・れ?きみは・・・」
 「ひーだよ。みんなは『ひとみ』って呼んでる」

 だからひとみでいぃよ、と笑顔
 なつみを寝ぼけ眼を擦りながら笑顔を作った

 「おねぇちゃんたちの分も朝ごはんひつようだね」

 ひとみの人懐っこい笑顔に、なつみは目を細めた
116 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年03月25日(火)16時53分57秒
 「あい?あーいー」

 なつみは腕の中に居るあいを起こそうと奮闘している
 ひとみはその様子を他人事では無いような表情で見ている

 「ひと・・・みぃ」
 「あ、まきおきた?」

 ひとみが振り返ると、いつものようにまきが居た
 服の端っこを掴んで、眠たそうだ

 「きょうは何してあそぼっかー」
 「んんぅ・・・と」

 まきはショボショボさせた目を覚めさせる為に水道に向かった
 ひとみはその背中を見る度、クスッと笑う


 ひとみとまきは気が付いたら何時も一緒だった
 住む場所は違えど、何もかも一緒だった

 それを当たり前と思って昨日も今日もきっと明日も過ごしている


 穏やかないつもの朝、昼、夜



 「なつみ!なつみ!おはよ!あい早い?早い?」



 見ず知らずのコリー犬がマシンガントークをかましてるのを除けば、の話だが・・・
117 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年03月25日(火)16時57分15秒
はい、今日はこのくらいで勘弁して下さい(w
メッチャ鈍亀で申し訳無いです・・・毎回毎回

あと、一回出た仔達の場合はサブタイが変わります。

( ´Д`)<かくれんぼするの?
(0^〜^)<ひー、かくれんぼ強いぞぉ!
118 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月27日(木)13時49分35秒
あいはなつみラブなんですね
119 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月29日(土)04時51分14秒
>( ´Д`)<かくれんぼするの?
 (0^〜^)<ひー、かくれんぼ強いぞぉ!


………やばい。かなり、可愛い。
二人まとめて頭をわしゃわしゃと撫で回してやりたいです。
おじちゃんが何でも買ってあげるよ? …そんな気分です。
120 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月29日(土)04時52分12秒

アヒャ!
ageちまいました、すいません!
121 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年04月08日(火)16時51分24秒
118> 名無し読者様。 どうなんでしょうね?(w 飼い主としてのラヴ・・・かもしれません。
             (〜^◇^)<どうなんだよ!?
119> 名無し読者様。 誘拐だけは勘弁して下さいね(w
             わしゃわしゃ撫で回したら、耳もピクピク動くんでしょうか・・・
122 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月08日(火)16時59分54秒
 手馴れた手付きで人数分の朝食を用意するひとみ
 パンとスープだけの質素なモノだが、彼女等には充分だった

 「ねぇまき、これ食べたらなにしてあそぶー?」
 「んー・・・」

 まだ寝ているのか起きているのか分からない返事ばかりをするまき
 ひとみはしきりにまきに話し掛けてばかりだ

 「おにごっこはこないだしたよねー」
 「・・・ぅん」
 「かけっこもなー」
 「そぅだねぇ・・・」
 「・・・!ねぇおねぇちゃんはなにしてあそびたい!?」
 「ほぇ?なっちかい?」

 二人の様子を和やかに見ていたなつみに急に話が振られる

 「え・・・えっとぉ」

 なつみは困った
 いい年して子供の遊びを考えるのも一苦労。

 「はいはいはい!!」

 なつみの隣でそわそわしてたあいが思い切り手をピンと伸ばす

 「ん?あい、どうしたの?」

 なつみに話し掛けられ、えへへと照れ笑い

 「あいね!あいね!かくれんぼしたい!!」
123 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月08日(火)17時05分24秒
 「か・・・かくれんぼ・・・?」

 ひとみの表情が固まった
 そしてチラリ、とまきを見た
 まきは小さく欠伸をしていた

 「だめ?だめぇ?」

 あいは尻尾を大きく小さく振り、哀願する

 「まき・・・いぃ?」

 ひとみは必死にまきの顔色を伺う

 「・・・・・・・・・なんのはなし?」

  ―ガタガタガタン!


 まるでコントの様に全員がコケた


 「んあ〜?」
124 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月08日(火)17時22分20秒
 「まきぃ、ちゃんと起きてよぉ」

 ひとみは眉を八の字にしてまきを見詰めた

 「なつみ!外!外いく!!」

 ひとみとまきのやり取りを省みずあいはなつみの手を取り飛び出した

 「え?ちょ、あいー!」
 「かくれんぼかくれんぼぉ!!」

 ひとみはハァッと大きく溜息を吐いた
 まきはその様子をじぃっと見てる



 「・・・・いぃの?」
 「え?」
 「しなくて」

 ひとみの顔が青くなる

 「ま、まきぃ!いぃの?知らないよぉ!?」
 「へーきだよぉ」

 まきは中途半端に、へにゃっと笑う

 「っ、まきぃ・・・」

 ひとみの顔が泣きそうに崩れる

 「だぁいじょうぶ、だよ?ひとみがオニにならなきゃいぃんじゃん」

 まきはどっこいしょ、と立ち上がるとひとみの服の端っこを掴んだ

 「いこ?」
 「まき・・・」

 ひとみは複雑な表情をしながら、トボトボ外に向かって歩き出した
125 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月08日(火)17時30分03秒
 「「「「じゃーんけーんぽっ!」」」」

 広めの原っぱにジャンケンをする声が響く



 「・・・・・あ」

 何度目かのあいこで、オニが決定した

 「ひとみ・・・」

 一気にまきの顔が曇る

 「やった!60数えるんだよ!?いこっ!なつみ!いこっ!!」
 「もー!あい、落ち着いてよぉ!」

 千切れんばかりに尻尾を振りながら去って行くあい
 苦笑しながら着いて行くなつみ

 「・・・ごめん」
 「いーよ・・・だいじょうぶ・・・」

 そんなのウソだ、とひとみは思った
 まきの瞳はあからさまに動揺していたからだ

 「ゆっくり・・・かぞえるから・・・」
 「うん・・・」

 ひとみはクルッとまきに背を向け、数を数え出した
 まきもひとみに背を向け、駆け出した

 「・・・しんぱいだなぁ・・・」

 瞑った瞳の闇の奥で、ひとみはまきの事ばかり考えていた
126 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月08日(火)17時34分50秒


 「57・・・・・58・・・・・・59・・・・・・・・・・・60。」

 ひとみはゆっくり目を開き、立ち上がった

 ザァッと野原に一陣の風
 野草、野花を揺らす

 「っさて、と」

 ひとみは大きく息を吸い込んだ
 決り文句を言う為に


 「もーーいーーーかぁーーぁい!!?」



 風に乗って飛んで行くひとみの言葉

 遠くで、誰かが小さく返事をした

 ひとみの長い耳は、その声がまきだと瞬時に分かった

 「よしっ」




 ひとみは軽く助走を付け、駆け出した。
127 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年04月08日(火)17時36分45秒
短いですが、今回は此処までで。
本当毎回毎回亀で短くて・・・スイマセンです。
ネタが脳内から抹消されないうちに早めに書きあげたいものです(死
128 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月10日(木)18時45分52秒
更新待ってたよー
129 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年04月22日(火)14時05分21秒
128> 本当お待たせして申し訳御座いません(泣
      もっと早く更新せねばですよね・・・
130 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月22日(火)14時13分17秒
 ご自慢の垂れた耳をピクピク動かし、ひとみは野を蹴っていた
 一刻も早くまきを見つけなきゃ・・・そんな気持ちで一杯だったから

 「!」

 ひとみの耳が葉が微かに揺れる音を、枝が割れる音をキャッチした

 「そっちか・・・!」

 キュキュッと勢い良く踵を返して、反動を付けて走る

 「まき・・・泣くなよぉ・・・?」

 心なしか加速がかかった気がした
131 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月22日(火)14時18分26秒
 思ったより早く、音の主の近くに来れた

 「よし・・・みーっけ!・・・て」

 ガサッと茂みを掻き分け、目に入った影は

 「ありゃ、みつかっちゃた!あいみつかっちゃたよなつみ!!」

 「ば、ばか話しかけるんでない!?なっちも見つかっちゃうでしょや!?」

 「・・・おねーちゃんとあいちゃんみっけ。」

 ひとみはガックリ項垂れた



 さぁ、まきは何処に隠れたのだろう?
132 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月22日(火)14時24分09秒
 「じゃあおねーちゃんたちはさい初のトコにいてね?
 ひーはまき見つけなきゃだから。」
 「うん、分かった」
 「ねぇなつみ!あいオニ!?オニなの!?」

 ウルサイあいやなつみを尻目に、ひとみはもう一度勢い良く駆け出した

 「はやく・・・はやくまきを見つけなきゃ・・・!!」

 ひとみは焦って仕方無い
 楽園は広い
 そんな広い中から、まきだけを見つけるのは至難の業でもあった

 「まき・・・!どこにいるの・・・?」

 ひとみの耳に、まきの声は聞こえない

 どんなにどんなに澄ましても

 まきの声だけ聞こえない
133 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月22日(火)14時28分08秒


 ひとみ達がかくれんぼを始めてからもうすでに何時間たっただろう

 朝の太陽はすっかりは真南に

 ジリジリ明るい光を刺す真昼の太陽


 「まーきーぃ!」

 ひとみはもう形振り構ってられなかった

 何か嫌な予感がして

 もう二度とまきが戻って来ないような気がして


 「まきぃ!もういぃよお!出といでよぉ!!」
134 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月22日(火)15時42分48秒
 ひとみは泣き出したくて仕方無かった

 まきが心配で心配で

 まきが居ないのが不安で怖くて怖くて

 「っまきぃ・・・!!」



 ただもう、本当、どうしようも無くて



 「・・・・・・・・・・・・・ひとみぃ」



 遠く近く、まきの擦れた、怯えた声が聞こえた


 「まきっ!!」


 今日、何回目の全力疾走だろう


 まきは何処に居たのだろう


 もう陽もだんだん落ちて来て


 だんだん夕暮れが近づいて来た 
135 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月22日(火)15時53分27秒
 「まき・・・まきぃ!!」


 ひとみは垂れた耳を必死に欹ててまきの声を、吐息を探した



 「ひと・・・み」




 居た

 木の上枝に跨って

 涙目で、怯えて震えて

 「まき!なんでそんなトコに・・・・」

 まきはひとみを見て安心したのか、いつものようにふにゃっと笑って

 「・・・あ、あはっ、おりれなくなっちゃった・・・」
 「ばか!」
 「・・・ごめん」

 ひとみは顔では怒ってるようにしたが
 内心嬉しくて堪らなかった
 まきが居たから
 ちゃんと居たから

 「ほらっ、うけ止めてあげるから・・・って、ぅわわ!!」

 ひとみの言葉を待たずに、まきは勢い良くひとみの上に落ちた

 「ぃってぇ〜・・・!」
 「ごめ・・・」
 「知らない!まきのばかぁ!!」

 ひとみは無理矢理起き上がると、まきを思いっきり抱き締めた

 「・・・ひとみ、ごめん」
 「・・・ぅ・・・しんぱいかけんなよぉ・・・!」



 兎は寂しいと死んでしまう



 例えそれがとても元気なひとみでも。
136 名前:らくえん 〜かくれんぼ〜 投稿日:2003年04月22日(火)16時01分56秒
 ひとみは泣いた

 わんわん泣いた

 だからかくれんぼは嫌いなんだって

 まきの胸の中

 赤子の様に




 「・・・ひとみ、もどろーよ」
 「っうん・・・」

 陽がまた大きく傾いた頃にやっと泣き止んだひとみ
 ゆっくり立ち上がり、まきの服の裾を掴んで

 「・・・つれてけ」
 「はいはい・・・」

 これじゃあいつもと逆だね、と
 まきはまたふにゃっと笑う

 ウルサイよ、と
 恥ずかしくて嬉しくて顔を地面に向けるひとみ





 ひとみの顔が赤いのは、きっと夕日に照らされただけでは無くて・・・
137 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年04月22日(火)16時05分33秒
はい、今回は此処までで。
どうやら自分はどうしても誰かを泣かしたい感じで最悪です(鬱
むしろよしざぁさんを常に泣かしたい気分で(爆
しかも最後の終わり方がワケ分かんない感じで(泣
138 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月27日(日)10時17分35秒
ひとみとまき、2人がづっと一緒にいられますように。
このお話、こころ温まるなぁ。
139 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月28日(月)18時08分24秒
ののかおに続いてよしごまと好きなCPが続いて嬉しいです。
どちらも切ないのに温かい、すごく好きなお話でした。
互いに支え、支えられている関係がすごく素敵ですね!
パラレルなのに、現実とリンクしてる部分が多くて泣けてきます。
ののかおもよしごまもずっと一緒にいられたらいいなぁ・・・
140 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年05月08日(木)16時05分24秒
138> 名無し読者様。 そうですね、ひとみとまきがずっと一緒に居れればお互い幸いなんですが・・・
              心温まりますか(照
              そう言って頂けると本当嬉しいです!
139> 名無し読者様。 ののかおとよしごまの話を好きになってくれて凄く有り難いです
              現実の娘。さんにも、似たような関係を覚えるのは自分だけでしょうか・・・?
              ずっと一緒に居られれば本当幸いなんです・・・うん。

さてさて、娘。さんの屋台柱にして大黒柱。保田圭さんのご卒業を記念して
今回はちょっとリク無視して保田さんを出そうと思います。
リクを心待ちにして下さっている皆様、どうかご了承下さい。
141 名前:らくえんの住人達 〜猫・黒猫・スピッツ〜 投稿日:2003年05月08日(木)16時12分49秒
   常識的な猫は島内でも大人びていた

   かおりのようにちゃんと喋れた


   色んな事を知っていた




    だけど常識的な猫は辛かった







      皆の輪に上手く入れないから










           一人ぼっち、辛かった。
142 名前:らくえんの住人達 〜猫・黒猫・スピッツ〜 投稿日:2003年05月08日(木)16時22分43秒
 とっぷり暮れた夕暮れ時

 ひとみが鼻を啜りながらまきと歩く 帰り道


 そんな中、りかは動き出す
 ピンク色の舌を器用に使い、身だしなみを整え
 顔を洗って、耳の裏までちゃんと洗って
 普通するなら朝だろうに
 りかは上機嫌に鼻歌を歌いながら、整えた毛並みをうっとりと見入り

 枝を揺らして駆け出した
143 名前:らくえんの住人達 〜猫・黒猫・スピッツ〜 投稿日:2003年05月08日(木)16時31分04秒
 枝を蹴り、草木を掻き分け、少し肩で息をする所で丁度着く
 オレンジ色眩しいけいの家

 「けいさーん!」

 トントン、トントン、りかは上品にドアをノックする

 「なによ」

 不機嫌そうに出てきたのは、けい
 三毛猫に近い毛並み、りかと同様、猫。

 「えへへ・・・きちゃいました」

 りかはけいと会うと心底安心する
 それが同じ猫だからなのか
 けいの雰囲気がそうさせるのか
 今のところりかにも分からない

 「ったく・・・毎日毎日飽きないわねぇ
 けいの家に来たってなんにも面白い事なんて無いわよ!?」
 「おもしろいですよ?」
 「なにが!?」
 「けいさんが」
 「は!?」
144 名前:らくえんの住人達 〜猫・黒猫・スピッツ〜 投稿日:2003年05月08日(木)16時37分21秒
 ニコニコニコニコ、りかはけいに向けて満面の笑みを作る
 けいはその笑顔に弱かった
 一回だけ、溜息を吐くとりかを家に招き入れた

 「・・・・?」

 けいはゆっくり振り返る

 木の陰草の陰



 誰か・・・居る



 「ちょっと!誰だか知らないけど出てきなさい!」
 「けいさん?」

 りかは不審そうに外を見入る

 「・・・・・・りさ!!いい加減にしないと怒るわよ!!」


 「わぅっ!ごめんなさい!!」


 木の陰から飛び出してきた小さな子犬

 目の上の眉毛が少し 濃い



 島内一知りたがりのりさだった
145 名前:らくえんの住人達 〜猫・黒猫・スピッツ〜 投稿日:2003年05月08日(木)16時41分34秒
 「ごごごごごめんんなさっ!!あのあの・・・!!」

 少し怯えた様子のりさ
 滑舌も悪くなっている

 「りさ?なにしてるの?」

 りかが怖がらせないように優しい口調で問う

 「ぅわああああの、り、りかさんがまいばんどどど、どこに・・・!!」
 「けいの家よ」

 まぁ、見れば分かる光景だった

 「ほほ、ほんとうごめんなさいぃ!!ま、まさかけいさんのおうちとは・・・!!」

 りさの様子を見てけいはまた、溜息を
 どうして島内の連中は自分を怖がるのか、と
146 名前:らくえんの住人達 〜猫・黒猫・スピッツ〜 投稿日:2003年05月08日(木)16時46分17秒
 りさとけいをゆっくり見詰め、りかはあっけらかんと言いのけた

 「ねぇ、りさもけいさんちに入りなよ?」
 「ふぉ!?」
 「は!?」

 一体コイツは何を考えてるんだ、とけいは大きい瞳を更に大きく
 りさはりさで、今日が自分の命日だと言わんばかりに絶句している
 プルプル震えて、涙まで出てきそうだ

 「あーぁ、りかおなか空いちゃった。けいさんごはん〜!」

 りかはニコッと笑いけいとりさの腕を引っ張り家の中に迎え入れた
147 名前:らくえんの住人達 〜猫・黒猫・スピッツ〜 投稿日:2003年05月08日(木)16時51分34秒
 けいが諦めたように、スープを温めてる間、りかは人数分の食器を用意し
 怯えた目をしているりさを座らせた

 りさは思った
 どうして自分がこんな所に居るんだろう、と
 確かに日頃の行いは良いとは言えない
 だけど死ぬにはまだ早い・・・!!と

 「ねぇ」
 「ふぁ!」

 準備を済ませたりかがりさの隣に座り、声をかけた

 「どうしてけいさんをこわがるの?」
 「だだだだって」
 「いっつもムッツリしてるから?」
 「あああああのぇえええっと」
 「怒ったようなかおしてるから?」
148 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年05月08日(木)16時53分09秒
スイマセン一時中断です〜
149 名前:らくえんの住人達 〜猫・黒猫・スピッツ〜 投稿日:2003年05月09日(金)11時32分12秒
 りさの小さな体は恐怖で大きく震える

 あぁ、今日で終わってしまう
 きっと今温めてるスープと一緒にくたくたに煮られてしまうんだ
 そしてけいとりかのお腹の中にすっかり収まってしまうんだ


 りさの恐ろしい妄想はりさの体を更に更に震わせた


 「ちょっと」
 「ぅわあ!!」

 怯えの対象がかけた声に、りさの小さな体の小さな心臓は鼓動を強める

 「ニンジンは食べれるの?」
 「え・・・」
 「あと・・・ブロッコリーは?」
 「た・・・たべれます・・・」

 でもニンジンは・・・と付け加えるりさ
 けいはやれやれ、といった顔で盛ったスープからニンジンを抜き取る

 けいのこの何気ない行動にりさは目をパチクリさせた
150 名前:らくえんの住人達 〜猫・黒猫・スピッツ〜 投稿日:2003年05月09日(金)11時40分38秒
 「あんまり好き嫌いしてると小さいままよ!」
 「けいさんおかぁさんみたーい」
 「うるさいわねぇ!」

 けいをからかいクスクス笑うりかと、それを苦笑いで返すけい
 島内に流れる二人の噂を断ち切るような温かい空気

 何時の間にか・・・りさの体の震えは止まっていた

 「さっ、ご飯にするわよ」
151 名前:らくえんの住人達 〜猫・黒猫・スピッツ〜 投稿日:2003年05月09日(金)11時59分41秒
 食事の最中も、りかはけいをからかって止まなかった
 チープなコントのような会話
 だけど、けいも満更でもないような、笑顔
 目の前に出された温かいスープ、薄めに切られたパン

 「・・・」

 りさは心此処に在らず
 もくもくと料理を口に運ぶ

 「ちょっと、付いてるわよ」
 「え?」

 りさがワケの分からない顔をしてると、けいの腕がりさに伸びた

 「ほら」

 ぶっきらぼうに、親指で
 りさの口の端に付いている食べカスを拭った
152 名前:らくえんの住人達 〜猫・黒猫・スピッツ〜 投稿日:2003年05月09日(金)12時08分07秒
 怒られるかと思った
 食べられるんじゃないかと思った

 それなのに、けいは優しい
 りかは笑ってる

 「あ・・・ありがとう・・・ございます」
 「べ、別にこれくらい・・・」

 お礼を言われるのが慣れてないのか、けいは軽く頬を染め、プイっと向こうを向いた
 そんなけいが可愛くて、りさはクスっと笑った

 「な、何よ・・・」
 「いえ・・・フフッ・・・あははは!」


 りさは思った

 けいは優しい
 けいは怖くない
 けいは不器用で可愛い。

 りかが毎日けいの所に行くのも説明が付く。


 けいはあったかい


 だから明日もけいの所へ夕飯をご馳走になりに来よう
 もっとけいを知って、みんなに教えよう




 そうしたら、もっとあったかい。
153 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年05月09日(金)12時12分21秒
そんなワケでやすいしにぃでした。
毎回遅くて毎回短い(泣
ヤススは怖くないよ!みたいな感じで。はい。

自分は保田さんのラスコンは参戦出来ませんでしたが、酷く感動的だったらしく、それだけで充分な気がします。
154 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月10日(土)13時40分39秒
自分の圭ちゃんのイメージと重なりました
次の更新楽しみにしてます
155 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年05月21日(水)13時35分12秒
154> 名無し読者様。 そう言って頂けるとかなり嬉しいですね(喜
             有難う御座います頑張ります。
156 名前:らくえん 〜あさ美日記〜 投稿日:2003年05月21日(水)14時05分45秒

  なんにもないひ  おてんき→はれ

 きょうのまことはずっときりかぶにすわってた

 うんうんいいながらかんがえごと

 いっつも、なにかんがえてえてんのかなーっておもうけど

 さすがのあさみもまことのきもちはみえないから、わからない



 まことがわらったひ  おてんき→くもり

 きょうはまことがいっぱいわらってくれた

 あさみがとってきたきのこをたべたら、すごくゆかいにわらってた

 なんだかすっごくステキなひだった


 でもあのわらいかたはちょっとへんだったきがする・・・・ 
157 名前:らくえん 〜あさ美日記〜 投稿日:2003年05月21日(水)14時10分56秒
 まことがいなくなったひ  おてんき→はれ

 きょうはまこと、どこかおでかけしたみたいであさからいなかった

 さいきんのまことはなんだかおかしい・・・・


 またまことのいないひ  おてんき→はれ

 きょうもまことはどっかにいった

 なんだかうれしそうにしてた

 ちょっとあとをつけてみたら、まきのうちにむかってった

 なんでまきのうちにいったんだろう?

 すごくむねがチクチクするから、きょうはもりにかえった


 ついでにごはんもつくらなかったらまことにおこられた
158 名前:らくえん 〜あさ美日記〜 投稿日:2003年05月21日(水)14時21分29秒
 りさにおねがいしたひ  おてんき→はれ

 まことがでかけてから、りさがあそびにきた

 さいきんのりさはあの「けいさん」のとこにあそびにいくのがしゅみらしい

 りさってばなんていのちしらず・・・・・

 っていったらおこられた

 けいさんはこわくないみたい

 でもしんようしきれなかったんでききながした

 かえろうとするりさにひとつおねがいをした

 りさはこころよくオーケーしてくれた

 やっぱりりさはこころづよい。


 まことのひみつ  おてんき→しめっぽい

 さっそくりさがおねがいをかなえてくれた

 さいきんのまことのことをあさみにおしえてくれた

 どうやらまことはまきのうちにいる「なつみ」と「あい」のとこにいってるみたい

 「なつみ」ってもりにきたにんげんだよね・・・

 りさも「なつみ」のそんざいにおどろいてた

 にんげんなんてはじめてみた、って

 まことはにんげんのとこに・・・・・・・



 なんだろう、モヤモヤする
159 名前:らくえん 〜あさ美日記〜 投稿日:2003年05月21日(水)14時26分19秒
 りさじょうほう  おてんき→はれ

 りさがまた、くわしいじょうほうをもってやってきてくれた

 まことはきょうもまきのうち

 りさのはなしだと、どうやらまことは「なつみ」といっしょにいる

 「あい」っていぬにきょうみしんしんみたい

 まことはひにひに「あい」としんみつになっていくって

 りさがこいまゆげをなでつけながらはなした

 そのまゆげがくろびかりしてわらえた

 でもこらえた

 これもゆうじょうだよね?


 「あい」・・・・・あさみのライバルってやつなのかな・・・・・
160 名前:らくえん 〜あさ美日記〜 投稿日:2003年05月21日(水)14時40分24秒
 「・・・・・・」

 まことはゆっくりソレを閉じた
 見てはいけないものを見てしまった
 そんな罪悪感から尻尾を丸める

 「・・・まこと?」
 「あいぃ・・・」

 こんな事ならいつも通りあいとなつみとで原っぱで遊んでれば良かった
 こんな事ならあいを奥森に誘うんじゃ無かった

 後悔ばかりが、頭に

 「なーしたん?」

 あいが優しくまことの手を握る
 まことも縋るようにその手を包み込む

 「どうしよう・・・・まこ・・・・まこ・・・・・見られてる」
 「誰に?」

 あさみに、りさに

 「どうしよぉ・・・・」

 今、この奥森のどこかにりさ潜んでるかも知れない
 あさみも一緒かも知れない
 そもそも、あさみがここに居ない事すらオカシイ

 「きゅぅ・・・・」

 前代未聞の恐怖に、情けない声をあげるしか出来ない
161 名前:らくえん 〜あさ美日記〜 投稿日:2003年05月21日(水)14時43分44秒
 あいはまことの手を握りながらゆっくり考えた

 どうしてこんなに怯えているんだろう、とか
 どうすればいいのだろう、とか


 そんな時、やっぱり頭に浮かぶのはなつみであって・・・


 「まこと、行こっ?」
 「ゎふっ?」
 「なつみんとこ」
 「う、うん・・・・」



 それから暫く、まことは奥森に帰って来なくなった
162 名前:らくえん 〜あさ美日記〜 投稿日:2003年05月21日(水)14時46分29秒

 まことがまたまたまたまたまたかえってこないひ  おてんき→


 りさのさくせんどおりに、まことはあさみのにっきをよんだ

 これでほんとうにまことはあさみのトコにかえってくるのかな・・・?

 あさみのじゅうようせいがわかるのかな・・・?



 まことぉ・・・・はやくあさみのじゅうようせいにきづいてよ・・・・
163 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年05月21日(水)14時51分06秒
設定的に、漢字は書けないであろう・・・と思い日記は全て平仮名に・・・・
見ずらくて申し訳・・・・
あさみの日記は『まこと観察日記』みたいでなんだかある意味ストーカーちっく(w

さて、まことは何時、あさみの重要性に気が付くのでしょうか・・・・

∬;´◇`∬<ちょっと・・・ムリ・・・・
柏o・-・)
164 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月24日(土)15時42分11秒
まこともあさみも可愛いな…
165 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年06月07日(土)13時12分39秒
164> 名無しさん様。 可愛いですか?有難う御座います
166 名前:らくえんの住人 〜豹・熊〜 投稿日:2003年06月07日(土)15時29分24秒
      イタズラ好きな熊はイタズラより蜂蜜が好きだった



      蜂蜜より、住人達と遊ぶ事が好きだった








      でも、イタズラより蜂蜜より遊ぶ事より



















           小さな熊は小さな豹が大好きだった

















          でも豹のする、寂しげな瞳が嫌いだった
167 名前:らくえんの住人 〜豹・熊〜 投稿日:2003年06月07日(土)15時36分06秒
 あいぼんはゆっくりゆっくり丘を越えていた
 いっぱいにいっぱいに溜めた壷の中の蜂蜜を溢さないように

 「っとと・・・」

 抱えた壷には大量の蜂蜜
 これが全て自分のモノかと考えると
 あいぼんの口は緩んで緩んで仕方無かった

 ゆっくりゆっくり超える丘の途中
 あいぼんは立ち止まって見詰める一軒の小さな家

 「まり・・・」

 今日も悲しげな瞳と
 垂れた尻尾と
 艶の無い毛並みを保っているであろう

 想い人の、家
168 名前:らくえんの住人 〜豹・熊〜 投稿日:2003年06月07日(土)15時43分11秒
 壷を倒れないように平坦な場所にそろそろと置くと
 あいぼんはそのまま丘に座り込んだ

 そのまま、まりの家を見詰める


 ただ、じぃっと


 それがあいぼんの日課だった



 あの小さなドアからは誰も出て来ない
 夜にならないと出て来ない
 家の中でじっとじっとただひたすら、夜が来るのを待ってるから

 だからあいはじっとそのドアを見詰めるのだ
 ドアのノブが回って
 まりが周りの様子を伺いながら出て来たら
 あいぼんはやっとその重たい腰を上げて、家に帰る


 それをだたずっと、続けている
169 名前:らくえんの住人 〜豹・熊〜 投稿日:2003年06月07日(土)15時47分25秒
 あいぼんは一度だけ、ほんの一度だけまりの笑顔を見た事がある
 あまりにもあまりにも綺麗な笑顔は
 あいぼんの脳裏に一瞬にして焼き付いた

 その笑顔が見たくて
 でも方法を知らなくて

 あいぼんはただそうやって毎日
 まりの家を見詰める事しか出来なかった


 「ちょっと、なんでいっつもそこにいるのさ」






 たぶん、今日まで
170 名前:らくえんの住人 〜豹・熊〜 投稿日:2003年06月07日(土)15時55分09秒
 「え・・・」

 凛とした、冷ややかな声
 だけどあいぼんは、その声の持ち主を求めていた

 「まり・・・」
 「いっつもさ、そっから見てんじゃん?まりのいえ」

 気付かれていた
 あいの密かな営み

 「だいたい、まりの家を見てたって、なんのとくにもなんないよ」

 まりは大きく溜息を吐くとあいぼんの隣にどっかと座った

 「・・・・・ほら、つまんないじゃん」

 あいぼんと似た格好で、自分の家を見詰めるまり

 「・・・つまんなくないで?」
 「はぁ?」
 「だって、今、まりがきてくれたから」

 にぃっと悪戯な笑みを


 まりとこんな近くで話せるなんて思わなかった
 予想外の事で驚いていたが、その反面、嬉しくて仕方無いのだ
171 名前:らくえんの住人 〜豹・熊〜 投稿日:2003年06月07日(土)16時01分10秒
 「はっ・・・なに言ってんのさ・・・」

 吐き捨てるように、冷たく
 だけどあいぼんは笑みを絶やさなかった

 「だって、まりが来てくれたんやもん」

 これ以上の喜びは、無いと
 あいぼんの笑顔は語る


 こんな明るいうちから
 こんな眩しい太陽の下
 夢にまで見たまり
 確かに、隣に居る

 「これでわろてくれたら、あいぼん、しんでもえぇわ」

 ニコニコニコニコ、幼い、無邪気な笑みを

 「・・・・ばか?」
 「はい、ばかやで?」

 まりの皮肉も、冷笑も
 今のあいぼんには通用しなかった
172 名前:らくえんの住人 〜豹・熊〜 投稿日:2003年06月07日(土)16時05分11秒
 だけど、あいぼんの中は正直で
 幸せな分、心臓が痛くて痛くて
 まりを見る度、体が熱くなって仕方無い


 そんな痛みと熱に耐えられなくなって
 怪訝そうなまりの顔をじっと見詰め、すっくと立ち上がった

 「きょうのとこはかえるわ。」

 またね、まり、と小さく手を振ると
 あいは蜜壷をどっこいしょと持ち上げゆっくり歩き出した




 「・・・?」



 3歩歩いて、足首に巻き付く尻尾に気付いた
173 名前:らくえんの住人 〜豹・熊〜 投稿日:2003年06月07日(土)16時10分08秒
 「まり?」

 まりはじっと自分の家を見詰めながら
 顔色一つ変えずに

 「・・・もぅちょっと居てくれたって・・・いいじゃんか・・・・」

 それだけ言うと、まりは組んだ腕の中に顔を沈めた

 「・・・・はい!」

 あいぼんはまた、にぃっと笑って壷をそろそろと置き
 まりの隣に座り込んだ


 「・・・・」
 「・・・・」



 ただただ、沈黙


 風に弄ばれる、草の音しか聞こえない
174 名前:らくえんの住人 〜豹・熊〜 投稿日:2003年06月07日(土)16時15分57秒
 「・・・あんた、さ・・・」
 「はい」
 「ゆうちゃんや、さやかと・・・似た匂いがする・・・・」
 「はい」
 「あったかい・・・・匂い・・・」

 目を細ばせ、ほんの少しだけ、擦り寄った
 くすぐったいような感触に、少しだけ身をよじるあいぼん

 そのまま、規則的な寝息しか聞こえなくなった
 どんな理由か分からないが、まりはあいぼんを信用したらしい

 「・・・」

 あいぼんもほんの少しだけ、まりに擦り寄ると
 ゆっくり瞼を閉じた
175 名前:らくえんの住人 〜豹・熊〜 投稿日:2003年06月07日(土)16時17分52秒
  遠のく意識の中、あいぼんは思った


  例え、誰かの変わりに思われようと
  まりの傍に居てもいいのなら

  別にそのポジションでも構わない、と




 ほんの少しだけ、強い風が吹き、壷の中の蜜が波紋を打った
176 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年06月07日(土)16時19分49秒
はい、ついに登場あいぼんさんです。
ずっとずっと一人称とか悩んだんですが、そのまま『あいぼん』でお願いします(汗
そっちの方が分かりやすいかな?と思うんで・・・・


あああしかしやぐぼんはいいなぁ・・・・書きやすいし、萌ぇ(ry
177 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月07日(土)19時27分27秒
やぐぼん何気にいいっすね。やぐぼんといえば、去年の事ですが
矢「あいぼん」  加「まりちゃん」
のやりとりが萌ぇ(ry
178 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年06月18日(水)16時04分55秒
177> 名無しさん様。 有難う御座います
              密かにかなり推しなんで、そう言って頂くと本当嬉しいです
              あ〜・・・そんなやりとり随分萌ぇ(ry
179 名前:らくえん 〜雨の日〜 投稿日:2003年06月18日(水)17時22分38秒
      まきはひとみに言えない秘密が出来た



      『それ』が出来た時、怖くて怖くて眠れなかった









        ひとみと離れたく無いのに













           まきは初めて


































               運命を呪った
180 名前:らくえん 〜雨の日〜 投稿日:2003年06月18日(水)17時27分47秒
 「ぅわ・・・雨だぁ」

 楽園に雨は滅多に降らない
 たまに、曇り空が広がる事はあるけれども
 大抵は晴れた日が多い

 「まき、来てごらん?雨だよ〜」
 「ん〜?」

 ひとみはまきを手招きして呼び
 隣に座らせた


 窓の外は、ざんざん雨


 「ひとみのいえ・・・・雨もりしないよねぇ・・・?」
 「しないよぉ」

 まきは今、ひとみの家で寝泊りしている
 迷い込んできたなつみとあいに、自分の家を貸しているから

 「まきのいえのだいどこ・・・雨もりするんだよねぇ・・・」
 「あちゃあ・・・」

 おねぇちゃん達大丈夫かなぁ・・・?と、ひとみもまきも心配そうに窓の外を眺めた
181 名前:らくえん 〜雨の日〜 投稿日:2003年06月18日(水)17時33分06秒


 二人は暫く雨に見入っていた

 空から降り注ぐ雨粒は

 思ったより綺麗で

 外に遊びに行けない悲しさよりも

 神秘的な光景の感動の方が強かった



 「・・・まえ、雨ふったのいつ、だっけ?」 
 「おぼえてない」

 「きれいだね・・・」
 「そうだね・・・」

 まったりした空気が流れる
 まきはこの空気が一番好きだった
 ひとみとだけ醸し出せる
 この空気が大好きだった
182 名前:らくえん 〜雨の日〜 投稿日:2003年06月18日(水)17時38分25秒
 「・・・・・・・・ねぇ、ひとみ」
 「ん?」

 まきはゆっくりひとみの顔を見た

 「もし・・・もし、だよ?」
 「うん」

 まきは何度か『秘密』を告げようと今まで試みていた
 だけど、何かに邪魔されてしまったり
 結局言う勇気が無くて止めてしまったり

 だけど、今日は告げよう、と勇気を振り絞っていた

 幸い、今日はひとみと二人っきりだ

 邪魔なんて何処にも居ないし、無い

 まきはゆっくり、空気を吐いて、吸う


 「あのね・・・・まき・・・・ね」



  ―ズドンッ!!



 「ぅおっ!?」
 「キャアッ!!」



 まきの決死の告白は




 奇しくも雷鳴に邪魔されてしまった
183 名前:らくえん 〜雨の日〜 投稿日:2003年06月18日(水)17時40分50秒
 雷に合わせて、雨足がずっと強くなる

 窓際に居るまき達には、五月蝿いくらいに


 「・・・・ヤバイね」
 「・・・ね」


 ひとみはそっとまきの手を握ると、窓から遠ざかった
 震えるまきの手に、ひとみはなんだか切なくなった
184 名前:らくえん 〜雨の日〜 投稿日:2003年06月18日(水)17時45分43秒
 弱く燃える暖炉に木をくべ火を強くする

 「まことたち・・・だいじょうぶかなぁ?」

 奥森に居るまこと達
 きっと怖くて震えてるだろう、と

 「それを言うならかおりだって・・・」

 あんな大きな木の下
 かおりは何を感じているのだろう、と


 「・・・ねぇまき?」
 「なに?」
 「さっき・・・・なに、言おうとしてたの?」
 「え・・・・」

 ひとみの目はなんだか真剣で
 まきは離す事が出来なかった


 「えっと・・・ね」


 だけど、雷鳴に挫かれた勇気を戻すのは意外と難しい
 まきは言葉に詰まるばかりだった
185 名前:らくえん 〜雨の日〜 投稿日:2003年06月18日(水)17時49分17秒
 「・・・また、こんどじゃ・・・だめ?」

 まきの必死な顔に
 ひとみは苦笑を漏らす

 「ん・・・・わかった、まつ。」

 ひとみの優しい顔に
 まきはホッと息を吐く

 「ごめん・・・・ごめん、ね」
 「いいよ・・・・だいじょうぶ」
186 名前:らくえん 〜雨の日〜 投稿日:2003年06月18日(水)17時53分04秒


   まきは思った




   このまま、秘密を告げないでおこうか、と



   だって、ひとみがまだ優しいから





   だって、この関係が崩れたら、自分もオシマイだから







   ひとみが居なければ、自分は何処にも行けない







   ひとみだってきっと、そうだと思うから







   『今までの人』だって、そうだったから










      その時になって気付くんだ













          その存在の重さに





















   『だからまきは、その時が来るまで、ひとみにはないしょにしようと思うの』
187 名前:らくえん 〜雨の日〜 投稿日:2003年06月18日(水)17時56分09秒


  ひとみも思った



    この予感が外れてしまうよう





     最近のまきの様子からして






      きっときっと、酷い、残酷な、現実を持ってるんだ










     それを必死に必死に言おうとしてる











      自分が、それを聞いた時









     きっと発狂するだろう












       まりみたいになってしまうだろう















         怖いから、外れてしまうように、祈ろう





























  『おねがいカミサマ・・・・まきを・・・まきをつれて行かないで・・・・!』
188 名前:らくえん 〜雨の日〜 投稿日:2003年06月18日(水)18時00分51秒
 「まき・・・」
 「ん?」

 ひとみはヘヘッと笑うと、まきの唇を掠め取った

 「・・・ひとみ?」
 「・・・ごめん」

 ひとみの頬に、一筋二筋と、涙

 まきの頬にも、涙


 「へへ・・・」
 「えへへ・・・」


 何も可笑しくなんか無かった



 だけど、笑わなきゃイケナイような気がした




 だから二人は、弱々しく笑って

 ほんの少しだけキスをして


 暖炉の前、小さく


 冷たい雨音と、木の割れる音に包まれ


 丸まり、眠った





 今、この瞬間でも、離れないように、手を、繋いで。
189 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年06月18日(水)18時05分00秒
あわわ申し訳(汗
久々のよしごまなのに・・・痛いと言うか切ないと言うか・・・・

『秘密』はまだ秘密ですが、たぶん直ぐ気付いてしまわれると思います(爆
ピンポイント掠りまくりましたからね(w

よしごま幸せになってよ・・・と思ってももぅ遅い(泣
( ´Д`)<ひとみ・・・ごめんね?
(○´〜`)<・・・まき・・・
190 名前:らくえん 〜たいせつなひと〜 投稿日:2003年07月03日(木)16時11分57秒
   ひとみは気になって気になって仕方なかった



   だけど、誰にも聞けなくて








   ひとみの小さな胸はもやもやでいっぱい











     だからひとみは駆けた













     家の近く






















      寂しい家































        まりの家
191 名前:らくえん 〜たいせつなひと〜 投稿日:2003年07月03日(木)16時26分22秒
 まきが寝入った夜更け
 ひとみはコッソリ外に出た

 どうしても、どうしても聞きたい事があった


 「・・・ごめんね?」


 ひとみはそっと、振り返る
 まきが起きない事を少しだけ、祈った


 ゆっくりずんずん歩く丘の上
 そろそろ素早く下る丘の下


 真っ暗な家の中
 小さな蝋燭の灯火
 机につっぷしている、まり


 「まりっ」

 コンコン、っと窓を叩くと、まりは怪訝そうに起き上がり、見る

 「・・・何?」

 聞こえはしなかった
 だけど、口はそう動いていた

 「ちょっと」

 ひとみは手を上下させて『こいこい』とまりを誘い出す
 まりはグシャグシャと髪を掻き、立ち上がと、ゆっくり窓に向かって来た

 「・・・めいわく」

 窓を開けた途端、一言ざっくり
 ひとみは苦笑いするしかなかった
192 名前:らくえん 〜たいせつなひと〜 投稿日:2003年07月03日(木)16時32分25秒
 「あ・・・あのね、ひー、まりに聞きたいの」
 「・・・何を?」

 ひとみはキュッと口の端を結んだ
  これは聞いてもいいのだろうか
 ひとみの胸に罪悪感が渦巻く

 「・・・はやく言ってよ」

 まりは面倒くさそうに溜息を一つ

 「えっと・・・」

 知ってはいけない掟だから
 知ったらどんな怖い事が起きるか分からないから


 「・・・・お告げ?」


 ピンポイントを突くまりの言葉にひとみの身体は大きく竦んだ
 それこそ言いたい事が丸分かりになってしまうくらい
193 名前:らくえん 〜たいせつなひと〜 投稿日:2003年07月03日(木)16時38分23秒
 「・・・なんだぁ・・・ひとみのが先だったか」

 残念だね、なんて心にも無い事

 「まり・・・!」

 ひとみが食いかかろうとすると、まりが冷たく一瞥を

 「あーぁ、ズルイや。まりだって・・・早くいきたいのに・・・」

 頭の後ろで手を組んで
 遠い、雲の間に見え隠れする月を見上げる

 「・・・ひーじゃないもん!!」
194 名前:らくえん 〜たいせつなひと〜 投稿日:2003年07月03日(木)16時42分56秒
 ひとみはぎゅうっと手を握り、まりを睨んだ
 まりはまりで、冷たく、興味も何も無さそうに

 「じゃあ、誰?まき?」

 とか

 そんなまりの態度に、ひとみは激しい怒りを覚えた

 「まりのばか!!」

 だけど、その怒りの矛先をちゃんと向ける事は出来なかった
 ひとみはあまり、怒った事が無いから、怒り方を知らない

 「・・・どうでもいいけど、まきに『お告げ』が来て、なんでまりのトコに来るの」
 「それは・・・」

 大切な人を無くしたまりなら
 ひとみの気持ちを分かってくれるかもしれない
 だけど現実はそう甘く無く
 じゃなきゃひとみはこんなにイラつかなかった筈だから
195 名前:らくえん 〜たいせつなひと〜 投稿日:2003年07月03日(木)16時47分02秒
 「・・・なに、おなじ傷をもち合う仲になるんだから
 今のうちになめあいましょー、とでも言いにきたの?」

 だったら間に合ってるから帰って

 ひとみが言葉を返す間も無く

 まりの家の窓は硬く閉ざされてしまった



 「だって・・・・・どうすればいぃかわかんないじゃんかぁあ・・・!!」


 ダンッと窓を力無く

 「ひー・・・・まきが一番だいじなんだ・・・」

 失いたくない大事な存在

 消えてしまう重さは

 きっと、まりが知ってる


 だからひとみはまりの家に行ったのに


 本当に、そりゃ無いよ、と



 ひとみは悔しさに歯を食いしばるしか無かった
196 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年07月03日(木)16時49分57秒
はい、凄く短いですが今回は此処までです。
なんだか本当、アイタタタ・・・なもんしか書かなくて申し訳です(汗

なんとか最初目指した路線に戻したいとは思うんですがねぇ・・・
197 名前:short 投稿日:2003年07月03日(木)17時01分41秒
ぅわーい、ほぼリアルタイム!(w

ポンさんの小説はどんなでも好きなんでがんがってくらさい!
198 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年07月16日(水)17時54分19秒
197> Short様。 あら、リアルタイムで見られてましたか(苦笑
              どんなでも好き、と言って頂けると本当在り難いです、頑張ります。
199 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月16日(水)18時09分01秒
 「また・・・雨・・・」

 最近のらくえん内では良く雨が降る
 誰かに『お告げ』が舞い降りたから
 まるで、島が泣くかのように
 幾日も、幾日も雨が降る

 「今日も・・・来ない」

 まりは窓の縁に手をかけ溜め息を吐いた
 雨なんか降ってるから
 雨のせいで
 ようやく見付けた懐かしい匂いが

 来ないから
 逢えないから
 笑えないから
 寂しいから

 「ばか・・・」

 今どうしているのだろう

 蜜壷を重そうに嬉しそうに抱えて
 えっちらおっちら歩いてやってくる

 あの不思議と愛しい熊は
200 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月16日(水)18時17分02秒
 「・・・?」

 想いが通じたのかどうかは分からない
 だけど、丘の上、木の下、見慣れた頭が

 「何やってんのよ・・・」

 重そうに蜜壷を抱えて
 必死にえっちらおっちら

 「ったく」

 まりはほんの少し迷惑そうに
 ほんの少し嬉しそうに
 窓をに爪立て、カリッと一掻きすると、ドアに向かった

 こんな雨に濡れては大事な蜜も薄くなるだろう
 こんな雨に濡れては大事な熊が風邪をひいてしまうだろう

 いそいそと飛び出したドアの外
 だけどまりの目に、信じられない光景が



 「・・・・にん、げん・・・?」


 蓮の葉を雨傘のように差し向け
 あいぼんを雨から救うように

 なつみが立っていた

 いつものように、柔らかく笑って
201 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月16日(水)18時25分22秒
 「あ、まり!」

 まりの姿を見付け、嬉しそうに笑うあいぼん
 両手を蜜壷に塞がれ手は振れないものの、その顔は、幸せそのものだった

 「・・・っ、あいぼん!!その人間からはなれないさいよ!!」
 「え・・・?」

 いきなり敵視されたなつみは驚いてあいぼんから一歩離れる

 「ま、まり・・・?」

 突然のご立腹なまりに怯えるあいぼん
 それを察したのか、まりはあいぼんに自分の元に来るように『こいこい』とジェスチャァを
 あいぼんは蜜壷を抱え、ゆっくり急いでまりの元に駆け寄った

 「あいぼん、へんな事されなかった?その前に、なんで人間といっしょにいるの!?」
 「あのー・・・」
 「人間はどっかいってよ!!」

 ギッとなつみを睨むまり
 それなのになつみは、空気のような微笑を絶やさず、まりに近づいて来る

 「ん〜、そんなに睨まなくてもいぃでしょや?
 なっち、悪い人じゃないべさ」

 うん、そうだよ?、とあいぼんも小さく頷く
 だけどまりは依然なつみを睨んだまま
202 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月16日(水)18時30分41秒
 「人間のことばなんてしんじられない」

 まりの刺々しい言葉になつみは困り顔

 「弱ったなぁ・・・なっちね?その仔が雨に濡れて可哀想だったから
 雨よけになっててあげてただけだべさ」

 あいぼんもまた小さく頷く

 「・・・・・」

 態度を崩さないまりに、なつみはやれやれ、と肩を竦めるとクルリ、と踵を返した

 「あいぼん?なっち帰るべさ」
 「え〜?」

 せっかくなんだけどねぇ、と残念そうに首を振るなつみ

 「あいぼんの自慢のまりに嫌われちゃったみたいだからね」

 これじゃあまるで自分が悪者みたいだ

 なんだかまりは居た堪れなくなって来た
203 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月16日(水)18時34分52秒
 「まりぃ・・・」

 あいぼんが寂しそうにまりを見詰める

 「そんな目で見ないでよ・・・」

 まりは困って頭を掻いた


 どうすればいいんだろう


 そんな事ばかり考えた

 あいぼんを出来れば泣かせたくないし、困らせたくない

 と言うより、嫌われたくない


 まりの頭にグルグルグルグル、葛藤が飛び交う


 「・・・ちょっと!」

 
 「ほぇ?」


 出た結論は


 「雨、上がるまでさ・・・うちにいなよ」
 「まり!!」


 やっぱりあいぼん中心で
204 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月16日(水)18時38分05秒
 「あいぼん、そこの人間にタオルだしてやって」
 「はーい」

 まりは小さく溜め息を吐いた

 どうしてこうなってしまったんだろう

 そりゃぁあいぼんに嫌われたくないから、自分の判断で入れたんだけど・・・


 ゆうこやさやかが居なくなってから
 まりはあいぼん以外絶対家の中に誰も入れなかった、入れたくなかった

 だけど、どうして今、人間がこの家に居るのだろう

 「アイツといっしょにいると変な事ばっかだ・・・」

 まりは頭を抱えて座り込んだ
205 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月16日(水)18時43分31秒
 「まり?あたまいたいん?」

 あいぼんが心配そうに駆け寄る

 「な・・・なんでもないから」

 まりはあいに心配をかけまいと、無理矢理ニッコリ笑った

 「そ・・・そぅ?」

 眉を顰めるあいぼんの腕に、まりの尻尾が巻き付く
 近くに居てよ、と言う、まりの合図だ

 あいぼんはスッとまりの隣に座ると申し訳無さそうに口を開いた

 「あのひとな・・・?ほんと、わるいひとやないねん・・・」
 「・・・うん」

 まりは膝を抱え、目を伏せ、あいぼんの言葉に耳を傾けた 
206 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月16日(水)18時50分30秒
 「あいぼんがな?あめふってこまってたら、あのひときて・・・
 いっしょにかえったげるていぅたんねん・・・
 だからたぶん・・・わるいひとやないと・・・」
 「そっか・・・・」

 あいぼんがそう感じるんだ
 そうかも知れない

 まりはチラッと扉の近く、居場所無さそうにジッとしているなつみを見た
 それから、あいぼんを

 「・・・しんじれる?」
 「うん」

 まりは、あいぼんの腕に絡んだ尻尾そのままに
 なつみの元、近寄った

 「・・・ねぇ、そんなトコいられてもこまるし、
 火のトコいきなよ・・・」

 ぶっきらぼうでもなんでも
 そんなほんのちょっとしたまりの心遣いが
 あいぼんにはとてつもなく嬉しくて
 思わずまりに抱きついた

 「・・・言っとくけど、あいぼんのためだからね」

 その言葉通りの顔に
 なつみはクスッと笑い、まりの頭を撫でた

 「ありがとぅね」

 言われ慣れないお礼の言葉に
 まりは思わず顔を伏せた 
207 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年07月16日(水)18時51分30秒
なちまり編、もう少し続きますが今日はココまでです

あいぼんさんに気持ちが左右されまくりな矢口さんが愛しい。
208 名前:まめ大福 投稿日:2003年07月17日(木)16時53分21秒
お久しぶりです。
なんだかやぐぼん風味(笑
まりがめっちや可愛い☆
これからも読ませて頂くので、がんがって下さい。
209 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年07月26日(土)14時41分28秒
208> まめ大福様。 どうも、お久し振りです
             えぇまぁはい。趣味丸出しで(w
             まり可愛いですか?それは在り難い♪
             頑張ります!
210 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月27日(日)10時37分17秒
 優しく揺れる炎の短い影に
 照らされ揺れる三つの影

 「・・・こんなトコでも、雨降るんだね」

 いつも晴れていたから、驚いたと
 なつみはいつものあの笑みを絶やさず窓の外を見た

 「・・・誰かに『お告げ』が下ったから・・・」

 まりに頼るように眠るあいぼんを起こさないようにまりも窓の外を見る


 こんなに雨が降るのはどれくらいぶりだっただろう
 ゆうこが居なくなってから、随分経った

 「ゆうちゃんときは・・・・もっとひどい雨だった」
 「ゆうちゃん?」

 まりはグッと口を閉ざした
 こんな人間に話す事でも無い

 だけど口が話したがってる

 なつみが
 自分の重みを一緒にうんしょ、と持ち上げてくれそうな気がして

  『わるいひとやないねん』

 あいぼんの言葉がそれに拍車をかける

 「・・・まりの・・・大事なひとだったの」
 「うん・・・」

 出来れば聞き流してくれればいいと思った


 この雨のように
211 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月27日(日)10時46分54秒
 「まり・・・まりさ、小さい、じゃん?
 だからさ・・・みんなに・・・っつってもさやかしか言わなかったけど
 『ヒョウじゃない、猫だ』ってからかわれてたの
 だけどね・・・ゆうちゃんだけは、『まりは立派な豹やないの!』って言ってくれた

 まり・・・まり、そんなゆうちゃんが大好きだった・・・」

 まりは一瞬だけゆうこの笑顔を思い出した
 なんだか胸がギュッと締め付けられて、涙が出そうになった

 「さやかもね・・・いっつもヘラヘラしてて、なんか情けなくて
 でもシッカリ真っ直ぐな人で・・・
 ゆうちゃんと同じくらい・・・大好きだったの」

 まりはまた、さやかの笑顔を一瞬だけ思い出した
 切なくて切なくて、涙が一筋、零れた

 「その二人は今・・・・・・居ない、の?」

 なつみの何か不安げな問いに、まりはゆっくり頷いた

 「ふたりとも・・・『お告げ』のせいで・・・」

 まりはギュッと拳を握った
 その拳に、なつみの手が優しく重なる

 「・・・にんげん・・・」
 「せめて『なっち』って呼んで欲しいべさ」

 苦笑して、それでもその手は柔らかくまりの手を包み込んだ 
212 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月27日(日)12時04分06秒
 「その『お告げ』ってのが下った人って・・・どんなんなっちゃうの?」
 「・・・消える」

 その言葉通り

 消えてしまう

 その存在が
 このらくえんから

 まりはキツく奥歯を噛んだ

 「いきなり・・・ってワケじゃないけど・・・でも急に
 下る人もまちまちで・・・今回は・・・」

 まりはゆっくりひとみの必死な顔を思い出した
 そして自分を重ね合わせる
 まりはあの顔を知っていた
 大事な人を無くす事に対する恐怖を抱いた顔

 「あのコが・・・」

 ふにゃっと笑う、いつもブルブルとひとみの後ろで怯えてる
 あの兎が

 でも兎はもぅ覚悟は決まっているのだろう
 だから今、ひとみから離れたがらないのかもしれない



 さやかを失った、その日から




 あのコはただそれだけに、怯えているのだから
213 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月27日(日)12時11分04秒
 「それは・・・なっちにも下る、のかな?」
 「わかんない・・・」

 なつみは人間だ
 招かれざる客だ

 「にんげんがココに来たの・・・初めてだし」

 かおりがいくら人間の形をしてたとはいえ
 あの中には冷たいオイルしか流れていないのだから

 「んんぅ・・・」

 あいぼんが身動ぎして吐息を漏らす
 まりはそっとその体に尻尾を巻きつける

 「に・・・なっちは、たいせつな人って・・・いる?」
 「なんだべさイキナリ」

 なつみは苦笑して、どこか遠くを見詰めた

 「いるよ・・・当たり前でしょや?
 誰でも、必ず一人くらい、大切な人が存在するんだから」

 でもなっちの大切な人は、ココには居ないけどね、と
 なつみは悲しそうにまりを見た

 「出方、知らないしね」

 まりはなつみがどうやってココに来たのか知らない
 なつみだけじゃない
 自分も
 あいぼんも
 ひとみもまきも

 みんなみんな


 どうしてココに居るのか





 解らない
214 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月27日(日)12時16分08秒
 「まりもね・・・今は、コイツが・・・大切。」

 いつしかどちらかが先に消えなくてはならなくても
 今は、傍に居たいという気持ち

 「うん・・・なんか、分かるよ」

 愛らしい、幼い熊
 きっと、まりを分かってやれるのは今の所、この熊だけだろう

 「まえはね・・・『お告げ』がいつ下っても、悲しくないっておもってた
 だけど・・・・」

 自分が急に居なくなったら
 あいぼんが急に居なくなってしまったら

 泣くだろうか


 自分は多分、泣くだろう



 「・・・切ないなぁ」

 なつみの溢した言葉に小さく頷き
 外の雨を恨めしく思った
215 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月27日(日)12時34分33秒
 「あぁ、雨、止んだみたいだね」

 まだ小雨っぽいけど、と言いながらなつみは立ち上がる

 「・・・かえる?」
 「うん」
 「そっか」

 まりはゆっくりあいぼんを床に寝かすと、なつみと一緒にドアまで向かう

 「ねぇ」
 「ん?」

 どうしてだろうか
 まりの心は酷く安らいでいた
 どうしてだろうか
 まりの心は酷く穏やかだった

 「また・・・きてね?」
 「うんっ」

 なつみがゆっくり小指を差し出す
 まりもそれに習って小指を絡める

 「指きりげんまん、ね」

 なつみがニッコリ優しく微笑みかけると
 まりもゆっくり柔らかく微笑んだ

 「うん、まりは笑ってたほうが可愛いべさ」

 そんな事を残してなつみは去って行った


 「カワイイ・・・」

 まりの頬は少しだけ赤くなった

 「ゆうちゃん以外に・・・まりをカワイイなんて言った人・・・初めて」

 まりは嬉しくて、尻尾をピンと立て、あいぼんの元に歩み寄った
216 名前:らくえん 〜春雨〜 投稿日:2003年07月27日(日)12時39分12秒


 「ん・・・まり?」

 あいぼんは自分に抱きつくように眠っているまりを見下ろした

 「・・・なんか、えぇことあったみたいやなぁ」

 あいぼんは自分に絡まる尻尾を突付いて満足そうに笑んだ


 「やっぱなつみは・・・わるいひとやなかった」


 きっとこの人はまりを救ってくれる
 直感で分かった


 自分ではどうしようも無い事をなつみはやってのけてくれる


 あいぼんの確信は確かだったようだ



 「おやすみ、まり」


 あいぼんはまりを包むようにまた寝転んだ


 見詰めたまりは




 安心しきったように





 優しく眠りこけていた
217 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年07月27日(日)12時43分44秒
あい、やぐぼんなち?なちまりぼん?でした。
ちょっとね、読み返したらなんだかまりが悪い人みたいな感じが否めなくて
本当はちょっと違うよ、みたいな風に感じてもらえたら幸いです

なっちの存在はズバリ『癒し』
子供じゃ出来ない事が出来る『大人』

だからみんな『なつみ』を好きになるんです

まりもあいぼんも然り。

特にまりは、なつみの影響で変わっていけるかもしれません
もちろんあいぼんの影響も?
218 名前:MIRAI 投稿日:2003年08月05日(火)09時52分16秒
はじめまして。
今日、初めて読ませていただきました。
すっごいおもしろいです!
私は、よしごまが好きなので特に『兎』が気になります。
でも、まきにお告げが・・・?
楽しみにしているので頑張って下さい!
219 名前:きゃら 投稿日:2003年08月05日(火)11時50分11秒
どもー。
始まった当初から読ませてもらってたくせにこれが初レスでつ(汗
ちなみに森板(やぐぼん)の方にもレスさせてもらってる、あのきゃらです(w

(●´ー`)たしかに癒しキャラだよなぁ〜・・・って読みながら納得してました。
てかぼんさん、直感でわかるなんて・・あんたすごいYO!


(〜^◇^)のちょっと意地張ってる感じがツボにきました(w
素直になれない・・っていうか。オイラは悪い人とは感じなかったッスよ。
むしろ・・・そんな(-^◇^-)が 大 好 き で つ 。
220 名前:名無し 投稿日:2003年08月17日(日)17時22分10秒
待ってるよ〜。
221 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月20日(水)11時02分32秒
今さならがら、リク、平気ですかね?
やぐぼんで、マリがほかの誰かと仲良くしてるあいぼんに嫉妬しちゃう話が
見たいです
222 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年08月20日(水)13時41分08秒
218> MIRAI様。 初めまして よしごま好きですか・・・うぅ
              スイマセン『兎』・・・『兎』どうしよう(泣 みたいな状態なんで
              頑張りますんで良かったらまた目を通してやって下さい
219> きゃら様。 分かりますよ〜(w
            あいぼんさんのアレはきっと動物的第六感です(適当
            自分もあんなヒネくれてるまりが好きです(w
220> 名無し様。 ああああ鈍亀ですいません、いや、すいますいま(ry
221> 名無しさん様。 えぇ、全然構いませんよ(ニコ
              じゃあ豹・熊でマリがほかの誰かと仲良くしてるあいぼんに嫉妬しちゃう、と
              了解しました〜
223 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003年08月20日(水)13時47分13秒
    その日のぞみは汗にまみれ、涙を溢し起き上がった




    そして何度も何度も自分の頭をポカポカ叩いた










    『やっぱりのんはばかれす』













     のぞみは鼻水を啜って起き上がると、丘を目指した

















      『なまぬるい空気につかりすぎたのれす』

























        かおりの待つ

























              あの木の下あの丘に
224 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003年08月20日(水)13時53分25秒
 「あ、ののちゃーん!」

 「あいぼんっ」


 丘へ急いでいたのに
 じゃないとまた忘れちゃうのに

 のぞみはぷぅっと頬を膨らませながら振り返った

 「えへへ、おはよぉ」
 「おはよー」

 最近のあいぼんは幸せそうだ
 のぞみはそれが何でか良く分からなかった

 前に一度聞いた時
 『ののもだいじなひとができればわかる』
 とはぐらかされてしまった

 その大事な人が誰だか
 どうして大事なのか
 それだけ聞きたかったのに

 頭の足らないのぞみには上手くあいぼんに説明出来なかった
225 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003年08月20日(水)14時01分07秒
 「どうしたん?そんないそいで」
 「んー、のんはかおちゃんのトコにいくんれすよ」

 ピッと指した指の先
 かおりの居る大きな木

 「すっきやねぇのんも」

 飽きないで毎日毎日

 「あいぼんにはわかんねーれすよ」

 のぞみの態度にムッと顔を歪ませるあいぼん

 「あーっそ」

 あいぼんは呆れたようにフーッとワザとらしく溜め息を吐くと
 抱えていた蜜壷を重そうによいしょと降ろした

 「そうれすよ」

 のぞみもそれに習ってあいぼんから少し距離を取って座る

 そして目を合わすと、クスッと笑い合った
226 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003年08月20日(水)14時07分16秒
 のぞみとあいぼんは仲が悪いわけではない
 むしろ、その逆で

 同時期にらくえん『入り』した二人は

 気持ち悪いくらい仲が良かった


 「まったく・・・かおりのドコがえぇねん?まりのほーがよっぽ・・・」

 あいぼんはしまった!と口を手で押さえた
 今までまりと仲が良い事をのぞみには隠してきたので慌てたのだ

 「ふぅ〜ん・・・?」

 その様子を見たのぞみは悪戯げにニタニタ笑った

 「そっかぁ・・・あいぼんのだいじなひとって・・・」

 本当に意外そうに、のぞみはあいぼんを見た

 「そそ、そんなこと・・・!」
 「そんなこと?」

 否定したかった
 だけど、まりが大事なのは本当で
 まりの色んな表情が浮かんできて
 逆に顔が真っ赤に染まって
 その事実を浮き彫りにしていた

 「ちぇー・・・」

 のぞみはそんなあいぼんの様子が可笑しくて可笑しくて
 クスクス笑みを溢し続けた
227 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003年08月20日(水)14時14分54秒
 「なんやんねんのの!わらわんたってえぇやん!」

 あいぼんはムキになってのぞみに噛み付いた

 「へへへへっ、あいぼんがおこったのれす」
 「おこってへん!」
 「もー、ムキにならなくたっていーじゃねーれすかぁ」

 まりが好きなんでしょ?

 のぞみの確信めいた問いに、あいぼんは耳まで赤くなる

 「あいぼんがかーわーいーいー」
 「・・・・・」

 こうなった以上もう閉口するしかない
 あいぼんは真っ赤な顔を俯かせて黙り込んでしまった

 「なんでそんなあかくなっちまうんれすか?」

 のぞみはゆっくり丘を見た

 「のんはへーきでかおちゃんに『すき』っていえるれすよ?」

 そしてきっとかおりは優しい声で『ありがとう』と言ってくれるのだろう
 のぞみは嬉しそうにてへてへと照れ笑いをした
228 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003年08月20日(水)14時21分04秒
 「ののの『スキ』とあいぼんの『スキ』はきっとちがうんだよ」

 あいぼんは真っ赤な耳でのぞみに反論した

 「ちがう・・・『スキ』?」

 のぞみの好きとは価値が違う

 自分は本当に本当にまりが『スキ』

 思い起こすだけでこんなにもなってしまう自分がいる

 てへてへ笑うだけののぞみとは違う

 「そんなの・・・わかんねーれすよ」

 のぞみは急にあいぼんを遠く感じた
 今までずっと同じだと、同列だと感じていたのに
 一緒に歩いてたのに急に走り出したように

 まりを『スキ』なあいぼん

 かおりを『スキ』なのぞみ


 何が違うのだろう


 疎外感に苛まれて


 のぞみは急に一人ぼっちになった気がした
229 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003年08月20日(水)14時23分35秒
はい、毎度毎度短くて申し訳(凹
なんとか飼育の更新に集中したいんですがちょっと身の回りがゴタゴタし始めてて・・・
世間は夏休みなのに全く休めない自分って一体・・・・
230 名前:名無し 投稿日:2003年08月30日(土)10時01分34秒
頑張って下さい!
231 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003/09/10(水) 16:03
230> 名無し様。 頑張ります。本当毎回亀で(ry
232 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003/09/10(水) 16:14
 「ののは、かおりのドコがすきやねん?」
 「えっとぉ・・・」


 「やさしいのれす」

 のぞみは一つ、指を折った

 「のんのあたまをなでてくれるのれす」

 二つ

 「ぎこちねーけど、わらってくれるのれす」

 三つ

 「むかしばなしをイッパイしれくれるのれす」

 四つ

 「のんのことを、すきでいてくれるのれす」

 五つ


 「・・・そんだけ?」
 「もっとイッパイあるとおもわれるけど、のんのゆびがたらないのれす」
 「そんなんゆびつこわんたってえぇやん」

 あいぼんは呆れてフーっと溜め息を吐いた


 フと、その仕草が、まりみたいだな、と

 一人でほくそ笑んでみたりした
233 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003/09/10(水) 16:20
 「あいぼんはなぁ・・・」


 「まりのえがおがすき」

 あいぼんは足場の草をプチッと抜いた

 「まりのからまってくる、しっぽがすき」

 また一つ

 「あいぼんにだけあまえてくるのが、なんやうれしい」

 また、一つ

 「あいぼんだけ、まりのいえにはいれんのが、うれしい」

 ブチブチッと、ちょっと多めに

 「あいぼんがかえるとき、みえなくなるまでみおくってくれんのが
 すっごいうれしい!」

 ブチブチブチ・・・
 何本も何本も雑草が抜かれる

 「なによりも、まりがあいぼんをみてくれるめがすっきやねん」

 プッチン
 1番長い雑草を抜いて、あいぼんは息を吸った


 「・・・それだけれすか?」
 「もっとイッパイあんねんけどな、くさがのぉなってしもてん」

 あいぼんの足場は丸裸

 「じゃあ、しょーがねーのれす」
234 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003/09/10(水) 16:27
 「でも、あいぼんもまだまだれすね」
 「なにがやねん」
 「かおちゃんは、のんがねるとずーっとひざまくらしてくれるのれす」
 「そんなん!あいぼんかてまりがずーっとしっぽからめてくれんもん!」
 「かおちゃんはだれよりものんにやさしいのれす!」
 「まりはあいぼんにココロひらいてくれたで!」
 「かおちゃんはいっつものんにだけなんでもおそえてきれるのれす!!」
 「まりだって!なつみがきたときだってあいぼんのために
 しんようしてくれたで!ココロ、ひらいたで!!」

 なつみ、と言う単語にのぞみが反応する

 「・・・ちょっと待つのれす、あいぼん」
 「なんや?」
 「・・・『なつみ』って・・・だれれすか」

 何を言ってるんだ?
 あいぼんは首を傾げた

 「なつみは・・・さいきんココにきた・・・人間、やで?」
 「にんげん・・・・・?」
235 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003/09/10(水) 16:33
 しん、と沈黙が出来る

 のぞみはなつみの名を聞いた途端、口に手を当て押し黙った
 あいぼんも、見た事の無いのぞみの表情に、言葉が詰まった


 「・・・・オカシイのれす・・・」

 のぞみはボソッと呟いた

 「オカシイ・・・オカシイのれす」
 「の・・・のの?」

 ブツブツ、のぞみは何かを発している
 あいぼんはそんなのぞみが怖くなった


 「オカシイのれす・・・のののプログラムは完璧なハズれす・・・
 『人間』が発生するなんて・・・・バグれしょうか・・・?
 それとも・・・・いや、この想定は有り得ないのれす・・・
 オカシイのれす・・・一刻も早くかおちゃんのトコに急ぐ必要があるのれす
 もしかして・・・・もしかして・・・・・・」


 のぞみはバッと立ち上がった

 「あいぼん」
 のぞみはあいぼんを見詰め、ニコっと笑った

 「わりーのれす、のん、きゅうなようじができたのれす。」

 あいぼんは目をパチクリさせ、小さく何度も頷いた

 「ホント、わりーのれす。こんどまたあそぶのれす」
236 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003/09/10(水) 16:37
 ののが足早にかおりの居る木の下に急ぐのを見届けると
 あいぼんは蜜壷を抱え、急いでまりの元に急いだ

 「なんやねん・・・オカシイのはののやで・・・ほんっとなんやねんな・・・」


 あいぼんはなんだか不安になった
 何かがオカシイ気がした

 まりの笑顔だけが、浮かんでは消えた


 今のあいぼんには、まりしか居なかった


 「なんやねんな・・・・こわくてこわくて・・・モヤモヤする・・・」


 あいぼんはちょっとだけ、後ろを振り返った


 曇天がかおりの居る木の上から立ち込め始め


 あいぼんの恐怖心を更に駆り立てた
237 名前:らくえん 〜秘密〜 投稿日:2003/09/10(水) 16:45


 「かおちゃん・・・かおちゃん!」

 のぞみは遠くを見詰めるかおりの肩を揺すった


 「かおちゃん!フリーズしてねーで再起動するのれす!!」


 かおりの頭をバシバシ叩く


 「非常事態になるやもなんれす!!起きるれす!!起きるれす!!」


 フーーッン、と電源の入るような音がする

 かおりの瞳に、明かりが燈る

 「あ、のんちゃん、来てたの?」


 「かおちゃん、急いで『交信』を行うんれすよ
 バグが発生したかもしれないんれす。緊急れすよ」

 
 のぞみの言葉に、かおりは一度目を伏せると遠くを見詰めだした
 
 その瞳は澱み、キュイ、キュイッと機械的な音を出し始める


 「・・・サー、コネクト行います・・・10秒・・・・5・・・1
 繋がりました。」


 「『希美』にコンタクトを起こしてくらさい」



 のぞみは不安そうな顔で空を見上げた



 曇天が怪しくらくえんを包む


 「・・・誰も、『希美』の邪魔はさせないれすよ・・・」
238 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003/09/10(水) 16:47
特に何も突っ込まないで頂きたい(死

ほのぼのを目指したんですが、ちょっと路線変更の予感です。

でも、書ける時はちゃんと・・・ほのぼのにしたい、したいなぁ・・・
239 名前:MIRAI 投稿日:2003/09/14(日) 23:48
あ!更新されてる〜!(今更・・・?)
まったり、頑張って下さい。
240 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 02:27

241 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/26(金) 20:30
この話、ほんとに大好き!待ってるやよ〜。
あ・・・、sageた方がいいのかな?(一応、sageてみる・・・)
242 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/26(日) 18:39
頑張って!!
243 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003/11/14(金) 23:44
239> MIRAI様。まったり過ぎてスイマスイマセン(汗
241> 名無し読者様。 大好きとまで言って頂けてるのにこんな鈍亀で…本当申し訳無いです…
242> 名無し読者様。 あああああ頑張ります本当。スイマセンスイマセン(ヒー


さて連絡が遅れましたが只今自分、就職活動専念の為、PCに触る時間なんて皆無に等しい状態です
だけど書きたいし、サイトなんてまだまだ作れないし……って事でメルマガ始めました。
http://merumo.ne.jp/i/00178116.html
多分これで飛べるかと
飛べ無かったら森板の自分のスレのURLかメルモにて探して下さい
まぁ差ほど自分の文に興味のある方などあまり居ないと思いますが…(苦笑

携帯から失礼。
ポンコツろぼっとでした
244 名前:名無し読者・・・ 投稿日:2003/12/16(火) 22:46
メルマガ登録させていただきました!
配信されるのが、いつも楽しみです。
メルマガ共々まったり楽しみにしてますね☆
就職活動頑張って下さい!
(って、私もあと1年で高校卒業だから進路考えなきゃ・・・)
245 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003/12/19(金) 12:11
244> 名無し読者・・・様。 登録有難う御座います
                マターリマターリ待っててやって下さい
246 名前:らくえん 〜希美ののぞみ 投稿日:2003/12/19(金) 12:20
 『何の用?』

 かおりの口からノイズ混じりの声が響く

 「希美!バグれすか!?」

 のぞみは噛み付くように其に話し掛けた

 『バグじゃないよ』
 「は!?」

 冷静な口調

 「ど、どういう事れす!?」

 のぞみは焦って焦って仕方なかった

 『必要無いの。もぅ』

 のぞみと同じ声
 だけどのぞみよりハッキリした口調

 「何が必要無いんれすか!?」

 射す様に冷たい、抑揚の無い声

 『もうね、要らないの』

 のぞみの顔がサーッと青くなる

 「どういう・・・意味、れすか」

 膝から崩れ落ち、かおりに縋る

 「ねぇ・・・・・どう言う意味れすか!?」



 泣きそうに切ない叫び声に答えるように








 雨が 
247 名前:らくえん 〜希美ののぞみ 投稿日:2003/12/19(金) 12:29
 『あのね・・・・いっくらやったって、のんに適合するのは現れないんだって』

  『あのね、無駄な努力だったんだよ』

   『だからね、もぅ皆を解放してあげようよ?』


 畳み掛けるような冷静なのぞみの言葉

 「否れす・・・・もっと向上したプログラミングをして!!適合者を探せばいいのれす!!
 そうすれば!!希美は・・・・希美は助かるんれすよ!?」

 のぞみは必死に必死に噛み付いた
 まるで小さな子供が母親にオモチャを強請るように

 「ののと希美のプログラムは完璧れす!!諦めるんじゃんねーれす!!」

 かおりの肩を掴んでガクガク揺らす

 「フザけんじゃねーれす!!今までの苦労はなんだったんれすか!?」

 感情的になるのぞみに対して希美は至って冷静



 『しょうがないんだよ、のぞみ』



 その奥に秘める絶望色



 のぞみの肌全体が逆立った
248 名前:らくえん 〜希美ののぞみ 投稿日:2003/12/19(金) 12:35
 ザアア―!!


 雨脚がいつもより激しい


 「・・・・・島が泣いてるれす」
 『・・・のぞみ』

 ―ドン! ゴロゴロゴロゴロ・・・・・

 雷までも鳴り始めている


 「希美を想って泣くんれす・・・・」


 ぐじっと自分の涙も乱暴に拭う


 「・・・今度が、最後の希望になるやもなんれす・・・・」


 ギュッと握った拳


 力無く、かおりに叩き付ける



 「サヨナラ・・・・は、嫌い、れす」


 『だったら・・・・』


 「ののは・・・・諦めねーれす・・・・・最後の最後まで!!」


 『もぅ・・・無理だよ』




 雨ばかりが







 のぞみを責め立てる
249 名前:らくえん 〜希美ののぞみ 投稿日:2003/12/19(金) 12:41
 「何が無理れすかどれが無理れすか!?」

 「イコールゼロなんれす!!」

 「マイナスもプラスも必要無い!!」


 「イコールゼロれす希美っ!!!」


  ―ドドンッ!!


 森の方に、のぞみの怒りに似た雷鳴が響いた






             「本当にそうカナ?」



 「お前は・・・!!」


 『なちゅみ・・・』




 のぞみのプログラムに存在しない



 表せない数値 『X』




 「立ち聞きしちゃ悪いって思ったんだけどね」









 希美が放った最後の望み













 「なつみ・・・・」












 らくえん唯一の『X』
















    なつみ
250 名前:らくえん 〜希美ののぞみ 投稿日:2003/12/19(金) 12:56
 「かおり!強制シャットダウンれす!!」

 「しなくていいべさかおり」

 「な・・・!!」


 なつみはむぅっと唇を尖らせ、のぞみを睨み付けた


 「お友達を困らせちゃダメだべさ」


 つつっと滑るように

 ゆっくりのぞみに近付く


 「お・・・お前には関係ねーれす!!」

 「関係あるしょや!!」


 ビリッと空気が震えた



 「なんだか良く分からないけどねぇ!ワガママばーっか言ってぇ!
 もぅちょっと人の気持ちも考えるべさ!!」


  ―ドドッ!! ガラガラガラ!!


 近くに落雷


 否定ばかりされるのぞみは思い切りなつみに体当たりした



 「お前に・・・・お前に何が分かるれす!!」



 なつみはそのままのぞみを抱き留めた








 「なんも・・・なんも分かんないべ・・・・だから・・・・一緒に考えるっしょ」




 「は?」 




 キョトン、と見上げる




 なつみは優しく微笑むばかり
251 名前:らくえん 〜希美ののぞみ 投稿日:2003/12/19(金) 13:04
 「か・・・考える必要なんて・・・無い!!皆無だ!!
 離せ人間!!離せ離せ離せ!!」


 ぐるぐる暴れるのぞみをなつみはシッカリ離さない


   「『人間』じゃない。なっちはなっちだ」



 「まり・・・!?」



 なつみの腕の向こう


 孤独な豹 悪戯好きな熊


 「なつみ・・・・大丈夫?」

 「ん〜?」


 心配そうに近寄る二匹


 のぞみは必死に必死に睨みつける










 「なんもだ。心配無いしょや」












 だけどなつみは絶やさず微笑み続け




















 何時の間にか雨はあがっていた
252 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2003/12/19(金) 13:07
少ないですが久々に更新
自分でもだんだん良く分からない方向に向かってますが・・・(汗

面接結果がまだ来ません・・・・ハァ・・・・駄目だったのかなぁ・・・・(不安


さっさと決まって欲しいです本当
253 名前:つみ 投稿日:2003/12/19(金) 18:35
ほう・・・『希美』と『のぞみ』か・・・
謎がまだわかりませんね・・・この二つのノゾミとこの世界とは何かの関係が
あるのでしょうね〜・・
次回もまってます!
254 名前:MIRAI 投稿日:2003/12/21(日) 16:39
おぅ〜!うれすぃ〜、更新されてる!!
「希美」と「のぞみ」・・・。なんか、すごいですね・・・。難しい(笑)
でも、個人的には『よしごま』が気になってみたり(爆)
これからも、頑張って下さい☆
255 名前:名無し読者・・・ 投稿日:2004/01/02(金) 08:58
あけましておめでとうございます。
今年も、頑張って下さい!
256 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/25(日) 14:49
楽しみに待ってます
257 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2004/02/04(水) 12:29
253> つみ様。 そうですね『のぞみ』と『希美』、この二人がリンクする世界に答えがあったりなかったり・・・
          なんとか文になるように頑張ります
254> MIRAI様。 あぁ・・・まぁよしごまは適当にマターリ待っててやって下さい
255> 名無し読者・・・様。 明けてから随分経ちますがおめでとう御座います(ヒー
                今年はもっと向上したいなぁ
256> 名無し飼育さん様。 スイマセン本当亀過ぎてエースも狙えない(爆
258 名前:らくえん〜希美ののぞみ〜 投稿日:2004/02/04(水) 13:15
 「ねぇ」

 なつみがかおりに向かって話し掛けた

 かおりの向こう側に居る『希美』に向かって



 「この世界は君達が創ったんだね?」



 かおりは黙ったまま



 「なんらかの理由があって創ったんでしょ?」




 のぞみも押し黙っている








 「ちゃんと、説明して。
 この世界を創ったり、なっちを介入させた理由を」 









 根負けしたように










 ゆっくりかおりの口が開いた
259 名前:らくえん〜希美ののぞみ〜 投稿日:2004/02/04(水) 13:23


 『なちゅみ、今、のんが居る時代が何年だか、解る?』

 「?」

 『のんが今居る時代はね、2273年。なちゅみの居る時代からもうとっくの未来にのんは居るの』

 「はぁ?」

 まりは思わずワケが解らないと声を漏らす

 『2055年第三次世界大戦勃発・・・・第四次、第五次・・・
  人間の愚かな欲望は血の塊となってこの世界を埋め尽くしたの
  のんが居る世界には、草も木も生えてない。外の空気は何が混ざったか解らないくらいに汚染されて
  死者は平均毎分10人は死んでる計算になる・・・・・・
  頑丈なシェルターの中でしか生きられないのん達には医者も神も居ないの』
260 名前:らくえん〜希美ののぞみ〜 投稿日:2004/02/04(水) 13:31
 『だから大人は考えた
  神が居ないのなら神を創ればいい
  目下の恋人でいい、ほんの少しの期間でもカリスマがいてくれれば人類には生きる希望が湧く筈だ、と』

 「それが・・・・君?」

 かおり越しに希美はゆっくり頷いた


 『地下をどんどん掘って作り上げた研究施設
  蟻の巣のような研究施設
  戦争の名残のような偉大な研究者達がわらわらと集まり、一つのヒトゲノムを創り上げた
  だけど科学の粋を詰め込み過ぎた頭でっかちな脳は、首から下を拒絶し始めた
  体はいとも簡単に壊死して・・・脳だけがホルマリンの中で生き続けた』

 「じゃあ・・・」

 なつみの言葉の先を予測したようにかおりの目がカッと開き幹に向かって何かを映し出した




 「・・・・・ぅぇっ」
261 名前:らくえん〜希美ののぞみ〜 投稿日:2004/02/04(水) 13:38
 あいぼんとまりは其からすぐ目を逸らした

 『これが、のん。』


 文鳥を入れる籠くらいの大きさの瓶の中で

 ゆらゆら、ゆらゆら

 まだあどけない少女の生首が水溶液に浮かび、真っ直ぐこちらを見据えている

 鼻にはチューブが差し込まれ、首には大量のコードが刺され

 隙間見える内部からは少量の血が流れ出ていた


 「・・・屈辱だ」

 なつみの腕の中でのぞみはギュッと下唇を噛んだ


 「どうしてこんな哀れな姿を晒すんれすか!!希美!!
 希美はカミサマなんれすよ!!?」


 キーキー!と再度またなつみの腕の中で暴れだすのぞみ
262 名前:らくえん〜希美ののぞみ〜 投稿日:2004/02/04(水) 14:42
『のぞみ、ちょっと黙ってて』

 ぴしゃり、と言い退けると希美は更にスクリーンに画像を映し出した


 保健所、とも取れるような映像



 様々な大きさをしたケージの中には様々な動物


 兎が隅で寄り添って固まり

 豹が壁に向かい丸まり

 ぶら下がるコアラ

 しょんぼりとしている柴犬

 じゃれ合っている猫

 尻尾を振ってこちらを見詰めているスピッツ

 蜂蜜を舐めている仔熊



 「・・・・これは」


 なつみは知っている


 この類似性を

















 『そう、これが『らくえん』の始まり』
263 名前:らくえん〜希美ののぞみ〜 投稿日:2004/02/04(水) 15:00

 『ココにいるのは、明日にでも肉隗になる予定だった動物達
  唯一の動物性たんぱく質。』

 「まり達は・・・・食べ物だった、の?」

 『食糧難だったから・・・仕方無いよ』


 まりとあいは恐れ、身を寄せ合った

 まるで、その施設に居た時の記憶が戻ったかのように



 『・・・この動物達を、食する以外に使い道があるって
  純粋な心を持ってる動物なら、きっとのんの頭脳も受け入れるだろうって』

 「そんな滅茶苦茶な・・・」

 なつみは呆れて溜め息を吐いた

 「そんな滅茶苦茶にしたのは、誰のせいれすか・・・
 のん達は藁をも掴む思いでソレに賭けたんれす・・・・プロジェクト『箱庭』に」

 腕の中ののぞみがギッとなつみを睨む

 「そもそも大人が世界を滅茶苦茶にしたせいなんれす
 ののがこの世界にダイブしたのも、希美が生まれたのも
 『箱庭』を創ったのも・・・・・・・世界を、燃えないゴミと死体で溢れ返らせたのも
 タワービルに飛行機突っ込むなんて原始的な方法で戦争をチラつかせた、大人達のせいなんれす!!」 


 のぞみは頭を垂れて震えた



 「残されたのの達にどうしろっつーんれすか!!滅茶苦茶やってないと生きていけなかったんだ!!
 ののは・・・・・のの達はかおりを踏み台に生まれた
 ココに居る奴等だって他のより食われるのが遅かったからこうやって実験体になって生き残れたんれす!!
 ちったぁ感謝したってもいいぐらいなんれすよ!?」
264 名前:らくえん〜希美ののぞみ〜 投稿日:2004/02/04(水) 15:12
 ぽたぽた、なつみの腕にのぞみの涙が落ちる


 「どうしてこんな安穏な時代があったのにのの達の番の時には地獄に変わってるんれすか・・・
 教科書に書いてある青空なんて見た事無い
 ブラウン管から騒ぎ出す異空間なんて知らない
 あるのは溢れたニトロと壊れたオゾン層と障害者だけれす!!」


 諦めたようにグッタリ脱力するのぞみ













 「ののはただ・・・・・・無茶苦茶でも滅茶苦茶でも・・・・
 希美が健康な肉体を手に入れてくれればいいって思ったんれす
 希美が苦しむ人々の支えになってくれればこの身を差し出すのだって惜しくなかったんれす・・・
 ののも・・・・・・かおちゃんも」












 のぞみはスライドを映すだけのかおりを見詰めた












 「・・・・惜しく無かったんれす・・・・・・信じたんれす
 

       希美は、カミサマの器なんだ、って」
265 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2004/02/04(水) 15:14
なんだか少し重い話になってきてしまいましたね・・・まともなのは書けないのか自分(泣
色々とワケ分からない感じです
なんかスイマセン・・・・久々の更新なのに・・・
266 名前:つみ 投稿日:2004/02/04(水) 20:29
こんなことが・・・痛いね・・・
謎が解明されてきましたね。なんとも悲しいお話になってきましたね。
次回も待ってます!
267 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2004/02/10(火) 11:16
266> つみ様。 痛いですよね・・・・ほのぼの路線はどうした自分・・・
          謎は解明されて来ましたが、なんともどうしようも無い事態(泣
268 名前:らくえん〜希美ののぞみ〜 投稿日:2004/02/10(火) 11:28
 「待って」

 なつみが優しくのぞみの頭を撫でる

 「さっきから聞いてると・・・『のぞみ』は・・・二人居る事になるのかぃ?」

 のぞみと希美は照らし合わせた様にゆっくり首を横に振った


 「ののはプロトタイプれす」
 『のんが、完成形』

 「ののはプログラム段階でバグって廃棄された」
 『それを踏まえてのんが生まれた』

 「でもののの意識は残ってた」
 『それをのんが拾った』

 「数ある廃棄物の中で」
 『偶然だけれども』

 「ののは救われた」
 『ネットの中で生を吹き込んだ』

 「奇跡に思えた」
 『プログラム体だから、とても簡単だった』

 「消えたく無かった」
 『無くしたくなかった』










 『「唯一の、【のぞみ】を』
269 名前:らくえん〜希美ののぞみ〜 投稿日:2004/02/10(火) 11:36
 「ののはこの『箱庭』の管理者となり、住人が適齢期に達するまで見届ける事になった」

 「じゃあココは・・・・ネットの中なの?」

 『正確には、ネットよりちょっと進化した世界。実在するホログラム』

 「土も、水も、空気も、緑も、何もかも管理された非現実」

 『通信機器としてカオリを設置し、どんな不測の状態にも対応出来るように
 そして管理者が常に報告出来るように』

 「かおりは・・・パソコンなの?」

 「一応進化方人工知能プログラムれす。」



 のぞみはようやっとなつみの腕を離れ、かおりに近寄る


 「完璧だった・・・ののと希美で創った世界は・・・・完璧だったんれす」
270 名前:らくえん〜希美ののぞみ〜 投稿日:2004/02/10(火) 11:52
 「食用動物を施設から連れ出し、脳を量産型ヒトゲノムに組み込む
 そしてこの箱庭にダイブさせ、精神的にも肉体的にも『ヒト』に近くなった時点で回収。
 首を外し、希美に入れ替える
 体の寿命は短いケド、取り替えの利く便利なカミサマのボディが手に入るって算段だったんれす」

 かおりの足元に座るのぞみ

 「住人には上手く適当な『物語』を信じ込ませればいい
 動物の脳なんか馬鹿で単純だから扱いやすかったれすよ」

 自分の身を包む体毛を皮肉気に軽く引っ張る


 『だけど今まで適合体は現れなかった
  どんな事をしても何かしら障害は表れたし、拒否反応も酷かった』


 プッと軽く体毛を抜き、ふぅっと吹いて風に乗せる


 「1番最近の・・・・そう『ゆうこ』は最悪だった」
 「!!」


 ゆうこ、と言う名前にまりが反応した






 まりの理解者だったゆうこ




 「在ろう事か接続手術中に飛び起き、施設を逃げ回り、のぞみを蹴り飛ばしたんれす」


 ククッとのぞみの顔が歪む


 「馬鹿な奴れす・・・創造主に反抗して・・・」
271 名前:らくえん〜希美ののぞみ〜 投稿日:2004/02/10(火) 11:56
 「ゆうこはどうなったんだ!?」

 まりがのぞみに飛び掛りフゥーッ!!と威嚇する

 牙を剥き、今にも噛み付きそうだ


 「決まってるじゃないれすか」



 のぞみは口の端を持ち上げたまま

 親指を持ち上げ人差し指をまりに向けた














      「ばぁん。一発れす」
272 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2004/02/10(火) 11:57
短いですが今回はここまでです〜
やれやれ本当どうしよう・・・・軌道修正出来ない(泣

(〜^◇^)<じゃあ書くなよ!!
273 名前:MIRAI 投稿日:2004/02/11(水) 13:54
更新されてる!
続き楽しみにしています。
274 名前:つみ 投稿日:2004/02/12(木) 22:10
『のぞみ』ですか・・・
なんだか偽善者という言葉が当てはまるのかなあ・・・
少し難しいっすね。
最後の一言に少し戦慄を覚えました。
275 名前:名無し読者 投稿日:2004/02/28(土) 18:19
待ってるよ〜。
276 名前:翡翠 投稿日:2004/03/15(月) 13:57
頑張って下さい!
277 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2004/04/14(水) 14:55
くぅもを突き抜けタスケテー!(byキャン×キャン)

273> MIRAI様 亀でも待って頂けると本当嬉しいです
274> つみ様  書いてるあたしはとても頭グルグルです(馬鹿
275> 名無し読者様 すいませんすいません毎回すいません
276> 翡翠様  頑張ります!すいません・・・
278 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2004/04/14(水) 15:06
 「い・・・・・・ぱつ?」

 言葉の意味が分からないのか、まりは首を傾げる

 「な・・・・なんだよ・・・いっぱつ、って・・・・・」


 それでも声は震えている

 掴み掛かった手も、震えている



 それを滑稽なモノだと蔑んだ目を向け
 のぞみは意地悪気に口を開いた


 「ココに、一発れす。お馬鹿ちゃん」



 トンッとまりの額に人指し指



 「ココに、銃で、一発、ばぁん、頭に、綺麗に、穴が、開いて、即死、れす」



 ワザと切り切りに、トントン、とまりの額を突きながら告げた


 「今頃、シェルターの外で腐ってんじゃ無いれすか?」
 「・・・ッお前!!!」




 まりの牙がクワッと剥き、のぞみの喉元に向かって勢い良く落ちた
279 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2004/04/14(水) 15:17
 『待って!!』

 寸前でかおりの手がまりの口を塞ぐ

 「ぐうぅう!!!」

 それを逃れ様と顔を暴れさせるまり


 『まり落ち着いて!』

 「ふぅぅぅううう!!!」

 口を塞いだままべりべりとまりの体をのぞみから引き剥がすかおりの体

 「ククッ・・・やっぱり動物は動物れしかない・・・野蛮だ」

 『のぞみ、黙って』

 希美に睨まれのぞみはグッと押し黙る

 『いつからそんな人になったののぞみ』

 まりを抑えつけながら希美は淡々と喋る

 『嘘吐いたって意味無いよ』

 ノイズ混じりの悲しい声

 『ま、のんの存在の方が嘘みたいなもんだけど』

 まりの頭を優しく撫でながら灰色の溜め息を






 『まり、安心して』
































 『裕子は、生きてる。』
280 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2004/04/14(水) 15:19
てゆうか短すぎですが事情の為2つだけ・・・・・
てゆうか名前のまま・・・・OTL
もぅ誰か助けてー
281 名前:らくえん〜のぞみの希美〜 投稿日:2004/04/16(金) 12:36
 「うそつき!わけわかんねーよ!!はなせバカ!!」

 かおりの腕の中で悪態を吐き、渾身の力を込めて暴れるまり

 『嘘じゃないゆうこは生きてる。『裕子』として』

 「なんなんだよそれ!!」

 『裕子だけじゃない、明日香も、彩も、沙弥香も。
 皆々、生きてる。死んでなんか無い』

 「希美!それはどーゆー意味れす!!」



 少しだけ嘲笑し、のぞみを見詰めるかおり


 無機質な瞳の向こうから、希美がのぞみに冷やかな目線を送った
 





 『まだ解んないの?のぞみ』






 『コッチの世界がもぅ、終わってるって事
 ヒトなんかもぅ、存在して無いって事』
282 名前:らくえん〜のぞみの希美〜 投稿日:2004/04/16(金) 12:49
 「な・・・・・・?」

 理解し難い、と言わんばかりののぞみに希美は続ける


 『だってそうでしょ?
 食料も一握り、環境も悪い、土も無い四季も無い
 不衛生をそのまま続けてれば人間なんてのはどうなるか分かるでしょ?』


 ゆっくりまりを離し、なつみの方に目を向けるかおり


 『一人、また一人と死んで・・・食べ物が無いから死人の肉を食べる
 そのせいで奇病にかかる、また死ぬ、今度はその死人の骨を砕いて飲んで疫病の対策じみた事をする
 発狂した人は子を殺す親を殺す自分を殺す
 耐え切れなくてシェルター脱出をする、外で腐って死ぬ』


 『ヒトが全滅するのは、1年も掛からなかった
 残ったのはのんと、ヒトの限界を集めたコンピューターだけ
 誰も居ない世界で神になって、何をするの?のぞみ
 のんは偽造の神。イエスの様な仏陀の様な奇跡なんて起こせるワケ無いじゃない』



 曇ったガラスの目

 顰めた眉




 どうにかしてよ、となつみに語り掛けているとも取れる表情
283 名前:らくえん〜のぞみの希美〜 投稿日:2004/04/16(金) 13:03
 「じゃあ・・・・じゃあ今までののに送ったデータは!?」

 『嘘だよ。嘘に決まってんじゃん』


 告げられなかった事実


 のぞみの表情が固まった





 『ねぇ、なちゅみ?』

 砂を箱に落とすような音が強くなる

 『こんなのんなんか・・・・嫌いになるかな?』

 かおりに泣く機能なんて無い


 だけどなつみにはかおりを介して希美が小さく小さく泣いている姿が見えた



 「ねぇ・・・どうしてなっちの事をなちゅみって呼ぶんかい?
 希美はなっちの事を知ってる風だけど・・・なっちはアナタの事知らないべさ?」


 『知らなくて当たり前だよなちゅみ・・・・・』


 かおりは初めて会った時の様になつみの頬に触れた



 『のんが知ってる『なちゅみ』は、もっと先のなちゅみだもの
 だからつまり、なちゅみの子供の子供の子供の子供の・・・・・・・人
 プロジェクト『箱舟』の研究リーダーだったんだよ?
 なちゅみは偉い人だったんだぁ』




 声に弾みが付く色が着く






 希美の、なつみに対する思いが声だけでも受け取れた
284 名前:らくえん〜のぞみの希美〜 投稿日:2004/04/16(金) 13:14
 『なちゅみはチーム唯一の女の人で、でも凄い学者で
 最初の接続手術もなつみがしたんだ
 失敗したらすぐのんのトコにゴメンねゴメンねって謝りに来て
 そうじゃなくても毎日のんのトコに来て本を読んでくれたんだよ?色んな本を、沢山の本を
 よくあんな戦争の後なのに残ってたのか解んないくらいね』

 クスクス笑う声

 初めて見る、希美の『表情』


 『今はなちゅみは寝てるケドね?のんと、マザーコンピューターの計算が正しければ
 後8000年もすれば地球は蘇るんだって!植物も生えて、四季がちゃんと来て、生態系も落ち着いてる頃だって
 だからなちゅみも、裕子達も、今は寝かせてるんだ
 8000年後、ヒトとして地球に存在出来る様に。生殖器が無くても子を成せる体になって』



 まるで初めて出来た逆上がりを母親に自慢するみたく話す希美


 とてもとても、嬉しそうに
285 名前:らくえん〜のぞみの希美〜 投稿日:2004/04/16(金) 13:32
 「それって・・・なっち達はミミズみたいな体って事?」

 『うぅ〜ん・・・まぁその比喩は合って無くも無いケド・・・・』


 楽しそうに

 とても楽しそうになちゅみとの会話を喜ぶ声



 『簡単に言えばさ?『戦争』ってのは利己的で打算的な男がする行為なの
 だからそんなんだったら男を初めから存在させなきゃいいってのがのんとマザーの答え
 暮らしを便利にするよりも、自分の家を大きくするよりも
 もっともっともっと大切な事を女は知ってるんだ
 昔からずっと。
 だからそうならない様に、この世界みたいな世界に産み落としてやればいい
 男が出来るのはそれからでいい』

 「だけど、男の人が居ないと困る事も沢山あるんだべ?」

 『大丈夫だよ、その為の裕子達の存在なんだから』

 「?」

 『裕子達は元々動物。だから肉体的なパワーや潜在能力は成人男性にもひけを取らない
 なんとかなるんだよ。8000年後の世界は!!なちゅみと裕子達だけでも!!』

 「それは絶対だと言えるんかい?」

 『絶対だよ!じゃなかったらなちゅみ達はコールドスリープなんてしないよ
 まやかしの神より、絶対の未来を選んだんだ!』


 グッと握り締めた拳


 そっと開く手のひら






 その瞳の中に、見えた希望




 「そっか」

 「うん!」
 



 なつみはゆっくり微笑み、少しだけ背伸びをして



 「えらい、えらい」



 くしゃくしゃっとかおりの頭を撫で付けた








 「希美は、立派な神様だね」 
286 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2004/04/16(金) 13:37
こないだのリベンジに来たのにやっぱり短いですがこの辺で・・・・
タラタラタラタラ書いてていい加減にしろよ!っつー話ですがもぅ少し、もう少しだけのぞみ編にお付き合い下さったら嬉しいですよ?
(〜^◇^)<なんでくねくねしてるんだよ
287 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/17(土) 12:42
いつのまにか更新されてた
頑張ってくださいね
288 名前:つみ 投稿日:2004/04/17(土) 23:25
平和なかんじになってきましたね!
凄い事になりそう・・・
289 名前:ポンコツろぼっと 投稿日:2004/04/20(火) 13:25
>>287 名無し飼育様。 何時の間にか頑張ってみました(w
>>288 つみ様。 少しづつ方向修正頑張ってます(苦笑
          いやあんまり凄くは・・・無い・・・やも(凹
290 名前:まめ大福 投稿日:2004/04/21(水) 20:19
何時の間にやら更新していたので、一気に読んでみました(w
ラストまで着いていきます
頑張って下さい
291 名前:翡翠 投稿日:2004/06/11(金) 17:10
文章力すごいですよね・・・。
一気に引き込まれました。
続き待ってます。
292 名前:Mirai 投稿日:2004/08/03(火) 18:16
バカだから、一回読んでもよくわからなくて今また読み返してました。
痛いですね・・・でもちょっとこれから明るくなる・・・のかな?
更新待ってます。

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