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ばふらめく

1 名前:じーこ 投稿日:2003年01月13日(月)19時46分32秒
肌寒い風が吹く
周りは見渡すだけの草原、そして大きな樹
その景色はなにか異質の空間のように思えた

そしてその草むらに立っている1人の少女
その姿は妙にこの大地と重なって、思わず時が止まったような感覚を受けた・・・

そう、夏の北海道は新たな出会いを風に乗せて届けてくれたのだった
2 名前:じーこ 投稿日:2003年01月13日(月)19時48分15秒
これが初投稿です。
まだまだ未熟者ですが、みなさんどうか宜しくお願いします。
3 名前:第1日目 投稿日:2003年01月13日(月)19時49分06秒
バスから降りると、体を縮み上がらせるような空気が俺を包み込んでいた
北海道という土地は、南国で毎日を送っている俺には、非日常の世界であった
なぜかこの夏という時期に修学旅行・・・
テレビでは毎日球児たち・・・つまり同年代の連中が汗を流して白球を追いかけている
それなのに...それなのにだ
夏真っ盛りの今はどこに行っても夏だとばかり鼻をくくっていた
しかし、どうだろう
現在の気温16.3度・・・
駅の壁にでかでかと掲げられているデジタル時計には、どう考えても8月のものとは思えない数字が表示されていたのだった・・・


(そうだ・・・あの頃もこんなに寒い日が続いていたんだっけ・・・)
4 名前:第1日目 投稿日:2003年01月13日(月)19時49分52秒
あの子は何をしているんだろう・・・
不意にバスの中で見かけた少女は、この壮大な草原の中に立っていたのだった
その少女を見た俺は、どうしても会ってみたいと強く感じた
何故かと問われると、会いたかったからと言うことしか出来ないが
よくよく考えてみると、それは運命だったのであろうか


(ただ一本、雄大にそびえる大木がなんともミスマッチだったが・・・)
5 名前:第1日目 投稿日:2003年01月14日(火)18時40分45秒
その少女はバスで見かけたその場所に居た
居たというよりは、この草原にたたずんでいたというほうが適切であろう
その少女とこの一面の景色はどこかで見たことのある絵に被って見える
まるでこの場所に咲いている花のようであった

(こんなに眼を引く場所なんてあったっけ・・・?)
6 名前:第1日目 投稿日:2003年01月14日(火)18時42分38秒
俺が近づいてもその少女は全く反応しない
遠くの1点をただ眺めている
その肌は白くて、時期はずれの雪をふっと思い出させる・・・そんな感覚を覚えた
意を決して話しかけてみる
7 名前:第1日目 投稿日:2003年01月14日(火)18時49分06秒
「こんにちは」


しかし、少女はピクリとも反応しない
自分の時間が邪魔されたのが不満だったのであろうか
はたまた、声をかけられるのが嫌で見かけたときから無視をしていたのだろうか
俺はどちらにしても少女の声が聞きたかったので、もう一度話しかけてみた
8 名前:第1日目 投稿日:2003年01月14日(火)18時55分17秒
「なにやってるんですか」


すると少女はくるっと俺の方をむくと、何かぎこちない顔で微笑みかけて言った


『こんにちわぁ』


その笑顔に今さっきまでの疑心は吹き飛んでいった
それとともにこのおっとりした口調に驚きを覚えた
よく沖縄などの暑い地方の人はぼーっとしていたり、まったりしているといわれ、
北海道などの寒い地方では、人々はきびきびとしているものだと思っていた


しかし、目の前の少女はどうみてもきびきびしているようには見えず、のほほんとしたオーラが溢れていた
9 名前:第1日目 投稿日:2003年01月14日(火)19時00分35秒
『なにやってるんですか』
「それ、いまさっき君に聞いたんだけど・・・」
『へっ!? そうだったんですか? 気づきませんでしたぁ』

やっぱり聞こえていなかったらしい
それよりもこんなに寒い所に半袖で1人でいるこの状況がよくわからない
10 名前:第1日目 投稿日:2003年01月14日(火)19時01分11秒
「で、こんなに寒い所でなにしてんの」
『1人でぼーっとしてました』
「いや・・・そういうことじゃなくてさ」
『へっ?』
「まさか何の目的も無く、ただひたすらにこの場所でぼーっとしていた訳じゃないよね」
『えっ!? その通りですけど・・・』

確かにここは見渡す限りの草原で、空気もきれいで、大自然が溢れている場所ではある・・・けれども
少なくとも俺は1人でぼーっとは出来ない・・・
この不思議少女についてもっと知りたい・・・と思っていた時に、バスの出発時間が訪れた

「あっ! もうバスが出る時間だ・・・それじゃ!」

そう言うと、少女を振り返ることも無くバスのほうへ駆け出していた・・・
11 名前:第1日目 投稿日:2003年01月14日(火)19時04分06秒
これで第1日目終了です。
まだ、何が何だか分からないでしょうが…(w
これから徐々に明らかにしていくつもりなので…
12 名前:第2日目 投稿日:2003年01月17日(金)21時55分10秒
なぜ俺はこの場所に立っているのだろう?


「どうして君はここにいるの?」


なぜ俺はあの少女と出逢ったこの草原に立っているのだろう?


『どうしてあなたはここに来たんですか?』


そして、なぜあの少女は昨日とまるで変わらないようにこの草原に立っているのだろう?


「どうしてだろう・・・」


理由・・・ここに来た理由・・・

「ここにくればまた君に会える・・・そんな気がしたんだ」

正直、理由なんてなかった
ただ俺の足はこの場所へ勝手に向かって行った

『私も・・・そんなところです』

少女は僅かな笑みを浮かべて自分を見つめていた
少女にはもっと違った理由があるのだろう
13 名前:第2日目 投稿日:2003年01月17日(金)21時55分58秒
「ところで、君の名前は?」

ずっと気になっていたこと・・・
昨日は時間が無くて聞きそびれたこと・・・
そう、この少女の名前

『紺野・・・紺野あさ美です』
「紺野あさ美っていうのか・・・」
『あさ美って呼んでほしい・・・です』
「そっか、であさ美・・・さんはいくつ?」
『15です』
「そっか・・・」

何故か最初に会った感じで、俺より年下だろうと思っていたけど・・・
15ってことは中学生か!?
14 名前:じーこ 投稿日:2003年01月17日(金)21時57分23秒
すこーしだけ更新…
これって読んでる人いるのかな?ちょっと不安…
15 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月21日(火)03時56分11秒
読んでますよ。
初投稿の初めのうちってレスしづらいんですよ(w

自分も某板で書いてるんですけどレスもらえない時は不安です。

レスなくてもめげずに頑張ってください。
16 名前:2日目 投稿日:2003年01月21日(火)17時30分01秒
「じゃ、あさ美ってよんでもいいよな?」
『はい』
「それじゃ早速だけどさ、この辺りを案内してくれないかな?」
『へっ!?』
「言わなかったっけ? 修学旅行中なんだ」
『そうだったんですかぁ? どうりで少し黒い人だなーって思ってたんですよ』

あさ美は見かけによらずに毒舌気味らしい・・・

17 名前:2日目 投稿日:2003年01月21日(火)17時31分12秒
「九州のほうから来てるんだ・・・だからガイド役が必要だろう?」
『では、1日ガイド料って貰っても良いんですね?』

あさ美は見かけによらず現実派らしい・・・

『え!? う...うそですよ。 そんなの取りませんから』

ポケットから財布を取り出した俺の姿を見て、かなり動揺しているあさ美がなんだか可愛らしかった

「それなら交渉成立だな」
『はい・・・そうですねぇ〜どこ行きましょうか?』

あさ美は真剣に悩みだした
そんなあさ美にあわせて俺はこの草原を眺めていた・・・

18 名前:2日目 投稿日:2003年01月21日(火)17時32分21秒
あたり一面に広がる草原、そして、そびえる大木
見渡す限りの緑
辺りには牛やらヒツジやらの鳴き声

『んめぇぇぇぇ〜』

・・・そして凍りつくような空気
まるで違う日常がすれ違っていくようだ

思いにふけっていた自分をあさ美の声が急に引き戻した

『私、ここにしかこないから・・・あんまり面白そうな場所って知りませんよぉ・・・』

正味3分15秒・・・
これがあさ美がこの答えを導き出すまでにかかった時間だった・・・


(考えていたあさ美の顔に何か一瞬のためらいが見えたのは気のせいだろうか・・・)



19 名前:2日目 投稿日:2003年01月21日(火)17時34分38秒


「おおっ!」
『はぁ〜・・・』

目の前の滝の壮大さに、思わず二人は声を上げてしまった

「こりゃ、凄いな」
『そうですね』
「こんな場所知らなかったの?」
『あんまりこっちには行ったことが無いんで・・・』
「でも、ガイドブックに載ってるような場所より、こっちのほうがいい所の気がするけどな」
『穴場ってやつですね』
「そうだな」

ここからさらに下流に下りていくと、一寸の濁りも無く、川の底がはっきりと見ることの出来る川が流れていた
川の水は8月とは言えどもさすが北海道! 結構な冷たさである
そこで・・・水を掛け合ったり、カニを探したり、走ったり・・・


(まるで小さな子供達のように・・・)


20 名前:2日目 投稿日:2003年01月21日(火)17時35分43秒


何時間経っただろうか・・・
いい加減疲れた二人は、川辺にちょこんと座っていた

「疲れたな・・・」
『はい・・・』
「でも楽しかったな・・・」
『はい・・・』
「こんなに遊んだのは久しぶりだよ・・・」
『はい・・・』
「今さっきから”はい”しか言ってないぞ?」
『はい・・・』
「・・・・・・あさ美?」
『はい・・・』
「俺と・・・付き合ってくれないかな?」
『・・・はい・・・ん?』

一瞬あさ美の動きが止まる
21 名前:2日目 投稿日:2003年01月21日(火)17時37分02秒
「今”はい”って言ったよな?」
『へっ? 何て言ったんですか?』
「そうかそうか・・・あさ美もそうだったのか・・・」
『私・・・ぼーっとしてたから・・・何か変なこと言いました?』
「さぁな〜」
『ひどいですよ・・・』
「あさ美がそんな風に思ってくれているなんて思いもしなかったよ!」
『へっ・・・? ま・・・まさか!』
「それじゃ、もう暗いから帰るわ! 今日は楽しかったよ!」
『えっ?・・・はぃ・・・』

あさ美は顔を赤らめていたが、それを見て見ぬ振りをして俺は宿舎へ帰って行った・・・
今日のことを笑って話し合える日が来ると良いな、なんて思いを馳せながら・・・


22 名前:2日目 投稿日:2003年01月21日(火)17時41分27秒
>15名無しさん

レスありがとうございます!励みになります。
名無しさんも某板で頑張ってください

2日目の更新も終わりました…
これから雰囲気を変えていくつもりです。
23 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月29日(水)17時45分51秒
読んでますよ、ちゃんと。
色々意味深なところがいいですね。
続く楽しみにしております。
24 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時39分31秒


名も知らぬ鳥が唄う 4月の終わり
何処から飛んで来たの?と 小さく呟いた

25 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時40分23秒
「よっ!」
『あっ・・・今日もいらっしゃたんですね』
「お邪魔?」
『よかった・・・です』

あさ美は何故か下を向きながらボソッと呟いた
そういえば昨日、あんな別れ方をしたんだから当然といえば当然か・・・

「なぁ、あさ美」
『はい?』
「今日はどっか違う場所に行ってみないか? 例えば・・・」
『ダメです!!』

いつもの(といっても2日だか・・・)温厚なあさ美が、俺の言葉を遮った
26 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時40分56秒
「ど・・・どうしたんだよ?いきなり」
『あ・・・ご、ごめんなさいっ・・・ダメなんです』
「なんか俺、あさ美の気に障るようなことでも言ったのか?」
『そ、そんなんじゃないんです。ごめんなさい!』
「いや、そんなに謝ってばっかりじゃ何がなんだか分かんないよ」
『別に大した事じゃないんです・・・気にしないでください・・・』
「そっか。じゃ、質問変えていいか?」
『なんですか?スリーサイズ以外ならいいですよ』

あさ美が何か思いつめていた表情だったから心配していたのに・・・
ことごとく分からないもんだな・・・女心ってのは
27 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時41分41秒
「あさ美はなんでいつもここにいるんだ?」
『えっ・・・?』

そう、前にも1度聞いたことのある質問
あの時はまだ初対面だったから答えてはくれなかったが、昨日からずっと気になっていた事・・・
28 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時42分14秒
『それは・・・あの・・・』

明らかに何かを隠している態度
前と変わらず・・・か
29 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時43分02秒

「それも言えない事なのか?」
『・・・』
「俺のこと、警戒してる?」
『全然そんなことないですっ!むしろ・・・』
「・・・そうか。ならいいや」
『え?』
「あさ美が答えられないんなら、無理に聞き出すなんてしたくないからな」
『・・・ごめんなさい』
「いや、俺こそ変な事聞いちゃったな」

二人の間には少し気まずい沈黙の時間が流れた・・・
30 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時43分51秒

「あのさ・・・」
『はい』
「俺、昔この近くに住んでたんだよ」
『・・・へぇ、そうなんですか?』
「ああ、意外だろ」
『はい・・・本当に』
「だからさ、その頃遊んでた所に行ってみないか? そんなに遠くないし」
『・・・本当に行くんですか?』
「やっぱり嫌か?」
『ううん、いいですよ』
「そっか、じゃあいってみるか」
「・・・はい」


(俺は、かすかな記憶を頼りに歩を進めた・・・)

31 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時44分27秒


あの日から誰のものにも なれないままで
あなたのぬくもり探してる私
切ない思いは つのるだけ


32 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時44分57秒


「あれ・・・確かこの辺だったんだけどな・・・」
『・・・・・』

俺は昔の記憶を辿りながら山の中をさまよっていた。
俺の記憶にあったもの・・・それは辺り一面が緑に覆われていて、
鉄棒やらブランコなどがあった公園らしき場所・・・
それがここにはあったはずだった。

しかし、その場所は少しも昔の面影のない住宅地へと姿を変えていた・・・


(ここで誰かと遊んでいたような・・・でも思い出せない)

33 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時45分31秒

「こんな所に住宅地なんてなかったよな?」
『・・・さぁ』
「あさ美、いつここは工事されたんだ?」
『・・・分かりません』
「分からないってことないだろ?こんな住宅地を立てるなんて3日やそこらで出来るもんじゃない」
『・・・・・』
34 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時46分03秒
「なあ、あさ美?何か知ってるんじゃないか?」
『・・・・・』
「なんで隠してるんだよ!そんなにいえないようなことなのか?」
『・・・あなたはいつ帰るんですか?』
「え?明日だけど・・・」
『明日会う時間はありますか?』
「あ・・・うん、少しだけならな」
『そうですか・・・それなら明日、いつもの場所に必ず来てください・・・必ず』
「分かった」
35 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時46分38秒

俺はあさ美の剣幕に押され、しぶしぶと願いを受け入れた。
俺の記憶はぽつんぽつんと穴が開いたように剥ぎ取られているような・・・
どうしても昔のことが思い出せない。
明日、あさ美に会えばすべてが分かるのだろう。
それがたとえどんな結果になろうとも・・・


36 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時47分09秒



翼をかりて鳥になれたら
あなたの元へ飛んでゆきたい
一瞬だけ 私見つけて
揺らめいて 陽炎のように 消えるから


37 名前:3日目 投稿日:2003年03月11日(火)23時47分39秒



〜俺は北海道に住んでいた。
そう、あれは・・・11歳の頃・・・6年前だ。
父親の転勤についてゆき、俺も九州へと引越しをすることになった。

38 名前:回想〜6年前の記憶〜 投稿日:2003年03月11日(火)23時48分59秒

あまり土地柄に馴染めなかったからだろうか?
北海道には俺の友達と呼べるほどの友人はいない・・・
ただ、その頃1人で毎日を過ごしていたのか・・・そうじゃない。
誰かと遊んでいたような記憶が・・・

39 名前:回想〜6年前の記憶〜 投稿日:2003年03月11日(火)23時49分30秒

ここ毎日俺は昔のことを思い出そうとしてるのだが、いつもここからの記憶が途切れてしまっている。
これと今日行った場所が無くなってしまった事実は何か関係があるのではないか?
あまり眠れなかった一夜はもう過ぎようとしていた・・・

40 名前:じーこ 投稿日:2003年03月11日(火)23時51分53秒
久しぶりの更新です。
最近は色々忙しかったもんで…
この話が終わったら、残りのスレで新しい小説でも書こうかなーって思ってます。
っていっても、まずはこれを終わらせないといけないんですけどね…
41 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月13日(木)23時29分02秒
ををを。久々の更新っすね。楽しみにしておりました。これからも頑張ってください。
42 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)21時13分50秒
遠い日に 海で拾った 貝殻ひとつ
私呼ぶ声 寄せてかえす波 聴こえてる
43 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)21時14分21秒
広い草原、立派にそびえる大きな樹
そして一人の少女

俺は最初に彼女を見かけた光景とダブって見えた
本当に何も変わっていないかのように・・・
そう思いたかったのだ・・・

44 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)21時14分51秒
「あさ美・・・」
『あっ、来てくれたんですね・・・』
「あぁ」
『よかった・・・』

あさ美はいつものように落ち着いているように見えた
それはただあさ美がそうしていたに過ぎなかったのかもしれない・・・
45 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)21時15分24秒
「何から聞けばいいかな・・・」
『そうですね・・・それじゃ、まず6年前の話から始めましょうか』
「6年前・・・か」
『はい・・・』

46 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)21時15分57秒
浅い夢 あの日と同じあなたの笑顔
流れゆく季節 はぐれたままの愛はどこへも帰れない

47 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時21分19秒
『6年前、私は今と同じように1人でこの場所に立っていました・・・』
「・・・・・」
『別にこれといってすることもなく、ただこの樹の陰にぽつんと1人で立っていました』
「・・・・・」
『そう・・・あの日は今日と同じような夏の暑い日でした・・・私はある1人の男の子と出会ったんです』
「・・・・・」
『その男の子は私よりも2つ年上でした。私たちはすぐに打ち溶け合って、夏休み、毎日毎日遊んでいました』
「・・・・・」
『そして、どのくらい経ったでしょうか・・・私たちは少し遠い所にあった、ある公園に遊びにいったんです』
「・・・それって・・・もしかして・・・」
『私は浮かれてました、好きになってたんです。その男の子のことが』
「・・・・・」
48 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時21分54秒
『私にはとっても大事な”約束”があったんです・・・ でも、その時は・・・そんなことも気にせずに・・・』
「・・・・・」
『本当に楽しかった・・・私には友達って言う人はいなかったですから・・・時を忘れて夢中になって遊んでました・・・』
「・・・・・」
『気づいたときにはもう、夕暮れになっていて・・・私たちは急いで元の道を戻っていきました・・・』
「・・・・・」
『最初に異変に気づいたのは男の子のほうでした・・・』
「・・・・・」
49 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時22分37秒
『”あれ?でっかい樹が枯れちゃってるよ?なんでだろう・・・”って・・・』
「・・・・・」
『その時私は目の前が真っ暗になっちゃいました・・・取り返しのつかないことしちゃったって』
「・・・・・」
『私は周りの目なんて気にせずに、ただ樹に語りかけていました』
「・・・・・」
『”ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・” そうやって樹に語りかけてたんです』
「・・・・・」
『幸い、樹は死んではいなかった・・・返事があったんです』
「・・・・・」
『ただ、失うものも大きかった・・・』
「・・・・・」
50 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時23分37秒
『樹は言いました・・・”その子供の記憶を消せ”と・・・』
「・・・・・」
『私が”そんなこと出来ない”というと、樹は”お前が使命を忘れてしまったからだ”と言いました』
「・・・・・」
『私には記憶を消す力があります・・・試したことはなかったけど』
「・・・・・」
『私がまだためらっていると、そこ一面に雪が降ってきたんです・・・夏の雪が・・・』
「・・・・・」
『私と樹をぼーっと見ていた男の子も、季節外れの雪が降ってくると、はしゃいでました』
「・・・・・」
51 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時24分19秒
『そして樹は”私がいなくなるという事は、この地の気候がおかしくなるということだ。もしこの少年がお前が樹と話すことが出来るなどと周りに話してみろ。
それだけでこの地はにぎわうに違いない・・・私は人間に力が吸い取られるのが一番死に近いのだ・・・だからお前は私を守る使命にあるのだ”と・・・』
「そ・・・そんなのデタラメだ!なんであさ美がそんなことしなくちゃいけないんだよ!」
『それはもう物心ついたときからの私の運命だったんです・・・私以外の人には出来ないんです』
「そうとはいっても・・・それでもあさ美が可哀想すぎるよ!」
『私は・・・私は別に寂しいと思ったことはありません・・・だって私の周りには鳥とか草木とか・・・お話できる動物や植物がいっぱいいたんですから・・・』
「・・・そんなの・・・ありかよ・・・」
『・・・・・私は初めて人の記憶を消しました・・・初めて好きになった人の・・・記憶を・・・』
52 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時24分56秒
あさ美は今にも泣き出しそうなか細い声を搾り出している・・・

『その後・・・その男の子は何事もなかったかのように走り去っていきました・・・私はその場に崩れ落ちて泣いて、泣いて、泣いて・・・』
「・・・・・」
『気付いたらもう次の日でした・・・いつも彼がやってくるはずの時間になって・・・私は奇跡が起こることを信じて待ち続けました・・・』
「・・・・・」
『でも、その日はとうとう誰も私に話しかけることはありませんでした・・・』
「・・・・・」
53 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時25分28秒
『それから6年後・・・あの時と同じような夏の暑い日・・・私は1人の”男の子”に話しかけられたんです・・・』
「・・・それが・・・」
『それが・・・あなただったんですよ・・・私は神様を感謝したと同時に、とても辛い試練を与えられた・・・』
「・・・・・」
『あなたと出会う・・・それがどんなことになるかなんてもう想像できるから・・・』
「どういうことだよ!!」
54 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時26分13秒
俺にはあさ美の言わんとすることが十二分に分かった・・・でもどうしても認めたくないのか、無意識に声を荒げていた。

「嘘だろ・・・嘘だって・・・言ってくれよ!!」
『私は・・・恋なんてしちゃだめな人間なんです・・・私には・・・そんなことできない・・・しちゃいけないって・・・分かってたのに・・・』
55 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時26分44秒
あさ美はもうぽろぽろと涙を流していた・・・
そんなあさ美を俺は抱きしめていた。
56 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時27分27秒
「あさ美・・・俺は誰にもお前のことを言ったりしない・・・絶対に約束する・・・だから・・・」
『ダメなんです・・・今までにも何人かの人の記憶を消してきました・・・これは・・・掟なんです・・・』
「あさ美にだけ・・・あさ美にだけそんな辛い気持ちなんて味あわせたくない!」
『私だって!!・・・私だって・・・』
57 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時27分59秒
「・・・・・」
『好きな人と・・・2度も別れるのなんて・・・辛いです』
「あさ美・・・」
『あのね・・・私・・・ずーっと思ってたことがあるんです』
「・・・」
『いつも私は・・・鳥さんたちとお話してました・・・そして鳥さんは言うんです・・・”世界は・・・広いよ”って・・・』
「・・・」
『だから・・・私も一度鳥になってみたかった・・・大空を飛び回るんです・・・何の邪魔もない大きな空を・・・』
「・・・」
『そして・・・そして・・・好きな人の所に飛んで行くんです・・・ただ・・・それだけなのに・・・』
58 名前:4日目 投稿日:2003年04月03日(木)22時28分31秒
「あさ美・・・俺もお前に本当の気持ち・・・伝えないとな・・・」
『・・・はい・・・』
「俺も・・・お前のこと・・・好きだ・・・」
『うれしい・・・です』
「俺・・・さ、4日前にあさ美を見た時から・・・何か感じてたんだ・・・まあ、それが6年前の記憶だとは思わなかったけどな・・・」
『私も・・・6年ぶりにあなたの声を聞いて・・・どう接すればいいのか・・・すごくドキドキ・・・してました・・・』
「そっか・・・」
『あなたに・・・ばふらめいてたんですね・・・いくつになっても・・・』
「ばふらめく・・・か。 なんか聞いたことのある響きだな・・・」
『はぃ・・・』
59 名前:じーこ 投稿日:2003年04月03日(木)22時29分30秒
とりあえず、4日目の途中まで更新です。
気がつけばもう4月なんですね・・・月日が経つのは早いもんです(w
60 名前:4日目 投稿日:2003年04月08日(火)22時44分23秒
姿をかりて 鳥になれたら
その手のひらに乗せて見つめて
幸せだよと 笑って欲しい
哀し気に 陽炎のように 消えるから

61 名前:4日目 投稿日:2003年04月08日(火)22時44分55秒
俺とあさ美は別れの時間が来るまで何をするということもなく、時間を過ごした・・・
ただ・・・樹の陰に寄り添って・・・言葉を交わすこともなく・・・
でも、こうした時間も刻一刻と過ぎていく・・・そんな当たり前のことに俺は神を・・・恨んだ。
62 名前:4日目 投稿日:2003年04月08日(火)22時45分34秒
『何か・・・こうして座って2人でいると・・・恋人みたいですねぇ・・・』
「そうだな・・・」
『私・・・この4日間、とっても楽しかったです・・・』
「俺も・・・だ」
『何か・・・ドラマみたいで・・・カッコイイですよねぇ・・・アハハッ』

63 名前:4日目 投稿日:2003年04月08日(火)22時46分18秒
あさ美はこんな雰囲気を吹き飛ばすかのように笑い飛ばした・・・のだろう。
彼女なりの精一杯の反抗だった・・・
64 名前:4日目 投稿日:2003年04月08日(火)22時46分54秒
『私のこと・・・忘れてください・・・でも・・・忘れてほしく・・・ないかな・・・・・』
「あさ美・・・」
『何で・・・泣いちゃうんだろう・・・こうやって好きな人と二人でいられるのに・・・どうしてだろう・・・』


65 名前:4日目 投稿日:2003年04月08日(火)22時47分24秒
俺は自分の無力さに、そしてこの自然の掟に・・・嘆いた・・・
そして俺はどうすることも出来ずにあさ美を抱き寄せてやるしかなかった・・・
66 名前:4日目 投稿日:2003年04月08日(火)22時48分20秒
『私・・・凄く嬉しいです・・・もう少し・・・このまま・・・』
「あさ美・・・ゴメンな・・・俺には何をすることも出来ない・・・彼女を守れない男なんて・・・最低だよな・・・」
『いいんです・・・私は・・・』


交わされた口づけは突然だった・・・

67 名前:4日目 投稿日:2003年04月08日(火)22時48分58秒
『また会いに来てください...絶対に』

「ああ、約束する」

はるか北の大地で出逢った少女は、俺の方を見て精一杯の微笑みを浮かべた。
その笑顔は、まるで太陽にまっすぐ伸びる ”向日葵” というにふさわしいものだった・・・

そして・・・叶うはずもない・・・願いを俺は聞き入れたのだった・・・



68 名前:4日目 投稿日:2003年04月08日(火)22時49分29秒
名も知らぬ鳥が唄う 4月の終わり
何処から飛んで来たの?と 小さく呟いた
あの日から誰のものにも なれないままで
あなたのぬくもり探してる私
切ない思いは つのるだけ

翼をかりて鳥になれたら
あなたの元へ飛んでゆきたい
一瞬だけ 私見つけて
揺らめいて 陽炎のように 消えるから


遠い日に 海で拾った 貝殻ひとつ
私呼ぶ声 寄せてかえす波 聴こえてる
浅い夢 あの日と同じあなたの笑顔
流れゆく季節 はぐれたままの愛はどこへも帰れない

姿をかりて 鳥になれたら
その手のひらに乗せて見つめて
幸せだよと 笑って欲しい
哀し気に 陽炎のように 消えるから


翼をかりて鳥になれたら
あなたの元へ飛んでゆきたい
一瞬だけ 私見つけて
揺らめいて 陽炎のように 消えるから

哀し気に 陽炎のように 消えるから

69 名前:4日目 投稿日:2003年04月08日(火)22時51分27秒
4日目、終了です。
途中途中、凄く読みにくいんじゃないかと気にしているんですけど・・・
話はもう少し続くので、もしよければ付き合ってください
70 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)00時53分07秒

(俺・・・なにやってたんだろ?)
71 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)00時53分38秒
気付くとそこは・・・自分の家だった
友人に話を聞くと、なにやら俺は北海道へ旅行に行っていた・・・ということらしい
しかし・・・俺にはさっぱり他人事のようにその話が聞こえた・・・
それも・・・毎日門限を破りどこかへ行っていたらしい・・・俺は先生達に大目玉を食らった

72 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)00時54分47秒
思い出せない・・・
それは確かにあったのに・・・思い出せない
思い切って病院にも行ってみた
しかし、外傷によるものでもなければ、ましてや突発性の記憶喪失でもないと判断された俺はただ途方に暮れていた・・・

73 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)00時55分59秒
それから毎日・・・ただ時のみが過ぎていった
何か大事なものを忘れてきたという思いが俺を縛り付けていた・・・
それは思い過ごしなんかじゃない・・・何の根拠もないが、俺は確信していた・・・

74 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)00時56分46秒
もう夏は去り、すぐに秋が訪れるのだろう・・・
そして冬になり、春の気配を感じ、また夏がやってくる・・・
俺はどうしてだろう・・・時の流れにはむかうように夏を・・・この季節を欲していた・・・

75 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)00時58分17秒

時は流れ・・・3年後〜
76 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)00時58分58秒
俺は北海道の大学へと進学した
結局、俺はあの夏の旅行の記憶を追い求めるかのように北海道へやってきたのである
それでも、俺はまだ”探し物”を見つけることが出来ずにいた・・・

77 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)00時59分53秒
大学に通い始めて3ヶ月・・・
俺はいまだに一歩を踏み出せずにいた
何をするにもやる気がおきずに、孤独感が俺を支配していった・・・

78 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)01時00分54秒
俺はある日、1人でバスに揺られ、旅に出た・・・
旅とはいっても、ただ何も考えず、行く先も決めずにバスに乗っていただけだが・・・
と、バスは一面緑の大地が広がった場所を横切ろうとしていた
すると、そこに1人の女性―ただ何をするわけでもなくたたずむように立っていた―の姿が見えた

79 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)01時01分59秒
気付くと俺は、バスの中から見ていたこの草原へと歩みを進めていた
俺は何か…そう、得体の知れない何かを探していた…
それはただ俺を動かす唯一のものだった…
俺が探している”何か”がそこにはある…
ただの直感としか言いようがないが、それでも俺の身体は勝手に動いていた

80 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)01時02分57秒
雪のような白い肌・・・そしてその女性を大きく覆いかぶさるような大木
そんな物珍しい光景にも俺はなぜか懐かしさを覚えていた
どこか居心地のいい・・・安心できる場所
この場所は俺を快く受け入れてくれているようだった・・・

81 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)01時04分00秒
「なにやってるの?」
俺は女性にそう声をかけた…のだが、聞こえなかったのか、もしくは気分がさえないのだろうか
その女性は振り向こうとはしなかった
俺は意を決してもう一度話しかけてみる
「こんにちは」

82 名前:エピローグ〜3年後の二人〜 投稿日:2003年04月20日(日)01時05分14秒
『約束…守ってくれたんですね…』



彼女が呟いた言葉はあまりにもか細く、俺の耳に届く前に周りの声にかき消されてしまったようだ……

83 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月28日(月)23時53分37秒
「なぁ・・・あさ美?」
『はい』
「・・・・・楽しいか?」
『ええ、とっても』
84 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月28日(月)23時54分13秒
あさ美は大きな木の下で1人日向ぼっこをしている・・・と見えるのだろう、普通の人には…


「なに話してるんだよ?」
『・・・聞こえないんですか?』
「聞こえないっていつも言ってるだろ・・・というか、いつまでたっても無理に決まってる!」
『そんな事ないですよぉ・・・明日は聞こえるようになりますって!』
「それ昨日も聞いた・・・」
『・・・そうでしたっけ?』
85 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月28日(月)23時54分43秒
あさ美の周りに鳥が集まってくる・・・いつものことだが俺はこれが苦手だ・・・


「なあ・・・その鳥どうにかならないのか?」
『どういうことですか?』
「いや・・・焼き鳥にしたら美味しそうかなって」
『そんなこという人・・・嫌いです』
86 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月28日(月)23時55分26秒
あさ美は鳥に囲まれ、ただ笑っている・・・
それをそばで見ている俺・・・
ひたすら日常が過ぎていく・・・
87 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月28日(月)23時56分04秒
「あさ美・・・楽しいか?」
『ええ、とっても』
「なあ、いつも思うけどさ・・・それ自慢してない?」
『そんなことないですよぉ・・・』
88 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月28日(月)23時56分54秒
あさ美はにやっと笑って否定する・・・
ひたすら日常が過ぎていく・・・
89 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月28日(月)23時57分57秒
「なあ・・・なに話してるんだよ?」
『・・・・・ひみつです』


あさ美は別れを告げたのか、鳥の群れは飛び去っていった・・・
90 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月28日(月)23時58分55秒
『ただ・・・”仲の良い2人だね”・・・って』
「鳥がか?」
『はい・・・』
「あんまり嬉しくないな・・・」
『そんなこと言う人・・・嫌いです』
91 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月28日(月)23時59分26秒
頭上には大きな樹・・・そして澄み渡る雲・・・
ひたすら日常が過ぎていく・・・
92 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月29日(火)00時00分21秒
『あの・・・一つ聞いていいですか?』
「ん・・・なに?」
『後悔してませんか・・・』
「いつも言ってるだろ・・・後悔なんかしてないって」
『でもっ!』
「でもっ!じゃなくて・・・俺が選んだ生活なんだから・・・」
『・・・その割にはあまり楽しそうじゃなさそうですけど・・・』
「・・・・・」
『おまけにいろいろ文句を言ってる気がするんですけど・・・』
「・・・・・」


あさ美はいつも同じことを聞き返してくる
それにいつもと同じ回答をする俺・・・
ひたすらに日常が過ぎていく・・・
93 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月29日(火)00時01分04秒
「あさ美も昔はもっと何も言わずにただぼーっとしてたんだけどなぁ・・・」
『あなたも昔はもっと包容力があったと思うんだけどなぁ・・・』


いくつになってもあさ美は毒舌のままであり、俺は俺のまま・・・
ひたすらに日常が過ぎていく・・・
94 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月29日(火)00時01分36秒
「でもさ・・・」
『はい?』
「俺は・・・俺はあさ美といっしょに過ごせるだけで楽しいよ・・・」
『えっ?・・・私もです』


いつもと違う俺の発言に明らかに動揺しているあさ美・・・
95 名前:エピローグ〜50年後の二人〜 投稿日:2003年04月29日(火)00時02分24秒
「まあ、ドジで間抜けでおっちょこちょいな所は全く変わらないけどな・・・」
『私はいつも鳥と話してるからちっとも暇じゃないですけど〜』
「・・・・・」


ひたすらに日常は過ぎていく・・・
ただ何も変わらずに・・・過ぎていく・・・
96 名前:じーこ 投稿日:2003年04月29日(火)00時06分28秒
これでばふらめくは終了です。
エピローグのふたつは、つなげて読んでもらってもらってもいいですし、
別々に分けて読んでもらっても結構です。
僕は分けて作ったつもりなんですけど…友人はてっきりつながってると思ったみたいです(w
何とかめげずに更新できてよかったかなと思います。
残りも大分あるんで、新しいのでも載せようかなって思ってるんですけど…良いんですかね?
レスか欲しいです(爆
97 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月29日(火)20時34分43秒
完結おつかれさまでした。
なんだか怖い話しですね。
自分にはエピローグは分かれてるように思えました。
別の話はぜひ読みたいです。
98 名前:4日目 投稿日:2003年04月30日(水)21時37分17秒
>97名無しさん
レスありがとうございます。
怖い話ですか・・・そうですか(w
次の話は市井・後藤にしようかと思ってるんですが・・・
時期がじきなもんでなかなか出しにくいものがあるんですよ(w
それでも良いんでしょうか?
99 名前:じーこ 投稿日:2003年05月13日(火)18時30分08秒
お久しぶりです。
時期がかなり違うのですが、新作です。
100 名前:じーこ 投稿日:2003年05月13日(火)18時34分48秒
昔、あるところに美しい娘がいた。その娘の名は織女。天帝の娘であるとも、天に仕える巫女のひとりであったともいう。娘の仕事は、機を織ることだった。 

そして、牛飼いの若者、牽牛が娘にひとめ惚れする。牽牛の飼っている牛は、犠牲獣といい神(天)に捧げられる牛であった。牽牛は織女に結婚を申し込む。 

すると天帝は、牽牛が婿 にふさわしいかどうかを試そうと、瓜を差し出してこう言う。「この瓜が切れるか?」  

牽牛は、簡単だと言い、瓜を2つに切る。すると…瓜の中からおびだだしい水が溢れだし、それはみるみる大河になってしまうのである。
その大河とはもちろん天の川。射手座付近から鷲座、白鳥座、そして天頂近くを通って流れていく星。その天の河で天は2つに隔てられ、2人は離れ離れになる。

7月7日、その日は二人が一年で唯一出会える日である。

二人は天の川を隔て、一年ぶりの再会を果たす……
101 名前:七夕の奇跡〜たった一日の再会〜 投稿日:2003年05月13日(火)18時36分54秒
「それでは本番入りまーす」

『はーい』



それは変わらない1日。

今日も私はモーニング娘。の一員として仕事をしている。

7月7日…世間では今日は七夕の日。

そして…



「いちーちゃん…」



もう誰もが忘れ去ってしまっているであろう市井紗耶香の命日である…
102 名前:七夕の奇跡〜たった一日の再会〜 投稿日:2003年05月13日(火)18時39分05秒
それは梅雨も終わり、夏がやってきそうな季節。

私 〜後藤真希〜 には突然の出来事だった。



いちーちゃんが死んだ…?



最初マネージャーからそれを聞いたとき、おもわず襟をつかんで



「はぁ? アンタ、冗談にもほどがあるよ」



と本気で怒ってしまった。



しかし、楽屋に着くと、そこには沈痛な面持ちをしたメンバー達がそれぞれに座っているのを見て、

私は、それが初めて冗談ではないことを知った。
103 名前:七夕の奇跡〜たった一日の再会〜 投稿日:2003年05月13日(火)18時50分27秒
いちーちゃんの葬儀に行くと、そこには数え切れないくらいの参列者がいた。

その光景を見ても、私はちっとも現実感を覚えなかった。



いちーちゃんが眠っていた…

静かに、本当に静かに寝ていた…



「いちーちゃん、こんな所で寝てないで早く起きなよ?」



それでも返事は無く



「いちーちゃん?いちーちゃんってばぁ…」



私が呼びかけても全く反応することなく



「後藤の頭…撫でてよ。 いつものようにさ…ほら…」



市井紗耶香はこの世から去っていった…
104 名前:じーこ 投稿日:2003年05月13日(火)18時52分03秒
まだ5月なんですけどね…始めちゃいました(w
出だしから少し暗いかもしれません(w
時期はずれかもしれません(w
勘弁してください(w

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