いしやぐ聖誕祭

1 名前:LVR 投稿日:2003年01月13日(月)21時17分35秒
1/19石川誕生日&1/20矢口誕生日をまとめて祝うスレです。(叩かないでください)
いしやぐ小説を書ける限り書いていきたいと思います。
よろしければ、皆様もどんどん小説を書き込んでください。
いざとなれば石川×矢口でなくても(略
2 名前: 投稿日:2003年01月13日(月)22時42分36秒
とある日のラジオで届いたファックス。
3 名前: 投稿日:2003年01月13日(月)22時43分24秒
矢口真里っぺさんへ。


毎週毎週ラジオお疲れ様で〜す

久しぶりにラジオを聞きましたが、噛み噛みの矢口さんかわいかったよ〜。

私、真里っぺとカップルシートで映画見た〜い。いちゃいちゃしましょ。

キショイって言わないでくださ〜い(はあとまあく)

そして、ちょっと言いたいことがあるのですが、梨華ちゃんかわいそ〜。

カントリー娘。にモーニング娘。(石川梨華)に一票。

自分で書いててキショクなってきました。

十八歳になったら真里っぺの番組に乗り込んでやるぞ〜。


豆の次にこの番組を愛しているチャーミーより
4 名前: 投稿日:2003年01月13日(月)22時44分56秒
※注

番組の前後の流れを聞いていなければわからない表現等がございますが、ご了承ください。
5 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)22時46分04秒
「お疲れ様でーす」
スタッフの声が響いて、ようやく今日の仕事も終了。
おいらはすぐに携帯を手にとり、メールを打つ。
「『ファックス送ってくれてありがとう』っと。これでよし」
送り先は梨華ちゃん。
精一杯の愛情を込めて、送信ボタンを押した。

今日のラジオの収録中。
梨華ちゃんからファックスが届いた。
番組の内容に即したもので、自分でぶりっこを演じるような冗談めいたものだけど、おいらは本当に嬉しかったんだ。

一分と経たずに、梨華ちゃんからメールが返信されてきた。
『愛する真里っぺのためだもん(はあと)←キショ』
おいらはそれを見て、深く溜め息をつく。

梨華ちゃん、気付いてないんだもんなぁ……。

こうした、冗談めいた告白をされるたび、おいらの胸は張り裂けそうになるんだ。
今日のファックスにも、「まりっぺラブ」なんて書かれてて、対応に凄く苦しんだんだぞ!
6 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)22時47分41秒
そんなことを考えながら歩く帰り道。
通りかかったコンビニのガラスに、でかでかと貼られたポスターが目に入った。
最近テレビCMでよく流れるホラー物。
そう、梨華ちゃんが凄く好きそうな――

ん?

そこでおいらの頭に、今日のファックスが蘇る。
『私、まりっぺとカップルシートで映画見たーい』
ちなみに、カップルシートと言うのは、読んで字のごとし、といったやつで……。
通常座席とは別にある、仕切りのない二人がけの椅子のようなものなのだ。
以前おいらが映画(ハリーポッター)を見に行ったときにも、そこから放たれる灼熱の風には手痛い目に合わされた。
その愚痴を今晩のラジオで言ったところ、先程のようなファックスが梨華ちゃんから届いたのだ。
7 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)22時48分36秒
しかし。
他所様に使用されては不愉快極まりないカップルシートも、自分が使うとなれば話は別。

おいらはもう一度そのポスターを見た。
この映画のチケットを梨華ちゃんの前に差し出せば、秋のさんまのごとく、何十匹でも釣れるだろう。
もとい、確実においらの誘いに乗るはずなのだ。
そうしておいらはその後にこう言おう。
『このチケット、カップルシートだけど、仕方ないよね』

おいらはにんまりと笑みを浮かべながら、迷わずにそのチケットを買った。
8 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)22時50分20秒
次の日。
おいらは一番に楽屋に乗り込み、梨華ちゃんの到着を待った。

早く来ないかな〜。

ドアが開くたびにおいらの意識はそこに集中する。
そして、すぐにでもチケットを差し出そうと、右手を前に出す。
しかしなかなか梨華ちゃんは現れず、右手は何度も空を切った。

そして本日十度目の素振りが行われたときに楽屋に入ってきたのは、なっちだった。

「ヤグチー、何してんの?」
楽屋に入るなり、なっちはすぐさま目ざとくおいらの右フックに反応する。
つかつかと歩み寄るなっちに、チケットを慌てて後ろ手に隠す。

「今、なんか隠したっしょ」
「え……キャ、キャハハハ。そんなわけないじゃん」
「いーや、絶対怪しい」

ずい、と歩み寄るなっちにおいらは一歩後ずさり。
また、一歩。
次第に後ろには壁が近づいてきて、どーしたもんかと思い悩む。
9 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)22時51分40秒
……よし。

背中が壁に触れる直前で、おいらはなっちの元から駆け出した。
もうこうなったら、何かを隠している、というのがばれてしまっても構わない。
チケットさえ見られなければ……って、あれ?

全力疾走のために勢いよく振り上げられた右手に、チケットはない。

慌てて後ろを振り返る。
さっきまでおいらがいた場所に出来た、人の群れ。

「これは問題やなぁ」
「矢口さんは自覚が足りないのれす」

心底呆れたような声色の辻と加護。
おいらは恐る恐るその人だかりに近づいた。

「ちょっとー、これ誰と行くわけーっ!」
圭ちゃんがいやらしい笑みを浮かべながら問い掛ける。
「圭織ね、アイドルはファンのみんなが恋人であるべきだと思うの」
圭織は神妙な顔で、おいらにアイドル論を説き始めた。

それぞれが思い思いの言葉をおいらに投げかける。
その中心にあるのは――
予想通り、あのチケット。
10 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)22時53分57秒
「矢口さぁん、彼氏いるんですかぁ?」
よっすぃーまでにやにやした表情で聞いてくる。
「ま、まさか。いるわけないじゃん」
握った拳がプルプルと震える。
「でもこれ、カップルシートですけど?」
「いやぁ、親戚のおじさんがいらなくなったからって、おいらに……」

矢継ぎ早に繰り出される質問に、なんとか答える。
額からは冷や汗がぽたぽたと零れ落ちた。

「映画かぁ……」
小川がさびしそうな声を漏らす。
「そう言えば、しばらく行ってないのぅ」
これは、高橋。

そんな二人の呟きに、ものすごく嫌な予感がした。
11 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)22時54分56秒
「じゃあさ」
突如漏らされたなっちの声に、みんなの視線が集中する。
「今度のオフ、みんなで映画見に行かない?」
その言葉を聞いた瞬間、「おお〜」というどよめきがあがる。
紺野などは、「ホントですか!?」と目を輝かせながら聞き返している。
そして、どの映画を見たいだの、お昼は何処で食べたいだの、様々な意見が溢れ出した。
そこでおいらは思案する。

……。

今度のオフって、このチケットの指定日じゃん!

そんなおいらの葛藤も知らず、いつのまにか見に行く映画が決まったようだ。
なっちはおいらに笑顔を見せて言う。
「満場一致でハリーポッターに決まったから」
「いや、その日は……って、おい!!」

ハリーポッターかよ!
お前らちゃんとラジオ聞けよ!
おいらはしっかり見に行ってるんだよ!
12 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)22時56分10秒
明らかに天然なメンバーの決定に、おいらは唇を震わせながら耐えた。
逆によかったじゃないか。
これで断る口実が出来る。

でも。
現実はそんなに甘くはなかった。

「ね、行くよね?」
「いや、だからおいらは……」
「え?」
なっちの誘いを断ろうと必死になっていると、偶然視界の隅に豆が映った。
瞳を潤ませながらおいらを見つめる豆。

「行かないんですか……?」
少しだけかすれた声でおいらに問い掛ける。
「え、えっと、その」
「うっわ、ヤグチひどっ!」
なっちが明らかに楽しんでいる目で、騒ぎを大きくする。

「矢口さん、ひどくないですかー?」
よっすぃーまで加わって、騒ぎがいよいよ最高潮に達しようかというとき。
おいらは、新垣の方をもう一度だけ見た後、チケットをぐしゃぐしゃに丸めて放り投げる。
そうして、頷いた。
「わかった、行くよ……」
それを聞いて、なっちは天使のように微笑んだ。
13 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)22時57分23秒
結局その後の話し合いの末、おいらが梨華ちゃんを映画に誘うことになった。(どうやら、おいら達が映画の話で盛り上がっているのをよっすぃーが見ていたらしい)
まあ、断られはしないだろうな、と思いつつも少しだけドキドキする。

「おはようございまーす!」
梨華ちゃんが入ってきて、みんなの視線が一気においらに。
おいらはギュッと拳を握り締めると、おもむろに歩き出した。

「梨華ちゃん、映画いこ」
「はい?」
遠くでなっちが「違うよ!」と口パクしているのが見える。
「えっと、みんなでハリーポッター見に行くことになったんだけどさ、梨華ちゃんも行こう?」
「ハリーポッターですか……?」
そう言いながら、不思議そうな顔をする。
周りでは、メンバーのみんながおいら達の一挙手一投足に注目をする。

……あのさぁ、そんな風に見られてると、妙に緊張するんだよっ!
14 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)22時58分04秒
梨華ちゃんもそれに気付いたようで、誰にもばれないように周りを伺う。
そして、ニコリと笑った。
「真里っぺの誘い、断るわけないじゃーん!」

その瞬間、それを見ていたみんなのテンションは、一気に最高潮に。
なっちなどは「娘。全員でお出かけなんてすごいべ!」と大はしゃぎをしていた。

そのとき、「なるほどね」と呟く梨華ちゃんの声が聞こえた。
この騒ぎの中、我ながらよく聞き取れたと思う。
しかし、現実に聞き取れてしまったわけで、おいらは驚いて梨華ちゃんに視線を向けた。
おいらと目が合って、梨華ちゃんは苦笑する。
15 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)22時59分14秒
そっか。
梨華ちゃんは、昨日のラジオを聞いていてくれたから知っているんだ。
おいらがハリーポッターをもう既に見終わっていること。

それに気付いたおいらは、なんか無性に嬉しくなって、それでいて無性に恥ずかしくなって、梨華ちゃんの笑顔に上手い笑顔で答えることが出来なかった。
少しだけ笑顔を見せた後、すぐに楽屋を抜け出して洗面所に向かった。

蛇口から零れる水は凄く冷たかった。
冬の冷水においらの頬の火照りはすぐに消されていく。
それでも、おいらのことを全てわかっていてくれてるような梨華ちゃんの微笑みは、いつまでも消えない。
それでふと、チケットをどこかに放り投げてしまったことを思い出した。
16 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)23時00分30秒
映画当日。
妙な張り切りを見せるなっちを筆頭に、ずらずらと娘。の面々が映画館に足を踏み入れる。
都心に離れた場所を選んだために、そこは想像以上に空いていた。
それでも、女の子十二人はものすごく目立つから、さっさと席につく。

娘。全員で一列に座り、おいらの席は左端から二番目。
右隣になっち、左隣に梨華ちゃんと言う好位置を確保した。
……確保はしたものの。

チラリと画面に目をやる。
金髪の少年が画面狭しと駆け回る。
それは、既に見簿えのある風景。
……何処に楽しさを見つければいいんだろう。

そりゃおいらだって、同じ映画を何回も見たりするよ。
でも、さすがに今回は気乗りしない。
だって、おいらが思い描いていた計画は――
17 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)23時01分04秒
(見て見て!)

クライマックスが近づいてきたとき、なっちに服を引っ張られる。
おいらは、そのキラキラした瞳に「もう見たよ」なんて言うことは出来ず、愛想笑いを浮かべる。
暗がりの中、目を凝らすと、右に陣取った娘。たちは、みな一様にその瞳を輝かせていた。

不意に、おいらの口元に笑みが零れる。
梨華ちゃんと二人っきりのカップルシートは叶わなかったけど、こういう休日もいい。
なんとなく、みんなの顔を見ていたら、そう思えた。

(ね、梨華ちゃん)

心の中だけでそう言って、隣りの梨華ちゃんに視線を向ける。

……あれ?

梨華ちゃんは、いつのまにか隣りで眠っていた。
気持ちよさそうに、可愛い寝息を立てている。
辛そうに頭を揺らしていたから軽く服の裾を引いてやると、おいらの小さな肩の上に、梨華ちゃんの頭がこてんと乗せられた。
それに重ねるようにして、おいらの頭も乗せてやる。

そのまま時間は流れる。
ゆるやかなビージーエムに合わせるように、梨華ちゃんの肩も揺れる。
おいらは、たったそれだけのことに満たされて、笑顔のままに瞼を閉じた。
18 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)23時03分52秒
「はー、面白かったぁ!」
映画館を出るなり、なっちが叫びながら大きなあくびをする。
ばれるばれるとみんなで慌てて、人気のない路地へとぞろぞろ歩き出す。
その道すがら、それぞれがそれぞれに映画の感想を言って笑い合っていた。
いい加減に映画を見ていたおいらと梨華ちゃんは、互いの顔を見て吹きだした。

「ねえ、真里っぺ」
梨華ちゃんが、空を見上げながら言う。
「真里っぺ言うな」
「ふふ、矢口さん」
「……何?」
頬を膨らませるおいらとは対称的に、梨華ちゃんは楽しそうに笑顔を見せた。

「今度、映画一緒に見に行こう?」
「……え?」

慌てて右を向くおいらの視線と、梨華ちゃんの視線が交差する。
梨華ちゃんは笑顔のままに右手をかざした。
それに握られる、二枚のチケット。
それは紛れもなく、おいらが買ったチケット。
「これはもう使えないけど、ね」
19 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)23時04分23秒
風が吹いた。
チケットが空に舞って、おいらの視線が、みんなの視線が、それに釘付けになる。
その一瞬。
右の頬に微かな熱を感じた。

「梨華ちゃ……」

視線を戻したとき、もう梨華ちゃんはみんなの輪の中に入っていた。

こんなの、挨拶代わりのはずなのに――

そう言い聞かせても、頬に残った熱は消えない。
それには気付かない振りをして、おいらもみんなの元へと向かった。

空にはぽっかりと太陽が浮かんでいた。
冬には珍しく、太陽がじりじりと暑い日だった。
20 名前:矢口真里奮闘記 投稿日:2003年01月13日(月)23時05分00秒
おわり。
21 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月13日(月)23時27分20秒
やぐいしマンセー!
22 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月14日(火)00時14分30秒
やぐいし最高〜!!!
いいっすw
23 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月14日(火)01時11分12秒
初めてやぐいしに萌えた。
イイ!
24 名前:誕生日の夜 投稿日:2003年01月14日(火)01時13分40秒
もしあなたが起きたらすぐに気が付くように
プレゼントを置いておくわ
ねえ気付いてよ
25 名前:誕生日の夜 投稿日:2003年01月14日(火)01時16分45秒
「懐かしい歌うたってんじゃん」とリーダーが言う。
「気付いてくれた?」とマリーは笑う。
「何の歌?」とアイボンが言う。
「そういえば明日でしたね。誕生日」とチャーミーは芝居がかって言う。
 マリーはうなづく。
「とうとう俺も二十歳か」
26 名前:誕生日の夜 投稿日:2003年01月14日(火)01時18分20秒
「プレゼント何がいいかなあ」
 アイボンが悩みだす。
「何でもいいよ」とチャーミーが言う。
「何でもいいってなんだよ」
 マリーは糞慨する。
「何でもよくないっしょ。二十歳の記念なんだよ」
 リーダーが怒りをあらわにする。アイボンも便乗で「失礼やな」と言う。
 チャーミーは泣く。そしていつしか泣き疲れて眠る。
27 名前:誕生日の夜 投稿日:2003年01月14日(火)01時19分56秒
「チャーミー、起きて、チャーミー」
 マリーの声が耳に響いて、チャーミーは目を覚ます。
「……おはようございます」
「おはよう」
「なにこれ、卵だ」
 チャーミーは傍らに置かれてあった卵を手にとる。
「プレゼント」
「え」
「誕生日おめでとうチャーミー。あと一分で終わっちゃうけど」
28 名前:誕生日の夜 投稿日:2003年01月14日(火)01時20分59秒
「覚えてて、くれたんだ」
 チャーミーの目から涙があふれる。「うれしい」
 マリーはチャーミーの手から卵をとると、リーダーの頭でそれを割る。
「はいチャーミー、あーんして。飲み込んじゃだめよ」
 生卵がチャーミーの口に入る。
「ひふはひはい」とチャーミーは言う。
「しようよ」とマリーは言う。
 生卵が日付をまたいでマリーの口へ移る。
「バカップル誕生を撮影したよ」と携帯をかかげてアイボンが言う。
29 名前:誕生日の夜 投稿日:2003年01月14日(火)01時22分24秒
おわり。
30 名前:ハロプロニュースな二人 投稿日:2003年01月14日(火)01時27分02秒
「きゃーvv かわいーvv」
 先刻まで眉間に皺が寄っていたのに、矢口さんが出て来るだけで目の色が変わっちゃう中澤さんに少しムッとする。
 中澤さんの声援を受けるたびに矢口さんがムスッと無表情になるのも照れ隠しみたいな感じで、気に触る。
「えっとお、新曲『NOVAうさぎに薔薇の花』はぁ、英会話スクールNOVAのテーマソングでぇ…」
 ぶっきらぼうにカンペを読み上げる。
「このNOVAうさぎの映画にはミニモニも出演します」
「んんまぁ可愛いvv ぜったい見に行くぅvv」
 上ずった声で両手を組み合わせてクネクネする中澤さん。
 ゴロゴロと黒子に連れ去られていく矢口さんを名残惜しげに見送っている。
「ええっとぉチャーミーのほうがっ、もっともっとかわいいですよねっ!」
 ヤケになって声を張り上げて席を立つと、矢口さんがギョッとしたように振り返った。
 アドリブだもんね。
「かあいくないっ。くらべものになんない」
「そんなこと言わないでくださいっ。ほらハぁッピー、ハッピー、ハッピぃいい!」
 必死で繰り返すあたしに、中澤さんはひいたようにハッピーの身振りをしてくれる。
 ふ。
 勝った。中澤さんに勝った。
31 名前:ハロプロニュースな二人 投稿日:2003年01月14日(火)01時27分36秒
 番組が終わってからも勝利の余韻に浸っていたら後ろから殴られた。
 矢口さんだった。
「おめーなー、なんだってオイラより可愛い可愛いてピーアールするんだよぉっ」
 それは中澤さんが矢口さんを見てるのが悔しかったからです。
「あれじゃまるでオイラ大負けじゃないかよっ!」
 ひとりプリプリして去っていく。
 ……。
 あれー? ええと、ちょっと待って。待って。それって。ええと。
「チャーミーが中澤さんに可愛いて言ってもらうことに矢口さんが嫉妬したってことー?!」
 結論を大声で叫んだら、もう1発、パンチが飛んできた。
「嬉しそうにニヤニヤしながら、知らない人が聞いたら誤解すること言うないっ!」
「えへへ。誤解? ほんとに誤解ですか?」
「うっせー、うっせー、うっせー」
 後頭部が少しジンジンするけど、あたしは幸せな気持ちで、早足で歩く矢口さんのちっちゃな背中を追い掛けた。
32 名前:ハロプロニュースな二人 投稿日:2003年01月14日(火)01時28分15秒
おしまい
33 名前:THE・心理戦 投稿日:2003年01月14日(火)03時23分35秒
 楽屋に漂う明るい雰囲気を掻き分けながら、私は四つん這いの格好のまま、
雑誌を読んでいた矢口さんの所へズルズル向かった。私に気付いた矢口さんは優しい視線を
私に向けてくれた。・・・嬉しい。矢口さんのこういう些細な優しさが、
未だに私の一番大事な感情を掴んで離さない。喜悦した私は、ふと思い出した
あの日の事を訊ねてみた。

「矢口さん?去年の私の誕生日、覚えてますか?」
「忘れるわけねーだろ。あの、秒針が十二時を指す一瞬。忘れるわけねえ」

  * * * * *
34 名前:THE・心理戦 投稿日:2003年01月14日(火)03時24分15秒
 息がつまった。
瞬きを忘れた私は、上手く目の前で起こっている事象を認識する事が出来なかった。
指が、痛い。右手の親指には大きなマメが出来ている。
それでも、私はその指の力を緩める事は出来ない。力を抜くと、殺られる。

「矢口さん、これで勝ったら、私のお願い聞いてくれるんですよね?」
「・・・オイラに二言は無いよ。なんでも聞いてやる。誕生日だしな」
「フフっ。じゃあ、決めちゃいますね」
「やれるもんならやってみろ。言っとくけど、
 十二時超えても勝負がつかなかったら無しだからな」
「その時は矢口さんが言ってた条件飲みますよ。約束ですから」

 時間は十一時五十七分。三分もある。十分だ。体力はお互い、あと僅かだった。
いや、私の方が拙い。私は、弱パンチ一発でも貰えばそれで終わってしまう。
矢口さんは・・・まだ、中パンチ一発、いや、・・・微妙だ。しかし、まだ余力がある。
画面の端で、しゃがみガードを継続させていた私がそんな事を考えていた時だ。

『波動拳〜』
「きゃあ!」

 驚いた私は咄嗟にガードを解いて、弱中強パンチのボタンを同時に押した。
グルグルグル。なんとか、避けた。しかし、・・・卑怯だ!
35 名前:THE・心理戦 投稿日:2003年01月14日(火)03時24分56秒
「矢口さん、《削り》ですか?そりゃ卑怯ですよ」
「ば〜か、勝負の世界に卑怯も糞もねえよ。糞も。・・・しかし、かわしやがって」
「ザンギエフを舐めると、痛い目に合いますよ」

 私はザンギエフをこよなく愛していた。あの豪腕から繰り出される技の数々。
矢口さんに勝つには、このキャラクターしかいないと思った。
ザンギエフ、通称デブキャラ。そんな忌み嫌われた呼び名で人は彼を嘲笑う。
悔しかった。まともに使おうともしなかった奴等に、彼の魅力の何がわかる?

「この一年間の答えが、そのデブキャラかよ?キャハハ。・・・甘いよ石川」

 矢口さんの声色が、俄かに透き通った。
厭な、予感がした。私は然して注意していなかった必殺技のゲージに目をやった。
・・・矢口さんは、狙ってる。私を削り殺そうとしている。でも・・・

「・・・削ろうったって、無駄ですよ、私にはダブルラリアートがありますから」
36 名前:THE・心理戦 投稿日:2003年01月14日(火)03時25分30秒
 矢口さんの使っているキャラクターは、いわゆる万能キャラだ。
飛び道具も持っているし、対空技も持ってる。隙が無い、バンピーに最も好まれるキャラだ。
そしてこのリュウが持っている超必殺技に、《真空波動拳》というのがある。
矢口さんは、その技で私を削り殺そうとしているのだ。
 しかし、飛び道具を持っていない、このザンギエフを神は見捨てなかった。
――ダブルラリアート。名前からして、カッコイイ。
この技は、相手の飛び道具をかわすことが出来る超優れものだ。

「だから、甘いって言ってんだよ」

 矢口さんは、リュウのガードを解いて、ゆっくりと前進させた。
どうして?この場面で、奇策が思いつくはずが無い。それも、近寄ってきている。
接近戦になれば、このザンギエフに敵うキャラクターなど存在するわけが無い。
なぜなら、ザンギエフは泣く子も黙る、スクリューパイルドライバーを所有しているからだ。
不用意に近づいてきたら、獣を狩るハンターのように、獲ってやる。

「矢口さん、投げますよ?」
「・・・お前のその指で、果たして一回転ができるかな?」
「!」
37 名前:THE・心理戦 投稿日:2003年01月14日(火)03時26分50秒
 矢口さんの言葉に触発された私は、自身の右手親指の感覚に意識を集中した。
痛い・・を超えて、感覚が麻痺しかかっている。
当然だ。六時から今まで、ぶっ通しでやっていたのだ。ザンギエフは長期戦には優しくない。
果たして、私は回せるのか?この忌まわしい十時キーを。
矢口さんは画面の真ん中まで歩かせて、止めた。そして、覚悟を決めるように息を吐いた。
その吐息が、冷静だった私の心をずらした。

「後、一分。・・・決める。オイラは勝たなきゃ気が済まない性質なんでね」
「矢口さんのそういう所を・・私は好きになったんです」
「だったら、悪いけど、決めさせてもらう」
「でも、私もそう易々とはやらせませんよ」

 そう。易々とやらせるわけにはいかない。去年のこの日。私は最高の屈辱を
味わったんだ。あんな思い、もう二度と繰り返すわけにはいかない。
私は神経を集中させた。矢口さんの些細な動き、そして画面のキャラの動き。
矢口さんが行動を起こしたとき、私はきっとジャンピングボディプレスをさせるに
違いない。私の意志がそうさせなくても、体がきっと勝手に反応する。
38 名前:THE・心理戦 投稿日:2003年01月14日(火)03時27分39秒
こういう後一発で勝負が決まるような心理戦では、最後まで冷静でいられた方の勝ちだ。
私は自分の心に何度も言い聞かせた。落ち着け、梨華、お前は強い。

 そこでさっきの矢口さんの一言が気になった。――甘いよ、石川。
何故矢口さんはあそこまで確信に近い声を出したのだろう?何か秘策でもあるのだろうか?
いや、ありえない。リュウが持ってる技なら、真空波動拳で体力を削り取る、
もしくはジャンプで接近した所を昇竜拳で落とすかのどちらかだ。
そして、私が絶対にジャンプで接近させない事を、矢口さんクラスのゲーマー
なら当の昔に気付いている筈だ。考えろ梨華。私が彼女なら、何を狙う?
・・・いや、考えるな、意識を集中させるんだ。一点を見つめて、何を仕掛けてきても
対処できるように、意識を集中させるんだ。・・・あれ?私は、誰と戦っていたんだっけ?
画面に意識を集中させていた時、一瞬、そんな事が頭に浮かんだ。
・・・理由は簡単だった。矢口さんは完全に気配を消していた。私が横目で彼女を窺った時、
彼女の表情は何処までも『無』だった。それは、まるで、弥勒菩薩のような・・・

――リュウが、飛んだ。

39 名前:THE・心理戦 投稿日:2003年01月14日(火)03時28分28秒
私は一瞬の『虚』を付かれた。時間は十一時五十九分三十秒。
慌てた私がコマンドを入力する手順を失敗した時に、リュウの全身が光った。
やはり、真空波動拳だ。スクリューパイルドライバーは失敗したけれど、
ダブルラリアートなら失敗は無い。神は私を見捨てなかった・・・

《真空〜竜巻旋風脚!》
「あ!」

 声を上げた時には、もう遅かった。彼女はずっと私の心理に罠を仕掛けていたんだ。
今の今まで、彼女はリュウには昇竜拳か、波動拳しかさせなかった。
竜巻旋風脚という選択肢を、六時間かけて私の概念から奪っていたんだ。・・・負けた。

「だから、まだまだ甘いんだよなあ。石川は」
「・・・うっ、うっ・・完敗です」

私は泣いた。恥も外聞も捨てて泣きじゃくった。
私はどこまでもヒヨコでどこまでも甘ちゃんだ。ピヨピヨ。
泣いてやる。泣かずにいられるか!
40 名前:THE・心理戦 投稿日:2003年01月14日(火)03時29分16秒
「ほいよ」

矢口さんがハンカチを差し出してくれた。

「私は甘ちゃんですね」

そう涙を拭いながら言ったら、唇に柔らかい感触を覚えた。
矢口さんの薄い唇は、どういう訳かマシュマロのように柔らかい。

「?」
「だからオイラはお前の事が好きなんだよ。来年また受けてやるから
 腕磨けよ」
「・・・矢口さん」

 * * * * *
41 名前:THE・心理戦 投稿日:2003年01月14日(火)03時29分55秒
「今年は絶対勝ちますから」
「この一年間でお前が成長したとは思えないなあー」

揶揄するように笑った矢口さんを、私は最高の笑顔で捕まえた。
読んでいた雑誌が力無く畳に落ちて、変わりに私が矢口さんの腕に納まった。

「今年は秘策があるんですよ。だから、願い事、今年は聞いてくださいね?」
「勝ったらの話だ。勝ったらの」

今年はきっと勝てる。でも、ちょっと不安かも・・・・
ちなみに願い事は教えません。こんなんでいいですか?LVRさん?


お終い。

42 名前:ななしさん 投稿日:2003年01月14日(火)03時30分27秒
格闘ゲーム知らない人、ごめんなさい。
43 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)19時57分06秒
 黒い塊が坂道を登っていた。
 僧形のそれは空を見上げた。その視線の先に小さな洋館があった。

「やれやれ。きつい坂道だなぁ」

 ドアを推すか叩くか迷っていると、勝手に開いた。

「……矢口さん」
「よっ」
44 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)19時57分50秒


「お疲れ様でした、矢口さん」
「梨華ちゃん、どんな様子でした?」

 加護は椅子をひいて矢口に座るよう勧めた。辻がお茶を盆に載せて持ってきた。

「うん、まあなんだ、梨華ちゃんだったよ」
「ここにはこれないの?」

 飯田の問いに矢口は首を振った。昼間だが曇天で、部屋の中は暗い。テーブルの燭台がよう

やく光を灯していた。

「その、なんだ、体調がすぐれないみたいでさ、あの坂を行き来するの大変だろ」
「年取りましたもんね」
「それはみんな一緒だろ」
「じゃあ、今日来てないのは」
「石黒さんと福田さん、市井さん、藤本さんと……」
45 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)19時58分32秒
 沈黙の後、保田が意を決したように言った。

「後藤と吉澤……」
「ふん」

 中澤がワイングラスを傾けた。残りの一滴まで飲み干すと、自分でまた注ぎ始めた。

「吉澤か、来れるわけないだろ」
「ごっちんもね……」

 矢口は左右を見回した。いったいここに何人いるのか感覚がつかめなくなっていた。それは

矢口の責任ではない。

「中澤さん今年でいくつ?」
「聞くな」
46 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)19時59分28秒
「矢口はなんでお坊さんになったの?」
「キャハハ。オイラもいろいろあってさー。なんてゆーか、今までの生き方が正しかったのかどーかって、うまく説明できないんだけど」
「いったいどんなことがあったんですか? 後藤さんと吉澤さんのこと、私たち名前しか知らないんですけど」

 中澤がにらんだ。その質問をした女が誰か矢口は覚えてなかった。

「吉澤さんがあんなことするなんて思いませんでした」
「こら、紺野」
「いいんじゃない? ごっちんの供養にもなるかもよ」

 飯田の声にうながされて、中澤はしぶしぶ昔話を始めた。
47 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時00分06秒


 もうウチは娘。とは直接かかわりなくなってもたんやけど、ほら、藤本が娘。に入るって決まったころや。後藤はソロ活動を始めてた。あれは……年始のコンサートやったな。
 ひさびさに一緒にコンサートやれて、後藤も嬉しかったんやろな。吉澤や加護らと騒いでた。覚えてるやろ、加護。



「ね、ね、よっすぃ〜。今日はもういいんでしょ?」
「うん……多分大丈夫だよ」
「じゃさ、行こうよ。カラオケ? それとも焼肉?」
「……」
48 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時00分48秒


 二人は仲良くどこかへ出かけていった。その後のことはようわからんのやが、翌朝、後藤の死体が見つかった。吉澤は逮捕されて鑑別所に入った。それだけや。



「ごっちん、なんだよ……」
「よ、……よっすぃ〜……」



 それ、加護も見てたんですけど、梨華ちゃんもいっしょにいたんです、中澤さん。よっすぃ〜、どこ行くの〜、って。それで三人でカラオケ行ったみたいです。
 あとで梨華ちゃんに聞いたんですよ。そしたら、後藤さんとよっすぃ〜がケンカしたみたいなんです。どんな訳かは聞かなかったですけど。
 そしたら、後藤さんカラオケボックスから走り出して、どこへ行っちゃったそうです。で、よっすぃ〜が追いかけたって。
49 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時01分35秒


 保田が加護の話に割り込んだ。

「それじゃあ、やっぱり吉澤が後藤を?」
「みたいだね、その様子だと」
「あんなに仲良かったのに……」

 中澤が派手にワイングラスをテーブルに叩きつけた。何人かが姿勢を正した。

「どんな事情でケンカしたのか知らんが、殺すことあるか? それもあの後藤をやで? 吉澤のヤツ、絶対に許せん」
「……そうだよね。今は何をしてるかわかんないけど、ちゃんと罪を償ってほしいね」
「罪を償うって? 後藤はもう帰ってこんのや。みんなにも迷惑かけた。それに石川も……」
「石川さん、ショックで引退して、あの坂の上の家にこもりきりになっちゃったんですよね。何十年も……」
50 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時02分11秒


「なんで? ごっちん、いつまでも友だちでいようよ。約束したじゃん!」
「……ごめんね。でも、いっしょにいたら、だめになっちゃうんだ」
「そんなことないって。がんばるからさ、ね、ごっちん!」



 辻も見たよ。ごとーさんが走ってった。だよねー、あいぼん。辻も追いかけたら、えーと、よっすぃ〜も追いついてたのかな? ビルとビルの間で二人でなんか話してた。ちょこっと覗いてみたけど、顔とかどっちがどっちかよくわかんなかったけど、相手の肩をつかんでいたのがよっすぃ〜だったと思う。
 で、よっすぃ〜がごとーさんの肩つかんで、なんかしゃべってた。だめだとか、許せないとか、なんか大声出してた。そのあとはあいぼんといっしょに帰ったから、どうなったのかわからないけど。
51 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時02分41秒


「おいおい、ちょっと待てよ」

 矢口が辻の話に割り込んだ。黒い袈裟がバサバサと音を立てた。

「よっすぃ〜のことさ、ひどい言い様だけど、そこまで言うことないんじゃない?」
「矢口、何言ってんの。よっすぃ〜はごっつぁんを殺したんだよ。人殺しなんだよ」
「そうや。なっちの言うとおりや。吉澤は取り返しのつかないことをしたんや。ここで罵られてもしょうがないと思わんか、矢口?」

 矢口はうつむいて杖をトンと床に突いた。

「だけどさー……何か事情があったのかもしれないじゃん。詳しいことを知らないオイラたちがここでぐだぐだ言うことなんてできないよ」
「いやに吉澤をかばうね、矢口」
「おいらは僧侶だよ。犯罪者だろうが何だろうが平等に扱うのが役目だよ」

 中澤の目が据わっていた。

「そんなんやから坊主は嫌やな。きれい事ばっかりや」
「そうじゃないよ。罪を犯した人の話を坊主が聞かないで、誰が聞くって言うんだよ。こうしてみんなよっすぃ〜の悪口ばっかり言ってるじゃんか。だからこそオイラみたいな人間が必要なんだよ」
52 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時03分24秒


「いっしょにがんばろって言ったじゃん。あれウソだったわけ?」
「しょうがないよ。私が決めたんじゃないもん」
「そんなのずるいよ……私は何だったわけ? いい笑い者?」
「……そうかもね」



 中澤はため息をついた。安倍が話を変えようとした。

「梨華ちゃん、どうだった? 元気だった?」
「うん……昨日梨華ちゃんに呼ばれたのさ、得度受けたいって話」

 皆の息がもれた。高橋や紺野が矢口のそばに寄った。

「それって、矢口さんみたいに出家するってことですか?」
「うん。オイラと同じ宗派でね」
「変なこと吹き込んだんじゃないでしょうね」
「キャハハ、そこまであこぎなことやらないよ」
53 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時04分13秒


 あの、私、見たんですけど、あの……。



 保田は周りを見回した。ちょっと首をひねってから口を開いた。

「そっか。石川もあの事件で相当参ってたもんな。ある意味石川が一番の被害者だね」
「そうそう。あの三人、おない年で仲良かったじゃん」
「心労で体壊して引退なんてね……」
「吉澤と違うてやる気もあったのになー」
「写真集とかも一番売れてたよね。これからだって時に」



「なんで? どうして?」
「うるさいなー。私が決めたことじゃないって言ってるじゃん。進む道が違うんだからさ」
54 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時04分52秒


「私、梨華ちゃんのとこ行きたい」
「辻も行きたい」

 加護と辻が矢口の袈裟をひっぱった。矢口は困ったような顔をした。

「だめだよ。今頃梨華ちゃんは山寺に向かってる」
「じゃあ、そのお寺の場所教えてよ」
「私たち同期で、いっしょにオーディション受けて、いっしょにがんばってきたんだから。仲間なんだから。ねえ」

 矢口は二人を振りほどいた。

「梨華ちゃんが同期なら、よっすぃ〜だって同期だろ。いっしょにオーディション受けて、いっしょにやってきたんだろ。ならよっすぃ〜のことをどうして思いやらないんだ」
「だって……」
「矢口」

 中澤が矢口の肩をつかんだ。

「そんなこと言うたかて、吉澤はどうしようもないことをしたんや。吉澤より石川を思いやるのが人情やろ」
55 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時05分28秒


「ちょっと、ごっちん……あっ」
「何してんの、だめだって、み……」
56 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時06分09秒


 矢口が、今度は強く杖を突いた。険しい目つきになった。

「そこまで言うなら、昨日聞いた話全部話すよ。あの日、ごっちんが死んだあの夜だ。ごっつぁんとよっすぃ〜はケンカした。それは些細なことだったらしい。で、ごっつぁんはカラオケボックスを飛び出した」
「そうや。そして何かの間違いかもしれんが、吉澤が後藤を殺したんや」
「違うよ、裕ちゃん。そんなんじゃないんだ。よっすぃ〜と梨華ちゃんは後を追った。そして見たんだよ」



 私、偶然見たんですって……あの、聞いてください……後藤さんと藤本さんが……。
57 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時06分45秒


「ん? あ、小川か、何か言ったか? それで、ビルの陰で、後藤と藤本がもみ合ってたんだ」
「後藤と藤本が? なんで?」
「理由は言わないでおくよ。ごっつぁんは頭を壁にぶつけて、打ち所が悪く死んじゃった。そして、死体を見ながら、三人は相談した」
「相談って……」

 矢口は目を閉じた。ロウソクの火が弱々しい。

「これからどうするかって相談さ。事情はどうあれメンバーが死んでしまったら、アイドルグループやってけなくなるだろ? かといって死体を隠すことも、そのやり方がわからない。それじゃあって、一番影響の少ない道を選んだ」



「だめだよ、よっすぃ〜」
「しょうがないよ。梨華ちゃんも美貴ちゃんも、娘。に大事な人間なんだから」
「……」
58 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時07分18秒


「じゃあ、吉澤が全部罪を被ったって言うんか?」
「そうだよ、裕ちゃん。娘。の中でポジションが低いよっすぃ〜のせいにすることで、二人を、娘。を守ろうとしたんだ」

 窓ガラスに風が当たり、ミシミシと木枠が軋んだ。

「じゃあ、石川と藤本は、今までずっとそれを黙って……」
「そう。だけど梨華ちゃんは耐え切れず体を壊し、娘。を早々に辞めた。藤本も、今はオイラのお寺で座禅する毎日だよ」

 沈黙が流れ、そしてそれが破れた。

「石川って、あたしたちに黙ってたのか……」
「そんなのって、ずるい……」
「藤本もだけど、卑怯だよね」
「よっすぃ〜かわいそう……」
59 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時07分55秒
 みんなが口々に非難し始めると、矢口は大きく首を振った。

「かわいそう? さっきみんなでよっすぃ〜の悪口言ってたじゃんか。同期だってのに、かばおうとしなかったじゃんか。梨華ちゃんや藤本だって同じだよ。さっきまでの同情はウソだったわけ?」
「だって、それは事情が……」
「もういいよ。よっすぃ〜とか、梨華ちゃんとか、藤本とか、そういうかわいそうな人間のためにオイラがいるんだ。みんなからつまはじきにされて、石を投げられるような人間のために、オイラは経をあげるんだ」
60 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時08分43秒
 矢口はドアを開けた。冷たい風が流れ込んでロウソクの炎を揺らした。

「あっ、そうだ。よっすぃ〜も寺にいるよ。毎日ごっつぁんやみんなのために読経してる。明日からは四人で、みんなで仏道に励むんだ」

 ドアがしまり、炎が消えた。
61 名前:坂の上の家 投稿日:2003年01月14日(火)20時10分11秒
終わり

 パクリ元:G・K・チェスタトン「マーン城の喪主」
62 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時16分46秒
「her puppet」
63 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時17分32秒
◇     ◇     ◇


昔々、20年ほど昔、あるところに二羽の鳥が住んでいました。

「のう、コウノトリA。その子が今度石川さんの家に生まれる子かい?」

「そうじゃ、そうじゃ。快活で明るい子になりそうじゃ。
 ところでその子はどの子じゃ?コウノトリB」

「おお、この子は矢口さんの子じゃ。おしとやかで繊細な子になりそうじゃ。」


「おや、お互いに随分と気に入ったようじゃ」
「仲のいい事はいいことじゃ」


二人の赤ん坊は手を取り合い、微笑みあいました。

「ちょうど、二人とも横浜生まれじゃ。何かの縁があるのかもしれんのう。」

「そうじゃのう。石川のこが生まれる予定はいつじゃ?コウノトリA」

「再来年じゃのう。」

64 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時18分10秒
「さよかさよか、矢口の子が生まれるのは今年じゃて。」

「それじゃあ、こうしよう。
 石川の子を再来年の矢口の子と同じ日に生まれさすじゃ。」

「それはいい。では矢口の子は1月20日に生まれさすじゃ。」

「それでは、石川の子は再来年の1月20日じゃ。」

二羽と二人は矢口が生まれるまでの間
その巣で過ごしました。
石川の子と矢口の子は、それは仲睦まじく、
生まれる前だというのに将来を約束しあいました。

二羽のコウノトリはその様子を温かい目で見つめていました。


65 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時19分04秒
       ◇     ◇


「そろそろ横浜に発たないと、間に合わなくなるだ。」

「そうじゃのう、速く行ってくることじゃ。コウノトリB」

「それじゃあ行こうかの。さあ矢口の子、行くじゃ。」

コウノトリBは赤ん坊を連れて行こうとしますが
二人の赤ん坊がしっかりと抱き合っていてなかなか放そうとしません。

「さあ放すのじゃ、石川の子よ。二人は生まれてから
 また会えるのじゃて。」

しかし、二人はいやいやと首を振って、頑として手を解きませんでした。

「しかたあんめえ。Aよ、そっちを持つじゃ。引っ張るべ。」
「そうするしかなさそうじゃ」

66 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時19分57秒
二羽は両側から二人の赤ん坊を引っ張りました。
放すまいと力む赤ん坊。
引っ張る鳥。

「のうBよ。どうでもいいが、物凄く悪いことしているみたいじゃのう。」
「そうじゃのうAよ。」

巣の中を転げまわって格闘すること数10分、
ついに赤ん坊達の手と手が離れてしまいました。

「今じゃ、Bよ。速く行くじゃ」
「おお、ではいってくるぞい」

泣き叫ぶ残された赤ん坊と連れ去られた赤ん坊。
鳥達はそれぞれに罪悪感を覚えながらも自らの仕事を全うするのでした。

「泣くでねえ。大きくなったら、また会えるだ。」
67 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時21分11秒

      ◇      ◇


「ただいま帰っただ」

「おう。ご苦労じゃったのうBよ。」

「石川の子はどうじゃ?」

「泣きつかれて寝ておるよ。」

残された赤ん坊は、目のまわりを腫らしながら
静かな寝息を立てていました。

「可愛いことよのうAよ。」

「そうじゃのう。おしとやかになると思うたが以外と芯の強い子になるやものう。」

「そうじゃのう………って、ああ!」

「どうしたのじゃ?大きな声を出して。」

「この子はおしとやかな方じゃ!矢口の家に生まれるはずの子じゃ!」
「おお!そういえばそうじゃ!間違うた!」

68 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時21分51秒
「………」
「………」

「まあいいじゃ。過ぎた事はしょうがあんめえ。」

「そうじゃな。ただ二年速く生まれることになった子がちと心配じゃな。
 早く生まれすぎて大きくなれないだ。」

「あの子は強い子じゃて、大丈夫じゃろう。」


「どちらにしても、この子とあの子は切れない関係になったのう」

「そうじゃ、二年後しっかりと送り届ける事じゃ。」

     ◇       ◇

二年の月日がたち間違えられた矢口の子を
石川の家に届ける日が近づいてきました。

「じゃあ言ってくるだ。B」

「おう、頑張るじゃ」

コウノトリAは、子を抱えると巣を飛び立ちました。
69 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時23分03秒

     ◇       ◇
   
「うむ…横浜は遠いのう……」
「やっと横須賀か……明日までにはつくかのう」
「もう少しの辛抱じゃよ。」

コウノトリは抱えた子に語りかけました。

「だあ」

子は天使のような笑みをAに返しました。

「よし、もうひと頑張りじゃ。」

    


「おや、そこに行くのはコウノトリAではないか?」

「おお、その声は昔懐かしいクラスメイトのコウノトリC!」

何所からか現れた鳥はAの学生時代の親友、コウノトリCでした。

「懐かしいなぁ…」
「懐かしい事よ…」

不意に現れた旧友にAは暫し職務を忘れて
会話に没頭しました。
70 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時24分04秒



「おお、いかんいかん。私は横浜に向かっておるのじゃった。」

「お仕事かい?大変だな。」

「すまぬな。急がねばならん。また巣まで来てくれれば
 Bともども歓迎するじゃ。」

「ぜひ、いかせてもらうよ。」

「では。」

「じゃあな!」



「さあ、待たせたな。今から横浜に……って……ああ!」

コウノトリは赤ん坊を抱えているはずの自分の足先を見て絶叫しました。

「落としてしもうた…」


「……」


「まあ、落したもんはしょうがあんめえ。けえるか。」




こうして横須賀の地に落ちた石川家に生まれるはずの矢口の子は
偶然その地で分娩を迎えようとしていた、これまた偶然に石川の家で、
次女として産まれることとなったのでした。



それから十五年と少しの時間の後
二人は運命に従い再び出会う事となったのです まる
71 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時25分25秒
  ◇   ◇   ◇


「という訳で、矢口さんと私が出会ったのは運命だったんですよ!」

スパコッ!

満面の笑みでそう告げるこの顎の細い生き物を
とりあえず問答無用で一発はたいた。

今日はおいらの誕生日で、仕事終わりに二人だけだひっそりと
二人の誕生日を祝おうと約束をしていたのだ。

仕事もどうにか片がつき今から予約を入れたレストランに向かおうとした
その時にこの顎、もとい石川梨華がくだんの話をしだした。

ちゅーか……

「無理やりじゃねーかよ!!!!」

いたーいなんて泣きまねをする石川の頭をもう一度はたく。

「なんだ!?オレは石川の子なのか!?
 お前は矢口の子なのか!?てかお前落されてんじゃねーよ!!」
「てかなんでコウノトリなんだよ!!
 だいたいそのコウノトリの喋り方はなんだんだよ!!
 なんでCはちょっと都会っぽいんだよ!!!
 てかそいつら仕事グダグダじゃねーか!!!
 間違えんなよ!!
 落すなよ!!
 てかもっと慌てろよ!!!」

「微妙にひとがちっちゃいとこまでこじ付けてんじゃねーよ!!」


72 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時26分26秒
ハアッハアッ

一端息を整えて尚も突っ込みを継続する前に石川が口を開いた。

「もう矢口さん。そんな細かいところまで突っ込んでたら朝になっちゃいますよ。
 速く行きましょうよ。」

その言葉に更に熱が上がる。
お前がおかしな話を始めたんじゃねーか!
続けようと肩を上げ大きく息を吸って

「てめーが!……」

73 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時27分06秒
言いかけて、石川がおいらの目の前にその細い腕
を差し出していることに気がついたんだ。



「矢口さん」

呼びかけられて言葉が詰まる。



「お誕生日、おめでとう。」



慈愛に満ちたような清らかな表情で
そう言った石川の顔は悔しいくらいに可愛くて、
本当にちょっとだけ、天使みたいだ、なんて思ってしまった。
おいらの一番弱い顔。

74 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時28分22秒

ちくしょー……

身体に篭っていた嫌な熱がどんどんと引いていくのが感じられる。

「っ……」

私の言葉は続くわけもなく。

石川は尚も優しい微笑を称えながら
差し出した手を開きなおした。

また、あたしの身体が、今度は心地よい温度を帯びていく。
操り糸に引かれるようにその手を取っていた。

どんなに怒っていてもその笑顔で穏やかな気持ちになって。
彼女の一挙一動に全身が敏感に反応して。
怒って、笑って。
握った手はほのかに温かくて。
あたしにはこの手が必要だ。
石川が必要だって思えた。
75 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時29分08秒


「……石川も、な」


ぶっきらぼうに言ったつもりなのに、
石川は一気に破顔して、

「じゃっ、行きましょうか!早く行かないとスープが冷めちゃいますよ!」

繋いだ手を強く握り直した。

「……ああ。」


――この繋いだ手がたとえ離れたとしても
   また遭えるだろうか?

運命なんて信じないし、コウノトリはアホだ。
二人の誕生日だって単なる偶然。

でも折り重なる偶然の末に、手に入れたこの温もりは真実だ。

運命なんて信じない。
不安なら離さなければいいだけだ―――



石川に気付かれないくらいに微かに手の平に力をこめ
彼女の後を歩く。
76 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時33分22秒
こんなに好きにならせた本人は
のんき顔でゴッハン〜♪ゴッハン〜♪なんて外れた調子で歌ってて、

「まりっぺはやくー」

「まりっぺゆうな!キショイ。」

悔しいから心の中で突っ込んだ。

(お店のスープは冷めねえよ!)





77 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時34分06秒



「ところで。」

急に立ち止まる石川。

「?」

「矢口さんが突っ込みきれなかったところは各自で突っ込むように!」

「誰に向かって言ってんだヲイ」
78 名前:her puppet 投稿日:2003年01月14日(火)23時35分10秒
おわり
79 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)01時01分33秒
いやぁ、良いスレだ
最高!
80 名前:アクアリウム 投稿日:2003年01月15日(水)01時06分49秒
―――たゆたゆと泳ぐ魚みたいに自由になれたら、結構楽なんだろうな
81 名前:アクアリウム 投稿日:2003年01月15日(水)01時07分40秒
蒼く透き通ったその鏡に自分の金髪が映る
真っ暗な空間に僅かな照明だけがこの場所を照らしていて
周りで蠢く人波は、きっと彼女の様子に気づかない

どうしてここに着たんだろう
家を出た記憶も、電車に乗った記憶も、携帯を切った記憶も全くない
一人になれるところを探していて、結局ここに行き着いてしまった

冷たいガラスに小さい自分の手を当てる
そんなことをしても結局特に意味はなくて、ガラスの中で悠々と動く魚達は、
彼女を嘲笑うように目の前から泳いで去っていく
静かな空間に一瞬だけ、ザプンと水が動く音が聞こえたような気がした
82 名前:アクアリウム 投稿日:2003年01月15日(水)01時08分13秒

「これからどーっすっかな…。」

呟いてみても、答えなんて出てこない
頬を掻いてガラスをじっと見つめる

酷い顔だ
魚達も、遠くの方から馬鹿にしたように笑っている
その中でも一匹だけふらふらと側へ寄ってくる小さい魚がいた
慰めるように、ガラスに触れた手の周りをぐるぐる泳いでる

「…あっち行け、バカ」
こつんと指で叩いても、そこから離れない
その姿がまるで彼女そっくりで

そんなことを考えていたせいだろうか
ふと顔を上げて、真っ青な水鏡を見たとき、
ガラスに映って見える彼女が笑っていた
83 名前:アクアリウム 投稿日:2003年01月15日(水)01時09分02秒


『何やってるんですか、矢口さん。』




「…」

振り返った先には誰もいない
ずっと後ろをついてきた彼女はもういない
84 名前:アクアリウム 投稿日:2003年01月15日(水)01時10分24秒
「…あはは」
乾いた笑いしかもう浮かばない
幸か不幸か周りの人々は彼女の様子に気づかないようだ

ぐっと前髪を掴んで歪んだ顔を隠すように引っ張った
歯軋りが聞こえるほど強く歯を食いしばって、目を閉じて
額を冷たいガラスへとくっつける

乾いた笑顔以外、もう笑うことができないよ

瞼の裏には彼女と、その横で楽しそうに笑う自分と、
彼女に一番必要とされてる誰かが映る
その誰かは誰かであって、自分じゃない
85 名前:アクアリウム 投稿日:2003年01月15日(水)01時11分08秒
本当の気持ちを伝える勇気は何より大切なものだった
それさえあれば、未来は変わってたのだろうか

過ぎたことはもう、どうしようもないけれど

相変わらず側から離れようとしない魚を眺めながら、
ポケットに入れてた携帯をぐっと握った
バイブレーションに設定していたせいで、さっきからぶるぶると
それが震えていたことに気づかなかったようだ

何も知らない彼女が呼んでる

「…バイバイ。」

水鏡に映る魚に向かってそう呟いて、
自嘲的に笑いながら、ガラスの水槽から手を離した
86 名前:アクアリウム 投稿日:2003年01月15日(水)01時11分59秒
END
87 名前:みんなハッピー 投稿日:2003年01月15日(水)01時43分07秒
紺野がなにやら呟いている。

「どうしよう…」

楽屋前、扉一枚隔てた向こうにはモーニング娘。で共に活動しているメンバーがいる。
時間は既に集合の十分前。
楽屋の様子からすると、遅刻常習の安倍なつみ以外の面々は既に揃っているらしかった。

「しまったなぁ…」

何をこんなに困っているかと言うと、実は今日は1月19日。
一般国民からすれば、ただの365ないし366分の1日であるのだが、
ことモーニング娘。のメンバーとなると話が違ってくる。

「はぁ…」

今日は紺野の先輩、石川の誕生日なのである。
誕生日と言えば、誕生日プレゼント。
つまり、紺野は誕生日プレゼントを忘れたのである。
それもただ家に忘れたわけではなく、準備すらしていない。

「怒られちゃうよなぁ…」

と言うわけで、ないものは仕方ない、と紺野は知恵を絞る事になる。
元から働きの乏しくない頭であるせいか、数秒後には名案が浮かんだのか、満足げな笑みを浮かべた。
88 名前:みんなハッピー 投稿日:2003年01月15日(水)01時43分40秒
「おはようございます」

楽屋に入ってきた紺野の表情は爽やかであった。
挨拶の洗礼に対する受け答えもそこそこに、紺野は足早に石川の側に駆け寄る。
そして耳打ちをした。

「石川さんの誕生日プレゼントとして、なんでも一つ命令を聞きます」

突然の事に、石川は数度目を瞬かせる。
しかし、キラキラと輝く紺野のひとみは嘘を言っていないように見える。
数秒考えた後、石川は耳打ちを返した。

「お安い御用です」

紺野は純粋な笑みを石川に向けた。
89 名前:みんなハッピー 投稿日:2003年01月15日(水)01時44分21秒
翌日。

またも紺野がなにやら呟いている。

「どうしよう…」

(注釈。以降はただコピペを繰り返すのみなので、要約させていただきます。
簡単に言えば今日は矢口の誕生日なのですが、今日も紺野はプレゼントを忘れたわけであります。
そしてまた、昨日の石川と同じく、なんでも一つ命令を聞くことをプレゼントに代えた訳です。
では、続きをどうぞ。)

突然の事に矢口は数度目を瞬かせる。
しかし、キラキラと輝く紺野のひとみは嘘を言っていないように見える。
数秒考えた後、矢口は耳打ちを返した。

「お安い御用です」

紺野は純粋な笑みを矢口に向けた。
90 名前:みんなハッピー 投稿日:2003年01月15日(水)01時44分54秒
さらに翌日。

またしても紺野が何かを呟いている。
しかし今日は鼻歌までセットになっていた。
機嫌がいいらしい。

「いつも完璧です、ですっと」
91 名前:みんなハッピー 投稿日:2003年01月15日(水)01時45分21秒
同時刻。

名も無き空き地で、石川と矢口が手を取り合っていた。
お互いの右手には、紺野の筆跡で綴られた誕生日カード。
「プレゼントフォーユー」の文字が眩しい。
92 名前:みんなハッピー 投稿日:2003年01月15日(水)01時45分47秒
三十分後。

「大変です!空き地に、手を繋ぎあった死体が転がってるって110番通報が!」

名も無き空き地付近の警察署では大騒ぎが起きていた。
93 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)01時46分07秒
おしまい
94 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)01時47分53秒
( 0^〜^)
95 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)01時48分07秒
( 0^〜^)
96 名前:○祭り 投稿日:2003年01月15日(水)03時37分37秒
握り合った手は血まみれだった。

「とうとうここまで来たね…」
「はい、矢口さん」
「じゃあ、行くよ」
「はい」

まだ生暖かい赤い液を踏みながら、二人は中心部へ向かった。

眩い光を放つそこに気を取られて、足が掴まれたのに気付かなかった。

「いか…せません」

目の前で倒れたはずの新垣が凄い形相で睨んでいた。
お腹に穴を開けただけでは、足りなかったようだ。

鈍い音がして、石川の足を掴んでる力は緩んだ。
横で、矢口が笑っていた。
97 名前:○祭り 投稿日:2003年01月15日(水)03時38分51秒
「さぁ、早く…」

二人で、最後の一段をのぼった。

光に飲み込まれる前に、石川は後ろを振り返った。
ちょうど10個、静止している物体が見えた。

光の中は、天国かと思った。
こんなことをして天国にいけるはずがない…なら、ここは地獄?

頭の中に、声が響いた。

『生まれることができるのは、一人だけです』

途端、握られていた手が放された。
体も、光の中から放り出された。

見ると、近くに転がっていた保田の出刃包丁を持って、矢口が走っていた。
石川は瞬間的にそれをかわす。
だが辻から受けた左足の傷が響いて、地面にうつ伏せになった。
98 名前:○祭り 投稿日:2003年01月15日(水)03時39分43秒
一瞬のことが、命取りとなる。
背中に、何かが突き刺さった。

「なん…で…」

口の中に、鉄の味がひろがった。

「ごめんね、梨華ちゃん…。オイラ、どうしても生まれたいんだ!」

破れた服からのぞく背中に、冷たいものが落ちた。

「だからごめんね、梨華ちゃん…ごめんね」

矢口と石川の息遣いだけが響く空間に、別の音がした。
硝煙の臭いがしたかと思うと、背中に乗っていた小さな体が横に倒れた。
その濡れたままの瞳は、真っ直ぐと石川を見据えていた。

「矢口さんの…ばか…」

石川は、手に持っていた硬い物を落とした。

「私はただ…あなたと一緒に、生まれたかっただけなのに」
99 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)03時40分24秒

FIN
100 名前:名無しの読者 投稿日:2003年01月15日(水)05時11分53秒
いしやぐ、最高!!
101 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時38分50秒


広い海のどこかに、小さな魚の姉妹たちがくらしてた。
みんな赤いのに、一匹だけはカラス貝よりも真っ黒。でも泳ぐのはだれよりも速かった。
名前は、チャーミー。


102 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時39分44秒


ところがある日、大きくて黒いおそろしい魚がお腹をすかせて、
すごい速さで、ミサイルみたいにつっこんできた。
その魚はひとくちで、小さな赤い魚たちを一匹のこらず飲みこんだ。
にげたのは、チャーミーだけ。


103 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時40分21秒


チャーミーは泳いだ、暗い海の底を。
こわかった、さびしかった、とても悲しかった。


104 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時41分09秒


けれど、海にはすばらしいものがいっぱいあった。
おもしろいものを見るたびに、チャーミーはだんだん元気をとりもどした。

にじがうつってみえる、すきとおったくらげ。
自分のうちをつくってる、長い長いひげのえび。
あめ玉みたいな色の石ころの上には、こんぶやわかめの林。
その向こうのさばくには、たこやひらめがそっとかくれてまっている。
もも色のいそぎんちゃくが、風にふかれるようにゆらゆら、からだをゆらしてあそんでる。


105 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時42分06秒


そのとき、岩かげにチャーミーは見つけた。
チャーミーのとそっくりの、小さな魚の娘たち。
じっと見つめてると、その中でいちばん小さな一匹が近づいて、話しかけてきた。
「あれ、見かけない顔だね。どうしたんだい?」
「わたしはチャーミー。ねえ、わたしもなかまに入れてくれる?」
「いいよ。おいらはマリーっていうんだ。よろしくね。」


106 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時43分01秒


新しい群れ。
でも、一匹だけ黒いチャーミーは、なかなかとけこめない。
すると、いちばん大きな一匹がそっと教えてくれた。
「チャーミー、ポジティブにいこうね。」


107 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時43分47秒


「うち、チャーミーのこと、気にいっとるんやで。」
やがて、妹みたいな一匹がいろいろとちょっかいを出してくるようになった。
チャーミーの後をついてまわって、いたずらをしかけてくる。
二匹は、追いかけっこをして、楽しくすごした。

そしてその様子を、まるで金魚とそのフンみたい、とからかわれたチャーミーは、
「しないよ」


108 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時44分29秒


チャーミーがみんなとなかよくなれるように、
マリーはいつもおうえんしてくれた。
泳ぎにいこうとさそったり、いっしょにご飯を食べたり。
チャーミーはマリーのことが、すごくたいせつだった。
マリーもチャーミーのことが、すごくたいせつだった。


109 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時45分09秒


新しいくらしにだいぶなれてきたある日、マリーがチャーミーをよびとめた。
「ねえ、あそこに大きな岩があるよ、見にいこうよ。」
二匹は、岩のところまで泳いだ。
黒くて、大きな岩。すごくかたそうで、ぬるりと光ってる。
「もっと近くで見ようよ。」
マリーはその岩が気に入ったみたいで、するすると近づいていった。───そのとき!


110 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時45分56秒


「I’m a beast! I’m a beast!」
黒くて大きな岩が、とつぜん動き出した。
それは岩じゃなくて、大きな魚だった。黒くておそろしい魚。
お姉さん。妹。こわい魚におそわれて、自分だけが生きのこったこと。
わすれていたことを思い出して、チャーミーは動けなくなった。
「たすけて!」
マリーの声が聞こえた。
チャーミーは、はっとした。見ると、マリーが黒くておそろしい魚に追いかけられている。
「I’m a beast! I’m a beast!」
ぎらりとにらみつけて低い声でうなると、スピードを上げてあともう少しというところまでせまった。


111 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時46分56秒


「みんな、たいへんなの!」
チャーミーはできるかぎりの速さで、みんなのところにもどった。
「マリーが、食べられちゃう!」
だけどみんなは、急にこまった顔になった。
「助けに行って、みんな食べられちゃったらどうするの?」
「あんな大きくておそろしい魚からは、にげるしかないよ。」
だけど、チャーミーは、考えた。あの黒くておそろしい魚をやっつける方法を。
いろいろ、考えた。うんと、考えた。


112 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時47分39秒


「そうだ!」
とつぜん、チャーミーはさけんだ。
「みんなでいっしょに泳ぐの。海でいちばん大きくておそろしい魚のふりして!」


113 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時48分16秒


チャーミーは、教えた。決してはなればなれにならないこと。みんな持ち場を守ること。
そして、みんなが一匹の大きな魚みたいに泳げるようになったとき、チャーミーは言った。
「一匹だけ黒いわたしが、目になるわ。」


114 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時49分07秒


みんなは泳いで大きな魚に近づいた。
すると魚はマリーを追いかけるのをやめて、みんなの方へと寄ってきた。
ぎろり、思いきり目を見ひらいて、こわがらせようとしてくる。
「ここはわたしにまかせて!」
チャーミーは大きな声をあげた。
「いくわよ! ハロモニ三文字作文!
 『さ』! さいた花のように美しく、
 『か』! かれんなわたしを食べちゃおうなんて、
 『な』! なみだが出ちゃう…。」


115 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時49分46秒


黒くて大きな魚は、まるでこおりついたように動きをとめた。
魚はあたたかい国で生まれたので、寒さに弱かったのだ。
あわててぶるぶるふるえながら、大きな魚は逃げていった。


116 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時50分23秒


「マリー、だいじょうぶだった?」
チャーミーは群れから飛び出して、マリーのところに行った。
「きしょっ!」
マリーはそう言うと、大きな声でわらった。
チャーミーもつられてわらった。
みんながいっしょにわらった。


117 名前:チャーミー 投稿日:2003年01月15日(水)16時51分18秒


おしまい。


118 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)17時22分59秒
すげーなつかしい!小学校の時に読んだ気がする。
119 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月15日(水)17時42分36秒
スイミーだね
120 名前:私達は眠り続ける 投稿日:2003年01月15日(水)19時20分53秒
テーブルの上には手つかずのケーキと、空のグラスがふたつ。

暖炉の中で燃える薪は、部屋を薄いオレンジ色に包んでいた。
やわらかな風はソファに横たわる石川梨華を眠りに誘う。

やがてぱちぱちと木の燃える音に混じり、すぅすぅと寝息が聞こえ出す。
嫌な夢を見てるのか梨華のほっぺを一粒の涙が流れた。
そのままソファに染み込んでいく。

鳩時計が十一回、鳴いた。
121 名前:私達は眠り続ける 投稿日:2003年01月15日(水)19時21分25秒
頭と抱えたプレゼントの上に雪を積もらせながら、
矢口真里は夜の道を走っていた。
白い息を小刻みに吐き出し、小さな胸を弾ませて。

間に合う?
時計を見ると魔法が溶けてしまう気がして、真里は走り続けた。
誰も居ない横断歩道で足踏みをする。
なかなか青にならない。

いいや、渡っちゃえ。
真里は飛び出す。

同時に甲高いブレーキの音が響いて。
振り向く真里の瞳に、ふたつのヘッドライトが飛び込んだ。
プレゼントを落とした音がやけに大きく聞こえた。
122 名前:私達は眠り続ける 投稿日:2003年01月15日(水)19時22分05秒
矢口さん!

飛び起きた梨華は辺りを見回して夢だと気づく。
早鐘のように鳴る胸を抑え、ふぅ、と息を洩らした。

あっ。

梨華の身体にはタオルケットがかけられていた。
そして向いのソファには、真里の小さな身体が寝息を立てていた。

起こしてくれれば良かったのに。
そう思いながら梨華もやっぱり真里を起こさない。
123 名前:私達は眠り続ける 投稿日:2003年01月15日(水)19時22分53秒
梨華は自分にかかっていたタオルケットを真里にかける。
ソファに座ると、テーブルの上のメモに気づいた。

遅れてごめんなさい。
プレゼントも用意出来なかったから、改めて買ってくるね。

嘘吐き。

オレンジ色の世界で、梨華は微笑みを浮かべる。
信号を無視した時に落っことして、車に潰されたって知ってるんだから。

無事に来てくれただけで、私はそれで十分なのに。
124 名前:私達は眠り続ける 投稿日:2003年01月15日(水)19時24分20秒
誕生日が一日違いで良かった。
今日祝えなくても、明日祝えば良い。

窓の外で雪は止まない。
鳩時計が十二回、鳴いた。
125 名前:私達は眠り続ける 投稿日:2003年01月15日(水)19時25分28秒
おわり
126 名前:AzeH/wJk 投稿日:2003年01月16日(木)03時43分30秒

『救えるものなら』


矢口はロビーのソファで、携帯電話に話しかけていた。
「だからそれは間違いだって言ってるんですよ」
「いやあなたにとって正しくても」
「正しいとか、いいことと」
「いいことが正義ですか? いいことと悪いことの区別なんて」
「一番いい選択肢が」
「いいことと正しいことは違いますよ。そんなことは分かってますよ」
「別にそんなことじゃないです」
「いいですか?」
「ええ、ええ、ええ、それは、多分、間違っていないです」
「あなたは気持ちがいいでしょう」
「ここは暑いです。暖房が効きすぎてます」
「明日ですか?」
「そんなこと言ってないですよ。どこでもいわないですよ。ていうか言えないです」
「そちらは」
「はい、はい、じゃあそうして下さい」
「もうちょっとですか? はい、やってみます」
127 名前:AzeH/wJk 投稿日:2003年01月16日(木)03時44分27秒
「ええ、ちょっと、あの、よく分からないです」
「正しい形ってあると思うんですよね。それはそれはそれとして」
「えーっと、忘れました」
「だから、今日ですって」
「ああ、すいません。明けて昨日でした」
「言えないって言ってるじゃないですか」
「上と下のバランスが、その」
「頑張って下さい」
「え? いや、ここからじゃ無理です。見えませんって」
「あ、……もう終わりですか?」
「すいません」
「ええと、時間は、七分と十五秒……」
「おやすみなさい」

そこへ石川がやってきて訊いた。
「なんの電話だったんですか?」
「ごめん。おいらもうちょっと頑張ってみるわ」


                     終わり

128 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時02分27秒
都内某スタジオ。
そこにはモニタを真剣に見つめるつんくの姿があった。
モーニング娘。第6期メンバー選考。
自ずとその眼差しは鋭さを増す。
彼の目指すモーニング娘。百年構想。
それが成功するか否かは、
この6期メンバーの選考如何にかかっていることを充分理解していた。

「こ、これや!」
つんくの目が光った。
遂に彼は見つけたらしい。
百年構想を磐石にするための逸材を。
その興奮した様子からは、既に発表していた藤本美貴に勝るとも劣らない。
それくらいの可能性を秘めた人材と、確信している様子が窺われた。
(いける、いけるで……)

手元の履歴書の名前欄。
そこには少女らしい丸みを帯びた筆致で『道重さゆみ』と小さく書かれていた。
129 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時02分56秒


数日後。
矢口真里はTVから流れる映像、いやその音に驚愕した。
(な、なんだこりゃ!)
そのとてつもない大器の片鱗を一瞬にして見てとった矢口は即座に判断した。
(石川が危ない!)
そう思ったときには、もう走り出していた。
行く先は石川の家。
すぐに手を打たなければ手遅れになってしまう。
それほど今度の敵は強大だった。

『道重さゆみ』
その禍々しい響きを持つ名前は矢口にある種、畏敬の念さえ覚えさせないでもない。
それほど、道重の存在感は他の二人の候補を圧倒していた。
そして、矢口の記憶が確かならば、石川の立場は非常に危うい状態に陥りつつある。
(つんくさん、言ってたよな……モーニングに音痴は二人もいらないって……)
この超弩級の真性音痴を前にして、今や石川梨華の命運は風前の灯火。
それを当の本人は自覚しているだろうか。
(石川……必ずおいらが護ってやるからな!)

見上げると雲間から三日月がぼんやりとした輪郭を覗かせている。
その頼りない月明かりはそのまま石川の儚げな横顔に重なって
矢口の小さな胸を締めつけた。
130 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時03分18秒


「あの……なんで私が危ないのかよく……」
くっ……矢口は下唇を噛んだ。
「石川!何、呑気なこと言ってんだ。娘。におけるお前の存在意義は何なんだよ?」
「私の存在意義ですか?」
「そうだよ!」
わかっていない。矢口は内心の焦りをどう処理してよいか戸惑った。
この期に及んでまだ石川は理解していない。

だが、石川からすれば無理もなかった。
彼女はつんくの言葉を知らない。
(……モーニングに音痴は二人もいらない……)
その言葉がどれほどの意味を持って彼女に襲い掛かろうとしているか。
道重の歌を聴いた後で平常心を保っていられる石川。
そのこと自体、彼女が自らの立場を未だ正確には把握していないことを物語っていた。
131 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時03分40秒
「私の存在意義って…例えば娘。における鎹(かすがい)とか…」
ポカンッ。
「イタッ、何すんですか?!」
「誰が石川にそんな難しい役回りを求めてるんだよ!」
「いけませんか?」
「いけないよ」
石川は不服そうだ。
(しかし鎹とは巧いことを言う…)
内心、感心しつつもそんな様子はおくびにも出さず、矢口は続けた。

「いいか、石川。お前の最大の武器はなんだ?え、言ってみろ」
「このナイスバディとか…」
ポカン!ポカン!!
「イタッ!や、矢口さん、イタいですってば!」
「お前ぇっ!ふざけてるとキレるぞ!」
石川にしてみればたまらない。
いきなり押しかけられての禅問答。
そろそろこちらの我慢も限界に達しようというころで、
ようやく話の端緒についた。
132 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時04分01秒
「いいか、石川。お前の最大の存在意義はそのきょーれつな『音痴』にあるんだろうが」
「お、音痴ですか……?」
情けない声を出す石川が急に不憫に感じられて矢口は少しだけ声の調子を緩めた。
「そーだよ。お前のそのちょっと調子の外れた歌声がアイドルとしてヲタの心を
最大限にくすぐるんだ」
ヲタはキショいけどな…との言葉を飲み込んで矢口は続ける。
「その石川さんにだ、最初のライバルが現れた」
「誰ですか?」
「紺野だよ」
へっ?と腑に落ちない表情を見せる石川。

「だが、紺野も所詮、器じゃなかった。
天才的音痴のチャーミーにかかってはひとたまりもない」
そりゃまーねー、などと満足そうにつぶやく石川に再び矢口の鉄拳が飛ぶ。
「イタッ!イタいですぅー!」
「黙って聞け!お前のピンチなんだぞ!」
頭を擦りながら恨めしそうな表情で自分を見つめる石川の視線が痛い。
ごめん。でもこれはお前のためなんだと、心を鬼にする矢口。
「だが、今度だけは大ピンチだ……」
「えっ、何でですか?」
ジロッと見つめる矢口の視線の鋭さに思わずキャッと震え上がる石川。
133 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時04分30秒
「6期メンバー候補の道重さゆみ……あれは只者じゃない」
「可愛いですよね」
「そういう問題じゃないんだ!」
その剣幕にヒッと体を竦める石川をさらに矢口は責め立てる。
「あれはどう見ても、いや、どう聴いても真性の音痴だ」
「真性の音痴?!」
「そうだ」
ここへ来てようやく本題に至り、矢口は目的を見失わずに済んでホッとした。
まったく石川を相手にしていては、進む話も進まない。
脱線の大部分を自分が誘導していることは棚に上げて、矢口は毒づいた。

「知ってるか、石川?伝説の音痴と呼ばれた女性の存在を」
「で、伝説の音痴?!」
言葉の響きからして凄い。一体、それは何者なのだろう。
同じ音痴として、その高みを極めたものへの憧れであろうか。
心なしか石川の瞳が好奇に光ったように矢口には見えた。
「そう、その名もフローレンス・フォスター・ジェンキンス」
「ジェンキンス…」
北朝鮮に拉致された曾我ひとみさんの旦那さんだろうか、
などと考えては見るが矢口に殴られることを畏れて口には出さない。
それよりも話の先が気になる。
134 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時04分58秒
「1868年、アメリカはペンシルバニア州の大銀行家に生まれたフローレンスは
娘らしく歌手になる夢を抱いてたんだな」
ふーん、その辺は自分と一緒だと、早速、共感を抱く石川。
「だが、お父さんは反対した。当然だ。
上流階級の娘が歌手なんかになっては醜聞だからな」
「そんなもんですか?」
「そんなもんだ、昔は。ただ、このフローレンス、よっぽど歌手になりたかったんだな。
金持ちの石油王に嫁いだ後も歌手になる夢は捨てきれず、
密かに声楽のレッスンを続けていたらしい」
その辺の執念は立派だ。
自分もあやかりたい、などと石川にしては殊勝な感想を抱く。

「親父さんが死んで、ようやくその夢をかなえるチャンスがやってきた。
なにしろ旦那は石油王だ。金は唸るほど持っている。
とにかく金に飽かせてリサイタルは開く、レコードは出す。
そりゃもう八面六臂の大活躍さ」
「矢口さん、えらく詳しいですね」
石川は不思議に思った。その詳しさは尋常でない。
「ふ、わかるか。なにしろ、フローレンス嬢のCDはすげー迫力なんだ。
最高のお気に入りさ」
「CDまで出してるんですか?」
これは驚いた。ますます、あやからねば。
石川の興味はさらに募る。
135 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時05分57秒
「ああ。といっても昔のSP盤の復刻だけどな。なにしろ戦前の録音だ、音は悪い。
が、しかし!」
矢口の弁舌にも熱が篭ってきた。音痴の話になると止まらないようだ。
だから気に入られてるのかなーと、思うと、石川は少し寂しくなる。
「その迫力は今も色褪せないぜ。これでもかってくらいに音はずしまくってくれるんだ。
あそこまでいくともー爽快!彼女のコンサートがすげー倍率のプレミアチケットだった
ってのもうなずける話さ」
「音痴の人のコンサートがですか?」
それは聞き逃せないと、石川は思った。
それならば自分の歌にも希望が持てるというものだ。

「聞きたいか?」
「聞けるんですか?」
「ああ、ネット小説の便利なところだ」
矢口はURL:http://bassocantante.com/opera/jenkins.ramを示した。
思わず目が点になる石川。
「凄いだろ?」
「スゴイデス……」
満足そうにうなずく矢口。
136 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時06分26秒
「なにしろ戦前、カーネギーホールを満員にしたのは彼女と伝説のヴァイオリニスト、
ヤッシャ・ハイフェッツだけだっていうからな。実際、チケットは『ワールドシリーズ
よりも入手が難しい』とまで言われたらしいぜ」
「へーえ、音痴も侮れないもんですね」
と相槌を打って、ハタと気が付いた。そうか!
「そこに私の存在意義が!」
「ようやく気づいたか」
にんまりと笑う矢口。まったく、石川相手は苦労する。
そう口に出す代わりに軽く石川の脇を小突く。が、すぐに表情を引き締める。
「だから、危ないんだよ」
「?」
石川にはまだ話が見えないらしい。
137 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時06分50秒
「道重さゆみのことだよ」
「あ、ああ。6期候補の」
矢口は真剣な眼差しで石川の瞳を見つめた。
「おいらが思うに、道重は確定だね。あの凄い音痴をつんくさんが放っておくはずがない」
「――ということは?」
「そう。石川はお払い箱だ」
ガビーーーーン!!
「お、お払い箱ですかーっ?!」
石川の目の前で天使がくるくると回っている。
「そうだ。だから、6期が確定する来週までになんとかしなくちゃいけない」
相変わらずショックを引きずったまま、ふらふらとした石川に
その声が届いたか甚だ不安ながら、矢口は力強く提案した。

「幸い、19日の前日、18日に新曲の収録がある」
「なるほど、それまでにレッスンを積んで、私の音痴に磨きをかければ…」
うん、うんと、嬉しそうに矢口はうなずく。
「そう。道重の加入を阻止できるかもしれない」
「わかりました。私、頑張ります」
そうだ、その意気だと、矢口は心の中で励まし、石川の肩を抱いた。
「モーニング娘。に音痴は…」
「二人いらない!」
二人の声がピッチの違いによる微妙な共振でうねりを生じたことに矢口は意を強くした。
いける、いけるぞ石川……
矢口の瞳が輝きを増した。
138 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時07分10秒


次の日から早速、矢口による地獄のレッスンが始まった。
「違う!音程、合ってるじゃん!ダメじゃん!道重は確実にはずすぞ!」
「ハイ!もう一回、お願いします!」
すでに石川の額からは滝のような汗が流れ落ちている。
練習に付き合う矢口の方も熱を帯びてくる。
もう一度同じフレーズを石川がしくじって、矢口は伴奏を止めさせた。
「ダメダメダメ!ストップ!」
止められた石川はすでに半べそをかいて、泣きそうな顔。
矢口は胸がキュッと締め付けられるのを耐え、無理やり強面をつくって石川を諭す。

「いいか、石川?だいたいが音の認識から発声の過程には三段階あってな、
音痴の場合、音の入力系、処理系、発声系の三つの段階のうち、
処理系か発声系に問題があると言われている」
石川はぜぇぜぇと息を切らせながら、真剣に矢口の話に耳を傾ける。
「お前みたいな仮性音痴の場合はな、発声系、つまり咽喉の筋肉をつければ治るんだ」
「そんな単純な問題なんですか?」
膝に手をあてながらも不思議そうに聞き返す石川。
「ああ。だが、道重は真性だ。きっと処理系に問題があるに違いない」
「――ということは……」
矢口はパンと手を叩いて告げた。
139 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時07分39秒
「そう、イメージトレーニングだ。例のジェンキンス嬢の音は常に正確にズレていた
ことが明らかになっている。イメージだ。違う音をイメージするんだ」
「――イメージ……」
石川の中で何かが形をなしつつあった。
自らが目標とする究極の音痴。その完全体。
「矢口さん……」
石川は再び立ち上がった。
「私、がんばる!」
「よし!その意気だ!」
再び矢口の掛け声により、伴奏が鳴り始めた。
その調性と微妙にズレた感覚が次第に心地よく感じられ、
いよいよ目指す境地が近づいたことを意識する。
「いいぞ!石川、今のズレだ!」

石川梨華。
今や究極の音痴。その高みへと近づいた今、怖いものは何もない。
真性音痴の申し子、道重さゆみとの頂上決戦を前にいよいよ闘いの準備は整った。
140 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時08分01秒


「はぁーっ、終わったー」
「お疲れさまー」
「おつかれー」
レコーデイングの終わったものから、スタジオを抜け出していく。
モーニング娘。の場合、12人全員が揃って歌うことはない。
一人一人がほぼ全てのパートを歌った上で、出来のよいものを採用、
という建前にはなっている。
実際は、ある程度メインで採用する人間を決めておくのだが、
今回はある意味実力主義とも言えた。
「矢口さん、私、何回も取り直ししたよー、どーしよー?」
「臆するな、石川。それだけ、つんくさんもびみょーなところが気になったってことさ。
採用しないやつのパートをそんなにいじんないだろ?」
矢口にそう言われると全幅の信頼を置いてしまう石川である。
「じゃあ、私のパートもらえるかな?」
「いけるんじゃないか?ついでに道重のイメージも払拭できてればいいんだが…」
そればかりはつんくのみぞ知る、というところか。
「なにはともあれ、レコーディングも終わったことだし、焼肉でも食いにパーッといこーぜ!」
「あ、それ、さんせー」
141 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時08分19秒
二人が去った後のスタジオではつんくが真剣な顔で悩んでいた。
(どないしてん……石川……?)
やはり6期の加入が刺激になったのだろうか。
(それにしても刺激が強すぎたか……)
ふ、と謎めいた笑みを浮かべると、再び、パート割の作業に没頭する。
つんくの悩みは明け方まで続きそうだった。
142 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時09分22秒


いよいよ、1月19日当日。
待ちに待った石川梨華、18歳の誕生日。
その日に新曲のパート割が発表され、
またその夜には6期メンバーの加入が発表されるという忙しい一日の幕開け。
(よーし、張り切っていくわよ!)
矢口との特訓により、手応えを感じていた石川は意気揚揚とスタジオに集合した。

「あ、矢口さん、おはよー!」
「おっす、石川。よく眠れたか?」
気遣ってくれているのか……
石川は胸のうちがなんだかほんわりと温まるのを感じた。
「はい。矢口さんのお陰で」
「よせやい。おいらは何もしてないよ」
照れたように俯く矢口の仕種が可愛い。
もー、照れちゃって。可愛いんだから。
満面の笑みを浮かべて、つんくの発表を待つ。
だが、つんくが一声を発した瞬間、その表情は凍りついた。
143 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時09分49秒
「な、なんで石川のパートがないんですか!?」
ショックのあまり声も出ない石川の代わりに矢口が勢い込んで尋ねる。
「お前が付いとってなんや?あれは」
「えっ?石川、頑張ったじゃないですか」
「だーほ!あんな音痴が使えるかい!」
これにはさしもの矢口も驚きを隠しえない。
「えーっ!つんくさん、モーニングに音痴は二人も必要ないって…」
「あたりまえじゃっ!ぼけっ!石川と紺野と二人も音痴を抱えるわけにはいかんっちゅうこっちゃ」
そ、そんな…
ちょっと音程がはずれるのが可愛いって言ってたじゃん…
「当面、石川はモーニング、出入り禁止じゃ!しばらくカントリーに専念せい!」
「そんなー!!」
哀れ石川。
誕生日の朝に送られたプレゼントは無期限のカントリー行き片道切符。
つんくの怒りがとけるのは何時の日か。
144 名前:歌姫の誇り 投稿日:2003年01月16日(木)11時11分05秒
二人は知らない。
つんくが目を止めたモニタに映っていた少女は田中麗奈であったことを。
手元にあった道重の履歴書が二つに破かれていたことを。
そして、彼がブス専であったことを。
哀れ、石川。
だがくじけることはない。
カントリーで頑張れば、日はまた昇ることもある(かも)。
がんばれチャーミー、負けるなチャーミー!



おわり
145 名前:傍にいるから 投稿日:2003年01月18日(土)08時29分43秒
 矢口さんの様子がおかしくなったのは、ここ最近のことだった。
 一月も半ばに差し掛かった辺りから、矢口さんは遠くをぼんやりと眺めていることが多
くなった。梨華ちゃんが来るの。そう言った矢口さんは物憂げで、それがかえって矢口さ
んを美しく見せていた。その後にごっちんは決まって、そんなことあるわけない、と矢口
さんをたしなめた。
「ねえ、梨華ちゃんって誰?」
「よっすぃーの知らない子。悪魔のような子」
 その質問にも、いつも決まってそう答える。ごっちんは遠い昔を思い出しているようで、
忌々しげな顔をした。
 私はその答えをいつも不思議に思った。ごっちんは何をされたと言うのだろう。でも、
ごっちんの口からそれ以上が語られることはなかった。
146 名前:傍にいるから 投稿日:2003年01月18日(土)08時30分57秒
「よっすぃーはやぐっつぁんのこと好きだよね」
 ある日ごっちんはそんなことを言った。
「え……うん」
 矢口さんの方を見た後、首を傾げながら頷く。ごっちんはそれを満足そうに眺めた後、
矢口さんに視線を向けた。矢口さんは相変わらずぼんやりしたまま、窓の外を眺めている。
枯れ木の根元に白く雪が残っている風景。
「石川梨華はね、私たちから矢口さんを奪っていく気なの」
 汚いものを投げ捨てるかのような口調で、強く言い放った。
 ごっちんは一月十九日という日に、ひどく怯えていた。その日が近づくにつれ、矢口さ
んは物思いにふける時間が増え、ごっちんは落ち着かなくなっていった。
147 名前:傍にいるから 投稿日:2003年01月18日(土)08時31分31秒
 そして、一月十九日。
「声が聞こえる」
 矢口さんはそう言った。太陽がちょうど一番高くに上った頃だった。うとうとしていた
ごっちんが、びくりと顔を上げた。眠気はすっかりと覚めてしまったようで、慌てて矢口
さんの視線と同じ方を向く。
 矢口さんはうっとりと微笑み、ごっちんは凍りついたような表情になった。
 私も二人と同じ物を見ようと思ったが、私からは見ることが出来なかった。だから、壁
に立てかけてある木彫りの淵のある鏡を覗き込んだ。
 鏡の中には一人の少女が写っていた。つややかな黒髪が肩まで伸びている。その顔立ち
はほっそりとしていて、口元に微かな笑みを浮かべていた。
「お待たせ、矢口さん」
「梨華ちゃん……」
 矢口さんはフラフラと吸い寄せられるように歩き出す。ごっちんはそんな矢口さんの腕
を取り、無理矢理自分の後ろに隠した。
148 名前:傍にいるから 投稿日:2003年01月18日(土)08時32分02秒
「やぐっつぁん、騙されちゃ駄目! 梨華ちゃんは去年……」
 ごっちんはそこで口をつぐんだ。それには構わず鏡の中の少女がにこりと笑うのが見え
た。それに呼応するように矢口さんの顔にも笑みが溢れる。
「迎えに来たよ」
 ごっちんの手に抑えられているにも関わらず、矢口さんはずい、と前に足を進める。ご
っちんの腕の力は一般的な女性のそれに比べて、ずば抜けて高かった。それにも関わらず
矢口さんは前へ前へと進んでいく。
「やぐっつぁん、待って!」
 矢口さんはにこりと笑うだけで、ごっちんの言葉には答えない。
「梨華ちゃんは去年、死んだんだよ!」
 そこまで言った後ごっちんは、しまった、と言う顔をした。死んでいるはずだ。じゃあ、
この少女は誰? ごっちんの思考が流れるように私の中に入ってくる。雨の後の川のよう
に勢いよく流れ込み、ごっちんが俯くと同時にその流れを弱めた。
149 名前:傍にいるから 投稿日:2003年01月18日(土)08時32分37秒
「知ってるよ」
 矢口さんはごっちんを振り返る。その顔には未だに恍惚とした笑みが浮かんでいる。
「でも、来年の誕生日に迎えに来てくれるって言ったんだ」
「あ……」
 ごっちんは口を開いたまま立ちすくんだ。矢口さんを捕まえていた手が離れ、矢口さん
は籠から解き放たれた小鳥のように、真っ直ぐに駆け出した。
「ずっと待ってたよ」
 矢口さんが笑って言う。
「私はいつだって矢口さんの傍にいたよ」
 鏡の少女も笑う。
「じゃあ、明日、約束通り迎えに来るから」
 そう言って、くるりと踵を返し歩き出す。そして、私の視界から少女の姿は消えた。
150 名前:傍にいるから 投稿日:2003年01月18日(土)08時33分42秒
 夜は瞬く間に訪れる。矢口さんは明日を待ち望むように眠り、彼女を囲むように二人が
椅子に腰掛ける。
「ごっちん、今日のこと……」
「んあ、そっか。よっすぃーは知らなかったね」
 質問に対し、ごっちんは矢口さんの頭を撫でながら答えた。先ほどまでとは違い、柔ら
かく笑いかけながら言葉を紡ぐ。
「綺麗な子だったの。凄く綺麗な子」
 ごっちんは思いを馳せるように遠くを見た。
「いつも三人でいてね……、だから、二人が愛し合ってることなんてすぐにわかったし、
女同士だから不毛だ、なんて思わなかった」
 優しい微笑みは誰に向けられているのだろう。矢口さん? それとも――
151 名前:傍にいるから 投稿日:2003年01月18日(土)08時34分18秒
「でも、それは生きているときの話。死んでからまで、やぐっつぁんを梨華ちゃんのもの
にはさせない」
 途端、ごっちんの目に確かな炎が宿る。私、ごっちんのそういう所、嫌いじゃないよ。
そう言おうとして口をつぐんだ。わかってもらえるとは思わなかったし、わかってもらお
うとも思わなかった。
「だって、そんなのかわいそうすぎんじゃん。梨華ちゃんも、矢口さんも。好きだから殺
したとして、好きだから殺されたとして――その後に、一体に何が残んの?」
 夜が更けていく。リアルは闇に溶かされ、かえってその姿を明瞭にする。明日になれば、
全てが見えているはずだ。そのときようやく、私はごっちんに言葉をかけてあげられるの
かもしれない。
152 名前:傍にいるから 投稿日:2003年01月18日(土)08時34分58秒
 一月二十日。約束の日。
 ごっちんはいつも以上にピリピリしていて、矢口さんの周りを離れようとしなかった。
対称的に、矢口さんはいつものように窓から遠くを見つめていた。
「迎えに、来てくれたんだね」
 そして、そう呟いた。
「……!」
 先ほどまで忙しなかったごっちんの動きがピタリと止まる。音だけが抜け落ちた空間に、
ガチャリ、という音はやけに高く響き渡った。ドアが開く音。
「ごとーが、見てくる」
 震える声を必死に押さえつけて、凛とした響きにする。ドアを強く開け放ち、玄関へと
向かう。廊下を歩く音が聞こえて、しばらくして止まった。そうして、話し声が聞こえて
くる。
 なんだーよっすぃーか。え、何、どうしたの? いや、てっきり梨華ちゃんが来たのか
と……。
153 名前:傍にいるから 投稿日:2003年01月18日(土)08時37分11秒
「ようやく二人きりになれたね」
 矢口さんが笑いかける。私も矢口さんと同じ物を見ようと思ったが、私からは見ること
が出来なかった。だから、矢口さんの後ろにある化粧台の鏡を覗き込んだ。半透明なその
姿が、次第にはっきりとした色を帯びてくる。それは、私の顔。
「ごめん、待たせちゃった」
 私は笑いながら矢口さんに近づいた。手の届く距離まで近づくと、矢口さんは口を尖ら
せながら、上目遣いに私を見つめる。
「一年も、待ったよ」
 そう言って、私の胸に顔を埋めた。私たちはそのまま矢口さんのベッドに向かい、私が
押し倒すような格好で布団の海に埋もれた。
154 名前:傍にいるから 投稿日:2003年01月18日(土)08時37分46秒
 私は両手をゆっくりと、矢口さんの首元に持っていく。私の手が肌に触れたとき、矢口
さんは少しだけ寂しそうに目を伏せた。
「今度は、一人にしないでね?」
 視線を合わせないまま、震える声で矢口さんが呟く。私は、それを見て笑う。
「大丈夫。私はいつだって、矢口さんの傍にいるから」
 矢口さんは目を細めにっこりと微笑む。カーテンの隙間から陽が差し込み、矢口さんを
柔らかく照らした。光が矢口さんの視界を侵し目を閉じた一瞬の隙に私は唇を重ね、もう
一度その両手をしっかりと首元に当てる。
 ごっちんと、よっすぃーさん。二人の足音が次第に近づいてきた。いつまで経っても動
かない私を、矢口さんは訝しげに見る。大丈夫だよ、と笑いかけた。
 太陽の光に矢口さんの頬が輝く。雫が乱反射して虹色の光を放った。矢口さんの涙? 
違う、これは……。
155 名前:傍にいるから 投稿日:2003年01月18日(土)08時38分31秒
 足音が近づいてくる。矢口さんが私の目元をそっとすくい、にこりと笑った。そして私
に喉を抑えられ、声を出せない口元がゆっくりとその言葉を描いた。「早く殺して」

 好きだから殺したとして、好きだから殺されたとして――その後に、一体に何が残んの?

 早く殺して。

 足音がはっきりと聞こえるくらいまで近くに来て、そして止まった。私の体が少しずつ
透明度を増し、歪んでいた矢口さんの表情が穏やかなものになっていく。
「……どうして?」
 矢口さんの問いかけには何も答えず、私は消えかけの体で矢口さんを抱きしめる。ガチ
ャリとドアを開ける音がした。私は薄れゆく体を他人事のように眺めながら、最後の言葉
を紡いだ。
「ずっと、傍にいるから」
156 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月18日(土)08時39分09秒
157 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月18日(土)08時39分51秒
158 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月18日(土)08時40分28秒
159 名前:プラネタリウム 投稿日:2003年01月19日(日)03時07分43秒
ぶらぶらと2人で商店街を歩いていると今時珍しい駄菓子屋を見つけた。
店番してるおばあちゃんを冷やかしたり、適当に美味しそうなものを
買ったりして、今まさにその店を出ようかとしているときだった。

「…それは、ダジャレか?」
オイラはそう聞き返した。
何を言ってるのか一瞬わからなかったのだ。

ガラガラとドアを横に押して外へ一歩出ると、太陽がカッと照りつけた。
眩しい日差しに思わず目を細める。
冬の寒さは不思議だ。日差しがどんなに暖かくても、吹き付ける風が冷たければ、
そんな温もりは全然感じられない。

「違いますよ!」
彼女は顔を赤くし、『矢口さんは笑いのセンスが悪い』とか
『私を何だと思ってるんですか』とかぶつくさ言ってる。

いや、おまえならそれぐらい言い出してもおかしくないから。
そうツッコミを入れそうになるのをぐっと堪えて、代わりにこう言ってやった。
160 名前:プラネタリウム 投稿日:2003年01月19日(日)03時08分21秒
「…あのさあ、どーいうつもりでそんなこと言ったのか知らないけど、
 物理上どう考えても不可能だろ」
「もう、ロマンがないですね。これだからまりっぺはー」
「キショイ」
べしべしと肩を叩いてくる梨華ちゃんから逃げるように、一歩下がる。
楽しそうにキャッキャッと笑う様は幼い子供みたいだ。

駄菓子屋を出て、オイラたちは坂を下っていた。
まだ昼。ちょっと早いけれど、お昼ご飯を食べてもいい頃合だ。
梨華ちゃんの言葉なんて早々に忘れて、何を食べようかなんて考えようとしたのに。

「でも、」
その言葉と共にそんな彼女の態度が変わる。
仕方なくオイラはそっちを見た。

「…一度は手にいれてみたいと思いませんか?」
手を組んで、焦点の合わない瞳を空中に向ける。
また可愛い子ぶりやがって。今度は夢見る乙女モードですか。
見た目も中身も少女漫画の主人公になりきってしまった彼女に、
冷ややかな侮蔑を混ぜた視線を送ってみる。
161 名前:プラネタリウム 投稿日:2003年01月19日(日)03時09分05秒
「別に。石川が何を頭に思い浮かべてるのか容易に想像できるけどな、
 現実には何の価値もないただのゴミと同じなんだよ」
「あー、女の子の微妙な心理をわかってませんね?」
「いや、オイラも女なんだけど…」
人の突っ込みにすら耳を傾けず、彼女はまた空を仰いだ。

「そうだ」
「あん?」
「この近くにありましたよね」
「何が」
振り向いた彼女が嬉しそうに笑う。
行きましょう、と言いながら袖を引っ張ってきた。

一体なんなんだよ。
そう思いながらも、オイラはされるがままに引っ張られて行く。

ここら辺の地理には詳しいのだろうか。あまり来たことの無いオイラには
同じような道を何度も何度も繰り返し通っているような錯覚に陥る。
その度に彼女の横顔を見あげて、どこに行くんだよって問いかけた。

「秘密ですよ」
それしか言えないみたいに、同じ答えをまた返して来る。
162 名前:プラネタリウム 投稿日:2003年01月19日(日)03時09分51秒
まったく。本当に一体なんなんだよ。
そう思いながらも、梨華ちゃんが嬉しそうだから良いか、なんて。
誕生日プレゼントをどうしようか、悩んだ末に本人から欲しいものを
聞き出すはずだった本来の目的はいつの間にか忘れていた。
お腹が空いていたことも忘れていた。

「こっちですよ。こっち」
「だからー、どこに行くんだってば」
「秘密でーす」
くすくす笑う彼女につられて、オイラも笑う。
何かそれなりに楽しい時間。

(こういうのも、良いなぁ)
ふと感じた些細な幸せは、どうしてだろうか。
何だかふわふわしたわたあめみたいにみえた。

これで何個目の曲り角だろう。
カーブミラーに映る自分たちの姿を眺めて、そんなことを考える。
163 名前:プラネタリウム 投稿日:2003年01月19日(日)03時10分35秒
実際には、大体の見当がついていた。
彼女が連れて行こうとする場所。これからオイラが連れて行かれる場所。
さっき梨華ちゃんが発言した言葉とこの行動は同じ線で結ばれている。

そしてそこからまっすぐ進んだ先にそれは合った。
大きな外観。しんと静まり返った住宅街のど真ん中に全然不釣り合いなその建物は、
我がもの顔でふんぞり返ってる。
階段をあがりながら徐々に見えて来る玄関を、そして梨華ちゃんの横顔を見る。

「なぁ…もしかして…」
「………」
きっと梨華ちゃん自身も気づいたんだろう。
いくらなんでも静かすぎる。
あまり来たことがないから何とも言えないけれど、ここまで人気が無いのは
さすがにおかしいだろ。

一番上へ辿り着いた時、ついに彼女はしょぼんと肩を落した。
さっきまでのテンションはどこへ行ってしまったんだろう。
半ば強引に繋がれていたオイラの袖と彼女の手は離れて、
視線は自然と目の前にぶら下がる看板へ向く。
164 名前:プラネタリウム 投稿日:2003年01月19日(日)03時11分15秒

休館中。
毎週○曜日は休みです…。

「…残念だったな」
それしか言葉は出て来ない。

『星が欲しい。』
彼女がそれだけぽつりとつぶやいたのは、たった数十分前のこと。

もちろん、はい、と言って簡単にプレゼントできるようなものじゃない。
東京の空は濁ってて、夜も明るくて。だけど星を眺めることぐらいなら、
ここで出来るはずなのに。

無情にも風に吹かれて揺れるその看板を睨んだあと、
オイラは彼女の方へと一歩近付く。

何も言えなくて、ポケットに手を入れた。
その中でぐっと拳を握り締めて、中にいれてた紙の袋が甲に当たる。
それが合図のようにオイラは喋りだした。
165 名前:プラネタリウム 投稿日:2003年01月19日(日)03時12分02秒
「また今度来よう、な?」
「………」
「…石川…」
いくら説得しようとしても無理なようだ。
断固としてその不機嫌そうな顔を隠そうともせず、その場から動こうともしない。
本当に幼い子供みたいだ。

まったく。
保護者になったような気分でため息をついて、どうしようかと頭を捻って、

そのままポケットから取り出した拳を突き出した。

「…ほら。これで今日は我慢しとけ」
「……?」
さすがに少し興味を惹いたようで、彼女はその拳をじっと見つめる。
両手を出すように命じてからその上で拳を開いてみせた。

紫の和紙で作られた袋。それは手の平に収まるぐらいの小さな包みで、
可愛いリボンで口を閉じてあった。

「これってさっきの…」
彼女も何か買っていたから気づいたらしい。
そう。それは、さっきの駄菓子屋の袋。
166 名前:プラネタリウム 投稿日:2003年01月19日(日)03時12分35秒
「それ、あげるから」
「…でもこれは矢口さんの…」
「お前が駄々こねるからだろーが」
石川はのろのろと袋を受け取って、リボンを解いた。

中から出てくる透明な袋の中にはいろんな色の欠片たち。
それを星の欠片と例えるのは無理があるだろうか。

「…こんぺいとう…?」
「そーだよ」
さっきオイラが買ったもの。
梨華ちゃんはそのこんぺいとうを、呆然と眺めている。

失敗したかな。
一瞬過ぎったそんな言葉を頭振って吹き飛ばし、もう一度彼女を見る。

そして梨華ちゃんは笑った。
167 名前:プラネタリウム 投稿日:2003年01月19日(日)03時13分22秒
「星のかけら、ですね」
「…砂糖の固まりだろ」
同じことを感じ取ってくれた彼女。
何だか恥ずかしくて、ふいっとそっぽを向いて、オイラはぶっきらぼうに呟く。

梨華ちゃんは嬉しそうに袋を両手で包みこんで笑った。

ここにはまた今度来ましょーねとか、ニコニコ顔で言ってる。
さっきまで子供みたいに不貞腐れてたのはどこの誰だよ。
手がかかるなぁなんて思いながら彼女の手を取った。

「じゃ、今度こそどっかご飯食べに行こ」
「そうですね」
返事をしながら梨華ちゃんは袋を開けてこんぺいとうを一粒食べた。

「星の欠片は甘ぁい」
「だからー、それはただの砂糖の固まり…」
「わかってますよぉ」
はいっと一粒だけ口の中に放り込まれる。
甘い砂糖の味が舌の上に広がった。
168 名前:プラネタリウム 投稿日:2003年01月19日(日)03時15分11秒
「矢口さんも充分ロマンチストですね」
悪戯っぽく彼女が笑う。

『違うっつーの』
そう答えようとしたのに、まるで口封じだといわんばかりに
こんぺいとうをまた放り込まれた。

◇終われ◇
169 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月19日(日)04時53分44秒
プラネタリウム面白かったー。
結局石川さんのペースに巻き込まれる矢口さん可愛い!
170 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)01時56分24秒
1月19日、矢口真里は奴隷となる。

「これとこれ、どっちが石川に似合いますかー?」

梨華ちゃんがおいらに見せたのは、100人居たら100人ともが選ばないだろう、
どうして売っているのかも分からないような悪趣味なふたつのピアス。
どっちも可愛いから悩んじゃうって顔をして見せてくるあなたが分からない…。
いつもなら「どっちも最悪!」これで済むんだけど…。

「う、うーん、それとそれだったらこっちのが似合う(マシ)かな」

おいらだったらどっちも唾吐いちゃうね、ありえないよそんなデザイン。
でも、梨華ちゃんは満面の笑みを浮かべてレジにそれを持って買いに行った。
梨華ちゃんと付き合ってから唯一避けてた買い物に付き合う羽目になるとはね…。
171 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)01時57分37秒
「お茶しましょっか、そろそろ」
戻って来た梨華ちゃんはおいらに買ったばっかのピアスが入った袋を差し出してさっさと歩き出した。
今朝からずっと買い物に付き合っているおいらはもうこれ以上持てませんよ。
全ての指に袋を掛ける程の荷物ってちょっとさすがに買いすぎでしょ。
いつもなら「自分で持て!」これで済むのに…。

「さっき買ったピアス着けたいなー」
なんですと!また出せっておっしゃいますか?
「落としたら大変じゃん、帰ってからにしたら?」
「まりっぺに着けてもらいたいなー」
げぇ…
おいらの返事も待たずに、髪の毛を耳に掛けておいらに向ける。
く…!が、我慢だ我慢、これもみんなパスポートのため。

「仕方ないなー梨華ちゃん甘えんぼだからなー」
くーっ言いたくないよーこんなことー

「えへ♪まりっぺにだけだよぉー」
くっ………可愛いじゃないの。
正直キショイなぁとも思うんだけどやっぱ可愛いんだよね梨華ちゃんって。
ファッションさえもう少しおいら好みだったら最高なのに…。
172 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)01時58分31秒
まさかすぐに着けるとは思ってなくて、袋にぽとっと落としたピアスを出すのは一苦労。
ガサゴソガソゴソと袋を漁ってたら聞こえて来た「まだー?」という催促の声。

…てめぇ…

…落ち着けおいら、明日はおいらの番、おいらの番…パスポートが待ってる…
「ごめんごめん見つかった。耳貸して」

おいっしょと着けて改めて見て見る。
「どうですか?」
そう言う梨華ちゃんが羨ましいね。
「可愛くないです?」
いや可愛いよ、可愛いさ充分。
「まりっぺ気にいらない?」
「あ…と、うん、梨華ちゃんに良く似合ってるよ、可愛い」
嘘はついてないよね、嘘は。
顔だけピンでみたら可愛いし実際。

「えへ♪嬉しいな梨華」
…梨華って自分で言うとキショイぞといつものように突っ込みたい…
173 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)01時59分31秒
「今3時だから映画観て食事したら帰りましょうか」
うんうんそうしよそうしよ、早く帰ろ。
「…ちょっと待って、これ以上持てないよおいら」
よく考えたらこのまま10本の指を塞いだまま映画に食事ってのはかなりきつい。
まとめようにもぱんぱんだし。
「それじゃ1回家に置きに行きましょうか」
良かった…時間が無くなるとか言われたらとび蹴りするところだったよ…。

都内に一人暮らしをする梨華ちゃんのマンションに荷物を置いて身軽になったところで再出発。
たくさんの袋をぶらさげてブッサイクだった格好も終わって身も心も軽くなった!…はずだったのに…

「あのーまだ買うの?」
身軽になった途端映画館につくまでの店でまたたくさんの買い物をする梨華ちゃん。
なんて嫌な主人だ!年間パスポートなんかじゃ割りに合わない気がしてきたぞ。
「ダメ?」
「いや…そんなことはないけど…これじゃまた一緒だし‥モゴモゴ」
「まりっぺは今日私の言うことなーんでも聞いてくれる約束でしょ?」
ぐっ…!
「へい。次の店行きまっしょい」

…結局もう1回荷物を置きに帰る羽目になるとは…
174 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)02時00分44秒
「ポップコーンはいっちばん大きいやつにしてね」
「なんで!梨華ちゃんそんなに食べないじゃんいつも」
いつもおいらばっか食べて、それもいっちばん小さいやつ残す程度なのに。
食べもしないのに嫌がらせかよ!
「ジュースもいっちばん大きいやつにしてね」
「だからなんで!残すじゃんいつも」
いつもちっちゃいのひとつを半分こじゃんか。
「誕生日くらい良いじゃない」
「…買ってくる」

先に座ってもらってポップコーンにジュースを持ったら失敗失敗。
ドアあけらんないじゃん。
いつも行く映画館とは違って、今日の映画館は扉が有って、それがまたすごく重い。

ジュースを下に置いてぐわぁっと開けてささっと持ち上げて入る。
…失敗。
ポップコーンが飛び散った。
ポップコーンを下に置いてぐわぁって開けて急いで入る。
…失敗。
ジュースは袖にかかったしポップコーンは床に倒した。
ええい!むっかつくなぁこいつ!
キョロキョロと辺りを見渡して誰かに開けてもらおうともしたけど誰も居ない。
手伝いに来いよ!梨華ちゃん!
175 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)02時01分33秒
「はーい、手伝ってあげる♪」
「り、梨華ちゃんなんで…」
口に出して言ってないはずだけど。
っていうか遅い!持てないに決まってるのに。
「まりっぺが困ってるような気がしたの」
にこっと笑顔で言われたら…イライラが消えちゃった。
単純な脳みそだなおいら。

服にかかったジュースをハンカチで拭いてくれてこぼれたポップコーンは
きちんとゴミ箱に捨てに行く。
なんだ、自分の部屋もそうやってキレイにしたら良いのに。
「ありがと」
だけどお礼は言わないとね。
買ったばっかのハンカチだもんね。

映画が終わると、思った通りにポップコーンもジュースも残りまくり。
「ほら、残ったじゃんか」
「贅沢な感じで良いじゃない」
…おい。
176 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)02時02分12秒
「食事はフランス料理のフルコースって約束だよね?」
「うん、予約してある」
ひとり2万って…きついぞ。
っていうかパスポート買えるじゃん!!!
気付かなかった…悔しい…ばかばかおいら、ばかだ!

ディズニーランドの年間パスポート欲しさに始めた今日だけど、
既にそれ以上の出費も苦労もしている馬鹿なおいら。
こんなはずじゃなかったのに…。

「そろそろ帰りましょっか」
やっと解放される…。

食事を終えて帰り道にカフェに入ってデザートを口にする。
ここでも残すって分かってる量のパフェを頼んだ梨華ちゃんがほんのり憎かった…。
177 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)02時03分07秒
「今日は我侭いっぱい言ってごめんね」
梨華ちゃんのマンションについて別れ際、1日を振り返るようにして言った。
冗談じゃなく申し訳なさそうな顔をする梨華ちゃんを見て、分かってたらすんなよ!
って言いたかったけど本当にすまなさそうだったから何も言わないことにした。

「梨華ちゃんが喜んでくれたなら良いよ」
お金も掛かるし体力も気もいっぱいいっぱい使っちゃったけど梨華ちゃんだから許す。
「私が良ければまりっぺはいいの?」
「うん、今日は誕生日だし。それに梨華ちゃんが嬉しいならおいらも嬉しいから」
なんでこんな歯の浮くようなセリフ言ってんだろ。
「私と一緒だったら何もいらない?」
「うん、いらない。・・あ、そうだ、これ」
ポケットから出して渡したのは梨華ちゃんに対する嫌味とかそんなじゃなくて買った
誕生日プレゼントのピアス。
ま、値段は千円ぽっちだけど。
「くれるの?」
「うん。あげる。そろそろ帰るから、また明日ね」

「ありがとうまりっぺ、おやすみ」

パスポートのためとはいえ、さすがに疲れ果てたよ。
明日はおいらの誕生日、買い物とかいかなくて良いからパスポートだけ貰わないとね。
178 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)02時05分11秒
1月20日、矢口真里は石川梨華にプレゼントをたかる。

「ん」

朝一番に、楽屋に来た梨華ちゃんを掴まえて両手を差し出す。
「あ、まりっぺおはよー。20歳もおめでとー」
「あ、どもども」
んなこたぁどうでもいい。
早くよこせ。
「ん」
もう一度手を差し出して「くれ」と催促をする。
「なに?」

…てめぇ…

なんのことか分からないって顔をしてきょとんとする。
ね、ん、か、ん、パスポートだぁよ!!

「誕生日プレゼントおくれ♪」
そう言ってやっと「あぁ」と相槌を打って微笑んだ。
早くよこせ。
「まだ1日始まったばっかりじゃない。お楽しみは最後にとってようよ」
「ええーっ良いよそんなの。先ちょーだい」
早くモノを見て喜びたい。
それでなくても自分で買えるほどの出費があったんだから…。
後にしようという梨華ちゃんに構うことなく催促をする。
179 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)02時05分42秒
「…っていうか私と一緒だったら何もいらないって昨日言ったじゃないですかー」
…げ。
「それはそれ、これはこれだよ」
「昨日ああ言ったのは嘘だったんですか…石川が嬉しかったらまりっぺも嬉しいって…
何も要らないって…そんなの・・・・・・・悲しすぎる!」

ちょっと芝居がかった風に言う。
いつものおいらなら「ごめんごめん嘘じゃないよ」って言うけども…

「嘘に決まってるでしょ!なんで似合いもしないピアスを褒めたと思ってんのさ!
なんで食べもしないものを買ったと思ってるのさ!なんで荷物持ちしたと思ってるのさ!
食事代だって高すぎるんだよ!」

はぁはぁ、ふぅふぅ
思わず言っちった…。
パスポートのために付き合ったと言ったら語弊があるけど、
あすこまで頑張ったんだ、パスポートだけでも足りないのに!
180 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)02時06分35秒
ガーンって顔をする梨華ちゃん。
「パスポートのために決まってるでしょ!」

「ならパスポート無かったら…?」
「サヨウナラ」
フンと顔を背けて楽屋を出る。
くっそーおいらの昨日を返せ!

取りあえず楽屋を飛び出したものの行くところは無い。
後ろの方から「まりっぺ待ってぇ」と息を切らしながらおいらを呼ぶ声が聞こえる。
梨華ちゃんかよ!なんの用だ!
パスポート無しに用はないぞ!
181 名前:物々交換愛 投稿日:2003年01月20日(月)02時07分50秒
「これっ」
ケッ!と思いつつも振り向いて差し出されたそれを受け取る。
なんだよこれ。

あっ――

「パスポートじゃん」
「ほんとはね、ちゃんと買ってたの。でもね、あのね」
必死になって何かを言おうとする梨華ちゃんが面白かった。

「だから梨華ちゃん好き!」
パスポートをポケットにしまいこんで浮かれながら楽屋に戻る。

「…『だから』って、何かが間違ってる…」

梨華ちゃんがなんか言ってるぽかったけどしーらない♪

明日なっち誘って行こーっと。




終わる。


(〜^◇^〜)<LVRたんありがとう>(^▽^ )
182 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月20日(月)02時52分32秒
ハッピーエンドじゃないのかよ!
と思いつつも結局ワラタ。
微妙な距離感がいいなぁ……。
183 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)03時54分34秒
誰だって魔法使いになれるんだよ。
だから誰にだって魔法は使えるんだ。

遠き幼い記憶に残るこの言葉を、私は誰から訊いたのだろう───
184 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)03時56分32秒
「この橋から見渡せる夜景がプレゼント」だなんて、誰に対しても眩く奇麗に振舞う闇の幻想に
洒落た言葉を無理矢理当てはめては、橋の下から夜空へ吹き抜ける夜風に身を委ねた。
橋の下を流れる川は僅かに顔を覗かせる月の光を浴び、きらきらとそれを屈折させる。
何処まで続いているのだろうか。先に見えるこの夜景さえ裂いて、海まで繋がっているのかな。
靡いて乱れた前髪を手で直すと、今度は夜を彩る夜景を背に向け、橋にもたれかかった。

何もない夜はよくこの橋に来る。
愛用のマウンテンバイクに乗って、家から10分そこそこ。
寒い日は途中にある自販機でアップルティを買っていく。
この橋は最近になって特別な場所になろうとしていた。ここを知ったのは何のロケだったか。
あの日この橋の上から見た夜景に、メンバーのほとんどが魅了されただろう。
私もその一人だった。
近所にこんな場所があっただなんて、引っ越したばかりでましてや近辺など出歩いたことが
なかった私は、この"特別な場所"の存在を知らなかった。
185 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)03時57分58秒
嫌なことやむかつくこと、世の中には理不尽で理解し難いことがついて回る。
でもここにいると、そんなことで悩む自分がちっぽけに思えて。
永遠に続く夜空。そこに咲く冬の星々。川が奏でる優しい水音。
その全てを独占した夜は、深く眠れるのだった。

「ハッピーバースディ、ディアー…二日後のおいら」

明後日は私の誕生日。多分、仕事でずっと忙しいだろう。
だから少し早いハッピーバースディ。プレゼントはこの夜景。

独りで唄ったバースディソングは、ミルク色に濁った息とともに夜の寒空へと消えた。
186 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)03時59分46秒
───翌日


「おつかれさまでしたー」

今日はミニモニ。のお仕事だった。
辻、加護はいつも通り終始はしゃいぎたくっていて、ミカちゃんがこれまたいつも通り
二人を宥める。その光景は見ているだけで微笑ましく、私を飽きさせない。
名前を呼べば傍に寄ってくるし、笑顔も絶えることを知らない。まるで犬のようだ。
ちょこまかと忙しく動き、甲高く吠える小型犬。確かスピッツとか言ったかな。

しかし、近頃は自分のミニモニ。における存在意義に、疑問を抱くようになってきた。
まぁ疑問と銘打っていても、実際はそんなに大袈裟なものではないのだけど。
結成時には対象がこんなにも幼少化するとは思わなかった。
自分で結成しておいて言うのもアレだけども、そんなユニットにおける自分の存在意義。
私も明日で二十歳になる。
187 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時01分27秒
ふと時計に目をやると、時間はすでに20時をまわっていた。
オフが続くと落ち着かないが、仕事があってもこう中途半端な時間に終ってしまうと、
それはそれで困ったものである。
辻、加護をこれから連れ回す訳にもいかないし、ミカちゃんも予定があるらしい。
他メンバーを誘うにも、今日は個人での仕事だったりユニットでの仕事だったりで、
返信メールに"ふたつ返事"はなかった。
予定外だな。こんな時間に一人になるなんて。

それならば───

今日も"あの場所"へ行こう。そこで日を跨ぐんだ。
やはり明日は仕事が入っていた。どうせ一日潰れてしまうならば、
時計の短針と長針が十二の刻印で重なった時、そう、誰よりも早く自分に「おめでとう」を言おう。
鼻歌まじりに少し遅い今日の予定を考えながら帰り支度をしていると、
見慣れた黒おめめの愛くるしい顔が、私を覗き込むように尋ねてきた。
188 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時03分09秒
「そういや矢口さんは梨華ちゃんに何をプレゼントしたんですか?」
「石川?」

一瞬、加護ってばいきなり何を言い出すのだろうと、いつもの突拍子もない発言と同程度の扱いで
流そうと思ったのだけど、よくよく考えると何かが引っ掛かる。
そうだ。今日は"石川梨華"の誕生日なんだ。
何故忘れていたのだろう、と考えると特に思い当る節はない。つまり、自分のことばかり考えていた。
そう思うとつくづく嫌な女だななんて、自己嫌悪にも似た感情を抱くのだった。

「あ、あぁ、今日は無理そうだから、今度ご飯でも奢ってあげようかなあ…なんて」
「ふーん。加護は昨日ですけど、ののと一緒におっきなケーキをプレゼントしたんですよ」

適当な理由を拵えると、それが石川への誕生日プレゼントになった。
後でメールを入れておこう。何がいいって訊いたら、きっと焼肉って言うだろうな。
自分の体には少し大きく、不恰好なショルダーバッグを背負うと、私は仕事場を後にした。
189 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時05分22秒
都会の冬は寒い。
もちろん、北海道や東北地方には適わないのだけど、ここには寒さの中にも感じられる温もりが
何一つとしてなかった。土の代わりに広がる広大なアスファルト平原。シルバーメタリック基調
の大きなビルの塔。車の排気音のミュージックは鳴り止むことを知らない。そのどれからも、
温もりは感じられなかった。放り込まれた都会のジャングルで一人。ここはあまりにも冷たい。
去年は何をしてただろう。

マウンテンバイクをこぐスピードを上げる。凛とした冬の匂いがツーンと鼻を抜けると、
鼻の奥が少し痛くなった。この街で唯一、温もりを感じるところへ。
パパとママからもらえるプレゼントを心待ちにしている子供のように、"あの場所"が近付くにつれ
私の心が踊り出す。心臓がトクトクと波打ち、寒さでやられたはずの表情が緩むと、目許を細め
微笑している私がいた。

───あともう少しだ
190 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時06分58秒
ダウンジャケットの大きなポケットに入れたアップルティーを取り出し、赤く悴む頬へあてがうと、
更にスピードを上げたのだった。

時間はすでに23時45分をまわっていた。
一度自宅に帰り夕食を済ませると、凍えるような寒さの夜に出掛けるのを躊躇してしまったからだ。
えいっ、と意味不明な掛け声と共に死ぬ思いで家を飛び出した時には、
もう23時30分を少し過ぎたところだった。

───急げっ、急げっ

厚手に着込んだ服装は意地悪で、急いでいるつもりなのになかなかスピードが上がってくれない。
小さかった呼吸が、いつの間にか軽く肩で息をするほどになっていた。
このことはどうしても歳のせいにしたくはない。
私の意地が呼吸を飲み込んだ瞬間、視界が一気に開けた。
191 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時08分47秒
「はぁ、はぁ、着いたぁー」

時間は23時50分。マウンテンバイクに乗ったまま誕生日を迎えたんじゃ笑おうにも笑えない。
タイムリミットぎりぎりの飛び込みセーフといったところか。
マウンテンバイクを立て掛けると早速橋に寄り掛かる。ポケットに手を突っ込んでアップルティーの
缶に触れると、まだそれは温かかった。

白く濁った吐息の向うに、夜の景色を覗く。
蜃気楼のように遠くで浮かぶ街のイルミネーションと、冬の星座が彩る夜空が交わる一線。
煌びやかな景色に、私はしばらく魅了されていた。それは夢の中にいるような感覚で。
都会の夜空は星が見えないというけれど、ここは特別なんだ。
そしてこの"特別な場所"で、私は誕生日を迎える。

「ハッピーバースディ、ディアー…10分後のオイラ。綺麗な景色をありがとう」
192 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時11分03秒
すると突然、静かな川のせせらぎを打ち消すように、見事なまでの不協和音が耳へと入る。
何処かで聴いたことのあるその声の持ち主は、一歩、また一歩と私との距離を縮めている。
やがて頭がそれをバースディソングと認識すると、私は一気に現実へと引き戻された。

「やーぐちさんっ」
「石川…石川ぁ?なんでここにいんの?」
「あれ?家が近いって言いませんでした?私よく見かけますよ。ここで矢口さんがぼーっとしてるの」
「うそぉ、見られてたの!?」

彼女は上擦りの歌声と共に、風のように私の目の前に現れた。
夜風に乗せて唄っているようにも聴こえなくはなかったが、
今は彼女が目の前にいることの方が不思議で、そんなことに意識を傾ける余裕はなかった。

「私もよくここに来るんですよ。たぶん、矢口さんと同じ理由だと思いますよ」

白と淡いピンクのマフラーから蹲った口許を出すと、彼女はにっこりと微笑む。
一瞬だけど橋から見渡せる景色に溶け込んでいるような気がした。でもその一瞬がやけに悔しい。
193 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時11分54秒
彼女は唄い続ける。
壮大に広がる冬の星座をステージに。
摩天楼が聳え立つ街のファンタジスタをバックに。

「でもさみしいぞ。お互い誕生日に一人ぼっちだなんて」
「あれ、それは矢口さんだけでしょ?私はさっきまで温かかったもーん」
「うわ、くっそー…」
194 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時12分27秒
彼女は唄い続ける。
川のせせらぎをメロディに。
凛と鳴る夜風をコーラスに。

「矢口さん。石川、魔法が使えるんですよ」
「えっ?」
「独りでさみしく誕生日を迎えないようにする魔法」
195 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時14分09秒
彼女は唄うことを止め、今度は魔法を使うと言い出した。
まったく理解できないでいたが強引なもので、私の左手をぐぃっと引っ張ると、
彼女は腕時計の長針をぐるぐると回し始めた。

「私の時計は23時55分。矢口さんの時計は0時5分。ハッピーバースディ矢口さん。
 ほら、これで二人は温かい誕生日を迎えましたとさ。魔法使いチャーミー、なんてね。
 メールの焼肉、絶対ですよー」

そう言って悪戯に微笑むと、彼女はまた唄い始めた。
流れ星をサイリウムに。
柔らかい光をくれる月をマイクに。

そして、私の涙に。
196 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時14分48秒
「下手な歌。でも──

 ハッピーバースディトゥユー」


二人で唄ったバースディソングは、ミルク色に濁った息とともに夜の寒空へと消えた。
197 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時15分28秒
198 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時15分58秒
199 名前:インスタントマジック 投稿日:2003年01月20日(月)04時16分34秒
200 名前:さすらいの萌え男 投稿日:2003年01月20日(月)17時39分16秒
200ゲッツ!
201 名前:フラジャイル 投稿日:2003年01月20日(月)23時16分04秒
 地下鉄のホームで、誕生日が静かに過ぎようとしていた。私は終電を待ちながら
コートの中で携帯を握り締めていた。
 目を閉じると矢口さんの顔が浮かんだ。一年前もそうだったように、これからも
きっと誕生日を迎えるたびに、私は矢口さんを思い起こすのだろう。ただ誕生日が
一日違いだったというだけの理由から。
202 名前:フラジャイル 投稿日:2003年01月20日(月)23時18分16秒
 18歳の誕生日。それは娘が16人になった日でもあった。娘たちみんなが祝福し
てくれた。次の日は矢口さんの二十歳をみんなで祝った。
「女は25までって誰かが言ってたな」と矢口さんは遠い目でつぶやいていた。
203 名前:フラジャイル 投稿日:2003年01月20日(月)23時20分43秒
 19歳になったときも矢口さんはとなりにいた。なぜかみんなに煽られて、日付が
20日にかわる瞬間、わたしたちはキスをしていた。矢口さんはそうとう照れて、
二度とやらないからと言っていた。
204 名前:フラジャイル 投稿日:2003年01月20日(月)23時22分21秒
 20歳の誕生日には矢口さんが一番に電話をくれた。「石川が二十歳ってなんか感
慨深い」と矢口さんは言った。
「私も大人の仲間入りかあ」 
「二十歳なんてまだ子供じゃん」
「矢口さんだって子供じゃないですか」
「違うよ私はほらなんていうのかなユトリがあるっていうかセクシーだしやっぱ
22ともなると女は違うのよ」
「まだ21ですよね矢口さん」
「うん」
「私といっこしか変わらないじゃないですか」
 そう、今日に限って歳はひとつしか違わないのだ。
「すぐ引き離すけどね。明日には」
 そう言って矢口さんは笑った。
「待ってくださいよ」
「永遠に追いつけないんだよ」
205 名前:フラジャイル 投稿日:2003年01月20日(月)23時23分58秒
 21歳の誕生日に矢口さんからの電話はなく、次の日になって私のほうから電話を
いれた。
「お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう。なんだ覚えててくれたんだ」
 矢口さんの声によそよそしさを感じた。
「忘れたくてもなかなか忘れられませんよ」
 私の声はちょっと上ずっていた。
「そっちは昨日で21歳か」
「忘れてたでしょ」
 覚えてるよと矢口さんは言った。「ねえ、こんどごはん食べにいこうよ」
「いきましょうよ」
 私はうなずいた。その約束は果たされないままに一年が過ぎた。
206 名前:フラジャイル 投稿日:2003年01月20日(月)23時25分26秒
 22歳の誕生日があと少しで終わるというとき、携帯が鳴った。矢口さんだった。
 ディスプレイに映る矢口さんは妙なテンションで、笑って泣いて歌って踊って、
そして唇を突き出した。
「来年もキスしようね」と言って矢口さんは電話を切った。
 私は一言もしゃべれなかった。
207 名前:フラジャイル 投稿日:2003年01月20日(月)23時26分16秒
 23歳の誕生日。矢口さんからの電話はなかった。
 次の日、私から電話した。でも繋がらなかった。何度もかけたけど結局つながら
なかった。
208 名前:フラジャイル 投稿日:2003年01月20日(月)23時28分13秒
 ホームにアナウンスが流れ、電車が入ってきた。私は下車する人がほとんどなか
った車両に乗り込み、シートに深くもたれた。そのとき携帯が鳴った。
 あわてて私は閉まろうとするドアを抜け電車を降りた。
「もしもし」
「ひさしぶりだね」と柴ちゃんは言った。
 どのくらいひさしぶりなのか、思い出せなかった。半年くらいだろうか。
「うん、ひさしぶり。元気だった?」
 矢口さん、お元気ですか?
「してないしてない。まだ若いから」
 私は25になりました。
「うん、そうそう、ハッピー」
 誕生日おめでとうございます。
 私は終電の過ぎたホームで、しばらく柴ちゃんと話した。それが終わってから、
携帯に残したままだった矢口さんの番号を消した。
209 名前:フラジャイル 投稿日:2003年01月20日(月)23時35分11秒
おわり。
210 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時40分25秒
テーブルの上には新調したばかりの真っ白いテーブルクロス。
中央には真っ赤なテーブルセンターを置き、
その上に置かれた花瓶にはピンクの薔薇の入っている。
もちろん部屋に合わせて真っ白のレースのカーテンに替えてある。
テーブルには向かい合うように椅子が二つ置かれ、
キッチンと向かい合う側の席には矢口さんがぽつんと座っている。
私は、キッチンからトレイに乗せた特注のケーキを
用心深くテーブルへと運んだ。
211 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時41分14秒
「じゃーん! どう、すごいでしょう!
 禿天堂のスペシャルケーキ!
 2週間も前に予約したんだから。
 はら、ちゃんとローソクも20本用意したんだ。
 まってて、いまローソクに火をつけるね」

「うん」

浮かない返事。
せっかくの誕生日だというのに暗い顔をしてうつむいている。
212 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時41分45秒

「まりっぺもとうとう二十歳だね。
 これでお酒ものめるんだ。羨ましいなー」

「うん」

心ここにあらずって感じ。
何を思い悩んでいるのかは大体察しがついた。
213 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時42分24秒

「そういえば、まりっぺがいなくなって
 今日で2週間になるじゃない。
 最初はみんな慌てて探してたけど、
 最近は探しもしないでまりっぺの悪口ばっかり。
 みんな冷たいよねー」

「うん」

なによ、さっきから相槌ばっかり!
まるで私といるのが辛いみたい!
せっかくの二人っきりの誕生日なのにムードが台無しだわ!
214 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時43分23秒

「もう、いいかげんにしてよ!
 いつものまりっぺらしくないよ」

「ねぇ梨華ちゃん、何時までおいらここにいればいいの?」

「何言ってるの?
 まさか、そんな姿で人前に出るつもり?
 そんなのダメよ!
 みんな気持ち悪がるに決まってる。
 あたしは嫌、そんなの耐えられない!」

「それは……でも、みんな話せばわかってくれる……」

「ほんとにそう思ってる? 私はそうは思わない。
 みんなの前に出たって、まりっぺが辛い思いするだけだよ。
 今のまりっぺを愛せるのはあたしだけ。
 まりっぺにはもう私しかいないんだよ!
 ここで一生私とここで暮らすの! いい?」

「でも……」
215 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時44分23秒

「んもう! どうしてそんな話ばかりするの?
 あたしといるのがそんなにイヤなの?
 そんなだと、またせんたくするからね!」

「え!? ご、ごめんなさい!
 もう言わないからせんたくだけはやめて! おねがい!」

ため息一つ。
今にも泣き出しそうな矢口さんを見ていたら
なんだかこっちまで悲しくなっちゃう。
せっかくの誕生日なのにまるでお葬式みたい。
216 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時44分55秒

「もう、そんな顔しないで下さい。
 今日はまりっぺの二十歳の誕生日なんだよ。
 ねぇ、誕生日をお祝いしましょう!」

「……うん。そうだね」

「そうだよ」

やっと笑った。
やっぱり矢口さんは笑ってる顔が一番可愛い。
217 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時45分33秒

「ありがとね。梨華ちゃん」

「どういたしまして」

私が答えると、矢口さんは小さく首を振った。

「ううん、そうじゃなくて、それもあるけど。
 おいらこんな体だから何にもして上げられないのに
 梨華ちゃんあたしの為に……
 それなのにわがままばかり言って……」

矢口さんったら、分ってるじゃない。
今の自分は私なしでは何も出来ないって。
218 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時46分23秒

「気にしないで。
 私決めたの、まりっぺの面倒は一生私がみるって。
 私だってまりっぺがいるから助かってる所もあるし、
 だからこれまで通り私に頼ってね」

「ありがとう。ほんとうに……」

そう言うと、矢口さんはすそで涙をぬぐった。
私だってこんな事になるとは思いもしなかった。
だって、ただ純粋に願っただけだもの。
まさか、本当に願いか叶うなんて思ってもみなかったけど。

「それじゃ、ローソクに火をつけるね」
219 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時47分17秒
私はマッチ棒を擦ると、ローソクに火をつけた。
ローソクの淡い光が室内を暖かく照らし、
私たちを幻想的な世界に誘ってくれる。
私は誕生日の歌を気持ちを込めて歌った。

二度と離したくない幸福な時間。

そう、私は今、とても幸せだ。

私の為だけに矢口さんがいる事。
矢口さんだけの為にありつづける事。

それが、私の喜びだった。
220 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時48分29秒



お正月の特番が終わった最初のオフの日に
私は神社へお参りに行った。
寒かったけれど、大好きなピンクのワンピースの上に
コートを羽織って、精一杯のおしゃれをして出かけた。
だって、神様に会いに行くのに失礼な格好できないものね。
私は神様は信じない方だけど、
それでもお願いがあると神様に頼み事をするようにしている。
だって、困った時の神頼みって言うじゃない。
221 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時49分19秒
家を出ると、私はタクシーで有名な神社へ向かった。

本当に偶然だった。

渋滞を避ける為に入ってもらった裏道で、小さな神社を見つけた。
5段ほどの階段を上った先にある古ぼけた鳥居のその奥に、
小さいけど本堂のような建物が見える。
普段なら気にも止めず素通りするのだけど、
階段の右脇にちょこんと並んだお地蔵さんと信楽焼の狸が目に止まり
その置物が可愛らしかったので思わずタクシーを止めた。
222 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時50分28秒
置物は、まるで私を誘うように神社の方を向いている。
神社は近くで見ると本当にボロくて、人の気配もまるでしなかった。
だけど、木々の合間を縫うようにお日様の光が射し込み、
なぜだか神聖な場所であるように思えた。
私は隠れた穴場を見つけた気分になってちょっと得した気がした。
ここでもお参りをしようと思ったのは本当に気まぐれだった。
223 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時51分03秒

「矢口さんとずっといっしょにいられますように。
 というか、矢口さんが私のものになりますように。
 その為だったら歌が上手になれなくても構いません。
 この美貌とダンスセンスがあれば天下取れるしぃ」


224 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時51分39秒
まぁ、期待はしていなかったのだけど。
だけど、奇跡が起きた。
それから5分もしないうちに矢口さんから電話があった。

私に会いたいって!
いますぐ会いたいって!
どうしても会いたいって!
225 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時52分12秒
私は直ぐにタクシーの行き先を変更した。
だって、矢口さんが私に会いたがっているんだもの!
待合わせの場所は、私も良く知っている場所だった。
矢口さんのマンションの直ぐ傍にある
小さな噴水のある公園だった。
226 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時52分48秒
公園には、午後の3時頃にはたどり着いた。
結構広い公園で、テニスコートや野球ができるほどの広場もある。
すっかり寂しくなった冬の並木道を通ると、
いくつかの道が交差するちょっとした広場がある。
噴水は、その広場の中央の窪んだ場所にあり、
そこに行くには10段ほどの階段を下りることになる。
矢口さんは、噴水の傍にいた。
227 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時53分49秒

「やぐちさーん! 私はここよー!」

私は駆け出した。
矢口さんも私に気づいたようで、こちらへ向かって歩き出した。
私は、矢口さんばかりに気を取られて、
足元にある2センチほどの小石に気づかなかった。
そして、まさかそんな小石に躓いて転ぶとは思いもよらなかった。
私が全速力で走っていたのも、
たまたまその小石が階段の直ぐ傍にあったのも、
矢口さんが階段のすぐ下まで来ていたのも、
いくつもの偶然が重なっただけに過ぎない。

私は宙を飛んだ。
228 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時54分51秒

「あぶない!!」

矢口さんの声が聞こえた。
そして、私は地面に鼻をおもきしぶつけた。

「いった〜い」

全身を地面にぶつけ、私は痛みで起き上がれなかった。
229 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時55分38秒

「梨華ちゃーん」

私を呼ぶ声が聞こえた。
矢口さんの声だ。
私は体を半分起すと、矢口さんを探した。
だけど、周囲を見渡しても矢口さんの姿は見つからなかった。

「おーい、ここだよー」

すごく近くで声が聞こえる。
そう、本当にすぐ近く、私の真下から。

私は下を向いた。

矢口さんは私のワンピースに張り付いていた――
230 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時56分14秒



私が歌い終わると、矢口さんは拍手をしてくれた。
ピンクのワンピースがひらひらとゆれた。

「ありがとう、梨華ちゃん。
 歌上手になったね、これまでで一番上手かったよ」

私もそう思う。
だって、心を込めて歌ったもの。
矢口さん一人の為に。

「どういたしまして。
 さあ、ローソクの火を消して下さい」

矢口さんはうなずくと、ローソクの火を消す為に体を乗り出した。
231 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時56分54秒

「え?」

嘘だと信じたかった。
矢口さんが前のめりになった瞬間、
ピンクのワンピースが捲れて後ろにずり落ちたのだ。
まるで、矢口さんからはがれるように――

「え、なに?」

矢口さんも、私の表情に何かが起こったことに気が付いたようだ。
私の目線を追うように首を動かした。
そこにはずり落ちてくしゃくしゃになった私のワンピースがあった。
232 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時57分30秒

「お、いら、もとに戻れたの?」

私はショックのあまり身動きが出来なかった。

「おいら、もとに戻れたんだ!
 よかったー!
 本当によかったよぅ。
 ねぇ、梨華ちゃん!」

「え? う、うん。よかったね」

もとに戻って喜ぶ矢口さんを前に、
私は祝福する気になれなかった。
だって、もとに戻ってしまったら
私の矢口さんではなくなってしまう。
その、あまりの現実に私は涙を流した。
233 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時58分10秒

「ありがとう、梨華ちゃん。
 そんなに喜んでくれて。
 あれ、可笑しいや。
 おいらも泣けてきたよ」

うっすらと涙を浮かべる矢口さん。
もう、私たちはあの頃には戻れないのですね。
わりました。
愛する矢口さんが嬉しいのなら私も祝福します。

「おめでとうございます。
 良かったですね、矢口さん」

「やだなぁ、急にかしこまって。
 まりっぺでいいよ。
 おいらと梨華ちゃんの仲じゃん」
234 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時58分43秒
私はみっともない位に号泣した。
矢口さんは泣き出した私の頭を撫でてくれた。
ちょっぴり子ども扱いされたのが気になるけれど、
でも、嬉しかった。

だって、せっかく買った首輪やロープを
無駄にせずに済みそうなんだもの。

愛してるわ、私の矢口さん!
235 名前:幸福の代償 投稿日:2003年01月20日(月)23時59分14秒
終り
236 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時46分50秒


 1月20日。矢口真里さんの誕生日。
 石川梨華さんはこの日のために、数日前から入念な準備をしていました。
 石川梨華さんのたくらみが、今夜、動き出します。

237 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時48分37秒
 石川は自分の部屋で、ノートパソコンをカタカタと音立てている。
「よし、っと」
 石川は椅子から立ちあがり、うーん、と背をそらす。時計を見た。矢口との約束
の時刻になっていた。

 ピンポーン。
 呼び鈴がなって、矢口が石川の部屋にやって来た。
「おーす。相変わらず散らかってんね」
「これでも綺麗にしたんですよ」
「うそ」
 矢口はコートを脱ぎ、部屋の隅にたたんで置く。
238 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時50分22秒
「で、見せたいものってなに?」
 矢口はわくわくしながら、聞いた。石川に、見せたいものがあるから部屋にきて
くれと言われ、矢口は他の予定を蹴って石川のところに来た。本日は矢口の誕生日。
これはプレゼントでしょう、との予測は、頭の回る矢口でなくとも立つ。

「パソコンの前座ってください」
 石川にそう言われ、あれ? プレゼントじゃないの、と疑問を感じつつもパソコ
ンの前に座る。

「これ見てほしいんです」
 石川が、矢口のすぐ横からマウスに手を伸ばし、インターネットに接続する。
ブラウザには『musume-seek』というタイトルのページが出てきた。
239 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時51分33秒
「なにこれ、ムスメシークっていうの?」
「そうです。ファンが作ってるページですよ」
「ふーん」
 矢口は生返事をした。なぜわざわざヲタのページを見せるのか。意図がわからない。
石川はカチカチとマウスをクリックする。
「ここに、小説が載ってるんですよ」
「小説?」
「あたし達が出てくる小説です」
「うへー」
 矢口はディスプレイをちらっと見て、顔をしかめる。
240 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時52分41秒
「小説とかいって、ヲタとあたしらがエロいことになってたりするんだろ、どーせ」
「いやいや」
 石川は真面目な顔で、今度はお気に入りから、ページに飛ぶ。『カップリング大
全』というページだ。
「ここ、読んでみてください」
 石川は矢口を促し、矢口は気乗りしないながら、のぞきこむ。

「なになに、娘。小説について?」
 矢口は、いわゆる娘。小説について、今日はじめて知った。男は出てこない話が
ほとんどで、矢口の考えていたようなものはごく少ない、こと。涙を誘うようなも
のや、大笑いできるようなものがある、こと。
241 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時53分31秒
「この、3大カップリングって?」
「3大カップリングっていうのは、ファンの人が見たいメンバーの組み合わせトッ
プ3、ですね」

 矢口は、読みすすめる。
「やすよし、かおなち、いしやぐ?」
「はい。もうすぐ卒業の保田さんと、保田さんを慕うよっすぃー。最初からのメン
バーの飯田さんと安倍さん」
「ふむ」
 マウスでページをスクロールしながら、石川は『カップリング大全』の説明をし、
矢口はそれに耳を傾ける。この『カップリング大全』というページ、実は石川が数
日をかけてこしらえたものなのだ。大まかな娘。小説の説明は普通なのだが、カッ
プリング項目のみに、手が施されている。
242 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時54分30秒
「で、可愛いどころのあたしと、セクシー隊長矢口さん、ってペアで、3大カップ
リングです」
「なるほどね」
 可愛いどころとセクシー隊長がどうしてカップリングになるのか、という疑問は
矢口の脳裏に浮かばなかった。セクシーという言葉の響きに満足してしまっていた
からだ。

「さやかとごっつぁん、とかありそうなもんなのにな」
 キャハハと矢口は笑った。
「それもあるんですけど、いちごま、っていうんですけど、マイナーなんです」
「へえ」

「で、今は3大カップリングのなかでも、いしやぐがすごい人気なんですよ」
「マジかよー」
「カップリングトーナメントでも、いしやぐが圧倒的な強さで優勝したんです」
「カップリングトーナメント?」
「ファンが決める、誰と誰にカップルになってほしいか、の投票ですね」
「それで、1位?」
「はい。ダントツの」
「ふむぅー」
 矢口は腕を組み、複雑な表情でディスプレイを見つめる。
243 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時55分14秒
「青カテとか、かなりのいしやぐですよ」
「青カテ?」
「ここの『青のカテゴリー』です。これなんかは、中盤あたりにあたしと矢口さん
のキスシーンがあるんですよ」
「ほんとかよー、どれ」
「あ、この話長いんで、見なくていいです見なくて」
「ふーん」

「でですね、終盤のほうに、18禁のシーンがあって……」
「マジかよ!」
「もう、あたしもドッキドキで」
「つーかよお、18禁だったら、石川が読んじゃダメじゃん」
「大丈夫です。あたしが主人公の話なんで」
「そういうもんなの?」
「はい」
244 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時55分46秒
 マウスを適当に動かす矢口。
「ちらっと見た感じ、テニスっぽかったんだけど」
「いえ。これはテニスを借りた、純愛LOVEストーリーなんです」
「そうなんだ」

「あとは『リストラ』、ですかね。王道のいしやぐとして有名なんですよ」
「へー、いしやぐ、多いなあ」
「多いんですよー」
245 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時56分47秒
「こういうインターネットって、ファンの気持ちを一番あらわしてますよね」
 石川は語りはじめ、数日前にこれも自らこさえておいた『いしやぐ委員会』のペ
ージを、さりげなく開いて、矢口に見せる。

「6期メンバーもいっぱい入って、ファンも動揺してると思うんです」
「ファンの気持ちを離さないためにも、油断はいけないと思うんです」
「ファンを続けてもらうには、あたしと矢口さんの仲の良さが必要なんです」
「一番ファンが望む形を取るのが、いまのベストだと思います」
246 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時57分34秒
 話は変わるんですけど、と石川は笑って言うと、クローゼットの奥から綺麗にラ
ッピングされた箱を出した。
「矢口さん、二十歳の誕生日おめでとうございます」
「おー、マジ? ありがとー」
 やっとで予測してた展開になったと、矢口は安心し、プレゼントを受け取った。

「開けちゃうよ」
 矢口はそう言い、ラッピングを剥ぎ取る。中からは、白いくまのぬいぐるみが出
てきた。両手で抱え、矢口は目を輝かせる。
「これ、幻の、『プーさん白熊バージョン』じゃん!」
「ですよー」
「マジうれしー、ありがとね」
247 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)00時58分29秒
 ウキウキとしてプレゼントを眺める矢口の横で、少し神妙な石川。
「矢口さん」
 急に寂しげなトーンで、矢口に話しかけた。

「あたしに誕生日プレゼント、くれなかったですね」
「あ」
 ヤベマジで忘れてた、という風に、矢口は頭を押さえる。
「石川の、誕生日って……19日」
「昨日です」
「ほら、自分の誕生日と近いとさ、ど忘れしちゃうんだって」

 矢口は、石川の目に涙がたたえられているのを見て、焦る。
「うわわ! 泣くなっておい」
 石川の目から、涙が一粒膝にこぼれる。矢口は石川のすぐ隣に座る。
「ぽこっと忘れちゃってたんだよ。ほんとゴメン」
 そう言って、矢口は石川の様子をのぞきこむ。瞳を潤ませ、下を向き鼻をすする
石川。涙がまたこぼれる。
248 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)01時00分00秒
「遅れちゃうけど、ちゃんとプレゼントあげるから、な」
 矢口はハンカチを差し出した。それを受けとって涙をぬぐう。震える声で、石川
は言った。
「ひっく……、おわびに」
「おわび? おお。おわびするよー。なんでもしますよー矢口さんは」


「くちびる、ください」


 石川の言葉が、響いて残る。たっぷり3秒、時が止まり、そして時は動き出す。

「は?」
「いしやぐの今後のため、矢口さんのくちびる、ください」
 涙声ながら、石川ははっきりとそう言った。
「ちょ、ちょっと待った。なんでおわびが唇――」
「矢口さん甘いです!」
 石川は突如、ソプラノボイスで叫んだ。ビクっと驚く矢口。
「仲の良さは、演技できないんです。二人でいる自然さ。空気の合っているオーラ。
そういうのがテレビや雑誌を通して世間に伝わってこそ、カップリング一番人気の
いしやぐであれるんです」
 石川の剣幕に、矢口はポカンとしている。
249 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)01時01分27秒
「正直、今のいしやぐは、娘。小説に負けてます。それはつまり、ファンの期待に
応えられてないってことなんですよ!」
「は、はあ」
「そのためには多少の荒療治っていうか、思い切りが必要なんです。いい機会です。
モーニング娘。の将来のためにも」
「は、はあ」
「いいですね」
「は、はあ」 
 完全に石川ペースに乗せられてしまった矢口は、ポカンしてと動けないまま。

 涙のあとが残る、真剣な面持ちの石川の顔が、矢口の顔に近づく。


 石川の唇が、矢口の唇に重なる。
 全ての意識は、その感触に。


250 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)01時02分36秒
 翌日。仕事場にて。


「石川、ちょっと」
「はーい」
「おまえ、きのう嘘ついたな」
 矢口はじりじりと、石川につめ寄る。
「ごっつぁんに聞いたら、「三大カップリング? あーそれ、いちごま、やぐちゅ
ー、いしよし、だね」つってたぞ!」

 石川は、不思議そうな顔をする。矢口はポケットを探り、メモ書きを取り出した。
「えーっとー……。いちごまが、さやかと後藤で。やぐちゅーが、オイラと裕子。
いしよしが、石川と吉澤なんだろ? いしやぐなんてどこにもねえよ!」
「えー、おかしいですねえ」
 とぼける石川を、ジロッとにらむ矢口。石川は目をそらして、腕時計を見る。
「あ、チャーミー、そろそろハロプロニュースの撮りなんで☆ 失礼しまーす!」
「こらあ!」
251 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)01時03分31秒
 
 
 
 石川梨華さんはスタジオへと逃げていきました。
 矢口真里さんは、キス泥棒、とボソッとつぶやいていたそうです。
 この日のハロプロニュース、チャーミー石川はずいぶんとテンションが高かったそうな。
 
 
 
252 名前:Kiss her, kiss her. 投稿日:2003年01月21日(火)01時04分11秒
めでたし、めでたし。
253 名前:LVR 投稿日:2003年01月21日(火)06時21分06秒
告知をほとんどせずに、急な祭りであったにも関わらず、
こんなにたくさんの投稿があって凄く嬉しいです。
書いてくださった皆様、応援してくださった皆様、読んでくださった皆様、
このスレに少しでも関わってくださった皆様に、本当に感謝です。

いしやぐに日にちはありません。
スレが余っていますので、書こうと思っている方は期限にこだわらずに是非どうぞ。
余った部分はスレが残っていればおいおい埋めたいと考えております。

それでは、本当に本当にありがとうございました。
254 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月21日(火)16時32分56秒
幸福の代償とKiss her, kiss her. 面白かったぁ。
幸福の代償は涙無しには見れなかった。色んな意味で。っていうか、ど根(ry
Kiss her, kiss her.はソフトなはったりが石川さんらしくて良かった。
この話を読んであの2作を読む人がいたらそれはそれで面白い。
255 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月22日(水)00時50分19秒
>>2-20 矢口真里奮闘記
>>24-29 誕生日の夜
>>30-32 ハロプロニュースな二人
>>33-41 THE・心理戦
>>43-61 坂の上の家
>>62-78 her puppet
>>80-86 アクアリウム
>>87-93 みんなハッピー
>>96-99 ○祭り
>>101-117 チャーミー
>>120-125 私達は眠り続ける
>>126-127 救えるものなら
>>101-117 チャーミー
>>128-144 歌姫の誇り
>>145-158 傍にいるから
>>159-168 プラネタリウム
>>170-181 物々交換愛
>>183-199 インスタントマジック
>>201-209 フラジャイル
>>210-235 幸福の代償
>>136-252 Kiss her, kiss her.

間違ってたらごめん。
256 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月22日(水)00時52分01秒
全部面白かったよ。作者のみなさん、お疲れ様。
257 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月24日(月)01時24分38秒
ほぜん
258 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月13日(木)11時43分25秒
保全
259 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月29日(土)00時57分28秒
はじめまして、書かせていただきます。
宜しく御願いします。
CPはもちろん、いしやぐと隠しCP(てないけど)で。
では、ageます
260 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月29日(土)00時58分39秒
「(あーあ、終わっちゃったか...
 圭ちゃんとごっつぁんの卒業の発表以来、
 最終回とか卒業とか、そんなんばっか、なんかヤだな。)」

オイラは最後のオンエアを終わらせ、仙台の某局の廊下を歩く。

4月から新番組が始まるから、番組を移動したと思えばいいんだけど、
俗にいうハロプロ大改編(改変)以来、そういう風にはとても解釈できなくなってた。

「(最近ネガティブだなーオイラ。これじゃーまるで石...)」
そこまで考えて、頭の中によぎる石川の顔。
261 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月29日(土)00時59分47秒
「(もう、帰っちゃったよね...)」
分かりきっていることだった。
労働ナントカ法もなにもあったもんじゃない殺人的スケジュールの娘。たちにとって
睡眠時間は5分でも10分でも貴重だから。
ましてや今日はコンサート!!疲れもピークのはず
当然タクシーで先に帰って当然だよね。

「(そっか、今日で最終回だから、疲れてるのにわざわざ来てくれたんだね。
 なのに、オイラお礼も言ってないし、何かいつにもましてヒドイ事言っちゃたかも。)」
普段なら気にもしない石川への言葉に、言った自分自身が引っかかる。

「よし、思い立ったがなんとかだ!!」
気をとりなおし、携帯を手にした。
サイレントモードをオフにし、さて電話を..と思った瞬間、ふいに電話がなった。
262 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月29日(土)01時01分04秒
「うわっ!!」
あわてて電話を落としそうになったが、
なんとかセーフ。
「はい、もしもし」

「矢口ー、お疲れ様ー。」
え、石川の声じゃない。
この声って...紗耶香!!

「紗耶香?」
「あー、人の事忘れてたな」
そうだった、ちょこっとLOVEの着メロは、紗耶香だった。
そうだね、今ごろ石川はタクシーの中だよね。

「ちょっと、矢口ー!」
「あ、ごめんごめん、ちょっと交信しててさ」
「まったく、カオじゃないんだからさ」
「で、どーしたのさ、紗耶香。
 あ、ひょっとして、今までも聞いててくれたの。」
「当然でしょー、だって矢口とあたしはメンバーを超えた特別な...
263 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月29日(土)16時19分09秒
ウヒャヒャちょっとやめろって」
「ちょっと、紗耶香、沙耶.」
「冗談だよ、ごめん、ごめんなさい後藤、後藤さん、真希ちゃん」

あー、そーゆーことね、紗耶香のごっつぁんいじめか。
まったくー!、オイラをだしに使うなよな!!
「ふー、死ぬかと思った」
息を切らす紗耶香の声が聞こえる、どーやらくすぐられていたらしい。

しょーがねーな、ちょっと付き合ってやるか。
「なんだよー、オイラ超嬉しかったのにさ、一瞬期待しちゃったよ。」
精一杯、女の子女の子してささやく。
264 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月29日(土)16時19分39秒
「だめだからね、やぐっつぁん!!」
「こら、後藤!人の電話を取るな
 あ、もしもし矢口、まーそーゆーわけでさ、
 とにかく...おい後藤、いつまですねてんだよ
 矢口、ちょっと待っててね」

電話の向こうで紗耶香とごっつぁんの声が聞こえる。
「ごめんよ−後藤、市井が好きなのは後藤一人だけだよ」
「ほんとに?」
「もちろんだって、矢口なんか後藤にくらべれば全然かわいくないって」

「(あの、全部聞こえてるんですけど..)」

「ほんとに?」
「うん、後藤が一番、後藤大好きだよ」
「ごとーも、いちーちゃんが大好きだよ
 じゃ、今回は許すけど、次浮気な事言ったら、くすぐりの刑だからね」
265 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月29日(土)16時20分10秒
「もしもし、紗耶香」
「あ、ごめんごめん、というわけでね、せーの」
「「オールナイトニッポンスーパー3年間お疲れ様でした」」
紗耶香とごっつぁんの声が重なる。
「あ、ありがと、とっても嬉しいよ」
やばい、涙が出そうになった。もー最近、涙腺緩みすぎ。

泣きそうになったので、電話を切ることにした。
「あ、紗耶香、もう局出るから...」
「うん、じゃーまたね...愛してるよ矢口」
「いちーちゃん!!!」
「ちょっ、じょーだ...」

くすぐりの刑?をくらう事になったらしい紗耶香の叫びを最後に通話を終えた。
「(ありがと、紗耶香にごっつぁん。
 でも...オイラ3年間もやってないんだけどね
 絶対聞いてなかったなこいつら)」

266 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月30日(日)00時21分58秒
電話を切って、また一人ぼっちになると寂しさがこみ上げてくる。
でもそれは、さっきまでの寂しさに加えてもうひとつの寂しさのせいだった。
もうひとつの寂しさ...それは、恋人のいない寂しさ。

下らない週刊誌には、自分に似せたコのキスしてるプリクラとかが載ってたけど、
考えてみれば娘。に入ってから、ただの1回もそういうのがない。

仕事に追われて...もちろんそれは好きでやってるんだからいいんだけど、
男のコを好きになるっていう事自体、忘れてしまったような気がする。
267 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月30日(日)00時26分28秒
だからといって誰か一人の女のコと
紗耶香とごっつぁんみたいな関係になろうとは思わない...多分。

でも、あの2人だけじゃなく、
どーしても娘。はメンバー間でそーなってしまうらしい。

高橋と小川は、よっすぃーに対して、見る目が違ってるし、
裕ちゃんは、誰にでもセクハラするしな、いー加減に結婚しろよな、全く。
なっちは...明日香とキスしてるの見ちゃったしな。今はどーなってんだろ?
カオリは...わからん、てか今だにわからない部分多すぎだよ。カオリは。

あと、わかんないのは、圭ちゃん、よっすぃー、辻、加護、紺野、豆に
...石. 「あっ!!しまった、石川に電話しなきゃ!!」
268 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月30日(日)00時29分17秒
歩きながら、携帯を操作する。
呼び出し音が流れる、1回、2回...。
3回目の呼び出し音と同時に裏口のドアを開ける。
と、その時、携帯の着メロが聞こえてきた。

「(この曲って「たんぽぽ」だ。
 え?あれ?でも、耳につけたオイラの携帯からは呼び出し音が...
 ん?...あ!そーか、別の携帯が鳴ってるんだ。
 え? でも、こんな時間に?こんなところで?)」

1つの疑問が解けたが、また新たな疑問がわいてくる。

そんなことを考えながら外に出ると、ふと左の方に何か奇妙なものが目に入る。
269 名前:作者です 投稿日:2003年03月30日(日)00時34分30秒
( ´ Д `)誰からもレスがこないね
ヽ^∀^ノとっくに聖誕祭終わってるしね

( ^▽^ )ちょっと主役はちゃーみーでしょ
(〜^◇^〜)違うよオイラだよ

( ‘ д‘)矢口さんが正解です
( ´D`)なんでれすか?

从´∀`从カオリに聞いてや
( ゜皿゜)・・作者がやぐ推らしいのよ

( `.∀´)主役は私じゃないの?
( ● ´ ー ` ● )圭ちゃんは違うと思うよ

(0^〜^0)でも作者は圭ちゃんの卒業にショックを受けた見たいだよ

( ゜皿゜)・・矢口のミニモニ卒業の方が大ショックだってみたい
( ゜皿゜)・・掲示板で小学生GETできなくて、ミニモニ卒業式出れなかったの悔やんでるし

( ‘ д‘)( ´D`)ミニモニ卒業..矢口さーん シクシク
(〜^◇^〜)泣くなよ−、オイラまで...
270 名前:作者です 投稿日:2003年03月30日(日)00時37分58秒
( `.∀´)矢口、辻、加護、これで元気出しなさい チュッ
ヽ^∀^ノ オエー

( `.∀´)ちょっと紗耶香までそーゆーことゆーの
从´∀`从でも今のはきつかったでー、うっ

( `.∀´)って本当に吐くなー!!
( ● ´ ー ` ● )2日酔いに今のはきついべさ
(〜^◇^〜)これで裕ちゃんもお酒を控えるかもね

( ´ Д `)いちーちゃん大丈夫?
ヽ^∀^ノ後藤の顔みたからもう大丈夫だよ
( ´ Д `)やだーもー、いちーちゃんったら

( `.∀´)バカ2人は、ほっとくわよ

(0^〜^0)でも、なんで吉澤じゃなく梨華ちゃんがANNで矢口さんと会ってるんだよ
(0^〜^0)私だって矢口さんのこと..
( ^▽^ )かわいいからじゃない

从´∀`从さ、みんな今日はもう寝るでー
271 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月30日(日)02時04分17秒
途中でレス入れちゃまずいなって思ったんだもん
続き激しく期待
つーかANNS石川さん乱入最高でしたよ
やっぱこの二人は良い
272 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月30日(日)20時19分36秒
奇妙なもの それは...石川だった。

そこにいたのは、この世のモノとはとても思えない...
上から下までオールピンクの服に身を包んだ石川だった。
「ぷ、きゃはははははははー、何だよそれー、きゃはははははははー」

一瞬、唖然としたが、すぐにおかしさがこみ上げてくる。
さっきと違う服、という事はどうやら着替えを持ってきていたらしい。

「きゃはははははははー、はーはー、く、くるしい...」
たっぷり、3分間は笑ってしまっただろう。
273 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月30日(日)20時21分04秒
「はーはー...ちょっと石川!オイラの心臓が止まったらどうすんだよ!、あー苦しい」
「えーおかしいですか?変だなー?
 石川、今日は気合入れてきたのに」

「はーはー...だから、気合入れるなっつーの
 全くお前は、どーゆーセンスしてんだよ」
「えー変ですか?チャーミーショックだな」
半分演技、半分本気で悲しそうにする石川。

「(は!そーだった)」
つい、調子にのって、またいつもの会話になってしまった。
274 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月30日(日)20時22分16秒
「石川、あのさ」
すねて?下を向いてしまった石川に語りかける。

「今日、その、なんてゆーかさ」

オイラはこーゆー事を言うのが苦手だ。
でも言わなきゃ!!
コンサートで疲れてるのに、石川は、オイラのために来てくれたんだ。
きっと、しょげてるオイラを笑わそうと、こんなおかしい格好まで用意してくれて。
しかし、本当にすごい格好だよな、石川...ってそんなに見つめるなよ。
275 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月30日(日)20時23分59秒
石川に見つめられ、頬が熱くなって行くのが自分でもわかる。
一言、ありがとう って言うだけなのに、なんか妙に照れてしまう。
ガンバレ、ガンバるんだ矢口...ってこれじゃまるで愛の告白だよ。

「嬉しかったよ、石川が来てくれて...それでね」
なんとか、切り出す。

「あ、あり..」
「私も嬉しいです。」
276 名前:作者です 投稿日:2003年03月30日(日)20時25分51秒
>>271 名無し読者さん
( ゜皿゜)・・レス、ありがとうございます。とても励みになります。

( ‘ д‘) (飯田さん、ひどいで、はげやなんて)
ヽ^∀^ノ カオ、あんまりだ

从´∀`从 はげやなくて励みやろーが!!
( `.∀´) (先につっこまれたわ)

(0^〜^0) そんな事より、やばすぎるって、本編。矢口さんを助けにいかなきゃ
( ^▽^ ) いい感じになってきたわウフフ

从´∀`从 矢口ーうちを捨てんといてー。石川ー、矢口から離れんかい
( ^▽^ ) イ・ヤ・で・す

从´∀`从 ムカー、矢口はうちのものやでー
(〜^◇^〜) みんないい加減にしろー、矢口は矢口のものだー

(0^〜^0) だって、矢口さーん
从´∀`从 そうや、矢口。矢口は誰が好きなんや?はっきりさせてや
277 名前:作者です 投稿日:2003年03月30日(日)20時27分55秒
( ‘ д‘) (矢口さん)
(〜^◇^〜) うっそんな泣きそうな目でオイラをみるなよ

(〜^◇^〜) オイラの好きな人はー
从´∀`从 ( ‘ д‘) (0^〜^0) ( ^▽^ ) オイラの好きな人はー?

(〜^◇^〜) 本編を見てねー

( `.∀´) ということは私ね
( ´ Д `) いちーちゃんだったらどーしよー

( `.∀´) って無視かい、ゴラー
ヽ^∀^ノ 後藤は渡さないよ、矢口。

( `.∀´) うっ...もう寝るわ
278 名前:ボレロ 投稿日:2003年03月31日(月)18時47分31秒
久々に来てみれば新作が・・・
ヤグリカは好きなんで最高です!
照れてるヤグに萌え
ANNの最終回をもう一回聴きたくなってしまった・・・
続き待ってます!
279 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月31日(月)21時56分40秒
ありがとうって言いかけたオイラより早く、
石川がしゃべり出す。

「来てよかった」
満面の笑みを浮かべた梨華ちゃん。
やっぱかわいいなー梨華ちゃんは。
女のオイラが見てもこんな風に思うんだ。
男だったら ♪恋をしちゃいましーた だろーな。
280 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月31日(月)21時58分17秒
あーだめだ。きっとオイラ今、顔真っ赤だよ。

「矢口さんって...」
「え、な・なに」
うつむき加減に話しだす梨華ちゃんに、めちゃくちゃ動揺してしまう。

「...好き...」
「えっ」

「...な人っていますか?」
「え、あ、あの、だから...あ、うん、みんな好き、そうメンバーみんな好きかな、アハハハ」
動揺を隠しきれず、笑ってごまかす。
もー耳まで真っ赤だよ、きっと。

「り、梨華ちゃんは...誰か好きな人いるのかなー」
わざとおどけて、聞いてみる。

「私は...」
281 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月31日(月)21時59分06秒
「やぐちーーーー」
その時、遠くから絶叫?しながら、独特の走り方で走ってくるものが。

「逃げよう」
「え、ちょ、ちょっと矢口さん」
梨華ちゃんの手をとり、走り出す。

オイラは小柄だけど、足は圭ちゃんより速い。
梨華ちゃんはオイラ以上に速いから、気がついたら圭ちゃんが見えなくなっていた。
282 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年03月31日(月)22時00分52秒
「ハアハア、ハアハア、あー久ぶりに走ったー」
「ハアハア、ハアハア、や・矢口さん」

「ハアハア、なに」
「ハアハア、なんで逃げるんですか?」

え?
そういえば、何で逃げたんだろう?自分でもわかんないや?
ただ..なんか...なんだろう?

「ハアハア、圭ちゃんが怖かったからかな」
とりあえず、適当に答えてみる

「それだけですか?」
283 名前:作者です 投稿日:2003年03月31日(月)22時05分13秒
>>278 ボレロさん
( ゜皿゜)・・レス、ありがとうございます。

从´∀`从 圭坊、だめやないか、まかれたら
( `.∀´) 仕方ないでしょ、足遅いんだから

( ‘ д‘) まったくや、うちとよっすぃーは18才未満やから、おばちゃんだけが頼りやねんで
(0^〜^0) そーだよ圭ちゃん、矢口さんを助けてよー

( ´ Д `) んあ、恋する二人を妨害しなくても
ヽ^∀^ノ ほんとだよ、矢口が石川好きだっていいじゃん

(〜^◇^〜) ちょ、ちょっと待ってよ、まだ石川が好きって..
( ^▽^ ) 認めましょう、や・ぐ・ち・さ・ん

( ´D`) そうだったのれすか。じゃあ次のハロモニで発表しましょう。
( ‘ д‘) のの余計な事言わんといてや
284 名前:作者です 投稿日:2003年03月31日(月)22時06分49秒
( ^▽^ ) や・ぐ・ち・さ・ん
(〜^◇^〜) えと・あの・その・だからね

从´∀`从 こらーやめんかい!!
( ´D`) いいところらったのに

( ‘ д‘) のの、誰の見方やねん
( ´D`) この後、梨華ちゃんが焼きそばおごってくれるのれす

( ‘ д‘) それ手作りやで、きっと
( ´D`) えっ、それはたべれないのれす

( ‘ д‘) というわけでうちの応援してや
( ´D`) わかりました、亜依ちゃん。焼きそば1週間分で協力するのれす

(〜^◇^〜) 安、オイラって焼きそば1週間分かよ
( ^▽^ ) それでは、みなさん、ぐっちゃ−
285 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月05日(土)22時37分26秒
梨華ちゃんがどこかせつない表情で聞いてくる。

あーだからもーこの表情は反則だってばー梨華ちゃーん
あれ、でもこの表情どこかで...
どこかで見たような...
どこでだろ...

「..さん..」
「.口さん..」
「矢口さん..」

あーもう、ここまで出かかってるのに...
286 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月05日(土)22時38分51秒
「あーーー!!」

「きゃっ」
突然、大声をあげたオイラに、びっくりした梨華ちゃんのちっちゃな悲鳴が重なる。

「ど、どうしたんですか? びっくりしたー」
「キスがしたい」
「え?」

梨華ちゃんのこの表情って、
DoIt! Nowのセリフ<KISSがしたい>の部分だー!

おもわずDoIt! Nowのセリフが同じ調子で口から出てしまった。
287 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月05日(土)22時39分42秒
あーなんか、こーゆーのって超嬉しい。
探していたカギやサイフや携帯が見つかったみたいな、そんな感じ。
幸せってこーゆー事をゆーのかな。

謎が解け些細な幸せをかみしめているオイラに、梨華ちゃんから無情!?にも次の問題(謎)が出題される。
「私でいいんですか?」
288 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月05日(土)22時41分31秒
「へっ?」
確かさっきは、<それだけですか?>だったよね?
続いて<私でいいんですか?>って一体??
あ、そういえば<それだけですか?>に答えてないよね?
?が頭の中を駆け巡るオイラに構わず
梨華ちゃんからさらに次の出題。


「嬉しいです。矢口さんがそんな事言ってくれるなんて...私..夢にも思ってなかったです」
289 名前:作者です 投稿日:2003年04月05日(土)23時12分33秒
(●´ー`●) お知らせです。次回作は「エアモニのその後で」
(●´ー`●) 最終回を迎えた、なっちを明日香が迎えにきて...

(〜^◇^〜) って、まだこの小説連載してるのに、次回作かよ

( ゜皿゜) ・・作者は元明日香推しなの
(●´ー`●) やったべ

( ゜皿゜) でも、無理
(●´ー`●) えーなんでさー

( ゜皿゜) ・・作者の住む地方では、エアモニ聞けないから
(●´ー`●) ショックだべ

从´∀`从 じゃあ、やっぱこれやろ。次回作「ANNSSのその後で」
从´∀`从 最終回を迎えた、ウチを矢口が迎えにきて...

(0^〜^0) いや、次回作「よろしくヨッスィーのその後で」
(0^〜^0) 最終回を迎えた、吉澤を矢口さんが...

(〜^◇^〜) だからまだ連載中だっちってんじゃん!!
(〜^◇^〜) それに勝手にラジオ終わらすなよ、よっすぃー!!
290 名前:作者です 投稿日:2003年04月05日(土)23時15分49秒
( ´ Д `)
ヽ^∀^ノ 「(かわいいな後藤)」

( `.∀´) こら、そこ、寝るな。それと紗耶香、その寝顔を見てニヤけてるな。

( ^▽^ ) チャーミーもおねんね や・ぐ・ち・さ・ん。
(〜^◇^〜) あ、こ、こら

从´∀`从 こらー石川、誰のひざに頭のせとんねん
( ‘ д‘) そーやで、矢口さんのひざにあごがささりそーやでー

(〜^◇^〜) ・・・もうしょうがないなー
从´∀`从 って矢口、しょーがないって何じゃ、しょーがないって

(0^〜^0) う、でも、ちょっと照れてちょっと困った表情の矢口さん、かわいい
( `.∀´) 圭ちゃんもかわいいもん

( ´ Д `) う、おえー
ヽ^∀^ノ 寝てる後藤を起こすとは、さすが圭ちゃん

( ^▽^ ) それでは、みなさん、次回はいよいよラブシーン突入です
(0^〜^0) やめろー!!矢口さーん!!!
291 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)13時10分34秒
むっちゃ続き気になる!!
292 名前:ボレロ 投稿日:2003年04月06日(日)16時34分43秒
勘違い梨華ちゃんとてんぱる矢口に萌え・・・
続きに期待
293 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月07日(月)20時07分15秒
「へっ??」

「さっき笑われちゃった時は、
今日は言うのやめた方がいいかなって思ったんですよ でも...良かった」

そんな事ってなんだ、オイラ何か言ったかな??
なんか話がかみ合ってないよーな気がするんですけど...
「ちょ、ちょっと梨華ちゃ...」

「私も矢口さんと..その..したいなって、ずっと思ってました。」

混乱するオイラにお構いなしに、
梨華ちゃんから第...えっと今何問目だっけ?
294 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月07日(月)20時08分10秒
?したいって、なにを??
ん?何でオイラをそんなに見つめるの、ねえ、梨華ちゃん??



...でも、梨華ちゃんに見つめられると
...さっきから梨華ちゃんに対して感じていたものが、少しずつだけどはっきりして行く。

そんな事を考えると顔だけじゃなく今度は体まで熱くなって...

相手は女のコなのに、オイラおかしいのかな?
今日のオイラどうかしてるのかな?

「そ、そういえばさ、梨華ちゃんって好きな人っていないの」
こんな自分をごまかそうと、さっき圭ちゃんに邪魔された!?、質問を再び聞いてみる。


「もーやだ、矢口さんったら、そんな事言わせたいんですか?」
真っ赤になった梨華ちゃんが、恥ずかしそうにうつむく。
295 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月07日(月)20時09分07秒
この反応って、誰か好きな人いるのかな?
やだな、こんな気持ち...
どうしてだろう、どこか寂しい気がする...
この気持ちって...
「え、いや、べ、別に嫌ならいいんだけどさ」

「じゃあ、先に矢口さんの一番好きな人、言ってください。そしたら石川もいいます。」

矢口の好きな人...
梨華ちゃんを見てると、どーしてだろ、わけもなく体が熱くなるのは、
やっぱり、なんてゆーか、あれかな?
魔法使い梨華ちゃんに黒、じゃなくて白魔術をかけられちゃったのかな?
つまり、そのー...梨華ちゃんに恋しちゃったのかな?

はーでも、やっと自分の気持ちに気づいたのに...片思いかー...
296 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月07日(月)20時10分39秒
でも、思ってる事をはっきり言わないのって、
なんだかオイラらしくないから今思ってる事を言おう!!
(でもやっぱ恥ずかしいから、後を向きながら言うけど許してね、梨華ちゃん。)

「オイラの好きな人はね...矢口の好きな人はね...
オイラよりずっとかわいくってさ...
でも歌も料理も下手で、すぐ落ち込んだりするんだよね...
だからかな、なんかほっとけなくってさ...

だけどね...矢口が寂しい時には、笑顔で励ましに来てくれるんだ...」


これ以上言うと、泣いちゃいそうだよ。
「これでいいかな、梨華ちゃん」

前を向き、梨華ちゃんを見る。
あれっ梨華ちゃん、梨華ちゃんの方が泣きそうだよ、どーしてだろ?

「私の好きな人の事も言いますね。私の大好きな人はですね...」
梨華ちゃんが話し出す。
297 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月07日(月)20時12分02秒
正直言って聞きたくなかった。
だって、梨華ちゃん好きな人いるっぽいし。

「私の大好きな人は、私より少し年上で...」
誰だろ、なっち?圭ちゃん?カオリ?

「私より背が低くて...とってもかわいくって...」
加護?辻?あ、この二人は年下だから違うか?

「よく笑って...」
やっぱり、なっち?

「すぐ怒って...」
まさか、裕ちゃん?

「あ、でもまたすぐに笑って...」
よく笑って?よく怒って?そんな奴いたかー?

「私の事いつもいじめるんですけど...」
誰だ、それ!!許せないな!!

「でも、私が本当に悲しい時、落ち込んだ時は励ましてくれるんです

 モーニング娘。のオーディション受けてみようって思ったのも、
 ホントはその人と一緒に歌いたかったから...

 さくら組とおとめ組で別れちゃったけど、でもモーニング娘。では一緒だし」
298 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月07日(月)20時14分36秒
そこまで言うと、梨華ちゃんはまた恥ずかしそうにうつむいてしまった。

...........
...まず梨華ちゃんより少し年上で、
あと、梨華ちゃんがオーディション受ける時にいたメンバーだよね?。
ってことは裕ちゃん、なっち、カオリ、紗耶香、圭ちゃん、ごっつぁん...は年下か。
でも裕ちゃんは少しじゃないから(ごめん裕ちゃん)違うよね。

あ、そうだ梨華ちゃんより背が低いんだっけ。
ってことはカオリは違うよね。

それに、さくら組とおとめ組で別れるって事はさくら組のメンバーか。
紗耶香、圭ちゃんも違うと。

って事は...


なっち!!
ん?でもなっちって、よく怒るかー?梨華ちゃんをいつもいじめてたっけ??
299 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月07日(月)20時16分24秒
悩む?オイラをやわらかい感触が、体を包む。
これって...梨華ちゃんに抱きしめられてるんだオイラ。

「してくれないんですか?」
梨華ちゃんの小さな声。

するって何を?
それにどーしてオイラの事を抱きしめるのさ?
なっちの事好きじゃないの?
あーもう訳わかんないよ!!


「梨華ちゃんは、その好きな人に告白したの?」
心の中のもやもやをふっとばすべく、恐る恐る聞いてみた。

「もー、さっき、ラジオでも言ったじゃないですか?」
ラジオで?うそ?なっちの話題出てなかったよね?

「個人的にまりっぺが好きだからって」
ふーん、まりっぺって、えーーーーーー!!!
300 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月07日(月)20時18分29秒
梨華ちゃんより少し年上で背が低くて、よく笑って、よく怒ってってそれ全部オイラの事なの?
あ...そーいえば、さっき自分をいれてなかった。

「梨華ちゃん」
思わず、口に出し、梨華ちゃんの目を見つめる。

少しずつ目を閉じる梨華ちゃん。
これってキスしていいって事だよね?本当にいいんだよね?間違ってないよね?

オイラも少しずつ目を閉じながら、梨華ちゃんの唇に自分の唇を近づける。
301 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月07日(月)20時20分14秒
柔らかい感触。
背伸びしているのがちょっと体勢的につらかったけど、
しばらくこうしていたいな。

......................
......................

...唇を離すと、二人してゆっくりと目を開けた。
なんか照れくさくって、梨華ちゃんからちょっと離れ、後ろを向いた。


「まーかわいいってゆーのは、うれしいんだけどさー
いっつも笑ってるのって、なんかバカみたいじゃんオイラ。
それに、いじめたりなんかしてないじゃんかよー。」

「いじめてますよー、きしょいとか寒いとか、黒いとか、あと..」

「だって、全部本当の事じゃん。」

「あっ、ひどーい」

「だから、全部本当の事じゃん。」

「泣いちゃいますよ。」

「あ、うそうそごめんごめん、梨華ちゃんあついし、白いから」

「本当に泣きますよ。」

「ぷ、きゃはははははははー.....」
302 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月07日(月)20時22分34秒
「もう、ひどい」

「梨華ちゃん」

「もう、知りません」

「梨華ちゃん」

「もう、チャーミーいじけちゃいました」

「今日はありがと、大好きだよ」

やっと、言いたかった事、二つとも言えた。
赤くなった梨華ちゃんを抱きしめる。

「私も、矢口さんが大好きです。」

2回目のキスをしようと思った時、遠くから...
「やぐちーー」

「あ、圭ちゃんから逃げたままだった」
「どうしましょうか?」

「ま、オイラにまかせてよ」
303 名前:ANNのその後で 投稿日:2003年04月07日(月)20時25分33秒
「ハアハア、どーして逃げたのよ」
圭ちゃん、息を切らしてるよ。

「仕方ないじゃん、せっかく梨華ちゃんと二人きりだったんだから」

「ハアハア、なんだよ、それ、怪しいわね」

「さっきなんて、もう少しで2回目のキスができたのにさ」
「ちょ、ちょっと矢口さん」

「あーもう何バカな事言ってんのよ。さ、帰るわよ」
「はーい。ありがとね、圭ちゃん迎えにきてくれて」

梨華ちゃんと圭ちゃんと3人で歩き出す。
本当は、梨華ちゃんとの事、圭ちゃんやみんなに報告したかったけど、
もったいないから、しばらくは二人だけの秘密にしよっと。
早くホテルに着かないかな、今日は梨華ちゃんの部屋に遊びに行くんだ。
...さっきできなかった2回目のキスをするためにね。

第一部完
304 名前:作者です 投稿日:2003年04月07日(月)20時43分50秒
>>291 名無し読者さん
>>292 ボレロさん
( ゜皿゜)・・御愛読ありがとうございました。
( ゜皿゜)・・第一部いかがでしたでしょうか?
( ゜皿゜)・・続いて第二部です、宜しければお付き合い下さいね。

(〜^◇^〜) あのー超恥ずかしいんですけど、オイラ。第二部もあるんですか?
( ^▽^ ) もちろんですよ。や・ぐ・ち・さん。チュッ
(〜^◇^〜) だ、だから、オイラ恥ずかしいのって、すごく苦手なんだってばー!!

( `.∀´) ...
( ゜皿゜) オエー
( `.∀´) まだ何も言ってないのに、さすがカオリね。

从´∀`从 あーもうやっとれんわ、圭坊飲み行くで!!
( `.∀´) 二人の門出に乾杯ね

从´∀`从 ちゃうわ!!

( ^▽^ ) それでは、みなさん、第2部はベッドシーンありです。チャオー
(〜^◇^〜) だ、だから、オイラ恥ずかしいのは...
305 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月07日(月)20時45分15秒
いしやぐバンザイ!!
続き希望
すぐ希望
絶対希望
ヨロシコ
306 名前:ボレロ 投稿日:2003年04月07日(月)22時28分59秒
いいな〜やぐいし
萌え、という言葉がぴったり
第二部は鼻にティッシュを突っ込んで待っときますw
307 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月12日(土)04時17分55秒
ホテルに着いた。
廊下を歩いていると、辻と加護がやってきた。
辻が話し掛けてくる。
「やぐちさん、亜依ちゃんがやぐちさ」
何か、言いかけた口を加護がふさいだ。

「ん、何?辻」
「な、なんでもないです。」
口をふさがれた辻の代わりに加護が話す。
なぜか、加護は泣きそうな目をしていた。

「ちょっと、あんたたち、またケンカ。明日矢口が仙台のお菓子買ってあげるから。
だから仲直りして、もう遅いんだから寝なさい。」

「ぷはー、別にけんかはしてないのです。」
加護から脱出した辻。

「じゃーなんなのさ?」
「のの余計なことは言わんでや!」
「でも、亜依ちゃん、いいんですか?」
「仕方ないやろ、愛する人の幸せを願うのも大人の女や。はー、うちが黒かったらなー」

「と、とにかく、よくわかんないけど、今日はもう寝なさい」
「やぐちさん、仙台のお菓子忘れないでくださいね」
「はいはい、おやすみ」
「おやすみなさい」
「お休みなさい、ぐす」

よく、わからない二人をほっといて、部屋に入る。
まーあの二人がよくわからないのはいつもの事か。
308 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月12日(土)04時18分56秒
さ、梨華ちゃんの部屋に行かなきゃ♪
オイラが来たら、梨華ちゃん喜んでくれるかな?
きっと梨華ちゃん喜んでくれるよね?

シャワー浴びていったほうがいいかな?
あ、でも一緒にシャワーって可能性も...?
あ、やだ、オイラちょっとエッチだぞ!!

さすがに、そんな事はないか。
でもキスはしたいな、それから抱きしめたいな、
それに恥ずかしいけど、好きって言いたいな、
梨華ちゃんにも好きって言われたいな、
あと、手をつないで一緒に寝たいな。

コンコン

妄想を膨らますオイラだったけど、ドアをノックする音で
現実に戻される。

コンコン

「あ、はーい」
誰だろ?もしかして梨華ちゃん!?

はやる気持ちを抑え、覗き穴から確認する。
あれ、よっすぃーだ。
309 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月12日(土)04時19分37秒
ガチャ

春全開のオイラとは逆に、冬全開のよっすぃーが入ってくる。

「ど、どーしたのさ、よっすぃー。何か悩み事かい。オイラに話してごらんよ。」

つい、条件反射で、しゃべって後悔。
しまったー!!明日にしてもらうんだった。
もちろんよっすぃーも大切だけど、今日は梨華ちゃんと一緒にいたい。

「矢口さん..」
「はい?」

「矢口さん、今..」
「今?」

「矢口さん、今好きな人っていますか?」
「..ど、どーしたのさいきなり」

「すいません」
「いや、いーけどさ。矢口の好きな人って急に...」

「梨華ちゃんなんですか?」
「えーーー!!」
やばい、当てられて思わず、大声。
これじゃ、正解ですって言ってるようなもんだよ。

310 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月12日(土)04時20分18秒
「...やっぱり、そうなんですね?」
「あ、えと、あのね」

あーなんて言おうか?
好きって言って..
キスして..
抱きしめて..
あーどれも言うの恥ずかしいよーー!!
梨華ちゃんとのひと時を思い出して真っ赤になってしまう。

もーよっすぃーてば、そんな真剣な表示で見つめれれると、余計に言いづらいよー。
ってあれ、よっすぃー、なんでそんな真剣な表情なのさ??
え、あれ、もしかして...

「ねー、よっすぃーは梨華ちゃんが好きなの?」
不安な胸の内を聞いてみる?
はいって言われたら、どーしよー。
よっすぃーがずーっと梨華ちゃんの事思ってたら、
それを矢口が横からかっさらったとしたら...?

「えっ?...全然違いますよ、吉澤の好きな人は...」
「良かったー!!、梨華ちゃんって言われたら、どーしよーかと思ったよオイラ!!
ほら、やっぱりさー、よっすぃーに好きな人できたら応援してあげたいじゃん!!
でも梨華ちゃんはね。あーもー恥ずかしいなー。矢口とね...もーやだー!!」

良かったー、オイラの思い違いだったんだ!!
ホッとして、内緒にしようと思った事を、ついしゃべってしまった。

311 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月12日(土)04時23分38秒
「あ、この話みんなにはないしょだよ。
いずれ、みんなには、発表するからさ!!
あ、そうだ...ところで、よっすぃーなんか悩んでんじゃないの?」

「...いや、あのもういいです」

「よくないでしょ、矢口に話してごらんよ。」

「...圭ちゃんが、矢口さんと梨華ちゃんが二人で甘い時間を過ごしてたって言うもんだから...
それで、心配になって...」

「心配って...あ、よっすぃー、梨華ちゃんが矢口の事好きなの知ってたの?」

「えっ?...まあ」

「そうか...やっぱり、同期っていいよね」

「へっ?」

「梨華ちゃんが矢口とうまく行くか心配だったんでしょ?」

「?」

「でも、大丈夫だよ、梨華ちゃんはオイラが幸せに...ってもう何言わせるかなー」

「...そーですか、わかりました、梨華ちゃん...ク、ヒック」

「やだ、よっすぃー泣かないでよ、もーそんなに梨華ちゃん心配だったの?」

「...ク、ヒック...矢口、さん」

「本当に大丈夫だよ、梨華ちゃんを泣かせたりしないよオイラ。だからもう心配しないでね」

「...ク...」
312 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月12日(土)04時24分25秒
結局、よっすぃーは泣きながら、部屋に帰っていった。
やっぱり、よっすぃーって本当いいコだよ。
同期の梨華ちゃんをあそこまで心配できるなんてさ。
なんかオイラも目頭あつくなっちゃったよ。
本当、モーニングっていいよね。

...あ、しまった、よっすぃーの好きな人聞くの忘れた!!
ま、いいか明日で、今度はよっすぃーの恋愛相談にのってあげなきゃね。
313 名前:作者です 投稿日:2003年04月12日(土)04時25分09秒
( ゜皿゜) ・・305 名無し読者さん、ありがとうございます、続編開始です。
( ゜皿゜) ・・306 ボレロさん、鼻血が出るシーンは...なるべく御期待にそえるようにします

( ‘ д‘) ...
( ´D`) 亜依ちゃん、元気出すのです

(0^〜^0) ...
( ´ Д `) ほら、よしこも

从´∀`从 よっしゃ 今日は、3人で飲むで!!
(●´ー`●) ちょ、裕ちゃん、あいぼんとよっすぃー未成年だよ

从´∀`从 あかんか、しゃーねーな。そーや!!女で落ち込んだ時は女に溺れるのが一番や。
从´∀`从 二人とも祐ちゃんの事、好きにしてもえーよ。

( ´D`) 亜依ちゃんこれ食べて元気出すのです
( ´ Д `) ほら、よしこも後藤のピスタチオわけてあげるからさ

从´∀`从 って無視かい!!

( ^▽^ ) みんな祝福してくれてるみたいですよ
ヽ^∀^ノ ...石川、違うぞ
(〜^◇^〜) 嬉しいけど、なんか照れくさいよね
ヽ^∀^ノ ...矢口も違うぞ

( ´ Д `) 後藤、もー寝る
ヽ^∀^ノ あーしまった。後藤とおやすみのちゅーがーーー!!
314 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月12日(土)11時49分55秒
もてヤグマンセー!
315 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月13日(日)12時48分13秒
部屋を出て、梨華ちゃんの部屋に向かうオイラだったけど、大変な事に気がついた。
...そーいえば、梨華ちゃんの部屋って、どこだっけ?

途方に暮れるオイラに、天の助けがやってきた。

「なっち!、カオリー!」
「あ、矢口ー」
「矢口、おつかれ」

二人の名前を呼び駆け寄るオイラに、なっちとカオリの声が重なる。
二人とも、ホテルの大浴場に行ってきたらしい。

「圭ちゃんから聞いたよー矢口ー」
なっちがニヤニヤしながら言う。

「まー、いいんじゃない、そーゆーのも」
カオリも相変わらずだ。

「えっ、圭ちゃんなんだって?」
「そんな事、恥ずかしくて言えないべさ」
「大丈夫、カオリは矢口の味方だから」

どーやら圭ちゃんが、勝手に想像して色々しゃべりまくっているらしい。

「まーいーけどさ、それより2人ともさ。ちょっと聞きたい事があるんだけど」

「石川の部屋は、自分で探さなきゃね矢口」
質問を言う前にカオリが答え?を言う。
316 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月13日(日)12時52分42秒
「あの、カオリ...?」
「幸せはね、自分で掴み取ることに価値があるの、
いい矢口、人類はね、月に行こうと思ったの。」

「へ?」
「つまりね、夢も幸せも自分で勝ち取らなければならないの。
カオリに言えるのはここまで。
じゃー、矢口、がんばってね。」

一通りしゃべり終え満足したのか、カオリは微笑んで自分の部屋に入っていった。

「今のわかった、なっち?」
「さー」
あとに残されたオイラたちは目が点だった。
ま、いつもの事だけどね。

「あ、あのさ、なっち...」
「梨華ちゃんの部屋、なっちも知らないべ
あ、でも、なっちの知ってるのは...」

このフロアーはちょうど12部屋(304は無い)で、
なっちの情報によると、モーニングのメンバーでこのフロアーを占めているらしい。

今、オイラがわかるのは、
301:なっち
302:カオリ
307:矢口
310:よっすぃー
だ。

「ありがと、なっち」
なっちにお礼を言い、梨華ちゃんの部屋を探す。

よーし、こうなったら残りの部屋片っ端から行くぞ!!
317 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月13日(日)12時54分04秒
まずは、303をノック。
もう1時近くだけど、構わずノック。
コンコン!!

「はーい」
ハズレか、この声は...豆だ。

「あ、矢口さん、今日はお疲れ様でした」
「あのさ、新垣...」

「あ、ちゃんと聞いてましたよ、次の新番組も...」
「梨華ちゃんの部屋知らない?」

「石川さんの部屋...やっぱり本当だったんだ、保田さんの言ってた事」
「へっ?」

「そうだったんですか?」
「だから、何が!!」

「えーびっくりだー」
「やだー」
「矢口さんは、そんな人じゃないと思ってました」

あらあら、チームワークの良い事で。5期メン集合かよ
高橋、びっくりしても顔変わってねーよ。
やだって何が嫌なんだよ、小川。
紺野それどーゆー意味だよ。
ってそれ以前に圭ちゃん何言ってんだよ。

とりあえず、心の中で一通りつっこんっでおく。
318 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月13日(日)12時58分55秒
「で、圭ちゃんが何だって」
4人をにらみつけて口を割らせる

「そ、そんな恥ずかしい」
恥ずかしい事なのか高橋?

「私の口からはちょっと」
言えよ小川。

「まだ、私中学生なんです」
知ってるよ!!豆!!

「...」
無言かよ、紺野!!

「あーもーいい、大体想像がついた。」
あきらめて、本題に入ろう。

「で、梨華ちゃんの部屋は、知ってる?」

「知りません」
「知りません」
「知りません」
「...」

「じゃー、あんたたちの部屋は?」

「「「「えーー!!!」」」」

「ちょ、ちょっと、まだそーゆーのは早い」
「わ、私も」
「そ、そんな、誰とでも...」
「...」

319 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月13日(日)13時02分03秒
ちょっと圭ちゃん、何言ったんだよ!!
「だれも、お前らなんか襲わねーつーの!!
みんなの部屋わかれば、消去法で梨華ちゃんの部屋わかるでしょーが」

「ほ、本当ですか?」
「信じていいんですよね?」
「私はもう部屋ばれてるし」
「...」

「早く言えよ!!」
いい加減、切れかけたオイラに
仕方なく一人ずつ申告が始まる。
「309です」
「311です」
「303です」
「305です」

豆はもう知ってるって。
まあいい、これで残りは...
306、308、312、313
か。

「ありがと、じゃーね」
「ちゃんと責任とってくださいね、石川さんの」

最後に紺野が何か言ってたけど
気にせず(気にしない事にする)次へ行く
320 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月13日(日)13時03分32秒
次は306だ。
コンコン

「はーい」
また、ハズレか。

「あ!!」
「あ、じゃねーだろ圭ちゃん、一体みんなに何言ったのさ」
問い詰めようと思ったその時...

「おーい、もしもーし」
どこかから小さく声がする。この声って...

声のする方向は、圭ちゃんの手に持ってる携帯からだった。
「あ、ちょうどいいや、はい、矢口」

「矢口ーー!!、ほんまか?ほんまなんか?
石川と二人でホテルから出てきたって?なー矢口ーーー!!」
ピッ
切ボタンを押し、圭ちゃんに電話を返す。

「だれが、ホテルから出てきたってーーー!!!」
「まー、まー、そんなに怒んないでさー、ちょっぴりオーバーに言っただけじゃん」

「ちょっぴりじゃ、ねーだろーがー、5期メンの連中なんてなー」
♪悔し涙ー
オイラの携帯が鳴り、通話ボタンを押す。
「なー矢口、はんまなんか、ほんまに石..」
「うるさい」
ピッ
切ボタンを押し、さらに電源も切る。
321 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月13日(日)13時07分33秒
「とにかく、誤解を...」
「解いていいの?」

「決まってんじゃん!!」
「誤解を解いて、またそれから、石川と付き合ったって報告するの?」

「う、そ、それは...」
「でしょー!!じゃあ、このままの方がいいじゃん
 ま、あんたらの事だから、いつまでたっても、みんなに言えないでしょ」

「まーそーだけどさー」
「だから、あたしに感謝して欲しいわね」

「う、うん、ありがとう...」
なんか、違うよーな気がするけど...

「それに、メンバーにしか言ってないしね」
「えっでも裕ちゃんに、...も、もしかして圭ちゃん、裕ちゃんだけじゃなく紗耶香や明日..」

「当たり前じゃないの、矢口。
私たちは、今いる12人だけじゃないでしょ。
みんな合わせてモーニング娘。でしょ」
「は、はあ」

「何、矢口、何か間違ってる!!!」
「い、いや、間違ってないけど」
322 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月13日(日)13時08分21秒
「だから、他のみんなにもきちんと報告しておいてあげたからね」
「う、うん」

何か、うまくまるめこまれたような気がするけど、
圭ちゃんの部屋を後にした。

携帯は切っておこう、
そーしないとNever Forget YouやラストキッスやちょこLOVEが鳴ってしまうだろうから。

残り
308、312、313

308号室
コンコン

「はい?」

あーここもハズレか。

「どーしたのですか、やぐちさん。」
「いや、部屋間違えた。」

さっさと去ろうとすると辻が腕を掴む。

「ま、待ってください。亜依ちゃんが寝ちゃって、辻は一人で寂しいのです。」
無理矢理、部屋に引きずりこまれる。

「あーもーわかった。わかったから手ー離しなさい!!」
言うと同時に辻が手を離す。

急に手を離されたものだから、思いっきり後ろにひっくりかえる。
「イタタタ」
腰をさすり起き上がると、嬉しそうな辻の顔が。

「...お前、わざとだろ」
辻をにらみつける。
「お、おやすみなさい」
あわててドアをしめる辻。

まったく、あのコは。
最近、オイラで遊んでないかい。

残り
312、313
323 名前:作者です 投稿日:2003年04月13日(日)13時25分16秒
( ゜皿゜) ・・314 名無し読者さん、御愛読ありがとうございます。

(〜^◇^〜) それにしても、みんなひどいよな、よっすぃーを見習えよ!!
ヽ^∀^ノ ...(だから矢口、違うって)

(〜^◇^〜) 大体、ホテルいってる時間なんてなかったろーが
ヽ^∀^ノ このメンバーで、そんなこと冷静に計算できるやついると思う?

(〜^◇^〜) 残るは2部屋で梨華ちゃんと加護か。
( `.∀´) 展開からいって、次は加護の部屋ね
(●´ー`●) ばらしちゃダメっしょ

( ^▽^ ) ベッドシーンはまだなの?梨華もう待ちきれないわ
(〜^◇^〜) ちょ、ちょっと、まだ早いって

( ´D`) やっぱり二人は、そういう関係だったのですね
( ‘ д‘) のの、もう言わんといてや

(0^〜^0) 
( ´D`) よっすぃー、よっすぃー...だめですね

( ^▽^ ) それでは、次回はいよいよベッドシーンです。ちゃおー
( `.∀´) それは、まだよ
324 名前:ボレロ 投稿日:2003年04月13日(日)17時10分37秒
やっすーが朱美さんに見えてきたw
ベッドシーンが待ち遠しい・・・
それにしても辻のイタズラはかわいいなあ
325 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月14日(月)22時09分48秒
312号室
確立2分の1

コンコン
あれ、出ないや、寝てるのかな?

コンコン

「誰や!!今ウチはとっても.....矢口さん!!」

あーまたもや、はずれかー
って、だから加護なんで泣いてるんだよ
「矢口..さん、うちなーうちなー...」

「ど、どーしたのさ加護」

「来てくれたんですねー!!」

加護に抱きしめられる。

「ちょ、ちょっと、加護
 わかった、わかったから」




...やっと離してもらった。
「で、どーしたのさ、一体」

「加護は、もう15才です」
「?、..知ってるけど..」

「だから加護は、もう大人なんです」
「?(それは違うだろ)」

「もーだから一体何なのさー?」
しびれを切らして聞いてみる。

「...保田さんから聞きました...本当なんですか?」

はー、また圭ちゃんか、いいかげんにしろよなー。
「だからー...」

コンコン
部屋がノックされる。

ん?誰?
326 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月14日(月)22時10分50秒
ガチャ
「亜依ちゃん、大丈夫で...あっ」

ドアが開いて...辻だ。
オイラの顔を見て、慌てて引き返そうとする。

「あーちょっと待った、別に怒ってないから」
「ほんとですか?」

「だから入っといで」
満面の笑みを浮かべて、ベッドに座ってるオイラの..ってなんで上に乗る?
「ちょ、お、重い。こら、どけっ」
「えへへへ」

「どけっつーの!!」
「は、そーでした、そんな場合では、ないのでした」
だから急に立つな!!
後ろにひっくり帰りそうになったが、今度はなんとか大丈夫だった。

辻がオイラの横に座ったので、
ミニモニ3人で並んで座る状態になった。
...ミニモニもあと少しか....

「亜依ちゃん...」
小さく呟き、心配そうに加護を見る辻。

は、そーだった。感傷に浸っている場合ではなかった。
この二人を安心させなきゃ!!
327 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月14日(月)22時12分02秒
「ちょっと二人共、聞いて!!」
オイラを心配そうに見つめる辻と加護。
全く、圭ちゃん!!二人とも余計な心配してるじゃないか?


「まず、梨華ちゃんにおかしなマネはしてません」
加護が嬉しそうに微笑む。
それを見て、辻も嬉しそうだ。


「オイラ、遊びで大切なコにそんなマネはしないよ、例えその、そーなったとしても、
責任はとるつもりだしさ。だから、梨華ちゃんを泣かせるようなマネは絶対にしないからね。
二人にも約束するよ。」

「矢口さーん...ウチな、ウチな矢口さんが...大好きやー...」
言い終わるが早いか、加護が泣きながら抱きついてきた。

「亜依ちゃん、泣かないでください」
そんな加護を見て辻も、もらい泣きだった。

「矢口も二人とも大好きだよ」
左手で加護の、右手で辻の頭を抱き寄せ、
二人が泣き止むまで一緒にいた。

今までも二人が泣き止むまで、よく、こーしてたっけ。

こういう機会も滅多になくなるんだろーなー。
改めてミニモニを卒業させられるのが嫌になった。
328 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月14日(月)22時12分52秒
...........辻を残し、加護の部屋を後にする。

よっすぃーといい、辻も加護も...
本当に4期ってお互いの事を思いやっていいよね。

あ、やばいまた、泣いちゃいそーだよ、オイラ。
最近、涙もろすぎるよ。


♪大丈夫きっと、大丈夫
突然、鳴り出す、着メロ。

あれ、携帯の電源は切っといたはずなのに...
...あー、さっき、辻に引っ張られて、転んだ時に電源入っちゃったんだ。


「はいはい、なーに」
用件はわかってる。

「やぐっつぁん、本当なの?」
ほらね。

「違います。ってまー半分は正解かな」
全く、圭ちゃんったら

「えっ?それどーゆー事...」

「だからーホテルには行ってませんけど、
 梨華ちゃんとはお互いの気持ちを確認しましたー、いい」
もーやけだ
329 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月14日(月)22時13分42秒
「ええーーー!!」

「そんな、驚くことないじゃん。ごっつぁんだって紗耶香と付き合ってんじゃん。
 それに、二人がアツアツなとこ見せつけるからだぞ。
 だから、オイラもその気に、ま、それはあんまり関係ないか っておーい、もしもし」

「{ そ、そんな、わ、私たちのせいで、...よしこになんていったら...}」
 電話の向こうでは、ごっつぁんが何か呟いているが良く聞こえない。

「{ ちょ、変わりな、後藤}
 もしもーし、矢口ー」

「紗耶香?」

「もーさっきから、何回も電話したんだぞ」
「あー電源切ってたから」

「切ってるなよー!!
 そうかー、石川と結ばれたか。うんうん、アドバイスしたかいがあったよ」
「えっ?紗耶香が??」

「だって、石川だけ相談相手がいないのってかわいそうじゃん。」
「はっ?」

「{あーもー しょーがないじゃん、3人ともダメになるよりは、いーだろー}」
「もしもし?」

「{ほら、よしよし、もう泣かないの}」
「もしもし、紗耶香?」

「あーごめん、ちょっとまた後でかけるよ、じゃ」
あ、切られた
330 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月14日(月)22時14分39秒
梨華ちゃんだけ、相談相手いないって?
そんなはずないよね、だってよっすぃーも加護も辻も
あんなに心配してたのにさー。

ま、いーか。紗耶香たまに意味不明な事言うしね。
(カオリほどじゃないけど)




気を取り直して
313号室の前

思えば、この部屋からノックすれば良かった。

なぜかって...
4号室がないフロアーで、
(西洋では)縁起が悪いといわれる13号室を引いてしまうのって
やっぱり梨華ちゃんしかいないでしょう。


さてと
あー緊張するなー

コンコン

もー寝ちゃったかなー

「はーい」
ガチャ
331 名前:作者です 投稿日:2003年04月14日(月)23時03分47秒
>>324 ボレロさん
( ゜皿゜)・・いつもレス、ありがとうございます。ベッドシーンもうすぐです。

( ´D`) 亜依ちゃん...
( ‘ д‘) のの、ほめてや、ウチ、ちゃんと告白したで
( ´D`) うん、がんばったね

从´∀`从 なんか、ウチの扱いが一番わるーないか?
(〜^◇^〜) 酔っ払って電話してくるからじゃん。

( ´D`) そういえば、やぐちさん、ほかの人の着メロは何なんですか?
(〜^◇^〜) かけてみればわかるよ

( ´D`) えと、はい
♪ぱっぱっぱっ!おどろ!さわごう!

(0^〜^0) 矢口さん、吉澤は?
♪ BABY恋にノックアウト

( `.∀´) と、いう事は私はぴったりしたいクリスマスね
♪ 天真爛漫 行くぜ容赦なし このまま一生友達だし

( `.∀´) ...矢口ー(号泣)
从´∀`从 泣かせるやないかい!!それじゃ次回は最終更新や!!
332 名前:ボレロ 投稿日:2003年04月15日(火)21時56分52秒
もう次は最後ですか・・・
作者さん期待してますよ!
333 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月22日(火)18時57分10秒
「...いいかな」
帰って、なんて言わないよね?
ちょっぴり不安なオイラだった。

「もちろんですよ」
すぐに、満面の微笑みで梨華ちゃんが答えてくれる。


部屋に入り、梨華ちゃんはベッドに、オイラは椅子に座る。
(本当は一緒にベッドに座りたかったけど、なんか緊張して)

梨華ちゃんは珍しくパジャマ姿だ。
オイラがみんなの部屋を回ってる間にシャワーを浴びて着替えたらしい。
シャンプーのいい香りがする。

「今日は、パジャマだね」
とりあえず、何か話さなきゃね。

「はい、かわいいですか?」

「...う、うん」

「あれ?変だな」

「変って、何が?」

「だって、いつもだったら、かわいくないとか言っていじめるじゃないですか」

「そ、そんな事ないってば!!」
必死に弁解してしまう。

「ありますよー。3人祭の時だって、あいぼんは可愛くて石川はキショイとかー」

「あ、あれは...」

「もう、梨華いじけちゃいますよ」

「だから、それがキショイって、いつも...あ...」
やばい、ついいつもの調子で言ってしまった。
334 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月22日(火)18時58分04秒
「やっぱり、いじめてる」

「いじめてないってばー」

「まりっぺの意地悪」

「まりっぺ言うな!!」

「ぽちの意地悪」

「な、なんだとー、アゴンの分際でー」

「ひどーい、やっぱり私の事嫌いなんだ」

「いや、それは...」

「どっちなんですか?」
意地悪だよー、梨華ちゃん

「..さっき、言ったじゃん、好きって」

「え?よく聞こえませんけど」

「もーだから好きだってばー、あーもー恥ずかしいなー、言わさすなよー」

335 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月22日(火)18時59分26秒
これじゃ、オイラがいじめられてるよ!!

「...好きなのに、こんなに離れてるんですか?」

オイラを見てからベッドの横に視線を移す梨華ちゃん。

「えっだって、だからそれは...恥ずかしいじゃん...」

「もーしょーがないですねー♪」
梨華ちゃんは、照れるオイラの手をとると、ベッドに連れて行く。

「うん、やっぱりこのくらい近くないとだめですよね♪」
ベッドに座る。梨華ちゃんの体がくっついてるよ...

「こんな近かったら、オイラ梨華ちゃんの事、襲っちゃうぞ」
緊張をほぐそうと、冗談を言ってみる。

「いいですよ」
そう言うと、梨華ちゃんが手を握ってきた。

真っ赤になってるオイラにとどめをさすように、顔を近づけて目をつぶる梨華ちゃん...

...キスして...いいよね...するよ...しちゃうよ


唇に柔らかい感触。

梨華ちゃんの唇に触れた瞬間、頭がボーっとなって何も考えられなくなる。

梨華ちゃんに手を引かれて、そのままベッドに重なる。
336 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月22日(火)19時00分13秒
梨華ちゃんがもっと欲しい。そんな表現がぴったりだった。

パジャマのボタンを....

手を伸ばそうとした時だった。梨華ちゃんが上になり、自分が下になった。


.........あれっ、これって一体?

なんでオイラが下なのさ?

なんで服を脱がされるの?

嬉しそうな顔の梨華ちゃん...

「恥ずかしかったら言ってくださいね♪」

へっ?恥ずかしいって?あれ?これってひょっとして...

もしかして、矢口が梨華ちゃんにされちゃうの?
矢口は梨華ちゃんに恥ずかしい事されちゃうの?

そーだった、<矢口→梨華>とばかり思ってたけど、
<梨華→矢口>っていうパターンも...

「ちょ、ちょっと、梨華ちゃん、ストップ、ストップ!!」
慌てて、梨華ちゃんを制止する。

「もう石川止まりません!!」

337 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月22日(火)19時01分54秒
......

「恥ずかしかった」
「でも、良かったでしょ♪」

「電気も点けたままだし」
「でも、うれしかったでしょ♪」

「シャワーも浴びてなかったのに」
「ごちそうさまでした♪」

「18禁」
「とってもおいしかったですよ♪」

「寒くて恥ずかしい事いっぱい言うし」
「素直な感想です♪」

「それに...」
「18禁」

「いっぱいじゃない!!」

「18禁」
「何回もじゃない!!」

「18禁」
「う...」

「愛を確かめ合った最高の夜でしたね♪」
「違うぞ!!一方的に確かめただけじゃん!!しかも無理矢理!!」
338 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月22日(火)19時03分42秒
「や・ぐ・ち・さん♪」
「もう、矢口はすねた。梨華ちゃんに恥ずかしい事いっぱいいっぱいされたからすねたんだ。」

「ま・り・ちゃん♪」
「もう、すねた」

「石川の事、嫌いになっちゃいましたか?」
「う、それは...」

「どっちなんですか?」

ずるいよ、梨華ちゃん。散々矢口に恥ずかしいエッチな事いっぱいしといて、
そんな泣きそうな顔するなんてさ。

「好きだぞ」
「嬉しい♪」
満面の笑みを浮かべた梨華ちゃん。
339 名前:ANNのその後で2 投稿日:2003年04月22日(火)19時04分28秒
なんか予想してたのと違うけど、まっいいか、こーゆーのも。
恥ずかしかったけど、気持ちよかったのは本当だしね。

「ところでさ、紗耶香のアドバイスってどんなだった?」
「えと..キスは自分からしな、自分がされたら恥ずかしいと思う事は全部しろ、あと...」

「あ、もういい、大体わかったから」

明日は忙しくなりそうだ。
まず紗耶香をとっちめて、それからよっすぃーの好きな人を聞き出して、
それから...横で微笑んでいる生き物にしなきゃだめな事がある。
<自分がされたら恥ずかしいと思う事>ね、まだまだたくさん思いつくよ。

ま、でも今日のところは梨華ちゃんの矢口でいてあげる。
大好きだよ、梨華ちゃん。
340 名前:作者です 投稿日:2003年04月22日(火)19時20分37秒
( `.∀´) ベッドシーンはどうしたのよ!!
ヽ^∀^ノ そうだよ、それに「18禁」ってなんだよ!!
( ´D`) みんなHですね
(●´ー`●) Hなのはプッチだけだべ
( ´ Д `) 後藤はHじゃないよ
(0^〜^0) はい、吉澤も真面目です
从´∀`从 これで矢口も石川のものか...
( ‘ д‘) 中澤さん、表現がえげつないで
( ゜皿゜) カオリも恋人欲しいよ
( ^▽^ ) 愛してます、矢口さん
(〜^◇^〜) さむ.じゃなくて..オイラもだよ
341 名前:作者です 投稿日:2003年04月22日(火)19時30分53秒
あとがきです

みなさん、ご愛読ありがとうございました。
ボレロさん、いつもレスありがとうございます。
大変、励みになりました。
(ベッドシーンなくてすいません)

本当は336と337の間にベッドシーンを書きました。
しかし、このスレは他の方も書いているので、
自分だけこのスレをエロにもってくわけにも行かず、
涙を飲んで封印しました。
機会があれば、別スレに何かのついでに載せようと思います。

あと、訂正です。
261最初の「当然」は不要です
313の裕子の漢字間違ってました
(他にも誤りあるかもしれません、すいません)


342 名前:作者です 投稿日:2003年04月22日(火)19時35分21秒
御覧になられた方は既にお気づきかもしれませんが、
作者は、11人の娘。が一番好きでした。
だから、どーしてもメインはこの11人になってしまいます。
あ、もちろん5期メン6期メンを認めてないわけでもないし、
初期の頃の娘。も好きです(明日香ファンでした)
(なお、芸能界を引退されたお二人はそっとしておきたかったので
登場はさせませんでした。)

それから、TV画面の中ではぎこちなく見えてしまう紗耶香、真希の二人を
せめて小説の中では、一緒にさせたかったので隠し(てないけど)CPにしました。

あとほんの少しで圭ちゃん卒業ですね。寂しくなります。
(たのむ、せめてハロモニは卒業しないで!!)
小説の中では扱い悪いですけど、これは作者の愛情表現なので許して下さい。
343 名前:作者です 投稿日:2003年04月22日(火)19時38分26秒
ANNのその後で

−END−
344 名前:ボレロ 投稿日:2003年04月23日(水)21時35分03秒
うわ〜非常に満足です
エロが寸止めされてる分、妄想が・・・・・・・
作者さんお疲れ様です!
これからも何か書いてくれることを期待します
345 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月25日(金)10時36分01秒
つーか現実ではハロモニ、うたばんといしやぐで溢れまくってる訳ですが…
カプ小説の世界でも頑張って欲しいものです
346 名前: 投稿日:2003年05月13日(火)14時49分50秒
いしやぐ最高です!!いちばんはいしごまですが(ワラ
いしやぐ萌えまくりです。
347 名前:捨てペンギン 投稿日:2003年05月19日(月)23時28分27秒
ANNのその後でのチャーミー視点はじめました、同じ黄板です。
宜しく御願いします
348 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月18日(水)01時35分14秒
ほぜん。
349 名前:あれから四ヶ月・・・ 投稿日:2003年06月29日(日)14時09分13秒
「ねぇ、まりっぺ」

「ん?どしたの梨華ちゃん?」

「あれからもう四ヶ月が過ぎましたね」

「・・・あぁ、そうだな」

「早かったですね・・・」

「あぁ・・・」

「・・・まりっぺ」

「なに?」

「大好き」

「!! オ、オイラも大好・・・き」


「オホンッ! 2人ともなにラブラブしてんのさ〜」

「いいじゃないですか飯田さん。私達は愛し合っているんですよ?」
「いや梨華ちゃん、問題点はそこじゃなくて・・・」
「矢口さんは黙っててください!」
「ハイ・・・」

「あのさぁ、一応言っとくけど別にカオリは二人の仲を引き裂こうなんて考えて
ないんだけど・・・」
「いやカオリ・・・そういう問題じゃなくてさ・・・」
「矢口は少し黙ってて!」
「・・・」

「ならいいじゃないですか!何が悪いんですか?」
「あのね?私が言いたいのは時と場合を考えろってことで・・・」
「じゃあ・・・」

「うるさーい!2人ともオイラ抜きで勝手に話進めてんじゃねぇよ!」
350 名前:あれから四ヶ月・・・ 投稿日:2003年06月29日(日)14時21分41秒
「でもね矢口、ここで石川といちゃいちゃするべきじゃないと思うの」

「無視かよオイ!」

「まだ子供もいるんだし教育的にも問題がある・・・」
「そんなの関係ないです! 愛があればいいんですよ!飯田さん!」

「いや、梨華ちゃんそこじゃないって・・・」

「・・・矢口さんは」
「え?」
「石川の事が嫌いになったんですか?」
「は?何言って・・・」
「もういいえです。」
ばんっ
タッタッタッタッタッ


「・・・な、なんでこうなるのさ〜!!」

「あのさぁ矢口・・・」
「何?」
「そ、そんな怒った声で言わなくたって・・・」
「誰のせいでこうなったと思ってんの?カオリ・・・」

「・・・ゴメン、カオリ言いすぎたかもしれなかったね」
「・・・はぁ、別に言いよ後で梨華ちゃんとちゃんと仲直りするから、ね?
だからそんな悲しそうな顔すんなよ」
「ゴメンね矢口・・・でも楽屋でいちゃいちゃするのはほどほどにね?」

「肝心なところはちゃんと言うんだ・・・
って梨華ちゃん追いかけなきゃ!」

ばんっ タッタッタッタッタッ
351 名前:あれから四ヶ月・・・ 投稿日:2003年06月29日(日)14時27分20秒
(くっそ〜梨華ちゃんどこ行ったんだ?)

「はぁっはぁっ どこにも居ないや・・・!!」
(もうすぐ収録の時間になっちまう!)

「くそっどこだよー!梨華ちゃ―ん」
(あと探してないところは・・・)

!!

(そうだ!あの場所に居るかもしんない!)

―そう、あの場所に・・・

―梨華ちゃんに思いを告げた、あの場所に・・・















352 名前:あれから四ヶ月・・・ 投稿日:2003年06月29日(日)14時50分12秒
―あれは四ヶ月前・・・

「あの・・・矢口さん、ちょっといいですか?」

「えっ?あ、あぁ、いいけど?」

「あの・・・ここじゃ言えない事なんで・・・」

(なんだろう?でもいいや、矢口は石川の事が好きだから)

「矢口!」
「わっ圭ちゃん!な、なんだよいきなり〜」
「石川を幸せにしなさいよ?もし石川を泣かせたら・・・」
「ま、まってよ!何の話だよ!」

「だって石川は・・・なんでもないわ」
「は?何言おうとしたんだよ圭ちゃん!」
「いいから!さっさと行きなさいよ!」
「分かってるって・・・って! 聞いてたのかよ!」
「そんなの今はどうでも言いでしょ?石川待ってるわよ?」
「わ、分かったよ・・・」


「まった?」

「大丈夫ですよ。」
(可愛いな)

「矢口さん?」

「あ、なんでもないよ。ところでここって・・・」

「はい。もう使われてない倉庫みたいです。
私いつも落ち込んだ時にはいつもここにきてて・・・」

(そうだったんだ・・・)

「で?なんで矢口をここへ?」

「あっそうでしたね、えっと」

(どうしたんだろう?急にモジモジしちゃって)

「なんでも言ってよ」

「はい、じゃあ・・・」











353 名前:あれから四ヶ月・・・ 投稿日:2003年06月29日(日)14時58分48秒
「矢口さんが・・・なんです」

(え?なんて言ったの?聞こえなかったぞ)

「え?あの今なんて・・・」

「もう一回言わせるんですか?矢口さんのイジワル」

(なっなんでそうなるんだ? 何を言ったんだ?)

「石川は矢口さんが好きなんです!」

(え? 石川が・・・矢口の事・・・す・・・き?)

「ホッホントに?」

「はい。やっぱり迷惑ですよね?私なんかが・・・」

「矢口も好き。石川のことが・・・」

「へっ? ほっ本当ですか?」

「うん。大好き!」

「や、矢口さ〜ん うわーん」

(げっ!)
「わわわっなっ泣くなよ!」

「だって・・・グスッ・・・嬉しいから・・・」

「石川・・・」


ぎゅっ

「? 矢口・・・さん?」

「まりっぺでいいよ、梨華ちゃん?」

「は、はいっ! まりっぺ!!」
354 名前:あれから四ヶ月・・・ 投稿日:2003年06月29日(日)15時06分51秒
がちゃっ

「梨華ちゃん!」

「!! まりっぺ・・・グスッ」

「梨華・・・ちゃん」

(矢口はサイテーだ。梨華ちゃんを泣かせちゃったよ。ゴメンね?
圭ちゃん約束守れなかったよ・・・そして・・・)

「ゴメンね? 梨華ちゃん、矢口・・・!!」

(梨華ちゃんに抱きつかれた・・・)

「もう・・・いいんですまりっぺ、まりっぺがここに来てくれたんだから
私は・・・」

(梨華・・・)

ちゅっ

「!!?」
(り、梨華ちゃん?)

・・・


「ふぅっ キスしちゃった。」

「・・・愛してるよ? 梨華ちゃん」

「私も愛してますよ? まりっぺ」

355 名前:あれから四ヶ月・・・ 投稿日:2003年06月29日(日)15時14分30秒
「あっ収録の時間!! 忘れてた〜!」

「急ぎましょう! まりっぺ!」

「おう!走るぞ!」

「はいっ!」

(梨華ちゃん、矢口は梨華ちゃんのコイビトになってとっても嬉しいんだよ?
だから、これからもずっと一緒に・・・)


「まりっぺ〜走るの遅くなってますよ!はやくはやくっ!」

「おっおう!」


(なんて言えたらいいな)

〜終わり〜
356 名前:タケ 投稿日:2003年06月29日(日)15時19分50秒
〜後書き〜

書きたいなって思ってついに書いてしましました。

ホントは誕生日ネタも入れたかったんですけど・・・
(タイトル的にも)

とにかく終わりです。
357 名前:名無し読者 投稿日:2003年07月30日(水)01時30分56秒
ほぜん
358 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月01日(金)06時50分35秒
やぐいし最高です!
359 名前:1983年1月20日 投稿日:2003年08月02日(土)13時20分55秒
やぐいしスゴイ面白いです!
続き期待しています♪
(///^▽^)◇^〜)
360 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/11(木) 02:21
hozen
361 名前:名なし 投稿日:2003/10/07(火) 13:04
保全

いしやぐ好きなんですけど、
最近ここには誰も書かれてないですよね。
もし自分が思いついたら
ここに書いてもいいですかね?
362 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/07(火) 21:51
>>361
大歓迎です!
書いてください
363 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/08(水) 02:01
>>361
是非お願い
364 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/08(水) 15:47
>>361
頑張って下さい!期待して待ってます!!
365 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/08(水) 17:08
>>361
待ってるよ
366 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/09(木) 17:42
>>361
いつ頃出来ますか?
367 名前:361 投稿日:2003/10/10(金) 16:38
楽しみにしてもらって恐縮です
明日にでもアップしたいと思っています
368 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:01
駄作ですが、書かせていただきます。
369 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:02
矢口さんは、いっつも私のことを…避ける。

「ねぇ、矢口さん。」
「なんだよぉ、近寄ってくんなよ、キショいなぁ。」
「なんですかぁ、それ…。」

ほら、また避ける。
370 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:02
「矢口さん、私のこと避けてますよね?」
「はぁ?」
「だってぇ、私が矢口さんのところ行くと
必ずキショいとか言って離れてくじゃないですか。」
「あぁ、だってキショいんだもん。しょーがないじゃん。」
「…。」

ちょっと凹んだ私の横をののとあいぼんが走っていく。
そして…。
371 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:03
「矢口さーん。」
「矢口さーん。」

マンガとかで見る“ドドドドド…”っていうような感じで
矢口さんの元へと駆け寄り、飛びつく。

抱きつかれた方の矢口さんも笑顔。とびっきりの笑顔。

「お前ら重いんだからくっついてくるなよぉ。キャハハハハ。」

楽しそうね…。

…あっ!
ワタクシ石川梨華、すごいことを思いついてしまいました。
372 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:03
矢口さんが1人になったのを見計らって…。

「矢口さーーーーん!ドドドドドッッッ!」


えーっと、矢口さんが逃げてしまったのは何でですか?
373 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:04
矢口さんは絶対私のこと避けてる。
話しかけてもまともに掛け合ってくれないし、
それどころか近寄っただけで逃げるし、
たまに話しかけてくれると思ったら「相変わらずキショイ。」とかだし、
この前ニコニコしながら近寄ってきたと思ったら、「その服渋谷で見た。上から下まで全部。」だって。
しかもみんなに言いふらして笑われてしまったんだからっ!

あー、なんか腹が立ってきたわ。
なにさっ、矢口さんなんて私の美しさがわからないトーヘンボクよ。プンプン。
374 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:05
ムカムカしながらジュースを買いに自販機へ行くと、
話し声が聞こえてきた。
安倍さんとやぐ…
いや、あのトーヘンボクが話しているようだ。

「…しかわってさぁ…んだよねぇ。」
「なーん…さ、それ。」

ん?私のこと話してんじゃないの?トーヘンボクのくせに。
375 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:05
「でも、それじゃ石川がかわいそうだべ。」
「いあぁ、それはわかってんだけどさぁ…。なーんか…ね。」
「なーんか、ってなんだべさ?」
「なんていうかなぁ?うまくあしらえないんだよ。」
「やぁぐちぃ、それはきっと石川のことが好きなんだべぇ。」
「違っ!なんであんな真っ黒いヤツのこと好きになんないとダメなんだよ。
まっくろくろすけだぞ、あれ。」

…矢口さん、“殺意”って言葉の意味、知ってます?
376 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:06
「いや、そうやって必死になるところがますます怪しいべ。
いやぁ、聞いてるこっちが恥ずかしくなるわ。」
「るさいなっ。そんなんじゃねーよ。」

「でもね、矢口。きっと石川は矢口にかまってもらいたくて必死なんだよ。
それは矢口のこと尊敬してるからだべ。もっと優しくしてあげないとダメだよ。」
「それはわかってるんだけどさぁ…。
梨華ちゃんって可愛いから、うまく話せないんだよね。」
「やっぱ石川を意識してるんだべぇ。」
「ちげーっつーの!」
「ま、仲良くやるべさ。若いってのはいいことだべー。青春青春。」
377 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:06
ま、マズい。安倍さんがこっちに来る。
か、隠れなきゃ…って隠れるところもないよぉ。

「石川ぁ、そんな陰に隠れてなにアタフタしてるべさ?
矢口がお呼びですよぉ。」
「呼んでねーよ!なんだよ、童顔のくせに…。」

…先程の“殺意”を撤回いたします。
378 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:07
「矢口さーん。」
「来るな、暗闇アゴン。」
「石川のこと、可愛すぎて困っちゃうんですかぁ?」
「死ねっ。音外し大王。音痴サンコン。」
「ぐっ…。」

…やっぱりトーヘンボクだ。





すっごくいい意味で、ねっ。
379 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:08
以上です。

いや、ホント駄作ですね。
読み返すと鬱になります。

それでも、このスレが
活気に満ちあふれることを祈りまして…でした。
380 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:09
あと2つ3つ書いてネタバレ防止。

いしやぐファンって少ないんですかね?
この手のスレってのびないですよね。
381 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:09
やはり、いしよし、いちごま、
あたりが王道なんですかね?

いしやぐっていいと思うんだけどなぁ…。
382 名前:361 投稿日:2003/10/11(土) 14:10
お、消えましたね。

それは、これからもよろしくお願いします。

更新age
383 名前:捨てペンギン 投稿日:2003/10/11(土) 14:48
自然な感じのいい作品ですね

少なくても自分は、いしやぐ好き(このスレでANNのその後で書きました)です
ってゆーか、いしよしって現実には絶対なさそーだし
384 名前:1983年1月20日 投稿日:2003/10/11(土) 15:47
読ませてもらいましたぁ〜!!
やっぱ、いしやぐは最高ですね!
矢口は石川が可愛過ぎてしょうがないってのが
かなり伝わってきました。更新お疲れ様でした!
385 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/13(月) 22:20
おもしろかったよ!
386 名前:名無し野郎 投稿日:2003/10/29(水) 16:11
誰か、いしやぐ小説を書いてくれるお方はいませんでしょうか?
387 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/11/16(日) 14:44
>>386
あなたが書いてYO!
388 名前:名無し野郎 投稿日:2003/11/19(水) 16:29
>>387
書きたいんですけどねぇ…
書き方がワカラナイんですYO!!(;´A`)ゞ
389 名前:名無し 投稿日:2003/11/19(水) 16:50
っつーか、いしやぐマジで最高やし!
390 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/11/23(日) 19:53
「私達が歩く道はコッチじゃないですか。それとも、矢口さんはソッチの道が好きですか?」
391 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/12/06(土) 12:57
「遠回り」だっけ?
あれは本当によかったよね
392 名前:ななし 投稿日:2003/12/07(日) 14:18
俺も「遠回り」には感動した。
作品で一番ってくらい好きだべ。
393 名前:捨てペンギン 投稿日:2003/12/20(土) 19:44
あと1ヶ月で誕生日ですけど、このスレでやるんですかね
それとも、新しいスレで?

って元はといえば、自分が、
このスレを誕生日スレからいしやぐスレに変えてしまったのか...
394 名前:名無飼育 投稿日:2003/12/24(水) 11:41
(゚Д゚)ノ メリークソスマス ヽ(´∀`)
395 名前:いしやぐヲタ 投稿日:2003/12/28(日) 14:48
あと少しで今年も終りですね。みなさんは、今年何がありましたか? 私は、『いしやぐに萌』ました!
396 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/12/28(日) 15:00
>>395
感想はsageで!!
って感想じゃないじゃん、そーゆーのは雑談スレにでも書くように
397 名前:いしやぐヲタ 投稿日:2003/12/31(水) 20:23
>>396 ごめんなさい、気をつけます
398 名前:タケ 投稿日:2004/01/01(木) 14:16
(〜^◇^)<あけましておめでとうございますっ!!>(^▽^ )

さてさて
19日後には石川さん、
20日後には矢口さんの誕生日ですが
それに伴ってこのスレは復活するんでしょうかねぇ?
(感想・雑談かな? だったらごめんなさい)
399 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/04(日) 15:12
フカーツにキターイ!! (゚Д゚)ノ"  ビッ

400 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/04(日) 17:40
辻加護の発表で、誕生日を祝うどころじゃないよ...
401 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/04(日) 21:07
辻加護とやぐいしは関係無いし
402 名前:400 投稿日:2004/01/04(日) 21:23
そうだけどね...つらいよ
スレ違いごめん
403 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/07(水) 22:21
復活希望。書きたいし読みたいし。
404 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/10(土) 14:18
もうすぐ聖誕祭!
ぜひやりたいな

>>403の書いたのも見たいし
405 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/11(日) 14:39
つーことで今年もやってください
ヨロシコ
406 名前:いしやぐヲタ 投稿日:2004/01/12(月) 22:47
たのしみ♪
407 名前:2004年!?>ヽ(゚Д゚;)ノ 投稿日:2004/01/16(金) 14:53
(〜^◇^)矢口真里 20歳⇒21歳になるまで、あと4日。
( ^▽^)石川梨華 18歳⇒19歳になるまで、あと3日。

1月19日は石川が1日だけ矢口に少し近づける日。 (〜^◇^(^▽^//)
石川が…ちょっと大人になる日。w
1月20日は矢口が石川からまた少し離れちゃう日。
矢口が…石川を愛しく感じる日。w

408 名前:2004年!?>ヽ(゚Д゚;)ノ 投稿日:2004/01/18(日) 00:12
イシカーサンの誕生日まで後1日きったな。
●漏れ的予想(妄想。w)…
明日の「あな真里」にイシカーが乱入してきそうな予感。w
そして矢口と石川はラジオで一緒に石川の誕生日を迎え、
ラジオが終わった後も二人きりで夜を共にするって感じで宜しいでしょうか?w(ワラ)
409 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/18(日) 20:30
去年はあんなに投稿あったのに今年はいまいち盛り上がりませんね
いしやぐが好きな人って結構多いと思うんだけどな
LVRさんとか去年書いた人って今はもう書いてないのかな・・・
410 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/20(火) 01:09
つーかサイトの閉鎖も相次いでるし娘。小説自体がもう…
411 名前:2004年!?>ヽ(゚Д゚;)ノ 投稿日:2004/01/20(火) 02:50
いしやぐ誕生日オメ。w
412 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/20(火) 08:59
>>410
サイト閉鎖は、例の一件のせいでしょ

詳しくは案内板の名作集で書いてる人の雑談スレpart8を見てくれ
413 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/21(水) 00:10
ここでいしやぐもの書いてる
ttp://www3.ocn.ne.jp/~taketomo/

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