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ドラあいぼん
- 1 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時51分41秒
ドラえもんのパロディーです。
それでは、スタート。
- 2 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時52分42秒
「ロ、ロラえもーんっ!!。大変なのれすっ!!。
また、チャミアンがコンサート開くから、至急広場に集まれって…、あり?。」
ガキ大将チャミアンからの指令を受けたののび太君は、自分の部屋へ戻ってビックリ仰天。
そこに居たのはドラえもんでは無く、中学生くらいの可愛い女の子。
「君、られれすか?。…ロラえもんは?。」
「オウッ、お前がののび太か。よしよし、まあ座れや。
あのな、先輩のドラ公は未来へ帰ってもうたで。 『アホの相手すんの疲れた』言うてな。
ほんで、ウチが変わりに派遣された新しいロボットっちゅう訳や。
まあ、頑張ってお前を1人前にしたるから、ちゃんと言う事聞けよっ。
ほな、ヨロシクな。」
少女は右手を差し出すと、ニッコリと微笑んだ。
- 3 名前:: どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時53分38秒
「…そ、そうれすか。…取り合えず、こちらこそヨロシクなのれす。テヘテヘ。」
照れながらも握手を交わすののび太君。
相手がロボットなのも忘れて、鼻の下が伸びきっている。
…チクッ。
その瞬間、ののび太君の手の平に激痛が走る。
「ハハハッ、引っ掛かったなボケッ!!。
何でウチが画鋲持ってるの気付かへんねん。
人を見たら、まず泥棒と思わんかいっ!!。
そんなんやから、ドラ公にも逃げられるんや。
エエか?。よう聞けよ。ハッキリ言うけど、ウチの厳しさはハンパや無いでえ。
ボヤボヤしとったらシバき倒すから覚悟しとけよ、アホンダラめっ!!。」
初対面から数十秒。
いきなり、少女からの先制攻撃炸裂。
- 4 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時54分30秒
「ウチを女やと思ってナメとったら承知せえへんぞコラッ!!。」
仁王立ちで、ののび太君を見つめる少女。
「…グスン。…こんろのロラえもんは怖いのれす。
見かけはとっても可愛いのに、ヤクザ並にガラが悪いのれす。
って言うか、…手が痛くて死にそうなのれす。
全然血が止まらないのれす。ウワァアアアーン。」
大声で泣き叫ぶののび太君。
右手を押さえながら、部屋中ゴロゴロと転げ回っている。
- 5 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時55分01秒
「ケッ。男のくせにピーピー泣きやがって、みっともないのお。
しゃあない。………可愛そうやから何か出したるわ。」
少女はお腹の四次元ポケットをまさぐると、何やら薬らしき液体を取り出した。
ジャジャジャジャン。
【塩水ぅーっ!!】
「ホラッ、ののび太。コレ傷口に塗ってみい。
アホにつける薬や。スカーッとするでえ。」
不気味な笑顔が、ののび太へと向けられる。
「………も、もうその手には乗らないのれす。
そんなの塗ったら、血の前に命が止まってしまうのれすっ!!。」
どうやら、それなりの一般教養は有るらしい。
- 6 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時55分34秒
「オッ。やるやないか?。……合格や。よう見破ったのお。
今日は初日やし、とりあえず誉めといたるわ。
ほんなら、ご褒美にコレやる。遠慮せんと使えや。」
少女は、再びお腹の四次元ポケットをまさぐった。
ジャジャジャジャン。
【バンドエイドーっ!!】
「コレ貼って静かにしとけば、すぐに治るやろ。ホレッ。」
ののび太に向かってバンドエイドの箱が投げ捨てられた。
それを見事にキャッチしたののび太君は、とっても嬉しそう。
「ワーイ、ワーイ。ありがとうなのれすっ!!。バンロエイロなのれすーっ!!。
これさえ有れば……って何度も引っ掛かるののれは無いれすよっ!!。
まず、ビックリ箱のトラップを解除して、…それからバンドエイドに埋められた画鋲を抜いてと
…フーッ、これれ安心なのれす。」
バンドエイドを貼り終え、ホッとため息をついたののび太君。
どうやら、人並みの学習能力も身に付けているようだ。
- 7 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時56分06秒
「ところれ、君はなんて言う名前れすか?。」
「ウチか?。ウチの名は、『ドラあいぼん』。
『あいぼん』って呼んでくれや。」
あいぼんと名乗る美少女ロボットは、大きな目を見開きながら胸を張ると
新ためて敬礼した。
その姿は、さほど人間と変わらない。
いや、そこらの女の子よりは数段上を行っている。
言動を除けば…。
「じゃあ、あいぼん。…き、君がロラえもんの代わりって事は
もう、ロラえもんには会えないれすか?。」
「…そうや、これからはあのドラ公に代わってウチがバンバン助けたるから安心せい。
ちゅうか、何や?。…相棒がウチでは不満なんか?。奴のほうがエエんか?。
何が気に入らんのや、言うてみいコラッ!!。」
あいぼん、拳を握りしめファイティングポーズ。
- 8 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時56分44秒
「アッ、…ご、ごめんなさい。聞き方が悪かったのれす。
あのう、…も、もっと優しいロボットに……来てもらう事は…れきないれすか?。
……って言うか、…ののを殺す気れすかっ!!?。」
「はははっ、ナイスジョーク。………お前、ホンマに殺すぞボケッ!!。
ウチかて好きで来とる訳やない。罰ゲームやらされてるだけやねん。
未来でウチの事を『ハゲ』って悪口言うた奴がおってな、カチンときてソイツん家に爆弾仕掛けたんや。
そしたら火薬の量を間違えてもうて、一瞬にして半径10K程のクレーターの誕生や。
ビックリやでえ。さすがのウチも思わぬ大惨事に、髪の毛3mmぐらい縮んだわ。
結局、器物破損と世界地図を書き換えた罪で、未来からの永久追放を命じられたっちゅう訳や。
お前も死にたく無かったら、口の利き方に気ぃ付けいよっ!!。」
(…それは罰ゲームとは言わないのれす。れっきとした刑罰なのれす。)
- 9 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時57分21秒
「…ん?。何か言うたか?。…フン。まあ、エエわい。
それより、この家は客人に対して何のもてなしもせえへんのか?。
全く、あのドラ公はどんな教育しとってん。
宴会や宴会。はよ、酒持って来んかいボケっ!!。」
「…残念れすが、ののの家族はられも飲まないのれ
お酒なんて置いてないのれす。」
ガーン。
あいぼんの胸に強い衝撃が走った。
「…さ、酒が無い?。…この家には…酒が置いてない?。…そんな…バカな。」
よっぽどショックだったのか、あいぼんの顔が見る見る青冷めていく。
心なしか、頭も少し薄くなったように見える。
どうやらこのロボットは、ショックを受けると髪の毛が引っ込むらしい。
- 10 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時57分53秒
「…アカン。落ち込んどる場合やないわ。
なあ、ののび太。どっか、この辺に酒屋有るか?。」
何かを追い求めるあいぼんの目が鋭く光る。
「すぐソコに有るれすけろ、あいぼんは子ろもなのれ買えないれすよ?。」
「どアホッ!!。誰が買うって言うた?。
パクってくるに決まってるやろ。…………お前がなっ!!。
出来るだけ高級なモン頼むで。
安モンのワンカップなんて選びやがったら、ブッ飛ばすから覚悟せいっ!!。
エエな?。5分で戻ってこいよ。レディーGOっ!!。」
カッチッ、カッチッ、カッチッ…。
あいぼんは、はやる気持ちを押さえながら、壁の時計とにらめっこ。
- 11 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時58分25秒
「…………10秒なのれす。」
「…………20秒なのれす。」
「…………さん」
「おい、そこの蓄膿症。……お前、誰と将棋してんねん。」
あいぼんの横にチョコンと座るののび太君は、壁の時計を見上げながら時間経過の報告中。
「何してんのやコラァーっ!!。サッサとパクって来んかいっ!!。」
「…ののには、絶対れきないのれす。」
俯いてジッと床を見つめるののび太君。
今にも泣き出しそうな表情だ。
- 12 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時58分56秒
そんなののび太君を見て、あいぼんが優しく語りかける。
「あのな?。誰でもそうや。最初は自信が無いのは解かる。
捕まったらどうしようとか、不安になる気持ちも痛いほど良く解かる。
けどな、やってみれば案外簡単なモンやでえ。
店に放火するとか、誰かを人質に取るとか、方法はいっくらでも有るがな。
大事なのは、その一歩を踏み出せるかどうかや。
男の価値は顔や無い。誰にも負けん熱いハートや。
何事にも情熱と信念を貫けば、おのずと結果はついてくるねん。
ほらっ、英雄になれるチャンスやでえ。
大丈夫。お前の腕なら出来るって。自分を信じて勇気を振り絞ってみい。」
ポンと肩を叩かれたののび太君は、ゆっくりと顔を上げていく。
その瞳の奥には、真っ赤な炎が立ち昇っていた。
男、ののび太15歳。
今、大人への階段に立つ。
- 13 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)16時59分30秒
「…あのう、…脅迫の次は洗脳れすか?。
ハッキリ言って、そんな事してもムラなのれす。
技術とか自信とかそんなモンライれはなくて、単純に悪い事をしたくないらけれす。
悪い事はイケナイ事なのれすっ!!。」
「…ケッ。失敗か。」
どうやら、正義感だけは人並みらしい。
「よし、しゃあない。酒の寂しさを忘れさせる為には、……アレしかないな。」
不気味な笑顔を浮かべて、ポケットに手を入れるあいぼん。
既に、目は虚ろで口からヨダレを垂らしている。
何を企んでいるのか、見るからに怪しそう。
ののび太君は、ドキドキしながらあいぼんを見つめた。
- 14 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時00分05秒
ジャジャジャジャン。
【白い粉ーっ!!】
ポケットから取り出したのは、透明の袋に入った真っ白な粉だった。
「コレやコレや。…フッ、コレさえ有れば何もいらんわい。
見てみい、この色。…純度100%やでえ。」
ののび太君の鼻先に、怪しげな袋が垂らされる。
「…こ、これって、もしかして!!。…ハッ。…止、止めるのれす。
あいぼんっ!!、こんなのに手をらしてはラメれすっ!!。
『人間辞めますか?』になってしまうのれすーっ!!。」
ののび太君は袋を奪い取ると、手を後ろに回しあいぼんを睨みつけた。
- 15 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時00分37秒
「…お前、ナニ勘違いしてんねん。
ソレ、ただの小麦粉やぞ?。 …っちゅうか、ウチ元々人間や無いし…。」
「へ?。」
改めて粉を覗き込むののび太君。
恐る恐る匂いを嗅いでみる。
「…あっ、本当れす。………小麦粉なのれす。」
「………………そやろ?。……………小麦粉やろ?。
………って、いつまでボーッとしてんねんっ!!。
そこまで解かったんなら、はよ『お好み焼きどんぶり』作って来んかいっ!!。
ウチの大好物や、不味かったら承知せえへんぞっ!!。
…あっ、それとニンジン入れたら殺すっ!!。以上、注文終わりっ、レディーGOっ!!。」
- 16 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時01分10秒
ポカーン。
あまりの展開に、訳が解からず立ち尽くすののび太君。
「…何やっ!!?。何か言いたい事でも有るんか?。ののび太のくせにっ!!。」
「…一杯有るのれすっ!!。
まず、ろうしてののが作るんれすか?。…って言うか、『お好み焼きろんぶり』って何れすか?。
それに、『小麦粉』なら『小麦粉』って言うのれす。紛らわしい表現すると、ジャロがらまってないれすよ?。
それよりも何よりも、…『らったら最初からお好み焼きろんぶりをらしやがれっ!!。』なのれす。
もっと簡単に言えば、…『帰れ。』の一言れすっ!!。」
ハア、ハア、ハア…。
一気に不満をぶちまけたののび太君。
顔を真っ赤に紅潮させて、その場にグッタリと座り込む。
- 17 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時01分44秒
ジャジャジャジャン。
【ボブサップーっ!!】
「忙しいのに悪いのう、ボブ。…………殺れ。」
「OK、ボス。………ウハハハハーーーーーッ!!。」
「ひえぇぇぇーーっ。ゴ、ゴメンナサイっ。作るのれすーーっ!!。」
ガラガラガラガラ、ドテッ。
ののび太君は大慌てで部屋を飛び出すと、階段を転げ落ちて行った。
「オウ、それでエエねん。人間、素直が一番やでーーー。」
ののび太君の部屋から、勝利の雄叫びがこだました。
- 18 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時02分47秒
30分後。
「…ろ、ろうれすか?。お味のほうは?…。」
「…まあまあや。欲を言うなら、もう少しキャベツ細かく切ったほうがエエな。
あと、全体的に野菜を減らせばベストや。次からは気い付けいよ。
取り合えず、ごちそうさまや。」
満足げにお腹をさすり、寝転がるあいぼん。
「ウチ眠くなってきたから、一休みするわ。晩御飯になったら起こしてくれ。
ほな、お休み。」
(フーッ。…やれやれなのれす。)
「…って、アーーーーーーッ!!。
シ、シマッタなのれすーーーっ!!。」
突然、何かを思い出した、ののび太君の絶叫。
- 19 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時03分20秒
「何や、ゴルアァァァッ!!。静かにせんかいボケっ!!。」
「…わ、忘れてたれすっ!!。チャミアンのリサイタルをすっかり忘れてたのれすっ!!。」
顔面蒼白でブルブル震えるののび太君。
約束の時間は、とっくに過ぎていた。
「…ヤ、ヤバイ。……殺されるのれす。
あいぼん、さっそくお仕事れすっ!!。
何か便利なお助けろうぐを………ハッ、そうら!!。
ボブサップをもう1回らすのれす。
さあ、早くっ!!、早くらすのれすーーーーっ!!。」
ののび太君は、必死になってあいぼんに泣きついた。
- 20 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時03分56秒
「ちょっ、苦しい。…苦しいから離れろっ!!。
…………っちゅうか、お前。………今、ウチの胸触ったやろ?。
きっちり3万円払ってもらうからな、このエロ親父めっ!!。
ほんで、何をそんなに怖がってんねん。
訳が解からんやないか?。理由を言え、理由を。」
「うん。実は……………………………………。」
ののび太君、必死に事情を説明中。
- 21 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時04分31秒
「なるほどな。つまりは
チャミアンっていう音痴のガキ大将がおって、ソイツが今日、地獄のリサイタルを開くと。
聞くに耐えれん歌声やけど、欠席すると殴られるから、みんな我慢して参加すると。
しかし、どっかのアホが可愛い美少女に見とれてた為に、そのリサイタルを忘れとったと。
このままやと殺される。そこで、尊敬するあいぼん様の力を借りたいと。……そういうこっちゃな。」
「…一部、微妙なアレンジが加わってるけろ、らいたい合ってるのれす。
らから、…らから、お願いしまーすなのれすっ!!。」
ののび太君、魂の土下座。
「…フッ。しゃーないのう。可愛そうやから、何か出したるわ。」
ジャジャジャジャン。
【ポップコーンーっ!!】
あいぼんが差し出したのは、どこからどう見ても普通のお菓子。
- 22 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時05分01秒
「……何れすか?。コレ?。」
「見て解からんのか?。ポップコーンに決まっとるがな。
昔っからレジャーのお供はポップコーンって決まっとんねん。
まだ、走れば間に合うやろ。
それ食いながら、せいぜいコンサート楽しんで来いや。
ほれっ、ダッシュやっ!!。」
ドンッ。
ガラガラガラガラ、ドテッ。
あいぼんに2階から突き落とされたののび太君
本日2度目の階段落ち。
(グスン。こんろのロラえもんはミニモニのミカ並に役立たずなのれす。
…って言うか、チャミアンよりタチが悪いのれす。)
ののび太君、足を引きずりながら広場へ向かう。
- 23 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時05分34秒
ドッキン、ドッキン…。
この角を曲がれば、広場は目と鼻の先。
覚悟を決めたののび太君。
耳の穴へポップコーンを詰め、いざ戦場へ出陣。
「お、遅れてごめんなさいなのれーすっ!!。」
角を曲がった瞬間、大声でお辞儀。
シーン。
返事は無い。
恐る恐る顔を上げるののび太君。
その目に映った光景は…。
耳を押さえながら静かに横たわる、スネオ豆、シズ圭織、出来紺野君の3人。
「み、みんなーーーっ!!。らいじょうぶれすかーーーっ?!!。」
「…大丈夫じゃ…ねーよ、一人だけ…欠席しやがって。…お前、…絶対…殺される…ぞ。」
気力を振り絞って、スネオ豆が呟く。
「…ののび太のヤロウ…タダじゃおかないって。…チャミアン、…プンプンだった。」
歌がよほど強烈だったのか、出来紺野君はまだ震えが止まらない。
「…ののび太さん、……生きて。………死なないで。」
シズ圭織の瞳から、大粒の涙が溢れ出す。
- 24 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時06分08秒
遅かった。
全てが手遅れだった。
何もかも…。
こうなると、残された手段はたった一つ。
「う、うわーーーっ!!。」
ののび太君は一目散に走り出した。
国外へ逃亡する為に…。
(パパ、ママ、学校の友達、…そしてあいぼん。…みんなサヨウナ…)
ドンッ!!。
何個目かの角を曲がったところで、突然何かにぶつかった。
「つっ、いってーなあ。ちゃんと前見て………って、アレッ……ののび太ぁ。
ののび太じゃねーかっ!!。ヘヘヘッ、捜したぜっ!!。」
「…チ、チャミアンッ!!。」
予期せぬ遭遇に、しりもちをつきながら腰を抜かしたののび太君。
逃げようにも逃げられない。
辺りには、あいぼんに貰ったポップコーンが散らばった。
- 25 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時12分30秒
「今日はなぁ、チャミアン様の新曲【理解して、女の子】の初披露だったんだよ。
その大事な日に無断で欠席するなんて、いい度胸してるじゃねーか。
たっぷり可愛がってやるからなっ!!。」
「ひ、ひえーーーっ。」
指をボキボキと鳴らして、ののび太君に迫るチャミアン。
左手で胸倉を掴むと、右手を大きく振りかぶった。
(…終わったのれす。ののの人生は、今ここれ終わりを迎えたのれす。)
ののび太君は、死を覚悟した。
ゆっくりと目を閉じ、三途の川を渡る自分を思い描いていた。
- 26 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時13分28秒
と、その時。
「ポッポー、ポッポー。」
どこからともなく、1羽のハトが2人の横に舞い降りた。
散らばっているポップコーンにつられてやって来たのだ。
「…ギ、ギャーアアアアァァァァーーーーッ!!。ト、トリ嫌いぃーーーーーーーっ!!。」
突然、目の色が変わるチャミアン。
ののび太君を放り出し、半狂乱で逃げて行く。
どうやら、鳥が大の苦手らしい。
助かった。
良く解からないが、取り合えずチャミアンをやっつけたのだ。
ののび太君は、放心状態でポップコーンに群がるハトを見つめていた。
- 27 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時14分04秒
「ハハハッ、ほれ見てみい。ポップコーンも役に立ったやろ?。
ウチの計算通りやがな。」
突然、電信柱の影から聞き覚えの有る声が。
「そっ、その声は?。…来てくれたんれすか?。
ののが心配れ、見に来てくれたんれすね?。」
「……当たり前や。お前はウチのパートナーやでえ。」
電信柱の影から、丸い笑顔が顔を出す。
夕日に照らされたその顔は、ニッコリと微笑むあいぼんだった。
- 28 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時14分36秒
「………ありがとう……なのれす。ののは、…………ののは
あいぼんを誤解してたのれす。グスン。」
「アホッ。泣くなや。………お助けロボットとして、当然の事をしただけや。
ほんなら帰るでえ。」
「…あっ、待つのれす。…テヘテヘ。」
先を歩き始めたあいぼんを、追いかけるののび太君。
道路に伸びる2つの影は、お互いの手の部分で重なっている。
新たな友情が芽生えた瞬間だった。
「……ところれ、あいぼん。……何か急に太ったれすか?。」
「……気のせいや。」
あいぼんのジャンバーの中には、沢山の一升瓶が詰め込まれていた。
- 29 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年01月27日(月)17時15分08秒
以上で、第1話終了です。
次回は、『ののび太君のテスト勉強』の巻。
お楽しみに。
- 30 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月27日(月)17時22分30秒
- 配役が最高
- 31 名前:りゅ〜ば 投稿日:2003年01月27日(月)19時28分44秒
- 笑った!もうずっと爆笑してました。ってかこんなの待ってました!
面白い。次回のテスト勉強が待ち遠しいです。
まるで本当のドラえもんの放送を待つかのように、楽しみ。
- 32 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月28日(火)13時36分51秒
- ワロタ。作者さんは必ずやあの人に違いない。
- 33 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月31日(金)14時31分08秒
- 2行目で爆笑
- 34 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時44分47秒
「よーし、この前のテスト結果を発表するぞ。」
ザワザワザワ…。
ここは、ののび太君が通う学校の教室。
先生の一言で、一斉にざわめきたつ生徒達。
誰でも1度は経験する、緊張の瞬間。
「成績の良かった順番に名前を呼ぶから、テスト用紙を取りにきなさい。」
「はいっ!!。」
学級委員長の出来紺野君は、一段と大きな声をあげると急いで立ち上がった。
- 35 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時46分06秒
「ん?。どうしたんだ、出来紺野?。」
「先生に無駄なカロリーを消費させない為に、呼ばれる前に取りに来ました。
さあ、早く100と書かれた答案用紙を渡して下さい。
あっ、言っときますけど、お褒めの言葉は結構です。
僕は今、文武両道の達人を目指す修業の身。
こんな若輩者に優しい言葉など不要ですから。」
先生の前で深々と頭を下げ、両手を差し出す出来紺野君。
「…そ、そうか。…じゃあハイ。…いつも通りの100点だ。
みんなも学級委員長を見習うように。……特にそこの…。
ゴホン。…まあいい。続きを発表するぞ。」
先生の視線は、明らかに一人のバカへと向けられていた。
- 36 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時46分40秒
「次は、…92点のシズ圭織。よく頑張りました。」
「ありがとうございます。」
クラスメイトの名前がドンドンと呼ばれていく。
悪夢の瞬間は、もうすぐそこ…。
「48点、スネオ豆。最近、成績落ちてるぞ?。しっかりしろ。ほれっ。」
答案用紙が床に投げ捨てられた。
「…チャミアン。…赤点スレスレの30点だ。もっと勉強しろよ。ホイッ」
答案用紙が紙ヒコーキになって飛ばされた。
- 37 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時47分19秒
「さて、ここからは赤点だ。
まだ名前呼ばれてない奴は、放課後に補習やるから居残りだぞ。
……………まあ、一人しか居ないけどな。」
全員の視線が一人のバカを捕らえる。
「コラののび太っ!!。
何キョロキョロしてんだ?。お前に決まってるだろ、お前にっ!!。
はい、…0点っ。…これで9回連続0点だ。
我が校、始まって以来の快挙だぞっ!!。お前、ホントにヤル気有んのか?。
…なあ、…頼む。……お願いだから、卒業までに1点くらい取ってくれっ。
いいか、ののび太。よーく聞け。
もし、次のテストも0点だったら……
もし、10回連続0点だったら、…………ギネスに申請するっ!!。
どっかのアイドルがフラフープで遊んでるのとは訳が違うぞっ。
歴史的バカとして後世に名を残したくなかったら、死ぬ気で勉強しろっ。オラァっ!!。」
クシャクシャに丸められた答案用紙が、ののび太君の顔面を直撃した。
- 38 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時47分50秒
「あいぼーんっ!!。お願いが有るのれすっ!!。」
その日の夜。
補習を終えたののび太君は、わき目もふらずに部屋へと駆け込んだ。
「コラーーーッ!!。ノックぐらいせんかいワレっ!!。
一応、ウチもお年頃の可愛いレディーや。
秘め事の1つや2つ持っとんねん。
それぐらい気ぃ使わんかいっ、アホンダラっ!!。」
「ご、ごめんなさいれすっ!!。」
(…って言うか、ここはののの部屋れすけろ…。)
理不尽な要望にもかかわらず、条件反射で思わず謝罪。
- 39 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時48分22秒
「…で何や?、お願いって。
解ってる思うけど、ウチは高いでえ。ホレ、サッサと10万出さんかい、前払いや。
何?。3千円しか持ってない?。………フザケんのもエエ加減にせいコラーーっ!!。
お前、それっぽっちの金でウチをようナンパしたな?。
フッ。呆れて髪の毛が鼻から出て来てコンニチワや。
もうエエ、帰れっ。顔洗ってクソして出直して来いっ。このフニャチン野朗めーっ!!。」
「……あのう、…………それ……何ゴッコれすか?。」
奇妙な一人芝居を見せるあいぼんに、ののび太君は不思議顔。
「何や、お前。
パンチの効いた下ネタ満載でお届けした、魂のあいぼん劇場にケチつけるんか?。
笑えやコラッ!!。ここは腹抱えて笑うトコやろがっ!!。
常識有る大人やったら愛想笑いの1つでも見せんかいボケッ!!。」
「………ハ、ハ、ハれす。」
(…全然意味が解からないのれす。)
理不尽な要求に、首を捻りながら作り笑い。
- 40 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時48分52秒
「そんな事より、また1週間後にテストがあるんれす。
それまれに、ののの頭を良くしてくらさいっ。もう0点はイヤれすっ!!。
何としても、……何としても9回連続0点れ止めるのれすーっ!!。」
「ほう、お前なかなかヤルやないか。野茂もビックリの完封シャットアウト勝ちやな。
よし、お前に『ミスターK』の称号を与えたるわ。
明日の試合も先発や。腕がちぎれるまで投げ続けい。
おっ、チャンスやっ!!。ヘイ審判のオッサンっ!!。
ピンチヒッター、ゴジラ松井……直美っ!!。セバンゴウ欽ちゃんファミリーっ!!。」
「…………ハ、ハ、ハなのれ…」
「ゴルアァァーーッ!!。キサマ、何ヘラヘラ笑うとんねんっ!!。
真剣に聞かんとブッ殺すぞボケッ!!。」
(………意味不明にもホロが有るのれす。)
理不尽すぎる要求に、心の中で悔し泣き。
- 41 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時49分26秒
「…冗談やがな。そう落ち込まんでもエエでえ。言いたい事は解かったから。」
「ほ、本当れすかっ?!!。らったら何かろうぐをらすのれすっ!!。」
「……断るっ!!。」
ののび太君の目を見据え、力強く言い放つあいぼん。
「…そ、そんなあ。……何れれすかっ?!!。
昔のロラえもんならすぐに便利なろうぐをらして…。」
「ウッサイんじゃコラーッ!!。
耳の穴かっぽじって、よーく聞けっ!!。このタレパンダっ!!。
あのな、……お前の頭を良くするなんてのは無理な話やねん。
お前は、そんじょそこらのアホやない。正真正銘、ホンマもんの大バカや。
バーカ、バーカ、バカののび太ぁ。
………………要するに、そういうこっちゃっ!!。」
(………何を要したのかサッパリ訳が……って言うか、らんらん腹が立ってきたのれす。)
- 42 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時49分59秒
「スマン。話が思いっきり飛んでもうた。
ウチが言いたいのは、頼み方が間違うてるって事やねん。」
「…頼み方…れすか?。」
どこが間違っているのだろう。
天井を見上げ、真剣に考えるののび太君。
答えは出ない。
「…まだ解からんのか?。…よし、ヒントや。
お前さっき、『頭が良くなりたい』って言うたやろ?。
そこがオカシイねんっ!!。お前なんか何をどうしても賢くなれるかボケっ!!。
ウチは卑怯な事が大っ嫌いなんや。
そんな回りくどい頼み方せんと、正々堂々とハッキリ言わんかいっ!!。
真正面からドーンと心の叫びをぶつけてみいやっ!!。
ほれっ、3、2、1、キューッ!!。」
「……。」
ののび太君、まだ考え中。
- 43 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時50分46秒
「コラッ!!。何寝とんねん、くされチビっ!!。」
「…いや、…起きてるんれすけろ、…何て言っていいのか解からないのれす。
…ついれに言うと、何れ怒ってるのかも…。」
首をかしげて腕組みするののび太君。
頭の中には、『?』マークが飛び交っている。
「あーもう、ホンマに世話の焼けるやっちゃなあ。エエか?。
お前は頭が悪い。けど0点取りたくないんやろ?。……そしたら答えは1つやないか。
……不正行為に決まっとるがなっ!!。
『絶対バレへん、カンニングのコツは?』
『上手な先公の脅しかたは?』
どうして素直に言えんねんっ!!。
何のプライド持ってるか知らんけど、もっと心を開かんかいワレっ!!。」
ハッ!!。
そうだったのか…。
ポンと手を打つののび太君。
『?』マークが『!』マークへ変化。
「も、申し訳ないれすっ!!。ののは日本語を間違っておりましたれすっ!!。
ワル軍師様、お願いれすっ!!。なんれもいいのれ、卑怯な策を授けてくらさーいっ!!。」
ののび太君、一歩一歩悪の道へ…。
- 44 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時51分23秒
ヒューッ。
冷たい北風が吹き荒れる、人気の無い夜の街。
その中心にそびえ立つ、明かりの消えた中学校。
固く閉ざされた校門を飛び越え、校内へ潜入する2つの影。
「…あれ?、あいぼん。……ろこへ行くれすか?。そっちは校庭れすよ。
テスト用紙を盗むには、職員室へ向かわないと…………。」
「………お前、……何か勘違いしてへんか?。
最初は基本の体力作りからに決まっとるやろがっ!!。
よし。まずはグランド10周やっ。
それ終わったら、腕立て、腹筋、スクワットを100回連続10セットやな。
エエか?。手抜きしたら殺すぞっ!!。ほな始めぃっ!!。」
「…あのう、………ののは、ろこの甲子園を目指すんれしょうか?。
って言うか、そんなの全然関係無いと思うん…。」
ギロッ。
鬼コーチあいぼんの目が鋭く光る。
- 45 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時51分59秒
「何やコラっ!!。お前、ウチの教育方法に文句でも有んのかボケカスっ!!。
もし不正がバレてブタ箱入れられたら、どうやって逃げるつもりやねんっ!!。
手錠を引きちぎって、鉄格子をブチ破るパワー付けなアカンとちゃうんかコラーっ!!。」
「…………ら、らから、……絶対バレない方法を…」
ジャジャジャジャン。
【ボブサッ………】
「ヒエェーーーっ!!。やらせていたらきますなのれすーーーっ!!。」
特訓と言う名のイジメは、連日深夜まで続くのだった。
- 46 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時52分29秒
1週間後。
「…あいぼん。…明日は、いよいよテストれすけろ、本当にらいじょうぶれしょうか?。
この1週間、ずっとムラな事してた感がプンプン匂うんれすけろ。」
「………うーん。……いや、ウチもな、…実は3日目くらいで、『おかしいな?』とは思っとってん。
『こんな事しててエエんやろか?』って、ずっと疑問やったんや。
………っちゅうか、……………スマンっ!!。このミッション作戦ミスや、ドンマイっ。」
酒をひっかけながら、マンガに夢中の鬼教官。
反省の色、まるで無し。
「…ロっ、ロンマイじゃないのれすっ!!。
ろうしてくれるれすかぁーーーーっ!!。
ののの1週間を返せっ、ののの青春を返せれすーーーっ!!。」
趣味と化した腕立て伏せをしながら、猛抗議するののび太君。
どっちもどっち。
- 47 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時53分01秒
「…まあ、そう心配すんな。まだ1日残ってるがな。
ウチにも少し責任有るし、このあいぼん様がなんとかしたるわい。」
(…少しじゃ無いのれす。…全部お前のせいなのれす。)
「ん?。何か言ったか。このクソガキがコラァっ!!。
こっちが下手に出とったらエエ気になりやがってアホンダラ!!。
元はと言えば、お前がアホやから悪いんやろ?。
黙って言う事聞かんと張り倒すぞボケッ!!。」
(…らまって言う事聞いてたから、………こんな事に。)
男、ののび太15歳。
『NO』と言える勇気の大切さを知る。
- 48 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時53分36秒
「あのな?。ウチにエエ考えが有んねん。
1点でも取ったらエエんやろ?。簡単やがな、そんなもん。
勘や勘っ!!。研ぎすまされた勘で勝負やっ!!。
知識の要る問題は思いっきり無視して、3択問題に全てを賭けいっ!!。
何も考えんと、本能で選ぶんや。勝負師の腕の見せどころやでえ。
念の為に、『みのもんた』呼びつけて、『フィフティー・フィフティー』使うのも有りやな。
後は確立2分の1。気合入れてファイナルアンサーや。
あっ、そうそう。『テレフォン』はアカンでえ。アレ、あんまり成功せえへんからな。
いっつも問題伝えるだけで時間無くなってまうねん。
っちゅうか、……30秒って短かすぎると思わへん?。なあ、そこんとこ、どうよ?。」
「………………。」
(コイツ、全然責任感じてねーのれす。少しも悪いと思ってねーのれす。
明らかに自分が足を引っ張ってるのに、売れないのを村田さんのせいにして
ちゃっかりリーダーの座を奪い取ったメロンの斎藤さんよりタチが悪いのれす。)
- 49 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時54分08秒
「よし、ほんなら練習や。ウチが今から3択問題を出題したる。ヤマカンで答えてみい。
問題です。今のあいぼんの心境は?。
A)ののび太君。………好きやで。
B)ののび太君。………大好きやで。
C)ののび太君。………大助・花子っ!!。
さあ、アンサネーゼっ!!。」
「………こ、これは、もしかして、…あ、…愛の告白れすか?。
最後の夫婦漫才師は明らかに居場所を間違えてるし、残りの2つは
ろっちにしても……。
キャッ!!。照れるのれす。……わー、ろうしよう。……ロッキロッキLOVEメールなのれ……」
「ブッブーッ!!。惜しいっ!!、……時間切れや。
正解は、Dの『何がさくら組じゃボケッ!!。サッサとソロデビューさせんかいっ!!』でした。
え?。意味が解かれへん?。………コホン、解からんでヨロシイっ!!。
こっちの話や。」
あいぼんは悪戯っぽく微笑んだ。
- 50 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時54分41秒
「って言うか、………意味も正解も、丸っきりチンプンカンプンなんれすけろ…。
やっぱり、ののに3択は難し過ぎるのれすっ!!。
毎回負けジェンヌれ、アントニオにイジメられてばっかり…って、ハッ!!、…シマったれすっ!!。
また無意味な時間を過ごさせる気れすかーーっ!!?。
こんなお遊びに付き合ってる暇はないのれすっ!!。
このままらと、世界中からバカのレッテルを貼られてしまうのれす。
ずっと後ろ指を指されたまま生き続けるのはイヤなのれす。
さあ、早くっ!!。早く他の方法を教えるのれすーーっ!!。」
手足をバタバタさせて、叫び狂うののび太君。
「……解った解った。よし、しゃあない。………もうコレしか無いわ。最後の手段や。
………覚悟はエエな?。ハンパやない辛さやぞ?。後戻りは出来へんぞ?。」
あいぼんの表情から笑みが消えた。
それは、今までに無かった真剣な姿。
遂に最終兵器の登場か。
- 51 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時55分12秒
「………お願い……します……れす。」
生唾を飲み込み、窓の外を眺めるののび太君。
もはや、その最後の手段に賭けるしかない。
自分の名誉とプライドの為なら、どんな困難にも立ち向かってみせる。
何かを決意した15の夜。
「よし、…ほんならリーサルウェポンを出したるわ。
驚いて腰抜かしても知らんからな。」
あいぼんの震える手が、ゆっくりとポケットの中に入れられた。
- 52 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時55分46秒
ジャジャジャジャン。
【カテキョーっ!!】
目の前に現われたのは、長身でスタイル抜群の綺麗な女性。
「ほれっ。家庭教師やっ!!。気合入れて寝ずに勉強せいボケっ!!。
楽してエエ思いしようなんて考えが甘いんじゃっ!!。
人間、努力が1番やでえ。……ちゅうか、何でグランド走っとったん?。
そんな暇有ったら、単語の1つでも覚えんかいバカタレがっ!!。
ほな、飯田はん。コイツ筋金入りのアンポンタンやけど、よろしゅうたのみますわ。
えっ?、何?。パクリ?。…飯田はんはシズ圭織の筈?。…知るかそんなモンっ!!。
出したもん勝ちじゃっ!!。サラッと読み流さんかいッ!!。
じゃあ、ウチ眠いから寝るわ。
お前の分までエエ夢見たるから遠慮せんと頑張りやっ。ほな、グッナーイっ!!。」
(……。)
男、ののび太15歳。
その胸に初めて殺意を抱いた、記念すべき夜…。
- 53 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時56分26秒
「カリカリカリカリ……。」
時刻は夜中の3時。
ののび太君の部屋からは、えんぴつの滑る音が鳴り響く。
あれから何時間も経っているのだが、一夜漬けの猛勉強は未だに続いていた。
ムクッ。
「あっ、そうそう。…忘れとったわ。(ムニャムニャ)」
突然、あいぼんが何かに取り付かれたように起き上がる。
「…………あの『ケイン』似の若造な。………猪木ちゃうっ!!。アンソニーやっ!!。」
バタンッ。
ZZZZZ、ZZZZZ………。
寝ボケながらの時間差ツッコミ。
浪花のド根性、恐るべし……。
- 54 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)10時56分56秒
翌朝。
「ハイ。みんなおはよう。じゃあ予定通りテストを始めるぞー。みんな勉強してきたかー?。」
「はいれーすっ!!。」
赤い目をしたののび太君。
誰よりも早く手を挙げて、胸を張る。
「おっ、ののび太。やけに自信満々じゃないか。よーし、期待してるぞ?。」
「はいっ、ロンと来いれすっ!!。」
やがて、ののび太君の机に答案用紙が配られる。
(フーッ。)
ゆっくりと深呼吸。
運命の裁判スタート。
- 55 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)11時04分29秒
(昨日、あれらけ勉強したのれす。もうののは、お馬鹿さんれは無いのれす。)
精神統一を終えたののび太君は、ゆっくりと問題に目を通すと
シャープペンを握りしめた。
(…あっ!!。れたっ!!。………芯がれたのれすっ!!。
昨日まれは、シャープペンの使い方が解からなかったのれす。
もう、これれ怖いもの無しれす。…ココはこうれ、ソコはこう…。
か、完璧れす。……多分、3問くらいは当たってるのれす。
…すごいのれす。……ののは、…ののは賢くなったれすっ!!。)
・
・
・
キーンコーンカーンコーン。
「よし、結果は帰りのホームルームで発表するからな。楽しみにしてろよ。」
全ては終わった。
この世に生を受けて15年。
初めて手応えを掴んだテストだった…。
- 56 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)11時05分03秒
1日は、あっという間。
今日の授業も終了し、残すはホームルームのみ。
運命の結果発表だ。
「よーし、テスト結果を発表するぞ。成績の良かった順番に……ん?何だ、ののび太。」
ニコニコ顔のののび太君、先生の前に仁王立ち。
「先生にムラな…カ?、カ?、…カローラ?…の消費税を払う為に、…呼ばれて飛びれてジャジャジャジャーン……。」
「お前は座ってろっ!!。…出来紺野、100点。……シズ圭織95点。……○○72点。…△△60点。」
先生は、目の前の物体を無視するかのように発表を始めた。
次々とクラスメイトの名前が呼ばれるなか、いつまでたってもののび太君には
お呼びがかからない。
(…あり?。…おかしいのれす。)
残りは数名。
- 57 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)11時05分34秒
「……………スネオ豆、25点。…………チャミアン、3点。……………………はーあ。」
大きなため息をつく先生。
その手に残る答案用紙は………1枚。
「まだ、名前呼ばれてない奴、………誰だっ!!。」
全員の視線が一人のバカを捕らえる。
「……は……い、……れ…す。」
恐る恐る手を挙げるののび太君。
おかしい。
こんな筈では…。
既に顔面蒼白。
- 58 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)11時06分19秒
先生の唇が震える。
「ののび太ぁ…………0点っ!!。………………ギネス入りだっ!!。」
「バンザーイッ!!、バンザーイッ!!。」
その瞬間、クラスメイトから歓喜の胴上げ。
ドカーン。…………ドカーン。
校庭からは、打ち上げ花火が上がる。
『ピンポンパンポーン。…臨時ニュースです。』
校内放送で、記録達成のニュースが伝えられる。
「皆様、左手に見えますのが……。」
学校の前に観光バスが止まる。
「電報でーす。」
総理大臣から、お祝いのメッセージ。
「○▲×◆☆△★▽……………。」
何故か、宇宙人まで祝福に。
「ワッショイワッショイ。どどんがドン。」
全国各地で、祭りの始まり………。
- 59 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)11時06分51秒
「…お、おかしいのれす。…絶対、何かの間違いなのれすっ!!。」
「間違いじゃなーいっ!!。」
バーン。
ののび太君の机に答案用紙が叩きつけられた。
先生の頬に一筋の涙が伝う。
「………お前なあ。………もう中学生だろ?。…………頼む。
頼むから自分の名前くらい書けるようになってくれよっ!!。」
答案用紙の名前欄には、訳の解からない似顔絵が描かれていた。
- 60 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)11時07分56秒
第2話終了。
何か、会話文ばっかりでゴメンナサイ。
- 61 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)11時08分28秒
>30 名無し読者さん
ありがとうございます。
配役は熟考に熟考を重ねた結果、3秒で決まりました(笑)。
>31 りゅ〜ばさん
ご期待にそえたでしょうか?。
第2話も笑って頂けたなら嬉しいです。
- 62 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月04日(火)11時08分58秒
>32 名無し読者さん
もしかしたらバレてるのかも知れませんが
恥ずかしいので言わないで下さい。
>33 名無し読者さん
…そこは笑うポイントでは有りません。
石川さんに失礼です(笑)。
- 63 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月04日(火)15時34分49秒
- >呆れて髪の毛が〜
なぜか爆笑。
あと出したもん勝ちにもやられました。
- 64 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月06日(木)10時34分04秒
- 浪花のど根性に爆笑
- 65 名前:64 投稿日:2003年02月06日(木)10時40分11秒
- スマン。
あげてもうた。
- 66 名前:31 投稿日:2003年02月07日(金)14時15分30秒
- 取り合えずワラタ。チャーミーにホイもワラタ。
小ネタ満載。最高っす。
- 67 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時28分58秒
「へヘヘッ、スゴイだろー?。
昨日発売されたばっかりの、最新レースゲームだぜ。
パパのコネで貰ったんだ。羨ましいだろー?。」
スネオ豆は、みんなの前で携帯ゲームを見せびらかした。
羨望の眼差しを向ける、ののび太、シズ圭織、出来紺野の3人。
「ねえ、スネオ豆さん。私にもやらせてよ。」
「うん、いいよ。4人で同時対戦出来るから、みんなでレースしようぜ。
あっ、ののび太、お前は手袋しろよ。バカが移るからな。」
「ワーイワーイ。ののらけ特別なのれすー。」
差し出された手袋をはめ、喜ぶののび太君。
スタンバイOK。
- 68 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時29分28秒
その時。
デンデンデン。
『おーれはチャミアン、ガキ大将ー。天下無敵の男だぜーっ!!♪。』
どこからともなく、天地をひっくり返す程の怪音波。
「おい、みんな何やってんだ?。…あっ!!。コレ最新ゲームじゃねーかっ!!。
誰のだ?。おっ、スネオ豆か、ヨシヨシ俺にもやらせてくれよ。…っーか、お前のモノは俺のモノ。
どけっ、ののび太っ!!。」
ドンッ。
3M後方に吹っ飛ばされたののび太君。
「…イ、イタタタタなのれす。………チャミアンは乱暴者なのれす。
って言うか、ののもゲームれ遊びたいれす。終わったら交代するれす。」
手袋はチャミアンへ。
- 69 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時30分00秒
「用意ぃーー、スタートーーっ!!。」
幕は切って落とされた。
「ヘヘッ。チャミアンお先。」
「あっ、くっそうスネオ豆。待て待てこらあーーっ!!。」
チャミアンとスネオ豆は、スタート直後から激しいデットヒート。
「道を開けなさい、チャミアンさんっ!!。邪魔ーーっ!!。」
シズ圭織ちゃん。意外と負けず嫌い。
「コーナーは『アウト・イン・アウト』でスムーズに回り、直線は『スリップストリーム』を駆使して…。」
出来紺野君はブツブツ独り言。
4人は、とっても楽しそう。
- 70 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時30分32秒
その後……。
「…チ、チャミアン。も、もうそろそろ交代して…。」
「…うっせーんだよ、ののび太のくせにっ!!。
よーしスネオ豆、もう1回勝負だっ!!。今度は負けねーからなっ!!。」
「フッ。何回やっても同じだよ。またギャフンと言わせてあげるよ。
シズ圭織ちゃんも出来紺野もまとめてかかって来なっ。」
「いくぞーっ!!。用意ぃーー、スタートーーっ!!。」
後ろで指をくわえるののび太君を尻目に、ゲームはエンドレスモードへ突入。
ののび太君、トボトボと退散。
- 71 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時31分05秒
「あいぼーん。」
家に帰ったののび太君は、早速あいぼんに頼み事。
「ののも…ゲームが欲しいれすっ!!。…最新ゲームれ遊びたいのれすーーっ!!。」
「…………だったら買えっ!!。そんなことでウチを頼るなボケっ!!。」
あいぼんは、面倒くさそうに吐き捨てる。
「…らって、……ゲーム機は高いのれす。のののお小遣いれは
とても買えないのれす。」
ののび太君は、貯金箱に貯められたお金を床に並べてみた。
- 72 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時31分45秒
「1、2、3………全部れ、583円。
牛ロンも食べられないくらいの極貧生活なのれすっ!!。」
「………いや、十分食えるでえ。………っちゅうか解かった。
エエ考えが浮かんだわ。
その583円を元手に、競馬で勝負せい。
丁度ウチも暇やから、一緒に行ってアドバイスしたるわ。
大丈夫や。大金ガッポガッポは約束されたようなモンやでえ。
ほな、行くぞ。サッサと仕度せんかいクズッ!!。」
「れ、れも、…こんな少ないお金れは、足りないのれす。
二人分のバス賃らけれ、無くなってしまうのれす。」
ギロッ!!。
あいぼんの目が光る。
「…お前、ウチを誰やと思うとんねんコラッ!!。
未来のハイテクお助けロボットやぞ?。
こういう時に便利な道具でサポートすんのが、使命やないかいっ!!。
要らん心配する前に、自分の将来を心配せいタコっ!!。」
あいぼんはお腹のポケットをまさぐった。
- 73 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時32分19秒
ジャジャジャジャン。
【どこでもドアーっ!!】
「あーーっ!!。ろこれもロアれすーっ!!。
……あいぼん凄いのれす。………見直したれす。
昔のロラえもんみたいに、ちゃんと役に立つろうぐも持ってたんれすね。」
「おっ、ナイス毒舌。…………ナメとんのかキサマァァァーーー!!。
これくらい、あいぼん様にかかれば朝飯前やっちゅうねん。
ほんなら、ここで待っとってくれ。すぐ戻ってくるからな。」
どこでもドアの中へ消えるあいぼん。
手には何故かナイフらしき物体が…。
「…ただいまや。」
どこでもドアから出て来たあいぼん。
何故か全身血だらけ、
手には札束らしき物体が…。
- 74 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時32分54秒
「!!?。……ろ、ろうしたんれすか、そのお金はっ!!?。
………何か凄くイヤーな予感が…。」
「ゴチャゴチャぬかすなクソガキッ!!。
お前が貧乏やから、カツアゲしてきたに決まってるやろがっ!!。
これだけ有れば十分やろ。ほなレッツゴーや。
はよせいよっ!!。ボヤボヤしてると、競馬終わってまうぞ。」
あいぼんは、急いで階段を駆け降りて行った。
「…えっ、…ろこれもロアを使うんじゃ…。って言うか、そのお金れゲーム機を買えば……。」
『コラーーっ!!。とっとと降りて来んかいチビーっ!!。』
玄関から催促の声。
(…………思いっきり遠回りしてるのれす。)
ののび太君、首を捻りながらお出かけ。
- 75 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時33分26秒
「ほれっ。もっと、はよ走らんかいっ!!。」
一生懸命マラソンするののび太君の横には、タケコプターで宙を進むあいぼん。
スパルタひげ監督とバカQちゃん。
と、その時。
「おう、ののび太じゃねーか。」
前方から、チャミアン軍団登場。
「あれっ。みんな揃ってろうしたれすか?。ゲームは終わったれすか?。」
「遊び過ぎて電池が無くなったから、みんなで買いに行くんだよ。
今日は24時間耐久レースになりそうだな。……それより、……その娘は?(ポッ)。
何でののび太が、そんな可愛い娘と一緒に居るんだ?。」
スネオ豆は、あいぼんを指差し赤面した。
- 76 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時34分26秒
「ねえねえ、君名前なんて言うの?。何処に住んでるの?。電話番号教えてくれない?。」
チャミアンがニヤニヤ笑いながらあいぼんへ近付く。
「…あっ、チャミアンっ!!。ラメれすっ!!。不用意に近付くと殺されるのれすっ!!。」
ののび太君は、目を覆ってしゃがみ込んだ。
「あ、ののび太はんのお友達ですか?。初めまして。
ウチは偉大なるドラえもん様に代わって、ののび太はんを助ける事になりました
『スーパーロリロリ美少女ロボット・無敵のアイドル加護ちゃん型(ポッチャリ仕様)』言います。
略して『あいぼん』って呼んで下さい。
好きな食べ物は『イチゴ』、理想の男性は、…そうやなあ、『優しくて守ってくれるタイプ』かな。
『ピアノ』が趣味で、『努力』がモットーの頑張り屋さんです(ニコッ)。
どうぞ、これから末長くよろしゅうお願いします。(ペコリ)。
では、今から『お花』の稽古が有りますので。……このへんで失礼を。
さあ、ののび太はん、行きましょか?。」
あいぼんは、一礼すると静かに歩き出した。
- 77 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時35分42秒
「くっそう、お前あんなイイ娘といつも一緒に居るのかよ。」
肘でののび太君を突っつくチャミアン。
「…………………か、可愛い。」
あいぼんの後ろ姿に見とれているスネオ豆。
「あのロボット、僕にも作れるだろうか?。……欲しいっ!!。」
頭の中で、設計図を描く出来紺野。
「もーう、ののび太さんなんて知らなーいっ!!。」
ちょっぴりジェラシーのシズ圭織。
- 78 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時36分17秒
「ち、違うのれすっ!!。…みんな思いっきりラマされてるのれすっ!!。
『ハロモニ』れ威張り散らしてる中澤さんと、『いいとも』れ下向いて笑ってるらけの
中澤さんくらい人格が…。」
ドーン。
チャミアンに突き飛ばされるののび太君。
「あいぼんさんが待ってるじゃねーかっ!!。
待たせるなんて、バチが当たるぞっ!!。」
ののび太君越しに、あいぼんへ手を振るチャミアン。
『あいぼんさーん。今度、一緒に遊ぼうねーー。』
『はーい、おおきにー。』
血塗られた素性を、天使の笑顔で隠す小悪魔。
あいぼんマジック炸裂。
- 79 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時36分50秒
「おう、ののび太っ!!。これが大人の二面性や。よう覚えときぃ。
しかし、あいつら完全にウチの術中にハマったな。
まったく、困ったもんや。また、あいぼん人気急上昇やでえ。
昇リ過ぎて高所恐怖症にでもなったら、誰が責任取んねんっちゅう話しや。
まあ、お前には一生縁の無い人気者の宿命やけどな。
あと、言うとくけど、……本性喋ったら殺すっ!!。エエな?。」
バスの中で、くつろぐあいぼん。
「…解かったれす。…解かったから、車内れお酒はヤメてくらさい。
さっきから、周りのおじさん達がジロジロ見てるれす。
そのうち警察に通報され…………。 あーーっ!!。煙草もラメれす。
車内が煙れムンムン………え?、マロを開ける?。……顔らして吸う?。
余計、目らってしまうれすぅーーっ!!。」
二人を乗せたバスは、目的地へと走り出した。
- 80 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時37分24秒
「オラアッ、まだ競馬場着けへんのかーっ!!。オウッ、運ちゃん。もっと飛ばさんかいっ!!。
あっ、またスクーター抜いて行きよった。あんなもん後追いかけてヒキ殺せアホンダラっ!!。
ほんでお前、何信号待ちしてんねん。交通ルールも知らんのかボケナスっ!!。
黄は『注意してGOッ』、赤は『もっと注意してGOッ』やっ!!。ハヨ行かんかいハヨッ!!。
あーもう、イライラする。どけっ!!。交代やっ!!。ウチが運転したるわっ!!。
アイボン・プロストのハンドルさばき見て、勉強せいドシロウトめっ!!。
おう客っ!!。オシメの準備はエエやろなっ?!!。ビビって失禁しても知らんからなっ!!。
あと、そこのバアさんっ!!。もしポックリ逝ったらオメデ…」
「あいぼーーんっ!!。…お願いらから、大人しくしてやがれーーーっ!!れす。
乗客全員が携帯れんわを取りらしたれす。
『1』、『1』、と押して、『0』に指を掛けたまま、凄い顔してこっち睨んれるれすっ!!。」
ののび太君、あいぼんを羽交い締めしながら乗客に平謝り。
- 81 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時38分59秒
『次は競馬場前ー。競馬場前ー。お降りの方はボタンでお知らせ願います。』
「ハイハイハイィーーーッ。降りる降りる降りまっせー。
よーし、お前も一緒に行くでえーーっ!!。せーーーのっ、…だっちゅうのッ!!。」
……………シーン。
その瞬間、両腕で胸を寄せるあいぼんを中心に車内が凍りついた。
誰も瞬き一つしない、戦慄の世界。
「……あ、あいぼん。………恥ずかしいのれ止めるれす。
……それ、…………『ボタン』じゃ無くて『ボイン』れす。
って言うか、……ギャグが4,5年古いのれす。賞味期限切れれす。」
ギイーーっ!!。
バタンっ!!。
ブオォォォォーーンっ!!。
二人を降ろしたバスは、逃げるように走リ去って行く。
チビッコギャングの恐怖から開放された乗客達は、一斉にため息をついていた。
- 82 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時39分29秒
「ケッ。全くシャレの解からんアホどもやでえ。
ほな、ののび太。気合入れいっ。
万馬券バンバン当てまくって、優雅に軽井沢へ旅行にでも……いや、
夢はデッカく目指せ世界1週やっ!!。」
競馬場入り口を目の前にして、一人燃えるあいぼん。
「……も、目的が完全に変わってるれす。」
競馬場の中は、原宿でも無いのに、おひとがウジャウジャ。
それぞれの思いを胸に、二人は決戦の場へと足を踏み入れた。
- 83 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時40分02秒
「おっ、あの馬、元気そうやなあ。ギンギンやでえ。…アッチはアカン。フニャフニャや。」
あいぼんは、パドックの最前列で赤鉛筆片手に馬の状態をチェック中。
「………もう、いいれしょうか?。」
四つんばいになった踏み台が、上に乗る少女を見上げる。
「ってコラッ!!。『顔を上げるな』言うてるやろがっ!!。
そんなにパンツ見たいんかっ?。このエロガキめッ!!。
まあ、エエわい。おかげで下見はバッチシ、準備完了や。
よし、ほんなら馬券買いに行くでえ。レッツゴーッ!!。」
ののび太君の背中を飛び降り、スルスルと人ゴミをスリ抜けていくあいぼん。
「…ま、待つのれすーーー。」
ゴツン。
ドテッ。
「…あ、ゴメンなさいれす。……待ってくらさーいっ!!。」
ののび太君は、周りの大人達を掻き分けながら、必死にパートナーの背中を追いかけた。
- 84 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時40分25秒
「…何でアカンねんっ!!。フザケんなよクソ親父がっ!!。」
『ダーメ。子供は馬券買えないの!!。』
馬券購入窓口には、係員と揉めるあいぼんの姿。
「もうエエ、帰れっ!!。お前じゃ話にならんわい。責任者呼んで来いボケっ!!。
武豊とじっくり話つけたろうやないかっ!!。」
『……誰と話しても一緒だよ。これは法律で決まってる事だからね。
それに、武君は責任者じゃ無いし…。』
「…なあ、そこを何とか。…頼むわ。」
チラッ。
スカートの裾をめくり、係員にウィンク。
『…………悪いけど、おじさんそんな趣味無いんだよね。
早くパパのところに戻りなさい。じゃあね、バイバーイ。』
あいぼん渾身のロリータ光線も不発に終わる。
- 85 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時41分00秒
「オイッ。コラ待たんかいボケッ!!。
ウチ、子供や無いっちゅうねんっ!!。10万15歳の立派なレディーやっ!!。
デーモンちゃうぞーーっ!!。ホンマやぞーーーーっ!!。」
相手をするのも疲れたのか、係員は奥の部屋へ引っ込んでしまった。
「チッ。どないなっとんねん。
このままでは馬券買えへんやないか。
おうっ、ののび太。お前、ウチの足思いっきり引っ張ってくれ。
少しでも背伸ばすんに協力せい。あと10センチ有れば誰も文句言わんやろ。
あっ、言うとくけど頭はアカンでえ。髪の毛掴んだら殺 …………って、アレ?。
ののび太?。……何処行った?。」
後ろを付いて来た筈の、ののび太君の姿がどこにも無い。
(ははーん。……さては北朝鮮の仕業やな。)
偉大なる将軍様に敬礼。
- 86 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時41分31秒
ピンポンパンポーン。
その時、周りの雑言を打ち破るように場内アナウンスの鐘の音が鳴り響いた。
『わーい、緊張するのれす。テヘテヘ。
えー、ご、ご、……これ何て読むれすか?。……あっ、そうれすか。ありがとれす。
うーんと、…ご来場の、み、みな…さまへ、お…知ら…(ガツーン)。…どけっ!!。迷子のくせにっ!!
…あっ、失礼致しましたっ。……コホン。
ご来場の皆様に迷子のお知らせです。「緊急事態れーすっ!!。」
ののび太君とおっしゃる可愛い坊やを、「もうすぐ高校生れーすっ!!。」
緊急案内センターにて預かっております。「身代金持って来いれーすっ!!。」
お心当りの有る方は、係員までお申しつけ下さい。 「以上。さっき携帯れ彼氏にフラれ
ショックのあまりロッカーに閉じこもってヤケ酒飲んでた○○れしたー。」
って黙れーーーーっ!!。』
「……羨ましいなあ。
競馬場中ドッカンドッカン、ウケてるがな。」
あいぼん、悔しさをかみ殺しながら案内センターへ。
- 87 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時42分04秒
「…やっと来てくれたれすね。」
ののび太君は、あいぼんの顔を見てホッと胸を撫で下ろした。
「おう、保護者様の登場や。
っちゅうかお前、……何でそんなに顔パンパンなん?。」
ののび太君の顔は真っ赤に腫れている。
「……オイタが過ぎたのれ、お仕置きと言う名の虐待を…」
『あっ、お友達ですか?。……もう迷子にならないように、しっかり見張ってて下さいね。』
ニッコリ笑う案内係のお姉さんは、右手を氷嚢で冷やしていた。
「…まあ、笑いに多少の犠牲は付きモンやからな。
取り合えず、グッジョブや。」
親指を立ててののび太君を誉め称える、あいぼん。
「ところで、お姉さん。ウチにもアナウンスさせてくれへんかな?。
もっと笑い取る自信有るん…。」
『いいから帰れーーっ!!。』
辺りには、ヒステリックな怒鳴り声が鳴り響いた。
- 88 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時42分38秒
案内センターを逃げ出した二人。
廊下のモニターには、メインレースの実況中継。
「ねえ、あいぼん。……馬券は買えたれすか?。」
「そうや、忘れとったっ!!。
どうも、ここの競馬場はルールに厳しいみたいで子供には馬券売ってくれへんねん。
頭の固い連中ばっかりや。
仕方無いわ。競艇かパチンコにシフトチェンジするでえ。」
「………多分、ろこ行っても同じなのれす。
もうギャンブルは諦めて、そのお金れゲームを買うのれす。
さあ、早く行くのれす。」
あいぼんの手を引っ張り、外へ連れ出そうとするののび太君。
- 89 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時43分08秒
「甘ったれるのもエエ加減にせいっ!!。
この金はウチの金やっ。ウチが必死に働いて稼いだ、血と汗と涙の結晶やっ。
お前なんかに、ビタ1文やるかボケッ!!。」
繋がれた手を振り切り、その場へ座り込むあいぼん。
(………盗人のセリフれは無いのれす。)
呆れたののび太君は、その場に立ち尽くした。
「そこで、秘密の策や。
おう、ののび太ぁっ。儲けたいやろ?。ゲーム欲しいんやろ?。
ちょいと耳借せぃっ!!。」
耳元で悪魔の囁き。
- 90 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時43分39秒
パパパ、パパパパパパパパパーン。
『さあ、いよいよ本日の最終レース。
ファンファーレも終わりまして、まもなくレースのスタートです。
各馬すんなりゲートに収まりました。
……バーン。
さあ、一斉にスタートしました。どの馬も綺麗に飛び出し……ん?。
何だアレは?。大外枠からモノ凄い勢いで先頭に立ったのは……
子供ですっ!!。背中に少女を乗せた小さな子供ですっ!!。』
「ハァハァ。…本当にこれれ、…いいんれすか?。」
「当たり前やっ!!。何も馬券当てるだけが勝負や無いねんっ!!。
自分でレースに出て、賞金貰ったらエエんや。
ほら行けっ!!。飛ばせっ!!。負けたら承知せえへんぞコラーーーッ!!。」
おしりペンペン。
公開ロリータSMショー。
- 91 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時44分14秒
『あー、しかしアッと言う間に勢いが無くなった。
どんどんと差が縮まっています。』
「ハァハァ。…って言うか、…疲れてきたのれす。
普通に考えて、ハァハァ、……馬に勝てる訳……無いのれす。」
「コラののび太。しっかりせいっ!!。
2番手の馬の蹄の音が、すぐ後ろまで迫ってきてるでえっ!!。」
ダダダダダダダッ!!。
「ハァハァハァハァ。……そんな事…言われても、…もうそろそろ、……限界……れ…す。」
「コラーッ!!。弱音を吐くなーーっ!!。(バシッバシッ)。気合やーーーっ!!(バシバシバシ)。」
ダダダダダダダダダダダッ!!。
「……もう、……………ラメ………れ………す。」
「アカーーンっ!!。抜かれるっ!!。っちゅうか、……踏み潰されるーーーーーっ!!。
う、うわぁぁぁぁぁーーーーーっ。」
ダダダダダダダダダダダダダダダダーーーーーーーーッ!!。
- 92 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時44分50秒
数日後。
「はっ。………ここはロコれすか?。」
ののび太君は、見た事も無い部屋で目を覚ましていた。
大きなベッド。
白いカーテン。
ツンと鼻につく薬品の香り。
脇に置かれたお見舞い品。
どうやら、ここは病院らしい。
「ようやく気が付いたな。ののび太。」
隣から聞こえてきたのは、安心したようなパパの声。
- 93 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時45分22秒
「……ののは入院してたれすか?。」
「そうだよ。馬に蹴られたのに、軽症で済んだみたいだ。
お医者さんも奇跡だって言ってたよ。」
「……ふーん。」
キョロキョロと辺りを捜すののび太君。
「……れ、あいぼんは?。」
「あいぼんはロボットだからね。ピンピンしてどっか遊びに……って、イタタッ。」
突然、パパが頭を押さえて悲鳴をあげる。
- 94 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時46分14秒
よく見ると、ここは集団の入院部屋。
隣のパパもベッドの上。
しかも、全身包帯でグルグル巻き。
「…あり?。……パパも入院れすか?。」
「…そうなんだ。…実は強盗に襲われてね、……お金全部取られちゃったんだよ。
一瞬だったから犯人は見えなかったけど……。」
その頃。
「アイツらに傷害保険賭けといて、正解やったでえ。」
あいぼん、地中海の砂浜でバカンスの真っ最中。
- 95 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時47分31秒
第3話終了。
何話まで続くんだろう……。
- 96 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時48分24秒
>63 名無しさん
もはや、何でも有りです。
>64 名無しさん
ここの加護ちゃんは、吉本を目指します。
- 97 名前:どっかのアホ作者 投稿日:2003年02月13日(木)12時48分55秒
>65 64さん
どんまい。
>66 31さん
小ネタ命!!。
- 98 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月13日(木)14時22分36秒
- こういうネタ系の話はレスが難しいんだよな。
一々つっこんでるとネタバレになっちゃうからね。
だから一言、黒い家よろしくあいぼん様に敬礼!!
- 99 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)10時28分30秒
- 悪あいぼん大好き!。
- 100 名前:りゅ〜ば 投稿日:2003年03月03日(月)18時02分07秒
- すげー。最高っす。
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