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専属ケーキ屋さん4

1 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月27日(月)17時50分25秒
いよいよ4に突入です!!
ここまで凝られたのも、皆様のおかげ…ありがとうございます!!
4もがんばりますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします!!

専属ケーキ屋さん
http://mseek.obi.ne.jp/kako/silver/1034649375.html
専属ケーキ屋さん2
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/silver/1037682356/
専属ケーキ屋さん3
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi/silver/1040779128/
2 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時52分26秒

 午後六時二分。
「…た、ただいま…。」
ひとみは恐る恐る『Tochter.』に入って行った。
「あっ!!ひとみ!!」
今日になっても、バレンタイン用のチョコ等を買う客はあまり減っていないようだ。店に
は昨日ほどではないが、たくさんの客がいた。
「ご、ごめんっ!!あたしもすぐに…」
「これくださーいっ!!」
着替えに行く、と言いたかったのだが、客の声にさえぎられてしまった。ひとみはしかた
なく、制服のままレジを打つ事に決めた。
(やっべぇなぁ…あたし、もしかして酒臭くない?)
しかし、戦場に近い状況の店内では、誰も気にしていない様子。
「そちらはげんざい、セールかかくのごひゃくえんジャストになっておりますのれす〜!!
あっ、はいっ!!ひゃくごえんなのれす!!まいどありがと…はいっ!!そちらはぁ〜!!」
希美の声は、もはや悲鳴のよう。
3 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時53分18秒
「ありがとうございましたはいそちらでしたら五百円となっておりますはい千円からお預
かりいたします五百円のお返しとなります毎度ありがとうございますはいそちらは…」
いつ息継ぎしているのか、流れるように色々な客の相手をこなす紗耶香。
「えっと、その、はい、こちらがお釣り…じゃなくて、三百二十五円のお返しとなり、な
ります!はいっ」
つっかえながら噛みながら、慣れない手つきでなんとかこなすりんね。
「ほーらほらほらっ!!押しちゃ駄目だべさーっ!!」
方言が出てしまってる事に気づいていないなつみ。
(あたし、酒臭いよね。やっぱ…お客さん、わかっちゃってるかなぁ…)
まだ気にしてるひとみ。
 バレンタインデーの夜は、こうして始まった。
4 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時53分59秒


 午後七時十四分。圭は、いつまでたっても腰を上げようとしない亜依に言った。
「ほら、亜依!もう七時よ?」
亜依はふるふると首を振り、圭にしがみつく。
「もーそろそろ帰らなきゃ、お家で心配するわよ?」
「嫌っ!」
亜依は涙目で圭を見上げた。
「なんでよ?もう…亜依以外からチョコ受け取らなかったでしょ?唯一受け取ったヤツは
捨てたし…」
「だって、真里お姉様が言ってたもん!!『オトナは夜が勝負だ』って!!…よく意味わ
かんなかったけど…でも、亜依が帰っちゃったら圭さん、誰かと出かけちゃうかも知れな
いもん!!!」
圭は内心、ため息をつく。
(つーか真里…中学生の妹に、何教えてるのよ…。)
圭は亜依の頭をなでた。
「だからぁ、もう絶対に亜依以外からチョコはもらわないってば。」
「…チョコ以外だったら受け取っちゃうかも知れないじゃん…。」
5 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時54分37秒
「・・・・・・。」
意味わかっていっているのであろうか、このお嬢様は。
「気が済むまでいれば良い、と言いたい所だけど、お家に心配かけちゃ…」

「亜依、今日は圭さんちに泊まるっ!!!」

圭の思考が、しばらく止まる。
「・・・・・・はい?」
「だって、亜依は圭さんのカノジョだもん!!お泊りしても問題ないもん!!」
いや、だからこそ問題があるのだと思うが。
 圭は反論しようとして、亜依を見た。
 亜依は、うるうるおめめで圭を見上げていた。
「だめぇ?」
 こうなってしまうと、断れない圭。
(ちょ、ちょっと待て!!圭、落ち着くのよ…。駄目よ、流されちゃ。ここは心を鬼にし
て…)
6 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時55分11秒
圭とて、亜依がいるのは迷惑などではない。むしろ一緒にいられて嬉しいくらいだ。
 だが、これ以上はさすがに理性がヤバい。
「…亜依。」
「圭さぁん…。」
じっと見詰め合う事、三十秒。
 圭が発したのは、次の一言。

「…ちゃんと、家に連絡するのよ?」

大喜びする亜依を見て、圭は自分の理性に言った。
(まだ駄目だからね!?せめて十六になるまでは、手は出せないんだからね!?)
圭の苦悩の一夜が始まる。
7 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時55分50秒


 午後八時ジャスト。石川邸の客間で、あさ美は心臓をバクバク言わせていた。
 手には、今日の為に用意したチョコレート。
「・・・・・・。」
あさ美は、ソファーから立ち上がる。
「〜〜〜〜〜〜ああああっ!!」
(告白するワケじゃないのに、なんでこんなに緊張するんですかぁ!私はぁ!!)
頬を押さえて、困り顔。
 そこに。
こんこん
「…あさ美?私だけど。」
「は、はいぃっ!!!」
待ち望んでいた声に、あさ美は扉に駆け寄る。
 扉を開けると、そこにいたのは…誰よりも愛しい人。
 真希だ。
「…ごめんね。こんな時間まで、待たせちゃって…」
「いえっ!!良いんです!!」
あさ美は数回深呼吸をし、手に持っていた手提げ袋を真希に差し出す。
「こ、ここここここれっ!!あのっ、チョコなんですけどっ!!」
8 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時56分32秒
「…私に?」
「はいっ!!」
「ありがとう。」
受け取った真希に、あさ美は真っ赤な顔で叫ぶ。

「好きですっ!!」

「・・・・・・。」
面食らった顔の真希。
「し、知ってると思ったんですけど…その…完璧ですっ!!」
真希はそっと、あさ美を抱き寄せる。
「ありがとう、あさ美。私も好き。大好きだよ。」
「・・・・・・それは…良かった…。」
「はははっ。何それっ。」
真希は抱き寄せた時と同じように、そっとあさ美を放す。
 そして、内ポケットから…細長い包み紙を出した。
「私も、チョコにしようかと思ったんだけど…やっぱり、こっちの方が良いかなって思っ
て。」
「え…?」
「受け取ってくれる?」
「はっ、はいっ!!」
あさ美は受け取って、包みをしげしげと見つめる。
9 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時57分09秒
「あの…あけてみても、良いですか?」
「もちろん。」
あさ美はゆっくりと、丁寧に包みを開ける。

 出てきたのは、銀のネックレス。

「…これ…ほ、本当に私に…!?」
「あさ美以外誰がいるの?」
「・・・・・・。」
「かして。つけてあげる。」
真希はあさ美の首の後ろに手を回し、ネックレスをつける。
「…やっぱり、似合う。」
「あ…ありがとうございますっ!!!」
あさ美を目に涙を浮かべた。
「私、大切にしますっ!!」
「喜んでもらえて、嬉しいよ。」
真希はあさ美に、そっと口付けた。
 唇を離すのが寂しすぎた。
 優しいキスは、激しいキスへと変わり…永遠に終わらないような気までしてきた。だが、
二人とも終わらなくて良いと思っていた。
10 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時57分47秒


 午後八時三十五分。『Tochter.』は、やっと閉店できた。
「…ちょっと。」
「え?」
なつみに引っ張られて、紗耶香は店の裏口から出た。
「…なっち?」
「…あ、あのね、紗耶香…。」
なつみはもじもじしながら、紗耶香を上目遣いに見る。
「その…。」
白い息を吐くなつみに、紗耶香は言う。
「話なら中で聞くよ?なっち、風邪ひいちゃう…」
「ううんっ!!ここで…お願い、ここで…。」
「?」
なつみは、背後に隠し持っていた箱を勢い良く差し出す。

「これ…なっちから、紗耶香にっ!!」

「・・・・・・え?」
「ば、バレンタインの…そのっ。」
真っ赤になって俯くなつみに、紗耶香は驚きを隠せない。
「…私…に…?」
「・・・・・・。」
紗耶香は驚きながらも、そっとその箱を受け取る。
11 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時58分28秒
「…驚いた。もらえないかと思ってた。」
「な、なんでだべさっ!!」
「だって、忙しいし…。」
そして紗耶香はぷっと吹き出す。
「…だから後で、私だけでも渡そうって思ってた。」
「え?」
「なっち、ピアス外して良い?」
言うが早いか、紗耶香はなつみのピアスを外した。
「…さ、紗耶香?」
「目、閉じて。」
そして、ポケットの中に隠し持っていた箱を開け…そこから取り出したピアスをつける。
「目、開けて。」
目を開けたなつみは、慌ててポケットから手鏡を取り出した。

耳には、キラキラ光る可愛いピアス。

「・・・・・・っ!!!」
思わず、涙があふれる。
「どう?気に入った?」
こくん。
なつみは頷く。涙がキラキラと、宙に舞う。
「…忘れてるかと、思ってたべさ…。」
「んなワケないって!私は、こう言うイベントは忘れない方なんだ。」
「・・・・・・。」
なつみは涙を拭いながら微笑む。紗耶香は、なつみを寒さから守るように抱きしめた。
12 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時59分10秒


 午後八時四十八分。梨華は自室で、むくれていた。
(ひとみちゃんのばか。ひとみちゃんのばか。ひとみちゃんのばかぁ!!)
心の中で悪態をつき、涙ぐむ。
(ううんっ!!泣いたりなんかしないんだからぁ!!)
ふるふると首を横に振り、ため息をひとつ。
 その時。
こんこん
「…はい?」
「梨華お嬢様、お届けものです。」
「…届け物?この時間に?」
すると、明日香が箱を持って来た。
「こちらです。」
「…誰から?」
すると明日香はにっこりと微笑んだ。
「ご自分でお確かめ下さいませ。」
そういい残して、明日香は退室した。
 梨華は恐る恐る箱を開ける。
(…チョコの匂い?)
13 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)17時59分48秒
箱を開けるとそこにあったのは、チョコレートケーキ。
 そしてそのケーキには、『I LOVE YOU』の文字。
「・・・・・・。」
そしてその横に、小さな箱。そして小さなカードも添えられている。
 まず、カードを開けてみた。

『会える日を、楽しみにしてるよ。本当に。
 梨華ちゃんだけを、永遠に愛しています。 吉澤ひとみ』

「・・・・・・。」
涙が流れ出した。
「…それは本当なのぉ?」
元カノのあゆみと酒盛りなんかしたくせに。裕子にキスされたクセに。
色々と考えながら、小さな箱を開く。

 入っていたのは、指輪。

「っ!!!」
しかも、梨華の左手の薬指にぴったりだ。
「…なんで、わたしの指輪のサイズ…知ってるのよぉっ!!それに…それにっ!!!」
右手に、吸い付くようにはまっている指輪を見ていると…すべてが許せて来た。そしてそ
の指輪がひとみの愛の結晶のようで…梨華の涙は止まらない。
14 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)18時00分25秒
 梨華は、ベッドに転がって『ひとみちゃん人形』を抱きしめる。
「…しょうがないわねっ!!もう、許してあげる。柴ちゃんとお酒飲んだ事も、中澤先生
にキスされた事も。」
 裕子・みちよ・あゆみの三人に、それぞれひとつずつキスマークをつけられた事は知ら
ない梨華。…例え知っていたとしても、許したであろう。
 この贈り物は、それ程までに梨華を喜ばせた。
「…早く、会いたいよぉ…。」
指輪に口付け、梨華はそっと目を閉じた。
15 名前:第七十二話 投稿日:2003年01月27日(月)18時01分08秒


 新スレなのです!!うう〜ん、もう『4』かぁ…早いですねぇ、我ながら(汗)
 今回出てなかったちっちゃい彼女、次回出ます!!
 『4』もよろしくでっす!!

>名無し読者様
 どーやら殺されずにすみそうです(笑)、ヨッスィー。
 後藤執事もらぶらぶですからねぇ…。

>まるみ様
 まさえっちょ、即座に思いつきました(笑)私も最近『まさえっちょ』と呼んでます。
( `_´)<その呼び方、やめてください。

>名無しどくしゃ様
 おもしろいですか〜、よかったぁ〜☆
 >それと毎日的更新ほんとお疲れ様でっす
 いやいや、いつも読んでくださって、本当にありがとうございまっす!!

>ヒトシズク様
 柴田さんと吉澤さんが未成年だと言う事は、中澤先生ですら忘れてます(笑)
 がんばりまっす!!どうぞよろしく!!

>ななしのよっすぃ〜様
 どうでしたでしょーか?後編。
 ななしのよっすぃ〜様とまさえっちょはライバルなんですねぇ(笑)

>あおのり様
 ヨッスィー酒臭いです。今回(笑)
 アヤカ=スパイ…素敵っ!!!みっちゃんも実はスパイです!!
16 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月27日(月)18時24分54秒
>>こんこん「…あさ美?私だけど。」
ドアのノックの音が紺野サンのニックネームでちょっとワラタ。
許せちゃう梨華ちゃん…愛だねぇっ!!
それにしても指輪のサイズを知ってるよっすぃーもやるのぉ…
17 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月27日(月)21時06分28秒
新レスおめでとうございます!
とうとう4まできましたか〜^^
いやはや、もぅ好きすぎです!このお話っ!!!これからもがんばってくださいね!

っとぉ!あまあまじゃないですかぁぁぁ〜!!!
特にいしよしっ!よしこキザすぎですぅ〜!
あぁぁぁ。ダメだぁ。。。指輪のサイズぴったりだなんて・・・
そ・れ・に!ごまこんっ!あぁ、後藤さん、アナタ素敵です^^
いやぁ、どのカップルもあまあまで倒れそうです(笑。

それでは次の更新楽しみにしてます♪
がんばってください!どこまでもついていきます!師匠〜!!!
18 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月27日(月)23時53分18秒
萌え。みんな萌え。
なんかこんごまイイですねぇ(*´д`*)
萌え氏んじゃうよぉ作者様ぁw
19 名前:チップ 投稿日:2003年01月28日(火)18時15分15秒
新スレおめでとうございます!ご馳走様です!
なんか自分はバレンタインにここまで情熱傾けたことないなぁと
みんなが羨ましくなりました。
イベントってやっぱ大事なんですな、今年から心改めよう・・・きっと。
20 名前:プチひとむ 投稿日:2003年01月28日(火)23時11分52秒
こんばんわ。新レス突入おめでとうございまぁぁす!!!!!!
よっすぃ〜めちゃかっこえぇッス。早く二人を会わせてっ?!って感じです。
21 名前:あおのり 投稿日:2003年01月29日(水)11時05分42秒
新スレ4枚目かっけー!毎度毎度の精力的な活動、頭が下がります

今回はいちなち、やすかご、こんごまとおなかいっぱいいかさせていただきました。
後藤さんの普段の態度とあさみちゃんに見せる態度とのギャップがたまりません。

でも、やっぱりよしいしは別腹でいくらでも入りますね。
最後にチロリと出てきても他カップルを圧倒してるかと思うのは贔屓目?
会ってないのにこんな状態じゃ実際会ったらどうなることやら。

ミチャーンもスパイ、非常にツボにはまりました。
だからラジオでもあんなに吉に突っ込んでいたのかと
しかしミチャーンならスパイというより十手持ってる岡っ引といったイメージが…
( `◇´)<姐さん、てーへんや!てーへんや!
从#~∀~#从<大声出さんでも聞こえるっちゅうねん!
22 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月29日(水)18時50分45秒
クロイツさま
新スレおめでとうございます。
バレンタイン、各カップルともあまあまで最高です。
あゆみちゃんのみ酒盛りは気の毒でしたが、まさえっちょには負けませんよ!
では、次の更新も楽しみに待ってます!!
23 名前:第七十三話 投稿日:2003年01月29日(水)22時19分47秒

 二月十六日。
「・・・・・・。」
ひとみは石川家の玄関で、ごくりとつばを飲んだ。
 離れ離れにされてから、今日で二十九日目。今日は二十八日ぶりに、梨華に会えるのだ。
 昨夜、真里からひとみへと電話があった。
『十九日を入れて考えると、今日で丁度二十八日。…明日の夕方、学校が終わったら、梨
華に会いにいらっしゃい。』
電話越しにもわかるくらい照れくさそうな声で、真里は言ってくれた。
「吉澤様、こちらでございます。」
「あっ、は、はい。」
明日香に言われて、緊張してるのが丸わかりの声でひとみは答えた。それを聞いて明日香
は、内心微笑む。
(…梨華お嬢様の、この二十八日間をご覧になったら…吉澤様は、どんなお顔をなさるの
かしら。)
明日香は、笑いをこらえる。
「…あの、明日香さん。」
「はい。なんでしょう?」
「…梨華ちゃん…どうでした?」
「え?」
考えていた事が顔に出ていたかと、明日香は内心ギクリとする。しかし、ひとみの照れま
くった顔を見て安心した。どうやら、本気でききたがっているようだ。
24 名前:第七十三話 投稿日:2003年01月29日(水)22時20分42秒
 明日香はちょっと噴出してから、ひとみに言う。
「ええ、ええ。それはもう…挙動不審、でしたわよ。」
「…きょ、挙動不審?」
明日香は大きくうなずく。
「キビキビ動いていたと思ってたら、急に立ち止まって遠くをご覧になったり、ため息を
ついてみたり。かと思えば、いきなり涙ぐんで『ひとみちゃんの、ばか』とか呟いてみた
り。」
「・・・・・・。」
「…そう言えば…十四日の夜から、左手の薬指に指輪をつけてらっしゃるんですのよね。」
ひとみの顔が、真っ赤になる。明日香はそれを横目で見て、まるでからかうような口調で
言う。
「プレゼントされた方は、一体どのようにして梨華お嬢様の指輪のサイズをお知りになっ
たのか…メイドは皆、不思議がっておりますのよ?」
「・・・・・・。」
口元を押さえて、明日香はひとみを振り返る。
「さあ、着きました。この扉の向こうに梨華お嬢様はいらっしゃいます…あら?」
明日香がいぶかしげな表情をした。ひとみもそちらを振り返る。
 大きな、石膏像の影から、ちょこんと顔を出している人物がいた。
「梨華お嬢様!?」
「梨華ちゃん!?」
そう。梨華であった。
25 名前:第七十三話 投稿日:2003年01月29日(水)22時21分18秒
「何してらっしゃるんですか?」
「・・・・・・。」
「ほら、待ちに待った吉澤様ですよ?」
「・・・・・・。」
「り…梨華ちゃん…。」
久々に見る愛しい彼女の姿。ひとみは心底愛おしそうに、目を細めた。しかし。
…ぱたぱたぱたっ
「「えぇっ!?」」
これにはさすがの明日香も驚いた。

 梨華は、ひとみと明日香に背を向けて逃げ出した。

「な、なんで!?」
「そんな事行ってる場合じゃありません!追いかけて、早く!」
明日香に言われて、ひとみも駆け出す。
 そんな二人の後姿を見て、明日香は呟いた。
「…梨華お嬢様ってば…。気持ちはわかりますけど、らしくないですわよ?」
まったくもって、その通りである。
26 名前:第七十三話 投稿日:2003年01月29日(水)22時22分31秒


 中澤裕子のアパート。
「「・・・・・・。」」
それなりの広さがある室内で、真里と裕子は向かい合っていた。
 裕子はにこにこと、真里は難しい顔で。
「…なんで、笑ってるのよ。」
「そりゃーもちろん。真里がかわええからや。」
真里の顔が、かーっと赤くなった。
 何故、真里が裕子の家にいるかと言うと…それは、一昨日の夜にまで遡る。
 柴田家本邸で酒盛りをし、眠りこけた裕子が目を覚ますと、夜の九時だった。
『あかん。帰らな。』
そう言った裕子に、あゆみは言った。
『ひとみに続いて、せんせぇまで帰るなよぉ〜!もっと飲もうよぉ〜!!!』
『…酒癖悪いなぁ、自分…。でもな、先生明日も学校やから…』
『寂しい事言うなよぉ〜!!』
『そーやで、裕ちゃん!もっかい飲みなおすで〜!!』
『おー!みっちゃん、そーこなくっちゃぁ〜!!』
こうして酔っ払い二人に引き止められ、『酒盛り・パート2』に無理矢理参加させられた。
27 名前:第七十三話 投稿日:2003年01月29日(水)22時23分07秒
ようやく家に着いたのは、十五日の朝六時。
 酒臭〜くなって、家の鍵を開けた裕子が見たものは…

自分のベッドで眠りこける真里だった。

『・・・・・・。』
その寝顔があまりにも可愛かったので。
裕子は起こせなかった。そして…真里が目覚めるまで、待ってしまった。
 一時間後に目覚めた真里は、赤い顔で裕子に言った。
『…ちょ、チョコ…渡したくて…来たんだけど、いなくて…。外で待ってたら、管理人さ
んが合鍵で開けてくれて…そ、それで、待ってたんだけど…眠くなっちゃって…。』
そして、上目遣いで裕子を見た。
『受け取って…くれる?』
裕子は、恋に落ちた。
28 名前:第七十三話 投稿日:2003年01月29日(水)22時23分43秒
「…かわええなぁ、ホンマに。」
「・・・・・・。」
「なぁ、真里。」
「…ん?」
「ちゅーしてええ?」
真里はぼんっと赤くなる。
「ばっ…ばかゆうこぉ…。」
「なあ、駄目?」
「・・・・・・。」
真里は赤い顔で、目を閉じる。
「ん…。」
優しく重なって来た唇は、真里の心を激しく刺激する。
 真里は、裕子の背中に手を回した。そして、ねだるように強く抱きつく。
「ん…う…。」
離れてしまった唇を寂しく思った。…そして、そんな自分に恥ずかしくなる。
(な…なに!?なんで!?わ、私…なんか、変っ!!!)
俯いてしまった真里を、裕子は抱きしめる。
「…ホンマ、かわええ。」
「ふぁ…っ」
耳元で囁かれた言葉に過剰に反応してしまう真里。裕子は驚いた顔をした。
 そして、耳元で更に囁く。
「…嫌だったら、殴ってくれってかまへん。」
「…え?」
「…抱いても。ええか?」
「・・・・・・。」
真里は、返事の変わりに裕子にキスをした。
29 名前:第七十三話 投稿日:2003年01月29日(水)22時24分23秒


 思わず、逃げてしまった。
(な…なんでなんでなんでぇぇぇぇぇっ!?)
会いたかった。会える日を、夢にまで見た。
 それなのに、いざ姿を見たら…逃げてしまった。
「待って、梨華ちゃんっ!!」
そう呼ばれるだけど、胸が痛いくらいに締め付けられる。
(ち、違うのっ!!本当は…本当は逃げたいんじゃなくって、抱きしめて欲しいのっ!!!)
だけど、身体は勝手に逃げてしまう。
 梨華はだんだん、何故自分が逃げているのか…わかって来た。
 だけど、やっぱり止まれない。
「・・・・・・っ!」
梨華は勢い余って、物置の中に入って扉を閉めてしまった。
「梨華ちゃんっ!!」
どんどんと、扉を叩かれる。
「・・・・・・。」
梨華は頬をてのひらで押さえ、しゃがみこんだ。
「…梨華ちゃん…。」
寂しそうな、ひとみの声。
「…なんで、逃げるの…?」
「・・・・・・。」
心臓がドキドキ言い過ぎて、声が出ない。
「…もう、ウチには会いたくない…?」
30 名前:第七十三話 投稿日:2003年01月29日(水)22時24分59秒
(そんな事ないっ!!)
だけど、まだ声は出ない。
「…柴ちゃんのトコで酒盛りしたのを、怒ってるの?それとも…今朝一番で迎えに来なかっ
たのを怒ってるの?…わかんないよ、梨華ちゃん…!!」
「・・・・・・。」
そしてひとみは、がしっと扉を叩きつける。

「…会いたいよ…!!!」

苦しそうな、その声。
「・・・・・・。」
梨華はすっと立ち上がり、物置の扉をゆっくり開けた。だけど、まだ背中を向けたまま。
「…梨華ちゃん…。」
ひとみは、梨華の背中に抱きついた。
「…どうしたって言うんだよ?なんで…逃げたりするの?」
「・・・・・・。」
「もう、ウチの事…嫌になっちゃった?」
梨華はふるふると首を横に振る。
「それじゃあ…こっち、向いてよ。顔、見せてよ。」
「・・・・・・。」
梨華は、ゆっくりと振り返る。
その顔は、涙に濡れていた。
31 名前:第七十三話 投稿日:2003年01月29日(水)22時25分38秒
「梨華ちゃん…。」
ひとみは優しい手つきで、梨華の涙を拭う。
「会いたかった…。」
こくん。
梨華も頷く。ひとみは悲しげな表情になった。
「梨華ちゃん…なんで逃げたの?」
「…だって…だってぇ…。」
梨華は涙声で、恥ずかしそうに言う。

「…はずかしかったんだもん。」

「はい?」
「ひ、久々に見るひとみちゃんは…ホントに綺麗でホントにかっこよくてホントに…素敵
で…。」
梨華はぽろぽろと涙をこぼす。
「ときめいちゃってときめいちゃって…どうして良いのかわからなかったんだもん…。」
そう言い終わると同時に、梨華はひとみに抱きつく。
「…会いたかったよぉ!わたしもっ!!」
「梨…華ちゃ…」
しばらくぼうぜんとしていたひとみだったが、すぐに立ち直って梨華を抱きしめる。
「…馬鹿だなぁ。あたしだって…」
「え?」
「あたしだって、梨華ちゃんにときめいちゃってときめいちゃってどうしようもなかった
んだよ?」
「…本当?」
「本当。」
そして、しばらく顔を向け合って笑い…そのまま自然にキスをする。
 二十八日ぶりのキスは、甘いだけじゃなかった。
32 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月29日(水)22時26分16秒


 いしよし、再会〜!いかがだったでしょうか〜?
 さくら組とおとめ組…なんでいしよし一緒じゃないんだ…!!!
 それを考えると、涙が止まりませぬ…。
 ま、変わらずいしよし愛して行きますけど(笑)

>名無し読者様
 気付いてくださいましたか!!書きながら私も『こんこんって…こんこんって…!!と
呟いておりました(笑)
 ヨッスィー、どうやって指輪のサイズ知ったんでしょうねぇ…。
(O^〜^)<ひみつ♪

>ヒトシズク様
 ありがとうございます〜!4でもかっ飛ばして参りますね〜!!どうぞよろしくっ!!
 今回のいしよしはいかがでしたか〜?
 頑張りますので、どうぞよろしくでっす!!てゆーか師匠って!!こんな頼りない師匠
で良いんですかぁ!?ヒトシズク様っ!!(汗)

>名無しどくしゃ様
 し、死んじゃ駄目ですよ〜!!生きて生きてっ!!
 今回も甘めを目指してみました。いかがでしょう?

>チップ様
 私もです。バレンタインに頑張った思い出って無いんです(汗)だから、皆様には頑張っ
て頂きました(笑)。
 今年も…きっと、あんま何もしないんだろうなぁ、私…(大汗)寂しい〜!!
33 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月29日(水)22時27分06秒
レスの続きでっす♪

>プチひとむ様
 ありがとうございます!!4も頑張りますっ!!!
 会えましたよ〜!!ウフフ☆再会シーンはいかがでしたでしょうか?

>あおのり様
 >でも、やっぱりよしいしは別腹でいくらでも入りますね。
 私もです(笑)いしよしは別腹です。
 そして、いくら他のCP書いても、いしよし書かなきゃ落ち着きません(爆笑)
 …みっちゃん岡っ引き…素敵過ぎるぅ〜!!!

>ななしのよっすぃ〜様
 ありがとうございます!!4もがんばっていきます!!
 酒盛り、朝まで続いたみたいです(笑)まさえっちょ、一応起きてましたが…巻き込ま
れないよーに離れたとこにいたみたいです。
 がんばりますので、どうぞよろしく!!
34 名前:プチひとむ 投稿日:2003年01月29日(水)23時29分45秒
やったぁぁぁ〜〜〜やっと二人は会えたぁぁ。
きゅーーーんっとしてしまいましたぁぁ(涙)
35 名前:まるみ 投稿日:2003年01月29日(水)23時49分32秒
新スレおめでと〜☆

真里っぺがすごく可愛い〜!
いままで「やぐちゅー」はなかなか好きになれなかったけど、
今回見て好きになれそう!

いしよし、やっと逢えたね♪
恥ずかしがって逃げる梨華ちゃんの心の中はドキドキだった事でしょう。
甘々いしよし大復活と言うことで、更新楽しみにまってます。
36 名前:318 投稿日:2003年01月30日(木)01時14分48秒
新スレ、おめでとうございます!
ちょっと留守にしてたら、あらまぁ、いつの間にやらPart4ですか!?
すっかり銀板の名物になって参りましたw
現実では離れ離れになったいしよしだけど、ここではラブラブだからいいも〜ん!
と開き直ってみる・・

一人一本の「久保田」・・
どこまでも豪華な柴田家の酒盛り、自分も是非参加希望です!
37 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年01月30日(木)08時49分13秒
新スレおめでとうございます。早ッ!(笑)
いしよしのヒサブリのキスも萌えましたが。
お圭さんのあいぼんへのキスに、「あわわわわ…コ、コドモになんてことを〜!」と
うろたえてしまいますた。いいオトナなのに(w

バレンタイン…(遠い目)。
( ´D`)<ばれんたいんって、たべられるのれすか


38 名前:第七十四話 投稿日:2003年01月30日(木)15時03分30秒

 あゆみは、雅恵につかみかかった。
「ちょっとちょっとちょっと!!大谷!!!」
「はい。なんでしょう、あゆみ様。」
胸倉をつかまれながらも、雅恵はいつも通りに返事をする。それがあゆみには気に入らな
い。渾身の力で雅恵を壁に押し付けた。

「ミキティ振ったって…どう言う事よ!!?」

雅恵は、目を伏せた。
「…なんで!?」
あゆみの脳裏に、健気な微笑みを浮かべた美貴が浮かぶ。
『でも、あたし…あきらめません!いつか振り向いてもらえるように、頑張るんです!』
その言葉も、リアルに耳に蘇る。
 あゆみは怒りを抑えきれない。
(私だったら…私だったらあんな顔、させないのにっ!!!)
嫉妬もあるのだろう。美貴に恋心を抱かれている、雅恵への。
 だけど雅恵は…全部わかっていて、黙っている。
「・・・・・・。」
「答えなさい、大谷!!!」
「…私は、藤本様をそのようには見られません。」

がすっ

あゆみのパンチが、雅恵の右頬にヒット。雅恵の口から、血が流れ出す。
39 名前:第七十四話 投稿日:2003年01月30日(木)15時04分32秒
「そんな…そんな残酷な事を…ッ!!!」
「正直な気持ちです。」
「…大谷ッ!!!」
「それに…。」
雅恵は、迷った。
 言ってしまおうか。全てを捨てる覚悟で。
「…それに、何よ?」
「・・・・・・。」
雅恵は目を閉じ、ため息を吐く。

「…想う方が、いるんです。」

「はぁ!?…それって、好きな人がいるって意味!?」
「はい。」
「お、大谷に!?」
「…いちゃ悪いですか?」
「いや、悪かーないけど…。」
あゆみは戸惑って、雅恵から手を離す。
 小さい頃から側にいる雅恵。雅恵がいなくては、柴田家当主に祭り上げられてから今ま
で、ここまで上手く仕事ができなかっただろう。
(その雅恵に、好きな人…。)
驚愕の事実だった。
「…そう言うわけで、断らせて頂きました。」
「じゃ、じゃあ…なんで、ミキティにそれを言わなかったのよ!!」
「…そうしたら…好きな方の名前を言わざるをえないでしょう?」
「い、言えない相手なの!?」
「まぁ、そうですね。」
誰が言えるだろう。自分の主に恋愛感情を抱いているなんて。
40 名前:第七十四話 投稿日:2003年01月30日(木)15時05分07秒
 そんな雅恵の心中も知らず、あゆみは雅恵につめよった。
「…で、誰なのよ?」
「…好奇心いっぱいいっぱいって感じですね。」
「え〜?そんな事ないわよぉ〜♪」
「・・・・・・。」
雅恵はあゆみを振り払う。
「…とにかく、私は一生想いを告げないと誓っているんです。」
「なんで?」
「・・・・・・。」
雅恵は内心、大きなため息をついた。
(本当にこの人は…鈍い。まぁ、気付かれても困るんですが。)
「…でも、まぁ…大谷が結婚とかしていなくなっちゃったら私も困るし。仕事とか。」
「・・・・・・。」
雅恵は、目を閉じた。
(…それで、十分です。)
「そーだ!ねえ、石川家の飲食店関係が、勢いを伸ばしてるのよ!」
あゆみはころりと話を変えた。
 雅恵は安堵して、口の血をハンカチで拭ってから資料を取り出した。
41 名前:第七十四話 投稿日:2003年01月30日(木)15時05分44秒


 里沙は、石川邸の自室でパソコンに向かっていた。
「…よしっ。柴田家を抜きましたわ!」
そして振り返り、あさ美に笑顔を見せる。
「今回の『手作り応援フェアー』…大成功でしたわね!」
「はぁ…どうも。完璧です。」
「初心者用から上級者用まで、多種多様な『手作りセット』を作成しましたけど…在庫は
ほぼ残っていないそうですわ。と言うより、ほぼ全て売り切れたみたいですわね♪」
心底嬉しそうな様子の里沙の背中を見ながら、あさ美は胸元に手をやった。
 そこには、真希にもらったネックレス。
(…真希さん…。)
もらった日の、熱烈なキスを思い出して…あさ美はぽっと赤くなる。
(い、いけませんいけません!今はお仕事中です!)
「…何考えてるのか、丸わかりですわよ、あさ美さん。」
「はうっ!」
「そのネックレス、似合いますわよ。」
「あ、ありがとうございますっ!!」
里沙はにっこりと微笑んだ。
「真希さん、ジュエリーショップで随分お悩みになったみたいですのよ?それを選ぶのに。」
「え…?」
「知り合いの店員が教えて下さいましたわ。」
あさ美は顔を真っ赤にし、その上に心底幸せそうな笑顔を乗せる。
「…やれやれ。」
42 名前:第七十四話 投稿日:2003年01月30日(木)15時07分00秒
「り、里沙さんは、バレンタインに何かしなかったんですか?」
「私?しませんわよ。」
「え?でも…。」
あさ美は、部屋の片隅に積み上げられた箱の山に視線を移す。そんなあさ美に、里沙はた
め息まじりの声を出した。
「…郵送で送られて来ましたのよ。」
「うわぁ〜…す、すごいですねぇ。」
その山の中に、あさ美は見知ったラッピングをみつけた。
 『Tochter.』の包装紙だ。
「あ!うちのお店の…!」
持ち上げてみると、一枚のカードがついていた。
「里沙さん、お手紙付きですよ?」
「…いちいち読んでられませんわ。」
43 名前:第七十四話 投稿日:2003年01月30日(木)15時07分32秒
「でも、コレくれた人はウチのお客様なんですから…この人のだけでも読んで下さいよぉ。」
「…なかなか商魂逞しくなりましたわね、あなたも…。」
渋々受け取り、のろのろとカードを読む。

『好きです。学校に来るの、待ってます。道重さゆみ』

「・・・・・・。み、道重さん…?」
「ををっ!!クラスメイトさんですか!?完璧ですっ!!」
里沙はため息をついた。
 道重さゆみと言えば、先日溜まりに溜まったプリントを届けてくれた少女だ。
「健気じゃないですかぁ〜♪」
「・・・・・・。」
目をきらきら輝かせるあさ美を見て、里沙は深いため息をついた。
44 名前:第七十四話 投稿日:2003年01月30日(木)15時08分24秒


 梨華の部屋にて。
「梨華ちゃん…もっと、もっと見せて…。」
「やだぁ、そんなに見ないでよぉ。恥ずかしい…。」
「だって可愛いんだもん。もっと見たい。」
「もぉ…ひとみちゃんてば…。」
「可愛い…愛してるよ、梨華ちゃん。」
「ひとみちゃんも、素敵♪」
「ねえ、触っても良い?」
「もちろんっ♪」
「…ああ…こうやって触れたいって、夢にまで見たよ。」
「本当…?…ねえ、手だけじゃなくて、唇でも触って。」
「…良いの?」
「うん…。」

「何やっとんねん、ガキャァァァァァァァァァァァ!!!!!」

扉をけり破って入って来たのは…中澤裕子であった。
45 名前:第七十四話 投稿日:2003年01月30日(木)15時09分23秒
「な、中澤先生!?」
ソファの上で、梨華がひとみの膝の上に乗って見詰め合う体勢でいたキス直前の二人。そ
んな二人は、慌てて振り返った。
そんな二人を見て、裕子は大きく舌打ちをする。
「ちぇ。ヤッてないやん。まぎらわしい。」
「な、何を期待してたんですかっ!?」
「旦那も旦那やで!?顔と顔付き合わせてるだけやのに、あんな期待さすよーな事言うん
やないッ!!ったく、今ので一体何人の読者様が落胆した事か…。」
「どこをどう期待するって言うんですかぁっ!」
抗議する梨華だったが、ひとみはよーく会話を思い出してみて…『ちょっと際どかったか
な』と赤面する。
 人間、発言してる最中には気付かない事の方が多いものだ。
「と、ところで中澤さん、どうして石川家に?」
「ああ、真里を送って来たんや。」
「「ま、『真里』ぃ!?」」
梨華とひとみは顔を合わせる。裕子はにやっと笑って、背中を向けた。
「あ〜あ。アンタら見たら、また真里に会いたくなってもーたやないか。…帰る前に、もっ
かい顔見てこ〜。」
そう言い残して、裕子は去って行った。
46 名前:第七十四話 投稿日:2003年01月30日(木)15時10分00秒
 残された梨華とひとみは。
「…真里お姉様…中澤先生と、どう言う関係なのかしら…。」
「…ど、どう言う関係って…。」
ひとみには、ちらりと裕子の首筋のキスマークが見えた。
(…あ、あたしらよりも進んでるかと思われる…。)
「そーだっ!!思い出した!!ひとみちゃんっ!!」
「ふへ!?」

「柴ちゃん家の宴会で、中澤先生にキスされたんですって!?」

「うぐっ!!」
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
梨華の目が、うるうると涙ぐむ。
 梨華はぎゅっと、ひとみに抱きついた。
「…もう、嫌だからね?わたし以外の人に、キスなんかされちゃ駄目。しても駄目。」
「う〜ん…アレは、したいともされたいとも思ってやったわけじゃないんだけど…」
「それでもだめなのぉっ!!」
梨華は、ひとみの唇を奪う。突然の行動だったの、ひとみは心底驚いた。
47 名前:第七十四話 投稿日:2003年01月30日(木)15時10分31秒
 キスは、なかなか終わらなかった。
(…やばいってば!)
ひとみは梨華を押し戻す。
「…なんでぇ?」
「いや、その、だって…」
「わたしとのキス、嫌ぁ?」
「好きだよ!?好きだけど…やばいってゆーか…。」
「やばい?」
「…とにかくっ!!」
ひとみは強く、梨華を引き寄せる。

「…今は、もっと梨華ちゃんが見たい。」

梨華は頬をピンクに染めて、にっこりと微笑んだ。
「そうね…わたしも、ひとみちゃんが見たい。」
梨華はひとみの頬に触れた。
「愛してるわ、ひとみちゃん。」
ひとみも、梨華の頬に触れる。
「うん、ウチも。愛してるよ、梨華ちゃん…。」
二人は同時に、噴出した。
48 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月30日(木)15時12分55秒


 寒い日が続きます。皆様、体調などは大丈夫ですか?風邪などひいていませんか?
 私は、あまあまいしよし書きたい病の発作がひどいのれす。今回はどうでしたか〜?

>プチひとむ様
 追いかけ〜るひとみ〜、逃〜げる梨〜華ちゃ〜ん♪
 工藤静香さんの曲に乗せてどうぞ(笑)
 きゅーーーんっとしてしてくださいましたか☆うれすぃ〜♪

>まるみ様
 ありがとうございまっす!!やぐちゅー、私も最初は苦手だったんですよね〜。最近好
きなんですよ。
 今回のいしよし、甘めにしてみましたが…いかがだったでしょうか?
49 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月30日(木)15時13分45秒
レスの続きです♪

>318様
 ありがとうございまっす!!いやいやいや、名物なんて…そんな大したモンじゃないッ
スよ(汗)長く続けられるのも、全て皆様のおかげです!!感謝しております!!
 『酒盛りパート2』では、ちゃんぽんでした。ウィスキーもワインも紹興酒も出ました(笑)。

>ごまべーぐる様
 ありがとうございまっす!!私も、更新の前後にそちらを覗くのが習慣になってるんで
すよ〜!!
 てゆーかお圭さん…理性は保てたのでしょうか(笑)
 今年のバレンタインは、手作りします。そして父と祖父と叔父と従兄弟達にあげます。
 …いやんかなすぃ〜…。
50 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年01月30日(木)20時51分38秒
ほぅっ!!!
やばい〜・・・顔が赤面しすぎですぅ〜。。。
あまあまいしよし♪待ってました〜^^
いやぁ、やぐっつあんとなかざーさんも良い仲になられまして・・・^^
紺ちゃんも、幸せそうで^^
もぅ、さいこーですっ!!!
新垣さん、どうしちゃったんでしょうね・・・?道重さんの名前で・・・
すごい、気になります!
もちろん、いしよしもですが!!!
次の更新楽しみにしてます!
がんばってください!応援してます♪
51 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月30日(木)20時53分20秒
甘い甘いよぉ〜デレデレ
作者様のいしよし、いつ読んでもイイ!!
最近は風邪が流行りに流行ってますなぁ
作者様気お付けて下さいね。
52 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月30日(木)21時10分03秒
クロイツさま
更新お疲れさまです。
ちょっと鈍い、あゆみお嬢様にクラクラです。
もともとよっすぃ〜好きのいしよし好きだったのに、今ではすっかりあゆみお嬢様の下僕です。
もっともあゆみお嬢様と逢う時間よりまさえっちょにあごで使われている時間のほうが長いですけど...。
ハリセンもすでに何度も。(笑)
神出鬼没のまさえっちょに監視されつつ、いつかは逆玉めざし、次の更新も楽しみに待ってます!!
53 名前:一読者 投稿日:2003年01月30日(木)22時43分50秒
やぐちゅー、始まっちゃいましたね。
真里お嬢様は男性と結婚して石川家を継がなきゃいけないのでは…。
それとも継承権は里沙お嬢様に譲渡?
54 名前:まるみ 投稿日:2003年01月30日(木)22時52分00秒
「今ので一体何人の読者様が落胆した事か…」
落胆しました・・・。
よっすぃーのがんばりには脱帽です。

55 名前:どっかのセーラム 投稿日:2003年01月31日(金)01時05分41秒
つい最近、この作品を見つけいっきに読ませて頂きました。
マジで面白いッス、そしてやぐちゅーになってきてて最高ッス
クロイツさん、頑張って下さい。
56 名前:あおのり 投稿日:2003年01月31日(金)10時31分06秒
わーい!よしいし甘甘だー!バカップルだーバカップルだー!
待っておりました待っておりましたよー
今までの鬱憤を晴らすかのようなアツアツぶりバカ旦那グッジョブ!

しかしあんな会話が扉の向こうから聞こえてきたら
一般人ならいたたまれなくなりそっと立ち去るところですが
扉を蹴破る計算づくの暴れん坊姐さん素敵過ぎます
57 名前:第七十五話 投稿日:2003年01月31日(金)13時59分28秒

 亜弥の耳に、驚くべき情報が入った。
『藤本美貴は、柴田家本邸にいます。』
電話の向こうで、亜弥が雇った探偵は無感情に言う。亜弥は思わず耳を疑った。
「なんですって!?」
『柴田あゆみがかくまっているようです。しかも…起きて、動いています。』
「な…っ!!!」
電話を持つ手が震える。
「ほ…本当に…!?」
『はい。ピアノやバイオリンを弾いている姿を目撃しましたから。』
「・・・・・・っ!!!」
亜弥は震える身体で電話を持ち直す。
「…ありがとう。成功報酬は、振り込んでおくわ。」
『毎度、ありがとうございます。』
相手が電話を切った後も、亜弥は受話器を下ろせなかった。
「・・・・・・っ!!!」
亜弥は受話器を、床に叩き付ける。身体は、怒りの為にわなわなと震えていた。
「…あの女…ッ!!!」
従姉妹の顔を思い出して、床に転がっている受話器を踏みつける。

バキィッ

破壊的な音とともに、受話器は割れた。
 亜弥の視線が、部屋の中を駆け巡る。しかし、目当てのものはない。
「・・・・・・っ!!!」
亜弥は携帯電話を取り出し、部屋から飛び出した。
58 名前:第七十五話 投稿日:2003年01月31日(金)14時00分39秒


 夕食の席で、真里は思いつめた瞳をしていた。
「真里お姉様?」
「…え?ああ…なあに?里沙。」
「どうなさったんですの?ボーっとして。」
それに、食事も全然進んでいない。
「いや…な、なんでもないの。」
(そうは見えませんわよ…真里お姉様。)
そう思って、ふと二番目の姉と三番目の姉を見る。
 二人とも、『浮かれモード』だった。
 それぞれの恋人の名前が、顔にでかでかと書いてあるかの様な浮かれ様だ。
(…梨華お姉様も亜依お姉様も、真里お姉様どころじゃないみたいですわね。
 ま、仕方ないっちゃー仕方ないですけど。)
 梨華は二十八日ぶりに恋人と再会し、いちゃつきまくった直後。亜依は先日、初の『外
泊』をしたばかり。これで浮かれるなと言う方が無理である。
そしてふと、あさ美を見てみるが…こちらも『浮かれモード』だ。
59 名前:第七十五話 投稿日:2003年01月31日(金)14時01分11秒
(…わかりやすい人たちです事。)
そして再び真里を見る。
(…真里お姉様も、わかりやすいですわね。)
真里の悩みなど、里沙には手に取るようにわかる。
「…真里お姉様。」
「なに?」
「一つだけ言って置きますわ。」
「?」

「私がいるって事を、忘れないでくださいませ。」

「・・・・・・。」
真里は驚いた顔で、里沙を見た。
 里沙は、何事もなかったかのように食事を続ける。
 真里はなんだか、涙が出そうになった。
60 名前:第七十五話 投稿日:2003年01月31日(金)14時01分47秒


 麻琴は、パソコンの前で凍りついた。
「…なんだってぇ…!?」
見ているのは、麻琴宛に来たメール。仲良くしている情報屋からの情報メールだ。

『キツネは、牙を手に入れた。注意されたし。』

たったそれだけが書かれたメール。だが、麻琴にはそれだけで十分意味が通じる。
「くそ…!!!」
麻琴は机を叩いた。
(時間が…時間が足りないっ!!!)
心臓の具合が、良くならない。余命は長くとも半年。それまでに決着をつけなくてはいけ
ないのに。
焦る気持ちを抑える為、胸を抑える。
(…うん。まだ、動いてる。大丈夫、大丈夫。)
 と、その時…携帯が鳴り始めた。
「もしもし、ののちゃん?」
『あっ!まこっちゃん!』
希美からだ。険しかった麻琴の目が、緩む。
61 名前:第七十五話 投稿日:2003年01月31日(金)14時02分18秒
『どうしたんれすか?もうずっと学校にきてないのれす。』
「ごめんね〜。ちょっと、風邪こじらせちゃってさ。」
『う〜ん、今年のカゼはタチがわるいって、なつみおねーちゃんもいってたのれす!』
「ホンット性質悪いよ〜。」
しかも本当は風邪じゃなくて心臓病なんだから、もっと性質が悪い。
「…ま、治ったらソッコーで学校行くから、それまで待っててよ!」
『りょーかい!なのれ〜す!…それじゃ、アッカしちゃいけないから切るのれす!お大事
に〜、なのれ〜す。』
「おー!」
携帯を切って、深いため息。
(…もしかしたら、もう二度と学校には行けないかも知れないのに、あんな事言っちゃっ
て…私、嘘吐きだ。)
麻琴は、パソコンに向かった。そして、メールを作成する。
 命が尽きるまでに、やれる事は全てやっておかなければならないのだ。
 あの世で、胸を張って愛に会う為に。
62 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月31日(金)14時02分56秒


 今回はあまあまないですねぇ。しかも短いし…ですが、急展開です(笑)。

>ヒトシズク様
 ニイニイも、悩み多き乙女なのれす(笑)今回、いしよしどころかあまあますら出てき
てません(泣)ううう、書きたいのにぃ〜。
 がんばりますね!どうぞよろしくっ!!

>名無しどくしゃ様
 喜んでいただけたようで…よかった☆風邪は大丈夫です!バリバリ元気です!!ありが
とうございまっす☆名無しどくしゃ様もお気をつけてくださいね〜!

>ななしのよっすぃ〜様
 まさえっちょのハリセンは、ヒネリが効いててなかなかイタイと言う噂ですが…実際は
いかがなんでしょうか(笑)。興味津々です。

>一読者様
 んっふふふふ☆その辺、色々考えてます♪最初はやぐちゅーにするつもりなかったんで
すけど、気が付いたらなってました(笑)姐さんパワー!?
63 名前:クロイツ 投稿日:2003年01月31日(金)14時03分49秒
レスの続きでっす♪

>まるみ様
 あやっぺ、実は一回出しました(笑)名前出てないけど(爆笑)いつぞやの、店員・吉
澤さんに色目を使ったマダムが、実は石黒さんです。…皆様、覚えてないですかね?
 そして…おい!ヨッスィー!!まるみ様落胆なさったって!
(;0^〜^)<も…申し訳ございません…。

>どっかのセーラム様
 どーもー!はじめましてっ!!ありがとうございます!そう言って頂けると、本当に嬉
しいでっす♪
 がんばりますので、どうぞよろしくお願いします☆

>あおのり様
 姐さんは暴れん坊。コレ鉄則(笑)。扉の外では、メイド達も盗み聞きしてました。そ
して窓の外ではアヤカさんも盗み聞きしてました。
 いしよしあまあま書いてると、なんでこんなにも癒されるんでしょうか…。
64 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年01月31日(金)18時51分24秒
マコたん(;´Д`)ハァハァ
心臓病苦しそう…・゚・(ノД`)・゚・
受話器壊しちゃうあややコワイヨでも可愛いよ
こ、これからどうなるんでしょうドキドキ
65 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年01月31日(金)22時10分50秒
クロイツさま
更新、お疲れさまです。
あややにまた人波乱ありそうな予感。悪い予感ほど良くあたります。
あややは最後まで見捨てませんが、あまりよそみをしているとまさえっちょ(10kg減量に成功)のハリセンが...。この後頭部への一撃は全盛時のアントニオ猪木の延髄蹴りなみの威力があります。(笑)
ところで、七十五話まで保存させていただいたところで、400字詰めの原稿用紙に換算してびっくり1150枚分ぐらいの分量でした。
ほんとにお疲れさまです。
これからも更新楽しみに待ってます!!

PS:まとめたものをZIP形式で圧縮してUPしました。
66 名前:ごまべーぐる 投稿日:2003年02月01日(土)05時33分48秒
>「何やっとんねん、ガキャァァァァァァァァァァァ!!!!!」

>扉をけり破って入って来たのは…中澤裕子であった。

軽〜く器物破損な姐さんに萌え。 从 #~∀~从<ちぇッ!

まさえっちょ、10キロも痩せたんですねぇ。
何か、最近やけに細いなとオモタラ…。
そういや、オリコン最新号のメロンインタビューで、
『メンバーのここがカワイイと思うところ』って質問で、まさえっちょは川σ_σ|| について
(`_´)<前歯! 
って言ってましたよ。『前歯かよッ!』と本屋で立ち読みしながらツッコんでしまいますた。


67 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月01日(土)09時46分22秒
おぉ・・・浮かれモード全開の梨華ちゃん&あいぼん見てみたいですね〜^^
いやぁ、まりっぺ思いつめた表情・・・何かありそうですね^^
そ・れ・にしても!あやや、ある意味ですごいです・・・電話壊すなんて・・・(そこかいっ!!!)
あややの行動が気になりますね・・・
次の更新楽しみに待ってます♪
がんばってください!応援してます!
68 名前:あおのり 投稿日:2003年02月01日(土)17時39分39秒
あややが危険モードに…何かやばい展開が
あやや、早まったことをしないでくれ!
マコ、あややを止められるのは君しかいない!
マコ!イ`(涙
69 名前:まるみ 投稿日:2003年02月02日(日)19時31分26秒
あややがまた波乱の種を・・・
マコちゃん、何とかあややを助けてくれ!
70 名前:第七十六話 投稿日:2003年02月03日(月)09時31分33秒

 「ホワイトデー企画、開始ですわ!」
里沙は、会議の席でそう高らかに宣言した。その隣には、ひとみとあさ美の姿も見える。
「バレンタインデー企画は、ここの紺野あさ美さんのおかげで大成功致しました。なんと、
並み居るお菓子業者達を引き離して我が石川家がダントツの売り上げを獲得!」
おー、と言う声と同時に拍手が起こる。あさ美は恥ずかしそうに頭をかいた。
「そしてホワイトデー企画は…こちらの吉澤ひとみさんのアイデアを採用いたします。」
重役たちの目が、キラリと光る。
 ひとみが、梨華の婚約者だと言う事は周知の事実。それなのでひとみは今、男物のスー
ツで会議に出席している。
「はい。」
立ち上がって、会議室を見渡す。厳しい視線がひとみに注がれた。
(…お手並み拝見、ってやつかね。)
にらむような表情の重役たちに、ひとみはにっこりと微笑んで見せてから口を開く。

「ホワイトデー企画のキャッチフレーズは、『素直になれないあなたへ』です。」

里沙の顔に、会心の笑みが浮かぶ。そして、重役の一人が手を上げた。
「どうぞ。」
71 名前:第七十六話 投稿日:2003年02月03日(月)09時32分17秒
「それは…男性側の話かね?それとも女性側の話かね?」
「両方です。」
「…両方?」
「はい。」
ひとみは、紙袋の中から五つのサンプルを取り出した。
「これが、サンプルです。右から、キャンディー、マシュマロ、クッキー、グミ…そして
最中です。」
会議室がざわめく。まさか最中が出てくるとは思わなかったのだ。
 ひとみはそれを無視して続ける。
「そして、この五つのお菓子の包み紙の裏側には、メッセージが入っています。」
「どんな?」
「・・・・・・。」
口に出すのは恥ずかしいようで、ひとみはちょっと赤くなって黙る。
「…み、皆様にお配りしますので、どうぞご自分の目でお確かめ下さい…。」
それと同時に、手伝いの女子社員が出席者全員にサンプルを配る。それと、使い捨ての皿
も。
 包み紙を解くと、『愛してる』等の愛の言葉がわらわらと出てきた。
 重役全員、思わず顔を赤くして絶句する。
「…コレが、今回のメイン商品です。」
72 名前:第七十六話 投稿日:2003年02月03日(月)09時32分54秒
「質問。」
「はい、どうぞ。」
「男性側がこれを言えないのはわかる。だが…何故コレを受け取る側の女性にも『素直に
なれないあなたへ』となるのだ?」
ひとみは微笑む。
「面と向かって告白されると、照れのあまり思わず素直ではない態度を取ってしまう女性
もいます。だけどこれならば、素直に受け取る事ができるのではないでしょうか?」
重役達から、感心の声があがった。
「…他に、ご質問は?」
里沙の言葉に、重役達は全員黙る。手は、一本もあがらなかった。
 里沙は満足そうに微笑んだ。
73 名前:第七十六話 投稿日:2003年02月03日(月)09時33分33秒


 会議室から一番最後出てきたひとみに、外で待ち構えていた梨華が駆け寄る。
「ひとみちゃんっ!」
「え!?梨華ちゃん!?」
抱きついて来た梨華の背中に手を回し、ぎゅっと抱擁。
「…なんでここに?学校は?」
ここは、石川家の飲食関係部門の本社である。
「えへへ…抜け出して来ちゃった。」
よく見れば梨華は制服姿だ。
「梨華ちゃ〜ん…駄目じゃん!ただでさえ梨華ちゃんは二ヶ月近く休んでるんだから。」
「だってだって!」
梨華は上目遣いで、ひとみを見上げる。
「会議の時って、スーツ着るって聞いたんだもの!…見てみたくなっちゃって…。」
そう言うなり、もう一回ひとみに抱きついて顔を隠す。
「…ひとみちゃん、素敵♪」
「梨華ちゃん…。」
「こんなに素敵な姿、重役達や里沙に先に見られてたなんて…なんか嫌だな…。」
「え?」
「わたしが、一番先に見たかったな。」
74 名前:第七十六話 投稿日:2003年02月03日(月)09時34分18秒
ひとみは梨華を、ぎゅっと抱きしめた。
「…ごめん。」
「ううん。いいの。…ねえ、ひとみちゃん。」
「ん?」

「キスして?」

ひとみは気が遠くなりそうだった。
「…こ、ここで!?」
「うん。駄目?」
「いや、あたし的には駄目ってワケじゃ…」
そう答えた瞬間、後頭部に紙の皿(十五枚重ね)がぽこっと命中。
「!?」
驚いて振り返ると、そこには里沙の姿があった。
「…吉澤さん。スーツを着ている時の一人称は『僕』または『私』ですわよ。」
「ぅあっ!里沙ちゃんゴメン…。」
「いえ。気を付けて下さいませ。…それから、梨華お姉様。」
「へっ!?」
里沙は梨華につかつかと近寄り、指先で頬に触れる。
「…そんな顔しなくても、吉澤さんを盗ったりはいたしませんわよ。ご安心なさって。」
「・・・・・・。」
(嘘っ!!か、顔に出てたの!?)
「それでは、私はちょっと服飾部門の本社をのぞきに行って来ますわ。吉澤さんは、今日
はこれでフリーでしてよ。」
75 名前:第七十六話 投稿日:2003年02月03日(月)09時34分53秒
中を向けてキビキビ歩く里沙を見ながら、梨華とひとみは思った。
((仕事できそう〜って感じ…。))
実際、バリバリ出来ちゃう中学一年生なのであった。
「…あ、そうそう。吉澤さん。」
「えっ?」
いきなり振り返った里沙に、心を読まれたかと思って心臓を押さえるひとみ。
 そんなひとみに、里沙は笑顔で言った。

「『Tochter.』二号店、三月一日にオープンさせますわ。」

「へっ!!?そ、それって…り、りんねさんを独立させるって事!?」
「もう大丈夫だ、と報告を受けております。」
「…だ、大丈夫そうだけど…確かに…。」
「その旨、吉澤さんのお姉様にお伝え下さいませ。もうそろそろ、開店準備を始めなけれ
ばなりませんわ。」
「だけど、いくらなんでも時間がなさ過ぎるよ!」
「大丈夫。店の準備はもう整っております。あとは、応募者の中からりんねさんが従業員
を選ぶだけですわ。」
それだけ言い残して、里沙は今度こそ去って行った。
76 名前:第七十六話 投稿日:2003年02月03日(月)09時35分33秒
「・・・・・・。」
呆然とするひとみを見て、梨華は頬を膨らます。
(もうっ!)
梨華は背伸びをして、ひとみの頬にちゅっと唇を付ける。
「!?」
これまた驚いて梨華を振り返ったひとみに、梨華は優しく微笑んで…そして、目を閉じた。
ひとみは周囲をきょろきょろと見回して見て、誰もいない事を確認。
「・・・・・・。」
触れるだけの甘いキス。
 ひとみの頭の中は、梨華でいっぱいになった。
 梨華はそれがわかって、心の中をひとみでいっぱいにした。
 唇が離れた瞬間、ひとみは現実に戻る。
(早いトコ、なつみ姉ちゃんに連絡しなきゃ…。)
携帯を取り出したひとみに、梨華はまた頬を膨らませた。
77 名前:第七十六話 投稿日:2003年02月03日(月)09時36分06秒


 美貴は、廊下で雅恵を見かけると…早足で近寄った。
「こんにちは、大谷さん!」
「ああ、藤本様…そんなに走ると、また転んでしまいますよ?」
「…きゃあっ!」
やっぱり転んでしまった。雅恵は慌てて駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
「す、すみません…。」
雅恵に手を借りて立ち上がる美貴。その顔は真っ赤だ。
「・・・・・・。」
雅恵は、じっと美貴の顔を見る。
「…お、大谷さん?」
「あなたを…」
雅恵の目が、切なげに細められる。美貴の心臓が跳ねた。

「あなたを好きになっていたら、私は…こんなに苦しい想いを抱えて生きて行かなくても
済んだんでしょうね…。」

「え…っ?」
雅恵は正気に返ったようにはっとして、口を押さえる。
78 名前:第七十六話 投稿日:2003年02月03日(月)09時36分41秒
「…申し訳ございません。忘れて下さい。」
「・・・・・・。」
(大谷さんは…あゆみさんを想って、いつも苦しい想いをしてるんだ…。)
美貴は、雅恵の手をぐっと掴む。
「大谷さんっ!!」
「は、はい?」

「デートしましょう!あたしと!!」

雅恵の顔が、驚きに染まる。
「…はい?」
「だから、デート!あたしと!」
「…ええっと…その…」
「このお家の、庭でも良いんです!一緒に歩きましょう!!」
美貴には、なんで自分がこんな事を口走っているのかわからない。ただ、雅恵を励まさな
くては、と思っていただけなのに。
(あ、あたしってばぁぁぁぁぁ!!!なんて大胆な事をぉぉぉぉぉぉ!!!!)
そう思いつつ、雅恵の手を掴んだままぎゅっと目をつぶる。心臓は、今にも破裂しそうな
程に跳ねている。
 そんな美貴を見て、雅恵は苦笑した。
「…わかりました。庭に行きましょう。」
美貴は赤い顔をもっと赤くして、こくこくと頷いた。
79 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月03日(月)09時37分20秒


 サラリーマン吉澤。これが書きたかったのれす。
 しかし、会議に出席した事は皆無なので、どのように進めるのかわからなかったのれす。
 なので、会議のシーンはけっこー適当なのれす。
 社会人の皆様、間違ってたらgふぉめんなさいなのれす…。

>名無しどくしゃ様
 受話器ってけっこーモロいんですよね…私は昔、踏み壊した事あります(笑)その経験
がこんな所で役に立つとは…。

>ななしのよっすぃ〜様
 ま、まさえっちょのハリセン、そんな威力があるんですか!?うう〜ん、ななしのよっ
すぃ〜様のお体が心配です…。
 いつも保存、ありがとうございます!知らない間にそんなに書いてたのか…ビックリ!

>ごまべーぐる様
 梨華お嬢様の部屋の扉、軽く五キロはあるんですが…姐さんの脚色はスバラシイ。
 まさえっちょ…十キロも痩せたとは…私も驚きました。
80 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月03日(月)09時38分05秒
レスのつづきです♪

>ヒトシズク様
 今回は梨華ちゃん膨れてます(笑)そして今回の浮かれモードはニイニイ&ミキティ!!
いかがでしたか〜?ニイニイ、何気に浮かれております。
 ありがとうございます、がんばります!!

>あおのり様
 あやや暴走中でごじゃいます。早まった事…するかも(汗)
 まこっちゃん、けっこーなキーパーソンっつーか重要人物っつーか…。
 とにかく、見守っててくださいませ!!

>まるみ様
 あややはもう、波乱を呼ぶお方ですから(笑)この先どうなるのか、見守っててやっ
てくださいませ☆
81 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月03日(月)13時01分54秒
スーツ吉澤キターーー!
デキるビジネスマンっぽくてカッケーっす。
ここの美貴タンは何とも可愛いですなぁ。そしてせつない・・
今、いしよしの次に気になって来ましたw
まさえっちょに気持ちが伝わることを願っておりまする。
82 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月03日(月)21時14分11秒
おぉ!新垣さん何気に浮かれモードですね^^
サラリーマン吉澤っ!想像しただけでかっけーすぎて・・・
スーツで微笑む吉澤さんっ!あぁ、梨華ちゃん幸せですねぇ〜・・・^^
クロイツ様(師匠!)の書かれるいしよしを見てると微笑んだりしてしまいます^^
ほのぼのでいい感じです^^さすが師匠!!!
今回の美貴ちゃんは可愛いくて、切ないですねぇ〜・・・
大谷さんにキモチが届くことを祈っております。

次の更新楽しみにしてます!
頑張ってください!
応援してます!師匠っ!!!
83 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月03日(月)23時25分06秒
スーツキター(0^〜^)ーッ!!
モー。たいを思い出しますなぁ…
大谷さん…ガンガレ!!
84 名前:プチひとむ 投稿日:2003年02月04日(火)00時13分51秒
スーツなよっすぃ〜……萌えっ!!!!!!いいです、最高です!!!!!
85 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時33分00秒

 あゆみは、気分転換に庭を散歩していた。
「・・・・・・。」
そんなあゆみの前方に見えるは、美貴と雅恵。
(…くそぅ、大谷のヤツぅ。『藤本様をそのような目では見れません』とか言ってたクセ
にデートとは…うらやますぃ〜!)
こっそりと物陰に潜み、遠くから二人を盗み見る。
「…い、良い天気ですねっ!大谷さんっ!!」
「そうですね…ですが藤本様、大丈夫ですか?寒くありませんか?」
「大丈夫です!こ、コート着てますし…。」
会話は、なんとか聞き取れる。
 他愛もない世間話を続ける二人を盗み見ながら、あゆみは思った。
(…何やってんだよ私は…。)
これは立派な『盗み聞き』もしくは『盗み見』である。
 あゆみは、二人の前に姿をあらわそうかとも思った。ここは柴田家の敷地内なんだし、
あゆみがどこにいても不思議はない。
86 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時34分11秒
 だが、顔を真っ赤にして幸せそうに話している美貴を見ていたら、そんな事をして二人
きりの時間をブチ壊すのが可哀想になってしまった。
 かと言って立ち去ろうとすれば、気配の動きから確実に雅恵に見つかる。
(律儀な大谷の事だもの。絶対『あゆみ様も一緒に』とか言って来るに決まってる。そう
したらミキティが可哀想じゃない。)
そう思って、動けないあゆみであった。
「…やっぱり、あたしと二人では…楽しくないですか?」
美貴の寂しそうな声が聞こえて、あゆみははっと顔を上げる。
「いえ…そんな事は…」
「…あたし、わかってるんです。大谷さんに好きな人がいるって事。」
「え…?」
「わかってて、告白したんです。」
その美貴の言葉に、あゆみもちょっとビビる。
(嘘ぉん!!私全ッ然気付かなかったのにぃ!!)
「…い、いつから?」
雅恵の焦った声。あゆみですら(うわっ珍しい!)と思ってしまう。
「…初めて、会った時からです。病院の、リハビリ室で…。」
(な、なんであそこでわかっちゃったの!?)
あゆみにはサッパリ見当がつかない。
87 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時34分50秒
「あのナースに惚れてたとか?…いや、あの病院は初めて行く所だったし…はっ!!もし
かして大谷は前あそこに通ってて、その時惚れたとか!?)
全然違う。
 自分の恋心には敏感なあゆみだが、他人から向けられる恋心にはとことん鈍感なあゆみ
であった。
「あたし、あの時…大谷さんに一目惚れしたんですよ?」
「・・・・・・。」
「それなのに大谷さん…あゆみさんしか見てないんだもん。」
(…んあぁ!?)
あゆみが思わず身を乗り出しかける。

「…大谷さん、あゆみさんが好きなんでしょ?」

ばきっがさがさがさっずどっ
「うぎゃっ!!」
近くの茂みから、あゆみが転がり出て来た。
「「!!?」」
驚く美貴と雅恵に、枯葉まみれになったあゆみは…引きつった笑顔で手を振る。
「…ぐ…ぐーてんた〜く♪」
「「・・・・・・。」」
88 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時36分05秒
『しまった!』と言う表情で口元を押さえる美貴に、ただただ驚愕の表情の雅恵。
(聞かれた…!!?)
雅恵の頭は、それでいっぱいだった。
 次に雅恵の頭に浮かんだのは、『誤魔化さなくては』と言う言葉。
「あ…あゆみ様、私は…!!」
「・・・・・・じょ、冗談よね?」
あゆみは引きつった笑顔のままで言う。
「だ、だって…だって大谷は、私の過去の恋人達も全員知ってるくらいだし…と、特にそ
れについて口を挟んで来た事もなかったし…。」
そう。『ひとみを囲うから、マンションを一室用意しろ』と言った時だって、雅恵は無表
情に『かしこまりました』と言っただけだった。
「嘘よね…?み、ミキティの勘違い…そうよね?大谷!」
「・・・・・・。」
雅恵の顔が、苦渋に染まる。美貴はこれ以上ない程に真っ青な顔色をしていた。
 雅恵は、キッと顔を上げた。
「藤本様の言われた事は…本当です。」
「!!?」
89 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時36分42秒
「お、大谷さん!!?」
雅恵はあゆみに近付き、枯葉のついた髪に触れる。
 ビクッとなるあゆみに、ちょっと苦笑した。
「藤本様、席を外して頂けますか?」
「は、はいっ!!…あの…ご、ごめんなさっ…ごめんなさいっ!!!」
そう言い残して、美貴は走り去って行った。
 それを確認してから、雅恵はそっとあゆみを抱きしめた。
「お…おたに…!!」
「あゆみ様。」
「っ!!」
逃れようとするあゆみを、ぎゅっと抱きしめる。
「このまま…お聞きください。」
「…な、なにを、よ!!」

「幼少の頃より、あなただけを…誰よりも何よりも愛しておりました。」

「・・・・・・。」
「一生…胸の内に閉まっておくつもりでした。この想いは叶わない。私は、覚悟しており
ます。だから…あゆみ様は、何も気にしなくてもよろしいのです。」
90 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時37分13秒
あゆみの目は、驚愕に見開かれたままだ。
「いつか、あなたは…相応しい方と結婚されるでしょう。私もそのお相手の選定に加わっ
ておりますし…候補者も、だんだんと育って来ております。」
「・・・・・・。」
「だから…忘れて下さい。」
「わ、忘れられるわけないじゃない…こんな事…。」
雅恵はふっと、目を閉じた。
「そうですか…。」
そしてあゆみを離すと、深々と頭を下げた。

「それでは私は、今日限りであゆみ様の前から消えます。」

「なっ…!!」
「今まで、ありがとうございました。」
それだけ言って、あゆみに背を向ける。あゆみの頭は事態について行けず、ただただ呆然
とするばかり。
はっと正気に返った時には、もう雅恵の姿は見えなかった。
91 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時37分48秒


 亜依は、学校が終わると同時に車に乗り込み、圭の家に向かう。
「圭さ〜んっ!!」
教えてもらった暗証番号でオートロックを解除し、扉の前でベルを押しながら叫ぶ。
 いつもだったら五秒以内には開く扉が、今日は十秒経っても二十秒経っても開かない。
「?」
亜依は首をかしげた。
(どうしたんだろ、圭さん…。はっ!!も、もしかしてっ!!中で死んでたりしてっ!!)
「け、圭さんっ!!?圭さぁぁぁぁんっ!!」
扉をガシガシ叩いていると、ようやく鍵が開いた。
「圭さんっ!!!」
迷わず扉を開けると…そこにいたのは…。

「あら、圭ちゃん。小さなお客さんよ?」

見た事のない、女。
しかも女は、素肌にバスタオル一枚だった。
「・・・・・・。」
亜依は絶句して、持っていた紙袋を落とす。
92 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時38分28秒
「…ん?」
寝ぼけたような声と共に、ジャージ姿の圭が顔を見せた。
「…っ!…〜〜〜〜〜〜っ!!!」
声にならない声を出しつつ、亜依はじりじりと後退する。目に涙が浮かび、バスタオル一
枚の女とジャージ姿の圭の姿がぼやけた。
「もしかして、この子?噂の『ペット』は。」
「な…っ!!」
「キャンキャン圭の周りをうろつく、ワンちゃんみたいな子って…評判よ?」
「わ、ワンちゃ…!!?」
 亜依は、あまりの事に震えだした。
(何なのよ、この女!!!ヒトの恋人の家にズカズカあがりこんだ挙句、亜依の事を犬呼
ばわり!!?)
亜依のプライドは、著しく傷つけられた。
「…黙って聞いてりゃ、言いたい放題…!!そーゆーあんたは誰なのよっ!!」
「私?私は、前田有紀。」
前田有紀と名乗った女は、不敵に言い放った。

「圭さんの、本当の彼女よ。」

「・・・・・・っ!!!」
亜依は目を見開いて、寝ぼけ眼の圭を見る。
「け…圭さ…」
93 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時39分07秒
「…ピンク色の象さんが…」
完全に寝ぼけている。
「圭さんっ!!圭さんってば!!!」
「・・・・・・。んう…?」
ようやく正気に返ったように、圭は目を見開いた。
「あ…亜依っ!!!?」
微妙に声が上ずっている。
「どーゆー事よ!!」
「いや、どーゆーって…」
「昨日の夜、三年ぶりに再会してね〜♪意気投合して、ヨリ戻したんだよね、圭ちゃん♪」
「んなっ!!?」
驚きの顔で有紀を見るが、有紀はニヤケたまま続ける。
「あぁ〜んな事やこぉ〜んな事までしちゃったクセにぃ♪今更なかった事にはできないよ
ねっ♪」
94 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時39分38秒
「け…い…さん…!?」
「・・・・・・。」
視線をさまよわせる圭を見て、亜依の涙がどばっと流れる。
「うわあああああああああああああああん!!!」
力の限りそう叫んで、落とした紙袋を圭に向かって投げつける。紙袋は圭には届かずに、
廊下に転がった。

「圭さんのばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「ちょ、ちょっと待った、亜依!アタシの話を…」
圭の部屋の扉は勢い良く閉められ、亜依は全速力で逃げ去った。
 それ以外、できる事がなかった。
95 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時40分17秒


 一方こちらは、石川邸の梨華の部屋。
 ひとみは、ほほを膨らませた梨華を抱きしめながら困っていた。
「梨華ちゃ〜ん。機嫌直してよ〜。」
「ふんだっ!どーせひとみちゃんは、わたしなんかよりもお仕事の方が大切なんでしょ?」
「そ、そんな事ないってば!」
ぎゅっと抱きしめるが、梨華は抱き返してくれない。
「…も〜、梨華ちゃんってば。」
ひとみはいったん梨華を離し、ふー、とため息をつきながらネクタイを緩める。
「・・・・・・。」
梨華はそんなひとみに一瞬見惚れる。
「…ん?梨華ちゃん?」
見つめられている事に気がついたひとみが言うと、梨華はまた思い出したかのように顔を
逸らす。
 ひとみは背広を脱いでソファーに投げ置くと、もう一度梨華を抱きしめる。
「…仕事を頑張るのは、梨華ちゃんがほしい為なんだよ?」
「・・・・・・。」
96 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時41分02秒
「本当は、仕事も学校も何もかも放り出して…一日中梨華ちゃんを抱きしめてたい。だけ
ど、それじゃあたしはいつまで経っても石川家の人たちに認められない。」
梨華はようやく、ひとみのシャツをぎゅっとつかむ。
「欲張りかも知れないけど、あたしは…梨華ちゃんの周囲の人たちに認められたい。それ
で、その上で…胸を張って梨華ちゃんを手に入れたい。その為には、仕事を頑張らなきゃ
いけないんだ。」
「・・・・・・。」
「わかってくれる?あたしは、『梨華ちゃんよりも仕事が大事だから仕事をしてる』んじゃ
なくって…『梨華ちゃんが全部欲しいから仕事を頑張ってる』んだって。」
梨華は唐突に、ひとみの唇を奪った。
「んん!?」
梨華からのキスにしては珍しく、梨華の方から下を入れて来る。
 だけど、なんとなく不慣れであるのは否めない。そりゃそーだ。いつもこういうキスは
ひとみからするのだから。
 ひとみは、不器用なそれを受け入れた。
97 名前:第七十七話 投稿日:2003年02月04日(火)18時41分38秒
「…ぷはっ!」
梨華は真っ赤な顔で唇を離す。
「…こ、こーゆーキスって…難しいのね。」
「そうかな。」
「…キモチ良かった…?」
「もちろん。」
「…う、嘘つかないでよぉ。」
「嘘じゃないよ。」
ひとみはぎゅっと梨華を抱きしめる。

「梨華ちゃんになら、何されてもキモチ良いんだよ。あたしは。」

顔を真っ赤にした梨華は、ひとみにぎゅーっとしがみつく。
「…それじゃ、わたしが…女王様みたくムチでひとみちゃんをぶっても…キモチ良いの?」
「きっと、キモチ良いだろうね。」
「それじゃ変態じゃないっ!ひとみちゃんっ!」
「大丈夫。相手が梨華ちゃんじゃなきゃ全然キモチ良くないから。」
「・・・・・・。」
「これって、愛してるって事。」
梨華は返事の代わりに、もう一度ひとみの唇を奪った。
98 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月04日(火)18時42分12秒


 柴田家とやすかごは、なんだか大変な事になってしまいました。いしよしはこんなんで
すが。
 そして…買いましたよ、あややのCMのシャンプー&コンディショナー!!
 姉が『プチセクシー』私が『プリキュート』を、それぞれ同じ日に違う場所で買ってし
まった為、我が家には二つともあるんですね〜。嬉しいんだか悲しいんだか。
 いや…嬉しいんですがね(笑)

>名無し読者様
 今回はスーツ吉澤、ネクタイ緩めております。上着脱いでおります。ミスター吉澤、もっ
かい見たいなぁ…今度はチャーミーさんと共演して頂きたい。
 ミキティは…今回、爆弾投下してくれちゃいました…(笑)

>ヒトシズク様
 ニイニイ、最初とずいぶんキャラ変わってしまいました…(汗)もっと無邪気な乙女にす
るつもりだったのにぃ…。
 師匠だなんてそんな…いやん(照)今回のいしよしはいかがでしたでしょーか?

>名無しどくしゃ様
 大谷さん、どうなってしまうのかぁぁぁぁっ!!!去り際の背中は、哀愁を帯びていたよ
うです(笑)…モーたい。見てなかった私…(泣)

>プチひとむ様
 んふふ☆今回もまだスーツですわよ☆スーツ吉澤、評判良いみたいでヨカッター♪
99 名前:まるみ 投稿日:2003年02月04日(火)20時20分45秒
おおたに〜〜〜〜!!!
出ていってしまうんかー!
漫才コンビは解消か?
柴田家&アイボンはシリアスなのに、相変わらずのラブラブなお二人も良い。

100 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月04日(火)21時24分55秒
おぉたにぃぃ〜!!!
言っちゃうのか!?と気にしながら読んでいたら・・・なんか微妙です^^;
何か気になりますね〜・・・大谷さん。
驚いてる柴っちゃんも可愛いです!
いしよしっ!
あまあま〜^^
見てる方がとろけてしまいそうです^^;
この2人が幸せに結ばれることを祈っております。
101 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月04日(火)21時27分23秒
マサオ!!マサオォオォオ!!!
切ない切ないです作者様!
大柴萌えです!鼻血ダラダラ最高です。
102 名前:チップ 投稿日:2003年02月04日(火)21時33分55秒
まさえっちょ・・・本当なら涙が止まらないとこだったのに
転がる柴ちゃんが頭から離れず・・引き笑いって苦しいですね。
かなりツボだったのでしばらく柴ちゃんを見る度発作に襲われそうです。
103 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年02月04日(火)23時40分39秒
テスト・レポート終わってゆっくり愛読!
いや〜癒されますね〜
久々に読んだら、いしよしイチャつきまくりだし(嬉)
超絶お嬢様梨華ちゃんがSMプレイをご存じとは…(笑)
ミキティはあややの怒りも露知らずに恋愛モード…
いやはや楽しみの一言です
104 名前:あおのり 投稿日:2003年02月05日(水)13時36分31秒
ゆきどん登場で圭ちゃんピーンチ!
新たな修羅場のヨカーン。
柴田家でもどうなるのか気になるところ。

よしいしさんあんたらこんな時にな〜にやってんの!(w
105 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月05日(水)17時17分56秒
お圭さぁぁぁぁぁん!!!
どういうことっすかこれは??
あぁ、あいぼん…。
これって破局の危機ってやつですかい??
106 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月05日(水)18時00分43秒
クロイツさま 更新お疲れさまです。
まさえっちょ、何処に行ったんでしょう?
最近はハリセンで叩かれないと仕事をする気力が...。
川σ_σ|| < 信じる事にするわ 二人の運命♪
あゆみちゃんとまさえっちょの運命は、信じられるんでしょうか?
( ^▽^;)<ひとみちゃん、変態じゃない!
(0^〜^) <梨華ちゃんだけだよ〜
こっちは、いつでも甘々ですね。最高です!
では、続きも期待して待ってます!!
107 名前:第七十八話 投稿日:2003年02月06日(木)00時12分51秒

 「・・・・・・。」
あさ美は、真希の落とした懐中時計を見て固まった。
「あさ美?どうし…」
真希が振り返り、あさ美の手の中にあるモノを確認し…硬直した。
 あさ美が見ていたのは、金色の懐中時計。
 その文字盤の裏には…梨華の写真が隠してあるのだ。
「・・・・・・。」
真っ青になって硬直するあさ美を前に、真希の顔も青くなる。
「いや、その、なんて言うか…」
「・・・・・・。」
「これは…大した意味はないんだ!ただちょっと、取り忘れてただけで…」
「・・・・・・。」
「あ…あさ美?」
あさ美の手から、懐中時計が転がり落ちる。あさ美は貧血を起こしたかのように、ふらり
とよろけた。
「あ…!」
慌てて支えようと出された真希の手を、あさ美は思わず拒否する。
「あさ美…?」
「…〜〜〜〜〜〜っ!!!」
涙目になって、真希を見上げるあさ美。
「…どう言う…事、ですか…?」
「どう言うって…そ、それは…。」
「梨華お嬢様の事、好きだったんですか?」
「・・・・・・まぁ…昔…。」
「どのくらい?」
108 名前:第七十八話 投稿日:2003年02月06日(木)00時14分06秒
真希は観念したようにため息を吐き、口を開く。

「…すごく、好きだった。梨華お嬢様以上に好きになれる人なんて、この世にいないと思っ
てた。」

あさ美は、真希に背中を向けて駆け出した。
「ちょ…!!ま、まだ話は途中で…!!」
「聞きたくありませんッ!!!」
「あさ美!!」
すぐさま追いついて、あさ美の腕を掴む真希。
 あさ美は、大量の涙によって濡れた顔を真希に向ける。
「私は、嫌です。梨華お嬢様を忘れる為の道具なんて…!!」
「ち、違う!!そうじゃなくて私が言いたいのは…」
「真希さんの事、愛してます。」
真希は絶句する。そんな真希の手を振り払って、あさ美は後退した。
109 名前:第七十八話 投稿日:2003年02月06日(木)00時14分43秒
「だから…私、わがままになっちゃってるのかも知れません。だけど…だけど…!!」
「あ、あさ美…」

「二番目なんて嫌…!!一番に…真希さんの一番になりたい!!」

それだけ叫んで、あさ美は真希に背を向けて走り去った。
「・・・・・・っ!!!」
真希は、懐中時計を踏み壊した、梨華の写真ごと。
(…だけど、あさ美に出会って…私は、梨華お嬢様以上に人を愛する事ができたんだ…。)
あさ美が言わせてくれなかった言葉の続きを、心の中で言う。
 しかし、あさ美には届かなかった。
110 名前:第七十八話 投稿日:2003年02月06日(木)00時15分17秒


 あゆみは、邸中を駆け回った。
「大谷!!!大谷!?」
しかし、雅恵は見つからない。
「あいつ…!!本当に姿消しやがった…!!!」
壁にもたれかかってそう呟くと、なんだか涙がこみあげて来た。
「…私だけを、愛してた…だって!?」
がしっと壁を殴る。
「ワケわかんない!!全然そんな素振りもみせなかったクセに!!」
実は結構見せてたのだが、あゆみが気付いてなかっただけである。
「どーすんのよ、大谷に今まで任せてた仕事!!大谷以外にやらせられるよーなモノは、
何ひとつとしてないのよ!!?」
 そう。雅恵がいなくなると、あゆみは困るのだ。
 それは、初めて思い知らされる事実。
「・・・・・・っ!!!」
今まで、雅恵がいるのが当たり前だった。
 普段は存在するのが当たり前。だけど、なくなったら困る存在。

「…空気みたい。」

あゆみはそう呟いて、へなへなと床に座り込む。
「生きて、行けないじゃない…空気がなくなっちゃったら!!」
111 名前:第七十八話 投稿日:2003年02月06日(木)00時15分51秒
そして、力の限り叫ぶ。
「みっちゃ──────────────────────────────ん!!!!!」
「ほいほいっ?」
天井から、みちよがにゅっと顔を出す。
「そんなでっかい声出さんでも、聞こえるっちゅーねん。…なんや?切羽詰まった顔して。」
するりと廊下に降り立ったみちよに、あゆみは言う。
「みっちゃん、大谷の出身地はどこ!?」
「北海道やで〜。」
「それじゃ、実家は北海道なのね!?」
「それがなぁ…微妙やねん。」
「…微妙?」
みちよは首をかしげる。
「大谷ちゃんが五歳ん時に、大谷ちゃんの母親は再婚しとるんや。…それで、東京に出て
来て…その翌年に、大谷ちゃんの父親違いの妹が生まれとる。」
「うんうん。」
「だけど、大谷ちゃんは十二歳の時に、柴田家の執事見習いとしてココに来たやろ?…そ
れ以来、親とも連絡取ってなかったみたいで…家族がどこにいるのか皆目見当もつかん。」
「・・・・・・。」
あゆみは頭を抱えた。
「もしかしたらまだ都内におるかも知れんし、もしかしたらどっかに引っ越してしまっと
るかも知れん。」
112 名前:第七十八話 投稿日:2003年02月06日(木)00時16分27秒
「みっちゃん…。」
あゆみの目がキラリと光る。

「調べて。お願い。」

「了解♪頑張るから、大入り袋用意したってや〜。」
みちよはスッと姿を消した。
(…逃げられれば追いたくなるのが、人の常…。)
あゆみはフッと鼻で笑った。
「どこまででも追い駆けて行くわよ、大谷…!!!」
血走った目が、これ以上なく恐ろしい。
 こうして、『大谷大捜索』と呼ばれる作戦が発動した。
113 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月06日(木)00時17分06秒


今日はお友達と新宿に行きました。疲れました。
ってなワケで更新更新。短めでごめんなさいです。

>まるみ様
 柴田さんの方は解消する気ナッシングです。大捜索が始まりました。
 スパイみっちゃんの腕にかかっております。

>ヒトシズク様
 今回はいしよしナシです(泣)書きたい〜!書きたい〜!!
 大谷さん、出てっちゃったみたいです。しかし、あゆみ様は諦めておられません。

>名無しどくしゃ様
 あの…ティッシュどうぞ…。鼻血はあなどっちゃいけません。
 大谷さん、どこ行っちゃったんでしょうねぇ。

>チップ様
 転がり出て来たあゆみさん、やっぱりインパクト強かったですか…フフフ☆
 今回の柴ちゃんでは発作起きましたでしょうか?
114 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月06日(木)00時17分48秒
レスの続きでっすきほし

>ラヴ梨〜様
 私も先日、試験とレポートが終わりました。私の場合、あと実技試験が残っております。
 >超絶お嬢様梨華ちゃんがSMプレイをご存じとは…(笑)
 意外に耳年増な梨華お嬢様であります(笑)

>あおのり様
 いしよしのみが安泰…大丈夫です、まだまだ山あり谷あり大谷ありです(笑)
 いしよしあまあま書きたい〜!!

>名無し読者様
 やってくれましたねぇ、ケメ子さん。今回後藤さんもやらかしてくれました。
 確かに危機なんですが…相手が亜依お嬢様ですからのぅ…(笑)

>ななしのよっすぃ〜様
 まさえっちょ行方不明〜♪まさえっちょのハリセンはクセになるらしい、と噂が立っております。
 いしよしあまあま…書きたい〜!!!
115 名前:チップ 投稿日:2003年02月06日(木)00時42分41秒
く・・苦しい・・・(柴ちゃん発作、略して柴ホッ)
柴ちゃんの全てがツボってきたんでもう苦しゅうて苦しゅうて・・・
明石○さ○まさんのような引き笑いで「っひぁー」とか言ったら
たまたま来ていた兄に訝しげな視線を向けられました。シュン・・・

116 名前:第七十九話 投稿日:2003年02月06日(木)16時13分17秒

 亜依の部屋にて。
「うぐっえぐっひぐっ」
「・・・・・・っくっ。」
「亜依お嬢様、紺野様…元気を出して下さいませ…。」
「だ、出せないよぉ…っく、もう、亜依は…亜依は…!!」
「し、知りませんでした…知らなくて、浮かれてて…私、完璧にば、馬鹿みたい…。」
メイド・田中れいなは内心ため息をつく。
(まさか、こんな事態に陥るとは…。)
 昨日の夜、亜依はメイドの詰め所にやって来て、れいなにこう言った。
『圭さんが、肉じゃが食べたいって言ってたの!亜依、作って持って行ってあげたいの!
れいなちゃんお願い、亜依に肉じゃがの作り方教えて!』
幸い、石川家のメイドは明日香の鬼のような指導により、全員家事全般できるように仕込
まれている。れいなも例外ではない。
 キラキラと目を輝かせる亜依を、なんとかして応援したくなり…れいなは昨夜、亜依に
肉じゃがの作り方を教えた。
 そして夕方、亜依を学校へと迎えに行く運転手にその肉じゃがの入ったタッパーを渡し、
任務完了!と思った矢先の事。亜依は泣きながら帰って来たのだ。
117 名前:第七十九話 投稿日:2003年02月06日(木)16時14分30秒
 廊下で座り込んでしまった亜依を、なんとか部屋に帰そうと努力している所に、同じく
号泣しているあさ美を発見。二人は抱き合って泣き始め、れいなは困り果てながら慰めて
いるのだ。
(…てゆーか二人とも、なんで泣いてるのか見当つかないんだけど…。)
そう。肉じゃがは素晴らしい出来だったハズだ。なんせ、明日香の一番弟子とも言われる
れいなが手伝ったのだから。
(それに紺野様も…さっきまでは執事の後藤さんと手ぇつないで幸せそうにしてたのに。)
あさ美と真希の関係は、周知の事実。特に噂好きのメイド達の間では、『バレンタインデー
には、あさ美は真希に手作りチョコケーキを、真希はあさ美にネックレスをあげた』と言
う事まで知れ渡っている。
「…何があったんですか?話せば癒される、と言う事もございますし…私で良ければお話
くださいませ。」
 れいなも一応、プロのメイド。噂は好きだが、秘密は絶対に漏らさない。それを知って
いる亜依とあさ美は、くるりとれいなを見て、同時に抱きつく。
「うおあっ!!?」
118 名前:第七十九話 投稿日:2003年02月06日(木)16時15分19秒
「れいなちゃぁ〜ん!!ひどいんだよ圭さん!!亜依ってモノがありながらぁぁ〜!!」
「田中さぁ〜ん!!聞いてくださいよぉ〜!!真希さんてば真希さんてばぁ〜!!」
「お、落ち着いて!落ち着いて下さいませ!私は聖徳太子ではございませんので、同時に
は聞けませんから!!どうぞ落ち着いて、お一人ずつ!!」
「「うえぇぇぇ〜ん!!!」」
「あ〜もうっ!!落ち着いてくださいってばぁぁぁぁぁ!!!」
落ち着かせるまでに、小一時間かかったらしい。
119 名前:第七十九話 投稿日:2003年02月06日(木)16時15分52秒


 その修羅場に近い亜依の部屋の、すぐ近くの梨華の部屋。
「ひとみちゃん…。」
「梨華ちゃん…。」
ひとみの膝の上に梨華が横向きで座り、見詰め合っていた。
「「ん〜。」」
そして、キス。
 先ほどからずっと、これを繰り返しているのである。
「…そう言えばひとみちゃん、今日は『Tochter.』の店員さんやらなくて良いの?」
「今日は水曜日だから、『Tochter.』は定休日だよ。」
「あ、そっか。」
梨華は顔を赤くしながら、ひとみを見つめる。
「…制服姿のひとみちゃんも、背広姿のひとみちゃんも、私服姿のひとみちゃんも、ジャー
ジ姿のひとみちゃんも、全部素敵で大好きだけど…最近、ギャルソン姿のひとみちゃんを
見てないのよね。」
「あ、そっか。」
「…今度、お店に行くわ。また…あのカフェでひとみちゃんとお茶したいから。」
「うん♪新製品のケーキも出たし…あたしもまた、あそこで梨華ちゃんとお茶したいな。
…そーだ!新製品って言えば…りんねさんのケーキも超ウマいんだよ!」
「りんねさん…?ああ、見習いの人?」
「そう!」
120 名前:第七十九話 投稿日:2003年02月06日(木)16時16分25秒
ひとみはにっこりと微笑んだ。
「『SEXY BABY』って名前のケーキなんだけど…美味しいんだよ〜♪」
「どんなケーキなの?」
「ちょっと変わった、ビターチョコレートケーキって感じ。あと、まだ試作だから店に
出すか決定してないんだけど、『恋人は心の応援団』ってのも作ったんだ。」
「『恋人は心の応援団』!?」
「そう。」
ひとみは梨華をすっと抱き寄せる。
「プレーンのシフォンケーキで、すっごく素朴な味なんだけど…それがなんか、超クセ
になりそーな感じなんだ。素材にもこだわったみたいだし、食べて損はないよ。」
「うん!食べてみたい!!」
顔を合わせて、ちょっと微笑んで…また、キス。
「…こんなに幸せで良いのかしら…。」
唇を離した直後の梨華のつぶやきを聞いて、ひとみはもう一度軽く唇を合わせる。
「…良いんだよ。二十八日間も離れてたんだもん。それにここ数日、あたしも仕事でなか
なか会いに来れなかったし。」
「そうよね。」
また、キス。

「でも…ひとみちゃん、なんでキス以上の事しようとしないの?」

素朴な疑問であった。ひとみがぴきっと固まる。
121 名前:第七十九話 投稿日:2003年02月06日(木)16時17分25秒
「き、キス以上の事って…?」
「えっちとか。」
「り、梨華ちゃんっ!」
「なんで?わたしは…かまわないのに…。」
「・・・・・・。」
「わたし、魅力ないの?ひとみちゃんはしたいって思わないの?」
ひとみは、梨華を膝の上から下ろした。そして肩に手を置いて言う。
「…べ、別に、あたしも、したくないってワケじゃないデスヨ。」
「ならなんで?」
「けじめってモンがあるデショ。」
いきなりエセ外国人風口調になるひとみ。内心の動揺がものすごいらしい。
「けじめ?」
「・・・・・・。」
ひとみは赤い顔で、咳払いしてから言う。
「あたしら、婚約してるよね?」
「うんっ!」
バレンタインデーにひとみからもらった指輪に右手で触れながら、梨華は眩しいくらいの
笑顔を浮かべる。
「婚約する為に、石川家の人達に…ごっちんとか市井さんとか、他の人達にも色々と協力
してもらったよね?」
「うん。」
「だからさ…せめて、そう言うのは結婚するまで控えるってのが、礼儀じゃないかな…っ
て思うんだよ。」
「・・・・・・。」
122 名前:第七十九話 投稿日:2003年02月06日(木)16時18分05秒
梨華は、上目遣いでひとみを見る。
「…もうっ!ひとみちゃんってば律儀なんだから!」
「感謝は忘れちゃいけないよ。」
「まぁ、良いわ。…でも、一つだけ答えて。」
「ん?」

「ひとみちゃん、わたしの事愛してるわよね?」

「もちろん。」
「愛してるからこそ、まだわたしにキス以上の事しないのよね?」
「もちろん。」
「それなら良いの。」
そして、ひとみに抱きつく。
「…覚えておいて。わたしは、ひとみちゃんにならかまわないんだからね?ひとみちゃん
だけだからね?」
「それは…嬉しいな。」
「本当にっ?」
「本当に。」
そして、またキス。
 そこに。

こんこん

「失礼します…。」
珍しく、憔悴し切った表情の真希が入って来た。ひとみは焦って、梨華から離れる。
「ご、ごごごごっちん!!」
梨華は、唇からぬくもりが消えた事に対して不満らしく、頬を膨らませる。
123 名前:第七十九話 投稿日:2003年02月06日(木)16時18分36秒
「…お熱い事で。結構でございますね、ハイ…。」
「ま、真希、どうしたの?いつもの真希らしくないわ。」
「なんでも…ただ、ちょっと…。」
「「ちょっと?」」
真希はふっと窓の外に視線を投げた。

「…懐中時計に隠していた、昔好きだった方の写真を…捨てるの忘れて、それをあさ美に
見られただけです。」

「そ、それ、大事じゃん!!」
ひとみはすくっと立ち上がった。
「すぐにあさ美の所へ行って、誤解を解かなきゃ…!」
「…亜依お嬢様のお部屋に逃げ込まれた…。亜依お嬢様も泣かれていて、今メイドの田中
れいながお相手をしている。」
「ええっ!?亜依も!?…何があったのかしら…。てゆーか。」
梨華は困惑顔で真希とひとみを見つめる。
「真希の昔好きだった方って、誰?わたしも知ってる人?」
『それはあなたです』とも言えず…真希とひとみは梨華から目を逸らした。
124 名前:第七十九話 投稿日:2003年02月06日(木)16時19分17秒


 電車を降りて、改札を出ると…雅恵は、周囲を見渡した。
(…ずいぶん変わったな。)
 そりゃそうだ。もう、この街を離れて八年も経つのだから。
「お姉ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
呼ばれて、ふと振り返る。
「…ああ、絵里。」
父親違いの妹・亀井絵里の姿を見つけて、雅恵はふと目元を和ませる。
「久しぶりだね。」
「久しぶりなんてもんじゃないよー!!…でも絵里、すぐにお姉ちゃんの事わかったよ?」
「そっか。…私も、すぐに絵里の事はわかった。」
「えへへ、嬉しいな♪」
無邪気に微笑む妹を見て、雅恵はふと思い出す。
「そう言えば、絵里は…もう中学二年だったっけ。」
「うん!今年の四月で三年生になるよ♪」
「早いな。」
そして絵里は、雅恵の持っていた荷物に飛びつく。
「かしてっ!絵里が持つ!」
125 名前:第七十九話 投稿日:2003年02月06日(木)16時19分49秒
「え?重いよ!?」
「大丈夫っ!そこに車待たせてあるから!」
よたよたする絵里をハラハラと見つめる雅恵。
 絵里はくるりと振り返って、照れくさそうに言う。

「お姉ちゃん、お帰りなさい!」

雅恵は、何も答えられなかった。
苦笑する雅恵を置いて、絵里はよたよたと階段を下りて行く。
(・・・・・・本当に、ココに来て…良かったんだろうか。…いや、その答えを出すには、
まだ早すぎる。)
雅恵はふと、空を見上げた。
「そんなに遠くに来たわけではないのに…なんでこんなに寂しいんだろう?」
呟きは、誰にも聞き取れない程に小さいものだった。
「お姉ちゃん、はやくーっ!!」
階段の下で手を振る絵里の元へ、小走りで向かう。
 そこで気がついた。
 スーツ以外の服を着るのも、久しぶりだと言う事に。
126 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月06日(木)16時20分25秒


 昨日は短めでしたが、今日は長めです。
 そして田中さん再登場&亀井さん初登場。
 田中さんの名前は、ひらがな表記にしてみました。芸名にそって。

>チップ様
 >柴ちゃん発作、略して柴ホッ
 大爆笑いたしました。素晴らしい省略形です。まねっこして略してみようシリーズ!
 まさえっちょ私服→まし
 いかがでしょう☆…うう〜ん、意味が通りにくそう…。むずかすぃ〜。
 さんまさんのような引き笑い…聞きたかったです。
127 名前:チップ 投稿日:2003年02月06日(木)16時59分23秒
なんだか他のメンバーを見てるといしよしのラブラブが
手放しで喜べない・・・ごっちんイ`。
「まし」もいいですけど「えっちょし」なんてどうですか?
ちょっと誰かのクシャミみたいですね、じゃあ「まさっぷ」とか(以下略
128 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月06日(木)18時01分59秒
石さん吉さんラブラブしすぎだよ(;´Д`)ハァハァ
テッシュいただきまふ…チーン!!(ぉ
亀ちゃんって14なんですよな。大人っぽい。
129 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月06日(木)20時19分24秒
クロイツさま、更新お疲れさまです。

川σ_σ||>早く探しなさい。絶対に見つけるんだかから。
川σ_σ||>逃げられると思ってるの、大谷っ!!
77444 >公安のシステムをハッキングして...。あっあそこに!!
川σ_σ||>見つかったの!!
77444 >いえ、平家さんでした...。
川σ_σ||>...。
まさえっちょのハリセン突っ込みがないので、仕事がはかどりません。
得意のPCで探しましたが、まさえっちょの居場所、発見出来ませんでした。
あゆみお嬢様も終始、不機嫌なので怖いです。(震)

ラブラブなよっすぃ〜&梨華ちゃんの幸せが周りの人にもおすそ分けがあるように祈ってます!!
では、次の更新も楽しみに待ってます!!!
130 名前:まるみ 投稿日:2003年02月06日(木)21時41分26秒
大谷さん、出て行っちゃった・・・
不幸な人たちの中でいしよしは甘々だな〜
長い間逢えなかったからそれでも良いよね♪
ごっちん&ヤッスー&柴ちゃんはこれからどーすんだ?
131 名前:第八十話 投稿日:2003年02月07日(金)14時43分09秒

 真里の目の前には、見合い写真が積まれていた。そして、それらと一緒に一枚のプリン
トアウトが置かれていた。

『真里へ。
 お前ももう、十九歳だ。石川家の跡取り娘として、婚約者を選んでもおかしくない時期
に来た。梨華の婚約者は、随分と優秀だそうだな。
 お前にも、期待している。
                                    父より』

「・・・・・・。」
真里はぎゅっと目を閉じた。
(…バレたんだわ…!裕ちゃんとの事が…!!)
 きっと、先日電話でちらりと裕子の話題を出した時にバレたのだろう。石川家の現当主
は、ものすごく鋭く物事を見抜く事ができると評判なのだ。
 真里は、自分の立場を思い知らされた。
(梨華や亜依みたいに…自由に恋愛できる立場じゃないんだ、私は…。この石川家の跡取
りなんだから…。)
見合い写真に手を伸ばしかけ、途中で引っ込める。
(…駄目よ、真里。私はワガママを言えるような立場じゃないの!覚悟して、裕ちゃんと
付き合い始めたハズでしょ?いつか絶対、別れなきゃいけない時が来るって…。)
ぎゅっと痛む胸を抱えて、真里は目を閉じる。
132 名前:第八十話 投稿日:2003年02月07日(金)14時43分45秒
(短い間でも、愛し合えればそれで良い…そう、納得してたはずよ。)
だけど、やはり見合い写真には触れられない。
 この中から、生涯の伴侶を選ぶなど…真里には無理なのだ。
 彼女が一生涯寄り添って生きて行きたい相手は、ただ一人。中澤裕子だけなのだから。
「・・・・・・。」
今まで、恋なんかした事がなかった。…いや、人を愛すると言う事を拒否していたのかも
知れない。
 別れが来るのが怖かったのだ。
(いつか…いつか必ず、意に沿わない結婚をしなきゃならないって、小さい頃から覚悟し
てたはずよ!)
目に涙がにじむ。真里は、無意識の内に携帯電話を握りしめていた。
「・・・・・・。」
時計を確認。現在、四時半ジャスト。
 真里は、メモリーから裕子の番号を呼び出し、通話ボタンを押す。

『もしもし?真里か?』

「・・・・・・。」
涙が溢れ出した。
133 名前:第八十話 投稿日:2003年02月07日(金)14時44分32秒
「裕ちゃぁん…。」
『な、なんやねん?どうしたん?泣いとるんか!?』
「ううん、なんでもない。」
真里は、まるで頬擦りをするかのように携帯を持ち直した。
「…裕ちゃん、もう学校終わった?」
『ああ。会議も今さっき終わって、これから帰る所やけど…』

「会いたいの。」

『・・・・・・。』
「裕ちゃんち、行っても…良い?」
『え、ええけど…ホンマにどうしたん?なんか…いつもの真里とちがくないか?』
「え〜?いつもはどうなのよっ。」
『う〜ん…「会いたくないけど、会って差し上げるわ。ヲホホホホ!」って感じか?』
「なにそれっ!ひどっ!」
そして、二人同時に笑う。
(やっぱり私…裕ちゃんじゃなきゃ嫌…!)
そう確認して、真里は囁く。
「裕ちゃん、大好き。」
『…真里、愛してる。』
その言葉に、真里の涙は止まらなくなった。
134 名前:第八十話 投稿日:2003年02月07日(金)14時45分09秒


 その頃、なつみは。
「…うわっ!もうこんな時間!寝ちゃった!」
時計を見て、なつみはがばっと起き上がる。
「ひとみと希美が帰って来ちゃ…」
そう思ってふと携帯を見て見れば、『メール受信2件あり』との表示。
『今日はともだちと遊んでからかえるので、ばんごはんはいらないのれす のの』
『夕飯までには帰ろうと思ったんだけど、緊急で入った仕事があるから今夜は帰らないよ。
市井さんにゆっくりしてってもらってね ひとみ』
なつみの顔が、かーっと赤くなる。
「も、もしかして…バレバレ?」
隣でぐっすり眠っている紗耶香の顔と、メールを見比べて呟く。もちろん、なつみも紗耶
香も全裸である。
 何があったかは、おして知るべし。
「んん〜…?」
紗耶香のかすれた声が聞こえて、なつみははっと顔を上げる。
「…なっち、おはよう。」
「おはようって時間じゃないっしょ…。」
紗耶香にぎゅっと抱きしめられて、なつみは更に顔を赤くする。
135 名前:第八十話 投稿日:2003年02月07日(金)14時45分46秒
「…なっちぃ〜。」
ほっぺにちゅっ。
「んもぅ、紗耶香ぁ〜。」
「ん〜。」
唇に軽くちゅっ。
「何寝ぼけてるんだべさっ。」
「寝ぼけてないって。」
「寝ぼけてるっ!」
そう言い切るなつみを、紗耶香はぎゅっと抱きしめて…覆いかぶさる。
「寝ぼけてないよ。」
「・・・・・・。」
「もっかい、良い?」
「・・・・・・さ、紗耶香ぁ…。」
紗耶香は、なつみの目尻にちゅっとキスをする。
 なつみの目は、ちょっと腫れていた。
 それは、お昼頃にちょっと泣いた為。
 ひとみから、『Tochter.』二号店が三月一日オープンと言う話を聞いたから。
電話を切るなり、なつみは紗耶香に抱きついた。
『いつか、りんねも旅立って行くって…わかってたけど、実際それが目の前に来ると…な
んか、泣けるモンだべさ…。』
そう言って、紗耶香の胸ではらはらと涙を流したのだ。
 それを思い出して、紗耶香はじっとなつみの瞳を覗き込む。
136 名前:第八十話 投稿日:2003年02月07日(金)14時46分18秒
「なっちは、私のモノ。」
確かめるようにそう言うと、既にたくさんのキスマークがついた胸元に、更に唇をつける。
「んん…さ、紗耶香ってば…な、なんで、今日はそんなにぃ…っ!」
あとは、言葉にならなかった。
 実は、紗耶香は妬いているのだ。
 なつみが、りんねの為に涙を流した。それがなんとなく気に入らないのだ。
 いつもより激しい愛撫が、なつみを襲った。
137 名前:第八十話 投稿日:2003年02月07日(金)14時46分55秒


 たった数時間でげっそりとやせ細ったように見える田中れいな。
「…もぉ、私の手には負えません…。」
それだけ言い残すと、ばったりと倒れてしまった。
「れ、れいなさんっ!」
「ちょ、ちょっと大丈夫!?」
慌てる梨華とひとみに対し、真希は冷静に担架を呼んだ。
 れいなが運ばれていく様子を見ながら、梨華とひとみは顔を合わせる。
「…ここはやっぱ、姉としての出番だよね…。」
「そうよね…。」
そして三人は、亜依の部屋へと入って行った。
 亜依とあさ美は、二人仲良く寄り添って眠っていた。泣きつかれたのだろう。
「それじゃ、わたしは亜依を。」
「あたしはあさ美を…」
言いかけたひとみに、真希が言う。
「待って。…あさ美は、私が。」
138 名前:第八十話 投稿日:2003年02月07日(金)14時47分37秒
「えぇっ!?逆効果にならない!?」
「私の口から真実を伝えたいんです。」
「・・・・・・。」
梨華は、こくりと頷いた。
「…それじゃ、真希はあさ美ちゃんをお願い。」
「梨華ちゃん!?」
「だって…誤解したままなんて可哀想よ、あさ美ちゃん。」
「・・・・・・。」
ひとみはちょっと黙ってから…真希の肩を叩いた。
「…頼んだよ、ごっちん。あさ美は…想像力がちょっと逞しい所があるから…。」
「わかった。…よい、しょっと。」
真希は、ひょいっとあさ美を抱き上げた。
「…す、すげぇ…ごっちん、かっけ〜…。」
「フ…この程度の腕力もなくては、執事などとは名乗ってはいけないのさ…。」
真希はそのまま、亜依の部屋から出て行った。
「…完璧です。」
真希の後姿を見て、妹の口癖をそのまま口に出してしまったひとみ。
139 名前:第八十話 投稿日:2003年02月07日(金)14時48分16秒
 梨華はベッドに越しかけ、妹の髪に触れた。
「・・・・・・何が、あったのかしら…。」
「ま、起きるまで待とう。」
梨華の背後に回り、方をぽんっと叩いたひとみに、梨華は驚きの表情を見せる。
「え?一緒にいてくれるの?」
「もちろん。こうなった以上、最後まで付き合うよ。」
梨華はそっとひとみの手に触れ、にこっと笑った。
 そして、亜依が寝てる事を確認してから…軽くキス。
 その甘い雰囲気を感じ取った亜依は、ちょっぴりうなされた。
140 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月07日(金)14時48分51秒


はちじゅうわ〜!す、すげぇ…!!もうこんな所まで来てしもうた…(汗)
これもひとえに、皆様のおかげでございます!!もう、毎回毎回誤字脱字多くてごめんな
さいっ!!

>チップ様
 ごまこんはなんとかなりそうな予感…次回、ごまこんメインです(笑)
 >「まし」もいいですけど「えっちょし」なんてどうですか?
 えっちょし!!最高!!えっちょしに決定です!!

>名無しどくしゃ様
 今回もいしよしは、なかなか状況考えずにいちゃついております。加護さんうなされて
るし(笑)
( ^(O   )<ちゅ〜♪
( ‘д‘) <えーかげんにしーや!ヒトがヘコんでるっちゅーのに…。

>ななしのよっすぃ〜様
 不機嫌なあゆみお嬢様…怖そうですね…。つーかやっぱり、まさえっちょのハリセンは
クセになるんですか!!ううぅ〜ん、一度味わってみたぁいはあとはあと

>まるみ様
 後藤さん・保田さん・柴田さんは…ど〜するんでしょうかねぇ〜♪とりあえず次回は、
後藤さんががんばります!!
141 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月07日(金)15時38分47秒
メールでも舌足らずなのの(笑)
142 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月07日(金)19時05分58秒
最後の一行に笑った。あいぼん良い。
143 名前:まるみ 投稿日:2003年02月07日(金)20時28分11秒
とうとう、真里っぺにも見合い話が舞い込んで来てしまいましたか〜
次期当主としては、梨華ちゃんみたいに駆け落ちは出来ないし、ど〜しますか?
出来れば、幸せになってほすぃー!
144 名前:81 投稿日:2003年02月08日(土)00時49分45秒
八十話、おめでとうございます。
しばらくぶりに読んだら、亀井キタ〜!!!これでいよいよ新メン3人がそろい踏み!
あいぼんとこんこんの世話係・田中もお疲れ様です。
今のところ、うまくいってるのがいしよし、さやなち2組ですか・・
えぇ〜い、ホワイトデーで皆素直になっておくれ〜!
クロイツ様、ひとつよしなに・・
145 名前:第八十一話 投稿日:2003年02月08日(土)10時37分37秒

 「…ん?」
目を覚ますと、いつもの石川邸の客間のベッドの上だった。
(…なんか、いつまで経っても慣れないんですよね、このお部屋…豪華過ぎるってゆーか…
庶民の私には、落ち着かないってゆーか。)
まぶたが重い。それを感じて、あさ美はようやくさっきまでの事を思い出す。
(そうだ、私…亜依お嬢様の部屋で泣いてて…えっ!?それならなんで私、この部屋に…!?)
がばっと起き上がると、右側から声をかけられた。

「あさ美…目、覚めた?」

「ほえっ!?」
振り返ると、そこには…真希の姿が。
 今会いたくない人物BEST5には確実に入る真希の姿があった。
「・・・・・・。」
「何か飲む?」
ふるふると首を横に振り、ぷいっと真希から目を逸らす。
「な…んで、ここに…?」
「誤解を解こうかと思って。」
「誤解…?」
唐突にぎゅっと抱きしめられて、あさ美の心臓は激しい鼓動を打ち始める。
「や、やめてください…!!こんな…こんな事されても、今はもう苦しいだけですから。」
「違うんだ、あさ美。私の話を最後まで聞いて。」
「…聞きたくないですよぉ…。」
十分腫れた目から、更に涙がこぼれ始める。だが、真希は手を離さない。
146 名前:第八十一話 投稿日:2003年02月08日(土)10時39分29秒
「…確かに私、梨華お嬢様が好きだった。梨華お嬢様以上に愛せる人なんかいないって思っ
てた。」
「・・・・・・もう、良いですってば…!!」
苦しそうに真希の腕から逃れようとするあさ美。だが真希は、絶対に離さない。
「だから、最後まで聞いてってば。」
「・・・・・・。」
あさ美は、真希の腕の中で静かに涙を流す。真希はそんなあさ美を抱きしめなおし、続け
た。
「梨華お嬢様の前に、ヨッスィーがあらわれて…私は失恋した。だけど、それで良かった
と思ってる。私では、梨華お嬢様にあんな幸せそうな表情はさせて差し上げられない…。」
「・・・・・・。」
「確かに、ショックだったよ。だけど、思ったんだ。もしかしたら、私が梨華お嬢様に抱
いていた感情は『恋』ではなかったのかも知れないって。」
「え…?」

「だって、あさ美に出会って…あさ美に対して抱いてる気持ちと、梨華お嬢様に対して抱
いていた気持ちは、全然別物だったんだもん。」

あさ美はようやく、真希のシャツをぎゅっとつかむ。
147 名前:第八十一話 投稿日:2003年02月08日(土)10時40分05秒
「もしも、あさ美の目の前に他の人間があらわれて…それであさ美がそっちを好きになっ
てしまっても、私は絶対に渡せない。…例えそれが、あさ美にとって最上の相手だったと
しても…渡したくない。」
「ま、真希さん…」
「あさ美に一番幸せそうな顔をさせてあげられるのは、私じゃなきゃ嫌だ。」
あさ美は、真希の背中に手を回す。
「…わかってくれた?私があさ美を愛してるって気持ち。」
あさ美はこくこくと頷く。
「ご、ごめ、なさい…!う、うた、うたがっ、疑ったりして…!!」
「ううん。私も、紛らわしい物をいつまでも持っててごめん。」
「はっ!そー言えばあの懐中時計、どうしたんですか?」

「踏み壊した。」

即答した真希に、あさ美は驚きの表情を隠せない。
「はっ!!?」
「だから、踏み壊した。」
「しゃ、写真は!?」
「写真ごと。」
「・・・・・・。」
あさ美はぎゅっと真希に抱きつく。
148 名前:第八十一話 投稿日:2003年02月08日(土)10時40分39秒
「…こ、こんな事言ったら、梨華お嬢様に悪いんですけど…。」
「ん?」
「…嬉しい、です。」
真希はくすっと笑って、あさ美の額にキスをする。
「・・・・・・。」
あさ美は、潤んだ瞳でじっと真希を見つめていた。
 真希は思わず目を逸らす。
「…真希さん…?」
「あんまり…そんな目で見られたら、私…」
「え?」
真希は、突然あさ美を押し倒す。
「うきゃっ!?」
ふかふかのベッドに、沈むようにして押し倒されたあさ美は、目をぱちくりさせた。
「ま、真希さん?」
「・・・・・・ごめん。」
「え?」

「もう、止まれない。」

「ほ…ほへぇぇぇ!?」
いくらあさ美でも、この状況でそう言われれば意味はわかる。
「あのっ!そのっ!!えっとっ!!!」
「嫌?」
「・・・・・・。」
あさ美は顔を真っ赤にし、ぎゅっと目を閉じてから…小さな声で言う。
「…どうぞ…。」
真希は、あさ美に覆いかぶさった。
149 名前:第八十一話 投稿日:2003年02月08日(土)10時41分52秒


 あゆみは、イライラしていた。
「…まだ、見つからないの?」
あまりの恐ろしさに、付近にいた社員達が縮み上がる。
 雅恵が姿を消してから、六時間が経過した。
 あゆみは柴田家の総力を結集し、雅恵の行方を追っているのだ。…と言うワケで、現在
柴田家本邸の当主執務室には、柴田家の各部門の最高の人材が集められている。
 それなのに、六時間経っても雅恵の行方はつかめないのだ。
(…大谷なら、人探しは三十分以内にはやってのけたのに!)
つまり、ここにいる約二百人の社員達より、雅恵一人の方が優れていたと言うワケだ。
 あゆみは、今更ながら雅恵の存在の大きさを思い知らされていた。
(…ったく!!大谷ィィィィィィ!!!嫌がらせのつもりなの!?)
 会社では、『お局様は辞める際に、仕事の一番重要な所は誰にも教えないで去っていく』
と言われている。雅恵がやったのはまさにソレ。
 一番重要な所を知らない、残された者達は…激しく困る。

ぼきっ

あゆみの手に握られていたボールペン(プラスチック製)が、二つに折れた。
 社員達の間に、戦慄と緊張が走る。
150 名前:第八十一話 投稿日:2003年02月08日(土)10時42分31秒
(((((大谷さぁ〜ん!!)))))
いつもの癖で、心の中で大谷を呼んでしまう社員達。こうなったあゆみをなだめられるの
は雅恵しかいないのだ。
 と、その時。
「おっ!ピリピリしとるなぁ〜あゆみちゃ〜ん。」
天井裏から、みちよがにゅっと顔を出す。
「み、みっちゃん!」
はっと顔を上げたあゆみの目の前に、みちよはしゅたっと降り立った。
「ただいま帰りました〜♪」
「み、みっちゃんどうだった!?なんかわかった!?」
「それがなぁ…わかったっちゅーかわからんっちゅーか。」
「え!?ど、どーゆー意味!?」
みちよは真剣な顔で、あゆみに言う。

「亀井家に、妨害された。」

あゆみは、眉を寄せる。
 亀井家とは、石川家・柴田家には及ばないものの、日本国内ではかなり有名な金持ちだ。
戦国時代から続く家柄で、日本古来の伝統を重んじ、パーティーなどには必ず着物を着て
くると言う事でも有名だ。
「…なんで亀井家が出て来るのよ?」
151 名前:第八十一話 投稿日:2003年02月08日(土)10時43分15秒
「それがなぁ…大谷ちゃんの母親の再婚した相手ってのが…亀井家現当主やねん。」
「うげっ。」
「親戚はもちうろんの事、使用人達も社員達も異常に結束が固い亀井家や。そこに逃げ込
まれたら、連絡を取るのは至難の業やねん。」
「・・・・・・。」
「更に悪い事に。」
みちよはため息交じりに言う。

「その亀井家現当主が、大谷ちゃんをものごっつ気に入っとるらしくて…『大谷ちゃんを
亀井家次期投手に!』って言うとるんよ。」

あゆみの顔が、さっと青ざめる。
「大谷ちゃん、優秀やからなぁ…亀井家の連中もみんな、大谷ちゃんを認めちゃってるら
しいで〜。
 それに大谷ちゃんの父親違いの妹も『大谷ちゃんLOVE☆』って感じらしいし。しか
も亀井家現当主、身体の具合があんま良くないらしいねん。下手すると…すぐにでも『大
谷ちゃん亀井家当主に就任〜!』なんて事になりかねないで〜。」
あゆみはぐっと拳を握った。
152 名前:第八十一話 投稿日:2003年02月08日(土)10時44分09秒
「じょ、じょーだんじゃないわよ…!!」
握った拳を高らかに振り上げ、机に右足を乗せて叫ぶ。

「大谷は、私のモンじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

その様子を見た社員達は、タラリと汗を流しながら呆然としていた。
 みちよはぽつりと呟く。
「ある意味、これも愛やな…。」
まったいくもってその通り。
153 名前:第八十一話 投稿日:2003年02月08日(土)10時45分27秒


 亜依は、梨華の膝枕に頭を落としながらえぐえぐと泣いていた。
「…やっぱり、子供だと思われてたんだ…亜依…。」
「そんな事ないわよ。保田先生は、そんな誠実ではない事はしない人でしょ?」
「そ、そうだけど…でも…女の人が…。」
ひとみは、優しく亜依の頭をなでる。
「だってだって…こないだ、お泊りした時も…圭さん、亜依になんもしなかったんだよぉ?
キスもしなかったし…お布団だってお客様用の出して、別のお布団で寝て…」
「「・・・・・・。」」
梨華とひとみは顔を見合わせる。
(…きっと、スッゲェ耐えてたんだろうなぁ…一晩中。そりゃー溜まるわ…。)
その思考を読んだのか、梨華の視線がぎゅっとキツくなる。
(じょ、冗談だよ冗談っ!)
梨華はぷいっとひとみから視線を逸らした。
(…ヒトミ・ヨシザワの、世界のジョークショー…失敗でぇす…。)
とほほ、と思いながら、また亜依の頭をなでる。
154 名前:第八十一話 投稿日:2003年02月08日(土)10時46分03秒
「亜依は…どうしたら良いのかわかんないよぉ!!亜依、圭さんの事大好きなんだもん!!
だけどあの女の人の事、許せないんだもん!!」
「亜依…。」

「それでも亜依は…亜依は圭さんに会いたいのぉ…!!」

梨華がこっそりと、ひとみに携帯を渡す。ひとみはそっと、それを受け取った。
(…お願いね。)
(任せとけっ!)
目だけで会話をし、ひとみはできるだけひっそりと亜依の部屋を出る。
 そして、梨華の携帯のメモリーから『保田圭』と言う番号を呼び出した。

Tururururu…Tururururu…

『…石川?』
何回かコールした後、圭はのそっと出てきた。その声は、限りなく憔悴している。
「はじめまして。吉澤ひとみと申します。」
ひとみは一瞬、考えた。ここは『男』になりきるべきか、『女』で対応すべきか。
 考えた結果、『女』で対応する事に決めた。
155 名前:第八十一話 投稿日:2003年02月08日(土)10時46分36秒
「あたし今、亜依お嬢様の部屋の前にいるんですけど…」
『亜依…どうしてる…?』
「泣いてますよ。」
『・・・・・・。』
黙ってしまった圭に、ひとみは言った。

「保田さんの事、呼んでます。」

『・・・・・・。』
「すぐ、来てくれませんか?このままだと亜依お嬢様が可哀想過ぎます。」
『…行って、どうすれば良いってのよ。』
「側に、いるだけで良いと思いますよ。」
『・・・・・・。』
ひとみは続ける。
「何があったにせよ、亜依お嬢様の気持ちは変わってないみたいですよ?」
電話の向こう側で、大きなため息をついた。
『…わかった。今から行くわ。』
「ありがとうございますっ!!!」
『…なんでアンタがお礼言うのよ?』
「梨華ちゃんが、喜びますから。」
圭の『このバカップルが!』と言う呟きが、ひとみにはなんだか嬉しく感じた。
156 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月08日(土)10時47分10秒


ご、後藤さんっ!!犯罪っ!!犯罪ですよっ!!だって相手まだ中学生…!!!
書きながら、そう思っておりました。

>名無しさん様
 悩みました…普通の口調にするか、舌足らずにするか…(笑)
 だけどやっぱ、ののたんは舌足らずでしょって事で。

>名無し読者様
 うなされるでしょー、アレは(笑)
 つーか昨日誕生日だったのにねぇ、あいぼん…ごめんよあいぼん。

>まるみ様
 石川家当主、あなどれません。エスパーです(笑)
 やぐちゅーの結末は…うふふふふはあとはあとどーなるんでしょぉかねぇ♪

>81様
 ありがとうございまっす!!これもひとえに、皆様のおかげっ!感謝しております!!
 本当は亀井さんをメイドで田中さんを妹にしよーと思ってたんですが、やっぱメイド服
は田中さんに着せたかったので(笑)
 ごまこんも…うまく行ったみたいですわよ〜。
157 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月08日(土)10時57分06秒
ごっちん犯罪…ハァハァ
警察も許しちゃうでしょうな(w
158 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月08日(土)12時47分04秒
レッツ!!犯罪!!!(ハァハァ
159 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月08日(土)13時29分11秒
ごっちん犯罪。ヲレが許す!!行けっ!
160 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月08日(土)15時19分06秒
おぉ!久しぶりにきてみればすごい更新されてるっ!
もぅ、それだけでニコニコ笑顔で読ませていただきました♪
いやぁ、もぅ、いしよしはラブラブで・・^^
もっと幸せになっていただきたいですね^^
さすが師匠ですっ!
っとごまこんもまたまた幸せで(笑。
誤解も解けたようで一安心・・・ってぇぇ!って・・・(笑。
ごとぉーさん・・・中学生に・・・犯罪っしょ?
それにしても大谷さん・・・あんたはドコに!?
大谷さんの気持ち複雑ですねぇ〜・・・でも、私としては柴田家に戻って欲しいのですがね・・・

では、次の更新楽しみに待っています!
がんばってください!
応援してます、師匠♪
161 名前:桜流 投稿日:2003年02月08日(土)15時50分19秒
お久しぶりです☆
最近は忙しくてなかなか読めなかったのですが、今日一気読みしました。
もう4スレ目とは驚きました(^▽^)展開もすごく進んじゃってますねぇ。
44-45の部分そ〜と〜爆笑しました!(そして妄想全開でした、はい)
自分の中で特に注目なのは大谷×柴田です、カムバックマサオ!!
そして他の読者さま方動揺、犯罪大いに推奨です(←ヲイ)
楽しみどころ満載でこのような作品を書けるクロイツさま(0^〜^)<カッケ〜
がんばってください!
162 名前:チップ 投稿日:2003年02月08日(土)16時33分48秒
犯罪、それは儚く美しい・・・
って昔誰かが言ってたことですし!(大変間違い)
柴ちゃんの愛・・やっぱりツボです。
まさえっちょが早く帰ってきますように☆
163 名前:ささささ 投稿日:2003年02月09日(日)02時45分21秒
はじめまして、初カキコさせていただき候。
一週間ぐらいかけて読ませていただきました。
いやー、ええわー。おもろいてーまじでー。
登場人物多いけど、ごっちゃり感が全然ないし、
いしよしをはじめ、人物が生きてますよ。いろんな意味で。

・・・・・でも、でも、どうして、
飯田さんの出番が恐ろしいほどないんですか!!??
たしか柴ちゃんとチャーミーが出逢ったのが
飯田さんとこのパーティーでしたよね?
そこだけしか登場シーンがありません。
もしかして、クロイツさんは
カオリンのこと嫌いなんですか!?
もしかしてクロイツさんは
カオリンにあんなことやこんなことをされたあげく
不燃ゴミで捨てられたのですか!?(故障)
 

164 名前:あおのり 投稿日:2003年02月09日(日)03時12分40秒
あわわ。後藤さん、大好きが止まらなくなっちゃいましたね。
私も思わず読んでいて「犯罪ちゃうんかい!」と突っ込みを入れてしまいました。
しかし保田さんが犯罪者になるのも時間の問題かと…こちらのほうが罪が重い?
あいぼんがんばれと素直に応援していいのでしょうか?(w

相変わらずよしいしはイチャイチャでしたが…目で会話萌える…
165 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月09日(日)07時28分57秒
クロイツさま、更新お疲れさままです。
川σ_σ||>大谷は、私のモンじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
に、笑いました。好きという感情とは違うのかもしれませんが、あゆみちゃんの独占欲&怖さを目の前で見た一社員としては、まさえっちょの復帰に一縷の希望を...。
きっと、まさぇっちょもあゆみちゃんと敵対する道には進まないことを望んでいると思うので。
あっでも、まさえっちょが帰ってきたら、また、あゆみちゃんに近づけない。う〜ん、怖い顔のあゆみちゃんも良いけど、いつもの可愛いい、あゆみちゃんに逢わせてください!!
でも、よっすぃ〜推しなのに、柴田家のコンピュータ部門で働いてるし、レスがあややとあゆみちゃんのことばかりになってる。困った、お見合い写真番号77444でした。
では、続きも期待して待ってますYO!
166 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月10日(月)01時17分25秒
いいらさんの出番が・・・。(;;)
167 名前:第八十二話 投稿日:2003年02月10日(月)11時49分35秒

「保田先生…。」
亜依の部屋に入って来た圭を、梨華は不安気な表情で迎える。
「…亜依。」
圭に名前を呼ばれて、亜依は身体をビクッとさせる。梨華は思わず、亜依の背中を撫でた。
「石川…悪いんだけど、席を外してくれる?二人だけで話し合いたいから。」
亜依が、梨華の手をぎゅっと握る。
 梨華には、亜依の気持ちがよくわかった。
 真実は知りたい。だけど、それと同時に知りたくないとも思う。もしもこれで終わりに
なってしまったら…そう考えると、どうしても真実を聞くのは怖いのだ。
 梨華の困惑の視線と、亜依の不安な視線がぶつかる。
「…わかりました。出よう、梨華ちゃん。」
 答えたのは、ひとみだった。
「!!?」
「ひ、ひとみちゃん…。」
「駄目だよ、ここはハッキリさせないと。」
「・・・・・・。」
梨華は、亜依をぎゅっと抱きしめてから立ち上がった。
 そして、ぺこりと圭に頭を下げ…無言のまま、亜依の部屋を出る。
168 名前:第八十二話 投稿日:2003年02月10日(月)11時50分09秒
 残された圭と亜依は、しばらく黙ったままだった。
「「・・・・・・。」」
重苦しい沈黙が、部屋に下りる。
 沈黙を破ったのは、圭だった。
「…亜依、あのね…」
「聞きたくないっ!!」
圭の言葉をさえぎって、頭から布団をかぶる。
「亜依…。」
「言い訳も、真実も…亜依は聞きたくないっ!!なかった事にしたいよ、あんな事…!!」
「・・・・・・。」
圭は、黙った。
 そして、持ってきた大きなカバンからカラのタッパーを取り出す。

「美味しかったわよ。肉じゃが。」

その言葉に、亜依はがばっと起き上がる。
「た、食べたのっ!!?」
「もちろん。亜依が作ってくれたんでしょ?」
「そ、それはそうだけど…。」
投げつけた時の感触からして、床に落ちた時にフタは開いてしまっていたハズだ。実際、
ちょっと床にこぼれてしまったのを亜依もちらりと見ている。
169 名前:第八十二話 投稿日:2003年02月10日(月)11時50分46秒
「・・・・・・。」
ぼろぼろと零れ落ちる涙を、亜依は止められなかった。
「…食べて、くれたの?」
「ええ。食べたわよ。」
「一人で…?」
「一人で。」
亜依は、ばっと突っ伏す。
「…あの女、誰だよぉ…!!!」
「…前田有紀って言うの。高校時代のバイト先の、友達よ。」
「友達っ!?」
亜依はキッと圭をにらむ。
「友達が、バスタオル一枚で圭さんちにいたって言うの!!?」
「・・・・・・。」
圭は、頭をおさえる。
「…その事については、説明したくても説明しようがないのよ…。」
「どーゆー事!?」

「…記憶がないのよ。」

亜依の涙が、止まった。
「は?」
「だから、記憶がないの。再会したのだって、飲んでる真っ最中で…それで、久しぶりっ
て事でまた飲んで…気がついたら、バスタオル一枚の有紀と真っ青な顔した亜依が家にい
たって感じで…。」
「・・・・・・。」
170 名前:第八十二話 投稿日:2003年02月10日(月)11時51分31秒
「だからそのー、なんてゆーか…浮気しちゃったのかしちゃってないのかもわかんないの
よね、実は。」
亜依の目が、厳しく圭をにらみつける。
「圭さん…サイテー!」
「いや、もう、言い返す言葉もないわね…。」
「サイテーっ!!もう知らないっ!!」
「でもね、亜依。」
布団を握り締めたまま、亜依は振り向く。
「ここに来るまでに、ケリはつけて来たわよ。有紀にも言って来たわ。やっぱりアタシに
は亜依だけだって。」
「…ほんとに?」
圭は、ベッドに腰掛ける。
「有紀にも悪い事しちゃったけど…」
「駄目っ!!」
亜依は圭に抱きつく。
「亜依と一緒にいる時に、他の人の名前を出しちゃ駄目だよぉっ!!」
「…独占欲強いわね〜、亜依お嬢様。」
「だって、そうでもなきゃ圭さん浮気しちゃうじゃん!」
「・・・・・・いや、もう、なんてゆーか…。」
圭は、亜依の腫れたまぶたにちゅっとキスをする。
「わかった、誓うわ。アタシには亜依だけ。」
「本当だよぉ?」
「もちろん。」
亜依は圭の胸に、顔をうずめた。
171 名前:第八十二話 投稿日:2003年02月10日(月)11時52分11秒


 亜依から、梨華の携帯にメールが来た。
「…仲直りしたみたい。」
心底ホッとした表情の梨華の額に、ひとみはそっと口付ける。
「良かったね…本当に。」
「うんっ!…あさ美ちゃんと真希の方はどうなったのかしら?」
「う〜ん…ま、なんとかなったら電話なりメールなりで連絡来ると思うよ。」
「そうよね。話し合いの真っ最中とかだったら、携帯鳴らしたりしちゃ迷惑だろうし。」
この時、梨華とひとみの判断は正しかった。
 別のコトで『真っ最中』だったのだから。
「それよりも…ひとみちゃん?」
「ん?」
「ひとみちゃんはしないでよ?」
「…な、何を?」
「…浮気…。」
ひとみは苦笑して、梨華を抱きしめなおす。
「馬鹿だな、梨華ちゃん。あたしに、梨華ちゃん以外のヒトが見えるワケないじゃん。」
「本当?」
「本当だって。」
梨華は頬を赤く染めた後、はっと気付いたようにひとみのシャツのボタンを外し始めた。
「り、梨華ちゃんっ!!?」
「てゆーかさっきから思ってたんだけど…なんで今日のひとみちゃん、胸がないの?」
「いやっ、それは…」
172 名前:第八十二話 投稿日:2003年02月10日(月)11時52分45秒
ひとみの胸元が見えた。サラシが巻かれている。
「ひとみちゃん、キツくないのっ!?」
「そ、そりゃーちょっとはキツいけど…」
「取らなきゃっ!身体に悪いわっ!!」
「ちょ、り、梨華ちゃんっ!!?」
慣れない手付きで、途中までサラシを取ってから…梨華は正気に返る。
「…きゃぁっ!わたしってばっ!!」
顔を赤くして、ひとみに背中を向ける。
「ご、ごめんなさいっ!」
「いや、良いんだけど…。」
梨華は、部屋に備え付けの電話に手を伸ばす。
『はい、何か御用でしょうか?』
「あ、明日香さん?あの、ひとみちゃんの着替えを持って来て。お願い。」
『かしこまりました。』
これで、五分以内には着替えが届くハズだ。
梨華は、へなへなとその場に座り込む。
(わ、わたしってば!!なんて大胆な事をッ!!)
恥ずかしすぎて、ひとみの顔を見られない梨華であった。
 一方、ひとみは。
(だ、大胆だぜベイべー…。このまま何もかも忘れ去って、襲う所だった…。)
途中で梨華が踏みとどまってくれた事に、安堵のため息をもらしていた。
173 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月10日(月)11時53分18秒


 梨華お嬢様、大胆です。だけど、寸止めです。

>名無しどくしゃ様
 うっふふふふふふ…許してくれ、警察の皆様。
 やっちゃったみたいです☆(←下品ですみまそん…)

>>158名無し読者様
 すみません…詳しい描写ができなくて…(大汗)
 とりあえず…あの一文で許してください…。

>>159名無し読者様
 ををっ!!ここにも許して下さる方が…!!
( *´ Д `)<んあ〜、ありがとね〜。

>ヒトシズク様
 今回は梨華ちゃんが無意識に大胆です(笑)犯罪者後藤さんもなかなか大胆ですが(爆笑)
 いつもありがとうございまっす!!がんばりますね〜!!

>桜流様
 犯罪推奨(笑)。ごめんなさいね、詳しく書けなくて…(大汗)。いや、詳しく書こう
とも思ったんですが…いや、やっぱり無理でした…。
 >44-45の部分そ〜と〜爆笑しました!(そして妄想全開でした、はい)
 ををっ!ウケましたか!!それはよかった〜☆
174 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月10日(月)11時54分00秒
レスの続きです〜きほし

>チップ様
 柴田さんの愛…わかりやすいようでわかりにくいんですよ、コレが(笑)。
 まさえっちょは、まだ「えっちょし」ですから(爆笑)

>ささささ様
 はじめまして!い、一週間もかかりましたか…長くてごめんなさい(汗)
 ありがとうございます!!そう言って頂けると、本当に嬉しいです!!書いててよかっ
た〜、みたいな♪
 そして…飯田さん。すげぇ!!覚えててくれたんですね!!唯一の飯田さんのお名前が
出た場面っ!!
 >もしかしてクロイツさんは
 >カオリンにあんなことやこんなことをされたあげく
 >不燃ゴミで捨てられたのですか!?(故障)
そうなんです…あれは十年前の三月の事…って、違います違います。
 じ、実はですねぇ…カオリン書くの苦手なんですよ、私…(大汗)
 でも、もしもラブコールが多かったら、ちょっと出すかも、です!!
 どうぞ、微妙に期待して(笑)お待ち下さいませ!!
175 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月10日(月)11時54分53秒
更にレスの続き〜はあとはあと
レスがたくさんでうれしいです〜はあとはあと

>あおのり様
( ´ Д `)<んあ〜、今夜も大好きが止まらな〜い♪
 こんな感じですね(笑)。止まらなかったみたいです。
 でもやっぱり、保田さんがやっちゃった方が犯罪って感じしますよね。
(+`.∀´)<ちょっと!なんでよ!!

>ななしのよっすぃ〜様
 まさえっちょ、どうするんですかねぇ♪実は結末もう決めてたりもするんですが(笑)
楽しみにしていてくださいませっ!!期待はずれにならないように頑張りますので!!
(O^〜^)<…柴ちゃんとあややも良いけど…オイラも応援してくれYO…。
川σ_σ||<おほほほほほ!!梨華ちゃんは譲ったけど、77444は渡さないわ!!

>>166名無し読者様
 おおっ!!カオリン登場希望の方がこちらにもっ!!
 ささささ様のレスにも書きましたが、ラブコール多かったら登場させるかもです!!
 さあ、レッツラブコール!!(笑)
176 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月10日(月)16時55分05秒
やだぁ石さんエロイぃ〜(氏
てか圭ちゃんとあいぼん仲直りおめ。
177 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月10日(月)20時55分32秒
おぉ!寸止めですかっ!
しかも、今回は石川さんちょっと大胆・・^^
おねぇさんっぽい、石川さんも見れて嬉しい限りです♪
圭ちゃん&あいぼん、仲直りできて一安心です^^
いやぁ、皆幸せそうで何よりです^^
更新頑張ってください!
応援してます〜♪
178 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月10日(月)21時52分57秒
クロイツさま、更新お疲れさまです。
>>(O^〜^)<…柴ちゃんとあややも良いけど…オイラも応援してくれYO…。
(O^〜^)、ごめんなさい。嫌いじゃないんです。好きなんです。好きなんですけど...。
>>川σ_σ||<おほほほほほ!!梨華ちゃんは譲ったけど、77444は渡さないわ!!
川σ_σ||ちゃん、一生ついてきますYO!
川σ_σ||ちゃんがいまは一番好きです。実は、ここの影響大なんです。(笑)

でも、寸止めよっすぃ〜、素晴らしい自制心です。77444なら、間違いなく押し倒しそうです。
まさえっちょがいないあいだに、川σ_σ||ちゃん近づいとこ。スリスリ...。スリスリ...。(静)

では、程よく近づいたところで、次の更新を待ってます!!!
179 名前:プチひとむ 投稿日:2003年02月10日(月)22時02分29秒
こんばんわぁ〜。今日午前中暇だったので、一番初めから読み返してみました!!!!!やはり面白いッス。
よっすぃ〜&りかちゃんもいいけど、ごっちん&紺野もイイっす。
よっすぃ〜のサラシを取ってしまう梨華嬢……理性がぶっ飛び寸前なよっすぃ〜……二人が結ばれるのは何時なのでしょうか?
これからも頑張ってください!!!!!!!
180 名前:一読者 投稿日:2003年02月10日(月)23時11分59秒
163ささささ様や166名無し読者様は飯田さんに言及されていらっしゃいますが
私は里田さんが気になっています。彼女が出てくるのはいつなんでしょうか?
以前里田さんからの電話だと思ってなっちが電話に出たら裕ちゃんからの電話
だったというシーンがありましたよね。
それ以降、里田さんの名前が出てこないのですが…。
181 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月11日(火)02時17分43秒
>>180
これだけ人数がいるのだし、多少は仕方が無いのでは?
作者様だってそんなにぽんぽんだしては、話の収拾が付かなくなってしまいますよ。
まったり待ちましょう。
182 名前:第八十三話 投稿日:2003年02月11日(火)10時48分39秒

 京都の寺院や温泉宿を思い出させるような、純日本風家屋。かなりたくさんいる使用人
も、全員和服姿だ。
 都内の高級住宅地にそびえ立っているのだが、そこだけタイムスリップしたかのような
感覚を受けるこの屋敷こそ、亀井家本邸。
「・・・・・・。」
その世界に溶け込むかのように和服(男物)を着た雅恵は、うずうずしていた。
(…何かしたい…!!!)
 そう。亀井家に来てから早一週間。その間、雅恵は何もする事がないのだ。
 これまでは一日も休まずに執事の仕事(+α)をしていた雅恵にとって、『何もする事
がない』と言うこの状況は苦痛である。
 と、そこに…使用人の一人が通りがかった。たくさんの食器を持って、よたよたと危なっ
かしく歩いている。
「…大丈夫ですか?」
「え?大丈夫で…って、雅恵様っ!!!?」
使用人は驚いて、食器の山を落としそうになる。
183 名前:第八十三話 投稿日:2003年02月11日(火)10時49分33秒
「おっと。」
雅恵は条件反射で、その食器の山を引き受けた。
「も、申し訳ございません!」
「いや、かまいません。これはどこに持って行くのですか?」
「厨房です…って、ええっ!?」
行き先を聞くなり、スタスタ歩き出してしまった雅恵に、使用人は慌てて追いすがる。
「お待ちください、雅恵様!!私が参りますから!」
「いや、私がやりたいので。」
「そ、そのような事…!!亀井家の大切な雅恵様に、そのようなを事させたとあれば…私
が叱られますっ!!」
「大丈夫ですよ。」
雅恵は止める使用人を引き連れたまま、軽い足取りで厨房まで向かった。
184 名前:第八十三話 投稿日:2003年02月11日(火)10時50分08秒


 絵里は、自分の目を疑った。
「…統制が取れていませんね。それでは効率よく仕事はできませんよ。今日はお客様がい
らっしゃるのでしょう?それでしたら、係り分担をもっと細かくやらなくては。
 それでは、こうしましょう。皆さん、五人一組になって頂きます。振り分けは…ここに
名簿がありますね。名前順に振り分けさせて頂きます。それでは名前を呼びます。一斑は…」
雅恵が、厨房を仕切っているのだ。しかも、それを不満に思っているような表情の者は、
誰一人としていない。
 絵里は、雅恵と遊ぼうと思って雅恵を探していたのだ。それなのにこんな場面に出くわ
すとは…予想外だった。
(お、お姉ちゃん…柴田家では執事だったらしいけど…。)
「…役割分担はわかりましたね?」
「「「「「はいっ!!」」」」」
「それでは、仕事に移って下さい。」
一気に使用人達が動き出す。
 生まれてこのかた、ずっとここで育ってきた絵里だったが、使用人達がこんなにも整っ
た動きをするのを見るのは初めてだった。
(すごい…!!)
「絵里?何を見ているの?」
「えっ!?」
驚いて振り返ると、母がいた。
185 名前:第八十三話 投稿日:2003年02月11日(火)10時50分42秒
「は、母上っ!」
「どうしたって言うの?」
母も、厨房を覗いて見る。そして…息をのんだ。
「…ま、雅恵…!?」
その声に、雅恵はくるりと振り返る。
「母上、それに…絵里?」
「こんな所で何をしているの!」
叱責するような母の声に、雅恵は苦笑する。
「…申し訳ございません。何もしていないと、かえって落ち着かないもので…それで、雑
用でもさせてもらおうと厨房に来たのですが、癖でついつい口を出してしまいました。」
「そんな事を言っているんじゃありません!」
母は雅恵の手を取った。
「ちょっと、こっちにいらっしゃい!!」
「え!?」
「いいから!」
母に手を引かれて厨房を出る間際、雅恵は叫んだ。
「皆さん、詳しい事はさっき言った通りです!わかりましたね?それでは頼みましたよ。」
「「「「「はいっ!!」」」」」
気持ちよい程に揃った返事に、一瞬だけ安堵した表情を見せる雅恵。
 後に残された絵里は、鳥肌を立てながら思った。
(お姉ちゃん…すごい!!)
186 名前:第八十三話 投稿日:2003年02月11日(火)10時51分20秒


 希美は、ため息をついた。
「…今日も、まこっちゃん来ないのれす…。」
麻琴の席を見て、ため息。
「どうしたんれしょうか…カゼ、そんなにひどいんれしょうか…。」
「ののちゃんはまこっちゃん大好きだね〜。」
クラスメイトに言われて、希美は姉譲りの『天使の微笑み』を浮かべる。
「へいっ!まこっちゃんはたいせつなおともだちなのれすっ!!」
その笑顔に、皆がなごむ。
「…休んでるって言えば、松浦さんも!」
「え?」
希美がぴっと反応すると、クラスメイトは神妙な顔つきで続けた。
「松浦さんも、ここの所ずっと休んでるんだよ〜!」
「怖〜い!何か企んでるんじゃないのぉ〜?」
「・・・・・・。」
希美は、何か激烈に嫌な予感を感じ取った。だけど、その正体がイマイチ掴めない。
(…あああああっ!!ののにはもう、ワケわかんないのれすっ!!)
頭を抱え始めた希美に、クラスメイト達がぎょっとする。
「の、ののちゃんどうしたの?」
「うへっ!?い、いや…なんでもないのれす…。」
「そうだ、ののちゃんちのお店、今日お休みでしょ?遊びに行こうよ!」
「…へいっ!!」
希美はまた笑顔を浮かべ、頭の中のもやもやを振り払った。
187 名前:第八十三話 投稿日:2003年02月11日(火)10時52分34秒


 『Tochter.』二号店の開店まで、あと三日。
「…人材の選出も済んだし、なっちはもうりんねに教える事は何もないべさ!」
なつみは、りんねの肩をぽんっと叩く。
「なっちのお墨付き!だから、自身持って頑張って!」
「はいっ!!本当に…ありがとうございました!!」
りんねはぺこりと頭を下げる。
「それに、本当は今日はお休みなのに…。」
「ううん。良いって。だってりんねは、なっちの一番弟子だもん!」
「なっち…!!」
りんねはなつみに抱きついた。りんねよりも背の低いなつみは、自然と抱きしめられる形
になる。
「私…私、頑張りますっ!!なっちに教えられた事、絶対忘れませんっ!!」
涙声になるりんね。なつみはそんなりんねの背中に手を回し、優しくなでる。
「なーに泣いてるんだべさ。二号店からここまで、歩いてたったの二十五分だべ?」
「で、でもぉ〜!!寂しいんです〜!!もうここでお手伝いできないんだと思うと…。」
「りんねはこれから、自分のお城を持つんだべさ。」
なつみは、りんねをぎゅっと抱きしめる。
188 名前:第八十三話 投稿日:2003年02月11日(火)10時53分11秒
「そのお城を、立派にするのもボロボロにしちゃうのもりんねの勝手。
 なっちはりんねに、ずっと『心』を教えて来たつもり。それを忘れなければ…大丈夫。」
なつみとりんねは、離れて見詰め合った。
「…それじゃ、私…もう行かなきゃ。二号店のスタッフが待ってるから…。」
「うんっ!!仲間は大事に、だべさ!!」
「はいっ!!」
りんねは最後に、もう一度ぺこりと頭を下げた。

「ありがとうございました!!」

そういい残して、りんねは巣立って行った。
 りんねの姿が見えなくなってから、なつみはへなへなと道に座り込んだ。
「…なっち。」
店の中から、紗耶香が出て来る。
「…行っちゃった。」
「・・・・・・。」
「りんねなら、大丈夫だべさ。しっかりしてるコだし、頑張り屋さんだし、パティシエと
しての腕も文句ないし…。」
紗耶香は、なつみにそっと手を貸して立たせる。
189 名前:第八十三話 投稿日:2003年02月11日(火)10時53分46秒
「…だから、絶対大丈夫。それはわかってる。なのに…。」
「なっち…」

「なんでこんなに、涙が出るんだろうね…。」

紗耶香は、なつみを抱きしめた。
「…っく、りんねぇ〜…寂しいよぉ…。」
「・・・・・・。」
「…もう。何人もの見習いのコ達を見たけど…こればっかりは慣れないよぉ…。」
「なっち…。」
紗耶香は、涙が溢れ続けるなつみの目元に唇をつけた。
「…もう、泣かないで。私がいる。私はずっと、なっちの側にいるから。」
「…うん…。紗耶香にまでいなくなられちゃったら、なっち…もう生きて行けないよぉ。」
「なっち…愛してる。」
「なっちも、愛してるよ。紗耶香ぁ。」
誰もいない道の真ん中で、二人はしばらく抱き合った。
190 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月11日(火)10時54分46秒


 まさえっちょ、執事魂が止まりません(笑)
 てゆーか、明日は声楽(専攻実技)の試験です。練習しなきゃ…でも、更新のが先なの
れす。
 そして…ゲームボーイアドバンスSPの予約に失敗…(泣)
 うおぉぉぉぉぉう…(号泣)

>名無しどくしゃ様
 ほんとにねぇ、圭さんってば。酒は飲んでも飲まれるなってヤツですわよねぇ。
( ‘д‘) <もう飲んじゃ駄目だからねっ!!
(;`.∀´)<・・・・・・(汗)

>ヒトシズク様
 こんかいはさやなちが大胆です(笑)道のド真ん中だよ、あんたら…。
 ありがとうございます!!がんばりますね!!

>ななしのよっすぃ〜様
 まさえっちょの留守中に柴田さんに近づくとは…素敵過ぎます(笑)
 >では、程よく近づいたところで、次の更新を待ってます!!!
 程よくって!!程よくってどれくらいなんでしょうか!?気になって今夜は眠れな〜い。
191 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月11日(火)10時55分35秒
レスの続きです〜♪

>プチひとむ様
 さ、最初から!?読み直したんですか!?すげぇ…!!
 って事は、かなりの矛盾点にも気がついていらっしゃるでしょうか…(大汗)
 いや、自分でも気付いてるんですよ。気付いてはいるんですよ。だけど、訂正するのが
面倒くさ…ゲフンゲフン。
 こんな私ですが、頑張りますので…どうぞ見捨てずにいて下さいませ!

>一読者様
 をををををっ!!覚えていてくださいましたか、里ちゃん唯一の登場シーン!!
 ふふふ…実は里さんは、もうすぐ出て来る予定なんですよ〜♪楽しみにしていて下さい
ませっ!!

>名無し読者様
 ありがとうございますっ!なるべくオールキャスト、を狙っているのですが…出しにく
いキャラもいるんですよね〜コレが。
 裏話としては、実は村田めぐみさんはもっと重要な役で出るハズだったのに…誰かさん
に出番を取られたって話も…(笑)
(+‐ Δ‐)<ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
192 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月11日(火)14時18分30秒
マサエカッケエエエェェェエエエ!!!!!!!!
惚れたべ。惚れた惚れt(ry
柴ちゃんマサエGETしる!
193 名前:まるみ 投稿日:2003年02月11日(火)17時12分28秒
大谷さん、さすが柴田家執事ですね〜!
見事にまとめています。このまま亀井家の当主にならないでね?
りんねさんの支店も楽しみです☆
194 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月11日(火)18時38分50秒
クロイツさま、更新お疲れさまです。
まさえっちょ、亀井家でも活躍中です。お嬢様と言うようりもやっぱり執事が似合ってます。(ハッ、なにげに失礼なこと言ってるかも)
いや〜、まさえっちょがいないので、勝手に、あゆみちゃんの身の回りの世話をしています。
人使いが荒くて、毎日ボロボロです。(笑)
ついでに、柴田家本邸のネットワークセキュリティーを含め、改善しておきました。もう、石川家からの侵入も防げるはずです。
>程よくって!!程よくってどれくらいなんでしょうか!?気になって今夜は眠れな〜い。
柴田家本邸で寝泊りしてます。ようやく一つ屋根の下で...。念のため部屋は使用人室の隅っこで寝袋です。
まさえっちょがいたときは、こき使われたあげく、どんなに遅くなっても、疲れていてもつまみ出されてました。何気にまさえっちょ怪力です。(笑)
77444>さ〜もう少し近づこう。(コッソ-リ,コッソ-リ)

では、次の更新の時は愛する 川σ_σ|| の横に並んでます。
195 名前:チップ 投稿日:2003年02月11日(火)20時04分45秒
まさえっちょ・・・かっこいいけど、アナタはそこにいちゃいけない人だ!!
えっちょしまで脱いじゃって・・・着物て似合い過ぎやないかぁー!
何気にヤッちまった(下品で申し訳)後のごまこんも気になっとります。
早く楽にしてください。(切実)
196 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月11日(火)20時37分09秒
おぉ!大谷さん、執事魂がうずうずと・・・(笑。
テキパキ仕事を指示する大谷さんかっけぇ〜です^^
大谷さんのおかぁさんがなぜそんなにも怒ってらっしゃるのか???
気になって夜も眠れません・・・かも^^
ををっ!今回はさやなちが大胆で!!!!
しかも道路の真ん中で・・・・やりますねぇ・・・市井さん(w

それでは、クロイツ様(師匠)声楽のテストがんばってくださいね。
こちらの更新も楽しみに待っています。
がんばってください!応援してます♪
197 名前:あおのり 投稿日:2003年02月12日(水)10時46分34秒
なっちとののは本当に天使ですね。
この二人には是非まこっちゃんとぁゃゃのこともお願いしたいと思います。
どうか二人を救って下せー

もう試験は済んだんでしょうか?遅まきながら成功をお祈りしております。
>ゲームボーイアドバンスSPの予約に失敗…(泣)
クロイツさんィ`
198 名前:第八十四話 投稿日:2003年02月12日(水)21時18分30秒

 あゆみの機嫌の悪さは、もう誰にも手がつけられなかった。
「…このお茶、渋過ぎ。」
あゆみがそう言うと、メイドの一人が驚き顔で頭を下げる。
「申し訳ございませんっ!!大谷さんのレシピ通りに淹れたつもりなのですが…。」
「大谷のレシピィ!?」
あゆみの不機嫌丸出しの目に、更に迫力が加わる。
「あのアホ!!んなモン残して行くくらいだったら、最初から出て行くなぁぁぁぁぁ!!」
「も。申し訳ございませんっ!!」
そんなメイドを無視して、視線を別に移す。
「…何この花。」
すると、別のメイドが答える。
「ああ、それ、大谷さんの指示なんです。この季節にはこの花を飾るようにって…。」
「大谷の指示ィ!?」
あゆみの目に、危険な光までもが点り出す。
「あのバカ!!んなモン出して行くくらいだったら、最初から出て行くなぁぁぁぁぁ!!」
 …この通り。
 一事が万事そうなのだ。これには、使用人達も泊まりこみで雅恵を探している社員達も
困った。
 雅恵が柴田家から姿を消して、もう一週間。それなのに、居場所も掴めないのだ。
199 名前:第八十四話 投稿日:2003年02月12日(水)21時19分02秒
 イライラと室内を歩きまわるあゆみに、美貴がおずおずと駆け寄った。
「あの…あゆみさんっ!!」
「ん?あぁ…ミキティ。」
美貴は思い切り頭を下げる。
「ごめんなさいっ!!あたしが…あたしが余計なこと言ったせいで…!!」
「ミキティは全然悪くないわよ!悪いのは全部大谷で…」
「いいえ!!」
驚くあゆみに、美貴は激しく頭を横に振る。
「だってあたし…大谷さんの秘密ばらしちゃって…!!そのせいで…!!」
「ミキティ…。」
ぼろぼろと涙をこぼす美貴に、あゆみはおろおろするばかり。
「全部、あたしが悪いんです…本当に、本当にごめんなさい!!」
あゆみは、そっと美貴の涙を指で拭う。
「…本当に、ミキティが謝る事なんか何もないのよ?だって、私は盗み聞きしてたワケだ
し…それに大谷がこの家を出たのだって…大谷の勝手なワケだし。」
「でも、引き金を引いたのはあたしです!!」
美貴は、ぐっと拳を握り締めた。

「あたし…馬鹿でした。大谷さんとあゆみさんの間に割り込もうなんて…そんな不可能な
事をしようとしたから…こんな結果に…!!」

「…はい?」
あゆみの目が点になる。
200 名前:第八十四話 投稿日:2003年02月12日(水)21時20分13秒
「あたし、わかってたんです。大谷さんとあゆみさんは、とっても強い絆でつながってるっ
て…お互いを思いあってて、だけど身分の差の故に…それを実現する事ができなくて、二
人ともすごく苦しんでるんだって。だから、あたしなんかが割り込むのなんて、絶対無理
だって…。」
「…だから…はい…?」
「あたしはもしかしたら、そんな大谷さんだからこそ好きになっちゃったのかも知れない。
これはやっぱり『恋』じゃなかったんですね。『憧れ』みたいな。」
美貴は、胸の前で手を組み合わせる。
「あたしも、早くみつけます。あゆみさんにとっての大谷さんみたいな人。」
「…あの、話が全然見えないってゆーか…なんか勘違いを…」
「いいえ!良いんです!」
「いや、私は良くないってゆーか…」
「わかってますから、あたし!」
「だ、だから、何を?」
201 名前:第八十四話 投稿日:2003年02月12日(水)21時20分45秒
会話がかみ合ってないが、美貴はなんだかサッパリした顔をしていた。
 あゆみは『サッパリ』わからないと言う顔だが。
「…はやく、大谷さんが見つかると良いですねっ!!」
「そ、それはそうなんだけど…なんか誤解があるって感じ…?」
「あたしもできる限りお手伝いしますから!とりあえず、お茶淹れなおして来ますね!」
美貴はスカートの裾をふわりと翻し、軽い足取りで部屋から出て行った。
「・・・・・・。」
後に残されたあゆみは、呆然とそれを見送るしかできなかった。
202 名前:第八十四話 投稿日:2003年02月12日(水)21時21分17秒


 一方、雅恵は。
「…雅恵、そこにちょっと座りなさい。」
「はい。」
『当主の間』と呼ばれる部屋に通されて、雅恵は義父と母を目の前に座った。
「…雅恵さん、柴田家では執事をしていたそうだね。」
柔和な印象を受ける初老の男性が、その外見にピッタリ一致するような声で言う。
「はい。」
「君の活躍は聞いているよ。『柴田家に大谷雅恵あり』と言われるくらい、優秀なんだそ
うじゃないか。」
「恐れ入ります。しかし、私はまだ未熟者で…」
「雅恵、そう言う話をしたいのではありません!」
母は厳しい口調と共に、厳しい視線を雅恵にぶつけて来る。
「…雅恵、わかっているのですか!?あなたは…執事のような『使われる立場』にいて良
い人間じゃないのです!」
「・・・・・・。」
雅恵は、母が何を言いたいのかがわかってしまった。
「雅恵さん。」
「なんでしょう、義父上。」
亀井家当主は、柔和な顔に優しい笑顔を乗せた。

「ワシの跡を、継いでもらえんかね。」

(来た…。)
それが、雅恵の正直な感想であった。
203 名前:第八十四話 投稿日:2003年02月12日(水)21時21分50秒
「…亀井家とは、一滴も血のつながらない私が、ですか?」
「雅恵ッ!!」
「いやいや、血縁なんてモノはすぐにつなげられるものさ。」
(…つまり、亀井家の誰かと結婚しろって事か…。)
雅恵は深いため息を吐いた。
「…私は、興味がありません。」
「まあ、そんなに結論を急がなくても良い。」
雅恵は頭が痛くなって来た。
「期待してるよ、雅恵さん。」
「…失礼いたします。」
雅恵は立ち上がって、『当主の間』から出た。
(…やっぱり、ここに来たのは間違いだったか。)
 だが、他に行く所がなかったのも事実。
 雅恵は目頭を押さえながら、もう一度深いため息を吐いた。
204 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月12日(水)21時22分32秒


 第八十四話は、短い上に柴田&大谷スペシャルです。
 本日、声楽の実技試験でした。…疲れました。緊張しまくりましたし…。
 ってなワケで、癒してくれ…柴田&大谷…。
川σ_σ||<やーよ。面倒くさい。
( `_´)<甘えるんじゃありません。
 …明日はピアノの試験です。もーどーにでもなれ〜♪

>名無しどくしゃ様
 今回の柴田&大谷スペシャル、いかがでした?
 大谷さん、必要以上にカッコよくなり過ぎました(汗)

>まるみ様
 とうとう、亀井家が動き出してしまいましたっ!!どーするんだまさえっちょ!!
 りんねさんの支店…楽しみにしてて下さいませっ♪ご期待に沿えるよう、がんばりますので!

>ななしのよっすぃ〜様
 今回の様子見てても、柴田家の中は大変そうですね〜。あゆみ様イライラしてるし。
 >まさえっちょがいたときは、こき使われたあげく、どんなに遅くなっても、疲れていてもつまみ出されてました。
 >何気にまさえっちょ怪力です。(笑)
まさえっちょ…怪力な上にちょっぴりヒドい…(笑)
 鬼の居ぬ間に、がんばってくださいませ!!
205 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月12日(水)21時23分13秒
レスの続きですきほし

>チップ様
 ごまこんは…すみません。もーちょっと苦しんで下さい(←ヒデェ)
 今回も大谷さん、和服です。男物です。何故男物かって言うと、動きやすいからです。

>ヒトシズク様
 大谷さんのおかーさんは、なんとしてでもまさえっちょに当主になってほすぃ〜みたいです。
 >それでは、クロイツ様(師匠)声楽のテストがんばってくださいね。
 >こちらの更新も楽しみに待っています。
 >がんばってください!応援してます♪
 ありがとうございますぅぅぅぅ〜〜〜〜〜!!!頑張りましたよ今日!!ちょっぴし失敗したけど!!
 明日のピアノの試験が終われば、もう春休み〜!!あと一息、頑張ります!!

>あおのり様
 まこっちゃんとあやや…結末が決まってるので、コメントは控えさせて頂きます。どうぞ、想像しまくって下さいませ!!
 …あおのり様の想像の方が面白かったらどうしよう…(汗)
 >クロイツさんィ`
 ありがとうございます…頑張って生きて行きたいと思います…。
206 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月12日(水)21時36分24秒
声楽のテストお疲れ様でした。
次はピアノのテストですか・・・色々と大変でしょうが、がんばってくださいね!
春休みのためにも・・・・(笑。

今回は大谷さん&柴田さんで^^
大谷さん悩んでますねぇ〜・・・柴田さんも荒れてばかりで・・・
・・・どうなるんでしょう?
すごい、気になりますねぇ〜。今注目の2人ってカンジで^^

次の更新楽しみにして待ってます!
テストなど色々と大変でしょうが、がんばってくださいね!
応援してます!がんばってください、師匠!!!
207 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月12日(水)22時35分33秒
みきてぃ…!!君にはあやゃが居るさっ!!(w
まさえっちょと柴ちゃんもどうなるか気になりますね〜

何気に、こんごまの行くへも…(w
二人のことを知ったときの他のみんなのリアクションが知りたい!!(w

更新いつも楽しみにしています
208 名前:まるみ 投稿日:2003年02月12日(水)23時11分23秒
声楽のテスト乙です。&ピアノもがんばって!

柴ちゃん、荒れに荒れて大型台風みたいです。
メイドの皆さん、吹き飛ばされないようにがんばって下さい!
209 名前:144 投稿日:2003年02月13日(木)01時46分02秒
更新、お疲れ様です。
まさえっちょの心の揺れ具合が気になりますねぇ。
まさえっちょ、アナタはやはり柴田家に必要な人材なのだ!
カムバック、プリ〜ズ!
でも和装のまさえっちょも捨て難いとか思ってみたりする・・

一人で起承転結している美貴タンが可愛いですねw
行方をくらませているあややの動きも気になります。
210 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月13日(木)16時36分11秒
試験乙です。
大柴すぺさる気に入りましたハナマル。
ここのミキティ性格可愛いくて好きだす。
現実もこのぐらい可愛いければ(死
211 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)20時58分06秒

 驚くべき手紙が、石川家に届いた。
 それを見せられたひとみは、思わず大きな声で読みあげてしまった。

「…か、亀井家が当主交代!?しかも新当主は…大谷雅恵!!?」

「そ、そうなの…。」
梨華の眉が、八の字になっている。
「亀井家の当主交代の記念パーティーの招待状なんだけど…大谷雅恵って…柴ちゃんの家
の執事よね。どうなってるのかしら…。」
「ど、同姓同名の別人とか…?だって、あり得ないよ!まさえっちょが柴ちゃんから離れ
て…しかも、敵同士みたいな立場になるなんて!」
雅恵のあゆみに対する想いの深さは、ひとみはあゆみに囲われていた時代に見ていて、よ
く知っていた。
 しかし、手紙を持ってきた真希は悲しそうに首を振る。
「…私も色々と調べたのですが…どうやら亀井家の新当主は、『柴田家に大谷雅恵あり』
と言われた大谷雅恵のようです。」
「そ、そんな…!!」
梨華がよろめく。それを支えながら、ひとみもショックを隠せない。
212 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)20時58分48秒
 そんな二人に追い討ちをかけるように、真希は言う。
「更に悪い事になりました。」
「…え?」
「このパーティーの席上で…大谷雅恵と、亀井家の男性との婚約が発表される予定なんで
す。」
「「なッ!!?」」
同時に驚きの声を上げる梨華とひとみ。
 それを見て、今まで黙っていた里沙が口を開く。
「…ま、当然の流れですわね。大谷雅恵は、亀井家とは血のつながりがありませんから。」
すると、里沙の隣で『?』を飛ばしていた亜依が、里沙に尋ねる。
「なんで、血のつながりがないと駄目なの?」
「それはそうでしょう。『亀井家』の『当主』が、亀井家とは何のつながりもないのでは、
いくら大谷雅恵が優秀でもカッコがつきませんわ。…それに、亀井家と言うのは『血のつ
ながり』と言うモノを必要以上に重要視する傾向がありますから。」
「へぇ〜…。」
平然と答えているように見える里沙だが、内心は舌打ちをしていた。
213 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)20時59分26秒
(…大谷雅恵がいなくなった途端、柴田家は混乱に陥った…って事は、今まで柴田家の最
重要部分を握っていたのは大谷雅恵…。その大谷雅恵が亀井家に流れたとなると…今まで
は楽勝だった亀井家の得意分野『電化製品部門』が…やりにくくなりますわ。)
そして、里沙はふっと顔を上げる。
 部屋の中には、梨華、ひとみ、亜依、里沙、真希の五人の他に、あさ美もいる。

 そして、真里はいない。

 実は真里は、現在家出中なのだ。書置きには『私には、石川家の跡取りは務まりません。
新しい場所で、私に合った生き方を模索します。探さないで下さい。』と書いてあった。
 里沙は苛立たしげに、爪を噛む。
(この、大変な時に…!!)
それを感じ取ったのか、梨華は言った。
「…でも、どうするの?本来こう言う事に出席すべき真里お姉様は…。」
そこで言葉を切って俯く梨華の肩を、ひとみがそっと抱く。
「…仕方ありませんわ。全員で行きましょう。」
「「「「「へ?」」」」」
その里沙の言葉に、今まで黙っていたあさ美までもが驚きの声を上げる。
214 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)21時00分29秒
「梨華お姉様と亜依お姉様と私は、行かないわけには行きません。…だけど、三人だけで
跡取り娘である真里お姉様の穴は埋められませんわ。特に今回の場合、相手は血縁関係に
うるさい亀井家ですし。」
「そ、それはそうだけど…。」
「…ですから、梨華お姉様の婚約者であり、石川家の重要部分にも関わっている吉澤さん。
それに、既に石川家に多大な貢献をしてくれたあさ美さん。それからカリスマ執事の真希
さんも出席すれば、穴はなんとかふさがりますわ。」
「り、里沙お嬢様!私もですか!?」
「もちろん。」
驚く真希に、里沙は冷静に言う。
「真希さんは石川家の『家』の部分だけではなく『企業』の部分の方にも手を貸して下さっ
てますでしょ?お父様は真希さんを『重役』と認めてますし。」
「そ、そうなんですか!?真希さん!」
あさ美の視線を受けて、真希は苦笑した。
215 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)21時01分00秒
 そして、視線が合うと同時に…お互い頬を染め、顔を逸らす。
 初めて結ばれた日から今日まで、二人きりの時以外はずっとこうなのだ。二人きりの時
は二人きりの時で、イチャイチャ度が激しく増したようだが。
そんな二人を横目に、里沙は口を開く。
「…ですから、この六人で行くのがベストですわ。」
にっこり微笑む里沙に、他の面々は困惑を隠せなかった。
216 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)21時01分37秒


 同時刻、柴田家にて。
「…か、亀井家新当主…!?大谷が…!!!?」
招待状を持つあゆみの手が、ぶるぶると震えた。
「…同時に、大谷ちゃんの婚約発表があるって話やねん。」
「・・・・・・。」
みちよの言葉に、あゆみは頭をおさえてよろけた。
「う、嘘、でしょ…!?嘘だって言って…!!」
「残念ながら…ホンマやねん。」
あゆみは、執務机をばしっと叩く。
「…なんでよ!?私と…敵対するって言うの!?大谷ッ!!!」
だが、その問いに答えられる人間は誰もいなかった。みちよですら、眉を寄せて床に視線
を落としている。
「…大谷ちゃんを取り返す方法は、ないワケじゃないんやけど…。」
「何っ!?」
身を乗り出すあゆみに、みちよはぼそぼそと言う。
「…亀井家との取引を、全て中止するんや。柴田家にとっては大した損害やないけど、亀
井家にとっては…崩壊につながる損害になりかねないから…それで、亀井家に『大谷ちゃ
ん返せー!』言えば…。」
「…仕方なく、大谷は私の所に帰って来るってワケ…?」
あゆみの震えが、一段と大きくなる。
217 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)21時02分16秒
 あゆみは、机を拳で殴りつける。

「…そんな事をしなくちゃ、私は…私は大谷を取り戻せないってワケ…!!?」

 屈辱的だった。
 札束で両頬を叩くような真似をしなくては、雅恵を取り戻せない。
 そんな事実を突きつけられて、あゆみは屈辱に震えていた。
「…どうする?あゆみ様。」
 あゆみはぎゅっと目を閉じた。
(…こんな事になってから、初めて思い知るなんて…!!)
 あゆみにとって、雅恵は『空気』。いる事は当たり前で、だけどいなくなっては生きて
行けない。
『あたし、わかってたんです。大谷さんとあゆみさんは、とっても強い絆でつながってるっ
て…お互いを思いあってて、だけど身分の差の故に…それを実現する事ができなくて、二
人ともすごく苦しんでるんだって。だから、あたしなんかが割り込むのなんて、絶対無理
だって…。』
美貴に言われた言葉が、あゆみの頭の中を駆け巡る。そして、雅恵のこの言葉も。
『幼少の頃より、あなただけを…誰よりも何よりも愛しておりました。』
あゆみの顔に、ボッと火が点る。
「…えっ!?」
あゆみは慌てて、頬を押さえる。熱い。
218 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)21時02分53秒
「ん?あゆみ様、どないしたん?」
「い、いや、その、なんつーか…。」
説明できない。うまく言葉が出て来ない。
(な…なに!?これ…!!なんか…痛い!!身体の中が…胸が、すごく痛い!!)
初めての経験だった。今まで、感じた事のない感覚。あゆみは戸惑いながらも、みちよを
見た。
「…ねえ、みっちゃん。」
「ん?」
「…胸が、ぎゅって…痛いのって…なんで?病気、かな…?」
するとみちよは、驚き顔で答える。
「胸がぎゅっと痛い?そんなの、病名は決まっとるで。」
「何?」

「『愛』や。」

あゆみは、呆然と目を見開く。
「…は?」
「『恋』じゃそうはならんねん。ドキドキするだけや。だけど、『愛』はちゃう。恋より
も強くて苦しい…だけど、手に入れた時の充実感は比べ物にならん。それが『愛』や。」
「・・・・・・。」
「それがどうしたん?あゆみ様。」
「いやっ…その…。」
219 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)21時03分28秒
胸を押さえていた手を慌てて離すあゆみを見て、みちよは内心微笑んだ。
(…ようやく気付いたんか、このお嬢様は。)
戸惑いの抜けない表情のあゆみに、みちよはにっこりと微笑んで言う。
「…それで、どないする?亀井家は。」
「へっ!?…あ、ああ…そうだ…。」
あゆみは、深呼吸をしてから答えた。
「…なんか、そこまでしてやるのはムカっ腹が立つわね。」
「まぁ〜な。柴田家と亀井家じゃ規模が違うからなぁ。」
「『金持ち喧嘩せず』って言うわよね?」
「言うなぁ。」
「…決めたわ。」
あゆみはニヤリと笑う。

「そんな事をしなくても、実力で取り返して見せるわ!!」

「いよっ!!それでこそあゆみ様ッ!!で、亀井家のパーティーには?」
「もちろん行くわ。一人で!」
あゆみはぐっと拳を握る。
(走り出したら止まらない。これが、柴田家の人間の基本よ!!)
不敵な笑みを浮かべるあゆみを、みちよは満足そうに見つめていた。
220 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)21時04分01秒


 麻琴は自分の部屋で、情報屋と密会していた。
「…そう、キツネが…動き出したんだ。」
「Yes…目的も、ハッキリしていマス…。」

麻琴の仲の良い情報屋とは、ミカであった。

 出会ったのは、学校内で。亜弥の事を嗅ぎ回るミカを、同じく亜弥の悪事の確証を欲し
て亜弥の周囲を嗅ぎ回っていた麻琴が問い詰め…そして、仲良くなったのだ。
 交流は、ミカが役目を終えて転校して行ってからも、メールで続いていた。
「そっか…行動を起こすなら、その時しかないって事だね。」
「でも、麻琴!危険過ぎマス!!」
「大丈夫だって。」
「でも、その身体じゃ…!!」
そこまで言って、ミカははっと口を閉じる。麻琴は、苦笑いをして見せた。
「…さすが、情報屋。やっぱり、知ってたか。」
「・・・・・・。」
 ミカは、麻琴の心臓の病気の事と余命を知っていた。
 情報屋などと言うものをやっている為、聞きたくない情報まで耳に入ってしまうのだ。
221 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)21時04分45秒
「…どうしても行動を起こさなきゃイケナイのナラ、ワタシのトモダチを紹介しマス!だ
から麻琴は…!!」
「ううん。これは、自分の手でやりたい。」
麻琴の目が、遠くを見つめる。
「自分の目で見届けなきゃ…死ねない。愛ちゃんに会えないんだ。」
「麻琴…。」
ミカは決意したように、顔を上げる。
「わかりマシタ…ですが、条件ありマス。」
「…条件?」
「ワタシも連れてってくだサイ。」
「え…?」
驚く麻琴に、ミカは言う。

「ワタシが、証人になりマス。全ての事件の、終末の証人に…。」

麻琴は、ミカの手を握った。
「…ありがとう。」
「No!ワタシがやりたいからやるのデス!!」
ミカの耳が、足音をとらえる。
「…どうやら麻琴のママが来たみたいデスね。それじゃ、ワタシは失礼しマス!」
言うが早いか、ミカの姿が消えた。
222 名前:第八十五話 投稿日:2003年02月13日(木)21時05分24秒
「麻琴?何か呼んだ?」
部屋の扉から顔を出した母親に、麻琴は笑顔を見せた。
「…かぼちゃの煮つけ、食べたいな。」
「わかったわ。今日の夕飯で作る。」
「やった〜!」
母親が笑顔で、扉を閉めた。
 その扉に向かって呟く。

「…親不孝な娘で、本当にごめんね。」

 その呟きは、扉の外で立ち止まっていた母親の心に刻まれた。
223 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月13日(木)21時06分25秒


 ピアノの試験、本日終了!!
 これでもう春休みです!!いえーい!!やった〜!!
 …ピアノの試験は、ちょっぴり駄目駄目だったんですがね…。うふふ。
 都合の悪い事は忘れるのれす。

>ヒトシズク様
 今回、柴田さんが『をををををっ!?』て感じですね!!うっふふふふふはあとはあと
 >応援してます!がんばってください、師匠!!!
 いつも、本当にありがとうございます!!その言葉に救われております!!

>名無し読者様
 ごまこん、今回ちょっぴし出てます。てれてれです(笑)
 >更新いつも楽しみにしています
 ありがとうございますぅぅ〜〜〜!!うれしいです!!嬉し過ぎです!!

>まるみ様
 メイドの皆様、ビクビクしております。泊り込みの社員の皆様も(笑)
 でも今回で柴ちゃん、方針が決まったみたいですよ〜♪
224 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月13日(木)21時06分48秒
クロイツさま、更新お疲れさまです。
テストは上手く行きましたか?
さて、こちらは柴田家で、しかばね状態の77444です。
>鬼の居ぬ間に、がんばってくださいませ!!
頑張りたいのですが、川σ_σ|| ちゃんが怖くて...。メイドさんと一緒にブルブルしてます。
一人カン違い気味にはりきる美貴茶だけが明るいです。
想像以上に亀井家のガードは固く、ネットに侵入できません。
いいとこみせて、川σ_σ|| ちゃんの横におさまろうとしてますが、川σ_σ|| ちゃんの横には、旦那より前に、まさえっちょの予約席があるようです。(TT)
では、あややのいくすえも見守りつつ、更新を楽しみに待ってます!
225 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月13日(木)21時07分03秒
レスの続きです♪

>144様
 まさえっちょ、こんな事になってしまいました…(大汗)
 >一人で起承転結している美貴タンが可愛いですねw
 こーゆー思考回路の女の子、大好きなんですよ(笑)自己完結型と言うか…。

>名無しどくしゃ様
 ををっ!スペシャル、気に入って頂けましたか〜♪よかった〜♪
 >ここのミキティ性格可愛いくて好きだす。
 >現実もこのぐらい可愛いければ(死
 ありがとうございまっす!!そう言って頂けると嬉しいです♪
 だけど…私は現実の性格悪そう(失礼)なミキティも大好きです(爆笑)
226 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月13日(木)21時09分31秒
結ばれたのね。犯罪でも仕方ないのね。理沙お嬢様頭いいのね。
おもしろいのね。んぁ〜、負けないのね〜!(何にだよ。)
227 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月13日(木)21時16分33秒
さらにレスの続きでっす!!

>ななしのよっすぃ〜様
 今回柴田さん、大変な事になりましたねぇ〜(汗)社員としてはどうなんでしょうか?
 あややの行く末…決定してるのでコメントは控えさせて頂きたいと思います(笑)
 まさえっちょの予約席…素敵ですね、それ!!
 ななしのよっすぃ〜様もがんばって下さいませ!!
228 名前:チップ 投稿日:2003年02月13日(木)21時23分16秒
おぉっ!!やっと胸ギュが!そう、それが愛なのですね・・・
今からパーティーが楽しみです。柴ちゃん暴走しちゃうのかなぁ?
バンチラの如く登場したごまこんに癒されました、ありがとうございます。
でもまこっちゃん・・・泣かせるなYO!ママ、イ`。

229 名前:まるみ 投稿日:2003年02月13日(木)21時27分56秒
石川家vs柴田家vs亀井家の戦いはどうなるのか!!
柴ちゃんと大谷さんは本当に敵対するのか!!!
そして・・・あややとまこちゃんの運命は!!!!?

次回更新がすごい楽しみです。
230 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月13日(木)21時34分14秒
おおおおおおっ!!!(←今回は多めです^^;)
やっと、胸がギュッがきましたかぁぁ〜!待ってました!このときをっ!
パーティーがすごいことになりそうですっ!楽しみに待っております!
真里っぺは家出中ですかぁ〜・・・やりますなぁ。石川家の人間は。
6人で行くパーティー楽しみです!一波乱ありそうで・・・^^

師匠、ピアノの試験お疲れ様でした。
いろいろと試験が大変で・・・・
これからは春休みということで・・・まだまだ春休みが遠い私にしてはうらやましい限りです。
では、次の更新楽しみにしてます!
がんばってください、応援してます、師匠♪
231 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月13日(木)21時50分43秒
マコたん…感動して泣いてしまったでねぇか・゚・(ノД`)・゚・
マコの台詞がとても心に響きました。シンミリ
232 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月13日(木)22時06分08秒
さりげに柴っちゃんと大谷さんのコンビがこの小説の中で一番好きなんで柴っちゃんにはがんばって欲しいもんですなぁ
233 名前:あおのり 投稿日:2003年02月14日(金)12時40分00秒
ミチャーンいいですね。
あゆみお嬢様もミチャーンにはリズムを狂わせられているようで、
なにげに本心をもらしてますね
これも亀の甲より年の功ってやつでしょうか?(w
( `◇´)<なんかゆうた?

まこっちゃんには毎回泣かされます。まこっちゃんがんがれ!

作者様、試験前にもかかわらず更新かっけー!
234 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時17分19秒

 三月一日。『Tochter.』二号店オープンが、五分後に迫っている。
「…制服よしっ!髪型良しっ!ケーキの準備良しっ!」
里田まいは最終チェックを行っていた。
 まいはもともと、『Tochter.』のケーキの大ファンだった。十九日の限定ケー
キは、学校を休んででも必ず手に入れる程の。
 そんなまいだから、『Tochter.』二号店のスタッフ募集の広告を見つけた時に
は心が躍った。
(…ああ…私も、大好きな大好きな『Tochter.』のケーキを、売る立場になれた
のねっ!!)
 バイトとして、販売員に採用された時には小躍りしたくらいだ。
 しかし、まいも一応は石川家の近所に住む『良家の子女』。バイトに関しては、激しく
親に反対された。その親を『反対するなら家を出る』と言って脅し、ようやく認めさせ、
この制服を着ているのだ。
 感動もひとしおである。
「まいちゃん、準備は良い?」
「あっ、はいっ!!」
まいよりも先に採用が決まり、バイトの経験も豊富な木村麻美に声をかけられ、まいは深
く頭を下げた。
235 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時17分56秒
「が、がんばりましょうねっ!!」
「そーだねぇ。なんてったって、オープン初日だもんねぇ。」
のんびりのほほん、と言った口調であさみが言うと、まいは不安気な顔をした。
「あのっ、私、バイトとか初めてなんで…ご迷惑とかかけちゃうかもなんですけど、でもっ!
一生懸命がんばります!!よろしくお願いしますっ!!」
「そっかぁ〜、まいちゃんはバイト初体験かぁ。頑張ろうねぇ。大丈夫大丈夫。ちゃんと
フォローするしぃ。」
「はいっ!!」
そんな二人のもとに、嬉しそうな顔全開のりんねが来た。
「おっ!集まってるね〜。」
りんねは、あさみとまいの手を取った。

「さ、これからオープンするよ!頑張って行こうね!!」

「はいっ!」
「はぁい♪」
三人だけの店内が、ほんわかした雰囲気に包まれた。
 十時を知らせる時報が鳴る。
 りんねが『Tochter.』二号店の自動ドアの前の札を『OPEN』に変えた。
236 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時18分39秒


 亀井家のパーティーは、三月十四日。
「・・・・・・はぁ。」
あさ美はため息を吐く。
(まったく…なんでよりにもよってホワイトデーなんでしょう…。)
そう思いながら、視線を部屋の机の引き出しに移す。
 そこには、真希へのホワイトデーのプレゼントが入っているのだ。
(…気が早すぎるでしょうか…で、でも、食べ物じゃないし…良いですよね。)
あさ美はぽっと頬を赤くした。

こんこん

「は、はいっ!真希さんですね、どうぞ!」
ノックの音で、もう真希の事は識別できる。何故だかはわからないが、『なんとなく』わ
かってしまうのだ。しかし、別の人のノックは聞き分けられないあさ美であった。
 あさ美の予想通り、柔らかな笑みを浮かべた真希が入って来る。
「真希さん…!」
とたとたと駆け寄るあさ美を、真希は抱きとめる。そして、愛おしそうに頬擦り。しばら
く無言で抱き合うと、今度はしばらく見つめあい、自然の流れのようにキス。
237 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時19分18秒
 唇同士が離れると、真希は今度は軽いキスをあさ美の顔中に落とす。
「んっ。もうっ、真希さんっ。」
じゃれ付くようなその口調が、真希の耳に心地よく響く。
 そして、耳を甘噛み。
「やんっ!きゃあっ。」
「あさ美…。」
「ま、真希さぁん…。」
すでにあさ美の顔は、真っ赤だ。
真希はもう一度、あさ美の唇にキスをする。
「…ん。」
うっとりとしている瞳のあさ美を抱きしめ、真希は残念そうに言う。
「…里沙お嬢様が、あさ美を呼んでいらっしゃる。」
「え?」
「ホワイトデー企画の経過報告だそうだ。…でも、ホワイトデーって言うのは火がつくの
が遅いから、まだまだ伸びてないだろうな。勝負は三月十四日直前くらいだ。」
あさ美は、真希にぎゅっと抱きつく。
「それから、今朝オープンした『Tochter.』二号店についての話し合いがあるそ
うだよ。」
「…そうでした。今日でしたね、オープン。」
238 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時19分49秒
あさ美の顔が、キリッと引き締まる。真希はそれを見て、微笑んだ。
「…離したくないけど、仕事じゃ仕方ない。」
「あのっ!私も…離れたくないんですけど…。」
あさ美は胸の前で手を握り合わせる。

「こ、今夜…来て、くれませんか…?」

真希が驚いた顔をすると、あさ美は湯気が出る勢いで顔を赤くし、俯いた。
 それを見て、真希はとろけるような微笑を浮かべた。
「…私も、『今夜来ても良いか』って言おうと思ってたんだ。」
「ほ、本当ですかっ!?」
「うん。」
そして、顔を見合わせて…ゆっくりとキス。
 二人は幸せそうな笑顔を浮かべて、仲良く手をつないで部屋を出た。
239 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時21分05秒


 そして、午後三時に会議終了。
「…な、長かった…。」
「・・・・・・。」
バテるひとみとあさ美を尻目に、里沙はすっくと立ち上がる。
「さてと。私はこれから、本社の方に顔を出して来ますわ。」
「…里沙ちゃんパワフルだね…。」
「いいえ。慣れてるだけですわよ。吉澤さんもあさ美さんも、その内慣れますわ。」
そう言う里沙の背中を見送ってから、姉妹は同時に溜め息を吐いた。
「…てゆーかさぁ、最初は『Tochter.』二号店の経営のお手伝いだけだって話だっ
たのに、なんだかだんだん別の部門にも顔を突っ込んで来てるよね…ウチら。」
「そうですよね…。」
 そう。今日だって、ホワイトデー企画と『Tochter.』二号店についての会議は、
午前中で終了しているのだ。午後三時までかかったのは、服飾部門の会議にも出席した為
である。
「…ま、なんか楽しいから好きだけどね。仕事。」
「そうですねぇ。私も楽しいです。」
ひとみは今まで使わなかった頭をフルに回転させる事に楽しさを見出し、あさ美は今まで
持て余していた頭脳を活用できると言う事に楽しさを感じていた。
240 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時22分12秒
 それに二人とも、天才的に仕事ができるのだ。
 楽しくならないワケがない。
「…でもさぁ、服飾部門でもホワイトデー企画、すっげぇ〜よね。」
「特に香水!…私、『SEXY BABY』の香水が気に入りました!」
ひとみも笑顔で頷く。
 もともと『SEXY BABY』は、りんねが作ったケーキだった。それを食べた重役
が、『このケーキをイメージした香水を、ホワイトデー用に作りたい』と言い出したのだ。
 そして、できたのが『色っぽい女〜SEXY BABY〜』。
 ケーキの味を、そのまま香りにしたような…ちょっぴり背伸びした大人っぽさを感じる
香りだ。
「あたし、なつみ姉ちゃん見て『イメージした味をそのままデザートに出せちゃうパティ
シエってかっけ〜!』って思ってたけど…調香師もかっけ〜!!」
「イメージを実現できるって事は、本当にすごい事ですよね。」
同時に、にへっと同じ微笑を浮かべた姉妹。
241 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時22分50秒
 その直後、ひとみの携帯が震えた。メールだ。

『ひとみちゃん、今どこ?今日はお仕事だったのよね。わたしは今、お部屋に着きました。
もし良かったら…来て。会いたいの…。 梨華』

それを見たひとみが、すくっと立ち上がる。
「スマン!あさ美!!姉ちゃんは石川家にマッハで行くッ!!」
「えっ!?あ、梨華お嬢様ですね。わかりました。」
あさ美はひらひらと手を振る。
「私は、ここで資料を見させて頂いてから戻りますから。」
「おー!…あ。」
ひとみはあさ美ほ肩を、ぽんぽんと叩いた。
「あたし先に帰るけど、アヤカさんは先に帰しちゃ駄目だからね?ちゃんと、アヤカさん
と一緒に帰って来るんだよ?」
「わかってます。完璧です。」
「そーよぉ。」
天井から、アヤカが落ちてきた。
「「うわっ!!」」
「私が、護衛対象一人で残して帰るワケないじゃないの!まったく。」
242 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時23分22秒
「あ、アヤカさん…いつもの事ながら、気配感じなくて怖いです…。」
「当然でしょー?」
なんてったって、スパイ兼ボディーガードなのだ。
 それにアヤカは、必要以上に『美』を追求する傾向がある。彼女曰く、ボディーガード
とは『護衛対象にストレスを与える事なく、しかし完璧に護るモノ』なのだそうだ。
 しかし昔、護衛対象に『いるんだかいないんだかわからなくて、かえってストレス溜ま
る』と言われた経験もあるのだが、コレは内緒の話である。
「それじゃ、あたし…じゃなくて僕は先に帰ります。あさ美を頼みましたよ、アヤカさん!」
「OK!まかせてっ!!」
「ひとみ姉さんも気をつけて〜。」
ひとみは、早足で駐車場に向かった。
243 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時23分58秒


 ひとみが息を切らせて梨華の部屋に入ると、梨華は『ひとみちゃん人形』を抱きしめて
心細そうにしていた。
 それを見て、ひとみは梨華に駆け寄って抱きしめる。
「…ただいま、梨華ちゃん。」
「おかえりなさい…。」
「どうした?何か、あった?」
「…うん…。」
梨華は『ひとみちゃん人形』を手放し、ひとみに抱きつく。

「…真里お姉様、やっぱり中澤先生の所にいるみたい。」

「…本当に?」
「うん…今日、中澤先生とすれ違った時…かすかに、なんだけど、真里お姉様が愛用して
る香水の香りがしたから。」
梨華は、ひとみにもたれかかるように抱きつく。
「…どうしたら良いのかしら…。」
 梨華は悩んでいるのだ。
 居場所はわかっても、連れ戻せない。
 真里に恋人がいると言う事は、梨華はなんとなく気付いていた。バレンタインの日は翌
日の昼まで帰って来なかったし、出かける事も増えたし、帰りも遅くなっていたし。
244 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時24分36秒
(まさか、相手が中澤先生だなんて…。)
ひとみの腕の中で、梨華は溜め息をつく。
 せめて、男なら良かった。
 どんな男でも、良いのだ。石川家には里沙がいる。だから、当主に向いていない人間で
も、仕事が全くできなかったとしても、里沙がフォローできる。
それに、ひとみとあさ美と言う戦力も入った。あと二年経てば、圭も大学を卒業する。圭
も『石川家の企業に就職したい』と言っているし…当主は『お飾り』で良いのだ。
 跡取りとなる子供さえ作ってくれれば。
「・・・・・・っ!!」
梨華はぎゅっと目を閉じて、ひとみに抱きつく。
「どうしたら良いのか、わかんないよぉ…!!」
梨華の頭の中には、最悪の事態があった。
 万が一、真里が相続権を放棄したら…お鉢は梨華に回って来るのだ。
 そうしたら、梨華はひとみと引き離されてしまう。石川家当主は男性と結婚しなくては
ならないのだ。子孫を残すために。
 それは、ひとみも知っている。
「…梨華ちゃん…。」
不安に震える梨華を、ひとみは優しく抱きしめる。
245 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時25分11秒
 梨華は、まるで悲鳴を上げるように言った。

「お願い、ひとみちゃん!わたしを抱いてッ!!」

「…んなッ!!?」
「石川家の家訓に、『伴侶となる者以外に、身体を許してはいけない』って言うのがある
の…。」
梨華の声は、消え入りそうなくらいに小さかった。
「…真里お姉様は、多分…もう、中澤先生に抱かれちゃってるはず。」
「!!」
 梨華は以前に、真里の首筋にあったキスマークを目撃していた。裕子がつけたものだ。
「だから…もう、真里お姉様は当主にはなれないの…。」
「・・・・・・。」
「だけど、わたしは…当主になんかなりたくない!なっちゃったら、ひとみちゃん以外の
人と結婚させられちゃう…!!」
「梨華ちゃん…。」
梨華は、涙に濡れた顔を上げた。
「もう、戻れないの…ひとみちゃんじゃなきゃ、わたしは駄目なの!!だから、お願い!!
ひとみちゃん以外の人と結婚できないように…わたしを抱いて!!」
ひとみは梨華を抱きしめながら、呆然とするしかなかった。
246 名前:第八十六話 投稿日:2003年02月14日(金)15時25分43秒
 ハッキリ言って、ひとみは迷っていた。
(あたしだって…梨華ちゃん以外には考えられないけど…!!)
 自分の想いが、梨華の将来を邪魔する結果になるのではないかと思ったのだ。
 ひとみの口の中が、乾く。
「…梨華ちゃん…でも、梨華ちゃんは、本当に…当主になれなくても良いの…?」
「なりたくないの!!わたしは…わたしの夢は、ひとみちゃんのお嫁さんなんだもの!!」
梨華はひとみにしがみつく。
「それ以外に、なりたいものなんかないの…!!」
 ひとみの中で、何かが切れた。
 ずっと、張り詰められていたものだ。
 それを自覚する以前に…ひとみは、梨華を押し倒していた。
247 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月14日(金)15時26分22秒


 さーて、どうなっちゃうのかいしよし。どーするのか吉澤さん。
 今日から春休みはあとはあとそして今日はバレンタインデーはあとはあと
 そして、ゲームボーイアドバンスSP発売日はあとはあと
 春休みだけど、今日レッスンあるし。
 バレンタイン、従兄弟と叔父と祖父と父親にしかあげないし。
 アドバンスSP手に入らなかったし。
 …クソッ!!(←ガラ悪い)

>>226名無し読者様
 >おもしろいのね。んぁ〜、負けないのね〜!(何にだよ。)
 ありがとうございます!!負けないで下さい(何にだろう…。)
 里沙お嬢様、仕事もできるのれす。

>チップ様
 今回ごまこんイチャつきまくりです。ごまこん好きさん集合です。
 パーティーで柴ちゃん…どーなっちゃうんでしょうねぇ〜!!書くのも楽しみです♪

>まるみ様
 ごめんなさい…まだ、もーちょっと引っ張ります(大汗)
 でも多分、今月中にケリは着くかと思われます。どうぞお楽しみに〜♪
248 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月14日(金)15時27分10秒
レスの続きです〜♪

>ヒトシズク様
 春休み一日目からレッスンです。…くすん。
 いつもありがとうございます!!頑張りますので、どうぞよろしくお願いします!!

>名無しどくしゃ様
 まこっちゃん…私も書きながらうるっと来ました…。
 >マコの台詞がとても心に響きました。シンミリ
 ありがとうございます!メッチャ嬉しいです!!ホラ、まこっちゃん!心に響いたってさ!
∬ `▽´∬<マジでー!?サンキュー!!

>>232名無し読者様
 柴ちゃん、頑張ります!!走り出したら止まりませんから!!
 まさえっちょもどうするのか…うふふきほし

>あおのり様
 みっちゃんと言いアヤカさんと言い…スパイは二人とも素敵になり過ぎております(笑)
 >作者様、試験前にもかかわらず更新かっけー!
 …試験なのに更新、良い子は真似しちゃいけません…(大汗)
249 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月14日(金)17時56分50秒
よっすぃーイケー!!イテマエ!!アヒャ
期待しちゃうぞぉ♪(アフォ
250 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月14日(金)20時23分32秒
おぉ!
よしざーさん、どうなるんでしょうね???
かなり、期待させていただきます(笑。

というか、ごまこんさんは今回もあまあまで・・・^^
もぅ、顔がにやけてたまりませぬっ!
いや、でも、お2人が幸せで何よりです。

春休み第1日目からレッスン・・・クロイツ様大変ですね。
お疲れ様です。

次の更新楽しみにしています。
がんばってください!応援してます、師匠♪
251 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月14日(金)23時21分20秒
クロイツさま、更新お疲れさまです。
ついに、よっすぃ〜と梨華ちゃんが〜っ。
いしよしの甘々、大好きです。しばらくの間、静かによっすぃ〜の幸せなひとときを見守ります。
でも、柴田家では、
川σ_σ|| >大谷、絶対に逃がさんぞボケッ〜
と荒れるお嬢様に、社員一同びくびくしてますYO。(恐)
でも、切れているあゆみちゃんも可愛いです。
良家のお嬢様は、大変です。自分の好きな人と結婚することも出来ないなんて...。
せめて、よっすぃ〜と梨華ちゃんだけに幸せになって欲しいです。

では、次の更新も川σ_σ||ちゃんの右脇で楽しみに待ってます。
252 名前:第八十七話 投稿日:2003年02月15日(土)12時18分08秒

 裕子は、ため息をついた。
(…石川のヤツ…アレは絶対気付いたな…。)
 今日は土曜日。学校自体は休みだが、欠席の多い生徒や成績の悪い生徒の為の補習が行
われたのだ。
 二時間目の英語の時、裕子は梨華の席の横を通った。
 その時、ちらりと見えた梨華の表情。
「…ま、姉妹やしな。」
石川家の姉妹の中でも、長女と次女は仲が良いと評判なのだ。真里は梨華を可愛がり、梨
華は真里に甘えている。それだけ仲の良い姉妹なら、裕子からかすかに香る姉の香水をか
ぎわける事もできるだろう。
「ただいま〜。」
扉を開けると、玄関の靴箱の上に花が置いてあった。
「あ、お帰りなさい!」
エプロン姿の真里がお出迎え。裕子は全てを頭の中から抜き去って、真里を抱きしめた。
「ん〜、会いたかったで〜!真里ぃ〜♪」
「んもぅ、裕ちゃんってばぁ。」
抱き返して来る感触が愛しくて、裕子はさらに力を込める。
253 名前:第八十七話 投稿日:2003年02月15日(土)12時18分53秒
「ところで裕ちゃん。お弁当、どうだった?」
「うまかったで〜!!」
裕子は器用にも片手でカバンの中を探り、空の弁当箱を取り出す。
 真里は今まで掃除や洗濯はした事がなかったのだが、趣味は『料理』だった。なので、
掃除や洗濯は裕子に教えてもらいながらなんとかこなしていると言う幹事だが、料理は裕
子よりも遥かに上手い。まぁ、裕子が人並み以上に料理が苦手と言う事もあるのだが。
「…今日、補習だったのよね。」
「ああ。」
裕子の腕の中で、真里は何かを言いかけて…やめた。
 それを感じ取った裕子は、自分から口を開く。

「石川なら、ちゃんと来とったで。」

「…そ、そう…。」
真里はぎゅっと裕子に抱きつく。
「…裕ちゃんっ!!」
「どうした?真里…。」
涙声になった真里に、裕子は優しい声で答える。
「わ、私…私、本当に駄目な姉よね…!!全てを妹に押し付けて、逃げて来ちゃうなんて…!!
私、本当に汚い人間なの!!」
254 名前:第八十七話 投稿日:2003年02月15日(土)12時19分24秒
「いいや、真里は汚くなんかないで。」
「汚いの…本当に、私は!!」
「汚いとすれば、ウチの方や。」
「…なんで?」
「真里を離したくないから…全てを真里の妹達に押し付けたんや。せやから、汚いのはウ
チの方。真里は、なんも悪くないし汚くもない。」
真里の目から流れる涙が、量を増す。
「…優し過ぎるよ、裕ちゃん…!!」
「そんな事もないって。それに優しいのは、真里限定や。」
「…大好き、裕ちゃん。」
「ウチも真里が大好きやねん。」
真里は、ぎゅっと目を閉じた。
(ごめんね、梨華…亜依…里沙…。私は…やっぱり、裕ちゃんと離れられない…!!!)
裕子をぎゅっと引き寄せ、小さな身体で精一杯背伸びをして、真里はキスをした。
255 名前:第八十七話 投稿日:2003年02月15日(土)12時19分57秒


 なつみはソワソワしながら時計と電話を交互に見つめていた。
「…なっち。」
「うへっ!?」
紗耶香に声をかけられて、なつみは思わず変な声をあげる。ピークが過ぎた店内には、な
つみと紗耶香しかいない。
 紗耶香はため息混じりに言った。
「そんなに気になるなら、電話してみれば?」
「・・・・・・。やっぱり紗耶香には、全部お見通しなんだべな…。」
「ま、なっちの事なら大抵ね。それだけ、なっちの事見てるって事。」
誰もいないのを良い事に、紗耶香はなつみを背後からぎゅっと抱きしめた。
 なつみは、『Tochter.』二号店の事が気になっているのだ。
「…でも、ウチの方が暇だからって、向こうも暇とは限らないし…接客中だったら大変だ
し。向こうはこっちと違って駅前だから、常にお客は入ってるだろうし…。」
うじうじしているなつみの頬に、紗耶香はちゅっと口付ける。
「大丈夫だって。りんねの腕は、なっちが一番良く知ってるだろ?」
「うん…。」
256 名前:第八十七話 投稿日:2003年02月15日(土)12時20分35秒
「それに、この『Tochter.』だって雑誌で紹介されたりして、随分有名になった
んだし。その二号店なんだったら前評判は高いだろうし…それに、店員の人選だって慎重
にやったし。大丈夫だって。」
「…わ、わかってるんだべ?わかってるんだけど…でもぉぉぉ〜!!」
「なっちは、本当に可愛いなぁ。」
紗耶香はなつみに自分のほうを向かせ、唇を奪う。
「…も、もうっ!紗耶香!駄目だべ!まだ営業時間中で…!!」

Jiririririn…Jiririririn…

『Tochter.』の店内の、西洋古典風の電話が鳴り出した。先日希美がアンティー
クショップのバーゲンに行った時に気に入って、経費で買ったものだ。
 なつみは慌てて紗耶香から離れ、受話器を取る。
「は、はい!ケーキ屋『Tochter.』でございます!」
紗耶香はなつみの背後で、メチャメチャ不満そうな顔をしていた。
『もしもし、なっちですか?私です。りんねです!』
「あぁ!!りんね!!」
『お客さんが引いたんで、お電話してみました♪』
257 名前:第八十七話 投稿日:2003年02月15日(土)12時21分07秒
「なっちも今かけようかどうしようか、迷ってたんだべさ。…で、どう?お店は…。」
『うまく行ってます!!けっこうたくさんお客さんが入ってくれて…それに、あさみとま
いも頑張ってくれてますし!』
「そっか〜!!それはよかったべ。」
心底安堵した表情のなつみ。
『…あ、お客さんがいらっしゃったので、一旦切りますね!また、閉店したらかけなおし
ますから。』
「はーい!待ってるべさ♪」
電話を切ると、なつみは眩しいくらいの微笑みを浮かべて、紗耶香を振り返った。
「二号店、うまくいってるって!!」
「それは、良かったね。」
「うん!!」
紗耶香はなつみの唇を奪う。
 今度はなつみも、すんなりとそれを受け入れた。
258 名前:第八十七話 投稿日:2003年02月15日(土)12時21分44秒


 梨華が目を覚ますと、ひとみはもう服を着ていて…ネクタイをしめている所だった。
「…ん…ひとみちゃ…きゃんっ!」
起き上がる時に、痛みが走った。
(そ、そうだ…わたし、ひとみちゃんに…。)
「梨華ちゃん?目、覚めた?大丈夫?」
ベッドに寄って来て、裸の梨華の肩を抱く。
 ひとみにもたれかかりながら、梨華は涙を流していた。
(ずっと…ずっと望んでたのに…なんで涙が出るんだろう…。)
ひとみはそんな梨華を、ぎゅっと抱きしめる。

「ごめん…!!」

ひとみのその言葉に、梨華は驚いて顔を上げる。
「初めてが、こんな形になっちゃって…。」
「ううん!そうじゃないの!だってこれは、わたしが望んだ事で…。」
梨華はひとみから手を離し、掛け布団をぎゅっと握り締める。
「わたしこそ、謝らなきゃいけないの…!!」
「え?」
259 名前:第八十七話 投稿日:2003年02月15日(土)12時22分22秒
「ワガママ言って…無理矢理、ひとみちゃんにこんな事させて…!!逃げられない状況に
追い込んだみたいになっちゃって…!!!」
「それは違うよ、梨華ちゃん。」
掛け布団を握り締める梨華の手を、ひとみの手が優しく包む。
「これは、あたしのエゴなんだ。」
「・・・・・・?」
「もしかしたら梨華ちゃんには、あたしなんかよりももっと相応しい結婚相手がいたのか
も知れない。それなのに、梨華ちゃんを絶対に離したくないって…誰にも渡したくないっ
て言うあたしのエゴで…」
「違うよっ!!」
梨華は、自分が裸なのも忘れてひとみに抱きつく。
「わたしだって、ひとみちゃんから絶対離れたくない!!ひとみちゃん以上に相応しい相
手なんかいないっ!!」
「梨華ちゃん…。」
「罪があるとしたら…わたし達、二人にあるんだと思う…。」
「そうだね。」
ひとみは梨華の華奢な身体を抱きしめた。梨華もひとみに、ぎゅっと抱きつく。
260 名前:第八十七話 投稿日:2003年02月15日(土)12時22分52秒
「どこまでも、一緒にいてね。」
「もちろん。…ねえ、梨華ちゃん。」
「ん?なあに?」
ひとみは震えそうになる身体を必死に押さえて、梨華を抱きしめなおす。

「もしも…梨華ちゃんのご両親とか、石川家の皆にウチらの事認めてもらえなかったら…
石川家を捨てて、あたしと一緒に来てくれる?」

「もちろん!!」
梨華はひとみからちょっと離れて、大きな目を覗き込んだ。
「わたしは、何もいらない。ひとみちゃんさえいてくれればそれで良いの。」
「また、あの狭いアパート暮らしになっても?」
「それこそ楽しみよ!」
二人は微笑み合って、キスを交わした。
 もう、何も怖くなかった。
261 名前:第八十七話 投稿日:2003年02月15日(土)12時23分22秒


 …あいやぁぁぁぁ〜。こんな形になっちゃったよ、いしよし。
 うう〜ん、当初の予定ではもっと、ゲロ甘な初夜になるはずだったのになぁ。

>名無しどくしゃ様
 こんな形になってしもうて…(大汗)すみませんすみません!!
 期待に答えられたんでしょうか、私…。

>ヒトシズク様
 ををっ!期待してくださった方がここにもっ(大汗)こたえられたのかしら、私、本当
に…。
 ありがとうございます!!頑張りますね〜!!

>ななしのよっすぃ〜様
 >川σ_σ|| >大谷、絶対に逃がさんぞボケッ〜
 あゆみお嬢様、素敵過ぎます。
 本当に、大変そうですねぇ。良家の令嬢って…。庶民で良かったですよ、私。
 つーか相手すらいないんですがね。私。ははははは…(乾いた笑い)
262 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月15日(土)14時09分04秒
ほぉ・・・・
あらためて、吉澤さんの優しさを感じられました〜^^
期待通りで嬉しい限りです♪

まりっぺは・・・複雑ですねぇ〜・・・
でもっ、幸せそうで一安心しました^^
これからも、幸せでいて欲しいです^^

それでは次の更新楽しみにしてます♪
がんばってください、応援してます師匠!
263 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月15日(土)15時08分31秒
カマイマセン。妄想して鼻血です。えぇ。
キダムもいしよしで(*´д`)モエモエ
264 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月15日(土)17時20分45秒
クロイツさま、更新お疲れさまです。
いや、ついに結ばれました。
( ^▽^)>「…ん…ひとみちゃ…きゃんっ!」
可愛すぎます。想像するだけで、ハァハァ...。
ほんとに、梨華ちゃん最高です!
でも、あゆみちゃんにも幸せになって欲しいです。
川σ_σ||>さ〜どっからでもかかってこんかい!大谷は、誰にも渡さな〜い(叫)
柴田家サイドの社員としては、あゆみちゃの横で
>まさえっちょ、カンバーック(余韻を残しつつ叫ぶ)
こんな感じです。
>つーか相手すらいないんですがね。私。ははははは…(乾いた笑い)
いや〜、似たようなものです。(乾ききった笑い)
では、乾いた77444に潤いを!更新を楽しみに待ってます!!!!!
265 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年02月16日(日)00時33分35秒
うわわわわ
いしよし急展開ですね!!
パート4にしてついに…(感涙)
詳細描写ナシでも萌えさせてもらえるとは、にくいね〜作者様
266 名前:あおのり 投稿日:2003年02月16日(日)14時48分15秒
つ…ついに…



(あまりに萌えたため言葉になりません…作者さんグッジョブ!)
267 名前:チップ 投稿日:2003年02月16日(日)17時34分10秒
やっと…やっと愛の突貫工事が!(表現間違ってますか?)

クロイツさん、おめでとう・・・じゃなかった、ありがとう。
268 名前:第八十八話 投稿日:2003年02月17日(月)11時25分01秒

 とうとう、この日が来てしまった。
「・・・・・・。」
雅恵は、鏡にうつる紋付袴姿の女を見てため息を吐く。
(まさに決戦…。)
しかも今日は金曜日。思わず雅恵の頭の中にドリカムの曲が流れるが、それに対してツッ
コむような余裕は雅恵にはない。
 今まで、ピンチならば死ぬほどあった。しかし、ここまで追い詰められているのは初め
てだ。
 だって、今までは隣にあゆみがいたから。
『柴田家当主がどう出るか、だな。』
雅恵の耳に、義父の言葉が響く。先日言われた言葉だ。
『雅恵さんがいくら柴田家に戻りたくても、柴田家がそれを望んでいなければ仕方がない。
だから、雅恵さん。ワシと賭けをしよう。』
義父は穏やかな微笑みを浮かべながら、鋭い眼光で雅恵を突き刺していた。
『もしも柴田家当主が…雅恵さんが柴田家を想う以上に、雅恵さんの事を想っていたとし
たら。そうしたら雅恵さんの勝ち。ワシは雅恵さんをあきらめよう。
 だが、もしも柴田家当主が…一言でも祝いの言葉を口にしたら。その時はワシの勝ち。
雅恵さんには、亀井家当主になってもらう。』
 雅恵はまた、深いため息を吐いた。
269 名前:第八十八話 投稿日:2003年02月17日(月)11時25分37秒
(…ありえない…。あのあゆみ様が、一言も祝いの言葉を口にせずに『帰って来い』なん
て言う事は、絶対にありえない…。)
幼い頃から知り尽くしているあゆみのパターンだと、どれだけ帰って来て欲しくても意地
を張って『あんたなんかいなくても大丈夫だもんね』とか言うに決まっている。
 それに雅恵は、柴田家を出る直前にあゆみに告白してしまっているのだ。
(…これで万が一柴田家に戻れても、他の誰かと結婚するあゆみ様を見るのは…辛過ぎる。)
ずっと秘めていた想いを、外に出してしまったのだ。もう、前のように耐える事など出来
ないだろう。
 雅恵は、ふっと手を見る。

(この手で…あゆみ様を抱きしめたんだよな…。)

雅恵の身体に、あゆみの華奢で柔らかい身体を抱きしめた時の感触が蘇る。
 あの時、雅恵は確かに幸せだった。
 もう、二度とあゆみの目の前に姿をあらわせないかも知れない。
 だけど、それでも…たった一度でも、あゆみを抱きしめる事ができたのだ。
 雅恵はふっと笑った。
(…そう。その思い出さえあれば、私はきっと…亀井家当主となっても、生きて行ける。)
それが例え、あゆみと敵対する道であっても。
270 名前:第八十八話 投稿日:2003年02月17日(月)11時26分10秒


 パーティーが始まるまでは、客は会場とは別の部屋で待機させられる。
「ホテルの披露宴会場でパーティーとは、考えましたわね。亀井家。」
淡いピンクのワンピースを着た里沙が言うと、里沙よりもちょっとだけ濃いピンク色のワ
ンピースを着た亜依が首をひねる。
「なんで?」
「決まってるでしょう。これは、結婚式でもあるって事ですわ。」
その言葉に、亜依よりも更にちょっと濃いピンク色のワンピースを着た梨華の肩が、ピクッ
と震える。
 姉妹三人年齢順に並ぶと、綺麗なアンサンブルになるようにコーディネイトされている。
ワンピースは全員ちょっとずつ違うデザインだが、真珠のネックレスとイヤリング、それ
に靴はお揃いだ。
「…結婚式?」
「ええ。…亀井家、どうあっても大谷雅恵が欲しいみたいですわね。」
そう口に出しながらも、里沙は内心毒づいた。
(ま、私はあんな腹黒くて性格悪い女はいりませんけど。)
どうやら里沙と雅恵の間には、暗くて深い川があるようだ。
 梨華は、ひとみの腕に自分の腕を絡める。
 その身体は、少し震えていた。
271 名前:第八十八話 投稿日:2003年02月17日(月)11時26分48秒
「…梨華ちゃん、大丈夫?」
「う、うん…。」
「どうしたの?」
ひとみはからめられた腕を少し動かして、梨華の手を握る。梨華はそれをぎゅっと握り返
した。

「柴ちゃん、大丈夫かしら…。」

ひとみは、優しく微笑んだ。
「大丈夫だよ。柴ちゃんはそんなに弱い人間じゃないから。絶対、もう自分がどんな態度
を取るか決定してるはずだよ。」
「そ、そうよね…。」
それでも震えの止まらない梨華。ひとみはふと目線をあげ、真希とアイコンタクトを取っ
た。
(ちょっと、梨華ちゃん連れ出すね。)
(うん、まかせた。時間までにはちゃんと戻って来るようにね。)
(了解。)
そして、二人同時に頷いてから…ひとみは梨華を、控室から連れ出した。
272 名前:第八十八話 投稿日:2003年02月17日(月)11時27分22秒
 それを見送った真希は、ため息をつく。
「…どうしたんですか?真希さん?」
「いや、なんでもないよ。」
そして真希は、懐から懐中時計を取り出した。
「…あと、一時間…早く着き過ぎたし、大丈夫か。」
その独り言を聞いて、あさ美ははっと顔を上げる。
「…そ、その懐中時計…!!」
真希はにこっと笑って、あさ美の手を握る。あさ美は頬をぽっとピンクに染め、手を握り
返した。
 この懐中時計、実は今朝あさ美が真希にプレゼントしたものなのだ。
「早速持って来ちゃった。」
「…嬉しいです…。」
「あさ美も、私のあげたネックレスと指輪…して来てくれたんだね。」
「はいっ!」
見詰め合ってうっとりする二人を見て、亜依は頬杖をつきながらむくれた。
「あ〜あ!いいなぁ〜!亜依も圭さん連れて来たかったぁ〜!」
「…やめてくださいませ。これ以上バカップルが増えたら、私の身が持ちませんわ。」
里沙の呟きは、ものすごく説得力があった。
273 名前:第八十八話 投稿日:2003年02月17日(月)11時28分09秒


 控室の外に置いてあったソファに、梨華とひとみは腰掛けた。
「大丈夫?顔、真っ青だよ?」
「だ、大丈夫…。」
「何か、飲み物とかもらおうか?」
「平気。平気よ。…ただ…ひとみちゃん。」
梨華はひとみの肩にもたれかかる。
「もうしばらく、こうさせていて。」
「うん…。」
ひとみは梨華の肩を抱き、梨華を引き寄せる。
 ショールに包まれた肩は、本当に華奢で…ひとみは少々戸惑った。
「…あのね、この間…柴ちゃん、久々に学校に来たの。補習だったんだけど。」
「うん。」
「その時、ちょっと話したんだけど…どうやら柴ちゃん、大谷さんへの気持ちに気付いた
みたい。」
「…え!?」
ひとみは驚きを隠せず、青い顔のままの梨華を見た。
「し、柴ちゃんがまさえっちょを…!?」
「うん。」
梨華はふわっと微笑む。
「柴ちゃん言ってた。『身近にあるモノ程、その大切さがわからないモノだ』って。『失っ
て初めて気付くなんて、自分は馬鹿だった』って。」
274 名前:第八十八話 投稿日:2003年02月17日(月)11時28分52秒
「…柴ちゃん…。」
「だから…だから、柴ちゃんは今、どんな気分なんだろうって…思って。」
 里沙は『これは結婚式だ』と言っていた。里沙は並外れた頭脳と才能の持ち主だが、柴
田家当主であるあゆみが、里沙と同じ感想を抱かないワケがない。
「わたしだったら耐えられない…!!わたし、もしもひとみちゃんが別の人と結婚する、
なんて事になったら…平常心でなんかいられないわ…!!」
梨華は目を潤ませながら、ひとみにしがみつく。
「そうなったらひとみちゃんの結婚式になんて、わたし…絶対出席しないし、できない!!
ひとみちゃんの隣にいるのがわたしじゃない別の人なんて…そんなの、そんなの…!!」
「り、梨華ちゃん落ち着いて。」
ひとみは、梨華を抱きしめる。
「大丈夫だよ、梨華ちゃん。絶対ありえないから、そんな事。」
「うう…で、でもぉ…。」
「もしも…これは本当にもしもの話なんだけど、梨華ちゃんと結婚できなかったら…」
梨華は首を横に振って、ひとみに抱きつく。
275 名前:第八十八話 投稿日:2003年02月17日(月)11時29分23秒
 そんな梨華の背中を撫で、優しく…しかし力強く抱きしめた。

「あたしは、誰とも結婚しない。一生梨華ちゃんだけを想って過ごす。」

梨華の目から、涙が溢れ始めた。
「ひ、ひとみちゃぁん…。」
「梨華ちゃんだけだよ。一生。前になつみ姉ちゃんにも言われたけど…梨華ちゃんこそ
があたしの『春』なんだ。」
「わたしも…わたしも、ひとみちゃんだけ…。愛してるの、ひとみちゃんっ!」
「あたしも愛してるよ、梨華ちゃん。」
そして、見詰め合って…軽くキス。
「…柴ちゃんは、きっと大丈夫。大事なモノがわかったのなら、柴ちゃんは一直線に突
き進むのみだから。」
「そう…ね。」
顔色がもどった梨華を抱きしめて、ひとみは目を閉じた。
276 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月17日(月)11時30分05秒


 控室の前でイチャつくいしよし。言っておきますが、人通りがないワケじゃありませ
ん。ちらほら人も通ってるんです。
 『ままー、あのひとたち、ちゅーしてるー』『見ちゃいけませんッ!!』とか言われ
てます。
 いしよし、周囲が見えてません。
 ま、それでこそいしよし(笑)

>ヒトシズク様
 ご期待に応えられたみたいで…よかったぁぁ〜!!
 吉澤さんは、とことんまで優しくしてみようと頑張りました!!
 真っ最中も、きっとものすご〜く優しかったんでしょぉねぇ(笑)

>名無しどくしゃ様
 妄想鼻血カッケ〜!!…てゆーか、詳しく書けなくてごめんなさいなのれす…(大汗)
 結ばれちゃった後のいしよしあまあま、いかがでしょうか?

>ななしのよっすぃ〜様
 うふふふふ…梨華ちゃん可愛くしようと努力しまくりました(笑)
 今回も頑張りましたよ〜!!石ヲタとして、力尽きるまで可愛い梨華ちゃんを書きま
くりたいと思った今日このごろ。
277 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月17日(月)11時30分42秒
レスの続きですはあとはあと

>ラヴ梨〜様
 >詳細描写ナシでも萌えさせてもらえるとは、にくいね〜作者様
 本当ですか?詳しく書けなかったので、『皆様もしかして物足りなかったらどうしよ
う』とか心配しまくってたのですが…。
 よかった〜!!

>あおのり様
 よかったです。萌えていただけましたか…ホッ。
 >作者さんグッジョブ!
 ありがとうございます!!そう言って頂けるとうれしいです♪

>チップ様
 愛の突貫工事…ナイスです!!素敵過ぎます!!これこそ『求めていたオールブルー!!
byサンジ』って感じです!!(わかんなかったらごめんなさい…)
 >クロイツさん、おめでとう・・・じゃなかった、ありがとう。
 いえいえいえ、こちらこそありがとうございます!!
 いしよしオメデトウ。
(* ^▽^)<ありがとう…!!
278 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月17日(月)13時46分54秒
エヘヘいしよしマソセー!!!
チウしてるとこ見てみたい(;`Д´)ハァハァ!
279 名前:チップ 投稿日:2003年02月17日(月)14時34分10秒
柴ちゃん、まるで猪突猛進の猪のように言われてますねぇ。
そんな柴ちゃんまでも利用して公の場でイチャつくいしよし憎いねぃ♪
柴ちゃんがどう出るか楽しみでワクワクしてます。

オールブルーわかりますよ〜(隠れサンジファン)
愛の突貫工事気に入って頂けてよかった…私の周りではそう呼ばれていたもので…
280 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月17日(月)20時47分06秒
クロイツさま、更新お疲れさまです。
場所も考えずいちゃいちゃするよっすぃ〜&梨華ちゃん最高です。
梨華ちゃんの可愛さにメロメロです。
77444 <石川家に転職しようかな?どうしよう?
川σ_σ||<逃げ出せたらね。ぶっ殺すわよ!
ということで転職失敗しましたので、あゆみちゃんの右横でまさえっちょの復帰を待ってます。
まさえっちょが帰ってくるまでは、あゆみちゃんのことは任せてください。dめお、まさえっちょが帰ってくれば、転職できるかも。石川家行きの切符はなさそうなので、松浦家行きで...。
さ〜働くぞ!川σ_σ||が見えるところで!!
では、ひっそり、寝袋の中でいつの日にかと夢見て更新を待ってます。
281 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月17日(月)20時47分48秒
おぉ・・・
今回も、バカップルいしよし炸裂してますねぇ〜(笑。
まぁ、それでこそいしよしなんですけどね(笑。
それに、今回もよっすぃ〜はかっけぇ〜&優しい!!!
あれは、惚れそうです(汗。

パーティーそろそろ開幕ですね^^
柴ちゃんがどう出てくるか・・・楽しみにしています。
まさえっちょの賭け。ものすごく気になるんですよねぇ〜(笑。

それでは次の更新楽しみに待っています。
がんばってください!応援してます、師匠♪
282 名前:第八十九話 投稿日:2003年02月18日(火)11時57分59秒

 麻琴のいない教室。希美はものすごい胸騒ぎと焦燥感を感じていた。
(…ど、どうしたんれすか、のの…。なんかヘンなのれす…。)
麻琴が学校に来てないのも、昨日今日からの話ではない。噂によると、とても大きな持
病をかかえていて、それの発作がひどいと言う話だ。
 そして、亜弥が来ていないのも。
 亜弥の方は、様々な噂が飛び交っている。『男と駆け落ちした』とか『人を殺して、
警察から逃げてる』だとか。今まで亜弥のとりまきをしていた少女たちは、清清しい顔
で過ごしている。
「・・・・・・。」
希美は耐え切れなくなって、席を立った。
「ののちゃん、どこ行くの?」
「…ちょ、ちょっと…トイレ、なのれすっ!」
そう言って、ばびゅーんっと効果音が付くくらいに勢い良く駆け出す。
 残されたクラスメート達は、希美のお腹の具合を心配したそうだ。
(…トイレって…トイレって、のの…他になんかいいコウジツはなかったんれすか…!!)
顔を赤くしながら、校門付近に設置してある公衆電話に、テレホンカードを差し込む。
そして、すっかり覚えてしまった麻琴の自宅の番号を押す。
283 名前:第八十九話 投稿日:2003年02月18日(火)11時58分34秒
(はやく十五歳になって、ケイタイを買ってもらいたいものなのれす。)
呼び出し音が二回鳴った、その時。

『麻琴ッ!!?』

「ほえっ!!?」
出るなりそう叫ばれて、希美は驚いた。
「…あの、まこっちゃんのおかあさん…?」
『あ…の、ののちゃん…。』
正気に返ったようなその声に、希美の胸騒ぎが大きくなる。
「おばさん、どうしたんれすか…?」
『な、なんでも…なんでもないの。』
「まこっちゃんは…?」
『・・・・・・。』
大きくなる胸騒ぎに、何故か希美の涙腺もゆるくなって来る。
「まこっちゃんは、どうしたんれすか!?おし、おしえてくらさい!!」
嫌な予感が、希美の胸を押しつぶす。

『実は…麻琴…』

麻琴の母親の話は、長かった。
泣いてしまって、なかなか話せない箇所もあった。
 それを聞き終えた希美は…財布だけ握り締めて、校門から飛び出した。
284 名前:第八十九話 投稿日:2003年02月18日(火)11時59分54秒


 「たぁぁぁぁぁぁのもぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
そんな声と共に、亀井家次期当主控室の扉は蹴り開けられた。
「「「「「・・・・・・。」」」」」
その場にいた、亀井家現当主、その妻、その娘、次期当主、次期当主の婚約者は、目を丸
くする。
「…だ、誰だね、君は。」
次期当主の婚約者が口を開くと、その乱入者は髪をかきあげ、胸を張って言った。
「フン!!仮にも当主の夫になろうと言う人が、この私の顔も知らないなんて…とんだボ
ングラね!亀井家、質悪いんじゃないのー?修行しまくって、百年後にまた来いって感じー!?」
「な…っ!!」
育ちの良い『亀井家のボングラ』は、ここまで面と向かって罵倒された事はなかった。
「な、何だね君は!いきなり来て、こんな…」
「あゆみ様…!!?」
婚約者の言葉を遮って、雅恵が立ち上がる。
 そんな雅恵の言葉に、あゆみは胸を張りなおす。

「そう。私が若く美しくやり手と評判の柴田家第三十五代目当主、柴田あゆみ!!」

そして、雅恵の婚約者をビシッと指差し、険悪な笑顔を浮かべる。
「しっっっっっっっかりと、そのボヤけた脳味噌に叩き込んで置きなさいっ!!」
285 名前:第八十九話 投稿日:2003年02月18日(火)12時00分29秒
「・・・・・・。」
権力に弱いボングラは、黙るしかなかった。
そんな婚約者を無視し、あゆみはつかつかと雅恵に近寄る。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
無言でにらみ合う二人。
 雅恵の心中は、複雑だった。
 ここであゆみが、一言でも祝いの言葉を述べれば…雅恵は亀井家当主になってしまう。
 言わないで欲しい。でも…言って欲しくもある。
(どうせ叶わない想いなら…あなたの言葉で、キッパリと終わりたい。)
しかし、それと同時に…久々にあゆみに会って、心がしめつけられる。辛くても良い。叶
わなくても良いから、側にいたい。一生執事として仕えたい。そう思う心もある。
 もちろん、雅恵の婚約者以外は賭けの事を知っている。緊張した空気が、部屋の中に充
満していた。
 そんな中で、あゆみが口を開く。
「…似合わないわ。」
「「「「「へ?」」」」」
「似合わないっつってんの。こんな和服。」
あゆみは、どこから取り出したのか…スーツ一式を雅恵に投げ渡した。
「アンタに一番似合うのは、それよ。」
「・・・・・・!?」
「早く、着替えなさい。」
その真意を測りかねて、亀井家の面々は戸惑う。
286 名前:第八十九話 投稿日:2003年02月18日(火)12時01分10秒
 あゆみは、ぐっと拳を握った。
「…わからないの!?」
「は、はぁ…。」
「さっさと着替えて、柴田家に帰るわよ!!」
その場にいた全員の目が、見開かれた。
「…あ、あゆみ様…!?」
驚き顔の雅恵を前にして、あゆみの涙腺が壊れる。
「・・・・・・っ!!」
ぼろぼろと流れ落ちる大粒の涙を、あゆみは手の甲で乱暴にぬぐった。
「なんで…いなくなんのよ!!信じられない!!なんでこんな所で、次期当主とかにされ
そうになってんのよ!!」
「あ…あゆみさ…」
「『様』はいらないの!!」
「…え!?」
あゆみは涙を流したまま、雅恵を見つめる。
「あゆみ、で良いの。…ううん、そうじゃなくて…そう呼んで欲しいの。」
雅恵は驚きの表情のまま固まる。
「…いなくなってから初めて思い知ったなんて、我ながらアホな話だけど…。」
「・・・・・・。」

「愛してるわ、大谷。」

雅恵は、自分の耳を疑った。
「…聞こえないの?」
「え…!?い、いや…」
「聞こえなかったんなら、何度でも言うわ。愛してるの、大谷を。本当に愛してる。」
「ちょ、ちょっと、お待ちください…。」
「嫌。待てない。」
287 名前:第八十九話 投稿日:2003年02月18日(火)12時01分51秒
あゆみは、呆然とする雅恵の腕の中に飛び込んだ。
「…これは、『恋』じゃないの。『愛』よ。」
「・・・・・・っ!!」
「見合いも何も、全て断って来たわ。」
「・・・・・・っ!!!」
「帰って来なさい。…私に、ここまで言わせたんだからっ!!」
雅恵はしがみつくあゆみの背中に、恐る恐る手を回した。
「ほ、本当…に…!?」
「…冗談でできるか、こんな恥ずかしい事…。」
雅恵は、あゆみを抱きしめる。
「…あゆみ様…!!!」
「だから、様はいらないんだってば。」
「いいえ、あなたは『あゆみ様』です。」
雅恵は、亀井家現当主を振り返った。
「…私の勝ち、ですね。」
「…そのようだな。」
「?」
疑問の表情を投げかけるあゆみを、雅恵はもう一度ぎゅっと抱きしめる。
 そして現当主は、大股で二人の横を通り過ぎ、さっきあゆみが蹴り開けた扉の前で止ま
る。
「…柴田家当主。」
「何かしら、亀井家当主。」
「あなたは…大した女性だな。」
288 名前:第八十九話 投稿日:2003年02月18日(火)12時02分26秒
その一言であゆみはその言葉が、柴田家が亀井家との契約を打ち切らなかった事を指して
いるのだとわかった。
 あゆみはふっと鼻で笑う。
「まぁね。小娘だと思って、ナメるんじゃないわよ。」
「ナメてはおらんよ。」
亀井家当主は、二人を振り返って…いつもの柔和な微笑を浮かべた。
「雅恵さんを、頼みました。やはりあなたの言う通り、雅恵さんに和服は似合わない。」
「でしょ?大谷にはスーツ、よ。」
そしてあゆみは、雅恵の母を見る。
「…ご挨拶が遅くなりまして、申し訳ございません。」
頭を下げるあゆみに、雅恵の母はわなわなと震えていた。
「…あなたッ!!何て事を…!!ウチの雅恵に…!!」
「母上、やめてください。」
「お黙りなさい!!」
母は、へなへなと床に座り込む。
「…亀井家当主になれるチャンスだったのに…!!」
「は、母上…。」
母の側に、絵里が駆け寄った。

「大丈夫だよ。亀井家は、絵里が継ぐ。」

「「「…はい?」」」
絵里はにっこりと微笑んで、宣言した。
「その為のお勉強も、実はしてるんだ。」
絶句する面々に、絵里は高らかに宣言する。
「だから、安心してよ。」
雅恵は、ちょっと噴出した。
289 名前:第八十九話 投稿日:2003年02月18日(火)12時03分00秒
「…たのもしいな、絵里。」
「もっちろん!柴田家のあゆみさんには負けないもん!」
宣戦布告にも取れる、その発言の直後。

「キャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

悲鳴が、響き渡った。
「「「「!?」」」」
それを聞いた直後、雅恵はあゆみを背後に押しやる。母はすくっと立ち上がり、絵里も顔
を引き締める。
「何事!?」
母の声で、ホテルの従業員が転がり込んで来た。
「み、皆様お逃げください!!」
「だから、何事だと言うのです!!」
「は、刃物を持った少女が…!!!」
あゆみと雅恵は、顔を見合わせた。
そして、同時に呟く。
「「松浦亜弥…!!」」
その呟きと同時に、扉がゆっくりと開かれた。
 …そこにいたのは、あゆみと雅恵の予想通り。
 鬼のような形相をした、松浦亜弥だった。
290 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月18日(火)12時03分49秒


 出ました、あやや。待ってらした皆様〜。あやや出ましたよ〜。ちょびっとだけだけど…。
 …突然ですが、『専属ケーキ屋さん』は今週中に完結させる予定です。
 最終回間近っ!皆様最後まで、どうぞよろしくお願いしますっ!!

>名無しどくしゃ様
 私も見たいです。激しく。最近また再結成された男性二人組みのように、舞台上とかで
やってくれないかなぁ…。そうしたら狂喜乱舞するのにぃ。

>チップ様
 猪突猛進の猪でございます。実際そうであります(笑)。彼女は体当たりいたしました。
 サンジファンですか〜!!私は実は隠れゾロ好き…(爆笑)

>ななしのよっすぃ〜様
 石川家行きの切符…大爆笑致しました。ところであゆみ様、見合い全部断ったそうで(大汗)。
 石川家では多分、(ё)が待っておりますわ!!

>ヒトシズク様
 やっぱり男は優しくなくては!のコンセプトのもとに、吉澤さんは書かれております(笑)
 パーティー、開幕前に波乱が起きております。さぁ〜て次回、どうなるのかっ!!
 がんばりますので、どうぞよろしくっ!!
291 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月18日(火)13時24分17秒
す、スゲエエェェエェェエエエエ!!!!!!!!!
もうっ興奮してだkそrghじゃおhじゃ!!
完結してしまうのがザソネソですが
それまで付いて逝きます。
292 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月18日(火)13時25分05秒
小川さん…。
293 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月18日(火)20時15分29秒
クロイツさま、更新お疲れさままです。
川σ_σ|| <「愛してるわ、大谷。」
いや〜すっかり振られちゃいました。お見合い写真を燃やすのを手伝ってました。自分のお見合い写真を自分で燃やすクールな77444です。(泣)
まさえっちょが帰ってきたら、逃げ出せそうもないし、ここは潔く、まさえっちょとあゆみちゃんにこき使われます。
>>石川家では多分、(ё)が待っておりますわ!!
ニイニイは、さすがにこの年ではまずいです。可愛いとは思いますが...。
今週で完結ですか?いつまでも続くと願っていましたが...。(号泣)
では、松浦家の片隅で、あやゃの幸せを見守れるように配置転換を願い出ます!!
294 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月18日(火)20時54分42秒
おぉぉぉぉぉぉ!!!!
まさえっちょ、賭けに勝ちましたな(笑。
いやぁ〜、もう、泣きそうでした>< 柴っちゃんにつられて「もらい泣き」ですね^^;
もぅ、柴ちゃんかっこよすぎですっ!
「アンタに一番似合うのはそれよ」
っかっけぇぇ〜!!!
私もいつか言ってみたいですね^^; まぁ、無理な話ですが(笑。
あやや、とうとう登場ですね!
どうなるか&パーティー楽しみにしております。
ほぉ、完結ですか・・・
少し、悲しいですが最後まで楽しみにさせていただきますね^−^
次の更新がんばってくださいね!
応援してます、師匠♪
295 名前:あおのり 投稿日:2003年02月18日(火)23時35分37秒
柴ちゃん&大谷さんは良かったは、まこっちゃんはどうしたんだか、
ごまこん&よしいしはちゃっかりイチャイチャだは(w
そして、あややキターーーー!ってやってる場合じゃないよー
ってやってる場合じゃないよ!だれかあややを止めて下せー

次から次へと作者様の吹く笛で踊りまくっている私でございます…
ラストスパートがんがれ!
296 名前:クロイツさんのファンです 投稿日:2003年02月19日(水)17時12分03秒
最初から、ずっと読んでいてROMしてました。
でも、最終回が近いと書かれていて思わず書いてしまいました。

そうなんですよね、始めがあるって事は終わりがあるんですよね。(笑)

面白くて、ずっと続くのではないか、終わらないと錯覚していました(笑)
それぐらい、ハマってます(笑)

クロイツさんの作品は全部好きです。
これからも、頑張ってください。
297 名前:第九十話 投稿日:2003年02月19日(水)21時12分16秒

 亜弥の目は、とてもじゃないが正気を保ってるとは思えなかった。
 そして、手には刃物。切れ味がとても良さそうな、キラキラ光る諸刃の短剣。
「…あ、亜弥ちゃん…。」
あゆみの呼びかけに、亜弥はにっこりと微笑んでみせた。
「こんにちは、あゆみちゃん!」
その笑顔も口調も、まるで道でばったり出会ったような感じだが、その瞳だけが違う。狂
気にとらわれたように不気味に輝く。
 雅恵は、あゆみを完全に背中に隠した。
(…ちょっと、大谷!!)
(いけません、あゆみ様。私の背後にいてください。)
(何言ってんのよ!!)
(あゆみ様を危険から守るのも、私の仕事ですから。)
(馬鹿な事言わないで!!…もう、ごめんなのよ!あんたを失う痛みを感じるのは!!)
(…その言葉だけで、私には十分です。)
(だからどけっつってんでしょぉぉぉぉ!?)
(それは無理ですね。)
ヒソヒソとそんな会話を交わす二人に、亜弥は手に持った刃物をキラキラ輝かせて見せる。
「…ねえ、あゆみちゃん。あゆみちゃん、ミキスケをずっと隠してたんだってね?」
298 名前:第九十話 投稿日:2003年02月19日(水)21時17分41秒
「・・・・・・。」
「ズルいよ、あゆみちゃんってば。ミキスケはあややの大事な幼馴染って、知ってたんで
しょ?それなのに、勝手に病院から連れ出したりして。目が覚めたのも内緒にして。」
あゆみの顔に、驚愕が走る。雅恵はポーカーフェイスのままだ。
「ねえ、なんで教えてくれなかったの?あやや、ミキスケの事すっごい探しちゃったんだ
からぁ。」
あゆみは内心、舌打ちをする。
「…隠したんじゃないわ。私がミキティを見つけ出した時には、彼女はもう目覚めてたの。
それで、いつまでも病院には置いておけないからって言う事で、柴田家本邸に引き取った
のよ。」
「嘘吐かないで良いよぉ。」
「嘘じゃないって。」
一部は嘘だが、大部分では嘘は吐いていないあゆみであった。
 と、そこに。

「あやっぺ!!」

扉が開いて、一人の少女が飛び込んで来た。全員の視線が、彼女に集まる。
 美貴だ。
「・・・・・・。」
亜弥の顔から、一瞬表情が消える。しかしすぐに、人当たりの良い笑みが浮かんだ。
299 名前:第九十話 投稿日:2003年02月19日(水)21時18分45秒
「ミキスケ、久しぶりだね。」
「そんな事言ってる場合じゃ…!!」
美貴は亜弥の手の中にある刃物を見て、顔色を変え…そして、あゆみをかばって立つ雅恵
の、更に前で両手を広げた。
「駄目ッ!!」
「・・・・・・なんで?」
「大谷さんとあゆみさんに手を出したら、あたし…絶対許せないから!!」
美貴の目に、涙が浮かぶ。
「…あやっぺ、罪は償わなきゃ。」
「…何の話?」
笑みを浮かべたままの亜弥に、美貴はまっすぐな視線を投げつける。

「あやっぺは、償わなきゃいけないんだよ!愛さんって子の命を、奪ったんでしょ!?」

亜弥の顔から、表情が消えうせた。
 あゆみはぎゅっと目をつぶり、雅恵はポーカーフェイスを保つ。
「…二年前にあたしを車ではねた人と、三日前に会ったの。」
美貴の脳裏に、鮮明に蘇る。
『ごめんなさい…!!』
小学生並みの身長の、金髪の女性だった。頭を深々と下げ、何度も何度も美貴に謝罪した。
300 名前:第九十話 投稿日:2003年02月19日(水)21時20分27秒
「その人はね、ずっとあたしを探していて…だけど、あやっぺにそれを妨害されてたんだっ
て言ってた。それで…ずっと、あやっぺの事を調べてたんだって。…だからあやっぺが…
あたしが眠ってた間に何をしたか、全部知ってるんだって。」
「・・・・・・。」
「そして…愛さんのお姉さんのお友達なんだそうだよ。」
亜弥の口元だけが、不自然にゆがめられる。
「…嫌だなぁ、ミキスケ。そんなの信じて。愛ちゃんって、あややのクラスメイトで自殺
した子だよぉ?」
「…あやっぺ、あたしは全部知っちゃったの…。あたしをはねた人だけじゃない。ずっと
あややの側にいて、あややの行動を知ってる人にも話を聞いてるの。」
 『情報屋』と名乗る人物は、英語なまりのある日本語で詳しく教えてくれた。
 そして、亜弥は裏の世界で『キツネ』と呼ばれ…かなり有名な悪党であると言う事も。
美貴は、涙を拭おうともせずに亜弥を見据えている。
301 名前:第九十話 投稿日:2003年02月19日(水)21時21分34秒
「…償おう、あやっぺ。どうやったら償えるかわかんないけど…でも、一緒に償う方法を
考えよう。これは、あたしの責任でもあるから…。」

 ぷつん。

 亜弥の中で、何かがキレた。
「…うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
叫ぶと同時に、ガッと美貴をにらみつける。
「裏切り者!!裏切り者!!!あんただけだったのに…あややには、ミキスケだけだった
のに!!それなのにあややを裏切るなんて…許せない!!」
「・・・・・・。」
「後ろの二人より先に、ミキスケ!!あんたを先に殺してやる!!」
美貴は、目を閉じた。
「藤本様!」
「ミキティ!!」
重なるその声を背中に受けて、亜弥の刃を受け入れる。
302 名前:第九十話 投稿日:2003年02月19日(水)21時22分21秒
 そのつもりだった。

 どかっ

「きゃあっ!!」
右側から思い切り体当たりをされ、美貴は左側に転がる。
「!?」
驚きと転んだ衝撃で、一瞬視界が暗くなった。
 そんな美貴の耳には、聞き覚えのない甲高い悲鳴が響いた。
「…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」
視力が回復した美貴が、真っ先に見たもの。
 顔を真っ青にし、声の限りに叫んでいる…亜弥と同じ制服を着た、小柄な少女だった。
303 名前:第九十話 投稿日:2003年02月19日(水)21時25分03秒
 そのつもりだった。

 どかっ

「きゃあっ!!」
右側から思い切り体当たりをされ、美貴は左側に転がる。
「!?」
驚きと転んだ衝撃で、一瞬視界が暗くなった。
 そんな美貴の耳には、聞き覚えのない甲高い悲鳴が響いた。
「…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」
視力が回復した美貴が、真っ先に見たもの。
 顔を真っ青にし、声の限りに叫んでいる…亜弥と同じ制服を着た、小柄な少女だった。
304 名前:第九十話 投稿日:2003年02月19日(水)21時27分41秒


 梨華とイチャついていたひとみであったが、すっかり退屈した残り四人に乱入され、今
は亜依のオモチャと化していた。
「吉澤さん、真希さんに『ヨッスィー』って呼ばれてるよね?亜依もそう呼んじゃ駄目?」
「かまわないよ、亜依お嬢様。」
「じゃあ、亜依の事は『あいぼん』って呼んで!ののもそう呼んでるし。呼び捨ては駄目
なの。圭さんにしか許してないの。」
「はははっ。ラブラブだね〜あいぼん。」
「ヨッスィーもねっ♪」
そんな会話を繰り広げるひとみと亜依を、梨華は頬を膨らませながら見ていた。
「…梨華お姉様。妹にまで嫉妬しなくてもよろしいじゃありませんの。」
「だ、だってぇ!亜依、ひっつき過ぎなんだもん!」
「大丈夫ですよ、梨華お嬢様。亜依お嬢様は、保田様にゾッコンですから。」
「そうです。それにひとみ姉さんは梨華お嬢様にゾッコンですし。完璧です。」
「で、でもでもぉ〜!」
涙目になる梨華の頭を、あさ美がそっと撫でる。そして梨華は、あさ美にぎゅっと抱きつ
いた。それを見た里沙が一言。
305 名前:第九十話 投稿日:2003年02月19日(水)21時28分14秒


 梨華とイチャついていたひとみであったが、すっかり退屈した残り四人に乱入され、今
は亜依のオモチャと化していた。
「吉澤さん、真希さんに『ヨッスィー』って呼ばれてるよね?亜依もそう呼んじゃ駄目?」
「かまわないよ、亜依お嬢様。」
「じゃあ、亜依の事は『あいぼん』って呼んで!ののもそう呼んでるし。呼び捨ては駄目
なの。圭さんにしか許してないの。」
「はははっ。ラブラブだね〜あいぼん。」
「ヨッスィーもねっ♪」
そんな会話を繰り広げるひとみと亜依を、梨華は頬を膨らませながら見ていた。
「…梨華お姉様。妹にまで嫉妬しなくてもよろしいじゃありませんの。」
「だ、だってぇ!亜依、ひっつき過ぎなんだもん!」
「大丈夫ですよ、梨華お嬢様。亜依お嬢様は、保田様にゾッコンですから。」
「そうです。それにひとみ姉さんは梨華お嬢様にゾッコンですし。完璧です。」
「で、でもでもぉ〜!」
涙目になる梨華の頭を、あさ美がそっと撫でる。そして梨華は、あさ美にぎゅっと抱きつ
いた。それを見た里沙が一言。
306 名前:第九十話 投稿日:2003年02月19日(水)21時29分01秒
「…まったく、どっちが年上なんだかわかったモンじゃありませんわね。」
 その時。

「「…!?」」

ひとみとあさ美が、同時に左を向いた。
「・・・・・・?」
「ヨッスィー?あさ美?どうしたの?」
真希の声に、姉妹は目を見合わせて…こくりと頷く。
「い、今、ののが…!!」
「通ったんです!そこの廊下の所を!!」
「通ったって言うか…駆け抜けたって言うか…あさ美、アレ絶対ののだよね!?」
「はいっ!!ののさんです!完璧です!!」
そして、二人同時にすっくと立ち上がる。
「よ、吉澤さん!?あさ美さん!?どうなさるおつもりですの!?」
里沙の言葉に、二人は青くなった顔を振り向けた。
「…なんか、すごく嫌な予感がする…!!」
「私も、です…!!」
そして、二人同時に駆け出す。
「…あっ!あさ美!?」
「待って、ひとみちゃんっ!!」
真希と梨華も、駆け出した。
 残された亜依と里沙は、顔を見合う。
「…どうする?」
「…行くしかありませんわね。気になりますし。」
亜依はうきうきと、里沙は『しょうがなく』と言う感じに。
 立ち上がって、駆け出した。
307 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月19日(水)21時30分28秒


 すみません。今回、なんかパソコンの調子悪いみたいで、二重投稿しまくり…(大汗)

 今日『ハリーポッターと秘密の部屋』見て来ました☆
 ハーマイオニー役の子、すっげぇ可愛かったですよー!!

>名無しどくしゃ様
 >もうっ興奮してだkそrghじゃおhじゃ!!
 お、落ち着いて下さい。大丈夫ですか?お水飲みますか?
 ついて来てくださいますか…ありがとうございますっ!

>名無し読者様
 まこっちゃん…次回必ず出て来ます。彼女、重要人物です。

>ななしのよっすぃ〜様
 あやや今回イッちゃっておりますが…(笑)
 >自分のお見合い写真を自分で燃やすクールな77444です。(泣)
 クール過ぎます…素敵過ぎますわ、ななしのよっすぃ〜様っ!!
308 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月19日(水)21時31分40秒
レスの続きでっす。

>ヒトシズク様
 勝者、まさえっちょ!って事で(笑)
 あともーちょっとで完結ですが、それまでどうぞよろしくっ!!
 次回作も読んでもらえると嬉しいです☆(もうネタはできてるんで…)

>あおのり様
 あやや、一応ミキティが止めておりますが…どーなるんだかねぇ…(笑)
 >次から次へと作者様の吹く笛で踊りまくっている私でございます…
 踊って下さってるんですか…うれすぃ〜!!
 がんばりますよ〜最後までっ!!どうぞよろしくでっす!!

>クロイツさんのファンです様
 はじめまして〜!!ま、マジですか!?嬉しいでっす!!ありがとうございます!!
 もーすぐ終わりなんですが…最後の最後までがんばりますので、どうぞよろしくお願い
します!!
309 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月19日(水)21時53分55秒
作者様良い所でお切りになさる(;´Д`)ハァハァ
すんませんお水頂きます。えぇ。
あやや…すごい怖い…良い味出してます。
310 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月19日(水)22時34分44秒
クロイツ様、更新お疲れさまです。
>あやや今回イッちゃっておりますが…(笑)
あやや〜、何をしでかしても見守ってるよ!!
世界中を敵にしても、絶対守るよ!!
>クール過ぎます…素敵過ぎますわ、ななしのよっすぃ〜様っ!!
あゆみちゃんに振られクールに振舞っていたけど限界をこえややヤケクソな77444です。
最終話も近づいているとのことですが、最後まで楽しみに読ませていただきます。
また、新作も楽しみに待ってます!!
PS:新作も保存させていあだけますか?
   よろしくお願いいたします。<m(__)m>
311 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年02月20日(木)19時32分08秒
メッサ遅ればせながら新スレおめでとうでございます
前スレから移ったことすら知りませんでした(鬱
今日このスレ読んだらいきなりののさんが・・・なんか凄いことになりそうですね
312 名前:第九十一話 投稿日:2003年02月20日(木)20時01分00秒

 六人が希美をみつけたのは、『大谷雅恵様控室』と言う紙が張られた部屋だった。
「のの!」
「ののさん!!」
そんな二人の呼びかけは答えず、希美は二、三歩後退したから悲鳴を上げる。
「…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」
その顔は、まさに蒼白。今にも倒れそうになりながら、声の限りに叫んでいた。ひとみと
あさ美は駆け寄り、その小柄な身体を支えた。
「どうしたの!?のの!?」
「しっかりしてくだ…」
そこまで言いかけて、あさ美は希美の視線の先に気がついた。
「・・・・・・っ!!!」
あさ美の顔色も、サッと青くなった。
 残りの四人も到着し、その光景を目の当たりにする。

 そこには…亜弥の短剣を腹部に突き刺した、麻琴がいた。

「う…嘘…!!」
「まこ…まこっちゃん!!」
亜依はその場にへなへなと座り込み、希美はもつれる足で麻琴に駆け寄る。
「まこっちゃん!!まこっちゃぁぁぁぁん!!」
313 名前:第九十一話 投稿日:2003年02月20日(木)20時02分08秒
麻琴の顔を覗き込み、希美は悲鳴を上げる。
「…の…のちゃ…ん?」
「ま、まこっちゃん!!なんで…なんでこんなことに…!!」
麻琴は、腹部の短剣の柄を握り締めながら、亜弥をにらみつけた。
 亜弥は、無表情だ。
「…これで…逃げられ…ないよ、松浦…!!あんたがこの凶器を…手に入れたって…情報、
掴んだ時から…私は…ずっと、このチャンスを待ち望んでたんだ…!!」
その場にいた全員の顔に、衝撃が走る。
 麻琴はニヤリと笑う。
「へ、部屋に…遺書を、残して来たんだよ…!!あんたが今までやって来た事、全て…書
いた遺書を…!!あんたは…もう、逃げられない…!!愛ちゃんを…殺した罪と、私を殺
した罪…両方とも…償わなきゃいけなく、なるんだ…!!」
里沙が、驚愕の表情を浮かべる。
「ま、松浦亜弥を、塀の中に入れる為だけに…命を捨てるとおっしゃるの!?」
「愛ちゃんは…自殺じゃない…!!殺されたんだ…!!それを証明…する為には、私には…
こ、こうするより他…なかったんだ…!!」
314 名前:第九十一話 投稿日:2003年02月20日(木)20時02分40秒
「・・・・・・!!」
亜弥が、崩れ落ちるかのように座り込む。
 その目は、初めて自分のしでかした事を目の当たりにしたように…恐怖と後悔と罪悪感
に彩られていた。
 麻琴は自ら、腹部の短剣を引き抜く。
「っ!!?駄目!!そのままにしておかないと…!!」
真希の制止も空しく、短剣は引き抜かれた。そして、傷口からどばっと血があふれる。
 麻琴はずりずりと亜弥に近付き、その手に血まみれの短剣を握らせた。
 そして麻琴は、宙を見つめる。
「愛ちゃん…。」
その声は、切ない程に甘く切なかった。そして、麻琴は優しい微笑みを浮かべる。
「これで…会える、よね…。同じヤツに…殺されるんだもん…。」
梨華は口元を押さえた。
「同じトコ、行けるよね…また、会えるよね…。」
「あの子…!!『愛ちゃん』って子の事…!!」
そう呟いて、涙を流し始める梨華の肩を、ひとみがそっと抱く。

「…今まで…見ないようにして…来たんだよ。だって…気付いたら、辛過ぎるじゃん…も
ういない…愛ちゃんが、大好きだなんて…。
 だけど、今…正直になるよ…愛ちゃん…。大好き、だ…よ…。」

がくっと、麻琴が床に倒れこんだ。
315 名前:第九十一話 投稿日:2003年02月20日(木)20時03分11秒
「まこっちゃ…!!」
「寒い…寒いよ…!!暗いよ、愛ちゃん…!!ど…こ…!?見えない…!!見えな…」
そして、唐突に…麻琴は、言葉と動きを止めた。
 痛いくらいの沈黙が、部屋を占拠した。
「…まこっちゃん…?」
希美の呆然とした声が、沈黙を破る。
「まこっちゃん…おきて、くらさい…。じょ、ジョウダンはやめてほしいのれす…!!」
希美が、麻琴を力いっぱい揺する。
 だが、麻琴は起きない。
「うそ…なのれす…。らって…らって…!!」
制服と手を血まみれにしながら混乱する希美に、あさ美が近付いた。
「…ののさん…。」
「らって…らって、のの、気付いちゃったのれす!!まこっちゃんのコト、ののは…!!」
「ののさん!!」
ドレスが汚れるのもかまわず、あさ美は希美を抱きしめる。
「…うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 あさ美の腕の中で、ホテル中に響き渡るような声で希美は叫んだ。
 だが、麻琴の目が覚める事は…二度となかった。
316 名前:第九十一話 投稿日:2003年02月20日(木)20時04分19秒


 麻琴は心臓に持病があり、余命はもう半年を切っていたのだと、梨華とひとみは通夜の
席で聞かされた。
 そして、死因は…刺された事と大量に出血した事により、もともと弱い心臓がショック
を受け停止したと言う事。
 司法解剖やら何やらで、通夜は麻琴が亡くなってから一週間後に行われた。
 母親は、やはり憔悴していたが…ある程度覚悟はしていたのだろう。なんとなくスッキ
リしているような印象を受けた。
「…もう、これで麻琴が苦しむ姿を見ないで済むんですね。」
精一杯の強がりであろうその言葉に、梨華、ひとみ、亜依、圭、里沙、あさ美、真希、な
つみ、紗耶香の九人は、答えるべき言葉が見つからなかった。
 そして、誰よりも憔悴しているのは、希美だった。
「ののさん…。」
あさ美に支えられながら、やっと立っている希美。それを見て、圭はぽつりと漏らす。
317 名前:第九十一話 投稿日:2003年02月20日(木)20時04分51秒
「…愛の葬式に来てくれた小川さんも、今の希美ちゃんみたいだったわ。」
「…好きだったんだね…。」
答えた亜依に、圭は苦しそうな微笑みを向ける。
 そんな圭の手を、亜依はぎゅっと握った。
 そして、涙ぐみながら小さな声で言う。
「…圭さんと亜依は、死ぬ時は一緒に死のうね。」
「う〜ん、コレばっかりは約束できないと思うんだけど…。」
「いいから、うんって言ってよぉ!」
圭は苦笑し、亜依の頭を撫でながら…こくりと頷く。
318 名前:第九十一話 投稿日:2003年02月20日(木)20時05分34秒
 帰りの車の中で、梨華はひとみに抱きついた。
「ん?どうした?梨華ちゃん?」
そう言うひとみの左手の薬指には、シンプルな銀のリングがはめられていた。
 それを見て、梨華はつい五日前の事を思い出す。
 五日前、梨華の両親が久々に帰宅した。
 そして、真里の相続権放棄を認め…今度は梨華を跡取り娘にしようとした。
 だが…そんな両親に、ひとみは頭を下げたのだ。

『僕…いえ、あたしは女です。でも、誰よりも何よりも梨華ちゃんを愛しています。梨華
ちゃんと共に生きられるのなら、と、女の戸籍も捨てました。
 ですから、梨華ちゃんをあたしに下さい。』

その言葉は、梨華は一生忘れないだろう。
驚く両親に、梨華は『認めてくれないのなら、石川家なんて捨ててやる!』と叫んだ。
319 名前:第九十一話 投稿日:2003年02月20日(木)20時06分27秒
 怒って勘当しようとする父親を、母親がなだめ…て言うより『吉澤さん仕事できるし、
それにいいじゃないの。変な男に捕まるよりは。』と説得し、晴れて二人は『公認の婚約
者』となった。
 挙式の日時も、もう決まった。ひとみの十八の誕生日だ。
 それを思い出して、梨華は抱きつく力を強めた。
「…ひとみちゃん。」
「ん?」
「ずっと、一緒だよ?」
「もちろん。」
そして、見詰め合って…キス。
 唇が離れた後…二人は、最高の笑顔を交わしあった。
320 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月20日(木)20時07分41秒


 昨夜のマシュー見ました。
 そしたら『ハーマイオニー役の子可愛い』などと言っていた私ですが、やっぱり石ヲタ
だと言う事を再認識させられました。
 可愛かった…!!
 緊張し過ぎてテンションがおかしい所まで、全てが可愛くて愛しくて。
 梨華ちゃん最高。
 夜中にそう叫びそうになりましたわ。

 そして、次回とうとう最終回です。

>名無しどくしゃ様
 まこたん、出たらこんな事になってもうて…(大汗)
 う〜ん、予測つきましたでしょうか?このまこっちゃん…。
321 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月20日(木)20時08分24秒
レスの続きでっす☆

>ななしのよっすぃ〜様
 次回、最終回です。本当にもう、今まで保存ありがとうございました!こんな長いの…(大汗)
あややの行方は次回、わかります☆
 >新作も保存させていあだけますか?
 してくださるんですか!?新作も!?
 うれしいです!!お願いします!!でも、次回作はもしかしたら、今回のようにハイペー
ス更新とは行かないカモ…(汗)

>名無しかも〜んな!様
 お久しぶりですっ!
 すげぇ事に…なってますね(汗)本当に…。
 つーか『ケーキ屋さんどこ行ったよ?』と言う疑問は、心の中にしまっといてください…。
いや、自覚してるんですよ。題名と中身が一致してないって事は…。
 次回最終回です!!どうぞ最後までよろしく!!
322 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年02月20日(木)22時55分03秒
やっと見つけたと思ったらいきなり最終回ですか?
なんてついてないんだ(鬱 でも小説終わってから発見するより良いかも
最終回激しく期待してます
323 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月21日(金)00時28分09秒
クロイツさま、更新お疲れさままです。
いし&よし、ハッピーエンドですね。
周りでいろいろあっても甘々ないしよし最高でした!!
>次回、最終回です。本当にもう、今まで保存ありがとうございました!
>こんな長いの…(大汗)
いえいえ、毎日楽しみに覗いてましたYO!
>あややの行方は次回、わかります☆
77444はいつまでもあややの味方です
>してくださるんですか!?新作も!?
頑張りますYO!更新ペースはクロイツさまのペースで頑張ってください!
次も甘々ないしよしですか?最終回も含め楽しみです。
では、更新を楽しみに待ってます!
これからもよろしくお願いいたします。
324 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月21日(金)00時47分14秒
おぉぉぉぉぉ!!!!
必死でテスト勉強してる間にも更新がっっ!!!
つらいですねぇ〜・・・まこっちゃん・・・もぅ、泣きまくりでした(号泣。
いしよし、とうとう公認の婚約者として・・・♪
もう、嬉しい限りです!!!
次回最終回ということですが、寂しいですね。
でも、最終回まで変わらぬ思いで応援していきますので、がんばってください!
応援してます、師匠!!!!

P・S 私もマシューTV見ました^^ テスト1週間前なんですがね(苦笑。
    でもっ!梨華ちゃん可愛すぎですよねぇ〜^^私も夜中に叫びそうになりました^^;
325 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月21日(金)07時27分27秒
予測つきまへんでした。良い意味で裏切られますたよ(;´Д`)
マコカッコイイ!!上の世界でも愛たんと仲良くね・゚・(ノД`)・゚・
感動です。涙です。作者様サイコー!
326 名前:あおのり 投稿日:2003年02月21日(金)12時37分51秒
「大事に願う命もあれば
捨ててしまいたいと願う命もある
・・・あンたの兄貴は死に場所を探してた」





まっこっちゃんお疲れ様…
327 名前:エピローグ 投稿日:2003年02月21日(金)15時09分44秒

 吉澤ひとみが十八歳になった瞬間から、三十三時間と四十二分が経過した。
 ひとみは、『社長室』と書かれた部屋の執務机の前で、パソコンとにらめっこをしてい
る。
「・・・・・・。」
気難しい表情をし、パソコンに何か打ち込み始める。

ビーッ

数秒も経たない内に、エラー音が社長室に響く。
「・・・・・・。」
もう一回、打ち込んでみる。

ビーッ

また、数秒も経たない内にエラー音。
ひとみは深々とため息をついた。
(…しゅ、集中できねぇ…。)
 そう。気もそぞろなのだ。
 ひとみは昨日、梨華との結婚式を挙げた。
 ウェディングドレス姿の梨華は、美しかった。
 白いタキシードを着て、梨華の隣に並び…皆の祝福を受け、ひとみは本当に『幸福』を
感じた。
 『飲食部門の社長』と言う地位に就いてから日も浅い為、仕事が忙しくて新婚旅行には
行けなかったが、梨華と『いつか絶対行こうね』と約束した。
 そして…初夜。
328 名前:エピローグ 投稿日:2003年02月21日(金)15時10分52秒
「…うあぁぁぁ…!!」
真っ赤になった顔を、両手で覆う。
 梨華を抱くのは、二度目だった。
 一度目の時は、二人とも追い詰められてて…ひとみとしても、焦りと不安と独占欲が先
に立ち、あまり『楽しむ』と言う事をしなかった。しかし今回は違う。
「…いかん。集中しなきゃ。ただでさえ昨日一日休んだ分の仕事がたまってるんだから。」
そう思ってパソコンに向かうのだが…ふとした瞬間に蘇ってしまう。

 昨夜の梨華の表情。甘い香り。肌の感触。抱き返して来る腕の力。声。

 エラー音が、鳴り響く。
「・・・・・・。」
 そして、今朝…ひとみを送り出す際の梨華の事。
『お仕事、がんばって!』
精一杯無理をしてる笑顔。本当は側にいてほしいんだろう、と言うのが丸わかりの表情。
「…帰りてぇ〜…。」
背広を脱いで、ネクタイをゆるめる。
 と、そこに。

こんこん

「はい、どうぞ!」
扉が開いて、入って来たのは…
「…梨華ちゃん!?」
だった。
329 名前:エピローグ 投稿日:2003年02月21日(金)15時11分25秒
 梨華ははにかみながら、上目遣いでひとみを見る。
「…ごめんなさい…迷惑だってわかってるんだけど…どうしても会いたくて…。」
「いや…あたしも、会いたかったから。」
そしてひとみは梨華を抱きしめ、二人同時に噴出す。
「…ほんの一時間前に離れたばっかりなのにね。」
「本当に。わたしもう、ひとみちゃん無しでは生きられないみたい。」
「そんなの、ウチだって同じだよ。」
そしてふと思い出したように、梨華は顔を上げる。
「そうだ!さっき柴ちゃんからメールが来たの!柴ちゃんのお姉様に、息子さんが生まれ
たんですって!」
「へぇ〜!」
「…それでね、柴ちゃんは将来的に、その子を養子にもらうつもりなんだって。跡継ぎに
する為に。お姉様とその旦那様もそれを承諾して下さったそうよ。」
まるで自分の事のように喜び、梨華は微笑む。
「柴ちゃん、『これで見合いを断る口実が出来た』って…『大谷といつまでも一緒にいら
れる』って、言ってたの!」
「そっか…。」
ひとみはぎゅっと、梨華を抱き寄せる。
 そして二人の頭に、数々の友人知人が思い出された。
330 名前:エピローグ 投稿日:2003年02月21日(金)15時12分31秒

 真里は現在、大阪にいる。裕子の実家の母親の具合が思わしくないらしく、その看病に
追われているそうだが…『忙しいけど、幸福』だと言っていた。

 亜依は今、かつての梨華のように花嫁修業を始めた。圭はかつてのひとみのように、大
学生ながら既に石川家の仕事をまかされている。

 里沙は正式に石川家の跡取りと認められた。秘書には同級生の道重さゆみを起用したよ
うだ。婚約者も早々に決め、十六になると同時に結婚し、一生働くんだそうだ。

 なつみは、相変わらず『Tochter.』でケーキを作っている。『Tochter.』
は現在、四号店まで出来て…今度五号店がオープンする。その店長の育成に精を出し、紗
耶香にイジケられているそうだ。

 あさ美は、服飾部門の社長に就任。真希を秘書にし、天才的頭脳とユニークなアイデア
で、うまく仕事をこなしている。
331 名前:エピローグ 投稿日:2003年02月21日(金)15時13分03秒

 希美は…まだ、麻琴の死のショックから立ち直れないみたいだ。前のように底なしに明
るい笑顔は見せなくなった。だが、前は向いているようで…少し、大人になった。

 美貴は、バイオリニストとしてデビューした。そのルックスと技術で、たちまち人気者
となって…現在はドイツでコンサートを開いているらしい。

 そこまで思い出して、梨華はぎゅっとひとみにしがみついた。
「…亜弥ちゃん、どうしてるのかしら…。」
その言葉に、ひとみは優しく梨華を抱きなおす。
 亜弥は、あの事件の後…心を閉ざした。
 誰が何を言っても無反応。病院のベッドで、毎日ただただ空を見て過ごしているのだそ
うだ。殺人の容疑で一旦は逮捕されたのだが、その状態な為に刑務所には入らず…代わり
に、精神病院へと収容された。
「…亜弥ちゃんのご両親、毎日亜弥ちゃんの所に行ってるんだって。二人そろって。」
「そっか…。」
梨華はひとみから離れて、にっこりと微笑んだ。
「…麻琴ちゃんも、あの世で『愛ちゃん』に会えると良いね!」
「大丈夫だよ。きっと、いつか会える。」
332 名前:エピローグ 投稿日:2003年02月21日(金)15時13分34秒
ひとみは、梨華の左手を取った。

「…あたしだったら、どんな状況になっても…絶対梨華ちゃんを見つけ出す。」

「え…っ?」
「どれだけ時間がかかっても、必ず。」
そして、梨華の左手の薬指で輝くリングにくちづける。
「…大丈夫よ、ひとみちゃん。わたしは絶対、ひとみちゃんから離れたりしない。」
「そうしてくれると嬉しいな。」
「もっちろん!!絶対離したりしないわ!だって、運命なんだもん!こんな素敵な旦那様、
他には絶対いないんだから!!」
「こんな素敵な奥さんも、他にはいないね。」
「でっしょぉ〜?」
二人は見詰め合って…軽く唇を合わせる。
「…ねえ、今日…もう、お休みにしない?」
「え?」
「…こんな軽いキスだけじゃ嫌。」
ひとみは顔を赤くし、梨華を抱きしめた。
「…そうだね。あたしも…そう思ってた所なんだ。」
その言葉に、梨華は満足そうに微笑んだ。

                                  おわり
333 名前:そして… 投稿日:2003年02月21日(金)15時14分15秒

 「ママ!はやくはやくぅ!」
「ま、待ってくらさいよぅ、麻琴!!」
一組の母子が、幼稚園の門をくぐった。
 今日は入園式。
 麻琴と呼ばれた娘が、母をびしっと指差す。
「まったくもう、ママはほんとうにトロいんだからぁ!」
「なんれれしょうねぇ…麻琴はこんなにキビキビしてるのに…。」
「ま、それがママの『もちあじ』だから、いいけどねっ!」
母は麻琴を抱きしめた。
「もうっ!!麻琴ってばカワイイのれすっ!!」
「もう、やめてよ〜ママぁ〜。」
「こんなにカワイイのに、もう幼稚園だなんて…うう、ママは寂しいのれす…。もっと家
にいてほしいのれす…!!」
「そーゆーワケにはいかないでしょぉ?」
 抱き合う母子の前に、桜の花びらと共に帽子が飛ばされて来た。
「す、すみませ〜ん!!」
顔を上げると、そこには…一人の可愛らしい少女が。
334 名前:そして… 投稿日:2003年02月21日(金)15時15分08秒
「…このぼうし、あなたの?」
「はいっ!そうです!ありがとうございまっす!」
イントネーションがおかしい。幼いながらも、訛りがあるようだ。
 麻琴は、帽子を差し出しながら笑顔を見せる。

「あたし、『おがわまこと』!!あなたは?」
「わたし、『たかはしあい』っていいます!!」

 母が、目を見開いた。
 もう一つの物語が、今始まろうとしていた。
                               おわり
335 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月21日(金)15時16分29秒


 …完結です!!長い間、ありがとうございました!!!
 なんかもう…言葉になりません…!!次回作も、どうぞよろしくお願いします!!

>名無しかも〜んな!様
 完結です…スミマセン(汗)最終回、どうでしたか?ちゃんとご期待にそえましたでしょ
うか…。

>ななしのよっすぃ〜様
 ななしのよっすぃ〜様には、前作からずっと保存をして頂いていて…感謝感激でござい
ます!!こんなカタチになってしまいましたが、いかがでしたでしょうか…。
 次回作もがんばりますので、どうぞよろしくっ!!

>ヒトシズク様
 テスト一週間前…がんばってくださいねっ!!私のように『テスト中なのに更新〜』と
かやっちゃ駄目ですよ?(笑)
 いつもいつも、ヒトシズク様のレスには救われておりました。
 次回作もどうぞよろしくでっす!!
336 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月21日(金)15時17分08秒
レスの続きでっすきほし

>名無しどくしゃ様
 他人の予測を裏切りたい症候群・クロイツには、嬉しいお言葉…(嬉泣)ありがとうご
ざいます!!まこっちゃん、最後いしよしよか目立ってないか…?(汗)

>あおのり様
 まこっちゃんをこうさせる事は、登場した時から決まっておりました…。最後のアレは、
最後の最後までイイ味出してくれたまこっちゃんへのお礼なのれす。
 さて、母親はだれでしょう(笑)
337 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年02月21日(金)17時52分09秒
いしよし(゚д゚)アマー仕事汁!w
小さいマコたんと愛たんが再会なんてやってくれるでねーか。
あとはあややが復活することを祈るばかりデスナ・゚・(ノД`)・゚・
良い作品をありがとうです。更新&完結お疲れ様でした。
338 名前:名無しかも〜んな! 投稿日:2003年02月21日(金)17時55分31秒
完結お疲れ様でした。最後まで楽しまさして頂きました。
今はただただ感動しています
この作品の小川って少し可哀想な感じだったんで小川と高橋の再会?よかったです(泣)
次回作も期待して待ってます。
339 名前:名無し 投稿日:2003年02月21日(金)17時59分09秒
ついに完結・・・お疲れ様でっす!
すっごい良かったですよ〜。もう、言葉日なりません・・・。
いしよしで一番好きな小説でした。
なんか胸一杯、感無量って感じデス。

次回作も頑張って下さいね!応援してます!
340 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月21日(金)18時03分13秒
完結おめでとうございます。
初めから読ませて頂いてました。
なんかずーっと読んでいたものなので、終わってしまうのが寂しいです(T-T)
梨華ちゃんとよっすぃー幸せになれて良かった。
みんな幸せになれて良かった。
最後の、つ○ちゃん幸せなんだろうな〜。
恋っていいですね(^^)
341 名前:まるみ 投稿日:2003年02月21日(金)21時29分39秒
クロイツさま。完結お疲れ様でした。
長い間続いた「ケーキ屋さん」を読めなくなるのは寂しいですが、
次回作を期待しつつ、最初から読んできます。(w

よっすぃー!社長業大変だけど、これからも梨華ちゃんと甘々な日々を
送って下さい。
本当にたくさんの人たちが居ましたが、それぞれがちゃんと書けててすごく
良かったです。
楽しみが一つ減ってしまいましたが、次回作を待つ楽しみが出来たので
クロイツさんも頑張って下さい。


ps.あやゃにも幸せを・・・・
342 名前:ななしのよっすぃ〜 投稿日:2003年02月21日(金)22時32分51秒
クロイツさま、更新&完結お疲れさまでした。
前作の『わたしの望み。』から楽しませていただきました。
始まったものはいつかわ終わるものですが、心にぽっかり穴が開いたようです。
次回作も楽しみに、そして、期待をして待ってます!
新しく、立てられましたら、ご案内いだければ幸いです。
すばらしい作品をありがとうございました。
343 名前:プチひとむ 投稿日:2003年02月21日(金)23時43分28秒
クロイツさま、お疲れ様でしたぁぁ!!!!!
いいお話ありがとうございます。前から読み専で色々読んできましたが、ここまでハマッたのは
これが初めてってくらい、大好きな作品です。クロイツさまの一ファンとして新作楽しみにしてます!!!!
(変な文章でごめんなさいッス…)
344 名前:ヒトシズク 投稿日:2003年02月22日(土)00時26分20秒
ついに完結・・・
おめでとうございます、お疲れ様でした。
もぅ、言葉が出ません・・・
登場した皆さんが、全て幸せになられたことが一番の私の幸せです(笑。
あと、こんなに素晴らしいクロイツ様の作品を読めたことも!!!
ホントに、クロイツ様の作品は素晴らしくて、言葉が出ませんねぇ〜・・・
もぅ、ホントにクロイツ様ファンです!!!
次回作、楽しみにしています。
新作が出来次第、すぐに駆けつけますので(笑。
師匠のためならたとえ、水の中、火の中、雲の中、どこでも駆けつけますので^^

では、今まで本当にありがとうございました。
345 名前:蒼乃 投稿日:2003年02月22日(土)02時21分31秒
クロイツ様、完結お疲れ様です。
そして、ありがとうございました。
開始当初からROMってばかりでしたが、こんな素晴らしい話に出会う機会を与えていただき、感謝の気持ちで一杯です。
それをお伝えしたくて、レスさせていただきました。
次回作も楽しみにしています。
本当にお疲れ様でした。
346 名前:あおのり 投稿日:2003年02月22日(土)10時42分44秒
完結カッケー&乙彼様です
よしいしの素敵なお話に最初から出会うことができ、今は感謝の気持ちでいっぱいです。
毎回毎回次はどうなるんだろう、次はどうなるんだろう、とワクワクしながら更新を待っておりました。
終盤のまこっちゃん&あややの展開にはドキドキしっぱなしで
PCを起動させると一番先にここにやってくる毎日でした。
あややは最終的にあんなふうになってしまいましたが、
人間の営みはそんなものに関係なく時とともに流れていくもんなんだなと
それぞれの登場人物がそれぞれの生き方を選んでいく最終回で改めて思いました。
エピローグでの小川麻琴ちゃんの登場でそれを更に強く思いました。
小川さんて人と結婚したんですね…お母さんになってもカツゼツが悪いですが(w

それではまた創作の神様がクロイツ様の脳みその中に
降臨されるときまでマターリお待ちしております。ありがとうございました。

347 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月22日(土)11時35分26秒


皆様、長い間…本当にありがとうございました。
書いている間ずっと、皆様のレスに支えられ、救われておりました。

>名無しどくしゃ様
 ありがとうございます!!
 どっちにしろ、仕事どころじゃないって事で(笑)里沙お嬢様も大目に見てくださいま
す事でしょう…。
 あやや復活…するんでしょうか…?ファンタジー風に言うと、『まこっちゃんの命をもっ
て、あややを封印した』って感じですので…。

>名無しかも〜んな!様
 楽しんで頂けましたか〜!それでしたら、これ以上の喜びはありません!!
 本当はあのオマケ、つけないつもりだったんですよ…だけど、あまりにもあんまりかな、
と思いまして。まこっちゃん好きなので。

>名無し様
 ありがとうございます!!私も完結させた後、しばらく放心してしまいました…。
 >いしよしで一番好きな小説でした。
 マジですか!?うれしいです!!超嬉しいです!!
 次回作もそう言っていただけるように、頑張りますね!!
348 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月22日(土)11時36分13秒
レスの続きですきほし

>名無し読者様
 はじめからずっと…ありがとうございます!!長い間お付き合い頂いて…本当に感謝感
激でございます!!
 最後のおかーさんも、幸福です♪

>まるみ様
 さ、最初から…読まれるんですか…!?本当に…!?矛盾点に気が付いても、そっと心
の中におさめておいて下さいませ(笑)
 ありがとうございます!!がんばります!!

>ななしのよっすぃ〜様
 本当に、ありがとうございました!!こんなつたないものを…ずっと保存してください
まして…。感謝してもしきれないほどです。
 で、次回作すでにスレ立てました(笑)我ながら早いですかね…(大汗)

>プチひとむ様
 ありがとうございます!!そう言って頂けると、本当に嬉しいです!!
 私としても書くのがすごく楽しかったので…♪

>ヒトシズク様
 いえ、こちらこそありがとうございました!!ヒトシズク様はもう、私が飼育デビュー
した時から読んで下さってて…本当に感謝しています。
 そして新作…スレ、既に立てております。一話更新してます(爆笑)
349 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月22日(土)11時37分00秒
さらに続きでっすはあとはあと


>蒼乃様
 どうも、ありがとうございます!!こちらこそ、感謝感激でございます!!
 書いてる最中、本当に楽しかったので…それが伝わってれば良いな、と思ってました。
 次回作もよろしくです♪

>あおのり様
 ありがとうございます!!本当に!!
 そう言って頂けると、本当に嬉しいし幸せです!!
 私も『次どーしよっかなぁ〜』とか考えるのがすごく楽しくて…一緒に楽しめていたの
なら、これ以上の事はありません!!
 そして次回作。すでにスレ立ててたりするんですが(笑)、そちらもよろしくでっす!!


皆様、本当にありがとうございました!!
そして、次回作なんですが…既にスレ立てて、一話更新してあります(笑)

空板で『愛は人類を救うらしい。』と言うのを。

いしよしです。ギャグにするつもりです。
今回と同じくオールキャラ…しかもこっちでは出なかった方も大勢出ます!!
四期中心なのですが…一応、ハロプロオールキャラ目指してます!!
がんばりますので、どうぞよろしくお願いします!!
350 名前:チップ 投稿日:2003年02月22日(土)13時50分14秒
一足どころか二足も遅れましたけど、完結お疲れ様です。
マコショックでエムステやらファンやらのマコの元気な笑顔を見る度涙が出て・・・
舌ったらずなママと不運な前世を越えて再び出会えた二人に
嬉し涙ポロリでした。あのシーンがあって本当によかったです。

かなり悪役だったけど、あややにいつかまた笑顔が戻るといいなぁ〜と思ってます。
いしよしは…よっすぃ〜の気持ちが痛い程分かるラストでやんした。(そこでイチャついたら余計仕事たまるがな)
本当に面白かったです。では、今から新作を覗いてきます!
これからも頑張って下さい。
351 名前:syagi 投稿日:2003年02月22日(土)17時09分09秒
久々に家に帰ってきたら・・・もう完結していました。
お疲れさまでございましたm(_ _)mホントに最後はほのぼのと終わって
良かったです(*^_^*)これから見れないと思うとちょっとさみし〜ですが
・・・とにかくおつかれ様でした☆
352 名前:クロイツ 投稿日:2003年02月23日(日)11時16分29秒
レス第二弾っはあとはあと

>チップ様
 ありがとうございます!!書いてる間は本当に楽しくて…疲れも何も感じませんでした
が…完結させた瞬間、なんかドッと来ました(笑)疲れとゆーか、寂しさとゆーか。
 >嬉し涙ポロリでした。あのシーンがあって本当によかったです。
 そう言って頂けると…よかったです♪最初から死んでるって設定で、回想シーンしか出
番のなかったラブリーと、あんな形で終わらせる事を、登場時から決定していたまこっちゃ
んへ…おかーさんからのプレゼントなのれす(笑)

>syagi様
 どうもありがとうございます!!
 ほのぼのと始まったので、ほのぼのと終わらせたかったんです♪
 >良かったです(*^_^*)これから見れないと思うとちょっとさみし〜ですが
 >・・・とにかくおつかれ様でした☆
 そう言って頂けると、本当に嬉しいです!!感謝感激♪

空板の『愛は人類を救うらしい。』も、よろしくお願いしますね〜♪
353 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年03月02日(日)01時54分09秒
半月もオフライン生活してたら、作品完結しちゃってる(泣)
いや、もうホント言葉がありません
他のみなさんが語り尽してますし…駆け付けるの遅すぎたし(ショック)
かなり悔しいですよ。いしよしのキスの回数をカウントしてるようなアホな私ですが…
しかし、レスをちょい期待しつつ、最後に一言…
クロイツ様・いしよし万歳!!
354 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月03日(月)12時49分19秒
>ラヴ梨〜様
 ありがとうございます!!半月オフライン生活…すげぇ!!私にはできません(汗)
 >他のみなさんが語り尽してますし…駆け付けるの遅すぎたし(ショック)
 いえいえ、そんな事ないですよ〜♪レス頂けてマジ嬉しいですし♪
 いしよしのキスの回数…何回だったんでしょう(笑)気になります。
 本当に長い間、ありがとうございました!!

 空板で新作書いてます(もう第八話まで行きましたが)ので、そちらもどうぞよろしくですはあとはあと
355 名前:ヨ〜ド〜ケッティ 投稿日:2003年03月12日(水)16時00分45秒
一気に読ませていただきました。
一言、最高でした。
356 名前:クロイツ 投稿日:2003年03月18日(火)10時09分09秒
>ヨ〜ド〜ケッティ様
 レス遅れてすみません。
 ありがとうございます!!いっきに読まれたんですか!?す、すごい…。
 >一言、最高でした。
 ありがとうございます!!嬉しいです!!
357 名前:タモ 投稿日:2003年03月26日(水)15時32分43秒
やっっと読み終わりました…。
暇な日を見つけては楽しみに読ませて頂きました。
最後の松浦さんが少し可愛そうでしたが、基本的にみんな幸せになれてよかったです!
特に、『おがわまこと』と『たかはしあい』の再会がまたなんとも…、良かったっす。
一番印象に残ったのは柴ちゃんの亀井家の待合室(?)に大谷を取り戻すシーンですかね。
あれは読んでいてスッキリしました。柴ちゃんカッケー!!
いしよし&こんごま&さやなちの甘甘ぶりにもすごいと思いましたが…これで終わってしまうのは寂しいものですね。

長くなりましたが、更新、そして完結お疲れ様でした。
新作のほうも始まっているようですが、引き続き影ながら応援させて頂きます。
頑張ってください。
358 名前:クロイツ 投稿日:2003年04月09日(水)17時47分35秒
>タモ様
 ありがとうございます!!レス遅れて申し訳ございません。
 >一番印象に残ったのは柴ちゃんの亀井家の待合室(?)に大谷を取り戻すシーンですかね。
 >あれは読んでいてスッキリしました。柴ちゃんカッケー!!
 うふふふふ。ありがとうございまっす!!
 私の中でも、あそこはかなりお気に入りのシーンなんですよ♪そう言って頂けると、本当にうれしいです!!

 空板の新作(と言っても2スレ目に入りましたが)も、どうぞよろしくおねがいします!!

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