迷。
- 1 名前:ユキ 投稿日:2003年01月27日(月)20時07分32秒
私は今、すごく好きな人がいます。
その人は、綺麗で優しい人です。
その人に恋をして数ヶ月、何も行動を起こせずにいます。
勇気のない自分を情けなく想います。
はぁ〜。
「何ため息ついてるの?らしくないね」
「私だってため息つきたくなることぐらいある。」
私は不機嫌な声で答えた。
私に声をかけてきたのは、同じ道場&高校に通っている親友の後藤真希。
通称、ごっちん。
私とごっちんはある道場にかよっている。
なんの道場かというと、なんて言ったらいいかわからん。
そこの道場は、唐手、柔術、居合い、剣術、弓道等、武術全般を教えてくれるところだ。
全種目をやるのではなく、どれかひとつ選んで教えてもらうのだ。
ちなみに、私とごっちんは剣術を習っている。
「何、中澤師範のこと?」
「うっ、、、」
親友のごっちんは知っている。私が剣術の中澤師範が好きなことを。
- 2 名前:ユキ 投稿日:2003年01月27日(月)20時58分44秒
- 中澤裕子。
年齢不詳の剣術師範。
その強さは、半端じゃない。
彼女より年上の男の師範でさえ歯が立たない。
剣術の師範であっても、居合いと柔術も強い。
武者修行の旅に出ている道場主の変わりに道場をきりもりしているらしい。
らしい、というのは兄弟子たちの話を耳にしたからで、師範に直接聞いたわけでは
ないからだ。
そんな彼女は夜間に通ってくる門下生を教えている。
私は中一の頃からかよっていたが彼女のことはしらなかった。
高校生になって夜間にかようになって彼女のことを知った。
初めて彼女を見たのは兄弟子の稽古をつけている時だった。
一目惚れだった。
白い肌。
金に近い明るい茶色の髪。
肩より少し長いくらいの髪をひとつに括っている。
紺の袴がよく似合っていた。
私より小さく細い身体。
真剣な顔に、鋭い視線。
- 3 名前:ユキ 投稿日:2003年01月27日(月)21時45分15秒
- 彼女の稽古は厳しいがとても丁寧で評判がいい。
指導役は何人かいるが彼女が一番人気だ。
私も稽古をつけて欲しいが、まだまだ下っ端の私は兄弟子たちに稽古をつけてもらうのが
殆どだ。
一度だけ稽古をつけてもらったが、気迫だけでもう負けている。
彼女は私なんかより、何段も高みいる。
少しでも彼女に追いつきたい一心で、稽古に励んでいる。
- 4 名前:ユキ 投稿日:2003年01月27日(月)21時46分51秒
- ここまで。
つたない文ですがよろしくお願いします。
- 5 名前:ユキ 投稿日:2003年01月28日(火)22時31分49秒
- 私の名前は、吉澤ひとみ。
地元の高校に通う、高校二年生だ。
運動が得意で、勉強は並み。
剣術暦?四年。腕はまだまだ。
ごっちんに一勝もしたことが無い。(近いうちに、勝つ!!)
ごっちんは物心ついた時にはもう、竹刀を振り回していたらしい。
何でも、お父さんがここの一番エライ先生(道場主)に教えてもらっていたそうだ。
つまり、中澤師範の兄弟子になる。
その縁で、小学生の頃から道場に通っている。
- 6 名前:ユキ 投稿日:2003年01月28日(火)22時37分04秒
- 「いいかげん、諦めるか告白するかしたら?」
「それが、出来たら苦労はしない」
これまた、不機嫌の声で答えてしまった。
「裕ちゃんに追いつくなんて、何年かかると思ってんの?」
「十年以上」
- 7 名前:ユキ 投稿日:2003年02月03日(月)21時08分12秒
- 実際、あの人に追いつくなんて20年掛かっても無理だろう。
でも、少しでも追いつきたいのだ。
あの後、真希と別れ自宅に帰ってきた。
今日も日課をこなす。
5キロのジョギング。
素振り。
型。
何事も体力と基本。
- 8 名前:ユキ 投稿日:2003年02月03日(月)21時21分27秒
古いがよく手入れのされている道場に一人の女が正座している。
その目は閉じられ、少し厳しい表情をしている。
金糸のような髪。
顔立ちは整っているが、日本人の顔だ。
彼女の名は、中澤裕子。
彼女は傍らに置かれた刀を手に取った。
そして次の瞬間、目にも止まらぬ速さで抜いた。
まるで、見えない敵に切りつけるように。
- 9 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月04日(火)21時10分59秒
- ここの中澤さんかっこいいですね。
がんばってください。
- 10 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月04日(火)21時13分35秒
- sage するの忘れました。
すみません。
- 11 名前:ユキ 投稿日:2003年02月07日(金)21時16分33秒
- レスがあるなんて、、、。
読んでいる人がいたんですか。
読んでくださっている方のためにもがんばります。
sageはこだわらないので、気にしないでください。
- 12 名前:ユキ 投稿日:2003年02月07日(金)21時30分13秒
- ふぅ〜
裕子は深く息を吐き、姿勢を正す。
無駄に力の入った身体をリラックスさせるために。
「、、、修行が足りん。」
水と大木。
裕子が求めるもの。
平静な精神と柔軟な強さ。
水面のような穏やかな心。
鋼の強さとは違う、大木のような柔軟な強さ。
- 13 名前:ユキ 投稿日:2003年02月07日(金)22時20分04秒
- 強さを追い求めて、何年にもなる。
いい年して、何してるんだと考えることもある。
自分が精神的に弱いことを自覚している。
精神的弱さを身体的強さで誤魔化してることも。
剣を始めたのだって、身体的強さが精神的強さに繋がると思ったからだ。
なのに、、、。
どうして、強くなれないんだ。
- 14 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月08日(土)21時31分32秒
- おもしろそうです。
続きを楽しみにしています。
- 15 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月09日(日)16時30分31秒
- 同じく
- 16 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月10日(月)01時03分51秒
- どういう話になっていくのか楽しみです。
続きまってまーす。
- 17 名前:ユキ 投稿日:2003年02月16日(日)21時03分45秒
- レスありがとうございます。
この話は半ギャグ半SF、恋愛もちょっと。
って感じでいきます。
途中で路線変更するかも知れませんが、よろしくおねがいします。
- 18 名前:ユキ 投稿日:2003年02月16日(日)21時47分09秒
陰陽師、退魔師、悪魔祓い、霊媒師、巫女、、、。
古来より負のエネルギーを払拭する仕事だ。
そして、現代にいたってもその仕事は存在する。
なんてったて自分がそうなんだもんね〜
彼女の名前は後藤真希。
普段はいったって普通とはいいがたいが、高校生だ。
眠たそうな顔をしてストレッチをしている。
今日は日曜日。
まったりと寝ているか、朝から遊ぶかしたい。
でも、能力者としての修行はかかせない。
だから、日曜とてサボるわけにはいかないのだ。
・・・というわけではなく。
ただ、自分の師にあたる人が日曜以外相手にしてくれないだけである。
力をコントロールすることはとっくの昔に覚えた。
毎日のトレーニングもかかしたことはない。
実践経験もそれなりにある。
だが、師や他の能力者には全然及ばない。
そんなわけで、日曜の朝から稽古という名の修行が行われる。
- 19 名前:ユキ 投稿日:2003年02月16日(日)22時44分51秒
- 「始めるよ、後藤。」
音も無く師匠が現れた。
この人の声を聞くと気が引き締まる。
師匠には色々な事を教えて貰った。
力の使い方、自分たちが相手にしている存在、剣、ナイフの使い方、
ロープワーク、魚のさばき方、食べれる植物の見分け方、等々、、、、、。
能力者として、いる事いらん事まで。
「はい、お願いします。」
剣を持って向き合う。
力を使わず、剣だけで挑む。
後藤の気合の声、剣と剣がぶつかり合う音。
その二つが響くこと一時間。
後藤の動きが止まった。
「もう、お終いか?」
師が涼しい顔をして声をかける。
後藤は汗だくで、肩で大きく息をしている。
うおぉぉぉぉぉっ
今まで出一番速いだろうか、後藤が気合と共に斬りかかった。
上段から一気に振り下ろす。
だが、師は受け流すと後藤の脇腹を軽く押した。
後藤は綺麗に思いっきりこけた。
- 20 名前:ユキ 投稿日:2003年02月16日(日)23時48分35秒
「うぅ〜〜、酷いよ、裕ちゃん。痛いよ〜」
こけた後藤がむくりと起き上がり、師匠の裕子に向かって文句をいった。
結構シリアスな感じで行われていた稽古。
後藤がこけて一気に空気が変わった。
真希は真剣な顔から、いつもの少し気の抜けた顔に。
裕子からも鋭い視線消えた。
裕子は剣を鞘に収めながら、真希の文句に答えた。
「うちのせいにするなや。勝手にこけたの、真希やんか。」
「こけさせたのは、裕ちゃんじゃん!」
む〜っとした顔で反論する真希。
裕子はスッと目を細め、呟いた。
凍りつきそうなほど、冷たい声で。
「斬られたほうが、ええんか?」
真希の顔から血の気が引いた。
「いえ、どんでもない。こけた方がいいです。」
毎回行われる会話。
経過も結果もわかりきっているのに、なぜか行われる。
一つの日課みたいなものなのだろう。
- 21 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月18日(火)00時17分13秒
- 裕ちゃんこわ〜い(笑)
続きたのしみです。
- 22 名前:ユキ 投稿日:2003年02月19日(水)02時30分01秒
「それより、沙耶香のヤツどないしてん。今日は来るゆうてなかったか?」
通常モードに切り替えて裕子は言った。
もう一人の教え子、市井沙耶香が今日は道場に来る予定になっているが姿が見えない。
「ああ、市井ちゃんなら平家さん連れてくるから、ちょっと
遅くなるかもって言ってた。」
・・・・なんでも久しぶりに思いっきりやりたいとか。
「あんたら二人でか?」
「まさか、裕ちゃんと市井ちゃんとでだよ。」
真希は袴に付いたほこりをはたきながら答えた。
大分、呼吸が整ってきている。
裕子は真希の答えを聞いたとたん、逃げの体制に入る。
どうやら沙耶香を相手にしたくないようだ。
「逃げないでくださいね、師匠。って言ってたよ。」
その一言を聞く前に逃げたかった裕子、でも真希の方が一瞬速かった。
「裕ちゃん、あんたらと違って年寄りやねんで?
体力無い年寄り相手に思いっきりやるなんて、酷いんちゃう?
そんな子に育ったなんて、センセイ悲しいわぁ〜」
- 23 名前:ユキ 投稿日:2003年02月19日(水)22時46分43秒
情けない事を言って逃げようとする裕子。
実際に体力はあまりない、だが能力者としては有数の実力。
真希や沙耶香が敵う相手ではない。
そんな裕子が相手にするのを嫌がる沙耶香って一体・・・。
「そんな事言って、いつも負けるのは市井のほうじゃん」
「市井ちゃん♪」
沙耶香が道場に入って来た。
華奢な体躯に、精端な顔。ショートの髪のせいか中性的な感じを受ける。
この少女が裕子があまり相手にしたくない沙耶香。
この子と一体何があったんだろう。
「センセイ、ニゲナイデクダサイ。」
ものすごく冷たい声。
一瞬の隙に、逃げようとした裕子を逃さない。
ここらへんは、さすが裕子の弟子。
- 24 名前:ユキ 投稿日:2003年02月20日(木)21時25分28秒
諦めたのか沙耶香に向き直る裕子。
その顔は能力者、師としての顔になっている。
「さっさと、始めよう。」
本音は単にはやく終わらせたいだけのようだ。
「平家さんに結界を張ってもらうまで待って下さい。
技だけじゃなく力も使いたいんです。」
沙耶香の顔も変わった。
切れそうなほど鋭く、能力者としての顔に。
剣技だけではなく力を使うという意味。
力というのにも色々ある。
自然界の力を利用するもの、異界の力を利用するもの、
自分の精神力、いわゆる霊力と呼ばれるもの、など色々だ。
裕子や真希、沙耶香たちが使う力のは霊力に相当する。
霊力は誰もが生まれ持っているものだが、それを使える人間はあまりいない。
特別な能力なのだ。
- 25 名前:ユキ 投稿日:2003年02月20日(木)21時30分17秒
ここまで。
- 26 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月22日(土)03時34分14秒
- 面白そうな予感。
- 27 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月23日(日)23時26分51秒
- 続き期待。
- 28 名前:ユキ 投稿日:2003年03月14日(金)23時39分33秒
気が付いたとき、市井は真希の膝の上にいた。
「目さめたぁ、市井ちゃん?」
真希の声が聞こえる。
気絶したのか?また?
みっちゃんに結界張ってもらって、最初はいい感じで。
だんだん理性が切れてきて。
「裕ちゃん、怒ってた?」
「うん。」
やっちゃいけないことがある。
どんな状況であっても、絶対に理性を失ってはならない。
自分の力をコントロールして、力に振り回されてはいけない。
両腕で顔を隠した。
情けない、もう何年も裕ちゃんのもとで修行してきたのに。
力に振り回されるなんて。
力のコントロールは一番最初に教えて貰ったことなのに。
力を使っての修行は数え切れないほどして来た。
いつだって本気でやってた。
勝てない相手に理性が切れそうになった時、いつも裕ちゃんにやられてた。
いつまでたっても理性を保てない自分。
情けなさと、悔しさと、申し訳なさで泣きたくなった。
- 29 名前:ユキ 投稿日:2003年03月15日(土)00時20分51秒
「市井ちゃん、大丈夫?」
真希の声。
市井を心配した声。
腕を解かれ顔を覗き込んでくる。
心配顔じゃなく、柔らかく、穏やかな顔。
「凄かったね、裕ちゃんもマジになりかけてた。」
切れた市井ちゃんを相手にするのは疲れるって、文句言ってた。
ああ、そういえば裕ちゃんの目、蒼かったな。
裕ちゃんは力を使う時、目の色が変わる。
本気になればなるぼど、色素が薄くなる。
金色に見える時もあるぐらいだ。
理性を失ったとはいえ、裕ちゃんを少しでも本気にさせることが出来た。
今度は理性を保った状態で、裕ちゃんに力を使わせたい。
今日の修行で出来た課題。『理性』
でもこれって、いつもと同じなような。
「・・・後藤、稽古付き合って?」
難しいことは考えず、とりあえず出来ることから。
後藤相手に、剣技の稽古。
理性の保ち方は、どうしよう・・・。
まぁ、いいか。
- 30 名前:ユキ 投稿日:2003年03月17日(月)14時58分42秒
「どうぞ。」
「どうせなら、ビールにしてや。」
離れの縁側で休んでいたうちにみっちゃんが、タオルと水をもってきてくれた。
「何言ってるんですか、こんな昼間から。」
苦笑いのみっちゃん、よくこんな顔してるよな、アンタは。
よく冷えた水で喉を潤す。
熱くなってる身体に心地よい。
「疲れましたか?」
「疲れた。」
タオルで顔を隠して答える。
あまり見られたくない。
力を使うたびに変わる、目の色。
今もきっと蒼になっているだろう目。
まだ、体の中に燻っている完全に抑えることの出来ない力。
こんなんじゃ、沙耶香のこと言えへんな。
「沙耶香、大分成長しましたね。」
・・・貴方を本気にさせるなんて、驚きました。
うちの隣に座って、庭を眺めているだろうみっちゃん。
本気なのかどうかよくわからん声。
「潜在的な力やったら、うちより沙耶香や真希のほうが上やろ。
用は力の使い方、あんな状態で使ったらスキだらけやもん、
少しの力で十分倒せるっちゅうねん。」
・・・それより今日はわざわざありがとうな。
「いえいえ、友人の頼みとあらば。」
ほんまにアンタは本気なのかどうかわからんヤツやな。
- 31 名前:ユキ 投稿日:2003年03月17日(月)15時27分45秒
「で、今後の教育方針は決まりましたか?」
「とりあえず現状維持。力のコントロールと剣技の鍛錬。」
「あのまま、二人を組ませるんですか?」
「相性ええからな。」
「圭ちゃんは、どないするおつもりで?」
「帰ってきてから考える。どの子と組んでも問題ないやろ。」
「・・・貴方は?」
「うちはもうそろそろ現役引退するつもりや。道場の方に専念しようかと思う」
・・・パートナーもおらんしな。
「・・・本気ですか?」
「どうやろな。」
どんな顔してんのやろ。
きっと困ったような、苦いような顔してんやろな。
「貴方の決めた事なら、うちは何も言いません。
でも、早すぎるんやないですか。」
「うちがこの仕事を続けてきた目的知っとるやろ?」
・・・だから、もうええねん。
「そうですか。」
みっちゃん、本気にしたみたいやな。
あの後、なんか気落ちした顔で帰ってたし。
本気で引退しようかな。
- 32 名前:ユキ 投稿日:2003年03月17日(月)15時29分45秒
ここまで。
- 33 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月17日(月)20時18分19秒
- 裕ちゃんの目的・・・気になる・・・
続き楽しみにしてます!!
- 34 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月18日(火)10時35分36秒
- 更新待ってました〜(w
- 35 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月12日(土)03時18分11秒
- 続きが気になりまーす。(w
- 36 名前:ユキ 投稿日:2003年05月11日(日)17時07分06秒
- スミマセンでした。
放置気味で。
今日からまたはじめさせていただきます。
- 37 名前:ユキ 投稿日:2003年05月11日(日)17時27分21秒
今日も今日とて、体力作りに勤しむ吉澤ひとみ。
夕暮れの道を黙々と走り続ける。
凛としたその横顔は、通り過ぎてゆく人々の目を惹きつける。
なんて事に気が付く様子もなく、ただ走るひとみ。
彼女の頭の中は、中澤裕子のことで一杯だった。
明日は、道場に行く日だから師範に会えるじゃん♪
明日こそはごっちんに勝って、いいとこ見せよう。
でも、いままでごっちんに勝ったことないんだよね。
気を抜いてるようでかなり強いし、いつも手加減されてる気が、、、。
「、、、って、あれ?」
考え事をしながら走っていたせいで、いつもより遠出してしまった。
あまり見慣れないところまで来てしまった。
「あ〜〜〜、引き返そう、、、。」
師範の事考えながら走るのはよそう。
考える事に集中して、こんな所まで来ちゃったよ。
- 38 名前:ユキ 投稿日:2003年05月11日(日)17時42分02秒
ゾワッ
「な、何!?」
道を引き返そうとしたひとみに、強い悪寒が走った。
周りを見回すが、何も変わった処は無い。
住宅と木に囲まれた公園、そして道路があるだけ。
音もしない。
音がしない?
近くに家があるうえに、道路もある。
なのに音が無い。
なんか、おかしい。
音がないうえに、風もない?
なんだ?
注意深くあたりの気配を探る。
剣術で培われた集中力と注意力をフルに使って。
ゾワッ
まただ。なんだこの異様な感じは。
人間の気配とは違う、なんだ?
公園のほう?
何かに惹きつけられるように、公園へ走る。
異様な気配に、感じたことのない強い悪寒に、不思議と恐怖は
なかった。
- 39 名前:ユキ 投稿日:2003年05月11日(日)18時10分48秒
「なんだぁ?うえぇ、キモっ」
スライムのような雲のような真っ黒な物体が、公園の真ん中に浮いている。
その異様な姿を見て先ほどの発言。
鈍感なのか、度胸があるのか・・・。
ブシュッグシャーーー
ーーーーーーーーー
何かが潰れる音と同時に、音ではない音が耳を劈く。
「つっっっっ、何!?」
反射で耳を押さえる、だが効果なく音が響く。
そして、その異様な物体は消えた。
消えた!?何なんだ一体!?
あたりを見回す。
特に変わった様子は無い。
いくつかの遊具があるだけ・・・。
音も、風も感じる。
さっきまで有った異様な気配も無くなっている。
「本当に何なんだ?お化けが出るにはまだ早い時間だし、、、
「あんた、何者?」
「へっ?」
どこからともなく聞こえた声に、間抜けな返事をするひとみ。
やっぱり彼女は鈍感なだけかもしれない。
- 40 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月12日(月)23時24分48秒
- きょうはじめて読みましたです。
いいじゃないですか。裕ちゃんには活躍し続けてほしい。
で、ちょっとツッコミ。
(×)沙耶香 →(○)紗耶香
ですよね。
ごめんなさい。ただ、せっかくいい感じの作品なので。
- 41 名前:ファイトマネー先輩 投稿日:2003年05月29日(木)20時42分59秒
- オモロイヨ。裕ちゃんスキ。
- 42 名前:ユキ 投稿日:2003年06月27日(金)21時23分10秒
「紗耶香」でしたか。
指摘ありがとうございます。
書きます。
- 43 名前:ユキ 投稿日:2003年06月27日(金)22時14分21秒
変なモノを見て、後から声を掛けられて、その人に連れてこられたのは
豪邸。
緑に囲まれ、日本庭園が広がる庭。何畳あるかわからないくらい広い部屋。
めちゃめちゃ広い。
迫力に負けてついてきちゃったけど、どうしよう。
あの猫目でみられると、なんか逆らってはいけないと本能が・・・。
ついて来たほうが危ないよね・・・。
ああ、何やってんだろ。
師範に会える事に浮かれて、遠出するんじゃなかった。
ああ、どうしよう・・・。
そんな事を考えているうちに、例の猫目のヒトが部屋に入って来た。
- 44 名前:ユキ 投稿日:2003年06月27日(金)22時51分46秒
「私は保田。貴方の名前教えてくれる?」
目の前に座った途端に質問。
「あ、吉澤です。はじめまして。」
って、何普通に自己紹介してんだ私は〜〜〜。
得たいの知れないヒトに名前なんて教えてどうすんだ〜。
プッ
へっ?
「ああ、ゴメン。あんたの百面相が面白くてつい。」
クスクスと笑っている、保田さん。
そんなに顔に出てたかなぁ?
まだ笑ってるし。
「ごめん。本題に入ろうか。」
笑い顔から真顔へ。
急に切り替えないでください。
心の中で言っても、この人にはわかるみたいだ。
微妙に笑ってるし。
「吉澤はなんであんな所にいたのかな?」
正直に答えてくれると嬉しいんだけど。
「なんでって、ランニングしてて。
なんか変な悪寒を感じて、そしたら公園にヘンな奴が・・・。」
とりあえず正直に。
柔らかい感じに見えても、やっぱり本能的に・・・。
「何がいたの?」
「スライムのような雲のような、真っ黒で・・・。」
「そう、見えたんだ。」
保田さんの纏う空気が一気に下がった。
- 45 名前:ユキ 投稿日:2003年06月27日(金)23時02分44秒
「困ったな、見られちゃまずいものを見られてしまった。」
ゾワッ
恐い。なんだこの人は。
殺気とは違う、とても冷たく、恐怖を感じるこの人の気配。
背中に冷たい、嫌な汗が流れた。
「圭ちゃん、脅してどないすんの。
めっちゃ、恐がってるでこの子。」
今度は、関西弁の女の人が入って来た。
あっ、美人。
吉澤君、君は大物だ。
- 46 名前:ユキ 投稿日:2003年07月31日(木)21時28分11秒
「ウチ、平家って言うんねん。よろしゅう。」
部屋に入って来たお姉さんは、そう自己紹介すると保田さんのとなりに座った。
「吉澤です。」
あっ、また普通に・・・。
まぁ、いいか。美人だし。
「とりあえず、すまんな。
こんなところに連れて来たりして。
こっちにも、色々事情があるんよ。」
- 47 名前:ユキ 投稿日:2003年07月31日(木)21時42分42秒
そう言うと、平家さんは説明を始めた。
「うちらは、簡単に言うと霊媒師なんよ。」
はい?
「つまりな、幽霊とか妖怪とかって言われているやつをな。
この世界からおっぱらうんよ。」
わかる?
霊媒師?漫画とかにある?
「みっちゃん、それ間違ってるから。」
理解する前に、保田さんからの指摘が入った。
- 48 名前:ユキ 投稿日:2003年07月31日(木)21時44分59秒
半放置してスミマセン・・・。
これからは、マメに書いていくんでお願いします。
- 49 名前:ユキ 投稿日:2003年08月10日(日)17時59分23秒
「大きくは間違ってないんだけど、誤解されると困るから。」
そう、前置きして保田さんは話始めた。
正しくは能力者と言うらしい。
漫画に出てくる、幽霊やら妖怪を退治している事には変わりないが違うらしい。
能力の形態は千差万別?だが似たり酔ったりでもあるらしく、
保田さんと平家さんはいわゆる霊力ってヤツを持ってるけど、
チカラの使い方は違うらしい。
「私は攻撃型でみっちゃんは防御型。ってなふうにね。」
保田さんは一旦そこで言葉を切ると、改めて私の方に見た。
- 50 名前:ユキ 投稿日:2003年08月10日(日)18時23分49秒
「で、私が仕事をしているところにあんたが来た。
弱いけど、結界が張ってあったあの場所に。
そして消滅しかかった対象を見た。」
保田さんの纏う雰囲気がまた冷たいものに変わっていく。
恐怖を感じるあの空気に。
「普通の人はめったに見えないのよ。よっぽど相性がよくない限り。
それを見たあんたは、多少は力を持ってるってこと。」
「で、力を持ってる人間は同業者やなかったら口封じせなならんねん。」
平家さんは穏やかに微笑みながら、言った。
- 51 名前:TOY 投稿日:2003年08月15日(金)15時35分49秒
- 今日、はじめて読みました。
めっちゃいいかんじのはなしで好きです。(姐さんかっけ〜し)
がんばってください。
- 52 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月17日(日)23時37分35秒
- ああ、再開されてたんだ。良かったよ。
完結まで頑張ってね。期待してるから。
- 53 名前:ユキ 投稿日:2003年08月24日(日)17時25分39秒
自分かっけー姐さんすきなんっすよ〜。
へタレもスキですけど・・・。
ひっそりこっそり再開です。
放置してスンマセン。がんばります。
- 54 名前:ユキ 投稿日:2003年08月24日(日)17時40分03秒
ここはとある女子高の保健室。
今日は天気がよく、日当たりの良い保健室は心地よい。
そんな保健室のベットを占領しているのが、約一名。
お昼休みの終わりが近いこの時間、
昼寝をしにくるフテーな輩は一人しかいない。
保健医は持っていた新聞を丸めると、
大きく腕を振り上げ、降ろした。
パコーンッ
いい音だ。
- 55 名前:ユキ 投稿日:2003年08月24日(日)17時51分40秒
「うん?・・・ハヨー、センセ。」
保健医にそう一言いうと、また寝に入る。
今度は、ふとんを勢いよく剥いだ。
「寒いよ〜かえして〜」
フニャフニャと腕をのばし、ふとんを取ろうとするが・・・。
「裕ちゃんに、言うよ?」
その一言で、真希は勢いよく起きた。
「待って、それだけは・・・!」
起き上がったそこには、保健医の石黒彩と紗耶香がいた。
- 56 名前:ユキ 投稿日:2003年09月07日(日)18時18分13秒
-
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
起こされた真希は彩と紗耶香と、保健室のソファーでお茶を啜っていた。
「こう天気がいいとお茶もいつもよりおいしくかんじるね〜。」
「そうだね、いつも美味しいけど一段とね。」
のほほんと、した声で真希と紗耶香と言う。
「あんた達、授業出なくていいわけ?
知らないよ単位落としても。」
彩はやや呆れ気味の声で言った。
「「う〜ん、なんとかなるでしょう。たぶん。」」
「ヘンなところでハモってんじゃないわよ。」
思わず溜息を吐きたくなる彩さんでした。
- 57 名前:ユキ 投稿日:2003年09月07日(日)18時27分50秒
「で、なんか用事あったんでしょ彩っぺ?」
紗耶香が相変わらずのほほんとした声で言った。
「ああ、そうだった。
何でも圭ちゃんがドジって見られちゃったんだって。
しかも、うちの生徒らしいよ。」
彩ものほほんとした声で言う。
「ふ〜ん、どうするの?」
「規則に則って消すつもりだったんだけど、みっちゃんが引き入れたい
みたいなの。
なんか、使えそうな子なんだって。」
今度は真希がのほほんとした声で言う。
「使えそうね〜、なんて名前なのその子?」
「吉澤ひとみ。」
「「へ?」」
「いや、だからヘンなところでハモんないでよ。」
- 58 名前:ユキ 投稿日:2003年09月07日(日)19時09分13秒
紗耶香と彩との談笑が終わって、真希は自分の教室に戻って来た。
彩からは、普段の吉澤を監視するように言われた。
自分の力の事を話してないが彼女は親友。仕事とはいえ
親友の監視なんて嫌だ。
でも、ヨッシィーが力持ってるなんて気が付かなかったよ。
そんな事を考えながら真希は教室に入った。
吉澤は真希に気が付き近くに寄って来る。
「ごっちーん、どこ行ってたのさ。吉澤は少し寂しかったぞ〜。」
なんとなく暗い真希に気付いたのか、ふざけた感じで真希に抱き付こうとする。
真希はそれをさらりとかわして、笑いながら言った。
「いや、私は寂しくないし。」
「うう、ひどいよごっちん。」
吉澤はいつも何気なく気をつかってくれてる。
友達の少ない真希にとっては、貴重で大切な親友だ。
どうして、ヨッシィーが・・・。
真希はなんとなくやり切れない気持ちになった。
- 59 名前:ユキ 投稿日:2003年09月07日(日)19時28分05秒
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「ヨシザワヒトミ?」
「そう、吉澤ひとみ。ご存知で?」
ここは、道場裏の裕子の離れ。
そこには、家主の裕子と平家の姿があった。
平家は、先日見つけた能力者と思しき少女の話をしに来たのだ。
「たぶん、道場の門下生や。」
結構才能有りそうやったし、真希とも仲ようしっとた子やな。
「好都合ですね、私にとっては。」
平家は相変わらずの笑顔で話している。
「どういう意味や?」
裕子がお茶を啜りながら聞いた。
「引き入れようと思いましてね。
育て方によれば良い能力者になると思いますよ。」
「普通の子を巻き込むのはやめとき。
普通でいられた方が幸せや。」
わざわざこんな世界に来る必要はないんや。
- 60 名前:ユキ 投稿日:2003年09月07日(日)19時44分03秒
「昔のことがあるからですか?」
平家は裕子に、いつもと違う鋭い視線を向けた。
「そうや。」
裕子は、平家と視線を合わせず言った。
視線を合わせなくても解かる、平家が今どんな目で自分を見ているか。
「ですが常に人手不足なんですよ、我々は。
次世代に続く能力者も育てなくてはいけません。
可能性がある子は、引き入れます。」
祐ちゃんの気持ちが解からないわけではないんです。
むしろ、誰よりも理解しているつもりなんよ。
でも、やらんとあかんねん。
「それでも、うちは・・・」
裕子は平家と視線を合わせないまま、最後の言葉を呑み込んだ。
「まぁ、考えといて下さい。」
そう言うと、平家は部屋を出て行った。
- 61 名前:ユキ 投稿日:2003年09月07日(日)19時53分27秒
裕子は部屋を出て行く平家に、視線も向けなかった。
自分の身体を抱きしめるようにして顔を臥せ、息苦しそうに息を吐いた。
震える体と呼吸を止めるように。
可能性があったとしても、一歩間違えれば・・・。
『・・・裕ちゃん・・・』
!!!!!
「・・・っ・・・ち・・・」
- 62 名前:ユキ 投稿日:2003年09月07日(日)19時55分27秒
-
ここまで。
2週に1度くらいのペースでかいていきたいですね〜。
あくまで希望。
実際はわからないっす。
- 63 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/09(火) 03:39
- おお、ぐんぐん動いてきて、世界に広がりが出てきたみたい。
これからに期待。
のんびり待ってるからのんびり続けてね。
- 64 名前:ユキ 投稿日:2003/10/05(日) 11:26
-
>>63名無し読者さん
のんびり更新ですけど、ちゃんと書きますんで・・・。
頑張ります。
- 65 名前:ユキ 投稿日:2003/10/05(日) 11:35
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コロサレル ニゲナケレバ
クスクス クスクス
速く逃げないと 死んじゃうよ?
「う、うぎゃぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ」
「弱いくせに調子に乗るからこんな目に遭うんだよ?」
「お、お前は人間じゃないのか!?
なんで・・・。」
ごとり・・・
- 66 名前:ユキ 投稿日:2003/10/05(日) 12:13
-
逃亡者が崩れるように、地面に倒れた。
「そうだよ、人間だよ?
だからだよ、アンタ達みたいなヤツを始末するのは。」
小柄な身体に、茶色の髪。
整った、可愛らしい顔つき。
キレイだが光を感じない目が、可愛らしさを失わせている。
能力者、安倍なつみ
彼女の仕事は、同じ能力者を始末すること。
能力をもって、人に害をなす者。
その能力者を始末する彼女は、日本最高峰の暗殺者。
- 67 名前:ユキ 投稿日:2003/10/05(日) 12:49
-
「なっち、やりすぎ。」
「そんな事ないっしょ。」
なつみの後から気配もなく現れたのは、彼女の
パートナー飯田香織。
長い亜麻色の髪。
大きな瞳が印象的な綺麗な顔立ち。
その顔はわずかに微笑を湛えている。
「まぁ、こんな跡形もなくやっちゃえば後始末しなくていいけどさ。」
倒れた逃亡者は跡形もなく消えていた。
そこに残るのは砂のようなものだけ。
これもしばらくすれば、かぜに流され消えるだろう。
- 68 名前:ユキ 投稿日:2003/10/05(日) 13:06
-
「なぁに、イラついてんのさ?」
「だって、こいつムカツク。」
自分には力があるんだ、それをどう使おうと勝手だろう。
他人の不幸なんて関係ない。
自分が楽しければそれでいいのさ。
逃亡者が言った言葉。
それがなつみを不愉快にさせた。
なら、なっちも好きなように使わせてもらうよ。
なつみは殺すだけに止まらず、その人間を消した。
跡形もなく。
- 69 名前:ユキ 投稿日:2003/10/05(日) 13:36
-
「私達だって、同じようなものじゃない。
力を使って人を殺している。」
「そうだったね。」
・・・でも殺されても文句の言えないヤツばかり。
・・・なっちも同じだけどね。
香織の言葉に、頷くなつみ。
行こうか・・・。
そこには何も無かったような静けさが広がる。
- 70 名前:ユキ 投稿日:2003/10/05(日) 14:08
-
ここまで。
もっと早く更新したいなぁ・・・。
- 71 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/16(木) 02:19
- 作者さんのペースで更新してください。
読み続けますよ。
- 72 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/12(水) 22:39
- がんばってください。
- 73 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/05(金) 20:13
- 楽しみにしてますよー
- 74 名前:ユキ 投稿日:2004/01/03(土) 17:21
-
書きます。
楽しみにして下さってありがとうございます。
- 75 名前:ユキ 投稿日:2004/01/03(土) 17:31
-
静まり返った道場。
つい先ほどまで木刀同士がぶつかり合う音と気合の声で
満ちていた其処は、呼吸音さえ耳につくほど静まり返っていた。
緊張感で張り詰めた空気。
肌にピリピリと感じるまでの。
ゴクッ
誰かが咽喉を鳴らした。
『『ダンッ』』
踏み込みの音が同時になる。
- 76 名前:ユキ 投稿日:2004/01/03(土) 17:44
-
首元に突きつけれる、真剣。
「・・・・・・・・・」
「・・・ま、参りました。」
踏み込みは同時、だが抜刀の速さは歴然とした差があった。
相手の剣はまだ抜刀さえ仕切れていない。
剣を鞘に仕舞い、互いに下がって礼をする。
一気に緊張感が緩んだ。
- 77 名前:ユキ 投稿日:2004/01/03(土) 17:52
-
「裕ちゃん、機嫌悪いみたいね。」
「確かに。後藤相手に本気で抜いたよ?」
「・・・・・。」
「まぁ、わからないこともないけどさ。」
「後藤のヤツも機嫌悪いし。どうしよっか?」
「・・・・・。」
「放っとくしかにわよ。」
「そ、だね。」
「・・・・・。」
「放心しちゃってるよ、この子。」
「師範の本気を見たの初めてだからね。」
「・・・・・。」
「「吉澤?」」
「は、はいっ。」
- 78 名前:ユキ 投稿日:2004/01/03(土) 18:29
-
試合形式の稽古をしていたのは、裕子と真希。
その稽古を見ていたのは、石黒、市井、吉澤。
「驚いた?裕ちゃんが本気でやってるところ見て。」
「は、はい。凄いですね。」
「まぁ、実力差があるし。裕ちゃんが勝って当然なんだけどね。」
「師範が門下生に負けたら、示しがつかないやろが。」
「裕ちゃん、本気出すなんて。怖いからやめてよね。」
道場の角で並んで座っていた3人の所に、裕子と真希が来た。
汗だくで疲れている真希、それに比べ裕子は汗もかかず疲れている様子もない。
- 79 名前:ユキ 投稿日:2004/01/03(土) 18:53
-
「後藤に八つ当たりするなんて、大人気ないよ。」
「「そーだ、そーだ」」
石黒の言葉に乗る、紗耶香と真希。
「本気で八つ当たり、したろか?」
「出来るものなら、してみれば?」
「いえっ、結構です!」
「ふぇ〜ん、ごめんなさ〜い。」
三者三様の反応を示す。
吉澤は着いて来れない様子。
- 80 名前:ユキ 投稿日:2004/01/03(土) 20:36
-
「まったく。珍しく稽古つけてくれゆうからきたのに。
やる気ないんやったら終わりにするで?」
呆れた様子で紗耶香たちをみる裕子。
「いや、今日は市井たちじゃなくて吉澤につけて欲しいんだよね。」
「吉澤に?」
「ウチにですか?」
裕子と吉澤は紗耶香に視線を向ける。
「そっ、吉澤の実力をね。
市井たちに見せて欲しいんだ。」
- 81 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/04(日) 16:46
- 再開感謝。
そして二人の稽古シーン楽しみにしてました。
続きに期待してます。
- 82 名前:ユキ 投稿日:2004/01/18(日) 13:53
-
>>81さん
稽古シーン楽しみにしてくれてたんですか、嬉しいです。
稽古はなぜか市井さんではなく、後藤さんの方がいいんですよね〜。
これからもでてくるかは未定ですが、頑張ります。
- 83 名前:ユキ 投稿日:2004/01/18(日) 13:55
-
書きます。
- 84 名前:ユキ 投稿日:2004/01/18(日) 14:11
-
「そんなん、紗耶香自信で確かめたらええこやろ。
自分でやり。」
不機嫌な声の裕子。
「市井じゃダメ。
吉澤のこと殺しちゃうよ。」
「ごとーも〜。」
のほほんと笑いながら、物騒なことを言う紗耶香と真希。
「門下生の実力の把握も、師範代の務めなんじゃないの。」
まともな事をいう石黒。
「師範となんて、ムリ・・・。」
小さい声でぼそっという、吉澤。
- 85 名前:ユキ 投稿日:2004/01/18(日) 14:22
-
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2メートル程離れて、互いに向き合う。
本来は真剣の使用は禁止せれているが、今回は真剣での稽古。
真剣での稽古は初めてのこと。
吉澤は嫌な緊張感に身体が硬くなった。
師範に剣が届くことも、師範の剣が自分の身体に届くこともないだろう。
でも、なぜかそこには言い知れぬ不安に似た嫌な緊張があった。
大丈夫、師範との稽古なら。
死ぬことも殺すこともない。
「行きます。」
- 86 名前:ユキ 投稿日:2004/01/27(火) 23:32
-
「へぇ〜、なかなかやるわね。」
「うん、よく反応してるよ。」
「よっしぃ〜の剣はかなりおもいよ。」
三人仲良く並んで座りながら、稽古をみている。
「でも、まずいわね。」
石黒の発言に振り向く、紗耶香と真希。
「「何が?」」
「こののままやと、キレてまうな。」
答えをくれたのは、いつの間にか現れた平家だった。
- 87 名前:名無し読者 投稿日:2004/02/20(金) 19:24
- 更新されてたんですね。
楽しみに待ってまーす。
- 88 名前:ユキ 投稿日:2004/03/12(金) 11:15
- 書きます。
- 89 名前:ユキ 投稿日:2004/03/12(金) 11:28
-
「吉澤、裕ちゃんのチカラに反応しちゃってるわね。」
「紗耶香とごっちんは吉澤さんを止めてや。
うちと彩っぺは裕ちゃん止めるから。」
いくで。
平家の合図と同時に、二人の間に割り込む。
紗耶香と平家が剣を受け、真希と石黒が後から羽交い絞めにする。
吉澤は止まったが、裕子は簡単には止まらない。
羽交い絞めにしようとした瞬間、逃げられたのだ。
- 90 名前:ユキ 投稿日:2004/03/12(金) 11:50
-
だが、石黒も簡単には逃がさない。
次の瞬間、裕子の正面に立ち剣を握っている腕を掴んだ。
「裕ちゃん、落ち着きなさい。
吉澤、殺すつもり?」
裕子の瞳は蒼く変わっていた。
「・・・スマン。」
表情も無く、蒼い瞳だけが裕子の感情を表しているようだ。
後悔と懺悔、そして自己嫌悪。
何度か瞬きをし、裕子は表情を取り戻っていく。
そして、石黒の肩越しに吉澤たちに視線を向けた。
- 91 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/13(土) 09:10
- 更新お疲れさまです。
すごくこの小説が好きなんですが、一つだけ気になった事が。
もう少し更新量を増やしていただけないでしょうか?
1ヶ月に一回程度の更新で1、2レスっていうのは・・・。
待ってる分、更新して欲しいと。中途半端なところで切ってるので感想もつけにくい
ですし。
生意気なこといって申し訳ないです。ほんと、この小説が好きなので。頑張ってください。
- 92 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/13(土) 20:06
- 中澤さん怖ぇー、けどかっこようございます。嬉しい。
>>91これこれ。自分の都合出しすぎw どう書くのも作者の自由でしょ。
- 93 名前:名無し 投稿日:2004/03/13(土) 23:18
- >92
自分の都合出しすぎか?91さん言い分も理解できるけどな。
事実、更新量が少ないし、話の途中で切ってるからレスしにくい。
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