インデックス / 過去ログ倉庫
テスト2
- 1 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月29日(水)23時56分37秒
- ∬´▽`∬ さーびしーくないよー、さびしーくなんかないよーぉー
書きこみテストとか小説とか
※小説の場合小川、新垣、田中推奨
- 2 名前:桜組 〜失格〜 投稿日:2003年01月30日(木)00時01分20秒
- (〜^◇^)加護!紺野!新垣!
( ‘д‘)?川o・-・)?( ・e・)?
(〜^◇^)お前達は桜組失格だよ!
Σ(; ‘д‘)Σ川o・-・)Σ (; ・e・)
(; ‘д‘)や、矢口さん…なんでやねんな…
(〜^◇^)笑ってないから
Σ(; ‘д‘)Σ川o・-・)Σ(; ・e・)
(〜^◇^)
(●´ー`)
(0 ^〜^)
从*^ヮ^ノ
川;’ー’).。oO(ウチハエーンヤロカ…)
(; ‘д‘)
(〜^◇^)失格!
≡≡ヽ(メ `д´)ノウワァァァン
川;o・-・) ……
(; ・e・) ……
- 3 名前:乙女組 〜黒魔術〜 投稿日:2003年01月30日(木)00時05分20秒
∬`▽´ ∬ ≡
( ^▽^)?どうしたの小川、怖い顔して…
∬`▽´∬ あ、石川さん!今から黒魔術が始まるんで、それ用の顔っす!
( ^▽^) 黒魔術?
∬`▽´∬≡ 急ぐんで行きます!
(; ^▽^) ………
( ^▽^)あっ田中!
≡从 `,_っ´) クロマジュツクロマジュツ
(; ^▽^) ………
( ^▽^)アッ、ミキチャン……
≡川 VvV从 クロマジュツクロマジュツ
(; ^▽^) ………
- 4 名前:乙女組 〜黒魔術〜 投稿日:2003年01月30日(木)00時06分44秒
川 ‘〜‘)
( ^▽^) あっ!飯田さん一体何が…
川 ‘〜‘) さて黒魔術用の顔に…
(; ^▽^)キイテナイ…
川 ゜〜゜) ヘンシン!
Σ(; ^▽^)
( ゜皿 ゜)カンリョウ!
(; ^▽^)
(((( ゜皿 ゜)
- 5 名前:乙女組 〜黒魔術〜 投稿日:2003年01月30日(木)00時12分02秒
ドヨドヨ
ドヨドヨ
∫ ∫ ∫
从 `,_っ´) ____ 从VvV 川
/ \
< 从*・ 。・从? >
\ /
( ゜皿 ゜)  ̄ ̄ ̄ ̄ ∬`▽´ ∬
(; ^▽^)
( ´D`) ハラヘッタノレス…
|・-・).。oO(私達も乙女組に入りたかった…)
|・e・).。oO(ラブ)
- 6 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月30日(木)00時13分15秒
- てすと
- 7 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月30日(木)00時13分51秒
- てすと
- 8 名前:名無し読者 投稿日:2003年01月30日(木)00時15分21秒
- ※練習用です。気軽にご利用下さい。
- 9 名前:(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё) 投稿日:2003年01月30日(木)01時34分34秒
- (ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)
(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)
(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)
(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)
(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)
(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)
(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)
(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)
(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)(ё)
- 10 名前:顎オールスターズ 投稿日:2003年01月30日(木)12時46分38秒
- ちょっと気になってたんだけど、続き物になるようなものは森板に立てないでください。
森板でスレッド2本のところが他の板で1本で済む、ということが多々あります。
- 11 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月30日(木)23時41分12秒
- 「あたし達も今年の秋には別々の組だね」
「そうだね」
先のことなんであたしにはまだわからない。
わからないけれど…だけど…
「ねぇ、あさ美ちゃん」
「なあに?」
これだけは変わらない
「組が分かれてからも、あたし達、ずっと一緒だよね」
そう、あたし達はこれからもずっと一緒。
それだけは変わらない。
変わらない。
変わらない…。
変わらない……。
「ねぇ、あさ美ちゃん?」
「え? あぁ、そうだね」
変わらない…よね。
「愛ちゃんも理沙ちゃんも一緒でよかったー。
あ、まこっちゃん、それ食べないの?」
あさ美ちゃん……。
おわり
- 12 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月30日(木)23時48分20秒
- 「おがわせんぱーい」
小川に駆け寄る田中。
「なぁに?れいなちゃん」
立ち止まり振り向く小川。
「はい、これ。貰って下さい!ドキドキ」
小川にチョコレートを差し出す田中。
「ごめん、あたし、あさ美ちゃん裏切れないから」
そうして、立ち去る小川。
田中はその場でチョコレートの包みを破り、チョコレートを食べだ。
おわり
- 13 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月31日(金)00時08分02秒
- 「先輩、いました!」
「まじ?どこどこ?うわ、まじで抱き合ってるよ!キショ」
「あぁ、ついにここも見つかってしまった。
あたし達、もう何処にも逃げるとこなんてないのかも」
「どうしようあさ美ちゃん。
やっぱり女の子同士なんて間違ってるのかな?」
「みてろよ。チューするぜ、絶対」
「みんなー。こっちですよー」
「あぁ、早く逃げましょう」
「うん」
「まてよ、逃がすかよ!」
「女同士なんてやっぱり変ですよ!せんぱい!ニヤニヤ」
「……女同士じゃなければいいんだよね」
「……あさ美ちゃん?」
「あたし、ほんとは女じゃないんだ、ほら!
あたし、いや俺はどうしてもモーニング娘。に入りたくて、
それで、女として生きることに決めたんだ。
おっぱいも偽者だよ」
「おお、まじかよ!」
「すげー」
「そんな……実はあたしもなんだ、ほら。
あさ美ちゃん、どうしよっか……」
「えぇ!?まこっちゃんも?
あたし達どうしたらいいの……」
「げげー、なんだよしらけー」
「いきましょっかせんぱい」
おわり
- 14 名前:名無しさん 投稿日:2003年01月31日(金)00時18分33秒
- 「……あの、紺野先輩。話ってなんでしょうか?」
「あ、まってたよ。さゆみ」
紺野はさゆみに近づくと顎をクイッと持ち上げた。
「あたな、あたしとキャラが被るのよね。
音痴だしそのボーっとしたところも」
「そん、な、、、あたしは、、、」
「歌姫なんて呼ばれていい気にならないでよね。
ひ、ん、にゅ、う、ちゃん」
紺野は手を離すと視線を胸元に落とし、ふふふと笑った。
そして、さゆみを残し去っていった。
おわり
- 15 名前:BlackT 投稿日:2003年01月31日(金)01時09分44秒
- テストスレで書いていた続きです。
- 16 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時11分51秒
- 後藤さんがいました。
後藤さんが私と亀井の繋がれた手を見て近づいてきて言いました。
後藤「あれ〜小川、新人の子だよね。どうしたの」
と、私はとりあえず
小川「あ、後藤さんおはようございます」
と挨拶をした後少し気まずかった。
亀井も慌てて
亀井「おはようございます」
と言って深深と頭を下げた。
実は、私の初恋の相手は後藤さんだったのだ。
先輩達にほとんど無視されていた私に気遣ってよく声をかけてくれた
唯一の先輩が後藤さんだった。
後藤さんは私にいろいろな話をしてくれたしいろいろ教えてくれた。
そうして私の恋心はどんどん募っていったのだと思う。
そんな時に後藤さんの脱退が発表されました。
私はその時後藤さんに思いを伝えようと思っていたので
後藤さんを呼び出したけど、いろんな思いが溢れて大泣きしてしまった。
そしたら後藤さんに思いきり殴られたのだった。
後藤「言いたいことははっきり言え」
と言われた。人に思いきり殴られたのは生まれて始めてでした。
- 17 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時13分42秒
- それで諦める決心をした。痛かったからでは決してない。
それから後藤さんが脱退されたけれどそれまでと同じように
後藤さんは私を気にかけてくださった。
ただし会うたびに殴られるようになりました。
そんなわけで気まずい。
今や愛してしまった亀井に後ろめたいのと
どうせ殴れるだろうが、そんな所を亀井に見せたくないです。
微かに目が泳いでるらしい私の様子に後藤さんが
察したように軽く頷いた。
と思ったら目の前にもう後藤さんの拳が来ていた。
ごすっ
小川「べホマ!!」
( ´ Д `)=○#)´ ◇`∬・∵:∴… <ベホマッ!!
後藤さんのこの行動は今でも理解に苦しみます。
- 18 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時14分16秒
瞬時に崩れ落ちた私にビックリした亀井は手を離したが、
慌てて倒れた私を抱き起こしてくれた。優しい可愛い。
しかし目は見開いて何が怒ったのかわからない表情で私と後藤さんを見比べる亀井は可愛い。
後藤さんは私が立つのを待った後
後藤「よかったじゃん、小川」
と言った。なんとなく後藤さんは全部判ってくれたようで
私はとりあえず
小川「有難うございます」
と言った。
後藤「亀井さんね。よろしく」
と後藤さんが言って手を差し出したので亀井も慌てて
亀井「あ、亀井絵理です。よろしくお願いします」
と言って私の手を離して後藤さんの手を握った。
後藤「仲よさそうで良かったよ」
と後藤さんが言うと向こうの方で話していた矢口さんが目ざとく後藤さんの声を聞き分けてこちらにやって来ました。
矢口「なに何?小川と亀井ってできてんの」
と大きな声で矢口さんがからかうように言った。
亀井が真っ赤になって俯いたのを横目で確認しながら脈ありかもしれないと思ったけど
一応軽く
小川「なにいってんですか、やぐちさ〜ん」
と否定するみたいに私が言った。
- 19 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時15分05秒
矢口「ど〜なんだよ、亀井〜」
矢口さんは亀井に向かって尚もからかうように言った。案の定と言うか私は無視されたようだった。
亀井は耳まで赤くしながら
亀井「そ、そんなことないです」
と弱弱しく否定した。
矢口さんが亀井をからかっているとすぐにスタッフさんから召集がかかって
話は中断された。
収録は何の問題も無く順調に進んだ。
収録も無事終わり今日はこのまま解散されるはずだったのに
スタッフサンにもう一度集められた。
どうやらモーニングのメンバーがつんくに呼び出されていたそうです。
きっとろくな事じゃあないと思った。
メンバーもそれぞれ不思議に思っていたようだが
とりあえずつんくが待つ場所にぞろぞろと移動した。
私と亀井の手は自然と繋がれた。
私達は会議室らしいところに通された。
つんくはまだ来ていませんでした。
とりあえず全員が席についてつんくを待った。
私は亀井にも隣に座るように椅子を引いてあげた。
- 20 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時16分45秒
後藤「いったいなんだろーねー」
後藤さんがいつもの間延びした声で言いました。
小川「……………………」
小川「なんで後藤さんがいるんですか」
私は思わず突っ込んだ。後藤さんは相変わらずのゆっくりとした口調で
後藤「えー別にいいじゃんだれも気付いてないし」
と言った。
確かにスタッフの人も含め誰も後藤さんに目をくれていません。
後藤さんは暗い表情になって
後藤「私最近影薄いんだよねー、小川といたからかどうかは
知らないけどー」
と言った。貶されていると思った。
でも後藤さんは人を貶したりするような人じゃないと思った。
つまり無意識だと、なおさら性質が悪いです。
- 21 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時17分19秒
- 後藤さんは続けて言いました。
後藤「なんかCDとか出しても誰も買わないしさー」
と言った。私は5人くらいなら買ったかもわからないと思いました。
そこで亀井が
亀井「あ、わ、私は買いました」
とハッキリとした口調で後藤さんに告げた。
すると後藤さんは照れたように笑いながら
後藤「あ、ありごと」
と言った。亀井をじーっと見た。
亀井も
「い、いえ」
とはにかみながら言って後藤さんを上目遣いで見つめ返した。
私は雲行きが怪しくなってきたと思ったので咳払いをして後藤さんの話の続きを促した。後藤さんはまた表情を落して溜め息をついた。
後藤「年末年始は誰も後藤のことなんか憶えてなかったんだろうな」
後藤さんは脱退してから随分暗い性格になった気がしました。
やっとつんくがきたので話をそこで打ち切った。
- 22 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時18分11秒
- つんく「話ゆうんはほかでもないんやけど」
つんくは前置きもせずに喋り始めた。亀井を見ると緊張しているようでした。
つんく「娘。2つに分けるから」
空気が固まった。
爆発した。
つんく「もちつけ」
とアホが言った。少し落ちついた。
つんく「ほんなら桜組が〜〜〜で乙女組が〜〜〜な。以上」
アホはそれだけ言うとメンバーの殺気を感じたのかそそくさと部屋を出ていった。
- 23 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時20分02秒
- 会議室は大騒ぎになった。
石川さんは
「よっすぃ〜と離れ離れになるなんて」
と悲痛な声をあげました。吉澤さんはやたらと嬉しそうだった。
さっそく桜組の面子を物色しているようだった。死んだ方がいい。
安倍「やっぱ桜組のリーダーは私っしょ。ついてこいてめーら」
と言う安部さんの横で
矢口「キャハハ、何いってんの。おいらに決まってんじゃん」
と張り合っていた。見苦しい。
加護さんと辻さんは
加護「やっと八重歯ちびのお守から開放されるわ」
辻「禿ちびさえいなければののの時代はすぐそこれす。くふふ」
と、お互いの肩を抱き合って喜んでいました。
友情は堅いと思った。
飯田さんは保田さんに向かって
飯田「ちょっと、娘。が分裂しちゃったら守護霊のアミーゴはどうなるの」
と必死で話していた。すると保田さんは引きつった顔をしていた。
藤本さんはなんとも言えない曖昧な表情で思案していた。
- 24 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時21分03秒
- 亀井と離れてしまうのだとわかった。
今日気付いたばかりの恋心が今日のうちに散ってしまうのだ。
あまりにも無残ではないか。
亀井の方を見る。私を泣きそうな目で見つめていました。
亀井「おがわさん」
捻り出すような声で亀井が言った。
亀井「離れ離れになっちゃうんですね」
言葉が出なかった。
過去に離れ離れになったために経験した失恋の苦い思い出があるからなおさら。
その失恋の相手が私達の様子を見て
後藤「諦めちゃだめだよ」
と力強い声で言った。
亀井「後藤さん」
と呟いた亀井の目からは既に一粒の涙が流れていた。胸が締め付けられた。
後藤「これを見な」
と後藤さんが言って財布を開いた。
あれっ、無いと慌てて身体のあちこちをまさぐってお尻のポケットから
ようやく見つけ出したのはぼろぼろになった、何度か洗濯機に巻き込まれたであろう
市井紗耶香さんのトレーディングカードだった。
- 25 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時22分26秒
- 後藤さんは誇らしげにそのごみくずを私達に示して言った。
後藤「離れていても通じ合った気持ちは離れないんだよ」
とても説得力がありませんでした。
でも伝えようとしてくれた事は痛いほどにわかりました。
しゃくりあげながら何か言おうとする亀井の手をぎゅっと握り締めた。
亀井「はい」
亀井は後藤さんにそれだけ答えると私の胸に泣きくずれました。
私は口の端になにやら感触を持って、始めて自分も泣いていることに気が付いた。
私は泣き虫だ。へ垂れだ。私の汚い泣き顔を亀井に見られたくなかったけど今はしかたが無い。私は亀井の頭を撫でながら
小川「そうだよ、別に今生の別れじゃないし、遭おうと思えばいつでも遭えるんだよ」
と言った。
- 26 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時23分15秒
- 小川「明日から、分かれてからも連絡取り合えばいい。そうだ毎日電話するよ」
亀井は私の胸の中で何度もうなづきました。
後藤さんは慈愛に満ちた目で私達を見ていてくださいました。
この人を好きになってよかった、この子を好きでよかったと心から思いました。
はなれたって、後藤さんも、桜組のみんなもみんな大事な仲間で、
何も変わらない。知らないうちに涙がどんどん溢れてきて不細工な顔がもっと不細工になっている気がしました。ごまかすように亀井の身体を強く強く引き寄せました。
- 27 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時24分11秒
- あさ美は今度こそはと道重に飛びかかろうとした吉澤さんを
渾身の回しげりで沈め
紺野「さゆみ!離れたって心は一緒だよ」
と道重にすがって、泣いていた。
道重は相変わらずぼ〜としていたがあさ美の背中を優しく撫でていた。
里沙は
新垣「離れ離れか…辛くなるらぶ」
と田中に言った。田中は
田中「いえ、まだまだお師匠さまのもとを離れるわけにはいきません。
組は違おうともまたお付き合いいただければうれしゅうございます」
新垣「よう言ったらぶ」
二人は真の師弟愛で結ばれた証に強く抱き合った。
後藤さんが思い出したように
後藤「そういえば、二人の気持ちはちゃんと通じ合ったの」
と聞きました。
私ははっとした。まだ告白もしていない事を思い出しました。
亀井もそう思ったらしかった。
私は一度亀井の肩を押して身体を離した。
ぐちゃぐちゃに泣きはらした亀井の顔を見て、少し笑ったら亀井も笑った。
一度息をゆっくり吐いてもう一度真っ直ぐ亀井を見ながら口を開いた。
小川「亀井、私は………」
- 28 名前:アミーゴ 投稿日:2003年01月31日(金)01時25分13秒
バタンッとドアが開いた。
つんくだった。つんくは
つんく「あ、分けるんは秋からな」
と言って満足そうに
戻ろうと後ずさった。
紺野「空気を読め!」
バキッ
あさ美の延髄切りを見事に食らったつんくは
吉澤の横で安らかな眠りについたのだった。
〜END〜
- 29 名前:BlackT 投稿日:2003年01月31日(金)01時27分36秒
- と言うわけで終了しました。
読んでくれた人がいましたらどうもありがとう。
感想下さい。
- 30 名前:BlackT 投稿日:2003年01月31日(金)01時28分00秒
- てすと
- 31 名前:BlackT 投稿日:2003年01月31日(金)01時28分35秒
- てすと
- 32 名前:なしこ 投稿日:2003年01月31日(金)16時54分20秒
- >BlackT様
すっごいおもしろかったです!
小川さん大好き人間なんで6期面との絡みがないかな〜と思っていたところで
これ見つけて感動しました!
もし、新スレたてたら教えて下さい!
- 33 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月01日(土)21時12分44秒
- テスト
- 34 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)00時09分43秒
- はつなは、ないよの背後に近づくと、そっと耳元に囁いた。
「なーいよっ」
「きゃ、はつな。どうしたの?」
ないよが驚いて振り向くと、触れ合うほどすぐ近くには、はつなの顔がある。
はつなはえへへと笑うとないよの正面に回り込んで向き合うように座った。
「ねぇ、さっき小川さんと何話してたの?」
「え、ふふ、なーいしょ」
「あ、ずるーい。あたしが吉澤さんと話してた時はいろいろ聞いたくせに」
「だって楽しそうに話すんだもーん」
そう言うと、ないよは、くすくす笑い出した。
はつなは拗ねたように口を尖らせた。
- 35 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)00時11分08秒
「だって楽しーんだもーん」
「はいはい、よかったね」
「むぅ、それでないよは何を話してたんだ? 白状しろー」
「だから内緒だってー」
はつなは立ち上がると、ないよの首にしがみつく。
そして子猫のようにじゃれついていた。
はつなとないよはそれほど背が高いわけではないが、
二人並ぶとないよの方が少しだけ背が高かった。
その為、ないよは、はつなを見下ろすような格好になる。
「よしよし、はつなは可愛いなー」
「ばかにするなぁ、ないよのほうが年下の癖にー」
頬を膨らませて起こった顔をする。
「ないよは小川さんばっかりでつまんない」
そう言うと、むくれてそっぽを向く。
ないよは、はつなの顔を胸に押し付けて抱き締めた。
- 36 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)00時12分22秒
「ないよははつなだけだよ。わかってるくせにー」
はつなは、途端に耳まで真っ赤になった。
そして、上目遣いでないよを見ると、「ずるいなー」と呟いた。
そして直ぐに笑い声が聞こえてくる。
私がそんな2人の様子を眺めてたら、不意に声を掛けられた。
「どうしたの? まこっちゃん、元気ないよ」
声の方を見ると、あさ美ちゃんが心配そうにこちらを窺っていた。
「え、そんなことないよぉ」
そう言うと、疑わしそうに「ふーん」と言って隣に座った。
そうして、私がさっきまで見ていたほうに目を向ける。
そこでは、はつなとないよが変わらず楽しそうに話している。
「ふーん、そういうこと……」
そう言うと、悲しそうな顔をする。
ふう、とため息をつくと、私に視線を戻した。
- 37 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)00時13分33秒
「まこっちゃん、ないよの事そんなに気になる?」
「え? ええ? どうして?」
私がうろたえるとあさ美ちゃんは、やっぱり、と言いたげな顔をする。
「さっきから、ないよの事ばかり見てる」
「え、そそ、そんなことないよ」
「うそばっかり」
一度、床に目を落とす。
そして、顔を上げると真っ直ぐに私を見つめた。
いつものゆるい顔じゃなくて、真剣な表情をして私に詰め寄る。
「さっきだって、ないよと話してるとき楽しそうにしてたじゃん。
何はなしてたの? 教えてよ」
私はさっき、ないよと話していた事を思い出して、顔が熱くなるのを感じた。
- 38 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)00時14分34秒
「えーと、それは……い、言えない」
あんな、恥かしい事言えないよ。
私が困っていると、あさ美ちゃんはうっすらと涙を溜めて、今にも泣き出しそうになる。
私はどうしたらいいのか分からず、ますます焦って何も考えられなくなる。
同時に、その泣きそうな顔があまりに可愛くて胸がドキドキした。
「あの、あさ美ちゃんといつまでもラブラブでいて下さいって言われました」
「はぁ?」
あさ美ちゃんは一瞬驚いた表情をしたが、直ぐに怪しそうに私を見る。
無理もない、私だっていきなりこんなこと言われても信じられないもん。
だけど事実なのだから仕方が無い。
私はこんな時どうすればよいのか経験が無い。
だから次の言葉に困ってしまう。
私のそんな様子を見て、あさ美ちゃんは何か言いたげに口を開いた。
私は何も言わせなかった。
- 39 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)00時16分10秒
「もう、麻琴にはあさ美ちゃんだけだよ。わかってるくせに」
私はあさ美ちゃんを抱きしめると、そっと耳元に囁いた。
この言葉の効果は絶大だ。
あさ美ちゃんは顔を真っ赤にさせて、黙ってしまった。
メモしとこ。
「もう、ずるい」
そして、私の肩に顔を埋める。
肩にかかる温かい息が私の胸を早鐘のように鼓動する。
このままキスをしてしまいたい衝動を抑えるのが辛いぐらい。
そんな私たちを見て、嬉しそうに微笑むないよと目が合った。
終わり
- 40 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)00時17分07秒
- テスト
- 41 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)00時18分17秒
- 川#・-・)人∬´▽`#∬
- 42 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)00時19分40秒
- (・e・)プ
- 43 名前:BT 投稿日:2003年02月02日(日)12時22分02秒
- >>32
読んでくれてありがとうございます。また載せれたらうpしたいと思います。
>>34-42
はつない激萌え
続きキボソでございます
- 44 名前:BT 投稿日:2003年02月02日(日)12時22分46秒
- >>32
読んでくれてありがとうございます。また載せれたらうpしたいと思います。
>>34-42
はつない激萌え
続きキボソでございます
- 45 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)23時12分19秒
- (・e・)お豆タンの日(・e・)
新垣里沙、るんるん。
「今日は私の日なんです!宜しくお願いします!」
「何だべ。豆は豆らしく小さくなっとけばいいべ。今なっち、豆食うのに忙しいからあっち逝ってるべ」
安倍、ぷくぷく。
新垣里沙、ぴょこぴょこ。
「今日は私の日なんです!宜しくお願いします!」
「あれ?今なんか聞こえた?カオリ、時々小さすぎるものって見えないんだよね」
「何か聞こえた気もするけど踏んづけてやったわ!」
飯田、すくすく。
保田、きぃきぃ。
新垣里沙、ぶちゅぶちゅ。
「今日は私の日なんです!宜しくお願いします!」
「ハァハァ・・・あ、り、梨華ちゃん。ほしぃよぉ」
「あ、ダメ…私の豆をそんなに食べちゃ…イヤっ・・・あ」
吉澤、ぶよぶよ。
石川、むんむん。
- 46 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)23時13分37秒
- 新垣里沙、かぁかぁ。
「今日は私の日なんです!宜しくお願いします!」
「何や眉毛やないか。おまえのその眉毛見てるとムカツクねん。ええ加減手入れせーや。」
「豆豆ってちやほやされてると勘違いされてる姿もムカツクのれす。そのがりがりの手足をいつかへし折ってやりたいれす。」
加護、じろじろ。
辻、コロヌコロヌ。
新垣里沙、えんえん。
「今日は私の日なんです!宜しくお願いします!」
「お豆ちゃんは引っ込んでろって!大体オイラがおまえを可愛いと思ってこのあだ名をつけたとでも思ってるのか?バカにしてたんだよ。何で気付かないんだよ!」
矢口、きゃびきゃび。
新垣里沙、ふれふれ。
「今日は私の日なんだよ!宜しくNE!」
「あ、りさちゃんだ…。気付いてないふり気付いてないふり…。」
「まこっちゃん、完璧です!同期で唯一浮いてるあの人がいたら、豆もおちおち食べてられませんもんね!」
小川、ぞわぞわ。
紺野、ぺきぺき。
- 47 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)23時17分56秒
- 新垣里沙、ゆっくりとドアを開ける。
右手には「豆の日を宜しく!」とかかれた豆用紙を持っている。
真ん中には、自分で一番お気に入りの眉毛の形が記されてあった。
新垣はそれを一瞥してから、台に立てかけ、眉毛の中心で笑っている自分目掛けて豆を投げた。
(私だって…私だって…!!)
メンバー全員の年の数だけ用意していたサイン入りの豆は、虚しく床に落ちた。
- 48 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)23時18分27秒
- 新垣は机に行き、メンバーが載ってる雑誌に手をかけるとサインペンを取り出した。
右手を大きく振り上げた時、人の気配を感じ、後ろを振り向いた。
「愛ちゃん・・・。」
「にぃにぃ、早まっちゃあかんよぉ。私は今日がにぃにぃの日だって認めてあげるし、昨日もにぃにぃの日だってちゃんと手帳にまで書いとったんよ。」
「愛ちゃん…ひっく…私にはもう、愛ちゃんしか…。」
新垣、さりげなく普段から狙っていた高橋の体に近づく。
高橋、バレエの練習をしながらうまくそれをかわす。
「愛ちゃん・・・?」
「ずっと言いたかったんやけど、あんたコネ使ったんやろ?モーニングにいてて恥ずかしいって思ったことないん?いくらロリを狙うつったって、誰も豆眉毛なんか相手にせーへんよ?せっかくやから豆の日に本音を語ろうと思って、ずっとこの日を待ってたんよ。そのサインペンで、私の顔写真に眉毛書いたら一生罵ってやるから。じゃあね。それだけ。」
高橋、ばたんとドアを閉めた。
- 49 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)23時19分01秒
- 今日は豆の日。お豆タンの日。
お豆タンは今日も逝く。明日に生える、新しい眉毛を目指して…。
「にぃにぃ、マンセー。」
そして新垣里沙はウィンドウを閉じた。
- 50 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)23時21分10秒
- ( ・e・)<らぶらぶ
- 51 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)23時21分55秒
- 叩きテストー
- 52 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月02日(日)23時22分33秒
- はじめての書き込みテスト
- 53 名前:なし 投稿日:2003年02月03日(月)21時14分46秒
- あと何駅だろう……。
あたしは疲れきった体を何とか動かしてドアの上にある線路図を眺める。
三駅目が目的地だ。この電車は特急だから、あと十五分くらいかかるだろうか。
このご時世に、めいいっぱい仕事をくれるもんだから、
いつも帰りは十時過ぎ。
となりに眠るまこっちゃんがいなけりゃ、こんなに頑張れていないだろう。
……ん?
肩に重さを感じる。
……まこっちゃん、寝ちゃってるよ。
すぐに起きるかと思ったけど、そんな様子はない。
本格的に眠っているようだ。
肩を動かさないように顔を覗き込んでみた。
少し男っぽい眉毛。
笑ったとき最高にかわいい目。
半開きの唇。
う……、まこっちゃんのばかぁ……。
緊張するじゃんかよ。
「えーまもなく葛藤ー葛藤」
なんか変なアナウンスが聞こえたような?
まあでもこの車両で起きてるのはあたしだけだし
確認のしようもない。
てゆうかそんな事はどうでもいい。
- 54 名前:なし 投稿日:2003年02月03日(月)21時15分40秒
- いくら寝てるからって、いくら可愛いからって、
こんなに眺めてたら駄目かなあ。
……ちょっとほっぺとか触ってもいいかなー。
だめだ。起きちゃったら気まずいし。
徐々に電車のスピードが下がり、駅に到着した。
少し揺れたけど、まこっちゃんは起きる様子もない。
というかさっきより肩が重くなった気がする。
乗っている車両のせいか一人も乗って来なかった。
嬉しいような悲しいような。
「えー次は決意、決意」
また変なアナウンスだな、と思って顔を上げると、
鼻にシャンプーのいい香りが届いた。松浦亜弥ちゃんのCMのやつだろうか。
さらに顔を挙げて広告を見る。
……そうか、もうすぐバレンタインなんだ。
ちゃんとあたしの気持ち伝えた方がいいのかな。
まこっちゃんはどう思うんだろう。
やっぱりあたしは友達なのかな。
- 55 名前:なし 投稿日:2003年02月03日(月)21時16分11秒
- でも、もう決めていた。いつか必ず、まこっちゃんに告白しようと。
ただ、いつなのかは決めてなかったから、バレンタインと言うのはいいかもしれない。
けれどそういうのって勢いが大事だと聞いた事がある。
ようし告白するぞ、と決めた時にすぐ行動に移すことが大事だと。
……今、言っちゃおうかな。
今は寝てるから、目的地に着いて、起きたらすぐ。
よし、言おう。がんばろう。
窓の外が急に明るくなり、ホームに着いたことに気付いた。
もう、この次だな。この次の駅があたしの運命の駅になるかも。
きっと、一生忘れないだろうな。
「えー次は目的地の……」
ん?最後聞こえなかったな。
てゆうか、終点じゃなくて目的地なの?
相変わらずへんな放送だ。
なんだか電車の揺れが激しくなってきた。
そのせいでまこっちゃんはどんどんあたしに寄りかかってくる。
あたしはさっきの決意が消えないように、心の中でジャンピングスクワットを始めた。
- 56 名前:なし 投稿日:2003年02月03日(月)21時16分54秒
- ちょうど百を数えた所で、またアナウンスが聞こえる。
「えーまもなく……」
また聞こえなかった。
とりあえず、まこっちゃんの顔を覗き込んでみる。
寝顔もキレイだなあ。
何も考えなかった。
無意識のうちに、あたしはまこっちゃんの唇に、自分のそれを一瞬重ねた。
「まこっちゃん、起きてよ。着いたよ」
「ん……」
まこっちゃんは目をこすりながら周りを見わたした。
「ホントだ。降りよっか」
「……まこっちゃん」
「ん?」
「あのさ……」
「何さ?」
「……今日、疲れたね」
「うん、まあ、疲れたけどそんだけ引っ張っといてそれだけかよっ」
寝起きでもちゃんと突っ込んでくれるんだ。なんか嬉しいな。
- 57 名前:なし 投稿日:2003年02月03日(月)21時17分31秒
- 二人が出て行った後の電車に、またアナウンスが流れた。
「ご乗車ありがとうございました。
目的地、幸せ、幸せでございます。
なお、言いそびれにはご注意ください」
- 58 名前:えんどれす。 投稿日:2003年02月04日(火)23時23分19秒
- 「ごっちーん」
彼女の声が聞こえて来た。
ゆさゆさと身体を揺らす手が暖かい。
「起きてってばぁ」
いつの間に眠ってたんだろう。
久しぶりに彼女の家に遊びに来て、確かご飯をご馳走になってる時
梨華ちゃんがシチューをこぼしてべちょべちょになったから
シャワー入って来るって言って。
そっか。それを待ってていつの間にか寝ちゃってたんだ。
「もう…ごっちん〜」
目を閉じたまま寝てる振りを続けた。
困ったように眉をハの字にしている梨華ちゃんの顔が
簡単に想像できて、思わず笑ってしまいそうになる。
バレないようにうまく寝返りをうって顔を枕に押しつけた
- 59 名前:えんどれす。 投稿日:2003年02月04日(火)23時24分04秒
- 「あ、起き…てないね。もう!」
もぞもぞと布団をかぶり直す。
カタツムリみたいに背中でまるまってる布団。
それをばっと無理矢理はがして、梨華ちゃんは大声で叫んだ。
「起きてー!!朝だよぉ!!」
嘘ばっかり。
少し寒くなった身体を丸めて、彼女の方とは反対に身体を向ける。
「…もう知らないっ」
ばさっと布団の塊が身体の上に落ちて来る。
知らないっ、なんて。そんなこと言っても、
ベッドのそばから離れないことぐらいわかるんだよ。
「…起きてよぉ、ごっちん…一人じゃ寂しいよぉ…」
少しおびえたように甘える声。幽霊とか信じるタイプだったっけ。
平気でスプラッタ映画を見ているような人だから、
多分そーゆー系も大丈夫なんだとは思うけど。
- 60 名前:えんどれす。 投稿日:2003年02月04日(火)23時24分40秒
- 何だか少しだけ可哀想になって来て、あたしはもう一度、
今度は彼女の方に向かって寝返りをうつ。
「あ…」
嬉しそうに声をあげて梨華ちゃんはしゃがみ込んだらしい。
目の前に感じる彼女の顔が、今どんな表情をしてるのか
とても興味深い。
「起きないとキスするよー」
そう言った次の瞬間、頬に暖かい感触を感じた。
何だよ。起きる暇無いじゃん。
「もう一回しちゃうよぉ」
今度はちょっと控え目に。
一瞬ふれるかふれないかの微妙な感じでキスされる。
「…ねぇ、ごっちーん」
もうしないのかな。
次に来る感触を待ち構えていたあたしは少し拍子抜けする。
- 61 名前:えんどれす。 投稿日:2003年02月04日(火)23時25分48秒
- 「………」
自分のしでかしたことに今更後悔し始めてるのかな。
また彼女が眉をハの字にしている表情が浮かんで来て、
今度はポーカーフェイスをうまく突き通してやった。
何だか可哀想だから、もうそろそろ起きてやろうか。
もう一回キスしてくれたら起きてやるか。
「…えいっ」
不意に唇に感じた暖かさに驚いて目を開けてしまった。
まあちょうどよく彼女は目を閉じていたから、
狸寝入りはバレなかったけど。
もう一度目を閉じて寝ている振りを続ける。
何だかタイミングが悪い。今更寝たふりだよん、
なんて言い出して起きて良いんだろうか。
- 62 名前:えんどれす。 投稿日:2003年02月04日(火)23時26分44秒
- 仕方無い。
もう一回キスしてくれたら、起きてあげよう。
「ごっちん…」
そして今度は唇に深い口づけをされる。
っつーか、何だか今更起きづらいって。
「………」
………。
どうしようか。
取り合えず、もう一回キスしてくれたら、
彼女に怒られる覚悟が決まるんだけどなぁ。
■そして、えんどれす■
- 63 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月05日(水)00時15分33秒
- バンプのホリデイみたいだ。
- 64 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月05日(水)12時26分09秒
- >>45-50(・e・)お豆タンの日(・e・)
笑いますた。にいにいの日、拾ってくれてどうもありがとう(w
>>53-57なし
ふわふわしてほんわかしてとってもつぼでした
ぜひまた書いてください
>>58-62えんどれす。
かなり萌えました。ごちそうさま。
私のわがままに答えていただき本当にありがとうございました
- 65 名前:夏が来る 投稿日:2003年02月05日(水)20時47分33秒
- 覚えてるよね?
最後の日の、前の日。
ただただ楽しかったっけ。
空はどんよりと影を落として、小雨がぱらついて
それでもおおはしゃぎしてたね。
あなたも笑って、ずっと笑って。
水溜りを踏んづけるととびちった飛沫がきらきら光って
それをいとおしそうに見つめるあなたがなんだか可笑しくてまた笑った。
- 66 名前:夏が来る 投稿日:2003年02月05日(水)20時49分28秒
- バトミントン、したよね。
私はへたっぴで、あなたはとても上手で。
何でもできるあなたがいつもうらやましかった。
でも、夕闇が迫るにつれて夜の色に同化した白い羽がよく見えなくて、
あなたも私も思いっきり空振りしてまた、大笑い。
手のひらに吹きかけた息が淡く浮かび上がって
辺りの暗さと、辺りの冷たさを知らされて、
そこに風が吹いたもんだから「さむーい」ってまたクスクス笑ったね。
私が「もう帰ろっか」って言うとあなたは「もっと遊ぼうよ」って。
いつもお姉さんだったあなたが、だだっこみたいに言うもんだから
私は馬鹿みたいにニヤニヤ笑って。
その日は散々遊んで、さんざん笑ったよね。
家に帰ったのは何時くらいだろう。
冬特有の耳が痛むような静けさの中を手をつないで帰ったっけ。
あなたも、私も無言で。
あなたはあの時、いろんなことを考えてたんだろうなって、今なら分かるけど
私は本当に的外れなことを考えてて、
寒いな〜とか、帰ったら怒られるかな〜とか、ね。
- 67 名前:夏が来る 投稿日:2003年02月05日(水)20時50分51秒
- よく分からなかったんだ。
住む場所が変わったって、会えるんだって、かんたんに。
また、遊べると思ってた。
子供だったからって、言っちゃえばそれまでだけどね。
その日、大目玉を覚悟して家の門をくぐったのに
お母さんは寂しそうに笑って「明日からは、早く帰りなさいよ」って言ったの。
怒られなくってラッキーなんて私が思ってたとき、あなたはどんなこと考えてたのかな
なんてね。
引越しの朝、何だかよく分からないまま手伝って。
最後の時になってあなたが泣き出しちゃったんだ。覚えてるよね?
私は実のところなんで泣くのさって思ってたんだよ。
あなたの頭を抱きしめて言ったよね。
「また、遊ぼうよ」って。すっごく、無責任な言葉。
あなたはわかってたんだと思う。
それでも私の小さな、本当に小さな胸で何度もうなずいて
そんなあなたが、純粋に、愛しかったんだ。
- 68 名前:夏が来る 投稿日:2003年02月05日(水)20時51分53秒
- あなたがこの街を去って、3日経って、1月経って、1年経って
実は物凄く大事なものを無くしたんじゃないかって、思い始めたときには遅かった。
あなたと遊べない、あなたと笑えない、あなたの笑顔が見れないってことがこんなに
私を締め付けるなんて思って無かった。
会いたいよ。
会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。
会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい―――
ってか会いに来てよ!
これ命令!
絶対来てよね。いつでもいい、時間があって何にもすることがない時とか。
私も、この街も、待ってるから――
返事とかいらないから、また会えたときにいろいろ話そうよ。
あ"ーもう、恥ずかしい。
それじゃ、またね!
まこと
- 69 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月06日(木)20時12分53秒
- テスト
- 70 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月06日(木)20時13分48秒
- 【日常】
- 71 名前:日常ー1 投稿日:2003年02月06日(木)20時14分31秒
ガチャッ
「おはようございます」
「おはよー」
「おはよう」
「おはよう」
「おはよう」
「おはよー」
「おはよー」
「おはよー」
「おはようございます」
「おはようございます」
「おはようございます」
「おはようございます」
- 72 名前:日常ー2 投稿日:2003年02月06日(木)20時15分25秒
- ガチャッ
「おはよーございまぁす」
「あ、梨華ちゃんおはよー」
「石川おはよー」
「石川おせーぞ」
「ちょっと石川、遅いわよ」
「梨華ちゃんおはよ」
「梨華ちゃん遅いよー」
「おはよー」
「石川さん、おはようございます」
「石川さんおはよーございますぅ」
「おはようございます」
「おはよーございまーす」
- 73 名前:日常ー3 投稿日:2003年02月06日(木)20時16分21秒
ガチャッ
「チャオー!今日もキュートなチャーミーのお出ま…ガハァッ」
「今日ものののタックルはカンペキなのれす!くふくふ」
「ようやったのの。褒美のぽてちや!食え!」
「ゴルァ!それなっちのぽてちだべ!」
「オラにもぽてちくんろ?」
「きゃはは!おい、いいぶっ飛びぶりだなアゴン」
「完璧ですね!」
「ガガガーピーピーガガッガ……」
「OH!飯田さんが交信中だYO!今なら触り放題…」
「あんたらいいかげんになさい!今日もキリキリ逝くわよ!」
「おはようございます」
「うん!今日の里沙も最高調らぶ」
- 74 名前:日常ー0 投稿日:2003年02月06日(木)20時17分09秒
「下らない妄想してないで仕事しろよ」
「御意」
- 75 名前:TEST 投稿日:2003年02月06日(木)20時20分19秒
- ∬´▽`)
- 76 名前:TEST 投稿日:2003年02月06日(木)20時22分02秒
- ∬´▽`)<やれやれ
- 77 名前:TEST 投稿日:2003年02月06日(木)20時22分47秒
- ∬´▽`)
- 78 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月06日(木)21時17分05秒
- ∬T▽T)
- 79 名前:届かない想い 投稿日:2003年02月09日(日)22時32分28秒
- 『なんであの頃はあんな必死だったのだろう
いつもあの子を想うと思い出す
まぁそれは仕方の無い事なんだろうけど
でもお蔭様で好きなるタイプ傾向はわかった
口も利かず違う時間を過ごしても
まだ私の中に住み着いている
いいかげん出て行ってくれないかなぁ?
まぁ君に言っても仕方が無い
何を待っていたんだろう、お決まりの『あの』言葉かな?
わざと早歩きして見たけれど
置いていかれたのは私だった
ひたすらに未来を求めていたはずなのに
今求めているのは過去との別れ方
君には重たかったんだね。その華奢な足には
色々な思いは捨てて行ってくれてイイよ
何を待っていたんだろう、ドラマみたいな逆転劇かな?
後ろを振り返っても誰もいない
前を向いたら君の背中
何を待っていたんだろう、君の最後のセリフかな?
いつまでも背中を見続けたって
君はもう振り返らない』
- 80 名前:届かない想い 投稿日:2003年02月09日(日)22時33分21秒
- 「……どうですか、たいせーさん?」
「ボツ」
- 81 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月09日(日)22時33分56秒
- ヽ^∀^ノ
- 82 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月09日(日)22時34分26秒
- ヽ^∀^ノ
- 83 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月09日(日)22時34分57秒
- ヽ^∀^ノ
- 84 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月11日(火)20時05分43秒
- みなさんの作品大好きです以下略
- 85 名前:グリコのおまけとパイナップルと 投稿日:2003年02月14日(金)00時22分57秒
- 「ねえねえれーな、今日何の日だか知ってる?」
仕事が終わって楽屋でボーっとしてたら、さゆみんが後ろから話し掛けてきた。
「…バレンタイン?」
「そう、バレンタイン。さっすが麗奈!」
「いや誰だってわかるでしょ…」
彼女の場合ネタなのかマジなのかいまいちわからない。
「麗奈はチョコ上げた?」
「まあね」
「ええっ!私そんなの聞いてない!」
「だって言ってないもん」
「そんな…」
なんか部屋の隅で一人小芝居をはじめる彼女。
「やっぱり麗奈は私のこと嫌いなんだ。
私が何をしたって言うの?
ああ、もう生きていてもしょうがないかも…」
- 86 名前:グリコのおまけとパイナップルと 投稿日:2003年02月14日(金)00時24分30秒
- 彼女はそんなことを呟きながらチラチラ私を盗み見る。
仕方なくフォローしてあげた。
「言わなかったのは謝るよ。ごめんごめん」
自分でもなぜ謝っているのかよくわからない。
「ううん、いいの。それでさあ、麗奈チョコ欲しくない?」
「いや別に」
「昨日私が一生懸命心を込めて作ったチョコだけど、いらない?」
「余計欲しくないかも」
またこそこそ隅のほうへ寄っていく彼女。だがそこには先客がいた。
「ガンバッテルモン。さびしくないよ」
その台詞が余計に哀愁を漂わせている。
- 87 名前:グリコのおまけとパイナップルと 投稿日:2003年02月14日(金)00時26分29秒
- 仕方なく彼女はこちらへ戻ってきた。
「ねえ、じゃあ今度のオフどっかいこ」
「また…?こないだもカラオケ行ったじゃん」
そう。こないだの土曜日に思い知った。彼女とのカラオケは止めようと。
「今度はカラオケじゃなくていいから、行こうよお」
「どっか行くとこあんの?」
なんか彼女を相手にするのに疲れて、口調が荒くなってきた。
彼女がどっか行ってくれるのを期待してでもあったけど。
「うーん、映画とか」
「映画か。映画ならいいかも」
「やった。麗奈大好き」
急に抱きついてくるもんだから、壁にぶつかってしまった。
「いててて」
「ごめんね麗奈」
- 88 名前:グリコのおまけとパイナップルと 投稿日:2003年02月14日(金)00時28分08秒
- 今度ばかりは頭にきたので、無視してバックをあさり、
一人鏡をだして髪型チェックをはじめた。
相手にされなくなった彼女は、さびしそうに…と思ったが、笑っている。
私の鏡を見て。
なんだろうと思い、裏を見ると、こないだ取った彼女と私のプリクラがある。
もちろんほかのメンバーや地元の友達とものあるわけだけど。
別に特別な意味はないけれど何を勘違いしたのか彼女は、
「ふふ、やっぱり麗奈だいすき」
となりで何の映画を見るか思案している彼女をよそに、
私は彼女との今後の付き合いをどうするか真剣に考えていた。
- 89 名前:グリコのおまけとパイナップルと 投稿日:2003年02月14日(金)04時15分52秒
おわり
- 90 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)20時13分34秒
- てすと
- 91 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)20時14分12秒
- 2月14日。
東京都某コンビニエンスストア。
店内には店員がひとり。
それとギャル風の4人組が馬鹿みたいに喋くりあっている。
「ねえねえ、あの店員、ちょーカッコよくない?」
「ああー私も思ってたのー。かなりいけてるよね?」
「ちょーイケ面、って感じ?」
「………」
他に客がいないとはいえ迷惑も甚だしい。
「ねえねえ、ちょっとおもいついたんどけどさぁ?」
「なになに〜?」
「私たちさ〜。バレンタインなのにチョコあげる相手いないじゃん?」
「そうよね〜。チョー寂しいって感じ〜?」
「だからね、今からチョコ買ってあのイケ面の店員にレジで渡すの!よくない?」
「あーん、それちょーいい!」
「マジあんた今日ちょっと冴えてない?」
「………」
「ちょっとマジ気合入るって感じ?」
「誰が選ばれても文句いいっこなしだかんね?」
店内からより男の心を得られる商品を物色しようと
溜まっていた雑誌コーナー付近から菓子陳列棚に移動しようとしたとき
今まで黙っていた一人が口を開いた。
- 92 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)20時14分45秒
- 「待って!」
「 ?どうしたのはつ?」
「私、あの人のうわさ、聞いたことあるの」
「え!?あの人って、あのイケ面?」
「え〜マジ〜どんな?」
「ちょ〜きになるぅ」
「あの人ね、モーニング娘。オタクらしいよ」
「!?え゛ー何それー」
「しかもね、誰か一人がすきとかじゃなくてみんなちょっとづつ好きとか言ってるらしいの」
「何それちょつとキモくない?」
「なんか『ラブリー誰でも』とか公言してるらしいよ。めちゃくちゃ節操が無くて
女の子のパーツ集めが趣味とかいってた」
「うわっ、最悪。女の敵じゃん」
「しかもここだけの話しね、モーニング娘。で妄想小説書いてるらしい…」
「キショ!」
「さいってー!」
「てかマジショックー。せっかくイケ面なのに〜」
- 93 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)20時16分12秒
店内は空調が利いているにもかかわらず寒い。
「あ、私もちょっと買い物してくけど、みんなはどうする?」
「あ、私もう帰るは…なんか鳥肌立ってきたし…」
「私も。じゃね、はつ」
「私も帰るー。明日ね〜、ばーい…」
「ばいば〜い」
店員の前を見ないように見ないように、そそくさと通り抜ける女三人。
「ありがとうございましたー」という店員の声はロボットのように無機質に、静かな店内に響いた。
こちら一人店内に残った女はなにやらご満悦の表情で
陳列棚を物色している。
手に一杯の商品を抱えレジまでやってきた。
店員の鋭い視線が女に。
「おまい……」
ピッ ピッ
「ちょっと何よ〜。あんたが悪いんだかんね〜?」
女は楽しげに言葉を発した。
「はあ?お前余計なことをぺらぺら喋りやがって……2257円です…」
「は〜い」
- 94 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)20時17分20秒
- 財布の中から1000円札を三枚取り出してレジに置くと
店員が器用に袋づめにした商品をあさりだした。
「 ?743円のお返しです」
店員が差し出した手と交差するように女も手を差し出した。
「はい、チョコレート。バレンタインの」
「………」
「ちょっと〜怒んないでよー。あんたが男前光線びんびこ出しまくってるからじゃんかぁ。
ただでさえかっこいいのに」
女は呆れたといわんばかりに言うと、差し出した手をずいと突いた。
逆に男の差し出した手からは力が抜け今にもつり銭が落ちそうだ。
「あのなぁ……そんなことで……」
「もう、まだ言う?おあいこってことでいいじゃない」
「おあいこって…むぅ」
- 95 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)20時18分08秒
- 喋ろうとした男の口は柔らかい感触で塞がれた。
一瞬の出来事。
すぐに身を離した女は完全に脱力した男の手からつり銭を滑り受けると
手にもった小箱を無理やり男の手に押し付けた。
女はほんのりと頬を染めながらボー然としている男に
「ホワイトデーのお返しはいいから、更新しる!じゃ、またね!」
とそれだけ言って軽やかに身を翻し
颯爽と自動扉をくぐった。
「……ありがとう、ございました」
心ここにない男の声はしかしさっきよりは断然暖かい。
店内の空調も一変して利きすぎているようだ。
男は唇に手を当て店内にただようなんとも甘い空気の
余韻に浸りながら手の中の小箱に視線を移した。
「チロルチョコかよ」
- 96 名前:タイトル 投稿日:2003年02月14日(金)20時18分58秒
- おわり
- 97 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)20時19分49秒
- テスト
- 98 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)20時21分30秒
- ・゚・(ノД`)・゚・。
- 99 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)21時32分34秒
- ワラタ。
これ書いたの誰?
- 100 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)23時20分27秒
- メチャクチャやな奴じゃんか!(ノд`)・゚・。
- 101 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)23時58分33秒
- 101ゲットしつつ
書いたやつに一言言っておこう
キショッ
- 102 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月17日(月)14時50分26秒
- これ書いたの誰だよw
だいたい見当つくけどさw
- 103 名前:ななし 投稿日:2003年02月18日(火)14時17分20秒
- お願い、その手を離さないで…
その手から私の手が離れたとき、どこか遠くへ行ってしまう気がするの…。
だからお願い。
ずっと、つかまえていてね…。
「っていうか…」
「今、手離されたら死ぬーッッッ!!!」
「まこっちゃん!そんなに暴れないで!!
私の腕力でも、苦しくて落としそうなんだから…」
「いやぁぁぁ…」
「あ、疲れてきた…」
「お願い、お願いだから離さないでッッッ!!!」
断崖絶壁にて。
っていうか、なんでそんなとこにいるんだよ…。
- 104 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月18日(火)18時00分41秒
- わらたw
- 105 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月19日(水)03時26分22秒
- ほんとだよ(w
なんでそんなとこにいるんだよ(w
- 106 名前:150 投稿日:2003年02月22日(土)01時44分33秒
- ガンガレー!!★
- 107 名前:バスターズ 投稿日:2003年02月22日(土)14時31分44秒
- 紺野あさ美は地獄絵の中にいるかと思った。
飛び散った肉片。潰された眼球。切られた舌。
全てが赤く、リアルだった。
だが紺野は自分の手を止める事が出来なかった。
時には哄笑をあげながら。
時には涙を流しながら。
時には感じながら。
だがそれでも手を止める事が出来なかった。
そして一通り人肉を切り刻んだら、紺野は次の階へ上がった。
モーニング娘。の部屋だった。
いつの間にかメンバー全員に囲まれていた。
その見慣れた顔が、段々近づいてくる。
一番初めに動いたのは、飯田だった。
首をきりんのように長くして、長い髪の毛と一緒に、顔面を飛ばしてきた。
紺野はそれを、サッカーボールのように蹴り飛ばした。
飯田の顔は凄い勢いで壁にぶち当たり、そのまま潰れた。
「疫病神リーダーはいりません。さくら組みで、本当に良かったです。」
- 108 名前:バスターズ 投稿日:2003年02月22日(土)14時32分41秒
- 次に動いたのは、新垣だった。
二つにくくった髪を束ね、大きな針のように尖らし、それを突進させてきた。
紺野は真剣白刃取りの原理でそれを受け止め、地面を向いてる新垣の顔を、蹴り上げた。
新垣はうめき声をあげながら顔を上げた。
眉毛が全部、抜けていた。
紺野はポケットから取り出した豆を、新垣の目に押し入れた。
眼球は、ぷちゅっという音がし、血が噴出した。
「勘違いしすぎです。同じ5期メンバーとして、恥ずかしいぐらい、間違ってます。」
次に攻撃してくるものがいないのを確認し、紺野は目を瞑った。
両手には血まみれのナイフを握っている。
殺気を感じた。
紺野は目を瞑ったまま、踊った。
白鳥の舞だった。
以前、バレエ好きの高橋に教わった事がある。
優雅にステップを踏みながら、少しだけ目を開けた。
ちょうど、石川の胸を切り刻んでるところだった。
「きしょすぎます。そのエロいボディも何とかしてください。ぶりっこしすぎです。」
- 109 名前:バスターズ 投稿日:2003年02月22日(土)14時33分22秒
- 紺野はそこで、竜巻旋風脚をしながら宙を舞った。
手にはヌンチャクを持っている。
それを自由巧みに扱った。
そのまま、先ほどの白鳥の舞で半分死にかかっていた保田と小川を撲殺した。
「おばちゃんで稼いでないくせに命令しないで下さい。見てるだけで気分が悪くなるんです。」
「5期メンバーの恥二人目です。個性がなく、顔がでかすぎます。」
ついでに殴っても殴りきれないほどの体をもった、吉澤と加護の体を金属バッドで打った。
二人の顔が分からなくなるほど殴って、脳みそを潰した。
「太りすぎです。見てるだけで見苦しくなるものがあります。時々やる気の無いダンスはなんですか。」
「もうお子ちゃま路線は通用しません。何歳だと思ってるんですか。それと、二重がよくおかしいですよ。」
足を地面につけ、あたりを見回した。
急に、肩に痛みを感じた。
見ると、辻が凄い勢いで、紺野の肉片を食べていた。
紺野は手にナックルをつけた。
そして思いっきり、辻の首に突き刺した。
「最近きれくなってむかつきます。あのまま加護さんと一緒に太ればよかったんです。」
- 110 名前:バスターズ 投稿日:2003年02月22日(土)14時34分09秒
- 矢口が、待ってたようにスピニングバードキックをかましてきた。
紺野はそれを、しゃがんでよけた。
そして相手に隙を与えないまま、昇竜拳をかました。
その後に、ガンブレードで体を串刺しにした。
「はっきり言って煩いです。あなたの声にうざいと思ってる人が、どれだけいると思ってるんですか。」
顔を上げると、安倍が何もしないで突っ立っていた。
その目を見た途端、紺野は動けなくなった。
安倍の目が段々つりあがり、大きくなっていく。
そしてもう少しで暗黒の世界に飲み込まれるという時、紺野はI WISHを歌った。
安倍は耳をふさぎ、もがき苦しみながら倒れた。
その頭に、杭をうっておいた。
「自分勝手すぎます。もう少し番組の事を考えてトークしましょう。可愛くないぶりっこもやめて下さい。」
最後の一人のために、振り返った。
高橋がマシンガンを持って立っていた。
「あ…待って。」
呟いた時には、紺野の体は虹を描くように、飛ばされていた。
- 111 名前:バスターズ 投稿日:2003年02月22日(土)14時34分48秒
- ***
「はーい。お疲れ様ー。」
頭の上から声がし、紺野は目を開けた。
機械の音がして、倒されていた椅子が戻される。
同時に、頭についていた装置も外された。
「またのご利用をお待ちしていまーす。」
ビルを出ると、外は雲一つ無い晴天だった。
セミの声が聞こえ、空を見上げると、太陽が黄色く降り注いでいた。
ストレス発散のための、バーチャル世界「バスターズ」に来るのは、これで五回目だ。
家に帰り、鞄を開けた。
中から、透明の袋に入った錠剤を出す。
バスターズに行った日は、いつもこれを渡される。
家に帰ってすぐ飲まないといけない。
ただの睡眠薬だと言われてるが、実際のところどうか分からない。
いつもこれを飲んだ後は、二日間ほど記憶が消える。
何となく気分になれず、その日は錠剤を飲まないことにした。
- 112 名前:バスターズ 投稿日:2003年02月22日(土)14時35分27秒
- 紺野は夢の中にいた。
夢の中でも、地獄絵の中にいた。
優雅に踊り、美しくステップを踏みながら、血しぶきをあげている。
そしてまた、目の前にモーニング娘。のメンバーが現れた。
いつもと違い、皆、怖れた顔でこちらを見ている。
だが容赦なく、いつも通り彼らを八つ裂きにしていった。
そしていつも通り、最後に高橋が残った。
高橋の事は昔から好きだった。
彼女だけは傷つける事が出来ない。
だからいつも、殺る前に殺られていた。
だがその時は違った。
高橋は呆然とした顔で立ちすくんでいた。
紺野はチャンスだと思い、彼女を刺した。
――愛情と憎しみは、紙一重
――本当は一番、あなたを殺したかった…
突然、夢から覚めた。
手に生暖かいものを感じる。
口から血を流した高橋の顔が、目の前にあった。
ゆっくりと倒れていく彼女を、思わず突き飛ばした。
紺野は周りを見回した。
そこはまさに、地獄絵だった。
- 113 名前:バスターズ 投稿日:2003年02月22日(土)14時35分58秒
- ”…ひきこもって妄想の世界に入りすぎるのは、よくないですよ”
- 114 名前:名無し作者 投稿日:2003年02月22日(土)14時36分54秒
- 川o・-・)ノ<今日のテストも完璧です!
- 115 名前:名無し作者 投稿日:2003年02月22日(土)14時37分38秒
- 川’ー’川<ぷっ
- 116 名前:名有り作者 投稿日:2003年02月22日(土)14時38分51秒
- ( ^▽^)<きしょいよ!
- 117 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月22日(土)23時40分50秒
- てすと
- 118 名前:クラウン 投稿日:2003年02月22日(土)23時41分59秒
- 私は生来より王であった。
神の啓示のもと二つとは無い尊い魂を授かったのだと、
幼いころより聞かされて育った。
あと数日で私は一八の誕生日を迎えることとなった。
その日はただの誕生日とはわけが違った。
その日を持って国のすべての事柄が私の手からはなれる。
つまり、王であることの引退だった。
それはある事実を指すものだった。
- 119 名前:クラウン 投稿日:2003年02月22日(土)23時44分10秒
- 私には王として政を行う傍らに常に一人のクラウンが付いていた。
名前はひとみと言った。
彼女は私が生まれた時から私の側に付き
私の世話をし
私を育てた。
彼女は常に愚かであった。
赤と白と黒のだんだらを染め上げたけばけばしい衣装に身を包み
醜怪に染め上げた顔はいつもおぞましい笑みを浮かべていた。
彼女と話すことができたのは私だけであった。
彼女の話す奇怪な語調や痴れ事は宮廷に仕えるもの達を辟易させ、
また理解することをさせなかった。
- 120 名前:クラウン 投稿日:2003年02月22日(土)23時44分49秒
- 彼女は極めて高尚な学問と才気とを持っていた。
ともに育った王たる私が彼女にはまるで妹のように扱われることがあった。
彼女はすべてにおいて私よりも優れていた。
私いつもは彼女に悩みを打ち明けるのだった。
私が7つの頃であった。
隣国との諍いが膨張し王として始めての戦の政を行った。
わが国は地や風の精の御加護のもと猛々しく凱歌を上げた。
しかし私はまだ未熟であった。
敵国の王の首を自らの剣で落とした感触は其の夜私を苦しめた。
ひとみにそのことを告げると
彼女は豪快に笑い通して言った。
「血は神の心を満たす神聖な水。王はそれを汲み取り神に捧げうる唯一の人である」
と。
彼女は臣下の一人を殺し
その生き血を私の目の前で飲み干して見せた。
- 121 名前:クラウン 投稿日:2003年02月22日(土)23時45分33秒
- 彼女は時々奇声を上げ月に向かってすすり泣いた。
私にはわからなかった。いや
彼女は誰にもわからせようとはしなかった。
一度彼女と身体を交えたことがあった。
彼女の身体は熱く熱く、身震いするほどに美しかった。
彼女はその晩一晩中城の見張り塔の三角屋根の上ですすり泣いていたことを私は知っていた。
私が王としての立場を退くに当たり一つの儀式を伴った。
私の影であり『王の一部』であるクラウンの死をもって儀式は成しえるものだった。
役目を終えた王は生贄として神に捧げられる。
王としての最後の職務は『自ら』の血を受けることだった。
私はその日が来ぬことを切に願った。
彼女との思い出が私の情緒を犯した。
外面には有終を飾るべく政に精を出しながらも、
政務を終えて自室に帰ればその心は拙かった。
ひとみはそんな私の姿を見て嘲笑した。
私は悔しくて悲しくて彼女の唇をふさいだ。
ひとみは悲しそうな顔でただそれを受け入れた。
- 122 名前:クラウン 投稿日:2003年02月22日(土)23時46分10秒
- 式の前日となった。
ひとみは化粧を落とした素顔のまま私の部屋にやってきた。
およそ一八年間ともに生きていながら彼女の素顔を見るのは
これが初めてだった。
そしてこれが最後であった。
ひとみのそれは美しい器量をもっていた。
透き通るように白い肌と、琥珀色に輝く清麗な瞳は誰しもを魅すものであった。
ひとみはいつに無く真面目な面持ちで私に語りかけた。
その話の内容は私に驚愕と絶望とを与えた。
ひとみが私と血を分けた妹であったこと。
わずか数ヶ月、先に生まれたというだけで私は王として、
ひとみは陰として生きることになったということを。
私は狂ったように泣き叫んだ。
その様はすでに王としての威光を失ったのをありありと見せていた。
訳もわからぬままに剣を抜きひとみに切りかかった。
ひとみはそれを2本の指で軽々と受け止めると私の手から払い落とした。
私は床に崩れて泣いた。
ひとみはいつかと同じ科白を言って優しく笑った。
その笑みすら私にとって始めてみるものだった。
- 123 名前:クラウン 投稿日:2003年02月22日(土)23時46分47秒
- 一夜が明けた。
目を覚ますと隣にひとみはいなかった。
- 124 名前:クラウン 投稿日:2003年02月22日(土)23時47分24秒
- 儀式の準備は着々と進んでいた。
私は儀式の場に立って時を待った。
市民が集まった。
臣下や神官どもは私の勇退を恭しく祝った。
ご馳走が所狭しと並べられ、酒と歌に酔いしれながらその時を待った。
ややしてひとみは現れた。
いつもにも増して醜く滑稽ないでたちであった。
市民の間を奇怪なパフォーマンスを交えながら練り歩いた。
市民は嘲弄の笑いを与え、神官たちは舌打ちした。
やがてしなだれかかるような動作で断首台に座ると
ぞっとするような不気味な笑みを周囲に振り撒いた。
自ら台に横になって奇声を上げると
また市民の間からどっと笑いが起こった。
私は儀式用に装飾された断首刀を静かに抜いた。
台上では今死ぬことが分かったかのように手足をばたつかせて
おどけるクラウンにまた笑いが起こった。
- 125 名前:クラウン 投稿日:2003年02月22日(土)23時47分55秒
- 儀式の刻となった。
市民の笑いが止み、ざわめき、やがてそれも止んだ。
断首台に立ってひとみを見た。
彼女は穏やかな笑みを持って返した。
涙は流れなかった。
ただ無心になろうと勤めることが
帰ってひとみのことを心に占めさせた。
静かに刀を振り上げた。
彼女ならばこの剣を避け、
私を殺し、神官も兵士もを皆殺しにすることはできたのだろう。
彼女は穏やかな表情で目を瞑り時を待った。
神をうらんだ。
私とひとみとの運命を決め袂を分かちたもうた神をうらんだ。
刀を振り下ろした。
鮮やかな鮮血が瓶の中になだれ込む様を見ながら
私は心から神を呪った。
私の冒涜を持って王の位は失われ儀式は終わった。
耳をふさぎ、目をふさいだ。
もう神の声は聞こえなかった。
聞きたくも無かった。
沸き立つ観衆の合間を静かに下り私は消えた。
- 126 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月22日(土)23時48分39秒
- ( ^▽^)<チャオー
- 127 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月22日(土)23時49分09秒
- (0^〜^)
- 128 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月22日(土)23時49分43秒
- ∬´◇`∬
- 129 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月23日(日)02時54分34秒
- あらま、いしよしだ。
面白かった。よっすぃーがここまで考えているなら泣ける。
なぜ∬´◇`∬
- 130 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月25日(火)03時29分48秒
- 131 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月05日(水)18時58分36秒
- テスト
- 132 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月05日(水)19時44分10秒
- <<131
- 133 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月08日(土)23時36分47秒
- リスペクト
- 134 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月08日(土)23時39分59秒
- テスト
- 135 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)00時45分06秒
- 今日の楽屋はいつもと違う。
なんか、みんなして手に手に冊子やら資料やらを持っている。
「みんなー集まったー?」
リーダーの飯田さんが声を上げると諸所からメンバーの返事が響く。
やがてみんなは一つの大卓を囲んで着席した。
「んあ?梨華ちゃんがいないような…まあいいか」
石川さんがいないのに後藤さんがいるとはこれいかに。
みな石川さんは居なくてもいいんじゃない?と口をそろえて言う。
なかなか薄情な人たちだ。
- 136 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)00時46分35秒
- とりあえず落ち着いたところで安部さんが口を開く。
「なんだっけ?あ、そうだ『秘密』に決まったんだよね。テーマ」
その通り。今回のテーマは『秘密』だ。
過去のそれと比べて具体的なテーマだけに難易度はかなり高そうだ。
「おいら『秘密』はちょっとやだったなぁ…まあ、決まっちゃったもんは仕方ないけど」
矢口さんが小声でぼやく。
難易度が高い上に今回は時間も無い。
「がんばって出て欲しいですねー。テーマ難しそうだけど…」
里沙ちゃんが重い口調で言う。チャームポイントの眉毛が寄ったその顔は
噴出しそうなほどに可愛らしい。
- 137 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)00時51分15秒
- 「わたすはぁ秘密えぇおもうんやけどぉ、もんだいは参加率の低下やねぇ」
相変わらずの激しい訛りも気にせずに愛ちゃんが言う。
高い難易度のテーマだと大会全体のレベルが上がる可能性があってそれは私達としても嬉しい。
しかしそれとは別に参加率の低下は非常にまずい事態を引き起こす。
あさ美ちゃんが手元の、分厚い冊子をぱらぱらと捲りながら口を開いた。
「まあ、これを見てください。過去の実績や参加率を加味して予想してみました。
やはり一番人気は3連覇を目論む『ラブリー・DD』ですね。それから『イエロー・シーサー』
も相変わらずの人気です。あとは前回躍進し参加濃厚な『コンデン・ワカメ』といったところに予想が集中しているようです」
確かにラブリー・DDは強そうだが参加確定していない分、優勝確立はそう高くない気がする。
続いて、加護さんが資料を片手に発言する。
「こんかいに限って、正統派はつよない思うねん、うちは。
せやからうちがおすんは飛び道具のある『ソラーリ・ファーム』とか『ドリーム・PP』やねんな」
確かにテーマがテーマだけに正当に責めるにはかなりの実力が要りそうなのは事実。
- 138 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)00時52分01秒
- 「とはいえ、やっぱり正統派も食い込んでくるだろうし、今まで正統派のイメージがあった選手が
今回も正当でくるとは限らないよ。だからののは『アントニオ・アリ』や『ゲンマー・ヤコー』
も食い込んでくると思うんだ」
加護さんの意見にすぐさま辻さんが食いつく。
確かに一理あるが、参加率との兼ね合いで判断は難しい。
ただ私の意見としては…
「だけど結局、個人で買う事になるのよね。参加がどうかわからない以上、感覚に頼るしかないはね」
保田さんはすでに分析をあきらめているようだ。
「今までと雰囲気が違うからね…。でもあたしはもうちょっと粘るっす」
吉澤さんは一番最初に音を上げると思ってたのに…
「すくないねー情報が。こりゃあお手上げだぁ。まーいーや。感はいいほうだし。
ふぃーりんぐふぃーりんぐ」
- 139 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)00時53分37秒
- 後藤さんも離脱か。確かに資料とにらめっこしていると頭が痛くなってくる。
そもそも、全く無名の新星が優勝をかっさらっていく可能性だってあるにはあるのだ…
「きまった。きっとこの『ダダダ・コンサ』が優勝するっしょ」
安部さんは早くもフィーリングを頼りに選んでしまったようだ。
他のみんなも分析をあきらめ始めているようだ。あさ美ちゃんは自作の冊子にペンで何度も書き込みを繰り返し
うんうんと唸っている。
「だいたいテーマが『秘密』になんて決まるからさぁ…」
矢口さんはまだ言っている。
あの…
私の意見を出そうと口を開きかけたところに、
楽屋のドアを豪快に開いて石川さんが登場した。
どうやらただの遅刻らしい。
- 140 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)00時55分29秒
- 「よっすぃーおはよー!チャオー!石川ただいまやってきましたぁー!
ところで矢口さん、何が秘密なんですかぁー?」
騒々しい。
楽屋のあちこちからウゼェ、とかキショといった声が響いた。
「いや、別に何でもないよ。石川にはかんけーないしー」
矢口さんが意地悪な声で言うと、石川さんは
「やだぁ、ポチと私の仲じゃないですかぁ。教えてくださいよー」
と予想どおりの反応を見せる。
矢口さんは、きしょいんじゃ!といわんばかりのシャープな突っ込みを石川さんの頭に一撃。
いたーい、などと言いながら頭をさする石川さんに、楽屋も次第に笑いに包まれる。
最近の石川さんは凄いと思う。
楽屋での存在感たるや、さすがにこれまで身体を張ってきただけのことはある。
「まあまあ、ところでさぁ。梨華ちゃんは私達にも言ってない秘密ってあったりするの?」
後藤さんがうまく?話を切り替えると、石川さんも吊られたように詮索を止め、
なにやら思案しだした。
「じつは秘密いっぱいあるかなー。もちろんみんなにはいえない事だけど。うふっ」
- 141 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)00時59分02秒
- 首を傾けて可愛いポーズをとる石川さん。
男ならこれでイチコロなのかなぁ、とかずれたことを考えている間に彼女の頭には二発目の張り手が飛んでいた。
「でもどーせ、たいした秘密じゃないんでしょ?実はチャーミーのキャラが素になってるとか
実は自分では歌に自信があるとか…」
飯田さんの何気ない呟きに、どーしてわかったの!?と大声で聞き返す石川さん。
笑いに包まれる楽屋。どんどん賑やかさを増す。
みんなさっきから頭を悩ませていた手元の資料をうっちゃって石川さんの周りに集まっている。
石川さんは本当に凄いと思う。
彼女の、その人気もキャラクターも、自らの努力で気付き上げたものに相違ないのだ。
その量は並大抵のものではなかったのだろう。
マネージャーさんが呼びに来て、仕事の時間がきていることをしった。
みんなは三々五々散り、それぞれに楽しげにお喋りをしながら楽屋を出て行く。
結局私だけ輪に加わる事はできなかった。
楽屋を出て行くみんなの背中をぼんやり眺める。
- 142 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)01時00分30秒
- 急に不安になった。
みんなには私の事が見えているのだろうか。
そういえば先ほどの楽屋でも私は一言も発しず、また一言もかけられる事が無かった。
私など誰も気にしていない。
私はみんなに嫌われているのかもしれない。
そんなネガティブな思考がふつふつと沸いてくる。
初めての事ではない。
最近、よくこんな感覚に陥るのだ。
- 143 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)01時01分50秒
- 楽屋には石川さんがまだ残っていた。
私は石川さんに声をかけようと試みた。
しかし、声は出なかった。
そういえば昨日からのどの調子がおかしい。それだけじゃない。
もし、呼びかけて、返事がもらえなかったとしたら…
そんな心の底に宿る恐怖が私の脳に声を出させる事を禁じているかのようだった。
石川さんは案の定、私の存在には気付いていなかった。
「本当は、大穴の『ウゼー・アーシュ』で勝負をかけてるなんて言えるわけ無いわ。くすっ」
石川さんはそれだけ不敵な笑みとともに呟いて、楽屋を出たみんなの跡を追った。
- 144 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)01時03分12秒
石川さん…被ってる…
石川さんは何もかも分かっててわざとおどけていたのだ。
私も彼女と同じ『ウゼー・アーシュ』と『ナイ・カボチャ』で勝負をかけようと考えていた。
なんとなく、嬉しいような、悲しいような気分になって
楽屋の、ドア近くにしばらく佇んだ。
誰かが、私の事を迎えに来てくれる事を願って。
- 145 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)01時05分14秒
- ∬´◇`∬ ………
- 146 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)01時13分00秒
- ∬´◇`∬ (・-|
|
|
∬´◇`∬ (・-・o川 |
|
|
∬´◇`∬・o川 …… |
- 147 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)01時16分28秒
- ∬´◇`∬ 川o・-・)
- 148 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)01時17分14秒
- (´◇`∬∬ ………
- 149 名前:さみしくなんかないよ 投稿日:2003年03月09日(日)01時19分20秒
- ∬;´▽`;∬
- 150 名前:てすと 投稿日:2003年03月09日(日)13時41分42秒
- >>149
- 151 名前:テスト中 投稿日:2003年03月11日(火)19時08分07秒
- 扉には鍵がかかっているようだった。
私は…
・鍵を持っていない >>3
・(持っているならば)「15」の鍵を使う >>16
・(持っているならば)「1444」の鍵を使う >>17
・(持っているならば)「45」の鍵を使う >>18
・無理矢理開けてみる >>10
- 152 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月11日(火)19時08分58秒
- (・e・)<らぶらぶー
- 153 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月11日(火)19時09分34秒
- ==(・e・)ノ<にいがきさいこー。
- 154 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月11日(火)19時10分40秒
- ( ・e・)人(^◇^〜)
- 155 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月11日(火)22時38分23秒
- >>1
- 156 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月18日(火)08時50分03秒
>>2
- 157 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月01日(火)19時40分44秒
- 从 `,_っ´)人( ・e・)人( `.∀´)<テスト
- 158 名前:从 `,_っ´) 人从*・ 。.・从 投稿日:2003年04月02日(水)00時17分52秒
- 学校の帰り道で友達と別れるのはいつだってさみしい。
だからなのかもしれない。その声を聞き取れたのは。
それはとても小さな小さな声だった。
小さいながらも、にゃーんにゃーんと規則正しく聞こえてくる。
私は周りを見渡した。近くには狭い公園があった。
その公園に入り、すぐにベンチの下にダンボール箱を見つけた。
「…あれ?捨て猫?」
「にゃーお」
「何々…あんたの名前、さゆみって言うの?」
「にゃーお」
「え?ちょっ、何?うわ!舐めるな!顔を舐めるな!!」
「にゃー…」
猫は嫌いではないけど、このとき私が嫌な予感を感じたのは事実だ。
とんでもないことをしてしまったような気持ち。
私が猫を箱に戻そうとすると、激しく抵抗した。
それでも無理やり彼女を押し込んだ。
悲しそうな声で鳴いていたけど、聞こえないふりをして立ち去った。
私の母は猫アレルギーだ。飼えるわけがない。
- 159 名前:从 `,_っ´) 人从*・ 。.・从 投稿日:2003年04月02日(水)00時19分37秒
- 家には鍵がかかっていた。
良くあることだ。母はパートに行ってるんだろう。
私がドアを開けると、そこにはさっきの猫がいた。
…。
たっぷり3秒固まったあと、これがほんとの泥棒猫か、と思ったことは秘密だ。
とりあえずさゆみを二階の私の部屋に連れて行った。
抱いてみると大して重くないし、ちっちゃくてなかなか可愛い。
ただ、ひたすら私の顔を舐めようとするのは止めて欲しいかな…。
私はお母さんが帰ってくるまで面倒を見ることにし、
とりあえずミルクを飲ませることにした。
が、さゆみを部屋に残して扉を閉めた瞬間、さゆみは狂ったように鳴きだす。
「うにゃー!うにゃー!」
まったくなんて甘えん坊なんだろう…。
私はミルクを諦めて部屋に戻った。
- 160 名前:从 `,_っ´) 人从*・ 。.・从<にゃーん 投稿日:2003年04月02日(水)00時20分37秒
- するとさゆみは、私の膝の上で丸くなった。
私が雑誌を読み終えると、さゆみは眠っていた。
起こさないように気を付けながら、顔を近づけてみる。
鼻と鼻がくっつきそうになるくらい近づいてみると、
なんだかさゆみが人間のように見えてくるから不思議だ。
かぷ
……。
鼻噛むなよ。
寝てんじゃねえのかよ。油断した。
そういえばもうすぐお母さんが帰ってくる。
が、ここで私は名案を思いついた。
貰ってくれそうな人がいるではないか。
私はさっそく事情を説明しにその人の家へ向かった。
その家の表札には、「おがこん一家」と書いてあった。
おわり
- 161 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月02日(水)00時26分13秒
- 从 `,_っ´) <160の最初のほう5行くらい抜かしちった。
わり!
- 162 名前:( ゜皿 ゜) 投稿日:2003年04月03日(木)07時28分32秒
- 「…くるしいね」
「お願いだからひっつかないで」
「しょうがないじゃん。こんな狭いんだし」
「絶対必要以上にくっついてるって」
「気のせいだよ、気のせい」
ことの起こりは約十分前。
あたしとさゆみが、今日の集合時間に5分遅れてしまったこと。
飯田さんに怒られて、さゆみが言い訳して、何故か私まで罰としてクローゼットに閉じ込められた。
「ねえ、れいな」
「ん?」
「こんなにれいなにひっついたの、私が始めてだよね」
「え…いやまあ、そうだけど…」
「やったぁ…」
「……」
「ねぇ」
「今度は何?」
- 163 名前:( ゜皿 ゜) 投稿日:2003年04月03日(木)07時30分04秒
- 「ねぇ、さゆさゆって呼んで」
「さ、さゆ…!?」
「ほら、恥ずかしがらずに」
冗談じゃない。こいつ頭大丈夫か?
「うざい。どっかいけ」
「……、ごめんね」
え?今謝った?謝ったよね?
…雹でも降るのか?
急にクローゼットに光が差し込み、私は目を細めた。
さゆみが開けたようだ。
「飯田さーん、れいなが…」
とっさにわたしは彼女の口を抑え、クローゼットの扉を閉めた。
- 164 名前:( ゜皿 ゜) 投稿日:2003年04月03日(木)07時33分34秒
- 「何してんだよ、バカ」
「さゆさゆって呼んで」
「…5回くらい氏ね」
「あけるよ?叫ぶよ?」
「鬼…」
「早く早く」
「う…、さ、さゆさゆ」
「いやーれいなったら、それじゃ恋人同士みたいじゃん」
「…」
…絶対どっかに埋めてやる。もしくは沈める。いつか絶対。
*
この話を紺野先輩と小川先輩にすると、二人は意味ありげに笑った。
どうやら、二人も同じ罰を受けたことがあるようだ。
*
- 165 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時46分49秒
- 借ります。叩き勘弁
- 166 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時49分27秒
- 『飛んで飛んで』
- 167 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時50分05秒
- なんとも怪しげな薬だ。
先日、インターネットのとあるページで見つけ、魅力的な踊り文句と
税込み250円という値段に釣られてつい買ってしまったけ。
何やら粉の入った小ビンにはご丁寧に『劇薬注意』などと書かれている。
『使用方法:この「ティンカーベルの羽」を適量頭からふりかけて高層ビルの屋上から飛び降りてください。
すると、あなたは空を飛べるようになります』
さて、どうしたもんか。
- 168 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時50分52秒
「ごめんねさゆみちゃん。突然呼び出したりして」
ここはとある高層ビルの屋上。
彼女は吹き上げる風に、目を細めながら答えた。
「いえ、お久しぶりです。紺野さん」
その表情は、どこか照れているようで赤みのさした頬はふわふわと揺れる。
「ちょっと、お話したいなぁって思って」
言いながらてくてくと彼女の横、屋上の手すりに歩を進める。
彼女の髪がふわりと揺れ、彼女の匂いがほのかに鼻を掠める。
「また、可愛くなったね」
私は笑顔を浮かべたまま少しからかうような口調で言った。
「な、なにゆーちょるんですかぁ…」
一層、頬を染めて、早口に応える彼女。
「幾つになったんだっけ?」
「15歳になりました」
まだ15歳か。若いね。
さゆみが入ったときはまだ13歳だったっけ。
随分と大人っぽくなったな。
「どう?乙女組は。ちゃんとやってる?」
「はい!皆なかいいし、とっても楽しいです!」
- 169 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時51分25秒
- みんな、と聞いても誰一人顔が浮かばなかった。
いまこの場にいるのは私とさゆみだけだ。
場をつなぐ会話も飽きた。
早く本題に入りたくなった。
しばらくの沈黙。
私もさゆみも眼下に広がる街の不気味な直線の嵐を静かに眺めていた。
夕刻の紅い光を浴びたそれはさながら地獄の縮図に見えた。
「ねえ、空飛んでみたくない?」
「え…?」
突然の私の質問に、暫し動きを止める。
「そ、ら…空ですか?飛んでみたいです」
私の目が、口調が、あまりにも真面目だったからだろう。
質問の真意を測りかねているようだ。
もっともそのままの意味なんだけど。
「あのね。誰にも内緒だよ?」
「はい?」
「私、空を飛べるようになる薬を手に入れたの」
- 170 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時52分27秒
再び彼女の時間が止まる。
それから困ったような表情になった。
慕ってくれた彼女は、私が真剣な目で冗談が言えるほど器用ではないことを知っている。
加入当時、どこか私と似た空気を持っていた彼女を私は無意識のうちに気にしていた。
しかし、次第に私はその瞳に囚われている事に気付いた。
彼女の目には魔力があった。無垢で純真なその瞳に。
やがて乙女組の人気を彼女が一手に引き受けるようになったときに
私は彼女にかつての自分を投影する事で自尊心を保とうとした。
私の瞳は映すこともしないのに。
「ねえ、一緒に飛んでみない?」
彼女の瞳の奥で世界がくるくると回るのを見た。
何が見えたのだろう。私の姿は映っているだろうか。
横なぎの風が一つ、屋上の音を攫ってから
彼女はこくりと頷いた。
私が彼女を独占しえたことにただならない愉悦を憶えた。
- 171 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時53分15秒
手すりを越えて彼女が立つ。
振り返り私の顔を見た。
その、抱き上げたアザラシの子のような大きすぎる瞳は私の心の中に激しい風を巻き起こした。
私はただ薬の実験の為に彼女を呼び出したはずだったがすでに目的は変わっていた。
彼女を独り占めにし、彼女にとって私が特別であると確信できる瞬間を心待ちにした。
「やっぱり、ちょっと怖いですね…」
彼女の頭に乗った間抜けた白い粉が強い西日を受けて
天使の輪のように輝いて見えた。
ふと視線を上げると折り重なった雲が光を受け
凡ての清浄を称えた黄金色の城をなしていた。
そのコントラストがあまりに綺麗で
眼下の地獄で暮らす彼女を救ってあげたいと心が騒いだ。
私は今できる最高の顔をして手を伸ばした。
さゆみは穏やかな表情で微かに瞳を揺らし向き直った。
トン
軽い音がしてあっさりとさゆみの足は地面をけった。
- 172 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時54分08秒
- さゆみは真っ逆さまにビルの斜面を滑り落ちていった。
脳裏に血と肉の塊になったさゆみの姿が駆け抜けた。
背筋が電流を流されたように震え凍え濡れた。
下着に冷たさを感じた。汗なのか、私の淫猥な蜜なのか。
地面に近づこうとするにつれて彼女の身体は軽くなっていくように見えた。
あと数十メートル。
突然彼女の身体がふわりと浮いた。
それから彼女は遊ぶように空を回遊してから吹き上げる風に乗って一気に私の元にやってきた。
「飛べましたよぉ!!」
大きく手を振り、満面の笑顔で。
「紺野さんも早く!!」
彼女にとっても私は特別で、これは彼女と私だけの秘密。
私も満面の笑みで応え、薬を頭からかぶると屋上の固いコンクリートを蹴った。
一瞬の自由落下の後ふわりと浮いた私の身体はそのままさゆみの浮かぶ空に飛び出した。
空中で私達は抱擁した。
- 173 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時55分14秒
- 「行こっ!」
さゆみと私と頷きあった。
遥か彼方を目指して。
下に見える直線はやがて点になりぼやけ薄れ光の中に溶けた。
私達は上へ上へ。
黄金色の雲が、城が、私達に手を振った。
手をつないで上へ。
沈みかけた太陽は私達だけのために今日最後の、一番の光を放った。
優しく笑う月を蹴って踊りながら上へ。
私が笑いかけると彼女も笑う。
その無垢で純真な瞳で。
ふたご座の鍔の上に腰を下ろしながら
私達の、折り重なり混ざり合った身体を見下ろす。
今幸せに
- 174 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時55分47秒
「ティンカーベルの羽」そういえば私が作ったんだっけ。
- 175 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時56分44秒
- ( ・e・)<んなあほな
- 176 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時57分34秒
- 从 `,_っ´)<んなあほな
- 177 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)19時58分14秒
- ∬´▽`∬<んなあほな
- 178 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月06日(日)20時36分54秒
- ( ^▽^)<わろとけわろとけ
- 179 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月07日(月)10時15分14秒
- http://m-seek.net/wood/index.html#1043852197
- 180 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月07日(月)10時24分56秒
- >>179
- 181 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月11日(金)18時19分58秒
- 雪が降っていた。
誰がこれを雨などと形容したのだろう。
そう遠くないところで、母親が子供を呼ぶ声がした。
それから、五時のチャイムが町を満たした。
少女は頬に地面の冷たさを感じていた。少し湿っていた。
顔を動かし、上を見た。
雪の素がたわわに実った樹木が目に入った。
そこから絶え間なく雪がさらさらと流れていった。
この感動を言葉にするのは難しい、と彼女は思った。
いくつか思い浮かべたが、今の感情とは程遠かった。
時々聞こえていた自転車の音の一つが少女の近くで止まり、続いてスーパーの袋の音が耳に届いた。
ふいに風が強く吹いた。
雪が、いっせいに舞い落ちてきた。
少女はその中で、小さく童謡を口ずさんだ。
道重さゆみ、中学二年の春だった。
- 182 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月12日(土)00時00分54秒
- 吉澤さんはアイドルをしていた。
吉澤さんは高校生だった。
吉澤さんの頬は白く、うっすらとホクロが浮き出ていた。
吉澤さんは時々、17歳以外の年齢に見えた。
吉澤さんは何かを待っていた。
アタシは吉澤さんのE.T.みたいに長い首が好きだった。
夜の闇に、ほんのに白く浮かび上がるうなじが好きだった。
「ねぇ、明日が何の日か知ってる――?」
吉澤さんは振りかえって微笑んだ。
- 183 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月12日(土)00時05分26秒
- はす向いのビルの電光時計はもう2003年04月12日(土)00時00分54秒を指し
示していた。
ふわっと風が流れた。
春の匂いがした。
薄桃色のひとひらがほのかにひらめいた。
桜だった。
「明日って今日のことですか。それとも今日の次の日のことですか?」
吉澤さんの金色の付け毛が風にながれた。
アタシの頬をくすぐった。
「明日は明日。永遠に来ない今日の続き」
くすぐって離れた。
離れた――
吉澤さんの身体はフェンスの向こうに消えていた。
- 184 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月12日(土)00時08分05秒
- 吉澤さんはアイドルをしていた。
吉澤さんは高校生だった。
吉澤さんの頬は白く、うっすらとホクロが浮き出ていた。
吉澤さんは17歳だった。
吉澤さんは何かを待っていた。
アタシは吉澤さんのE.T.みたいに長い首が好きだった。
いつまでも17歳のままでいたかった吉澤さんは、18歳になってから死んだ。
永遠に来ないはずの誕生日の日に死んだ。
吉澤さんは格好悪かった。
でも、アタシは吉澤さんのE.T.みたいに長い首が好きだった。
- 185 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月14日(月)00時07分03秒
- てすと
- 186 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月14日(月)00時08分13秒
- てすと
- 187 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月14日(月)00時09分00秒
- てすと
- 188 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月14日(月)00時09分46秒
- てすと
- 189 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月14日(月)19時19分06秒
- 障害者っバカだよね・・・。
- 190 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月14日(月)19時39分47秒
- とにかくしぬ
- 191 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月17日(木)19時53分35秒
- 障害者?教えて
- 192 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月17日(木)20時12分39秒
- いろりろ
- 193 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月17日(木)22時34分36秒
- 安倍なつみが平家みちよを殺した。
石黒彩が保田圭を殺した。
中澤裕子が福田明日香を殺した。
矢口真里が飯田圭織を殺した。
後藤真希が安倍なつみを殺した。
市井紗耶香が安倍なつみを殺した。
安倍なつみが市井紗耶香を殺した。
加護亜依が辻希美を殺した。
石川梨華が吉澤ひとみを殺した。
吉澤ひとみが保田圭を殺した。
石川梨華が飯田圭織を殺した。
加護亜依が安倍なつみを殺した
中澤裕子が中澤裕子を殺した。
石川梨華が後藤真希を殺した。
辻希美が矢口真里を殺した。
矢口真里が新垣里沙を殺した。
紺野あさ美が小川麻琴を殺した。
高橋愛が小川麻琴を殺した。
新垣里沙が小川麻琴を殺した。
安倍なつみが小川麻琴を殺した。
飯田圭織が小川麻琴を殺した。
矢口真里が小川麻琴を殺した。
保田圭が小川麻琴を殺した。
石川梨華が小川麻琴を殺した。
吉澤ひとみが小川麻琴を殺した。
辻希美が小川麻琴を殺した。
加護亜依が小川麻琴を殺した。
藤本美貴が小川麻琴を殺した。
亀井絵里が小川麻琴を殺した。
田中れなが小川麻琴を殺した。
道重さゆみが小川麻琴を殺した。
小川麻琴が
- 194 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月17日(木)23時39分24秒
- いくら好き放題していいからってそういうのはやめい
- 195 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月18日(金)00時19分35秒
- 小川が殺されすぎだ・・・
- 196 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)01時54分33秒
- 話の流れを読まず、ちょっと借りる。
おがこん。
- 197 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)01時55分30秒
春の匂いがする。
一面ピンク色に染まった桜並木の道を歩く少女、一人。
ひらひらと舞い落ちる桜の花びらで敷き詰められた、桜色の絨毯。
その上を歩く少女の黒い髪と白い肌は、映えるような見事な風景を作り出している。
ただ、そんな絶好の景色とは裏腹に、少女の表情は少しだけ暗かった。
その手には、卒業証書と一冊の分厚いノートが抱えられている。
「麻琴☆あさ美の交換日記」と、でかでかと描かれた淡いピンク色のノート。
そのノートの方を一切見ようともせず、紺野あさ美は
この桜並木の下をぼんやりと歩いていたのだった。
- 198 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)01時56分00秒
- * * * * *
あさ美と小川麻琴は、中学2年で同じクラスになって以来の親友同士だった。
おっとり目なあさ美と、元気系でサバサバした麻琴。
対照的な2人だったが、出逢った瞬間から一気に打ち解けることができた。
それはお互いにどこか通じるものがあったからで、特に深い理由などなかった。
麻琴は常にグループのリーダー格で、クラス内でも中心的な人物だった。
男子ともそこそこ人気があったし、女子にはそれを凌ぐ勢いで慕われている。
本人もそれを知ってか知らずか、少しも気取った雰囲気がなく
明るく爽やかに人生を過ごしていた。
一方のあさ美は、見た目からは想像し難いが大変な優等生であった。
学校始まって以来との秀才とまで言われ、更にはおっとりしていそうな外見とは裏腹。
スポーツも万能にこなし、そして頭の回転の速さ故か周囲への注意を怠らない。
まさにスーパーガールとして注目を浴びた。
- 199 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)01時56分44秒
- そんなクラスの2大巨頭の2人が対立する展開なんかも、もしかしたらあったのかも知れない。
けれど全く逆のように、クラス一の仲良しと称される程の名コンビに成長した。
麻琴にとって、あさ美という存在は尊いものであったし、
あさ美にとって麻琴とは、そういう存在だった。
「この人は、自分にないものを持っている」
特にあさ美は、麻琴に対して尋常ではないほどの憧れを抱いていた。
いつでもスローテンポで和のリズムを崩し、マイペースなあさ美。
そんなあさ美の瞳に映る麻琴は、尊敬以外の何者でもなかった。
やがてそれが、友情から恋へと変わることになるのを悟った。
- 200 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)01時57分20秒
- * * * * *
中2の夏頃、麻琴が交換日記をしたいと言い出した。
新しい事を始めるのが大好きな麻琴のことだ。
きっと、昨日お母さんと買い物に行った時に、交換日記のノートを買ってきたのだろう。
麻琴から誘いを受けた数人のグループの中で、あさ美だけはそう見通していた。
◇7月3日(はれ) 担当:マコト
今日も暑いね〜(´〜`;)
テストわかんないけど頑張って勉強しようねー。
◇7月4日(くもり) 担当:あさみん
セミの声が少しずつ聞こえてきました。
とっても風情が感じられるよね。
テスト勉強は捗らないけど、夏休みの補習だけは逃れようね。
・
・
・。
- 201 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)01時58分00秒
- そんなやりとりが続くうちに、あさ美は麻琴への想いをハッキリと自覚していた。
「この人が好き。」
最初、自分の中で否定的だったそれすら、口に出して言えるほど。
夢に何度も麻琴が出てくるようになって、自分へと愛の言葉を囁く。
そんな都合の良い夢が覚めた朝に、実物の麻琴に逢うと頬を赤めたりもした。
確かにはじめは、この恋心を否定したりもした。
女なのに、とか。親友だから…とか。
けれど、そんな理由だけで諦められるような恋でない事くらい、あさ美自身も解っていた。
いつからか膨らんでいったあの人への愛情。
届けられるものなら届けたい。
でも、そうすればきっとあの人は私を嫌いになるだろう。
あさ美の苦悩は、絶えないばかりでなく募る一方だった───。
- 202 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)01時58分31秒
- * * * * *
交換日記が始まって1年が過ぎた頃、すでにメンバーは麻琴とあさ美の2人だけになっていた。
他の友達はクラスが変わってしまったり、受験勉強を始めるから…と理由はそれぞれ。
言い出しっぺの麻琴はともかく、麻琴との繋がりの一つを大事にしたいあさ美も、
この交換日記を止めることなど微塵として考えていなかった。
それは実にくだらない出来事や、真剣な悩みもお互いに何でも話し合った。
毎日学校で話しているのに、それでも話のネタは尽きることはない。
ただ、あさ美にはどうしても一つだけ言えないことがあった。
特に、その本人にとっては。
そんな時だからこそ、あさ美にとって辛い出来事が待ちうけていた。
それは、ノートのちょうど4分の3が終わろうとする頃。
麻琴から受け取った交換日記に、こんな事が書かれていた。
- 203 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)01時59分03秒
- ◇7月11日(雨) 担当:マコト
ねー、あさ美はさー…好きな人とかって、いる?
よっぽどこれを書いた時に眠たかったのか、それとも疲れていたのか。
いつもはどんなに疲れていても1ページ丸まると丁寧に日記を綴る麻琴。
たった一行書かれたその文字は、まるで殴り書きのように乱雑に並べられている。
衝撃的だった。
今までたくさんの事を話してきたけれど、恋愛の話をするのは初めてだ。
それも、不屈の片思いの相手に。
あさ美は戸惑った。
何と返事を書くべきか。
素直に話すべきか、それとも。
ほんのわずかの間に、とんでもなく膨大な量の考えが渦を巻いた。
というのも、もうすでにあさ美の中でも限界が来ていたからだ。
最初のうちは、まだ良かった。
そばにいるだけで幸せだった。
でも、愛されたいと願ってしまった。
その唇に触れたい、強いてはその肌に触れたい。
麻琴を抱くことすら、夢に見た。
嫌悪感を覚えてまでも、麻琴への想いを拭い去ることはできなかった。
- 204 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)01時59分37秒
伝えたい。
伝えなきゃ苦しくて。
今すぐにでも、この想いを伝えて楽になりたかった。
あさ美は震える手でペンを取ると、こう書き足した。
◇7月12日(雨) 担当:あさ美
ずっと、好きだったよ。
麻琴ちゃんの事。
ごめんね。
書き終えた後、あさ美はそれを2度と見ないようにしていた。
自分の中で、気持ちの悪い2つの想いが渦を巻いている。
麻琴への、罪悪感。理不尽な達成感。
けれど、不思議と後悔だけはなかった───。
翌日、あさ美の机の中に突っ込まれたノートには、
たった一言 「ごめん」 という字が書かれているだけだった。
- 205 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)02時00分58秒
- * * * * *
その日以来、2人が一緒にいる事はなくなった。
どちらともなく避けるようになってしまい、視線を合わせすらしなかった。
あさ美は、その日から変わった。
誰とも会話をしなくなり、休み時間も自分の席で黙って本を読むだけ。
以前に増して勉強しかしなくなり、常に学年トップの座を守りつづけるほどの学力を身につけた。
そんなあさ美を誰も相手にしなくなったし、あさ美もそれで良かった。
麻琴に嫌われてしまったのに、他の人に好かれても仕方ないのだから。
「当然の報い」と、自分に言い聞かせることしかできない。
それでもあさ美は、自分の殻に閉じこもるのを止めなかった。
そんなあさ美を、麻琴は他人事のようにただ見ているだけだった。
「2人で行こうね」と約束した高校。
あさ美も麻琴も、どちらも受験しなかった。
あさ美は県下でもトップクラスの進学校に首席合格したし、
麻琴は地元の公立高校に推薦合格だった。
- 206 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)02時01分33秒
- 中学を卒業したら麻琴とも離れ離れになる。
それでも「仕方ない」としか、あさ美は思えずにいたのだった。
悲しいなどとは思ってはいけない。
これは自分への罰。
そう言って、自分を納得させる以外の術はない。
そうして、冬も過ぎた。
* * * * *
卒業式が終わっても、あさ美は誰とも会話をしなかった。
それはもう、この半年ほどずっと続けてきた事。特に何もない。
自分のロッカーの最後の整理をしようと、席を立ちあがる。
沸きあがる教室内で、ただ一人呆然と過ぎ去る時を感じていた。
まるで、流れる雲のように。
あさ美だけが取り残されたように、他の者たちは騒いでいる。
麻琴もだ。
グループの女の子たちと、新しく買ったケータイの番号を教え合ったり
卒業アルバムにサインをしたり、キャーキャーと騒いでいる。
そんな麻琴を、あさ美は黙って見つめていた。
- 207 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)02時02分10秒
- ロッカーの中はカラッポのハズだった。
つい1週間前の大掃除で、几帳面なあさ美は全ての私物を持ち帰ったからだ。
ところが、何もないはずのロッカーに一冊のノートが突っ込まれていた。
それは、あの日以来どこかへやってしまったピンクのノートだった。
麻琴との、思い出の。
あさ美は素早くそれを掴むと、逃げるように教室を去って行った。
もう帰ってはこない、この教室を。
麻琴のいる、この教室を───。
もう春だ。十分、そんな事はわかってる。
だけど気分が晴れないのは何故だろう。
…いや、そんな理由など当にわかってる。
たった一言、麻琴に謝りたかった。
許してくれなくてもいい。でも、直接自分から想いを伝えたかった。
でも、もうどうしようもない。
鮮やかな桜並木なのに、浮かない表情の少女が一人。
春の強い風が、彼女の長い髪を激しく揺らしている。
舞い散る桜の花は、まるであさ美を遠くの世界へ誘うように降り注いでいた。
- 208 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)02時02分48秒
- 「きゃっ」
いきなり、足場を踏み外した。
あんまりボーっとしていたせいで、歩道の終わりに気付かなかったのだ。
反射神経が良いおかげで倒れ込まずには済んだけれど、
大事に抱えていたノートを、空中で手放してしまった。
バサッ。という音を立てて、ノートが地面に落ちる。
「いやだな、もう…最後までついてない…」
ノートが風に吹かれてページを次々とめくっていく。
あさ美は一点を凝視したまま、動かなくなった。
ページが捲れるたび、頭の中で高速に回転する思い出たち。
麻琴と過ごした日々。
あんな事を書こう、こんな事を書こうと考えた夜。
バサバサと音を立てて流れる紙の上に、あさ美は思い出を重ねていた。
「あ……」
あのページだ。
思い出したくもない、あのページ。
あさ美が麻琴へ想いを告げた、最後の…。
◇7月12日(雨) 担当:あさ美
ずっと、好きだったよ。
麻琴ちゃんの事。
ごめんね。
ごめん。マコト
- 209 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)02時03分29秒
- 思い出したくない、思い出したくない…。
頭の中でフルに思おうとしても、どうしても考えてしまう。
麻琴が好き。麻琴が好き。麻琴が好き…。
ただそれだけ、他には何もない。
風が吹くたびにノートはパラパラと、白紙のページを写し出す。
あさ美と麻琴の思い出と同じく、そこには何もなかった。
あさ美の想いも、そこにはない。
風は止み、ノートのページは後ろから2番目のページで止まった。
そのページに、見たこともない書き込みがされている。
約半年前には、なかったはず。
あれから一度もこのノートを見ていないのに…。
◇3月9日
今までありがとう。
アタシも、好きだったんだ。本当は。
もう一度、話がしたい。待ってる。
許してくれないって、わかってるけど。 マコト
- 210 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)02時04分01秒
- そこには、まだ新しい筆跡でケータイの番号も残されていた。
昨日の、日付け。
麻琴の最後の言葉。
「…嘘…」
信じられない。
何、これ。
こんな事が、あっていいの?
なんで?なんで?麻琴ちゃん、私を嫌いだったんでしょ。
知ってるよ。だって、麻琴ちゃんの事だもん。
それなのに、何で───。
「嘘…嘘だよね。麻琴ちゃん、嘘だよね…嘘だよね…」
「嘘じゃないよ」
振り向いた先に、彼女がいた。
その手に、卒業証書を抱えて。
笑顔で、あさ美を見つめていた。
嘘じゃない、嘘じゃない。
夢でも幻でもない、本当の───。
2人の間で舞い落ちる桜の花が、どこかへ連れ去るように降り注いでいた───。
- 211 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)02時04分33秒
◇◇◇おしまい。◇◇◇
- 212 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)02時05分06秒
- スレ占領スマソw
- 213 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)02時05分36秒
- おがこんまんせー
- 214 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月18日(金)21時13分08秒
- あーこういうの大好きだ。
- 215 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)21時15分53秒
- これ書いたの誰?
- 216 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月18日(金)22時23分46秒
- (・∀・)イイ!
- 217 名前:( ゜皿 ゜) 投稿日:2003年04月19日(土)16時32分45秒
- 「あさ美ちゃん、ほっぺ膨らますと可愛くなくなるよ」
「……」
「そんなに怒んないでよ〜。ほっぺた突っつくよ?」
「誰のせいだと思ってるのよ」
「ごめんねってば∬´▽`;∬」
事の起こりは、まこっちゃんが私との約束を破ったこと。
一昨日私が「一緒に映画見に行こう」と誘い、最初は承諾していたのに、翌日、つまり昨日になって
「あさ美、やっぱ映画行けない…∬´▽`;∬」と電話で言われた。
それがもとで、今日楽屋で大喧嘩。あげくのはてに飯田さんに怒られ、クローゼットに閉じ込められた。
「これだけ謝ってるのに許してくれないの?」
「あたりまえ」
「……そっか、あさ美ちゃん私のこと嫌いなんだね」
「そんなこともないけど……」
「ううん、そうだよ。嫌いじゃないのにこんなひどい仕打ちするはずないもん」
暗闇の中で鼻をすする音が響いた。
- 218 名前:( ゜皿 ゜) 投稿日:2003年04月19日(土)16時33分57秒
- 「……泣いてるの?」
「ないてなんか、ないもん……グスッ」
もしこの時私の目が暗闇に慣れていたら、彼女のうそ泣きに気付けていただろう。
「グスッ……」
「ごめんねまこっちゃん。ちょっと意地悪してみたくなっただけだよ」
「グスッ……、ほんと?もう怒ってない?」
私はまこっちゃんの首の後ろに軽くチョップをかましながら言った。
「これくらいで許してあげる」
まこっちゃんは私にもたれかかって来た。
演技かと思い「やめてよー。重いよ」と言ったがどうも様子がおかしい。
目を凝らしてよく見ると、彼女は口から泡を吹いて失神していた。
- 219 名前:通りすがりの名無し 投稿日:2003年04月20日(日)02時48分22秒
- 気持ちがいいまどろみに身を任せる。
彼女はゆっくり机に伏せて、大きく深呼吸をした。
真新しい机には木の香りが。
シャワーに入ったばかりだから、微かに香るシャンプーの香りも。
全てがとても心地が良くて、窓から差し込む太陽の光は温かく、
昼寝するには絶好の機会ともいうべきなこの状況。
もう寝るしかないと思った。
ここで寝なきゃ、いつ寝るんだと思った。
彼女はもう一度深呼吸をする。
暖かい太陽の光にすら、まるで香りがあるかのように、いい匂いがした。
- 220 名前:通りすがりの名無し 投稿日:2003年04月20日(日)02時49分11秒
- 「れーいな」
いつの間に座ったんだろう。
隣の席にちょこんと腰掛けた少女が、眠りにつきかけた彼女を揺り起こす。
「こんなところで寝てたら風邪ひくよ」
ひいたっていいよ。
今はまず、寝かせて。
心で強く思っても口に出さなきゃ相手に伝わるはずがなく、
彼女の気持ちを知らずに、少女は何度も何度もその身体を揺らした。
最初は鬱陶しかっただけのその揺れ方も、慣れれば段々とゆりかごの様に、
電車の揺れのようにちょうどいい心地良さを作り出す。
揺らされて眠くなるのは、心臓と同じリズムを、
もしくは近いリズムを刻んでいるかららしいということを、前にテレビで見た。
彼女の頭はそんなことをぼんやりと思い浮かべた状態で、
ゆっくりと眠りの世界へと足を進めていく。
- 221 名前:通りすがりの名無し 投稿日:2003年04月20日(日)02時49分48秒
- 「れいな?」
少女の声はまるで子守唄みたいだ。
眠らされる彼女、つまりれいなと呼ばれた彼女は、
眠っちゃいけないという忠告を聞きながらも、起きる気配は見せない。
呆れたような顔で少女は席を立った。
れいなも、少しだけ晴れてきていた頭の中の霧へ向かって、また一歩踏み出す。
甘い夢が見えた。
目の前に広がってくる都合のいい夢は、れいなを手招きする。
無理に抵抗することもないか。
れいなはそんなことを考えながら、いや、むしろ何も考えられないまま、
のんびりとその夢へ向かって歩みを進めていく。
「れいなぁ」
その足を止める声が後ろから聞こえてきた。
振り返れば、またさっきの少女。
- 222 名前:通りすがりの名無し 投稿日:2003年04月20日(日)02時50分18秒
- 「早く起きてよぉ」
「…別にいいじゃん、眠いんだよ」
今にも落ちてしまいそうな瞼を擦って、それだけ答えた。
その返答がよほど不満だったのか。
少女は、むすっと頬を膨らませてかられいなの方へ近づいてくる。
「一緒に買い物行くって約束しちょったのに!」
そういえばそんなことも言ったような気がする。
れいなはおぼろげな記憶を、ちゃんと働かない頭の中から引っ張り出す。
「約束破ったら罰ゲーム!!」
「罰ゲーム?」
「腕を組んで一緒に新宿歩いてもらいます」
「………」
少女の言った情景は、簡単に思い浮かべることが出来た。
楽しそうに人の腕を引っ張ってショッピングを楽しむ少女。
その隣で迷惑そうに顔を顰めるのは、自分。
- 223 名前:通りすがりの名無し 投稿日:2003年04月20日(日)02時51分04秒
- 「それっていつもと同じじゃん…」
「あ、そっか」
ぽんっ、と手を叩いて笑ってる顔が見えた。
いや、見えたという表現は本当はおかしいんだろう。だって自分は寝てるんだ。
机に伏せて、窓際の机で眠っているはずなんだ。
でもだったら何故こうやって振り返って彼女の姿が見えるんだろう。
なんだかおかしい。いつの間にこんな場所にいるんだ。
そもそもここはどこだ、夢の中か、現実か、それとも自分の妄想か。
微かに香る匂いだけがやけに強く感じた。
風が吹いて髪が揺れて、それが自分のシャンプーだったか、
目の前に立つ少女の香りだったのか、わからない。
「ねえ、早く起きてよ、れいな」
にこにこと笑う顔。
聞きなれたはずの声がどこか遠くから聞こえてきてるような気がして、
もう一度れいなは、瞼を擦る。
- 224 名前:通りすがりの名無し 投稿日:2003年04月20日(日)02時51分43秒
- 「起きて、れいな」
少女の姿はまだ見える。
だけどすぐに消えてしまいそうで、危ういその姿に手を伸ばしかけながら、
別に消えてもいいじゃんと無理やり自分に言い聞かせて。
コレは夢かもしれないんだ。
夢なら、別に消えたって構わない。
でももし万が一、コレが現実だったら、どうしようか。
一寸だけ考えて、後ろをゆっくりと振り返る。
さっきまで向かっていたはずの夢への入り口はとっくに塞がれていて、
れいなが向かうべき道はもう、一つしかなくなっていた。
- 225 名前:通りすがりの名無し 投稿日:2003年04月20日(日)02時52分14秒
- 「れいなぁ…」
甘い香りがする。
強くて甘い、いい香りがする。
花の蜜に誘われた蝶のように、仕方なく少女のほうへ歩き出す。
仕方ない。ここまで言われたんなら起きてやるか。
れいなは苦笑しながら近づいて、腕に抱きついてくる少女を軽く小突いた。
「ばーか」
「えへへ」
甘い香りがする。
その道の先から、強くて甘い、いい香りがした。
- 226 名前:通りすがりの名無し 投稿日:2003年04月20日(日)02時52分58秒
- ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「…さゆ?」
絵里は不思議そうな顔で楽屋の中へ入った。
目の前には幸せそうな顔で机に突っ伏したまま眠るれいなと、
それを嬉しそうな表情で眺め続けている、さゆみがいる。
「何してるの?」
「れいなが寝てるから、起こさないように気をつけながら観察してるの」
「…あ、そう」
れいなが起きてこのことを知ったら怒るだろうな。
そう思いながらも、絵里は少しだけれいなの寝顔を覗きこんで、微笑んだ。
多分さゆみが気遣って自分のコートをかけてあげたんだろう。
れいなは温かそうに、もぞもぞと身体を動かす。
「なんの夢見てるんだろうね」
「私の夢だよ」
「さゆってば自信過剰すぎ」
面白い冗談を言うと言わんばかりに笑う絵里に向かって、
さゆみもとびっきりの笑顔を浮かべてみせた。
「私の夢だよ」
もう一度繰り返して、彼女は小さく笑い声をあげる。
コートから香る甘いポプリの匂いが、その部屋の中を、優しく満たしていた。
- 227 名前:通りすがりの名無し 投稿日:2003年04月20日(日)02時53分54秒
- ◇ ◇ えんど。 ◇ ◇
- 228 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月20日(日)03時08分13秒
- 好き…
- 229 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月21日(月)22時05分02秒
- れなさゆも(・∀・)イイ!!
- 230 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月24日(木)21時25分56秒
- 緊急テスト
- 231 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月26日(土)20時38分55秒
- ___
テスト
- 232 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月26日(土)20時41分55秒
- ──てすと
- 233 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月27日(日)23時55分54秒
- てすと
- 234 名前:名無してすと 投稿日:2003年05月03日(土)16時36分30秒
- てすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすと
- 235 名前:名無してすと 投稿日:2003年05月03日(土)16時39分01秒
- てすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすとてすと
- 236 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月03日(土)22時12分28秒
- てすと てすと
- 237 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月04日(日)23時10分26秒
- テント
- 238 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月05日(月)13時54分38秒
- そんなこと言うから∬+`▽´∬怒っちゃったし。
そんなこと言うから∬つ◇`;∬ 泣いちゃったじゃんか。
そんなこと言うから∬∬∬´)そっぽ向かれて。
そんなこと言ったら∬´×`∬ 黙っちゃうでしょ。
そんなこと言うから∬*´▽`∬照れちゃったじゃない。
∬´◇`∬<雲になりたいな
- 239 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月06日(火)05時37分09秒
- そんなことするから∬´,_ゝ`∬プッいじけちゃったよ。
- 240 名前:マッチ売りのあさ美 投稿日:2003年05月07日(水)00時33分27秒
- それは、とても寒い冬の日のことでした。
紺野あさ美は、とても身なりの貧しい少女でした。
毎日毎日、道端でマッチを売って生活していました。
今日はいつもよりも寒くて、雪が降っています。
あさ美はそれでも、できるだけ体を小さくしながら、道行く人にマッチを売りつづけました。
「あの、すいません」
「はい……」
「あの、マッチ……」
あさ美は最後までいえませんでした。
なぜなら、その少女は、泣いていたからです。
「どうしたんですか?よかったら私に話してみてください」
「ううっ……さみしくなんか、ないもん。がんばってるもん……」
あさ美には、内容は良く分からないけれど、深い悲しみが伝わってきました。
そこで、売り物のマッチを一本擦り、少女の頬にかざしました。
するとどうでしょう、みるまに頬の涙が乾いていくではありませんか。
- 241 名前:マッチ売りのあさ美 投稿日:2003年05月07日(水)00時33分57秒
- それだけではありません。
それまで見てる方まで辛くなるように悲しい表情だった少女の顔に、
寒さも吹き飛びそうなほどの暖かな笑顔が浮かんだのです。
あさ美は、マッチは一本売れなくなってしまったけれど、とても満足した気持ちになりました。
少女は麻琴と名乗り、必ず御礼に来ると言って去って行きました。
あさ美はまた、マッチ売りを再開しました。
「あの、すいません」
「はい……」
「あの、マッチ……」
あさ美は最後までいえませんでした。
なぜなら、少女は今にも倒れそうなほどに震えていたからです。
あさ美に声をかけられて気が抜けたのか、少女は地面にぺたりと座り込んでしまいました。
思わずあさ美は、マッチを一本擦って少女の目の前にかざしました。
- 242 名前:マッチ売りのあさ美 投稿日:2003年05月07日(水)00時34分31秒
- マッチは物凄い勢いで燃え始めました。
あさ美が思わず手を離しても、マッチは燃えつづけました。
しばらくすると、少女もあさ美もすっかり温まって、自然に笑みがこぼれました。
少女は里沙と名乗り、必ず御礼をすると言って去って行きました。
あさ美はまた、マッチ売りを再開しました。
「あの、すいません」
「はい……」
「あの、マッチ……」
また、あさ美は最後までいえませんでした。
なぜなら、少女が怒りを剥き出しにした表情をしていたからです。
「どうしたんですか?よかったら私に話してみてください」
「私は安全運転してたのに、信号無視した車がぶつかってきて何も言わずにどっかいったの」
みると、少女のすぐ後ろに、紙くずのようにぐしゃぐしゃになった車が転がっていました。
あさ美は、マッチを一本擦りました。
- 243 名前:マッチ売りのあさ美 投稿日:2003年05月07日(水)00時35分05秒
- するとどうでしょう。
気化したガソリンに火が引火し、大爆発が起こりました。
街は混乱し、炎はいつまでも燃えつづけました。
あさ美は、火傷を負いましたが、命は無事でした。
しかし、そんなあさ美の目に、鬼のような顔をした少女がうつりました。
手をだらりとぶら下げています。
殺される、と思ったあさ美は、思わず逃げ出しました。
空腹と寒さとやけどの痛みに耐えながら、夜の路地を走りました。
しかし、相手も負けてはいません。
一定の距離を保って追ってくるのです。
このままではつかまると思ったあさ美は、角を曲がった所で止まり、
壁に背中をつけて相手を待ちました。
三秒とたたずに、足音はすぐそこまできました。
が、次の瞬間、足音はぴたりと止んだのです。
混乱したあさ美は、じっと息を潜めたまま考えました。
相手は私が動くのを待っているのか、それとも何か別の理由が……。
- 244 名前:マッチ売りのあさ美 投稿日:2003年05月07日(水)00時35分36秒
- あさ美はゆっくりと瞼を開けました。
どうやらここはモーニング娘の楽屋のようです。
しかし、誰もいなく、明かりも点いていなかったため、
あさ美は始めさっきの夢の続きかと疑いました。
ゆっくりと、楽屋のドアが開きました。
あさ美はそれを食い入るように見つめました。
ふと、どこからか悲鳴のような声が聞こえてくるのが分かりました。
夢の残滓が脳の内側にこびりついているのかと思い、あさ美は強く目を閉じました。
しかし、声の音量は大きくなる一方です。
「チャミバースデー トゥーユー!」
突如、何かがいっせいに部屋に入ってきました。
その時になってあさ美は、今日が誕生日であることを思い出しました。
明かりがつけられ、保田さんや六期を含めたメンバーが勢ぞろいしました。
「紺野あさ美、16歳の誕生日を祝って、かんぱーい」
- 245 名前:マッチ売りのあさ美 投稿日:2003年05月07日(水)00時36分19秒
- せまっ苦しい部屋に、ジュースやお菓子の匂いと、それを口に入れる音が充満しました。
仲間の笑い声に包まれ、あさ美は心地よい気分に酔いしれました。
先輩メンバーたちと談笑し、同期、六期メンバーと菓子に手を伸ばしながら、
幸せな夜は更けて行くのでした。
- 246 名前:こんこんおめ。 投稿日:2003年05月07日(水)01時54分10秒
「あーよかった。」
- 247 名前:こんこんおめ。 投稿日:2003年05月07日(水)01時55分20秒
- ガシャーン
「ひ、ひっく…」
「あ、あさ美ちゃんがお酒飲んじゃったっ!」
それが、悪夢の始まりでした。
◇◇◇
「あさ美ちゃんの誕生日会をしよう」、と言い出したのはもともと麻琴だったんです。
あさ美ちゃんってそういうイベントが大好きで、私や麻琴の誕生日会を
開いてくれたのはあさ美ちゃんでした。
私の時は、旬のぶどうで作ったケーキを一生懸命作ってくれたし
麻琴の時は、麻琴の大好きなかぼちゃケーキを作ってくれました。
見た目も綺麗だし、味も凄くおいしくて。
私たちはその時、「あさ美の誕生日会、絶対してあげようね」って決めたんです。
里沙ちゃんですか。
「私の眉毛すごいですかー」とか訳わからない事言ってたんでほっときました。
- 248 名前:こんこんおめ。 投稿日:2003年05月07日(水)01時57分48秒
- ───
あさ美ちゃんの誕生日会は、お仕事が終ってから始まりました。
私と麻琴と里沙ちゃんで、こっそり準備を進めていたんです。
「愛ちゃん、ケーキOK?」
麻琴が私に聞いたので、私はバッチリと合図をしたんです。
「OKやよー。冷蔵庫に入れてあるんやよ」
「里沙ちゃん、ジュース買ってきてくれた?」
今度は、麻琴が里沙ちゃんに聞きました。
里沙ちゃんには、仕事が終る前に飲み物の調達を頼んでたんです。
でも里沙ちゃん、太いマユゲを毛虫みたいにうねらせて、
「ニィ?ジュース?」
ってとぼけた顔をしたんです。
私たちが驚いて顔を見合わせると、里沙ちゃんはふふん、と得意気な顔をしました。
そして自分のブランドもののバッグを「よいしょ」とたどたどしく持ち上げ、
中から何かの瓶を取り出しました。
「これだニィ!パパから1本、貰ってきたんだニィ!」
里沙ちゃんが取り出したのは、深緑色の瓶でした。
英語でロゴが入っていて、私にはよく読めませんでした。
- 249 名前:こんこんおめ。 投稿日:2003年05月07日(水)01時58分45秒
- 「これ…」
「もしかして…」
「そうだニィ。新垣家に伝わる幻の名酒、その名も【ニィニィ】だニィ!」
バキッ
私と麻琴は取り合えず里沙ちゃんをぶん殴って、廊下に放り出しておきました。
───
二人だけで準備を終え、いよいよあさ美ちゃんを呼びました。
今日は一応、5期メンバー三人だけでお祝いをしたいな、と思ってたんです。
だから、先輩たちにも内緒だったんです。
ドアを開けたあさ美ちゃんは、目をまん丸にしながら
その瞬間に涙を流し始めました。
「二人とも、ありがとう」って。
私と麻琴も感動してしまって、あさ美ちゃんを囲んで三人で泣きじゃくりました。
あさ美ちゃんは何度も何度も、「ありがとうありがとう」って言いました。
そうして、プレゼントを渡したり、ご馳走を食べたりして三人で過ごしていたんです。
でも、私たちは肝心な事を忘れていました。
- 250 名前:こんこんおめ。 投稿日:2003年05月07日(水)01時59分15秒
- 「あー喉乾いた」
そう言ったのは、あさ美ちゃんでした。
そうです。里沙ちゃんのせいで、飲み物がなかったんです。
私たちもそれにようやく気付き、麻琴とどっちが買いに行くかと話はじめたところでした。
「あっ、やだ。こんなところにあるじゃない」
「へ?」
「これ貰うね」
「え……」
あさ美ちゃんが手にしていた瓶。
それは、深緑色の…。
「ひ、ひっく…」
「あ、あさ美ちゃんがお酒飲んじゃったっ!」
「……がぁぁぁぁ!!!!!!!」
- 251 名前:こんこんおめ。 投稿日:2003年05月07日(水)02時00分00秒
- ◇◇◇
その日の事ですか。
あんまり覚えてません。
ただ、目が覚めた時に里沙ちゃんの眉毛がまばらになっていたことと、
いつ来たのか飯田さんや矢口さんが部屋の隅っこでうずくまって気絶していた事くらいしか。
あさ美ちゃんの
「もうっ。人の誕生日にみんなで酔っ払っちゃって!片付けるの大変なんだから!」
という言葉を聞いて、お誕生日会が最初で最後だと悟った私なのでした。
- 252 名前:一秒前に 投稿日:2003年05月07日(水)15時41分49秒
「誕生日おめでとー!」
「16歳かー。若いなー」
メンバーが開いてくれた小さな内輪パーティ。
みんなでお祝いしてくれるのは嬉しいんだけど、まだあの人にちゃんと祝いの言葉をもらってない気がして。
そういえば保田さんに勧められて、マネージャーとかには内緒で飲んだお酒も結構きつかった気がして。
喧騒から離れたくなって、私は一人、外の空気に当たりにいった。
バルコニーには小さなベンチがあって。
何で安倍さんのうちにはこんな大きなベランダがあるのかなとぼんやりと考えながら、
私は沢山の星に包まれるようにして、夜空の下に佇んだ。
いきなり大きな叫び声が聞こえたから後ろを振り向いてみると、あの人はまだ楽しそうにみんなの輪の中で笑っていて。
「…あーあ。二人っきりになりたかったな」
何にも答えてくれない夜空に向かって、一人呟く。
でもあの人は知らないんだろうな。私が本当はもっと、甘えたいんだっていうこと。
今まで思ったことはあっても、一度も「二人きりになりたい」とか言った事ないし。
- 253 名前:一秒前に 投稿日:2003年05月07日(水)15時42分47秒
- お酒がまわってきたのか立ってるのも疲れてきて、私はそのまま後ろのベンチに腰掛けた。
プラスチックから通ってくる冷たさと頬を撫でる夜風が気持ちよくて、目をつぶる。
そういえばさっき時計を見たら11時45分だった。後ちょっとで、誕生日が終わってしまう。
後ろからまた、あの人の笑い声が聞こえてくる。
「…ばーか」
私はもやもやする頭の中でそれだけを呟いて、もう一度目をつぶった。
でもそんなに簡単に眠れるものでもなくて。
5分ぐらい目をつぶってみたけど自分でも気付かなかったくらい、体が興奮してたみたいで寝つけなかった。
そろそろ戻ろうかな、と目を開けようとした、その時。
横に、人の気配を感じた。
「あさ美、こんなところで寝てんの?」
心臓が飛び上がるかと思った。気配で何となく分かったけど、それはやっぱりあの人の声。
「本当、どこでも寝れるんやねー、あさ美は。羨ましいわぁ」
その瞬間、夜風にあたって冷たくなってる私の体に、何かがかけられた。
微かに、あの人の匂いがする。
あぁ、今日あの人が着てたカーディガンじゃん。
私は何となく嬉しくなって、もう少し狸寝入りをしてみようかと思った。
- 254 名前:一秒前に 投稿日:2003年05月07日(水)15時43分29秒
- 「…あさ美の寝顔って、可愛いなぁ…」
消え入りそうに、本当に小さな声で。でもいつもと同じようにあの訛りのある早口で。
あの人はそう呟いて、同じように横に座った。
私の心臓はいつも以上に早くなってたし、あの人は結構密着して座ってきたから、体もだんだん熱くなってきて。
狸寝入りしてるのが気付かれないように、私は息を整えた。
「あさ美ももう、16かぁ。9月まで、私と同い年やね」
私が起きてると知ってるのか、あの人は一人でそんな事を言い出した。
「何かいろいろあったけど、モーニング娘。に入ってもうすぐ2年経つねんね。あさ美とももう、2年の付き合いになるんやね」
その時、前髪がふわっと浮かんだ。そして何となく頬がくすぐったい。あの人の指が私の顔をつたってる。
「…あさ美のこと好きになって、もう2年も経つんかぁ…」
言葉とは裏腹に、あの人の指がだんだん豪快になってきて。しまいには私のほっぺをつっついたりつねったりしだした。
「ほんっとあさ美のほっぺはぷにぷにやねぇ〜」
そんな事どうでもいいから。仮にも気持ち良さそうに眠ってる人のほっぺをそんな風にして遊ばないの!
しかも、さっきまでの雰囲気はどこに…?
- 255 名前:一秒前に 投稿日:2003年05月07日(水)15時44分17秒
- 「ん〜、可愛いなぁー。キスしちゃおっかなぁ〜」
その瞬間、また私の鼓動は一気に高鳴る。な、なに緊張してんの。こんな他の人たちがいるところで、するはずないじゃん。
ただ冗談言ってるだけだよ。そうだよ。だからそんなに緊張しなくていいって、紺野あさ美。はは、私ったら早とちりだなぁ。
そうやって頑張って自分を落ち着かせようとしてたのもつかの間。
目を閉じてても、周りの明るさって分かるんだよね。ずっと明るかったはず目の裏が、段々暗くなってきてるのが分かる。
私の顔の前に、明かりを遮る何かが近づいてきている…。
――だ、だめだよ愛ちゃん、こんなとこで…。
――他の人が見てたら…あ、だ、だ、
「だめー!!」
叫びながら思いっきり手を伸ばしてみたけど、そこには空気しかなくて。
おそるおそる目を開けてみると、目の前には愛ちゃんの手の平があるだけで、顔なんてなかった。
ちょっと首を傾けると、いつも以上に目を丸くしてこっちを見てるあの人の顔。
暫くして、思い出したように大きな口をあけて大声で笑った。
- 256 名前:一秒前に 投稿日:2003年05月07日(水)15時44分53秒
- 「あー。あさ美やっぱり嘘寝してたんだー。しかも何か騙されてるでよー。あははははは」
「ちょっ、もう愛ちゃんのせいじゃん!こんなとこでき、キスとかいうから…」
「勝手に勘違いするほうが悪いんよー」
「もう、ばかー」
私は手を振り上げて、愛ちゃんの肩を押そうとした。
でもその時、確かに彼女の顔は目の前にあったんだけど、その顔が急に近づいてきて。
本当にほんの一瞬。多分誰も見てなかったと思うし、私も自分の目を疑うぐらいだったけど。
愛ちゃんの唇は確かに、私の唇に触れて。
私は何で怒ってるのかも忘れて、ただ手をあげたままの格好で固まってた。
「16歳の誕生日おめでとう、あさ美!」
何で私が硬直してるかなんてお構い無しに、愛ちゃんは嬉しそうに笑った。
その時、部屋の中からぼーんぼーんという音が聞こえてきた。
そういえば安倍さんちにはおっきな古い時計があったと思い出す。
私の誕生日が終わる、日付が変わる、ちょっと前。
愛ちゃんは私に、最高のプレゼントをくれた。
おわり
- 257 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月07日(水)22時23分03秒
眠れない夜に見る風景
なだらかな丘陵と真っ青な空、澄んだ空気が与えられたとする。
遠景には白く輝く山脈を配し、青一色の空にナイフでひいたような細長い雲を数本。
地面には明るい緑色の絨毯を敷き、丘陵の向こうには黒に近い緑が覆っている森林。
彼方から伸びている低い木製の柵。白いペンキは少し剥げかかっているくらいがちょうどいい。
おっと。
あと私自身がこの場にいた方がいいか。一本の木立で日陰を作って、盛りあがった根っこに膝を抱えて座る。
これで準備は万端。あとは数えるだけだ。
ん? 数えるにはカウンターでもあった方がいいかもしれない。
クロム鍍金の、交通量調査なんかに使ってるあれ。あれを手元に一つ。
よし、じゃあ始めよう。
- 258 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月07日(水)22時23分36秒
- 丘陵の彼方から駆けてくる小さな白い物体。近付くにつれてその正体が明らかになる。
ふわふわとした白く長い巻き毛、渦のように曲がった角、……うーん。
いざディティールを思い出そうとすると、なかなか細かいところまで把握していないことに気付いた。
その辺は特にこだわることでもないか。とりあえず白くてもこもこしてて手足と顔がついていれば分かる。
子供の書いたイラストみたいな羊は、ひらりと柵を飛び越えて草原の上で立ち止まった。
私はカウンターのボタンを押して呟いた。
「羊が一匹」
数が五十を越えるころになると、大分この作業にも慣れてきたようだ。
あんまり遠くから走らせると時間がかかるから、近くに畜舎を造った。
小さなものだったが、別になにもない空間から現れるというあり得ない状況が防げればいいのだ。
- 259 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月07日(水)22時24分09秒
- 100。200。300。
私の座っている目の前の草原はもはや羊で埋め尽くされていた。泣き声はよく知らないから静かではあったが、
左右で白と緑に真っ二つにカラーリングされているような風景が少し気持ち悪かった。
500を越えてくると、大分飽きてきた。さすがにここまでしぶといとは思わなかった。
私はジャンプする羊にいろいろとバリエーションをつけてみた。宙返りさせたり、柵の上で逆立ちさせたり、
中には失敗してひどく転んでしまう羊もいて可哀想だったけど、仕方がない。
1000の大台に乗った。羊に飽きた私はいつしか訳の分からないものまでジャンプさせていた。
犬猫猿牛ヤギダチョウカエルワニティラノサウルスゴジラピグモンエイリアンガンダム……
目の前の混乱はいよいよひどいものになってきた。狼が暴れ始めたので慌てて削除した。
眠れない眠れない眠れない……
- 260 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月07日(水)22時24分39秒
- くらくらした頭で、カウンターのボタンを押す。「羊が1444……」
と、柵の上でくるっと回転して着地した羊は、二本脚で立ったままスキップで私の元までやってきた。
いや、それは羊じゃなくて辻さんだった。似てると言えば似てるが。……
「あさ美ちゃん、なにやってるの?」
「いやー……」
見渡す限り羊、一部変な生物も混じった丘陵を眺めて、私は苦笑いを浮かべた。
「眠れなくて」
「それで羊を数えてたの?」
「うん。昔保田さんがそんなこと話してて、……」
「よりによってえらい人の意見取り入れたね……」
辻さんは言うと、私の隣に座り込んで羊のかぶり物を頭だけ脱いだ。
「でもあさ美ちゃんが眠れないなんて珍しいね」
「……そうですか?」
「普通そういうのって繊細な人とかがなるものだもん」
「えー、わたし繊細ですよ」
と言いながらも、確かにこれまで不眠に悩まされたことなんてなかったのだ。
- 261 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月07日(水)22時25分11秒
目の前では絶えることなく、柵を次々と羊やそれ以外の生物が飛び越えていっている。
私は、いつから数を数え忘れているのかわからなくなったので、カウンターを捨てた。
「やーめた。こんなの全然効き目ないよ」
「100くらいで気付こうよ……」
「辻さんは、眠れないってことはないんですか?」
私の質問に、辻さんは八重歯を見せて笑うと、
「毎晩ぐっすり」
「ですよね。あれだけ食べてればね……」
「あさ美ちゃんにだけは言われたくないよ……」
この話題はイヤだったので適当に話を変えた。
「他のメンバーとかはないのかなあ」
「飯田さんはお薬飲んでるって言ってたよ」
「睡眠薬か……」
飯田さんの隈の浮いた眼を思い出す。
あの人はでも昼間から夢の世界だからな……
- 262 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月07日(水)22時25分43秒
- 「でも普段ないのに今眠れないってことは、なにか昼間にあったんじゃないの?」
辻さんの言葉に私は頷いた。言われてみればそうかも知れない。原因がなにかあるはずだ。
「でも今日ってなにかありましたっけ?」
「今日は……収録が八時までやってた」
「いえ、そのあとに」
「知らない。あさ美ちゃんたちは帰ったんじゃないの?」
「あ、いや……今日私の誕生日だったんですよ」
私は少し口ごもりながら、
「それで加護さんがパーティーをやってくれるっていうんで、五期の子たちと」
「あーじゃあののはハブにされたの?」
「いえ、そ、そういうわけじゃ。ホントにその場で急に出て来た話で……。辻さん
先に帰っちゃってたじゃないですか」
「五人だけで行ったんだ」
「いえ、たまたまそこにいた石川さんが付いてきて、六人で」
「ふーん……で、どこ行ったの?」
辻さんの目つきが怖くて、私は目を逸らした。
「カ、カラオケです。それでいきなり石川さんがマイクを持って……」
- 263 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月07日(水)22時26分14秒
- その時のことを思い出して、私は頭を抱えた。
辻さんもなんとなく察してくすくすと笑っていた。が、すぐに遠くから聞こえてくる
物音に表情を強張らせた。
「あさ美ちゃん、思い出さないでもいいよぉ」
しかし遅かった。畜舎から超音波の無調ヨーデルが響き、アルプス風の舞台設定に
不気味に溶け込んでいった。
石川さんはハイジみたいな服装で、手に白く丸いパンが入ったバスケットを
ぶら下げてスキップしてきた。
足首まである長くて拡がったスカートを履いていたのに嫌な予感がしたが、
関係ないので放っておいた。
スーパーモデルみたいな足のついたダルマに続いて、石川さんもひらりと柵を飛び越えようとした。
が、案の定スカートが引っかかり、甲高い悲鳴を上げながら地面へ頭から突っ込んでいった。
- 264 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月07日(水)22時26分44秒
- 腰まで埋まってじたばたと両脚を振り回している石川さんは無視して、私は辻さんの方を振り返った。
「だ、だから辻さんも来なくてよかったと思います……」
「別にいいけどー。じゃそれが眠れない原因だね」
「そうなんでしょうか……」
自信なさげに言う。
ここだけの話、実はそのあと五期の四人だけで、ちょっとアルコールも交えながら
自分たちの将来のこととか、割と深い話もしたような記憶がある。
辻さんはすっと立ち上がると、また羊のかぶり物を身につけて、
「じゃー辻はもう寝ます。おやすみなさい」
そう言うと、ぴょんぴょんとまた柵の方へ小走りに戻って、来たときのように飛び越えた。
柵の向こう側は、いつの間にか真っ黒な深淵になっていた。辻はなにもない空間へジャンプすると、無限の彼方へ消えていった。
それを合図にするように、目の前でひしめき合っていた羊その他の群れも一斉に深淵に向かって押し寄せた。
これは集団自殺だ。レミングだ。
- 265 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月07日(水)22時27分16秒
- しばらくすると、また私はなにもないアルプス風の風景の中に佇んでいた。
石川さんの両脚だったものはいつの間にか白樺の二叉の木立になっていた。
私は溜息をつくと、さらさらと靡いている緑色の地面に視線を落とした。
羊が一匹だけ残っていた。ちらっと深淵へ目を向けて、それから私の方を振り向いた。
弱々しく頼りない眼。なにかを責めるような、自分を責めるような、そんな眼だった。
羊は私をじっと見つめたままふらふらと近付いてきた。
私は慌てて立ち上がると、柵の向こうに口を開いた深淵へダッシュした。
直前、振り返って羊へ両手を挙げた。
「がんばってるよ、うん」
深淵へ身を投げる。ようやく、私は深い眠りへと堕ちていった。
終わり
- 266 名前:レモネードとシードル 投稿日:2003年05月08日(木)20時00分13秒
- 亀井、田中、道重の3人が
そそくさと私の前に出てきました。
3人とも手に何やら持っています。
どうやらコンビニの袋です。
どこかまだ緊張しているようすで
ぎこちない照れ笑いを浮かべながらまごついています。
意を決したように亀井が小さな声で合図します。「せーの…」
「「「紺野先輩!お誕生日おめでとうございます!」」」
「ありがと。昨日だけどね。」
「「「ガビーン!!!」」」
- 267 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月12日(月)20時25分29秒
- てすと
- 268 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月17日(土)16時09分58秒
- >>266->>267
- 269 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月17日(土)16時11分38秒
- >>267-268
- 270 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月18日(日)18時52分35秒
- 「君を忘れない」
- 271 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)18時53分42秒
- もうどれくらい何も口にしていないだろう。
喉は枯草のようにカラカラでもう声も出ない。
見渡す限りにあるのは岩と砂。
歩いても歩いても、何も無い。
太陽はジリジリと照りつけ剥き出しの肌を焦がすけれど
やせ衰えた神経はそれを感じることもしない。
目だけはギラギラと光り何か食べられるものが無いかと狙いをすませる。
草の一本くらい生えていてもよさそうなものだ。
- 272 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)18時54分31秒
- 麻で織られた自分の着物も、随分と前に引き千切って食べてしまった。
もう何も纏っていない。
あるのは右手に握られた一本のコンバットナイフ。
こればっかりは食べられない。
これはとても役に立つ。
何か、何か何か、食べたい食べたい食べたい。
岩陰に何か見えた。
いくらやせ衰えても私の双眸の機能は衰えない。
私の目は誤魔化されない。
今確かに、何かが動いた。
じっと息を潜める。
もう一度動いた。
その瞬間に私の手からナイフが放たれた。
突き刺さった先には5cmほどの小さなトカゲ。
- 273 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)18時55分13秒
- やった。
一目散にそれを掴む。
確認などしてる余裕は無い。
ばたばたと暴れるそれを一気に口の中に放り込む。
舌と歯の間でそれはキィキィと悲鳴をあげる。
一気に首を噛み切ると声にならない小さな音を立てて息絶える。
それと同時に口の中に広がる甘く甘く芳醇な汁。
美味い。
ひさしぶりの食事。
しかも肉だ。
ものの15秒でそれは私の胃の中に落ちてしまった。
口の中に残る肉の味がまだどんどんと唾液を出させる。
口の端を伝って涎が地面に垂れる。
- 274 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)18時55分47秒
- 食い足りない。
小さなトカゲ一匹だ。
食い足りない。食いたい。食いたい。
私はまた歩き出す。
何で歩いているのか分からない。興味も無い。
今日は私の20歳の誕生日だったっけ。どうでもいい。
今はただ食いたい。
食いたい。
+ + +
- 275 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)18時56分27秒
- 少女は悠然と、上品に立っていた。
純白のワンピースのドレスを纏い、青いリボンのついた麦わら帽、それから
水色の大きな日傘を差して、少し踵の高いサンダルを履いていた。
「何してるの?」
少女は私に笑いかけた。
恐ろしく美しい少女だった。
紅い唇、物憂げな長い睫とその妖艶さに似つかわしくない
あどけない笑顔。その両の頬にできた笑窪が少女らしい可愛らしさを一層に引き立てている。
何故この少女がこの荒野の真中にいるのか。
何故今私の前に居るのか。
- 276 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)18時57分15秒
- 口の中がカラカラで声が上手く出ない。
「…ぁ……ぁの…」
少女が首を傾ける。私の言葉を聞き取ろうと顔を近づけてくる。
少女の体からぷぅんと花の香りが漂った。
ついぞ嗅いだことの無い匂いに神経が乱れる。
「私は松浦亜弥。あなたは?」
少女は尚も顔を近づけ私の目を覗き込んでくる。
花の香りの所為か、私の口腔内にはわずかばかりの唾液が出され潤ってきた。
声が出せる。
「……藤本……美貴…」
「へぇ、美貴たんかぁ。」
少女は私の名前を2、3度口の中で反芻してから
太陽のような笑顔で、可愛い名前ね、と言った。
「……ねえ、…あなた…」
「亜弥」
「………亜弥」
「なぁに?」
- 277 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)18時58分18秒
少女のゆっくりな喋り方は、耳につくようなものでもなく
少女の可愛らしさを助長しているようにもみえる。
でも、今の私にとっては煩わしいことこの上ない。
「…何か……食べるもの、持ってない…」
私の口からは自然にその言葉が出た。
忘れていた訳ではない。
いや、忘れていたのかもしれない。
亜弥は一瞬の間だけでもすべてを忘れさせるような至上の美しさの持ち主だ。
しかし、私にとって重要なのはそんな事ではない。
亜弥の顔を期待を込めた眼で凝視する。
「食べるもの?もってないなぁ」
がっかりと肩を落とす。
よく見れば亜弥は傘以外には何も持ってない。
「……そう…」
「ねえ、美貴たんは何してるの?」
2度目の質問。
私は何をしているのだろう。
もう一度亜弥が顔を近づける。小首を傾げて、完璧な微笑を浮かべて。
私の瞳を覗き込んできた。
- 278 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)18時58分52秒
- ふと、その瞳に映るものをみた。
これが、…私。
そこに映るもの。
一子纏わない地肌には浮き出た骨しかない。
頬は抉り取られたかのようにこけ、目玉は顔の外側にまで飛び出している。
半開きになった口の端からは涎がだらだらとこぼれている。
これが人間だろうか?
以前の私の姿は人の中でも飛びぬけて美しかったはずだ。
これは何だ?
これは何だ?
醜い。
こんな生き物をいつか見たことがある。
そうだ、カメレオン。
私は醜いカメレオンだ。
私は餓えたカメレオンだ。
そうだ、私は餓えている。
何をしている?そうだ私は食べ物を探していたんだ。
- 279 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)18時59分32秒
「美貴たん?」
ほら、目の前にあるじゃないか。
美しい美しい獲物が。
醜い醜い私の獲物が。
あの肩から伸びる白い腕。
ほんのりと赤みがかった頬。
ふっくらと膨れた胸。
美味そうだ。
- 280 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)19時00分12秒
- 一瞬だった。
まるでカメレオンのように。
いつも何故かきつく手にもっていたコンバットナイフは、閃光とともに
亜弥の首に突き刺さった。
吹き上げる鮮血。
ナイフを更に深く潜らせる。
亜弥の月のように真っ赤な血が私の顔に降りかかる。
それを少し舌先を出して拭う。
美味い。
なんて美味いんだろう。
こんな美味いジュースを今までに飲んだ事が無い。
清らかで濃厚で官能的な。どうして早くこれを飲まなかったんだろう。
- 281 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)19時00分54秒
- 私は亜弥の首筋にむしゃぶりつき、夢中でその血を啜った。
やがて亜弥の顔からは血の気が無くなった。
青白い、それでもなお美しい。
亜弥の紅いワンピースを引き千切る。
豊満な裸体。
胸、腰、大腿、すべてが美しい。
その美しさに私は酔った。
醜い私が、それを汚し貪る。
その事に酔い痴れた。
どこから食べようか。
私は物言わぬ亜弥の身体に呼びかける。
どこから食べて欲しい?
亜弥の秘所に口付ける。
やっぱりここ?
その周りをちろちろと舌で汚したあと
一気に腿の付け根に歯を立てた。
- 282 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)19時01分24秒
- ちぎる。紅い。紅い。
美味い。
薔薇の花が咲いたようにそこはキラキラと光る。
こんなに美味いものを食べた事が無い。
美味い。
美味い。
美味い。
私は夢中で亜弥の肉をちぎり、噛み、すり潰し、飲み込んだ。
次は何処を?
私は、その美しいしたいを余す事無く貪った。
◇ ◇ ◇
- 283 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)19時02分24秒
- 「藤本さん」
………
「藤本さん、気分はどう?」
………誰?
目を開けた先には見知らぬ男。
「……ここは?」
辺りを見回すも、見知った景色ではない。
どこか殺風景な、そう、まるで
「ここは拘置所さ」
男が事も無げに告げる。
全く心当たりが無い。そもそも何時の間にこんな所に連れてこられたのか。
「分からないって顔してるね」
男は30代前半と言ったところだろうか
下卑た笑みを浮かべると口元に皺が浮き出た。
- 284 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)19時03分00秒
- 「君は今日、二十歳の誕生日だろ?」
そういえばそうだった。
私はお母さんが二十歳のお祝いにとなけなしのお金で買ってくれた腕時計を見た。
2月26日。確かに今日は私の誕生日だ。
「そう、そうだ。私は健康診断を受けにきたんだ…」
「思い出したかい?」
国の法律で、二十歳になった者は役所に健康診断を受けに行かなければならなくなった。
それで私も早いところ済ませようと役所に赴いたんだ。
しかしそれが何故拘置所にいるんだろう。
確か普通に問診されて。
………ベッドに寝かされて頭に…
- 285 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)19時03分38秒
「楽しい夢を見てたようじゃないか」
男の口調はいちいち癪にさわる。
が、今はそんな事ではない。
あの夢。あれは確かに私の見た夢。はっきりと憶えている。何で、この男が…?
「説明するよ。つまり君の見た夢はテストだったのさ。
国会で『犯罪者抑制プログラム』が極秘で施行されてね。
要するに犯罪に走りそうな奴をそうなる前に捕まえてしまおうって訳さ」
男は淡々と説明した。
つまりさっきの夢は誰もが見せられるバーチャルシュミレーションらしい。
極限の飢餓状態でとる行動によって合否が決まる。
それに失格したものは実際に何もしていなくともお縄になる。
犯罪予備軍なんだそうだ。
むちゃくちゃな話だが、実際にそういう世の中になってしまったのだから仕方ない。
一般人には知らされていないと言うのがなんとも不条理だけど。
目の前の男は合格したんだろう。
どうやって合格したのかは知らないが、それなりに金はかかりそうだ。
ちなみに私の行動は最低最悪のものらしい。
ははは。まあ、そうだろう。
- 286 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)19時04分54秒
こうして私は正式に囚人として独房に入れられる事になった。
どうやらテストは私のような囚人を対象に何年かに一度行われるらしい。
それで合格なら晴れて外に出られるんだそうだ。
同じ人間だから結果は変わらないと思うけど。そうでも無いのかな。
囚人暮らしは気楽でいい。
でもいいかげんで飽きた。
外のことになんか興味はないけど、
次のテストが待ち遠しい。
だって、
あの味が忘れられない…
- 287 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)19時08分15秒
- 川VvV从人从‘ 。‘从
- 288 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)19時08分51秒
- 川VvV从人从‘ 。‘从
- 289 名前:君を忘れない 投稿日:2003年05月18日(日)19時09分30秒
- 从‘ 。‘从人川VvV从
- 290 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月21日(水)16時40分59秒
- \∧_ヘ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,,、,、,,, / \〇ノゝ∩ < 350取り合戦、逝くぞゴルァ!! ,,、,、,,,
/三√ ゚Д゚) / \____________ ,,、,、,,,
/三/| ゚U゚|\ ,,、,、,,, ,,、,、,,,
,,、,、,,, U (..........:) ,,、,、,,, しーーん
//三/|三|\
∪ ∪
,,、,、,,, ,,、,、,,, ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
,,、,、,,, ( ) ( ) ( ) (
- 291 名前:りすぺくと 投稿日:2003年05月22日(木)10時32分55秒
- 目を覚ました時、そこはいつもの私の部屋でした。
だけど、一つだけいつもと違うところがあったんです。
私の顔のすぐ目の前に、誰かの顔がありました。
「あなたはだぁれ」
私は尋ねます。
顔がニコニコと微笑みながら、私に聞き返しました。
「おいらかい?」
満面の笑みを浮かべた顔は、まるで小学生の男子のように
可愛らしくて活発な表情をしています。
私は、もう一度尋ねました。
「どうして、ここにいるのですか?」
「きみがいるから」
顔は答えました。
なんだか不思議な人です。
でも、どこか懐かしいのは気のせいでしょうか。
- 292 名前:りすぺくと 投稿日:2003年05月22日(木)10時34分23秒
- 「あなたはだぁれ」
何度も何度も、私は尋ねました。
でも顔は、何度も何度も私に向かって「きみがいるから」と答えるだけで
自分から何も言ってきませんでした。
不思議なこの彼を、私はすごく気に入りました。
「私は、あなたが気に入ったのよ」
私が言うと、顔は嬉しそうな顔で「やったー」と喜びます。
それを見た私もまた、「やったー」と同じようにして喜びました。
ますます彼の事が気に入りました。
「不思議。私とあなたってなんだか似てるのね」
私がそう言うと、顔はもう一度だけ笑って言いました。
「そりゃそうだ」
「どういうこと?」
私が尋ねても、顔は何も言いません。
キョトン、とした顔で黙り込んだままでした。
「どういうこと?」
何度も何度も尋ねます。
それでも顔は答えません。
- 293 名前:りすぺくと 投稿日:2003年05月22日(木)10時35分08秒
- 結局、顔は黙ってしまいました。
私はつまらなくなって、もう一度目を閉じて眠りにつきました。
目を覚ました時、そこはいつもの私の部屋でした。
だけど、そこはいつものように私の部屋でした。
ただ、少しだけ違った場所があるとすれば。
私のベッドの真横に、何故か鏡が立てかけられていたことくらいでしょう───。
おしまい
- 294 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月22日(木)21時33分15秒
- テスト
- 295 名前:名無しそ 投稿日:2003年05月22日(木)23時18分56秒
- しそしょぼ
- 296 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月22日(木)23時33分35秒
- テスト
- 297 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月22日(木)23時35分20秒
- テスト
- 298 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月22日(木)23時36分01秒
- テスト
- 299 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月23日(金)16時15分29秒
- テスト
- 300 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月23日(金)20時49分37秒
- あがれ
- 301 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月23日(金)20時50分23秒
- オチテスト
- 302 名前:名無し読者。 投稿日:2003年05月25日(日)17時28分45秒
- age
- 303 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月25日(日)17時29分27秒
- ochi
- 304 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月25日(日)21時14分15秒
- age
- 305 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月25日(日)21時14分46秒
- ochi
- 306 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月26日(月)00時15分09秒
- ochi
- 307 名前:テスト 投稿日:2003年05月26日(月)18時48分01秒
- テスト
- 308 名前:てすと 投稿日:2003年05月26日(月)18時48分39秒
- てすと
- 309 名前:紺野聖誕祭 投稿日:2003年05月27日(火)15時40分02秒
- 遅れ馳せながら、紺野聖誕祭用に小説を一本投稿させて頂きます。
第十回短編集で投稿した「ダイヤモンドレイン」という作品の
続きというか、アナザーストーリー的なものです。
http://nagoya.cool.ne.jp/hybridrainbow/diamond.htm
あれはあれで完結しておりますので、今作はよろしければどうぞ、くらいで。
- 310 名前:紺野聖誕祭 投稿日:2003年05月27日(火)15時40分54秒
- 雨の日が好きじゃなくなったのは、天気雨が涙を流させたあの日からだ。
奇しくもその雨は、歩いて渡れるかのような濃色の虹を空に架けた。
霞みゆくその景色に、ぽつりと浮かぶ鮮明なグラデーション。
その虹の橋を、君は歩いて行ってしまったんだ。
そうやって天気雨のせいにでもしないと、悔しさで圧し潰されそうだから。
どうしてつまらない強情を張ってしまったのだろう。
どうして素直に、ごめんなさいを受け入れることができなかったのだろう。
それは私が君のことを───
短針と長針の追い駆っこは永久に終わらない。
悲しみと後悔が入り混じるこんな出来事も、何れ忘れさせてやろうというのか。
雨が君を唄っている。
私に届く、酷く悲しい唄。
忘れたくない。
例えそれが酷く悲しい唄だったとしても、忘れはしない。
今でも私は、精一杯時間を止めている。
独りで、雨に打たれながら。
─── 夢幻雨
- 311 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時41分53秒
- ◇
「まーことっ!」
「キャッ」
いきなりだった。後から抱かれるように手を回され、顔を背中に押し当てられた。
風でふわっと浮いた髪の毛が、頬を擽って悪戯に遊ぶ。
肌と肌の接触で伝わったのは、線の細いシルエットだった。
「何してるん?」
「びっくりした。愛ちゃんか」
生徒数の少ないこの学校は、三年間を通じて一切クラス変えがない。
町は軽い過疎化の状態にあって、子供の数も例外ではなかった。
都会ではクラスの編成数が少ないと聞くけれど、田舎とて似たようなものである。
実際、四クラスというのが多いか少ないかといった実感は気にも留めなかったが、
生徒数が多いことに越したことはない思う。
友達の輪を大きく広げることが出来る可能性と、それは比例するのだから。
- 312 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時42分49秒
- 「そんなに窓から乗り出してたら雨かぶっちゃうよ?」
「いーの。かぶってるの」
「麻琴って雨嫌いじゃなかったっけ?」
「嫌いだよ」
「そんなあっさり答えんでも…」
私の回りにはいつも誰か人が居る。みんな大好きな友達だ。
中でも愛ちゃんは特別である。中学に入学してから出来た友達だったけれど、
言葉を交わした瞬間、心地良いフィーリングを感じた。
言い表すことの出来ないこの感覚は、人間の不思議のひとつだろう。
もし、人間が感じたことの全てを文字と言葉で的確に表現出来たとしたら、
人間とは物凄くつまらない生き物だ。だから、そう思いたい。
「麻琴の周りはいつも賑やかだ」とは愛ちゃんの口癖である。
誰とでも壁を作ることなく話せるというのは、愛ちゃん曰く、特出すべき能力らしい。
確かに、学校以外での交友関係のネットワークも広かった。
- 313 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時44分08秒
「麻琴ってさぁ、太陽の匂いがするね」
「そうかなぁ。雨降ってるのに?」
「うん」
でもそれは単純に、私は誰かと居ないと寂しくて泣いちゃうから。
本能がそれを求めて、自らその距離を詰める。だから必然なんだ。
独りで居ることを好む人がいるけれど、私はその正反対の種族なんだと思う。
独りで居る時は決まって、小さい頃の留守番を思い出した。
強がって引き受けたのはいいけど、怖くて寂しくて不安で、
わんわん泣きながら隣のおばさんの家に駆け込んだことを覚えている。
きっと、それが軽いトラウマになっているのだろう。
強くなるというのは、必ずしも"独りになること"という訳ではなく、
単純にイコールで結べはしない。成長するに連れ、もっとそれは分かっていくのだと思う。
大人になるということは、そういうことだ。
しかし、それを避けて歩いていたとしても、独りになるという悲しいリアルが訪れるのは
確かな事実である。そして、その「時」にどうすればいいのか、自分はどうしていたいのかが、
その後の"私"を決定付けるのだと思う。
答えはもちろんそう、「独りでは居たくない」───
- 314 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時45分20秒
- 「だから、雨、似合わないよ」
「そっか…」
急に声色を清まして、愛ちゃんが耳元で囁いた。けれど。
そんなこと言われても、時間を止めていたいんだよ。"留めて"おきたいんだ。
雨に濡れることで、雨滴を肌に伝わらせることで、私はあの日を忘れずに刻んでいる。
なんて面倒なんだ。けれど私は馬鹿だから、こんなことくらいしか思い浮かばないんだよ。
君を忘れないで、ずっと心に留めておく方法。極めて不器用で馬鹿な方法。
成長、大人、時間、前進、これらは全て牙を剥いた敵だ。泣きじゃくって、それでも涙が足りない
ような凄く悲しい出来事も、皆、鎮火させてしまう。それを箱に放り込んで、鎖を掛けてしまうんだ。
箱は深い深い記憶の海底へと沈められてしまうだろう。そして人は、いつしかその鍵を失い、
二度と開けることができなくなる。海底で眠ったまま、思い出は永遠に目を覚まさない。
「忘れる」という死を齎す。
君は雨が好きだと言った。私は好きでも嫌いでもなかったけれど、今では大嫌いだ。
忘れないようにと雨に打たれている時、私の耳に届くのは酷く悲しい唄だから。
翌日、私は軽い微熱を患った。
- 315 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時48分20秒
- ◇
中学生生活、二度目の春。
桜の花弁が鼻を掠めていく度、春をめいいっぱい含んで潤った薫りが差した。
会話の絶えない教室も、それに溶けるクラスメイトたちも変わらない。
ただ進級して、二年生になったというだけ。
今年も飽きなく、春は訪れた。まどろみの暖かさを連れて。
形容し難い鮮明な春の色は、薄濃織り交ざったピンクが生まれたての春風に主張し、
鮮やかなコントラストを披露する。
そのあまりの綺麗さに、衝動から桜の枝を折って教室に持ち込んだことがあった。
気持ちがまだ小学生の頃のままだった、一年前の春。去年の出来事である。
飾ったまでは良かったけど、その後、先生に見つかってこっ酷く怒られたっけ。
今ではもう、全てが中学生なってしまって、今年もそんなことをやろうものならば、
本当に馬鹿なやつだと思われるだろう。行動を弁えるのは当り前のことだから、やりはしない。
だけど、気持ちはいつまでもそんな風で居続けたい。
- 316 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時48分57秒
- 日々の過程において劇的な心情の変化は見られないし、背も余り伸びていないが、
時間は間違いなく前に進んでいて、刻一刻と、私は大人に向かって歩いている。
正直なところ、ずっと子供のままでいたい。こんな考えが当り前のように頭を巡っている
ようでは、まだ当分子供でいられるのだろうけど、やっぱりそれは怖かった。
「もし、人間が感じたことの全てを文字と言葉で的確に表現出来たとしたら、
人間とは物凄くつまらない生き物だ」
これは大人へのレジスタンス。でも、綺麗ごとになってしまうのか。
大人になるということは、つまりそうなってしまうことなんだって、
どうしてもこの完成された方程式を崩せない私が居るから、だから大人になるのが怖いんだ。
- 317 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時50分31秒
- そしてゴールデンウイークも過ぎ、もうすぐあの日からも一年が経過しようとしていた。
あの日を境にずっと雨は嫌いで、雨の日はそのクラウディスカイの森に火を放ってやりたかった。
出切る事ならば、そんなくだらない考えでいつまでも足掻いていたい。
連休中は当り前のように、毎日予定が入っていた。
お父さんをゆっくりと休ませてあげたかったから、予定は全部友達とのものだ。
去年は駄々を捏ねて遊園地に連れて行ってもらった。
けれど、今年は「体、しっかり休ませてね」なんて言って、連休中は友達と予定が詰まっている
ことを告げた。あたかもそれが当り前のことのように、自然と口から出たのだ。
「どういう風の吹き回しだ?」と、お父さんが少し悲しげな表情を浮かべた時、
私は成長を感じるのだった。仕事で疲れながらも、私の相手をしてくれる気で満々だったのだろう。
変化球に狙いを定めた三球目、私はど真ん中に直球のストレートを投げ込んだ。
バッターは見事に、見逃しの三振だ。
- 318 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時51分11秒
- あぁ、私は成長しているんだ、と思った。いくら私がそれを拒んでいたとしても、
時間、血の巡り、それらは止まることもなければ、逆ることもない。
自室に戻って窓から空を見上げた。相変わらず、深い曇り空は太陽を覆い隠していた。
今にも降り出しそうな空模様。私は傘を持たず、愛ちゃんの家へと自転車を走らせた。
- 319 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時51分56秒
- ◇
「ごっめーん!」
「ま、まことっ、何やってんのその姿!?」
インターホンを鳴らすと、慌しく二階から階段を駆け下りる音と共に、
クセのあるイントネーションで突き抜けた声が、玄関のドアを勢いよく開けて出迎えてくれた。
刹那、リズムよく刻まれる足音に混じって不協和音が響いたのは、さしずめ躓いたか何かだろう。
「途中で雨がざばーって降ってきちゃってさ、いっぱい濡れちった。へへへ」
「それは分かるけど、おめぇ傘はぁ?」
「あー…忘れた」
「なんだよそれはー。降水確率90パーセントだよ?降るに決まってるさ」
適当に誤魔化して、背負ってきたリュックからバスタオルを取り出した。
全面オレンジ生地でポーチがたくさんついたこのリュックは、私の大のお気に入りだ。
何故バスタオルを持ってきていたかというと、今日は愛ちゃんの家にお泊りするから。
そのリュックの中の荷物は、全てビニール袋に包んでいた。そのため、中身はまるで雨に濡れては
いなかった。濡れていたのは私と、太陽のようなオレンジ色をしたリュックだけだ。
- 320 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時54分12秒
- 伽藍とした玄関でバスタオルを頭から被り、乱雑に濡れた髪を拭く。
雨の音がドア越しにでも鮮明に聞こえる程の静けさに、家には愛ちゃんしか居ないことに気が付いた。
「どうしたの?」と訪ねると、愛ちゃんは少し拗ねたような口調で両親のことを話してくれた。
愛ちゃんのご両親は揃ってプログラマーという仕事に就いていて、ゴールデンウイークだというのに
休日返上で仕事に出払っているとか。よく分からないのだけど、プログラマーというお仕事は
よくトラブルに見舞われるらしい。その度に、休日返上というのは珍しいことではないと言う。
不運は重なるもので、今日はそのトラブル具合から多分帰って来れないだろうと、
先程電話があったようだ。
「ということだから、今夜は麻琴と二人きりだ」
「なんだよー、愛ちゃんってばエッチだなぁ」
「ち、ちげっ、何言い出すんやっ」
- 321 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時54分53秒
- 愛ちゃんは慌てると必ず福井弁が出る。必死で慌てるその姿が、私は大好きだった。
愛ちゃんがこの町を訪れたのは、小学校六年生の頃。ご両親の会社の事業拡大とやらで
この田舎に引越しをしてきたらしい。田舎といっても、愛ちゃんの実家はここよりももっと地方に
あって、当時は生活環境の劇的な変化に、嬉しい悲鳴を上げたそうだ。
確かに田舎で小さな町というにも関わらず、近い地区内に小学校が二つあったというのは事実。
その小学校も今期が終り次第、一つに統合されるそうだが、当時、私と愛ちゃんはギリギリの区分け
ラインによって違う小学校に通っていた。その小学校を両断するように位置する中学校が、私達の
今通うこの中学校だ。家が近いにも関わらず中学校からの付き合いとは、つまりこういうことである。
「冗談だよーん。何赤くなってるのー?」
「ば、バッカでねぇか」
- 322 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時56分43秒
- 普段の愛ちゃんは、ぎこちなさが消えないままながら標準語で会話する。
自分では「訛りは抜けた」と自負しているが、はっきり言って完璧なものではなかった。
それでも違和感無く感じるのは、本人が自信を持って話しているからだろう。
さながら愛ちゃんワールドに、クラス全体が飲み込まれたようだった。
今でこそ私のようなクラス一、ニを争う騒がしい問題児に混ざって、とばっちりを受けていたり
するムードメーカーの一人なのだが、小学校の転校当初はそうでもなかったらしい。
訛りの入った地方弁は、仲間の輪に入るには些か罰が悪く、一歩間違えれば虐めの対象にも
なり兼ねなかった。けれど、そうはならなかった。
中学校で一緒になってすぐ、愛ちゃんはぼそりとその時のことを漏らしたことがあった。
「私が弾かれるのは当然のことって思った。だって、もし私の前の学校に都会から転校生が
来たら、物珍しそうな目で見ちゃうと思うもん。だからたくさん努力した。標準語が上手く
喋れなくて、自分の部屋で泣いたこともあったけど、仲良くなるんだーっていう意志があった」
そうして、結局自分のビハインドを魅力に変えてしまった。それが愛ちゃんの強さだ。
- 323 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時57分38秒
- けれど、もし愛ちゃんが前の環境下において、都会からの転校生と顔を合わせることになったと
しても、物珍しそうになんか見たりしないと思う。それは私が愛ちゃんに接したように、そして、
あの子に接したように、単純に友達になりたいから距離を縮めると思うんだ。きっと、愛ちゃんも。
愛ちゃんのそういうところ、私はたくさん知ってるよ。
「あれあれあれぇ?」
「早くシャワー浴びてこい!追い出すゾ!!」
「うわー、怖い怖い。おっじゃまっしまーす」
「ったく」
右手を振り上げた愛ちゃんに追われるように、私はバスルームへ駆け込んだ。
シャワーの蛇口を捻り、雨とは違う温かいお湯を頭から被る。
勢いよく出たそれは、肌から飛沫となって飛び散り、バスルームには白い湯気が一気に立ち込めた。
なんだか修学旅行のようにわくわくする。先生たちに内緒で夜更しして、深夜のテレビを見たり、
懐中電灯の明かりでトランプをしたり、お菓子を食べたり、見つからないように隣の部屋と
行き来したり。今夜はたくさん、愛ちゃんと話をしよう。眠たくなっても、ずっとずっと話をしよう。
雨音はシャワーの飛沫がバスフロアを打って返る音に掻き消されていた。
- 324 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)15時58分41秒
- ◇
私は二度目になったけど、夕方になったので、折角だし二人で一緒にお風呂に入ることになった。
湯船の中で突然愛ちゃんが「今日の夕飯は愛特製のスペシャルカレーです!」と言ったので、
晩御飯はカレーに決定。"スペシャル"というだけあって、相当美味しいのだろう。
着替えも早々に済ませて、彼女は自信満々の様子で台所に立った。
肩から腕にかけてだけ黒という、ラフなツートーンロンTの上から羽織った水色のエプロンは
ちょっとぶかぶかしていた。綺麗に折り畳んであった跡がついていたのはご愛敬なのだろうか。
私はというと、手伝うよと言って横には立ったけれど、即答で生野菜サラダの盛り付けを任された。
余程、カレーには自信があるらしい。時折、独り言のように漏れた「うわっ」という
声は、聞かなかったことにしておこう。心なしか、良い匂いも立ち込めてきたような気がした。
その匂いに導かれるがまま、私の期待は風船のように膨らんだのだけど。
「あれは新種のカレーだったんですかい?」
「ごめんごめん、火加減間違えたまま掻き回さなかったから…もう言わんとってー」
- 325 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時00分05秒
- 近所のコンビニの店内で、変則イントネーションの「ごめん」が響き渡った。
あの後、良い匂いだったカレーはカレー粉の焦げた匂いへと瞬時に変わり、今日一番の悲鳴が
愛ちゃんから発せられた。食べれなくはなかったけども、二口に一回サラダを挟まないと
その苦さが口をいっぱいにしてしまい、とにかく大変だった。
「ま、ご馳走様でしたということで。ありがとね」
「本当にごめんね」
特に着飾る訳でもなく、二人は変わらずラフな格好のまま近所のコンビニで買い物をしている。
愛ちゃんに借りたのは同じくロンT。「麻琴にぴったりの色があるよ」と言って渡されたのは、
胸のワンポイントに、薄いイエローとパンプキンオレンジのツートーンが元気良く映えるものだった。
下は定番の三本ライン。愛ちゃんが赤で、私が白のラインだ。
「まことー、ポテチは何味が好きー?」
「コンソメー」
「おっけぃ」
- 326 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時00分53秒
- コンビニを訪れた理由はストレートに夜食の調達。
小降りを見計らって、歩いて三、四分の距離を小走りに駆けた。
旅行に行く時、もちろんその旅行自体も楽しみなのだけど、よく準備もその楽しみのうちだと聞く。
それはそのまま、コンビニでの買い物に当て嵌まっていた。
「ねー、アイス買って歩きながら食べない?」
「麻琴太るよ。でもさんせーい」
会話は途切れることなく、店内で流れる流行りのJポップと一緒にコンビニを構成していた。
体で軽くリズムを取り、音になるかならないかくらいの微量な声で鼻歌を歌う。
これが二人だから良かったのだ。もし、同世代の女の子がグループで集まったりなんかしたら、
忽ち店内は学校の教室と化すだろう。自分たちの考えている以上に、それは五月蝿いはずだ。
大人は自分の子以外の子供を、結構うざがったりする。尚更、こんな風な光景だ。目に見える。
そんな大人に抱く私達の感情は、そっくりそのまま。そして、そんな感情を抱いては、
後味の悪い後悔と罪悪感で下を向く。思春期の子供はそれを繰り返し、成長していくのである。
- 327 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時03分07秒
- アイスクーラーから取り出したのは、アタリくじ付きのソーダアイスだった。
コンビニを出るなり、私達二人は急ぐようにそのアイスに齧り付く。
コンビニまでの距離は無いに等しいのだけど、それは晴れの日に限ったことで、
今日のような酷い雨の日はなるべく外に出る回数を減らしたい。
つまり、アイスの棒から焦げ茶色の「当り」の刻印が顔を覗かせた場合、非常に面倒だと思ったのだ。
味はまるで無視で、早食いを競い合っているかのようなスピードでアイスを齧る。
案の定、こめかみの辺りにきーんとした痛みが一線し、片目を顰めた。
その仕種が図ったように同時だったため、互いの表情を見て同時にけらけらと笑い出す。
愛ちゃんは悪戯に舌を出して笑っていた。着色料で染まった真っ青な舌。
それが妙にまたおかしくて、私は更に大きな笑い声を上げるのだった。
- 328 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時03分50秒
- 結局、アイスの薄平べったい棒には何も書かれておらず、呆れ混じりの溜め息が漏れる。
目の前の道路を一台のワゴン車が通ると、雨はそのライトに映写されるように、ぼうっと浮かんだ。
パシャパシャと、ワゴンはアスファルトの僅かな窪みに溜まった水を乱暴に踏みつけながら、
先の見えない闇へと走り去っていく。やがて、テールランプの赤も見えなくなった。
夜は小雨を纏っていたが、いつしか激しさを増していた。
そんな夜の雨に不釣り合いな、シャストホワイトの傘が二つ。アイスの棒を備え付けのゴミ箱へ放り
込むと、「バッカみたい」とお互い見つめあって、また笑うのだった。
- 329 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時04分22秒
- ◇
夜が深まったと表現するには、まだ早い時間だ。けれど、テレビもルームライトも消えている。
昼光色の黄を帯びたスチールライトだけが、雰囲気良く部屋を包んでいた。
それは決して強くない光軸だったが、雑誌を捲るくらいならば不便に感じない。
部屋全体が白基調でコーディネイトされており、それによって光が反射し、明るいというのも
あるだろう。現に今、愛ちゃんはソファーに横になってティーン雑誌を捲っていた。
私も何か読もうと愛ちゃんに一言告げ、白い大きな本棚の前に立つ。
背表紙には「恋」だの「愛」だのがずらり。そういったものを連想させるタイトルばかりだった。
恋に恋し、両想いを夢見る少女の物語といった典型的な少女漫画よりも、どっちかといえば少年誌
に連載されているような内容の漫画を好む私は、愛ちゃんの部屋に遊びに来る度、この光景に圧倒
される。仕方なしに適当に一冊抜き取ると、その柔らかい光の中で目を通した。
- 330 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時05分10秒
- 先にこの状況を投げたのは、やはりというか、私の方だった。
退屈だったわけではないけれど、そんな雰囲気になりつつあったから。
雨粒が風に飛ばされて窓を叩く音。また、車が水溜りを裂いていく音。轟々と風は強かった。
二人だけしか居ない家は、気持ち悪いくらい静かだ。
そのため、それら全ての音が何たるかを聞き分けるくらい容易なことだった。
季節違いの荒れた天候は、きっと皆の連休を台無しにするだろう。
そんなことを考えながら、他愛のない会話の切り口を探している。
コンビニで買ってきたミニペットの林檎紅茶は、すでに無くなりかけていた。
- 331 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時06分10秒
- 「あさ美ちゃん…紺野あさ美ちゃんって、覚えてる?」
家の静寂が外風の齎す砕けた雨音に勝ったのをきっかけに、口が自然と動いた。
愛ちゃんが寝転ぶソファーに凭れ掛って、スチールライトを一点に見つめて。
いきなり何を言っているのだろうと、自分でそう思った。
雨の強さが衰え、また小雨に変わったことで、多分"それ"が頭を過ったのだろう。
そのままの強さで、夜通しアスファルトを叩き続けてくれれば良かったのに、やっぱり雨は嫌いだ。
雑誌を閉じる音で、愛ちゃんが耳を傾けてくれたことが分かった。
「覚えてるも何も、麻琴が大好きだった子でしょ」
愛ちゃんの言葉にドキリとする。その言葉は不意だったから。
「大好き」だなんて、改めて聞くと物凄く恥かしい。
それに私は「大好き」なんて、一言も口にしたことはないはずだ。
なのに愛ちゃんは、あさ美ちゃんのことをそう言い表した。
- 332 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時06分51秒
- 「……」
「あれ?慌てて訂正すると思ったのに。やっぱりそうなんだ」
「…分からない」
「好き」という感情だったのだろうか。実感はなかったのだけど、その言葉が留まる。
何だろう。愛ちゃんに「あさ美ちゃんのことを覚えてる?」なんて話をして、私は何を
求めたのだろうか。そこからどんな話をするつもりだったのだろうか。
友達の前で、一度だけ泣いたことがある。
仮病と嘘をついて学校を休んだあの日、あさ美ちゃんのお母さんにクマのぬいぐるみを託けてから、
愛ちゃんの家の前で愛ちゃんが学校から帰って来るのを待っていたあの日。
すっからかんになった頭と心をぶら下げて、すっかり乾上った紫陽花を見つめていた。
流れる時間を凄く長く感じながら、ただずっと、愛ちゃんの帰りを待っていた。
- 333 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時07分50秒
- 「分かっていたけどね。麻琴は誰に対してでも元気な笑顔を振舞っていたけど、
あさ美ちゃんの前では、なんかもっと特別な感じだった」
「…分からない」
「分からないものなのかなぁ。だって、だから泣いたんでしょ?」
そして、愛ちゃんが目の前に現れた瞬間、私は愛ちゃんの胸に崩れるように蹲って泣いたんだ。
もう永遠に止まらないんじゃないかと思うくらい、止めど無く涙が溢れてきた。
気が付けば愛ちゃんの部屋で肩を抱かれていた。空には聡明な青が広がっていたのに、突然、
天気雨が降り始めたからだ。意識がはっきりとして涙が止まったことが分かったのは、それから
少し経ってから。その間、愛ちゃんは何も尋ねることなく、ずっと頭を撫で続けていてくれた。
僅かに残った感触が、それを教えてくれる。すでに陽は落ちていた。
しばらくして「もう大丈夫だから」と告げると、家路についたのだった。
愛ちゃんは最後まで、何も聞かなかった。
あさ美ちゃんと喧嘩したことは、すでに電話で話していたけれど、でもそれだけだ。
それだけなのに、あの時から愛ちゃんは、全てを見抜いていたのだろうか。
だとしたら、それはまるで魔法みたいで。
- 334 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時08分30秒
- 「さよならが言えなかったんだよね。麻琴はそれをずっと気にしてる。
自分では分からないと思うけど、麻琴の意識、時々何処かへ飛んで行ってる時があるよ。
溜め息ついて、その溜め息に気球を浮かべてるみたいでさ。それは決まって雨の日だ」
「分からない…、全然分からないよ…」
その魔法使いに、私は魔法をかけてもらいたかったのかもしれない。
だから切り出したのか。分からない。
でも、ただ一つ分かっているのは、愛ちゃんにしかこんなことは話せないということ。
そして、魔法はかけられた。
- 335 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時09分05秒
- 「会いに行けばいいじゃない。さよならが言えなかったのは、きっとさよならを
したくなかったから。『大好き』だったからだよ。大好きな友達にさよならなんかしたくない。
私も麻琴とさよならなんかしたくないもん。きっとそうなんだよ」
普段ならばあれくらい待ち惚けても、笑って許せたこと。
微熱程度で大した風邪でもないのに、何日も学校を休んだこと。
どうしようもない靄が心に立ち込めて、顔を上げれないだろう思ったこと。
あの日、ちゃんと「さよなら」を言えなかったこと。
それは何故か。
その全てに「好き」という言葉に当て嵌めれば───
- 336 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時10分02秒
- 時間を止めていて、本当に良かった。
忘れないように雨に打たれていて、本当に良かった。
時間は止まらないし、雨はずっと降り続いている訳ではない。
それは自分の意識的なものだけだというのは分かっている。
けれど、忘れたくない。
大人になって、やがて幼少の記憶は薄れていく。どうにかしたいけど、時間は止まらなくて。
雨の夜にコンビニへ行ったことも、くだらないことで大笑いしたことも、
愛ちゃんと初めて話した時のことも、あの日、大泣きしたことも、何もかも薄れて色褪せていく。
そして、それが当り前になって、当り前のように君のことを忘れて。
それが怖い。そんなの嫌だ。悲しすぎるから。
だから、ずっと子供のままでいたい。子供のまま、ずっと忘れずにいたい。
絶対に覚えていたい。いつまでも「秘密基地を作ろう」って、言い続けたいんだよ。
- 337 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時10分43秒
- でもやっぱり、人は大人になるから。
ならば、出来る限りの思い出を詰め込んで、大人になりたい。
会えなくなった後悔さえも消えてしまう。その前に、君にもう一度会いたい。
会って、いっぱいいっぱい思い出を作りたい。
記憶の器に溢れんばかりの思い出をすくって、留めていたい。
そして、一年前から止めたままの時間を進めたい。
- 338 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時11分32秒
- 「会いたい…あさ美ちゃんに会いたいよ…」
「よしよし、正直でよろしい。後悔なんて麻琴らしくないから」
「…ううっ…」
「いつか麻琴は『大人になりたくない』って言った。いろんなことを忘れたくないから、
ずっと子供のままでいたいって言ったよね。でも私達は大人になっていく。けどね、麻琴みたいな
女の子なら、きっと素晴らしい大人になるんじゃないかなって、私、思うんだよ。怖がっちゃ
駄目だよ。ゆっくりでも良いと思う。ほら、こうやって手を繋いでいれば、絶対、忘れたりなんか
しないよ。あさ美ちゃんのことも、絶対にね」
いつの間にか愛ちゃんは私の隣に座り、涙を溜めて唇を噛み締める私の頭を撫でてくれた。
もう一方でぎゅっと手を繋ぎながら、優しくて限りなく穏やかな声色が心地良く鼓膜を通る。
愛ちゃんの温もりに頭を預けると、シャンプーの良い薫りがした。
愛ちゃんが優しく包んでくれたことも、絶対に忘れないよ。
そうやってゆっくりと、私は大人への階段を上がっていくんだ。
それが良い。
- 339 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時12分34秒
- 夜空は雨雲で煙っている。
半月が雲に散り、雨が黒を激しく舞って、湿った空気が夜を沈めた。
硝子にべっとりと叩き付けられた雨滴が、揺ら揺らと静かに流れ落ちて行く。
また、雨が強くなったのだ。けれど何も聞こえない。音は届かない。
限界を越えた涙はいつしか溢れ、また、いつしか乾いていた。
二人、目を閉じ、そして───
- 340 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時13分20秒
- 夢を見た。
急な斜面の坂を登り切ると、ギンガムチェックの傘を持った君が夏の海のように青く澄み切った
空の下で、凄然と照らす太陽の光に包まれていた。雨なんか、到底降りそうもない天気なのに。
君のことだから、きっと「降りそうな気がしたから」なんて言うのだろう。
だから願った。唯一、浮かんで白をくれた、マシマロのように小さな途切れ雲へと。
傘もレインコートも似合わない渇いた蒼天から突然、天気雨でも降ればいいのにって。
太陽の強い光が雨滴に反射して、幻想的なプリズムが煌びやかに街を覆うよ。
そうしたら、ギンガムチェックの花が一つ咲くね。
そんな奇跡が起ればいいのにな。きっと、前よりずっと、雨の日が好きになるから。
そして、雨に唄うんだ。一緒に唄えば、雨でも悲しくはないはずだよ。
春と夏、季節と季節の合間のフィルム。
もうすぐ君の誕生日。
- 341 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時13分52秒
- -FIN-
- 342 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時14分37秒
- ◇◆◇◆
川o・-・)
◆◇◆◇
- 343 名前:夢幻雨 投稿日:2003年05月27日(火)16時15分28秒
- 紺野聖誕祭
【夢幻雨】
>>309-341
- 344 名前:通りすがりの名無し 投稿日:2003年05月28日(水)00時13分02秒
- ∬∬#´▽`)イイ!!
- 345 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月28日(水)01時19分32秒
- ノノハヽo∈
从 ´ ヮ`)☆<テスト
ノノハヽo∈
从 ` ヮ´)☆<てすと
ノノハヽo∈
从 `,_っ´)<test
ノノ_, ,_ヽo∈
从メ`,_っ´)<テスト
- 346 名前:テスト 投稿日:2003年05月28日(水)15時57分49秒
- >>1-300
- 347 名前:名無し 投稿日:2003年05月29日(木)03時58分22秒
- ( ´ Д `)しそさん、ありがとう
- 348 名前:名無し ◆407j3vYc 投稿日:2003年05月31日(土)20時32分35秒
- テスト
- 349 名前:名無しさん ◆S8LGPiZE 投稿日:2003年05月31日(土)20時34分49秒
- test
- 350 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月31日(土)21時03分16秒
- テスト
Converted by dat2html.pl 1.0