世界で一つだけの花

1 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月03日(月)20時01分42秒
自分の気持ちを、うまく伝えられない。

相手の気持ちを考える事が出来ない。



もし自分が突然こうなってしまったら、あなたはどうしますか?

  

2 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月03日(月)20時02分19秒




『世界で一つだけの花』




3 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月03日(月)20時02分53秒

彼女の母親の持論は、常にナンバーワンである事。
テストも満点、もしくは90点以内。院内マラソン大会も
トップでゴールが当たり前。成績も主要五科目は必ず
オール5であること。
4 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月03日(月)20時05分28秒

「真希!折笠学園に放課後寄っていくのなら6時までには
 帰ってきなさいよ。」
「…はい。」

後藤真希。朝比奈学園院の二年生。
成績優秀、スポーツ万能…すべてこれは彼女の母親に
『作られた』のである。幼い頃から勉学に励み、スポーツに取り組み
IQ200以上。


そんな彼女は生徒会長だった。
今日は姉妹校折笠学園との共同生徒会がおこなわれる。
5 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月03日(月)20時13分24秒


朝。

「後藤さん、おはようございます。」
「おはよー。」
「先輩、おはようございます。」
「おはよー。」

他の生徒から声がかけられても、後藤は機械的に返事を返すだけ。
この学校の、何十、何百と居る生徒から声をかけられるのだから
あたり前といえば当たり前だ。

後藤はいつも生徒会室に居なければならない。
それが、この学院の校則。
6 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月03日(月)20時16分16秒




『校則・生徒会長、副会長はそれぞれ朝、昼、夕いずれにも
 生徒会室で生徒の相談を受ける事。』


7 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月03日(月)20時16分47秒

「ごっちん、おはよ。」
「…あ、あゆみ。」

柴田あゆみ。生徒会副会長。唯一後藤の家庭事情を
理解しており、いつも気さくに話し掛けてくれる。

「ごっちんさぁ、なーんか暗いよ?どうした?」
「いつもの事だよ。あたしが暗いなんて。」

学生鞄を空いている机に放り投げ、窓の外を見る。

「やっぱ、いつもより暗いよ。どうしたの?」
「…なんでもないよ。心配してくれてありがと。」

後藤は自分の家庭が嫌になった。
『作られた自分』が一番嫌だった。
8 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月03日(月)20時18分45秒
夕飯タイムを取るのでまた後で。
9 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月03日(月)20時47分38秒
生徒会室は朝から色々な生徒が集まる。
どんな相談にもしっかりと聞かなければならない。
後藤はこの時間がキライだった。

「失礼します。。」
「学年、クラス、名前をどうぞ。」

柴田はオドオドしている少女に優しく声をかける。
10 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月03日(月)20時48分43秒

「あ、あの、い、一年七組の、小川真琴です!」
「…要件は?」
「はい、あの、後藤先輩にお話がありまして…。」

小川は俯いてしまい、モジモジし始めた。
それをみてまたか、とため息を吐く後藤。

「あぁ…。あゆみ、ちょっと廊下出てて。」
「はいよ。じゃ、小川さん頑張ってね♪」

柴田はニヤニヤしながら教室を出た。
毎度毎度の事であった。
11 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月03日(月)20時55分28秒
緊急告知。
只今CPを決め悩んでおります。下記のCPのうち、どれが良いか
多数決を取りたいと思っていますので、どうぞお気軽にご投稿下さい。

・いしごま
・こんごま
・たかごま
・なちごま
・よしごま

投票は今週木曜日までです。
 
12 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月03日(月)21時30分22秒
よしごまっす!!!
13 名前:名無しの読者 投稿日:2003年02月03日(月)21時54分50秒
いしごまがいいです。
14 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月03日(月)21時55分12秒
よしごま以外で。よしごま小説多すぎて・・・
こんごまとかいいなぁ
15 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月03日(月)22時07分20秒
よしごまがいいです!!2人のお話が
大好きなもので。。。
16 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月03日(月)22時36分14秒
こんごまがいいなぁ…。
17 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月03日(月)22時59分22秒
よしごま!で、お願いします!
18 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月03日(月)23時01分56秒
よしごまがいいです!
19 名前:名無し 投稿日:2003年02月03日(月)23時03分48秒
よしごまで!
20 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月03日(月)23時08分24秒
ここはひとつ、よしごまで。
自分も飽きるということがないもので・・
21 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月03日(月)23時20分13秒
普段なら迷わずよしごまorいしごまを選んでるのですが、
ここはあえて「たかごま」でお願いします。
22 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月03日(月)23時20分15秒
こんごまだ!こんごまっきゃない!!
23 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月03日(月)23時26分47秒
よしごま!でお願いします!
24 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月03日(月)23時36分45秒
やっぱこんごまっしょ。
25 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月03日(月)23時42分43秒
よしごま頼んます!!
26 名前:yutarou 投稿日:2003年02月04日(火)00時03分09秒
よしごまがいいです!!!!!!!!!!
27 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)00時08分17秒
こんごまがいいです
よしごま、いしごま多すぎですし…
最近こんごま(・∀・)イイ!!んでw
28 名前:na 投稿日:2003年02月04日(火)01時51分12秒
無駄だろうけどなちごまと書いておく
29 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)02時54分28秒
いしごま希望!
30 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)10時09分35秒
絶対こんごま!
31 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月04日(火)10時10分37秒
>28に同じくなちごまで!!
32 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)10時15分34秒
こんごまで
33 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)14時16分11秒
なちごま希望
34 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月04日(火)16時05分25秒
なちごまもいいですね!!でも気持ちよしごまがとてもみたいです!!!
35 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月04日(火)17時16分55秒
なちごまがいいです!
36 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)17時31分07秒
こんごまがみたいなぁ
37 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)17時40分19秒
なちごま希望です!
38 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)17時44分02秒
投票がずらずらならんじゃってるけど
なちごま!!
39 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月04日(火)18時03分08秒
よしごま希望!
40 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)19時42分19秒
いしごまがいいなぁ〜。
41 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月04日(火)19時55分18秒
よしごまでお願いします!
42 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)20時57分26秒
いしごまもいいけど、やっぱりなちごま!
43 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月04日(火)21時09分56秒
>>18-42皆様沢山の投票ありがとうございます。
木曜までだったのですが、皆様の投票数が喜ばしい事にかなりの量
になりまして、ずらっとこれだけで50到達してしまいそうなので
明日の午後6時までにしたいと思います。

皆様、本当に有り難うございます。作者の勝手をお許しください。
44 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)21時33分25秒
よしごまだな
45 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)21時36分09秒
私もなちごまを希望!!
46 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)22時30分43秒
なちごま読みたいです
47 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月04日(火)22時32分43秒
ぜ〜ったいになちごま!!
48 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月04日(火)23時22分17秒
ぜひ、こんごまを…。
49 名前:カオアリ 投稿日:2003年02月04日(火)23時42分19秒
悪いけど誰が何と言おうといしよしで決まりです
50 名前:名無し 投稿日:2003年02月05日(水)00時06分04秒
>49はちゃんと読みましょう
てことで、私はなちごま
51 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月05日(水)00時41分46秒
たかごま!
あまりないから見てみたい。
52 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月05日(水)00時51分00秒
う〜む、こんごまがいいのだけど無理かな?
53 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月05日(水)01時38分18秒
いしごまおながいします
54 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月05日(水)04時46分03秒
やっぱなちごまでしょう。なちごまお願いします!!
55 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月05日(水)10時09分30秒
リクエストを受けられるほどあなたに技量があるとは思えません。
くだらないことでスレを私物化しないでください。
今回、寄せられたリクエストを参考に(自演でなければの話しですが)
削除依頼を出して、新スレでひっそりと書かれることをお勧めします。
56 名前:カオナシ 投稿日:2003年02月05日(水)16時46分34秒
>>44-54投票有り難うございました。
>>55さんに書く技量があると思えない、くだらない事でスレを私物化するな
というコメント、リクエストを自作自演でなければなどという疑いも持たれ、
作者はこのスレがこの板のゴミなのだという事に気が付き、削除依頼を出した
いと思います。

期待して頂いた方々、本当に申し訳ありません。
57 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月05日(水)22時22分49秒
よしごま見れないのか。。。???
58 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月05日(水)23時16分31秒
>>55
氏ね
59 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月06日(木)00時29分40秒
誰に何と言われようが、1度やったことは最後までやりぬくことをお勧めします。
60 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月06日(木)14時35分58秒
>>56
いい感じの出だしだったと思いますよ
だからリクエストも多かったのでは?
別スレで良いので作者さんの好きなCPで書いて見てください
期待してます
61 名前:名無し 投稿日:2003年02月12日(水)21時08分30秒
>55 ヒドイ奴だな・・・・
62 名前:名無しクン 投稿日:2003年02月13日(木)21時20分51秒
>55
 お前なにさまだよ
63 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月26日(水)05時20分42秒
やる気を削ぐ>>55も問題だがこの程度の煽りで放棄する作者は論外だな
リクに応えられないと思った作者がこれを口実に放棄しようとしているとしか見えん
64 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月26日(水)11時52分51秒
確かに。簡単に放棄する作者は最初から書かなければいい。
でも、その為にわざわざageることも論外だとおもうが。
65 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月01日(土)20時40分41秒
>>63-64
お前らもそーゆう事を言うなよ。
作者だって書きたくてスレッド立てたんだから。
55のバカに嫌な事言われて少しやる気が失せたんだろう?
だったら呼んでる自分達が作者に期待してるから頑張れ!って言ってあげなきゃいけないんじゃないか?
俺は結構この作品に期待してる。
から、是非たかごまで続けて欲しい。
66 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月01日(土)20時41分37秒
あと、頑張れよ。
67 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月02日(日)01時23分35秒
さあここまで色々言われたんだ
何らかの反応は示さなきゃな>作者
まぁこのまま放棄なら63の言ってた事が概ね正しいんだろがな、勘だが
68 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月02日(日)19時05分55秒
はじめから読んだけど続きマジで読みたい。
なんか荒らせれて終わっちゃうのはもったいないよ・・・
69 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月08日(土)21時15分44秒
作者なんでもいいから反応してくれ。
待ってる俺がばかみたいじゃねーか
70 名前:カオナシ 投稿日:2003年03月10日(月)12時43分41秒
皆様、本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
新スレを立ててすぐに辞めてしまったこと、誤解された事に作者が勝手に
落ち込んだ事、皆様にお応えできなかった事、他にもありますが本当に
申し訳ありません。そして、応援してくださった方々、本当に申し訳ありません。


只今作者はリクエストを元に『世界で一つだけの花』を作成しております。
>>63様の意見のように、作者は皆様の期待に応えられないかも知れません。
ですが、精一杯書かせて頂きますので、どうかお許しください。

完結させて載せたいので多分4月初旬までには更新できると思います。
また、本文を読んで『おもしろくない』と思った方は完結後まではそのレスを
控えて頂きたいと思います。

作者の我侭・勝手をお許しください。
71 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月10日(月)14時02分31秒
偉い!!応援してるから頑張れ
72 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月10日(月)15時52分03秒
よく言った!!
それでこそ作者だっ!!
いつまでも待ってるから頑張って。
73 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月11日(火)16時55分21秒
カッケー!頑張れ!
74 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月31日(月)12時59分50秒
楽しみに待ってま〜す☆
75 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月31日(月)17時36分21秒
おぉ、忘れてた。
もうすぐ約束の4月初旬じゃないか。
楽しみに待ってるよぉ♪
76 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月06日(日)16時24分08秒
もう4月の初旬だぞ〜〜〜〜〜
77 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)18時51分31秒
>>76焦らせないように。
78 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時17分41秒
>>71-77有り難うございます。
本っ当に申し訳ないんですが、完結できませんでした。
ので、少しずつ更新します。大口たたいたわりには完結できずはずかしいと
思っています。本当に申し訳ないです。暖かく待っていてくださる皆様をこれ以上
お待たせするわけにもいかないので少しずつUPします。
本っ当にすみません!!m(__)m
レス下さった方々ありがとうございます!!情けないですね…。
愚痴を言われても仕方ないです…。
79 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時18分18秒



「なにか…悩みでもあるのかな?」

もちろん、彼女の言いたい事はわかっていた。
けどあえて知らないふりをした。そうすれば告白を控えるかもしれない。
そんなことないだろうけど。

「あ、あの…これ…。」
「?」

自惚れしていたわけじゃないけど、十中八苦告白だと思っていた。
けど彼女は白い箱をあたしに差し出した。なんの飾り付けもない、
真っ白の箱を…。

「なに、これ?」
「さっき校門の前で渡すよう頼まれたんです。まだ自分は
 会えないから、って。」

ゆっくり開けてみると、そこにはシルバーの指輪が入っていた。
ただの丸い指輪。でもよく手にとって見ると、内側に日付が書かれていた
80 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時18分51秒


『1992 1 19/ 2001  9 23 』

「今日じゃん。」
「え?」
「あ、いやなんでもない。ありがとう、他に要件はない?」
「特にないです…。」
「そか、じゃあドアの前に居る副会長呼んでくれるかな?」
「はい、失礼しました…。」

1992年?あたしが七歳の頃…?


1月19日…。




――――――――彼女の、誕生日だ。


しっかり記憶に残っている。忘れるわけがなかった。
あたしの脳は『作られた』のだから。昨日の事のように、すぐに
思い出せた。
81 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時19分21秒



―――――
―――



82 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時20分52秒

「うえーん、うえーん。。」

「どうしたの、ごっちん。」

「みんなが、ごとーのことロボットだって。。ロボットなんか来るなって言ったのぉ。」

「そんなことないよ?あたしはそんなこと思ってないよ。」

「ごとーロボットじゃないもん!人間だもん!うぇええぇえん。。。」

「どうしてそんなこと言ったのかな?」

「ごとーがね、昨日のTVの内容をね、全部教えてあげたの。
 そしたらね、そんなの全部覚えてる奴はロボットだ!ってね…。」
83 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時21分23秒

「そんなこと間違ってる。ごっちんは、絶対に普通の可愛い女の子だよ。
 あたしだって、絶対に忘れないよ?」

「本当?」

「じゃー約束しよう。10年後のごっちんの誕生日、これ渡しに行くから。」

「これ…なぁに?」

「あたしが今日貰った指輪。まだぶかぶかなんだけど、十年後の
 ごっちんにはとっても似合うと思う。」

「本当に?」

「うん。」
84 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時22分00秒





―――
―――――

85 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時22分32秒


カラン。。。。

「っ………!」

あたしは机に突っ伏した。指輪が机を転々と転がる。
覚えていてくれたんだ…。好きだったんだよ?あなたのこと。
ずっとずっと好きだった。でも、あたしの脳はそれを許さない。

『一般常識』しか許さない。だからあたしの初恋は無残にも
散ったんだ。そんなことどうでもいい。あなたは…覚えていてくれたんだね。

「ごっちん…?」
86 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時23分06秒

びくっ

「あゆみ…。」
「ちょ、泣いてるの!?」

あたしの傍に来て、優しく肩を抱いてくれた。
何も言わないで、ただ優しく背中をさすってくれた。
あたしにはそれでよかった。

「あゆみ…。」
「?なに?」
「あたしね…昔、ロボットって呼ばれてたんだ。」

あゆみはそれでも変らずさすっていてくれている。
87 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時24分15秒

「その頃、人気のあったTVがあってさ…。その日はあたしだけ、見てたのね。
 みんな、習い事があったからさ。だからあたし…一生懸命
 覚えてテレビの内容を隅からすみまで教えてあげたの。
 最初のうちはみんな『来週もよろしくね。』なんて言ってくれてたのに、
 一人の男の子が『ロボットみたいで気持ち悪い。』って言い出したんだ。」

うん、うんと頷きながら聞いてくれるあゆみ。
へんなきを使うより、あたしにはこんな風に聞いてくれる方が嬉しかった。

「その事は、それまでずっと一緒にいたあゆみには言えなかった…。
 あゆみがもしもそう思ってたら辛いから。あゆみが居なくなったら…あたし…。」

「そんな馬鹿な事考えるわけないでしょ〜?まったくごっちんは心配し過ぎ!
 小さいながらにそんなこと考えるなんて…辛かったよね…あたし、
 なんにもできなくってごめんね…。」
88 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時24分51秒




あゆみがうしろからあたしをぎゅっと抱きしめてくれた。
涙がポロポロ零れる。母さんにも、こんな風に抱かれた事はない。
幼い頃にあたしを優しく包んでくれたおばあちゃんと、あの子の事を
思い出した。

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴る。けどあゆみはあたしを放さなかった。
89 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時25分50秒

「…あゆみ……?」
「ん…いいよ、HRぐらい。せっかくごっちんがこころ開いてくれたんだし。」
「あゆみ…。」
「ね、いいじゃん。」





「うん…。」


あたしはあゆみと今までにないくらい笑いあった。
途中、先生が説教にきたけれど、あたしはあゆみと笑いあった。
初めてかもしれないな。。こんなに、笑ったの。

授業中、あたしはずっとあの子の事を考えていた。
90 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月06日(日)21時26分37秒
更新終了です。
91 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月07日(月)11時20分40秒
更新お疲れ様です。
ついにカオナシさん始動ですね(○^〜^)
真希の過去…そんな事があったんですか。
これからもがんばってください
92 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時14分05秒
>>91 名無し読者様

遅咲きですいません…。幼い頃の過去は普通なつかしむものですよね。
でも後藤さんは…。詳しくは後に出てきます。精一杯頑張らせて頂く
つもりです。
93 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時15分10秒
あぁ、頭がボーッとする。彼女の事が気になって仕方がない。



いつもと違い、何も手に付かないあたしを、先生は不思議に思っただろう。
今の授業が何の教科なのかすらもわからない。手に付かない。
だから、今は国語の古文を進めていて、その教科の先生が
説教が恐ろしい事で有名な平家先生だとは全く気が付かなかったのだ。


94 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時15分44秒



――――
―――


95 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時16分17秒

「びえぇえええええぇええええ…!!」

公園のブランコに乗りながら、一人泣いているあたし。
懐かしいなぁ、確かこの時三歳ぐらいで近所の悪ガキにイジメられてたんだっけ。
母さんは仕事。お姉ちゃん二人はあたしと同じように『作られた脳』をフル回転
させ母さんのお手伝い。

本当はあたしも行くはずったんだけど、おばあちゃんが止めてくれた。
公園で遊んでおいで…って。嬉しくって嬉しくって、公園でみんなと早く
遊びたかった。

96 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時16分48秒

なのに


「お前、目の色が右と左で違う!」
「なんで真希ちゃんはお母さんと一緒じゃないの?」
「目の色が変だ、お化けだぁ!」

みんなみんな、あたしから逃げていく。「待って・・・。」あたしはそう
言ったけれど、誰も聞く耳を持たない。

「どうしたのぉ?」

優しく、彼女はあたしに話し掛ける。けどあたしは泣き続ける。
彼女のお母さんがやってきて、あたしを抱き上げてくれた。
97 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時18分01秒

「真希ちゃん、どうしたの?」
「っぅく…ひぐ…あのね…みんながね…ひぐっひぐっ…行っちゃうの。」
「え?」
「真希のことねぇっ、目の色が違うお化けだって言うのぉ!!」
「そんなことないわよ、真希ちゃんはこんなに可愛いじゃない。」

彼女のお母さんはなきじゃくるあたしを抱きかかえて
あたしをみつめた。

「いい?こんなムズカシイ言葉わからないだろうけど、人はみんな
 違うんだよ?一人一人、違う事考えているし、顔だって違う。
 この子だって声が高いし…。」
「ママ!真希ちゃんに変な事いわないでよぅ!」
「あらあら、ごめんなさい。だからね、気にする事ないのよ。
 堂々としてていいんだからね。」
「???」

幼いあたしは首をめいっぱいかしげていた。
母が詰め込んだこの脳には、『ヒトはみんな違う。』などという反対の言葉が
あったからだ。

98 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時18分50秒






『ヒトは欲望には勝てない。所詮、ヒトは皆同じ。』




99 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時29分23秒

どっちが本当かわからなかったけれど、あたしはこの時
彼女のお母さんを信じようと思っていた。
だってあたしの母さんは、あたしに自由を与えようとしていなかったから。
いくら三歳頃のあたしでも、なんとなくそんなような気がしていた。


さっき気が付いたのだが、あたしは母に一度も抱かれた事がない。
そりゃあ、確かに生まれた後数ヵ月は抱かれていたかもしれないが。
大好きなおばあちゃんとお手伝いさん、彼女と彼女のお母さん、
その人達しかあたしを可愛がらず、抱き上げてくれなかった。




それが、辛かった。
100 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時30分47秒


− 
―――
―――――
101 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時31分45秒

「後藤!コラ!起きんかい!!」
「ふえっ…?」

ふと顔をあげると、ホラー映画に出てきそうなくらい怖い顔の
平家先生。あたしのいまの声がおかしかったのか、顔を真っ赤にして
笑いをこらえているクラスメイト。

え、


何?

102 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時32分47秒
「後藤さん可愛い…。」
「ね〜!今の声超最高!!」

え?


「うちの授業で寝るなんてなぁ、100年はやいんじゃボケぇ!!
 すみれ組からやり直して来ぃや!!」

あたし、寝てたの…?
授業中に…?

「昼休み職員室に来る事!みっちり叱ったる!」

平家先生は顔を近づけてあたしの目を覗きこんだ。
あの思い出を見た後だから、思わず目をそらした。

103 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時33分52秒

「……?まぁええ。わかったな。」
「あの、昼休みは生徒会室に行かなきゃいけないんですけど…。」
「そんなんええ!!柴田に任せとけばええんや!」
「いや…良くないんですけど…。」

それでも平家先生は引き下がらず、結局行く事になってしまった。
その後の授業は、さすがにしっかり受けた。

 
104 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月08日(火)18時34分36秒
更新終了。
105 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月08日(火)19時46分16秒
いつのまにか更新されてた…
後藤は『作られた』のか??なんか色々暗い過去がありそうで気になる…
106 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月08日(火)23時48分05秒
遅くなりましたが、再始動お疲れ様です。
再開されたことがとても嬉しいです。
次回の更新も楽しみに待ってます。
頑張って下さい。
107 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月14日(月)13時08分24秒
>>105 名無し読者様
   次の更新で『作られた』の意味が分かると思います。
   暗い過去、というのもかなり暗いかもです。

>>106 名無し読者様

  お疲れ様ですなんて…とんでもないです。恐れ多いです。
 >再開されたことがとても嬉しいです。
  このコメント目茶苦茶うれしいです。
108 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月14日(月)13時09分07秒

昼食休み。

「ごっちーん!」
「……うぇ。」

明らかに嫌そうな顔をしてこっちを振り返る。全く、そんなんだから
クールだとか不愛想だとか…。昔はそんなんじゃなかったじゃない。

「嫌そうな顔しないでよ。ホラ、さっさとお昼食べて生徒会室いこ。」
「あ〜…それなんだけどさ、さっき平家先生に怒られちゃって…。
 呼び出しされたから、先にやっててくれる?」
「マジで!?何したのっ?!」

平家先生って、授業をサボったりとか、典型的なことでしか
怒らない先生でしょ?ごっちんは一体何したの?

109 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月14日(月)13時10分08秒

「…寝ちゃったみたい。」
「ご、ごっちんが?」
「うん。」

コンビニの袋を持って屋上へ行く。本当は禁止されているのだが、
鍵がない為、誰でも悠々行けてしまう。

「まったくも〜…。」
「………!」

ごっちんは校庭を見て何かを発見したようだ。ビクッと肩が震えた。
あたしは駆け寄って何を見ているのかと視線の先を追う。
そこには…。
110 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月14日(月)13時10分59秒

「あれって…青海学園の制服じゃない?」
「ぅん…。」

どこか嫌そうに眉を顰めるごっちん。

「どうしたの?」
「あたしを…迎えに来たんだよ…。」

しゃがみ込んで顔を埋めるごっちん。ガタガタ震えてポツポツ言い始めた。
どうしてか―――今日のごっちんは良く喋る。

「あたし…作られたんだっ…だから…『完成品』を…取りにきたんだぁっ…!!」
「『完成品』?」
「あゆみだって知ってるでしょう?あたしは…あたしには父さんが居なくて…!!」
「お、落ち着いて!」
111 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月14日(月)13時11分48秒



『完璧な仮面』を被る事の出来るごっちんが、なんでこんなに焦っているの?

112 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月14日(月)13時12分34秒
「やだよ…。もう…あたしはもう逃げ切れないの…?」
「どういう事?」

あきらかにおかしい、今日のごっちん。
怯えているようで、堰を切ったようにペらぺら喋り始めて。

「言ったでしょう?あたしはっ…『作られた』って…本当は…!!」
「わかったから。もういいよ。そんな辛そうなごっちん見てられない。
 あたしが守ってあげる。」
「……あゆみ?」

抱きしめた腕の中からあたしを見上げるごっちんは、
幼くて、昔のココロに蓋をする前のごっちんを思い出させるような表情だった。
113 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月14日(月)13時13分06秒

「幼なじみのごっちんだけど、その『完成品』とかなんとかはわからない。
 でも、要するにあの人達に会いたくないんだよね?」
「ぅん……。」

ようやくごっちんが落ち着いたと思ったら、校内放送が流れた。

『後藤真希さん、後藤真希さん、至急職員室まで来てください。』
「!」

これがごっちんのいう『迎えに来た』っていう意味?
おびき寄せて、それでごっちんに何をするの?
114 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月14日(月)13時13分53秒
守ってあげるとはいったけれど…








あたしには、何が出来る…?

115 名前:カオナシ 投稿日:2003年04月14日(月)13時14分31秒
柴田さん苦悩編、まだまだ続きます。
更新終了。
116 名前:名無しミトコンドリア 投稿日:2003年05月05日(月)19時43分54秒
気になる展開ですね…
是非、続きが読みたい作品です。
どうか作者様がんばって下さい
117 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月13日(火)18時54分06秒
更新乙。
続き期待してます
頑張って下さい!!
118 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月15日(木)17時52分00秒
放置は止めようね(w
楽しみにしてるよ
119 名前:カオナシ 投稿日:2003年05月16日(金)14時34分37秒
皆様レス感謝です。作者の体調不良及び入院で更新ができませんでした。もうすぐ退院できると思いますのでどかお待ちください。
120 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月21日(土)13時18分57秒
作者また放置?いい加減オチロ
121 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月19日(土)13時22分25秒
hozen
122 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月08日(金)15時54分32秒
待ってます。
123 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月26日(火)13時57分50秒
期待してたのになぁ…

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