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テイルズ・オブ・フリージア
- 1 名前:BT03 投稿日:2003年02月06日(木)00時53分45秒
- メ
ロ
ン
記
念
日
- 2 名前:BT03 投稿日:2003年02月06日(木)00時55分20秒
- #1
風が、駆け抜けた。
待ち焦がれた、春の到来を告げるかのような爽やかさを乗せて、丘を越えていく。
遥か彼方に望む霊峰は、一年中消えることのない白い衣装を纏っているが、この
春の到来を心待ちにしていたかのように、陽の光を浴びてキラキラと輝いている。
地上では所々に溶け残った雪が、その姿を名残惜しそうにとどめてはいる。
小高い丘から見下ろす広大な平地には、威風堂々とした宮殿を中心にして大規模
な『都市』が広がっている。
幾多の旅人は、都市に続く一本道であるこの丘を越えて宮殿を見下ろすとき、その
荘厳さに息を飲む。
だが、今見下ろす『都市』からは、幾筋もの煙が上がっていた。
- 3 名前:BT03 投稿日:2003年02月06日(木)00時56分37秒
テイルズ・オブ・フリージア
- 4 名前:BT03 投稿日:2003年02月06日(木)01時02分46秒
- 息をするのさえ困難になりそうな煙に包まれながら、走り抜ける影がある。
「ひとみ、そっち行った!」
「オーケイ!」
軽やかなステップでターンを決めると、自慢の長剣で『敵』を一刀の元に
切り捨てる。
一瞬の間の後、シャワーのように鮮やかな血を噴出させながらも、未だ生への
執着が強いのか、単に生命力が強いのか、ピクピクと動く目障りなそいつを
遠くへ蹴っ飛ばす。
かれこれ20体以上は斬り捨てたご自慢の長剣は、切っ先から新鮮な血を
したたらせながらも、決して切れ味が落ちる事はない。
剣士なら誰もが憧れる高級ブランド《アニル・バーサリィス》の剣は、目玉の
飛び出るような値段に見合う性能は確実に保障してくれる。
- 5 名前:BT03 投稿日:2003年02月06日(木)01時05分03秒
- が、惚れ惚れしているヒマもなく、すぐさま苦戦を余儀なくされている仲間の
救出に向かう。
全く強くはないが、とにかく『敵』は数が尋常ではない。
(こんなに多いなんてこと、今までになかったのに…)
そんな事を思いながら煙の比較的薄い場所を通り、ガレキと化した家屋を
潜り抜ける。
出会い頭に突撃してきた『敵』を、剣を振るうのももどかしいとばかりに
回し蹴りで潰ぶす。
「お待たせ!」
- 6 名前:BT03 投稿日:2003年02月06日(木)01時08分16秒
- 際限なく向かってくる敵を切り捨てながら、ようやく広場にたどり着く。
敵と戦い気付かない間に、思ったより遠く離れてしまっていたようだ。
「遅いよ。…一気に魔法で行くから、援護お願いね」
「任せて!」
待望の援軍を得て、苦戦を余儀なくされていた魔法使いは呪文の詠唱に入った。
高度な魔法を使うためにはそれ相応な呪文の詠唱が必要になる。しかし、その間は
どうしても無防備になることが避けられないため、他の人間のサポートが不可欠と
なる。
実際には10秒ほどの時間なのだが、それが1分くらいにも感じ、緩慢な時間の
流れにいい加減イライラしてきた頃、周りの空気が一変した。
ようやく呪文の詠唱が終わった魔法使いが、エリア一帯の敵に魔法をぶつけたのだ。
目を開けていられないような光と共に、あれだけの数の敵が一瞬にして消滅した。
「おわりっ」
魔法使いがえっへんという感じで剣士を見た。
- 7 名前:BT03 投稿日:2003年02月06日(木)01時12分36秒
- このエリアの『敵』が消えて、ようやく一息入れると、
「ひとみん、血が出てるよ。大丈夫? 回復魔法かけてあげよっか?」
「あのね、この非常時にひとみんて呼び方やめなさいって。気が抜けるよ」
「とってもとってもとーっても効率的な回復魔法を開発したんだってばー」
「いや、ますます遠慮しとくわ」
先ほどの魔法使い――村田めぐみが薄笑いを浮かべながらしきりに回復魔法
をすすめてくる。
『ひとみん』こと斉藤瞳は、村田の開発した魔法――大抵は回復魔法の形を
したとんでもない魔法だったりする――のことをよく知っていた。
「特別にただでやってあげるからさー、ひとみん」
「金を取る気だったのかおのれは!」
「だから特別にただでって……」
「……そんなことよりマサオ達が心配だよ。私は」
そう言うと、斉藤は愛剣をひょいとかつぎ村田を無視して走りだした。
おいてけぼりを喰らう格好になった村田も、慌てて斉藤の後を追いかけていく。
- 8 名前:BT03 投稿日:2003年02月06日(木)01時14分48秒
- ( ‐ Δ‐) <このすえはむあっちがまもう!
- 9 名前:BT03 投稿日:2003年02月06日(木)01時16分33秒
- ( `_´)<えびちゃん
- 10 名前:BT03 投稿日:2003年02月06日(木)01時17分17秒
- ( 0⌒ v.⌒)<ひとみん
- 11 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月06日(木)18時33分09秒
- 先生!柴ちゃんがいません!
- 12 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月07日(金)12時57分50秒
- よっしゃぁ!!メロン〜♪
剣士(?)のひとみんカッケー!
- 13 名前:BT03 投稿日:2003年02月08日(土)02時18分29秒
- 「うわー、まだまだいるよぉ」
空になったマガジンを捨て、ラックから新しいマガジンを装填しながら
柴田あゆみはつぶやいた。
既に10以上の空マガジンが柴田の周りには散乱している。
この世界では異端とされる科学技術の結晶である銃を使う柴田は、スナイパーと
して生計をたてている。
ただし、今の彼女の状態はもちろん仕事なんかではなく、住んでいる街を
守るための防衛状態。
最も、戦力となる人間の多くが出払っていたこともあり、街はほぼ壊滅に
近い状況になってしまっているが。
ともあれ、破壊された家屋の壁に身を潜め『敵』を狙い撃ちしていたが、
そろそろ手持ちのマガジンが非常に心もとなくなってくる。
- 14 名前:BT03 投稿日:2003年02月08日(土)02時19分55秒
- 通りの向こう側にある、つい先ほどまで一般的に武器屋と呼ばれていた店まで
たどり着ければ、補給の心配はしなくてすむのはわかっているが、接近戦が
得意ではない柴田一人では危険度が倍増する。
(そろそろ戻ってくるはずなんだけどな…)
そう思った時、大音響と大震動が柴田とその周りを襲った。
「どすーん!」
- 15 名前:BT03 投稿日:2003年02月08日(土)02時22分10秒
- もうもうと立ち上る埃の中から現れたのは、マサオこと大谷雅恵。鋭い眼光と
銀髪……それに加えて、安定感のある下半身が妙に印象に残る戦士だ。
けほけほと咳き込む柴田がようやく目をあけられるようになった時、大谷が
ぶらさげているものを見て、思わず叫んだ。
「な、なにもってるの!?」
「さっき捕まえたの」
大谷がぶらさげていたのは、人間を襲う『敵』だった。
「エビちゃんが食べるかなと思って」
- 16 名前:BT03 投稿日:2003年02月08日(土)02時24分21秒
- 柴田が驚きのあまり二の句が告げられないのを尻目に、こともなげに大谷は
言ってのけた。
エビちゃんとは、大谷が飼っているザリガニだ。
見たまんまの名前をつける大谷のネーミングセンスは柴田にはさっぱり理解
できなかったが、以前見せてもらったエビちゃんは、確かこの『敵』の半分
以下の大きさだったはずだ。
「ちょっと、エビちゃんには大きすぎるんじゃないかな……」
やっとのことでそれだけ言ったが、意外にも大谷はあっさりと納得したようだった。
「そっか。やっぱでかいか。じゃいらないっと」
そう言うと、隙あらば脱出しようと暴れているその『敵』にパンチを一発食らわせた。
『敵』はグシャッという嫌な音と共に、その生命活動を唐突に終えた。
- 17 名前:BT03 投稿日:2003年02月08日(土)02時25分04秒
- 川σ_σ||( ^▽^)<いししばいししば〜
- 18 名前:BT03 投稿日:2003年02月08日(土)02時27分47秒
- ( 0⌒ v.⌒)<赤いフリージア
- 19 名前:BT03 投稿日:2003年02月08日(土)02時28分22秒
- ( ‐ Δ‐) <原始人をつくるぉ
- 20 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月18日(火)17時05分19秒
- 続きを期待。
- 21 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月19日(水)18時07分25秒
- ( ‐ Δ‐) つづき、まってます
- 22 名前:BT03 投稿日:2003年03月09日(日)02時23分40秒
- 藤本美貴は、戦いからようやく解放されると、愛用の剣《ブリード・レイン》を
びゅん!と振り下ろし、こびりついていた血をはらった。そして無造作にそれを
立てかけると、砕かれて元の3分の1ほどの高さになってしまった壁に腰掛けた。
「あー!つかれたぁ〜」
思い切りのびをすると、戦いの緊張で凝り固まっていた筋肉がようやく休息を
認識する。
『ハンター』として普段から戦いの中に身を置いている藤本だが、これほど長い
時間を戦ったのは久しぶりだ。
- 23 名前:BT03 投稿日:2003年03月09日(日)02時28分05秒
- 指を折って、倒した『敵』の数を数える。
今日だけでかなりスコアを稼いだ。
城内にある『申告所』に今日のスコアを申告すれば、これから1ヶ月は遊んで
いても楽に暮らせる金額が手に入るだろう。
大体の金額をはじきだして頭にそのイメージを浮かべると、藤本の顔に思わず
笑顔が浮かんだ。
ひとしきりニヤニヤし終わると、懐からタバコを取り出した。
ぱちん、と指を鳴らして人差し指から小さい炎を出し、くわえたタバコに火を
つける。藤本が唯一マスターした魔法がこの「炎召還術(レベル1)」だった。
それはともかく、藤本美貴にとって、この一服が至福のひと時。
- 24 名前:BT03 投稿日:2003年03月09日(日)02時30分24秒
- 「The 水学」
不意に真後ろから聞きなれた声がした。
「ちょ、ちょっと待っ…」
ザッパ〜ン!!
藤本の頭の上に、まるでコントのように大量の水が落ちた。
全身びしょぬれのまま振り向くと、やはりそこには天使のような天然悪魔の
魔法使いであり、藤本の数少ない友人でもある松浦亜弥が、笑顔で立っていた。
そしてアホの子に話し掛けるような独特のしゃべり口調で、
「美貴タンはぁ、まだ未成年なんだからぁ、タバコなんて吸っちゃだめですぅ」
と、言った。
- 25 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月16日(日)23時36分12秒
- 続きが楽しみ
そしてあやみきキタァ━━━(゚∀゚)━━━!!
水学いいねぇ(w
- 26 名前:BT03 投稿日:2003年03月17日(月)21時40分32秒
- 「だからって、水学はないでしょうが!」
「いつもいつもいつもぉ、あややがぁ、注意しているのにぃ、ミキたんが
直さないからでぇす」
にこにこと笑顔の松浦。そして手を出す。
もはや何を言っても無駄だ。天災にでもあったとあきらめるしかないと
気付いた藤本は、ポケットに残っていたタバコの箱を取り出すと、松浦に
手渡した。
「ミキたんいいこですねぇ」
「なんかその言い方で言われるとムカツクんですけど」
藤本の不満もどこ吹く風、松浦はそのタバコを自らの得意魔法「The 火学」
でしゅぼっと燃やした。
- 27 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月18日(火)18時27分32秒
- 水学&火学に爆笑。
そんな私は「The 無学」
- 28 名前:BT03 投稿日:2003年03月21日(金)23時27分02秒
- 今日初めてメロソのライブに行って来たわけですが。
( ‐ Δ‐) ←最高
- 29 名前:BT03 投稿日:2003年03月23日(日)17時45分07秒
- 場面は再び戻る。
大谷の援護の元、柴田は武器屋だった残骸に飛び込み、マガジンを補給する。
ひとりで使うにはほぼ無尽蔵とも言えるそのマガジン数のおかげで、周辺の
『敵』はあらかた掃討し終わった頃、村田と斉藤が合流した。
「あゆみ、大丈夫?」
「あたしは平気。それより、かなりやられちゃったよ」
斉藤は無惨に破壊し尽くされた辺りを見回す。
「やられたねぇ。にしても、今回はえらい数が多かったじゃない。狩っても
狩っても終わらないんだもの」
「働き過ぎて疲れたよ。申告所に行くのは明日にして、今日は帰らない?」
と、大谷が言った。
他の3人も同じ考えだったので、4人はとりあえず常宿に帰る事にした。
- 30 名前:BT03 投稿日:2003年03月23日(日)18時09分24秒
- 4人が寝泊まりしている常宿『太陽とセコムーン』は、この街の外れのガタメキラ
地区にある。
狭くてゴミゴミした場所だが、この地区は比較的レベルの高いハンターたちの
たまり場になっており、今回の過去最大規模の襲撃後も何ら変わる事はなかった。
『太陽とセコムーン』マスターである稲葉貴子(斉藤いわく「安くはないが
セキュリティは万全」)を始め、『いい子の魔法・平家巻物店』の平家みちよ
(村田いわく「客が入っているのを見た事がないけど」)、外界を旅するには
欠かせない馬を扱う『投げまくり牧場』のりんね(柴田いわく「動物病院だっ
たりもします」)や『ホルモン焼きの店やすだ』の保田圭(大谷いわく「ナンコツ
もおいしいよ」)といったこの世界では名の知られたビッグネームがずらり
軒を構える豪華さは、その世界に身を置く者にとっては外す事のできない
一大メッカとなり、貴重な情報収集基地としても機能している。
- 31 名前:BT03 投稿日:2003年03月23日(日)18時11分22秒
- 一仕事終えて意気揚々と引き上げてきた村田、斉藤、大谷、柴田の4人が
ガタメキラ地区に入ると、それまでの風景が一転する。
残骸ばかりの他の地区とは異なり、殆どの建物が無事といって良かった。
「やっぱさすがねー。全然やられてないわ」
出かける前となんら変わらない状態に、心底感心した斉藤が感想を述べる。
多くの『敵』を斬り、『申告所』でたんまり金を手に入れたのだろう。
まだ血の匂いがするハンターたちがあげる歓声でこの通りだけはにぎやかだ。
バーで祝杯をあげる者、既に酔いつぶれているもの、売春宿を品定めして
いる者などが往来し、さながら祭りの様相を呈している。
- 32 名前:BT03 投稿日:2003年03月23日(日)18時13分59秒
- 斉藤たちも最近この街に来たばかりで、実はこの通りの事はあまり知らない。
興味深く狭い路地の両側に軒を列ねる商店や露店を覗いてまわる。大谷や柴田は
いろんな店をきゃーきゃー言いながらまわり、村田はいかにも怪し気な店に消え、
斉藤は武器屋のウインドウに目が釘付けになっていた。
(あっ、ナイトデリンジャーの2003!!ああ〜、こっちには絶版でプレミアもんの
スロウディステニーがぁっ!ダメよダメだわ瞳、あたしにはアニル・バーサリィスが
あるじゃないの…!でも、ホントにここは目の保養…いやちがった、目の毒だわ。
噂通り、なんでもあるじゃないの。しかしかしかも、決算大売り出し、40%オフぅ〜!!!)
- 33 名前:BT03 投稿日:2003年03月23日(日)18時17分21秒
- 他の街ではごく限られた高級店にしかないブランドものの剣や、かつて一世を風靡した名刀が無造作に並べて
売りに出されているのを見つけ、勝手に一人でくらくらしている斉藤の前に、ぬっと手が差し出された。
「ひとみん、動きがくねくねしてて怪しいよ。まーまー落ち着いてこれでも飲みなよ」
「あーありがとう」
いつのまにか現れた村田が紙パックを手渡す。
反射的に思わずそれをぐいっと一口。口の中にしばらく味わっていなかった、どことなく懐かしい味が広がる。
斉藤は、その紙パックを見る。
『メグミルク』
( ゚д゚)ポカーン
- 34 名前:BT03 投稿日:2003年03月23日(日)18時30分35秒
- 「あの〜、村田さん?」
「なに、ひとみん」
「これ、メグミルクって書いてますけど」
「書いてますね」
「ミルク、だよね?」
「メグミルクだお。書いてあるでしょ」
「飲んでも大丈夫なわけ?なんか変なもの入ってないよね?ね?ね?」
- 35 名前:BT03 投稿日:2003年03月23日(日)18時33分01秒
- 思わず飲んでしまった斉藤の必死の質問に怪し気な笑みで返答する村田。
村田がその笑みを浮かべたとき、たいていそれが何を意味するか多くの経験談を
持つ剣士のS藤さんはこう語る。
(本人のプライバシーのため、音声を変えております。)
「普段は人見知りで気も小さくて、とてもあんな事をする人とはとても思えま
せんでした。でも、彼女があの笑みを浮かべた時、恐ろしい事が起こるんです。
最初は、わたしがトイレに入っている時でした。彼女が呪文を唱えたかと思うと、
トイレットペーパーが突然サランラップに変わったんです。しかも予備のペーパー
まで!サランラップでどうしろって言うんですか!わたし、本気で泣きましたよ。
その他にも、西の国に『村雨城』というお城があったんですけど、勝手に呪文を
かけて『謎の村田め城』って変えちゃったり……。あ、こんなこともありました
……って聞いてますかぁ〜(以下略)」
大変である。
- 36 名前:BT03 投稿日:2003年03月23日(日)18時44分55秒
- ( ‐ Δ‐) <ずばりっ
- 37 名前:BT03 投稿日:2003年03月23日(日)18時46分41秒
- ( 0⌒ v.⌒)<メロンキ
- 38 名前:BT03 投稿日:2003年03月23日(日)18時47分59秒
- ( `_´)人川σ_σ||<カプール
- 39 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月25日(火)11時36分51秒
- 謎の村田め城…ワロた
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