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ああ、無常

1 名前:ココス 投稿日:2003年02月08日(土)21時28分35秒
食欲、睡眠欲、性欲、三大欲求。

こんなものだけじゃ、満たされない。

2 名前:ココス 投稿日:2003年02月08日(土)21時43分07秒
なぜ、満たされないんだ。
金にも、住む場所にも、性欲の捌け口にも不自由してない。

今の仕事に不満はない。
面倒な事も多いが給料はかなり高額だ。

満たされないのは、
ただ自分自身が荒んでいるだけなのかもしれない。

3 名前:ココス 投稿日:2003年02月08日(土)22時01分41秒
私の仕事は娼婦。
相手にするのは女のみという、少し珍しい娼婦だ。

「機嫌悪いなぁ、吉澤。」

彼女はお得意様の中澤裕子嬢。
自称、うれっこ精神科医。
初めての客であり、色々教えてくれた人だ。
得意のポーカーフェイスも営業スマイルも通用しない。

「そうですか?」

この人の前では、気を張らなくていい。
楽になれる。
この人が仕事相手の時は、ただ刹那的な快楽に身を任せるだけ。
抱いて、抱かれて、何も考えない。
本能ままに、快楽に溺れる。
4 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月10日(月)21時26分39秒
どんな話になっていくのか楽しみです。
続き待ってます。頑張ってください。
5 名前:ココス 投稿日:2003年02月11日(火)00時10分59秒
「やっぱ、機嫌悪いな。」

コトを済ませ少しゆっくりしていた時、裕子さんは言った。
ベッドから出て、着替えながらクスクス笑ってる。
何か、不愉快だ。

「そんな事、ないです。」
不機嫌な声になってしまった。
お客様相手なのに。

「今日は少し乱暴やったな。
 私が相手の時はええけど、他の客の時は気をつけたほうがええよ。」

そお言うと、金を置いて出て行った。
また、気を使わせてしまった。

私は裕子さんに甘えてしまっている。
あの人は客だ。
金で私を買っている、ただの客なんだ。


6 名前:ココス 投稿日:2003年02月11日(火)00時30分24秒
翌日、早い時間に社長に呼び出しされた。
最近の職務怠慢気味な事をを思い出しながら、店に行った。

店はバーになっていて、いたって普通の店だ。
私はカウンターに座った。

「早い時間から悪いね、吉澤。」

少し釣り目のお姉さん、この人が社長の保田ケイさん。
表向きはバーのマスターだけど、裏では売春の斡旋をしている店の社長。
オーナーは別にいるらしいが、私は会った事がない。

「いえ、用事っていうのはなんですか?」
「新しい子の教育係して欲しいんだ。」

そう言って、写真とプロフィールを見せた。

後藤マキ。18歳。
7 名前:ココス 投稿日:2003年02月11日(火)00時49分29秒
スレありがとうございます。
がんばります。
少し不定期になってしまうと思いますが、
よろしくおねがいします。
8 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月11日(火)11時46分47秒
のんびり待たせてもらいまーす。
頑張って下さい。
9 名前:ココス 投稿日:2003年02月13日(木)14時24分07秒
綺麗な人だな。
彼女、教育係の吉澤ヒトミさんを初めて見た時の感想。
私と同じ年だっていうけど、疑わしい。

仕事を始める前にマナーやなんかを覚えなければらしい。
客は中・上流階級の人間たちだから。
性病の検診を受ける義務もある。

「一通りの事は教えたから、今度は実地研修。
 分からない事があったら、その都度聞いて。」

吉澤さんを客だと思って仕事をするのが最後の研修。
ここの娼婦は高級娼婦。
身体だけで客をもてなすのではない。
すべてにおいて、客を満足させなければいけない。
客を満足させれば、それだけ自分に返ってくるのだ。

「店には会員料、娼婦たちには仕事に見合った報酬をお客様が。」

と店長が言っていた。

10 名前:ココス 投稿日:2003年02月13日(木)14時44分07秒
ホテルのセミ・スウィートでの研修。
仕事内容は、エスコートしてホテルまで。
ルームサービスで食事。
最後にセックス。

「食事までは大体出来てる、後は慣れね。」
「ありがとうございます。」

常に丁寧に美しい敬語を。
そう教えられたけど、吉澤さんはあまり綺麗な言葉を使わない。
客の前だけなのだろうか。

「研修だけど、セックスはどっちでもいいのよ。
 いい客をつけるために綺麗なまま初仕事、っていうのが
 ほとんどなんだけど。
 どおする?」

「客が欲しいので、止めておきます。」

「そう。」

11 名前:経営者 投稿日:2003年02月15日(土)22時17分21秒

「結構イイコ入りまして・・・ええ、今時珍しいサラの子で。
 ・・・よろしくお願いします。
 近いうちに連絡させていただきます。
 では、失礼します。」

後藤の初の客を探すのに苦労した。
綺麗な顔をしてるし、身体もなかなかだ。
経験を積めば、客は付くだろう。

でも、あの子はこの世界に向いていない。
そう長くない経験でもわかる。

あの子がいつでも戻れるようにしておいてあげよう。

好きでこんな世界に来た子はいないだろう。
店の女の子たちは皆、娘のようなものだ。
せめてもの親心だ。
12 名前:経営者 投稿日:2003年02月15日(土)22時52分48秒
あの人なら金も権力も持っている。
それに信頼に足る人物だ。
いままでも何度も面倒を見てもらっている。
また面倒をかけることになるのが申し訳ない。

「また、迷惑かけてごめんね・・・・・・」

目を閉じてあの人のことを思い出す。
飄々としていて掴み所の無い人だけど、優しい人。
初めの頃は何気にキツイことを言う人だと思った。
けど、あの人の優しさに気が付いたと同時に
あの人の優しさに救われていた事にも気が付いた。

あの人なら、後藤の事も吉澤の事も救えるかもしれない。

私にはあの子たちを救う事は出来ないから。
13 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月16日(日)12時47分26秒
あの人って誰なんでしょう?
なんか、面白くなってきて続きがきになります!
経営者 さん頑張ってください。
14 名前:ココス 投稿日:2003年02月16日(日)15時13分07秒
名無し読者さん
ありがとうございます、頑張ります。
展開的にはありがちなんですがよろしくお願いします。
15 名前:教育係ーY 投稿日:2003年02月16日(日)15時40分39秒
教育係になるのは初めてだった。
私に仕事の基礎を教えろなんて、何考えているんだ保田さんは。

私が仕事を始めてもうすぐ二年になる。
客も何人か付いた。
でも私なんかに教えられるという事は、あまりいい客は付かないだろう。

私みたいな外の娼婦なんてあまり買おうとは思わないはずだ、
あの店の会員は。
皆、金とプライドばかり持ってる連中ばかりだ。
買うなら娼館の娼婦を買いたがるはずだ。

私を買う連中は、店の裏事情に詳しい人間だ。
裕子さんもその一人。
私がこの世界に来た理由や店のシステム、女の子たちが
どう集められているか、色々知っているらしい。

自称、うれっこ精神科医の正体はわからない。
権力者の妻か妾か、本人が金持ちなのか。
あの子の初めての客になるとか、ならないとか。
なってもおかしくは無いだろう、あの子も私と同じ外の娼婦だから。

あの子がどんな事情でこの世界に来たのかはわからない。
でも私と同じという事は、私と似たり寄ったりの事情かもしれない。

あの子は私に似ている。
16 名前:教育係ーY 投稿日:2003年02月16日(日)16時24分25秒


似ているから何なんだ。

もう教育係の仕事は終わったのに、気になる。
教えている時は、何の感情も浮かばせなかった。
常に冷静にただ仕事を教えた。
最低限の会話しかしなかった。
あの子と目を合わせると落ち着かなくなり、目もあまり合わせなかった。

なのに気になる。
動揺相憐れみ、か?
違う、あの子の事なんか何も知らない。



「・・・・くっ・・・・痛っ、よしざ、わぁ・・・あぁっ」

客が痛みに身を捩る。
しまった!
何してんだ、客の相手してる最中に。

「スミマセン、痛かったですか?」
胸にツメを立ててしまったみたいだ。
紅く跡になってる其処をそっと舐めた、快感を呼び起こすように。
・・・誤魔化すために。

「つっ・・・・はぁっ、んっ・・・・・何、考え、、ってるん?」

潤んだ目で見上げてくる。
やっぱりこの人には誤魔化しは通用しないようだ。
私が仕事に集中していない事は、初めから気が付いて
あえて黙っていたんだろう。

乱暴に唇を塞いで、何も言えなくした。
彼女の喘ぎがすべて私の中に吸い込まれる。

この人がいる時は、何も考えず快感に酔っていればいいんだ。
何も考えずにただ求めればいいんだ。
17 名前:精神科医 投稿日:2003年02月20日(木)20時07分51秒


ふぅ〜

紫煙を燻らせ、隣に寝ている少女を見る。

綺麗な子だ。
顔も、身体も、そして心も。

この子をもう何回買っただろう。
圭に頼まれて、はじめて買った時からずいぶん経つ。
初めて会った時、なんで頼まれたかは察しがついた。

傷ついて、絶望したのだろう。
その若いみそらで。

この子に何があったかは聞いた。
確かに辛い出来事だっただろう。
心を壊してもしかたなかろう。




18 名前:精神科医 投稿日:2003年02月20日(木)20時35分24秒


私の客はこの手の人間が多い。
何かしらあって、心を壊した人間たち。
それ以外の人間も多いが。

圭が私に頼んだ理由は、この子を助けたかったのだろう。
自分と同じような傷を持つこの子を。
金とチカラを持っている精神科医のこの私に。

でも私には救えないだろう、慰めることは出来たとしても。
この子には自分が傷ついている、という自覚が無い。
ただ虚無感に囚われているだけとしか思っていない。

この子に自分の傷を自覚させることは簡単だ。
でも、私には出来ない。

私に出来るのは、一時的に忘れさせることだけ。
快楽に身をゆだね、何も考えないでいられる時間を作るだけ。

そう、私には何も出来ない。
19 名前:名無し読者。 投稿日:2003年02月21日(金)00時41分55秒
中澤さんの視点・・・なんか好きです。
吉澤も影のある設定ではまりそうです。(w
20 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月22日(土)13時33分56秒
吉澤・後藤の過去が気になります。
ココスさん頑張ってください。
マッタリ待ってまーす。
21 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月27日(木)20時11分11秒
川o・−・)<いい雰囲気の話ですね。頑張ってください。
22 名前:ヒトミ 投稿日:2003年03月08日(土)02時20分21秒

久しぶりに夢を見た。
いつの頃の夢だったか、ひどく懐かしい夢を見た。

今と違って、何もかもが満たされていて。
今と違って、些細な事が嬉しくて。
今と違って、好きな人と手を繋ぐことさえ出来なくて。
今と違って、、、、。

満たせれていたんだ、あの頃は。
何の変哲も無い日常。
大きな変化も、事件も無く過ごしていた毎日。
ただ、好きな人がそばにいてくれるだけで幸せだった。

そんな毎日を、過ごしていたあの頃。

そんな夢を見た。

あの人の笑顔を見たのはいつぶりだろう。
23 名前:ココス 投稿日:2003年03月08日(土)02時34分11秒

なかなか更新せず、申し訳ないっす。
これからも細々、更新するので怒らないで下さい。

レス、本当にありがとうございます。
これからも是非よんで下さい。
24 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月09日(日)00時31分34秒
ココスさんのペースで更新して下さい。
いつまでも待ってますから。
25 名前:ヒトミ 投稿日:2003年03月17日(月)13時40分04秒


あの人に初めて会ったのは、この仕事を始めるずっと前だった。

長身で華奢な身体。
長く、少し茶の柔らかそうな髪。
大きくて力のある、だけど優しい目。
私の名を呼んでくれる柔らかな声。

全部好き、だった。
いや、今でも好きか。
いつまでもヒトの心に居座ってて、いかにもあの人らしい。

今年、初めて会った時のあの人の年齢に追いついた。
あの頃のあの人は、すごく大人に見えて。
少しでも追いつきたくて、背伸びして。
私は、すごく子供だった。

圭織さん、私は少しは貴方に追いつけましたか。
出来る事なら、貴方に好きだった言いたかったです。

26 名前:マキ 投稿日:2003年03月17日(月)13時59分17秒


今日、初めて客を取ることになった。

精神科医・中澤裕子嬢。
上流階級の女性で、吉澤さんのお得意様らしい。
優しくていい人だと、店長は言っていた。

こんな店に来る人間がいい人なわけがない。
オヤジだろうと、金持ちの妾だろうと関係ない。
私に必要なのは金だけ。

うまく客に取り入って、少しでも多くの報酬を手に入れる。
吉澤さんと店長に教えられたこと、客のもてなし方を思い出して、、、。


部屋のチャイムが鳴る。
高級ホテルの一室、初めてだろうがなんだろうが、ヘマは出来ない。

軽く深呼吸をして、部屋のドアを開ける。
ドアの前に立った女性に向かって挨拶をする。

「お待ちしておりました、中澤様でいらっしゃいますね?」


27 名前:マキ 投稿日:2003年03月17日(月)14時18分20秒


色が白く、華奢な身体。
金のサラサラな髪に、ブルーグレーのカラコン。
だが顔立ちは日本人。

派手な女だ。
とりあえず、ワインでも出すか。

「アンタが後藤マキ?」
「ええ、私はお気に召しませんか?」

テーブルにエスコートいながら、愛想をメイイッパイ振りまいて答える。

「いや、見た目は気に入った」。
 そんな愛想振り向かんでええよ、疲れるやろ?」
私の顔を見ながらクスクス笑ってる。

「いえ、そんな、、、。」
やりにくいな、どうすればいいんだっけ。

「困った顔せんと、ワインかビール出して?」
とりあえず、彼女の言葉に従ってワインを出す。

上流階級の人間て、こんなモンなのかな。
それともこの人が特別?
28 名前:マキ 投稿日:2003年03月17日(月)14時27分00秒


「ちゃんと教育はされてるみたいやね。
 担当が吉澤って聞いてたからちょっと心配やってん。」
あの子は、テキトーな所がたまにあるから。

中澤様は吉澤さんのお得意様だから、彼女の事もよく知ってるのかもしれない。
きっと私がこの仕事を始めた理由も。
店長に頼まれた理由も。
あの店の変なシステムも。

本当にやりにくい。
29 名前:マキ 投稿日:2003年03月17日(月)14時27分47秒

ここまで、のんびり書かせてもらってます。
30 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月17日(月)20時25分39秒
ごっちん戸惑ってるな〜(笑)
にんびり待ってます。

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