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特別な場所

1 名前:作者 投稿日:2003年02月10日(月)19時09分28秒
いつからだろう。
鏡の中の自分が怖いと思うようになったのは。

笑っているはずなのに。
鏡の前の自分は、昔と同じように笑っているはずなのに。

鏡に映る自分の笑顔が、まるで―――


・・・・・・ねぇ、ほんの少しでいいから休ませてください。
疲れた笑顔と、疲れた心を、ほんの少し、暖めてください。

そしたら、また、ホントの笑顔を取り戻せる。
そんな気がするんだ・・・・・・
2 名前: 投稿日:2003年02月10日(月)19時10分36秒

「やぁぐちぃ〜〜」


逢うなり抱きついてくるヒト。
何すんだよぉ〜・・・・とは言えない自分。

だって、あまりにも久しぶりすぎて。
腕の温もりが、とっても嬉しかったから。


「何やぁ? どしたん?」


抵抗しないのが不思議だったのか、覗き込んでくる瞳がコドモっぽい。

―――全く、このヒトは・・・・・・
本当にもうすぐ30になるのかと思うくらい、素直な瞳。

でも、そんな瞳が、大好きだから。
無意識のうちに笑ってしまうのは、仕方ないよね。
3 名前: 投稿日:2003年02月10日(月)19時11分21秒

「何でもないよ」


抱きしめる腕をそのままに、笑って見上げると。
安心したように、目尻が下がって。


「やっぱ、やぐちは可愛いなぁ」


腕のチカラが強くなる。
ギュウって抱きしめられるのに、ちょっとだけ照れくさい気分。


「ペットにならん?」
「アホ!!」


いっつもそれだ。そればっかだ。
やぐちだって、もう二十歳なんだ。
いいかげん、ペットとか止めろってーの。


「飲んべぇの飼い主なんて、やーだよ!!」
はなちゃんにだって、バカにされてんじゃないの?


そう付け加えて、身体を離すと。
「そんなコトは・・・・・」って。

めっちゃ声、小さくなってんじゃんか。
4 名前: 投稿日:2003年02月10日(月)19時12分00秒

「何? ほんとにバカにされてんの?」
「ちゃう!・・・・・けど、なかなか言うコト聞いてくれへん」


そう呟く裕ちゃんは、ちょっと寂しそうで。
「遊んであげる時間が少ないからだよ」って、肩を叩いてあげた。

しゅんとしてた肩は、あっという間に元通り。
自信あり気な、偉そうな態度で。


「やっぱそーやんなぁ〜?」


離した身体も、いつのまにか腕の中。
「やぐち可愛い〜。ペットにした〜い」って聞こえたから。


「ペットじゃな〜いっ!」


背伸びして、耳元で。
チカラいっぱい叫んでやった。
5 名前: 投稿日:2003年02月10日(月)19時12分48秒


日曜の夜。
やぐちの手はラジオをつける。

ちょっと前までは、“忘れなければ”とか“ヒマだったら”とかだったけど。
今は、必ず―――さすがにムリな時もあるけど―――つけるんだ。


何のためって、やっぱり、その声が好き。
その声を聴くと、心の奥がホッとするみたいで。

バカなこと言ってんなぁとか、逆ギレしてんなぁとか。
とても本人には言えない感想を持ちながら、何となく聴くんだ。


『はなちゃんがねぇ――――――』


このキーワードに、ピクッと耳が反応するのは何でだろう・・・・・・

去年の暮れから出現した、この名前。
アイフルよろしく、突然、裕ちゃんの中に居座りはじめた。

6 名前: 投稿日:2003年02月10日(月)19時13分22秒

『聞いて、聞いて。あたしな、イヌ飼ったんや』
『はぁ??』


嬉しそうな報告を聞いたのは、ハロコンのリハの時。
多分、あの『はぁ??』って言ったのは、やぐちだけじゃなかったはず。

そこにいた圭ちゃんとかなっちとか圭織とか。
おそらく、聞こえたほとんどのメンバーは言ったか思ってた。


『イヌ?』
『うん』
『やぐち?』
『けーちゃん!!』

『ホンマやって。チワワやねん』
『チワワ?』
『うん。はなちゃん』

7 名前: 投稿日:2003年02月10日(月)19時13分59秒

本当に冗談だと思ってた。
だって、裕ちゃんがイヌなんて。

怖がりで、動物園だって怖がるようなヒトがだよ?
仔犬にだって、おそるおそる手ぇ伸ばすヒトがだよ?


『うっそだぁ〜〜?』



―――嘘じゃなかったんだなぁって今つくづくと。

だって、最近のラジオでは必ず出てくるし。
たまに、腕に引っ掻き傷、作ってるし・・・・・・


まだ本人(本犬?)には会ったコトないけど。
・・・・・・何となく、ずっこいなぁ・・・なんて。

8 名前: 投稿日:2003年02月10日(月)19時14分38秒

いつでも裕ちゃんの傍にいて。
ホントの裕ちゃんを、傍で見て。
抱きしめられて。お風呂に入れてもらって。

皆の前で抱きしめられても、あの腕はとっても暖かいんだから。
ホントの裕ちゃんの腕は、きっと、とっても安らげるはずなんだ・・・・・


『また来週! ばいば〜い・・・・・・』


裕ちゃんの声が聴こえなくなったラジオを消して、暖かい布団に潜り込む。
真っ暗闇に浮かぶのは、見たこともないチワワを抱きしめる裕ちゃんの姿。

―――違和感あるなぁ・・・・・・

何となく思いながら、目を閉じると。
いつの間にか、意識が遠ざかっていった。
9 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月10日(月)20時13分08秒
わぉ〜やぐちゅーですか(^O^) 楽しみにしてますから頑張って下さい!!
10 名前:. 投稿日:2003年02月10日(月)20時19分00秒

「ただいまぁ、はなちゃ―――・・・・・・」


疲れた身体を引きずって、寒い中を帰ってきたあたしを迎えてくれたのは。


またですかぁ・・・・・?

ボロボロになったヒョウ柄のクッションと。
引きずり出された中味に埋もれてる、ちっこい動物。

幸い、その他の被害は見当たらず、ホッと一安心。


「そっちは好きやんなぁ?」


ついつい増える独り言。
それでも言わずにはいられない。

だってな、やっぱあたしの趣味で買うてきたのに、一方はボロボロで。
試しに買うたぬいぐるみには、抱き付いてるって、なぁ?


「寂しいんかぁ・・・・・・?」


・・・・・・かまってあげられへんしなぁ。
こんなんで、良いコで待ってろっちゅーほうがムリやんなぁ。
やぐちの言う通りやな、ホンマ・・・・・・


「やぐち・・・・・・」


ふと思い出してしまった、コドモの名前を呟きながら。
ぬいぐるみと一緒にぐっすり眠る、茶色い頭を、そっと撫でた。
11 名前:. 投稿日:2003年02月10日(月)20時19分36秒

何となく眠りが浅い真夜中。

ふと目を開けると、目の前には―――プーさん・・・・・?
かなり大きいプーさんに、思いっきり抱き付いてるらしい自分。

でも現実には、そんなの持ってないから、夢だなぁって解釈して。
そのまま、もう一度目を閉じた。

微かに聞こえた優しい声と、暖かい温もり。
・・・・・・裕ちゃんぽいなぁって、何となく思った。
12 名前:作者 投稿日:2003年02月10日(月)20時21分03秒
>9
早速のレス、ありがとうございます。
意味分からない話になるかもしれませんが。
放置しないように頑張ります。
13 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月10日(月)21時21分56秒
面白そうです。
続き、楽しみに待ってます。

14 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月10日(月)22時02分19秒
やぐちゅー好きなんで頑張って下さい。
15 名前:. 投稿日:2003年02月11日(火)09時20分57秒
ピッ!

アラームが鳴った瞬間、めちゃめちゃ快適な目覚め。

清々しい気分で、伸びなんかしてみたり。
まあちっちゃいから、はみでるコトもなく、温もったままの優雅な時間。

布団の中で考えるのは、今日のスケジュールについて。


今日はぁ・・・・・・忙しいなぁ・・・・・・

詰まりに詰まってるお仕事を、一つひとつ思い出して。
その中に、一緒の仕事がない事実に・・・・・・あ〜あ・・・・・・

爽やかな朝は、あっという間に終わりを告げた。
16 名前:. 投稿日:2003年02月11日(火)09時21分34秒

いつのまにか膨れ上がったモーニング娘。は史上最多を迎えて。

やぐちはやぐちで、キッズとのお仕事とかもあって・・・・・・
きゃいきゃい騒ぐ子供たちに、年齢の差を感じながら。

あ〜〜・・・・・疲れる・・・・・・


笑顔を作らなきゃいけない仕事も。
笑わなきゃいけない仕事も。
楽しまなきゃいけない仕事も。

―――そう思ってしまう自分自身は、もっと疲れる。

昔は、もっと自然に笑えてた気がするなぁ。
17 名前:. 投稿日:2003年02月11日(火)09時22分11秒

『すっごいなぁ、この衣装』
『何か、この色がね、派手っていうか・・・・』
『やぐちのはぁ・・・・ピエロやな、きっと』
『え〜?? じゃあ裕ちゃんのは、エリマキトカゲ!』

『エリマキって・・・・・あんたも古いなぁ』
『裕ちゃんのが伝染ったんだよ。あ〜ヤダヤダ』
『―――そんなコト言うやつには、もっと伝染しちゃるわ』

『―――・・・・・こらぁ!!』
『これでやぐちは裕ちゃん色ぉ〜〜・・・・・』


・・・・・・くだらないコトしてたなぁ、あたしたち。
けど、インスピレーションの歌録りとか、楽しかったなぁ。
というか、もっと気楽でいられたんだ。何にも考えずに・・・・・・
18 名前:. 投稿日:2003年02月11日(火)09時22分50秒

思い出しても、守ってくれた腕が戻ってくるわけじゃない・・・・・
もっと寒くなった心と身体を暖めるべく、楽屋に戻ろうと―――


「やぐち」


この声は・・・・・

通路を歩くあたしに、聞き間違い様のない声。
片手を上げて、当然のように手招きするのは、いるはずのないヒト。


「裕ちゃん?」
「うん。元気かぁ?」
「うん」


いつものように笑ってみせると、裕ちゃんもニコって笑って。
やっぱりいつものように、抱きしめられる腕の中。
19 名前:. 投稿日:2003年02月11日(火)09時23分39秒


「やっぱ、可愛いなぁ」

そう呟く声のトーンが、愛玩的なものを感じさせて。
何故か、思い出したのは、はなちゃんの存在。


「ペットじゃない!!」

はなちゃんじゃ、ないんだ!!


思わず、腕を突っ張って、裕ちゃんの肩を押し返す。
―――ヤバイ・・・・・何してるんだ、やぐちは。

イキナリな行動に驚いた裕ちゃんは、でもすぐに笑ってくれて。


「どないしたん? 嫌やった?」


覗き込んでくる笑顔は、とっても柔らかい。
その優しい笑顔に、何にも言えず首を振るだけ。
20 名前:. 投稿日:2003年02月11日(火)09時24分15秒


「抱っこしてもええ?」


まるで子供に言い聞かせるような口調。
恥かしさもあったけど、それ以上に、温もりが欲しくて。


「ごめんね」って、それだけ言って。
目の前にいる裕ちゃんに、自分から抱きついた。

腰に腕を回して、しっかりと。
伝わってくる温もりは、やぐちの心をじんわりと暖めてくれた。

21 名前:作者 投稿日:2003年02月11日(火)09時25分48秒
13,14>
自分でも何書きたいか、イマイチ分かってないんですが。
へい! 頑張ります。
22 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月11日(火)11時42分31秒
やっぱりいいですね、この2人。
つづき待ってまーす。
23 名前:. 投稿日:2003年02月11日(火)21時37分38秒
皆が行き交う通路。
いつまでも抱き合ってたら邪魔だし―――ってことで。
近くのソファーに移動して、しばらく経った頃。


「逢えて良かった。元気でたわ」


繋いでた手を、ギュッとしながら、ボソッと聴こえた小さな声。
それはいつもより低い声で、真っ直ぐに胸に響いた。


「やっぱ、やぐちの顔見ると、元気になれるわ」


見上げたら、優しい眼差しと目が合って。
―――やぐちもそうだよって言いたかったのに・・・・・・


「あーほ・・・・・・」
「うん。あほでええよ。やぐち好きやし」
「・・・・・・・・・」
「あ、時間や。またなぁ」


つい口走ってしまった憎まれ口。
訂正する間もなく、裕ちゃんは走って行ってしまった。
「大好きやでぇ」って、笑いながら、手を振って―――


口が悪くて、無愛想で。それでも笑ってくれる裕ちゃん。
―――ねぇ、笑わないやぐちでもいい? ねぇ・・・・・・

24 名前:. 投稿日:2003年02月11日(火)21時38分13秒
偶然と言えば偶然。
努力と言えば、努力の結果。―――やっぱ愛のチカラやな。

なーんて、訳解らんコトを思ってしまうのは、浮かれてるからなんやろな。

だってなぁ、しばらく逢えへんと思うてたのに。


『今、モーニング、いるって』
『ホントですか?』
『うん。あ、でも時間ないよ。あとねぇ・・・10分くらいかな』
『あ〜・・・・・じゃあ、その頃に』


10分じゃなぁ・・・・楽屋まで遠いし。
第一、おらんかったら、探す時間ないしなぁ・・・・・・んん??

ラッキー♪ 何て偶然。
目の前を横切るのは、ちっちゃい金髪。・・・・・何か暗ない? 疲れてるんかなぁ・・・・・

「やぐち」
そう言って、抱き寄せた身体。

その顔を見ると、顔がにやけるのは、自分でも、よく解かる。
『あぶないよ』とか言われるけど、もうどーしようもないわな。
25 名前:. 投稿日:2003年02月11日(火)21時38分45秒

思い出したら、ホンマににやけてきそうで。
誤魔化すように、冬の夜空を見上げる。

―――でも、ホンマに疲れてそうやったし。だいじょぶやろか。
傍におったら、ギュッと抱きしめて、頭撫でたるのになぁ・・・・・・・

ちゃんと、ご飯、食べてるんやろか。
ぐっすり、眠れてるんやろか。


『元気にしたってな』

薄っすら輝く星座たちに、こっそりお願いした。
26 名前:作者 投稿日:2003年02月11日(火)21時40分09秒
22>
何かね、いいですよね。この2人。
ほのぼの〜と書きたいです。
27 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月11日(火)22時37分52秒
切なそう話なのかなーと思っていたんですが、
ほのぼのな話になるんですね。
毎回楽しみです(笑)
28 名前:. 投稿日:2003年02月12日(水)19時23分21秒
予想外の充電も、山のような仕事のおかげで、あっという間に売り切れ完売。

あーあ。
ため息が出る前に、さっさと布団に潜り込む。

お揃いの写真とプーさんだけを、まぶたの裏に薄く残して。
フル回転した脳みそは、ゆっくりとお休みモードに替わっていった―――――

29 名前:. 投稿日:2003年02月12日(水)19時23分57秒

ガチャ!!

鍵の開く音。
続けて聴こえる足音。

あたしの耳は動物みたいに、敏感に反応して。


!!


目を覚まして、顔を上げると、目の前には・・・・・・


「裕ちゃん??」
「お? 起きてたん? ただいまぁ。良いコにしてたかぁ?」
30 名前:. 投稿日:2003年02月12日(水)19時24分33秒

見慣れたバックを片手に、いいこいいこしてくる裕ちゃん。
その手が、妙に大きくて。―――というか、裕ちゃんも、見上げるほどでっかい。


「おいで」


そう言って伸ばされた裕ちゃんの両手も、大きくて。
あたしはあっさりと、持ち上げられて、目の前には裕ちゃん。ドアップだ。


「ん〜〜〜」


いつものように、近づく唇。
思わず目を閉じると、そのままキス。
31 名前:. 投稿日:2003年02月12日(水)19時25分10秒

「待っててなァ。ご飯あげるから」


―――いつもだったら、キスの後に何か一言あるはずなのに。
可愛いなぁとか、素直やなぁとか・・・・・・

いや、やぐちがそう思うんじゃないよ? 裕ちゃんがね、いっつも言うんだってば。

そんなことを思いながら、降ろしてもらったのは床の上で。
何だか、妙に風景が高いことに気が付いた。


・・・・・・・・・解ったもんねぇ。これは夢だ。
ってことは、やぐちってば、はなちゃんでしょ?

そう確信して自分の手を見てみると、やぐちの手は、わんこの手になっていて。
―――やっぱりなぁ。やぐちってお利巧さん! なんて、思わず自画自賛。
32 名前:. 投稿日:2003年02月12日(水)19時25分44秒

「ほい。お待たせ!」


裕ちゃんがだしてくれたのも、やっぱりドックフードっぽいもの。
―――ふうん。裕ちゃんもちゃんと作るんだぁ・・・・って、余裕あるじゃん、やぐち。


「食べへんの?」
「食べられんの?」


裕ちゃんが、ジーっと覗き込んでくるから。
仕方無しに、というか試しに、パクっと・・・・・・あ〜よく解んないけど。
あんまり違和感がないから、そのままもぐもぐ。


「いっぱい食べやぁ」
「もぐもぐ・・・・・・」


裕ちゃんの目が、とっても嬉しそうだから、全部食べてみた。
33 名前:. 投稿日:2003年02月12日(水)19時26分44秒
・・・・・・・
・・・


ピピッ!!

目が覚めたら、見慣れた天井。


「ん〜〜〜・・・・・」

寒いけれど、天気よさそうだなぁ〜って、思いっきり伸びして。
目覚めが良いのは、やっぱり夢見が良かったせいなのかなぁ・・・・・・


ぼんやりと覚えてる、楽しかった夢。
はなちゃんかぁ・・・・・・裕ちゃんにお話したいなぁ。

―――あ、やっぱ止め。そんなこと教えたら、ぜーったい言うね、あのヒトは。

『何や、やっぱペットになりたいんやん』てね。

・・・・・・ペットかぁ・・・・・それはヤダよねぇ・・・・・
34 名前:作者 投稿日:2003年02月12日(水)19時28分09秒
>27
切ない・・・ほのぼの・・・
というか、それほどのストーリーはないかと。
ボーっと読んだってください。
35 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月12日(水)23時00分48秒
犬の矢口かわいいっす!
36 名前:. 投稿日:2003年02月13日(木)19時25分22秒

『モーニング娘。が分割! さくら組・おとめ組』


―――はっきり言って冗談かと思った。

メンバー皆を見回しても、誰も訳解んないよって顔してた。


「何の話?」
「娘。が分かれるの?」


今まで、いっぱいたくさんいろんな変化を受けいれてきた。
自分だって、歓迎されない変化の一つだった訳だし。


人数が減れば、個性が光る?
新しい環境で、誰かが抜きんでるチャンス??


―――ねぇ、モーニング娘。って何?
やぐちたちは、何を目指して走れば良いの?


ごっちん脱退が、終わりじゃなくて。
圭ちゃん脱退が、終わりじゃなくて。
ミニモニ脱退が、終わりじゃなかった。
タンポポ脱退が、終わりじゃなかったんだ。

予想もつかない状況に、流されてしまいそうだよ・・・・・・


頭の中は、混乱しているのに。
いつも通りに笑ってるあたし。
もしかして、いつも以上の笑顔だったかも知れない・・・・・・
37 名前:. 投稿日:2003年02月13日(木)19時25分55秒

全てを終えて、自分だけの空間に心を解いた瞬間。
張りつめた神経が、フッと緩んだ。


無意識に掴んだ携帯電話。
見慣れたアドレスを呼び出して。

どんな応えが返ってくるかなんて、知ってるけど。
あなたの言葉に、背中を押してもらいたいんだ。


『これからも、見守っててくれる?』


なかなか鳴らない携帯を見つめているうちに。
暖かい布団に、意識がゆっくり沈んでいく。

扉の音が合図のように、優しい夢がまた始まる・・・・・・
38 名前:作者 投稿日:2003年02月13日(木)19時26分56秒
>35
それが書きたかっただけなんです。
ファンのヒト、怒らないでください。
39 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月13日(木)20時44分16秒
怒るなんて無いです!
すごく、おもしろいです。
40 名前:読者 投稿日:2003年02月14日(金)08時58分54秒
やぐちゅーはやっぱりいいですね。
41 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月14日(金)22時55分01秒

同感です。
そして、おもしろい。
42 名前:. 投稿日:2003年02月15日(土)13時41分28秒

「ただいまぁ」


いつになく慌しく帰ってきた裕ちゃん。
あたしを抱っこする間もなく、お水とご飯を用意して。


「ごめんなぁ。裕ちゃん、飲みに行ってくるからなぁ」


やっと抱っこしてくれたと思ったら―――飲みに行ってくるだぁ??

・・・・・・ちょっと待て? 明日の仕事は? というか、オフ? 
仕事があったら、良くないだろうし。オフだったら、もっと良くないぞ、このヒトは。

ぜーったい朝まで帰って来ないもん。
というか、やぐちが悩んでる時に、何でそんなに能天気??


「良いコで待っててなぁ」って、ゲージに戻そうとする裕ちゃん。
43 名前:. 投稿日:2003年02月15日(土)13時42分03秒

「だめぇ!! 行っちゃヤダ!!」


瞬間、裕ちゃんの手にしがみついて、必死にダメダメを繰り返す。


「裕ちゃん、裕ちゃん。行っちゃヤダよ。一緒にいてよぉ〜〜」


ばたばた暴れたら、裕ちゃんの手が、一瞬緩んで。

ストン!

そのまま真っ直ぐ、床に落ちた。


「は、はな!? だいじょぶか??」


裕ちゃんの焦った声に、大丈夫だよって・・・・・・いや、待てよ・・・・・


「痛いよぉ〜〜痛いよぉ〜〜」


通じないのは知ってるけど。
なるべく痛そうな声をだして、寝転がったまま見上げると。


「はなぁ。痛いん? アカンのぉ??」
44 名前:. 投稿日:2003年02月15日(土)13時42分37秒

心配そうに眉根を寄せる裕ちゃんに、ほんのちょっと良心が痛んだけど。
―――いや、これも裕ちゃんのためだもん。


「骨とか折れたん? 病院行くかぁ?」


―――病院??


「いやいやいやいや。だいじょーぶ。遠慮するよぉ」


思わず飛び上がってしまって。
伸びてくる手から逃げるために、カーテンの後ろへ隠れたけど。

「何や、元気やん」って声に、嬉しそうな色が含まれてるから。
―――そーだ。思い出したぞ。このままじゃ、飲みに行っちゃうよぉ・・・・・・
45 名前:. 投稿日:2003年02月15日(土)13時43分08秒

「だめだよぉ」


カーテンから飛び出して、裕ちゃんのスカート目掛けてジャンプ!!
ロングスカートとはいえ、裾はなかなかの高さにあって。


「やっ!! てやっ!!」
「はーな! どーしたん?」


少ししゃがんでくれたから、近くなったスカートを腕に抱えて。
離すもんか!のイキオイで、必死にしがみつく。


「ねぇ。お出掛けしないでさぁ。一緒に寝よーよぉ」
「外は寒いしさぁ。風邪引いちゃうよぉ」
「ねぇ、やぐちの話を聞いてよぉ〜〜」


しがみついた腕がいいかげん疲れてきて。
騒ぎつづけた喉も、いいかげん疲れてきた頃。
46 名前:. 投稿日:2003年02月15日(土)13時43分40秒

「あ〜〜解った! 一緒におって欲しいんやな?」って、軽キレした声。

―――怒っちゃったかな?って、そぉっと顔を上げると。
伸びてきた手に、お腹をすくい上げられて、そのまま抱っこ。


あたしを胸に抱いたまま、携帯片手に、お断りのお電話。
―――やったね! あたしの勝ちだ!・・・・・・そうじゃないけど。


「じゃあ、裕ちゃん。2人で遊ぼぉ〜〜」


電話が終わるのを待って、抱っこされた胸を叩く。
47 名前:. 投稿日:2003年02月15日(土)13時44分11秒

2人っきりじゃん? 何して遊ぶ? 
やぐちの話を聞いてくれる?・・・・・・はムリかぁ。

あ、やぐち的にはDVDでもいいよ?

膝の上に乗ってさ、優しく撫でてもらっちゃたりしてさ。
できれば、コメディがいいな。何となく笑いたい気分だし。
あ、もちろん、裕ちゃんのライブでもいいよ?


「ねぇねぇ、どーするぅ?・・・・・・・??」


お断りのお電話が終わったと思ったら、また別のヒトにお電話中。
え〜〜? 何でぇ?とか思いつつ、ちょっと盗み聞きしてみると。
48 名前:. 投稿日:2003年02月15日(土)13時44分48秒

「―――うん。出られへんねん。―――お〜さすがやね。―――うん・・・・・・・ん。待ってる」


―――待ってるって、何ですか? 誰か来るの?


「さてと―――あ、あんたご飯食べてへんやん」


ご機嫌で電話を切った裕ちゃんは、やぐちをゲージに降ろして寝室に。
ラフな格好で、再登場した後も、鼻歌なんか歌ってる。

「誰が来るのぉ?」って、裕ちゃんの足元にまとわりつく。
ま、当然、返事が返ってくるわけじゃないんだけどね。


絡み付いているうちに、軽く繰り出されるケリを避けつつ。隙あらば、絡みつく。
避け! 今だ! 危なっ! それっ! 甘い! やっ!・・・・・ 

―――ってな興奮状態の中、玄関のチャイムが聴こえた。
49 名前:作者 投稿日:2003年02月15日(土)13時47分26秒
>39,40,41
ありがとうございます。暇つぶしにどうぞ。
50 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月15日(土)15時59分24秒
犬矢口テンション高いですね〜。
誰が来るんでしょう?
毎回楽しみです!
51 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月15日(土)19時10分06秒
犬の矢口いいですね!
すごいおもしろいです。
52 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月15日(土)23時23分31秒
やぐちゅー好きなんですごいおもしろいです。
作者さん頑張ってください。
53 名前:. 投稿日:2003年02月16日(日)11時10分47秒
「来た!!」


誰かは知らないけれど、2人っきりの甘い時間を邪魔するのは誰だ!!
―――くらいのイキオイで、玄関にダッシュ。


「お〜。早かったや〜ん。ヒマやねぇ」


やぐちの後ろから、やっと追いついてきた裕ちゃん。
ドアを開けて、嬉しそうに迎えたのは―――


「ねーさんが呼び出したんでしょーが」


予想通りというか、お決まりというか。
めちゃめちゃ寒い空気と共に現われたヒトに、とりあえず本能の赴くまま。

ジャンピング―――
54 名前:. 投稿日:2003年02月16日(日)11時11分32秒

「キーックっっ!!」


「お〜、好かれてんなぁ、みっちゃん」
「・・・・・・蹴られたやん・・・・・・」
「んな行儀悪いコトせんよなぁ? はな?」

「うん!! 愛情表現に決まってんじゃん!!」

「ほら。はなも『うん』言うてるし」
「・・・・・・・・・ごっつ笑顔で、嘘言わんといて」


玄関先の攻防で、一応やぐちの気は治まったし。
―――さて、裕ちゃんの膝で、まったりとしよーっと。


「どうやの? 少しは慣れたん?」
「ん〜?・・・・・・どーやろ」


宣言した通り、あたしは裕ちゃんの膝に陣取って。
さわさわと背中を撫でてもらいながら、自分の話題に耳を傾ける。
―――あ〜、これって、ペットの特権だぁ。
55 名前:. 投稿日:2003年02月16日(日)11時12分09秒
「ちゅーか、暴れてたわ、さっき」
「あ、飲みに行かれへんってか・・・・・・・でも今は大人しいやん?」


そりゃそうじゃん。
今、最高に気持ち良いもん。
というか、暴れたって失礼な言い草だぞ。心配してあげたのに・・・・・・
あ、今飲んでたら同じじゃん。・・・・・ま、いっか。一緒にいるしね。


「も、眠いんちゃうか?」


ビールの缶が、コツンと置かれる音がして。
お腹の下に、冷たい感触・・・・・・・・
56 名前:. 投稿日:2003年02月16日(日)11時12分53秒

「やっ! ココがいい!」


持ち上げられないように、必死にスカートに手を伸ばす。
―――爪がちっちゃいから、引っかかんないよぉ・・・・・・


「ごっつ、暴れてるやん」
「・・・・・・何で?」


「降ろして、降ろして。膝がいいよぉ!!」


「何か気に入らんみたいやな」
「持ち方、悪いん?」


「違うよ、アホ!! ま、確かにくすぐったいけどさ・・・・・・・・ふう」


「・・・・・・大人しくなったやん」
「・・・・・・せやな」

57 名前:. 投稿日:2003年02月16日(日)11時13分31秒
ヒトの気も知らずに、平和な会話をしやがってぇ・・・・・・

かぷっ!


「おう?! はなぁ・・・・・・」
「暴力的や。――――――」
「何か言うたか?」
「いいえ。何も言うてません」


・・・・やぐちは聞こえたよ。
飼い主にそっくりやなぁって。

さすがみっちゃん。付き合いが長いだけあるね。
ペットはね、飼い主に似るんだもんね。

・・・・・・ってことは、はなちゃんって偏食家なのか?
今度、裕ちゃんに訊いてみよーっと。

58 名前:. 投稿日:2003年02月16日(日)11時14分31秒
朝起きると、握ったままの携帯には、いつの間にか。
在り来たりな言葉だけど、欲しかった言葉が届いてた。


『愛してる。当たり前やん』

『もうお母さんな気分やしな。ムリしたらアカンで』


きっと、裕ちゃんはメンバーじゃないから。
大事なモーニングが、分割されることは知らないはず。

でも、この言葉に、やぐちは励まされたから。
もしも、裕ちゃんが悲しんでしまったら、逆に言ってやろう。


『変わるのがモーニングなんだろ?』って。
59 名前:. 投稿日:2003年02月16日(日)11時15分01秒

そう。変わるのがモーニングで。
変わらなければ、出逢えなかった皆がいるんだから。

・・・・・・さくら組? やってやろーじゃんか。


とりあえず、今日、ニュースを知るであろう裕ちゃんに、メールを送ろう。

『やばい名前だよね』って・・・・・・

あ、はなちゃん偏食家説も解明しなきゃ。


60 名前:作者 投稿日:2003年02月16日(日)11時16分50秒
>50,51,52
レスありがとうございます。
訪問者は、ま、予想通りといいますか・・・
ひねりがなくて、申し訳ない・・・・
61 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月16日(日)12時30分42秒
なんか、ほのぼのしてていい感じです。
はなちゃんが偏食家どうか私も気になります(笑)
62 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月16日(日)20時05分07秒
>『やばい名前だよね』って・・・・・・
確かに、もう少しひねって欲しかったですが。
作者の話すごい好きです。頑張ってください。
63 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月16日(日)20時55分57秒

すみません!!
『さん』付けするの忘れました。すみません!!
64 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2003年02月17日(月)02時21分43秒
いいですね〜、←(何を偉そうに)
作者さんの小説良いッス
頑張って下さい!
65 名前:. 投稿日:2003年02月17日(月)20時50分48秒

いつもの朝。目覚めのニュースはかなり効いた。
・・・・・・はぁ?? てのが初めの感想。というか第一声。
あ、はなちゃんにおはようって言うた後だから、第ニ声や。


『モーニング娘。分割!!』


―――あぁ、コメンテーターさんも訳解ってないわなぁ、コレ。
そらそーやろな。あたしかて解ってないし、ましてや当事者たちはなぁ・・・・・・・

ま、グループ内での競争ってのは、初めっからあったことやし。
人数多いから、しゃあないというか。そのために増やしたんかなぁ?
66 名前:. 投稿日:2003年02月17日(月)20時51分52秒

・・・・・

ふと思い出して、携帯を開く。
昨夜遅くに届いた、やぐちからのメール。
言葉足らずな気がしたけど、これで納得したって感じやな。


『見守っててくれる?』


その短い言葉の裏には。

娘。がどれだけ変わっても、昔と変わらず見守っててくれる?
どんなに周りが理解し難い状況になっても、かわらず愛してくれる?


不安なんやろか。―――不安なんやろな、やぐち・・・・・

あたしなんかで良かったら、逢って抱きしめたるのに。
不安な顔してたら、笑顔になるまで抱きしめたるのに。
安心せぇって。言葉と身体で伝えたいけど・・・・・・
67 名前:. 投稿日:2003年02月17日(月)20時52分27秒

続けて開いた送信メール。


『愛してる。当たり前やん』


この言葉、嘘やないよ。嘘やないけど、あたしの心が何か言うてんねん。
「あたしの知っとるモーニング娘。は、どこに行ったんやろ」って。


こんなコト、誰にも言えへんけど。
誰にも言えへんから。

68 名前:. 投稿日:2003年02月17日(月)20時52分57秒

「はなぁ」


ベットで丸くなっているはなを、そのままの形で抱き上げる。
寝起きが悪いのか、眠ったままの鼻先に、口を寄せて。


「しゃあないやんな? あの娘ら、好きやもんな?」


電話をしても、メールをしても、複雑な心が伝わらないように。
夢の中の動物に、あたしの心を肩代わりさせて。


とりあえず。

『ついでに tsunagi も作ってくれたらええのになぁ』
正直な気持ち、送っとこかな。
69 名前:作者 投稿日:2003年02月17日(月)20時57分21秒
>61
はなちゃん・・・考えてみればドックフードで偏食はないですよねぇ。

>62、63
わざわざ訂正して頂きまして。そのままでOKですよ。
あの名前ねぇ。・・・・解りません。ムリです・・・

>64
良いっすか? 嬉しいです。頑張って終わらせます。
70 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月17日(月)22時27分15秒
>『ついでに tsunagi も作ってくれたらええのになぁ』
>
ほんとに作ってもらいたい。
tsunagiで番組1本やってほしい。

つづき楽しみです。
71 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月17日(月)22時27分41秒
tsunagi かぁ・・・自分も希望っす!!
ありえないけどね(笑)
72 名前:つかさ 投稿日:2003年02月17日(月)23時34分12秒
やっぱり、姐さん=ネコ、矢口さん=犬っすよね(笑)
tsunagi・・・・・永遠の夢ですね。
どんなふざけた内容になろうがついて行くぜって思うけど・・・・
現実はなかなか厳しい(しみじみ)
73 名前:. 投稿日:2003年02月18日(火)19時50分04秒

撮影の合間。待ち時間。
傍らにあった雑誌のペット特集に、先日の夢を思い出す。


―――何か恥かしいかも・・・・・・

夢の中とは言え、何かチカラいっぱい遊びまくっていた気が・・・
というか、はしゃいでいた気が・・・・・


でも、何か楽しいんだよなぁ。

ゆーちゃんもみっちゃんも楽しそうで。
いつになく饒舌で甘えたなゆーちゃんとかさ。
みっちゃんも、ゆーちゃんと2人だからか、突っ込みも控えめって感じで。

74 名前:. 投稿日:2003年02月18日(火)19時50分50秒

「やぁぐち」


突然の声に振り返ると、なっちの指がほっぺにグサっと。
・・・・・・・何かすっごい笑ってるんですけど。


「何だよぉ」
「いやさ、めっさ笑ってるから。何かオモシロイ記事でも載ってた?」


やぐちの肩越しに雑誌を覗き込むから。
別にないけどってそのまま雑誌を渡してあげる。

・・・・・・・夢を思い出してたから。とは言えないでしょ。


「―――でも、やぐちが笑ってる顔、久しぶりに見たよ」
「へ?」
「や、何かね。最近少し大人しかったからさ」
75 名前:. 投稿日:2003年02月18日(火)19時51分25秒

・・・・・・・やっぱり、付き合いの長さなのか。
解るヒトには解っちゃうのかなぁ・・・・・・・


「そっか。うん。でも大丈夫だよ。もう大丈夫」
「そ? なら良かった」


うん。大丈夫だよ。
さくら組、頑張っていける。

新しいユニットで、新しい歌を歌えるんだ。そう思えば幸せじゃない?
だって、やぐちたちはさ、歌を歌うコトが大好きなんだから。ね? 



・・・・・そう思ったのに・・・・・またかよ・・・・・
またまた発表された舞台の仕事。いつもながら突然で。
76 名前:. 投稿日:2003年02月18日(火)19時52分06秒

今度は明治座? 忠臣蔵?
あ、明治座って裕ちゃんがやってるトコだぁ・・・・・・そうじゃなくて。

いつの間に、舞台が恒例になったのかなぁ。
ミュージカルに舞台。バラエティにコンサート。

やぐちさ、本音を言えばさ、もっと歌いたいよ。
もっとさ、心を込めて、じっくりと・・・・・・


『タンポポはアーティストです』って言えた時代が懐かしいなぁ・・・・


久しぶりに掛けた『TANPOPO1』の懐かしい音。
思い出たちに誘われるまま、重くなった瞼を閉じた。

77 名前:作者 投稿日:2003年02月18日(火)19時55分19秒
>70,71,72
tsunagi・・・夢ですねぇ。
どんなに安倍さんが寒くても。矢口さんの突っ込みがすべっても。
中澤さんがぶち切れても・・・・番組1本希望です。
78 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月18日(火)22時50分19秒
>『タンポポはアーティストです』
懐かしいですなー・・・。
TANPOPO1は自分の中でもかなりお気に入りです。
79 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月20日(木)23時02分28秒
>『タンポポはアーティストです』
なんだか懐かしい台詞ですね〜

犬矢口がもー楽しみです!!
80 名前:. 投稿日:2003年02月21日(金)20時28分15秒


「・・・・・・」


んん? 裕ちゃん?
この敏感なお耳でも、ただいまぁって聴こえなくて。

泥棒?とか思ったけど、リビングに入って来たのは、やっぱり裕ちゃんで。


「おかえり!!」
「ん〜〜・・・・・・」


元気に迎えてあげたのに、何か元気がないみたい。

通りすがりに、ゲージを開けてくれたけど。
そのままソファーに倒れ込んで・・・・・・動かないぞ?
81 名前:. 投稿日:2003年02月21日(金)20時29分21秒

「裕ちゃん? どーしたの?」


寝っ転がった背中に乗って。
爪を立てないように、肩の辺りをモミモミ モミモミ。


「ん〜? ご飯なぁ・・・・・」
「ご飯じゃないよぉ。疲れてんのかぁ、裕子ぉ〜」


よっこらしょとでも言うように―――いや、言わなかったけどもね。
うつ伏せた身体を、だるそうに起こしてくれたけど。
用意してくれる動作が、かなり緩慢。・・・・・・裕ちゃん、だいじょーぶぅ?


ご飯を出してくれたら、また、ソファーとお友達。
「食べやぁ〜・・・・」って言ったまま・・・・・・・動かない。寝ちゃってる?
82 名前:. 投稿日:2003年02月21日(金)20時30分23秒

とりあえず、寒い部屋を暖めるべく、リモコンを探して。
―――だって、裕ちゃん。エアコンも付けないんだもん。


ピッ!

イヌの手だって、これくらいは出来るもんね。
ちょっといい気分で振り返ると、裕ちゃんはうつ伏せたまま全然動いていない。
さっきの、ピって音も、耳に入ってないんだろうなぁ。


「裕ちゃん、裕ちゃん。だめだよ、寝たら」
「ご飯は? 食べたの? 裕ちゃ〜〜〜ん!!」


上着を着たままの背中は、全然暖かくなくて。
何だか、裕ちゃんの身体も、冷たい気がする。

こんなに疲れた全開の裕ちゃんは、多分見たことがない。
どんなに仕事が忙しい時も、やぐちぃって笑ってくれたから。
83 名前:. 投稿日:2003年02月21日(金)20時31分26秒
「裕ちゃん、裕ちゃん。ねぇ、起きてよぉ。顔見せてよぉ〜」
「ん〜〜・・・・・・」


いつもよりも小さく感じる背中に、何度も話し掛けると。
やぐちのしつこさに、諦めてくれたのか。
ソファーの上で反転した裕ちゃんは、やっと抱きしめてくれた。


「何やぁ? 遊んで欲しいんかぁ?」
「そーじゃないよぉ。そーだけど、それは良いからぁ」


腕の中から抜け出して、首筋まで這い上がる。
やっと、裕ちゃんの匂いを吸い込むことが出来て。

―――はぁ〜〜落ち着くなぁ。いい匂い・・・・・
84 名前:. 投稿日:2003年02月21日(金)20時32分35秒
うっとりと鼻先を埋めてたら、イキナリ立ち上がる裕ちゃん。
何だ何だ?って思ってたら、「お風呂入ってくるわぁ」って、洗面所に。

唐突だよ、裕子ぉ。
・・・・・でも、大丈夫なのかなぁ。すっごい疲れてそうだし・・・・・・よし!!


「裕ちゃ〜ん。やぐちもお風呂入りた〜い」


洗面所のドアの前で、傷つけないようにカリカリしてみる。
と、イキナリ開いたドアに、直撃を受けそうになって、思わず横っ飛び!


「何や? 入りたいん?」


ひょこっと顔を出したその隙に、スルッと中に入りこんだ。
85 名前:. 投稿日:2003年02月21日(金)20時33分37秒
改めて見上げると、裕ちゃんは下着姿で・・・・・・・うわぁ、久しぶりだぁ・・・・・・

慌てて背中を向けたけど、はなちゃん並みの聴覚が、敏感に捕らえてしまう。
ホックを外す音。下着を脱ぐ音。・・・・・・オヤジかよ!

・・・・・違うよ? やぐちはね、裕ちゃんが心配なんだからね?!


誰も何もないとこに、しっかりと突っ込みを入れると。
後ろから、ふわっと持ち上げられた。


「入んねんな?」


背中に当たる柔らかいのは、多分、裕ちゃんの素肌だ・・・・・・
86 名前:作者 投稿日:2003年02月21日(金)20時35分54秒
>78,79

タンポポ1。私もお気に入りです。
やっぱね大中小のタンポポがね。・・・今は第4期ってコトですか・・・
87 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月22日(土)03時42分12秒
姐さんとはなちゃんの日常をのぞいてるみたいだ(w
矢口って本当に犬が似合ってる。

88 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月22日(土)16時30分52秒
矢口・・・興奮しすぎ!!(笑)
めちゃくちゃ、面白いです!!
89 名前:. 投稿日:2003年02月23日(日)15時03分02秒


「ちょっと待ってなぁ」


そっと降ろされた浴室の床。そのタイル目をジーっと見つめる。
・・・・・・しかできないでしょお〜〜?

だって、顔を上げちゃったりしたらさ? そんな、だって、ねぇ?
例え夢でもさ、そんな、もしも、はっきり見えちゃったりしたらさ?

え? やぐちって欲求不満・・・・・・?


「はな」
「え?」


呼ばれた声に、反射的に顔を上げると。
90 名前:. 投稿日:2003年02月23日(日)15時03分37秒

あぷっ?!―――――あが! ちょぼっ・・・・・・・ぷはぁぁぁ・・・・・

ブルブルブルブル!!!


「にゃはははははは!!」


・・・・・・・死ぬかと思った・・・・・・
やぐち、お風呂場で死ぬかと思った・・・・・・・のに・・・・・・


「ばか裕子ぉ!!!」


柔らかそうなお腹目掛けて、キーック!!というか、タックルだぁ!!

このばかばかばかばかばかぁ!! 死んだらどーすんだよぉ!!
91 名前:. 投稿日:2003年02月23日(日)15時04分07秒

「イタタタタ・・・・ご、ごめん。ちょ、はな、止め、止めぇ!!」
「あほ〜!! 何だよ、心配してたのにぃ!!」


はっきり言って、爪立ってたかも知れない。けど、裕ちゃんが悪いんだもん。
イキナリ突然シャワー掛けてきてさ。そんで笑ってるって、どーゆーこと?


「うぅぅ・・・・・・」

収まんない。やぐちの怒りは収まんないぞぉ・・・・・・


「そりゃ! てりゃ! これもだぁ!」


シャンプーやらリンスやら。置いてあったボトルのポンプを押しまくり。
飛び出た中味がかかったけど、気にするもんか。このままお湯に入ってやるぅ!!


「あ〜〜アカンっ。はなっ!」
92 名前:. 投稿日:2003年02月23日(日)15時04分38秒

寸でのところで、捕まってしまったけど。あ〜結構発散した。
うん。こんなもんで許してあげるよ。だって、裕ちゃんが洗ってくれるんだよね?


「あ〜もう。悪戯っ子やなぁ」
「そのセリフ。そのまま返すよ。あほ裕子」
「大人しくしときや?」
「優しく洗ってくれるんならね」


さすがに今度は、いじめっ子なコトもなく。さわさわと、優しく洗ってくれた。
ったく。やればできんじゃんか。いじめんなよなぁ。

あ〜そこそこ。ん〜〜気持ちイイねぇ・・・・・・


「ほい! 終わり。向こう行っときやぁ〜」
93 名前:. 投稿日:2003年02月23日(日)15時05分17秒

あまりの気持ち良さに、半分寝てたら。
しゃかしゃかタオルで拭かれた後、ぽいっと洗面所に追い出され・・・


「ヤダ!!」


トンと降ろされた瞬間、クルッと方向転換して。
浴槽の縁に飛びあがった。・・・・・・うっ、ちょっとバランス悪っ・・・でも。
やぐち、ここでいいから。お風呂入りなよ。


珍しーなぁとか何とか。
ぶつぶつ言ってたけど、大人しくしてるのが伝わったらしい。
落ちんなやって見遣った後、髪を洗い始めた裕ちゃん。

あたしはそれを、ボーっと見てた。

髪を濡らして、シャンプーを泡立てて。
シャワーで流す仕草は・・・・・・色っぽいぞ!!
94 名前:. 投稿日:2003年02月23日(日)15時05分47秒
ボディソープで包まれた身体。
真っ白い泡を流しても、やっぱり白い身体が現われる。

それは。
細っこくて、何となく頼りなさを感じさせる。
・・・・・久しぶりで見たからかも知れないけれど・・・・・


「ねぇ、ちゃんと食べてる? 細くなったよ?」
「ん? 何やぁ?」

「ば〜か・・・・・・」

何で聴こえないんだよぉ。
夢ならさ、都合よくお話させろよなぁ・・・・・・


でも、聴こえないってコトは・・・・・・
95 名前:. 投稿日:2003年02月23日(日)15時06分22秒

てことで。
浴槽の縁に乗っかったまま。
やっと入って来た裕ちゃんの肩に、顎を乗せて。


「ねぇ裕ちゃん。やぐちたち、どーなんだろねぇ」
「ねぇ裕ちゃん。舞台って必要なの?」
「裕ちゃんさぁ、そんなに疲れてんの、舞台のせいでしょ?」


「なーに、うにゃうにゃ言ってんねん」


「ねぇ、ちゃんとした歌、歌いたいよぉ・・・・・」
「舞台はさぁ・・・・・・意味ないじゃんって・・・・・心配なんだよぉ・・・・・」
「ちゃんとさぁ・・・・・チカラに、なるのかなぁ・・・・・」


「はな? 逆上せてるん?」


「・・・裕ちゃんは・・・・・・・変えてるんだよねぇ・・・・・」
「やぐちも・・・・・自分の・・・・・チカラに・・・・・・・・」


「はな??」


―――裕ちゃんの声が遠くに聴こえる。
あれ? 目の前が真っ暗。ブラックアウトだぁ・・・・・・・・・・・
96 名前:. 投稿日:2003年02月23日(日)15時06分57秒
------------------------------
97 名前:. 投稿日:2003年02月23日(日)15時07分30秒

うぅ・・・・・・・何かだるい。
頭の中はすっきりしてるんだけど、身体が何か・・・・・

見てた夢も、途中から思い出せないし・・・・・・・・


でも、何か、散々愚痴ってたなぁ、やぐち。
ま、おかげで今朝は気分爽快。やるしかないもんねって感じ?


でも・・・・・・・何か、やぐちって、裕ちゃん不足なのかなぁ・・・・・


というか、実はやぐち、不思議なんだ。
何でこんな夢ばっかり見るんだろうって。

夢は深層心理を表すって言うけど。
これは、どーゆーコトなんだろうって。

そんなこと、思って考えて。
首を傾げて考えたけど、結局答えなんか出ないまま。
98 名前:. 投稿日:2003年02月23日(日)15時08分01秒

それからも、やぐちは夢を見た。

悲しいこと、辛いこと。
いろんな現実に潰されそうになった時。


やぐちだけの秘密の夢を。

気楽で、おバカで、暖かい。
そんな夢を、何回も、何回も。


でも、あの夢を最後に、秘密の夢は見なくなった。
どんなに疲れた身体を引きずって、心に癒しを求めても。

それはきっと願ったから。
あの時、やぐちが願ったから。―――もうこんな夢は見たくないって・・・・・・
99 名前:作者 投稿日:2003年02月23日(日)15時11分45秒
>87,88
ねーさんとはなちゃんの日常生活。
まさにそんなイメージを目指してます。
楽しんで頂ければ、嬉しいです。
100 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月23日(日)21時58分52秒
あの夢ってなんですか?
すごい気になります!!
続き 楽しみです。
101 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月24日(月)18時47分45秒
なんだか矢口が切ないような・・・。
続きすごく楽しみです(^o^)/
102 名前:. 投稿日:2003年02月24日(月)19時08分21秒
あの日見た最後の夢。
あの夢はいつもと、何かが違っていたんだ。

―――今思えばだけど・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・
103 名前:. 投稿日:2003年02月24日(月)19時08分58秒

・・・・・あれ?―――あ、脚・・・・・・


気が付いたら、柔らかい膝の上。
甘いシャンプーの香りがするから、お風呂上りなのかも。

いつもより暖かい手が、あたしの背中をさわりさわり。


「今日は早かったんだね」

起きあがって見上げると、茶色い瞳と目が合った。
すっぴんで眠そうな裕ちゃんは、久しぶりに幼く見える。


「ん? トイレ?」


首を傾げて訊いてくるのも、何か久しぶりで、可愛いよぉ・・・・・

ちょっとだけ、その表情を見てようと思ったけど。
このままだと、暖かい膝の上から、強制移動させられちゃうし。
違うよって急いで答えて、もいっかい膝に寝そべった。
104 名前:. 投稿日:2003年02月24日(月)19時09分32秒

裕ちゃんの顔が見えないのは寂しいけれど。
お腹の下にある温もりも、背中の上にある温もりも、全部裕ちゃんだし。

―――てことで、顔を見るのは諦めよう。
でも・・・・・・声くらいは聴きたいのが本音だけどね。


♪♪♪


「はい?――――――」


一応、願いが叶ったと言うべきか。
掛かってきた電話のおかげで、裕ちゃんの声が聞こえる。
・・・・・・ちょっと嬉しくない気がしないコトもないけど。

だって楽しそうだし、砕けた話し方からすると、結構親しいヒトっぽいんだもん。
105 名前:. 投稿日:2003年02月24日(月)19時10分08秒

「あ?―――あ〜そっか・・・・・・」


ん? トーンが落ちたぞ?

離れてしまった背中の手を追いかけるように、顔を見上げた。けど。
裕ちゃんの目は、左手で覆われてて、見えなくて。
だから、うんうんって小さな声で頷く裕ちゃんの唇を、ジッと見てた。

最後まで、同じ姿勢で話してた裕ちゃんは、切れた電話をしばらく見つめて。
はぁって深いため息をついた後、白いタオルで顔を覆った。


「裕ちゃん? どーしたの?」


答えてくれなくても、訊かずにはいられなかった。


「ねぇ、何があったの?」
106 名前:. 投稿日:2003年02月24日(月)19時10分40秒
だって、やぐちの存在なんて忘れてるみたいに―――


「ねぇ、泣かないでよぉ」


静かに、とっても静かに、涙を流しているから・・・・・・


「裕ちゃん、裕ちゃん、裕ちゃん」


何度呼んだって、顔を上げてはくれない。
何度呼んだって、泣き止んではくれない。


「裕ちゃん、ねぇ、泣かないでよぉ」

107 名前:. 投稿日:2003年02月24日(月)19時12分09秒
今が夢の中なのが、とっても悔しい。

こんなに傍にいるのに、話しを聴いてあげるコトができない。
泣かないでよって、慰めるコトもできない。
泣いていいよって、肩を抱いてあげるコトもできないんだ。


「裕ちゃん、ねぇ、裕ちゃん・・・・・・」


立ちあがって、寝室に向かう裕ちゃん。
その肩が震えていて、まだ泣いているのが解るから。

―――やぐちも!!

ダッシュで追いかけて。
扉の隙間に、素早く身体を滑り込ませる。


「・・・・・アカン、やん・・・・・・」

追い出そうとするパジャマの腕から、必死に逃げた。
108 名前:. 投稿日:2003年02月24日(月)19時12分55秒
「ヤダ! お願い! 毛ぇ抜けないようにするから!」
「はなぁ・・・・・・」

「ヤダっ!!」

独りになんかできないもん!


寝室を走り回って、ベットの上。その隅っこで身構えると。
しゃあないなぁって呟きと、ため息が聞こえた。

・・・・・・ため息が寂しかった。でも良いんだ。だって―――

ベットに入った裕ちゃんが、手を伸ばしてくれたから。


「おいで」

そう言って、やぐちに向かって、手を差し出してくれたから。
だから、急いでその腕の中に飛び込んだ。
109 名前:. 投稿日:2003年02月24日(月)19時13分25秒

・・・・・・これで追い出されたら、マジ噛み付くからね?


「特別やで?」
「やぐちだって、特別サービスだってーの」

「ありがとな・・・・」
「裕子ぉ。何泣いてんだよぉ」


抱っこしてもらった腕から、一生懸命身体を伸ばして。
頬を伝う涙を、ペロペロ ペロペロ舐めてあげる。

ねぇ、悲しさも流してよ。涙と一緒に拭ってあげるから。
今のやぐちには、それしか出来ないんだから。

―――でも、ホントは、こんな自分じゃイヤなんだ・・・・・・・
110 名前:. 投稿日:2003年02月24日(月)19時14分02秒
---------------------------
111 名前:. 投稿日:2003年02月24日(月)19時14分33秒

・・・・・・・あの時、泣きながらお願いしたのが最後の夢。
裕ちゃんと一緒に笑い合える、楽しい夢は見なくなった。


でもね、それで良い。
もう、夢は見なくて良いんだよ。


夢の中のあなたは、とっても自然な表情で。
優しく暖かく、あたしの全てを包んでくれた。

だから。

今度は、この身体を、抱きしめて。
夢じゃなくて、現実に。強いチカラで、心ごと。
112 名前:. 投稿日:2003年02月24日(月)19時15分12秒

ねぇ、裕ちゃん。
やぐちね、ペットでもいいよ。


悲しい時も、嬉しい時も、あなたの傍にいたいから。
何があっても、誰と会っても、必ず帰ってきてくれるから。


あなたが安らぎをくれるから、代わりに笑顔をいっぱいあげる。
あなたが愛をくれるから、それ以上に愛してあげる。


だから。

仮面をつけないあなたと、仮面をつけないやぐち。
裸のまま、自然な2人で、愛し合おうよ。

あたしだけの特別な場所。―――あなたの腕の中で。


あのさ、やぐち、いつか、言っちゃうよ。
その時、あなたは何て答えてくれるかなぁ。


『ねぇ、裕ちゃん。ペットにしてくれる・・・・・・?』
113 名前:作者 投稿日:2003年02月24日(月)19時17分18秒
>100,101
楽しみにして頂けて光栄です。
夢はこんなんでした。

てことで、次で終わりです。
最後までお付き合いください。
114 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月24日(月)21時30分23秒
>最後までお付き合いください
どこまでも付いていきますよ(笑)

終わりですか・・・寂しいです・・・
115 名前:. 投稿日:2003年02月25日(火)19時20分45秒

まるで子供のように、あたしの胸に身体を預けて。
首筋に顔を埋めたまま、眠ったのか、動かないやぐち。

起こさないように、ズレ落ちた毛布を、そっと引き上げて。
金色の髪を撫でながら、ボーっと思い出すのはさっきのコト。

―――びっくりやなぁ、あんたは。ホンマ、面白いわぁ・・・・・・


「・・・・・・何が・・・・・・?」

突然、小さな声が直接胸に響く。


「・・・・起きてたん?」
「うん。何が面白いの?」


―――あれ? 聞こえてたん? 
しゃべったつもりはなかったんやけどなぁ。ま、ええか。
116 名前:. 投稿日:2003年02月25日(火)19時21分33秒
「やぐちがな、面白いなぁって。ちゅーか、変わったなぁって思ったの」
「・・・・・・・変わった・・・・・」
「うん。だって、イキナリ『裕ちゃん。ペットにして』ってなぁ? 裕ちゃん、ごっつびっくりしたでぇ?」


さっき思い出していた、数時間前の出来事を、見事再現してやると。
ずっと伏せたままだった顔は、やっとあたしを見てくれて。

「そのわりには即答だったじゃん」って、拗ねた視線と尖った唇。
くぅ〜可愛いなぁ・・・・・・って、にやけてる場合じゃないわな。

まあ確かに、その通り。


『裕ちゃん、ペットにして』
『ええよ』
117 名前:. 投稿日:2003年02月25日(火)19時22分04秒
あたしが答えた後の、やぐちの顔。覚えてる。
喜ぶわけじゃなく、かと言って、冗談だよって笑うわけでもなく。
ただ、なんとなく切なそうな顔してた。

あんたの目は、言葉よりも雄弁なんやって、知ってたか?
解ってないなぁって思ったんやろ?

でもな、やぐちのコトなんかお見通しやっちゅーの。
あたしを誰だと思ってんねん。やぐち大好き人間やで?


ま、何でかなぁとは思ったけどな。
散々今まで、ペットって言葉を嫌がってたくせになぁ?
ペットなんて、愛情表現に決まっとるのに。―――面白かったけども。

でも、もちろんそんなコトは言わない。
気ぃ変わってしもたら、もったいないしな。
118 名前:. 投稿日:2003年02月25日(火)19時22分39秒

『いつも、ずっと、傍におってな。ちゃんと可愛がったるから』


そう言ったら、笑ってくれたし。

続いてくらった頭突きには、さすがに参ったけど。
全くあんたは、暴力的すぎんねん。照れるんなら、大人しく照れとけっちゅーねん。


「ねぇ、ペットってさ、ヤラシイよね。響きがさ」


さっきまでの拗ねた表情とは一転して、面白がるような笑みを浮かべて。
その表情とか声が、何となく、あれや。―――共犯者ってにおいを感じさせる。

こういう顔ができるようになったんやなぁ・・・・・・
なんて、少し嬉しく思ってしまうのは、えーと、親ばか?―――ちょっと違うか。
119 名前:. 投稿日:2003年02月25日(火)19時23分09秒
「まあなぁ。でも、それでええんやろ?」
「うん。条件さえ守ってくれればね」


そう言って、ニカッて笑ったやぐちに、さっきの笑顔が重なった。

頭突きをくらった顎を、ごめんねって撫でてくれた手が、頬に伸びて。
『あ、でも条件があるんだ』『ドックフードはヤだからね』って・・・・・・


「あんたな、あの条件ってのは、思いっきりバカにしてへん?」
「だってさ、言っとかないと、裕ちゃんやばそうじゃん?」
「んなわけあるか!」


確かにあたしは言うたで。人間とペットは区別するって。
はなちゃんに人間のご飯はやらんって。一緒のベットで寝るなんてイヤやって。
だって、あたし鼻炎持ちやから、イヌの毛はアカンって理由もあるし・・・・・
120 名前:. 投稿日:2003年02月25日(火)19時23分44秒

「どこの誰が、人間にドックフードあげるっちゅーねん」
「ココのゆーちゃん」
「せーへんって。そんな変な趣味ないもん」
「そんな趣味って、どんな趣味?」
「・・・・・・・・・・・・・知らんけど」


予想以上の突っ込みに、多分赤くなっているだろうあたし。
―――はなちゃん以上に、振りまわされそうやなぁ・・・・・・でも、まあ。
121 名前:. 投稿日:2003年02月25日(火)19時24分15秒

「ずっと一緒やんな?」
「・・・・・・捨てないでね」
「あんたこそ。逃げんとってな」


「ところで、条件はあれだけ?」
「うん」
「ベットは?」
「は?」
「一緒に寝てって言わへんの?」
「もう一緒に寝てんじゃん」
122 名前:. 投稿日:2003年02月25日(火)19時24分53秒
Fin
123 名前:作者 投稿日:2003年02月25日(火)19時26分17秒
>114
最後までありがとうございました。
おかげで最後まで書ききることができました。
124 名前:作者 投稿日:2003年02月25日(火)19時29分18秒
イヌのやぐっちゃんが書けて楽しかったです。
やはり、ねーさんネコ、やぐっちゃんイヌということで。
後は速やかに、倉庫行きを願ってます。
125 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月25日(火)20時10分35秒
最後までおつかれさまでした。
ほのぼのしてて、とても楽しめました!
126 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月25日(火)20時46分52秒
そうですね、姐さんはネコ、やぐっちゃんはイヌですね。
すごく面白かったです。
作者さん、お疲れさまでした。
127 名前:読者 投稿日:2003年02月26日(水)02時35分32秒
お疲れ様でした。
倉庫いきとか言わずに・・・
新作楽しみにお待ちしております。
やぐちゅーよ永遠に(w
128 名前:やぐちゅー中毒者セーラム 投稿日:2003年03月03日(月)00時26分13秒
脱稿お疲れさまでしたー♪
自分も同じく新作を楽しみにしていまーす
129 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月06日(日)17時50分00秒
遅レスですが、すごい面白かったです!!
犬の矢口さんが可愛い(w
作者さん、お疲れ様でした。

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