光を求めて

1 名前:世紀 投稿日:2003年02月18日(火)16時04分07秒
調子に乗って、新作を作ってしまいました。世紀です。
更新が週1ぐらいなってしまうかもしれません。

登場人物は
矢口 市井 保田 加護 辻 石川 吉澤 飯田 安倍 中澤 後藤 紺野 高橋

いろいろなカップリングが出来ます。
それは友情とか、愛とかさまざまなカタチですが。
2 名前:光を求めて 投稿日:2003年02月18日(火)16時10分28秒




―――――
『いつか、迎えに行くからまた遊ぼうね。』


『どしたの?また明日も遊ぼうよ。』


『…ごめんね。少しの間、会えないかもしれない。』


『あ、忙しいの?』


『ちが――』


『そっか!わかった、それじゃ、また遊ぼうねっ!!』


『……うん。約束だよ。』


『うんっ!もちろん!』



3 名前:光を求めて 投稿日:2003年02月18日(火)16時19分51秒


―――
朝の光が部屋の窓から差し込んできた。
いつも起きる時間が同じだから、
朝の光が窓から入ってくる事なんてもう慣れた。
朝の光が目覚し時計のようなもの。

そういえば、今日は誕生日だっけ。
あんま、実感湧かない。

だって誕生日だからって特別に何かするわけでもないし、
大好きな恋人と過ごすわけでもない。




逆に、とてつもなく寂しい気持ちになるのが自分の誕生日だったりする。


コイビト、欲しいなぁ…。

4 名前:光を求めて 投稿日:2003年02月18日(火)16時37分46秒


自分にぴったりな運命の人。
最近、よくさがすようになってきた。
これって、一歩大人に近づいたって事かな?


例えば、となりで夜寝る前は布団をかけていたはずなのに朝になると必ず
布団をかけてないで熟睡してるこいつとか。
……絶対無理だと思う。
だって二年間も同居して一度も胸がときめいた事は一度だってない。
こいつを恋愛対象として見たこともなかったし。
こいつだってこっちを恋愛対象として見てない。


それじゃあ、心から神の存在を信じてる近所の高橋?
確かにカワイイし、いい子だよ。
でもこの前家に来た時に聞いちゃったんだよね。
高橋が今となりで熟睡してるこいつに恋してるってさ。
というよりも態度見てたら誰でもわかるよ、きっと。
だってこいつが話し掛ける度に高橋の顔は一気にリンゴ色に変わる。
なんか、そういうとこがカワイイんだけどね。
「どこが好きなの?」って聞いたら、真っ赤な顔で素直に答えてくれた。
「一緒にいると楽しいし元気になれるし、それに心があったかくなるんです。」
だって。わからなくもないんだよね、そういう気持ち。

5 名前:光を求めて 投稿日:2003年02月18日(火)16時51分05秒
実際、一緒にいると楽しい。
でもそれは、決して恋に発展することはない。
ただ、一緒にいて楽しいなって感じ。
それにさ、高橋の恋の応援もしてあげたい。
そのためには、高橋もこいつも好きになっちゃいけない。
…好きになっちゃいけないって言っても好きになることもないしね。

この二人がだめなら、圭ちゃん?
圭ちゃんは小さい頃からの知り合い。
でも、やっぱりいつもで経っても圭ちゃんは、友達なんだよね。
これは絶対変える事は出来ないよ。
それに、圭ちゃんの心はずっとあの人の所。
あの人がどんな所にいってしまっても…。

それなら、石川?
石川は声に特徴がある。アニメ声。キーキーうるさいんだよね。
嫌いじゃないけど。心配性で真面目で結構頑固。ポジティブ、らしい。
でも仲良くなるとこっちをからかってくることもあるんだけどね。
そういう時はちょっとキレる。でもね、遊びだから。
こっちも、石川も。たぶんだけど、石川が人をからかうのって、
冗談で受け取ってくれるっていうのを信じてるからなのかも。
もしそうだったら嬉しい。でも絶対、口には出してやんない。
恥ずかしいもん。石川だって調子に乗る。
6 名前:光を求めて 投稿日:2003年02月18日(火)17時06分11秒
そういえば、石川にも好きな人がいるって。よく知らないけど。
知ってる事といえば、今はその人はプッチモニに住んでるってこと。
プッチモニって住んでるってことは、会えないってことだよね。
石川は何年も会ってないその人が頭から離れないらしい。
なんか、すごいよね。
だって何年も会ってないし、一緒に過ごした時間だってそんなに長くないのに、
その人の事忘れないで好意を抱いてるなんてさ。
向こうの人だって、石川の事、忘れてる可能性のほうが高いのに。


なんか、石川がその人の話をすると胸がチクチクして、とっても痛い。
だから石川がその人の話を聞くのはなるべく避けてる。



―胸が痛む理由なんてわかってるのにね。

7 名前:世紀 投稿日:2003年02月18日(火)17時09分15秒
こんな感じです。
感想と頂くと喜びます。

これから『熟睡しているこいつ』とか名前が出てきます。
しばらくすれば、石川さんや保田さんの好きな人の名前も。
8 名前:うまい棒メンタイ味(i-mode) 投稿日:2003年02月18日(火)17時53分10秒
『熟睡してるこいつ』が気になるー! 続きがごっつ楽しみ!
9 名前:光を求めて 投稿日:2003年02月22日(土)13時14分55秒
さてと。
こんな事考えてると時間が勿体無い。
さっさと幸せそうな顔で熟睡してるやつを起こして仕事をしなくちゃいけない。
全く……。どんな夢見ればこんな幸せそうな顔が出来るのか…。
こいつ、ほんとの幸せなんて知らないくせに。
夢の中では幸せそうにみんなで笑って平和に暮らしてるのかな。
だってそれが、こいつの夢だから。
そんなの、タンポポに住んでる人達はみんな同じ。
みんな幸せを願ってる。

でもその夢は左手首に無造作にはめられた何で作ったのかわからない
銀色の輪を見るとあっという間に儚く、砕け散る。

一見、オシャレで付けてるように見えるけど、そんな事ない。
銀色の輪は約二年前からはずされた事は一度だってない。
みんなで何回も取り外して、自由や幸せや平和を求めたけど無理だった。

その輪には小さな穴が開いてる。
きっとそこからカギを使って取り外せば、自由や幸せや平和が手に入る。
カギはきっとプッチモニの国王の手の中にあると思う。
10 名前:光を求めて 投稿日:2003年02月22日(土)13時22分15秒

「加護、起きて。もう朝だよ。」
こんな幸せそうな顔で寝てると、起こすのに罪悪感が生まれてくる。
でもそんな甘い事言ってられない。
熟睡してるこいつの体をゆさゆさ揺らす。

「ん……。」

揺らしたのにこいつは寝返りを打つだけで、起きる気配はない。
でもこんなのいつもの事で。
自分が慣れてくるのが悲しくなってくる。

よーし。こうなったら…。
こいつが下に敷いて寝てる布団を力いっぱい引っ張る。
必然的に加護は冷たい床へとまっさかさま。

「うわぁっ!冷たい!!」

作戦成功。
やーっとお目覚めですか。

「おはよ、加護。」
いやみっぽく満面の笑顔をして朝の挨拶。
「寒いやないですか!!」
予想通り加護は怒る。起きたばっかなのに元気だねぇ。
11 名前:光を求めて 投稿日:2003年02月22日(土)13時33分46秒
加護はみんなと少し違う関西弁。
親が使ってたんだって。
加護と暮らし始めた頃は加護の関西弁を聞く度に
懐かしさからか、視界が歪んできて、それを見られたくなくて加護と話すときは
どうしても加護の目を見て話す事が出来なかった。

でも、二年という長くて短い時が経つと、加護の関西弁にも慣れてきて。
そんな自分に怒りを覚えた事もあった。
あの人は、あの人の独特の話し方は
そんな簡単に割り切れるものだったのかって。

そういえば、その時も圭ちゃんにお世話になったんだっけ。
今では、加護の目を見ながらお説教も出来るようになったけどね。


「矢口さ〜ん…。」
目をこすりながらまだ眠そうな声をあげて
朝食の準備をしてるヤグチに近づいてくる加護。
朝食でも見にきたのかも。
12 名前:光を求めて 投稿日:2003年02月22日(土)13時42分30秒
「なに?」
「愛ちゃんの所行って来ます。」

こんな朝から!?
あ、でも高橋は早起きして仕事してるんだっけ。
家が大変だから。
高橋は優しい%8
13 名前:光を求めて 投稿日:2003年02月22日(土)13時43分27秒
「なに?」
「愛ちゃんの所行って来ます。」

こんな朝から!?
あ、でも高橋は早起きして仕事してるんだっけ。
家が大変だから。
高橋は優しいから親の仕事を一つでも減らそうと頑張ってる。
その姿見てると手伝いたくなっちゃうんだよね。

「わかったけど、高橋の仕事の邪魔しないようにね。」
一応忠告しといたけど、あいつに言っても意味はないだろうね。
馬の耳に念仏ってやつ?
いたずら大好きの加護は人の邪魔をするのが大好き。
特に、一生懸命頑張っていて優しい高橋は最高の相手。

「はーい!」
元気な声と同時に加護は高橋の元へと走っていった。
14 名前:世紀 投稿日:2003年02月22日(土)13時47分41秒
少し更新です。
>うまい棒メンタイ味(i-mode)様
熟睡してるやつの名前出しました。
楽しみにしてもらって嬉しいです。
ありがとうございます。
15 名前:世紀 投稿日:2003年02月22日(土)13時48分58秒
それから。
>12は飛ばしちゃってください。
16 名前:世紀 投稿日:2003年02月25日(火)17時22分35秒
実は私、受験生なわけでして。
ほんとにヤバイ感じで。
だから二週間ほど休ませてもらいます。

すいません。
17 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月07日(金)14時42分30秒
面白そうですね。期待してます。
18 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月17日(月)13時57分44秒
加護の姿が見えなくなると、視界にあの人の写真が目に入る。
この写真はだいぶ昔の。
写真の中で、何も知らずに無邪気に笑って
カメラにピースしてるのは、昔の自分。

これは、四歳か五歳の頃だ。
ヤグチの隣で恥ずかしそうに、でもカメラに
視線を送っているのはプッチモニの王女サマ。

その後ろは圭ちゃん。
やっぱり、幼い顔してるなぁ…。

そして、圭ちゃんの隣でヤグチの大好きな
優しい笑顔でピースしてるのがあの人。

あの人の写真はもうこれ一枚だけ。
別にあの人が写真嫌いとかじゃなくて。
19 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月17日(月)14時05分47秒
ただ、写真なんてもの、撮ってる時間が無かった。
時間があれば、ただ必死に働いた。
この写真を撮った数日後は、学校から帰ってくると
毎日「生きる」か「死ぬ」の二択の生活で。

ヤグチとあの人の選ぶ道は違ったからもう逢うことは出来ない。
どっちか間違ったなんて、わからない。

あの人の選んだ道を一緒に行けば、
今きっとこんなことしなくても良かったのかもしれない。

でもやっぱり、無理だった。
ゴメンね。

これでもヤグチ、結構幸せなのかもしれない。
圭ちゃんはほとんど毎日仕事で、故郷のタンポポには全然帰って来れない。
高橋も、家が貧しいから汗かきながら頑張ってる。

圭ちゃんや高橋も、ヤグチよりも何十倍も大変なんだよね。

20 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月17日(月)14時13分39秒
ヤグチね、料理できるようになったんだよ。
だから、試食してみてよ。
味もちゃんと保障するから。

「はい。どーそ。」

胸張って自慢出来るほどでもない手料理をあの人が昔、
ヤグチの目の前にヤグチのご飯をそっと置いてくれたように
ヤグチも心をいっぱい込めて、あの人の写真の目の前においてあげた。

家にたくさん食料があるわけじゃないから毎日ご飯をあげることは無理だけど。
今日は、特別な日だから。

あの人の前で、苦手な正座をする。

「ゴメンね…。」

もう、許してくれてる?
あなたに謝る事じゃないかもしれないけど。
許される事じゃないもんね。
なんであの場所にあなたがいたのかは、今だに謎に包まれたままだけど。
それでもいい。
21 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月17日(月)14時19分48秒
ひどいことしたもんね。
だからあんなに怒ったんでしょ?

ほんとに反省してるんだ。
いまはあの子会えなくて、面と向かって謝ってないけど。
今度会えたら、ちゃんと謝るよ。

たぶんね。
ほら、ヤグチって意地っ張りでしょ。
だからさ、照れくさいんだよね。
許してくれるかわからないしさ。

でも、もうあんなことしてないから、しないから心配しないで。
実はまだ、同居してる加護にあなたのこと言ってないんだ。
王女のことは話したけど。

やっぱりさ、さっきのと同じで照れくさいんだ。
だっていつもヤグチ、加護に偉そうにしてるから。

加護は、いつまでもこんな古い写真をここに置いてるのは、
王女が写ってるからだと思ってると思う。
確かに王女が写ってるっていうのもあるかもね。
22 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月17日(月)14時24分37秒
だってまだ、全然忘れてないもん、ヤグチ。
王女の人懐っこい笑顔がどうしても頭から離れないんだ。
あ、でもねあなたが写ってるっていうのも理由の一つだよ。

今だから言えるけどね、大好きだったんだよ。
わかってた?
あんなにひどいこと言っちゃったけど。
反抗期だったんだよ、きっと。

この写真の前にいると、だめだね。
涙もろくなっちゃうよ。
加護やヤグチの分のご飯も用意しなきゃだから。

それじゃあ、またね。
23 名前:世紀 投稿日:2003年03月17日(月)14時26分42秒
二週間といいながらタイムオーバーしてました。
すいません。

次からは加護ちゃん視点でいきます。

>17様
出来る限りの力を使って頑張ります。
期待を裏切らないように…。
24 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月20日(木)12時36分56秒
―加護
「はーい!」
出来る限りのでっかい声だして、家から飛び出した。
今日は久しぶりに矢口さんにウソついた。
矢口さん、ウソがバレると怒るんやもん、せやから久しぶりなんや。
矢口さんが怒るとなにをするかわからへん。
この前は、ご飯抜きにされた。
成長期真っ盛りの加護には辛い。
『行く』って言った愛ちゃんの家を素通りして、ひたすら走り続けた。

体に突き刺さる冬の朝の風は、毎年経験してるんやけど、体は慣れない。
この前、梨華ちゃん、別名『色黒女』に相談した事を思い出す。
『矢口さんへの誕生日プレゼント何がええかなぁ?』って。
梨華ちゃんは、加護よりも矢口さんと歳が近いから。
でも、梨華ちゃんの趣味は悪い事で有名やから、期待はせんようにしてた。
25 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月20日(木)12時49分14秒
案の定梨華ちゃんは趣味の悪そうなもの、その上梨華ちゃんの好きな色の
ピンクが必ず入ったものを紹介してきた。
『梨華ちゃんにあげるやつちゃうからな。』って言いたくなった。

加護の呆れた顔に気付いたかはわからへんけど、
梨華ちゃんは何か思い出したようなアニメ声を出した。
いつもと違う梨華ちゃんの真剣な顔に思わず笑いそうになったけど我慢した。
『何?』って加護が聞いてみると待ってました、と言わんばかりに喋りだした。

梨華ちゃん曰く、タンポポとプッチモニが自由に
行き来出来る洞窟があるらしい。
前に、金の髪の毛をして青のカラーコンタクトをした
女の人に聞いた事があるって。
でも、ほんまに昔のことらしいから、今実際あるかどうかはわからへんし、
プッチモニの人に見つかったら危険やから、梨華ちゃんも行った事はないって。
でもその話がほんまの事やったら、矢口さんへの誕生日プレゼントには
ぴったりやと思う。

だって、矢口さんが昔仲ようしてた…名前、なんちゅーんやっけ?忘れたわ。
まぁ、とにかく昔仲ようしてたプッチモニの王女に会えるかもしれへん。
26 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月20日(木)13時00分30秒
その洞窟は、タンポポの森の近く、つまりタンポポの中でも田舎の方にあって、
プッチモニの人通りがないような場所につながってるらしい。

その話を聞いたら体がムズムズしてきて、すぐにでも見に行きたくなった。
せやけど、時間なくて探しに行けなかった。

ちなみに、その後すぐ梨華ちゃんと別れたんやけど、
後ろから『石川の誕生日もすぐだからねー!』ってアニメ声が聞こえた。
右耳から入って左耳からすぐ出ていったけど。

田舎で森がある、と言えば矢口さんと加護の家を北に行ったとこやろな。
そこなら走って五分ぐらい。
もしほんまにその近くに洞窟があるのなら、きっと見つかるで。
人も来ないし、大丈夫やろ。
27 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月20日(木)13時15分40秒
―飯田
まさかこの歳になってかくれんぼをするとは思わなかった。
最後にかくれんぼをしたのはいつだっけ?
確か遠い昔だったね。

そうそう。八歳の時だ。
大人達は戦ってた。
タンポポの人たちと。
圭織、プッチモニって名前より、タンポポの方が好き。
あ、これは秘密ね。

でもね、争いなんでどうでもよかった。
みんなでかくれんぼをしたのはそんな時。
親友なっちもとなりで一緒に笑ってた。

「…ださん、飯田さん。」

紺野が不安そうな顔でこっちを見上げてるよ。
あぁ、そっか。また交信しちゃったんだね。

「ゴメン、ゴメン。さ、辻を捜そう。」
「はい。」

そもそも『かくれんぼがしたい。』なんて言い出したのは
圭織の可愛い妹のような存在の辻。

紺野は少し悩んだ様子だったけど、断れない性格ゆえに笑顔でOKを出した。
一人で悩んだのは圭織だよ。
でも辻がね、『ダメれすか?』って今にも泣きそうな顔で聞いて来るんだよ!

それを見た瞬間に頭の中に、天使と悪魔が闘った。
「辻が泣いちゃうよ。可哀想だよ。」と、天使。
「お前、その歳になってかくれんぼはやめた方がいい。」と、悪魔。
28 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月20日(木)13時24分47秒
最後に勝利の女神が微笑んだのは…


「いいよ、やろう。」

―天使だった。

このときの天使の喜んだ顔と、悪魔の悔しそうな顔は対照的だったね。
圭織には見えたよ。

基本的に辻には弱いんだよ、ほんと。
泣かせたり、悲しませたくないの。

圭織の弱点は、いつも辻。

今は圭織が鬼役なの。
紺野は見つかったんだけど、辻がなかなか見つからない。

「もう、ギブだよ。」

誰に言うわけでもなく、ギブアップ宣言。
この言葉を隠れて聞いていた辻はニヤニヤしていたんだろうな。

「それじゃ、呼びますか。」

紺野は笑顔だった。
もしかして紺野、辻の隠れてる場所知ってるの?

「辻ぃ、出ておいで〜!」

ここは人が来ないような場所だから大声で叫べるし、かくれんぼが出来る。
人がいたら恥ずかしくて出来ないよ、きっと。

「でてきませんね。」

圭織が考えていた事を口にしたのは紺野。
辻、でてきてよ。
辻の事だから見つけるまで出てこない気なのだろうか。

「もう少し、捜してみよっか?」

29 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月20日(木)13時34分03秒
結局出たのはこの言葉。
どこかで聞いていた辻はガッツポーズしたに違いない。
そーゆーのがまた愛しいんだよ。
なんか、圭織ってシスコンみたい。
ほんとの姉妹じゃないけど。

「まだここ捜してませんよね?」

どこか怪しげな雰囲気のある洞窟へと向かって小走りになる紺野。
確かに、まだ行ってないね。

大丈夫かな…。
でももしあの中に辻がいたら…。
あの子、好奇心旺盛だから。

なんてゆーの?
ちょうちょを追いかけて道に迷う感じ。

『道に迷う』といえば、辻はあの洞窟の中で迷子になってるかもしれない。
一人ぼっちで泣いてたらどうしよう…。


これを助けられるのはこの正義のヒーロー…じゃなくて、正義のヒロインの
飯田圭織、二十二歳しかいない!

辻を発見したら『大丈夫だよ、辻。』とか言ってカッコよくキメるんだ。
30 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月20日(木)13時45分06秒
そして『いいらさーん…。』って泣きながら圭織の胸へと
飛び込んでくるぼろぼろになった辻。
圭織はそれを優しく抱きしめるんだ。
『もう大丈夫だよ。』って。

辻は食べてばっかで、細身とはお世辞にも言えないけどちゃんと圭織は
受け止めてあげるから、安心してこの胸に飛び込んで来るんだよ、辻。


――――
あれ?
どうやらこの雰囲気はさっき描いた
シナリオ『正義のヒロイン!飯田圭織』とは全然違う…。

目の前に居るのは一人で泣いてる辻…じゃなくて、誰か知らない女の子と
二人で楽しそうにおしゃべりして笑ってる辻。

圭織の想像とは対照的だった。
さっきの天使と悪魔を思い出したよ。

それにしても、ここ、洞窟の中なのに明るいし、広いね。
あ、上から光が差し込んでるんだ。
31 名前:世紀 投稿日:2003年03月20日(木)13時46分02秒
微妙なところで更新終了。
続々とメンバーが出てきてます。
32 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月24日(月)09時28分43秒

「辻さん?」

紺野はかくれんぼのことを忘れた様子。
だってまだかくれんぼをやってるつもりなら、『見つけた。』だもんね。
紺野の声でやっと圭織達に気づいたみたい、こっちをむいた。

「あ、見つかっちゃいまいした?」

辻はいたずらがバレた幼い子供みたいに笑った。
なんかもう、かくれんぼなんかどうでもいいみたい。
となりにいる少女は辻と同じぐらいの背丈で、黒目がちな目。
辻や紺野と歳も近い印象。
顔も、愛らしい。
少女は新しい友達が出来て嬉しいのかにこにこ笑ってる。

「辻、その子―」

「わかってます。ゴメンなさい。」

『その子、友達?』って聞こうとしたら、辻が圭織の喋ってる途中に
わり込んで来て、暗い顔で謝ってきた。
しかも、ぺこり、と頭を下げて。

よく、わかんないよ。
辻の新しい友達と思われる子も寂しそうな顔をしてる。
33 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月24日(月)09時40分14秒
ちらっと紺野を盗み見る。
だって紺野だってさっき来たんだからわかんないよね…。

って…あれ?
紺野は驚いてるよ。
なんなの、三人して。
圭織だけ仲間外れ?
いくら歳がはなれてるからって、そりゃないよー。

「ねぇ、どうしたの?」

ちゃんと教えてくれるかはわかんなかったけど、優しい紺野に聞いてみた。
辻と少女は、この世の終わりのような顔をしていた。

「あれです。」

言葉と同時に紺野の指は少女の左手首に
はめられた銀色の輪、というかリングへ。
辻の事で頭がいっぱいで、全然気付かなかった。

紺野はここに来た時に気付いてたんだ。
辻も少女もお互い、二人の間にある大きな壁があることを理解した上で
この時だけのトモダチになったんだ。二人はもう覚悟してるみたい。
34 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月24日(月)09時49分13秒
辻は寂しそうな表情を必死に隠そうとしてるけど、
寂しそうな表情は見え隠れしてる。
お願い、そんな顔しないで。

辻にはいつも笑っていて欲しい。
だって、辻には笑顔が一番似合うから。

そっか。こんな時こそ正義のヒロイン飯田圭織の出番だね。
ちょっとシナリオとは違うけど、アドリブだって得意なんだよ。
辻と少女を助けるんだ!

「辻、その子の名前は?」

これ以上辻を不安にさせないために優しく聞いた。
怯えなくていいんだよ、辻。
怒ってないから。

「加護亜依ちゃん。あいぼんれす。」

あいぼん?
なんか、ボンボンみたいなあだ名だね。

「辻の、新しい友達?」

辻も加護って子も黙ったまま。
認めるわけにもいかない。
でもさっき、二人で楽しそうに喋ってたのを
見られたから拒否する事も出来ない。
紺野もどうしていいのかわからないような顔。

「じゃあさ、加護はどうしてここに来られたの?」

いつまで経っても話が進みそうになかったから質問をかえた。
気になってたんだ、加護がどうしてここに来れたのか。
だって、銀色のリングはタンポポに住んでる証。
35 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月24日(月)10時04分44秒
なんでタンポポの人がプッチモニにある洞窟には入れたの?
うわ、なんか圭織、探偵っぽくない?

「この洞窟、タンポポとプッチモニがつながってるんです。」

少しの間があった後、加護が申し訳なさそうに呟いた。
加護の言った事には圭織も紺野も驚きを隠せなかった。
辻はもうその事を聞いたんだね。
いつも落ち着きがない辻とは思えないくらい冷静だった。

でも、こんな洞窟があるなんて知らなかった。
国王もまだ知らないのだろう。
もし国王が知ってたらすぐに閉鎖するもんね。

「どーゆーこと?」

もう少し詳しく知りたいよ。
だってタンポポは圭織の友達の…圭ちゃんのほんとの家がある場所だから。

交流を一切禁止されているプッチモニに住むおとめ教の人と
タンポポに住むさくら教の人。
圭織や辻、紺野はおとめ教。
圭ちゃんや加護はさくら教。

圭ちゃんと仲良くなれたのは、ほんとに偶然。
圭織ん家は旅館を経営してる。
自慢するほどでかくけど。

しかも、寝泊りする人はみんなさくら教の人達。
それにはわけがある。
36 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月24日(月)10時14分54秒
プッチモニのとなりには、ごまっとうと言う国がある。
プッチモニとごまっとうは貿易をしてるんだ。
でも、国の技術が発達してないから、運ぶのは人の手。
その仕事をみんな『運び屋』って呼んでる。
運び屋の仕事は辛くて大変だから、みんなさくら教の人。
しかも、ほとんど毎日。

だからわざわざタンポポまで帰ると時間がもったいないの。
圭織ん家は、仕事場に一番近い旅館。
それが理由で、運び屋の人たちが寝泊りする場所になった。
それで、比較的歳の近かった圭織と圭ちゃんはすぐに意気投合した。
いつのまにか下の名前で呼び合うようになった。

これは圭織と圭ちゃんだけの秘密。
辻にもないしょにしてる。

圭ちゃんと出会って、圭織思ったの。
『なんだ、さくら教の人もおとめ教の人もみんなおんなじじゃん。』って。
みんなで喋って、笑ったり、泣いたり。
37 名前:光を求めて 投稿日:2003年03月24日(月)10時25分05秒
ただ違うのは、信じてるもの。
宗教の違い、かな。

いろいろ考えてたら、タンポポに興味が湧いてきたの。
だから、これはチャンスなのかもしれない。
加護って子から何か、新しい情報を教えてもらえそうな気がした。

「友達に聞いたんです。
『タンポポとプッチモニがつながってる洞窟があるんだよ。』って。
今日、同居人の誕生日で。その同居人は昔、仲良くしてた人が今は、
プッチモニにいて会えへんってこと聞いたから。
ほんまに洞窟があるんやったら喜ぶかなって、思って。
でも、教えた後に洞窟がなかったら、悲しむからこうやって先に中入って
確かめてたら、ののに会った。」

優しい子なんだねぇ。
いい話だ。
加護は恥ずかしそうだった。

「あいぼん、同居人さんに、迷惑かけてるんれすって。」

いたずらっこのような目で、付け足しをする辻。

「ちょっ、のの!それは言わん約束やろ!?」

顔を真っ赤にさせる加護。
怒ってるんじゃなくって、恥ずかしかったんだと思う。
38 名前:世紀 投稿日:2003年03月24日(月)10時26分44秒
更新しました。
タンポポとかさくら教とか矢口さん軸なんで。
それで、全部が空想の世界だと思っちゃってください。
39 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月29日(土)20時51分07秒
続き、期待してます!
40 名前:光を求めて 投稿日:2003年04月05日(土)10時13分00秒
加護は頬を少し赤く染めた。

辻と加護はこんな短時間で冗談も言い合えるようになったんだね。
ちょっと嫉妬しちゃうよ…。

「この洞窟プッチモニとタンポポがつながってるって言うのは確実ですね。」

紺野は圭織が考えてた事を口にする。 

「もう一度聞くけど、辻と加護は友達だよね?」

二人がさっき黙り込んでしまった質問をもう一度してみる。
今回は、成功しそうな気がしたから。

「怒りませんか?」

上目遣いに不安そうな顔で、聞いてくる辻。
ショックだよ…。

圭織、辻にあんまり信頼されてないんだね。
まぁポジティブやっていこう。
これから辻との距離を近づけていけばいいよね。

うん、頑張ろう。

辻との距離を深める。
これが圭織の人生の目標。

…人生ってのは大きすぎか。
『これからの』にしよう。

「怒らないよ。」

この一言でまた、少しずつだけど距離が近くなってきてる気がした。
あくまでも優しく、ね。

辻は、圭織の言葉を聞いて安心したのか
みんなを惹きつけるいつもの愛くるしい笑顔で笑った。

「友達、れす。」
41 名前:光を求めて 投稿日:2003年04月05日(土)10時22分43秒
辻も加護も、どこかすっきりしたような顔だった。
辻に聞かなくても二人が友達って事くらいわかったけどね。

加護も、笑顔になる。
加護の笑顔もまた辻と同じくらい、可愛かった。

人間の一番いい表情は笑顔だって思うの。
辻も加護も笑ってた方が絶対いい。

そういえば、なっちの笑顔も天使みたいだったっけ。

「辻、新しい友達が出来たんだね。よかったねぇ。」

辻はこんな性格だけど、人見知りする子だから
お世辞にも友達が多いとはいえない。
紺野も、辻以外の子と遊んでる姿はあまり見かけない。

単に、辻と紺野が親友みたいに仲がいいとか?
圭織が辻と紺野と初めて会ったときから二人は仲良しだったからなぁ。
どういうわけか、辻は圭織に懐いちゃって、それから仲良くなった。
紺野もその時は申し訳なさそうな顔で圭織を見てたっけ。
だから、どうやって二人が友達になったかは一切知らない。

でも、別に知らなくてもいいの。
ただ今こうやって、仲良くしててくれれば。

ただ望むことは、圭織みたいなことはしないでほしい。

でも二人は優しい子だからそんなことしないと思うけどね。
42 名前:世紀 投稿日:2003年04月05日(土)10時26分38秒
更新が不定期すぎる…。
すいません。

>39様
ありがとうございます。
出来るだけ期待にはこたえたいと思ってます。
43 名前:光を求めて 投稿日:2003年04月27日(日)15時01分28秒
辻は照れたみたいで、頬を赤くして笑った。

「友達なのはぜんぜん構わないよ。でもね、誰にも言っちゃだめだよ。
 約束できる?」

もしこのことが国王の耳にでも入ったら…。
特に加護は、タンポポの子だからね。

二人はすぐに力強く頷いた。
辻も加護も、わかってるんだろうね。

「あいぼん、こっちがいいらさん。お姉ちゃんみたいなんらよ。
 で、こっちは同い年の紺ちゃん。」

辻が圭織を呼ぶときはどう聞いても『いいらさん』って聞こえる。
辻本人は『飯田さん』と言ってるらしい。
そういうとこ、可愛いんだけどね。

「飯田圭織だよ、よろしくね。」

「紺野あさ美、です。」

圭織と紺野は自己紹介。
辻の紹介はどうしても大切な所が欠けてる。
紺野なんか、あだ名を言っただけ。
それでも辻の口調は、自分の友達を加護に自慢しているようだった。
44 名前:光を求めて 投稿日:2003年04月27日(日)15時16分39秒
「『紺ちゃん』呼べばええんか?」

加護は紺野に対して質問をする。
やっぱり歳が同じだから、あだ名で呼んだ方がいいもんね。
でも別に圭織のこと、さん付けじゃなくてもいいんだけどな。
なんか、壁があるみたいじゃん。
ちょっと寂しいよ…。

「はい…。」

紺野の敬語はいつものことだけど、
なんか初対面だからか、少し緊張気味みたい。

「加護、そろそろ帰らなあかんねん。」

あぁ、そっか。
いつまで経っても帰ってこなかったら同居人が心配するもんね。
だって、もし圭織がその同居人で外に遊びに行ったのが、辻だったら
めちゃくちゃ心配するもん。
辻も加護も寂しそう。

「ねぇあいぼん、辻ね、タンポポに行ってみたい。
 らから、出口まで、一緒に行こ?」

辻は期待したような無邪気な笑顔で加護の答えを待つ。
もう予想してるんだね。

「ほんま!?それじゃ、行こう!」

元気な声の持ち主は辻の待っていた言葉をすぐに答えた。
加護も嬉しかったんだね。
辻、ほんとにタンポポに行ってみたかったのかな…。
たぶん、それは違うよね。
加護と少しの間でもいいから一緒にいたかったんだ。
45 名前:光を求めて 投稿日:2003年04月27日(日)15時29分25秒
圭織は、もちろん反対だよ!
止めなきゃ!!
だってもしむこうに行って誰かに見つかったら…。
辻が加護と一緒に行けば、絶対洞窟の出口で別れないで遊んでそうだもん。
辻は素直な子だから、いいわけできそうにない。

「いいらさんは?」

気づいたら圭織の目の前で上目遣いの、辻。
でも今、『いいらさんは?』って聞いたよね?
つまり、辻のタンポポ行きは決まってるんだ…。

少し前の天使と悪魔がでてきた。
「辻、帰るとき一人になっちゃうし、
 加護と二人でタンポポ行っちゃうよ。」と天使。
「そんなの、面倒だ。もしお前までタンポポの人にバレたら大変だぞ。」と悪魔。

それは、そうなんだよね。
タンポポの人にバレたら、やばい。
でも…。

やってみなきゃ、わかんないよね。
大丈夫だよ、きっとなんとかなる。

「行くよ。」

天使、二連勝。
しかも、圧勝。

タンポポへの洞窟の出口はすぐやってきた。
結局、圭織も辻も紺野も洞窟の外に出ちゃった。
二人とも、タンポポに興味があるみたいで周りをきょろきょろしてたけど、
一瞬、プッチモニにいる錯覚に陥るぐらい、プッチモニと変わらなかった。
46 名前:光を求めて 投稿日:2003年04月27日(日)15時42分52秒
「加護!」

誰かが加護を呼ぶ声がした。
辻や紺野じゃない。

でも…どこかで聞いたことのある声。
そうだ、あの思い出と一緒に封印した声だ。

加護はヤバい、という顔をした。

「誰?」

辻は興味津々。
え?
もしかして、タンポポの人?
ヤバいって、ほんとに!!
でも、いまさら逃げたって遅い、遅すぎる。
だって声の主はもう走ってきてるから。

「や…矢口さん…。」

えっ!?
矢口?
違うよね、たまたま同じ名前なだけだよね。

加護の言う『矢口』は、圭織の記憶の中にある矢口と随分似ていた。
金色の髪の毛。
それになにより、あの小ささは圭織の知ってる矢口と変わらない。

思い出したくない、思い出。
矢口達への怒りと悔しさ。

「加護の、同居人や。矢口さん。」

加護は引きつった笑顔で紹介する。
同居人って、矢口だったの?
矢口はさくら教だから、その可能性は十分あるんだよね。
辻や紺野が挨拶をしてたけど耳に入ってこなかった。
47 名前:光を求めて 投稿日:2003年04月27日(日)15時54分51秒
頭の中はぐちゃぐちゃ。

「いいらさん?」

辻が泣きそうな顔で圭織を見上げてくる。
そんなに怖い顔してる?

「矢口、真里?」

ゴメン、辻。
今は笑ってあげることはできないよ。
矢口は圭織を知らない。
だって圭織は一度だって矢口達の前に姿を現したことはないから。

「そうだよ。」

愛嬌のある顔。
圭織は矢口のほんとの顔をしってる。
今は仮面を被ってるだけ。

矢口に笑顔をふりまかれても笑うことはできない。


「安倍なつみ、知ってるよね?」

知らないとは言わせないよ。
なっちの名前を出したら、矢口の顔から笑顔は消えた。
そりゃ、そうだよね。

辻、加護、紺野もこの雰囲気に何かを感じたのだろう、黙り込んでる。
紺野は何かを読み取ろうとしてる。
頭がいい子だからね。

「圭織ね、なっちの幼なじみなんだ。だから、あなたのこと知ってるんだ。」

だから、びっくりした。
でも、ちょっぴり嬉しかった。

「辻、紺野、今日は帰ろう。」

予想してたより、自分は冷静だった。
相手が俯いてたからかも。
辻と紺野を強引に引っ張ったせいで、
辻は加護に『ばいばい。』って言えなかった。
48 名前:世紀 投稿日:2003年04月27日(日)15時55分32秒
久しぶりに更新しました。 
49 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月30日(水)19時27分46秒
更新待ってました!
50 名前:光を求めて 投稿日:2003年05月30日(金)16時11分23秒
―――
「なっち、久しぶりだね。」
夜、圭織は大好きな幼馴染の元へ向かった。

「おー、圭織じゃん。」

なっちは天使のように笑う。
もし、天使がほんとにいたらこんな感じなんだろうね。
なっちはすぐに家に入れてくれた。
圭織となっちは遠慮し合う仲じゃないから。
ここは、二人が小さい時、遊び場にしてた場所のひとつ。
昔と今ではいろいろなものが変わったけどここの雰囲気は変わらない。
だから、圭織はここが大好き。

「今日ね、矢口真里に会ったんだよ。」

「ええっ!?」

圭織に紅茶を出してくれたなっちは目を大きく開いてびっくりしてる。
いつもにましてなっちはオーバーリアクション。
でも、今回のはしょうがないのかな?

「なんで!?」

なっちは圭織に詰め寄ってきた。
なんかなっちらしいなぁ…。
51 名前:光を求めて 投稿日:2003年05月30日(金)16時23分23秒
その後、今日あったこと一部始終話してあげた。
さすがに、かくれんぼのことは言えなかったけど…。

「圭織、考えたんだけどね。加護は矢口の仮面をはずした姿を…つまり本性を
 知らないんだよ。」

加護は騙されてる。
利用しようとしてるのかも。
とにかく昔あんなことした人なんだから。
絶対、信じちゃいけない。

「そんなこと…ないと思うよ。」 

なっちの目は天使とは思えないくらい寂しそうだった。

「圭織はきっと間違ってるよ。逆だと思う。圭織が今日見た矢口さんが
 ほんとの矢口さんなんだよ。あの時、仮面をつけてたんだよ。」

なっちの優しすぎる言葉は圭織の頭の中を混乱状態にさせる。

「わかんないよ!なんでなっちはそんなことが言えるの?
 あの時の一番の被害者はなっちでしょ!?」

昔からそうだ。
なっちはすぐ人を信じる。
大人たちはそれがなっちのいい所だっていつも言ってた。
圭織は、なっちのそういう所は好きになれない。


単に、自分がそうじゃないからかもしれないけど…。


52 名前:光を求めて 投稿日:2003年05月30日(金)16時33分30秒
「別に、100%矢口さんを信じてるわけじゃない。
 でもなっちは、裕ちゃんの言ったことなら信じるよ。」

なっちは、あの人のこと大好きだからね。
圭織は実際会ったことないからわかんないけど。

「今日、ウチに泊まっていく?」

あんなに真剣に話していたのに、すぐに天使なっちに戻った。
でも今日は親に『帰ってくる。』って言っちゃったからなぁ…。

「今日はいいや。」

「そう、わかった。」

なっちは玄関まで来てくれた。
今になって、紅茶を飲み忘れてことに気づいた。

「じゃあ、ばいばい。」

「あ、なっちね…―――」

なっちは何か言いたそうな顔をしてた。
でも、戸惑ってる。

「何?」

「ううん、何でもないよ。ばいばい。」

気になったけど、なっちは教えてくれないだろう。
そういう人だから。
結局、笑顔で手を振り返すことしかできなかった。
53 名前:光を求めて 投稿日:2003年05月30日(金)16時34分55秒
―――



「なっちもね、その洞窟知ってるよ。」




―――
54 名前:光を求めて 投稿日:2003年05月30日(金)16時36分39秒
安倍さん登場。
最後のは安倍さんの言葉です。

>49様
ありがとうございます。
こんなゆっくり更新ですので…。
ほんとに申し訳ない。
55 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月01日(日)09時39分47秒
今日はじめて読みました!
かなりおもしろい!
続き期待しております。
56 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月02日(水)15時24分27秒
hozenn
57 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)15時07分06秒
―石川
「ねぇ、ほんまやって!信じてぇな!」

石川梨華です。
今日はお昼過ぎから、あたしの友達のあいぼんが来てるの。
妹みたいな存在ですごくかわいらしい女の子。

そのあいぼんがあたしの家に来るなり
『洞窟行ってきたで。ほんまにあったで。』って
目をきらきらさせながら興奮してずっと喋りつづけてる。

あいぼんの話をまとめると。あいぼんはあたしが
教えた洞窟をほんとにあるか確かめに行ったらしい。
で、中に入ってみたくなって中に入ると同い年の子二人と大人の人に会った。
でも三人は、プッチモニの人、つまりおとめ教の人だった。
それでも仲良くなった四人は一度、洞窟から出ることになった。
58 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)15時16分49秒
外に出たら矢口さんがいて、とりあえずあいぼんは三人を紹介することに。
でも、矢口さんと大人の人、飯田圭織さんは知り合いだったらしい。
飯田さんは矢口さんに一方的に喋って帰っちゃったとか。
そのあと矢口さんは何も言わずに家に帰ったんだって。

「矢口さん、飯田さんに色々言われとる時何も言わんかった。
 矢口さんらしくなかったで。」

確かにそうかもね。矢口さん、気が強いところあるから。
でも、矢口さんにもあたし達が知らない何かがあるのかもね。

「きっとそのうちあいぼんにも話してくれるよ。」

自信はないけど…。やっぱりポジティブだよね。

「そうやな。」

いつものあいぼんに戻ったみたい。
よかったぁ。

「なぁ、梨華ちゃん。洞窟ったんやから、梨華ちゃんも行ってみぃひん?
 好きな人がいるんやろ?」

「ええっ!?」

やっぱりあいぼんにあの人のこと言わない方がよかったのかな?
59 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)15時26分20秒
―――
あたしがまだ幼い頃。
まだ、戦争がはじまってない、平和な時代。
近所に吉澤ひとみちゃんって子がいた。
あたしより一つ年下で、あたしは『よっすぃー』って呼んでた。
朝から夜までずっと一緒に遊んでた。
もともとよっすぃーは人見知りしない子だったからすぐに仲良くなった。

でもそれもあっという間。
さくら教とおとめ教の戦争がはじまったんだよね。
戦争が始まるときのことはよく覚えてない。

後に、おとめ教の人がプッチモニに行くってことを知った。

あの時はただ、よっすぃーがどこか遠いところへ
行っちゃうってことしか頭になかった。

とにかく寂しかった。


60 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)15時32分57秒


あたしは人見知りがすごかったから友達がよっすぃーしかいなかった。



あたしは一人で泣いた。


一人でばかみたいに大声で。
今思えば、鼻水とかたらしてたかもしれない。
ちょっと恥ずかしいな。


でもよっすぃーは泣かなかった。
にこにこ笑ってた。


それを見て、怒りたくなった。



『よっすぃーは寂しくないの?』って。
聞きたかったけど、聞けなかった。
なぜなら、もう決めてたから。

よっすぃーは人見知りしないから、遠くに行ってもすぐに友達ができるから
寂しくないんだって、決め付けてた。


61 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)15時39分44秒
そんなネガティブなあたしの頭を優しくなでてくれたのはよっすぃーだった。
『なんで年下の子に頭をなでられなきゃいけないの!』っていつもなら怒ってた。

でも、怒る気がしなかった。

よっすぃーの目を見ても、涙はたまってない。



でもよっすぃーは笑顔で『またね。』って一言言ってお母さんと手をつないで、
遠いところに行っちゃった。





よっすぃーは、『またね。』って言った。
『またね。』の意味に気づいたのは、少し経ってからだった。




それからだったよね、ポジティブにいこうって思ったのは―――




62 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)15時49分19秒
―――
「梨華ちゃん、聞いとる?」

あ、あいぼんだ…。
つい思い出に浸っちゃったよ。

「ごめんごめん、何だっけ?」

『忘れてた。』なんて絶対言えないよ。

「だからぁ、洞窟行こうって言っとるやんかぁー!!」

まだその話だったんだね。
よっすぃーに逢えるって考えれば嬉しいけどさぁ…。
どこにいるかわかんないし、それによっすぃーが
あたしのこと覚えてるかだって…。

なんとかしてあいぼんを止めねば…!

「でもあいぼん、この銀のリング見られたらおしまいだよ?」

タンポポに住む人なら誰でもつけてる左手首の銀のリング。
これがさくら教の証なんだから。

「加護に考えがあるねん。」

あいぼん、どんな考えなんだろう…。
結構、いたずら系のは得意なんだよね。


まぁ、ポジティブだよね。

63 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)15時56分45秒
―――
「準備万端。」

あたしはあいぼんと洞窟の前に立ってる。
二人して少し大きめの服を着て、帽子をかぶって。

あいぼん曰く『ブカブカの服を着てリングを隠そう。
で、もし見つかったときのために帽子で顔を隠すんや。』だって。

「あいぼん、バレちゃわない?」

あたし、不安だよぉ。

「堂々と歩けば平気や。おどおどしとったら逆に怪しいやろ?」

あいぼん、自信があるみたいで、はりきってる。

あいぼんはトコトコと洞窟の中に入っていった。
あたしも行かなきゃ。

実際の洞窟の中はやっぱり古い感じがする。
不思議な雰囲気。

あいぼんはほんとに警戒心ってもんがないねぇ…。
尊敬しちゃうよ。
あいぼん、絶対に遠足気分だもん。
64 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)16時04分53秒
だって、もしかしたら命かかってるかもしれないんだよ?
わかってるの?

奥に進んでいくと、案外広かった。しかも、明るい。


思ったよりも歩かないうちに、出口みたい。



人生初の、プッチモニ。
その第一印象は、タンポポと変わらない、だった。

しかもここ、人いないし。
田舎なのかな?

あいぼんはきょろきょろ周りを見まわしてる。

「見て見て。」

あいぼんがあたしの服を引っ張って、指を指したのはすごく大きな家。
と、いうよりも、お城って感じ。

きっとあそこらへんが街の中心なんだろうね。

「行こうよ。」

目を輝かせてあたしを上目遣いで見るあいぼん。
好奇心旺盛だねぇ。

せっかくここまで来たんだからね。


「行って見よっか。」

「やった〜!梨華ちゃん最高っ!!」

65 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)16時14分20秒
―――
うわー、すごい…。
人、人、人。
タンポポにはこんなところないよ…。

親子連れ、友達同士、恋人…。

あたし達は人の渦に巻き込まれていった。
しかも、左手首に銀のリングがついてない人たち。

「あいぼん、手、つなごう。はぐれちゃう。」

「うん。」

あいぼんの手、あったかいね。
赤ちゃんみたい。

あたし達、田舎者っぽいかな?
大丈夫だよね。

でもここ、すごいなぁ。
いろんな店が建ち並んでる。

矢口さんも連れてくれば、喜んだのにね。

こんなとこ、滅多に来られないからね。
いいなぁ、こんなとこでショッピングとかやってみたいな。



「ママー、このおねぇちゃん、うでにリングはめてるよー。」



えっ!?
今、小さい子供が言ったのは…間違いなくあたし達のこと…?
66 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)16時19分37秒
「えっ、ちょっ…。」

なんで?



そっか、下からだと見えちゃうのかも…。


どうしよう…


「大変!タンポポの人よー!!」


化粧の濃いおばさんが大きな声をあげる。
そうすると周りがあたし達を見ながら避け始める。


冷たい視線……。
どうしよう、ほんとに…。

あいぼんも緊張してるのが手から伝わってくる。


前のほうから、五人くらいの人が同じ制服を着てこっちにむかってくる。
たぶん、防衛隊みたいなもんだと思う…。




逃げようと思ったけど、足ががたがた震えて動かない。
もうっ!
なんなのぉ!?

何でこんなときに動かないの!!

67 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)16時29分13秒



そして、その五人はあたし達の前で立ち止まる。

さっきとは違って、周りは静まりかえっている。


あたしよりも十センチくらい背の高い人が一番前。
あんまり顔は見えないけど、女の人のみたい。


てゆーかあたし、分析してう場合じゃないっ!!


そう!ピンチなのっ!!





「やけに、色黒だね。」




近づいてきた女の人は確かにそういった。


あたしに。



ヒドくない!?
初対面の人に向かって『色黒』だなんて!

そりゃ、確かにあいぼんや矢口さんに言われてるけど!


だからってなんで初対面の人に言われなきゃならないの!?





そういえば、一人だけいたっけ…。
おんなじこと言った人―――




68 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)16時48分35秒
―――
友達が一人もいなかったあたしは、公園で一人で遊んでた。
そんなある日。

『肌の色、黒いね。』

少しオトコノコのような顔立ちをしたオンナノコが話し掛けてきた。

『えっ?』

前からそんなことわかってたけど、直接言われたのは初めてだった。
だからショックだった。

『声も楽しいねぇ。そーゆーのアニメ声ってゆーんだって。』

けらけら笑いながら話すオンナノコ。
ほんとに泣きそうになった。

『ひーね、吉澤ひとみってゆーんだ。お名前は?』

今度は嬉しくて泣きそうになった。
初めての友達。

『い、石川梨華。』

緊張した。
初めてだったからね、自己紹介なんて。

『梨華ちゃんかぁ。よろしくね。』

よっすぃーは笑顔で手を差し出す。

『握手も知らないの?今日から友達だよ!』

これが、よっすぃーとの出会いだった。
それから、仲良くなったんだよね。
69 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)16時55分12秒
―――
今、目の前に立ってる人、なんとなくよっすぃーに似てる。
少年っぽい顔つきだし。

「吉澤先輩?何言ってるんです?」

後ろにいた人がよっすぃーに似てる人に注意する。



え?


ちょっと待ってよ…。



『吉澤先輩』って言ったよね。

『ひーね、吉澤ひとみってゆーんだ。』




「よっすぃー…?」

「え?」


小さな声で言ってみたけど、目の前の吉澤さんは反応してくれた。


ねぇ、よっすぃーだよね?
雰囲気は昔と変わってないね。


ねぇ、よっすぃー。
背、伸びたね。



昔はあたしの方がよっすぃーを見下ろしてたのにね。






よっすぃー、逢いたかったよ―――




70 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)17時01分06秒


「梨華ちゃん、何やっとるんっ!?」


あたしの名前を呼んだのはよっすぃーじゃなくてあいぼん。
あいぼんはあたしの手を引っ張って逃げた。


それは当然のことだよね。



だってここで捕まれば、命ないかもしれないし。



でも…―――





 






「よっすぃー!よっすぃー!よっすぃー!」





涙が出てきて、よっすぃーの名前を言わずにはいられなかった。
よっすぃーはいつもあたしに涙をくれるね。

最初逢ったときも泣きそうになったし、お別れするときもあたしは泣いた。
それは、今でも変わらないね。




よっすぃー達はあたし達を追いかけた。
よっすぃーにとってあたしは、不法侵入者のようなもんだもんね。
71 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)17時04分59秒


「梨華ちゃんっ!!」


あたしの名前を呼ぶのはあいぼんで。

あいぼんは真剣な顔。
あいぼんは今、命をかけて逃げてる。
なのに、あたしに気を使ってくれてる。


迷惑かけてるね、あたし。


遠足気分だったのは、あたしの方だ。



ごめんね、あいぼん。


本気で走っても、よっすぃー達との距離は縮まるばかり。
よっすぃー、昔から運動得意だったよね。


もう、だめなのかな…。

72 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)17時09分18秒

「あいぼーん!こっちこっち!」

あいぼんと同じくらいの背丈の女の子。
ちょっと舌足らずだ。

誰なんだろう?


あいぼんはその子の方に方向を変えて走った。
信用していいのかな?


見る限り、プッチモニの子だけど。


あいぼんはその子の後を必死でついて行った。
細い道を通ったり、いろいろな道を通った気がする。


大変だったけど、後ろにはもうよっすぃー達はいなかった。

73 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)17時16分24秒

「あいぼんたち、大丈夫?」

はぁはぁと呼吸を整えながらプッチモニの女の子は喋る。

「のの、ほんまに驚いたで。」

やっぱり、あいぼんの知り合いみたい。
あだ名で呼び合ってるしね。

「えへへ。もう大丈夫。上手くまいたから。」

笑うと八重歯がでてくるんだ。
なんか雰囲気がまだ幼い感じ。

「ねぇ、あいぼん。知り合い?」

このままだと一人だけ会話についていけなそうだったから、
勇気を出して聞いて見た。

「うん。今日、洞窟で会ったって子の話したやろ?その子や。」

あ、そういえば話してたね。
どうりで助けてくれるわけだ。

「辻希美れす。」

「あたし、石川梨華。」

ぺこりとお辞儀されちゃったよ!
なんかすごいマイペースな子。
74 名前:光を求めて 投稿日:2003年07月20日(日)17時26分54秒

「のの、よくわかったな。」

同い年の子と話すあいぼんはすごく楽しそう。

「うん。たまたま歩いてたらあいぼんと梨華ちゃんが追われてるんらもん。
 びっくりしたよ。」

なんかもう梨華ちゃんって呼んでるよ。
すっごくかわらしい。

「あいぼん、梨華ちゃん、こっち来てよ。いいとこあるから。」

にこにこ無邪気に笑いながら話す姿は、小さい子供。

目的地に着くまでに三人で盛り上がった。
あたしが『辻さん』って言ったら二人は大ウケ。

『辻とか、ののれいいよぉ〜。』って言われちゃった。
結局、悩んだあげく『のの』になった。

「ほら、ここらよ。」

ののがあたし達を連れてきたのは普通より大き目の家だった。

75 名前:世紀 投稿日:2003年07月20日(日)17時29分08秒
更新です。
いつもより多めの。

>55様
ありごとうございます。
おもしろいと言って頂けると嬉しいです。
>56様
保全、ありがとうございます。
76 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月23日(水)12時47分14秒
更新されてる!!
大好きな話なんで、これからも
がんばってください!
77 名前:てむ 投稿日:2003年07月25日(金)15時03分26秒
今日はじめて読みました
すっごい期待大です!
78 名前:てむ 投稿日:2003年07月25日(金)15時04分28秒
ageてすみません
79 名前:光を求めて 投稿日:2003年08月20日(水)12時02分11秒
あれ?
誰か家の前に立ってるよ…。

「紺ちゃん!」

ののが家…というか、旅館って感じの建物の前で立ってる女の子に手を振る。
ののの友達かなぁ?

ののやあいぼんと歳が近そうな子。
なんかぼーっとしてるっぽい。

「あの子、洞窟であった子や。」

あいぼんがあたしにこっそり教えてくれた。
紺ちゃんって子もののに小さく手を振ってる。
仲良しなんだね。

ののが紺ちゃんって子の所まで走り出すから、ついあたし達も走り出しちゃった。
さっきも走ったのにぃ…。

「紺ちゃん、この人、あいぼんの友達の石川梨華ちゃん。」

「紺野あさ美です…。」

ちょっと声が小さいけど、いい人そう。
なんかマイペースって感じの子だから、ののと二人で喋ってる時とか
ゆっくり喋ってそう。

「この二人ね、よっすぃーに追いかけられてたんらよ。」

よっすぃー!?
この二人、よっすぃーと知り合いなのかな…。
どういう関係なんだろう…。
まぁ、付き合ってるとかそういうんじゃないと思うけどさ。

「なぁ、そのよっすぃーって人と知り合いなん?」
80 名前:光を求めて 投稿日:2003年08月20日(水)12時17分11秒
あっ、この声はあいぼん!
あいぼん、もしかしてあたしの気持ちを察してくれたのかな…?

「うん。ここね、いいらさんの家なの。旅館をやってる。
 れね、下で喫茶店やってるんらよ。ある事情で全然お客さん来ないの。
 れも、よっすぃーは時々ここに来るんらよ。」

よっすぃー、ここに来てるんだ。
あたしも毎日来たいなぁ…。
いいなぁ、のの達は。羨ましい。

「事情って何?」

ちょっとあいぼん、そういうことは聞いちゃいけないんだよ。
常識だよ。失礼でしょ!



そんなこと思っても口には出さないあたし。
だってほんとは知りたいもん。

あいぼんはいいこだね。
あたしが聞きたいこと全部聞いてくれる。

「ここね、運び屋の人が寝泊りするところなの。
 らから、プッチモニの人は寄ってこない。」

運び屋かぁ。
そういえば、保田さんは運び屋なんだっけ。
じゃあここで寝泊りしてるんだ。

81 名前:光を求めて 投稿日:2003年08月20日(水)12時24分40秒
「あいぼん、梨華ちゃん、中に入って。ここ、安全らよ。」

ののはそう言いながら、ドアを開ける。
紺野もそれに続く。


そしてその後をあいぼんが…。
ちょっと待ってよ、そんな簡単に信じちゃうの?


ほのぼのしてるように見えるけど実はあの二人、あたし達を中で捕まえて
よっすぃー達に知らせて手柄をたてる気なんじゃ…。

でも、きっとくるのはよっすぃーだよね。

…へへっ。
ちょっと嬉しい♪


「梨華ちゃん!はよせぇ!」

ドアの所からちょこんと顔を出すあいぼん。
あたしが変なこと考えてる間にみんなは中に入ったみたい。

「ちょっと待ってよ〜。今行く!」
82 名前:光を求めて 投稿日:2003年08月20日(水)12時37分06秒
―――
中に入ると、カウンターに座るののと紺野以外は誰もいないみたい。
あまり使われてないのか、掃除をしてるだけなのか、とてもきれいだった。

「はい、辻、紺野。」

うわ。
超きれい。
この人があの、飯田さん?

背、高いなぁ。

飯田さんはののと紺ちゃんにコーラとミルクティーを出す。

「あれ?加護じゃない。どうしてここに?
 んんっ?誰?」

飯田さんはあたしを見てる。
綺麗な瞳してるなぁ。

「あっ、あたし、あいぼんの友達の石川梨華です。」

なんか緊張する…。

「へぇ。よろしくね。まぁ、加護も石川も座りな。」

手前のカウンターを指差しながら話す。
いい人みたいだ。

「いいらさん、いいらさん、二人ね、よっすぃーに追いかけられてたんらよ。
 らから辻、二人を助けてあげたんれすよ。」

誇らしげに話すのの。
83 名前:光を求めて 投稿日:2003年08月20日(水)12時45分04秒
ののは飯田さんに誉めてもらいたいみたい。
なんか子供っぽいというか…。

「え?なんで吉澤に?」

ものすごく知りたそうな目であたしとあいぼんを見る。
なんか、逆らえない雰囲気だよ…。

簡単に話しちゃっていいのかな?

だってさ、ののや紺野はまだ国よりも友達って年頃じゃん?
でも、飯田さん、結構大人っぽいし…。
なんたって、矢口さんを黙らせるほどだし…。



―――
…結局、あいぼんがあたしの許可なしに全部話しちゃった。
洞窟を通ったとか、おまけにあたしのよっすぃーへの気持ちまでべらべらと。
もう…。
せめて、よっすぃーへの気持ち、黙っててほしかったんだけどなぁ…。
84 名前:世紀 投稿日:2003年08月20日(水)12時49分19秒
少量更新。

>76様
こんなにゆっくりな更新ですが、放置はしません。
最後まで見守ってやってくださいませ。

>てむ様
期待していただいて嬉しいです。
精一杯頑張ります。
あ、それからageちゃっても私は全然気にしないので…。
85 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/13(月) 09:29
hozen
86 名前:光を求めて 投稿日:2003/10/19(日) 15:22
「れも、よっすぃーには後藤さんがいるんれすよね?」

ぽつりとののが呟く。
ってか、後藤さんって?

「辻っ!」

飯田さんが少し大きな声で怒鳴る。
ののはびっくりしたみたいで、
飲もうとしたコーラのコップを落としそうになった。

「ごめんなさい…。」

ののはあたしに謝ってきた。
…あたし!?

「後藤さんって誰ですか?」

プッチモニの三人に向かって聞いてみると、
三人は言葉を捜しているように見えたし、
ほかの誰かが言ってくれるのを待ってるようにも見えた。

「あのね吉澤、後藤のことが好きなんだ。」

飯田さんは真剣そのもの。
これは、信じていいらしい。

「後藤さんもですよ。」

紺野が付け足す。
あいぼんは、あたしの服をつかんでくる。

「れも、秘密なんらよ。」

ののも真剣な表情。
ののも、こんな顔するんだね。
87 名前:光を求めて 投稿日:2003/10/19(日) 15:31
三人はよっすぃーがよくここに来るから知ってるらしい。
それにしても、後藤って名前どこかで
聞いたことあるような、ないような…。

忘れた…かな?

もしかして物忘れ激しくなった?
あー、やだやだ。
そんなのやだ!!

「なぁ、もしかして、後藤ってプッチモニが
貿易してるとこの王の名前ちゃうん?」

あ、そうそう!
保田さんが言ってたんだ!
だから聞いたことあったんだぁ。
よかったー、思い出せて♪

保田さん、プッチモニとごまっとうを行き来してるんだもんね。

「じゃあ、詳しく話すけど、言わないでね。」

飯田さんは詳しく教えてくれるらしい。
あぁ、なんていい人。

あいぼんとあたしは迷いもせずうなずいた。
88 名前:光を求めて 投稿日:2003/10/19(日) 15:46
「今、吉澤は国の防衛隊をやってるの。
だからもともと城に入ることが多かったんだ。吉澤、人見知りしないから
歳も近かかったプッチモニの王女さまとも仲良くなれたんだって。
で、後藤ってのは加護が言った通りなんだけど、後藤はプッチモニと
貿易するようになってからよくプッチモニにくるようになった。
二人の王女はすぐ仲良くなったらしいよ。
それで、王女さまの繋がりで、後藤と吉澤も仲良くなった。
そしたら、吉澤と後藤はお互い惹かれあったみたいね。
これ知ってるのウチらぐらいだよ。吉澤、何度か後藤をここに
連れてきてたから、知り合ったんだ。」

なんか、よっすぃーらしいよね。
誰とでも仲良くできるもん。
あたし、何年もよっすぃー追いかけてさ。

ばかだよ、あたし。
ほんとばか。


89 名前:光を求めて 投稿日:2003/10/19(日) 15:58
「梨華ちゃん、情報聞けてよかったやん。」

あいぼんは、さっきまであたしの服を掴んでたのがうそみたいに
ポンポン、とあたしの背中を叩く。
これが、あいぼんなりの励ましかたなんだよね。

知ってるよ。


「ごめん。先に知っといた方がいいと思って…。」

飯田さんはあたしに謝ってきた。
飯田さんだって、悪意があったわけじゃない。
それだけは、わかる。

「大丈夫ですよ。」

うん。あたしは、平気。
ほんとは少し覚悟してたんだから。

「あいぼん、そろそろ帰ろうよ。
ここに居過ぎるとやばいしさ。」

「うん、わかった。」

あいぼん、今日はやけに素直だね。
あたしの気持ち、察してくれたのかもね。


「じゃあ、またね。」

あたしたちは三人に手を振った。

「また、なんかあったらここ来ていいからね。」

飯田さんは言う。
ほんとに、お言葉に甘えちゃってもいいかな?


だって、ここくれば、よっすぃーに会えるかもしれないから。
少しだけど、希望の光が見えてきた…かも。

90 名前:光を求めて 投稿日:2003/10/19(日) 16:07
―吉澤
あーあ…。
見失っちゃったよ。

しかもののの声っぽいのが聞こえたし…。

惜しかったんだけどなぁ。

それにしても、変な人だった。
吉澤のこと、よっすぃーとか言ったし。
なんで知ってるのかな?
…テレパシー?


かっけー!!


タンポポはあーゆー人がいるのか…。
昔、住んでたけど、小さい頃だしあんま覚えてないなぁ。

ま、いっか。


「帰ろう。」

後ろの仲間たちに指示を出す。
これでもリーダーだからね。

91 名前:光を求めて 投稿日:2003/10/19(日) 16:15
早く帰ろう。

ウチらが歩いてるとみんな尊敬した目で見てくる。
そーゆーのがぶっちゃけ嫌い。

そーゆー目でみてこない飯田さんの店が好き。

無意識に歩くと、目の前には大きな城。
今日、ごっちん来てるって言ってたっけ。

市井さん、いなければいいなぁ…。

「ただいまー。」

「おかえりなさいませ。」

ドアを開けるとたくさんの人がお出迎え。
慣れないんだよなぁ。
堅苦しいって。

城の中に入れば、みんなそれぞれ自然に解散となる。

吉澤は愛するごっちんの元へ…。
ってゆーか市井さんの部屋なんだけどね。

コンコン。


市井さん、ノックしないと怒るからね。
市井さんの機嫌が悪いと、ごっちんともいちゃいちゃしずらいし。
92 名前:光を求めて 投稿日:2003/10/19(日) 16:20
「んぁ?」

あ、これはごっちん!!
市井さん、どっか行ったんだね!!

ありがとう!
市井さん!!
なんていい人なんだぁー!!

ガチャ。



「ごっちーん!!」

ほらね、ほらね。
部屋に居るのはごっちん一人。

ごっちん、テレビ見てるよ。
お菓子食べながら。

「よっすぃーだぁ!」

吉澤に気づけばテレビそっちのけ。

吉澤、テレビに勝ったよ!!


これぞ、愛の力!
93 名前:光を求めて 投稿日:2003/10/19(日) 16:29
よし。
早速今日の出来事を話してやろう。

「ねぇ、ごっちん。今日変な人に会ったよ。」

「へん?」

ごっちんはお菓子を食べながら聞くらしい。

お菓子には勝てない吉澤…。


あ、でも話を聞いてくれるってことで互角か!
なかなかやるな、お菓子め。


「実は、タンポポの人の二人組なんだけどね。
こっちに入ってきちゃったらしいんさ。
それで、片方の子、超ウケるんだよ!アニメ声で地黒で!」

ごっちんは、タンポポの人のこと話しても全然平気。
市井さんもそうなんだよね。
だめなのは王とかかな?
94 名前:光を求めて 投稿日:2003/10/19(日) 16:36
あれ?
ごっちん、テレビ見て笑ってる。
吉澤の話じゃ笑ってくれてない…。

テレビにも負けちゃったよ。

まぁ、あれは聞かないとわからない面白さだけどさ。


「ふーん。よかったねぇ。」

なんかごっちん怒ってる?
ほっぺ膨れてるよ?

かわいいなぁ…。


「ごっちん、妬いてる?」

ねぇ、そうでしょ?
ごっちん、下向いちゃった。

…しょうがないなぁ。

「ねぇ、吉澤、ごっちんのこと、好きだよ。
……愛してるよ。」

あー、言ってると恥ずかしいんだよなぁ。

「ほんとに?」

あ、こっちむいてくれた。
お菓子もテレビもそっちのけ。


結局は逆転勝ちってことで。


「当たり前だよ。」


誰があんなやつ好きになるか。
ごっちんが、ほんとに好きなんだから。


「よかったぁ。」




テレビやお菓子に勝てても吉澤、ごっちんには勝てないや。


95 名前:世紀 投稿日:2003/10/19(日) 16:39
更新、遅すぎだから!
ありえないぐらい遅い…。


すんません(泣)

>85様
わざわざ保全ありがとうございます
96 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/28(日) 20:58
hozen

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