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恋する気分と歌と君そして…花!
- 1 名前:カヲル 投稿日:2003年02月25日(火)17時27分25秒
- お久しぶりです。
カヲルです。
ええ〜カップリングは『かごごま』です。
マイナーはわかってるんですが、いろいろ考えてこれしか無理でした。
かごごま萌えさんはいなくても加護さん主人公ならとか後藤さんでてるならとかいう人
がもしかしたら一人でもいるかもしんないってことでそれを期待して。
んで今回の警告は…辻さんが大好き!辻さんのいいところはあどけなさ!純真さ!辻さんが○○○?…冗談じゃね!
とか思ってる人はやめたほうがいいです。
では、
あ〜不安だ。
- 2 名前:カヲル 投稿日:2003年02月25日(火)17時28分37秒
最近ときどき思うこと。
恋するってこと。
そしていったいうちが恋をしたらどんな風になるんやろうかってこと。
そういうのをときどきふと疑問に思うことがある。
そやけど、そういうのを友達に素直に聞いてみるのも気が引ける。
どうせ、高校生にもなって初恋もまだなの?とか言われて笑われるのが目に見え取るから。
まぁ親友には知られとるけど。
そんでまぁ、うちは、実際恋をするとどうなるんやろって思うんや。
そんで…恋してみたいなってな。
恋する気分と歌と君そして…花!
- 3 名前:名無しさん 投稿日:2003年02月25日(火)21時53分52秒
- おかえりなさい。
ヒサブリに感動モノを期待していいですか?
- 4 名前:名無し読者 投稿日:2003年02月26日(水)17時20分09秒
- ホムペ教えてもらおうとメール送ったら 届きませんでした
教えて下さい!
補足を言わせて貰うと「絶望とそして…」が一押しです
- 5 名前:カヲル 投稿日:2003年02月26日(水)18時59分59秒
- >>3名無しさんさま
ただいまです。
感動物…は、何度も読み返してるんですが自信はないです。
でもまぁ、暇なときにでもお付き合いください。
- 6 名前:カヲル 投稿日:2003年02月26日(水)19時03分35秒
- >>4名無し読者様
メールは最近直しました。すいません。
アドレスは
ttp://page.freett.com/Oruka/index.htm
です。
「絶望とそして…」ですか。
ありがとうございます。
- 7 名前:カヲル 投稿日:2003年02月26日(水)19時05分46秒
- 「だからなぁ!うち家出してきてん!」
ファミレス内でうちは大声をあげて向かいに座ってるののにそう報告した。
ファミレスは、がやがやとうるさくて、でもなぜかうちが大声をあげた瞬間一瞬だけ室内が静かになったりした。
そやけどのののキャラクター上そんなことは気にせず、うちの言葉を素直に聞いて
そしてうちのことを驚いた目で見つめた。
「あいぼん、マジっすか?」
「そうやぁ。マジっすよぉ。」
ののの驚いた顔を斜めに見ながら、うちは、腕を組んで怒ってるんやで!っちゅうことをアピールしつつそう答える。
事実むかっぱらが立ったままやから、意識せんでも、怒った感じが出せる。
「れ、れすけど、そんなことれ家出れすか?」
ののは怒りをあらわにしてもうてるうちにちょっとうろたえながらそう質問してくる。
そしてまたもやうちはむかっぱらたちつつ元気よく答えた。
「もちろんや!あたりまえやろ!」
「い、いや。れもれすね」
ののは言いにくそうに口答えしようとしてくる。
- 8 名前:カヲル 投稿日:2003年02月26日(水)19時08分02秒
- うちはそんなののにいらついて、ののをにらみつけてこういった。
「人のもんを食うのは卑しい証拠や!」
そうや、人のもんを食うのは卑しい証拠やねん。
それをののも、そしてうちのおかんもわかっとらん!
うちが家出した理由、それは久しぶりに関西からやってきたうちのおかんが、うちの大切にたいーせつに
残しておいた、大事な、大事な、うちのショートケーキのイチゴを食べてもうたことが理由やった。
「イチゴ…そんなに大事だったんれすか?」
「あたりまえや!」
だって考えてみいや、ショートケーキにやで?イチゴが乗ってなかったらそりゃショートケーキといわんのとちゃうか?
ぜったいそうや。ショートケーキっちゅうのはイチゴが載っていてこそ!こそのショートケーキやねん。
そしてなにより、おかんはいまだにうちがなにを大事にしているか、うちの好みっちゅうもんを理解してない
その事実がなんや悲しかったんや。
娘の好みをわかってない、ちゅうその事実がやな…。
うちはののにそこらへんのところを臨場感たっぷりに説明してやった。
そやけど、ののは。
- 9 名前:カヲル 投稿日:2003年02月26日(水)19時10分30秒
- 「…あいぼん。子供れすねぇ」
とかなんとか言いだしおった。
「な、なんやとぉ〜?」
うちが?子供?
そ、そんなことあらへん。うちは十分大人や。
そりゃののはある意味大人かもしれへん。実際ある部分で大人なんや。そやからそういう大人な部分がうらやましいと感じることもある。
そやけど、うちは子供やあらへん。子供や…あらへん?…と思うでぇ〜?
「それで、あいぼんはこれからどうするつもりなんれすか?」
「え?いや、そやから、よかったらのののうちに泊まらせていただけませんか?とやね…あかんかな?ぁ」
うちは上目遣いで、ののにたずねた。
親友のののの前でかわいらしくしても意味あらへんことは経験でわかっとるけど、そやけどののは
やさしい子やし、うちがこまっとることもわかってくれて力になってくれるんやないかと。
まぁつまりいいにくいお願いやったから上目づかいになったちゅうことや。
いつものののやったら、いいれすよってそのしたったらずなかわいらしぃ声で言ってくれるはずやった。
そやけど、今回はちごうた。
「……はぁ〜」
- 10 名前:カヲル 投稿日:2003年02月26日(水)19時12分30秒
- 「な、なんやの。なんやののの?その大人なため息は…なんやの?」
キャラにあわんやろ?キャラちゃうやろ?
頬杖ついて、斜め下向いて、眉毛しかめるしぐさがいろっぽすぎてうちひいてまうやんか。
うちは、自分が言ったことのなにが、ののにため息をつかせたのかわからずにいた。
「…あいぼんの力にはなってあげたいんれすけど」
「う、うん?」
「のの、今日はお泊りをするつもりなんれす」
「あ?お泊り?」
「そうれす。…れも悩んでるんれす」
「悩んでる?なんでや?」
そこからののの悩み相談会が始まってもうた。
うちとしては、お泊りさせてもらってうち自身の愚痴を聞いてもらえればうれしかったんやけど、どうやら
ののはそんな状態じゃないらしい。
親友の困ってるときを見逃してはならんっちゅうのが、うちの曾じいさんの遺言やった。
そやからうちは、ののの相談をうけることにした。
「なんでやの?のの何で悩んでるの?」
うちはアイスティーののは、ガムシロップのいっぱい入ったアイスココアを飲みつつ、立場の逆転した相談会は始まった。
「最近、あの人が、体ばかりを求めてくる気が…するんれす」
「………」
- 11 名前:カヲル 投稿日:2003年02月26日(水)19時13分56秒
- がーんっ!!ときた
な、なんていうた?今、ののなんていうた?
あの人?あの人ってなんやねん。
なんでそういう言い方になるねん、普段名前以前にあだ名で呼んでるやろ?
そしてなんやて?体?ばかりを求めてくる?
なんやの?なんやのそれ?
…日本語?
「か、体ってあの…つまり…?」
「セックス…というやつれすね」
「………」
のの…遠くへ?
行っちゃった?
うちは再びショックをうけた。
「あ、あの…」
「どう思いますか?やっぱり週に4回は多いれすか?」
「…な、なにが?なにが週4回やの?」
「セックス…というやつれすね…はぁ〜」
「………」
- 12 名前:カヲル 投稿日:2003年02月26日(水)19時17分05秒
- うち…うちはこの言葉に対してどう反応してやればええんやろ?
週4回?多すぎるんか?これは、それとも普通なんか?
多すぎる気もするな。そやけど、愛する二人同士なら普通なんかもしれんし。
つうかわからん。そんな感じやった。
「土日に会うとかならず、何回も。そして、間をあけて水曜日にも何回も、そして金曜日の夜に…一回」
「………」
帰りたい帰りたくなってきた。
なんや、ののが怖いんや。
なんやののが別の人間になってしもうたみたいやった。
ちゅうか何回もって…やりまくり…と違うんやろうか?
そしてなんで金曜日は、1回なんやろうか?
他でやりまくってるから疲れてるっちゅうことやろうか?
わからん、うちにはわからんことだらけや。
ののは一度、ストローでアイスココアを一口すするとまたため息をついてきた。
「はぁ〜。愛って言葉にしてもらわないとわからないものれすね…」
「………」
やっぱり二の句がつげん。
- 13 名前:カヲル 投稿日:2003年02月26日(水)19時17分35秒
- 第一うち、うちこんなののいやなんやけど。
キャラ違うやん。お前は、豆腐をぐちゃぐちゃにしてレモン汁かけておいしいれすけどすっぱいれす〜てへへ。
とか言って場をなごますキャラなはずやん。
キャラ間違ってるって
そう突っ込みたかった。
「愛…むずかしいれす」
「そ、そうやの…あははは」
「あいぼんには…わからないれすよね」
「むっ」
むっ、そういうこというか?
うちだって愛のなんたるかぐらいやなぁ。
わかるつもりやで?
そりゃ今年のバレンタインデーもおとんにあげたっちゅうだけやけど。
そやけど、愛っちゅうもんがなんやろうかっていうのは考えたことがあるんやで?
「つ、つまりあれやろ?自分、ちょっとエッチばかりやから不安になっとるんやろ?」
「そうれすね。はぁ〜」
「そ、そうやね。うちが思うに、それは愛が発展している証拠やと思うね」
「愛が…発展れすか?」
- 14 名前:カヲル 投稿日:2003年02月26日(水)19時21分04秒
- 「そうや。愛が発展してるねん。そしていきつく先は結婚やねん。」
「…なに言ってるんれすか?」
疑問符を浮かべるのの、なんやうちアホなこと口走ってるんやろうか?
そう思いつつ先を続ける。
「あ…いや、結婚とか考えてやね。そして二人は新たな壁にぶつかってやね。いろんな壁を乗り越えつつ最後は
お父さんお母さんに祝福されながら永久の幸せっちゅうもんをね。手にいれるねん。」
「……ののたち女同士なんれすけど?」
「あ、ああ。そうやったね。ちゅうかうちもなに言ってるかわからんのや…ははは」
うーん、ののの気持ちをくみつつ、それでなおかつかっこよくセリフはいてののより大人やねんぞ実はってところをアピールしようと
思ったんやけど失敗やった。
愛が発展まではよかったけど、その後なんも考えてへんかった。
しっぱいや。
やっぱうちに恋はむずかしいんやろうか?
「はぁ〜あいぼんは、いいれすね。これからっていう夢があって」
「…むっ」
ため息をつきつつ流し目でそう継げるののにむっとするうち。
どういう意味やねん。
つまり恋をなんもしとらんうちには、希望ばっかりやね、ええねぇ子供ちゃんはっちゅうことか?
ああ?…ああ〜いかん、なにひがみっぽくなっとるんやろ?
「愛は…たいへんれすよ」
「……あ、ああそうやのぉ〜」
けどやっぱり腹立つわ。
ま、まぁええ。ののも言いたいこといったほうがええねん。
第一ののの付き合ってるよっすぃ〜ってやつもいい加減なやつやし。
やさしいっちゅうか女の扱いなれてるなっていうのはうなづく。そやけどだからこそののも大変やと思う。
そうや。そう思えば怒りもわいてこんわ。
- 15 名前:カヲル 投稿日:2003年03月01日(土)18時22分45秒
- そしてののは、大人な雰囲気を保ちつつ、夜のしじまに消えていってもうた。
冬の寒い空…北風はんがびゅーびゅー言っとる。
夜8時、繁華街はまだまだうるさいぐらいの派手なネオンと喧騒やけど、うちの心はこの空気と同じ冷たいもんやった。
家出をすると家族に公言してしまった手前、どこにもいけずに途方にくれていた。
そしてさまよい歩いて、さびしい路地にまで来てしまった。
「うーん。どないしようか…」
他の家の子に頼むっちゅうのも考えたけど、そやけど、のの以外にそういうこと頼めるやついるやろうか?
「のの…がだめやとすると…」
手提げの茶色と白のお気に入りのバックから携帯を取り出そうとする。
…そやけど見つからなかった。
「あ、そうや。机に置いたままやった」
携帯…あわてて家を出てしもうてもってこんかったんや。
ああ〜うちとしたことが。どないしよ。
携帯なければ、電話することもできへんで。
電話番号なんて携帯のメモリーにあるだけで、記憶してへん。
そう思って途方にくれているときだった。
突然。
- 16 名前:カヲル 投稿日:2003年03月01日(土)18時24分18秒
- 〜♪〜♪。
口笛や。口笛が聞こえてきた。
どっか高いところから聞こえてきた。
静かな人通りの少ないところだから口笛なんかも良く聞こえてくる。
きっと空気が澄んでるんやな。
「これは…サントワマミーやな」
うちはおばあちゃんと暮らしてるせいもあって、古い歌も知ってるんや。
そやからサントワマミーなんてふるい歌も知ってた。
古いいうても、ちょくちょく別の歌手がいろんなアレンジして歌ったりしてるんやけどね。
本当は、越路吹雪ちゅう人の歌やったと思う。
今上から聞こえてくる歌もゆっくりした感じが、越路吹雪バージョンなんやないかと思わせた。
♪〜♪〜。
「んー、でもちょっと越路吹雪とは違うところあるかもな」
少しだけリズムが違ってる。
あれは…最近の歌手が歌ってる感じかもしれない。
「……どこで歌ってるんやろ?」
ちょっと気になる。そしてそれが上のほうからやってことに気がついて。ふいとうえを見上げる。
「ん?」
- 17 名前:カヲル 投稿日:2003年03月01日(土)18時26分08秒
- なんやろ?上の、ビルの屋上になんや人影が見える。
上を向いたうちの視界に暗いながらもぼんやりと見える人影があった。人影は、腰までのフェンスの上に手を置いてなんや口笛を吹いてるみたいやった。
「危ないなぁ」
腰までしかないんやったら、フェンスの意味ないやん。
そう思ってちょっとはらはらしつつ、なんとなく上の屋上にいる人のことを見ていた。
その瞬間やった。
「あ!あああ〜!!」
いきなり人影がぐらついたかと思うと、こっちに倒れこんできた。
こっち、うちのほうってことは、下の道路のほうに、や。
「あぶない!!」
うちがそう叫んだと同時に人影は、ぐらついたまま、下に倒れるように前かがみになった。
そして…。
「うぁああああ〜!」
ぐらついたその人影がこっちに落っこちてきた!
「ああああ〜!」
うちは目をぎゅってつぶって、思わず手を上にあげていた。
手をあげることに意味はない。
けど、なんか上からものがおっこってくるときって意味なくそうしてしまうもんやねん。
つうか、人が落っこちてくるなんて状態テレビ意外で見たくもない。
それに、それ以上に自分の上に落っこちてくるなんて冗談やないわ。
「………」
- 18 名前:カヲル 投稿日:2003年03月01日(土)18時27分12秒
- そやけど、心配した自分の上にまっさかさまに落ちてくるって状態になることはなかったみたいやった。
なぜか派手な音がすると予想してたうちの期待?を裏切ってなんの音もせん。
けど、やっぱり5階からとはいえ、下はコンクリートや。
そんな状態のところにおちて、普通でいられるはずはない。
どうなるか想像もしたくないしわからんけど、血ぐらいはでてるんやないやろうか?
そう思ってしばらく目をつぶったままにしていると、ぎゃっとかぐぇとか予想してた言葉とは違う声が聞こえてきた。
「やば!」
そう、さっきまで人影だった、それはそう言ったんや。
多分。あいかわらずぎゅって目をつぶったままやったから確かやないけど。
でも多分そうやとそのとき思った。
「あ?」
やばい?やばいって聞こえたで?今。
普通5階から落ちて、やばいとかいうか?
そう不思議に思ってそろそろと目を開けた…するとそこには一人の女の子がたっていた。
「な、なな?」
「やば〜」
なおも女の子はこっちを向きながらやばいといっている。
なんやろ?うちがいたことがやばいのか?
じゃあやっぱ自殺?いや、そやけど、普通に地面に立ってるで?この人。
「見られちゃったか。油断したなぁ」
「…あ、あんた…確か5階から」
- 19 名前:カヲル 投稿日:2003年03月01日(土)18時29分06秒
- 「……んー。やっぱ最初から見てた?」
その子は、頭をかきながらそういった。
暗がりで見る限りはなかなかの美人さんや。
けど、そんな子に話しかけられても今のうちは混乱するだけしかできへんかった。
「あんた…どういうこっちゃ?」
「ま、いいか。とりあえず、いつものやついきますか?」
「は?」
いつものやつ?なんやそれ?
女の子のつぶやきにそんな風に思ううちに、彼女はじっとこっちを見つめてきた。
「………」
な、なんやろ。暗いところやのに、女の子の顔がはっきり見える。
それにどういうことや?目が離せないで?
女の子は、じっとこちらを見つめたまま、ゆっくりとうちに顔を近づけてきた。
「????」
うちが混乱しているのも気にせず、うちのあごに手を置いて
そして…
ちゅっ。
「……んっ!?」
キス…してきおった。
「あはっ。おやすみなさーい」
「…!?!?!?!?!」
それからうちの記憶はとぎれてもうた。
- 20 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)13時58分46秒
- 朝。
目覚めの朝。
ねむっとった鳥さんも、猫さんも、うすばかげろうさんや、やんばるくいなさんやって
目をさます朝。
「ん〜…うん〜…」
うちはうなされていた。
なんや知らんけどうなされていた。
「んんーーーっはぁっ!!」
そして目がさめた。
ちくったっくちっくたっく。
時計の音が聞こえてくる。
そしてしばらくして。
リリーンンッ!
「朝…や」
目覚ましの音でそうつぶやく。
うちが目覚ましを頼りにせずに起きれるなんて珍しいことや、そう思った。
なんでやろって
そやけどいつまでもベッドの中にいるわけにもいかんし、
とりあえず起きることにした。
「…とにかく起きるか」
ぼーっとした頭と、ぐしゃぐしゃの頭で、
ベッドからもぞもぞとおきだして、
そのまま居間にたどり着いた。
- 21 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)14時00分32秒
- 「おはよう。亜衣。」
ダイニングに下りていくと、おとんが新聞を読んでた。
おかんも弟もそしておばあはんもいる。
みんなそれぞれ朝食を食べていた。
なんやひさしぶりに休みが取れたとかいうて、
家族総出で関西からやってきてるんや。
「あ、おとんか。おはよう」
「おはよう。亜衣」
「………おはよう」
「おはようございます。亜衣ちゃん」
「おはようさん。」
最初におとん、そして次におかん…そして最後に弟に朝の挨拶をした。
おばあはんは、台所で、なんかしとる。お弁当でも作ってるんやろう。
そやけどなんか、気分的におかん相手におはよう
言うのが気のすすまんかった。
なんや、おはようって言いにくいっていうか。
おかん相手に、だけなんか言いにくいで?
いや言いにくいというか言いたくないというか、
なんや心の奥ぅのほうにわだかまりみたいなもんがある気がする。
どういうこっちゃ?
「なんだ?亜衣はまだ怒ってるのか?」
「へ?」
- 22 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)14時02分43秒
- そんなおとんの言葉に疑問を感じてきょとんとした。怒ってる?うちが
うち…あれ?なんやそういえば、なんかうち思い出した気がするで?
「亜衣も根が深いなぁ。イチゴショートのことそんなにむかついたか?」
「イチゴ…ショート?」
「そうや。お前昨日…」
「ああ!思い出した!」
「な、なんやいきなり大声だしてからに」
「いや、そうや!うち、そうやねん。うちおかんに怒ってたんや」
「だから、まだ怒ってるの?亜衣。あれはお母さんも悪かったと思って」
「んー?」
おかんの言葉を尻目に、うちは、思いっきり首をかしげた
なんでやろう?
そりゃうち確かに、大抵のことが一日たつと忘れてもうて、
翌日にはどうでもよくなってたりするけど。
「でもね。イチゴを食べられただけで家出っていう
のもお母さんどうかと思うわ」
家出?…そういえば、うち家出をしたんか?
覚えてへん。
それにそうやったとしても家出してすぐに家に
帰るような玉やないと思うで、うちは。
自分でいうのもなんやけど。
なんやろ…記憶が…混乱しとる。
なんか、自分がどうやって家に帰ったかってことも覚えてないで?
「そうだなぁ。確かに昨日は、夜遅かったし。まぁいつものことだという
気もするが、だけどお前高校生にもなってやなぁ」
おとんの説教が続く。
- 23 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)14時04分00秒
- そやけど、うちはどうやって家に帰ったか、とかほんまに家出を
したんやろうかとかそういうことが気になってそればっかり頭に浮かんでいた。
「……まぁええやないの。ちゃんと帰ってきたことだし。」
話を聞いていたらしい台所からのおばあはんのフォローの言葉を聞いてからも
…それから机につく間も、
机でご飯を食べる間も、なんや、すっきりしない状態が続いていた。
- 24 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)15時48分33秒
- 学校。通学路。
「おはようれす。あいぼん」
「あ、おはようさん。」
ののが、ちょっと赤い目をして、朝の挨拶をしてきた。
うちも、それに挨拶を返す。
それからののはちょっと言いにくそうに、うちに話しかけてくる。
「昨日はすいませんれしたね。大丈夫でしたか?」
「は?なにが?」
「らって、昨日はあいぼん家出したれしょ?それなのに、
家に泊まるっていうの断ってしまいましたから」
「昨日?ああ…そうやったっけ?」
「そうれすよ?なんれすか?覚えてないんれすか?」
「…いや…いや…いやぁ〜」
覚えて…ないわけやないんやけど、なんか記憶があいまいで。
家出っちゅうのもなんかうすぼんやりと、やし。
「…大丈夫れすか?なんか変れすよ?あいぼん」
「いや。うちも…そう思う。」
「んー?」
「んー」
「んんー?」
「んんー。」
そうしてうちらは、疑問を浮かべたまま、なおかつはっきりせんまま、
学校にたどり着いた。
- 25 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)15時49分39秒
- 「じゃあ、どうやって帰ったか記憶がないんれすか?」
「ああ、そうやねん」
学校について、授業を終えて今は昼休み。
机をくっつけてお弁当を食べようとご飯粒のこびりついたふたを開けながら、ののがびっくりした顔をしてうちに問い返してきた。
「んんー?どういうことれしょうか?」
「わからん。なんでやろう?」
うちは、同じようにご飯粒のこびりついたおばあはん特性の弁当を明けつつ答えた。
おっ。今日はおばあはん、チキンライスやん。ハイカラやぁ〜
なんてそんなことを考えつつ、ちょっとした感動を覚えてると、ののがぶっそうなことを言ってきた。
「んんー?あいぼん、夢遊病者れすか?」
「夢遊病者?いや、そんなことあらへんと思うけど…むずかしい言葉知ってるな?のの」
夢遊病者なんて、普通の会話でののが使うとはおもわんかった。
「てへへ。それは、よっすぃ〜に聞いたんれすよ」
「ふぅん…よっすぃ〜な。…よっすぃ〜…な……あ!」
「な、なんれすか?」
「思い出した!ののお前昨日もよっすぃ〜と…その…したんか?」
「したって…ああ…しましたよ」
「…そうかぁ。」
「そうれす…はぁ〜」
「……ぐっ」
- 26 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)15時51分34秒
- やばい、のののやつため息ついとる大人モードなんやろうか。
思い出したままにいってもうたけど、やばい質問したなうち。
大人モードのののはわけわからんねん。
遠い存在になるからなぁ。
そやけど、親友として悩みは聞いてやらんといかんし。
「ん?なんれすか?ぐって」
「い、いやなんでもないよ?それよりのの悩んでるんやったら
…とりあえず吐き出すだけでも、やね」
「うーん。そうれすね。れも、経験のないあいぼんにそんなこと
話していいのかどうか」
「…むっ」
経験ない〜?
はっきり余計なこというな、のののやつ。
ま、まぁええわ。
うちはとりあえずぐっとこらえて、言葉を返す。
親友や、親友なんやから。
「そ、そやかて、聞くだけならできるで?いいから話してみろや」
でもやっぱりちょっとむきになって答えとるわな。
うち、ぶっちゃけ、自分が経験ないのコンプレックスやねん。
初恋も…まだやし。
- 27 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)15時52分48秒
- ののからやないけど、他の友達にそれがばれて馬鹿にされたりしたし。
ののは一応親友やから、はっきりそういうこと言ってうちのこと
馬鹿にしたりせんけどな。
そやけど、こうやって言葉の端はしに、あんたは子供やからっていうの
を感じてむかつくことがあったりするんや。
「ええ、そうれすね。話すだけでも気分が落ち着くかもしれません
…れも…はぁ〜」
「なんやのぉ〜?はっきりいいや」
「ええ、また今回もエッチだけれした」
「そ、そうやの」
エッチ、やっぱりののの口から聞くといわかんあるなぁ。
「エッチ…嫌いじゃないんれすけど」
「大人…やねぇ〜」
「ええ」
「…肯定しとるし」
「れも、やっぱり不安れす。エッチばかりだと不安なんれす」
「ま、まぁ一般的に夫婦っていうんは、セ、セックス?とかいうのあるっていうやん
、それよりはましなんとちゃう?」
ちょ、ちょっと大人ぶって、セックスレスなんて言葉つこうてみたりした。
前に、おばあはんと、見たテレビで、なんやそんな風な言葉を
ワイドショーのお姉さんがいっとったんを思い出したんや。
「夫婦…じゃないんれすけど…でも…そうれすね」
- 28 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)15時53分40秒
- 「そうそう、いいやん。遠距離恋愛しとるわけでもないんやし。
同じ学校っちゅうのもええもんやと思うで?毎日会えるしな」
「そうれすね!経験のないあいぼんでもそう思いますか!!」
「…むかっ!」
また経験ないって言ったなぁ〜!
ったくわざとか?
わざと言ってるんか?
い、いや天然ののののことや悪気はないんや。
そういうことにしとかんと。
やっぱり友達っちゅうのは、親友はとくにやけど、
ちゃんと信じてやらんとな。
そうや、ののは…悪気はないんや。
- 29 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)15時54分55秒
- 「それでね。キス…しちゃったんだ」
部室…うちらののとうちは園芸部に所属している。
ただ園芸部は、いつもたいした活動もせずにたまに
園芸部専用の部室で、集まっては雑談することが多い。
うちは花がもともと花が好きやからこの部にはいったんやけどね。
そして今日も雑談中で、今回は部活に来ていたののと安倍先輩の話を
聞いていた。
安倍先輩は、最近中澤先生という保険の先生と付き合ってるみたいで、
それで、なんや知らんけど、そういう自慢話みたいなもんに
付き合うはめになってしもうた。
「そうれすかぁ。いいれすね」
つうか、キスだけなんやなぁ。
なんか安倍先輩はともかく、中澤先生29やし、
大人やしあの性格やから、すでにやりまくり…かと思って
たんやけど。
うん、なんや親近感わくわ。
「うふふっ」
- 30 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)15時55分49秒
- 「…いや、うふふってなんやけど」
「あ、ごめん、うれしくて、あいぼんはわかる?わかんないか。」
「………むかっ」
親近感っての?あれ前言撤回、やっぱちょっとむかつくわ。
「ののはわかりますよぉ〜、キスどきどきするもんれすよね」
「うん。ののちゃんはわかるんだ!うんうん、どきどきするよねぇ」
「ええ、れもののの場合はそれを通り越してしまっていますけど。はぁ〜」
また大人モードや。
もう勝手にしてや。のののやつことあるごとに大人モードになるんやから。
「え?もう通り越したの?すごーい。じゃあもう、や、やりまくりってやつ?」
「ええ、やりまくりってやつれす」
や、やりまくり、やっぱののの口から聞きたくない。
「す、すごぉおおーい!!」
「………」
そやけどやっぱり、女の子はそういう話に目がないんやなぁ。
照れくさいけど、そういう話は興味津々ってやつか。
やりまくり…やっぱ大人モードになるだけあるんやろうか。
「すごいれすか?」
「うんうん。すごいよぉ〜。なっちあこがれちゃう」
いや、3年の安倍先輩が、1年のののに素直にあこがれるっちゅうの
もどうかと思うけどな。
そういううちの気持ちも知らずに、安倍先輩は、
あこがれのまなざしをののに向けている。
「いやぁ、れも、なんか…なんか…不安なんれす。はぁ〜」
- 31 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)15時57分07秒
- 「……はぁ〜…」
なんやのののはぁ〜っていうのうつってまった。
まぁ!のののはぁ〜とは違うはぁ〜なんやけど。あはははははっ!!
はぁ〜。
「でもそうだよねぇ。女の子なんだもん、そういうの大事にしたいよね」
「そうれすね。大事に…したいんれす」
「そうかぁ」
「そうれす。はぁ〜」
「……」
なんや居心地が悪くなってうちは、とりあえず、
園芸部の部室の窓を見つめた。
「…あ?」
あれ?あれは…まさしく問題の吉澤先輩やんか?
それと隣にいる子。隣にいる子…誰やろ?
「そういえば、あいぼん、記憶は戻りましたか?」
「へ?記憶?」
うちは、話しかけてくるののに言葉を返しながら、でも、
窓の外にいる二人。
吉澤先輩と、もう一人の誰かの存在が気になっていた。
正確には吉澤先輩と誰かの二人が、じゃなくて、その誰かのほうが
妙に気になっていたんや。
「そうれす記憶れすよ。あいぼん、記憶があいまいらって
言ってたじゃないれすか?」
「え?亜衣ぼん記憶がなくなったの?なんで?…酒の飲みすぎ…?」
「………なんでやねぇーん」
安倍先輩の天然なんだか、マジなんかわからんボケにちゃんと
突っ込む余裕もなく
ずっと、窓の外を見つめていた。
- 32 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)15時58分08秒
- 吉澤先輩と話をしている、”誰か”は、笑顔で、なにかしゃべっている。
会話が盛り上がってるみたいで、楽しそうやった。
それと、かなりの美人さんやっていうのが、窓の外であるというのに
はっきりわかる。
お日さんに照らされた髪が、きらきらとふわふわと輝いている感じやった。
「きゃははははっ。なっち16で、酒飲まないって」
いままでの話を聞いていたのか、ずっと園芸部のノートを見ていた
矢口先輩がそこでやっと話を振ってきた。
「てへへへ、そうかぁ。」
けど、うちはそんなこともどうでもよく、
ずっとしつこく窓の外を見ていた。
「んー?どうしたんれすか?あいぼ…ああ!よっすぃ〜じゃないれすか!!」
うちの様子を変やと思ったらしいののが、うちの視線を追って、
よっすぃ〜の存在に気がついた。
「よっすぃ〜!!」
そして、窓を開けてよっすぃ〜をでかい声で、呼び始める。
呼ばれたよっすぃ〜も、気がついたらしく、こちらを向いた。
「……(どきっ)」
そのとき、一緒に、よっすぃ〜の隣にいた、ずっと気になっていた
誰かも気がついてこっちを見た。
きれいな…目やった。でもなんやひっかかるような気もするそんな
不思議な目。
振り向いた瞬間、お日さんに照らされた髪がさらさらーって輝いて、
そんで、こっちを見つめてる。
「よっすぃ〜!」
「よ、のの、今部活中?」
よっすぃ〜が、あの気になる誰かを引き連れて、こっちにやってきた。
「そうなんれすぅ〜。よっすぃ〜はなにしてるんれすか?」
窓越しに、話合う二人。
その後ろにいる誰か。
- 33 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)15時59分11秒
- なんでやろ?こんなに美人さんなのに、それを気になってるのは
うちだけなんか?
こんなにこの人に魅力を感じているのは、うちだけ?。
そうやな、なんやいきなりやし。でもこの人なんか目が離せないんや。
うちが…変なんやろうか?
「ああ、ちょっとね。転校生の校内案内っていうの?それをしてるんだよ」
「転校生さんれすか?その後ろの人れすね」
「うん。紹介するよ。今日2年B組に入ってきた、後藤真希さん」
後藤…真希…っていうんやぁ。
よっすぃ〜に紹介された後藤真希さんは笑顔を浮かべて、
うちらに頭をさげた。
さっき気になったなんやひっかかる状態も今は感じない。
「後藤だよん。よろしくね」
きれいな声やぁ〜。
透き通ったようなきれいな声をしている。
「……後藤…はん」
後藤はんは、みんなにまぶしいぐらいの笑顔を振りまいて、そして、
また頭をさげた。
「あ、よろしくねー。あたし安倍なつみ。なっちって呼んでよ。
3年生なんだ」
「おいらは矢口、矢口真里だよん。やぐっつあんとか、
矢口って呼ばれてる。」
「ののは、ののれす。辻希美っていいます」
「あ…あの…うちは…」
「なるほどね。この子がよっすぃ〜の年下の彼女かぁ」
うちが自己紹介しようとしたのとちょうど同じに、
きれいな声のまま後藤さんが口を開いた。
うちの自己紹介は、それによってかきけされてまう。
- 34 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)15時59分51秒
- 「そ、年下のかぁわいい彼女でぇす!」
そう言って窓越しに、ののの頭をなでるよっすぃ〜。
ののもうれしそうに目を細めて、それを受けている。
「てへへへ。実は彼女なんれす。よろしくれす」
「ふぅん。かわいい子だね。つうかこの中の子みんなかわいいじゃん」
「…!!」
かわいい?かわいいって言ったで?今。
な、なんか、生まれて初めてそういわれたときと同じくらいうれしいわ。
かわいいって言われたことが。なんやすごくうれしい。
「きゃははははははっ。実は女ったらし?」
矢口先輩が楽しそうに笑う。
「あはっ。そうかもねぇ〜」
それに乗ったように後藤はんも笑顔で答えてる。
「ちなみに、この中の誰もが恋人持ちですんで、
そこら辺は気をつけるように!」
「あはっ。なぁんだ。残念」
「あ…あの…うち彼女もちじゃない…です」
思わずそう小声でやけど言ってもうた。
彼女もちやないって、小声やけど思わず。
やってなんか、彼女もちだって思われたくなかったから。
「あれ?そうなのぉ〜?じゃあ狙っちゃおうかなぁ?」
「え…?」
- 35 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)16時00分28秒
- 狙う?うちのこと…狙うとか言ってくれるの?
「あはっ。なんてね。」
なんてねって言って笑う後藤はんの顔、
それにくぎづけのまま、その後はナニを話したかも忘れてまうぐらい。
うちは、その後藤はんに惹かれていた。
後藤はんの声と笑顔に引かれていた。
会ったばかりの後藤はんの笑顔に。
- 36 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)16時01分06秒
- その夜。
「…うーん…うーん」
なんやしらん、なんやしらんけど、なんか眠れなかった。
眠ろうとすると後藤はんの笑顔が頭に浮かぶんや。
話してるときの笑顔とか、ちょっとひっかかったんやけどそれが
なんでなのかわからない不思議な笑顔の後藤はんも。
どうしてやろう?わからん。
「…ラジオでも聞こうかな?」
ベッドでもぞもぞしとるのもくだらんって思ってうちは、
とりあえずそうつぶやいた。
ここで勉強しようかなって思わんところがうちらしいけど。
でも勉強とかそれ以前に、なんや、落ち着かんのや。
勉強してる余裕がないっちゅうか。
それぐらい後藤はんの顔が思い浮かんでしょうがなかった。
後藤はんの言葉をつむぎだす瞬間瞬間の唇の動き、
あれがなんか頭から離れんし、なんやろ、例の不思議な表情も気になる。
…唇の動きに集中してしまうなんて、うちやらしい子なんやろうか?
女同士やのに、唇なんかにセクシーさを感じてしまうなんて。
『…で、ですね。彼氏がキスしてきたんですよ。』
キス?キス?
- 37 名前:カヲル 投稿日:2003年03月04日(火)16時02分08秒
- ラジオからAM放送の名前も知らないような聞き覚えのない声がそう言っている。
『うっひゃあー。どきどきですねぇ。道端でキスですかぁ!』
道端でキス?
キス…。
『そうですねぇ。でも人通りもなかったし、
そんで私もびっくりしてしまってその舌を…』
舌?舌は…なんか違うな。
ん?なんか違うって何が違うんやろ?
なにが…キス…そういえばうちキスに反応してるな。
キス…
「んん〜?」
なんかキスって言葉に…道端でキスって言葉になんか知らんけど。
反応してる自分がおった。
『キス…いいもんですよね』
「…そうやな」
へ?
自分がつぶやいた言葉に自分でびっくりする。
なんでキスがいいもんやの?
なんでしたこともないうちがそんなこと言っちゃってるんや?
異様にキスに反応しとるで?
っかしいな。普段はこんなことないのに。
学校のときだってこないに気にしてなかったのに。
いきなりキスに憧れだしたんやろうか?
- 38 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月11日(火)19時56分47秒
- 学校。
放課後、今日も部活がある。
うちは、花が好きやから、部活も結構まじめにくる。
夏はひまわり、秋はコスモス、冬は、梅…なんかも植えたりする。
梅は木やから年がら年中あるんやけど、とりあえず花が咲くのは冬のことや。
花ってなんか、気持ちがなごむっていうか、がんばって咲いている花を見るとうれしくなるときがあるんや。
なんて、友達には恥ずかしいからそんなこといわへんけどな。
どうせ、うちのキャラクターでそんなこと言ったら意外に乙女ちっくぅ〜とか言われてからかわれるんが落ちやし。
そやけど、やっぱり花を見るのは好きで、その日も花を見ようと思って校舎裏のビニールシートまでなんとなく歩いていったときやった。
「…んあー」
「ん?あ、あれは…」
思わず木の陰に隠れる。
「んあー。っかしいな確かここらへんだって聞いたんだけど」
「…後藤はん…や」
校舎裏ビニールシートの近くにいたのは後藤はんやった。
後藤はんは頭をかきつつ、周りをきょろきょろと見回している。
うちはなんか知らんけど、後藤はんの顔を見たとたんどきどきして、木の陰からその顔を見つめてしもうた。
「(どきどき)」「あれ〜?んっ?…あーっれぇー?誰だぁ?」
あ、あうっ。ばれてもうた。
うちが木に隠れて見てたのばれてもうた。
変に思われたやろうか?
- 39 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月11日(火)19時57分44秒
- 「あー。君って確か?」
「あ、あの…うち…」
ばれてもうたんはしかたないっちゅうことで、うちは、すごすごと後藤はんの前に出てくることにした。
そして後藤はんの前でなんかやっぱり少し緊張しながら言葉を出そうとつとめた。
「園芸部にいた子だよね。ちはー。確か亜衣ちゃん」「そ、そうです。ち、ちはー」
あの時あの会ったときは自己紹介できへんかったけど、その後の雑談の最中になんとか自己紹介することができたから。
後藤はんは一応うちの名前も知っていた。
そして覚えていてくれた。
後藤はんの笑顔。
やっぱりまぶしいわ。
って、そう感じる笑顔。
「あはっ。木陰に隠れるなんて、なんか、明子ねぇさんみたいだねぇ」
「あ、明子ねぇさん?」
「うん。あれ?明子ねぇさんって確かここの話だよね?」
「はい?ここ?」
ここ、?の話ってなんやろ?
「あれ?違ったっけ?っかしいなぁ。前に見に行ったときは確か…」
頭をかいてる後藤はん。
なんやわからん。
そやけど会話を続けたい。そう思ってうちは口を開く。
「あの…」
「あ、ああ。なにかなぁ?」
- 40 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)19時58分27秒
- 考え込んでいた後藤はんはうちの言葉でわれにかえったみたいやった。
「あの…こんなところでなにをしてはる…んですか?」
「うーん?ちょっとね。ああ〜ちょうどいいや。園芸部のビニールハウスっていうやつ?あれがあるとか聞いてたんだけど」
「ビニールハウス…ですか?」
「うん。ビニールハウス、ここら辺とかよっすぃ〜に聞いたんだけど」
「は、はい!ここら辺です。あ、ていうかもうちょっと先なんですけど」
うちは、後藤はんのそうした様子になんかうれしくなって、自分でもわかるぐらいそう元気よく答えた。
園芸部に興味持ってくれたんやろうか?って思ったんや。
なんか、うれしいってそう思った。
「そうかぁ。んじゃー、とりあえず。悪いけど案内してくれるかな?」
「え?…は、はい!もちろんです」
そうして、後藤はんの笑顔に近づける機会を得ることができた。
それがやっぱりすごくうれしかった。
- 41 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)19時58分58秒
- 「へぇ、こんな感じなんだ」
後藤はんは、うちが案内したビニールハウス、をちょっと大げさに見つめている。
うちはその横で、どきどきしながら、やっぱきれいな顔やなぁとか思いつつ口を開いた。
「あの…花に興味があるんですか?」
「んー?そうだね。興味あるよ」
「そ、そうですか!」
なんか、その言葉なんかうれしかった。
そうやってうちと同じで花に興味を持ってくれているっちゅうことがうれしかった。
共通の部分を見つけた喜びってやつやと思う。
「うちも…私も好きなんです」
「そうなんだ〜、いいよね。花って」
「そうですよね!」
やっぱりうれしくって、元気よく返事をする。
「ね?こんな話知ってる?」
ふいに後藤はんは、近くにあった鉢植えに手をつきつつ、うちのほうを見て、微笑みながらこういってきた。
「え?なんですか?」
後藤はんの笑顔
うちはその笑顔にどきどきしながら、返事を返す。
きっと赤くなってるんやろうなって気づきつつ。
- 42 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)19時59分48秒
- 「ラベンダー、なんだけどね。あれは人の不思議な力を引き寄せるっ
ていうのかな。とにかく不思議な力を芽生えさせるんだって」
「ラベンダー?ラベンダーがですか?」
「そう。ラベンダー。知ってた?」
ラベンダーが?人の不思議な力を芽生えさせる?
知らん。残念やけど知らんわ。
「知らない、です」
「そっかぁ。うーん、ちょっと昔の話だったかな?
確かリバイバルされてるって聞いたんだけど」
「リバイバル?もしかしてドラマかなにかの話なんですか?」
それか歌とか?
でも聞いたことないわ。ラベンダーのそんな話。
「うん。なんていったかな?あれは…小説の話だね。
ドラマにもなったらしいよ」
「小説…ですか」
小説は…うちあんまり読まんのやった。
テレビは結構好きでいろいろ見るんやけど。
それもお笑い方面ばっかしやし。ドラマも、
ときどき見たりするけどでもそういうドラマは見たことがない。
「そ。なんていったかな?うーんどうも
こっちの人間の名前って記憶しにくいや」
そう言って後藤はんは頭をかいている。
うちはさっきも気になったんやけど、同じような疑問を感じた。
こっち?こっちってなんやろ?
もしかして後藤はん、外国からきたんか?
「は、はぁ。えと…」
「つ、つ、ああ、そう筒井康孝っていう人の話」
「筒井康孝?」
- 43 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)20時00分59秒
- 「そう。その中でラベンダーの香りをかぐと、超能力を身につけちゃ
うっていう女の子の話があるんだ」
「そう、なんですか?」
「うん。確か、あれは、何月だったかな?」
「あ、夏のものです。でもうちでは咲いてないです」
うちの学校ではラベンダーは栽培してない。
残念や、うちもラベンダーは好きやしそれに後藤はんが
興味持ってるっていう花やのに。
「そっかぁ〜。うーんちょっとだけ香りがどんなものか
知りたかったんだけどなぁ」
「あ、でも、プチトマトと、にんじんは身がなってます!」
「プチトマト?にんじん?食べ物が多いんだね」
「そ、そうですね」
うー。恥ずかしいわ。まるで食べ物ばっかりの、
食い意地が張ったやつみたいやんか。
つうか、安倍先輩が、そういうのがいいっていうからそうなったんや。
うちも、ラベンダーとかホオヅキとか栽培したいけど、なんや、
そればっかりになってまう。
プチトマトの花もにんじんの花もうち好きやから、
それでもいいかって思って。
「あ、これがプチトマトです。それでこっちがにんじんの花」
「ほほぉ〜かわいい花だねぇ。」
「はい、本当は、時期が違うんですけど、それでもビニール栽培だから」
「だから咲くんだね。うん、花はいいね。
なんかがんばってるって感じがするよ」
「そうですよね!はい!」
うれしい!うちが普段感じていることを言ってくれた。
後藤はんも花好きみたいやし。ごっつうれしいわ!
- 44 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)20時02分22秒
- その夜。
うちは昨日とは少し違ってなんかうれしい気分で音楽を聴いていた。
『やっぱり あなたが大好き〜♪』
「…あなたが大好き…か」
一人でそっとそうつぶやいてみる。
なんか、今まで気がつかなかったけど、この曲ええなぁ。
力がある感じや。
確か花&花とかいう二人の歌手やったよね。
『やっぱり〜 あなたじゃなくちゃね〜♪』
「あなたじゃなくちゃ…か」
なんやろう、うちもそんな気分や。
まだ早すぎるかな?出会って二回目やし。
でもなんやいつも校庭で、見かける体育姿の後藤はんとか、
後藤はんの…唇とか、そしてなによりときおり見せるなぜか
さびしそうな顔とか、
そういうの見てるとくぎづけになって。
そんで、なんか、そんな、あの人以外見えなくなったりするんや。
これが恋ってやつやろうか?
恋…うちしてもうたんやろうか?
「後藤はん…」
なんやろ?うち乙女ちっくや。
- 45 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)20時03分14秒
- 恋するとこんな風になるもんなんか?
ののも最初はこんな感じやったんやろうか?
のの…うちやっとののと同じ土俵にあがれる気がするわ。
まぁ、今はののには追いつけん状態やけど、でも待っててな。
うち、周りに馬鹿にされないぐらい、幸せな恋をしたいんや。
できる…なんて思っまうんや。
早すぎるかな?
でも…この歌聴いてるとなんか期待してまう。
元気に、なる。
- 46 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)20時03分49秒
『そうか。ラベンダーは咲いてないか』
「はぁ、そうですね。まぁまだ今は狭い範囲で探しているだけですから」
『そうだな。われわれも少し時期を急ぎすぎたのかもんしれんしな』
「情報得てからすぐっすからね。準備期間をもっと得たほうがよかったかもしれませんよ」
『まぁ、それはそうなんだが。』
「…でも意外なところでおもしろい子には会えましたよ」
『おもしろい子?』
「ええ、なんか、一生懸命でかわいい子」
『おいおい、役目を忘れてしまうのはやばいぞ?』
「わかってますよ。だけど、なんかね。楽しむのも大切でしょ?」
『楽しむ?なにを言ってるんだ?お前にはそんな余裕は。』
「はぁい。わかってます。」
『とにかく自分の立場と役目を忘れるな』
「へいっす。では〜」
ぷっ。
通信を切る。
うるさくて堅苦しい上のやつ。
そういうふうに感じる自分に気づくたびに自分が異端児なんだって思う。
でも実際、後藤は…異端児なんだよね。
「はぁ〜」
- 47 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)20時04分27秒
- 「ラベンダー…の鉢植えかぁ」
放課後、園芸部を休んでうちは、花屋にでむいておった。
園芸部を休むなんてひさしぶりのことや。
けど、こっちのほうが大事なんやないかってそう思ってしもうたんや。
なんていうか、うちの初めてのことやし。
うちの初めての恋のことやし。
「ラベンダー…ないなぁ」
そやけど、目的のものはなかなか見つからん。
「いらっしゃい。何をお探しですかぁってなんだぁ、亜衣ちゃんじゃん?」
しばらく花屋の前で悩んでいると、店の奥から、女の子がでてきおった。
学校でも同じクラスの、紺野あさ美ちゃんや。
あさ美はのんびり屋はんで、いつもしゃべるテンポがゆっくりなんや。
「あ、あさ美、なんだぁはないやろ?うち一応客やで?」
「うん。そうだねぇ〜」
「そうだねぇ〜」
やっぱりあさ美と話しているとテンポがずれていく。
結構いらちのうちなんやけど、あさ美と話しているときはこうなってまう。
けど嫌いやないんやけどね。あさ美のこの話し方。
なんや安心するし。
- 48 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)20時04分57秒
- 「で〜?なにを買いに来てくれたのかなぁ?今回は?それとも
見に来てくれただけかなぁ?」
「うん。つうかな、あのなぁ〜。ええと〜、ラベンダーをなぁ〜」
「ラベンダー?」
「ああ、ラベンダーがないかなぁー思って」
「ラベンダーか。…うーん。うちには置いてないなぁ」
あさ美はちょっと考え込んでからそう言った。
「そうかぁ。やっぱりなぁ」
うちは若干がっかりしたけど、けどそれほど落ち込んだわけやなかった。
やっぱりないかって気持ちが強かったんや。
ラベンダーなんてめったに花屋で見つけるもんでもないし。
そうやなでもあきらめずに他のところも回ってみるかなぁ。
「うん、あれは時期が違うからね。あ、でもラベンダーの…ちょっと待ってね」
「ああ、うん?」
なんやろ?
あさ美は相変わらずゆっくりとした調子で、店の奥に消えていった。
「………」
しばらく待ったあと、あさ美は、なにかを手に持ってうちのところに現れた。
そしてその手に持っているものをうちに差し出してきた。
「はい。ラベンダーのドライフラワー」
「ドライフラワー?そんなのあったんや?」
- 49 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)20時06分15秒
- 「うん。うちの店でたまにつくってるからね。お得意さんに
配ったりするんだ」
「へぇ。知らんかった」
「店先には置いてないんだよ。あくまでお得意さんにあげるだけだから〜」
「そうかぁ」
「うん。でもラベンダーなんて珍しいね。亜衣ちゃん確か、
ひまわりが好きだって言ってなかったっけ?」
「あ、ああ、まぁそうなんやけど、ちょっとな」
「ふぅん…そうかぁ。ラベンダーにも興味をもったんだね〜。
よしじゃあやっぱりこれあげるよ」
「え?ほんまに?ほんまにええの?」
「うーん。だってあいぼんだってお得意さんだもぉん」
「そ、そうやけど、でもうちめったにかわへんし」
そうや、うちは花は好きやけど、ほとんど買ったことはない。
ただ見てるだけやし、ときどき花の種は買うけど、
花自体は買ったことないわ。
花は、種は違うけど、ここらへんでは結構値段が高いんや。
バラの花束なんて、一度、子供のころ買ってみたとき一本だけ
買うのがやっとやった。
あんまりおばあはんにおこずかいせがむんも気が引けるし。
そやから見にくるばっかりで、買いにいくって感じやなかった。
「うーん。でもいつも見にきてくれるじゃぁん。そういうの
考えるとやっぱりお得意さんだよぉ〜」
「そ、そうやの?そか。ありがと。ほしたら、もらわさせてもらうわ」
「うーん。食べることはできないけどねぇ」
「あ、あんなぁ、うちは食べることばっかりやないで?
そりゃうちの園芸部は、食べ物ばっかり植えてるけど」
「あはははぁ〜、冗談だよぉ〜。」
「あ、そ、そやの?」
なんや冗談か。
- 50 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)20時07分04秒
- テンポが遅いから、冗談やって気がつかんかった。
あさ美もときどき、天然のせいか悪気なくきつい発言するし。
「でも園芸部かぁ。いいよねぇ。」
「そういやあさ美は家の手伝いがあってできんのよね。部活とか」
「うーん。でも園芸部じゃなくても花は好きだからいいんだけどねぇ。」
そうやった花好きさんがここにも一人おったんやった。
「でも育てるっていうのもうれしいよね。花屋って最初から
育てるってことがないからさぁ〜」
「ああ、そうやね。うちもあさ美がいれば、
うちの園芸部ももっと花がいっぱい育つと思うわ」
「うーん。あははははぁ〜。残念だねぇ。」
「ああ、そうやね。」
「でもときどき、ビニールハウスとか見に行ってるしねぇ」
「うん。知ってる。遠慮せずにまた見にきてや。」
「うぅ〜んありがとぉ〜。ああ〜そういえばねぇ」
「ん?」
「前変な人がいたぁ〜」
変な人?どんな人?
「うーん。変な人〜。なんかねぇ」
「うん?」
- 51 名前:カヲル 投稿日:2003年03月11日(火)20時07分39秒
- 「じっとビニールハウスの中にいるの〜」
「ほぉ?ビニールハウスの中に?」
「そんで鼻をひくひくさせたりきょろきょろしてるんだぁ〜」
「きょろきょろ?なんやろ?うちの学校の生徒さんやの?」
生徒さんやとしても変なことする人がいるもんやなぁ。
なんやろ?そういうことをする子もいるんやろうか?
「うーん、制服は着てたねぇ。そんで〜顔は美人なんだけどねぇ。でもなんかぁ〜そのしぐさみたいなのが怖くてぇ〜、隠れちゃったぁ〜」
「そうやの。」
「うーん。怖かったぁ。亜衣ちゃんも気をつけてね〜」
「わかったわ」
「うーん。」
「ほしたらな。花ありがとなぁ〜」
「んじゃー」
「んじゃーなー」
それからあさ美のいる花屋を離れた。
そやけどもしかしたら、うちがそのときもっとあさ美の話に興味をもっていれば、どうかしたら、
もしかしたらやけど、あの人ともっと早くに突っ込んだ話ができていたのかもしれん。
今思うと思った。
そやけど、けどでもやっぱりあれでよかったのかもしれん。
やって…。
- 52 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月11日(火)20時08分59秒
- 更新終わりです。
ちなみに今回は、名無しさんから始まってます。
- 53 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月11日(火)20時26分15秒
- 園芸部って、なんか新鮮でいいですね。
加護がかわいらしい。
「うち乙女ちっくや」がいい。
楽しみにしてます。がんばってください。
- 54 名前:カヲル 投稿日:2003年03月12日(水)16時04分12秒
- >>53名無し読者様
レスありがとうございます!
おおげさじゃなく泣きそうにうれしいです!
加護かわいらしいですか?
かわいらしいキャラに見てもらえるとうれしいです。
加護さん今後もがんばるつもりですので、暇なときにでも読んでやってください。
っつうかがんばれよーは自分だろって感じですが。
では。
- 55 名前:葵 投稿日:2003年03月13日(木)21時09分25秒
- 加護チャンが初々しくていいですね。
- 56 名前:カヲル 投稿日:2003年03月14日(金)20時14分55秒
- >>55葵さま
書き込みありがとうございます葵さま。
初々しくなってますか?
だといいんですが。
- 57 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月17日(月)10時24分11秒
- 「ふふふんっ♪」
「………」
「ふふふふふふんんっ♪」
「……はぁ〜」
最近ではすっかりおなじみのごとくため息が聞こえてくるののとうちの二人。
そやけど、今回のため息はののの大人モードのものとは違う。
それは、このうち、うちが出したものやった。
なんでかっていうと少し長くなるけど、
今日の教室で、いつものようにじっと、体育をしている後藤はんを見ていたんや、
そやけどそのうちの見方があからさまやったんやろうか?それに気づいたののに詰問されてしもうた。
ののに詰問されて答えてまうんなんて、情けなぁ〜と思うけど、でもうちにとってはじめての恋ってことで
思わず軽く突っ込まれるだけで顔を赤くしてもうて、そんで結局ばれてしもうた。
そして、今ののはうれしそうにちゅうかうちにとってはいやらしいとも思える笑顔を浮かべている。
「うふふふふふふふうっ〜」
「ドラえもんか。お前は」
「ぐふふふふふふっ〜」
- 58 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時24分46秒
- 苦し紛れに、言った言葉も、大して効き目がないらしい。
ののは相変わらず笑ってる。
くそぉ〜。
人の恋がそないにおもしろいか?
「あんまり笑うなやぁ」
「らって、ののうれしいんれすよ。これであいぼんとも恋話ができますね」
「…あ?」
「ずっとしたかったんれすよぉ。親友のあいぼんと恋話。」
「あ、ああそうやの?」
なんや、それでうれしかったんか。
うち恋して赤くなってること馬鹿にされてるんかと思ってもうた。
ただ指摘されただけで赤くなってしもうたうちを馬鹿にしてるんかなとか思ってもうたわ。
そやけどののの思ってることはそれとは違ったものらしい。
いかんな親友なんやから、信じてやらんと。
「れもまだ、エッチの話はできませんねぇ〜」
「ぐっ、そ、そうやねぇ〜」
そ、そうね。
まぁ事実やけどね。
まだ片思いやしね。
そやけど、やっぱくやしいわ。
「…あいぼん」
「なんや?」
「ファイツれす!」
- 59 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時25分22秒
- そう言って両手でガッツポーズを取るのの。
その意気込みの深さにちょっと引きながらうちは答えた。
「あ、ああ。ファイツ!やね」
「ぐふふふふうっ〜」
「そやからその笑いやめいっちゅうねん」
「ぐぐぐぐふふふふふっ」
「しつこ〜い!」
そんな風にうちとののは話しながら廊下を歩いていた。
- 60 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時26分02秒
- 「ええ〜そういうわけで、ここがこうなるんですね」
「………はぁ〜」
次ぎの日の授業中。
うちは、なんとなくけだるい退屈な気分で先生の話も耳に
聞こえない状態で窓の外をみやった。
「…!後藤はん、後藤はんや」
おもわず、そやけど注意もして小声でつぶやいた。
後藤はん。
後藤はんが体育の授業やってる。
「…はぁ〜」
窓の外、2階から見える後藤はんは小さなもので、そやけど、
うちには後藤はんなんやってすぐにわかってもうた。これが恋の力なんやな。
「…後藤はん」
気がつくと…ノートの端に後藤真希の文字を…なんてな!
あほかっちゅうねん。
うちそんなもん書いてまうほどそこまで乙女とちゃうわ。
「そうやアホかっちゅうねん」
「なんだぁ?加護。なにがアホなんだぁ?」
「あ、い、いえ、なんでもないです!」
気をつけて小さく言ったつもりやったけど、耳ざとい数学の先生には
聞こえてしもうて指摘を受けてしまった。
「んー?そうか?よしちょうどいいな。加護、とりあえずこの問題とけ」
「ええ〜」
- 61 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時26分35秒
- 「なんだぁ?文句あるのかぁ?」
「い、いいええ〜。文句ないですぅ」
思わず不服の声がでてもうたけど、やっぱり先生に口答えするんわまずい。
ちゅうことで、うちは、その言われた問題を解こうと、
教科書をふと見下ろした。
「!!!な、なんやこれ!?」
思わず大声をあげてしまった。
確かに、うちはノートに後藤真希とか書いちゃうようなことはしなかった。
そやけど、うち教科書のほうに…でっかく後藤真希…って書いてた。
「…ああ?なにがなんやこれ?なんだぁ?」
「い、いえ…なんでもないです」
それからなんとか、後藤真希っていう自分の書き込みの間をよく見ることで、
教科書の自分の言われた問題を
解くことができた。
そやけど…うち…なんやかなり重症なんやないやろうか?
乙女ちっく飛び越して、軽い夢遊病者入ってる気がする。
無意識に、しかもこないに大きく恋する相手の名前かいてまうなんて。
なんつうボケかましとるんやろ。
「はぁ〜」
- 62 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時27分17秒
- その日の放課後。
「それで、恋はどこら辺まで進んでるんや?」
「…へ?」
ののとぶらぶらと廊下を歩いているときに、なぜか保健室そばで、
中澤先生に呼ばれた。
もちろん中澤先生がいるときは、安倍先輩もいるっちゅうことで、
安倍先輩同伴や。
そして、これまたなぜか妙な笑顔を浮かべている中澤先生と安倍先輩に
不信感を抱きつつ半ば無理やりって感じで、保健室に連れ込まれてしもうた。
「…あんた恋しとるんやろ?」
そして椅子に座ったとたんにそういわれた。
「へ!?」
な、なんでしっとるんや!?
うろたえるうち。
そやけどうちうち、まだ誰にも言ってへん!
隠してたことや!!
そりゃののには気づかれたけど。そやけどそれ以外の人間には…
ん?待てよ?…ってことは…。
「……ののぉ〜!」
うちはゆっくりと椅子の隣でベッドに腰掛けているののをにらんだ。
すでにののは、頭を両手で隠して、舌を出している。
- 63 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時27分59秒
- 「なんや!お前言うてもうたんか!!」
ののに瞬時に近づいて、首をしめる。
軽くやけど、ちょっと本気や。
思わず力がこもってまう。
「れ、れすけどぉ〜うれしくてぇ〜」
ののは悪びれた様子もなく笑顔で、答える。
うれしいってあのなぁ〜。
「あ、あのなぁ〜」
そのののの顔を見て、がっくりくるうち
「まぁええやん。ええやん。恋って隠すことやないと思うで、
ひめたる恋ってのもある意味ええけど、やっぱオープンなほうがうちは好みやな」
「そうだよ。お祝いするべきことじゃない?」
「…そやけどぉ〜」
安倍先輩と中澤先生に言われて、やっとののの首に回していた腕をはずす。
そやけど、確かに誰かを万引きしたとかそういう話やないし、
祝うっていうか、うれしいことでもあるっていうのはわかるけど、
なんか恥ずかしい。
「おかんに言ったらどうや?お赤飯炊いてくれるで?」
「ぐっ、あ、遊ぶなや!生理と違う!」
中澤先生のある意味このタイミングではきっついジョークをそれでも
関西人の血が騒いだのかちゃんと突っ込みをいれる。
まぁ、ちょっとうろたえたっていうかムキになった状態やったけど。
「あははははっ。そうやったねぇ。おほほほほほほっ」
く〜っ、その笑いがむかつく。
だからいやなんや。恋ってうちのキャラとちゃうんや。
「でもまぁ、ええことや。初恋なんやって?」
- 64 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時28分51秒
- 「……うっ…」
「あれ?違ったんか?そういう風にののに聴いたんやけど?」
「……ののぉおおお〜!!」
再び首をしめる力を強める。
冗談やない!初恋ってことまで教えるか?普通。
「す、すいません。しつこく聞かれてしまってれすね」
「あぁあのぉおなぁああ〜!」
「ええやんええやん。初恋、祝うべきことや」
「そうだよぉ。かわいいんじゃないかい?」
「…くっそぉ〜」
安倍先輩の言葉に余計くやしさ倍増やった。
そのかわいいってのがいやなんや。
高校生にもなって初恋がいまさらなんて、恥ずかしいんやよ〜。
うち学校内では突っ込み役やから、こういう子供なところ知られるの
いやなんや。すっごく恥ずかしいんや。
「それで?アタックはしてるんか?」
中澤先生は気をとりなおしたって感じで、タバコを一本取り出して、
ライターで火をつけている。
それを安倍先輩がしかめっつらしてたしなめたりして、
仲がよい感じをアピール、しとった。
「ア、アタックって?」
「なんやのぉ〜?、まだ何もしてないんかぁ?」
うちの様子に、中澤先生がタバコをくわえながらあかん、
それはあかんって顔をして、首を振ってくる。
「アタックしてないんれすか?だめれすねぇ〜」
なんや知らんけど、ののまで、まねして首を振ってくる。
「アタックかぁ。恥ずかしいよねぇ」
とかいいつつ、安倍先輩まで一緒に首を振ってきたりする。
な、なんやの!三人でうちを馬鹿にしとるんか!?
- 65 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時29分28秒
- うちをネタに楽しんでるんか!?
「な、なんやねん!ののだってアタックなんかしとらんやろ!?」
「……!…はぁ〜」
「な、なんやの?」
うちの必死の抵抗に、なぜか突然ののはまた大人モードでため息をついてきた。
なんや?なんでこの会話でため息をつくんや?
「…ののもアタックしたんれすよ?よっすぃ〜に」
「そ、そうやの?」
しらんかった。
「ええ、アタック、しまくりました」
「あ、ああ、そう」
「へぇ、どんなことしたんか?」
「ええ、なんれしょうね。あの時は…下駄箱にそっと好きですっていう手紙
を置いたり、それから話をできるようになってからは、じっと見つめて熱い
無言のメッセージを送ったり。れもなかなか伝わらなくて、
たまらないもどかしい気持ちを味わいました」
「の、ののそんなことしたんか?」
「ええ、しました」
なんかショックや。
ののがそないに恋愛にがんばっとったなんて、うち知らんかった。
「じっと見つめるかぁ。うふふっ、なっちもしたなぁ」
「え?安倍先輩も?」
安倍先輩もしたことあるの?
そういうのって恋愛すると普通にしちゃうもんやの?
- 66 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時31分33秒
- 「ああ、してたな。気がついてた。気がついてたんやけど、
うちもそれでころって行ってもうた。29歳にして策にはまったねずみ状態
やねぇ〜」
「なぁに?裕ちゃんうれしくないのぉ?なっちとこうなって!」
「なにいうてんねん、もちろんうれしいよぉ〜?最高にハッピーや!」
そう言って、安倍先輩の頬をぷにぷにしだす中澤先生。
うぅう〜、こういうなんていうんや?片思いしてる状態のときにはとくに
そういう熱々ほわほわ状態を見るの体に毒や。
「…はぁ〜」
そんな風につうか今度は、いつのまにか座っている安倍先輩を後ろから
抱きしめたりしている中澤先生を…
そして、それをうれしそーに、笑って受けている安倍先輩に、
アホなバカップルやと思いつつ見ていると
またののが、うちの隣で大人モードのため息をついてきた。
「なんやの?のの?なんかいやなことでもあったか?」
いちゃいちゃバカップルを置いておいて、うちはののの様子に心配になってくる。
ため息ばっかりついてると幸せが逃げるんやで?のの。
そやからあんまりため息つくなや。
「そうれすねぇ〜。はぁ〜。幸せな二人を見ているとなんかなんかれすねぇ」
「なんやの?」
「なんか…最近エッチばっかりで」
またそれか?
エッチばっかりってそないにいやなことやろうか?
前も言ったとおりセックスレスの夫婦よりよっぽど幸せなことやと思うんや
けどなぁ。
- 67 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時32分21秒
- 「ああ〜そうかぁ。吉澤も、エッチ好きそうな顔しとるもんなぁ」
なんやの?中澤先生もああ、わかるわかるって感じでうなづいて、
やっぱりエッチしすぎもいかんのか?
「そうだねぇ。よっすぃ〜も裕ちゃんと同じくエッチ好きそうだよねぇ。
つうか裕ちゃんは好きそう、じゃなくて大好き!って感じなんだけどねぇ」
「そうかぁ〜?ええやんエッチもぉ〜愛情の連鎖反応なんやでぇ〜?
それに今だにそういううちに大してキスしか許さん、誰かさんもなぁ。
ある意味逆に問題やで?」
「いいの。なっちたちにはそういうのはまだ早いの」
いや安倍先輩?安倍先輩はそうでも中澤先生もう29やよ?
さすがにそれはつらいんやないかってうちにもわかるで?
「そうれすけど、やっぱり不安になります」
「ああ、それもなんとなくやけどわかるなぁ。そやけどうちはエッチしたい
とかそういうんばっかりでもそれはなっちに大してやで?」
「本当〜?」
「ああ、ほんまほんまやよぉ〜」
おいおい、口近づけてこの二人は…キスしそうやないか。
やば〜。ラブラブいちゃいちゃされると余計ののが落ち込むわ。
「はぁ〜」
ほら見てみい。ののが気にしてるやろ?
「チュウ、いいもんれすよねぇ」
「あ?」
「チュウ、いいもんれすよ」
「チュウかぁ〜」
- 68 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時33分04秒
- なんやろ?ののあんまりキスの方はよっすぃ〜にしてもらってないんやろうか?
それとなぜかキス…いいもんやって気持ちなんかわかるわ。
なんでやろ?またまた謎や?なんやしらんけど心がわかるってなんとなく
ぼんやりと思ってしまう
不思議や。確かうちキスなんてしたことないんやけど。
「はぁ〜道に倒れて誰かの名ぉお〜♪、呼び続けたことはありますかぁ〜♪」
「あ?」
な、なんや?
いきなり歌いだしたで?のののやつ。
暗い顔してそういう歌歌いだすなや。
「人事に言うほどよっすぃ〜はやさしい人よしじゃありませぇん♪」
おいおい、とまらんで?歌詞まで変えとるやないの?
どういうんや?なんや?どういう心境なんや?
「…はぁ〜恋…むずかしいものれすね」
窓見つつ、冬だからとっくに落ちたはずの枯葉見てるし。
つうかなんや知らんけど、ののの視線から枯葉が落ちてくる感じがした。
「いやぁだ。裕ちゃん、二人の前だよぉ〜」
「ええやんええやん。場所なんて関係ないやぁん」
「はぁ〜よっすぃ〜よっすぃ〜はのののことを本当はどう思ってるんれすか…?」
「いやだってぇ、やばいよ。ここじゃああ」
「見せつけたるねぇん。ええやろぉ〜?」
「………」
なんか…いちゃついてる二人と、そして、中島みゆきを歌うたりして
一人たそがれてるのののに囲まれて、
うちは帰りたい、この場を離れたいっていう気持ちが、ふつふつと沸いていた。
居場所がない感じや。
なんやの?この人たち。
つうか最初にしてたうちの話題はどこいったの?
- 69 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時33分39秒
- 『まぁさ、最初は抵抗あると思うけど、いろいろやってみるのもいいかもよ?』
一人の廊下。
あれからやっと自分たちのやっていることに気がついたというか
われに返ったらしい3人は、そう言って、うちを送り出してくれた。
「いろいろ、か」
『そうそう、恋は積極的にって言うじゃん』
「積極的…」
積極的、嫌いじゃない言葉や。
うちらしいとも思う。
そやけど…恋はなんか別や。
恋ってのは、なんか自然に、自然にやるものなんやないかと、思ってまう。
なんかそういうのって作為的っちゅうか、タイミングとか雰囲気とか
いうのが大事なんやないかってそう思ってしまうんや。
「…どないしようか…」
うちがそうやって悩んでいるとき、
偶然ちゅうかナイスタイミングである人が登場してきた。
「あ、よぉーす!亜衣ちゃん!」
「あ、ああ、ご、後藤はん!」
そうや、後藤はんや!
- 70 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時34分25秒
- 今の悩みの元、後藤はんの登場や。
「はい、後藤れぇす。あはっ。君の友達の口癖移っちゃったねぇ〜」
「は、はい。え?でもなんで?ののの口癖が?」
なんでや?口癖がうつるほど、ののとしゃべったりしてるんか?
不安が芽生えてまう。胸がちょっとざわざする。嫉妬?そうなんやろうか。
そやかて、ののにはよっすぃ〜って決まった人がいるのに。
今あんまりうまく言ってないとはいえちゃんと恋人っちゅうもんがいて、
エッチだっていしてるのに。
なんやろ、うち汚い子やな。ちょっと罪悪感がわく。
「うーん、前にねぇ。園芸部の部室に行ったときにちょっとっていうか
大分話をしたんだよぉ〜」
「そ、そうですか…」
園芸部?うちいつも行ってるのに、なんで?
なんで後藤はんに会わなかったんや?
「そういえば、亜衣ちゃんはいなかったねぇ。」
「いなかった?」
あ、そうや、きっとあの時や。あの紺野ちゃんの花屋にいったときなんや。
そのとき後藤はん、園芸部に行ったんや。きっとそうや。
「そうですかぁ〜」
嫉妬はなくなったけどなんや気落ちする。
せっかく後藤はんが、園芸部に来てくれたのに、そのときいなかったなんて、
残念や、くやしい。
「うん。園芸部、おもしろそうな子ばっかりだねぇ。なんか楽しかったよ」
「はぁはい」
確かにおもしろそうっていうか、個性的なメンバーばっかりやけど、
そやけど、うちがいなかったときのことおもしろいって言われても
うれしくないわ。
「また行ってみてもいいかな?」
「え?」
- 71 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時35分02秒
- 「園芸部、行ってみてもいいかな?」
「は、はい!もちろんです!ぜひ」
「そう〜。そしたらまた今度行かしてもらうね。そのときは亜衣ちゃんも
一緒に話そうね」
「は、はい!いや、つ、つうか今すぐでもいいです!」
「へ?今すぐ?」
「はい!」
安倍先輩と、ののが、保健室でだべってるってことは矢口先輩が
いるだけやろうけど。
それでも、後藤はんともっといっぱいしゃべってみたい。
うちかてみんなと同じように後藤はんとおしゃべりしたい。
そう思ったら、口をついて誘いの言葉がでてきていた。
「うーん。いいねぇ。行ってみるかなぁ?」
「はい!」
それからうちは浮かれた気分で後藤はんの先を歩きつつ、園芸部に案内した。
ちゅうても、後藤はんは二度園芸部に来たことあるんやから、
場所ぐらい知ってるかもしれんけどね。ははは…。
- 72 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時35分36秒
- 部室内、矢口先輩もいなかった。
まぁあの人も部長とはいえときどきこないときもあるしな。
「うーん、ほのかに土の匂いがするねぇ」
後藤はんは、部屋に入ってくるなりそういった。
「土の匂い、しますか?」
「うんー。」
そうやね、ここには鉢植えもあるし、ビニールハウスで使ったしゃべるもあるから
土の匂いがするんやろうな。
でもうち気がつかんかった。後藤はん鼻がええんやなぁ。
「あ、あれ、確かサイ…サイ…」
「サイネリアです。」
後藤はんは部室内の窓近くの机の上においてある鉢植えを見て疑問を浮かべたので、
うちは、その答えを行ってみた。
後藤はんが見てるのはサイネリア、
これはうちの部活ではめずらしく食べ物系じゃない。
これは矢口先輩がその花言葉を気に入って植えようってことになったんや。
花言葉は確か、『いつも快活』うん、矢口先輩らしいと思ってたんや。
「サイネリアねぇ〜紫でかわいい花だ」
「そうですね。」
「ふふっ」
- 73 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時36分22秒
- そうして後藤はんは、そのサイネリアの鉢植えに近づいて花の匂いをかいでいる。
うちはそれをどきどきしながら見つめていた。
横顔もきれいやぁって当たり前のことに感動しながら。
「………」
「………」
あ、あかんなんか沈黙になってもうた。
いつもよくしゃべるとか言われてるうちらしくない。
な、なんかしゃべらんと。
なんか…。
そう思うんやけど、なかなか言葉が出てこない。
こういうときやのに、いやこういうとき、二人きりやからこそ、
そして後藤はんの前やからこそ緊張してもうて余計言葉がでてこない。
「あれ?…なんか…」
「え?」
後藤はんはふいにサイネリアの鉢植えから視線をはずしてうちの胸元を
じっと見詰めてきた。
そして顔を近づけて、くんくんと胸元の匂いをかいでいる。
それにどきどきしながら、混乱しだす頭をなんとか抑えつつ突っ立ったままのうち。
「これ、なにかな?」
「え?あ…これは…」
後藤はんが指差した先、それはうちが胸ポケットに入れていた、
あさ美にあの時もろうたラベンダーのドライフラワーやった。
小さくわけて、胸ポケットにいれてたんや。
「これ?もしかして…」
「はい。ラベンダーです!」
「ふぅん。やっぱそうか。写真で見たとおりだな。」
「はい」
- 74 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時38分39秒
- 「へぇ、うーん?でも匂いはしないや」
「あ、そうですね。ドライフラワーですから」
「へぇ、ドライフラワーっていうんだ?」
「はい。ドライフラワーです」
それからうちはドライフラワーっていうのを知らんらしい後藤はんに
それはどうやって作るのかっていうこと。
うちの知識の限りに説明した。
後藤はんはそれをにこにこしながらうなづきつつ聞いてくれて、
うちはうれしい気分で興奮してしまっていた。
「でもかわいそうだね。花をこんな風にしちゃうなんて」
話が終わってから、後藤はんは、ちょっと悲しそうにそういった。
それはうちが何度か見たことのあるあの不思議な表情に似ていた。
…そうか、あのときどき見せる後藤はんの表情は、あれは悲しいって意味の
ある表情やったんか。
なんで気づかなかったんやろう。うちの好きな人のことやのに。
「ん?どうしたの?亜衣ちゃん」
黙ってしまったうちに後藤はんが今度こそ悲しい表情じゃなくて
不思議な表情を浮かべてたずねてきた。
うちはあわてて頭の中身をドライフラワーのことに転換させた。
「あ、い、いやでも、こうやって長く見たいときにいいかなって」
「ああ、なるほどね。そういう意味あいもあるんだ。」
「はい。花も、かれちゃうのはかわいそうだけど、
でも長く見てほしいって思う気持ちもあるんやと…いやあると思うんです」
「…なるほどぉ〜そうだねぇ〜。」
「は、はい。確かに本当は、咲いている花を見てあげるのがうれしいと
思うんですけど、でも長くみるのも…」
「ふふっ。そうだね。わかるよ」
- 75 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時39分16秒
- 「そ、そうですか。」
うちは自分でもなんかなに話してるのかわからないんやないやろうかなんて
思うぐらいのたどたどしくて、そんの上顔を真っ赤にした状態の
話し方やったのに、それでも、うんうんうなづいて、そんでわかるよって
言ってくれた、その後藤はんの気持ちがうれしかった。
「………」
そしてまた沈黙が続く。
そやけど今回は、いやな沈黙やない。
少なくともなにか話さなければ、とか思ってあせる感じやなかった。
なんでやろう?緊張よりうれしい気持ちが勝ってるからやろうか?
「……」
『話をできるようになってからは、じっと見つめて熱いメッセージを送ったり。』
ふいに、さっき聞いたののの作戦についての言葉が浮かんできた。
『話をできるようになってからは、じっと見つめて熱いメッセージを送ったり。』
「うっ…」
そして、後藤はんの顔をじっと見つめてしまううちがいたりした。
あ、あかん。うちそんな風に作為的な恋なんてしたくないって思ったばかりやのに
そ、そやから恋ってのはあくまで自然に…自然に。
「あ、あの…!」
「…ねぇ?キス、しようか?」
「え?…へ!?」
うちの心臓はこれ以上ないってくらい羽あがった。
キ、キキキキキス!?
キス!?キスしてまうんか!?
うち、うち、いや、そんないきなりなんてだめや、いきなりなんて。
「あ、あかんです!」
- 76 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時40分04秒
- 「そう?でもキスしてみたくなっちゃった」
「い、いやでも…そんな」
「人間が恋するときのキス、またしてみたいって思っちゃったんだけど」
「に、人間はそうでもうちは…うちは」
「どうして?人間でしょ?亜衣ちゃんも」
「そ、そうですけど、そ、そやけど」
「後藤、普通のキスとかしてみたいなぁ」
「ふ、普通のキス?」
「そう、普通のキス」
「な、なんで…そんな、うちなんか相手に」
「ふふっ。うちなんかはなしだよん。理由は…かわいいからかな?」
「…か、かわいい?」
「うん。かわいい。なんかね。一生懸命で、がんばってて、
花みたいだなって」
そして後藤はんはうちがくらくらしそうな、そんな顔で、
小さくウィンクしてきた。
「……そ、そんな」
そんな、うちそんなにかわいくない。
さっきだって、作為的なことしようとしたし。
のののこと言えへんことしたし。
いつも関西弁で、色気なんて皆無やねとかときどき会うだけの身内で
あるおかんにまで言われてるし。
そりゃおとんは、お前はかわいいって言ってくれるけど。
そやけど。
「あれぇ?沈黙?」
「あ、あの!いやあの!!」
「キス…今度は記憶を消さないよ〜」
- 77 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時40分47秒
- 「え?き…きお…んんっんんっ!!」
「………」
「んんっんんっ!!」
うぁあああ〜!キス…キスしとる!?うちキスしとる。
憧れの後藤はんとキスしとる。
恋する相手、片思いの相手とキスしとる!?
「んんっんんっ!」
「あはっ。ますますかわいい」
しばらくのキスのあと唇を離してから後藤はんはそう言って笑顔を
むけてくれた。
「…な、なんやもう」
「んー?」
笑顔で、顔をかしげてくる。
そのしぐさが、なんやどきどきをさらに大きくしてきて、
すごくすごくどきどきが大きくなって。
「溢れちゃいそうですわなんか」
なんや知らんけど、どっかで聴いたことのある、前にはやった歌が
思いうかばれてきた。
溢れちゃう…なんやったっけ?
「あはっ。溢れちゃうかぁ。かわいいねぇ〜」
そう言ってうちの髪をさらってなでてくる後藤はん。
溢れちゃう…溢れちゃうんや。
うち、たまらん。
たまらんくなってきた。
どないしよ。すごく切ない。
切ないんや。
どない、しよう。
「ご、後藤はん!!!」
- 78 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時41分35秒
- 「ん?」
ぎゅっ。
思わず抱きしめておった。
恋に奥手やと思ってたうちが、いきなり、いきなり恋する相手、
後藤はんに抱きついていた。
自分でも大胆やな、やりすぎちゃうんやろうか、なんて思いつつ抱きしめて、
ぎゅっと後藤はんの胸に顔をこすりつけたりしていた。
「あはっ。どうした?」
「う、うち、うち!」
「……んー?」
「うち…後藤はん、あんたのことが…!」
「…あ〜、ドライフラワーつぶれちゃったね」
「え?」
「ドライフラワーつぶれちゃった」
「あ、ああ。そ、そうですか」
かわされた?
なんやそのときそんな感じがした。
うちの告白かわされたんやろうかって。
なんかそんな感じの会話の発し方やった。
「うーん。花も激しい抱擁に悲鳴をあげているよ」
「悲鳴…ですか。迷惑やったですか?」
「うん?花もまぁ、抱きしめてもらってうれしいんじゃないかな?」
「違います。花やなくて、後藤はんのほうです」
「後藤?いやぁ後藤は違うよ。ただ激しいからちょっとびっくりしただけ、なんてね」
「そ、そうですか…」
後藤はんはちょっとおどけてそう言ってくれた。
そやけど、うちは、完璧に元気にはなれなかった
なんや、知らんけど、迷惑なんやろうかっていう不安が消えなかった。
- 79 名前:カヲル 投稿日:2003年03月17日(月)10時42分34秒
- 更新終了です。
よく考えたら、加護さんのお母さんが関西弁ばっかりつかって色気ないって
いうのは変かもですね。すいません。
- 80 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時47分54秒
- 『おい、カナリア。あれはまずいんじゃないか?』
「え?なんですかぁ?」
『とぼけるな。お前のあの行為についてだ』
「はぁ〜?」
『…キスしただろ?』
「はぁ…まぁ」
『記憶を消す意味じゃなくてキスしたな』
「覗いてたんですか?ちょっとやりすぎじゃ」
『お前は監視しなくちゃならん。やはり自分の立場をいまいち理解してないからな』
「わぁかってますってぇ。自分の立場ぐらい」
『本当にそうか?じゃあ二度とあんなことを…』
「……わぁかってます」
『…返事が2秒遅れたな』
「こまけぇ〜」
『なんだ?』
「いや別にぃ〜。」
- 81 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時49分34秒
- 『まぁいい。とにかく、お前の役目、立場を忘れるな。いいな』「はいはいー。役目は忘れませんよ。役目はね。もちろん立場も忘れたことはありません」
『……』
「へぇい〜それじゃあ!」
『……まぁいい』
ふぅ。やっとうるさい監視から逃れられる仕事についたと思ったのに。
今回もやっぱり見られてたわけかよ。
っちぇ。
犯罪者はつらいねぇ
だけど…あの子、あの子なんか一所懸命で顔とか赤くして後藤に話しかけてくる。
あの子、なんか知らないけど、すごく惹かれるんだ。
多分…どっか、どこかが、あの子に似てるからかもしれない。
あの子に。
自分の立場を壊す原因になったあの子に。
「…立場か…」
窮屈だな。やっぱり。
でも…結局自分にはこれしかないんだよな。
「…亜衣ちゃんか」
- 82 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時50分20秒
- 今日もあの曲を聴いていた。
あのやっぱり!っていう曲。
今日は休み時間にウォークマンで。
なんかこの曲聞くとやっぱり勇気がでる気がするんや。
どんなことがあってもやっぱりあなたが好きだって。
告白をこばまれても、それでも、そんなことぐらいではあきらめないでって
そんな風に自分に置き換えて強く思わせてくれる気がする。
「んんー?あいぼんなに聴いてるんれすかぁ?」
「あ、のの。うん。ちょっとな」
そう言ってののに、ウォークマンのイヤホンの片方を渡す。
「ああ、花&花れすね。」
「あ、知ってた?」
「ええ、らってあいぼんが聴かせてくれたんれすよ?前に」
「ああ〜そういえばそうやったね。」
「あの日あの場所にいなければ〜あなたに出会うことはなかった〜♪
それはきっと偶然じゃない〜♪」
ののは、ウォークマンを耳に当てながら、口ずさみはじめた。
「うちなぁ。この曲すごく勇気がでるねん」
「へい?…ああ、そうれすかぁ」
「うん。なんかこのやっぱりっていうの、なんかええなぁって思って」
「そうれすねぇ。そういう曲ってありますよねぇ」
ちょっとなんか恥ずかしい説明やったけど、そやけどののはやっぱりなんだか
んだ言っても親友でちゃんと普通にうちの言葉を受け止めてくれた。
「うん。そうやろ?」
- 83 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時51分05秒
- 「ええ。やっぱり〜あなたが大好き♪…れすかぁ」
「そうれすね…」
「ん?どうしたの?のの?」
普通に話を聞いていたののの様子がまたおかしくなってきた。
「いいえ、ちょっと…はぁ〜」
「ん?またでたな」
「はい?」
「いや、また大人モードやなって思って」
「大人モード?ってなんれすか?」
「うん。大人モード、ののがため息をつくといつもそう思うんや」
「あはははっ。そうれすかぁ〜」
「あはははっ」
一応ののの言葉にうちも笑ったけどののは相変わらず元気がない感じやった。
まぁだよっすぃ〜はのののこと不安がらせているままなんやろうか?
そう思うと腹がたってきた。
たとえののがそれをはっきり口にしなくても、それでも恋人やったら態度
で気づくとかそういうもんやないんか?
倦怠期の夫婦やって、相手のこと興味なくなるから倦怠期になるんやで?
興味があるなら、ちゃんと気づくはずや。
- 84 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時51分45秒
- 「れもそういわれてみれば最近大人モードばっかりれしたからね」
ののは、そんなうちの憤りに気がつかずにちょっと元気なくやけど、
そう答えた。
そう答えられると部外者であるうちが怒るのも変やし、
逆にひっかきまわしてしまうきっかけになるかもしれへんって
思ってそれでうちは、とりあえず言葉を合わせることにした。
「そうやろ?うちもなんかどないしよとか思ってたんよ」
あきれて付き合ってられへんなんて思ったこともあったけどな。
でも大体は心配したりもしてたんやで?
「そうれすか。迷惑かけましたね。れも今度からはなくなります」
「え?なんでやの?」
「のの、はっきり言おうと思うんれす」
「はっきり?なんやの?」
「へい。はっきり…よっすぃ〜に言ってみることにしました。
最近セックスばっかりで不安れすって」
「そ、そうやの?」
…でもそうやな。やっぱり不安なことははっきり相手に言ったほうが
いいかもしれん。
そのほうが、ずっとしっかり相手に自分の気持ちが伝わるし。
それに相手が態度で気がつかないときはやっぱり言葉が必要や。
「もし、もし遊びだからなんていわれたらショックれすけど」
「そうやな」
そうやなそんなことうちだって考えたくないけど。
遊びだからなんていう確立も否定できないもんがあるし。
「れも、れも信じてるし、信じたいし、だから、思い切って聞いてみようと思
うんれす。それで、ですね。頼みたいことがあるんれすけど…」
「なんや?」
そしてうちはののの頼みを聞いてみた。
- 85 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時53分42秒
- 「よ、なんだ?こんなところに呼び出して」
「………」
あれからののの頼みごとっていうのをちゃんと聞いてみたら、つまり、
そうやって一大決心をして聞いてみるって決めてみた
もののやっぱり勇気がない、怖いから、そやから、つまり隠れて見ててほしいってことやった。
誰か、親友のうちが見てると思えば、なおさらいわなくっちゃって思えるとかいう気持ちらしい。
なんやそういうのってよくわからんけど、ののがそう言うんなら、
うちもののの頼みを聞こうって思った。
それにうちも、もしやばい展開になったら、留めに入るぐらいの決心もあるし。
泣いてるののをすぐに慰めることもできる。
それに多分きっとあの二人なら大丈夫やって思ってる。
きっと、よっすぃ〜ならやさしい顔して馬鹿なこと考えてたんだな。って言ってくれると思う。
よっすぃ〜は確かにすけべなところあるけど、そういう人やと、うちは思う。
そりゃ、信用できんとか思うところもあってそこが
なんか不安にもなるけど、そやけど、きっとののが真剣に聞いてみれば、
ののが安心してくれる答えを返してくれる
きっと、そうやって思った。
言葉ではののにそういわんけど、気持ちの上でののを応援して
やるって気分でいた。
あんまりうちがいろいろ言うよりののがちゃんと自分の勇気で
そう言ったほうがいいんやないかと思ったから。
恋愛は、あんま部外者がたちいるものやない。
ばちきかますとしてもそれは、ののをよっすぃ〜が泣かせてしもうたあとや。
「あの、れすね。のの…」
「ん?なんだよ?」
- 86 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時54分16秒
- 言いにくそうなののに、よっすぃ〜はやさしい笑顔で先を即している。
ほらな、やっぱりよっすぃ〜はののにやさしいんや。
そう思ってけどぶっちゃけ不安でもあったうちは、なんや安心していた。
すると。
がさがさがさ…。
ん?なんやろ?上から音が…?
うちの隠れている小さな木陰の近くに生えてるちょっとした大木、
その枝が生えてる上のほうからがさがさと音がしてきた。
うちはそれを少し気にしつつ、ののの様子をさぐる。
「のの…のの…のののこと、よっすぃ〜はどう思ってますか?」
「ん?どうって?そりゃ当たり前だろ…」
「好きれすか?」
「ああ、もちろん。なんだよそんなこと気にしてたのか?」
「……そんなこと、じゃないれす」
がさがさがさ。
んー?やっぱり音がするな。
なんやろ?確かにあの大木のあたりから聞こえてくるんやけど?
鳥か?いやそれにしては、なんや、枝の揺れ方がはげしいっていうか。
なんやっちゅうんやろ?
うちは、二人の会話をなんとなく耳にいれつつ、けど、
そのがさがさという音にも注目しつつあった。
「そんなことだろ?そんなわかりきったこと…もしかして
アタシのこと信じてなかった?」
「…ち、違います。けど、らけど、なんか、不安なんれす。すごく」
がさがさがさ。
「不安、なにが?」
「セックスばかりなのが!れす!」
- 87 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時56分35秒
- 二人の会話は相変わらず続いている。
ののはちょっとなみだ目になっとった。
なんや不安やしはらはらするけど、。
そやけどやっぱり木の上のほうも気になる。
なんかどうも誰かがいそうな気配なんや。
やばい、やばいで、もし誰かがいたとしたら、ののたちがこんな会話してるん
を聞かれてるっちゅうことやんか。
もしこの会話聞いてあの二人やりまくってるんだってなんていううわさが流れ
たら…そりゃまぁ事実やけど
でも学校には先生っていう存在もあるもんやし。
先生っちゅうと、まず中澤先生を思い出すところが、やばいってのに説得力がないけど。
けどまじめな生活指導の保田先生もいるからな。
やばいことはやばい。
「セックス?なんで?」
「らって普通は、セックスばかりじゃないはずれす。もっとデートとか、
映画みたり、動物園行ったり、よっすぃ〜といろんな話したり」
「キスしたり?」
「…は…い…んんっんっ!」
「!!!」
うぁっうぁっ!?
- 88 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時57分18秒
- ななんや?!
い、いきなりよっすぃ〜が、ののを抱きしめてキスしだしたぞ!?
な、なんか違うんとちゃうか?
これはなんか違うんとちゃうか!?
だってののはセックスとか体のつながりばかりなんがいやなんやろ?
キスだってこのタイミングでするんわ…。
「おおぉ〜」
「へ?」
よっすぃ〜のいきなりの行動にはらはらしてたそのとき、
とうとう上からそんな声が聞こえてきた。
だ、誰や?やっぱり人なんやないか!!
うちは、ちっさな声ででもするどくとがめるように、
上にむかって若干つよくつぶやいた。
「誰や?!」
「あはっ。見つかったか。後藤だよん」
「ご、後藤はん!?」
上にいたんわ。なんと後藤はんやった。
「そ、後藤だよ」
そう言って後藤はんはさっそうとした感じで、下に飛び降りた。
ん?飛び降りた?…なんか今なにかを思い出しかけたで?
ま、まぁそんなことはええ。それより後藤はんが、
いやののが、よっすぃ〜が。
- 89 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時57分59秒
- 「ご、後藤はんいつのまに?」
うちは混乱する頭をどうにか抑えて、とりあえず手近にいる後藤はんに
質問してみることで落ちついた。
「うん。覗くつもりはなかったんだけどね。なんかさ、
木の上で熟睡して起きてみたらこの状況で」
「き、木の上で熟睡?」
あんな高い大木の上でか?
危ないやんかあ。木登り自信があるんやろうか?
「うん。なんかねぇ、気持ちよくて、後藤高いところ好きなんだよねぇ〜」
「そ、そうですか」
そうして小声で話しあう二人。
あっちも変やけど、こっちも変やな。
まぁあっちは変な上にはらはらしてまう展開になっとるけど。
「んで?なに?ののちゃんは、いったいなにを気にしてるんだい?」
やっぱり聞いてたんやなぁ。
そう思ったけどとりあえずそれは突っ込まずに答えを返すことにした。
「いや、セックスばかりなのをですね」
「や、やめてくらさい!!」
「「!!!!」」
うちら二人は、突然のののの声に思わず視線をののとよっすぃ〜のほうに向ける。
見るとののはまだ泣きそうな顔をして、よっすぃ〜に。
「あ、なぐっ!」
- 90 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時58分46秒
- 殴りかかりそうになった。
けどよっすぃ〜は予想してたのか落ち着いたようすでそのののの振りかざ
した手を取って、自分のほうに引き寄せている。
「…な、なにを…!んんっ」
「ま、またキスしとる。あいつわかっとるんか?」
「うーん、そうだねぇ〜」
後藤はんはなんか知らんけど、まじめな顔で、二人を見つめている。
そしてなぜか両手を伸ばしてから目の前に同じく両手をかかげてひざしを
つくるみたいにして、二人に顔を近づけた。
「な、なんれ…なんれ!」
「好きだからだよ。好きだからキスした。したくなったからした」
「だ、だからそれは…!」
あいかわらず二人の修羅場は続いている。
うちは後藤はんのことも気になるし、親友であるのののことも
気になるっていう状態で忙しかった。
「おかしいかな?好きだからキスしたい。もっといろんなことをしたい。
相手を実感したい。それっておかしい?」
「…好きだから…キスしたい…いろんなことしたい?」
うちはよっすぃ〜の言葉をそのまま同じようにつぶやいた。
確かに、好きだからキスしたいってのはそれはわかるで。
うちだって、後藤はんにキスしたいって言われたときは、
強くこばめんかった。
それは多分後藤はんを好きやから、やし。
たとえば他の、すけべな、たとえば中澤先生にやられても、きしょいだけやと思う。
そやけど。、そやけどもっといろんなことってのはどうやろ?
相手が拒んでるなら、それで不安を感じてるやったら、
がまんしたりするもんやないやろうか?
「おかしい…れすよキスならともかく…」
- 91 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)20時59分25秒
- 「キスしたいよ?キスもしたい、セックスもしたいそれは普通のことだよ?のの」
「ら、らって!…んんっんんっ」
またキス?
よっすぃ〜欲望にまっしぐらや。
ちょっとなんか言いたくなって来たで?
友達が悩んでることをつまり言い換えればいやがってることをなおもしよう
とするよっすぃ〜にちょっと一言やな。
がさ。
「…うち!」
「まぁった!」
「え?」
それまで黙って、二人のことを見つめていた後藤はんは、
飛び出そうとしたうちの手をつかんで
そう静止してきた。
「んー、ちょっと待ったほうがいいよ?」
「な、なんでですのん?」
こそこそと再び、木陰に隠れて、質問する。
なんでや?恋人同士とはいえ、親友として、
友達としてとめるべきなんやないか?
うちは後藤はんの言葉とはいえ、納得がいかない顔を彼女に向けた。
「よっすぃ〜マジだよ」
「え?」
「マジ。後藤のセンサーによるとね。よっすぃ〜マジだよ」
「マジって…どういう?」
「ほらまたしたくなった。うちはね。ののにしかしたくならないんだ」
「…うそれす」
- 92 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時00分07秒
- また二人が話をしはじめた。
うちはつかまれている後藤はんの手をもどかしく思いながらけど、
後藤はんの言っているマジっていう言葉の意味を知りたくて
いらいらしている気持ちをなんとか抑えていた。
「本当だよ。うちはののにしかキスとか、セックスとかしたくない」
「……」
ほんまか?
「本当れすか?」「「そう…マジだよ」」「え?」
よっすぃ〜と後藤はんの声がかさなった。
「マジ?なんですか?」
「そうだよ。マジ、あの二人はマジで好きあってる。よっすぃ〜も、
もちろんののちゃんもね」
「………」
「マジだよ。ののマジで好きだよののだけ」
「よっすぃ〜…」
二人は、抱きしめあっている。
最初は抱きしめられるだけやったののが、今はゆっくりとよっすぃ〜の
背中に腕を回し始めている。
どうやらののも納得したみたいやった。
なんや口だけやんかっていう納得の行かないところが、今だにうちにはあったけど、
そやけどその様子を見て、後藤はんはうちの手をつかんだまま
口を開いてくる。
「好きなら体を求め合うのは当たり前のこと。」
「そ、そやけど!けどののは、うちはののとよっすぃ〜がちゃんと
してくれんと!」
「……」
- 93 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時00分54秒
- 「な、なんですか?」
後藤はんが感情を抑えられなくなってきたうちをじっと見つめてきた。
相手が後藤はんのせいかそれで静かになってしまううちもうちやけど、なんやろ?
こんなところで見つめるなんて。
そやけど後藤はんはそのままうちを見つめて、そしてふわって感じに笑顔を、
そやけどたしかに笑顔
なんやけどどっかさびしそうなそんな表情を浮かべてきた。
「…やっぱり似てる。その友達思いのところ。似てる。あの子に」
「え?誰に…?」
いきなり違う話題を振られて混乱する。
けど後藤はんはそんなうちの混乱をよそに、のんびりした調子で口をひらく。
「んー、誰かに。」
ごまかされてしもうた。
「………」
誰かに?似てる?誰や?誰なんやろ?
気になる。そのさびしい表情が余計に気にさせる。
聞いてみようか?
なんかすごく気になるんや。
やって後藤はんが”あの子”っていったときなんかいつもうちが気にしてた、
気にかけてた悲しいっていうさびしいって言う顔をしたんや。
そやから、もしその”あの子”っていうのが後藤はんにそんな顔をさせる
原因なんやとしたら、うちは、その理由を聞きたい。
聞いてみたい。
「ほら、ののちゃんもすっかりあんしんしてるみたいだよ?」
「え…、へ?」
- 94 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時01分55秒
- 聞いてみたいってそう思うまま、でもタイミングや、不安によって質問で
きないままに後藤はんに話をそらされてしまった。
そして言われてまたののたち二人のほうを見てみると、
のののさっきまでの戸惑いがちの抱きしめ方が強くなっていた。
そして二人は見詰め合っている。
「安心した?」
「…はい」
ちゅっ。
そしてまたキスしよった。
そやけど今度は一応、仲直りのキス…なんやろうか?
「うぁ〜またキスしよる」
「あはっ。刺激つよすぎぃ〜」
がさっ!!
「ん?なんや?」
「んー?誰だろ?あの子、後藤たちのほかにも見てる子がいたりして?」
「え…?」
そ、それは…ちと…。
またもや覗きが?と思って音のしたほうを見てみる。
するとすごい形相をした女の子がたたずんでおった。
あ、あの子、あの子は…よっすぃ〜のファンの子やないか?
確かそうや!
すごい形相してるっていう理由もののとよっすぃ〜が幸せそうなキスを
してるってのを見たからやと思うとよっすぃ〜のファンだって
ことに確信がもてる。
そう思ったうちは思わずつぶやいた。
「やばぁ〜」
「んー?なんで?」
- 95 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時03分44秒
- 「いや、あの子よっすぃ〜が好きやんです。よっすぃ〜のファンの子。
そやから、いらんうわさ流されるかもしれへん」
「んー?でもうわさっても幸せなうわさなら」
「いや、幸せなうわさも捻じ曲げていらんうわさを流してしまう可能性があるんです。前に経験がある」
そうや、前にののが初めてよっすぃ〜に告白したとき
あの子が、なんやしらんけど、ののが体でよっすぃ〜を誘惑したとかいう
うわさを流したんや。
あとで、あの子たちのグループが流したうわさやってわかったんたやけど。
そやから、あの子はやばい。
「そうなんだ?じゃあ二人のこと見られたのやばかったかな?」
「はい。やばいです。どないしよう」
「んー。困ったね」
「はい、困ります」
「んー、じゃあ人肌脱いじゃおうかな?」
「え?」
後藤はんはまたうちにはよく理解できない言葉をつぶやいて、
そしてにやりと笑った。
「ちょっと待ってて」
「あ、はい」
そしてうちを安心させるように、ぽんぽんと頭を叩いてから今度はやさしい
笑顔で立ち上がった後藤はんは、
あの子のほうに近づいていった。
- 96 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時04分21秒
- 「…ねぇ君ちょっと待ってくれる?」
そして話しかける。
「…え?」
校舎のほうに歩きかけていた女の子は呼ばれてゆっくりと振り返る。
あちゃーやっぱりまだすごい形相や。
これはうわさ、流すで。
「んー、あなた、さっきの見ちゃった?」
「……さっきのって?」
「んー、その顔はみちゃったんだね。」
「………」
女の子は、すごい形相、つまりくやしいっていう嫉妬の表情を浮かべつつ黙り込んだ
そりゃよっすぃ〜のファンなんやから、あんな場面見ればくやしいって思うにきまっとる。
そやから、その顔を浮かべてるっていうことは確かに一部始終を見てたってことや。
けど後藤はん、もしその子を説得するんやったらムダなんやないやろうか?
嫉妬に狂った女は怖いっていうし、ただその女の子にとっては面識のない
人間からうわさを流すなって言われても納得しないんやないやろうか?
うちかて、ののが体を使ったってうわさを流されたとき、
怒ってあの子にばちきかましたんや。
そやけど、その子は結局反省なんかしないって顔で、うわさもしばらく消えなかった。
そして時たま思い出したようにまた別のうわさが流れたりした。
それがまたののを苦しめる原因にもなってるってうちは気がついてた、
けどいくらばちきかましてもどうにもおさまらへん。
やから、後藤はんがただ説得するっちゅうのは無駄なことなんやないやろうか?
うちはそう思ってた。
- 97 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時05分02秒
- けど、けど後藤はんはうちのそんな予想とはまったく違う行動をとったんや。
「それで?やっぱりうわさたてるの?」
「うわさ?」
「そう、やばいうわさ立てたりする?」
後藤はんはなおも確認する。
けどそやったらやっぱり。
「…うわさってなんのことですか?」
「うわさだよ。あの二人に関するやばいうわさ。」
「ああ。さぁ?どうして?」
女の子は嫉妬を浮かべたまま醜いって思えるほどのいやな笑顔を浮かべた。
けど後藤はんはそんな女の子の表情を見てものんきな様子で頭をかいている。
「いやぁ。困るんだよねぇ。」
「困る?あなた吉澤先輩の?」
「友達…だけど困るのは吉澤先輩が、じゃなくて親友思いの女の子が、
なんだけどね。後藤的にそっちが気になるんだ」
「…そんなの知らないわ」
「…そ、わかった。じゃあしょうがないね。」
「「え?」」
そして期せずして木陰で様子を見ているうちと、そして後藤はんに
話しかけられた女の子が疑問の声をあげたときやった。
後藤はんはいきなりこの場にはそぐわないことをしたんや。
- 98 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時05分43秒
- 「ちょっとごめんね」
ふわぁ〜。
「………え?ん!んんっ!!」
「へ?」
後藤はんは、女の子に近づいたかと思うと、いきなりキスをしだした。
「ななんでや!?」
うちは思わず立ち上がって声をあげる。
ののとよっすぃ〜のことなんて気にする余裕もなく、立ち上がっていた。
なんでうわさなんて立てるっていう女の子とキスなんてしてしまうんや?
うちの中で一気に嫉妬の波が広がった。そして混乱の波もまた、うちの頭の中に。
そしてそんなうちの頭の混乱と、胸の嫉妬を蚊帳の外に、
なぜか気を失って倒れこんだ女の子を後藤はんは抱きとめている。
「はい。おしまい。残念だね。」
「………」
後藤はんはそう言ってから女の子にしては信じられない力で、
気絶した女の子をお姫様抱っこしつつうちのほうに近づいてきた。
「さ、んじゃ行こうか?」
「え?ど、どこへ?」
「保健室。この子気絶しちゃってるからね」
「は、はぁ?」
うちは納得行かないのと疑問ばっかりが浮かんでる状態やった。
「さ、いこか?」
そやけど後藤はんはそんなこと気にせずにすたすたと保健室のほうに歩いていった。
うちは疑問を浮かべたまま、それでもとりあえず、後藤はんの後をついて
くことにした。
- 99 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時06分22秒
- ふわぁ。
そして保健室。
「…なんやの?その子?」
保健室には中澤先生がいて、そして気絶した子を後藤はんが軽々
抱き上げていることに驚いていて疑問をなげかけていた。
確かに、さっきのキスも気になるうちやけど、
軽々抱き上げてるその力にも疑問がわく。
「んー、ちょっと、貧血みたいです」
後藤はんは、手を傷めたようすもなく、普通に中澤先生に受け答えしている。
余裕な様子やった。
「貧血?それであんた抱き上げてきたんか?すごい腕力ややなぁ」
「はい。力強いほうなんで」
「ふぅん。そか」
中澤先生はどうでもいいやって感じでそれ以上追求せずにここに来るときに
書いていた書類に目を通しはじめた。
「はい。それじゃあよろしくお願いします」
「はいよ。お疲れさん。」
背中を向けたまま手をふる中澤先生。
そして後藤はんは軽くおでこに手をあてて、
敬礼、みたいなポーズをとって返事をした。
「はーい」
そしてうちら二人は保健室をでることになった。
- 100 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時07分16秒
- 「ふぅ。これで大丈夫」
「あの何が?大丈夫なんですか?」
疑問ばかりのうちはとりあえず、二人っきりなった機会を得て、質問をなげかけた。
大丈夫ってこと腕のこと、そしてなによりなんで、キス…したんですか?ってこと
「うん。あの子ね。これでうわさ流したりしないよ」
「え?…そ、そやかて」
あの時あの子はうわさ流すって言い足そうな感じやったし。
あの場面見てるわけやし。
もしかしてキスしたからとか?
それはわけわからん。
「大丈夫。後藤にはね、不思議な力があるんだ」
「へ?不思議な…力?」
「そ、不思議な力。その力でね。後藤は相手の記憶を消すことができる」
「な、なんですか?それ」
なに言うてるんかいまいちわからんわ。この状況で冗談いうてるんやろうか?
だって普通そんなこと言われて信じられるか?
「信じられないって顔してるね。でもこれはほんと、後藤にはそういう力があるんだよ」
「……そ、そやけど」
- 101 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時07分56秒
- 「んー、とにかくそうなんだ。なんていうの、そう特殊な人間かな。だからね。亜衣ちゃん。君の記憶も消さないといけない」
「え…?」
「亜衣ちゃんがこのことを知った以上記憶を…」
「んんっ」
キスされた…
「…つっ!!」
そやけどうちは思わず後藤はんの唇をかんでいた。
「い、いやや…いやや!」
「…え?」
「いやや、うち後藤はんとの記憶を消したくないん!!」
やってせっかく、せっかく後藤はんのさびしいっていう表情の理由をつかみかけたのに。
それなのに、またその記憶を失ったら、振り出しにもどってまうやんか。
「あ、亜衣ちゃん!!」
たったったったっ。
そして気がついたらうちは走り出していた。
なんでもええ、もし後藤はんの言うことが真実やったとしても
後藤はんとの思い出は消したくない。
そして後藤はんのことを知るヒントは…手にいれかけたヒントは、逃したくなかった。
- 102 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時08分37秒
- 「はぁはぁはぁ」
あのまま走ってうちは、自分の教室までかけあがっていた。
「はぁ〜」
うちは、そのまま机の上になだれこむようにして、体をあずけた。
「……唇…かんでもうた」
後藤はん気分害したやろうか?
唇かんでもうて気分害したやろうか?
不安が胸にひろがる。
「そやけど、やっぱり後藤はんのこと気になるから…!」
「…あ、亜衣ちゃん〜、ここにいたんだぁ〜?さがしちゃったぁ〜」
そういううちの切羽つまった状態にそぐわない声をあげる人間がやってきた。
「へ?あ、ああ。あさ美か?」
声がしたほうをドアのまじかを振り向くとあさ美がそのドアに手をかけて立っておった。
「な、なんやの?」
うちは動揺した気分をなんとか抑えつつ、そう問いかけた。
「うんー、前に亜衣ちゃん、ラベンダーがどうとか言ってたじゃない?」
「ラベンダー?ああ、言ってた」
後藤はんの興味のあるってラベンダーのこと、うち聞いてみてた。
けどそれがなんなんやろう?
うちはうまく気持ちを抑え切れなくていらいらしながらあさ美の言葉をまった。
- 103 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時09分13秒
- 普段は安心を与えてくれるあさ美の口調もいまはいらつきの種にしかならない。
「それでね。そのままお花をあげることはできないけど、でも〜花の種ならね〜あげられるよぉ〜」
「え?」
「花の種ぇ〜」
「た、たね?」
「そう〜、花のたねなら、あげられるぅ〜」
あさ美はいつものゆっくりした様子で、自分の胸ポケットをさぐっている。
もしかしてあさ美。
「あれ〜ないなぁ?おっかしいなぁ〜?」
「もしかして花の種、探してくれたんか?」
「うん〜。ちょうどお母さんについていった仕入れのときにねぇ〜あ、あった。はい」
あさ美、その花の種のことを言いたくて、それをうちにあげたくて、それでうちのこと探してたんやろうか?
ちょっと、つうかかなり罪悪感がわく。
あさ美はうちのこと思ってそんで手間かけてくれたのに、それなのにうちあさ美をうっとおしいとかいらつくとか思ってもうた。
なんやろ?恋って余裕もなくさせるものなんか?
それが恋なんか?
「んー?どうしたの?亜衣ちゃん?」
「あ、ああ。いや。すまんなんかぼーっとしてしもうた」
- 104 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時10分03秒
- 「あははははぁ〜、普段の私みたい。」
「あ、あははははっ」
うちはそういう汚い気持ちや、いまだに幼い恋に対する疑問を知られたくなくて、ごまかし笑いをうかべた。
ごめんな、あさ美。今度罪悪感のことも含めて、あと花の種のことも含めて、なんかおごらせてな?
「それじゃあ、はい〜」
「あ、うん」
そして差し出してきたあさ美にうちは近づいて、その種をうけとった。
「見るたのしみもあるけど〜、育てる楽しみもいいもんだよねぇ〜」
そう言ってあさ美はあさ美らしい笑顔を浮かべていた。
「う、うん。おおきに」
「うん〜。」
とたとたとた。
「あ、あいぼんここにいたんですかぁ?」
受け取ったちょうどそのときに、ののが教室にやってきた。
うちは廊下を歩くののをドア越しに見ながら、まず謝ることにした。
「あ、のの。うん。すまんな。途中で抜け出してもうた」
「いいれすよ。うまくいったんれすから。てへへ」
「んー?なにがぁ〜?」
「あ、あさ美ちゃんもいたんれすね。ののうれしくて思わず見逃してしまいました」
「あははははぁ〜ひどいなぁ〜」
「あははははっののらしいわ」
うちはなんとかそこで素直に笑顔を浮かべることができた。
そしてののはあさ美にも分かるようにさっきあったことを説明し始めた。
- 105 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時10分55秒
- 「そうかぁ〜そんなことがあったんだねぇ〜、うふふぅなぁんかすごぉく
刺激的だねぇ〜」
あれから三人で下校途中の公園まで歩いてきて、今は砂場で、
三人して砂をほじくっていた。
そしてぜんぜん刺激的じゃないんやないか?って感じであさ美が感想を
もらしつつ笑顔を浮かべる。
なんやあさ美ってときどきうちより年上に見えるときがあるわ。
ゆっくりしたしゃべり方のせいやろうか?
刺激的とかいいつつ、驚いたりもせんといつもと変わらんところがすごいわ。
あさ美…実は裏で恋とかいっぱいしとる?
「そうれすね。れもののやっぱり許してしまいました」
「そうか、納得したんか?」
「はい。よっすぃ〜のまじめな気持ちわかりましたから」
まじめ…なんやろうなぁ。
確かに不真面目で言ったって感じはしなかったし。ののが言うんやったらそうなんやろうな。
方法があんなやったのが、なんか完全に納得いかないんやけど、
そやけどやっぱりののが信じてる限り友達のうち
部外者でもあるうちは、見守ったりするべんきなんやろうな。
「でもそれじゃあやっぱりののちゃん幸せものだねぇ〜」
「てへへ、そうれすね。のの幸せれす」
「ったく心配して損したわ」
とりあえず、なんとなくは落ち着いたっちゅうことと、
ののののんきなてへへ笑いを聞いた途端なんか知らんが気おちした。
「すいませんれしたね。あいぼんには心配かけました」
「まあええけどね。うまくいったのなら。今後はうちもののの大人モードのため息聞かんですむし」
- 106 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時11分32秒
- 「あ、なんれすかぁ?大人モード不評だったんれすかぁ?」
「なぁに〜?大人モードってぇ?」
「それがな。ののことあるごとに…」
「はぁ〜ってため息ついてたんれす」
「へぇ〜?」
「それがなぁ〜しつこうてしつこうてたまらんかったんやぁ」
「ああ〜!友達としてそういうこといいますかぁ?
ののは不安でしょがうなかったから思わずですねぇ〜」
「あははっ、うち正直もんやから〜」
そうしてののとうちとあさ美の三人は飽きずに砂場で砂をひっかきまわしたりしていた。
そうしている間は、なんとなくうっすらやけど、後藤はんに対するたくさん
の疑問や、不安を消し去ることができた。
なんとなく、うっすら、なんやけどね。
- 107 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時12分02秒
- 「〜♪〜♪」
『…機嫌がいいな』
「へぇまぁ、なんつうかほんと面白い子にあったなぁって思って」
『…お前…』
「そんな怖い顔しないでくださいよぉ。わかってますって。わかって…ます!」
『…まぁいい。お前の立場はお前自信が一番わかってるだろうからな。…そんなことより、役目はどうした?』
「役目?それがぁ〜なかなか見つからなくて」
『もっとあの近辺にこだわらずに他のところも探したらどうだ?』
「それもわかってますって。でもラベンダーってなかなか見つからないんですよねぇ。」
『…探せばみつかるはずだ』
「…つうかぁ〜」
『つうかではない。お前このごろ地球人の話し方に毒されてないか?』
「え?そうっすかぁ〜?」
『知的なわれわれとは違う。下品だな。癖になってるなら早めに直したほうがいい』
「………」
『なんだ?その目は…不満があるのか?』
「い、いいえぇ〜べつにぃ〜」
『…まぁいい。とっとと役目を果たせ。こんな簡単な役目も果たせないようではお前の今後も考えないといけないな』
「わかってますってご心配なく」
『………いいなあと二日だ』
- 108 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時12分36秒
- 「え?…あと二日?」
『そうだ。二日、上が言ってきてる期限は二日だ』
「二日…すか。大変っすね。上の上ってのもまたいて」
『…ふざけるな。』
「ははははっ。ちょっと反抗的になったりしてぇ〜」
『まぁいい…二日…大丈夫なんだな?』
「………二日…か」
『聴いてるのか?』
「……へいへい。聞いてます」
『……大丈夫なんだな?』
「へいへい。だいじょうぶっすよ」
『………』
ちぇ〜、不振気な目してら。
まったく信用ないよなぁ。
それにあいかわらずうざいよ。
まぁ、現に信用できないようなことしてる後藤が悪いんだけど。
後藤…か。この名前もだんだん自分に定着してくる。
前はどんな名前だったか、思い出せなくなってくるよ。
地球…本当に魅力的な場所だよ。
魅力的な…星だよ。
とくにその中に暮らす人間の生き方、個性が後藤はやっぱり好きだ。
そして…一番気になるのはやっぱりあの子だ。
やばいって思いつつついついあの子の顔を見ると安心したりほっとしたり、元気になったりする。
「…後藤、今度は大人にならないとな」
- 109 名前:カヲル 投稿日:2003年03月22日(土)21時13分53秒
- 更新終了っす。
もう少しで終りますんで。
見てくださっている方いらっしゃるならお願いします。
- 110 名前:葵 投稿日:2003年03月24日(月)17時35分32秒
- 後藤さんは地球人ではないのか…!でもなぜラベンダーを…。
むむむ、気になります。
- 111 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月25日(火)13時38分23秒
- すっげ面白いっす!かごまイイ!
頑張ってください!
- 112 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時35分34秒
- >>110葵
ええ、後藤さん地球人じゃないんです。
ラベンダー…ええとそれは…ぶっちゃけたいした意味はないんですが。
とにかくレスありがとうございます。
葵さんもがんばってください!
- 113 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月25日(火)18時36分38秒
- >>111名無し読者さま
え、うそ!?すっげぇおもしろい!?
うそー。本当ですかぁ?
- 114 名前:名無しさん 投稿日:2003年03月25日(火)18時38分57秒
- あ〜すいません、指が無意識に動いて、ageちゃいました。
名無し読者様のお返事の続き。
とにかく、そんなこと言ってくださってありがとうございます!
って言いたかったんです。
- 115 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時41分17秒
- 『時間の流れが止まった〜♪2人だけの空気がゆるやかで♪』
自室、またもやしつこくうちは花&花を聞いていた。
いろいろ不安もあるけど、そやけどあれから長い時間ののたちと話して、大分気分がいつもの状態に戻っていた。
「…♪」うーんやっぱこの歌ええわ。
なんつうかメロディからして元気になる。
歌詞を良く考えるとあんまり完璧にぴったりとちゃうんやけど、なんか恋してる気持ちを勇気付けてくれる気がするんや。
「………うん、元気になってきた」
なんか昨日のこととか思い出すと、ちょっと落ち込んだり、いろんな複雑な感情がめばえたりそれになにより疑問がわいたりするけど
それでもなんか歌を聴いてる今は、とりあえず元気になる。
明日は明日の風が吹く、なんてのんきなことを考えてしまうんや。
歌って不思議や。
完全にやないけど、けど勇気をくれるんやから、ええもんや。
- 116 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時42分13秒
- 「そうや、この歌!」うちはあることを思いついた。
この歌、今一番気に入っているこの歌を後藤さんにプレゼントするっていう
のはどうやろうか、そんなことを思いついた。
後藤はんが気に入ってくれるかどうかはわからんけど、でもとりあえずうち
を知ってもらうってことにはなるかもしれへん。
「よし。送ったろうかな!」
決めたらすぐ、が大抵のうちの決まり文句や。
最近のうちは恋に対しても普段みたいにだいぶ積極的に
なってきたと自分で思うんや。
そしてうちは、さっそくおばあはんのいる下に降りてっいって、
物置から、包装紙を探した。
「おばあはん。包装紙知らんかぁ?」
「包装紙?はて…うーん、そうやね。これはどうや?」
おばあはんは、うちと一緒になって物置を探してくれて、
包装紙を出してきてくれる。
「うっ。そ、それは…ちょっと」
さすがに唐草模様はどうやろう?
泥棒はんやないんやし。
後藤はんにもイメージってもんがやね。
「そうか?…それじゃあこれはどうや?」
「う、うーんそれも」
- 117 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時43分04秒
- なんで、シャネルの包装紙なんかあるんやろ?
おかんが買ったの置いてったんやろうか?
つうかシャネルの包装紙ってもっとシンプルやよな。
これなんか全体にばばってしつこいほどシャネルのマークがついとる。
…まぁええわ。とりあえず。
うちは目についた中で一番いいかなと思えるやつを手に取った。
「うん。これでいいわ。ちょっとがきっぽいけど、とりあえず花が書いて
あるし」
「派手だねぇ。最近の子はこういうのがいいのかねぇ」
「あはは。一応究極の選択ってやつやねんけどね」
「そうやの?大げさやね。まぁええわ」
そう言っておばあはんは、居間に戻っていった。
うちは、その究極の選択によって選んだ花の書いてある、確かに言われた
とおり派手な、そしてがきっぽい
感じの包装紙を持ってそれでもやっぱり笑顔で、わくわくした気分で、
自分の部屋に持っていった。
「…ふふんっ♪」
楽しい気分で、いそいそとその包装紙でCDを包む。
「あ、でも新しいCDのほうがええやろうか?んー」
そやけど、でも今の時間から買いにいけんし。
それに、思い立ったらってやつで、すぐにあげたいんや。
- 118 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時43分43秒
- 「…うーん。ええかな」
ええわ。物は考えよう。いつも使ってるCDをあげるっていうのもなんか
…ええやろ。ちゅうかええことにしとこ!
とにかくうちは早く後藤はんに会いたい、そして自分の気に入ってる
CDを見せたい知らせたいって気分でいっぱいになって
それで、深く考えずに興奮しながら、わくわくしながら、そのCDをプレゼントすることにした。
「……いつか、あんたもプレゼントしたるからな」
そしてふと気がついて、窓際にある鉢植えを見てそうつぶやく。
その鉢植えには、あさ美からもらったラベンダーの種が植えてある。
あれから学校から帰ってすぐに思い出して、種を植えたんや。
長いことかけて、丹精込めて、きっと花を咲かせて、
そんで後藤はんにプレゼントしたい。
そう思って今からわくわくしてる。
恋ってやっぱ人をわくわくさせるもんなんやな。
そう思って、ひとりでににやついてもうてた。
突っ込みのきつい矢口さんなら、きしょとか言いそうなくらい
アホな笑顔を浮かべていた。
「♪やっぱりぃ〜あなたが大好きぃ〜♪」
- 119 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時44分34秒
- …そやけど、そやけど。
そのときのうちはプレゼントをあげるっていう興奮で、いろんな疑問
を聞かなきゃとか、不安をどうするべきかっていうのはあんまり
考えてなかった。
それは、いつかもっと二人の深くなったとき聞けばええやん
そうやきっと二人の関係は深くなるんやって、のんびり、自分らしく後藤はんとの恋愛成就ってやつに向かえばええやんってそう考えてた。
逃げてた…のかもしれない。
けど、そやけど、あのときは時間があるんやってそう信じ込んでた。
- 120 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時45分38秒
- 「おはようぉ〜ございまぁす〜♪」
その日の朝、うちはうきうき気分で、教室のドアを開けた。
とりあえず、プレゼントのCDは持ってきている。
いつ渡すかは決めてへんけど、それでも渡すタイミングを
計ってちゃんと思い切って渡すつもりやった。
「…あいぼん」
「んー?なんやのぉ〜のの?」
そんなうちの浮かれた状態に反してののはなぜか深刻な顔をして
うちの机に近づいてきた。
うちはあいかわらずご機嫌な様子で、それに答える。
「あいぼんあのれすね」
「んー?」
「あの…ののれすね」
「んー?なんやの?ののはっきりいいやぁ。らしくないでぇ?
またため息かぁ?」
「いえ、あの…あのびっくりしないで聞いてくださいね」
- 121 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時46分37秒
- 「うん。なんやの?」
かばんには、プレゼントのCD、うちはそのぬくもりを感じたような気分
でにこにこしながらののの言葉を待った。
「あの、れすね。」
「なんやのぉ〜ののらしくないってぇ、はっきりいいや〜!」
ばんばんばん!
浮かれたうちは、ののの背中を笑顔で叩いたりした。
アホな感じや。けど浮かれてて浮かれた気持ちを抑えきれなくて
そんなふうにしてしもうた。
そやけどののは違った。
うちの状態とののの状態はぜんぜん違うものやった。
なにか重いことを知ってる人間の気持ちと、知らないでいる人間
の気持ちの違いって感じやろうか?
「あの…昨日の夜よっすぃ〜から聞いたんれすけど」
「んー?なんやのぉ〜?」
「えと…その…後藤さん、今日転校するらしいれす」
「……へ?」
「後藤さん、今日転校するらしんれす」
うちはそのののの言葉がよく飲み込めずになんども沸いてくる頭の中のへ?へ?
っていう言葉を感じながらきょとんとした様子でののに確認した。
「え?いや…え?…転校?」
- 122 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時47分12秒
- 「そうれす。転校、しちゃうらしいんれす」
「…うそ…やろ?」
「…本当れす。多分。少なくともよっすぃ〜からはそう聞きました」
「…うそ、やん」
「本当、みたいなんれす」
「…だって…だってそないなこと…」
「急れすよね。れも、なんか知りませんけど、お家の都合とかで、それで」
「だ、だってうち、うち後藤はんに後藤はんにまだ」
「…あいぼん」
「うち…うち今日プレゼントしようと思ってCD持ってきて、
それで…そうやのに、なんで?なんでや…?」
「あいぼん、泣かないでくらさい」
「な、泣いてる?」
うちが?泣いてる?
「泣かないでくらさいよ。あいぼん。ののも悲しいれす、びっくりして
るんれす」
「そ、そやから泣いて…」
泣いてる…涙が流れてた。
- 123 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時48分57秒
- 後藤はんが転校するって聴いただけで、それだけで涙が流れてた。
うち…情けない。
こんなところで泣いてることも、昨日あんなに一人ではしゃいでたことも、
全部アホみたいで情けない。
「あいぼぉ〜ん」
ののは悲しい顔をして、泣きそうな顔をして、
うちの頭をやさしくなでてきた。
みんなもうちが泣いてることに気がついてどうしたのって言ってくる。
そやけど、アホみたいなうちはやっぱりアホで、みんなが
心配してくれているってわかってるのに
行動は素直でそんでやっぱり馬鹿なうちで、そのまま…そのままうちは
教室を飛び出していた。
- 124 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時49分35秒
- 「…ひっくうぇっひっく」
何が悲しいんや?
そんなに泣くことないやんか、転校するって言ったって、永遠の別れとちゃう。
うちはもう高校生なんやから、いくらでもいくら遠くてもまた会うことができるやろ?
チャンスはまだあるやん。あきらめるなや。泣くなや情けない。
そう自分に問いかけて涙を抑えようとするのに、でも涙がとまらへんかった。
ガキみたいに嗚咽して、ガキみたいに、しゃくりあげてる。
「ううぅっひっくひっく…」
「あれ?…なんだよ!亜衣ちゃん!…げげっ泣いてるの!?」
「…後藤はん?」
- 125 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時50分21秒
- 気がつくとうちは、校舎裏のビニールハウスの近くに来てて、
そんで気がつくと涙でぼやけたその先に後藤はんがおった。
今一番会いたいと思ってた後藤はんがおった。
「なに?どうしたんだよ?なんで泣いてるのさ!!」
後藤はんはうちが泣いてるのに気がついて、いつもと違うあわてたようすで、
うちの近くに走りよってきた。
「うち、うち…」
「うん?どうした?」
「うちっ!!!…うわぁああんっ!!」
「なんだよぉ〜。泣くなよぉ〜」
うちは思わず後藤はんに抱きついていた。
「ご、後藤はんのせいやんか!後藤はんのせいやんか!!」
そして攻める筋合いではないって頭ではわかってるのに、
なんでか後藤はんを攻める言葉が口をついてできた。
「んー?どうして?」
そやけど攻めてるうちに腹を立てることもなく、後藤はんは、うちの頭を
やさしくなでながら、顔を覗き込んで、そんでやっぱり
- 126 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時50分59秒
- やさしい声で、うちに質問してきた。
「後藤はん…うちあんたが好きなんや!」
「あはっ…そ、そうかぁ」
「…なんで笑うの?」
「いや。ごめん。うれしいんだ。けどね」
「…うち本気や。」
「うん、わかるよ。泣いてるんだもん、泣いて告白してくれてるんだもんね。
それぐらい後藤にだってわかるよ」
「……そやけど、後藤はん…転校するんやろ?」
「あ、ああ〜、知ってたかぁ。隠そうと思ってたんだけどね」
「……やっぱり転校するんや」
「…んー、ちょっとね。家庭の都合…っていうか」
「………家庭の…都合?」
「うーん父親っていうの?あれが…なんていうの?ええとほら、うーん、
事業に失敗とか?しちゃった?」
「後藤はん?」
「んーと、そんで、母親が…離婚しようとか言い出して、そんで、ええと」
「後藤はん…うそついてるやろ?」
冷静じゃないうちにだってわかった。
後藤はんはなにか隠しとる。
- 127 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時51分36秒
- 言いにくそうにまるで今思いつきました。ひっしに理由を考えてますって
感じの話かたやもん。
「んあ?か、隠してないよぉ〜?」
「いいや、隠してる。なんかいいにくそうや」
「ん、んんー。ううー。」
「…うち本気で後藤はんのこと好きなんよ。それでも言ってくれへん?
隠し事するん?」
そういう真剣な気持ちをうらぎってまうんか?後藤はんは。
「うっ…うーんんっんっ…んあー!!」
「…?」
後藤はんは頭をがしがしかいてる。
なんやろ?やっぱり隠し事してるっていうのはなんとなくわかるけど
なんでや?そんなに転校する理由ってのが、言いにくいことなんか?
「っくそ〜。やっぱり後藤に隠し事は無理だよ。とくに
後藤のことこんなに真剣に思ってくれてる子には。それに…」
「それに?」
「んんー。ねぇ、亜衣ちゃん」
「うん?」
- 128 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時52分15秒
- 後藤はんは、がしがし頭をかいてた手をとめてまたうちの顔を覗き込んできた。
うちはその真剣ななにかを問いかけるような表情にちょっとどきっとしつつ、
返事を返した。
「亜衣ちゃん。いまから付き合える?」
「え?つ、付き合えるって?」
「うん。いまからね。連れて行きたいところがあるんだ」
「……連れて…いきたいところ?」
「そう。ちょっと遠く。でも、そうだね。二人にとって思い出の場所」
「……思い出の場所?」
「亜衣ちゃんは覚えてないだろうけどね。でも二人が出会った場所だよ?」
「……行く」
うちは少し考えてから、詳しくたずねることもなく強くそう答えていた。
はっきり行くって言った。
ときどき自分勝手でそんでときどき不真面目なところもあるうちやけど、
授業はさぼったことはなかった。
でも後藤はんのことなんやから話は違う。
今うちは大切なところにいるんや、そう思う。
そやから、うち後藤はんについていこうとおもう。
そのときうちはまるで駆け落ちについていく16歳の女の子、みたいな気分
になってた。
うちなりに真剣に、後藤はんの話を聞きたいって昨日の気分がうそみたいに、
逃げてるんやないかって思ってたのがうそみたいに
- 129 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時53分05秒
- 真剣に後藤はんに向き合う気になってた。
それは…多分口調はかるいけど、後藤はんが真面目にうちに何かを話そうとしてくれてるんやってそう感じたからかもしれん。
根拠はないけど勘だけやけど、そういう気がした。
「ん。それじゃあ行こうか?」
「はい。」
それから後藤はんはうちと手をつないでくれて、ちょっと先を歩いていた。
そして、後藤はんはしばらくして鼻歌を歌いだした。
- 130 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)18時53分38秒
- 「あの日あの場所にいなければ〜♪あなたに出会うことはなかったぁ〜♪」
「あ!その歌」
「んー?なにもしかしてこの歌知ってる?」
「も、もちろんです。うちその歌最近のお気に入りなんです」
「そうかぁ。なんかこの歌いいよね。後藤たまたま歩いてたCD屋で聞いてさぁ、
インプットしちゃった」
「そうですか!」
「うんうん。後藤もこっちの歌好きだし、結構なぐさめられたりするよ」
「そうですよね!」
うれしい!後藤はんと一緒や。
後藤はんと一緒の気持ちを持ってたんや。
歌が好き、そして花も好き、二つだけ、そやけどそんなことだけでも
うれしいんや!
- 131 名前:カヲル 投稿日:2003年03月25日(火)19時01分43秒
- あ〜うれしさあまりに、馬鹿やって予定してなかった更新をしたんですが。
とにかくできるだけでもがんばれー自分って気持ちです。
っつうわけで、今回私にしては短かったけど、更新です。
できれば、今後もよろしくお願いします。
- 132 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月03日(木)20時41分12秒
- ○亜依
×亜衣
- 133 名前:カヲル 投稿日:2003年04月03日(木)21時24分03秒
- >>132名無し読者様
あーすいません。
亜衣ですね。はい。
- 134 名前:カヲル 投稿日:2003年04月03日(木)21時25分05秒
- あれ?ああ間違えた。
亜依ですね。ハイ。
- 135 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月15日(火)21時24分42秒
- またーり待ってます
- 136 名前:カヲル 投稿日:2003年04月16日(水)13時03分56秒
- >>135名無し読者様
いやぁ、待ってくれるなんてうれしいです。
もちっと待っててください。
- 137 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月22日(火)16時19分32秒
- 「はい、ついた」
そうして二人で同じ歌を何曲か歌った後、後藤はんはうちを知らないビルのところまで連れて行った。
知らないビル。そやけどなんか知らんけど、懐かしいっちゅうか、なんかうちこのビル知ってる。
なんでやろ?
灰色のビルは、他の見慣れたビルとなんの変わりもないはずやのに、
なんかそのビルにうちはすこしだけの懐かしさを覚えた。
懐かしさ…違うけどなんかなにかを…感じる。
「…あはっ。やっぱりすごいや」
「え?なにがですか?」
うちの顔を見て、なんや知らんけど、笑い出す後藤はん。
うち顔にでてたんやろうか?
「うん。やっぱり地球人の思いって強いなって思って」
「地球人の…思い?」
「あはっ。だってやっぱり後藤の気持ちを動かしてるもん。そんで後藤の力もいまいち利いてなかったりするみたいだし」
「後藤はんの…気持ち?」
わけがわからん。
なんやろ?混乱してくる。
- 138 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月22日(火)16時20分09秒
- 「やっぱり好きなんだな。後藤は」
「???」
「…ねぇ亜衣ちゃんキスまであと10分だよ」
また謎かけみたいな言葉を続けて言ってくる後藤はん。
後藤はんは右手にしてる腕時計を見ながらそう謎の言葉をつぶやいて笑顔を、
笑顔なんやけどけどそやけど、完全には笑顔といえない不思議な複雑な表情をした。
たくさんの謎の言葉と同じぐらいうちに疑問を浮かばせるようなそんな表情をした。
「へ?」
「なんてね。…そうだね。なにから話そうか」
「え、えとなにからって?」
転校の理由やろうか?
そやけど、こんなところに呼び出した理由がわからん。
確かにこの場所にはなんか感じるけど、でもそれが転校の理由と関係があるんやろうか?
「うん。そうだね。亜衣ちゃん、何週間か前のことどこまで覚えてる?」
「何週間か前?」
それじゃわからん。もっと具体的にわかりやすく。
うちは聞きたいことが早く聞けないもどかしさで、いらつきを覚えはじめていた。
なんやさっき泣いて癖がついてもうたのか、涙まで出てくる。
まるで後藤はんにいじわるされてる気分になってしもうたんやと思う。
そやけど後藤はんはやさしく微笑んでこう続けた。
- 139 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月22日(火)16時21分16秒
- 「何週間か前、君はこの道を歩いてたんだよね」
「…はぁ…そうなんですか?」
「そう。この道を歩いて、そして途方にくれてた。あとでののちゃんに聞いた
ところによると家出してたんだって?」
「は…はぁ…」
家出?そういえば、何週間か前、家に帰ったら、おかんやおとんがうちが
家出したとかなんとか言ってた。
…1ヶ月ぐらい前やろうか?
確かののもそんなことを言ってた。
いろんなことがあってそんなのすっかり頭の隅から離れてた。
「家出、か。そういうところもそっくりで参るよ」
後藤はんはなぜか泣き笑いみたいな顔をした。
泣き笑い、複雑で不思議な表情やなくて今度は、泣き笑いってはっきりうちにもわかるようなそんな表情をした。
「……」
そっくりか。これはわかる、多分後藤はんがあのとき言った、
あのときのうちと二人で木陰でののたちのことを見ていたときに言った
あのときのあの子のことや。
あの子…うちそんなにあの子に似てるんやろうか?
「ねぇ、後藤がキスして、記憶を消せるって言ったこと覚えてる?」
「はぁ、はい。そんなこと言ってましたね」
そやけど、あれは…とても信じられんし。
一度は混乱して信じかけて逃げ出したりしたけど、冷静になるとやっぱり
本気では信じられない。
「あれね。本当なんだ」
「そ、そうですか?」
「あはっ、やぁっぱ信じられないよねぇ」
「…はぁすいません」
- 140 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月22日(火)16時21分57秒
- 「後藤ね。宇宙人なんだ」
矢継ぎ早にうちに向かって投げかけられてくる後藤はんの言葉。
それを理解しようとして、それがむずかしくて、うちは戸惑っていた。
「は?」
「後藤…人間じゃないんだ」
「…な、なにを言って…?」
そしてうちはそのときちょっと腹がたった。うちは真面目な気持ちで真剣に後藤はんの
ことを聞いてるのに後藤はんはなにを冗談じみたことをいうんやろうって腹がたった。
でも、後藤はんの真面目な顔を見ているうちに、それが…本当なんやないかって
思うようになってきた。
「記憶を消せる宇宙人。そんなのもいるんだ。この広い宇宙にはね。…空も飛べるんだよ」
「え?」
後藤はんはそういったかと思うと、戸惑ううちを残してゆっくり目をつぶって、そして次ぎの瞬間、
ふわってうちの目の前で…浮き出した。
「な、な、ななな!?」
「ほらね。人間にはできないよね。少なくとも普通の人間には」
「な、なななななななななぁ〜!?ななななぁあ〜!?」
なんやぁ〜!?
- 141 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月22日(火)16時22分28秒
UFO!たかたたんたんたん♪
- 142 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月22日(火)16時23分02秒
- そのとき、あんまりびっくりしてもうたせいか、うちの頭の中では、
昔おばあはんと聞いたことのある
ピンクレディーとかいう二人組みの歌手の歌が聞こえてきた。
確か…UFOとかいうタイトルのあの歌が。
つまりうちは、その浮いてる後藤はんの状態を見て、はっきりと後藤はんが
地球人やないって頭から気持ちまで理解したんやと思う。
なんかうちらしいっていうか緊張感のないあほらしい感じやけど。
「な、なんかUFOが流れました」
正直にそう言う。
「…へ?」
後藤はんは、きょとんとした顔をしている。当たり前やね。
「ピンクレディーのUFOが流れてまいました」
「あはっあはははははっ」
うちの不謹慎っぽいアホな言葉に、最初きょとんとしてた後藤はんは、
その次ぎの瞬間爆笑をしていた。
「な、なんですか!!」
「だっ、だってなんか、やっぱり…まいるなぁ〜。似てるんだよなぁ〜…
ほんと」
「なにがですか?」
- 143 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月22日(火)16時24分04秒
- 「うーん。ほんと、こういうのってあるんだね」
「だからなにがですか!!?」
「内緒内緒」
「…むぅ〜」
うちが不満の声を出したのを聞いてるのか聞いてないのか、後藤はんはまた
腕時計を眺めた。
「…あと5分か」
そんな後藤はんにうちは次第にはっきりとしない不安を抱きはじめていた。
なんで時間を数えてるんやろうって。時間を数える意味はなんやろうって。
もしかしたら、うちが一番やられたくないことを、今のうちが一番やられたく
ないことを後藤はんはしようとしてるんやないかって
そう思った。
「……あの…」
「うん?」
「後藤はんが宇宙人やとして、そしたら転校するっていうのは?」
「うん、つまり宇宙にかえるからってこと」
「!!!!」
「後藤ね。ある役目があってその役目が終わったら、ていうかそれが失敗しても
どっちにしても宇宙に帰ることになってるんだ」
「そ、そんな…」
そんな…だってそしたら、遠くところか地球上でもないってことやないか。
そしたら、そしたら、どんなにがんばってもどんなにお金をためても、
うちががんばったところで会うことなんてできなくなるやんか!!
「本当はね。こういうの言っちゃうのやばいんだ。だけど…
亜依ちゃんにはどうしてか…言っちゃった。多分…」
「…いやです」
「ん?」
- 144 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月22日(火)16時24分54秒
- 「いやです!!宇宙になんか、そんな遠くになんか!いかないでください!!」
「んー。確かに遠くだよね。でも」
「うち、うち後藤はんのことが好きなんです。そやから、離れたくない!」
「……そか」
うちの二度目の告白、それも後藤はんはやさしく受け止めてくれた。
けど、けど、ただ告白するってだけで、それを受け止めてくれたってだけで
は、そのときのうちにはもうすでにがまんできなくなっていた。
わがままなうち、そやけどやっぱり離れたくない。
「……そろそろ時間か。…ねぇ、亜衣ちゃん」
「なんですか?…ひっく」
また涙が出始める。不安と、せつなさと、いろんな気持ちがいっぱいになっ
て胸が痛くて涙がでてくる。
ぼろぼろぼろぼろ、これ以上涙流せなくなるんやないかって不安になるほど、
涙がでてくる。
「キス、しようか?」
「!!!いやです!!」
「……亜衣ちゃん…」
「いやです!だってキスしたら後藤はんとの記憶なくなっちゃうじゃないですか!!!!
後藤はんとの大切な記憶がなくなっちゃうっ
てことじゃないですか!!!」
うちは昼間なのに、それなのに、なんも気にすることもできない状態で、
思いっきり叫んだ。
叫んだと同時にさっきまで流れていた涙が余計ぼろぼろ、流れてくる。
鼻水なんかも流れてくる。
情けないうち。こんなときまでかっこつかないうち
そやけど、なりふりかまってられへんかった。
- 145 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年04月22日(火)16時26分02秒
- 「……亜依ちゃん」
後藤はんはまた困った顔をしてる。
そんな顔せんで。うち後藤はんを困らせたくないんや。そう思うけど、
でもやっぱりうち、うちやっぱり子供なんや。
ののみたいに、不安な気持ちを抱えながら、それでも相手の気持ちを受け入れて、
信じたり、安倍先輩みたいに
浮気性の恋人にやきもきしながら、それでも受け入れる、そんなことも、
そんな大人なこともきっとできへん。
うちはまだまだ子供なんや。
「…亜依ちゃん…後藤ね」
「…ひっく…ひっくはい」
「後藤…前にも地球人を好きになったことがあったんだ」
「え?」
地球人を好きに?それが…もしかして何度も言ってたあの子のことやの?
「地球人の子。同じようにあるとき地球に役目を受けてやってきてね。
そこで、…やっぱ後藤出来が悪いのかな?…やっちゃいけないって思いつつ
その子に惹かれてしまったんだ」
「………」
聞きたくない気がした。
後藤はんの過去に、どんな女の子を好きになったかとかそういうこと聞きた
くない気がした。
そやけど、聞かなきゃいかん気もした。ここで聞かなきゃって思った。
やってこれが後藤はんが悲しい顔をする理由なんやってはっきりしてきたから。
- 146 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年04月22日(火)16時26分45秒
- 「その子ね。すごく一生懸命で、友達思いで、すごくやさしい子、
そして元気。亜依ちゃんみたいにね」
「うちみたいに?」
「うん。亜依ちゃんも元気で一生懸命で、隠してるかもしれないけど、でもやさしい感じがして
、そして元気で、友達思いなんだよね」
「じ、自分ではわからへん」
涙声でそういった。
好きな人にほめられてるんやけど、なんかいきなりすぎて、混乱してまう。
「だけどね。やっぱりだめだったんだ」
「…だめ?」
「後藤たちの星では、…亜依ちゃんには理解できないかもしれないけど、
そういうの禁止されてるんだよ」
「禁止?…それって恋をすることがですか?」
「そう。誰かに恋をするとかそういうことは禁止されてるんだ」
そんな、信じられへん。
いくら宇宙にはいろんな星があるからってそんな星あるんか?
第一そんなんやったらどうやって子供を残すんや?
恋できない星なんてあるんか?
「じゃあ子供は?子供はどうするんですか?子孫を残せないじゃないですか?」「子供はね。ここでいうと試験管ベイビーってやつが該当するかな?そうやって補うんだ。
とにかく、感情っていうのを極端に嫌う種族でね」
「そんな…そやけど、恋は…」
「あは、ははは…いいもんだよね。後藤もここに来て始めて知った」
「……」
- 147 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年04月22日(火)16時27分33秒
- 「きっと後藤はその子に変えられたんだと思う。それにもとからある意味
後藤は生まれ育った星なのに、なんでかわかんないけどその星のやつらとは
違うタイプのやつだったんだね」
そう言って後藤はんは今度は悲しそうに笑った。
自分の生まれた故郷のやつらと違う個性を持ってまう。
それってつらいことなんやろうな。そう思った。
「異端児ってやつだね。…それでまぁ、犯罪者扱いになって、今回は、
その汚名返上の役目、なんだ」
「犯罪者…扱い?」
「そ、犯罪者。あはははっ。普段からのんきな犯罪者だよね。
でも人間に恋して犯罪者になった。」
「…そんなの変です」
「んー?」
「だって恋して、恋しただけで、犯罪者扱いなんて変や」
「うん。そうだね。後藤もそう思う。でもね。その子死んじゃったんだ」
「え…?」
「その子死んじゃったんだよ。自殺したんだ」
「そ、そんな、なんで?」
ショックやった。また自分のことやないのに、涙が出てくる。
うちはさっきからずっと泣いてばっかりや。
そやけど後藤はんがつらい思いしたんやってそう思うとなんか泣いてまう。
「後藤は…記憶を消さなかったんだ。それが後藤の罪、最大の罪、
犯罪者になった原因」
「……」
「キス…最後のキスを、しなかったんだよ」
「………」
- 148 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年04月22日(火)16時29分40秒
- 「すればよかった。今でも後悔してる。だけど、後藤…キスしたくなかった。」
「…そう、ですか」
やっと言葉がでてきた。
ガキのうちにはあんまり理解できないような深い感じの話しやけど、
なんか言葉につまっとった。
とりあえず、真剣に話してる、少なくとも外見上は気丈に話してる後藤はんの話をちゃんと、
できるだけ大人でいられるように
そう感じらてもらえるように、後藤はんの言葉を聞かんといかんと思った。
「キスして、後藤のことその子に忘れられるのが怖かった。エゴだね。その意味では感情を嫌う種族とほとんど同じようなもんだよ。間違ってた。もっと考えればよかったんだよ。
もっとずっと深くそのこの気持ちを考えればよかった!!」
「後藤、はん」
「そしたら!そしたら、考えてちゃんと
大人になってその子を殺すこともなかったのに」
「……」
後藤はんはとうとうつらくなったのか、涙をひからせていた。
後藤はんいつも軽くて、でもほがらかで、のんきででもときどき悲しい
顔を見せて、そんな後藤はんが今、泣いてる。
「抱かなきゃよかった!抱いちゃったんだよ!後藤抱いちゃったんだ!最悪だよ!」
「後藤はん」
「違う、もっとちゃんともっとちゃんと最初から本気にならな
いように注意すればよかったんだよ!!その子も本気にならないように
ちゃんと大人になればよかったんだよ!!!なのに!!!」
- 149 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年04月22日(火)16時30分22秒
- 「…そやけど…好きだったんですよね?」
「……」
「好きやったら、本気になります。記憶だって消したくなくなります。
だってそんなのつらいですもん」
うちはできるだけ落ち着いて、今できる限りの落ち着きを取り戻そうと精一杯の努力をして、
後藤さんにゆっくり話しかけた。
つらくて、泣いてて、そして自分の激しくて止められなくなっている感情に
おびえているかもしれない後藤はんをとにかく慰めたくて
精一杯落ち着けるように心に決め始めていた。
「………そう、かな」
「そうです。うちだってそんな状態になったらきっとキスしなかったと思います。それにその子だってきっと後藤はんのこと恨んでないですよ」
「……そう、か」
「はい。きっとうらんでないです。」
「うん…だ、だといいね」
うちはそのときある決心をしていた。
泣いて泣いて、そして後藤はんのつらい過去を聞いてだんだんと芽生えていったある決心。
それは…きっかけ、小さなきっかけは、多分後藤はんに泣いてほしくないって
いうそういう小さな単純な思いやったんやと思う。
- 150 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年04月22日(火)16時31分11秒
- そしてその考えは自分勝手かもしれへんけど、
そんな考え方かもしれんけど、ゆっくり考え直す時間もなくて、それにそのときは確かに後藤はんの傷をいやせるんやないかって思った。
強く思った。
間違ってるかもしれん。自信もない、そやけど、もしうまく言ったなら、
そしたら後藤はんはきっとまた恋をしてくれるんやないかって思った。
うちは確かに後藤はんと離れたくない。そやけど、後藤はんにはやっぱり笑ってほしい。
悲しさを含んだ笑顔やなくて素直に笑ってほしい。
それよりなにより後藤はんにつらい過去を忘れてほしい。
うちは、確かにそのときそんな強い思いが胸にわきあがっていた。
欺瞞かもしれへん。そやけど、そやけど、結局うちは、後藤はんの笑顔や、
のんきな様子好きなんや。
「なぁ、後藤はん?」
「…なに?」
後藤はんはうちの言葉で、なのか、だんだん少しずつやけど、
落ち着きを取り戻してくれてきた。
「うち思うんや」
「…?」
「後藤はん。後藤はんうちと後藤はんが恋した
その子が似てるっていいましたよね」
「うん、言ったね。確かに似てるんだよすごく、それがつらいんだよ」
「…そやったらうちのこと、好きですか?」
この点が大事やった。
- 151 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年04月22日(火)16時31分55秒
- なによりこの点が違ってたら意味がないんや。
「…う、うん」
「本当ですか?本当に好きですか?」
できれば、うちのほうが好きだったりするとうれしいんやけど。
それにうちが考え付いたこと、ただ後藤はんの傷をいやしたいっていう
考えがもっとずっとうまくいくような気がした。
「……うん……わかんない。でも前と同じなのに、だけど、なんか
亜依ちゃんに引かれる気持ちがあるよ。亜依ちゃんを見るとつらいとき、とか
でも楽しいとか、かわいいなって思ったり。そんな気持ちが確かにあるよ」
「…でも怖い、そうですよね?」
「…うん」
「…はぁ〜」
そのときうちは、無意識にいつもののが浮かべていた大人のため息を、ついていた。
そんできっと、遠くに行ってしまう恋人、好きな人を勇気付けるために、
ちゃんと送り出してやるために、きっと女の子は多かれ少なかれ
なにかを与えたいって思うんや。
そして、遠くに行ってしまう恋人を、もう会えないかもしれない恋人をあきらめるために…。
あきらめる?
うちあきらめはじめてるんやろうか?
おかしいな、うちのいつものパワーやったら、こんなこと吹き飛ばして、
そんで、そんで壁なんてがーんって打ち破ってまうはずなのにな。
- 152 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年04月22日(火)16時32分33秒
- 後藤はんのこと確かにすきやのに。すきやのに、なんかなんか後藤はんのつらい気持ちがうちもつらくて。
そやから、きっと後藤はんに…やっぱり傷をいやしてほしいんや。
うまくいくかもしれない希望を持ってる。
そうや、きっとあきらめたんやない。あきらめかけたんやない。
うちは…後藤はんに…ただ希望をもってほしい、だけなんや。
そしてうちの力で、後藤はんという大好きな人を、うちの力によって回復してほしいと思う。
それは、やっぱりエゴか。
そうなんや、結局は自分で愛する人を回復させたい、ぶっちゃけ、
それで自信を持ちたいって言う強いエゴなんや。
やっと理解した。
理解したと同時に決心がはっきりついた。
そしてうちは長い思考のうずから浮き上がって、
そして、後藤はんにあらためて、向き直った。
「うち…後藤はんに…あげたいんです」
「あげる?なにを?」
「ふふっ。なんやくさいけど、後藤はんにちゃんとした恋をする気持ちをあげたいんです」
「恋…?」
眉をしかめる後藤はん。
でもちゃんとそのうちの言葉を理解してくれるっていう気持ちが
あるんやないかってそう感じた。
「なに?」
- 153 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年04月22日(火)16時33分06秒
- 「後藤はん…うちを抱いてください」
「え?」
「うちを抱いてください」
「な、なに言ってるんだよ!?さっきの話聞いてなかったの!?後藤は…人なんて!!」
「殺したくない。もうあんな思いはしたくないんでしょ?」
「そうだよ。したくないよ。絶対にしたくないよ!!」
「そやったら、うちを抱いてください」
「………なんで?」
「うちで試すんです。恋愛にはいろんな形があるんやって、そういう体験をするんです」
「む、むずかしくてよくわからないよ」
「…うちにもなんかよくわかりません。そやけど、そやけど、これはいえる、うちは死なないって」
「……」
「うちは死にません。うちはきっとその子より百倍元気です。その子の百倍強いです。そやから後藤はんを好きな人につらい思いはさせないです」
違う…かもしれないと感じつつそういった。
ただ、うちは後藤はんに抱いてもらいたくて、後藤はんに抱かれることを夢見て、そやからうそをついてるのかもしれないと思った。
- 154 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年04月22日(火)16時33分40秒
- そんな風にたいした恋をしてるのかどうか、初めてのうちにそんな強い気持ちがあるのか。
わからんかった。そやけど、そのときのうちはそうしたし、
やっぱり少しでも不安、傷を持ってほしくなかった。
ぶっちゃけ、軽く言えば一石二鳥だとそんなふううに思ってたのかもしれない。
うちは思い出がほしい、そして後藤はんは傷をいやせる、それが
、見事に都合よくこの場にあっていた。
後からそんな風に思ったりもした。
「…でも…考えさせてくれないかな?」
「…時間ないやないですか!!!」
「時間ないね。でもやっぱり慎重にならないと…違うね。怖いのかもしれない」
「…うちはきっと笑いますよ」
「え?」
「うちはきっと笑います。後藤はんが、たとえいなくなっても、
きっと笑ってると思います」
「………」
「まぁ、涙をこらえつつかもしれへんけど」
「…うん」
「そやから、終わったあと、抱いてくれたあと、うちのことを見てください」
「え?」
- 155 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年04月22日(火)16時34分10秒
- 「うちのことを宇宙で、あのでっかい宇宙の後藤はんの生まれ故郷の星で見ててください」
「………」
「そしたらきっと後藤はんは安心します。きっと笑顔を浮かべられると思います。」
それに、後藤はんが見ててくれると思えば、うちだってきっと暗い気分になったり
つらくて、死んじゃおうなんて気持ちにもならないと思う。
「…うん、わかった」
「はい。きっと笑顔です!!」
「うん。そうだね」
「はい!!」
- 156 名前:カヲル 投稿日:2003年04月22日(火)16時35分38秒
- ハイ、今日のうちに終わりまでいっちゃえや!自分!
とか思ったんですが、異様に長いので、ここまでれす。
気力がもちませぇん。
では。
- 157 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月28日(月)20時43分32秒
- UFOワラタ
とゆうか面白いです!
ラスト近いようですね。最後まで頑張って下さい!
- 158 名前:カヲル 投稿日:2003年04月29日(火)19時17分33秒
- >>157名無し読者さま
UFO笑ってもらえました?
ありがとーございます!
ハイ、最後までがんばりますんでよろしくお願いします。
- 159 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月08日(木)19時15分08秒
- ホテル。
それからうちらはどこで、とかそういう現実的な話を相談した。
ホテル…ってなんか抵抗あったんやけど、でも、家やとおばあはんがいるし、
それに後藤はんはなんと!家がないんやって。
家が必要ない寝るときはふわふわ浮いてればいいとかいうことやった。
そやから、うちらは、ホテルにしようってことになった。
ベッドの上、お互いシャワーを浴びてきれいな体になってから、それから、二人して、
ベッドに横たわった。
「……亜依ちゃん」
後藤はんは、少し不安そうな顔で、うちのことを見つめてくる。
やっぱりまだ不安なんやな。
そう思うけど、どうやって不安を消せばいいのかわからなくて、とりあえず、
上に覆いかぶさっている後藤はんの首筋に手を回してうちからは初めてのキスをした。
ちょっとまた記憶を消されるんやないかって不安になったけど、けど、
キスをした。
「んっ」
「んっんんっ」
ちゅぱちゅぱって音がする。
ののに話では聞いてたけど、ほんまにこんな音がするんやって、
なんか妙に感動したりした。
「んんっんんっんっ」
「んんっんんっんっ」
- 160 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時15分54秒
- 静かな、時計の針さえ聞こえない、そんな室内で、二人の「んんっ」
ていうくぐもった声と、ちゅぱちゅぱという
ちょっといやらしいとか感じてしまうようなそんな音が聞こえてきた。
「んんっはぁ〜」
「はぁ〜」
そして唇を離してから、顔を見合わせて少し二人して笑いあう。
「ふふっ」
「あはっ」
それから後藤はんは、うちの裸の上に巻いたタオルを取り外してきた。
「んんっ」
ちょっとタオルを取り外しにくいかと思って、少しだけ体を浮き上がらせる。
「あはっ。慣れてるんじゃないの?」
「ぐっ、そういうこというんですか!?うち初めてです!!」
そんな風に憎まれ口を叩いたけど、内心はそんな風にいじわるをいえる後藤はんにほっとしてもいた。
少しは、涙もおさまったみたいやん。
なんて、人のこといえんな。あれだけ号泣したうちが言えることやないわ。
「んんっんんっ」
「んんっんんっ」
そしてまたキス。
不安はまだあるけど、それでも、二回目のキスはなんか幸せな気持ちが前より強くなった。
ののが、キスが好きだって言ってた気持ちがなんか今ならわかる。
キス…っていいもんやな。
なんかもっとキスしたいわ。
その言葉が伝わったのか、後藤はんはキスを何度も繰り返してきた。
「んんっはぁ〜」
- 161 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時16分26秒
- 「はぁ〜。そういえば」
「うん?」
「うちの初めてのキス、後藤はんなんですよね」
「あ、ああ。そ、そうなんだ?後藤、なんだ。」
「ハイ。最初の記念すべきキスが、記憶を消すためなんてショックですな」
「うっ。で、でもあの時はあわててて、さぁ」
「でも余裕でしたよね?」
「え?き、記憶完全に戻ったの?」
「いいえ、ただあてずっぽです」
「…ったくぅ〜!」
「あははっ!!!…あっひゃはひゃひゃひゃはっく、くすぐらんでくださいよぉ」
「えいえいえい〜」
後藤はんは思いっきりうちのちっさなむき出しの胸やお腹や、わき腹をくすぐってきた。
うちは身悶えながら、それに耐える。
「あひゃははははははっ」
耐えてるんやけどやっぱり笑ってまう。
「えいえいえいえ〜」
- 162 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時17分00秒
- 「あはははははっ」
そんな端から見たらあほらしいようなことを何分間か飽きずに続けた。
確かに今から思ってもあほらしくて恥ずかしいことやけど、けど、
なんや知らんけどそのときはすごく幸せやった。
それからうちは後藤はんの愛撫を受けた。
「ちゅっちゅっちゅっ」
後藤はんはすごく丁寧にやさしく、うちの指先から、腕、そしてとくに胸を集中的に、
キスを繰り返してくる。
「んっ…」
うちは自分がまさか変な声なんて出すとは思ってへんかったのに、
でもそのときになるとやっぱり口をついて変な声がでてきていた。
「んんっんあ」
変な声やなぁ。うちのキャラクターちゃうで。
そう思うんやけど、やっぱり出てまう。
「ちゅっちゅっちゅっ」
「…んっ」
やさしいキス。あの子もこんな愛撫をうけたんやろうか…?
なんてことをふと考えてしまう。
「………」
- 163 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時17分49秒
- そやけど考えたあとすぐに頭を振った。
ええいっ、そんなこと考えるのよそ!
うちは確かに今後藤はんに抱かれてるんやから。
幸せなんやから、余計なことなんて考えたらあかん
幸せな気分は得られるときにできるだけ得ておくんや。
うん、それがきっと生きるこつなんや!
若輩者のうちの生きるこつなんやね。きっと
「んんっ」
「ちゅっちゅっちゅ」
後藤はんは相変わらずやさしく丁寧にうちのお腹をなめたり、キスしてきたりしてくれる。
そしてうちはやっぱり幸せな気分でそれをむずがゆいとか、
気持ちいいなんて感じつつ、受け入れていた。
「(ちゅっちゅっちゅ)…亜依ちゃん」
「んんっんっ、なんですか?」
「そろそろ、下いいかな?」
「し、下…ですか?」
うっやっぱり抵抗がある。
下…見られちゃうんやろうか?
そんなんガキのころ風邪のときにおかんに見られてから以来や。
それも恥ずかしながら、ざ、座薬を入れられたとき、やし。
「だめ?」
「……わ、わかりました」
- 164 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時18分29秒
- 勇気をだします。
っていうかこんなことぐらいで勇気使う状態で大丈夫なんか?うち。
後藤はんの前であんな大きなこと言っておいて、大丈夫か?うち。
「ちゅぱっ」
「あんっ!!!!」
そんなことを考えてたうちを知ってか知らずか、つうか知るわけないわな。
後藤はんはうちのそこ、そこにキスしてきた。
「キス…いいよね」
「は、はぁ」
いやそんな風に無邪気な笑顔で言われてもですね。
うちとしてはこのシュチエーションがちょっとばかりですね。
足の間から見える後藤さんの笑顔っちゅうのも、なんやろ?
まぁとにかく新鮮…なんやな。
「ちゅぱっ」
「んんっあっ!!!」
あ、あかん気持ちよくなってきた。なんか知らんけど、ぬれてる…気がするし。
うち、興奮してきてるんとちゃうか?
「ちゅぱちゅぱちゅぱっ!!」
「んんっあんっんんっ!!」
- 165 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時19分08秒
- そして後藤はんは、キスするだけじゃ足りなくなったのか、今度は人差し指、
なんでわかるかって突っ込まれると困るけどけど、多分人差し指を入れてきた。
な、長いから…そうなんよ。きっと。
「……んんっあんんっんんっひゃっ!!」
ぐちゅぐちゅぐちゅ。
いやらしい音や。
いやらしい音を発しとるうちがおる。
それになんか、やっぱり少し。
「んんっ!」
「痛かった?」
うちが眉をしかめたのを見逃さなかった後藤はんが少し不安そうな顔で
質問してくる。
うちはとりあえず、後藤はんに不安な顔をしてもらいたくないと思ったので、首を振った。
いや、ほんまはちこーっと痛かったりしたんやけどね。
「よかった。じゃあ続けるね」
はい。やさしくお願いします。
「んんっひゃんっんんっ!!」
は、激しいっす。後藤はん。
うち、うちなんかき、気持ちいいっす。
「…大丈夫?」
「は、はい」
- 166 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時19分40秒
- 今度も不安になったらしい後藤はんをやっぱりうちはつうか今度はちゃんと口で答えた。
安心してもらいたかったのと、それと、やっぱ気持ちよさがまさってもうて、やめてほしくなかった。
ぐちゅぐちゅぐちゅっ
「んんっはぁんんっんんっ!!」
ぐちゅぐちゅぐちゅ。
「んんっはぁんっ!!」
後藤はんは指を一本二本と増やしてくる。
なんでそんなことがわかるんやって突っ込まれるとまた困るんやけど、
そやけど、やっぱりなんかそんな気がした。
ふ、太さがそうやねん。
「んっあっんんっそ、そこ!!」
「気持ちいい?」
「は、はい」
「あはっうれしい!」
「は、はい」
ぐちゅぐちゅぐちゅ。
それからの何分間か、後藤はんにそこをいじくられるたびにうちの体はびくんびんくん反応して、そしてあえいだりした。
「あはっ。じゃあそろそろイコうか?」
「は、はい。好きにしてください」
「よぉしっ!!」
き、気合いれてまってる。
ぐちゅっ!!
「んあっああああんっ!!!そ、そこはっ…っ!」
- 167 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時20分12秒
- き、気持ちいい!気持ちいいんよ!
や、やばいわ。うちなんやこれ!?は、初めてやのに、なんでこないに!?
身体がそって、頭と足以外が、中に浮いとる。
後藤さんに向かって腹突き出す状態や。
なんつう格好しとんねん。自分。
「亜依ちゃん?」
「ああああんんっ!」
そしてうちは後藤さんの指でイッタ。
「はぁはぁはぁ〜」
「………」
後藤はんはゆっくりと上に上がってうちの顔を見ると、うちの頬をいとおしそうになでてきた。
うちは息が切れた状態で、でもそのなでてくれるしぐさや表情がうれしくて、なんかふにゃけた笑顔を浮かべていた。
「どう、だった?」
「はい…あ、あ、」
「ん?」
「溢れちゃいました。ぶっちゃけ」
「そ、よかった」
それから後藤はんは笑顔を浮かべて、安心したようにうちの横に体を横たわらせた。
うちはその後藤さんを横から見つめ、そして自分も目を閉じた。
「……なんか、うれしいよ」
「え?」
後藤はんもやっぱりうれしいの?
「うん。なんかね。うれしい」
「そうですか」
「なんかね。亜衣ちゃんの反応が前と違って安心するんだ」
- 168 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時20分42秒
- 「前?」
「前の…前のあの子は…泣いてた。」
「……」
「泣いてたんだよ。後藤に抱かれて、それでそのときもその後も泣いてた」
「そう、ですか」
あの子の話やっぱり聴きたくないけど、それでもやっぱり聞いていた。
「うん。泣いてた」
「そやけど、でもそやから、うちはその子とは違うんですよ」
「……うん」
「気持ちの問題…、でもうちは後藤はんのこと本当に好きやし」
「うん。わかるよ。信じるよ」
「はい。信じててくださいそして」
「うん。後藤見てるよ。亜衣ちゃんのことずっと見てるよ」
「はい。あ、でもときには、忘れてもいいですよ?」
「むっ、なんでそういうこというかなぁ〜?」
「あはははっ冗談れす」
なんやろ?先が…わかってるのに、なんでこんな風に余裕でいられるんやろ?
うち、初めてあんなことして、どっか変化しとるんやろうか?
でもそんなにいきなり?
「あはっなんかまるで逆だね」
「え?」
- 169 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時21分13秒
- 「であったころは後藤がリードしてた感じだったのに、それにエッチのときだって後藤が攻めてたのに、今はなんか亜衣ちゃんのほうが大人」
「そ、そうでっか?」
「…うん。亜衣ちゃんのほうが大人になってる。変なの」
「に、人間って言うものはときとして大人になったり子供になったりするんです」
「あははっなんかうそくさぁ〜」
「ほ、ほっとけ、です」
「あはははははっ」
それからうちらはしばらくいろんな話をして、笑ったり、突っ込みいれたり、ボケたりしながら
幸せな、ただ幸せなときをすごした。
うちはそうして後藤はんとしゃべってることと、そしていつのまにか消えていた、でもいつも感じていた後藤はんの影みたいなもんが
消えていることにうれしさを感じていた。
うちでも、人に役立てることがあるんやって。
それが、好きな人相手なんやって。
それが…なんや幸せだった。
自信が…ついた気がする。
その相手が後藤はんだっていうのも含めて。
そういうの全部含めて。全部…。
- 170 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時21分46秒
- 171 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年05月08日(木)19時22分41秒
- 翌日。
自宅。
「いよいよ、か」
「………」
「んー?どうしたんだぁ?もう余裕のある亜衣ちゃんじゃなくなったかぁ?」
別れの日。うちは、覚悟したつもりなのに、あのホテルのときは笑えてたのに、
そのときはやっぱり暗い顔をしていた。
そんな暗い顔をするうちを後藤はんは、ふざけた様子で、
うちの頬なんかをぷにぷにとつついてくる。
「や、やめてくださいよ」
「あはっ。いやがってるぅ〜!」
「か、からかわんといてください」
「あはははぁ〜。」
「ったくもう」
「あはははっ」
「……」
「あははははっ」
「…もう笑いすぎですよ!!」
「…ねぇ亜衣ちゃん」
「え?なんですか?」
今まで悪いけどアホみたいに笑っていた後藤はんが、
ふいに真剣な目をしてうちを見つめてきた。
「いつか、いつか後藤また戻ってくるよ」
「え?」
- 172 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年05月08日(木)19時23分13秒
- 「いつか、そうだね。この地球が緑でいっぱいになったときそのときに戻ってくるよ」
緑でいっぱいになったとき、か。
そやけど後藤はん、この地球にはいろんな人がいて、いろんな事情があって、そんな風にうまく生かせるのはやっぱりむずかしいと思います。
うちはそう言おうかと思った。
思ったんやけど、けど、うちの口からでた言葉はそれとはまったく違ったものだった。
「はい。待ってます!」
「うん。待っててきっとね。緑でいっぱいになったときは、なんでだぁって、原因をさぐれ!ってことになって、
後藤の星の上の人も後藤に任務をくれると思うんだ。」
「そう…ですか…それじゃあうち、きっとここを、この地球を緑でいっぱいの
花でいっぱいのきれいな地球にしますよ。うちがそう…」
- 173 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年05月08日(木)19時23分45秒
- 言いかけて涙が出て、それでもなんとかそのときのうちが言いたかったことを言い終えることができた。
きっと泣き出しそうな様子を見て、後藤はんも気づいてたと思う。
それをうちが無理やってわかってるって。
そやけど、後藤はんは相変わらず元気な調子で言葉を続けた。
「うん。あははっ。そしたら後藤は原因の分かってること、亜衣ちゃんがこの地球をきれいにしたんだって原因がわかってることを調査しちゃうんだね」
「そう、ですね。はははっ。ははっ。ひっく、で、でも、そやけどそのときは上の人には黙ってないといけませんよ?」
「うん。わかってる。だから亜衣ちゃんもがんばってね。後藤もがんばるよ」
「はい。はい!」
「うん。うん!」
そして二人は絶対離れたくないって、少なくともうちはそんな気持ちがいっぱいの状態で、抱きしめあった。
ぎゅって力強く。本当にくっついてもうたんやないかってぐらい強く抱きしめあった。
なんやしらんけど、そうして後藤はんと抱き合ってるうちに、無理やって絶対無理何やろうなって思っていた、
この地球を緑いっぱいに、花いっぱいにするっていう約束を、なんかかなえられるかもしれないって。
その努力をするんも悪くないなって思えてきていた。
根拠のない、ぜんぜん根拠のない自信みたいなのがわいてきていた。
やっぱり恋っていろいろあるけど、勇気もくれるもんなんやって強く実感していた。
- 174 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年05月08日(木)19時24分16秒
そして後藤はんはいなくなった。
- 175 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年05月08日(木)19時24分47秒
- 「…やっぱぁり…あなたが大好きぃ〜…か…」
うちは一人…朝もやの見える道を歩いていた。
初めての朝帰り…これってうちらの年では早いことなんかなぁ。遅いことなんやろうか?
遅いってことは…ないんやろうなぁ。
「…あ、あいぼん!」
「へ?」
帰り道、うちの家の前にののが立っとった。
なんでおるんやろう?
「あいぼん…大丈夫れすか!?」
ののは相変わらずの舌ったらずな様子で、うちに近づいてくる。
走りよってくる。
うち、なんかその…いつものののらしい様子を見て、笑いがこみあげてきた。
なんでやろ?
なんでやろうって思った。
笑う状況ちゃうんやろうに。
「はれ?なんで笑ってるんれすか?もしかして…ああ〜!なんれすか!?なんれすかぁ!?あいぼんもしかして後藤さんとぉ!?」
「…へへ、内緒や」
「ええ〜?教えてくらはいよぉ〜!ずるいれすよぉ〜!?ののはいつもよっすぃ〜とのこと教えてるじゃないれすかぁ?」
- 176 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年05月08日(木)19時25分18秒
- 「ののは、教えたいから教えてるんやろ?」
「そ、そうともいいますねぇ〜」
「な、のの。」
「はい?」
「うち、最後は笑いたかったんや」
「はぁ…はい」
「最後はな笑いたかったんや」
「…はい」
「そやからがんばった」
「そう、れすか。」
「うん。うちがんばるの割と好きや」
「そう…れすか?」
それからののは、いまいち状態を理解しておらんきょとんとした顔で、うちと一緒におばあはんの待ってる家へと入っていった。
これから…うちはののにいろんなことを話そうと思う。
いろんな、後藤はんのいろんなことを話してみよう。
そうすれば、きっとつらい気持ちも…少しは癒えるんやないかって思う。
- 177 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年05月08日(木)19時25分50秒
それから数週間後。
- 178 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年05月08日(木)19時26分29秒
- それから、後藤はんはいなくなって、そんで、あいかわらずの地球。
つらいと思うこともあった。なんや知らんけどつらすぎて、
暗くなってまうことも泣いてまうこともあった。
そやけど、うちはこうして死なずに相変わらず生きている。
そして、前以上に熱心に花をうえたりしている。
図書館のイベントで風船に花のたねをつけておくったりしたりもした。
そういうちっさな努力をしたりていた。
そうすることで、さびしいって気持ちも、なんかやわらぐ、
そんな気がしていた。
そして今日も園芸部で元気にせっせと鉢植えとご対面しとる。
「こぉら!!加護ぉ〜!!」
「あ、中澤先生や、やばぁ〜」
「なに?あいぼん裕ちゃんになにかしたの?」
「ま、まぁな。ちょっとしたいたずらを」
のんきに疑問を口にする安倍先輩にうちは、机に隠れながら返事を返す。
「加護ぉ〜お前うちの命より大切な、大切な仕事の前のいっぱいのビールに…!」
そうや、うちは花を植えるんや。
そやから、中澤先生のビールにも花をいけてやったんや。
なんせうちは地球全部を花に変えないといけんからな。
手始めの難関はまず中澤先生の愛するビールやと思ったんや!
まぁ、花がかわいそうやし、とりあえず造花っちゅうことにしといたけどな!
うちの計画はちゃくちゃくと進んでんねん。
そして…そしてうちはいつか。
「ちょぉっと裕ちゃん今の聞き捨てならないなぁ。」
「へ?な、なんで怒ってるの?なっち?」
- 179 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年05月08日(木)19時27分01秒
- 「かわいくしなつくってるけどさぁ。今の発言。つまり裕ちゃんは命の次に自分、その次がなっちだってこと?なっちよりビールってこと?」
「あ、あれは…そりゃ口から出ただけやぁん。ついやよぉ〜ついぃ〜」
「つい?つい本心が出た?」
「い、いやぁん。突っ込みきついわぁ」
「…もうっ!!裕ちゃん」
「あははははっ相変わらずアホやなぁ。」
「中澤先生は安倍先輩にはかなわないんれすねぇ〜」
「そうだな。アタシはののにかなわないけどね」
「てへへへっててれますねぇ」
「………」
そしていつか、いつかずっと遠いかもしれない未来に、後藤はんと会うために、
うちはがんばるんや!
- 180 名前:恋する気分と歌と君そして…花! 投稿日:2003年05月08日(木)19時27分37秒
終わり。
- 181 名前:カヲル 投稿日:2003年05月08日(木)19時29分14秒
- はい、終わりました。
んーと、ここまで読んでくださった皆様ありがとーございました。
エロ…自信ないからとっとと流しました。
ちなみに、後藤さんと前に恋愛した相手は高橋さんです。
どーでもいいことですが、そう決めてました。
んでは〜。
- 182 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月09日(金)10時20分13秒
- 完結おめでとうございます。
おつかれさまでした。
恋愛モノといえばそうなんでしょうが、
加護の成長物語として楽しめました。
エロを含んでいたのに(のにってのも変だけど)
爽やかな話になっていて読みやすかったです。
加護に会う前の後藤の話なんかも読んでみたくなりました。
次回作も期待しています。
- 183 名前:カヲル 投稿日:2003年05月09日(金)11時42分47秒
- ありがとうございます。
だいぶ前に終わっていたので、直しをしただけなんですが。
わかりずらいところもあったと思いますが…。
>加護の成長物語として楽しめました。
そうですね、なんか成長物って感じになりましたね。
読みやすかったですか?それはどうもです。
>加護に会う前の後藤の話なんかも読んでみたくなりました。
書けたら書いてサイトに出させていただこうかと思っています。
テーマまた歌になりそうですが。
>次回作も期待しています。
ありがとーございます。
とてもうれしいです。
- 184 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月09日(金)22時50分33秒
- 完結お疲れ様でした。
とにかく加護が可愛くって、激しく癒されました。
どこか暖かくて優しい雰囲気がとても好きでした。
私も、次回作期待しています!
- 185 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月10日(土)09時41分46秒
- おもしろかったです。
やっぱカヲルさんの作品はいいなぁ。
こんなとこで申し訳ないのですが
カヲル様のサイト教えていただけないでしょうか?
新しいメアドと思われるほうに送っても返ってきちゃうんで。
- 186 名前:カヲル 投稿日:2003年05月10日(土)15時38分49秒
- ありがとうございます。
加護さんかわいくなっていましたか?
それはよかったです。
加護さんの元気なところと生意気だけどでもかわいいところを出したかったので。
やさしい雰囲気、なってたならうれしいです。
次回作…もっとがんばりたいと思います。
- 187 名前:カヲル 投稿日:2003年05月10日(土)15時43分42秒
- >おもしろかったです。
ありがとうございます。
>やっぱカヲルさんの作品はいいなぁ。
いいですか?ありがとーございます。
自分ではあんまり特徴ないなと思った作品なんですが、そう言っていただけると
とても…感謝感謝です。
いえいえ、どんなところでもこんなところでも。
メール?あれ?まただめでした?
っかしいな?なんでだろう?
えと、サイトアドレスは、
http://page.freett.com/Oruka/index.htm
です。
最初に問題がありますが、18歳以上さんならどなたでも、ですから。
入れなかったら、とりあえずメールくらさい。
Converted by dat2html.pl 1.0