プッチモ二2〜廻る絆〜

1 名前:HJH 投稿日:2003年03月03日(月)22時29分10秒
登場人物は、後藤・吉澤・保田の3人。
更新は不定期ですが、なるべく短期間で完結を目指します。
感想レスとかもらえたら、小躍りして喜びます(w
2 名前:【プッチモ二2〜廻る絆〜】 投稿日:2003年03月03日(月)22時30分49秒


全ての出逢いは、偶然なんだろうか?


それとも、必然?


答えは───────

 
3 名前:-Chapter 1 独り- 投稿日:2003年03月03日(月)22時32分06秒


・・・ここは、何処?

 
4 名前:-Chapter 1 独り- 投稿日:2003年03月03日(月)22時33分07秒


アタシは、昨日17歳になった。

横浜アリーナでコンサートをして”モーニング娘。”を卒業した。


今日からはソロとして、一人のソロアーティストとして、

新しい日々が始まるんだ。

もう誰にも頼れない、一人で歩いて行かなきゃいけない。

 
5 名前:-Chapter 1 独り- 投稿日:2003年03月03日(月)22時35分19秒


今は、ドラマの撮影中だったはずで・・・。

その待ち時間、広い移動車の中で一人寂しく、

CDウォークマンにお気に入りのCDをセットして、ひと眠り。


紺のブレザーに、緑と紺のチェックのスカート、そして紺のリボン。

紺のハイソックスに、黒いローファーを履いて・・・うん、間違いない。

アタシの格好は、衣装の制服のままだ。

 
6 名前:-Chapter 1 独り- 投稿日:2003年03月03日(月)22時37分16秒


それじゃ・・・此処は、いったい何処なの?


目の前に広がるのは、荒れた海と灰色の雲に覆われた空。

背後に広がるのは、鬱蒼と茂った気味の悪い森林だけ。

誰もいない、きっとここには誰もいないんだ。


アタシは、独り?

 
7 名前:-Chapter 1 独り- 投稿日:2003年03月03日(月)22時39分07秒


「いったいなんなのよぉ・・・わけ、わかんないよ・・・」


とりあえず、辺りを散策してみよう。

此処にいたってきっと、どうにもならないことは容易に想像できるから。


ただでさえ、荒れ気味の空模様。

不用意に森林の中に足を踏み入れるのは、利口な選択ではない。

それくらい、バカなアタシにだって分かること。

 
8 名前:-Chapter 1 独り- 投稿日:2003年03月03日(月)22時40分52秒


海沿いに歩を進めた。

辺りに目を配りながら一歩、また一歩と。

歩けど歩けど何もない、誰もいない。


本当に、此処は何処なのさ・・・。


どれくらい、歩いたんだろうか?

1時間?それとも、2時間?

ああ、もうダメなんだ・・・アタシ、このまま死ぬのかな?

 
9 名前:-Chapter 1 独り- 投稿日:2003年03月03日(月)22時42分16秒


───よしこ、ゴメン。

今日会う約束、守れそうにないよ・・・きっと、もう会えないんだね。

初めて出来た、アタシの大切な大切な親友”吉澤ひとみ”

 
10 名前:-Chapter 1 独り- 投稿日:2003年03月03日(月)22時43分40秒


自分の意思とは無関係に膨らんでいく虚像。

”モーニング娘。の後藤真希”という存在。

いつだって、そのイメージってものが付きまとって離れない。

プレッシャーに押しつぶされそうな日もあった。

自分自身を忘れてしまいそうになった日もあった。


そんな中で唯一、アタシがアタシでいられる場所。

それが、よしこといる時だったんだよ。

 
11 名前:-Chapter 1 独り- 投稿日:2003年03月03日(月)22時45分02秒


『アタシが卒業したら、こんな風には会えなくなっちゃうよね』


あの日、そんなアタシの言葉に、よしこは言ってくれたよね。


『バカだなぁ、ごっちん・・・ウチは何時だって、傍にいるよ?』

『ごっちんは、ウチの大事な大事な、そして自慢の親友なんだから』

『色々あると思うけど、どんな時だって絶対ウチが一番に駆けつける!』


そう言って、いつものように優しく微笑んでくれたんだよね。

 
12 名前:川o・-・)ダメです… 投稿日:川o・-・)ダメです…
川o・-・)ダメです…
13 名前:-Chapter 1 独り- 投稿日:2003年03月03日(月)22時48分29秒


だから、急に決まって戸惑ってた卒業も受け入れることができたんだ。

一人でも、頑張れるって思えたんだよ?


「よしこぉ・・・会いに、来てよぉ・・・此処、何処なの?ねぇ、よしこぉ・・・」

 
14 名前:-Chapter 1 独り- 投稿日:2003年03月03日(月)22時49分20秒


不安と恐怖で頬を伝う涙、こんな涙を止める方法なんて知らないよ。

独りの不安、そして恐怖。

ねぇ、よしこが一番に駆けつけてくれるんでしょ?


早く、会いに来てよ。


「・・・よしこぉ・・・」

15 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)22時50分46秒


「・・・すか?・・・・・・・・・・・・だい・・・・・ぶ・・・・ですか?」


ん?いつの間にか寝ちゃってたのか・・・こんな状況でも寝れるなんて、

アタシってどういう神経してるんだろ?


「目、覚めました?大丈夫ですか?」


ゆっくりと目を開けると、目の前に一人の女の子。

 
16 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)22時52分22秒


「・・・よしこっ?!!!」

「よしこ?・・・ウチは、ひとみですけど?・・・吉澤ひとみ」


吉澤ひとみって・・・よしこ、じゃんね?

どっからどう見たって・・・あれ?・・・よしこ、痩せた?

髪も黒髪のショートだし、それになんだか、ちょっと雰囲気が違うかも。

水色がかったグレーのスカートに、同色の襟とタイの半袖のセーラー服。

その格好って・・・コスプレってやつ?

 
17 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)22時53分40秒


「お姉さんは、高校生ですか?」


お姉さんって・・・本当に、よしこじゃないの?

そういば、ちょっと若いかもしれない。

っていうか、なんでこの子まだ夏服なんだろ?

 
18 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)22時54分56秒


「アタシは、後藤真希・・・17歳だけど、高校生じゃないよ。
 ・・・制服を着てるのは、衣装だから」

「17歳かぁ、じゃウチよりも3つ上ですね・・・衣装って?」

「ドラマの撮影中に、気がついたら此処にいたんだ」

「ドラマって・・・お姉さ・・・後藤さんは、芸能人なんですか?」

「ん、まぁ・・・一応、昨日までは”モーニング娘。”ってグループにいた。
 卒業して、今日からソロになったんだけど・・・っていうか、ここ何処?」

 
19 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)22時56分16秒


”モーニング娘。”の後藤真希を知らない中学生ってどうなのさ。

・・・アタシってば、ちょっと自意識過剰?

それにしても、やっぱりこの子って出会った頃のよしこにそっくりだなぁ。


目の前の、よしこにソックリな中学生の吉澤ひとみさんは眉を顰めた。

何?なんだっていうのさ・・・。

 
20 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)22時57分09秒


「ウチは、夏休みの補習授業を受けるために学校に向かってました。
 電車に乗ってたはずなのに、気がついたら此処にいたんです」


・・・今、夏休みの補習って言ったよね?

もう9月も終わりだっていうのに、夏休みってどういうことなの?

 
21 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)22時58分26秒


「もしかして、此処はウチ達がいた世界とは違う世界なのかも・・・。
 それに、ウチと後藤さんも違う世界から来たのかもしれない」

「ふぇ?違う、世界・・・?」

「はい・・・ウチは”モーニング娘。”ってグループ、知ってますよ。
 でも”モーニング娘。”には、後藤真希っていう人はいないんです」

「後藤真希は、いない?・・・それって、12人ってこと?」

「”モーニング娘。”は、7人だったかな?たしか今、テレビ番組で、
 3期メンバーのオーディションをやってたと思いますけど・・・」

 
22 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)22時59分33秒


「ねぇ、待って・・・今日は、何年の何月何日?」

「1999年の8月7日、ですよね?」


ちょっと待って、どういうこと?

訳が、わからないよ・・・。

それぞれ違う時空から、この場所に飛ばされてきてたってことなの?

 
23 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)23時00分28秒


「アタシがいたのは・・・2002年の9月24日だよ?」

「2002年?・・・3年後・・・ってことは、ウチ達タメってことですか?」


やっぱり、この子は、よしこなの?

中学生2年生の頃の、まだアタシ達が出会ってもいなかった頃の・・・。

 
24 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)23時01分44秒


「あのさ、吉澤さんって、もしかして1985年4月12日生まれのO型?
 埼玉に住んでて、弟が2人いたりする?バレーボールとかやってる?」

「なんで!?なんで、知ってるんですか、ウチのこと!??」


間違いない、この子は・・・よしこだ。

中学2年生の、よしこなんだ─────

 
25 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)23時02分52秒


「でも、バレーボールは・・・この前、辞めちゃったんですけどね」


そういえば、よしこに聞いたことがある。

中2の夏頃に、部内で揉め事があってバレー部を辞めたって・・・。

 
26 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)23時03分42秒


「あのさ、吉澤さんは、やっぱりよしこだよ?」

「・・・よしこって?」

「あだ名だよ!他のメンバーは、よっすぃ〜って呼んでたんだけど。
 アタシは、よしこって呼んでるんだ・・・」

「・・・他の、メンバー?」

「他のメンバーっていうのは”モーニング娘。”の他のメンバーだよ。
 よしこは、4期メンバーとして”モーニング娘。”に加入したんだ」

「ウチが、モーニング娘。のメンバーに・・・!?」

 
27 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)23時04分48秒


「後藤っ!?吉澤っ!?」


突然、森林の方からアタシ達を呼ぶ声がした。

すごく、聞きなれた声。


「圭ちゃんっ!!!なんで、なんで此処にいるの!??」


圭ちゃんも、どこからか飛ばされてきたっていうの?

本当に、なんなのさ・・・此処は、いったい何処だっていうのよ。

 
28 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)23時06分05秒


「此処、どこなの?ってか、あんた達なんで制服なのよ!?」


圭ちゃんは、アタシの知ってる圭ちゃんと特別変わった所はない。

きっと、アタシと比較的近い時空から来たに違いない。

 
29 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)23時07分09秒


「アタシは今日、2002年9月24日に、ドラマの撮影をしていたはずが、
 気がついたら此処にいた・・・よしこは今、中2の夏休みって言ってる」


圭ちゃんは、訳わかんないこと言ってんじゃないわよって感じの顔。

そりゃ、そうだ・・・アタシだって訳わかんないよ。

 
30 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)23時08分18秒


「でもたしかに、吉澤は加入してきた当初の雰囲気に近い感じするわ。
 わたしは・・・今日は2003年5月6日、娘。を卒業した翌日よ」

「圭ちゃん、卒業・・・5月6日に決まったんだ?」

「決まったっていうか、もう昨日卒業したんだけどね」


そうか・・・圭ちゃんはアタシがいたより数ヶ月先の時空から来たんだ。

ってことは、わたしが突然消えたこと、当然知ってるはずだよね!?

 
31 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)23時09分20秒


「ってゆうか、圭ちゃん!わたしはどうなったの!?消えた後!」

「消えてなんか、いないわよ?」

「へっ?」

「あんたは卒業後も、普通に仕事してたわよ?」

「どういうこと?」

「だから、あんたは消えてないのよ・・・それに、よく考えてみなさい。
 吉澤、中2なんでしょ?でも、わたし達は中3の吉澤に出会ってる。
 つまり吉澤は・・・中2の時に消えてなんていないってことじゃない?」

 
32 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)23時10分20秒


「それってつまり、どういうこと?」

「わたしだってわかんないわよ!でもまあ、いいように解釈するなら、
 それぞれが、元居た時空に無事帰れるってことなんじゃないかしら?」

「じゃあ、よしこは加入当時、すでにアタシや圭ちゃんのこと・・・」

「それはどうかな?戻った時に此処での記憶が残ってるとは限らないし。
 でも、吉澤って何考えてるのかわかんないようなとことろがあるから、
 知ってて黙ってたってことも、あながち否定はできない話よね」


そう言うと、圭ちゃんは少しだけ笑った。

それにつられて、アタシも此処に来てから初めての笑顔になれた。

 
33 名前:-Chapter 2 再会- 投稿日:2003年03月03日(月)23時13分08秒


「あのぉ・・・なんか、ウチまったく話が見えないんですけど」


それまで黙っていたよしこが、口を挟んできた。

そりゃ、そうだ・・・今のよしこにとっては、アタシも圭ちゃんも知らない人。

知らない人が、未来の自分のことを話してるんだもんね。

 
34 名前:HJH 投稿日:2003年03月03日(月)23時16分36秒

今日はとりあえず更新終了。
そんな長くないんで、あと2回か3回くらいの更新で終わります。
読んでくださってる方がいたら、感想等頂けたら嬉しいです。
 
35 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月03日(月)23時25分29秒
おお! 面白そうな新作が
設定がいいですね、2期プッチ好きなんで期待してます。
36 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月04日(火)16時01分08秒
川o・-・)ノ< 期待してます。頑張ってください。
37 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月04日(火)18時08分53秒
面白そうですね。
あと2、3回で終わってしまうのが勿体無い感じがします。
38 名前:訂正箇所 投稿日:2003年03月04日(火)21時12分33秒

>>12
削除依頼済み

>>23
×中学生2年生の頃の、まだアタシ達が出会ってもいなかった頃の・・・。

○中学2年生の頃の、まだアタシ達が出会ってもいなかった頃の・・・。

>>26
×「ウチが、モーニング娘。のメンバーに・・・!?」

○「ウチが、”モーニング娘。”のメンバーに・・・!?」

>>30
×「圭ちゃん、卒業・・・5月6日に決まったんだ?」

○「圭ちゃん、卒業・・・5月5日に決まったんだ?」

何度もチェックしてからUPしたんですけどね(汗)
今後は誤字脱字等に十分気をつけたいと思います。
 
39 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時14分19秒


「そぅとぅ・・・はいっ!」

「そーとー?」

「違うよぉ〜、そぅとぅ・・・はい、もう一度!」

「そぅとぅ」

「OK!OK!OK牧場!!さすが、よしこは飲み込み早いね」

「OK、牧場?・・・なんか後藤さんっておもしろいですねぇ。
 かわいい顔して変な言葉とかいっぱい使うし、なんかかっこいいです」

「違うっ!よしこは、かっこいいじゃなくて”かっけー”でしょ?」

「かっけー?」

 
40 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時16分13秒


夜が来る前に、なんとか枯れ木を拾い集めて火を起こした。

圭ちゃんの持ち物の中にライターがあったのは不幸中の幸いだね。

それから、よしこの持っていたお弁当を皆で分けて食べた。

移動車の中で寝ていたアタシは、もちろん何も持っていなかったけど。

・・・2人がいてくれて、本当によかったな。

 
41 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時18分52秒
「ははっ、こんな状況だってのに、あんた達のやりとり見てたら笑えるわ。
 吉澤の名言の数々って、実は後藤が教えたんじゃない?」

「えぇ〜、アタシはよしこに教え込まれたんだよぉ?」

「だって、何も知らない中2の吉澤に今それを教えているのは後藤でしょ?
 なんか卵が先か鶏が先か、みたいな話だけど」

「そっか、そっか・・・じゃ、よしこはやっぱりこのこと知ってたのかなぁ?」

「さぁ、どうかしらね?無事に帰れたら、本人に聞いてみたらいいじゃない。
 今日、吉澤と会う約束してたんでしょ?」

「うん・・・」

 
42 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時20分56秒


アタシ、今日の約束守れるのかなぁ?


『ごっちんのことだから、”寂しいよぉ”ってなるのは目に見えてるからね!
 明日の仕事終わったら2人でカラオケでも行って騒ごうよ』

笑いながらそう言ってくれたのは、つい昨日の出来事。


もしも、このまま元の世界に帰れなかったら────

 
43 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時22分31秒


”クシュンッ”


「・・・なんか、夜はやっぱり結構冷えますよね」


そっか、よしこは夏服なんだ・・・そんな格好じゃ冷えるに決まってるよ。

ただでさえ、体調崩しやすい体質だっていうのにさ。

 
44 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時23分37秒


「はい、アタシのブレザー着てていいから」


アタシはブレザーを脱いで渡そうとしたけど、よしこは受け取らない。

遠慮しなくていいのに、そういうところ昔からだったんだね。

 
45 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時24分44秒


「アタシは平気だよ?シャツも長袖だしさ、それに体温高いんだよね」

「だけど、そんな・・・悪いですよ」

「中学生が遠慮なんかしなくていいの!こういう時は素直にお姉さんに
 甘えておきなさいって、ね?」

「はい、ありがとうございます!」

 
46 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時25分53秒


アタシの手からブレザーを受け取ったよしこは、初めて笑顔を見せた。

その笑顔に、なんだかすごく心が落ち着いた気がするよ。

いつもアタシを元気付けてきてくれた、よしこの笑顔と同じだったから。

 
47 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時27分08秒


「ははっ、後藤がお姉さんねぇ・・・いつもは吉澤に甘えてばかりじゃない」

「むぅ、ヒドイよ圭ちゃん!そんなこと・・・」

「そんなこと、あるでしょ?」

「・・・ですね」

 
48 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時28分12秒


アタシと圭ちゃんは顔を見合わせて笑った。

お腹抱えて、大きな声で、いっぱいいっぱい笑ったんだ。

そんなアタシ達につられて、いつの間にかよしこも笑ってた。

何処だかわかんないこんな場所に居たって、全然心細くなんかないよ。

だってアタシ達3人は、最強のプッチモニだったんだもんね!

ずっと、ずっと一緒に居たかったな・・・。

 
49 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時29分58秒


「さてと、いつまでもバカやってないであんた達はそろそろ寝なさい」

「圭ちゃんは?」

「わたしは起きて見張り番でもしておくわ、何があるかわかんないしね」

「それじゃ保田さんが寝れないじゃないですか、交代にしましょうよ」

「いつもなら頼りにするところだけど、中学生に見張りはさせられない。
 後藤は・・・見張りどころか、起きてること自体が無理な話よね」

 
50 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時31分34秒


さすが圭ちゃん、アタシのことよくわかってるね。

だけど、圭ちゃんだけに見張りさせるのはさすがに気が引ける。

いつ元の世界に帰れるのかもわかんないんだし。


「いいよ、アタシと圭ちゃんで交代制にしよう」

 
51 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時32分36秒


「後藤、大丈夫なの?気がついたら寝てたりするんじゃない?」

「ん〜、一度寝たら多分朝まで起きれないからさ、圭ちゃん先寝なよ」

「じゃ、そうしようか・・・ねぇ、あんた達の時計は今何時?」

「11時半だよ」

「ウチも11時半です・・・あの、ウチも見張り交代しますよ」

「吉澤はいいってば!わたしの時計も11時半だわ・・・。
 あってるかってのは別にして、この時間で行動することにしましょう」

「そうだね、わかった」

 
52 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時33分44秒


腕時計のアラームを4時間後にセットすると、圭ちゃんは眠りについた。

あっという間に規則正しい寝息が聞こえてくる。

圭ちゃんも、やっぱり疲れてたんだね・・・。

 
53 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時35分23秒


「保田さんって、優しい人なんですね」


圭ちゃんが眠りについた後、よしこが突然そんなことを言い出した。


「ん?」

「ウチ、保田さんはテレビで見たことあるんですけど。
 なんて言うか・・・もっと、怖い感じの人なのかなぁ?って思ってました」

「アハハ、よしこ前にもそんなようなこと言ってた気がするなぁ」

「そうなんですか?」

「うん、なんか不思議な気分だね」

「そうですねぇ・・・」

 
54 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時37分18秒


しばらくすると、よしこは眠そうに目を擦りはじめた。

アタシや圭ちゃんは、仕事柄あんまり寝れないのには慣れている。

でも、今のよしこは普通の中学生なんだもんね。

 
55 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時38分26秒


「よしこも寝ていいんだよ?」


自分も起きてるって言ってきかないよしこを、何とか宥めて横にならせた。

鞄を枕にしたよしこは、寝つけないようで何度も寝返りを打っている。

 
56 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時39分59秒


「よしこ・・・寝れないの?」

「はい、なんとなく落ち着かなくて」

「そっか、やっぱりこんなわけわかんない状況じゃ、不安だし怖いよね」

「そんなんじゃないです、ウチは全然怖くなんか・・・」


あはっ、そういう素直じゃないところも昔からなんだね。

さっきからずっと、よしこの手が微かに震えてたこと気付いてたよ?

 
57 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時41分13秒


「そっだ!アタシが膝枕してあげるからさ、こっちおいでよ」

「へっ?そ、そんな・・・いいですよ、ウチのこと子供扱いしないでください」

「アタシさ、ちょっと前なんだけど、不眠症?ってやつだったんだよね」

「えっ?」

「卒業が近付くにつれて、一人になることに対してのプレッシャーとか、
 不安とかで押しつぶされそうになっててさ、全然寝れなくなっちゃって」

 
58 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時42分23秒


夜、一人になると、いつもきまって余計なことばかり考えてた。

怖くて不安で、眠れなくなった。


「それで、楽屋とかで眠そうにしてたらね、よしこが膝枕してくれたの。
 ただ黙って頭を撫でてくれて・・・そしたら不思議と安心して眠れたんだ」

「ウチと後藤さんって、仲良しなんですか?」


アタシとよしこは────

 
59 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時43分35秒


「親友だよ!よしこはアタシの大事な大事な、そして自慢の親友なんだ!」

「大事な・・・大事な・・・自慢の親友・・・?」

「うん、よしこがアタシのこと、そう言ってくれてたんだよ?」

「そっか・・・」


よしこは、アタシの膝の上に頭を乗せるとゆっくり目を閉じた。

 
60 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時45分20秒


アタシは、ただ黙って頭を撫でてあげた・・・よしこがしてくれたみたいに。

そしたら、安心したのかな?よしこはぐっすり眠ってしまったんだ。


「おやすみ、よしこ・・・」

 
61 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時46分00秒


”ピピッ、ピピッ、ピピッ、ピピッ”


「ん・・・」

「圭ちゃん、起きたの?」


時計のアラームが鳴ると同時に、圭ちゃんがゴソゴソと起きてきた。

 
62 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時47分11秒


「・・・おはよ・・・ん?・・・吉澤、膝枕してんの?」

「寝つけなかったみたいだからさ、いつもよしこがしてくれてたみたいに
 膝枕して頭撫でてあげたら、即効寝ちゃったよ」

「そっか・・・あんた達、楽屋でよくやってたもんね」

 
63 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時48分51秒


なんか、さすがにアタシも眠くなってきた・・・。

よしこを膝枕してるから、この体勢じゃ寝るに寝れない。


「わたしに凭れ掛かっていいからさ、後藤もはやく寝なさい。
 吉澤、膝枕してるから横になれないんでしょ?」

 
64 名前:-Chapter 3 卵が先か鶏が先か- 投稿日:2003年03月04日(火)21時50分28秒


「ありがと・・・おやすみ、圭ちゃん」

「ん、おやすみ」


アタシは、圭ちゃんの肩に凭れ掛かると同時に眠りへとおちていった。

 
65 名前:HJH 投稿日:2003年03月04日(火)22時03分36秒

今日の更新はここまでです。
やっと後藤さんの長い一日が終わりました。
ちょっと話が淡々と進みすぎかな?
でもまぁ、メンバーが2期プッチだしマターリ行きます(w

>>35 名無し読者様
自分も2期プッチが大好きです。
このメンバーだけで、恋愛からまないやつ書いてみたかったんです。

>>36 名無し読者様
ありがとうございます。
期待に答えられるかわかりませんが、自分なりに頑張ります。

>>37 名無し読者様
一応短編のつもりなんでそんなに長くはならないと思うんですが、
実はまだ先の展開は未定だったりします(w
 
66 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月05日(水)01時07分18秒
やばい、さっそく泣けてきた。
そりゃもう、二期プッチは最強でした。
更新ガンガッて下さい。
67 名前:某サイトの某管理人 投稿日:2003年03月06日(木)19時22分52秒
早速読ませてもらいました。
いい感じじゃないですか〜
ってかすっかりはまりました(笑)
続き、楽しみにしてますので、頑張ってください^^
68 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月06日(木)23時09分37秒
すごくおもしろいです。
続き期待です。
69 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)03時56分52秒


暖かい・・・。

誰かがアタシの頭を撫でてくれている。

この手、アタシは知ってるよ。

アタシが辛いとき、困ったとき、いつでも一番に差し伸べられてきた手。


ああ、夢だったんだ・・・全部、全部夢だったんだよね・・・?

 
70 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)03時58分52秒


「・・・ん・・・んぁ・・・よしこ・・・?」

「あ、目覚めました?おはようございます」


目を開けると、中2のよしこが其処にいて、アタシの顔を覗き込んでた。

よしこだけど、よしこじゃない、よしこ。

う〜ん・・・訳わかんないわ、やっぱり・・・。

 
71 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)04時00分57秒


「おはよ、よしこ!膝枕、してくれてたんだ?」

「疲れてるだろうから起きるまでこうしててやれって、保田さんが・・・。
 ウチのこと膝枕してたから、後藤さん横になれなかったんですよね?」

「あ〜、気にしないで?アタシが自分から、してあげるって言ったんだし」

「ウチ、後藤さんみたいな優しくてかわいいお姉ちゃんが欲しかったなぁ。
 弟しかいないから、お姉ちゃんってなんか憧れる」

「ハハッ、アタシがお姉ちゃんかぁ?昨日の夜、圭ちゃんも言ってたけどさ、
 よしこの方がアタシのこと、いろいろ世話焼いてくれてんだよ?」

「なぁ〜んか、信じられないなぁ・・・」

 
72 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)04時02分43秒


いつでも優しくて、タメなのにアタシよりも全然大人で。

『しょうがないなぁ、ごっちんは』なんて言いながら、世話焼いてくれて。

いつだってアタシは、よしこに甘えてばっかりだったよね。

 
73 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)04時04分15秒


「ま、ここにいる間はさ、アタシのことお姉ちゃんだと思って甘えていいよ」

「やったぁ!お姉ちゃ〜ん、おなかすいたよぉ〜」

「いま食べさせてあげるからねぇ!・・・ってゴマキペンギンかよっ!!」

「なんですか、それ?」

「んぁ?ま〜、これもきっと数年後にわかるよ・・・ところで、圭ちゃんは?」

「あ・・・後藤さんが起きるまで、近くを散策してみるって言ってました」


散策って・・・こんなわけわからない場所を、よく一人で出歩けるよ・・・。

前から思ってたけどさ、圭ちゃんって変なとこ好奇心旺盛だよね?

 
74 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)04時06分10秒


「お〜い!後藤っ!吉澤ぁ〜〜っ!!」


森林の奥から、こっちに向かって走ってくる圭ちゃんが見えた。

勇気あるなぁ、圭ちゃん・・・よく迷わずに戻ってこれたね。


「圭ちゃ〜ん!どしたぁ〜!?」

「家〜!この森の奥に、空き家があるよ!!」

「「家っ!!!?」」

 
75 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)04時07分38秒


圭ちゃんに連れられて、アタシ達は空き家に向かって森林の中に入った。

昨日は、荒れ気味な空模様のせいか何もかもが気味悪く思えてたのに、

今日はなんだか全然違う・・・空も、海も、森林も全てが輝いてさえ見える。

何もかもが、まるで南の島の楽園を思わせるような、そんな光景だった。

 
76 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)04時08分47秒


───今日は、独りぼっちじゃないからかな?


よしこと圭ちゃんと一緒なら、こんな状況すらも楽しめるアタシがいる。

楽しいな、この3人でいると何もかもが楽しく感じられるよ。

だけど元の世界に戻れたら、アタシ達はまた離れ離れなんだね・・・。

 
77 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)04時11分01秒


「ホラ、あそこ見て!あれよ!!」


圭ちゃんの指差す先には、絵本にでも出てきそうなかわいいログハウス。

こんな家に住んでみたい、なんて呑気なことを思ってみたりして。


「うわぁ〜、すごい!ウチこんな家に住んでみたかったんですよぉ!」

「おっ!よしこもやっぱそう思った?アタシもぉ〜」

「あんた達って、本当に危機感とかゼロよね・・・」

「ん〜?圭ちゃんだって、実はそう思ってたりするでしょ?」

「ん、まぁ・・・思わないこともないわね・・・中、入ってみようか?」

 
78 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)04時12分09秒

ログハウスの中には、生活に必要なものは全て揃っていた。

トイレもお風呂もあるし、冷蔵庫の中には食料、クローゼットには衣類。

だけど生活感は全く感じられなくて、人の居た気配は微塵もない。

いったい此処はどんな世界なんだ?

こんなこと、現実にありえるわけがないんだ。

もしかしたら、最初から全部夢なのかもしれないよね、うん。

 
79 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)04時13分56秒


「イタタタっ!!後藤さん!痛いですよぉ〜」


アタシは無意識によしこの頬をつねっていたらしい。

まぁ、お約束ってやつだね。


「ごめん、ごめん!もしかしたら夢なのかもって思ってさぁ」

「自分のでやってくださいよ!」

「や、なんかよしこのプニプニのホッペがつねって欲しそうだったから・・・」

「ぅわっ!何気にヒドイですよ、それ・・・。
 保田さぁ〜ん、なんとか言ってやってくださいよ!!」

「ん?でもなんか、後藤の気持ちわかるわ・・・えぃっ!」

「イタタタタタタッ!!や、保田さぁ〜ん・・・」

 
80 名前:-Chapter 4 楽園- 投稿日:2003年03月08日(土)04時15分35秒


アタシに続いて圭ちゃんにまで頬をつねられて、涙目のよしこ。


それぞれ、違う時空から此処へ飛ばされてきた今のアタシ達だけど、

こうしていると、時間の距離なんて全然感じないよ。

いつだって、いつまでも・・・アタシ達は、こんな関係でいられたらいいね。

 
81 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時17分58秒


此処にきてから2ヶ月が過ぎようとしていた。


アタシ達は、この島に名前をつけた。

”プッチモニのひょっこりひょうたん島”

・・・ちなみに圭ちゃん命名なんだけど、ちょっと意味わかんないよね?

 
82 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時19分09秒


あれからアタシ達は、圭ちゃんが見つけたログハウスで生活している。

時間に追われることもない、自分を偽る必要もない。

此処では一人の”後藤真希”という人間としてアタシは自由を手にしていた。

ゆっくりと流れる時間の中で、此処での生活が”日常”になっていった。

 
83 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時20分33秒


「「たっだいまぁ〜!」」

「おっ、お帰り!あんた達、また海行って遊んで来たの?」

「うん、今日はサン太と泳いできたんだよ!ねっ?よしこ!」

「うん!圭ちゃんも来ればよかったのにぃ〜、ねっ?お姉ちゃん!」

 
84 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時21分45秒


サン太っていうのは、この島の近海に住んでいるらしいイルカのこと。

海に遊びに行ったときに見つけて、今ではすっかりお友達。

最近では、よしこもすっかりアタシや圭ちゃんに馴染んできていた。

アタシのことを、お姉ちゃんって慕ってくれて、すっごくかわいいんだ!

 
85 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時23分07秒


「ねぇねぇ、圭ちゃん!お姉ちゃんスゴイんだよ、サン太に乗ったの!!」

「後藤、すっかり野生児化してるわね・・・そんなことまでできちゃうわけ?」

「いや、アタシ前に仕事で八景島にイルカに乗りに行ったことあったからさ」

「お姉ちゃん、かっけー!!」

「ホラホラ、あんた達!ご飯にするから、さっさと着替えてきなさい」


ハハッ、なんだか圭ちゃんすっかりお母さんみたいになってるね。

 
86 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時24分44秒


此処で生活しはじめてから、料理や掃除なんかは全て当番制にしている。

そのおかげで、片付けが苦手だったアタシもすっかり掃除好きに。

料理が苦手だったよしこは、料理が楽しくなってきたらしい。

なんだかアタシ達、家族みたいだね?

アタシ、このままずっと此処にいたいな・・・なんて思い始めてる。

それくらい、此処での生活は楽しいんだ。

 
87 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時26分54秒


「あれ?お姉ちゃん、そのお守りって・・・」


部屋で着替えていると、アタシのお守りに気づいたよしこが言った。

何ひとつ持たずに此処へ来たアタシの、唯一の持ち物。

 
88 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時28分19秒


『離れても、今までみたいに会えなくても、ウチとごっちんは親友だよ?
 ウチの代わりにこのお守りがきっとごっちんを助けてくれるよ!』


卒業コンサートの日、よしこがアタシにくれた赤い小さなお守り。

それは、よしこがずっと大事に持っていたお守りで。

何かある度にいつも、よしこはそのお守りを握り締めていた。

そんな大切なものをアタシにくれたことが、すっごく嬉しかったんだ。

 
89 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時29分40秒


「これさ、よしこがアタシにくれたんだ・・・」


よしこは何やら自分の鞄をゴソゴソとあさっている。


「やっぱり!だって、ホラ同じだ!」


よしこが鞄から取り出したのは、アタシとお揃いのお守り。

ん?お揃い・・・じゃなくて、同じものなんだよね。

 
90 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時31分11秒


「よしこ、このお守りすっごく大事にしてたのにアタシにくれたんだ。
 『ウチの代わりにこのお守りがきっと助けてくれるよ』って」

「へぇ、そうなんだ?ウチには別にこれといって思い入れないけどなぁ?
 これからなんかがあるのかな?」


よしこは、同じお守りを2つ手に持って見比べている。

すると、何かに気付いたらしいよしこが首をかしげながら言った。


「ねぇ、なんかこれってお姉ちゃんのお守りのほうが厚くない?」

 
91 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時32分35秒


「ん〜?どれどれ・・・」


アタシは、よしこから2つのお守りを渡されて同じように見比べてみる。

本当だ、あたしのお守りのほうが確かに少し厚みがあるような気がする。


「なんか、入ってるのかなぁ?・・・開けてみようか?」

「ダメだよ、お姉ちゃん!そんなことしたらバチあたっちゃうよ」


よしこって何気に信心深いんだね。

お守り開けたくらいじゃバチなんてあたらないよね?

 
92 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時33分53秒


「エヘヘ〜、開けちゃえ!」

「あっ!!知らないよ、バチあたってもウチ知らないからねぇ!」


お守りの紐を解いて、中に入っている物を取り出してみる。

普通のお札と一緒に、折りたたんだ小さな白い紙が出てきた。


「なんだろ?コレ・・・」

「えっ?」

 
93 名前:-Chapter 5 MESSAGE- 投稿日:2003年03月08日(土)04時36分20秒


「えっと、なになに?『心から帰りたいと願え!不安と迷いを捨てさり、
 大切なものを手に入れた時、時空の扉が開かれる』・・・何、これ?」

「ウチのお守りの方にはそんな紙、入ってないよ?」


もう1つのお守りの紐を解いて、中を確かめたよしこが言う。

っていうか、この文字って・・・。


「ねぇ、これって・・・よしこの字じゃない?」

 
94 名前:HJH 投稿日:2003年03月08日(土)04時38分13秒

更新終了です。
今日は(かなり無理やりだけど)結構話が進んだ、かな?
多分、次の更新くらいで後藤さん編は完結できるんじゃないかと。
それにしても今更ながら物語を書くのって難しいですね・・・。

>>66 名無し読者様
ありがとうございます!
2期プッチ、最強でしたよね・・・今でも最強!これからも最強!
でもこれからの後藤真希、吉澤ひとみ、保田圭にも期待したいです。

>>67 某サイトの某管理人様
うわぁ〜!ありがとうございます!!
憧れの作家さんに、読んでもらえてレスまでもらえて
しかも褒めてもらえて、嬉しいです(w

>>68
ありがとうございます。
次回あたり一応完結できるかと思いますので、
最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
 
95 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月08日(土)16時56分00秒
某67さんのサイトの掲示板を見て読みにきました。

異世界迷い込み系は結構良くある話ですが
2代目プッチのみ、しかも元々いた世界の時間がバラバラ、
さらに恋愛絡まず、というのは斬新ですね。
すっかり引き込まれました!
96 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時31分27秒


「・・・やっぱり、吉澤はこのことを知ってたんだね」


夕食の席で、さっき見つけた紙切れを圭ちゃんに見せた。

多分これは間違いなく、アタシが元居た世界のよしこからのメッセージ。

書かれているのは、アタシ達が元の世界へと帰るための方法。


「とにかく、メッセージに込められた意味を理解できれば帰れるのね」

 
97 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時32分44秒


元の世界へ帰れる────

嬉しいはずなのに、なぜだか素直に喜べないアタシがいる。


「ウチ、あんな世界にはもう帰りたくない!圭ちゃんとお姉ちゃんと3人で、
 ずっとずっと此処で楽しく暮らしていたいっ!!」


突然立ち上がってそう叫んだよしこは、自分の部屋へと戻ってしまった。

”あんな世界”にはもう帰りたくない・・・よしこ、今そう言ったよね?

此処に来る前、何か嫌な出来事でもあったのかな。

 
98 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時34分14秒


「アタシ、よしこのとこ行って様子見てくる・・・」

「待って・・・あんたも、吉澤と同じでしょ?帰りたくないって、思ってない?」


ハハ、やっぱ圭ちゃんは鋭いね。

そうだよ、アタシだって”あんな世界”に帰りたくない。

だってアタシ、本当は・・・娘。を卒業なんてしたくなかったんだ。

 
99 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時36分04秒


最初はね、グループじゃなくてソロでやってみたいって思ったりしてたよ?

なんの迷いもなくそう思えてたのは、何も知らない子供だったから・・・。

いや、今でもソロとして自分の力を試してみたいって気持ちはあるんだ。

だけど、だけど今は・・・娘。に入って、仲間の暖かさを知ってしまったから。

そして、独りの孤独を知ったから・・・怖い、そう独りになるのが怖いんだ。

ああ、そうか・・・これがメッセージにあった”不安と迷い”ってやつなのか。

アタシ、帰りたくない・・・帰りたいだなんて願えないよ・・・。

このまま此処で、よしこと圭ちゃんと3人で、楽しく暮らしていたいよ。

 
100 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時37分27秒


「やっぱり・・・そう思ってるんでしょ?」


黙り込んでしまったアタシに、圭ちゃんはもう一度そう言った。

だけど、その顔は・・・すっごく優しい笑顔だったんだ。


「後藤の気持ち、わたしにはわかるよ・・・不安も迷いも、すごくよくわかる。
 だってわたしも同じだから」

「圭ちゃん・・・」


じゃあ、圭ちゃんも元の世界に帰れなくてもいいって思ってる?

このまま此処で、3人で暮らしていたいって思ってるの?

 
101 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時39分56秒


「でもさ、わたし達は元の世界へ帰らなきゃいけないんだって思うよ」

「えっ・・・?」

「わたし達が此処に残るって事は、今までの全てを捨てるってことだよ?
 まずは、娘。もプッチも・・・吉澤が入ってこなければ、別のものになる」

「だけど・・・戻ったって、もうないじゃん!アタシ達の娘。も、プッチもっ!
 どうせなくなっちゃうなら、最初からなくたって同じことだよっ!」

「違う、それは違うよ?後藤」

「何が違うの?わかんないよ、アタシばかだからわかんないもん!」

「離れたって、ずっと仲間だよ?後藤もわたしも独りじゃないんだよ」

「そんなの・・・そんなの、キレイゴトだよ・・・」


アタシ本当はわかってる。

圭ちゃんの言ってること、言いたいこと、わかってるんだ。

だけど、一歩踏み出せずにいるのはきっとアタシが臆病だから。

 
102 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時41分21秒


「それじゃ、後藤はさ・・・紗耶香や裕ちゃんや、卒業したメンバーのこと、
 それから今の娘。のメンバーのこと、もう仲間じゃないって思ってるの?」

「そんなこと、思ってるわけないじゃんっ!!」


市井ちゃんは同期のいないアタシのこと、独りぼっちだったアタシのこと、

独りじゃないんだって、一番最初に教えてくれた人。

いつもいつも本気で叱ってくれた、いっぱい褒めてくれた。

市井ちゃんがいたから、今のアタシがいる。

プッチだって、市井ちゃんがいなかったら頑張れなかったよ・・・。

 
103 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時42分57秒


裕ちゃん、あやっぺ、福田さん・・・そして、なっちにカオリ。

オリメンの5人がいたから、今の娘。がある。

娘。もプッチも変わり続けてきたけれど、いつだって変わらなかった。

確かに変わらないものが、そこにはあったんだ。

アタシ達の間にいつだって変わらずに存在していたものがある。

それは─────

 
104 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時44分09秒


「もう、わかったよね?後藤」

「うん・・・絆、だね?」

「・・・後藤が卒業してから、わたしが卒業するまでの半年の間にもさ、
 娘。はまだまだ変わっていくんだ・・・」

「そう・・・なんだ・・・?」


なんだか、やっぱり少し寂しいな・・・。


「だけど、わたし達が築いてきたものは・・・わたし達が築いてきた絆は、
 ずっとずっとこれからも繋がっていくのよ・・・どんなに形を変えても。
 そこにはきっと、確かなものが残っていくはずだよ」


変わらないって信じたい。

信じたいけど・・・やっぱり不安だよ・・・不安なんだ。

 
105 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時47分03秒


「それと・・・吉澤は、娘。に入ってくる前からきっと全て知ってたんだよね。
 此処のことはもちろん・・・わたしや後藤がいつ卒業していくのかも・・・。
 先に別れがあることを知っていても、吉澤は娘。に入ってくる道を選んだ。
 娘。に入ってきても、わたし達は吉澤のこと、わからないのに・・・。
 ねぇ、後藤・・・どうしてだと思う?」


此処に来てから、いつも優しく世話を焼いてくれてた圭ちゃん。

そして、よしこがお姉ちゃんみたいに慕っていたアタシ。

だけど、娘。に入って再会したアタシ達は、よしこのこと・・・。

なのに、よしこはいつだって笑ってたね。

 
106 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時48分49秒


「よしこ、なんで笑っていられたのかな・・・?」

「信じてたから、じゃない?」

「・・・?・・・何、を・・・?」

「此処で2ヶ月過ごした間に、わたし達との間に生まれた絆ってやつを。
 そして数年後に”圭ちゃん”と”お姉ちゃん”にまた会えるってことを」


・・・よしこ、どんな気持ちであのお守りをアタシに渡したのかな?

会いたい・・・よしこに、会いたいよ・・・。

此処にいるよしこも、妹みたいにかわいいと思うし大切に思ってる。

だけど、このまま此処にいるっていうことは────

 
107 名前:-Chapter 6 たいせつなもの- 投稿日:2003年03月10日(月)01時50分17秒


アタシのこと『大事な大事な、そして自慢の親友』って言ってくれてた、

いつも傍に居て元気付けてくれてた”親友のよしこ”を失うことになるんだ。

アタシは、帰らなきゃいけない。

元の世界に帰らなきゃいけないんだ!


「圭ちゃん・・・アタシ、帰りたい・・・元の世界に、帰りたい・・・」

「うん・・・後藤はもう、大丈夫だね?あとは・・・」


そう言って圭ちゃんは、よしこの部屋の方に視線を向けた。

 
108 名前:HJH 投稿日:2003年03月10日(月)02時05分39秒

本日の更新、終了です。
なんかわけわかんなくなってきててスミマセン(汗
自分でももう何が何やら(w
次回完結です。

>>95 名無し読者様
読んでいただきありがとうございます。
よしごまの関係は別に愛情でも友情でもよかったんですけど、
どっちでもいける設定なら敢えて愛情にもっていく必要はないかなっと。
小説を書くのは初めてなんで、恋愛絡むと表現しきれないかなぁって感じです。
 
109 名前:TAKU 投稿日:2003年03月11日(火)11時21分12秒
某サイトで知って足を運んでみました。
なんか、とっても面白いです!
よしごま大好きなんで、友情でも愛情でも頑張って書いてください!
私も風板の方で書かせてもらってるんですけど、お互い頑張りましょう!!
続き、期待して待ってます♪
110 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時23分11秒


 ”コン、コン”


ドアをノックしてそっと中を覗いてみると、よしこはベッドに凭れて眠っていた。

手にはしっかりとお守りを握り締め、頬にはうっすらと涙の跡・・・。

よしこ、泣いてたの?

腕力には自信のあるアタシでも、さすがに抱き上げるのは無理っぽいよね。

起こすのはかわいそうだけど、仕方がないので肩を軽く揺すってみる。

 
111 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時25分13秒


「よしこ?・・・ちゃんとベッドで寝ないと、風邪ひいちゃうよ?」

「・・・ん・・・ん?・・・お姉、ちゃん?・・・」

「ホラ、ちゃんとベッドで寝なさい」

「ん・・・」


よしこはベッドに入ると、頭までスッポリと布団の中に潜り込んでしまった。

ちょっと、話をするのは無理っぽい感じかなぁ?

ま、今日じゃなくてもいいか。

焦らなくていいから・・・って圭ちゃんも言ってたしね。

 
112 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時26分50秒


「・・・お姉ちゃん・・・」


電気を消して部屋を出ようとした時、よしこの声に呼び止められた。

でも、その後の言葉がなかなか聞こえてこない。

アタシはベッドの脇まで戻って、よしこの頭を撫でてやりながら優しく先を促した。


「ん?どしたの、よしこ」

「あの、さ・・・あの・・・ね?・・・今日さ・・・一緒に、寝よ?」

「アハハ、よしこちゃんは甘えん坊さんですねぇ」

「・・・やっぱ・・・いい・・・ひとりで、寝る・・・」


拗ねた表情と口調、アタシから目を逸らす仕草はまるで小さな子供みたい。

ハハ、この子がアタシの親友のよしこになるんだよねぇ・・・。

 
113 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時28分33秒


「いいよ、一緒に寝よっか?そっち、つめてよ」


よしこをベッドの端に移動させて、アタシは空いたスペースにゴロンと寝転んだ。


「ねぇ、お姉ちゃん・・・お守り、交換しない?」

「えっ?」

「あのお守りってさ、お姉ちゃんの唯一の持ち物じゃん?
 元の世界に帰る時、交換した方を持って帰れるのかはわかんないけどさ・・・」

「よしこ、さっき帰りたくないって言ってなかった?」

「ウチだって、わかってるよ・・・元の世界に帰らなきゃいけないってことぐらい。
 だけどさ、不安だったんだ」


よしこは、ポツリポツリと此処に来る前のことを話しはじめた。

 
114 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時29分58秒


少し前に、小学校から続けていた大好きなバレーボールを辞めたこと。

夢や目標を失って、無気力な毎日が続いていたこと。

次の目標も他にやりたいことも見つけられずに、退屈な毎日。

やりきれない現実に、輝いていたはずの思い出すら色褪せていく・・・。


「もうね、こんな世界になんて居たくない!どっか別の所に行っちゃいたい!って、
 毎日毎日思ってた・・・それで、気がついたらさ・・・」

「此処に、居たんだ?」

「ぅん・・・それで、お姉ちゃん達に出会って・・・此処での毎日はすごく楽しかった。
 だからずっと此処で3人で暮らしていたいって思った・・・でも、それは・・・」

 
115 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時31分26秒


 ”コン、コン────ガチャッ”


「・・・後藤、いる?大事なお守り、テーブルの上に置きっぱなしだったわよ」

「んぁ?圭ちゃん、ありがと」


そういえば、よしこのことが気になってお守りそのまま置いてきちゃってたんだ。

よしこがくれた大事な大事なお守りなのに・・・ごめんね、よしこ。

 
116 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時32分32秒


「ちょっと〜、あんた達なんで一緒に寝てんのよ」

「いや、よしこがさぁ、お姉ちゃんと一緒じゃないと寝れないって泣くからさぁ」

「ちょ、ウチそんなこと言ってないじゃん!」

「えぇ?じゃあ、この涙の跡はなんなのかなぁ?」

「あくびだよ!あくびしたら涙出たの!!」


ハハハッ、本当かわいいなぁ・・・こっちのよしこは。

でも、きっともうすぐお別れの時間だね?

 
117 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時33分41秒


「じゃあ、そういうことにしておいてあげるよ・・・はい、これ」


アタシは圭ちゃんから受け取ったお守りを、よしこに差し出した。

よしこは、自分のお守りをアタシに渡すと、アタシの手からお守りを受け取った。

ん〜、でもコレって意味あるのかなぁ?

元の世界に帰る時って、お守りも元に戻っちゃうのかもしれないし。

でも、なんていうか・・・こういうのって気持ちが大事だよね、うん。


「エヘヘッ、これでウチとお姉ちゃんはずっと一緒だよね?」

「ん、一緒だね!」

 
118 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時34分47秒


「ねぇ、わたしの存在忘れてない?いっつもそうよね、あんた達は・・・」

「なぁ〜に言ってんのさ、アタシは圭ちゃんのこと大好きだよっ!」

「ウチも!ウチも圭ちゃんのこと大好きだよぉ!!」

「・・・大好き、か・・・今日はわたしも一緒に寝るわよ!ちょっとそっちつめなさい」


圭ちゃん、いくらなんでも3人はキツイような気が・・・。

無理矢理ベッドに入り込んでくる圭ちゃん・・・でも、なんかいいな・・・こういうの。

 
119 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時36分02秒


あれ?なんか前にもこんなことあった気がする・・・なんだっけ?


「フフッ、なんかこれってさ、ピタクリのPV撮影思い出すわね」

「ああ!それかぁ・・・アタシもなんか前にもこんな光景あったなぁって思ってた!」

「ピタ、クリ?」


よしこは1人、なんだそれって顔。

まぁ、そうだろうね・・・。

それから、アタシ達は寝るのも忘れて、よしこに色んなことを話して聞かせた。

 
120 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時37分14秒


よしこが娘。に入ってきた時のこと。

よしこがプッチに入ってきた時のこと。

2人して圭ちゃんに怒られた時のこと。


そして、アタシとよしこが親友になるまでのこと────


いっぱい、いっぱい話して聞かせた。

ねぇ、アタシ達また会えるよね?元の世界に戻っても、また会えるんだよね?

 
121 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時38分25秒


「そっかぁ・・・そっかぁ・・・ウチ、頑張るよ」


それまで、アタシと圭ちゃんの話を楽しそうに聞いていただけだったよしこが、

突然真剣な声で、そう言った。


「ウチ、やっと見つけた・・・バレーボールの次の夢、見つけたよ。
 ”モーニング娘。”に入って、圭ちゃんとお姉ちゃんに絶対、また会いたい!」

「おう、待ってるぞ!頑張れ吉澤」

「よしこ・・・絶対、絶対だよ?」

 
122 名前:-Chapter 7 約束- 投稿日:2003年03月14日(金)03時39分31秒


アタシ達は、明け方までずっと話をした。

1分1秒を惜しむかのように、たくさんたくさん話をした。

楽しかったね、3人でいた時間。

楽しかったね、此処で過ごした日々。

アタシ達はもうすぐそれぞれの世界に戻らなきゃいけない。

だけど、これはサヨナラなんかじゃない。

だってアタシ達は、また会えるから。

もう大丈夫、アタシは元の世界に戻ったって独りで頑張れる。

ううん、独りなんかじゃないんだね。

アタシ達は、いつだって、一緒だよ?


いつまでも、一緒だよ─────

 
123 名前:-Chapter 8 はじまりの日- 投稿日:2003年03月14日(金)03時41分25秒


「・・・ん・・・ん?・・・」


そっと目を開けると、そこは見慣れた移動車の中。

寝ているうちに外れたのか、CDウォークマンのイヤホンが足元に転がっている。

いつの間にか、衣装の制服姿に戻ってるし・・・。


「・・・アタシ、帰ってきちゃったんだ・・・」


それとも、全部夢だったのかな?

う〜ん・・・考えたってわかるわけないけど。

 
124 名前:-Chapter 8 はじまりの日- 投稿日:2003年03月14日(金)03時42分46秒


そうだ!!

アタシはブレザーのポケットから、お守りを取り出した。

赤い、小さなお守り。

よしこに貰って、よしこと交換した、大事なお守り。

紐を解いて中身を取り出すと、あの時と同じ普通のお札が入っていた。

 
125 名前:-Chapter 8 はじまりの日- 投稿日:2003年03月14日(金)03時44分05秒


・・・そうか、よしこと交換したから紙切れはよしこの方に入ってるのか。

よしこは、あの時交換した紙切れ入りのお守りをずっと大事に持っていて・・・

昨日のコンサートの後、アタシにくれたのかな?

ん?じゃあ、あのメッセージって、よしこは結局いつ書いたの?!

わけ、わかんない・・・やっぱ夢かな・・・ハハハ・・・。

 
126 名前:-Chapter 8 はじまりの日- 投稿日:2003年03月14日(金)03時45分18秒


 ”コン、コン────ガチャッ”


「後藤さん、そろそろスタンバイお願いします!」

「は〜い!」


さてと、お仕事頑張りますか・・・。

今日からまた、新しい第一歩。


新しい、後藤真希のはじまりの日。



−Fin−

 
127 名前:HJH 投稿日:2003年03月14日(金)03時48分06秒

完結です。
・・・無理矢理、完結です(汗

  lVVl
ノノノハヽ
从 ´ Д`)<・・・微妙だね。(by 姫)

すみません、すみません・・・修行して出直してきます。
そもそも後藤さん視点で書いたのが間違いだったのでしょうか・・・
次はちょこっと、吉澤さん視点に変えて続編というか番外編もどきを
書きたいと思ってますが、次の更新日はまだ未定です。


>>109 TAKU様
レスありがとうございます。
よしごまは、愛情でも友情でも仲良くしてるのを見ているだけで幸せです(w
今度風板の方、読ませてもらいに行きますね。
お互いがんばりましょう♪
 
128 名前:ROM読者 投稿日:2003年03月14日(金)13時38分23秒
お疲れ様でした。なんか勇気をもらったような気がします。
でも、まだよしこサイドがなぞなので、続編お待ちしてます。
129 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月15日(土)14時03分28秒
あー完結してるーもっと読みたかったよー・・・。
良かったです。2期プッチ最高。
よし子サイド楽しみにしてます。
130 名前:YUKI 投稿日:2003年03月15日(土)23時01分37秒
めちゃくちゃ面白かったです!
ぜひよしこ視点からもお願いします。
それから、後日談とか。
やっぱり、プッチはいいですよね。
『絆』って言葉、大好きです。
これからもがんがってください!
131 名前:プッチモニ2〜廻る絆 Side Hitomi〜 投稿日:2003年03月23日(日)02時11分40秒


「早く、帰って来いよぉ・・・ごっちぃ〜ん・・・」


ごっちんが”モーニング娘。”を卒業したのはつい昨日の出来事。

横浜アリーナでのコンサートが終わった後、ウチはごっちんと約束をした。


 『ごっちんのことだから、”寂しいよぉ”ってなるのは目に見えてるからね!
  明日の仕事終わったら2人でカラオケでも行って騒ごうよ』


今日からソロアーティストとしての活動をスタートさせるごっちん。

気遣う振りをして誘ってみたけど、本当に会いたかったのはウチの方なんだ。

 
132 名前:プッチモニ2〜廻る絆 Side Hitomi〜 投稿日:2003年03月23日(日)02時13分40秒


 『明日はドラマの撮影だから、終わりの時間・・・分かんないよ?』

 『ごっちんの家で待ってるからさ、ダメかな?』


ウチは、そうやって半ば強引に約束を取り付けた。

だって、だって・・・今日は、どうしてもごっちんに会いに来たかったんだもん。

 
133 名前:プッチモニ2〜廻る絆 Side Hitomi〜 投稿日:2003年03月23日(日)02時15分21秒


ごっちんの居ない、ごっちんの部屋。

ふと、散らかった部屋の片隅に飾られたコルクボードに目をやる。

ごっちん曰く”メチャお気に入りの選び抜かれた写真”だけが陣取れる場所。

そこには、15歳、16歳、17歳のウチがごっちんと一緒に笑ってる。

仲良くなってからのウチ達は、いつだって一緒にいたよね・・・。

ウチは、ごっちんの”大事な大事な、そして自慢の親友”になれたかな?

ちゃんと支えてあげること、出来てた?

 
134 名前:プッチモニ2〜廻る絆 Side Hitomi〜 投稿日:2003年03月23日(日)02時19分43秒


ねぇ、ごっちん。

ウチにはね、憧れの人がいたんだ。

優しくて、大人で、いつも笑顔で、でも意外と子供っぽいところもあったりする。

・・・だったかな?

ごっちんは、その人との想い出を嬉しそうにウチに話して聞かせてくれたよね。

あの日から、ウチはずっとその人みたいになりたいと思ってきた。

ウチは、ごっちんが”大事な大事な、そして自慢の親友”だと言っていた、

その人みたいに、なりたかったんだよ。

 
135 名前:プッチモニ2〜廻る絆 Side Hitomi〜 投稿日:2003年03月23日(日)02時21分23秒


もう一度、ごっちんの部屋を見回してみる。

ハハッ、相変わらず汚いよ・・・ごっちんは、掃除苦手だったんだもんね。

・・・でも、散らかったこの部屋もきっと今日で最後かな?


「早く、帰って来いよぉ・・・ごっちぃ〜ん・・・」

 
136 名前:HJH 投稿日:2003年03月23日(日)02時23分07秒

今日の更新は終了です。
ほんのちょこっとだけで、すみません・・・結構苦しんでます。
でも吉澤さん視点、始めちゃったからにはちゃんと完結させます!
次回から吉澤さんの昔話がはじまります(w
 
137 名前:HJH 投稿日:2003年03月23日(日)02時24分20秒

>>128 ROM読者様
レス、ありがとうございます。
今日からちょっとずつアップしていきますので、吉澤さん視点のほうも
読んでいただければ幸いです。

>>129 名無し読者様
レスありがとうございます。
吉澤さん視点・・・カナリ悩んでるんで期待に添えられるかわかりませが、
最後まで完結させたいと思いますので、よろしくお願いします。

>>130 YUKIさん
読んでくれてありがとうございます!
>>67の某管理人さんもですけど、ずっと好きで作品を読んでた作家さんに
自分の書いたものを読んでもらえるのってすごい嬉しいです。
 
138 名前:某サイトの某管理人 投稿日:2003年03月23日(日)15時34分19秒
SIDE HITOMI キターー!!(笑
o(^o^)o ワクワク ((o(б_б;)o))ドキドキ
しながら、展開を楽しみにしております♪
139 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月23日(日)20時30分38秒
ど・・・どうなるんだろう
続きがすごい楽しみです!
140 名前:-Chapter 1 なくした夢- 投稿日:2003年03月25日(火)20時07分25秒


「はぁ・・・眠いよぉ・・・」


土曜日の早朝、まして世間は夏休み真っ只中。

いつも混み合っているこの電車も、今日はほとんど人が乗ってない。

だいたいさ、夏休みだってのに補習だなんてやってらんないよ・・・。

 
141 名前:-Chapter 1 なくした夢- 投稿日:2003年03月25日(火)20時10分12秒


『吉澤、おまえ今年の夏休みは補習組だからな』

『はぁ!?ウチ今まで一度も補習なんて出たことないっすよ!?』

『バレー部、辞めたんだろ?今までのように特別扱いはしないぞ』


一学期の終業式、通信簿と共に担任から貰った言葉。

確かにウチはずっと部活優先で、勉強なんてしてなかったかも。

でも、バレー部では期待のエースと言われてて、結果も出していた。

 
142 名前:-Chapter 1 なくした夢- 投稿日:2003年03月25日(火)20時11分41秒


バレー部を辞めたのは、その数日前。

理由なんて、今思い出せばバカバカしいほど些細な出来事。

どこにでもある、部員同士のイザコザってやつ・・・。

それが次第にエスカレートして、仲の良かった子が何人か辞めた。


『ねぇ、ひとみもバレー部辞めちゃいなよ』

『そうだよ、さっさと辞めてさ、夏休みは皆で遊びまくろうよ!』


そんな友達の言葉に流されて、ウチはバレー部を辞めてしまった。

あんなに、バレーが大好きだったはずなのに────

 
143 名前:-Chapter 1 なくした夢- 投稿日:2003年03月25日(火)20時13分08秒


バレーを始めたのは、小学校4年生の頃。

最初は練習もサボってばかりで、全然まじめにやってなかった。

だけど、初めて試合に出た日、ウチはバレーの楽しさを知ったんだ。

バレーが大好きになって、練習にも毎週参加するようになった。

”誰よりも強いバレー選手になりたい”という夢を、見つけたから。

 
144 名前:-Chapter 1 なくした夢- 投稿日:2003年03月25日(火)20時15分25秒


バレー部の強い学校で、自分が何処まで出来るか試してみたい。

そう思って、家からカナリ遠い今の中学に進学することを決めた。

バレー部を辞めたウチは、何の為にこの学校に通っているんだろう?

毎朝の6時起きも、半端なくかかるこの通学時間だって、

大好きなバレーの為なら、辛いと感じた事なんて一度もなかった。

だけど・・・今はそれが、苦痛でしかない・・・。

 
145 名前:-Chapter 1 なくした夢- 投稿日:2003年03月25日(火)20時18分39秒


「ウチ、なんで辞めちゃったんだろう・・・」


本当なら、今年もバレー部の夏合宿に参加しているはずだった。

なのに、なんでウチは・・・ウチは此処で何をしているんだろう。

きっと、ウチがいなくなっても誰も困ったりなんかしていない。

ウチの代わりに誰かがレギュラーに選ばれて、それで終わり。

 
146 名前:-Chapter 1 なくした夢- 投稿日:2003年03月25日(火)20時20分05秒


最初から、ウチなんて・・・いなくても同じだったのかなぁ・・・?

”バレー部期待のエース”だなんて、きっとウチの自惚れだったんだ。

もうイヤだ・・・何もする気が起きないよ。

なんだか、やけに眠くなってきた・・・。

ダメ、寝ちゃダメだよ・・・ウチの降りる駅までは、あと少し────

 
147 名前:HJH 投稿日:2003年03月25日(火)20時24分05秒
Chapter 1 を更新しました。
注)この話は学園物ではありません(w

次回、後藤さんと運命の御対面です。
148 名前:HJH 投稿日:2003年03月25日(火)20時25分06秒

>>138 某サイトの某管理人様
レスありがとうございます。
なんだか既に、展開につまってます(w

>>139 名無し読者様
レスありがとうございます。
楽しみにしくれて、嬉しいです。
どうなるのかは、自分にもまだわかりません(汗
 
149 名前:名無し読者。 投稿日:2003年03月26日(水)01時24分38秒
ROM派なんだけど思わずカキコ(w
いいっすね、2期プッチ。
現実でも2期プッチが一番好きなんで。

これからも期待しまくりっす。
ヒソーリROMですけど(w


150 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)01時36分57秒


・・・ん・・・んっ?

ヤバッ!!マジ寝しちゃってた!?

慌てて飛び起きたウチの目に飛び込んできた景色は────

 
151 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)01時38分26秒


・・・ウチ、まだ寝ぼけてるのかな?


「痛ってぇーーーーっ!!」


どうせこれは夢なんだと、手加減なしでつねった頬の痛みは、

これが現実なんだと解らせるには、十分すぎる程だった。

・・・痛てぇよ、バカヤロウ。

 
152 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)01時40分21秒


「なんだよ・・・いったい、何があったっていうんだよ・・・」


荒れた海、今にも雨が降り出しそうな空。

そして何だか、気味の悪い森・・・。

ありえない・・・ありえないだろ・・・わけ、わかんないから・・・。

こんな所で、ウチは独りぼっちなの?

イヤだ・・・イヤだよ・・・。


「誰かぁ〜!誰か居ませんかぁ〜!?」


大声で叫んでみても、ウチの声は空しく響き渡るだけ。

 
153 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)01時42分00秒


ウチの中に、徐々に迫り上がってくる”死”への恐怖。

イヤだ、イヤだ・・・死にたくない!死にたくない!死にたくないっ!!

ウチは走った、ただ闇雲に、当ても無く走り続けた。

どれくらい、走ったんだろう?

体力だけは、自信があったのに・・・足元がフラつく、目の前も霞む。


・・・もう、ダメだ。


その場にへたり込んだウチの視界が、遠く前方に何かを捕らえた。


なんだ、あれ・・・?

 
154 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)01時43分47秒


最後の力を振り絞り、ウチは這うようにして”何か”に向かった。

・・・人だっ!人が、倒れてる!?

近くまで来ると、それはハッキリと確認できた。

”何か”の正体は、制服姿の、女の人・・・。

その距離はもう、後3mとないだろう。

だけど、此処まで来てウチは急に怖くなって、足が止まった。

もし、もし・・・あの人が死んでいたら・・・。

徐々に現実味を帯びてくる”死”という得体の知れない恐怖に、

ウチはもう気が狂ってしまいそうなほどに、追い詰められていた。

 
155 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)01時53分32秒


「・・・んっ・・・よし・・・こぉ・・・もう、食べられ・・・ないよ・・・」


突然、酷く場違いな間の抜けた声。

はい?・・・今、なんとおっしゃいました?

もう、食べられない・・・とか、言ってなかった・・・?

まさか、ね・・・ウチの聞き違い、だよね・・・うん。


「・・・お腹・・・いっぱ・・・い・・・」

 
156 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)01時54分59秒


この人は、こんな状況下で、目の前に倒れていた人。

もし死んでたら・・・なんて思っていた女の人。

なのにどうやら、食べ過ぎてお腹が苦しい夢を見ているらしい・・・。

ウチは、死ぬかもしれないと思っていた自分がバカバカしく思えた。

なんだかその瞬間に、スーッと心が軽くなっていったんだ。

すっかり、普段の自分を取り戻したウチは、その人の顔を覗き込む。

 
157 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)01時56分37秒


「うわぁ・・・すっごい、キレイな人」


サラサラの茶色い髪の毛。

整った輪郭に、スッと通った鼻筋・・・。

目を閉じているのに判るほどの、キレイな人。

 
158 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)01時58分52秒


「おーい、大丈夫ですかぁ?起きてくださーい!!」


・・・全然、起きない。

こんな所でよく熟睡できるよなぁ・・・ある意味、大物だね。


「大丈夫ですか?おーい、起きろー!大丈夫ですか?」


その人は、ゆっくりと目を開けた。

うわぁ・・・やっぱり、すっごいキレイな人だ。

ちょっと眠そうな少しタレた大きな目が、やけにかわいい。

眠そうなのは、寝起きだからか・・・?

 
159 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)02時07分02秒


「目、覚めました?大丈夫ですか?」


その人は、寝起きのまだハッキリと視点の定まらないであろう目で、

ウチのことを、しばらくボーっと見つめていた。


「・・・よしこっ?!!!」


・・・はい?誰かと間違えてるのかなぁ。

そういえばさっき、『よしこぉ、もう食べられないよ』とか言ってたし。

160 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)02時08分04秒


「よしこ?・・・ウチは、ひとみですけど?・・・吉澤ひとみ」


今度は不思議そうな顔で、ウチのことをジロジロと眺めてきた。

なんか、この人・・・大丈夫なの・・・?


「お姉さんは、高校生ですか?」

161 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)02時09分18秒


────その人は、後藤真希と名乗った。

17歳で、元”モーニング娘。”のメンバーなのだと言う。

ウチの知っている”モーニング娘。”に、後藤真希という人はいない。

もちろん、以前にもいなかったはずだ。

でも、こんな状況下で、そんな嘘を付くとは到底考えられないし、

何より自分が今いるこの場所が、元居た所と違うのは明らかだった。

 
162 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)02時11分03秒


話をしていくうちに、ウチ達に時間のズレが生じていることがわかった。

・・・今日は1999年8月7日だったはずだ。

だけど後藤さんは、今日は2002年9月24日だと言った。

そして、後藤さんは未来のウチのことを知っているようだった。

さっきから言っていた”よしこ”というのが、ウチのことだったらしい。

全く信じられない話だけど、誕生日や血液型、家族構成なんかまで

ピタリと当てられてしまっては、さすがに疑う余地はなかった。

 
163 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)02時12分35秒


何よりも驚いたのは・・・ウチが、モーニング娘。に入るということだった。

今までバレーばかりやっていた自分が、芸能人になるなんて・・・。

いったい、ウチに何があったんだろう?


「後藤っ!?吉澤っ!?」


突然、名前を呼ばれた・・・今度は、誰だよ!?

 
164 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)02時13分55秒


ウチのことも、後藤さんのことも知っているらしい聞き覚えのない声。

振り返ると、見たことのある顔だった・・・だけどそれは、テレビでね。

そこにいたのは、”モーニング娘。”の保田圭って人だった。

どうせだったら、なっちとか矢口とかに会ってみたかったよなぁ。

・・・ってウチ、アホかよ!?

こんな状況下で、しかもさっきまで”死”を意識していたというのに、

随分と余裕が出てきたもんだ・・・。

 
165 名前:-Chapter 2 出会い- 投稿日:2003年04月01日(火)02時15分20秒


後藤さんと保田さんは、何やら2人で話をしていた。

ウチには全然わからない話。

あー、この2人は知り合いなんだ・・・ウチは結局、独りぼっちなんだ。

そんなこと思ってたら、急にウチの名前が出てきて2人が笑った。

なんだよ、なんなんだよっ!?

・・・2人して、ウチのことバカにして、笑ってんの!?


「あのぉ・・・なんか、ウチまったく話が見えないんですけど」


耐え切れなくなって、ウチは会話に割り込んだ。

 
166 名前:HJH 投稿日:2003年04月01日(火)02時17分15秒

更新終了です。
なんか・・・なんか違う気がする・・・。
後藤さん視点と比べて無駄にシリアスな話になってるわりに、
吉澤さんも、吉澤さんから見た後藤さんもアフォっぽいし(汗
しかも吉澤さん、やけにやさぐれてます(w

>>149 名無し読者様
レスありがとうございます。
2期プッチ好きな方に良いと思ってもらえるのがやっぱ一番嬉しいです。
よかったらこれからも読んでやってください。
 
167 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時42分16秒


「さてと、これからどうしようか?」

「あのね、こういう時は何をおいても火を起こすの!これ、常識ね」

「後藤に常識とか語られたくないわね・・・焚き火の仕方なんてわかるの?」

「エヘヘー、アタシこう見えても何気に結構スゴイんだよ?任せておいてよ!
 まずは、枯れ木を集めないといけないんだけど・・・」


この人達、なんでこんなに冷静でいられるんだろ・・・。

後藤さんなんて・・・楽しんでいるように見えるのは、ウチの気のせい?

 
168 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時43分41秒


「枯れ木ね・・・それって、どんなやつでもいいわけ?」

「ん?できれば乾いてるやつで、細いのから太いのまで最低5種類は必要かな?
 いちばん細いのは1〜2mm位で、太いのが直径4cmってとこだね」


とりあえず、枯れ木を拾ってくればいいんだよね?

枯れ木を拾うってことは、あの森に入らなきゃいけないわけか・・・。

イヤだなぁ・・・なんか気味悪いし、怖いよ。

でも、怖いだなんて言って子供だと思われたくないしなぁ。

・・・仕方ない、覚悟決めて行くしかないか。

 
169 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時45分30秒


「あ、よしこ!ひとりじゃ危ないからアタシと一緒に行こ?」


よしこって、ウチのことだよね?

なんか、ウチってやっぱり子ども扱いされてんのかな・・・。


「ウチは、ひとりで大丈夫ですから」

「・・・アタシが、ひとりじゃ怖いんだ!一緒に行こうよ、ね?」

 
170 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時46分18秒


「ちょっと、後藤!わたしはひとりで行けってこと?」

「んぁ?圭ちゃんは大人なんだからひとりで大丈夫でしょ?
 天候のせいで視界が悪いから、必ず海岸が見える位置で拾っててね」

「わかったわよ、もうすぐ暗くなってきそうだし早く拾ってきちゃおう」

「ん・・・よしこ、行こう?」

「あ、はい・・・」

 
171 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時47分23秒


なんか、ふたりっきりなんて何を喋ったらいいかわかんない・・・。

後藤さんは、ウチのこと知ってるのかも知れないけど、ウチは何も知らないし。

とにかく何か喋ろう・・・沈黙に耐えられないよ。


「後藤さんって、なんで焚き火の仕方なんか知ってるんですか?」


うん、この質問なら無難だよね。

 

172 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時48分41秒


「んー?あのね、アタシのお父さんって山男だったんだ・・・。
 だからさ、よくキャンプとかに連れて行かれて、色々教えてもらってたの」

「へぇ、お父さんと仲いいんですね?」

「子供の頃の話だよ・・・お父さん、アタシが小学生の頃に山で死んじゃったし」


ヤバッ・・・ウチ知らなかったとはいえ、今すっごい無神経なこと言ったんだ。

謝った方が、いいよね。

 
173 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時49分51秒


「あの、ウチ知らなくて・・・ごめんなさい・・・」

「ハハッ、全然謝んなくても平気だよ?よしこはやっぱり優しいね!」


なんで、笑えるの・・・?

優しいのは、後藤さんの方だよ。

 
174 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時50分34秒


「後藤さんは、強い人ですね・・・」

「そっかな?・・・でも、強くなれたのは、きっとよしこのおかげなんだよ」


ウチの、おかげ?

そういえば、ウチと後藤さんってどういう関係なんだろう・・・。

”モーニング娘。”で一緒だったみたいだけど、仲いいのかな?

 
175 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時51分28秒


「さ、そろそろ戻ろうか?」

「はい・・・あ、ウチ重いほう持ちますよ?力だけは自信ありますんで!」

「大丈夫、大丈夫!何気にアタシの方が力強いんだから」


後藤さんは、重そうな太い枝の束を軽々と持ち上げた。

すげぇ・・・こんな細い身体のどこにそんな力があるっていうんだ?

 
176 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時52分14秒


「よしこ、早くしないと置いていっちゃうよ?」

「・・・あ、待ってください!!」


突然、走り始めた後藤さん。

ちょっと、待った・・・こんな所にウチを置いていかないでよ。

 
177 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時53分01秒


「やーだよぉ!よしこ遅ーいっ!!」

「後藤さん、待ってくださいよぉ!!!」


さっき、『ひとりじゃ怖いから一緒に行こ?』って言ってたのに・・・。

全然平気そうじゃん・・・ウチのこと、気遣ってあんな風に言ってくれたんだ。

何だか色々と不思議な人だな、後藤さんって・・・。

 
178 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時54分03秒


「おーい!圭ちゃーんっ!!おまたせぇ!」

「遅いじゃない、心配したのよ?」

「ごめん、ごめん!でもいっぱい拾ってきたからさ」

「ま、無事ならいいわ・・・で、次はどうするの?」

「うんとねぇ、あっ!火・・・どうやって点けよう・・・?」

「ちょっと待ってなさい」


保田さんは、自分の荷物の中からライターを取り出してきた。

タバコでも吸ってるのかな?まあ、大人だし別に問題ないよね・・・。

 
179 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時55分18秒


「圭ちゃん・・・なんで、そんなの持ってるの?まさか、タバコ吸ってたりする?」

「まあ、最近はね・・・卒業絡みで色々あったから、ストレス溜まってたのよ」

「ダメだよ、タバコなんて身体にも喉にも良くないんだからね?」

「ん、わかってるわよ・・・ハハッ・・・後藤に注意されるなんてね・・・」

「圭ちゃん、笑い事じゃないんだよ?」

「わかってるって、もうやめるから・・・ホラ、次!どうするの?」

 
180 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時56分19秒


後藤さんは、まだ何か言いたそうに、しばらく保田さんを睨み付けていたけど、

火を起こすほうが先決だ、と思ったんだろう。

拾ってきた枯れ木の束をひとつにまとめると、黙々と選別作業をしはじめた。

 
181 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時57分07秒


それにしても、後藤さんってすごいな・・・。

保田さんのほうがだいぶ年上なはずなのに、ダメなことはダメってちゃんと言える。

それって、なかなか出来ることじゃないよね。

ウチなんて、いつだって人に流されて、なんとなく周りに合わせて生きてきてた。

後藤さんみたいに生きてたら、きっと後悔することなんてないんだろうな・・・。

 
182 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時58分06秒


「さて、着火にはガムテープが一番いいんだけどな・・・持ってるわけないよねぇ?」

「さすがに、それは持ってないわ」


ガムテープ・・・?

あ、そうだ!確か鞄の中にアレが入れてあったはず。

えっと・・・お、あった、あった!

 
183 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時58分54秒


「あの・・・ガムテープではないですけど、これじゃダメですかね?」


ウチは、取り出したテーピングテープを後藤さんに差し出した。


「おっ、よしこナイス!これで全然OKだよ、エライエライ」


頭、撫でられちゃったよ・・・やっぱ子供扱いされてるな、ウチ。

でも、なんでだろう?なんか、嬉しいな・・・。

 
184 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)04時59分51秒


「まずは、こうやってテープを輪にして火を点けて、と・・・うわ、アチッ!!」

「ちょっと後藤!大丈夫!?」

「後藤さん、だいじょうぶですか!!」

「平気だよ、ちょっと熱かったけどね・・・で、次に細い方の枝から順に乗せて、と」


うわ、スゴイ・・・火が一気に燃え上がってきたよ。

 
185 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)05時00分35秒


「で、最後に一番太い枝を乗せて出来上がりっ!!」

「後藤、あんたスゴイわ・・・」


保田さんもすっかり関心してるみたい。

たしかに、これはスゴイよ・・・普通はこんなこと簡単に出来ないよねぇ。

 
186 名前:-Chapter 3 信頼- 投稿日:2003年04月02日(水)05時01分54秒


「あとは火が消えないように適当に枝を足していけばいいだけだから」

「よかった・・・なんとか、真っ暗になる前に間に合ったわね」

「うん、そうだね!・・・それにしても・・・お腹、空いたねぇ・・・」

「そうね、でも今からじゃさすがにどうにも出来ないわよね」


そういえば、此処に来てから何も食べてないんだもんな・・・。

っていうか、ウチお昼に食べるはずだったお弁当持ってるじゃん。


「あの、ウチお弁当持ってるんで・・・皆で食べましょう?」

 
187 名前:HJH 投稿日:2003年04月02日(水)05時12分50秒

Chapter 3 の前半を更新しました。
これは、後藤さん視点では省いてた新たなエピソードですね。
本編のはずの後藤さん視点より長くなっていきそうな予感・・・。
多分このスレ内では終われないような気がしてきました。
ど う し よ う ・ ・ ・ (汗
明日も続きを更新します。
 
188 名前:まま 投稿日:2003年04月02日(水)08時22分47秒
今日は名乗ります(笑)
展開早くてわくわくします^^
今、HJHさんにはきっと更新の神様がおりてきてると思われ。
明日も楽しみにしてます〜(プレッシャー?(w )
189 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月01日(木)13時23分06秒
190 名前:HJH 投稿日:2003年05月10日(土)22時05分45秒
>>188 まま様
更新の神様が何処かに行ってしまったようです(汗

>>189 名無し読者様
保全ありがとうございましたm(_ _)m

明日も続きを更新します。と書いておきながら、
気がついたら1ヶ月以上も放置状態になっていました。
何度続きを書いみてもなかなか思う通りに書けません。
放棄だけはせず、時間はかかっても絶対に完結させますので、
もし続きを待っていてくださる方がいらっしゃいましたら
本当にすみませんが、もう少しお待ちください。
191 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月11日(日)00時02分24秒
マターリ待ちますよー。
192 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月15日(日)19時19分46秒
待ってます
193 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月30日(水)21時47分40秒
194 名前:TOY 投稿日:2003/09/14(日) 22:05
HJHさん待ってます。
195 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/16(木) 02:14
ほぜん
196 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/04(火) 03:30
hozen
197 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/05(金) 04:04
ほぜん
198 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/08(木) 17:53
hozen
199 名前:藻座 投稿日:2004/02/04(水) 11:37
あ^あ^あ^あ^あ^^あ^^あ^^あ^^あ^^あ^^あ^^^あ^^あ^^あ^^あ^^あ^たらちゃんまま
200 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/22(日) 22:56
がんばってください
201 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/10(水) 00:44
楽しみに待ってます

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