50%&50%

1 名前:ペット 投稿日:2003年03月22日(土)17時20分16秒
はじめまして!飼育用HN:「ペット」と申します
えっと、イマまで短編しか書いたことなかったのですが、今回飼育初挑戦&連載挑戦に挑みたいと思います。
アンリアルで、人間兵器とかそういう言葉が飛び散るかなぁ、と
そんでもって後紺です。よろしければ感想のほうをドウゾ★
2 名前:[ゼロ] 投稿日:2003年03月22日(土)17時21分01秒
―――真希、アンタには足りないところがある。
ごめんね、アンタを利用して殺戮をたくらんだアタシのせいなんだ。
けど、大丈夫。足りないところはあの子がすべてを埋めてくれるから。
あの子はアンタのカケラだよ、真希。それを忘れないで
どんなに2人離れても、真希とあの子はめぐり合えるから。絶対に―――
3 名前:story01:できそこない 投稿日:2003年03月22日(土)17時22分04秒

人間兵器、できそこない、存在理由。もう、うんざりだ。
「うぁぁあああ!!」
薄暗い地下室に、少女の叫び声が響いた
少女の目は獣のように鋭く、叫び声はまるで女とは思えないほど強烈だ

「…すごい。これが、特殊能力を埋め込まれた人間の本能」

白衣をきた一人の女性が少女のいれられている檻の前で資料を見ながらクスリ、と笑った。その資料には目の前の少女の写真が張られており「後藤 真希」と書かれてある

「はずせ!はずせ!」

檻の中の少女―後藤真希は手錠を檻に叩きつける
だが、手錠は外れず真希の手首から血がにじむだけだった
それをみて、白衣の女性―――斎藤瞳がまた笑った
4 名前:story01:できそこない 投稿日:2003年03月22日(土)17時22分52秒
「…アンタ、結構むごいんだな。…セクシーなのに。」

少し離れていたショートカットの金髪が目立つスーツ姿の…女なのだろうか
かっこいい髪型だが、よくみれば顔立ちが女、だ

「人殺しに言われたくないわ。私はただ、この子に興味があるだけ」
「後藤真希・・・01(オー・ワン)にか?そいつはただのできそこないだぞ。」

女がそういうと瞳は首をふった。そして、鉄格子に手錠をぶつけ、うなる真希を見つめる

「この子はできそこないなんかじゃない。カケラを無くした最高の兵器よ」
「…カケラ、ね…フン。」

女はポケットからタバコに火をつけて鼻で笑った
瞳は自分がバカにされてるのか、と女をにらむ

「おっと、すまない。…そいつを作ったヤツが同じことを言っててな。思い出した」
「…そう。」
「うがぁああ!」

真希がまた叫んだ。今度は鉄格子に自分が体当たりをしている
ゴドン、と鉄格子がゆれた。が、真希の体当たりの威力では壊れることはない
5 名前:story01:できそこない 投稿日:2003年03月22日(土)17時23分59秒
「痛い・・・。」

真希が体当たりをした際、瞳の目に真希の血が入ってしまい、瞳はその場に座り込む
ファイルが瞳の手から落ちた
そのさい、資料がバラバラと床にちらばった
ふと、真希の目に2枚の資料が目についた
1枚は自分の写真がついている自分の資料だ
もう1枚は…隠し撮りのような写真がついていて、「00について」と書かれていたものだった
真希は、その写真に見覚えがあるような気がした

「(・・・ダメだ、思い出せない)」

その写真の人物は確か自分が大切に思ってる人だった気がした
だが、イマはクスリのせいで頭がまわらない

6 名前:story01:できそこない 投稿日:2003年03月22日(土)17時24分40秒
「(誰だっけ・・・確か・・・アタシの・・・)」

回転しない頭で一生懸命考えるが、無意味に等しかった
段々、頭はモウロウとしてきた。どうやら、クスリが完璧に回ってきたらしい
鎮静剤なんてクソくらえ、と心の中で呟きながら真希はその写真を見ながら静かに目を閉じた

「(・・・カケラ)」

その様子を見て、女と瞳ががっくしと疲れたように肩を落とした。

「やっと…眠りについたか。できそこないの獣。」
「…貴方とはきが合わないわ。こんな人間兵器の傑作をできそこないなんて」
「……それは残念だな。アンタ、セクシーなのに。」

―――忘れないで、真希。アンタはあの子と2人で1つだということを―――
7 名前:ペット 投稿日:2003年03月22日(土)17時25分20秒
えっと、本日はここまで、です。
こんな感じですすんでいきますー。
8 名前:ぷちでびる 投稿日:2003年03月22日(土)17時44分57秒
ハケーン!w
好きなストーリーですわ^^
う〜ん続きが楽しみです!
9 名前:もりまん 投稿日:2003年03月22日(土)17時55分09秒
うわぁ〜!おもしろそう!
がんばってください!
10 名前:tsukise 投稿日:2003年03月22日(土)21時15分20秒
UPお疲れ様ですっ!!
そして連絡をありがとうございます!!早速拝見しましたです〜!
こんなカッコいい始まりだったんスね!
後紺…ペットさんの書くものはすべてツボなんでがんがってくらはい!!
オイラも…がんがります…(^^ゞ では! またあちらでもヨロシクです!
11 名前:story02:私の日常. 投稿日:2003年03月22日(土)22時22分43秒

私は最近、同じ夢を見る。
最近といっても、時々、時々だけれど
その夢で私は10歳ほどの小さな子供になっていて
白衣を着たショートカットの人に手をつながれている
花畑にいて、お花の冠を作り、それをそのひとにあげようとすると
どこからからクチブエが聞こえてきて誘われたように振り向くと
そこには綺麗な栗色の髪の色をした大人びた少女がたっている
かけよると、抱きしめられておでこにキスをされる
そうすると、私はもっていたお花の冠をその少女にあげてしまう
白衣の女性が「アタシじゃないのかよっ」と笑う
その白衣の女性がとてもおもしろくて少女は笑う
私は、とても、本当にとても幸せそうに笑う。少女も同じように幸せそうに
リアルすぎて、暖かすぎて、私は夢じゃないと思ってしまう

忘れていた記憶なのかもと、毎朝強く思う
12 名前:story02:私の日常. 投稿日:2003年03月22日(土)22時23分49秒
PiPiPiPiPi・・・

目覚ましのアラームがなって私はベットから飛び起きた
当たりを見回すと…そこはまぎれもなく私の部屋。
確認して「あ、私夢、見てたんだっけ…」と現実に戻った
時々、現実なのかよくわからない夢を私は見る。

「あさ美ー。朝ご飯できたぜぃ」

キィと私の部屋をあけて黒いエプロンのお姉さんが入ってきた

「おはようございます、ひとみお姉さん」

この人は吉澤ひとみ、といって私をひきとってくれた家の長女。
孤児だった私をひきとってくれたこの優しい家の。
ひとみお姉さんと私の義理の親は1年前に事故で死んでしまって
イマじゃ会社経営をしていた義父が残した膨大な遺産とこの家で2人暮らしをしている

「あいよ。っつーか、早く朝ご飯食べないと遅刻するぞ。」

ひとみお姉さんがそういって部屋をでていった
…同時に時計を見る
只今時刻7時半…急いで着替えないと遅刻、です。

「うわぁ!か、完璧です・・・じゃない!」
13 名前:story02:私の日常. 投稿日:2003年03月22日(土)22時24分36秒
ベットから飛び起きて急いでパジャマを脱いだ
夢を見た朝は必ずといっていいほどこの時間におきる。いつもは6時おきなんだけど…
急いで制服に着替えて、カバンをもって1階におりると
ひとみお姉さんは悠々と朝ご飯をとっていて、私も向かい側の席に座りトーストに手をのばした

「あんま、急いでくうなよ?」

ひとみお姉さんが笑いながら言うと私は「完璧です!」と返事をして食べた
そんな私の様子を笑いながらひとみお姉さんが新聞を見始める
といっても、テレビ欄ですけど…
これが、私の――紺野あさ美の毎朝の風景。
14 名前:story02:私の日常. 投稿日:2003年03月22日(土)22時25分06秒

私には記憶がない
…どういうことか12歳以前の記憶がない。知っているのは名前だけだった。
といっても現在の生活には困らない程度なんですけど…。
一応、頭もそれなりだし、常識だってわかってます。
吉澤家にきたのは12歳。私の記憶もそこからスタートしている
…でも、名前だけは変えたくなくて…覚えていたくて名字は「紺野」にしてもらってたり

とにかく、私の人生は、12歳から始まってます。

15 名前:story02:私の日常. 投稿日:2003年03月22日(土)22時26分45秒
「お、そろそろ時間だなー。んじゃ、いくか」

ひとみお姉さんがそういうと私は牛乳を一気飲みしてカバンをもって玄関へ
急いで靴をはいて、外へでてうん、と背伸び


「そんじゃ、行きますっか。」

ひとみお姉さんがスクーターのエンジンを回してスクーターにのる

「あさ美、早くのちゃってー」

…実は校則違反なんですけど、スクーターでの登校と二人のりは
二人のりは法律でもちゃんとだめなんですけどね、仕方がありません。
朝比奈学園まであまり近くないし…遅刻しちゃうし…うぅ

「・・・はい」

ヘルメットをかぶって、朝比奈学園へ
…うぅ、おまわりさん、先生ごめんなさい、と心の中で何度もあやまって

「よっしゃー」

ひとみお姉さんが勢いよくエンジンを回して、スクーターで走り出した
16 名前:story02:私の日常. 投稿日:2003年03月22日(土)22時27分43秒
これが私の…毎朝の風景。
少しだけ悪い子なんだけど、実は楽しかったりします。

けど、何か忘れてるような
大事なもの・・・忘れてるような・・・気がします
…私は紺野あさ美。・・・平凡な高校1年生です。けど・・・なにか・・・。


――あさ美、アンタはアイツの一部だよ。大丈夫、離れたってわかるさ。アイツの居場所が―――


…忘れているような気がして
とりあえず空を見上げた。今日も青い澄んだ空。私の1日、おはようございます………

「って、あさ美ー!乗ってるときにねるなー!」

ぐぅ…。
17 名前:ペット 投稿日:2003年03月22日(土)22時32分06秒
本日はここまでっていったわりに書いちゃった(汗
えっと、今回は紺野世界です。川o・-・)ノ<…ぐぅ

早速応援ありがとうございます★

>ぷちでびる様
みつかってしまいました…。
続きはこんな感じ。これからもっとだぁくに…。期待しないでまっててください

>もりまん様
どうも、ありがとうございますー!
おもしろそうだなんて…川o・-・)ノ<きょ、恐縮です!
よければこれからも感想をお願いしますね

>tsukise様
早速見てくださってありがとうございます!
この連載が始まったのもあなたのおかげですよ!
2人で暖めた愛の結晶を書き上げていきたいと思います、ハイ。(ぇ
そちらのほうも連載がんばってください。影ながら楽しみにしてますYO!
18 名前:もりまん 投稿日:2003年03月22日(土)22時57分25秒
こんこんの欠けている物が気になります。
頑張ってください。
19 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月22日(土)23時03分17秒
あの…いきなりですが作者さん、吉飯好きですか?
もしかしたらと思って…。
違うならいいです。スレ汚しすいません!
20 名前:ペット 投稿日:2003年03月22日(土)23時07分21秒
>名無し読者様
大好きです。吉飯大すきです(笑)
スレ汚しなんてとんでもないですよー。
21 名前:ペット 投稿日:2003年03月22日(土)23時08分18秒
>もりまん様
欠けてる部分…どうなんるんでしょうか!(笑
今回もありがとうございます!がんばります★
22 名前:黒船 投稿日:2003年03月23日(日)10時56分14秒
発見しました!!!
かなり期待してるんでがんばってください!!!
23 名前:story03:そそのかすもの(1) 投稿日:2003年03月23日(日)13時44分18秒


特殊能力
普通のものと異なっている能力のこと。
平均的なものを超えている能力のこと。また、そのさま。特別。


後藤真希
作られた人間、特殊能力を扱う。人間ではない人間。



「ッ…。」

―――痛いなぁ・・・手首が

後藤真希は今、意識がハッキリとしていた
先ほどのクスリのおかげだろう。あのクスリは少々やっかいだが、暴れるだけ暴れて疲れ果て、眠れば朝起きれば頭がスッキリ、というものだ

『――…いったい、いつになったらでれるんだか』

監修に聞こえないようにため息を1つした
真希がこの地下室に閉じ込められてからもう2年が経とうとしている
この調子でいけば後3年ぐらいはここにいるんじゃないか、と真希は思う
24 名前:story03:そそのかすもの(1) 投稿日:2003年03月23日(日)13時45分36秒
『最も、怪しげなクスリを投与され続けて、アタシの頭がもてば、の話だけど』

真希は知っている
斎藤瞳、と名乗るあの女が自分に投与しているクスリは
自分の身体と頭にいい影響を与えないものだということを

『網タイツなんかはいちゃってさぁー。ムカツク』

先ほどの瞳の笑顔を思い出して、真希はまたコブシをにぎった
が、しかし、コブシを握ると手錠で擦れた手首の傷からまた血がでてきて
さらに自分に痛みを与えるだけだった

『…いたい。』

血をぬぐえず、手首から流れる血を舌でペロペロとなめる
なめても、なめても自分の手首から血が流れつづけるのを見ると真希は諦めて寝転んだ。
時間がたてば、血もとまるだろう
25 名前:story03:そそのかすもの(1) 投稿日:2003年03月23日(日)13時46分31秒

『そういえば…アレは…なんだったんだろう』

ぼんやりと天井を眺めていると真希は思い出した。
自分が昨日、気を失う前にみたあの書類を
1枚は自分の書類だった。囚人のような自分の写真がはられていたのだから
だが、もう1枚は?隠し撮りのような、木陰から撮影したような制服姿の少女の写真だった
真希はその写真の少女に、見覚えがあった

『…知ってる。アタシはあの子を。』

真希はうーんとうなり思い出す
だが、しかし思い出せない
思い出そうとすると何かが引っかかって思い出すのをやめさせられる
真希の記憶には障害などないはずなのに

まるで「こっからの記憶は立ち入り禁止ですよ」と言われてるようになぜか入り込めない
26 名前:story03:そそのかすもの(1) 投稿日:2003年03月23日(日)13時47分15秒

『記憶にまでクスリの影響、かな。……!?』

考るのを一旦やめ、ため息をついたところだった
静かな気配を感じ、真希は置きあがった
…真希の檻の前には昨日、真希をできそこない、と笑った金髪の女がいた

「グットモーニング、01.今朝の調子はどうだい?」
「…大谷…雅恵…。」
27 名前:ペット 投稿日:2003年03月23日(日)13時48分51秒
今回はここまで〜。これから後藤さんの方向でいかせていただきやんす

>黒船様
どうも〜。毎度お世話になってます
見つかってしまいましたねー。期待しないでよろしくおねがいします(汗
28 名前:ぷちでびる 投稿日:2003年03月23日(日)14時16分57秒
もう更新されてる!
後藤さんいい感じですね〜
セクシー担当 斉藤さんは網タイツは必須ですよね(笑)
なんか起こりそうな予感が・・・
29 名前:tsukise 投稿日:2003年03月24日(月)20時37分09秒
おおっ!傷口をなめるごっちんっ!なんかカッコイイですね!
もう、この話が更新されてると、t.A.T.uの音楽最近いつも聞いてるんですが
止めて読みふけってしまいますです、ハイ!
Go!Go!GoKon!! ぶちょー、ファイッ!!
30 名前:story03:そそのかすもの(2) 投稿日:2003年03月24日(月)21時35分07秒
――大谷雅恵
そう呼ばれたのは金髪の女。どうやら彼女の名前らしい
彼女は真希の「見張り役」だ。つい先日からの、だが
前に真希を見張ってたものは真希の眼光に精神を侵され入院したため
今度はこの女が真希を見張っている

[眼光]とは真希の特殊能力の1つだ
人をにらむだけで、その人の精神に侵略する、という精神系の能力
真希の体内にはそのような特殊な能力がいくつもつまっている
そういう人間なのだ、真希は。


「何か、用?」
「用なんかないよ。アタシはアンタの見張り役だからね。一応きただけ」

大谷はそういって、真希の檻の前にあるパイプイスに座った
タバコを取り出すと「吸う?」と笑いながら真希に差し出したが真希は首をふった
31 名前:story03:そそのかすもの(2) 投稿日:2003年03月24日(月)21時36分01秒
「昨日はお疲れ様でした。気分のほうは?」
「…良好」
「なら、よかった。今日もあのセクシーな白衣女がくるようだしね。」

大谷はそういって笑った
今日もあの女がくるのか、と真希は気が抜けた
またヘンなクスリを投与され、ボロボロになるまで暴れなければいけないのか、と

「仕方がないだろ、おまえは望まれてない人間だ。」
「…」
「なんだ、こんどはお黙りか。つまんないなぁ」

真希はこの女が大嫌いだ
毎日、決まって真希にケンカを売るような口調で真希に話し掛ける

『アタシ、こいつに恨まれるようなことしたかぁ?』

何度も思ったが、そんなことはしていない
だって、自分は檻の中に閉じ込められて暴れてもチカラをだせないようにされている
危害を加えたくたって、くわえれない状態だ
32 名前:story03:そそのかすもの(2) 投稿日:2003年03月24日(月)21時37分06秒
「…いつまでこんなところにいるつもりだ?」
「は?」
「アタシだったら、1年ももたない。絶対、逃げ出すね」

大谷はそういってまた笑う

『逃げ出す…ね。…でも』

「…逃げ出してどうにもなんないじゃん。」
「ほう?」

真希がポツリ、といった

「逃げ出したって、つかまるだけ。―――アタシに頼る人なんて、いないしね」

真希を作った人間は2年前に姿を消した
頼れるのはその人だけだったのに…その人も今はいない

「ふぅん」

大谷は新しいタバコに火をつける
その顔は少しだけ微笑んでいた

「何わらってんの。ムカつくんだけど」

真希がありったけにらんでそういうと大谷は「あぁ」とまた笑った
――この女いつか、殺す。真希は思った
33 名前:story03:そそのかすもの(2) 投稿日:2003年03月24日(月)21時40分21秒
「いや、勇気ないなぁって思って」
「は?」
「所詮、できそこないは、チキンってことか。」

大谷はそういって椅子から立ち上がり、うーんっとせ伸びをした
時計を見るともう13時を回ったところだ
大谷の見張りは朝〜13時まで、と決まっている
夜になると斎藤瞳を連れて真希の前に現れるがそれまでの時間、真希はまた1人になる

「ちょっとまってよ。チキンってなに!?」

去ろうとした大谷に真希が大きな声で言うと大谷はゆっくりと振り向いた

「結局おまえは、逃げ出すこともできない、逃げ出したってどうすることもできない臆病者だってこと…。かわいそうに、おまえの作ったやつも。」

大谷はそういって去った

34 名前:story03:そそのかすもの(2) 投稿日:2003年03月24日(月)21時40分54秒
「なに、それ」

ふざけるな、と真希は鉄格子に手錠をぶつける
また手錠が擦れ、手首から血が流れた

『逃げ出す?は、バカなこと』

――できない、そんなことは…したところで、何かがかわるのか――

真希はバカバカしい、と笑った

ガシャン
手錠がまた手首とこすれる

ココカラニゲレナイヨ、と真希を笑うように、音をたてて――――

「…チキン、ね」

あいつがここにいたら腹を抱えて笑いそうだな

真希は静かに目をとじた
眠ってしまおう
眠って起きれば―――暴れる時間だ。
35 名前:ペット 投稿日:2003年03月24日(月)21時44分35秒
シリアスって疲れる(爆
次回はセクシー斎藤のご登場です(笑


>ぷちでびる様
どもですー。後藤さんはこれからもっと壊れ…おっとっと
クールになっていきます。はい
セクシー斎藤!網タイツがキーワードってことで!(違

>tsukise様
t.A.T.u.ッスか!いいかも(w
テーマソングはそれで!(ぇ
後藤さんが自分の手首なめるの想像すると…あーたまらん
まぁ、いつかはあの展開に(謎
部長、がんばる…!
36 名前:ぷちでびる 投稿日:2003年03月25日(火)04時28分18秒
まさおーかっけーw!
とPCの前で叫びそうになったのれす(爆
あ、ごっちんがかっけーのは当り前なのれすw
期待大です!
37 名前:黒船 投稿日:2003年03月25日(火)09時37分37秒
ごっちんの姿を想像しました!
この先どうなることやら・・・やっぱり期待して待ってます(w
38 名前:story04:投与 投稿日:2003年03月25日(火)18時06分03秒
ココカラニゲラレナイヨ
ちがう、にげられないんじゃない
ニゲヨウトシナイ、ジブンガヨワイダケ
そう、それだけ
39 名前:story04:投与 投稿日:2003年03月25日(火)18時06分41秒

「おはよう、真希ちゃん」

真希が目覚めると、目の前に白衣の女性、斎藤瞳がいた
右腕には注射器をもち、左手にはファイルをもっている
どうやら、もう、「暴れる時間」はきたらしい

『寝ちゃったんだ…もうこんな時間、か』

真希はさわってくる瞳の手を払いのけ、置きあがり檻の中にある小さな窓から
外の月を見上げた
綺麗な満月…真希の最も嫌いな月のカタチだ
なぜだかはわからないが、真希は満月だけは苦手だった

「綺麗な満月ね」

瞳が真希の右腕に手をのばしニッコリと笑顔で言う
真希はただ黙って、振り向かないでいた
振り向けば、今自分の腕にさされる注射を見ることになるだろう
ただでさえ、少し痛いんだから、見るのはさけたかった

『…チキン』

真希は自分をそう思った
先ほど大谷がそういうように自分はチキンなのだ、と
逃げ出すこともできず、注射をいたがり、そしてこの女のなすがまま
40 名前:story04:投与 投稿日:2003年03月25日(火)18時07分43秒

「今日は、ちょっと強烈なのをいれちゃったの。ごめんなさいね」

瞳がグッと真希の腕に注射を打ち、耳元でささやいた

「いたっ・・・」

真希の腕に、チクリと痛みが走る
そして、クスリを注入される

痛いのは最初だけ
後はすぐに快楽がやってくる
1つ、1つ、理性を壊されるように―――ゆっくりと

「っ・・・あぁ」

真希の身体が熱く火照る
そして、全身から力がみなぎってくる…押さえきれないほどに

ノドが熱くなる

叫べ、叫べ、と本能がささやく

これが斎藤瞳の投与したクスリの効果、だ
真希の理性を飛ばし、本能を暴れさせる、クスリ
「大丈夫。今回は強烈だから、すぐ暴れておねんねしたくなるわ」
41 名前:story04:投与 投稿日:2003年03月25日(火)18時08分40秒
瞳が笑いながら檻をでてガチャリ、と檻の鍵をしめる
その横には遅れてきた大谷がプカプカとタバコをすっていた

『―――おまえら、しんでしまえ』

真希はギロリ、と大谷と瞳をにらんだ
そして、叫ぶ。さぁ、暴れる時間のはじまりだよ、と本能が言うように。

「うわぁああああああ!!!!」
42 名前:story04:投与 投稿日:2003年03月25日(火)18時10分47秒
頭痛、からなにやら、すべての痛みに襲われる

「ぐああああぁぁぁ!!」

苦しみ、もがく
たすけて、とは言えずただ叫ぶだけ

それを見ている大谷雅恵と斎藤瞳
もう見慣れているため、真希のあばれっぷりをただ、ただ傍観している

「今日はまたまた、すごい暴れっぷりだなあ」
「いつもより2倍強いのよ、今日のおクスリ」

瞳が笑いながらそういった
瞳の笑顔を見て大谷はゾッとする
この科学者は人間の感情というものがどうやらないらしい
実験台は実験台なのだ
だから、真希に毎回のようにクスリを投与してもなにも感じない

(セクシーなのに。この女のほうが人間らしくない、よなぁ)
43 名前:story04:投与 投稿日:2003年03月25日(火)18時11分34秒
大谷はタバコをすい、息をはいた
真希に同情する、というわけではないがこういうやり方は気に食わなかった
クスリを投与し、暴れさせ精神を段々と崩壊させる
いらないのなら、捨ててしまえばいいのに、と思う
こういうねちねちしたやり方はとにかく気に入らなかった

(…何、考えてるんだアタシ)

目の前では手錠を鉄格子にぶつけ、叫ぶ真希がいる
ひどく綺麗だと大谷は思った
本能をあらわにするものはいつだって、綺麗だ、と。

(ここにずっといるつもりか、01.)

心の中で大谷は目の前の少女に呟いた。
44 名前:story04:投与 投稿日:2003年03月25日(火)18時12分27秒
ぐらぐらする中で、優しい笑い声が聞こえた
あれは、誰の声だった?


『やばっ…きつい。』

真希は叫ぶのを終えて、はぁはぁ、と息をきらす
どうやら一時的なものは越えたらしい
それでも落ちつくのは数分で、またすぐ本能が暴れ出すのだが

『―――視界、はっきりしないなぁ』

クスリを投与されるときはいつだって身体に以上がでたが
視界に以上がでたのははじめてだ
先ほど瞳がいっていた「2倍強いクスリ」を投与されたからなのか
真希の視界は白く、はっきりしなかった
45 名前:story04:投与 投稿日:2003年03月25日(火)18時13分26秒
『なんだ、これ』

しかし、逆にいつもはハッキリとしなかった頭の中が妙にハッキリとしている
痛くもなく、本当に「ハッキリ」としていた

『…なんだこの、花びら』

急に真希の視界に目の前にいるはずの大谷と瞳が見えない変わりに花畑が見えた
見覚えのある、景色だった

『アタシ、ついに天国みてんの?』

花びらが真希の目の前をまっている
目の前の花畑には1人の白衣をきた女性が、1人の少女を戯れている
その女性に、真希は見覚えがあった
見覚え、なんてものではない
その女性は真希をいつも愛してくれた存在。そう、あれは―――

『―――いちーちゃん?』
46 名前:ペット 投稿日:2003年03月25日(火)18時16分54秒
ながっ!自分ながっ!(笑)
大谷さんに「セクシーなのになぁ」と言わせるのが何気に楽しみです、はい
今回も長くなりましたが、次回も多分ながくなるんじゃないかと
もうすぐで川o・-・)ノがでるんだかでないんだか(謎

レス
>ぷちでびる様
まさおかっけぇー!ッスか?それはよかったです(ぇ
基本的にまさおはかっこいいキャラで。ハードボイルドでせめたいな、と思ってたり

>黒船様
ごっちんの姿、想像すると軽くR−15のような(笑
やっぱごっちんはクールビューティーで、はい!
川o・-・)ノ<期待・・・しすぎないでくださいね?(w
47 名前:ぷちでびる 投稿日:2003年03月26日(水)00時43分15秒
セクシー担当斉藤さん、壊れっぷりが最高ですw
まさおーかっけぇーッス!
今回も叫びそうになったのれす(爆
後藤さん・・・なんか色っぽいんですけど
48 名前:黒船 投稿日:2003年03月26日(水)15時51分47秒
クールビューティーごっちん!!!!
かなりのダメージですよ(何が)

紺野にそう言われたらなぁ・・・うぅ・・・。
49 名前:tsukise 投稿日:2003年03月28日(金)06時26分16秒
おおっ!まさおさん、かっけーじゃないですかっ!!
悪魔っぽい斎藤さんもかなりツボですっ!
ごっちん…、チキンじゃないコトを証明してみせてくれっ(壊
更新、毎回チェックしておりますので、頑張ってくださいませっ!
50 名前:story05:覚醒 投稿日:2003年03月28日(金)17時06分13秒
さあ、お花畑にいこう
そこがアタシとおまえらと遊び場さ
3人で、遊ぼう。使命なんて忘れてさ
永遠に続くかわからないけど、幸せ気分で、ねぇ、お花畑にいこう?
51 名前:story05:覚醒 投稿日:2003年03月28日(金)17時06分46秒
いつのまにか、アタシは花畑にいた
なんだ、コレ…幻?…にしちゃあ鮮明しすぎるけど
しかし、それしか考えられない。
どうやら、あの斎藤瞳の新しいクスリは幻覚作用まで起こすらしい

「お、ちょっとまてって」

だからって、いちーちゃんがなんでいるんだよ
これ、アタシの記憶の中、なのかな?
いや、そんなことはないと思う
だって、アタシはこんな花畑知らないもん
それに…いちーちゃんがじゃれてる小さな女の子なんて…知らない

ズキン

…軽く手首が痛む
あれ?、でもアタシ今幻の中にいるから、手錠なんかしてないじゃん
なのに、何で痛むんだろう

「あさ美はいいこだなー。」

いちーちゃんが小さな女の子の頭をよしよし、となでる
あさ美・・・?・・・やっぱり知らないな

ズキン

…また軽く手首が痛む。なんだよ、コレ。
52 名前:story05:覚醒 投稿日:2003年03月28日(金)17時07分26秒

「真希にもしものことがあったら、おまえがなんとかするんだぞ」
「はい、か、かんぺきです。」
「よしよし」

…真希って、アタシだよね?
っていうか、いちーちゃん、何デレデレしてんだよ…。そんなちっちゃい子にさぁ
ロリコンだって、ソレ。

―――ザワッ

風がふいた
風までリアルに感じれるのかこの幻は
そのときだった…どこからか綺麗なクチブエが聞こえてきた

「あ・・・」

少女がそのクチブエを聞いた瞬間、走り出した
お花の冠なんかもって一生懸命
走り出した先には―――栗色の綺麗な髪の女の子

―――あれは、アタシだ―――
53 名前:story05:覚醒 投稿日:2003年03月28日(金)17時08分03秒
「ごとう、さん」
「あぶないって。走るのは。」

―――なんで、アタシがいるの?

あのアタシはとても幼いアタシだ。そう、あれは14歳ぐらいの…幼いアタシ

「あ、ごとうさん、これ、その、あげます」
「ありがとう」

お花のかんむりをもらって微笑むアタシ
これはまぎれもなくアタシだ。…作り出された記憶じゃなければ
じゃあ、この少女は誰?

―――「00について」―――

突然、頭に昨日見た隠し撮りされた写真が思い浮かぶ

ズキン
また手首が痛む。うざいなぁ、この手首の痛み。

「おぉ、2人とも仲良くていいねぇ」

いちーちゃんが微笑む
なんだよ、何笑ってるの。教えてよ…この状況を
アタシの記憶にはこんなもの、ないよ
こんな少女なんて知らない。こんな花畑なんて知らない、知らないよ
54 名前:story05:覚醒 投稿日:2003年03月28日(金)17時08分38秒
――本当にそう?――

誰かが頭の中でささやく
うるさい、だまれ。だって知らないものはしかたがないじゃない。
アタシは「あさ美」なんて女の子…知らない、ハズだ
なのになんでだろう。この幻の中のアタシはとても幸せそうに少女を眺めている
幸せそうな風景。見覚えは無いけど…いや、待って…
アタシがクチブエを吹くと、必ず誰かが喜んでた…
あれは―――あの少女?
55 名前:story05:覚醒 投稿日:2003年03月28日(金)17時09分16秒
突然、また風がふいた。花びらが舞う

「何!?」

一瞬にして目の前の映像が乱れる

「ッ・・・!」

そして―――今度アタシの目に映し出された映像は…薄暗い地下室、だった

「な、何・・・」

見覚えの有る部屋。というか、ここはアタシの檻の目の前の実験室じゃないか

どうして、こんな映像が…アタシの頭に?
そして…うっすらと人が浮かび上がった
目の前で、拷問されている…人が…

「ぐはぁ!!」
「いちーちゃん!!」

あれは、ウソ!?なんで…いちーちゃんが拷問されているの?!
56 名前:story05:覚醒 投稿日:2003年03月28日(金)17時09分55秒
『…いちーちゃん!?』

叫んでも、誰も気づかない
何、これ?!やめろよ、冗談なら!

「やめろ!真希とあさ美には手をだすなぁ!」

血を吐きながらいちーちゃんが叫ぶ
真希、とあさ美、はというと、アタシの足元で震えていた
小さなアタシがあの小さな子を守るように抱きしめていた

何、コレ。…記憶、なんかじゃないよね。
悪い夢だよ。だって、いちーちゃんは拷問なんかうけてないもん
アタシの記憶の中のいちーちゃんは、拷問なんか、拷問なんか、うけて、ない
そう、アタシの目の前から勝手に消えたんだ、いちーちゃんは
…まって?

なんで、いちーちゃんはアタシの目の前から消えたの?
57 名前:story05:覚醒 投稿日:2003年03月28日(金)17時11分14秒
「だったら、死ぬしかないんじゃない?」
「あはっ。やっちゃおうよ、ねぇ」

周りの女たちがいちーちゃんを殴り、言う
なんだ、こいつら。いちーちゃんをなぐりやがって…
なんで、アタシはなにもしないんだ、おい、小さな真希!

「じゃあ、死んでやろうか。」
「それをお望みで?ドクター、市井。」
「真希とあさ美がそれで生き残るなら、充分だよ。な、真希」
「いちーちゃん!いやだぁ!!」

まって、なんなんだよ、これ
わかんないよ。いちーちゃんが何で死にそうになってんの?
は?わかんない。こんなのはアタシの記憶なんかにないよ。ないってば
絶対にない。だっていちーちゃんはアタシの目の前から消えただけで、拷問だなんて
58 名前:story05:覚醒 投稿日:2003年03月28日(金)17時12分02秒
いや、まて
アタシは知っている。

「真希…あさ美を守れよ。絶対、離すなよ」
「いちーちゃん!?」
「市井さん!!」
「バイ、バイ」

目の前でいちーちゃんが死ぬ記憶なんて…ないよ

「「いやだああああああ!!!」」

昔の自分と声が重なった瞬間

アタシの目の前の市井紗耶香は、死んだ
59 名前:story05:覚醒 投稿日:2003年03月28日(金)17時12分52秒
映像が、そこで終わった

涙が流れていた…。

市井紗耶香は…アタシの目の前からいなくなったんじゃない
アタシの目の前で死んだ、んだ

二度と見たくなかったのに…あぁ、いちーちゃんはそうだ、死んだんだ。

――――――――――ソウイウコトナノカ

自分の中の獣がささやく

――――――――――キオク、ケサレテタンダネェ、アタシ

ああ、そうみたい

――――――――――ドウスル?

んあ、どうしようか?

――――――――――スベテ、ハカイシチャオウカ

そうしよう。とりあえず、お礼をいわないと斎藤瞳に。クスリのおかげで、思い出したって。
60 名前:ペット 投稿日:2003年03月28日(金)17時18分48秒
更新終了なのれす( ´ Д `)<んあー、おもいだしたよー
無駄に長い(汗)きにしないでください
いちーちゃん…しんだのかなぁ(ぇ

レス
>ぷちでびるサマ
斎藤さん、次はどうなるんでしょうか(笑
( ´ Д `)<あははっ(爽
まさおは何気にいいやつです。多分、きっと
後藤さんがいろっぺー…実は書いてて「あ、エロ」とおもっちゃいました
でもそんなきないのれす、はい

>黒船サマ
どもですー!クールビューティーイェイ!
ダメージうけちゃいましたか。よっしゃぁ(w

>tsukiseサマ
どもですー!うぅ、毎回ありがとうございます(TT
ごっちんはきっとチキンじゃないことをもう少しで証明しると思います
多分次回には(ぇ
がんばりますです!ハイ!
61 名前:黒船 投稿日:2003年03月28日(金)17時31分20秒
いちーちゃん・・・うぅ・・・
またダメージ受けましたよ。精神的に(バカ
そういえばちょっと前の話ですが、後藤さんの姿を想像するとR−15って言うんだったら
・・・私、見れないじゃないですか!!!15歳はアウトですか(バカ
想像(妄想)禁止ですか!?(アホ
62 名前:ぷちでびる 投稿日:2003年03月28日(金)17時33分44秒
うわぁ〜!!
背筋がぞくっとしました。
市井さん死んでないの?
う〜んますます続きがきになるのれすw
63 名前:なな 投稿日:2003年03月29日(土)04時18分22秒
思い切って名無しはやめました。よくやった自分。

今回のお話はいつになくハラハラしながら読ませてもらいました。
ああ…市井ちゃん…(泣
ごっちんに紺野…二人は一体どうなるんだ…ああぁぁあ(壊
毎回読みながら悶々としております。マサオも気になります。

…実は赤の方で短編載せさせてもらいました…後紺初挑戦(ヒー
良かったらダメ出しでもして下さい(w
64 名前:story06:rain day 投稿日:2003年04月04日(金)20時36分00秒
約40分ほどだろうか
真希が先ほど倒れてからの時間だ
その間、ずっと監視を続ける大谷と
真希の先ほどの「暴れ」のデータ―をパソコンに打ち込んでいる斎藤
カタカタ、とパソコンに打ち込む音が地下室に響いていた

「雨、か」

大谷が、地下室にある唯一の窓から顔をだして言う
今日は珍しく雨がふっていた

―――そういえば、…アイツとはじめてあったも雨がふっていたか

大谷は昔の記憶を思い出しながらタバコに火をつけた
…その時だった
ガチャリ、と真希の檻のほうから大きな音が、した
65 名前:story06:rain 投稿日:2003年04月04日(金)20時36分33秒
「…何の、音?」

静かなはじまりの合図だった
66 名前:story06:rain day 投稿日:2003年04月04日(金)20時37分06秒
大谷雅恵が振り向いた瞬間、真希の檻の鉄格子が、破壊された
そう、真希本人の力によって
瞳は青ざめた顔をして、口をパクパク、とさせていた
真希本人は何もいわず、ボーっとしている
だが、ボーっとしていても、彼女に「殺意」があることはオーラで確認できる
状況を理解する時間はいらなかった
真希に「覚醒」が訪れたことを…

「…」
「…01…お目覚めってわけか…ある意味で。」

大谷は、ゆっくりと真希に銃口を向けた
67 名前:story06:rain day 投稿日:2003年04月04日(金)20時37分43秒
真希の視界はハッキリとしていた
先ほどの映像のおかげか、気分も体調も闘志も好調だった

(―――この檻、うざい)

真希がそっと目の前の檻を触ると檻が崩れ出した

(…いちーちゃん)

そっと、今は亡き愛したひとの名前を心で呟く
頭が少しだけボーっとするが大丈夫だ
真希は邪魔なやつらを殺せる、と思った
心臓がドクン、となった。自分が生きていることをつげるように
1歩、檻の中からふみだすと、大谷が銃を構えていた

―――準備運動、デモシヨウカ。

(・・・そうする)
68 名前:story06:rain day 投稿日:2003年04月04日(金)20時38分19秒
「アンタなんのクスリ投与したんだ」

真希の様子をジッと見ながら、大谷が床に腰を抜かしてる斎藤瞳に言った
瞳は慌てて首をふる

「…し、し、しらないわよ!」
「……まぁいいや。そこらへんは…生きてたらきくかっ」

ダンッ―――

大谷がねらいを定めて真希へ発砲した
が、その瞬間、真希が移動する

「はやいっ・・・!」

真希の移動は生身の人間の大谷には真希の姿は見れないほど早い
大谷は慌てて、銃をあちらこちらに発砲するが、真希にあたってる様子はなかった
69 名前:story06:rain day 投稿日:2003年04月04日(金)20時39分06秒
ダンッ、ダンッ、ダンッ

虚しく発砲の音が地下室に響いた
相手にはかすりもしない。窓などに大谷の銃の弾はあたり、そこらへん一体が、ガラスの破片の海となっていた

(っ弾切れかよ!)

大谷は慌てて、シリンダーを回転させ、次の発砲の用意をするが
あまりの恐怖さによって手がうまく、動かなかった
大谷は何度もヒトを殺すために銃を発砲してきたが
ここまで怖い相手はいなかった
敵の姿が見えない、という恐怖は大谷の腕を鈍らせた

「っくしょう!!」
「大谷!前!」

瞳の声で、ハッと前に銃口をむけた
70 名前:story06:rain day 投稿日:2003年04月04日(金)20時39分44秒
「……」

目の前には、殺意にみちている真希がいた
真希はガラスのとがった破片を大谷につきつけていた
手は血だらけで、大谷の弾丸がかすったのか、顔にはかすりキズがあった
それでも「かすりキズ」なのだが
そして、真希がゆっくりと口を開いた

「市井紗耶香は、死んだのか」

市井紗耶香――真希を作った人間。
大谷にとっては何度か資料でみかけた存在でしかなかったが
彼女の生息ぐらいは知っていた

「…答えろ」

真希がガラスの破片を大谷に突き出す
彼女の手からは血が流れている
71 名前:story06:rain day 投稿日:2003年04月04日(金)20時40分34秒

「…しりたいのか」
「っいいから答えろ!」

大谷は、先ほどと違って冷静だった
真希の異常な興奮に気づいたからである
(…今なら、注意力、判断力が薄れてる。まんま、本能ってわけか)

「……………いいだろ、教えてやる。」

大谷はゆっくりと答えた
72 名前:story06:rain day 投稿日:2003年04月04日(金)20時41分30秒

「……………いいだろ、教えてやる。」

大谷はゆっくりと答えた

「市井紗耶香は……しんだぁ!」

声を大きくしてそういい真希が少し動揺したスキに
大谷は真希の腹部めがけて力いっぱい蹴りをあたえた

ドガッ―――

「…っうぁ」

真希は床に、倒れた
そのスキに大谷はすぐに弾丸をつめる
手は相変わらず震えているが先ほどの恐怖心はなかった

「うあぁあああああああ!!」

真希が立ちあがり叫びだした
いつものクスリ投与のときと同じような叫びだった

「黙れえぇえええ!!」

大谷が銃を構え、発砲をする
73 名前:story06:rain day 投稿日:2003年04月04日(金)20時42分06秒

ダンッ

上手によけきれなかった真希は腕に弾丸がかすってしまい、腕から血が流れた

―――――このまま、しんでもいいかな
だって、どうせいちーちゃんは死んだんだ――――

大谷の銃にあたって、このまましねば楽なのかもしれない、と真希は考えた
が、しかし、すぐにその考えは否定される

―――でも…あのコはひとりぼっちだ―――

真希は静かに瞼をとじた
思い出された彼女の記憶の中で真希を慕っていた少女

―――…探す…価値…は…あるのかな―――

真希の脳裏に小さな彼女の笑顔がよみがえった

『ごとう、さん』

したったらずな彼女の声が鮮明に真希の耳に届いた
74 名前:story06:rain day 投稿日:2003年04月04日(金)20時42分50秒

「うあああああ!!」

真希は再度叫び、あたりを見まわした
彼女に会いたい、あわなければいけない。彼女がいきてるのを確認したい。
真希の考えの結果は、でていた

(逃げ出す―――!)

真希は大きく深呼吸をし、後ろを振り向いた
出口はどこだか知らないが、とりあえず走ればあるだろうと真希は考え、1歩踏み出した

「にがすかぁああ!!」

大谷の発砲がこれから続くのを覚悟して、真希は…走り出した




『後藤、さん』
『んあ?』
『…ずっと、そばにいてくれますか?』


「あぁあああ!!」

真希は走り出すそう、真希はWayOut…出口をめがけて…まっすぐに



―――真希、大丈夫。あのコは真希の支え…いや、存在理由にもなれるから。―――


第1章「はじまりの合図」(終)
75 名前:ペット 投稿日:2003年04月04日(金)20時47分38秒
第1章おわりですー。あぁ、更新に時間がかかってしまいました。
うん、ごっちん、がんばれ。

>黒船サマ
どもですー^^大丈夫です!精神的R-15ですから★
これからどうなんるんでしょうかごとうさん!
クールビューティーにかければいいなぁーと思います、はい



>ぷちでびるサマ
ぞくっとしてよかったです^^(w
市井さんはどうなんでしょうねぇ…。わかりません!作者にもわかりません!(w
まぁ…可能性がないわけでは、ぐはっ…


>ななサマ
何気に大人気のマサオくんです(ぇ
ハラハラしてもらえて光栄ですYO!!
後紺小説よかったです!はい!またかいてください!そっこー感想をかきにいきますので!
76 名前:黒船 投稿日:2003年04月05日(土)17時15分20秒
お疲れ様です〜。
クールビューティですねぇ。完璧です!(何

精神的にはもうおばあちゃんなんで完璧に見ることができますね(死
2章以降もがんばってください!!!
77 名前:ぷちでびる 投稿日:2003年04月05日(土)23時23分38秒
続きが気になる・・・(笑)
後藤さんの壊れっぷりが凄いですw 背中に来ますw
第2章 どうなっていくのか楽しみです。

関係ないんですがw
岡女を見ながら 川o・-・)ノ<完璧です! というフレーズが
頭の中をグルグルしてました(爆
78 名前:story07:リアルデイズ 投稿日:2003年04月20日(日)10時56分17秒

暖かいメロディ

無くした記憶の中で、ハッキリと覚えているのは彼女がふいていた唯一の口笛の曲

私にはうまくふけないけど・・・彼女はいつも照れくさそうにふいてくれた

・・・なんだっけ、あの曲
79 名前:story07:リアルデイズ 投稿日:2003年04月20日(日)10時57分51秒
キーンコーンカーンコーン...
無機質な音で私は目をさました
やばい・・・今の授業私、また寝てた?

「起立っ」

急いで周りとあわせて起きあがると、数学の先生がちょっと睨んでいた
・・・バレちゃったのかな、ねてたってこと

「そりゃ、顔に後ついてるもん」

まるで私の思考をよみとったように
隣の席のまこっちゃんが私の頬をぷにっとつねった

「ま、まこっちゃんっ」
「おはよー。あさ美ちゃん。」

まこっちゃんはにっこりと笑った
頬についてる3つのバンソウコが少しだけ痛々しい

「いつ、きたの?」
「今の授業だよ。きたらあさ美ちゃん寝てるんだもん。かわいかったあ」

まこっちゃんはそういって私の頬をまたぷにっとつねった
まこっちゃんこと小川麻琴ちゃんは、この近所で結構なワル・・・っていうか
ケンカっぱやいので有名。
でも、まこっちゃんはすっごい優しいひとだから、私は好き。
なにより、私のはじめての友達、だし
80 名前:story07:リアルデイズ 投稿日:2003年04月20日(日)10時59分09秒
「おはー、まことぉ」
「うおっ。愛ちゃん、くっつくなあーくっつくなあー」

まこっちゃんが苦しそうに後ろにいる愛ちゃんをどかした
いきなりまこっちゃんにジャンプして抱きついてきたのは高橋愛ちゃん
中学のころ、福井から転校してきてまだなまりがとれてないかわいいコ

私の”日常”はこのコたちといることが、多い

「またケンカしてきたの?」

まこっちゃんの頬をそっと触るとまこっちゃんはちょっとしかめた顔をした

「ケンカじゃないよ。」
「じゃあ、なにさあー」
「くるっしい!くるしいってば愛!」

愛ちゃんがまこっちゃんの首をしめて聞きだす
まこっちゃんは「くるしい!」といいながら愛ちゃんの手をはらうけど
愛ちゃんはものすごく、嬉しそうだ
・・・どうでもいいけど、愛ちゃん、まこっちゃん本当に死にそうだよ
まこっちゃんは愛ちゃんをどけて、呼吸を整えると少しだけ、てれくさそうに口をひらいた
81 名前:story07:リアルデイズ 投稿日:2003年04月20日(日)10時59分56秒

「猫にひっかかれた」
「「え?」」
「だーっからあー。猫にひっかかれたの。」

まこっちゃんは明後日のほうこうをみながら呟いた
愛ちゃんと私は顔をあわせて・・・一気に笑った
だって仏頂面なまこっちゃんが猫に近づいてひっかかれるのなんて…想像するとおもしろい

「そこまで笑わなくたっていーじゃんか。」

まこっちゃんはちょっと不機嫌そうにそういうと愛ちゃんがお腹をおさえながらフォローする

「いやいや、まこともかわいーんよなあっておもって」
「そりゃ、どうも。」

まこっちゃんはブスっとした顔で礼をいうと教室のドアのほうへ歩き出した

「どこいくの?」

私がきくとまこっちゃんは振り向いて笑った

「保健室。いーだ先生に治療してもらうー」

そういったまこっちゃんの後を私たちふたりは慌てて追いかけた
保健室の飯田先生のところで次の時間はサボらせてもらおう、なんて悪いことをちょっと考えながら
82 名前:story07:リアルデイズ 投稿日:2003年04月20日(日)11時02分22秒

廊下にでると風が窓から優しくふいていた
優しい風が私の頬をなでた
そっと目をとじると、あのお花畑が浮かんできて、私は…なぜか慌てて目をひらいた

「寝不足?」

隣にいたまこっちゃんに聞かれて首をふった
寝不足なんかじゃなくて…あれは夢なんかじゃないって…私は知っているから
あのお花畑はいったいどこにあるんだろうか
きっと―――私は遠くない未来、そこにいくような気がした

「はやくー、あさ美ちゃん」
「とろいぞー」
「ご、ごめん」

この人達と別れて、あのお花畑に。いつか行くような気がして
それが悪いことなのか、いいことなのかはわからないけど

「あさ美ちゃんはとろくてかわええなあ」
「ほめてるの?愛ちゃん?」
「きっと愛なりにほめてるとおもいまーす」
「まこっちゃん・・・」

少しだけ、この日常が、もうちょっと続くようにと願いたかった
83 名前:ペット 投稿日:2003年04月20日(日)11時06分51秒
おまたせしました(もはやまってるひとがいるか不安)
紺野編はじまり〜です。次回は飯田先生登場かも?(w

>黒船サマ
2章はボケボケ紺野さんで進めたいと思います(w
精神的にはおばあちゃんなんてそんな!
またごっちんがクールビューティーででてくるので、よろしくです

>ぷちでびるサマ
背中にきますかぁ!(w
2章は後藤さんとまったく違う日常を歩む紺野さんに!
新キャラ多分ぞくぞく出場です!(w
岡女は川o・-・)ノさん「完璧」でした・・・最高。
でも英語・・・ごっちんに教えてもらってください(w
84 名前:tsukise 投稿日:2003年04月20日(日)15時17分33秒
おおっ! 待ってましたよ、ペットさんっ!
なんていうか…束の間の日常ってカンジでワクワクしてますっ(ぉ
ケンカっ早い小川さん…何故かツボですし、この紺野の『日常』に
どうやってごっちんが絡んでくるのか、楽しみに待っていますねっ!
85 名前:ぷちでびる 投稿日:2003年04月20日(日)21時29分00秒
同じくまってました〜。

第2章始まりましたね〜^^
紺野編も面白そうな感じですね
この後もわくわくしながら待ってます。
おぉ〜 飯田さんも登場ですか。
ますます目が離せませんw
86 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月26日(土)06時41分49秒
後紺目当てで読んでますが、まこっちゃんの可愛さにやられそうです(W
87 名前:story08:ひなたのにおい 投稿日:2003年04月26日(土)23時28分09秒
キーンコーンカーンコーン......

休み時間終了のチャイムの音が聞こえると同時に私たちは保健室についた
ガラガラガラ...

「しつれいします」

まこっちゃんがいきおいよくをあけるとマニキュアを塗ってるきれいな女性がこちらを見た。
保険医の先生――飯田先生だ

「おっ、三人娘。じゃん」

飯田先生はマニキュアの瓶をしめながら私たちにほほえんだ。
飯田先生はこの学校で1番の美人でそして1番の天然
噂によると男性の先生方にはファンクラブまであるらしい…
ちょっとズレてる先生で私たちはこの先生が大好きだった

「あの、頬ケガしちゃって」

まこっちゃんが自分の頬を指さしながらいうと
愛ちゃんがまこっちゃんの後ろからひょっ こり顔だして

「猫にひっかかれたんやて。」

とおもしろそうにいった

「小川らしいねぇ」

飯田先生はニッコリと笑いながらそういうと
たちあがりまこっちゃんを治療するために準備をし始めた

「休んでいきなよ。カオリひまだし」

そういって飯田先生が笑ったので私と愛ちゃんはお言葉に甘えることにした
普通の先生なら「サボり」なんてすすめないだろうな
ここが飯田先生のおもしろい、ところなのかもしれない
88 名前:story08:ひなたのにおい 投稿日:2003年04月26日(土)23時29分00秒

「いたくしちゃってくださいー」

愛ちゃんがふざけてまこっちゃんを飯田先生のほうに押した
飯田先生は「まかせろ」なんていいながら微笑み、まこっちゃんは少し顔をしかめた
そんな三人を見て私は陽がよくあたっているベットに腰をかけた

「いでっ」

腰をかけたと同時に変な感触と声。しかも聞き覚えのある声だった
…これは…もしかして、もしかしなくても

「あ、紺野、そこにあいついるから」

飯田先生が言った途端、私の座っていたベットからヒトが起きあがった
茶色のボサボサの髪と右耳につけてるシルバーピアスが保健室の窓から入ってくる光に反射していた
一瞬、言葉を失った

だって・・・光につつまれていたそのひとは・・・綺麗なひとだったから
89 名前:story08:ひなたのにおい 投稿日:2003年04月26日(土)23時29分48秒
「あいつってなんだよー、かおりん」

私の座っていたベットに寝ていたのは…やはりひとみお姉さんでした
うん、と背伸びをしてひとみお姉さんは私にウインクをして、ベットからおりる

「あ、よっすぃー先輩!」
「吉澤先輩!」

愛ちゃんとまこっちゃんもひとみお姉さんに反応する
まこっちゃんは飯田先生に治療されてるため移動できないけど
愛ちゃんはすぐ、ひとみお姉さんの側にきた
そういえば、愛ちゃん…ひとみお姉さんのファンだったっけ
まこっちゃんも「ある意味」ファンだって言ってたけど…ある意味ってどんな意味だろう?

「おいっす。三人娘。またサボりかあ?」

ひとみお姉さんは無邪気な笑顔でそういうとベットからおりてあくびをひとつ、した
愛ちゃんはそんなお姉さんに「はい!」とご機嫌の挨拶をする

「ハイってなあー。たかはっすぃー。っていうか、サボりはいけないんだぞ?」
「で、でもぉ〜」
「あさ美も!サボりはいけない!そんな子に育てた覚えはないぞ!」

と、笑いながらひとみお姉さんが私にでこぴんをした
うっ・・・少し痛いですよう・・・
私はでこぴんされたおでこをおさえながらお姉さんに言った
90 名前:story08:ひなたのにおい 投稿日:2003年04月26日(土)23時30分48秒

「ひとみお姉さんのほうがよくここにいると思うんですけど」
「アタシはかおりんと愛を語らってるからいいのー。ねっ、か・お・り・ん」
「小川、消毒するよー。ちょっと痛いかもだから」
「…って無視ッスか!?かおりーん!!」

ひとみお姉さんがおおげさに飯田先生に絡む姿がなんだかおかしくて
私と愛ちゃんとまこっちゃんは笑ってしまった
笑っていると、また窓から暖かい風がはいってきて私の頬をなでた
その風に誘われ、窓から青空を見上げた

「いい天気・・・」

私は誰にも聞こえないように呟く
すると・・・急に私に軽くめまいがおきた・・・


―――――――――コンナニチジョウモナクナッテシマウンジャナイ?


「誰!?」

突然した声に私は無意識に声をあげてしまった
ハッキリとした声が私に呼びかけていたような気がして
でも、振り向いてもそこにはだれもいなくて、保健室には相変わらず5人しかいなかった
91 名前:story08:ひなたのにおい 投稿日:2003年04月26日(土)23時31分47秒

「…あさ美?どうした?」

ひとみお姉さんがまじめな顔をして私に聞いた
…5人以外、だれもいない、よね?…幻聴、かな
耳を何度もこすって、確かめた。うん、幻聴・・・幻聴だよね

「大丈夫、です」
「本当に?」
「はい、完璧です!」

口癖…というか「魔法の言葉」をいつものように繰り返す
けれど「魔法の言葉」をいっても、キモチが入らなかった

「ねていきなよ、紺野」
「そうだよ。あさ美ちゃん、寝不足じゃない?さっきもボーっとしてたし。…っていたいですよ!飯田先生!鼻をピンセットでつままないでください!」
「あ、ごめん」

相変わらずおもしろいやりとりを続けるみんなを見て私はほっとした
さっきのは幻聴だったんだ。そうにちがいない
最近疲れてるみたいだし…よく変な夢を見て、うなされるし
それになんだか右腕とか、間接の節々が2,3日前から痛い・・・
92 名前:story08:ひなたのにおい 投稿日:2003年04月26日(土)23時33分34秒
「少し、休みますね」

ちょこん、とみんなにおじぎをして、私は飯田先生の言葉にあまえた
きっとこのひなたに包まれた部屋で寝れば、なにもかもがなおるだろう、と思いながら
私はそういってさっきまでひとみお姉さんが寝ていたベットへ入った
ふんわりとひなたの匂いがしたおふとんに入ると私はすぐ、眠りに誘われた

「あさ美ちゃんおやすみー」
「いたい!いたいですってば、飯田先生!」
「え、あ、うん」
「かおりーん。紅茶をプリィズミー」

4人の楽しそうな笑い声が聞きながらまどろむ
ぼやけた視界に、見覚えのある人影が映ったきがしたけれど
私はきにせず…いや、きにしないようにして、目をつむった
あのヒトの姿を思い出したくなかったから



…え?あのヒトって…誰だっけ?
自分自身への疑問に答えるまもなく、私は眠りの世界へ



『あさ美ー。あいつのとこにいってきなさい』

…ダレ、ダッケ?
93 名前:story10:ヒトミ 投稿日:2003年04月26日(土)23時34分17秒


――――――右腕が動かなくなり、ついには全身麻痺
血のめぐりは悪くなり、心臓はいつも悲鳴をあげるのさ――――――

94 名前:story10:ヒトミ 投稿日:2003年04月26日(土)23時35分08秒

「最近、あさ美、寝てないみたいなんだ。」

ひとみはため息をついて圭織をみつめた
ひとみの横にはあさ美がすーすーと規則正しい呼吸を繰り返し、きもちよさそうにベットで寝ている
彼女が眠りに入ってからもう1時間が過ぎた
最初はあさ美のクラスメイトの愛と麻琴たちとあさ美をみていたが
次の授業が始まり、今は圭織とひとみだけがあさ美を見守っていた

「うなされてるみたいだし。…なんか、身体の様子がおかしいし」

あさ美が1週間前から「発熱」や「痛み」などを何度も繰り返してるのを見ていたひとみはあさ美の身体が心配でならなかった
そういってひとみは圭織が先ほどいれてくれた紅茶を一口飲んだ
圭織はただ黙ってひとみの話を聞いている

「ただの風邪?それとも記憶、思い出す前兆、とか…かな?」

ちらっとあさ美を見て、ひとみが呟く
ひとみの表情はあさ美の寝顔とは対照的に不安で満ちていた
95 名前:story10:ヒトミ 投稿日:2003年04月26日(土)23時36分24秒

「そうかもしれないね」

圭織はそっと椅子から立ち上がりひとみの側に近寄った
あさ美は規則正しく寝息を繰り返しており、寝顔は純白の天使のようだった

(かわいいな)

圭織の綺麗な指がそっとあさ美のおでこの髪をかきあげて頭をなでた
その圭織の行動に寝ているあさ美がくすぐったそうにみをよじった

「不安、なんだ」

ひとみもあさ美のおでこに手をやり、そっと圭織の綺麗な指に自分の指をからませた
圭織もひとみの指にかまるように指に力を入れた
そしてひとみの指を自分の頬へもっていく

「あさ美は、アタシにとって唯一の家族だから。ある日、突然いなくなるんじゃないかって。…あさ美のことしってるやつがきて、連れ去っていくんじゃないかって」

気づくとひとみの身体は震えていた
圭織はそっとひとみを抱きしめて頭をよしよし、とした
ひとみと付き合いはじめてからひとみはよく圭織の前で泣いたりすることが多かった
96 名前:story10:ヒトミ 投稿日:2003年04月26日(土)23時37分23秒
原因は「あさ美」だ
ひとみにとって「あさ美」という「妹」の存在は圭織より大きい
そして同時に不安定な存在だ
数年前ワケアリでひとみの家族になり、そしていつかワケアリでひとみの前から姿を消すのだから
最初は圭織もあさ美に嫉妬をしていたが、今でももうなれていた

(だって、よっすぃーのいちばんは家族なんだから)


「大丈夫だよ、よっすぃー」

慰める言葉なんて圭織にはみつからずただそういうしかなかった
ひとみは圭織の胸に顔をうずめ、一粒の涙を流す

「母さんと父さんが言ってたんだ」
「ん?」
「生きてるときにね」

圭織はそっとひとみから離れ、ひとみの涙を指ですくった
ひとみは照れくさそうに笑ってあさ美のほうをむいてそっと髪をなでた
あさ美はあいかわらず無邪気な寝顔をしていた

「あさ美には迎えにくるひとがいるから…そのひとが来るまで守ってあげるんだ、って」

ひとみは言いながら、あさ美が初めて家にきた日を思い出す
しっかりした言葉遣いで、ひとみを怖がっていたあさ美を
あさ美はひとみにとってかけがえのない存在だった
ひとにはいえないことを散々していたひとみをすくってくれた存在
97 名前:story10:ヒトミ 投稿日:2003年04月26日(土)23時37分57秒
そんなあさ美に今、何かがおころうとしている
表面上ではなにもないがひとみはあさ美の中で何かがおこるんではないか、といつも不安なのだ
なぜならあさ美の身体は今、なぜか悪い状態に進んでいるのをひとみは知っているから

「そのひとがきたら、アタシ、あさ美を渡さなきゃいけないのかな」
「…わかんないね。」

圭織がひとみの頬に軽く口付けをするとひとみに背を向けた
するとひとみの震えたちいさな声が呟く

「…アタシじゃだめなのかな」
「ん?」
「アタシじゃ、あさ美の支えにならないのかな。あさ美を守ってあげれないのかな。」

優しい風がはいってきた
音楽室が近いからだろうか、生徒の声で奏でられた優しい音楽も聞こえてくる

「誰なんだろうね・・・そのひと」

圭織は空を見上げる
その姿はマリアのように、美しかった

「さあ・・・」

わからない、といったようにひとみは首を振る

(…迎えに来るのはあさ美にとって「死神」なのか。
それとも「救世主」なのかさえも・・・アタシは無力でわからないな)
98 名前:story10:ヒトミ 投稿日:2003年04月26日(土)23時39分25秒
ひとみはあさ美の寝顔を見た
相変わらず寝ているあさ美の顔はやはり「天使」そのもので
ひとみにひとつの決意をさせた


そう、わからないのならば「理解」をすればいいだけのことだ、という決意


「ねぇ、圭織さん」
「ん?」

今だ空を仰いでる圭織に後ろからひとみは抱きついた

「…アタシ、あさ美のこと知りたい」
「しってるじゃない。いっぱい。カオリより。」
「違う。…医学的に、だよ」
「それって、・・・どういう意味?」

圭織が振り向くとひとみが圭織の唇をふさいた
静かに…ひとみは何度も圭織の唇に口付けた

「…よっすぃ」
「圭織さん…お願いだよ。アタシに教えて。あさ美の体内でおきてることを」
「…よっすぃ、なにいって」
「知ってるんだ…あさ美の身体が、どっか悪いってことぐらい」

(そして、医者としてトップクラスのあなたがそれをしらないはずはないってこともね)

ひとみは心の中でそう呟くと圭織を見つめた
圭織の経歴や過去は圭織との付き合いのなかですべて把握しているのだ
医学部をトップで卒業した彼女が…あさ美の変化に気づいてないはずがないと
ひとみは常に考えていた
99 名前:story10:ヒトミ 投稿日:2003年04月26日(土)23時40分30秒

「流石だね、よっすぃ。圭織、よっすぃのそういうところ、好き」
「そういうところって?」
「圭織をそうやって愛してくれるところだよ」

クスクス、と圭織が笑うとひとみはまた圭織に唇をおとした
相変わらずわけのわからないことを言う圭織に惑わされないように
ひとみはひたすら口付けをした

「もう、またする気?紺野たちがくる前にしたばかりじゃない?それに紺野がそこに」
「ねてるから、だいじょーぶだって。隣のベットあいてるしさ」

ひとみが笑顔でそういうと圭織はまたしかたがなさそうに笑った
100 名前:story10:ヒトミ 投稿日:2003年04月26日(土)23時42分05秒


――――――右腕が動かなくなり、ついには全身麻痺
血のめぐりは悪くなり、心臓はいつも悲鳴をあげるのさ――――――



つい先日、読んだマンガに書かれていた文章をフッと、ひとみは思い出していた

(キミの心臓が悲鳴をあげてるとしても、アタシがソレを助けるから)

そんな技術は自分にはないことを皮肉に思いつつも、しっかりとひとみは決意する

あさ美の寝顔は決意をしているひとみのこわばった顔に対照し、今だ「天使」だった

101 名前:ペット 投稿日:2003年04月26日(土)23時48分57秒
2すとーり続けて更新です^^
一気にやっちゃいました
何気に「よしめし」でひとみお姉さん(0^〜^)<ちょっと腹黒い♪

>tsukiseサマ
待っててくれたですか( T▽T)<感激ですっ
ケンカっぱやいマコ、何気にきにいってます★
どんどんマコを活躍させたい、とか考えて足り(w
tsukiseさんも飼育更新おつかれさまでし!

>ぷちでびるサマ
うぉぉ!まっててくれてさんきゅうです
飯田さん登場させました・・・どうでしょう?(w
これからいっぱいキャラを登場させ絡ませていく予定です(あくまでも
保険医っていうシチュが・・・どうでしょう!?

>名無し読者サマ
( ^▽^)<ありがとうございますっ
マコかわいいですか!?よ、よかった・・・
何気にお気に入りのキャラなんで。けんかっぱやいですが(w
これかたもよろしくです^^
102 名前:tsukise 投稿日:2003年04月27日(日)06時22分44秒
更新、お疲れ様ですっ!!
おおっ!よっすぃーにかおりん、イイ感じですよぉっ!
何気に腹黒いよしこ、かっけーっス…っ。
そして、紺野の痛みはやっぱり『あのヒト』のカケラだからなんですかね〜♪
出逢いを期待しつつ、マターリ待ってますので、頑張ってくださいね♪
103 名前:ぷちでびる 投稿日:2003年05月02日(金)17時05分40秒
保険医・・・なんか、えろい響きを感じます(爆
飯田さんとよっすぃ〜いい感じの2人です!!

紺野さんから目が離せません!!

マターリ待ってます^^
104 名前:story11:カノジョ 投稿日:2003年05月03日(土)21時53分09秒



逆光で見えない彼女の顔

いつもそうだ

わかるのは美しい栗色の髪と、私より高い身長。スマートな体型

『…手首、痛いんだ』

いつもせつなそうな声で、私に呼びかけ、そして私の肩に頭をのせる

 






最近の夢はいつもここで終わっていた





105 名前:story11:カノジョ 投稿日:2003年05月03日(土)21時55分05秒

「38,7℃…ってバリバリ熱あるじゃないですか、お嬢サン」

ベットの横でひとみお姉さんがため息交じりにそういった
少しだけオーバーリアクションなのが、ちょっとかわいい

「あの日からケッコー体調悪かったんじゃないの?」

ひとみお姉さんは「どうなんだ?」と私の頬をつねった
あの日というのは保健室で倒れそうになったときのことだ
確かにあの日から体調は悪かった
…というか実はここ1ヶ月ぐらい、体調が優れない

「ま、とりあえず今日はお休みってことで。オッケィ?」
「は、はい…。」
「ちゃんと先生にいっとくから。アタシ、今日早退してくるからまずねてなー」
「え?早退って…」
「ヒマだしね。あさ美1人にすると心配だし。かおりんに何かクスリもらってくるよ」

ひとみお姉さんは私のおでこに手をやってふっと目を細めた
綺麗な笑顔だな、と私は見とれた

ひとみお姉さんはしばらく私のおでこをなでて、学校へ向かった

106 名前:story11:カノジョ 投稿日:2003年05月03日(土)21時55分51秒
迷惑、かけちゃった」

はぁーっとひとみお姉さんのスクーターの音を聞きながらため息をついた
私はあまりひとみお姉さんには迷惑はかけたくない
だって…いつも私がお世話になりっぱなしだし、私は実の妹ではない…。
お姉さんに早退させるなんて…本当に迷惑な子だな、私

なんだかちょっと哀しくなって毛布を頭からかぶった

(―――もう、いや)

迷惑はかけたくないのに、身体はいうことがきかない
別に、ひとみお姉さんは迷惑がってないと思う。そんなに心が狭いひとじゃないし
でも、なんだか窮屈で。こうやって、ここで息をしてるのすら、時々窮屈なの

いっそ、記憶が戻れば
私「紺野あさ美」のすべてがわかれば…肉親やみんな探し出せれば…

なんて…記憶なんて全然関係ないじゃない。この風邪とは
私、何考えてるんだろ

「結局、私ってイヤなことになると最後に「記憶」のせいにするんだ…」

自分の考えがバカらしくなって、少しだけ笑えた

107 名前:story11:カノジョ 投稿日:2003年05月03日(土)21時56分21秒

チャラッララララララーラッラー♪

突然、ベットの脇にあった携帯が鳴り出した
急いで毛布から顔をだして携帯をひらく
メール…しかもまこっちゃんからだ
もうお姉さんみんなにお知らせしたのかな。

 

『ちゃんとクスリ飲んで安静にしてな』

 

1行だけのメール。顔文字、絵文字なし
そこがまこっちゃんらしい…
っていうか、まこっちゃんのメールってなんもないけど不思議とあったかく感じれる

『ありがとう。明日は学校いくね』


私は短く返信して、返事を待つ
すると10分後、まこっちゃんから返事がきた

『あんまムリしないで。じゃ。』


「簡潔すぎだよ」

妙におもしろくて私は笑ってしまった
なんでまこっちゃんのメールってこんなに暖かいんだろう
みんなまこっちゃんのメールとか言葉が「つめたい」ってよくいうけど
私は全然感じない。むしろ、すごく暖かいよ…

108 名前:story11:カノジョ 投稿日:2003年05月03日(土)21時57分51秒
「そういえば、まこっちゃんだっけ。アレいってくれたの」

私はまこっちゃんに誕生日にもらったクレーンゲームでとったという大きなクマのぬいぐるみを側にひきよせた

あれは確か、私が転校して間も無いころだった
記憶がない転校生として扱われた私は、周りのみんなにきもちわるがられて
男子からも必要以上にからかわれた
そんな私を助けるようにまこっちゃんはいつも言ってくれてたんだ

『記憶なんて関係無い。あさ美ちゃんはあさ美ちゃんだ。』

何度あの言葉に私は励まされただろう
記憶喪失なんて関係無いって毎日のようにいってくれた
…思えばみんな私の記憶に対して優しく励ましてくれた

109 名前:story11:カノジョ 投稿日:2003年05月03日(土)22時00分00秒
あ、でもふっとばしすぎてうちらのことも忘れたらいかんよ〜』

そういってくれたのは私の後に転校してきた愛ちゃん

『そういうひと、いっぱいいるよ。カオリいっぱいみてきた。でもみんな笑ってた』

そういって私に微笑んでくれたのは保険医の飯田先生

『あさ美はアタシの妹なんだからさ。それでいいんだよ。それ以外は関係ない。』

ひとみお姉さんはそういってよく私のおでこをなでてくれた

思い出さなくてもいい。みんなそういって私に笑いかけてくれる
私もみんなと一緒に過ごせたらそれでいいと思ってる

けれど…やっぱり最近…あの夢が頭に入ってきて…
そう…あの夢…私の記憶喪失に関係ありそうで…

110 名前:story11:カノジョ 投稿日:2003年05月03日(土)22時07分07秒
『手首、痛いんだ』

切なそうな声。逆光で見えない顔。綺麗な髪

あのひとは一体…私にとってなんなんだろう

「―――手首…痛いって…怪我してる?」

そういえば、と私はもっと頭を抱えて思い出す。夢の内容を
彼女はいつも右手で左手の手首を押さえていたような…そんな気がした

「…誰なんでしょう。あのひとは」

会ったこともない。聞いたこともない
でも私の深いところでつながってるような…
違う…そんなんじゃない

「私はあのヒトの一部」という言葉が頭に浮かんでくる。
一部?一部ってどういうこと?

「昔…会ったことある、とか?」

昔…私のなくした記憶の中で?
でも、そうだったら私はどうすることもできない

いや
彼女が本当に私と接近してたとしたら
私をひきとった義父や義母がなにかしら知ってるはず…
だって、彼らは私の知らない私のことを知っていたから

「でも、2人ともしんだ・・・あ!」

私は急いでベットから起きて、机の引出しをあけた

「おとうさんの、遺品!」

111 名前:story11:カノジョ 投稿日:2003年05月03日(土)22時08分29秒
確か私は、お義父さんから死ぬ間際にメモ帖を渡されたはず
そのメモ帳を私は哀しくて1回もみてなかった
そこに、何か書いているような気がした
直感、みたいなもの

「あった…。え、、っと」

へんてつもないメモ帳をパラパラとみていく
真っ白な新しいメモ帳には何も書かれていない

「…もう。何も無いんですか」

ため息をついて、最後のページを開いた

「あ・・・」

そこにはお義父さんの字で書かれていた文章があった
震えている文字
…これは、もしかしたらお義父さんが死に間際にムリして書いた文字・・・?

書かれていた文字…それはカタカナでヒトの名前みたいなものだった

「…ゴトウ、マキ?…01?」

112 名前:story11:カノジョ 投稿日:2003年05月03日(土)22時09分18秒


――――『手首、痛いんだ』――――

113 名前:story11:カノジョ 投稿日:2003年05月03日(土)22時10分00秒
逆光で見えない顔をしてるあのひとの声が再び頭にリフレーンした
私の頭の中にいた彼女とその名前が一瞬で一致した


「あのひと…ゴトウマキ…っていうんだ」

そんな名前ではない、という疑いは不思議になかった
私の細胞すべてがその名前とあのひとを一致することを肯定していたから

「―――お義父さんが知っていた?…じゃ、そのひと…っ」

考えようとした瞬間、くらり、とめまいがした
…そういえば私、今日高熱だったんだっけ
……考えるのは後にして今日は少し休もう

「…ゴトウ、マキ…サン」

無意識のうちに彼女の名前を呟いていた
ベットにもぐり、カーテンをしめて、私は瞼を閉じた

隙間からこぼれてくる光が瞼にあたってちょっぴりまぶしかったけれど

『コレが聞こえたらすぐ来るんだ。』

ふと、彼女の声が聞こえた気がした
そして、優しいあのメロディーが…

いつもきまって私の頭の中で鳴り響いてたあの口笛が…聞こえた気がしたんだ

114 名前:story11:カノジョ 投稿日:2003年05月03日(土)22時12分19秒


体調がよくなったら、お義父さんの書斎にいってみよう
きっと私について…何か書類があるハズ
だって、養子についての書類ぐらいお義父さんは保管してると思うし
今までは調べたくも無かったけれど
あのひとのことが…何かわかるかもしれない

「…すごく、哀しい声、してた」

気になるんだ。彼女が…ものすごく…
きっと彼女と私は…つながっている…そんな気がして

 

『アタシは弱いけど』

『でも、守るから』

 

彼女の声が再び、聞こえた気がして、瞼をあけた
相変わらずカーテンの隙間からはいってくる光は…まぶしいほどに私を照らしていた

 

このときから…もう私の「カウントダウン」は始まっていた

第二章:カウントダウン(終)
115 名前:ペット 投稿日:2003年05月03日(土)22時16分50秒
うあ、ミスった

愛ちゃんの
「あ、でもふっとばしすぎてうちらのこともわすれたらあかんよ〜」

『記憶喪失なんてさ!ふっとばしてさ!
あ、でもふっとばしすぎてうちらのことも忘れたらいかんよ〜』です
うあ…やっちまいました


どうでもいいけど、毎回長いな…(w
明日にもう壱話更新します。時間なかったから今日。

レス★

tsukiseサマ
どもです^^おもいきってよしめしってみました
腹黒いよすぃこ…何気に愛されちゃってます、紺野さん
さて、そんな紺野さんもついにごっちんの存在に気づいてしまいました!
ど、どうなるんでしょ…このひとたち
「カケラ」をうめあえるのでしょうか!?


ぷちでびるサマ
保険医…アダルトな響きですね〜
よしめし!よしめし!YOSHIMESHI!!
ずっとこれがかきたかったんですよぉぉぉ!
今日は「2話更新しる!」とか思いましたが、体力の都合で壱話更新にしちゃいました(w

マターリよろしくですっ!
116 名前:ぷちでびる 投稿日:2003年05月04日(日)20時06分28秒
おぉ〜〜更新乙です。
第3章はどうなっていくんでしょうか・・・
とうとう2人が遭遇?しちゃうんでしょうかぁぁぁ。
儚げそうな紺野さんツボですね〜 来てますよ〜〜。
紺野さんだいじょうぶ〜 と言いたくなります!!(殴
117 名前:story12:さがすもの 投稿日:2003年05月10日(土)16時26分10秒



――きっと、アタシにはもうこうすることしかできない
わかってくれるよね、真希――






「…ッアアアアア!!」


雨にうたれながら1人の少女が叫ぶ
足や手は擦り傷で血まみれになり、顔だってすりキズだらけだ

少女は叫んだ後、すぐにこの野原に倒れた
チカラが尽きたのだろう

少女が逃げてきた場所からここはかなり離れていた
血だらけになった腕をみつめながら少女がぼんやりと呟く


「いち・・・ちゃん」


…冷たい雨が降っていた
118 名前:story12:さがすもの 投稿日:2003年05月10日(土)16時26分52秒




「もぉー、死んでたらどうするんですかあ」
「そん時は、そん時で処理するから。いーから黙って探せ」
「ひとづかいあらーいっ」
「…アンタねぇ…黙って探せっていったでしょ」

ピンクの服を着たかわいらしい女と黒づくめの女が森の中をぶつぶつ呟きながら歩いている
探し物をしてるのか、キョロキョロと地面を見たり、忙しそうだ

ピンクの服をきたかわいらしい女はこの探す作業に不満らしく、あまりいい機嫌ではない

黒づくめの女は終始無表情で森の中を歩いていく
青い細いふちのメガネを少しひからせながら
119 名前:story12:さがすもの 投稿日:2003年05月10日(土)16時27分45秒

「矢口の情報だとここらへんで足を止めた、って」
「ここらへんって、完全な森ですよぉ!…後、あっちに野原っていうか茂みがありますけどぉ。
 こんなところに本当にいるんですかあ?」
「逃げてきた人間なんて場所をかまわず倒れるもんよ。…やつらに見つけられる前に見つけないと…。」

メガネをかけた女がどんどん歩いていき、もう一方の女がそれを追う
そして、やがて森をぬけ、野原にたどり着く

「めっちゃくちゃ広いですけど」
「いーから、探す」
「はあーい」

しぶしぶと探し始める女
メガネをかけた女はその様子をジッと見ている

『―――やはり遅かったか。やつらに先をこされたかもしれない』

メガネをかけた女がそんなことを考えていると、もう1人のほうの声が聞こえてきた
120 名前:story12:さがすもの 投稿日:2003年05月10日(土)16時29分09秒

「キャッ!」

高い悲鳴をあげた女の方をもう1人の女が見ると
彼女は低く腰をおろして真剣な眼差しで何かを見つめていた

「このコじゃないですか!?」

メガネをかけた女もすぐにかけつける
そこには、地面によこたわっている、一人の女がいた

「…こいつ…」

―――間違いない。彼女たちが探していた人物だ

黒いタンクトップにキズだらけの腕
泥だらけの顔に、綺麗な栗色のロングヘアー

きわめつけに、手首には無数の傷跡。…手錠でついた傷跡だろう

女たちはすぐに視線を合わせうなづいた
121 名前:story12:さがすもの 投稿日:2003年05月10日(土)16時29分48秒

「…思ったより、はやくみつかりましたね、保田さん…」
「……脈、確認…生きてる。運ぶよ、石川」

保田――と呼ばれたメガネの女は
もう一方の女――石川にそういうと急いで携帯を開き、なじみの番号を押した
ワンコールででた相手の声も聞かず、保田は淡々と伝える

「アタシだけど。発見したよ。…後藤真希。―――噂の01をね」

電話の向こうから「マジで!?やっりぃ」という甲高い声が聞こえ、保田は「じゃあ」とすぐ電話を切った。
あまり長くはここにいられない。組織のやつらにみつかったらそれでオジャンだ

「とりあえず、ヘリでもよびます?」
「バカ。車できたでしょ。さっききた道をUターンよ」
「えぇー。とーいですよぉ」

ぐちぐち言う石川をコツン、と軽く叩き
保田はターゲット―――後藤真希をゆっくりと肩にかけた
身体は細く、あちらこちらから血がでている
そして―――泥だらけの顔だったが、とても美しい顔だちだった

(この子が…紗耶香の最後の…)

保田は頭の中に浮かぶ、アイツの笑顔を振り払うように首をふり、
とりあえず早く自分の診療所にこいつをつれてって、早く手当てをしてやろう、と考えた
122 名前:ペット 投稿日:2003年05月10日(土)16時34分55秒
すっかりこちらのほうを忘れてました。
え、えへへ(汗
と、いうわけで再びごっちん編
保田さんと石川さんコンビもやってまいりました。

★レス
ぷちでびるサマ
もう少しで遭遇予定だったりします(w
とりあえずはごっちんを看病しないと…!(ぇ
紺野さん、大丈夫でしょうか?(w
川o・-・)ノ<…
( ´ Д `)<こんのさんだいじょうぶん?
次もマターリいきます^^

★宣伝★
ペットは後紺同盟を管理者:蓮見として運営しており、
子のたび、5月の後紺祭りを開催しております
よければきてくださいね

後紺祭り〜長い私を止めてください〜
http://members.tripod.co.jp/sweetberrykiss_cly/go_go_gokon.htm

ではでは。
123 名前:北都の雪 投稿日:2003年05月12日(月)22時09分23秒
はじめまして・・・ですね。
北都の雪と申します。
HPの方ずっと見てたわけでして、
こちらも最初から見させてもらっています。

ごっちん・・・大丈夫かなあ。
後藤と紺野の再会は!?
石保は敵か見方か!?
電話の向こうの矢口さんのお相手は一体(爆
楽しみにまってます

祭りの方も盛り上がっていきましょう♪
124 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月04日(水)14時32分55秒
続きを期待しつつ保全
125 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月29日(日)18時48分37秒
ついにやすといしが!!あぁ・・・このときをどれだけ待ったか・・・
後藤はどこへ〜
126 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月10日(日)20時36分21秒
保全
127 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/09(火) 20:35
保全
128 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/12(日) 22:42
作者さん生存確認保全
129 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/09(火) 23:29
保全

Converted by dat2html.pl 0.1