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パンドラの箱のマリア
- 1 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時03分21秒
- いしごまよしの物語を連載します。
18禁ものなので、Sage中心で行きたいと思います。
更新は3回を予定していますが、なるべくサクッと終わりたいと思います。
よろしくお願いします。
- 2 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時05分21秒
- 自転車が下り坂になって、待ってましたとばかりにスピードが上がった。
雨上がりの初夏の香りが、最高に素晴らしく、思わずあたしは目をつぶった。
またあたしの好きな夏が来る。そう思うだけであたしは、いつもこの季節に胸の高鳴りを感じる。
こんな気持ちは、生まれたときから、ずっとそうだったと思う。
あたしは、いつもの喫茶店の横に自転車をとめると、カランとドアの音をたてて中に入った。
思ったとおり、もう二人は先にきていた。
「もぉー。ごっちん。遅い!」
ひとみがふくれっつらを見せて言った。
「あはっ。いつも出かける前ってばたばたしておくれちゃうんだよねぇ。ごめん〜。」
あたしは、いつものことながら出来るだけ申し訳なさそうに言った。
「まぁ。今日は10分遅刻ですんだんだし、今日のところは許してあげようよ。ね。ひとみちゃん。はい。ごっちんフルーツタルトたのんどいたよ。」
「わぁー。さすが、梨華ちゃんありがとう。」
あたしは、いつものように梨華に甘えるように言った。
- 3 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時06分27秒
- 「もう〜。しょうがないなぁ。梨華ちゃんはいっつもごっちんに甘いからなぁ。」
ひとみが笑った。梨華は、あたしの好きなフルーツタルトをもう注文していてくれた。
どこにでもあるような情景に、私達平凡な女の子の幸せな瞬間があった。
ただ一つ違うことといえば、石川梨華は妖精のような可愛らしい顔に肩まで伸びた茶髪がかかって恐ろしいほどの魅力をだしていたし、吉澤ひとみは、ボーイッシュな出で立ちと振る舞いとは裏腹にとてもおっきくて澄んだ瞳をもった正真正銘の美少女だった。
そしてあたし後藤真希は、そんな愛し合う二人の美少女達の妹のような存在だった。
二人は、遊びにいくときよくあたしを呼んでくれた。
寂しがりやで甘えん坊のあたしは、ふたりの邪魔なんて考えることもなくほいほいと二人についていった。
親の離婚で父親のいなかったあたしは、二人と一緒にいると家族といるようなやすらぎを感じていたのかもしれない。
それでなくとも、小さい頃から友達の少なかったあたしにとって、この二人と一緒にいることは最高に素晴らしい時間で、二人と一緒にいるだけでとにかく楽しかった。
- 4 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時07分32秒
- 「ごっちん。フルーツタルトおいしい?」
梨華が、優しげな表情であたしをみつめながら言った。
梨華の一直線な視線を感じるとあたしは、いつもどぎまぎしてしまう。
あー。いつもよっすぃーは、ショッピングするにしてもご飯食べるにしても何気なくこの優しい視線を感じながら生活しているんだなと感じて、少しうらやましくも思う。
「あ、うん。もちろん。」
気の利いた言葉を返せないあたしは、子供のようにそう答えた。
「そう。よかった〜。でもごっちんは、自分でもフルーツタルトつくるのうまいんだよね。女の子っぽくてうらやましいな。」
梨華はあたしがフルーツタルトをほおばるのをほおずえをついて見ながら言った。
「あ、知ってる知ってる。あたしごっちんにフルーツタルトつくってもらったことあるもん。確かにごっちん料理うまいよね!」
ひとみも続けた。
「そ、そんないわれるほどじゃないよ。」
二人の言葉にあたしは、咄嗟に否定した。
あたしのことを可愛いとか女の子っぽいとか言って誉める人は、この2人意外にはいない。
- 5 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時08分39秒
- 部屋は散らかりっぱなしで母親はいつも「それでも女の子なの?」と怒ってたし、周りの人間はあたしが結構がさつな人間であることをよく理解していた。
だからあたしは、この二人と一緒にいるといつも別世界にいるような気がしていた。
二人は、あたしの周りの人とは完全に独立していたし、あたしは浮き上がったようにできる二人との時間をいつも楽しんでいた。
結局その後は、3人で梨華の家に行った。
「ねえ。梨華ちゃん。」
「何?」
「愛してるよ。」
ひとみと梨華は、あたしがいようといまいと関係なくいちゃつけるカップルだ。
でもあたしは、そんな二人の会話がむしろ心地よかった。
二人の甘い会話のそばであたしは次第に眠くなってしまい、夕方まで眠りこけてしまった。
- 6 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時09分37秒
- 「もぉ。いつでもどこでもそんな無防備に寝てたら襲っちゃうよ。でも、寝てるときのごっちんも可愛いな。」
遠くの方で梨華の声がした。どうやら、梨華が寝てるあたしに布団をかけてくれたらしい。
そして、太ももあたりを手でさすられているような感覚がした。
「寝てるとき、あたしに触ってた?梨華ちゃんのえっちぃ。」
あたしは、ねぼけまなこで言った。
「きゃはは。ばれた?だってごっちんの肌すべすべしてて気持ちよさそうなんだもん。」
梨華の言葉ですぅっと目が覚めてきた。
「今度したらよっすぃーに言いつけるよ。」
「ふーん。でも起きないんだったら、こうしてやろうかな。」
梨華は、そういうとあたしの脇の下をくすぐりはじめた。
「きゃ。あははははぁ。ちょっと梨華ちゃん!やめて!起きるから!」
あたしは、仕方なく起き出した。
- 7 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時10分40秒
- 「ごっちん。もう7時だよ。暗くなってるしよっすぃーが家まで送ってくれるって。」
梨華があたしを助けおこしながら言った。
あたしは、梨華が言うとおりいつでもどこでも眠くなる。
あたしは、完全に眠ってしまうほんの少し前の瞬間がとっても好きだ。
夢と現実のちょうどはざまにいて、そして二人がついていればそういうところにいっても少しも不安じゃなかった。
梨華の家を出たら、すっかり日も落ちてると思ってたのにまだ西のほうにはかすかに夕日が残っていた。
周りの空気があまりにもぼやゃっと感じるのに、わずかな夕日だけが鮮明に感じた。
起きたばかりの感覚ってどこか鋭敏でどこか鈍感でアンバランスだと思った。
梨華の家からあたしの家の間には大きな川が流れてて、古ぼけたコンクリートの橋がかかっている。
その橋の上をひとみと並んで歩いた。
「あー。この橋の上いつも気持ちぃー!」
ひとみが伸びをしながら言った。つられてあたしも大きく息を吸うと川の上の澄んだ空気が体の中に入ってきた。
「楽しみだね。来週。」
とひとみは言った。けど、あたしは一瞬何が楽しみなのか分からなくてきょとんとしてしまった。
- 8 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時11分19秒
- 「あ、忘れてるなー!ごっちん。来週の土曜、モーニング娘。のコンサート3人で行くっていう話し。もぉーいつもごっちんぼぉっとしてるか寝てるんだもん。」
「あは。ごめん。でも覚えてるって。あたし、ぼーっとしてたって寝てたって人の話しはちゃんと聞いてるよぉ。」
あたしは、咄嗟に答えたがひとみは、にやにや笑って全く信用してない様子だった。
「本当かなぁ。じゃ、昼と夜どっちに行くんだっけ?」
「・・・・・。」
「ほーら。やっぱ覚えてないじゃーん。夜だよ〜。ごっちん。じゃ覚えてなかった罰として。」
ひとみは、そう言うとあたしの首に腕を回して強く締めた。
「ぐぇ。く、苦しいよ。よっすぃーごめん。ごめんてば。」
「あ、ごめんごめん。強くやりすぎた。冗談だよ。」
と悪びれる様子もなくあたしに微笑んだ。
「もう。今日は、梨華ちゃんにはセクハラされるし、よっすぃーには暴力ふるわれるしこれじゃ身がもたないよ・・。」
「いーじゃん。愛されてるって証拠だよ。真希、ずっと前から君のことが好きだった・・・。」
ひとみは冗談ぽく、あたしに抱きついてきた。
- 9 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時12分23秒
- ひとみは、あたしがマイペースなのとすごくよく似ていつも自然体だった。
いやみっぽいところも全くなかったし、女の子にありがちなねちねちとした感じも全くなかった。
でもそれは、「石川梨華」というとびっきりの恋人の存在があってのことだとあたしは、確信していた。
あたしは「吉澤ひとみ」に恋をしていたかもしれないけど、そんな二人の間に割って入ろうとは少しも思わなかった。
だってそれは、梨華と付き合っているひとみにあたしは、恋をしているんだということに自分でも薄々気付いていたからかもしれない。
「じゃあ、明日また学校で!」
ひとみは、あたしを家の前まで送ると元気よく言った。
「どうもありがと。でもよっすぃーこそ大丈夫なの?もうずいぶん暗くなってるよ。」
「は?あたし?あたしは大丈夫だよ。ごっちんみたく可愛らしい女の子じゃないからねぇ。」
とひとみは平然と言った。
あたしは、可愛さひとつとってもひとみの方が一枚も二枚も上だと思ってる。
でもひとみの体全体から感じる力強さやたくましさは、多分男の子以上だと感じた。
- 10 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時13分23秒
- そしてあたしはまた、浮き上がった二人との時間を離れ、平凡な学校生活に身を戻した。
不思議なことに梨華とひとみとは同じ学校のはずなのに、学校ではほとんど会えない。
梨華は学年が1個上だったし、ひとみは同級生だけどクラスが違った。
休日以外は、ただメールと電話だけが、二人とあたしをつないでいた。
「後藤〜!お前また寝てんのか!これからテストに出すとこ言うっつってんだから、頼むからそんときぐらい起きてくれよ。」
「ふぁーい。」
クラス中で笑い声が起こって、つられてあたしも笑ってしまった。
担任の先生、悪い人じゃないんだけど授業中あたしはどうしても寝てしまう。
別に先生、困らせたくて寝てるんじゃないんだけど。
そんなことを考えてるとあっというまに1週間が過ぎて、コンサートの日がやってきてしまった。
- 11 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時14分08秒
- 突然唇にふわっとした変な感覚を感じた。
あたしは、自分の部屋のベッドの上でいつものように半寝半起き状態でいた。
だから人が部屋に入ってきたのは全く気付かなかった。
「!よっすぃー!!」
うっすら目をあけてみると、目の前いっぱいにひとみの顔が見えたからめちゃめちゃびっくりした。
そばには梨華もきてて、何だかにやにや笑ってる。
「よっすぃー!?あたしにキスした?」
「だって眠れる王女様は口づけで起こすっていうじゃん。」
ひとみは、あたしとは裏腹にすごく満足そうな顔をしている。
「信じらんない。もう。梨華ちゃんなんで止めてくんないの?」
あたしは、すがるような目で梨華を見た。
「あたし?あたしは、今まで十分ごっちんとはキスしたから。寝てる間にね。だってごっちんの唇ぷくぷくしてて気持ちいーんだもん。」
二人は、絶句してるあたしを勝手にベッドから起こすと、バッグをもたせて
「出発、出発ぅー!」
とあたしを部屋から引きずり出した。
- 12 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時15分23秒
- コンサート会場にはいろんな人がいた。
あたしは、コンサートの会場ってもっと騒々しいものだと思ってたけど、奇抜なスタイルの衣装やでっかい横断幕が派手派手なのに、かえって人の種類の多さにかき消されていた。
それは、子供からおじいちゃんまでいろんな人がいたからだと思った。
あたし達は、まるでお祭りにきたかのように出店でショッピングをし、席についた。
始まってからは夢の世界だった。
あたしの周りが音楽と踊るモーニング娘。の姿で埋め尽くされていたから。
あたしが好きな「安倍なつみ」はずっとセンター付近で踊っていて、それだけでうれしかった。
確かに歌うならそして踊るなら真中がいい。
あたしは、人と競争するのが大嫌いだったけど、そのための競争ならありだと思った。
コンサートの夜が終わって、帰り道。
二人があまりに静かだったのであたしも、電車から街灯や家の明りがつぎつぎ流れていくのをぼぅっと見ていた。
目の前にひとみがいて、うつむき加減で同じところをずっと見ているようだった。
その表情は、落ち込んでいるように見えた。けど、整った顔立ちと潤んだ目が強調されてはっとするぐらいきれいだった。
- 13 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時16分04秒
- 「ひとみちゃん、どうかした?何か落ち込んでない?」
梨華が、たまらず尋ねた。
「え?あー別に。何でもないよ。」
ひとみが表情を変えずに言った。
「そう?」
梨華は答えた後、あたしに「ごっちん、今日楽しかった?」と小声で聞いてきた。
「うん。とっても。誘ってくれてありがとぉ。」
あたしは、梨華に満面の笑顔を見せた。
「よかった。ごっちんに喜んでもらえて。無理やり誘って連れてきたみたいになってたからちょっと心配してたんだ〜。」
梨華はほっとしたように言った。でもあたしは、ひとみのことが少し気になった。
ひとみは昔から大事な決断をするときには決まって無口になる。
今回もそんなことだろうとあたしは思っていた。
でもこのことが、とてつもなく大きな問題になるなんて想像もしてなかった。
- 14 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時17分46秒
- 大好きな人たちが別れてしまう時、あたしは、決まって予感がした。
胃の底から気持ち悪さがこみ上げてくるような嫌な予感。
あたしの親が別れたときもそうだった。あの時もなにげない喧嘩が原因だっけ。
あたしの力じゃどうにもならない。もう世の中がどうなってもいいと思えてしまう。
「あたし、やっぱ梨華ちゃんとは別れようと思う。」
ひとみは、オレンジジュースのストローをくるくるとかき混ぜながら言った。
いつもの喫茶店であたしとひとみは珍しく2人だけで来ていた。
「何で!?モーニング娘。になりたいと思うことが、何で梨華ちゃんと別れるってことにつながるわけぇ?そんなの全然分かんないよ。あたしにちゃんと説明してよ!」
あたしは、必死に主張した。
「だって。梨華ちゃん。束縛きつすぎるんだもん。ダンス教室通っても、歌の教室通っても会いたい会いたいって。あたしが忙しいの分かってるはずなのに・・・。」
「そんなの恋人同士なら当たり前じゃん!恋人なら何してたって会いたいって思うのは当たり前なんじゃないの!?」
あたしの言葉にひとみの表情が変わった。
- 15 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時19分58秒
- 「ごっちんは、梨華ちゃんの味方なんだ。そりゃそうよね。梨華ちゃん、可愛いし優しいし、いつでも甘えられるもんね。あたし、梨華ちゃんと別れてもごっちんとはずっと仲良くしたいって思ってたのに。残念だね。」
ひとみはあたしの顔をきっと睨んだ。
あたしは、下を向いて小声で「あたしはどっちの味方でもない。二人のことが好きなだけ。」そう言ったけど、その言葉はひとみには届かなかった。
彼女は、伝票をつかむとさっさと席を離れていってしまった。
多分ひとみは、あたしのことが何も分かっちゃいない。
両親が離婚してぽっかり開いた心の穴をどれだけ、二人が埋めてくれてただろう。
あたしには、二人が別れただけでもう二度と梨華とひとみには会えない気がしていた。
あきらめに近いものもあったと思う。
でも半分は寝て起きたら全ては変わってるんじゃないかって。
突然二人がやってきて「やっぱより戻しちゃいました〜。ごっちん心配かけてごめんね。」って言ってくれるのをずっと待ってた。
でもいくら待っても二人からは何の連絡もなかった。
こっちから連絡すれば、会うこともできたかもしれない。
- 16 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時20分44秒
- でもそんなことをしたら全てを決定させるようで怖かった。
しかし、本当にあたしを待っていたものはそれよりも、もっともっと残酷なものだった。
あたしは、いつもの日の夕方、家でシャワーを浴びていた。
家には、あたしと弟のユウキしかいなかった。
母と姉は働いていて忙しく、夜遅くでないと戻ってこなかった。「寂しいよぉ。二人に会いたい。」このごろのあたしは、ずっとそのことばかり考えてる。
シャワーからあがって洗面所で体を拭いてると突然後ろに人の気配がした。
「よ、よっすぃー!?」
後ろには確かにひとみが立っていた。
「来てくれたんだ・・・。」
あたしは少し笑顔になった。
- 17 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時21分20秒
- 「うん。ユウキ君、何か外に遊びに行きたいらしくて、ごっちんはあたしがひきとめとくからって言ったら快く玄関開けてくれたよ。」
そうだ。あたしは、最近夜遊びの激しい弟の監視を母親に頼まれていたことを思い出した。
「んー。いい匂い。湯上りのごっちんって色っぽいなぁ。」
突然ひとみはあたしに近づいてきて濡れてる髪をなでてきた。
「ちょ、ちょっと待ってて今、服着るから。」
あたしは、咄嗟に後ずさりした。
「そんな必要、ないよ。」
ひとみは笑うとバスタオルをまいただけのあたしを体を抱きかかえた。
そして、2階にあるあたしの部屋までそのまま運んでいった。
あたしは、ひとみが何をしようとしているのかさっぱり理解できなかった。
- 18 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時22分11秒
- 「ちょっと・・・。何・・するの?」と聞いてもひとみは「いいから、いいから」としか答えない。あたしは、自分のベッドの上に投げ出されてバスタオルがはだけた。
「さて・・。どう料理してあげようかな。」
ひとみがあたしの体を押さえつけて言った。そのときになってあたしは、ようやくひとみが何をしようとしているかに気付いた。
「や・・やだぁっ!」
あたしは、咄嗟に言った。そして部屋から何とか逃げ出そうと必死に、体を起こそうとした。でもひとみは、あたしを見て薄く笑ったと思ったらひとみの手が太腿から秘部をすっと触った。
「ひっぃ・・。」
あたしは、思わず体がひける。
「無駄だよ。抵抗したって。」
ひとみはゆっくりと手を太腿から内股にそわせていくと、花弁をばちんと指ではじいた。
- 19 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時23分07秒
- びくんっ。体全体が反応したような気がした。もう体に力が入らない。
ひとみは安心したようにあたしを見ると、服を脱ぎ始めやがて全裸になった。
「やめてぇ・・・。あたしよっすぃーに何かした?したんだったら謝るから。だからもう許してよ。お願い。」
あたしは、泣きながら懇願した。
「ねぇ。ごっちん。そんな怖がらないでよ。ごっちんは、なーんにも悪くないんだから。」
ひとみは、ベッドに乗るとあたしの両腕をつかんでゆっくりと押さえつけ、微笑していった。
「だったら何でこんなことするの?」
「好きだからに決まってんじゃン。」
「嘘!そんなの絶対嘘!」
「嘘じゃないよ。ごっちんだってこうなること望んでたんじゃないの?」
「そんなこと、あるわけな」
ひとみは、そのまま顔を近づけてきてあたしの唇を奪った。
- 20 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時23分52秒
- 今度は前みたいに軽いキスで許してくれそうもない。
ひとみの舌が強引にあたしの口の中に侵入して、中で激しく暴れ回った。
「うーん。ごちそう様。ごっちんってキスの味甘くておいしい。」
あたしは、自分自身が全て蹂躙されていくような気がした。
「じゃ、さっそくごっちんが本当のこと言ってるかどうか試してみようかな。」
ひとみは言った。あたしの本当の地獄がはじまろうとしていた。
- 21 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時24分54秒
- ひとみは、そのまま唇を下のほうに移動させて、首筋にキスを繰り返してきた。手はあたしの右胸をぎゅっとつかんで、それからゆっくり愛撫してくる。
「ごっちんのおっぱいってマシュマロみたいに柔らかくて気持ちいい・・・」
ひとみが耳元で言った。どうせ目は意地悪そうに笑って、あたしを楽しむだけ楽しんでるに違いない。
本当にそう思ってたけど、ひとみにそこまでされてアソコが濡れないはずがない。
すでにあたしの体はお風呂上りということもあって、まるでゆでだこのようになっていた。
そして、あたしはひとみを誘うかのように喘ぎ声も発してしまっていた。
「ごっちん。アソコもうどろどろだよ。それに体もあっついねぇ。これだけ感じてくれるとあたしも犯しがいがあるよ。」
あたしは、その言葉に悔しくて目が潤んだ。
でもそのときのあたしの涙なんてひとみの欲情を買う以外の何物でもなかったかもしれない。
- 22 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時25分38秒
- 突然ひとみは、あたしの下半身のほうに潜り込むと股間のあたりをぺちゃっとなめた。
「あぁぁ・・。」
愛液がどろりと流れ出る感触がした。
「ごっちんのラブジュース、おいしい。」
ひとみは、あたしの両足をがっちりと押さえ込んで本能と欲望のままにあたしのラビアの間を舐めまわした。
「ンっ。あぁぁぁ!はぁ。」
ひとみの舌が触れるたびに声がもれてしまう。
「ごっちん。そろそろいくよ。」
ついにひとみは、あたしの秘部に指をあてがった。ひとみの顔が一瞬悪魔のように見えた。
- 23 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時26分35秒
- あたしは思いっきり首をふったけど、そんな意志には全く関係なくひとみの長い指がずいっと自分の中に入ってきた。
経験したこともないような快楽と痛みが同時に洪水のように襲ってきた。
あまりの衝撃に頭できーんと音が鳴っている。
「い・・痛い!よっすぃーやめてぇ。」
それでもひとみは、ドリルのように突き進んできた。
あたしの胎内で何かが破れる感覚がした。激しい感覚とともにあたしはイってしまった。
ベッドには処女を失った血がついていた。
「ひどい。こんなことするなんて。ひどいよ。ひどすぎるよぉ。」
あたしは、一方的に泣いて言った。
「そうだよ。あたしは、ひどい女だよ。だからね。こんなんじゃ終わらないからね。」
「え?」
予想もしないひとみの言葉にあたしは耳を疑った。
- 24 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時27分27秒
- 「またごっちんの家に忍び込んで、ごっちんを徹底的に抱きにくるから。ごっちん、一人ぼっちになるよりそのほうがいいでしょ?あ、それから逃げようとしたって無駄だからね。あたしごっちんの家は勿論、登下校時間もクラスも何でも知ってるんだから。」
「それじゃ。今日はここまでということで。それから、髪は後でちゃんと乾かしたほうがいいよ。風邪ひいちゃうから。」
ひとみはそう言うと、部屋を出て行った。
あたしは、まだ今起こった出来事が現実だとは信じられなかった。
ひとみは、あたしをどうするつもりなんだろう。あたし達3人は、あたしが想像していたよりももっと別の方向に、嫌な方向にどんどん進んでいっているような気がしてならなかった。
次の日の朝、学校に行く間に何だかひとみに見られているようで何だか不安だった。
それでもあたしは、梨華と別れてからひとみに何かあったんじゃないかとひとみを心配していた。
でも、今ひとみに会うのはあたしにとって恐怖だった。
今のあたしにとってそれが一番悲しいことだった。
- 25 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時28分14秒
- 休み時間の時、あたしは思い切って1つ学年が上の梨華のクラスに行ってみた。
学校では梨華にもひとみにも会ったことがなかったから、本当に恐る恐るだった。
「ごっちん・・・?」
教室の横で声をかけられた。可愛らしい声ですぐにそれが梨華だとわかった。
「どーした〜?何かごっちんが来てくれるなんて珍しいね。」
「梨華ちゃん・・・。」
あたしは、きっと泣きそうな顔で梨華をみていたんだと思う。
「ちょっと、本当にどうしたの?」
その時、授業開始のチャイムが鳴った。
あたしは、すがるように梨華のきれいな目をみつめていた。
「わかった。帰り5時にいつもの茶店にいるから。そこでちゃんと話そ。」
梨華が手を握ってくれた。あたしは、泣くのを我慢して何とかうなずいた。
- 26 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時28分56秒
- 放課後、4時半ごろに喫茶店に行ったら、もう梨華はきていた。
「ごっちん。今まで連絡できなくて本当にごめんね。あたし、ちょっとよっすぃーのことでごたごたしてたから。それで連絡できなくて。ごめん。寂しい思いさせて。」
梨華は、あたしの顔を見たとたん申し訳なさそうに言った。
「ううん。梨華ちゃんのほうがつらいの、分かってたから。」
あたしは、首をふって答えた。
「で、ごっちんの方こそ何かあった?何か泣きそうな顔してるよ。」
梨華が心配そうにあたしの顔をのぞきこんだ。
あたしは、今まであったことを梨華に話した。
「よっすぃーは・・・ごっちんを抱いたの・・・?」
あたしの話しが終わると梨華が目を伏せ目がちにして聞いてきた。
あたしは、何もいわずうなずいた。
- 27 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時29分37秒
- 二人の間に、気まずい沈黙が流れた。しばらくたってから梨華が重い口を開いた。
「最近のひとみちゃん、もうあたしにも何考えてるのか分からないんだ。練習がうまくいってるのかさえ、答えてくれないし。」
あたしは、その場にいるのがつらかった。でもこの話を梨華にしないわけにはいかないって心に決めてたから、「しょうがない」って自分を励ましつづけた。でもこのまま梨華との関係もきまずくなるのは、あたしは絶対いやだった。
「ここで話してても、話重くなりそうだし、家来る?お菓子とかジュースもあるよ。」
梨華が言った。
梨華が誘ってくれて、あたしはとってもほっとしていた。
こんなことで梨華は、あたしを嫌いにならないって信じてたけどそれでもあたしは不安だった。
- 28 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時30分14秒
- 「梨華ちゃんの家来たの。久しぶりのような気がする。この家くるとホント落ち着くんだ〜。」
あたしは、オレンジジュースをすすりながら言った。
「こんな家でいいんだったらいつでも大歓迎だよ。なんだったら寝にくるだけでもいいよ。親も、ほとんど帰ってこないし。」
あたしも梨華も、もう前の話のことは忘れて楽しく話していた。
けどあたしはまたいつものようにまたうとうとと眠りそうになってきた。
「ごっちん?眠いの?」
「う、うーん。ごめん。」
今日の眠気は波のように襲ってくる。あまりに眠くて梨華の顔が二重に見えた。
「そう。いつもよりも強い眠気かもね。」
梨華の顔が妖しく笑ったような気がした。
- 29 名前:安石 投稿日:2003年03月24日(月)22時30分45秒
- 今日の更新は終了です。
- 30 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月24日(月)22時45分44秒
- 想像以上にドロドロな展開になりそうで、物凄く期待して待ってます(w
- 31 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月24日(月)23時00分13秒
- どっかで読んだことあるような気がする…。
気のせい…?
- 32 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月24日(月)23時11分50秒
- 同じく見たことがある気がする・・・。
今は閉鎖したサイトで見たような・・・。
- 33 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月25日(火)01時00分27秒
- 面白そう。
すっごい先が気になります。
>>31>>323回で終了って作者様が言ってますんで、終わってから言って頂ければ(w
ってか、それくらい面白そうなんで(w
- 34 名前:安石 投稿日:2003年03月25日(火)09時09分02秒
- 皆様、感想ありがとうございます。
30様
読んでくださってありがとうござます。今後も期待に添えればと思います!
31、32様
はい。この小説は別サイトでも公開させていただいてました。ただそのサイトは
もう閉鎖されてしまったのですが。この小説は、自分でもちょっと思い入れの
ある小説だったのでどうしてもウェブ上で復活させていただきたいと思ったの
です。でも、自分の小説が「あ、この小説どっかで読んだことある」とか言われる
と正直とてもうれしかったです!ありがとうございます!
ペンネームが違うのは、18禁のものと非18禁の小説でペンネームを変える方針
になったからです。ですので、元のペンネームが分かっても言わないでくださいね。
33様
というわけなので、大丈夫です。ご心配いただいてありがとうございます。
そして期待してくださってありがとうです。また近いうちに更新しますね。
- 35 名前:32 投稿日:2003年03月25日(火)12時31分46秒
- おっ!あのサイトで実際書いてた方ですか!
読んでました。閉鎖して残念なとこもありましたのでこちらで公開嬉しいです
少し忘れてしまってる部分があるので続きお待ちしてます(w
- 36 名前:31 投稿日:2003年03月25日(火)17時28分37秒
- いやぁ〜…。失礼しました。
てっきり誰かが勝手にパクッタのかと勘違いを…。
この小説は好きだったのでまた読めるとなると嬉しいです。
作者様、これからも頑張って下さい。
- 37 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月26日(水)17時07分04秒
- 初めて読みました。この小説の雰囲気というか、ごっちんが
可愛くていいですね。本当最初の頃ごっちんの幸せそうな顔が
目に浮かびます。
- 38 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時02分59秒
- 32様
わざわざレスしてくださってありがとうございました。
更新頑張ります!
31様
いえいえ、どういたしまして。確かに最近は他人の作品をぱくる大人げ
ない人も増えてきているようです。私も、見たことあるような作品があ
れば声を上げたほうがいいと思っています。
レスありがとうございました。
37様
そういってもらえると嬉しいです。ごっちんの描写がこの小説命
なので。またよろしくお願いします!
それでは第二回更新を致します。
- 39 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時05分15秒
- 気がつくとあたしは、ベッドに寝かされていた。でも何か様子がおかしい。
あたしは両腕をバンザイさせられ、手首には手錠をかけられてベッドに固定されていた。
必死に手を動かそうとするとカチャカチャと手錠の音がした。
「あ、ごっちん。気がついた?」
すぐそばで本を読んでいた梨華が何事もなかったように言った。
「!?梨華ちゃん・・・これ、どういうこと?」
「ふふ。ごっちんによっすぃーとられないように、ごっちんを監禁しちゃおうかなって思ったんだ。」
梨華が平然と言った。
- 40 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時06分41秒
- 「違う!!梨華ちゃん!!あたしよっすぃーを梨華ちゃんからとろうなんて全然思ってない。昨日は本当によっすぃーが無理やりしてきたんだよ!信じて!だからこれ、外してよ。」
「ふーん。白々しいなぁ。」
梨華が薄笑いをうかべて言った。
「梨華ちゃん。そんなこと言わないでよ。あたし、何でも梨華ちゃんの言うとおりにするから。お願い!梨華ちゃんにそんなこと言われたらあたし、もう生きていけないよ。」
あたしは、懇親の思いを込めて言った。
誤解やすれ違いで人間関係が崩れていくのはもうたくさんだった。
梨華は、じっとあたしの顔を見ていた。
梨華の顔が、ぞっとするぐらい美しかった。
「ん〜。可愛いごっちんにそう言われると・・。分かったよ。ひとみちゃんのことはもういいよ。でも一つだけお願い聞いて。」
- 41 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時07分32秒
- 「何?」
梨華は、あたしに思いっきり顔をちかづけて言った。
「ごっちんの裸。見てみたいな。」
甘くささやくような声だった。
「そ、それってあたしに服を全部脱げってこと?」
「そうだよ。裸見せてくれるんだったら手錠外したげる。」
「そんな・・・。」
ぴとっ。梨華が首筋をなめてきた。
「はぁっ。」あたしは、感じているのを隠そうを必死に大きく息を吸った。
すでに昨日からあたしの体は全身が快楽の感覚器のように敏感になっていた。
「どうするの?」
梨華が小さい子に諭すように言った。
このまま梨華に好きなようにされては、体中がおかしくなりそうだった。
- 42 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時08分26秒
- 「わかった。裸になればいいんでしょ。そうしたら許してくれる?」
あたしがそう言うと、梨華は大きく頷いた。
そしてあたしの手を拘束していた手錠を外した。
ベッドの横に立つと、睡眠薬を飲まされたのか体がふらふらした。
多分この状態じゃ逃げ出すのは無理だと思った。
第一にそんなことをしたら、今の梨華だったら何をされるか分からなくて怖かった。
あたしは、だまってゆっくりと制服のスカートのチャックをおろした。
スカートがパサリと床に落ちる。
「あ、服はこの中に入れてね。」
梨華がプラスチックの籠をあたしの目の前においた。
でも視線はずっとあたしを捉えている。梨華は本気なんだと思った。
あたしは、ブラウスのボタンを一つ一つ外しはじめた。
- 43 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時09分27秒
- 「なんか。ぞくぞくするな。ごっちんのストリップ見れるなんて。」
梨華の言葉は残酷だった。あたしの着ているものが下着だけになった。
「ごっちん、下着可愛いね。今度、あたしが下着選んであげたいな。」
梨華はそう言うと、立ち上がってあたしの肩に手を触れてきた。「ひい、いぃ!」全身が神経の塊になっていたあたしは、びくっとあとずさりした。
「ブラもショーツも全部だよ。」
もう命令には全部従うしかない。あたしは、身に付けているものすべて外した。
「きれい・・・。ごっちんの体。じゃあそのままベッドに寝てみて。」
あたしは、ベッドの上で横になった。薬のせいか頭がぼぉっとして、梨華の部屋においてあるたくさんのぬいぐるみまでも、じっとあたしの体をみているように感じた。
カチャ、カチャ、腕に再びあの金属の感覚が戻る。
- 44 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時10分22秒
- 「り、梨華ちゃん!?何するの!」
「だって・・・。ここまできたらやめられないよ・・・。」
「裸、見せたら許してくれるって言ったじゃん!約束が違うよ!!!」
「優しくしてあげるから、大丈夫だよ。」
梨華が小さな子をあやすように、そっとあたしの髪をなでながら言った。
それは、いつもと変わらない優しい笑顔だったから、かえってあたしを恐怖させた。
梨華は、あたしに顔をゆっくり近づけてきた。
しっとりと濡れた梨華の唇がどんどん近づいてあたしのものと重なった。
梨華の舌が、ゆっくりと口の中にはいってきて次第に舌をからめてくる。
梨華のキスの味は、魔性の味だった。麻酔にでもかけられたように体全体に力が入らなくなくなる。
梨華はひとしきり、あたしの舌を弄ぶと言った。
「ごっちん、あんまりキスしたことないでしょ。可愛い〜。」
「ね、ねぇ。梨華ちゃん、お願いもうやめて。もう帰らないとお母さん心配するし。」
「あ、そのことだったらごっちんの家にもう連絡したから大丈夫だよ。今日、ごっちんはうちに泊まりますって。」
- 45 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時11分22秒
- あたしは、梨華の言葉に最後の希望さえ絶たれた。
梨華は、視線を下におろすと、小さな手があたしの乳房をつかんだ。
そして指で乳首を弾きながらゆっくりと愛撫してきた。
「ふっ・・あっ・・はぁ・・・。」
次第に漏れる吐息が荒くなってきてしまった。
こんな声を出しても梨華を喜ばせるばかりだということは、もう十分分かっていた。
それでも、手は拘束されて梨華とあたし以外誰もいない家の中で助けてくれる人はいなかった。
「ごっちんのストリップ見て興奮しちゃった。だってこんな可愛い子が服、脱いでいくんだもん。」
梨華は、乳房をもみしだきながら首筋にキスをしてきた。
「ひとみちゃん。ここにキスしてきたでしょ。いつもの癖なんだぁ。」
「知らないよ。もぅ、やめてぇ。」
なんて勝手なんだろうと思った。二人の性生活にあたしを巻き込むなんて。
- 46 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時12分09秒
- あたしは、ひとみと梨華の玩具じゃない。でもこのままじゃあたしは、二人にレイプされてしまう。
「ごっちんのその泣きそうな顔がたまらないな。いいよ。あたしが奪ったげる。」
梨華は、ついに下の股間のほうに手をのばしてひだのあたりをゆっくりなでてきた。
触られただけで体がびくびく反応してしまう。
あたしの体は、ひとみに処女を奪われてから、いっそう敏感になっていた。
梨華は、あたしにむかってにっと笑うとゆっくりゆっくり手をいれてきた。
「あぁっ!うぅ!ふっ!あんっ。」
梨華は、値踏みするようにあたしの表情をじっと見てから再び行為を開始する。
梨華の手が何か探し物でもするようにあたしの胎内をまさぐってきた。
ぐちょ。
頭の中が真っ白になった。「狂う。」そんな気がした。
- 47 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時12分56秒
- 「り、梨華ちゃん!お願い!もうおかしくなっちゃうよぉ。」
あたしの叫びも聞かず梨華は言った。
「ふふふ。みぃつけちゃったぁ。ごっちんの場所。」
あたしは、全身の血の気がひいていく気がした。梨華はその場所を探していたのだ。
「すぐ、楽にしたげるよ。ごっちん。」
頭がおかしくなりそうだった。また、梨華の手が中にすっと入ってきた。
「あぁっ!ふっ!あぅ!ふぁ!」
梨華は、楽しそうにあたしの声を聞きながらその場所に激しい愛撫をしてきた。
「ひゃあっ!あぁ!!」
あたしは、あっけなくイってしまった。どくどくと愛液が流れていくのが分かる。
「いっぱいでたね。ごっちんの愛液。」
あたしは、もう泣こうとも思わなかった。ひとみも梨華もあたしの涙には、欲情以外何も感じない。
あたしは、だまって顔を背けていった。
「もう、梨華ちゃんもよっすぃーも信じられない。あたしは、もう二人には会わない。会いたくもないよ。」
- 48 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時13分43秒
- 「じゃあ、二度とそんなことが言えない体にしてあげようか。」
もう、梨華は笑っていなかった。梨華は、あたしの体を向け直すと、ゆっくりとあたしの乳房を愛撫してきた。
「り、梨華ちゃん・・・。いつからそんなになっちゃったの?あたしのこと、ごっちんごっちんて可愛がってくれたじゃん?あれ、全部嘘だったの?」
あたしは、うめくように梨華に言った。
「嘘じゃないよ。ひとみちゃんがいなくなっても、今でもごっちんのこと好きだよ。ただあたし、寂しいんだ。ごっちんしかいないんだ。だから脅してでもごっちんのことは離さないよ。」
梨華は、またあたしに長い口付けをした。梨華が、口を離すと唇同士が糸を紡いだ。
「さぁ、ごっちん。夜は長いからね。」
それから、もう梨華に何度抱かれたか分からない。
- 49 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時14分18秒
- 全身から激しい快感が波のように襲ってきて、いつしかあたしは、気を失ってしまった。ただ梨華の上気した顔と、スタイルのいい梨華の体が頭の中に残っていた。
気がつくと、やっと朝が来ていた。手錠は外されていたけど、体が疲労で重くてひどくお腹がすいていた。梨華は、もう側にいなかった。
「逃げよう。」
あたしは、そう思ったけど自分の服がどこにもない。
自分の鞄も見当たらなかった。昨日の梨華の言葉がふと浮かんできた。
「脅してでも離さない。」
はぁ。どうしたらいいんだろ。あたしは、ため息をつくとまたベッドに横になった。その時、梨華が階段を駆け上がってくる音が聞こえてきた。梨華がドアをバタンと開けて言った。
- 50 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時14分54秒
- 「ごっちん。起きた〜?」
「服、返して。帰る。」
あたしは、梨華をにらんで言った。
「朝ご飯は?」
「いらない。」
「あ、そ。じゃ、服も返さない。」
梨華が何の躊躇もなくそう言った。
「何で!?昨日、あれだけあたしを辱めたじゃない?もう十分でしょ。もうあたしには何も残ってないよ。」
あたしは、うつむいて言った。梨華が、あたしに何を求めてるのか分からなかった。また涙がじわっとあふれてきた。
「ごめんごめん。泣かないで。ごっちん。あたし別にごっちんをいじめるつもりなんてないから。ただ一つだけ約束して欲しいんだ。週一回でもいいから、家にあたしに会いにきてよ。」
「こんな・・・。こんなことされて、また来れるわけないじゃない?あたし、梨華ちゃん信じてたんだよ。こんなのひどいよ。まだあたしを犯したりないってこと?」
- 51 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時15分28秒
- 「そうだよ。もし、ごっちんが来てくれないんだったら、あたしごっちんと一緒に死ぬから。」
あまりにも冷静に梨華が言った。やっぱり梨華は、ひとみとのことで頭がおかしくなってると思った。
それよりも自分も、昨日から何も食べてない。体もべたついて気持ち悪くて、本当に死にそうだった。
「もういい。梨華ちゃん。朝ご飯食べるからシャワー貸して。」
「いいよ。じゃあ着替えとバスタオル用意しとくからね。あたしもさっき浴びたんだ。」
あたしの言葉に梨華がさらっと答えた。
自分でも強姦されて、シャワー浴びて朝ご飯食べるなんて異常だと思った。でも、そんなことより自分の体がどうかなってしまいそうだった。
- 52 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時16分43秒
- 温かいシャワーを浴びて、やっとあたしの中で気持ちが落ち着いてきた。
生き返るようだった。このシャワールームもあたしが何度も使ったなれたところだった。
ただ、変わってしまったのは梨華一人だけ。もう涙も出てこなかった。
洗面所に置かれた自分の下着と制服をきて、久しぶりに何も身に付けてない空虚感から開放された。
あとは、ひどくお腹の減った感覚を満たすだけ。
あたしは、台所までいってテーブルに着くと梨華に何も言わず、出されたご飯と味噌汁と目玉焼きをむさぼるように食べた。
食べながら、梨華のことをふと考えた。梨華は、本当にあたしに側にいてほしいだけ?それとも、ひとみのことであたしに嫉妬してる?
それでも梨華は、すました顔で朝食を食べていた。
「ごっちん、あたしがつくった朝ご飯そんなにおいしい?」
梨華が、聞いてきた。
「・・・うん・・・。」
あたしは、何故か怖くて視線を合わせられなかった。
今、梨華の顔をみたら梨華の全ての表情が偽りのように見えてしまう気がした。
- 53 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時17分16秒
- 「ねえ、ごっちん。」
「何?」
もう、こんなことしない。って謝ってくれるのかと思った。でも違った。
「モーニング娘。ってどう思う?」
「どうって?」
「入ろうって思っただけで、そんなに追い詰められちゃうのかな?」
「あぁ。よっすぃーのこと?」
「そう。」
二人の間で沈黙が続いた。目の前に散々あたしを触り尽くして、あたしを吸い尽くした人がいる。それでも「石川梨華」は、相変わらず見とれてしまうぐらいにきれいで、ときおり胸もとから見える肌にどきりとした。昨日、あんなことがあったばかりなのに。あたしは、自分の妄想を打ち消すように言った。
「よっすぃー、レッスンうまくいってないの?」
「多分。でも何も話してくれない。モーニング娘。ってそんなに自分を見失っちゃうぐらいに入りたいものなのかな。だって何万人も受けにくるんでしょ。そんなの最初から無理に決まってるじゃん。馬鹿だよ。よっすぃーなんて。」
梨華がはじめて、本心を言ってくれたような気がした。
- 54 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時18分03秒
- 「馬鹿・・・だね。」
あたしは、ふと言ってしまった。でもあたしには、誰が馬鹿でどういうことが馬鹿なのかさっぱり分からなかった。
「来週も来てくれる?」
梨華が、玄関先であたしを送り出すときに言った。
「わかった・・・。」
あたしは、怖かった。たかが、こんな可愛らしい女の子のどこが怖いのかと思う。
でもあたしのことを知り尽くしている生身の人間ほど怖いものはないと思った。
それから、あたしは全く何もなかったかのように学校に行った。
梨華からはまた前のようにメールが来るようになったし、ひとみからは時おり電話があった。
それは、前と同じようなたわいのない内容ばかりで、あたしをほっとさせるというよりもむしろそれは、あたしに傷ついた少女を演じさせまいとするようだった。
- 55 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時19分12秒
- でも、あたしは本当に傷ついてるのは二人のほうだと思う。
二人は、寂しくてあたしを側に置いときたいんだ。
でもモーニング娘。になってアイドルになって有名になって・・・っていう夢が・・・普通のどこにでもありそうな夢がこれほど人を傷つけるのか不思議だった。
それが、ひとみにとっての夢ならずっと追いかけてればいいのに。
ひとみの声はあたしがうっとりするようなハスキーボイスだし、運動神経も良くてダンスもうまい。
そのままのひとみでいいんだ。そのままでいいのに・・・。
梨華は、みんなが振り返るような美人で可愛い声のお嬢様。
誰が何と言ったって、笑ってたって泣いたって梨華は魅力的だよ。
ひとみがぞっこんだったの分かるぐらいに。
だったらそのままひとみを追いかけたら良かったんだよ。
あたしは、直接は言えない二人への思いでいっぱいだった。
きっと二人は、今もあたしが二人からの電話やメールに脅えて暮らしてると思ってる。
でも全然そうじゃない。あんなことされたって、梨華やひとみからメールがくればうれしい。
そんなことを全然分かってもらえないことが、あたしは悔しくて悔しくてしょうがなかった。
- 56 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時20分10秒
- 季節はもう本格的な夏場に差し掛かっていた。梅雨が終わると、まるでトンネルを抜けように熱さがやってきた。
「あぁ、また去年みたいにはしゃぎまわって夏すごしたいなぁ。」学校の帰り道、あたしは、ぼそっとつぶやいた。
でもまたユウキ、見張ってないと。
弟は、どっかで遊び歩いてるのやら悪い遊びでも覚えたのか最近は、ほとんど家にいない。
「ごっち〜ん。あっついねぇ。この時期。もう待ちくたびれて汗だらだら。」
突然のひとみの声であたしはぎょっとなった。
家の前の玄関先にひとみが隠れていたのだ。
「よっすぃー!?ずっとそこにいたの?」
あたしは、咄嗟に尋ねた。
「ううん。あたしのクラスちょっとだけ早く終わったみたい。」
ひとみは、そう言うとにやにや笑っている。
まるで早く家の中に入れろと言っているみたいだ。
「・・・・よっすぃー・・今日はムリ。弟も隣の部屋にいるし・・・。」
あたしは、何を言っていいかわからずしどろもどろに言った。
- 57 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時21分05秒
- 「ごっちん。何言ってんの?いきなりえっちぃ。そんなこと、いいからいいから。」
ひとみは言うと後ろからあたしの肩をもって家の中にうながした。
あたしは、しょうがなくひとみに後ろを押されて家に入る。
ちょうどユウキが玄関の近くの階段をあがろうとしていた。
「あ、ユウキ君、こんにちは。お姉ちゃん、ちょっと借りるね。」
ひとみがユウキに笑いかけながら言った。
「どうぞ、どうぞ。煮るなり焼くなり好きにしてください。僕出かけてきますんで。」
ユウキは調子よくそう言った。
あたしは、ユウキにSOSを目で訴えかけたがユウキは不思議そうな顔をして、そのまま出かけてしまった。
あたしは、そのまま自分の部屋に連れて行かれた。
「あ〜。暑い。ごっちんクーラーつけてよ。」
いつものようにひとみは言った。
あたしが今感じてる不安や恐怖を何も感じないかのように。
そして、ひとみは、何気なくあたしの机の上を見た。
あたしは「しまった!」と思った。
- 58 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時21分44秒
- 「何これ。モーニング娘。の募集テストの要項とデモテープじゃん。」
「いやそれは・・・。」
「ふーん。ごっちん、モーニング目指してるんだ?あたしが挫折したの知ってて?」
「そういうわけじゃなくって。」
「ごっちん、あたしのこと恨んでるよね?当然といえば当然だけど。」
あたしが悪い予想をしたとおりだ。
「違う!あたしは、よっすぃーがどんなことしててどんな苦しい思いしたのか知りたかっただけ。だってよっすぃー苦しそうだったもん。すごく。」
あたしは、考えてたことを正直に言ってみた。
「例え、恨まれてても憎まれててもそんなにあたしのこと思ってもらえてうれしいわ。」
ひとみは、表情ひとつ変えずに言った。
「あたし決めた。ごっちんを徹底的に犯すことにする。そんな余計なことできないくらいにね。」
そういうとひとみは、制服の上からあたしの乳房をゆっくりともみ始めた。
「もうやだ!」
あたしは、叫ぶとひとみを突き放して一目散にドアに向かった。
- 59 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時23分05秒
- これ以上ひとみに何かされたら、あたしがあたしじゃなくなる。ひとみに会った時、そのきれいな目や発せられる言葉より、ひとみの体や感触に触れたいと思ってしまう。
それぐらいあたしは、ひとみが好きだった。
何とかドアノブを握った。ここを出て家から飛び出してしまえばいい。
そうすればさすがにひとみも何にもできなくなる。
そう思ったときに、後ろから両手でがっちりと抱きすくめられた。
「ごっち〜ん。どこ行くの?せっかく二人きりになれたのに。」
恐ろしい素早さだと思った。そしてあたしの目の前で部屋の内鍵はカチリと締められた。
「これで、もう邪魔は入らないしね。」
ひとみは、あたしをドアから引き離すように後ろに引っ張り、ベッドに引きずり込んだ。
そこからは、まるで女同士の取っ組み合いの喧嘩だった。
あたしは、ブラウスに手をかけてボタンをはずそうとするひとみの手をはらって、精一杯の抵抗をした。
でも何回逃げようとしてもひとみの強い力で押し戻された。
- 60 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時23分58秒
- 「そっちがその気なら手加減しないからね。」
ひとみの手がするりとスカートの中に入った。
ひとみの手がショーツの中を駆け巡った。
「なんだ。もう濡れてるじゃん。」
ひとみがあたしの顔の横でにたっと笑った。
「あっ!うぅ。」
突然の感触で体中に電気が走った。ひとみの手があたしの急所を触った。
「あぁ。駄目!触らないでぇ!うぅ。はぁ!」
そしてあたしの中の蹂躙を開始した。ち、力が入らないよ。あたしは思った。
ひとみは、楽しそうにあたしのブラウスを脱がすとベッドの外においた。
そしてあたしの身に付けているものを容赦なく剥ぎ取っていく。
そしてあたしの全身の性感帯を愛撫しはじめた。もう、頭が回らなかった。
それからあたしは、何回イかされたんだろう。
あたしは、ベッドの上で裸で横たわってた。
「ごっちん。すごく可愛かったよ。」
ひとみが制服を着ながら言った。
- 61 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時24分41秒
- 「じゃあ、必ずまた来るから。オーディション頑張ってね。」
ひとみは、あたしのほっぺたにキスをすると部屋を出て行った。
クーラーの音がブーンと鳴っている。床には脱がされた制服が無造作においてあった。
「うぅ。体が・・。」
腰が痛くて体がうまく動かない。
「これじゃあ、コンテストの練習が・・・。ダンスが踊れないよ・・。」
悔しくて涙が出た。その時、携帯にメールが入った。梨華からだった。
「明日、来てくれる約束だよね。ごっちんの大好きな夕飯つくって待ってます。リカ」
- 62 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時25分38秒
- 二人がやってることは、ほとんどイジメだと思う。ただあたしに対する口調や言葉がひどく優しいだけで。
無理やり部屋に監禁してレイプ。ひとみには自分の部屋で散々犯された。
こんなひどいイジメは普通ない。もし、あたしが自殺でもしたら二人は少しは、責任を感じてくれるんだろうか。
でもそんなことは絶対しないけど。それでもあたしは、悔しくて怖くて下唇をかんだ。
多分、あたしか梨華とひとみかどっちかの体が先に壊れてしまうんだと思う。
それから何度となく梨華に呼び出され、ひとみは規則正しく家にきた。
それが、普通であったかのようにあたしの体が慣らされていた。
彼女らは当然の権利のようにあたしを抱いた。
梨華とひとみが連絡をとりあっているのかどうかももうあたしは、考える余裕がなかった。
あえてそんな余裕をなくしていたのかもしれない。
- 63 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時26分44秒
- 「梨華ちゃん。しょうゆとって。」
「あ、ちょっと待って。入れなおしてくる。」
梨華は、台所の棚からしょうゆ瓶をとって、トクトクとしょうゆを充填している。
あたしは、梨華の家で普通に、一晩の行為の後朝食を食べていた。
もうそうするしかなかった。
あたしが突然梨華の家に行かなくなったらどうなるんだろう。
あたしの裸の写真でもばらまかれるんだろうか。ううん。そんな簡単なことじゃ済まされないと思う。
もし、あたしが梨華を無視したら梨華は、あたしをコロスカモシレナイ。
それは、ひとみにしても同じことだ。それぐらい、二人は傷ついてた。
そして愛し合ってた。
泣き叫んだって、返って状況は悪くなる一方だと思う。
どうしてかというと、あたしには二人の心の傷が分かってきたから。
直接の心の痛みとして。
「ねぇ。梨華ちゃん。人って傷つけられると心がものすごく痛いんだよ。」
そう梨華に言いたかった。でも言えない。
あたしは、まだ梨華にもひとみの味方にもなれないと思った。
- 64 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時27分30秒
- 人は、大切な人が悲しかったりショックだったりしたら自分まで本当に胸がズキズキするってことが分かった。
あたしは、二人に抱かれてるとき、胸が痛くてしょうがなかった。裸で抱き合うってことは、相手の痛みが一番強く伝わってきたから。
涙がぽろぽろ流れた。悔し涙もあったかもしれない。
でも大部分は、傷ついた二人の、梨華とひとみの涙だった。
だからあたしは、少しだけ強くなれてたのかもしれない。
「はい。ごっちん。おしょうゆ。」
梨華があたしの目の前にしょうゆをトンとおいた。
「あ、ありがと・・。」
外から蝉の鳴き声が聞こえた。
- 65 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時28分00秒
- いつもの夏だったら「ねぇ。梨華ちゃん。今年の夏は3人でどこ遊びに行く?花火とかお祭りとかいっぱいあるじゃん?よっすぃーとどっか行くんだったらあたしも連れてってよぉ。」ってせがんでた。梨華は目の前にいる。ひとみともしょっちゅう会ってる。あたし喧嘩も何もしてないのに。こんなのひどい・・・。
「梨華ちゃん。こんな関係いつまで続けるの・・・?」
あたしは、つぶやくように梨華に尋ねた。だけど梨華は、答えてはくれなかった。
「モーニング娘。なんてなくなればいいんだ・・・。」
それが、梨華の代わりの答えだった。
- 66 名前:安石 投稿日:2003年03月26日(水)21時29分39秒
- 第二回更新を終了します。第三回目が最終更新で完結です。
途中で、sageするのをミスしてageてしまいました。
緑板に連載中の他の作家の皆様、すいません。
- 67 名前:名無し読者 投稿日:2003年03月27日(木)19時28分24秒
- ごっちんには悪いが…萌える!!
- 68 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時30分06秒
今まで感想を下さった皆さんありがとうございます。
3回目の更新をします。
- 69 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時31分49秒
- 季節は、夏本番を迎えた。でもあたしにとっては何も変わらない、傍からみればイジメの嵐なのかもしれない。
でもほんの少しだけ変わったことがあるとしたらあたしは、モーニング娘。のオーディションを着実に勝ち進んでた。
必死だった。もしかしたら邪魔されるかもしれない。
でも二人には絶対負けたくなかった。
あたしは、二人に好きなようにされてものすごく悔しかった。
それでもあたしは、オーディションを受けることで何かを二人と共有したかったんだと思う。
あたしは、いつも二人を追いかけてばかりいたから。
だから、ほんの少しだけ2人の気持ちがわかるようになってきた。
「よっすぃー?オーディション受けるのってつらいよね。自分と人のプライドやエゴに押しつぶされそうになるよね。ただ・・・夢を叶えたいだけなのにね。」
ひとみと間近で話せるのは、抱かれてる時しかない。
- 70 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時32分32秒
- 「・・・・。」
ひとみは、なにも言わずあたしの体を貪りなめている。
「はぁ・・・。あぁ・・。」
あたしは、声がとぎれとぎれになりながら言った。
「よっすぃー。優しすぎるんだよ。あーいう場所で、嫌な感情がぶつかり合うところで競争するのは。」
あたしは、何となく思ってたことを口にしてみた。
「あたしが優しい?」
ひとみが、挑戦するような目であたしを見た。
「あたしが・・・こんなことしてるのにまだあたしが優しいと思ってるの?」
「思ってるよ。よっすぃーも梨華ちゃんもずっと優しいよ。」
あたしは、そっとひとみの背中をなでた。ひとみがびくっと動いたような気がした。
「はぁ?梨華ちゃんは、あたしにふられた仕返しにあなたの大事なごっちんを一晩かけて無理やり抱いてやったっていってたよ。」
- 71 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時33分24秒
- 「そんなこと。もういいよ。」
「いいの?」
ひとみが指の挿入を深くした。
「あぁ!ふっ・・はぁ・・」
ひとみは、表情をうかがうようにじっとあたしを見た。
「はっ・・あ、あたしは二人にだったら何されても構わない。で、でもこんなことしてたら3人とも駄目になっちゃうよ・・・。」
あたしは、二人に求められてる。でも梨華もひとみもあたしが憎いわけじゃない。
二人は純粋にあたしを求めてるだけで、お互いあたしを求めて傷を癒そうとしてる。
そんなことしたって一生傷は治らないのに。
ひとみは、いつものようにあたしを抱き終わると軽く手を振って部屋から出て行った。
後姿が何だか寂しげで、あたしは、ぼぉっとひとみを見送った。
しばらくたってあたしは、部屋にひとみのブラウスのリボンが落ちてることに気付いた。
まだ間に合うと思ったあたしは、急いでひとみを追いかけた。
- 72 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時34分09秒
- 夕方だというのに、とてつもなく暑い日だった。湿気が熱さをすいこんで体全体にへばりついてくる。ひとみは、近くの橋の上をとぼとぼと歩いていた。
「よっすぃ〜。」
後ろから声をかけた。振り返ったひとみの顔は何だか泣いてるみたいだった。
「これ。忘れもんだよ。」
暑い中走ってきたせいか少し息がきれた。
「こんなのいつでもいいのに。わざわざ走って追いかけてきたの?馬鹿だね。お人好しにもほどがあるよ。」
「そうかな?」
あたしは、リボンをひとみに渡した。
「ありがと。」
ひとみはぼそっと言った。あたし達は、そのままむっとするほど暑くて不快な橋の上を並んで歩いた。
「久しぶりだな。二人で歩くの。」
あたしは、ふとつぶやいた。梨華の家からあたしの家までひとみがよく送ってくれたことを思い出した。
でも、ひとみは黙りこくったままだ。
- 73 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時35分07秒
- 「あ〜。べたべたで気持ち悪いよ〜。これだったらよっすぃーと抱き合って汗だくになってたほうがいいかも。」
あまりにひとみが静かだったからあたしは、意地悪く笑って見せた。
そしたら、ひとみの表情がどんどん悲痛に変わっていった。
「ごっちん・・・。助けてよ。あたし苦しいよ。自分の勝手な夢で梨華ちゃんもごっちんも傷つけて。でも、ごっちんが自分のものじゃないとあたし耐えらんないんだよ。」
ひとみがあたしに抱きついてきた。
ひとみがあたしの肩で激しく泣いてるのを感じた。
でもあたしは、ひとみが泣きついてきたのを不思議と自然に受け止めた。
あたしは、ひとみはベッドの上でもずっと泣いてるように感じていた。
「いいよ。あたしが助けたげる。」
そう言うとあたしは、ひとみの顔を間近で見た。大きな瞳から涙がぼたぼたとこぼれている。
あたしにこんなひどいことしといて、まだこんなに純粋で可愛らしい瞳をしてるなんて。
あたしは、ちょっと悔しかったけど言った。
- 74 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時35分59秒
- 「じゃあ、一つだけ約束してくれる?もしあたしがモーニング娘。のオーディションに合格したら、梨華ちゃんとより戻す。あたしにはもう指一本手出ししないって。」
「・・・わかった・・・・。わかったよ。」
ひとみは、素直に答えてくれた。
「よっすぃ〜。」
あたしは、ひとみをもう一度ぎゅっと抱きしめた。じっと湿った体と体が密着した。
もう二人とも暑さの限界を通り越していた。ひとみは、暑さか泣いたためかすっかり力をなくして無防備にあたしに体をまかせていた。
「よっすぃー。愛してるよ。」
あたしは、そう言ってついでにひとみの唇を奪った。
- 75 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時37分04秒
- ひとみと別れた後、あたしは久しぶりに足取りが軽かった。
やっぱよっすぃーには梨華ちゃんでないと!そしてあたしは、とにかく二人と一緒にいたいんだと思った。
そのためには二人を助けないといけない。それにしても今日は、暑い。暑すぎてまた頭がぼーっとする。
夏バテかな。
その時はただそんなことを考えていた。
家に戻ると珍しく母がもう帰っていた。
「真希ちゃん。ユウキどこ行ったか知らない?あの子またいないのよ。」
母が台所で料理をしながら、困ったようにあたしに聞いてきた。
「え?またぁ?」
あたしはあきれるように言った。
でもあたし自身梨華とひとみに振り回されてユウキのことなど見張るどころか、何の注意もできていない。
そのことを思い出して母に申し訳なく思った。
- 76 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時37分43秒
- 「お母さん、ごめん。あたしもユウキになかなか注意できなくて。」
「そんなことはいいの。それよりね。真希、大事な話があるの。」
「何?話しって。」
「母さんね。また東京でやり直してみたいのよ。」
「え!?東京!?」
東京は、あたしが幼い頃住んでた。父と母が離婚するまであたしは東京に住んでた。
「東京に引っ越すってこと?」
あたしは、驚いて唇をかみ締めながら言った。
「そう。それがね。突然なのよ。東京でね。お店貸してくれるって人がいるんだけど、もしやってもいいって言うんだったらね。そのお店で3日後には始めて欲しいっていうのよ。」
「は!?三日後!!!!」
あまりに話が突然すぎる。うちの母は小料理屋の店員として働いているが収入も少なくて、大変な仕事だというのは、あたしもよくわかっていた。
だから母が店をもてるというならあたしは、それを応援したい。
でも三日後というのはあまりにも時間がなさすぎた。
- 77 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時38分44秒
- 梨華ちゃんに早く会わないと。会って伝えなきゃ。
あたしは、あくまでも二人がよりを戻してくれることを望んでいること。
梨華ちゃんに嫌われようといやがらせされようとあたしは、二人に負けないぐらい歌やダンスが好きなこと。
だからモーニング娘。を本気で目指すこと。そう。そしてあたしが、もしモーニング娘。になれたら二人に元に戻ってもらわないと。
でないとあたし達3人は永遠にバラバラになってしまう。
あたしが体を張ってそれを食い止められる時間もあと少ししかない。
「学校の先生にはもう伝えてあるから。明日には自分の荷物まとめてくれる?」
母がいやに高揚とした声で言った。
「わかった。何とか頑張ってみる。」
あたしは、母の勢いに押されるように答えた。すると母が急に改まったように言い始めた。
「ごめんねぇ。親の勝手な都合で。でも真希。あなたの夢だけは母さん絶対応援するから。次のオーディション。お寺であるんでしょ?絶対に、絶対に応援するからね。」
「そんなプレッシャーかけないでよ。それもあたしが勝手に始めたことなんだから。お互い様でしょ。」
あたしは、笑いながら言った。
- 78 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時40分05秒
- 自分にとって大切なものならば、振り回されることだってあると思う。
大切な家族や友達や恋人だったりするから振り回されるんだ。
振り回されるものがあるだけあたしは、やっぱり幸せなんだと思った。
部屋の窓からすぅっと冷たい風が入ってきた。
部屋や物や人の感覚よりも季節はずっと先を行っている。
時折、一息ついてはここまできたよと人に教えるだけだ。夏が終わる。
何か時代が終わろうとしていた。夕方痛んだ頭がまたトクンと響いた。運命はこのままスムーズには運ばなかった。
次の日、あたしは朝から熱をだして寝込んでしまった。
夕方には梨華にどうしても会わなければならない。
朝から寝ておけば夕方には、少しは良くなるだろうというあたしの考えは甘かった。
午後になっても熱は下がらず、頭は重い。それどころか悪化してベッドから動けなくなった。
体中、汗だくで気持ち悪い。そして悪寒と熱気が交互にあたしを襲った。
お店のお別れ会で母はいない。弟も姉もいない。あたしは惨めだった。
- 79 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時41分53秒
- 「でも梨華ちゃんに会うチャンスは今日しかない。」
それでもあたしは、夕方には出かける準備を始めた。でも熱で頭がもうろうとして一つ一つの動作が体に響く。
「苦しい。何でこんな苦しいんだろ。」
とても服を着替える気力がない。あたしは、ベッドの側にうずくまってしまった。
「結局、あたしは誰も救えない。救われなければいけないのはあたしだけだ。
梨華ちゃんもよっすぃーも、あたしの体だけが目的で何も苦しんでなんかなかったのかも。」
あたしの心はどんどん惨めになっていった。二人は、あたしの体だけが目的であたしに近づいた。
そして今、あたしを追い詰めるための最後の仕上げにかかっている。
そう考えたら全てがつじつまが合うような気がした。
あたしは、うずくまったままずっと耐えていた。
あれから何時間たっただろう。外はすっかり暗くなっていた。
もうあとは、いつも夜の遅い母が帰ってくるのを待つしかなかった。
- 80 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時43分55秒
- トントンと誰かが階段を上がってくる音がした。
時計をみたら午後八時を指している。こんな時間には普通誰も帰ってこない。
その瞬間、また体中を寒気が走った。
あの足音は、梨華だ。今日、行けなくなったことを教えてない。
だって最後まで梨華の家にいくつもりだったから。でもそんなことは梨華は知らない。
隠れなきゃ。咄嗟にそう思った。しかしこんな瞬間に隠れる場所なんてそうそうない。
あたしは、重いからだをひきずりながらベッドの後ろに隠れ、またうずくまった。
階段を上がってきた人物はまるで、狩猟でもしているかのようにすっとあたしの部屋のドアをあけて中へ入った。
殺される・・・。それともこんな状態のあたしの服を剥ぎ取って、また襲うんだろうか。
でも襲われたってこんな状態じゃ何にも感じないだろうな。あたしは不意に思った。
額にそっと手があてられた。
「すごい熱じゃない!?ちょっとごっちん!大丈夫!?」
やはり梨華の声だった。
「梨華ちゃん・・。ごめん。今日いけなくて。」
あたしは、梨華の顔もみれずうめくように言った。
- 81 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時44分43秒
- 「当たり前だよぉ。こんな病気で来られたらあたしの大事なごっちんが死んじゃうよ。」
梨華は、あたしをベッドにあたしを座らせると言った。
「ちょっと待ってて。今着替えと薬持ってくるから。」
あたしは、座るのもままならずそのままベッドに倒れてしまった。
梨華は、すぐに戻ってくると素早くあたしを着替えさせて薬を飲ませた。
再びあたしはふとんの中に倒れこむと悪寒で体が震えた。
梨華は、ふとんの中に手を入れてあたしの体をさすってくれた。
梨華は、寝てるあたしを触ってくることはしょっちゅうで、ほとんどはセクハラに近いものだった。
でもその時の梨華の手の感触は心地よくて、ずっとそうしてもらいたかった。
あたしは梨華が部屋を出て行こうとしたとき思わず梨華の腕をつかんだ。
「どこ行くの?帰っちゃやだよ。お願いだから一人にしないでよ。」
「こんなごっちん一人おいて帰らないって。ちょっとおばさんに連絡とってみるから、ここで待ってて。」
梨華はあたしに優しく言った。やっと落ち着いたあたしは、そのまま眠りに落ちてしまった。
- 82 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時45分38秒
- だいぶ時間がたった。懐かしい話し声が聞こえてくる。
身近な人なのに何故こうも懐かしいのだろう。それは、梨華とひとみの話し声だった。
熱はだいぶ下がってて体は楽になっていた。あたしは、ゆっくりと起きあがると二人を見つめた。
「…ごっちん…大丈夫?」
先に口を開いたのはひとみだった。ひとみは、心配しているというより困惑しているように見えた。
「よっすぃー来てくれたんだ。うれしいな。とは言っても何もしてあげられないけどね。」
あたしがそう言いおわらないうちに二人が、ベッドに駆け寄ってきた。
「ごっちんのお母さんから聞いた。ごっちんがあさって東京行っちゃう事。」
梨華が言った。
「あ、そっか。お母さんから聞いちゃったんだ。」
「あたし達、今さら許してくれなんて言わない。言えないよ。ここまでごっちんをぼろぼろにして、追いつめたのはあたし達なんだから。」
ひとみが、あたしの腕を強くつかんで言った。目にはうっすら涙が浮かんでいた。
「あ、あたしの事だったら大丈夫だから。ちょっと夏バテしてるだけ。」
あたしは驚いて言った。
- 83 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時46分19秒
- 「正直に言うよ。」
ひとみが急にあたしの正面を向いて言った。
「あたし達、正直ごっちんが妬ましかったんだ。カラオケに行っても一緒にダンス踊ってもごっちんには絶対かなわないって思った。ごっちんの歌やダンスにはあたしみたいな一般人とは違うものがあるって感じた。」
「そう。だからあたし、歌もダンスも本当は大好きだった。けどごっちんと自分を比べると惨めで。だから嫌いになってた。」
梨華が続けた。
「そんな!あたしいつも歌やダンス、よっすぃーや梨華ちゃんに教えてもらってたじゃん。あたしなんかよりも二人の方がずっとうまいよ!」
あたしには、二人の言葉が信じられなかった。あたしは、いつも二人を目指してた。
ついていくのに必死だった。二人と離れたくなかったから。
「最初は、そうだったかもしれない。でも途中からごっちんは、あたし達のはるかに前をいくようになっちゃった・・・。」
ひとみがため息をつくように言った。
- 84 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時48分14秒
- 「そ・・・そんなことが原因なの?そんなことが理由であたしをあんな目にあわせたの?だったらそう言ってよ!あたし、よっすぃーや梨華ちゃんがいいって言うまで歌もダンスもしない。モーニング娘。もあきらめる。だからお願い!お願いだから元の二人に戻ってよ!」
あたしは必死に言った。
「もう、そんな必要ないよ。」
梨華が言った。
「あたし達、ごっちんが寝てる間に考えたんだ。もうごっちんを、あたし達の箱の中に無理やり押しこむなんてことできない。ごっちんを脅しつづけて永遠に自分のものにしたいって思ってたけど、そんなことしたってごっちんはどんどん離れていっちゃうんだよ。当たり前だけどね。」
ひとみがゆっくり話し始めた。
「だから、あたし達ごっちんの言うとおりよりを戻す。だけどあたし達、そんなことじゃ許されないと思うんだ。」
「どうして?あたしは、元の二人に戻ってくれればもう十分だよ。それにあたしはもう東京に行かなきゃいけない。だから時々二人に会いたいだけ。」
あたしは言った。ひとみが何か言おうとしたのをさえぎって突然梨華が言った。
- 85 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時48分55秒
- 「もしごっちんがモーニング娘。になれたらあたし達もモーニング娘。になるよ。」
梨華が突然、甲高い声をあげたからびっくりした。
「もう自分に嘘はつけない。あたし達、歌やダンスが大好き。例えごっちんよりも才能がなかったとしても。それに、ごっちんに謝る資格ができるのもその時だと思う。」
梨華がはっきり言った。
「あたし達、何てことしてたんだろ。ただごっちんがあたし達より歌やダンスがうまいからって・・・。監禁してレイプして脅迫して・・・。あたし達の一番大切な子なのに。」
梨華が、あたしの手を握り締めてきた。熱のせいか梨華の手はあたしよりずっと冷たかった。
「確かに無理やりさせられたのはつらかった。でも梨華ちゃんとよっすぃーだから何とか我慢できた。それに二人はあんなことしてても、あたしにずっと優しかったから。でも他の人に同じことされたら、多分あたし自殺してた。」
あたしは言った。
- 86 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時49分28秒
- 「何で強引に何もかも奪われて。あたし達の狭くて残酷な箱に閉じ込められても、何でそんなにあたし達のことを思ってくれるの?何でごっちんは、そんなに優しいの?あたし達に復讐したいと思わないの?」
梨華が、あたしの顔をまじまじと見て聞いてきた。
「思わない。だってあたしは、梨華ちゃんとよっすぃーが大好きだから。」
「マリアだよ。ごっちんはあたし達にとって。」
梨華がふっと言った。
「そう。あたし達みたいなとんでもない、パンドラの箱みたいなところに閉じ込められてたマリアだね。」
ひとみが言った。
「ねぇ、ごっちん。今調子どお?何か食べれる?」
「うん。梨華ちゃんが薬飲ませてくれたおかげでだいぶ良くなった。そういえばお腹すいたな。」
あたしは、二人と一緒にいて地獄から舞い戻ったような救われた気がした。
- 87 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時50分08秒
- 「そう。良かった。ちょうど梨華ちゃんが下で釜揚げうどんつくったんだ。3人で食べようよ。」
「やったぁ。実は調子悪くて朝から何もたべてないんだぁ。さっすが梨華ちゃん。気が利くぅ。」
あたしは、やっと心の底から笑顔がつくれた。その後あたし達は、3人で梨華がつくった釜揚げうどんを食べた。おいしかった。生気が自分に帰ってきてる。そんな気がした。
「ごっちん。あのさ。」
ひとみがうどんをすすりながらあたしに目を向けた。
「ごっちんのお母さんが帰ってくるまで、元のあたし達のごっちんでいてくれるかな。だって、今日が最後だから。今日が終わったらごっちん。あたし達に構わず好きな道を歩んでいいから。でも最後に元の3人でゆっくり話そうよ。」
ひとみの言葉が痛かった。
- 88 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時52分21秒
- 人と人はまた会うことは出来ても、全く同じ関係で会えるとは限らない。
どんどん人の気持ちは変わっていくし、あたしもどんどん変わっていってしまうんだろうか。
その時あたしは、そう思った。
あたし達は、3週間分ぐらいの元通りのおしゃべりをした。
結局母が帰ってきても二人は家に泊まっていった。次の日の朝起きると、風邪はほとんどひいていた。
でも二人とのお別れでずいぶんとしんみりとするんだろうなと思った。そしたら二人は「あたしから簡単に逃げれると思うな。」とか「また寝てるとき襲ってあげる。」とか散々な捨て台詞を残して家から去っていった。
そのおかげで、あたしは泣くこともなくそのまますんなりと引越しをすませた。
そしてモーニング娘。の最終オーディションまで何事もなかったようにこぎつけた。
- 89 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時53分20秒
- 最終オーディションのお寺合宿は、はっきりいってきつかった。
いくらやっても何やっても駄目だしばかり。ただ何故か全然負ける気はしなかった。
合宿を一緒にした人たちはみんな驚くほど美人で歌がうまかった。
でもよっすぃーほどカッコよくない。梨華ちゃんほどは可愛くないって思った。
そんなふてぶてしさが良かったのか、何も考えてないとこが良かったのか分からなかったけど、あたしはオーディションに合格した。
あたしは、ふーっと大きく息を吐いた。梨華とひとみに話したいことが山ほどあった。
そして一番に合格したことを連絡したかった。
でも、話したいことも合格したことも二人ならもうとっくに分かってるんじゃないかって思った。
だからあたしは、梨華とひとみに手紙を書いた。
- 90 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時54分14秒
- 梨華ちゃん。よっすぃー。
あたしモーニング娘。になれたよ。
だからあとは、二人が約束を守る番だね。
でも何故かあたしは、二人がもう娘。に入ってる姿が想像できるんだよね。
梨華ちゃんとよっすぃーいたらあたし落とされてたかもって思うぐらい。
それぐらい二人の歌とダンスはあたしにとってすごかった。
でも、あたし決めたんだ。二人とずっと一緒に歌やダンスやっていきたいから、あたし二人より先を走ってたい。
そしたらあたし達は、いつも一緒にいれるんじゃないかっって思うんだ。
だからあたし絶対二人には負けないよ。今度どんなふうに二人があたしの前に現われようともあたし負けないんだ。
あとはね。梨華ちゃん。よっすぃー。あたしについてこれるかな?
- 91 名前:安石 投稿日:2003年03月31日(月)21時55分05秒
- 「パンドラの箱のマリア」 完
今までお読みくださった読者の皆様、ありがとうございました。
王安石
- 92 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月02日(水)18時16分51秒
- 完結乙です。
タイトルがこう繋がってくるとは………いや、意味ありげなタイトルだとは思って
ましたけど(w
アンリアルだと思って読み始めたのに、途中でリアル世界と交錯させられてしまいました。
これも偏に作者さんの文章力によるものでしょうね。
もし続編を書かれるおつもりがあるなら、娘。入りしたごっちんとなっちの絡み
なんぞも見たいなぁと呟いてみたり…
- 93 名前:安石 投稿日:2003年04月02日(水)21時17分53秒
- 92様
お褒めいただいて恐縮です。そして感想ありがとうございます。
この小説は、最初はリアルを想定してたんですけど、それだと
あまりにも3人の年齢が幼くなってしまいます。
でもとりあえず3人が一番美しい高校生ぐらいの時を想像して
もらえたらなと思ってました。
続編は今のところ企画してないのですが、現在なちごま、よしごま、いしごま
全部入った小説を製作中です。この作品は5月中旬頃に連載開始予定でいます。
ただ非18禁作品なので別のペンネームで連載することにはなると思いますが。
よろしければおつきあいください。
- 94 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月04日(金)16時00分21秒
- おお!新作はすべてごま絡みなんですね!!
ごまファンなので期待させてもらいます☆
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