風の坂道
- 1 名前:露天家 投稿日:2003年03月25日(火)23時36分19秒
- 初めて書くので、間違い等ありましたらご指摘ください。
内容は高橋・小川・紺野を中心とした学園ものです。
- 2 名前:風の坂道 投稿日:2003年03月25日(火)23時37分25秒
「行ってきまーす」
そういって私は学校に行くために家を出た。
私の名前は高橋愛。報風高校中等部の3年生である。
「愛ちゃん、おはよー」
「おはよー、まこっちゃん」
彼女は同じクラスの小川真琴。とても明るい性格だ。
「待ってー」
聞き覚えのある声がする。
「あさみぃー、遅いよー」
真琴がそう答える。
「ごめん、寝坊しちゃって」
彼女は紺野あさ美。彼女もまた同じクラスで、とても頭が良いんだが、かなり天然である。
「あさ美はいっつもなんだから」
真琴がぷくっと頬を膨らます。それを見て私が笑い出してしまう。
「なに?何で愛ちゃん笑ってんの?」
そのやりとりを見て、あさ美も笑い出した。
「なんであさ美まで笑うのー?もう怒った!あさ美、次遅れたら罰ゲームね!」
といって真琴は走り出した。
「そんなぁ、まこっちゃん待ってよー。愛ちゃんも早くー!」
「あ、うん」
この頃の私は、後に知ることになる重大なことに気づくわけもなかった・・・
- 3 名前:露天家 投稿日:2003年03月25日(火)23時38分54秒
- まだ打つのが遅いので、もし見ている方がおられたら
気長にお待ちください。
- 4 名前:みっくす 投稿日:2003年03月26日(水)07時59分45秒
- ×真琴→〇麻琴っす。
- 5 名前:露天家 投稿日:2003年03月26日(水)12時01分15秒
- みっくすさん、ご指摘ありがとうございます。
推敲してから掲載するようにいたします。
では少しですが更新です。
- 6 名前:露天家 投稿日:2003年03月26日(水)12時03分46秒
- キーンコーンカーンコーン
「愛ちゃーん、まこっちゃーん、屋上行こー」
昼の時間になってすぐ、あさ美が誘ってきた。
「わかったー。先に行っててー」
(あさ美片づけるの早いなぁ。この時間だけ。)
「ご飯のことになるとあさ美は早いんだからー」
麻琴はあきれ顔である。
「あれー?まこっちゃんまだ朝のことで怒ってるのー?」
あさ美が心配そうに麻琴の顔をのぞき込む。
「怒ってるんじゃないよー。早く行こー。愛ちゃんも急いでねー」
「わかったー 」
「やっぱり外の空気は良いねぇー。授業はしんどいよー」
麻琴が背伸びしながら言う。
「まこっちゃん、授業中寝てんのにそれはないよー」
あさ美が口にご飯を含んだまま反論する。
「そんなこといったって眠いんだもん」
「確かにねぇー、ってあさ美ちゃんまだ食べてたの?」
「うん。味わって食べなきゃ」
「味わいすぎだよ」
見事に二人がハモって笑い出す。
- 7 名前:露天家 投稿日:2003年03月26日(水)12時28分21秒
- 笑いがおさまった後、麻琴が話を変える。
「ねぇー、今度の日曜日に遊園地行かなーい?」
街に行くのが大好きな麻琴の発言に驚いたが、すぐに聞き返す。
「どうして急に遊園地なのー?」
麻琴はしばらく考えたすえに
「行きたくなっただけだよ」
麻琴にしては怪しいと思った私はもっと追求する。
「うそー、なんか裏にあるんでしょー?」
麻琴はどきっとした顔をして、しかたなさそうに答える。
「実はねぇ、知り合いの人が遊園地で働くようになったんで、1日クーポン券もらったんだ」
「やっぱりそうだったんだぁー。黙っててどうするつもりだったの?」
わざと麻琴が困るようなことを聞いてみる。
- 8 名前:露天家 投稿日:2003年03月26日(水)12時29分29秒
- 「私が買ったってことにしておいて、後でおごってもらおうかなぁと思って」
「まこっちゃん、ずるーい。あさ美ちゃんもなんか言ってやって・・・ってまだ食べてたの?」
今度は卵焼きを含んだまま答える。
「うん、遊園地は行くよー」
「そこだけはきちんと聞いてるんだねぇ」
私もまこっちゃんもあきれ顔だ。
「じゃあ、日曜日の朝8:30に報風駅ねー」
「わかったー」
そういって私たちは今週最後の授業に向かった。
この約束が、一生心に残るものとも知らずに・・・
- 9 名前:露天家 投稿日:2003年03月27日(木)00時17分37秒
- 「じゃあ、明後日の8:30ねー」
「あさ美、絶対に遅刻しないように!」
麻琴が念を押す。
「わかったー。じゃあねー」
「ばいばーい、愛ちゃん」
「うん、ばいばーい」
そして自分の家に帰った。
- 10 名前:露天家 投稿日:2003年03月27日(木)00時18分07秒
- ただいまー」
元気よくドアを開けた。
「おかえりー。早くお風呂入っといで」
「うん、でも風邪っぽいの」
私はここ最近、今までにない頭痛のようなものを感じていた。
「じゃあ、明日病院行く?」
心配そうな顔で母がのぞき込んでくる。私が自分の体のことを口にしたことはあまりないからであろう。ましてや風邪なんかで心配をかけようとはしなかった。
「いや、大丈夫。きっと明日にはなおってるよ」
お風呂から出て、母と二人でご飯を食べる。というのも、父は私が幼い頃に事故で亡くなったらしい。私は覚えていないけど・・・
私には兄弟もいないので、ずっと母親に頼ってばかりの生活だった。だから学校での出来事も、母にはほとんど報告している。もちろん今日のことも
「えっとねぇ、明後日にあさ美とまこっちゃんと遊園地に行くことになったんだ」
「へー、よかったじゃない。それまでに風邪なおしなさいよ」
「うん。なおってるよ、きっと」
そうは言ったものの、私は痛みと不安でいっぱいだった。
- 11 名前:露天家 投稿日:2003年03月27日(木)00時51分22秒
- 次の日の朝、私の不安は的中し、前の日より激しい頭痛におそわれた。
「お母さーん、私今日病院行ってみる」
「えっ、まだ痛いの?」
とても心配そうにしているので
「大丈夫だよ。これ以上頭が悪くなったらいけないから」
必死に笑った顔をしてごまかす。
「そうね。そうじゃないと看護士になれないもんね」
私の夢は看護士になることだった。事故でなくなった父のような人を、1人でも多く救いたいと思っているからである。
あさ美や麻琴と仲がよくなったのも、同じ夢を持っているからであった。というよりも、あさ美の話に影響されたとでも言うのだろうか。
日頃あまり話さないあさ美が、命について語りだしたことがあった。私はその話に感動して、看護士という道を考えた。そういう意味ではあさ美は恩人だろうか。
「じゃあ、気を付けてね」
「うん。じゃあ行って来るね」
そういって私はほとんど行ったことのない近くの病院に行った。
この頃の私は、この病気の重大さに気付いてなかった・・・
- 12 名前:露天家 投稿日:2003年03月27日(木)00時58分03秒
- 学園ものとは言ったものの、あまり学園が入ってこない始末に・・・
はじめから申し訳ないです。
感想等ありましたら、是非書き込んでください。
- 13 名前:露天家 投稿日:2003年03月27日(木)23時58分20秒
- (この病院、久しぶりに来たけど、汚いままでなにも変わんないなぁ。)
「すみません、風邪で頭が痛いんですけど」
「そうか、ちょっと診察させてもらうよ」
ちょっと太りめの男の先生に一般の病院でされるような診断を受けた。
「熱とか風邪らしい症状はないようだねぇ」
「でも痛みがだんだんひどくなってて
ちょっと頭も診察してみようか」
(えっ、私そんなに悪いのかなぁ)
「そんなに悪いんですか?」
「いや、たぶん大丈夫だと思うよ。原因が分からないと不安でしょ」
「そうですね」
こうして私は精密検査を受けた。結果は2、3日後にでるみたいで、また病院に来いって言われた。
一応薬はもらったものの、不安と痛みが前とは比べ物にならないほど増していた。
もしかしたらもう少ししか生きられない病気かもしれない、と考えると母になんて言えばいいのか分からない。
- 14 名前:露天家 投稿日:2003年03月27日(木)23時59分21秒
- 「ただいま・・・」
声になったか分からないくらいの声を出す。元気のない私を母は心配する。
「あら、おかえり。どうしたの?そんなにひどい風邪だったの?」
今まで我慢していた痛みや不安を、泣くことによって母にぶつける。
「どうしたの、話してみなさい」
「えっとね、・・・」
私は今日の診察のこと、今も痛みがひどくなっていることを母に伝えた。
「医者が大丈夫って言ったんでしょ、なら大丈夫よ。早く寝てなさい。明日遊園地に行くんでしょ」
「わ、わかった・・・」
泣くのを必死にこらえて自分の部屋に行き、布団に潜り込んだ。
(遊園地に行くことも忘れるくらいひどい頭痛だったんだ)
私は明日痛みが無くなっていることを願いつつ、いつもより早く眠りについた。
- 15 名前:露天家 投稿日:2003年03月29日(土)13時48分58秒
- そして次の日の朝、前日のような痛みはなく、少し安心する。
起きあがって歩いてみたり、飛んでみたりしても何の痛みもない。
「やったー、なおったんだ。これで遊園地にも行けるや」
このことを母に報告しようと階段を下りようとしたそのとき
「痛っ、うわ、あぁーーーーー」
急に昨日よりひどい頭痛が襲ってきて、階段を踏み外し、下まで転がり落ちてしまう。
その音を聞いて母が駆け寄ってくる。
「愛、どうしたの」
(だめだ、だんだん意識が・・・)
「愛、あい、あぃ、ぁ・・・」
私は気を失ってしまった。
- 16 名前:露天家 投稿日:2003年03月29日(土)13時50分31秒
- (ここは?なんか真っ暗。そうだ、たしか私は階段から落ちて・・・って死んじゃったの?周りに誰もいないし、なにも聞こえてこな・・・何か聞こえる!)
「ぃ、ぁい、あい、ねえ愛」
「ぅぅん、ん?ここは?」
ぼんやりと目が開いた。
「病院よ。愛、階段から落ちたでしょ」
「うん・・・」
「それで意識を失って、半日ぐらいここで寝てたのよ」
(半日も寝てたのかぁ、頭痛は無くなったのかなぁ。そういえば約束は?)
「あさ美と麻琴は?」
「もう連絡しといたよ。心配ないから二人で行っといでって言ったんだけど、そんなわけにはいきませんって、花を持ってお見舞いに来てくれたのよ。ほんとに良い友達ねぇ」
母が指した先には、花びんに入ったきれいな花があった。
(わざわざ、私のために・・・)
涙が出てきそうになったが、必死にこらえた。
- 17 名前:露天家 投稿日:2003年03月29日(土)13時51分28秒
- そこに、前に診察に来たときと同じ先生がたっていた。
「起きたみたいだね。痛みはどう?」
「今のところはないみたいです」
「それはよかった。検査の結果がでるまで安心できないが、今のところ大丈夫だろう。多少痛みがでても、それは今日ころげて打ったときのだから心配しなくて良いよ。」
(また痛むのかなぁ・・・)
「本当にお世話になりました」
黙っている私に代わって、母がお礼を言った。
こうして楽しみにしていた日曜日が終わった。
- 18 名前:名無し 投稿日:2003年03月29日(土)18時37分07秒
- よくある決め言葉を使いたいようなんだけど
>2の
この頃の私は、後に知ることになる重大なことに気づくわけもなかった・・・
ていう文章は、そのときに気づける可能性がある場合に使うものじゃないかな。
腰折るようなレスしてスマソ。
- 19 名前:露天家 投稿日:2003年03月29日(土)21時46分17秒
- >18の名無しさん
私もその通りだと思います・・・
なので途中から(最近ですけど)無くしております。
あるドラマのように、未来から振り返る(?)というような感じにしたかったんですが、しっくりきませんでした。
これからも問題点があればよろしくお願いします。
更新はもうしばらくお待ちください。
- 20 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年04月06日(日)22時05分41秒
- 更新待ってますよ〜
- 21 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月07日(月)23時29分18秒
- 面白そうなスレ発見!非常に楽しみです。
でも、余り待たせないでくださいね。
- 22 名前:露天家 投稿日:2003年04月08日(火)17時23分19秒
- 「愛ー、学校よー」
「はーい」
結局、土日はほとんど寝てすごしたのだが、週末がとても長く感じられた。
しかしこの日は、とても良い日になりそうな予感がした。
というのも頭痛から解放されていたからだ。
家を出て、いつも3人で待ち合わせをしている場所へ向かう。
その待ち合わせの場所は、丘というのがふさわしいようなところで、周りよりもちょっと高いところにあり、街が一望できる。
それは、学校が小さな盆地にあるからで、よほど近くにすんでいる人以外は、その丘を越えなければならない。
- 23 名前:露天家 投稿日:2003年04月08日(火)17時23分49秒
- 私が丘の上を見られるところまで行くと、もう2人が待っているのが分かったので、走っていく。
「お、おはよー」
息切れしながらもあいさつする。
「おはよー。愛ちゃん大丈夫?」
心配そうに2人が見つめてくる。
(そういえば私、昨日病院で寝てたんだよね・・・)
「もちろん!でも昨日はほんとにごめんねー」
「いいよ。でも愛ちゃん階段から落ちるなんてねぇ」
麻琴が笑い出した。
「まこっちゃん、笑っちゃだめだよー」
あさ美はまだ心配そうだ。
(階段から落ちたことしか知らないんだ・・・)
「ちょっと寝ぼけてて・・・」
私は初めてこの2人にうそをついた。
「ねぇ、早く学校行こー」
麻琴はあまり私の話を聞いてないようだった。これはいつものことである。
しかし、いつもとちがうことがあった。
朝は(というかいつも)ぼーっとしているあさ美が、ずっと私の方を見ているようだった。
- 24 名前:露天家 投稿日:2003年04月08日(火)17時30分05秒
- 「ねぇ、愛ちゃん。聞いてる?」
「えっ、ごめん聞いてなかった」
しばらくぼーっとしてたようだ。
「もうお昼だよ。愛らしくないなぁ」
(まこっちゃん、おこっちゃったかなぁ?とりあえずあやまっとこう。)
「ごめん」
「あさ美じゃないんだから。ねぇあさ美」
「・・・」
「あさ美?おーい」
どうやらあさ美もぼーっとしていたようだ。
「えっ、呼んだ?」
「もう。2人して無視しないでよー」
『ごめん』
あんまり麻琴を怒らせたままでもいけないので
「っで何話してたの?」
「えっとね、だからー、今度いつ遊園地行くかって」
(いつにしようかなぁ?)
私が考えている最中に、急に麻琴が、何かを思いだしたかのように立ち上がった。
「そうだ、私日直だった。黒板消してないや」
「急いで行かないと」
そんなにせかす方じゃないあさ美が、なぜか急がせている。
まるで私と2人きりになりたいかのように・・・
- 25 名前:露天家 投稿日:2003年04月08日(火)17時40分38秒
- >20の名無しどくしゃさん
少し待たせてしまいました。すみません。
これからもよろしくお願いします。
>21の名無し読者さん
少し待たせてしまいました。反省しております。
これからも言いたいことが(内容に関してでも)あったら是非書いてください。
名無し読者さんの期待に応えられるかは分かりませんが、一生懸命書きたいと思います。
放棄することだけは決していたしませんので、これからもよろしくお願いします。
- 26 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年04月08日(火)19時53分15秒
- ヌオォォオ!!続きが激しく気になりまッス
- 27 名前:露天家 投稿日:2003年04月11日(金)23時59分20秒
- しばらく2人の間に沈黙が流れた。というより愛は何も話しかけれなかった。
その沈黙を破ってあさ美が話し始める。
「ねぇ、愛ちゃん。聞きたいことがあるんだけど」
(今日のあさ美ちゃん何かおかしい・・・)
「愛ちゃん、聞いてる?」
「あっ、うん。何が聞きたいの?」
「あのさぁ、階段から落ちたっていうのは、ほんとにただ落ちただけ?」
「うっ、うん、そうだけど」
(いけない、ちょっとあわててる・・・)
「なんか別の原因があったんじゃない?」
「そっ、そんなことないよー。踏み外しただけだって」
(私のうそつき。でもあさ美に心配かけたくないし)
「ほんとに?」
「うん。そうだって」
(またうそつき。でも何でこんなにしつこく聞いてくるんだろう?まさかなんか・・・)
「じゃあ私が病院に行ったときの、愛とお母さんの話はなんだったの?」
(話って・・・あっ!私が起きたときの。あの話聞いてたんだ・・・)
- 28 名前:露天家 投稿日:2003年04月12日(土)00時00分00秒
- 「・・・」
私は何も言えなかった。あさ美や麻琴に心配をかけたくなかったのだろう。
「朝からずっと見てたんだよ。愛ちゃんが本当のことを言ってくれるまで」
「ごっ、ごめん」
私は必死で涙をこらえる。
「なにがあったのか、全部話してみて」
私はあさ美に話し始めた。できれば迷惑はかけたくなかった。
でも、あさ美の目を見ると話すしかなかった。
もしかしたら、このとき私は、あさ美になにか友達以外の別の感情を抱いていたのかもしれない・・・
- 29 名前:露天家 投稿日:2003年04月12日(土)00時02分33秒
- >26の名無しどくしゃさん
毎回応援ありがとうございます。
励みになっております!
- 30 名前:露天家 投稿日:2003年04月13日(日)12時04分20秒
- 「っでたぶん今日検査の結果がでると思うんだけど」
「そうなんだ・・・きっと大丈夫だよ」
そういって、あさ美は私に微笑みかけた。
(あさ美の笑う顔かわいいなぁ)
「それと、もう一つ話があるんだけど」
急にあさ美が、まじめな表情を見せた。
(いったい、なんだろう?もしかして・・・)
「あっ、あのねー、私ねー、」
あさ美がなにかごそごそしている。
ちょうどそのとき、
キーンコーンカーンコーン
(あっ、鳴っちゃった)
「あさ美ちゃん、教室にもどらないと」
「うっ、うん」
あさ美はがっくりとした表情をしている。
(あっ、どうしよう)
「話はさぁ、今度聞くから。えっと、今日は病院に行かないといけないから、明日の昼休みどう?」
「うん・・・」
あさ美はまだ元気がない。
「あさ美、急がないと」
そういって私は走って教室に戻ろうとする。しかし後ろを振り向くと、あさ美はまだ立ちつくしていた。
「あさ美、早くー」
「うん・・・」
この時あさ美は、愛が自分から遠ざかっていくような、そんな感覚に襲われていた。
- 31 名前:露天家 投稿日:2003年04月13日(日)12時06分06秒
- ちょっとだけ更新です。
読んでいる方がおられたら、少しでも良いですから感想をお願いします。
- 32 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年04月13日(日)22時18分39秒
- ドキドキするYO!原因不明な感じが不思議で怖い(;´Д`)
更新待ってま〜す
- 33 名前:露天家 投稿日:2003年04月17日(木)23時35分42秒
- キーンコーンカーンコーン
「じゃあ、また明日。ばいばーい」
私は病院に行かなくてはいけないので、2人より先に帰ろうとした。
「えっ、なんかあるの?」
麻琴が不思議そうに聞いてくる。
(そういえばあさ美にしか言ってなかったっけ)
「うん、ちょっと病院にね。昨日やつの検査があるんだって。でも心配ないよ、たぶん大丈夫」
(昨日のことだけではないんだけど・・・)
「そうだね。今日も普通に学校来れたからね」
相変わらずのんきな麻琴である。
「じゃあ、ばいばーい」
私は2人に向かって言った。
「ばいばーい」
だが、麻琴からしか返事がない。
どうもあさ美がおかしい。
(あれ、あさ美どうしたんだろう?)
「あさ美、ばいばーい」
今度は明らかにあさ美の方を向いて言う。
「・・・」
あさ美はまだ聞いていないようだった。
「あさ美、愛ちゃんが先に帰るって」
麻琴がちょっと大きな声で言った。
「あっ、ばいばーい」
やっとあさ美は気付いたようで、あわてて返事をしていた。
だが、まだあさ美には元気がないようだった。
- 34 名前:露天家 投稿日:2003年04月17日(木)23時37分13秒
- 愛は午後の授業中、ほとんどあさ美のほうを見ていたのだが、あさ美は、口をぽかーんとあけたまま、ノートもとっていないようだった。
(あさ美・・・まだ落ち込んでるのかなぁ)
愛はそんな心配をしながら帰っていた。
(あさ美の話って何だったんだろう?とても大事な話のような雰囲気だったけど。でも、今日のあさ美、なんか変だったなぁ)
帰り道は、あさ美のことで頭がいっぱいだった。
今日病院に行くということも、昨日まで頭痛に悩まされていたことも、すっかり忘れていた。
このとき私は、あさ美にいだいている、友達とはまた違った感情に、少しずつだが気付き始めていたようだった。
- 35 名前:露天家 投稿日:2003年04月17日(木)23時47分02秒
- 更新しました。
>32の名無しどくしゃさん
できるだけ想像を上回るような作品をと考えており、始め考えていたのとは全く違う方向に展開していっています。(というより当初の予定では、あっさり完結する予定でしたが・・・)
しかし、悪く展開していってはいないと思うので、これからもどんどん発展(?)していきたいと思います。
それと、毎回の応援ありがとうございます。読んでくださる方が少しでもいることを励みに書いているので、名無しどくしゃさんはもちろんですが、他の読んでいる人の意見もお待ちしております。
- 36 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年04月19日(土)17時06分43秒
- 高紺のヨカー(゚∀゚)ーン
続き!楽しみにしてます。
- 37 名前:露天家 投稿日:2003年04月20日(日)00時45分01秒
- 「ただいまー」
「あっ、おかえり」
私が靴を脱いで上がろうとすると、母は出かける格好をして玄関まで出てきた。
「どこ行くの?」
「病院でしょ」
「今から行くの?」
「うん。着替えてたら時間かかって、晩ご飯が遅れちゃうからね」
「私だけで良いんじゃないの?」
「お母さんも一緒に来てくださいって」
「そうなんだ・・・」
(病気のことすっかり忘れてた。そんなに大変な病気なのかなぁ)
そんな私の気持ちを察したのか、
「大丈夫。心配ないよ」
「そうだよね」
私はそうは言ったものの、不安でいっぱいだった。
(普通は親と一緒じゃないよね、もしかしてガンとか・・・)
「すみません、高橋愛です。先生から電話があってきたのですが」
そう言って私は受付の人に診察券を渡した。
「はい分かりました。名前を呼ぶまでお待ちください」
私は母と一緒に待合室のイスに座った。
「高橋愛さーん、診察室におこしくださーい」
「愛、行くよ」
「うん・・・」
(どんな病気なんだろう・・・なんか怖い・・・)
私はゆっくりと診察室に歩き始めた。
- 38 名前:露天家 投稿日:2003年04月20日(日)00時46分17秒
- 「よろしくお願いします」
「はい。じゃあかけてください」
「はい・・・」
私はあまりにも不安だったので、ずっと顔を伏せていた。
それに気付いたのか、
「そんなに心配いらないよ。率直に言うと、まだ正確な検査結果は出ていないんだ」
「どういうことですか?」
母が聞き返した。それに合わせて私も顔をあげる。
「それが、検査をしたところ、言いにくいんですが、脳腫瘍の可能性が・・・」
(そ、そんなぁ・・・)
一気に診察室が静まってしまった。
- 39 名前:露天家 投稿日:2003年04月20日(日)00時46分50秒
- しばらくして医師が沈黙を破った。
「まだ、決まったわけではないんです。こうしてはっきり言えないのは、今、大学病院で詳しく調査しているんです」
「じゃあ、もうほとんど決まっているんですか?」
母はかなり慌てている。
「あまりはっきりとは言えないんですが、なっている確率の方が高いと思われます。しかし、私は前に同じような患者を見たことがあります。その患者も脳腫瘍の可能性があると診断されたんですが、後で、病院側にミスがあり、患者の健康状態にはなんともなかったということがありました」
「そうですか・・・」
私は何もしゃべることができなかった。
「まだ決まっている訳ではないので、親族に連絡される必要はないと思います」
(まだ決まっていない・・・でもほとんどの確率で・・・いったいどうなってんの?お願いだから夢であって・・・)
- 40 名前:露天家 投稿日:2003年04月20日(日)00時51分03秒
- >36の名無しどくしゃさん
名無しどくしゃさんが楽しみにしてた(かどうかはわかりませんが)高紺は今日はありませんでしたが、この後2人がどうなるのかお楽しみに!
そういえば麻琴の出番がかなり少なくなっちゃいましたねぇ・・・
どうしよう?
- 41 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年04月23日(水)18時30分34秒
- Σ(;´д`)アイタン…
高紺楽しみにしちゃうYO!
マコたんはどうなさいますですか?w
- 42 名前:露天家 投稿日:2003年04月25日(金)23時04分46秒
- 私は放心状態だった。先生の話はほとんど聞いていなかった。
そして何もなかったかのように病院を去る。母との間には会話はなかった。
病院が肉眼で見えなくなったころ、私が重い口を開いた。
「お母さん、私って死んじゃうの?」
(お母さん・・・泣いてる?)
答えにくいとは分かっていても、それしか口から出せる言葉はなかった。
「あのね、愛には話してなかったんだけど、実はお父さんも・・・」
(・・・なんでお父さんの話がでてくるんだろう?お父さんは事故で死んだんだから、私やガンとはなんの関係も・・・)
涙を拭きながら、再び母は話し始めた。
「実はお父さんもね、ガンで死んだの・・・」
「えっ・・・」
私は驚きを隠せなかった。しかしもっと驚くべき言葉を母の口から聞く。
「しかもね、脳腫瘍で・・・」
「そんな・・・」
母の目からは大粒の涙が流れ落ち、母はその場にしゃがみこんだ。
(お母さん、つらいだろうなぁ・・・何かしてあげたいけど、私はそれどころじゃ・・・)
私たちは、道ばたでしばらく立ちつくしていた。
- 43 名前:露天家 投稿日:2003年04月25日(金)23時20分43秒
- 短いですが、一応更新です。最近は忙しいのであまり頻繁には更新できないと思います。
>名無しどくしゃさん
今回も明るい内容ではありませんでした。つまらないかもしれませんが、がまんしてください(笑)
もうちょっとしたら高紺にはいる・・・かも?
はっきり言えないのは、まだ書いてないからなんです・・・
ストーリー自体も、一応こうしようっていうのはありますが、はっきりとは決まっていません。
なので、少しのご要望になら答えられるかもしれません。「かも」ですけど
- 44 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年04月26日(土)16時01分07秒
- ニエイエ、作者様の考えのままで良いッスよ。
ヲイラどっちかって言うとシリアスな感じが好きなんでw
楽しみにしてますよぉ〜
- 45 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月27日(日)22時58分15秒
- どうなるのか、はらはらしております。
更新おまちしておりまーす!
- 46 名前:露天家 投稿日:2003年04月29日(火)11時33分07秒
- それからしばらくして家についた。
仏壇の方から、音が聞こえる。母が拝んでいるようだ。
(お母さん・・・)
きっと父に話しているのだろう。私はよけいに悲しくなってきた。
結局その日のご飯は、家にあるものを使って作られた。
ほとんど会話は無かったが、母はひとつだけ大切なことを聞いてきた。
「ねぇ愛、明日からの学校どうする?」
(まだ脳腫瘍と決まったわけではないけど・・・でもあさ美と麻琴には心配かけるわけにはいけないから)
「一応行ってみる。まだ決まったわけじゃないから」
「そうよね。私が泣いても仕方ないよね。本当に悲しいのは愛なのに・・・」
母は涙を必死でこらえていた。
そしてまた会話が途絶えた。
- 47 名前:露天家 投稿日:2003年04月29日(火)11時34分00秒
- 「ごちそうさま」
そういって私は自分の部屋に向かった。
そして、ベッドに飛び込んだ。
(なぜ、なぜ私が・・・)
愛は布団を頭からかぶって、大声で泣いた。
母の前では我慢していたものを、声と涙というものに変えて・・・
この日はとても早く寝た。
泣き疲れたというのもあろうが、それ以上に精神的なものが大きかった。
このときの私は、精神的な助けとなるものを探そうとしていた。
- 48 名前:露天家 投稿日:2003年04月29日(火)11時44分48秒
- >44の名無しどくしゃさん
ありがとうございます。要望があったらどんどん書いてくださいね。
>45の名無しさん
期待に応えられるようがんばります。
これからもどんどん書き込んでくださいね。
そろそろ舞台が学園に戻りそうです。ここまで結構のばしてしまいましたねぇ。
でも、麻琴に関してはなかなか出てこないかもしれません。
麻琴をもっと出して欲しいって人がいれば言ってください。そのときは考えます。
- 49 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月29日(火)23時23分48秒
- 麻琴ださないなんて!?できれば出して欲しいですが、
作者さんの書きやすいように書いたほうがいいと思いますよ
↑えらそうにすいません
更新非常に楽しみにしてますんで!がんばってください!
- 50 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年04月30日(水)18時12分01秒
- ガンガレ愛たん!
マコ出してほしいッスねヲイラ的にテヘテヘ。
- 51 名前:露天家 投稿日:2003年04月30日(水)23時47分54秒
- 「あいー、朝よー」
「はぁーい」
私は寝ぼけながらベッドから出た。
(昨日早く寝たのになぁ・・・よっぽど疲れてたみたい)
下に降りると母が朝食を作っていた。
「いただきまーす」
しかし、前の日と同じような静けさになる。
(なんかしゃべったほうが・・・)
そう愛が思ったとき、母が話し始めた。
「愛、これからがんばっていこうね。お母さんもがんばるから」
母は泣きそうになりながらも、笑って見せた。
「当たり前でしょ。しかも、まだ決まったわけじゃないよ」
私は自分がびっくりするほど、精神的に強くなっていた。
しかし、それが本当の私かどうかも分からなかった。
- 52 名前:露天家 投稿日:2003年04月30日(水)23時48分35秒
- 「じゃあ、行って来まーす」
「気を付けてね。がんばるのよ」
「はーい」
私は元気よく家を出た。そしていつもの場所に向かう。
丘の上を見上げると、すでに誰か待っているようだった。
もっと近づくとそれは麻琴だと分かった。
「おはよー愛ちゃん」
「おはよー」
(そういえばあさ美が来てないみたい)
「あさ美は?」
「それがねぇ、なんかしんどいから遅れるって」
(もしかして昨日のことで・・・)
「ところで愛ちゃん、病院行った?」
(・・・やっぱり心配はかけない方がいいよね・・・)
「愛ちゃん?」
「あっ、うん。なんともなかったよ」
(ちょっと気付いちゃったかなぁ?)
「そうだよね」
(よかった、気付いて無いみたい)
「じゃあ早く行こう」
麻琴が声をかけたようだったが、私は全く気付かなかった。
「愛ちゃん?」
「えっ?なんか言った?」
「何ぼーっとしてんの?やっぱりあさ美ちゃん病がうつったんじゃない?」
「そんなわけないよー」
「じゃあ早く行こー」
「うん」
(あさ美ちゃんどうしたんだろう?昨日何か言いたがっていたよねー)
私の頭の中は、ガンではなく、あさ美のことでいっぱいだった。
- 53 名前:露天家 投稿日:2003年05月01日(木)00時03分42秒
- 更新しました。
>49の名無しさん
心配いりません。十分好き勝手書かせていただいてます
>50の名無しどくしゃさん
愛たんはがんばってますよ。
一応、上のふたつは笑うところですよ。
そんなことはいいとして、麻琴についてですが、今書いているのを愛編として、その次に麻琴編、その次にあさ美編というふうに、別々に書いていけばすべて書けるわけですが、どうでしょうか?
別にあさ美と麻琴のどっちが先でもかまいません。また同時に進行するという方法もあります。
この意見に賛成かも含めて、ぜひ答えてみてください。
- 54 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年05月01日(木)17時53分22秒
- 頭の中ほとんどこんこん(w
エーマコ編、こんこん編に一票!
- 55 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月01日(木)23時57分04秒
- 頭の中ほとんどマコ
マコ編→こんこん編がいいかなあ
更新お待ちしております。
- 56 名前:露天家 投稿日:2003年05月02日(金)23時36分45秒
- キーンコーンカーンコーン
「愛ちゃーん、お昼食べよー」
麻琴が誘ってくる。
「う、うん」
「愛ちゃん元気ないよー。どうしたの?」
私はあさ美のことを考えていた。
「ねぇ、愛ちゃんったらー、聞いてる?」
「う、うん」
「あさ美そっくりだよ」
「あさ美は?何でまだ来ないの?」
急に聞いたので、麻琴もあせったようだが、
「さっき先生に聞いたら、午後から来るって」
(そうなんだ、来てくれるといいけど・・・)
「早くご飯食べに行こっ!」
「うん・・・」
しかし、麻琴とご飯を食べているときも、麻琴の話にうなずいているだけで、ぬけがらのような状態だった。
- 57 名前:露天家 投稿日:2003年05月02日(金)23時37分34秒
- 食べ終わって教室に帰ると、あさ美がちょうど来たところだった。
「あさ美ちゃん、おはよー」
真っ先に麻琴が声をかけた。
「あさ美ちゃん大丈夫?」
みんながあさ美をかこむように集まる。
しかし、その輪の中に愛はいなかった。
(あさ美ちゃん・・・)
授業が近づいてきたので、みんなが席に着き始める。
愛だけはぼーっとしたままだった。
その愛を見て、あさ美が近づいてくる。
「愛ちゃん、今日の放課後あいてる?」
「うん、大丈夫だけど」
「ちょっと話したいことがあるんだけど、いい?」
「うん、いいよ・・・」
「じゃあ屋上で待ってるから」
そういってあさ美は席に着いた。愛も席に着く。
(あさ美ちゃん・・・いったいなんだろう)
愛は、またあさ美のことが気になり、午後の授業もまともに聞いていなかった。
- 58 名前:露天家 投稿日:2003年05月02日(金)23時43分06秒
- 今日の更新はここまでです。
>54の名無しどくしゃさん、>55の名無しさん
わかりました。確認ですが、この愛編が終わった後、同じ話をマコ編で、その次にこんこん編ってことでよろしいでしょうか?
ともかく今のところは、愛編をお楽しみください!
- 59 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年05月03日(土)18時46分08秒
- おkです。
愛たん編楽しむーよ。
- 60 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月04日(日)20時48分05秒
- 更新乙です!
愛編楽しみにしてますよ!
こんこんとの話ってなんなのかすっごく気になります。
更新まってまーす!がんばってください!
- 61 名前:露天家 投稿日:2003年05月05日(月)22時02分59秒
- 午後の授業が終わり、愛は1人屋上へと向かった。
まだあさ美は来ていないようで、屋上はしーんとしていた。
(おかしいなぁ、あさ美ちゃんの方が先に教室を出たと思うんだけど・・・)
愛は、ドアとは反対方向にあるフェンスにもたれかかって待っていた。
しばらくすると、ドアの開く音がして、あさ美がやってきた。
「愛ちゃん、待たせてごめん」
「今来たところだよ」
「それならいいけど・・・」
(あさ美、なんか苦しそう)
「っで話ってなに?」
「・・・あんまり真剣に聞いてくれなくて良いんだけど、私ね、愛ちゃんのことが好きになっちゃんたんだ」
(これは、友達としてだよね・・・)
「私もあさ美のこと好きだし、大事な友達だよ」
「違う!」
(えっ?)
「好きって言うのは、付き合いたい方の好きなの!」
(どう答えれば・・・)
「別に答えなくて良いよ」
(えっ?)
「ごめんね、変なこと言って。もう聞いてなかったことにして」
「なんで?あさ美は言いたかったことをはっきり言っただけだよ」
「愛ちゃん・・・ありがとう」
- 62 名前:露天家 投稿日:2003年05月05日(月)22時06分09秒
- (私もはっきり言わなきゃ)
「それとね、私、あさ美のこと好きだよ」
「えっ・・・」
「でもね、ちょっと私の話を聞いて」
「うん・・・」
「私ね、昨日病院行くって言ってたよね」
「うん」
「それで行ったんだけど」
愛は泣き出してしまった
(だめ、泣いちゃ・・・)
「あ、愛ちゃん?」
「ご、ごめん・・・」
「いやなら、話さなくても良いよ・・・」
「いや、話さなきゃいけないことなの」
私はちょっと怒ったような口調で言った。
あさ美はその口調にびっくりしたようだった。
(あさ美ちゃん、びっくりさせちゃったかなぁ)
「ごめん」
「良いよ。話続けて」
「分かった。でね、病院に行ったんだけど、脳腫瘍の可能性があるって・・・」
愛は涙を必死にこらえながら言った。
「えっ!?でもあくまで可能性でしょ?」
「でも、もうほとんどの確率で・・・」
「そんな・・・」
あさ美も泣き出してしまった。
(あさ美・・・)
「あさ美まで泣くことないよー」
愛は無理やり笑顔を作って答えた。
「なんで、なんで愛ちゃんなの・・・」
- 63 名前:露天家 投稿日:2003年05月05日(月)22時07分01秒
- しばらく沈黙が流れた。
「あさ美・・・こんな私でも良いなら付き合っても良いよ・・・ってだめだよね」
「なぜ?私は愛ちゃんのこと好きなんだよ」
「でも私死んじゃうんだよ」
もう愛はめちゃくちゃになっていた。
「そんなことない!」
あさ美も負けてない。
「私、死んじゃう・・・」
涙があふれてきて、愛は何もしゃべれなくなった。
「愛ちゃん・・・今まで我慢してたんだね。私の前では思いっきり泣いて良いよ」
「ごめん・・・」
「もう一度聞くけど、私と付き合ってくれる?」
愛は泣きながら、強調するように2・3回大きくうなづいた。
「これからも私を頼って良いよ」
また愛は大きく頷いた。
- 64 名前:露天家 投稿日:2003年05月05日(月)22時27分19秒
- GWということで、ちょっとがんばって更新です。
>59の名無しどくしゃさん >60の名無しさん
何かお決まりの展開になってしまいました。苦情あったらどんどん書いてください
今気付いたんですが、麻琴が出てくる回数少ない=麻琴編は、ほとんどオリジナルになっちゃいそうです。
ま、あまり気にせずポジティブに!
- 65 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月06日(火)22時32分44秒
- 更新乙です!
苦情なんてありえませんよ!まさかの展開ですが、カミングアウト後
の愛紺がどうなっていくのか期待しつつお待ちしております。
- 66 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年05月08日(木)16時09分50秒
- オワァ!高紺キター!
川*‘〜‘)||<ポジテブポジテブ!
続き期待してまーす
- 67 名前:露天家 投稿日:2003年05月09日(金)23時36分15秒
- 学校の帰り道、2人は手をつないで帰っていた。
屋上であの出来事があった後、
「愛ちゃん、そろそろ帰ろうか」
愛は涙をふいて頷いた。
「ほんとあさ美ちゃん、迷惑かけてごめんね」
「そんなことないよ。どちらかといえば、愛ちゃんが悩んでたときに、もっと悩ましちゃった私の方が悪いよ」
「そんなことない。すごくうれしかった」
「私もだよ」
(あさ美ちゃんの笑う顔、やっぱり可愛いなー)
「もう帰ろっか」
「うん」
私は歩き始めながら、あさ美の方に手を差し出した。
(あさ美ちゃん、気付いてくれるかなぁ?)
「えっ、愛ちゃん?」
あさ美は、愛が何を考えているか分かったようで、差し出した手を、ゆっくりとにぎった。
(わかってくれたんだ)
「あさ美ちゃん・・・ありがとう」
こうして2人は一緒に学校を出た。屋上からずっと手をつないだまま・・・
- 68 名前:露天家 投稿日:2003年05月09日(金)23時45分44秒
- かなり短いながらも、一応更新です。
ちょっと忙しいですが、一週間に一回は更新したいと思います。
>65の名無しさん、>66の名無しどくしゃさん
応援ありがとうございます。それと毎回不定期更新ですみません。
何か今回は話が終わってしまうような終わり方でしたが(自分が思っているだけかもしれないけれど)、その心配はいりません。ご安心ください。
また、今回から愛がこんこんを「あさ美」から「あさ美ちゃん」と呼ぶようにしました。
というのも、設定では2人が同学年ということになっているからです。もし反対ならば、書いてください。
- 69 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月10日(土)19時16分58秒
- 更新お疲れです!
期待して待ってます。
- 70 名前:露天家 投稿日:2003年05月10日(土)23時44分06秒
- 門を出てからしばらく歩き、いつも通る丘が見えてくる。
もちろん2人はずっと手をつないだままである。
坂の頂上に近づいたところで、あさ美が急に手を離して、道ばたの、短い草の茂ったところに座り込んだ。
あさ美の急な行動に、私はちょっとびっくりする。
「あさ美ちゃん?急にどうしたの?」
「ちょっと休もう。良いでしょ」
座っているあさ美の下からの視線で、愛は胸が痛くなる。
(そんな目をされたら断れるわけないでしょ・・・私も疲れてたからいいか)
「いいよ。はぁー、気持ちの良い空気だねー」
愛は空に向かって両手を広げ、大きく深呼吸した。
「そうだねー。じゃあ私も」
2人そろって、同じように深呼吸する。
「周りから見たら、すっごく変だよね」
「そうだね」
2人で一緒に笑った。
(こんなに幸せな時間って、今まで生きてきてあったかなぁ?)
- 71 名前:露天家 投稿日:2003年05月10日(土)23時44分42秒
- 笑いのおさまった後、あさ美がじっと愛の方を見ていた。
愛はその目線に、胸が張り裂けそうになる。
「あさ美ちゃん、どうしたの?」
あさ美は、明らかにおどおどしていた。
「えっ?あっ、愛ちゃん。目の上に何か付いてる」
「えっ、ほんと?」
「ちょっと目をつぶって」
「わかった」
しかし、少したってもあさ美の手があたったなような感覚がない。
(あれぇ、あさ美ちゃん何してるんだろ?)
愛が目を開けそうになったとき、
(・・・って、えっ?)
私に何かがふれた。
私はあさ美にされたことに、かなりおどろいた。
「ごめん。どうしても・・・」
(あさ美ちゃん・・・)
「ありがとう」
「・・・えっ?嫌じゃなかった?」
「もちろんだよ。だってあさ美ちゃんだもん」
「じゃあ、帰ろっか」
「うん」
歩き始めると、屋上での私と同じように、手を差し出してきた。
もちろん私は、その手を深くにぎった。絶対離れなることのないように・・・
この時の私の未来には、希望という二文字しかなかった。
- 72 名前:露天家 投稿日:2003年05月10日(土)23時47分34秒
- 前回の更新が、あまりにも短かったので、ちょっとがんばって更新です。
それと、今回はちょっとはっきりしない場面があると思いますが、読者の想像にお任せします。とはいってもわかりやすすぎかもしれませんが。
- 73 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年05月12日(月)20時30分09秒
- 右脳がフル回転(;´Д`)
作者様のペースでいいだすよぉ〜
- 74 名前:露天家 投稿日:2003年05月17日(土)22時34分51秒
- 「ただいまー」
「あっ、お帰りー」
母はエプロンをつけたまま玄関まで出てきた。
「お母さん、こんなとこまで来てどうしたの?」
「べつにー」
母はにこっと笑いながら台所に戻っていった。
(何だったんだろう?)
愛は服を着替えてから食卓に向かうと、もう晩ご飯の準備ができていた。
「うわぁー。おいしそうなハンバーグ」
「どう?自信作よ!」
母はあきらかに明るく振る舞っているようだった。
(どうしたんだろう?昨日はあんなに悲しそうだったのに)
「ねぇ、お母さん?」
「なにっ?」
すごくにこにこしている。
(やっぱりおかしい)
「どうしてそんなに明るいの?何かあった?」
しばらくしーんとした後、母が悲しそうな声で話し出した。
「愛と過ごせるのあと少しかもしれないから・・・」
(そんなこと・・・)
私が寂しそうな顔をしていたのか、心配そうに話しかけてきた。
「ごめんね愛、少しでも愛を励まそうと思って・・・」
(お母さん・・・)
「ありがとうお母さん・・・」
愛は必死で泣くのをこらえた。
(ここで泣いたら、きっとお母さんが、私に迷惑をかけたと思ってしまう・・・)
- 75 名前:露天家 投稿日:2003年05月17日(土)22時36分17秒
- 結局、昨日のような静かな晩ご飯となった。
「ごちそうさま」
私は昨日と同じように、自分の部屋に一直線に向かった。
そしてベッドに飛び込んで、布団に顔をうずめた。
昨日、同じようにして泣いたことを思い出して、熱いものがこみ上げてくる。しかしそれは寸前で止まった。
(そうだ、私にはあさ美ちゃんがいる。こわくなんかない!明日は何話そうかなぁ?)
そんなことを考えながら、布団をかけて目をつぶった。
この時私は、自分が死んだときに、できるだけあさ美が悲しまない方法を探していたが、どんなに考えてもひとつしか思い浮かばなかった。できるだけあさ美の心の中に、自分を残さないようにするしか・・・
- 76 名前:露天家 投稿日:2003年05月17日(土)22時45分57秒
- 久々更新です。
>73の名無しどくしゃさん
ありがとうございます。自分のペースで書かせてもらいます。
愛編も、中間地点はもうとっくに過ぎたと思われます。(まだ書いてないので何とも言えませんが)
そこでですが、名無しどくしゃさんをはじめ、こんこん編と麻琴編の前に、ぜひ自分が書いてみたいという方がいましたら、書いてみてください。同時進行というやり方も考えられますから。
- 77 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月17日(土)23時16分18秒
- うううぅ・・・悲しすぎる
けどすごくイイです。
更新期待して待っております。
- 78 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年05月18日(日)17時07分40秒
- 切ないぽ…。
って、ヲイラ書けませんがな!(w
更新まってまーす。
- 79 名前:露天家 投稿日:2003年05月20日(火)23時03分46秒
- 私は、残り少しかもしれない、あさ美や麻琴と一緒にいられる時間を、できる限り明るく、そして楽しく過ごした。
しかし私は、あさ美のことで悩んでいた。もうすぐ死んでしまうかもしれない人間と付き合ったって、後から迷惑になるだけではないかと。
そんな考えからか、麻琴にはまだ病気のことを一言も話していなかった。
そんなことを考えながら学校生活を送っていると、一週間もあっという間に終わり、ついに検査の詳しい結果が出る日が訪れた。
検査結果を聞きに病院に行く日は、階段から落ちて入院したときから、ちょうど2週間たった日だった。
つまり日曜日であり、私は朝遅くまで寝ていた。
「あいー、もうお昼よー」
母の声にやっと目覚める。そして時計を見てびっくりする。
(もうこんな12時かぁ。よく寝たなぁ。病院は昼からか・・・)
ゆっくりと階段を下りて、朝食か昼食か分からないような食事を済ませ、自分の部屋で、病院に行く時間を待った。
(どんな答えが出ても、覚悟しておかなくちゃ・・・)
「あいー、行くよー」
「はーい」
- 80 名前:露天家 投稿日:2003年05月20日(火)23時04分16秒
- こうして私は病院に向かった。
「すみません、高橋愛です」
受付の人に診察券を渡す。
「愛、一応覚悟はしておくのよ」
「わかってる・・・」
「高橋愛さーん」
ついに看護士に呼ばれた。
「行こっか」
母が先に立ち上がる。
私はその後ろを付いていった。
私の心は、やはりガンではないかという不安で埋まっていた。
- 81 名前:露天家 投稿日:2003年05月20日(火)23時23分23秒
- 少し短いですが更新です。
>77の名無しさん
かなり悲しすぎですみません。それを理解してくださる寛大さに感謝です。
>78の名無しどくしゃさん
結構初心者でも書ける物です。僕も初めて書いてるんですから。
それもこれも、応援してくれている、お二方のおかげです。初めて書いてみて、読者の重要さが分かりました。ほんとに毎回ありがとうございます。
そしてこれからも応援よろしくお願いします!
- 82 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年05月23日(金)21時48分19秒
- 照れるなぁ(w
愛たんついに…ドキドキ
これからも応援スルヨ〜続き待ってます。
- 83 名前:露天家 投稿日:2003年05月26日(月)00時13分02秒
- 「どうぞ座ってください」
そういって私と母の前にイスが出された。
「っで、あの、愛は・・・」
母が医者を直視しながら尋ねる。
「単刀直入に言わせてもらうと、残念ながら結果は変わりませんでした」
周りが重い空気になるのが、動揺している私でも分かった。
「覚悟はしていました・・・」
母が伏せたままそう答えた。
「この後のことですが、いくつか方法があります。1つは今から入院をして、できる限り長く生きるという方法です」
(できるだけ長くって・・・)
「それってどのぐらい生きられるんですか?」
私は、医者と目を合わせて質問した。頬には涙が流れているようだった。
「まだお若いので、一年は大丈夫だと思いますが、絶対とは言い切れません」
「そうですか・・・」
- 84 名前:露天家 投稿日:2003年05月26日(月)00時13分34秒
- 母も顔を上げた。
「もう1つは、最後まで自分のしたいこと、例えば、学校に行き続けて、無理になったところで入院するという方法です。しかしこれでは、学校に行けても、長くて1ヶ月でしょうし、生きられる時間も3、もしくは4分の1程度になると思います。それほどリスクの大きい方法です」
(学校に行けても1ヶ月・・・)
「他には、これはさっきの2つの方法とも関係あるんですが、手術をするという方法です。しかしこれも絶対ではありません。かなりリスクは大きいと思います」
「そうですか・・・」
私も母も、医者の話に驚いていて意識が遠のいているようだった。
「今決めなくてもかまいませんが、できる限り早い方がいいと思いますから、明日もう1度来てください」
「分かりました・・・」
私ははっきりしない口調でそう答えた。
それからは家に帰って、いつものようにご飯を食べたり、お風呂に入ったり、宿題をしたりしたが、これからいったいどうしようかということで、頭がいっぱいだった。
(今日は寝れないだろうなぁ・・・)
その愛の予想は当たり、ずっと布団の中でこれからのことを考えていた。
- 85 名前:露天家 投稿日:2003年05月26日(月)00時24分54秒
- 更新終了です。
>82の名無しどくしゃさん
ありがとうございます。
内容に関しては、ちょっと悲しいところかも知れませんが、我慢してください。ただ、作者が愛たん好きなのは覚えておいてもいいかもしれません。(まだ何とも言えませんが)
まだちょっと先のことですが、一応最後をどんな風にするかということを、初めて考えました。
今までなぜ考えなかったかというと、自分が書いているのにも関わらず、最後を知ってしまうとつまらなくなると思ったからです。
こんな、ちょっと変わった考えの作者でした。
- 86 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月26日(月)22時13分15秒
- うぅ・・・・やっぱり
愛ちゃんの選択は・・・どんな展開になっていくのか気になります。
更新おまちしております。
- 87 名前:露天家 投稿日:2003年05月30日(金)23時19分04秒
- そして、ついに寝ないまま朝を迎えた。
「あいー、朝よー」
返事をすることもなく、すぐに食卓に向かう。
昨日のことがあるので、静かな朝食になりそうだった。
しかし、母の方を見てみると、なにか話したさそうにしていた。
「お母さん、どうしたの?」
「えっと、これからのことなんだけど、お母さんや親せきのことはいいから、愛のしたいようにしなさい」
「えっ?」
「愛が学校行きたいならそれでも良いし、手術したいのなら、それでもいい」
(手術って言っても、家にはお父さんがいないからお金が・・・)
「でもお金が・・・」
「そんなこと気にしなくていい!」
(お母さん・・・)
私は言葉を口に出すことができなかった。
「早く学校行きなさいよ」
私が泣きそうになっているのを察知してか、母はその場から立ち去った。
私は泣いている顔のまま行くわけには行かないので、洗面所で顔を洗った。
そして、自分の部屋にカバンを取りに行ってから、家を出た。
いつもの集合時間に遅れそうだったので、少し早歩きで坂を上った。
丘の下から見て分かっていたんだが、坂の上では2人がすでに待っていた。
- 88 名前:露天家 投稿日:2003年05月30日(金)23時21分03秒
- 「あいちゃーん。おはよー」
麻琴が私の顔を見るとすぐに声をかけた。
「おはよー」
「愛ちゃん、おはよう」
「おはよう」
あさ美と笑いながら目を合わす。
「おーい、まこっちゃーん」
「あっ、里沙ちゃーん」
里紗ちゃんというのは、麻琴の話によると、麻琴と同じ小学校にいた子で、六年の途中で転校してしまったらしい。しかし最近またこっちに帰った来たみたいだ。
私があさ美と2人でいるときは、麻琴は里沙といることが多いみたいだった。
こうして麻琴は里沙と、私はあさ美と並んで行く形になった。
昨日のことを話そうかとあさ美の方を見ると、あさ美が不思議そうな顔をして私を見ていた。
「あさ美?どうしたの?」
「愛ちゃん何か元気ないよ」
「えっ?」
(あさ美ちゃんするどい・・・もしかして分かっちゃったのかなぁ?)
「なんかあるなら話してね」
隠してもしょうがないか。
「じゃあ、今日の昼休みに話聞いてくれる?」
「もちろん。なんてったって愛ちゃんの頼みだからね」
「ありがとう」
「2人とも、遅れるよー」
麻琴は後ろにいる私たちに向かって言った。
私とあさ美は早歩きになった。
- 89 名前:露天家 投稿日:2003年05月30日(金)23時22分33秒
- 学校についてからは、昨日寝てなかったせいで眠気に襲われて、授業どころではなかった。
「あいちゃーん、あいちゃーん」
(う、うーん?)
「愛ちゃん、いつまで寝てるの?」
顔を上げると、目の前にあさ美の顔があって、ちょっとドキっとした。
「えっ、なに?」
(びっくりしたぁ。今、顔真っ赤かも・・・)
「愛ちゃん、顔赤いよ。熱あるんじゃない?」
(やっぱり・・・)
「ううん、大丈夫。ところでまこっちゃんは?」
時計を見るともう昼休みの時間になっていることに気付いた。
「里沙ちゃんと食べるって」
「そう。それならいいや」
「愛ちゃんよっぽど疲れてたんだね。まさか休み時間もずっと寝るとは思わなかったよ」
「えっ、うそ?そんなに寝てた?」
「先生もほっといてやれっていうほど」
(そういえば起きた覚えないや・・・)
「そういえば話があるんでしょ。ご飯も食べなきゃいけないし早く行こ!」
「うん」
こうして2人で屋上に向かった。
- 90 名前:露天家 投稿日:2003年05月30日(金)23時31分36秒
- 更新終了です。
>86の名無しさん
愛ちゃんの選択については次をお楽しみ(?)に。
ちょっと関係ないことですが、最近この板の「ホームタウン」という小説が久々に更新され、かなりうれしくなりました。
というのも、この小説を書くきっかけの1つだったからだったりします。
- 91 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年06月01日(日)21時44分24秒
- あぅ…衝撃的。
2人には幸せになって欲しいだすね。
- 92 名前:露天家 投稿日:2003年06月02日(月)19時14分27秒
- 今日は暑いからか、屋上には誰もいなかった。
あさ美と2人でお弁当を食べる。
「「いっただっきまーす」」
「もう、あさ美ちゃんご飯のときだけ声大きいんだから」
「えっ、そう?」
「うん」
「「ははは」」
2人は黙々と食べる。
(あさ美ちゃん、食べはじめると静かになるんだよなぁ)
「ねえあさ美ちゃん、もっと楽しく食べようよ」
「えっ?ちゃんと楽しく味わってるけど」
(そういう意味じゃないんだけど・・・)
「私たち付き合ってるんだよね?」
「うん」
(あさ美ちゃん、いつもご飯優先なんだから・・・ちょっとは恋人らしいことしようかな)
「あさ美ちゃん、卵焼き好きだったよね?」
「うん。それがどうしたの?」
- 93 名前:露天家 投稿日:2003年06月02日(月)19時16分18秒
- あさ美は口の中にかぼちゃをほおばったまま返事をする。
(また可愛い顔をしてるなぁ)
「あさ美ちゃん、あーん」
「えっ・・・」
私があさ美に卵焼きを食べさせてあげようとすると、あさ美はおどおどし始める。
(ちょっとからかってみようかな)
「あさ美ちゃん、私のこと好きじゃなかったんだね。情けで付き合ったんだ・・・」
あからさまに分かるような泣き真似をする。
(分かりやすすぎたかなぁ)
「あっ、愛ちゃん・・・ごめん・・・うっ・・・」
(えっ、あさ美ちゃん・・・)
「愛ちゃんつらいのにね・・・ほんとうに・・・ごめん・・・」
あさ美は涙が止まらないようだった。
(いまさら冗談なんて言えないよね・・・)
「あさ美ちゃん、そんなに気にしないで」
「愛ちゃんがつらいの知ってるから、ほんとは支えてあげなきゃいけないのに・・・逆に迷惑かけて・・・付き合ってる意味ないよね・・・」
「そんなことないよ。私は幸せだよ。迷惑なんかじゃない。ほら、卵焼き食べて元気出して!」
「ほんとにごめんね・・・」
そう言いながらも、卵焼きはしっかりと食べるあさ美だった。
- 94 名前:露天家 投稿日:2003年06月02日(月)19時18分59秒
- ちょっと更新です。
>91の名無しどくしゃさん
作者が悲しい話し好き(?)ですからすみません。
でも言ってしまうと、BADエンディングにはならないと思いますから、心配しない方がいいと思います。その場その場でしっかり悲しんでください(爆)
- 95 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年06月03日(火)19時31分36秒
- こんこんワラタ。
悲しい話イイヨーイイヨー
- 96 名前:露天家 投稿日:2003年06月06日(金)22時05分12秒
- (そういえば、あさ美ちゃんに話さないといけないことが・・・)
「あさ美ちゃん、朝に言ってた話聞いてくれる?」
「うん、いいよ」
あさ美ちゃんは食べるのをやめて、真剣に見つめてきた。
「あのね、私昨日病院に行ったんだ」
「うん」
「そしたらね、やっぱり検査結果は変わんないって・・・」
「そうなんだ・・・」
私が涙をこらえていると、目の前のあさ美ちゃんが先に泣いているのに気付いた。
「あさ美ちゃん・・・」
「ごめん・・・ごめんね愛ちゃん。私が泣いちゃいけないのに」
- 97 名前:露天家 投稿日:2003年06月06日(金)22時05分42秒
- あさ美ちゃんの私を思う気持ちがいやと言うほど伝わってきた。
「とりあえず話だけ聞いてくれる?」
あさ美ちゃんは顔を伏せたまま大きく2、3回うなずいた。
「そのときね、病院の先生からいくつかの選択肢を聞いたんだ」
私は昨日先生から聞いたことを、出来る限り分かりやすく伝えた。
あさ美はもう泣きやんでいるようだった。
「あさ美、私今日お母さんにね、自分で決めてきなさいって言われたの。それでね、どうしてもあさ美ちゃんに相談したくて」
「私なんかに・・・私なんかで良いの?」
「なんであさ美ちゃんはそんなに自分を責めるの?私だって好きな人が悲しんでいると、もっと悲しくなっちゃうよ・・・」
(泣いちゃだめだって・・・)
愛はついに我慢できずに泣き出してしまった。
「ごめん・・・私が意見言って良いの?」
愛は黙って下を向いたままうなずく。
- 98 名前:露天家 投稿日:2003年06月06日(金)22時07分08秒
- 「私はね、最後まで楽しんで生きるのが良いと思う。もし私だったら、病院にいるだけで何にも出来ないのはいやだから」
(私と同じ・・・)
あさ美の言ったことは、私が一応考えていたことと一緒だった。
「あさ美、ありがとう」
「ごめんね、愛ちゃんの状況何にもわかんないのに」
「あさ美の考え、私と同じだった」
「えっ?」
「やっぱり私たちは見えない何かでつながってるのかもね」
冗談半分であったが、あさ美ちゃんはまじめな顔でずっと私を見つめていた。
(あさ美ちゃん、真剣にとられると恥ずかしいよぉ)
「愛ちゃん・・・」
(えっ・・・)
- 99 名前:露天家 投稿日:2003年06月06日(金)22時07分44秒
- あさ美ちゃんが急に抱きついてきて、私はすごく驚いた。
しかし今まで感じたことのない安心感も感じていた。
「あさ美ちゃん、どうしたの・・・!」
あさ美ちゃんは私の唇を奪った。人とキスをしたのは2度目だった。
(あさ美ちゃん・・・私、頭が溶けていきそう・・・)
あさ美ちゃんはかなり長い間唇を離さなかった。
やっと離してくれたときには、呼吸が苦しくなっているほどだった。
「愛ちゃん・・・絶対に愛ちゃんを誰にもあげないから・・・例えそれが絶対にかなわないようなものだとしても」
「あさ美ちゃん・・・」
2人はもう一度抱き合って唇を合わせた。
- 100 名前:露天家 投稿日:2003年06月06日(金)22時13分18秒
- 忙しかったので久々更新です。
>95の名無しどくしゃさん
今回は積極こんこんでした。作者はこんなこんこんが好きだったりします。
にしてもくさい台詞過ぎました・・・
- 101 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年06月08日(日)10時03分17秒
- 高紺(*゚∀゚)=3
愛たん頑張ってね愛たん。
- 102 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月08日(日)19時14分39秒
- がんばれー!
- 103 名前:露天家 投稿日:2003年06月15日(日)00時21分12秒
- 「ははは、あさ美ちゃんたらびっくりするじゃん」
「えっ?あっ、えっと、その・・・」
唇をはなしてから、しーんと静まったので、私が話しかけた。
「もとのあさ美ちゃんに戻っちゃったの?」
「えっ、なにが?」
(なにがって言いながら、顔赤くしちゃってばればれだよ・・・)
「もう、急に抱きついてくるし、かっこいい台詞言ってくれるしねぇ」
そういって私はいじわるに微笑む。
「あの、あれはね・・・ともかく、好きだってことを伝えたかったの」
頬を膨らましたあさ美の顔が、ますます赤くなっていくのが、目に見えてわかった。
「でも、誰にもあげないって言ってくれてうれしかった。まさか、あさ美ちゃんの口から聞けるとは思ってなかったから」
「あれが、ホントの気持ちだから・・・」
あさ美が恥ずかしそうに下を向いて答える。きっと今はもっと顔が赤くなっているだろう。
「あさ美ちゃん、大好き!」
そういってあさ美ちゃんに抱きついた。
「愛ちゃーん、はずかしいよぉ」
あさ美は、嫌がっている割にはあまり反抗しなかった。
「さっき自分から抱きついてきたでしょー」
「それは・・・」
- 104 名前:露天家 投稿日:2003年06月15日(日)00時22分09秒
- あさ美が答えるために顔を上に向けた時をねらって、そのまま口にキスをした。
「うっ・・・愛ちゃん・・・苦しい・・・」
あまりにも強く抱きしめたため、あさ美は少し苦しそうだった。
「苦しそうなあさ美ちゃんも可愛いよぉ」
「そんな・・・愛ちゃんひどいよ。もう愛ちゃんなんか大嫌い」
そういってあさ美は下を向いてしまった。先ほどとは違い、恥ずかしがっているようではなかった。
(あっ・・・言い過ぎちゃった・・・)
「えっ・・・あっ、あの・・・言い過ぎちゃったね。ごめん」
「じゃあさぁ、大きな声で私のこと好きって叫んで」
急にあさ美がにこっとした顔になった。
(嘘泣きだったの?やられたぁ・・・)
「ほら愛ちゃん、早く」
「わかったよぉ・・・」
さすがに多くの人がいる運動場に向かって叫ぶのは嫌なので、逆の方を向いて叫んだ。
「あさ美ちゃーん、大好きだよーーー!!!」
(恥ずかしかったぁ)
「愛ちゃん、ありがとう」
そういってあさ美はまたキスをしてきた。
「ご褒美だよ」
「あさ美ちゃんキスばっかりだね」
「だって愛ちゃん可愛いから・・・」
「「ははは」」
私はこの時間が永遠に続けばいいとさえ思っていた。
- 105 名前:露天家 投稿日:2003年06月15日(日)00時27分38秒
- またもや短い更新です。
>101の名無しどくしゃさん
またもや高紺です。だんだん話の方向が変わってきてるような・・・まぁ気にしない。
>102の名無しさん
がんばりまーす!(爆)
何かだんだん話が違う方向に向かってるような気がします。なにしろ高紺のからみを書くのが面白いんです。
全く好き勝手な作者ですみません・・・
- 106 名前:名無し高紺 投稿日:2003年06月15日(日)01時23分26秒
- 高紺万歳!!
高紺の絡みを読むのが面白いんです。
全く好き勝手な読者ですみません・・・
- 107 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年06月15日(日)10時46分56秒
- 2人が楽しそうでなによりだす。
変わっちゃっても全然おkですよ。それもまた味。
5期カプみるのヲイラ好きだし(w
- 108 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年06月20日(金)23時35分16秒
- 「ねぇ、愛ちゃん?」
私はさっきの恥ずかしさから下を向いていたが、あさ美に声をかけられて顔を上げた。
「何?」
「私の他には・・・麻琴には言ったの?」
「ううん、言ってない」
「言わないの?」
「まだ考えてないんだけど」
「だけど?」
「あんまり迷惑はかけたくないから・・・」
「そうなんだ・・・」
(あさ美に言うのも悩んだんだけどね)
「あさ美ちゃんは、言うべきだと思う?」
「うーん・・・愛ちゃんがそう思ってるなら今は言うべきじゃないと思う」
「やっぱりそうだよね・・・」
(でも、いつかは麻琴に言わないと・・・)
- 109 名前:露天家 投稿日:2003年06月20日(金)23時36分00秒
- そんなことを考えていると、あさ美が心配そうに声をかけてきた。
「愛ちゃん、言いにくいなら、私が代わりに伝えても良いから。愛ちゃんは悩まなくて良いよ」
最後にあさ美はにこっと笑った。私の心配が吹き飛んでしまいそうな笑顔だった。
「あさ美ちゃん・・・でも私から伝えないといけないから・・・心配してくれてありがとう」
そういって立ち上がり、座っているあさ美に手を差し出した。
「こちらこそ」
あさ美はそう言いながら、私の手をつかんで立ち上がった。
「じゃあ、もう降りよっか」
「そうだね」
2人は手をつないだまま屋上を去った。
- 110 名前:露天家 投稿日:2003年06月20日(金)23時39分04秒
- あのあと私とあさ美は、先生からすごく怒られた。
しかし、さぼった理由を寝ていたことにしたのと、いつも真面目なあさ美が一緒だったのとで、覚悟していたほどではなかった。
それよりびっくりしたのは、麻琴のことだった。
5時間目に私たちがいなかったので心配になり、6時間目をさぼってまで探してくれていたらしい。
なので、私たち2人が怒られている隣に麻琴がいた。
麻琴は私たちの前に怒られたようだった。
「もう2人ともー、心配したんだよー」
「「ごめん」」
「でもよかったー。戻ってきて」
「当たり前でしょー」
「もう、死んじゃったのかと思ったよ」
(えっ!?)
私もだが、隣にいるあさ美もすごく驚いたようだった。
それが麻琴に伝わったようで、
「あっ、ごめん・・・ちょっと言い過ぎた」
「いいよ。そんな気にすることじゃないし」
黙っている私の代わりに、あさ美が答えた。
(ホントあさ美は頼りになるなぁ・・・こんなにしっかりしてるとは思わなかった。)
私はあらためて親友の、そして恋人でもあるあさ美の大切さを実感した。
- 111 名前:露天家 投稿日:2003年06月20日(金)23時50分28秒
- 更新です。
>106の名無し高紺さん
初レスですかねぇ?間違ってたらすみませんw
ともあれレスありがとうございます。
全然好き勝手じゃありませんよ。人間として当然のことですw
>107の名無しどくしゃさん
お褒めいただいてありがとうございます。
やっぱり五期はいいですよねぇw
いつまでも楽しい話だと良いんですけどねぇ・・・って作者は私ですか?
- 112 名前:名無し高紺 投稿日:2003年06月21日(土)01時08分37秒
- 頼りになる紺ちゃん最高!!
高紺の良さがわかってこそ一人前の人間と
言えますな(w
- 113 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年06月21日(土)20時07分12秒
- マコたん!なんて良い娘なんだ!(つД`)
ヲイラも頼りなるこんあさは萌えですね(w
- 114 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年06月22日(日)17時42分37秒
- 1時間ほどしかられた後、私たちは教室を出た。
麻琴は図書館で里沙と調べることがあるらしく、先に帰って良いよと言われた。
そういった後、あさ美の方を見てウインクしたような気がしたのだが、あまり気にしなかった。
こうしてあさ美と2人きりで帰っている。
学校には、もうあまり人がいなかったので、門を出る前からずっと手をつないでいた。
私は麻琴にあのことを言われてから、何も口に出していなかった。
あさ美は、そんな私の様子を心配してか、声をかけてきた。
「愛ちゃん、大丈夫?」
あさ美の顔を見ていると、何か元気がわいてくるような気がした。
(やっぱりあさ美ちゃんと付き合ってよかった)
「ありがとう。もう大丈夫だから」
「ならよかった」
「ホントにありがとう」
「いえ、いえ」
笑ったあさ美は、輝いているようにさえ見えた。
(このあさ美ちゃんの顔を見たら、どんな争いもなくなるかも知れないなぁ)
- 115 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年06月22日(日)17時44分15秒
- そんな関係のないことを考えていると、いつもの坂道にさしかかり、丘の頂上まで着いた。
「あさ美ちゃん、休もうよ」
「うん。いいよ」
2人は同じように草の上に寝っ転がった。
空を見上げているあさ美の横顔を見ていると、急にあさ美が横を向いてきて、目があった。
「気持ちいいねー」
あさ美は本当に気持ちよさそうな顔をしている。
「あのさぁー、あさ美ちゃん覚えてる」
「なにを?」
「ずっと前だけど、あさ美ちゃんと初めてここで話したときのこと」
「あ、夢についての話?」
「うん。そういえばあれが初めてここで話したことだったね」
「そうだったっけ?私が長いこと話しちゃって・・・」
「あのときね、私とーっても感動したんだ。それで看護士になろうって思った」
「そうなんだ。私もあのとき愛ちゃんが真剣に聞いてくれてとてもうれしかった。まこっちゃんなんか、同じ話したとき、話の途中で寝ちゃったから」
「ほんとー?」
「うん。泣きそうなぐらい悲しかったよ」
「麻琴らしいかもね」
「そうだね」
「「ははは」」
小高い丘の坂道には、緩やかな風が吹いていた。
まるで2人の笑い声をどこか遠くまで届けるかのように。
- 116 名前:露天家 投稿日:2003年06月22日(日)17時59分40秒
- 暇だったので少し更新です。
>112の名無し高紺さん
高紺はやっぱり良いですね。他で書いてるのは高紺が多いですが、一応、紺高ともとれるようにしてるつもりです。
>113の名無しどくしゃさん
こんこんは頼りになりますねぇ。
麻琴もいい味だしてるんじゃないかと思います。
高紺も結構長くなりましたが、もうそろそろで、急展開が待ってるかも知れません。はっきりは言えませんけど・・・
- 117 名前:名無し高紺 投稿日:2003年06月22日(日)21時59分55秒
- もうぼちぼち急展開ですか・・・
二人にはいつまでも緩やかな風に包まれながら
過ごして欲しいけど、こればっかりは仕方ないんだなぁ・・・
- 118 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月24日(火)23時03分13秒
- これから結(転?)に向かうんですね。
期待して正座でお待ち致します。
>∬∬´▽`)マコおだいじに…
- 119 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年06月27日(金)22時01分06秒
- 「ばいばい、あさ美ちゃん」
「ばいばーい」
私は母に言われたとおり、自分の残り少ない人生の歩み方を医者に伝えるため、直接病院へと向かった。
途中誰かの視線を感じたが、あまり気にしなかった。
(誰かにつけられてたって、もうそんなに先長くないし・・・)
「高橋愛です」
「そのままどうぞ」
私の他に客がいなかったので、そのまま案内された。
「どうぞ、座ってください」
「はい」
「今日来たってことは、これからのことを決めたんだね」
聞かれることがわかっていても、はっきりとは答えられず、
「はい・・・今まで通りの生活を続けます」
「わかりました。でもはっきりしておきましょう」
(はっきりする?何を?)
「この間は、学校に行けるとすれば1ヶ月といいましたが、やはり、そう上手くは行かないと思います」
「・・・どのくらいですか?」
「今日が7月9日ですから、7月いっぱいが限界でしょう」
(だいたい・・・3週間とちょっとぐらいか・・・)
「あの、その後はすぐに入院ですか?」
「そういうことになるでしょう。学校に行っていいとはいえ、体調が悪くなったら、すぐにここに来てくださいよ」
「はい、わかりました・・・」
- 120 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年06月27日(金)22時03分39秒
- 「それと、これはあくまで助言ですが、あまり1人で全てを背負うよりは、何かに頼ることも必要だと思います」
「誰かに話した方がいいということですか?」
「簡単に言えばそういうことです。ただし、相手を選ばなくてはいけないと思います」
「相手を選ぶとはどういうことですか?」
「つまり、もしあなたが亡くなったときにも、そのショックに耐えられるような人ではないといけません」
私の頭の中には、あさ美が浮かんだ。というより、あさ美しか浮かばなかった。
「その点は大丈夫です。もう頼りになる人が見つかりました」
私はにこっと微笑む。
(この先生の前で笑ったのは初めてじゃないかな)
「それはよかった。まぁ、あまり聞かないでおこうか」
「聞いてくれても良いですけどね」
「何にしろ、前を向いて生きるのは良いことだからね。しかし学校生活が楽しいからって、入院する時期は守るんだよ」
「わかってます」
私は初めて病院から笑顔で出た。
それもこれも、あさ美のおかげだと実感していた。
- 121 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年06月27日(金)22時06分27秒
- 帰り道を1人で歩いて帰っていると、また誰かにつけられているような気がした。
思いきって後ろを向いてみると、見覚えのある顔があった。
「ま、麻琴!?」
まさか麻琴につけられているとは思わなかった私は、驚きで声が出なかった。
「愛ちゃん、ちょっと時間ある」
声が出ない私は、渋々うなずく。
「じゃあちょっと話そうよ」
そう言って麻琴は私の手を少し強めに引っぱっていき、近くの公園へと着いた。
- 122 名前:露天家 投稿日:2003年06月27日(金)22時21分44秒
- 急展開のちょっと前まで更新です。
今回はつまらないところですみません。
話の流れじょう、書かなければいけないところなので、我慢していただけるとうれしいです。
>117の名無し高紺さん
私も、他も完成している作品を読みながら思ったりしてます(w
作者に腕(ネタ)があればいいんですけど・・・(w
>118の名無しさん
わざわざレスありがとうございます。
終わったときにで良いので感想いただけるとうれしいです。
今回つまらなかったと思うので、明日か明後日には更新したいと思います。
次の途中から急展開かも!?
- 123 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月28日(土)02時41分49秒
- 急展開!? …期待sage
- 124 名前:露天家 投稿日:2003年06月28日(土)22時52分56秒
- 更新前に一言です。
急展開とか言いましたが、愛と麻琴の場面を書いておきたかったので書けませんでした。
ほんとにすみません。
次回更新こそ、と言いたいところですが、あんまり確かではないことは予告しないようにします。
ほんとにいい加減な作者ですみませんでした。
- 125 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年06月28日(土)23時02分46秒
- 麻琴は、公園の奥にある時計の下あたりで歩くのを止めた。
そして私の手を離した後、ずっと私いるほうとは逆の方を向いていた。
(麻琴もしかしてあのことを・・・)
「ねぇ麻琴?もしかして・・・」
「うん・・・あさ美から」
麻琴が暗そうな顔をしていたので、私の病気のことを知ったのだと感じた。
「聞いちゃったんだ・・・言ってあげられなくてごめんね。麻琴に迷惑かけたくなくって」
「えっ、迷惑って?私はあさ美と付き合ってるって言うからお祝いしたかったんだけど」
急に麻琴が不思議そうな顔をする。
「えっ・・・」
(かんちがいしちゃったの?)
「愛ちゃん、前から言いたかったんだけど、何か私に隠してない?」
(ど、どうしよう・・・)
私は下を向いたまま顔を上げることが出来なかった。
「無いなら良いよ。変なこと言ってごめんね。あさ美と仲良くしなよ」
私は黙って頷いた。
(言った方がいいのかな・・・)
「今日は無理やり呼んじゃってごめんね。じゃあ私はそろそろ帰るね」
- 126 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年06月28日(土)23時03分31秒
- 「まっ、待って!」
「えっ、何?」
「あの、麻琴に隠してたことがあるんだけど・・・」
「そうなんだ・・・嫌なら言わなくてもいいんだよ」
「いや、麻琴はとっても大事な友達だから」
「愛ちゃん・・・」
(麻琴泣いてるの?)
「ご、ごめん。話してくれる」
「うん」
私はあさ美に話したときと同じように話した。
麻琴のこんなにまじめな顔見たのは初めてかも知れないとさえ思うほど、真剣に聞いてくれた。
- 127 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年06月28日(土)23時04分13秒
- 「愛ちゃん、私も応援してるからね」
麻琴の笑顔は、涙を必死にこらえての作り笑顔に見えて、胸が熱くなった。
「真剣に聞いてくれてありがとう」
「愛ちゃんもつらいのに話してくれてありがとう」
麻琴の顔が少し明るくなり、胸につかえている物がとれたような気がした。
「ほんと麻琴がこんなに真剣になってるの初めて見たよ」
「何言ってんの愛ちゃん」
今度は心から笑ってくれたようだった。
「明日雨だったら麻琴のせいだよ」
「天気予報では雨じゃなかったっけ・・・」
「やっぱりー」
「もう、愛ちゃんたら」
私たちは手をつないだ。
(あさ美ちゃんごめん。でも麻琴なら許してくれるよね?)
時間にすれば短いながらも、深い、深いキスをした。
- 128 名前:露天家 投稿日:2003年06月28日(土)23時09分21秒
- 更新終了です。
はじめにも書いたように、ほんとにすみません。
>123の名無しさん
期待させてすみません。
別に焦らしてるわけじゃないですから、とあらかじめ言っておきます。(w
- 129 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月29日(日)00時27分00秒
- 更新乙です。べ、別に急かしている訳ではないので…
気にせず作者さんのペースでいいですよ。
期待してます。
- 130 名前:名無し高紺 投稿日:2003年06月29日(日)06時27分12秒
- 愛と麻琴の場面はよかったYO!
急展開の回はマターリ待ちますから。
- 131 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年07月03日(木)21時53分50秒
- まこあい(;´Д`)ハァハァ…
作者様ぐっじょぶ!!
- 132 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月07日(月)23時34分08秒
- 何でキスしたのぉぉぉぉ(´Д`)?
続きが激しく気になります。
作者さんファイトです。
- 133 名前:露天家 投稿日:2003年07月08日(火)22時43分14秒
- 更新が遅れていて、本当にすみません。
最近忙しくてなかなか更新できていませんが、今週末までには更新したいと思います。
- 134 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月30日(水)23時13分49秒
- ほぜ。
お忙しいようですが… 待ちますよほ。
- 135 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年08月04日(月)22時55分24秒
- 私は、次の日も、元気に学校に行った。
昼休みに麻琴が、昨日の私とのことをあさ美に話して、あさ美がすねてしまって大変だった。
そして、それからの生活では、今までよりも3人でいる時間が長くなった。
昼休みに屋上で話したり、休みの日には遊園地に行ったりして、とても楽しい時間だった。
私も親友の2人に悩みを打ち明けることで、目の前の恐怖など忘れて、今までと同じように、いや、それ以上に楽しく暮らすことが出来た。
しかし楽しい日々はあっという間に過ぎるもので、ついに学校生活に別れを告げる日がやってきた。
- 136 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年08月04日(月)22時57分22秒
- その朝も、いつもと同じように訪れた。
カーテンの間から入ってくる光を見る限り、とてもいい天気のようだった。
そしていつものように朝食を食べていると、母が話しかけてきた。
「愛、ついに今日までだね・・・」
「分かってる。楽しんでくるから」
「あのね、愛、最後まで自分の好きなようにするんだよ」
「分かってる」
母が言いたいことがあまり分からなくて、私は同じ言葉しか返すことが出来ない。
「お母さんはね、愛が入院したくないって思ってるのなら、別に明日からじゃなくても良いと思ってる」
「えっ?」
「最後まで愛の好きなことをして欲しい。明日からも学校に行きたいならそれでもいいから」
「でも、それじゃあお母さんに迷惑かけて・・・」
「お母さんは良いから。好きなことをしなさい」
母は、私の言葉をさえぎるように、少し強い口調で言ってきた。
「分かった。学校で決めてくる」
私ははっきりとした口調で言い切った。
母もそれに対して満面の笑顔で返してくれた。
- 137 名前:露天家 投稿日:2003年08月04日(月)23時10分10秒
- 本当に久々の更新です。
こんな量では更新したくなかったですが、とりあえず続ける気があることを示すため更新しました。
>129の名無しさん
あんまりにも遅すぎるペースになってしまいました・・・
>130の名無し高紺さん
そういっていただけるとありがたいです。急展開は凄すぎですね(汗
>131の名無しどくしゃさん
サンキューです(w
>132の名無しさん
何でキスしちゃったんでしょうね(w
>134の名無しさん
保全ありがとうございます。
本当に長い間待たせてしまいました。
しかもめちゃくちゃな急展開(爆
もちろん続ける気なので次の更新をお待ちください。
- 138 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年08月05日(火)11時26分20秒
- ひさぶり更新お疲れさまです。
こんこん拗ねるカワ(・∀・)イイ!!
さて…愛たん…どうする…アイフル(藁
- 139 名前:名無し高紺 投稿日:2003年08月11日(月)12時36分28秒
- お母さん・・・最高だよ・・・
さて、愛ちゃんはどうするんだろ・・・
- 140 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年08月11日(月)23時18分48秒
- 「えっ?どういうことだい?」
「だから、愛ちゃんをまだ学校に行かせてあげてください!」
「お願いします」
あの後三人で病院に行き、今、私の横では麻琴とあさ美ちゃんが先生に頭を下げてくれいている。
(2人とも・・・)
先生はしばらく困った表情をしていたが、私に聞いてきた。
「高橋さん、どうなんだい?本人の口から聞かないと」
「はい・・・お願いですからまだ学校に行かせてください」
「分かった。ただし何かあったらすぐここに来るんだよ」
「はい!」
私は満面の笑みで答えた。
- 141 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年08月11日(月)23時19分27秒
- 「良かったねぇ」
「ほんと、ほんと」
帰り道で2人は、まるで自分のことかのようによろこんでいた。
「ほんと2人ともありがとう・・・」
2人には、涙というものでしか答えられなかった。
「愛ちゃんまた泣いちゃったよぉー」
「涙腺弱いんじゃない?」
「からかわんでよ」
明らかに笑いながらからかっている2人と話していると、こっちまで楽しくなってくる。
「じゃあまた明日ね」
「「「ばいばーい」」」
「ただいまー」
「あ、おかえり」
母が台所からわざわざ迎えに来てくれた。
「わざわざ来んでも」
「ところで、これからのことどうしたの?」
母が不安そうな顔で聞いてくる。
「学校に行き続けるよ」
私は思い切り微笑んでそう答えた。
「そう。よかったわね」
母はそういい残して笑顔で台所に戻った。
- 142 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年08月11日(月)23時20分40秒
- その日は、ここ最近ではめずらしく、ぐっすりと眠ることが出来た。
そしてとても良い夢を見た。
場所はいつもの丘の上。
いつもと同じように遊んでいる。
でも何かが違う。どこかが違う。
あっ、2人がちょっと大きくなってる・・・
大きくなっているというか大人びてるような感じ。
もしかして私も・・・
そう思って自分の体を見ようとしたところで夢が覚めた。
私にはそれが不安で仕方なかった。
何かが自分に起こりそうで・・・
- 143 名前:露天家 投稿日:2003年08月11日(月)23時30分58秒
- 更新です。
>名無しどくしゃさん
どうにもしませんでした(爆
紺ちゃんは可愛いですよねぇ^^
>名無し高紺さん
愛ちゃんのお母さんどうです?
こんなに出てくるのは僕のだけかも(爆
そろそろ完結も近いかも知れません・・・
いい加減なんで分かんないですけどw
- 144 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年08月12日(火)17時54分44秒
- じ、じらさんといてなぁ!ヽ(`Д´)ノ
- 145 名前:露天家 投稿日:2003年08月24日(日)23時06分11秒
- >名無しどくしゃさん
別に焦らしてるつもりはないですけど、遅いのは事実ですw
では一気にラストまで。
- 146 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年08月24日(日)23時11分42秒
- 私が空を見上げると、真っ青な空が広がっていた。
見える雲と言えば、遠くにある大きな積乱雲くらいだ。
その積乱雲の方に向かって、そしていつもの丘に向かって歩いていく。
私は起きて時間を確認すると、すぐに階段を下りて出されている朝食を食べる。
母は私に話しかけてきたようだったが、母が何を言ったのか、私が何と答えたかは覚えていない。
それほど私の頭の中は夢のことでいっぱいだった。
もしかして正夢じゃないのか?
頭の中でその言葉が何度も繰り返されていた。
- 147 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年08月24日(日)23時13分21秒
- そうやってさっきまでの出来事を振り返っているうちに、丘の坂道にさしかかった。
今日は本当に暑くて、朝ここまで歩いただけでも汗があふれ出してきそうだった。
でも、この丘を越えると涼しい風が吹いてくるので、少し早足になる。
やっとの事で丘の頂上に着くと、急に吹いてきた強い風と、そこにいた人物におどろいた。
「あさ美ちゃん?」
「うん。そこまで驚かなくても」
あさ美ちゃんは笑いながらそう答える。
そのあさ美ちゃんの顔に見とれていると、急に激しい頭痛に襲われた。
(えっ?痛い・・・)
「まこっちゃんは?」
私はそんなに大したことはないだろうと思って、会話を続けた。
「まこっちゃんはね、誰かみたいに寝坊した・・・」
(あれ、声が聞こえない・・・頭の痛みも無くなったような・・・)
- 148 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年08月24日(日)23時14分01秒
- 私は何か全てのものから解放されたかのように、体がすごく軽くなった気がした。
(いったいどういうこと?目もだんだん開かなくなってきて・・・)
ぼやけている目の前には、とても心配そうでおどおどしているあさ美ちゃんが見える。
(あさ美ちゃん・・・可愛い・・・)
髪が風になびいているあさ美ちゃんを見て、自分のことを忘れてそんなことを思ってしまう。
あさ美ちゃんは、どこかに走っていったようだ。
私の意識はそこで遠のいた。
あさ美ちゃんがいなくなると同時に。
- 149 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年08月24日(日)23時17分04秒
- 「・・・ちゃん、愛ちゃん!?愛ちゃん!?」
私が目覚めたのは、病院の中をストレッチャーで運ばれているときだった。
「あ、愛ちゃんが目を開けた!」
(ま、麻琴?)
意識はあったものの体が動かなかったのだが、声で麻琴だと分かった。
そこで医者がのぞき込んできて、声をかけてきた。
「高橋さん、大丈夫だから。必ず助かる。」
しかしその言葉は、私の心の中に届くものではなかった。
「愛ちゃん、絶対に諦めちゃダメだよ!ほら、あさ美ちゃんも!」
「愛ちゃん・・・待ってるから・・・」
あさ美ちゃんは泣いているようで、声が震えていた。
「あさ美ちゃんが泣いてどうするの!」
「うん・・・愛ちゃん、私・・・愛ちゃんがいないとダメだから・・・絶対ダメだから!・・・」
(麻琴、あさ美ちゃん・・・ありがとう・・・)
声には出せなかったけれど、心の中で2人にそう伝えた。
- 150 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年08月24日(日)23時19分06秒
- 目の前を見ると、一面が青に染まっていた。
ここはいったいどこなのだろうか?目が開いているのに。
そういえば私は手術をしたんだ・・・
ってことは、ここは天国?それとも・・・
青だけだった目の前に動く白いもの。
何か見たことあるような・・・
もしかして・・・白いものは雲?
じゃあ、青いのは空?
そう思って自分の体を起こそうとした。
すると、思ってもいなかったのだが、立ち上がることができた。
立って周りを見渡すと、そこはいつもの丘の上。
一体全体どうなっているのか。
- 151 名前:風の坂道〜愛編〜 投稿日:2003年08月24日(日)23時20分25秒
- そんな動揺している私の前に、私が1番会いたかった人達がやってきた。
「あさ美ちゃん!麻琴!」
私はそういったものの、2人を見たときに驚いた。
2人は、あの私が倒れた日に夢で見た、大人びている2人にそっくりだった。
「愛ちゃん、急に叫んでどうしたの?」
私は麻琴の意外な反応にびっくりした
「え?どうしたのって・・・」
「まぁ、まこっちゃん良いじゃん」
すこし顔立ちは変わっているものの、あさ美ちゃんの微笑みは変わっていなかった。
そんなあさ美ちゃんを見て、恥ずかしくなって下を向いた。
すると、真下にあった水たまりの表面に、一番会いたかった自分がいた。
いつものあの丘には、今日もいつもと同じ風が吹いている。
- 152 名前:露天家 投稿日:2003年08月24日(日)23時21分03秒
- 無事に(?)
- 153 名前:露天家 投稿日:2003年08月24日(日)23時21分35秒
- 完結です^^
- 154 名前:露天家 投稿日:2003年08月24日(日)23時26分15秒
- とりあえず完結いたしました。
詳しい感想は後で書こうと思います。
一言でも感想いただけるとうれしいです^^
- 155 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月25日(月)04時29分58秒
- えーと、結局愛ちゃんは最後どうなったんですか?
- 156 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003年08月25日(月)09時58分42秒
- 完結おめでとうございます。
いやぁ面白かったっすよ。最高でした。
ラスト…深いっすね。新鮮な感じで良かったです。
お疲れ様でした。
- 157 名前:名無し高紺 投稿日:2003年08月29日(金)01時06分41秒
- こんないい作品をありがとう。
そして、お疲れ様でした。
- 158 名前:露天家 投稿日:2003年09月01日(月)23時46分37秒
- レスありがとうございます。
まずラストに関してです。
このままで終わらそうとしていましたが、名無しさんをはじめ、数人から最後どうなったのかはっきりして欲しいという意見をいただきました。
また、視点を変えてもう一度書くと言っていましたが、今読み返してみると、とても(自分の中で)もう一度書けるような作品ではありません。
そこで、この先のはっきりしたところを、紺ちゃん視点で書こうと思います。
更新はもうしばらくお待ちください。
- 159 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月05日(金)01時15分22秒
- 完結おつかれさまです。今更ですが感想です。
終盤の怒涛の展開から愛ちゃんたちがどうなるのか非常に気になりました。
そして、あのラスト。ちょっと うっ ときました。
自分には見えます。愛ちゃんを中心として幸せそうな彼女達の姿が・・・。
愛編 とタイトルにあったのでもしやと思っていましたが……。
紺野視点楽しみですw
- 160 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003/09/23(火) 19:05
- おっ紺視点楽しみにしてますぞー
- 161 名前:露天家 投稿日:2003/09/28(日) 00:20
- それでは更新です。
長い間お待たせしました。
- 162 名前:風の坂道〜3人の新たな出会い〜 投稿日:2003/09/28(日) 00:26
- 「あさ美ちゃん、落ち着いて」
立ったり座ったりして落ち着かない私に、麻琴が耳元でそうつぶやいた。
「だって・・・」
(そんなこと言ったって愛ちゃんが・・・)
「私たちが落ち着かなくてどうするの?」
「ごめん・・・」
(確かにその通りだよね・・・)
2人の会話がとぎれた。
それからも、私は落ち着くことができなかった。
さすがに立って歩き回るようなことはしなかったが、周りをきょろきょろ見回していた。
隣にいる麻琴を見ると、オレンジに光っている『手術中』のランプをじっと見つめているようだった。
そして、私も麻琴と同じところを見つめ続けた。
- 163 名前:風の坂道〜3人の新たな出会い〜 投稿日:2003/09/28(日) 00:27
- どのくらい時間がたっただろうか。
ずっと落ち着いていた麻琴も、あまりの手術の長さに気が気でないようだった。
そうやって私が隣の麻琴をじっと見ていたとき、麻琴が急に立ち上がった。
そして、慌てて手術室のドアに近づいていく。
「麻琴?急にどうしたの?」
「どうしたのじゃないでしょ!上見てみなよ!」
麻琴が少しきつい口調でそう言って、上の方を指さした。
その指の先を見ると、さっきまで見ていた手術中・・・
のランプが消えていた。
「ま、麻琴?ランプが消えたってことは・・・」
「それ以外考えられないでしょ」
私たちの目の前の扉が開いた。
- 164 名前:風の坂道〜3人の新たな出会い〜 投稿日:2003/09/28(日) 00:28
- 目の前には点滴の管が何本も絡み合ったまま、ストレッチャーで運ばれていく愛ちゃんがいた。
私たちは、ただ呆然とそれが通り過ぎていくのを見ていた。
それを見て、まずは愛ちゃんが生きていることを知ることができ、少し安心できた。
それと同時に、点滴の管の異常な多さからあまり良い状態でないことも分かった。
しかし今はそれ以上に、もう一度生きている愛ちゃんを見られてうれしかった。
そんなことを考えていると、手術室から男の先生が出てきた。
その格好と、この状況から、手術をした人に間違いないだろう。
「高橋さんのお友達かな?」
「はい、そうです」
いつもと同じように、私より先に麻琴が返事をした。
私も先生と目があったので、軽く頷いた。
「きっと高橋さんのことを聞きたいでしょうから、私に付いてきてください」
私たちは頷くこともなく付いていった。
- 165 名前:風の坂道〜3人の新たな出会い〜 投稿日:2003/09/28(日) 00:32
- 案内されたのは小さな部屋だった。
真ん中にだ円形のテーブルがあり、その周りに5、6個イスが並んであった。
そのうちの1つに、愛ちゃんのお母さんが座っていた。
「じゃあ、高橋さんのお母さんの隣に座ってもらえるかな」
「「はい」」
私と麻琴は小さな声で返事をして、愛ちゃんのお母さんに軽く頭を下げてからイスに座った。
「それでは話を始めたいと思います。
いきなり本題に入りますが、高橋愛さんは、なんとか一命を取り留めました」
予想していた通りとはいえ、かなりほっとした。
しかし顔を上げると、目の前にはかなり暗そうな先生の顔が見え、その安心も吹き飛んだ。
「ですが、かなり危険な状態です。というよりも、今生きているのが不思議なくらいの状態です。
この病院は手術の技術に関しては日本でもトップクラスです。今回命が助かったというのも少なからずそれがあるでしょう。
しかし、今の最新技術を要しても、高橋さんの病気を直すことが出来ません。
それどころか、今の動かない状態、即ち植物状態のまま一生を終える可能性がかなり高いでしょう」
「そんな・・・」
麻琴は一言そうつぶやいた。
私も同じ気持ちだし、愛ちゃんのお母さんも同じ気持ちだろう。
「もう一度手術をしたところで直る見込みはありませんから、選択肢は二つです。
一つ目は、このまま植物人間の状態のままでも出来る限り生きてもらうという方法。
二つ目は、楽に眠ってもらうと言う方法です。
病院側は何も言いません。あなた方の望む方で決まります」
- 166 名前:風の坂道〜3人の新たな出会い〜 投稿日:2003/09/28(日) 00:32
- 部屋の中はすっかり静まり返った。
そして、私は1つの結論を出した。
「お母さん、愛ちゃんをまだ死なせないでください!」
「あ、あさ美?」
麻琴はかなり驚いているようだったが、私は愛ちゃんのお母さんだけを見つめた。
そんな私から何かを感じたのか、元からそうする気だったのか、愛ちゃんのお母さんは頷いてくれた。
「ありがとうございます。では失礼します」
まずは愛ちゃんのお母さんに一礼して、そのあと先生の方に礼をして席を立った。
「ちょ、ちょっとあさ美?」
「ほら、麻琴も行くよ」
「え?どこに?」
「いいから。失礼しました」
もう一度部屋の方を向いて礼をして、麻琴を無理やり引っ張って病院から出た。
- 167 名前:風の坂道〜3人の新たな出会い〜 投稿日:2003/09/28(日) 00:33
- 「ねぇ、あさ美ちゃんどうしたの?」
「どうしたのじゃないよ。愛ちゃん親友でしょ?」
「そ、そりゃそうだけど・・・そういうときは普通側にいてあげるんじゃない?」
「確かに愛ちゃんはずっと見ていたいけど、私が見たいのは笑ってる愛ちゃんだから」
「だからどうするの?」
「そんなの決まってるでしょ」
そして着いた先には私の家。
「あさ美ちゃん家?」
「そうだよ。今の医学で愛ちゃんを救えないなら、誰かがやらなきゃ!」
「まさか私たちが?」
「そうに決まってんじゃん」
「ってことは勉強?」
「もちろん!」
「まぁ、愛ちゃんのためだし嫌いな勉強も頑張るか」
「そうだね」
「ってあさ美ちゃんは勉強できるから良いな〜」
「はいはい。弱音はかずに」
「分かりましたよ・・・」
- 168 名前:風の坂道〜3人の新たな出会い〜 投稿日:2003/09/28(日) 00:37
-
月日は流れ・・・
「紺野先生、お客様です」
「なんて方?ってあなた新入りだったよね?昨日自己紹介してた・・・」
「はい。さゆみって言います」
目の前のちょっと幼めの女の子は、深々と礼をした。
「えっと、自己紹介しに来たんでしたっけ?」
「あ、そうでした。小川さんっていう方が来てます」
「そこを言わないと」
その少女が昔の自分とどこか重なって見えて、思わず微笑んでしまった。
- 169 名前:風の坂道〜3人の新たな出会い〜 投稿日:2003/09/28(日) 00:40
- 「あ、あさ美ちゃん久しぶり!」
「先週も会わなかったっけ・・・」
「気にしない、気にしない」
相変わらず麻琴は変わらないな、と思う。
「でも、今日やっとあの場所で会えるんだね」
麻琴がしみじみと言う。
「うん。あの場所で会ってこそって感じだね・・・」
「でもほんと色々あったね」
「麻琴なんか医学部落ちたとき、もう私死んじゃうとか言うんだもん」
「もうその話はしないでよ〜」
これを言うことが今の麻琴の弱点であり、私の楽しみでもある。
「でも結局夢は叶ったね」
「私何もしてないじゃんか」
「でも麻琴のひらめきがなかったらあの医療法は出来なかったよ」
「そんなに言われると恥ずかしいなぁ〜」
また、2人に笑顔が戻った。
「結局、2人とも愛ちゃんに支えられてここまで来れたもんね」
「うん。そして愛ちゃんも私たちに支えられたってことかな」
「あさ美ちゃん、かっこいいこと言うね〜」
「いやいや」
- 170 名前:風の坂道〜3人の新たな出会い〜 投稿日:2003/09/28(日) 00:46
- そんなことを話しているうちに、目の前にはあの丘。
2人でわいわい話しているうちに、あっという間に上まで着いた。
そして一番上まで来て、目に映るもの。
向こうに見えるのどかな町並み、
風に揺らめく緑の草、
昨日降った雨が残していった水たまり。
そして髪を風になびかせながら、こちらに背中を向け立っている女の人。
それはまぎれもなく・・・
「愛ちゃーん」
「あ、麻琴!あさ美!」
「愛ちゃん、ここに来たから改めて言うけど、今まで私たちの支えになってくれて・・・」
「私こそ、助けてくれて・・・」
「「「ありがとう」」」
きっとこの言葉も、今までの思いで達と同じように、いつもの風によって運ばれていったことだろう。
- 171 名前:露天家 投稿日:2003/09/28(日) 00:55
- 今度こそ完結です。
今まで読んでいただきありがとうございました。
できれば感想をお願いします。
これからは、この板になるか分かりませんが、短編書いていこうかと考えています。
そのときは、またよろしくお願いします。
- 172 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003/09/30(火) 22:31
- うおっまさかそう来るとは思わなんだ。
斬新で良かった。すごく良い。格好良い。
後半はニヤニヤして読んでましたw
すばらしい作品をありがとうです。お疲れ様でした。
短編ひそかに期待してますよ〜
- 173 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/08(水) 23:58
- 完結ありがとう……+αありがとう。
- 174 名前:名無しダム 投稿日:2003/10/16(木) 22:01
- 今日見つけて一気に読ませていただきました。
まじ感動....どうもありがとうございました!
ラスト紺野視点が自分の思っていたものとかなり違っていました。
いい意味で裏切られました。
短編待ってます。がんばってくださいね。
- 175 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/28(金) 13:37
- 保全
- 176 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/29(木) 18:52
-
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