運命はかえられる?
- 1 名前:サイレンス 投稿日:2003年03月27日(木)11時53分41秒
- 他で短編書いてるんですが、いしよし好きなんで
長編を書かせて下さい。
別に投げ出すわけではありません。
両方少しずつの更新をしようと思ってます。
投げ出さないでがんばります。
- 2 名前:プロローグ 投稿日:2003年03月27日(木)11時55分56秒
- 運命、その言葉はかつて私に絶望を与えた。
私から父、母、家族をうばったその人が
はじめて身近な人の死になにもできない
私に銃口を向けて言ったんだ。
「運命だった。あきらめな。」と
そこですべてが終わるはずだった。
でも、私の物語はそこで終わりを向かえは
しなかった
薄れゆく意識の中で私は泣いた
涙がかれるまで泣いた
泣きに泣いて出した答えは
私から私の生きがいをうばったその人に
一番大事な人の死を見せ付けて
耳元でささやくんだ
「運命だった。あきらめな。」と
そう、それが新たな私の生きがいになった。
『復讐はなんの解決にもならない。』
そんなこと……ない。そんなことは…。
でもね……私、気づいちゃったんだ。
私があなたに出会えたこと、出会ってしまった事
それもまた……
運命って言うことを……
- 3 名前:過去と今 投稿日:2003年03月27日(木)11時58分01秒
- 「い、いくらだ?いくらほしんだ?好きなだけくれて
やる。だから命は…」
男はポケットからありったけのお札を取り出して
床に転がす。
男がポケットから全てを取り出し終えたところで
それを眺めていた少女はやれやれといった表情
そしてゆっくりと口を開けてしゃべり出す。
「残念。お金間に合ってるんだ。給料日ね、昨日だったの。
でもね、しょうがないじゃん。
それがあなたの、運命だからさ。」
パシュ
吉澤ひとみは廊下を歩いていた。
窓から見えるのは太陽のひかり。それもオレンジ色の光。
でもこれは夕焼けじゃない。
そのまったく逆、つまり日の出ということだ。
吉澤は仕事の関係上、夜に行動することが多い
そして帰ったらこんな時間
そんなことが多いのだ。
- 4 名前:過去と今 投稿日:2003年03月27日(木)11時59分14秒
- 吉澤が仕事を終えて家に帰ろうと車のキーを
差し込んだそのとき吉澤の携帯のディスプレイに
着信を知らせるランプがともった。
吉澤は携帯の通話ボタンを押して口を開いた。
「はい、吉澤です。ああ、ごっちんかどうしたの?
ああそう。わかったすぐ行くね。」
吉澤は左手で携帯を切って置きそしてまた左手で
キーをまわした。その間右手はいっさい使われない
そう、吉澤にとって右手は銃を撃つ手
つまり人の命を奪うための手なのだ。
吉澤を知る者はみんなそれを知っているので
吉澤が右手を使うとその空間では
彼女が安全だということを感じているとわかる。
車を止めるとその車を置いてエレベーターに乗り込む
エレベーターが止まるとまた歩き出し
そしてある部屋の前までくると立ち止まった
吉澤が口を開く前に中から声がした。
「入ってええよ。今、口は出せても手がだせん。」
- 5 名前:過去と今 投稿日:2003年03月27日(木)12時00分03秒
- 「失礼します。」
中に入るとそこには30代に入ろうかどうかという金髪女性と
肩より少し長い茶色の髪の少女がテーブルを囲んで
何や勝負をしているようだ。
吉澤はソファーに座ってそれを眺めていたが
10分ほどで勝負がついたようだ
顔色を見る限り金髪の女性が負けて
少女が勝ったようだ。
「後藤、あんた強いは。こんな仕事さっさとやめて
転職したらどうや?」
後藤と呼ばれた少女は笑って
「裕ちゃんが下手なんだよ。それよりほら
私勝ったんだから。」
そう言うと壁にかけてあった金髪女のコートから
財布と取り出しそれを金髪女に投げた。
金髪女は受け取ると、「あぁ今月の酒代が。」
なんて言いながら1万円札を1枚渡す。
「裕ちゃんじゃ弱くて相手にならないよ。よっすぃー
やんないビリヤード?」
- 6 名前:過去と今 投稿日:2003年03月27日(木)12時01分15秒
- 吉澤はソファーから立ち上がり手を振りながら
「いいよ、私は。それより中澤さん、用事なんですか?
今日はちょっと疲れたからできれば早く帰って寝たいんです
けど。」
中澤はゆっくりと顔をあげた
「あぁせやな。あんたに来てもらったんは、その新しい銃と
前のどっちが使いやすいかって聞きたかったんや。圭織
がえらくきにしてるんよ。」
「飯田さんですか。直接言ったほうがいいですね。飯田さん
どこにいるんですか?」
「圭織ならさっき地下にいたよ。なんかぶつぶつ言いながら
考えこんでたみたいだよ。」
「ありがとうごっちん。じゃあ中澤さんちょっと行って来ますね。」
吉澤がそう言ってドアを開けて出て行こうとしたとき後ろで
「裕ちゃんじゃあもう一勝負といきますか。」
そんな声が聞こえてきて、
「よし、後藤ゆうたな。財布の中身からっぽにしたるわ。」
そんな会話が聞こえてきた。
そんな会話を聞きながら思った。『どっちが勝つか賭けるんなら
私は全額をごっちんに賭けるのに。』
中澤にはビリヤードのセンスがないのだ。
- 7 名前:過去と今 投稿日:2003年03月27日(木)12時02分45秒
- コンコンコン、ガチャ
「飯田さん失礼します。」
中には背の高く髪の長い女性がその特徴のある
瞳を輝かせてイスに座っていた。
「あっ吉澤。わざわざ来てくれたんだ。ありがとうね。
そこのイスに座って。今コーヒー入れるから。」
飯田は立ち上がってコーヒーメーカーのある
テーブルに歩いて行った
「あっすいません。でも家帰って寝たいんで
コーヒーはいいです。」
吉澤は飯田に言われた通りにイスに座って答えた。
「ああ、そうか吉澤仕事帰りか。ごめんね疲れてるでしょ?」
「いいえ、大丈夫です。銃のことですが、前のやつのほうが
使いなれてるんで、前のやつでお願いしたいんですが。」
「ええと、吉澤は何つかってたんだっけ?
たしかワルサー社のやつだったよね。」
私は自分の銃を取り出して。
「ええ、これです。この新しいのもいいんですが
長年連れ添ってきたほうがいいんで。」
「わかった。はい、これね。」
飯田は吉澤に弾の箱を手渡した。
「ところで裕ちゃん何やってた?」
飯田はコーヒーカップを手にとって言った
「ごっちんとビリヤードやってました。
そーとー負けてるみたいですよごっちんに。」
「裕ちゃん負けるの嫌いだから。でもいいかげん止めなきゃ。
裕ちゃんの部屋行くけど吉澤はどーする?」
「家帰って寝ます。今日も夜から仕事なんで」
吉澤は車のキーを取り出して飯田に頭をさげて
部屋を後にした。
- 8 名前:過去と今 投稿日:2003年03月27日(木)12時05分06秒
- 私はマンションの駐車場に車を止めて
部屋に入った。
いつも通りに服を脱ぎシャワーに入る
脱衣所の電気をつけて風呂の電気はつけない。
それもいつも行動。理由があった。
私は自分の体についたこの傷を見たくなかった。
その傷を見るたびに私は思い出す
家族が死んでいくその中で私は死を覚悟した
不思議と怖くなかった。
でも私の目の前にいたその人は銃をしまって
私に背を向けた。
「なんで?撃たないの。撃ってよ。」
私は家族が死んで自分だけ生き残る。そっちのほうが
こわかったんだろう。
その人は立ち止まって振り返ったが
何も言わない。
私はそばに落ちていたナイフを拾って自分の
ノドを突こうとした。でもそれを阻まれた。
パシュ
そのとき私の手にしていたナイフははじかれて、
肩に深い刺し傷をつくった。
私は気を失っていった。
シャワーからでると私は簡単な食事をすまして
すぐに眠りについた。
- 9 名前:白い天使な女の子 投稿日:2003年03月30日(日)13時30分15秒
- 夕方の5時、私の携帯の目覚ましがなる時間。
私は携帯が鳴る前におきてそれを止める
いつもとなんら代わりの無い生活のリズム。
それを狂わせる一本で電話が入った。
「もしもし吉澤か?ちょっと来てほしいねんけど。
今からすぐにこれるか?」
私は髪をセットしながら電話に答える。
「ええ、それはいいですけど
仕事はどうするんですか?」
「それは後藤にまかせた。とにかく来てくれ
待ってるから。」
私は急いで髪を整えて、ベーグルをひとつ
口にくわえて家を出る。
事務所につき、いつも通りにエレベーターに乗り込む
中澤さんのオフィスのある階そこでエレベーターは
止まる。ドアが開く。
いつもとなんらかわらないことでも、でも
その日は違った。そこには見たことの無い少女がいた。
私は息を飲んだ。
天使かと思った。
- 10 名前:白い天使な女の子 投稿日:2003年03月30日(日)13時32分05秒
- 私は少女を知らない。
知らない?本当にそうなのか?
私は彼女を本当に知らないのか?
じゃあ知っている?
どこで?どこであった?
忘れた?そんなはずない。
こんな女の子を天使のような子を忘れるか?
- 11 名前:白い天使な女の子 投稿日:2003年03月30日(日)13時33分51秒
- 私にはわからない。
でも彼女は私戸惑っている間にエレベーターの中に消えて
しまった。
彼女は天使だったのか?わかんない。
でも、白いワンピースを着たその少女に私は
少なからず興味を引かれた。
私は中澤さんの前に立っていた。
中澤さんはこの前とはうって変わって
忙しそうだった。
「中澤さんどうかしましたか?」
私はそれを見てそう切り出した。
「吉澤か呼び出しといてすまん。ちょっと用事ができたんや。
ちょっとの時間どっかで適当に時間つぶしてくれ。」
私は忙しそうな中澤さんを尻目に
それじゃあと、部屋を出ていつもの
屋上に行くことにした。
- 12 名前:白い天使な女の子 投稿日:2003年03月30日(日)13時35分27秒
- 私は屋上が好きだ。
私がいつも屋上に行くころには
そこには一面の夜空が広がっている。
景色は最高。空気は澄んでいる。
そしてそこは夜のにおいがする。
夜のにおいってなんだ?
わかんないけど雰囲気のことかな。
そしてそれに加えて今日はそこに天使がいた。
彼女は私が開けたドアの音に気づきこっちを
見たがすぐにまた夜空を見上げた。
心臓がどきどきしている。
「きれいだよね。私も夜空って好きなんだ。
なんか星とか見てると落ち着く。」
私の口から自然にそんな言葉がもれる。
少女は私の方を見るとニコって笑った。
しばらく夜空を見入っていた。
どれくらいたっただろうか
あっという間だった気がするし
永遠だった気がする。
彼女はゆっくりと私の顔を見る。
そして星空そっちのけで彼女を見入っていた
私と目線が合う
- 13 名前:白い天使な女の子 投稿日:2003年03月30日(日)13時37分22秒
- 「昔ね、あるところに女の子がいました。
その子は生まれた時から両親の顔を知りません。
女の子はある日自分を育ててくれた人に尋ねてみました。
『なんで自分にはお父さんとお母さんがいないの』と
その人は困りました。まだ小さかった女の子に
知らせるべきかどうかを。迷ってその人は言いました
『お父さんとお母さんは遠い国にいるんだよ』と
女の子は会いたいと駄々をこねてついに
泣き出してしまいました。
困ったその人は女の子に言いました
『流れ星は願い事をかなえてくれる星なんだよ。
流れ星が消えてしまう前に願い事を3回繰り返すと
その願い事はかなうんだよ』って。女の子は来る日も来る日
も星にお願い事をしました。
でもあるとき女の子は気づいてしまったのです。
それが迷信であることに。」
- 14 名前:白い天使な女の子 投稿日:2003年03月30日(日)13時39分21秒
- 「もう行くね。またすぐに会えると思うけど。」
彼女はそう言うとまた私の前から姿を消した。
またすぐあえる。
私はその言葉のあいまいさに気づいていた。
でもその言葉は嘘には感じられなかった。
それより彼女が立ち去る前に見せたその悲しい瞳。
それはある女の子が誰であるかを
そしてその女の子がどれくらいの失望を味わったのかを
ものがたっていた。
- 15 名前:サイレンス 投稿日:2003年03月30日(日)13時44分18秒
- 更新しました。
ストックなくなった。どーしよう。
見てる方いますか?
感想とかいただけると…うれすぃーです。
- 16 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年03月31日(月)01時06分19秒
- 見てまっせ〜
梨華ちゃんとよっすぃ〜のつながりや過去、そして二人のこれからと…とにかく続きが気になりまくりです!!
- 17 名前:少女の依頼 投稿日:2003年04月04日(金)21時12分17秒
- 「吉澤こんなとこにいたんだ。」
聞きなれたやさしい声、振り向くとそこには
笑顔の飯田さんの姿があった。
「ええ、この場所好きなんですよ。」
私はさわりないように答える。
「裕ちゃんが一段落したから来てくれって。」
私は了解っといって立ち上がる。
立ち上がった私のほほに風があたる。
「うう、寒いねぇ。さあ吉澤、冷えるといけない
からなか入ろう。」
飯田さんにはただ寒いだけにしか感じない
かもしれないこの風。でも私はこの風が好きだ。
夜風はとくに格別最高だ。
飯田さんが話してくれることを聞きながら
私はまた中澤さんのオフィスに入った。
- 18 名前:少女の依頼 投稿日:2003年04月04日(金)21時13分46秒
- 中澤さんはイスに腰掛けてコーヒーを口にしていた。
表情は疲れたってかんじで、たった今仕事が終わったって
かんじだ。
「おぉ、吉澤かさっきは悪かったな。ちょっと急に
立て込んでな。今度なんかおごるから堪忍してや。」
私はこんな人間味のある中澤さんが好きだ。
「いいえ、気にしてませんよ。それよりかなんの
要件ですか?」
中澤はコーヒーをもう一口飲み飯田にカップを手渡した
「実はなぁ、吉澤に名指しで指名が入ってるんや。
まあうけるのも断るのもあんたの自由やけどな。
指名ってのもめずらしいから一応あんたを呼んだんよ」
指名ってのはめずらしい。私もはじめてのことだった。
とりあえず会うだけでも
「ええ、会ってみます。その人はどこにいるんですか?」
「ああ、そこの中や。ごゆっくりな」
中澤さんはこっちに向けて手をひらひらとふった。
飯田さんは中澤さんのカップにコーヒーを
注いでいるのが目にはいった。
- 19 名前:少女の依頼 投稿日:2003年04月04日(金)21時14分39秒
- ドアを開けるとそこにはあの子がいた。
なんとなく予感はしていたから驚かなかった。
女の子は私に笑顔をむける。
私も笑顔でそれに答える。
「以外と早かったね。」
私は彼女に言った。
「そうだね。って私はわかってたんだけど。」
私は彼女の正面に座る。
「さてと、私はなにから話せばいいのかな吉澤さん。」
私は自分を少し落ち着かせるためにコーヒーをすすった。
「いやじゃなかったら本名を、それから依頼の
内容をくわしく教えてください。」
彼女はそれに目をパチパチさせた後
少し笑いながら答える
- 20 名前:少女の依頼 投稿日:2003年04月04日(金)21時15分33秒
- 「いやじゃなかったらって、いやだって言う人いるの?」
「それは、こんな仕事だからね。
自分の素性を知られたくないっていう人は多いよ。」
「そっか。でもしばらく一緒にいてもらうんだから
隠さず言うね。本名は石川梨華。」
(しばらく一緒にいてもらう?)
「それで仕事の内容は私を守ってほしいの。
一緒にいてほしいの。」
「石川さん。守ってほしいとはどういうことですか?
くわしく教えていただきたいんですけど。」
石川は吉澤の顔を見ながら言う
「この仕事を引き受けてくれるんならくわしいこと
を話ます。」
引き受けるか断るか。そんなの最初から決まっていた
みたいだった。断るなんて概念最初からなかった。
「ええ、お受けします。」
- 21 名前:少女の依頼 投稿日:2003年04月04日(金)21時16分27秒
- 石川さんは笑顔になった。
すごくかわいい。私の心臓はさらに高鳴った。
「じゃあ、くわしいことを教えます。
私は狙われてるみたいなんです。だから
しばらくの間私を守ってほしいんですよ。」
彼女の言ってることは漠然としていた。
「石川さん誰が何のためにあなたの何を狙ってる
んですか?」
「それがわからないんですよ。なんでかなんて全然わかんなくて。
昨日も買い物に行こうと思ったらなんか家の前にへんな人
がいて出れなくて、どうしたらいいのか、わかんなくて
そこで知り合いに相談したらここの電話の番号
教えてくれたんでここに電話して迎えに来てもらったんです。」
(なんかひっかかる。石川さんが狙われてる?)
「家の前に人がいただけで、自分が狙われてるって
思ったんですか?」
石川さんは口ごもりながら答えた。
「実は、ここ数日それが続いたもので…
それに私なんとなく人がなに考えているか
わかるんです…」
- 22 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月04日(金)21時29分42秒
- 更新でした。
>ラヴ梨〜様
ありがとうございます。
梨華ちゃんとよっすぃーのこと…これから
徐々にわかります。これからも見ていただけると
うれすぃーです。
明日は岡女のバカ女ということで…
本命はずばり、よっすぃーだとにらんでます。
対抗は年齢で新垣さんか?
1番頭いいのは紺野さんかな?
- 23 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月08日(火)00時03分04秒
- 淡々と流れる中で進むここのお話何だかいい感じですね。
最後の梨華ちゃんの台詞も気になるところです。
次回更新楽しみにしています☆
岡女最高☆
- 24 名前:少女の依頼 投稿日:2003年04月09日(水)17時38分36秒
- 私は石川さんの顔を見た。目を見た。
(嘘を言ってる目じゃない)
「石川さん、私あなたを疑ってるとおもいますか?」
石川さんが私を見る。
「信じてくれるんですか?うれしいです。
でもなんでですか?」
「石川さんが他人の考えがわかるのと同じですよ。
目を見ればその人が嘘を言ってるか
わかるんです。はずれたことありません。」
「吉澤さんよろしくおねがいします。でも…
私、学校とかどうすれば…」
「こっちでなんとかしますよ。中澤さんが
助けてくれます。」
石川さんがそうですかと答える。
- 25 名前:少女の依頼 投稿日:2003年04月09日(水)17時41分41秒
- 私は石川さんにその部屋で待っててもらって
隣の部屋にいる中澤さんに事情を説明する。
「ということなんですよ。」
中澤さんはゆっくりと閉じていた目を開けて答える。
「そうか。してあんたは受ける気なんやろ。」
「はい。」
私はひと言だけ答える。
「そしたら、吉澤の好きにするがいいさ。
うちが決めることやない。それでこれからどうする
気なんや?ここにずっと石川さんを置いとくわけには
いかんで。」
「中澤さん、彼女なんで狙われるんでしょうかね?」
「あぁ、聞いてないんか。彼女は国際的な会社の
社長の一人娘やねん。そんでその社長が亡くなって
娘のあの子が一人で莫大な財産ついだんや。
数千億の金やったらしいから。親戚が口出してきたんや。」
- 26 名前:少女の依頼 投稿日:2003年04月09日(水)17時42分31秒
- 私はそんなことが信じられなかった。
「それじゃあ石川さんを狙ってるっていうのは親戚の
人なんですか?信じられません。」
「まあ、そうと決まったわけやないから。とにかく
石川さんを守ってあげるんやで。学校のことはうちが
なんとかしておくわ。」
「はい、よろしくお願いします。中澤さん。」
- 27 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月09日(水)17時59分53秒
- 少ないですが更新でした。
>匿名匿名希望様
感想ありがとうございます。
ここでは修行の意味でいしよし書かせて
もらってるんですけど難しいです。
いつか『僕と君との物語。』のような理想ないしよし
を描けるようになればよいのですが。
皆様もご存知でしょうがここの板はいしよしの
名作が多いので自分これを最後にsage進行で
行きたいと思います。ご理解ください。
後、バカ女の予想外した〜〜
よっすぃもっとバカだと思ったのに。
辻さん、あなたほんとに来てるよ!!!
- 28 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月09日(水)18時12分09秒
- 申し訳ありません。訂正です
>いつか『僕と君との物語。』のような理想ないしよし
『僕と君との物語り』でした。
作者様すいません。自分の大好きな作品のタイトル
間違えるとは。ほんとごめんなさい(涙
- 29 名前:修行僧2003 投稿日:2003年04月09日(水)21時04分11秒
- で、こちらにもお邪魔してみたり(w
いいっす!
すごく好きです。引き込まれます。
あぁ。2人の今後の展開が気になります。
また読ませてください。
- 30 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月10日(木)14時13分35秒
- 全くもって気にしてないので大丈夫でございます♪
護り人よし子に期待です☆
どうなっていくのでしょうか、ハラハラしながら次回更新待ってます!
- 31 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月12日(土)21時45分05秒
- 私の車の助手席に人が乗るのは初めて。
その初めての人は石川さん。
「吉澤さん聞きたいことがあるんですけど。」
私はハンドルを握りながらそれに答える。
「なんですか、石川さん、何でも聞いてください。」
石川さんが私のほうを見て言う。
「あの…。吉澤さんってかなり運転手馴れているかんじ
ですけど歳いくつなんですか?」
(あれ、私、年いくつだ。運転なんて何年も前から
やってるからな…。)
「あの、たしか17か18です。石川さんは?」
石川さんは優しい目で私をみつめる。
「そしたら私と同じか1歳下ですね。ひとみちゃんって
呼んでいいですか?吉澤さんて呼びづらいし
他人行儀でいやなんです。」
- 32 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月12日(土)21時46分18秒
- 私はハンドルをきって高速にはいる。
「ええ、いいですよ。石川さん。」
石川さんは少し浮かない表情をしている。
しばしの沈黙。
私の好きな夜の風が私の顔にあたる
風邪は私にいろんなことをあたえる。
勇気、冷静、そして…寂しさも
その後で私は石川さんに聞いてみた。
「石川さん、さっき知り合いに聞いて電話したって
言いましたよね。ってことはここのこと知らなかった。
それなのになんで私を指名した
んですか?」
石川さんは少し考え込んだ後に答えた。
「ひとみちゃん、実は前に見たことがあるんだ。
それで中澤さんに写真見せてもらったときに
ひとみちゃんに頼むことにしたの。」
- 33 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月12日(土)21時48分44秒
- (見たことがある?いつ?どこで?わかんない…。
思い出せない)
「い、石川さんどこで見た…」
「ひとみちゃんはわかんないかもしれない。
何年も前だし…。
お腹空かない?どっかよって行こう。」
その言葉に私は救われた。
これ以上考えても答えがでる気がしなかったから。
「うん、いいところ知ってますから。
そこでいいですか?」
私は尋ねながらラジオのスイッチを回す
そこから流れてくる曲。
いつか又どうしようもなく寂しくなったその時は
何処にいても何をしてても駆けつけてあげるから
ありふれてる言葉なんて捨て去ってしまおう
何もいらないあなたがいる それだけが僕の全て
- 34 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月12日(土)21時50分29秒
- 高速を下りて少し車を走らせる。
そして住宅街の一角にある喫茶みたいなお店
車1台分しかないスペースに私は車を止める
すでに夜が明けはじめていてうっすらと
太陽の日が昇り始めている
カランカラン
「いらっしゃい。って吉澤かぁ。」
女の人が笑顔でそう言う
「安倍さん、こんばんは。じゃなくてもう
おはようございますか。」
安倍さんの笑顔は見てる人の心を暖める。
安倍さんはもともと私達の仲間だった。
私やごっちんが入る前は、ばりばり
第一線で活躍していたのだが私達が入ってから
は後方に下がって、私の教育を担当してくれていた。
- 35 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月12日(土)21時52分29秒
- そして半年くらい前に突然組織を去って
この料理店を開いたのだ。
お金を稼ぐのが目的ではないこのお店は
1日に2組から3組ほどの客しかこない
そうだが安倍さんはとっても満足しているようだ。
「ちょっと吉澤、後ろのかわいい子は誰なんだい?
彼女かなんかなの?」
安倍さんは石川さんの方をみて言った
「ち、違いますよ。彼女なんかじゃありません。
依頼人ですよ。石川梨華さんです。」
石川さんは安倍さんに軽く頭を下げて言う
「どうも、石川梨華です。よろしくお願いします。」
安倍さんは笑顔で返す
「梨華ちゃんか、いやーかわいいね。吉澤にぴったり
でないかい。梨華ちゃん、吉澤のこと頼むよ。」
- 36 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月12日(土)22時06分14秒
- よっすぃおめでとう〜。
18ってことは9時以降の番組にも石川さんと
一緒に出れるじゃないですか(感激
>29 修行僧2003様
おお、わざわざ感謝です。
いいですか?暗い系なんでね、修行僧様の
甘い系のいしよしと違うんですが、がんばります。
ぜひ暇な時にでも見に来てください。
>30 匿名匿名希望様
はい、よっすぃには石川さん護ってもらわないと
ど〜なるかは自分にもまだわかんないです。
でも、一生懸命がんばって書きます
前回sage進行っていったんですがsageでいくと
他の作品に誤投稿しちゃいそうなんであげていきます。
アホでごめんなさい(涙
- 37 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月14日(月)12時49分07秒
- 更新お疲れさまです。
よしといしの過去気になりますねぇ。
『?』を浮かべながら次の更新待ってます☆
- 38 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月17日(木)12時38分14秒
- お店の中は3つのテーブルがあって
それにイスが2つずつ。
植物かなんかがおいてあってとっても落ち着く雰囲気
そしてそこから安倍さんの厨房が見えるようになっている
私は石川さんにイスを引いて座らせてあげる。
「ありがとう、ひとみちゃん。」
石川さんは笑顔で私に言う。
彼女の笑顔に私の心臓はどきどきいってる。
「お〜い吉澤、メニューなににするんだい?
言ってくれないといくらなっちでも何作って
いいのかわかんないよ。」
「ひとみちゃん、ど〜したの大丈夫?」
石川さんは顔をのぞかせて私を見てきた
それがぼ〜とする原因なんだよ石川さん。
私は石川さんを意識しないようにして
「私はサンドイッチにするよ。石川さんは?」
- 39 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月17日(木)12時39分48秒
- 石川さんはう〜んと考えた後に
「じゃあひとみちゃんと同じの。」
安倍さんがあいよって言った。
安倍さんがサンドイッチを作っている間に
私は石川さんに聞いてみた。
「石川さんって将来の夢とかってありますか?」
あたりさわりのない質問でも石川さんは真剣な表情になる
「私ね、過去にひどいことをしてしまったの。
人を傷つけてしまった。だから夢はなんだって
聞かれても私の夢はその人に許してもらうこと
いや、許してくれなくてもいいんだ。
その人が幸せになってくれれば。」
石川さんのその表情に私は言葉を失った
なんて痛々しい表情。彼女の苦しみがわかったから。
- 40 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月17日(木)12時40分27秒
- 安倍さんの料理は最高
石川さんもすっごくおいしそう。
料理を食べ終えた私たちはしばらく他愛ない
話をし時計の音が7時をつげたころ
「さて、そろそろ行きますか。」
私は立ち上がって背伸びをひとつした
石川さんがコーヒーを飲み終えてカップをおく
「うん、おいしかったです安倍さん。
また来ますね。」
「うん、梨華ちゃんも吉澤もまた来てね。」
安倍さんは厨房から顔を出して言った
「はい、また来ます。お金ここにおいておきますから。」
私は財布からお金を取り出してカウンターの上に置いた。
- 41 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月17日(木)12時41分31秒
- 私たちが石川さんのマンションについたのは8時過ぎ
石川さんの言っていた人影はなく
家のなかも特に変わった感じは無かった。
石川さんはコートをかけると私の方に顔を向けて
「自分の家だと思って楽にしていてシャワー浴びてくるね」
そういて部屋を出て行った。
私はリモコンでテレビをつける
そして家の中を見て回る
改めて人の気配はない。石川さんと私以外は
誰もいないはずだ。
私は電話機の前に立ち止まる
受話器を調べてみる。盗聴器がないか
でもやっぱりそんなものは無い様子
しかし電話を置いた瞬間
「いや〜。来ないで。助けてひとみちゃん。」
石川さんの悲鳴が聞こえる。
- 42 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月17日(木)12時42分09秒
- そんなバカなたしかに2人の気配しかなかったのに
私は石川さんのいるバスルームに走る。
ガラッ
「梨華ちゃん、大丈夫?」
そこにはうずくまった彼女が
でも他は誰もいない。
「ひとみちゃん、む、虫がいたの。」
なんだ虫かよかった
でも次の瞬間、私は真っ赤になった
バスタオル1枚の彼女がいたから。
「も、もうどっか行ったみたいだよ。それじゃあ
私あっちの部屋にいるからね。」
私がその場を立ち去ろうとする
「まって!!」
- 43 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月17日(木)12時42分48秒
- 「ひとみちゃん、今、私のこと名前で呼んで
くれた。ねえこれからも名前で呼んで。」
自分の顔がよりいっそう紅潮していくのがわかった
「うん、わかった。」
私はそれだけ言うとドアと閉めた。
石川さんといるとどきどきすることが多い
この気持ちは何なんだろう。
私は石川さんが好きなのかな?
どういう好き?
友達としての好き、一人の人間としての好き?
愛してる?
わからない。全然わからない。
人間なんてみんな同じ
自分のことばっかりで結局最後は自分を守る
- 44 名前:私の気持ち 投稿日:2003年04月17日(木)12時43分32秒
- あの人だって、あの人だって結局そうだった
私のこと好きだって言ってくれたのに
愛してるって言ってくれたのに
最後は結局、最後は
自分のことしか考えてなかった。
あの時あの人は何を考えて私を撃ったの
なんでついさっきまで自分が好きだって
愛してるって言ってた人を撃てるんですか
私もそういう状況になったらやっぱり撃っちゃう
のかな?
わかんない。わかんないですよ
なんでなんですか?
教えてくださいよ
矢口さん。
- 45 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月17日(木)12時57分29秒
- 更新でした。
今日は午前中に用事があって午後から暇
夜は友人とお出かけみたいなスケジュールです。
(って誰に言ってるんだろう?
>>37 匿名匿名希望様
いつもレス感謝です。ほんとうれすぃ〜です。
ここのいしか〜さんとよっすぃは互いど〜思ってるんだか
ただ、森のやつと違ってバカではないようです(w
ありがとうございます、がんばっていきます
今日はハンバーガー片手に更新でした。
ナゲットさいこ〜においしい。
次回の更新でよっすぃの過去がわかる!?
(読者引き付けねらい(w
- 46 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月17日(木)21時11分50秒
- 更新おつです。
矢口来ましたねぇ。
来てしまいましたねぇ・・・。
梨華ちゃん、どしたの?どしたの??どうしたの??
気になる続きをじっと待たせていただきます。
- 47 名前:あの時のこと 投稿日:2003年04月20日(日)22時24分28秒
- 私の初めての仕事
もう何年前かなんて覚えてないけど
雨が降っていた
私は当時先輩だったその人と一緒に任務についた
夜道を待ち伏せて
ただ一発弾丸を打ち込めば終わるはずだった。
人が来た。私は銃を構える
後3歩、2歩、1歩。
パシュ
終わった…はずだった
でも倒れた音がしない私は確かに心臓に
1発を入れたはず。
「残念、惜しかった。」
そこには体格のいい男が一人
平然と立っていた
- 48 名前:あの時のこと 投稿日:2003年04月20日(日)22時25分13秒
- 私が失敗したと感づいたときには
もう私はその男に銃をつき付けられていた。
「矢口さん助けて。」
私は叫んでいた
パシュ
次の瞬間私は足に激痛が走ってその場に倒れていた
(撃たれた。誰が撃ったの。犯人じゃないその後ろから)
でも私が激痛のあまり気を失いかけたそのとき
私の目に飛びこんできたのは
ピストルを両手で握っている女性
矢口さん…どうしてですか
- 49 名前:あの時のこと 投稿日:2003年04月20日(日)22時26分18秒
- 私が次に目を覚ましたときには病院のベットの上
横には飯田さんがいた。
「吉澤、目覚めたみたいだね。今、先生呼ぶから…」
「矢口さんはどこですか?どこにいるんですか
矢口さんは。」
私は矢口さんに会って確かめなきゃって思った
「後で話すわ。それより先生を…」
「矢口さんのこと教えてください。
どうなったんですか、あれから?」
飯田さんは一度立ち上がったがもう一度イスの座り
口を開いた
「矢口は行方不明。矢口から吉澤がどうなったか
確認してくれって電話が入って
そこに行ったら吉澤一人が倒れていた。」
- 50 名前:あの時のこと 投稿日:2003年04月20日(日)22時27分25秒
- 「もうひとつ、私を撃ったのは…」
飯田さんは口ごもりながら答えてくれた
「あなたを撃った弾が矢口のやつとまったく同じだった。
矢口のは特注だから
まず矢口が発砲したと考えて間違いない。」
なんで矢口さんが私を撃ったの?
私を殺そうとしたの?
手元が狂った?違う。あの人がそんなミスする分けない
矢口さんは組織の中でも安倍さんにならんで
銃の扱いがうまい。
「矢口に撃ち抜けないのは仲間くらいのもんだ。」
ってよく言ってた。
じゃあなんで?
足手まといだから?
教えてください矢口さん
- 51 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月20日(日)22時36分17秒
- 更新でした。
>>46 匿名匿名希望様
矢口さんきました。う〜ん出しちゃった
この先矢口さんちょっと大事な役に
なってもらう予定です。
がんばって書いてきますんでこれからもよろしくです!!
ええと、ええと、がんばります。
- 52 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年04月22日(火)00時33分26秒
- 更新おつです。
深まる謎ってやつにはまっております。
矢口さんは何処へ・・・。
次回更新待ちを正座して待ってます(w
- 53 名前:私と梨華ちゃん 投稿日:2003年04月29日(火)19時56分47秒
- 「…とみちゃん、ひとみちゃん。どうしたの?」
目を開けるとそこには石川さ…梨華ちゃんが
ここはリビングみたいだ。
「なんでもないよ、梨華ちゃん。それより私も借りていいかな
シャワー?」
私は梨華ちゃんを護るのが仕事。今はそっちに集中しなきゃ
自分のことなんて考えてる場合じゃない。
「いいよ、ひとみちゃん。疲れ取ってきて。」
腰を上げてバスルームに向かうでもその前に
「梨華ちゃん、いちおう鍵とかはさっき私が確認したけど
私がシャワーしてる間は誰が来てもドア開けないで。」
梨華ちゃんは首を縦に振ってうなずいた。
梨華ちゃんの動作一つ一つが全部かわいい
私はこの人をどういうふうに考えてるんだろう?
- 54 名前:私と梨華ちゃん 投稿日:2003年04月29日(火)19時57分22秒
- シャワーは夜の風と並んで好き
こっちも風と同じで癒してくれる。疲れを取って
くれる。
汗とかと一緒に私の中のマイナス感情が洗い流されていく
みたい。今日の疲れを取って明日に繋げる
私にとってシャワーはそんなもの
シャワーからでると梨華ちゃんは一人でソファーに
座っていた。私は声をかけようと梨華ちゃんのそば
に近づく
でもそこでぴたりと止まらざるおえなくなった
梨華ちゃんが泣いていた
まだ濡れている髪、そしてそれ以上に
濡れている瞳。
涙は頬を伝って彼女が着ている服に届く。
そして彼女はつぶやいた
「ごめん、ごめんね。…みちゃん。」
- 55 名前:私と梨華ちゃん 投稿日:2003年04月29日(火)19時57分56秒
- 泣いている、泣いている梨華ちゃんが
悲しそうな表情。
涙を流してる、涙が瞳から溢れている
安倍さんのお店で見たあの悲しい表情、瞳
あの時と違うのは、涙が出てること
胸がくるしい。彼女を見てるといっつもそうだ
どきどきして胸がくるしくなる。
そしてどこかそれが心地良いものに感じる
でも今は違う。心地よさなんて感じない
ただ、ただ胸がくるしい。
わからない、わかんない
この気持ちは何、なんなの?私は梨華ちゃんの
ことをどう思っているの?
教えて、誰か教えてよ
- 56 名前:私と梨華ちゃん 投稿日:2003年04月29日(火)19時58分29秒
- バサッ
私のバスタオルが床に落ちる
梨華ちゃんが私に気付いて顔を上げる
「ひ、ひとみちゃん。」
彼女はそう言うと頬を流れる涙を拭う
そして私に感づかれないように装う。
「ひとみちゃん待ってたら眠くなっちゃってね。
ご、ごめんね。緊張感なくて。」
無言で梨華ちゃんに近づく
「ひ、ひとみちゃん。私ね…」
梨華ちゃんの言葉はそれ以上聞こえなかった
私がしゃべれなくした。唇を塞いだ。
- 57 名前:私と梨華ちゃん 投稿日:2003年04月29日(火)19時59分00秒
- わかった。答えが出た。私が梨華ちゃんを
どう思ってるか。
私はこの人、石川梨華が好き。
昨日出会ったばっかりなのに
昨日偶然あって少しの間一緒にいただけなのに?
普通じゃない。昨日出会ったばっかりで変なのかな?
でも、でもね…私は梨華ちゃんが好きってわかった。
きっとこの気持ちは間違っていない。
- 58 名前:私と梨華ちゃん 投稿日:2003年04月29日(火)19時59分38秒
- 次の日、私は梨華ちゃんの学校に付き添った
なんてゆーか梨華ちゃんと一緒に登校するのは
照れくさかったりする。
昨日、私が梨華ちゃんにキスした後
梨華ちゃんはぐっすり寝てしまった。
梨華ちゃんは何も言わなかった。
私を拒むこともしなかったしかといって
私のキスを受け入れるわけでもなかった
ただ、梨華ちゃんの涙は止まっていた。
私はそれだけで満足した。
学校に着くと私は何故か転校生ってことになっていた
それで私は梨華ちゃんの教室に堂々といられるわけだ。
中澤さんが配慮してくれたらしい。
だが授業ははっきりいってさっぱりわからなかった。
昼休みは一緒に食べて学校が終わると2人で帰るそんな日が
何日か続いた。
- 59 名前:サイレンス 投稿日:2003年04月29日(火)20時06分57秒
- 更新でした。
なんか最近早くもスランプだ。
なんかあんまり書けないです。
ギャグは書けるのにな〜w
>>52 匿名匿名希望様
書けば書くほど謎が深まる矢口さん。
ど〜なるんだろあの人、そしてこの話(w
レス感謝してます。がんばりま〜すです。
がんばりますよ、うん。がんばります
- 60 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月02日(金)00時35分01秒
- 更新おつです。
自分もスランプの時本気でどうしたもんかと頭悩ませましたよ(苦笑)
ってか今も微妙にそうなんですけどね(爆)
お互いに頑張りましょう!
- 61 名前:修行僧2003 投稿日:2003年05月05日(月)00時19分23秒
- いやぁ。参りました。
あ、その前に、更新乙です!!!
やっぱりね、ひきこまれますよぉ♪
やっばいよぉー。自信なくしちゃうよぉー私・・・。
でもめげないのです。
すっごくいい小説読ませてもらえて心底嬉しいのですから♪♪♪
あぁ。マジでドキドキがとまりません。
責任とってくれますか?(w
ここのいしよしいいっす!
・・・あ。また私落ち込みそうだわ(笑)
これからもお互いがんがっていきまっしょい♪
本当に楽しみにしてますので、これからもがんがってくださいねー♪
- 62 名前:突然の手紙 投稿日:2003年05月06日(火)23時38分52秒
- ある日の日曜日だった。
梨華ちゃんがデートに行こうと言い出した
私がこの家に着てから梨華ちゃんに危害を
加えようとしている人影はまったく感じられない
だから私はその誘いに乗ることにした。
梨華ちゃんにはデートのこだわりが
あるようで、私が一度家を出て梨華ちゃんの
家に梨華ちゃんを向かいに行く、そして再び私の車に
2人で乗って遊園地に行くことになった
行くあてもなく適当に車を走らせていると
中澤さんから電話が入った。
「あのな吉澤、急用ができてん。急いでこっちに
に来れるか?」
ここから中澤さんのとこまでは
20分くらい。私は車をとばして中澤さんの
とこに向かった。
事務所に着くとそこには飯田さんが待っていた
- 63 名前:突然の手紙 投稿日:2003年05月06日(火)23時39分33秒
- 「裕ちゃんちょっと用事で出かけちゃったみたい。
それで、かわりに私が要件を伝えるね。」
飯田さんはイスに腰かけるとゆっくりと
しゃべりだした。
「じつは、吉澤には石川さんの仕事から少しの
間だけ離れてもらいたいの。」
飯田さんはゆっくり冷静な口調でそう言った
「なんでですか、他の仕事ならごっちんとか
に頼めばいいじゃないですか。」
「それが、この仕事はあなたが適任だと思うの
というかあなたが断ち切らなきゃいけない
問題とでもいったほうがいいかな。」
「断ち切らなきゃいけない問題?
なんですかそれ?」
「昨日、事務所宛に手紙が届いたの。
それがあの矢口から。」
- 64 名前:突然の手紙 投稿日:2003年05月06日(火)23時40分06秒
- (矢口さんから手紙?やっぱり生きていたんだ矢口さん
でも今ごろなんで連絡なんかとらなきゃいけないんだろう)
「飯田さん、矢口さんはなんていってきたん
ですか?そもそもなんで今ごろ連絡を?」
「矢口はね、あの手紙で吉澤に会わせてくれって
言ってきた。それで裕ちゃんと私で矢口の意見にしたがって
吉澤に会ってきてもらおうってことにしたの。」
「どうかな吉澤、会って来てもらえない矢口に。
そして矢口からいろいろ聞き出してきてほしいの
なんで突然いなくなったのとか。こっちは
全然わかんないんだから。」
- 65 名前:突然の手紙 投稿日:2003年05月06日(火)23時40分39秒
- 「…分かりました。矢口さんと会ってきます。
でもいつどこで矢口さんに会えばいいんですか?」
「なっちにその内容を伝えてあるって
書いてある。だから吉澤はなっちのとこによって
その内容を聞いてから向かってほしいの。」
「わかりました。でも梨華…石川さんのことは
どうしますか?彼女のことはどうすれば…」
- 66 名前:突然の手紙 投稿日:2003年05月06日(火)23時41分26秒
- 「なっちのとこに行く時に連れて行ってあげて
吉澤の仕事が終わるまでなっちのとこに
かくまってもらえばいい。ちょうど夏休みでしょ。」
「わかりました。じゃあ早速石川さんと連れて
安倍さんのお店に向かいます。」
「うん、頼んだよ吉澤。」
飯田さんは最後に笑顔を浮かべてそう言った
部屋を出てエレベーターに乗り込もうとした時
私はごっちんに会った。
「やあ、よしこ。ここに来るの久しぶりじゃない
仕事の用事でもあったの?」
「うん、ちょっとね。ごっちんもなんか仕事の
用事でもあったの?」
「私は暇だから来ただけ。
じゃあ、よしこまた今度ね。」
ごっちんはそう言うと今は飯田さんのいる部屋
へと消えていった。
- 67 名前:突然の手紙 投稿日:2003年05月06日(火)23時42分23秒
- 私は梨華ちゃんの家に帰る途中に考え事をしていた
信号が青になったのに気付かないくらい。
後ろの車にクラクションを鳴らされてようやく
信号の色に気付いたくらいだった
もちろん矢口さんのことが1番
なんで今ごろになって会いたいなんて
言ってきたのか。
そもそもなんで私達の前から居なくなったのか
そしてなんで私に会いたいなんて言ってきたのか
矢口さんは何を考えてるんだろうか
それに加えてもうひとつの疑問
矢口さんのことにくらべると小さいこと
なんだけど…
「なんで突然いなくなったのとか。こっちは
全然わかんないんだから。」
そういった時の飯田さん。目を見ていてわかった…
嘘を言っている目だった。
- 68 名前:サイレンス 投稿日:2003年05月06日(火)23時43分31秒
- 更新でした。
いやー圭ちゃんいなくなっちゃたんですよね。
なんか実感ないです。
でも、4期がいれば…みたいな感じですわ(w
(すいません、深い意味ないですけどw
>>60 匿名匿名希望様
なんか例のマジ短編書いてからちょっとこっちも
書けるようになってきました。
はい、がんばりましょう!!
- 69 名前:サイレンス 投稿日:2003年05月06日(火)23時44分56秒
- >>61 修行僧2003様
いや〜そんなお言葉をいただけるとは…(照
でも、自分なんてまだまだですよ。
でもでも、そーいってもらえるとめっちゃうれすぃーです(w
>ここのいしよしいいっす!
いえいえ、修行僧2003様、良くないいしよしなんて
存在しませんよ。(ニヤリ
はい、がんばりましょうね。
なにがあっても。完結させてみせます。燃えてますよ自分(炎
余談なんですが…もしお時間ございましたら
うちの短編の新作ご覧頂きたいんですよ。
ギャグでなくて本気で書き上げたんでみてもらいたくて…(ボソ
ちょっと気付き始めたんですが、自分は長編に向いてないようです。
(なんだそれ〜って感じですけど…
しか〜し、この作品は意地と誇り、そしていしよし根性
に誓って絶対完結させます(w
なもんで、読んで下さっている方へ…
見捨てんといて〜〜
- 70 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月07日(水)07時53分25秒
- 更新お疲れ様でした。
ついに矢口登場ですか。
しかし飯田さんの態度も気になりますね・・・。
よし子はどんな深みにはまっていくのでしょうか??
次回更新楽しみに待っています☆
- 71 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年05月24日(土)16時37分49秒
- 私が車で梨華ちゃんの家に着いた時には
家を出てからだいぶ立っていた。
「おっそ〜い、どこで何してたのひとみちゃん。
待ちくたびれちゃったじゃん。」
私は手のひらを合わせて梨華ちゃんに謝る。
「ごめん、梨華ちゃん。中澤さんに呼び出されちゃってさ
それでもうひとつ謝んなきゃいけないんだけど。」
「謝ることって何ひとみちゃん?」
梨華ちゃんは首をかしげて私に尋ねる
(カワイイ。すごくかわいい)
「じ、じつは今日大事な仕事入っちゃって。
遊園地…行けなくなっちゃったんだ。
本当にごめん。梨華ちゃん。」
しばらくの沈黙が流れる
それをやぶったのは梨華ちゃんの以外なひと言
「仕方ないんじゃない。だってお仕事なんでしょ。
私のことは気にしないでひとみちゃん。」
- 72 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年05月24日(土)16時38分42秒
- 梨華ちゃんは私の予想とは裏腹に以外にも
簡単に納得してしまった。
(それもそれで、梨華ちゃんは私と2人で出かけるのが
楽しみじゃなかったのかな〜なんてちょっとネガに
なってしまう)
「ひとみちゃんと出かけるのが楽しみじゃなかった
なんてことはないよ。でも、ひとみちゃんが
仕事に出ないと他に困る人が出るでしょ。
それじゃあ仕方ないよ。」
「梨華ちゃんって本当に人の考えてること
わかるんだね?」
私がそう尋ねてみると
「あれ、ひとみちゃんそんなの信じていたの?
そんなの嘘に決まっているじゃない。」
「え、今だって私の考えてること当てたじゃん。
心が読めてるってことでしょ?」
「ひとみちゃん、人はね考えてることが顔に出る
って良く言うでしょ。私は人の表情を読み取るのが
うまいんだよ。」
- 73 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年05月24日(土)16時39分21秒
- 「ふ〜ん。そんなもんなのかな?」
「そんなもんなのよ。さて、それで私はどうすれば
いいの?ひとみちゃんがお仕事行ってる間。
家に鍵でも閉めて閉じこもってるのがいいの?」
「いいや、いちおう念のために安倍さんのお店
に居てもらおうと思ってるんだけど…」
すると梨華ちゃんは首を横に振る
「それじゃあ、安倍さんに迷惑がかかっちゃう
じゃない。そんなこと出来ないよ。」
「梨華ちゃんには言ってなかったけど、安倍さんは
私の先輩なんだ。私の教育係りをしてくれた人。」
すると梨華ちゃんは少しびっくりしたみたいで
「え、あの安倍さんが?まったくわからなかった。
でも…私がいったら安倍さんのお店の邪魔に
なるんじゃないかな?」
- 74 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年05月24日(土)16時40分01秒
- 「大丈夫だよ。安倍さんのお店はそんなに
人ははいらないからさ。安倍さんの暇な時に
話し相手になってあげられるんじゃない。」
「う〜んでも…」
それでも梨華ちゃんは渋ってる様子
「じゃあ、安倍さんのお店を手伝うってことで
どう?梨華ちゃん料理うまいしさ。」
「え、いいのかな、安倍さんのお手伝いしても。」
「うん、安倍さん前に私に暇な時お店手伝いに
来てくれって言ってたし。そうしなよ。」
「うん、安倍さんのお手伝いしながらお店で
ひとみちゃんのお仕事終わるの待ってるね。」
「よし、とりあえず安倍さんのお店に行こうか?
いちおう安倍さんにあいさつしなきゃいけない
からね。」
私たちは2人で車に乗り込んで安倍さんのお店へと
向かった。
- 75 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年05月24日(土)16時40分39秒
- お店に着くと安倍さんは深刻な顔をして私達を
待っていた。
「安倍さん、こんにちは。」
梨華ちゃんがその言うといつもの笑顔になって
「やあ、梨華ちゃん。相変わらずかわいいね〜。
本当に吉澤にはもったいないくらいだよ。」
あの安倍さんが笑顔以外の顔を人に見せるのは
めずらしいことだ
「あの、安倍さん実は…」
「梨華ちゃんのことはなっちにまかせておいてくれて
いいよ。へんな奴は梨華ちゃんに指一本触れさせないから。
それより問題は、矢口のことだよ。」
「矢口さんどこにいるんですか?」
すると安倍さんは少し言い渋るようにした後
私に尋ねた。
- 76 名前:Silence 投稿日:2003年05月24日(土)16時41分27秒
- 更新でした。
こんなに休んでおいてこんだけか〜って自分でも
つっこんでしまった今日この頃。しかも風邪ひいて
しまって。これ更新したら寝ます。
>>70 匿名匿名希望様
いつもレスありがとうございます。感謝、感謝ですよ。
ええと、飯田さん何隠してるんですか?
って読者様に聞いてしまうわけわからん作者(w
ええと、これからもこっちは更新遅くになってしまうと思います。
でも、許してください。(正直、向こうより話思いつかないんですわ
んで次の更新いつになるかわからないので先に謝っておきます。
ごめんなさ〜い(バカ作者。
- 77 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年05月26日(月)08時12分57秒
- 気になる所で切られてYO!
2つの作品を同時に書いていくのも大変ですよね(自分はやって冷や汗かいてました)
どちらの小説も楽しみにしてるんで、頑張って下さい。
こっちもまったりとまってます☆
- 78 名前:ぷよ〜る 投稿日:2003年06月09日(月)04時16分59秒
- 発見!!って、遅いですよね…(汗)
2作品を同時進行…凄いですね…
こちらにも惹き込まれました!!
当方もまったりと待ちます!!
無理をなさらずに!!
- 79 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年06月10日(火)13時53分51秒
- 「ねえ、吉澤は矢口となっちのどっちが好き?」
安倍さんは唐突にそう切り出した。
「なに言っているんですか安倍さん。私は…。」
そこまで言って気がついた。安倍さんの本気の目を。
梨華ちゃんの前でそんなこと言えないよ。
「安倍さんも矢口さんも私にとってはかけがいの無い
仲間だと思っています。それが答えじゃたりませんか?」
安倍さんは何も言わないままこっちを見据えている。
こんな本気の目の安倍さんを私は見たことが無い。
私の知っている安倍さんはいつも微笑んでいて…
- 80 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年06月10日(火)13時54分37秒
- 『知っているよ』
(えっ、何?
『知っているよ』
(だから何を…
『私はこの目を知っている』
(嘘だ。私はこんな目を、こんな目の安倍さんを知らない。
『何年前だろうね。あの時のことだよ』
(あの時のこと?あの時っていつ?
『あ・の・と・き。』
(だから…
『雨の日のこと。安倍さんはあのとき居たんだよ。』
- 81 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年06月10日(火)13時55分26秒
- 雨の降りしきる日
「吉澤、吉澤しっかりして吉澤。」
これは何?私を抱きかかえている矢口さん。
「吉澤、大丈夫だよ。今、矢口が連れて行ってやるから。
絶対に助けてやるから。矢口を信用して。」
そういって私を肩に担いで歩き出す矢口さん。
雨が容赦なく私と矢口さんを打ちつける
私このときから雨ってなんか嫌いだ。
ピカッ
カミナリが光って、視界に一人の人影が映る。
黒いジャケットを羽織った女の人。
- 82 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年06月10日(火)13時56分06秒
- 私には誰かすぐにわかった。そして矢口さんもわかった
みたい。
「なっち。よかった、なっち。」
間違いない、安倍さんだ。
「なっち、大変だよ。吉澤が…吉澤が気を失っちゃったみたい。
急いで圭織のところまで運んであげなきゃ。ねえ、
なっち聞いてる?」
降りしきる雨の中安倍さんが矢口さんにかけた次の一言。
「もういいよ矢口。ばいばい。」
パシュ
- 83 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年06月10日(火)13時56分56秒
- 「…とみちゃん。ひとみちゃん。」
「梨華ちゃん。」
私をつらい夢からいつも救ってくれる声。
(あの日、雨の中で私を撃ったのは矢口さん。そうなのか?
「ひとみちゃん大丈夫?突然倒れるなんて。」
「私倒れたの?」
(矢口さんは私を助けてくれた。違うの?
「うん、急にバタって。心配したよ。疲れてたのかな?」
「うん、そうかもしれない。安倍さんは?」
(矢口さんは私を撃って、私を助けてくれた?
「安倍さんは下にいるよ。なんかお客さんが来たから。
悪いけど私にひとみちゃん見ててくれって言って。」
私はそれを聞くと階段を駆け下りた。
- 84 名前:Silence 投稿日:2003年06月10日(火)13時58分07秒
- 更新でした。
う〜ん続きが気になる(?)いや、まだ続き書いていないもので。
どうなるんだろう?(本当にアホ作者(w
>>77 匿名匿名希望様
>2つの作品を同時に書いていくのも大変ですよね(自分はやって冷や汗かいてました)
はい、少し大変です。でもこっちは考えて書いていて、向こうは
思いつきで書いてるんでそれが更新のスピードの差になるんですよ。
ありがとうございます。きっと(?)がんばります(w
>>78 ぷよ〜る様
遅くないですよ。自分なんかは倉庫にある作品読んでおもしろい
レス付けたかった〜。ってこと何度もあったんで。(w
>こちらにも惹き込まれました!!
まったく作風違うですけど気に入ってもらったらうれしいです。
温かいお言葉までかけてもらって。ありがとうございます。
んじゃあ、次回もいつになるのか見当もつかないですけど
『さぁ、バイバイ☆』(by3年まえの後藤さん(w
- 85 名前:ぷよ〜る 投稿日:2003年06月10日(火)16時06分12秒
- 更新お疲れ様です!!
う〜ん続きが気になる(♪)でも、まだ続き書いてないですもんね。
どうなるんだろう?(本当にアホ読者(w
でも、マターリ待ちます。
無理をなさらずに。
- 86 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月11日(水)08時12分40秒
- 更新お疲れ様です。
私も激しく続きが気になります!!
深まる謎にからまる糸。
なっち&矢口の動きがかなり気になりますYO!
次回更新もまったり待たせていただきます。
- 87 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年06月26日(木)12時02分32秒
- 「ありがとうございました。また来てくださいね。」
私が階段を下りると安倍さんのそんな声が聞こえてきた。
「………安倍さん。」
ゆっくりを振り返る安倍さん
「ああ、目が覚めた。よかったよ吉澤。突然倒れるなんて働きすぎじゃ
ないのかい?」
「安倍さん、聞きたいことがあるんですけど…。」
「聞きたいこと?あっ、なんでなっちが20過ぎてもこんなに童顔
なのかって言われてもわからないからね。」
「………。」
「なんか違ったみたいだね。聞きたいことってなに吉澤。」
「安倍さん…実は…」
- 88 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年06月26日(木)12時03分36秒
- 「ん?何、吉澤?」
私は右手を強く握った。
「あの雨の日のことです。」
「…雨の日のこと?」
「あの時私は矢口さんに…。」
(私は安倍さんを疑っている?こんなにも私のためにいろいろ
してくれる安倍さんを
この組織に入ったときから私にとても優しくしてくれた安倍さん
私が初めて人に向けて銃の引き金引いた時。ただひたすら泣きじゃくる
私に、安倍さんは何も話さないでずっとそばに居てくれた。
安倍さんは私にとって先輩であるとともに母親みたいな存在だった。
「…安倍さん、矢口さんの居場所を教えてください。そこへ行って
全てをすっきりさせたいんです。」
- 89 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年06月26日(木)12時04分15秒
- 「初めて、矢口が吉澤に出会った場所。あの展望台のある公園。
矢口はそこにいる。」
「矢口さんはそこで待っているんですね。」
「そう。そこに吉澤1人で来てほしいって。矢口が何を考えているか
わからない。」
「………。」
「なんらかの罠かもしれない。」
安倍さんは顔をうつむけながら私にそう言った。
「罠ですか…。」
「吉澤、なんなら私が吉澤と一緒に行って…。」
「いいえ、矢口さんは私に一人で来てほしいって言ったんですよね?
私一人で矢口さんに会いに行ってきます。」
「そう、そうだね。吉澤、他になっちがしてあげられることは?」
- 90 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年06月26日(木)12時04分53秒
- 「安倍さん、梨華ちゃんのことお願いします。私にとって大切な人
なんです。」
「大切な人?」
「まだ会って、ちょっとしか立っていないけど、梨華ちゃんと居たら
落ち着くんです。」
「吉澤、それって。」
「私は梨華ちゃんのことが好きなんだと思います。」
「………。」
「だから、梨華ちゃんのことを任せるとしたら安倍さんしかいません。」
「…わかった。梨華ちゃんはなっちが守るよ。って言ってもここ最近
変な奴がうろついてる様子なないんでしょ。」
「ええ、まったくありません。」
「んじゃあ、なっちが久々に暴れることもないね。」
- 91 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年06月26日(木)12時05分29秒
- 「それじゃあ、行ってきます。」
「あれ?梨華ちゃんに会っていかなくていいのかい吉澤?」
「ええ、別にずっと会えなくなるってわけじゃないので。」
「そうかい。あっ、そうだ。これ持っていって。」
そういうと安倍さんは私にビニールに入ったパンを手渡してくれた。
「なっち特製のバターロール。吉澤と矢口で一個ずつ食べてね。」
「ありがとうございます。」
店の外に出て深呼吸をしてみる。
(これから、矢口さんに会うのか。何年ぶりだろう?
そんなことを考えながら車のキーを回す。
「待って、よっすぃー。」
- 92 名前:彼女の涙とその訳 投稿日:2003年06月26日(木)12時06分06秒
- 梨華ちゃんの声だ。
私は車の窓を開ける
「どうしたの梨華ちゃん?息を切らしたりまでしちゃって」
「ええと、なんでもないんだけど。そのなんとなく。」
「すぐに帰ってくるよ。心配なんてしないでいいから待っててよ。」
「うん、いい子にして待ってるね。」
「あはははは。いい子にしてか。うん、いい子にしててね梨華ちゃん。」
そういうと梨華ちゃんは車から一歩離れる。
私がクラクッションを鳴らして車を走らせる。
そして、バックミラー越しに見たのは梨華ちゃんの泣いている顔だった。
- 93 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年06月26日(木)12時07分25秒
- 何年振りだろうかここに来るのは。
両親を無くしたあの日、行く宛も無く私は丘の上にある展望台公園に
来ていた。どうすればいいかなんてまったく分からない私。
ただひたすら一人ぼっちという孤独感に襲われていた。
なんで私だけ。なんで私だけこんな目に合わないといけないの?
わからない。全然わからなかった。
友達のあさみちゃんも、まこちゃんも、理沙ちゃんも、愛ちゃんも。
みんなお父さんもお母さんもいるのになんで私だけ…
いつしか涙が止まらなくなってしまっていた。
そんなときに私に声を掛けてくれたのが矢口さんだった。
「どうした、迷子?って歳でもないよな。なんかあったのか?」
矢口さんはそう言うなり私の座っていたベンチの横に座った。
「泣いてるだけじゃわからないだろう。なんか言ってくれよ。」
- 94 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年06月26日(木)12時08分21秒
- 矢口さんは私にそう言った。
「ひっく……ひっく。ぐすん。」
それでも全然泣き止まない私に矢口さんが掛けてくれた言葉
「まぁ、泣き止まないならしょうがないな。泣き止むまで矢口が
ずっと横に居てやるよ。」
それから私は1時間いっぱい泣いて泣いて泣きまくった。
そして、ようやく泣き止んで顔を上げてみる。
矢口さんは嫌な顔一つしないでずっと横に居てくれた。
「だいたいわかったよ。泣きながら全部言ってたからさ。」
「………。」
「矢口と一緒に来ないか?」
- 95 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年06月26日(木)12時08分56秒
- あれから何年がたっただろう?
私は公園の駐車場に車を止めるとまっすぐにあのベンチに向かった。
この公園は広いけど矢口さんがこの場所を指定したんならあのベンチ
にいると思ったから。
ベンチに座っていたのは金髪の女の人。座っていてあまり分からないが
背は相当に低い。
かつて私のことを愛してくれたその人。間違いなく矢口さん。
最後にみた時から何年経つか忘れてしまったけど何一つ変わっていない。
私は静かに近づいてそっと彼女のベンチの横に座る。
飲んでいた飲み物の空き缶を投げる。ゴミ箱の蓋の部分に2、3度当
たってから見事に入った。
もう、夕暮れ時。太陽は真っ赤に燃え、西の空に消えようとしていた。
- 96 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年06月26日(木)12時09分29秒
- 「ここはお前と初めて会った場所。もう、何年前のことだったかな?」
「わかりません。」
「じゃあ、矢口がお前に吉澤に会った最後の日から何年経つかな?」
「それももう、忘れちゃいました。」
風が、秋の冷たくもどこか温かい風が私の顔に当たる。
「秋を愛するひ〜と〜は、心広き人〜。だっけ?」
「………。」
「まぁ、緊張するなよ。矢口はお前になんかしようなんてまったく
考えてないよ。」
「お元気そうでなによりです。矢口さん。」
「そうでもないんだよ吉澤。相変わらず身長がまったく伸びないんだよ。」
- 97 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年06月26日(木)12時10分00秒
- 「あははははは。」
「むっ、笑い事じゃないぜ吉澤。こっちはこっちで真剣な悩みなんだぜ。」
私は徐々に矢口さんを思い出した。
「吉澤、おまえは大きくなったよ。身長だけじゃなくて。人としても。
立派になったみたいだな。」
「ありがとうございます。でも、人としてもですか?」
「ああ、ちょっとこの一週間ほどおまえの様子を陰から見せてもらって
いたよ。」
「矢口さん、それって立派なストーカーじゃないですか?」
「ん?そうともいうのかな。」
「いえ、そうとしか言いません。」
「「あはははははは。」」
- 98 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年06月26日(木)12時10分30秒
- 「ところで、みんな元気か?」
「はい、相変わらずです。」
「そうか。」
「安倍さんも元気です。」
「ああ、知ってるよ。」
私は疑問に感じていたことを矢口さんに尋ねた。
「矢口さん、なんで今ごろになって私に連絡なんて取ってきたんですか?」
「吉澤、私はもう長くない。」
「えっ、どういう意味ですか?」
「そのままだ。後、半年。もって後1年くらいだってさ。」
- 99 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年06月26日(木)12時11分00秒
- 「なんで突然。」
「吉澤、アルツって知っているか?」
アルツハイマー病。
最初は、今したことを忘れたり通いなれた道に迷ったりする。
末期には全身衰弱で死亡する。
現在の医学では治す方法は見つかっていない。
「まさか、矢口さんが。」
「まぁ、仕方ないさ。なってしまったものは。矢口にはやり残した
ことがある。未練を残さないためにもお前に言うことがあって
今日は来た。」
「………。」
「矢口は本気でおまえを愛していた。いや、今でももちろん吉澤が
好きだ。だからはっきりしておきたかったんだ。なんであの時
あの雨の日に本当は何があったのか。」
- 100 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年06月26日(木)12時11分52秒
- 「私が話す前に吉澤、おまえ、あの時のこと。どれくらい覚えている
んだ?」
「私が任務に失敗して相手にやられそうになったとき。私は別方向から
撃たれて気を失いました。記憶はそれだけです。」
「記憶はそれだけですけど、夢を見ました。」
「夢?」
「はい、気絶している私を必死で担いで助けてくれようとしている
矢口さんが出てくる夢です。」
「…そうか。」
「はい。」
「吉澤、それは夢じゃない。現実にあったことだ。」
「夢じゃない?どういう…。」
- 101 名前:Silence 投稿日:2003年06月26日(木)12時13分48秒
- 久々更新でした。これからはもっと更新速度を上げるようにがんばって
みます。(無理だったら申し訳←ネガティヴ人間
>>85 ぷよ〜る様
ありがとうございます。
ほんと更新遅くてすいません。なんせ集中力とか無いもんで全然
先に進まないんですよ。もっと、精進します。
>>86 匿名匿名希望様
ありがとうございます。
過去現在がごっちゃごちゃになってます。(汗
でも最終的になんとかなるようにもって行きたいと思っています。
- 102 名前:ぷよ〜る 投稿日:2003年06月26日(木)18時44分09秒
- 更新お疲れ様です!!&祝100レス!!
や、矢口さん・・・
しかも、真実発覚!?
かなり、続きが気になりますね。
でも、マターリ更新でも気にしませんYO!!
では、次回更新も楽しみにしています♪
- 103 名前:token 投稿日:2003年06月26日(木)23時59分41秒
- どうも、こちらにもお邪魔させていただきます。
このお話は、途中から読んでいました。Silence様はシリアス物も書けるんでしたよね。
謎の女矢口さん、とうとう登場ですか。急展開の予感。楽しみです。
同時進行は大変でしょうが、頑張ってください。わたしも、まったり待っています。
- 104 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年06月27日(金)23時14分01秒
- 更新お疲れ様です。
矢口さんの本格的登場ですね。
記憶とからみ合う糸のような真実。
続きがとても気になりますYO!
いつまでも待つんで、ゆっくり御自分のペースで頑張って下さい☆
- 105 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時46分05秒
- 「夢じゃなくて、それは現実にあったこと。記憶ってことだ。」
「記憶?」
「つまり、おまえはあの時気絶なんかしていなかった。」
「矢口さん?」
「たしかに吉澤、おまえは銃で撃たれたとき一時的とはいえ意識を
失って気絶した。でも、でもな、吉澤、あのとき、なっちが私達の
前に現れた時おまえは気絶なんかしちゃいなかったんだ。」
「なにが…なにがあったんですか?」
「吉澤、お前はもう立派な大人だ。決定権はおまえにある。この
事実を知ったらおまえは全てを失うことになるかもしれない。」
「全てを・・・・・・。」
「さっきも言った。矢口にはもう時間が無い。きっとこれが吉澤に
会う最後のチャンスになるかも知れない。」
- 106 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時47分35秒
- 「今、聞かなければ次は無いってことですか?」
矢口は静かに首を縦に振った。
私の中に違和感が生じていた。そしてその違和感がどこから沸いてくる
ものなのか。そしてその違和感の正体が段々と分かってきた。
簡単なことだった。
『矢口さんの病気に対すること』
矢口さんは言った。自分は病気。しかもわざわざ現代医学では治す
ことの出来ないものだと。
おかしいと思っていた。私の中での矢口さんが居なくなるという悲しみ
に対する感情。それがどうも沸いてこなかった。
なんでか?簡単だ。私はそれが嘘だと分かった。
病気というのは真っ赤な嘘。それじゃあ、矢口さんは何故最後という
言葉を使ったのか?
「矢口さん、組織が・・・もっと言えば安倍さんが関係しているんですか?」
- 107 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時48分42秒
- 「・・・・・・・・・。」
「矢口さんが病気って言ったのは嘘です。」
「・・・・・・・・・。」
夕日が矢口さんの表情を照らす。思えば昔から矢口さんは感情を
表に出さない人だった。
組織の仲間が集まって騒いでるときもみんなでお酒を飲んでいる
ときも1人だけ異色だった。
私は矢口さんを冷たい人だと思った。
でも、違うのかもしれない。わからないけどきっと矢口さんは冷たい
人ではない気がする。
私は意を決して矢口さんに尋ねた
「矢口さん、教えてください。何があったのかを。」
- 108 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時49分43秒
- 「それで本当にいいんだな?あとから後悔なんてしても遅いぞ。」
しかし矢口さんの表情は言葉とは裏腹に輝いている。
「かまいません。真実から顔を背けるな!それが矢口さんの
教えでしたから。」
「どうやら、ちょっと目を離した間にずいぶん大人になったようだ。
子供は成長が早いって言うからな。」
「矢口さんが、組織を抜けられてからは安倍さんにいろいろ学んで
ごっちんとかといくつもの任務をこなしました。」
矢口さんは夕日の空を仰いでそして、ぽつりとこぼした。
「その組織が、安倍さん・・・なっちが、もっと言えば裕ちゃんが
お前にとって、吉澤にとってもっとも許せない存在だったとしたら
どうする?」
「・・・・・・・・・っ!!!」
「吉澤、今のお前にとっての家族。今のお前が居るべき場所のその
組織がおまえから本当の家族を奪った。もっと言えば今の吉澤ひとみ
を作り出した張本人だとしたらどうする?」
- 109 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時50分37秒
- 「ちょ、ちょっと待ってください、矢口さん突然何を言い出すん
ですか?組織が、組織が私のかたき?」
「すべて、すべては裕ちゃんの仕組んだことだった。吉澤の両親を
殺し、そして吉澤を組織に忠実な一員に作り上げる。」
「・・・嘘。嘘だ。」
「全ては裕ちゃんの手の内。全ては裕ちゃんが仕組んだことだった。
私はそれに気付いて組織を離れた。いや、逃げた。」
「・・・どうして。そうして矢口さんはそれに気付いたんですか?
しかも矢口さんには関係の無いことじゃ・・・。」
「全てはあの雨の日のことだったんだ。そこから矢口の全てが狂い
始めた。」
「・・・・・・・・・。」
「吉澤、あのとき何があったのか。何故なっちが私達に銃を向けて
きたのか。そして何故私が姿をくらませなければならなかったのか。」
- 110 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時51分31秒
- 吉澤の初任務。あの時あったことの全て
吉澤の初任務。なっちが鍛えていたし、実戦の経験こそはないけど
銃の腕前は組織でも決して見劣りしないほどの実力。
私(矢口)は吉澤を高く評価していた。と、同時にいつのころからか
吉澤を愛していた。
バカバカしい。恋愛なんて。そう思っていたはずなのに。でも、間違い
なくそれは愛と呼ぶものだった。
だからだろうか?私は吉澤が人を撃つ瞬間。その瞬間に立ち会うこと
がどうしてもできなかった。
吉澤が人の命を奪う瞬間を見たくはなかった。私は吉澤がターゲットを
襲撃する場所に入ったのを確認してその場を去った。
それがそもそもの誤りだった。事実を事実として受け止めて、私はしっかり
吉澤を見守るべきであった。
「矢口さん、助けて!!」
- 111 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時52分43秒
- 吉澤のそんな悲鳴が聞こえてきた。
(吉澤がターゲットの襲撃に失敗した。吉澤が銃を外したとは考えづらい
っとなると・・・。防弾チョッキ?
私はそこまで即座に判断して隠れていた柱から顔を覗かせるとともに
銃を構えた。
そしてそこにあったのは吉澤が銃を突きつけられている光景。
私は吉澤を大切に思うあまりここでミスを犯した。吉澤に銃を突きつけ
てる男。こいつを一発で仕留めなければならない。一発で仕留め
なければ吉澤の命が危なかった。
こいつはおそらく防弾チョッキをつけているのだから、撃つなら頭を
狙うしかなかった。
私は銃口で男の頭を狙った。そして引き金を引く瞬間に脳裏に駆け
巡ったこと。
(吉澤は強くてもまだ子供だぞ。目の前で頭を撃ち抜かれたなんて
光景みたら大きな心の傷になりかねない。
- 112 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時53分41秒
- そう思ったとき私の銃口は吉澤の足を狙っていた。
吉澤が足を撃たれれば、痛みで気を失うことが予想できた。自分が
狙っているターゲットが撃たれれば男は身の危険を感じこっちを
振り返ることも予想できた。
パシュ
私の思った通り吉澤は痛みのあまり気を失い、そして男は私の方に
振り返った。
「・・・・・・・・・っ。」
声にならない声を上げた。吉澤を狙っていた男。それは組織の人間
。もっと言えば裕ちゃんの側近の1人だった。
「矢口さん任務ご苦労様です。ですがこれは組織の、中澤さんからの
じきじきの命令でして、吉澤ひとみを消せと。」
私は銃口を裕ちゃんの側近に向けたまま
「銃を降ろしてください。そうでないと撃ちます。」
- 113 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時54分28秒
- 男は素直に銃を降ろした。
「吉澤ひとみは過去に組織が仕事で手がけた家族の生き残りでした。
今後我々に害を及ぼす可能性があるので消せとの中澤さんからの
指令でした。」
(裕ちゃんからの指令?私はそんなの聞いてない・・・
「私はそんなこと一言も聞いていませんが?」
「今回の本当のターゲットは既にこちらで処分しておきました。
ですから矢口さんはこのままお帰りになって結構です。」
「私が帰ったら吉澤はどうなるんでしょうか?」
「もちろん、処分します。中澤さんからの命令ですから。」
「・・・。私にやらせてもらえないでしょうか?」
男は黙って吉澤のそばを離れた。
(吉澤・・・。
- 114 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時55分17秒
- 私は吉澤の隣に座り込んだ。
「悪いけど、死んでもらうわ。矢口には大事なものを失うことが
出来ないみたいだから。」
「矢口さん、な、何を・・・。」
パシュ
私は男の頭を狙って引き金を引いた。
(吉澤、私にはどうやら組織よりあんたの方が大事みたいだわ。
私は銃をしまい吉澤を担いで車へと向った。
雨が一段と激しさを増す。まるで組織への裏切りへの抵抗のように
感じられるような雨が。
「うううっ、重いな吉澤、矢口はこんな重いもの担いだことないん
だぞ。あとからたっぷり礼をしてもらうからな。」
車が見えた。とりあえず家に帰って、その後は・・・
- 115 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時56分02秒
- 「うううっ、や、矢口さん。」
背中から声がする。
「吉澤、吉澤しっかりして吉澤。」
(吉澤、気がついた。よかった。
「吉澤、大丈夫だよ。今、矢口が連れて行ってやるから。
絶対に助けてやるから。矢口を信用して。」
すると吉澤も安心したのか頷いたの。
ピカッ
カミナリが光って、視界に一人の人影が映る。
黒いジャケットを羽織った女の人。
見間違える訳も無かった。矢口の一番の理解者。矢口とともに
数々の仕事に携わってきた信頼できる仲間。
- 116 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時56分47秒
- 「なっち。よかった、なっち。」
「なっち、大変だよ。吉澤が…吉澤が気を失っちゃったみたい。
急いで圭織のところまで運んであげなきゃ。ねえ、
なっち聞いてる?」
降りしきる雨の中なっちが言った次の一言。
「もういいよ矢口。ばいばい。」
パシュ
- 117 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時57分46秒
- 「・・・。それじゃあ矢口さんは私を助けてくれるために組織を
裏切ってまで・・・。」
「吉澤はそこでまた気を失ったみたいだった。まだ、続きがある。
聞きたいか?」
「ここまで来たら最後まで聞きます。教えてください矢口さん。」
「うん、だけどその前に。出て来いよ、さっきから。人の話を
隠れて聞くなんていい趣味じゃないぜ。」
「さすが、元no1の矢口さん。まだ現役でもいけるんじゃない
ですか?」
芝生のなかから姿を表した1人の女性。
私は出てきたその人物に驚いた。茶色の髪の毛に綺麗な顔立ち。
そして目がちょっと離れているのが一番の特徴の女の子。
「ごっちん。なんでこんな所にいるの?」
「んあ〜、よしこ、これも仕事の一環だよ。中澤さんからのね。
仕事の内容は。」
- 118 名前:真相と崩壊 投稿日:2003年07月21日(月)12時58分39秒
- 「後藤、下がれ。おまえじゃ矢口には勝てない。武器を出そうと
したら最後。一生起きない眠りについてもらうことになるぞ。」
矢口さんがごっちんを睨みながら威嚇の意味をこめて言う。
「嫌だな〜。後藤は早撃ちじゃぶっちぎりで組織no1ですよ。
現役退いたやぐっつあんなんかに負ける訳ないじゃん。」
「ごっちん、帰ってくれない?今、矢口さんと大事な話の最中なんだ。
邪魔するんだったら私も黙ってないよ。」
自分でも驚くくらいの冷静な言葉。
心のどこかで理解していたからかもしれない。
「ああっ、そうだよしこ、梨華ちゃんっていったっけ?邪魔するなら
あの子が危ないよ。多分なっちが中澤さんのところに連れてっちゃう
かもしれないから。」
「・・・・・・・・・っ。」
(そうだった。組織が敵になるんだったら梨華ちゃんが・・・。
完全に迂闊だった。
- 119 名前:Silence 投稿日:2003年07月21日(月)13時00分34秒
- 更新でした。前回スピード上げるなんて大口叩いたのに。ごめんなさい。
銀の方の更新切り詰めてでもこっちの更新もがんばります。
(1ヶ月に1回なんてことがないように
>>102ぷよ〜る様
ありがとうございました。とうとう100行きましたよ。
温かい言葉かけてもらっていたのに・・・。ごめんなさい。
今回でだいぶ事実関係はすっきりしたような気がします。
>>103token様
わざわざ来てもらって。ありがとうございます。
シリアス物書けるっていうか書いてみてるくらいなんです。
急展開でそのまま1ヶ月更新せず・・・(涙
>>104匿名匿名希望様
ありがとうございます。
う〜ん、かなり複雑ですよね。自分でも難し〜って思うことが多々。
温かいお言葉ありがとうございました。
- 120 名前:ぷよ〜る 投稿日:2003年07月21日(月)19時06分19秒
- 更新お疲れ様です!!
今回でかなり事実関係がすっきりしました。
そして、梨華ちゃん・・・心配だぁ・・・
では、次回更新も楽しみにしてます♪
- 121 名前:token 投稿日:2003年07月22日(火)08時07分21秒
- 更新お疲れ様です。
う〜ん、吉澤さんピンチ。中澤さん悪い人だったんですか。
続き気になりますYO。でも更新あまり無理をなさらぬように。
では、また。
- 122 名前:匿名匿名希望 投稿日:2003年07月23日(水)20時45分08秒
- 更新お疲れ様でした。
私も今回の更新で分からなかった過去が随分と自分の中で解決していきますた。
でも続きがとっても気になります・・・矢口さん、何を言おうとしているんですか?
2作品同時進行本当にお疲れ様です。
どちらも楽しみにまったり待っていますので、Silence様のペースで頑張って下さい。
- 123 名前:Silence 投稿日:2003年09月02日(火)13時56分09秒
- 更新はもう少し時間がかかるんですけどまずはレスのお礼を。
今月中にはなんとかしたいです。(よ〜するにまだまだ?
>>120 ぷよ〜る 様
梨華ちゃんどうなってるんですか?ってまた聞いてしまった(涙
大体構想は立ってるんですけど書くのにはいたらないというか。
もうちょっとお待ちください。
>>121 token 様
中澤さん・・・。どうなんだろ悪い人なんですか?(しるかよ
無理なさってるわけでないんですけどな〜んか書けない。
頑張ります。絶対がんばります。
>>122 匿名匿名希望 様
まだ、わからんこと多すぎですよね。う〜ん、矢口さんも謎の
人だったんだ。そんな温かいお言葉をかけてもらって。
はい、頑張っていきます。いや、書きます。
- 124 名前:真相と崩壊 投稿日:2003/09/16(火) 15:36
- 「リカ?梨華っていったのか吉澤。」
矢口さんは突然驚いた顔をして私に言った
「矢口さんは梨華ちゃんのこと知っているんですか?なんで・・・。」
するとごっちんがいることも忘れているように矢口さんは物思い
にふけってしまう。
「やぐちさ・・・、」
「・・・・・・・・。どういう関係なんだ吉澤。」
私が言い終わる前に矢口さんがそう切り出す。
「突然どうしたんですか矢口さん?そんなこと急に聞かれても。」
「いいから答えろっ。お前はその石川梨華のことをどう思っている?
そもそもどういう関係なんだお前ら!!!!!」
矢口さんが声を荒げていう。
「ど、どういう関係って。友達です。大切な。大事な友達・・・。」
- 125 名前:真相と崩壊 投稿日:2003/09/16(火) 15:37
- そういうと矢口さんはごっちんに向きを直して話かける。
「後藤、おまえは裕ちゃん、なっちから全部聞いているのか?
聞いていてこんなことをしているのか?」
ごっちんは少しむっとした表情になって
「ごとーは裕ちゃんに命令されたことをただしてるだけなんだから
しらないよ。それに気安く・・・。」
「後藤!!!!!」
そういう声と共に矢口さんがごっちんに向って引き金を引く
パシュ
ごっちんはそれを間一髪交わし、体勢を立て直したところで動きが
止まる。
矢口さんの銃口がごっちんの頭を確実に捕らえている。
「微動でもしたら後藤、おまえを撃つ。」
「・・・・・・・・・。」
- 126 名前:真相と崩壊 投稿日:2003/09/16(火) 15:38
- 矢口さんはごっちんに狙いを定めたまま私の方にむきをなおして
私にゆっくり話し掛ける。
「おまえの大切な友達の石川梨華。今のおまえが一番愛している
存在であって、おまえにとっては一番許せない存在。」
「矢口さん?」
「裕ちゃんは忠実な組織の人間を作り出すためにおまえの両親を
おまえの家族をおまえから奪った。」
「そ。それは・・・。」
「そして、そのときおまえの家族を殺したのが・・・。」
ドクン・・・ドクン・・・
- 127 名前:真相と崩壊 投稿日:2003/09/16(火) 15:38
- そんなことが・・・。私の・・・私の・・・家族を・・・撃った
のが・・・。
初めて彼女を事務所で見たとき。
初めてのはずなのに。初めてじゃない感じがした。
ひとめ見たら絶対に忘れないはずの私が思い出せなかった。
それは・・・
それは・・・
私にとって一番許せない・・・
家族の命を奪った人だったから?・・・
でも・・・
でも・・・
私は彼女が好きだ。
- 128 名前:真相と崩壊 投稿日:2003/09/16(火) 15:39
- 嘘だ・・・
嘘だ・・・
そんなことあるはずがない・・・
哀しすぎる・・・
梨華ちゃんが・・・
でも、
だから
泣いていた?
梨華ちゃんは知っていた?
だからあの時泣いていた?
嘘だ・・・
「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
- 129 名前:真相と崩壊 投稿日:2003/09/16(火) 15:40
- 吉澤が泣いている。当然だ。自分が愛している人が・・・
石川梨華が自分の家族を殺した張本人だったのだから。
しかし、哀しい
こんなことがあってよいのだろうか?
神様が仕組んだことなのか?
いや、違う。
神様はこんなむごいことを望むはずもない
中澤裕子
すべてあいつが仕組んだこと。
矢口は、あいつを許さない。絶対に絶対だ。
吉澤をこんなに悲しませた。
- 130 名前:真相と崩壊 投稿日:2003/09/16(火) 15:41
- そして。
運命をいう言葉をもてあそんだ。
きっとそうに違いない。
両親を失って。家族をうしなって。
どうしていいかわからなくなって途方に暮れていた
そんな吉澤を
組織の一員として育てて人を殺す機械にして
そして、今度は今の吉澤ひとみという人格を作った原因
石川梨華に再会させて
一緒にいさせて
吉澤に気づかせる
- 131 名前:真相と崩壊 投稿日:2003/09/16(火) 15:42
- そのとき吉澤がどんな反応をするかみる
吉澤が悲しみにくれるのを見て楽しむ。
人間の考えることじゃない。
そんなやつ
そんなやつ
『生きてる資格もない』
- 132 名前:真相と崩壊 投稿日:2003/09/16(火) 15:42
- 「吉澤、吉澤大丈夫か?しっかりしっかりしろ?」
矢口さんの声?
そうか、私、倒れて・・・
大丈夫ですよ矢口さん。私は強いから。家族を失って何も
失うものなんてないから強いです。
でも・・・
でも・・・
『それでも、それでも私は石川梨華を・・・梨華ちゃんが・・・』
- 133 名前:真相と崩壊 投稿日:2003/09/16(火) 15:43
- 「あらら?矢口さんともあろう人が敵に背を向けるんですか?
残念だな〜、ごと〜は矢口先輩を尊敬していたのに。」
「後藤、今の話聞いていただろ。裕ちゃんは吉澤を自分の手足に
するために吉澤の家族を殺すように命令して今は、その張本人を
吉澤に出会わせて吉澤が苦しむのを楽しんでいるんだぞ。」
「そんな、奴のためにおまえは動くのか?」
「そんなの関係ないね。裕ちゃんが何をしようと、裕ちゃんが何を
考えていようとも私はただ、命令されたとおりに動くだけ。それが
私の仕事だから。」
「おまえ・・・。そんなことで紗耶香が喜ぶと思うのか?」
後藤の手元がわずかに緩む
「い、いち〜ちゃんは関係ないもん。ごと〜はごと〜。今は後藤は
自分の意思でやっているんだもん。」
- 134 名前:真相と崩壊 投稿日:2003/09/16(火) 15:44
- 「違うね、おまえも被害者なんだよ。結局は。紗耶香は決して後藤が
人を殺すことなんか望んでなかった。」
後藤の足元が揺らぐ
「矢口さんなんかに何がわかるんですか?何が・・・何が。」
「紗耶香を失って悲しむ気持ちが後藤にあるんなら今日は引くんだ。
吉澤は今それ以上に精神が不安定なんだ。おまえなら分かるだろ
吉澤の哀しみが。」
「・・・・・・・・・。」
後藤はやっぱり素直な子だった。矢口の言うことを理解してくれた
ようだった。後藤もまたあの組織に被害者だった。
市井紗耶香
後藤の教育係りであった彼女もまた組織の任務の最中に失踪していた
裕ちゃんは紗耶香が任務に失敗して相手にやられたなんていっていたが
そんなはずもなかった。紗耶香が負けるわけなんて
- 135 名前:Silence 投稿日:2003/09/16(火) 15:45
- 更新でした。
ほんと久しぶりの更新。今日たまたまかけたMDの中に入っていた曲。
それを聞いているうちに書きたくなりまして。次回更新は未定ですが
がんばります。オンガクハイダイデス。ヒトノココロヲカンタンニウゴカスノダカラ。
- 136 名前:token 投稿日:2003/09/16(火) 21:02
- 更新お疲れ様です!
嘘だ〜!と私も叫びたいような展開ですね。
ホントえらいこっちゃです。
では、次回をまったりと待っています。
- 137 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/17(水) 07:10
- かなり意外な展開ですね・・・これはヤヴァイよ・・・
そして、梨華ちゃんは大丈夫なのかな・・・
- 138 名前:夢の中 投稿日:2003/10/30(木) 12:12
- 夢を見ていた。哀しいくらい。苦しいくらいに幸せな夢を。なんでだろう。
なんでこんな夢を見させるんだろう神様。涙が止まらないような夢を。
そこでは私がそして梨華ちゃんが本当に楽しそうに笑っている。そこに
いる私の表情は私が。本人が今までに見たこともないような笑顔。
多分、心から楽しんでいるんだろうね。夢の中の自分に嫉妬なんかをしてる
私がいた。多分、そこにいる私は私が知ってる自分じゃないんだろうと思う。
私はあんな綺麗な。あんなに楽しそうな笑顔なんて一生できないと思うから。
一生掛かってもたどり着けない笑顔を持って夢の中の自分がいたから。
でも、嫉妬してる自分の他にもそれを微笑ましく思っている私も居た。
こっちの世界の私たちはもうそんな風に笑い合えることなんて出来ないかも
しれないから。だから、そんな光景が夢の中だとしても見れてうれしかった。
- 139 名前:夢の中 投稿日:2003/10/30(木) 12:13
- いつのまにかその夢を見ていただけだったはずの自分が夢の中の、笑顔の
私になっていた。気づけば笑顔の君が私のそばで笑っている。
360°見渡す限りに広がる自然。緑の大地がそこには広がっていて黄色
のたんぽぽの花が緑の大地と戯れて遊んでいる。風が吹き草草をなびかせる。
そこが夢の中だと分かっている自分がいるんだけど、それが夢でないような
気持ちになっている自分がそこにはいた。
そして、私は君に話し掛けようとしてみる。不思議なことに言葉がでなかった。
でも、私はその言葉が君に通じるような気がしている。
(ねぇ、梨華ちゃん?あなたは今、幸せですか?楽しいですか?
- 140 名前:夢の中 投稿日:2003/10/30(木) 12:13
- たんぽぽの花を摘んで集めて冠でも作ろうとしていたんでしょうか?そんな君
の手がピタリと止まって、君がゆっくりとこっちに目を向ける。
私の目には涙が溢れてきた。救いようの無いくらいにその綺麗な君の瞳。その
綺麗なひとみに私の顔が写っている。
(どうして、いまさらそんなことを聞くの?
そんな君の言葉が聞こえてきた。でもそれは耳から聞いた声ではなかった。
心の声とでも言うんでしょうか。私の心に直接語りかけてきているような
感覚だった。
(私の知っている世界の君は私の前でそんな綺麗な嬉しそうな顔や表情を
私に見せてくれたことがなかったから。この世界の君は本当にうれしそうな
表情をするから。だから、君に言ってほしくなったんだ。
この世界が夢の中の世界と確信している私は君にこういう風に言葉をかけて
みた。私の知っている梨華ちゃんにはこんなこと聞けなかったと思う。
- 141 名前:夢の中 投稿日:2003/10/30(木) 12:14
- 怖かったから。どんな表情の君でもやっぱり私が大好きなのは現実の梨華
ちゃんだったから。あくまでも夢の世界の君は私が知っている梨華ちゃん
とは違う人だと思っていたから。そして夢の中の君に会うのは最初で最後
のような気がしたから。
だから、その言葉をかけてみた。矛盾してるとも思った。
君は最高級の笑顔を作って私の問いに答えてくれた。
(やっぱり、あなたは私の知ってるよっすぃじゃないんだ。なんとなく
そんな気はしていた。私は幸せだよ。ここにはあなたじゃないよっすぃ
が居てくれるから。
(教えてほしい。もしも、もしも、君が私にとって小さい頃に家族を奪った
人だったとしたら。私はどうすればいい?私は君にどうすればいい?分から
ない。苦しい。
そう言葉にした瞬間、私は激しい頭痛に襲われた。そして、段々と意識が
遠くなっていく。
- 142 名前:夢の中 投稿日:2003/10/30(木) 12:14
- 夢が覚める。そう思った。答えを聞きたかった。教えてほしかった。ゆっくりと
薄れていく意識の中で私は君が口を開いてなんか言ってるの姿が最後に映った。
「私が答えることじゃない。私は所詮あなたの知っている石川梨華じゃないから。
でも、苦しんでるのはあなただけじゃないと思う。だから・・・。」
(だから?だから何?どうすれば・・・。
最後に夢の中の君が口にした言葉。
『考えてみて』
- 143 名前:夢の中 投稿日:2003/10/30(木) 12:15
- 目が覚めると私は車の後部座席で横になっていた。そして、目からは涙が
零れていた。何度も何度も泣いていたんだと思った。
頭痛が再び襲ってきた。あまりの痛みにうめき声をあげる。
「つうぅぅっっ!!!!!」
「吉澤ぁ?吉澤大丈夫か?もうちょっとで着くからしっかりしろ吉澤。」
矢口さんの声が聞こえた。そしてそれは私が夢の世界から現実の世界に
戻って来たことを示していた。
哀しい夢だった。でも、その中で私に教えてくれたこと。私はやっぱり
君が好きなんだ。
- 144 名前:夢の中 投稿日:2003/10/30(木) 12:15
- 吉澤が倒れた後、後藤は私と吉澤に何もしないでその場から消えてた。
あいつも悩んでいたようだった。悩んで考えて、そしてあいつは中澤
裕子の命令に背いた。
結局後藤も吉澤と同じ被害者なんだろうと思う。後藤真希にとって市井
という存在は大きかった。今の吉澤にとって石川梨華が何にも変えられない
ような存在であるように後藤にとっても市井という存在があまりに大きい
んだろう。
後藤がもう組織に戻ることはないように思えた。後藤だって人間だ。感情を
もった人間だ。おそらく中澤裕子に不満を抱いたに違いなかった。
後藤も市井の失踪についてはなんだかの疑問を持っていたはずだしさっきの
話を聞いて組織を疑うはずだ。すくなくてもこっちの敵になることは無いと
思う。いや、もしかしたら組織と戦ってくれるかも。
- 145 名前:夢の中 投稿日:2003/10/30(木) 12:15
- 私は絶対に組織を、中澤裕子を許すつもりはない。考えてみれば、私も物心
ついたころには中澤裕子の下にいた。そのころのあいつは別の組織の実力者
で私となっちはその中澤にいろいろと教わった。
もしかしたら私やなっちも中澤によって両親を・・・。でも、なんでなっち
はそのことを知っていて中澤に付き従うのかが分からなかった。表面上は引退
をしてもう過去には興味ないなんて顔しているがあきらかに影で暗躍して
いるのは明らかだった。
いまでも腕は衰えているどころかさらに磨きが掛かっているように思われた。
中澤を暗殺するのに最大の障害になるのがその安倍なつみだった。私が組織に
いたころ常にともに行動して常にその腕を一番近いところで見てきた。
一応組織のno1は私なんてことになっているがなっちが本気をだせばどっち
が上かなんてことは分からない。むしろ組織を抜けて以来人を撃つことに嫌悪
感を覚えた私が負けるということが想像するに易かった。
- 146 名前:夢の中 投稿日:2003/10/30(木) 12:16
- それでも、私は吉澤のためにそれをやらなければいけなかった。私がやらなけ
ればいずれ事実を知ったあいつが吉澤が中澤によって消されると思ったから。
あんな組織潰してしまうしかなかった。私や吉澤のような犠牲者がこれ以上
でないためにも。
「つうぅぅっっ!!!!!」
吉澤が目を覚ました。
「吉澤ぁ?吉澤大丈夫か?もうちょっとで着くからしっかりしろ吉澤。」
- 147 名前:夢の中 投稿日:2003/10/30(木) 12:16
- 「矢口さん、夢を見ました。すごく哀しい夢を。夢の中には私と梨華ちゃん
が出てきてすっごく楽しそうに遊んでいるんです。」
なんて、ひどい夢を見るんだろうと思った。吉澤がこれ以上にないほど
かわいそうに思えた。吉澤は石川梨華が好きであろうことは分かった。
でも、その愛は絶対にありえない愛だった。
吉澤ひとみにとっての生きがいは自分に幼い頃に孤独や哀しみを植え付けた
奴に同じ苦しみを与えることだったから。それを私だけが知っていたから。
その憎き、絶対に許せない存在がこともあろうに石川梨華だった。
絶対に許すことができない。いわば吉澤の人生を180°狂わせた最大の
憎者を本人が愛してしまったのだから。こんな残酷な話はなかった。
私は思えば取り返しのつかないことをしてしまったのだろうか。あいつに
とって中澤裕子にだまされ続けそして最後には石川梨華とともに消される
ことをあいつは望んだのかもれなかった。
- 148 名前:silence 投稿日:2003/10/30(木) 12:17
- 更新でした。
書きながら思ったこと。なんか段々小説の書き方が変わってきたような
気がする。段々成長してきたのかなぁ〜。自分じゃあ分からないや。
>>136 token 様
自分でも書きながら「マジかぁ〜そうなんかぁ〜。」って叫ぶ始末。書くときの
気分によって話が変わるこの小説。それがいいことなのか。逆なのか。
>>137 名無し読者 様
ですよねぇ。ちょっと勝手になんてこと書いてるんだ!?って自分を問い
詰めること小一時間。なるようになる。が結論だったり(w
- 149 名前:名無し 投稿日:2003/11/04(火) 18:32
- あぁ・・・よっすぃ〜・・・
何か言葉にならないですね。
矢口さん、頑張って・・・
- 150 名前:token 投稿日:2003/11/07(金) 20:35
- 更新お疲れ様です。
変な例えですけど、長期連載しているマンガなんかは、
初めの頃と絵柄が変わっていくのは良くあることですよね。
だから無問題。(なんだそりゃ?)
この先も不幸な出来事が起こりそうな雰囲気ですけど、
いろいろ期待して待ってます。では。
- 151 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:25
- 私は考えた。どうしてやることがあいつにとって一番幸せなのかってことを。
だから吉澤の味方って仮面を被り続けているなっちを通じて吉澤に会おうと
考えた。
当然それを邪魔しようとしてくる中澤ゆうこがいることは想像するに易い
ことだった。私の考えではおそらくそこになっちが来ると思っていた。
だから影から後藤が出てきたときには多少驚いた。
情報を集めているうちに今の後藤は過去の私のような立場の仕事を。つまり
現場で人を撃つことを仕事としているということが掴めた。そしてその腕
は今では組織の中でもかなり上の方にいるということに驚いた。
- 152 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:25
- 市井がいたころのあいつは市井に甘えていてとてもじゃないけど人を殺める
ようなことの出来る奴には見えなかったから。市井が居なくなってからの
あいつを私はあまり詳しく知らなかった。
どうやら吉澤と組んで任務をこなしていたようで私が居なくなってから
ほとんど表に顔を出さなくなったなっちの後を継いだというのだから
かなりの腕前であるのはわかった。
私がいた頃には完全に吉澤>後藤だったから、中澤裕子を倒すのに邪魔
ななっちを私が後藤を吉澤が片付ける計画だった。私はなっちに勝てない
かもしれないけど死を覚悟してやればなっちと相打ちくらいまでには
もっていけると思った。
- 153 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:26
- 問題は後藤の成長ぶりだった。吉澤は同僚の後藤を。しかも、完全に
組織内の評価では自分より格上とされている後藤を倒せるんだろうか。
もし勝ったとしても傷なんか付けば未知の実力の中澤裕子を倒すことが
できるのか?
となればこの3人のうちをこっちに引き込む必要があった。なっちは
分からないが後藤は明らかに中澤に恩なんてないはずだった。むしろ
市井を中澤のせいで失っているんだからそのかりがあるほず。
後藤をこっちに引き込めば・・・。
- 154 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:26
- 吉澤にその話をしてみると以外にもそれは無理だと言った。後藤は市井
が失踪した後中澤をそれまでの市井のように慕いなっちの代わりに右腕
のような存在としているとのことだった。
なんでわからない後藤。おまえの大切な。おまえの市井紗耶香を消した
のは中澤裕子なんだぞ。本当にそんな簡単なことがわからないのか。
- 155 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:26
- 車の中で目を覚ました私はその後矢口さんからいろいろな話を聞いた。
中澤さんを。中澤を暗殺すること。そのための障害が安倍さんとごっちん
その2にんが最大の障害。
安倍さんの強さを。私はじかにこの目で安倍さんの腕を見たわけでは
なかった。ただ、私の中での安倍さんの記憶はいつも優しそうに
微笑んでいて私はそれを姉のように慕っていた。
だからいまいち安倍さんが私の敵であるという実感がなかった。ただ
本当に敵なら梨華ちゃんが危ない。
- 156 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:27
- 中澤裕子の性格。そばにいて分かる。残酷で自分以外の人を自分の駒
としか思っていないんだろう。昔から好きではなかった。ただ、私が
中澤の下にいたのはそこにごっちんがいたからであり安倍さんがいた
からであり、矢口さんが戻ってくるかもしれないからだ。
中澤に銃口を向けることにはなんのためらいもない。ただ、ごっちん
にはそして安倍さんには・・・
矢口さんは静かに言った。「石川梨華はおそらくまだ殺されない。生きて
いる。おそらくおまえが助けに行くまで。」って。そう思う理由は聞かなく
てもわかる。中澤裕子の性格。
- 157 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:27
- おそらく安倍さんを通じて私が梨華ちゃんに抱いている感情をしっている
だろうから。
『私の目の前で梨華ちゃんの命を奪う。泣き崩れる私を見てあざ笑う』
そんな性格の人間だ。わかっている。おそらく組織の仲間全員が分かって
いるはずなのに。なんであの優しい安倍さんがそれを放っておくんだ。
- 158 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:27
- 安倍さんのお店。矢口さんに会いに行く前に私はここに立ち寄って梨華
ちゃんを安倍さんに任せると言った。彼女は笑って任せてって言った。
そんな安倍さんが・・・。
店の中からは物音ひとつ聞こえない。し〜んと静まり返っている。まるで
それが自然であるかのように。
安倍さんはいきなり人を撃つような人ではない。しかも私を。私は矢口
さんに自分の銃を預けると矢口さんが止めるのを聞かないでドアを開けた。
カチャ
- 159 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:28
- 安倍さんは椅子に座っていた。何もなかったかのように。・・・。ただ
下を向いている。うなだれているかのように。
「安倍さん、吉澤です。帰ってきました。」
するとゆっくりと安倍さんは顔を上げた。その動作は本当にゆっくり。
時間が止まっているのではないかとさえ思える。
「っっっっ!!!!!!」
顔を上げた安倍さんの口元。口すじからは赤いものが下に向かって流れた
いた。血だ。
- 160 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:28
- 声にならない私に対して安倍さんは無理やり笑顔を作った。
「ごめんね・・・吉澤。約束・・・守れなかったかも・・・。」
そういうと椅子から崩れるようにして床に落ちる安倍さん。私は慌てて
支えに入る。支えた体。腹部から大量の血が出ている。私は慌てて着て
いたシャツをやぶり止血をする。
「矢口に・・・会えた?」
「安倍さんしゃべっちゃだめです。体に響きます。」
安倍さんは静かに首を振った。分かるのだろう。この量の出血では・・・。
「なっち!!!!!」
- 161 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:28
- バタン!!という音が響き矢口さんが店の中に入ってきた。その時の矢口
さんの表情を見れば一目瞭然。この人は安倍さんを恨んでなんか憎んで
なんかいない。
「なっちっ!!どうして?いったい誰が・・・。」
「矢口。ごめん・・・。ごめんね。私はひどいことをした。」
矢口さんが失踪したあの日。雨の中で私の前に現れたのはたしかに安倍さん
だった。いったい何が・・・。
「いいんだ。もういいんだよなっち。」
あうんの呼吸ってやつなんだろうか。このふたりはそれ以上語ろうと
しない。ただひたすらお互いの目を見て目で会話しているかのよう。
- 162 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:29
- 矢口さんの目には涙が見える。それがこぼれ落ちたところでしゃがんで
いた矢口さんが立ち上がった。そのまま部屋の奥の方へゆっくりと歩いて
行く。
「吉澤。聞いてほしい・・・。なっちからの最後の言葉だと思うから。」
「最後なんて・・・。聞きたくありません。安倍さん・・・。生きて
ください。」
安倍さんは静かに首を振りそして目を閉じた。その目には涙が。気丈な
安倍さんが。いつも笑顔で笑っていてくれた安倍さんが見せた最初で
最後の涙。最後の言葉。
「石川梨華を信じてはダメ・・・。あの子は・・・。」
- 163 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:29
- 言葉の途中で安倍さんは息を引き取った。いつも私を優しい目で見ていて
くれた安倍さん。常に私の味方だった安倍さん。
「安倍さん・・・。ごめんなさい。」
私の口から漏れた言葉は。ありがとうではなくごめんなさい。どういう
意味だったのか。その瞬間は分からなかった。でも・・・。
- 164 名前:優しいお姉ちゃん 投稿日:2003/12/19(金) 08:29
- 更新でした。
本日もMDを聞きながらキーボードを叩いて出来たのをほぼ手直しぜずに
そのまま更新。手直しするとその時何を考えて打っていたのか分からなく
なるので。今年最後の更新ですね。来年もよいお年を!!
>>149 名無し 様
そう言葉にならないんですよ。自分でも(苦笑 どんな展開になるのか
わからないし。段々と見えてきたのかなぁ?
>>150 token 様
ありがとうございます。おぉ、確かに漫画って絵柄かわりますよね。
よっしゃ、それで行こう(イイワケヲゲット 確かに不幸ばっかり吉澤さん。
でも、我慢。銀では、石川さんとくっつきまくりだから(w
- 165 名前:Silence 投稿日:2003/12/19(金) 08:30
- ↑勢いで名前間違いました・・・_| ̄|○
- 166 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/23(火) 20:04
- あの子は・・・・あの子は・・・・
一体、何なのか気になる・・・
- 167 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/02/12(木) 23:05
- cd
- 168 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/20(金) 23:53
- 続き・・・待ってます。。。
- 169 名前:姉。姉妹。想い 投稿日:2004/02/23(月) 11:16
- 矢口は冷静だった。自分でもものすごく驚くほどに。自分の唯一と
言っていいほどの仲間が自分の目の前で死んでしまったのに。私は
自分の冷静さをこれほど憎く思ったことがなかった。
泣いてやりたかった。彼女が息を引き取ったその瞬間におもいっきり
泣いてやれればよかった。そうすることが人間だから?そうすることで
自分の哀しみが彼女に伝わるから?違う自分自身がいかに彼女を大切に
思っていたか忘れてやらないためにも。
でも、私はその涙を隠した。そうすることが一体どんな意味があるん
だろうか?いつのころからは私は感情がおかしくなっていったのかも
しれない。多分あの時涙を隠したのは人に弱みを見せないとする矢口
自信の本能。
- 170 名前:姉。姉妹。想い 投稿日:2004/02/23(月) 11:16
- なんて、思ってる間にも頭のほかの部分ではすでになっちがどんな
思いで、その瞬間を迎えたのか考えている自分がいる。わかったよ
悲しむのは後、全てが終わってからだよね。私となっちみたいな人
が二度と生まれてこないためにも私にはやらなければいけないこと
だあるんだ。
店の中は争った後だった。状況から言ってなっちと誰かが争った後
だったんだろう。私の予想ではその相手は、なっちと一緒にいたと
言っていた石川梨華。あいつになっちにとどめをさせるほどの力量
があるのかはしらないけど。
- 171 名前:姉。姉妹。想い 投稿日:2004/02/23(月) 11:17
- あるいわ石川梨華の仲間だろう。いや、もしかしたらこっちの方が
確立は高いのかもしれない。なっちは体を銃で撃たれていた。吉澤
と一緒に暮らしていた石川がそんな物騒なもの持っていたとは思え
ない。
吉澤をだまして一緒に暮らしていたのならそんなものを持ちはしない
だろう。見つかったら終わりだからだ。なんの目的で一緒にいたの
かは私にはわからないけど。おそらく石川と中澤はグル。なんらかの
目的で協力しているのだろう。
もしかしたら石川は組織の人間なのかもしれない。何年かそこに所属
していた私にもよくわからない組織だったから。もしかしたら石川と
一度も顔をあわせずに同じ組織に所属していたことも考えられる。
- 172 名前:姉。姉妹。想い 投稿日:2004/02/23(月) 11:17
- わからない。目的がさっぱりわからない。なんで現役を退いてひっそり
暮らしていたなっちを今頃中澤裕子が殺す必要があるのかが。そして
石川梨華の存在が。
私はなっちが大好きだったこの店の一室で興味を引かれるものを見つけた。
それはなっちの日記だった。一瞬だけど開くべきか迷った。思えばいつも
一緒に行動していた彼女のことを私はあまりに知らなさ過ぎる。何が好き
で何に興味があるのかを私はまったくしらなかった。
ゆっくりと1ページ目をめくる。
- 173 名前:姉。姉妹。想い 投稿日:2004/02/23(月) 11:18
- 8月10日。 晴れ
今日から日記をつけようと思う。私ももう13になるのだから。
裕ちゃんに言われたんだ。日記は誰に見てもらうものでもない。
自分の気持ちを素直にするためのものなんだって。だからこの日記を
書く。自分の気持ちを素直になるために。そして私は何を思い、
そして私はいったい誰なのかを知るために。
- 174 名前:姉。姉妹。想い 投稿日:2004/02/23(月) 11:18
- !? 最後の行に書いてある言葉に私は目がいった。『私はいったい誰
なのか』そこにはそう記されている。なっちは家族がいないところを
中澤裕子に拾われたと言っていた。そういえば私となっちはいつどこで
知り合ったのだろうか?
私はいつの間にかなっちと一緒に行動していた。私はいつのまにか組織
にいた。そこでみんなと一緒に暮らしていた。中澤裕子、飯田圭織、
そしてそこにはなっちも紗耶香も居て、吉澤も入ってきて・・・
私はいつからあの組織に居るんだ?私の本当の家族は?物心ついた頃
っていつだ・・・。
オモイダセナイ。オモイダソウトスルト、アタマガイタイ。
- 175 名前:姉。姉妹。想い 投稿日:2004/02/23(月) 11:18
- 8月10日 晴れ
今日は私の18歳の誕生日。まだまだ子供だけどそれでも法律では一部
大人扱いされるところがあるらしい。車の免許だって取れるし。今日
裕ちゃんに呼び出された。重要な話があるとのこと。そこで私はこの
組織のことを少し聞かされた。どうやらこの組織は孤児たちの中から
有能な子を集めて組織されるらしい。私ややぐちもそういった中から
選ばれてここにいるそうだ。そして、裕ちゃんには理想があるらしい。
立派な理想のために私たちは戦っているんだ。そう思ったら少し気が
らくになった。
- 176 名前:姉。姉妹。想い 投稿日:2004/02/23(月) 11:19
- 孤児たちを集めて組織・・・。そんなこと私は中澤裕子の口から聞いた
こともない。なっちが18のときには私は16。その頃何をしていた
だろうか?きっとこの仕事に疑問を抱くことなく文字通り一生懸命に
人を殺っていたのかもしれない。
気が楽になったとなっちは書いている。ということはこのときから少な
からずこの仕事に疑問を抱いていたことになる。なんで?なんでなの
なっち?なんでそう思っていたのならあのとき。あの雨の日に私を
撃ったりした?わからない。私にはわからない。でも、さっき見せた
なっちの目。綺麗な汚れの無い目だった。
- 177 名前:姉。姉妹。想い 投稿日:2004/02/23(月) 11:19
- ・・・日付がない。
今日の天気のように私の心はどんよりしている。私は何をしてしまった
のだろうか。よりにもよって一番大切な仲間を。違う、家族を妹を撃って
しまった。それが彼女のためだと信じて。この悲しい事実を彼女は知る
ことなく組織から抜けられる。それでいいんだと思ったから。事の
起こりは1週間前ほどだった。裕ちゃんは突然言い出した。吉澤は残念
だけど殺さないといけない、っと。わが耳を疑った。私は理由を裕ちゃん
に問い詰めようとしたが最後まで正確な理由は教えてくれなかった。
代わりに驚くべきことを教えてくれた。私と矢口は本当の姉妹なのだという。
「っっっっっっっっ!!!!!!!!!!」
- 178 名前:姉。姉妹。想い 投稿日:2004/02/23(月) 11:19
- 吉澤はどうやらこの組織に害をなす存在になるらしいのだ。もちろん
そんなことはないと反論したけど裕ちゃんは聞き入れてくれない。いや
それよりも私と矢口が本当の姉妹だということに驚かされた。と、いう
ことは私たちは両親を亡くしたところを裕ちゃんに拾われたということ
になるのだろうか?でも、本当の姉妹なら、私は矢口に人の命を奪う
ようなこの仕事を続けさせたくないという気持ちにとらわれた。苦しい
条件だけど私は吉澤の始末を引き換えに矢口を脱退させてほしいと裕
ちゃんに頼んだ。
意外にも承諾をもらえた。でも、私は気付いてしまった。裕ちゃんの
目の奥に輝く黒い光に。その瞬間私は姉のように慕ってきたその人に恐怖
した。まるで人を用済みのごみとでも言うかのようなその目に。私は
とんでもないことをしてきてしまったのでは。そう思うようになった。
そしてこの人のいう理想に初めて疑問を抱いた。
- 179 名前:姉。姉妹。想い 投稿日:2004/02/23(月) 11:20
- でも、私に吉澤の命を奪うことなんて出来るはずもなかった。血の
つながりはないけど苦労をともにしてきた妹を殺せるほど私は人間と
して壊れているつもりはない。どうすればいい?そうだみっちゃん
がいた。あの人ならあるいわ・・・。
・・・。計画は大部分が成功した。裕ちゃんが私に知らせずに放った
吉澤への刺客は矢口が始末してくれた。そして矢口を気絶させその
まま失踪という形で裕ちゃんの下を離れさせた。吉澤もというわけに
はいかなかった。さすがに2人がいなくなったら裕ちゃんも本腰で
動くと思ったから。それに身をかくまってくれているみっちゃんの
身も危なくなる。だから、吉澤は記憶が陥落したということで裕
ちゃんの下に置くことを考えた。私が常に居れば裕ちゃんだって
動けないだろう。行動を起こそうものならそのときは刺し違えて
でも吉澤を守ってやる。そう決めた。
- 180 名前:silence 投稿日:2004/02/23(月) 11:20
- とりあえず、生存報告を兼ねての更新でした。本編は暗い方向へ
まっしぐらです。が、まだまだ頑張ります。ぐだぐだだけど・・・。
今回少量なのでなるべく早く続き書きたいと思っています
>>166 名無し読者様
そのへんはまだ引っ張りますね。うん、別にやりたくてひっぱってる
わけではないけど。まだ出てこないみたいです
>>168
申し訳ないです。ほんとマイペースなもので。とりあえず見て
もらってる方のためにも頑張るつもりです
- 181 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/01(月) 15:39
- 更新されてる!!
何か、驚愕の事実が発覚しちゃいましたね。
この先、何がどうなるのかまったく読めない・・・
- 182 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/01(土) 13:04
- もう更新しないのかな・・・;;
すごく続きが気になります。
頑張ってください^^
- 183 名前:名無しさん 投稿日:2004/06/07(月) 13:13
- 待ってます
- 184 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/09(金) 23:27
- 自分も待ってます^^がんばってください^^
Converted by dat2html.pl v0.2