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アルバイト。

1 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年04月02日(水)16時20分13秒
主役は松浦亜弥です。他にもハロプロ系は出てきます。
これは恋愛物ではありませんのでご注意を。
2 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年04月02日(水)16時38分11秒
今日は朝から雨が降り続いている。明日も雨らしい。
昨日から暦は4月になり世間では新しい日々が始まった。
そしてここにも新しいことを始めようとしている少女がいた。

この少女の名前は松浦亜弥、普通の女子高生である。
勉強も運動も全部が普通なのだ。通知票の5段階評価では3が並ぶ。
性格は良く外見も他よりちょっとカワイイおかげで男女問わず友達がいる。
しかし、当の本人はそんな日常生活に飽きていた。

亜弥はカウンターで一人ため息をついていた。
店内を見渡しても客は自分以外にキャリアウーマン風の女性がいるだけだ。
あの人はいつもノートパソコンとにらめっこしている。
この店は普段から客は少ない方だが雨の日はもっと少ない。
亜弥はもう一度ため息をつく。ここは喫茶店「voyage」
3 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年04月02日(水)17時04分12秒
「ねぇねぇマスター。私の話聞いてるの?」
「あぁ、聞いてる。聞いてる。」
マスターと呼ばれた男はスポーツ新聞を読みながら返事をした。
亜弥の方からは日本人メジャーリーガーの記事が見える。
「じゃ、言ってみてよ。私がなんて言ってたか。」
カウンターから身を乗り出した亜弥はスポーツ新聞を取り上げた。

「アルバイトして金を貯めて上京したいんだろ?」
マスターはやれやれといった顔で答えた。
「なんだ、ちゃっかり聞いてるんじゃん。」
亜弥は顔をプーッと膨らませて新聞をマスターに返して、コーヒーを飲んだ。
このコーヒーは砂糖もミルクもたっぷり入れてありかなり甘い。
初めて店に来たときから、亜弥はこればかり頼んでいる。
実際は甘すぎて他の客には出せないため特注ということになるが。

「どっかいいアルバイトないかなぁ?」
「今日はずっとそのセリフしか言わないねぇ。裕子の所はどうよ?」
新聞も読み飽きたのか、マスターは亜弥の相談に付き合うことにしたらしい。
「中澤さんの所は高校生はダメだって言われたぁ。」
またまた亜弥はため息をつく。つられてマスターもため息。
4 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年04月02日(水)17時10分58秒
しばらくして亜弥が突然立ち上がり提案した。
「そうだ!この店でバイトさせてよ!一人じゃ大変でしょ?」
「いや、客も少ないし悪いが俺一人で充分だよ。それに給料も・・・」
マスターが丁寧に断っていると、亜弥が睨んできた。
「た・い・へ・ん・で・しょ?」
どこからかゴゴゴゴ・・・と効果音が聞こえてきそうな気がする。

その気迫にはマスターも観念するしかなかった
「ったくしょうがねぇなぁ。言っておくが給料は・・・」
一番大切な給料に関してのマスターの注意を無視して
亜弥は笑顔で自らのシフトを決め始めていた。やれやれ。
「えっと〜、土日は暇なときはオッケーだから・・・月曜は・・・」
こうして松浦亜弥のアルバイト生活が始まりを告げた。
5 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年04月02日(水)17時13分22秒
こんな感じで行きたいと思います。よろしくです。
6 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月07日(月)23時25分19秒
うん。よろしくね!
7 名前:The first day 投稿日:2003年04月13日(日)13時14分09秒
亜弥のバイト生活初日は良く晴れた日曜日だった。
ここの所降り続いた雨にそろそろ嫌気がさしていたので
今日みたいな日は彼女の気分は上々である。
颯爽と愛用の自転車に乗り「voyage」へ向かう。

「こんにちは〜!」
元気良く挨拶をしてみたのはいいが、店内に人はいない。
客どころかマスターさえ見あたらないのだ。
亜弥は状況を察すると、カウンターの奥にある
頑丈そうなドアを勢いよく開けて、叫んだ。
「マスター!起きなさい!!」

前回記したように、普段から客が少ないこの店は
雨の日と休日の午前中はほとんどが空席になってしまう。
それでも亜弥みたく好んでこの店に来る人達がいる。
いわゆる一つの常連さんだ。
8 名前:The first day 投稿日:2003年04月13日(日)13時27分04秒
「まったく、こんな早起きするとは思わなかったよ。」
着替えを済ましたマスターが奥の自室から出てきた。
しかし、顔はまだ眠そうで髪の毛もボサボサな状態では
たった今起きましたということが一目瞭然であるだろう。
「時間通りに開店してたのは誉めてあげるけど、
 それからまた二度寝を始めるなんてどういう神経してんのよ?」
ちなみに開店は10:00で今は13:00である。

「だってどうせ客が来ないじゃんか。」
マスターは歯磨きをしながら口をモゴモゴさせて言う。
亜弥は呆れてしまって返す言葉もなく次の行動へ移った。
奥の部屋に予備のエプロンがあるとは聞いていたので
さっさとそれを取りだして身につけた。
どうやら少しサイズが大きいようだが、そんなことは気にしない。

その後マスターからやる気のこもってない説明を受けて
仕事の一通りの流れは理解できた。
と言っても亜弥の仕事は接客と雑用全般であったが。
「それじゃ、掃除しましょう。」
亜弥の提案にマスターがやる気を出すわけもなく
半ば強引に店内の掃除を二人でやることにした。
9 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月13日(日)21時15分46秒
更新乙。
ミキティ出るかな…
今後も期待しとります。
10 名前:The first day 投稿日:2003年04月20日(日)14時49分46秒
掃除をしようと勢いづいたのはいいけれど
なんと意外にもマスターの手入れが行き届いており
目立って汚れている所はほとんどない状態だった。
「退屈だよ〜。マスター。」
客の数も休日にしては多い方だったがバラバラに来るので
慌てるほどの忙しさでもなかった。

マスターはいつも通り奥の方で新聞を読んでいる。
亜弥はいつも座っていたカウンター席に着いて
ほおづえをつきながら暇をもてあましていた。
アルバイトというのは本来ならもっと忙しいのだろう。
だから、そんなに疲れないこの仕事でラッキーだけど
なんとなく物足りなさを感じてしまう亜弥であった。

「・・・・ふぁ!」
ほおづえをついたまま、ついついウトウトしていた亜弥の頭を
マスターが丸めた新聞で突然叩いた。
「ったく、バイトのくせに昼寝してんじゃない。」
「だってお客さんが来ないんだも〜ん。」
その言葉を聞いてマスターは少しにやついた。
11 名前:The first day 投稿日:2003年04月20日(日)15時12分52秒
「そういや、亜弥は知らないんだよな。」
マスターは何かを含ませたような言い方だった。
「何がですか?」
「亜弥はいつも学校帰りにここに寄って5時には帰るだろ?」
「うん、それがどしたの?」
壁に掛けてある時計を見ると既に5時は過ぎていた。
そういえばこれまでも毎日のようにこの店に来ていたが
自分が帰ってからはどんな感じなのかは亜弥は知らなかった。

「この店はな、これからが忙しいんだよ。」
マスターがニヤリと笑い気合いを入れ直すかのように
亜弥をもう一度、丸めた新聞でスパンと叩いた。
それと同時に久しぶりに店のドアが開かれた。
12 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年04月20日(日)15時14分28秒
>>9 名無し読者様
レスありがとうございます。
美貴帝はしばらくしたら登場させる予定です。
13 名前:The first day 投稿日:2003年04月25日(金)21時25分52秒
「こんちはーーっ!」
ドアの向こうから背の小さな女性が元気良く挨拶をしながら
店内に入ってきた。そして、カウンター席に着く。
「あれ?松浦じゃん。何やってんの?」
その女性は亜弥のことを見て不思議そうな顔をした。
いつもは客の女子高生がいきなり店員として自分の前にいるのだから。

「この店でアルバイト始めたんですよ。矢口さん。」
「あんたバイト先を見る目がないんじゃないの?」
矢口と呼ばれた女性はジト目で亜弥のことを睨んでいる。
確かにここは女子高生がバイトをするような感じではないが。
「こんなシケた店はよした方がいいと矢口は思うよ。」
矢口はカウンター席から身を乗り出しながら亜弥に耳打ちをする。
「シケた店で悪かったな。ほれ、いつもの。」
「あらら・・・聞こえてたのね・・・」

マスターが矢口に出したのはこの店のオリジナルであり
自慢の一品でもあるブレンドコーヒーだった。
矢口はまだ注文していないのにコーヒーが出てきた。
つまり、口では「シケた店」と言いながらも矢口もまた
亜弥と同じように「voyage」の常連客だったのだ。
14 名前:The first day 投稿日:2003年04月25日(金)21時43分45秒
店内には客は矢口一人だけだ。
マスターがこれから忙しくなるとは言ったけど今のところは
昼間とそんなに変わらない忙しさだった。
「あれ?今日は圭ちゃんいないんだ?」
矢口はカウンター席から後ろを振り返って言った。
彼女の見ていた席はいつもあのキャリアウーマンがいる席だ。

「保田さんなら帰っちゃいましたよ。」
亜弥はエプロンを脱いで矢口の隣に座る。そろそろバイト終了だ。
「な〜んだ。今日は裕ちゃんもさっさと帰ったし、つまんな〜い。」
あきらかに不満そうな顔をしながらコーヒーをすする。
「そういえば、今日は矢口さん来るの遅かったですね。」
矢口は普段なら5時の少し前にこの店にやってくるので
亜弥とはほぼ毎日のように顔を合わせるようになり知り合ったのだ。

「今日はお客さんが多くて時間通りに終わらなかったのよ。
 だから裕ちゃんも疲れたからさっさと帰るし・・・」
それを思い出すと矢口はもう一度不満そうな顔になった。
「いいなぁ〜、お客さんが多いなんて。私も味わいたいなぁ。」
亜弥は新聞を読んでいるマスターにわざと聞こえるように言った
15 名前:The first day 投稿日:2003年05月13日(火)17時51分12秒
「さて、私はもうあがりますね。」
しばらく矢口との雑談を楽しんだ亜弥は
自分のバッグを手に取り、その場で立ち上がった。
「え〜松浦ぐらいオイラの相手してくれたっていいじゃん。」
それを見た矢口は遊び相手をなくした子供のように
懇願のまなざしで亜弥を引き留めようとした。

「ほれ、お前の相手は俺がしてやるから。
 亜弥はどうせ 明日も来るんだろ?」
マスターのその声に亜弥は振り返り、大きくうなずいた。
そしてドアを開き、笑顔でこう言って帰っていった。
「お疲れさまでした〜〜〜!!」
16 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年05月13日(火)17時52分23秒
とりあえず、第1話は終了です。じゃんじゃん批判・感想おねがいします。
17 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月13日(火)21時59分35秒
更新Zどす。ある程度の登場人物が見えてきた感じですね。

このままマターリと話が進んでくのか、新たな展開に発展するのか、
期待して待っとります。
18 名前:drunken lady 投稿日:2003年05月17日(土)10時43分22秒
松浦亜弥が「voyage」でアルバイトを始めてから一週間が過ぎたある日
マスターには彼女の容姿にある変化が見られた。
「・・・髪切った?」
「・・・気付くのが遅すぎです。切ったのは一昨日ですよ。」
先日まで少し長かった亜弥の髪の毛が、肩の辺りにそろえられていた。
このさわやかな季節にはちょうど良い髪形と言える。

「一番最初に気付いてくれたのは保田さんだったんですよねぇ。」
亜弥は先程までマスターに向けていた仏頂面を満面の笑みに変貌させ、
一番奥のテーブル席の女性にコーヒーを持っていった。
女性は睨めっこしていたノートパソコンから一旦目を離し、
亜弥の方を向き「ありがとう」と礼を言った。

「いつもお仕事ご苦労様です〜〜♪」
その場でクルッとターンをして亜弥はカウンターに戻っていく。
そして再びマスターと目が合うと不機嫌な顔になった。
「圭も仕事ばっかしてないで、少しは息抜きしろよ。」
マスターは亜弥の方を見ずに奥の女性に向かってこう言った。
19 名前:drunken lady 投稿日:2003年05月17日(土)10時56分49秒
「は〜い。」
返事はしつつも女性はパソコンと向き合ったままだ。
保田圭は亜弥や矢口がこの店の常連となるもっと前から、
「voyage」の一番奥のテーブル席に座っている。
キリッとした顔立ちに眼鏡という、キャリアウーマンにぴったりな女性だ。

そんな彼女はやはり会社でもそれなりに高い地位にいるらしく、
毎日のようにお決まりの席でノートパソコンと睨めっこしている。
亜弥は圭がどうして会社のデスクで仕事をしないのだろうと不思議に思い、
本人に聞いてみたことがあった。その時の返答は
「この店の居心地がいいからよ。」

結局の所、常連はみんな同じ理由でこの店に来る。
言葉では難しいけれど、ここには何か人を惹きつけるものがある。
マスターの人柄、店内の雰囲気、コーヒーの香り
そんなものに惹かれた人達が「voyage」集うのだ。
20 名前:妄想男@作者 投稿日:2003年05月17日(土)11時00分34秒
>>17 名無しさん
作者的にはマターリを基本としていきたいと思ってます。
あんま期待せんといて(w
21 名前:drunken lady 投稿日:2003年05月26日(月)16時54分10秒
太陽が西に傾きだすと、圭はあわてて席を立った。
「いけない!会議があったんだ!」
そんな彼女の慌てぶりを見ていた亜弥は、財布を取りだして
代金を払おうとしている圭にこう言った。
「ツケでいいですよ♪」
「ホントに!?助かるわ〜ありがとう!!」
そのまま大急ぎで会社に戻っていく圭の後ろ姿を
亜弥は微笑みながら見送っていた。

「勝手にツケを増やすんじゃねぇ。」
マスターは丸まったスポーツ新聞で亜弥の後頭部をスパンと叩いた。
常連客の多いこの店はやたらとツケが多いのだ。
「だって〜〜・・・・」
「言い訳は聞く耳もたん!!罰としてトイレ掃除だ。」
マスターの両手にはいつの間にかモップとバケツが握られていた。
「そんな〜〜・・・」

「ったくマスターってばいっつも人の頭叩くんだから。」
床をゴシゴシとモップで磨きながら亜弥は愚痴をこぼしていた。
そうしていると自然と持つ手に力が入ってくる。
そのおかげでトイレの床は輝くほどキレイになっていた。
「でも、お世話になってるんだからしっかりやらなきゃ♪」
なんだかんだで楽しそうなのは気のせいだろうか?
22 名前:drunken lady 投稿日:2003年05月27日(火)21時07分28秒
5時を過ぎる頃になると、客も減り始めた。
これからマスター曰く「濃い時間」が始まろうとしている。
亜弥も一週間バイトしていてようやく理解できた。
昼間の客とは比べものにならないくらい個性的で、
別の言い方をすれば良い意味でタチの悪い客達が集まってくるこの時間を。
特にある女性は様々な面で凄まじかった。

勢いよく開かれたドアの方を見ると、案の定小さい女性が立っていた。
「矢口さん、いらっしゃ〜い。」
元気良く迎えてくれる亜弥に対して矢口は苦笑いで答えた。
「奴が来たのか・・・」
「はい・・・」
マスターはそれまで読んでいた新聞を置いて立ち上がり、
棚からグラスを取り出すとおもむろに水道水を注いだ。

矢口の背後から近づいてくる気配を亜弥もひしひしと感じていた。
背筋に嫌な汗が流れそうになるほどの寒気がする。
亜弥が「彼女」に会うのはこれで二回目だった。
そして、矢口の後ろからヌーッと「彼女」が現れた。
23 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月27日(火)22時31分40秒
更新Z!
背後から忍び寄った人は誰だろう…

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