正義の味方はオイラなのだっ!
- 1 名前:桜乱 投稿日:2003年04月16日(水)20時36分51秒
- 初めまして。初投稿させていただきます。桜乱(おうらん)と申します。
こちらの様々な小説を見させていただいて、自分も書きたい衝動にかられまして、
スレ立たせさていただきます。
タンポポのメンバー、マリマリィ〜が主役となる、アンリアルです。
恋愛というよりは友情の方が強いですが、
今のところ、CPを一つだけですが出る予定となっております。
- 2 名前:第一話 投稿日:2003年04月16日(水)20時37分46秒
- 「あれ?オイラがいる。なんで?」
気がつくと、オイラの前で寝ているもう一人のオイラ。周りには学生カバンから投げ出された教科書。それに広がる赤い液体。
「えっ!もしかして・・・幽体離脱?!」
寝ているオイラの周りにはたくさんの野次馬が囲っている。遠くから聞こえる救急車のサイレン。
私の死に方はあっけなかった。学校から家に帰る途中に急に飛び出してきたトラックにぶつかった。
ドンッ!と強い衝撃を一瞬受けたが、そのまま意識が遠退いていって、気がついたらこの状態。
死ぬ時ってもっと焦るんだろうと思っていたけれど、冷静な私がここにいる。
「こんなもんなんだ、死ぬって。」
そういった瞬間、上から黒い球体が現れて、オイラを吸い込もうとする。
「な、なによコレ!!イヤ〜〜〜〜〜ッ!!!!」
私は黒い球体に吸い込まれてしまった。
- 3 名前:第一話 投稿日:2003年04月16日(水)20時38分37秒
「イッタタァ〜・・・なによ、ここどこぉ〜?」
あたり一面真っ暗で、床にはドライアイスの煙みたいなものが漂っている。
「まるで敵の本拠地ってカンジね・・・」
「敵の本拠地やないで。いわゆる天国っちゅーところやな〜」
急に後ろから聞こえた関西弁。反射的に振り向いた後にバックステップをして避難する。
「だ、だ、誰ですかあなたは!!」
「あ〜、自己紹介してなかったなぁ。ウチは『あの世』の水先案内人の裕子っちゅーもんや。裕ちゃんって呼んでええで。」
ニッコリと笑みを浮かべる。
なんだこの人。天国とかあの世とか、わけわかんないこと言っちゃって。新手の宗教の勧誘か?!
「宗教の勧誘なんかじゃないで。ここは天国やってゆーとるやろ。真里ちゃん?」
「!!」
オイラは3歩、後ずさる。
(な、な、何よこの人。オイラの思ってる事見透かしたり、名前も言ってないのに知ってるなんて・・・)
- 4 名前:第一話 投稿日:2003年04月16日(水)20時40分35秒
- 「あ〜、一から説明せーへんとアカンかなぁ。頭の回転早いコやからわかると思ったンやけど・・・」
頭をポリポリかく裕子さんに私の気持ちが爆発する。
「もぅわけわかんないんですけど!!ココどこですか?天国とか、あの世とかわけわからないこと言わないで下さいよ!!
天国ってゆーのは、もっと地上にはない楽園みたいで、天使さんがフワフワ浮いているトコロでしょ!!
ココにそんなモノ一つもないじゃないですか!!あなた自体、なんてゆーコスプレですか!!白衣なんか着ちゃって!!」
頭をかいていた裕子さんは持っていたバッグの中からなにやら1枚の紙を取り出し、私に差し出す。
「こ、これは・・・」
「とりあえずアンタはコレ読んで。そんでそこに座る!!」
命令口調の裕子さんに恐怖を感じた私はそのままその場に腰を下ろす。
渡された紙には『天国へようこそ!!』とタイトルされていて、Q&Aがドバーッと書いてある。
「え〜っとな、ここはホントに天国なんや。人間界ってのは願望持ちすぎやで。天国は楽園が広がっていて、
地獄にはあらゆる罰が待っているってゆうとるけど、そんなんウソウソ。勝手に夢見てるだけや。
死んだら誰でも天国っちゅー場所に来るンや。よーするにココの事なんやけどな。」
- 5 名前:第一話 投稿日:2003年04月16日(水)20時42分21秒
- 淡々と裕子さんは説明してくれる。・・・なんか教師みたいに見える。
「で、ココでは資料を元に、死人の魂を3つに分ける作業が行われているんや。」
「3つの分ける?」
「せや、1つ目は全部サッパリ忘れて生まれ変わる。自殺者とか極悪人がコレに多いな。
ただ、極悪人にはそれなりの罰を受けてから生まれ変わるんやけど、それはまた今度話すわ。
2つ目はこのあの世で一緒に仕事してもらう。コレは頭脳明晰、企業経営に成功した人に多いな。
よーするにバリバリの仕事の出来る人やな。
3つ目は、ちょっと特殊な仕事をしてもらうんや。頭の回転が早くて、正義の味方にあこがれる人に頼むんやけど。
真里ちゃんは3つ目に当たるンや。ごっつ珍しいんやで。」
オイラはあまりに現実離れしている話に困惑する。そんな私を見て裕子さんはまた、微笑んだ。
「心配しなくてもええで。まだ説明は終わってないし。ゆっくり理解してくれればええ。
真里ちゃんならすぐに理解してもらえる。」
「はぁ・・・」
オイラを期待過多で見てるような気がするんだけど・・・。オイラ、そんな頭イイってわけじゃないのに・・・
- 6 名前:第一話 投稿日:2003年04月16日(水)20時43分19秒
- 「説明続けるで。3つにわける時に資料を元に決めるってゆうたやろ?その資料を作成するのが2つ目で選ばれた魂たちの仕事。
実体はもらえないんやけど、ちゃんと勤めれば、いろいろと有意義な生活を送ることができるんや。
で、肝心なのはココからや。3つ目の特殊な仕事のことなんやけどな。魂っちゅーのは勝手なヤツでなぁ、
ウチら天使がここへ連れてこんと、いつまでたっても現世でフラフラしとるんや。そんな魂をずっと現世に残してると、
実体がないからいろいろと悪さするんよ。ホンマ困ったヤツらやで。」
「はぁ、それでオイラは何をすれば・・・」
裕子さんはパッ!と目を見開いて私の肩を掴む。
「そこでや、天使の人手が足らんから手伝って欲しいんや。天使の補佐っちゅーわけやな。手伝ってくれるな?」
ちょっと脅迫に近いんじゃない?だって肩を握る力強く、なってるし。けど待って・・・
「ちょ、ちょ、待ってくださいよ!!天使、増やせばいいことじゃないですか!!」
当然よね、天使増やせばいいじゃん。一件落着ジャン。
「チッチッチッ・・・甘いわ、真里ちゃん・・・」
裕子さんはそう言いながら人差し指を立てて左右にふる。なんかカッコつけてるよ・・・
- 7 名前:第一話 投稿日:2003年04月16日(水)20時45分13秒
- 「余計な事は考えないっ!あんなぁ、天使っちゅーのは20人程度しかおらんの。それも、悲しいことに増やせられんねん。」
「なんでですか!!」
「・・・神様おらんのよ、今。」
「!!」
な、な、なんだってぇ!!神様って絶対神、創造主でしょ!!世界各地で信じられてるじゃん!!神様がいないってありえるわけ?!
裕子さんは頭をポリポリかく。
「う〜ん・・・それがあるんやなぁ・・・どっか行ってしもうたんや。情けない話やで。
部下にもわからんところに逃げるんやから・・・」
裕子さんは悲しくうつむく。・・・なんだかカワイイ。
「褒めないでよぉ〜!!照れるやんかぁ〜!!」
バシッ!裕子の痛恨の一撃が真里にヒット!!
「イタッ!!な、なにすんですかぁ!!人の考えてること勝手に読んでぇ!!」
「スマン、スマン。それでな、神様がおらんと天使って採用できんのよ。せやから、天使資格者免許持っててもなれへんねん。」
め、免許?あの世でも免許ってあるんかいっ!!
- 8 名前:第一話 投稿日:2003年04月16日(水)20時46分32秒
- 「しょーがないからな、ウチら天使がまた補佐を設けようと思ぉーて、『タンポポ』を新しく設立したんや。
他にもメンバーが3人おるんやけど、真里ちゃん、手伝ってくれへんか?お願いや。」
うーん・・・なんかずいぶんワケわかんないことに巻き込まれちゃったよ・・・。
普通ならお断りしますっ!っていうところなんだけど、裕子さんが困る顔見たくないし・・・
正義の味方ってあこがれるしぃ・・・よっしゃ!!
オイラは目をギラギラ燃やして裕子さんに言った。
「やりますっ!やらせてくださいっ!!正義の味方になりますっ!」
オイラの言葉を聞いた裕子さんは目をウルウルさせていた。
「ホンマに?ありがとなぁ、真里ちゃん。これで真里ちゃんは、ウチのかわいい部下やで〜♪」
そういいながら私を抱きしめ、頬をスリスリさせてきた。
「や、やめてくださいよぉ〜。オイラ子供じゃないんだからぁ!!」
裕子さんはさらに強くオイラを抱きしめる。
「ウチから見れば子供や。たかが20年生きただけやもんなぁ。それと、これからは裕ちゃんって呼ぶよーに!命令や。」
たかが20年って。裕ちゃん、あなたはいくつなのよ・・・
- 9 名前:第一話 投稿日:2003年04月16日(水)20時47分43秒
- 「ウチの年か?そんなん聞くな聞くな。レディに対して年齢を聞いたらアカンよ。」
「まだ心読んでる〜!!」
「あっ!スマンスマン。天国だとウチらにウソないようになってんねん。
じゃあ、とりあえず、3人が集まってるトコロに飛ばしたるわ。ウチ、これから用があんねん。
大丈夫大丈夫。向こうにいる3人に聞けば一通りわかるから。それじゃいくでぇ〜!!」
すると裕ちゃんは私から離れ、胸の前に手を持っていき、手の中に球状の光る物体を発生させた。
「矢口真里の魂魄よ、果てなる彼方へ移動せよ・・・・・ビジョンッ!」
「あわわわわ・・・なにこれ〜っ!!」
私の体がその言葉と共に光に包まれる。
「ほな、後は頼むでっ!」
「ま、ま、待ってよ心の準・・・・うわぁーっ!!!!!」
そのまま私は、はるか彼方へ飛ばされてしまった。
- 10 名前:桜乱 投稿日:2003年04月16日(水)20時50分14秒
- 第一話はここまでです。
下手な文章ですが、
もし喜んでいただける方がいましたら、大変嬉しく思います。
これから、よろしくお願いしますっ!
- 11 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月18日(金)21時02分52秒
- 期待してます。
- 12 名前:第二話 投稿日:2003年04月18日(金)21時03分01秒
- 「イッタタァ〜・・・なによ、ここどこぉ〜?」
飛ばされた所はさっきと打って変わって一面真っ白な壁に床には真っ赤な絨毯。
目の前には3人の女の子が立っている。3人とも黒スーツでキメている。
「あなたがヤグチさん?」
3人の中で一番の長身で茶髪のロングの人が話しかけてきた。
「は、はい。えっと、裕ちゃ、いえ、裕子さんに飛ばされてここまで来たんですけど・・・」
その女性はオイラにクスッと笑ってみせる。・・・とってもキレイな人だ。
「裕ちゃんで平気よ。私達も裕ちゃんって言うんやで!って命令されてるから。」
すると、3人の中で一番ちっちゃいお団子頭の女の子がこっちに駆け寄ってきた。・・まぁ私よりは大きいんだけど。
- 13 名前:第二話 投稿日:2003年04月18日(金)21時03分37秒
- 「真里ねーちゃんが来たからこれで『タンポポ』がそろったんだよね?圭織ねーちゃん。」
「うん、やっとウチら『タンポポ』も活動できるわ。」
「やっとウチらにも仕事が与えられるんだね。訓練だけじゃ疲れちゃったもん。」
「あいぼんはよく頑張ったよ。これからは仕事バンバンこなして、『プッチ』よりも優秀なユニットだ!
ってことを証明してやるんだから!!」
「圭織ねーちゃんカッコいい〜♪」
「そんなあいぼん・・・照れるべさ〜♪」
なんか話がすごい飛躍してるし、オイラめちゃめちゃ忘れられてるんですけどぉ〜・・・
ちょっとオイラが困った顔をしていると、ずっと黙っていた女の子が眉を八の字に曲げ、困った顔をしながら口を開いた。
「ちょ、ちょっとふたりともぉ!ヤグチさんが困ってるじゃないですかぁ!!」
怒鳴ってもか弱い声は、まさに女の子っ!って感じだなぁ・・・。オイラには到底できない声。
その女の子に注意された2人がオイラに向かって頭をさげる。
- 14 名前:第二話 投稿日:2003年04月18日(金)21時04分09秒
- 「ごめんごめん。ついに『タンポポ』も始動だなぁって思ったらついつい興奮しちゃって・・・エヘヘ」
「ごめんなさいっ!真里ねーちゃんが来てくれてすごい嬉しかったから・・・」
「そ、そんな。頭上げてください。そんな悪いことしたわけじゃないんですから。それで、あなた達は・・・」
2人の間をスルリと抜けて困り顔だった女の子が笑顔を浮かべた。
「ご迷惑おかけしました。私は『タンポポ』の石川梨華です。このロングの人がリーダーの飯田圭織。
で、お団子頭の方が加護亜依です。これから『タンポポ』の説明しますね。」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
「えっと、私達3人とヤグチさんとの4人で『タンポポ』というユニットが出来上がるんです。
主な仕事は天使の補佐をします。私達は裕ちゃんの直轄なので裕ちゃんの仕事の補佐となります。
私達3人も裕ちゃんに勧誘されて、メンバーが集まるまで訓練していたんです。
人数には関係ないんですけど、タンポポは4人やないと機能せぇへん!!って裕ちゃんが言ってて。
ヤグチさんが加わったことでやっと『タンポポ』が活動できるんですっ!」
- 15 名前:第二話 投稿日:2003年04月18日(金)21時05分19秒
- あっちもあっちで混乱しっぱなしだったけど、こっちに来てもワケがわからないじゃん。えっと・・・
「あのぉ、ちょっといいですか?」
石川さんは私に微笑んで首をかしげる。
「はい、どうしましたか?」
「えっとぉ、『タンポポ』って何をするんですか?裕ちゃんの補佐をするって言ってたんですけど、具体的には・・・」
「す、すいませんっ!肝心なトコロが抜けてましたね。梨華の、お・ば・か・さ・んっ♪」
そういって石川さんは自分の頭をポンと叩く。・・・なんなの!?この体に走る急激な寒気は・・・
「仕事の内容は、天使の代わりに私達が現世で漂っている魂を天国へ連れて行くことです。
飯田さんが魂を拘束して、私とあいぼんがその魂を魔方陣で取り囲みます。
で、最後にヤグチさんが魔法を唱えてくれれば作業終了ですっ!」
- 16 名前:第二話 投稿日:2003年04月18日(金)21時06分03秒
- 「ちょ、ちょ、ちょぉぉぉぉっと待ってください!作業終了ですって、
オイラ何もできないッスよぉ。3人みたいに教わってないし・・・」
石川さんの説明を聞いていた飯田さんと加護さんがフォローを入れる。
「大丈夫大丈夫。ヤグチさんは唱えられるようになってるはずだから。裕ちゃんにここに飛ばされてきたときに
魂飛ばしの魔法をかけてもらったでしょ?あれと同じ風に動いて、呪文を唱えたらできるから!!」
「真里ねーちゃんの資料によると、一回体験したモノは自分のモノにできるって書いてあるもんね。」
そうなの。オイラって一度体験した事は昔からすぐ出来る子だったんだよね。テレビで見たダンスはすぐにマスターしたし、
歌とかも一回聴けば全部歌えたし・・・それが特技だった。
「で、でもぉ。呪文って不思議な力がないとできないんじゃないんですか?けどそんな力、オイラにはないし・・・」
石川さんが親指を立てた。
- 17 名前:第二話 投稿日:2003年04月18日(金)21時07分18秒
- 「その点は大丈夫ですっ!この仕事を引き受けた時点でヤグチさんには特別な力が使える人になってますから。
天使でも魂でも人でもない存在、『天女』になっているんですっ!!」
て、て、てんにょぉ〜〜!?あの昔話に出てきた羽衣をまとったあの天女?!オイラが!?
「でもでも、あなた達も天女なんだから魔法が使えるんじゃないんですか?」
加護さんが人差し指を立てて左右にふり、不敵な笑顔を浮かべる。
「真里ねーちゃん、残念だけど違うんだよ。あの魔法はただ唱えただけじゃダメなの。
天女になったあとに魔法を受けないと、たとえ呪文を唱えても使えないの。それに・・・
裕ちゃん好みの女の子にしか魔法使わないから。」
飯田さんは私の近くまで来て私の肩に手をおいた。
「天女になって、裕ちゃんに気に入られた女の子。それは私達の中だとヤグチさんしかいないのよ。」
「オ、オ、オイラだけですかぁ!?」
3にんがうんうんと首を上下に振る。すると飯田さんはどこからともなく黒いスーツを取り出した。
- 18 名前:第二話 投稿日:2003年04月18日(金)21時09分21秒
- 「まぁ、実際やってみれば出来る出来る!!じゃあ、コレに着替えてね♪
それと、私の事は圭織って呼んでね。あと敬語はノーサンキュー♪」
「ウチのことはあいぼんって呼んで!!真里ねーちゃん♪」
「私はなんでもいいんですけど、石川さん以外でお願いできますか?」
なんかよくわからないけど、この状況をオイラは受け入れなければいけないらしい。
そして、3人はオイラを快く迎えてくれるようだ。
まぁ、これも運命。なるよーになるでしょっ!
「じゃあ、よろしくね♪圭織、あいぼん、梨華ちゃんっ!」
「「「よろしくぅ〜♪」」」
4人同時に笑ってしまった。これからこの人達といろいろお仕事をしていくんだ。
これって特撮モノでいう地球防衛隊みたいな感じなのかな?ってことはやっぱ正義の味方なんだぁ〜・・・やったぁ!!
- 19 名前:第二話 投稿日:2003年04月18日(金)21時10分28秒
- 着替え終わった後、4人でじゃれあっていると、部屋全体に声が聞こえる。女の子の声だ。
「ゴホン。マイクテスト、マイクテスト。『タンポポ』の皆さん、現世に魂が彷徨っているのを確認しました。
急いで現場に向かってくださいっ!場所は脳内に直接送ります。ちょっと乱暴な魂らしいので注意してくださいねぇ〜、完璧ですっ!」
女の子の声は聞こえなくなった。
「な、な、なんなの?!完璧ですっ!って。全然、文とかみ合ってないじゃん!!」
「ついに私達の初仕事だわ。成功させるよ、ヤグチ、梨華ちゃん、あいぼん。」
「圭織ねーちゃんも梨華ねーちゃんも真里ねーちゃんも足引っ張らないでよね!」
「初仕事なんですね。・・・よぉ〜しっ!梨華、やる気全開っ♪」
3人ともヤル気な中、オイラだけとまどっている。圭織はオイラに向かって言った。
「じゃあ、ヤグチ。魂飛ばしの魔法で私達を現場に飛ばしてくれる?」
- 20 名前:第二話 投稿日:2003年04月18日(金)21時11分23秒
- 「その魔法ってオイラ達自身にも使えるの?」
圭織は笑いながらオイラの背中をバシッ!と叩いた
「あったりまえじゃん!!ソレがウチらの移動の手段になるんだから。天使の魔法は万能なの」
「そうなんだぁ・・・じゃあ、やるよ?失敗したらごめんね。」
梨華ちゃんとあいぼんがガッツポーズをとる。
「大丈夫だよ、真里ねーちゃんなら。絶対できるって!!」
「そうです。ヤグチさんならできますよっ!」
年下(と思われる)2人に勇気付けられて、オイラは覚悟を決めた。
オイラは胸の前に手を持っていき、手の中に球状の光る物体が出来るように念じながら唱えた。
「それじゃあいくよ・・・ウチらの魂魄よ、果てなる彼方へ移動せよ・・・・・ビジョンッ!」
するとウチら4人の体は光に包まれてその場から消えた。
- 21 名前:桜乱 投稿日:2003年04月18日(金)21時14分02秒
- 更新終了でございます。
>11 名無し読者さん
レスありがとうございます。
第二話も読んでいただけると嬉しいですっ♪
さぁて、『はじめの一歩』を見て気合い入れるかぁ!!
- 22 名前:第三話 投稿日:2003年04月20日(日)21時51分13秒
- 「うわ〜っ!これドコに飛んでいくの?脳内に直接送るって言ってたのに、
全然イメージこなかったんだけどぉ〜。あのインチキ完璧女めっ!」
「そんな事言うもんじゃないよ、ヤグチィ〜もっと大らかにいかないとぉ〜」
「ドコに飛んでるかわかんないのによくそんな冷静でいられるわね、圭織。」
圭織に言われるまま唱えた魂飛ばしの魔法。
成功したのか失敗したのかわからないけど、とりあえず体は光に包まれてどこかへ飛んでいる。
オイラは全部始めてだらけですごい戸惑っているんだけど、それに引き換え圭織は、ずっと冷静なままだ。
リーダーはさすがだなぁって思うね、こういう状態だと。
こんな事思ってる時にあいぼんが背中をポンポンと叩いてきた。
「真里ねーちゃん、真里ねーちゃん。今、圭織ねーちゃんが冷静でスゴイなぁって思ったでしょ?」
えっ!この子も心を読めるの?!
「う、うん。こんな時に冷静ですごいなぁって思うよ。」
「そうだよねぇ、ウチも思ったよ真里ねーちゃんみたいに圭織ねーちゃんすごいなぁって。」
「うんうん」
「でもね・・・」
あいぼんはうつむいてしまった。なんかイキナリ沈んじゃって、すごい心配になる。
- 23 名前:第三話 投稿日:2003年04月20日(日)21時51分57秒
- 「どうしたのあいぼん?」
さっきまで沈んでたのにニヤッと微笑んだ。この子、演技派だわ・・・。
「交信してるだけなの。圭織ねーちゃん。ほら見て?」
圭織を見てみると、上を向いてなにやら真剣なまなざしをしている。
「やっぱりクールだねぇ。この後どうやって魂を天国に送るか考えてたりするんでしょ?さすがだねぇ・・・」
「違う違う。あれが交信してるってゆーのっ!何にも考えてないんだよ。風に見えるだけでね。」
ウッソだよ〜。あんな真剣な顔して何も考えてないはずないじゃ〜んっ!
あいぼんはそのまま続ける。
「ちょくちょく交信しちゃうんだよね、圭織ねーちゃん。だから、全然話聞いてくれてない時が多いの。
試しに話しかけてみて。」
あいぼんに言われるがまま、圭織に話しかけてみる。
「圭織?かおりぃ〜!生きてますかぁ〜?飯田さ〜ん!!」
全然反応がない・・・。再びあいぼんを見ると微笑んでいる。
「ね?言ったでしょ?圭織ねーちゃんはね、ちゃんとまとめてはくれるんだけど、こーゆー現象が多いんだよ。」
さすが3人で訓練を受けていただけある。ちゃんと相手の特徴をわかっているのね。
- 24 名前:第三話 投稿日:2003年04月20日(日)21時53分05秒
- 「で、こーゆー圭織ねーちゃんを補佐してたのが、この頼りない、困り顔の美女です。」
そう言いながら梨華ちゃんの背中をポンッと叩いた。梨華ちゃんは頬を膨らましている。
「どーゆーことよぉ、それぇ!!頼もしいお姉さんでしょーがっ!」
「えぇ〜!!梨華ねーちゃんが頼もしいぃ〜??そんなこと思ったことないなぁ〜♪」
あいぼんは彼方を向いた。それを見て、なおさら梨華ちゃんが膨れる。まるで姉妹がじゃれ合ってるようで微笑ましい。
すると梨華ちゃんはまだ怒り気味でオイラに話しかけてきた。
「ヤグチさん!!これから仲良くしていきましょーね!!こんな反抗期のガキあいぼんなんか放っておいて。」
「えっ!あ、うん・・・」
かなり怒ってるなぁ・・・なかなか答えづらい事言っちゃって。
「梨華ねーちゃん!!聞き捨てならないこと言ったねぇ・・・誰が反抗期のガキだって言うのよっ!
ウチほど素直な子はいないじゃん!」
「ハッ・・・。何が素直だっつーの!!おねーちゃんを侮辱しといてそんな口よく聞けるねぇ・・・」
「こんのぉ・・・やるか?梨華ねーちゃん!!」
「あぁ、やってやるわよ!!」
- 25 名前:第三話 投稿日:2003年04月20日(日)21時53分41秒
- な、な、さっきまでのなごやかな雰囲気はどうしたの?!ってゆーか、この状況でケンカになることがわからない・・
悲観する前にとりあえず止めないとっ!
「ちょ、ちょ、ちょっと待った。狭い中ケンカしないでくれる?それにこれから初仕事でしょ?
そろそろ地上も見えてきたしやめなさいっ!!」
「は・・・はい。ごめんなさい!!つい取り乱しちゃって・・・」
「ご、ごめん・・・真里ねーちゃん。」
「素直でよろしいっ!」
オイラはニッコリ微笑む。飴と鞭は使い分けが大事なのよんっ♪これでも弟の面倒はオイラがずっと見てきたんだからっ!
あいぼんと梨華ちゃんが素直でよかったと思ったとき、圭織が口を開いた。
「・・受信完了っと。ねぇみんなあそこを見てっ!」
地上まであと10メートル程に差し掛かるとあらゆる家の食器が道路へ全て投げ捨てられていた。
オイラはすぐに見た感じの感想を口に出す。
「あっちゃ〜・・・なんじゃこりゃ。見事なガラスの飛び散りよう・・・」
「ポルターガイスト現象ね。間違いなく、魂の仕業だわ。」
地面に到着すると、圭織が周辺を見つめそういっていた。
- 26 名前:第三話 投稿日:2003年04月20日(日)21時54分46秒
- そのまま梨華ちゃんとあいぼんに指示をだす。
「じゃあ、石川とあいぼんは周囲の霊体反応をチェックしてくれる?」
「「了解っ!!」」
梨華ちゃんとあいぼんは両手をつないで向き合って何かを唱え始めた。
「「神に仕える精霊よ、天女の名において我に従え・・・聖鳥降臨!!」」
すると、梨華ちゃんとあいぼんのつなぎ合っている腕の間から真っ白な鷲が出てきた。
「うわっ!すっげぇ!!マジックだよマジック!!
オイラ、マギー審司のマジックショーしか見たことないから興奮しちゃうよ〜っ!!」
すごい興奮してるオイラはそれ以上に興奮することになる・・・鳥が喋り出しだっ!
「ご主人様・・・いかがなされましたか?」
あいぼんが答える。
「鳥さん。この周辺に魂がいると思うんだけど、正確な場所を割り当ててくれないかな。」
「かしこまりました。」
カッコイイ声の鳥は空へ羽ばたき、大きく旋回している。30秒程で降りてきた。
「ご主人様、ここから西へ30メートル程言った緑の屋根の家から魂反応を確認しました。」
あいぼんはニッコリ微笑んで頭をさげる。
- 27 名前:第三話 投稿日:2003年04月20日(日)21時55分43秒
- 「ありがとう鳥さん。助かりました。」
「いえ、それが私の使命なので・・・それでは」
白い鳥は2人の組んだ腕の間へ消えていった。圭織は間髪いれずに、また指示を与える。
「それじゃあ、今度は神獣を1匹。今日は住宅が密集しているから小回りの利くのがいいわね。白虎でお願い。」
「「了解っ!」」
同じ体勢のまま、梨華ちゃんとあいぼんは、また何かを唱え始めた。
「「この世を治める四神獣よ、天女の名において我に従え・・・白虎降臨っ!!」」
今度は腕の間から古来から日本で信じられている四神獣の白虎と思われる白い虎が現れた。
「うっひょ〜!!すげぇ!!今度は白虎だよ!!天女になるとこんなのも呼べるんだぁ〜カッコイイ!!」
興奮しているオイラに冷たい視線が突き刺さる・・・白虎からだ。
「誰やねんこのねーちゃん。あんまジロジロ見んなやコラッ!」
やべっ!・・・ガラ悪っ!!イメージ壊すのが多すぎるぞ、あの世って。
今度は梨華が語りかける。
「あのぉ〜虎さん。この人は私達の新しい仲間なんです。だからそんな怖いこと言わないで。」
- 28 名前:第三話 投稿日:2003年04月20日(日)21時56分35秒
- 梨華の優しい口調に白虎は態度を急変させる。
「あらっ!今度呼んでくれたんは梨華ちゃんやったんかぁ〜。てっきりあのアホひとみだと思ったわい。
ごめんなぁ〜梨華ちゃん。かんにんや。そっちのちっこいのもスマンかったなぁ〜」
ち、ちっこいだとぉ〜!!!人が気にしてることをぉぉぉぉ!!!
「なにいってんねん!!ちっこいはよけいやボケッ!!!」
「なんやとコラァァァ!!」
「やるんかワレェェェェ!!!」
アホ虎とオイラの間には火花がパチパチ散っている。
「ちょ、ちょっとやめてくださいよぉ!ケンカしてる場合じゃないですって。
虎さん!!私達を手伝ってもらうために呼んだんです!!早くしないと被害がどんどん増えるんですっ!」
するとアホ虎はオイラとの視線をそらす。
「わかっとる。梨華ちゃんの為やったら例えボロボロに傷ついてもワシが守ってやるさかい。心配せんでええ!!
このちっこいのがどーなんても知らんがな。」
- 29 名前:第三話 投稿日:2003年04月20日(日)21時57分06秒
- このアホ虎・・・のぉのぉと・・・
「おい、アホ虎!!後で覚えとけよっ!!」
「うっさいんじゃボケッ!」
この時から始まった。アホ虎(白虎)との因縁が・・・
圭織はまったく無視して指示を与える。
「それじゃ、現場に急行っ!!走る〜!!」
「「はぁ〜いっ!」」
「えぇ〜!!走るの苦手だよぉ〜!!」
そう言いながらウチら『タンポポ』は現場へ急行した。アホ虎と共に。
- 30 名前:桜乱 投稿日:2003年04月20日(日)21時59分50秒
- 更新終了でございます。
初仕事突入ですね、今回は。
今日のハロモニよかったわぁ・・・あの企画ぜひ、第2弾を!!
- 31 名前:名無し読者 投稿日:2003年04月21日(月)20時18分33秒
- さっそく初出撃(?)ですね。
虎と矢口さんのかけあい、いいですv
今回のハロモニは確かによかったですね! またやってほしいです。
- 32 名前:第四話 投稿日:2003年04月22日(火)21時30分51秒
- 「「「「到着ぅ〜!!」」」」
4人と1匹が緑の屋根の家、安倍という表札の出された家に到着すると部屋の中ではあらゆる家具が飛び交っていた。
あいぼんが頭を抱える。
「うへぇぇ・・怖いよぉ〜当たったら死んじゃう〜!!」
「大丈夫あいぼん、私達もう死んでるから。けど、ぶつかったらちょっと痛いかもね。」
「ほらぁ〜ウチは遠くから見てるからコレどうにかしてよぉ〜!!」
すると、圭織とアホ虎が一歩前へ出た。
「ここは私がやるわ。白虎、手伝って。」
「おぅ!まかときっ!」
圭織とアホ虎は次々と家具を蹴り落としく(噛み砕いていく)。
カッコイイ圭織!!こんな格闘できるんだね。見直しちゃったよっ!
「おいっ!ちっこいのっ!オマエもボケ〜ッと見んと本体見つけろやアホっ!」
「うるさいわっ!こっちだってこれからやるっつーのっ!!」
ついつい反射的に答えちゃったけど、私、魂飛ばし以外の魔法使えないんだよねぇ・・・
梨華ちゃんとあいぼんが手をつなぎ合って、さっきの体勢を取る。
- 33 名前:第四話 投稿日:2003年04月22日(火)21時31分37秒
- 「真里ねーちゃん!!ウチと梨華ねーちゃんが敵を探すから、
真里ねーちゃんは、このバッグに入ってる紙切れに書いてあるのを読んでっ!」
「う、うん。」
オイラはあいぼんのベージュのトートバッグに入っていた紙切れを取り出した。
そこのは呪文が書いてある。
「コレを読めばいいんだよね、あいぼん?」
「ウチらが敵を見つけ出した後にお願いね。」
「わかった。」
あいぼんはニコッと笑った後、梨華ちゃんと向き合い真剣な顔をする。
「魂よ、姿を現せ!!霊眼開眼、急々如律令!!」
圭織達がいる奥の方に光ったモヤモヤしたモノが見える。
「あっ・・・アレが魂・・・?」
オイラがつぶやくと梨華ちゃんが同じタイミングで叫ぶ!!
「飯田さんあそこですっ!!」
「よしっ!まかせといて!!白虎、ココは頼んだわよ!!」
「おぅっ!」
圭織はそう言うと全力疾走で、そのモヤモヤしたモノに駆け寄る!!
「アンタの暴れようは厳罰付きの再生だと思うわ!!おとなしく観念しなさいっ!」
圭織はスーツの胸ポケットから赤いお札ををソレに投げる!!
- 34 名前:第四話 投稿日:2003年04月22日(火)21時32分51秒
- 「いてぇ、いてぇよぉぉぉ!!!!」
ソレからいきなり男のうめき声が聞こえた。それと同時に家具が一斉に床に落ちる。
「オレが何したってゆーんだよぉ!!金をかさねぇ銀行が悪いんじゃねぇか!!うわぁぁ!!!」
圭織は胸ポケットから今度はスーツに合わない数珠を取り出す。
そして右手に巻きつけ、ぶつぶつ唱える。・・・オイラには聞き取れない。
「いてぇよぉ・・・やめてくれよぉ・・・どいつもこいつもオレが悪いっていいやがって。
・・・おれが悪いんじゃねぇんだよぉぉ!!!」
また家具が宙を舞い始める。圭織の唱える声を強くすると家具は少し浮いてる高さが落ちる。
その時、アホ虎が怒鳴った!!
「コイツもうアカンわ。自分がどんな状態かわかっとらん。はよ天国に送ってまえっ!」
「「う、うん」」
梨華ちゃんとあいぼんは急いで駆け出し、モヤモヤしたモノの両隣にたった。
「「魔方陣作成開始っ!!」」
2人は持っていたバッグから光るペンのようなものを取り出し、魔方陣で魂を囲むようにした。
「「魔方陣完成っ!!」」
完成と同時に梨華ちゃんが声をあげるっ!
「ヤグチさんっ!ソレ読んでくださいっ!!早くっ!!」
「は、はいっ!!」
オイラは持っていた紙切れに書いてあった呪文を唱える。
「天女の名において魂魄に命ず。果てなる天へ成仏せよ・・・・・ビジョンッ!」
唱え終わると、モヤモヤしたモノは魔方陣に押しつぶされ、小さな光る球体となった。
そして、ソノ頭上から黒い物体が現れる。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
小さな光る球体は黒い球体に吸い込まれていった。
- 35 名前:第四話 投稿日:2003年04月22日(火)21時34分58秒
全員で同時に同じことを言う。
「「「ふぅ〜・・・終わったぁ〜!!」」」
ヘナヘナとその場に座り込む4人。疲れきったオイラにアホ虎が話しかけてきた。
「なかなかやりおるなぁ〜自分。見直したで。」
「・・・アンタに言われると、なんか複雑ね。」
「まぁ、褒めとらんからな。・・・今度も、嫌々守ってやるさかい。」
「・・じゃあ、嫌々アホ虎に守られてやるわ。」
「フッ。言っとけ!・・ほいじゃ、ワイはそろそろ次のお呼びがかかってるから、帰らせてもらうわ。ほなっ!」
アホ虎は消えてしまった。消えたのを確認した梨華がつぶやいた。
「虎さん、ありがとうございました。おかげで助かりました。」
オイラは立ち上がって、3人のいる方に向かった。
「すごいねぇ・・・ここまですごい仕事だとは思わなかったよ。3人は大丈夫?ケガはない?」
梨華ちゃんとあいぼんは首をコクンと頷いた。
- 36 名前:第四話 投稿日:2003年04月22日(火)21時35分51秒
- 「ヤグチさんこそ大丈夫ですか?私、訓練以上の勢いに圧倒されちゃいました。」
「ウチはだいじょーぶっ!真里ねーちゃんは訓練もしてないのに仕事をこなせるんだからやっぱウチとは違うなぁ・・・。」
「梨華ちゃんもあいぼんもすっごいカッコよかったよ。ウチもあんな風に役立てたらいいなぁ・・・
でもさでもさ、一番すごいのは圭織だよねっ!よくあんなテキパキと動けるなぁって感動しちゃったよ。」
圭織はスーツについたホコリを手で払い落とす。
「やっぱりリーダーだから、それなりに出来ないとねぇ〜♪
けど、ヤグチが予想以上に魔法をキチンと出せたからよかったよぉ〜。これからもやってけそうだね。」
「「「うんっ!」」」
4人それぞれ微笑んだ。疲れきってはいたけど、初仕事をやり終えた充実感が胸をいっぱいにしていた。
- 37 名前:第四話 投稿日:2003年04月22日(火)21時36分28秒
この世での仕事を終えたウチらは、魂の起こした事件を人間の記憶から取り除く魔法を唱える準備をしているとき、
部屋の奥のテーブルの下に震えてうずくまっている一人の女の子を見つけた。オイラは急いで駆け寄る。
「大丈夫?あなた。ケガはない?」
体の震えが止まらない女の子にオイラはたまらず抱いた。
「大丈夫だからね。もう怖いことはもう終わったからね。心配しなくていいんだよ?」
女の子から体の震えが消えると、オイラの顔を見あげる。
「ホントに?もう怖いことはないの?」
「うん、ないよ。だから安心して。ね?」
出来る限りの笑顔を作って答えてあげた。そうしないと、女の子はいつ震えが始まるかわからない。
「あなた・・・は誰?」
「オイラは矢口真里。一言で言うなら・・・う〜んとねぇ、正義の味方ってとこかな?」
「真里ちゃんか。面白いこと言う人なんだね。」
オイラは頭をポリポリかく。
- 38 名前:第四話 投稿日:2003年04月22日(火)21時37分26秒
- 「いやぁ〜ホントの事なんだけどね。あなたの名前は?」
「私は安倍なつみ。なっちって呼んでいいよ。」
なっち・・・いい響きだなぁ・・・愛らしい笑顔がウチのツボにジャストヒットするよぉ・・・
「ヤグチさん!ちょ、ちょっと。」
梨華ちゃんに呼ばれたのでなつみのその場に待っていてもらい、そちらへ向かった。せっかくイイ気分だったのにぃ・・
「ヤ、ヤグチさん、今あの娘と喋ってましたよね?」
「うん、かわいい子だよ。オイラのタイプ♪」
「そーいうこと聞いてるんじゃなくて、ソレはおかしいんですよ。」
「えっ?」
何がおかしいっていうの?オイラがなっちに一目ぼれしちゃってるのがおかしいのかなぁ・・・
でもそんなの梨華ちゃんに言われるモンでもないし・・・
「私達天女は、人間には見られないんですよ。魂と一緒で。」
「えっ!!だってさっきまでこうして・・・」
「だからおかしいなぁって思うんですよ。見える人なんているのかなぁ・・・」
- 39 名前:第四話 投稿日:2003年04月22日(火)21時38分30秒
- 梨華ちゃんは腕を組んで考え込んでしまった。もし見えないのが普通ならとてもおかしいことなんだろう。
だけど、世の中、霊能力が強くて見えちゃう人もいるからそーいう人なんでしょ?
ギボさんみたいな、霊能力者の才能があったりするんじゃ・・・それはそれでスッゴイなぁ。
「まぁ、記憶が消えると思いますし、関係ないですけどね。」
「じゃあ、最後に挨拶してくる。この場の記憶でも大事だしっ!」
そういって、オイラはまたなっちの方に向かった。
「なっち、オイラそろそろ帰らなきゃいけないんだ。」
「もう帰っちゃうの?でも、忙しいそうだもんね。そんなスーツまで着ちゃってるわけだし。
ねぇ真里ちゃん・・・また逢えるかな?」
なっち・・・もし逢えたとしても、記憶がないからまた初めましてになっちゃうんだよね・・・
そんな事を思いながらも口からはウソをつく。
「うん。また逢えるよっ!また逢おうね、なっち」
「うんっ!!」
可愛らしい笑顔にオイラの胸の鼓動が早くなる。
なっち、カワイイッ!!なっちともう逢えないと思うと・・・この仕事って予想以上につらいな・・・
けど、しょうがないっ!オイラは一回死んでるんだし。
そう気持ちを整理して3人のいる場所へ戻る。
- 40 名前:第四話 投稿日:2003年04月22日(火)21時39分58秒
- 「ヤグチ〜、遅いよぉ〜。魔法はヤグチしか唱えられないんだから〜」
「ごめんごめん。それじゃあ、いくよ・・・」
さっきあいぼんのカバンに入っていた紙切れにはもう一つ呪文が書いてあった。それは記憶封じの魔法。
魂関連の記憶を封印してしまう魔法らしい。
「記憶の彼方に残る思念よ、一切を封じたまえ・・・イレイズ!!」
オイラの体から光がキラキラと溢れ出し、周りに浸透していく・・・
オイラはそのまま魂飛ばしの呪文も唱える。
「オイラ達の魂魄よ、果てなる彼方へ移動せよ・・・・・ビジョンッ!」
さよなら、なっち・・・
『タンポポ』の4人の体は光に包まれ、天上界へ飛び立った。
- 41 名前:桜乱 投稿日:2003年04月22日(火)21時45分53秒
- 更新終了でございます。初仕事終了編でした〜♪
ヒ、ヒロイン登場!?したヨカ〜ン。
>31 名無し読者さん
アホ虎こと白虎は、今後も出ると思われるので
要チェックしておいてくださいね(爆
・・・ライバルが動物ってもなんですがw
- 42 名前:第五話 投稿日:2003年04月24日(木)20時47分12秒
- 天上界(あの世)に戻ったウチらは今回の裕ちゃんに提出する報告書を書いていた。
「でもさぁ、毎回あんな大変だと、天女ってかなり忙しい職業だよねぇ。」
「確かに今回はかなり疲れたわ。初仕事から、あれだけ暴れられちゃったからね。」
『タンポポ』のメンバー全員が疲れきった顔をしていた。もちろんオイラを含め。
初仕事のプレッシャーと魂の暴れよう・・・さすがに一番の元気っ子のあいぼんまで腰を叩いている。
「これからはどんどんお仕事が入ってくるようになるから余計大変になるんだよね、梨華ねーちゃん?」
「うん、そうだね。今回のような仕事が入ると思う。だから早くヤグチさんには訓練受けてもらわないといけないですね。」
えぇ〜!!確かにね、3人の力に『タンポポ』としてお仕事したいって気持ちはあるんだけど、
訓練ってやっぱキツそーじゃん?そもそも何するんだ?訓練って。
また心を読んだのかどーか知らないけど、あいぼんはオイラの顔を真剣な表情で見る。
- 43 名前:第五話 投稿日:2003年04月24日(木)20時47分48秒
- 「な、なに?そんな真面目に見ちゃって・・・なんかついてる?」
「ううん。訓練ってなんだろう?って思ってたんでしょ?そんな心配することないよ。
訓練って言っても、最強の格闘家を目指すわけでもないし、
ボブ・サップみたいな強靭な肉体に改造しろってわけじゃないし。ただ、こわ〜いコーチみたいな人がいるだけ。」
「コーチ?訓練にコーチなんているの?」
「うんっ!真里ねーちゃんもよく知ってる人だよ。」
「オイラが?!」
ちょっと驚いた風に答えると、梨華ちゃんと圭織が2人でクスクス笑ってた。
「・・・ウフフ。ヤグチさん、あの人に気にいられてるから、きっとかなり厳しいですよね?」
「うんうん。絶対泣くまでやらされるよ。あの人、極度のSだから。想像しただけでもおそろしー!!」
そういいながら未だにクスクス笑ってる。もー!!どうせ、オイラの知ってる人っていったらあの人しかいないじゃん!!
「裕ちゃんでしょ?そんな隠したってわかるっちゅーのっ!」
するとあいぼんがニカッと笑ってみせる。
- 44 名前:第五話 投稿日:2003年04月24日(木)20時48分48秒
- 「だぁ〜いせぇ〜いかぁ〜いっ!!ドSの裕ちゃんが指導してくれるんだよ。
それも今回、真里ねーちゃんはマンツーマァ〜ン!!」
なんだよ他人事だからものすごいニヤけちゃってさぁ。オイラの身にもなってみろっつーのっ!
そう言おうとした途端に3人がオイラに対して合掌する。
「「「どうか生きて帰ってきますよーに。」」」
「!!・・・縁起でもないことをするなぁぁぁぁ!!!・・・まったく!!」
ちょい怒り気味で膨れていると、圭織が急に話題を変えてきた。
「そーいえば、人間の女の子と喋ったよね、ヤグチ。」
「うん。なつみって子だよ。すんごいカワイイのっ!」
カワイすぎるよ、なっちは。もう逢えないと思うと、今でもブルーになっちゃうなぁ・・・
「ヤグチ、あんまし人間に関わっちゃいけないよ。ウチらは天女だからね。人間とはもう違うんだから」
「わかってるよぉ〜。どうせ記憶消えちゃってるし・・・関われないよ。」
ホントはなっちの事色々知りたいかったけど、もう逢えもしないのが現実ッス。
圭織は長い髪をアップにまとめながら今度は梨華ちゃんに話をふる。
- 45 名前:第五話 投稿日:2003年04月24日(木)20時49分26秒
- 「それと、梨華ちゃん。プッチのあの子、え〜っと誰だっけなぁ・・・吉田じゃない吉川じゃない、吉野でもない・・・」
ちょっと頬を赤らめ、ただえさえ高い声をもっと高くして梨華は答える。
「・・・ひーちゃんのことですか?吉澤ひとみですよぉ!!」
「そーそー、吉澤ひとみ!!あの子とまだ付き合ってるの?いい加減にやめなさいよあんな子!!」
「い、いーださんに言われることじゃないですよぉ!!関係ないじゃないですかぁ!!」
「カンケーあるべさ!!あのプッチの一人と付き合うなんて言語道断っ!!」
「それこそカンケーないですよぉ!!プゥー!!」
梨華ちゃんは膨れてしまった。イキナリこの展開は何?前々から思ってたけど、『プッチ』って何?
それに吉澤って人も気になる。よーし・・・
オイラはあいぼんの方に席を移動して、耳元に静かに囁いた。
「ねぇねぇ、あいぼん。教えて欲しいことがあるんだけど、『プッチ』と『吉澤ひとみ』って何?」
- 46 名前:第五話 投稿日:2003年04月24日(木)20時50分07秒
- 「あぁ、真里ねーちゃんまだ知らないんだっけ。えっとねぇ、『プッチ』ってゆうのは、
ウチらみたいに天女のユニットで正式名称『プッチモニ』。前から活動してるユニットで、
天女界ユニットだとトップの仕事量なの。で、そこのリーダーとライバルなのが圭織ねーちゃん。
顔見合わせるだけで冷戦が始まるんだから。」
ゲッ!そんなユニットあるのかぁ・・・名前はカワイイけど、そーとーやり手の集団に違いないな、ウン。
「『吉澤ひとみ』ってのはその『プッチモニ』の一人で、ウチらと同じショーカン術の使い手なの。
よっすぃ〜・・・って吉澤ひとみのことね。よっすぃ〜って梨華ねーちゃんと付き合ってるんだけど、
それを許してないんだよねぇ、圭織ねーちゃんが。」
ほぇぇぇぇぇ。天女になっても人間みたいに付き合えるんだぁ。オイラなんかもう失恋真っ最中なのに、
いいよなぁ。好きな人の事で怒れるなんて。羨ましいよ、梨華ちゃん・・・
- 47 名前:第五話 投稿日:2003年04月24日(木)20時50分58秒
- 「今すぐ別れなさいっ!」
「いやっ!」
「別・れ・な・さ・い!!」
「絶・対・イ・ヤ!!」
圭織と梨華ちゃんの間にはものすごい火花が散っている。
「ねぇ、あいぼん。2人のケンカ止める方法はないの?」
あいぼんは腕を組む。
「ん〜・・・ウチはねーちゃん達のケンカを止められる力はないからなぁ・・・こんな時に止められる人といったら・・・」
その時、金髪の白衣姿の人がこっちに向かって歩いてきた。
あいぼんとオイラは目を細めてその白衣の人の顔を確認しようとする。
「「もしかして・・・裕ちゃん?!」」
「久しぶりやな〜。真里ちゃんに加護ちゃん。元気やったか〜♪」
スッゴイ笑顔で裕ちゃんに飛びつくあいぼん。
「うんっ♪おひさだねぇ〜裕ちゃん。それより、あの2人止めてくんない?またあの事でケンカしちゃってさぁ。」
- 48 名前:第五話 投稿日:2003年04月24日(木)20時52分09秒
- あいぼんの頭をなでなでした後、フゥ〜とため息をつく。
「またか。圭織はホント、プッチ嫌いがすごいなぁ・・・しゃあないな。」
2人に近づく裕ちゃん。今2人の近くには激しい嵐が接近していているのに、気にせず進む。
そして、イスの高さまで背をかがめ、圭織の顔をのぞく。
「圭織、いい加減にせーへんと、オバちゃんになってしまうで。ほらっ!こんなところにシワが・・・」
「えっ!やだっ!!圭ちゃんみたいにオバちゃんなんていわれたくないっ!」
裕ちゃんはそのまま梨華ちゃんの方に顔を向ける。
「石川もいっつもムキになっちゃってさぁ。ご自慢のひーちゃんとはラブラブなんだからそれでいいじゃない。ね?」
「そーですかぁ?ラブラブってわかりますぅ♪そう、私とひーちゃんはいっつも仲がいいんですよぉ〜♪」
けっこーアッサリ解決したなぁ。裕ちゃん、2人のツボをキチンと掴んでるって事か。
- 49 名前:第五話 投稿日:2003年04月24日(木)20時53分09秒
ケンカがおさまったのを確認すると、裕子は2人の肩を抱きながら声のトーンをあげる。
「ゴホンッ。え〜みなさん、今回もこの時期がやってまいりましたっ!!
天国の恒例企画、初仕事のお祝い。春の歓迎会を開催いたしまぁ〜すっ!!」
「か、歓迎祭?!」
なんだよ歓迎祭って。天国ってこんなにもイメージ違うの?
「今回の歓迎祭も『天使の三人祭』こと、裕ちゃん、みっちゃん、あっちゃんプロデュースでございますっ!!
もちろん、ウチらの部下の天女はみんな参加やでぇ〜!!開始は今日の20時からやでっ!」
圭織の顔がみるみる青ざめ、梨華ちゃんの顔はどんどん赤くなっていく。
「『プッチ』がくるのね・・・ってことは・・・圭ちゃんもくるのね・・・」
「久々にひーちゃんと逢えるぅ〜♪最近忙しくて全然逢えなかったから・・・ウフフ〜♪」
- 50 名前:第五話 投稿日:2003年04月24日(木)20時53分50秒
- なに?!なんなのこの2人の対極的なテンション。楽しいのか悲しいのか全っ然、わからないんですけど・・・
ってゆーか、今日の夜って早すぎっ!!
裕ちゃんはニタ〜ッとした顔でオイラ一点を見つめる。・・・怖すぎっ!!
「それと、真里ちゃん!!これから毎朝特別レッスンスタートでございますっ!
でも今日はこれからっ!・・・もちろんウチとの2人きりやでっ♪」
「えぇ〜!!!ウソでしょ?裕ちゃん。ウソって言ってください!!裕子さん・・・」
「ホンキやでウチはいつもホンキやで〜♪じゃあ、3人は20時、10分前にはいつもの所に集合しときや。
んじゃ、真里ちゃん、いくでぇ〜!!」
「「「いってらっしゃ〜いっ!!」」」
「えっ!、マジでマジで言ってるのぉ〜!!」
裕子に腕を引っ張られ、オイラは特別レッスンをするため、部屋から連れ出された・・・オイラ、生きて帰れるのぉ〜!?
(いやいや、死んでるって!!)
- 51 名前:桜乱 投稿日:2003年04月24日(木)20時55分41秒
- 更新終了。
うたばんの保田祭も終わり、あとは5日のライブを残すのみ。
今度のイジられキャラって誰になるんだろう・・・
- 52 名前:第六話 投稿日:2003年04月25日(金)17時35分03秒
- 「つ・・・疲れた・・・し・・・死ぬ・・・」
歓迎祭までの空いた時間をイキナリ特別レッスンと呼ばれる、
鬼厳しい特訓に当てられてしまい心身ともにボロボロです、オイラ・・・
『天国の恒例企画、初仕事のお祝い。春の歓迎会!!』
とデカデカ書かれた看板が表に立てかけられる部屋に入って隅っこにある椅子に腰を下ろす。
かなりの数の人が会場を埋め尽くしている。奥にはステージがあるんだけど、
暗幕が掛かっていて、今はステージの様子はわからない。
「あ゛〜!!今のオイラ、『あしたのジョー』のラストシーンみたく真っ白になってるだろうな・・・」
「「「立つんだジョ〜〜〜〜〜〜!!!」」」
「!!」
な、なんだ?!どっから聞こえたんだ?・・・って、あっ!!
キョロキョロしてたオイラのまん前に3人の黒スーツの人たちが立っていた。
- 53 名前:第六話 投稿日:2003年04月25日(金)17時35分38秒
- ちゃんと確認も出来ないほど疲れ果ててるオイラ・・・自分で可哀相だなって思っちゃうよ・・・
「お疲れさま、ヤグチ。初めての特別レッスンどうだった?」
顔色がどんどん悪くなるのがわかる・・・レッスンを思い出したら、顔が真っ青になった。
「あ、あれ、レッスンって枠に収まらないよぉ〜!!・・・圭織ぃ〜・・・・・」
オイラは圭織に倒れこむ。圭織はオイラの頭を優しくなでてくれた。
「よしよし。よ〜く頑張った。たぶん裕ちゃんのことだから、イキナリ無理難題出されて、
ヤグチが困っていたら裕ちゃんが普段じゃ考えられない程優しい言葉で励まされて
自信を持ってチャレンジしたら見事に失敗して、ごっめ〜ん!!って軽く謝ったら、
めちゃめちゃ強く怒られて、泣きながらもレッスンは永遠に続く・・・そんなカンジじゃない?」
オイラはコクンと頷く。
「・・・うん、全部当たってる。・・・でもなんでわかったの?」
「ちょっとだけだけど目が腫れて充血してるから。それに裕ちゃんの行動なんてお見通しっ!」
「へぇ〜、さすが圭織だね。なんでもわかるんだぁ・・・」
- 54 名前:第六話 投稿日:2003年04月25日(金)17時36分40秒
- すると、梨華ちゃんもへの字に眉をまげて圭織に倒れこんだオイラの顔を見つめる。
「大丈夫ですかヤグチさん?最初だったからかなりキツかったでしょう。
もう少しやると慣れてくるんですけど、そこまでが大変なんですよねぇ。
私にも倒れこんできてくださいっ!いっつでも癒やしてあげますからっ♪」
胸を張っている梨華ちゃん。なんかある意味、たくましい。
あいぼんは圭織に倒れこんでるオイラに抱きつく。もう満員電車状態。
「真里ねーちゃん、おつかれさまぁ!!裕ちゃん、すっごいキビシイと思うけど、
すっごい技が上達するんだよ!!だから今厳しくても絶対自分の為になるからっ♪」
みんなに励まされてオイラはだんだん元気を取り戻していく。
昔から、応援されると頑張れるコだった。それに褒められると伸びるタイプですっ!!(身長以外)
オイラは圭織から離れ、あいぼんをギュッと抱く。
「うんっ!!頑張る!!!みんなの足手まといになりたくないし。裕ちゃんなんか負かしてやるぅぅぅ!!」
3人はニッコリ微笑む。
「「「うんっ!そのちょーしっ!!」」」
- 55 名前:第六話 投稿日:2003年04月25日(金)17時38分02秒
始まるまでの少しの間、皆で仲良く喋っている。オイラもずいぶんと3人に愛されて、
昔からの知り合いのようにわきあいあいとなってる。
圭織がコブシを自分の胸に持ってきてちょっと真面目な顔になる。
「ヤグチ、今日は私たちが主役なんだから、レッスンのことは忘れて楽しもう!!」
「そうそう、今日はウチらが主役ぅ〜♪」
「ヤグチさん、ウチのひーちゃん、後で紹介しますからっ!」
「うんっ!!」
・・・ってちょっと待てよ・・・最後の梨華ちゃんの言葉、
なんか2人と違うぞ・・梨華ちゃんの恋人紹介されても困るなぁ・・・
そう思っていると、会場の暗くなる。暗幕あげられ、ステージ上にスポットライトが差し込み、
3人の白衣の女性を照らし出した。真ん中にいるのは裕ちゃんだ。右胸に『ゆ〜こ♪』と書いてある名札をつけてる。
「さ〜、やってまいりました!!春の恒例、初仕事のお祝い。春の歓迎会!!
司会進行をさせていただきます。3人の中でいっちば〜んビューティフルな、ゆ〜うちゃ〜んですっ!!」
- 56 名前:第六話 投稿日:2003年04月25日(金)17時39分17秒
- どっかで見たことのあるなぁあれ・・・あっ!宮迫です!のパクリじゃない??
裕ちゃんの右隣の人が一歩前にでた。右胸に『みちよ♪』と書いてある名札をつけてる。
「はいは〜いっ!今日はみんなもりあがっていくでぇ〜!!
3人の中でいっちば〜んおとなしい、みっちゃ〜んですっ!!」
今度は左隣の人、一人だけアフロヘヤーのかなりウケ狙いの人が一歩前に出る。
右胸に『あつこ♪』と書いてある名札をつけてる。
「今日は無礼講やからドンちゃん騒ぎしてかまへんよ〜♪ウチも踊りまくるからっ!!
3人の中でいっちば〜んハイテンション、あっちゃ〜んですっ!!」
「「「3人揃って、三人祭でぇ〜すっ!・・・チュッ♪」」」
その直後、会場全体でものすごい声が聞こえた。
『オウェェェ〜〜〜〜』
初めての体験なのでオイラ一人取り残された。みんな、反応ウマッ!
裕ちゃんがすかざすツッコむ。
- 57 名前:第六話 投稿日:2003年04月25日(金)17時41分46秒
- 「みんなオウェゆうなっ!!こんなカワイイ人たち滅多に見られへんで〜!!
まぁ、どうでもええか。じゃんじゃん騒いでくれ〜!!!」
会場全体の電気が再びつく。そこにはさっきまでなかった料理がズラリ。
天国はマギー審司のマジックだらけだなぁ・・・ちなみにオイラ、マギー審司のファン。
みんな一斉にお皿とお箸をもって、食事にガッつく。
ウチら達も他の人たちとワイワイやりながら時間は過ぎていく。
- 58 名前:第六話 投稿日:2003年04月25日(金)17時42分52秒
- 仲良く食事をしているとウチらの前に紺色のスーツを着た女性が現れた。
「あ〜ら、圭織。ずいぶん食事にガッツいてるじゃない。・・・太るわよ。」
圭織は口に入っていたパスタを飲み込むとその女性の顔を見て不敵に微笑む。
「太るだなんて、圭ちゃんみたいにオバちゃんじゃないから平気ですわよ。」
圭と呼ばれた女性と圭織は微笑みあう。でも目は全然笑ってない。
むしろ冷たい空気が周りに漂い・・・怖い。
オイラは梨華ちゃんの腕を引っ張る。
「な、なんなのあの2人。笑ってるのか怒ってるのか全然わからないじゃん。」
梨華ちゃんはウーロン茶を一口飲むと、オイラの耳元で囁く。
「あれが『プッチ』のリーダー、保田さんです。飯田さんの永遠のライバルって呼ばれる人ですよ。」
「へぇ〜、あの人が保田さんかぁ・・・ホントに冷戦ね。」
「はい。2人は逢うといっつもあんな感じですから、気にしなくてもいいですよぉ。
・・・あっ!ひーちゃん!!」
梨華ちゃんがこっちに向かってくる人に手を振った。保田さんと同じ紺色のスーツを着た女性2人。
- 59 名前:第六話 投稿日:2003年04月25日(金)17時43分50秒
- 「梨華ちゃ〜ん!!」
梨華ちゃんとやってきた片方が抱き合う。・・・これが梨華ちゃんの恋人ね。
抱き抱きを堪能したのか、2人は離れる。すると梨華ちゃんがハリキッて紹介し始めた。
「ヤグチさんっ!この人がひーちゃんこと、吉澤ひとみちゃんですっ♪
ホレちゃったりしちゃだめですよぉ〜。ひーちゃんは、もう私のモノなんですからっ!」
「・・・だいじょーぶ。ホレたりなんかしないから。心配しないで。」
しっかりした梨華ちゃんの姿はどこにもないわね。むしろ、恋愛バカになってるわ・・・。
「どうも初めまして。吉澤ひとみっていいます。よろしくお願いしますっ!よっすぃ〜って呼んでくださいっ!」
そういって頭を下げた。・・・イイ感じのさわやかボーイじゃん。梨華ちゃん、見る目あるじゃん。
「それで、もう一人は・・・」
梨華ちゃんがもう一人の人の紹介をしようとしたとき、食べ物に夢中になっていたあいぼんが手をあげた。
「はいっ!はいっ!!真希ちゃんはウチが紹介するぅ〜♪」
あいぼんは皿や箸はテーブルにおいて、その女の子に抱きついた。
- 60 名前:第六話 投稿日:2003年04月25日(金)17時44分40秒
- 「この人は、後藤真希っていうんだよっ!真希ちゃんは、ウチのいっちばん、お気に入りのおねーちゃんなの〜♪」
ニッコニコしながら紹介してくれるあいぼんの頭に手をあてながら彼女は挨拶してくれた。
「はじめまして。後藤真希っていいます。え〜っと、あなたがヤグチさんですか。
これから色々とお世話になることがあると思いますが、よろしくお願いします。」
ずいぶん礼儀正しい子じゃない。プッチはイイ男ぞろいね。
「いやいや、こちらこそよろしくお願いします。ってゆーかオイラがお世話になることのほーが多いと思います。」
「アハハ。そんなそんな。お互い助け合っていきましょう、同じ仕事仲間ですし。」
笑う顔もカッコイイじゃん。よっすぃ〜とは違うかっこよさを持ってるね。この子は。
2人ともイイ感じじゃない。もっと怖い人達かと思ったけど、よかった、優しそうで。
2人の紹介が終わったころに保田さんがオイラに挨拶してきた。
「あなたがヤグチさん?私はプッチの保田圭っていうの。よろしくね。」
保田さんは右手を差し出してきたので、オイラも手を出す。
- 61 名前:第六話 投稿日:2003年04月25日(金)17時45分29秒
- 「よ、よろしくお願いします。矢口真里ですっ!」
「そんな硬くならなくてもイイわよ。仲良くやりましょう。圭織は 抜 き で !」
圭織は眉がピクッと動く。
「な、なんですってぇ〜!!!」
すかさず梨華ちゃんとよっすぃ〜が止めに入る。
「まぁまぁ。今日は祝いの席ですし。お互い仲良くいきましょうよ〜」
「そうですよぉ〜。飯田さん、今日は楽しもう!って言ったじゃないですかぁ〜!!」
「「そ、そうね・・・」」
2人が落ち着いたのを確認した後藤さんは声を張って仕切り直した。
「それじゃあ、仲良く世間話なんかしながらワイワイやりましょう!!」
「「「「はぁ〜いっ!」」」」
この後も歓迎祭はまだまだ続く。
- 62 名前:桜乱 投稿日:2003年04月25日(金)17時48分30秒
- 更新終了。
歓迎祭〜パート1〜でございました。
全然この話とは関係ないんですが、
赤板:作者フリー 短編用スレに『嫉妬×ケンカ×仲直り♪』
っていう短編モノをあげさせていただきましたので、
お時間のある方は見ていただければ幸いです。
ちなみに甘い(?)いしよしモノでごじゃいます。
- 63 名前:第七話 投稿日:2003年04月30日(水)15時11分08秒
- あの後、『プッチ』の3人と食事をしながらおしゃべりを楽しんだ・・・保田さんと圭織は相変わらずだったけどね。
でも、『プッチ』に急に仕事が入っちゃって、3人は仕事現場に向かっていった。
けど、ちゃんと『『『今度また飲み会でもしようねっ!』』』って言ってくれたから、またすぐに逢えると思う。
「真里ねーちゃん?誰に喋ってるの??」
あいぼんに顔をのぞかれてハッとする。
「う、ううん。なんでもないよ。ちょっと違うお仕事してたから。」
「ふ〜ん。変な真里ねーちゃん。・・・あっ!!裕ちゃんにみっちゃん!!」
あいぼんは裕ちゃんに手をふる。
裕ちゃんが『みちよ♪』と書いてある名札のついている女性にひじでグイグイっと押す。
「みっちゃん、カワイイやろ?あそこにいるちっこいのが真里ちゃんや。」
「へぇ〜・・あのコが真里ちゃんか。ちっちゃいって聞いたけど、ホントにちっちゃくてカワイイねぇ。」
「そうやろ〜♪今、ウチのめっちゃお気に入りやねん。ハナちゃんに負けず劣らずカワイイっ!!」
なんかオイラのことを言ってるらしい。この会の前まで『鬼の裕子』を見てるから、矢口真里・・ビビってますっ!!
- 64 名前:第七話 投稿日:2003年04月30日(水)15時11分59秒
- 「ヤグチィ〜!!」
そう言いながらいきなりオイラに抱きついて頬をスリスリさせてくる裕ちゃん。
「ちょ、ちょっとぉ!やめてくれよぉ〜!!」
「ごめんなぁ〜ヤグチ。ヤグチ見てるとついついイジメたくなっちゃうの。怯えてたヤグチもめっちゃ好きやで〜♪」
な、なんだこの人は!!ぜっんぜん謝ってないよ。ってゆーか絶対、今後もオイラはイジメられるんだろうな・・・トホホ
ちょっとブルーになっていると、オイラの顔をジィーっと見るもう一人の白衣の人。
「真里ちゃんはもう裕ちゃんのレッスン受けてるんか。はぁ〜、エライなぁ。かなりキッツイやろ?」
「は、はい。もうめちゃめちゃ・・・」
「裕ちゃんのレッスンは天使の中でいっちばん厳しいって、あの世では有名やもんなぁ〜。
エライよ真里ちゃん!!これからも頑張ってな。」
「は、はいっ!頑張ります。」
裕ちゃんとは違う感じの優しい人だなぁ・・・。あっ!まだ挨拶してないや。
「裕ちゃんちょっとどいて。」
そういって、裕ちゃんをはがして、頭を下げる。
「遅れましたが、矢口真里っていいます。よろしくお願いします。」
- 65 名前:第七話 投稿日:2003年04月30日(水)15時12分50秒
- 彼女は目をウルウルさせる。・・・何か変なことしたかな?オイラ。
「・・・ん〜っ!!礼儀正しくてよろしいっ!!裕ちゃん、エエ子を引っ張ってきたなぁ。
ウチの名前はみちよってゆうんや。よろしくな。
それにしてもウチもカワイイ子を引っ張ってくればよかったわぁ〜。
よっすぃ〜もごっちんも圭ちゃんもカッコイイ系やからなぁ・・・」
よっすぃ〜にごっちんに圭ちゃん?この人ってもしかして・・・
オイラが考えてるのがわかっているかのように裕ちゃんは後ろから、また抱きついて言う。
「みっちゃんはな、『プッチモニ』の仕える天使やねん。」
「あぁ〜やっぱり・・・って離してってば。」
「いやや♪」
裕ちゃんはなお一層、力を入れる。
「も〜いや〜!!ゆうこぉ〜!!!はなせぇ〜!!!」
オイラは裕子地獄に落ちていった・・・
- 66 名前:第七話 投稿日:2003年04月30日(水)15時13分37秒
- 「この料理すごい美味しいです!このじゃがいもがこう、ダシとあわさって・・・完璧ですっ!」
「あさ美ちゃん、今更『おでん』の解説をしてくれなくてもイイのれす。誰も聞いてないし。」
「そーだよ、あさ美ちゃん。『おでん』よりもこの『かぼちゃの煮つけ』の方がおいしいよっ!」
「いや、そーいうことも言っていないのれす・・・」
『オカンの味』というネームカードが置いてあるテーブルにしがみついている、
ピンクのドレスを着た食いしん坊3人娘。
天上界書類作成係兼天上界情報係『ハワイャ〜ン娘。』の紺野あさ美、小川麻琴、辻希美である。
「あれぇ・・・圭織達こっちにきたと思ったんだけどなぁ・・・」
裕ちゃんに抱きつかれてる間に圭織達と別れちゃって探してる最中です・・・あのゆぅこめぇぇぇ!!
「・・・完璧ですっ!のんちゃん、これ、完璧ですっ!!」
ん?なんだ??・・聞いたことのあるフレーズ・・・完・・・璧・・・ですぅ?!
オイラは聞き覚えのある声の場所へ急いだ。
- 67 名前:第七話 投稿日:2003年04月30日(水)15時14分14秒
- 「あぁ〜!!!アンタ!!あの時のインチキ完璧女ぁぁぁぁ!!!」
「・・・??誰ですか?あなたは・・・あっ!矢口さん・・・ですか?」
「そうよっ!!」
あいぼんのようなお団子頭の女の子がインチキ完璧女のの腕をグイグイっと引っ張る。
「あさ美ちゃん、なんか悪い事したんれすか?ずいぶん怒ってるようだけど・・・」
インチキ完璧女はフルフルと首をふる。
「いや、全然記憶にないですよぉ。だって初めてお会いしますし。」
かぼちゃを食べていた女の子がお皿をテーブルにおいて、一歩前へでる。
「あのぉ・・何かウチのあさ美がしましたでしょうか?」
ずいぶん丁寧な口調にちょっとオイラの勢いも抑えられる。
「オ、オイラの初仕事の時、場所は脳内に直接送りますって言ったのに全然場所なんかわからなかったの!!」
オイラの呪文失敗しちゃったんじゃないかって怖かったんだから!!
インチキ完璧女はポンと手を叩く。
- 68 名前:第七話 投稿日:2003年04月30日(水)15時15分22秒
- 「あぁ、あの時ですかぁ。アレはですね、呪文にだいたいの位置を与えるためのダイレクトメッセージだったんで、
唱えた本人には場所がわからないんですぉ・・・完璧ですよね、エッヘン!!」
ポカーンと口を開いてしまった。オイラの早とちりだったの?!・・・だから圭織は冷静だったのか・・・
早く言ってよ・・・圭織のバカッ!・・・だったら、はやく謝らないと。
「ごめんなさい。オイラなんも知らないから・・・って言ったらいいわけになるけど・・・ごめんっ!!」
元インチキ完璧女はニコッと笑顔を浮かべた。
「そんなぁ。誰しもわからないことありますから気にしないでください。
私、紺野あさ美です。好きな食べ物は干しいもですっ!」
「ずっずるいよ〜先に挨拶するのぉ〜!!私は辻希美っていいます!よろしくなのれす。
のの達はあの世で書類を作っているんれすよぉ〜♪
・・・ほら、まこっちゃんも挨拶するのれす!!」
- 69 名前:第七話 投稿日:2003年04月30日(水)15時16分13秒
- またかぼちゃに食いついていた女の子はかぼちゃを口に入れながら、
「ぼぼぼ、ぼぼぼぼぼぼっべぼぼぼぼ(わたし、小川麻琴っていいます)」
「オイラはヤグチです。よろしく。・・アハッ!かぼちゃ飲み込まないと。背中叩いてあげるから。」
オイラはポンポンと麻琴ちゃんの背中を叩きながら隣の2人に圭織達のことを聞いてみた。
「ねぇねぇ、あなた達。オイラ以外の『タンポポ』のメンバーしらない?見失っちゃってさぁ・・・」
「・・・のんちゃん見ましたか?」
「『タンポポ』でしょぉ?う〜んと・・・あぁ!!さっき見かけたのれすっ!!でも、もうこの部屋出たと思う・・」
「えぇ!!!!オイラを置いて?!・・・そんなことないっしょ〜!!・・・でも、その可能性は否定できない。
・・・ごめん、ちょっと行って来る!!」
「「「いってらっしゃ〜いっ♪また今度〜♪」」」
- 70 名前:第七話 投稿日:2003年04月30日(水)15時17分03秒
- この後、ホントに圭織、梨華ちゃん、あいぼんはホントに帰っていた。
当然、『なんで帰ったの!!』って怒ったんだよ、オイラ。圭織は当然のごとく、
『だって裕ちゃん、いつヤグチを離すかわからなかったんだもん』っていわれた。
あまりにもっともな事を言われたからムキになって、『メインが帰ってどうするのよ!』って言ったのよ。
そしたら、今度は
『全然へ〜きですよヤグチさん。アレは歓迎祭と名のついたただの3人の飲み会ですから』って梨華ちゃんに。
これじゃあ、あんまりだと思ってオイラ言っちゃったんだよ。
『なんだよなんだよ・・・みんなして・・・オイラ一人焦ったのもしらないくせにぃぃ・・・』って。
オイラがちょっと涙目になっちゃってるときに、
あいぼんがテーブルにお菓子やらジュースやらをドサッと置いて、
『これからはウチらだけのお祝いパーチィ!!』
とか言って二次会が始まっちゃったの。あいぼんが気を使ってくれたんだと思うけど、深くは聞かなかった。
- 71 名前:第七話 投稿日:2003年04月30日(水)15時18分16秒
- すっごい楽しかったんだけど、こーいう時に限って元インチキ完璧女こと、紺野ちゃんの声が部屋に響いたの。
『歓迎祭お疲れ様でしたぁ〜。さっそくですが、現世に魂が彷徨っているのを確認しました。
ちょっと魂が多いので応援お願いしまぁ〜す。・・・今回も完璧ですっ!!』
ウチらは持っていたジュースを置いて同時に言ったの。
『『『『楽しんでる最中なのにぃ!!』』』』
- 72 名前:桜乱 投稿日:2003年04月30日(水)15時23分18秒
- 更新終了でございます。
またまた話とは関係ありませんが、
月板の『オムニバス 電話』のスレに駄文を投稿してしまいました。
タイトルは『誤解〜Gokai』でCPは『いしよし』ッス。
駄文でも見てやるよって方がいましたら、読んでいただきたいと思います。
最近いしよししか書けない・・・しかも超駄文・・・
ダメだ・・・なちまり書かないと・・・(爆
- 73 名前:第八話 投稿日:2003年05月01日(木)18時20分25秒
- 紺野ちゃんの声と共にウチらは席を立ち、円状になった。圭織が指示する。
「じゃあ、ヤグチ。疲れてると思うけど、魂飛ばしの魔法をお願いね。」
オイラは満面の笑みを浮かべて圭織に向けて親指を立てる。
「まっかせといて!要領はつかんだし、裕ちゃんにコツを教えてもらったから。」
圭織も笑顔になって頷く。
「うんっ!お願い」
オイラは胸の前に手を持っていき、手の中に球状の光る物体が出来るように念じながら唱えた。
「それじゃあいくよ・・・ウチらの魂魄よ、果てなる彼方へ移動せよ・・・・・ビジョンッ!」
するとウチら4人の体は光に包まれてその場から消えた。
- 74 名前:第八話 投稿日:2003年05月01日(木)18時21分09秒
- ウチらはこの前と同じように光に包まれて移動している最中。
紺野ちゃんはウチの魔法に位置を与える為のダイレクトメッセージを送ると共に、
今日の情報をダイレクトに梨華の脳内に送ったらしい。
「3人ともよく聞いてくださいね。今日は私たちは魂を送るのはメインではないそーです。
別に現場に行っている人達の支援をして欲しいとのことです。」
あいぼんは首をかしげながら梨華ちゃんに聞いた。
「えぇ〜ウチらが魂を送るんじゃないんだぁ。・・・あっ!わかった!!『プッチ』の手伝いをするんでしょ?」
その質問に梨華ちゃんは即座に答える。
「うんっ!そのとーりっ!!ひーちゃんと一緒にお仕事できるのぉ〜ウフフ♪」
「やっぱりぃ〜!!ウチの勘は当たるンだよねぇ〜♪真希ちゃんと仕事かぁ・・・やったぁ!!」
- 75 名前:第八話 投稿日:2003年05月01日(木)18時21分49秒
- あいぼんと梨華ちゃんはニッコニコしていた。梨華ちゃんに関しては、ニタァ〜っと顔の筋肉が緩んでいる。
それとは逆に圭織は、みるみる顔が青ざめていく。
仕事とはいえ、ライバルの保田さんを支援するんだから青ざめるはずだわ。
「とりあえず、現場についたら、まずはその人を探せってゆーことです。」
「「おぅっ!」」 「お・・・おぅっ!・・・」
3人ハモって返事をした。圭織はノリ気ではなかったけど。
- 76 名前:第八話 投稿日:2003年05月01日(木)18時22分32秒
- 圭織は受信モードに入った・・・交信の時間である。
それを確認したオイラは梨華ちゃんに話をふった。
「ねぇねぇ、梨華ちゃん。」
「ん?なんですか?ヤグチさん。」
「よっすぃ〜と付き合ったキッカケってなんだったのぉ?」
梨華ちゃんの顔が真っ赤になる。
「なんでそんなこと聞くんですかぁ!!仕事中ですよぉ!!」
「い〜じゃん。まだ地上つきそーもないし。圭織は交信中だし。」
「もぅ・・・ヤグチさんってば。」
梨華ちゃんの反応を楽しんでると、オイラにあいぼんが肘鉄をかます。
「あいたっ!!何するのぉあいぼん!!」
「真里ねーちゃん、こーかいするからね。ウチ知らないよ。」
「えっ!!」
オイラなんかいけない事聞いちゃったのかな?だって気になるじゃんねぇ。梨華ちゃんとよっすぃ〜の馴れ初めを。
梨華ちゃんを見ると、さっきまでモジモジしていた梨華ちゃんは既にもういなかった・・・
「ヤグチさん、ちゃ〜んと聞いてくださいね。私とひーちゃんはですね・・・」
- 77 名前:第八話 投稿日:2003年05月01日(木)18時23分43秒
この後、地上に降りるまで永遠と馴れ初めを話されたのは、言うまでもない。
あいぼんの忠告・・・甘く見てたオイラ。今なら素直に聞ける。。
あいぼん、チミの言うことは今度からしっかり聞くよ・・・。
ちなみに、梨華ちゃんとよっすぃ〜の馴れ初めを聞くのはまたの機会。
- 78 名前:第八話 投稿日:2003年05月01日(木)18時25分31秒
- 地上まで10メートル程になって圭織が変な声を発した。
「・・受信完了っと。今回は・・・って、なんじゃこりゃあ!!」
今回の現場は高速道路。観光バスが中央分離帯ブロックに煙を出しながら乗り上げていた。
現場を見ながらオイラはボソっとつぶやいた。
「・・・だから支援か・・・」
地上に降りるとあいぼんが西の方向を指差す・・・紺色のスーツの3人。
「『プッチ』がいるよっ!はやくいこう!!」
あいぼんが先陣をきって駆け出す。それに続いてウチらも駆け出した。
- 79 名前:第八話 投稿日:2003年05月01日(木)18時27分27秒
- 『プッチ』の3人のいる場所に到着すると、無数の光るモヤモヤしたモノに取り囲まれていた。
「あ〜!!梨華ちゃ〜んっ!!」
よっすぃ〜が一番最初に『タンポポ』に気づき笑顔を見せる。
「支援部隊って『タンポポ』のことだったんだぁ・・・そりゃそっか、こんなことに『万能天女』がくるはずないか。
いや、別に梨華ちゃんが来てくれるのはすっごいうれしーんだけど、この状況で『タンポポ』はどうだろ・・・」
すかさずよっすぃ〜に肘鉄をくらわすごっつぁん。
「よしこっ!聞こえるじゃないか!!ウチらは余計な事考えなくていいんだよ。
それよりも龍坊が苦戦してる。早く援護っ!!」
「はぁ〜い。」
そういってウチらに構わず仕事を続行中。保田さんは遠くのほうで何か叫んでいるけど、よく聞き取れない。
- 80 名前:第八話 投稿日:2003年05月01日(木)18時28分22秒
- 圭織は急に真面目な顔をしてオイラ、梨華ちゃん、あいぼんを自分の周りに集める。
「今日は魂が多すぎる。それも交通事故死・・・これは大仕事間違いなし。
3人ともバッチリ『プッチ』の支援をしなさい。・・・今日は忙しくなるわよ。」
「「はいっ!」」
2人はすぐ返事をしたんだけど、オイラは少し戸惑う。
「ちょ、ちょっと待って。なんでそんな大変なの?
それに圭織、移動中はイヤな顔してたのに、やけに真剣な顔しちゃって・・・」
圭織に問いかけたんだけど、いつもどおりというか、あいぼんが解説してくれた。
- 81 名前:第八話 投稿日:2003年05月01日(木)18時29分03秒
- 「真里ねーちゃん。ウチが説明してあげるね。この前さぁ、なんか借金苦っぽい人だったじゃん?」
「うん。」
言動からみて明らかに借金苦の自殺って感じよね。
「そーいう自殺者は故意に敵意を見せるわけじゃなくて、自分の辛さを相手に知ってもらいたいと思って敵意を見せるの。」
「うん。」
「でも、交通事故者の場合、突然の死から敵意むき出しで天女に攻撃してくるの。
なんで死ななきゃならないんだー!!って。それも意志が強いから、ものすごい手ごわい。」
「待って待って。オイラも交通事故だったよ。でも何もわからず吸い込まれちゃったけど・・・。」
梨華ちゃんがバシッとオイラの背中を叩く。
「いたっ!なにすんのっ!!」
「やっだ〜ヤグチさん、何いってるんですかぁ〜。
それはヤグチさんが他の人とは違ったからですよぉ!!だから天女になったんじゃないですかぁ〜!!」
「・・・そーゆうもんなの??」
「「「そーゆうもんですっ!」」」
なんか力強く言われちゃった。・・・まぁ、納得しとくか。
- 82 名前:第八話 投稿日:2003年05月01日(木)18時29分57秒
- 圭織は仕切り直して指示をだす。
「よし、それじゃあ、いくわよっ!あいぼんと石川は吉澤に、ヤグチは後藤について。私は圭ちゃんにつくから。
その後の指示は『プッチ』に従って。今日は協力が一番だからっ!」
「了解、わかってるよ〜んっ♪」
「ひーちゃんとのラブラブパワーはどんな苦境にも負けませんっ!」
「裕ちゃんの特訓の成果、さっそく見せてやる!!」
『タンポポ』は指示通りに散っていった。オイラにとって2回目の仕事が始まった。
- 83 名前:第八話 投稿日:2003年05月01日(木)18時31分43秒
ちょっと場所が変わって『ハワイャ〜ン娘。』の事務室。例の食いしん坊娘。3人組が仕事をする場所。
「ねぇねぇ、まこっちゃん、のんちゃん。あの交通事故現場の支援部隊を『タンポポ』でよかったんでしょーか?」
「ん〜・・・大丈夫でしょ。もし『タンポポ』を出せなくても、あの現場を『万能天女』には頼めないよ。」
「そーれす、そーれす。貴子さんの直属天女は滅多には動かせられない規則れすっ!」
「でも、心配です。ヤグチさんは2回目の仕事なんですよ?それも充分訓練も受けていない・・・』
麻琴ちゃんは紺野ちゃんの肩を抱く。
「ダイジョーブだって!『プッチ』がイイ刺激になって『タンポポ』が、ヤグチさんが成長してくれるって。」
辻ちゃんは2人にまとめて抱きつく。
「そーれす♪天上界書類作成係は天女を信じればいーのれすっ♪」
「そうならいいんですが・・・」
- 84 名前:桜乱 投稿日:2003年05月01日(木)18時33分16秒
- 更新終了でございます。
見てくれる人いるのかな?・・・ちょっと怖いw
どなた様でも感想お待ちしております。
- 85 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月01日(木)23時13分33秒
- ∋oノハヽo∈
(〜^◇^)<やぐやぐ♪
- 86 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月02日(金)17時58分52秒
- いつも楽しく見てますよ^^
頑張ってください!
- 87 名前:第九話 投稿日:2003年05月02日(金)19時44分25秒
- 『タンポポ』が現場に到着する10分程前、『プッチ』は仕事真っ最中だった。それも結構ヤバイ状況。
「ねぇ、ごっちん。ちょっとばっかし辛くない?・・・傀儡の夢物語っ(マリオネットドリーム)!!」
よっすぃ〜がそう唱えると、突然、地面から無数の操り人形が現れ、モヤモヤしたモノの後ろに周りこみ、拘束する。
「ちょっとね・・・そろそろ限界近づいてるし・・・龍坊、アンタも限界?・・・魂魄送還、ビジョンッ!」
拘束されたモヤモヤしたモノ達は人形の中に吸い込まれ、頭上には黒い物体が現れる。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
小さな光る球体は黒い球体に吸い込まれていく。オイラの魔法とは格が違う。
「ご主人様、まだざっと20コ程の魂が存在します。任務の続行は厳しいかと。」
青い龍はそういいながらモヤモヤしたモノ2体をいっぺんに相手にする。
今回、よっすぃ〜が呼び出した四神獣は『青龍』と呼ばれる、青い龍らしい。
- 88 名前:桜乱 投稿日:2003年05月02日(金)19時44分56秒
- そんな3人に保田さんは檄を飛ばす。
「『万能天女』とか『タンポポ』なんかに頼ってられないのよっ!!『プッチ』の底力見せてやんのよっ!!」
保田さんは疲れを顔を見せずにモヤモヤしたモノにまわし蹴りをかます。
どうやら、モヤモヤしたモノは感触がちゃんとあって、物理的ダメージもハッキリ効くらしい。
でも、魂を送る仕事をしてるのに、魂をいたぶってもいいのかな・・・たぶん、よくないと思う。
「けど、保田さん。これ、分が悪すぎますって。ヤバイっすよ〜。」
「ごめん、圭ちゃん。ごとーもそろそろ力使い果たしそう・・・もっと食べれれば力出たんだけど・・・」
「ご主人、私一人の力では、これ以上は・・・」
「支援部隊がくるまで持たせるわよっ!!・・・なんとしても」
保田さんはそう言いながら、今度はモヤモヤしたモノに上下からパンチをくりだす。
某漫画に出たことのある『ドラゴンフィニッシュブロー』にそっくり!!
強気な保田さんも心の中では焦っていた。
(マズイわね・・・)
- 89 名前:第九話 投稿日:2003年05月02日(金)19時48分06秒
すると、よっすぃ〜がイキナリ笑顔になる。
「あ〜!!梨華ちゃ〜んっ!!」
よっすぃ〜が一番最初に『タンポポ』に気づく。
「支援部隊って『タンポポ』のことだったんだぁ・・・そりゃそっか、こんなことに『万能天女』がくるはずないか。
いや、別に梨華ちゃんが来てくれるのはすっごいうれしーんだけど、この状況で『タンポポ』はどうだろ・・・」
すかさずよっすぃ〜に肘鉄をくらわすごっつぁん。
「よしこっ!聞こえるじゃないか!!ウチらは余計な事考えなくていいんだよ。
それよりも龍坊が苦戦してる。早く援護っ!!」
「はぁ〜い。」
さっきまで言ってた事とは正反対によっすぃ〜は真面目な表情をして叫ぶ。
「梨華ちゃんの前で弱いところは見せてらんないんだよぉ!!・・・束縛術『束(そく)』!!」
その勢いにつられてかどーかわからないけど、青龍とごっちんも燃える。
「我が使命は主人を守護することなり・・・これ以上は!!」
「あいぼんが見てるからには、弱音は吐けないっ!・・・魂魄送還、ビジョンッ!」
みんなヤケに力が入りまくってる。これが見栄をはる力なのか?!
- 90 名前:第九話 投稿日:2003年05月02日(金)19時49分53秒
- 梨華ちゃんとあいぼんはよっすぃ〜の側へ、オイラはごっつぁんの側へ、圭織は保田さんの隣についた。
「梨華ちゃ〜ん!!来てくれたんだねぇ。ありがとっ!!」
「ひーちゃん大丈夫?ケガない?」
「大丈夫大丈夫っ!全然ヘーキ♪もし、ケガしてても梨華ちゃんが側にいてくれるなら完全回復っ♪」
「もぅ!!ひーちゃんってばぁ〜」
せっぱつまった状況とは思えないほどアツアツになっている。そんな2人にあいぼんは呆れてる。
「あー、すいませ〜ん。加護亜依、ここにおりますが、真希ちゃんのところへ行ってもいいですかー??」
2人は同時にあいぼんの方を見て、ハモッて言う。
「「どうぞ〜♪」」
「いいんかいっ!!ウチがいないと梨華ちゃん何も出来ないじゃん!!」
「ひーちゃんがいれば、なんでもできるっ!!」
「おいおい、マヂで言ってるんですかい?」
「おおマヂよっ!」
梨華ちゃん、いつもとテンションが違うようです。よっすぃ〜効果はスゴイんですっ!
- 91 名前:第九話 投稿日:2003年05月02日(金)19時50分53秒
- よっすぃ〜はさっきまでのニヤケ顔から真剣な顔に変わる。
「それじゃあ、本題。梨華ちゃんとあいぼん。悪いんだけど、『朱雀』を呼んでくれないかな?龍坊がキビシイからさ。」
「「了解っ!」」
梨華ちゃんとあいぼんは両手をつないで向き合って何かを唱え始めた。
「「この世を治める四神獣よ、天女の名において我に従え・・・朱雀降臨っ!!」」
腕の間から四神獣の朱雀と思われる赤い鳥が現れた。
「呼ばれて飛びでてジャジャジャジャ〜ン♪大空に咲く一輪の華、朱雀ちゃんと〜じょ〜♪今日はどんな御用かしら?」
テンションが高い赤い鳥にあいぼんが答える。
「あのねぇ、今日は魂がいっぱいあって大変なのだから、りゅーさんと協力プレイをよろしくですぅ〜♪」
赤い鳥は大きな翼を2度バサバサと動かす。
「オッケ〜♪まかしといて。それにしても今日はずいぶん豪勢ね。石川ちゃんに加護ちゃん、それにひとみもいるじゃ〜ん♪」
よっすぃ〜は右手をフッとあげて挨拶した。
「ウッス。おひさ〜♪今日さぁ、結構忙しいから早めに頼むわ。」
「あ〜ら、つれないわねぇ。まぁササッと終わらせちゃうか。」
赤い鳥は青い龍のいる場所へ移動していった。
- 92 名前:第九話 投稿日:2003年05月02日(金)19時51分32秒
「ごっつぁん、大丈夫??」
オイラが駆け寄ると、ごっつぁんはニコッと微笑んだ。
「大丈夫ですよ。この後藤真希、そう簡単にくたばるわけにはいきませんからっ!」
「くぅ〜カッコイイねぇ。やっぱり男前だ、ごっつぁんは。」
「フフ。そんなことないですよ。それより、援護お願いできますか?そろそろ決着つけないといけませんので。」
「オッケ〜♪・・・なにすればいい?」
ごっつぁんはさっきまで使っていた魂飛ばしの魔法をやめ、立ち止まって目を閉じた。
「ヤグチさん、これから大魔術でイッキに全ての魂を天国へ送ります。その間、ごとー達を守ってください。」
ゲゲッ!!守るぅ〜?!・・・オイラそんな魔法唱えられたか・・・・あっ!!
オイラは親指をグッと立てる。
「わかった!・・・裕ちゃんに教えてもらった魔法をさっそく使う時がきたぜぇ!」
- 93 名前:第九話 投稿日:2003年05月02日(金)19時53分55秒
「相変わらず乱雑ねぇ〜、圭ちゃん。」
そう言いながら圭織はスーツの胸ポケットから赤いお札を取り出し、モヤモヤしたモノに投げつける。
「遅いじゃないのよ、圭織。魂にはねぇ、これぐらいしてやらないと言うこと聞かないのよっ!!」
保田圭必殺のかかと落としがモヤモヤしたモノに直撃する。
「そーゆうけどねぇ、これでもウチら『天女』よ?それらしい行動ってのはできないのかねぇ〜。」
「魂でいる時なんて少ししかないし、記憶だって生まれ変われば消されるんだから関係ないわっ!」
「だからぁ〜、仕事だけこなすってのは良くないんだって!!」
「甘いんだよ圭織は。だからいつまで経っても私を追い抜けないのよっ!!」
「・・・ッ!!言ったわねぇ・・・!!」
圭織はキレそうになるが保田さんがキッと圭織を睨む。
「今日はアンタに構ってられないの。・・・この空気、ごっちんやるのね。」
保田さんはごっつぁんが大魔術をすることに感づいたらしく、ごっつぁんのいる場所まで後退する。
「圭織、ごっちんがアレをやるつもりよ!!ごっちんのいるところまで戻るわよ。」
「えぇ〜!!ごっちんアレやっちゃうのぉ〜・・・アレすっごい体力消耗するのに・・・」
圭織もごっつぁんのいる場所まで後退していった。
- 94 名前:第九話 投稿日:2003年05月02日(金)19時58分05秒
- 『万能天女執務室』と呼ばれている場所・・・そこで外に響くほどの大きな声で話し合っていた天女たちがいた・・・
「貴子さんっ!!なんで美貴達は今回、別の魂送還の仕事なんですか??『プッチ』がやってる仕事は
美貴達の仕事でしょう・・・普通はっ!!」
「そーだよそーだよ!!松浦達の仕事をなんで『あの子達』に渡しちゃうんですかぁ〜!!」
2人に責められてる貴子の顔は余裕タップリの笑顔。全然2人の抗議を受け付けず、コーヒーを飲む。
「しゃーないやん。他にも同時発生した魂の送還を一気に送還できるのはここにいる
貴子率いる『万能天女』しかおらへんもん。仕事終わってるんやから、報告書でも書きぃーな。」
「「貴子さんっ!!」」
すると、壁によりかかっていたワインレッドのスーツを着た女性が口を開く。
「あややもミキティもいいじゃない。私達は魂送還の他に別の仕事でも動いてるんだから。
・・・それに、圭ちゃんと圭織がタッグを組めば怖いものないわ。」
- 95 名前:第九話 投稿日:2003年05月02日(金)19時59分51秒
- その女性の隣にいた女の子も口を開く。
「ほやほや!!飯田さんと保田さんはすごいんですから平気だって!!
・・・2人とも気ぃ取り直して『ヘンルーダの花が咲く丘』でも歌うかい??」
「「一人でやっててよ『ホッピーでホップ』なんかぁ〜!!」」
「ヒドイよぉ・・・じゃあ、アヤカさん。一緒にしましょー!!」
「OK!!」
コンコン・・・ドアのノックする音。入ってきたのは一人の女の子。
「貴子さん、それに『万能天女』のみなさん、おねーちゃんの手がかりは見つかりました??」
「いやぁ・・・中々痕跡を残さない神様やで。もーちょっと待ってくれへんか??」
「できるだけ早くお願いしますね。天国の統制なんて私の本来の仕事じゃなくて、とってもキビシイんですから。」
「わかっとるがな。もーちょいまってや。妹はんっ!!」
- 96 名前:桜乱 投稿日:2003年05月02日(金)20時10分27秒
- 更新終了でございます。
途中、タイトルを『桜乱』にしてしまいましたが、
特に支障はないので、助かった・・・(^〜^o;)A
>85 名無し読者さん
Σ(゜Д゜;)
>86 名無し読者さん
読者様がいるようでなにより。
これからも見ていただけると嬉しいです!
感想もいただけると、さらに嬉しいかったり・・・(爆
- 97 名前:97 投稿日:2003年05月04日(日)11時22分09秒
- 軽快で楽しいお話ですね。
すべての出発点のところで悲劇のはずなんだけども(矢口の家族の気持ちは…)。
>>1「恋愛というよりは友情の方が強いです」
に、期待です。かっこよくて気持ちのいい友情を。
いまのところ、保田と飯田のライバル関係が一番かっこいいです。
保田、かっこいいです。
- 98 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月04日(日)11時27分48秒
- いつも読んでますよ。
更新乙彼ッス
- 99 名前:第十話 投稿日:2003年05月06日(火)21時52分18秒
- 「みなさんっ!!わかってますね??大魔術はみんなの力が必要なんですっ!!
昔、デモンストレーションでやったようにお願いしますねっ!!それじゃあ、いきますよっ!!」
「「「「は〜〜いっ!!」」」」
ごっつぁんが皆に呼びかけてる。なんだろ??何が始まるんだ?!オイラだけ取り残されちゃったよぉ〜・・
オイラは圭織のスーツの裾を引っ張って聞いてみる。
「ん?どうしたの??ヤグチ」
「みんなの力ってどーいう意味??オイラ何かしたほうがいいの??」
「ダイジョーブダイジョーブ気にしなくていいから。ヤグチは青龍と朱雀と一緒に魂を拘束して。」
「う、うん・・」
なんだろ?マジで何やるんだろ・・大魔術ってミスターマリックしかやらないと思ってたのになぁ・・・
圭織のから少し離れて、ちょっとオロオロしていたオイラに青い龍と赤い鳥が近寄ってきた。
「そこにいる新人さんっ♪わたし朱雀ってゆーの。よろしくねッ♪」
「は、はじめまして。矢口真里っていいます。よろしくです。」
「カワイイわねぇ。真里ちゃんって言うのね。私のもろタイプの子よ、真里ちゃん♪」
「は、はぁ・・・」
げげっ!!アホ虎よりも優しい感じしたけど・・・この鳥・・・裕ちゃんに似てる・・・
- 100 名前:第十話 投稿日:2003年05月06日(火)21時53分29秒
- 青い龍が裕ちゃん鳥に話しかける。
「朱雀・・・挨拶している場合ではありません。どんどん魂がこっちに近づいてきます。」
「わかってるわよ、そんなことは。龍坊がバブバブ言ってたときからこっちは働いてるのっ!」
「バ、バブバブゥ?!」
「あー、真里ちゃんは知らないんだっけ??神獣も永遠には生きられなくて衰退する時期が来るのよ、
それで、世代交代のを繰り返すわけ。私が14代目朱雀で、そこの青いのが16代目青龍。」
ほぇ〜?!そんなことがあるんだぁ・・・だからバブバブね。
「じゃあ、ウチらで半分の10体を拘束するから、残りお願いね♪真里ちゃんならできるっ!!」
「そんなぁ〜・・・一人で10体ですかぁ?!・・・わかりました」
「行くわよ龍坊っ!!」 「はいっ!!」
- 101 名前:第十話 投稿日:2003年05月06日(火)21時54分06秒
- 2匹ともいっちゃったけど、私一人で10体かぁ・・・キビシイけど裕ちゃん直伝の魔法ならっ!
オイラは手を合わせて呪文を唱える。
「ヒトの形ならずして、現世に留まる魂たちよ。汝ら、ココにいるべきモノではあらず。
魂魄拘束術・・・フリーズウェイク!!」
オイラの手から冷たい風が起こり、前方にいる10体のモヤモヤしたモノを凍らす。
「やった!!できたっ!!できたよぉ〜裕ちゃぁぁぁん・・・」
ちょっとオイラ、泣き入りました。
「あらぁ〜、やるじゃない真里ちゃん♪強い女の子はもっと好きよ♪・・・じゃあ、こっちもやりますか。」
裕ちゃん鳥は羽をバサバサ震わして風を起こす。そして竜巻を発生させる。
竜巻に巻き込まれたモヤモヤしたモノは一点に集まる。
「ほらっ!!龍坊頼んだわよっ!!」
「いきますっ!!はぁーっ!!」
一点に集まったモヤモヤしたモノを青い龍が長い胴をつかって締め付ける。
「うわぁぁ・・・すっげぇ・・・カッコイイ・・・」
オイラは見とれてしまった。見事なタッグプレイに。
- 102 名前:第十話 投稿日:2003年05月06日(火)21時57分03秒
- オイラと2匹がモヤモヤしたモノを拘束したのを確認すると後ろから2人が駆け出した。
走ってきたのは梨華ちゃんとあいぼん。2人は私の隣を通り過ぎる時、声をかけてきた。
「ヤグチさんっ!!後はまかせてくださいっ!!」
「真里ねーちゃん、カッコよかったよ〜!!」
そしてモヤモヤしたモノの両隣にたった。
「「魔方陣作成開始っ!!」」
2人は持っていたバッグから光るペンのようなものを取り出し、魔方陣で魂を囲むようにした。
「「魔方陣完成っ!!」」
完成と同時に梨華ちゃんが声をあげるっ!
「ひーちゃん、お願いっ!!」
「まかしとけ〜!!」
今度は後ろからよっすぃ〜が走ってきた。
モヤモヤしたモノの集まりの正面に立って手を前に出し、両手で三角形の形を作る。
これはオージービーフのロゴっ!と胸の中で叫んだオイラ。
「魔方陣、効力拡大術・・・『円』!!」
梨華ちゃんとあいぼんが描いた魔方陣がより光を増して魂を包み込み、5メートル程浮上した。
- 103 名前:第十話 投稿日:2003年05月06日(火)21時57分56秒
- 「圭ちゃんっ!!飯田さんっ!!後お願いしますっ!!」
「「了解っ!!」」
呼ばれた2人はよっすぃ〜の斜め後ろぐらいまで走って止まった。
圭織はスーツの胸ポケットから赤いお札を取り出し、保田さんは青いお札を取り出し、ソレに投げつける!!
「イヤァァァァァ!!!!」「やめてくれぇぇぇぇぇぇ!!!!」「何したってゆうんだよぉぉぉぉ!!!」
浮上しているモヤモヤしたモノから無数の声が聞こえる。
圭織は胸ポケットから今度はスーツに合わない数珠を取り出す。
そして右手に巻きつけ、ぶつぶつ唱える。保田さんも同じ様に数珠を取り出し、左手に巻きつけ、ぶつぶつ唱える。
二つの貼られたお札が光だす。
するとオイラの後ろから突風が巻き起こる!!
「なっ!!なんだっ!?」
振り返るとごっつぁんの周りから風が巻き起こり、ごっつぁんの髪が上へ浮き上がる。
「天女の名において魂魄に命ず。果てなる天へ成仏せよ・・・・・デビジョンッ!」
唱え終わると、モヤモヤしたモノは魔方陣に押しつぶされ、巨大な光る球体となった。
そして、ソノ頭上から黒い物体が現れる。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
巨大な光る球体は黒い球体に吸い込まれていった。
- 104 名前:第十話 投稿日:2003年05月06日(火)21時59分44秒
全員ヘナヘナッとその場に座り込む。
「「「「「「「疲れたけど・・・終わったぁ〜〜!!」」」」」」」
圭織が保田さんの方に顔を向ける。
「今回は成功したわね・・・なんとか。」
「えぇ、やっぱり拘束してくれる人がいないとコレはできないわね」
前にいた梨華ちゃんとあいぼんがオイラの方に体を向ける。
「やっぱり今日はヤグチさんのおかげでしょう!!」
「真里ねーちゃんがいなかったら出来なかったね。ホントに。」
オイラは頭をポリポリかく。
「いやぁ〜、アレはオイラだけじゃなくて、龍さんと裕ちゃん鳥が・・・あっ!」
「「「「「「ゆうちゃんどりぃ〜??」」」」」」
「いや、その・・・朱雀って裕ちゃんに似てるからさ。雰囲気が・・・」
裕ちゃん鳥はオイラの方に近寄る。
「私はねぇ。朱雀ってゆー立派な名前があるのっ!それを裕ちゃん鳥って。」
「ごめんちゃーい・・・」
「まぁ、いいわ。真里ちゃんカワイイし裕ちゃんとは旧友だから許してあげるっ♪」
なんかよくわからない理由。
それより、裕ちゃん・・・あなたは一体何歳なんですか・・・裕ちゃん鳥と旧友なんて・・・
- 105 名前:第十話 投稿日:2003年05月06日(火)22時00分28秒
- 「朱雀、そろそろ行かなければ・・・」
「わかってるって。それじゃ、みなさんごきげんよう。」
朱雀と青龍は消えていった。
2匹が消えるのを確認すると、よっすぃ〜、梨華ちゃん、あいぼんの3人がハモる。
「「「今回もありがとうございました」」」
ごっちんがオイラに声をかける。
「ホント、今回はヤグチさんのおかげですね。以前は失敗したんですよ、実はこの魔法。」
「えぇ〜!?マジっすか?!」
よっすぃ〜がこっちを向いてニコッと微笑む。
「そうなんスよ〜。昔、1回だけデモンストレーションでやったんですけど、皆バラバラになっちゃって。
でも、今回はヤグチさんもいるし、神獣達も手伝ってくれるからできると思ったんです。でしょ?ごっちん。」
「うん。さすがよしこ!わかってる。一か八かでしたけど、賭けてみることにしましたっ♪」
「・・・結果オーライってことね」
この人達、結構チャレンジャーなのね。まぁ、そーゆう考え方オイラも好きだけど。
保田さんが立ち上がって全員を見渡す。
「じゃあ、仕事も終わったことだし、打ち上げでもしますかっ!この前の約束もあるし。」
「「「「「「さ〜んせ〜っ!!」」」」」」」
- 106 名前:第十話 投稿日:2003年05月06日(火)22時01分48秒
- 今回は乗り気だった圭織。そこに保田さんが絡む。
「圭織、今日はどーしたのよ。随分、素直じゃない。」
「一緒に仕事した仲間とワイワイ飲みたいときだってあるのよ・・・」
「ふ〜ん。そんなこともあるのね。。。じゃあ帰りますかっ!!」
保田さんはごっつぁんの方を見る。ごっつぁんは首を横にふる。
「ごめん。もう力残ってないわ。ヤグチさん、お願いできます??」
「うん、大丈夫♪まかせといてっ!・・・そーいえば記憶も消しとくんだよね??圭織。」
「うん。私達が来たことは知っちゃいけないからね、人間は。」
「了解しました。それじゃあいきます。・・・記憶の彼方に残る思念よ、一切を封じたまえ・・・イレイズ!!」
オイラの体から光がキラキラと溢れ出し、周りに浸透していく・・・
オイラはそのまま魂飛ばしの呪文も唱える。
「ウチらの魂魄よ、果てなる彼方へ移動せよ・・・・・ビジョンッ!」
『プッチ』と『タンポポ』は光に包まれ、この世を後にした。
- 107 名前:第十話 投稿日:2003年05月06日(火)22時03分50秒
光る物体を見る女の子が一人。
「真里ちゃん、グングン成長してるね。このままなら真里ちゃんが・・・。」
その子の近くに警察官が駆け寄る。
「そこの君。もしかして・・・この事故で生き残った子か??
ケガはしてなさそうだけど、今すぐ救急車呼ぶから待ってなさい。」
警察官の声を無視してその子は空を見上げる。
「あみ、ごめんね。私、まだ帰れない・・・やることが残ってるから・・・」
- 108 名前:桜乱 投稿日:2003年05月06日(火)22時16分07秒
- 更新終了でございます。
>97 97さん
圭ちゃんカッコよく見られて嬉しいですっ!
感想ありがとうございました。
力が沸いてきましたっ!!
>98 名無し読者さん
いつも読んでくださってるようでありがとうございます。
反応がない時も多かったので正直、不安でしたw
でも、読んでいてくださる読者様がいるので
頑張りまくりたいと思います。ありがとうございましたっ!
えっと、昨日おとといと、春紺に参戦していたもので、
体力&ノドがボロボロ状態、話をマイペースに続けられない状況です。
かなり不安定な更新になると思いますが、
暖かく見守っていただけるとありがたいです。
- 109 名前:97 投稿日:2003年05月07日(水)00時23分22秒
- 更新おつかれさまです。
というかもう普通におつかれのようで。ご自愛ください。
更新頻度については、一ヶ月とか二ヶ月とか平気で待つ小説もいくつもありますから、余裕でしょう。
物語を三日四日にいっぺんのペースで進められるほうが、信じられないくらいです。
なんか謎が謎を呼びつつ次回に、ですね。前回ラストの「妹はん」についてのぼくの予想ははずれたようです。
神獣たち、いいキャラですね。彼ら視点でのストーリー/サイドストーリーなんて、いつの日か読んでみたいです。
では、次回をのんびりお待ちします。
- 110 名前:第十一話 投稿日:2003年05月09日(金)22時51分40秒
- 2回目の仕事から1ヶ月が経った。
相変わらずオイラは裕ちゃんの特別レッスンの餌食になり、他の皆はそれぞれの仕事をこなしている。
最近は、『タンポポ』としての魂送還の仕事じゃなくて個人的な仕事が多くなってる。
圭織は『未来予測(さきよみ)』の力と得意のデッサンで、この先何が起こるか予測した絵を描いてる。
あいぼんは、元々ハワイャ〜ン娘。の辻ちゃんと仲がよかったらしく、今は書類整理の仕事に借り出されている。
梨華ちゃんは、『一人で活躍できるように鍛え直してきますっ!』とか言っちゃって、修行僧みたいな格好して
『ドラゴンボール』でいう、『精神と時の部屋』見たいな所に一人で入って特訓してる。
1日1回、よっすぃ〜が見に行ってるらしいけど、中で何してるかは内緒だって言われた。
- 111 名前:第十一話 投稿日:2003年05月09日(金)22時52分26秒
「裕ちゃん、合格でしょ?だって、もうこんなにできるようになったんだから!」
裕ちゃんは両手を腰に当てて、首を横にふる。
「まだまだやな。真里ちゃんはもっと光る子や、ウチからはまだ合格点はやれんな」
「えぇ〜!!そりゃあ、ごっつぁんよりはまだウマくはないけどさぁ〜・・・」
「この中澤裕子が直々に教えてる天女は天国で一番のテクニシャンにならないといけないんや!!」
そう言いながら右手を上に上げて人差し指をピンと立てる。
「・・・何で一番にこだわらなきゃいけないの?」
なんとなくわかるけど、とりあえず聞いてみた。
「そりゃあ、決まっとるがな・・・・ウチの暮らしが優雅になんねん!!」
あちゃちゃ。思ったとおり・・・。
「自分の為かよっ!!もーやってらんない!!」
「問答無用っ!!口ばっか動かさんと、やるで!!」
こんな感じの特別レッスンをもう1ヶ月やってます。なっかなか合格点をくれなくて・・・
ちなみに結構上達しましたよ、魔法。2回目の仕事の時は3つしか使えなかったけど、
それなりに数も増えて、今は上級魔法ってのをやってます。裕ちゃんの秘技!ってのも教えてもらったり。
- 112 名前:第十一話 投稿日:2003年05月09日(金)22時53分22秒
- 「そんなんじゃアカンアカン!!・・・ん〜、ちょっと練習だけじゃ限界か。」
金色の髪をクシャクシャとかき乱す。
「オイラ一生懸命やってるじゃ〜ん!!何がいけないんすか??」
裕ちゃんはオイラの周りを歩きながらコブシを握る。
「なんかな、こーガッとくるもんがないねん。・・・せや!真里ちゃん、一人で魂送還の仕事しよっ!!」
「はぁ〜?!何言ってるの??アレはチームワークが大事って裕ちゃんが一番わかってるじゃん。
『天使』の裕ちゃんならともかく、オイラは『天女』なんだよ??」
裕ちゃんは不敵な笑いを浮かべる・・・この人、何か恐ろしい考えを持ってるな・・・
「じゃあしゃーない。この子を貸してあげるわ。・・・おいでハナちゃんっ!!」
裕ちゃんの右手に光った球が出来たと思ったら、そこから小さな犬が出てきた。
なんと、その犬、裕ちゃんに対して喋ってきたのですっ!!
「裕ちゃん。なんの用があるんでちゅか??」
「ん〜!!ハナちゃん。ホンマかわいいわぁ〜。世界一の使い魔やで。ハナちゃんは。」
「裕ちゃん!!話聞いてくだちゃい。用がないなら帰りまちゅでちゅ。」
「ちょっと待って〜な。これから話そうと思っててん。」
- 113 名前:第十一話 投稿日:2003年05月09日(金)22時53分59秒
- オイラは口をあんぐり開けて、その光景を見ていた。・・・犬と喋ってる・・・ありえない・・・天国・・・
そんな態度に気づいた裕ちゃんは、その子犬を抱きかかえる。
「真里ちゃん紹介するわ。この子がウチの使い魔の『ハナちゃん』や。めっちゃカワイイやろ〜♪」
「ハナちゃんでちゅ。よろしくでちゅ。」
「よ、よろしく・・・」
カワイイのは認めますけど、やっぱりおかしいでしょ〜コレは。
「使い魔って聞いたことあるやろ?ほら、魔女が悪魔と契約し、小動物に移させるヤツや。あれとほとんど原理は一緒。
まぁ、ウチらの使い魔は悪魔ってわけじゃないんやけどな。そもそも悪魔ってのが存在せーへんしな。」
「はぁ、それでそのハナちゃんをどーするって??」
「真里ちゃんのアシスタントとして一緒に地上に降りてもらう。ハナちゃんはめっちゃ心強いんやで〜♪
・・・お願いできるな?ハナちゃん。」
裕ちゃんはその『ハナちゃん』と呼ばれる子犬に聞いている。
「うん。いいでちゅよ。ハナちゃんがサポートしてあげればいいんでちゅね?」
「せや。よろしゅーな、ハナちゃん。」
「まかせておくでちゅっ!!」
ハナちゃんは裕ちゃんの腕の中からフワッと地面に降りてオイラの方に近づく。
とりあえずオイラは手を差し出した。
「ハナちゃん。おいで。」
ポンッとジャンプしてオイラの腕の中に入る。
- 114 名前:第十一話 投稿日:2003年05月09日(金)22時54分49秒
- 「真里ちゃん。一緒に頑張るでちゅ!!」
「うん。頑張ろうね。ハナちゃん」
なんだかカワイくて気持ちが落ち着く。・・・今になって、アイフルのCMのオジサンの気持ちわかる気がするよ。
すると突然、裕ちゃんは空を見上げて大きな声をだす。
「お〜いっ!!辻ちゃ〜ん!!今魂ってどっかおる〜??」
その声が聞こえたのか上から辻ちゃんの声が聞こえてきた。
「ちょっと待っててくらはい・・・・あぁ!いますよぉ〜。1コの魂がありますねぇ。」
「じゃあ、その情報を真里ちゃんにダイレクト送信してくれへんか?今からレッスンついでに魂送還やらせようと思ってんねん」
「は〜い!!わかったのれす。・・・送りましたっ!!もう魔法使ってもいいれすよ〜。ヤグチさん、頑張ってくらはい!!」
辻ちゃんの声は聞こえなくなった。
裕ちゃんはオイラとハナちゃんを見つめ、ニコッと笑う。
「それじゃあ、頑張ってお仕事いってらっしゃい。もし、この仕事をウマくできたらレッスンを終わってもええよ。」
「ホ、ホントッ??」
「裕子に二言はあらへんっ!」
「よっしゃぁ!!何かヤル気でてきたぞっ!!」
「真里ちゃん、かわいいでちゅね〜。裕ちゃんが付きっきりなのもわかるでちゅ。」
- 115 名前:第十一話 投稿日:2003年05月09日(金)22時55分21秒
- オイラはハナちゃんを抱えたままコブシを握り、ガッツポーズをつくる。
ススッと前に出てきた裕ちゃんはハナちゃんに顔を近づけ、頬をスリスリする。
「わかるやろ?ハナちゃん。真里ちゃん、めっちゃカワイイねん。ハナちゃんのカワイさにも負けんっ!!」
「そうでちゅね。裕ちゃんの『お気に』をしっかりサポートするでちゅっ!!・・・真里ちゃん、そろそろいきまちゅでちゅ」
「うんっ!」
裕ちゃんが後ろに下がるのを確認すると、オイラは胸の前に手を持っていき、
手の中に球状の光る物体が出来るように念じながら唱えた。
「それじゃあいくよ・・・ウチらの魂魄よ、果てなる彼方へ移動せよ・・・・・ビジョンッ!」
するとオイラとハナちゃんの体は光に包まれてその場から消えた。
- 116 名前:第十一話 投稿日:2003年05月09日(金)22時56分16秒
一方、精神と時の部屋っぽいところにいる梨華ちゃんは修行を続けていた。
梨華ちゃんの周りに突風が巻き起こり、梨華ちゃんの髪が逆立つ。
「神獣を束ねし者よ、天女の名において我の元に現れよ・・・黄龍降臨っ!!」
梨華ちゃんの前に一匹の黄金の龍が姿をあらわす。
「汝はまだ我と契約できる力にはなっていない。やっと一人で四神獣を扱えるようになった者が何か用か?」
梨華ちゃんは胸に手をギュッと当てて口を開く。
「わ、私、もっとみんなの力になりたいんです!!ひーちゃん・・・吉澤さんよりも強くならないといけないんです!
『タンポポ』としてお仕事をしていくには『黄龍』さんの力が必要なんですっ!!」
「・・・」
「皆の役に立てるなら、私、どんな辛いことでも耐えますっ!!
だから、お願いですっ!!契約の試練を受けさせてくださいっ!」
「・・・汝、我は今、2人の者としか契約をしていない。汝ら呼ぶ『万能天女』の中の藤本と高橋。
汝はその2人の力が匹敵すると思っておるのか??」
- 117 名前:第十一話 投稿日:2003年05月09日(金)22時57分06秒
- 梨華ちゃんはうつむく。
「・・・私、2人のような特別な力も持っていないし、召還術の力は吉澤さんより低いです。
けど、『ガッツ』なら負けてませんっ!!他の誰よりも負けてません!!」
黄金の龍は梨華ちゃんをしばらく見つめる。
「・・・わかった。汝の気持ち確かに伝わった。しかし、もう後には引くことはできないぞ。」
梨華ちゃんは厳しい表情をして黄金の龍を見つめる。
「・・・わかってますっ!!お願いしますっ!!」
梨華ちゃんにとっても大事な事が始まろうとしていた・・・。
- 118 名前:桜乱 投稿日:2003年05月09日(金)23時06分10秒
- 更新終了でございます。
なんとか体力と喉も回復ッ!
これからはなるべつ多く更新していきまぁ〜す♪
CPというものが全てにおいて存在するならば、
真里×ハナちゃんは世界初!?・・・な〜んちゃって。
>109 97さん
お気遣い&更新頻度についての情報ありがとうございます。
やっぱり反応があると嬉しいですね。
書いててヤル気とかアイディアとかもらえますからw
>彼ら視点でのストーリー/サイドストーリーなんて、いつの日か読んでみたいです。
あぁ、全然考えもしませんでした。神獣目線のストーリー。
今度、余裕が出来たらネタを練ってみますねっ♪
レスありがとうございました。
- 119 名前:97 投稿日:2003年05月11日(日)14時52分57秒
- うおっと更新されてるぢゃないですか。週一くらいだろうと思ってチェックはずしてた。
なんともお早い更新で。すごいなー。おつかれさまっす。
梨華ちゃん頑張れ。なんかかっこいいぞ。裕ちゃん、親戚にほしい。
えーと、このおはなし、矢口の一人称がメインで、ときどき三人称になるってこといいですよね。いまさらなんですが、きちんと把握しておきたくて。
矢口の家族、どうしてるんだろう。突然の不幸。いずれ矢口がきちんと向き合わないといけないことなのかな、とか思ったり。(いえ、リクエストとかじゃないのでお気になさらずに)
- 120 名前:第十二話 投稿日:2003年05月12日(月)20時03分52秒
- 「今回はどこなのかなぁ〜・・・ねぇねぇハナちゃん。ハナちゃんはどんなことができるの?」
抱きかかえていたハナちゃんに聞いてみる。
「なんでもできまちゅよ♪なんてったって裕ちゃんを助けてあげてるんでちゅからっ!!」
「マ、マジで?あの裕ちゃんを?!」
ビックリして即座に聞き返しちゃったよ。あの鬼の裕子を助けてあげてるって・・。上の立場・・・
「ホントでちゅよ〜♪裕ちゃんのサポートできるのはハナちゃんしかいないでちゅ!!」
「へぇ〜・・・カッコイイねぇハナちゃんは。オイラもハナちゃんみたいなコがいたらなぁ・・・」
「真里ちゃんにはお友達がいるんでちゅよね?なぁ〜に言ってるんでちゅか!」
「あぁ、そうだった。すっかり忘れてた・・・アハハ」
頭をポリポリかきながら苦笑いをしているオイラの顔を見上げてハナちゃんは目をウルウルさせている。
キャワィ〜♪そんな目で見つめないで。仕事が終わっても裕ちゃんに逢わないで逃げちゃいたくなるじゃないっ!
「真里ちゃん。見えてきまちたよ」
変なこと考えてるうちにもう地上近くまで来てたらしい。
ハナちゃんに言われるがまま下を見ると、初めての仕事の時のような住宅街・・・・アレ?どっかで見たような・・・
- 121 名前:第十二話 投稿日:2003年05月12日(月)20時04分53秒
地上に降りると、とりあえずオイラはハナちゃんを地面に降ろした。
「さぁて。仕事でも始めますかっ!・・・ってどこにどんな魂がいるんだろう・・・」
するとハナちゃんがピョンピョンとジャンプしてオイラの注意をひく。
「真里ちゃん。裕ちゃんに教えてもらってたこーゆうときに役立つ魔法にありませんでちゅか?」
こーゆうときに役に立つ??・・・え〜っと・・・う〜んと・・・あっ!!
オイラは胸の前で手をポンと叩く。
「あったよ、ハナちゃん。魂の居場所がわかる魔法!!」
ハナちゃんはクルリと器用に1回宙返りをしてワンとほえる。
「じゃあ、さっそくやってみるでちゅ!!」
「うんっ!」
私は肩膝をついてしゃがみ、右手を地面に当てた。
「地下に張り巡らされた無数の地下水脈よ、魂を感知せよ・・・サーチ!!」
頭の中に情報が次々と流れ込む。電気が体を駆け巡るようでちょっとビリビリする。
「・・・・わかったよ、ハナちゃん。こっから北にちょっと行った所に魂がいるみたい。」
「さすが真里ちゃんでちゅ!・・・出発進行っ!!・・・・なのでちゅ♪」
オイラとハナちゃんは魂の反応がある場所まで走っていった。
- 122 名前:第十二話 投稿日:2003年05月12日(月)20時06分16秒
魂の反応を辿って着いた所はオイラのものすご〜い知ってる場所だった。
「なんでこんなところに魂がうろついてるんだよぉぉぉぉ・・・・すっごいヤな予感するし。」
ボソッと口に出すと共に背中に冷たい汗がタラリと落ちる。
そんなオイラを知ってかどうかわからないけどハナちゃんが足に顔をスリスリさせる。
「ど〜したんでちゅか?真里ちゃん」
「いやね、ココ、ウチん家なんだよね・・・ほら見て。」
オイラは玄関にある札を指差す。『矢口』と書いてある札を。
「あっ!ホントでちゅ・・・そーなると真里ちゃんに関係のある魂かもしれないでちゅね」
「・・・やっぱりそうだよね。オイラもそんな気がする・・・」
ちょっと重たい空気が流れ始めたその時、右斜め前に気配を感じた!!
- 123 名前:第十二話 投稿日:2003年05月12日(月)20時07分26秒
- 「真里ぃ・・・なんで私ばっか待たせるんだよぉ〜・・・ずっと・・・ねぇ・・・真里ぃ・・・」
モヤモヤしたモノがドアの前に浮いている。その声は、聞きなれていたもの。
モヤモヤしたモノはこちらをまったく気づいていない。というかいつもの魂とは違う。
すると、ハナちゃんが毛を逆立てて警戒する。
「真里ちゃん。この魂、普通と違いまちゅ。・・・何かすごい念を持ってまちゅよ」
ハナちゃんの声を聞かず、オイラは一歩前へ出てモヤモヤしたものに話しかけた。
「この声・・・雅恵センパイっすよね??・・・そーっすよね??」
ハナちゃんはオイラの前に飛び出してこれ以上いかせないように邪魔をする。
「危ないでちゅよ!!不用意に近づいちゃダメでちゅ。」
「ううん。ハナちゃん大丈夫。心配しないで。」
雅恵センパイ。オイラが中学校の頃からおねーちゃん、いんや、おにーちゃんみたいに慕ってきた先輩。
すっごいカッコよくてオイラの事を支えてくれた大事な大事な人・・・なのになんで・・・
「雅恵センパイっすよね。だから昔みたいに玄関の」
2回目でやっとオイラとハナちゃんの存在をわかったらしく、声が返ってきた。
- 124 名前:第十二話 投稿日:2003年05月12日(月)20時08分31秒
- 「真里がね・・・まだ家から出てこないの・・・だから待ってるの・・・真里を・・・」
その言葉と共にモヤモヤしたモノが人型の形へと変化する・・・雅恵センパイそのものになった。
「ま、雅恵センパイッ!」
雅恵センパイそのものになった魂に驚くオイラ。ハナちゃんはなお一層、警戒した。
「ガルルルルル・・・真里ちゃん!!それ以上近づいたらダメでちゅ!!」
「大丈夫だって。雅恵センパイ。オイラにはすっごい優しかったん・・・」
言いかけのセリフを遮って、ハナちゃんが大きな声をあげる
「ダメなんでちゅ!!絶対っ!!・・・取り込まれてしまうでちゅ!!」
「・・・と、取り込まれるぅ??」
変なトーンで聞き返すと、ハナちゃんは雅恵センパイに警戒しながら教えてくれた。
「そうでちゅ。あまりに念の強い魂は普通とは違いまちゅ。『天女』を飲み込むぐらいの力があるんでちゅ。
・・・でもこの仕事、『天使出動レベル』・・・AAランクでちゅ。なんで・・・」
頭をポリポリかきながら聞く。なーんかすんごいことになって来てるんじゃない?コレ・・・。
「・・・それってさぁ、オイラ一人じゃ仕事できないってこと??」
「ハッキリ言うとそうでちゅ。真里ちゃんじゃ、かなり難しいでちゅ。だから連絡を・・・」
オイラは話の途中で右手をギュッと握り締める。
- 125 名前:第十二話 投稿日:2003年05月12日(月)20時09分19秒
- 「・・・ハナちゃん、この仕事、一人でやらせてくれないかな。
やっぱりこうなった以上、オイラが送り届けなきゃいけないって思うんだ。
だから連絡はしなくていいよ。雅恵センパイはオイラが送り届けてみせるっ!!」
「で、でも真里ちゃん」
振り返るハナちゃんに右手でブイサインを作って笑顔で答える。
「だいじょ〜ぶいっ!一人で仕事を出来ないなんて、この矢口真里、女がすたるってぇもんよっ!!」
ちょっとコブシをきかせた言葉を聞いてハナちゃんは考え込む・・・ハナちゃんが止めたいのはわかる。
けど、この仕事は絶対自分の力で成功させるって決めたんだっ!!雅恵センパイへの恩返しがわりにっ!!
決意が固いのをわかったようで、困っていたハナちゃんが声を出した。
「う〜ん・・・わかりまちた!!でも、危なくなったらすぐ応援呼びまちゅからね!!」
「ありがとっ!・・・じゃあ、始めるよっ!!サポートお願いねっ♪」
「了解でちゅ!!」
雅恵センパイの魂を送還するという、いつもとは違う仕事が始まった。
- 126 名前:第十二話 投稿日:2003年05月12日(月)20時10分20秒
- オイラとハナちゃんがお仕事を始めている中、
タンポポのリーダー兼音楽担当兼ポエム担当の圭織は未来の絵を描いている真っ最中だった。
「ん〜・・・。やっぱりこういうことになりそうね・・・」
一面、真っ青な部屋の中心にデッカイ紙を広げて、白いツナギを着て、細い赤いフレームのメガネをかけ、
ブツブツいいながら大きな絵を描いている。芸術をわかる人でしか共感しないであろう芸術的な作品だ。
そこに後ろから迫るくる黒い影・・・
「圭織、相変わらずヘッタクソな絵を描いてるのねぇ・・・私の方が百倍はウマイわね。」
保田さんだ!!圭織は保田さんの方を見ず、絵を描きながら返事をする。
「圭ちゃんに言われたくないわよ。天国のピカソは黙っててくれない?分かる人には分かるんだから。私の絵は。
・・・で、何か用なの?」
保田さんは圭織の近くにあったイス腰を下ろす。
「今日は圭織に情報を持ってきてあげたのよ。・・・天国でも一部の人しか知らない、とびっきりの情報よ。」
「なに?情報って。2人っきりで飲むなんて勘弁だからね。普段は1人で飲むのが好きなんだから。」
- 127 名前:第十二話 投稿日:2003年05月12日(月)20時11分32秒
- 保田さんは鼻で笑って圭織の背中を見つめる。
「フンッ!アンタとなんか飲まないわよ。そんな寂しい人となんかね。
・・・情報っていうのは、『万能天女』の面々が『神様』を見つけたらしいわよ。」
圭織は太い筆をバケツに置き、保田さんの方に振り返る。
「やっと見つかったんだ。ずいぶん手間かけさせたわね、今回は。」
また保田さんは鼻で笑う。
「フンッ!・・・圭織、『神様』の事を見逃したのなんて百も承知よ。この保田圭をナメてもらったちゃ困るわ」
圭織は保田さんに向かってフフッと含み笑いをしてみせる。
「やっぱりバレてたか。・・・まぁいいじゃない、誓った事は破ってるわけじゃないし。」
「知ってて見逃すなんてタチが悪いのよ、圭織は。早く連れ戻した方が私達に都合がいいじゃない。」
「私達と天使だけが神様のだいたいの居場所をわかっていればいいのよ。他の子・・・特に麻美ちゃんには悪いけど。
・・・で、今はドコにいるの??」
保田さんは胸ポケットから小さな黄色い紙を取り出し、圭織に投げる。
人差し指と中指の間で見事キャッチした圭織は二つに折り曲がった紙を開く。
- 128 名前:第十二話 投稿日:2003年05月12日(月)20時12分02秒
- 「・・・っ!!こんなところにいるのね・・・。なんかイヤな予感する・・・」
その言葉を聞くと、保田さんはスッと立ち上がった。
「・・・じゃあ、行くとしますか。圭織の直感はあたるからね。ほらっ!スーツに着替えなさい」
保田さんに言われるがまま圭織は立ち上がって、スーツに着替え始めた。
「圭織に言われたから着替えてるんじゃないんだからね!」
「フンッ!・・・そんな事どーでもいいわよ。それより、急いだ方がいいんじゃないの?」
圭織的には、保田さんに言われたから行くんじゃなくて、自分の意思で行く事を決めていたらしい。
圭織が着替え終わると、2人は圭織のアトリエをあとにした。
- 129 名前:桜乱 投稿日:2003年05月12日(月)20時16分56秒
- >119 97さん
梨華ちゃん大変そうです。
けど、彼女ならやり遂げられる・・・はず!
なんて言ってもポジティブですから!(爆
>矢口の家族、どうしてるんだろう。突然の不幸。
>いずれ矢口がきちんと向き合わないといけないことなのかな、
>とか思ったり。
矢口家はどうなんでしょうねぇ・・・
毎日シクシク泣いてるのでしょうか?
時期にわかると思いますので、お楽しみにっ♪
レスありがとうございました。
- 130 名前:十三話 投稿日:2003年05月14日(水)19時08分21秒
- 「真里はどこぉぉぉぉ・・・・私の真里はぁ・・・・」
ゆっくりとこっちに近づいてくる雅恵センパイ。
オイラは一歩一歩後ろに後ずさりながらハナちゃんに聞く。
「ハナちゃん、雅恵センパイって自我は戻らないの??」
「残念でちゅけど、天国に行くまでは戻りそうにないでちゅ。それより、真里ちゃん。魔法の効き具合はどうでちゅか?」
ハナちゃんも後ろずさる。・・・雅恵センパイの念が強すぎて不用意に近寄れない。
仕事を開始して20分ぐらい過ぎてるけど、全然進歩がない。
雅恵センパイは、悲しい叫び声とともに強烈な風のような念を起こしてオイラの魔法を完全に遮断するし、
ハナちゃんも見かけによらず、体を光に包ませてタックルとかしようとするんだけど、効果は微々たるもの。
しかもその風はカマイタチのようにオイラ達の体を切りつける。オイラのスーツも体もボロボロ。
ウチらの体力だけ一方的に減っていって、ぶっちゃけ・・・万事休すって感じっす。
「ダメだわ、ハナちゃん。唯一効いたのはセイレーンボイスだけだよ。
・・・あれじゃあ、決め手の技にもならないし・・・」
「う〜ん・・・確かにあれじゃあ、けん制ぐらいにしかならないでちゅね。
これほど強い念を持った魂には皆無でちゅ。」
- 131 名前:十三話 投稿日:2003年05月14日(水)19時08分55秒
セイレーンボイスってゆーのはね、裕ちゃんが教えてくれた秘技の一つで、セクシーなモーションと声を出して
魂をひるませるっていう技なの。オイラの場合、耳たぶをつまんで『アチィ〜♪』って言うんだけど。
裕ちゃんのはね、このセクシーってのが妙にリアルすぎるんだよ・・・さすがにオイラもビビッちゃった。
- 132 名前:第十三話 投稿日:2003年05月14日(水)19時09分32秒
- 後ずさりしてるオイラは立ち止まる。後ろには壁があってもう後ろには下がれない。
1回しか成功したことないけど・・・アレをやるしかないっ!!
オイラは意を決して右手と左手に光の球を作る。
「ハナちゃん。裕ちゃんに教えてもらったランクAA魔法をやるから、
ちょっと雅恵センパイの注意をオイラから逸らしてくれない??」
オイラの言葉にハナちゃんは慌てて振り返る。
「ラ、ランクAAでちゅか?!アレは裕ちゃんでもなかなか使わないでちゅよ。
・・・成功率低いんでちゅよね?」
コメカミを伝って汗が流れる。
「うん・・・成功率20%以下。失敗したら、もう雅恵センパイに取り込まれるしかないね。」
ハナちゃんは生ツバをのむ。
「・・・一か八かってヤツでちゅか。」
「そう・・・一か八か。」
「「・・・」」
オイラは魔法に集中した。
- 133 名前:第十三話 投稿日:2003年05月14日(水)19時10分35秒
呪文を唱える前段階を作るために準備をしている中、ふと、オイラは裕ちゃんとの特訓を思い出していた。
『裕ちゃん。コレはオイラにはムリだよぉ〜・・・』
『弱気になるんやないっ!ソレでもこの中澤裕子の弟子かっ!!』
大声でカツを入れられた・・・怒ってはないけどやっぱり怖い。
『関係ないってぇ〜・・・』
へなちょこな声で返事をすると、裕ちゃんはオイラの両肩にポンと手を置いた。
『この魔法はな。自分より念が強いと感じた魂にしか使うたらアカンよ。
これをフルパワーで使うと、1週間、魔法使えない状態になるんやからな。』
だからぁ・・・裕ちゃん。
『その前に6割の力でも成功してないのに、注意事項言われたってムダっすよぉ〜・・・』
『先に知っといて損はナイっ!ほらもう一回っ!!』
『えぇ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!』
『つべこべ言わんとやるって言ったらやるんや!!』
『はぁ〜い・・・』
- 134 名前:第十三話 投稿日:2003年05月14日(水)19時11分23秒
「ほらっ!雅恵しゃん!!ハナちゃんはコッチでちゅ!!」
ハナちゃんは雅恵センパイの側まで近づき宙返りをして注意をひく。
「・・・まぁりぃぃぃぃぃ!!!!!」
雅恵センパイの体から声と共に強烈な風が巻き起こる。
「・・・・ッ!!」
ハナちゃんの白い体に無数の小さな傷がついていく。
「ハナちゃんは負けないのでちゅ!!・・・真里ちゃんは真里ちゃんは・・・
裕ちゃんの使い魔の名にかけて守り抜くでちゅっ!!・・・ワォォォォォォン!!」
ハナちゃんの体が光に包まれる。そして雅恵センパイにタックル!!
「・・・・うわぁぁぁぁぁぁ・・・・邪魔するなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
その小さな体は簡単に弾き飛ばされてしまう。
「真里ちゃんに・・・真里ちゃんに慕われてたヒトだったら・・・・
真里ちゃんを傷つけるような事はするなぁぁぁ!!」
今までに聞いたことのない口調で怒鳴りながらハナちゃんはもう一度タックルをする。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」
ついに雅恵センパイは少し怯み、後ろに下がる。
- 135 名前:第十三話 投稿日:2003年05月14日(水)19時12分21秒
- それをオイラが見逃すはずはないっ!!
「天の力よ地の力よ。我の前に集結し、その力を持って魂に天のご加護を・・・
魂魄強制拘束送還魔法・・・ラストビジョン!!」
右手と左手にあった光の球は赤と青の光に変わり、雅恵センパイにぶつかる!!
「まぁぁぁぁぁぁりぃぃぃぃぃぃ・・・・・!!!!!!!」
雅恵センパイの悲痛な叫びが周りに響く。
赤と青の光の球は雅恵センパイの胸の部分で一つになり輝きを増す。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
すると、雅恵センパイの体がモヤモヤしたモノに変わり、しだいに小さな光の球へと変化した。
「雅恵センパイ・・・今度逢える時が来たら、そんな時があったら・・・
笑顔で逢おうね・・・・さようなら・・・」
ソノ頭上から黒い物体が現れる。
「まぁぁぁぁ・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
小さな光る球体は黒い球体に吸い込まれていった。
吸い込まれたのを確認すると、オイラの意識は飛んでしまった・・・。
- 136 名前:第十三話 投稿日:2003年05月14日(水)19時13分10秒
なっちは右手の人差し指と中指をピンと伸ばし、唇にあて、呟く。
「その魂、転生するべからず。天女となりて天使と共に魂を統治せよ・・・ライヴ」
その言葉と共にどこかから『ブンッ!』という音が鳴った。
「これでよし・・と。・・・次は真里ちゃん達ね。」
なっちはオイラ達に近づく。もちろんハナちゃんもオイラも意識はない。
ハナちゃんを抱きかかえたなっちは頭をさすりながら呟く。
「ハナちゃん、よく頑張ったね。なっち、ちゃんと見てたから。真里ちゃんを守ってくれてありがと。
ゆっくりお休み・・・ビジョン!!」
ハナちゃんの体は光に包まれて天へのぼっていった。
なっちはそのままオイラの方に来て、オイラの頭をなでる。
「真里ちゃん、スゴイべさ。なっち驚いちゃったよ。ここまでできるなんて。
最悪、助けに行こうかと思ったけど、余計なお世話だったようだべさ。
真里ちゃんもゆっくり休んでね♪」
なっちはオイラのおでこにチュッと軽くキスをすると、ビジョンを唱え、オイラも天国へ向かわせた。
- 137 名前:第十三話 投稿日:2003年05月14日(水)19時14分24秒
- 「あとは・・・ここの人たちの記憶を消さないと。」
呪文を唱えようとするなっちの前に、2人の見慣れた姿が現れる。
「やっぱり見てたんだね、なっつぁん。それにしてもヤグチはよくやるわね。プッチにスカウトしようかしら。」
「なぁ〜に言ってるの圭ちゃん!!ヤグチはウチら『タンポポ』の仲間なのっ!!」
「冗談よ、冗談・・・それより、なっつぁん。いい加減帰ってきたらどうなの?
『万能天女』がそろそろ向かえに来るようになるわよ。」
なっちは満面の笑顔を見せる。
「圭織、圭ちゃん、ありがとう。・・・でもね、まだ帰れないの。なっちはなっちのやるべきことがまだあるから。」
圭織は頭をポリポリかく。
「でもさぁ、麻美ちゃんにこれ以上負担かけられないっしょ?なっちのしたい事ならウチらも手伝うって。」
なっちは首をフルフルと横に振る。
「ううん。ごめん。これはなっち一人の問題だから。2人には悪いんだけど麻美を・・・」
言いかけるなっちを保田さんがとめる。
- 138 名前:第十三話 投稿日:2003年05月14日(水)19時16分15秒
- 「わかったわよ。なっつぁんの好きなようにしなさい。・・・なっつぁんはしたいことをして、私達がフォローする。
それが私と圭織となっつぁんの誓いだから。」
「そうだね。でも、危ないことはしないでよ?それでも『神様』なんだからね。」
「わかってるって!・・・ありがと。圭ちゃん、圭織。」
保田さんと圭織は天国へ帰っていった。・・・ちなみにビジョンではない『何か』を使って帰ったらしい。
2人を見送ると、なっちはオイラの家、ヤグチ家を見上げる。
「真里ちゃんのお父さん、それにお母さん。真里ちゃんを天女という形で天国に留めてしまってすみません。
けど、あなた達のお子さんなら、絶対やってくれると思うんです。だからもう少しだけ真里ちゃんをお貸しください。
そして、『あの記憶』をまだ封じさせてください。
・・・記憶の彼方に残る思念よ、一切を封じたまえ・・・イレイズ!!」
なっちの体から光がキラキラと溢れ出し、周りに浸透していった・・・。
- 139 名前:桜乱 投稿日:2003年05月14日(水)19時20分50秒
- 更新終了です。
マリマリィ〜のお仕事終了ぉ〜♪
ってことで、明日、サイドストーリーをUPしたいと思います。
まったく本編と関係ないんで、今の話の世界観はないです(汗
明日のサイドストーリーも見ていただけるとありがたいですw
って、誰も見てないΣ(゜Д゜;)
- 140 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月14日(水)20時07分46秒
- みてますよー!楽しみに毎日のぞいてますよ!
なっちが神様だったとはびっくりです!
更新期待してますよ。サイドストーリーにも期待してます!
- 141 名前:特別編その一 投稿日:2003年05月15日(木)10時39分30秒
- 「あやっぺぇ〜♪」
手を振ってワインレッドのスーツに身を包む男前な女の子が近づいてくる。
「なぁ〜にさ、みきたん??」
私は両手を後ろに組んで首をかしげた。
「あのね、あのね!この後、特別な仕事が入らない限り、休暇なんだって!!
だからさ、あの・・・その・・・あやっぺと・・・」
急に顔を赤くする、私のマイダーリン。
「なぁによぉ〜♪あやっぺとの次は。」
だいたい答えはわかるけど、反応がカワイくてついつい意地悪しちゃう♪
「だから・・・一緒にご飯食べようかなぁって思って・・・」
「・・・ご飯だけ?」
もう少し意地悪をしてみた。・・・マイダーリンは顔をさらに真っ赤にしてうつむく。
「いや・・・ご飯以外にも・・・ね・・・。」
「もぅっ!!恥ずかしがり屋さんなんだからぁ!みきたん大好きっ♪」
私は思いっきり、みきたんにしがみつく。私を右手で抱きしめながら、左手で自分の頭をかく。
「いやぁ・・・アハハ。」
- 142 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時40分20秒
天使・貴子さんの直属の天女軍団『万能天女』の一人、松浦亜弥。
魂送還の仕事以外にもあらゆる仕事を引き受ける、天女の中のエリート集団。
そんな『万能天女』となってどれくらいの月日が経ったんだろう・・・。
今は愛しのマイダーリンこと、みきたんが側にいて順風満帆な天女ライフを送ってますっ!
私が天女になる前、そう、人間の頃は、違う人との幸せな日々を送っていました。
けれど、不幸は突然起こってしまった。・・・天女になっても忘れられない。あの日の事は・・・
『正義の味方はオイラなのだっ!〜サイドストーリー松浦編・私の婚約者(フィアンセ)〜』
- 143 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時40分50秒
「亜弥ちゃ〜ん、こんな料理出来るのぉ〜??ボクを殺しちゃう武器だったりして・・・」
「何言ってるのよぉ〜!!亜弥はしっかりと各地方の料理をおかーさんに教わってるんですっ♪
あゆむさんのお嫁さんになるために努力してるんだからっ!!」
「・・・そんな、お嫁さんだなんて・・・照れるなぁ・・・アハハ」
誰もが懐かしさを感じる下町風景・・・といってもここは2003年の世界ではない。
ここは1980年、日本全体が必死になって頑張っている時代の話。
『草原商店街』と呼ばれる商店街の近くにあるちっちゃなアパート。
その222号室で同棲生活を送っている1つの青春カップル。
2人の部屋のドアにはこんなネームプレートがかかっていた。
『柴田あゆむ・松浦亜弥』と・・・。
- 144 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時41分37秒
「亜弥ちゃん、行ってくるね!・・・変な男について行っちゃダメだぞ♪」
「亜弥はあゆむさんしか見てないから大丈夫っ♪・・・いってらっしゃいっ!」
私はあゆむさんに頬に軽く唇を当てる・・・いってらっしゃいのキス♪
「じゃあ行ってきますっ♪」
そう言って家を出るあゆむさんを、私は部屋の前の廊下にまで出て見送る。
あゆむさんも私が見えなくなるまで振り返って手を振っている。
自転車や歩行者にいい迷惑だけど、今は2人だけの世界。・・・それが日課。
ドアを閉めて、部屋の奥にある窓を開けた後、後ろを振り返って部屋全体を見渡す。
「さぁて・・・とりあえずお掃除しないとね♪」
そう言って私は食器を流しに持っていって、足が折りたたみ式のテーブルを部屋の隅に移動させる。
大好きな歌を歌いながら。
「白く流れる 雲に叫ぼう〜♪」
- 145 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時42分18秒
六畳一間、台所付きのアパートにあゆむさんと2人で住んでます。
あゆむさんとはもう付き合って1年が過ぎた。
同棲生活も順調で、もう籍を入れるだけで夫婦になれる状態かな。
あゆむさんはお仕事で朝から晩まで一生懸命働いてくれる。
その間、専業主婦(気分)の私は家事を色々こなしてます。
洗濯に掃除、食事、そして大好きなあゆむさんとの愛を育んで・・・イヤン♪恥ずかしい。
- 146 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時42分51秒
- 「よぉ〜し、一通り終わったっと。それじゃあ買い物にでも行こうかな。」
洗濯も終え、掃除も終えた私は買い物かごを腕にぶら下げ、家を出た。
「おっ!亜弥ちゃん買い物かい?今日はアジが安いよっ!!ってウチは何でも安いんだけどねぇ〜!!」
「ごめん、おじさんっ!今日はお魚は考えてないの。ごめんねっ♪明日はお魚だからさっ!」
威勢のイイ魚屋のおじさんの誘いを断り、お肉屋さんへと向かう。
今日は大事な日なんだもんっ♪ちょっと高いけどフンパツしないとっ!
「いらっしゃい!・・・おや、亜弥ちゃんじゃないかい。今日は何にする??」
「え〜っと、そこのひき肉をちょうだいっ♪・・・ううん、今日はこっちのひき肉。」
機嫌のいい私に気づいて、お肉屋さんのおじさんが聞いてきた。
「亜弥ちゃん、今日はずいぶん機嫌がいいねぇ。何かあるの??」
「うんっ!今日はあゆむさんとの記念日なの!・・・ウフフっ♪」
「そうなのかい。なら、今日はこれもサービスだっ!お祝いだ、お祝いっ!!」
「ありがとうおじさーん!!」
満面の笑顔でお礼を言ったあと頭をちょこんと下げた。
「いいってことよっ!なんてったって亜弥ちゃんとあゆむ君の記念日なんだろ?お祝いしなきゃ!!」
「はいっ!!それじゃあ、お肉屋さん♪」
「どうもねぇ〜♪」
お肉屋さんをあとにした私は、八百屋さんに向かい、家へと帰る。
「今日はお肉屋さんにも八百屋さんにもお祝いしてもらっちゃった。
やっぱりここの商店街は優しい人たちばっかだね♪」
そう言いながら私は食事の準備を始めた。
- 147 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時43分23秒
不幸というものは突然訪れる。
ジリリリリリリ・・・・ジリリリリリリ。ガチャ。
「はい、柴田です。」
「亜、亜弥ちゃんか?・・・柴田が柴田が・・・」
電話を取ると、突然太い声の主が慌てている。
この声は、仕事場の先輩の斉藤さんだ。
「ど、どーしたんですか斉藤さん。あゆむさんがどうかしたんですか?!」
「柴田が上から落ちてきた重りに下敷きになって、今、運命病院に!!」
「−−−ッ!!」
私の中から意識というものが切れかけている。
意識が切れかけるのを持ち直させるため、右腕をギュゥっとつねって意識をはっきりさせた。
「じゃあ・・・向かいます。それじゃ!!」
電話を置くと、素足のままで病院へ向かっていった。
- 148 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時43分57秒
病院につくと、急いで受付に向かってあゆむさんの病室を聞いて階段を駆け上がった。
「・・・・あゆ・・・・」
到着した時には・・・一歩・・・遅かった・・・
そこにいるのは白い布を顔に被せたあゆむさん。脇には斉藤さんが両目から涙を流していた。
「・・・亜弥・・・ちゃん・・・・」
私は目の前の現実を受け止められなくて、
とぼとぼとあゆむさんの前に立って、冷たくなった手を握る。
「あゆむさん?・・・・今日はあゆむさんと亜弥の同棲を始めた記念日じゃない。
だから大好きなハンバーグ作ろうと思ったんだよ?・・・ねぇ、聞いてるの?あゆむさん・・・」
「亜弥ちゃん・・・もう・・・」
私の肩にそっと手を置く斉藤さん。そんなことされてるのも気づかず、手をさらにギュッと握る。
「あゆむさん!!あゆむさんてばぁ〜〜っ!!・・・うぅぅ・・・」
この後、あゆむさんの胸に涙を流し続けた。私の嗚咽は部屋中に悲しく響き渡っていた・・・。
- 149 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時44分45秒
あゆむさんは土木関係の仕事についていた。
少しでも生活費を稼ぐためにキツイ肉体労働を選んでくれた仕事。
仕事場では熱心に仕事をしていて姿から周りの先輩や後輩にも慕われ、あゆむさんは皆に愛されていた。
突然の死に、知り合いの皆は悲しんだ。一番悲しんでいた私をみんな必死に支えてくれようとしたけど・・・
でも、私はもう生きる気力がなくなって魂の抜けた状態になっていた。
「あゆむさん、もう私、生きる気力なんてない。私もあなたの元へいきます・・・」
そして私は・・・睡眠薬を大量に飲んでこの世を去った・・・あゆむさんに会えると信じて・・・
- 150 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時45分34秒
みきたんと別れた私は、自分の部屋で着替えを済まし、『万能天女執務室』のイスに座って外の景色を眺めていた。
「また思い出してたんか?フィアンセのこと。・・・はい、これ。」
そこに現れたのは、貴子さんだった。両手にマグカップを持っている。
「ありがとうございます。・・・やっぱり時間が出来ると考えちゃって・・・」
貴子さんはマグカップに口をつけ、一口飲むと窓のある方へ向かい、壁に寄りかかる。
「あややが死んで魂になったのをウチが『天女』に誘った。その時、ウチに言ったよな。
『私のような魂が現れるなら、私はその魂をキチンと守ってあげたい。』って。」
「はい・・・そうです。松浦のような思いをしてる魂は抱きしめてあげるのが一番ですから。」
私も両手で握り締めていたマグカップを口に持っていく。ちょっと苦いコーヒーが私のノドを流れていく。
貴子さんはくるりと窓の方に向いて外を眺める。
「それがミキティやったな。・・・なぁ、あやや。ミキティには恋愛感情はないんか??」
いきなりの発言に私はコーヒーを噴出しかけたけど、必殺の『アイドルスマイル』をする。
- 151 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時46分28秒
- 「松浦はぁ、みきたんの事大好きですよ。
最初は確かにあゆむさんの埋められない穴をみきたんで埋めるためって感じでした。正直に言うと。
でも、私、みきたんと仕事やプライベートを共にしてるうちに、あゆむさんの穴を埋めるんじゃなくて、
あゆむさんとは違う温かみを持った気持ちで私の心を包んでくれてるって気づいたんです。
みきたんもすごい傷ついたはずなのに私の事を優しく愛してくれて・・・。
あゆむさんの思い出は消えない。けど、今の私にはみきたんがいる。だから昔の私とは違うんです。」
ちょっと涙ぐんだ目を手の甲で拭う。
「そっか。ならええんや。今でもな、ミキティをあゆむってコの代わりと思っていたんなら、
あややをドツイてやろうと思ったンやけど大きなお世話やったみたいや。」
そう言って貴子さんはアハハと笑った。そんな時、部屋のドアがバッと開かれる。
「あやっぺ、ごっめ〜ん!!遅くなっ・・・って貴子さんもいたんですか。」
「そりゃウチの執務室でもあるんやからなぁ。ココは。」
「あっ!そうだった。すみません。・・・あやっぺ。それじゃ、行こうか。」
「うんっ♪」
- 152 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時47分03秒
- 私は席をたった。すかさず貴子さんが聞いてくる。
「なんや、どっか行くんか?相変わらず仲がえぇなぁ・・・」
さっきまで重ための話をしていたにも関わらず、笑顔でみきたんに聞いている。さすがは貴子さん。
「これから食事するんですっ♪休憩なんですから何したって自由ですもんねっ♪」
「あぁ、自由や。でもあんまハメ外すなよ。それじゃ、いってらっしゃい」
「「いってきまぁ〜すっ♪」」
私とみきたんは腕を組んで部屋を出た。
- 153 名前:私の婚約者 投稿日:2003年05月15日(木)10時47分51秒
あゆむさん、あなたの愛してくれた亜弥はちゃんと幸せな日々を送っています。
だから、あゆむさんも新しい人生で素晴らしい出会いをして、幸せになってください。
私の大好きだったあゆむさん・・・私・・・もう泣かないから・・・。
おわり。
- 154 名前:桜乱 投稿日:2003年05月15日(木)10時54分31秒
- この話、本編とまったくと言っていいほど関係ありません。
実は、つい最近、ミュージカル『草原の人』をCSで見たんです。
それでガァーッと書いてしまいしましたw
あのミュージカル、大好きです。切なくて、涙流しちゃいました(爆
>140 名無しさん
>なっちが神様だったとはびっくりです!
以前から神様の匂いは出してたんですけど、なっちが神様でした♪
>更新期待してますよ。サイドストーリーにも期待してます!
ありがとうございますっ!
サイドストーリーは作者のお遊びってことで、期待せずにご覧ください(爆
- 155 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月17日(土)09時25分39秒
- 更新乙です。スカパーでミュージカル特集を見た後なんで
さらにぐっときちゃいました。
本編はどうなっていくのか楽しみです。
- 156 名前:第十四話 投稿日:2003年05月18日(日)19時59分36秒
- 目を開けるとそこには真っ白な風景しかない・・・あぁ、天井か。
そう思って起き上がろうとするんだけど、体のいたるところが痛くて起き上がれない。
「みなさん!!矢口さんが目を覚ましましたよ!!」
紺野ちゃんの声を聞きつけ、いろんな人がオイラの周りに駆け寄る。
梨華ちゃんとよっすぃ〜以外の『プッチ』『タンポポ』のメンバーと『ハワイャ〜ン娘。』
それと、裕ちゃんにみちよさんまで来ていた。
「あらら・・オイラ気ィ失っちゃったのか。
・・・裕ちゃん、ごめんっ!ハナちゃんをボロボロにさせちゃって・・・」
すると裕ちゃんはニコッと笑ってオイラの頭をクシャッとなでる。
「かまへん、かまへん!使い魔っちゅーのはご主人を守る義務があるんや。
せやから、ハナちゃんは、よー頑張った。
今はぐっすり休んでるで。真里ちゃんが元気になったらハナちゃんに逢ってーなっ♪」
「うんっ♪」
オイラも笑顔を浮かべてうなずいた。
裕ちゃんと話してみて、起き上がれはしないけど話ぐらいなら全然平気だとわかった。
- 157 名前:第十四話 投稿日:2003年05月18日(日)20時00分26秒
- 裕ちゃんとの話が終わった直後に目に涙を浮かべた辻ちゃんが私にしがみついた。
「イタタタタ・・・辻ちゃん・・・ちょっと痛いんだけど・・・」
オイラが痛いっていってるのに辻ちゃんは力を弱めない。どーしたんだろ?
すると辻ちゃんは涙も拭かずオイラに頭を下げる。
「ごめんなさい。のの・・・ヤグチさんに大変な仕事をさせちゃったのれす・・・
らから、らから・・・こんなにボロボロになって・・・うわぁぁぁぁん・・・」
そう言いながらまたオイラにしがみついて泣き出した。
紺野ちゃんも麻琴ちゃんも頭をさげる。
「気づいた時にはもう遅くて・・・ごめんなさい。のんちゃん一人の責任じゃないです。
私達『天上界書類作成係』の責任です。ごめんなさい。」
「ごめんなさい。当分の間、カボチャは食べません。だから、だからごめんなさい。」
そんな3人の態度にオイラは困惑する。悪い事なんてしてないのに・・・。
オイラは寝ながら3人に対して微笑みながら答える。
「いいって。いいって。辻ちゃん泣くのはよしてよ。紺野ちゃんも麻琴ちゃんも頭あげて!
別に何にも悪い事なんてしてないよ、3人とも。オイラ、迷惑よりむしろ、
この仕事を任してくれてありがたいと思ってるんだから。」
- 158 名前:第十四話 投稿日:2003年05月18日(日)20時01分26秒
- その言葉を聞いてうんうんと頷くみちよさん。
「そうやな。ちょっと大変な仕事だったと思うけど、真里ちゃんは一段と大きく成長したで。
・・・あぁ、もちろん精神面でやで。身長は145センチのままやけど。」
そう言いながらニカッと笑う。
「もぅ〜・・・みちよさぁ〜ん!!」
そのやりとりに皆が笑顔を見せた。泣きやんだ辻ちゃんも笑ってくれたようで、なにより。
オイラはごっつぁんの後ろに隠れているあいぼんの方を見て声をかける。
「真里ねーちゃん、ちょっとムリしすぎちゃった。あいぼん、心配かけてごめんね。」
するとあいぼんも目に涙をためてオイラにしがみついた。
「真里ねーちゃん・・・無事でよかったよぉ〜・・・うわぁぁぁぁぁん・・・」
泣いてるあいぼんの肩にポンと手を置いたごっつぁん。
「あいぼんはヤグチさんのこと一番心配してたんですよ。天国に戻ってきた時からオロオロしちゃって。
結構ヤグチさん寝てたから、あいぼん余計心配しちゃって・・・」
えっ!!結構寝てた?!ん?。。。
「ごっつぁん、オイラどれぐらいの間寝てたの?」
「う〜んと・・・2日ぐらいですかねぇ・・・」
なぬっ!!なんですとぉぉぉぉ!!
オイラは驚いて裕ちゃんに聞く。
- 159 名前:第十四話 投稿日:2003年05月18日(日)20時03分45秒
- 「ねぇねぇ、裕ちゃん。ランクAAの魔法って1週間魔法が使えなくなるだけじゃないの?」
裕ちゃんは頭をポリポリかく。
「あ〜・・・ウチの場合はな。真里ちゃんはまだまだアマちゃんやから気を失ったんちゃう?」
おい裕子・・・なんて曖昧な返事なんだ。体が動くようになったら絶対どついてやる!!
そんな事を思っていると、保田さんと圭織が腕を組んで話し出した。
「ねぇ、圭織。今度からヤグチ一人に仕事させてもいいんじゃない?」
「う〜ん・・・そうだね、またヤグチ一人にお仕事を頼もうかな。」
「んなっ!!なんでよー!!もう取り込まれそうだったんだからねオイラ!!
少しは労う気持ちはないのかよっ!」
「「ん〜、ないっ!!」」
いっつもライバル視して仲悪いくせに・・・こんな時は結束力高いのね・・・このアホコンビ!!
オイラがそう思ってる事も気づかず、保田さんは話を続けた。
「ヤグチ、体が動くようになったら『飲み会』やるからねっ!!ちゃんとそれまでにお酒強くなりなさいよ。」
げげっ!!飲み会?!・・・オイラは恐る恐る聞いてみる。
「・・・ちなみに面子は?」
「ウチに圭織、裕ちゃんにみっちゃんにあっちゃん。石川に吉澤もいれるか。」
- 160 名前:第十四話 投稿日:2003年05月18日(日)20時04分48秒
- ちょっと待って。梨華ちゃんとかよっすぃ〜って未成年じゃないの?
「保田さん、梨華ちゃんとかよっすぃ〜とかって未成年じゃないんですか??」
保田さんはフンッと鼻で笑う。
「なぁ〜に言ってるの。天女なんてみんないい年よ?見た目で判断しちゃダメよ。裕ちゃんなんてもう・・・」
保田さんが言おうとすると裕ちゃんが、どっからともなくスリッパを持って頭をスパコーンと叩く。
「何いってんねん!!ウチはまだまだ20代や。に・じゅ・う・だ・い♪」
「いったぁ〜・・・何すんのよ。裕ちゃんなんてとうにひゃ・・・」
またスリッパで叩かれる保田さん。
「なにか言ったぁ〜??圭ちゃん。」
「・・・いいえ。もう言いません・・・」
あの保田さんでもタジタジになる・・・中澤裕子、恐るべし・・・
保田さんは打たれた部分を摩りながらオイラに言った。
「あぁ、それと、保田さんなんて他人行儀やめてよね。
後藤も吉澤もアダ名で呼んでるのに私だけ『さん』付けなんて。圭ちゃんって呼ぶよーに!!」
な、な・・・保田さんを圭ちゃん?!・・・ちょっと怖いよぉ・・・
- 161 名前:第十四話 投稿日:2003年05月18日(日)20時05分48秒
- オイラは恐る恐る言ってみる。
「は、はい・・・圭ちゃん」
「よろしいっ♪ついでに敬語もなしよ。話づらいじゃない。」
「は、はぁ・・・」
オイラがビクついて返事をすると、圭ちゃんの隣にいた圭織が聞こえるように呟く(呟くというのか・・?)。
「・・・圭ちゃんが怖いからヤグチは『さん』付け、敬語で話してたんだっつーの。」
・・・その言葉を聞き逃す圭ちゃんではない。
「なんですって、圭織。もう一度言ってみなさいよ。」
「あぁ〜ら、オバちゃんにもなると耳も遠くなるのねぇ・・・怖いんです、や す だ さ ん は !!」
「なぁんですってぇぇぇぇぇ!!!!」
2人がケンカになりそうなところを平家さんが止めに入る。
「まぁまぁまぁまぁ。ここはこれでも病院みたいなもんなんでお静かに。」
「「はぁーい、ごめんちゃーい・・・」」
2人は素直に従った。・・・さすが天使の一声は効果がある。
- 162 名前:第十四話 投稿日:2003年05月18日(日)20時06分55秒
そーいえばさっきから気になってた事を圭織に聞いてみることにした。
「ねぇねぇ、梨華ちゃんはまだ修行中なの?それによっすぃ〜も。」
「うん。もうちょっと時間がかかるらしいって、よっすぃ〜が言ってたよ。」
「ふ〜ん・・・頑張ってるんだね、梨華ちゃんも。」
これ以上は聞かなかった。聞いてたところでオイラが助けられるわけでもないし。
ただ、帰ってきたら、いっちばんの笑顔で『おかえり♪』って言ってあげようと思った。
- 163 名前:第十四話 投稿日:2003年05月18日(日)20時08分05秒
圭織はハッ!と何かを思い出して、オイラの耳元に顔を近づけた。
「ヤグチが治ったら、連れていきたいところがあるの。楽しみに待っててね♪」
急に耳元で囁かれたので何がなんだからわからなかったけど、とりあえず「うん」とだけ返事をした。
圭織が体勢を元に戻すとか裕ちゃんが圭織の事をガッと引っ張る。
「うわっ!!」
「・・・圭織。あの事もーいったんちゃうやろうな?感動シーンがおじゃんになってしまうで。」
「だーじょぶ。まだ全部言ってないから。ただ、楽しみに待っててね♪とだけしか言ってないから」
「ならえーんやけど。・・・くれぐれも内密にな。」
「わかってるって。」
2人のやりとりにオイラは首をかしげる。
「どーしたの2人とも。そんなコソコソしちゃって。」
2人は顔を見合わせる。
「どうもないよなー、圭織?」
「うんうん、なんでもないよねー、裕ちゃん。」
明らかに怪しい2人。きっと隠し事がある・・・けど、ソレを追求するほど体力が残ってない。
オイラは大きなあくびを1回する。
「ふぁぁぁぁぁ。ちょっと疲れちゃった。また寝てもいいかな?」
オイラの言葉に皆がコクリと頷き、解散となった。
皆、ありがと。ここの皆は優しいコばっかり。オイラ、天女になって本当によかった。
そう思いながら、オイラはまた眠りへと落ちていった・・・。
- 164 名前:桜乱 投稿日:2003年05月18日(日)20時19分36秒
- 更新終了です。
圭織と圭ちゃんはやっぱり、犬猿の仲・・・w
次回、あの人のその後です。
>155 名無しさん
レスありがとうございます。
グッときていただけたとは・・・とってもウレスィですw
本編も頑張りますんでよろしくお願いしますっ!
- 165 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月18日(日)21時09分28秒
- 更新お疲れ様です!
次回は石川?なんですかね?
なんかほんわかしてていいですね。
次回も期待しつつ更新お待ちしております。
- 166 名前:第十五話 投稿日:2003年05月21日(水)18時50分05秒
- 病院らしき施設で療養していたオイラは、体の傷自体は2日もあれば治っていた。
1週間魔法は使えないんだけど、まぁ、普段の暮らしに支障は全然ない。
「圭織ぃ〜、どこに連れてくのぉ〜?オイラ、まだ報告書、途中なんだけど・・・」
「そんなん後でいいって!!ついてくればわかるからぁ〜♪」
オイラは圭織に腕を引っ張られて今までいったことのない道を歩いてます。
下に敷き詰められてる赤い絨毯は普通なんだけど、どうも周りが静かすぎる。
普段なら、しっちゃかめっちゃかになって天使も天女も、そしてそれ以外の関係者も働いているのに。
オイラの頭の中には『?』マークがたくさん浮かんでいる。
なんで圭織はルンルン気分でオイラを連れ出したのか気になるし。
部屋を出るとき、裕ちゃんがやけにニッコニコしてたのも気になる・・・。
そんな事を考えていると、引っ張られていた右腕が急に軽くなった。どうやら到着したらしい。
「さぁ、ヤグチ。ここに入って。」
圭織がそう言って、目の前にある大きな扉を見上げる。明らかに普通の部屋じゃない。
廊下の絨毯の色とあわしたのか、真っ赤なフチの大きなドア。
オイラは言われるがまま、ドアを押して、中へ入った。
- 167 名前:第十五話 投稿日:2003年05月21日(水)18時50分39秒
- そこでは、みちよさんに圭ちゃん、それにごっつぁんが
一人の男の子らしいショートカットのグレーの髪の人を囲んで何かをしている。
最初はイジメか?!とか思ったけど、そうじゃないらしい。
「ん?何やってるんですか?・・・あっ・・・」
近づいて気がついた、そこにいるのは私の知っている人。ってゆーか、つい最近逢った人。
あまりの驚きに口をあんぐり開けたまま、ちょっと間、その人を見てしまった。
すると、その囲まれていた人はオイラに気づいたようで、近づいてきた。
「やっと逢えた。やっと・・・まりぃぃぃぃ!!!!!」
破顔したその人は少し幼さの残る顔立ち。でもやっぱりカッコイイ人だった。
オイラは微笑んでその人の胸へ飛び込んだ!
「・・・雅恵センパァァァァァァイッ!!」
オイラの事をガシッと抱きしめてくれた先輩は、そのまま一周グルリと回って、オイラを地面に降ろした。
感動して心臓がバクバク鳴ってる。ホントにホントに雅恵センパイなんだよね?
自分の心の中で何度も確認しながら、雅恵センパイを見上げる。
「な、なんで雅恵先輩がここに??」
センパイは照れ笑いを浮かべながら頭をポリポリかく。
「やっぱり運命感じちゃうよなぁ〜。真里が死んだと思ったら会えるんだもん。
・・・私がここにいるのはね、みちよさんと保田さん、飯田さんそれに裕子さんのおかげなんだよ」
「へ?」
またまた驚いた表情をしているオイラにみちよさんが説明してくれた。
- 168 名前:第十五話 投稿日:2003年05月21日(水)18時52分02秒
- 「マサオはな、天国に送還された時、『強力な念』がかかっとって、
それをウチと裕ちゃんが解析ってゆーか、読み取ってな、それで『天女』に誘ったんよ。」
後ろにいた圭織がセンパイに寄っていって、肩に手を置いた。
「でもね、最初は拒否られちゃったわけ。『意味わかんないことに巻き込むなー!!』って。
その時のマサオはすっごかったわ。眉間にしわよせて、私の胸倉掴んでくるんだもん。
そんなこわ〜いマサオをウチが説得して、『天女』になってもらったってわけ。」
すると、ずっと黙っていた圭ちゃんが、ゴホンとわざとらしいセキをする。
「かおりぃ〜。その説得って誰かと一緒にしなかったかしら??」
その言葉に圭織は上を見上げる。
「う〜ん・・・誰かいたっけ??ウチ一人で説得した気がするけど・・」
あからさまにウソをついている圭織を見て、圭ちゃんは地団駄を踏む。
「キィ〜〜〜〜ッ!!何でそーやって平気でウソつけるのかしら!!私もいたでしょーが!!私も!!」
「・・・覚えてないなぁ〜♪」
「圭織・・・覚えてらっしゃい・・」
- 169 名前:第十五話 投稿日:2003年05月21日(水)18時52分51秒
- 冷戦が始まった2人をごっつぁんがなだめる。
「まぁまぁ・・・話それちゃってるから。
・・・それで、『天女』になってくれたマサオの教育係に任命されたのが私なんです。
最初はよしこの予定だったんですけど、よしこは、ほら、梨華ちゃんに付きっきりじゃないですか。
だから仕方なく私が教育係になったんです。」
その説明に先輩はちょっと頬を膨らます。
「えぇ〜!!・・・ごっちんは仕方なく教えてくれてるのぉ〜・・・マサオがっかりだなぁ・・・」
「違うってマサオ。そんなんじゃなくて、言葉のアヤってやつだよ、言葉の。」
既に仲が良くなってるごっつぁんと先輩。その2人を見てオイラは安堵感に包まれた。
もう逢えないと思っていた先輩が仕事仲間として一緒にいられる。それだけでオイラは満足、大満足。
それに、もう皆とも打ち解けられてるは、やっぱり雅恵先輩の人徳はすごいなぁって感じるよ。
大好きな雅恵先輩はこうでなくっちゃ!!・・・よしっ!
オイラは皆に向かって頭をペコリとさげた。
「皆さん、ありがとうございます。・・・これからも雅恵先輩をよろしくお願いしますっ!!」
先輩は顔を真っ赤にしてそれを隠すように顔を手で覆う。
「ちょ、ちょっと真里ぃ!!なにやってるんだよぉ・・・恥ずかしいじゃんかよっ!」
そんな先輩の態度にみんな、噴出しながらオイラにむかって一斉に言ってくれた。
「「「「わかってますよんっ♪」」」」
- 170 名前:第十五話 投稿日:2003年05月21日(水)18時54分02秒
「でもあそこで逢えるとは思わなかったよぉ〜!!・・・圭織なんで黙ってたのさ!?」
『プッチ』のいた部屋から帰ってきたオイラは一緒にいる圭織に問いただす。
圭織は机に山積みになっていた書類を見ながらパソコンらしい機器を使って作業している。
「それは、やっぱり感動的な場面ってゆーのを用意しておきたかったからよ。
それに、裕ちゃんも『絶対ヒミツにせなアカンからなっ!』って念を押されてたし。」
オイラは右奥に座っている裕ちゃんの顔をガッと睨む。
「こらぁ!裕子ぉ!!なんで黙ってたのよぉ!!!」
ガツガツと音を立てながら、裕ちゃんの方に進む。
裕ちゃんは何も驚くこともなくお茶をすすっている。
「圭織も言ったやろ?感動的な場面を用意しておきたかったからやって。」
裕ちゃんの目の前まで来たオイラはバンッと叩く。
「言ってくれれば、報告書を早く終わらせることもできたのぃ!!
・・・どうせ提出期限は厳守なんでしょ」
「もちろんっ♪」
裕ちゃんは余裕の笑顔を浮かべる・・・このクソバカ裕子ぉぉぉぉぉ・・・・
- 171 名前:第十五話 投稿日:2003年05月21日(水)18時55分21秒
- イラついている顔を見るやいなや、裕ちゃんは両頬をツンツンとつっつく。
「ホンマ、表情がクルックル変わる子やなぁ〜♪見てて飽きひんわ。」
「ムキィィィィ!!もういいっ!!報告書書くから離して、裕ちゃん!!」
「いやや♪これから真里ちゃんとじゃれる時間やっ♪」
そう言って裕ちゃんは立ち上がってオイラの隣まで近づき、ガバッと抱きよせる。
「こらぁぁぁぁ!!裕子ぉぉぉ、離せってばぁぁぁぁぁ!!!」
頑張って離れようと体をよじるんだけど、裕ちゃんの腕はなかなか体から取れない。
「うぅぅぅぅ・・・圭織ぃぃぃぃ助けてよぉぉぉぉ・・・・」
圭織に助けを求めるんだけど、その圭織はパソコンに夢中。
何かにのめりこむと、絶対ヒトの話聞かないんだった・・・うぅぅぅ・・・だずげでぇぇぇ・・・・
すると突然、ドアがバンッ!と大きな音を立てて開かれた。
3人全員が目を向けた先には・・・・・・息を切らしたあいぼんが立っていた。
あいぼんは息を整えながら、3人に満面の笑顔を見せた。
「はぁはぁ・・・んっ・・・皆聞いて!!・・・梨華ねーちゃんが・・・戻ってくるんだって!!」
- 172 名前:桜乱 投稿日:2003年05月21日(水)19時02分34秒
- 更新終了。
マサオがどこに転属されるかは不明。
そのまま『プッチ』に入るかも?!
次回、ついにあの子が・・・あの『へなちょこ』が帰ってきます!
>165 名無しさん
レスありがとうございます。
>次回は石川?
すみません、大谷雅恵しゃんでした(爆
>なんかほんわかしてていいですね。
あぁ、このイキフンが伝わってよかったw
次回も見ていただけると嬉しいですっ♪
- 173 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月21日(水)23時12分52秒
- 更新お疲れです。
まさかマサオが来るとはおもいませんでした!
メロン好きなんでうれしいです。
矢口とマサオの関係もこれからはどうなっていくんでしょうか?
作者さんの文章の雰囲気とっても好きです。次回は石川?ですか?
- 174 名前:第十六話 投稿日:2003年05月23日(金)08時48分45秒
- 部屋を支える柱が2本。それ以外何もない殺風景な部屋。
四方の壁には無数の傷が刻みこまれている。
最近傷ついたものではない、古くからの傷のようだ。
そんな部屋の中央に、2人の女性と黄金の龍がいた。
- 175 名前:第十六話 投稿日:2003年05月23日(金)08時49分57秒
龍は低くうなり声をあげ、茶髪の女性・・・梨華ちゃんの方を見つめる。
「この短期間でここまでやるとは・・・汝、召喚術を身につけたどの天女よりも力があるようだ。」
梨華ちゃんの後ろにいた金髪の女性・・・よっすぃーがコブシを振り上げる。
「あたりめーだろーが!!梨華ちゃんはウチが認めてるんだぞ!!おめーなんかへっちゃらだいっ!!」
その言葉に龍は、即座によっすぃ〜をにらみつける。
「部外者は黙れ・・・。おぬしに言える資格があるのか?・・・四神獣と四霊を呼ぶのが限界な小娘ごときが。」
よっすぃ〜はギクッとしてあとずさる。
「・・・う、うっせー!!オレは・・オレは、他の術でカバーしてるんだよっ!!
てめーなんか呼ばなくたって仕事できるっつーの!!」
よっすぃ〜と黄金の龍。そぅとぅ仲が悪いらしい。
龍はひとみに対し、冷徹に言い放つ。
「ならば、黙れ。」
「うっ・・・うっせーよ・・・」
どんどん声の小さくなるよっすぃ〜を横目で見て、ニコッと微笑む。
「ひーちゃんありがと。・・・黄龍さん契約を。」
「・・・うむ。」
龍は目を閉じると口からまばゆい光を発する珠を吐き出し、その珠をゆっくりと梨華ちゃんの方に動かす。
「それが契約の印だ。それを持つ者のみが我を従える事が出来る。
石川梨華よ、今後、我の力・・・・・・存分に使うがよい。・・・・・ムンッ」
龍の体は光を放ちつつ、消えていった・・・。
- 176 名前:第十六話 投稿日:2003年05月23日(金)08時51分57秒
- 梨華ちゃんはうつむきながら両手で野球ボール程の光る珠を握り締める。
いつまで経ってもその場で固まっている梨華ちゃんに疑問を覚えたよっすぃ〜は後ろからそっと抱いた。
すると梨華ちゃんは体は震えが止まらなくなっていて、目からは涙をこぼしていた。
「梨華ちゃん頑張ったじゃない。だから泣いてるなんていけないよ。笑顔でいなきゃ。」
「ひーちゃん・・・・私・・・わたし・・・・」
喋ろうとするんだけど、口からは言葉が出ずにパクパク動かしたまま。
よっすぃ〜は抱きしめた腕の力をさらに強くする。
「梨華ちゃんダメだって泣いてちゃ。私、梨華ちゃんの泣き顔なんてみたくないな。・・・悲しくなっちゃうから。」
梨華ちゃんは側によっすぃ〜がいる安心感から、泣きじゃくる。
「・・・だってぇ、だってぇ・・・今までホントに辛かったんだもん・・・
もう辞めちゃおうと思った時だって何度もあった・・・」
続きを言おうとするが声がでなくなった梨華ちゃん。
そんな梨華ちゃんの首元によっすぃ〜はキスを落とした。
「でも諦めなかったじゃない、辞めなかったじゃない。・・・梨華ちゃん、自信もっていいんだよ」
「・・・うぇっく・・・ひーちゃん・・・」
全てが終わったので、今までの不安やら心配やらが一気に出ちゃったらしい。
よーするに、今の梨華ちゃんは『ネガティブ梨華』。
よっすぃ〜は必死に梨華ちゃんにしてあげられる事を考えていた。
- 177 名前:第十六話 投稿日:2003年05月23日(金)08時53分10秒
- 「自信持ってもらうにはどーしたらいーかな?・・・えっと、うんと・・・
あっ!!そーだ!!とっておきの魔法をしてあげる。自信が持てる ま ほ う ♪」
すると振り返ってよっすぃ〜にギューッと抱きつく梨華ちゃん。そして上目づかいでよっすぃ〜を見つめる。
「ひーちゃん・・・魔法って何?・・・」
よっすぃ〜はニコッと優しく微笑えんで、梨華ちゃんのオデコにチュッとキスをする。
梨華ちゃんはきょとんとした顔でよっすぃ〜を見つめた。
「えっ?・・・終わったの??」
「うんっ♪吉澤ひとみの『自信』を石川梨華に入れたのっ!」
梨華ちゃんは思わず、笑ってしまった。
「フフッ・・・それっていつもと変わらないよぉ・・・」
「えぇ〜!!!ちょっと違うんだって。・・・ほらっ!いつもと『気持ち』が違うジャン♪」
よっすぃ〜なりに、『おめでとう!』という気持ちと『自信持って!』ってゆう気持ちを伝えたかったらしい。
そんなよっすぃ〜の行動に梨華ちゃんも元気が出たらしい。
「ひーちゃん。・・・私これからも頑張るね♪」
「そのちょーしだぜっ!梨華ちゃんっ♪」
部屋の中では2人だけの時間が流れていった・・・。
- 178 名前:第十六話 投稿日:2003年05月23日(金)08時54分38秒
場所は変わって、『タンポポ』の執務室。
オイラと圭織とあいぼん、それに裕ちゃんが部屋を飾り付けしていた。
部屋全体にあいぼんの大声が響きわたる。
「ほらぁぁぁぁぁ!!!早くしないと梨華ねーちゃん帰ってきちゃうよぉ。
・・・こらっ!!裕ちゃん!!!サボってないで手ぇ動かしてよぉ!!」
お茶をズズッとすすりながら壁に装飾をする裕ちゃん。
明らかに・・・ヤル気がない。
「ちゃんとやっとるがな。裕ちゃんしっかり手ぇ動かしとるって」
あいぼんはガツガツと大きな足音を立てながら裕ちゃんの側へ行く。
「既にやってないじゃんよ!!!ほらぁ!!ここ違ってるじゃん!!」
裕ちゃんがさっきまで装飾していた箇所を指差す。
「あっ・・・・間違えとった??・・・アハハ。ごめんごめん♪」
笑顔で謝る裕ちゃんは湯のみを机に置いてあいぼんの頭をクシャクシャっとなでる。
当然、あいぼんはそれを嫌がる。
「なぁぁぁぁ!!!・・・は、はやくここ終わらせてよぉ!!!」
「わかっとる、わかっとる♪」
全然・・・反省してません・・・この天使。
そのやりとりを見ていたオイラを圭織がツンツンとつつく。
- 179 名前:第十六話 投稿日:2003年05月23日(金)08時56分39秒
- 「なに?圭織。」
「そんなボケェ〜っと見てると、
今度はヤグチがターゲットになる・・・あっ!遅かったか・・・」
圭織の目のやる方向を見ると、あいぼんがこちらに近づいてくる映像が・・・
これって、やっぱり・・・オイラがターゲット・・・
「真里ねーちゃんと圭織ねーちゃんもサボってるのぉ?
・・・もー、梨華ねーちゃんをお祝いできないじゃんかぁ!」
ホッ。オイラだけじゃなかった・・・。ちょっと安心♪
とばっちりを受けた圭織は不機嫌そうにかけていたメガネのズレを直す。
「へーきだって。どうせ、今頃終わって、『吉澤ひとみ』とイチャイチャしてるだろーよ」
「そんなことないよぉ!!梨華ねーちゃんは絶対一番にここに帰ってきたいと思ってるもん!!」
「どーだかねぇ・・・」
あいぼんの必死な声も聞かず、軽く流す圭織。
やっぱり、リーダーらしく梨華ちゃんの気持ちをわかってる。・・・どっかの誰かさんとは大違い。
裕ちゃんの方を見ると、またお茶を飲みながら一服していた。・・・ハァ・・・この天使は仕事ないの?
- 180 名前:第十六話 投稿日:2003年05月23日(金)08時57分40秒
- そう思った矢先、突然、麻琴ちゃんの声が響く。
「タンポポのみなさぁ〜ん。お仕事でぇ〜す。今回、結構急がないとヤバイんです。
事情はそこにいる、あいぼんに聞いてくださぁ〜いっ!!」
声が聞こえなくなると、オイラはすかさずあいぼんに声をかける。
「ど、ど、どーゆうことなの?!梨華ちゃんのお祝いの会はどーなるの?!」
慌てて聞いたオイラを見ながら、あいぼんがポンと手を叩く。
「あっ!!思い出したっ!!私、麻琴ちゃんに頼まれてたんだった!!」
「な、な、何を?」
「・・・今回の魂はすっごい暴れ方がひどいらしくて、急がないとすっごい被害が大きくなるんだって」
「「な、な、なぁんだってぇぇぇぇぇぇ!!!!」」
圭織とオイラは同時に驚く。
「そんなんしてたら、梨華ちゃんが絶対戻ってきちゃうじゃんよ!!」
「会場セッティングならなんとか終わるけど、さすがに魂送還はムリっしょ。
どんなにイチャイチャしてても帰ってきちゃう・・・。どーしたもんか・・・」
あいぼんは頭をさげる。
「ご、ごめんなさいっ!梨華ねーちゃんの事しか考えてなくて大事な事言うこと忘れちゃって・・・」
あら!?やけに素直じゃん、あいぼん。やっぱり梨華ちゃんの事好きなんだろうなぁ。
もちろん、オイラだって大好きだし、圭織だって裕ちゃんだって・・・。
- 181 名前:第十六話 投稿日:2003年05月23日(金)08時58分44秒
- オイラはあいぼんの肩をポンポンと叩く。
「気にすんなってあいぼん。そりゃー、梨華ちゃんの方が気になるよ。
他人の魂なんかより・・・ってこんなこといっちゃーまずいか。アハハ」
圭織もオイラが手を置いた反対側の肩を叩く。
「へなちょこ梨華ちゃんでも、れっきとしたウチらの仲間だもん。気になるのはとーぜんよ♪
・・・さて、どーしますか。ハリキッて帰ってきてもウチらがいなかったら、
さすがに吉澤病にかかってる梨華ちゃんでも、うなだれるわ。。。」
3人が三角形になって腕を組んで考えていると、後ろから声をかけられる。
「・・・考えてもしゃーないやん。今回はウチが行ったるわ。
最近ちょっと雑務ばっか多くてな。体動かしたいと思っててん。」
「「「でも、裕ちゃんだって・・・」」」
3人で同時に言うと、裕ちゃんは湯のみを置いて、白衣を脱ぎ、白いスーツを身にまとった。
「かまへん。ウチの大事な天女が困っとる時は、助けてやらんとかわいそーで夜も眠れんわ。
じゃあ、石川が帰ったら伝えといてくれるか?『よー頑張ったな。さすがはウチの天女やで!』ってな♪」
- 182 名前:第十六話 投稿日:2003年05月23日(金)09時00分08秒
- すると、裕ちゃんはさっそく右手に光った球を作り出し、そこから小さな犬が飛び出す・・・ハナちゃんだ!!
オイラは急いで裕ちゃんの側にかけよる。
「ハナちゃん!!・・・元気そうだね。」
「真里ちゃんじゃないでちゅか!!真里ちゃんも元気そうでなによりでちゅ。」
2人で感動の再開を果たしていると、裕ちゃんはゴホンッとセキをする。
「ちょ〜っと急いでるんでな、後日ゆっくりとやってくれへんか。
・・・ハナちゃん。今回は久々にウチのサポート頼むで!!」
「了解しまちたでちゅ!」
そう言って、ハナちゃんは裕ちゃんの肩に飛び乗る。
裕ちゃんは胸の前に手を持っていき、手の中に球状の光る物体が出来るように念じながら唱えた。
「それじゃあいくで・・・我らの魂魄よ、果てなる彼方へ移動せよ・・・・・ビジョンッ!」
すると裕ちゃんとハナちゃんの体は光に包まれてその場から消えた。
送還魔法で下界に降りて行った裕ちゃんに3人は頭をさげる。
「「「ありがとう、裕ちゃん♪」」」
頭をあげたあと、圭織が一番に口を開いた。
「さて・・・早く終わらせちゃいますかっ!」
「「了解っ!!」」
- 183 名前:第十六話 投稿日:2003年05月23日(金)09時01分09秒
一通り準備が終わった直後、ドアがギィィィィと音を立てて開かれた・・・梨華ちゃんだった。
そこにいる梨華ちゃんは前に逢っていた梨華ちゃんと違っていた。
身長が伸びたとか、スタイルがよくなったとかじゃなくて、逞しくなったというか凛々しくなったというか・・・
昔の『へなちょこ梨華ちゃん』のイメージは感じさせない。
梨華ちゃんは、ぎこちない笑顔で敬礼をした。
「石川梨華・・・無事、帰りました。皆さん、長い間、私のワガママを聞いてくださってありがとうございましたっ!!」
明らかに場違いな行動にウチらは・・・噴出してしまった。
「な、なんで笑うんですかぁ!!久々に逢うときってこーゆうのが定説なんですよぉ!!
ほら、よく見るじゃないですか。『○○、無事帰還致しましたっ!』って。」
そんな梨華ちゃんに圭織がツッこむ。
「ププッ・・・梨華ちゃん。アンタどーゆう映画見てるのよ。なんでそんなにサバイバルなんだっつーの。」
「えっ!?だって映画といえば、戦争映画ですって!!なんかこう・・・血が燃えたぎるというか、なんというか・・・」
あいぼんはお腹を抱えて大笑い。
「も・・・も・・・燃えたぎるって・・・プッハハハハハハ!!!」
「なんで笑うのよぉ!!映画をバカにしてるでしょおー!!ぷぅー!!」
梨華ちゃんは頬を膨らませてそっぽ向いた。
- 184 名前:第十六話 投稿日:2003年05月23日(金)09時02分01秒
- さっきは凛々しく見えたんだけどなぁ・・・気のせいだったかな・・・まぁ、いっか。
「まぁまぁ、梨華ちゃんが戻ってきたんだし。・・・それよりも、圭織、あいぼん・・・いくよっ!せーのっ!!」
オイラ、圭織、あいぼんはうずくまって、低く声を出す。
「「「お〜・・・・・・」」」
そしてガッと全身のバネを使って梨華ちゃんに飛びつく!!
「「「っかえりぃ〜〜〜!!!」」」
「っひゃあ!!」
勢いよく飛びつかれ、慌てる梨華ちゃん。その反応にイヒヒヒと笑う天女3人。
梨華ちゃんも驚きながらも、嬉しいって気持ちが顔に現れている。
圭織は梨華ちゃんを抱き締めながら言う。
「そうそう、梨華ちゃん。裕ちゃんから言伝があるの。『よー頑張ったな。さすがはウチの天女やで!』だって♪」
か、圭織・・・声色もイントネーションもそっくり・・・どこでそんな技術を・・・
「裕ちゃん・・・ありがとうございます。」
その芸風にか、それとも言葉にか、梨華ちゃんは涙ぐむ。
泣き顔梨華ちゃんのあごを、あいぼんはグイッと持って引っ張る。
「おぃおぃこんなお祝いの時に、なぁ〜に泣いてるのぉ〜??さ、お祝いしよっ!」
あいぼんがぐいぐいあごを引っ張って移動させる。・・・なんかペットみたい・・・色黒の。
そして『タンポポ』だけの『梨華ちゃんおかえり♪よく頑張りましたっ!会』が始まった。
- 185 名前:桜乱 投稿日:2003年05月23日(金)09時19分11秒
- 更新終了。
なんだかダラダラで量が多くなってしまった・・・。
『梨華ちゃん帰ってきたよSP』
と思ってくださればなんら問題ないんですが(爆
>173 名無しさん
レスありがとうございます。
>矢口とマサオの関係もこれからはどうなっていくんでしょうか?
やぐさんのアニキ分なので、きっとまた登場してくれると思いますw
>次回は石川?ですか?
ご名答!!石川SPでしたっ!
今回も読んでいただけると嬉しく思います。ありがとうございました。
- 186 名前:第十七話 投稿日:2003年05月26日(月)08時21分30秒
- 「アタタタタ・・・頭が頭痛だよ・・・」
意味わからない事を言いながら廊下をヘロヘロっと歩く人が一人。
「イタタタタ・・・お腹も腹痛だ・・・」
またもわけのわからない事を言って、壁に寄りかかりながら曲がり角を曲がる。
「・・・圭織・・・絶不調・・・」
『タンポポ』のリーダー兼音楽担当兼ポエム担当の圭織は頭とお腹を抱え、
裕ちゃんに呼ばれた大広間へ向かおうとしていた。
「昨日は、食べすぎたし、飲みすぎた・・・・
これじゃ、圭ちゃんに逢ったら何言われるかわかったもんじゃない・・・」
ちょっとした不安も抱えながらも大広間を目指した。
- 187 名前:第十七話 投稿日:2003年05月26日(月)08時22分06秒
梨華ちゃんのお祝いの会を終えた『タンポポ』は自室のベッドで休んでいた。
言い忘れたかもしれないけど、天女も人間と同じような生活リズムで過ごしてます。
だから、夜中の魂送還のお仕事は誰もが嫌がる。だから、天使が決めたシフトによって
その日に誰が送還の仕事をするかを決めてます。
で、今日は『万能天女』って方々が当番に当たる。実際オイラは逢ったことがないので、
どんな人たちかなぁって思うんだけど、圭織によれば、『才能があるからって図に乗ってる天女』らしい。
それを聞いただけだと、かなりイヤな性格で、イジメ大好き!人を見下すのを大好き!って感じに思えて
オイラは逢える機会があっても逢いたいと思わない。だってねぇ・・・逢いたくないじゃん。そんな人達。
同室でオイラの真上にベッドがある梨華ちゃんが上からクィっと出してオイラを覗く。
「ねぇねぇヤグチさぁ〜ん。ちょっとそっちに行ってもいいですかぁ〜〜?」
唐突に聞いてくるのでちょっと戸惑う。
「ん?別に構わないけど・・・」
「あはっ♪よかったぁ〜♪」
梨華ちゃんはハシゴを降りて私のベッドに入ってきた。
すると突然、私にギュ〜ッと抱きついた。
- 188 名前:第十七話 投稿日:2003年05月26日(月)08時23分18秒
- 「な、な、どーしたんだよ、梨華ちゃん。」
「アハハァ〜♪聞いてくださいよぉ〜!!
私、あの『藤本さん』と『高橋さん』しか契約してない『黄龍さん』と契約したんですよっ♪」
お祝いの会の時からずっとこのことばっか言ってる。そぅとぅ嬉しいからなんだと思うけど、
それ以外にも梨華ちゃんが喋りたい理由がある。それは・・・酔っ払ってるからだ。
圭織が会場セッティングを終えた後に、なぜか背中から取り出した焼酎のビン。
それをテーブルに置いて、またどっから出てくるのかわからないグラスを3つ、ダンッ!と置いた。
そして、それをオイラと梨華ちゃんに飲ませた。オイラはなんとか2杯ぐらいで済んだけど、
梨華ちゃんは結構ヤバイ。圭織が酔っ払ってるせいか、どんどんつがれていた。
「でねぇでねぇ〜。ひーちゃんが終わったあとも抱きしめてくれてぇ〜・・・アハァ〜♪」
「わかった。うんうん。・・・もう7度目よ、そのセリフ。」
もうカンベンだよぉ・・・今頃、圭織もすごいだろうな・・・あいぼん平気かなぁ・・・
- 189 名前:第十七話 投稿日:2003年05月26日(月)08時24分14秒
- あいぼんは圭織と同室。変な事されてなきゃいいけど・・・ってオイラは自分の心配するほうが先だった!!
「だからですねぇ〜・・・試練ってゆうのは、ものすごぉぉぉぉく、たいへんなんですってばぁ〜♪」
「・・・あぁ、はいはい。」
「アハハ〜♪・・・なんだか眠くなっちゃった・・・マリちゃんおやすみぃ〜♪」
「お、おいっ!!梨華ちゃんってば!!」
既に梨華ちゃんは寝息を立てて寝ていた。
「おいおい・・・『マリちゃん』って梨華ちゃんに呼ばれるとなんだか不思議な気分だなぁ・・・」
そう思いながら、しょうがなく狭いベットに2人で寝る事となった。
- 190 名前:第十七話 投稿日:2003年05月26日(月)08時24分56秒
- 「昨日は飲みすぎた・・・アタタタ・・・あやっぺなんであんな強いんだ?!
飲み比べなんてしなきゃよかった・・・トホホ」
こちらも頭を抱えながら、貴子さんに呼ばれた大広間へ向かう最中だった。
「勝ったらなんでもしていいよ♪なんて反則技使うんだもんなぁ・・・負けますよ、あたしゃ・・・イタタタ」
ミキティは、亜弥ちゃんに昨日、仕事終わりに飲みに誘われて、その途中、飲み比べ勝負を誘われた。
勝負は見事完敗したらしい・・・。『万能天女の松浦亜弥は酒豪』とのウワサを後に聞くこととなった・・・
「おおっと、ついたついた。ここだよね、大広間ってのは。」
ミキティはノックをして部屋に入った。
そこには、天使の2人、貴子さんと裕ちゃん。それと圭織がいた。圭織だけ、やけにグタっとしてる。
貴子さんと裕ちゃんはニコッと笑ってミキティを迎え入れた。
「おぉ、ふじもっちゃん。久しぶりやなぁ・・・歓迎会以来やなぁ・・・」
「さ、ミキティ。こっち座って。ちょっと大事な話があんねん」
「は、はぁ・・・」
貴子さんに言われて、ミキティは近くにあるイスへ腰をかけた。
未だに圭織は頭とお腹を押さえながら喋ろうとしない。
最初に口を開いたのは裕ちゃんだった。
- 191 名前:第十七話 投稿日:2003年05月26日(月)08時25分54秒
- 「あんなぁ、大事な話ってゆーんは、ふじもっちゃんに『タンポポ』に入って欲しいって話やねん。」
「あ〜、はい・・・って・・・えぇ〜〜〜〜〜っ!!!」
口をアングリ開いたまま呆然としてしまった。
そこにニヤッと微笑んでいるのは貴子さんだった。
「驚くのもしゃーないな。でも、ずっといてくれって話やないねん。仕事をちょっとの間、手伝って欲しいだけや。」
「えっ!?・・・ちょ、ちょっと待ってくださいよ。話が全然見えません。」
ミキティの混乱はMAX。もうなにがなんだかわからない状態だった。
「すまんすまん。最初から説明せんとわからんもんな。えっとな、昨日の夜、天使の会議があってん。
『天会』ってのが。それで、話題になったのが、天女の増員と増強やねん。
こないだマサオを・・・大谷雅恵ってゆーのを入れたんやけど、やっぱり天女は全然足りん。
『万能天女』並の人材が多く欲しいねん。それでや、天女も多く採用もするんやけど、
それ以外に一時的に、『万能天女』を解散して各ユニットに入れて仕事率をアップさせることに決定したんや。
せやから、ふじもっちゃんは、『タンポポ』に。あややは『プッチ』に。
アヤカと高橋は『ハワイャ〜ン娘。』に天女の仕事を覚えさせる為にレッスン。・・・どや、そーだいな計画やろ??」
「は、はぁ・・・」
パニくってたミキティもどうにか、話の内容を聞いて理解したようだ。
- 192 名前:第十七話 投稿日:2003年05月26日(月)08時28分27秒
- 「ミキティ、女房と離れ離れにさすのは可哀相やと思ったんやけど、天国の為や。ちょっとだけ我慢して・・な?」
「そ、そんな女房だなんて。あやっぺと美貴はそんな・・・」
顔を真っ赤にして手を振る。
「で、納得してくれたんか?タンポポの参加。」
「えぇ。仕事ですからしょうがないですし。それと、石川さんに会ってみたいんで・・・。」
「・・・い゛じがわ゛?」
頭を抱えていた圭織は変なうめき声と共にミキティに聞いた。
「あ、はい。石川さんです。『黄龍』と契約したみたいなんで・・・」
「あぁーそっか。そーいや、梨華ちゃんはすごい召喚獣と契約したんだっけ・・・」
ハァと口を開いたのは裕ちゃん。
「アンタ、昨日お祝いしたんやろ??その時に聞くやろ、石川の修行内容とか。」
「あぁー聞いたはずだけど・・・酔ってて覚えてない・・・。」
「圭織・・・・アンタなぁ・・・」
裕ちゃんは頭をポリポリかきながらそのまま口を閉ざしてしまった。
圭織は今作れる精一杯の笑顔を作って、ミキティに手を差し出す。
「私が『タンポポ』のリーダー兼音楽担当兼ポエム担当の飯田圭織。・・・って前に逢ったから知ってるか。
まぁ、とりあえず、短い間だけどよろしくね♪」
「は、はい!よろしくお願いします。」
こうして、ミキティは一時的に『タンポポ』へ参加することとなった。
- 193 名前:桜乱 投稿日:2003年05月26日(月)08時34分41秒
- ミキティ、一時的にタンポポに加入。
絶対ありえない!絶対ありえない!(爆
ってことで、今回からちょっとずつスピードアップ。(展開ですがw
見てくださってる人がいるならば、
今後も暖かく見守っていただきたいと思います。
- 194 名前:第十八話 投稿日:2003年06月01日(日)20時44分15秒
- 誰も入ったことないような、真っ暗で細い道。その中腹でなにやら密談してる怪しげな二人組。
「最近、魂がやけに多いと思わない?これは明らかにおかしいわ・・・。」
指をおでこにつけて、考え込む。それを見た相方も耳たぶをつまみながら考える。
「・・・おかしいと知っているから、『天会』であんな計画が出されたわけだし・・・」
耳たぶをつまんでいた方がハッとする。
「も、もしかして・・・『神様』がいないから下界の秩序が乱れたとか・・・」
指をおでこに当てていた方は失笑する。
「フッ・・・バカな事言わないで。そんな事で死人が続出してたら、たまったもんじゃない。
もし、そーだとしても、事態をわかっていながら、逃げ出した神を未だに崇拝してる天使はバカとしかいいようがないわ。」
「そーだね。だから私達が立ち上がらないといけないんだもんね。」
「そう・・・何もわかっていない天使どもは私達が粛清する。」
耳たぶをつまんでいいた方が白衣の内ポケットから1枚の紙を取り出し、広げる。
「じゃあ、この企画、早く進めた方がいいね。・・・『ごなっとうプロジェクト』を・・・」
相方はコクリと頷く。
「ええ。『ごなっとうプロジェクト』をスタートして、天国を掌握しないと私達の目標は達成しない。」
「うん・・・それじゃあ、引き続き、そっちは後藤と藤本の弱みを。私は裕子の弱みを探るわ。」
二人は右手を握ってコブシを作り、そのコブシを目の前でくっつける。
「「全ては天国と下界の秩序を正す為に!!」」
そして二人は違う方向へ歩いていった・・・。
- 195 名前:第十八話 投稿日:2003年06月01日(日)20時44分56秒
大広間から戻ってきた圭織とミキティは、オイラ達と執務室で合流した後、
簡単な自己紹介をして、次の仕事がくるまでの間、執務室で待機していた。
オイラって万能天女を『悪役』なイメージを持ってたんだけど、ミキティはその想像してたのと180度違ってた。
もうねぇ、雰囲気はよっすぃ〜に似てて、フレンドリーだし、カッコイイ。
圭織の言っていたことを鵜呑みにしていたオイラがバカみたいだった。
梨華ちゃんとあいぼんと圭織は三人でじゃれ合ってたから、オイラはミキティと話せる時間が出来た。
「ミキティって、万能天女の時ってどんな仕事してたの?」
「えっとですねぇ、皆と同じような仕事ももちろんしてたんですけど、神様の捜索もしてました。」
「えっ!?・・・今逃げちゃってる神様を探していたんだ。」
「はい。天国のトップをいつまでも待っているわけにはいかないですから。」
「・・・で、見つかったの??」
首をかしげて問いかけると、ミキティはうつむいてしまった。
「えぇ、見つかったは、見つかったんですけど・・・」
「・・・見つかったんですけど??」
「途中で、貴子さん・・・美貴達の天使がストップかけちゃったんです。
こっからは天使が引き受けるから、万天は、通常の仕事に戻るようにって。」
「そっかぁ・・・それで、理由は??」
ミキティは首を横に振った。
「わからないんです。理由を聞いても教えてくれなかったんです。何故だかわからないんですけど。」
- 196 名前:第十八話 投稿日:2003年06月01日(日)20時45分30秒
- なんか複雑な顔してるなぁ・・・やっぱり『万能天女』ってゆうぐらいだからプライドも高いんだろうな。
仕事を達成できないって悔しいんだろうな・・・絶対悔しいんだろう。
オイラでさえ、もし、お仕事をちゃんと出来ない時が来たら、すっごい悔しいもん。
オイラはミキティの手を握って笑顔を作る。
「じゃあさぁ、今度仕事終わったら、皆で探してみようよ。だって、下調べしたミキティ達にだって、
神様がどうして逃げちゃったのか知る権利あるもん。」
ミキティはビックリしたような顔をして私を見ている。
「・・・はい。ヤグチさんは優しいですね。」
「そ、そうかなぁ・・・アハハ♪」
すると照れ笑いしているオイラの頭を圭織が手で押さえ、両肩を梨華ちゃんとあいぼんが押さえる。
「藤本、間違っちゃだめだって。こーゆうのはおせっかいってゆーんだよ。」
「そうそう。真里ねーちゃんのおせっかいはホント困っちゃう。」
「自分の事より、周りの事を考えちゃうんですもん。もっと自分の心配してくださいよぉ。」
身動きの取れないオイラは体をゆする。
「は、はなせー!!!オイラはおせっかいなんかじゃないやいっ!!ってゆーか、いつから聞いてたんだよぉ〜」
ジタバタしてるオイラを苦笑いしながら見つめる圭織。
「ね、自覚症状ないでしょ?だから困るの。・・・藤本もこれから大変になるわよぉ〜♪」
そんなオイラを見てフフッと笑うミキティ。
「はい。覚悟しておきますっ♪」
オイラ以外の笑い声が部屋に響き渡った。
- 197 名前:第十八話 投稿日:2003年06月01日(日)20時46分49秒
すると、話が終わるのを待ったかのようなタイミングの良さで、部屋全体に一人の女の子の声が響く。
『タンポポのみなさぁ〜ん!!お仕事なのれすっ!!今回は立て続けに2つなので、頑張ってくらはい♪
・・・お仕事とは関係ないんれすけど、終わったらあいぼん用があるから、ののの部屋まできてくらはい。』
オイラはニヤッと微笑みながら、グイグイッとあいぼんを肘でつっつく。
「あれぇ?あいぼん。どーしたのかな?直々に呼び出しくらっちゃうなんて」
あいぼんは顔を真っ赤にしながらオイラを手で払う。
「な、なんでもないよっ!!それより、早くいかないと!!」
「あっやすぃ〜なぁ〜♪・・・ま、これを聞いたらあいぼんが可哀相だから、行きますか。」
オイラは周りにいるメンバーの顔を確認する。
「そーしなさい。仕事に支障出されたら困るわ。」
「あいぼんをイジメないでくださいよぉ!これでもカワイイ妹みたいなもんなんですからぁ!」
「早く行きましょう!!仕事を迅速に終わらせるのがプロってもんです。」
口には出さないけど全員やる気マンマン。
それを確認するとオイラは胸の前に手を持っていき、手の中に球状の光る物体が出来るように念じながら唱えた。
「それじゃあいくよ・・・ウチらの魂魄よ、果てなる彼方へ移動せよ・・・・・ビジョンッ!」
するとウチら5人の体は光に包まれてその場から消えた。
- 198 名前:第十八話 投稿日:2003年06月01日(日)20時47分36秒
とある場所にまたも二人の女性の姿。さっき耳たぶをつまんでいた彼女と裕ちゃんらしいシルエット。
「裕子さん、もーそろそろ諦めたらどうですか?あなたの妹はもう探しても意味ないでしょう?」
「なんの話やねん。ウチは天使や。天女とは違って昔ってモンが存在せーへん。」
女性はフフッと微笑する。
「私にわかってないと思ってるんですか?あなたの過去を。」
裕ちゃんは冷めた目線で女性を睨む。
「おい、ねーちゃん。オレの事を詮索してるようなら、もーやめた方がええ。
これ以上詮索するような真似をしたら・・・ねーちゃん、潰すで。」
女性は全然ひるまない。
「フフフ・・・。ずいぶん強気なんですね。
さすがは裕子さん・・・いや・・・『中澤裕子』さんの方がよろしいかしら?」
そのセリフに反応して裕ちゃんは女性の胸倉を掴む。
「ねーちゃん、まだわかってないんやな。ウチは『裕子』や!『中澤』なんて苗字はない!!!」
言い終えると同時に彼女を押しながら掴んでいた服を離す。
3歩後ろに下がった女性は服を元に整えながらも、裕ちゃんに話しかける。
「全部知ってますからね。私は・・・フフフ、またお会いしましょう。」
彼女は踵を返し、裕ちゃんの元を立ち去っていった。
「なんやねん。アイツ・・・。ウチの過去か・・・チッ・・・余計な輩がこの天国にいるとはな。
みっちゃん、あっちゃん・・・コイツはヤバイことになったで。」
舌打ちをして白衣の襟をギュッと握った。
- 199 名前:桜乱 投稿日:2003年06月01日(日)20時50分10秒
- 更新終了。
1週間構想練って、
やっと最終回までの話がつながりました。
番外編を一つ書き終えていますが、それはもう少し話が進んでから。
もっとウマく書けるようになりたい・・・(切実
- 200 名前:つみ 投稿日:2003年06月12日(木)23時51分44秒
- 待ってます
- 201 名前:第十九話 投稿日:2003年06月17日(火)20時59分58秒
- 「天女の名において魂魄に命ず。果てなる天へ成仏せよ・・・・・ビジョンッ!」
最後の小さな光る球体が黒い球体に吸い込まれていったのを確認すると、
オイラは額に浮き出た汗を手の甲で拭って深く息をはいた。
「やっと終わったぁ〜・・・さすがに10体は堪えるわ」
久しぶりにこんなに多くの魂を送還した。
ミキティが入ったタンポポでも10体をいっぺんに相手をするのは、さすがに厳しい。
『万天』の力を借りても疲れが表れたってことは、私達4人だけなら確実に出来ないお仕事だったんだろうな。
ミキティはニッコリと笑ってオイラの方を向いていた。
「ヤグチさんすっご〜い!!美貴でも飯田さんに助けてもらって、4体送還するので精一杯だったのに
ヤグチさんは石川さんとあいぼんとで6体なんて・・・。タンポポ、すごいですぅ〜♪」
手を組んで目をキラキラさせていた。全然疲れを見せない。さすがは万天、というところだよね。
「アハハ。ありがとう。・・・ねぇ、圭織。次の現場ってこっから近いの?」
首をコキコキ鳴らしながら圭織はこちらを振り向く。
- 202 名前:第十九話 投稿日:2003年06月17日(火)21時00分42秒
- 「えっとねぇ、ここからだと・・・ざっと20分ぐらいの距離かな。
でも、次もこれぐらい数が多いって聞いたけど・・・大丈夫?」
圭織の交信能力のおかげで、いつもリアルタイムで情報がわかる。
未来の事もわかっちゃうホント、便利な能力。
「・・・オイラなら平気だよ。これぐらいへっちゃらだいっ!!」
実際はちょっと厳しいけど苦笑を見せて安心させるようにする。
お仕事を途中で放り投げるほど、オイラは腐っちゃいない。
「よし、じゃあ次いこうっ!早く終わらせちゃった方がゆっくり休めるし。」
オイラが親指を立ててニッカリ満面の笑顔を作った時、上から一筋の光が降ってきた。
「な、な、な、なんだよっ!!!いきなりなんだっての!!!」
一人きょどっていると、その光から現れたのは・・・
- 203 名前:第十九話 投稿日:2003年06月17日(火)21時01分49秒
「彼女はOK・・・もうバッチリ。これであとは2人って事だよ。」
ニヤリと微笑んで一枚のカードを渡す。
渡された彼女はカードの書いてある文面をさっと目で追った後、カードを手のひらで燃やす。
火種は何もなく、突如燃え出し、その場で灰となる。
「ずいぶん早かったわね。そんな簡単だったの??」
火を操った彼女が問いかける。・・・すると微笑んだまま答えた。
「『この程度の場所にいたら、やりたいことは何も出来ないでしょ?、・・・だったら私達と面白いことしない?』
って言ったら、イ チ コ ロ。結構、自分の場所に不満を持ってたらしいよ」
「天女も見かけによらず・・・ってわけね。・・・全員が全員、善人じゃない・・・か。」
火を操った彼女は急に沈んだ表情を浮かべた。驚いて相方は首をかしげながら顔を覗きこんだ。
「どうしたの?・・・何?もしかして怖気づいたとか言わないでよ。もう後戻りはできないんだから。」
「フフッ・・・ちょっと嫌気がさしただけよ。・・・もう救いようがない天国を哀れんだだけよ。」
そう言って、火を手の平に再び発生させる。
「後は・・・2人。彼女達にはアレさえ言えば落とせる。」
「うん・・・じゃあ、始まりは72時間後。この場所で。」
2人とも頷いて、二人は右手を握ってコブシを作り、そのコブシを目の前でくっつける。
「「これも全てはこの世とあの世の為・・・『地神様』の為。」」
- 204 名前:第十九話 投稿日:2003年06月17日(火)21時02分44秒
最初に口を開いたのは、光から現れた人物。
「美貴ちゃん・・・迎えに来た・・・」
彼女は紺色のスーツを着ていた。とっても馴染みのある人。
だけど、オイラの知ってる彼女じゃない・・・・とても怖い・・・怖いんだ。
呼ばれたミキティはえっ?と驚きの表情をしながら首をかしげた。
「なんで?・・・迎えにって・・・私、タンポポに入ってくれって」
すると、彼女は表情を変えないまま口を開ける、・・・目は光を失っていて生きてるようには見えない。
「美貴ちゃんを迎えに来たの・・・・・・様が呼んでる・・・」
「えっ?今なんて?・・・」
そう言ったミキティに彼女は指を指す。そして指先から光る線を出してミキティを包んだ。
「ご、ごっちん!!!何するの!!」
「・・・・様が呼んでるから・・・」
小さな声で呟いたごっちんは、ミキティと共に消えていった。
私達4人は、ただ黙って見ていることしかできなかった・・・。
- 205 名前:第十九話 投稿日:2003年06月17日(火)21時03分43秒
しばらく呆然として立っていたウチら。・・・すると、圭織がビクンと体を震わした。
「・・・とりあえず、私達は仕事を終わらせよう。
・・・事情がよくわからないのに、下手に天国に帰ってもしょうがないわ。」
梨華ちゃんが身を乗り出す。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。さっきのごっちん、明らかにおかしかったじゃないですかぁ!!
今すぐ後をおいかけて・・・」
圭織は目線で梨華ちゃんを制した。
「・・・今、私達が天国に帰った所で何ができるの?私達は仕事が終わってないのよ。
藤本には悪いけど、私達は仕事を優先しなきゃいけないの。・・・それが天女の使命なの。」
圭織・・・・わかってるよ、わかってる・・・圭織もすぐにでも帰りたいんだよね。
だけど、だけど、それをしたら、魂でココが溢れかえっちゃう・・・だから・・・
圭織の気持ちが痛い程よくわかって、オイラも下唇を噛んで俯いた。
- 206 名前:第十九話 投稿日:2003年06月17日(火)21時04分34秒
- そうして重たい沈黙が流れて少しした後、オイラの袖をグイグイとあいぼんが引っ張った。
「・・・真里ねーちゃん。私を天国に戻して欲しい。」
オイラは目を見開いて、後ろにいたあいぼんを見つめた。
「・・・あいぼん、今・・・なんて・・・」
「私を天国に戻して欲しいの。・・・今の梨華ねーちゃんなら一人で神獣も呼べる。
お仕事には支障がないから。・・・だからお願い。」
あいぼんの目からは一筋の涙の線が落ちていた。
・・・そうだった・・・ごっつぁんを一番慕っていたのはあいぼんだった・・・
オイラはあいぼんの手をギュッと握り締めて、圭織の方に目線を向けた・・・・圭織はただ頷いてくれた。
「あいぼん、これだけは守って。・・・ウチらが帰るまで無茶しちゃ絶対ダメだからな。」
あいぼんは一回、コクリと頷いた。
「加護亜依の魂魄よ、果てなる彼方へ移動せよ・・・・・ビジョンッ!」
あいぼんは光に包まれて、天国へと帰った。
- 207 名前:桜乱 投稿日:2003年06月17日(火)21時08分01秒
- 更新終了。
えっと、長い間放置してしまって申し訳ありません。
なかなかウマく書けなかったので、自分のサイトで短編ばっか書いてました。
これからはちょっと一回の更新量は少なくなると思いますが、
ゆっくりと完結させたいと思います。・・・なので、罪滅ぼしにsage進行で静かにw
>200 つみさん
保全ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
では、また次回。
- 208 名前:つみ 投稿日:2003年07月10日(木)00時27分12秒
- 保
- 209 名前:背古井 投稿日:2003年07月15日(火)22時12分33秒
- 保全してます
- 210 名前:つみ 投稿日:2003年07月22日(火)16時15分32秒
- 保・保・保
- 211 名前:つみ 投稿日:2003年07月26日(土)19時42分35秒
- 保・保・保・保
- 212 名前:つみ 投稿日:2003年07月30日(水)22時39分37秒
- 保・保・保・保・保
- 213 名前:つみ 投稿日:2003年08月16日(土)22時00分17秒
- 保・保・保・保・保・保・
Converted by dat2html.pl 0.1