反政府組織の鎮魂歌(レジスタンス・レクイエム)
- 1 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月23日(水)00時18分17秒
- 一応、バトル(?)ものです。
自分の文章力不足のせいで読みづらい話だとは思いますが、
どうか宜しくお願いいたします。
- 2 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月23日(水)00時19分11秒
- 時は2156年。地球は一世紀前に起きた大戦争の傷跡を未だに癒せないでいた。
その大戦争を人はこう呼ぶ。<第三次世界大戦>と。
人類の総人口の5分の3を消し去ったこの戦争は、
地球上の全てを破壊しながら、10年間続いた。
2066年に戦争が終結した時、戦火の影響をモロに受けた日本は焼け野原になっていた。
国を仕切っていた国会は瓦解し、国の機能は停止。
そのうち、治安を維持するのが職であるはずの警察や軍人達が権力を盾にのさばり始め、
瓦解した国会に代わって恐怖政治による国の支配を始めた。
そんな新政府の横暴に苦しむ人々は各地で反政府組織を結成し出した。
この物語はそんな時代に生きる少女達の戦いの記録である。
- 3 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月23日(水)00時20分12秒
- 砂漠・・・それはこの世の地獄。と、この時、少女は思った。
どこまでも果てしなく広がる同じ風景、すぐそこに見える水平線。
憎たらしい程に澄み切った空。
灼熱の太陽。
そして地面を覆い尽くした厚い砂は陽光を反射し、目を強く刺激する。
上からは灼熱光線、下からは反射光。
この容赦ない太陽の洗礼から少女を守るっているのはその身に纏った迷彩服だった。
全身を隙間無く包んでくれるこの服と帽子が無ければ、少女の白い肌は一瞬で焼けただれていただろう。
しかし、日焼けから身を守った所で、根本的な問題の解決にはならない。
一番の問題は別にある。そう、体力の消耗である。
- 4 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月23日(水)00時20分58秒
- 軽く40度を超えた気温は少女の体力をジワジワと奪っていく。
火照った体は鉄のように重く、ノドが強烈な乾きを訴える。
実際、1キロ程度の肩のディパックが何トンもの重りに感じられた。
全身から流れ出す汗はとっくに蒸発し、塩の結晶と化していた。
いや、その汗ももう出てこない。
もはや汗をかける程、体に水分が残っていないのだ。
少女は何度も気を失いそうになりながらも必死に歩いた。
楽になろうとする肉体にムチを打って。
少女の目指す場所は数メートル先に見える砂丘。
その砂丘が作り出した影に向かっているのだ。
あの影に入ればとりあえずこの灼熱地獄から逃れられる。
その一念だけが少女の体を突き動かしていた。
- 5 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月23日(水)00時21分37秒
- ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。
少女は何とか砂丘の影に入ると、そこに腰を降ろした。
そして、肩から提げたディパックをたたんだ両膝の上に置くと、日光で熱くなったジッパーに手をかける。
確か、水があったはず・・・。
少女はディパックの底を漁ると、まだ封を開けていない水のボトルをつかみ出した。
早速、栓をあけると水を一気に飲み干す。
かなり、ぬるかったがそれでも乾きすぎたノドを湿らせるには十分だった。
・・・生き返った。
少女の体中を水が駆け巡っていく。何と心地よいことか。
暑さで火照り、使い物にならなかった頭の方も少しずつ冷静さを取り戻してきた。
その瞬間に、もう一つのやるべき事を思い出す。
それは現状整理と現在位置の確認だ。
支給されたディパックには確かGPSも入っていたはず。
GPSはディパックの内側ポケットにあったのですぐに見つかった。
早速取り出すと、スイッチを入れる。
- 6 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月23日(水)00時22分38秒
- 【2156年 3月24日 AM11:45 日本 トーキョーエリア】
GPSのパネルに表示されたのはたったそれだけだった。
「・・・何これ?」
普通、GPSと言ったら現在地とか色々な細かい情報が出るものじゃないの?
これじゃ、ただの時計代わりにしかならないじゃん。
結構頼りにしてたんだけどな〜GPS。私、地図とか読むの苦手だから・・・。
少女はガックリと肩を落とすと、GPSをポケットに押し込んだ。
さて・・・次は・・・現状整理だね。
少女は軍服の右胸に縫いこまれたバッヂに目を落とした。
<REINA TANAKA>
そう。私の名前は田中れいな。
「UFAに入ってやる」という信念を胸に、田舎から上京してきた。
- 7 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月23日(水)00時23分22秒
- 『UFAとは国内に数多くある中でも、最高峰の反政府組織(レジスタンス)である。
所属メンバーは皆、人間離れした戦闘のプロばかり。
事実、横暴・略奪・虐殺を繰り返す政府軍もこの組織には手を焼いていると聞く。
そして、UFAは戦力を拡大しようと、毎年新メンバーの募集を計っていた。(ただし、12歳〜19歳の女性に限る。)
しかし、中々、そのメンバーが増えることは無い。
なぜなら入隊条件の試験が厳しすぎて、合格者が出ないのだ。
(その厳しさで命を落とす者は出るらしいが。)
だが、そんな危険な試験に田中はあえて挑んだ。
何故か?その理由はまた後で、語るとしよう。』
- 8 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月23日(水)00時24分12秒
- しかし・・・噂には聞いていたけど、本当に厳しいわ。コレ。
これなら毎年、死者が出るって言うのも頷ける。
でも、これを乗り越えないと、UFAに入れない!
田中のこのセリフは、この砂漠が「UFA2156年度 新規傭兵採用試験」の一次試験会場であることを示していた。
ちなみに、今年度の試験が開始されたのはたった3時間前。
志願者達(確か20人くらい・・・)は片っ端からバスに詰め込まれ、この砂漠に連れて来られた。
確か軍服とディパックはこの時、支給されたんだったな。
・・・そこからはあんまり覚えてない。たった三時間前のことなのに。
緊張してたからかな?
- 9 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月23日(水)00時24分47秒
- ただ、はっきりと覚えているのは、バスから降りる時に告げられた一次試験の合格条件。
それは<明日の正午までにこの砂漠の北側にそびえ立つ監視塔にたどり着く>こと。
今はそれだけを考えていればいい。
キチン、とコンパスで方角も確認している。
ただ、明日の正午までにたどり着けるよう、必死に歩けばいいのだ。
それに・・・。
ここで田中の思考は一時中断された。
何気なく正面に向けていた視界の中に、動く影を捉えたのだ。
あれは・・・幻?蜃気楼?田中は瞳をジッ、と凝らした。
どうやら、幻や蜃気楼では無いようだ。
自分と同じく、支給された迷彩服に身を包み、肩からディパックを提げている。
あれは・・・自分と同じ入隊志願者だ。
- 10 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月23日(水)00時25分18秒
- そういえば、他の志願者を見るのはこれが初めて・・・。
何て、のん気に言ってる場合じゃない。
田中は腰に挟んでいた愛用のナイフを抜き出した。(これは支給品じゃない。刃渡り15センチの愛用品だ。)
これは念のための護身用だ。
別に、こっちから何か行動を起こすつもりは無い。(出来ればもうしばらく、この日陰にいたいし。)
そう、あっちが何かを仕掛けてこない限り。
田中は数10メートル程、挟んだ向こう側にいるあいつをずっ、と観察していた。
願わくば、こっちに近づいてこない事を祈りながら。
- 11 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月23日(水)00時28分40秒
- >>10 いきなり補足。(すみません。)
「そういえば、他の志願者を見るのはこれが初めて・・・。」
この砂漠に入ってから、他の志願者見るのは初めて。という意味です。
決して、今まで、一度も他の志願者を見た事が無い。という意味では無いです。
- 12 名前:ゾージ 投稿日:2003年04月23日(水)22時57分48秒
- 読んだよ。
東京砂漠とはこのことえ
- 13 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年04月24日(木)16時18分52秒
- >>12
応援レスどうもです。これからも頑張っていくので
よろしくお願いします。
- 14 名前:ゾージ 投稿日:2003年04月29日(火)14時05分49秒
- スレとは関係ないけど、どうぞ。
http://alicek.hp.infoseek.co.jp/motoneta.html
- 15 名前:名無しさん 投稿日:2003年04月30日(水)03時52分48秒
- >>14
荒らしイクナイ!!
- 16 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月01日(木)19時20分32秒
- 近々更新します。
- 17 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月04日(日)00時43分29秒
- 田中の二つの瞳は段々とこっちに近づいてくる そいつの姿を映していた。
チッ!来たか・・・。
そいつの位置とこの場所は緩い砂のスロープ(傾斜)を挟んでいる。
まだ、そいつはスロープにも差し掛かっていない。
今なら、まだ選択肢がある。
どうする?このまま身を潜める?それとも、この影から出て別の場所に移動する?
(彼女の選択肢に「その志願兵と合流する。」というものは存在しなかった。)
仮に、後者を選択した場合、自分は間違いなくそいつに見つかる事はないだろう。
しかし、この場所(砂丘の影)から出るということは再び灼熱地獄に舞い戻るという事だ。
- 18 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月04日(日)00時44分11秒
- そうしたら、またかなりの体力を使ってしまう。
この試験は北の監視塔にたどり着けないと合格できないのだ。
最低限、その分の体力は温存しておかねばならない。
それに水だってそうだ。
ボトル2本分しか支給されてないのに、もう1本空にしてしまった。
まだ、試験が始まって数時間。
この時点でこの状況はまずいかも知れない。
そんな事を考えている内に、そいつとの距離は確実に詰まっていく。
もう、そいつはスロープを登り始めていた。
小さな頭が少しずつ、上がってくるが見える。
- 19 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月04日(日)00時45分04秒
- ・・・。今から他の場所に移動しても間に合わないな。
田中は出来るだけ、自分の姿が影に隠れるように砂の壁に背中をめり込ませる。
後は息を殺して、ここを通り過ぎてくれるのを祈るのみだ・・・。
やがて、荒い息遣いが聞こえ、長い人影が黄土色の砂の上に伸びた。
来た・・・!!!
田中のナイフを握る手に自然と力がこもる。
その次の瞬間、そいつはピタッと立ち止まった。そして・・・バンッ!!
一発の銃声が乾いた空気を震わせた。
火照った頬にビリビリッ、と痺れが走る。
「え・・・?」
- 20 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月04日(日)00時45分37秒
- 顔の真横の砂の壁に小さな穴ができていた。
その穴からは小さく硝煙が立ち昇っている。
銃・・・?
まさか、私が狙われてる・・・?
現状を理解するのに数秒かかった。
そして、やっと理解出来た頃、襲撃者は既に目の前に迫って来ていた。
「よっ。」
襲撃者はやはり、さっきまで強く警戒していた「そいつ」だった。
- 21 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月04日(日)00時46分08秒
- 胸のバッヂに書かれた<ERI KAMEI>という名前。
だが、田中はそんなものは見ていなかった。
田中の視線は亀井の右手に握られた銃に向けられていたのだ。
田中は瞬間的にナイフをズボンに差し込んだ。
「・・・あんた田中っていうの?でも、まあ名前何てどうでもいいわ。」
亀井の銃の銃口が持ち上がった。
「用件を簡潔に言うわね。私も、無駄な時間は喰っていられないのよ。
あんたのディパックをこっちに渡しなさい!!!そうすれば・・・命だけは助けてあげる。」
・・・どうする?
田中の頬を冷たい汗が伝う。
- 22 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月04日(日)00時46分45秒
- あれだけ注意していたのに結局、最悪の結果になっちゃった・・・。
いや、まだ最悪じゃない。最悪なのは私が殺されることだ。
私はまだ生きている。だから、まだ終わりじゃない!
「何をしてるの!!早く!早くそのディパックを渡しなさい!!撃つわよ!!」
とりあえず、時間をかせごう。その間に何かいい考えを・・・。
「何故・・・何でこのディパックが必要なの?」
地面に座る田中を見下ろす形で亀井が怒鳴った。
「はぁ!?あんた馬鹿?そんなの決まってるじゃない!水と武器よ!!」
水ってのはあのボトルのことか・・・
でも・・・「武器って・・・?」
これは時間かせぎ等は関係なく、素で思った疑問だった。
- 23 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月04日(日)00時47分31秒
- 「あんた、バスでの説明聞いてなかったの?ディパックにはそれぞれ違う武器が入ってる。
って説明されたじゃない!!あんたの武器はどこ!?それを渡しなさい!!」
そういえばそんなこと言われたっけ。
まだ、自分の武器は確認していない。
でも・・・さっきディパックからボトルを出したけど武器らしきものは・・・。
ここで田中は思い出した。
GPS・・・。あのGPSが私の支給武器だったのか・・・!!
何で、あんな役に立たないやつを・・・。
ここで、田中の思考はまたも強制的に停止させられる。
ガチッ。
亀井の親指が銃の撃鉄を起こしたのだ。
- 24 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月04日(日)00時48分13秒
- 「いい加減にしなよ・・・。いいから武器とディパックを渡すんだ。
そうすれば命は助けるって言ってるんだ!!早くしろ!!!」
どうやら、この熱さや緊張でこいつも参っているらしい。
語尾に明らかに怒気をはらみ、銃を握る手が小刻みに震えている。
こいつが冷静な判断が出来なくなっている今なら・・・。
田中の頭にある妙案が浮かび上がった。
その内容を審議している暇は無い。
即、実行しなければこいつが先に、引き金を引く可能性があるからだ。
「・・・分かったわ。」
田中はディパックを掴むと、立ち上がった。
- 25 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月04日(日)00時48分53秒
- そして、その手を亀井の方へ差し出す。
「それでいい。さあ、さっさと渡しな!!」
亀井がその手にさがったディパックを掴み取ろうとした、その時!
田中の足が地面の砂を蹴り上げた。
太陽光で十分に熱せられた砂漠の砂粒が、亀井の両目に飛び込む。
「ううっ!!目が・・・!!!」
この奇功に亀井はひるんだ。
古典的で馬鹿馬鹿しげな攻撃だが、かなりの効果があったようだ。
視力を失った亀井は地面に膝を付くと、必死に顔をかきむしる。
ただ、それだけしか出来なかった。
これで勝敗は決まった。
「悪いね。ま、でも元々そっちが仕掛けてきたんだし、これでおあいこって事で・・・。」
そう言うと田中はナイフの柄を亀井のノドに叩き込む。
「ぐっ・・・」
亀井は低くうめくと、そのまま前のめりに倒れた。
『勝者・・・田中れいな(外傷無し。)
敗者・・・亀井絵里 (咽部に負傷。)』
- 26 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月04日(日)00時50分08秒
- 更新終了・・・っと。
- 27 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月04日(日)21時20分15秒
- 更新お疲れ様です。
六期が主役なんですね。今までに無い感じでいいかも!!
- 28 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年05月15日(木)16時36分13秒
- しばし、構想期間に・・・
- 29 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年06月08日(日)00時56分18秒
- 一旦ochi
- 30 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年06月14日(土)22時32分35秒
- 田中はナイフを鞘に収めると、
砂の上に倒れた亀井を見下ろし、言った。
「私・・・もう行くから。」
亀井は咽を抑えながら苦しそうにうめいている。
とても、返事など出来る状態では無かった。
「それじゃあね。」
迷彩柄の帽子を深く被り直すと、田中は歩き出した。
しかし、4・5歩 歩いた所でその足を止めてしまう。
何故なら、彼女の頭にこんな疑問が浮かび上がったからである。
『こいつをこのままにしておいていいのか?』と。
- 31 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年06月14日(土)22時33分08秒
- 私はこいつに襲われた。
こいつは銃で私を脅し、命の糧である水と武器を奪おうとした。
この灼熱地獄で水を奪われるという事は即ち、死を意味する。
つまり、こいつは間接的ではあるにしろ、私を殺そうとしたワケだ。
こんな危険な奴を生かしておいていいのか?
咽を潰しただけなんて甘いんじゃないのか?
再び襲われる可能性が無いわけじゃない。
次にこいつが私を襲うとき、その時は今回みたく近づいては来ないだろう。
ある程度距離をおいて、銃で射撃してくるに違いない。
そうなったら間違いなく私に勝ち目は無い。
だったら今のうちに・・・・。
不意に、田中の心臓がドクン、と跳ね上がった。
- 32 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年06月14日(土)22時33分44秒
- 何・・・?今の?
田中は咄嗟に胸に手をあてた。
ドッドッドッドッドッ・・・
心臓が考えられないような早さで鼓動している。
いや・・・・何コレ・・・・。
ドッドッドッドッ・・・・ドクンッ!!!
再び、心臓が大きく跳ね上がる。
それに合わせて田中の体も伸び上がった。
「うくっ!!」
何で・・・何でいきなり心臓が!!
今までこんなこと無かったのに!!
ドッドッドッドッドッドッドッ!!!!
心臓の鼓動のスピードはみるみる内に上昇していく。
それに伴い、田中の体に痺れのようなものが走った。
そして、それが痙攣へと変わるのに数秒とかからなかった。
やばい・・・!!やばいよこれ・・・!!
本当にどうしちゃったのよ私・・・!!
もしかして・・・・心臓発作!?
- 33 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年06月14日(土)22時34分23秒
- 田中は、全身をガクガクと震わせながら砂面に膝をつき、
そして前のめりに倒れた。
「カハッ・・・!!ハァッハァッハァッハァッハァッハァッ・・・・!!」
自分の吐き出す息が、犬のように乱れているのに気付いた。
過呼吸状態ってやつか・・・。
私、こんな所で死んじゃうのかなぁ。
しかも、心臓発作なんてダサい理由で・・・
まだ・・・UFAにすら入れてないのに・・・!!
段々、意識が遠のいてきた。
それは天から注ぐ、太陽光線のせいであろうか?
それとも、日差しを受け高熱を宿した砂に全身を密着させているからであろうか?
それとも、この突然の心臓の異常のせいだろうか?
きっと、3つ全てが原因に違いない。
ここに挙げた全ての事例が、田中の意識を途絶えさせようとしているのだ。
「畜・・・生!」
田中は一言、吐き捨てると何かを掴もうとするがごとく、痙攣した腕を天に伸ばした。
しかし、その腕も田中の意識が失われると同時に、地に落ちた。
- 34 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年06月14日(土)22時39分04秒
- >>27 ありがとうございます!
- 35 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年07月18日(金)19時21分50秒
- 砂漠の風景というものはどんな場所にいようとそう大差は無い。
空に浮かぶ灼熱の太陽に、その陽熱を受けて焼け付く砂面。
高熱に歪められた大気、所々に転がる動植物の亡骸。
少女は、しなびて薄茶色に変色したサボテンにそっ、とその小さな手を這わせた。
サボテンの表面に埋め込まれている無数のトゲも手で払うだけで簡単に零れ落ちていく。
熱さに強いはずのサボテンがこの様なら、人間なんて・・・。
少女はそんなことを思いながら、歩を進めていく。
その少女は今年度の志願者の中で、最も小さく幼かった。
身に付けている迷彩服も最も小さいSサイズなのに、まだ少しダボダボのようだ。
この少女の名は<道重さゆみ>。田中や亀井と同じく、UFA入隊希望者である。
毎年毎年、入隊試験には各地から腕に自信のある者達が集まってきては、そのほとんどが散っていく。
このようなハードな試験に道重のような子供が受かるわけ無い。と誰もが考えるだろう。
しかし、以外にも一次試験合格に最も近いのは他でもないこの道重だった。
(つまり、ゴールである監視塔に志願者の中で最も近い位置にいるという事だ。)
- 36 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年07月18日(金)19時22分27秒
- 何故、こんな子供が他の志願者を押しのけてトップに君臨しているのか?
それは、彼女の他の人間には無いある特殊能力による功績だった。
その能力とは・・・、道重は足を止めると両耳をヘッドホンのように手で覆い、目を閉じた。
コオオオオオオッ。
まず、聞こえてくるのは空気の流れる音。
常人の耳で聞こえるのはここまでだ。
しかし、道重の耳はその中に隠れた微細な音まで聞き分ける事が出来る。
これが道重の特殊能力・・・異常聴覚であった。
「・・・・。あっちから、車のエンジン音が聞こえる。それに、無線で何か話す声も・・・」
そのエンジン音とは志願者達を乗せてきたバスのものだった。
道重はバスに乗っている内に、そのエンジンの音を覚えてしまっていたのだ。
道重はさらに絞込みをかけて、バスの中の無線の会話を聞き取ろうと試みた。
- 37 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年07月18日(金)19時23分06秒
- しかし・・・。
「ダメだ。」無線故の強いノイズが声を掻き消してしまう。
いくら道重の耳でもこればかりはお手上げだった。
そもそも道重の現在地から、バスの走ってる辺りまでは軽く見積もっても17・8キロはある。
この長距離からエンジン音を聞きとれただけでも大したものである。
だが、彼女はこの力を大して評価していなかった。
せいぜい、人よりちょっと耳がいい。程度の評価である。
なぜなら、この力は生まれたその時から身についていた能力。
特に訓練したとかそんな感じのことは一切無い。
苦労せずに手に入れた能力だから、さほど思い入れが無いのだ。
- 38 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年07月18日(金)19時24分02秒
- まあ、そんな事はどうでもいいとして道重は迷彩帽を深く被り直すと、止めていた足を再び動かした。
バスの行き先は恐らく監視塔。
つまり、バスのエンジン音について行けばゴールできる。
これが道重の持論だった。
少し足が重かった。熱さで体力を消耗してしまってるようだ。
だけど水はまだ飲まない。もったいないから。
そんなことを考えながら道重は少しずつ遠くなるエンジン音を追っかけて行った。
- 39 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年07月18日(金)19時24分53秒
- 現在トップの道重から20キロ近く離された場所に、田中と亀井の2人はいた。
亀井は田中に咽をつぶされ、田中は原因不明の気絶により2人ともそこから動けないのだ。
その膠着状態から半時間程経った辺りで亀井がやっと、起き上がった。
まだ、かすかに痛む咽を抑えながら亀井は今度こそ田中のディパックに手を伸ばした。
そもそも亀井は田中の所持品を奪い取るため、田中を銃で脅したのだ。
しかし、ナイフを持った田中に返り討ちにあい、咽を潰されたのである。
地面に崩れながら亀井は、もうダメだ。このまま渇きで死ぬしか無いのか。
と、絶望した。しかし、田中が去ろうとしたその時、原因不明の気絶!!
これは神が与えてくれたチャンスだ。
神は私に水を盗んで生きろ。と言ってくれてる。
そうすれば渇いて死ぬのは私じゃ無くてこいつになる!
- 40 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年07月18日(金)19時25分23秒
- 亀井はジッパーを乱暴に開くと、真新しい水のボトルを掴み出した。
そして、キャップに巻かれているビニール製の封をビッ!と破るとキャップをちぎるようにして開けた。
もう限界だ。こいつを襲った時点で、相当の渇きがあった。
その状態でさらに30分も炎天下の下に放置されていたのだ。
今すぐにでも水分補給しないと次の瞬間には死んでるような気がしてならない。
亀井はボトルをほぼ垂直にして、中からこぼれ出る水をその渇ききったノドに流し込んで行く。
「ゴクゴク・・・・プハァッ。」
亀井が一呼吸おくためにボトルから口を離した時、ボトルの水はほぼ空っぽになり、
底にかすかに溜まっているだけだった。
亀井はその残りわずかな水も飲み干してしまおうと、ボトルを再び口に近づけ・・・
止めた。
- 41 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年07月18日(金)19時25分56秒
- それは極限の状態の中に残っていた亀井のわずかな良心によるものだったのかもしれない。
(ここまで飲んでおいて良心も何もあったものではないが。)
とにかく、亀井は地面に放り投げたキャップを閉め、ボトルを田中のディパックに戻した。
彼女を弁護するならば、亀井は罪悪感を感じていないわけでは無い。
命を維持するために必要な水を奪ってしまうということは、
自分が相手(しかも同年代の女の子)を間接的とはいえ、殺したという事になる。
そのことを思うだけで十分、亀井の心は痛んだ。
しかし、今は生き残り、この試験をクリアすることの方が先決だ。
その思いが、亀井の善良の心を押し潰し、このような行為に及ばせていたのだ。
「・・・。」
亀井は、田中の体を抱きかかえると、砂丘の影に移した。
そして、その火照った顔に浮かぶ珠のような汗をそっ、とぬぐってやった。
この程度のことが水を奪ったことの償いになるなどとは全く思ってはいないが、どうしてもせずにはいられなかった。
それが済むと、亀井は銃を腰に差し込み、自分のディパックを肩にかけなおし、その場を後にした。
- 42 名前:名梨読者 投稿日:2003年07月24日(木)13時04分08秒
- また続きが楽しみになっちゃう小説ハケーン
次回更新楽しみにしています。
- 43 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時31分51秒
- 砂漠はあらゆる生物の生存を拒む。
昼と夜の気温の差、めったに降らない雨、広がる砂と岩の大地。
これらの環境に適応できる生物はほとんどいない。
少なくても、人間は違う。
砂の上に横たわった屍がそれを物語っていた。
屍は田中達と同じく軍服を身につけている。
志願者だった。
屍の体に外傷は無い。
恐らく、砂漠の熱により水分を失い渇き死んだのだろう。
その屍を目当てに空より飛来するものがあった。
それは十何羽ものハゲ鷹だった。
砂漠に適応できる生物はできずに死んだ生物の死肉を喰らう。
それは当然のルールだった。
- 44 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時32分25秒
- ハゲ鷹達は久々の新鮮な獲物の発見に歓喜の声をあげながら、屍の体にとりつき・・・
食事を開始した。
「ギャアギャア!!」
嘶きながら柔らかい肉に舌鼓をうつハゲ鷹達。
彼らの黒い嘴が赤く染まってく。
だが、その食事の時間はあっ、という間に終わりを告げた。
鳴り響いた銃声によって。
ズドドドドドドッ!!!
ウージー9ミリの銃口から吐き出された鉛弾の列がハゲ鷹達の体を容赦無く貫く。
「ビギャアア!!」
断末魔の叫びをあげながら、絶命するハゲ鷹。
それを遠目に見ながら、少女は硝煙立ち昇るウージーの銃口を下ろした。
- 45 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時33分08秒
- 少女のネームプレートに刻まれた<MIKI FUJIMOTO>の文字。
漢字で表記すると<藤本美貴>となる。
藤本は美しかった。
その整った顔立ち、軍帽に入りきらず肩まで伸びた茶色の髪。
そして唇に引かれた赤いルージュ。
その風貌はもうすっかり大人で少女というよりは女性と呼んだ方が正しい。
それもそのはず彼女は今年度の志願者の中で最年長の18歳だった。
「ふぅ。」
藤本は一息つくと、ウージーの背中を肩に担ぎ、屍の元へ歩み寄っていく。
屍の周りにはハゲ鷹達の死体、それと大量の白い羽が舞っていた。
藤本はそんなものには目もくれず、血まみれになった屍に目を移す。
- 46 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時33分38秒
- 屍はうつぶせの状態だった。
藤本は屍の腹の下につま先を入れると、てこの原理の要領でゴロンと半回転させた。
(力なく投げ出された手が体の回転に伴って半円を描き、砂の上に再びおちた。)
仰向けになり、ようやく確認出来た屍の顔。
少し、カサカサになっているがまだ、人間の顔をしている。
ハゲ鷹達に食われたのが背中だけというのは不幸中の幸いだったかも知れない。
藤本は幼少の頃、見たことがあった。
政府軍に銃殺され、人間の顔を保てない程にグシャグシャになった屍を。
それは藤本の両親だった。
藤本は一瞬、頭に浮かんだ嫌なイメージを振り払うと、屍の軍服のポケットに手を入れた。
すると、指先に何か硬いものがあたった。
- 47 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時34分14秒
- 引っ張りだすと、それは小さなオモチャのような銃だった。
正式名称は<コルト15オート>というのだが、そんなことは藤本に知る由は無かった。
ウージーがある以上、こんなもの必要無いと思ったが、一応腰に差し込んだ。
その他の物を探してみたが、屍はもう何も持っていなかった。
すると、藤本はもう屍には一瞥もせず、立ち上がった。
せめて、両手を胸の上で組んでやるとか別の捕食者に狙われないよう物陰に移してやろうとか、そんな気は一切無かった。
なぜなら、藤本がハゲ鷹を撃った理由は屍の持ち物を回収するのに邪魔だったから、ただそれだけであり、
屍に対する情けの心とかそういったものは始めから持っていなかった。
藤本はポケットからコンパスを取り出すと、揺れる針が落ち着くのを待った。
やがて、赤い針がピタリと定まる。
「あっちか・・・。」
藤本は次に地図を取り出した。
- 48 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時34分44秒
- 地図と言ってもその長方形の紙のほとんどが黄土色のインクに塗り潰され、(言うまでも無く、黄土色=砂漠である。)
その中に簡単なマークがついているだけだった。
地図の上方に赤い×印があり、そこに「監視塔!ゴール!!」とある。
そこから少し距離をおいて南に行った場所に、★マークがあった。
その横には「人面岩!必ずこの前を通過せよ。(オアシス有り)」とある。
何か良く分かんないけどまずはこの岩を目指すか。
藤本はウージーを肩に吊るすと、コンパスを左手の掌に乗せて進んで行った。
- 49 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時35分20秒
- 広大な砂漠の北側に高くそびえる監視塔。
このレンガ造りの円筒型の建造物は、砂漠の熱に焼かれても、
熱風に吹かれても揺らぐ事無く、そこにあり続けている。
そして、その最上階には一次試験の運営本部が設けられていた。
本部と言えば聞こえはいいが、そこは半円の形をした狭い部屋で、殺風景な所だった。
薄茶色のドアの脇に置かれた空の本棚。
壁にかけられた古い油絵。
天井に吊られた小さなライト。
そして、部屋をグルッ、と囲むように取り付けられたカーブした窓ガラス。
この窓のおかげ(せい)で、この部屋にはあらゆる角度から太陽光が差し込んでくる。
エアコンや扇風機といった冷房器具は置いてなかった。
- 50 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時35分51秒
- 置かれている機械類といえば壁に貼り付けられた少し大きめのモニターと、窓際に置かれたパソコンのみ。
さらにお粗末な事に運営委員の数は、この部屋唯一のパソコンの前に座る男1人と、
それに並んだ古いデスクに座る女性1人。そして、壁に寄りかかりながらファイルのようなものを読んでいる女性1人。
この3人だけだった。
3人は口を聞くことも無く、ただひたすら各々の作業に没頭していた。
しばらくの間、静寂が続く。
それを打ち破ったのは・・・
ピィーッ。
パソコンから短い電子音が発せられた。
「ナンバー10、木ノ下優菜 死亡です。」
男の事務的な声がそれに続く。
「了解。・・・これで3人目か。」
デスクに座った女性が何やら紙にペンを走らせる。
- 51 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時37分49秒
- 試験官専用の黒服に身を包むその女性の胸元には<YUKO NAKAZAWA>と彫られたバッジ。
そして名前の下には小さくUP−FRONT AGENCYとあった。
これこそがこの女性がUFA関係者である事を示していた。
そして、中澤は何かを書き終えるとペンを置き、関西弁混じりの声で何やら愚痴った。
「何や、今年は随分死者が出るなぁ。まだ一次試験やで?」
その愚痴に答えたのはさっきまでずっとファイルを読んでいた女性だ。
「そやね〜。うちらがUFAの採用試験受けた時は、もっとレベル高かったな〜。志願者も試験の内容も。」
この女性も微妙に関西弁が混じっている。
- 52 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時38分19秒
- 「うんうん。確か、<標高3500メートルの高山を2日で登れ。>とか言われたな。あれには苦労したわ〜」
「しかも、何も装備無しの素手で!それに、あの辺りは人食い鳥とか凶暴な生き物も沢山いて・・・。
そうや!裕ちゃん、あれ覚えてる?裕ちゃん、2000メートルくらい登った所で、足滑らして落ちそうになったやん?」
「ああ。覚えてるで〜。
ミッチャンとカオリが2人で助けてくれた時やろ?ミッチャンがうちの手掴んでくれて、
カオリが体を下から押し上げてくれた・・・。あの時のミッチャンの手・・・温かかったな〜。」
その言葉に、今まで言葉を交わしていた女性が身震いした。
「ははっ。冗談やって。ミッチャンはもうホンマにカワイイなぁ〜。矢口の次に。」
今までの会話から推測すると、中澤の話し相手の女性=ミッチャンらしい。
ちなみにミッチャンの本名は<平家みちよ>。中澤と同期でUFAに加入し、中澤の良き話し相手(飲み仲間)となっている。
- 53 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時38分58秒
- その2人の会話を聞きながら、男は「よく喋る・・・」と心の中で呟いた。
この2人、静かな時は静かなんだが、今みたいに喋るきっかけが少しでも出来るとせきを切ったように喋り出す。
女ってのはいくつになってもお喋りというものが好きらしいな。
まぁ、ちゃんと仕事はやってくれるから別に問題は無いが・・・。
その時、ピピピッ。
再びパソコンから電子音が。それもさっきとは違うパターンだ。
男はキーボードを操作しながら、やや驚きの混じった声で2人に告げた。
「ナンバー29 道重さゆみ 人面岩前を通過です!」
「へぇ〜。今、何時?2時半?って事は・・・・なんやこの子メッチャ早いやん。」
「大したもんやね〜。ウチでも難しいで。このタイムは。恐らく彼女が合格者第一号やね。」
- 54 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時39分36秒
- 「いや、それはどうかな?」
中澤は、紙に再びペンを走らせながら言った。
「一次試験合格に必要なものは灼熱砂漠を乗り越える体力と戦闘能力や。」
「戦闘能力?」
「そう。この監視塔の門番と戦ってもらうんや。そんで門番に敗北を認めさせて初めて合格!っゅうワケや。」
「門番って・・・まさかあの子の事か!?あんたさすがにそれは・・・」
「まぁ、えーってえーって。死にそうになったらウチが止めに入るから♪」
中澤はニッ。と笑顔を浮かべると、ペンを置き、何やらデスクの下から袋を取り出した。
「そんじゃあの子にゴハンあげてくるわ〜。」
中澤はその大きな袋を両手に持ちながら、半開きのドアを足で開くとそのまま下の階へと消えていった。
- 55 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時40分06秒
- ハアッハアッハアッ。
段々、息を吐き出すたびにノドの奥がジリジリ痛むようになってきた。
さっき水分補給したばかりなのに・・・。
亀井絵理はふらつく体を抱えながら、砂漠の中を行進していた。
水を飲んで気分が爽快したのはほんの数分。
その後には再び地獄が待ち受けていた。
こんなにツライなら・・・こんな試験受けるんじゃなかった・・・。
亀井はまた一筋、こぼれ出る汗を服の袖で拭った。
ふと、顔をあげると向こうの方にワジ(かれ谷)があった。
あそこなら・・・水・・・あるかな・・・。
しかし、水が干上がってしまったからこそワジと言うわけで水など当然、あるはずが無かった。
- 56 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時40分36秒
- 亀井は、ワジに向かうのは諦めて、コンパスを取り出した。
すると赤い針が指す方角は偶然にもワジのある方向だった。
・・・どうせ方向的にも同じなら・・・ちょっと立ち寄ってみてもいいかな・・・。
亀井は、もしかしたらあそこ(ワジ)に水があるんじゃないか。
などと、淡い期待を抱きながら、歩を進めていった。
・・・10分程歩いただろうか。
亀井はワジの入り口まで来ていた。
そこは乾いた岩石が連なって出来ている場所でちょうどいい具合に日陰が生まれていた。
亀井はその影の中を歩きながら、必死に水を探した。
- 57 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時41分06秒
- 今、歩いている場所は元々水が流れていたであろう場所。
絶対にどこかに水が残っているはずだ。
亀井はその一念でワジの中をさ迷い続けた。
しかし、水はどこにも見当たらない。
地面の割れ目の中まで覗いてみたがまさしく一滴も残って無かった。
もう・・・ダメか。
亀井はその場に膝をついた。
- 58 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時41分45秒
- すると、自然に体から力がすうっ、と抜けていった。
「あっ・・・。」
亀井はそのまま前のめりに倒れた。
頬が硬い岩肌の地面にあたり痛かった。
が、もうどうでも良かった。
いっそこのまま・・・。
亀井の視界に段々と霞がかかってきた。
ぼんやりとした白に包まれた視界の中で、亀井は一つオレンジ色の物体を見つけた。
「えっ?」
亀井はその目を見開いた。
岩壁の割れ目の中に何かがある。
- 59 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時42分20秒
- その割れ目は2メートル程で十分に入れる高さだ。
亀井は体を起こすと、オレンジ色の物体を求めて、割れ目の中に入っていった。
その中にあったものは、なんとオレンジ色のサンドバギー。
「!!!!」
亀井は運転席に飛び込むと、ハンドルを見た。
すると、キーがちゃんと差し込まれている。
さらに後部座席には缶詰みたいなものが3個転がっていた。
亀井は歓喜した。これは水以上の発見かもしれない!!
これを使えば、砂漠も楽に横断できる!!
亀井は、早速キーを捻った。
- 60 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時42分56秒
- ブルルルルルッ・・・・。
エンジン音だ。それと同時に車体が揺れ始めた。
「いける!!」
亀井はアクセルを踏み込んだ。
すると、バギーはゆっくりと、しかし確実に走り出した。
バギーは今まで姿を潜ましていた割れ目からその車体を現すと、その場で危なっかしいカーブをし、
そのままワジを飛び出した。
取り付けられたメーターは60キロを示している。
「まだまだッ!!」
すっかりハイになった亀井はさらに深くアクセルを踏み込んだ。
メーターが一気に100まで伸びた。
- 61 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時43分28秒
- 「GO GO!!」
バギーは砂を巻き上げながら、砂漠を突っ切っていく。
普通に歩けば半時間はかかるであろう距離をほんの数分で通過した。
険しい砂の傾斜も全く問題にならない。
そんなもの、このバギーの前ではただの砂山に過ぎないのだ。
バギーは一気に傾斜を飛び越えると、平面に着地。
そしてそのまま再び走り出した。
しばらく走っていると、少し先に人の姿が見えた。
自分と同じ志願者だ。
そいつは、驚いたような顔つきでバギーを駆る私を見ている。
私はあっ、という間にそいつに追いつき、そのまま一気に追い抜いた。
巻き起こされた砂煙に咳き込むそいつの姿をバックミラーに見ながら、私は走りつづけた。
- 62 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年08月05日(火)12時45分41秒
- >>42 応援レスありがとうございます!!
これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。
- 63 名前:プレステ 投稿日:2003年08月19日(火)12時45分18秒
- おもしろいですーどんどん読みたくなりますねぇ〜
- 64 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年09月05日(金)20時27分56秒
- 「げほっ!!ごほっ!!クソッ・・・何なのよ?今の奴!!車なんて乗って!!反則じゃないの!?」
志願者は毒づくと、吸い込んでしまった砂塵を必死で吐き出そうとした。
しかし、いくら咳をしても咽の奥にはザラザラとした不快感が残る。
志願者は少し考えた後、大切に取って置いた水のボトルを開いた。
これでうがいをしようというのだ。
「・・・もったいないな。せっかく残しといたのに。」
それだけ口惜しそうに呟くと、ボトルを口に運ぼうとした。
その時、ぱららららら・・・!!!!
タイプライターのような小気味のいい音が彼女の耳に届いた。
何十発もの銃弾とともに。
- 65 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年09月05日(金)20時28分28秒
銃弾が彼女の全身を貫く。
飛び散る鮮血。
彼女はよろめくと、そのまま前方に倒れこんだ。
「ぐっ・・・。」
体中を襲う激痛に耐えながら彼女は考えた。
<今、何が起きた?撃たれた?誰に?どこから・・・?>
「ゲホッ!!!」
思考の途中だったが、口からこぼれ出る鮮血がそれを阻んだ。
「ゴホッ!!ゴホゲホッ!!」
吐血がようやく収まった時、彼女の意識は既に無くなりつつあった。
- 66 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年09月05日(金)20時29分37秒
- 彼女が残された意識の中で思うこと、それは今は亡き母のことだった。
何故、死んだか?それは政府の連中に「反逆者」のレッテルを貼り付けられ処刑されたのだ。
その母の仇をうつためにUFAに入ろうと思ったのだ。
母さん・・・ごめんね・・・・仇・・・・とれそ・・・『ダンッ!!』
彼女の母へのメッセージ。それも途中で途切れた。
頭部に撃ちこまれた銃弾によって。
いつの間にか、彼女の遺体の周りには5人の志願者が集まっていた。
- 67 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年09月05日(金)20時30分11秒
- 「これで3人目だね♪殺ったのは♪」
「まだまだ足りないね。もっと人殺したいよ。このマグナムでさ。」
「2人とも無駄話は後にしなさい。さっさと荷物奪うわよ。」
「相変らず固いね〜。志保は。」
「確かにね〜。ま、いいじゃん。さっさと回収して次の獲物探そ?」
10代の少女のものとは思えない恐ろしい会話をするこの5人。
彼女らもUFAへの志願者だった。
元々、スラム街の友人同士であった彼女らは試験開始と同時にグループを組み、この砂漠を進んでいた。
そして、他の志願者を見つけると即刻殺して持ち物を奪う。
これを繰り返していた。
彼女らは人を殺した罪悪感など微塵も感じた様子は無く、ちゃっちゃと死体から持ち物を剥ぎ取っていく。
- 68 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年09月05日(金)20時30分47秒
- 「うわっ。こいつ水こぼしてるよ〜。もったいないなぁ〜♪」
「この子の武器はと・・・何これ?ワイヤーの束?使えねぇ〜。」
「待って。それ捨てないで。使えるわ。」
「あっ!!水もう1本あるよ!!」
「他に何か使えるものは・・・。」
この恐ろしい5人組のメンバーを一応紹介しておこう。
1人目は吉鶴舞。年齢15歳。
彼女の手にはイングラムM10サブマシンガンが握られている。3人目の犠牲者を最初に襲ったのは彼女だ。
2人目は菊田夏美。年齢15歳。
彼女の手にも銃が握られていた。名はコルトパイソン。強力なマグナムである。
3人目は池田志保。年齢は17歳。
このグループのリーダー格である。武器は警棒を所持する。
4人目は陸守絵馬。年齢は14歳とグループ最年少。武器は催涙スプレー。
5人目は須正美由。年齢は15歳。武器は手榴弾3個セット。なかなか強力である。
- 69 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年09月05日(金)20時31分29秒
- 5人は必要な物資を死体から奪うと、砂丘の影に移り、作戦会議を始めた。
「さっきの奴・・・どう思った?」口火を切ったのはリーダーの池田だ。
「それって今殺した奴?」吉鶴は早速手に入れた水のボトルを開けながら言った。
「アホかお前。バギーの奴に決まってんじゃん。」菊田は嫌味っぽく言うと、マグナムの長く伸びた銃口で吉鶴の頭をごついた。
「そう。あのバギーなんだけど、あれは支給された武器だと思う?」
「ううん。だってあんなのバックに入るわけ無いじゃん。」
「陸守と須正はどう?」
吉鶴のボケた回答をシカトし、池田は他のメンバーに意見を求めた。
「どっかで見つけたんじゃん?」陸守は即答した。
須正もそれに同意する。
「そんで何?私達も探そうって?」
菊田の言葉を池田は首を振って否定する。
「・・・・なるほど。」
その動作だけで4人全員が池田の言わんとしている事を理解した。
あの間の抜けた吉鶴でさえも、理解していた。
5人の思いは一つ。あのバギーを<奪う>という事だ。
- 70 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年09月05日(金)20時32分11秒
- 「それじゃ、行くよ!!」池田の声を合図に5人は走り出した。
スラム街で窃盗や強盗を繰り返し、鍛え上げられた彼女達の脚力。
そのスピードは相当のもので、成人男性でも追い抜くのは不可能であろう。
事実、先ほど足元にあった死体がもうあんな後ろに遠ざかっている。
5人はスピードを全く緩める気配も無く、バギーの車輪の跡を追い続けた。
- 71 名前:鎮魂歌 投稿日:2003年09月05日(金)20時33分07秒
- すごい短め。ご勘弁を・・・
>>プレステさん これからもよろしくお願いします。
- 72 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/09/20(土) 18:13
- この広大な砂漠の北西辺りにそびえ立つ巨大な岩。
この岩の名は「人面岩」。
その名の通り、岩盤の凹凸が遠くを見つめる男の顔のように見える。
大きさは、縦に6メートル・横に10メートルと言った所だろうか?
なかなかの大きさである。
さらに信じられない事に、その岩の周りには緑があった。
青々と生い茂る草の絨毯。その上に咲き乱れる季節の花達。
そしてそれらの中心には湖までもが存在していた。
まさに奇跡である。
砂漠という死の大地に残された最後の自然の楽園・・・。
人はそれをオアシスと呼ぶ。
今、一人、このオアシスで乾いたノドを潤す少女がいた。
道重さゆみである。
- 73 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/09/20(土) 18:14
- 道重は1時間半ほど前から・・・つまり、このオアシスに着いたその時から、この湖の水を繰り返し飲んでいた。
それはボトルの水がもったいなかったからじゃない。
(ボトルなんてとっくに2本とも空になっている。)
ただ単純に、ここの水が美味しかったからだ。
この透き通った水を口にした瞬間、
道重はボトルに残っていた水を急いで飲み干し、湖の水を詰めなおした。
ここまで水の味に差が出るものなのか?
良く、おいしい水を例えるのに、「3日間砂漠をうろついて初めて飲む水」なんて言ったりするが、
この湖の水から受けた感銘はそんな安っぽい言葉じゃ表現できない。
道重は、もう一度その水を飲もうと、ほとりから湖の中へと両手を伸ばした。
冷たい水の感触が心地よかった。
(この湖は巨大な人面岩の後ろ側にあるので、岩が影をつくり日光が湖に当たるのを避けている。だから冷たいままなのだ。)
- 74 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/09/20(土) 18:14
- 湖に浸かった道重の手は水の中でちょうど、お皿の形を作ると、中の水をこぼさぬようゆっくりと持ち上げられた。
だが、道重は折角すくった水を全てこぼしてしまう事になる。
それは道重の耳に、車のエンジン音が聞こえてきたからである。
乗ってきたバスとは違う音・・・。それに・・・近い!!
道重は出しっ放しにしていた水のボトルを急いでディバックに詰め込むと、
代わりに、弓と銃を合体させた武器・・・クロスボウガンを取り出した。
だが、まだ肝心の矢が装填されていない。
道重は慌てて束になった鉄の矢を1本、しっかりとセットした。
「出切るだけ戦いは避けたいけど・・・・」
道重は呟きながら、両耳を包み込むようにして手を当てた。
より細かい音を聞き取ろうというのだ。
- 75 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/09/20(土) 18:15
- ブロロロロロ・・・
「まず、車が一台・・・。」
タッタッタッタッ・・・
「その後ろに一人。これは・・・走ってるのかな?車を追いかけてるのかも。」
ドッドッドッドッ・・・・
「!!この音も走ってる音だ。しかも・・・数が多い。4人・・・いや、5人か?」
どの音もかなりのスピードでこっちに向かってきている。
もう、ここに留まっていることは出来ない。
道重の、ここで夜まで時間を潰す。という計画は台無しになった。
砂漠の夜は冷えるため、眠ることは出来ない。
だから、今の内にこの快適なオアシスで仮眠を取っておこうと考えていたのだ。
道重は計画が潰れた事に少し腹をたてながら、巨大な岩陰に身を隠した。
そして、腕時計に視線を落とす。
(四時十分・・・。太陽も段々沈んできたし、動くには問題無いか。)
- 76 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/09/20(土) 18:15
- その時、水平線の向こうから、一台のバギーが姿を見せた。
(あれだったのか。さっきのエンジン音は。)
道重はボウガンのグリップを強く握ると、そっと腕を持ち上げた。
とりあえず・・・私がここから離れる時間を稼がないと。
- 77 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/09/20(土) 18:16
- 亀井絵理は相変らずのスピードでバギーを飛ばしていた。
「ん・・・と。あれが人面岩か。」
亀井は片手に持った地図とシートにおいたコンパスを交互に見ながら確認した。
方角的にも、岩の姿からしても間違い無さそうだ。
「大分進んだ事だし、ちょっとあそこで休んでいこうかな。」
- 78 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/09/20(土) 18:17
- 「大分進んだ事だし、ちょっとあそこで休んでいこうかな。」
その亀井の言葉を聞いて、道重はかすかに顔をしかめた。
道重の目には遠方から砂煙を巻き上げ、迫り来るバギーの姿が映っている。
その大きさはまだ豆粒程度でしかないが、すぐに目の前まで迫ってくるだろう。
この何も無い砂漠の大地で、道重の姿を隠しているものはこの人面岩だけだ。
他に身を隠せそうな場所はどこにもない。
と、なれば残った策は一つだけ。
不意打ちを喰らわせて、逃げるだけだ。
何もしないでこのままバギーと鉢合わせになったら、死の危険性が出てくる。
- 79 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/09/20(土) 18:18
- もし相手が銃を持っていて、そのまま戦闘になったら、こんなボウガンじゃ勝ち目は無い。
ボウガンは一発ずつ矢を補充しなくちゃいけないし、それに射程も短い。
そして、仮に銃を持っていなくても奴には車というもう一つの武器がある。
車はスピードとパワーをかね揃えた恐ろしい武器だ。
これらの事から考察するに、バギーの奴との接触は極めて危険。
やはり奴がここに来る前に、その足をとめるしかない!!
- 80 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/09/20(土) 18:18
- バギーが進んでいくにつれ、段々と岩の全景が見えてきた。
「うわ〜でっかい岩・・・。あっ!本当に人の形してる!!」
亀井は一人、感慨にふけりながらバギーを進めていく。
そして、そろそろスピードを落そうかとブレーキに足を伸ばした瞬間、
岩の影から、何かが飛び出してきた。
距離の関係でそれは10センチくらいの大きさでしかなかったが、人だと分かった。
「えっ!?」
亀井が驚きの声をあげるより早く、ドッ!!
バギー全体が縦に揺れ、亀井はシートから投げ出されそうになった。
そして、少しの間をおいて、バギーは再び揺れた。
現状が理解できず、ただシートで固まっているだけの亀井をよそに
そいつは、第三撃目を撃ち込んできた。
- 81 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/09/20(土) 18:19
- ドスッ!!
今度はさっきのような衝撃は無かった。
が、ダメージとしては一番致命的であったかも知れない。
銀色の矢が、オレンジ色のボンネットに深々と突き刺さっているのが、
フロントガラス越しに見えた。そこから黒い煙が一筋、立ち昇っている。
(鉄の矢・・・?何これ?刺さってる・・・。車が2回揺れて・・・。)
「あっ!!」亀井は自分が襲撃を受けたことにようやく気付いた。
その時には、そいつは既にこちらに背中を向けて走り出していた。
亀井は慌ててアクセルを踏み込んだ。
しかし、バギーは動かない。
何故なら、バギーの左右の前輪には深々とボウガンの矢が撃ち込まれていたからである。
「あいつ・・・タイヤをッ!!」
亀井はシートの上に立ち上がると、脇に置いておいた銃を掴み取り・・・撃った。
ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!
リボルバーが1回転し、6発の弾丸が放たれた。
- 82 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/09/20(土) 18:19
- ( 6発 )これがこの銃に装弾できる限界数だ。
つまり、もう銃には1発も弾が入っていない事になる。
亀井は反動で痺れる手をズボンにこすりつけると、急いで新しい銃弾を補充した。
そして、再び撃とうと顔をあげた時にはもう、そいつの姿はもうほとんど見えなくなっていた。
「くっ・・・。」
亀井はギリッ、と唇を噛むと銃を下ろした。
もうこの距離じゃ弾は当たらない。
それにさっき撃った銃弾も命中した様子は無かった。
亀井は銃をシートに投げつけると、被害状況を確かめるために一旦バギーから降りた。
- 83 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/31(金) 03:22
- 待ってるよー
- 84 名前:鎮魂歌 投稿日:2003/11/08(土) 20:54
- もう少しだけお待ちを・・・。
- 85 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/12(金) 01:04
- まだまだ待ってるよー
- 86 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/17(土) 15:35
- まだまだまだ待ってるよー
- 87 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/07(日) 22:46
- 待ってるよ
Converted by dat2html.pl 0.1