ある四姉妹の普通の生活。
- 1 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)00時15分30秒
- はじめて小説書きます。
とにかく何から何まで初めてです。
マターリ更新していくんでよろしく!
感想なんかもらえたらうれしいです。
- 2 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月03日(土)00時20分36秒
- 安倍家の朝は長女なつみが三人の妹達を起こすことから始まる。
「ちょっとぉ〜いい加減起きなさーい」
「うるさいなぁわかってるよぉ」
そういってドスドスと派手な音を立てて階段を下りてくるのは
次女のひとみだ。
「うわーん寝坊したぁ〜」
半泣き状態で走って洗面所へ向かうのは三女希美である。
「今日はお団子して学校行こうと思ってたのにぃ」
「のの!早く洗面所空けてよ歯ぁ磨けねーだろ!!」
二人の娘達が騒いでるのを尻目にすっかり準備を終えてのんびり朝ごはん
を食べているのは四女あさ美。できたての目玉焼きと炊きたてのご飯を
美味しそうにほうばっている。
いつもと何の変化をなく安倍家の朝は流れていく。
- 3 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月03日(土)00時37分13秒
- 「ちょっとひとみちゃん又そんな格好で寝て!
風邪引いたってしらないよ!!」
なつみはひとみのキャミソールに短パンという下着の
ような格好で寝ている事に対していつも腹を立てている。
母親のいない安倍家では常になつみが妹達の生活に気を
配っているのだ。しかしそんななつみの気持ちを知って
か知らずか、
「へいへい」
とひとみは軽く受け流す。ひとみの態度に更に腹を立てたく
なるがいつまでもひとみにかまってもいられない。スグ横で
希美が
「数学の教科書がないよ〜」
と半ベソをかいているのだ。
「なんで昨日から用意しとかないのよぅ!」
「だってー!!」
のぞみの目には既に涙がうかんでいる。今にも
零れおちそうだ。
- 4 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)01時02分44秒
- 「ののちゃんの教科書なら今トイレでみたよ。」
今しがたトイレから出てきたあさ美が思い出した
ように言った。
「あぁー!そうだった!!」
と叫んで希美はトイレへ駆け込む。そして「あったー☆」
嬉しい悲鳴を上げた。
一体何故トイレに教科書を持って入るのか・・・
いっぺんに体中の力が抜けた思いがする。
しかしいつまでもうなだれてはいられない。玄関から
「ひとみちゃーん」
一際カン高い声が聞こえる。
ひとみの友達の石川梨華だ。
「あぁ梨華ちゃんちょっと待ってね!
ひとみ今着替えてるから」
まだ準備の終わらないひとみに変わってなつみが玄関へ
向かう。
「本当にごめんね」
「いいえ慣れてますから!」
梨華が満面の笑みで微笑む。なつみはいつもひとみが
待たせているのでひとり心苦しく思うのだ。
そんな姉の心情も知らず
「ごめんごめん」
とひとみが呑気に現れた。
「んじゃ行ってきます」
とこれまた呑気に学校へ行く。再び脱力しているなつみの
側を
「遅刻するぅー行ってきまぁーす!!」
と中学生二人組が元気に出かけていく。
「いってらっしゃーい」
なつみはつぶやきながら丸で台風か怪獣が去ったような
安堵を感じた。
- 5 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)01時06分43秒
- 一応更新終わりです。
完結目指して頑張ります!!
未熟者ですがよろしくお願いします。
- 6 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)17時49分57秒
- 怪獣3匹が去ったところでなつみはいつまでもゆっくりしては
いられない。次は自分が学校へ行く準備はしなければならな
いのだ。なつみは現役の大学1年生で、家からそう遠くない大
学へ通っている。本当のところは一人暮らしをしたいのだが、
妹達のことを考えると踏み切れないでいた。どんどん所帯染みて
いく自分にタメ息をつきつつ、なつみも学校へと家を後にした。
- 7 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)17時53分25秒
- なつみがタメ息をついていた頃、ひとみは
ひどく上機嫌で学校へ向かっていた。いつも
混むバスもひどい渋滞も不思議と頭にこない。理由はただ一つ。
梨華と久しぶりに登校しているからである。高校2年生になっ
て二人ともお互いの部活がすっかり忙しくなってしまった。
片やバレー部のエース、片やテニス部のキャプテン・・・
朝れんだとか何やかんやで最近は二人で話す時間さえ減ってしまった。
「梨華ちゃん今日も可愛いなぁ」
梨華の横顔を見てひとみはなんだかとても満足した気分になった
- 8 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)17時55分04秒
- 梨華はひとみの視線を感じ顔を上げた。
「ひとみちゃんと学校行くの本当久しぶりだよね。1週間ぶり位かな?」
といってにっこり笑う。ひとみは一ヶ月位あったのではないかと感じていた。中学も同じでいつも一緒に行動していたので梨華がいないのは、なんだか変な感じであった。
「梨華ちゃん部活はどう?キャプテンはもう慣れた??」
「ぜーんぜん!今はまだ3年生もいるから助けてもらってるけど・・・
上手くいかないよ。ひとみちゃんは?」
こんな何気ない会話がひとみには楽しくて仕方なかった。
- 9 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)17時56分16秒
そしてこういう幸せがずーっと続くと思っていた。
- 10 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)22時33分00秒
- ここは安倍家の下二人が通う葉楼中学だ。今は授業も終え、
グラウンドや体育館から威勢のいい声がきこえている。そんな
元気な声とは対照的に浮かない顔をして体育館前をウロウロと
している女の子がいた
安倍家三女希美である。
希美は少し歩いては戻り体育館の中を覗いてはまた進みそして大きな
ため息をひとつついた。
「はぁぁぁー・・・」
- 11 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月03日(土)22時36分27秒
- 彼女がさっきから思っていることはただ一つ。
「ののもバレーやりたいなぁ」
希美は中学3年生になって受験生になった。それで
部活であるバレー部を一応引退した。バレー部の友達
はやっと引退できてせいせいしたらしく今は帰りに
遊びに行ったりしている。希美も最初のうちは一緒に
遊んでいたが次第にまたバレーがやりたいと思うようになった。
やっていた時は何度も「辞めたい」と思ったのに...不思議なものである。
「ののもやるー!」
と後輩に混じってやったりするのだが今日は少し事情が違った。
バレーがやりたい!でも・・・と彼女はジレンマしていた。
- 12 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)22時38分52秒
- 「ののちゃん?こんなとこで何やってんの??」
「あ〜あさ美ちゃん!えっと・・・あさ美ちゃんは今部活中?」
「今終わったとこなんだ。一緒に帰ろうよ」
あさ美は空手部に入っている。今日は顧問の先生の都合で
他の部活より早目に終わることになった。そしてたまたま
体育館の前を通ったらウロウロしていた希美に出くわしたというわけだ。
- 13 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)22時49分49秒
- 「いいなぁあさ美ちゃんは・・・のんも二年生に戻りたいよぉ!」
唐突に希美が叫んだ。
「どうしたのののちゃん!?何かあったの??」
希美の目にはうっすらと涙が光っている。
─甘えん坊の希美としっかり者のあさ美─
この二人はよく周りの人間から
「生まれてくる順番間違ったんじゃない?」
などとからかわれれる。小さい頃から希美の背が低くて
歳も1つしか違わないせいもありよくあさ美の方が上に見られていた。
- 14 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)23時00分44秒
- 更新終了です。
誰か読んでる人いるのかな?!
すっげー不安なんですけど、とりあえず続けますね。
- 15 名前:名無し 投稿日:2003年05月03日(土)23時27分12秒
- 更新乙です。
ちゃんと読んでますよ。
- 16 名前:nene 投稿日:2003年05月03日(土)23時34分20秒
- >>15名無し様
おぉ!読者がいた!!
何か感動ですね。ありがとうです!
- 17 名前:17 投稿日:2003年05月04日(日)05時31分41秒
- 小説感想スレからたどってきました。
自分的に好きなキャラクターが出て、いいかんじです。
完結目指してということは、もう完結のイメージとか出来てるのかな。
がんばってください。
レスは今回sageときましたが。どういう方針でいかれます?
あと、小説感想スレにも感想みたいの書いときました。
- 18 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)11時22分19秒
- >>17様
できればageでいきたいなぁと思ってます。
感想ありがとうございます。
- 19 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)11時30分05秒
- 今にも泣き出しそうな希美をあさ美は慰める。
「どうしたの?急に泣かないでよぉ〜しょうがないなー」
そう言って制服のポケットからハンカチを取り出しあさ美は希美の涙を拭った。
「ん・・・ありがと。叫んだらちょっと落ち着いた!じゃ帰ろっか」
落ち着いたと言っているがどことなくまだ元気がない。あさ美は心配そうに希美
の横顔を見つめた。希美が泣くことは決して珍しい事ではないのだが、今日は
少し様子が違うようだ。
帰り道希美はポツポツと今迄のいきさつを話し始めた。
- 20 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)11時32分50秒
- 「あさ美ちゃんさぁ中間テストの成績表返ってきた?」
「えっ?うん返ってきたよ。」
「そっか・・・」
「ののちゃん・・・もしかしてまた成績よくなかったの?」
希美の体がピクっと反応する。
「ん〜・・・うん。また順番さがちゃったんだ。のぉさ一応ジュケンセイ
でしょ?それなのに、こんなんじゃのぉ行く高校ないよ・・・さっきも
ね本当はバレーやりたかったの。でも今日の成績思い出したら、バレーばっか
してちゃダメだよなぁって思って、、、でもやりたいしさぁ」
と言ってクスンと鼻をならした。
- 21 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)11時35分39秒
- 「そっかぁ・・・でも大丈夫だよ。まだ時間あるし!ののちゃんもしかして
どっか行きたい高校あるの?」
「ん、実はひとみちゃんの行ってる岡女に行きたいんだぁ!あそこはバレーも
ちょっと強いし、それにひとみちゃん見てたらねなんか楽しそうだなぁって。」
希美は少し恥ずかしそうに答え
「まだ秘密にしといてね」
と付け加えた。
ひとみの通っている岡村女子高校はそう難しい高校ではない。それでも
やはりそれなりの学力は必要である。あさ美は希美の成績を考えると一抹の
不安を覚えたものの
「ののちゃんなら大丈夫だよ」
と元気づけた。
- 22 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)11時40分00秒
- 「りーかーちゃん!!部活終わった!?」
金網ごしにひとみの声がする。
「あっひとみちゃん。もう終わるよ今片付けてるの。」
「よっしゃ!じゃ一緒に帰ろ♪バス停で待ってて!すぐ
行く。」
ひとみは転げるように体育館へ戻って行った。
「せーんぱーい。私帰りまーす!!」
「ばかたれまだ終わってないよ!」
「私お腹痛いンすよ〜。それじゃ先輩お疲れさまでーす」
- 23 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)11時42分56秒
- 背中で先輩が何か怒鳴っているがひとみは聞こえない事にした。一緒に
登校したのも久しぶりなら帰るのも久しぶりである。どうしてか今年から
バレー部の部活時間が延長された。それで梨華との帰宅時間にズレが生じた
のだ。特に最近二人でいる時間が減りひとみのガマンは限界に近かった。
それでついに強硬手段にでたのである。
ひとみは急いでロッカーから鞄を取りジャージ姿でバス停へ向かった。
すでに梨華は来ていてベンチに座っている。それをみつけたひとみは再び朝
のようなとても満ち足りた気持ちになった。
- 24 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)22時56分29秒
- ひとみと梨華の出会いは中学2年の時である。クラス替えで初めて一緒のクラ
スになった。梨華を初めて間近で見てひとみは思わず赤面した。
「うっわー超かわいい子がいる・・・」
梨華の事は知らないわけではなかった。
”4組の石川はすげー可愛い”
急に可愛くなりだした梨華の事を男子の間で知らない者はいなかった。ひとみ
はどっちかというと女友達より男友達の方が多かったから噂は耳にしていたし、
何回か見かけたことはあった。
しかしこうしてマジマジと見てみると成る程噂になるだけのことはある。
確かに可愛い。
- 25 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)22時59分13秒
- 「・・・べさん、安倍さん?」
「へっ!?」
みとれて思わずぼ〜っとしていたひとみにいつのまにか梨華が話しかけていた。
「あっなっ何?」
「なんか1年生が呼んでるよ。」
「あっうん。わかった。」
(あーアセッタ!石川さんの事考えてたら目の前にいるんだもんなぁ)
ひとりドギマギしながらひとみは呼ばれた方へ駆け寄った。
- 26 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)23時02分51秒
- 「あ〜べ〜、オマエ相変わらずモテてんなぁ」
1年生から手紙を貰って席に戻ると、仲のいいマサオが寄ってきた。
「ばっか。そんなんじゃないよ!」
一応否定はするもののおそらく中身はラブレターまがいの内容である。
先輩・同級・後輩問わず今までにも既に何通か貰っている。
「女にモテたってしょうがないじゃん。」
「でもさーあの石川さんもオマエのファンだって噂だぜ?いいよなぁ〜
いっぺん変わってくれよー」
「はぁ!?何だよファンって・・・」
「何かさ春休みあったバレー部の練習試合に石川さんがいて安倍みて
キャーキャー言ってたってよ。でもさ俺ら一緒のクラスになっただけ
幸せだよな!もしかした仲良くなれっかも!!」
オマエと一緒にすんなよな・・・とひとみは心な中で悪態をついた。
しかし春休みの試合の時果たして梨華は本当にいたのだろうか。考えてみたが
それらしい記憶に思い当たるフシはない。
「まっただの噂だし・・・」
ひとみはそう思うことで変に期待しないように自分を落ち着かせた。
- 27 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)23時06分10秒
- 何週間かして、ある日突然梨華と話す機会が訪れた。
ひとみと梨華はいわゆる仲良しグループも違うし、部活も違う。そして席まで
嫌がらせのように遠く離れていたので同じクラスといえど、なかなか話す機会
はなかった。その日は珍しく部活が休みでひとみはさっさと家に帰ろうと、
早足で階段を降りていた。すると下の方からバサバサっという何かが崩れる音
が聞こえてくる。何かと思い、音のする方を見ると石川梨華が散らばったクラ
ス分のノートを一生懸命拾い集めている。ひとみは考えるより先に足が動いた。
「石川さん大丈夫!?」
「あっうん大丈夫」
梨華は真っ赤な顔をしてひとみが拾った何冊かのノートを受け取った。
- 28 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)23時07分24秒
- 「あー恥ずかしい派手に転んじゃった。」
と梨華は申し訳なさそうな顔をして笑った。
「石川さんこれ一人で運ぶように言われたの?」
「今日日直だから」
「ったく、あと一人の日直誰だよ。石川さんに押し付けて・・・」
「・・・安倍さんなんだけど。」
ひとみの顔がみるみる赤くなる。
「えっ!?あっ!!そーいえば・・・うっわ〜ごめん!」
慌てるひとみをみて梨華はくすくすと笑いだした。
「安倍さんってもっとクールな人かと思ってたけど、なんか面白いね」
そんな梨華の様子をみてますます顔が赤くなった。
「・・・本当ごめん」
「いいよ、気にしてないから。」
「でも・・・」
「ん〜安倍さんがそんなに気にするんなら購買のジュースで忘れて
あげてもいいよ♪」
- 29 名前:nene 投稿日:2003年05月04日(日)23時08分49秒
- 石川さんって案外したたかなんだ・・・その可愛らしい顔とのギャップが
妙にオカシクてひとみは思わず笑ってしまった。
話の成り行き上一緒に変えることになり、夏休みが始まる頃には二人
はすっかり仲良くなった。そして現在に至るというわけだ。
- 30 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月05日(月)01時19分56秒
- ここにも一人ROMがいる
- 31 名前:nene 投稿日:2003年05月06日(火)14時24分22秒
- >>30名無し読者様
読んでくれてありがとうございます。
できれば感想もつけてもらえると嬉しいです。
- 32 名前:nene 投稿日:2003年05月06日(火)14時31分27秒
- 「梨華ちゃんお待たせ!」
「ひとみちゃん部活はよかったの?」
「ん、オッケーオッケー問題ナシ!!」
本当はあまりオッケーというわけではないのだがひとみは軽く答えた。もちろん部活
も大事だが梨華と一緒にいる時間の方がもっと大事である。それに大きな試合前にな
ると2週間は丸々登下校できなくなること確実であるし、梨華が他の友達と一緒に
帰るということへの子供じみた嫉妬もあった。
- 33 名前:nene 投稿日:2003年05月06日(火)14時33分50秒
- 「梨華ちゃんさ、今度どっか行こうよ!」
「どっか?そうだねぇ最近遊んでないな〜」
「でしょ!?んじゃさ、こないだ出来たでっかい水族館とかどう?」
「あっいいねー行きたい!」
二人とも部活があるのでなかなか実現しなさそうな話ではあったがひとみは楽しみ
だった。梨華と二人で丸一日過ごせると思うとわくわくした。しばらく水族館計画
や学校の話などをしていると不意に梨華の視線が宙に浮いて固まった。目は大きく
見開いている。
- 34 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月06日(火)15時55分20秒
- 「梨華ちゃん?どうし・・・」
「・・・文麿くん?」
はぁ?ふみまろ?誰?ひとみが梨華の視線の方を向くといつの間にいたのだろうか、
男が立っていた。髪はひどく長い。ひとみは一瞬女かと思ったが、学ランを着てい
たので男だということがわかった。『ふみまろ』と呼ばれた男は梨華を見て「あっ
!」と驚いた顔をした。
「・・・梨華ちゃん?うわぁーすごい久しぶり。」
「本当に!いつ以来だろ〜元気だった?」
「あぁ。梨華ちゃんは?」
「うん元気だったよぉ!!本当びっくりした・・・」
「俺も!」
- 35 名前:nene 投稿日:2003年05月06日(火)15時58分00秒
- 二人の間には再会の甘ったるい雰囲気が流れている。ひとみはなんだかちっとも
面白くなかった。目の前では梨華が知らない男と目を輝かせて自分の知らない話
題を話している。しかも携帯のメールアドレスまで交換し始めた。
(なんなんだよぉ〜この男・・・)ひとみの心の中は腹立たしい気持ちで
いっぱいになった。
「梨華ちゃん・・・」
ひとみが梨華の制服の裾を引っ張って気を引くと梨華はようやく思い出したように
「あっこちら安倍さんっていうの。高校が一緒で・・・」
とひとみのことを紹介し始めた。ひとみはそんなことしなくていいのにと思いなが
ら「どうも」と頭をさげた。二人がまた別の話題を始めた時、ようやくひとみ達が
乗るバスが来た。
「梨華ちゃんバス来たよ。」
「あっうん。それじゃ文麿くん連絡するから・・・またね」
梨華は名残惜しそうにバスに乗った。
- 36 名前:nene 投稿日:2003年05月06日(火)16時06分50秒
- バスの中で二人は一言も喋らない。始めひとみは色々話しかけていたがすぐ止めた。
梨華の返事はみななんだか上の空だったからだ。梨華はさっきからぼーっとして
時折思い出し笑いを浮かべる。ひとみはその全てが腹立たしかった。
バスを降り梨華と別れると、ひとみはどっと悲しい気持ちに襲われた。ひとみは自分
が今すぐ泣き出すんじゃないかと思った。
『幼なじみの文麿くん』
ひとみはバスの中で、いつか梨華が口にしたこのフレーズを思い出した。
確か小さい頃家が近所で幼稚園と小学校が同じ、男が苦手な梨華が唯一仲良
くしていた男の子、私立の中学へ行って家も引っ越してしまった・・・という話を
聞いたことがある。写真も見たことがあった。梨華の家でアルバムを見た時、何枚も
二人が笑顔で写っていたのだ。その時ひとみが「これ誰?」と聞いたので彼について
梨華はいくつか話してくれた。
その時気づいておくべきだったのかもしれない。彼女の目の輝きを、、、嬉しそうな
表情を、、、。
今ならはっきりわかる。梨華がその幼なじみの少年の事をどう思っていたか、いや
思い続けているか。
そこまで考えてひとみは再び泣きたくなった。
- 37 名前:nene 投稿日:2003年05月06日(火)16時11分46秒
- 更新終了です。
これからマチマチとしか更新としか更新できなくなるかもしれませんができるだけ
週1はアゲテいきたいと思ってるんでよろしくお願いします!
- 38 名前:FUMIMARO 投稿日:2003年05月06日(火)16時41分48秒
- 面白い。
- 39 名前:ラヴ梨〜 投稿日:2003年05月09日(金)10時03分09秒
- いしよし応援派の私も泣きそうな展開に!!
おもしろいですね
文麿がいるという図式は新鮮だし
- 40 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月11日(日)16時20分49秒
- 非常にいいです
頑張ってください
- 41 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)16時41分10秒
- >>38FUMIMARO様
そう言ってもらえると本当うれしいです!
>>39ラヴ梨〜様
期待にそえれるように頑張ります!
>>40名無し読者様
ありがとうございます。
これからも頑張って書くんでよろしくです!
読んでくれてありがとうです!
期待にそえれるように頑張ります。
>>40
>>40
>>
- 42 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)16時45分07秒
- うわっ!!
すいません慌てて変なレスになってしまった・・・
ごめんなさい(><)!
- 43 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時19分19秒
- どっと疲れた気分で家に帰るとすでに皆帰ってきていた。台所からは包丁の音とイイ
匂いがただよってくる。ふと、ソファーをみると希美がウツロな目でクッションを
抱きかかえて座っていた。付けっ放しのテレビにはお笑い芸人がなにかやかましく
喚いている。
「わかりやすいやつ・・・」
きっと何かあったのだろう。この番組は希美のお気に入りのはずだから。ひとみが
そんなことを考えていると、台所からパタパタとなつみが出てきた。
「帰ってきたなら『おかえり』ぐらい言いなよ」
「・・・言ったよ」
「もぉ嘘ばっかり!ご飯できたから着替えておいで。あと上からあさ美
呼んできてね!」
- 44 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時21分31秒
- なつみから逃れるようにひとみは二階へ上がった。なつみが口やかましいことなど
今に始まったこではないが、なぜかムショーに腹が立った。
「あさ美、ゴハン!!」
そう言ってひとみは自分のベッドに倒れこんだ。目をつぶるとさっきの事が克明に
思い出される。梨華ちゃんの嬉しそうな顔、梨華ちゃんの嬉しそうな声・・・
「あいつはどんな顔だったけ?」
ひとみは思い出そうとして止めた。余計に腹が立つと思ったからだ。
「ひとみちゃーん!ご飯食べないのぉ!?」
再び下からなつみのやかましい声がした。ひとみは「いらない」と答えようとしたが、
自分の胃はそれを許してくれないらしい。さっきからなつみの声以上にやかましく
鳴っている。ひとみは仕方なく起き上がり、食卓へ向かった。
- 45 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時23分45秒
- 今日の安倍家の食卓は気持ち悪い程静かだった。といっても普段がうるさ過ぎる
のかもしれない。いつもはかわるがわるひとみが喋り、希美が喋り、なつみが喋
り・・・となるはずである。しかし今日はお喋り要因の二人がただ黙々と箸を動か
ている。
「ちょっとぉどうしたの二人とも・・・ご飯美味しくないの?」
「ん、おいしいよ」
「なんでもない」
終始こんな調子である。
「ご馳走様。風呂入る。」
ムスっとした表情のひとみが早々と席を立った。
「ひとみ、何かあったの?」
「さぁ・・・?」
なつみとあさ美は首をかしげた。いつもはさっさと入れと言ってもいつまでも希美と
フザケているのに。具合でも悪いのかとなつみは本気で心配した。
- 46 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時25分28秒
- 「あっそういえば二人ともそろそろ成績表返ってきたんじゃない?どうだったの?」
なつみは暗い食卓に明かりを灯そうと話題提供したつもりであったがどうやらそれは
逆効果だったようだ。希美もあさ美までもすっかり黙りこくってしまった。なつみは
この沈黙でどうやら成績表が返ってきたらしいことを察した。しかもどうやらどちら
かが(といっても大方予想はついているが)成績が悪いようだ。
- 47 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時26分50秒
- 「・・・まだ返ってきてないよ。」
希美がようやくそう答えた。
「本当に?嘘付いてない!?」
「つっ付いてないよ!本当だもん。ねっあさ美ちゃん!」
希美は助けを乞うような目であさ美を見ている。
あさ美は迷っていた。希美の成績とこれからを考えると、なつみに真実を伝えること
は正しい選択であった。しかしこの可愛らしい姉からそんな目で見られると言っては
イケナイような気がする。
「あさ美!正直にいいな!!もし本当の事言わなかったら1週間オヤ
ツ抜きだよ!」
「えっ!?」
こう言われるとあさ美にもう選択の余地はなかった。
「ごめん!のんちゃん」
「あさ美ちゃんの裏切りモノ〜〜!!」
希美が突っ伏して泣き出した。あさ美は多少罪悪感を覚えたが、オヤツ一週間にはかえられない。
- 48 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時29分51秒
- 「お父さんに見せるぅぅぅーーー!」
「だーめ!お父さん、ののとあさ美には甘いんだから!!」
あさ美の目の前では姉二人の攻防戦が繰り広げられている。あさ美はとやはり黙って
いるべきだったかなとチラッと考えたが、やはりののちゃんのためにはこれでよかっ
たんだと自分を無理やり納得させた。それにオヤツは食べたいし。
なつみはようやく希美から成績表を奪い取り中身を見ると、自
分がその中身をみた事に軽い後悔を覚えた。
「・・・ののあんた勉強しなかったの?」
怒らないように、怒らないようになつみは自分がブチキレて可愛い妹を傷つけない
ように慎重に尋ねた。
- 49 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時31分44秒
- 「したもん!!でも覚えられないんだもん!!」
希美はわぁわぁ泣きながら答えた。
「のん、ちゃんとやったよぉ〜でもてすとになると出てこないんだよ〜!」
「わかった!わかったから泣かないで!」
なつみは頭を抱えた。希美がテスト前机に向かっていたのはなつみも知っていた。
しかしテスト前日のほんの1、2時間の勉強では頭には入らないだろう。しかも希
美が授業をちゃんと聞いてノートを取っているのかさえ怪しかった。
「・・・じゃ次あさ美見せてみ」
少しでも落ち着こうとあさ美の成績表に目を通す。さすが1度は学年トップになった
ことはあるあさ美である。今回もクラスでは一桁の順位だし、学年でも前から数えた
方が早い。
しかしよく見るとひとつだけ飛びぬけて点数の悪い教科があった。
- 50 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時32分53秒
- 「他の教科はすごく頑張ってるのに、なんで英語だけこんな悪い
の?」
「・・・だって英語嫌いなんだもん」
なつみは脱力した。他の成績がこんだけ良くて英語だけこんなにもできないとは丸で
ハナから勉強することを放棄しているように感じられる。
「でもね、あさ美英語は受験科目にもあるし大事なんだよ?」
「・・・」
しばらく3人に気まずい沈黙が流れた。希美は相変わらず泣いているしあさ美は苦手
を指摘されて不機嫌だった。
「・・・わかった。お姉ちゃん二人に家庭教師さん雇うから。希美
は受験まで全科目!そしてあさ美は苦手の英語!!いいね?
もぅお姉ちゃん決めたからね!!」
「・・・」
二人は返事をせず、黙って二階へ上がって行った。
- 51 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時34分11秒
- 「ううぅ頭痛いよー」
なつみが唸っていると「どうしたの?」と風呂上りの少し表情が和らいだひとみが
居間へやって来た。
「ん、ひとみちゃんかぁ・・・」
そういえばこの子の受験の時も大変だったなぁとなつみは当時を思い出した。
ひとみも成績が良くなかった。それで同じようになつみの知り合いに家庭教師として
来て貰っていたのだ。ただしひとみの場合、単に勉強していなかっただけだったので
勉強しだすとグングン成績は伸びた。
- 52 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時35分27秒
- 「それ見てみ。ののの方」
「・・・なんだこれぇ!!ある意味スッゲーな!」
ひとみは逆に感心したようだった。続いてあさ美の方を見ると
「うへぇ!こんな成績初めて見た!!あさ美、うちの子じゃないんじゃない!?」
とまたもやミョーな感心の仕方をした。
「でもののヤバイんじゃないの?受験生でしょ?」
「うん。そうなんだよねぇ・・・家庭教師さん雇おうと思うんだど、ひとみちゃん
どう思う?」
「私の時みたいに?いいんじゃないの〜。ってかあさ美はこんだけ数学とか国語が
できてなんで英語は43点なんだろうな!」
ひとみはさも可笑しそうに「あはは」と笑った。
- 53 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時36分40秒
- 「笑い事じゃないんだよ!英語って受験教科でしょ?あさ美にも一緒に家庭教師して
もらおうと思うの。だってこのままじゃ完全に苦手意識が芽生えちゃう・・・」
「あっそーだ!私がやってやろうか!?カテイキョーシ♪」
なつみはその場景を想像すると、更に頭が痛くなった。ケンカしだすか、遊びだす
か・・・、どっちにしても恐らく勉強にはならないだろう。
- 54 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時38分22秒
- 「・・・あっありがとう。でもひとみちゃんは心配しなくていいから」
「フーン」
ひとみは少し面白くなさそうに顔をしかめた。
「それよりひとみちゃん、具合悪いんじゃないの?大丈夫?」
「別に?何もないよ。」
「本当に?でもご飯もあんまり食べてないし・・・」
「もう何もないって言ってんだろ!?うるさいなぁ。ほっといてよ!」
そう言うとひとみはドスドスと二階へ上がった。部屋に入り再びベッドへ倒れこむと
ひとみは自分の心がチクチク痛むのを感じた。今のは完全に八つ当たりだ。なっちゃ
んは何にも悪くないに、、、一人自己嫌悪していると部屋のドアをノックする音がした。
- 55 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時39分40秒
- 「ひとみちゃん?」
ドアの隙間からヒョコっと希美が顔を出した。
「何?」
「ん、漫画返そうと思って。」
「あーその辺置いといて。」
希美は漫画を置いても部屋から出て行く気配はなかった。
「・・・何だよ?」
「ののね、カテイキョウシさんが来る事になったの。」
「知ってるよ」
希美は眉をひそめて何と言うべきか迷っている様子だった。恐らくなつみに家庭教師
を考え直すように説得してほしいとかそんな内容であろう。希美は自分の知らない人
やモノに対してひどく怯える所があった。
- 56 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時41分25秒
- 「ののさぁ、バレー好きだろ?」
「えっ?うっうん?」
「じゃぁさ、岡女においで!うちの高校楽しいよ〜。校則もそんなキツくないし、
制服可愛いしさ!ののが来年バレー部入ってきたらシゴいてやるよ」
と言ってひとみはニヤっと笑った。思わず希美の顔がほころんだ。
「うん!のん、ひとみちゃんのとこ行きたい!」
「じゃあもう少し勉強頑張ろうな?なっちゃんだってののが嫌いで勉強しろっつって
んじゃないんだからさ。」
「うん。のの分かってるよ。でもさぁカテイキョウシさん怖いかな?毎日宿題出すか
なぁ?」
「大丈夫だよ。多分なっちゃんの知り合いが来るんだろうし。そ
れに少し我慢すれば高校生だよ?」
「そうだよね!うん」
希美は自分の高校生姿を想像したらしくようやくいつもの希美ら
しい表情になった。
「今日一緒に寝ていい?」
「しょうがないな〜」
二人はお互いの不安を慰め合うかのようにしっかり寄り添って
眠りについた。
- 57 名前:nene 投稿日:2003年05月13日(火)19時47分33秒
- 今日の更新終了です。
感想とかカキコしてくれる人には感謝の気持ちでいっぱいです。
なんかあんまり上手くレス返せないでごめんなさい;
- 58 名前:boiya- 投稿日:2003年05月13日(火)22時28分59秒
- 更新お疲れ様です。今日はじめて読みました。
とてもいい小説ですね、なんか4人が本当の家族のように
見えました(てか、この小説では家族かw)
次の更新もまってますのでがんばってください
- 59 名前:nene 投稿日:2003年05月17日(土)13時01分49秒
- >>58boiya-様
読んでくれてありがとうです!
そう言ってもらえると嬉しいです!家族ってどんな会話するっけ?と思い出しながら
必死で書いてるんで(w
- 60 名前:nene 投稿日:2003年05月17日(土)13時04分18秒
- なつみは悩んでいた。
しかしその内容はなつみの歳相応の愛だ恋だのの悩みではない。希美とあさ美の成績
について、今朝珍しく自分で起きたひとみについて、それから今夜の夕ご飯何にしよ
うか・・・?
「なっち眉間に皺よってる。」
親友の圭織に指摘されてなつみはハッとした。
「どうしたの?今日ずっとぼーっとしてるねぇ。」
「えっ!?そーかな??」
「何かあった?」
「ん〜・・・」
「どーせまた妹のコトでしょ?」
そう言われてなつみはムッとした。しかし彼女が悩むと言ったら、妹の事とか家の事
なのはほぼ間違いなかった。
- 61 名前:nene 投稿日:2003年05月17日(土)13時05分34秒
- 「それよりさぁー面白い噂聞いたんだ!」
なつみがムッとしていることなどお構いなしに圭織は話し続けた
「なんか、圭ちゃんが男と歩いてたんだってよ〜!!」
「えっ!?マジ?」
「圭ちゃん」とは2こ上で同じ高校・大学の先輩である。なつみと圭織のことを何か
と可愛がってくれ、最も頼りになる先輩だ。ひとみが受験の時頼んだ家庭教師も彼女
で、落ちこぼれのひとみを見事岡女に合格させてくれた。
「でもそれってさぁ同じ学部の人とかじゃないのー?」
「ん〜なんか大学の人じゃないっぽかったってよ?それにめっちゃイイ男だった
らしい・・・」
その時食堂のドアの方からウワサの圭ちゃんが現れた。
- 62 名前:nene 投稿日:2003年05月17日(土)13時06分46秒
- 「もしかしてもうランチ食べちゃった?」
「・・・」
「何よォ、私の顔に何か付いてる?」
圭織となつみは顔を見合わせた。そしてあの話題をどちらから切り出すか二人は
目配せした。
「・・・圭ちゃん彼氏出来たの?」
「ハァ!?」
「なんかぁうちの学部の子が圭ちゃんと男が表参道一緒に歩いての見たって子が
いてさ」
圭織はにやにや笑いながら、一部始終を話した。圭は少し考えて
「あ〜・・・あれね!やだな、違うよ。」
と軽く否定した。圭織とはまだ怪しんでいるようであったが、圭の様子からするとど
うやら違うようだ。
- 63 名前:nene 投稿日:2003年05月17日(土)13時09分04秒
- 「ねぇ圭ちゃんさーバイトする気ない?」
食事中、なつみは希美とあさ美のことを圭に相談した。
「なっちって本当お母さんみたいだよねぇ。」
圭織は笑ったが、圭は真剣に聞き、考えた後
「う〜ん・・・力になってあげたいんだけど、今3年ってレポートとか実習の準備
とかで超忙しいんだよねぇ・・・」
と申し訳なさそうに言った。
「そっかぁ・・・」
なつみは少し途方にくれた。圭のことを大分アテにしていたからだ。圭に頼めない
となると、誰か同じ学部の人、、、圭織は他にバイトしているからだめだし、どこ
かプロの業者に頼むとか・・・
「ねぇ、私の知り合いに頼むのどう?頭の良さと人格は私が保証するよ!」
色々思い巡らせていると圭が思い出したように言った。
「えっ!?本当?いいの?」
「うん。多分大丈夫だと思うよー。すぐ連絡取れるけど、本当にソイツでいい?」
- 64 名前:nene 投稿日:2003年05月17日(土)13時11分10秒
- 圭ちゃんの知り合いなら安心だ!と思いたい所だが、圭ちゃんの知り合いってたまに
変なのいるからなぁ・・・となつみが訝しむような目で圭を見ると
「だぁーいじょうぶだって!ちゃんとマトモだから!」
とそそくさと電話をかけ始めた。
「ねぇ圭ちゃんの友達って本当に大丈夫かなぁ?もしガイジンとか来たらどうする?」
圭織がイタズラっぽく言った。
「もぉ!こっちは真剣に悩んでんのに圭織はチャカしてばっかり!」
とは言ってみたもののなつみも少しだけ圭織と似たような事を考えていた。
二人がそんな会話をしている間にもどうやら商談は成立したようである。
- 65 名前:nene 投稿日:2003年05月17日(土)13時12分36秒
- 「―――んじゃ連絡させるから。うん。わかった〜ハーイじゃぁね。(ピッ)
オッケーだってよー!」
「・・・うん。ありがとう。それでさその・・・来てくれる人って誰なの?この大学
の人?」
「あー違う違う。さっき言ってた表参道一緒に歩いてたってヤツだよ。」
圭が意味ありげに微笑んだ。
「えっ!やっぱ彼氏なの!?」
圭織が尋ねると
「だから彼氏じゃないってば!実はさ〜私の弟なんだよねー高校生なんだけど・・・
イイ?」
- 66 名前:nene 投稿日:2003年05月17日(土)13時14分39秒
- 少し照れくさそうに圭が答えた。二人は彼女に弟がいる事なんて一言も聞いた事が
なかったのであっけにとられた。
「言ったことなかったっけ?ついでに言うと妹もいるんだよね〜」
圭はサラリと言ったが、二年程付き合っていて、程々に仲も良いハズなのだがなつみ
と圭織はまだまだ圭ちゃんのプライベートってナゾだとしみじみ思った。
「あっそーいやプリクラあるよ。見る?」
「見る!見たい!!」
バックから手帳を取り出し、開くとそこには圭と思いの他、美少年の男の子が写って
いた。
「うっわー似てないねぇ〜」
「どーいう意味よぉ!!・・・まっそんな事言われ慣れたけどさ」
圭は諦めたといった風にため息をつき「なかなかいい男でしょ♪」と付け加えた。
するといきなり圭織が
「あ―――!!この制服ってもしかしてあの成シス!?」
と叫んだ。成シスとは私立成徳フランシス高校の略でここいらでは有名な超難関・お
ぼっちゃん高である。
- 67 名前:nene 投稿日:2003年05月17日(土)13時24分38秒
- 「圭ちゃんにまさかこんな優秀な弟がいたとは・・・」
「あんたらさっきから本当失礼ねぇ〜!でもさこれで安心でしょなっち!」
まさかこんな優秀な家庭教師が見つかるとは・・・思っても見なかった事態になつみ
はしばしぼーぜんとした。
「うん本当ありがとう!でもお給料とか、あとできれば受験まで面倒見て貰いたいんだけど大丈夫かなぁ?」
「多分平気っしょ。まぁそういう話は本人とやってよ。アドと番号教えるからさ!」
圭はなつみに彼の連絡先を教えると
「あ〜次私授業だった!んじゃひとみによろしく言っといて!今度何か奢んなさいよ!」
と慌てて食堂を出て行った。
「圭ちゃんってなんかナゾだよねぇ」
圭織がボソっとつぶやき、なつみも全くその通りだと思った。
- 68 名前:nene 投稿日:2003年05月17日(土)13時25分26秒
- 更新終了です。
- 69 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月22日(木)15時42分51秒
- はじめて読みました
面白いですよ
更新乙です
- 70 名前:nene 投稿日:2003年05月24日(土)01時38分47秒
- >>69名無しさん様
はじめまして。感想ありがとうございます!
なんか自分で読み返すと大分ミスが・・・本当読みにづらくてすみません。
もっと精進します!
- 71 名前:nene 投稿日:2003年05月24日(土)01時42分34秒
- 「ぶぁーーくっしょん!!」
廊下に一際大きなくしゃみが響きわたった。すれ違う人が驚いてこっちを見て
いる。
「大丈夫?ひとみちゃん」
「ん、大丈夫。」
とは言ってみたものの、彼女の具合はあまり大丈夫といった様子ではなかった
顔は異様に赤いし、くしゃみはこれで13回目だ。恐らく昨日の夜のせいだろ
う。朝起きたら布団を全て希美に取られていたのだ。
「ののとはもう絶っ対一緒に寝ない・・・」
14回目のくしゃみをしながらひとみは心の中でそう誓った。しかしひとみの
具合の悪さの原因は寝冷えだけのせいではなかった。
- 72 名前:nene 投稿日:2003年05月24日(土)01時47分28秒
- 「それでね、ひとみちゃん昨日メールで文麿クンがぁ〜」
梨華は朝からこの調子である。
「文麿くんがどうした。」
「文麿くんがああ言った。」
梨華のことが大好きなひとみである。例え恋敵の話だろうが
「うん。・・・うん。」
と今まで黙って聞いていた。しかし普段しない我慢が祟ったのだろうか具合は
悪くなる一方である。
「ひとみちゃん今日本当に具合悪そう・・・保健室行った方がいいんじゃないの?」
梨華が心配そうな顔でひとみを覗き込んだ。ひとみは梨華から心配されて少し
いい気分になった。しかしこのまま梨華と一緒にいれば、本当に倒れてしまい
そうである。
「うん。そうするね。」
ひとみは梨華から逃れるように保健室へ向かった。
保健室に先生はおらず、ひとみは適当にベッドへ横になった。
- 73 名前:nene 投稿日:2003年05月24日(土)01時50分52秒
- 「ふぁ〜アッタマ痛ぇー・・・」
熱があるのだろうか、頭はズキズキと疼いてボーっとしている。
はっきりしない頭でひとみはひたすら梨華の事を考えていた。しかし今は前の
ように幸せな気持ちにはならない。それどころか考えれば考える程、胸が苦し
くなり目頭がカッと熱くなった。ひとみは好きな人に好きな人ができるなんて考
えてもみなかった。いや考えたくなかったのかもしれない。
「やめよっかな・・・」
――止める?何を?――
ひとみはふと浮かんだ考えに一瞬たじろいだ。果たして自分の気持ちを止め
る事など本当にできるだろうか?中学の時から思い続けてきた梨華ちゃん。
本当に好きで、好きで、、、
- 74 名前:nene 投稿日:2003年05月24日(土)01時52分08秒
- 「私やっぱり梨華ちゃんが好きだ・・・」
ひとみは素直にそして強くそう思った。
まだ自分の気持ちを彼女に伝えてさえいない。告白したところで可能性は0に
等しいがこのままではきっとずっと引きずるだろう。ちゃんと言ってキッパリ振ら
れてからだって諦めるのは遅くはないハズだ。
ひとみは今まで『親友』という心地良い居場所に甘えていた自分を奮い立たせた。
「ちゃんと片思いしよう。最高の片思いをしよう。」
――それは自分が梨華ちゃんを好きな証だから。
ひとみは心の中でそう決意した。
- 75 名前:nene 投稿日:2003年05月24日(土)01時57分28秒
- 更新終了です。
短くて申し訳。
近いうちにあげれるようにしますね。
- 76 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月31日(土)11時15分34秒
- 読みました
よっすぃ〜セツナイ・・・
- 77 名前:nene 投稿日:2003年06月01日(日)00時40分04秒
- >>名無しさん様
読んでくれてありがとうです!
よっすぃーにはもう少しセツナイ感じで
いってもらおうと思いますw
- 78 名前:nene 投稿日:2003年06月01日(日)00時41分53秒
- 「あっれ〜ひとみじゃん!何やってんの!?」
「あっ矢口さん。」
ドアが開いてひとみがそちらに目を向けるとバレー部のマネージャーである1
つ上の矢口真里が立っていた。
「何って・・・ちょっと具合悪くて」
「ふ〜ん、ってかアンタ昨日部活早退したでしょー?キャプテン怒ってたよ〜!
ズルかと思ったら本当に具合悪かったんだね〜!でもひとみも風邪引くんだね〜」
矢口はイタズラっぽく笑った。
「どーゆー意味っすか!!」
「んふふ。別にぃ〜でもひとみ本当に顔色悪いじゃん。熱測った?」
「いやまだ測ってないです。」
「んじゃ早く測りな!ホレッ!!」
矢口は手際よく体温計を取り出しひとみに渡した
- 79 名前:nene 投稿日:2003年06月01日(日)00時43分04秒
- 「なんか矢口さん慣れてますねー」
「まぁね〜。一応保健委員ですから」
矢口はひとみが熱を測っている間にテキパキと日誌を書いたり花瓶に水を挿
したりとチョコマカとよく動く。ひとみがその様子をボーっと眺めていると「ピピ
ッ」っと体温計が鳴った。ワキから取り出しみると「37.8゜」と表示されている。
「やっぱ熱あんじゃん。帰ったがいいんじゃない?」
矢口が近づいてきて体温計を覗き込んだ。
「そっ、そーですね。」
・・・ちょっと矢口さん近すぎません??
矢口が思わず顔を近づけてきたのでひとみは赤面した。
- 80 名前:nene 投稿日:2003年06月01日(日)00時44分40秒
- 「な〜に赤くなってんだよ?」
矢口がニヤニヤしながら更に顔を近づけてきた。
「べっ別に赤くなってなんか!!」
「んふふ。ひとみは可愛いな〜!」
そう言われてひとみは一層赤くなった。
「・・・もォからかわないでくださいよ。」
「ごめんごめん!じゃキャプテンには私が言っといてやるから、帰りな
ね!早く治せよー!ばいば〜い」
その時ひとみは自分の頬に柔らかいものが「プチュ」と触れるのを感じた。
――矢口さん今何しました?――
ひとみはが状況が飲み込めずボー然としているのを尻目に矢口は何事も無
かったかのように保健室を出て行った。
「もしかしてキスされた!?」
ようやくひとみは理解し、改めて赤面した。
「きっとまたからかわれたんだ・・・矢口さんってフランクなとこあるし、深い意味
は無いはず!」
そう思うことでひとみは必死に平静を保とうとした。そうしないとようやく落ち着
き始めた心と頭がまたパニックに陥りそうであった。
- 81 名前:nene 投稿日:2003年06月01日(日)00時47分12秒
- バスの中でひとみは軽い自己嫌悪を覚えていた。さっき「梨華ちゃん一筋」と決
めたはずなのに、うっかり矢口にどきどきしたりしている。
「私ってウワキモノなのかぁ〜?」
ひとみはため息をつき、そしてさっきの「ホッペにチュ」の相手が梨華だった
らどんなにいいかと考えた。
家に帰る間に具合はどんどん良くなっていった。今までのは梨華のことを考え
た末の“知恵熱”というヤツだったのかもしれない。
家に着くとすでに希美が帰ってきていた。
「あれぇ、ひとみちゃん早くない!?」
「早退してきた。あんたも帰ってくんの早くない?」
「ん〜今日カテイキョウシさん来るから早く帰ってきなさいってなつみちゃんか
らメールが来たの。」
「あぁもう見つかったんだー。やっぱ圭ちゃんが来んのかなぁ〜」
「わかんない。今日はなつみちゃんとセンセイがお話するんだって。」
希美の顔はこわばっていた。よっぽど緊張しているらしい。
- 82 名前:nene 投稿日:2003年06月01日(日)00時50分16秒
- 「あさ美は?あいつもカテキョすんだろ?」
「あさ美ちゃんはねぇ部活して帰るって。」
「あ〜あいつもガンコだからなァ」
あさ美は家庭教師に来て貰うことに納得していなかった。それで“無言の抵
抗”という手段に出たのだ。
「んじゃー私は寝るけど、勝手に起きるから起こさないでってなっちゃんに言っ
といて。」
「わかった。」
ひとみは自室に入り、制服を脱ぎ捨ててそのままベッドに横になった。心も
体もバテバテだったひとみはスグに深い眠りに落ちていった。
――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――
――――――――――――
- 83 名前:nene 投稿日:2003年06月01日(日)00時51分07秒
- 「・・・・ん」
目が覚めた時ひとみは今自分がドコにいて今何時なのか全く見当がつかなか
った。
「あっそっか寝てたんだっけ」
段々冴えてくる頭でひとみは枕元の携帯を弄った。デジタルの時計は「8:17」
と表示している。
「よっく寝たなぁ〜」
ふと耳をすますと下から笑い声が聞こえてくる。ひとみは起き上がり、そのまま
部屋を出た。
――ドスドスドス
いつもの調子で階段を降り、声のする方へと向かう。ひとみがキッチンへと入
ると、ひとみの寝ぼけたアタマは一気に覚めた。
- 84 名前:nene 投稿日:2003年06月01日(日)00時52分20秒
- 「―――ひっひとみちゃん!?」
なつみの相変わらず喧しい声がする。
「なんだよ、うるさいなぁ〜」
ひとみが顔を上げると、どこかで見た顔がテーブルに座っていた。
ん?どっかでみた顔・・・
ひとみは考えながらフト自分の格好に目をやった。
「〜〜〜ひとみちゃん何て格好してんのっ!?」
うわッ!?ヤッべ!忘れてたーーー!!
そう彼女は寝る時、制服を脱いだまま──つまりキャミソールにボクサーパン
ツで寝てそのまま、いつものように降りてきたのだ。
ひとみは慌てて再び二階へ上がった。
「さっきいたの、のの達の先生か?あれってまさか・・・でもあのロン毛・・・」
そんな偶然あるわけない。
ひとみは必死で浮かんだ考えを否定とした。ひとみはあの時バス停で見
たヤツの顔を思い出そうとしたが、なんだかピンボケ写真のようにはっきり
しない。
ひとみは下へ戻りたくなかった。きっとなつみは怒っているだろうし、みっとも
ない姿を他人に見られて純粋に恥ずかしかった。
「しょうがねぇ・・・」
ひとみは意を決して再びキッチンへ戻った。
- 85 名前:nene 投稿日:2003年06月01日(日)00時55分23秒
- 更新終了です。
- 86 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月03日(火)20時14分04秒
- なんかいいですね
やぐっちはよっすぃ〜のことが・・?
でもよっすぃ〜は梨華ちゃんなんだね
- 87 名前:読み逃げ 投稿日:2003年06月06日(金)17時03分07秒
- なんかいい感じかも
- 88 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月09日(月)17時01分36秒
- 更新マターリ期待してます
- 89 名前:nene 投稿日:2003年06月13日(金)20時51分12秒
- >>86名無しさん様
矢口は・・・どうなんでしょう?
これからに期待して下さい。
>>87読み逃げ様
逃げないで、これからもご愛読宜しくです!
>>88名無しさん様
更新遅くなってすみません。
期待にそえられるように頑張ります。
- 90 名前:nene 投稿日:2003年06月13日(金)20時52分30秒
- 階段からそーっと様子を見てみると、なつみがしきりに『先生』に謝っていた。
「本当にも〜ごめんなさいね!そそっかしい子で・・・」
なつみが影になってここからでは『先生』の顔は見えない。ひとみは腹をくくり、
中へと入った。
「あっ!」
『先生』が驚いたように声を上げる。
「梨華ちゃんの・・・友達の・・・!?」
「梨華ちゃんって、石川梨華ちゃん?知ってるの?」
「えぇ、幼なじみなんです。」
なつみと『先生』が「梨華ちゃん話」をしている間、ひとみは大きなタメ息をつき
ソファーへドカッと座った。
「嫌な予感的中」
ボソッとつぶやき、改めて彼の顔を見ると間違いなく梨華の好きな「文麿くん」
である。ひとみは泣きたくなった。毎週何度かこいつの顔を見なくてはならない
のか。会うたびに頭に血が昇りそうである。
- 91 名前:nene 投稿日:2003年06月13日(金)20時56分35秒
- どうにかしてクビにできないものか
希美もあさ美も家庭教師反対のハズである。3人でなつみを説得すれば何と
かなるかも・・・祈るような気持ちで2人の顔を見るが、希美もあさ美も文麿の
方を見ては頬を染め、梨華と似たような顔をしている。
「何だって女ってのは、この手の顔に弱いんだっ!!」
ひとみは心の中で叫んだ。
「それにしても驚いたな。世の中狭いなぁ〜」
文麿はひとみの気持ちをヨソにニコニコしている。
「それじゃ先生、来週から宜しくお願いしますね!ホラッのんもあさ美もお願い
しますって!」
二人がペコっと頭を下げる。どうやら話はまとまったようだ。
「こちらこそよろしくお願いします。」
文麿も軽く一礼し、「それじゃ、来週」と出て行った。
- 92 名前:nene 投稿日:2003年06月13日(金)20時59分07秒
- 「いい人そうでよかった〜!あの人ねナント圭ちゃんの弟なんだよ。似てない
と思わない?」
「ふ〜ん・・・」
ひとみがひたすら興味なさげなので、なつみは面白くなかった。
「何よぉ!もぉひとみちゃんは〜。あんたね今度から週に2度文麿君来るんだ
から、さっきみたいな格好で家ん中ウロウロしないでよ!お姉ちゃんさっき顔
から火ィでるかと思ったんだからね!」
「ウッルサイなぁー!分かってるよ。」
イライラした様子でひとみはキッチンを出て行った。
「何なのあの子は・・・のんもあさ美をヨカッタねぇよさそうな先生で♪」
ひとみの気持ちなど知る由もないなつみは、とりあえず良さそうな家庭教師が見つかり
ほっと胸をなでおろすのであった。
- 93 名前:nene 投稿日:2003年06月13日(金)21時01分49秒
- 「おはよ、ひとみちゃん。風邪は治った?」
考えごとをしていたひとみは急に声を掛けられてドキリとした。
「あっおっおはよ。今朝・・・ごめん。」
「朝練だったんでしょ?おつかれサマ♪」
朝陽より眩しい梨華の笑顔。
ひとみはその顔を真っ直ぐ見る事ができなかった。「朝練」など本当はなかっ
たのだ。
「あいつの事何ていおう。」
ひとみは梨華と顔を合わせたくなかった。文麿の事を黙っているのもおかしい、
しかし自分から文麿の話はしたくはなかった。それと昨日の矢口との事を思い
出すと何となく浮気した感があって気まずいのもある。
それでその日は一日梨華の事を避けていた。
- 94 名前:nene 投稿日:2003年06月13日(金)21時04分52秒
- キーンコーンカーンコーン
5時間目の始業のベルが鳴る。ひとみは学校の屋上にいた。教室に足が向か
なくて、屋上にサボりに来たのだ。
「なァにやってんだか・・・」
「なにがーーー?」
声がして驚いて顔を上げるとそこに立っていたのは矢口真里だった。
「何が″ナニヤッテンダカ″なの?」
「やっ矢口さん!?なっ、何で・・・」
「ん〜?ひとみがさぁもう昼休み終わるってのに屋上なんかに上がってくのが
見えたからさー。それより何サボってんだよ。」
矢口がいつものニヤニヤ笑いで尋ねた。
「べっ別にナンもないですよ。」
「何もないこたぁねーだろー。この矢口さんに話してみな!」
矢口が自分の胸をポンッと叩いた。実はひとみは誰かに話を聞いて欲しくてた
まらなかった。しかしこんな特殊な悩みを打ち明けられる程仲の良い人は思い
当たらないし、まさか家族に話すわけにはいかない。
- 95 名前:nene 投稿日:2003年06月13日(金)21時06分34秒
- 矢口さんなら恋愛経験豊富そうだし、このテの話にも理解があるかもしれない
ひとみはそう思い今までの経緯を話し始めた。
「ふぅん。それで最近ひとみ様子おかしかったのかー」
「おかしかったですか?」
「うん。でもまぁひとみが石川の事好きなのは気づいてたけどね〜。」
「えっ!?」
「だぁってさーあんたバレバレなんだもん。休憩ん時いつもテニスコートの方見
てるしさ。ひとみが石川を見る目ってまさに″恋する少年″ってカンジ。」
「″恋する少年″ですか・・・」
「んふふ、うん。」
矢口はおかしそうに笑った。人からそんな風に見られていたとは思ってもみな
くてひとみは赤くなった。
「そーんな好きな子がいるのに矢口とチューなんかしてひとみは浮気モンだな〜!」
「あっアレは矢口さんがっ・・・!!」
「石川が知ったらどう思うかなぁ〜」
「や、矢口さんっ!!」
「あはは、ジョーダンだよ!」
この人どこまで本気なんだ・・・
ひとみはこの人に話してよかったのかと軽く後悔を覚えたが、しかし不安を
吐露できたことで、幾分心が軽くなった。
- 96 名前:nene 投稿日:2003年06月13日(金)21時10分08秒
- 二人はそのまま話し込んで、あっという間に5時間目の終わりを告げるベルが
鳴った。
「あー5時間目結局サボっちゃたな〜。そろそろ帰ろっと。ホラお迎えも来て
るし、ひとみも次は出なよ!」
「えっ?迎え?」
屋上の入り口の方を見ると、そこには梨華が立っていた。
「じゃーね!」
矢口はそう言ってパタパタと出ていった。
「梨華ちゃん・・・」
「さっき授業出てなかったから。又具合悪くなったのかと思ったけど・・・別に私
が心配しなくてもよかったみたいね。」
梨華の眉は八の字に曲がり、口調も明らかに怒っている様子だ。
「あっ矢口さんとは偶然で、あの・・・」
「別に私に言い訳なんてしなくてもいいんじゃない?」
「梨華ちゃん・・・」
ひとみは何故梨華が怒っているのか理解できなかった。ひとみは何か言わな
ければと思ったが、結局お互い一言も喋らず、きまずい沈黙のまま教室へ戻った。
- 97 名前:nene 投稿日:2003年06月13日(金)21時11分03秒
- 更新終了です。
本当遅くなってすみませんでした。
- 98 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月17日(火)23時21分08秒
- 八の字眉キタ━━━(゚∀゚ )━(∀゚ )━(゚ )━( )━( ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━━━!!!!
- 99 名前:nene 投稿日:2003年06月22日(日)01時38分54秒
- >>98名無し読者様
八の字眉好きなんですか?w
- 100 名前:nene 投稿日:2003年06月22日(日)01時40分08秒
- 「嫌な言い方しちゃったな。」
6時間目、斜め前のひとみの後姿を見ながら梨華は激しく後悔していた。本当
はあんな言い方する気などなかったのだ。授業が終わって、梨華はひとみを
捜しに教室をでた。といっても屋上にいるだろうと大方予想はついていた。屋
上に行ってみるとそこにはひとみと、、、矢口の姿があった。二人は深刻そうに
話し込んでいて、梨華はなんだか声を掛けるのをためらわれた。
どうして親友の私には何にも話してくれないの?
昨日からひとみの様子がおかしいのは梨華もウスウス気づいていた。何か悩
みがあるのなら自分に話して欲しい。もしかして自分には言えないような内容
なのか・・・梨華は考えながら悲しくなった。
- 101 名前:nene 投稿日:2003年06月22日(日)01時42分55秒
- 梨華にはもう一つ気になっていることがあった。
“梨華ちゃんの友達の妹の家庭教師することになったよ!すごい偶然だよね”
昨日文麿から着たメール、その後も何度かやりとりしてそれがひとみである事
や顔を合わせた事を梨華は知った。
「ひとみちゃんどうして文麿くんの事言ってくれないんだろ」
朝から同じ教室にいるのだから話すチャンスはいくらでもある。別に隠す事で
もない。ならどうして・・・?
梨華はいいようのない不安に襲われた。
このまま一人で考えてもネガティブになるばっかりだよ。
梨華はひとみとちゃんと話したい、今までのように楽しい二人に戻りたいと
強く思った。
- 102 名前:nene 投稿日:2003年06月22日(日)01時44分59秒
- 「ひとみちゃん!」
放課後、梨華は思い切ってひとみに声を掛けた。
「あのさっきは、ごめんね」
「あっううん、全然気にしてないから」
「今から部活だよね?その前にちょっと話せないかな」
「えっ?」
梨華に促されるままひとみは人気のない話やすい場所へ移動した。
「ひとみちゃんさ最近どうしたの?」
梨華の真剣な眼差しにひとみは少し圧倒された。
「昨日も今日もずっと元気ないし、何か私の事避けてるし・・・何かあったの?」
「何って・・・」
- 103 名前:nene 投稿日:2003年06月22日(日)01時47分23秒
- ひとみは困った。“何か”の原因が梨華なのだから、それを話してしまうとそれ
はもう「好きだ」と言っているようなものである。
「別に何もないよ。」
「本当?」
「・・・ん」
梨華の瞳にはまだ少し疑いの色を孕んでいる。
「本当に悩みとかあったら話してね。力になれるかわからないけど、ひとみちゃ
ん元気ないみたいだから心配だよ。」
ひとみは梨華の気持ちが純粋に嬉しかった。
「あとさ文麿くん、ののちゃんとあさ美ちゃんの家庭教師する事になった
んでしょ?文麿くんから聞いたよ。」
「えっ?あっうんそう。」
ひとみはできるだけさりげなく答えた。まさか梨華が既に知っているとは思わ
なくてひとみは少々面くらった。
- 104 名前:nene 投稿日:2003年06月22日(日)01時49分44秒
- 「・・・いいなぁ」
梨華が独り言のように呟いた。
「ひとみちゃん毎週会えるんだよね、いいなぁー・・・」
キレイなキレイな梨華ちゃん―――
ひとみの大好きな梨華の横顔、文麿のことを話す時はその美しさに一層すご
みが増すようにみえた。ひとみは今まで我慢していたものがプツンと音をたて
て、切れたような気がした。
「・・・言えるわけないよ」
「えっ?」
「梨華ちゃんに話せるわけない」
「ひとみちゃん?」
「文麿のことが好きな梨華ちゃんに私の悩みなんて言えるわけないだろ!?」
「それって・・・」
梨華が困ったような、何とも言えない顔をしている。ひとみはいたたまれなくて
その場を逃げ出した。
「ひとみちゃん!」
梨華が後ろで呼ぶのが聞こえたけれどひとみは構わず走った。
- 105 名前:nene 投稿日:2003年07月05日(土)22時03分21秒
- 「何であんな事言ったんだろう・・・」
一応部活に出てみたものの、ひとみの頭の中はさっきのやりとりでいっぱい
だった。梨華の困った顔が頭の中で何度もリピートされる。
「あんなの告ったようなモノじゃんか」
あんな形じゃなくてもっとちゃんと――
ひとみはやり切れなくて悔しくて、気を緩めると溢れる涙を我慢することだけを
ただ考えていた。
- 106 名前:nene 投稿日:2003年07月05日(土)22時04分28秒
- 「私には話せないって・・・どういうこと?」
梨華は困惑した。梨華の心に巣食ういいようのない不安がはっきりと形になっ
て現れるのを梨華は感じた。
「ひとみちゃんもしかして文麿くんのこと・・・」
ひとみが何故梨華に何を言えないのか、それは文麿を好きな自分にひとみが
気を使っているからなのでは・・・そう考えると全てピッタリ当てはまるように思
えた。しかしそうなると今まで通りひとみに接せられるかどうか梨華は自信がなかった。
―――親友のひとみと初恋の人文麿
友情と恋愛なんて選べないよ
いくら考えても答えなんて出るはずもなく、梨華は泣きたくなった。
- 107 名前:nene 投稿日:2003年07月05日(土)22時05分11秒
- その日以来二人は互いが互いを避けた。顔を合わせたところで二人共、、、特
にひとみは石のように固まり会話にならなかった。日が過ぎれば過ぎる程気ま
ずくなり、話せなくなってなっていった。ひとみは梨華のことを考えないように部
活に打ち込み、梨華から逃げていた。
それから二週間経ったが事態はちっとも良くならなかった。今まで仲が良かっ
たのがウソのように二人が一緒にいることはなくなった。
いつも一緒だった帰りのバス。隣をみても誰も居ない。
空を見上げると夕方の空に浮かぶおぼろげな月がひとみの目に滲んで見え
た。
「帰んなきゃ。」
ひとみが顔を向き直して歩き出すと後ろから軽快な足音が聞こえた。
- 108 名前:nene 投稿日:2003年07月05日(土)22時06分31秒
- もしかして・・・梨華ちゃん!?
期待を込めてひとみはおそるおそる後ろを振り返る。
しかし、期待は見事に、ハズレタ。
「こんばんは、今から君ん家に行く所なんだ!」
ひとみは脱力した。怒る気力さえなかった。
「随分遅い時間に帰るんだね。部活とかやってるの?」
「・・・バレー部だから」
今まで文麿は、安部家に4回程来ていた。ひとみはその間できるだけ文麿と鉢
合わないように部屋に閉じこもったり、遅く帰ったりしていた。しかし今同じ場所
へ帰るのだからまさかシカトするわけにはいかない。それに彼は可愛い妹達
の優秀な家庭教師なのだ。こないだなつみが嬉しそうに「のん昨日の小テスト
で初めて合格点もらったんだって!」と報告してきたのをひとみは忘れたわけ
ではなかった。
- 109 名前:nene 投稿日:2003年07月05日(土)22時07分28秒
- 単調な世間話が途切れる。しかし文麿は一向に構わない様子だ。
「あんたさぁ男のクセになんで髪なんか伸ばしてんの?」
沈黙に耐えかねたひとみは思わず口を開いた。予想以上に口調がキツくて自
分でも驚いた。
「んあ〜これねぇ、切ろうとすると姉と妹が泣くんだよねー。」
文麿は全く気にしていない様子で「あはは」と笑った。
「似合わない?」
文麿が邪気のない笑顔で問いかける。その笑顔と長く綺麗な髪は悔しい程
似合っていた。
- 110 名前:nene 投稿日:2003年07月05日(土)22時08分36秒
- 「・・・別に、そんなこと」
ひとみはモゴモゴと歯切れ悪く答える。
「君ん家の家族ってさ、なんか良いよね。」
文麿が思い出したように言った。
「・・・はぁ?」
「なつみさんは楽しいし、ののちゃんとあさ美ちゃんは素直で可愛いし、ウチの
姉や妹とは大違い。」
「別に・・・人ん家は良くみえるもんなんじゃないの」
「そーかなぁ、本当にうるさいんだようちの妹。甘えんぼでさぁベタベタくっつい
てくるし。」
口では煩わしそうに言うがその顔は可愛くて仕方ないといった感じだった。
- 111 名前:nene 投稿日:2003年07月05日(土)22時09分29秒
- ひとみも自分の家族を良く言われて満更面白くないわけではない。
「・・・圭ちゃんだって面白いと思うけど。」
「圭ちゃんはねぇ面白いっていうか、ちょっとヘンなんだよ。」
文麿は大真面目に答えた。
それきり特に会話が弾むことはなかったが、文麿は別段気にしないようなので
ひとみも何も話さなかった。
梨華ちゃんってコイツのどこがいいんだろ?なんかボーっとしてるし・・・
もっとスカした奴かと思っていた文麿が、随分マイペースで
「変な奴」
そう思った。
- 112 名前:nene 投稿日:2003年07月05日(土)22時11分07秒
- 更新終了です。
ちょっとスランプ気味でした;
やっと更新できてよかった!
- 113 名前:名無し 投稿日:2003年07月06日(日)01時24分17秒
- 更新お疲れ様です。
なかなか気になる展開を見せてますね。離れた二人がどう近づいていくのか、期待してます。
あ、気になるついでに。
あべさんは、安部でなくて安倍ですよ。
- 114 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月19日(土)13時44分16秒
- とっても楽しみにしてます☆
- 115 名前:nene 投稿日:2003年08月06日(水)05時30分45秒
- >>113
「安倍」さんですね;
すいません。誤字には気をつけなくては!
>>114
ありがとうございます。
テストでずっと更新できませんでしたけど、これからは夏休みなんで多分大丈夫
と思います。どーか見捨てないで下さいねw
- 116 名前:nene 投稿日:2003年08月06日(水)05時31分57秒
- その夜、文麿を含めた5人で夕食を食べた。今まで避けていたがひとみは、梨
華が一体文麿のドコが良いと思うのか観察してみようと思ったのだ。
なつみは授業を終えて戻ってきた3人の世話をカイガイシク焼いていた。
「文麿くんオムライス好き?今日もご飯食べて行ってね!」
「あっいつもすみません。本当気使わないで下さい。」
「いーのよぉ!ののもあさ美も喜ぶし。」
「じゃあ、手伝います。」
文麿は進んで食事の準備を手伝う。それにつられて普段何もしない希美も手伝い始めた。
「文麿くんが居ればののがおりこうさんで助かっちゃうな〜」
なつみがからかうと希美は恥ずかしそうに下を向いた。
- 117 名前:nene 投稿日:2003年08月06日(水)05時34分01秒
- 「これが恋する女ってヤツか」
いつもとは全然違う、「よそ行き」の希美を見てひとみは妙に感心した。
このオコチャマののをも虜にする文麿の魅力って何だろう?やはり顔だろうか?確かにカ
ッコイイけど・・・
こいつにあってわたしにないモノ
ひとみは思わず考え込んでしまった。
「・・・とみ、ひとみちゃん!」
「あっ、えっ!?」
「もう又人のハナシ聞いてない!!」
「あっごめん。」
「文麿君が帰るんだって、あんたその辺まで送って行ってあげなさい。」
「えっ!?なんで私が・・・」
「文麿くーんひとみが送っていくそうだからぁ〜」
なつみが既に玄関にいる文麿に話しかける。ひとみは有無を言わさず玄関まで押し出され
た。
- 118 名前:nene 投稿日:2003年08月06日(水)05時36分17秒
- 「そんな、一人で大丈夫ですから。」
「いいから、いいから!やっぱり一人だと危ないしね!」
なつみはよく訳のわからない理由でひとみと文麿を送り出した。その横を
「ののもついて行く〜。」
と希美までついてきた。
「のの、こないだのテスト頑張ってたな〜!」
「先生が言ってたとこが出たんだよーえへへ」
ひとみの一歩前を希美と文麿が歩き、二人は学校の事なんかを話していた。
ひとみはほんの少し文麿を観察してみて、分かった事がいくつかあった。そ
れは彼が「優しい」と言うことだった。いや、「優しい」と言うか「ナチュ
ラル」というべきかもしれない。文麿は相手がナチュラルでいられる空気を
醸し出しているのだ。少なくともひとみはそう思った。だから人見知りの希
美も懐くし、ひとみも相当憎たらしい相手のはずなのに文麿と居ると何故か
妙に落ち着くのだ。
- 119 名前:nene 投稿日:2003年08月06日(水)05時37分50秒
- もっと別の出会い方をしていたら仲良くなれたかもしれないな
ひとみは文麿の後ろ姿を見ながらボンヤリそんな事を考えた。しかし彼は実際、ひとみの
恋敵でそんな呑気な事を考えてはいられない。
だって私は梨華ちゃんが好きなんだから・・・
「もうこの辺でいいよ。ありがとう」
文麿が笑顔で振り返った。
「あっうん。」
「今日はさ、楽しかったよ。」
「えっ?」
「だってさ、僕が来る時いつも安倍さん居ないんだもん。嫌われてんのかと思ってた。」
文麿がオカシそうにクスクスと笑った。
「えっ、あっ、いや・・・」
避けていた事は事実なので、ひとみは狼狽した。
「それじゃののちゃん、ちゃんと宿題やっとくんだよ。」
「うん。ばいばい先生。」
- 120 名前:nene 投稿日:2003年08月06日(水)05時50分50秒
- 文麿はバス停まで駆けていって、丁度来たバスに乗った。
「ナンカちょっと負けてる気がする。」
「何がぁ?」
希美がキョトンとした顔が聞き返した。
「ねぇのの、私と文麿ドッチ好き?」
「えぇ〜先生に決まってるじゃん!だって先生優しいもん!!ひとみちゃんのぉの事
すぐからかうもん!」
「はぁ・・・だよねぇ、やっぱ優しくないとねぇ、、、」
ひとみは大げさにため息をついた。希美はてっきりひとみがやり返してくるも
のだと思っていたから、すっかり拍子抜けしてしまった。
「ねぇひとみちゃんどうしたの?お腹痛いの?」
希美の心配そうな声も最早ひとみには届いていなかった。彼女の頭の中は今まで
梨華に対してやってきた、数々のイタズラやからかいをひたすら悔やむ事しか
なかった。
- 121 名前:OGAフリーク 投稿日:2003年08月08日(金)13時13分13秒
- お久しぶりです。
お待ちしてましたよ。
いしよしよりもよしごまが気になりだしてきた・・・・
ゆっくりでいいんで続き期待してます
- 122 名前:nene 投稿日:2003年08月10日(日)18時51分28秒
- >>121OGAフリーク様
>お待ちしてましたよ
恐縮です;
いつも更新遅くてすみません。本当は週2位でアゲテいけたらいいんですけど
ね・・・。精進します!
- 123 名前:nene 投稿日:2003年08月10日(日)18時54分14秒
- チャーラララチャララララ♪
家に帰ると、リビングの方から聞き覚えのある着信音がけたましく鳴っていた。
この「桃片」の着メロは・・・
「梨華ちゃんだ!!!」
慌ててケータイを取り上げ、画面をみると『メール 1件』と表示されていた。
なんて内容だろう。
久々の梨華からのメールである
「よしっ。」
ひとみは意を決して中を開いた。
『こんばんは。起きてる?あのずっとひとみちゃんに聞きたい事があって、で
も学校じゃ聞きづらいからメールで聞くね。あのさもしかしてひとみちゃん文麿
くんのことで悩んでるのか?もし私に遠慮とかしてるんだったら全然気にしな
いでいいから・・・私も文麿くんが好きだけど、やっぱりひとみちゃんともずっと
友達でいたいの。』
- 124 名前:nene 投稿日:2003年08月10日(日)18時55分40秒
- ・・・私が文麿の事で・・悩んでる?梨華ちゃんに遠慮??
「あはっ」
ひとみは思わず吹き出してしまった。
何考えてんだよ、梨華ちゃん。
ひとみは最初、梨華の勘違いぶりがおかしかったが、次第に空しい気持ちに
なっていった。ひとみはあからさまではないがそれなりに梨華にアピールして
きたつもりだった。しかし、その半分以下も梨華に伝わっていなかったのだ。
「『ずっと友達で』、か・・・」
梨華の自分を思う気持ちは嬉しいが、それはひとみが求めるモノとは少し違
う。ひとみは、梨華への気持ちが叶う可能性の低さを改めて知らされ、とても
返事を返す気にはならなかった。
- 125 名前:nene 投稿日:2003年08月10日(日)18時56分37秒
- 初夏の風は湿っぽい熱気をはらんでいて、ひとみの頬を心地良くなでた。
「あーぁ、片思いはやっぱツレェわ・・・」
ひとみはもう1時間目から、ここにいる。学校に来たものの梨華の顔を見るの
が嫌で、カバンごとここへ来てしまった。既にもう部活が始まる時間帯である。
部活位出とこうか、でも体育館からはテニスコートが丸見えだからなぁ・・・
ひとみがどうしようか迷っていると、背後から威勢のいい声が聞こえた。
- 126 名前:nene 投稿日:2003年08月10日(日)18時57分28秒
- 「こらぁー、この不良娘。!!」
ひとみが驚いて振り向くとそこには、矢口が立っていた。
「やっ矢口さん!?なんでここに・・・」
「石川はオマエは休みだっていうし、靴箱にはおまえの靴があるし、そしたら
もうここしかないかな〜って勘のいい矢口さんはピーンときたワケよ。それより
おまえ授業はサボってもいいけど、いるなら部活くらい出ろよなー。っていうか
何で又サボってんだよ?石川心配してたぞ!」
ひとみはいきなり矢口が喋りまくるのでその勢いに圧倒された。
「り、梨華ちゃんなんて心配させときゃいいんですよ。」
「はぁ?またナンカあったの?」
いきなり確信をつかれてひとみは、言葉に詰まった。
- 127 名前:nene 投稿日:2003年08月10日(日)18時58分45秒
- 「また石川の事で悩んでんの?」
矢口の聞き方がそれまでの勢いと違ってあんまり優しかったからひとみは少し
泣きそうになった。
「・・・矢口さん、、、気持ちって上手く伝わらないですね。」
「えっ?」
「全然、梨華ちゃんに伝わんないです。私がどれだけ好きでも・・・」
ひとみは言いながら自分が泣くかと思った。しかし、驚いたことに泣いたのは
ひとみではなく矢口だった。
- 128 名前:nene 投稿日:2003年08月10日(日)19時00分49秒
- 「やっ矢口さ!?なんで泣い・・・」
「そんな顔すんなよ!!」
「えっ?」
「ひとみはそんな顔すんなよ!そんな顔させる石川なんてすきになるのやめな
よ、矢口のこと・・・矢口のこと好きになれぇ」
矢口の涙にあっけにとられていたひとみは、その意味が最初よく理解できなか
った。
「矢口さん、それって・・・」
ひとみが言い終わらないうちに矢口はすごい勢いで、下へ降りていってしまっ
た。ひとみは梨華のことや矢口のことでグチャグチャになった頭でただその場
にたちすくむしかなっかた。
- 129 名前:nene 投稿日:2003年08月10日(日)19時10分15秒
- >>123×あのさもしかしてひとみちゃん文麿くんのことで悩んでるのか?
〇あのさもしかしてひとみちゃん文麿くんのことで悩んでるの?
の間違いです。梨華ちゃんがちょっと男前になってシマッタ(´д`;
- 130 名前:114の名無しです 投稿日:2003年08月12日(火)01時21分26秒
- 更新、御疲れ様です。矢口さんとのその展開ですか〜
先が非常に楽しみですね。暑いですが頑張って更新して下さい♪
- 131 名前:nene 投稿日:2003年08月15日(金)05時48分04秒
- どれくらい立ちつくしていたにだろうか、ひとみが学校を出た時は既に陽は傾
いていた。矢口が出て行ったあとしばらくしてメールが来た。その内容は『自分
が言った事は気にしなくていいから』とか『矢口はひとみの味方だよ』とかそん
な内容だったような気がするが、ひとみはよく覚えていなかった。
「矢口さんにひどいことをした。」
ひとみは自分を責めていた。知らなかったとはいえきっと自分の恋愛相談を受
けるのは矢口にとってつらかった筈である。ひとみは自分の無神経さに腹が
立った。
- 132 名前:nene 投稿日:2003年08月15日(金)05時49分15秒
- 学校を出たもののそのまま家に帰る気になれず街へ出て、一人あてもなくフ
ラフラとあるいた。そのうち疲れて、ベンチに座りただボーっと人の流れを眺め
た。何も考えたくなかった。
―――――――――――――
―――――――――――
―――――――――
「安倍さん?どうしたのこんな所で?」
急に話しかけられてひとみは驚いた。浅く眠っていたところを無理矢理起こ
されたのに近い感覚だった。
「顔、真っ青だよ、大丈夫?立てる?」
顔を上げるとそこに居たのは文麿だった。
どうしてこんなとこにこいつが・・・?
ひとみは何か言いかけたがそれは言葉にはならず、嗚咽として口から零れた。
「具合悪いの?」
「・・・大丈夫。」
- 133 名前:nene 投稿日:2003年08月15日(金)05時50分11秒
- 文麿は心配そうな顔でこちらを見ている。ひとみはなんだか自分の弱みを見ら
れているようで急に恥ずかしくなった。
「大丈夫だったら!!」
勢いよく立ったはいいが、その反動でひとみはよろけた。
「・・・ねぇ、ケーキ好き?」
ひとみを支えながら文麿が唐突に尋ねた。
「はぁ?」
「この辺でケーキが美味しい店があるんだ。男一人じゃ入りにくいんだよねぇ。
一緒に入ってよ!奢るからさ♪」
文麿はひとみに有無を言わせず少し強引にケーキ屋まで引っ張っていった。
ひとみが完全に覚醒した頃には、向かいの席には文麿が居て目の前にはケ
ーキと紅茶が美味しそうに並んでいた。
- 134 名前:nene 投稿日:2003年08月15日(金)05時51分03秒
- 「私なんでこいつとチャー飲んでんだろ・・・」
ひとみは紅茶をすすりながら、今日一日のことを整理することにした。
ええーっと梨華ちゃんと顔合わせたくなくて、屋上にいたんだよな?そしたら矢
口さんが来て、、、あぁ告られたんだった。
ひとみはそこまで思い出して再びガクッと落ち込んだ。ついでに梨華と非常に
気まずい状態にあることも思い出してひとみは更に落ち込んだ。ふと向かいを
みると、文麿は美味しそうにケーキをほうばっていて、それがお門違いだと分
かっていてもひとみは無性に腹が立った。
「あんたはいいよな!悩みなんかなさそうで。」
ひとみが吐き捨てるように言った。文麿は少し驚いた顔をしたが、しばらくして
「何があったの?」
と穏やかな調子で聞いた。
- 135 名前:nene 投稿日:2003年08月15日(金)05時52分22秒
- 「何もかもありまくりだよ!!矢口さんはいきなり告ってくるし、梨華ちゃんとは
ずっと気まずいし・・・もう学校なんか行けない。・・・自分にすげぇ腹立つ。」
ひとみは勢いよく怒りに任せて喋った。
一息ついてひとみは
「もし、何とも思ってない、仲いい人から急に告られたら文麿はどうする?」
とおずおず尋ねた。
文麿は眉に皺を寄せて真剣に考えた後
「う〜ん。僕だったら・・・どうするかな、何とも思ってないんだよね?うん、じゃ
あやっぱり断るよ。友達としかみれないって言うかな。それで気まずいけど、
向こうに気持たせるのも悪いしね、はっきり言うと思う。」
「うん、そうだよね。うん。」
矢口さんには後でさっきの返事を送ろう。向こうは自分の気持ち知ってるけど
ちゃんと断ろう、とひとみは考えた。
- 136 名前:nene 投稿日:2003年08月15日(金)05時53分23秒
- 「・・・梨華ちゃんと喧嘩してるの?」
今度は文麿が聞く番だった。
「えっ!?何で知って・・・」
ひとみは言いかけて、さっき自分が勢いに任せて口走ったことを思い出した。
「・・・あぁうんまぁ、喧嘩っていうか」
ひとみは口ごもった。文麿はひとみの雰囲気を察してか、それ以上無理に聞こ
うとはしなかった。
「ケーキ食べなよ。美味しいから。」
「うん。」
ひとみがケーキを食べ始めると文麿は窓の方を向いて、鼻歌なんか歌ってい
た。ひとみも段々落ち着いて、さっきまでのドロドロとした感情がケーキと一緒
に口の中で溶けてなくなってしまったかのように感じた。
- 137 名前:nene 投稿日:2003年08月15日(金)05時54分28秒
- 「・・・さっきはごめん。アレ、八つ当たりだ。」
ひとみは素直に謝った。文麿はこちらを向きなおし、全然気にしてないという感
じで「あはっ」っと笑った。
「僕ね、圭ちゃんで八つ当たりとか愚痴とか慣れてるんだー。たまに亜依も・・・
って妹なんだけど、亜依も妹のくせに『このボケ』とか言われるし、うん気にしな
いで」
「圭ちゃん酒癖悪いもんね。」
「あぁ知ってる?たまにだといいんだけどね、こう毎晩だと疲れちゃうよ」
口では「疲れる」なんて言ってる割に文麿は楽しそうだった。文麿が笑うのでひ
とみもつられて笑った。
- 138 名前:nene 投稿日:2003年08月15日(金)05時55分19秒
- 「あっそうだ!」
文麿が思い出したように呟いた。
「ねぇ、こないだ近くに出来た水族館って知ってる?」
「あぁ、あのデカイとこ?」
「そう!そこねうちの父が開発に携わってて、それで入場券とか色々もらった
んだ。よかったら一緒に行かない?その梨華ちゃんも誘って。」
「えっ?梨華ちゃんも?」
文麿が笑顔で頷いた。
「それで、安倍さん梨華ちゃんのこと誘っといてくんないかな?」
「えっ?梨華ちゃんを・・・」
確かにそういう話題なら、気まずいながらも少しは話しかけやすいかもしれな
い。それにそのついでに誤解も解こうとひとみは考えた。
「うっうんそうする。ありがとう!」
さっきまで諸悪の根源のように思えていた文麿が、ほんの少し後光のさした天
使に見えた。
- 139 名前:nene 投稿日:2003年08月15日(金)06時00分21秒
- >>130 114の名無しです様
はい頑張ります!
楽しみだと言って貰えると嬉しいです。なんつーか書けば書くほど自分の
文章力の無さが悲しくなってきたりして・・・w
- 140 名前:毎度の名無し 投稿日:2003年08月16日(土)22時59分02秒
- 更新、御疲れ様です。
文麿君がよっすぃの天使?になるとは・・・予想外でしたwよっすぃ、やぐっつあん振るみたいですねぇ・・・
次回更新も楽しみにしてます。文章は全然読んでてヘンだとか思わないですよ☆
- 141 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月17日(日)00時14分09秒
- りか麿、よしやぐ、きぼ〜ん
ってか、やぐたんに救いを・・・。
- 142 名前:名無し読者 投稿日:2003年08月17日(日)23時32分54秒
- >>129の書き込み見て、なんか想像したら笑いが止まらなくなって
しまいました。
すごく期待してるのでがんばってください。
ってか自分は吉ヲタなのでいしよし、よしやぐ、よしごま、どれでも
きぼん!
- 143 名前:nene 投稿日:2003年08月21日(木)09時54分09秒
- >>140
自分でも予想外でしたw
>文章は全然読んでてヘンだとか思わないですよ☆
それを聞いて安心しました。
>>141
よしやぐは・・・多分ないと思います。
皆幸せになってくれるといいんですけどね。
>>142
ありがとうございます。
自分は基本吉ヲタのDDなのでなんとなくビジョンはあるんですけど
どう転ぶかまだ決めてません。ドウナルンダロ…(ボソ
これから1週間程家を空けることになりました。来週の日曜には必ず更新
します。本当マターリ更新でごめんなさい。ですが絶対放置しないのでこれから
もよろしくお願いします。
更新じゃないのでsage
- 144 名前:nene 投稿日:2003年08月31日(日)23時24分43秒
- 「あぁもうこんな時間だ、僕もう帰らなきゃ。」
「じゃあ僕明後日安倍さん家行くから、それまでに梨華ちゃん誘ってヒマな日
聞いておいてね」
言いながら文麿が立ち上がった。
「ちょっとまって!」
ひとみが文麿を呼び止めた。「んあ?」っと文麿がこちらを振り返る。
「・・・えっと、ここどこ?」
「ここは・・・成シス高前だけど、もしかして安倍さん無意識のうちにここまで来たの!?
岡女からここまで駅二つ分あるよね!?」
「うっうん、ちょっとボーっとしてて・・・」
文麿はぶはっと吹き出し、その場にうずくまって肩を揺らして笑っている。
「そんなに笑わなくても」
ひとみは参ったなといった感じで頭を掻いた。
「だって・・・くく、無意識で歩いてって、ありえなくない?んはははは」
文麿はひとしきり笑ったあと、ここから安倍家までの帰る道順を教え、帰って行
った。文麿が出た後、ひとみもさっきまでとはうってかわって少し軽い足取りで
家に向かった。
- 145 名前:nene 投稿日:2003年08月31日(日)23時26分16秒
- 「むぅ〜う・・・」
ひとみは腕を組み、暫く目をつぶって考え込んだ後チラッと目の前のケータイ
を一瞥した。
「よし、かけよう!」
ひとみは意を決してケータイに手をかける。ダイヤルする先は矢口である。
事故のような告白で、矢口は「気にしなくてもいい」と言った。しかし、一度
ちゃんと話したいとひとみは思った。今まで相談に乗ってくれたことに対して
お礼が言いたかった。本当は面と向かって話したほうがいいかもしれなかった
がそこまで勇気がでず、せめてメールではなく電話をかけようと思った。
- 146 名前:nene 投稿日:2003年08月31日(日)23時27分38秒
- トルルルルルル――――
「・・・もしもし」
予想外にすぐ矢口が電話に出たのでひとみは咄嗟に言葉が出てこなかった。
「・・・あのやぐ・・ちさん?ひとみです。」
「うん、オマエのことだから掛けてくるかなぁと思ってた。」
矢口は笑ったがそれはいつものキャピキャピとしたものではなくどこか寂しげ
であった。
「メール読んだだろ?ホント、矢口はひとみが石川好きなの知ってたし別にど
〜こ〜なろうなんて考えてなかったんだよ。ひとみが矢口のこと先輩としてしか
見てないこともわかってたしさ。・・・あは、なんで言っちゃたんだろうな〜」
矢口はわざとおどけて話してみせた。ひとみにも矢口がどこか無理しているの
が感じ取れ胸が締め付けられた。
- 147 名前:nene 投稿日:2003年08月31日(日)23時28分41秒
- 「矢口さんっ、あの私矢口さんに悩みとか色々聞いてもらえて本当に助かった
んです。矢口さんのお陰で、梨華ちゃんのことも誰にも言えなくて苦しかったけ
どちょっと楽になれたっていうか・・・なんて言っていいかわかんないけど、矢口
さんが自分のことで泣いてくれたのも嬉しかったし。あの、、、」
ひとみは少しでも、自分の感謝の気持ちが矢口に伝わればいいと思った。
「うん。ひとみがね、矢口を頼ってくれたの矢口も嬉しかったんだよ?これから
だってひとみは頼っていいんだからね。」
矢口が電話越しにまた少し泣いているのがわかったのでひとみは少し切なく
なった。
- 148 名前:nene 投稿日:2003年08月31日(日)23時29分50秒
- 「もォ、泣かないでくださいよぉ〜矢口さん」
「えへへ、ばっか泣いてねぇよ!」
少しだけ、また矢口らしい調子に戻ってひとみは安心した。
「電話くれて、ひとみとちゃんと話せて良かった。うん、やっぱり矢口はひとみを
好きになって良かった」
矢口があんまりあっさり「好き」というから、ひとみは恥ずかしいような面映い気
持ちになった。
「それじゃ、またなんかあったら相談しろよ?」
「はい。ありがとうございます」
そうして、ひとみは電話を切った。
- 149 名前:nene 投稿日:2003年08月31日(日)23時31分08秒
- 「ふぁぁぁ〜」
小さな安堵のため息をついて、ひとみはベッドに寝そべった。
上手く話せてたかなぁ、私・・・
矢口の笑顔が脳裏に浮かんでひとみは又少し切なくなった。
「うしっ、いつまでもウジウジしててもしょーがない!次は梨華ちゃんと仲直り
しなきゃな!!」
握りこぶしで勢いよくひとみは立ち上がった。だがその勢いのまま梨華に電話
を掛けることはできなかった。
「・・・やっぱメールにしようかな」
自分の意気地なし!
ひとみは自分の意気地の無さに腹が立ったが、何日もマトモに話していない
梨華に自分の言いたい事を伝えられるかひとみは自信がなかった。
それで、ひとみはごく簡単に用件だけを書いたメールを梨華に送った。
- 150 名前:nene 投稿日:2003年08月31日(日)23時32分23秒
- 更新終了です。
- 151 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月01日(月)22時08分25秒
- 更新お疲れ様です。続き頑張ってください。
- 152 名前:毎度の名無し 投稿日:2003年09月08日(月)18時10分07秒
- 更新お疲れ様です。水族館行く日は近そうですね?楽しみにしてます〜。
- 153 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/09/22(月) 15:44
- いいね
- 154 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/09/25(木) 23:17
- ほ
- 155 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/19(日) 23:25
- 楽しみにしてます
- 156 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/11/19(水) 17:27
- 保全
- 157 名前:匿名希望 投稿日:2003/11/20(木) 02:32
- 今日初めて読んだんですが、素晴らしかったです。
今後の展開期待してますよ♪
- 158 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/11/20(木) 09:18
- >>156
>>157
レスはsageでね
- 159 名前:nene 投稿日:2003/12/05(金) 22:07
- すんごく間が空いてしまって本当に申し訳ないです。
私なりに色々理由はあるんですがせっかく読んでくださってた読者さんに嫌な
思いさせてしまったと思います。ごめんなさい。
感想かいてくれたり保全してくれてたりしてた皆さんありがとう。
これから又頑張ります。
- 160 名前:nene 投稿日:2003/12/05(金) 22:09
- 「メールありがとう。嬉しかった。」
次の日の朝梨華がうつむき加減でひとみに話し掛けてきた。久々に
梨華に話し掛けられてひとみはとっさに言葉が出てこなかった。
「ひとみちゃんに嫌われたかと思っちゃった。」
照れたようにぎこちなく笑う梨華の笑顔にひとみの胸はキュっと
締めつけられた。
「嫌いになんてならないよ。」
ひとみはようやくそれだけ言った。
今まで梨華のことを避けていたのに、メールの返事さえ返さなかったのに、梨華は又こう
いして笑いかけてくれる。ひとみはそれだけで胸がいっぱいになった。
- 161 名前:nene 投稿日:2003/12/05(金) 22:11
- 「私の方こそごめん。」
「ううん。いいの。だってひとみちゃんが文麿くんのこと好きに
なるのに私に何か言う権利なんてないもの。」
「えっ?」
「だからねひとみちゃん私に遠慮なんてしな・・・」
「ちょぉ―――っと待った!梨華ちゃん!?」
「ん?」
「私文麿のことなんて好きじゃないし!それ梨華ちゃんの勘違いだって!!」
「・・・ウソ」
「嘘じゃない。遠慮とかじゃなくて、私ホンット―――に何も思ってないんだよ!!」
「そう・・・なの?」
「そう!」
「・・・そう、そっかそうなんだ。やだな、私ったら勘違い。」
ふと梨華の頭にある一つの疑問がもたげた。
“それじゃ、どうしてひとみちゃんは怒ったんだろう”
しかしそれ以上ひとみは考えないようにした。
せっかく仲直りしたのに又こじれたくなかったからだ。
「水族館楽しみだね。」
梨華はそう言って親友と仲直りしたことをただ素直に喜んだ。
- 162 名前:nene 投稿日:2003/12/05(金) 22:12
- 「そっか。良かったね。」
そう言って文麿はにっこり笑った。
「・・・うん。一応報告。」
ひとみはなんだか妙に恥ずかしくて文麿から視線をずらした。
「じゃあ今度の日曜は仲直りしたお祝いだね。」
「うん。」
「それじゃ、僕帰るね。ごちそうさまでした。」
「あっ、文麿!」
「んあ?」
「その、ありがとう。」
文麿は返事の代わりに、にっと笑って帰って行った。
ひとみにとって文麿に礼を言うなど不本意極まりないのだが、何と
いっても梨華との仲直りのきっかけをくれた張本人である。ちゃん
と正々堂々戦いたかったから妙な借りを作っておきたくはなかった。
- 163 名前:nene 投稿日:2003/12/05(金) 22:12
- 「な〜にがありがとうなのぉ?」
気がつくと後ろでにやにやしながらなつみが立っていた。
「なんでもねぇよ。うるさいなー」
「文麿くんイイコよね。お姉ちゃん文麿くんだったら何も言わないわよ。」
「はぁ?何が」
「何がって〜もう〜」
「あーうっさいうっさい。梨華ちゃんみたいな事言うな!」
ひとみは怒りながらドスドスと二階へ上がった。
- 164 名前:nene 投稿日:2003/12/05(金) 22:13
- なつみはその後姿を安堵の表情でみていた。最近ひとみはひどく元
気がなかった。悩みがあるのなら姉である自分に話してほしいのだ
が、無理に問い詰める訳にもいかずなつみはやきもきしていた。
しかし今夜は久しぶりにご飯をおかわりし、希美とふざけ、あさ美と
をからかって遊んでいた。
「何かいいことでもあったのかな?」
なつみは独り言のようにつぶやいてリビングへと戻った。
- 165 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/12/06(土) 09:41
- フカーツ!楽しみにしてるぞ!
- 166 名前:nene 投稿日:2003/12/12(金) 16:25
- >>165
ありがとうです!頑張ります。
- 167 名前:nene 投稿日:2003/12/12(金) 16:27
- 「続いてはお天気です。・・・今日は残念ながら雨模様となりそうです。傘を持ってお出か
け下さい。」
一人テレビをみながらひとみは小さく舌打ちした。
「雨かよ。」
幸い、今日出かける水族館は雨が降っても大丈夫な構造である。しかし
何となくさいさきさきの悪さを感じなくはなかった。
「おはよー珍しい〜ひとみちゃんが午前中に目覚ますなんて」
今しがた起きてきたなつみがひとみに声をかけた。
「出かけんの。」
少し機嫌の悪い声でひとみが返事をする。
「雨だよ?」
「知ってる。」
「誰とでかけんの?」
「誰でもいいじゃん。」
「あっ!お姉ちゃんに言えない相手なんだな!?ねぇデート?デート??」
「ちっが――う。リカチャンだよ。梨華ちゃん!」
- 168 名前:nene 投稿日:2003/12/12(金) 16:28
- 「あと先生もでしょ?」
いつのまに居たのかそこには目をこすりながら希美が立っていた。
「こないだ先生が言ってたもん。ひとみちゃんとりかちゃんと遊びに
行くって。」
嫌な予感がする
とっさにひとみはそう思った。
「・・・たい。」
「えっ?」
「ののも、ののも行きたぁぁぁぁい〜」
―――――――――――――――――――――
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―――――――――――
――――――――
- 169 名前:nene 投稿日:2003/12/12(金) 16:29
- 「おはよう。安倍さん・・・と希美ちゃん?」
「・・・ごめん着いてくってきかなくて。」
「僕は全然いいよ。大勢の方が楽しいし。」
希美が「勝った」とでも言いたげににっこりと笑う。
憎憎しげに希美に目をやるが、希美は満面の笑みで文麿にジャレついて
いる。
「ま、いっか。」
今日はめでたい日だし
今から梨華と遊べると思うとひとみは希美の一人や二人許してやるか
という気分になった。
約束の時間から5分。
「ごめん、遅くなって!」
と小走りで梨華がやってきた。その時ひとみは、かつてのような満ち
足りた気持ちになった。
- 170 名前:nene 投稿日:2003/12/12(金) 16:31
- 私って本当にバカなのかもしれない
水族館の広い通路を歩きながらひとみは考えていた。
新しい建物はどこもかしこも真新しくて、広い水槽にはキレイな魚が
泳いでいる。青い水の中をざわざわと群れをなして泳いでいるその様子
はまるで今のひとみの心の中を表しているようだった。
「ねぇみてッひとみちゃん!すっごいよこのさかな☆」
隣では希美がきゃあきゃあ言いながら水槽にへばりついている。
「ねぇ文麿くんこの魚おかしい〜!」
そしてその反対ではこれまたきゃあきゃあ言いながら梨華が文麿にへば
りついている。
- 171 名前:nene 投稿日:2003/12/12(金) 16:32
- “好き好きビーム〜気づいてほしいな〜”
ひとみはふとそんな歌があったなと思い出した。そして自嘲気味にふっと
笑った。
「ひとみちゃん?」
希美が様子のおかしいひとみをいぶかしげに見上げたが、すぐ目の前を
泳ぐカメに目を奪われた。
梨華と仲直りできたことが嬉しくてひとみはすっかり忘れていたのだ。梨華が文麿に恋しているということを。
四人で来ればこういう構図になるかもしれないということは、少し考え
れば容易に想像できたはずである。しかしひとみには他に考えるべきこと
が多すぎた。
「梨華ちゃん・・・」
どんなにすがるような目でみても梨華の視線は文麿に向いていてひとみ
には気付かない。
「ねぇ、ひとみちゃんもそう思わない?」
時折、ひとみに向けられる笑顔。
この笑顔を文麿が独り占めしていると思うとひとみは心穏やかに魚を眺め
ることなんて出来なかった。
- 172 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/13(火) 22:34
- 更新期待保全
ずっとROMってました
- 173 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/22(木) 22:51
- 文麿にヤキモチのよっすぃー、
これからの展開が気になります!!
作者さん、頑張って下さい。
- 174 名前:太平 洋 投稿日:2004/01/23(金) 02:37
- 今日、初めて読みました。みんなの心の動きが見えて、ほのぼのと、また切なく思えてきます。あさ美は最初はA.麻美ちゃんのことかと、良く考えたらK.あさ美だったんですね。今は、梨華ちゃんがいつ気付くのか、また、やぐっつぁんは今後も絡むのか、またOBの中沢裕子も登場、その他のメンバーは?って欲張りすぎですよね。何はともあれ今後の展開を楽しみにしてます。作者は女性ですか?もしも男性ならよく女性の心理がわかってると思います。
- 175 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/25(水) 21:40
- >>174
とりあえずお前氏ね
- 176 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/06(土) 17:33
- 保全
- 177 名前:名無し 投稿日:2004/05/18(火) 19:23
- 更新いつまでも待ちます
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