inconstant
- 1 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月24日(土)02時52分26秒
- 短編を書いていきたいと思います。
更新は不定期で細々としたものになると思いますが、
よろしくお願いします。
CP・設定などはタイトル通り、確たるものはなく
いろいろなものになると思います。
- 2 名前:一つ目。 投稿日:2003年05月24日(土)02時54分13秒
- 歯が痛い。
歯が痛い。
最近、右の奥歯がズキズキする。
- 3 名前:一つ目。 投稿日:2003年05月24日(土)02時56分00秒
「マサオぉ、あんまし食べてないねぇ」
プレートの上に並んだ昼食のおかずを見つめて少しボーっとしていた私に、
向かい側に座って昼食をとっていたむらっちが話しかける。
「あー、うん、ちょっと歯痛くてさ」
「お箸進んでなかったから、どしたのかと思ってね。歯医者行った?」
「んー、まだ行ってない」
「でも食べなきゃ栄養つかないよぉ」
それはわかってる。わかってるんだけどね。
でもやっぱり痛いし食欲無いんだよ。だから今は食べたくないの。
なんてしばらくダダをこねてたら。
- 4 名前:一つ目。 投稿日:2003年05月24日(土)02時57分15秒
「ほれ。マサオ。あー」
「あーって。何やってんの、ムラタさん」
むらっちが、じゃがいもをはさんだお箸をこっちに向けている。
後に彼女いわく、ダダをこねる私が「子供みたいでかわいー」かったらしく。
「ほれ、あー。お食べ?」
「いや、自分で食べれるからー」
「いーからいーから。あーん」
「ホント、いいって!恥ずかしいし。自分で食べるからっ」
「ほれぇ。あー」
恥ずかしがっている雅恵の制止を聞かず、むらっちが箸を引っ込める気配はなさそうである。
どうやら私が食べるまで箸は引っ込めないようだ。
「あー」
「あーわかったよ!わかったから!食べればいいんでしょ?」
やっとめぐみが差し出していたじゃがいもにパクついた。
お箸を口にした私をみて、にっこりと笑うめぐみ。
- 5 名前:一つ目。 投稿日:2003年05月24日(土)02時58分28秒
- 「おーぅ、よく食べられましたー。じゃ、もいっちょね。」
「え、ちょっ、まだやんの?!」
…結局全部食べられた、というよりも食べさせられた。
「ちょっとは気分変わってよかったっしょ?」
そういわれれば、確かに歯痛いの忘れてた、気がする。
「歯医者行くまでむらっちが食べさしてあげるよぉー」
…それはちょっとウレシイかも。…恥ずかしいけど。
- 6 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月24日(土)03時04分39秒
- 一つ目はなんとなくむらまさで。
早速間違いに気づいてしまいましたが、
こんな感じで進めていきたいと思います。
誤字・脱字・名前の呼び間違いなども多いと思いますが、
よろしければお付き合いください。
- 7 名前:とあるオフの日 投稿日:2003年05月25日(日)02時40分10秒
- たまにテーブルを中指でコツコツ打ち付ける音や時計の針の動く音。
静か過ぎる小さな部屋では、ささいな音すら大きく感じさせる。
もうどの位このような空気の中で過ごしているのか。
実際はそんなに長くはない時間なのだが、
いる者にとっては非常に長く感じさせる空気が支配する。
「……ねぇ。ひとみん?」
しばらくの静けさを打ち破ったのは雅恵の一言だった。
- 8 名前:とあるオフの日 投稿日:2003年05月25日(日)02時42分08秒
- 「ごめんってば。本当にスミマセン」
「……」
「ほんとごめんってー」
「……」
- 9 名前:とあるオフの日 投稿日:2003年05月25日(日)02時44分20秒
- 久しぶりの外での待ち合わせだったのに。
時間を過ぎても現れない、電話をかけても取らない。
今までそんなことなかっただけに、何かあったんじゃないかと心配になって。
しばらく待ってみてから彼女のマンションへ向かった。ケータイを握りながら。
雅恵のマンションに到着して、瞳はもらっていた鍵で扉を開ける。
扉を開いて遠慮がちに部屋に入っていくと、そこで普通にベッドで爆睡している雅恵を発見。
ほっとしたものの、やはり腹立たしさは押さえられなくて。
寝ている雅恵を無理矢理起こして事情聴取開始。
どうやら昨日友達と飲みに行っていたという所まではわかり、
そして現在のこの状況に至っている。
- 10 名前:とあるオフの日 投稿日:2003年05月25日(日)02時46分07秒
- 「…なんかね、パッパッって話進んじゃってさ、一人だけ断るのも悪いかなぁーって…」
…やっぱりヘタレ、なんて心の中で毒吐きながら、
瞳はテーブルを挟んで座っている雅恵の話を黙って聞いている。
「…それで?」
「結局次のお店に移る時も断れなくて…飲みすぎちゃった、アハ。……ゴメン」
笑って誤魔化そうとしても、今回はそうはいかないようで。
瞳から目線をそらす雅恵。
- 11 名前:とあるオフの日 投稿日:2003年05月25日(日)02時47分19秒
- 少しの空白の後、瞳が急にすっと立ち上がる。
急に立ち上がられたことに、雅恵は少しビクッとする。
「…とりあえず、水飲みなよ」
「…ん、ありがと…。」
勝手知ったるキッチンの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、瞳は雅恵に手渡した。
そして先程まで座っていた椅子に腰掛け直し、水を飲み始めた雅恵を見ている。
- 12 名前:とあるオフの日 投稿日:2003年05月25日(日)02時49分32秒
- 「ひとみん、ほんとごめんね…今からどっか行く??」
水を飲み終えしばらくしてから、しおらしく謝る雅恵。
…そんな風に謝られたら。許さないわけにはいかないでしょ?
怒っていたというよりも。心配の方が強かったんだけど。でもやっぱり怒ってて。
水を大人しくクピクピ飲んでいるマサオを見ていると、やっぱり好きだし、どこか憎めない。
そんなマサオを見てると、さっきまでの自分の中のいろんな感情がすーっと無くなっていく様に感じる。
「……もぅ、仕方ないなぁ。もう今日は家でゆっくりしとこ?」
こんな風にすぐに許してしまう私の方がヘタレなのかも。
もう笑って返事してるし…。マサオには甘いよね、アタシ。
- 13 名前:とあるオフの日 投稿日:2003年05月25日(日)02時50分55秒
- 「どーする??今日これから」
「んぅ、アタシ、もちょっとゴロゴロしたいんだけどー」
「えぇー、まだ寝るつもりなの??」
って、ミネラルウォーターを冷蔵庫に戻しに行った足でもうベッドまで移動し始めてるじゃない。
「ひとみんと一緒にゴロゴロする」
「ナニそれ、もう決定?」
「うん、決定。ひとみん、おいで??」
…やっぱりマサオには甘いわアタシ。
ていうか、そんなこと言われて断れるはずないし。断らないし、絶対。
- 14 名前:とあるオフの日 投稿日:2003年05月25日(日)02時53分05秒
- ベッドのマサオの横にアタシも一緒に横になる。
そしたらゆっくり抱きしめられた。
「今日はほんとゴメン」
仰向けだった体をマサオの方に向けてアタシも抱きしめ返す。
「お酒弱いんだからもう。飲みすぎちゃダメだからね?」
「うんー。気ぃ付ける…」
ホントに気つけてよ?なんて笑いながら
抱きしめ返した腕に少しだけ力を込めたら
マサオも笑ってギュって返してくれた。
そんなこんなでダラダラ過ごすオフの一日。
こんなのもたまにはいいよね。
オワリ。
- 15 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月25日(日)02時59分14秒
- 更新しました。
大谷さんと斉藤さん。
またメロン。
最近メロンづいているので。
- 16 名前:名無し読者 投稿日:2003年05月25日(日)17時48分54秒
- ふと覗いたらメロン
これには大感動!
でも、何となくメロン内のカップルって考えられないっす。w
自分としては斉藤・柴田希望。
- 17 名前:名無しさん 投稿日:2003年05月25日(日)18時43分59秒
- 斉大信仰者兼ちゃちい斉大書きとしては夢のようですー。
期待してますーw
- 18 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月27日(火)01時28分30秒
- まずはお礼を。感想、本当にありがとうございます。
>16 名無し読者さま
レス1番乗りありがとうございます。
ふと覗いていただいて、そしてレスまで…
感謝。
メロンカップリング、ダメですか?!
慣れて下さい是非とも。
斉藤さんと柴田さん、この組み合わせは全然考えてなかったのですが。
ちょっと面白そうなニオイがします。
その方向もありかな、いや、ありです。ちょっと考えてみます。
>17 名無しさん(さま)
どうもありがとうございます。
多謝。
斉大いいですよねぇ、ホントに。
また挑戦したいと思っています。
斉大好きとかいいながら、めぐまさとか書いてしまう私。
こんな私でも信者になれますかね…
斉大書かれているとは!(ニヤリ
どこで書かれているのでしょうか。こっそり教えてください。
- 19 名前:公園デート。 投稿日:2003年05月27日(火)01時30分47秒
- 仕事が終わったのが夜の8時頃だったので
そのままメンバーで御飯を食べに行った。
食事が終わってお店を出てから少し広い通りまで皆で歩く。
梅雨前のこの時期、昼間は随分暑くなってきたとはいえ
夜の風はまだヒンヤリしていて少しばかり寒さを誘う。
- 20 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月27日(火)01時31分52秒
- 「まぁあとは若いお二人で、ねぇ斉藤さん」
どこかのドラマのような口ぶりでめぐちゃんが言う。
「オホホ、そうですわねぇ村田さん」
そしてそれにノるひとみん。
この後に、私がマサオの家に行くことを知った二人は
なんだかよくわからない掛け合いをしながら私達を温かくからかう。
別にいつも行ってるわけじゃないもん。
今日はたまたま約束してたんだもん。
なんてことを言おうと思ったが、また何か言われるだろうから黙っておいた。
マサオの方を見ると、目が合った。
彼女は、やれまたか、ってな顔をして肩をすくめて笑っていた。
少し歩いたところでその二人とは別れ、私達はマサオの家へと向った。
- 21 名前:公園デート。 投稿日:2003年05月27日(火)01時33分15秒
- マサオの家の近くにあるコンビニで少し買い物をしてから
二人で手を繋いでいつもの道を歩く。
繋いでいない方の手にはコンビニの袋をぶら下げて。
マサオの家まではもうすぐだ。
そこの角にある公園から二筋先を右に曲がった所。
いつもは通り過ぎるその公園に差し掛かった時、ふとマサオの提案が。
「ねぇあゆみん、公園寄っていかない?」
別に急いで部屋に着きたいわけでもないしその提案に賛成する。
今日家を出てこの公園の前を通った時、遊んでいる子供がとても楽しそうで、
見ているうちに自分も遊びたくなったらしい。
- 22 名前:公園デート。 投稿日:2003年05月27日(火)01時34分22秒
- 公園に入る。
昼間は子供達でにぎやかな公園も今は私達の他には誰もおらず
昼間の顔とはまた違った面を見せている。
そんな静かな公園で、年ガラもなくはしゃぐオトナが一人。
「あゆみんもブランコ乗ろー!」
公園に入るなりマサオは、ベンチに荷物を置いて先にブランコへと走っていった。
私もそんなマサオの後をゆっくりと追う。
本当に楽しそうにブランコを漕いでいる彼女を見ていると、
私もどこか楽しい気持ちになってくる。
「あゆみーん早くー」
「はいはい、わかったよー」
マサオの隣のブランコに腰掛けて、ブランコを揺らし始める。
ブランコとかで遊ぶのいつ振りだろう?
そんなに昔のことではないはずなのにやたら懐かしく感じてしまう。
そんなことを考え「楽しいね」なんて言いながら
しばらくブランコを漕ぐ。
- 23 名前:公園デート。 投稿日:2003年05月27日(火)01時35分40秒
- そういえば小さい頃、ブランコでよく二人乗りをして遊んでいたことを
思い出し、彼女を二人乗りに誘ってみる。
「マサオー、二人乗りしようよ」
「うん、いいよ」
まだブランコを漕いでいた彼女はすぐに了承して、
速度を落としてから降りて私の方へと来てくれた。
私はブランコに腰掛けたままだったので
そのままマサオが私の後ろに立ってブランコを漕ぎ始めた。
二人乗りって結構難しくて、一人の時のようになかなか勢いもついてくれない。
「ほら!ちゃんと漕ぐー!!」
「うわ、これでもがんばってんのにぃ」
なんてことを言いながら笑い合って、しばらく二人乗りを楽しんだ後、
私達はベンチに腰掛けて少し休憩した。
- 24 名前:公園デート。 投稿日:2003年05月27日(火)01時37分25秒
- 「もうすぐ夏だねー」
マサオがコンビニで買っていたジュースを飲んで
雲のない夜空を見ながらそう話し始めた。
「そうだねぇ」
私も同じように空を見上げて、言葉を返す。
「早く夏になんないかな」
「なんでよー?」
「だって夏といえば花火でしょ?あゆみんと花火したいもん」
さり気にすっごくうれしいことを言ってくれる。
「夏になったら、ここで花火したいね」
「うん、やりたいー。しよしよ」
とりあえず二人の夏の予定が一つ決まった所で、話が一段落した。
ふと時計を見ると、もういい時間。
公園に来てから結構時間が経っていたことに気づく。
「そろそろ帰ろっか?」
「そだね」
公園に着いた時と同じ様に手を繋いで、私達は楽しんだ公園を後にした。
- 25 名前:公園デート。 投稿日:2003年05月27日(火)01時40分17秒
- 「ねぇ」
公園を出てからもう少しでマンションに着くって頃に
隣を歩くマサオにふと声を掛けられる。
「夏に花火するまでにまた行こーよ、公園」
立ち止まることなく、そしてこっちを向くことなく
そう続けられた彼女の言葉。
照れ屋の彼女のことだから。
街頭の灯りの下では判らないけれどきっと顔をが少し赤いんだろうな。
なんて彼女のことを考える。
変なトコで改まって照れるよね、マサオって。
でもそんないつまで経ってもウブな所も、とても愛しい。
「もちろん」
そんな彼女のカワイイお誘いが、彼女の言葉がとても嬉しくて。
嬉しい気持ちが少しでも多く伝わるようにと繋いでいた手に力を込めた。
公園だってコンビニだって。
マサオと一緒ならどこへ行くのだって嬉しいんだよ。
恥ずかしいから口には出さないけれど。
オワリ。
- 26 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月27日(火)01時45分26秒
- 更新しました。
大谷さんと柴田さん。
まだメロン。
今までの駄文3つで、
第一回大谷さんメロン内総当り戦が終了。
- 27 名前:名無ししゃん 投稿日:2003年05月27日(火)18時31分38秒
- そんなわけで私のちゃちいサイトでございます。メル欄ごらんあれw
- 28 名前:名無ししゃん 投稿日:2003年05月27日(火)18時34分08秒
- 申し訳です。
上のは>>17と同じ人間ですw
- 29 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月28日(水)17時30分16秒
- 駄文一つ更新します。
- 30 名前:ヒミツ 投稿日:2003年05月28日(水)17時31分31秒
- 最近めぐちゃんと私の中でのお気に入りがある。
それは二人で少し早く楽屋入りをして、仕事までの時間、
ひとみんとマサオが来るまでの時間をゆっくりと過ごすことだ。
ふざけたりイチャイチャしたり、たまに静かにぼーっとしたり。
このお気に入りはなんだかんだで2週間位続いている。
少し前にめぐちゃんの家に泊まってそのまま仕事に行く時にめぐちゃんが提案したことだ。
家の延長みたいなまったりとした空気がなかなか心地いい。
家だけじゃなくてめぐちゃんをいっぱい感じられるのも嬉しい。
一緒にめぐちゃんの家から来る時はもちろんだけれど、
別々に仕事場へ向う時も、時間を決めて一緒に楽屋に少し早く着くようにしている。
そしてこのことはまだ二人の秘密だ。
このささいだけれど、秘密っていうのがちょっと楽しい。
- 31 名前:ヒミツ 投稿日:2003年05月28日(水)17時32分56秒
- 明日は楽屋に入らなきゃいけない時間が少し早かったはず。
今日私は自分の家に帰っていて、めぐちゃんの家には泊まらなかったので
めぐちゃんにメールを送って明日どうするかを聞いた。
『明日はどうする?』
めぐちゃんからはすぐに返信が来た。
『明日もしようよ。大丈夫?あゆみんはちゃんと起きられるかい?』
私もすぐにメールを返す。
『うんダイジョーブだよー!めぐちゃんこそ早起きしろよー』
明日の予定も決まり、その後何度かメールをやりとりして明日のために早く寝ることにした。
- 32 名前:ヒミツ 投稿日:2003年05月28日(水)17時33分33秒
- そんなわけで今日もめぐちゃんと私は秘密の時間を過ごしている。
今日は朝も早かったし家で御飯を食べてこなかったし
きっとめぐちゃんも食べてないだろうと思って、
朝ごはんにサンドウィッチなどを二人分買って行った。
会って聞いてみると、やっぱりめぐちゃんも御飯を食べてなくて。
「朝ごはんの存在忘れてたぁ」
なんてめぐちゃんらしい発言に朝イチで笑った。
サンドウィッチのお礼にと、めぐちゃんが外の自販機でミルクティーを買ってきてくれた。
そして二人で並んで朝ごはんを一緒に食べる。
「なんかいつも食べるのとはまた気分が違っておいしいねぇ」
「そうだねぇ」
「遠足に行った気分になるねぇ」
こんな感じで朝ごはんは進んでいく。
- 33 名前:ヒミツ 投稿日:2003年05月28日(水)17時34分28秒
- 少し気分の変わった朝ごはんを終えた後、
そのまま私が持ってきていた雑誌を二人で眺める。
雑誌に載っているのはもう夏の商品ばかりで、
あぁ、すぐに夏なんだと実感させる。
「このミュール欲しいなぁ」
「あーほんとだ、かわいいねぇー」
「今度買いに行ってこようかな」
「買い物行こうよー」
ページをめくりながらお喋りを続ける。
このバッグかわいい、このスカート似合うんじゃない?
なんて、欲しいものがどんどん増えていって。
そんな時、彼女のバッグからケイタイのメール着信音が鳴り響いた。
- 34 名前:ヒミツ 投稿日:2003年05月28日(水)17時35分17秒
- 「あ、ちょっとごめんねぇ」
「んー?」
めぐちゃんがバッグの中からケイタイを探し出してメールをチェックし始めた。
私はメールを読んで少し笑って返信しているめぐちゃんを隣で見ている。
…ただのメールなのに。
きっと他愛もない内容なんだろうけど。
でも。
別の人に関心を移している、って言ってもメールだけど。
そんな彼女を見るのがちょっとだけイヤで。
独占欲強すぎじゃない、私??
そう思うとちょっと自己嫌悪。
そんなのめぐちゃん引いちゃうよ。
朝からめずらしくちょっと弱気な私。
- 35 名前:ヒミツ 投稿日:2003年05月28日(水)17時36分02秒
- 「メール、マサオからだったよぉ」
「あ、そうなんだ」
マサオからかぁ…
「ひとみんがさっき玄関出たとこで滑って靴脱げてコケたんだってー」
セクシィなのにドジだぁねー、と笑いながらメール報告をしてくれるめぐちゃん。
でもその笑い話にもうまく笑えてないな私。ほんとサイアク…
「あゆみん」
そう笑いかけられてポンポンと頭をなでられる。
「ほったらかしでごめんねぇ」
肩を抱き寄せられて耳元で謝られた。
別にめぐちゃんは悪いこと何もしてないのに。
私が勝手にメールにヤキモチ焼いてただけなのに。
「そんなとこもカワイイ。だからスキ」
抱かれた体勢のまま、笑って優しい手つきで髪を撫でてくれる。
私が何にむくれているのか、何でむくれているのか
全部わかった上で私を包みこんでくれる。
いいのかな?なんて思っていたことも、ふきとばしてくれる言葉をくれる。
普段はこんなキャラじゃないのに。
こういう所を見るとめぐちゃんはやっぱり大人なんだなって思う。
そしてめぐちゃんの言葉でもう立ち直ってる私はやっぱりまだ子供だ。
- 36 名前:ヒミツ 投稿日:2003年05月28日(水)17時37分28秒
- 左腕で肩を抱かれた格好から、両腕でぎゅうっと抱きしめられる格好になる。
しばらくその体勢だったけれど、
ぎゅっと抱きしめられていた腕を解かれて顔を見合わせる格好になる。
そしてにこっと笑うめぐちゃん。
なんだか分からないけれど、私もつられて笑い返す。
…と同時に、唇を塞がれた。
「…ちょっ、もう!いきなり!」
いつものいきなりなキスを受けて驚く私。
「えへっ、うばっちゃったぁー」
右手をパクパク人形の様に動かして、そんな台詞を言うめぐちゃん。
……?
…それってさぁ…
「…生茶?…それともうたばんのこと?」
「あー、生茶。うたばん?あぁナチュラルつながりかぁ、アハハー」
「…ムカつくなぁ」
「ごめんごめん」
「うそうそ。いいよ別に」
そんな位ではケンカしないもんね。
めぐちゃんもあんまり悪いと思ってないし。
- 37 名前:ヒミツ 投稿日:2003年05月28日(水)17時38分10秒
- 「ごめんねぇ。じゃぁ機嫌直しに今度はちゃんとするからー」
「ちゃんと、ってなに…んっ…」
今度はしばらく長いキスで。
また急にキスをしてくる彼女に最初は驚いたものの、
キスの感触に心地よくなり目を閉じる。
髪を撫でてくれる手の感触にも心地よくなる。
しばらくしてふとお互いが離れる。
めぐちゃんと目が合う。
彼女はまた優しい目で私を見つめてふわっと笑いかける。
この瞬間はいつまでたっても、くすぐったい感じがしてちょっと恥ずかしい。
- 38 名前:ヒミツ 投稿日:2003年05月28日(水)17時38分45秒
- 「まだ朝っぱらだからソフトに優しいバージョンでしたぁ」
「…もう、またいきなりー!びっくりするじゃん!!」
「まぁ怒らない怒らない。一応言ったよ?」
ニコニコしながらそう答える彼女。
怒ってるんじゃなくて、恥ずかしいんだもん…
「べつに怒ってないもん…」
「おーコワイコワイ。じゃぁ急にするのはやめとく。今日は」
「今日だけなのかよ!!」
「うんー。じゃ、もっかいね。」
「……うん」
今日の秘密の時間は、この後もずっとキスしてた気がする。
おわり。
- 39 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月28日(水)17時39分39秒
- 更新しました。
村田さんと柴田さん。
まだまだメロン。
昨日村田さんに心を奪われたので。
村田さんがでているものにしたかったのですが。
ですがしかし…どうも…
村田さんが柴田さんをなんて呼んだらいい感じなのかわかりません。
(それ以前の問題の方が大きいと思う。)
- 40 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月28日(水)17時41分32秒
- レスのお礼、後で書きます。
- 41 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月28日(水)19時07分09秒
- >27、28 名無ししゃんさま
こちらでもお礼を!!
ありがとうございますー。
サイトの方、ほんまに楽しみにしとります。
日参です。
斉大!
私もがんばろうっと。
- 42 名前:名無ししゃん 投稿日:2003年05月29日(木)13時29分49秒
- 村柴最高ですね。
裏に斉大があるというのもおいしいです。
素敵です。
それと、日参とは大変ありがたいこってすw
ホントありがとうございますw
うちのほうはそこそこにニーロさんを応援しとりますよw
- 43 名前:名無ししゃん 投稿日:2003年05月29日(木)13時31分22秒
- いかんいかん言葉が抜けすぎだw
うちのほうはそこそこに、私自身ニーロさんをってことでw
- 44 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月31日(土)12時48分27秒
- 更新します。
- 45 名前:幸せバロメーター 投稿日:2003年05月31日(土)12時49分46秒
- 今日は私の家で雅恵ちゃんと夕飯を作って一緒に食べた。
それまでに一緒にスーパーマーケットに買い物に行って
夕飯の材料を揃えた。
何を作るかなんて全然決めていなかったので、
材料を見ながら二人で考えた結果、
メニュウは、簡単にボンゴレのパスタにサラダというものになった。
「ひとみん、あたしコーンスープ飲みたい」
そんな雅恵ちゃんのリクエストで、
レトルトだけどコーンスープも追加で夕飯の一品に加わった。
スーパーマーケットでの買い物、料理の最中。
そしてご飯を食べている時。
私はずっと楽しい時間を過ごしている。
雅恵ちゃんが隣にいて。
雅恵ちゃんと一緒に笑って。
普段の生活では何気なくこなしていくことも
雅恵ちゃんと一緒ならとても違ったもののように感じられる。
- 46 名前:幸せバロメーター 投稿日:2003年05月31日(土)12時51分13秒
- 夕飯を終えて後片付けをする。
雅恵ちゃんが手伝ってくれたから洗い物もさっさと終えることができた。
もうお風呂にも入ったし、後は寝るだけという状態にして
二人でソファーに座って寝るまでの時間をゆっくり過ごす。
バラエティ番組なんて見ながらくだらないことを話したりして。
そんな感じでしばらく二人でテレビを見ていた。
ふと、お風呂から上がってから水分を取っていないのを思い出した。
そう思うと少し喉が渇いてきたので
何か飲みものを取りにキッチンに向かう。
「雅恵ちゃんも何か飲む?」
「うーん今はいらない」
「ん、わかった」
冷蔵庫からグレープフルーツジュースを取り出す。
そしてグラスに注ぐ。
それを持ってソファーに戻った。
- 47 名前:幸せバロメーター 投稿日:2003年05月31日(土)12時52分40秒
- リビングに戻ってみると、
雅恵ちゃんは右側の肘掛に腕をついてもたれて
かなり眠そうな眼でテレビを見つめている。
そういえば、さっきもちょっと眠そうだった気がする。
「雅恵ちゃん?」
「…ん??」
「眠いでしょ?もう寝よっか?」
「…寝てないもん。…眠くない」
「すっごく眠そうだよ?」
「ん…まだ大丈夫」
大丈夫って。
何を我慢してるんだろ。
しばらくそんな彼女の状態を観察してみる。
頑張ってテレビを見ようと努力はしているものの、
まぶたを開こうとする力が
明らかに閉じようとする力に負けている。
「ほらもぅ、うとうとしてるじゃん」
「…んぅ」
「ね?ちゃんと寝ないと」
私は雅恵ちゃんがソファーで寝てしまう前に
ベッドへ行って寝るようにと促す。
- 48 名前:幸せバロメーター 投稿日:2003年05月31日(土)12時54分10秒
- 「…んぅ…だいじょうぶ…ひとみん…ひざ。」
雅恵ちゃんは私の促しにそう単語で答えて、
右側に倒していた体をのそのそとこっちの方に向けて
そのままアタシの膝に頭をポスッとおいた。
「…んーひざまくらぁ」
「…もぅ、ちょっとだけだよ?」
そういうとふにゃっと笑う雅恵ちゃん。
たまに甘える時の仕草がとてもかわいい。
そんな膝の上の雅恵ちゃんを見つめる。
「…ひざ、きもちぃ」
「ふふ、じゃぁしばらくしたら起こすね?」
「…ん」
そう返事をして雅恵ちゃんは眼を閉じた。
私はテレビのボリュームを落とす。
そして雅恵ちゃんの頭をゆっくりとなでる。
彼女のやわらかい髪に指をいれて梳かしてみる。
しばらく続けていると、まだ浅い眠りなのか、
「…んぅ」
なんて時々気持ちよさそうに笑う雅恵ちゃんを眺める。
そんな雅恵ちゃんを見ていると、
自分にも気持ちよさが伝わってきて。
なんともいえない幸せな空気に包まれる感じがする。
- 49 名前:幸せバロメーター 投稿日:2003年05月31日(土)12時55分23秒
- 時計を見ると1時を少し過ぎている。
雅恵ちゃんが膝で寝始めてもう30分位経っただろうか。
私の膝でくぅくぅと気持ちよさそうに眠っている。
私も少し眠くなってきた。そろそろ私も寝ようかな。
…でもどうしよう。
今起こすのかわいそうだな。
気持ちよさそうに寝てるのに。
ここで寝かせておいた方がいいのかな。
でもソファーじゃ疲れちゃうし…
前にも雅恵ちゃんはうちのソファーで寝てしまったことがあった。
その時、そのまま寝かせておいたら次の朝起きた時に
「起こしてくれたらよかったのに」
「目が覚めた時、ソファーでなんかひとりぼっちみたいなのがヤだ」
っていわれたことがあったのを思い出した。
さっき、しばらくしたら起こすって言ったけど。
…でも気持ちよさそうに寝てる人を起こすのは本当に気が引けるのよ。
- 50 名前:幸せバロメーター 投稿日:2003年05月31日(土)12時57分03秒
- 少しの自分の中での葛藤の後、
やっぱり雅恵ちゃんを起こすことにした。
…ごめんね。
「雅恵ちゃん、ベッドいこ?」
「……うん…」
そう言って、膝の上の雅恵ちゃんを起こす。
テレビの電源を落として、リビングの電気を消す。
そして雅恵ちゃんの手を引いて、ベッドルームまで移動する。
ベッドに入った私と雅恵ちゃんはおやすみのキスをして。
「…おやすみ、ひとみん」
「うん、おやすみ」
いつものように片腕をお互いの体に回して眠る。
雅恵ちゃんの右腕から感じる温度と重さが心地いい。
私は回した左手で彼女の背中を少し撫でる。
そしてもうすっかり眠りについている雅恵ちゃんの寝顔をまた少し眺める。
気持ちよさそうに眠っている彼女を見ながら
私も幸せな気分で眠りにつく。
「雅恵ちゃん、おやすみ」
私は明日もこの今の幸せな気分で生きていける。
オワリ。
- 51 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月31日(土)12時58分52秒
- 更新しました。
斉藤さんと大谷さん。
やっぱりメロン。
- 52 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月31日(土)13時13分36秒
- レス御礼です。
>42・43 名無ししゃんさま
どうもありがとうございます。
レスをみて小躍りしました。(手だけ
ちょっと斉大要素を入れてみました。
ほんと、勉強たりませんがまた読んでやってください。
今回斉大ですが・・・淡々としすぎていて。
色気もクソもありません。
私信:この前はどうもありがとうございました(w
- 53 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月31日(土)13時18分03秒
- 恥ずかしいので内容隠し。
- 54 名前:ニーロ 投稿日:2003年05月31日(土)13時20分00秒
- って間違えてあげてしまったので落としてみる。
- 55 名前:名無ししゃん 投稿日:2003年05月31日(土)17時18分04秒
- 斉大って楽しいですね!w
愛ですよ愛。
こりゃあニーロさんがやってくれるから、
私話書かなくてもいいかもなぁw
- 56 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月07日(土)04時23分23秒
- 更新します。
柴田さん視点で柴田さんと斉藤さん。
- 57 名前:friendandlover 投稿日:2003年06月07日(土)04時31分26秒
- 本当に自分でも不思議なんだけれど。
突然自分の気持ちに気付いた。
私彼女に恋してるんだ。
- 58 名前:friendandlover 投稿日:2003年06月07日(土)04時34分01秒
こんなきっかけがあってそこから好きになりました、
というものがあったわけじゃない。
皆そんなものなんだろうけど。
もちろんこの気持ちに気付く前から彼女のことは大好きだった。
だけど好きだっていうのは友達としてだと思っていた。
他のメンバーの皆に対する愛情と変わらないと思っていたのに。
彼女の笑っている顔が好きで、そして優しいところが大好きで。
いつも一緒にいることが多すぎてそんな彼女を見ることを当たり前のように感じていた。
その当たり前な日常が私の気持ちをぼかしていたのかもしれない。
- 59 名前:friendandlover 投稿日:2003年06月07日(土)04時35分29秒
- 彼女に対する思いに気付いてからも私は今まで通りに振舞っていた。
彼女と一緒に過ごせることが嬉しくもあり、少し苦しくもあった。
彼女の優しさをどう私は解釈すればいいのだろうか。
それを都合のいいように受け取ってしまっていいのだろうか。
伝えなければ何も始まらないなんてことはわかってる。
けれどもうひとつ踏み出せる何かが、
自分の都合のいい解釈ではない何かが欲しかった。
- 60 名前:friendandlover 投稿日:2003年06月07日(土)04時36分11秒
- そんなある日のこと。
雑誌の撮影の仕事があった日だった。
この日の順番は私が最後で、少し撮影が長引いてしまった。
私が楽屋に戻ると瞳ちゃんだけが残っていてくれて、
他の二人はもうすでに楽屋からいなくなっていた。
「めぐちゃんとマサオはもう帰ったの?」
「なんか映画見に行くって言ってダッシュで帰ってったよ」
「なんだよぉ冷たいヤツらだなー」
「まぁ怒りなさんなー。
それよりあゆみー、うちらも早く帰ろー」
「うん。ちょっと待ってー」
今日も瞳ちゃんは優しい。
私は急いで着替えて帰る支度をする。
そして二人で楽屋を後にして他愛もない話をしながらエレベーターホールに向かう。
- 61 名前:friendandlover 投稿日:2003年06月07日(土)04時37分59秒
- エレベーター前で下へ降りるボタンを押してしばらくの間、
他に誰もいないエレベーターホールでエレベーターの到着を待つ。
・・・今なら自分の気持ちを素直に言えそうな気がする。
何故だかわからないけれど。
私は一緒にエレベーターを待つ彼女に改めて話しかけた。
「ねぇ瞳ちゃん」
「ん?どしたのよ?めずらしく真面目な顔して」
「…好き。」
瞳ちゃんは少し驚いたような顔をして私を見る。
しばらくお互いを見つめ合う。
そうしている間にチンという音がエレベーターの到着を私達に知らせた。
それを聞いてどちらともなくなんだかわからない笑いがおこる。
「…何いきなりー」
「…言ってみた」
「ハハッ。もぅー」
- 62 名前:friendandlover 投稿日:2003年06月07日(土)04時40分17秒
- 二人で笑いながらエレベーターに乗り込み、私は1階のボタンを押す。
笑ってはみたものの、そのあとに言葉が続かない。
私の少し後ろに彼女が立つ。
お互いに黙ったままのこの空間。
別にいつもは普通のことなんだけれど、今は緊張の引き金でしかない。
他に誰も乗り合わせていない閉ざされた空間が
言葉を発する機会までもを奪ってしまったかの様に感じてしまう。
私は勝手に居心地の悪さを感じながら、
エレベーターの位置を示すランプが降りていくのを目で追っていた。
- 63 名前:friendandlover 投稿日:2003年06月07日(土)04時41分30秒
- 私達が乗りこんだ12階から珍しく一度も止まることなく
エレベーターは1階を目指して下降を続ける。
「ねぇあゆみ」
「…んっ?何??」
4階を通り過ぎようとした時彼女にふと話かけられる。
微妙な緊張でボーっとしていた私は少し慌てて答えて彼女の方に顔を向ける。
- 64 名前:friendandlover 投稿日:2003年06月07日(土)04時44分00秒
- 「ありがと。ホント嬉しかった」
そう言って彼女がヘヘと笑う。
「…私もあゆみのこと好きー」
私はそう言ってくれた彼女を見つめる。
笑う彼女にホッとして肩の力が抜けてしまった。
嬉しくて私も自然と笑ってしまう。
さっきまで感じていた居心地の悪さからスッと解き放たれたような感じがした。
今までの関係が大きく変わるわけじゃない。
でも。
そんなことは重要じゃない。
ドアが開く。
そして私達は笑いあって肩を並べて歩き始める。
おわり。
- 65 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月07日(土)04時44分50秒
- 更新しました。
- 66 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月07日(土)04時47分06秒
- 斉藤さんと柴田さん。
グダグダです。
- 67 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月07日(土)04時54分36秒
- レス御礼です。
>55 名無ししゃんサマ。
何度もこんなのにレスありがとうございます。
斉大楽しすぎます。本当に。
こんなんでええのやら・・・
お目汚し申し訳ありませんです。
- 68 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月08日(日)23時12分53秒
- 更新します。
メロン村田さんと斉藤さん。
- 69 名前:生活 投稿日:2003年06月08日(日)23時13分50秒
時が来るべくして来た、とでも言おうか。
- 70 名前:生活 投稿日:2003年06月08日(日)23時15分09秒
- 「…ごめんね…」
「そんな謝らないでよ。ね?」
わからなかったのは、その時がすぐに訪れるのか。
それとも、しばらく先のことなのかということだけ。
「めぐみ…ありがと…」
「ぅんにゃいいっていいって。それよか頑張んなよ?」
アタシは笑っておどけたように答えながら、涙の止まらない彼女の背中を撫で続ける。
そして彼女の涙を親指でぬぐい、了解を得ないまま頬にキスをした。
うちの家のリビングで別れ話を切り出された時、
アタシは見えていた未来が形になっていくのを変に落ち着いて見ていた。
まるで他人事であるかのようにすら感じていた。
これ以上彼女の負担になりたくない、なんて奇麗事でごまかして自分の黒い感情を片付けようとしている。
そのあたりの自分の感情の汚さに自分でも嫌気が差す。
何明るく振舞ってんだ、アタシ。
本当はすがりつきたいんだろ?
- 71 名前:生活 投稿日:2003年06月08日(日)23時17分35秒
- いつも優しい目あの子を見つめて、あの子の言葉で、仕草で一喜一憂する彼女。
彼女の目にはあの子しか写ってないのは十二分承知だった。
そんなことわかっていたはずなのに。
ほんの少しの可能性に期待してる馬鹿な私がいた。
その後どうなるかなんて最初から見えていたのに、
その未来の結果を自分の欲望で見えなくさせていた。
自分から見ないように仕向けていた。
そして私は彼女の優しさを利用した。
人の心なんてそんなに簡単に変えられるものじゃないと
自分が一番身をもってわかっていたはずだった。
それなのに。
- 72 名前:生活 投稿日:2003年06月08日(日)23時25分53秒
- 彼女が帰ってから何もする気がおきず、
一人になったリビングでソファーにもたれながらボーっと壁を見つめる。
…何にショックを受けているんだろう。
判ってたことじゃない。
どの位こうしていたのだろうか。
気付くと壁の掛け時計はもう深夜の3時を回っている。
リビングで一人このまま朝を迎える気にもなれず、
私はベッドルームへ移動する。
ベッドに一人で横たわり目を閉じる。
目を閉じるとさっきまでの彼女の声が頭に響く。
さっきまで聞いていた声。
もう思い出したくない。忘れたい。
- 73 名前:生活 投稿日:2003年06月08日(日)23時27分41秒
思い出さないはずがない。
当然忘れられるはずもない。
涙なんて流れてこない。
涙を流さないから悲しくない、なんてわけがない。
私は今までにない程に悲しくてやりきれない気持ちでいっぱいになってる。
自分の中の感情が膨れ上がってくる。
お門違いにもあの子を恨めしく思ったりしている。
膨れ上がった感情がどす黒く変化していく。
そしてそれが心だけでなく体全体を支配する感覚に私は陥いっていく。
もし自分の思いを彼女に伝えなければ、
なんて自分の卑怯さを棚に上げての後悔なんて絶対にしない。
…諦めるなんてやっぱり無理だ。
ほらやっぱり自分の気持ちだって簡単に変えられない。
でもどうにもならない。
どうしようもないんだ、彼女の思いも自分の思いですらも。
- 74 名前:生活 投稿日:2003年06月08日(日)23時29分18秒
- 目覚ましの音が鳴る。
その音で私の意識は現実の世界に戻る。
サイドテーブルの時計を見ると、針は7時20分を指している。
閉め切っていたベッドルームのカーテンの隙間から少し差し込んでくる光が外が晴れていることを教えてくれる。
でもそんなことはどうだっていい。
またこれから一日が始まってしまう。
やはり私がどう足掻いたって。
時間の流れも彼女の気持ちも何も変えることなんてできない。
こんな世界に意味はない。
短絡的な考えだけど生きていたい理由なんてのもない。
だけど。
臆病な私は惰性と痛みを抱いて今朝も昨日と同じように体を起こして生きていく。
目覚ましはまだ鳴っている。
- 75 名前:生活 投稿日:2003年06月08日(日)23時30分25秒
- オワリ。
- 76 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月08日(日)23時32分35秒
- 更新しました。
メロン村田さんと斉藤さん。
どうにもメロンです。
- 77 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月10日(火)13時49分10秒
- 毎回楽しみにしてます。
メロン万歳!!
柴マサとかもっかい出てきますか?(w
- 78 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月14日(土)07時53分51秒
- ひとつ更新します。
メロン大谷さんと斉藤さん。
- 79 名前:昼下がり、午後2時30分。 投稿日:2003年06月14日(土)07時59分30秒
- テレビの音。
雑誌をめくる音。
二人で座るのに、十分に広いとは言えないラブソファー。
- 80 名前:昼下がり、午後2時30分。 投稿日:2003年06月14日(土)08時02分23秒
- 天気のいい午後の昼下がり。
珍しくゆっくりとした時間をひとみんの部屋で過ごしている。
ソファーに二人で座って特に何をするでもなく。
私はテレビを、彼女は昨日買った雑誌を眺めている。
テレビの音は耳を通り過ぎていくだけで、頭の片隅にも残るような音は一つもない。
私の左隣に座っている彼女がページをめくっていく隣で
私は手持ち無沙汰を紛らわすために、用もないのに携帯を片手に
登録メモリーを眺めてみたり、受信メールを見直してみたりしてみる。
でも、そんなことをしていても全然面白くなくて
そっと隣で雑誌を眺めている彼女を盗み見る。
足を組んでソファーに腰掛け、膝の上の雑誌を眺めている彼女は
私が見ているのにも気が付いていないようで。
- 81 名前:昼下がり、午後2時30分。 投稿日:2003年06月14日(土)08時04分47秒
「ねぇ」
「んー何?」
そう呼びかけてみると
雑誌のページから目を離すことなく私の呼びかけに答える彼女。
そんな彼女を見てると放置されている気分になってくる。
「・・・かまってよぉ」
そう言って彼女の方にもたれかかる。
すごく珍しいことを言っちゃってる。
いつもならこんなことあんまり言わないのに。
すっとこんな言葉が出たのが自分でも不思議な位だ。
・・・まぁこんな時もあるでしょたまには。たまにはね。
「ん?どうしたの?」
珍しそうにこっちを向くひとみん。
「だってヒマなんだもんよぉ」
「何?かまってほしいの?仕方ないなぁ」
そう言って彼女は膝の上の雑誌を閉じてテーブルの上に置いた。
「めずらしいねぇマサオくんが甘えてくるなんて」
「・・・いいじゃん別に」
「別に悪いなんて言ってないもんー」
彼女は組んでいた足を解いて少しだけ体をこっちの方に向ける。
- 82 名前:昼下がり、午後2時30分。 投稿日:2003年06月14日(土)08時11分22秒
「なんかいつもと逆な感じするねぇ」
そう言って笑いながら右腕を私の後ろに回し、
彼女はまだもたれかかったままの私の頭をまるで子供をあやすかのように撫で始める。
「なんだよぉ、マサオが甘えるのはダメなの?」
「ううん大歓迎ですよ?」
私を撫でる手を止めずに彼女はそう答える。
こんな感じで髪を撫でられるのは結構気持ちいい。
顔にあたる彼女の髪の感触がくすぐったいけれどそれもまた心地よくて。
しばらくそのままの体制でまったりする。
「それで。かまってほしいって、どうするの?」
ふと髪を撫でながら彼女がそう切り出した。
・・・そう改まって聞かれると大変答えにくい。
というか察してよ。
「・・・」
「言ってくれなきゃわかんないし?」
しばらく黙って見つめていたら、
目の前の人はそんなことを言ってニヤニヤしながら顔を覗き込んできた。
・・・コイツ絶対わかって言ってるでしょ。
・・・なんかムカつく。
- 83 名前:昼下がり、午後2時30分。 投稿日:2003年06月14日(土)08時13分53秒
私はもたれていた体をスッと起こした。
そして彼女を少しだけ見つめる。
「・・・」
「?」
そのまま敢えて何も言わずにいきなり彼女の首の後ろに右手を回し、
その手で彼女の顔を少し引き寄せ、自分の顔も近づける。
目を閉じて唇に触れようとした寸前、
ふと彼女の小さく笑う声が聞こえた。
・・・やっぱりわかってんじゃん。
そんなことを思いながら、取りあえずはキスから始める昼下がり。
- 84 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月14日(土)08時17分59秒
- 更新しました。
大谷さんと斉藤さん。
これで脳内斉藤さん総当り戦も終了です。
- 85 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月14日(土)08時28分47秒
- 感想のお礼を。
>77 名無しさん(サマ)
どうもありがとうございます!
メロンいいっすよね?ホント。最高だ。
大谷さんと柴田さんですかー(w
そ、そのうちに・・・ね?書ければ(w
・・・こんなんですがまた覗いてやってください。
- 86 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月22日(日)21時34分28秒
- 更新します。
メロン斉藤さんと大谷さん。
- 87 名前:non title 02 投稿日:2003年06月22日(日)21時35分30秒
- 「ちょっと話あるんだけど今日時間ある?」
そう楽屋で彼女に話を切り出された時、その話がどんな内容なのかはうすうすは感じていた。
そんな風にいつになく深刻な感じで切り出されなくても、
最近の私といる時の感じからすれば話の内容なんてたやすく想像できるものだった。
うすうす感じていたとこととはいえ、私の心は瞬時にこれから先の不安と焦りで満たされていく。
- 88 名前:non title 02 投稿日:2003年06月22日(日)21時36分21秒
- 「うん大丈夫」
努めて落ち着いた声でそう答えた私に、彼女は頷いて話を続ける。
「どこ行こうか」
「ん・・・海見たい」
どうしてそんなところに行きたいなんて言ってしまったのか。
なんとなく話の内容がわかっていたから普段行きにくい所がいいという防衛本能が無意識に働いたのかもしれない。
何にせよ、努力の甲斐なく不安の表れが言葉となって出てしまったことに変わりはない。
- 89 名前:non title 02 投稿日:2003年06月22日(日)21時37分14秒
- 楽屋を後にして、自分達の家とは反対方向の電車に乗る。
電車に揺られてから1時間も経たない距離の、少し静かな駅で私達は電車を降りた。
電車のドアが開くと、潮の匂いとあの独特の体に纏わりつく風が体を包み込む。
降りた駅から少し歩いて二人は言葉をかけることもなくただ静かに海を目指す。
楽屋を出てから今までずっとちゃんと歩けているのが不思議な位、
私の焦燥感は目的地に近づけば近づくほど膨れ上がっていっている。
その感情はなにかの引き金ですぐに破裂してしまうだろう。
海に到着した頃には、もう太陽は昼間の明るさを失いかけていた。
日が沈みそうな浜辺で二人ブロック塀にもたれ、オレンジに染まった波を静かに眺める。
- 90 名前:non title 02 投稿日:2003年06月22日(日)21時38分27秒
- 「ごめん・・・」
何度もそう呟く彼女。
彼女は暗い目で打ち寄せる波を見つめている。
一緒に過ごしている時、彼女はたまにそんな目をしていた。
私に気付かせない様普段通りに振舞っていた様だけれど、
そんなことに気付かない程私もそこまで鈍感じゃない。
別れよう?
わかった。
なんてすぐに手放すことなんてできるはずない。
物分りのいい女なんかになれるはずがない。
「・・・何で?」
諦めの悪い私は彼女にそう尋ねる。
喉から出た声は格好悪いほどに震えてしまっている。
理由を聞いたところでどうなるものでもないのに。
「・・・ごめん・・・」
彼女は苦しそうにそう答えるだけでまた遠くを見つめる。
- 91 名前:non title 02 投稿日:2003年06月22日(日)21時41分40秒
- 理由を言わないことは彼女なりの優しさなのかもしれない。
今の私はどう説明されても納得なんかできなかったから。
私達が浜辺について腰を下ろしてからかなりの時間が経っているせいか、
太陽はもうその姿をとっくに海に沈めていた。
ブロック塀の向こう側の所々にある電灯がかろうじて明るさを保たせている。
人気のなさ、不完全な暗さが波の音を際立たせる。
そんな薄暗い中でぼんやりと見える彼女の苦しそうな目が引き金になってしまった。
- 92 名前:non title 02 投稿日:2003年06月22日(日)21時43分00秒
ねぇ、アタシ何か悪いことした?
もう飽きた?
負担になってた?
ただ側にいたいだけなのに。
今、私がここで捨てないでって言ったら何か変わるだろうか。
もしかしたら、と思ってしまうのは自分の自惚れと弱さでしかない。
でも、ほんの少しの可能性を捨てられない自分がいる。
彼女の方はもう答えが出てしまっているのに。
その答えをはっきり知ることが怖い。
答え合わせを先延ばしにしたいだけなんだ、私は。
今までの思い出が頭の中で蘇ってくる。
それに伴って止まることなく溢れ出した感情は、
どうしても内側で留めきれずにとうとう表側に出てきてしまった。
涙が頬を伝っていくのがわかる。
ぐるぐる渦巻く感情は言葉にすることが出来ず、内側から出て行くのは声にならない声と涙。
- 93 名前:non title 02 投稿日:2003年06月22日(日)21時44分09秒
- ズズッと砂が擦れあう音がする。
その音と共に私の右隣の彼女が動く気配が感じられた。
「ほんと、ごめん・・・」
額を押さえながら泣いてしまっている私の右肩に彼女の手が置かれた。
「・・・もっ・・・優しくしないで・・・」
その手にビクっとしたものの、私はなんとかひくつきながらも首を振り、
右手で彼女の優しさを拒みながら顔を上げる。
「・・・ごめん・・・でも」
行き場のなくなった手をどうすることも出来ず彼女は悲しそうにそう呟く。
彼女の行動が愛情からの優しさではないことをわかっているからその優しさは受け入れられない。
その優しさを受け入れたら、私はきっとずるずると甘えてしまう。
「・・・もういい・・・いいから・・・もう行って」
こんな時まで優しくしないで欲しい。
慰めることなく冷たく突き放して欲しいのに。
「・・・ごめんでも・・・置いて帰れないから・・・」
しばらく無言のまま見つめあった後、
そう言って彼女はもう一度ためらいがちに手を伸ばして私に触れる。
- 94 名前:non title 02 投稿日:2003年06月22日(日)21時45分51秒
- 突き放して欲しいなんて嘘。
一度は拒否した手を私はいとも容易く迎え入れてしまった。
優しい彼女に結局甘えてしまっている。
今彼女が抱きついている私を何も言わずに受け止めてくれているのは、
彼女が優しいから、自分を責めているから。
きっとこれからも私は彼女の優しさをはき違えて受け取ってしまう。
それでもいいから彼女を引き止めておきたい。
私は、彼女が苦しむことよりも自分の苦しみを薄めることを選んでしまった。
- 95 名前:non title 02 投稿日:2003年06月22日(日)21時48分18秒
- 私はまた彼女の手を掴んでしまった。
けれど一度掴んでしまった彼女の手は私からは絶対に離さない。
理由はどうであれ、差し伸べてきたのはあなたの方からだから。
もう一度愛してほしいなんて贅沢なこと言わない、今は。
しばらく波の音は聞けそうにない。
聞くと自分の最低な部分を思い出すから。
自分の中で生じている都合の悪いことなんて思い出さない。
他人になんと言われようが、心の矛盾なんか見ないようにしてやる。
そんなことを思っていたらふと眠気が襲ってきて、
私は波の音を聞きながら彼女の腕の中で目を閉じた。
- 96 名前:non title 02 投稿日:2003年06月22日(日)21時49分00秒
- 終わり。
- 97 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月22日(日)21時49分51秒
- 更新しました。
メロン斉藤さんと大谷さん。
- 98 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月29日(日)04時45分19秒
- 更新します。
メロン斉藤さんと村田さん。
- 99 名前:ベッドトーキン 001 投稿日:2003年06月29日(日)04時49分59秒
いつまで経っても慣れるなんて事はないんだろう。
朦朧とした意識の中でそんなことを考えていた。
- 100 名前:ベッドトーキン 001 投稿日:2003年06月29日(日)04時51分53秒
- さっきまでの熱が逃げ切らないベッドの上。
膝、指、撫でられている背中。
触れ合っている部分から流れ込んでくる彼女の体温が
ほてった体にでも気持ちよく感じられて安心する。
上がりきっていた心拍数も徐々に下がっていく。
呼吸を落ち着かせようと私の背中を撫でていた彼女。
ふと彼女の手のひらの感触が背中から離れる。
「・・・燃えろいいオンナ」
撫でていた手で私の額の髪を整えたかと思えば、
彼女はそう呟いてゆっくり額にキスをする。
・・・。
いきなり何を言い出すかと思えばコイツは・・・。
寄り添っていた体勢から首だけを捻り彼女を見る。
彼女はいつものヘニャっとした笑い顔を向けてこっちを見ている。
「アンタね・・・もうちょっとさぁ・・・他に言うことないの?」
「何がよぉ」
別に甘い言葉を求めてるわけじゃない。
でも、もう少し他に言うことあるでしょうが。
「もっとさぁ・・・ほら私を気遣った言葉をかけるとかないわけ?」
「んー?だって今日燃えてたじゃん。あ、今日もか。だから正直な感想を」
- 101 名前:ベッドトーキン 001 投稿日:2003年06月29日(日)04時54分13秒
- ・・・確かにそうなんだけど。
彼女にそう言われてさっきまでの時間をふと思い返す。
・・・
あぁ・・・。
いつまで経っても恥ずかしいっていう感情が付きまとう。
でもその恥ずかしさすら快く感じてしまっている。
恥ずかしさが勝ってるのか嬉しさが勝ってるのか。
そんなの嬉しさの方に決まってるけど。
でも何度回数を重ねたって、恥ずかしさが消えることはなくて。
慣れることなんてなくて。
「・・・」
「ハハ、テレないテレない」
彼女の首に顔を埋めると、彼女はそんな私の頭を優しく包み込んだ。
「バカ」
「素直じゃなくなるねぇ。さっきまでとは大違い」
「・・・うるさいわよ」
「にひひカラダは素直なのにねぇ」
彼女はふざけ口調で笑いながら私の髪をクシャクシャと撫でて髪を食む。
どうしてだか、二人でいるとどうも彼女のペースで進んでいく気がする。
普段はそうでもないのに。多分。
でもそんな彼女のペースに惹かれている私。
- 102 名前:ベッドトーキン 001 投稿日:2003年06月29日(日)04時56分44秒
- しばらくして、ふと彼女がベッドサイドのデジタル時計を手に取る。
デジタル時計は、蛍光塗料の薄い光が5時12分を照らし出している。
「まだちょっと寝れるよぉ?どうする?」
「そうねぇ・・・」
もう少しで日が昇って、また一日が始まる。
あと少しこの空気の中でまどろんでたい。
仕事に出かけるまでの時間、あとわずかな時間だけど。
寝ないと仕事に影響するのは百も承知なんだけど今は眠りたくない。
「このままだと明日、あ、もう今日かぁ、しんどいよ?」
「あ、うん・・・」
「ほりゃ、ちゃんと頭乗っけろぉ?」
私の思ってることを知ってか知らずか、
彼女はさっきと変わらない笑みを浮かべて
私に腕に乗っていた頭をもう少し上げる様に催促する。
「んー・・・」
「ひとみんが寝るまでちゃんと起きてるから、ね?」
少し上に体を上げて彼女の腕から肩に頭をもたれかけさせると、
彼女は私をやんわりと抱きしめ直した。
- 103 名前:ベッドトーキン 001 投稿日:2003年06月29日(日)04時59分39秒
- 彼女だって疲れてるはずなのに。
それでもまず私を気遣ってくれる。さり気なく優しい。
そんなところにとてつもなく惹かれているんだ、きっと。
彼女にもたれて目を瞑る。
思っていた以上に疲れていたのかもしれない、
抱きしめられている心地良さに安心して
自然と浅い眠りに誘われていった。
・・・やっぱり体は素直なんだ、なんて思いながら。
- 104 名前:ベッドトーキン 001 投稿日:2003年06月29日(日)05時00分42秒
- オワリ。
- 105 名前:ニーロ 投稿日:2003年06月29日(日)05時02分28秒
- 更新しました。
メロン斉藤さんと村田さん。
- 106 名前:ニーロ 投稿日:2003年07月12日(土)01時35分25秒
- 更新します。
メロン村田さんと大谷さん。
- 107 名前:pitter-patter 投稿日:2003年07月12日(土)01時37分34秒
- 窓の外に目を向ける。
窓を閉めていても聞こえてくる程の強い雨音。
薄いブルーのカーテンの隙間から見える空は灰色の雲に覆われて、
そこからは大きな雨粒が降り注いでいる。
「・・・これ全然止まないよねぇ」
「かなりきついよね・・・」
少し遅い昼食の後片付けを終えたさっきまでの賑やかさが落ち着いたテーブルに二人して頬杖をついて窓の外を眺める。
「・・・ここまでひどいと・・・ねぇ?」
「・・・どうする?むらっち傘差したがってたのに」
少し困った顔をして私の方を見るマサオと目が合う。
そんな彼女に、私も少しだけ困ったような顔で笑って見せる。
そう、彼女が言ってた様に傘が差したいのですよ。
数週間前、仕事の空き時間にブラブラしていた時偶然見つけた薄い黄色の傘。
その傘を見た時、何故かとても惹かれるものがあって
差した時にすごく楽しくなれそうな気がして即買いしてしまった。
今までにこの傘を差すチャンスはいくらでもあったんだけど、なんとなく仕事に行く時には使いたくなかった。
別にそんなに拘るようなことでもない事なのに、その傘を使うならオフの雨の日って何故か決めていた。
- 108 名前:pitter-patter 投稿日:2003年07月12日(土)01時39分15秒
「じゃぁその日は一緒にどっか行こ?」
その傘を買った日、彼女にその話をしたら、
彼女はすぐに私の小さな計画に乗ってくれて、
そんな嬉しいことを言ってくれた。
けれど彼女に計画を打ち明けてからも、
なかなかその計画を実行に移す機会がなかった。
こりゃもう梅雨が終わっちゃうかもしれない。
そしたらあっという間に夏なんか来ちゃって
オフが雨の日ってこともそうそう無くなっちゃうし、
もう別にこだわらなくてもいいかな、さっさと差しちゃおうかな、
なんて思っていた矢先の、昨日の夜のことだった。
- 109 名前:pitter-patter 投稿日:2003年07月12日(土)01時44分12秒
- 本当なら今日は特にすることもなかったので、彼女の家で二人、
ゆっくりDVDでも見ようかなんていうだらけた予定を立てていた。
仕事の後そう決めてから一緒にご飯を食べてその日はそれぞれお互いの家に帰った。自分の家に着いて少しゆっくりしていたら彼女からのメールの着信音が鳴り響いた。
『天気予報見た?ってなことで明日の予定変更ね。昼前にそっち行くから。』
え、明日雨降るの?
さっき家に帰る時は晴れてはいなかったけれど全然そんな風じゃなかったのに。
そう言われてテレビのチャンネルを変えて天気予報を探すも、その時間は運悪くスポーツニュースしかやっていなかった。テレビの天気予報を諦めベランダに出てみると、雨の降りそうなあのなんとも言えない感じが体を包み込む。
メールを打つのもまどろっこしくて彼女にすぐに電話をかけた。
「もしもしマサオ?明日ホントに雨降んの?」
「もしもーし、なんかそうらしいよー」
そうガッツキなさんなーなんて笑われながら、天気予報の情報では明日の午後の降水確率が60パーセントだったと教えてくれた。そうしてだらだら計画は急遽予定変更になり、少し諦めかけていた計画が実行されることになった。
- 110 名前:pitter-patter 投稿日:2003年07月12日(土)01時47分28秒
- 梅雨が明けてしまって夏が来てしまうとそんな機会もほとんどなくなってしまうかもしれない。もしかしてこのチャンスを逃せば、またしばらく雨降りのオフは来ないかもしれない。そんなことを考えながら、うれしい自然の恵みと彼女からのメールに感謝して電話を切った。
電話を切ってから明日のことを思い描いてみた。
くだらなくて子供っぽいことなんだけど、思っていた以上に楽しみになってきている。
どんな服が合うかな、とか、どこに行こうかな、
なんてことをシュミレーションしている自分がいて、そんな自分に思わず笑ってしまった。
具体的にどこに行きたいなんてのは全然考えてなかった。
雨の公園をさっと通り抜けて街をただブラブラするのでもいいし、
お世辞にもキレイとは言えない雨で水嵩が増した川を眺めに行くだけでもいい。
とりあえずどこでもいい。
あの傘を差してどこか出掛けたかった。彼女と一緒に。
- 111 名前:pitter-patter 投稿日:2003年07月12日(土)01時53分19秒
- ・・・なんて思っていたけれど。
降水確率60パーセントの雨は午後からどんどんその激しさを増している。
バケツをひっくり返した、なんて表現がまさに当てはまる今の降り様。
・・・ここまで大層に降られると。
いくら傘を差して出かけるのを楽しみにしてたって言ってても、
外に出る行為っていうこと自体が無謀な行為に思えてくる。
この雨の中なら、傘を差しても差さなくても変わらないんじゃないかっていう位の強い雨に、正直なところ楽しみな気持ちの他に億劫な気持ちが出てきてしまっていて。
傘も雨の日に使うのが本分なんだけれど、初仕事がここまでひどいとなんだかかわいそうな気もする。
- 112 名前:pitter-patter 投稿日:2003年07月12日(土)01時54分40秒
- 「こんなにきついと傘もかわいそうだしねぇ・・・また違う日でもいいよ」
「・・・むらっちがいいならいいんだけどさ」
んー、と腕を伸ばしながらそのままテーブルのすぐ後ろにある
ソファーにもたれかかり窓の向こうを眺める彼女。
私もそんな彼女を見ては窓に視線を戻し、曇り空から降り注いでいる大粒の雨を見つめる。
テーブルに肘を付いた体勢で外を眺めていたけれど、きちんと座っていた足をテーブルの下に伸ばし、
私も彼女の隣に同じようにもたれかかった。
「ちょっと待ってみようよ?」
「んー・・・そうだねぇ」
音のない部屋に雨の音が響き渡る。
雨がつくり出す音は激しいながらもどこか優しい感じがする。
窓の外を見ながらその音を聞いているなんだかボーっとしてしまっていた。
- 113 名前:pitter-patter 投稿日:2003年07月12日(土)01時56分30秒
- 「・・・ぇ・・・ねぇ・・・むらっち、むらっち」
彼女の声でふと目を覚ます。
どうやらうとうとしてそのまま少し寝てしまっていた。
それは彼女も一緒だったらしいけど、
私よりも先に目が覚めたみたい。
「・・・ん?どしたの?」
隣から窓の側に移動していた彼女の方をボーっとした頭で見つめる。
彼女はそんな私に少し笑いながら、
窓を指でコツコツ叩いて外を見るよう促す。
「ほら。雨ゆるくなったよ」
「・・・あーほんとだ・・・」
思いの他長く寝てしまっていたのか、
灰色だった空は少しその色合いを濃くし、雨の音は穏やかになっている。
時計を見ると、晴れていれば夕暮れに差し掛かりそうな時間。
「ちょっと傘差しに出掛けよー」
雨が弱まったことを確認した私に彼女がそう続ける。
私はまだ少しぼやけたままで返事をする。
「むらっちどこ行きたい?」
「んー・・・もうすぐ夕飯だしあそこのスーパーとか?」
「それでいいじゃん、行こ?スーパー」
「あ、うん」
「早く行くよー」
「あっ、待って待ってー」
んー、と伸びををしながら玄関へ向かう彼女の後を少し慌てて追いかけた。
- 114 名前:pitter-patter 投稿日:2003年07月12日(土)01時59分07秒
- そしてあの傘を差して夕食の材料を調達しに近くのスーパーへと向かう。
この時間帯と曇り空のせいで少し暗みを帯びた道を二人で進む。
「ちょっと暗いからあんまり色とかわかんないよね」
「ん?そんなことないよ?なんかむらっちぽくていい色だと思うけど」
「ホント?ありがとう」
傘を褒められてるんだけど、まるで自分のことみたいで少し嬉しくなる。
「うん。計画実行できたねぇ」
「スーパーだけどねぇ。ありがとうー」
えー?なんでマサオにありがとうなのさー、なんて
ちょっと照れながらそう言う彼女。あ、照れ隠しに笑ってる。
でもホントに感謝してるんだよ。
マサオ君がいなかったら実行していなかった気がする。
そんなことを思いながら道にできていた小さな水溜りを飛び越える。
- 115 名前:pitter-patter 投稿日:2003年07月12日(土)02時00分04秒
- 昔はよく長靴を履いて水溜りで遊んだなぁ、
なんてことをふと思い出す。
そういえば長靴っていつから履かなくなったんだろう。
かわいいのがあれば、雨の日もっと楽しくなるかもしれない。
「次はかわいい長靴も欲しくなってくるねぇ」
「うわぁいきなりメルヘンー 買ったら次の雨の日オフにだねー」
そんなことを言われると、これから夏なのに、
でもちょっと本気でかわいい長靴が欲しくなってきた単純な私。
またオフの時の楽しみができるかな。
次のショッピングの時にでも探してみようなんて思いながら
スーパーへの道を二人並んで歩いていく。
自分の足取りが軽いのがわかる。
- 116 名前:pitter-patter 投稿日:2003年07月12日(土)02時02分27秒
- やっぱり私の直感は当たってた。
この傘を差すときっと楽しくなれるって思ってた。
でも楽しいのは、もちろんこの傘のおかげでもあるんだけど、
本当は彼女のおかげなんだと思う。
だって彼女がいなければ計画も実行していなかった気がするし、
ちょっとしたことなんだけど、ここまで嬉しくなることはなかったと思うから。
そんなことを考えながら隣を歩く彼女を見ると、
ふと目が合って笑ってくれた。
そんな仕草に私はまた嬉しくなってしまう。
「大谷君、ありがとねぇ」
傘にあたる雨粒のリズムと雨の日が作り出すBGMに合わせて足を進めていった。
- 117 名前:pitter-patter 投稿日:2003年07月12日(土)02時03分26秒
- オワリ。
- 118 名前:ニーロ 投稿日:2003年07月12日(土)02時04分56秒
- 更新しました。
メロン村田さんと大谷さん。
というか村田さん。
- 119 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月15日(火)22時19分16秒
- 毎回、楽しみにしてます。村柴をまた期待してます!!
- 120 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月19日(土)16時24分06秒
- ここの小説のおかげか・・メロンにはまってきました。
やばいです。かなりぐいぐいきてます。
- 121 名前:ニーロ 投稿日:2003年07月24日(木)13時19分21秒
- 感想ありがとうございます!
>119 名無しさん(様)
ありがとうゴザイマス!
毎回だなんてそんな・・・本当にうれしいです!
村柴いいですよね?またそのうちに・・・(ニヤリ
>120 名無しさん(様)
ありがとうございます!あわわ、そんな滅相もありません。
今メロンが熱いです!どんどこ好きになってください。
こんな感じですけれどもまたお越しくださいませ。
言い訳。
どんどん更新速度が落ちています。
もう一週間以上更新していないのですが、
自分の計画性の無さゆえ、まだ後一週間ほど更新できそうにありません。
せめてお礼だけでも言わせていただきたくカキコしました。
それでは失礼いたします。
- 122 名前:マロキネ 投稿日:2003年08月12日(火)21時45分03秒
- やっぱここ最高です。まじすてき。
なんかみんないきいきしてますな。
作者さんのメロンへの愛が伝わってきます。
ビバ!メロン!
- 123 名前:ニーロ 投稿日:2003年08月29日(金)15時53分26秒
- 更新します。
柴田さんと村田さん。
- 124 名前:予告の始まるその前に 投稿日:2003年08月29日(金)15時54分59秒
- ツアーが終わってそんなに日も経っていないある日。
さっき仕事が終わって楽屋にある時計を見ると
夜の7時30分を少し過ぎたくらい。
明日もそんなに早くないし今日は少しゆっくり出来るから、
久しぶりにむらっちのとこに遊びに行きたいけど、
でも中々にお疲れの様だし、今日はおとなしく帰ることにしますか、
なんて考えながら仕事の終わった楽屋で身支度を整えていたら
先に帰る準備が出来ていた隣のむらっちに声を掛けられた。
「柴田くぅん、今からあれ見に行かない?」
「ん?あれって?」
「ほら、前行こうって言ってたヤツ。今なら最終の上映に間に合うし。」
あ、私が見に行きたいって言ってたの覚えててくれたんだ。
- 125 名前:予告の始まるその前に 投稿日:2003年08月29日(金)15時56分15秒
- むらっちが行こうって誘ってくれたのは、
少し前に二人で見に行こうって言ってた某ハリウッド映画。
すっごく見たがってたのは私の方なんだけど。
でも、その映画の上映はどうやら8月いっぱいで終わってしまうみたいで。
忙しくて全然見に行く機会が出来ずに、
もう無理だろうなぁ、残念だけど今回は仕方ないかなぁ。
まぁDVD出るだろうし、なんて少し諦めていた。
あれだけ見たいって言ってたにも関わらず、
正直なところ、ちょっと忘れかけていた節がある。
「遅くなるから村田んち泊まってけばいいし」
「ん・・・」
ちょっと困ったような顔をしてしまってた私に気付いたむらっちが
私の顔を覗き込む。
「どした?あ、柴田くん疲れてる?ならまた別の日でも・・・」
「違う、違うの、そうじゃなくて」
「ん?違うの?」
- 126 名前:予告の始まるその前に 投稿日:2003年08月29日(金)15時57分24秒
- ツアーが終わって東京に戻ってきてからも、
私達にそんなにゆっくりとした時間はなくて。
むらっち疲れやすいからまだ疲れとれてないだろうし・・・
一時ひどかった声もかなりマシにはなってきてはいるものの、
でも完璧に治ったかといえばそうでもない。
すごく見たかった映画だから、
誘ってもらえたのは本当にうれしいんだけど、
でも今はむらっちの体調の方が気になる。
時期が時期だし少しでもゆっくり休んだ方がいいとも思うんだけど、
むらっちがせっかく言ってくれてるのにって思いもある。
「私じゃなくって・・・むらっち、疲れてるでしょ?」
「?」
「だから・・・」
- 127 名前:予告の始まるその前に 投稿日:2003年08月29日(金)15時59分39秒
- 頭の中でうまくまとまらない考えを
どういう言葉で続けようか少し迷っていたら、
そんな私を察してか、むらっちが笑いながら話を続ける。
「村田は全然大丈夫だよぉ?」
「・・・ゆっくりした方がよくない?」
「ノドちょっとおかしいだけだし」
ほりゃっと言いながら、なんだかよくわからないポーズで
元気さをアピールしたいらしいむらっちにちょっと笑ってしまう。
なんなの、そのポーズ・・・
それを見て少し気がほぐれたけど、でもどこか納得できてない自分がいる。
「今日逃すと、この後はちょっときびしいじゃん?」
「・・・それはそうだけど・・・ほんとにイイの?」
「んぅ?むしろドンとこいですよ?」
「・・・ドンとこいって・・・・・・ん・・・ありがと」
「もぉぉ、何気ぃ使ってんのぉー」
そんな私の頭をクシャクシャっと撫でながらむらっちが微笑む。
そんな優しさに自然と顔がほころんでしまう。
- 128 名前:予告の始まるその前に 投稿日:2003年08月29日(金)16時01分22秒
- 「・・・じゃ見たらすぐむらっちのお家帰ってゆっくりしよ?」
「ご飯は?どうする?」
「帰りに何か買って帰ろ?」
うーし、そうするかぁなんて言いながら
まだ私の頭を撫で続けているむらっち。
「もぉー髪くしゃくしゃになっちゃうよぉ」
「ぬはは、ほらだいじょーぶだいじょーぶ」
今度は少しくしゃっとなった髪を整えながらまた笑ってる。
私はちょっとむーっとした顔をしてみたものの、
やっぱり顔はにやけてしまっていて。
「ほい、終了ー。それじゃ行こうかねぇ?
早く行かないと間に合わないよ?」
「あっ、待ってぇ」
いつの間にか荷物を持ってスタンバイしているむらっちに
ちょっとだけせかされて、私もまとめておいたバッグを手に、
二人でほんの少し急ぎながら楽屋口へと向かった。
「むらっち、寝ちゃうんじゃないの?」
「シツレイな、寝ないよぉ」
- 129 名前:予告の始まるその前に 投稿日:2003年08月29日(金)16時02分31秒
- オワリ。
- 130 名前:ニーロ 投稿日:2003年08月29日(金)16時04分16秒
- 更新しました。
メロン柴田さんと村田さん。
そして一人時間差村田総当り祭も終了。
- 131 名前:ニーロ 投稿日:2003年08月29日(金)16時10分23秒
- 感想ありがとうございます。
お礼を。
>122 マロキネさま。
遅くなりましたが、どうもありがとうございます。
そんな、褒めていただいて・・・照れてしまいます。
自分のわかる範囲ではありますが、
現実のメロンさんになるべく近い感じものが書ければいいなぁと。
またよろしければお越しください。
本当、ビバメロンです!
ありがとうございました。
- 132 名前:名無ししゃん 投稿日:2003年09月01日(月)14時04分50秒
- …更新したの知らなかった…。鬱。。。
な、中読みました。
ニーロさんマンセー。
柴田と村田は難しいのでうまいことできるのが羨ましい…。
- 133 名前:ニーロ 投稿日:2003/09/10(水) 00:58
- 感想ありがとうございます。
>132 名無ししゃんさま。
ありがとうございます。
すいません、こっそり更新していました(w
現在異常なまでの村柴熱に侵されています。
そのうちまたこっそり更新するかもしれませんが(w
お付き合いの程よろしくお願いします。
- 134 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 02:22
-
- 135 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/24(水) 19:32
- 村柴すごくよかったですー
なんだか優しい感じが伝わってきます。
次も楽しみにしてます!
- 136 名前:ニーロ 投稿日:2003/09/27(土) 01:37
- 更新します。
メロン村田さんと大谷さん。
柴村斉大。
- 137 名前:d.r. 投稿日:2003/09/27(土) 01:39
- 朝、楽屋へ向かうために一階のホールでエレベーターを待っていたところ、後ろから大谷君に声をかけられた。
「おはよ、むらっち」
「おはよー。あ。今日はひとみんと一緒じゃないんだ」
「何よ。別にいつも一緒に来るわけじゃないもん」
ちょっと顔をむーとさせている大谷君を冷やかしながら二人して楽屋へ入る。
すると、もう先に着いていたお二人さんは向こうのソファーでなにやら楽しげにお話モード。
軽く挨拶をして大谷君と二人椅子に座る。
隣に座った大谷君は、ここに来る前に買ってきたと思われるファッション雑誌をコンビニの袋から取り出し、それを読み始めた。
私は特にすることもなくて、自分のバッグを意味もなくゴソゴソとあさってみたり。
- 138 名前:d.r. 投稿日:2003/09/27(土) 01:40
-
いつもと変わらない楽屋の空気。
だけど。
今日はいつもと違うことが一つ、二つ。
一つは、大谷さんとこの瞳ちゃんがすぐに大谷君に構われに来ないこと。
ある意味メロン楽屋での年中風物詩なのに。
もう一つはうちんとこのあゆみちゃんが私の所に遊びに来ないこと。
二人は向こうでじゃれあったまま。
そんなに広い部屋じゃないけれど、向こうの会話ははっきりと聞き取れない。
たまに高い声や大きい声を拾える位で。
ヒマだしあっちに混ざりに行っても良かったんだけど、
今の話題もあんまりわかってなかったし、
楽しそうにしてるところに水を差すのも無粋だと思って
ぼーっと眺めておくことにした。
そんな二人はというと。
「瞳ちゃんー、二の腕二の腕ー」
「ちょっとやめなさいよー、仕返しっ」
「きゃはは、やめてー」
二の腕のつまみ合いをしてじゃれてる二人。
二の腕って、何してんだか・・・
ほのぼのとしてていいんだけどねぇ・・・
- 139 名前:d.r. 投稿日:2003/09/27(土) 01:41
- おそらく同じようなことを考えていたであろう大谷君と目が合う。
「楽しそうだねぇ」
「そうねぇ。むらっちもつまんでくれば?」
ちょっとだけ機嫌悪い?大谷君。
表情も口調も普段通りなんだけど、
なんだかそんな気がするのは多分間違いじゃない。
「今はいいよ、大谷君こそ」
「今は、ですか。マサオもいい」
「今は?」
「今はね・・・って何言わせるの」
そんなことを言いながらまた雑誌に目を戻す大谷君。
向こうのじゃれ合いなんて気に留めてない風を装っているけれど、
絶対気にしてると思う。
普段からそんなのが私達にはバレてないと思ってるんだろうけれど。
バレてないのはひとみんにだけ、っていうのがちょっと面白いところで。
- 140 名前:d.r. 投稿日:2003/09/27(土) 01:42
- とりあえず向こうの二人を傍観することに決め込んだ私達。
私はというと、バッグをあさるというヒマつぶしにも飽きて、
大谷君に相手をしてもらうことにして、話しかけてみる。
「何読んでんの?」
「・・・ん?あー雑誌」
見りゃ分かりますよ、雑誌ってことくらいは。
「何かかわいいのあった?」
「あー・・・あった、あったよ」
さては内容全然頭に入ってないね。
やっぱり気になってる、気になってる。
少し会話に間が空いたと思ったら、ボソッと大谷君がつぶやいた。
「・・・あゆみん呼んでみたら?」
「大谷君こそひとみん呼べばいいじゃん、呼んだらすぐ来るよひとみん」
「なんで、やだよ。あゆみんだってすぐ来るでしょ」
大谷君はそういってまた雑誌に視線を戻す。
- 141 名前:d.r. 投稿日:2003/09/27(土) 01:42
- そんなこんなしていたら、向こうの二人になにやら動きが。
「あゆみー喉渇いたージュース飲みにいこっ」
「うんーあたしもー。じゃぁ行ってきまーす」
二人が出て行った後、また大谷君とどちらからともなく目が合う。
「どうしたの?今日」
「何なんだろ」
「大谷君ひとみんになんかした?」
「何にもしてないよ、そっちこそ」
「いや別に?昨日はいつも通りだったもん」
「なんだろ、調子狂うよね」
別にいいんだけどさ、なんてつぶやく大谷君。
また冷やかそうかと思ったけど、それはやめておいた。
こんな日があってもいいでしょ、なんてお互い言いながら時間を潰す。
- 142 名前:d.r. 投稿日:2003/09/27(土) 01:45
- それはそうと、なんだかほんのちょっと試されてる気がするのは気のせい?
それはもちろん私だけじゃなくてね。
考えてみれば、こっちから構われに行くことってそんなになかった気がする。
あゆみが帰ってきたら今日はこっちから構われにいこうかね。
たまには、珍しいこと続きの日もおもしろいんじゃない?
二人が帰ってきて、私があゆみの所に行ったとしても、
多分大谷くんはひとみんの所には行かなくて。
結局はひとみんが大谷君の所に来て、ちょっとケンカなんてするのかもしれない。
それはそれで見慣れた光景だから特に問題なし。
二人にはそれも一種のコミュニケーションだろうし。
あんなことやそんなことを考えていると何故かちょっとだけ楽しくなってきて。
二人の帰りを待つ、そんな仕事前の時間。
とりあえず、後でこっそりと二の腕はつまんでおくことにしようか。
オワリ。
- 143 名前:d.r. 投稿日:2003/09/27(土) 01:46
- おまけ。
自販機前の斉藤さんと柴田さん。
「瞳ちゃん、どっちも来なかったじゃん」
「たまにはさ、向こうから来てくれてもいいのに・・・」
「そうだよねぇ。ねぇ、もうめぐちゃんのとこ行ってもいい?」
「ダメ」
「何でよー」
「なーんーでーもー」
「瞳ちゃんもマサオ君とこ行こうよぉ」
「行くけどぉ、もうちょっと間空けるの」
「えー、もういいじゃんー」
「今日はまだダメ」
オワリ。
- 144 名前:ニーロ 投稿日:2003/09/27(土) 01:47
- 更新しました。
やっぱりメロンです。
柴村斉大前提の村田さんと大谷さん。
- 145 名前:ニーロ 投稿日:2003/09/27(土) 01:53
- 感想ありがとうございます。
>135 名無し読者さま。
ありがとうございます。
まったりとした感じのものが書ければいいな、と。
今回も一応村柴なので、また読んでいただければうれしいです。
よろしければまたお越しください。
- 146 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 00:23
- はじめまして。
毎回楽しみにさせてもらってます。
いやーやっぱメロンはいいっすね。小説あんまりないので見つけた時は狂喜しました。w
村さん最高です。更新頑張ってください!
- 147 名前:ニーロ 投稿日:2003/10/08(水) 15:46
- 更新します。
メロン斉藤さんと大谷さん。
- 148 名前:ミアゲタソラニハ。 投稿日:2003/10/08(水) 15:48
-
ヒマだったからってわけじゃないけれど。
久し振りに夕飯を作っています。
今日のメニューは家庭料理の定番、肉じゃが。
- 149 名前:ミアゲタソラニハ。 投稿日:2003/10/08(水) 15:50
- 落し蓋をおいたやや深めの鍋からは
グツグツといい感じの音が聞こえてくる。
自分で言うのもなんだけど、
キッチンにはいいにおいが漂っている。
後はじゃがいもに味がしみ込むのをちょっと待つだけで。
弱火とはいえ、火をかけたままガスコンロの前を離れるわけにもいかなくて、
コンロの上の鍋を気にしながらすぐ横の流しで調理具の片付けに取り掛かる。
肉じゃがだけに限ったことじゃないけれど
料理って一人分作るよりも、多めに作ったほうがおいしそう、
そんな気がするのは気のせいなんだろうか?
だからついつい多く作りすぎちゃうんだけれど。
今日も鍋の中には一人で食べるには十分どころか
飽きてしまいそうになるくらいの肉じゃががスタンバイ。
作りすぎた言い訳を一人心の中でしながら、
グツグツと音を立てる鍋を横目に洗い物を片付けていく。
洗い終わったらマサオに電話してみようかな。
絶対この量は食べきれないし。
- 150 名前:ミアゲタソラニハ。 投稿日:2003/10/08(水) 15:51
- そんな時、リビングに置きっぱなしだった携帯電話が音を立てた。
少し慌てて手の水気を拭い取って携帯を取りにリビングに急ぐ。
着信の表示を見るとタイミングよくもマサオからで。
「もしもし?今大丈夫?」
大丈夫、と返しながら一旦キッチンに戻り、
コンロの火を止めて、もう一度リビングへと向かう。
今どこにいるのかと尋ねられ、家にいるってことを伝えると、
「今さ、ベランダ出れる?」
「ベランダ?」
「そう、多分大丈夫だと思うんだけど。」
説明のないまま、ベランダへ出るように急かされる。
何のことかいまいちわからかったけれど、
ハイハイ、なんて言いながらベランダに出てみる。
- 151 名前:ミアゲタソラニハ。 投稿日:2003/10/08(水) 15:52
- ベランダへ出る窓を開けると外の涼しい空気が体を包む。
まだ夏が終わったばかりとはいえ、秋の訪れを感じさせる涼しさ。
「見える?上、ちょっと上見て」
「ちょっと待ってってば。上?・・・わー・・・」
マサオが言った様に空を見上げると、そこにはとても大きくて薄い三日月。
薄くてはかない感じではあるけれど、
その大きさのせいか、どこか力強さを感じられる月。
「すっごいキレイだったから、おすそわけ。」
電話口の向こうで笑う彼女。
そんな彼女のはにかんだ様子が目に浮かんできて、
こっちも笑みがこぼれてくる。
「マサオ、今どこから見てんの?」
「今?家のベランダ」
なんとなくぼーっとしたくなってベランダに出てみたら、
こんな月が出ていて、それで電話してくれたらしい。
- 152 名前:ミアゲタソラニハ。 投稿日:2003/10/08(水) 15:54
- せかせかした環境の中で、せかせかしている毎日で。
空を見上げても見えるのは電線や高い建物ばかりで。
空を見上げるってそういえば忘れてた気がする。
自分では気付いてないうちに、ちょっとした、
ゆとりみたいなものがなくなっていたのかもしれない。
そんな時にふとこういうきっかけがあると、
忘れてしまったわけじゃないんだけど、思い出して初心に帰るというか。
安易かもしれないけれど、頑張ろうって思えてくる。
自然なものには何か不思議な力があるんだろうな。
なんてね。
そんな考えを全部は恥ずかしいから、
ちょっとだけ、電話の向こうのマサオに伝えてみる。
そしたら頑張ろうって思ったのはマサオも同じみたいで。
そこから珍しく真面目にこれからのことなんかを話してみたり。
そんな話をしていても、いつものようにすぐに笑い話になってしまったり。
そんな感じで月を見ながら二人、話を続けていく。
- 153 名前:ミアゲタソラニハ。 投稿日:2003/10/08(水) 15:55
- しばらくベランダで話をしていたものの、
肌寒くなったので、何か羽織ろうと一旦部屋の中に戻る。
部屋に入ると、ほんわりと漂う肉じゃがの匂い。
その匂いで肉じゃがを作っていたこと、
そしてマサオに電話しようかと思っていたことを思い出した。
キレイな月のおかげですっと忘れてた。
「そうそう、マサオもうご飯食べた?」
「ご飯?まだだけど?」
「ホント?じゃぁ一回電話切るね?ちょっと待ってて」
「え、うん、なに?なに?」
「肉じゃが、持ってくから」
別に私が持っていかないで、
マサオに来てもらえば早い話かもしれないんだけど。
とてもいいお裾分けをしてもらったから。
そして電話してきてくれたのが本当に嬉しかったから。
そのお返しって意味もちょっとあって。
今日は私が届けに行きたかった。
- 154 名前:ミアゲタソラニハ。 投稿日:2003/10/08(水) 15:56
- そうとなれば、さっそくお返しの準備に取り掛かる。
もうじゃがいもにも味がしみているだろう。
あ、そういえばタッパーない・・・お皿でいいか。そんなに遠いって距離でもないし。
まだ十分にあったかい肉じゃがをお皿に取り分ける。
ちょっとでも早く、冷めないうちに届けよう。
この季節には似つかわしくなくってきたサンダルを引っ掛けて玄関を後にする。
彼女の家へと急ぐ途中、歩きながらふと空を見上げると、
さっきの月がそっと一緒に着いてきていた。
- 155 名前:ミアゲタソラニハ。 投稿日:2003/10/08(水) 15:57
- オワリ。
- 156 名前:ニーロ 投稿日:2003/10/08(水) 15:57
- 更新しました。
- 157 名前:ニーロ 投稿日:2003/10/08(水) 16:09
- 感想どうもありがとうございます。
>146名無し読者サマ
はじめまして、そしてどうもありがとうございます。
私も書き込みを見て狂喜しましたw
村さん、最 高 で す。
更新ペースが非常に遅くて、かつお礼言うのも遅くて申し訳ないです。
こんなんですが頑張りますのでまたお越しいただけると嬉しいです。
- 158 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/10(金) 23:43
- うわーメロン小説がこんなところにあるなんて!!
発見してめちゃめちゃ嬉しいです。
村柴斉大最高ッス!!
個人的にはd.r(dressing room)が好き。
自分のメロンはこうあってほしいイメージそのままでした。
おまけのほうも二人が可愛い・・・
pitter-patterの村田さんも可愛すぎだしー雨の日が好きになりそう。。。
更新まったりと待ってます。
- 159 名前:ニーロ 投稿日:2003/10/17(金) 22:15
- おそくなりましたが感想ありがとうございます。
>158 名無し読者サマ。
感想ありがとうございます!
喜んでいただけてこちらもうれしいです。
柴村斉大、柴村・村柴・斉大・大斉どっちもいいですが、
とりあえずステキですよね!
更新ペースがまったりどころか異常なまでに落ちていますが、
また読んでやってくださるとうれしいです。
- 160 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/29(水) 13:24
- ここのメロンはかわいいですな。
これからも頑張ってください。
マターリ待ってます。
- 161 名前:ニーロ 投稿日:2003/10/31(金) 03:11
- 更新します。
- 162 名前:トゥユゥ、フォゥユゥ。 投稿日:2003/10/31(金) 03:13
- 誕生日はマサオの部屋で迎えたいってひとみんが言ったから。
仕事が終わって外で食事をした後、そのまま私の部屋でゆっくりしいる。
お腹がいっぱいってこともあってソファーに二人だらっと座り、私はひとみんに左手の指をいじられながら、
いつもの通り他愛もない会話をして日付が変わるまでの時間を待つ。
「明日も仕事だけどねぇ」
「うんー、でもそれもうれしーよ?」
いろんな人にお祝いしてもらえるし。
でも、ホントはマサオだけと一日過ごす方がずっと嬉しいんだけどね。
まだ私の指をいじりながらそんなことを言って隣で笑ってる彼女。
・・・かわいいこと言ってくれるじゃん。
何言ってんだかー、なんて口から出てしまうのは、ほんの照れ隠し。
ふとつけっぱなしになっていたテレビ画面の右端に映っているに時計に目をやると、
もうあと20分足らずで日付が変わるという時間。
- 163 名前:トゥユゥ、フォゥユゥ。 投稿日:2003/10/31(金) 03:15
- なんでだか、こっちの方が微妙に緊張してきた。
12時になったらおめでとうって言って、ベタにハッピーバースデー歌って、ケーキのローソク吹き消してもらって、プレゼント渡して、それで・・・
・・・ん?
ケーキのローソク吹き消して?
ケーキのローソク?
ケーキ?!
ちょっと待って、ケーキ買ってないよ、そう言えば。
普通、誕生日といえばケーキでしょ?
なんとなくだけど。
まぁ、ひとみん甘いもの好きだしやっぱりケーキは外せない感じじゃない?
仕事の帰りに買っとけばよかったんだけど、すっかり忘れてた・・・
なんで忘れてたんだろ・・・いや、朝は覚えてたはずなんだけど・・・
明日仕事に行ったらスタッフさんとかがきっとケーキ用意してくれてて、みんなでケーキ囲んでお祝いしてくれるんだろうけど、でもそれとこれとは別問題で。
今なくてもきっとひとみんは全然気にしないって言うだろうけれど。
でも。ないよりあったほうが嬉しいよね、やっぱり。
- 164 名前:トゥユゥ、フォゥユゥ。 投稿日:2003/10/31(金) 03:15
- どうしよ、もう今頃開いてるケーキ屋さんなんかないよ普通・・・
開いてるとこっていったら・・・コンビニ?
コンビニ・・・ねぇ・・・
「・・・ちょっと待ってて」
ソファーから立ち上がり、サイフを握り締めてそう言い残し、部屋を飛び出す。
いきなりのことに後ろでひとみんのえっ、ちょっと?!マサオ?!って声が聞こえてたけど、取り敢えず今は無視。
そして、目指すはコンビニ。
- 165 名前:トゥユゥ、フォゥユゥ。 投稿日:2003/10/31(金) 03:18
- コンビニを出てからは、全速力で部屋へと向かった。
サイフしか持ってこなかったから、時間を知ることのできる唯一のものといえばコンビニの店内の壁にかかっていた時計だけだった。
買い物が終わったその時点でその時計を見たら、タイムリミットまであと8分。
多分間に合うだろうけれど、もしかしたらって不安になってしまって、コンビニの袋を揺らしながら帰り道を急ぐ。
時を知るための道具がないことが余計に焦りをかき立ててしまっていた。
「ちょっと、いきなりどこ行ってたのよぉ」
部屋のドアを開けるなり、少し不満気な声で質問してきた彼女にとりあえずはさらっと謝りながら、
走り込んだリビングのテレビの時計で時間を確認する。
あと4分。
よかった、なんとか間に合った・・・
息を切らせながら、コンビニの袋をひとみんに手渡す。
「これ・・・買いに行ってた・・・」
「なになに?・・・あーアイスパフェ?!」
どうしたのよいきなり、なんて言いながら、
息が上がってる私をソファーに座らせて、背中を撫でて落ち着かせてくれる。
- 166 名前:トゥユゥ、フォゥユゥ。 投稿日:2003/10/31(金) 03:21
- 「ケーキ買ってなかったから・・・こんなんでもあった方がいいかなって・・・」
「それでわざわざ走って買いに行ってくれたの?」
色気も味気もなくて、すっごい悪いんだけど。
なんせコンビニのだし。
最初はケーキにしようと思ってたんだけど、なんだか微妙なものしかなくて。
どうしようかと思って店内を小走りで見回ってた時に目に入ったのが、
アイスのショーケースにあったパフェタイプのこのアイス。
なんとなく2カット入ってるケーキよりまだそっちの方が誕生日っぽいって思っ
たから目的だったケーキを変更してこっちにしてみた。
「ローソクは買えなかったけど・・・」
一応探してみたんだけど仏壇用のものしかなくて、
さすがにそれはまずいと思って買わなかった。
おまけにそれでアイスだと、火つけるとその後大変なことになるだろうし。
「マサオのその気持ちだけで嬉しいよ?ありがと」
彼女はそう言いながら、やっと落ち着いてきた私の背中を撫でていた手を髪に移動させて、
優しい顔つきで撫でてくれる。
- 167 名前:トゥユゥ、フォゥユゥ。 投稿日:2003/10/31(金) 03:22
- 「ん・・・ちゃんとしたのはまた今度でいい?」
「これ買ってきてくれたから別にもうじゅーぶんだよぉ」
「まぁ期待しててって、あ、もうすぐ日付け変わる」
「あ?ほんとだ」
時計を見ると、31日にまであと2分ない位の頃合。
慌ててテレビを消して、壁の時計の針の動きを二人で静かに見つめる。
あと1分。
どちらともなく繋いだ手に少し力が加えられるのがわかって、私も握り返す。
そして30秒を切ったところでカウントダウンを始める。
・・・3・・・2・・・1・・・
時計の全部の針が重なったのを確認して、
ゆっくりとひとみんの方を向いて、まずはこの言葉。
- 168 名前:トゥユゥ、フォゥユゥ。 投稿日:2003/10/31(金) 03:25
- 「誕生日、おめでと」
「ありがとー」
ハッピーバースデーも早口で歌って、
さっき買ってきたアイスを食べてもらっている間に、
シェルフの上に置いていた小さな紙袋を取りに行く。
「ん、あとこれ」
「プレゼント??ありがとー!開けていい?開けていい?」
ゴソゴソとラッピングを開いていく彼女。
小さい包装紙を丁寧に折りたたんでいる所がひとみんっぽくてなんだか微笑ましい。
「あーっ、これ!」
箱を開けたひとみんがそう言って手にしているのは、
そんなに派手じゃないトップのシルバーネックレス。
私が今つけている結構お気に入りのピアスのシリーズで、
トップのデザインが同じタイプのもの。
- 169 名前:トゥユゥ、フォゥユゥ。 投稿日:2003/10/31(金) 03:29
- ひとみんは何故かやたらとこのピアスを気に入っていて。
最初からアクセをプレゼントしようっていうのは漠然と決めていたんだけど、ふとそのことをよく行くショップで思い出して。
微妙にお揃いのものをあげるのもどうかと思ったけれど、何か一つお揃いのものを持ってて欲しいなんておとめチックな部分がひょっこり顔を出してきて。
散々店先で迷った挙句、やっぱりそのネックレスを買ってしまった。
「ありがとう!ね、ね、今つけていい?」
「うん、あ、つけたげる」
ネックレスを受け取って、ひとみんの方にもうちょっと近づく。
「ホント?じゃぁ後ろ向いた方がいい?」
「いいよ、別にこのままで」
向き合った体勢のまま体を近づけて首の後ろを覗き込んで金具をはめようとしていると、丁度いい体勢のせいか、彼女が抱きついてくる。
- 170 名前:トゥユゥ、フォゥユゥ。 投稿日:2003/10/31(金) 03:31
- 「や、抱きつかなくていいから。つけづらい」
「えー、いーじゃーん、たんじょーびだもん」
「動かないでって、手元狂うから」
「やーだー、動くもん」
抱きついただけならすっとはめられたんだけど、
そのまま鼻で首筋をこすったりしてくるから中々にはめづらい。
そんな風にじゃれてくる彼女をあしらいながら、
やっと金具をアジャスターにはめ込むことに成功。
「・・・できたっと・・・」
「ありがとー」
ねぇ似合う?似合う?って言いながら人差し指でトップを揺らして微笑む彼女を見ていると、こっちもすごく嬉しい気持ちになる。
そんなひとみんを引き寄せて軽く唇を寄せて、そのまま腕の中に収めて回した腕に力をこめる。
「ふふー、お揃いだねー、すごいうれしい」
そう言って腕の中のひとみんが私の背中に回した手を耳まで伸ばして、私の左耳のピアスを優しい手つきで撫でる。
その手つきがくすぐったくて、そっと抱きしめていた手を緩めて彼女の顔を見ると、そこには眩しそうに笑う彼女の顔があって。
- 171 名前:トゥユゥ、フォゥユゥ。 投稿日:2003/10/31(金) 03:32
- やっぱりすごい好きだわ。
誰にも渡したくないや、渡さないけどね。
この日になって改めて自分の気持ちを再確認。
とりあえず、離さないから。絶対面と向かっては言わないけど。
なんて、こっそり独占欲全開の自分も再確認。
朝が来てしまったら、いつものように仕事に行かなくちゃならなくて。
そうなるとこんな風に一人占めしてお祝いするなんてことはできなくなるから。
ありがたいことだし、それももちろん十分過ぎる程にわかってはいるんだけど。
だから、今だけはこうしてマサオだけに祝わせて?
そんな思いも込めて、少し緩めていた手にもう一度力を込めてみた。
happy birthday to you, for you.
- 172 名前:トゥユゥ、フォゥユゥ。 投稿日:2003/10/31(金) 03:33
- オワリ。
- 173 名前:ニーロ 投稿日:2003/10/31(金) 03:35
- 更新しました。
斉藤さんお誕生日おめでとうございます。
- 174 名前:ニーロ 投稿日:2003/10/31(金) 03:41
- 感想ありがとうございます。
>160 名無し読者さま。
どうもありがとうございます!
頑張ります!(頑張り気力と更新速度は比例しませんが・・・
ここ最近は斉大が続いていますが、
それも楽しんでいただければうれしいです。
- 175 名前:从‘ 。‘从 投稿日:从‘ 。‘从
- 从‘ 。‘从
- 176 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/31(金) 23:27
- 斉藤さんお誕生日おめでとーv
誕生日メロンのメンバーはプレゼント交換とかしてそうですよね!!
ラブラブな斉大…
イベントな時くらいマサオも素直になってくれるのかな?
更新お疲れ様でした。
- 177 名前:ニーロ 投稿日:2003/11/01(土) 03:49
- 感想どうもありがとうございます。
>176 名無し読者さま
どうもありがとうございますー。
してそうですね、交換。みんなで。
個人的にはサプライズパーティーとかしてほしいです。
斉大の9割はラブでできてますw(願望
あと、誤字がありました。
>162 2行目文末
ゆっくりしいる。→ゆっくりしてる。
全然気付いてませんでした。お目汚しすみませんです。
- 178 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/19(水) 22:12
- まったりとお待ちしております。
- 179 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/26(水) 20:26
- ニーロさんの書かれるメロン可愛くて大好きです。
サイトも覗かせていただいておりますです。頑張ってください。
- 180 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/27(木) 22:20
- 自分もサイトのほうのぞかせてもらってます。
メロン記念日万歳!
ヽ(`___´)人ξξ“ З.“)人川σ_σ||人( ‐ Δ‐)ノ
保全しながらまったり待ってます。
- 181 名前:ニーロ 投稿日:2003/12/01(月) 23:26
- 感想ありがとうございます。
>178 名無し読者サマ
レス本当に遅くなってすみません。
そして書き込みどうもありがとうございます!
もう暫くかかるとは思いますが、よければお付き合いくださいー。
>179 名無し読者さま
ありがとうございます。
可愛いと言って頂けるとすごいうれしいです。
サイトにも来てくださっているとは・・・どうもありがとうございます。
またのお越しを今か今かとお待ちしております。
>180 名無し読者様
メロンマンッセー!!
保全どうもありがとうゴザイマス。
うわぁぁ、サイトにも来てくださっているようで・・・
恥ずかしいですがありがたいですw
またいらしてくださればうれしいです、眠らずにお待ちしております。
前回の更新から一ヶ月ですが、
現在少し慌しくもう暫く更新できません。
できるだけ早く更新しようと思ってはいるのですが・・・
ひとまず感想のお礼だけを。
どうもありがとうございました。
- 182 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/29(月) 05:08
- ゆっくり待ちながら保全
- 183 名前:ニーロ 投稿日:2004/01/09(金) 22:30
- 更新します。
- 184 名前:冬の温度 投稿日:2004/01/09(金) 22:34
-
今日は久し振りに、柴田くんがうちにお泊りに来る。
久し振りって言ってもそんなに日が空いている感じはしないんだけれど。
年が変わってからは初めてのお泊りだったかな。そういえば。
うちに帰る途中、少し遅いお正月のオフの話の流れから、
初詣に行った行かないの話になった。
二人とも初詣は一応済ませていたものの、
二人だけではまだ行ってなかったこともあって、
まっすぐ帰る予定を変更して、
うちからそう遠くない所にある神社に行くことにした。
- 185 名前:冬の温度 投稿日:2004/01/09(金) 22:35
-
「ねぇ・・・めぐちゃん・・・」
「ん・・・」
暫く歩いて到着した小さな神社の
境内へと続く石段を目の前にして二人の足が止まる。
「さっきから思ってたんだけど・・・すごく暗くない?なんか危なげ・・・」
「だよね・・・村田もそう思ってた・・・」
とっくに日が落ちてしまった上に、人通りがほとんどないこの通り。
外灯の数が少なくてより暗いのも気のせいなんかじゃない。
「・・・どうする?」
「ここで拝んどこっか・・・」
「そうだよね、それがいいよ・・・」
か細いオンナノコ二人だしさ、神様ならわかってくれる、
肝心なのは気持ちの問題だよ、なんて言い訳をお互いしながら、
石段の手前にある、石造りの鳥居の前で小さく拍手を叩いて、
少しだけお参りして、そそくさと来た道を戻り始めた。
- 186 名前:冬の温度 投稿日:2004/01/09(金) 22:37
- さっきよりも少し外灯も増えて明るくなった通りまで出る。
早めていた歩調もまたいつも位の速さに戻した。
お互い無言だったことにも気付き、どちらともなく顔を見合わせて口を開く。
「お参り、っていうか・・・肝試し?」
「時期はずれもいいとこだったねぇ・・・まぁ、夜のお散歩ってことで」
「今度ちゃんと暗くない時にお参りしに来ないといけないね?」
「そだねぇ、やっぱり申し訳ないし」
ちゃんとしたお参りは次回、昼間ということになった。
いつ来れるんだろう、春までにはなんとか、なんて話をしながら
冬のひんやりとした風を感じて、家へと足を進めていく。
- 187 名前:冬の温度 投稿日:2004/01/09(金) 22:42
- そんな時、やや強めの風が私達の間を吹き抜けていった。
「うー・・・さむ・・・」
搾り出すような声を出した彼女を見ると、
顔をしかめてコートの上から自分の体をぎゅっと抱きしめて腕をさすっている。
「寒いけど気持ちくない?冬っぽくていくない?」
冬は嫌いじゃない。
雪のめったに降らない東京の冬はどこか物足りなさを感じるけれど、
背筋の伸びる感じや、身の引き締まる感じはどんな場所にいても変わらない気がする。
「えー?気持ちよさより寒さの方が勝ってるよー」
柴田くんはそう言ってさっきの体勢のまま間合いを詰めてきて、
ふと私の左腕をとった。
そして左手には自分の体温よりも温かい感触。
そんな感触にふと足が止まり、自分の手の先へと視線を向ける。
- 188 名前:冬の温度 投稿日:2004/01/09(金) 22:43
- それに気付いた柴田くんも足を止め、こっちの表情を伺う。
そしてすっと手に視線を向けた。
「手、繋ぐのイヤ?」
「あー、イヤとかじゃなくて・・・村田の手冷たいでしょ?だから」
「うん、でもいいの」
そのまま繋いだ手に力を込められる。
「ん。そっか」
それならいいんだけど。
それでも。
自分ではどうしようもないんだけど。
なんとなく申し訳なくて。
「ごめんね」
私の小さな声を受けて、隣で何も言わずにクスっと笑う彼女。
ごめんね、なんて。
別に謝ることじゃないのに。
私よりも温かい柴田くんの手からは、
温度と一緒にそんな言葉が流れてきた気がした。
- 189 名前:冬の温度 投稿日:2004/01/09(金) 22:44
-
「そろそろ帰ろうかねぇ。早く帰って温まろ?」
「うん。そうだね」
返事を返しながら彼女は、
繋いでいる私の左手を持ち上げながらニッコリと笑って。
はぁっと息をかけてから甲にそっと唇を落とした。
冷たさが抜け落ちるような感覚が手から体全体に広がっていく。
「ほら、めぐちゃん帰ろ?」
繋いだ手を引っ張って、柴田くんが一歩先に足を進めていく。
なんだか、私の方が年下みたいだな。
そんなことを思いながら引っ張っていく温かい手を握り返した。
- 190 名前:冬の温度 投稿日:2004/01/09(金) 22:45
- おわ、り
- 191 名前:ニーロ 投稿日:2004/01/09(金) 22:48
- 遅くなりましたが明けましておめでとうございます。
更新初めしました。
やっぱりメロンで柴田さんと村田さん。
- 192 名前:ニーロ 投稿日:2004/01/09(金) 22:56
- 多謝御礼。
>182 名無し読者様
レス遅くなりまして申し訳ありません。
年末保全、どうもありがとうございました。
今年もやはりどう考えても早くない更新速度だとは思いますが、
お付き合い頂ければ嬉しいです。
- 193 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/10(土) 13:43
- ニーロさんのメロンは可愛くて暖かくて大好きです。
頑張ってください。
- 194 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/10(土) 22:01
- 更新乙です。
うーん、いいですねぇ。柴田くんと村田さん。。。
ゆったりとぽわ〜んとした空気が二人には合ってます
それでは、また次の更新をまったりと待っておりますー
- 195 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/06(土) 21:25
- 読者による保全レスには意味がなくなったようですが、このスレが好きなので
保全!
- 196 名前:ニーロ 投稿日:2004/03/21(日) 07:52
- 遅くなりましたが、まずは御礼申し上げます。
>193 名無し飼育さん
話を上げてすぐの感想、どうもありがとうございました!
暖かいって言ってもらえることが本当うれしいです。
>194 名無し飼育さん
またまた、早速の感想をどうもありがとうございました!
自分が書くとどうも柴田さんと村田さんの二人はこんな風になってしまいます(w
>195 名無し飼育さん
ううう・・・保全どうもありがとうございます!
今年の初めから全く更新せず、レスも放置と
ひどい有様で申し訳ございません。
少々慌しい日々を送っておりまして、もう暫く更新できません。
私事で申し訳ありません。
- 197 名前:ニーロ 投稿日:2004/05/22(土) 00:39
- こっそり更新します。
- 198 名前:ニーロ 投稿日:2004/05/22(土) 00:39
-
「…ねぇ?」
そう呼びかけられて、自分の意識が飛んでしまっていたことに気がついた。
肩にかかっていた彼女の重みすら忘れてしまうほどに。
- 199 名前:ニーロ 投稿日:2004/05/22(土) 00:40
- 「ねぇマサオ?機嫌悪い?」
そう言って彼女は少し困った様な顔つきで私の顔を覗き込んできた。
「…んぅ?何で?」
さっと意識を取り戻して彼女の方に顔を向ける。
「だって怖い顔してたから」
「そんなことないっしょー」
「どこ見てるかわかんなかったんだもん」
「えー、ごめんってー。ね?」
おどけたフリして謝って、指の背で彼女の頬をそっと撫でる。
ここはサラッと流しておかないと。
頬を撫で、髪を撫でて、軽くキスすれば彼女はいつも通りの笑顔に戻ってくれる。
そこはあくまでもドライに。そしてクールに。
自分の本当の気持ちなんていくらでも隠せるから。
- 200 名前:ニーロ 投稿日:2004/05/22(土) 00:40
- 「マサオ好きー…」
そうは思っていても、そんな決心がこの言葉一つですぐに鈍ってしまう。
「……マサオだってひとみん好きだよ?」
ホントバカだな、アタシって。
そう自覚はしてても、やっぱり未だに成長してないんだ。
こんな風にためらいながらもすぐに答えを返してしまう自分に自嘲気味な笑いが零れる。
人間は学習する動物だって誰が言ってたっけ?
先を予測する機能も備わってたはずでしょ?
でも、欲に目がくらんでしまった人間は。
そんな機能なんて使用不可能にしてしまう。
- 201 名前:ニーロ 投稿日:2004/05/22(土) 00:41
- 「アタシってば幸せモノ」
わかってはいる。
ただの言葉遊び、それが繰り返されるだけのことで。
それなのに、こんなことになってしまったのはいつからなんだろう。
そんなことすらもう思い出せない。
今更わかってたはずなのに。
絵空事の世界だって割り切ってたつもりだったのに。
言葉だけで済んでいたなら、もっと簡単だったのかもしれない。
でももう遅いから。
簡単に手に入ったからって言って、すべてを手に入れたわけじゃない。
すべてを手に入れる?なんだそれ。
別にそんなこと望んでいたっけ?
でも、本心はそうで、でも見ないようにしてただけで。
しんどい道を選んだのは自分だけど、たまにその決心につぶされそうになる。
もしかしたらもうつぶれているのかもしれない。
- 202 名前:ニーロ 投稿日:2004/05/22(土) 00:43
- 「マサオがいてくれれば他に何にもいらないから」
そんな言葉が胸を刺し続ける。
彼女のその言葉に偽りはない、と思う。
けれど、真実でもない言葉。
どれだけ言葉を積み重ねても重みのない言葉は、風が吹けば跡形もなく吹き散ってしまう。
けれど彼女の口から発せられた言葉達は私の耳に重く響き、体の端々へと行き渡る。
「マサオだって」
私の言葉にだって偽りはない。
けれど口に出した時、彼女の耳に届く時、
その意味合いは大きく変わってしまっていて。
私の口から零れる本心が真っ直ぐ彼女に届くことはない、この先も。
仕方がない、そんなことはわかってる。
けれどこの思いはどうすればいい?
そんなこと考えたってどうにもならないことだってあるのに。
最初からわかってたはずなのに。
本当、何を今更。
- 203 名前:ニーロ 投稿日:2004/05/22(土) 00:44
- 臆病者だから。
今更自分が傷つくのが怖いからさ。
そうだよ、疲れたよもう。
しんどいんだよ、正直。
- 204 名前:ニーロ 投稿日:2004/05/22(土) 00:45
- 「マサオ大好き」
何も聞かなければ、聞こえなければ楽なのかもしれない。
彼女の声なんて空気の振動現象でしかない。
苦しいくらいならこんな音なんていらない。
無音の世界なんてこんなに簡単に手に入る。
何も見なければ、見えなければもっと楽なのかもしれない。
所詮目に映る彼女だって視細胞の感知現象。
こんなに苦しいくらいならそんな光なんていらない。
光をシャットアウトすることだってきっと簡単なことで。
もう一度彼女を見つめる。
それに気付いた彼女はクスッと小さな微笑みを浮かべて。
そして二人の距離を近づけてきて。
私は小さく一つ、息を吸い込む。
目の前の彼女をそっと目に焼き付けて、すっと目を閉じた。
- 205 名前:ニーロ 投稿日:2004/05/22(土) 00:46
- 終わり。
- 206 名前:ニーロ 投稿日:2004/05/22(土) 00:48
- 更新しました。
しまったタイトル入れ忘れた。
- 207 名前:ニーロ 投稿日:2004/06/04(金) 21:34
- 更新します。
- 208 名前:ユゥメイクミーハッピー 投稿日:2004/06/04(金) 21:36
-
カーテンの隙間から差し込んでくる光がやんわりと瞼を刺していた。
- 209 名前:ユゥメイクミーハッピー 投稿日:2004/06/04(金) 21:37
- 暑くなるにはまだ早すぎる時間。
なんだか早く目が覚めたのが得したのか損したのかわからなくて、
ただなんとなく天井を見つめながら、ぼんやりと数時間後のことを考えてみた。
外の世界は今日もきっと鮮やかな色で覆われるんだろう。
そんなほんの数時間先の予想が外れたとしてもそんなのはどうでもいいやなんて、
隣の37度の体温を感じながらまだ働いていない頭で考えていた。
うん、どうでもいいや。
天気がいいとかなり幸せになれるしその方が気分もいいけど、
でも、それよりももっと大切で大きな幸せがこの部屋にはあるから。
- 210 名前:ユゥメイクミーハッピー 投稿日:2004/06/04(金) 21:38
- まだくぅくぅと寝息を立てて隣で眠っているひとみんのブランケットをかけなおす。
腰の上辺りに置かれたひとみんの左手の心地いい重さを感じながら、そーっと寝顔を眺める。
・・・うん、いい感じ。
寝てるのをいいことに、それでもちょっと起きてくれるのを期待しながら、
髪をそっと揺らしたり、頬を撫でてみたり。
そしたら「・・・んぅ」なんてちょっとだけセクシーな声を漏らして、
添えられていた手がやんわりとシャツを握る感触。
それにちょっと気を良くして、調子に乗って鼻をプニプニ触って遊んでたら、
眉を顰めて顔をちょっとよじられた。
これは起きちゃうか・・・って思ったけれど、やっぱりひとみんは相も変わらず夢の中。
顰めた眉もあっという間に元に戻って、ホッとしたの半分、残念なの半分。
寝顔を見てるのも楽しいんだけど、やっぱりどこか寂しくて。
一人でいるのは嫌いじゃない、だけど。
勝手だけど、それを二人でいる時に感じてしまうのはやっぱりイヤだから。
- 211 名前:ユゥメイクミーハッピー 投稿日:2004/06/04(金) 21:39
- それにしてもホントに気持ちよさそうに眠るねぇ・・・この子は・・・
安心しきって眠っている顔を見ていると、
さっき感じた寂しさなんてあっという間に消えてしまっていて。
傷つけちゃいけないな、って本当に思う。
実行が伴わなくて、すごく申し訳ないことが多いんだけど。
それでもすっごく愛してるから多めに見てよ。
- 212 名前:ユゥメイクミーハッピー 投稿日:2004/06/04(金) 21:40
- なーんてね。
やっぱ・・・マサオももっかい寝よっかな。
マサオの思いもお構いなしに気持ちよさそうに眠るひとみんを見ていたら、
なんとなくうらやましくなってきたから。
次に目が覚めたら、きっといい時間。
確信はないけれど、きっと一緒に目が覚める。
そんなことを考えてまた少し幸せな気持ちになる。
だから。
寝ている間にいつのまにか外してしまっていた左腕を
もう一度ゆっくりとひとみんの首元に差し込んで。
- 213 名前:ニーロ 投稿日:2004/06/04(金) 21:42
- オヤスミ。
- 214 名前:ニーロ 投稿日:2004/06/04(金) 21:43
- 更新しました。
メロン大谷さんと斉藤さん。
- 215 名前:ニーロ 投稿日:2004/06/04(金) 21:47
- ついでに追加しておきます。
一つ前のもメロン大谷さんと斉藤さん。
- 216 名前:sunny 投稿日:2004/06/10(木) 20:02
- ニーロさんの書かれるメロンさん可愛くて切なくて大好きです!
更新毎回楽しみにしております。
頑張ってください!!
- 217 名前:ニーロ 投稿日:2004/07/20(火) 00:41
- 更新します。
- 218 名前:遠くて、それでも近い出来事。 投稿日:2004/07/20(火) 00:42
-
今、むらっちが何か話しかけてたみたい。
- 219 名前:遠くて、それでも近い出来事。 投稿日:2004/07/20(火) 00:45
- 太陽の日差しがすべてを焦がしてしまいそうな、
夏真っ盛りのこの時期。
そんな時期とはいえ、今日のこの時間はまだ
文明の力を借りなくても、まだなんとか耐えられる暑さ。
クーラーのついていない部屋、クラッシックな扇風機も今はお休み中。
開いていた窓から吹き込んでくる風が心地よくて。
むらっちが雑誌のページをめくるのを腕の動きで感じながら。
いつの間にかむらっちにもたれてうとうととしていた私は、
とっさの質問に頭が回らず、質問の内容もよくわかってなくて、
暫くの間の後で、日本語どうかもよくわからない相槌を返してしまった。
- 220 名前:遠くて、それでも近い出来事。 投稿日:2004/07/20(火) 00:47
- 「もしかして寝てた?」
「ぅぅん・・・ヘーき」
「ゴメン、後でいいよ、別に大したことじゃないし」
そのまま頭を撫でられながら、
「もうちょっとおやすみ?本気で寂しくなったら叩き起こすからさ」
なんて冗談を言いながらむらっちは笑ってたけど、
別にそこまで眠くなかったし、むらっちがなんて言ったのかも気になったから。
「アタシがひっついてたらアツくない?」
「全然。むしろきもちーし。柴田君は?」
暑いのはやっぱり暑いんだけど。
でも。むらっちの体温が気持ちよかったから、
ひっついたままで、むらっちにもう一度最初から話をしてくれるようにお願いした。
- 221 名前:遠くて、それでも近い出来事。 投稿日:2004/07/20(火) 00:55
-
「旅行にさ」
「旅行?」
髪を撫でながら目を閉じてそう話すむらっちの横顔はやっぱりキレイだな、
なんて考えながらむらっちの話を聞き進めていく。
私の視線に気付いたのか、むらっちはふと閉じていた目を開いてこっちを見て。
「じーっと見ても何も出ません、あ、今ならチューくらいは出るよ」
なんて笑いながら言ったと思ったら、本当にさっと軽くキスをして、そのまま話を続ける。
「うん、旅に出たくない?アツい国に」
「へ?アツい所??アフリカ?」
「アフリカもいいんけどさ、南の島とかそんな感じ」
「んー。南の島っていったらさ、この前バリ行ったばっかじゃん?」
さてはこの前の撮影でバリが気にいりましたか。
バリかぁ、私もまた行きたいなってすごく思ってたっけ。
- 222 名前:遠くて、それでも近い出来事。 投稿日:2004/07/20(火) 00:58
- 「それはそうなんだけど、仕事とかそんなんじゃなくってさ」
もっとこう、さぁ。
一ヶ月か二ヶ月位、何も決めずに海辺の町をフラフラとしてさ。
気に入れば、その町に腰を下ろして安い部屋を一つ借りて。
飾り気も何にもない部屋で規則正しくない生活を繰り返して。
ちょっと遅く起きてカーテンを開けると目の前には眩しい海があって。
眠気の醒めない頭で、甘ったるいコーヒーを飲んで軽く遅い朝食を食べてさ。
それで、その日一日どうしようかなって考えるんだよ、よくない?
そう言った後、髪を撫でられていた手がふと止まって。
止まったと思ったら、いきなりぎゅって抱きしめられた。
「むらっち?」
「んー?アツい?」
「アツいけど、でも気持ちいーからいいよ?」
私のその言葉に安心したのか、
「じゃぁこのままで」
そう言ったまま、むらっちは口を閉じて、抱きしめる手に力を込めて。
やっぱり眠たかったのか、私はむらっちの行動がなんだかよくわからなくて、
でも、抱きしめられるのが単純に嬉しくて、体を預ける。
- 223 名前:遠くて、それでも近い出来事。 投稿日:2004/07/20(火) 01:01
-
「一緒にいこっか」
暫くして、抱きしめられている腕を緩められて、ふとむらっちが口を開いた。
「ん?」
「南に」
行ってみたい、すごくいいと思う。
話を聞いてたらどんどん私の中にも映像が広がっいったもん。
むらっちと一緒なら尚更。
「いつ行く?」
私の質問にむらっちは、ふにゃっと柔らかく笑って。
でも寂しげな表情も少しだけ一緒に浮かべて。
「いつか。二人で」
少しの間の後、またふいにキスされて、
そんなに大きくない声だけど、でも芯のある声でむらっちはそう答えた。
- 224 名前:遠くて、それでも近い出来事。 投稿日:2004/07/20(火) 01:05
- うれしくなったと同時に、自分が少し恥ずかしくなってしまって。
私はすぐに目に見える現実、確実な未来に置き換えようとしてしまうところがあるから。
まだスケジュールノートに書けない予定。
いつになるかもわからない予定。
だけど。
だからといってそのままになってしまうことはないだろう。
根拠のない自信だけど。
なんでか、さっきのむらっちの言葉は私にそう思わせるのに十分な力があって。
この予定がスケジュールに組み込まれるのは、
いつかわからないけれどきっと、もっともっと先のこと。
抱き返すと共に遅くなったさっきの返事をする。
今日も暑い一日になりそう。
そんなことを考えながら、もっと強く抱き返してみた。
- 225 名前:遠くて、それでも近い出来事。 投稿日:2004/07/20(火) 01:06
-
たぶん終わり。
- 226 名前:ニーロ 投稿日:2004/07/20(火) 01:08
- 更新しました。
メロン柴田さんと村田さん。
- 227 名前:ニーロ 投稿日:2004/07/20(火) 01:16
- 毎回遅くなりすぎましたが、御礼申し上げます。
>216 sunny様。
感想どうもありがとうございます。
お礼が毎度のことながら遅くなってしまい、申し訳ありません。
マジデレています。
亀以下の速度でモソモソモタモタしておりますが、
懲りずにお付き合いいただければこれ幸いです。
またよろしくお願いします。
ありがとうございました!
- 228 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/21(水) 16:25
- 更新キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!
村柴ァァァァ!!!
日常の1コマを切り取った様子でいい感じです。
更新乙でした。
まったり続き待ってます。。。
- 229 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/21(水) 23:43
- 作者さん更新乙です。
素敵な柴村ですなぁ。かなり良いです。
- 230 名前:ニーロ 投稿日:2004/12/25(土) 03:33
- 失礼にも半年近くも放置してしまっていたレスの御礼は
後でゆっくりと述べさせていただきます。
- 231 名前:ニーロ 投稿日:2004/12/25(土) 03:33
- それでは更新します。こんな時間に。
- 232 名前:white, so sweet. 投稿日:2004/12/25(土) 03:35
- 「雪、見たいなぁ」
ひとみんがくれた、綺麗にラッピングされた白い小さな箱を
天井にかざしながらなんとなくそう呟いたら。
隣にいた彼女も「そうだね」って言ってくれたのがちょっと嬉しくて。
- 233 名前:white, so sweet. 投稿日:2004/12/25(土) 03:37
- そのまま、まだ中身を知らされていないその小さな白い箱をそっと振ってみた。
音はないけれどほんの少しの重みがちょっとだけ揺れた感じ。
エアコンの音が遠慮がちに唸る静けさの中、
今度は耳元に近づけて、耳を澄ませてもう一度振ってみる。
「そんなに気になる?」
そんな私の動きを見ていた彼女が、引っ付いたままで顔を少し上げて尋ねてきた。
気になるってもんでしょう、そりゃ。
「やっぱ今開けてもいい?」
「ふふ、まだダメー」
ひとみんは体を起こして、そっと私の手からプレゼントを回収して。
彼女が枕元に置いていた、私がひとみんにあげた小さな薄いピンクの箱の隣に並べた。
「こっちはまだおあずけ、ね?」
そう言ってキスされたと思ったら、そのままストンと胸にもたれかかってくる。
もたれかかってきた彼女を一旦はぎゅって抱きしめてみたものの、
めくれていた毛布をかけなおして、
彼女を後ろから抱っこする形でとりあえずは落ち着くことにした。
- 234 名前:white, so sweet. 投稿日:2004/12/25(土) 03:40
- 「マサオはどうしてると思う?あっちの二人」
そのままの体勢で毛布の中、
ポツポツと他愛もない話をしていたらふとそんな話題に。
よろしくやってんじゃない?トーゼン、って言ったら
「そりゃそうだ」って笑い混じりの言葉が返ってきた。
「でしょ?」
「クリスマス、だし?」
「まーねぇ、でもあんま関係ないかも。あちらのお二人さんの場合」
「そう言われてみればそうかも」
「そんな感じするよね?ってなんで知ってんのうちら」
「ハハッ、じゃぁ明日聞き込みしてみよーっと」
顔をこっちに向けながらそう言って嬉しそうに笑う彼女。
- 235 名前:white, so sweet. 投稿日:2004/12/25(土) 03:42
- そんな彼女をみていたら。
「逆襲されると思うよ。メガネの人に」
なんて、いつもなら出てくるはずの憎まれ口は自然と声になることなく消えていった。
これってもしやクリスマスパワー?
どうなんだろう、よくわかんないけど。
なんて、本当はわかってるんだよ、何でだか。
- 236 名前:white, so sweet. 投稿日:2004/12/25(土) 03:45
-
「ひとみん」
そう呼びかけて、腕の中に閉じ込めていたひとみんの首筋に顔を埋める。
「んー?ふふ、くすぐったぁ」
めずらしいこともあるもんねぇ。クリスマス、だからかしらね?
いつもならちょびっと反撃する、そんな柔らかい皮肉も今日は当然スルー。
そして、埋めていた首筋からそっと顔を上げると彼女の向こうには小さな箱二つ。
- 237 名前:white, so sweet. 投稿日:2004/12/25(土) 03:47
- 「朝起きたら一緒に開けよう?」
交換した時にそう言った彼女の言葉が頭の中でリフレイン。
目覚めてからのお楽しみってのも、思いの他効果を発揮してるみたい。
温かいものがじんわりと広がり続けていってる。
アイスクリームに温かくて甘いエスプレッソをかけていくような、まるでそんな感じ。
やばいなぁ、ホント。
自然とほころんでしまう顔をもう一度彼女の髪に埋めて。
朝まで浸ることにしますか。目の前の冷めない幸せに。
- 238 名前:white, so sweet. 投稿日:2004/12/25(土) 03:48
-
とりあえず。ハッピィ、メリィクリスマス。
- 239 名前:white, so sweet 投稿日:2004/12/25(土) 03:49
-
オワリ
- 240 名前:ニーロ 投稿日:2004/12/25(土) 03:50
- 更新しました。
- 241 名前:ニーロ 投稿日:2004/12/25(土) 03:57
- 大谷さんと斉藤さん。
半年経ってもメロン。
- 242 名前:ニーロ 投稿日:2004/12/25(土) 04:03
- 折角レスいただいていたのに、
御礼を申し上げるのが大変遅くなってしまい、
本当に申し訳ありませんでした。
>228 名無し読者様
半年もほったらかしで本当に申し訳ございません・・・
まったりどころじゃない遅さですけれど、
あきれながらお付き合いいただければ大変嬉しいです。
どうもありがとうございました。
>229 名無飼育さま
御礼を言うのが遅くなり申し訳ありませんでした・・・
柴村は今も好きなので、また機会があれば
挑戦したいと思っております。
どうもありがとうございました。
- 243 名前:ニーロ 投稿日:2005/04/13(水) 21:16
- 更新します。
- 244 名前:ニーロ 投稿日:2005/04/13(水) 21:17
- メロン村田さんと斉藤さん。
- 245 名前:ブラインド・カルテット 投稿日:2005/04/13(水) 21:18
- 「どーする?もう帰る?」
「そーねぇ、そろそろ帰るわ」
そうだね、早いうちに帰った方がいいかもね。
心配性なコイビトが、きっとキミの帰りを今か今かとお待ちだろうし。
あたしもそろそろ、親友と遊びに行ってるコイビトに電話するって言ってた時間だし。
そう答えが返ってきたものの。
一人さっさとシャワーを浴びるのも悪い気がして、一応は声をかけてみる。
- 246 名前:ブラインド・カルテット 投稿日:2005/04/13(水) 21:19
-
「んー、今日はいい、そんな汗かいてないし。お気遣いアリガト」
ちゃっちゃかと身支度を整えていく手を止めることなく、
彼女は鏡と向き合ったままそんなお返事。
わかっていたといえばわかっていたことだから、
こっちも別に返事を気にすることもなく、
ノソノソとベッドから起き出して、
床にほったらかしだったペットボトルの緑茶を手に取る。
そのままソファーで顔作り直してるひとみんの隣に移動して
ふーっと一つ、息を吐いた。
- 247 名前:ブラインド・カルテット 投稿日:2005/04/13(水) 21:21
- ペットボトルのキャップをひねりながら、考える。
別に柴田君を傷付けようとかそんなことは全くなくて。
だからって今この関係を断ち切れるかと言えば、そういうわけでもなく。
柴田君に対してだけじゃなくて大谷君にもヒドいことしてる、
って自覚はあるんだよ。
それはきっと隣りで身支度をしている人だって同じでしょう。
でも。
ヒドいことをしてるって自覚はあるけど、それが罪悪感に繋がっていって、
行動を戒める、なんてことには全然ならなくて。
自分達のことは棚に上げて、なんでバレないんだろう、
なんて考えてしまう私は間違いなくヒドい人間です。
始めの頃にあった罪悪感の欠片はどこへ行ってしまったんだろ。
そろそろアタマも鈍ってきたのかもしれない。
なんて、深刻に考えるのも面倒くさくなってきて。
- 248 名前:ブラインド・カルテット 投稿日:2005/04/13(水) 21:23
-
「もぉ。ちょっとぉ、手元狂うじゃん」
コテンとひとみんにもたれかかったら、
ひとみんは手を止めるとこっちを軽く睨んで。
おおこわ、と口を挟むヒマもなくいきなりチューされた。
別にそれを拒む理由もないので、ちょっとの間だけ楽しむことにした。
「チューしてるヒマあるんならさ、さっさと準備しなよ」
「もうほとんど終わってたからいいの」
「あっそ」
「うわ、カワイくない返事ー」
それから支度を終えて「それじゃ帰るわ」と言ったひとみんと
玄関まで一緒に行って、靴を履き終えた彼女にバッグを手渡す。
「ご丁寧にアリガト。お邪魔しましたー」
「いえいえ、大谷君にもよろしくね」
「そちらこそ、ね?」
笑いながら軽く声をかけると、振り返ったひとみんも
ニヤりと片方の口だけ上げて笑って。
- 249 名前:ブラインド・カルテット 投稿日:2005/04/13(水) 21:26
- 「むらってさぁ」
「ん?」
「たまにすっごくイジワルなこと言うよね」
イジワル言うのはこの口か、とか言いながら結構な力で頬をつねられた。
「イタっ、ていうかすっごいやさしいじゃないですか」
「うわぁイヤなカンジ、そんなにアタシのこと嫌いかよぉ」
「ダイスキデスヨ?悪いけど」
少しおどけた感じでそう言ってみたら、
彼女は少し笑って、またスッとキスされた。
ぎゅーって抱きしめてみた後、彼女の耳元で囁く。
「はやくカエレ」
目が合って、ニヤッと笑いあってしまう。
「帰るもーん、じゃぁね」
「また明日。おやすみ」
「おやすみ」
ドアを開けて、お見送りをする。
- 250 名前:ブラインド・カルテット 投稿日:2005/04/13(水) 21:27
-
「もちろんあたしも、むらのこと大好きよ?ごめんね」
廊下で振り向いて、そんな言葉を残していったひとみんの姿が
見えなくなったのを確認してからドアを閉め、カギをかけた。
リビングに戻ってみて暫くソファーに座ってぼーっとしてみたけれど、
一人になった、この静けさがなんだか気に入らなくてテレビを付けてみる。
眺めてみるも、今度はそこから出てくる音が気に入らない。
電話をかけるつもりで手に取った携帯も、どうも話す気分にはならなくて。
携帯を握りしめたまま、目を閉じた。
何がしたいんだろう、どうしたいんだろうね、うちら。
言うまでもなく不満なんかない、むしろ満たされてるはずだし、お互いに。
すっごくすっごく欲張りなだけなのかもしれないね、二人とも。
まぁこれは私の推測でしかないんだけれど。
- 251 名前:ブラインド・カルテット 投稿日:2005/04/13(水) 21:28
-
とりあえず、今確実に言えることは。
ごめんっていう相手を間違えてるってこと。
- 252 名前:ブラインド・カルテット 投稿日:2005/04/13(水) 21:29
- オワリ
- 253 名前:ニーロ 投稿日:2005/04/13(水) 21:30
- メロン村田さんと斉藤さん。
- 254 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/14(木) 22:42
- わー!復活ですか!待ってました!
村柴・斉大コンビが好きなんですが、メロンってこういう四角関係も
似合いますね〜不思議。。。
更新お疲れさまでした。
- 255 名前:ニーロ 投稿日:2005/04/17(日) 02:35
- 御礼申し上げます。
>>254 名無し読者さん サマ。
レスどうもありがとうございます。
復活とかそんな大それたものでは全くなく・・・
私自身も柴村斉大が好きなんですが、
それ以外のカプもいいかなぁと思って書いてみました。(節操なし
次の更新まで暫くかかるとは思いますが、
これからもよろしくお願いいたしますー。
どうもありがとうございました!
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