すとれい しーぷ

1 名前:のえる 投稿日:2003年06月04日(水)17時27分24秒
今回も後藤さん主役で、しょーもない話を書かせていただきます。
よろしくお願いします。
2 名前:ごとー みーつ なっち 投稿日:2003年06月04日(水)17時29分22秒
なっちとの出会いは全然劇的なモノじゃなく
むしろ平凡でつまんない日常の中のワンシーン。

なにも衝撃的なことなんてなかったし、直感的なモノを感じた覚えもない。

なのにこうして今も鮮明に思い出せるのは
なんだかんだ言って無意識に運命的なモノを感じていたからかなぁ。


ごとー、ごとう、後藤真希、高校3年の春。

新学期最初の全校集会だったと思う。


新しく赴任してきた教師の中に、なっちはいた。
3 名前:ごとー みーつ なっち 投稿日:2003年06月04日(水)17時30分17秒
ごとーの通う私立娘。大学付属高校は女子高で、全校生徒を詰め込んだ体育館は
化粧と香水の香りが充満し、見えないハズの空気を汚してた。

だからって別に勉強のできない人間の集まりじゃない。
理数科と普通科があって、一応理数の方が上だけど普通も
偏差値は低くないし。むしろ高め、東大とか目指してる子もいるし。
なんていうか、たぶん勉強だけを楽しむ子が少ないんじゃん?
手広く人生を楽しむ子たちの集まり、みたいな。
見た目はブッ飛んでても弁護士や医者目指してたり、全国模試で上位に入ったりするから
世間的にはここの生徒ってだけで厚い信頼を得られる。

みんなバレるようなヘマをしないだけなんだけどね、あはっ。

とりあえずマジメな生徒たちは、この時もザビエルみたいな校長のやたら長い話を黙って聞き流してた。
まぁ、指は忙しく動いてたけど。
4 名前:ごとー みーつ なっち 投稿日:2003年06月04日(水)17時30分57秒
みんな高速で指を動かすのに夢中で、ギャグにニコリともしないのに
その日のザビエルの話はごとーの携帯に同じクラスのよしここと吉澤ひとみから
『ヤバイ、自然が呼んでる』というメールが入ってくるまで続き、
思わず振り返ったごとーの目に青い顔でスカートの裾を掴むよしこの姿が映ると
司会者である自称:地毛の金髪にオレンジのサングラスをかけた教頭の進行で
新任教師の挨拶が始まった。

多少の興味からか、ここは本当にちゃんと聞いてる子もいたけど
ごとーはやはり背筋を伸ばしてどんなに虚勢を張っても一目で緊張が見て取れる
新人たちの挨拶もサクサクと聞き流していた…ハズ。

なのに、こうもはっきりと覚えている自分が普通に怖い。
5 名前:ごとー みーつ なっち 投稿日:2003年06月04日(水)17時31分38秒

『ほな最後に世界史担当の安倍先生、どうぞ』
『ははははいっ!』

パっと見た印象は、子供みたい、小さい、年齢不詳。
トリを任されたせいで、ありえない程の緊張に襲われていたらしいなっちは
どもりすぎた高い声をあげて立ち上がり、マイクの前へ。
しかし顔の筋肉が固まってしまったらしく口の開く気配がない。

『べっ…べあっ!……』

数秒後、やっと開いた口から出たのは悲鳴に似た叫び。
べあ?ベア、ベアー、熊?

『あっ…べあじゃないべさ、なっちは安倍、安倍なつみっしょ?』

いや、そんなフレンドリーに聞かれても…ってか訛ってるね、べさって言ったし。
教頭がさっき安倍先生って言ったんだから安倍なんだろうけど
下の名前までは知らないよ。知るワケないよ。なっちってなんだよ。
6 名前:ごとー みーつ なっち 投稿日:2003年06月04日(水)17時32分16秒
『そーです、安倍なつみです。3年生の世界史と、あ、たまに2年生も教えたり
 保健室も手伝えって言われたべ。なっちのお母さんは看護婦だったから
 いくらか才能もあるっしょ。校長先生、ありがとね』

なにこの人、大丈夫なの?ザビエルにありがとねって…タメ語じゃん。

『えっと、つまり、ふつつか者ですが、よろしくお願いします』

え、ごとーたちには敬語なの?ふつつか者って使うとこ間違ってるし。
でもまわりはウケたらしい。クスクスと笑い声が起こった。

…ザビエルだけは毛のない部分が赤くなってたけど。
7 名前:ごとー みーつ なっち 投稿日:2003年06月04日(水)17時32分58秒

と、これが出会いっていうか、ごとーの目に初めてなっちが映った時のこと。
全然運命的じゃないでしょ?赤い糸も見えないし。

なのにそれからしばらくしてごとーとなっちが……
んあ?まだ言うなって?
あれか、好きなモノは最後までとっとくタイプか。

オーケー、ごとーもたまにそれやるし。
では順番守りつつ早送りでいきますぞー。
8 名前:ごとー  投稿日:2003年06月04日(水)17時35分35秒
「ごっちん、今日どーする?」
「あ、せんぱ…美貴」
「よしよし、ちゃんと言えたじゃん」
「でもなんか…いきなり呼び捨てはキツイんだけど」
「いいのいいのー、ただでさえ留年って近寄りがたいのにさー
 ごっちんにまで気ぃ使われたら誰も寄ってこないじゃん」
「…はぁ」

集会の後、いきなり肩に手をかけて抱きついてきたのは藤本美貴。
「留年」って言葉通り1個上の先輩だったけど、今年の正月に旅行先の沖縄で泡盛を飲んで酔っ払い
石垣島に向かう船の甲板から珊瑚礁を求めて夜の海にダイブして行方不明になった為
3学期に1度も登校できず、ただでさえギリギリだった出席日数が足りなくなって
あわれごとーと同級生になってしまった。

「よっすぃーは?」
「さっき自然に呼ばれてたから、トイレだと思う」

せん…美貴とごとーはもともと仲がよくてよっすぃーことよしこはごとーの親友。
美貴がまだ先輩だった時からよく3人で遊んでて、だから今も一緒。
9 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時37分05秒
「ザビエル長かったもんねー、かわいそーに」
「んあ、今日ごとーはいいけどさぁ、まっつーは?」
今日は第1火曜日だから定期検診があるハズ。
「アハハ、亜弥ちゃん子供じゃないんだから病院ぐらい1人で行けるよ」
まーそりゃそうだけど、いい加減優しくしてあげればいーのに。

美貴の幼馴染み、まっつーこと松浦亜弥はごとーの1つ下でここの2年生。
詳しくは知らないけど生まれつきの持病があって、月に1度は病院に通ってる。
いつもキャッキャと明るくて、自分が1番好きで大切だと言ってるけど
まっつーにとってホントに1番大切なのは、間違いなく美貴だった。
美貴が亜弥ちゃんをほっぽいて他のヤツと出かけた沖縄で海に落ちたと報せが届いた時の
あの取り乱しようといったらなかったし、それから美貴が生還するまでは見ていられないぐらい
痩せて衰弱していった。

行方不明になって3ヶ月後に、落ちた場所から4キロも離れた無人島で発見されたから
よかったものの、もしあれで美貴が死んでいたらまっつーは確実に後を追っていただろう。
10 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時37分46秒
無人島帰りとは思えない程元気ハツラツに美貴が帰ってきた時亜弥ちゃんは病院のベッドの上。
しかしそんなことなど知らない美貴は警察から解放されるとスグにビールを買い込んで
自室のベッドの上で顔を真っ赤にしてた。

これにはさすがにごとーとよしこもまっつーが可哀相になって
病室まで担いで届けてやったんだ。
あの時の光景は…今思い出しても涙が出るぐらいまっつーが健気でかわいくて
そして美貴がバカだった。
だけど、バカもやはりあそこまで泣かれると反省するらしく
申し訳なさそうにしばらくはまっつーの傍から離れなかったなぁ。し ば ら く は。

黒い、ホント黒いよ美貴。
なんでまっつーは我慢できるのか、ごとーは全く理解できない。
んあ、理解したいとも思わないけど。
11 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時38分24秒
「あ、よっすぃー、今日あいてる?」
「あーゴメン。ウチ今日部活」

“スッキリ爽やか”という宣伝文句がピッタリな笑顔でよしこが教室に入ってきた。
この学校の偏差値が高いって話はさっきしたけど、ついでにスポーツもかなり優秀で
よしこはバレーの推薦でここに入学した我が校のエース。
普通スポーツ推薦の生徒は普通科に入るんだけど、よしこは勉強もできるから
ごとーと同じ理数科の生徒。

「今年からは部活で梨華ちゃんに会えないんだねぇ」
「フッフッフッ、甘いなごっちん。月に1回は合同練習あるし
 梨華ちゃんはマネージャーだからレンタルもできるんです♪」
「…へぇ」

っとこちらは先程とうってかわってのバカップル。
2人は出会うべくして出会ったというか、理想を絵に描いたというか。
12 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時38分56秒
よしこの彼女、梨華ちゃんこと石川梨華は美貴の元同級生で
ここの付属の娘。大学の1年生。
最初会った時はザ・女の子って感じで華奢な体に少し影のある顔をしてたけど
今じゃすっかりサムくてキショい、ついでにイタイ。

でもすっごい美人。若干肌が健康的な色だからか“黒の美少女チャーミー”って呼ばれてたりして、
ついでに言うとまっつーは“白の美少女あやや”、2人はここのアイドル的存在で
そのアイドルの彼女(美貴は微妙だけど)がごとーの友達ってワケだ。
13 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時39分43秒
女同士だけど、この町はとある人の影響でそういうことに対する偏見がないから
運命に導かれて惹かれ合ったよしこと梨華ちゃんは本当に幸せそう。
お似合いで、ただずっと見てると無償にハリセンではたきたくなるだけ。

でも2人だって色々な悩みや苦しみを越えて付き合うことになったし
いくら偏見がないからっつっても簡単なことじゃないワケでさ。
だからごとーは2人には行き着くところまでずっと一緒にいてほしいし
それこそ国の法律を変えちゃうぐらい愛し合ってほしいといつも思ってる。

黒美貴のアホに比べたら、ホント微笑ましいよ。

「じゃあメロンにはごっちんと2人かぁ、誰か拉致る?」
「…なら今日はやめ。美貴は亜弥ちゃんを病院まで送ってあげなさい」
「んぇー?マジでぇー」

だからアンタは黒いってば。
14 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時40分26秒
大体さぁ、どっからどう見てもまっつーと付き合ってんのに
他のヤツと男女問わず遊んで朝帰りばっかっつーのはどーなのよ?

前にそう問いつめたら
『でもねごっちん、古事記の冒頭にもある通り
 この国はイザナギノミコトとイザナミノミコトがヤってできた国なんだから
 その国で生まれた美貴がこうなるのってそーそー悪いことでもないワケじゃん』
などとぬかしやがるし、まっつーもまっつーで
『ミキたんは本気じゃないし、あたしのところにもきてくれるから』
なんて言ってくれちゃうし。

まぁ美貴もサバサバしてて人懐っこいから人気あるけどさ
亜弥ちゃんはさすがアイドルなだけあってすごいモテんだよ?

そんな子いっつも振り回して、ちょっと前まではあややファンの恨みを買いまくってたクセに
失踪事件であややがいかに『ミキたん大好き』かを見せつけられてからは
それもなくなって……いつになったら更生すんのかね、こいつは。
15 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時41分07秒
「ヤダぁー美貴病院嫌ぁーい」
「嫌いなのは病院じゃなくてケメコでしょ」
「当たりぃ♪あの人さぁ、最近いきなり口うるさくなったんだよね。
 やっぱアレかな、美貴がつけたキスマーク見られたからかな?
 亜弥ちゃんて白いから目立つじゃん?」
「知るか!とにかく今日は病院付き添ってついでに頭見てもらえ!」
「ぶぅー」
ぶぅーじゃないよ、っとに。

「美貴ちゃんさぁ、亜弥ちゃんのこと好きじゃないの?」
お、きたきた。よしこビシッと言ってやって、このバカに。

「へぇー?好きだよぉー」
「ならもっと大事にしたげなよ、ウチみたいにさ」
「んー大事にしてるけどなぁ、気がむいたら一緒にいるし
 気持ちよくだってさせてあげてるしさー」
「だーかーらぁ!気がむくむかないの話じゃないし!
 それじゃ体だけの付き合いじゃん!」
「そだねー体だけだねー」
だから明るく肯定すんなっつーの。
16 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時41分53秒
「はぁ…じゃもいっこだけ聞く。亜弥ちゃんのこと愛してんの?」
「んん〜愛ってよくわきゃんなぁ〜い」
「「わきゃんなぁ〜い…じゃねーよ!!」」

もぉダメ、話し方があややになってる。
こうなる時の美貴には何を言っても無駄だ。さぁ諦めよう。

「あーうるさいなぁ、ついてきゃいーんでしょ」
「よし、言ったね。じゃあ帰りもちゃんと亜弥ちゃんを送ること」
「えぇー!?帰りも送んのぉ?病院に送るだけって言ったじゃん!」
「帰りの方が道暗いんだから当たり前だろ!ホラ亜弥ちゃんとこ行くよ!」
「ヤダ!離せよっすぃー!!ごっちん見てないで助けろぉ!!」
ハイハイ助けますよぉ、ねぇよしこ♪

「ちがーう!…っひゃあー!どこ触ってんっぃいやぁあああー!!!」

17 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時42分33秒
「「…ハァッ…ハァッ…失礼し、ま…」」

ガラッ

よしこと2人で美貴を担いでやって来たのは東棟2階の2年4組。
ちなみにごとーたちのクラス3年1組は北棟の3階。
各学年1,2組が理数科で3〜7組が普通科、北棟には理数科のクラスと特別教室が全部突っ込まれてて
普通科は東棟と西棟を仲良く分け合ってる。
だからまぁ近いような遠いような距離で、美貴もどっちかっつーと背低いし細いし
軽いんだよ、暴れさえしなきゃ。暴れさえしなきゃ。

「なんや後藤に吉澤、まだ話終わってへんのやけど」
「…ッハァ、ちょ…たんま…」
「みっちゃん…水…」
「・・・・・」
美貴はもう諦めたのか、顔を俯かせて借りてきた猫状態。
ってか降りてよ、マジ苦しい。
18 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時43分10秒

「…ミキたん?」

みっちゃんこと2年4組担任の平家みちよがごとーたちから美貴を
引き剥がすと同時に、突然の3年の乱入に戸惑っていた後輩の中からかわいい声が聞えた。
顔をむけると、目を見開いたまっつーが席を立って美貴を凝視している。

「どうしたの?お腹すいたの?お財布忘れたの?」
そして次々と質問をぶつけながらタタタと美貴に駆け寄った。

ってか財布って…そりゃ美貴がまっつーのクラスに来るなんて
真夏の雪よりアンビリーバボーだけど。
まさか美貴、貢がせてる?
19 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時43分44秒
「・・・・・・」
まっつーに顔を覗き込まれ、ごとーとよしこからはヒモ疑惑をかけられて
ようやく美貴は顔を上げた。うわっご機嫌ナナメ。

「…別に」
「美貴ちゃん、ここで誓いなさい」
「誓い?なになに?ミキたんなんかするの?」
「…ぃん…ぉ…る」
「もっと大きな声で!」
「病院美貴も行く!帰りも送る!」
よしこにお尻の肉を思いっきりつままれて美貴が叫ぶ。

「ミキたんが!?…どっか痛いの?具合悪い?頭打った?」
「痛くないし悪くないし打ってない」
「じゃあなんで…」
「ヤなら行かないよ!美貴もぉ帰る!」
「だぁ!子供かアンタは!みっちゃん後はよろしく!」
「えっ?ちょっと待ちぃな…」
20 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時44分21秒
まったく美貴は世話がかかるんだから!
面白いっちゃあ面白いけど、たまに笑えないことするから心配なんだよ。
ねぇよしこ?

「ごっちんよ、ウチはひとつ思い出してしまったんだが
 ウチらのクラスも帰りのショート終わってないよね?」
「アラ…」
んあ、ショートってのはショートホームルームのことね。
終わってないっていうか、始まってもなかったような…。
「急ぎます?」
「んあ」

猛ダッシュ、たぶんきっと猛ダッシュ。
ガラッ
「すいませーん、美貴運んでましたぁ」
「大丈夫。カオにはわかってる、後藤もダーリンも桃色人想いだってこと」
「んあ?」
桃色…人想い?
「さっすがカオリ、今日も電波だね」
よしこ、それは褒め言葉なの?
21 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時45分03秒
急いで戻ってきたごとーたちを無表情で迎えてくれたのは
ごとーとよしこのクラスの担任のカオリ(ごとーはかおりんって呼んでる)こと飯田圭織。
なぜかよしこのことをダーリンと呼び、よく電波を飛ばして交信してる。
交信については色々複雑だから細かい説明はナシで。

「2人にも紹介するね、副担任のなっち、カオと同じ北海道出身」
「よろしくだべ」
だべ?…あぁ、さっきの。
「ベアーだ」
「むぅ、アレは一種の言い間違いっしょ。なっちは安倍だべさ」
だからなっちってなにさ。
「ハニー、安倍先生のことはなっちって呼んでいいのかい?」
「うん、ダーリン」
「…後藤さん」

んあ?よしことかおりんがいつものように手を取り合って見つめあうと
なっちがチョイチョイとごとーの制服を引っぱった。
「この2人は…不適切な関係だべか?」
「フテキセツ?いたってフツーな生徒と教師だけど」
22 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時45分40秒
何を言い出すんだ道産子教師、まぁそー見えても仕方ないけど。
「む、今なっちに対して失礼なこと考えたっしょ?」
「んぁ?ぜ、全然」
「どもったべ」
「いや、考えてないから。マジで」
「まぁいいっしょや、もぉ帰っていいべ」
「んあ?帰っていいって…」
言われて辺りを見渡すと…んあ!他の子誰もいないじゃん!

「とっくにショート終わったっしょ。なっちとカオリは2人を待ってたんだべ」
「んあ…わざわざどうも」
「ごめんよハニー、君を待ちぼうけさせてしまうなんて…」
「いいのダーリン、幸せだったわ」
「帰るよ、よしこ」
「はいはい、さよならカオリあんどなっち先生」
23 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時46分15秒
ハイハイハイハイ、ちょっとストップ。一時停止。

今さぁ…思った人いる?まだなのかよって。
絶対いるよねぇ、でもごめん、まだなんだわ。
正直この時のなっちってごとーにとっては畑のイモぐらいの存在でさ。
つっても拾って煮て食べるワケじゃない、今のとこ。

えーっと色々説明してる間に話の趣旨を忘れかけちゃったんだけど
これってつまり…だからよーするに、
ごとーがこの先ずっと一緒に生きていく人に出会った時の
こぉーなんつーかぁ、愛と勇気の…みたいな話で。

アホはアホなり、バカはバカなりに一生懸命愛に生きた、そーゆーお話なの。
24 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時46分52秒

「んじゃウチは部活行くわー」
「んあー」

よしこと別れてごとーは1人学校を出て大通りを歩く。
帰って寝ようかと思ったけど、まだまだ時間は早いし
美貴の誘いを断ったものの暇だし、1人でメロンに行くか。

あ、そーだ。メロンの説明がまだだったよね。
メロンってゆーのは梨華ちゃんの親友の柴ちゃんこと柴田あゆみさんが
働いてるお店で、ごとーたちの溜まり場。
柴田さんはその店の店長のひとみんこと斎藤ひとみさんの従兄弟。
それとメロンにはあと2人、村田めぐみさんと大谷雅恵さんって人がいて
柴田さんと大谷さんは付き合っているらしい。
よく柴田さんが空き瓶片手に「マサオー!!」と叫んで
大谷さんを追い掛け回している姿を見る。
イッツ バイオレンス。

まーごとーん家もバイオレンス一家だけど、その話はまた今度ね。
25 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時47分36秒
「こんちゃー」
「あーごっちん、いらっしゃい」
「お、よく来たのう」

ウェスタンなドアを押して店内に入ったごとーを迎えてくれたのは
柴田さんと村田さん。ってか村田さんジジくさいし。

「あれ1人?珍しいねー」
「んあ、よしこ部活で、美貴はまっつーと病院に」
「え?美貴ちゃんなら来てるわよ」
「んぁあ!?」
あのアホ!さっき誓ったじゃんか!!
「どこにいます?!」
「2階で亜…」

ダダダダダダ!

「ゴルァ!美貴!なにしてんのさぁ!!」
「んー…?」
26 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時48分11秒


・・・あらやだ。

2階に駆け上がったごとーの目に映ったのは
まっつーに膝枕されて気持ちよさそーに目を閉じてるアホ美貴。

んあ?なんで?病院は?

「ぅー…ごっちん来たんだー」
「…んあ」
「あ、あたしの担当の先生が今慰安旅行に行ってて
 今月の検診は来週なんですよぉ」
「んあ…そーだったんだ」
「そゆことー、わかったら邪魔しないで。今からヤるから」
「え?ここでするのぉ?」
「アホ美貴、家でヤれ」
「ヤだ、めんどい、ここでヤる」

美貴は起き上がりながらごとーに手をシッシとすると
まっつーの体を押し倒した。

「亜弥ちゃん…」
「…ミキたん」
27 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時48分47秒
めんどいならしなくてもいいような気もするけど
押し倒されたまっつーの幸せそうな顔を見るとそんなことも言えず…。
ごとーは1階に戻ってカウンターに座った。

「ごっちん早いよ、亜弥ちゃんもいるって言いかけたとこだったのに」
「んあ、かたじけない」
麦茶を出しながら柴田さんが笑う。
今上で2人がヤってること、この人は知ってるんだろうか。
…知るワケないか。

「大谷さんと斎藤さんは?」
「マサオは買出しで、ひとみちゃんはセクシー体操…」
「セクシー体操?」
「あっごめん、気にしないで、口が滑っただけだから!」
滑って出てくる言葉なの?

「そっそうだごっちん!いいものがあるんだけど!」
「んあ?」
28 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時49分41秒
焦り顔の柴ちゃんに差し出されたのは1枚のチラシ。
え〜なになに…“迷える子羊に明星を、コンコンおイモ商会”

・・・んぁ?

「面白そうでしょ?」
「どこが?」
「そのウサン臭いところが!ごっちんどうせ暇なんだから
 どんなところか見てきてよ。後でなんかサービスするし」
「…なら行ってもいーけど」
「ほんとぉー?じゃ早速行ってきて」
「んあ」
「あ、一応気をつけてね〜」
「…んあ」
危ない…とこなのかな?

後でよく…いやちょっと考えただけでも怪しすぎるんだけど
なんでこの時ごとーはこんな軽い気持ちで行ってしまったんだろうか。
29 名前:ごとー イン にちじょー  投稿日:2003年06月04日(水)17時50分26秒
迷える子羊に明星って…みょーじょーだけじゃなにしてくれんのか
サッパリわかんないじゃん。
美貴のこと言ってる場合じゃない、ごとーも相当おバカさん。


まぁよーするに、このコンコンおイモ商会のおかげで
ごとーはもっとバカになって
だけど大切な人を手に入れられたワケなんだけど。

なんてゆーか、ごとーがごとーじゃなくなって
気づいたら腕の中に世界一愛しいおイモがいた、と。

そーゆー話に、いずれなるハズ。

30 名前:ごとー イン にちじょー 投稿日:2003年06月04日(水)17時57分21秒
   
31 名前:のえる 投稿日:2003年06月04日(水)18時00分14秒
微妙にクールぶってますが、そのうち壊れます。
どうぞよろしくお願いします。
32 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月05日(木)11時52分32秒
のえるさんの新作だ〜!
ごとーさんの壊れっぷりに期待してます。
黒美貴いいなぁ。すごく好きです(笑)

向こうの小話も面白かったです。なっちはもうされるがままですね(笑)
33 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時20分06秒

柴田さんに背を押され、辿り着きたるは“コンコンおイモ商会”。

チラシの地図の通りに歩いてきたんだけど
どう見てもほったて小屋な建物と、伝統ある道場とかの看板みたいな
立派な木の板になぜかボールペンで細く書かれたその名のせいで
見つけるのに大分苦労した。

『んあ…インチキくさ…』

しかし今更そう思っても、ここまで来て帰るワケにもいかないし
どーせ暇だし。
とりあえず入ろう。

カラカラカラ…

「すいませーん」

シーン

「んあ…」
留守かなぁ?でも鍵あいてる。
34 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時20分42秒
「すいませーん、チラシ見て来たんですけどー」
「おイモ…それは植物の地下茎や根が発達してでんぷんなどの養分を
 蓄えているもの。またさつまいも・さといも・じゃがいもなどの総称、完璧です」
「んひゃあっ!?な?なんなんですかいきなり!」

心臓が口から出るかと思ったごとーの目の前に突然現れたのは
中…いや高1ぐらい?の黒髪の女の子。
長めの前髪から覗く漆黒の瞳で真っ直ぐにごとーを見ている。

「申し遅れました、私くしはコンコンおイモ商会代表の紺野あさ美と申します。
 おイモをこの世の一等食品とし、崇め尊んで誰よりも美味しくおイモをいただくことに
 情熱を燃やして早15年。
 生まれて初めてロにしたのもおイモでした。
 母の乳を撥ね退け、離乳食に目もくれずひたすら畑のイモを求めた赤子の私を
 世間は異端児と決め付けて排除しようと目論んだけれど
 私は撥ね退けて傷つけた筈の母の御心によって命カラガラその場を逃げ出し
 晴れてここにコンコンおイモ商会を設立することとなったのです」
「ほぉ…」
35 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時21分27秒
「さて、一見したところアナタは本来の自分を殻に閉じ込め
 愛すべきおイモに背をむけて比類なき外道を歩みかねない不徳の事態に
 陥ろうとしているように思います。このような悲劇に目をつぶるなど
 私くしにはできません。さ、奥へどうぞ」
「んあ…」

比類なき外道って…ここのことなんじゃないの?
どーみてもここってヤバイとこでアナタはヤバイ人にしか見えない。
ここは…逃げた方がいいんじゃ…

「まこっちゃん、お客さんだよ」
「んぇー?客ぅ?」

ん?今の声はどこかで聞いたような覚えが…

「あぁー!!後藤先輩!?なんでここに…?」
「んあ!?…えーとたしか…高橋の…」
「小川です!あさ美ちゃんとはクラスメイトで、後藤先輩がお客さんなんですか?」
36 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時22分59秒
大きな口をだらしなくダランと開けて奥の部屋から出てきたのは
まっつーと同じクラスの高橋愛と付き合ってる1年の小川麻琴。
ごとーの記憶が確かならば小川はいたってマジメで優しくて
いつもカボチャ片手にニコニコと高橋を見つめてる子だ。
そんな子がいるってことは、案外大丈夫なのかも……

「メロンの柴田さんにチラシ見せられて下見にきたっつーか…」
「下見?だったら今日はこの辺にしといたほーが…」
「まこっちゃん、イモ羊羹買ってあるからお茶にしよう。
 さぁ、後藤さんもどうぞ」
「え?イモ羊羹?食べる食べる!!」

小川、ちょっと小川!この辺にしといたほーがなんなの?
やっぱここヤバイの?この子はどーなの??

「後藤さん、座ってください」

誰か…へるぷみー…
37 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時23分41秒
「あの…さぁ」
「イモ羊羹、お口に合いませんか?」
「いや、イモ羊羹はおいしーんだけど…ここは一体なにする場所なワケ?」
「あ…大変失礼致しました、大事なことを話すのを忘れていましたね。
 ここは先程も話した通り、おイモによるおイモの為のおイモ商会で
 私は皆さんが知らず知らず見逃しているオンリーワン、もといオンリーポテトを
 手に入れる為のお手伝いをさせて頂いているのです」
「…ごめん、全然わかんない」
「人は皆、おイモはあって当たり前だと認識し 
 然るべき尊崇をもって扱おうとはしません。そのようなおイモに対する
 恥ずべき感情が日常の人付き合いや仕事、勉学に大きな影響を与え
 我々人類を怠惰な生き物へと堕落させました。
 鈍感になり、他人の痛みは勿論自分の痛みすら気づかずに
 生への冒涜を繰り返して世の平和を乱す。
 この地球に生まれ、初めて事態を目の当たりにした時
 私は思わず叫びました、『オギャア!』と。
 曇りなき眼(まなこ)で全てを見、悟ってしまった私にはそれはいかんともしがたい…」

「ちょちょちょちょっとストップ!!」
ごめん!わからん!
38 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時24分25秒
「あの、もちょっとコンパクトに説明してほしーんだけど」
「コンパクト…ですか、そうですね、私が話すと長くなりますし
 色々準備することもありますので
 ここはまこっちゃんに頼むのがいいのかもしれません」
「えぇ!?私?う、うまくできるかなぁ?」
「準備?」
「じゃあまこっちゃんよろしくね、私は研究室にいるから」

パタン

「・・・・・・」
「えっと、じゃあ説明を…」
「んあ、帰っちゃダメ?大体わかったし」
「ダメですよぉ!勝手に帰したら後であさ美ちゃんに怒られます!」
「ってかぶっちゃけここヤバイでしょ?ん?ホレホレ」
「ヤ、ヤバくはないですよ…ちょっと変わってるだけで…」
「どー変わってんのさ?何する気なのよ?」
39 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時24分59秒
「…後藤さん、チラシ見ましたよね?」
「んあ」
「なら読んだと思うんですけど“迷える子羊に明星を”って
 あったじゃないですか。そういうことなんです」
「んあ!!それでわかったら聞いてないし!」
奥歯ガタガタいわしたろかんあー!!
 
「っひゃ!ごごごごめんなさい、すいません!」
「だから明星ってなんなのよ?!」
「あっそうか、明星を説明すればわかりやすいですよ。
 私もあさ美ちゃんの話全部はわかってないんで、そのまま言いますね。
 ウルトラマンセブンってご存知ですか?」
「ウルトラマン?あのシュワッチとかゆーヤツ?
 歌ぐらいしか知らないなぁー」
「私も見てないんで知らないんですけど、セブンってモロボシ・ダンとかゆー
 名前だったらしいんですね」
40 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時25分29秒
「ダン?ウルトラマンなのに?」
「はぁ…ま、それはいーとして、そのモロボシ・ダンはアンヌ隊員と恋におちるんです」
セブンが?なにアイツあんな顔で恋なんかしてたの?

「だけど最終回で2人は別れることになって、その時のダンがアンヌに言った
 『西の空に明けの明星が輝く頃、1つの光が宇宙へ飛んでゆく。それが僕なんだよ』
 ってゆー別れの言葉を聞いてあさ美ちゃんは幼いながらも号泣したらしーんですよ」
「んあ…2人の別れがつらかったんだね」
なんだよ紺野、いいとこあるじゃん。ごとーも泣くよ。

「いえそーじゃなくてですね。
 明けの明星、宵の明星ってのは金星のことで、地球より内側の軌道を
 公転してるから常に太陽と同じ方向に見えるじゃないですか」
「んあ、ってことは…」
「そーなんです。バカボンのパパ以外は皆知ってる通り明け方太陽が昇るのは東。
 だから明けの明星が輝くのも当然東なんです」 
「…そんな…それじゃアンヌは…」
「アサッテの方向を向かされてたってことですよね」
41 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時26分09秒
セブンって…アホだったの?
「しばらくあさ美ちゃんは大事な場面でフザけた台詞を吐いたセブンに対する憤りと
 恋が盲目なせいで間違いに気づかなかったアンヌへの叱責の念で
 涙が止まらなかったそうです。
 そして、泣くことしかできずアンヌに真実をつげられなかった
 自分にも腹が立って、もぉ2度とこんなことがあってはいけない
 大切なイモを間違って見つけられない人々の手助けがしたいという思いに…」

「ストップ。その…セブンとアンヌの別れを見て云々はよくわかった。
 でもなんでそれがイモにつながんの?
 それに恋が盲目なせいで間違いに気づかない人を助けようってんなら
 ごとーは関係ないし、大切なイモを見つけたいとも思わないし」
「ぅーん…そこが1番わかりにくいんですよねぇ。
 私に説明できるのはここまでです」

うーむ、わかったんだか…余計わかんなくなったんだか……
42 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時26分44秒
「そーいえば小川はここでなんかしてんの?遊びにきただけ?」
「私カボチャ好きでおイモも大好きなんですよ。
 あさ美ちゃんつい最近までカボチャもおイモだと思ってたから
 話も合うし、よく2人で料理の研究してるんです」
イモについてあんだけ熱く語るわりに紺野も間違えてたんだね。

「…んあ?ってかつまりここって一風変わった恋愛相談所ってことでしょ?
 小川も高橋のこと相談してたの?」
小川が体験済みでピンピンしてるなら、そこまで怪しくないかも。

「あー愛ちゃんと付き合いだしてからあさ美ちゃんに会ったんですよ。
 それでも色々調べられましたけど間違いもなかったらしくて。
 まだここ始めたばっかだし、後藤先輩がお客さん第1号ですよ」
「ちっ」
客1号っつーより実験台1号のほーがあってんじゃないの?
 
「ごとーやっぱ帰る。じゃ」
「だーから帰っちゃダメですってば!」
「えぇい!離せぇー!!」

43 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時27分25秒


カラリ

「後藤先輩、まこっちゃん、ちょっとこっちに来ていただけますか?」

パタン

んあ…逃げようとドアノブを掴むごとーと後ろから
ごとーの足に抱きついてる小川に向かって
さっきは着てなかった白衣をまとった紺野が静かに声をかけた。

「先輩、諦めてください。
 一歩足を踏み入れたが最後、一通り済むまで帰れませんよ」
「………」
一通りって、一通りってなんなのぉ…。


怯えつつもそれを隠して研究室とやらに入ると…なんじゃコリャァ!!
黒いよ、美貴とは別の意味で真っ黒だしコンピュータばっかだし
なにここ?異世界?近未来?心なしかとってもバーチャルですね。
44 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時28分00秒
「さ、ご夕食まだですよね?イモ羊羹だけじゃ足りないでしょうから
 そこのこふきイモでもつまんでください」
「ヤダ、絶対ヤダ」
こんなマトリックスみたいな空間で暢気にイモが食えるか。

「後藤先輩、なんの為にここへ来たんですか。
 そんなんじゃいつまでたってもボーっとしたままですよ。
 そんな風に本来のハジけた自分を隠して無反応なままでいいんですか?
 察するに後藤さんはもう運命のイモに会っている筈なんです。
 その目を見ればわかります。後は自覚するだけでいいんですよ」

んあ!?なんで?紺野と目が合った瞬間手が勝手に動く!
ちょっと待て!食べたくないってば!!んあー!!!

「な…んで!?」
「別に何もしていませんよ、イモ羊羹に細工なんてしてません、完璧です」
なんだとぉ!?完璧に細工してんじゃんかぁ!
45 名前:コンコンおイモ商会。 投稿日:2003年06月05日(木)19時28分39秒
くそぉ…なんでイモ羊羹食べちゃったんだよぉ…
怪しさを十二分に認識してたっつーのに、ごとーのバカ。

「さぁ!口を大きく開いて、こふきイモの導くままに
 オンリーポテトを胸に抱く旅に出るのです!!
 案ずることなど何一つありません。幸せは、アナタの手の届くところにあるのだから!」

んあー!!ぃいやあぁぁあああー!!!
噛んでる噛んでる噛んじゃってるぅー!!たすけてぇーおかーさーん!!
んあ、でも味はイケてる……

「フフフ、これで後藤さんの暇な日常も終わりますよ。
 これからはもっと人生を楽しんでください」




今でも充分楽しんでいたハズの…ある意味ごとーの第1の人生が
怪しげな研究室のヤケに美味しいこふきイモによって終わりを告げた。

そして、ごとーの第2の人生が始まる。


46 名前:のえる 投稿日:2003年06月05日(木)19時30分57秒
>32名無し読者様
あちらともども読んでいただいてありがとうございます。
私も黒美貴(あまり悪意のない)大好きなんです…。
後藤さん早速壊されました、期待に添えられるよう頑張ります。

ある意味ここまでが長いプロローグで
次からやっとなちごまらしくなるのではないかと思います。
47 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月06日(金)08時55分16秒
ミキたんイカス!
みんなそれぞれのキャラがすっごくおもしろい。特に黒美貴最高でつ。
プロローグですでにのえるさんに惚れました。
続き待ってます。
48 名前:ごとー、リミットブレイク。 投稿日:2003年06月10日(火)01時37分46秒


「…ミキたん」
「ん?」
「…大好き」
「……ふぅーん」

3回目の後、松浦が藤本の腕の中で甘い声を出している、その頃


「んあ、ただいまぁー」
「お帰りー、どうだった?」
「フフ、ごっちんおハロー」

メロンに戻ってきたごとーを迎えてくれたのは柴田さんと斎藤さん
と、隅で五輪の書を読みふけってる村田さん。

「おイモご馳走になったよー、後は…あんま覚えてないや」
「そっか、おイモ商会だもんね」
「今日はもう貸切にしたから好きなもの言いなさい!
 なんでもひとみんがセクシーに作ったげるワ!」
「んあ…オムライス」
普通に作ってくれていーんだけどなぁ。
49 名前:ごとー、リミットブレイク。 投稿日:2003年06月10日(火)01時38分40秒
「あぁん!私の中の赤い血潮が!!」
いや、それトマトピューレだし。

「ちぇすとぉ!」
ごとーの心の呟きに気づくこともなく、斎藤さん(with助手:村田)は
セクシークッキングを始める。

「じゃあおイモのお店だったの?」
「ふぇ?」
後ろの2人など全く気にせず柴田さんがごとーの隣に座る。
「おイモ食べたんでしょ?」
「いやぁ、そんなトコぉ!!」
「あぁ…いや、お店じゃなくて、おイモの美味しい食べ方を
 研究してるって言ってた。小川もいたし」
「小川って…あの高橋ちゃんと付き合ってるカボチャの?」
「そう、なんか紺野がカボチャもイモだと思ってたらしくて」
「紺野?商会の人?あ、だからコンコンか」
「んあ」
「ふぅん!飛ぶぅ!飛んじゃうぅー!!」
「なるほどね〜、ならウチの商売敵にはならないね、よかったよかった」
「…んあ」

斎藤さんがセクシーな限り、この店は大丈夫だと思うけど。
50 名前:ごとー、リミットブレイク。 投稿日:2003年06月10日(火)01時39分16秒
「小次郎!覚悟じゃ!」
「ぁん!必殺セクシーつばめ返しぃ!!」
「そろそろできるから上の2人も呼んでこないとね。
 ついでにサービスするから」

上の2人?えーと、えーと…んあ!ヤってんじゃん!

「待って!ごとーが逝きます!逝きますから!」
「?…じゃあよろしく」

ふぅ…ってなんでごとーがアホ美貴の為に焦らなきゃなんないのさ
不条理の極みだよ、まったく…。

「・・・・・」
階段を上って一応ノックの前にドアに耳をつけてみる。
静かだな…寝ちゃったのかな?まっつーがマッパとかだったらヤだなぁ。
ノックしとくか。

コンコン

「美貴ぃー?」
51 名前:ごとー、リミットブレイク。 投稿日:2003年06月10日(火)01時39分54秒
「ごっちん?」
「あ、起きてるー?夕飯サービスしてくれるってさ。
 降りといでよ」
「わかったースグ行くー」

ガチャ
「おまたー♪」
「んあぁ!?早いよ美貴!びっくりすんじゃん!」
「だからスグって言ったじゃん」
「いや言ったけど……んあ、まっつーは?」
「あぁーヤり疲れて寝ちゃったからさー、そのうち起きるでしょ」
「起こしたほーがよくない?それか起きるまで傍にいてあげなよ」
「ヤだ」
「鬼」
「だって美貴お腹すいたもん」
「ったく…アンタいつかバチあたるよ」
「望むところだぁー」

満開の笑顔でごとーを見る美貴を階段から突き落とそうかと本気で思った。
52 名前:ごとー、リミットブレイク。 投稿日:2003年06月10日(火)01時40分35秒
「あれ?亜弥ちゃんは?」
下に戻ると、いつの間に帰ったのか大谷さんが柴田さんを後ろから抱っこしてる。
斎藤さんと村田さんは…消えた。

「寝てるんで放置でぇーす」
「そっか、無理に起こすのもかわいそうだし先食べる?」
「はーいゴチになります♪」
「マサオ、スプーン」
「へいへい」
「マサオ、水」
「ほいほい」
「んあ、カカア天下」
「でも美貴あゆみさんになら尻にしかれてもいいなぁ」
「だから美貴には亜弥ちゃんいるでしょ」
「亜弥ちゃん美貴のことしかないもーん」
「アンタがしかせないんでしょーが!」
「カオにはわかる、ここにウチの生徒がいること」
「ふぅーんそう。かおりんはすごいね……んあ?かおりん?」

フイに聞えたかおりんの声。
空耳かな?
今日貸切だし。かおりんがこんなとこにいるワケない。
53 名前:ごとー、リミットブレイク。 投稿日:2003年06月10日(火)01時41分21秒
とは思いつつも気になったので、隣でオムライスをがっついてる
美貴の後ろの窓に目を向けてみると…


( ゜皿 ゜)


「んっきゃぁあ!!かかかかおりん!なんでそんなとこで
 覗きみたいなことしてんの!!」

なんで窓ガラス越しだったのにさっきあんなクリアな声が
ごとーに届いたの?
ってかその顔は交信中?ごとーの心にアクセスしてた?

「あぁーカオリせんせぇー、何してんですかぁー?」
口の周りをケチャップで真っ赤にさせた美貴もびっくりしてる。

「なっちとこれからの3年1組について話し合おうと思って」
突然のかおりんの登場に驚いてるごとーたちを尻目に
モデルのように長い足と髪を揺らせながら
かおりんは店の中に入ってきた。後ろにキョロキョロしてるなっちもいる。
54 名前:ごとー、リミットブレイク。 投稿日:2003年06月10日(火)01時42分09秒
「ほぇ?なっちって誰ですか?」
「そっか、藤本はいなかったから知らないんだね。
 副担任のなっち」
「藤本さんっていうだべか、安倍なつみです、よろしくっしょ」
「あー新任の挨拶で最後に喋ってたせんせぇーだぁ。
 その訛りってもしかして北海道ですかぁ?
 美貴も北海道なんですよぉー」
「そうだべ、北海道の室蘭っしょ!」
「室蘭?マサオも室蘭だよねぇ?」
「そだよー、こんなトコで同郷人に会うなんてなぁ」
「あなたも室蘭?…う、嘘だべ!室蘭人はそんな頭しねーべさ!!」
「え?いやこれはー」

などと盛り上がる一行を少し引き目で見ていたごとー。
話に入りたくなかったんじゃないし、入れなかったワケでもない。

ただ動かなかった、口も、目も、手も足も全部。
55 名前:ごとー、リミットブレイク。 投稿日:2003年06月10日(火)01時42分42秒


 ♪♪♪突然大恋愛してみたいと♪♪♪

心の中でいきなり某アイドルの最新曲がかかる。
なんだこれ…どーしちゃったのごとー、体が熱い、焼けるみたいに熱い。

ニコニコ笑いながら美貴や大谷さんと握手するなっちから、目が離せない。
しばらく見ていると、今度は抱きしめたい衝動に駆られた。
理性でなんとかそれを抑えるものの、両手両腕ともプルプルと痙攣が止まらない。

何が起こったんだろ?ただなっちを見て
やっばイモっぽいなぁーって思っただけなのに
そう思った瞬間体は動かなくなって、なっちに心を占領された。


・・・んあ、イモ?イモ…イモ…イモ……


『そう、その人が後藤さんの運命のおイモです。完璧です。
 さぁ手にとって心ゆくまでお召し上がりください』
56 名前:ごとー、リミットブレイク。 投稿日:2003年06月10日(火)01時43分36秒

「…………ぁ…」
「ん?ごっちん?どしたの?手震えてんじゃん」
「んあぁ…ぁ…」
「ごっちん?ちょっと!どーしたのってば!!」


「すすすすすすすすすすすすすすすすす」
「「「「「す?」」」」」



「好きだぁ━━━━━━━━━━━━━━━━!!!!!!!!!!!」
「「「「「はぁ?」」」」」

「んぁあああ━━━━━━━━!!!」
「っべさぁ!?っきゃぁぁあああー!!」
「ごっちん?!どこ行くの!ねぇ!!」
「た、助けてぇ!!」

ダダダダダドピューン
「っやぁあ!…ぁぁー!!…ぁー!…」



57 名前:    投稿日:2003年06月10日(火)01時44分49秒

◇  ◇  ◇

58 名前:爺死蛾迩の乱    投稿日:2003年06月10日(火)01時45分46秒

風の如く、飛ぶが如く安倍を掻っ攫ってメロンを飛び出していった後藤。
飯田以外の取り残された面々には一様に戸惑いの色が浮かぶ。

「「「「「・・・・・・」」」」」
「…マサオ、なにが起こったの?」
「わかんない」
「…美貴、あんなごっちん初めて見た」
「おかしかったよね?目血走ってたし」

トントントントン…
「すいません、寝ちゃいましたぁ。
 …あれ?みなさんどうしたんですかぁ?」
「あ、亜弥ちゃん」
「ミキたん?顔色悪いよ、どうしたの?」
「ななななんでもない。ちょっと悪い夢見ただけ。
 ね、あゆみさん」
「へ!?…あーうん!そうそう!変な夢夢!
 ほら、亜弥ちゃんの分もあるから食べなよ」
「わぁ、ありがとうございますぅ」
59 名前:爺死蛾迩の乱 投稿日:2003年06月10日(火)01時46分26秒
暗黙の了解で先程の珍事を見なかったことに決めた一同。
その輪からするりと抜け出した飯田は音も立てずに
店の外に出ると、携帯電話を取り出した。

プルルルル プルルルル
『はい』
「…カーネルおじさんのメガネは?」
『実は度つき、完璧です』
「紺野、アンタのとこにごっちん来たでしょ」
『えぇ、いらっしゃいました』
「大成功だよ、なかなかやるね」
『そんな…恐縮です』
「これで今年も楽しくなりそうだね、じゃ」
『はい、失礼します』

ブツッ ツー ツー ツー 

ニヤリ。

不敵に微笑んで現れた白い歯が、薄暗い夜の中でキラリと瞬く。
60 名前:爺死蛾迩の乱 投稿日:2003年06月10日(火)01時46分57秒
「飯田さん?帰るんですか?」
ようやく飯田の不在に気づいた柴田がヒョッコリと顔を出した。

「ううん、ちょっと飲んでいってもいいかな?」
「はい、もちろん」
「柴田はまだ飲めないんだよね。斎藤たちと飲むか」
「じゃあ呼んできますね、奥にさがっちゃったんで」
「ありがと」

「カオリせんせぇー、美貴も一緒に飲みたぁーい」
「ダメだよ、カオは美貴の担任なんだから、目の前で飲酒させるワケにはいかない」
「ちぇー、なら美貴帰る」
「あ、待ってミキたん」
「いいよ、亜弥ちゃんはそれ食べてから帰んな」
「……うん」
「待ちなさいよ!藤本のせいであややの顔が曇り気味じゃない!
 罰としてアンタはお酌なさい!それもセクシーに!」
「そうじゃ、この真っ黒ミキスケめ」
「フフ、マックロクロスケみたいでゴロがいいわね、さすが村っち♪」
「あぁもぉ!いきなり出てきてうるさいなぁ!!」
61 名前:爺死蛾迩の乱 投稿日:2003年06月10日(火)01時48分17秒
突然戻ってきた斎藤はなぜか紫の美○憲一のような扇を持ち
続く村田も日本刀を怪しげに構えていた、しかも二刀流で。

「黙らっしゃい!私の目が見えるうちはもぉ2度とあややを泣かせないわよ!」
「別に美貴泣かせてないしー」
「嘘つくんじゃないわよ!」
「…ヤシガニ、ヤシガニ出して」

びくっ 唐突に聞えた飯田の一言に、斎藤と村田の動きが止まる。

「やっ!?ヤシガニなんかないわよこの交信教師!!
 つまみは枝豆で我慢なさい!」
「カオにはわかる。そこの冷蔵庫にさっき届いたヤシガニがあること」
「ななっないって言ってるでしょ!
 どうしても食べたいなら沖縄にでも行きなさいよ!」
「そ、そうじゃそうじゃ!ヤシガニなんてないですじゃ!」
「じゃあ調べてもいい?」
「いいワケないでしょ!あれはお店に出す用じゃないのよ!
 後で村っちと2人で食べようと……あっ!」

気づけば、斎藤と村田は飯田と柴田と大谷の3人に囲まれていた。
62 名前:爺死蛾迩の乱 投稿日:2003年06月10日(火)01時49分31秒
「…ひとみちゃん。マサオはいいとして、私の分は?」
「ちょっとあゆ…よくないよ」
「いいの!」
「…はい」
「さぁ、ヤシガニを出しなさい」
「…っく。なによ、なんだってゆーのよ!
 確かに村っちとこっそり食べようとしたことは謝る。
 だけどっ!…それってそんなにいけないことなの?だってヤシガニよ!
 ヤドカリじゃないのよ!ココナッツ食べてんのよ!!
 新潟時代ビーチにビキニでコパトーンな私と同じ香りなのよ!!
 それを1人占めしようとしたら村っちに運悪く見つかって責められる前に
 『村っちも食べる?』って聞いた私って偉くない?ねぇ偉くない?」
「そうだったのか……」

「ハッ!私ったらまた余計なことを!」
「無念じゃ…斬る!」
「キャー村田衛門様ぁー」
「さ、馬鹿はほっといて食べよ、カオお腹すいた」
「そーですね、食べましょ食べましょ」
「うんうん」
63 名前:爺死蛾迩の乱 投稿日:2003年06月10日(火)01時50分27秒
「ちょ!ちょっと待ちなさいよ!私のヤシガニ!!」
「私たちのこと騙したバツー」
「あゆ、ここにもなんかあるけど」
「ん?ナマモノ入ってるっぽいね、なになに…れ、烈怒露武星?」
「やめてぇー!レッドロブスターまでぇぇぇ!!」
「んなっ!?レッドロブスター?わざわざこんなわかんないように名前書いて
 明らかに確信犯じゃない!マサオ!これも食べよ!」
「いいのかなぁ……」
「いいよ、カオが許す」
「やったー♪亜弥ちゃんたちも食べ…って、あれ?」
「帰っちゃったみたいだね。ホラさっさと調理して」
「残念だなぁ…まいっか。マサオ、お湯わかして」
「あいよー」
「私のヤシガニぃー!!露武星ぁー!!」


◇◇◇

ところかわって、

無言で斬りつける村田と叫ぶ斎藤、ヤシガニを調理する3人が騒ぐメロンから
歩いて2分程の公園に、藤本と松浦の姿があった。
64 名前:爺死蛾迩の乱 投稿日:2003年06月10日(火)01時51分14秒
「待って!ミキたん!」
斎藤たちがヤシガニで騒いでいる間に抜け出してきた藤本を
追ってきた松浦が捕まえた。

「…なに?走ったら危ないじゃん。転んで怪我したらどーすんの」
「大丈夫だよ。一緒に……帰ってもいい?」
上目遣いで恐る恐るといった風に松浦が尋ねる。

「美貴、寄るとこあるから」
「…里田さんの…ところ?」
「……亜弥ちゃんには関係ないじゃん」
「そ…だね、ごめん。明日もちゃんと学校来てね」
「…行くよ…バイバイ」
そう言うと、ずっと俯いていた藤本が顔を上げて松浦の頬を撫でた。

「あ!ミキたん!」
「…ん?」
「暗いから、気をつけてね」
「……うん」


小さく笑って向けられた
決して振り返らない遠ざかっていくだけの背中を、松浦はずっと見つめていた。
65 名前:のえる 投稿日:2003年06月10日(火)01時52分08秒
>47名無しさん
黒美貴最高ですか(w 松浦さんには悪いんスけどね
今回ちょっと痛めかもですが、それでも黒美貴が好きなんです(蹴
( ´ Д`)<惚れたってよ。
きゃあ!初めて言われました、感激です。私も惚れます(爆

じ、次回こそなちごまです。
66 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月10日(火)02時08分38秒
のえるさんの作品にはまった!!(w
黒美貴好きですけど、今回はちょっと痛めですね…
最後は良くなるといいな〜。あやみき好きなもので(w
ごっちんのなっちの行方も気にしつつお待ちしておりますw
67 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月10日(火)02時47分56秒
おおっ、更新されてますね。お疲れさまです。
松浦さんにはかわいそうだけどマックロミキスケ好きだなー。
飯田さんの交信中の顔ってあれなんですね(笑)
なちごまもだけど飯田さんの出番も楽しみだったりします。
68 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月10日(火)14時39分45秒
おもしろいっす。
期待してまふ。
69 名前:誘拐と紹介。 投稿日:2003年06月13日(金)01時47分01秒


「あっ!あの!後藤さん!!」

安倍は、自分を抱き上げたままメロンを飛び出し、公園を通り抜けて
ひたすら走り続ける後藤をなんとか静止させようと悲鳴を上げる。

「んあー!!」

しかし、聞えているのかいないのか後藤が止まる気配は一向にない。

どうすればいいだべか。
さっきから通りすがる人たちに見られまくりっしょ、なっち恥ずかしいべさ。
でも後藤さんって力持ちさんだなぁ…。
これなら体育祭の綱引き優勝間違いないべ。

この状況は、明らかに誘拐か拉致であるにもかかわらず
安倍は後藤の腕力に感心して首にまわした腕に力をこめた。

副担とはいえ、後藤が自分のクラスの生徒であるということが
安倍に警戒心を一切抱かせないという効果をもたらしているらしい。
70 名前:誘拐と紹介。 投稿日:2003年06月13日(金)01時47分33秒
「んあっ!あともー少しで着くから!」

なんとなく目的地もなく走ってるんじゃないだろうかと安倍が思い始めた頃
突然後藤が叫んだ。
ここは一体どこだべか?としがみついたまま辺りを見回してみるものの
まだあまり土地カンのない安倍にわかるハズもなく
ただ一軒家が立ち並んでいるところを見る限り、ここはただの住宅街のようだ。

「後藤さん、どこに着くんだい?」
遅すぎだべと自覚しつつも一応聞いてみる。
「ごとーの家」
「ふぅーん」
なんだ後藤さん家か、家庭訪問にはまだ早いっしょ…………んぅ?

「ごごご後藤さん!!後藤さんの家って…そんな突然行ったら失礼っしょや!」
「んあ、大丈夫。たぶん誰もいないし」
「…そっか……さみしいね」
71 名前:誘拐と紹介。 投稿日:2003年06月13日(金)01時49分12秒
この安倍という教師、やはりどこかズレているのだろう。
家に誰もいないと聞いて、淋しいから自分を連れてきたと思い込み
そっと後藤の背中を撫でている。

「さみしくなんかないよ、もう慣れたもん。
 ただおとーさん死んじゃってておかーさんと下のおねーちゃんが
 お店やってるだけだし。甥っ子とかも一緒に住んでるから楽しいよ。
 今日は上のおねーちゃん家族が旅行に行ってるからいないけど、普段はいるし」
「わぁ…大家族だねぇ、羨ましいっしょ」
「あとバカな弟もいるよ、一時期特殊な非行にはしったけど今は安全なのが」
「特殊…?あ、えーとなっちは3姉妹の真ん中だべ」
「んあなんかいーね、3姉妹って…」

この時、後藤は完全に自分の立場を忘れ
『おイモ3姉妹…ポワワ』とある意味失礼な妄想と憧れを胸に抱いていた。

下に弟がいるが、姉妹だけで数えれば後藤も立派な3姉妹の末っ子だというのに…。
72 名前:誘拐と紹介。 投稿日:2003年06月13日(金)01時49分49秒
「んあ!ダメだ!まずは紹介しなきゃ!」
「紹介?」
「あ、あのね、ごとーの家ではね、あの、その…」
「なんだい?言ってみるといいっしょ、その前におろしてくれてもいいけど…。
 そろそろ疲れたっしょ?汗かいてるべさ」
「う、うん」

日が落ちて人通りも少ない通りの真ん中で、後藤はようやく安倍をおろした。 
そして何の断りも入れずに安倍の手を取ってまた歩き出す。
その手は少し湿っていたが、安倍は特に気にしなかった。

「で、紹介って?」
「えっとね、ごとーのおかーさんがいっつも言ってるの。
 ごとーに大切なイモができたら、ちゃんと連れてきて紹介しなさいって。
 おねーちゃんたちもそーしてたし、だからごとーもちゃんとなっちをおかーさんに…」
「ちょっと待って!あの後藤さん?…イモって……」
「んあ?ちちちちがっ!人だよ人!!
 おかーさんはそー言ってた!」
実は安倍の中で“イモ”はNGワードであると知らないハズの後藤だったが
突如曇った顔を見て本能でそれを悟ったようだった。
73 名前:誘拐と紹介。 投稿日:2003年06月13日(金)01時50分28秒
「……はぁ、人だべね」
「うん!」
「…ん?大切な人?」
「そーだよ!なっちはごとーの大切な人(イモ)!」
「………それはどゆー意味だい?
「んあ!着いた!ここがごとーのおかーさんのお店だよ!」
「あ、ちょっと待っ…」
紹介できることがそんなに嬉しいのか、ふにゃふにゃと笑う後藤は
安倍の手を強引にひいて店のドアを開ける。

ガラッ

「んあー!」
「いらっしゃいませー!…ってなんだい、真希かい。
 裏から入らなきゃダメって言って……って誰だい?!そのプリティー小町は!!」
「ちょっとおかーさんいきなり大声出したらお客さんの迷わ……かわいい!!」

急に明るい光が入ったせいでショボショボになった安倍の目に映った
後藤によく似た中年女性と、なんとなく似た自分より下であろう女性の姿。
74 名前:誘拐と紹介。 投稿日:2003年06月13日(金)01時52分03秒
プ、プリティー小町ってなんだべか…?

「おうおう真希ちゃん、久しぶりだねぃ」
「ちょっと見ねー間に大人っぽくなったんじゃねーかい?」
「んあ、おじさんたちは変わんないね」

常連らしき男性と談笑する後藤の横で、後藤の母と姉に痛い程見つめられ安倍は固まっている。

「んあ?」
その様子に気づいた後藤はなぜか母と姉を睨みつけた。
「ちょっと真希、そこのプリティー小町は誰なのよ?」
イカを切っていた包丁を持ったまま、姉が問う。
後藤は胸をはって腰に手をあてると、高らかに叫んだ。


「このイ…人はなっち!ごとー、なっちと結婚する!!」


「「「へぇー…ってえぇえ!?」」」
後藤の突然の結婚宣言に、イってなんだべ?と突っ込もうと思っていた安倍と
常連のおっさんのおっさんの声はキレイにハモった。
75 名前:誘拐と紹介。 投稿日:2003年06月13日(金)01時52分52秒
「ちょっと待つべさ後藤さん!結婚ってなんだべ?!
 ニッポンでそんなことできるワケないっしょ!女同士だし!
 第一後藤さんはまだ17さ…」
「大丈夫!ごとーなっちの為ならなんだってできるよ!
 年だってとれるし、オランダにだって行ける!てっとり早く法律変えちゃってもいい!!」
(注:法律は手っ取り早く変わるものではありません)
「いや、ちがうっしょ…そーゆー問題じゃなくて…
 大体なっちたち今日会ったばっかだべ!なのにいきなりこんな…」

「なに言ってるのよぅ!!」
「ぇ?」
姉の一声が、が至極当然な安倍の言葉を遮った。

「なっちさん、いえなっち!アナタ大切なこと忘れてるわ!
 友情や愛情は…付き合った時間とは関係ナッスィングってこと、アナタ忘れてる!」
「そうだよなっち!ごとーはなっちを泣かせたりしないよ!
 絶対幸せにする!!」

肩に手を置いて言われた後藤の言葉はなぜか嬉しかったし
姉の発言も一理あるが、安倍にはこの場合だとそれは通用しないように思えた。
76 名前:誘拐と紹介。 投稿日:2003年06月13日(金)01時53分24秒

…なっちがおかしいんだべか?
でもね、でもね、なっちが思うに結婚ってそんな簡単に決めるもんじゃないと思うのさ。
なっち後藤さんのことまだよく知らないし、後藤さんだってなっちのこと全然知らないべ。
それに、校則的にも無理なんじゃないかと思うっしょ…
やっぱ後藤さんにはちゃんと卒業してほしーし……

「なっちー?どうしたの?」
「べさ?…べさ!?どこだべここは?!」
「んあー、ごとーの部屋だよぉー」
「へへへ部屋ぁ!?」
「むふぅー」

いやいや、むふぅーじゃないっしょ。
なっちいつの間に後藤さんの部屋に来たべさ、たしかお店にいたハズだべ。
ワープだべか?黒魔法だべか?
いんやぁーやっぱ東京の人はすごいっしょや、なっち初めてだべこんな体験。

「ありがとう後藤さん、なっちは今日またひとつ大人になったべ」
「えへへー。ってかさー、後藤さんって堅苦しいから真希でいいよぉー」
「そっそんないきなり呼べないべさ!あだ名とかないのかい?」
77 名前:誘拐と紹介。 投稿日:2003年06月13日(金)01時54分04秒
「んー、ごっちんとかごっつぁんとかかなぁ。
 ゴマキ以外ならゴマでもマッキングでもマキスケでもマキティーでも
 ねぇアンタでもちょっとそこの人でもなんでもなっちの好きなのでいいよぉー。
 ちなみにごとーのオススメはハニー♪とかダーリン♪とかマイスウィート♪とか…」
「じ、じゃあごっつぁんで」
「んーならなっちとちょっとでも似てる方がいいからごっちんにして」
「…わ、わかったべさ。ごっちん」
「はぁーい、なっちー」
「…はぁーい」
 
なんでもいいって言ったのに…ブツブツベサベサ…
ハッ!ちょっとタンマだべ!えっと…さっき、つまりなっちとごっちんは
婚約したんだべ…ってことは今夜はなんちゃって初夜みたいな空気がプゥ〜ンと
漂ってもおかしくないっしょ!
なっちの後ろはすぐベッドだしピンクな話題になったらどーすればいいべか…
ホラ何事も色々準備がいるし、未処理じゃないけど未処理かもしれないべさ!

…ってキャー!!何言わすべか!生き恥さらしちまったっしょ!生き恥!!
78 名前:誘拐と紹介。 投稿日:2003年06月13日(金)01時54分36秒
「んあ、なっちってご飯食べたの?」
「え?あぁ!食べてないべ!食べようとしたところだったから」
「んあ、ごめんなさい。これさっきお店でおかーさんに
 お裾分けしてもらったから食べて。その後家まで送るから」
「い、いいべ、大丈夫っしょ!」
ホッ、どーやらピンクなことは考えてなかったみたい…安心したべ。

「でも道わかんないでしょ?暗いから心配だし、ちゃんと送るよ」
「あ、そっか…なら駅まででいいべ。
 ごっちんも女の子なんだから帰る時危ないし」
「んあ…なっち優しいね」
「ごっちんだって…優しいっしょ」


なんだか、明らかにいいムードな2人。
微笑み合って見つめ合う姿はまるで天使のようだ。
しかし、ふと手が触れ合った途端後藤は真っ赤になって下を向いてしまった。
79 名前:誘拐と紹介。 投稿日:2003年06月13日(金)01時55分48秒
「ごっちん?」
安倍の方は手が触れたことに気づいていないのかキョトンとしている。
「んあ…」
さっき散々手を繋いでいたというのに
後藤の心臓は張り裂けんばかりにバクバクと高鳴る。

「ダメだダメだ…会ったその日になんてそんなこと…
 大切な人なんだから…大事に…大事に……ブツブツンアンア…」
「ごっちーん?」

なにやら念仏のように唱える後藤の腕をつついてみるも返事はない。
もし考え事なら邪魔をしても悪いので、安倍は夕食をいただくことにした。



その後、後藤は悶々としながらも食べ終わった安倍を駅まで送り
まるで中学生の初恋カップルかのように爽やかに別れると
朗らかなスキップで家に帰っ………たハズが、家まであと10メートル程のところで
突然貧血に襲われてパタリと倒れ、そのまま意識を失った。
80 名前:のえる 投稿日:2003年06月13日(金)01時58分10秒
レスありがとうございます。ホント励みになります。嬉しいです。

>66名無しさん
こんな駄文にはまっていただけたとは光栄です(感涙)
黒美貴とあややのことはちゃんとするつもりですので
最後まで読んでやっていただけると嬉しいです。

>67名無し読者様
おぉ、マックロミキスケ好きですか、私も好きです(ww
ヽ( ゜皿 ゜)ノ<ソーダヨ、コーシンチュウ。CMヤホーイ
楽しみって言っていただけると嬉しいです、出番増やします(w

>68名無しさん
ありがとうございます、頑張ります。
「まふ」っていいですね、なんか癒されました(何
81 名前:のえる 投稿日:2003年06月13日(金)02時14分19秒
大事なこと書き忘れました。
( ´ Д`)<なっち!ソロおめでとぉー!!
いやぁ嬉しいですねぇ。

( ´ Д`)人(´ー`●)<ソロばんざい!なちごまばんざい!
82 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月13日(金)23時03分11秒
いい意味でこのバカ加減がいいなぁ。
読んでて微笑んでしまってる自分がいる。
マジ面白いっす。
なちごまの今後、あやみきの今後がすげー気になる今日この頃。
続き期待してるっす。
83 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月13日(金)23時59分21秒
婚約ってなっちもその気になってますか(w
ごとーさんどうしちゃったんでしょう、気になるー。

なっちのソロ嬉しいですね。良い曲に恵まれてほしいなあ。
84 名前:66 投稿日:2003年06月15日(日)22時36分18秒
のえるさんの作品にはまり。
他の板にある作品も必死に探して見つけて読みました!(w
あっちにもあやみきといしよしとなちごまがあって自分の好きなCPだったので
ニヤニヤしながら読んでしまいましたよ(w
二人の行方…静かにお待ちしております。

しっかしおもしろい(w
85 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時19分38秒

 オレの心惑わすぅ〜、光るデコの輝きぃ〜♪

んあ、なんだこの歌?メロディーは古畑○三郎のオープニングっぽいけど…。
ってかこれ誰の歌声?ねぇ誰の歌声?

 今泉はかわいい〜、今泉は優しい〜♪

誰だよぉ、誰だよ今泉って…。あ、あのキてる人か。

 今泉は、今泉は♪

んあ、なんか耳がくすぐった……

「ダッダッ、ダッ、ダダダ!!!」
「んっぎゃぁ!!?」 
「ごっちんグッモー♪」

みみみ美貴ぃっ!!!
なんで美貴がいきなし目の前にってゆーか外ここなんか暗いじゃん下固いじゃんじゃじゃじゃん
明らかにごとー今アスファルトに寝てない寝てますねなんでどーしてハラホロヒレハレ…
ってか美貴近い!耳に息かかってるかかってる耳たぶ噛むなぁー!!!
86 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時20分22秒
「ごっちんなんでこんなとこで寝てんのー?」
「寝てないよ!早く離れて!」
アホがうつるし!
「冷たいなー、ほっといたら誰かに襲われると思って自慢のミキティーボイスで起こしてあげたのにー」
「だからってあんな変な歌で起こさないでよ!目覚め最悪じゃん!」
「アハハーごめーん。ってかマジでなにしてたの?
 いきなりなっちとかゆーせんせぇー担いで消えたからさ、結構心配してたんだけど」

・・・んあ?

「……担いで消えた?」
「そだよー、黙りこくってプルプルしたと思ったら大声出してさー
 あんなごっちん初めて見たからかなり面白かったよ」

・・・えーと、じゃすともーめんだっけ?うぇいとあみにっつだっけ?
ちょっと待ってください。何の話かサッパリアッサリもっさりなんだけど
ごとーはメロンにいたハズじゃ……
87 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時21分15秒
「ここはどこ?ごとーはだれ?」
「は?ごっちんの家この辺じゃん、ごっちんはごっちんだし」
「ごとーの家?…んあ…ホントだ。
 え?なんで?ごとーメロンにいたよ、メロンで…」

美貴とセクシーオムライス食べて、まっつーが寝てて
窓の外にかおりんがいて、交信中で、入ってきたと思ったら………思ったら?

「おーいごっちん、大丈夫?」
「…大丈夫じゃない。わかんないもん!
 メロンにかおりんが来たとこまではわかる!でもその先が…先がわかんない!」
「・・・マジ?」
「大マジ」
「…WAO☆」
「んあ!人が記憶喪失になったっつーのにおチャラけるな!!」
御丁寧にウィンクまでしやがってこのアホ美貴が!

「だってしかたないもん♪だって好きなんだもん♪」
「一生鮭とば食えない体にしてやる」
「ひぃ!ごめんなさい冗談ですすいません!」
…わかりゃいーのよ、わかりゃ。
88 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時21分49秒
「でもカオリせんせぇが来たとこからってことは3時間以上記憶抜けてんじゃん。
 病院行った方がいいんじゃない?お酒飲んだワケでもないみたいだし」
「うーん…」
たしかにごとーお酒くさくない。
それに制服のままだし、でも鞄は持ってないなぁ。
家には一旦帰ったのかな?それでまた出てきて寝てたの…?

「なっちってせんせぇ、いないの?」
「わかんない…教室でちょっと話したのは覚えてるけど
 担いで消えたってことは…安倍って先生もメロンに来たの?」
「うん、カオリせんせぇと一緒に。…そーいえばごっちんがおかしくなったのって
 なっちせんせぇの顔見てスグだったよ。
 さっきも言ったけど急に黙って震え出して、『好きだぁー!』とか叫んで
 飛び出してって、フェードアゥっ!みたいな」

好きだぁ?…んあ、それはなんかの間違いなんじゃ……

「美貴いちおー1回携帯かけたけど留守電だったし
 好きだっつってたからお楽しみ中かと思ってそっとしといたんだけど…ヤってないの?」
89 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時22分29秒
「だから記憶ないし、たぶんヤってない…と思う」
「なぁーんだ、ならいいんじゃん?
 なんかあったなら明日学校でなっちせんせぇが言ってくるでしょ」
「そー…だよね、いーよね別に気にしなくても…」
「いーよいーよ全然オッケー。さ、そろそろ立って帰ろ」

いつもならいい加減なことばかり言う美貴に腹立つとこだけど
今日は救われた気がする、ありがとう。

「んあ、そーいや美貴はこんなとこで何してんの?」
「ひょぇ?!」

いやなにもそんな飛び上がらなくても……さては、おぬし悪事を働きよったな。
そーよねぇ、メロンから美貴ん家に帰るのにここ通るワケないし
美貴のカッコも制服で、おまけに鞄まで持ってるってことはまだ家に帰ってないってことでしょ。
それってイコールまっつーを家まで送らなかったってことじゃん。

「吐け、吐いて楽になっちまいな」
「ヘヘヘアハハ…」
90 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時23分10秒
「誓ったよね、ちゃんと誓ったよね黒美貴さん♪」
「ち、誓ったけど!あれは病院から家まででしょ。
 メロンから家までの送りは誓ってないじゃん」
「んえぇい!四の五の言ってんじゃないよこのあやや泣かせがぁ!」
「いたぁーい!イタタタタ!やめてそこは弱いとこぉー!!」

え?どこ触ってんのか教えてほしいって?
それはちょっと言えないなぁ…ま、とりあえず弱いとこだよ、うん。

「まったくぅ、どこで誰となにしてたのさ?
 よしこには黙っといてあげるから言ってみな」
「…ホントによっすぃーには言わない?」
そんな怯えた目で見なくても…たしかによしこのお仕置きはシャレになんない時あるけど。
「言わない。だから吐け」

立ち上がると、まだ微妙に迷っている美貴よりごとーの方が身長は高いワケで
さりげなく年上だということも忘れて思いっきり上から見下ろしてやった。
91 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時23分50秒
「その…まいちゃんに、さぁ、呼ばれてて…。
 亜弥ちゃんのこと送ってから行くつもりだったんだけど
 メロンで結構ゆっくりしちゃったから時間なくて…」
「んあ、まいちゃんって…里田先輩?たしか沖縄もその人と一緒に行ったんだよね?」
「う、うん」
「…今何時よ?」
「11時です」
「ヤって…」
「ません。そんな体力ないよ、亜弥ちゃんと3回もヤったし」

んあ…ごとーがコンコンおイモ商会でイモ食ってる間に3回もヤったんかい。

「ほんとぉーに里田先輩とはヤってないの?」

あの人スタイルいいし美人だし…美貴のこと「みっきー♪」とかって
呼んでてすんごい仲いーじゃん。
おまけに一部では黒美貴の愛人候補ナンバー1って言われてるし…。
中学の時から仲いーって聞いたけどここ2年ぐらいはマジでベッタリなんじゃないの?
ごとー、一時期美貴は本気なのかと思ったこともある。
それでも美貴がなんだかんだまっつーといたから、その考えは捨てといたけど。
92 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時24分36秒
「ヤってない。ってかまいちゃんとはそんなんじゃないよ。
 色々誤解してるみたいだけど、みんなも………亜弥ちゃんも」
「ふぇ?マジで?だってほっぺにチューとかしてんじゃん、よく抱き合うし」
「あ、あれはジャレてるの!ごっちんだって1年の加護ちゃんとか辻ちゃんとかとするじゃん。
 美貴たちだってそーゆーのだよ」

へぇ、意外。悪いけど意外だ。

中2の正月に、美貴が起こしたとある事件やらなんやらで仲良くなって以来
美貴とは楽しくつるんできたけど、なんてゆーか…あんまそーゆー話ってしなかったんだよね。
たまに今日みたいによしこが気持ちを聞いたりするけど
それだって深く問いつめるワケじゃないし、常に1歩ひいてるってゆーか、マジじゃない。
無理に聞き出すんじゃなくて、話したくなったらいつでも言ってよって感じで
そん時は真剣に聞くし、助けがいるなら命をかけて守る。

よーするに必要以上に干渉はしないけど、それぐらい固い絆がある………ような気がする…っぽい。
93 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時25分15秒
え、えっとだからなにが言いたいかっつーと
美貴がヨソで遊んでる部分に関してごとーはノータッチなのさ。
よって、美貴が朝帰りでそのまま学校に来て周りがどんなにヒソヒソ言ってても
ヤったのかどーかなんて知らないワケで、聞かないし。

ごとーも何回か美貴が色んな人と一緒に歩いてたり
どっかのマンションの前で抱き合ってるの見たし、いつだったか知らないヤツと
腕くんでラブホに入ってく美貴を見た子たちもいる。
そんなこんなで広がる噂を、美貴は面白そうに聞いてて
それだけなら灰色ぐらいなんだけど
そのせいでまっつーが傷ついてたり、泣いたりしてるじゃん。
だから黒いの、黒美貴なのよ。

そんな黒美貴がべったり甘えてる里田さんとそーゆー関係じゃないってのは…ねぇ。
美貴が里田さんに本気説は捨てたって言ったけど
それでも2人は並ぶと雰囲気エロいし妙に甘いし
ふざけて笑いあうごとーたちと美貴の間にあるものとは違った信頼があるみたいってゆーか。
誰かわかって、ごとーの気持ち。
94 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時25分59秒
「意外だって顔だね、ごっちんでもそーなんだから
 亜弥ちゃんとか他の子が誤解しちゃってるのもしかたないかー」 
「しかたないかーって…他の子はいーけどさぁ
 そうならそうとまっつーには言いなよ、かわいそーじゃん」
「えぇーめんどいー」
「ちっ」

忘れてた…ほんの一瞬忘れちまってた、コイツ黒いんだった…。

「あーなんか帰るのもめんどくなってきた。
 ごっちん遊ぼー」
「ごとーと遊ぶぐらいならまっつーに会いに行ってあげなよ」
「…亜弥ちゃんはもう寝てるよ。それに今日はごっちんと遊ぶって決めたもーん」
「んあ、まっつー早いねぇ。きょうび11時に寝る女子高生なんて
 希少価値高いよ」
「アハハ、ホントだね。そんじゃどこいく?久しぶりに思い出の神社でも行って1杯やる?」
「……美貴飲みたいだけじゃん。
 まいーか、ごとーもなんか飲みたくなってきたし、行こ」
「んっふっふぅ〜だからごっちんって好きぃ〜」
「やめて、普通に迷惑」
「ぶぅー」
95 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時26分43秒
んあ、ホント久しぶりだなぁ、あの神社に行くの。
思い出の神社ってゆーだけあって、あそこはごとーとよしこが
美貴に初めて会った場所。学校が同じだから顔はなんとなく知ってたような気もするけど
ちゃんと喋ったとゆーか…あ、喋ってはないか…なんて言ったらいいんだろ?うーん。

「ごっちん、ビール?チューハイ?」
「んあ、明日の為に日本酒」
「アハハ!意味わかんないし!」

途中でコンビニによってお酒を買う。
今夜はなんとなく美貴と、ビールの缶を乾杯ってゆーよりは
2人で一緒にチビチビやりたい気分だったんだ。
浸りたかったのかな……あんま美しい思い出じゃないけど。

「ではではごっちんかんぱぁーい♪」
「んあー」

あの日とは違って、ごとーたち以外の人の気配がひとつもない静かな境内。
灯りだってポツっと小さいのが少し遠くにあるだけで
一般常識で考えたら嫁入り前の乙女は絶対にいちゃいけない場所だ。
しかしながら美貴に一般常識を求めるのは甚だ非常識だし
ごとーもここは気に入ってるから、まぁ、いいでしょ。
96 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時27分25秒
「んあ、おいしー」
「うん、なかなかイケるねぇ。ただ名前が“おケメ”なのがちょっと…。
 やっぱ美貴は北海道の“ろまん・北の錦”とかー
 新潟のもいーよねー、1番感動したのは六日町にスキーに行った時に飲んだ
 高千代酒造のワンカップかな、あれはおいしい!マジでおいしかった!
 美貴思わずケースで買って帰ったもん」
「…んあ」

アンタ年いくつだよ…。
別にいーけどさ、あんま飲みすぎるとあん時みたいに警察に捕まることになるよ。
ごとーはもぉ2度と美貴に巻き込まれてパトカー乗せられたくない。
あの…乗っただけで牢獄に入れられたような気分になるあの乗り物には……。


今思い出しても恐ろしい。
あれは3年とちょっと前、雪の降る元旦のことであった。

ごとーはその日よしこと一緒に初詣に行く約束をしてて
紅白が終わるぐらいに家を出た。
すぐによしこと合流して神社に着くと、“アナタも鳴らそう、除夜の鐘”
ってゆーバカでかい看板がドドン!と立てられていて
特に鳴らしたくもなかったけど、鐘の近くで甘酒が無料でもらえるって書いてあったから
酔っ払いとかで賑わってる人込みの中に入っていったんだ。
97 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時28分30秒
ごとーたちが甘酒をもらおうと流れの悪い人込みを歩いてる間も
鐘がゴォーンと辺りに鳴り響いて、終わりが近いのかギャラリーの声も一層の盛り上がった、その時――――

『ヤだ!!絶対ヤだ!いーじゃん別に1回くらい!
 108より107のがラッキーセブンでいーに決まってるし!!』
『なっ!?何を言い出すんだ君は!百八の煩悩を取り去る為に百八回鳴らすと決まっておるのですよ!』
『フン!アンタ坊主のクセに108もぼんのーあんの?
 美貴そんなないし!あったとしても107しかないもんね!』
『そんなのは君の勝手だろう!わかったから離れなさい!早く!』
『うっさいハゲ!』
『あんだとSガキ!』
『『ギャヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャァー!!』』

ギャーギャー

人波に押されてちょうど騒いでる坊主と真っ赤な顔の女の子の言い争いを
目の前で見てしまったごとーとよしこは、なぜか取り憑かれた様にゲラゲラ笑ってしまった。
その後も30分以上2人の争いは続き、ごとーたちは笑い続けて
とうとう息も絶え絶えになった頃―――
98 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時30分48秒
『『ヒァッ!ヒァッ、苦しっハァィヒャッ!』』
『通報を受けました、○●署の者です!除夜の鐘を107回で止めようとしているふとどき者は
 どいつですか?は!そこの酔っ払い!貴様だな!』
『貴様じゃないよ!たしかに美貴の貴は貴様の貴だけど!
 どっちかってゆーと貴族の貴だし!』
『えぇい黙れふとどき者!!……ん?そこの2人!さっきから何を笑っている!
 さてはお前らこいつの仲間だな!女3人で罪を働くなどキャッツ・アイしかしてはならんのだ!
 3人とも逮捕してやる!!でやぁー!』
『『クッ、ヒャッ、ちっちがっ!いやぁー!!チャーリーズ・エンジェルはどーなるんですかぁー!』』
『ん〜美貴の貴ぃは貴賓の貴ぃ〜♪』
『んあ!鬼畜の鬼!』

ワーワー
99 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時31分43秒
なんで美貴のことをロクに知りもしなかったごとーが
見事鬼畜であることを見抜いたのかは未だに謎が深いけれど…。
そんなこんなでごとーとよしこと美貴の3人は手錠をかけられ、パトカーに乗せられて
○●署に連行された。
でまぁごとーは美貴に文句でもと思ったんだけど
よしこが『カッケー』ってお決まりの台詞で寝こけてる美貴を見つめてて…
なーんかどっかで見たことあるよーな…

結局その日はちゃんとした会話もしなかったのよね。


そんなごとーとよしことしてはかなーり強烈な印象の残る出会いをした美貴との
セカンド・インパクトはその年の3学期が始まってすぐのある日。

寝坊で遅刻してしまったごとーは寝ボケていたのか
自分のクラスのある階を一階間違えるというありえないミスを犯した。
100 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時33分13秒

ガラッ
『んあ、おはようございましゅ』
『藤本ぉ!お前オレの言ったこと聞いてなかったのか!
 オレはコピーを一部とってこいと言ったんだぞ!わかってんのかええ!!』

んあ?どこだここは?知らない先生に…ん?あの子は……

『…わかってるようっさいな…だから一部とってきたじゃん』
『お前がとってきたのはコピー機の一部分だろーが!!
 オレは一部…印刷してこいと言ったんだ!なのに一部分もぎとってくる奴があるかぁ!』
『せんせぇがわかりにくい言い方すっから悪いんじゃん。
 なんなの、さっきから文句ばっか言って…せっかくとってきたのに…』

やっぱり!元旦の時の!

『なぁにがせっかくだ!お前な、これは立派な器物破損だぞ!
 弁償してもらうからな!!』
『はいはい』
101 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時33分56秒
いかにも体育教師といった感じにジャージを着こなした
先生(んあ、後で聞いたら英語教師だったらしいんだけど)に
怒鳴られても反抗的な態度と視線を一向に崩さないその生徒は間違いなく
あの日、神社で会った女の子だった。
キョロリと見回した黒板に、3年2組って書いてあるってことは
どっかで見たような顔だと思ったら先輩かぁ…。
ウチにもこんなクレイジーな人いたんだねぇ…。

む?ってゆーかさっきのって…

『…んあ、わかりにくい指示をしたのは先生なんだから
 弁償は先生がするべきなんじゃないですか?』
『あぁん?っひ!?誰だね君は!』
『ごとーです』
『き、君のクラスはここじゃないだろう!
 今は授業中だぞ!早く教室に戻りなさい!』
『せーんせぇ?美貴が思うに、その子の言うことって一理あるっぽいんですけどー』
『ななななにをバカなことを!ゼ○ックスだぞ!
 ゼ○ックスの業務用をオレに弁償しろってのかゴルァ!!給料少ないんじゃボケ!
 大体お前はこないだの正月も問題を起こして…』
102 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時34分35秒
『んあ、それは問題のすり替えです。先生はどうしても弁償しないとおっしゃるんですね?
 子供の自由な発想を踏み潰すんですか?』
『どこが自由な発想だ!ワザとに決まってる!』
『うわぁー心外ぃー』
『んだとぉ!藤本!あとで職員室に来い!』
『誰が行くか!』
『んあー!』

ギャーワー

この、妙な協力がきっかけでごとーと美貴は一気に仲良くなったんだ。
その日は2人でずぅーっと屋上でくだらない話して笑い転げて…
テンションがどんどんハイになって楽しくなっちゃったごとーたちは
放課後呼ばれた職員室に2人で乗り込み、巧みな話術と泣き真似で周りの先生からの
同情票を集めてあの先生に弁償を押し付けてやった。

それがまぁ、出会いとゆーかきっかけってゆーか。
その後ごとーの紹介でよしこと美貴も仲良くなって、よしこが美貴と同じクラスだった
梨華ちゃんに一目惚れして……で、今に至ると。
103 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時35分31秒

ホント美貴には色んな体験させてもらって…また、色んな価値観を教えてもらった。
んあ、知りたくないよーなのもあったけど。

出会った頃の美貴は反抗期のピーク中のピークで
ギラギラしまくってたよねぇ、それが今じゃこんな丸くなって……、黒いけど。
でもごとーは、前の美貴も今の美貴も、やっぱどっちも好きだなぁ。

「なぁーにごっちんタソガレちゃってんのぉ?」
「んー、美貴に会った時のこと思い出してた」
「ハハッ、恥ずかしー。美貴あんま記憶ないけどさ
 あん時ごっちんとよっすぃーも一緒に連行されたんだよね?」
「うん」
「いやー悪かったねぇ」
「ホントだよ…迎えに来てもらったおかーさんにどんだけ怒られたことか…」
「んでもごっちんたちは何もしてないっておまわりさん言ってくれたんでしょ?」
「そー、それが逆にダメだったみたいでさ
 『どーせならなんかやって捕まんなさいヨ!』ってキレられた」
「おーおー、さっすが」
よしこは号泣するよしこママに抱きしめられてたってのにさ
おかーさん、空気嫁って感じよね。
104 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時36分12秒
「美貴は大丈夫だったの?ごとーたちは無実だったけど美貴は有罪じゃん?」
「んーなんか説教されたけどあの日は酔ってたし時間も遅かったから
 別の日に呼ばれて再説教された」
「うわ、最悪じゃん。家でも怒られたんじゃないの?」
「あー、あん時も親家にいなかったからさー
 ぶっちゃけ警察に迎えにきてくれたのも亜弥ちゃんとパパさんだったんだよねー。
 だから家では一切お咎めナシ」
「…ふぅん」


正月にもいないなんて…とか、無実なごとーは家でお咎めありまくりだったのに…とか。
そんな時にまでまっつーに迷惑かけたんかい…とか、まっつー泣いてただろーなー…とか、とか、とか。
だんだんとお酒がまわってグルグル頭をまわしながら
夜通し美貴とくだらない話をし続けた。


時々脳に映る光景に、安倍とかゆー先生の顔が何度もちらついて
そーいえば記憶をなくしたなぁって思ったけど
やっぱどーでもいいやって思えるぐらい、この夜のお酒はおいしかった。
105 名前:記憶と思い出。 投稿日:2003年06月16日(月)02時37分34秒
  
106 名前:のえる 投稿日:2003年06月16日(月)02時40分27秒
レスどうもありがとうございます。

>82名無しさん
( ´ Д`)<バカ…?
(;●´ー`)<い、いい意味でだべ!微笑んでくれてるべさ!
(*´ Д `)<あは、どうもありがとう♪
今回なぜかある意味ごまみきに…じ、次回は両方出ます、きっと。

>83名無し読者様
安倍さん…その気っぽいですね、勢いに飲まれやすいみたいです(w
ごとーさんこんなんになりました。ヘイ。
なっちソロほんと嬉しーですねぇ、R&Bらしいですが個人的にはロックを歌ってほしかったっす。

>84 66様
わざわざ探していただいて、どうもありがとうございます。
邪魔にならないように落としといたんで見つけにくかったですよね?
読んでいただけてすっごい嬉しいです。

先日、分類板のやぐちゅースレにおいらの駄文がのっていたのを見て
椅子から転げ落ちました。やぐちゅーはほとんど一緒のシーンがな(ryおまけに痛(ryにもかかわらず
紹介してくださった方、どうもありがとうございました。
107 名前:7子 投稿日:2003年06月16日(月)11時50分56秒
更新乙です。
ごめん空気嫁で爆笑しちゃったよ。
それにしても黒美貴いいな〜
108 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月18日(水)23時59分57秒

「サザエさーん、サザエさーん♪
 特技はぁゴリラの真似ぇ〜、マスオさんからもらぁった〜、ハンドバッグ宝物ぉ〜♪」
「……なにその歌?」
「んーよく知んないけどー、亜弥ちゃんの病院の看護婦さんに教えてもらったー」

時刻はただ今午前6時。
徹夜で飲み明かしたごとーと美貴は、学校行く前にシャワーくらい浴びようと
空きビン片手に美貴の家へ向かってる。

「何年経っても年とらない、みんな異様に頭がデカイ〜♪
 セーターどうして着るのかな?ヘアースタイルテクノカット♪
 磯野家ぇと福田家のぉ二世帯同居住宅ぅだ♪
 なのに表札磯野だけ、福田家宛ての手紙はどぉーする〜♪」
「…んあ」
「「どうしてぇ女房の実家に同居〜?まるで養子のマスオさん〜♪」」

「ミ、ミキたん…と、ごっちん先輩?」
「あー亜弥ちゃぁん」
「んあー」
ごとーの身に一体なにが起こったのか、知らないハズの歌を
一緒になって口ずさみつつ家に辿り着いた時、隣の家からパジャマ姿のまっつーが出てきた。
朝一番で美貴に会えたからなのか、テテテと駆け寄ってくる顔は
心底嬉しそうな笑顔。
109 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時00分53秒
「お酒飲んでたのぉ?…っひゃぁ!」
「うん!おいしかったよぉー」
匂いで分かったんだろう、ごとーたちの1歩手前で立ち止まったまっつーに
美貴がガバッと抱きついて答える。
おーおー、そーゆーこともできるんじゃん。黒美貴。

「んあ、言っとくけど飲んだだけだから。
 美貴となんてマジ勘弁だし」
「うぇーん亜弥ちゃぁん、ごっちんがイジメるー」
「えへへっ、ミキたんかわいいなぁ」

信じられ……どうしてまっつーはかわいいなんて言えるのさ?
まぁー普段美貴がまっつーに甘えるなんてほとんどないから
錯覚でかわいく見えてんだろうと思うけど…。

「鍵かすからシャワー先に浴びちゃって、美貴後でいーから」
すっかり甘えモードオンになった美貴はまっつーとのイチャつきタイムを優先したいらしく
ごとーに鍵を投げてきた。

んあ!美貴がちょっと白く見えるよ!ライトの加減でたまたま白く写った写真の梨華ちゃん並に!
そうか…甘えるのは白美貴の時なんだ……なるほど。
110 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時01分34秒
「ミキたん…」

滅多にお目にかかれないであろう白美貴の降臨に、より一層幸せ顔のまっつー。
あぁわかったよ、喜んで2人きりにさせたげるよ。
ただここ家の前ってゆーか道路ってゆーか、ご近所のみなさんに丸見えだから
せめて玄関にでも入ったら?クイクイ。
あ、いーのいーの目は閉じたままで。ごとーがちゃんと誘導したげるからさ。
まっつーもいいよそのままで…ってキスに夢中か。
はいはい、ここ段差だから気をつけてね、ガチャギィパタン、よしオッケー。
そんじゃお2人ごゆっくり。シャワーお先に失礼しまぁーす。


-------20分後。

「ふぅ」
んあ、サッパリした。
にしても相変らず美貴ん家のお風呂は広いねぇ、ごとーの家も
こんぐらいあればいーのに。

「美貴ぃー?あがったよー」
脱衣所を出て、まだ玄関ってことはないだろーとリビングを覗いたんだけど
大層でかいソファに2人の姿はない。
「んあ…まさか…」
白美貴に限ってそんなこと……あるの?
111 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時02分14秒
「…美貴?(小声)」
おそるおそる、ごとーは玄関につづくドアをうっすら開けて声をかける。
あ、今美貴の家の間取りはどーなってんだと思ったそこのアナタ
細かいことは気にしない気にしない。

「…ふぁ!…ハァっ、っく…んんっ…」

ゲッ。

ちょっとちょっと、ごとーがいるの忘れてんの?
なんだいなんだい黒美貴も白美貴もヤることは一緒かい。
朝っぱらから玄関でヤっちまうのかい、お2人さん。

うっすら開けたドアの向こうから聞えてくるのは明らかにまっつーの淫らな声で、
見えてしまったのはまっつーの胸に顔を埋める白美貴様の後ろ姿。

おーいぉーぃ立ったままじゃまっつーツライんじゃない?
それにパジャマで家から出てきたとこだったんだからさぁ
普通に考えて朝刊取りにきたっぽいじゃん。朝刊持ってないけど。
それに前『松浦はぁ、テレビ欄ぐらいしか読みません』って言ってたから
家でパパとママが朝刊待ってるでしょ?ねぇ。
娘が朝刊取りに行ったまま帰ってこなかったら絶対心配してると思うんだけど…
そこんとこどーなの?ねぇってば。
112 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時03分04秒
「亜弥ちゃん…」
「ぁあ…あ、あん…ミ、キた…」

あーそうですか続行ですか、ごとー鞄取りに帰らなきゃだし、そこどいてくんない?
ねぇ下脱がす前にさぁ、ヤるならごとーを帰らせて。

終わるまでソファで待つという案もあるにはあったけど
1度覗いてしまったものから目を離すというのも至難な技で
ブツブツ文句を言いながら観察していると、まっつーの口からありがたいような残念なような言葉が出た。

「ね…んっ、ミキたん」
「んー?」
「も…ぉ…立ってらんないよぉ…」
「あ、そっか。ベッド行く?」
「……うん」
「ん、よいしょっと」

んあ、よかったベッドで。
ソファ行く?ってなったらどーしようかと思った。
ベッドイコール美貴の部屋は2階で、階段は玄関入ってスグだから
リビングに2人が来る心配はない。
ありがとう、やっぱり今日のアンタは白いよ、白美貴最高!

ごとーはまっつーを抱き上げる美貴の背中に、ガッツポーズをむけた。
113 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時03分52秒
「じゃあちょっとだけガマンしてね」
「……ばかぁ」

トントントントン…

んあ、これでもー大丈夫。
白美貴が先に始めたんだから、ごとーも勝手に帰っていいだろう。
そーと決まれば善は急げ。
ごとーはサササと足音を消して玄関にむかい、ドアを開けた。
ついでにひっくり返ったまっつーのサンダルをキレイに並べておく。


さらばホワイトミキティ、略してホワイティ!また会おう!


◇◇◇


「んあ、行ってきまぁーす」
「「プリティー小町によろしくぅー」」
「だから誰よそれ?」
114 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時04分23秒
無事、家に戻ったごとー。
って言ってもごはん食べてすぐ学校だから全然ゆっくりしてないのよね、んあ眠い。
なんてったって一睡もしてないしさー。んあ、倒れてた時は寝てたけど。
それにしたって眠いもんは眠いワケで、食事中もウトウトしてたごとーは
なぜかニヤニヤ顔のおかーさんとおねーちゃんの視線を終始感じっぱなしで…。

なんなのよあの2人!突然「このこのぉ」とか言いながらヒジでつついてくるし
「力つけなさい!」とか言ってスッポンの血を飲ませようとしてくるし…。
しかも生きたスッポンの首目の前で切り落としやがったんだよ?!朝からグロすぎだってば!!

大体誰よ!プリティー小町なんてダサイネーミング名乗ってんのは!!
誰のこと?って聞いても「もぉ照れ屋さん♪」なんつって教えてくんないしさ。
心なしかおにーさんやユウキまでニヤついてたし…
さらに言うならちっこい甥にまでニヤつかれてた気がする……
さらにさらに言うならおとーさんの遺影にまで………

「んあ!疑心暗鬼ぃー!!」
「っキャァー!」

んあ?
115 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時04分57秒
「…梨華ちゃん?」
「もぉ!いきなり叫ばないでよぉ」

甲高い悲鳴に驚いて振り返ると
ひっくり返って大公開中のピンクのパンツ……を履いた梨華ちゃんが恨めしそうな目でごとーを見ていた。

「んあ、なにしてんの?」
「なにって…大学に行くんだけど」
「いやそーじゃなくてよしこは?朝練?」
「うん。私も行こうかと思ったんだけど昨日遅かったから起きれなくて…」
「あはっ、よしこは元気だねぇ…」
「ふぇ?も、もぉやだ!ごっちんったらぁ!!」
 
あーもーごとーの周りってこんなんばっかり?…はぁ。

ビュン

「んあ?びゅん?」

ひっくり返った梨華ちゃんを助け起こしていると
突然矢を射るみたいな音がした。

「あれ?柴ちゃんかなぁ?」
「んあ、ホントだ」
116 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時05分31秒
そして立ち上がった梨華ちゃんが目を細めて指差す方向を見ると
鬼のような形相で何かを鋭く投げながら全力疾走してる柴田さんがいる…。

「マサオ!待てぇー!」
「誤解だってば!マジで!」
「5階も6階もあるかバカぁー!!」
「ぎゃあああああー!!!」

そしてその前を脱兎の如く逃げ惑う大谷さん。

「柴ちゃん!朝からなにしてるのぉ?」

非常に切迫した空気の中、甲高く問いかける梨華ちゃん。

なにって…ナニって…白美貴と同じことしてる可能性は100%ないよね。
ってかまず何投げてんのか聞いてくんない?
ごとー今それが1番知りたいの。
だってね、だってね、大谷さんの背中ね、白いTシャツがなぜか赤いんだもん。
117 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時06分05秒
「む!お前もマサオかぁー!!」

ビュンビュンビュンビュン

んあ!?柴田さんはキレて我を失っているのか矛先をごとーたちに向けてきた。
なにこの飛んできたの…?んあ!!ダーツじゃんこれ!

「ほぇ?…っキャア!私梨華だよ、柴ちゃん!」
「黙れマサオー!!」
「梨華ちゃん!!あれ刺さったら死ぬって!早く逃げよ!」
「逃げるなぁ!必殺千手観音投げぇ!!!」

ビュンビュンビュンビュンビュンビュン

「「ぎゃああああああああー!!」」

怖いよぉー!ごとーと梨華ちゃんってどー見ても大谷さんじゃないのにぃぃー!!

「ごめん、2人とも」

大谷ぃ!てめぇ後で覚えてやがれぇー!!んあー!!!

118 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時06分51秒

------30分後。


「ハアッ…ハアッ、ハァッ…ゴホッゴホッ、おは…よ、ござ…」
「どぉーしたのごっちん?朝のショート終わっちゃったよー」
「ちょ…柴…たぁ…」

んあぁ…やっぱ遅刻かぁ…一体何キロ走らされたんだろ…ごとーたち。

「うぉ!?ごっちん!背中になんか刺さってるよ!」
「んあ…マジで…」
「おーす、ごっちんおはー」
「美貴ちゃん!ごっちんの背中にダーツが!」
「へ?ホントだぁー血も出てるじゃん!早く保健室行かないとぉー」
「んあ、ホワイティ?美貴まだホワイティなの?」
ちゃんと学校に間に合うようにヤるなんて…。
「ハ?なに言って…」
「あーもぉ!話は後!ごっちん運ぶよ!」
「んあ…よしこ、梨華ちゃんはごとーが守ったから…ね……ガクッ」
「え?ごっちん!?ごっちんしっかりしろぉー!!」
119 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時07分24秒
◇ ◇ 

「ごっちん!保健室着いたよ!」
「せんせぇー!急患ですー!」
「…合言葉ハ?」
「あ…よっすぃー、今月ってなんだったっけ?」
「えーとたしか…ゆきドン♪ゆきドン♪ゆきドンドーン♪」
「セイカイ、ロックヲカイジョシマス」

ピー、ガチャ

「吉澤さんに…藤本さん?どうしたべか?」
「なっちせんせぇ、ゆきどんいます?」
「ゆきどん今日出張でいないっしょ、誰か怪我したのかい?」
「ごっちんの背中にダーツが刺さってて…倒れちゃったんです」
「そーいやごっちん昨夜も道で倒れてたんだよねー。
 具合悪いのかなぁ、結局徹夜させちゃったし」
「徹夜…?倒れてた?ごっちんがかい?」
「はい、きのー美貴が歩いてたらごっちんが寝ててー
 起こしたら元気だったんで一緒に朝まで遊んでたんですよー。
 明け方別れましたけど」
120 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時08分05秒
「あの、2人とも話は後にして早くごっちんの手当てを…」
「ハッ!そーだべ!怪我してるのは背中だけかい?
 ならベッドにうつ伏せに寝かすっしょ!そっと、優しくだべ!
 じゃあまず上着を脱が……ってなっちがだべか?むむむ無理っしょそんなの!
 嫁入り前だべ?!婚約中だべ!
 そんな破廉恥なことできるワケないっしょ!!トンだ乱痴気騒ぎだべさぁー!!」
「あ、美貴乱痴気騒ぎ大好きぃー」
「ちょっと先生!落ち着いて!血ぃ出てるんですから
 早くしないと…」

「カオリにはわかる。それはただのカスリ傷だってこと」

「「「っうわぁ!?」」」
「カ、カオリ、いつの間に現れたべか?」
「なっち消毒液持ってきて、カオがやるから」
「りょっ了解っしょ!」
「ダーリンは教室に戻って1限目の先生にこのこと伝えてくれる?
 悪いけど美貴は脱がすの手伝ってね」
「え?美貴サボっていーんですかぁ?ラッキー♪」
「だって美貴3年生2回目だし、1,2学期はそこそこ出てたんだから
 ちょっとくらいサボっても授業ついていけるでしょ」
「あ、ナルホド。じゃあウチ行きますね」
「よろしくぅー」

パタン
121 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時09分22秒
「さてと…あぁ、やっぱりカスリ傷だね。跡も残らないよ」
「ホ、ホントだべか?心臓に達したりしてないべか?
 命に別状はないんだべかぁ?!」
「いやいや、それはありえないし…」
「刃渡り1センチ弱のダーツだしね、心配ないよ。
 出血がどうこうっていうより、ただの寝不足で寝てるだけ」
「ホッ…そうだべか…よかったっしょ…」
「あー美貴も眠くなってきたやぁー。1限終わるまで寝ていい?」
「うん、いいっしょ。あんま無理しちゃダメだべ」
「ふぁーい……zzzz」

「・・・んあ?」
「あ、後藤起きたね。じゃあカオは職員室戻るから、なっち鍵よろしく」
「け、怪我人が来たらどーするんだい?」
「保険医不在時は職員室で看ることになってるから大丈夫、じゃあね」

パタン

「ふぅ、よかったべ、ごっちん」
「んあ…ここは…?」
122 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時09分57秒
「大丈夫かい?」
「んあ?………」

目覚めたごとーの目に映ったのは…とびっきりかわいい極上のおイモ…
この顔、この声、この訛り、この匂いは………

「んあ!なっちー!!」
「っひゃ!もぉーごっちん、ここ学校っしょー!」
「あはっ、嬉しいクセにぃー」

あれぇーなんでなっちがいるのぉー?
たしかさっき別れたばっかなのにぃー、ってゆーか外も明るくなくなくなぁーい?
夜だったよねぇ、たしか。なのに朝だし学校だし…なっち何したのぉー?白魔法ぉー?

「まいっか細かいことは、それよりなっちー」
「んー、もぉごっちんは甘えたさんだなぁ。
 でもね、昨日あれからなっち考えたんだけど…」
「え?なになに?」

なんか一瞬にして顔色曇ったんだけど!
ごとーなんか悪いことした?
123 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時10分29秒
「あのね、なっちとごっちんは先生と生徒っしょ?
 だからこーゆーのはよくないってゆーか…ごっちんも3年生だし
 卒業するまで待って、それでもお互いまだ好きだったら…」
「ヤだ!ヤだよ!いつ何が起こるかわかんない世の中だってのに!
 卒業前にごとーが死んだらどーすんのさ!」
「…ひっく、そんなこと言っちゃ…イヤっしょぉ…」
「んあ!なっちが言わせたんだよ!この学校で自由に恋愛しないヤツなんかいないよ?
 美貴だって黒いし、なっちがそんなこと言うんなら…
 ごとーだって黒くなっちゃうんだから!」
「でも…なっちは先生になったばっかで…」

もぉ!なっちったら意外に頑固一徹なんだからぁ!
ちゃぶ台ひっくり返しちゃうぞぉ!
そんな口答えばっかする口はこうだ!塞いでやるぅ!

「授業だってま……んんぅ!…んん!…ごっ…」
「ん…」

んあ。初めてのチューがこのような形になってしまったこと
慎んでお詫びなんか……してやんないかんね!!!
124 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時11分37秒
「おーおー、ごっちんもヤるねぇー」

んあ?なんか美貴の声がした気がするけど…んなワキャないか。
あはっ。ごめんねなっち、ごとーったら
なっちとキスしてる時に他の子のこと考えるなんて
とんだ浮気者だね、プチ黒真希だよ。
クロマキーだよクロマキー、ん?クロマティーって誰だったっけ…?
125 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時12分34秒
『おそらく元読売巨人軍のウォーレンクロマティーのことだと思われます。
 80年代の選手なので私もよくは知りませんが
 派手さこそなかったけれど、極端な前傾姿勢からの勝負強いそのバッティングは
 主砲の原よりも大いに期待が持てましたし、また陽気な性格と上手な日本語で人気を集め、
 ホームランを打った次の回の守備に付く時スタンドに向かって万歳三唱をするなど
 プレー以外でもファンを魅了する選手でした。
 彼の型にはまることのないプレーは時に常識を覆し
 敬遠のボールを打ちに行ったサヨナラヒットなど当時としては考えられないプレーもまた魅力がありました。
 しかし相手選手を侮辱するようなしぐさや、乱闘などの悪態もついたりもして
 それが災いしてか、頭に死球を受けて病院に運ばれた事があったんですよ。
 それでも次の日に代打で出てきてホームランをかっ飛ばして感動を呼んだんです。完璧です』

んあぁ?!いきなりなによぉ?

『ハッ!私としたことがトンだお邪魔を…。
 すみません、どうぞお続けください。』

いやーすっごい続けにくぅー。
126 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時13分12秒
「ん…ごっちん…」
「んぁ…」

あんらぁーなっちったらいつの間にかノリノリじゃーん。
首に腕巻きつけて指でごとーの髪いじってるしぃ〜。
表情も色っぽいし、こりゃオッケーってことよね。
こんな顔されて途中退場なんてできません。

ごとーはなっちの髪を撫でながら体を倒し、鎖骨にキスしてシャツのボタンを外した。
はだけたシャツから見えるなっちの白い白い肌と
甘い香りに誘われて、そっとブラを押し上げる。
するとやっぱり胸も真っ赤な顔とは正反対に真っ白で、てっぺんはかわいいピンク。
127 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時13分42秒
かわいい!たまらん!ワンダホー!んあー!!
だってキスだけで感じたのかピンクがスタンダップなのよぉー!
もぉガマンできなぁーい!!


天国のおとー様、まだまだ元気なおかー様。

先立つモノを、くわえるごとーをお許しください。



「ぁーん…」


キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン♪


「スススストォップ!今日はここまで!おあずけだべ!」
「んぇ!?ちょっと待ってよ、ごとーまだくわえてな…」
「そ、そーゆーこと言わないで!恥ずかしいっしょ!」
「だってあと1センチもなかったんだよぉ?
 ミリ単位だったのにぃー!!」
「とにかくダメ!次の時間なっちごっちんたちのクラスで
 授業っしょ、だから行かないと…後でね」
「んあ!待ってってば!なっちぃー!!」
128 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時14分15秒
パタン

んあぁー!チャイムのバカぁー!!


「ごっちん、ご愁傷様」
「んあ…ってなっ!?なんで美貴がここに?」
取り残されて凹みまくったごとーの前に、ニンマリ笑顔の美貴が立っている。

「あれ?知っててヤってたんじゃないの?美貴が横で寝てんのに
 始めるからさー、見せてんのかと思ったよー」
「み、見たの?!なっちの柔肌見たの?!」
聞き捨てならぬぞクロミキー!

「さぁーねー♪」
「んあ!目ん玉ごとーに献上しやがれこの覗き魔がぁ!!
「覗き魔って美貴は別にぃー……ひっ!
 待ってごっちん!落ち着いて!嘘だから!マジ見てないからぁ!」
「問答無用ぉー!!」
「いぃやぁぁああー!!怖いー!ジェイソン並に怖いぃー!!」
「んあー!!!」

129 名前:ホワイティ&クロマキー。 投稿日:2003年06月19日(木)00時14分45秒
   
130 名前:のえる 投稿日:2003年06月19日(木)00時15分19秒
>107 7子様
レスありがとうございます。
空気嫁、変換したら出てきたんでそのままにしときました(w
黒美貴私も好きなんでww
でも今回はお休みです。
131 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月19日(木)01時49分47秒
黒美貴に白いときがあるなんて(w
どこを読んでも笑ってしまうんですが、天国のおとー様のくだりは
吹き出してしまいました。
更新楽しみにしてます。
132 名前:名無し読者@読み専 投稿日:2003年06月19日(木)22時47分47秒
同じく天国のおとー様のくだりで爆笑してしまいました。
のえるさん、すげーっす!
ありえないぐらいの勢いとか、バカさ加減が最高です!(褒め言葉)
133 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月20日(金)16時39分42秒
凄いおもしろいッス!!
しかも好きなCPばっかりで…
毎回更新楽しみしてます。
134 名前:7子 投稿日:2003年06月21日(土)14時35分57秒
更新乙です。
クロマティて久しぶりに聞いたよ。
しかも紺野の解説がやけに詳しいのに笑ったよ。
135 名前:uZak 投稿日:2003年06月23日(月)03時47分44秒

2限目、世界史特講の授業が行われている3年1組。

「そっ、それでは授業を始めるっしょ。ままままずはプリンを配るべ」

クスクスクスクス…

「べさ?なっちなんか面白いことでも言ったべか?」
「んあ!なっちおしい!!いやむしろオイシイ!かわいい!好き!!」
「シィー!!授業中にそんなこと言っちゃダメっしょ!」

「なっちせんせぇー、早くプリン配ってくださいよぉー」
「む!黙れ黒美貴がぁ!!」
「ぐふぅ!…ナイ…ス…パン、チ…」
「ごっちん!人を殴るなんて最も低いべ!見損なったべさ!」
「んあ…ちが…これは……」
「先生!ごっちんはただ美貴ちゃんのお腹にとまった
 悪質な蚊を退治しただけですよ!ね、ごっちん」
「そ、そーだよ、美貴が刺されちゃいけないと思って」
「別に蚊なんていな…げふぅ!」
「んあー!もう一匹いたー!」
「この野郎美貴ちゃんの血をなんだと思ってやがるんだ!」
「……そうだったべか、ごっちんも吉澤さんも友達思いの優しい子っしょ。」
「ち、ちが……ガクッ」
136 名前:なっちの初授業。 投稿日:2003年06月23日(月)03時49分20秒
「えーとこの世界史特講では、必修の世界史とは別に
 私立の過去問とか…応用問題をやるっしょ。
 今日は最初の授業だから、軽く質問とかに答えていこうと思うべ」

んふふっ♪なっちかわいいなぁ…授業中にあんなかわいい先生がいるなんて
前代未聞よ、みのもんたよ、みのりかわのりおよぉ!
そんななっちのプリティー初授業を黒いヤジでブッ壊そうとするなんて
許し難き愚行よね、美貴のヤツ。泡ふいて机に突っ伏しちゃってイイ気味ですぞ!

「先生は、後藤さんとどーゆー関係なんですかぁ?」
んあ、噂好きのクラスメート、井戸端子(いど ばたこ)が手をあげて叫ぶ。

「ふぁい?…ご、後藤さんとの関係ですか……。
 え、えーと…その、生徒と教師であり…かつ適切な…和解によって…」
「んあ、なっちー愛してるー」
「ひゃい!?ご、ごっちぃん!だから今は授業中でっ…!」
「井戸さん!つまりなっちとごとーは病んでも健んでも一緒にいて
 喜びを分かち合う仲だから!そこんとこ、夜・露・死・苦!!」

そんな真っ赤な顔でまどろっこしい言い方なんかすることない!
愛してるんだから!たとえ空に太陽がなくなろうとも!!
137 名前:なっちの初授業。 投稿日:2003年06月23日(月)03時50分09秒
「先生、後藤さんはあのように言ってますが、先生のお気持ちは?」
「ゃー…あの、なっち…はぁ、いやなっちもぉ、ごっちんと
 同じ…でぇヤれる時もスコぶる時も…一緒にほころびをワカチャっチャウんだべさ」
「は?」
「んあ…」
なっち言えてないし…ほころびをワカチャっチャウてなにさ?

「あーもぉ!なっちのプライベートに対する質問はここまでっしょ!
 世界史について聞きたいことはないのかい?!」
「えぇー、もー終わりですかぁー」
「んあ井戸!なっちを困らせないでよ!バタコのクセに!」
「なっ!?なによ!バタコのなにがイケナイってゆーのよんあんあ星人!」
「なにぃ!!」
誰がんあんあ星人だんあー!!
表出ろやバタコぉ!青い春に真っ赤な1ページ飾ってやるぞんあぁ!!

「あーはいはい先生、先生はどうして世界史の教師になろうと思ったんですか?
 …ってこれもプライベートですね、じゃあえーと……」
キレキレのごとーと井戸の言い合いに教室が険悪な空気に包まれた時
我が親友よしこのキラーパスが飛んだ。
 
「あ!いいっしょ!その質問受け付けるべ」
さすがよしこ、ナイスな気転で教室の空気が一気に和む。
138 名前:なっちの初授業。 投稿日:2003年06月23日(月)03時51分42秒
「えぇっとね、なっちは小学生の時から学校の先生になりたくてね。
 最初は国語の先生になろうと思ってたんだべ。
 漢字も得意だったし成績も1番よかったから。
 それに比べて社会はすんごい苦手で…苦手すぎていつもテンパって
 ありえない解答したりして…テストもひどいもんだったっしょ…。
 でね、ある日『日本で1番高い山は?』ってゆー問題に『ヒラヤマ山脈』って書いちゃったんだ…。
 その答案用紙を返してもらった時の…先生の顔ったらなかったべさ…。
 『ブルータス、お前もか』って言ったカエサルみたいだったっしょ」
そこまで言って、なっちはふぅと一つ溜息をついた。

「その日の放課後、なっちは相談室2に呼び出されて…しょ、職員室や相談室1ならまだしも
 相談室2だべ!?悪質なイタズラした子の説教とか、学校に来ても
 教室に入れなくて悩んでる子とかが入る部屋だべさ!!
 なっちは一生入ることないだろうなって思ってたのにっ…!」
悔しそうに下唇を噛んで、握りこぶしを震わせる。
139 名前:なっちの初授業。 投稿日:2003年06月23日(月)03時52分43秒
「あのー、相談室1は何するとこなんですか?」
「進路相談に使ってたっしょ、だから3年生になるとみんな入るんだべ。
 だけど2は!微妙に広くてミレーかなんかの絵が飾ってある2は!」

「なっち…」
見ていられなくなって、ごとーは席を立つとつらそうに俯くなっちの背中を抱きしめた。

「なっち、無理しなくていいよ。もう…わかったから」
「ううん。話さなきゃダメなんだべ。
 ここで話さなきゃ、なっちは一生この過去に囚われたまま…
 そんな体じゃ…ごっちんのお嫁さんになれないっしょ」
「……なっち!」

ハァーン!

押し倒したい!今すぐ押し倒したいぃー!……けど我慢して
ごとーはなっちにまわした腕にギュッと力をこめた。
140 名前:なっちの初授業。 投稿日:2003年06月23日(月)03時53分49秒

「…怯えながらも、相談室2に向かったなっちの肩を
 先生はこれでもかってゆーぐらい強く掴んで揺らしたべ。
 その間うわ言みたいに『ヒラヤマって誰?ヒラヤマって誰なの?』
 『なんで山脈書いちゃったの?私の教え方がいけなかった?
  でもそれならヒマラヤよね、ヒラヤマじゃないわよね?ヒマヤラでもラヤヒマでもないわよね?
  安倍さん?ねぇ安倍さん聞いてる?』って呟きながら…」
「そ、そんな…」

あまりに衝撃的ななっちの過去に、教室中がシーンとなる。
さっきあんなに騒いだ井戸も、メモ帳片手に涙ぐんでなっちの話を聞いていた。 
141 名前:なっちの初授業。 投稿日:2003年06月23日(月)03時54分23秒
「なっち…つらかったね、でももう大丈夫だよ。
 ごとーがいるから。これからは何があっても、ごとーがいるから大丈夫」
「ごっちん…ありがとう…なっち嬉しいっしょ」
なっちの顎に手をかけて、見つめながら言う。
頬につたうなっちの涙をキスで拭って、小さな体を抱きしめた。

パチパチパチパチ…
そんなごとーとなっちに注がれる、クラスメートからの暖かな拍手。

んあ、みんなありがとう!
ごとーは絶対なっちを幸せにするよ!
コンコンおイモ商会被験者1号の名にかけて!!・・・んあ?

「ごっちーん、ラブラブなとこ悪いんだけどさ
 その呼び出しからどーして教師になったのかよくわかんないんだけど…」
「んあ?悪いんならまた今度にしてよ」
愛を育んでんだから、よしこのバカ。
142 名前:なっちの初授業。 投稿日:2003年06月23日(月)03時55分09秒
「ごっちん、そんなこと言っちゃダメっしょ。
 こっから先は特につらい話でもないし、途中で止めちゃ気持ち悪いべ」
「でも…」
「大丈夫。ごっちんが傍にいてくれるんでしょ?」
「うん!」
んあ…上目遣いなっち最高ぉ…。
「あー暑い暑い、まだ春なのにここは常夏だよー」
うっさい井戸。

「あの日…小1時間以上先生に問い詰められ続けて、
 なっちは泣きながら家に帰ったべさ。したっけおかーさんとかに
 心配かけたくなくて、部屋にこもって1人でずぅっと泣いてた…。
 でもおかーさんにはバレちゃってね、答案用紙も見られちゃったんだ。
 なっち怒られると思って慌てて押入れの中に隠れたっしょ…
 でもおかーさんは笑って言ってくれたんだ、次頑張ればいいって。
 人は間違いを繰り返して大きくなるんだって…そう言ってくれたんだべさ」
「…素敵なおかーさんだね」

ごとーのおかーさんとは大違いだよ。
143 名前:なっちの初授業。 投稿日:2003年06月23日(月)03時55分51秒
「発狂させちゃった先生の為にも、励ましてくれたおかーさんの為にも
 なっちはそれから社会の猛勉強を始めたんだ。
 家庭教師の先生もつけてもらって、色々裏技とか教えてもらってね、
 どんどん社会が面白くなって、気づいたら社会が1番の得意科目になってた。
 それでね、なっちみたいに社会が苦手で困ってる子たちに
 少しでも社会を好きになってもらえたら、教えることによって
 なっちももっと社会が好きになれたらって、そう思って社会科の教師になったんだ」

最後まで話せた達成感からか、ごとーの腕の中のなっちは1度頭を振って
ニッコリと微笑んだ。

「んあ…かわいい!なっち好きぃー!!」
「っきゃん!もうごっちんったらぁー」
「先生カッケー!」
「メモメモ…フフフ、今月のトップ記事はこれで決まりね、写メール写メール♪」
「………ん?あれ?…痛っ!ぅーお腹痛ぁー…」


こうして、愛と感動に包まれたなっちの初授業は無事に幕を閉じた。

あとこれは余談だけど、
美貴のアバラにはヒビが入っていたらしい…。

んあ、ごめんなさい。
144 名前:なっちの初授業。 投稿日:2003年06月23日(月)03時56分30秒
   
145 名前:のえる 投稿日:2003年06月23日(月)03時57分53秒
>131 名無し読者様
実際あんま白くなかったんですけどね…白美貴(w
吹きだしていただけて嬉しいっす。ありがとうございます。
あのくだりは前作の時から使おう使おうと思って使えなかったヤツだったんで。
いや使い忘れただけなんですけど(爆

>132 名無し読者@読み専
あのくだり…もしもの時の思い出し笑いにお気を付けください(ニヤニヤ
( ´ Д `)<…バカ?
(;●´ー`)<ほ、褒め言葉っしょ!
ありがとうございます、作者がありえない勢いでバカなんです(ww

>133 名無しさん
ありがとうございます、好きなCPばかりですか
おいらも好きなんですが、微笑ましいシーンが少なくてすいません。

>134 7子
ありがとうございます。
クロマティは私が生まれた頃とかに活躍してた人らしいので
ぶっちゃけ顔も知らないんですけど……コンコンは物知りなんで(w

井戸さんの顔は読者様のご想像にお任せします。
146 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月24日(火)00時07分02秒
井戸端子って..。
ナニゲにヨシザワさんもいい味出してますよねー。
あいかわらずなっちはカワイイし。

のえるさん、ホントにサイコーです。




147 名前:66 投稿日:2003年06月24日(火)00時33分53秒
んぁ!久々に来たら大量に更新してあって嬉しいです(w
いやーホワイティ(・∀・)イイ!!(笑)
探しましたけどすぐ見つかりましたので全然苦労はしませんでした(w
今回もうける…アバラ大丈夫か!?

…腹が笑いすぎてお腹痛いです
148 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月24日(火)15時25分37秒
ひ、ヒラヤマ・・・なっち・・・。
感動的な初授業に、涙で前が見えません。
腹筋が痛い(w
149 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月24日(火)23時56分31秒

安倍の初授業から、1ヵ月あまりが過ぎたある日の放課後
娘。大学付属高校の生徒立ち入り禁止の屋上に、怪しげな会話をする2つの影があった。

「…ですからあれは失敗などではなく、後藤さんの体内に潜む
 物体Xが、突然侵入してきたおイモパワーに敏感に反応しすぎた為に起きた
 一種の事故です。完璧です」
「でもね紺野、その事故を起こさせたのは紺野のイモなんだし。
 別にカオは怒ってるんじゃないよ、むしろ褒めてるんだ。
 紺野はとっても素敵なことをした。『そのステッキ素敵♪』ってぐらい」
「……微妙です」

細い声を出して顔を俯かせた黒髪の小さな影―――紺野あさ美を
同じく黒髪のこちらは大きな影―――飯田圭織が心外だという顔で見下ろしている。

「なんで!?どーしてそんなこと言うの!?
 久々の自身作だったのに!じゃあこれは?ドアにぶつかったって?そー…」
「そーどぁーよ」
「…っ!こっ紺野!ひどいよ紺野ぉ!!」
「フン。柴田さんのをパクろうとするからですよ、成敗です」
「ぐすっ」
150 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月24日(火)23時57分52秒
「飯田先生、そんなことより今は後藤さんのお話をしてるんじゃなかったんですか?」
「え?あ、そうそう。それだよ紺野、よく気付いたね」
「はい、完璧ですから」
「…その完璧が厄介なミスを犯してくれちゃったんだけど…ってキャ!
 ななな何だよ紺野!その百均で売ってる水鉄砲みたいなのは?!
 ちょっやめて!っヒャァ!!撃たないでよ!…ひっ!
 コ、コンクリート溶けてるよ紺野!!何が入ってんのさその銃!!
 ヤダ!やめてってば!無言で変な液体撃たないでってばぁ!」
「………」
「いやぁ!…ちくしょー紺野の奴!かくなる上は!カオリフィーっルド!」
「フン、小癪な真似を。 
 必殺ディープエクスプロージョン完璧ショットぉ!!」
「ディア!…まさかこの技は!昔カオが教えた暖流日本海溝黒潮撃!!
 ひどいよ!そんなカタカナのネーミングに変えちゃうなんて!」
151 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月24日(火)23時59分06秒
「飯田さんのヘナチョコ技を、3年かけて改良して完璧な技に
 生まれ変わらせたんですから名前をどうしようと私の勝手じゃないですか。
 ホワイトエクスキューショナー完璧ショットぉ!」
「ディディディディア!…っく!津軽海峡冬景色撃まで…!!」
「続きましてクリオネグラビテーション完璧ショットぉ!」
「ぐっ!寒流千島海溝親潮撃ー!!」
「あのー」

ドシュっ!バシャ!ドガシャ!ズバババァーン!

「あのー…」
「まことぉ、そんな小さな声じゃ聞えんよー」
「でもさぁ、大きい声出したら私たちまで巻き込まれそうじゃない?」
「ほやけどぉ、呼び出したんは先生やし勝手に帰るワケにもいかんやろ?
 かと言ってこのまま放置されとるんも嫌やし」
「なんかごめんね、愛ちゃんに迷惑かけちゃって…」 
「なんでまことが謝るん?迷惑なんかじゃないよぉ、むしろ楽しんどるわぁ。
 見て、あの飯田先生の手のひらから放たれる青い閃光…
 キレイでロマンティックやわぁ…」
「ホントだ…去年の花火思い出すね…」
「うん…」
152 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時00分18秒
飯田に呼び出されてやって来たらしい小川と高橋。
屋上に呼び出すなんてよっぽどのことかと思って急いで駆けつけたにもかかわらず
飯田は紺野とのバトルに夢中で一向に2人の存在に気付かない。

「…学園ラブストーリーのハズやのに
 なんでこんなバトルシーンがあるんやぁ?」
「ふぇ?なんの話?」
「大人の話やよ」
「高橋ごめん。勢いで書いてもーてん」
「ひぃや!?まこと?!どしたんきゅーに!」
「…ぇえ?いや、今のはなんか口が勝手に…」
「の●るの奴…!まことの体を勝手に使って謝るぐらいやったら
 はよこの戦い終わらせればええんやがし!!」
153 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時01分14秒
そんな2人をヨソに、飯田と紺野の戦いは続く。

「お遊びはここまでです!
 私が編み出したおイモ流秘伝の技、とくとご覧ください」
「やってみな、イモなんかにカオが負けるワキャないね」
「言いましたね、ジャガキッズ&ホッカイコガネ&コナフブキショットぉ!!」
「ディア!飯田式澱粉返しぃ!」
「まだまだ!キタアカリ&アトランチック&アスタルテ&ヤンキーチッパーショットぉー!」
「ディア!芋ケンピと大学イモの違いがわかんないよ返しぃ!!」
「……え?」
ふと、飯田の技のネーミングを聞いて紺野の攻撃の手が止まった。

「ん?なに、もうおしまい?」
「いえ、そうじゃありませんけど…わからないんですか?芋ケンピと大学イモの違い」
「…う、うん。見た目が違うのはわかってるけどさぁ…」

「お、戦いが終わりそうだね」
「ものすごい無理矢理な終わらせ方やわ」
154 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時02分08秒
「なんだ、わかってるじゃないですか。
 見た目…というか形が違うだけですよ、芋ケンピは角型で大学イモは乱切り型。
 ただ、芋ケンピには“大学風”と“中華風”の二種類があって
 そのへんがややこしいんですけど…。
 まぁ、通常イモケンピという場合は芋カリントを言うんですけど
 このへんの区別は今のところなされていませんね」
「ナルホドね。ありがとう紺野、よくわかったよ」
「お役に立てて光栄です。…あれ?まこっちゃん?」

長く激しい戦いが終わり、紺野はようやく親友とその彼女の存在に気がついた。

「あさ美ちゃん先生、お疲れ様です」
「お疲れやよー」
「どうしてここに?」
「そうだよ、ここは生徒立ち入り禁止なのに。
 カオリショックだなぁ…2人がそんな不良だったなんて…」
「んなっ!?先生が呼び出したんじゃないですか!
 挙句30分も待たされて…私も愛ちゃんも暇じゃないんですからね!」
「あ、そっか。ゴメンゴメンすっかり忘れてたよ」
「あぃやぁ、先生そりゃひでぇわぁー」
「アハハ」
155 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時02分44秒
「で、先生はどうして2人を?」
「え?あぁ、あのね、後藤のことなんだけど。
 小川はあの日…おイモ商会にいたでしょ?だから手伝ってほしくて」
「何をですか?ってかあの日って?」
「後藤さんが来た日だよ。イモ羊羹とこふきイモ食べさせたでしょ?」
「あぁ!アレ!……じゃ、じゃあもしかしてあの校内新聞に出てたのって…」
「まこと今更何言っとるん?目の黒い太線引いてあったけど
 あれはどー見ても後藤先輩やったよー」
「え…ちょっと待って!最初から!最初から説明してくださいよ!」
「だからね…」

(ただ今説明中)

「…つまり、あさ美ちゃんのイモを食べた後藤先輩が
 安倍先生に惚れて、だけどその衝撃で2重人格になっちゃったってこと?」
「そう。はっきりした理由はわからないけど
 よっぽど強く安倍先生に惹かれたってことなんだと思う」
「でも最初なっちに会った時はなんともなかったよ」
「それは後藤さんが如何に適当に生きていたかってことなんじゃないでしょうか。
 おイモパワーでスーパーポテト人になって、ようやく気付くことができたんです」
156 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時03分19秒
「ほぉ…なんかかっこええのぉ」
「でも二重人格なんて…」
「カオが思うにね、後藤の二重人格って…テレビでやるようなのとは
 全然違うっていうか、人格が変わるっていうよりも
 なっちを見た途端なっちのことしか見えなくなっちゃうワケでしょ。
 で、元に戻った時にはその時の記憶がなくて…ここが問題なんだけど
 今のとこ周りはあんまり気にしてないし、むしろ面白がってる。
 だから今のうちに後藤の記憶を統一した方がいいと思うんだ」
「安倍先生を見ると変わるってことは、電話とかメールはどうなんです?」
「そう!それなんだよ!」
「ひぃっ!」
小川の問いにビシッと人差し指を突き立てて叫んだ飯田に、高橋が怯える。

「なっちの初授業があった日に携帯のアドレス交換したらしいんだけど
 後藤から電話がかかってくることはないし、メールしても返事がないらしくて…」
「…ほぃやぁ電話もメールも全部安倍先生からだけなんですか」
157 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時03分59秒
「そう…だからなっちもわかんなくなってきちゃったみたいで…。
 会うとあんなに優しくて好きだって言ってくれるのに
 電話もメールもないんじゃ信じられなくなっちゃうでしょ?」
「安倍先生がかけた電話に後藤先輩が出た場合はどうなんですか?」
「それはね、声でもオッケーみたいで大丈夫なんだ。
 だからどうしても耐えられなくなった時はなっちからかけてるんだけど」
「なんか…安倍先生すっごく可哀相ですね……」
「私の担任の平家先生より不幸やわぁ…」
(やっぱりコロッケかな、でもグラタンも食べたいし…)

安倍への同情から、3人の表情がドップリと暗くなる中
紺野は1人夕飯のメニューで悩んでいた。

「でも、私は後藤先輩の態度の違いとか見たことないんで
 いまいちピンとこないなぁ…」
「私も見たことないわぁ」
「じゃあカオが見せてあげるよ、カオの左手を見て」
「え?左手ですか…?」
「危険な香りがするやよー」
(もう面倒だから両方食べようかなぁ…)


◇ ◇ ◇
158 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時04分32秒

飯田の左手に写る、安倍の初授業があった翌日の朝の様子。

「んあ、今日もいい天気」
「ごっちん先輩!おはようございます」 
天気と同じく晴れやかな気分で学校に着いたごとーを
まっつーのかわいい声が呼び止めた。

「んあ、まっつーおはよー」  
「………」
「んあ…美貴もおはよ」
「…おはよ」
「お腹…大丈夫?」
「大丈夫なワケないじゃん!…っ!イテテ…」
「ミキたん!?大丈夫?大きい声出しちゃダメだよぉ」
「…うるさいな、ほっといてよ」
痛み止めを打っているものの痛いモノは痛いらしく美貴は最高に不機嫌。

「まっつーにあたんないでよ。
 あたるならごとーにあたりなさい」
「……ごめん」
「いいよぉ、じゃああたし教室行くね。お昼にお弁当持ってくから」

ムスっとした美貴とは対照的にまっつーは最高に上機嫌らしく
スキップで去って行った。
159 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時05分08秒
んあ…美貴が怪我したの嬉しいのかな?
やっぱ日頃の恨みは深いのか…。

「ちがう」
「んあ?なにが?」
「昨日…亜弥ちゃん病院についてきて、その後も色々やってくれたんだよ」
「ふぇ?」
「だからその…家事とか、お風呂とかご飯とか…」
「んあ、なるほど」
つまり怪我した美貴の世話をする=傍にいられるってことね。

「別に…美貴手は無事だからご飯自分で食べれるのにさ
 『あ〜ん』とか言っちゃって…お風呂も自分で洗えるのに…」
「んあ!洗ってもらったの?」
「亜弥ちゃんが勝手に洗っただけだよ」
ほぅほぅ…尽くすねぇまっつー。
「おまけにさっきは美貴の鞄まで持とうとするしさー」
「で、お弁当も持ってきてくれて食べさせてくれるんだ?」
「らしーね」
「んあ…なんかうらやますぃー」
「ごっちんだってなっちせんせぇに頼めばいいじゃん」
160 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時05分58秒
「んあ?なっち?なんでよ?」
「おーおー照れちゃって」
んあ?ちょっと本気でわかんない、なっちってあのちっこい先生でしょ。
まいーか黒美貴の言うことだし。
 
「そーいや入院とかしなくていーの?骨ヒビはいったんでしょ?」
「えぇ、お か げ 様 で!肋骨のヒビってすぐ治るらしくってさー。
 10日間ぐらいは激しい運動すんなって言われたけど」
「へぇーよかったね」
「よくないから、全然よくないから。
 10日だよ?10日もできないんだよ?美貴にはかなり拷問なんだけど。
 昨日だって風呂場で亜弥ちゃんが裸で目の前にいるから
 ヤろうとしたら『ダメだよぉ』とか言われて結局できないし
 かと言って外に遊びにもいけないし…」
「んあ、美貴は普段ヤりすぎなんだから少しは我慢した方がいい」
「そんなぁ…修行僧でもないのにぃ…」
「いっそ頭剃れば?」
「えぇー」

えぇーという声は不満っぽいけど
昨日のまっつーの献身的な看護を思い出してるのか美貴は笑顔だった。
んあ、こりゃ美貴がまっつー一筋になる日も近いんじゃない?
161 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時06分37秒
ヒソヒソ…ヒソヒソ…

「…ところでさぁ、また美貴なんかしたの?」
「いやしたっつーかされたんだけど…」
「あそっか。じゃあなんでごとーたちこんなに見られてんの?
 なんかヒソヒソ言われてるし」
「ごっちんが言われてんじゃない?昨日授業中に大胆なことしてたじゃん」
「んあ?大胆?」

大胆…ダイタン…抱いたん…んぁ?
ごとーが何したっつーの?授業中?だって昨日は朝から保健室で…その後は…

「ごっちん!わかったよ、あれだ!
 今月の校内新聞が今朝出たんだよ!」
「え?早くない?」

ザワついた人込みの向こうに、新聞が張り出された掲示板が見える。
新学期始まったばっかなのに…校内新聞ってごとーのクラスの
井戸さんがいる新聞部が書いてるヤツだよねぇ。

「とにかく行こ」
興味深深な顔で、ワケがわからないままのごとーの腕を掴んで
美貴は人だかりのできている掲示板の前へごとーを引っぱった。
162 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時07分10秒
「ちょっとごめーん、通してねー」

美貴の言う通りごとーが見られていたのか
掲示板の前にいた生徒はみんなごとーの顔をビックリしたように見て
慌てて道を開けてくれる。

そして…ようやく見えたその新聞には……

“新カップル誕生!白昼堂々の抱擁シーンを独占スクープ!!”

独占スクープって…新聞部は1つしかないんだから独占に決まってんじゃん。
ったく…でその新カップルってだ…

「んあぁ!?ごごごごとぉ?!?!」
「どー見てもごっちんだね、誰が見てもごっちんだね。
 この中途半端なモザイク全く意味ないね」
「なっなっなっなんで!?相手誰よ!!
 誰がこんなの撮ったっつーのさ!んあぁー!!」
「へ?ちょっとごっちん、剥がしちゃダメじゃん!ごっちん!!…っ!イタぁ…」
「んあー!!!」
163 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時08分01秒

ダダダダダダダダッ!ガラぁッ!

「んあ!!バタコぉっ!!!」
「アラ後藤さん♪見てくれたあの記事?イイ感じだったでしょー?」
「どこが!何勝手なモン書いてんだよ!!」
「んなっ!?は、剥がしたの?!ひどいワ後藤さん!」
「ひどいのはお前じゃー!!」

あまりのごとーの剣幕に、ちょっぴり涙目の井戸。
そんな顔したって無駄じゃ!打ち首!打ち首にしてやる!!

と、手刀を井戸の首に振り下ろそうとした、その時。

「はぁーいみんなおはよー」
「おはようだべ」
「んあ!なっちー!」
「ごっちんおはよ、早く席につくべさ」
「んあ、ごとーの席はぁ〜なっちの膝の上かも〜」
「もぉ〜甘えたさん」
「あはっ」
「じゃあショート始めるよ、井戸も早く座って」
「…は、はい……」
164 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時09分45秒
「あれ?藤本は?後藤知らない?」
「なっち眠そうだねぇ、昨日眠れなかったのぉ?」
「ちょっとプリント作ってて…」
「あはっ!なっち今日はちゃんとプリントって言えたね!
 ごとーからご褒美のチュー」
「キャっ…もぉ…みんな見てるべ…」
「んふぅ〜♪」
「ん?ごっちん何持ってるんだい?」
「なっちとごとーの愛の1ページだよ、一生の宝物にしよーね」
「愛の1ページ?」
「おはよーございまーす」
「あ、藤本。お腹大丈夫?つらくなったらいつでも言いなよ」
「…つらい」


◇ ◇ ◇

「「こ、これは…」」
「ね、全然違うでしょ」
「最後のアレ!本当に後藤先輩ですか!?
 まるで別人じゃないですか!あんなトロケそうな笑顔初めて見ましたよ!」
「いつもボーっとした感じでクールやと思っとったけどぉ
 ひっでかわいかったなぁ」
165 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時10分50秒
「でもこれで電話もメールもナシはやっぱつらいですね。
 小川、決めました。是非安倍先生を助けるお手伝いをさせてください!」
「私からもお願いするやよー」
「2人ともいい子だね、カオ嬉しいよ。それじゃ…」
「では作戦を練りましょうか」
「ちょ!ちょっと紺野!いきなり戻ってきてカオの台詞取らないでよ!」
「飯田先生はスキが多過ぎるんです、完璧です」
「なにぃ!大体誰のせいでカオがこんなややこしいことしてると思ってるの!?」
「したいからじゃないんですか?」
「そんなワケないでしょ!」
「変な言いがかりはやめてください」
「どこが言いがかりだよ!」
「「あのー…ケンカはやめ…」」
「ベニアカリ&アーリースターチ&デジマ&アイノアカショットぉ!」
「札幌雪景色タラバ蟹オホーツク撃ー!!」
「…帰ろっか、愛ちゃん…」
「うん…」
付き合っていられない、といった表情で屋上を去る高橋と小川。


この後飯田と紺野の戦いはこの後3時間以上も続いたが
お腹を空かせた紺野がアッサリと棄権して、飯田が勝利をおさめる結果となった。
166 名前:屋上の決戦。 投稿日:2003年06月25日(水)00時11分34秒
    
167 名前:のえる 投稿日:2003年06月25日(水)00時12分33秒
>146名無しさん
井戸端子、3秒で考えました、適当すぎてすいませんw
吉澤さんは数少ない常識人として頑張ってもらいたいと思っております。
ありがとうございます、なっちがカワイイって言ってもらえるの
すごい嬉しいです。

>147 66様
ホワイティいいですか(w 当分出てこないかもしれませんが…
苦労がなかったようで安心しました、ホントありがとうございます。
川VvV从<お腹大丈夫?
藤本さんには松浦さんがいるので大丈夫かと思われます。

>148名無しさん
(●´ー`)ノ□<責任取ってなっちが涙拭くっしょ。
( ` Д´)<んあ!絶対ダメぇ!!
後藤さんごめんなさい、なっちありがとう。
では私が涙を拭(ry

マコへ、早くよくなってね。
とゆーワケで、今回はマコスペシャル……のハズがなぜかバトルものに(汗
それとマコ、勝手にかりてごめんなさい。
168 名前:のえる 投稿日:2003年06月25日(水)01時59分38秒
また書き忘れました。

川VvV从<亜弥ちゃん!お誕生日おめでとぉー!
从#‘ 。‘从 <ありがとう、ミキたん。
169 名前:名無し読者 投稿日:2003年06月27日(金)23時49分43秒
飯田さんキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!
師弟(?)対決面白いです。紺野がやけに反抗的ですね(w
飯田さん押されてるし。
それにしてもごとーさんがあんな状態だったとは。
続き楽しみにしてます。
170 名前:jinro 投稿日:2003年06月28日(土)18時30分59秒
金板からみてました。
相変わらずごとーさんが飛ばしてて素敵ですな。
ほかの人も個性的で(ぷぷっ)
なっちもかわいいし。頑張ってください!
171 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時02分37秒
とある梅雨時期。

「ミキたん、あーん」
「あー」
「おいしい?」
「うん」
「その卵焼きはねぇ、あたしが作ったんだよぉ」
「ガリッ!………ふぅーん」
「あ……」
「ガリボリボリガリ…」
「ご、ごめんね?あ、あの、ティッシュあるからここに出して…」
「ゴクン」
「………次は、頑張るから…」
「いいよ、期待してないし」
「・・・・・」

「んあ、今のってどうなの?」
「う〜ん…ちょっと口悪くない?嘘つけとは言わないけど
 ウチみたいに最低限の注意をしつつ優しく励ますフォローも大事よ」
「……梨華ちゃんの料理ってヤバかったもんねぇ」
「…昔の話だよ。
 まーでもちゃんと食べたのは偉かったから実刑は無し」
「んあ、命拾い」

お弁当の時間。
ごとーとよしこは少し離れた席でせっせと美貴にご飯を食べさせるまっつーを眺めていた。
172 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時03分16秒
まっつー曰く、怪我をする前も1人暮らしの美貴を心配して
まっつーの家が食事の面倒を見たりすることはあったらしいけど、遊び歩いて家に帰らなかったり
不定期な登校をする美貴にお弁当を渡すのはジュラ紀で最大・最強の肉食恐竜だったアロサウルスの頭にでも乗って
にこやかに豚ピースで記念撮影するぐらい困難なことだったから
美貴と一緒にお弁当を食べるという夢をずっと諦めていたらしい。

だがしかし、ごとーとよしこのナイスパンチプレーのおかげで夢が叶い
美貴の怪我が完治した日に勇気を振り絞ってお願いして
通い妻続投権を勝ち取ったまっつーは、こうして美貴の怪我が治った今もニコニコと美貴の世話を焼いている。

「お茶」
「はぁい」

ほんっとにさぁ…まっつーは何がそんなに楽しいんだろ?
「お茶」って言われただけだよ?オチャよオチャ。
アチャーオチャー玄米茶ぁーって誰も云わない時代だっつーの。
173 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時03分55秒
「そーいや5,6限って大掃除だよね、ごっちんどこ担当?」
「ふぇ?あー…カオリの話聞いてなかったなぁ…よしこは?」
「ウチも梨華ちゃんにメール打ってて…」
「んあ…美貴はー?掃除どこー?」
あ、まっつーちょっとごめんね、ほんの一言ですんで。
「聞いてるワケないじゃん」
「…んあ」
それもそーね、聞くだけ無駄ね。
「まっつーはぁ?」
「えっとぉ…たしか会議室です」
「んん〜亜弥ちゃんさぁ〜掃除サボれば〜?
 会議室なんてなぁーんも面白いモンないし、視聴覚室行って映画見よーよ」
「んあ!?」

おぉ!!ビックリした、マジ心臓跳ねたよ!
聞いた?よしこ今の聞えてた?
あーらよしこも開いた口が塞がってないじゃん!閉じて!ヨダレ出かかってるから!!

「み…美貴ちゃん、今なんと……?」
「ハ?いや、映画でも観よー…あ!嘘です!!ちょっとした冗談!
 美貴掃除サボったりなんかしないよ!一生懸命やるし!!」
「んあ!!そうじゃなくてぇ!」
「美貴ちゃんが壊れた…っ」
174 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時06分01秒

【目撃者:Y澤さんの証言】

『あのですね、ウチお弁当食べてたんスよ。
 お昼だったんで、えぇ、教室中に美味しそうな味噌汁の香りが漂ってて
 ランチジャーカッケェーって感じだったんス、はい、美貴ちゃんの弁当がランチジャーで。
 亜弥ちゃんのママが作った弁当だったんスけど、卵焼きはあやや作だって小耳に挟みました。
 あ、ちなみに亜弥ちゃんはランチジャーじゃなくて普通のでした。マジンガーっス。
 
 で、なんかよくわかんないんスけど、大掃除の話になって…
 吉澤思うんスけど、こんな梅雨時に大掃除する学校って馬鹿じゃねぇの?って、それはまぁ置いといて
 美貴ちゃんがおかしくなったんスよ。
 よく考えりゃカラ入り卵焼き食った時からおかしくなってたんスけど。
 だってちゃんと食べたし、文句1つも言わなかったし…。
 期待してないってことは今のままでいいって意味じゃないっスか。 
175 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時06分34秒

 しかも映画っスよ?映画、ムービーっス、動くんス。
 美貴ちゃんが亜弥ちゃんを映画に誘うなんて…吉澤聞いたことないっスから。
 ごっちんも一緒だと思うっス、顔だけじゃなく目も魚並に点だったんで、ギョ。
 それにウチの視聴覚室って…なぜか授業以外では先生も生徒も立ち入り禁止なんスよ。
 だから掃除とかは教頭あたりが極秘でやってて、
 そんな危険地帯に誘うワ映画見るワなんてなんかあったしか思えないっス、絶対頭打ってるっス』
176 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時07分07秒
「よしこ!よしこ!大丈夫?!」

あぁもぉ美貴が変なこと言うからぁ!いや変だけどいいことなのよ、とってもいいの。
まっつーよかったね…ごとー涙が溢れちゃう…
白美貴だよ…ホワイティ復活だよぉ…、どーぞどーぞ掃除なんてごとーとよしこが
やっとくからさ、心置きなくまっつーとお幸せに………

「おーい、ごっちんによっすぃー帰ってこぉーい」
「ミキたんご飯粒ついてるよぉ」
「とって。ってゆーかどうしたんだろこの2人。
 そうじゃないってことは美貴サボっていいのかなー?
 亜弥ちゃんどーする?」
「う、うん、嬉しいけどぉ…大掃除サボるのはちょっと…」
「んあ!何言ってんのまっつー!!みっちゃんが怖いならごとーが
 なんとかしてあげるから!自分の幸せをちゃんと選んでよ!!」

なにが大掃除だ!そんなもんの為にホワイティとの貴重な時間を逃してどーする!
ホワイティよ!約1ヵ月ぶりの降臨なのよ!!迷うなあやや!逝けばわかるさぁー!!

「…じゃあ、ミキたんと映画観たい」
「そうだ!それでこそあややだ!ピぃーチっ!!」
「……なんなの一体」
177 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時07分41秒
「ミキたんと映画見るなんて久しぶりだね」
「そーだっけ?でも映画っつってもビデオだし、美貴たまに家で観るけど
 夜中とかだから亜弥ちゃん寝ちゃってるもんね」
「起こしてくれてもいいんだよぉ?」
「ダメだって。寝不足でフラフラして転んだらどーすんの。
 美貴のせいだってバレたらケメ子に殺されるじゃん」
「アハハっ、大丈夫だよぉ」

ブルッ!いかん、ごとー寒気してきた…なんか甘いよね?この2人、このミキアヤ。
雪でも降るの?気象庁に問い合わせてみよーかな。
ってか美貴って何気に過保護だよね。
転んだらどーするって、起き上がるしかないじゃん、ねぇよしこ。

「よしこ?」
「…ドゥワっ!……ごっちん?…何が起きたの?」
「何もないよ、美貴が白いだけ」
「あ…そっか。ウチ初めて見たからビックリしちゃって…、
 梨華ちゃんに会いたいなぁ、ウチも掃除サボろっかな」
「えぇーよしこはダメだよ、ごとー1人になっちゃうじゃん」
「いや班違うから掃除場所別々でしょ?…そだ、ごっちんもサボる?」
「あ、いいかもー」
178 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時08分23秒
ん?でも待てよ、美貴はまっつーと、よしこは梨華ちゃんといるならさ
ごとーやっぱ1人?んあ、寝てればいいか。

「なっち先生誘ってさ、ゆっくりイチャつきなよ」
「んあ?なっち?」
「あ、でも今朝いなかったね、なんか聞いてる?」
「なんでごとーが聞いてんのさ、よしこも頭打ったの?」
「ハイ?何言ってんのー?ごっちんってホント照れ屋だよね。
 先生がいる時は人目もはばからないクセに、いないとはぐらかすんだもんなぁ」
「んあ…」

なぁーんか最近さー、よくある会話なんだけど
ごとーってなんでこんななっちと噂になってるワケ?
昨日とかも廊下でスレちがった子にテントウ虫のサンバ歌われるしさ
その前は授業中やぐっつぁん(数学担当教師)に瀬戸の花嫁歌われたし…。
そうそう、最近気付いたんだけど
携帯イジってたら着信履歴の中に『なっち』ってのが結構あって
メールも何通かきてたのよね、間違いだと思うから中身見てないけど。
んあ、間違えてますって教えてあげた方がいいのかな?
179 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時11分10秒
「つーかなっちって先生なんだからサボれないでしょ」
「それもそうか…ごっちん、君もツライ恋をしてるんだねぇ」
「・・・・・」
んあ、してないし。

「悪い子はいねーがー?」
「「ンギャ!?」」
「カっカオリ!どうしたの突然?!」
「しかもなんでナマハゲ?ナマハゲって秋田でしょ?」

あぁビックリした、いつも思うんだけどさぁ
かおりんの登場の仕方っていちいち心臓に悪くない?

「カオは知ってる、3人がカオリの話をちゃんと聞いていなかったこと」
「「ご、ごめんなさい」」
また勝手に人の話聞いてるし…。
180 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時12分28秒
「フフっ、いいのいいの。なんてったって今日は藤本が白いからね、カオリも嬉しいんだ。 
 そこで1つカオから提案なんだけど、視聴覚室の掃除してみない?」
「ふぇ?ごとーとよしこが?」
「プラス藤本松浦の4人で。早く終わらせて残った時間遊んでてもいいからさ、嫌?」
「いや…だってあそこは…」
「うん、立ち入り禁止なんだけど、さっき藤本がサボるのに使おうとしてたでしょ?
 その時ちょうど教頭が『大掃除かぁ、オレも頑張るかな』って言い出したの」
「そりゃ言うでしょ、教頭がいっつもやってんだし」
「そうなんだけどね、視聴覚室の掃除日は毎月20日って決まってて
 大掃除だろうがなんだろうが余計な侵入は禁止されてるの。
 特に教頭は男だし、校長が反対してね、そしたらなぜかカオリが掃除しなくちゃいけなくなって
 それって間違ってるでしょ、あんな広い部屋カオリ1人なんて…
 特別手当がつくワケじゃないから頑張ったところでどうなの?って話…」
181 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時13分10秒
「ちょっと待った、つーまり1人でやるのがメンドいからごとーたちに手伝えと?」
「うーん…ってゆーかぶっちゃけカオって担任だから
 みんながそれぞれちゃんと掃除してるか見回りしなきゃいけないでしょ?
 だからカオリは無理なの、代わりになっちが手伝うから」
「お、ごっちんよかったじゃん。でも…」
「大丈夫、ちゃんと石川も仕込んどいたから」
「さっすがカオリ☆ウチに任しといて!ピッカピカにしちゃうから!」
「ちょっとよしこ…」

なんでごとーたちがこの学校唯一の立ち入り禁止地区掃除しなきゃいけないのさ?
梨華ちゃん仕込まれたからってそんな嬉々として承諾しないでよ、んあ。

「せんせぇー、遊んでていいって視聴覚室でですかー?」
「うん。みっちゃんにも話通したから松浦もよろしくね、ハイこれ鍵」
「ちょっとかおりん!ごとーまだするなんて言ってな…」
「仕方ないなぁ…どうしても話せって言うんだね。
 なぜ視聴覚室が立ち入り禁止なのかを……」
「んあ!言ってないし!!」
そりゃちょっとは知りたかったけど!
大体あそこたかが視聴覚室のクセに気味悪いからごとー嫌いなんだよぉ…
絶対昔何か事件があったとかじゃないのぉ?
182 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時15分29秒
「あれは…あるドラマのワンシーンが始まりだった…。
 みんなは知らないと思うけど、ウチの校長はテレビっ子でね、子っていう年じゃないけど。
 中でも1番大好きなのがドラマだったの、ジジイのクセに。
 その日、校長は滅多にしない残業をしていて…大好きなドラマに帰宅が間に合わなかった。
 もちろん奥さんに電話して録画を頼んだんだけど、校長はどうしても続きが気になって…
 少しでもいいから見ようと校長室のテレビのリモコンを手に取ったの。

 そして…つけたテレビに映ったのは……モミアゲが特徴的な男の人が
 視聴覚室で女の子に乱暴するっていうあまりにショッキングな場面だった。
 そう、校長が毎週楽しみに見ていたのは『高○教○』だったの。

 その日以来校長は、性別を問わず全ての人のモミアゲが信じられなくなって
 ここで働く教師全員にモミアゲ禁止令を出し、さらに校則まで作ろうとした…。
 だけどそれはあまりに無理な話だったから激しい批判を受けて
 それでも諦めきれなかった校長が、次に白刃の矢を立てたのが…視聴覚室だったの」
183 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時16分43秒
「・・・・・」
気付けば、かおりんの話をごとーたち以外のみんなも聞いていて
教室はシーンと静まり返っていた。

「じ、じゃあ、別に視聴覚室は何の問題もないのに
 あんなことになったんですか?」
どこから湧き出たのか、井戸端子がメモ帳片手にかおりんに詰め寄る。

「そうだよ、だからあそこは普通の部屋なの。
 一部で噂になってるような事件もないし、オバケも出ない。
 まったくもって何の害もないただの一室。だから授業では普通に使ってるんだよ」
「しかし、授業で使えるのはスクリーンのある部屋だけで
 奥の怪しげな部屋には誰も入ったことがないって……」
「ふぅ…あそこはね、掃除を任されてた教頭の私物化しちゃって
 布団までひいてあるから生徒が入っちゃわないようにしてるんだよ」
「げえぇぇっ!!!」
184 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時18分22秒
食後のお茶をすすりながらまっつーの肩に頭を乗せてかおりんの話を
聞いていた美貴が吐きそうな顔で叫んだ。

「ミっミキたん?!どうしたの?変なモノ食べた?」
「…亜弥ちゃんの卵焼き食べた」
「っ!…ぅー…」
「ちょっと美貴!泣かすなよ!!」
「いやだって亜弥ちゃんが聞くから…」
「ヒック…ぐす…ごめんなさ…」
「 美 貴 ち ゃ ん 」

ポロポロと涙を零して本格的に泣き出してしまったまっつーの姿に
どこから取り出したのか、よしこがバレーボールを掲げてサーブの構えをとる。

「ちちち違うって!!げぇって言ったのは亜弥ちゃんのせいじゃないし!」
「 あ ぁ ん ?」
「や、だから美貴はその…前に奥の部屋に入ったことがあって
 眠かったからひいてあった布団でつい…」
「んあ!入ったのことあんの?!」
185 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時20分53秒
そっか、そーよね、さっき美貴は映画観ようっつったんだから
あそこで映画を観る方法知ってるってことよね。
まっつーを誘ったってことにビックリしてスルーしてたけど
侵入歴がなきゃあんなこと言えるワケない。
だってごとーとか他の子にとっちゃどーしても授業で見なきゃいけないモン
がある時だけの為にしか存在してない場所なんだから。

それにしてもどーやって入ったんだろ?

「ねぇ美貴どうやって…」
「藤本!アンタそれマジ?つんく布団で寝たの?あのオッサン臭い布団で!!」
「い、言わないで…だって眠かったから…」
「藤本って寝れるならどこでもいいんだね…、カオリショック。
 教頭の香りに包まれて眠ったことのある子の担任してるなんて…」
「へ!?変な言い方しないでよ!知らなかったんだからしょーがないじゃん!
 大体ショックなのは美貴の方だよ!」
「3年1組藤本美貴、つんく布団で寝たことアリ…と」
「バタコもメモるな!」
「ふぇーんミキたぁーん」
「 死 刑 」
186 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時21分47秒
「あああ亜弥ちゃん泣かないでよ!アメあげるから!」
「むー…っえぇーん!」
「逝くわよみどり!」
「ぐぎゃああ!!」
「うぁああん!ミキたん死んじゃやだよぉ!!」
「だっ誰のせいだと……ガクッ」

「フフフ。まるで地獄絵図だね」
「んあ…」

  
◇◇◇

藤本の若い命が散っていった、その頃。

「ターゲットの誘い出しに成功、飯田先生完璧です」
「あ、あさ美ちゃぁん…ホントに入っていいのぉ?」
「なんかイカ臭いわぁ、この部屋」
187 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時22分25秒
「イカ臭い…か。そういえばタコ臭いって言わないよね、変なの」
「そういやそうだね、なんでだろ?」
「2人ともぉ、今はそんな話どうでもええよー」

後藤たちが掃除を任された視聴覚室の問題の部屋に
紺野と小川と高橋の姿があった。

「なぜ飯田先生が掃除するハメになったのかについての説明が
 不十分でしたが、皆さん特にツッコミもなかったので良しとしましょう。
 さ、まこっちゃんに高橋先輩、手術の準備手伝ってください」
「しゅ…手術って…剃るの?」
「ブハッ!!まことぉ、盲腸やないんやから剃るワケないやよー」
「へ?いやそっちじゃなくて頭!!」
「やだなぁまこっちゃん、どこも剃らないよ」
「そうやよー、まことはエロエロやわー」
「愛ちゃんのがエロエロだよ!」
「クスクス…さ、時間がないから始めよ」
「まことのがエロエロや!」
「愛ちゃんだってば!」


果たして何をどうする気なのか、成功するのかはわからないが
後藤の記憶統一計画が始まろうとしていた。

188 名前:プロジェクト・スタート。 投稿日:2003年06月30日(月)21時22分58秒
    
189 名前:のえる 投稿日:2003年06月30日(月)21時23分28秒
>169 名無し読者様
レスありがとうございます。
( ゜皿 ゜)<押されてなんかないよ。ちょっと手加減してただけ。
今回も飯田さん出してみました。
後藤さんのあんな状態はそろそろ終わります。川o・∀・)

>170 jinro様
前作共々読んで頂いてありがとうございます。
なっちのかわいさよりアホさが目立つ今日この頃ですが(蹴
頑張りますのでよろしくお願いします。 
190 名前:jinro 投稿日:2003年07月03日(木)15時41分18秒
 いやいや。なんも疑問をもたないなっち、めちゃかわいいです。
 しかし、まこっちゃんとラブリーはエロエロなのか…すごいワロタ。
191 名前:名無し読者@読み専 投稿日:2003年07月03日(木)21時47分41秒
記憶統一計画…すごく楽しそう(w
やっぱりハイパーモードな後藤さんに統一するんでしょうね(w
192 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時29分33秒

「よし…これで準備万端、完璧です」
「……これで…ホントにいいの?」
「あさ美ちゃんイモの皮むきうまいんやなぁ、家庭的やよー」

視聴覚室の奥の一室の3人は、どうにかこうにか後藤たちの到着を前に
作業を終えることが出来たらしい。
紺野は達成感とこれから行う手術への意気込みで、目をギラギラさせて微笑んだ。
そんな紺野に訝しげな視線を送る小川と尊敬の眼差しを向ける高橋。

(家庭的とかじゃなくてさ…なんでおイモの皮でつなげてんの?)

高橋は、いつも自分とは違った着眼点で物事を見、思ったことを素直に発言する人で
そんなところが小川が好きだった。
黙っていればただの美少女なのに、口を開けば訛り全開で
ガハハと豪快に笑うとできる鼻の皺ももちろん大好きだけれど
そんな外見的な要素よりも、小川は高橋の内面に多大な魅力を感じている。

だからいつもなら、びっくりしたような目を紺野に向けて
「ほぉぉ…」と溜息を漏らす高橋の手を取って「家庭的だね」と
同意するのが常だった。

しかし、小川の目の前にあるモノがソレを許さない。
193 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時30分07秒
(これは…なんて言ったらいいんだろう…)

本体と思われる白い装置を、室内アンテナによく似たモノがグルっと囲み
その更に周りを紺色の布が取り囲んでいる。
それだけなら特に変に思うことはないが、本体とアンテナ、またアンテナ同士を
繋ぐコードが全てイモの皮だったのである。
しかもその皮は見事に一皮で剥かれており
紺野の努力と、皮むき能力の高さが窺える秀作であった。

(おイモの皮って電流通せるのかな?)
(でもあさ美ちゃんが作ったモノだし…)
(あさ美ちゃんは私と違って頭良いからなぁ…)
(あさ美ちゃんがその気になれば、できないことなんてないよね)

確かに紺野は学年トップの秀才だが、小川だって
クラスのトップ10には必ず入るくらいの頭は持っている。
しかし持って生まれた謙虚さと自信の無さからか
紺野は自分より優れていて、自分が出来ないこともあさ美ちゃんなら…
という考えが頭の中に渦巻いていた。
194 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時31分15秒
「さてと…、後は曲をかけておイモパワーを目覚めさせ、
 起動スイッチを押せば…」
「曲?なんの曲かけるん?」
「コンニング娘。のAS FOR 紺 DAYを」
「あずふぉコンでぃ?…はてそんな曲あったかの…?」

たぶんない。ついでにそんな名前のアイドルグループもないだろう。
しかし似たようなモノならあったような気がして、高橋は考え込んだ。
それを楽しげに眺めていた紺野の胸ポケットで携帯が振動する。
195 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時31分58秒
「はい?」
『…とっつぁんのフルネームは?』
「銭形幸一、完璧です」
『…身長は?』
「181センチ…あの、もういいんじゃないでしょうか?」
『念には念を。トンカツにはカラシを。アハハ!
 では最後に経歴を述べよ』
「…最初の赴任先は埼玉県警西大滝町派出所。
 その後警視庁勤務まで昇格しましたが、アジト破滅作戦で
 ルパンの国外逃亡を防げなかった責任をとらされて
 信州の山奥の駐在所に飛ばされました。しかしICPOの船舶関係取締り課が
 彼を豪華客船サーロイン号の交番勤務に起用しそのままICPOへの出向が…」
『うんうん、さすがだね。
 そろそろ後藤が着くと思うけど、準備できてる?』
「ええ、完璧です」
『なっちも少し遅れて着くと思うからよろしくね。それじゃ』
「失礼します」
196 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時32分35秒
「まこと、まことぉ」
「…ひょぇ!?あ、愛ちゃん…なに?」
「なにやないよぉ、立ったまま寝てもうてぇ」
「ハハ…ごめん」
「まこっちゃん、高橋先輩、そろそろ後藤先輩が来るそうなのでよろしくお願いします」
「う、うん」
「はいやよー」



◇ ◇ ◇

「ってゆーかさー、さっさと掃除終わらせて遊ぼうよー」
「じゃあ2組に分かれて手前と奥の部屋掃除しよ」
「なら美貴手前ね、手前」
「何言ってんの、美貴ちゃんが1番奥の部屋に詳しいんだから
 ウチらが手前に決まってんじゃん」
「…んあ、どうでもいいけどさぁ、ごとーは視聴覚室掃除するなんて一言も…」
「詳しいって美貴しか入ったことないだけじゃん!」
「元はと言えば美貴ちゃんがサボろうとしたせいで
 こんなことになったんだし、当然だよ」
「うぇーそんなぁー」
「ミキたん、あたしも手伝うから」
「んあ!!だからごとーはひとこともぉ!!」
197 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時33分07秒
かおりんに頼まれた(ってゆーか強制)ごとーたちは
5限目開始のチャイムが響き終わった廊下をダラダラと歩いている。

別にね、ごとーはそこまであそこ掃除すんのが嫌ってワケじゃないのよ。
同じ班の子に聞いたら本来の掃除場所はトイレだったし
よしこたちと一緒だから嬉しいんだけど…なんかすんごい嫌ーな予感がするっつーかさぁ。
奥の部屋がどんななのか興味があったっちゃーあったけど
さっきの話でただの教頭の寝床だってわかっちゃったじゃん。
だからなんか…なんかヤなんだよねぇ……。

「ごっちん鍵ぃー…って、開いてるや…」
「んあ?でも鍵はここに…」
ちょっとちょっとぉ!早速おかしなこと起こってんだけどぉ!
誰よ閉め忘れたヤツは!!

「あ、梨華ちゃん仕込まれてんでしょ?だからじゃない?
 おーい梨華ちゃーん、よしこが来たよぉー」

んあ、そういえば梨華ちゃん仕込まれてたんだったね。
よしこはデレデレした顔でドアを開け
軽いスキップで視聴覚室に入って行った。
だけど、続いてごとーが入ろうとした瞬間――――――
198 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時33分50秒

「コン!」
「オガ!」
「ヤヨー」

・・・んあ?

「「「捕獲!!!」」」
「んぁっ!?のわぁ!!」

なにぃ?黒いカーテンがビシっと閉まってて、電気もついてない
真っ暗な室内から変な掛け声と共に6本の腕がニュっと出てきたかと思うと
ごとーの体はグワンとその腕たちに持ち上げられて
そのまま投げ飛ばされた。

ってかよしこは?声もしないけど先に入ったよしこが無事で
なんで2番手のごとーがこんな目に遭うのよ?
かおりん普通の部屋だって言ってたのに全然普通じゃないじゃん!
それにごとーの後ろにいた美貴とまっつーに思いっきりパンツ見られたよね。
おかーさんが洗濯忘れてて、ごとー今日グンゼパンツなのに…。

ドシィーン!!

「んあ…いったぁ…」
「さ、まこっちゃん早く縛って!」
「ううううん!ごめんなさい!」
「コリャまことぉ、そんなエロエロな縛り方せんでええよー」
199 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時34分36秒
ふぇ?まことって…小川?!
しかもあとの2人は声で察するに紺野と高橋だ。
ってかエロエロな縛り方ってなによ?
この暗闇の中ごとーはどのような珍事に襲われてるワケ?
よしこ早く電気つけてよ!

「どこがエロエロなの、愛ちゃんも早く頭!」
「だってそれどー見ても亀甲縛りやないのぉ…そんなに縛りたかったんやったら
 相談してくれればよかったがし」
「ハ?キッコー?」
「んあ!?小川のスケベェー!!」

どーりであんなところやこんなところに縄が食い込むと思ったら…!
ってことは…ごとー今から初SMなの?ちょっと待ってよ!そんな趣味はな…

「あさ美ちゃんヤバイよ!正体バレてる!」
「んあ!!誰でもわかるわ!なにすんだよぉ!」
「後藤先輩の為なんです!大人しくしてください!」
「こんな状況で大人しくできるヤツがあるかぁー!!
 よしこぉー!美貴ぃー!まっつー助けてぇ!!」

んあぁー!叫ぶとより食い込むぅー!!あぁん
200 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時35分27秒

「後藤せんぱ…もといポテターマキ。
 助けを呼んでも無駄ですよ、御三方にはちょっとした術をかけさせて
 頂きましたから。
 ポテターよ、目を閉じて神威のおイモへと心を解き放つのです。

 アヒャラネーゼ!!!」


んぬぁ!?なんかはいってくるぅ!ぐぁあ!!



アヒャ
                   アヒャ
    アヒャ                             アヒャ
        アヒャ                アヒャ
  アヒャ              アヒャ
            アヒャ                 アヒャ


 


「あっひゃあぁぁぁあああああ━━━━━━━━━━━━━━━━!!!!!」


...........................

.................

..........

.....
201 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時36分06秒


『べっ…べあっ!……』

『…後藤さん』

『む、今なっちに対して失礼なこと考えたっしょ?』

『ちょっと待って!あの後藤さん?…イモって……』

『ごっちんだって…優しいっしょ』

『ん…ごっちん…』

『ううん。話さなきゃダメなんだべ。
 ここで話さなきゃ、なっちは一生この過去に囚われたまま…
 そんな体じゃ…ごっちんのお嫁さんになれないっしょ』

『っきゃん!もうごっちんったらぁー』




・・なっち・・・?

ごとー…は……、ゴトーハ………イ、モ…

202 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時36分53秒
「まこっちゃん、曲かけて」
「うん」
「…ご、後藤先輩白目むいとるけど…」
「体内のおイモパワーを1度外に出す為の術をかけたからね。
 ついでに頭の中もシャッフルされてるハズだから
 記憶を読み込んでるんだよ」

“ あずふぉコンでぃ♪ ジャガバタぁジャガバタぁって
  意味なく何度も食べすぎて 胃下垂♪ ”

「起動…っと、それじゃ頭につけたポテヘッドにおイモコードを繋いで…」
「今の歌……歌ってたのあさ美ちゃん…?」
「か細い声に微妙な歌詞やよ…」
「………か、完璧だもん」


ん…んあ……誰…?誰の声?


「そーいや吉澤先輩たちにいつの間に術かけたの?」
「吉澤先輩は入って来た時にサッとかけて
 藤本先輩と松浦先輩はコン!って言った時ついでにかけたんだ」
「ほな亜弥ちゃんたちは廊下に倒れとるんやない?」
「大丈夫。少し歩かせといたから」
「……あさ美ちゃん…ちょっと怖いよ……」  
203 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時37分30秒
パッ

「なっ!?そこで何してるべか?!」

3人が後藤への装置の接続を終え、“縁側でお茶”並に和んでいると
突然室内が明るくなった。 

「だ、誰だべアナタたち?…怪しいべ…泥棒っしょや…」
「んぇ?違いますよぉ、生徒ですぅ」
「愛ちゃん、それ取らないと説得力ないよ」
「生徒なワケないべ!そんな夜逃げ屋みたいな格好して
 でかいメガネかけてる生徒なんてこの学校にはいねーべさ!!」
「ぬ?…あぁこれかぁ」

飯田に頼まれて視聴覚室にやって来た安倍。
その目に映ったのは、黒い服に身を包み大きな赤外線スコープを装着している高橋と小川。
白衣をはおり、小さめのサングラスのようなモノをかけた紺野の姿だった。

「ひゃわ!?藤本さんに…松浦さん!?」

気配を感じて足元を見ると、仲良く転がって眠る藤本と松浦と
その隣に1人寂しく転がる吉澤もいる。
204 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時38分07秒
「アナタたち!なっちのクラスの子になんかしたべか?!
 ケーサツ!ケーサツ呼ぶべ!」
「お待ちください。安倍さんの大切な人がどうなってもいいんですか?」
「なっちの大切な人…??」
「えぇ!あさ美ちゃん何言い出すの急に!」
「ふぃーアチィー、この赤外線なんちゃら重くてタマランわぁ」
「…ごっちん!!」

そして最後に茶色い縄でなにやらハレンチな縛り方をされ
ヅラの如き無数のイモ皮を頭に被らされた後藤の姿を発見した。

「ごっちんに何しやがるべか!!
 全員逮捕っしょ!無期懲役だべさぁー!」
「痛ぁ!うわわわわ!」
「愛ちゃん!」

愛する後藤の無残な姿を見たせいで我を失った安倍は
顔をアラワにして額の汗を丁寧に拭いている高橋に体当たりした。
するとそこで紺野が叫ぶ。
205 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時38分42秒
「安倍先生!先生は今…不安に思ってることがあるんじゃないですか?」
「…べさ?なんだべいきなし!そんなもんねーべ!」
あったとしても、誰かもわからない不審人物に打ち明けられるモノではない。

「コンコンココーン!…2,3度お目にかかったこともあるかと思います。
 1年の紺野と申します。いや、ここではコンコンおイモ商会代表だと
 言った方が完璧でしょうか」
「……イモ…?」

己のNGワードに反応した安倍の前で、紺野はサングラスを外し
ニヤリと微笑んでみせる。

「ア…アナタ確かよくカオリと話してる…」
「はい。以後お見知りおきを。
 さ、安倍先生、話してみてください。後藤さんのことで
 不安に思っていることがあるんでしょう?」
「…………」
「自分の中にためないで、私でよければ話してみませんか?」

紺野は少し偉そうにパイプ椅子に足を組んで腰掛けると
立ち尽くして俯いてしまった安倍の顔を下から覗き込んだ。
206 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時39分18秒
「なっち…は、ごっちんのこと…信じてるし……」
すると、俯いたまま叱られた子供のようにポツポツと話し出す安倍。

「…学生さんは忙しいんだべ。
 メール返す時間なんてないんだべさ…、電話だって
 なっちがかければ出てくれるもん……」
「泣ける話やよ…」
「愛ちゃん…」
そんな安倍を見て涙を流す高橋の肩を、小川がそっと抱いた。

「それに会えば…そんな不安はスグ吹っ飛んじゃうっしょ。
 ごっちんはなっちにいっぱい愛をくれるから」
「しかし、それなのに会えない時間を大切にしてくれない後藤さんに
 不信感を抱いているのではありませんか?」
「信じてるもん!不信感なんてないに決まってるっしょや!!」
「ではなぜ後藤さんに聞かないんですか?
 私くしは…ある調査の為に少々お2人のご様子を密かに観察していたのですが
 先生は一言も後藤さんに昨日何をしていたか?等の質問はしていませんね」

そう言って紺野は机にあったファイルをパラパラとめくる。
一体何が書かれているのか、普通なら非常に気になるところだが
今の安倍にそんな余裕はない。
207 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時40分07秒
「なっち年上だし…ごっちんを困らせるようなことしたくない…。
 ごっちんが…、呆れて離れていっちゃうなんて嫌っしょ。
 だから聞けなかったんだべ…」
「……安倍先生…つらかったんですね…。
 でもそんな日々は今日で終わりです。実は後藤さんはカクカクシカジカで
 トロピカ〜ル恋して〜るだったんです、なのでただ今合体を…」
「んべぁ!?どぉゆうことだべか!?」
「すげぇな先生、今のでわかったんか」

高橋も驚く程紺野が手短に後藤の身に起こっていた出来事を伝えると
安倍は信じられないといった様子で目を見開いて震え出した。

「それじゃあごっちんはなっちがイモだから好きになったってことかい?!
 なっちが…なっちがなっちだからじゃなくて!
 なっちよりイモであるなっちのことが好きってことっしょや!!  
 そんなのヒドイっしょ!なっちは…なっちは
 ごっちんなごっちんを好きになったのに!!!」

安倍の目から流れるパチンコ玉大の涙が、ショックの大きさを物語る。

「いえ、先生がイモだからというより先生の中のイモが
 後藤さんの中のイモと共鳴して…」
「ごっちんはイモじゃねーべ!どー見ても!」
208 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時41分08秒
「イモじゃねぇ…とは心外ですね。
 いいですか。人は皆、心に一つのおイモを持っているのです。
 ですから、人と人が出会う時、そこにおイモとおイモの出会いもまたあるのですよ」
「だけどごっちんは…初めて会った時は普通だった。
 紺野さんが変なイモ食べさせたせいでなっちに惚れちゃったんだ!」

紺野は騒ぐ安倍を冷たく一瞥すると、はぁと大きな溜息をついた。 

「私のおイモを食べたおかげで、後藤さんはオンリーポテトを見つけられたんですよ。
 安倍さんにとっても後藤さんがオンリーポテトだったからこそ
 お2人は付き合うことになったんじゃないんですか?
 まぁ同時にまだ惚れてない後藤さんが存在しちゃったからややこしくなりましたけど
 もうすぐ合体しますから、ちょっと待っててください」
「むぅ……」

年下のハズの紺野に言いくるめられ、安倍は悔しそうに唇を噛む。



そして5分程の時が経ち―――

「そろそろ終わります、心の準備しといてくださいね」
209 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時41分41秒
(…ごっちん)

イモに繋がれて白目をむく後藤を安倍は少し離れて見守っていた。

「じゃあ証人たちを起こそうか」

パチン。
紺野が指を鳴らすと、倒れていた吉澤・藤本・松浦の体がピクリと動く。

「あれ…?梨華ちゃん?」
「ぅーん…まだ寝るぅー」
「……ふぁ…ミキたん?」

吉澤と松浦はすぐに体を起こしたが
藤本は猫のように丸くなると再び眠りに落ちていった。

「グッドコンニングです、皆さん」
「へ?アレ?誰?…あー!小川と高橋じゃん!梨華ちゃんは?」
「残念ですが吉澤さんは騙されたので石川さんはいません、完璧です」
「…zzz」
「藤本さんは…いっか」
「紺野ちゃんだよねぇ?愛ちゃんとまこっちゃんも何してるの?」
「愛の記憶統一大作戦やよー」
「違うよ愛ちゃん、作戦じゃなくて計画!」
「…どっちでもいいんだけど、騙されたって…ってゆーかそこの生ゴミは何?」
210 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時42分12秒
いると思っていた石川がいないことは大問題だが
それ以上に問題のある物体を吉澤は見てしまった。
ワカメのようなイモの皮を被った…人間?ってかあの胸…
梨華ちゃん並に豊満なあの膨らみ加減は……

「ご!?ごっちん!!」
「あーハイハイ、オッパイマンの起きて早々騒ぎたい気持ちもわかりますが
 さっさと終わらせたいので質問は一切受け付けません。
 ただ一つお願いがあります、黙って見守っててください。
 後藤さんと安倍先生の永遠の契りの証人になってください。以上、完璧です」

親友を胸で判別した吉澤を紺野がピシャリとやっつける。

「吉澤先輩……」
「………」

おまけに藤本を膝枕する松浦になんともいえない視線を向けられて
オッパイマンこと吉澤ひとみは顔を赤くして黙りこんだ。
211 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時42分44秒
「安倍先生、大丈夫ですか?
 今から後藤さんと対面していただきますが、ある意味これが
 2人の本当の出会いでもありますのでしっかりお願いしますね。
 もしかしたら記憶が混ざったショックですぐには先生への愛情を取り戻せないかも
 しれませんが………私は、こうすることがお2人の為だと信じていますので」

紺野の目は真剣だった。
彼女は彼女なりに後藤にしてしまったことへの責任を取りたいと考えているのだろう。
単に失敗作をそのままにしておくのが嫌なだけかもしれないが。

「愛ちゃん左もって」
「あぃやぁ、まことと初めての共同作業やわぁ」

全ての統一行程を終えたポテヘッドを
高橋と小川がイモコードを切らないように慎重に外す。

すると白目をむいていた後藤の目が1度閉じて、次の瞬間大きく開かれた。
212 名前:もう1度出会う為に。 投稿日:2003年07月03日(木)22時43分20秒
      
213 名前:のえる 投稿日:2003年07月03日(木)23時03分31秒
レスありがとうございます。

>190 jinro様
実際はまこっちゃんの特に意味のない発言をエロエロにした高橋さんがエロエロなんですが(w
エロエロも2人で分かち合うことに意味があるのだと思います。

>191 名無し読者@読み専
ちょっと楽しいというよりもよくわからないことになってしまいました(汗)
>やっぱりハイパーモードな後藤さんに統一するんでしょうね(w
ハイパー(w 後藤さんはやっぱりアチラの方が書いてて楽しいので…。

気付いたら、最近めっきりなちごまがありませんでした。
今回の話も妙に長くなってしまって途中で区切ろうかと思ったんですが
早くなちごまが書きたかったので飛ばしました(コラコラ

次回は絶対なちごま……書けるかな?
214 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時25分47秒

口笛はなっぜ〜 遠くまで聞えるの?
あの雲はなっぜ〜 私を待ってるの?

教えってー なつみーさんー 教えってー なつみさーんー♪


んあ…なつみさん……?なつ、み…なっ…ち?

「…むにゃ」
「ごっちん?起き、たべか?」
「んにゃ…」

頭が重い…誰かがごとーに話しかけてるみたいだけど
目がかすんでて誰なのやら……む?この匂い……

「なっ…ち?」
「…!ごっちん!!わかるのかい?!
 なっちのことわかるのかい?」
「そりゃわかりますよ、記憶を混ぜたのであって消したワケじゃないんですから」

紺野もいるの?んあ?なっち泣いてる?
どーして泣くの?ごとーのせい?
215 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時26分25秒
「ごっちん…!っぐす、ごっちんは、ぅっ、このおイモ星人の
 術のせいでなっちに惚れちまったんだべ…。
 そのせいで秋の前に分裂しちまって…ヒック」
「おイモ聖人…素敵な言葉です、完璧です」
「漢字間違えとるやよ」

イモの術…?なっちに惚れた?
あれ?なんか頭がグールグールまわって………


「す、す、す、す、す、すぅ…」
「「「すぅ?」」」


「好ぅっきだぁ━━━━━━━━━━━━━━━━!!!!!!!!!!!」
「キャぁ!!」

わかった!なっち!ごとーの大好きななっち!安倍なつみ!!
ベッドは?!ベッドはどこぉ!!
今ヤるすぐヤる押し倒す!!んあー!!!

「なっち!いっただっきまぁーす!!!!!」
「ひゃ…っごっちんんぅ!」
216 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時26分56秒

バシィっ!

んあ!痛っ!誰だよイイトコでごとーの頭はたきやがるのはぁ!!
MK5だったのよ?!マジで絡む5秒前だったのよ今!!

「後藤先輩、発情するのは構いませんが
 ここにはまだそこまでイッていない爽やかカップルもいますので
 続きはあちらの奥の部屋でどうぞ。それともこのまま
 皆の前で公開プレイなさいますか?」
「んぇ?」

“ド紺性”って書かれたハリセンを持った紺野に言われ
我に返ってあたりを見ると…
ごとーの下に押し倒されてるなっちと、紺野の隣で顔を真っ赤にしてる高橋と小川、
でもって少し遠くに携帯をイジってるよしこと
美貴の頭を膝に乗せて微笑んでるまっつー。

んあ…ここ、どこだっけ?…視聴覚膣…む?じゃなかった視聴覚室だ!!
ごとーたちは掃除にきて…そしたら小川に…

「んあ!小川スケベのクセにまだヤってないの?!」
「なっ!?誰がスケベですか!」
「黙れSM好きの変態の童貞!」
217 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時27分25秒
「エっSM好きでも変態でもないですよ!
 ど…童貞は…って童貞ってなんですか!たしかにそーですけどそーじゃないですよ!」
「んあ…かわいそうに…いつか高橋も毎晩のように
 小川に縛られる日がくるんだね…今のうちに別れた方がいいんじゃない?」
「ほぇ?…いやぁ…まことやったら別にぃ…
 縛られてみるのもアリかもしれんでぇ…」
「ちょ!愛ちゃんまで何言い出すの!!」
「あの…ごっちぃん」
「んあ?」

ハッ!ごめんねなっち!にわか放置プレイだったね、ごめんなさい!
だって小川ったらあんな激しくごとーのこと縛っといてシラバっくれようとしてやがるのー。

「おーごっちんおはよー。よしこ今傷心だからさー
 梨華ちゃんトコ行ってくるわ、じゃ」
「へ?ちょっと掃除は?」
「ごっちんだってイチャつくんでしょ、もぉウチのことはほっといて…」

なんかよくわからないけど、いきなり話し掛けてきたよしこは泣きそうな顔で出て行った。
ちょっとなんでよ?そんな突然に…

「さすがにオッパイマンはショックだったんですね、完璧です」
オッパイマン?
なによそのイカガワシイ名前は。
218 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時27分56秒
「ごっちん、恥ずかしいべさぁ…」

んはっ!またもにわか放置を!
ごめんねなっち!今のはよしこのせいだから!
ごとーの心はいつでもなっち行き特急エクスプレスだから心配しないで!!

「んあ、じゃあ奥の部屋行こっか」
「ホ…ホントに今からヤる気だべか、ごっちん…」
「むふ」
「後藤さん、リフォームついでにサイズは小さめですが回転するように
 しておきましたので、どうぞご利用ください」
「回転?まいーや、紺野ありがと」

ルルルっルっルっルっルゥー♪
スキップスキップランランラーン♪
ビフィズスビフィズス菌キンキーン♪

「あはっ、なっちぃ!いっぱい感じていいからね♪」
「………複雑な心境っしょ」

もぉ照れ照れリンの困ったさんだなぁなっちは。
素直にウンって頷いてよぉ、ま、そんなトコもキャーワイイんだけどぉ。
219 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時28分31秒

ガチャ

「しっつれーしまぁーす!…んあぁ!?」
「べさぁ!?」

…え?なにここ、ラブホ?

「ご…ごっちん…ここで、ヤるのかい?」
「…んあ、えーっと…」

そーいや思い出したけどここって教頭の寝床だったんだっけ。
それを考慮して紺野はごとーとなっちの愛の巣にすべくリフォームして
くれたんだろうけど……壁も照明もなぜにピンク?
ベッドなんて丸いしさぁ…んあ、ティッシュおいてあるし…。
んあ?なんだろこのボタン?押してみるか。

「ポチっとな」
ぐぉん
「っひゃあぁ!」
「んなぁ!?回転ってベッドのことかい!しかも早っ!!」

ふっ振り落とされるぅ!
なんつーか例えるなら最速時のコーヒーカップ並に回転してんだけどぉ!んあー!!
220 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時29分05秒
「ごごごごっちん!止めてぇ!」
「早すぎてボタンが押せないよぉ!」
「「きゃぁぁああああー!!」」

えぇいかくなる上は!必殺なっちの為なら安いモンさ☆命懸けスペシャルぅー!!
「んりゃぁ!!」

ごとーはベッドから足を投げ出して床の絨毯につけ、摩擦でベッドの回転を止めようとした。

「…!!そんなことしたらごっちんの足が!!」
「いいの、なっちを助ける為ならごとーの足の1本や2本…」
「ダ、ダメっしょ!なっちもやるべさ!」
「アチチ!なっちはダメ!ごとーに任せて!」
「でも…」
ボッ
「ごっちん!足燃えてるべさぁ!」
「んあ?…のわぁ!どーりで熱いと思ったらぁ!」
「早く消さないと!」

ピーピーピーピー!ザァァァァァー

んあ!火を消そうとごとーが足を絨毯から離してブンブン振り回していたら
天井の火災報知器がけたたましい音で鳴り
次の瞬間滝のような水がごとーとなっちの体に降りかかった。
221 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時29分36秒
「べさ?ごっちん雨だべ!恵みの雨が降ってきたべさ!!」
「いやこれは恵みじゃなくてただの火消し…」
「む。だってなっち今雨乞いしたもん、ごっちんの為に」
「…なっち!」

ちくしょーなんでそんなにかわいいのこの子はぁー!!
いただき…たいからこの大雨洪水警報と高速メリーゴーランドな状況をなんとかしないと!
んあぁ!愛と気合のごとーミラクルキィーック!!


スカッ・・・・・・か、空振り・・・


「…無念じゃ」
「………」

ヤバ…なっちの顔…
期待が見事に裏切られたって感じのなっちの顔…
どーしよぉ…ごとぉー嫌われちゃったかも…
222 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時30分08秒
なんかないかなぁ?
…ん?そーいやさっきからポケットにゴツッとした感触が…イモ?
なんでイモがごとーのポッケに!まいーや、投げちゃえ!
当てて名誉挽回じゃぁぁ!!

「えぃ!」

ガン!…ピタ。
やった!止まった!!

「ごっちん!すごいべさ!ナイスコントロールっしょ!!」
「あはっ」

なっちの顔が、一瞬にしてひまわりみたいに明るくなった。
これだよ…ごとーはこの笑顔が見たかったんだ。
ついでになっちの秘宝も見たいんだけど…んあ

「なっちいいよね?ごとーもぉたまんないよ」
「まだ雨降ってるべ…」
「いーのいーのどーせ濡れるんだし濡れてるし!
 寒くないよーにごとーがあっためてあげるから安心して!」
「ぁ!あん…んっあっあっふぅん…」
223 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時30分40秒
まぁなつみちゃんたらなんて感受性の強いお子さんなんでしょう!
お洋服の上から触ってるだけですのに喘いでらっしゃいますぞ!
それともごとーが上手いの?いやぁん

「ごっ…ぅん…」

ぐはぁっ!切なげな目がエロい!果てしなくエロい!
予想以上の出来だよなっち!!では脱いでいただきますたい!

「なっち…今までごめんね、ごとー全部思い出したから。
 イモじゃない…なっちが好きだよ」
「…ごっちん」

ホントはまだ全部は思い出せてないよーな気もするけど
なっちへの気持ちだけはバッチリ確認したから!
とゆーワケでぇ!いざ!秘宝館へとっつにゅー!!!

「っハァ…あっ…………あ?」

ポテ。

「・・・・・・ごっちん?ごっちーん?」
「…………」
「ごっちん!ごっちぃん!!」

224 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時31分13秒


225 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時31分45秒
「あゆ…ホントごめん」
「………」
「あゆみぃーん、あゆみちゃぁーん、そろそろ許してよぉ」
「…フン」
「あれは誤解なんだってば、好きなのは…あゆだけだよ?」

メロンの2階。
前に藤本と松浦がヤっていた部屋で、大谷が柴田の前にひざまずき
柴田の腰に手をあてて必死な顔をしている。
その様子を、後藤は1メートルも離れていない場所から見ていた。

ん?後藤?


「なんで?」
ごとーって…なっちとイイコトしてる最中じゃなかったっけ?
ここってメロンよね?あれ?アレアレ?何が起こったの?

「マサオ…」
「もう誤解させるようなこともしないから…」
「…うん」

んあ?この2人…ひんな近くにいんのにごとーの存在に気付かないのかな?
あのー、そこの柴マサさーん。
見られてますよぉー、ソファになだれこまないでくださーい。
しかもそこ、ミキアヤが使用済みですしー。
226 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時32分19秒
「…ひさしぶりだね」
「あゆ…許してくんなかったもんなぁ…」

ちょっとだから始めないでってば!ごとーがいんのよ!
目の前目の前!!
ってか久しぶりって…まさかごとーにダーツ投げてきやがった時のケンカまだ続いてたの?
最近メロン行っても斎藤さんと村田さんにしか会わなかったから
あん時の恨み晴らすのすっかりフォゲッチューだったんだけどぉ!

んあ?ちがうって!そのチューじゃないっつーの!
チュっチュっすんなゴルァ!!ごとーだってなっちとチュッチュしたいんじゃい!

「なぁっちぃぃー!!」


・・・・・・


「ん…マサ、オ」
「…好きだよ」

うわぁぁあん!なっちのトコロに帰りたいよぉ!
ごとーが何したっつーのさ!
ヤぁーらぁーせぇーてぇー!!…んあ?んのわぁ!?
今度はなんなの一体ぃんあぁー!!!


227 名前:覚醒。 投稿日:2003年07月04日(金)23時33分23秒
     
228 名前:   投稿日:2003年07月04日(金)23時35分03秒

(●´ー`)ノ
229 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月05日(土)00時51分25秒
ごっちん..。
230 名前:名無し読者@読み専 投稿日:2003年07月06日(日)08時14分29秒
Σ( ´ Д `)<こ、更新されてる!
アヒャラネーゼ、大爆笑でした。あずふぉコンでぃと高橋さんのコメントにもやられました(w
後藤さんの身にいったい何が…っていうか、ほんとに大丈夫なんでしょうか(w
231 名前:jinro 投稿日:2003年07月06日(日)11時33分40秒
おおっ!
…ごっちん…続きが気になるぅ!!
232 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時47分16秒

『ごっちん!ごっちぃん!!』
「すご…安倍先生って声出すタイプなんやの」
「…ってか、なんかちがくない?」
「後藤さんも気合充分の様子でしたから萌えてらっしゃるんでしょう。
 完璧です」
『ごっちんしっかりしてぇ!!』
「…ん?あさ美ちゃん!やっぱおかしいって!!
 悲鳴だよこれ!」  
「悲鳴みたいな喘ぎかもしれんがぁ」
「…ちょっと覗いてみますか」

涙まじりの必死な叫びに、コン・オガ・ヤヨーの3人は半信半疑で
奥の部屋のドアを開けて中を覗き込んだ。
するとそこには水浸しのピンクな回転ベッドの上で動かない後藤を抱きかかえる半裸の安倍が。

「ごっちん!ごっちん!…紺野さん!一体何が起こったんだべか?」
「先生、これを着てください」
密かに驚きながら、紺野は来ていた白衣を安倍に差し出す。
「…ありがとう、ごっちん頭でも打ったべか?」
「アヒャアヒャアヒャアヒャ…いえ、どうやらその様子はありませんね。
 貧血でもないと思います」
「ならどーして…」
「…正確なことはわかりませんが、どうやら後藤さんの意識は
 今ここにはありませんね。どこかへ飛び立っているようです」
233 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時47分51秒
「そ、そんな!なんで…」
「まさか…さっきのせいじゃ……」
「可能性は大やよー」
「……」
「「ひっ!」」
遅れて入って来た小川と高橋を紺野が一瞬睨む。

「とりあえず呼び戻してみましょう。
 こちらの体にも少し意識が残っているハズですから
 衝撃を感知させれば戻ってこられるかと思います」
「しょ…衝撃?痛いことだべか?そんなことさせないべ!
 ごっちんの体にそんなこと!」
「落ち着いてください。とにかく連れ戻して調べないと
 他の対策を練ることもできませんし、つねる程度でいいですから」
「嫌っしょ!ドメスティックバイオレンスなんて最低最悪だべさ!!」
「先生…」
「それではまこっちゃんにやってもらいましょう…Sなようですし」
「んぇえ!?」
「おぉーそれがいいわぁ」
「ちょっと愛ちゃん!いいワケないよ!」
「もぉ隠さんでもええがぁ、私も覚悟はできとるし…」
「いらないから!そんな覚悟一生いらないから!」
「縛ってもつねってもまことはまことやよ…」
「ちがーう!!」
「さ、まこっちゃん」
「だからヤだっ…」
234 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時48分45秒
両脇を紺野と高橋に抱えられ、必死の抵抗を見せる小川。
そのドタバタの横で難しい顔をしていた安倍が、決心したように立ち上がった。

「…わかった、なっちがやるべ」
「ホッ…助かった…」
「残念やったな、まことぉ」
「ではつねってください。腕の柔らかいところを思いっきりお願いします」
「…うん。ごっちん、ごめんっしょ…えぃ!」

安倍は泣きそうになりながら後藤の腕をそっと掴むと
綺麗に整えた爪で肉を刺し、思いっきりつねった。
その瞬間閉じられていた後藤の瞳がカッと開かれる。

( ゜ Д ゜)
 
「ぃんぁああー!!!」
「ごっちん!!よかったべ!戻ってきたべさ!」
「……ふぇ?…なっち?」
「そーっしょ!なっちっしょ!もぉごっちんどこに逝ってたべかぁ!!」

え?どこって…えっと…メロンにいきなり…

「なんですって?!後藤さん!それは本当ですか?」
「んあ?…ホントだよ、ごとーメロンに逝ったもん」
「べさ?メロンに逝ってたのかい?」
235 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時49分28秒
「うん。なっちの秘宝館に入場したと思ったらいきなり目の前で
 大谷さんが柴田さんとイチャこらしててね。
 ちょっと待ってよごとーだってなっちとしよーと思ってたんだから
 さっさと帰らせろやぁ!!って思ったら戻ってこれたの」
「にゅ…入場…」
「私やってぇ、まことやったら…フリーパスやよ」
「え…?」
「そこのオガタカ、お静かに。
 つまりヤろうとしたらヤろうとしてた大谷さんたちの所へ
 逝ってしまったと…う〜ん…」
「「オガタカ…」」
「雨が降ってたこととか、ベッドの回転で目が廻ってたとか
 足が燃えてたとかは、なんか関係ありそうかい?」
「基本的には関係ないと思います、しかしおイモパワーの突然変異という
 可能性も大きいので…そうだ、もう1度試しにヤってみていただけますか?
 今度は雨も回転もナシで」
「ふぇ!?公開だべか!」
「ダメぇ!かわいいなっちを見ていいのはごとーだけぇ!!」

おすまし顔でなんつー爆弾発言しやがんだこのおじゃマ〜ルシェが!!
236 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時50分20秒
「ご安心を。私くしたちは外で待機しています。
 もしまた後藤さんが飛び立ってしまったらお呼びください。
 ホラまこっちゃんたち、出るよ」
「あ、ししし失礼しました!」
「無事を祈っとるやよー」
「んあ」
ならオッケー、むしろ歓迎。
「恥ずかしいっしょぉ…」

パタン。

「ささ、なっち」
「なんか…嫌っしょ…」
「んぇえ!?なんで?!ごとーのこと嫌い??」
くそぅ!やっぱりさっきの空振りキックがぁ…!

「ちがっ!嫌いとかでなくて
 人にヤれって言われてヤるのって…なんか気が進まないべさ」
「むぅ…、それもそーだけど、ごとーは紺野に言われる前から
 したかったもん…それじゃダメ?」
「・・・ダメじゃ、ない」
「あはっ」

...............................

...................

...........


237 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時51分03秒

「それで寂しくなっちゃったのぉ?」
「…うん、だってさ…ウチだけ騙されて1人でさ…
 梨華ちゃんに会えるの楽しみにしてたのに……」

んあんあんあんあぁ!!!
今度はこっちかい!なんなの!またも入場しようとしたちょうど
その時だったっつーのに!!
しかもどこよここ…ボール?バレー部の部室かぁ…。

「だからさ、慰めてよ…」
「もぉ……」

でまたそーゆー展開なんかい!!
ホント勘弁してよ!ごとーは見たいんじゃなくてしたいの!わかる?
なっち以外の声とか体とか興味ないんだよぶっちゃけ!!

「んっ…ぁ…ひ、とみ…ちゃぁん…」
「梨華ちゃんカワイイ…」

…あ、でもでも…やっぱ梨華ちゃんてエロイ体して…
ハッ!違う誤解だよごとーに限ってそんなこと!
そーだ帰りたいって念じなきゃ!なっち、なっちに会いたい!

なっちなっちなっちなっちなっち……んのわぁ!?
238 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時51分38秒
「んぁあ!?」
「ごっちぃん!またメロン逝ってたべか?」
「…んあ、今回はバレー部の部室で…よしこたちが…」
「なるほど。やはり環境ではなく、行為そのものに
 原因があるようですね」

んぇ?!待った、ってことはつまり…ごとーとなっちがヤろうとすると
ごとーが飛んでくってこと?健全な普通のプレイでもお構いなしに?

「後藤さん…残念ですが……」
「ふ、ふざけんなよぉ!!どこの誰がどー考えても
 これって紺野のせいじゃん!なんとかしてよ!」
「ごっちん落ち着いて。紺野さん、1つ聞きたいんだけど
 飛んでっちゃうのはおいといてなんでメロンとか部室に逝っちまったんしょや?」
「…人の中にあるおイモパワーは主に感情を大きく外に出して
 いる時に発生するものなのです。
 例えば泣いていたり、チチくりあっていたり…
 後藤さんが今飛んで逝ったのはどちらもよく知る人間のところですから
 おそらく後藤さんのおイモパワーが安倍先生への入場という
 一大イベントによって最高潮に達し
 同じくおイモパワーを発動させていた仲間の元へ
 意識だけが呼び寄せられてしまったのだと…」
239 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時52分25秒
「紺野ぉ!生かしておけぬぅ!!」

んなワケわかんない説明で納得できるかぁ!!
17歳のごとーのピュアハートに傷つけやがってこのイモ女ぁ!

「でもごっちん!紺野さんのおかげで記憶が正常になったんだし!
 それに紺野さんのおイモがなかったらごっちんはなっちのことなんて…。
 運命の相手だったとしても、好きにならなかったかもしんないべさ」
「……なっち」

そんなこと…ないって、あんなイモ食べなくても
ごとーはなっちのこと好きになってたよって思うし、そう言ってあげたいけど…
自分の記憶に残るあのごとーを思い出すと
なっちを好きになるのに何年かかっていたことか…
最悪ごとーが好きになる前に、なっちを他のヤツに
取られてたかもしんない…って考えると、紺野には感謝しなきゃいけないんだ。

「んあ、紺野ごめん」
「いえ、完璧でなかった私は責められて当然です」
「もぉ喋ってもええんかの…?」
「…やっぱ外出てようか」
240 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時53分06秒
「記憶云々に関しては成功でしたし、完璧でしたが
 こうなってしまった責任は全て私くしにあります。
 後藤さんと安倍先生には大変申し訳ないことをしました」
「んあ、いいんだよ紺野、近いうちに治してさえくれれば。
 ごとーはなっちとヤりたくて付き合ってるワケじゃないし
 …そりゃしたいけど…紺野がごとーのこと治してくれるまで 
 気長に我慢するからさ」
「……ごっちん、偉いっしょ」
「ありがとうございます、では一刻も早く治すべく
 研究に勤しみたいと思います」
「あ、ちょっと待って」

クルリと背を向けて出て行こうとした紺野を、なっちが引き止めた。

「はい?」
「あの…もしその…万が一またごっちんが飛んじゃったら…
 やっぱりなっちはさっきみたいにつねらなきゃいけないのかい?」
「えぇ、体に刺激を与えることが、後藤さんに
 ゴールを指し示す手がかりとなってますので、お手数ですが…」
「…わかったべ」
241 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時53分50秒
紺野が出て行くと、いつの間にか小川たちもいなくて
ごとーはなっちと2人っきりになった。

「なっち?」
ベッドに座って呆然としてるなっちを向かい合わせで膝に乗せて
顔を覗くと、ひどくつらそうな表情。

「なっち、大丈夫、すぐ治るよ」
ごとーもだけど、なっちもできないのはショックだよね、うふふ
「…うん。治るまでは絶対我慢っしょ。
 なっちもぉごっちんに暴力ふるうなんて耐えらんないべさ…」
「んあ?暴力ぅ?」
「腕…2回もつねっちゃったっしょ…」
「んあ…ホントだ」

アレ?全然痛くなかったけどなぁ…見事に赤い跡が2つ。
そっか、刺激ってこのことか、イマイチわかってなかったよごとー。

「なっち気にしないで、ごとー慣れてるし、痛くないよ」
「…Mだったべか…?」
「ふぉ?ちがうよ!家族がバイオレンスだから!そんだけ!!」
「…ふぅん」

ちょっと信じてよ!小川に縛られて感じてなんかないからさ!
なっち!細い目で見ないでってば!! 
242 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時57分10秒
「なっち…」
「…ん」
細目なっちには何を言っても上手く伝わらないような気がして
ごとーはなっちのおデコとほっぺにキスをした。
それだけで、なっちの顔は真っ赤になって
切なげにごとーを見つめてくる。

唇を顔中に降らせた後、そっとなっちの白衣をずらして鎖骨を舐め
その少し下に吸い付いた。

「んっ…」
「これ、誰にも見せちゃダメだよ?
 なっちがごとーの大事な人だってゆー証だから」
「…うん」

恥ずかしそうに、だけど幸せそうに微笑んでくれたなっちが愛しくて
思わずなっちを押し倒してしまったごとーは屋上に飛ばされて
小川と高橋のキスシーンをバッチリ見るハメになり、戻ったら戻ったで
泣きながらごとーの腕をつまんでたなっちに思いっきり怒られちゃったとさ。



紺野…早く治してぇ…。
243 名前:にゅーぷろぶれむ。 投稿日:2003年07月07日(月)00時57分52秒
        
244 名前:のえる 投稿日:2003年07月07日(月)00時59分42秒
レスありがとうございます。

>299 名無しさん
( ´ Д `)<んあ…、な ぁ に ?

>230 名無し読者@読み専様
川o・-・)<アヒャラネーゼとはおイモ帝国の言葉で『神威のイモよ、解き放て尊(ry
後藤さん、そう簡単には幸せになれないようです。

>231 jinro様
( ´ Д `)<…ごとーだって普通になっちとラブラブしたいよぉ…。
ごっちん、ごめんね。


ある意味ここまでで第一部が終わりました。
こんな駄文を読んでくださってる方、どうもありがとうございます。
そして、これからもよろしくお願いします。
245 名前:jinro 投稿日:2003年07月07日(月)10時11分20秒
超高速回転ベッドのなちごま…。
すげえワロタ。
なかなかなっちと添い遂げられないごとーさんが可笑しくて…いやいや可哀想で(笑)。
二部も楽しみにしてますです1
246 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月07日(月)18時10分50秒
ごとーさんいい子なのにね・・。・゚・(ノД`)・゚・。

ホントおもしろいです。
続きがたのしみ。
247 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月08日(火)18時19分35秒
オガとヤヨーのコンビもいいな。
オガはあんな結び方をどこで習得したのか・・・
248 名前:    投稿日:2003年07月13日(日)02時07分06秒


「…ん……」

終わった後とか、朝目が覚めた時とか、別れ際とか
ミキたんは必ずあたしの左のほっぺたを撫でる。
つらそうに、目に後悔の色を浮かべて、たまにキスもしてくれる。


もう忘れてくれていいのに。


あの日、振り下ろした手は誰よりもミキたん自身に深い深い傷をつけた。



その傷を癒すこともできずに

縛りつけるだけのあたしは、なんて卑怯なんだろう。


249 名前:    投稿日:2003年07月13日(日)02時07分37秒



250 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時08分29秒
商店街の一角にある、喫茶メロン。
店長の斎藤瞳は、村田めぐみと細くさいたカニカマをつまんでいた。

「はぁ……ヤシガニ、あともう少しで食べられたのに…っ!」
「フン、独り占めしようとしたバチが当たったのじゃ」
「…っんな!?たしかに最初はそうだったけど
 ちゃんと村っちと分けようとしたじゃない!!
 人は誰だって間違いを犯すのよ!高級食品に目が眩んで何が悪いのよ!!」
「マサオたち…美味しそうに食べとったのぅ…」
「くっ…」

先日、沖縄の知人から送られてきたヤシガニを
こっそり食べようとして失敗し、大谷と柴田と交信教師飯田に奪い取られてしまった2人。

「おまけにレッドロブスターまで食われて…
 誰のおかげでこの店が繁盛してると思ってるの?!
 私のセクシークッキングのおかげでしょ!!」
「………」
「なんで黙るのよ!」
「最近はあゆみん目当てで来るお客さんも多いのじゃ」
「若さね…、10代最後のひとかじりを狙ってるのね…!
 でもマサオとつき合ってるって皆知ってんでしょーに」
251 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時09分36秒
カランコロン

「あ、いらっしゃいませー♪って…藤本じゃない」
「うぃーす」
「朝っぱらから何ぃ?」
「なにって…コーヒー飲みに来たんじゃん」
「はいはい、ブレンドでいい?」
「あーブルーマウンテンがいいな」
「ブルマ運転?」
「そうそ…ってどんなコーヒーだよっ!!もぉいーよブレンドで」

渾身のセクシーオーダーを藤本に冷たくつっこまれ
斎藤は傷ついた表情でカップを取り出した。
しかし、ここである事実に気づく。

「ん?ちょっとアンタ!学校どーしたのよ!
 もう10時よ!しかも私服じゃない!!」
「今日体育祭だし、美貴が出るの午後1の棒取りだからいーの」
「棒取り…懐かしいわねぇ…。
 私も昔は女を忘れて棒を奪い合ったモノだった……」
「おいマックロミキスケ、あややは何に出るのじゃ?」
「ふぇー?なんだったかなぁー?」
252 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時10分12秒
「ハッ!そうよ!!アンタちゃんとあややの応援しなさいよ!
 私も行くワ!スグ行くワ!
 村っちカモーン!!」
「お弁当はカニカマじゃ」
「えぇ!?ちょっと待って美貴まだコーヒー…ぃぃいやぁぁあああー!!
 なんかこのパターン多すぎなんだけどぉぉおおおー!!!」

気のせいです。

◇◇◇

と、ゆーワケでぇ!
やって来た来た体育祭ー!ごとーはまだ……残念ながらなっちと
抱きつ抱かれつみたいな関係に至れない今日この頃なんだけどぉー

「ごっちーん、美貴ちゃん来てるぅ?」
「んあ?いないよぉー」

先に言っとくと今は開会式中なのね、なの、なのに…

「なんで梨華ちゃんがごとーたちのクラス列に一緒に並んでるのよ!」
「ナハハ!愛の力さ!」
「…ひとみちゃぁん…恥ずかしいよぉ……」
253 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時10分52秒
今日あった授業が休講になったらしく、朝っぱらから
応援にかけつけた梨華ちゃんを後ろから抱きしめてムフフ顔のよしこ。
まぁーいつものこったけど、なっちが先生だから
そーゆーことのできないごとーは見てると腹が立ってしょーがねぇ!

「美貴ちゃんさぁー、競技1っ個しかエントリーしてないじゃん?
 団体モノと個人モノ最低1人1個ずつって決まりだからさ、無理矢理にでも出てもらわないとって
 ハ…カオリ先生が」
あらぁ、よしこちゃんたらいつもみたいにハニーって言えばよろしいのに。
「んあーそのうち来るんじゃない?
 美貴って団体棒取りでしょ?午後には来るだろーから
 リレーにでも出しときゃいーじゃん」
『あー、ゴホン』
んあ、なんだよザビエル。

『えー本日は良い天気に恵まれ、最高の体育祭日和と…
 
 (中略)
 
 ここで、今年から新しく加わる特別ルールの説明をします。』
「トクベツルール?」
「ぼかぁいつでも君にスペシャルラブさ!」
「ひとみちゃん…」
んあ邪魔くさい。
254 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時11分32秒
『と、期待させてみましたがやっぱ今年も例年通り。
 みんな女捨てて頑張ってチョ。以上』
あぁん!?ワケわかんねーよザビエル!朝からうっとーしーんじゃボケ!!

『では最初の100メートル走だっけ?に出る生徒は集合してチョ』
んあ!!しかもお前が司会進行かい!

「ごっちーん、日陰行こー日陰ー」
「んあー…」

正直に言いたい。
バカップルと一緒に日陰なんかで涼みたくないって。
教師用のテントの下でかおりんと喋ってるなっちのトコに行きたいって。

ハァ…、アホ美貴でもなんでもいーから早く来てくんないかなぁ。

「ごっちんせんぱぁーい」
「んあ?おーまっつー」
「おはようございますやの」
「おはようございます」
「んあ…オガタカも…」
そーいやごとーこないだオガタカのチュッチュリングシーン見たんだったなぁー
何気にまっつーの喘ぎ声とかも聞いてるしさぁー、んあ、気まずい。
255 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時12分11秒
「んあ、何に出るの?」
「騎馬戦と200メートルです」
「私は棒取りとリレーやよー」
「んあ、2人とも足速いの?小川は奇数組だよね?」
「はい、あさ見ちゃんも奇数ですよ、だから味方っす」

そーそー、言い忘れたけど体育祭は奇数組と偶数組に分かれて
合計得点を競う形になってて、勝った組には東大合格者のノートのコピーが配られる。
ハッキリ言って一部の子以外みんないらないって感じだし
そのコピーも結局負けた組の子にも流れちゃうから
マジで争う意味ナッスィングなんだけど……まぁ、体育祭なんてそんなモンよ。

「あたしは団体競技出れないんでぇ借り物競争だけです」
「んあ?そーなの?」
「はい、お医者さんに言われてて…」
「あーそっかぁ」
そーいえばまっつーって病気持ちだった、何のかは知らないけど。
「じゃあ応援するねぇ」
「いいんですかぁ?あたし敵ですよぉ」
「いーのいーの、まっつーはカワイイから」
「…浮気者」
「んあっ!?」
256 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時12分52秒
ひぇえ!!ななななっち!いつの間にごとーの後ろに?!

「ごっちん!浮気はダメだべ!!
 そこの高橋さんと小川さんも!2人は敵同士なんだから
 今日はイチャイチャ禁止っしょ!!戦いは…戦いとは!そーゆーモンだべさぁ!!」
「んあ…でも別に…」
「問答無用っしょ!!松浦さんの応援は特別に許すけど
 必要以上に敵に塩を送っちゃダメだべ!さ、松浦さんと高橋さんはあっちに行くべさ」
「えぇーまことぉー」
「あ、愛ちゃあん」
「ごっちん先輩!ミキたんが来たらお昼はサンドイッチだよって伝えといてくださぁい」

なっちに首根っこを掴まれて、高橋とまっつーは引きずられていった。
…あれ?そーいやよしこたちはぁー…

「ひとみちゃん、団体競技騎馬戦も棒取りも出るのぉ?」
「うん」
「怪我…しないでね」
「大丈夫だよ、心配性だなぁ梨華ちゃんは」

ハハハこーいつぅー♪とか言いながらよしこが梨華ちゃんのデコをつっつく。
んあ!もぉーヤダ!!
257 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時13分34秒
「なぁっちぃー!!!」
「安倍先生ならむこうで平家先生と話してますよ。
 はぁ…愛ちゃんが遠い……」
「…んあ、なんかごめんね?ウチのなっちが勝手なことを…」
「いえいえ、確かに敵同士ですから今日は我慢します。
 私クラスのトコに戻るんで失礼します」
「んぁーい」

トボトボと、高橋の方を見ながら寂しそうに小川が去っていくと
ゲ!いしよしとごとーだけじゃんここにいんの!!
あーもぉなっち敵教師とくっちゃべってないで
さっさと帰って来てよ!!ごとーさびすぃ!!

「ごっちんただいまぁ」
「んあ!遅い!」
「ごめんっしょ、敵陣視察してたべさ」
「むぅ…」
「あ、次紺野さんが走るみたいだよ!応援するべさ!」
「…んあ」

いつの間に始まってたのよ100メートル、まーいっか。
258 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時14分13秒
『それでは第6レース、よーいドン♪』

しかも第6…お?なんだアレ…むちゃくちゃ速い…速すぎるよ紺野!!
なのになんで前髪がちっとも風にあおられてないワケ?!
ピッチリおデコ隠したまんまじゃん!すごいよ紺野!!

「す、すごいっしょ紺野さんブッちぎりの1位だべ!
 普段はゆっくりなのに…どこにあんな力を隠してたべか!?」
『た、ただいまの記録……6秒フラット…』

ろろろ6秒フラットぉ?!世界じゃん!世界記録じゃんソレ!!
紺野ぉ!アンタ暢気におイモ商会なんかしてる場合じゃないよ!
世界陸上出ろってのマジで!!織田裕二だよ!

『放送席、放送席、こちら現場の井戸端子です。
 たった今世界新記録でゴールした1年1組の紺野あさ美さんに
 インタビューしたいと思います。
 こんにちは、すごい速さでしたね』
『全ては朝食のおイモから生まれたエネルギー、完璧です』
『ほほぅ、おイモの他にはなにか召し上がりました?』
『いえ、オンリーおイモです』
『イモ…のどのような料理を?』
『フっ。それは企業秘密でいいじゃないですか』
『そ…それもそうですね、ありがとうございました』
259 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時16分02秒
「井戸さんも頑張ってるっしょ、なっち嬉しいべ」
「んあ…最後の方声震えてたけど……」
ってゆーかおイモパワーってすげぇね、なんでもできるじゃん。

「フフフ!間に合ったかしら?あややはどこ?!あややぁー!!」
「マッシロアヤスケ出てくるのじゃ!」
「ぐふぅ…苦しい…」
「「っキャァア!?」」
ぬぉぅ!?ビックリした!さっきからなんなのよ皆!
ごとーの背後から登場すんの流行ってんのぉ?!
ってか美貴顔青いけど…生きてる…?
それによく見りゃ私服じゃん…。

「…ぉー、ごっちんおはー…」
「美貴!早かったね来るの、ごとーもっと後で来るかと…」
「無理矢理だよ!無 理 矢 理 !
 コーヒーまだ飲んでなかったのに引きずりまわされて…うぅ」
「あ、そーいやまっつーが今日のお昼はサンドイッ…」
「だからあややは?!あややは何に出るの?
 私と村っちはあややの為に来たのよ!あややをセクシーに応援する為だけに!!」
「そんだけかいっ!!」
んあ!ごとーは?ごとーの応援もしてよぉ!
260 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時16分48秒
『それでは借り物競争第3レース、よーいドン♪』

ってアラ!またいつの間にか競技が始まってるし!
ちょっと適当に書きすぎなんじゃないのー(以下強制自粛

んあ…まいーや。む?確かまっつーは借り物に出るって……

「あ!あややー!!何がいるのぉー?」
しかもちょうど第3レースだったらしく、カードを持って
立ち止まってたまっつーを斎藤さんが見つけた。

「ミキたん!来てたんだね…よかった……」
「…おはよ」
「んあ?よかった?」
テテテと走り寄って来たまっつーは美貴を見てやっぱり笑顔になる。

「あ…あのぅ…、ミキたん?」
「んー?」
「え、えっと…その…」
だけど突然、眠そうに突っ立ってる美貴の前で
言いにくそうにモジモジしだした。

「なになにあやや?ズバッと言ってごらんなさい!」
「ズバッと言うのじゃ」
261 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時17分35秒
「んあ…もしかして…」
ベタすぎるけど、『好きな人』とかゆーカードひいちゃったの?
で、美貴を借りたいとか…。

「なに?言ってみなよ」
「…ぅ、ううん!やっぱいい!!石川先輩!一緒に来てください!!」
「ふぇ…?わ、私?」
「お願いします!」
「わ、わかった!」

よしこの腕の中でウフフと微笑んでいたところを
いきなり呼ばれて、梨華ちゃんはひっくり返りそうになりながらも
まっつーと手を繋いで懸命に走り、2人は1位でゴールした。

『放送席ー放送席ーまたまた井戸です。
 ただ今1位でゴールしたあややこと松浦亜弥ちゃんにお話を伺いたいと思います。
 あややおめでとぉー♪まー皆もうわかってると思うけど一応聞くね。
 カードにはなんて書いてあったのー?』
『ほぇ?…あ、えっと…それは…』
『ハイ、かしてかしてぇー…ナニナニ、“黒い人(例:藤本美貴など)”……』
『『『・・・・・・』』』
『ヒっ!ヒドイわ亜弥ちゃん!気にしてるのにぃ!!』
『ご、ごめんなさい!』
262 名前:体育祭・午前。    投稿日:2003年07月13日(日)02時18分44秒
『しかも名指しで美貴ちゃんが例えにされてるのにわざわざ私を選ぶなんてぇ!!
 ぐすっ…うぇええええん!!』
『すすすすいません!でもミキたんはそこまで白くないけど
 黒くもないし…肩とかキレイでかっこよくて…』
『うわぁあん!どーせ美貴ちゃんは中身が黒くて私は外身が黒いわよぉ!!』
『石川先輩落ち着いて!吉澤さん!3年1組の吉澤さん!
 至急彼女を慰めに来てくださぁーい!』
『梨華ちゃぁーん!よしこが来たYO!』

「…んあ、まっつー」
美貴を選べばよかったのに…。

「亜弥ちゃんバカだねぇ…」
「んあ、お前が言うな!」


この騒ぎのせいで体育祭は30分中断され
その後ごとーはおたまにピンポン玉を乗せて50メートルを颯爽と走り
急遽エントリーした美貴も私服のまま華麗にハードルを飛び越えて
奇数組優勢で午前の競技は終了した。


263 名前:体育祭・午前。 投稿日:2003年07月13日(日)02時19分19秒
    
264 名前:のえる 投稿日:2003年07月13日(日)02時19分55秒
レスありがとうございます!
体育祭、なんかグチャグチャしててスマソ。

>245 jinro様
( ´ Д `)<んあ…実はちょっと酔ったんだよね、回転…。
後藤さん、苦労が絶えません。
早く添い遂げられるといいのですが…。

>246 名無しさん
( T Д T )<んあぁ…ごとーみっちゃんじゃないのにね…。
( `◇´)<・・・・・。
ごめんねごっちん、そのうち、そのうち必ず…たぶん(爆

>247 名無しさん
あのコンビは紺野さんに振り回されまくってますが…。
∬∬`▽´)<あれは適当にやったらたまたまあーなったんだってば!
あくまで事故である、とのことです。
265 名前:名無し読者 投稿日:2003年07月14日(月)11時56分37秒
いつ見ても、何度読み返してもおもしろい。
あやみきの間に謎の関係も出てきたりして続きが気になるばかりです。
当方あややヲタなので、幸せになってほしい(w
266 名前:ランチタイムに颯爽と。 投稿日:2003年07月16日(水)14時45分51秒

「亜弥ちゃん、飲み物ある?」
「あるよ、コーヒーと紅茶どっちがいい?」
「コーヒー」
「はぁい」

体育祭の午前の部が終わって、ごとーたちはグラウンドの隅でお昼タイム。
もちろんなっちも一緒なんだけど…

「毒だべか?砒○だべか?敵にお弁当を作ってくるなんて…」
「んあ、まっつーはいつも1人暮らしの美貴の為に…」
「ほぇ?1人暮らし?…そーだったべか」
「だから許してあげてね。
 それよりごとーにもあーんしてよぉ」
「え…あ、えーっと…あ〜ん」
「んぁ〜ん」

あはっおーいすぃー!!!
実は昨日約束してて、なっちはごとーの為にお弁当を
作ってきてくれたのぉー!!
これがまた信じられないくらいおいしくてぇ!
ごとー泣いちゃう、幸せすぎて怖いよぉ!!
267 名前:ランチタイムに颯爽と。 投稿日:2003年07月16日(水)14時46分27秒
あ、ちなみによしこと梨華ちゃんはここにはいない。
さっきの“黒い人”事件で心に大きな傷を負った梨華ちゃんが
日焼け防止の為に(んあ、手遅れなんだけど)室内でご飯を食べると言い出した為
よしこがバレー部の部室に連れてったんだ。
今ごろイチャついてんだろーな、ご飯そっちのけで。

あとついでに斎藤さんたちは勝手に店を休みにして来たらしく
梨華ちゃんの通報でやって来た柴田さんに引きずられて帰って行った。

「ミルクとお砂糖は?」
「いつもと同じでいいよ」
「はぁい」

あ〜横もイチャついてるなぁ。
まっつー嬉しそ。美貴、ちゃんとイチャつきなさいよ。

「ごっちん、竜田揚げっしょ」
「んあー」
ムフーん、好きぃ〜タツタもなつたもどぁーい好きぃ〜♪

「次は何が食べたい?」
「んあ!なっち!!」
「もぉ…いきなりなに言い出すべか…」
「いただきぃ!!」
268 名前:ランチタイムに颯爽と。 投稿日:2003年07月16日(水)14時46分59秒
うふ♪チュっチュっチュチュチュっサマぁなっち〜♪

「んぅ!…ごっち…やめ……!」
やめな〜い、午前中よしこたちに見せつけられて
ごとーはもぉ我慢の限界なの。リミットブレイク再びなの、んあ。

「おーごっちん若いね〜、じゃあ美貴も」
「ふぉぇ?…キャっ……はぅ…耳…だめぇ…」

んあ、耳か…、さすが黒美貴イイトコつくね!ではごとーも…
「ひゃう!!んんやぁ!そこ…やぁ!」
「んあ!?ごごごごめん!!」

真似してなっちの耳をペロンとなめたら、肩に乗ってたなっちの
手にすごい力がこもって、足や首をバタバタふって抵抗された。
なるほどなっちの弱点は耳か、ついでにまっつーの弱点も。

「ば、ばかぁ…こんなとこでぇ…」
「んあ…」
そーだそーいえばここグラウンドだ、
周りにいっぱい人いるのに突然野外プレイしちゃってごめんね。
謝罪の意を込めて、真っ赤になって震えるなっちの頭をそっと撫でた。
269 名前:ランチタイムに颯爽と。 投稿日:2003年07月16日(水)14時47分38秒
「あ…はあっ…ミキた、ぁん…」

お、こっちはまだまだつづいてるねぇ、ってか押し倒してるし…。
下砂だけど固いしさぁ、ピンクの敷物ひいただけだからまっつー痛いんじゃない?
いちおー頭の下には美貴の手があるけど。
耳なめて胸ももんじゃって…まさかここで最後までヤる気?

ごとーの腕の中で2人に背をむけてちっちゃくなってる
なっちは耳攻撃のダメージからかボーっとしてて後ろの絡みに気づいてない。
こりゃあ…ごとー止めた方がいいの??
でもまっつー的には止めないで欲しいよね…。
あぁ!!ごとーはどーすればいいのぉ!!

と、その時

「おーいそこのオオカミッキー!皆に見られてるぞぉ〜」
「…んん?」
「んあ?」

微妙なあだ名で呼ばれた美貴が、心底邪魔臭そうにまっつーの
首筋から顔をあげた。
それにつられてごとーもクルリと首を回す。
270 名前:ランチタイムに颯爽と。 投稿日:2003年07月16日(水)14時48分14秒
するとごとーの目の前に、馬のように綺麗な足がっ!!!
うぉ!目が離せない!!なんだこの足はぁ!?

「まいちゃん!!」
「うーすミッキー、応援に来たよん」
「く、来るなら来るって電話してよ!ビックリしたじゃん!!」
「フフーン♪だって急に時間が空いたんだもん」
「え…でも今日は……」

ぬぉ!?里田先輩かぁ…素足から放たれる神々しい輝きに
一瞬心奪われちまったぜぃ…危ない危ない、なっちが飛んだままでよかったぁ。

抱え込んだまっつーの体ごと起き上がった
美貴は本当にビックリしたらしく目をパチクリさせてる。
その腕に閉じ込められてるまっつーを見ると、気まずそうに固まっていた。

んあ…ごとーは美貴から里田先輩とのホントのこと聞いてるけど
聞いてないまっつーとか、周りの野次馬たちにしてみりゃ
修羅場チック乱闘モードになってもオカシクない状況じゃん!
その証拠にバタコが!!ごとーの視界の端にデジカメを構えたバタコが見える!!!
271 名前:ランチタイムに颯爽と。 投稿日:2003年07月16日(水)14時48分51秒
「さっきドタキャンされた、まー薄々わかってたからいいの」
「……まいちゃん」
「ハハっ、なんでミッキーがそんな顔するのぉ。
 大丈夫だって」
「うん…」
「あ、亜弥ちゃんだよね?初めまして、里田まいでーす」

なぜか沈む美貴とは対照的に、里田さんは明るい声で
美貴の腕の中のまっつーに声をかける。
すると周囲からおぉっというどよめきと、バタコのデジカメのシャッター音が聞えた。

「…は、初めまして。松浦亜弥です」

めちゃくちゃニコヤカな挨拶&頭もヨシヨシと撫でられて
戸惑いまくりのまっつー。ってか美貴、そろそろ離しなさいよ。

「なぁーんかいっつもミッキーの話聞いてるから
 初対面って感じしないやぁー。ミッキーの言う通りカワイイねぇ」
「え……ミキたんが…?」
「だぁあ!まいちゃん余計なコト言わないでよ!!」
「むぉっほー、照〜れちゃってぇ♪」

緊張感に包まれた周囲とは裏腹に、甘酸っぱい雰囲気を醸し出す3人。

これでまっつーや周りの勘違いもなくなるかなぁ?
とりあえず、バタコは後でシメとこう。
272 名前:ランチタイムに颯爽と。 投稿日:2003年07月16日(水)14時49分22秒
「え〜っと後藤さんだよね?久しぶりぃ」
「んあ、お久しぶりです」
「アレ?もしかしてその腕の中のキュートガールは……」
「んあ?あ、なっ…」
「なっち先生だよね、ミッキーから聞いてる。
 やっとごっちんが本気になったーって嬉しそうにいってたから」
「あらイヤン」

美貴ったらぁー、ごとーはいつでも本気乃輔よぉ〜
ってかアンタこそさっさと本気になりなさいよ!!
何年まっつー待たせる気だ!んあー!!

「ミッキー出るの棒取りよね?」
「うん、ごっちんもよっすぃ〜も、亜弥ちゃん以外皆出るよ」
「へぇ、じゃあ亜弥ちゃん一緒に見ていい?
 それ終わったら帰るから」
「ふぇ?…ふぁ、はい!」
「フフフ、そんな怯えなくても取って食ったりしないわよぉ
 ミッキーに殺されたくないし」
「…帰るの?」
「バーイート!心配しなくていいってば」
「別に…そんなんじゃ…」

んあ〜なんか新鮮、美貴が幼く見える。
ごとー病気かな?
273 名前:ランチタイムに颯爽と。 投稿日:2003年07月16日(水)14時50分31秒
なぁーんか美貴と里田先輩も色々あんだねぇ。
人生イロモノ…じゃなかった人生色々とはよく言ったモンだよ島倉さん。
ねぇなっち

・・・・なっち?

「なっち??なぁーちぃー?そろそろ帰っておいでぇー」
目開いたまんまでどこいっちゃったのぉ?
「なっちー!愛してるってばー」
ヤバっ、マジで帰って来ない。どーしょ?

「基本はキスよ、ブチュっとかましてごらんなさいな」
「んあ!イイコト言った!!」

ハイ!黒美貴、里田さんに座布団1枚差し上げて!!
そーだよキスだよ!さっきもしてたのに基本を忘れるなんて
ごとーったらおバカさん!

「んあ、チュ〜…」
「…ん?べさ?ごっちん?アレ?なっちは何を…?」
「え、っとお昼寝してたんだよ、ホラよだれが…」
「カオは思うの、嘘つきは泥棒の始まりだって」
「んあ!?」
「あー飯田せんせー久しぶりでーす」
「やっほー里田、相変わらずだね」
274 名前:ランチタイムに颯爽と。 投稿日:2003年07月16日(水)14時51分05秒
「ちょっ!?どーゆー意味ですかそれー?!」
「そんなことよりなっち、騎馬戦出てくれる?理数科は
 人数少ない上に井戸さんが放送部に拘束されちゃって2人足りないの」
「…拘束?ま、いーべ、なっち出るっしょ」
「んあ!?ちょっと待ってよ!騎馬戦なんて危ないモンに
 なっち出させるなんてごとー許せないよ!!
 どーしてもって言うならごとーも出る!なっちを守るのはごとーだもん!!」

なっち護衛隊長ごとーまき!
なっちの為なら命懸けられます!!完璧です!んあー!!!

「よかった、2人足りないからごっちんが出るって
 言ってくれなかったらカオが出なきゃいけなかったんだ。
 じゃあよろしくね」
「んあ!!」
「べさ〜」

「何気にハメられてるわよ…2人とも…」
 
んあ、里田先輩がなんか言ってるけど
「なっち!ごとーが絶対守るからね!!」
「うん!信じてるべさ、ごっちん」


そして、午後の競技が始まった。
275 名前:ランチタイムに颯爽と。 投稿日:2003年07月16日(水)14時51分45秒
   
276 名前:のえる 投稿日:2003年07月16日(水)14時53分57秒
>265 名無し読者様
レスありがとうございます。
こんなアフォな話を1度よんで頂けるだけでもありがたいのに
読み返してくださるとは…泣きます。すごくすごく、最高に嬉しいです!
あやみきのお話は少し時間がかかるかもしれませんが
幸せにしますのでどうぞよろしくお願いします。
あ、ごとーさんも幸せにしないと(爆
277 名前:265 投稿日:2003年07月16日(水)21時17分36秒
更新キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
うああ、すっげぇ嬉しいです。
毎日日課です。楽しみです。
更新きてなかったら軽く凹みます(w
ごとーさん共々、幸せにしてあげてください!いつまででも待たせていただきます!
278 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時35分31秒
「んあ!まずは棒取りだね!
 よしこ!美貴!気合入れて逝くよ!!」

偶数組のヒヨッコになんか1本だって棒を譲らないぞぉ!

「それじゃあ行ってくるよ」
「気をつけてね…絶対、無事に帰ってくるって約束して」
「約束するよ、この手に勝利という名の
 ブーケを持って必ず君を迎えにくる。
 だからそれまで、ウチを信じて待っていておくれ」
「うん、待ってる!」

んあ、聞いてねー。

「ミッキー頑張ってねぇー」
「頑張ってね、ミキたん」
「…まいちゃん、美貴がいない間亜弥ちゃんに
 変なコト言わないでよ」
「えぇー?変なコトってなにぃー?
 ちゃんと仲良くしてるから大丈夫よ!ねー亜弥ちゃん♪」
「ぁ、はい!大丈夫です!」
「………亜弥ちゃん怯えてんじゃん。
 肩の手離しなよ」
「あらもぉミッキーったら独占欲強いのねぇ」
「んなっ!?そんなんじゃないよ!!まいちゃんのバカ!」
「ウフフ、かーわいー」
279 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時36分11秒
「んあ!!どいつもこいつも聞いてやしねぇ!」
「ごっちん、なっちが聞いてるっしょ。
 頑張ってくるべさ」
「んあ…やっぱごとーにはなっちだけだぁ〜。
 ごとーの勇士、しっかり見ててね!!」
「ファイトだべぇ〜」

んあ!行ってきまぁーす!!


「後藤先輩」
「ん?あぁ、紺野も棒取り?」
「はい、棒取りの鬼と呼ばれた時代もありましたので。完璧です」
「…ほぉ、それは心強いね」
「むこうには高橋先輩がいらっしゃるので
 おそらく<フォーメーションフクイ>か<訛りの陣>でくるかと
 思われます。ですのでこちらは
 あえて真ん中を捨てて<フォーメーションコンコン>でまず左右を攻め、
 次に<おイモの陣>で相手を後ろから……」
「フンフンなるほど…そこでこうね…。
 いやぁさすが紺野、頼りになるぅー」
「そんな…お恥ずかしい限りです」
「おーいごっちん始まるよぉー」
280 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時36分49秒
「んあ!今作戦会議中だからちょっと皆集まって!
 ハイ、紺野に注目ー」

------説明中------

「でもそれだと真ん中の1本を捨てるってこと?
 どーせ勝つなら全部取りたいなぁ…」
「2本とりゃ勝ちなんだからいいじゃん」
「まぁーそぉだけど…勝負師としてはさ…」
「あーごめん、美貴勝負師じゃないし」
「んあ!ゴチャゴチャ言わないの!とにかく勝って
 なっちに奇数組優勝をプレゼントするんだから!!」

『後藤、後藤聞える?』
「んあ?!」 

なに?!いきなり頭の中にかおりんの声が!!
姿はいっこも見えませんのに!

「ごっちーん?どしたのぉー?」
「フリーズしちゃったね」
281 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時37分20秒
『後藤、これからカオリの言うことよく聞いて。
 棒取りの棒ってさ、全部で3本あるでしょ。
 でそれぞれに赤い布がついてるのは知ってるよね?』
「んあ…知ってる」
『だけどよく見て、真ん中のあの1本を』
「むぅ…?あれ?なんか他のより小さくない?」


『そうなの…実はアレなっちのパンツなの。しかも ヒ モ パ ン 』


はぁ?!ヒ・・ヒモパンぅ?!?

「なんでよ!!なんでなっちのおパ…っがあんなとこに!!
 ってかヒモパンて!なっちがそんなの履くワケ…」
『矢口がね、初授業が終わった記念にプレゼントしたらしくて
 ちょっとした手違いで棒に括りつけられちゃったの』
「んあ!!どこの世に棒取りの棒にパンツ括りつけるなんつー手違いがあんのよ!!
 さっさと普通のに代えてよ!ねぇ!!」

その前にプレゼントだとぉ?・・・やぐっつぁん、グッジョブ。

「…なんかパンツパンツってでかい声で叫ばれると恥ずかしいなぁ」
「へぇ、よっすぃーってばかわいいトコあるじゃん」
282 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時38分04秒
『もう間に合わないよ、時間だもん。
 だからね、アレがなっちのヒモパンだってコトを、
 なっちがああ見えてヒモパニストだってコトを他の子に
 知られたくないなら、あの棒を必ず取って』
「………」
『…ごっちん?』
「んあ!!紺野!!!」
「わかっています、完璧です。
 しかし敵も弱くはありませんから、左右の戦力を削るワケにも…」
「心配御無用!真ん中にはごとー1人で行く!
 なっちを守るのはごとーなんだから!
 手助けなんていらないよ!!」
「しかし1人で乗り込むなんて危険過ぎます」
「いーの!誰にも触らせるもんか!
 なっちの…なっちのヒモパン……」


『フフフ、上手くいったよ。
 これで奇数組の完全勝利決まったも同然だね…フフフフフ』

「飯田先生…罪なお方です」

 
◇◇◇

283 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時38分38秒
『さぁー棒取り始まりました!
 解説はまたまた井戸端子がお送りさせていただきます。
 
 おぉっとぉ!
 開始早々偶数組が3本にまんべんなく攻めこんだのに
 対し、奇数組は左右2本取り狙いなようです!
 これは完全に勝つ為の戦略ですねぇ……ん?おや?
 あれは…ななんと!!奇数組から約1名!たった1人で
 真ん中の棒に向かっている選手がいます!!
 あれは…後藤さん!3年1組の後藤真希さん(ほんのり魚顔)です!
 なんて無謀な、いや勇敢なんでしょう!
 たった1人でどうする気なのでしょうか!?
 これは目が離せません!!!』


「おーミッキーの言ってた通り面白いねぇ、後藤さんって」
「あの…」
「んー?」
「その、里田先輩大人っぽくて綺麗ですね」
「へ?私?親父っぽいはよく言われるけど
 あんま大人でもないよー、綺麗っつったら亜弥ちゃんも
 ミッキーだって綺麗じゃん」
284 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時40分16秒
「…でも、羨ましいです、里田先輩」
「そぉ?こんなかわいーあややにそんな風に言ってもらえるなんて
 光栄だなぁー」
「里田先輩は大人だから、あたしなんかよりずぅっと大人だから。
 だからミキたんも、安心して甘えられるんですよね…」
「あ…亜弥ちゃんもしかして私とミッキーの仲
 勘違いしてない?ミッキーから何も聞いてないの?」
「・・・・・」
「…そっかぁ、ならこれだけは言っとくけど
 私とミッキーはそんなんじゃないよ。
 ただ今の私にはミッキーが必要で、私の方がミッキーに甘えてるんだ」
「先輩はミキたんのこと…」
「好きだよ、でもそれはあくまで友達としてね。
 いるからさ、一応。私にも他に守ってあげたい人が」
「……ぇ…?」
「もっと信じてあげてよ、ミッキーのこと。
 まぁ黒いことばっかして隠しちゃってるけどさ、
 ホントのミッキーは真っ白で優しくて、結構一途な奴だって 
 亜弥ちゃんが1番よくわかってるでしょ」
「…でも、ミキたんはあたしには何も言ってくれなくて。
 今傍にいてくれてるのも、あたしに負い目を感じてるだけで…」 
「亜弥ちゃ…」
285 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時41分08秒
『おぉーっと後藤さん!棒を掴むだけでなく
 巻かれている布を噛んでいます!恐るべき勝利への執念!!』

「んあぁぁあぁぁあああー!!!!!」

『これはすごい!20人近くはいると思われる偶数組の
 選手たちを引きずったまま自陣に棒を持ち帰るつもりのようです!!
 おや…?他の2本はすでに奇数組が獲得した模様ですね、
 これで奇数組の勝利は確定しました!
 しかし偶数組の選手がどんどんと後藤さんの棒に群がり始めています!
 完全敗北だけはしないという心意気ですね!!
 ところでなぜ奇数組の選手は後藤さんを助けに行かないのでしょうかっ!?
 もう勝ったからそれでいいということでしょうか!?』

「手助けはいらないと言われたからです、完璧です」
「それはそーだけど…助けた方がよくない?」
「アハハハ!!イャハハハハ!ごっちんサイコー!!
 美貴お腹痛ぁーい!!!」
286 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時43分06秒
「ごっちぃん!ごっちんもぉやめるべさぁ!!」

「後藤先輩ごと担ぎ上げるやよー」
「んあぁぁああ!!っぐ!ヒ、モパ…だけでも!!」

『後藤さんピンチです!棒にしがみついたまま担ぎ上げられて
 しまいました!まるで生贄です!!
 …ん?しかしなにやら口を懸命に動かしています!
 一体何をしようというのか?!』


「すご…アハハ!後藤さん最高だねぇー」
「……はぃ」
「あ、ごめん話の途中に…。
 えっとさ、私の口からじゃ何言っても意味ないと
 思うけど…大事にされてるよ、亜弥ちゃん。
 すごく大事にされてる。だってミッキーにあんな優しい顔させちゃうんだもん。
 だからもっと自信持って」
「………」


『ご!?後藤さん暴れています!!
 そしてなんと!口に咥えた布をとうとう棒から
 引き剥がして食べてしまいました!!飲み込んではいないようですが
 お口モグモグが止まりません!よく味わっています!!』
287 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時44分24秒
「んんんんあーモグモグんあぁぁああー!!!!!」

『おぉ!飛んだ!突然棒から手を離して勢いよく飛びました!
 無事着地&どこか満たされた顔で自陣に戻って行きます!!
 皆さん!どうか暖かい拍手を!!
 棒は奪えませんでしたが勇気溢れる若人に大きな拍手を!!!』

「ごっちんのバカぁ!!!
 なんて危ないことするべさ!なっち心臓止まるかと思ったっしょ!!」
「んんぁモグぁんあ…」
「む?何言ってるかわかんないっしょ。
 喉につまっちゃうから早く出すべさソレ」
「モグぅ〜」
「どしたのさ?そんな激しく首振っちゃって…
 なっちの前じゃ出せねぇっていうのかい?」
「……きゅーん」

「よっすぃー、ごっちんどうしちゃったの?」
「さぁ…」

『とゆーワケでぇ!見事2−1で奇数組の勝利と…え?
 どうしてです?……ペナルティー?
 そんな!ちょっと待ってください!!』

「ちっ…飯田先生の余計な目論見が裏目に出たようです」
『イタタ…、あれ?なんかカオ急にお腹痛くなってきちゃった。
 バイバイ紺野』
288 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時45分08秒
「ごっちん!出しなさい!!」
「んんぅあ!!!」

『…まことに残念なお報せですが…、たった今ザビ…じゃなかった
 校長から棒取りの棒と布は一心同体であり
 ソレを引き剥がす行為は反則である、という意見がありました。
 よって反則を犯した奇数組の勝利は無効。
 しかし1人で戦い抜いた心意気は立派であるとして
 ……ただいまの勝負は…引き分けということに…』

「ハァ!?引き分け?!ちょっと待ってよ!
 ごっちんは別にワザと引き剥がしたワケじゃ…」
「あらー、まぁ美貴はどっちでもいーけどねぇ、
 勝ってももらえるのはノートのコピーだし」
「そーゆー問題かよ!ごっちんのあの意味不明な頑張りを無効にするなんて…!」
「まぁまぁオッパイマン。
 ぶっちゃけ後藤先輩はワザと引き剥がしたんですよ。
 愛の為…と言えば聞こえはいいですが…
 どちらかと言うとただのエロ心ですし、完璧に」
「へ?どーゆー意味?」
「実は…」


◇◇◇

289 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時45分44秒
「ったく、そーならそーと言ってくれりゃいーのに」
「んあ…だって知られたくなかったんだもん」
「ギャヒャヒャヒャヒャヒャ!アッハハハッハー!!!ヒっヒモパっハぁー!!」
「んあ!美貴うるさい!」

そんなに笑うことないでしょぉ!
なっちがヒモパン履いてなにが悪いのよまったく!

「だ、だってあの顔でヒモパンって!
 ありえないよ実際!!アハハハハ!」
「なんだとぉ!!」
まぁーでもその気持ちはよくわかる、うん。

紺野が気を利かせてなっちを離してくれたから
ごとーはやっとヒモパンを口から出して、大事にたたんで
ポケットの中に入れた。

んあ…パンツもいーけどさぁ、ごとーは早くその先に
触れたいワケなのよねぇ……。

「ま、次の騎馬戦頑張ろ、美貴ちゃん笑ってないで応援よろしくね〜」
「っひぁー!ハァっ…はぁ…はいよー」
290 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時46分24秒
足をバタバタさせてお腹を抱えたまま、美貴は
里田先輩とまっつーのいる観覧席へ戻って行った。

んあ騎馬戦か、なっちを守るぞぉ!!
ついでに勝つ!なつみの為に勝ぁつ!

『さぁー気を取り直して、騎馬戦です!
 あ、ここで臨時ニュース、匿名希望のディアーさんより。
 ザビエルはラブリーヲタである。…?
 なんなんでしょうこれは?…えーっとまいーや
 では騎馬戦スタぁート!……?校長先生?どうしたんですか?
 え?さっきのはなんだ?だからあれは臨時…キャア!
 ちょっ!?やめてください!!いやぁー!誰か助けてぇー!!!』

「おっしゃぁなちごま!バリバリ行くぜ!!」
「んあー!」
「べさー!」

バタコの悲鳴でスタートした騎馬戦。
本来は下3人なんだけど、ごとーは極力なっちを
他人の手に触れさせたくなかったので
よしこと2人でなっちを持ち上げている。
よって隣は下4人でちょっと歩きにくそう…んあ、ごめんね。
291 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時48分01秒
「なっち!無理しなくていいから後ろから
 襲われないように気をつけてね!」
「わかったべ!」

んあ、それにしても…ごとーはなっちの左足を
持ってるワケなんですが…や、柔らかい、たまりませんなぁコリャ。
ムムム手が勝手に動いちゃうよ…なっち、なっち…

「ふわぁ!ごごごごっちんどこ触ってるべさ!…あん!」
「ゴルァごっちん!!津田三蔵かアンタは!!」
「んあ!?失礼な!ごとーあんなスッピンの食い倒れみたいな顔じゃないよ!!」

それにごとーは警察官でもないし!
なっちだってニコライ2世じゃないんだから!!

「そーゆー意味じゃなくて!!」
「ひゃあ!ふ、2人ともそんなマイナーなネタで言い合いしてる
 場合じゃないっしょ!後ろに敵がいるべ!!!」
「んんあ?!?!なっちに触らせるかぁ!このスケベぇ!!」
「スケベはごっちんでしょ!いったん逃げるよ!」
「んあ!ごとーはただ本能に忠実なだけだい!」

あはっ、ごとーってば野性的〜♪
292 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時48分33秒
「だからっていきなり下から襲うなんて何考えてんの!
 そーゆーことは体育祭終わった後にしてよね」
「んあ、よしこはさっきお昼返上でイチャったかもしんない
 けどさー、ごとーは全然だったんだからしょーがないじゃん」
「なっ?!なんでイチャってたって知って…」
「ごっちんキスしてきたし耳だって舐めたっしょ。
 全然なんて嘘だべさ」
「足りないもん!!」

わかってよなっち!
よしこたちは絶対部室で最後までヤりやがったのよ!
ごとーだって、ごとーだってぇ!!

『ハイ!そこまで!騎馬戦終了です!
 見事最後まで生き残ったのは…ななんと安部先生だけですね!
 よって今度こそ文句ナシに奇数組の勝利です!!』

んあ?もう終わり?ごとーたちだけって、他の子は…皆倒れてる。
ごとーよしことの言い合いに夢中で気づかなかったけど
そーとーひどい戦いがあったにねぇ。

あ、小川だ…大丈夫かな?
「小川ー?アンタ誰にヤられたのぉー?」
293 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時49分23秒
「……誰って…皆後藤先輩たちに蹴散らされたんですよ…」
「んぇ?マジで?」
「安倍先生の手見てください、敵味方問わず大量の
 ハチマキ持ってるでしょ。後藤さんがギャーギャー言ってる間も
 先生は冷静にハチマキ取ってたんすよ」
「完璧だべ」

ゴッソリ

「んぉう!?なっちいつの間にそんな取ったのぉ?!
 すごいねぇ!ごとーホレ直したよぉ」
「よくその小さい手でそんなに…先生カッケー、吉澤も惚れるっス」

なにぃ!!聞き捨てならぬぞよしこぉ!!
ってか騎馬戦終わったんだからさっさと手ぇ離しなさい!
おや?あれは…

「 ひ と み ち ゃ ん 」

「へ?…あ、梨華ちゃーん」
「 浮 気 者 」
「ゲ!今の聞いて…」
「許せないぃ!Y字バランスキックー!!」
「痛っ!ちょっと待っギアァアアア!!」

フン、いい気味ですぞ。
もっとシバいたってや、石川はん。
294 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時49分57秒
「ごっちん、そろそろ降ろしてぇ」
「んあ?」
おっと、よしこから奪いあげて抱っこしたままだったねぇ。

「いいじゃん、ごとーもっとこうしてたい。
 このまま観覧席戻ろ」
「恥ずかしいっしょぉ…」

ムフフ、その照れる顔好き、また襲いたくなっちゃうー

「おーお疲れー」
「お疲れ様ですぅ」
「ただいまぁ、里田先輩は?」
「帰ったってぇー、美貴が来たらもういなかったよ」
「ふぅん、風の様に現れて去っていったねぇ」
「ごっちん、もぉいいっしょぉ?」
「まだダメぇ〜」
「むぅ…ん?ポケットからなんか出てるっしょ、なんだべコレ…」
「んあ?!そ、それは…」
ヤバ!大事に入れといたヒモパンがポッケからハミパンだわ!

「っ!?ヒモパっ?!しかもコレなっちが矢口にもらったのと
 同じヤツっしょ!ごっちんのかい…?」
295 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時50分29秒
「ふぇ?いや、だからぁー…」
「べべべべさ?!?コレなっちのでないかい?
 ヒモのトコに“なっち”って名前書いてあるっしょ!
 間違いなくなっちの字だべ!!
 ごっちん!こんなのどこで……ハッ!まさかさっき食べてたのはコレっしょや!
 信じらんないべ!ごっちんの変態!!!」

ガーン!!ヘ…変態…
ごとーが変態…うぅ…ショックが大き過ぎますぞぉ…

「もぉごっちんなんて知らないべさ!離して!!」
「…!?待ってよなっち!これには深い事情が…」
「フン!」
なっちはモノスゴイ顔でごとーを突き飛ばすと
スタコラと遠くへ走って行ってしまった。

「誤解だってば!なっち!なっちぃ!!!」

うわぁーん!!なんでこうなるのぉー?!
ごとー泣いちゃうー、ってか泣いてるぅー!

296 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時51分09秒

「…こりゃまた大変なコトになったねぇ」
「ごっちん先輩、なんで下着なんか…」
「あーそれはカクカクシカジカでぇー…」

「梨華ちゃぁん!だから違うんだよぉー」
「何が違うの!全然わかんないぃ!」

「うええぇぇん!なっちのバカぁー!!」

ちょっとはごとーの話聞いてくれたっていいじゃんよぉー!
ひっく、誰のせいだちくしょー・・・んあ?
んあ!!かおりんのせいじゃん!
あの野郎!ハメやがったな!!

「飯田圭織ぃー!出てきやがれんあぁー!!!」





この日、かおりんは早々と退散していたらしく
ごとーの悲痛な叫びだけが虚しく響き、奇数組優勝で体育祭は終了した。


「んあ!なぁっちぃー!!!」

297 名前:体育祭・午後 投稿日:2003年07月18日(金)23時53分03秒
 
  ( T Д T)ノ       (●`ー´)  
298 名前:のえる 投稿日:2003年07月18日(金)23時54分21秒
>277 265様
ににに日課ですか、ありがとうございます。
凹ませないようサクサク更新で頑張りたいと思います。
あ、ごっちんも好きですよ、なっちも、ミキティーもメロンも(w
( ´ Д `)<んあ、節操ナシ。
はい、ごめんなさい。
299 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月19日(土)12時52分24秒
ヘタレ二人は仲良く誤解されてますな。(W
そしてあやみき…負い目とは一体…
ますます続きに期待しております。
300 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月19日(土)15時55分32秒
ふじもってぃも合わせてヘタレ3人という説もアリ…(w
301 名前:jinro 投稿日:2003年07月20日(日)15時08分04秒
ケンカの原因がヒモパン…。ワロタ。
302 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時21分51秒
「殷(ア)、ル(周)、プス(東周)、春秋戦国(いちまんじゃく)
 秦(こ)、前漢(やり)、新(の)、後漢(うーえで)♪」
 
体育祭の翌日、一見平和な3年1組。
しかし………

「っていう風に『アルプス一万尺』のメロディーに合わせて
 最後の清王朝まで歌うと覚えやすいっしょ。
 30個以上の王朝があって大変だけど皆頑張るべさ」
「はぁーい!ごとー明日までに覚えるよ!!」
「・・・・・」

プイ。

「んあっ?!なっち!!」
「さて次は郡国制と郡県制の違いについてだけども
 これは皆大丈夫かな?説明できる人手ぇあげるべさ」
「ハイハイハイハイ!!ごとーできます!」
「・・・・・」

プイ。

「じゃあ藤本さん」
「えぇっ!?な、なんで美貴が?!」

と、終始授業はこんな感じである。
303 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時22分30秒
「ぅ〜…なっちぃ〜…」

そりゃぁ、確かにごとーはなっちのヒモパン大事に持ってたよ?
よく噛んで食べもしました。

だけど!だけどそれはなっちの為であって!!
決して己の性欲に突っ走ったが故の行動ではないワケよ!
なっちを守る為、愛の為に仕方なくだったの!!
つーかかおりんに突然あんなコト言われたらさぁ
ごとーじゃなくても皆ああするってぇーマジでぇー

はぁ…しくったよ、ホントしくった。

「ちょっとごっちん、さっさと仲直りしてよ。
 美貴にとばっちりきてんじゃん」
「んあ…ごとーだって早く仲直りしたいっつーの。
 美貴黒いクセに頭いーんだから当てられても平気でしょ?
 たまには真面目に授業受けなさい」
「ぶぅー」

ぶぅーはごとーのセリフだぃ!
文句なら原因作りやがったかおりんに言ってよねぇ!
304 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時23分33秒
・・・んあ、でも今日かおりん休みなのよ。
朝のショートでいなくてさぁ、『どーしたのー?』って美貴が
なっちに聞いたら『交信日だから』って・・・。

嘘だ!絶対嘘だね!!
ごとーから逃げやがったに決まってるっつーの!!!

でもね、でもそのおかげで
かおりんの英語が自習になるらしくってー
プチハッピーを噛締めるごとーさんなワケなんですけど

「んあ!なっちと喋りたいぃ!!」

キーンコーンカーンコーン♪

「…今日はここまで、明日続きやるから予習忘れちゃダメだべ」

ガラッ ピシャッ

「・・・早っ」
「最短記録じゃない?いっつも終わった後
 ごっちんと喋って次の授業に遅れそーになってたもんねぇ」
「んあぁ……」
305 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時24分06秒
やっぱりさっきのプチハッピー取り消しぃ!!
全然ハッピーじやないよごとー、不幸のどん底だぃ!

「まー次は自習だしさ、まったりでもして元気出しなよ」
「…んあ」
「ってゆーかよっすぃーまで何凹んでんの?」
「……梨華ぁ…」

そっか…よしこも誤解されたままなのか。
ってかさぁ!おかしくない?
なんでごとーとよしこがこんなに不幸な身の上で
ドス黒美貴だけ平和な日々を送れるのよ!
不条理な世の中に嫌気さしまくりだ!

「でもさぁ…梨華ちゃんが怒るのって初めてじゃないし
 よしこも仲直りのコツは大体つかめてるでしょ?」
「そりゃね、少しそっとしといて
 甘い言葉とキスを添えて謝ればいーのはわかってるけど
 このそっとしとかなきゃならない時間がツラすぎる…
 あぁっ!梨華ちゃん…!」

そーそー、梨華ちゃんはそれでいーのよねぇ。
でもなっちはさー、ごとーとなつみさんはさー。
306 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時24分48秒
初めてでしょぉ?こーゆーの。初ゲンカなのよ。
いやケンカって言ってもなっちが一方的に怒ってるだけなんだけど…。
しかも理由がヒモパンで、ごとーはかおりんに
ハメられたワケであって……。

「もぉごとーどうすればいいのかわかんないよぉ…」

キーンコーンカーンコーン♪ガラッ

「んあ?」
「授業始めるべ」
「んあぁ?!」
なっち!?なんでなっちがまた…?

「せんせぇー、この時間は英語の自習ですよぉー?」
「わかってるっしょ、なっちが英語教えるんだべさ」
「んえぇ?!?なっち英語も教えられるの?!
 すごぉい!!カッコいーよなっちぃ!」
「・・・・・」

プイ。

「…皆教科書開くべ」
や、やっぱり態度はそのままか・・・。
307 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時25分26秒
でもなんか…ごとーもちょっと腹立ってきた。
だってなっち大人げなさすぎない?そんなトコもかわいーけどさぁ。 

よし決めたぞ、この時間になにがなんでも
なっちをごとーに振り向かせてやる!!

「…と、このように“ultra”っていうのは日本語でいう
 “超”のことなんだべ」
「んあ!ってことは“超カッコイイ”を英語にすると
 “ウルトラクール”になるのぉー?」
「・・・ではこの“超音波光線”の英訳を…」
「ハイハイハイハイ!」
「・・・・・」

プイ。

「…藤本さん」
「えぇ!?また美貴ぃ?!」
んあなっちー!ごとーの手が見えないのかよぉ!!

「 藤 本 さ ん 」
「…っしょうがないなぁ、えーとウルトラサウンドレイ?」
「正解っしょ、では次の“反射衛星砲”を…」
「ハーイなっち!ごとーわかるよ!」
「藤本さん」
「だからなんで美貴がっ!……リフレクティングサテライトキャノン」
308 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時26分29秒
「次、“大噴火投げ”を藤本さん」
むぅ、そうきたか…。
「…スーパーボルカイックイラプションチャック」
「“おっぱいミサイル”を吉澤さん」
「うぇぇええ!?いきなりっすか?!しかも“おっぱいミサイル”って…」
「わかんないべか?」
「んあ!バストミサイル!!」
「・・・・・」

プイ。

「“bust”という単語は英語では“ブッ壊れる”とか“破壊させる”
 といった意味が一般的なのでこの場合は“乳房”の“boob”を使って
 “boobmissile”にしたほうがいいべ」
「単数形でいいんですか?」
「べさ、井戸さんいい質問っしょ。形容句中の名詞とか
 技の名前には必ず単数形を使うんだべ。
 だけどこんなヤラしい言葉を堂々とデカイ声で叫べるような
 人にはならないように、皆気をつけるっしょ」 

ガーン!気をつける前に叫んでもぉたがなぁ!!
うわーんどんどんなっちに嫌われていくぅー!
309 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時27分06秒
嫌われるって思ったら、急速に目頭が熱くなる。

「ぐすっ…うぇぇ…うえぇぇん……」
ダメ、こんなトコで泣いちゃダメ、なっちに授業の邪魔になっちゃう。
「ひぃ〜ん…」
くそぉ!止まれよ涙ぁ!止まれぇ!!

「…あ、ごっち……」
「先生!いくらなんでもヒドイっすよ!
 ごっちん泣いちゃったじゃないですか!!」
「やめてよよしこ!ごとーが悪いんだから!なっちを怒鳴ったりしないで!」
「でも…」
「いーの!!」
「ごっちん…」
ほっといてくだせぇ!
ごとーは今泣き止もうと頑張ってるんだから!

「ところで先生、ケンカの原因がある特殊な形状の下着であると
 小耳に挟んだのですが、本当ですか?」
「…ふぇ?」
「んあバタコ!そんなのガセに決まってんでしょ!」
「しかし後藤さんのジャージのポケットから
 ハミ出ていたモノを見た子の話もとれていますし…
 それによるとどうやら下着はヒモパ…」
「んあー!!!それ以上言ったら殺す!
 大体アンタ棒取りの実況中にごとーのコト魚顔って言ったでしょ!」
310 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時27分41秒
「言ったわよ!だって事実を報道するのが私の仕事だもの!!」
「んだとぉ!バタコのクセにぃ!!」
廊下に出ろやぁ!骨の髄までボロボロにしたる!

「2人ともストップ!落ち着くべさ!」
「ぐわぁ!?」
「んあ!トメ子止めるなぁ!」
「だ、誰がトメ子だべか!なっちはなつみ、安倍なつみっしょ!!」

んあ…?アレ?バタコへの怒りで周りが見えなくなってたけど
いつの間にかごとーったらなっち抱きしめられてない?
こー、後ろからグワっと。

「んあ…なっち」
「…ちがう」
このあったかい感触とごとーのお腹に
回された小っちゃいお手ては間違いなくなっちのモノ。

コレはチャンスだ、神がごとーに与えたもうた最後のチャンス。

「ごっ…ふわぁ!?」
ごとーはスグに振りかえってなっちを思いっきり抱きしめた。
「なっち…」
あぁなっちー!
「ちがうってば」
・・・ん?アレ?
心なしかなっちの肩がガッシリしたよーな…
311 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時28分16秒
「だからちがーう!!」
「んあ?…ふぇ?みみみ美貴ぃ?!?」

ビックリして抱きついてた体を離すと、目の前に黒美貴のドアップ。

「ななんで?!だってあの手は間違いなく…」
なっちのだった!
黒美貴の汚れた手なんかじゃなかった!

「サンドイッチだよ、美貴が具」
「んあ?」

言われて見ると美貴の後ろになっちがいて
美貴越しに伸ばした手でごとーの服をキュっとつかんでる。
顔は俯いてて見えなかったけど、真っ赤な耳はハッキリと
ごとーの網膜に焼け付いた。

「なにがサンドイッチじゃぁ!どけや黒美貴ぃ!!」
「ぐぇ!?」
「ぎゃぁ!?」
「なぁっち!!」
こっからは言わなくてもわかるでしょ。
ごとーは速攻で美貴を放り投げ、今度こそなっちを正面から抱きしめた。
312 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時28分48秒
「なっち…」
「………」
「なっち、好きだよ」
「………」
「ここじゃ、ちょっと言えないけど
 どうしてあんなコトになったか、後でごとーの話聞いてもらえないかなぁ?」
「……聞く」
「あはっ、ありがとぉ」

んあよかったぁ〜、これでなんとか仲直りできそう。

「ごめんね?ごっちんのコト、泣かしちゃったべ…」
「んん?いいよぉそんなの。それより
 ごとーのコトもっと信じてよ、ごとーの気持ちもさ。
 いつか結婚して…ぅふになるんだし」
イヤン!今のセリフ恥ずかしい!!

「む?鯉のエサになるべか?」
「んあ?それはおフでしょ」
「将棋の駒?」
「それは歩」
「寝る時かける?」
「毛布」
「木綿絹ごし?」
「豆腐」
「アチャーアチャーアチャー」
「んあ!カンフー!!ってそうじゃなくてぇ!」
313 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時29分30秒
「熱いラーメン?」
「フーフー、そう!それ!夫婦になるんだよなっち!」

ポッ。

「ご、ごっちぃん・・・」
「だからさ、ごとーのコト無視しないで?
 ちゃんとごとーのコト見てよ」
「…うん」
そーと決まれば早速仲直りのチューだ!んっチュ〜………




「…あの、ごっちん、美貴ちゃんと井戸さん
 息してないんだけど……」

んあ、後でよしこの聞いた話。
ごとーが力任せに投げた美貴は、突然絡み始めたなちごまみきを
スクープしようとデジカメを構えていたバタコに直撃し
2人とも泡を吹いてお倒れになったそうな。

んあ、ごめんなさい。
314 名前:初めてのケンカと仲直り。 投稿日:2003年07月21日(月)18時30分52秒
   
315 名前:のえる 投稿日:2003年07月21日(月)18時31分56秒
レスありがとうございます!

>299 名無しさん
(0T〜T)ノ<梨華ちゃぁん…。( `▽´)<フン!
( ´ Д `)<んあ、よしこも大変ねぇ…。
あやみき…あまり期待しない方がいいかと。シリアスぶっても
作者がアフォなのでアフォな話にしかなりませんから(ww

>300 名無しさん
川;VvV从<み、美貴はヘタレじゃないぞぉ!
ヘタレは自分じゃわからない。
あともう1人、作者んも合わせてヘタレ4人という説も(w
お、もぉ300か。このスレで終われるかなぁ?(爆

>301 jinro様
実際に(〜^◇^)さんがクリスマスにあげたヒモパンを
履いていない(●´ー`)さんに、是非履いて欲しいという気持ちから
ケンカの原因にしてしまいました。
ごっちんごめんね。
316 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月24日(木)22時21分59秒
仲直りしてよかったです!にしても面白すぎ。
藤本さんはなぜいつも不幸せなのでしょう。
のえるさん、続き、期待して待ってます。大好きです。おもしろいです。
317 名前:    投稿日:2003年07月25日(金)12時43分24秒

「…zzz…zzz」


『ミキたん!!』
『…っうるさいな!もうほっといてよ!!』

『待ってぇー!!待ってミキたん!』
『ついてくるな!……っあ!?危ない!!!』
『…!?ッキャアア!!』


「―――っ亜弥ちゃん!!……ハァッ…ハァッ…っ…夢、か」



たまにこうして、夢に見る。

あの日、亜弥ちゃんの左頬についた、大きな大きな赤い痕。
とっくに消えたハズなのに、フとした時
美貴の目には未だその痕がハッキリと映し出されて。



愛シイ、愛シイ、愛シイ君ニ

消エナイ、消セナイ、赤イ痕。


318 名前:     投稿日:2003年07月25日(金)12時44分05秒



319 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時45分28秒

「あーいのあーいのあーいのあーいのれっきしはぁ♪」
「おーいまっつー!」
「だっ…ぁ?ごっちん先輩!おはようございまぁす」

んあー今日もいい天気ぃー♪とルンルン気分で歩いていた
ごとーは、少し大きめの鞄を抱えたまっつーを発見。
ちなみにただ今午前9時、日曜で学校は休みだから
いつもなら絶対グースカなんだけど……。

「おはよ、…美貴のトコ行くの?」
「はい、絶対暇してると思うんでぇマンガとか持ってくんです」
「…あの、ごめんね?前回のアバラの時といい今回といい
 美貴のことボコボコにしちゃって…」
んあ、今回はついでにバタコもなんだけど。

「んーワザとじゃないんですし
 不謹慎ですけどこうやってミキたんの世話やくの楽しいんで
 特別にオッケーです☆」

まっつーアナタいい子だね、ウィンクまでしてくれて
毎度のコトながら黒美貴の世話やくのが楽しいなんて…。
320 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時46分16秒
「でもぉ、やっぱりちょっと怒ってるんでぇ
 コレ持ってください。ごっちん先輩も病院行くんでしょ?」
「んあ…」
まっつーはニコニコしながら鞄をごとーに持たせ
軽くなった体でスキップをする。

まっつーの言う通り、ぶっちゃけ加害者なごとーは
病院に行って美貴とバタコに謝りに行くとこなのだ。
にしてもあれぐらいでプチ入院なんて…ヤワな体よね、あの2人。

「あ、そーだ。前から思ってたんだけど
 そのごっちん先輩って言い難くない?先輩つけなくていいよ」
「え?でも…」
「今更まっつーにごとー先輩って呼ばれるのもカユいし
 ごっちんでいーからさ」
「は…はい、ごっちん」
「ついでに敬語もいいからねぇ」
「…うん」

あはっ、顔赤いぞぉ?照れちゃってかわいーなぁ。
321 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時46分52秒

( `.∀´)<キリキリキリキリ…。

んあ!?まっつーとテクテク歩いて
病院に着くと、猫目の、なにやら鬼気迫る顔の看護婦さんが
入り口で仁王立ちしてる・・・ハッキリ言って、すんげぇ怖い。

「保田さぁん、おはようございまぁす」
「キリキリ…ん?その変になまったイントネーションの“ございます”は
 あやや!!あややなのね!」

んあ、さすがまっつー。この看護婦さんと知り合いらしい。
でもなんなのこの人、目力強過ぎ。ギラギラしてるよ。

「アラ!お隣さんは新顔ね!もとい新魚顔ね!!」
「んあ?!誰がシンギョガオだ誰が!!」
「オホホ!アンタしかいないでしょ!
 私に噛み付こうなんざ100億年と312日早いわよ!
 なぜならケメ子は1日にしてならず!!」
「んなっ!?誰が噛み付くかケメ子なんかに!……ってアレ?」

ケメ子?ケメ子…んあ!!いつも美貴が話してるケメ子ってコイツかぁ!!
322 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時48分02秒
まぁーかなりキャラが濃いとは聞いてたけどここまでとは。
ケメ子…要チェックだ。

「あのぉ、ところで保田さん何してたんですか?」
「ホホ!ホ……あぁ!!いけない!私ったら
 すっかり忘れてたワ!藤本が脱走しやがったのよ!」
「「だ、脱走!?」」
「そうよ!ご丁寧にこんなモン作って見回りの看護婦騙して!!」

そう言って手品の如くケメ子が取り出したのは
頭にカツラを被った水色の羊のヌイグルミ。
胸元の名札には、美貴の字で“みきう〜る”と書かれている。

「ミキたん…まだコレ持っててくれたんだ…」
「んあ?まっつーがあげたモノなの?」
「いえ、昔パパがクリスマスにプレゼントしたんです。
 一緒にあたしにも“あやぴょん”っていうウサギのをくれて…
 小学校高学年ぐらいまでコレがないと寝られなかったんですよぉ、ミキたん」

あれま、黒美貴にもそんな時代があったのね。
ソレ抱いて寝てる美貴なんて今じゃ考えらんないけど。
323 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時48分55秒
「へぇーあの藤本がねぇ…ってそーじゃなくて!!
 ここに来たってことは2人は知らないわよね、藤本の行方。
 ってかさっきあややの家と携帯に電話したんだけど」
「あ、病院行くんで電源切ってました。
 家にはママがいたと思いますけど」
「ええ、いらしたわ。だから今頼んで家に帰ってないかどうか
 調べてもらってるのよ」

う〜ん…ごとーが思うに家じゃないっポイよなぁ。
だってわざわざ手の込んだマネして帰るような家じゃないし
…って何気に失礼だったか、黒美貴ごめん。

「もしかして…里田先輩のトコかも…」
「んあ…」
「サトダ?誰それ?」
「ミキたんの先輩です、あたし電話してみます!」
そう言ってまっつーは携帯をパコパコと操作する。

んあ、番号知ってんの?あ、体育祭の時に交換したのか。
こりゃバタコが知ったら絶対食いつきそうなネタだねぇ。

『もう食いついています、完璧です』
324 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時49分34秒
んんんんあぁぁ!?!紺野!!
ったく紺野もかおりんもいっつも勝手にごとーん中入って来ないでよねぇ!

『いいじゃないですか…私と後藤さんの仲ですし』

どんな仲よ!小1時間問い詰めたろかホンマにぃ!

『まぁまぁ、それよりあのポプラの木に隠れている
 井戸先輩ほっとていいんですか?」

んあー!!

「ゴルァ!バタコぉ!!長期入院させたろかんあぁー!!」
「ひっ!?ぎゃぁあ!後藤さん違うの!
 コレは決してデジカメなんかじゃないし、コッチもムービーメールなんてとんでも…」
「2つも使っとるんかい!!いいからよこせぇ!」
「きぃぃやぁああー!お母様助けてぇ!!」

カッポカッポカッポ…

「ΘΩΧ=κ?」
「んあ?」
「お、お母様!」
お母様?いやお母様はいーんだけど今の何語??

聞き覚えのない言語に振り返ると、バタコそっくりのオバサンが
ごとーを見下ろしている。
325 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時51分23秒
顔思いっきり日本人なのになんで英…語じゃないな、どこの国だろ?
その前になんで竹馬乗ってんのよ?

「Ψξ!」
「はぁ?いや何言ってんのかサッパリ…」
「私の娘に何をする?って言ってるのよ!」
「へ?なんでわかんの?バタコ頭おかしくない?」
「し、失礼ね!娘なんだから分かるに決まってんでしょーが!」
「んじゃオバサンに伝えてよ!
 おたくのお嬢さんがパトラッシュしやがったから 
 勝手に撮ったモンよこせって!!」
「なっ!?それを言うならパパラッチでしょバカ!!
 パしか合ってないじゃないの!
 ちょっと待ちなさいよ、今伝えるから…」

バカだとぉ!んあ!バタコだけには言われたくないよ!!

「εξΧκΖογγφ〜ι」
「φ〜?!ικΩοΨ……ΧΞΠωσ」

んあ〜聞いてるだけで頭痛い、さっさと終わらんかな。
326 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時52分38秒
「あの、後藤さん」
「んあ?」
「お母様が直接お話がしたいと…」
「んぇ?してもわかんないよ」
「私が同時通訳するから。さ、お母様」
カポカポとごとーを見下ろしながら近づいてくるバタコ母。
まったくなんなの!この親子は!!

「μσΨ?」
「本気ですか?」
「んあ?本気って…本気に決まってんじゃん!
 変な記事書かれても困るし!」
「…ωωω…ΘοξΦυ…」
「でも、アナタもこの子の女の子ですし…」
「はぁ?」
女の子?いや関係なくなくないソレ?
ごとーはただ盗み撮りしたモノをよこせと…

「Χυβδτ刄ト…ΛΨεγ…」
「お嬢さんをくださいというアナタのお気持ちは…大変嬉しいのですが…」
「んあ!?誰がいるかこんなモン!!」

何をどう訳したらそんな話になるのよ!!
もーいいからさっさとよこせ!フン!!
327 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時53分46秒
「あぁあ!ヒドイわ後藤さん!」
「やかましい!…ぇーっと…コレでよし。
 くだんないことしてないで寝てろっつーの」
「…ぅうう…ベストスクープが…。
 ぐす、いいわ、お母様行きましょ」
「чйб〜」
「交換日記からでいいなら…」
「だからいらんっちゅーに!!」

あれ?そーいやごとー何しにきたんだっけ?
うーんとぉー・・・

「あぁ!美貴とバタコに謝りに来たんだ!」
だけど美貴は脱走でいなくて、バタコはパパラってたから…

もう帰っていいかな?

「ごっちん!ミキたん里田先輩のトコにいたみたいなんですけど」
「んあ?みたい?」
「昨日…夜中にマンガ喫茶で会って、でもすぐミキたんは
 帰ったらしくて…」
「じゃ家にいんじゃないの?」
「それがママに聞いたら確かに1度帰ってきた跡があるけど
 今はもういないって」
「んあ…」
328 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時54分48秒
どゆこと?あのアホは…自分のしてるコトがどんだけ
まっつーに心配かけるかまだわかんないのかな!!
ごとーは全然心配してないけど、ええ、正直。
だって沖縄のに比べたらねぇ…心配する価値1円もないよ。

「どこ行っちゃったんだろ?ミキたん…」
「歩き回れるんなら大丈夫なんじゃない?
 たいした怪我もしてないんだし、ねぇ、ケメ子さん?」
「まぁね、井戸さんはお母さんからのたっての希望で
 藤本はお家の人がいないから念の為ってコトで入院してただけだし
 体は大丈夫だと思うけど…」

と、ケメ子がまっつーの肩を抱いたその時――――

「保田君、逃げた患者はまだ見つからないのか?」
「ひゃ!?ブブブブラックチャック先生!」
「あ、先生おはようございまぁす」
「ブ…ブラチャックぅ?」
「む?ブラックチャックだ」
どっちでもいーよ、なにこの人?蒸し暑い日本の夏に黒のコートなんか着て…
ん?ってか…よしこ?よしこじゃん!髪半分白いけど。

あの、一言言っていい?
どーなってんの?この病院。
329 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時56分40秒
「アッチョンブリケ」
「んあ!?」
「あ、ピノコちゃんもおはよ」
「ピ…ってんあ!?なっちじゃん!何してんのこんなとこで?!」
「なっちって誰やのよ?」
「いや…アナタなっちでしょ」
「違いますよぉ。この子はブラックチャック先生の助手の…」
「嘘つけぃ!どこの病院に赤いワンピに
 クマのヌイグルミ抱いた助手がいんのよ!しかもこんなかわいい!!」
「やかましいワよ新魚顔!
 病院で大声出すんじゃないの!」

んあ?ケメ子だって出してんじゃんか!
もーいや、この病院嫌い、ごとーやっぱ帰る。

「あら亜弥ちゃん、今日は検診ないわよね?どうしたの?」
「カルテ先生!ミキたんのお見舞い…だったんですけど」
んあ!?次は梨華ちゃんかいな!
「あ、ごっちん、この人があたしの担当の先生で
 ブラックチャック先生の奥さんなんですよぉ」
「へぇー…」
へぇーどころか深夜時代のはぁ〜並にどうでもいい情報ありがとう。
それじゃ、さようなら。
330 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)12時57分25秒
ほんのりお疲れ顔でごとーは病院を出る。
いちおー美貴にメールしとくか。
おや?なっちからだ…なになに『おはよ〜ごっちん♪アッチョンブリケ〜』

「んあ!?!やっぱさっきのなっち?!
 なぁっちぃー!!」
「ピ、ピノコだもん!アッチョンブリケ!!」
「んふぅ〜今更隠さなくても〜」
「ちょっ!?離しなさい!新魚顔!!」
「んあ!邪魔すんなー!」

「そっか、脱走しちゃった患者さんって美貴ちゃんだったのね。
 私昨日出張で今来たトコだから知らなくて」
「ミキたん…怪我してるのに…」
「そんなに心配しなくても、美貴ちゃんのコトだから
 そのうちプラっと帰ってくるわ。
 お家帰って待ってた方がいいんじゃない?」
「…そう、ですね」
「元気出して、大丈夫だから」
「はい…」

「ちぃ!こうなったら最後の手段よ!
 ブラックチャック先生!この魚サバいちゃってください!!」
331 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)13時00分00秒
「んあ!魚言うな!!」
「メス」
「んあぁ!?オペってここですんのかい!
 ってか離せぇ!ごとーは健康だぃ!なっち助けてぇ!!」
「だから人違いだって言ってるのよさ」
「出刃包丁」
「んえぇ?!ででで出刃ぁ!?やめてぇー!!
 せめてなっちとヤるまではたとえ天国でもお断りぃー!!」

「じゃああたし帰ります。失礼しました」
「車と、あと転ばないように気をつけてね」
「わかってますよぉ」
「あ!あやや!このヌイグルミ藤本に渡しといてちょーだい!」
「…はい」
「ホホ!それじゃーね!」

「いぃやあああぁあああー!!!」

保田とカルテに見送られ、病院を去る松浦。
そして、絶対絶命のピンチに立たされた後藤。

果たして藤本はどこに消えたのか?
後藤はこのままサバかれてしまうのか?

「ホホ!次回に続くワ!!」

332 名前:病院へ行こう! 投稿日:2003年07月25日(金)13時01分24秒
    
333 名前:イタズラコンコン。 投稿日:2003年07月25日(金)13時03分39秒


後藤の悲鳴が病院に響く、少し前のコト。

『なぁっちぃ〜、電話だよ〜』

自室のベッドでスヤスヤと眠る安倍を
電車で鳴ったら末恐ろしいぐらいサムいであろう着信音が起こす。

「zzz……べさ…む?…んん、朝だべか…」
『早く出ないとスネちゃうぞぉー』
「んーわかったべ、今出るべさ」

電話の着信音と会話するという奇怪な行動をしながら
安倍はムニャムニャと枕の横の携帯を手に取った。

「もひもひ…」
『おはようございます、紺野あさ美です』
「ふぇ?紺野さん?どーしてなっちの番号…」
『全知全能のおイモに不可能は無い…とだけ申しておきましょうか」
「は、はぁ…」

とだけ申されても全くワケがわからなかったが
あえてここは流すコトにする安倍であった。
334 名前:イタズラコンコン。 投稿日:2003年07月25日(金)13時05分08秒
「で、なんか用があるのかい?」
『用と言いますか、先生と後藤先輩のますますの御発展を願いまして
 1つアドバイスをさせていただこうかと』
「アドバイス?なになに?教えてほしいっしょ!」

この時、なかなかの食いつきを見せた安倍に
電話の向こうの紺野がほくそ笑んでいたコトなどわかろうハズもなかった。

『簡単なコトなのですが、後藤先輩にメールを打つ際にですね
 特に意味はない一言を最後に添えてみる…とか』
「む?例えば??」

ここだけの話、紺野はすでに腹を抱えてのたうちまわっている。
 
『…そうですね、まずは手始めにアッチョンブリケなんてどうです?』
「あ!それなっち知ってるべ!
 ピノコちゃんっしょ!」
『えぇ、きっと後藤先輩も喜んでくれると思います。
(私は喜びませんがね…)』

おそらく誰も喜ばない。
335 名前:イタズラコンコン。 投稿日:2003年07月25日(金)13時06分10秒
「そうだべか?ごっちん喜んでくれるべか?」
『もちろん、完璧です。
 では今から早速打ってくださいね。
 それと、このコトは先生と私だけの秘密ですよ。
 特に後藤さんにはトップシークレットです』
「わかったべ!わざわざありがとうっしょや、バイバイ」

プチ。

パコパコと、紺野の親切なアドバイスに感謝しつつ
安倍は後藤にメールを送る。

「これで……よし」

ごっちん起きてるかな?喜んでくれるかな?
フフフ、返事が楽しみっしょ!

ニコニコしながら携帯を閉じて、布団を干そうと窓を開ける。


紺野に騙されたコトや
そのせいで後藤がサバかれそうになっているなどとは
露にも思わずに、空を見上げた安倍の笑顔は今日も輝いていた。
336 名前:イタズラコンコン。 投稿日:2003年07月25日(金)13時06分50秒
   
337 名前:のえる 投稿日:2003年07月25日(金)13時08分11秒
>316 名無しさん
レス&大変ありがたいお言葉ありがとうございます。
仲直りはしたものの…(ry
言われて初めて気が付きました(爆 藤本さん不幸せですね(w
たぶん黒いからです。
( ´ Д `)<大好きだって。
キャ(爆爆


流しついでに少し雑談を。〜興味のない方はすっ飛ばして下さい〜

先日フと金板を覗いたら前作がまだご存命だったので
初めて(かな?)全部通しで読み返してみたのですが、終始石川さん以上の
ブリザードに襲われ、凍え死ぬかと思いました。
ギャグ(?)は寒いワ誤字は多いワ『おふぇんす』ではシングルだったなっちのベッドが
『でぃふぇんす』でセミダブルになってるワ…。
でもおバカなお話だったおかげかキザなシーンが無いのが唯一の救いでした。
338 名前:のえる 投稿日:2003年07月25日(金)13時09分26秒
元ネタ(全体的なストーリーの)の無いモノを書くのは
初めてだったのに、「なっちのコトが大好きな後藤さんが保田家に侵入する」
という考えだけでその後の展開を1ミリも考えずにスレを立てたあの頃は
まさかあんな話になるとは思ってもみず…。

ここで言うのもなんですが、そんなその場のノリと勢いだけで書いた話を
読んでくださってた方、本当にどうもありがとうございました。
ぶっちゃけましてまだあやみきのラスト以外ちゃんと決まってない
『すとれい しーぷ』も、どうなるかわかりませんが(マテ)どうぞよろしくです。
339 名前:jinro 投稿日:2003年07月25日(金)13時51分55秒
( ´ Д `)<新魚顔…?

 ワロタ。ハライタイ。
340 名前:66 投稿日:2003年07月25日(金)17時35分41秒
久しぶりに来たらすっごい大量更新(w
ニヤニヤしながら楽しんで読みましたw
これがバスの中とかだったらぁゃιぃ人に思われただろうなぁ…
続き、読むのは遅いかもしれませんが待ってますw
341 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月28日(月)06時38分14秒
なっちが卒業なんて。やだよー!
342 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月31日(木)23時43分36秒
続きに期待
343 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時34分52秒

「じゃあまずは内臓摘出しようか」
「はい、先生お願いします」
「んあっ!?ななな内臓?!やめてよ!
 ごとーの内臓を取る必要なんてないぞう!なーんちゃって」
「プ」
「ダメね、笑えないワ!さ、先生さっさと…」
「なっち笑ってんじゃん!ブラとチャックの先生も
 何気に下唇噛んでるしさぁ!!ねぇ!もぉやめてよぉ!」
「だからなっちじゃないのよさ」
「…ブラックチャックだ」

「だぁあ!!いー加減にっ……!」

「あら、あなたそろそろ打ち合わせの時間よ。
 遊んでないで行きましょ、ピノコちゃんも」
「ん?そうか」
「じゃあ行くのよさ」
「んあ…」
「ホホ!命拾いもとい魚拾いね!!」
「だから誰が魚だよケメ子ぉ!」
「アンタよ!」

んあ…切り返し早っ!!
344 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時35分48秒

「ホホ!また来るのよ!」
「んあ!2度と来るか!」

ふぅ…。無事切り刻まれるコトなくごとーはケメ子に
見送られて病院を出た。
もーすぐ8月だってのに外は涼しくて
なのにちゃっかり蒸してるのが腹立たしい。
まー日本だからしょーがないか、さっさと帰ろう。

テクテクテク…

あ、そーいやまっつー先に帰ったみたいだけど
(あの状況でごとーを見捨ててくなんて何気にヒドイよね)
大丈夫かな?美貴のコト捜し回ってたりすんのかな?
うーん……

ハッ!危ない危ないもーちょっとで家の前通り過ぎるトコだった!
こんなんご近所のオバハンにでも見られた日にゃぁ
「アラ、後藤さん家の真希ちゃんったら相変わらずヌけてるわねぇ」なんて
ありもしない過去の失敗談まで添えて
地域新聞のトップ飾るトコだったよ、あぁ怖い。
345 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時36分51秒
ガラッ

「んあ!ただいまー……むぅ?」

なんか中が騒がしい。おかーさんカラオケでもしてんのかな?
でもそろそろお店行く時間だろーに…

『ローマァンティックこっいっのぉー花さくぅ浮かっれっモォードォ♪』

ゲ。
この声は…いやまさか……そんなコトあるワケ…

『しーじょぉーさっいーだいのぉー恋が♪…あっ!ごっちーん!!』
「んあ、ぐぇ!」

神様、いるなら嘘だと言ってください。
ごとーは酒臭い黒美貴なんかに抱きつかれちゃいないって。
目の前に猿のケツ程赤い黒美貴の顔なんかあるワケないって。

『ごっちんお帰りぃー♪ご飯にする?お風呂にする?
 それとも美貴にするぅ?』
「・・・・・・」
『イヤン、美貴がいいだなんてぇー』
「んあ!絶対いらん!!死んでもいらん!
 ってかマイク通すな!十分聞える!」
346 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時38分04秒
「あー真希お帰り、美貴ちゃん来てるわよ」
「見ればわかる!おねーちゃんなに未成年に朝っぱらから
 酒飲ませてんのよ!!」
「だっておかーさんがよかったらコレ美貴ちゃんにって
 芋焼酎置いてったからさー、飲ませてみました☆」
「えへっ☆飲ませてもらっちゃいましたぁー」

もー嫌。何?今日ってごとー厄日だったりするの?ねぇ。

「美貴!病院大騒ぎになってたっつーのに
 なんでごとーの家になんかいんのよ?!」
「ちょと真希!家になんかとは失礼よ!訂正なさいな!!」
「んあ!ねーちゃんは黙ってて!」
「えぇー、なんでって言われてもぉー」

んあ!ごとーの足にモジモジすんな!

「まっつーもメチャクチャ心配してたし、きっと
 今ごろ美貴のコト捜して歩き回ってるよ」
「えぇ!?それはダメだよ!亜弥ちゃん1人?誰か一緒にいる?」
「1人に決まってんでしょ、なんなのいきなり…」
顔近づけないでよね酔っ払い、酒臭いっつーの。
347 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時39分08秒
「ひっ!?1人?!1人で歩き回ったりして
 転んだらどーすんの!?怪我したら危ないじゃん!!
 責任取れるのごっちん!!」
「はぁ?」

大分酔いが回ってる美貴はいつもよりさらに過保護さん。
ってかなんでごとーが責任取るのよ!
取るとしたらアンタでしょーが黒美貴!!

「け、怪我して血が出たりしたら……し、死んじゃうよ!
 亜弥ちゃん死んじゃうよぉ!!」
「うぐぇ!?ちょっ…美貴落ち着いて!
 そんな簡単に死ぬワキャないでしょ、車に轢かれたとかならまだしも…」
「ひぃッ!?ひひひ轢かれたらヤバイって!
 確実に死んじゃう!だって亜弥ちゃんはっ…」

『ごっちぃ〜ん、電話だべ〜』 

「む?誰だろ?」
「ごっちぃん!電話なんかより亜弥ちゃんを!」
「もしもし?なっち?ふぇ?起きてるよ?
 うん、メール?あ、ごめん病院にいたから返事忘れてて…ごめんね。
 嬉しかったよ、ちょっとまぎらわし…んあ?ちちち違うよ!
 マギー司郎らしいって言ったの!!
 今テレビ見てて…」
「えぇー見てないじゃん!」
348 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時40分10秒
んあ!ちょいと黙っとれや黒美貴!
ちぇすとぉ!

「ぐはぁっ!!」
「んあ?なんでもないよ、ちょっと蚊がいたの。
 なっちは今何してるの?ごとー暇だからよかったらデートしない?」
「…ちょっ…美貴は…?」
「んあぁ?!まっつーと一緒?
 なんで?なんでそんな意外な組み合わせで浮気すんのよなっち!!」
「あああ亜弥ちゃん!!亜弥ちゃんいるの?!
 ごっちん!電話代わって、美貴が話す!」
「んぇ?…っだぁ!離せ!なっちはごとーのだぃ!!
 んあーなっち!まっつー連れて至急ごとーの家来て!話はそれから!」

ブチッ ツー ツー ツー

「んあ!ちょっと美貴ぃ!
 人が電話してる時に腕にぶらさがらないでよ!
 ごとーはぶらさがり健康器じゃないのよ!!」
「あぁーよかった、じゃー亜弥ちゃんの無事を祝って乾杯♪」

んあ!無視しないでよぉ!!
さびしーじゃんバカ!
349 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時41分12秒
「プハッ、ウマー」
「ウフフ、美貴ちゃんいい呑みっぷりねぇ。
 じゃ私そろそろ消えるわね、ごゆっくり」
「はぁーい!ゆっくりしまぁーす」

……くそぉ腹立つなぁ、けど美貴がこんなにも早く見つかって
よかったねまっつー。ごとーはいい迷惑だけど…。

「ごっちんも飲みなよ〜」
「いらないよ!なっちとまっつー来るんだから美貴もそんぐらいにし…」
って枝豆食べるのに夢中で聞いてないし。
なんかごとーもお腹減ってきた、半分ちょーだいね。

と、ごとーが枝豆に手をのばした時。

ピンポーガチャッ!
「ミキたぁん!!」
「待つべさ松浦さん!まだチャイムに対する返事が…」

玄関から、まっつーの悲鳴に近い声となっちのエンジェルボイスが聞えた。
んあ、早いなぁ、もぉ着いたんだ。

ダダダダダダダダ!
「ミキたん!」
「あぁー亜弥ちゃんだぁー」
350 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時42分10秒
がばぁっと音が聞えてもおかしくない勢いで
まっつーは赤い顔の美貴に抱きついた。

「亜弥ちゃぁん」
「もぉ…心配したんだから……バカ」
「えへへぇ」

んあ?!ヤバイ!ごとー今一瞬美貴がかわいく見えたよ!
だってまっつーが膝たちで美貴に抱きついてるから
座ってる美貴は当然まっつーを見上げてるワケで
しかも酔ってるから超甘えん坊モードでさぁ
声もホタルの墓のさっちゃんになってて…

『ノンノンノン、それを言うならせっちゃんです。
 ビチビチ…もとい完璧です』

んあ?あ、そっかせっちゃんか。む?ビチビチ??

「はぁ、はぁ、ごっちん、おはよ」
「なっち!おはよぉ」
「ごめんね、止められなくて」
「いいのいいのぉ、なっちに会えてごとー幸せ♪」
「なっちもっしょ、散歩して正解だったべさ」
351 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時43分03秒
まっつーに遅れてやって来たなっちは今日もかわいさ最上級♪
そのかわいさたるや山は割れ、海は開き
さっきチョロっと出たまっつーとの不倫疑惑なんて
どーでもよくなるぐらいかわいくてぇ!!
“ごとー発情す”って感じでマジヤバなの、激ヤバヤマンバオテンバァー!!

んあ?誰がオテンバよ!お転婆って『転ぶババァ』って書くのよ!
そんなの心外っすからマジでぇ!!

あぁもぉそんな漢字講座はどーでもいいの!
先生!胸が痛いんです!
ズキズキズキズキ疼くんですぅ!!

『なんだって?それは大変っしょや、早くなっちに診せてみるっしょ』

あぁん!先生優しくお願いしますウォンチュー!!!

ってな妄想を胸に、ごとーはなっちを抱きしめた。
すると横でも…
352 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時44分03秒
「あれ?亜弥ちゃん何持ってんの?」
「ふぇ?あぁ、みきう〜るだよ」
「持ってきてくれたんだぁ、ありがとぉ。
 後で取りに行かなきゃなって思ってたんだぁ」
「保田さん、怒ってたよ?」
「げぇ、まーあの人いっつも美貴に怒ってるからねぇ」
「そーだねぇ」

抱き合って、これでもかとゆーぐらい顔を近づけて
話してるみきあや。
まっつー鼻大丈夫?普通ならヒン曲がるよ。

「ごっちん、なっちがいるのにヨソ見とは何事だべか」
「んぇ?ヨソ見なんかしてないよー。
 なっちのコトしか見てないもん」
「ホントだべか?ならいいっしょ」

あはっ、かーわーいーいぃー
んあー我慢ならん、ベッド行こう、すぐ行こう、さっさと行こう。
迷わず抱こう、抱けばわかるさ!!

ワァープ!
353 名前:チップ 投稿日:2003年08月01日(金)14時45分12秒

「…ごっちん」
「なっち…」

ってなワケで必殺なちごまワープでごとーとなっちは
ごとーの部屋に移動し、ベッドの上で見つめあう。
んあ?なんか忘れてるような気がしないでもない今日この頃。
でも、そんなコトより目の前の子ウサギをいただくのが先なのだ。

「んっ…ひゃぁ……ぁ…あ…」

あぁ〜声かわいい!仕草もかわいい!全部キャワっ!!
たまりませんなぁ〜監督ぅ〜。

『呼びましたか?』

んあ?呼んでないよ、シッシッ

『まさかとは思いますけど…そのままお絡みになられる気でしょうか?』

もちろん!朝顔のツルの如く絡みあうつもりだよ!

『お忘れになられたんですか?そんなコトしたら後藤さんは飛び…』

んあぁー!忘れてたぁー!!
ぬぅぅ…しかし時すでに遅しだったみたい。
ごとーさんの手、もう止まりまへんねん。
ノンノンノノノン、ノーンストップ!つぃのろみですねん。
354 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時48分18秒
「あぅ…ふっ、ぅん……ごっちん…」

なっちもすっかり忘れてシャツ肌けてるし表情ヤラしくなってるし。
うーん、この状態で胸まででヤメちゃったらツライよね?
どーしよ、道具とか使うしかないかなぁ?
それでも触らないようにすんのは難しいだろーし…。

そーだ!手じゃなかったらいいかもしんない!!
ここは1つ、足を使うという手がありますぞ!

『・・・・・・』

ヤってみよう!何事もチャレンジ精神が大事なんだ!

んあ!逝くぞ!!
後藤の右足ノ助親指丸!なっちズ秘宝館へいざ突撃ぃ!!!

「んはぁっ!あっ…………べさ?」
「…………」

ポテ。

「ひゃわ!?忘れてたべさ!ごっちん戻ってきてぇ!!」


『クックックッ…後藤さん、アナタは正真正銘のバカです』
 
355 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時49分33秒


356 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時50分26秒

「あ…ダメだよ、ここごっちんの家…」
「いーじゃん、ごっちんも今頃楽しんでんだろーし。
 …ってか今ごっちんって言った?」
「ぅん、さっきそう呼んでって、ごっちんが」
「・・・ふぅーん」
「…ミキたん?」

んああああー!!ダメじゃねぇかバカチンがぁぁああー!!!
しかも黒美貴!人ん家のリビングで何おっ始めてんの!
己の辞書に節度という言葉はないのかい!!

それに加え楽しんでんだろーなんてごとー的に
ただ今最もNGなお言葉をほざいてくれちゃって…。

「仲いーんだね、ごっちんと」
「…ぇ?」
「別に…いーけど……」

む?なんか様子がおかしい。
アレ?やめるの?

ごとーの存在に気づいてるワケがないのに
突然美貴は羨ましい程絡みあってた体をほどいて
乱れたまっつーの服を直しはじめた。
357 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時51分06秒
「…しない、の?」
「イヤなんでしょ?ごっちんの家じゃ」
「あ……うん、でも…」
「美貴、まいちゃんと約束してるし。
 送るからもう帰ろ」
「…………」

ハァ?!何言ってんのよ!!そこまでしといて放置なんて
人として最低最悪よ!せめて家帰って続きなさいな!!

それになんでそんなスネた顔してんの!
ごとーのコトごっちんって皆呼んでんじゃん!
んあ!まさか妬いてんの?!マジで!?
キャー!歴史的瞬間に立ち会っちゃったよごとー!!

「嘘だ、ミキたん嘘ついた」
「はぁ?」
「だって里田先輩、今日は他の人と遊ぶって…」
「っ?!な、なんでそんなコト…」
「さっき聞いたんだもん。先輩に聞いたんだもん」
「…………」

って感動してる場合じゃなかった。
なんつーか…まっつー今日強くない?
ちょーっとキレてるよね?絶対。
358 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時52分00秒
「もう…いいから」
「…なにが?」
「送ってくれなくて、いいから。
 あたしといたくないなら無理しないで」

アワワワワ…これはヤバイ、まっつーマジギレしてる。
美貴も驚いて固まっちゃってるし。

「…帰る」
「ちょっ!?待ちなって!!
 1人で帰ったら危な…」
「…っ優しくしないでよ!もぉヤダ!期待しちゃうじゃん!
 ミキたんはただあたしの体心配してるだけなのに…!
 もっともっと傍にいて欲しいって思っちゃうじゃん!!」

そう言ってまっつーは潤んだ目で呆然としてる美貴を
睨むと、来た時以上の速さで出て行ってしまった。

「美貴!何突っ立ってんの!早く追いかけなよ!!」

って叫んでみるも、それが美貴に聞えるワケもなく
ごとーもどうしていいのかわかんなくなって
2階からなっちの泣き叫ぶ声が聞えるまで、しばらくボーっと佇んでいた。


359 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時52分39秒

そしてこの数日後、ごとーはとんでもない噂を耳にするコトになる。
360 名前:あやみ危機。 投稿日:2003年08月01日(金)14時53分09秒
   
361 名前:のえる 投稿日:2003年08月01日(金)14時54分30秒
レスありがとうございます。
少々凹んで更新が遅れました、申し訳。

>339 jinro様
( `.∀´)<ホホ!私ってばネーミングセンス抜群よね!
あのぅ、jinroさんもなちごま書かれてますよね?(違ったらスマソ)
いつも楽しく読ませて頂いてます(w

>340 66様
お久しぶりでございます(w
ニヤニヤですか…楽しんでいただけてよかったです。
えーと、だいぶ話の種類が今のモノと違うので
メル欄のトコを見てください。初モノですのでかなり下手です(爆

>341 名無しさん
正直私も・゜・(ノД`)・゜・となりましたが、強く生きます。

>342 名無しさん
ありがとうございます!頑張ります!
362 名前:jinro 投稿日:2003年08月02日(土)11時42分10秒
そうです…風板で駄文書いてますです。
楽しくなんて…恐縮ですぅ。

しかし…あんな大事なこと忘れてヤろうとするなちごまが可愛すぎ(藁
363 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時07分32秒

「購買行ってくる」
「んあ、ついでにオレンジ頼んでいい?」
「ウチ牛乳ー」
「んー、お金後でいいから」

毎日美貴にお昼のお弁当(ランチジャー)を持ってきていた
通い妻まっつーが来なくなって、またまた購買のパンライフに
逆戻りしてしまった美貴は今日もいそいそと教室を出て行った。
その背中が日に日に丸まり、哀愁を帯びているように
見えるのはごとーだけじゃないだろう。

「なんか、いきなり中年離婚されちゃったオジサンみたいだね…」
「……んあ」

ごとーの家をマジギレモードで飛び出して行って以来
まっつーの美貴に対する態度は今までと一転して
まるで知らない人と接するかのようにそっけない。

例を上げると
1、挨拶以上の会話はしない。
2、美貴を視界に入れてない。
3、ヤってない。

常に一緒にいるってワケじゃないけど
最近は美貴が比較的白かったから
この状況はとても異常に見える。
364 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時08分11秒
それは、ごとー以外の周囲の皆さんも同じなようで
“とうとうあややが黒美貴に愛想を尽かした”なんて
騒いでる連中もいるし、この機会にまっつーに近づこうとしてるヤツもいるらしい。

2人の間に何があったのか、根拠のない噂や憶測も
飛び交いまくりで、ごとーはもう30個は聞いた。
そのどれもが美貴を超極悪人、まっつーを悲劇のヒロインに仕立て上げていて
一応ケンカの現場を見ちゃったごとーも
悪いのは美貴なんだと思うけど、ここまで言われてるとやっぱ…
いくら黒くても美貴がカワイソウだ。

だからなんとかしたいけど…当の美貴本人は
いつも通り黙って聞き流してて。

でもね、笑ってないんだよ。
前は自分の噂を聞いて面白そうにニヤニヤしてたのに
今回はマジで淋しそうな表情になったりするんだ。

「亜弥ちゃんさ、ウチらからも逃げてるよね」
美貴の顔を思い出しながら、ごとーがお弁当の蓋をイジっていると
隣でボソっとよしこが呟いた。
365 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時08分53秒
そう、そうなのよ、ごとーたちも避けられてんの。
たぶん美貴にコトを言われるのが嫌なんだろうけど
そのおかげで話を聞くコトも説得するコトもできないワケで。

「こうなったらさぁ、美貴をどうにかするしかないね」
「う〜ん…完全黙秘モードだよ?」
「でもまっつーだって美貴以外の人からじゃ何言われても
 聞く耳持てないじゃん? 
 ごとーが思うに、美貴は初めてのコトに戸惑って
 まっつーにどうやって謝ればいいかわかんないんだよ」
「…美貴ちゃんってさ、やっぱ亜弥ちゃんのコト好きなんだよね?」
「でなきゃとっくに離れてるでしょ。
 いくら幼馴染だからって珍しいよ?あそこまでくっついてんのは」

事実、ごとーにも幼馴染はたくさんいたけど
もう全然会ってないし。

「覗いてたごっちんの話から察するに
 『体を心配してるだけなのに』ってのが鍵っぽいなぁ」
「うんうん、でもまっつーってどこが悪いのかね?
 喘息とかじゃないっぽいし
 毎日薬飲んでるけど不健康そうなイメージないし
 運動オッケーでしょ?」
「団体戦は出てなかったけど体育は出てるよね。
 借り物の時何気に足速かったし。
 あーでも抑えて走ってるっぽかったかな」
366 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時09分46秒
「抑えてる?」
「うーん…慎重っつーかさ、ホラ美貴ちゃんが
 転ばないように気をつけろってよく言うでしょ?」
「言うねぇ、過保護だなぁとしか思わ……んあ!!そーいえば!」
「へ?!なに突然」

美貴だけじゃない!誰かもまっつーに同じコト言ってた!
誰だ?いつ聞いた?あー気持ち悪ーい、早く思い出してぇー…

…ぇー、エビー、ビルー、ルイベー、ベンキー、…便器??

「わかった!梨華ちゃんだ!!」 
「ぬぉ?なにが??」
「梨華ちゃんみたいな先生も言ってたんだよ!
 病院出てくまっつーに『車と、あと転ばないように気をつけてね』って!」
「フムフム…なるほど、梨華ちゃん似の先生か…」
「んあ!そっちじゃなくて!!
 いくら主治医だっつっても高2にそんなコト言う?
 車はわかるけど転ぶなはないでしょ?」
ごとーなんて小学校低学年あたりから言われてないし。

「ってコトは亜弥ちゃんは転ぶとヤバイってコト?
 そんな病気あるっけ?」
「転ぶと起き上がれないとか?」
「ブッ!ペンギンの着ぐるみ着てるんじゃあるまいし、ありえないよ!」
367 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時10分32秒
んむむむむ…わっかんないなぁ。

「んー考えてもわかんないからソレは置いとくとして
 まずは亜弥ちゃんの誤解を解く為にも
 美貴ちゃんの気持ちをハッキリさせないとね。
 その…病気だからって傍にいるコトを拒まなかったワケじゃないだろうし
 なら好きなのか、愛してるのかっていうのを確認しないと」

よしこが愛を語る時は決まってなる男前顔で言う。
イヤン、惚れちゃいそ……ってそーでなくて!
 
「聞いたトコロで素直に吐くかなぁ?」
「いざとなったら力ずくで…あ、帰ってきた」
「んあ…暗っ」

握り拳でニヒヒと唇を歪めるよしこの肩越しに
ごとーの視界に現れた美貴が、フラフラと教室に入ってきた。

「ただいま、ハイこれ」
「んあ、ありが……って…」
えぇ、確かにごとーオレンジって言ったんだけどね
飲む方っていうか、ジュースが欲しかったんですけど……
368 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時11分16秒
「ぬぉ!?なにこれ?授乳??」

駅の売店とかで売ってる赤い網に入った5つ入りのミカンを
渡されて戸惑うごとーの横で
牛乳を頼んだハズのよしこに手渡された1枚の絵葉書。
そこには生まれたばかりの赤ん坊が
おかーさんのお乳を飲む様子が描かれている。

「あれぇ?おかしいなぁ、美貴パン買いに行ったのに
 なんでペンしかないんだろ?しかもフェルトペン」

んあぁ!!美貴が壊れた!!ブッ壊れたぁ!

「美貴!美貴しっかりして!!
 そんなにツライならさっさとまっつーに謝ろ!ね!!」
「美貴ちゃん帰って来てくれぃ!!」
うわぁあああーと、ブロークンな美貴にすがりついた
ごとーとよしこの目から零れる大粒の涙。

だって、あまりにも悲しくて…
こんな美貴を見るのが、あまりにもツラくて…
369 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時11分55秒
「ちょっと…なんなの2人とも……
 別に美貴はツラくなんか…」
「「いいから!!無理しなくていいから!!」」

うわーんうおーんおんおんぉんぉん、美貴ぃーぃぃ!

「うわっ、鼻水つけないでよ汚いなぁ!」
「抱きしめてあげる、ごとーが慰めてあげるから」
「ウチの胸貸したる、特別に貸したるから泣いてええんやで」
「いらないよ!!ってかそっちが泣いてんじゃんか!!」

関西弁にはあえてツッこまない体が
ヤケに細くなったように思えて、ごとーはよりいっそう
強く美貴に抱きついた。



そんな中――――泣き叫ぶ後藤と吉澤に挟まれて
身動きの取れなくなった藤本に近づく、2つの影。

「こんにちはやよー」
「こ、こんにちは」
「この度、臨時レポーターに任命された高橋愛とぉ」
「小川麻琴です」
370 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時12分32秒
いつの間に入ってきたのか、3年1組に赤いマイクを持った高橋と
右手に青のマイク、左手にハンディカムを持った小川の姿が。

「私たちはぁ“あややに捨てられた”と評判の藤本先輩に
 インタビューに来たワケなんだけどもぉ……」
「なんか…エライことになってるねぇ」

「美貴ぃー!!」
「うぉおー!!」
「ぐ、ぐるじ…」

「……やめといた方がええかの?」
「…うん、絶対いいと思う」
「でもこれ生放送やし、校内放送で全クラスに流れてもーとるから
 ……ん?そーいやこのクラスのテレビはついてないんやの」
「たぶん、いや間違いなく意図的に消されてるんだと思う」
「そやの、私らに臨時頼んだ井戸先輩このクラスやし
 アレ?姿が見当たらんのぅ」
「逃げたね……」

やりたくて引き受けたのではなく
報酬として提示されたとある紙切れにつられた2人は
依頼人の逃亡を知って『やっぱやめよう』と無言のアイコンタコトを交わした。
371 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時13分20秒
「えぇっとぉ、ご覧の通りお取り込み中なので
 インタビューは中止にさせていただきますぅ」
と、高橋が小川の持つカメラに向かって告げた途端―――

『ふざけんなゴルァ!』
『そこまで来て中止とは何様のつもりじゃヴォケェ!!』

「「ひっ!?」」
廊下から、女子高生のモノとは思えない程
低く怒りに満ちた怒声が。
 
「…まことぉ…今廊下に出たら確実に殺されるやよ」
「や、やるしかないみたいだね、インタビュー…」

(あーぁ、だからやめとこうって言ったのになぁ。
 大体藤本先輩も松浦先輩も知り合いなんだしさぁ
 いくらラ……テルのタダ券もらえるからって
 引き受けるべきじゃなかったよね。
 それに初めては…そういうトコでするもんじゃないし)

高橋に気づかれぬよう、小川はフゥと溜息をついたが
“室内にメリーゴーランドがある”という井戸の言葉に
思わず『ヤります!』と先に叫んだのは小川だった。

やはり小川はエロエロである。
372 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時14分16秒
「ほな行こ、まこと」
「…うん」

「いい加減に離し…っあ!高橋ちゃんにまこっちゃん!
 助けてくんない?」
「だからごとーとよしこが助けたげるってばぁー」
「そーだよ美貴ちゃぁん」
「あ、あの、私らインタビューに来たんですけどぉ…」
「んあ?!インタビュー??」
「どぅわぁ!?」

ガバッと後藤が藤本から離れて小川のハンディカムのレンズに
顔を近づけた。
その突然のドアップに、小川の寿命が4日縮む。

「これって校内放送で流れるヤツ?」
「はぁ、そうです」
「よしこ!チャンスだよ!ここで美貴の気持ちをハッキリさせれば…」
「うん、亜弥ちゃんも見てるハズだしね!
 さぁ!!美貴ちゃん!」
「・・・・・・」

教室中の視線を一身に浴びた藤本は
濡れた顔で迷惑そうにカメラを睨んだ。
だがその睨みにいつもの迫力はない。
373 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時15分08秒
「いいよ…別に」
声も弱く、まさにイジけチック不貞腐れモードだ。

「美貴!素直になりなよ!!
 全然よくないんでしょ?まっつーに避けられて
 凹みまくってんでしょ?!嫌われたんじゃないんだからさ!
 まっつーはただ…ハッキリ言って欲しいだけなんだから
 ちゃんと自分の気持ち言えばいいじゃん!!」
「………無理だよ」
「んあ!一言だよ?無理なワケないじゃんか!」

俯いて表情を隠す藤本の襟首を掴んで、後藤が顔を上げさせると


――――藤本は泣いていた。



「・・・・・美貴?」
「ヤなんだよ……」
「…え?」
「もうヤなんだよ!!そーゆーコト言うのは!」

ドガっと大きな音を立てて椅子を蹴飛ばし
藤本は教室を出て行く。

374 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時15分59秒
「「「「・・・・・・」」」」

シンと静まり返る教室。
その中の誰もが、初めて見る藤本の思いつめた泣き顔に
動きを封じられていた。

重苦しい沈黙が続――――

ガシャっ!
「あぁあ!!」
「っひょぇ?!」

かなかった。
固まっている最中にシビれてしまったらしい小川の手から
ハンディカムが落ちたのだ。

(ヤバ…壊れてる……)
(弁償誰持ちやろ…?)

一瞬にして青褪める2人をヨソに
周りは少しずつ金縛りが解け始める。

「よよよ、よ…しこ」
「ぬぁっ…に?」
375 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時17分38秒
「みみみ、見た?」
「むぃっ…た」

本来の後藤なら『剥いたって何の皮をよ?』とツっこむトコロだが
この時ばかりはそうはいかない。

だって、だって初めてだよ?
美貴のあんな顔見るの。
泣き顔自体は見たコトあるけど、それはいつも
“笑い泣き”だったり“小指を角に泣き”だったりで
真面目に泣いてる美貴を見るのは初めてだったんだ。

「なんか…パンドラの箱開けたよーな気分」
「…うん」

ポカンとしたムードを引きずって
後藤がフラリとその場にしゃがみこむと
「あの…」
「んあ?」
「ちょっと話っていうか、情報っていうか」
「…?」

これまたどこから現れたのか、中等部の生徒らしい
見覚えの無い女の子が後藤の肩を遠慮がちにつついた。
376 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時18分40秒
「なに?」
振り向いたまま黙っている後藤の代わりに
吉澤が優しく尋ねる。

「あの、先月横浜に引っ越した友達から昨日メールがきて…
 見間違いだと思ってほっといたんですけど」
「読んでいいの?」
「はい」

吉澤は携帯を受け取ると、後藤にも見えるように
隣にしゃがんで画面を覗く。
するとそこには――――

『藤本先輩とあややって別れちゃったんだね。
 なんかあったニィ?』

そしてもう1通。
『なんでってさっき山下公園であややが男の人と仲良く歩いてたから
 そうなのかなって、手繋いで恋人同士っぽかったニィ』

「「はぁあ?!?!」」
377 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時19分32秒
「んなっ!?こんなの見間違いに決まってんじゃん!
 山下公園って遠いし!!」
「そーだよ!しかもこれ昨日の話でしょ?
 昨日学校あったし…」
「あぁ!昨日なら亜弥ちゃん早退してましたよぉ!!」
「のわぁ?!高橋いつの間に?…ってんあ!?」

突然耳元でした声に驚く後藤だったが、携帯を覗き見ていたのは
高橋だけではなかった。
教室にいる全員がハイエナのように後藤と吉澤を取り囲んでいる。

「ちょっと見ないでよ!
 ってか高橋今の話詳しく教えて!」
「だからえーと…午前の授業が終わった後にぃ
 気分悪いから病院行くっつってぇ」
「このメールがきたのは午後4時……」

間に合っちゃうじゃん!1度家に帰って着替えたとしても
十分間に合うじゃん実際!!

「ってコトは…これマジネタですかの?」
「そんな…!信じないよごとーは!!
 語尾に『ニィ』なんてつけるヤツの言うコトなんか絶対信じないぃ!!」
378 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時20分13秒
「でもそれは表現の自由やし
 最近亜弥ちゃん全然藤本先輩の話せんくなって…」

んえぇーい待ってよ!!
ちょっとケンカしたぐらいでスグ他に走るような
軽い付き合いじゃないでしょミキアヤは!!
美貴はともかく…まっつーはずっと美貴一筋で生きてきたじゃん!
 
こんな…嘘だ!絶対嘘!!

「ちょっとアンタ!」
「っひゃい?!」
「そのメール送ってきたニィとかゆーヤツに会わせて!
 ごとー横浜まで行くから!」
「ごっちん!ウチも行くよ!!」
「私も行きますぅ!」
「愛ちゃんが行くなら私も!」

「よし!皆で行こう!
 そして真実をこの手に掴むんだぁあ!!」
「「「だぁあー!!!」」」


(でもその前に誰か藤本先輩追いかけた方が…)
と思ったものの、あえて口には出さない小川だった。

379 名前:涙と噂とニィニィと。 投稿日:2003年08月03日(日)16時21分04秒

  (・e・)ノ
380 名前:のえる 投稿日:2003年08月03日(日)16時21分58秒
>362 jinro様
レスありがとうございます。
( ´ Д `)<んあ、ごとーは一応途中で思い出したのよ。
川o・-・) <・・・・・。
381 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月03日(日)19時11分39秒
どうなるどうなるミキアヤどうなる!!(w
もう気になって気になって…
じれじれしながら次の更新をお待ちしています。
382 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月05日(火)05時25分48秒
みきあやの今後もおがたかのこの後もかなり気になります
あ!あと次回登場?のあの人もかなり楽しみ
383 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時42分23秒

ここは横浜、喫茶ジュマペール。

「早すぎたニィ」

『待ち合わせニィ』と言って1人で8人用のテーブルに
通してもらったのは失敗だったニィ、と少女は呟いて
鞄から鏡を取り出す。

「眉毛の手入れでもするニィ」

シャッシャッ シャッシャッ

櫛で優しく丁寧に。
約束の時間まであと30分、少女は眉毛だけに神経を集中させた。



◇◇◇

その、2時間程前。

「連絡とれました!
 放課後ジュマペールで待ってるそうです!」
「んあ!」
「後藤先輩!放課後からやとすごい待たせちゃいません?」
「何言ってんの高橋!ごとーたちは今スグ
 横浜に飛ぶに決まってんじゃん!!」
「えぇ?!授業サボるんですかぁ?!」
384 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時43分02秒
「当然!久しぶりに十番館のクッキーも食べたいしさぁ
 早く行った方がいいに決まってるよ!」
「そーですけど…」
「まーまー小川も高橋も諦めなって。
 2人は真面目だからこーゆーの初めてかもしんないけど
 結構楽しいよ」
「「…はぁ」」
「そゆこと!さーアナタも行くよ!えーと名前は…?」
「か、亀井です」
「んあ、ツルちゃんね。よろしく」
「ふぇ?いえ、あの…」
「残念やけど、亀井さんはもうごとーさんの中では
 ツルさんとして登録されてもぉたからぁ
 ここは早めに諦めた方がええやよー」
「…いやいや、名前は正しく登録すべきでしょ」 
「高橋飲みこみが早いねぇ。
 それに比べて小川は…そんなんだからいつまで経っても童貞なんだよ」
「んなっ!?オッパイマンに言われたかないですよ!
 誰が琴美だこのヤロー!!」
「ハァ?!意味わかんねーよエロエロ!!」

ギャーギャー

「べさ?ごっちん!どこ行くべ?」
「んあ?なっち!」
385 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時43分35秒
ギャーギャー騒ぐよしことその仲間たちを
無視しつつ、ゲタ箱までの道程を全力疾走していると
ごとーの視界にエンジェルが。

「皆でマラソン大会かい?
 でももうすぐ5限目始まるっしょ」
「んあ…えーっと……」
「安倍先生!実は美貴ちゃんがあーなってこーなって
 亜弥ちゃんが男と横浜なんです!!」
「べべべさぁ?!ホントだべか?
 あ!だからさっきの校内放送で涙ぽろりだったのかい?!
 で、ごっちんたちはその噂を調べに?」
「うん!美貴は…ごとーの大切な友達だし。
 だから午後の授業サボるけど見逃してくれないかなぁ?」

授業をサボるなんて、教師のなっちからしたら
重罪だろうから、ホントはバレたくなかったんだけど。
ここは一つ、滅多にしない上目遣いで……

「っ!ごごごごっちん!」

ムフ。効果は絶大だったみたい、嬉しいなぁ♪
386 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時44分15秒
「わかったべ、今日は特別だべさ。
 なっちは行けないけど…頑張ってきてね」
「んあー!」
帰ったらイイコトしよーねなっちぃ〜!

『相変わらず…学習能力のない人ですね』




ダダダと走り去って行った後藤たちを見送り
職員室へ戻ろうとした時、安倍はある思いに駆られて
立ち止まった。

「なっちも、なっちも何かしてあげたいっしょ」

本当なら、授業をサボってでも
横浜まで車を飛ばしてあげたかったんだ。
しかし・・・

「なっち、免許持ってないんだべ……」

呟くと同時に零れた涙を、安倍は拭わずに歩き出した。

387 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時44分46秒



ダダダダダダダ!!

「ごっちん!駅まで走るの?」
「当然!そんな遠くないんだから走るよ!」
「えー?!走るんですかぁ?バス乗りましょうよぉ」
「そうやよー、時間はたっぷりあるんやしぃ」
「えぇい黙れおがた…ってんあ?紺野?」

校門を出ようというトコロで、お次は
ごとーたちに向かって不敵に微笑んでる紺野を発見。 

「ねぇ小川、なんか嫌な予感すっからさ
 無視しちゃダメかな?」
「んなコトしたらおイモパワーの餌食になりますよ」
「やっぱそー思う?」
「私まだ死にたくありません」
「ごとーも」
「私も嫌やよー」
「ウチも」
「…わ、私も」

渋々、全員一致で後藤たちは立ち止まった。 
388 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時45分19秒
「こんにちは皆さん、横浜に行かれるそうですね」
「ん、んあ」
「電車で?」
「そ、そりゃまぁ」
「でも、後藤先輩と吉澤先輩以外の御3方は
 手ぶらなようですけど……財布持ってるんですか?」
「んぇ…?」
「あぁ!?持ってないです!」
「わわわ私もないやよー」
「…わ、私も……」

んえぇええ!?!マジでぇ?!
貴重品は常に携帯しなさいよね!だから日本人は
平和ボケなんて言われるのよ!
んだよ!イイコトじゃん平和ボケって!!

「まぁまぁ後藤さん、そう興奮なさらずに。
 何の為に私がここにいると思ってるんですか」
「ふぇ?あ、もしかして財布…」

「いでよ!ポテト雲!!」
「「「「「…へ?ポテトうん???」」」」」
389 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時45分59秒
てっきり高橋たちの財布を持ってきてくれたのかと思ったら…。
突然紺野は右手を空高く突き上げて叫んだ。

その拳の指す先をごとーたちが見上げると……む?
なんじゃありゃ?……黄ばんだ、雲?が
ごとーたち目掛けてスッ飛んでくる。

「んあ…なにアレ?」
「ポテト雲です」
「「「「「・・・・・」」」」」
「どうかしましたか?」
「いいや、えっと……まさかアレに乗れと?」
「そうです」
「ひぃ?!嫌やわあんな小汚いモンに乗るなんてぇ!!」
「いや、愛ちゃんソコじゃなくてね。
 汚いとか黄ばんでるとかの前にアレ雲じゃん。
 ってか筋斗雲じゃん。ド○ゴン○ールじゃないってのに
 なんであんなモノに乗らなきゃいけないの?」
「違うよまこっちゃん、アレはポテト雲」
「……あーそうですか」

ドンマイ小川、気持ちはよくわかるよ。
痛いぐらいわかる。
でもここは堪えよう、人類の為にも堪えよう。
390 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時46分29秒
「5人では少し窮屈かもしれませんが
 詰めれば大丈夫だと思います、さぁ乗ってください」
「んあ。皆、せーので行こう。
 せーのぉー…」

「あ、清い心の方しか乗れませんので、あしからず」

へぇーそんなトコまで筋斗雲と同じなのねぇ。
ごとー?ごとーは乗れるに決まってんじゃーん。
だって世界一清い女よ?

「ってんあぁ!?」
「のぁあ!?」

ドドッシーン!!

「痛ぁ…ちょっとよしこ!ごとーまで巻き込まないでよ!!」
「えぇ!?ごっちん乗れたのぉ?!
 小川は?小川も乗れてる??」
「当たり前ですよ!私清いんで!」
「嘘ぉ!だってエロエロじゃんか!」
「だからエロエロじゃないですってば!!」
「まことは心の清いエロエロなんやよー」
「愛ちゃん!なんでいつも私を追い詰める発言ばっかすんのさ!!」
「くそぉ…エロエロに負けたぁ…」
391 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時47分10秒
エロエロの小川が乗れたのに自分が乗れなかったコトが
よっぽど悔しいのか、よしこの目がうっすら潤む。

「ったく!皆で担いであげるからよしこも
 早く乗って!!いざ行くぞ横浜!」
「「「おぉー!」」」
「…ぉー」
「お気をつけて」
「「「「「っひっぎゃぁああああー!!!!!」」」」」

ドビューン――――

「フフフ…後藤さん、アナタも本当なら……」

紺野が何か言ったようであったが
いきなり最高速度で発射したポテト雲にしがみつくのに
必死な後藤の耳には届かなかった。


「ブハァ!死ぬかと思った…」
「ものすごい風の抵抗やったの」
「ふ、振り落とされなくてよかったぁ……」

ある程度の高さに到達して速度の安定したポテト雲の上
後藤・高橋・小川の3人はホっと溜息をつく。
392 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時47分46秒

・・・・・ん?3人?

「んあ?ツルちゃんとよしこは?」
「「…え?……」」

振 り 向 け ば ヨ コ ハ マ ♪

「「「だぁああ!!!いないぃ!!」」」
「ってか後藤先輩選曲古いし!」
「えぇーだって振り向く歌ってコレしか思いつかなかったんだもーん」
「コレ誰の歌やったかの?」
「んあ、マル○アだよ」
「ほぉー」
「別に1字伏せなくても……ってだからそーじゃなくて!
 2人いないっスよ!!」

「いないねぇ」
「おらんのぉ」

「・・・・・・」
暢気な声に、小川がキレる。

「ッキャァ!小川ごめんなさい!嘘です!冗談です!!」
「冗談ですむかぁ!!」
「ひぃ!まこと許してぇ!!」

え?小川に何をされたかって?
・・・お願い、聞かないで・・・・・。
393 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時48分19秒
でもこれだけは言える。
小川はやっぱりSだっ(ry

「ぐぅ…助けて……」
「んあ?この声はよしこ??」
「も…ダ、メ…」
「鶴井さんの声もしますよ!」
「まことぉ、亀井さんやよー」
「んあ!どこにい…いたぁ!!
 小川!アンタの足んトコにいる!!」
「へ?…うわぁ!?吉澤先輩!いつからそこに?!」

いやいや小川、普通に気づこうよ。
思いっきり足掴まれてんじゃん、よしことツルちゃんの
全体重がアンタの足にぶら下がってたんでしょ?
それともナニ?これが噂の放置プレイ?やっぱアンタはS(ry

「ハァ、ハァ、死ぬかと思った…」
「んあ…顔真っ青だよ、大丈夫?」
「大丈夫なワケない、ツルちゃんはまだ雲触れるけど
 ウチ触れないんだよ?!頼りは小川の足だけだったんだから!」
「いやでもそれはぁ、吉澤先輩の心が清くないからでぇ」
「グスっ!どーせどーせ!」
394 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時48分59秒
「…あ、あの……」
「んあ?どうしたのツルちゃん」
「もう、横浜なんですけど…」
「ふぇ?あーホントだ!ちょうど山下公園じゃん!!
 …む?アレは……」
「あぃやぁ!亜弥ちゃんやよー!!」

亀井の言葉に皆が一斉に地上を見下ろすと
公園のベンチに腰掛ける松浦の姿が。

はるか上空からでもハッキリわかる!
アレは間違いなくまっつーだ!

「え?どういうコト?
 亜弥ちゃん今日も早退したの?」
「あ…?ししししてませんよ!今日はちゃんといました!
 私が藤本先輩んトコ行く時もぉ
 一応言っとかなと思ってテレビ見ててなぁって言ったんでぇ」
「じゃなんで横浜にいるのさ?」

よしこの最もな問いには誰も答えられず…

「まさか…テレビですら美貴を見るのが嫌になって
 学校飛び出してきたとか…」
「いや、時間的に無理でしょ、ウチらは
 コレに乗ってきたから10分で着いちゃったけどさ
 亜弥ちゃんは普通に電車使うハズだし」
395 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時49分52秒
「ってか亜弥ちゃんなんつー格好してるんだぁ?
 白いエプロンに三角巾まで被って…」
「しかも岡持ちまで持って、まるで出前中みたいだね」

んあ、確かに地上のまっつーは
誰が見ても出前一丁!な格好をしてる。

「ごっちん、もちょっと降りてみない?
 もしかしたら他人の空似かもしんないし」
「んあ」

プヨプヨプヨプヨ(降下音)

他人の空似ねぇ…でもさぁ、なんつーか…
近づけば近づく程似てんだけど。

「あ…ちゃん!」

「あ!誰か来ましたよ!!」
「おおお男やよ、男!」
「んあ?!あれがまっつーの…?」
396 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時50分35秒
まっつーの元にテテテと走ってやってきたのは
青いズボンにグレーのジャケットの男の子。

んあ…なんとなく走る姿が未来の世界の猫型ロボットに似てる。

「ごめんね、待った?」
「ううん、今来たとこ。
 で…話って?」

んのぉ!!カップルだよ!今のはカップルの会話だよぉ!!
まっつー待ってたじゃんか!
なんで嘘つくねんなぁー!!!

「後藤先輩ぃ、亜弥ちゃんマジであの人とぉ…」
「し、信じない!まっつーが美貴以外の人となんて…」
「んん?ごっちん、あの男の子柴田さんに似てない?」
「ふぇ?」

むぅー?んー言われてみれば確かによく似て…
でも柴田さんに兄弟っていたっけ?

「お兄さんがいるって前言ってたけど…」
「えぇ!?ってことはアレ柴田さんのおにーさん?」
「柴田さん、実家神奈川だし…」
397 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時51分44秒
「シィ!なんかヤバイですよ!!」
「モガ!?」
よしこ&高橋と柴兄(仮名)観察をしていると
超超超焦り顔の小川がごとーの口を手で塞いできた。

「聞いてください、とにかくヤバイんス!」
その必死な様子に、慌てて聞き耳をたてると…

「味噌汁大好きなんだ!」
柴田さんソックリの柴兄(仮名)の元気な声が。

「知ってるよぉ?」
「……オレのさぁ…好きな、味噌汁あんじゃん…」
む?知らないよアンタの好きな味噌汁なんて。


「それをさぁ、ずぅっと…作って欲しいんだなぁ!」


んあ!?ガーン!!!

ププププロポーズやがなぁ!!!!
まっつープロポーズされとるがなBUっCHAKEぇ!!!
ダメよそんなのお断りに決まってんじゃん!!
アサリだろーが豆腐と油揚げだろが全部まとめてお断りだぃ!!!
398 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時53分00秒

お花畑でウサギちゃんに会ったら伝えてよ。
君を待ってる、マックロクロの狼さんがいるってさ。

「ごごご後藤先輩!帰ってきてぇ!
 亜弥ちゃんプロポーズ受けちゃいましたよぉ!」
「んんんんあぁ!?ううう受けたぁ?!」
「ハイ!しかもなんか踊りだしてもぉてぇ」

涙目の高橋が指差す方を見ると
まっつーと柴兄(仮名)が手を取り合って踊っている。


♪ イェイ イェイ イェイ イェイ

  僕たちはきっと かなえられるさ

  2人ならきっと 乗り越えてゆけるさ ♪


「だぁあ!?!乗り越えちゃダメぇ!!」
「ダメですよ後藤さん!!邪魔しちゃダメですぅ!
 亜弥ちゃんは……亜弥ちゃんはもう
 新しい道を歩き始めたんやから……」

思わずポテト雲から降りてまっつーに飛び掛ろうとしたごとーを
半泣きの高橋が引き止めた。
399 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時53分48秒
「んなコト言ったってぇー!!!」
ハイそーですかぁ♪なんて納得できるワケない!!

「ごっちん、高橋の言う通りだよ。
 見て、あの亜弥ちゃんの幸せそうな顔。
 美貴ちゃんには悪いけど、亜弥ちゃんが選んだんなら…」
「で、でもまだ美貴は自分の気持ち…」
「遅かったんだよ、もうプロポーズ受けちゃったんだよ?
 それにさっき亜弥ちゃん『やっとのプロポーズ、ずっと待っていたのよ』
 って歌ってたし……」
「そんなっ!?」
「なんか、私見てるのツラいっス…。
 もう帰りましょう?」
「そやの、亜弥ちゃん…お幸せに」

ポテト雲が、亀井を除く4人の涙でしとしとと
濡れていく。

ごめん、美貴ごめん。
ごとー、なんにもできなかったよ。
見てるコトしかできなかった。

「んあ!まっつーのバカぁー!!」

プヨプヨプヨピューン!
400 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時54分32秒
「そうだ!メロン行こメロン!
 柴田さんを問い詰めに!!」
「あ、あの…」
「そやの、一言文句言ったるやよ」

何か忘れてませんか後藤さん?と
尋ねようと久しぶりに出した亀井の小さな小さな声は
風に流され横浜の街に吸い込まれていく。

再び空高く舞い上がったポテト雲から
今度は誰も振り飛ばされなかった。




そして、山下公園では…

「のぼるさん…今、変なモノが飛んでいきましたよね?」
「う、うん。なんかこっちに向かって
 叫んでたような気がするけど……ま、いっか」
「はい」

結婚を誓い合った2人が
幸せそうに見つめあっていた。

「愛子ぉ!!出前の途中で何してる!」

邪魔する親父の、怒声も無視して――――


401 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時55分29秒
     
402 名前:YOKOHAMA SING A SONG 投稿日:2003年08月07日(木)01時56分36秒

 (;・e・)<あれ?また…?
403 名前:のえる 投稿日:2003年08月07日(木)02時01分39秒
レスありがとうございます。大感謝。

>381 名無しさん
どうなるんでしょう?(爆
もうちょっとかかりそうですので
しばらくじれじれでよろしくお願いします(w

>382 名無しさん
おぉ!おがたかの今後を気にしてくれる方がいらっしゃるとは(ww
あ、あの人……えーと、ごめんなさい(爆

勢いで余計なコトばかり書いていたら
いつの間にかパンパンになってキましたので
次からはたぶん新スレに移ると思います。

ここまで読んで頂いた方、本当にありがとうございます。
404 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月07日(木)02時32分40秒
愛子かよっ!!(W
405 名前:jinro 投稿日:2003年08月07日(木)10時59分46秒
↑同じく。ワロタ。

新スレたてたさいには是非ぜひココで教えてください〜。
楽しみに待ってます。

406 名前:んあ 投稿日:2003年08月07日(木)16時56分21秒
愛子ってだ〜れ?
407 名前:のえる 投稿日:2003年08月07日(木)18時06分23秒
返レスだけです。レスどうもです。

>404 名無しさん
エヘ(爆
つっこみありがとうございます(ww

>405 jinro様
了解です、ありがとうございます。

>406 んあ様
更新時、メル欄に補足を入れるつもりが
すっかり忘れてしまいました。申し訳。
詳しいコトは後で柴田さんの方から説明があると思いますので
とりあえず『横浜にいる草原の人』というコトでお願いします。
408 名前:のえる 投稿日:2003年08月08日(金)17時15分46秒
更新はまだですが、新スレ立てました。
http://m-seek.net/cgi-bin/read.cgi?dir=moon&thp=1060330138

容量ギリですが、飯田さん生誕記念の番外編を。
409 名前:飯田圭織生誕記念。 投稿日:2003年08月08日(金)17時17分40秒
「カオにはわかる、今日がこの世で最も
 尊んでくれちゃってベリベリオッケーな日だってコト」

とある金曜日の3年1組。
このクラスの担任であり英語教師である飯田圭織は
眉間に薄く皺を寄せて呆れたように呟いた。

「んあ?」
「どうしたのハニー?交信?」

授業中に飯田が意味不明な発言をするのは
珍しいコトではないが、どうやら不機嫌らしい
彼女を心配して吉澤が問いかける。

「…っ!ダーリンのバカっ!!
 どうせ皆カオリに興味なんかないのよね!
 今日が何の日だろうがどうでもヨッスィングなのよね!!」

飯田は持っていたチョークを投げて
ギロリと大きな目で吉澤を一睨み。
右足を引いてワンツーターンで生徒に背を向け
黒板に人差し指を突きたてた。
すると目の錯覚か、その瞬間黒板に亀裂が走る。
410 名前:飯田圭織生誕記念。 投稿日:2003年08月08日(金)17時18分19秒
「ディア!」

そしてお決まりの台詞を叫ぶと、亀裂から青白い光が放たれ
後藤は眩しさに思わず目を閉じた。
数秒後恐る恐る目を開けると黒板に流れるような英文が。

“Whenever Cutie Honey transforms, her clothes rip apart,
leaving her buck naked for a split second. Mu-fu-fu.”

「ハイ、ダーリンこれ訳して」
「……(ってかチョーク投げたよね?ソレどうやって書いたの?)」
「早く」
「え、えーと…“キューティーハニーが変身するたびに
 彼女の服は破れ、瞬間的に全裸になります。ムフフ”」
「ダーリンのスケベ」
「えぇ!?なんでそーなんのさ!」
「なんとなく」

訳せと言われて訳しただけなのに…。

確かにスケベはスケベだが、あくまで自分は
人並みなスケベだと吉澤は思っている。
しかもそのスケベは愛する石川に対してしか反応しない優れものだ。

「んあ?キューティーハニーって誰だったっけー?」
悩む吉澤に気づかないのか、後藤が暢気な声を上げた。
411 名前:飯田圭織生誕記念。 投稿日:2003年08月08日(金)17時19分05秒
「ごっちん何言ってんのー。
 去年の文化祭で美貴とせんせぇと梨華ちゃんで歌ったじゃん」
「ん〜?あー!あはっ、美貴がパツキンの
 ヅラで踊ってたヤツかー、お尻が小さくてこっち向いて欲しい感じの」
「どーゆー覚え方だよ!まー合ってっけどさー。
 そういえばあの時スッチーの梨華ちゃんがエロすぎて
 楽屋でよっすぃー暴走しちゃったんだよね〜」
「んあんあ、ごとーたちもいたのに
 いきなりソファに押し倒しちゃったのよねぇ」

『きゃ!?ちょ…ちょっとひとみちゃん?』
『りりり梨華ちゃん!ハァハァ……』
『ダ、ダメ!皆見てっ…んぅ!』

『いやーんよしこケダモノぉー』
『いいぞよっすぃー!ドンと逝けぇー』
 
眉間の皺がどんどん濃くなる飯田にも気づかないのか
2人は懐かしい過去を思い出して窓の外を眺めた。
412 名前:飯田圭織生誕記念。 投稿日:2003年08月08日(金)17時19分54秒
「ちょっと2人とも!
 そんな若気のいたりは早く忘れてよ!」
「アハハ!だってあの時のよっすぃーホント獣みたいでさー
 美貴まで襲われるかと思ったもーん」
「ごとーもぉー」
「誰が襲うか誰が!!」

ギャーワー  ブチッ

「ダーリン!!!」
「っふぁい?!」

顔を赤くして騒いでいた吉澤の眼前に、飯田現る。
その表情、深き怒りを含みて悪鬼の如し。

「ごっごめんよハニー!決してハニーの授業を邪魔したかったワケじゃなくて!」
「違う!!カオが怒ってるのはそんなコトじゃない!」
「え…?」
てっきり授業妨害罪で“ねぇ笑っての刑”に処せられると
思ったのに違うの?という顔で固まる吉澤。
413 名前:飯田圭織生誕記念。 投稿日:2003年08月08日(金)17時20分35秒
「スケベだからじゃないの?」
「んあ、なるほど」
「ちーがーうぅ!!」
「「へ…?」」
じゃあ一体なんなんだ?と後藤と藤本も固まる。

「後藤!アンタ明後日が何の日かわかってる?!」
「んあ?明後日って…8月10日?
 なんかあったっけ?
 海の日は7月だし…ハトの日?」
「後藤それ本気で言ってるの?!アンタ彼女の生まれた日も知らないワケ?」
「ふぇ?彼女…なっちの生まれた日?」
「あぁー美貴『愛が生まれた日』って歌好きだったなぁー」
「あー後藤も知ってるー…
 ってそうじゃなくて!!なっちの誕生日ぃ?!」
「そう」
「ちょっとかおりん!なんでもっと早く教えてくんないの?!
 準備しなきゃじゃん!」
「んなっ!?てっきり知ってるもんだと思うでしょ!
 それに合わせてカオの誕生日も!!」
「……んあ?かおりんの?」

ぐすっ。
結局自分から言っちゃった…と俯く飯田。
414 名前:飯田圭織生誕記念。 投稿日:2003年08月08日(金)17時23分04秒
「ハニー、もしかして今日…誕生日?」
「ぐすん、去年も教えたのに…」
「そういえば……」

去年も今と同じようなやりとりがあり
皆で慌ててケーキを買いに走ったのだ。
しかしそれから藤本が行方不明になったり
後藤が安倍に惚れたり昨夜も石川がかわいかったりと
色々なコトがあったのですっかり忘れていた。

「ごめんね…」
「ううん…カオもちょっと大人げなかった……」
「そっか、なっち誕生日なんだ…ブツブツ…」
「じゃ、じゃあ今年もパーっとやろ、皆で」
「んあ、ごとーなっちのプレゼント買いに行かないとぉー」
「そんなの明日でいいでしょごっちん!」
「んあ!?いいワケないじゃんよしこのバカ!
 なっちのよ?なっちの誕生日なのよ?
 ノッチでもプッチでもないなっちの誕生日なのよ?!」
「あ、ごめ…」
「とゆーワケでごとーは帰る!じゃ!」
「ごっちん帰んのぉー?なら美貴も帰るぅー」
「ちょっと2人とも!」
415 名前:飯田圭織生誕記念。 投稿日:2003年08月08日(金)17時24分00秒
すっかり下を向いて『どうせ、どうせカオリの誕生日なんか…』と
イジける飯田の為に、吉澤は必死に後藤と藤本を引き止める。

「んあ、悪いけどさ、ごとーまだ怒ってんだ。
 かおりんのせいでなっちとケンカになっちゃったコト」
「美貴もどっちかっつーと今せんせぇを
 祝う気分じゃないんだよね」
「………美貴ちゃん…」
「なっ!?なによっすぃー!そんな哀れむような目で見ないでよ!
 フン!帰る!!」
「あっ、美貴ちゃっ……ってアレ?
 ごっちん?ごっちーん?」
「後藤ならもう帰ったよダーリン、もういいの。
 カオ今日1人で飲みたい気分だから」
「ハニー……」

と、教室の隅でフと湧き上がる1つの疑問。

「ってかさぁ、今日ってホントに8月8日なの?」
「え?」
「夏休みは?」
「…あ………」



416 名前:飯田圭織生誕記念。 投稿日:2003年08月08日(金)17時24分47秒
「とゆーワケだったの、グスン
 でもね、やっぱり1人は淋しくて…」
「そっか、よし!今日は好きなだけ飲みなさい!
 私の、いやむしろ斎藤のオゴリよ!ホホ!」
「圭ちゃん……ありがとう、カオ飲む」

商店街にひっそりと存在する、セクシーな客しか
入れないコトで有名なバーで飯田は友人の保田圭相手に
ヤケ酒をあおっていた。
ちなみに保田は保田ケメ子の双子の姉である。

「待ちなさいよ!誰のオゴリよ誰の!!
 いきなりフルからビックリしたじゃない!」
「アラ、いたの斎藤」
「いるに決まってんでしょ!ここ私の店なんだから!」

そう、ここは喫茶メロンの店長斎藤瞳が経営する
セクシーバーメロン。
客は今飯田たちしかいない。

「いいじゃん、斎藤ぐらい祝ってくれたって」
「ぐらいって何よ!大体ねぇ、夏休みだってのに
 毎年自分の誕生日アピールする為だけに
 電波飛ばして生徒学校に誘い出すのやめなさいよ!
 2年前だかウチのあゆみが夜急に『あ…学校行かなきゃ……』って
 言い出した時はマジでビビったのよ!!」
417 名前:飯田圭織生誕記念。 投稿日:2003年08月08日(金)17時26分20秒
そう、アレは本当に怖かった。
ついさっきまで楽しそうに『明日マサオと海に行くんだぁ♪』と
水着片手にハシャいでいた柴田から突然表情が消えて
制服のアイロンがけを始めた時は。

『何でよ?夏休みでしょ。
 補習も部活もないのに何しに行くのよ?』
といくら斎藤が尋ねても
『とにかく行かないと、行かないと…』
としか答えない柴田は翌日本当に学校に行ってしまったのだ。

後で聞いた話だと、その日は
飯田のクラスの生徒全員が大名行列のように
並んで学校へ行く姿が目撃されていたらしい。

「ある意味、真夏の怪談よね…」
「違うよ。カオが思うに真夏の神秘」
「ホホ!なんか美しいワね!」
「………もう、なんでもいいわよ」


この夜、店にあった酒を3人は
明け方近くまでかけて全て飲み尽くし
セクシーバーメロンを閉店の危機に追い込んだ。

418 名前:飯田圭織生誕記念。 投稿日:2003年08月08日(金)17時27分23秒
( `.∀´)<ホホ!お誕生日おめでと!!
( ゜皿 ゜)<ありがとー。
419 名前:のえる 投稿日:2003年08月08日(金)17時40分51秒
とゆーワケで月板の方もよろしくお願いします。
420 名前:のえる 投稿日:2003年08月10日(日)23時33分50秒
落とします。
421 名前:朝ご飯。 投稿日:2003/10/12(日) 03:49

たしか、2人並んで、テレビを見ていたんだと思う。

「ねーなっち、いい?」
「ダメ」
「なぁーんでぇー」

それがいつの間にか、押し倒されてるなっちの体。

なんでって、カーペットあるけどさ、ここ床じゃん。
不満そうな声上げるならソファかベッドに運んでよ。
いや、運ばれても、やっぱ嫌なんだけど…。

「誘っといて我侭だなぁ…」

誘ってません。

む?…あ、そりゃ今日家来るかい?って言ったのはなっちだけど
それはそういう意味で言ったんじゃないよ?
ごっちんが暇だぁーって言うからさぁ…なに、そんな目で見ないでってば。

「ケチぃー」
「…まだ10時だよ?」
「10時だね」
「……朝なんだけど」
「朝だね」
「…………」
「グッモーニン♪」
「グッバイ」
「んあっ!?」
422 名前:朝ご飯。 投稿日:2003/10/12(日) 03:49
ニヘヘ…、面白い顔。
目を力いっぱい見開いたと思った瞬間、ひどく傷ついた顔になって
見下ろしてるのに、上目遣いでなっちを見る。

「本気で…言ってるの?」
「……だったらどーする?」
「………関係ない」
「はい?…んんっ!」

ちょっとぉー、不意打ちかよー。
関係ないって…なっちの意見は無視ってことですか。
それでキスするワケですか。

目を閉じずに、すぐ近くにあるごっちんの顔をボーっと見てみる。

なんか……一生懸命。

キスなんて、初めてでもないし、もう何回もしてるのに。
ごっちんはこんなにも真剣に一生懸命なっちにキスしてくれるんだ。

「…目、閉じなよ」

拗ねたかな?
一瞬だけ唇をはなして、またすぐに口付けてきたごっちんは
なっちを飲み込もうとしてるのか、大きく大きく口を開けてなっちを塞ぎこんだ。
423 名前:朝ご飯。 投稿日:2003/10/12(日) 03:50
う、わぁ…激しい…。

息できないよぉ。
鼻で吸おうと思っても、ごっちんの激しさに気圧されて上手くいかない。

危険だ。このままじゃ窒息死する。

「んんー!んー!」

クイクイと、Tシャツを引っぱって唸る。
なっちだって一生懸命だ。だってまだ死にたくないもん。

「なっち、降参?」
「…っはぁ、はぁっ…こ、降参…っ…」

なんでごっちんは余裕たっぷりなのさっ!
なっち死にかけたんだよ?

………悔しい……。

「じゃあいただきまぁーす♪」
「…はぁーい召し上がれー」

終わったら覚えてろぉ。

「なっちこそ覚えてろよぉ」
「………」


……もう、どうでもいいです。


424 名前:のえる 投稿日:2003/10/12(日) 03:50
気分転換なちごま駄文。
はて、何が書きたかったのやら(爆
425 名前:疲れてます。 投稿日:2003/10/12(日) 03:51

「ミキたぁん」
「…なに?」

仕事の後、『会いたい』というメールを見て
亜弥ちゃんの家にすっ飛んできた美貴。

チャイムも押さずにドアを開けると
玄関で亜弥ちゃんが靴も脱がずに丸くなってた。

視点の定まらない目に、彼女の疲労が窺える。

ふんわりと微笑まれて胸がぎゅうっと押し潰された。
あ、誇張ね。ホントに押し潰されてたら美貴死んでるから。

ってそんなコトはどうでもよくて。
キョンシーみたいに美貴に向かって両手を伸ばす亜弥ちゃんの脇に腕を入れて
渾身の力で抱き上げると、犬みたいに擦り寄られて甘い匂いに包まれる。

もうこのままずっと抱き合っていたかったけど
玄関だし、亜弥ちゃん疲れてるし、美貴だって疲れてるし。

美貴に抱きついて目を閉じてる亜弥ちゃんの靴を
エンヤコラと脱がせて、半分引きずりながらリビングのソファまで運んだ。

で、今そのソファの上、美貴の目の前に亜弥ちゃんの頭がある、と。
426 名前:疲れてます。 投稿日:2003/10/12(日) 03:52
「ミ〜キ〜たぁ〜ん」
「だからなによ?」
「んふ〜」
「おぇっ、ちょっとキモイんだけど」
「ぶぅ!ひどいぃ!」

ぶぅってあんた…一応アイドルなんだから、その擬音語はどうなの?
あーいや、でもせめて、かわいらしくぷぅならどうだって言われても困るしなぁ…。
だって明らかにあの音じゃん?
ってことはぶぅでいいの?いやーでもぶぅはぶぅで濁ってるワケだから…

「ミキたん?ミキたん聞いてる?」
「へっ?…あ、なに?」
「………アホ」
「んなっ、ちょっと聞いてなかっただけでアホはないでしょアホは」
「アホアホアホアホ」

はいはいはいはい、美貴はアホですよ。

彼女が憎まれ口を叩くのは、美貴に甘えてる証拠だから。
いつもだったら身振り手振りで話すのに
今日は美貴に背中を預けたまま、声だけではしゃぐ彼女が愛しいから
黙って抱きしめる腕に力をこめる。

「亜弥ちゃん、疲れてるなら早く寝たほうがいいよ」
「…やだ」
「なんで?」
「だって……せっかくミキたん来てくれたのに…」
「んじゃ帰ろうか?」
「やだぁ!」
427 名前:疲れてます。 投稿日:2003/10/12(日) 03:53

あわわわわわ。

冗談だよ、冗談です、冗談なんじゃない?

だからいきなり振り返ってのしかからないで。
そんなことの為に残り少ないエネルギー使わないでよ。

「帰っちゃやだぁ!」
「帰んない!帰んないから!!」

だから泣かない、泣かない。
駄々こねる幼稚園児かあんたは。

「………アホ」

えぇ、アホですよ。
でもホント、少しでも元気なうちに着替えてベッドに行こう?

「動けない」
動けやゴルァ。

「ミキたんのせいだ」
「えぇえ!?」

ありえないし、美貴が来る前から疲れ果ててたじゃん。
むしろ美貴が来たおかげで元気出たんじゃないの?

「おんぶ」
「コンブ?お腹減ったの?」
428 名前:疲れてます。 投稿日:2003/10/12(日) 03:53

イタタタタタ、つねるなつねるな。
んだよ、動けるじゃんか。

「動けないもん」
「………」
説得力ないんだけど…。

「おーんぶー」
「…わかったよ」
「やったぁ!」

ぐぇっ、首苦しい!死ぬ!死ぬっつうに!
こんな力あるなら自分で歩きなよ!

「行け行けゴーゴー」
「…お…重い……」
「あぁ?」
「…重くない、重くない」
「ニッヒッヒッ」

その後、ヨロヨロしながら亜弥ちゃんを寝室に連れてってベッドに投げて
ぶぅーぶぅー文句を言い出す前に乱暴に服を脱がせて
パジャマを着せてやった。

あの、美貴も疲れてんだよ。念の為。

布団を被ったら、体が反応したらしく亜弥ちゃんはすぅすぅと寝息を立て始めた。
429 名前:疲れてます。 投稿日:2003/10/12(日) 03:53

あー…美貴もお風呂に入ってもう寝よう。

でもその前に、とりあえず。

美貴はさっき脱がせた彼女の下着(上ね)を拾うと
幸せそうな寝顔に巻きつけた、

ホントなら下の方を被らせてやりたかったけど
こちらもなかなか間抜けで愉快。
鼻の下でホックをとめると、まるで下着泥棒だ。

ニシシシシシ。

………ハッ、くっだらねぇことしちゃった。

やばいやばい、美貴も相当キてるらしい。

早く寝ないともっとやばいことになりそうだ。
お風呂は明日。亜弥ちゃん、一緒に入ろうね。




でもその前に、ベッドに一緒に入らせて。



430 名前:疲れてます。 投稿日:2003/10/12(日) 03:54
以上、気分転換みきあや駄文。
なんじゃこりゃ。
431 名前:ごーしゅ 投稿日:2003/10/12(日) 22:37
お腹いっぱいです(;´Д`)ハァハァ
チェックしといてよかった(w
432 名前:たんが好き好き♪ 投稿日:2003/10/22(水) 02:19


「お肉好き好き♪お腹すきすき♪」
「………」

あたしは今、たんと一緒に泡風呂タイム。
交代で頭も洗い終わって少し狭い浴槽で向かい合っている。

知ってるから、あんたが肉好きなことぐらい知ってるから。
何回焼肉に付き合わされたと思ってんの?
たまにはパスタだって食べたいのに…。

しかもそれ、石川さんの歌じゃん。
あたしと2人っきりの時に歌わないでよ。

ふんだ。

なんかむかつくから、あたしは暢気に
ジャストミートでかっ飛ばしてるたんに背中を向けた。

「…亜弥ちゃん?」
「………」
「亜弥ちゃぁーん」
「なによ…ってきゃあ!」
「んふふぅ〜」
「っ…ぁ…ちょ、ちょっと変なとこ触んないでよ!」
「お肉もみもみ♪心ムラムラ♪」
「バっ!…カぁ……んっ…ぅっ…」
433 名前:たんが好き好き♪ 投稿日:2003/10/22(水) 02:19
なにがもみもみよ!なにがムラムラよ!
親父かあんたは!だから変なとこ…触るなぁ!!

「亜弥ちゃーん仲良くしよーよぉ」
「ふっ…んっ…仲…い、いじゃん…!」
「背中向けてるじゃん」
「そ…れはぁ…たんがぁ……あっ、悪い、のぉ…」
「えぇー?美貴なんかしたぁー?」
「した!ってか…っ今もしてる!」
「いやなの?」
「…っ…」
「いやならしないけど」
「………」

イジワル。イジワルバカ。イジワルバカたん。

「ねぇ、いや?」
「……い…っ!」

いやじゃないけど、意地を張っていやだと言おうとした口が
後ろから伸びてきた手に顎を捕えられて塞がれる。

「んっ……っ……」

胸を触ってた手もどんどん下におりていって
すでに熱を持っていたそこに優しく触れた。

「はぁっ…あっ…あんっ…」
「ここは、いやじゃないみたいだね…」
「あぅ…うっ、うっんんっ…」
「うん?ううん?どっちかわかんないよ」
434 名前:たんが好き好き♪ 投稿日:2003/10/22(水) 02:20

あたしだってわかんないよ。
もうなにも考えられないもん。
たんの手に捕まって、いやらしい声を上げることしかできない。

「うんでいい?」
「あっ…ひゃぁっ…あっ、あっあっ…!」
「…もう喋れないか」

喋れないよ。そんな余裕ないよ。
耳に舌入れられて、胸の先端は撫でられて
侵入してきた指に掻きまわされて。

頭が真っ白になる。あたしの名前を呼ぶたんの声だって
もう半分も聞えない。

たん、ミキたん、ミキたんだよね?

後ろからされてるから、顔が見えない。
不安になってうすく目を開けるとバスルームの大きな鏡に
信じられないほど恍惚とした自分の顔が映っていた。

その横には、たん。

半開きの口から舌を出して、必死にあたしを
気持ちよくさせようとしてるたんがいた。


「んぅふっ…ふぁ!…あ!…たん、たん!」
「…ん、亜弥ちゃん…」
「ああっ!たんっ、ミキたん……っ、はああぁぁぁっっ!!」

....................................

...........................

...................

............

435 名前:たんが好き好き♪ 投稿日:2003/10/22(水) 02:20

意識を取り戻すと、たんが心配そうな顔であたしを見ていた。

「…たん」
「亜弥ちゃん、体大丈夫?だるくない?」
「ん…大丈夫…」
「っはぁ〜よかったぁ。
 気失っちゃうなんて初めてだからめちゃくちゃ焦ったよぉ」
「…運んでくれたの?」
「へ?…あー…まー…一応…」 
 
ベッドに寝かされていたあたしの体はしっかり水分が拭き取られていて
頭にはタオルが巻かれていた。

ほとんど同じ体型なのに、頑張ってくれたんだ…。
ちょっと、いや、すっごい幸せな気持ちになる。

「ありがとぉ」
「えへへっ…へ、へっくしゅ!」
「だいじょー…ってたん裸じゃん!!」
「おぉー」

おぉーじゃないよ!
よく見たら肩に泡ついてるし!

「あー拭いたんだけどなぁー、うぃー寒ぅー」
「もう1回つかっといでよ!風邪ひいちゃうよ!」
「むぇーめんどくさいよー」
「な、なら服っ…パジャマ着て!」
「んー…」
436 名前:たんが好き好き♪ 投稿日:2003/10/22(水) 02:21
んー?
ちょっと、だからはやくパジャマ着なって。
なんで黙るの?なんで寂しそうな顔するの?

「あのさぁー雪山でさー遭難とかした時にさー…」
「ふぇ?雪山で遭難?」
「よくさぁーマンガとかであるじゃん。
 裸で抱き合ってあっため合うやつ」
「………」

耳、赤いよ?
恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。
さっきあんなことしといて、なに急にかわいらしく言っちゃってんの。

「寒いめぇ」
「………」
「あっためてほしいめぇ」
「…はやく入って」

あったかい毛に覆われてない、素っ裸のみきう〜るの為に
布団を上げる。すると途端に顔を輝かせて冷たい体が抱きついてきた。

「ひゃぁ!たん冷たいよぉ!」
「うぁー生き返るぅー」

パジャマ越しのとこはともかく、直接触れた肌の冷たいこと冷たいこと。
忘れてた…この人冷え性なんだ…。

なんて思ってる間に、するするとパジャマも脱がされて
氷のような冷たさが全身を襲った。
437 名前:たんが好き好き♪ 投稿日:2003/10/22(水) 02:21
「つっ…めたい…!」
「あったかーい、実際マジありえないぬくもり」
「う、ぅー…足ぃ!ペタペタしないでよ!」
「だって裏までちゃんとあっためたいし」
「し、知るかぁ…っ」
「んなこと言ってぇーしっかり腕は美貴の背中にまわしてくれてんじゃん♪
 さては君、ボクに惚れてるね?」

あぁ惚れてるよ、惚れまくりですよ。

勝ち誇った顔で偉そうにあたしを見るたんも
ここまで運んで心配してくれたたんも
してる時の、たんも

全部全部大好きですけど、なにか問題でも?

「いやぁー光栄だねぇー。
 それじゃ寝よっか、おやすみなさーい」
「…電気消してよ」
「明るい家庭を築きたいんだ」
「なにそれ…」
「まーまー暗いより明るいほうがいいじゃん」
「あんた、布団から出たくないだけでしょ」
「バレたか…」
「………」



エロくてイジワルで勝手なとこも

あなたがあたしに見せる全てが、愛しくてたまらない。



438 名前:たんが好き好き♪ 投稿日:2003/10/22(水) 02:23
川*VvV)(‘ 。‘*从
439 名前:のえる 投稿日:2003/10/22(水) 02:23

またしてもなんじゃこりゃ。
ミキティがエロ親父やないか(爆
読んでしまった方、ごめんなさい(激爆

>431 ごーしゅ様
レスありがとうございます。
うぉぉ見つかってる…。
短編って難しいですね、玉砕です(爆
440 名前:あっちの 178 投稿日:2003/10/22(水) 02:42
(*゚∀゚)
441 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/22(水) 04:21
最高です。
えろくて甘甘でほんわかしてて。
こんなあやみきが大好きだ−−!
442 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/22(水) 06:23
いい!!(゜∀゜)
ヘタティもいいけど、このみきたん最高!!
443 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/28(火) 08:59
あ〜、もう最高!
こんなんもっと書いてください。
444 名前:のえる 投稿日:2003/11/25(火) 23:22
レスありがとうございます。

>440 あっちの178様
スケベ(www

>441 名無し読者様
私もあやみきが大好きだ―!!!!!
ほんわかしてましたか?よかったぁ(ホッ
でも甘甘というよりアホアホでしたけど(爆

>442 名無し読者様
ただのスケベ親父ですけどよかったですか(w
というかこのミキたんは前の黒美貴から黒さを抜いたイメージ
で書いたんですけど、ヘタティとは大違いですね。
どうやらエロさだけが残ってしまったようです(爆

>443 名無し読者様
ぶっちゃけ、書けないと思われ(爆死
エロは苦手なもんで…。
嬉しいお言葉ありがとうでした。
445 名前:のえる 投稿日:2004/02/27(金) 03:17

ストレイ シープ番外編

446 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:18

ブーン ブーン ブーン

早朝5時、パジャマのポケットの中にこっそり忍ばせていた
携帯のアラームが振動する。

今日は、ミキたんの19歳のお誕生日。

「ぅー…」

包んでくれてる腕の中からそっと抜け出して静かにベッドをおりると
すやすやっていうよりピヨピヨ寝てるミキたんが
あたしがいなくなった空間を手で探って小さく唸った。

大変。ここのとこ、ミキたんあんまり寝てないから
大丈夫かと思ったのに……このままじゃ起きちゃう。

慌てて洋服ダンスの上に置かれてるみきう〜る(ヌイグルミ)を
ミキたんに持たせる。

「…ぅぅん…」

するとミキたんは安心したようにみきう〜るに抱きついたけど
次の瞬間すぐまた不満気に唸った。

うーん、どうしよう、起きちゃったら今日の計画が……そうだ!
447 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:18
ミキたんが探してるのは、きっと、あたし………だよね?

あたしがここに住むようになってから
このミキたんのお部屋に、みきう〜るの隣に連れて来たあやぴょん。
あやぴょんなら、少しはあたしの匂いが染み付いてるハズ。

「ぅー…?…ぇへへ……」

どうやらうまくいったみたい。
あやぴょんに鼻を寄せたミキたんは嬉しそうに抱きついて
先に渡したみきう〜るをポイとベッドの外へ投げた。
それを床に落ちる寸前でキャッチしてちょっとだけじぃ〜っと
ミキたんの寝顔を眺めてから、着替えを持って1階に向かった。

えーっと、5時半にはごっちんが迎えにきてくれるから…。

いつも出かける支度が遅い私。
ちょっとのつもりが15分も経ってたみたいで
かなり急がないと間に合わない。
でもバタバタ音たてたらミキたん起きちゃうし、暖房も
ゴォって音がするから、寒いのを我慢して歯と顔だけ洗って着替えて、
ハネてる髪は帽子で隠して時間ギリギリ準備完了。
448 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:18
ミキたんが起きるまでに帰ってくるつもりだけど
念の為『愛ちゃんにまこっちゃんのことで相談があるって呼び出された』と
嘘の書置きを書いて
7時には起きるミキたんのために暖房のタイマーをセットして
抜き足差し足でソロ〜っとミキたんのお家を出た。

あ……そろそろ、あたしの、あたしたちのお家って言っていいかなぁ?



◇◇◇

449 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:19

んあ、眠っ。

あーみんな久しぶり、ごとーです。
ごとーは今とある任務っていうかお助けウーマンっていうか
ぶっちゃけるとまっつーを乗せるために
ユウキのバイクを勝手に借りて美貴の家の前にやって来た。

んあ?もちろん無免許、そこんトコよろしく哀愁ぅ〜♪

「あ、ごっちん待った?」

友達と恋人のぉ〜♪と鼻唄をフフンと歌ってたら
なにやら盗人みたいに怪しげな動きで
音も立てずに玄関からまっつーが出てきた。
ハハーン、美貴を起こさないようにという配慮ですな?

「んあ、おはよー。今来たとこだよ。美貴大丈夫?」
「うん。ごっちんこそ安倍先生いいの?」
「んあ、話してあるし。
 バイク乗るコトは言ってないけど……ホントにいいのかなぁ?
 ごとー無免だよ?バレたら美貴に殺されそうなんだけど…」
「…バレなきゃいいんじゃない?
 もしバレてもあたしが無理矢理頼んだんだし」
「んあ…」

でもねまっつー、そうは言っても、『頼まれても断れよ!』って
かなりの確率でヤラれる可能性大なんだけど…。
450 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:19
まぁでも、もしもの時は高橋にも話合わせるようにって
裏で打ち合わせしたし…帰りはちょっとむこうのほうで降ろせば
近所の人に見られたりとかもしないだろーし。
今は早いからたぶん誰にも見られてないし。

「んあ、じゃ行こっか。帽子の上からでいいからメット被ってね」
「はぁい。お願いしまぁす」

んあ!おイモパワーゴォ!!
まずは肉だっけ?ってか肉だけでいいんだっけ?とりあえずゴォ!

後ろのまっつーを振り落とさないように
安全かつ素早い運転でごとーはバイクを飛ばす。
んあ、そうそう、そこに行くのかまだ言ってなかったね。
牛狩りよ牛狩り。

今日って美貴の誕生日でしょ?
しかも、なんていうか、今回は美貴とまっつーがちゃんとくっついてから
初めてのハッピバースデーなワケじゃん?
あの、海を走って渡って美貴がまっつーに告白してからは初めての。

だーからまっつーは特別にしたいってゆーか、
美貴の一生の思い出になるような誕生日にしてあげたいらしく。
451 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:20
プレゼントももちろん用意してあんだけど
日頃の感謝もこめて美貴のために美味しい料理を作ってあげたい、と。
それもスーパーの安いのじゃなくて最高級な感じの肉で。

ほらぁ、美貴って過保護じゃん?
まっつーが1人で料理しようとすると絶対手伝うし。
しかもまっつーが包丁を使っていいのは昼と夜だけで
朝は『亜弥ちゃんよく寝惚けてるから』って美貴が傍にいても
まっつーが泣いて拗ねるまで触らせなかったりとか。

前に1回まっつーがどーしても朝1人で作るって言ったら
『じゃあ美貴コーンフレーク食べたい』ってそれ牛乳そそぐだけじゃん!みたいな。
これにはカチンときたまっつーが自分の分はサンドイッチにしようとしたら
『亜ー弥ちゃん、食べさして』って腰を捕まえられて
食べさせてあげたらいつの間にか自分も食べさせられてて……さらばサンドイッチ。

白いんだけどね、ホワイティなんだけどね。

まっつーは昔っから『ミキたんのお嫁さん』ってのが夢だったワケで、
この状況はかなぁーり不満なワケよ。

心配してくれるのは嬉しいし、大事にされてるって実感はできるけど
ダメなのよ、特に今美貴は大変な時だし。
452 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:20
美貴は美貴でさぁ、黒かった時だって
きっと今と同じぐらいまっつーを心配してて大事にしてて
だけど傍にいなかったでしょ?ホントはいたかったのに。

だから爆発しちゃったのよね。
我慢してた分まっつーを想う気持ちがさ。

つってもこんな過保護っぷりを発揮するのは料理の時ぐらい
だって美貴は言ってるけど。

現にお風呂掃除とか洗濯とか、そういうのはほとんどまっつーが
やってる。美貴もごとーも一応3年生で
大体高3の3学期って言ったらほとんど学校行かなくてよかったりするけど
ウチでは今年の1月の試験で付属の大学への進学が決まってて
他の大学を受けない子たちは週1で課題を提出しないと
今までに取った単位消されちゃうのね。去年の美貴みたいに。

ったく最後の最後で厳しいことしなくたっていいのにさぁ。
まぁ大学決まったからってダラけるなってコトだろーと思うんだけど。

しかもその課題の量って、ごとーたちの分でも充分多いのに
1度留年してる美貴にはさらに厳しくその倍の量が出されてんのさ。
453 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:20
でまたその課題がやたらメンド…難しくて……かおりんの出すヤツが。
やれサリンジャー読んで英語で読書感想文書いてこいだの
アメリカンスクールに行って『北風と太陽』の紙芝居(英語Ver)やってこいだの。
それだけでも大変なのに、かおりんは美貴に…

『ねぇねぇ藤本ぉ、のんちゃんとあいぼんがね、
 なんで海はしょっぱいのか知りたいんだって。教えてあげて』

『あのさぁ、カオの友達が働いてる動物園で今ゾウフェスタやってるんだけど
 インドゾウとアフリカゾウの違いを1日中説明し続けるバイトの子が
 1日でやめちゃったんだって。で、代わりの子探してるから藤本行ってきてよ』

なんつー非常に面倒な課題っていうより命令を出してて…

『あのね、それは大昔に…』
『大昔っていつやねん』
『大昔は大昔だよ』
『ののとあいぼんが生まれる前れすか?』
『…うん、そう、ずっとずっと前にね、塩酸の雨が…』
『エンサンって何れすか?』
『エンさんっていうぐらいやから人とちゃう?あ、でも人の雨?
 怖っ、そんなん降ってきたら泣くわぁ』
『ぐすっ、あいぼんが泣いたらののも泣くのれす…ぇっく』
『ののぉ…大丈夫やで。
 どんなことがあってもあいぼんが一緒やさかい』
『……あの…盛り上がってるトコ悪いんだけど塩酸ってのは塩化水素が…』
『アホぉ!ののが泣いとんのに演歌なんか聞いてられるかぁ!!
 ハッ!さては黒美貴復活やな!助けてぇー!!亜弥ちゃん助けてぇぇぇー!!!』
『…………』
454 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:21
『えー、耳を見てくださぁーい。耳の大きいほうがアフリ…』
『うっせーんだよババア!ゾウが見えねーっつーの!』
『ご、ごめんねぇ…で、牙がー…』
『あああー!こいつオバサンじゃねぇ!若いぞ!ピチピチだ!』
『……3メートルもありー…』
『姉ちゃん姉ちゃん!いいケツしてんじゃん!
 胸はぁー…まいいや、触らせろよぉー』

プチッ

『まいいやとはなんだ!ケンカ売ってんのかクソガキぃ!!
 お前らみたいな耳年増のチェリーに触らせるほど美貴は安くないんだよ!』
『…ふ…ふぇっく、ひっく…ママぁぁぁ〜!!
 怖いよぉ〜!このお姉ちゃん怖いよぉ〜!!!!』
『ハッ!待って!泣かないで!つーか男ならすぐママに助け呼ぶなぁ!』
『み、光男ちゃん!?だだだ誰ザマス?!
 ワタクシのカワイイ光男ちゃんを泣かせたのは!!キィィ!そこのアナタね!
 誰かぁー、誰か警察呼んでちょうだい!』
『チィっ!アンタみたいな親だから子供がこんななんだ!
 ちょっとは美貴みたいに親がいなくてもまっすぐ育てっての!!』

ん?まっすぐ?どこが?

『通報を受けました、○●署の者です!
 いたいけな子供に戦慄の恐怖を味あわせているというふとどき者はどこに…ああ!!
 お前はその昔除夜の鐘を107回で止めようとしたヤツ!!
 貴様ぁ!ここ数年大人しかったと思えばまた悪事を働きよって!』
『ハァ!?…ああぁー!あの時の!久しぶりじゃん!!』

ギャーワー
455 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:21

とまぁこんな感じで美貴は今超忙しいの。
色んな教科の色んな課題を、毎日まっつーと一緒に学校に行って
図書室でやったり、でもかおりんに見つかって新たな課題を追加されたり、
家に帰っても夜遅くまで机に向かってて
ほとんど寝てないみたいで。

だから料理以外はまっつー任せになってるんだけど。
大変な時ぐらい、もっと完全に甘えて欲しいんだよね、まっつーは。
それに、ちゃんとできるって信じて欲しいんだろーな。

「ごっちん、あとどれぐらい?」
「んあ、あと5分かな?なに?時間ヤバイ?」
「ヤバくないけど…あのね、お肉買うトコからちょっと離れた市場に
 鮭トバ売ってるらしくて。ミキたん好きだから買いたいんだけど間に合う?」
「うーん…微妙だけどなんとかする!
 ごとーに不可能はなぁーい!!」

って言ってみたけどホント微妙。
やっぱ無理矢理でも紺野にポテト雲借りてくりゃよかったなぁ。
いや、なんかアレね、こないだ海に落ちたじゃん?
だからなかなか治んないんだって。
まぁないモンは仕方ない。まっつー、しっかり掴まっててね。どりゃあああああ―!!!

バビューン!
456 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:22



「よし、牛も買ったしトバも買ったし。後はもういいね?」
「うん。ミキたん……喜んでくれるかなぁ?」
「んあ、当たり前じゃん。飛んで喜ぶよ」
「へへっ、だといいけど」

買ったモノは、持って帰ると美貴にバレちゃうから一旦ごとーが預かる。
で、2人が学校から帰ってくる頃にごとーが課題を手伝うとか
なんとか言って美貴の家に行って、美貴を監禁してる間に
まっつーはごとーのおかーさんの店で料理を作る、と。
でぇ、できた頃にごとーが美貴を連れ出して…って寸法。

今日がちょうど店休みの日でよかったよ。
おかーさんも2つ返事でオッケーしてくれたし。
ついでに、やっぱりごとーも心配だから
手は出さないでいいけどまっつーのコト見といてあげてねって頼んだら
張り切って『任せなさい!』って言ってくれたしぃ。

「んあ、また後で。学校出る時メールしてね」
「うん、ホントありがとぉ」
「あはっ、どういたしましてぇ」
457 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:22
7時はちょっと過ぎちゃったけど
美貴の家からは死角になってる角のとこでまっつーを降ろす。
頑張ってねって最後に声をかけると、
まっつーはくしゃっと笑って駆けていった。

…んあ、2人乗りだけじゃなく走らせたことまでバレたら……考えんのやめよ。

さっきのゾウの話でわかってくれたと思うんだけど
美貴ってまっつー以外にはたまに黒美貴を光臨させんだよね。
黒美貴がいなくなった時は寂しく思ったけど
やっぱ白が1番。ホワイティ最高。

どうか、どうかバレませんように。

ごとーはパンパンと手を合わせて天に祈り、ブルンとその場を去った。



◇◇◇
458 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:22

「亜弥ちゃん!!」
「あ、ただいまぁ」
「どこ行ってたの?!起きたらいなくなってたから心配で心配で…っ」

玄関に入ると、血相を変えたミキたんがすっ飛んできた。
パジャマ代わりのジャージとトレーナーに帽子を被って、
もしかしたら、あたしのコト探しに行こうとしてくれてたのかもしれない。

「書置き、読まなかったのぉ?」
「え?書置き?そんなんあったっけ?美貴テンパっちゃって……なんて書いたの?」
「愛ちゃんがね、まこっちゃんとケンカしたみたいで
 話聞いて欲しいって朝早くに電話があったの。
 で、そこの公園で話聞いてて…」

ミキたんを喜ばせる計画の為とはいえ
嘘をつくのは少し心が痛んで、あたしは視線を足元に落とした。

「公園?そんな近くならわざわざ出てかなくてもここに来てもらえばよかったのに…。
 寒くない?体冷えてんじゃん。早くあったかいモノ飲んだほうがいいよ」
「…うん。ごめんね?心配かけて…」
「んー、ビビったけど書置き見つけらんなかったの美貴だし。
 亜弥ちゃんが謝るコトないよ。高橋ちゃん大丈夫だった?」
「うん…」
 
あたしの肩をミキたんは優しく抱いてくれる。
嬉しくなって顔を上げると、見つめてくれる目の下のクマに涙が出そうになった。
459 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:23
「…ミキたん」
「なぁに?」
「夜も言ったけど…お誕生日おめでとう」
「ありがと。今年は1番に亜弥ちゃんに言ってもらえて嬉しかった。
 なんかでも…ごめんね?最近バタバタしてて、
 今日もどこにも連れてってあげられないし…」
「フフっ、ミキたんの誕生日なんだからあたしのコトどこか連れてくコトないよ。
 一緒にいられたらそれでいいから。あんまり無理しないでね」
「…でも」

手を繋いで暖房が効いたリビングに入ると
ミキたんはぎゅうっと抱きしめてくれた。

「こーゆーのも、してないし。
 美貴、欲求不満でどうにかなっちゃいそーだよ」
「……ミ、ミキたん…」

サラサラの髪が首を、顎をくすぐって、鎖骨に唇が落ちる。
その動きはとてもゆっくりで、声も弱弱しくて。

疲れてるんだよね。毎晩遅くまで頑張ってるのに
あたしが寝る時は必ず寝入るまで頭を撫でてくれて。
寝たフリして、頑張ってミキたんが寝るまで起きてようって思った時もあったけど
なかなかミキたんはやって来なくて、結局あたし寝ちゃったんだ。
でも朝起きたら、ミキたんはあたしを包んで目を閉じてて。
460 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:24
そんな感じだから、少しは寝てるみたいだけどホントに少しっぽい。
このままじゃミキたん倒れちゃうよ。

自業自得とはいえ飯田先生の出す課題は意地悪なのも多いって
ごっちんに聞いたから、今日学校に行ったら文句言おっと。

「うーん……ごめん、朝頼んでいい?美貴コーンフレークでいいから」
「今日は寝惚けてないから卵とか、サラダぐらいなら大丈夫だよ?」
「んーん…いいよ。
 あったかいの食べたら寝ちゃいそうだし。サラダ食べんのもしんどいし」
「…ねぇ、1日ぐらい休んだほうがいいよぉ」
「今日は……カオリ先生に呼ばれてるんだ。辻ちゃんと加護ちゃんが
 海苔の裏表の見分け方を教えて欲しいって…」
「っそんなの!!海苔屋さんで聞けばいいよぉ!」
「でもやんないと単位が…」
「単位ぐらいあたしがあげる!」
「え…………」
「…………」
「…………それは無理じゃない?」
「………む、無理じゃないもん………」 
「…………」
「……無理じゃないぃ……」
「…気持ちは嬉しいけど、あのさ、恥ずかしいから言わなかったんだけど
 美貴の課題が多いのってね、大学の人が渋ってるからなんだ…」
「…ふぇ?」

渋ってる?なにを?
461 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:24
「美貴って超問題児じゃん? 中学もロクに行かない時期あったりとか、警察に捕まったりとか。
 黒い噂も山という程流れたし、高校留年しちゃったし…。
 いくら成績クリアしてても白くなったって言っても
 やっぱ大学としては嫌みたいで…。ホントなら試験がどんなによくても
 落とされるトコだったみたいなんだけどカオリ先生とかが頑張ってくれてさ。
 だからこの課題って、半分くらいは大学に認めてもらう為にやってんの」
「え……」
「なのにこないだ動物園でまたヤッちゃったじゃん?
 どうにか丸く治まったけど、次はヤバイね。
 だから今は無理でもやるしかないっていうか」
「そんな…」

昔はどうあれ、大学に行くのは今のミキたんなのに。
昔だって、何してたって、ミキたんは決して悪い人じゃなかったのに。

ひどいよそんなの。
そんなひどい大学行くコトないよ、他の大学受けた方がいいよ。

「…そう言うと、思った。だから言わなかった」
「……どういう意味?」
「この辺で他の大学って言ったら、電車乗んなきゃダメじゃん。
 そこまで遠くはないけど、でも帰りは遅くなるかもしれない。
 美貴、そんな大学行きたくないよ。少しでも亜弥ちゃんの傍にいたいもん。
 パパさんとも、大学は付属って約束したし」
「…いつそんな約束っ…」
「いつだっていよ。亜弥ちゃんが何て言っても、美貴は他のトコなんか行かないから」
462 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:24
いつの間にか体を離していたミキたんの
強い目と口調が胸に刺さった。

その真剣さに押されてあたしが言葉を失うと
すぐにニッコリとして自分とあたしの帽子をとる。

「亜弥ちゃんも寝癖直してないんでしょ?…やっぱり。
 ご飯の前に洗面所行こっか。後ろんトコ手伝ってよ」
「………」
「亜ー弥ちゃん?そんな顔してるとキスしちゃうぞぉ」
「…いいよ」
「アハハっ、んじゃ後でね」

顔色、あんまりよくないのに。
クマだってできちゃってるのに。

ミキたんは明るく笑いながらあたしの手をとって歩き出した。

その背中が、なぜかひどく遠くにあるように思えて
あたしの目から涙が落ちる。

ミキたんに気づかれないように音も立てずに落ちていく。




初めて会った時から、ずっと決めていたコトだけど。


この人の為に生きていこうと想った。

463 名前:Love token 投稿日:2004/02/27(金) 03:24


464 名前:のえる 投稿日:2004/02/27(金) 03:25
思いっきり遅刻ですが、ミキティおたおめ。

从从V)<つーかここんとこ間に合った試しがないな。

ものすごく話も中途半端な上にワケわかんない内容でスマソ。
久しぶりに書くとキャラがわからない(爆

たぶん次で終わります。
465 名前:のえる 投稿日:2004/02/27(金) 03:25
それとここに書くのもなんですが
あっちがちょっと止まっております。

ホントは一緒に更新する予定だったのですが、ただ今強烈な喉風邪に襲われて
鼻も大洪水なので、あっちを待ってくださってる方がいらっしゃいましたら
どうかもう少し待ってやってください。
466 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/27(金) 04:21
もうハァハァする事しかできません…。
やっぱりこの2人は最高です!!
個人的にはぴよぴよみきたん萌えw
>>462の決意(?)もさいこー!!
なんかこいのうたを思い出したり…とにかく素敵です。
朝から素敵な話をありがとう!!
467 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/02/27(金) 21:30
この話で萌えない人間がいるのなら見てみたいものです。
ホワイティ万歳!ホワイティ万歳!ホワイティ万歳!
468 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/28(土) 01:02
467さんに同意です〜(笑 「すとれい しーぷ」激ラブ。
469 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:24

ビリッ

「はがぁっ!?」
「ミ、ミキたん!大丈夫?!」

放課後、授業を終えたあたしは真っ先にミキたんのいる図書室に来ていた。

入ってすぐ奥の方の席で熱心に課題を消化してるミキたんを見つけると
「間違えちった」って言いながら消しゴムをゴシゴシしてるところで。

その様子が小っちゃいリスみたいで、きゃわいいなぁ〜なんて
木陰から飛雄馬を見守る明子姉ちゃんのごとく本棚の影からミキたんを見つめていたら
強く擦り過ぎたせいか、ノートが勢いよく破れちゃって……

「…あ、亜弥ちゃん……み、見てた?…今の?」
「え?…う、うん」
「……そ、そう…」

カッコ悪いトコ見られちゃったなぁ…なんて
これまたきゃわいくミキたんはほっぺをポリポリ。

「帰る?」
「うん。ミキたん帰んないの?…あ、あいぼんたちに教えるんだっけ」
「あー、それは昼休みにやっといた。
 カオリ先生も今日美貴が誕生日だって知ってるから放課後は勘弁してあげるって」
「じゃあ早く帰ろうよ」
「うん」
470 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:24
頷いて、ん〜っと体を伸ばすミキたんの鞄に机の上に散らばったノートやプリントを入れる。
ホントは肩でも揉んであげたいけど、ここ学校だし。
あたしたち以外は誰もいないけど、いつ誰が来るかわかんないし。

そういえば、ここの図書館って人気があって
いつもすごく混んでるのに、なんで最近は人がいないんだろ?

「へ?そう?そーいや放課後なのに誰も来ないね。
 つーかさっきまで3年の子も1、2年のサボリの子も普通にいたのに」
「そぉなの?あたしが来た時にはミキたんしかいなかったよぉ。
 昨日も、その前も。ここんとこずっと」
「………もしかして…」
「ふぃ?なんか心当たりあるのぉ?」
「いや……ないよ。まさかみんな気ぃ遣ってるなんて、そんなまさかね…」
「木ぃ?」

みんなで木を使うなんて、校舎の改装工事するなんて聞いてないけどなぁ。

「ハッ!ってコトはついでに…」
「むぅ、ミキたん何1人でブツブツ言ってるのぉ?」
「え?…あ、ごめんムクレないで。
 ってかちょっと確かめたいコトあるから協力してくれる?」
「協力? いいよぉ、なにしたらいい?」
「じっとしてて」
「ぇ?…っん―――」
471 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:24
くいっと腕をひっぱられて、重なる唇。

「ま、まっ!…んぅ…人がきちゃぅ…んっ…」
「来ない。ってゆーかもう来てるよ」
「んふっ…ふぇ…?」

『ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!』
『白い!今日も白いわぁ!』
『あややぁ、ちゃんと捕まえとけよぅ・゜・(ノД`)・゜・』
『ホワイティ(;´Д`)ハァハァ ……あぁ、あややになりたい…』
『もうまこっちゃん、恥ずかしがってる場合じゃないよ。
 あの優しい手つきとか顔の角度とか、ちゃんと見て色々勉強しとかなきゃ』
『うえぇ、無理だよぉー、見てもあんな上手にできないってばぁ』
『なに弱気になってんの。
 藤本先輩だって最初からあんなにコナレテタんじゃないんだよ』
『…そりゃそーだろぉーけどぉー…』

ふぇぇぇ!?だだだ誰ぇぇぇ?!どどどどこぉ?!

来てるならやめなきゃって、深いキスに溺れそうになる心を引き上げようとすると
妙に聞き覚えのあるのやらないのやら、複数の人のヒソヒソ声が
頭の上らへんから聞こえてきた。

って聞き覚えのある2人……紺ちゃんとまこっちゃん?
472 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:25
「ったく、やっぱりそうか。
 てか別に美貴はコナレテないっつーの。ねぇ亜弥ちゃん?」
「ぇ………」
「あれ?…………………コナレテ、る?」
「……ぅん」
「………」
「…あ、じゃなくて、コ、コナレテるんじゃなくて上手なんだよ、ミキたんは」
「……いいよ別に。どうせ美貴はコナレテるよ、コナティだよ」
『コナティハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!』
「だあ!お前らうるさい!
 忍者でもあるまいにわざわざ天井に穴開けて覗くな!!!」
『黒美貴キタ━━━(゚∀゚ )━(∀゚ )━(゚ )━( )━( ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━━━!!!!』
『キャァァァァァァァー!!!黒美貴様黒美貴様、おしおき キ ボ ン ヌ 』
「………付き合ってられるか。
 亜弥ちゃん、帰るよ」
「…う、うん。あの、ごめ…」
「亜弥ちゃんには怒ってないよ」
「………」

ミキたんは天井を物凄い剣幕で睨んだ後、
まるで何事もなかったかのような爽やかな笑顔であたしの手を引いた。

それが逆にすごく怒ってるように思えて
チラリと横顔を盗み見たら、そこには疲れしか浮かんでいなかった。

ちょっと、また泣きそうになる。
今度は堪えて、繋がってる手に力をこめた。
473 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:25

「メール?」
「うん、愛ちゃんから」

ミキたんの家に帰り、制服のままリビングのソファで
携帯をイジるフリをして抜け出すチャンスを窺ってると、
あたしとお揃いのジャージ(部屋着)に着替えたミキたんが胸にひっついてきた。

「そだ、ケーキぐらい食べる?」
「うん。…あ、あたし美味しいトコ知ってるから買ってくるよ!」
「1人で?いいよ、美貴も行くよ」
「ダメ!…あの、ちょっと遠いし、ミキたん着替えちゃったし
 課題もあるでしょ? あたし1人で平気だから」
「でも………うーん……わかった。
 じゃあ悪いけどお願いね。お礼は今夜身体で返すから」
「なっ!?……バカ、恥ずかしいよぉ……」
「ニヒヒ♪」

もぉ、エッチなんだから。
でもおかげで出かける口実ができた。

「車と、足元に気をつけなきゃダメだよ」
「わかってるよぉ、ミキたんもあんまり根詰めないでね」
「うん。今日は気合で夜までには絶対終わらせとく」
「…うん」

心臓の音、聞いてるのかな?
胸に耳をあてて目を細めるミキたんの小さい頭を撫でる。
こめかみにキスしたら、嬉しそうに笑ってくれた。
474 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:26
「じゃあ、行ってくるね」
「急がなくていいけど、早く帰ってくんだよ」
「はぁーい、……あ」
「ん?」
「ホントは昨夜、12時ピッタリに渡そうと思ってたんだけど
 ……コレ、たいしたモノじゃないけど、お誕生日のプレゼント」
「わあ、美貴に?なになに?いつ買いに行ったの?」
「こないだミキたんが動物園行ってた時にママとお買い物行ったって
 言ったでしょ?その時に買ったの」
「へぇ〜…ってああ!!ハイパージャグジースパじゃんコレ!!!」
「…ふぇ?」

ハイパージャグジースパ? なにそれ、そんなの買ってないよ。
 
「すごぉーい!コレ家のお風呂がスーパー銭湯になんだよねぇ!
 でも高かったでしょ?確か3万ぐらいすんじゃない?
 亜弥ちゃんどこにそんなお金……ん?亜弥ちゃん?どしたの?」
「…ちが………」
「へ?」
「違うのぉぉぉ!!!」
「ふぁ?え??亜弥ちゃん?ちょっと、それ持ってくの?!
 ちょちょちょっと待ってってば!」
475 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:26
どうりで、包みがやたら大きいと思った。
あたしが買ったのは、かわいい天使の羽根のシルバーペンダントだったのに。
しかもペアで、それぞれについてる羽根をくっつけると
ハート型になるっていうやつだったのに。

雑誌で一目惚れして買いに行ったら在庫がなくて、
わざわざ取り寄せてもらって、松浦家に送ってもらったハズのペンダント。

昨日ママに『ホレ、届いとったで』って渡された時
鞄に入れたらパンパンになるぐらい大きかったから変だなぁとは
思ってたんだけど。

あの日ママは『人は癒されたいねん』って何度も言ってた。
健康グッズ売り場を1時間以上もウロウロしながら。

バァン!
「ママぁ!!!」
「あん?おー、亜弥やん、美貴ちゃんプレゼント喜んでくれた?」
「喜ぶワケっ…」

………喜んでたっけ。
コレの名前も知ってたし、目もキラキラしてたし。
ペンダントより、こっちのがいいのかな?嬉しいのかな?
476 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:27
「亜弥ちゃん!いきなりどうしっ…あ、ママさん、こんにちは」
「おー美貴ちゃんまで来たん?
 ってなんか亜弥怒っとるんやけど、何かあったん?」
「いえ、別に…プレゼントもらっただけで…」
「ふーん。ほな亜弥はなんで怒っとるん?」
「コレ…」
「ん?あーそれ!ママから美貴ちゃんへの誕生日プレゼント。
 亜弥も風呂好きやしさぁ、泡風呂もええけどたまにはジャグジーもええかなって…」
「ほぇ?コレ、ママさんが…?」
「うん。お金出したんはパパやけどな」

そりゃ、働いてるのはパパだからね。

「じゃなくて!あたしが買ったプレゼントは?!」
「えぇー?昨日一緒に渡さんかったっけ?
 …あ、ごめんごめんココにあったわ。ちまっこい首飾り」
「ちっ、ちまっこいってなによ!!
 かわいいもん!ママみたいなオバサンにはわかんないと思うけど!」
「な、なんやてぇ、ゴルァ亜弥ぁ!表ぇ出ぇ!!」

ワーキャー
477 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:27
「スススストップ!危ないって!
 亜弥ちゃん怪我したらどうするんですか!」
「チッ、今日は美貴ちゃんに免じて許したるわぁ」
「フン、それはこっちのセリフだよ」
 
んっとにもぉ。なんでママってたまにすご〜く意地悪になるんだろ?
首飾りだなんて……渡す前に中身バレちゃったじゃん。はぁ。

「あの、ママさんありがとうございます。
 パパさんにもまた改めてお礼に来ますんで」
「おぅ、またな〜」

ヒラヒラ手を振って、リビングに入っていくママ。
玄関に立ち尽くして凹んじゃったあたしと、それを見て
困っちゃってるミキたんの間には微妙な空気。

「亜弥ちゃん。それ、もらっていい?」
「…うん。安物だし…ちまっこいけど…」
「なぁに言ってんの。亜弥ちゃんからならどんなモノでも嬉しいよ」
「ミキたん…」
478 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:27
1人で買いに行けばよかったとか。
あたしがジャグジー買えばよかったとか。
色々後悔したけど。

濃紺の箱を開けた瞬間の、ミキたんの笑ってるのに
泣いてるみたいな笑顔を見たら全部吹き飛んでしまった。

「かわいい…ペアなんだ。つけていい?」
「…待って。ミキたんの、あたしがつけたい」

ジャグジーの時とは違って、鼻をすすりながら静かに
目を輝かせるミキたんの首に手をまわす。
終わった後も離れずにいたら、
同じようにミキたんもあたしの首に手まわして
そのまま優しくキスしてくれた。

「へへっ…どぉ?似合う?」
「似合うよ。あたしは?」
「似合いすぎ、てかかわいい。夜まで待てない、マジで」
「にゃはは、まだだぁ〜め」
「ええーダメぇー?」
479 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:28

だぁーめだよ。

ずっとこうしてたい気持ちは山々だけど
もう行かなきゃ。早く行かなきゃお夕飯に間に合わない。
ごっちんだってそろそろ来ちゃうし。

「あとで………ね?」
「…うん、待ってる」

重なれば重なるほど名残惜しくなるキスをとめて目を合わせると
ミキたんはこれ以上ないくらい切ない顔であたしを見てた。
きっと、あたしも同じ顔してるんだろうな。


2人でいると、こんなにも幸せで、満たされるのに。
こんなにも切なくて、寂しくなるのは、なんでだろう。


なんでだろうね、ミキたん。

480 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:28


481 名前:Love token 投稿日:2004/02/28(土) 16:28
中途が半端ですいません、一気に終わらせたかったんですが
時間がないのでとりあえずここまで。
482 名前:のえる 投稿日:2004/02/28(土) 16:29
レスありがとうございます。

>>466名無し飼育さん
ハァハァありがとうございます(ww
この2人、久しぶりだったんでおかしくないか
不安だったんですが安心しました。
素敵なのはこの話じゃなくて読んでくださる読者様の方です。

>>467名無し飼育さん
ここにいますが、見ますか?(爆
自分で書いたモノは萌えられないんで
これまた不安だったんですが、萌えていただけてヨカタ(w
川;VvV)<ば、万歳て…3回も言ってくれてありがとぉ。

>>468名無し飼育さん
げ、激とはこれまた有難いお言葉を・゜・(ノД`)・゜・
( ´ Д `)<んあ、ありがとねぇ。
483 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/29(日) 04:53
うわあぁぁぁあ!!今まで気付かなかったのが悔しい!!
無駄に長いとかそんなのむしろ嬉しいですよ!
悶々としながら続きを待っております!興奮してスイマセン
484 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/29(日) 07:23
萌え過ぎてどうしてよいのやらわかりません!!(ハァハァ
朝から息荒くてごめんなさい…w
あやみきさいこーでつ!!
485 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/29(日) 23:41
すとれいのあやみきは本当に可愛いですよねぇ。
また会えたなんてハッピーです♪
あやたん、切なくなるのもいいけどちゃんと幸せかみ締めてね♪
486 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:35

トン……トン、トン、…トン…。

リズミカルとは言い難いぎこちない音でタマネギを切る。
松浦家でミキたんと抱き合った後、すぐにごっちんがやって来て

『ごめん、美貴課題が…』
『わかってる、手伝いに来たの』
『え、いいよ。自分でやんないと意味ないし』
『んじゃマジメに課題に取り組む美貴を観察してる』
『……ハ?』
『いいからいいから、とにかく入れてよ。寒い寒い。
 まっつーは出掛けるの?気をつけてねぇ』
『ちょ、待っ…』
『んあ、おかまいなくでいいかんねー。あー喉渇いた』
『どっちだよ!…ってか放せぇ!』

暴れるミキたんを担ぎ上げ、あたしにウィンクして
(正確には両目閉じちゃってたけど)藤本家に入っていった。

その、なんていうか、手際の良さに呆然としてたら
携帯にメールが届いて…

【ごとーから美貴にプレゼントってコトで手作りケーキお店の冷蔵庫に入れといたから。
あと、おかーさんが店にある野菜とか調味料使っていいって】
【ケーキはありがとぉだけど、野菜は悪いよぉ。買ってくから大丈夫】
【んあ、時間もったいないよ。
 なんなら後でちびっとお金もらうし】
【…ん、じゃあそうさせてもらいます】
487 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:36
朝のウチにお肉とトバ以外も買いたかったんだけど時間が足りなくて
ミキたんが好きなモノを優先したから
他のモノはスーパーで買ってくつもりだった。
ミキたんにあんなコト言っちゃったけど、
ケーキも商店街のいつものトコで買うつもりだったし。

ごっちんにもそう伝えてたから、気を遣ってくれたんだと思う。
お金を払うにしても、申し訳ない気がしたけど
買い物の時間が省けるコトは、その分ゆっくりお料理ができるワケで。

ここは素直にご厚意に甘えよう。
早くお店に行って、ミキたんの為に美味しいご飯を作るんだ。


『お邪魔しまーす』
『いらっしゃいあややちゃん!
 ミキピーちゃんの為にお料理するんだって?』
『ピー?…あ、はい。初めまして、松浦亜弥です。
 ミキたんのお誕生日なんで、お祝いをしようと思いまして。
 無理な頼みを聞いてくださって本当にありが…』
『っぐす!イイ子ねあやや!でもそんな堅苦しい挨拶必要ナッスィングよ!
 ウチにあるモノ全部使っていいから、火と包丁は気をつけて使ってね!
 私ここで寝転がってるけど、存在とか気にしなくていいから!』 
『は…はい、ありがとうございます。』

ごっちんのお母さんとちゃんと会うのは初めてだったんだけど
ミキたんに聞いてた通り、まさに肝っ玉って感じで
とても豪快で優しい人だった。
488 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:37
存在は気にしなくていいって言われたけど、
さりげなく背中に視線が刺さってるような……。
でも振り向くにも振り向けないし。
緊張しつつもタマネギを切り終えて、朝買ったお肉をチルドから取り出す。



美味しくできますように。

ミキたんが喜んでくれますように。



「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ」



自分でも気づかないウチにそう唱えていたあたしの後ろで
あたしが知ってるのによく似た、「あっは」という笑い声が聞こえた。




◇◇◇


489 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:37

「…遅いなぁ」
「んあ?」

久しぶりに入った美貴の部屋で紅茶を啜っていると
机にかじりついて信じられないスピードでシャーペンを
動かしていた美貴がぼそっと呟いた。
壁にかかった時計を、心配そうに見上げて。

「亜弥ちゃん…まだかな…」
「んあー、どのケーキにしようか迷ってんじゃないの?」
「だとしても遅すぎるよ。…あー、どこまで行ってんだろう…。
 遠いって言ってたけど……場所聞いときゃよかった」

ありゃりゃ、もらったばっかりのペンダント握り締めて溜息ついちゃって。

遅すぎるったって2時間しか経ってないよ?まだ5時半よ?
小学生だって後30分は外で遊んでたって怒られない時間よ?

「んなコト言ったって…2人で暮らし始めてからはこんなコトなかったし…」

い杉。
一緒にい杉。
ピーコの弟、それはおすぎ。

「…じゃなくて、そんな頭抱えなくても
 まっつー子供じゃないんだから大丈夫だよ」
「うー…」
490 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:38
「ケーキ買うついでに他の買い物してるのかもしんないし。
 ちゃんと元気に帰ってくるから早く課題終わらせちゃいなってば」
「でも…後ちょっとだし、これくらいなら明日にまわしてもいいし。
 ちょっと外見てくる」
「んああ!!ダメよ!ダメダメ!今日のは今日やりなさい!
 つーか見に行かなくても電話すりゃいいでしょ!
 ごとーがしてあげるから!」
「……なんでごっちんがすんのさ?美貴がするよ」
「んあ、それはそうね」

プルルルル プルルルル

美貴の携帯から漏れる音。
まっつーの声も聞き逃すまいと、ごとーは耳をダンボにする。

『…もしもし?ミキたん?』
「亜弥ちゃん!今どこにいるの?もう外暗いでしょ」
『あ…えっと、あのね、愛ちゃんにバッタリ会っちゃって。
 まだまこっちゃんと仲直りしてないみたいなの。だからもうちょっと遅くなる』
「…そ、そう…ならいいけど…。
 じゃあ帰る時電話して。美貴もう終わるからさ、迎えに行く」
『ふぇ?いいよ、大丈夫だよ』
「いや、美貴も外の空気吸いたいんだよね。
 頭スッキリさせたいっていうか。だから電話してよ、ね?」
『…うん。じゃあ…』
ガラァッ!
『母ちゃん!オレのバイクに泥ついてんだけど!!』
『んぁ?知らないわよそんなの』
「…え?」
『ごめん切るね!』
「え、ちょっ…」

ブツッ ツー ツー ツー
491 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:38
「…………オレ?……んぁ?」

やば。美貴の表情がない。
たぶん、今、すごいスピードで頭を回転させてるんだ。
つーかユウキのヤツなんちゅう悪いタイミングで入ってくんのさバカ!!

「…ごっちん」
「ヒッ!?」
「今さぁ、亜弥ちゃんの後ろからさぁ、ごっちんの弟君と
 おばさんのによく似た声が聞こえたんだけど」
「ンア…」
「亜弥ちゃんはケーキ買いに行ったんだけど」
「…ンア」
「アンタん家、いつからケーキ屋になったんだよ」
「ん、んあ!違うでしょ、ケーキ買った帰りでちょうどごとーん家の前歩いてたんじゃない?」
「…つーかさ、高橋ちゃんと一緒だっていうのも嘘っぽいんだよね。
 朝も相談に乗ってたって言われたけど
 まこっちゃんさっき図書館で紺ちゃんと一緒に覗きしてたし。
 好きな人とケンカ中に暢気にそんなコトしてるなんておかしいと思ってたんだ」
 
チィあの2人!なんつうコトしてくれたんじゃい!!

「んあ…でもそれはそのぉ…ケンカの原因が小川がさっさと
 押し倒さないからで、その、勉強してたー…みたいな…コト、かも…」
「ごっちん、目が泳いでる」
「ンアー…」
「もういい。美貴、ごっちんの家に行く」
「んあぁ!?それはダメ!まだダメぇ!」
「…まだ?」
492 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:39
ハッ!しくった!すっかりしくった!!

「どういうコト?」
「…んあ……音が非常に良い琴」
「その“コト”じゃねぇ!!まだ行っちゃダメっていうのは
 どういうコトだって聞いてんの!」
「あぐ…だから…っまだ美貴課題終わってないでしょ!!
 終わるまでまっつーに会っちゃダメなの!そういう決まりなの!世界的に!
 だからゴチャゴチャアチャオチャ言ってないでさっさと終わらせて!
 そしたら会わせてあげるから!」
「ハァ!?なんだよ世界的って!つーか高橋ちゃんのコトが嘘なら朝は何やって…」
「んあ!黙れっつーのホワイティ!」
「あぁん!?質問ぐらいさせろよ黒真希!」
 
誰が黒真希じゃあ!!
あぁもう課題やらないなら気でも失わせとこうかしら…

「くらえ!ごとーパぁンチ!」
「なんの!ミキティフィールド!」
「竜真希旋風脚ぅ!」
「ミキックブーム!」

と思ったら美貴強い!てかミキックブームって無理矢理すぎ!



◇◇◇
493 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:40

「…よし、できた」

ミキたんの大好きな、お肉中心の、お肉ばっかりな
肉づくしディナーが出来上がった。

あとはお皿に盛ってキレイにセッティングするだけ。
できるだけあったかいうちに食べて欲しいから
そろそろごっちんに電話しようかな。

―――と、ポケットから携帯を取り出した時。

「亜弥ちゃぁん!!!」
「…っ!?ミっ……ミキたん!?」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
「ど、どうしたの?!なんでっ…」
「それは美貴のセリフだよ!こんなトコで何やっ……ん?」

びびびびっくりした。
まだ電話してないのに、いきなりミキたんが入ってくるんだもん。
すごい息切れてるしもう止まってるみたいだけど鼻血出てるしジャージ破れてるし。

ミキたんこそ何やってたんだろう?と思っていると
ハムスターみたいに鼻をひくひくさせてたミキたんの顔がパっと輝いた。

「肉!!」
「うん、お肉だよ」
「肉……だけど…え?なんで?…まさか亜弥ちゃん…」

けどすぐに気がついて青くなる。
494 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:40
「これ…全部亜弥ちゃんが?」

コンロの上のフライパンやお鍋を見て、ワナワナ震えてる。
怒って…る、よね。

「ごめんなさい!…でも!どうしても作りたかったの!!」
「……っ」
「……ごめんなさい」

肩を震わせたまま俯いてしまったミキたん。
手もぎゅってしてて、やっぱり怒ってるんだ。あたしが勝手に1人で料理したから。
でも、怒られるのは覚悟の上。

「…亜弥」
「っ…え?」

頬に寄せられる唇。鼻先にあたる広くて、でも華奢な肩。

下唇を噛んで構えていたあたしに訪れたのは
あったかいあったかい、ミキたんの温もりだった。

「愛してる」
「…ミキたん…?」
「これ以上ないよ、ホント。いつまでも愛してる」
「…あ…たしも…!」
495 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:40
唐突で、一瞬何を言われたのかわかんなかったけど。
心に真っすぐ届く声が愛しくてキスしようとしたら、ミキたんの頬は涙で濡れていた。

「怒ってるんだよ」
「え?」
「嘘ついたコト」
「…ごめんなさ…」
「でも、嘘つかせたのは……美貴、だよね」
「………」

お店の、料理を載せようと思ってたテーブルにそっと押し倒される。
今から…するのかな?
まだ食べてないのに。こんなトコじゃ、ダメだよ。

「心配したんだよ。朝も、さっきも。
 亜弥ちゃんの顔が見れないだけで、頭がおかしくなりそうだった」
「ミ…」
「勉強してても、ずっと亜弥ちゃんのコト考えてた。
 何度も時計見て、その度に時間が経ってて
 当たり前のコトだけど、それでも帰ってこない亜弥ちゃん待ってんの
 すっごい怖かった…っ」

ポタポタとミキたんの目から零れる雫。
背中を、喉を震わせて紡ぎだされる嗚咽。
496 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:41
こんな風に子供みたいに泣く姿を見るのは何年ぶりだろう。

しっかり抱きとめると胸が熱くなって
なんだか、ようやく本当のミキたんを手に入れられたような気がした。

「亜弥ちゃっ…好き……大好きっ…」
「ん…あたしも、好きだよ」

もぉね、好きすぎて大変なんだから。
わかってるのぉ? 絶対ぜぇったい離さないよ?
ミキたんはあたしのモノなんだから。一生、あたしだけのモノなんだから。


「へへっ、泣いちった」
「ふふっ、ミキたんかぁいかった」
「からかうなよぉ」

震えがおさまって恥ずかしそうに鼻をかくミキたん。
あたしの背中が固いテーブルにあてられてるコトに気づいて
慌てて抱き起こそうとするのを、キスで止める。

「…亜弥ちゃん?」
「ずっと一緒だよ」
「……う、うん」
497 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:41
だから、ね?

いつになく積極的なあたしに戸惑いながら
ミキたんの手が制服の中に入ってくる。
あたしのコトを知り尽くしたその手に撫でられて
甘い声で鳴きかけた、その時―――

ジィィィィィィ〜。

Σ(‘ 。‘;从

「ま、待って!ミキたんストップ!ストップ!!」
「んー?無理。こんな素敵な誘い受けされて止まれるヤツいない」
「さ、誘い受け!?そんなのしてないよぉ!」
「したじゃん」
「…ぐっ、おばさんがっ!ごっちんのおばさんがいるんだってば!」
「いないよ、見えないもん」
「見てないだけでしょぉ!!ダメだってばぁ!」
「んぁ、いいのよ私の存在は気にしなくて」
「気にしなくていいって」
「気にするよぉ!」

ご、ご飯だって食べてないのにぃ!
一生懸命作ったんだよぉ?
ダメ!ホントにやだぁ!

きゃああああああああああああああぁ〜。




498 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:42


「…ぶつコトないじゃん」
「やだって言ったのに聞いてくれないからでしょ」
「…ごめんなさい」

あの後、オオカミさんになって暴走してしまったミキたんに張り手を喰らわせ
冷めかけた料理を温めなおして
『邪魔しちゃ悪いわ』って渋るごっちんのおばさんを
交えて3人で仲良く食事をした。

って言ってもあんなコトの後だから
流れる空気は微妙だったんだけど、おばさんが気を遣って
盛り上げてくれたおかげで最初は赤く腫れた頬を抑えてショボンとしてた
ミキたんもお肉をパクパク食べてるうちに『うまい!』って元気になって。

ごっちんのケーキも美味しくて笑顔でお店を後にしたんだけど。
2人っきりになった途端、ミキたんはまたぶすっと拗ねてしまった。

泣いた後だからかな?
妙に子供っぽくて、いつもはあたしのコト引っ張ってくれるのに
今はあたしに手を引かれてトボトボ歩いてる。

お家に着いてリビングのソファで紅茶を飲んでても
湯気に息をかけるだけで、口を尖らせたまま飲もうとしない。
499 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:42
「ミーキたん、どうしちゃったのぉ?
 そんなに痛かった?ごめんね」
「………もういいでしょ」
「ふぇ?」

ガバッ! キャー。

顔を覗き込んだら、ガシッと捕まってひっくり返された。
ちょ、いきなりすぎだよぉ。
でも…そんな目で見られたら…拒めな………ひゃああああ。





「あっ…あっ…」

もう、何度目なのかもわからない。
いつの間にか、場所もリビングからミキたんのお部屋にかわってて。
ソファがベッドになってて。

身体中を走る快感に、もう頭とか、全部おかしくなっちゃってる。
久しぶりに感じるミキたんが気持ちよくて気持ちよくて堪らない。

「亜弥ちゃん、起こすよ?」
「ふあ!あぁん!」
500 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:43
あぐらをかくミキたんの上に乗っけられて
より深いトコロにまで侵入されて追い立てられる。

激しい動きはミキたんの指なのか、あたしの腰なのか。
きっと両方なんだろう。

とうとう頂上まで追い詰められたあたしは、ミキたんに強くしがみついて飛んだ。

真っ白になって、ぐったり力を失って落ちていくと
ミキたんはしっかり抱きとめてくれる。

「ハァッハァッハァッ…ミキ、た…」
「…亜弥ちゃん」
「気、持ち、よかった、よ」
「へへっ、頑張ったもん」
「ありがとぉ」

時計は、深夜2時をまわっていた。
けだるい身体を横たわらせると、「んじゃおやすみ」って髪を撫でて
ミキたんはベッドから出て行こうとする。
501 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:43
「どこ行くの?」
「ごっちんと色々あって、きょ…昨日の分まだ終わってないんだ。
 少しだから寝る前にやっちゃおうと思って」
「…え?」

終わってなかったの?
そういえばごっちんと何があったんだろ?
電話する前にミキたんが来ちゃったってコトは
ごっちんが話しちゃったんだろう思ってたけど。

「色々って?」
「あ、うーんとストリートファイトっていうかなんてゆーか…。
 でも仕掛けてきたのはごっちんだから!」

ストリートファイト?戦ったの?
で、ミキたんが無事ってコトは、ごっちん…どうなったんだろ?

「…ごっちん、お店に来なかったよね?家に帰ったの?」
「うん。美貴が店に行く前に置いてきたから」
「そ、そう…」

置いてきたってコトは意識なかったのかな?
でも生きてる…よね?
ごめんねごっちん。よくしてもらったのに、ホントごめんなさい。
502 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:44
「そういうコトだから、亜弥ちゃん先寝てて」
「待って!」
「ん?…うわあ!?」

ダメなんだから。
もう夜中だもん、ミキたんも一緒に寝るの。

「で、でも課題…」
「明日、頑張ろ?今日はもう寝なきゃダメ。許さない」
「ゆ、許さないって…」

わかってたけど、ミキたんはなかなか引き下がってくれない。
こうなったら………あたしだって!

「へ?…え?…えぇえ!?ままま待って!
 亜弥ちゃん?松浦さん?ななななにしてんの?!
 何圧しかかってんの?…っふわぁ!?ちょっ…ひゃああ!?」 


好きって言われる前は、拒まれたらって考えてできなかったし。
好きって言われてからも、下手だって呆れられたらって思っちゃってできなかった。

だけど、今日のあたしならできる。

ミキたんの全てを、手に入れたあたしなら。
503 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:44
「ミキたん、大人しくして」
「ぇぇえ!?ま、待ってよ!心の準備がっ…」
「こういうの、初めてするから、わかんないけど。
 あたしが気持ちいいトコしかわかんないけど」
「ぅぁ…ぇ?…なんか…ふぁ…うまいんだけど……なんで…?」
「ふぇ?うまくできてる?
 いっつもミキたんがしてくれるようにしてるだけだよ」
「………天才」

突然のあたしの反撃に、真っ赤な顔で目を泳がせながら
逃げようとしてたミキたんは
感心したようにあたしを見つめて呟いた後、観念して目を閉じた。


全てを委ねられて、恍惚とした表情に魅せられて。

ミキたんの、こんなにかわいい姿を今まで知らなかったなんて。
松浦亜弥の人生最大の恥。



好き、スキ、ミキたん。
 
食べちゃいたいぐらい好き。

もう食べちゃってるぐらい、大好き。



504 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:45
―――――――――
―――――
―――

「でもでもぉ、ミキたん心配したって言ってたけどぉ
 あたしだってミキたんのコトずっと心配してたんだよ。
 ミキたんがいなくなる度、心臓が破けちゃいそうになって。
 去年の今日なんて、ミキたん行方不明になってたし。
 病院のベッドの上でどれだけ心配したと思ってるの」
「…う」

必死になって触れた後、ちゃんとできてた?って聞いたら
「……魂抜けた」とだけ言って恥ずかしそうにあたしの胸に
顔を埋めたミキたんを抱えてお説教タイム。
なんだか急に強気になったあたしに、ミキたんはタジタジだ。

「あの時は…まわりには最悪の場合を考えてる人だっていたし。
 怖いどころの騒ぎじゃなかったんだよ?」
「ふぁい…ふいまへん…」

ほっぺを引っ張っても、くりくりお目めで
不安気に見上げてじっとしてる。

「でもね、信じてたから、ミキたんのコト信じてたから待ってられたの。
 怖いのも我慢できたし
 心臓だって破けなかった」
「亜弥ひゃ…」
「だから信じて?ミキたんもあたしのコト。
 いっぱいいっぱい信じて、いっぱいいっぱい甘えて欲しいの。
 支え合わなきゃ。ミキたんだけ倒れたりしたら、やだもん」
「――っ」
「ね?」
「…うん」
505 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:45



2人の胸元を踊る天使の羽根がくっついてハートになって。


たくさん時間をかけてやっと、
本当の意味で1つになれたミキたんとあたし。


幸せで満たされて、切なさや寂しさなんてどこにもなくて。


触れ合う肌に1ミリの隙間も許さずキツク抱き合って
唇を合わせたまま静かに眠りについた。


ミーキたん、ミキたんたん。

夢でも会おうね。愛してる。


506 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:45

ヽ从*‘ 。‘)(VvV*从ノ
507 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:46


508 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:46

「って待って!!ごとーはこのまま放置なのぉ!?」

一方その頃、美貴に投げられて後藤家の屋根のアンテナに引っ掛かっちゃってた
ごとーは家族の誰にも捜索されるコトなく…つまり誰にも助けてもらえず、
翌日の朝になって電話に出ないごとーを心配して来てくれたなっちが…

「いやあああぁあ?!ごっちんが釣られてるべさぁああ!!!」

レスキュー隊を呼んでくれるまで、そのままプラーンとぶら下がったままだった。


黒美貴め、この恨みはらさでおくべきか。

祟ってやるぅ! んあぁあああー!!!!!!
509 名前:Love token 投稿日:2004/03/03(水) 20:46

(ノ`Д´)ノ ==== ┻━━┻<なんじゃこの終わり方はぁ!!
510 名前:のえる 投稿日:2004/03/03(水) 20:47
('A`;)ヾ <すいません。ごめんなさい。
  ∨)
((
511 名前:のえる 投稿日:2004/03/03(水) 20:48
変に間があいた挙句ワケわかんない感じになっちゃってすいません。
( ´,_ゝ`)<いつものことさ。

レスありがとうございます。
あ、村っちおめでとう(爆

>>483名無し飼育さん
無駄に長くても大丈夫ですか、ありがとうございます・゜・(ノД`)・゜・
悶々としていただいたのにこんなんでスマソ。
( `_´)<興奮するのは恥ずかしいことではありません。
むしろ嬉しいでつ(爆

>>484名無し飼育さん
ま、まぁ、朝から…ポッ(爆
萌え過ぎだなんてありがとうございますです。
( `_´)<息が荒いのは恥ずかしいことではないです(マタカヨ
あやみきも荒くなってますから大丈夫でつ(ww

>>485名無し飼育さん
か、かわいいですか、アホじゃなくて?(爆
ありがとうございます。のえるもこの2人好きなんで
また書いてしまいました(w
あやたん、かみ締めすぎたかもしれません…。

本編と同じくアホまっしぐらな駄文を読んでいただいて
ありがとうございました。
アッチの方も、体調が落ち着き次第更新します。
512 名前:どっかの178 投稿日:2004/03/04(木) 02:03
忙しくて久しぶりにm-seekにきたらいいもん見っけた!
いや良かったです。良かったねぇ(除:後藤)
513 名前:名無し読書 投稿日:2004/03/04(木) 11:35
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!!

あやみき最高・・・昨日よろセンで恋人宣言しちゃったしネーン!
のえる様は本当に最高のあやみき作家だと思いまつ。
514 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/04(木) 14:07
あやみきいいですね(w
ハマりましたvv
何気に、ごまみきコンビ最高です!!
515 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/04(木) 23:21
あやみき可愛かった ごまは面白かったです(笑
516 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/05(金) 00:57
最高ですね!!
後藤さんの不幸っぷりといいw
本編そのもの(いやそれ以上)の素晴らしいあやみきでした。
昨夜のよろセンといい、あやみき熱いですね!!
517 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/05(金) 12:41
ハァ━━━━━━━━━━;´Д` ━━━━━━━━━ン!!!!!!!
ハァ━━━━━━━━━━;´Д` ━━━━━━━━━ン!!!!!!!
ハァ━━━━━━━━━━;´Д` ━━━━━━━━━ン!!!!!!!

ももも萌えすぎて死ぬかと思いました!!でもなんとか生きてます…。
あやみき最高だよ。大好きだよお前ら。作者さんも大好きだよ。
恋人発言に引き続きこの話で脳内が大変なことになりました。
なぜか今放心状態です…………よし、もう一回読もう。
518 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/03/05(金) 15:41
半端なく最高です。
萌えと感動と笑いが三位一体となって襲ってくるもんだから大変でした。
とにかく、「よかったね、亜弥ちゃん。」「お疲れっした、後藤さん。」
って感じっす。

519 名前:のえる 投稿日:2004/03/12(金) 20:35
レスありがとうございます。
慌てて書いたんでママンとかマワリストのこととか
キレイに無視して書いたんですけど(爆
こんなにたくさんの方に目を通していただけるなんて
感激でございます・゜・(ノД`)・゜・

>>512どっかの178様
(除:後藤)ワロタ(www
よろせんはホントびっくりしました(w
ミキティの惚気顔が忘れられません。

>>513名無し読書様
こっちでもハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!ありがとう(w
いえいえ、おいらなんてまだ駆け出しですから。
ぶっちゃけやっぱ後藤さんの方が書きやすいし(爆

>>514名無飼育さん
おぉぉ、ハマりましたか。おいでおいで〜(爆
ごまみきコンビ、どうしてもアホが炸裂しちゃうんですけどね(w
そこがよかったのかなぁ。

>>515名無飼育さん
ありがとございます。ホントかわいく書けてるかは
自信がないんで嬉しいです。
( ´ Д `)<んあ?かわいそうじゃなくて?
520 名前:のえる 投稿日:2004/03/12(金) 20:35
>>516名無飼育さん
( ´ Д `)<不幸っぷりが最高?
後藤さんは少々不満なようですが、ほほほ本編以上だなんて
ありがとうございます。えぇ、熱いっすよ、萌えてますから!

>>517名無飼育さん
トリプルハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!キタ―――!!!!!
ってどわわ死なないでください、大丈夫ですか、よかった。
ってキャー大好きだなんてありがとうございます。
喜び勇んで熱く受けとめたいです(マテぃ
あ、でも何回も読むと適当な部分が見えちゃうんでお気をつけください(爆

>>518名無し飼育さん
ありがとうございます。三位一体って言っていただくと
なんかすごい話書いたような気分になりますなぁ(気のせい
从*‘ 。‘)<えへ、ありがとぉ。
( ´ Д `)<んあ、ホントだよ。
521 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/14(日) 01:36
のえるさんのの書くあやみきは読むととろけてしまいます
もう本当に(*´Д`)ポワワ
ってのが当てはまりまくりで萌え氏ぬとはこのことかと
今顔がめちゃくちゃニヤけてます
あーいいものを本当にありごとう
522 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/11(日) 22:28
もう何回読み返したかわからないほど読み返しました
何度呼んでも(;´Д`)ハァハァです
523 名前:のえる 投稿日:2004/04/13(火) 23:22

浮気します(爆
524 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:30

「後藤さんの弱点?」
「うん、なんかないかな?」
「…そりゃ後藤さんだって人間だから弱点ぐらいあるだろうけど
 そんなの知ってどーすんの?」
「どうにかするの」
「………」

ここは仕事帰りに立ち寄った豆腐レストラン。

気を抜けば川o・∀・)<アヒャ!と弾けそうな口元を引き締めて
真顔で相談を切り出した私に、目の前のピーマコは訝しげな視線を向ける。

「ごめんあさ美ちゃん、関わりたくない」
「ここまで聞いておいて見捨てる気?」
「んなっ!? 聞いておいてって
 あさ美ちゃんが勝手に話したんじゃん!」
「…そっか、ピーマコはそんなこと言う人だったんだ。
 私のことなんかどうでもいいんだ…愛ちゃんと宝塚があればそれでいいんだ…」
「っ…なんでそーなる…」
「ピーマコはいいでしょうよ、そりゃいいでしょうよ。
 愛ちゃんの弱点知ってるもんね。
 同期で、年は1個違いだけど愛ちゃん子供っぽいからあんまり関係ないし、
 胸張ってライバルだって言えるぐらいお互い認め合ってるし
 心のうちも体の隅々も見せ合っちゃってるもんね」
「ぶはぁっ! ちょっ…隅々って変な言い方しないでよぉ!」
「フン」
525 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:30
親友だと思ってたのに。
いいもんいいもん、ピーマコになんか頼らないもん。
1人でなんとかしてやるんだから。豆腐サラダおいしい。

「お、怒らないでよ。…そ、そうだ! 弁慶の泣き所とかは?
 あそこは誰でも痛いと思うよー、後はアキレス腱とかぁー」
「ピーマコってSなんだね」
キャラはMなのに。
「ちっ、ちがっ! あさ美ちゃんが弱点って言うから!!」
「誰も後藤さんを倒したいなんて言ってないでしょ」
どうにかは、したいけど。

いや、したいというより、まず知りたいの。

だって後藤さんは、なんでもできるから。
料理も歌もダンスもお化粧も上手いし、よく食べるのにあんなに細い。

かっこよくてかわいい後藤さんをこの世に誕生させといて
天はニ物を与えずなんて、冗談にしても許しがたい戯言だとは思いませんか?
ニ物どころか汚物ばかり与えられた人間だっているんですよこの世には。豆腐カレーおいしい。

「ははぁ、ようするにあさ美ちゃんは、後藤さんのことが好きってことだね?」
「うん」
そりゃそうだよ、付き合ってるワケだし…。
526 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:31

そう、付き合っちゃってるんですよ。
キッカケ云々はいつかキスイヤにでも出演したときに語るとして
後藤さんって、弱点ではないけど変なところがたくさんあるんです。
その中でも1番変なのがこれ。

私は後藤さんの女の趣味が理解できない。

『紺野の眉尻ってかわいーよねぇ』
『困ってるときとかさぁ、オプションで潤んだ目もついてきたらたまんないよね、ヤバイヤバイ』
『あと二の腕の色が好きー』

前に1度私のどこがお気に召したのかと訊ねたら
ふんにゃり笑いながらそう答えてくれたけど………。

わかりませんよ、後藤さん。
眉尻って、よりによって私の毛が好きなんですか?
車買いに来たワケじゃないのにオプションってなんですか?
二の腕の色って石川さん以外の…コホン、ではなくて
黄色人種で色白の方なら誰でもいいんじゃないですか?

でも、それでも紺野を選んでくださったのなら……

『んあぁ!? ででででも1番は性格だから!』

気を遣っていただかなくても大丈夫なのに。
527 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:31
『それならば紺野あさ美、これからは同期のお豆、新垣里沙ちゃんを師として
 よりいっそう輝く眉尻を手に入れることに全力を尽くし、
 瞳の潤い調節が自由に操作できるように山に篭って
 屋外に出る際は黒い布を巻きつけ
 2度とこの二の腕に日のあたることがないように致します』

後藤さんが好きだと言ってくださった3点を
紺野あさ美の三種の神器とすべく精進する旨を告げると
慌てたようにそう言ってくださいましたが、
立ち上がろうとした私を引き止める手はがっちり二の腕を掴んでいらっしゃったので
どうやら色だけでなく触感も好きなのだということがわかりました。

もぉ、そんなの隠したってバレバレですからね。
私を誰だと思ってるんですか。豆腐ケーキおいしい。

「なんだぁ、結局ノロケなのねぇー…ってあさ美ちゃんこのあと
 後藤さんに会うんでしょ? そんなに食べていいの?」
「豆腐はヘルシーだから大丈夫だよ。 
 あ、すいません、豆乳シェイクまだですか?」
「…二の腕の触感が変わっても知らないから」
「ピーマコに言われたくない」
「・゜・∬∬∩▽∩・゜・エーン」



◇ ◇ ◇
528 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:32

「こーんのー」
「後藤さん」

泣きじゃくるピーマコと別れ、待ち合わせ場所の小高い丘で
風に吹かれていると、帽子を深く被った後藤さんがやってきました。

「んあ、待った?」
「いえ、ゆっくり景色が見たかったんで少し早めに来たんです」
半分嘘です。
だってピーマコがうるさいんだもの。
「そっかぁ。ここの景色、ごとーも好きだよ。
 なんか頭の中がスパァンとなってチリッてしてスキュッとすんだよねぇ」
「…はぁ」

後藤さん独特の感性が紡ぎだす擬音語の数々は
凡人である私には到底理解のできないものばかりですが、
かわいらしく手振りなんぞも付け加えてくださったので
なんとなく炭酸飲料水を飲んだ後と同じような爽快感が得られると
おっしゃってるのがわかりました。

「そんな好きな景色をさぁー、こうやって紺野と見られて
 ごとーは今とっても幸せなのであります」
「ふぇ…?」

くいっと手を引かれて、耳に届いた恥ずかしそうな声に
景色に向けていた視線を後藤さんに戻しました。
すると後藤さんは白い歯を見せて楽しそうに笑っています。
529 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:32
「あはっ、紺野好きだぁ」
「なっ…っ…なにを突然っ…」
「好きなんだぁー」
「ご、後藤さんっ、どうしちゃったんですか!」
「―――紺野こそ」
「え?」
「紺野こそ、どうしちゃったの?」
「…私?」

突然低くなってしまった声。
帽子から覗く目はまっすぐに、でも少し不安の色も滲ませて私を見てる。
後藤さん? 本当にどうし―――

「さっき、メールがあった。小川から」
「ピーマコ?」
「紺野が、ごとーの弱点知りたがってるから
 教えてあげてくださいって」
「…なっ…」

ピーマコ、なんてことしてくれるのピーマコ。
仕返し? 泣かせた仕返し?

「なんで紺野はそんなこと知りたがってるのって聞いたら
 攻撃するんじゃないですか?って」
「しませんよ!!」
ピーマコのバカ!Sはあんたでしょ!
530 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:32
「んあ? しないの?」
「するワケないじゃないですか!そんな趣味はありません!」
「じゃあなんで? なんでごとーの弱点知りたいの?」
「そっ、それは……」

えーとその、だからその………

「言わないとここで押し倒すよ」
「こっ!?…だめに決まってるじゃないですか!」
「なら早く言って」
「ぐ…」

し、仕方ない。 
ピーマコには後できっちりコンコンスペシャル(拷問系)を喰らわせるとして
後藤さんに打ち明けてしまいましょう。

「あのですね…」
「んあ」
「後藤さん、かわいいじゃないですか」
「紺野もかわいいよ」
「…恐縮です」
「給食?」
「えぇ、私アゲパンとかぼちゃスープが好きで………じゃなくて、
 かわいい後藤さんなんですけど、最近私ビデオの整理したんですね。
 そしたらそこに昔の、私が加入する前のモーニング娘。の出演した番組が
 いくつか入ってて、そこにいた後藤さんが、すっごいかわいかったんです」
「あっは」
531 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:33
「私には見せてくれないっていうか、
 私が年下だから仕方ないと思うんですけど
 安倍さんとか保田さんを見る目がすっごい甘えん坊な感じで
 チラチラ表情窺ったりして幼さ全開で……それ見てたら、
 私の前でもこんな風になってほしいと思ってしまって…」
「…ふむ。
 でもごとー、紺野にも甘えてるじゃん」
「違うんですよ。
 なんとなくですけど、目も声もなんか違うんです。
 で、どこが違うって考えたら
 後藤さんが年下で、娘。で最年少の頃とか、みんなに守られてたんだって思って。
 私も、後藤さんのことは常々守りたいと思ってますけど
 そんな機会そうそうありませんし。 
 なら弱点を利用して、例えば吉澤さんみたいにヘビがだめなら
 トイ○ラスでヘビのオモチャを購入してこっそり鞄に忍ばせて
 『んぱぁっ!?』と叫んだところを助ければ『ありがとぉ紺野ぉぉ』って
 私にしがみつく後藤さんは紺野を頼りきった年下のような眼差しを向けてくださるかと思いまして…」

ハイ、そうです、ごめんなさい。
多少の犠牲は問わずに、甘えた年下ごっちんが見たかったんです。

「…紺野」
「……はい」
「ごとーさ、小川にメールもらってからここに来るまで
 ごとーの弱点ってなんだろー?ってずっと考えてたんだ」
532 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:33
己の欲望のために後藤さんを騙そうとしていた自分が情けなくて
俯く私の肩を、後藤さんはそっと抱いてくれます。
 
「でぇ、考えたら弱点なんかいっぱいありすぎて、
 どうして紺野はそれに気づかないんだろうって思った」
「あ…」
「紺野はごとーのこと、ちゃんと見てくれてないのかなぁ?って、ちょっと思った」

ち、ちがっ! 見てます! 毎日毎日、会えない日はDVD見てますし!

「ん。大丈夫、それは違うかもってすぐ思ったから。
 紺野がいっつも大っきな目でじーっと
 ごとーのこと見てくれてんの、よくわかってるから。
 だから見てないんじゃないし、ごとー、弱点隠してるつもりないし。
 てことは、ごとーが自分の弱点だと思ってることを
 紺野は弱点だと思ってないのかなぁ?って」
「…ほぉ」
「例えばさ、ごとーあんまり頭よくないから
 わかんない漢字の読みとか紺野に聞くじゃん?」
「はぁ」
「朝起きるのも苦手で、紺野がお母さんの代わりに霧吹きかけてくれたこともあったでしょ?」
「…はい」
「それどー思った?」
「別に……かわいいなって…」
「んむ。そういうことなんだよ」
「…………」
533 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:34
うーん、わかったようなわからないような。

「けどそれなら、なんで私は後藤さんの弱点を何度も見てるのに
 甘えた年下ごっちんが見れないんでしょう?」
「…んあ、なんでだろ…?」

年下の私では、どう頑張っても見れないということでしょうか?

「えっと、絶対そうとは言えないけど
 ごとーが、かっこつけちゃってんのかなぁ?
 紺野ってほら、敬語だし、だから紺野がごとーより年下だーっていうのが
 頭にがっつり組みこまれてて、それでなっちや圭ちゃんに向けるのとは違っちゃうのかも」
「ガ━━━Σ川o・д・)━━━ン!!!!!」

な、なんてことでしょう。
私の後藤さんを敬う気持ちがアダとなっていたとは…っ。

「だからさ、紺野がタメ語で喋ってくれれば
 そのうち見れるんじゃない? その甘えたなんとかってやつ」
「甘えた年下ごっちんです!
 …じゃない、あ、甘えた年下ごっちんだ……だぞ!」
「んあ、はぁーい」
「じゃ、じゃあそろそろ寒いからき…サテンにでも行き…行くぜ!」
「喫茶店は普通に喫茶店でいいんじゃない?」
「そ、そうで…そうかよ? 喫茶店上等だこのヤロー!」
「あはっ、このヤロー!」


534 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:34

いきなりタメ語なんて、スラスラ話せなかったけど
「2名様だこのヤロー!」と勢いよく喫茶店へ飛び込んだ私に
手を引かれて「2名だこのヤロー!」と入ってきた後藤さんは
子供のように無邪気な笑顔を私に見せてくれました。 

これなら、甘えた年下ごっちんに会える日も遠くなさそうです。






「なんだお前ら!
 騒ぐなら出てけこのヤロー!!」


喫茶店からは、追い出されちゃいましたけど。


535 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:34

おしまい。

536 名前:だって見たいんだもん。 投稿日:2004/04/13(火) 23:35


537 名前:のえる 投稿日:2004/04/13(火) 23:36

オチがよくわからないのも
キャラがおかしいのも
私がおかしいのも
初めて書いたってことで大目に見てください。


>>521名無飼育さん
と、とろけますか、是非見たいで(ry
ポワワありがとう、すんごい嬉しいです。
私も今レス見てニヤけてます(爆
こちらこそどうもありごとーございました(w

>>522名無飼育さん
わからないほどだなんてありがとうございます。
書いてよかったです、ホントありがとう。
粗品でも送りたい気分です(w
538 名前:名無し読者 投稿日:2004/04/14(水) 21:35
おいしくいただきました。
539 名前:从‘ 。‘从 投稿日:从‘ 。‘从
从‘ 。‘从
540 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/18(日) 16:58
落としときます。
541 名前:名も無き読者 投稿日:2004/04/25(日) 20:13
くっ、、、
番外編やら楽しげな短編やらがあるのに今まで気付かんとは。。。
名も無き読者の人生、一生の恥・・・。
でもやっぱり最高です!!
あちらも含めて一生ついて行くんで頑張って下さい!!!
542 名前:のえる 投稿日:2004/04/27(火) 19:02

削除依頼を出してくださった方、落としてくださった方
どうもありがとうございました。


すとしーを書いてたときに、あまりにもアホ、黒美貴がスケベすぎる
という理由でボツになったものの下書きが
ヒョッコリ出てきたので、ヒョッコリ記念にUpります。

下書きなんでかなり適当です、すいません。
543 名前:銭湯、戦闘。 投稿日:2004/04/27(火) 19:03

これはまだ、美貴が黒美貴だった頃。


〜昼休み〜

「ねーねーごっちん、今日銭湯行かない?」
「んあ?いいけど、なんで急に?」
「たまにはいいじゃん。よっすぃーも誘って
 3人で行こーよ」
「ならまっつーも誘いなさい!
 ごとーもなっち誘うし、よしこも梨華ちゃん呼ぶだろーから」
「んー、いいけどぉー」
544 名前:銭湯、戦闘。 投稿日:2004/04/27(火) 19:04

〜放課後〜

「わあ、銭湯なんて久しぶりっしょ」
「あはっ、なっちの背中はごとーが流すからねぇ」
「ごっちんの背中だってなっちが流すべさ」

「よっすぃ、他の人の体見ちゃだめだよ?」
「えぇー?目ぇ瞑ってなきゃ見えちゃうよ」
「なら瞑ってて」

「ミキたん、今日は誘ってくれてありがとぉ」
「別に、誘えって言ったのはごっちんだし」
「そっか…」
「……」
545 名前:銭湯、戦闘。 投稿日:2004/04/27(火) 19:04
銭湯に着。

「んあ?あれ?美貴ぃー、早く入ろうよー」
「んー後で入るからみんな先に行ってて」

入り口の前で立ち止まった美貴を不審に思ったごとーが
声をかけるも、黒美貴動かず。
ますます不審に思うごとーを尻目に、黒美貴はどこからか梯子を取り出す。

「美貴、あんた何登ってんの?」
「へ?だって覗きに来たし」
「んあぁ!?どっちを?!つーかそんな反社会的なこと堂々とすな!
 まだ外明るいでしょーが!!!」
「へぇ、暗かったらいいの?
 てかゴチャゴチャ言ってないでごっちんもおいでよ。
 そろそろ安倍先生来るんじゃない? あ、梨華ちゃん来た」
「ゴゴゴゴルァ!!!
 殺す!なっち見たら秒単位で殺す!降りてこいや黒美貴ぃぃ!!」
「えぇー?だからごっちんも登っといでってば。
 お?また誰か入ってきた」
「んあぁー!!!」
546 名前:銭湯、戦闘。 投稿日:2004/04/27(火) 19:05
ごとー、怒りに任せて梯子を駆け上る。

「あれ?なんだ、亜弥ちゃんか」
「覚悟せぃや黒美貴!社会の秩序を乱す愚か者めが!!
 必殺ごとードロップキぃーっク!!!」
「ぐぎゃあ!?」

ごとー、窓に張り付いてる黒美貴にドロップキック。
衝撃で窓ガラスが割れる。
破片と一緒に、ごとーと黒美貴はうまいこと
誰もいない湯船に落下。
ていうかごとーたち以外に他の客はめんどいからいないことに。

「ブハァッ!?ししし死ぬかと思った…」
「ちょっとごっちん、興奮しすぎだってば」
「んあっ!?誰が興奮したのさ!
 黒美貴の犯罪を阻止しよーとしただけでしょ!!…ってあれ?」
「亜弥ちゃぁーん、洗ってあげるよ」
「ふぇ? い、いいよぉ」

ごとーが長い髪をかき上げてるわずかな隙に
黒美貴すばやくあややの元へ避難。
ズブ濡れの制服をポポイと脱いで、あややからタオルを奪い取る。
547 名前:銭湯、戦闘。 投稿日:2004/04/27(火) 19:06
「ほら、じっとしてな」
「あ…ゃぁっ…こ、こんなとこでぇ…」
「んー?普通に洗ってるだけじゃん、なに言ってんのぉ」
「ふっ…ふぅんっ、んっ、んん…」

おっぱじめやがった!黒美貴のアホが!!

でもなんとなく微笑ましいので、ほうっておくごとー。
いしよしは離れたところですでに2人の世界に入ってて
なぜかまだ来ないなっちを探しに脱衣所へ向かう。

しかし、脱衣所にもなっちはいない。
トイレ?とか思いながら番頭さんに問いかける。

「んあ、この世の奇跡を見ませんでしたか?」
「あー、あの女の子なら
 1回入ってすぐ出てったよ」
「出てった?」
548 名前:銭湯、戦闘。 投稿日:2004/04/27(火) 19:06
女の子て、一応社会人なんだけど。
とかなんとか思いながら外に出てみると
先ほどごとーと黒美貴が突っ込んだ窓のあたりを見上げたまま
口を開けて固まってるなっちが。安倍なつみが。この世の奇跡が。

「なっち…?」
「っ…ご、ごっちん……ごっちん……」
「んあ?どうしたの?」
「ごっちんのバカぁ!!スケベ!!最低!犯罪人!!社会の敵!!」
「んあぁ!?
 ななななっち見てたの?!
 てか誤解だよぉぉぉ!!!!」
「言い訳は署で聞くべ!!カツ丼なんか出してやんねーべさ!!」
「えぇえ!?やだぁ!警察はやだぁ!!」

怒り心頭のなっちに引きずられて泣き叫ぶごとー。
ビショビショの制服からは、ほんのりと箱根の香り。

「んあ!ってことは入浴剤かい!!」


549 名前:銭湯、戦闘。 投稿日:2004/04/27(火) 19:07

そんなごとーの叫びに、銭湯では番頭さんが一瞬ビクッとしたが
仲良く体を洗いあういしよしとあやみきは
何も知らずにイチャついていたとさ。

「さぁ吐け!吐くんだごっちぃぃん!!!」
「んあぁー全部黒美貴が悪いのぉぉ!
 ライト近づけないでぇ!机バンバンしないでぇぇ!!」


ごとーの容疑は、それから7時間後に無事晴れたという。

なっち、乙カレー。


550 名前:銭湯、戦闘。 投稿日:2004/04/27(火) 19:07


551 名前:のえる 投稿日:2004/04/27(火) 19:08

そういえば、先日のハロモニで
楽しそうに高橋さんを縛る小川さんを見て
私は間違っていなかったと確信しました(w
あとフランシスコさん最高(w
アベンシスコさんも来るかと思っちゃった(爆

レス、ありがとうございます。

>>538名無し読者様
捨てようと思ってたんですが
いただいてくださってありがとうございました。
念のため、胃薬出しておきます(爆

>>540名無飼育さん
どうもどうもありがとうございました。
何かお礼をと思ったのですが、こんなんしか出せなくてごめんなさい。

>>541名も無き読者様
こんな駄文で一生の恥て(w
今までよっぽど恥をかく機会が少なかったんですね、羨ましいです。
頑張りますので、不束者ですがよろしくお願いします。
552 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/27(火) 20:17
よかもんを発見いたしたとよ!

かわいそうに…
553 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/28(水) 00:23
見つけられてよかった
久々の黒美貴よかったです
554 名前:名も無き読者 投稿日:2004/04/28(水) 18:37
よし、今回は無事発見w
今となってはいと懐かしき黒美貴・・・。
イイモンですな、たまにはw(オヤジカ
てかこの世の奇跡で通じるんスね?
今度使ってみよ(ヤメレ
555 名前:540 投稿日:2004/04/29(木) 09:26
毎度毎度、読ませていただいてます。
ちゃんとレスするのは初めてです。
削除依頼も自分が出した次第で、
いやぁ、もう十分です、かなり好きですw
朝から、笑わせていただきましたw
これからも、楽しみにしていますー。
556 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/05(水) 12:05
「んあ、この世の奇跡を見ませんでしたか?」
がかなりツボでした。(笑)
この表現があったか!みたいなv
黒美貴懐かしいですねーv久々の黒美貴もいいもんですねw(危)
黒美貴でも白美貴でもやっぱあやみき良い良いv
557 名前:注意書き。 投稿日:2004/05/20(木) 14:43




※ あやみき、シリコンではないです。



558 名前:ミキティのハッピー?マジック。 投稿日:2004/05/20(木) 14:44

久しぶりに重なったオフ。
私の家でたんオススメのDVDをイチャコラエンヤソリャしながら
観ていたら、突然立ち上がって姿を消したたんが
物凄く嬉しそうな顔で戻ってきた。

「もぉ、まだ終わってないのになにして…」
「亜弥ちゃん見て!」
「ふぇ?」
「美貴の胸がですねぇ、こう、でっかくなっちゃうっていう!」


Σ从*‘ 。‘从<っ!



数時間後、いつも私の胸ばっかり触るたんの気持ちがよくわかった。


559 名前:ミキティのハッピー?マジック。 投稿日:2004/05/20(木) 14:44

――翌日。

「亜弥ちゃんどうしよう! 元に戻んない!」
「え?」


从*‘ ヮ‘)


「なに笑ってんの! このままじゃ仕事行けないよぉ!!」
「そ、そっか…(惜しいなぁ)」



この日から、朝たんの胸にサラシを巻いてあげるのが私の日課になった。


560 名前:ミキティのハッピー?マジック。 投稿日:2004/05/20(木) 14:45

「って元に戻んないままかよ!」
「ムフフ」
「亜弥ちゃんなんとかしてぇ!!」
「えぇー?」

自分で大きくしたクセに、たんってばホント手間のかかる恋人なんだから。


                        
   
こうして、私とたんの巨乳との戦いの日々が始まった。



            



                         つづきません。


561 名前:ミキティのハッピー?マジック。 投稿日:2004/05/20(木) 14:45


562 名前:のえる 投稿日:2004/05/20(木) 14:46
_| ̄|○ゴメンナサイ、スイマセン。
別に私の願望とか、そういうワケでは決してございません(必死
そのままの美貴様が素敵です。

レス、ありがとうございます。
氏にかけのスレを覗いてくださってどうもどうもありがとう。

>>552名無飼育さん
( ´ Д `)<んあ、全部黒美貴のせいだよ。
ホント、かわいそうですね(爆

>>553名無飼育さん
(vV从从<サンキュー。
久々だからよかったのかもしれません(w

>>554名も無き読者様
この世の奇跡は全国共通語です。
ですが、誰にでも通じるとは限りませんよ(w

>>555540様
どうも、ホントにありがとうございました。
削除依頼に加え、初ちゃんレス(略してスマソ)ありがとうございます。
もうこの身を捧げたいぐらい感謝しきりです(イランガナ
アホな話なのに読者様はみんな優しくて涙が止まりません・゜・(ノД`)・゜・

>>556名無飼育さん
「なっちは天使」が日テレで認められたので
「なっちは奇跡」もそろそろ認められるべきだと思います。
川;VvV)<(危)って…。
白黒ミキティ対決したらどっちが勝つんだろ(w
563 名前:名も無き読者 投稿日:2004/05/20(木) 17:37
更新お疲れ様です。
いや〜、ホントにハッピー(?)なマジックありがとうございますw
でもタネが知りたい調べたい(爆
ワルツ見ながら「なっちは天使」と「この世の奇跡」を呟きニヤけていたら
弟にバカにされました(涙
564 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/21(金) 02:00
シリコンじゃないのか…別にシリコンでもいいから大きくすれば(ry
565 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/21(金) 14:01
つづいてくれ〜
なんか気になる…
566 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:52


地球でいうところの世紀末。
地球によく似た丸い形の、でっかいでっかいポテト星で
第3次ポテト戦争は終結した。

16年の長きにわたって、人々がイモのことだけを想い、イモの皮を振り回した
『イモ好きの、イモ好きによる、イモ好きの為の戦い』(偉大な大統領・ポテトーンの言葉)は
1人の偉大なイモ好きの命を奪い、ポテト星自慢の黄ばんだ大地をより黄ばませ、
ホクホクしたイモ場(地球でいう岩場のようなもの)を粉々に打ち砕き、
星のシンボルであるポテト城(洋風)を姫路城(団地妻が住んでみたい城No,1)に改装してしまった。

そんな姫路城(団地妻ry)には、アヤヤ姫というたいそう可愛らしい姫がおり、
自分でも可愛いと思いながら鏡を見つめていたある日、アヤヤ姫は父親であるパパ殿様――パヤヤから
『寂しなるけど、そろそろ嫁に行っとき』と見合いを薦められてしまいました。

「絶対いや、プンプン」

結婚するときはぁ、もうビビビッてコンサート会場とかで出逢った瞬間に運命感じちゃった人と
大恋愛の末にちょこっと喧嘩なんかもしながらでも好き!好きなの!あなたしかいないの!
あなたじゃなきゃだめなの!みたいなことを雨の中傘もささずに橋の上で叫んで
別れるなら死んでやるぅ!って川に向かって飛び込んだあたしを追いかけてきてくれたあなたと
ビショ濡れのままキス………結婚しよう。…うん。ってゆープロポースがなきゃいやだもん。やなんだもん。
567 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:52

今まで両親や家来、星の人々から宝のように愛され、それに対し平等に微笑み返すこと
が自分の役目だと思っていたアヤヤ姫は、特定の人に胸キュンピーチした経験がなく、
だけど年頃の女の子だから恋愛にはとても興味があって、いつも心の中で自分の理想の恋を
イメージしては「んまははは」だの「にゃひひ」だのと恋に恋する乙女笑いを漏らしていたので、
突然のパヤヤの話に、おおいに頬を膨らませて憤慨していた。

パパだって、パパだって前は散々あたしのことは誰にもやりたくないって言ってたのに、
平和になってゴルフばっかしてると思ったらいきなり結婚?しかもお見合い?
喧嘩売ってんのかヴァーボー。

一分一秒ときが過ぎるたび苛々が募って、お唄のお稽古中も「大きなノッポの古時計〜チッ」と
思わず舌打ちしてしまうアヤヤ姫の脳内では、普段使わない乱暴な言葉まで飛び出していた。
568 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:52

そんな様子を見かねたマヤヤがこっそりアヤヤ姫を自室に招いたのは、とても綺麗な満月の夜。

「お見合い、そんなにいやなん?」
「当たり前、論外」

この顔見りゃわかるだろ、聞くなよヴァーボーと心で続けながらプイッと
顔を背けたアヤヤ姫に、マヤヤは盛大な溜息を吐く。

「なぁ、おかしいと思わん?
 なんでパパがいきなり結婚せぇなんて言い出したか」
「え? あ、うん…」

最初は不思議だったけど、怒りのせいでそんな疑問はすっかり忘れてしまっていたアヤヤ姫は
なにやらワケあり顔で切り出したマヤヤに驚いて顔を戻す。
 
「1週間前や。
 お城にな、『ヤヨー』とか『ガシ』とか聞き慣れへん言葉を操る占い師が
 訊ねて来てん。ここにいるお姫様のことで、話がある言うてな」
「占い師…?」
569 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:53
まさかその占い師に、今すぐあたしを結婚させたほうがいいとか言われて夫婦揃ってそれを
鵜呑みにして急いでお見合いを用意したってこと?

「う〜ん、ちょっと違うんやけど……もっと、深刻な話やねん。
 やから…知らんほうがええと思ったんやけど……」
「話して」

大体ママから切り出したんだから今になって迷わないでよ!という声が聞こえてきそうな
アヤヤ姫のNOと言わせない強い瞳に見据えられ、マヤヤは渋々といった風に
占い師の言葉をそのまま、訛りまでそのままでアヤヤ姫に告げた。

「『ポテト戦争がやぁっと終わったばかりなんやけどの、これから3年以内にアヤヤ姫が子供を産まんと
  あの悲劇がまた繰り返すことになるがし』」

えぇえええええ!?
なにそれ、あたしが子供を産まないとまた戦争が起こるぅうう?!

「ちょっと!その占い師ペテンじゃないの?!」
「ママたちもそう思って調べてみてん……そしたら……あの子はこの星で一番占星術が盛んな
 フクーイ村の占いオババの孫やってことがわかったんや。
 これはもう、あの子の言うことは間違いない。絶対当たんで、冗談抜きやで、サビ抜きどころの騒ぎちゃうで」
「…………」
570 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:54
そんな、そんな、そんなあ。
でもでも、3年以内ってことは、今すぐじゃなくていいってことでしょ?
子供ってたしか十月十日で産まれるんだから、仕込みまでに2年以上猶予があるじゃない。

「せやけど、早いに越したことはないってパパが言うんやもん…」
「そりゃーパパは殿様だからさっさと産ませて安心したいのはわかるけど、
 あたしの人生なんだよ? あたしの結婚なんだよ? あたしの子供なんだよ?
 なのにあたしに一つのチャンスもくれないなんてひどくない? ひどすぎるよ、ヒドヒドだよ、ホルムアルデヒドだよ」  

優しい優しいパパ、娘に甘いパパ、信頼してたのに。
平和のためとはいえ、あたしに幸せを選ばせてくれなかったのは悲しかった。

でも、恨んでブツブツ文句言いながら引き下がりたくない。
結婚は、結婚は絶対、大好きな人とするんだもん!

「2年ちょうだい、ママ」
「え?」
「2年。2年で絶対、大好きな人見つけて帰ってくる。
 もしだめだったら、そのときはお見合いするから。だから2年、お願いします」
「亜弥…」
571 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:54
両手を畳について、マヤヤに頭を下げるアヤヤ姫。

小さい頃は、大抵の我侭を許したし、欲しいものはなんでも与えた。
なのに少し大きくなると、自分の立場を理解してあまり我侭も言わなくなり
欲しいものは『この星のみんなのあったかい笑顔でぇす』なんてどこかのアイドルのような
ことを言ってのけた。誰も、そんなこと言えなんて言ってないのに。

そんな娘の、初めての反抗らしい反抗と、必死の懇願。
受け入れられないワケがない。

「2年やで。それ以上はなにがあっても待たへん。
 この星のためや、逃げても追いかけ回して捕まえるからな」
「逃げないもん…、パパもママもびっくりするような素敵な人見つけて
 あたしみたいにカワイイ子供産んじゃうんもん」
「………ほな、はよ行きぃ」
「…はい」

マヤヤが、少し寂しそうな目で言うと、アヤヤ姫は颯爽と立ち上がって部屋を
出て行った。「ありがと、ママ」と呟いて―――――

572 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:54
◇ ◇ ◇
573 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:55

「れいなー、なんか楽しいことないー?」
「楽しかこつですか…生憎、戦争が終わったばっかやけん…」
「だよねー。
 んー…病院の無菌室でバイキンマンのモノマネするのは飽きたし、東京タワーでもひっくり返すかなぁ」
「東京タワーの重さは4000dなの」
「ぬぉ!?ささささゆ?! あんたどっから出てきたんっ?!」
「あー4000かー、美貴の細腕じゃ無理かなー」
「でもエッフェル塔は7000dだから、それに比べたらとっても軽いの」
「いやいや、比べてもdな時点で軽くないけん」
「…( ゜皿 ゜)…」
「ん? 飯田さん?」
「アナタニィ〜アイタクテェ〜アァイタックットゥェ〜」
「は?」
「コンサート、コンサートが美貴を呼んでる。カオリにはわかる」
「あ?」
574 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:55
◇ ◇ ◇
575 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:55

「姫、こちらのお席にどうぞ」
「ありがとう。でもあたし、こういう特別なところじゃなくて
 もっと普通の、みんなが見るとこでいいんだけど…」
「姫は特別な方ですから。遠慮せずに楽しんでくださいね」
「は…はぃ…」

失敗した…せっかくお忍びで来たのに…。

結婚相手を自分で見つけるべく、こっそり手配してもらったチケットを握り締め、『マツ大成功』という
大物女性歌手のコンサートが行われる“ブドウ缶”に1人でやって来たアヤヤ姫。

しかし、服装もなるべく庶民的なものにして帽子も被って来たというのに、運悪くブドウ缶の入り口に
立っていたスタッフの1人に気づかれて、余計な配慮でVIP席に案内されてしまった。

こんなところじゃビビビもなにも! 出逢いがないじゃない出逢いが!!

一般席からは隔離され、おまけにアヤヤ姫以外には
マツ大成功の家族と思しきおばあちゃんと女の子が座っているだけ。
念のため2人の顔をじっと盗み見てみたが、当然運命は感じない。
576 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:56

はぁ、次頑張るか。

残念な気持ちは残るものの、最初からうまくいくなんて思ってなかったし。
せっかく来たんだから今日はマツ大成功の歌を思いっきり楽しもう。
ちょっと勇気を出して『セイコちゃーん!』って叫んでみ――――

「ちょっ、ミ、ミキ帝様! 困ります! チケットがないんでしたらっ…」
「なんで? 席空いてんじゃん。
 てかお前、こないだお腹がカユいのにお尻かいただろ」

――――ようかなぁなんて、今日のところは純粋に音楽を楽しもうと気分を切り替えたところに
先ほどアヤヤ姫を案内してくれたスタッフが、大きいサングラスをかけ、ジャラジャラとたくさん
鎖のついた黒いスーツを着ている態度のでかい人物に引きづられてVIP席にやってきた。

な、なにあの人? ポケットから鮭トバがはみ出てる…っ。

「な、なんでそんなこと知って…!?」
「フン。美貴を誰だと思ってんだ」
「も、申し訳ございません。でも本日はアヤヤ姫もいらっしゃるのでお引取りを…っ」
「ヤヤヤ姫? 誰それ? ダチョウ倶楽部?」
「それは『ヤー!』です!」
「あん? ツッコミの権現・ツッコミキティに突っ込むとは何様のつもりだドルァ!!」
「ぐふっ!?」
「キャ! だ、ダメェ!!!」
577 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:56
せっかく平和になったのに! なんなのよこの乱暴な人は!!
たしか『ミキてーサマ』って呼ばれてたけど、ってゆーかこの星の姫であるあたしのこと
ヤヤヤ姫だなんてバカにするにも程がある!!!

「あ? 誰だお前?」
「っ…」

チケットが無いってことは、この人は悪い人な可能性が高いし!
付け加えてたぶん物凄いおバカ!!と、勝手に結論付けたアヤヤ姫は、スタッフを救うべく
立ち上がって2人の間に割り込んだものの、サングラスで隠れた瞳に思いっきり睨まれてる気がして
思わず足をすくませた。

しかし、どこでどういう教育受けてきたか知らないけど、テレビで見たことぐらいあるだろうから
この距離で自分のかわいい顔をよーく見れば気づくだろうと、怯まずにズズイと顔を近づけてみる。

「…なに?」
「この顔よく見て」
「んー?」

反応が芳しくない。
それもそのハズ。ミキ帝は寒い地方の真ん中らへんの田舎町出身で、アヤヤ姫に比べたらとんでもなく
貧困な生活環境の中、それでも学校にはちゃんとソリに見せかけた木の板に乗って通い
普通の平々凡々たる教育を受けてきたのだが。

残念なことに、休み時間と給食に全力を注ぎすぎて授業中は必ず寝ないと体力がもたなかったのと
楽しいことにしか興味がないため遊んでばかりでニュースも見ないので
この星の姫だろーが、大臣だろーが、地図の上下だろーが、そんなことは知るワケがなかった。
578 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:57
そう、バカなんじゃなくて、興味がないことを無理に知ろうとしない主義なだけ。

「誰だか知んないけどお仕置きの邪魔しないでよ」
「…っ知らないって…ま、まぁそれはいいとして、この人はなにも悪いことしてないじゃないですか!
 なのに中指を微妙に尖らせたグーで殴るなんてひどいですぅ!!」
「ひどくないよ、喜んでるもん」
「どこが…」
「ミキサマミキサマ、オシオキアリガトウゴザイマス」
「え…?」
「ほらね、やっぱこいつも隠れまめおだ」
「カクレマメオ…?」

新種のお菓子かな?
頭を傾げるアヤヤ姫をほっぽいて、ミキ帝はひれ伏すまめおに一粒のアメを与える。

「ムチだけじゃ可哀想だかんね。
 で、いいよね? 美貴、ここでコンサート見ても」
「ハイ、モチロンデゴザイマス」
「ありがと、じゃあどこに座るかなー。あんたの隣、座っていい?」
「え?…あ、は、はい」

そう訊ねてきた声は、さっきの怒声とは打って変わってちょっぴり遠慮がちで優しかった。
なんだろ、この人、怖い人だと思ったのに、いい人なのかな?  
でもあたしのこと知らないような人だし……もしかしてずっと監禁とかされてたんじゃ……
579 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:57
天然失礼な憶測を頭に駆け巡らせながら、突然現れた見たこともない強烈な人物を
アヤヤ姫は興味津々といった様子で見つめていた。
その遠慮のない視線に、最初は気のせいかと思っていたミキ帝もだんだん確信が高まり
とうとう耐え切れなくなってグルンと顔を振り向かせる。

「なんか用?」
「えっ? べ、別に…」
「あからさまに美貴のこと凝視しといて別にはないでしょ。
 言いたいことがあるならいいな。美貴、ハッキリしないやつって嫌いなんだ」

嫌いって…そんな…会ったばっかりで、そこまで言わなくても……いいじゃん。

鋭い言葉に、やっぱり怖いと一瞬ためらったものの、すぐに腹立ちを憶えて
アヤヤ姫はキッとミキ帝を睨み返した。

「あたしは姫路城のアヤヤ姫です!
 あなた、あたしのこと知らないみたいだから挨拶しとこうと思って!」
「へ? あー、ヤララ姫ってあんたのことだったの? で、姫路城ってなに?」
「ヤララじゃなくて ア ヤ ヤ !
 さっきよりかけ離れてるし!! 姫路城はこの星を統治してる殿様が住んでるとこだよ!
 あたしはその娘!!!」
「へぇー」
580 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:57

ゼェハァゼェハァ。
なんなのこいつ。あたしのことだけじゃなくお城やパパのことも知らないなんて。
おバカにもほどがある。
で、でも、監禁されてた可哀想な人なら…怒っちゃダメ怒っちゃダメ。

「お姫様かー、初めて見るやー、ねぇねぇもっとよく顔みせてよ」
「ど、どうぞ!」

そりゃ初めてでしょうよ!! 存在すら知らなかったんだからっ!
アヤヤ姫はなんだかよくわからない悔しさを胸に抱えつつも、必死に湧き上がる怒りを抑えた。

「どれどれ……あれ? 髪結ってないじゃん、十二単も着てないし。
 あんたホントに姫様? バッタもんじゃないの?」
「なっ?! 本物に決まって……っ!」 

が、不躾なミキ帝に、とうとう堪忍袋の緒が切れた。
しかし同時に、アヤヤ姫をよく見るためにサングラスを外したミキ帝の端正な顔立ちが
目に飛び込んできて、その美しさに全ての動きが封じられてしまう―――

ビ、ビビビビーン!

581 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:58

「姫なのにこんなカジュアルウェアなんて、イメージにそぐわなさすぎだし。
 あんた偽物でしょ? 嘘ついたって美貴にはわかるよ」
「……ポワワ」
「ん? どーした偽姫」
「…………結婚してください」
「ハァ?」
「あたしと結婚して、いますぐ。
 テントウムシがしゃしゃり出てくる森の小さな教会で」
「 無 理 」
「なんでよぉ!!!!」
「だって美貴コンサート見にきたんだもん」
「…あ、そっか。じゃあ見終わったら結婚しよーね、ミキたん」
「ミキたん?」
「えへへぇ、かわいいでしょぉ?」
「んー…まいっか」

いままでそんなかわいらしいあだ名で呼ばれたことのなかったミキ帝は、ちょっと照れながら呟いて
「ミキたん、ミキたん」と嬉しそうに連呼するアヤヤ姫の手を、くすぐったそうに握り返す。

これは………成立したと考えていいのだろうか?
582 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:58

『オモウィキリィ〜ツゥタウェタウィ〜♪』

と、いつの間にか2人が結婚する手筈に落ち着いたとき、舞台に光が射して
純白のドレスを着たマツ大成功が歌とともに現れた。

「わあーすごーい白ーい歌うまぁーい」
「んー、白さでいったら偽姫も白くない?」
「ちょ、ちょっとミキたん、あたし偽姫じゃないってば」
「ハイハイ、お姫様ねー」
「む。信じてないなぁ。けど“お姫様”ってゆーのも他人行儀だよねぇ。
 アヤヤもちょっと違うしー……そだ! 亜弥って呼んで!
 今じゃパパとママぐらいしか使わないけど、あたしの幼名なの」
「亜弥ちゃん? へぇ、かわいいね、わかった」

明るく楽しげなテンポの中で会話もポンポン弾む。
出逢ったばかりだというのに、2人はもうずっと前からの知り合いみたいに仲良くなっていた。
583 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:59

『ウシナァッタ〜ユメダケェガァ〜ウツクスィク〜ミエルノハナゼェェェ〜カシルァア〜♪』

「…ぐすっ」
「ん? 亜弥ちゃん?」
「あ、あれ? いきなり泣けてきちゃった…」
「美貴の肩、かしたげてもいーよ」
「…ありがと」
「そのかわり今度胸かしてね」
「………バカ」

仲がいいどころか、はやくも訪れた甘い雰囲気。ミキ帝の肩に頭を乗せ、アヤヤ姫は静かに涙を流す。
大好きな人を見つけられて見合い結婚を免れた喜びが、マツ大成功の切ない歌声によって
溢れ出してしまったんだろう。

なかなか止まらない様子に、ミキ帝がちらっと顔を覗きこむ。
するとその泣き顔は、幸せそうに微笑んでいた。


584 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 11:59

◇◇◇
585 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 12:00

「見つけてきました」

コンサート終了後、ミキ帝を連れて姫路城に帰ってきたアヤヤ姫は、まっすぐにパヤヤとマヤヤの元へ向かった。
しかしミキ帝は2人よりもやたらでかい城に心を奪われたようで、わーとかおーとか
言いながらキョロキョロとあたりを見回している。

「ありゃ、亜弥ちゃん本物のお姫様だったんだぁ……あー! わかった!
 ここってお菊さんが殺されて投げ入れられた井戸があるとこだよね?
 へー、ここが亜弥ちゃん家なんだぁー、やっぱ夜はさー『1枚…2枚…』って聞こえんのー?」
「ふぇ?!
 聞こえないよぉ。あ、あのね、ここにいるのがあたしのパパとママ。
 パパママ、この人があたしの結婚相手のミキたんです」
「あ、初めましてー」
「こちらこそ初めまし…ってアホなぁ!?
 そいつは悪名高いミキ帝やないかぁ!!!よりによってソイツ連れてこんでも!!」
「えー? ええやんパパぁ。
 ママはタイプやで、この子」

な、なによパパ、悪名高いだなんてミキたんに失礼でしょっ…てママ今なんて?

どうやらミキ帝のことを知っているらしいパヤヤの顔が青褪める横で
マヤヤはポッと頬を赤らめている。ついでに目の中にハートも見える。
586 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 12:00
「マッ!?ママ! だめだからね!ミキたんはあたしのだからね!!
 大体ママにはパパがいるでしょ!!!」
「やかまし! パパがおろーがペペがおろーがときめいてなにが悪いねん!!」
「ママぁ! 結婚しとるんやからオレ以外にときめいたらアカンに決まっとるやんけ!」

年甲斐もなく胸の前で指を絡ませるマヤヤに、涙目のパヤヤが縋りつく。
その姿を楽しそうに眺めながらぽそっと呟いたミキ帝の言葉が、さらなる混乱を招いた。

「そうかなぁ? 前に不倫は文化だって
 そろそろ頭髪に生じた問題を隠せなくなってきたオジサンが言ってたと思うけど…」

「ミ、ミミミミキたん!!!
 あたしよりママがいいの?! ピチピチのあたしより年増のオバサンがいいの?!」
「ゴルァ亜弥ぁ!!誰が年増や誰が!!」

フン! ママ以外に誰がいるの!

「きっ、貴様ミキ帝!!!亜弥に擦り寄るフリして本当の目的はママか!!?
 オレからママを奪おうなんつぁええ度胸や!!!
 いますぐここでブツ切りにしたる!!!」 
「パッ!?パパだめぇ!!」
587 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 12:00

キャー ワー ハナセェー ブツギリガイヤナライチョウギリニシタルンヤァー

「アハハッ、亜弥ちゃん家って家族仲いいんだねぇ」

目の前で繰り広げられる壮絶な家族ゲンカをもろともせず、立っているのが面倒になってきた
ミキ帝は畳の上にゴロンと横のようになって1人和む。

「………長い」

しかし5分も経たないうちに暇になったので、城の中を探検しようと思い立ち上がった。

「亜弥ちゃーん、美貴遊んでくるー」
「もう! パパもママもバッ…ふぇ? ミ、ミキたん!? どこ行くの?!」
「散歩ー」
「待って! 1人で行ったら迷子になっちゃうよ!」
「んー、じゃあ亜弥ちゃんも一緒に行こ」 
「うん!」

差し伸べられた手をとってさっさと部屋を出て行くアヤヤ姫。
その後ろではいまだ激昂を抑えられぬパヤヤが暴れている。

「待て亜弥ぁ! アイツと2人っきりになんかさせへんぞぉ!」
「ええやんパパ、結婚するって言うてんのやし」
「え…? ママ、アイツにときめいたんとちゃうんか?」
「ときめいたで。あの子かっこかわいいし。 
 でもそんだけやわ。……あんた、まさかアホなこと考えたん?」
「………ママァ!」
588 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 12:01
ハイハイ、そんなパパとママは正直どうでもいいので省略。

「おーすごーい、景色もいいねー」
「でしょ? あ、あたしあそこの小学校に通ってたんだぁ」
「へぇー」

「まずは亜弥ちゃんの部屋見してよ」というミキ帝の要望で、肝心の2人は見晴らしのいい窓のついた
アヤヤ姫の部屋に来ていた。口数は多くないが、アヤヤ姫が次々とアレコレ指差すほうに
目を向けるミキ帝は驚くほどニコニコしている。よっぽどこの城が気に入ったらしい。

最初に見たときとは大違いだなぁ。
あのときはきっと、カクレマメオさんのためにワザと怖いフリしてたんだね。
ミキたんってば優しいんだから。

そんなミキ帝を見つめるアヤヤ姫の顔も嬉しそうだ。
ミキ帝の腕に抱きついて、にゃふふふふっと微笑んでいる。

「いいなぁ亜弥ちゃん。毎日この景色見てんだね。
 広くて面白いし、美貴もここに住みたいなー」
「ふぇ? ここでいいの? 二世帯住宅になっちゃうけど」
「ニセパイ? うわ、亜弥ちゃんデカイデカイと思ったらニセパイだったの?
 なんだー、偽物はそこかー」
「な、なに言ってんのミキたん!二世帯だよ二世帯!!この胸は本物ですぅ!!!」
「どもるところが怪しい」
「にゃんだとぉ!!」
589 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 12:01
そんなこと言うなら確かめるかぁ?!

「ムキになると余計怪しいよ。
 別に美貴はどっちでもいいけど、亜弥ちゃん面白いし」
「…っぐ、本物なのに…っ」

ま、まあおいおいわかってもらえばいいけど。
けど、けど悔しい、そもそもなんでこんな話になったんだっけ……?

「あ、そうだ。ここに住むってことは、パパたちとも一緒に暮らすんだよ?
 色々気ぃ遣わなきゃいけないこともあるし。そういうの面倒じゃない?」
「んー、美貴、今は1人暮らしだけど
 田舎ではジジとかババも一緒に住んでたし、大勢のが好きだな。
 それにさ、亜弥ちゃんのパパとママも面白いじゃん。お茶目で」
「………」

あ、あれを…あの人たちを笑顔でお茶目だなんて言えるなんて、やっぱりミキたんってば優しい人。

「あ、でも、家賃高いよね?
 払えないかもしれないなぁ、亜弥ちゃんの知り合いってことで割引とかしてもらえる?」
「…へ?」
590 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 12:02

な、なに言ってるの? 家賃って…大家さんに払うやつ? ってゆーか、知り合い?

こんぐらいでどう?なんて、指を何本か立てるミキ帝はいたって真面目で
冗談を言ってるワケではなさそう。
アヤヤ姫が呆然としていると、不安そうにもっと?もっと?と立てる指を増やしていく。

「えぇぇぇ、これ以上はキツイよぉ」
「ミキたん」

まさかとは思うんだけど。まさかとは思うんだけど。

「………結婚って、意味わかってる?」
「んぇ?」

恐る恐る訊ねると、ポカンとして固まるミキ帝。この顔、この反応は――――

「え、えーっと、紙にハンコ捺すやつでしょ。わかってるよぉ、アハハ」

――――わかんないのね、ミキたん。

わかんないのにオッケーしてのこのこ着いてくるなんて、もしあたしが誘拐犯だったりしたら
どうなってたんだろう。紙にハンコって、間違ってはいないけど、どの紙かわかってる?
わかってないよね? もし騙されて借用書に捺させられたらどうするの?
ミキたんったら、1人にしておくの危険すぎるよ。
591 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 12:02
このときアヤヤ姫は、この人には自分が傍についてなきゃだめだと、の○太君との
結婚を決意したしずかちゃんと同じ心境に陥っていた。

「あのねぇミキたん。もちろんハンコ捺すけど
 結婚っていうのは、1人の人をずーっと愛しますって約束することなんだよ?
 その人と一緒に起きて、ご飯食べて、お風呂入って、寝るの。ずっとずーっと一緒なの」
「…うん」

お風呂には個人差があるだろうが。
アヤヤ姫の言葉を聞いて、ミキ帝は内心『そういうことかぁ』と感心していた。
しかし顔色も変えず暢気に外を眺めている姿に、アヤヤ姫はホントに結婚していいのか不安になって
すがるようにミキ帝の肩を掴む。

「あたしを見て、ちゃんと考えてね。もう1回聞くよ?
 ミキたん、あたしと結婚してくれる?
 ずーっと、あたしと一緒にいてくれる?」
「…………うん」

頷く前の数秒間、アヤヤ姫をじっと見つめたのは、なにも考えてなさそうな瞳だったけれど。

「亜弥ちゃんいい匂いするから、一緒だったらよく眠れそうだし」

そう言ってへへっとはにかんだ顔は耳まで真っ赤に染まっていて、照れているのがよくわかった。 
592 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 12:03

たったの数秒だったけど、ミキ帝なりにちゃんと考えて返事したようだ。
でも寝るときのことしか考えなかったみたいだから、他の部分も1つ1つチェックしてみる。

「あたし朝弱いよ? すごい寝惚けるよ?」
「美貴強いから、大丈夫」
「ご飯なにが好き?」
「肉」
「お風呂、2時間以上入れる?」
「いつもそんぐらい入ってる」
「いい匂いじゃなくなったら……」
「美貴、よく鼻つまってるから気づかないかも」
「胸はホントだからね」
「ふぅーん、たしかめていい?」
「……いいよ」

言葉はそっけないけれど、そこから伝わる温かさにアヤヤ姫はうっとりと目を閉じた。

そういえば思い描いた通りコンサート会場で出逢えたものの
ケンカしてないし、雨降ってないし、橋から飛び降りてもないし、
おまけにこっちからプロポーズしちゃったけど…………いっか。

「…ミキたん」
「…亜弥ちゃん」

..................................................
.....................................
.........................
................

593 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 12:04

こうして、めでたく自分で見つけた大好きな人と結ばれたアヤヤ姫は姫路城でミキ帝と仲睦まじく暮らし
それから3年が経つ頃には、2人の間にとってもかわいい赤ん坊が生まれた。


「ごーっちん、ママだよー」
「んあんあ」
「………」
「んあ?」
「たん? 黙っちゃってどうしたの?」
「…亜弥ちゃんは美貴のだぞ」
「…んあ…」
「にゃはは、たんったらごっちんにヤキモチ妬いてどーすんのぉー」

今日も平和なポテト星。
星のシンボルである姫路城には、楽しそうなアヤヤ姫の笑いご――――

「ごっちん、美貴が抱っこしてやる、亜弥ちゃんから離れろ」
「んあー」 
「もぉぉ、そんなこと言って抱っこしたいだけじゃないのぉ?」
「………べ、べつに。
 おりゃ! ごっちん高い高ぁーい」
「んあぁっ!?」
「きゃああ!? たん! まだ首もすわってないのに投げちゃだめぇええ!!」
「たーまやー」

――――えと、たまに悲鳴も響いている。


こんな幸せが、いつまでも続くといいのにね。


                                 おしまい。
594 名前:初恋。 投稿日:2004/07/16(金) 12:04


595 名前:のえる 投稿日:2004/07/16(金) 12:05

レス、ありがとうございます。

>>563名も無き読者様
ありがとうだなんて、スケベですね(w
激しく弟さんは正しいと思います。

>>564名無飼育さん様
川;VvV)<…………。
从+‘ 。‘)<そんなこと言わないのぉぉお!!
从从 V)<喜んでたくせに…。

>>565名無飼育さん様
Σ(゚Д゚;)
ま、ままさか続きをご所望される方がいらっしゃったとは!
・・・・・ごめん(爆
596 名前:みきあや信奉者 投稿日:2004/07/16(金) 21:49
久しぶりの更新ですね!のえるさん、最初のほうからして、てっきりなちごまいち推しかと思ってましたが…ひょっとしてみきあやいち推しッスか?
大成功にウケました、そのうちまつーらさんが、そんなコンサートやりそうw
597 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/16(金) 22:47
うぉ!!待ってた甲斐がありました!!!
あややとミキティーかわいいーw
598 名前:名も無き読者 投稿日:2004/07/16(金) 23:45
更新お疲れサマです。
あぁもう、全員イイ。
何がイイってキャラがイイw
自分のツボはごっちんだったりしますが・・・。(ダメ?
勝手ながらしつこく次がある事祈ってます。
599 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/17(土) 14:49
更新お疲れ様です。
のえるさん、あんたマジ最高です!
大成功とか、もう〜やばいくらいウケました。
あやみきは永遠w
600 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/17(土) 15:09
ミキティ種あるのかミキティ
601 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/20(火) 02:23
更新お疲れ様です。
とても面白いです!
ん〜これの続きっぽい!?ものをどこかで読んだことがあるようなぁ?
あれは作者様のだったのですね。(違ってたらごめんなさい。)
くそ〜もう一度読みたい!!!
でも、どこだったっけかなぁ??
あ゛〜気になるぅ!!
602 名前:   投稿日:2004/07/28(水) 03:18

ノノ*^ー^)¶<恒例の、ボツネタを蘇らせようのコーナー!
从;`,_っ´)<恒例? まぁ2回目っちゃけど…。

7月23日に間に合わなかった・゜・(ノД`)・゜・
なっち(●´ー`●)ごめんなさい。

またしても黒美貴がご存命のころの話です。


603 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:19

バーン! スパコーン! ビシィッ! キャーッ!

「ひゃー!すごいべさごっちん!また決まったべ!!」
「んあ、よしこバレー部だからねぇ」
「かっこいいっしょや、惚れちまうべ」
「んあぁ!?ななななにぃぃ?!?」

ほほほ惚れるだとぉ!?
ごとーのラブラブハニーがよしこに惚れるだとぉ!!!!

「べさぁ!? 冗談だべさごっちん!
 なっち本気で言ったんでないよぉ?」
「冗談でも許せないぃ!
 よしこはエロエロなんだよ?!食べられちゃったらどうすんのさ!
 なっちはごとーだけ見てごとーだけに惚れてりゃいいの!」
「……ちょっとごっちん、ひどくない?」
「んあ?! うっさいよしこ!
 試合中でしょーが!プレーに集中せんかい!!」
「第1セット終わったんだよ!
 ごっちんこそ応援するならちゃんとしてよね!」
604 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:20

今日は年に1度か2度のクラスマッチ。
みんなのやる気・勇気・元気・イノキで暑く盛り上がってる体育館で
ただ今ごとーのクラスは1年のクラスとバレーの試合中、しかも決勝。

ついさっきまでグラウンドでやってたサッカーの試合で
なっちに捧げる愛のラブハットトリックを決め、
クラスを勝利に導いたごとーは、次の試合までの空き時間を利用して
よしこが出てるバレーの試合の応援にやって来たのだ。

んあ? 美貴はって?
アイツねー、まだ来てないのよー。
たしか『体動かすのめんどい』ってオセロかなんかにエントリーして
たんだけど……サボりやがったな黒美貴。

「ごっちーん、どぉ?よっすぃー勝ってるー?」
「んあ!? 美貴!!
 あんたいままでどこでナニやってたのよ!」
「アハハ、ごめーん遅刻しちゃってさー」
「遅刻って、どうせまた酒飲んで寝坊したんでしょ?
 不戦勝だよオセロ!」
「あー、まー1つぐらい負けてもいいじゃん。
 で、バレーはどうなのよ?」
「話逸らすな!勝ってるに決まってんで…んあぁ!?」
605 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:21
ああああれぇ!?!
第1セット10点差で勝ってたハズなのに!
いつの間にか22対25で取られちゃってんじゃん!!
どうなってんの?! どうなってんのよよしこぉ!!

「おぉ!美貴ちゃんちょうどいいとこに!!
 あのさー、相手のクラス紺野のクラスだったらしくてさー
 いきなり交代で出てきたんだよ、んでひっくり返されちゃって…」

紺野ぉ?!
なるほど、1年で決勝なんてやるなぁと思ったら紺野のクラスか!
でもいくらあの子におイモパワーがあるったって
よしこのスパイクは………

「いや、なんかボール拾ってんのは全部小川で
 紺野は小川を後ろから糸みたいので操ってるだけなんだよね。
 そんで上がったトスを小川を踏み台にして飛んだ紺野が
 正拳突きでコートに叩きつけてくるっていう」
「・・・・・」

小川、それでいいの小川。
紺野、アンタなに目指してるの紺野。
606 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:21

「でだ。紺野相手に普通の人間じゃ勝てないワケ。
 だから2人とも出てよ」
「「ヤダ」」
「ひっど!2人とも即答ってひど!よしこ泣いちゃう!」
「勝手に泣いてよ、ごとーサッカーあるから体力温存したいの」
「美貴も今夜のために温存したいの」
「ぐすっ!この冷徹コンビがっ!」

いやぁ冷徹とか言われてもしょーがないじゃん、サッカーだって
優勝したいの……ってん?
美貴、あんたは別に温存とか必要ないじゃん。
てか今夜のためってナニのためよ!! 
 
「美貴は出たげなよ!アンタどーせ暇でしょ!」
「うん。でもヤダ。疲れるし。
 疲れたら亜弥ちゃんとできないし」
「しなきゃいいでしょーが!1晩ぐらい我慢せぃ!」 
「えぇー、ごっちんいっつも美貴に亜弥ちゃん大事に“しろ”って言うクセにぃー」 
「言ってるけどその“しろ”は“ヤレ”ってことじゃないっつーの!」

アホかおのれは!
戦わずしてオセロ負けたんだから紺野倒して
少しはクラスに貢献しろっつーの!
607 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:22
「紺ちゃん倒すんだったらごっちんじゃなきゃ無理でしょ。
 美貴か弱いしさー、いきなりバレーなんかしたら
 この細腕が内出血だらけになるじゃん」
「やかましい!どこがか弱いのどこがっ!」

てか紺野の正拳突きスパイク受けたらその細腕が内出血どころか
ただの肉片のカケラになって飛び散ってくと思う。

だからごとーは絶対出ない。
犠牲になるのは黒美貴で充分じゃ、あはっ。

「ごっちん、話は聞かせてもらったべ」
「んあ? な、なっち」

そ、そーだった。
なっち、ごとーの隣にいたんだった。
愛しい愛しいマイハニーだけど、なんか嫌な予感がするなぁ。
ごとーね、最近なんとなく、なっちの顔見て
なにが言いたいかわかるようになったんだぁ。エライ?エライ?

「サッカーの試合までまだまだ時間あるっしょ。
 なっち、さっきの吉澤さんみたいにかっこいいごっちん見たいなぁ。
 藤本さんのかっこいいとこも、松浦さんに見せてあげたいなぁ」
「んあぁ…わかんないままのがよかった…」
「えぇー、亜弥ちゃんいないし」
「どこでアブラ売ってるべか、携帯で呼び出すべ」
608 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:22
ガックリコンと、ごとーは体育館の床に崩れ落ちる。
なっちに上目遣いで言われたら断れねーじゃんよー。

かわいいんだもん!だって好きなんだもん!

やだよー、ごとーだって細腕なのよー。
肉片のカケラになんかしたくないのよぉぉぉー。

「ぐすっ。んあ、ごとー…頑張る」
「べさ!さすがごっちん!かっこいいべ!」
「美貴も出ろ」
「えぇ? だからやだって…」
「貴様に拒否権なんかあるかぁ!!」
「えええー!?」
「ミキたん! ここにいたのぉ!?」
「ん? あー、亜弥ちゃん。走ったら危ないってば」
「あ、ご、ごめんなさい」
「別に謝んなくてもいいけど…」

ごとー1人を戦地に赴かせる気か!
黒美貴も道連れにしてやるのじゃ!と、逃げようとする黒美貴の
襟首を掴んだとき、まっつーが物凄い勢いで
体育館に駆け込んできた。
息も上がってハァハァいっちゃって、よっぽど急いできたってことがわかる。
609 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:22
「さっき、ママから電話があって。
 警察の…」
「だああああーーー!!!!
 わかったわかった!その話は後で聞くから!
 いまから美貴バレーしなきゃいけないし!
 ね? ごっちん。ってなワケだからよかったら見物してなよ!
 さあ行こうごっちん!さあさあさあ行こう!」  
「んあ? ちょ、美貴、なんなのよ突然…」

あんなに嫌がってたのに……つーかまっつー、警察とか言わなかった?
ちょっと美貴、まさかアンタ今日ここに来るまでに
なんか騒ぎ起こしてきたんじゃないだろーね?

「よっすぃー!よっすぃー!
 ごっちんと美貴出るから!どういう作戦で逝くワケ?」
「おお!ありがとー2人とも!
 さっすが持つべきものは親友だねぇ!
 作戦はこうこうこういう姑獲鳥で魍魎で狂骨で鉄鼠な感じで…」
「フムフム…で、絡新婦で陰摩羅鬼でルー・ガルーって感じね」
「そう、最後は忌避すべき狼な感じで逝くから」

………ま、いいか。
いまはそれより試合よ、試合。
ところでそれ、どういう作戦なのかよくわかんないんだけど。
610 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:23
「ごっちん! 合言葉はナツヒコだからね!
 ウチたぶんマークされてるから
 打てるときはバンバン打っちゃって!」
「んあ…ナツヒコ…?」

そんなワケで、よくわかんないまま試合が始まった。


ピピーッ! 第2セットスタート。

「スペシャルヨシザワサーブッ!」
「まこっちゃん、エイッ」
「∬∬T▽T) イデェッ!!」
「チィッ、やるな小川め!」
「トース!」
「川o・∀・) てぇい!」
「ギャーッ?! 美貴! ナツヒコ!」
「えぇえ!?美貴ぃ?! グギャッ!?」
「美貴! お前の犠牲は無駄にしないっ!
 必殺!なちごまでアレグリアとかいうサーカスの応援キタ━━━(゚∀゚)━━━サーブッ!!!!」
「まこっちゃん!」
「∬∬T▽T) イダダッ!無理ぃ!」
「んあっ!決まったぜ!」
「キャー! すごいべごっちん! かっこよすぎっしょぉ!」
「えへへ♪」

第2セット、無事取り返しに成功。セットカウント1対1。
611 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:24

第3セットスタート。

「イモよ、イモよ、イモたちよ〜♪
 イモよ、イモよ、イモのぉ〜唄ぁ〜♪」
「ぬはぁっ!?
 力がっ!体から力が吸い取られていくっ!」
「み、美貴…も、ダメ…」
「みんなしっかり!…っくそ、ウチも立ってらんない…っ」
「ご、ごっちぃん! 大丈夫だべかぁ?!」
「ミキたん! 紺ちゃんやめてぇ!」

第3セット、再び奪われる。セットカウント1対2。


第4セット開始。

「くそぉ!このままじゃ負けちゃう!
 なっちお願い!ワンタッチさせて!勝つにはそれしかないのっ!」
「ベサ?
 きゃ!? ごごごごっちんどこ触ってるべかーっ!!!!!」
「あーなるほど。その手があったか。
 んじゃ美貴は亜弥ちゃんにバックアタックぅ〜」
「ふぇ…ひゃっ!?だ、だめぇ!」
「あぁー! 2人ともズルイッ!
 よしこはどうすりゃいいんだよぉ!梨華ちゃんいないのにぃ!
 てか試合中だっつーの!!!」
「よっすぃー!応援に来たよぉ!」
「え?…あ、梨華ちゃん!ワンタッチワンタッチバックアタックゥー!」
「きゃああっ!?」 

第4セット、スケベパ…もとい愛の力で奪取。セットカウント2対2。
612 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:24

そして迎えた最終セット。

「ここまできたら絶対に勝ぁつ!!!」
「当然。1年になんか負けてらんないし」
「梨華ちゃんも来てくれたし、最後に愛は勝つんだ!」
「フフン、こっちだって愛ぐらい用意してますよ」
「まことー、頑張ってのー」
「愛ちゃん! 来てくれたんだ!」
「将棋、負けたんやよ…」
「んあっ! ある意味本物の愛を用意してきやがったな!
 でもでもぉ!なっちのワンタッチがある限りごとーは負けないんだぃっ!」
「美貴だって、こんな試合さっさと終わらせて
 今夜は全部バックアタックで決めてやる!!!」
「おっしゃあ! いくぜごまみきぃ!」
「「おぉーー!!」」

「( ゜皿 ゜) カオリは思うの。スポーツはもっと健全に楽しむものだって」

「んあ? あ、かおりん。
 応援に来たの? それならコートの中に入っちゃダメだよ。
 いま試合中なんだから」

これから紺野たちをぶっ飛ばずぞーってとこで
いきなり現れてコートの真ん中に突っ立っちゃダメダメぇ。
613 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:25

「応援じゃないの。……藤本」
「へ? 美貴?」

長い髪をパランとかき上げながら、かおりんは美貴に歩み寄り
肩を掴んで大きな目を更に大きくクワッと開いた。

「いま、警察から電話があったの」
「ゲッ」
「正直に答えて。
 今朝はやく、手を挙げて歩道橋渡ってたってホントなの?」
「ぅっ…」
「んあぁ!? みみみ美貴そんなことしたのぉ?!!?」

なんつー意味のないことをっ!

「…わ、渡ったけど! いいじゃん!
 手ぇ挙げちゃダメなんてどこにも書いてなかったし!」

そら、挙げる必要がないし。

「でもね、歩道橋は歩道橋であって横断歩道じゃないんだよ?
 なのに藤本が手を挙げてたら
 遠くから見た人が『アレ?横断歩道だ』って勘違いしちゃうでしょ?」
「んあ…」

どこのバカがするの、その勘違い。
しかも勘違いしたところでなんの支障もないし。
614 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:25
「はぁ、ガッカリだな、カオリ。
 警察の人が藤本の顔覚えてて学校に電話してきたんだけど、
 まさか藤本がそんなことするワケないって信じてたのに…」
「ぐ…」
「ホントだったんだね。じゃあいまからカオリと警察に行くよ。
 交通的指導してくださるそうだから」
「げぇええ!? ヤダ!絶対ヤダ! 
 美貴いま試合中だもん!」
「そーよかおりん!美貴に抜けられたら負けちゃうよぉ!」
「ハニー!あと10分でいいから待ってよ!」

これから最終セットなんだからぁ!
美貴のバックアタック(健全な)がどうしても必要なのよ!
てか交通的指導って、美貴が事故起こしたワケでもあるまいに!

「残念だけど…、ごめんダーリン」
「そんなぁっ!」
「ちょっとよっすぃ、飯田先生がハニーってどういうこと?
 しかもダーリンって呼ばれてたよね? さらにどういうこと?」
「ハッ! いや、それはそのー…」
「梨華カト落とし!」
「ぐはっ!?」

んああぁ!? よよよよしこが戦闘不能にぃぃっ!!
615 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:26
「カオリ先生ぇっ!離してってば!」
「藤本が悪いんでしょ」
「ちがうよ!アレはデュークなんちゃらさんの歩き方実践してただけで!
 歩道橋を横断歩道に見せかけてたワケじゃないんだって!
 亜弥ちゃん助けてぇええ!!!」
「ミ、ミキたん!
 飯田先生!ミキたんはただ健康になりたかっただけなんですぅ!」
「だったらまずはお酒やめな。
 まだ未成年なんだから。行くったら行くよ。ディアッ」
「いやぁあああー!!!」
「ミキたぁああん!!!」

・・・・・んあ、ちょっと待って。
他のメンバーいるけどさ、よしこは梨華ちゃんのカカト落としに倒れて
美貴は連行されて……紺野と戦うの、実質ごとー1人?

「ヤダッ!ごとーまだ死にたくないもんっ!」

なっちとあんなことやそんなことやウフフでムフフな
ホーリーナイト過ごすまでは死んでも死にきれん!!! 

「大丈夫だべごっちん!
 まだ泣くのは早いっしょ!なっちがなんとかしてやるべさ!」
「んあ? なっち?」
616 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:26

え? 一緒に戦ってくれるの?
でもなっち先生だし……ってアレ? どこ行くの?
腕まくりしながら張り切ってズンズン歩いてくなっちは
ごとーのいるコートの中じゃなく、小川の応援をしてる高橋の……

「小川さん! これ見るべさ!」
「うへ?」

……元へ行き、小川によく見えるようにブアッとスカートを捲り上げた。

「ぶぅっ!?」
「あぁっ、まこっちゃんしっかり!」
「ひゃああっ!? セクハラやよー!!!」

お披露目されたスカートの中の黒い下着を思いっきり見て
盛大に鼻血を吹き出しながら小川が倒れた。

「安倍先生!訴えてやるがし!」
「あはは、なっちワザとやったんでないよぉ?
 スカートにカナブンが止まってたから払おうとしただけっしょ」
「ほぇ? そ、そうなんですか…?」

いや……いまのはどう見てもワザととしか思えないよ……。

突然のなっちのエロ化に、ごとーも、もちろん周りの子も戸惑いを
隠せないんだけど、顔を真っ赤にして吠える高橋を天使の笑顔と悪魔の嘘で
騙したなっちはニコニコ嬉しそうに笑いながら
ごとーの前までトコトコ歩いてくる。
617 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:27

「さ、ごっちん、これで敵の戦力もガタ落ちだべ」
「……あ、あはっ…そ、だね」
 
初めてかもしんない。
なっちの笑顔の奥に底知れない恐怖が見える。
錯覚かな。んあ、錯覚だ。

「ほーれ紺野さん、かかってくるべさ!」
「参りました」
「「へ…?」」

んあ? なにごと? どういうこと?

レシーブ体勢で構えるごとーたちの耳に信じられない言葉が。
あの紺野が、倒れた小川の鼻にティッシュを突っ込んで
高橋の膝の上へ運びながら、プクッと頬を膨らませて参ったって……マジで?

「悔しいですけど、まこっちゃんがいないことには
 戦えません。私の腕も、雪で作った白い花のような細腕ですので」
「・・・・・」

んあ、小川の腕って……まあ細腕じゃないけど、かわいそお。

えーと…でもでも、それってつまり………
618 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:27

「やったぁごっちん!優勝だべさぁああ!!!」
「あはっ!優勝だねなっちぃ!!!」

ンアー ベサー ナチゴマドゥー ナチゴマドゥー


こうして、ごとーとなっちの愛の力で、バレーと
その後のサッカーは、見事に優勝することができた。


まあ、よしこと小川の2人が保健室送りになって
美貴が連行されたせいでまたもまっつーが涙を流すハメになったから
手放しでは喜べなかったんだけど……。

んあ。それもこれも全部、黒美貴が悪いということで。


あ、そうそう。次の日ゲッソリした顔で学校に来た黒美貴は
道路の交通標識を見ただけで吐きそうになってて、
その背中を撫でてあげてたまっつーは
世話焼き女房ができてすっごく嬉しそうだった。



愛だねぇ。


619 名前:ラブマッチ。 投稿日:2004/07/28(水) 03:28


620 名前:のえる 投稿日:2004/07/28(水) 03:28
毎度のことながらグダグダで申し訳。
レス、ありがとうございます。

>>596みきあや信奉者様
どうでしょうねぇ(w 同率いち推しって感じでしょうか。
でもみきあやは書くのが難しいです。
なちごまのがちょっぴり楽です(爆
大成功、適当に考えたのがウケた、ワーイ(w

>>597名無飼育さん様
待っててくださったのですか・゜・(ノД`)・゜・
ありがとうございますです。
从*‘ 。‘)(VvV*从<知ってるーw

>>598名も無き読者様
キャラ、色んなところで被りまくってるんですけどね(w
しつこいのはちょっと困るので、ほどほどに祈ってください。

>>599名無飼育さん様
ありがとうです、なかなか最後まで書けなくて
色々悩んだんですけど、書き上げてよかったです。
あんたが最高だよぉ・゜・(ノД`)・゜・
あやみきは永遠w

>>600名無飼育さん様
地球とは違う星での話なので、いろいろ生態が違うんです(w
(VvV从<ヤル気があればなんでもできるのだ。

>>601名無飼育さん様
はい、私です。
どこだったか思い出せたでしょうか?
迷惑になるといけませんので、もしまだ思い出せてなかったら
ここにあの駄文を晒しますので言ってくださいまし。 
621 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/28(水) 14:37
久しぶりにワラタ

「初恋。」の続きっぽいもの……気になる…読みたい(ボソッ
622 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/28(水) 17:46
なっちの暴走が……w
歩道橋事件は恐ろしいっすねww
623 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:22

初恋 〜 寝起きでフォーリンラブ 〜


624 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:23

地球でいうところの世紀末。
地球によく似た丸い形の、でっかいでっかいポテト星で
第3次ポテト戦争は終結した。

16年の長きにわたって、人々がイモのことだけを想い、イモの皮を振り回した
『イモ好きの、イモ好きによる、イモ好きの為の戦い』(偉大な大統領・ポテトーンの言葉)は
1人の偉大なイモ好きの命を奪い、ポテト星自慢の黄ばんだ大地をより黄ばませ、
ホクホクしたイモ場(地球でいう岩場のようなもの)を粉々に打ち砕き、
星のシンボルであるポテト城(洋風)を姫路城(団地妻が住んでみたい城No,1)に
改装してしまった。

そんな姫路城(団地妻ry)では、アヤヤ姫とミキ帝が
仲睦まじく暮らしており、ポテト戦争終結の3年後、2人の間には
ごっちんという名の、四六時中眠そうだけど、とってもカワイイ子供が誕生した。

「んあー」
「ん? どうしたごっちん」
「んあ…」
「あ、ミキたん、ごっちんはお腹が空いたんだよ」
「そっか。んじゃ肉、肉食え」
「んあぁ」
「だめだよぉ、ごっちんはまだ赤ちゃんなんだからミルクじゃないとぉ」
「…ミルクって亜弥ちゃんの?」
「うん」
「 だ め 」
「えぇえ!? な、なに言ってるのミキたぁん」
「おらおらごっちん、肉食え、 肉 だ け を 食 え 」
「んぐぁ…」
625 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:23

ミキ帝は決してごっちんをかわいがっていなかったワケではないが、
それ以上にアヤヤ姫のことが大好きだったので、ごっちんにミルクを与えず
テーブルに置いてあった自分の大好物のレバ刺し5人前を手で掴み、
ごっちんの小さな口に放り込んだ。

「んぐぅ…」
「ちょっ!? ミキたん!
 そんないっぱい入れたら喉に詰まっちゃうでしょ!!」
「噛め、美貴の子供ならそれぐらい噛んで飲め」
「…ぐ…」
「無茶言わないの!!ごっちん!ごっちんしっかりして!!!」
「…ぅ………ガクッ」
「ひゃああ!!?ごごごごっちぃぃぃぃん!!!」 

ごっちんは、脅し同然のミキ帝の言葉に懸命に応えようと、
吐き出させようとするアヤヤ姫の手を振り切って肉を噛んでいたが、
まともに歯が生えていないごっちんにレバ刺しが噛み切れるハズもなく……。
喉を詰まらせたごっちんは、蒼白な顔で燃えるように赤い絨毯の上に崩れ落ちた。

「ごっちん!ごっちん!
 ミキたん!ごっちんがぁぁあ!!」
「んー、無理かぁ。
 でも美味しそうに食べてたよね、さすが美貴の子供」
「ばかぁ!!ごっちんが死んじゃったらどうするの!早く医者を…っ」
626 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:24

「あのぉ、ちょっと話聞いてくれんかの」

と、そこへ現れた1人の占い師。

「あ、あなたは…?」
「まぁ気にせんで。ちょっと通りかかっただけやでの。
 実はさっきこの水晶に、このお城にいる赤ん坊が17歳になる前に
 肉を食べると、呪いで目覚めなくなるっていうお告げが出たんやよ。
 んだもんで、私はただそれを伝えに…」
「いやぁあああああ!?!!」

なんたるヒジキ、いや悲劇。
このお城にいる赤ん坊のごっちんは、今しがた肉を、それも生肉を
食べて気を失ったところだ。

このまま……このまま目覚めないの…?
私のカワイイごっちんが…っ!

「ちょっとアンタ、いきなり入ってきて変なこと言わないでよ。
 亜弥ちゃんもあんな訛ってる奴の言葉信じないでさぁ、
 寝てるごっちんぐらい美貴が起こしてあげるって。
 おーいごっちん、朝だよー」
「……」
「ごっちん!!!朝だっつってんだろーが!!」
「…」
627 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:24

アヤヤ姫の恨みがましい視線と、占い師の「せやから呪いが…」という視線を背中に
受けつつ、ミキ帝が泣く子も黙るような大声を張り上げても
ごっちんは目を閉じたままピクリとも動かない。
口の中に残ったレバ刺しを全部吐き出させてもだめだ。

「ミキだんの大ばがああ!!
 ごっちんを返してよぉおおお!!」
「落ち着いて亜弥ちゃん。
 呪いってことは、それを解けばいいんだよ。ねぇ?そこの訛り」
「なま…ゴホン、その通りやけど
 この呪いを解くには、この星一のイモ好きの力が必要なんやよ」
「え? でも星一のイモ好きは確か3年前の戦争で…」

16年も続いた戦争で、彼は落ちていたイモの皮で足を滑らせ
転んで頭を強打して亡くなった、ただ1人の犠牲者である。
 
「あぃやぁ、そうなんやけどぉ、
 彼の孫が次のイモ好きナンバーワンやって占いに出とるもんでぇ
 その子を探し出せば赤ん坊は助かるんやよ」
「ふぅん。なんだ、簡単じゃん。
 明日チョチョイと行って連れてくる。
 今日はもう遅いから寝よーよ、亜弥ちゃん」

占い師の言葉にホッと胸を撫で下ろしたミキ帝は
不安そうにごっちんを抱きしめているアヤヤ姫の肩に手を回したが、
アヤヤ姫はその手をペチッと叩いて唇を尖らせた。
628 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:24

「…寝ないもん」
「へ?」
「ごっちんが起きるまで、寝ないもん。
 ミキたんと、あんなことやこんなことも、しないもん」

サァァァ。
上目遣いで睨まれながらオアズケ宣言されたミキ帝の顔が、一瞬にして青褪めた。

「げぇええ!?ママママジでぇぇぇ?!
 それとこれとは関係ないじゃん!美貴のこの萌えたぎる欲望をどうしてくれんの!!」
「知らない!!!
 もう遅いったってまだ外明るいんだから早く見つけてき…」
「でも、まだ生まれてないんやの」   

「「えぇえええええ!?!?!?」」

「彼の孫は2年後に生まれるでの。
 名前は……たぶんイモ美、紺野イモ美」
「うわー…嫌な名前。
 って待って、てことは2年もオアズケ?冗談やめてよ」
「冗談じゃないやよ。
 さらにその子がイモ好きナンバーワンとして正式に覚醒するのに  
 15年はかかるでの。ミキ帝さんは17年オアズケやよ」
「 ふ ざ け ん な 」

17年も経ったら絵本作家目指してる女の子と私の幸せはこんなんじゃない女の子が
旅立てるじゃねぇーかぁああ!!!とミキ帝は声を荒げたが
占い師は哀れむような目を向けることしかできない。

この日から、毎日汗を流してアヤヤ姫に謝り続けるミキ帝の姿が城の名物になった。
629 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:25

◇ ◇ ◇

630 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:25

〜そして、17年後。

「イモ美、はやくごっちん起こしてよ」
「ですから、イモ美じゃなくてあさ美です」
「あ、そうだった。ごめんイモ美」
「………」

あれから2年後に生まれたイモ美…もとい紺野あさ美を、家来である
まめおたちを総動員して見つけ出したミキ帝は
家族ごと引き取って城に住ませていた。

プンスカ怒っていたアヤヤ姫をなんとか宥めて頑張ってきたこの17年間。
長かった苦労の日々が、今日でようやく終わろうとしている。

そう、今日は待ちに待った、あさ美の15回目の誕生日なのだ。

「でも、どうすればいいんでしょうか?」
「ハ?」
「私が何をすれば、ごっちん様は起きるんですか?」
「…さぁ、占い師ー、知ってるー?」
「そりゃあ、接吻やの」
「っ!?」
「なんだ、そんな古典的な方法でいいのか」

なら早くブチュッとブチュッとしちゃってと、ミキ帝はあさ美の背を押すが
あさ美は絨毯のように真っ赤な顔で目を見開いて固まってしまった。
631 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:25

「ん? どーしたの?」
「でででできません!むむむむ無理ででです!」
「あ? なんで?」
「だだだってははは初めてのののファーストキキキキキ…っ」
「いいじゃん別に。
 なんなら美貴で練習してからにする?」
「 ミ キ た ん 」
「ぐあぁ!? じょ、冗談だってば!!放して亜弥ちゃん!」

(わ、私が………キキキキキ……キ…)

フカフカのベッドに寝かされ、17年の間に立派な女性へと成長したごっちんの髪を
梳いていたアヤヤ姫にアヤヤローリングスペシャルを喰らっているミキ帝の隣で
未だ硬直しているあさ美の心臓は壊れそうなほど高鳴っていた。

晴れて今日、星一のイモ好きとして覚醒した自分は、生まれつきの恥ずかしがリンゴちゃんで
テレビでキスシーンを見るだけでも大変なのに
自分から寝ている人に唇を寄せるなど、できるはずがない。

それに、子供の頃からごっちんの世話を手伝っていたあさ美は
密かにその美貌に憧れを抱いており、ときどき発せられる
「んあー」という寝言には甘酸っぱい胸の疼きを感じていた。

そう、ぶっちゃけ恋をしちゃってるのだ。
632 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:25

ずっと寝てる人を好きになるなんて、変かもしれないけど。
ごっちん様は、とても魅力的なお方だから。
吸い込まれずには、いられなかった。

好きです、あなたが。こんなにも、心乱れるほどに……

「あさ美ちゃん、もしかしてやり方知らんの?
 でも初めてならテクニックとか気にせんでええから」
「…愛ちゃん」

人が胸を抑えて想いに浸っているというのに、空気が読めない占い師は
口をタコのようにしながらせっついてくる。

「ほれ、はよしねまぁ。ミキ帝さんが死んでしまうがし」
「…う、うん」

ぐあぁぁぁというミキ帝の喚き声が遠く耳に届く中、
あさ美は意を決し、清水の舞台から飛び降りるフリをする覚悟で
(だって本当に飛び降りたら死んじゃうじゃないですか)ごっちんの頭に
震える手を添えた。

今やあさ美の顔はリンゴを通り越してイチゴ並に赤く、唇がプルップル動いて
金魚みたいになっているし、閉じるタイミングがわからずに開けたままの瞳は
乾きに乾いて、ロートを感じたいと渇望していた。
633 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:26

ごっちんに近づけば近づくほど手の震えはひどくなり、ベッドの上は
震度510の地震に襲われている。
頭が揺れて苦しいのか、寝ているごっちんも眉間にシワを寄せ「んああぁ」と
唸ったが、余裕のないあさ美は気づかない。

あと5ミリで唇が重なるというところで、「んぱっ」という不思議な言葉とともに
ごっちんが目を覚ましたことにも―――


ちゅ。


「んあ!?」
「おぉーごっちぃん、起きたかぁー?」
「…んあ、ミキティ」
「ごごごごっちぃぃん!! わかる? ママだよ!」
「…んあ、あやや」
「あ、私のことは知らんよね? 占い師の高橋愛やよ」
「んあ、んあぁ?」
「………あ、わわわ私くしは…通りすがりのもももイモですっ」

赤ん坊の頃からずっと寝ていたごっちんは、もちろん言葉なんて話せないし
イモが何なのかもよくわからない。
けれど、この目の前でモジモジしているイモさんの唇が
自分の唇に触れたことだけはわかっていた。
634 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:26

「なんだ、やっぱりイモ美だったんだ。占い師の言った通りだったね、さすがぁ」
「でへへっ、そんな褒めんといてぇ、照れるがし」
「いや、紺ちゃんはあさ美でしょぉ?
 今のはテンパって間違えちゃっただけだよぉ」

うるさい外野はほっといて。

「んあー…」
「ご、ごっちん様? どうなさいました?」
「……ポッ」

眠そうな目で、あさ美をしげしげと見つめているごっちんの頬が
ピンク色に染まっていく。
心配するあさ美の服の裾に、そろそろと手を伸ばしてキュッと掴んだ。

「んあ。ちゅー、ちゅー」
「ふぇ? えぇえ!?」

――と思うと、いつの間にそんな腕力…と誰もが首を傾げる力で
あさ美の身体をベッドに引っ張り込み、自身の腕の中に閉じ込めて
恥ずかしそうに唇を突き出し……
635 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:26

「んちゅー」
「んんんっ!?」

これは、なんと大胆な。

どうやらごっちんも、一目であさ美のことが
好きになってしまったようだ。
17年間寝っぱなしというハンディにもめげず、積極的に攻めている。

「おーおー、やるなごっちん。
 そうだ、そこで一気に吸いつけ!」
「あれまぁ、あさ美ちゃんがごっちんちゃんにホの字やったんは
 知っとったけどぉ、どうやら成就したみたいやのぉ」
「わあ、これ、ごっちんの初恋だよね?
 今日お赤飯にしなきゃ、鯛もお頭つきで」
「えぇー、美貴肉がいいー」



こうして、無事目覚めたごっちんは
初恋を最後の恋として、ミキ帝とアヤヤ姫と占い師に見守られながら
あさ美と末永く幸せに暮らしましたとさ。



〜おしまい〜

636 名前:初恋 投稿日:2004/07/30(金) 00:27

(vV从从<めでたしめでたしなのだ。

637 名前:のえる 投稿日:2004/07/30(金) 00:27

レス、ありがとうございます。

>>621名無飼育さん様
ワラてくれてありがとう・゜・(ノД`)・゜・
久しぶりのごっちん視点、書いてて楽しかったぁ(w
初恋、気にしていただいたのにこんな話でごめんなさい。

>>622名無飼育さん様
なっち少々ヤラしかったですね(w
歩道橋事件、普通に考えて誰の迷惑にもならないんですが
もし見かけたら騙されないように気をつけてください(ダマサレナイヨ
638 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/30(金) 03:14
作者様サイコー!!
639 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/30(金) 21:22
笑いあり涙アリの続編でしたねw
サイコ−です!!
640 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/31(土) 00:55
更新お疲れ様です。
初恋の続編の場所、未だ思い出せません…
たしか、飼育じゃなくどこかのサイトだったようなぁ?
まぁでも、ここで見れたのでうれしいです!
誠にありがとうございます。
もう一度読めてよかった!!!もう、サイコーです!
これからも頑張って下さい。
641 名前:名も無き読者 投稿日:2004/07/31(土) 14:28
あ、PC死んでる間に2つも。。。
なっち、、、教師による生徒のs(ry
ミキティ、、、幼児ぎゃk(ry
社会問題を平気で犯してくれますねw
ていうか被害者の方・・・。(汗
とにかくちゃいこーデス。
642 名前:みきあや信奉者 投稿日:2004/08/01(日) 23:29
もう…のえるさんの書くみきあや、そして後藤さんは最高です♪まー、全キャラや、話も最高なんですけどねw
643 名前:あゃや 投稿日:2004/08/10(火) 11:29
この小説めっちゃ好きです♪作者さんこれからも更新頑張ってくださぃ!
644 名前:  投稿日:2004/08/20(金) 15:22


初恋 番外編 

              飛んできた天使。

    〜  ピロリンピロリン 美貴つぁん ラァーブッ! 〜


645 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:23

ピロリン ピロリン 

「…む?」

深夜の静寂を踊る軽快なメロディに、ミキ帝の眠りは醒めた。
今夜はやけに通りのいい鼻に懐かしい匂いが抜ける。右腕にひっついているアヤヤ姫の
白い首筋に唇を落とすと、ミキ帝は頭をひとつ振って体を起こした。

「…たん…?」
「あ、ごめん起こした?」
「んん…、どうしたのぉ?」
「な、なんでもないよ。もう遅いから寝な」
「むぅー…どもったぁ…」
「ぜ、ぜぜん、どもってないし」
「ほらまたぁ」
「……。いいから寝なって。美貴、散歩してくる」
「ふぇ? こんな遅くに?
 1人じゃ危ないよぉ、あたしも行く」
「お菊さんの声聞きに行くんだけど。いいの?」
「っ……き、気をつけてね…」
646 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:24

地球でいうところの世紀末。
アヤヤ姫とミキ帝が結婚して、もうすぐ1年というある日。

地球によく似た丸い形の、でっかいでっかいポテト星にある
星のシンボル・姫路城(団地妻がry)の一室、愛の巣・ラブラブあやみきルームを
1人抜け出したミキ帝は、跳ねる寝癖を抑えつつ、忍び足で廊下を歩いていく。

嘘、ついちゃったなぁ……。

いままで嘘なんかたくさんついてきけど、アヤヤ姫につく嘘ほど
ミキ帝の良心をウリャウリャと揺さぶってくるものはなかった。

しかもいまみたいに、心配してくれてるのに怖がらせるようなこと言っちゃった日にゃあ
ハートがジクジク痛んでジキニンを飲んでもじきに治りそうにない。

「いやいや、どんな鎮痛剤でもハートには効かないし」

思わず声に出してツッコミながら、階段を下りて庭に出る。
すると、少し離れたところの大木の陰に、3つの見覚えある人影を見つけた。
647 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:24

「3人……? 旦那は一緒じゃないのか」

てっきり空飛ぶ自転車・ピロリン号で旦那と2人乗りしてきたと思ったのに。

てかこんな夜中にいきなりやって来るなんて、一体なんの用?
電話の1本ぐらいよこせっての。いや、その前に明るいうちに来いっての。

「ヨイショ、ヨイショ。
 亀ちゃん、そっちに落ちてる葉っぱも乗せるべさ」
「はぁい」
「2人とも、ほんとに見るだけったいね?
 でん、こげん大きか建物ばってん、ミキ帝しゃんがおる場所わかると?」
「誰に言ってんの田中ぁ〜、なっちはなっちだよ?
 ちゃーんとドサンコンのインターベサットで姫路城のこと調べてきたべさ!
 美貴つぁんがいるのは窓枠にピンクのハートがあしらってるあの部屋っしょ!」
「わあ、かわいい♪」 
「………は、派手やね……」 

れいな、お前いま絶対引いただろ、れいな。

だってさ、しょうがないじゃん。
美貴も微妙だなーって思ったんだけど、亜弥ちゃんが『ミキたんといるとねぇ、
心がポカポカになるんだぁ。色で言うとぉ、淡〜いピンクでいっぱいになるの』って笑顔で言うし、
外から見ればああだけど、中にいる分には見えないからいっかって思ったんだもん。
648 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:24

つーかなち姉、ドサンコンのインターベサットってなんだよ。フン。

大木に近づいて、茂みにピロリン号を隠している3人の会話を聞いていたミキ帝は
恥ずかしさに頬を染めて小石を蹴る。

この、深夜にも関わらず豪快な自転車3人乗りで空から姫路城に侵入してきたのは
ミキ帝の実姉のうわなにすr………

………ミキ帝の姉っぽいナツミ・オブ・エンジェルと、その娘の亀子・亀子・絵里エリと
絵里の友達であり、以前はミキ帝に仕えていたレイナ・バッテン・カラシメンタイコの3人だった。

旦那と来るならまだしも、心配症で教育ママななち姉が娘をこんな時間に連れ回して。
れいなが見るだけとか言ってたけどなにを見にきたんだ?
部屋の場所を調べてるぐらいだから……美貴?

なら、さっさとここで見せちゃおう。
亜弥ちゃん寝てんだし、部屋まで来られたらまた起きちゃうもんね。
649 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:25

「おい、そこの…」
「たーん」
「ほょ?…あ、亜弥ちゃん?」
 
木陰から身を乗り出しかけたとき、後ろから聞こえた声に振り返ると
パジャマの上にピンクのチャンチャンコを羽織ったアヤヤ姫が、眠そうに目を擦りながら
色違いのブルーのチャンチャンコを持って庭に出てきていた。

「寒がりなのにそんな格好でお外出ちゃダメでしょぉ。
 ほら、手ぇ冷たくなってるよ」
「あ、うん、ありがと…」
「でもよかった。お菊さんのとこに行っちゃってたらどうしようかと思ったんだぁ。
 ミキたん歩くの速いしさ。まだこんなことにいるなんて、どうかしたの?」
「え? あの、えーっと…」
「あーわかったぁ。やっぱり怖くなっちゃったんでしょ?
 じゃあもうお部屋戻ろうよ。たんがいないと眠れないよぉ」
「………うん」

別に怖くなんかないけど。
そもそも外に出た理由がお菊さん目当てじゃないし。

でも、なんだったっけ? なんで出てきたんだっけ? 忘れたや。
だって亜弥ちゃんかわいいんだもん。チャンチャンコの裾引っぱりながら
肩に擦り寄ってくんだもん。いい匂いするんだもん。
650 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:25
結婚して1年が経つけれど、まだまだアヤヤ姫にメロメロリンの聞いてメロレリーナな
ミキ帝は、でへっとだらしなく頬を緩めて頷いた。
侵入者たちのことなど、すっかり忘れて――――

「み、美貴つぁん! 美貴つぁんだべ!
 こんな夜中に外にいるなんて…っ寂しくなったんしょや!
 なっちに会いたくなったんしょや! フィッシュに帰りたくなったんしょや!
 いま! いま行くべ! なっち姉ちゃんがいま抱きしめてやるべさ!!!」
「絵里も抱っこー」
「こ、こりゃ2人とも! 見るだけっちゅう約束やけんね!
 そげん大きな声出したら見つかるばい!」

「あ」

――――思い出した。

「美貴つぁん! なっちの胸に飛び込んでくるべさぁ!」
「絵里にもー」
「だああ! いけんってば!!」
「…………」
「ふぇ!? だ、誰ぇ? ミキたんになんの用?!」

お城に住んでる家族や家来の人たちならまだしも、こんな夜中に
庭で3つも見覚えのない顔を見つけて、アヤヤ姫は咄嗟に両手を広げて
庇うようにミキ帝の前に立った。
その顔をミキ帝の姉にしては全然鋭くない眼光で睨みつけて、ナツミはガウッと叫ぶ。
651 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:26

「む! おめぇだべな!
 美貴つぁんを誘惑してこの城に連れ込んだのは!!
 ブドウ缶に遊びに行ったきり帰ってこない美貴つぁんのこと
 なっちがどれだけ心配して捜したと思ってるべかっ!
 なのに見つけてみりゃあこんなバカデカイ城のお姫さまとケケケ結婚しただなんてっ!」
「あ、そうだ。おめでとうございますー」
「おめでとうございますとよ」
「んぇ? えへへ、エリエリにれいな、ありがとう」

ナツミの後ろから、丁寧に頭を下げて絵里とれいなが祝福の言葉を述べると
ミキ帝は嬉しそうに微笑んだ。その表情に、ナツミは更なる怒りを覚える。

「コールァ!! なに祝い祝われてるべか!!
 美貴つぁんはまだ子供なんだべ!結婚なんて早すぎるっしょ!
 それにアレだ美貴つぁん! マロマロ君のことはいいんだべか?!
 小さい頃からずーっと『結婚するならマロマロ君と』って言ってたっしょや!」 
「ふぇええ!?
 ミキたん! マロマロ君って誰ぇ?!」
「え? あの、うーんと…」
「美貴つぁんが将来を誓い合ってたヒゲヅラのナルだべ!
 いっつも花束渡されて、デレンデレンになってひっついてたっしょ!
 なっちがやめとけっつっても『私は好きなのぉ〜』って言って離れなかったっしょ!!」
652 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:27

「そっ…そんな…ミキたんが私以外の人と…っ
 しかもヒゲヅラのナルと…っ」

ヒゲヅラじゃないけど、亜弥ちゃんだってナルじゃん。

そう思いながらも、いまのミキ帝にツッコむ余裕はなく、顔面蒼白で倒れそうになっている
アヤヤ姫をガシッと抱きとめて必死に言い訳をした。

「ち、違うよ亜弥ちゃん、マロッチとはそういう遊びしてただけだよ。
 なち姉が慌てて引き剥がそうとすんのが面白かったから、からかってたの。
 マロッチにはずっと文通で遠距離恋愛してるフクレだかフクトメ村の子がいたし。
 美貴とマロッチは完全な遊びだよ、遊び」

まさか、その相手の子がフクーイ村の占いオババの孫であることなど
ミキ帝は知らない。 

「いやああ!! ミキたんが遊び人さんだったなんてぇ!」
「えぇ?! いや、そういう意味じゃなくて!
 遊んでたのは小学生のときの話だし!」

なんていうんですか、幼さ故の過ちってヤツですか。
でも、ひっついたりはしたけど、それ以上はしてないし。

「……美貴、キスも…その先も……、亜弥ちゃんとしたのが……は、初めてだったし」

ボソッとアヤヤ姫の耳元で頬を赤らめながら呟くミキ帝は、意外に純だった。
653 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:27

「ほ、ほんとぉ?」
「う、うん。聞き直さないでよ、恥ずかしい」
「…えへへっ、そうなんだぁ」
「ぐっ…、笑うなよぉ」
「にゃははっ、だぁってぇー」

嬉しいんだもーん、うぐっ…、にゃははにゃはは、こ、こいつぅ…。

真っ暗なハズの深夜の庭にピンク色の灯りがともる。
人に見られていることも忘れて、結婚1年目の2人は唇を寄せ合っ……

「嘘つくでねぇ美貴つぁん!!!
 赤ん坊のときに既になっちと何回もブチュブチュしたの忘れたべか!
 まぁこれはなっちのほうからしたけども!
 まだ赤ん坊だった亀ちゃんには
 美貴つぁんのほうから積極的にチュッチュしてたっしょ!」 
「えー、絵里覚えてないー」
「…ミキ帝しゃん……叔母の立場ば利用して絵里の唇ば奪うとはよか度胸しとーやなかとか…」
「 ミ キ た ん 」
「ちちち違うって!!!アレはほっぺじゃん!!
 正式なのじゃないじゃん!家族の挨拶みたいなモンじゃん!」

つーかあのときは色んな事情が複雑に絡んでたじゃんか!
思いっきり未熟児で産まれてきて保育器に入ってたエリエリは
最初片手に乗りそうなくらい小さくて、いつ死んじゃうかわかんないぐらいだったんだけど
無事に保育器から出られてさ、それが嬉しくて嬉しくて、つい歓喜の口づけを……
654 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:28

「べさ、その前に初めて会ったとき
 保育器から小っこい亀ちゃん摘み出して食べようとしたのは誰だべか。
 『肉、肉、肉肉肉肉肉肉肉…』とか言って」
「うっ…」
「へぇー絵里、食べられちゃったのぉ? 美味しかったですかぁ?」
「ぐぬぬぬぬ!!ミキ帝しゃん!
 保育器の中で懸命に生きとった絵里の命ば食いちぎろうとするなんてなに考えとるんね?!
 嫁入り前どころか幼稚園にすら入園前の絵里をキズモノにしよって!
 この聖剣・カラシ蓮根ソードで八つ裂きにしてくれるばい!!」

シャキーンと、レイナが腰の鞘から微妙な剣を取り出すと
アヤヤ姫がにっこり微笑みながら背中に隠していたミキ帝を差し出して言った。

「れいなちゃん、遠慮なくミキたんをズタズタにしていいよ」
「どぅぇえええ!? 待って亜弥ちゃん!
 話せばわかる!!!」

ちーがうんだよぉー、あのときはぁあああ!!

美貴さぁ、半年くらいローラースルーゴーゴーで旅に出ててね。
前半はよかったんだけど後半資金(500円)が底をついて、家に帰ったときは空腹のピークだったワケ。
そんでもなち姉が子供産んだっていうから食事我慢して病院に飛んでったの。
655 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:28

そしたらさ、透明な箱の中にエリエリがいて、お腹減って意識が朦朧としてた美貴には
すんごい美味しそうに見えたワケよ、赤身の肉が。
ほら、赤ちゃんってグロイじゃん、ぶっちゃけ。それが人だってことも忘れたね、小っちゃかったし。

でぇ、気づいたら箱の中に手ぇつっこんでて、あーんってしかけたところを
看護士さんに呼ばれてすっ飛んできたゴッツアーンに見つかって…………

「亜弥ちゃん、ゴッツアーン大王って知ってるでしょ?
 南にあるフィッシュアイランドの」
「名前だけなら…」
「そいつがね、なち姉の旦那なんだけど、その逆鱗に触れちゃって、
 3ヶ月も地下牢に幽閉されて魚しか食べさしてもらえなかったんだよ? しかもメザシオンリー、この美貴が」
「え…」
「ありえないでしょ? 必死に謝ってやっと出してもらって
 今度はしっかり肉食べてから病院に行ったら同じように絵里も保育器から出ててさぁ、
 仲間意識が芽生えたってゆーか、親近感湧いちゃって思わずしちゃったの」
「わーい、仲間ぁー」
「いやいや、地下牢と保育器一緒にしちゃいけんったい」

なにはともあれ、形は違えど狭い箱から脱出した2人の、3ヶ月ぶりの再会。

のちにフィッシュアイランドでのみ放送されているフィッシュチャンネルで
このときの様子をおさめたドキュメンタリー番組が放送され
視聴率87%という脅威の数字を叩き出したことは、島の伝説になっている。
656 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:29

「…そういえば…昔パパがそんな話してた…。
 でもまさか…それ、ミキたんの話だったなんて………」

だから、だからパヤヤはミキ帝のことを知っていたのか。
パヤヤは殿様だから、辺境の島での珍事も耳に入っていたのだろう。

「にしても…ミキたんが3ヶ月もお肉食べなかったなんて…」
「信じらんないでしょ? ありえないよね。
 限界なんかとっくに超えて、自分の肉食べようかと思ったときもあったけど
 一生懸命我慢したんだよ。メザシばっかでも、美貴泣かなかったよ」
「えらい…っ!頑張ったねミキたん!!」
「うんっ! えへへっ」

アヤヤ姫に頭やらほっぺやら髪やらをワシャワシャ撫でられて喜ぶミキ帝を
ナツミは眩しそうに見つめていたが、ふいにその顔が歪んでしまう。

「そうだべ、美貴つぁんはエライんだべ。
 なっち、あのドキュメンタリービデオに録って何回も見て泣いたっしょ。
 でもこないだ、間違えてそのテープに水戸茶門重ね録りしちまって……凹んだべさ…」
「えぇー、絵里も見たかったのにぃー」
「み、水戸茶門見とるんですか……しかも録画までして……」

『水戸茶門』はポテト星のお年寄りに大人気な時代劇で、けして黄門ではない。
ついでにお供はスクさんとカケさんであって、けしてスケさんとカクさんではない。
657 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:29

「あ、でもいま思うとさぁ、なち姉がゴッツアーンに頼んでくれたら
 もっとはやく出れたよね」
「む?
 だって美貴つぁん、なっちの子供食べようとしたっしょ?
 必死こいて産んだのに、なっちだって怒ってたんだから頼むワケないべさ、そんなこと」
「っ……」 

そりゃそうだけど。ナツミに冷たく返されて、少なからぬショックを
受けたミキ帝はアヤヤ姫に抱きついた。

「たん? どしたの? 寒い?
 …あのぉ、ミキたんが風邪ひくといけないんで、お部屋に戻りたいんですけどぉ」
「あ、冷えるもんねぇ……ってハッ! んなこと言ってぇ!
 なっちから美貴つぁんを引き離す気っしょや!
 さっきから言ってる通り美貴つぁんは返してもらうべ!」
「ふぇぇえ!? で、でもぉ」
「大体こっちになんの連絡もなしに人の妹掻っ攫うとはどういう神経してるべかっ! 
 いくら姫さまでもしていいこと悪いことがあるっしょ!」

「ちがうよなち姉!」

とうとうミキ帝の腕を掴んだナツミに、ミキ帝が叫ぶ。
658 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:30

「亜弥ちゃんは…、何度も言ってくれたんだよ。
 実家に挨拶に行くって。でも美貴…なち姉が『こっちが上』って
 書いてくれた地図なくしちゃって……フィッシュアイランドの場所わかんなくて…」
「ミ、ミキたん、そうだったの!?
 でも、場所わかんなくても空港に行って飛行機乗ればすぐだよ?」
「え…?」
「いや、え、じゃなくて。
 ミキたん、ブドウ缶に来たとき飛行機に乗ってきたでしょ?」
「ううん」
「ふぇ!? じゃあどうやってきたの?!」
「泳いだり走ったり」
「へぇ、泳い…泳いだり走ったりぃいいい!?!?!
 フィッシュアイランドからここまで?! 走るのはともかく泳いだのぉおおお?!?!」

適当に説明すると、フィッシュアイランドと姫路城のある本土とは
地球で言うところのブラジルと日本ぐらい離れている感じがする。
泳いだミキ帝にも驚きだが、自転車で飛んできた3人も尋常ではない。

「うん、クロールと平泳ぎを上手い具合に織り交ぜながらね」
「織り交ぜてって…たん、よく生きてたねぇ…」
「あ、背泳ぎもかな」
「そ、そう」

もしミキたんが地図を失くしてなかったら、私も泳がなきゃいけなかったの…?
そんなの絶対無理。よかった、失くしてくれて。

人知れず、アヤヤ姫は心の中でミキ帝のおドジに感謝した。
659 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:30

「じゃあ、美貴つぁんは帰りたかったけど帰れなかっただけかい?
 そのお姫さまにとっ捕まってたワケじゃなかったのかい?」
「ちがうよ。
それに美貴、楽しいこと追求しすぎて、ゴッツアーンとか
 みんなにいっぱい迷惑かけてたし、いないほうがいいかなって、ちょっと思って」
「んなっ!?
 そんなことあるワケねぇっしょぉおおお!!
 ゴッツアーンも島のみんなも!
 急に美貴つぁんがいなくなってすっごい寂しがってるんだよ?!
 みんな、美貴つぁんが次にどんな無茶なことするかっていつも楽しみにしてたっしょ!!」 
「絵里、いっぱい泣きました」
「れいなもたい! さゆもみんなもっ!
 ミキ帝しゃんがいつ帰ってきてもいいように毎日お肉焼いて待っとったんやけんね!」
「えぇえ? そうなの?」

そりゃあ、島中の家のキッチンで砂糖と塩が入れ替えられていたときや、
スーパーで買った卵を割ったら小さいミキ帝がウヨウヨ出てきたときは、みんな困ったり呆れたりしたけれど、
ミキ帝は自分では気づいてないだけで、いまやフィッシュアイランドでは
ゴッツアーン大王を凌ぐほどの絶大な人気を誇っているのである。

ハラハラさせられる行動も魅力だが、元々ミキ帝は外見がとても美しいし
素の顔は怖いけど話してみるとよく笑って、その笑顔がまたかわいいので
まめおじゃなくても、未婚のミキ帝を狙っていた輩はたくさんいた。

そう、みんなみんな、ミキ帝のことが大好きだった。
660 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:34

「でも、昼寝してたゴッツアーンのベッドにロケット花火1000本つけて
 飛ばしたときは、みんなすごい怒ってたじゃん」
「あ、あれは…ごっつぁんだったから大した怪我なかったけども!
 普通だったら死んでるべ!」

美貴つぁんも火傷させちゃいけないと思ったのか、
念のためごっつぁんにアルミホイルを被せてくれてたけども!
そのせいで見事にホイルの包み焼きみてーになっちまってたべさ! 

「ミ、ミキたん、そんなことしたのぉ?」
「……だって、ゴッツアーンが空飛びたいって言ってたから…」

そう、あの頃はまだピロリン号が完成していなくて、ナツミが嫁ぐときに北の真ん中らへん
の実家が震度1の地震で倒壊し、住む場所を失った両親とミキ帝を宮殿に迎えてくれたり
1人暮らしを始めたときも色々と手を焼いてくれたりと、日頃世話になっていた
ゴッツアーンに恩返ししようと思ってしたことだったのだ。

「み、美貴つぁん……」

ならせめて、ごっつぁんが起きてるときに飛ばしてあげればよかったっしょ…。

だけど、物凄い怒られてもケロッとしてたのに
迷惑かけたこと気にしてたなんて…。
そだね、美貴つぁんは昔から、人の心を気遣う優しい子だったもんね。

平気だったワケ、ないよね。
661 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:35

いつもいつも、無茶をしては楽しそうに笑ってたのに
ときどきふっと寂しげな目をすることがあった美貴つぁん。

それは、楽しいことと銘打ってイタズラばっかしてる自分は
いつかみんなに嫌われるんじゃないかって、
一抹の不安を感じていたからだったのかもしれない。

イタズラじゃなくて、良いことをしたつもりだっのに怒られて
なにをしても、自分の行いは迷惑になるって、思っちまったのかもしれない。

地図のことなんか関係なくて、戻ってこなかった本当の理由は
たぶん、そういうことなんだね。

なっちはお姉ちゃんなのに気づいてやれなくて、…情けないべ。ごめんね美貴つぁん。

「バカだねぇ美貴つぁんは、愛されてたってゆーのに」
「っ…………」
「…じゃあ、そろそろなっちたちは帰るっしょ」
「え…?」
「えぇー、もう帰るのー?」
「ま、まだ来たばっかやけんっ……でん、ミキ帝しゃんの顔ば一目見るっちゅう
 目的は、果たせましたもんね…」
「待ってください! もう遅いですし、泊まってってください!
 ね? ミキたんも久しぶりなんだし、もっとお話したいでしょ?」
「う、うん」

話が色んな方向に逸れたけれど、最終的に連れ戻すまで帰らないかと
思われたナツミが簡単に帰ると言い出したので
ミキ帝は拍子抜けしていた。
662 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:37

「ふふふっ」
「なち姉?」
「いいんだべ、もう用はすんだから。
 美貴つぁん、ごめんね。なっち、最初っから本気で連れ戻す気なんかなかったっしょ。
 なまら心配してたけども、お姫さまと仲良く幸せに暮らしてるらしいって話が
 聞こえてきたときは、島中でお祝いしたんだべ。
 今日は一目だけ、顔見るだけって思って、こんな時間にコソッとお邪魔したのに
 顔みたら思わず我慢できなくなって意地悪なこと言っちまって……、悪かったっしょ。
 元気そうでよかったべさ」
「なち姉…」
「お姉さん…」
「やだぁ、まだ帰りたくないー」
「絵里、気持ちはわかるけどワガママ言っちゃいけんよ」 
「むぅ」
「ほーれ亀ちゃん田中ー、帰るべさー」
「あ、あの!」

これ以上いたら別れがつらくなると、サッと背を向けたナツミを、アヤヤ姫が呼び止める。

「ミキたんがなんて言っても、ちゃんとご挨拶するべきだったのに
 怠ってしまって本当にすみませんでした!
 近いうちに必ず、ミキたんと一緒に島に遊びに行きます!!
 お姉さんたちも、またいつでも遊びに来てください!
 夜中にこっそりじゃなくて、ゆっくり泊まりに来てください!」
「べさ、是非来て欲しいっしょ。
 なっちたちも……今度はごっつぁんやシゲさんも連れて、またくるべさ」
663 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:37

お姫さま―――…亜弥ちゃん、美貴つぁんのこと、よろしくね。

美貴つぁん、昔はなっちがティッシュ持ってやんないと上手く鼻かめなかったのに
もうなっちがいなくても鼻かめるし、亜弥ちゃんを愛することもできるんだね。

ちょっと寂しいけど、なっち嬉しいべさ。
泣いてなんかねぇっしょ、こんなめでたいのに、涙なんか出るワケないべさ。

「したっけね美貴つぁん、また会うべさ」
「…うん。元気でね、なち姉。エリエリも、れいなも」
「お姉さんに絵里ちゃんにれいなちゃん! 近いうちにまた!」
「はぁい、また来ます〜」
「ミキ帝しゃん、お姫しゃん、どうかお幸せに」

ピロリン ピロリン

溢れる涙を堪えて、ナツミはピロリン号にまたがり
前と後ろに手をブンブン振る絵里とれいなを乗せて大空へと飛び上がっていった。

「…帰っちゃったね」
「うん…」
「あたし…、運命だって思ってミキたんと結婚したけど
 お姉さんやフィッシュアイランドの人たちから
 たんのこと奪っちゃったんだね…」
「……美貴だって、亜弥ちゃん、欲しかったし。
 ここに住みたいって言ったの美貴なんだから、気にしなくていいよ」
664 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:38

ピロリン号が消えていった空を見上げていた2人は
ギュッと手を握り合っていた。
ふいに柔らかい風が吹いて、肩を震わせたミキ帝を、アヤヤ姫がそっと抱きしめる。

「今度のお休みに、連れてってね」
「うん。なんもないとこだけど」
「たんのご両親に挨拶しなきゃ。あ〜緊張するなぁ。
 あたし、気に入ってもらえるかな?」
「美貴が気に入ってるから、大丈夫」
「にゃはは、なにそれぇ。
 あ、もし、帰ってむこうに住みたくなったら言ってね?
 たんと一緒なら、あたしどこでもいいから」
「ん〜、でも家ないよ? 美貴が住んでたアパート超狭いし」
「狭いほうが、いつもくっついてられるよ?」
「…亜弥ちゃん」
「…ミキたん」
 
もうすぐ夜が明ける。
静かに白み始める空の下、熱い熱い唇を交わすアヤヤ姫とミキ――――

「あー、キスしちょー」

「ん?」
「ふぇっ?」

665 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:39


  oノノハヽo       
  从*・ 。.・) チョー


「なぁあああ!? シシシシゲさんっ?!!?」
「ふぇぇえ? だ、だぁれぇ?!」
「キスしちょー、キスしちょー」

からかうような子どもの声が聞こえて、イイトコロだった2人が
バッと振り向くと、さきほどまでピロリン号が隠されていた茂みの中から
サユミ・ナルシーメルシー・シゲリンコがニョキッと顔を出した。

「ハ? え? シゲさん、なんでいんの?」
「シゲちゃん? え? この子もフィッシュの子?」
「うん、エリエリの友達で…」

れいなと同じく、以前はミキ帝に仕えていた。
しかし彼女は働くワケでもなく、大抵鏡の前にいて
いまのように突然現れては去っていくという不思議な習性を持っていた。
その習性が、こんな場所でまで発揮されるなんて…。

「でもっ、ここまでどうやって?」

なち姉たちと一緒に?
けどたしか、『今度はごっつぁんやシゲさんも連れて、またくるべさ』って
言ってなかったっけ?

「おいてかれたの。ぷぅ」
666 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:39

ぷ、ぷぅって…。
おいてかれたっていうか、連れて来たつもりなかったっぽいよ?

呆然としているミキ帝に、頬をぷくっと膨らませたサユミは
服についた葉っぱを取りながら暢気に話す。

「今日、島民センターでキャノン姉妹さんの“美について”の講演会があったんで
 絵里とれいなの誘い断ったんですけどー、思ったより早く終わったんで
 宮殿にお邪魔したらピロリン号が飛び立つとこだったんですー。
 だから急いでしがみついてー、一緒に乗ってきたんですけどー
 何度も振り落とされそうになりながら必死にしがみついてたから
 ここに着いたと同時に力尽きて寝ちゃってー、起きたら………おいてかれてたの」
「「…………」」

気づけよ、気づけよなち姉たち。シゲさんは全然小さくないんだからさ。
てかシゲさんも気づかれなよ。

「ふぁ…、まだ眠い」
「…シ、シゲさん、今日はとりあえず泊まってきなよ。
 明日飛行機乗って帰りな?」
「私1人でですかぁ? かわいいんで誘拐とか心配ですー」
「…っ、ミキたん、送ってってあげよ?
 どうせ私たちも行くつもりだったんだし」
「でも明日は小学校でドッチボール大会があるし、日曜まではスケジュール埋まってるから…」
「じゃあ日曜までここにいますー」
「でも、親とか心配すんじゃない?」
「心配するのは、かわいい子供を持った親の宿命なの」
「いや、えっと……電話しとくよ…」 


667 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:40




その週の日曜日。
ミキ帝はアヤヤ姫とサユミを連れて、1年振りにフィッシュアイランドに帰った。

事前に連絡していたからか、空港には多くの島民がつめかけていて、
それを見たミキ帝は、照れ臭そうに笑って『ただいま』と呟き
アヤヤ姫の肩を抱いて、結婚の報告をした。

宮殿では、ゴッツアーンが豪華な食事を用意してくれて
ミキ帝のパパン&ママンと、アヤヤ姫の初顔合わせも無事に終わった。
668 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:40

「こんな子ですけど、よろしくお願いします。お姫さま」
「ミキたんは最高の人です。
 私こそこんなんですけど、よろしくお願いします」
「ひィッ!? モモモモノホンッ!? モノホンのお姫さまが目の前にっ!?
 どうか、どうか美貴が粗相を犯しても打ち首だけは勘弁してやってくださいっ!!」
「ふぇ? そ、そんなことしませんよぉ」
「おかーさん、古いから。
 てか美貴粗相なんかしないし」
「なに言ってんの! 産まれてから今まで粗相ばっかしてきた子がっ!
 お姫さまの言うことちゃんと聞いて、お行儀よくしなさいよ!!」
「してるもーん」
「タクシーの運転手さんの膝の上にカメレオン乗っける子のどこが行儀いいの!!!」
「ここー」
「ひゃあっ!? たんダメェ!!」
「っ……」
「コ、コラッ! 親の前でなにするの!!!
 パパも顔を赤らめないっ!!!!」
「にひひー」

ここがどこなんだかは、そっとしておくとして。
ミキ帝、帰ってさっそくやらかしたらしい。

ママンが口うるさいからと、島で暮らすことにはならなかったけれど
3泊4日の滞在期間中、ミキ帝は生き生きした顔でイタズラを連発し
スリルに飢えていた島民たちを久しぶりに楽しませた。
669 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:41


「また来ようね」
「うん」
「今度はぁ、子供も一緒だといいね」
「んー、3年までまだあるし。美貴、もうちょっと亜弥ちゃんと2人がいいや」

「…たん」
「…亜弥ちゃん」

スチュワーデスさんに配られた毛布の中、やっとこさ誰にも
邪魔されることなく甘い時間を楽しむアヤヤ姫とミキ帝の乗った飛行機は
フィッシュアイランドの全島民に見送られ、姫路城のある本土へと飛び立っていった。


2人とも、お幸せに。

いつか、元気な赤ちゃんが産まれるといいね。


しかし、子供を連れて帰るのが、これから20年近く先の話になることなど
このときの2人には知る由もない。


                                 おしまい。

670 名前:飛んできた天使。 投稿日:2004/08/20(金) 15:41


671 名前:のえる 投稿日:2004/08/20(金) 15:43

レス、ありがとうございます。

>>638名無し読者様
呆れないで読んでくださってホントにありがとうございます。
読者さんサイコー!!

>>639名無飼育さん様
続編とか言いつつ書いた順番は逆なんでどっかボロがあるかもw
読者さんサイコー!!

>>640名無飼育さん様
いえいえ、私くしめの駄文をもう1度読みたいと言って
くださってありがとうございました。
読者さんサイコー!!

>>641名も無き読者様
なっちもミキティも愛があるんですよ。
愛あらば〜って娘。も歌ってたんで、いいんです(爆
ごっちんごめんなさい・゜・(ノД`)・゜・

>>642みきあや信奉者様
当方、発想力がないので結構ワンパタ(ryなんですが
キャラも話も少ない脳味噌でエンヤコラ考えているので嬉しいです・゜・(ノД`)・゜・
みきあや信奉者さん最高!!

>>643あゃや様
ありがとうございます。
しかしながら、このスレはこのお話が最後になります。
最後がこんな話で申し訳。
672 名前:のえる 投稿日:2004/08/20(金) 15:45

ストシーが完結したあとも長らく生き残ってしまったスレに
目を通してくださった読者様、どうもありがとうございました。
好き勝手な話ばかり書かせていただいて愛着のあるスレですが
おバカな話はこのぐらいにさせていただきます。

書きあがっていたものが消えたり暑かったりしまして
あちらの更新はもう少し遅れると思います。
お付き合いくださってる読者様はマターリお待ちお願い申し上げます。

( *´ー`)人(´ Д `* )  川*VvV)人(‘ 。‘*从
673 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/20(金) 17:13
なにコレ?チョーオモレーよ。
こんなの初めて・・・
674 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/20(金) 21:11
笑いと笑いと笑いをありがとうございましたwwww
初恋、番外編も笑わせていただきました!!
あちらの作品も楽しみにしています。
675 名前:みきあや信奉者 投稿日:2004/08/21(土) 23:33
長い間このスレで楽しませてもらいまして、ありがとうございました。
今回も…
ノノ*^ー^)<ちゃいこーです

向こうも、のんびり楽しみに待たせてもらいます
676 名前:名も無き読者 投稿日:2004/08/25(水) 16:10
いやもーほんと何とお礼を言っていいのやら。。。
とにかく長い事楽しませて頂きましたw
でわ最後に一言・・・ミキティ、食生活見直せ。
ありがとうございました。
あちらもマターリ待ってます。
677 名前:まり 投稿日:2004/09/08(水) 17:28
うざい
678 名前:のえる 投稿日:2004/09/12(日) 05:10
レス、ありがとうございます。

>>673名無飼育さん様
まあ初体け(ry
ありがとうございます。コレはただのアホです。

>>674名無飼育さん様
最後の最後までアホだらけでしたのに
笑ってお付き合いくださってありがとうございました!!
感謝しきりです(w

>>675みきあや信奉者様
いえいえこちらこそありがとうございました。
亀ちゃんもありがとう亀ちゃん。

>>676名も無き読者様
(VvV从<やーだね。
あわわ、ウチの美貴様がどうもすみません。
こちらこそありがとうございます。
所詮この世は肉食と魚食ですw

>>677まり様
このスレを覗いてしまった不幸にお悔やみ申し上げます。
679 名前:ZpT8ZEbM 投稿日:2004/09/25(土) 20:36
あぁ…もぅ大好きです。ずっと学校のパソで授業中ROMってたんですが…卒業後は見れな(ry
やっとこれる環境がととのったとこで簡潔…完結?観尻…!!

他スレ教えてください*´Д`)

作者さんのみきあや、なちごまだいすきでした…
680 名前:のえる 投稿日:2004/09/27(月) 01:45
>>679◆ZpT8ZEbM様
熱い告白(違)ありがとうございますw
でも学校のパソとはなんと危険な…。
それに授業中はマンガを読むものです(キッパリ

えっと他スレは黄板の『チーズ・ロワイアルU』です。
前スレは緑板の倉庫に眠ってます。

ここまでお付き合い頂き、どうもありがとうございました。

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