亜弥〜天使の歌声〜

1 名前:常盤 愛 投稿日:2003年06月14日(土)02時25分56秒
誤字脱字など、いろいろ気をつけますが、多少間違えがあるかもしれません。
話が話なので、松浦さんらしくなく沈んでいる時が多いと思います。

それではおつきあいよろしくお願いします。
2 名前:常盤 愛 投稿日:2003年06月14日(土)02時29分27秒
繰り返す毎日。忙しい日々。高校生アイドルな私。
楽しいイヤじゃないよ?だって自分の夢だし。でも――――――。

「ふぅ…」

久々のオフ。大好きなみきたんは娘。さんとお仕事。
しかも今日は日曜日。渋谷で買い物!も、いいんだけど…人がいっぱいいるからなぁ…。

「本日のお天気をお知らせしますっ!」

北海道とかいろいろな所の天気をどんどん話しているアナウンサーの人。
無理に明るくしてるカンジ。

「続いて東京は…少しじめじめした、蒸し暑い1日になりそうです。そして…」

今日はのんびり洗濯とか掃除でもするかな!めざせ大人の女性だしね。
よっ!と立ち上がって洗濯機のボタンを押す。ジョローっていう水の音が
聞こえる。

「GOOD BYE BOY やっぱサヨナラしよう〜」

流れている音楽にあわせて歌う。

「KISSしないまま〜…ん?」
3 名前:常盤 愛 投稿日:2003年06月14日(土)02時31分39秒
おかしい。
なんか…変!声がビミョーにおかしいカンジ。
多分、喉が疲れてるんだっ。トローチどこだっけな?・・・あった。
見つけてすぐに口の中に放り込む。なんともいえない味が少しする。

洗濯機はそのままにしといて、掃除機を持ってきて、スイッチをオンにする。
そのままキッチンの方へ歩きながら掃除機をかけていく。
この日は、夜ご飯の材料を買い物に行ったり、家事で終わった。

その日の夜。ストレッチしてから、明日に備えて目をつぶって眠りについた。
4 名前:常盤 愛 投稿日:2003年06月14日(土)22時08分49秒
朝。

「ん〜〜!」

軽く伸びをする。今日の仕事はなんだっけなぁ…。
枕の近くにあったスケジュール帳を見ると…「雑誌のサツエイ」らしい。
小さく「行きはマネージャーさんっ」って書いてある。
とりあえず…顔洗ってこよう。

戻ってきてテレビをつけたら、ちょうど天気予報がやってた。
どれどれ・・・今日は雨は降らないけどじめじめしてるらしい。

♪チャランラっ!チャ〜ララ〜ララ〜

電話だ。・・・みきたんからだ〜。どうしたのかな?

「も゛し…!」

昨日と同じ変な声!!むしろ昨日より声がかすれてる…。どうしよう…。

ど・う・し・よ・う。
5 名前:常盤 愛 投稿日:2003年06月14日(土)22時10分25秒
「もしもし、亜弥ちゃん?」

みきたんが呼んでる。仕方ない。とりあえず声を出すことにした。

「も゛……!しもし・・・?」
「亜弥ちゃんだよね?声…どうしたの?」

こっちが聞きたいよ〜。

「わかん゛ない・・・なんか・・・声が変。」
「大丈夫?昨日から?」
「昨日は…すこしかすれてたけど…今日はめ゛っちゃヒドイ…」

小さな声で話すあたし。みきたんは心配そうな声。

「とりあえず…美貴の用事はたいしたことじゃないし、マネージャーさんに
電話してみたら?」
「ぅ゛…ゴホッ!うん。そうしてみるよ。」
「じゃあ・・・バイバイ。」
「ぅん。」

ツーツーツーツー。虚しい音がする。とにかく電話してみよう。
6 名前:常盤 愛 投稿日:2003年06月15日(日)00時16分19秒
「もしもし?」

すぐに声が聞こえた。この声で話すのはイヤだけど、しょうがない。

「あ゛、あの・・・」
「松浦?声が変じゃないか??」

思い切って声をだしたら、当然というかなんというか。
とにかく、声に気づいたらしい。

「なんか、声が…変なんです゛。」
「声が・・・そうか。・・・とりあえず行くから、待ってて。」
「え・・・は…。」

深刻そうなマネージャーさんの声で電話は切れた。またまた虚しい音がする。
どうしよう。何回も言ってるけど、本当にどうしよう。
このままじゃ、歌は無理だろうし、テレビにもラジオにも出れない…。
かろうじて雑誌は平気でも、取材の時とか…あ〜!も〜!どうしようっっ!
7 名前:常盤 愛 投稿日:2003年06月15日(日)00時19分03秒
落ち着こう。そう。落ち着け〜、落ち着け〜。
スゥー、ハァー、深呼吸をまずした。
とりあえず着替えよう。迎えがくるんだから。着替えなきゃ。

適当に相性の良い服を選んで着て、鏡の前でニコッと笑ってみる。
うん。今日もカワイイ。自分で言うのもアレかもだけど、あたしはかわいい。

♪チャチャラ!チャッチャッチャラララ〜

メール。みきたんからだ。

「声は平気?仕事はなるの?」

短い文章だけど結構、心配してくれてると見た。
ふふ、なんだかんだでやっぱりあたしが好きなんだね〜〜。
とりあえず、今はまだどうなるか自分でもよくわかんないから「マネージャー
さんに電話したばっかりだから、仕事とかがこれからどうなるかはわかんない。
でも…歌は多分無理だと思う。」

送信。
8 名前:常盤 愛 投稿日:2003年06月15日(日)00時20分33秒
普段はすぐに返事を出さないみきたんからすぐに返事が来た。

「そっか。詳しいことがわかったらメールして。今は、薬でも飲んでなよ。」

あ。みきたんありがとう!!すっかりトローチのこと忘れてた。
昨日と同じですぐに薬を飲んだ。昨日と同じ。でも頼る気持ちは倍、ううん。倍以上に違うと思う。

車が止まる音がした。マネージャーさんかな?

ピンポーン。やっぱりそうだ。あたしは無言でドアを開けた。

「喉は、、、声はどうなんだ?!」

心配そうな声。事務所にとっても大事な声だしね。

「あ゛の…」

できる限り普通の声で話そうと思ったんだけど…またかすれた。
それを聞いたマネージャーさんは、軽くため息をついた…気がした。
9 名前:常盤 愛 投稿日:2003年06月15日(日)00時50分28秒
「その声で・・・歌は無理だよな。ラジオもテレビも・・・」
「すみませ・ん゛・・・・」

うつむいた顔を見て、突然。あやまらなきゃいけない気がしてならなかった。
そんなあたしに気づいたのか顔を上げて「イヤ…別に…」って言った。気休めにならない声で。

「とりあえず、一回、事務所に行こう。」

何もいわないで頷いた。
上着を着てドアを閉めて、車へと向かった。
10 名前:常盤 愛 投稿日:2003年06月15日(日)00時51分02秒
とりあえず今日はここまで。
感想、お待ちしております。
11 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月15日(日)22時34分22秒
あやみきはっけーん!
続きが…なんかタイトルから気になります。
頑張ってください
12 名前:名無しあやみき 投稿日:2003年06月17日(火)03時56分12秒
あやみきハケーン!!
お〜お〜、あややの愛くるしい声が・・・
続き楽しみにしてますよ♪
13 名前:常盤 愛 投稿日:2003年06月27日(金)16時17分09秒
・・・・・・・静か。いつもはあたしが車の中でも話してるのに…。
・・・これからどうなるんだろう…。
考えれば考えるほど頭がズキズキする・・・。

「松浦、ついたぞ。」

ハッ。いつのまにかついてた。あたしは考えてるうちに寝てたらしい。

・・・事務所の扉を開いて、社長の所へマネージャーさんと歩いていく。
ドアを叩くと、「どうぞ」って声が聞こえた。
それから・・・中に入ったら、2人でいろいろ話し合っちゃってるみたい。

自分のコトじゃないみたいにボケーとしてるあたし。
そんなあたしを見ながら、社長が話し始める。

「しばらく休もう。」

えっ―――――。あたしは耳を疑った。

「しばらく、休もう。」
14 名前:常盤 愛 投稿日:2003年07月05日(土)21時09分13秒
もう一度、ハッキリと言われた。でも、それでもボーっとしてるあたしに社長は――

「しばらくの間、休暇をとろう。」

3回目。三回もいいのに…って思ってたら続けて社長は話し始めた。

「今、無理しても仕方が無い。しばらくの間はメディアの出演は控えよう。マスコミ等には
「学業の方にしばらく専念する」とでも言っておこう。」

・・・黙ってるあたしに今度は、つんくさんが話しかける。

「社長のいう通りや。しばらく休み。」
「ただ、今日の雑誌の取材は受けてもらうぞ。」

ってマネージャーさん。そのまま続けて話す。

「じゃあ、行くか。」
「は・・・い・・・。」

なんだろ、この気持ち。
足元が落ち着かない…。

・・・・・・・・・・・・
ゆらゆらしながらもなんとか車までついたみたい。
車が出発する。
15 名前:常盤 愛 投稿日:2003年07月05日(土)21時11分54秒
車の中での唯一の会話も仕事の話。
撮影だけになったらしい。
んでもってその後は病院行き。そんな重いものでもなさそうだけど…。

撮影するスタジオについたら、初めはみんな「よろしくお願いしマース」とか言ってたのに、
しばらくするとマネージャーさんが説明したらしく「大丈夫?」と聞いてくるようになった。

そうこうしているうちに撮影開始!
いつもの笑顔・いつもの泣き顔・膨れ顔・変顔。とにかくいろいろな表情をする。
楽しいケド・・・なんだろう?このカンジ…。
16 名前:常盤 愛 投稿日:2003年08月12日(火)04時41分32秒
久々の更新です。
ちなみにここから美貴視点で書かせていただきたいと思います。

仕事の休憩時間。
あたしは娘。のみんなと少し離れた所で携帯とにらめっこしてる。
もとい、亜弥ちゃんからの連絡を待ってる。
亜弥ちゃんはたいしたものじゃないと思うよ〜。とか言ってたけど、亜弥ちゃんの声は
とってもひどかった。
本当によく通るキレイな声がガラガラだった。
17 名前:常盤 愛 投稿日:2003年08月12日(火)04時48分56秒
「ふじもっちゃん、どうしたの?怖い顔して。」
さり気に失礼なこといってるのは紺ちゃんだった。
「ん…ちょっとね。」
「変なふじもっちゃん。」
紺ちゃんも十分に変だと思う。ってことは言わないでおこう。
「ところで、何?」
「別になんでもないんだけど、なんとなく。」
「そっか。」
「紺ちゃん、ちょっと来てー」
「え?ちょっと待ってて。じゃあ、また後で」
「うん。」
18 名前:常盤 愛 投稿日:2003年08月12日(火)04時52分32秒
紺ちゃんは走っていった。
いつものとおりみんなで騒いでる。あたしもあの中に入ることがあるけど、たまに変な気持ちになる。
なんであたしはこの中にいるんだろう。
みんなと馴染めてないわけじゃないけど、そう思う。
19 名前:常盤 愛 投稿日:2003年08月12日(火)04時57分01秒
ブルブルブル

携帯が震えてる。亜弥ちゃんからのメールだ。

「今、病院から帰ってきて家にいるんだ。たんはまだお仕事中?」

・・・
・・・
亜弥ちゃんにしては簡単ないメールにあたしは驚いた。
それと同時に確信した。なんかあったんだ。って。
20 名前:常盤 愛 投稿日:2003年08月12日(火)05時02分14秒
それがわかった後、あたしは亜弥ちゃんにメールを送ってから、さっさと仕事を済ませてった。
みんな驚いてたけど、今のあたしにはなぜかちっとも気にならなかった。

終わったら即座にタクシーに乗って亜弥ちゃん家に行った。
ピンポーン

「亜弥ちゃん、入るね。」
亜弥ちゃんに半無理矢理わたされていた鍵を使ってあけて、中に入るといつもと変わらない
笑顔の亜弥ちゃんがいた。
その笑顔をみて、あたしは単純にうれしかった。
21 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月13日(水)15時32分56秒
半無理やりってのが松浦っぽくて萌え〜
次回の甘々な更新を想像しながら待たせていただきます。。。
22 名前:常盤 愛 投稿日:2003年08月18日(月)23時31分25秒
>>21さん
もー、妄想ワールドでは松浦さんは合鍵わたしてることになってるんで〔笑〕

23 名前:常盤 愛 投稿日:2003年08月18日(月)23時41分19秒
「亜弥ちゃ…」

さっきと変わらない笑顔で美貴を見てるのに、美貴は亜弥ちゃんに何もいえなかった。

「と、とりあえず、ここ座るね?」

ソファに座ると、亜弥ちゃんはいつものように腕にしがみついてきた。

「…っ…」
美貴の服に顔をうずめている亜弥ちゃんを、初めは遊んでるんだと思った。
でも、小刻みに震える亜弥ちゃんは、声を押し殺している亜弥ちゃんは…泣いているみたいだった。
24 名前:常盤 愛 投稿日:2003年08月18日(月)23時42分21秒
まさかね。きっと喉は平気で、コレはただのイジワルだ。そう。そうに違いないよ。

「亜弥ちゃん…ちょっ、どうしたの?」
「たん…う…の゛…あだし…もう歌え゛ないの・・・」
「えっ!?」

頭が真っ白になった――。
25 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2003年09月06日(土)03時33分59秒
続き気になる。
がんばって。
26 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/18(木) 00:54
そろそろ更新お願いす。
続きがきになります、頑張ってください。
27 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/23(火) 23:47
そろそろ厳しいです。
どうか更新を…
28 名前:28 投稿日:2003/09/30(火) 22:20
いいかげん更新しろ
29 名前:29 投稿日:2003/09/30(火) 22:26
すいません、言いすぎました。
一読者の分際で…
30 名前:たか 投稿日:2003/10/02(木) 12:43
ぼくもみたいっす。あややファンなんで。
作者さん。お願いします。
31 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/02(木) 17:30
>>29 六分間の苦悩が見えて面白い。
   
   期待sage
32 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/05(日) 16:09
作者さん期待age
あやみき・・・あやみき・・・
33 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/08(水) 11:49
作者さんずいぶん更新してないようですが忘れたんですか。
更新お願いしますよ。ぼくもファンなんですから。
34 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/14(火) 09:58
更新お願いします・・・グハッ
35 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/15(水) 10:45
ダッ誰でも言いから続き書いてくれ。
話が見たい。みたすぎる〜。
36 名前:ひらり 投稿日:2003/10/15(水) 10:48
作者が放置したようなので
この話の続きを書いてくれる人を募集します。
37 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/18(土) 00:08
この続き書ける人いるのかな…
作者さんカムバック
38 名前:たか 投稿日:2003/10/18(土) 09:41
あ〜見たいよ〜。頼むから誰か書いてよ〜。
ていうか作者さんどこいったんスか!!
39 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/18(土) 09:44
誰か書いてくれ!!!!
文才あって才能あって今作品書いてない人。
大募集!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
40 名前:お試し 投稿日:2003/10/18(土) 13:57
試しに藤本の一人称で
41 名前:お試し 投稿日:2003/10/18(土) 14:24
気が付いたら美貴は泣いていた。おかしいよね。亜弥ちゃんの事なのに。 

「みき だ、ん」

亜弥ちゃん・・・。美貴はなんて言ってあげればいいんだろう。
どうすればいいんだろう。

いきなり肩がガクガクとゆれた。
亜弥ちゃんが心配そうな顔で見ている。

「ゴメン。ちょっと・・・。」

美貴は涙を拭いた。こういうときは周りが落ち込んでたら駄目だ。
希望をもって。

「大丈夫。美貴が応援するから。なんにもできないかもしれないけど・・・。亜弥ちゃんなら大丈夫。」

美貴はニコッと笑ってやった。すると亜弥ちゃんも不安そうな顔をしたけど美貴がガッツポーズをとると、
亜弥ちゃんもいっしょにガッツポーズをとって笑った。
42 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/21(火) 03:53
続けてください
43 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/21(火) 10:06
美貴はニコッと笑ってやった。すると亜弥ちゃんも不安そうな顔をしたけど美貴がガッツポーズをとると、
亜弥ちゃんもいっしょにガッツポーズをとって笑った。

ここのやりとり何かやだ。
44 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/21(火) 23:34
>なにが嫌なんだ?
45 名前:試し書き 別バージョン 投稿日:2003/10/22(水) 15:08
もう、他の人が書いてるんですね…

続き、少し考えてあったんで。試しに書かせてください。
46 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/22(水) 15:15
「うたえ、ない…?」
 ぼんやりと、美貴は亜弥ちゃんの言葉を繰り返した。

「だめになっぢゃったの…あだシの、喉」
 かすれた声で、亜弥ちゃんは必死に美貴に訴える。

「…だめに…」
 小さな肩が、ひくひく震えてる。
 
 …美貴は、知ってる。
 亜弥ちゃんが、どれだけ歌が好きか。
 どれだけ、ファンのことを大切にしてるか。
 
 ステージの上で、のびのび歌う松浦亜弥。
 いつもより、少し大きく見える体。
 


 …歌えない?
 亜弥ちゃんが?

 
 全然、現実味がない。
47 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/22(水) 15:33
「ビョウインにいっでも…。原因がわガラなくて。
 体の問題ヂャないって…精シン的なモノだって」

『体の問題じゃないって。精神的なものだって』
 亜弥ちゃんは、話し続ける。


「仕事も…休むごトになって。
 ハロブロのめンばーにも…連絡は取るなって。
 
 でも、みきだんにだけは…」

「亜弥、ちゃん」
 美貴は、そっと亜弥ちゃんを抱きしめた。

「あんまり、深く考えないで。
 治らないって言われたわけじゃないんでしょう?」
 亜弥ちゃんに、というよりは…美貴自身に言い聞かせた言葉だった。
 …亜弥ちゃんは、顔を上げない。
「ちょっと、疲れちゃったんじゃないのかな。
 ゆっくりオヤスミすれば、また…」


「なおらないよ!」


 びっくりするほど、大きい声をあげて。
 亜弥ちゃんは、美貴の腕を振りほどいた。
 
「新曲の話も、なぐなっぢゃって。
 ごれから予定しテたコンサートも…やめなぎゃいけなくて。

 あだしは、ただ、歌が好きなだけったのに…。
 どうじて…こんな…」

「………」

 亜弥ちゃんの言葉は素朴で、だからこそ、美貴にとってすごく痛かった。

「どうじで…コん…な…」

「亜弥ちゃん…。あんまり大きい声出しちゃ、よくないよ」
 精神的なものだ、と教えられても…。
 やっぱり亜弥ちゃんのがらがら声は、喉を壊さないか心配だった。


「わがら、ないよ…」
 しゃがみこんで、亜弥ちゃんはしゃくりあげ始めた。

 …どうして、上手いなぐさめの言葉が出てこないんだろう。
 美貴も、目が熱くなってきた。 
48 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 15:39
 しゃがみこんで、頭を抱えて、泣きじゃくった。
 
 …なんて、なさけない格好してるんだろ。


 八つ当たりだ。

 わざわざ忙しい時間を割いて、美貴たんは私のために来てくれたのに…。
 こんな風に、困らせちゃって。

 嫌われちゃったかもしれない。
 余計に、涙がこみあげてくる。

「みぎだ…ん。ごめん…」
49 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 15:45
「ごめん…ね。ごめ……」


 美貴たんが、ソファーから立ちあがる気配がした。
 
 たんが、帰っちゃう。
 体が、びくっと震えた。
 
「…泣きなよ」
 
 ……気が付いたら。
 美貴たんが私の隣に、座ってて。
 背中を、ゆっくりなぜてくれてる。

「美貴こそ、亜弥ちゃんに謝らなきゃ。
 何も、言えなくってさ」

 何度も、何度も。
 しゃっくりがとまらない私の背中を、美貴たんはゆっくり叩いてくれる。

「だからさ。
 そうやって、自分を追い詰めちゃダメだよ。
 なんで、自分からかわいそうになろうとするの?」

 言葉はきついけど、口調はすごく優しかった。

 声が出ないことも、歌えないことも。
 さっきまでは、すごくいたかったのに…。どんどん薄くなっていく。


 ……なんだか、大きな猫になったような気分。 
50 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 15:50
 美貴たんは、安定剤みたい。
 美貴たんは、お母さんみたい。

 …そんなこと言ったら、怒るかもしれないけど。 


 夜眠れないときの、美貴たんとの電話。
 
 仕事がお休みのときの、美貴たんとの買い物。
  

 美貴たんと一緒にやることは、全部が楽しくて…。
 もし美貴たんがいなかったら、なんて想像したくない。
51 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 15:51
 美貴たんにとっても、私は特別だって信じてた。
52 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 15:52
 …今年、美貴たんが娘。に入るまでは。


 今でも。
 今でも、私にとっては美貴たんが1番だし…。

 美貴たんだって、私のこと大切にしてくれてる。


 でも、今までとは何かが違う。
53 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 15:54
 最初、美貴たんはよく私のところに遊びに来てくれた。

 大丈夫だ、って思った。
 美貴たんは、娘。になっても変わらないって。


 春が過ぎて、夏になって…。


 どんどん、美貴たんと過ごす時間が少なくなっていった。
 
 娘。は、ソロよりも仕事が多くて、私と美貴たんのお休みはなかなか一緒にならない。
54 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 15:56
 美貴たんは、すぐに娘になじんだし。
 人気者になってく。

 
 どんどん、どんどん…

 美貴たんと、私が離れてく。


 私と過ごす時間が減った分、美貴たんは娘。になじんでく。
 私は…?

 私は、どうしたらいいんだろう。
55 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 15:58



 ………目が覚めたら、周りはすっかり暗かった。

 あのまま、寝ちゃったんだ。

「みぎだん?」
 声は、やっぱりがらがらのまま。
 こんなんで、明日の…


 …ううん。明日からは、仕事なんてない。
「みぎだん、いる?」
 
 不安になって、私は少し大きい声を出した。

「居るよ〜」
 
 びっくり。
 返事は、台所から帰って来た。
56 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 16:02
 目がすごく熱いし、鼻もぐしゅぐしゅする。
 きっと、ひどい顔してる。

「お腹すいたでしょ?
 
 勝手に、台所と食材つかっちゃった。
 一緒に、鍋食べようよ」

 後ろから、美貴たんの声がする。
 洗面所で丁寧に顔を洗う。
 
 鏡の前の私は、いつも通り。
 にっこり笑ってみる。
 …多少顔が赤いけど、いつも通り。

「……みぎだん、お鍋づぐってくれたの?」
 
 …声だけ、少しおかしい。
 一番大事な、私の声が。
57 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 16:06
 鼻をかんで、身だしなみを直して、改めてリビングに入る。
 いつの間にか電気がついていて、美貴たんがぱたぱた動き回ってる。 

 さっきまでは気づかなかったけど、確かにいいにおい。

「もうできたよ〜。
 …勝手に使っちゃ、ダメだった?ごめんね?」
 ちょっと不安そうに、たんが私の顔をのぞきこむ。
 
 そんな、つくちゃってから聞かれても…。
 絶対、 ごめんね? なんて思ってない。

「ううん…食べだ…」
 そこで、急に美貴たんが私の口をふさいだ。
58 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 16:10
 なんとなく、どきどきした。

「しゃべっちゃだめだよ。
 これからは、ボディーランゲージか…」

 そういって、美貴たんは片手だけ変な風に体を動かす。
『…それ、ボディーランゲージのつもり?』

 口が押さえられてるから、目だけでつっこむ。
 通じたみたいで、美貴たんは照れたように笑った。

「…紙に書いてしゃべってよ」
 私の口から、手を離して。
 美貴たんは、メモ用紙とボールペンを私の前に持ってくる。

59 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/10/22(水) 16:14
 …冗談めかしてるけど、美貴たんは本当に心配そうだった。

「………」
 私は、メモ用紙を受け取って、机の上に置いた。
 そして、頭に思いついた文字を書き始める。

『い ち い ち め ん ど く さ い』

 …美貴たんが、私の横からメモ用紙を覗き込んだ。
 私の肩にかかるたんの髪の毛に、心臓が少し早くなる。
 
 ちょっと笑って。

 
 美貴たんは、何も言わないで私の頭をはたいた。
60 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/22(水) 16:17
作者さんの文章リズムが…

崩れちゃいました(汗)
ごめんなさい
61 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/22(水) 18:55
そこで、急に美貴たんが私の口をふさいだ。

ここのやりとりもなんかやだ
62 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/22(水) 22:00
>だから、何が嫌なんだよ。
63 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/23(木) 00:15
続きが気になる

こんなじぶんがなんかやだ

作者の人楽しみに待っていますから
続きを書いてくださいね。
64 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/23(木) 10:35
めちゃくちゃいいです。
お願いですからこのまま続きを書いてください。
65 名前:たか 投稿日:2003/10/23(木) 16:52
このまま続きを。たのんます。
66 名前:代理人 投稿日:2003/10/24(金) 17:45
お言葉に甘えて、続きを書かせてもらいます。

本当の作者さんが戻ってきたら、すぐにひくつもりですが…(汗)
よろしくお願いします
67 名前:SIDE AYA 〜独白〜 投稿日:2003/10/24(金) 18:54


歌がない生活が、こんなにつらいなんて知らなかった。


68 名前:SIDE AYA 〜独白〜 投稿日:2003/10/24(金) 18:55
あたしは本当に、昔から歌が好きだったんだ、って…。
何か、あらためて分かったかもしれない。


好きな歌を聞くと、自然に喉が震える。

家事をしながら、無意識に鼻歌を口ずさんでる。


そのたびに涙がこみあげてくる。
こんなの、あたしじゃない。あたしの声じゃない。
どうして、こんな風になっちゃったんだろう…


歌えなくなるなんて、考えたこともなかった。
69 名前:SIDE AYA 〜独白〜 投稿日:2003/10/24(金) 18:56
自分が大好きで、いっつも明るくて、ちょっとぶりっこ。
そんな「松浦亜弥」は、すっかりなりをひそめちゃったみたい。

仕事を休んで、もう1ヶ月になる。
…しばらくは、落ち込む間もないほど忙しかった。

あれから何回か病院にも行ったけど。
やっぱり、精神的なものが問題らしい。
カウンセリングを受けるのを進められたけど、断った。

あたしには、全然覚えがないし。
芸能人としてのプライドが、医者の詮索を受けるのを断った。
もちろん…そんなことを言ってる場合じゃないんだけど。


ママからは、何度も電話があった。
そのたびに、
「帰ってきなさい」
って。

家族のあったかさは、懐かしかったけど…。

…離れたくない、誰かさんが居たから。
あたしは、これも断った。

あたしのガラガラ声が、ママはすごく心配らしい。(当たり前だけど)
東京まで、強引に迎えに来るっ!
って、騒ぎになったこともある。

でも妹は、あたしの気持ちを分かってくれたらしい。
「亜弥ちゃんにも、東京のお友達が居るんだから」
って。
ママの説得を手伝ってもらった。
70 名前:SIDE AYA 〜独白〜 投稿日:2003/10/24(金) 18:57
ひととおり落ち着いて。
一人になる時間が増えると、改めてじくじく胸が痛くなる。

確かに、歌うことがしんどかった日もある。
自分で言うのもなんだけど、あたしはアイドルとして人気絶頂だったし。
もちろん周りの人も大切にしてくれてたけど、でも、やっぱり事務所の商品にすぎなくて。

いつかは、芸能界から居なくなるんだろうなって…。
それは、分かってたつもり。

…でも、こんな形で休まなきゃいけなくなるなんて。

歌が、なくなるなんて。



昼下がりに、一人ベッドに寝転がって。
あたしは、ため息をついた。

マンションの14階は、日をさえぎるものは何もなくて。
さんさんと、太陽が差し込んでる。

学校にも行かないで、あたしは毎日こんな感じだ。
71 名前:SIDE AYA 〜独白〜 投稿日:2003/10/24(金) 18:58
それでも、何とかやってこれたのは…。

誰かさん―――美貴たんのおかげ。


ベッドの脇にいくつも落ちてる、メモ用紙を一枚拾い上げる。

見慣れたあたしのまる字と、ちょっと癖が違う…美貴たんの字。
夜のおしゃべりが、筆談になっちゃったのだ。

喉は、全然痛くないのに…。
美貴たんが、いつでも心配そうにしてるから。

あたしは、用件をメモ帳に書いて伝える。
いつの間にか、急いでないときは、美貴たんも返事をメモ帳に書くようになっていた。

夜は、おんなじベッドに横になって。
二人でメモ帳をのぞきながら、クスクス筆談してる。
72 名前:SIDE AYA 〜独白〜 投稿日:2003/10/24(金) 18:59
ハロプロの、噂話とか。ちょっとした、仕事の愚痴とか。
前と、全然変わらないお話。

肩にかかる、美貴たんの髪。

距離が近すぎて、息が苦しくなる。
…いつの間にか、呼吸を止めてるから。

胸がドキドキして、美貴たんの香りでいっぱいなって。

こんな考えが、美貴たんにばれなきゃいいって…そっと目をつぶる。


あれからずっと、美貴たんはあたしの家に泊まりこんでくれてる。
一緒にお風呂に入って、ビデオを見て。
あたしが、料理を作って帰りを待ってて。

声がなくても、美貴たんとの生活はすごく楽しい。
美貴たんも、あたしを1番優先してくれて。



その優しさがうれしくて…

あたしは、ちょっとずつおかしくなってる。

73 名前:SIDE AYA 〜独白〜 投稿日:2003/10/24(金) 18:59
事務所は、松浦亜弥の声がおかしくなった…なんて、公開したくないらしい。
結局、表向きの理由は、『過労による長期休暇』。
『本人も、しばらくは勉強に専念したいらしい』って。

当然ファンの間では、疑念の声もあがってるらしい。
「過労で、倒れたんじゃないか」とか、「本当は、病気なんじゃないか」とか…。
いろんな憶測が、飛び交ってるらしい。

本当のことを知ってるのは、事務所でも1部の人間と家族だけ。

それから…親友の、美貴たんだけ。


声のことがばれるわけにはいかないから、あたしは誰にも会えない。

家で一日中、ごろごろして。
たまに、お買い物して。

…美貴たんのことを、待ってるだけ。



もっとずっと、美貴たんを独占したい。

…あたしは。
どんどん、おかしくなってる。

声を奪った神様は、あたしの狂気を許してくれるのかな…。

74 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/24(金) 20:49


75 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/24(金) 20:49
「みぎだん、なるべくハヤク帰っできで…?」
 亜弥ちゃんが、満面の笑みで美貴の手をぶんぶんゆさぶる。
「はいはい…。
 ほら、靴はけないから放してよ」
 
 ちょくちょく遊びに来るだけだったはずが…。
 今では、亜弥ちゃんと半同棲になってる。
 手になじんだ合鍵。
 すっかり見慣れた、亜弥ちゃんのマンション。

 今日は、秋らしくブーツ。 
 靴を選んで、ごそごそ脚を入れる。
  
 靴を、「選んで…」。

 いつのまにか、亜弥ちゃんの家に美貴の私物が増えてきた。

『もっと洋服とか靴とか、必要じゃない?』

『美貴たんに似合いそうなアクセサリー見つけて、ついつい買っちゃった♪
 おそろいなんだよ〜』 

 …それを望んだのは、亜弥ちゃんだ。
 嬉しい反面、束縛に息苦しくなる。

 いきぐるしく… 

 あ〜。
 何考えてるんだろ。

 亜弥ちゃんが心細いのは、当たり前なのに。


「みぎだん…?」

「あっ、うん。
 今日は7時ぐらいかな」

「まっでるね♪」
 
 可愛らしく笑う、亜弥ちゃん。
 息苦しい…なんて。
 どうして考えたんだろう。

「んー」

『分かったらから、あんまり声出さないの。』
 そんな思いをこめて、ぽんっと亜弥ちゃんの頭を叩く。

「…いってきます」

「いってらっしゃい」
 ドアを開けて、朝の光をあびる。
 
 …さっきの、亜弥ちゃんの表情が妙に気になった。
 美貴が頭に手を置いたときの、息苦しそうな顔。

「美貴に触られるの…いやなのかな」
 なんか、寂しい。
76 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/25(土) 06:28
おおー、狂気系ですか。
個人的に好きなジャンルなんで期待してます。
77 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/26(日) 18:28
「おはよ〜!ふじもっちゃん」
「おはー」
「おはようございます、藤本さん」

「おはようっ♪」

 何人もの挨拶に、一言で答える。
 無理に明るく、トーンをあげて。

 それぞれ騒いでるメンバーをすり抜けて、適当な椅子に腰を下ろす。
 横で交信してる飯田さんはなるべく気にしないようにして…。
 鞄から携帯を取り出した。
 思ったとおり、メールが1通。

『みきたん、いってらっしゃい(はぁと)
 しっかり、お留守番するからね! 
 だから、おみやげリクエストさせてください。
 今日はホラー映画が見たいなぁ♪』

 …ホラー、苦手なくせに。
 怖がって美貴にくっついてる亜弥ちゃんを想像して、何となく口元が緩んだ。
78 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/26(日) 18:28
『あんた、最後まで見れるの?』

 亜弥ちゃんがにじみでてる感じの、長文メールに対して…。
 美貴の返事は、1行。
 言葉遣いが乱暴なのは、ご愛嬌。

 いつも、こんな感じなのだ。
 それでも、亜弥ちゃんの返事は…。

 速くて、そして長い。

『今日は頑張るつもりなんだっ!
 あっ、でも、あんまり怖いのはやだよぉ〜(>_<)
  
 …どっちだよ!って感じだね(笑)
 
 みきたんに任せるよ〜。
 適当にお願い』
 
『分かった。なるべく、こわ〜いの選ぶからね』

 打って終えて、送信ボタンを押したところで…見計らったかのように、後ろから目隠しされる。
 ひんやりした手が、気持ちよかった。
79 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/26(日) 18:29
「メール見ながらにやにやしてるなんて、あやしいよ」

 こんなアニメ声は…。
「梨華ちゃん?!」 
 この人しか、居ない。

「あやしいって…ひどいなぁ、もう」
 
 本当は、ほっといて欲しい。
 それでも美貴は、頬をふくらませて見せた。

「メールの相手は、亜弥ちゃん?」
「うんー」
 あんまり詮索されたくなくて、適当な返事を返す。

「そっか…」
 梨華ちゃんは、手近な椅子をひっぱってきて、美貴の隣に座った。

「大丈夫なのかな。過労って…
 亜弥ちゃん、忙しかったもんね」
 眉毛を八の字にして、梨華ちゃんは本当に心配そう。

「うん」
 今度は、感情を込めて返事する。
 亜弥ちゃんが心配なのは、美貴も同じだから。

「でもミキティーは、泊りこんでるんだろ?」
 今度は、後ろから肩に手をまわされる。
80 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/26(日) 18:29
「何で知ってるの?よっすぃー」

「だって、帰る方向が違うじゃん。ふつー気づくっての」
 
 …でも、指摘してきたのはよっすぃーがはじめてだ。
 
 そういえば、美貴の部屋を知ってるメンバーは、よっすぃーぐらい。
 他のメンバーとは、まだ部屋に呼ぶぐらい仲良くないし…。
 芸能人という立場上、あんまり住所を教えあったりしない。
  
「大丈夫なのか?あやや」

「うん。まぁ、ね」

 ふ〜ん…。
 うなずいて、よっすぃーはそれ以上聞いてこなかった。

 引き際をわきまえてる彼女と話すのは、すごく楽だ。

「それよりさ、今日のレコーディング…ばっちり?」

「うん、もうばっちり」
 ガッツポーズしてみせる。
 美貴から離れて、よっすぃーは頭を抱える。

「…そっかー。
 こっちはまだ、歌い方とか曖昧なんだよな〜」 

「ダメじゃん。
 それ、当日に言うセリフじゃないし」
 冷たい目で、よっすぃーにつっこむ。

「梨華ちゃんは?」
 …返事がない。
81 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/26(日) 18:31
 さっきまでの八の字眉はもう直ってて。
 見たこともないような無表情で、うつむいてる。

「…梨華ちゃ〜ん?
 もしかして、交信してるの?飯田さん直伝とか?」
 
 聞いてから、しまった…って思った。
 ネタにしちゃった飯田さんは、まだ隣にいる。
 
 おそるおそるそっちを見るけど…。
 まだ、交信中らしい。美貴のセリフに気づいた感じはない。
「…なるほどね」
 独り言を言ったりもしてる。

 とりあえず、ほっと一息。

「…梨華ちゃん?」
 びくっと、我に返ったように梨華ちゃんは体を震わせた。
「あっ、ごめん…。
 ちょっと、ぼーっとしちゃって。なぁに?」

「今日の、レコーディングの話…」

「あぁ、私はそれなりに…」 
 そういって笑った梨華ちゃんは、明らかに心ここにあらず。

「どうし……」
82 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/26(日) 18:31
「皆、そろそろ準備して〜!」
  
 さらに絡もうとした美貴だけど、そこに飯田さんの号令がかかる。
 さっきまで交信してたはずなのに…。
 さすがはリーダー。

「いこうぜ、ミキティー」
「うん」

 よっすぃーにうなずいて…。
 そこで思い出して、携帯をのぞく。

『ん〜。
 美貴たんの意地悪!
 
 そうだ、今日は夕食何が食べたい?』


『美貴たん…?どうしたの?』

 慌てて、片手でメールを打つ。
『ごめんね、今からレコーディングだから。
 夕食は適当にお願い』


 ………仕事終了後、携帯に返事はない。

 さて、どうやって機嫌を直してもらおう。
 美貴はちょいへこみつつ、家路についた。
83 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/26(日) 18:31

84 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/26(日) 18:32

「ただいま〜。亜弥ちゃん?」

「…亜弥ちゃん?」
 …返事がない。
 電気もついてない。


 やっぱりすねてるのかな?

 って、美貴は構わずあがりこむ。 

 
 それから、壁についたスイッチをカチッと押した。
 かって知ったる亜弥ちゃんの家。
 暗くても、スイッチの場所ぐらい分かるんだから。

 …電気のついた部屋の中で。
 亜弥ちゃんが、ぼーっとしてた。


「どうしたの?」

 様子が、おかしい。
85 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/26(日) 18:32
亜弥ちゃんは美貴を見上げて、口をぱくぱくした。

「…亜弥ちゃん?」

 いやな予感がする。
 血の気が引いてく。
 
 予想と違った答えが、返ってきたらいいのに。

「……」
 亜弥ちゃんは、口を動かす。 
 
『こ………………たの』

 少ししか、読み取れない。

「亜弥ちゃん、もっとゆっくり…」

 一度、目をふせてから。
 
 亜弥ちゃんは、美貴のほうに顔を向けて、もう1度。
 ゆっくり、口を動かす。

『こえが でなくなったの』

 声が、出なくなったの。
86 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/26(日) 18:33


頭が真っ白になった―――――。

87 名前:代理人。 投稿日:2003/10/26(日) 18:33
最後の一行、題名を入れ忘れました…。
88 名前:代理人 投稿日:2003/10/26(日) 18:37
 一行ぬけました。


 引き際をわきまえてる彼女と話すのは、すごく楽だ。
「それよりさ、今日のレコーディング…ばっちり?」
 よっすぃーは、話題を変えた。
89 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/26(日) 19:55
とうとう声が…急展開の予感。。。
90 名前:代理人 投稿日:2003/10/27(月) 17:40
>>76
ありがとうございます。
こんな展開でいいのかな…ってびくびくしていたので、
好きなジャンルって言ってもらえてうれしいです♪

頑張ります。

>>89
期待にこたえられる、急展開……。

になるといいのですが。。

91 名前:たか 投稿日:2003/10/28(火) 08:25
面白いです。代理人さん。続けてください。
92 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/28(火) 18:06
気づいたら美貴は、ソファーに座り込んでた。
 頭がくらくらした。
 足元ばっかり、見つめてる。


 亜弥ちゃんは、美貴の目標だったんだよ?
 
 娘。の居心地が悪いわけじゃないけど、
 いつかソロに戻って、追い抜かしてやるって。

 美貴は、ずっとそれを目標にしてたんだ。


 …声が出なくなったって、どうして? 
93 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/28(火) 18:07
『……みきたん?』

 亜弥ちゃんが、あたしの顔を覗き込んで…。
 ゆっくり、口を動かした。
 
 心配そうに、丸い目を美貴のほうに向けてる。
 
 いつの間にか、亜弥ちゃんは美貴の隣に座ってて。
 上半身だけ、美貴の膝上に乗り出してる。


 何、自分勝手なこと考えてるんだろ。


 亜弥ちゃんにとっては、自分が目標がどうか…なんて関係ないのに。
 
 こんな風に、美貴が落ち込んでるわけにはいかない。

 でも……。

「ごめんね、メール返さなくて」 
 亜弥ちゃんが、首をかしげる。
 そのさらさらした髪に、美貴は指を通した。 

 うん。
 謝るような事じゃないよね。

 メールより、その場にいる人と話すことを優先するのって、当たり前だし。

 でも美貴たちの場合は、ちょっと違うんだ。

 亜弥ちゃんとのメールより、娘。の人たちと話すことを選んだんだ。美貴は。

 
 嫉妬深い亜弥ちゃんだもん、絶対気にしてるよ…。
94 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/28(火) 18:09
「ごめんね」
 いろんな思いを込めて、呟く。
    
 亜弥ちゃんの、さらさらの髪の毛。
 
 亜弥ちゃんの匂い。
 
 しぐさのひとつひとつ。
 
 全然、前と変わらないね。
 美貴は、大好きだよ。


『……………』
 亜弥ちゃんは、口をぱくぱく動かした。

「わかんないよ?」
 美貴は、小さく呟く。
 …それよりさ。その、上半身だけ乗り出してる体勢つらいでしょ?

『……して…たら、ゆるす』
 
 …してくれたら、許す?


「何、して欲しいの?」
 そっと、亜弥ちゃんの体を押し上げる。
 美貴も、それにあわせて顔をあげた。
 ちょっと目を伏せてから、亜弥ちゃんは自分の唇を指差しながら呟く。

『キス』
95 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/28(火) 18:09
それから、唇をとがらせてこっちによってくる。
 
 亜弥ちゃんと、ことみっくやマナー部をやった頃のことを思い出した。
 今の亜弥ちゃんは、その頃とおんなじノリ。

 まるで、声が出ないことなんて…全然気にしてないみたいに見えた。

「…もぅ」
 小さく笑って、美貴は亜弥ちゃんのあごをつかんだ…。
 
 亜弥ちゃんが、びくっと体を震わせた。

 …ゆっくり、自分のあごをくっつけてやる。

「あごちゅー」

『…………』

 目をぱちぱちして、亜弥ちゃんは笑った。
 その口から、笑い声はもれてこない。
 
 それが寂しくて。
 でも、美貴も黙って笑い返した。
 テレビでおなじみの、ミキティースマイル。
  
 …でも、亜弥ちゃんには通じないよね。
 ちょっと寂しそうに、美貴から体を離して。机の上にあるメモ用紙に、亜弥ちゃんは文字を書く。
96 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/28(火) 18:09
『悪化したのかな?』

 …………。

「きっと、違うよ」

 無責任なセリフだって分かってるけど、美貴は言わずにはいられなかった。

「誰かに、言った?
 マネージャーさんには?」

 …亜弥ちゃんは、首をふるふるふった。

『最初は信じられなくて
 美貴たんが帰ってくるまで ずっと1人でぼ〜っとしてたの』

 書いてあることは真剣なのに、相変わらず可愛らしいマル字。

「お医者さんに、もう1回行かなくちゃ」
 ふるふる、首を振る。

『あたしは未成年だから
 医者に言ったら 保護者に…連絡されちゃうよ  声が出ないこと』

「…もしかして、家族にも言うつもり、ないの?」

『だって これ以上心配させたくないよ』

「それは……」

 それは、違うよ。
 
 でも亜弥ちゃんの気持ちも、痛いほどよく分かってた。
 
 もし美貴が同じ状態になったら…
 やっぱり、家族には心配させたくない。
97 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/28(火) 18:10
『あたし 今までと変わらないようにするからさ』

『きっと いつか治るし』

『治るって みきたんもそう思うよね?』


『だから 誰にも言わないで』


 …泣きそうになった。
 
 亜弥ちゃんよりは、少し年上だけど。
 美貴もまだ18歳で、どうしたらいいのか全然分からない。
 
 この状況で、どうすることが1番いいのか…全然分からない。


 ここで、誰かに連絡するべきなんだよね。
 本当に亜弥ちゃんのことを想ってるなら。

 
 でも…


 体をこっちに向けて。
 何にも言わない美貴の、服のすそを亜弥ちゃんが掴んでる。

『みきたん?』

 亜弥ちゃんの口が、そう言ってた。


「うん、分かったよ」
 
 ほっとしたように、亜弥ちゃんの肩の力が抜ける。
 
 それから、目を閉じてソファーにもたれかかった。

『どうしようかとおもったもん』
 
 どうしようかと、思ったもん。
98 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/28(火) 18:11
美貴は、ちょっと体を曲げて。
 亜弥ちゃんのあごを、もう1度掴んだ。
 
 さっきより、そっと。

『…………?』

「目、閉じて」
99 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/28(火) 18:12

亜弥ちゃんの唇は、やわらかくて。少し冷たかった。
100 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/28(火) 18:12
亜弥ちゃんには、何回もキスしよう?って言われた。
 それでも、ずっと拒んでた。
 やっぱり、友達同士でそれは…おかしいだろうって。

 でも、周りなんて気にする必要ないよね。


 これが、美貴と亜弥ちゃんの友情の形ならさ。
 これを、亜弥ちゃんが望んでるなら。
101 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/10/28(火) 18:13
「……泣いてるの?もしかして、いやだった?」
 
 亜弥ちゃんは、首を横にふった。

『うれしかった』

 そう、亜弥ちゃんの唇が言ってるように思えた。
 美貴の思い上がりじゃなければ。


 どうしてか、亜弥ちゃんに確認する気にはなれなかったけど。
102 名前:代理人 投稿日:2003/10/28(火) 18:14
たかさん>
 ありがとうございます。

 やっぱり、代理ですし…。
 小説は始めてですし…。

 このまま続けていいのかな、とか。
 更新は、どのぐらいのペースなら失礼にならないのかな、とか。

 色々と不安なので…。

 レスがつくのは、すごくうれしいです。
 もう1度、ありがとうございます♪
103 名前:代理人。 投稿日:2003/10/28(火) 21:06
訂正〜

>>100
亜弥ちゃんには、何回もキスしよう?って言われた。

正しくは、
>亜弥ちゃんには何回も、キスしよう?って言われてた。

です。
104 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/28(火) 22:16
すごくいいです
楽しみでーす
105 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/28(火) 23:32
藤本さん男前やな〜。孤独な松浦さんを支えてあげて下さい!
これほど素晴らしいものなら本当の作者さんも許してくれると思いますよ。
ていうか放置作者に気を使う事なんて…(ry
ペースは作者さんのしんどくない程度で頑張って下さったら幸いです。
106 名前:代理人 投稿日:2003/10/31(金) 00:50
レスが2つもついてて、すごく嬉しいです♪
自然に何か書き込みたくなるような、そんな文章が書けたらいいんですけど…。

>>104
ありがとうございます♪
今週末あたりに、がぁ〜と終わらちゃう予定です。

>>105
男前…が続くといいんですけどw
松浦さんは、このまま孤独では居てくれない予定です。

どんな展開になっても、許してもらえるといいのですが…。
更新ぼちぼちやっていきます。

読んでくださって、レスくださってありがとうございました♪
頑張ります!


○明日(今日の夕方)あたり、更新する予定です。
 連休中に完結を目指します。
107 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/01(土) 10:05
わーい!楽しみに待ってます。
でも完結はチョト悲しい…
108 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 17:26
閉じこもったまんまの生活にも、少しずつ慣れてきた。
 
 
 美貴たんが居ないときは、1人で買い物に行ったりもする。
 街の中では、消費者にはほとんど声が必要ないし。

 夕食を作ったり、掃除をしたりしながら美貴たんを待ってるのはすごく楽しい。
 なんだか、お嫁さんになってみたいで。


 …本気で心配してくれてる美貴たんに、そんなこと言ったら怒られるだろうけど。
109 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 17:26
『ん〜。
 美貴たんの意地悪!
 
 そうだ、今日は夕食何が食べたい?』

 おみやげにホラー映画をリクエストしたら、案の定美貴たんにつっこまれた。
 …うん、確かに苦手なんだけどね。
 でも、美貴たんにぎゅ〜っと抱きつけるから、怖いのも嫌いじゃない。

 少しでもメールを続けたくて、夕飯のリクエストも聞いてみる。
 だんだん、料理のレパートリーも増えてきてるんだから!

 毎日のように、鍋、カレー、鍋、だった……数ヶ月前とは違うんだぞ。


 ベッドに寝転がって、携帯をじ〜っと眺めて見る。
110 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 17:27
 ……返事、まだかな。 

 ごろごろ…。

 無意味に、ベッドの上で回転してみる。
 
 
 …まだ、携帯はならない。


 そうだ。曲でも、かけようかな。
 棚に並んでる、身内のCD。その中から娘。の曲を選んでスイッチを入れる。


『愛する人はあなただけ……』
 誰も邪魔させない。

 
 ベッドにはずみをつけて座る。
 
 それから、携帯をちらちら。
 …まだかな?
111 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 17:28
『みきたん?どうしたの?』 
 心配になって、もう1通。
 送信ボタンを押してから、ため息をつく。

 そんなに時間たったわけでもないのに。
 こんな、何回もメールしたら、美貴たん怒るかもしれない。

『泣いてすむなら 泣きやがれ…』
 無意識でも、美貴たんの声は分かる。
 低くて、ちょっと鼻にかかった声。

 大好きだ。

 
 桃色の〜〜♪
 
 着信。
 ばっと、携帯を握る。

『ごめんね、今からレコーディングだから。
 夕食は適当にお願い』


 …気合を入れて覗き込んだだけに、ちょっと寂しかった。
112 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 17:28
 レコーディングか。
 しょうがないよね。

 すごい、慌てて打ったって感じのメール。
 返事くれただけでも、いいって思わなきゃ…。


 でも、何してたんだろ?
 誰かと話してたのかな。 

 
 …ううん。
 仕事の話、してたのかもしれない。
 でも、でも。
 美貴たん、娘。の人たちとも仲いいし。

 梨華ちゃんとは、映画の共演。
 紺ちゃんとは、同郷な上、カントリーでも一緒だし。 
 よっすぃーとは、普段から仲良し。
 テレビでも…よく、くっついてて。

  
『…そう、ぎゅっとして。だきしめてよ〜』 
 聞こえてきた梨華ちゃんの声に、何となく胸が痛んだ。


「毎日1回はつっこまれてるんですよ〜」
 この間のハロモニ、だっけ。
 ハロプロの皆が出てる番組は、ほとんどチェックしてる。

 梨華ちゃんはよく美貴たんにつっこまれてるらしくて、こんな事言ってた。
 毎日、会ってるんだよね。
113 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 17:29
 はぁぁぁ。

 大きく、息を吐き出して。携帯を横に置いた。
  
 ちょっと、考えすぎだよね。
 別に怒るようなとこじゃないじゃん。

 お仕事だもん、携帯ばっかりいじってるわけにいかないしさ。

 何に嫉妬してるんだろ。
 私だって、美貴たんと毎日一緒だし。美貴たんのほとんどの時間をもらってるし。


 こんな感じだと、美貴たん息がつまっちゃうよ。
114 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 17:29
 ……洗い物しようかな。

 今日も、空は秋晴れ。
 
 泡をいっぱいつかって、朝ごはんで使った食器を洗う。
  
 うん。大丈夫。

 思いついて、コップに水と洗剤を混ぜる。
 引き出しからストローを出して、台所においてあるはさみで切れ込みを入れた。

 よしっ。

 心の穴かで呟いて、とっくに止まってた音楽をもう1回かけた。
『泣いてすむなら 鳴きやがれ〜』
 
 コップに放り込んであったストローを抜いて。
 ベランダで、そっとふいた。

 小さなシャボン玉が、たくさんふき出した。

 はだしの足が、コンクリートで冷たい。
 下のほうで、米粒みたいな車がたくさんひしめてた。

 シャボン玉は、どんどん落ちてく。

 それを、ぼぉ〜っと見つめながら…。
 私は、太陽の光をいっぱい吸収した。

 
 そこまでは。
 よかったんだよね… 
115 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 18:02
「もしもし?
 もしもし?!なんだ、イタズラか?」

 …マネージャーさんが、電話を切る。 
 ブツって音が、やけに大きく聞こえた。

「…………?」
 声が、出ない。

 どうして?
 声が、でない。


『あ〜〜〜』

 心の中で、必死に声を出す。声帯をふるわせてる…つもりなのに。
 声にならない。
116 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 18:02
 久々に、ファンレターが読みたいな…って思ったんだ。
 量が多いから、事務所に預けてある手紙の束。
 
 送ってもらおうと思って、事務所に電話したんだ。
 ちょうど、出たのは私のマネージャーさん。

 …まだ、元・マネージャーじゃないよね。

「もしもし?」
 そう、言ったつもりだったんだ。

 でも…。


 どうなっちゃったんだろ。私。
 ソファーに座り込んだ。
 
 
 どう、なっちゃったんだろ。

 助けて。
 助けてよ、美貴たん。  
117 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 18:03
 ベッドの上に置いてある、携帯に目をやる。
 立ち上がりかけて…
 やめた。

 今、誰と居るんだろう。
 私の被害妄想はとまらない。
 

 助けて。

 見捨てないで。

 置いていかないで。

 私だけの…美貴たんになってよ。

 
 それから、ずっとぼんやりしてた。
 美貴たんが帰ってくるまで。ずっと。
118 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/01(土) 18:04



119 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 18:13
 美貴たんは優しい。
 …そんな風に、責任を感じる必要なんてないのに。

 美貴たんは、優しい。
 

 私の声が出なくなってからは、前よりも…もっと。
 
120 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/01(土) 18:25
「甘えっ子になったよね。亜弥ちゃん」

「……?」 
 んー?
 擬音をつけるなら、そんな感じ。亜弥ちゃんは首をかしげた。

「でも、ヤダ」

「………」 
 今度は…。
 え〜っ!!かな。
 
 亜弥ちゃんは、ふくれっつら。

『そんなこと言わないで、体あらってよ〜』
 お風呂の壁に、亜弥ちゃんは指で字を書く。
 すぅ〜と、水滴がたれた。

「やだってば」

「………」

 一緒に、入浴中。
 
 2人が一緒に入れるぐらいの洗い場で、亜弥ちゃんは頭を洗ってる。
 角なんか作ちゃって、なんていうか可愛い。

 でも…。
 さすがに、ちょっとなぁ。

 ふぅ〜っと頬をふくらませて、亜弥ちゃんがタオルで自分の体をこすり始める。
  やっぱりそのしぐさが可愛くて。
「はぁ〜」

 美貴は、亜弥ちゃんの手からタオルをとって、背中をこすってやる。

『みきたん、だいすき〜』
 口の動きを読むのも、ずいぶん慣れてきた。

「…はいはい」

 なんていうか。 
 甘やかしすぎだよね、美貴。
121 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/01(土) 18:36
すごい音をたてて、ベッドがきしむ。

 顔を見合わせて、笑った。
 …声は、出ないけど。
 

 亜弥ちゃんが、美貴に体をすりつけてくる。
 濡れた髪から、シャンプーの匂いがした。美貴とおんなじ匂い。

「ほら、かわかさなきゃダメだよ」
 
 ドライヤーを持ってきて、亜弥ちゃんの髪にあてる。
「………」
 
 さらさらの髪が、指の中で気持ちいい。
 どんどん乾いてく。
 
『何する?』
 亜弥ちゃんが、メモ用紙に書いた質問を美貴に見せた。

「…寝る。
 明日早いもん」

 後ろからでも、亜弥ちゃんのふくれっつらが分かった。
 今日はすねてばっかり。
122 名前:代理人。 投稿日:2003/11/01(土) 18:38
…訂正。
題名は、SIDE MIKI。

それから一番最初に、
>2人で同時にベッドに飛び込んだ。

っていう文章が入ります。
123 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/01(土) 18:38
「しょうがないでしょ」
 ドライヤーを置いて、両側から亜弥ちゃんのほっぺたをつぶそうとする。
 
 させじと、亜弥ちゃんが頬に力を込める。
 …適度な弾力が気持ちいい。

 ふるふるっ!

 顔をふって美貴の手を振り払った亜弥ちゃんは、ドライヤーを手に取った。
 
「乾かしてくれるの?」
 うなずいて、スイッチを入れる。

 …亜弥ちゃんの手は、気持ちよかった。
 たまに首筋とか耳に手がふれると、くすぐったくてぞくっとした。

「美貴も好きだよ、亜弥ちゃん」
 何となく呟く。

 …後ろで、ドライヤーが落ちる音がした。

「何?その反応」

 大好きだよ。
 
 …早く、またおしゃべりしたいな。
124 名前:代理人 投稿日:2003/11/01(土) 18:39
>>107 名無し読者さま
わ〜い!
私も、そういってもらえてうれしいです♪

更新頑張ります
125 名前:代理人 投稿日:2003/11/05(水) 21:19
連休中に完結、なんていいましたけど…。
いろいろ理由があって、もう少し時間が欲しいです。

今月中には、確実に終わらせます。
放置だけはしません。自分勝手でごめんなさい。
126 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/06(木) 01:14
がむばれ!
127 名前:たか 投稿日:2003/11/06(木) 18:14
代理人さんのペースでいってください。こっちは読者。読ませて貰ってるほうなんですからこっちは気にせずがんばって。亜弥のゆれる想いの構成や、美貴のなんとなく安心させてくれる様子等の微妙な描写がとても巧みですね。上手いです!!これからもがんばってください!!応援してます。
128 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/08(土) 21:07
「んー」
 いまいち、目が覚めてくれない。
 6時半…か。
 まだまだ、余裕あるかな。
 8時にはスタジオに入らなきゃいけない。 

 亜弥ちゃんと一緒に仕事に行ってた頃、美貴は寝坊ばっかりしてた。
 亜弥ちゃんが、起こしてくれるから。

 自分の容姿に自信満々の亜弥ちゃんは、納得するまで仕度しないと家を出ない。
 美貴より何時間も早く起きて、鏡の前で自分をいじりまくってるのだ。


 …そんなに気を使わなくても、じゅうぶん可愛いのに。
 
 まだ寝てる亜弥ちゃんの頬を、指先でつっつく。

 つんっ…
 
 起きない。
 ちょっと笑って、美貴はベッドから起き上がろうとした。
129 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/08(土) 21:08
「………」
 
 ふわりっ。
 柔らかい感触が、美貴の背中にくっつく。

「……何?亜弥ちゃん」

 肩越しに振り向くと、その…じゅうぶん可愛い顔が、必死に横に揺れてる。
 いつの間に起きたのか、美貴の腰に手をまきつけてる。

「そんなことされても、お仕事なの〜」

「………」

『やだやだ』

 そんな、子供みたいなワガママいわれても困る。
 
 優しく亜弥ちゃんの頭を撫でて、美貴はつぶやく。

「早く出かける分、早く帰ってくるから。ね?」

 こっくりうなずいた、亜弥ちゃん。
 本当にしょうがない。
 
 亜弥ちゃんは、美貴にべったりだ。
130 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/08(土) 21:08
 そっと体を引き離して、亜弥ちゃんに布団をかけてやる。

「すぐだよ〜。ね?」

 可愛くて仕方ない。
 それが、亜弥ちゃんにも通じてるといいんだけど。


『ねぇ、お祝いしようか?』
 適当に髪をとかしてる美貴に、亜弥ちゃんがメモ帳をちらちらさせる。

「お祝い?」

『ハロウィン』

 …ハロウィン。
 ハロウィン、ハロウィン。

「あの、外国のお祭り?」
 
 トリック オア トリート。 
『お菓子くれなきゃ、いたずらするぞ』
 …だっけ。
131 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/08(土) 21:09
 正直、あんまり美貴にはよく分からないんだけど…。
 亜弥ちゃんも家に閉じこもりっぱなしだし、何かお祝いしたいんだろうな。

 クリスマスなんかは、まだまだ先だし。

「いいよ〜。そのうち、一緒にお菓子買いに行こうか?」 
 美貴がうなずくと、亜弥ちゃんはぴょんっとはねて、カレンダーにぐりぐりしるしをつける。
 あと数日…か。

 うん。お菓子を買いにいく時間ぐらい、あるだろな。

「それじゃ、行って来るね」
 ドアを開ける。
 涼しい風が美貴の頬を撫でた。
132 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/08(土) 21:09
 これから、冬が始まる。
133 名前:代理人 投稿日:2003/11/08(土) 21:19
私生活で大変なことがあったのと、ストックが消えちゃったので…。
こんなに遅くなってしまって、本当にごめんなさい。

時期はずれなネタもでてきますが、このままつっぱしりたいです。
期待できるラストになるといいのですが…。


>>126 名無し読者さん
 読んでくださる方が居るってだけで、すごく…頑張る気になれるんですよね。
 
 ありがとうございます。


>> たかさん
 毎回、ありがとうございます。

 すごく、うれしい言葉です。
 読んでくださる方が居るからこそ、書けるんです。
 そんな風に応援してもらえて、どんなに心強いことか…w
 これからも、少しずつ頑張っていきます。
 ありがとうございます。
134 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/08(土) 21:28
 美貴たんは優しい。
 
 本当に、優しい。

 あたしの声が出なくなってからは、ずっと。


 でも…。
 あたしは、美貴たんの時間をもらいすぎなんだ。

 例えば。
 美貴たんは、自主練習を放りだしてあたしのために帰ってきてくれる。
 例えば。
 美貴たんは、メンバーとの交流より、あたしと一緒に居ることを選んでくれる。 
135 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/08(土) 21:28
 ここまでしてくれてるのに、まだ…。


 美貴たんを独占したい。
 …歪んでるよね。

 だから、罰があたったのかな。

 
 でも。
 神さま。
 お願い、もう少しだけ。

 もう少しだけ、美貴たんと一緒に居させて。
136 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/08(土) 21:49

「どしたの?ぼぉっとして」
 美貴が声をかけると、亜弥ちゃんがはっと顔をあげた。

 仕事から帰って来た、夕方。
 鏡台の前に座り込んでた亜弥ちゃんが、美貴のほうを向く。

「…もしかして、帰って来たのに気づかなかった?」

 …黙って首を横に振ると。
 ちょっと首をかしげて。

 亜弥ちゃんは、うれしそうに美貴にとびついてきた。

「わぁ〜。もう、危ないよ!」
 頭を撫でてやる。

「まだ早いし、約束どおりお菓子買いに行こう」
 亜弥ちゃんが、何回もうなずく。

「それじゃ、急いで仕度しよう」

 …何となく、ペットを相手にしてる気分。
 茶色い髪が、まるで犬の尻尾みたいにふわふわ揺れてる。
137 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/08(土) 21:50
 帽子を深くかぶって。
 美貴は、サングラスまではめちゃって。
 

 2人で手をつないで、外国風のお菓子を見た。
「これ、おいしそうじゃない?」
 
 青い毒々しいお菓子の、試食版をつないで亜弥ちゃんの口に放り込む。
 可愛らしくそれを噛んでいた亜弥ちゃんだけど…

 眉をしかめて、首を横に振る。

「…何だ、その反応は」
 美貴も、ためしにつまんでみる。

 う〜〜〜。
 おいしい、けど。謎の刺激が…。

 結局、購入。

 他にもいくつか、適当なのを買って。
138 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/08(土) 21:51
 久しぶりに、プリクラを撮る。
 女の子達でひしめてるゲームセンターだけど…。
 今日は、まだすいてる方。

 そんなに並ばなくても、あたしたちは目をつけた機械に入った。
「ちょっと!」
 
 撮ってる間、ずっと亜弥ちゃんは美貴にべったりしてる。
 フラッシュが光った瞬間、ほっぺたに唇を寄せてきたり。
 
 可愛いよ?
 でも、全然油断ができないんだよね…

 頬の下で、柔らかい髪が上下してる。
 
 胸がドキドキした。
 いっつも一緒に居る亜弥ちゃんなのに、これだけ距離が近いと…。
 やっぱり、ちょっとやりづらい。 

「………」
 何枚目、だろう。
 亜弥ちゃんが、美貴に唇をつきだしてきた。

 う〜ん。
 ちゅープリか…。

 この間、1回キスしちゃったしなぁ…。
139 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/08(土) 21:51
 自動撮影が始まる。
 迷ってる美貴と、キスまねをしてる亜弥ちゃん。1回、フラッシュが光った。

 不満そうに、目を開ける亜弥ちゃん。
 しょうがなく、キスのまねをする美貴。

 …2枚目。
 唇が、触れ合うか触れ合わないか。

 3枚目。
 亜弥ちゃんが、美貴との距離をつめた。
 大きく目を見開いた美貴の側で、フラッシュが光る。

 4枚目。
 目をつぶって、唇に力を込めた美貴。
 亜弥ちゃんが、ちょっと体を震わせるのが分かった。

 …フラッシュの音が、聞こえる。
 何回目、だろう。
140 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/08(土) 21:53
『はいっ!終了〜。次は落書だよっ』

 そんな機会の声が聞こえてくるまでずっと…。
 馬鹿みたいに、覚えたてのキスをしてた
141 名前:訂正 投稿日:2003/11/08(土) 21:54
そんな機会の声→そんな機械の声
142 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/09(日) 16:17


143 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/09(日) 16:18

冬が、始まる。

144 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/09(日) 16:18
「美貴ちゃん、トリック・オア・トリート!」

「ちょっと……梨華ちゃん」
 美貴はいきなり背中に飛び込んできた女の子を、不機嫌に見つめる。

「ごめんごめん。
 お疲れだね、美貴ちゃん」

「うん、お疲れ…」
 
 収録が終わったのは2時間前。
 その後、美貴は飯田さんに呼び出されたのだ。


「藤本さぁ、ちょっと娘。をなめてるんじゃない?
 今月、何回自主練した?
 とりあえずできればいいってもんじゃないのよ?

 メンバーからも、誘ってものってくれないって苦情が出てるし…。 
 バカバカしくてもさ、付き合いって大事だよ。

 圭織の言葉、ちょっときついかもしれないけどさ。

 もっと…なんていうか。
 溶け込む努力をして欲しいんだよね」

 実際その通りだったので、美貴はうつむくしかない。

 それより、今日は亜弥ちゃんと早く帰るって約束で…。
 ハロウィンパーティーをする予定で。

 そんなことばっかり考えてた。
 怒られても仕方ない。本当に。
145 名前:SIDE  MIKI 投稿日:2003/11/09(日) 16:19
「…梨華ちゃんは何してたの?」

「練習だよ」 
 
 そっか。次期センターだもんね。

「それよりさ、美貴ちゃん。トリック・オア・トリートだよ!」

「ハロウィン?
 でも、梨華ちゃんのいたずらは怖くなさそう」
 ちょっと笑って、答える。

「それじゃ、ミー・オア・トリート」

「理解不能だから」

 トリック・オア・トリート。
 お菓子くれなきゃ、いたずらするぞ。

 ミー・オア・トリート。
 お菓子くれなきゃ…

「どういう意味?」
 一回つっこんだ後、改めて梨華ちゃんに聞いてみる。

「えぇと…おかしくれなきゃ、私をあげるぞっ、かな」
 うわっ、本当に意味不明だ。

「それ、ファンに向かって言ってみなよ」

「んー…遠慮しとく」
146 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/09(日) 16:19
 楽屋に戻って、着替え始める美貴。
 ジーパンにシャツっていう、簡単な格好だ。もちろん、ブランドには気を使ってるけど。
 
 一方梨華ちゃんは、可愛らしいピンクのワンピース。

「梨華ちゃん、美貴の鞄とってくれない?」

「うん」
 どこから出してるのか分からない声で、調子よく返事する梨華ちゃん。

「ありがと。好きだよねぇ、ピンク」

「うん、まぁ…」
 あれ?
 梨華ちゃんの表情が、おかしい。
147 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/09(日) 16:20
「どうしたの?」
 
「…鞄の外から見えたから、悪いなって想いつつ…」
 
 梨華ちゃんの手には、例の…。
 
 
 亜弥ちゃんとのちゅーぷり。

 
 鞄にいれた覚えなんて、ない。
 亜弥ちゃん…?

「ねぇ、美貴ちゃん。話があるの」
 
 梨華ちゃんが。
 真剣な声でつぶやいた。
148 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/09(日) 16:35
 かちっ…かちっ…
 時計の音が、やけに大きく聞こえる。
 
 もうすぐ、午後10時。
 ハロウィンが終わっちゃうよ…。 

 美貴たん、夕方には帰ってくるって言ったのに。
 
 ハロウィンなんて、本当はどうでもよかったんだよね。
 騒ぐ口実が欲しかっただけ。

 
 だって、もうすぐ終わっちゃうんだもん。


 もちろん、プラスの理由でだよ?

 でも…


 でも…。  
149 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/09(日) 16:35
 テーブルの上で冷たくなった料理。
 なんとなく、お菓子も冷え切ってる気がする。

 電気をつける気になれなくて、暗い部屋。
 
 あたしは、立ち上がって窓に額をつける。

 
 …冷たい。

 窓の外で、夜景が綺麗だった。
 オレンジとか黄色の光が、ちかちか光ってる。

「美貴たん…」
150 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/09(日) 16:36

 どうしたんだろう。事故にでもあったのかな。
 不安で仕方なくて、泣きそうででもこらえて。

 そんな気持ちで、ずっと立ってた。
 午後11時。

 時計を見て、どうしようもなく悲しくなった。
 心臓がばくばくした。
151 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/09(日) 16:36
 うつむいたあたしの後ろで、玄関の鍵が音をたてた。

「ごめんね、こんなに遅くなるつもりはなかったんだ」
 …美貴たん。

  
 沈んだ声で、美貴たんが部屋に入ってくる。
「どうしたの?電気もつけないで」
 
 でも、自分ではつけない美貴たん。

「ごめんね、ちょっと…予想外の仕事で」

 メールひとつ入れてくれなかった…美貴たん。
 待ってたあたしの気持ちなんて、全然知らないで。
 
 そりゃ、お仕事は大事だよ。
 あたしだって…おんなじアイドルだもん。

 ううん、アイドルだったもん。 
 でも…
152 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/09(日) 16:37
「そんな顔、しないでよ」
 冷たくなった手で、あたしの頬を撫でる。
 思わず、うつむいた。

「パーティー、今からしよう?
 想いっきり騒ごうよ。ね?」 

 
 ピピピピ…

 愛想のない電子音。

「電話、ちょっと待ってて」
 びくっとあたしから手を離して、鞄から携帯を出す。

「もしもし…」
 話しながら、玄関から出て行く美貴たん。


 …あたしの前では、話せない電話なのかな?

 右手と左手を、ぎゅっと握り合う。
 自分の手が冷たくて、固いのにびっくりした。

153 名前:SIDE AYA 投稿日:2003/11/09(日) 16:37
 分かっちゃった。

 美貴たんの手の平からした、香水の匂い。
 …近づかなきゃ、触らなきゃ、あんなに強くうつるわけがないよね。

 覚えがある。

 あれは、梨華ちゃんの匂いだ。
154 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/09(日) 16:37


155 名前:代理人 投稿日:2003/11/09(日) 16:39
今日の更新は、これで終わりです。
あと、1回か2回で終了の予定です。

「誰か続きを書いて」の時に、ぱっと浮かんだラストシーンなのですが…。
納得してもらえるかどうか。

今からどきどきしてます。
156 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:10


「よかった…。梨華ちゃん落ち着いたんだ」

『うん。まぁ、これから少し話してみるよ。
 
 ミキティー…大丈夫?』

「うん。美貴は別に」 

157 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:11



158 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:13
「話があるの」
 真剣な顔の梨華ちゃん。

 嫌な予感がする。


 電球が切れかけてるんだろう。部屋が少し暗くなって、光がチカチカ揺れてる。  
 明日には、スッタフが直してくれるだろう。

 嫌な予感がする。すごく。


 ちらっと腕時計を見る。
 約束の時間を随分過ぎてる。
 まっすぐ帰っても8時は過ぎちゃうだろな。

「それは、今度じゃダメ?」
 
 梨華ちゃんは、黙って下を向いた。
 
 …悪いとは思うけど。
 亜弥ちゃんとの約束だって大事。
 
 美貴は、梨華ちゃんを見つめた。
 
159 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:14
 …返事はない。
 少し冷たいけど、美貴はバッグを掴んだ。
「今度、ちゃんと聞くから」

「…ねぇ。亜弥ちゃんと一緒に住んでるってのは、本当?」
  
 顔をあげて。梨華ちゃんは全然関係ないことを聞いてきた。
 ちょっと迷う。
 けど、うなずいた。
「うん」

「…亜弥ちゃんが、病気だっていうのは本当?」
 それには答えない。
 答えられない。

「どうして、そんな詮索するの?」
 聞き返した。目に力を込めて。
 自分の顔が、表情によってはすごく冷たくなるのを知ってる。
 
 でも、今日の梨華ちゃんはひるまなかった。
「心配だったの。
 美貴ちゃん最近付き合い悪くて…。皆から噂されてて」
 
 飯田さんに言われたことと一緒。
 やっぱり、美貴、付き合い悪かったんだ。皆思ってたんだ。
160 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:14
「一緒に、映画の撮影したときのこと覚えてる?」
 
「そりゃ…ね」
 初映画だもん。出来は…まぁ、置いといて。

「あの時、美貴ちゃん。私になんて言ったか覚えてる?」
 
 何を言ったか…って、何のことだか分からない。 

「グループに入るからには1番を目指したい、って。
 いつか梨華ちゃんも追い抜くって…。そう言ったじゃない。
 覚えてる?」
 …うなずく。
 1番になりたい。それは、ソロとしてやってきた美貴の当たり前の感情だった。

「これから言うのは、私の勝手な意見なんだけど…。

 私ね、本当は美貴ちゃんが娘。に来るの嫌だったの」

 どきんっ。

 こんなときなのに、胸が痛んだ。
 歓迎されてないだろうって分かっていたけど、仲がいい方の梨華ちゃんに言われるのはちょっと痛かった。
161 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:15
「オーディションに受かった子が入ってくるのとは全然違うんだよね。
 美貴ちゃん、ソロでそれなりに成功してて。
 なんていうんだろう…
 お前たちだけじゃ娘。をやっていけないんだ! って。そんな風に言われた気がして」

 梨華ちゃんは、続ける。 
 お前はソロじゃやっていけないんだろっ! って。美貴は、そう言われた気がした。

 でも…。 

「…やめてよ」
 やめてよ。
 グループ活動に慣れてきた今頃、そんなこと言うのはやめて。

「…聞いて。
 
 でも、私は楽しかったんだよ。
 1番を目指す美貴ちゃんと、抜かされないように競争するの…いつの間にか楽しくなってた。

 それが最近は、全然自主練してないみたいだし…。
 そりゃもちろん、ある程度はできてるよ?


 でも、つんくさんが求めてるレベルじゃないみたいなの。
 この間私ね、呼び出されちゃって」
162 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:15



 梨華ちゃんが?

「乙女組は、私と美貴ちゃんを中心に売っていくつもりだって。 
 でも今は藤本がスランプだから、その分頑張れって。

 …普通は、美貴ちゃん本人に注意するよね。
 
 でも、今美貴ちゃんの元気がないのは仕方ないって。そんな感じがあって」

 …考える。
 
 事務所は、私と亜弥ちゃんの同居を知ってる。
 亜弥ちゃんが声をいためたのは、精神的な物だって知ってる。
  
 友達の美貴と一緒に暮らすことで、亜弥ちゃんが復活するんじゃないかって期待してるんだろな。
 
 …だから。
 美貴が練習をさぼってること、注意したりしない。

 事務所にしてみれば、美貴がセンターになるよりも亜弥ちゃんに芸能界に戻ってきて欲しいんだ。


 …すぐに。
 すぐに、そこまで考えついた。
163 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:16
「私、いろいろ考えたの。
 それで、この間よっすぃ〜が言ってたことを思い出して。 
 
 もし、原因が…」

「やめて」

 今度は、少し強く。
 梨華ちゃんが、びくっと体を震わせて黙った。

「やめて。
 それは…美貴がいけないの。亜弥ちゃんのせいじゃない」

 最後まで聞くのが耐えられなかった。
 
『もしれそれが、亜弥ちゃんのせいなら。』
 梨華ちゃんのセリフが、そう続く気がしたから。

 ううん。確実に、そう続くはずだった。

「でも…。
 美貴ちゃんは、美貴ちゃんなんだよ。
 美貴ちゃんのアイドルとしての人生は、1回しかないんだよ!戻れないんだよ?」

 梨華ちゃんは、必死だ。
 梨華ちゃんは…美貴のこと、思いやってくれてる。
 
 でも。

「ごめんね、梨華ちゃん。
 美貴にとっては…亜弥ちゃんも、たった1人の友達なんだ。

 だから、ごめんね。

 もっと練習、頑張るからさ」

 弱味はみせたくなかった。
 でも…本当は、座り込みたかった。
 
 早く、亜弥ちゃんに会いたいよ。
164 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:16
「亜弥ちゃんのこと…大切なんだ」
 
「うん」

 迷わず、うなずく。
 
 梨華ちゃんは、じっと美貴のことを見てる。
 …綺麗な目だって、思った。
 
 亜弥ちゃんと違って、切れ長の目。
 亜弥ちゃんの、木の実形の大きな目。

 帰らなくちゃ。


「梨華ちゃ…」

「私!」
 意思がこもった声で。梨華ちゃんが叫んだ。

「私、美貴ちゃんが好き」
 …体が、硬直した。
165 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:17
「美貴ちゃんのこと…好きなの。ずっと、好きだったの」

「梨華ちゃん…」


「私じゃ、ダメ?」
 …泣きそうだ。
 目がうるんでて、可愛い。

 でも…。

「ごめんね。梨華ちゃん…。
 美貴、梨華ちゃんのことそういう風に見れないよ」

「それは、亜弥ちゃんが居るから?」 
 泣きそうな声。

 ふっと、迷った。
 亜弥ちゃんも…そういう対象じゃない。
 亜弥ちゃんは友達。
166 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:17
 さらさらした、茶色い髪。
 丸い瞳。
 にっこり笑った顔。
 無邪気に、抱きついてくること。
 ちょっとしたしぐさ。
 
 歌うとき、少し大きく見える体。
 
 年下なのに、美貴に甘えさせてくること。

『美貴たん…』
 甘い、声。

 甘い、唇。


 頭がぐるぐるした。
 どうしたんだろ…美貴、おかしくなっちゃった。
167 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:17
「うん」

 気が付いたら、うなずいてた。

「美貴は、亜弥ちゃんが好き」

 隠しておかなきゃいけない思い。
 だれにも言えない…想い。
  

 電気が、またちかちかした。
「…私のことは、好きになってもらえないの?」
 
 梨華ちゃんが、独り言のように言った。

 迷ったけど。
 迷ったけど、変な期待をさせるわけにはいかない。

「美貴には、亜弥ちゃんが居るから」 

「……………」


 もう、帰らなきゃ。
 亜弥ちゃんが心配してる。大好きな、亜弥ちゃんが。
168 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:18
「……梨華ちゃん?」
 でも、嫌な予感がした。
 なぜか、嫌な予感が…。

 楽屋のドアに手をかけて。
 美貴は、ふりむく。

「梨華ちゃ…」

 ふりむく。
 
 そして、見た。

 カッターを手に持ってる梨華ちゃん。
「ちょっとっ!何してるの?!」

 鞄を投げ捨てて、梨華ちゃんの方に走る。
「やめて!
 来ないで!」
 
 泣き声。高い声が、悲しみでいっぱいだ。
169 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:18
「やめて!
 …好きになってもらえないなら。

 私、死ぬから…」

「梨華ちゃん!!」

 アイドルとしての人生は1回だって。
 さっき、そういったじゃん。

 何してるの…。

「はなして!
 
 やめてよ!はなして…」

 梨華ちゃんの細い手首を掴んで、取っ組み合った。
 どこから力が出てるのか、なかなか組み伏せない。

 カッターの歯が出しっぱなしだから、たまに美貴の洋服とか皮膚にするどい線が入って。 
 そのたびに梨華ちゃんはか細い声を出すけど、カッターを放してくれなかった。
170 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:19
 どのぐらいたったんだろ…。
 扉が開く音。それから、入ってきた誰かが息を呑む音。

「ミキティー…。梨華ちゃん!」
 

「よっすぃ〜!」

「ひとみちゃんっ!」
 梨華ちゃんの力が弱まる。
 
 よっすぃ〜が、後ろから梨華ちゃんのカッターを取り上げる。
 
 するどい音をたてて、カッターが床に転がった。
「何、してるんだよ2人で…」
 よっすぃ〜が、怒りを込めて呟いた。 
171 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:20
 ほっとして、思わず美貴は座り込む。

 梨華ちゃんは、涙がたまった目でしばらくほうけてたけど…。
 急に、体の力が抜けたみたい。

 後ろからまだ腕を掴んでるよっすぃ〜の方に、倒れこむ。

「梨華ちゃんっ?!」

「…気ぃ、抜けただけだろ」
 よっすぃ〜は、梨華ちゃんをソファーに運ぶ。

 
 ちかっ……。

 蛍光灯は、今にも消えそうだ。

「何か、あった?」

 美貴は、黙ってる。
 情けなく座り込んだまま、傷ついた腕を軽く撫でた。

「梨華ちゃんに…告白されたとか?」
 
 反射的に、よっすぃ〜を見る。

「梨華ちゃんとは、もうずっと一緒だし。
 ミキティーにほれてるだろなってのは、うすうす分かってたよ」

 苦笑する顔。
172 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:21
「…梨華ちゃんのこと、好きなの?」

「んー」

 曖昧に笑う、よっすぃ〜。
 
「好きとか、そういうんじゃないよ。一言じゃ言えないなぁ。
 
 梨華ちゃんとは同期で、ずっと近い位置にいて…。
 まぁ、ミキティーも隠れ4期みたいな物なんだけどね。
 下手すれば、家族より強い絆があるんだよね」

 美貴は首をかしげて、何も言わなかった。
 同期って…そういう物なのかな。
 
 6期の子たち3人も、確かにすごく仲がいい。
 その中でも、美貴はちょっと浮いてる。


 実質、美貴に同期は居ない。
 …亜弥ちゃんにも。 

 そういえば、ごっちんもか。
173 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:30

「怪我、大丈夫?」
 よっすぃ〜が、美貴の手をとる。

「うん。消毒するまでもないし」
 実際、そんな小さい傷ばっかりだった。

「それより、梨華ちゃん…大丈夫かな」
 
 よっすぃ〜は、目を細めた。
「やっぱりさ…。すごく繊細なんだよね、梨華ちゃんて。
 思いつめると、暴走しちゃって。
 
 本当に、ごめんね」
 自分のことように謝るよっすぃ〜。

「梨華ちゃんは、大丈夫だよ。
 なんだかんだいって強いし。

 だからさ。ミキティー…梨華ちゃんのこと、嫌いにならないであげて?」
 心配そうな、よっすぃ〜。

 美貴は、何も言えない。
 びっくりしたけど、別に梨華ちゃんのこと、嫌だとは思わない。
 
 もとは、美貴のためを思ってくれたわけだし…。
 仕事をおざなりにした美貴がいけないんだし。
174 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/12(水) 18:30
 それよりも。
 
 純粋に梨華ちゃんを心配してるよっすぃ〜。 
 同期って…

 仲間って、そういうものなのかな?


「よっすぃ〜、もう帰ったんじゃなかったの?」
 かわりに、関係ないことを聞いてみる。 

「うん、近くで飯食って、それで帰ろうと思ったんだけど…。
 
 楽屋に台本忘れちゃったのに気づいてさ。いつもなら取りに戻ったりしないんだけど、今日はたまたま」
 
 むしの知らせってこういうのかな、ってよっすぃ〜は笑う。
「まぁ、よかったよ」

「うん…」

 そのまま、2人でしゃがみこんでた。
 
 何が寂しいのか分からないけど、何となく泣きたかった。
175 名前:代理人 投稿日:2003/11/12(水) 18:34
少し多めに、更新終了です。

梨華ちゃんをどう動かすか、迷ったのですが…。

少し不安です。
何か感想等あれば、もらえるとすごくうれしいです。


次の更新は今週中を予定してます。
1・2回って言いましたけど、少しのびるかもしれません。
176 名前:たか 投稿日:2003/11/12(水) 18:37
おーリアルタイムで読んでいました。作者さん。良いです。かなり良いです。
いきなりの急展開と美貴の素直な気持ちもなぜか僕がうれしかったっす。
あせらずじっくり書いてください。がんばれ〜代理人さん。
177 名前:代理人 投稿日:2003/11/12(水) 19:27
たかさん>
ありがとうございます!

いつも丁寧な感想をもらえて…。すごく励みになってます。

リアルタイム…ですか。なぜかうれしいです♪
頑張ります。
ぜひ、読んでください。お願いします。
178 名前:たか 投稿日:2003/11/18(火) 17:20
いえいえ。作者さんの作品が素晴らしいから感想がかけるんですよ。
読ませてもらってるだけの人間ですから,僕は。絶対読ましていただきますよ〜。
期待してます!!がんばって!!
179 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/22(土) 01:15
忙しくて読みに来れなかったけど
続いていたので嬉しかったです。
ラストまで期待して待っていますよ作者さん
180 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/22(土) 23:30
美貴は、亜弥ちゃんが好き。

 
 でも…
 それは、気づいちゃいけない思いだ。

 気づきたくなんてなかった。
181 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/22(土) 23:30
 時計が、時間を刻んでく。
 早く帰らなくちゃ。亜弥ちゃんと約束したもん。

 でも…美貴はまだ立ち上がれなかった。
 こんな想いを持ったまま、亜弥ちゃんと顔をあわせられない。
182 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/22(土) 23:31
「…ねぇ、よっすぃ〜?」

「うん?」
 髪をかきあげながら、疲れように美貴を見るよっすぃ〜。
 …何か。
 普段は男っぽいくせに、さりげないしぐさが妙に上品なんだよね。よっすぃ〜って。

「どしたの、ミキティー?」   

「何か、美貴、全然ダメだよね。 
 仕事をちゃんとこなせなくて。

 それで、こんな風に梨華ちゃんを…
 ううん。メンバー皆に迷惑かけちゃって」

 よっすぃ〜は、あきれたように笑った。
「心配してるよ、皆。

 でも、迷惑だなんて思ってないよ」
 
「でも…今日だって、飯田さんに…」

「皆、ミキティーと仲良くしたいって思ってるんだよ」
 よっすぃ〜は、美貴の言葉をさえぎった。
183 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/22(土) 23:31
「でも、誘っても断られちゃってさ。
 寂しいって思うだろ?」
 …美貴は、何も言えない。

「練習にも、全然出てこないしさ。
 確かに、最初は不満だったみたい。

 紺野だっけ。
 最近、藤本さんは元気がないって言い出して。
 娘。でもカントリーでも、気が付くと1人で怖い顔してるって」

 紺野。
 いつもぼ〜っとしてると思ってたけど…。

「あややが芸能界休んでてさ。元気がないのは分かるよ?
 でも、練習をしないのはおかしいだろって…。

 そのうち、ミキティーはあややの家に一緒に居るらしいって分かって。 
 梨華ちゃんが、原因はあややにあるんじゃないかって言い出して」

「………」

「私らさ、あややが何で休んでるのかも知らないだろ?

 そこは悩んでても何もできないし。
 だからさ、あんまりミキティーを誘わないようにしよう。
 仕事をなるべく早く終わらせて、ミキティーを帰らせてあげようって話になって」

 ……何も言えない。
 ただ、後輩だとしか思ってなかった。
 頑張ってるメンバーたちを見ながら、この子たちと一緒にグループに放り込まれた自分を哀れんでばっかりいた。
184 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/22(土) 23:42
「でも、先輩たちはそうもいかないみたいでさ。
 矢口さんとか、かなり気にしてたね〜。

 一回オーディションに落ちたミキティーを、娘。に入れること…。
 反対してたファンも多いだろ?
 ここでミキティーがスランプに入るのは、よくないことだって…」

 飯田さんに呼び出されてる間。
 美貴は、自分のことばっかり…

「ミキティーが思ってる以上に…。
 皆、ミキティーのこと見てるんだよ」

「…うん」
 娘。の中に、美貴の居場所はないって思ってた。
 どうしてここに居るんだろうって、疑問にばっかり思ってた。
 でも…。
 美貴が目をそらしてただけで。皆、心配してくれてたんだ。
185 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/22(土) 23:43
 よっすぃ〜が、じっとこっちを見てる。
「…ありがとね」
 一言に、たくさんの想いをこめた。
「まぁなー」
 照れたように、よっすぃ〜が笑う。
 
 また、沈黙。
「ねぇ」
 
 ちょっとためらったけど。
 美貴は、がつんと疑問をぶつけた。 
「…同性愛って、どう思う?」
 よっすぃ〜は、驚いた様子もなく首をかしげた。
 
「うん〜。難しいこと言うなぁ
 個人的には、全然いいと思うんだけどね。恋愛は男女間に限らないだろ?」

「うん…」
 美貴も、そう思う。別に恋愛は男女間じゃなくてもいいはず。
186 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/22(土) 23:43
 でも。
 今まで一緒にお風呂とか入ってたわけだし。
 おんなじ布団で寝たり。 
 そういうとき、美貴は純粋に亜弥ちゃんとの時間を楽しんでたわけで。
 下心なんてなかった。
 多少ドキドキはしたけどね…

 それが、亜弥ちゃんに伝わるだろうか。
 亜弥ちゃんは、気持ち悪がるんじゃないのかな。

 何より。
 想いを自覚した今、亜弥ちゃんに会うのがつらかった。
 亜弥ちゃんを、変な目で見ちゃったりするのかな。
 自然にふるまえるのかな…。

 どうしてだろう。
 自分が怖い。
187 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/22(土) 23:44
「ミキティーは、あややのことが好きなわけ?」
 
 びくっ。
 美貴の体が、無意識に震えた。
 答えたのと同じだった。
「…そうだと思った。 
 ハロプロの間でも、ミキティーとあややの関係は特別だしな」 

「特別?」

「うん。
 ほら、結構ハロプロって…べたべたしてるじゃん。

 その中でも、2人はちょっと違うんだよね。
 お互いを大切に思うオーラが出てるっていうか…」
 そこで言葉を区切って、よっすぃ〜は首をかしげた。
「何か、本当に楽しそうでさ。
 綺麗っていうのかな」
 恥ずかしげもなく、よっすぃ〜は言う。
  
「ちょっと、やめてよ」

「自分から聞いたくせに〜」
 
 綺麗、か。
188 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/22(土) 23:44
「…亜弥ちゃん。
 美貴のこと、気持ち悪いって思うんじゃないかな…」

「ミキティー」
 珍しく、よっすぃ〜の声がきつかった。

「梨華ちゃんに告白されたとき、そんな風に感じてたの?」 
 どうしてここに、梨華ちゃんが出てくるんだろ。
 よっすぃ〜はさっきから梨華ちゃんを心配してばっかり。

「ううん…」
 …確かにびっくりしたけど。
 そんな風には思わなかった。


「あややは、他人のことそんな風に見たりしないと思うんだよね。
 信じてあげなよ」
 よっすぃ〜は、真剣だった。
189 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/22(土) 23:44
「何か…
 上手く言えないんだけどさぁ」
 髪の毛に指をからめながら、よっすぃ〜が言う。

 信じて…。

「信じる、か」

「そう。
 まぁ、こういうのは考えてても仕方ないだろ。ガツンっとぶっつけで行こうぜ」
 
 よっすぃ〜は立ち上がった。
 美貴は、よっすぃ〜を見上げた。
「お嬢さん、帰らなくていいの?」

「え?」
 時計を見る。 
 午後10時すぎ。
 
「…梨華ちゃんが起きたら、電話するよ」

「………」

「ほら、待ってるよあやや」

「…うん」

 亜弥ちゃんへの想いが、胸の中でどんどん重くなってた。
190 名前:代理人 投稿日:2003/11/22(土) 23:47
今日はここまでです。

読んでくださってる方、本当にありがとうございます。
書き進めるにつれて、感謝の気持ちがどんどん大きくなってきてます。


たかさん>
うれしいです。
私にできる限り、頑張ります。

読んでくださる人が居ないと、書けませんよ…。
こちらこそ、ありがとうございます。

>>179 名無し読者さま
 細々進めてます。
 ありがとうございます。
 
 ラストがのびのびになってます
 すいません…;
191 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 16:17
作者がいないのに勝手に書いて、勝手に終わらせるの?
192 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 20:57
>>191 作者が放置したんだから問題ないと思う。

のびのびになった方が、個人的には嬉しいです。
終わっちゃうのがなんだか悲しいですから。
193 名前:たか 投稿日:2003/11/23(日) 22:44
代理人さん素晴らしいです(感動)
代わりを募集って誰かが言ったとき作者さん
はなにも言わなかったし書きますと公表してからきちんと書き始めた
作者さんはぜんぜん悪くないと思います。むしろいい事をしたと思いますよ〜〜。
美貴ちゃんの恐れや不安感。そしてそれを安心させるよっすぃ〜の一言ひとこと
の意味や重みを考えさせられました。飾らないけどそれがとても良く美貴さん
を包んでくれたんじゃないかなぁと思います。頑張れ藤本さん!!
そろそろラスト。寂しいけ代理人さんの作品の完成ですから!!期待してます!!
(これはデビュー作でしょうか?違ったら本当にごめんなさい)
代理人さん。そのHNは代理で書いてるからやったんですか?
もし違ったらすみません。そうならHN、考えてみません?
あ〜関係ないことを書いてすみません。クライマックスですね。作者さん
絶対読みますから頑張れ〜〜〜!!応援してます!!
194 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/24(月) 21:19
「だいじょうぶ…。
 美貴は大丈夫だよ。

 ありがとう」
 …照れくさそうなよっすぃ〜の笑いを聞いてから、電話を切った。

 本当は、ぜんぜん大丈夫じゃない。
 上手く亜弥ちゃんの顔が見れない。

 大きく息を吸って、勢いつけて吐き出した。
 しばらく、手を握ったり開いたり。
195 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/24(月) 21:20
 大丈夫、きっと大丈夫。
 
 ごっちんの歌を呟きながら、美貴は玄関を開けた。
 相変わらず真っ暗な部屋。

 電気もつけないで、亜弥ちゃんは待ってたんだよね。
 
 胸が痛くなる。
 まず、ちゃんと謝らなくちゃ。

 梨華ちゃんの自殺未遂うんぬん…はさすがに無理だけど、事情も話そう。
 美貴、亜弥ちゃんにかかりっきりで怒られちゃったんだって。
 
 それでも、美貴は亜弥ちゃんと一緒に居たい。

 …亜弥ちゃんが好きだ、って。
196 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/24(月) 21:21
 胸がドキドキする。
 自分から告白するのは始めてだ。

 中学校の頃、先輩にバレンタインのチョコレートを渡そうとしてた同級生を思い出す。
『大丈夫だって!
 緊張しすぎだよ〜』
 その子の背中を叩きながら、美貴が言ったセリフだ。

 …無神経、だよねぇ。
 緊張するよ。
 息もできないぐらい。
197 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/24(月) 21:22
 大丈夫、きっと大丈夫。

 同じフレーズを繰り返してから、口を開く。
「亜弥ちゃん」

 でも、言葉にならなかった。
198 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/24(月) 21:22
『秋が好きだといえば 好きになれたし…』

「……?」
 懐かしい、声。
 でも、忘れたりはしない…歌声。

 このメロディ、覚えがある。 
 芸能界を長期休暇中の松浦亜弥の、幻のシングル。

 レコーディング直前で、亜弥ちゃんが喉を悪くしちゃったんだよね。

『なぜ 終わりなの?

 なぜ…?』

 どうして?
 どうして、亜弥ちゃんの声が聞こえてくるの?

 だって…亜弥ちゃんは…。
 勢いつけて、美貴はリビングのドアを開けた。
199 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/11/24(月) 21:22
『冬が始まる』
200 名前:代理人 投稿日:2003/11/24(月) 21:36
>>191 名無し読者さま 
 ごめんなさい。
 作者さんの作品を楽しみにしていた方には不愉快でしょうし…。
 もうすぐ「完結」なんて、何調子に乗ってるんだよって感じですよね。

 本当の作者さんが戻ってきたらすぐにでも譲るつもりです。
 
 ただ、放置されてる今は強引に最後まで更新しちゃいます。
 本当に、ごめんなさい。

>>192 名無し読者さま
 伸びた分、上手くまとめられるといいんですけど…。

 ありがとうございます。
 頑張りますので、ぜひ読んでください。

たかさん>
 長いレス、ありがとうございます。
 嬉しくて嬉しくて、何度も読み直しました。

 これが、最初の小説です。
 作者さんの代理なので、深く考えないで、「代理人」っ使ってるんですよね…。
 上手く完結できたら、今度は最初から最後まで自分で(←当たり前)書かせてもらうつもりです。

 HN、全然思い浮かばないんですけど…考えておきます。
 
 クライマックス、突っ走ります。
 読んでくださってありがとうございます。
 そして、よろしくお願いします。
201 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/25(火) 19:00
テスト
202 名前:エムディ 投稿日:2003/11/25(火) 20:28
最初からいっきで読みました。
こういうの好きです。なんでいうんだろう、甘くて、ちょっと痛い(?)って感じでしょうね。
ってか、松浦さんの声が…ああ〜超超超気になります!!
代理人さん、最初の小説なのにこんなに素晴らしい作品を書けるなんてすごいですよ。
「完結」まで頑張ってください!応援してます。
203 名前:たか 投稿日:2003/11/26(水) 17:00
お〜。いよいよクライマックスですね。最初の頃から読んでいた小説なので
僕もうれしいっす。作者さん毎回とても上手いです。にしても止めるタイミング
が絶妙ですね。気になるし読む気をそそりますよ。才能あるな〜。代理人さんは。
自分を励ましながら帰る美貴さんの姿が目に浮かんできそうなほど書き方が
上手くて素晴らしいっす。そして自分のことを考えていた美貴さんが
亜弥さんの声をきいたときの気持ちの移り変わりの雰囲気が「・・・・・・?」のとことか
ですごく出ててとても良いなぁっていまさらながら感心しちゃいました。
さらにSIDEMIKIがつづいていたため明かされていなかった亜弥さんの
気持ちや動きに変化が..声が..  とても気になりますっ!!!
それにしても放置された作品をここまで書いてくれるなんて...こんなに
いい作品を読ませていただいちゃって。本当に感謝してますよ!!
さぁもう少しですね。作者さん。応援しまくってますから頑張ってください!!!
204 名前:たか 投稿日:2003/11/26(水) 17:03
代理人さん。203で長々と書いちゃってすみません。作品が素晴らしいから
感想にも気合が入っちゃって。
205 名前:代理人 投稿日:2003/11/27(木) 19:59
エムディさん>
感想、ありがとうございます。

甘くて痛い…ですか。
素晴らしいって言ってもらえて、すごくうれしいです。
こういうとき、本当に書いてよかったって思います(意味不明)

「完結」、させちゃっていいのか…
少し不安ですが。

せいいっぱい頑張ります。
次も、よろしくお願いします。

たかさん>
今回も、長い感想を頂いちゃって…w
本当にうれしいです。

すいませんなんて、絶対ないです。

レスがついてると、何度も何度も読み返しちゃうんですよね(爆)
長いのは、それだけうれしいです。

こんなに褒めていただくと、期待に答えられるか不安ですが…。
今、必死に書いています。
はい、頑張ります! 
よろしくお願いします。
 

クライマックスは、一気に突っ走りたいので…。
今、書きためています。

今週中の更新を目標にしてます。
もう少し、見捨てないで下さい。
206 名前:代理人 投稿日:2003/11/27(木) 22:21
今週中に更新、とのたまったばかりですが。
次は12月6日過ぎになりそうです。
掲示板が落ちてないといいのですが…

しばらく用事が続いていて、満足行くまで作りこめないので。
(なんて言うほど、すごい作品じゃありませんが)


本当にごめんなさい。
もう少し、待ってください。
207 名前:たか 投稿日:2003/11/28(金) 17:08
こんなにいい作品が読めるんだったらいくら待とうと苦になりませんよ。
気にせずにがんばって下さい。期待してるのは確かですけど代理人さんの
小説すごく好きなんでどんな結末でも絶対OKですよ!!
代理人さんを重荷にさせてしまうような事を書いてほんとにすいません!!
頑張れ〜〜〜!!!!!!
208 名前:エムディ 投稿日:2003/11/29(土) 13:31
代理人さんのペースでいいですよ。急がなくても…
大人しく待ってますんで(笑)頑張ってください!
209 名前:普通に名無し      投稿日:2003/12/05(金) 15:41
頑張れ
210 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/05(金) 19:18
「亜弥ちゃん…?」
 空が、都会のネオンで明るくなってる。
 遠くのビルや、走り回る車がきらきら瞬いてる。

 星が見えない街。
 最初はすごく寂しくて、何度も北海道に帰りたいって思った。
 でも。
 …ここはここで、すごく綺麗だ。
 
 
 歩きながら、少し目を細める。
 人影が目に飛び込んできた。
 
 影まであと数メートル。
 美貴は立ち止まった。
211 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/05(金) 19:18
 開け放された窓から、冷たい風が吹き込んできてる。
 亜弥ちゃんは、窓枠に体を預けて立ってた。

「美貴たん」
 ふんわり、いつもと同じ笑顔で亜弥ちゃんが答える。
「もう、電話は終わったの?」

「亜弥ちゃんっ!」
 その顔を見た瞬間、言おうとしたことが全部ふっとんだ。

「声……出るようになったの?」

「ううん。違うの」
 亜弥ちゃんは答える。
 …変わらない笑顔で。
 
 違う。これは亜弥ちゃんじゃない。

 テレビの中の、「松浦亜弥」だ。
212 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/05(金) 19:18
 亜弥ちゃんが、美貴に作り笑いした…。
 何だろう。
 それだけで、胸が痛い。

「…どういうこと?」
 必死に息を吸って、体の震えをおさえる。 
 落ち着かなくちゃ。

「ホントはね」
 亜弥ちゃんは笑ってる。
 美貴は、両手を握り締めて冷静を装った。 

「ずいぶん前に、声、治ってたんだよね」
213 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/05(金) 19:20
「亜弥ちゃんっ!?」
 その瞬間、美貴の理性はふっとんだ。

「嘘、ついてたの?
 
 亜弥ちゃんのために、時間をやりくりしてた…
 美貴のこと、騙してたの?」

 …息ができない。
 美貴は、言葉を止めて空気を吸い込んだ。

「美貴が、どんな気持ちでいたと思ってるの?
 
 どれだけ心配したか知ってる?

 亜弥ちゃんのために…。
 どれだけ自分の時間を犠牲にしたか、分かってるの?!」
 
 言葉が、すらすら飛び出してくる。
 止まらない。

 …本当は、分かってるのに。
 
 美貴の行動は、亜弥ちゃんが「理由」だけど、亜弥ちゃんのせいじゃない。
 亜弥ちゃんに頼まれてたわけじゃない。

 亜弥ちゃんが心配で、
 亜弥ちゃんの側に居たくて…。
 
 美貴が、やりたくてやってたこと。

 だから、これで亜弥ちゃんを責めるのはおかしいって分かってるのに。
214 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/05(金) 19:20
「もしかしたら、センターだって逃しちゃうかもしれないのにっ! 
 
 美貴が、ずっとアイドルになりたかったこと…。
 亜弥ちゃん、知ってるくせに!」

 答えない。
 亜弥ちゃんは、ずっと足元を見つめてるだけ。

「娘。の皆との約束だって、全部――――」

「知ってたよ」
 亜弥ちゃんが、顔を上げた。
 さっきまでの笑顔はもうなくて、目を細めて唇をかみしめてる。

 美貴…。この表情、知ってる。
 子供の頃の喧嘩で、よくお姉ちゃんがこんな顔してた。

 泣きそうなのを、我慢してる顔。
215 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/05(金) 19:21
「知ってたよ…。

 ちゃんと、分かってた」
 
 頭に血がのぼる。
 亜弥ちゃんに掴みかからないように、美貴は必死で自制する。

「寂しかったの。

 さみしかったんだ、ずっと」
 
「何が?!」

 寂しかった?
 皆に囲まれて、皆に愛されてた亜弥ちゃんが…。

「美貴たんが、娘。さんに入っちゃって…」
216 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/05(金) 19:21
「美貴だって、入りたくて入ったわけじゃない!」
 
 普段は見せなかった、本音。
 親友に亜弥ちゃんにも…見せたくなかった弱い面。

「美貴だって…
 
 1回オーディションに落とされて、それでもソロで必死に頑張って…。
 紅白にも出られるようになって。

 これからだったのに!
 どうして、今さら…。

 美貴、そんなにダメだったのかな」

「ハロプロは、娘。が本体だもん」
 亜弥ちゃんは、落ち着いた声で答える。

「つんくさんだって、何も考えてないようで…
 大事にしてる。

 本当に美貴たんがダメだったら、娘。に入れたりしないよ。
 
 娘。を活気づけようとしてっていうのは…建前じゃないよ」
 
 その声の調子に、美貴は勢いを失う。
 亜弥ちゃんが本当に寂しそうだったから。
217 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/05(金) 19:22
 その顔を、どこからか入ってきた光がなぞる。
 
 普段は、電気がついてるから気づかなかったけど…。
 これだけでも、じゅうぶん明るい。
 今まで知らなかった、都会の人工的な明り。

「どうして、って思った。
 娘。さんには、あれだけ人数が居るのに…。

 1人1人が頑張れば、じゅうぶんやっていけるはずなのに…。
 どうして、今さら美貴たんをとってくの?」

「とってくって、美貴は別に―――」

「ずっと親友だよね、って言ったよね。
 
 美貴たんが娘。に入っても…あたしたちは変わらないって」
 亜弥ちゃんは、美貴のセリフをさえぎって言った。
218 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/05(金) 19:22
「そう言ったのに!

 美貴たんは、どんどん娘。の中に友達を作っていって…。
 楽しそうに、娘。の話なんかしちゃって。

 あたしが居なくても、娘。の皆と笑ってて」



「大事な、友達だったのに…

 美貴たんの中から、あたしが消えてくのが目に見えて分かって!
 
 ずっと、ずっと寂しかった―――」


 
「美貴たんは、もうあたしのことなんて大事じゃないって…

 そう思ってた」
219 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/05(金) 19:25
 亜弥ちゃんの言葉が、あたしの中にどんどん入ってくる。 
 久しぶりに聞く、よく通る声。

 亜弥ちゃんの顔を見てられなくて、美貴は顔をふせた。
 
 反論は、たくさんある。
 頭の中をぐるぐる回ってる。

 でも、なぜか言葉にならなかった。

「辛くて、寂しくて、でも言えなくて…。
 毎日、必死だった」

 …亜弥ちゃんは、冷静な顔もきれいだ。
 
 なんて。ただ、場違いなことを思ってた。
220 名前:代理人 投稿日:2003/12/05(金) 19:29
たかさん>
 すごく楽になりました。

 重荷だなんてとんでもないです!
 いつも、うれしくて仕方ないですよ。

 ありがとうございます。


エムディさん>
 今日から、ペースをあげていくつもりです…。 
 
 お待たせしてしまって、ゴメンナサイ。
 それから、読んでくださってありがとうございます♪
 
普通に名無しさん>
 ありがとうございます。
 1行のレス、すごくうれしかったです。
 頑張ります!
221 名前:たか 投稿日:2003/12/06(土) 22:26
代理人さん。素晴らしいです。(←いつもこれから始まってごめん)
愛や悲しさがあるからこその亜弥さんの考え。わかっていても素直な考えを
持てない亜弥さんのとても細くて弱い部分の思いの告白にとても心ゆれる思いで見させて
て頂きました。そして美貴さんも複雑な思いの告白。思いをぶつけあった、二人の中にある
複雑な感情の描写や展開,すべてが最高っす。本当にこんな読んでるだけの読者の僕に
こんな素晴らしい作品を読ませてくださってありがとうございます。
結末が近いですね!!!!!ずっと前から読んでたこの小説。とてもうれしいっす。
終るまで絶対読みつづけます!!頑張れ〜〜!!!!代理人さん!!!!!!
222 名前:エムディ 投稿日:2003/12/07(日) 18:52
おお〜いいよ! いいですよ!
亜弥ちゃん、頑張れ〜! 美貴たんも頑張れ!!
>「美貴…。この表情、知ってる。
>子供の頃の喧嘩で、よくお姉ちゃんがこんな顔してた。

>泣きそうなのを、我慢してる顔。」
これすっごい好きですよ!
代理人さん、続き待ってますんで頑張ってくださ〜い♪
223 名前:代理人 投稿日:2003/12/07(日) 22:46
たかさん>
ありがとうございます。
毎回、そんなに感想を書いていただいて…。

元気が出ます。
読み続けてもらって、ありがとうございます。

エムディさん>
 文章、いろいろ直したりしてるんですよね。
 
 何か、うれしいです♪

 亜弥ちゃんにも美貴たんにも頑張ってもらいます!
 ついでに私も(ついでかよ)頑張ります♪

 ありがとうございます〜
224 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:47
「でも、そんなんじゃダメだよね。

 だから、自分でも気づかないふりしてたんだ。
 ずっと。

 …そしたら、ある日。急に、声が痛んでた」
 
 電話に出たときの、亜弥ちゃんのがらがら声を思い出す。
 あの時…
 ずっと、亜弥ちゃんは我慢してたんだ。
 ずっと。
225 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:47
「美貴たんは、優しかったよね。 
 家に、一緒に住んでくれたし…。

 最初は、どうしてだか分からなかった。
 でも、美貴たんと一緒に居ることで、どんどん気分が楽になってくのが分かって。

 ―――ただ、うれしかった」
 
 何も、言えない。
 ただ、無邪気な亜弥ちゃんの顔が浮かんでた。

「でもね、だんだん…もっと美貴たんのことを独占したくなってて。
 そんな自分のコト、怖いって思ったよ。

 美貴たんが、メールを返してくれなかった日…」

 あの日。
 
「声が、出なくなったの」
 
 …亜弥ちゃんは。
 美貴のために、自分を追い詰めたって事?
226 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:47
「それで、気づいたんだ。
 
 あたしは、美貴たんと一緒に居たくて――体をおかしくしちゃったんだって。

 最初は、すごい罪悪感だったよ。
 そんなことしてまで、美貴たんを縛り付けてどうするんだろうって。


 でも、美貴たんはすごく優しかったから。
 
 優しかった――から。  
 罪悪感より、嬉しさでいっぱいだった」
227 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:48
 風が吹き付けて、足が冷えてくのが分かる。

「毎日、ただ嬉しくて。
 気が付いたら、声――出るようになってたんだ。
 
 しばらく、しゃべるって感覚を忘れてたから。
 鏡の前で、ぼぉ〜っとしてた」

 ――電気もつけないで、鏡を見てた亜弥ちゃん。 

「でも、ずっと…でないふりをしてた。

 美貴たんと、ずっと一緒に居たかったから。
 美貴たんを、独占したかったから」 
 
「そんな事…言われたって」
 怒るより先に、混乱してた。
 亜弥ちゃんが、寂しがってるのは知ってた。
 
 でも――そんな風に思われてたなんて。
228 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:48
「美貴は…ただ…。
 
 美貴は、亜弥ちゃんとだけ話してればいいわけじゃないのに」 

「分かってるよ」
 なぜか、そこで微笑む亜弥ちゃん。

「分かってるけど…。
 美貴たんに、私だけを見て欲しかった」
 
 綺麗な笑顔。
 作り笑顔。
 なぜかそれを見てると、いらいらした。
 頭がぐしゃぐしゃになる。

「…わがまま!」
 もっと、違うことが言えたはずなのに。
 口からこぼれ落ちたのは、そんな言葉だった。 

「わがままだよ!」
 笑顔が崩れて。
 亜弥ちゃんは、泣きそうな声で叫んだ。

「わがままだよ!

 でも…全部、本当のことなんだ。
 美貴たんにあたしだけを見て欲しかった!」
 取り乱したように、髪の毛を掴んで顔の前に持ってくる。
 …泣いてるのを、隠すみたいに。 
229 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:49
「美貴たんが、好きだった」
230 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:49
「そんなわがままなこと思っちゃうぐらい、好きだったんだからぁ」
 
 …美貴は。
 自分が、動きを止めたのが分かった。
 目を開いて、そのまま亜弥ちゃんを見続けた。
「亜弥…ちゃん?」
 胸がいっぱいになる。
 苦しくなる。

 亜弥ちゃんへの想いを、自覚したこと。
 亜弥ちゃんの嘘を、知ったこと。
231 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:49
「そんな顔、しないで。美貴たん。

 ごめんね…。
 気にしなくて、いいから」

 ベランダに、出て行く亜弥ちゃん。
 ワンピースがはためいてる。

「亜弥ちゃん?」

 そして、亜弥ちゃんは。
 勢いをつけて、ベランダの柵に足をかけた。

「亜弥ちゃん!!」

 美貴は、走りよる。

「来ないで!」 
 
 高層マンションの1室だから、風が強く吹き付けてる。
 亜弥ちゃんの茶色い髪や、ワンピースが風に揺れてる。

 足を止めて、美貴は亜弥ちゃんを見上げた。
232 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:49
「危ないよ、何やってるの――?」

「あたし…ダメだね」
 
 半分、泣き声で。
 ふわっと、亜弥ちゃんは屋上の柵にあがる。

「亜弥ちゃん…?」 

「秋が好きだといえば…好きになれたし。

 腕組んで歩いた、クリスマス…」

 そのまま、柵の上で立ち上がって。亜弥ちゃんは、久しぶりの――よく伸びる声で歌いはじめる。

「春は…ちょっと会えなくて。
 
 夏ははしゃいだ…

 なぜ終わりなの?
 
 なぜ……」
233 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:50
 ネオンが、亜弥ちゃんを照らしてる。

 両手を広げて、風に吹かれてる彼女は。
 ただ、綺麗だった。

「天使…?」
 
 歌声が響き渡る。
 
 すべてが綺麗で、人間離れしてて。 

 あぁ、天使だって想った。
 
 
 状況を忘れて、美貴は一瞬亜弥ちゃんに目をとられた。
 そのまま、足を前に出す。
234 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:50
「…冬が始まる」

「待って…」


「愛しているけど…」

「待ってよ」


「さよ…」

「さよならなんてしないってば!」
235 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:50
 そのまま、亜弥ちゃんの腰を掴んでこっち側に引き寄せる。
「きゃっ…」

 冷静に考えれば。
 危ういバランスの上に立ってる人間に、触るなんて…。危険なことこの上ない。
 へたしたら、亜弥ちゃんを一緒に落としちゃうかもしれなかったんだ。

 一緒に、後ろに倒れこむ。
 背中を思いっきりぶつけるけど、腕の中には亜弥ちゃんの温かい感触がちゃんとあった。

「痛…い…」

「美貴たん…。ちょっと、ねぇ?!」
 泣きそうな、亜弥ちゃんの声。

 背中をぶつけてる倒れてる美貴に、亜弥ちゃんがのしかかってる状況。
 何も知らない人が見たら、美貴が押し倒されてるように見えるかもしれない。
 
 それがちょっとおかしくて、笑った。
 やっぱり背中は痛いけど…。
236 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:50
 美貴は、腰の上の手を、ゆっくり動かす。
 右手で亜弥ちゃんの髪を撫でて、左手で背中を強く押さえつける。

「なんてこと、ないよ…。
 亜弥ちゃんてば…もっと太らなくちゃ」

「何、言ってるの美貴たん…」
 首筋に、温かい息がかかる。

 大丈夫、亜弥ちゃんは人間だ。
 ちゃんと、ここに居る――。

「ちゃんと…最後まで話聞いてよ。

 美貴も、亜弥ちゃんの事、好きだよ」
 
 荒い息の中で、美貴は必死に亜弥ちゃんに言う。
237 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:51
「大好きだよ。


 …美貴は。亜弥ちゃんとだけ話してるわけにはいかないよ。
 グループは、そういうモノだから」

 よっすぃ〜たちの…皆の顔を思い出しながら、言う。

「でも、亜弥ちゃんが不安にならないように何回だって誓うよ。
 
 美貴は…

 亜弥を愛してる。
 
 誰よりも、愛してる―――」

「美貴たん……」

 不自然な体勢なまま、亜弥ちゃんは美貴にしがみつく。

「あたしも――

 あたしも、美貴を愛してる。
 誰よりもずっと……」

 ネオンが、きらきら輝いてる。
238 名前:SIDE MIKI 投稿日:2003/12/07(日) 22:51
 遠くの方に、小さく星が見える。
 
 冷たい風。

 腕の中に、亜弥ちゃん―――。

239 名前:エピローグ 投稿日:2003/12/07(日) 22:51



240 名前:エピローグ 投稿日:2003/12/07(日) 22:52
 楽屋の中に居ても、喧騒がすごい。
 
「すごいっ!
 人があふれとったよ」

 加護ちゃんが、満面の笑顔で言う。

「さすが亜弥ちゃんやなぁ」

「そりゃねぇ」
 …そこは、謙遜する場面だと思うけど。
 まぁ、可愛いからいいのかなぁ。
 
 加護ちゃんが言ったとおり。
 チケットが当選しなかった人も、会場の外にあふれてた。

 彼女がどれだけ皆に愛されてたか分かる。


 松浦亜弥、復帰コンサート―――。
241 名前:エピローグ 投稿日:2003/12/07(日) 22:52
 ハロプロのメンバーも、どんどん集まってきてる。
 
 美貴はいったん亜弥ちゃんから離れて、皆に囲まれてる彼女を見てた。


「美貴ちゃん…」

「梨華ちゃん、オハヨ」
 
 一時はすごく微妙だった美貴と梨華ちゃんだけど――今じゃもう、元の通り話せる。

 これからの娘。では、梨華ちゃんをセンターにして、美貴も一緒に売り込んでくつもりみたい。
 (他のメンバー…ごめんね)
 美貴たちがぎぐしゃぐしたまんまじゃ話にならない。
 
 梨華ちゃんは娘。が大事で、美貴もやっぱり仕事が大事だから…。
 自然と、手を組み始めてた。

 何か、美貴たちらしいよね。梨華ちゃん。
242 名前:エピローグ 投稿日:2003/12/07(日) 22:52
「美貴たん、そろそろ行って来るね!」
  
 …嫉妬?
 美貴たちの間に割り込んできて、ろくに梨華ちゃんを見ないで亜弥ちゃんは言う。

 梨華ちゃんに告白されたって話をしてから、亜弥ちゃんの彼女に対する態度はちょっとひどい。 
 まぁ。
 話を複雑にしたくないから、美貴からは何も言わないけど…。
 (梨華ちゃんも、ごめん)

「…あぁ、それ外しなよ」

 彼女の首についてる鎖を、美貴は引っ張った。

「あっ、忘れてた」
 先に指輪がひっかかってるそれを外すと――亜弥ちゃんは、ポケットを探す。

「あるわけないでしょ、衣装に」

「うんー。
 美貴たん、持ってて?」

「はいはい…」
 
 左手を差し出すと、亜弥ちゃんがそこに指輪をのせる。

 同じデザインの指輪が2つ、ふれあって音を立てた。
243 名前:エピローグ 投稿日:2003/12/07(日) 22:54
「いってきます〜」

「抱きつかないで…背中が…っひきつる」
 美貴の言葉なんて聞こえないように、強引に飛びついてくる亜弥ちゃん。
 そして、そのままの勢いで行ってしまう。




「…あっついねぇ」

「そう?…梨華ちゃん……」

「美貴ちゃん、目の前でそれは思いやりがなさすぎない?」

「ハイ……」
244 名前:エピローグ 投稿日:2003/12/07(日) 22:54


245 名前:エピローグ 投稿日:2003/12/07(日) 22:54
「…それじゃ、聞いてください。

 THE LAST NIGHTです」

 皆から、歓声が上がる。
 
 あたしは目を閉じた。

 あの時とは、ぜんぜん違う気持ち。
 でも――
 こめる重みは変わらない。

 絶対に離れたくない、大切な人のことを思って。
246 名前:エピローグ 投稿日:2003/12/07(日) 22:55
『まるで、天使みたいだって思ったんだよ。 
 亜弥ちゃんのこと――
 
 あの状況で、美貴ものんきだよねぇ』

『亜弥ちゃんの声、すごく好きだよ。

 2度と…
 
 失いたくないよ』


 …あたしに足りなかったのは。
 相手を、信じる気持ちだ。

 
 あたしは大きく息を吸って、最初の音に声をのせた。
247 名前:fin 投稿日:2003/12/07(日) 22:55


亜弥〜天使の歌声〜
248 名前:あとがき 投稿日:2003/12/07(日) 22:57
最後を、ちょっとまとめすぎちゃった気もしますが…。
これで、「代理人」の小説は終わりです。

本当の作者さん、ごめんなさい。
今さらなんですけど…。

文章力が足りなくて、色々もどかしかったんですけど。
私なりに、頑張ったつもりです。

読んでくださった方、レスを書き込んでくださった方…。
おかげで、最後まで書ききることができました。

本当にありがとうございました。
249 名前:あとがき 投稿日:2003/12/07(日) 22:58
エピローグに、「SIDE…」ていうのがないんですけど…。

多分、分かってもらえますよね?(汗)
ごめんなさい、入れ忘れてました…。

250 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/07(日) 23:33
ドキドキはらはらしながらリアルタイムで最後の更新を読ませていただきました。
上手くいえませんがとにかくおもしろかったです。
もっと作者さんのあやみきが読みたいです。
251 名前:shion 投稿日:2003/12/08(月) 16:42
脱稿お疲れ様でした。
今日また、最初から読み直ました。
ラストに向かっていく勢いは物凄いものがあって、
圧倒されました。
細かいところでも同じ指輪の見せ方とか、
最後の一文とか、本当に爽快感で一杯です。

それで名前ですけど、
妙な縁で付いた代理人って名前、悪くないと思います。
エピソードもあるし…って余計なお世話ですね。

長々とすみませんでした。次回作、期待しています。
252 名前:代理人 投稿日:2003/12/08(月) 19:55
250 名無し読者さま>
 リアルタイム…ですか。
 何か、照れます(汗)

 次もあやみきの予定で、書き始めています。
 ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
 感謝の気持ちでいっぱいです。

Shionさん>
 わざわざ読み直していただいたなんて…。
 本当に、作者としてうれしいです♪(いえ、最初の方は本当の作者さまですが…)
 
 HN、思い浮かばなかったんですけど…。
 代理人って名前にもそろそろ慣れてきましたし、そのまま使ってしまってもいいでしょうか…?
 余計なお世話だなんてとんでもないです。

 次回作も読んでくださるんですか…?(嬉)
 せいいっぱい、頑張りますっ

 丁寧な感想、ありがとうございました。
 そして、ここまでお付き合いありがとうございました。


○少し、質問したいことがあるのですが…。

 あやみきで、亜弥ちゃん以外に藤本さんといちゃついても許せる方はどなたでしょうか?
 今回は、梨華ちゃんを使ったんですけど、賛否が心配で…。

 甘えてしまってすいません。
 あの、本当に無視して下さって構わないんですけど…。
 答えていただけるとうれしいです。
253 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/08(月) 22:37
>>252
代理人さん
れいなで…
254 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/09(火) 00:49
紺野さん・・・とか。
255 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/09(火) 04:20
僕はみきまきが読みたいです
256 名前:たか 投稿日:2003/12/09(火) 17:31
代理人さん!!!完結おめでとう!!!めちゃくちゃ良かったです!!!最後まで。
マジで文章がとっても巧みだなぁと思いました!!ネオンや風が演出する亜弥さんの姿、
目に見えてくるほど上手かったです!!!それに、あの状況での美貴さんの考えた事
があんな危険な状況で人も姿を見たからこそあれほど素直な考えが生れたんだと思います。
最後の場面、危険なんだけどあの二人を包む雰囲気がとても綺麗な気がして、
好きなんですけど、美貴さんのボーイフレンドの曲がぴったりだし似てたなァって
思うんですが、その辺のお話も聞けたらなァって思います。すっごい良いです!!!
あの出来事は二人にとってかけがえのない事だと思いました。温かい感じのいい小説でした!!
本当にこんな素晴らしい作品を読ませて頂いてありがとう!!ほんとに感動っす!!
代理人さんがあそこで代わりに書いてくれなかったら・・・本当に感謝してます!!
次回作も必ず読みます!!この作品はいつまでも忘れません!!これからも応援してます。
257 名前:あやみき信者 投稿日:2003/12/09(火) 19:37
作者様、完結おつかれさまです☆
最後はハッピーエンドで一安心(笑)


>>252
あやみきの時は、誰であろうと、2人の間を邪魔するものは許しませんw
普通にCPの時は、みきてぃコンコンの友情系は結構好きかもです^^
ってか、基本的にみきてぃのあやや以外との恋愛系は
読む気はあんまおきないっすw←末期症状
258 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/13(土) 13:26
ごっちんで。
259 名前:代理人 投稿日:2003/12/16(火) 20:16
たかさん>
 最後まで、丁寧にありがとうございます。

 最後の場面ですか……。
 これを書いてるとき、藤本さんのアルバムをずっと流してました。
 それにあわせるってつもりはなかったんですけど… 
 ボーイフレンド、大好きなんですよ。
 何か、うれしかったです。
 
 自分では何が合うなんて考えてもみなかったんですけど……。
 何か、他の人が自分の作品を考えてくださるのってうれしいですw(爆)

 たかさんには、何度も元気をもらいました。
 丁寧な感想って、書き手としてすごくうれしいんです。

 本当に、ありがとうございました。
 次も、よろしくお願いします。

あやみき信者さま>
 HNがステキですw
 
 変な質問をしてしまって、ごめんなさい。
 
 リアルの2人をみている限り、間に入れる人は居ないと思ってます(爆)
 本当にいいCPですよね
 
 読んでくださって、ありがとうございました。


意見を下さった方々>
 後藤さん、紺野さん、田中さん…ですか。
 色々、参考にさせていただきます。

 ありがとうございました。
260 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/22(月) 22:03
あやごまがいいなぁ〜…あんまり見掛けないので…(あくまで独り言です)
261 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/08(木) 12:48
作者さんスランプ気味なのかな?
気長に待ってるんでマイペースで頑張ってください!
262 名前:代理人 投稿日:2004/01/15(木) 17:09
>>260 名無し読者さま
あやごま、そういえばあんまり見ませんね…。
考えておきます♪

>>26 名無し読者さま
すごくうれしいです!

書き始めていたあやみきが、全然すすまなくなっちゃってるんです。
他のカップリングの話ばっかりで…。

でも、なるべく早く書き上げます。
待っていてくださる方が居るだけで、本当に心強いです。
ありがとうございます。
263 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/18(日) 17:15
一日一回の更新チェックは欠かせません。
いくらでも待たせていただきます!
作者さん、頑張れ〜!!
264 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/19(月) 08:39
みきごま、あやごまがいいなぁ
265 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/02/29(日) 21:07
まだまだ待ちます。。。(泣)
266 名前:代理人 投稿日:2004/03/01(月) 02:28
期待して下さって、本当にうれしいです。
毎日のぞいていただけるなんて…。作者冥利につきます。

報告するのも何なのですが…。
あやみきがメインではないですが、2月から雪板をお借りしてます。
HNが違いますけど、もしよろしければさがしてみて下さい。

リクエスト、ありがとうございました。
後藤さんがらみの希望が多いですね。
まだまだ先になりますが、私の作品でよければ考えてみます。
あやごま、みきごま、好きなのですが確かに少ないですよね…。


今さらですが、他の方が作ったスレを長々借りてしまって申し訳ありませんでした。

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