家庭教師
- 1 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月20日(金)11時49分21秒
アンリアルで、年齢などありえない事もありますが
そこの所は気にせず読んでいただけたらなと思います。
一応、主人公は市井です。
更新は1週間に一度くらいのペースで出来たら良いと考えています。
レス・感想は大歓迎です。
一回の更新は少量になると思いますが、飽きずに読んでくだされば幸いです。
それでは始めます。
- 2 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)11時50分30秒
「ねぇねぇ〜。ごとーの話聞いてるー?市井ちゃん。」
「はいはい聞いてるよ。…それよりも早く勉強しろよ!」
「え〜、だって今日はやる気ないんだもん……」
「……やる気無いのはいつもだろ。」
- 3 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)11時51分24秒
2歳年下である後藤真希の家庭教師市井は、
後藤が問題集を解くのを雑誌を読みながら待っている。
まったく。中学三年生で受験が迫っているというのに、この後藤のやる気の無さはなんだ!
母親からは『この子は本当にマイペースな子で。気になる事があったら、他の事はほっぽってその事だけに夢中になってしまう所があるんです』と、話は聞いていた。
今こいつは、受験なんかより遊びたいんだーっとでも言いたいかのように、机の上に開いてある問題集はほったらかしで、ベットの上で寝転がっている。
でも…そんな事、家庭教師である市井が許さん。
- 4 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)11時52分32秒
「お前さぁ、学校の先生に行ける高校無いって言われてるんだろ?」
「…う……うん……」
「じゃあ、今からでも遅くないから勉強しないとさ。だからこうやって家庭教師の市井が呼ばれてるわけだし。
後藤だって…高校は行きたいだろ?」
「……行きたいけど……勉強は、やだ。」
ブッツーン!!
この後藤のわがままな台詞に市井は切れた。
- 5 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)11時53分48秒
「何しょーもねーこと言ってんだっ!勉強しなきゃ受験だって高校だって行けないんだよ!!」
いきなり怒鳴ったので、後藤はびっくりしたようにベットから飛び起きた。
「…い、いちーちゃん…怒ってる?」
「あったりめーだっ!!何のために市井がここに来てるのか知ってるのかよ!
毎日毎日時間削って勉強教えに来てやってんのに、後藤はいつも寝てるか遊んでるかのどっちかだろ!?
高校に行かせてやりたいっていう親の気持ちも少しは考えろよ!!」
- 6 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)11時55分01秒
ここの所ずっと溜まり続けていたストレスが、
ベットの上で震えている後藤に向かって発散された。
市井に怒鳴られた後藤は、途中から布団に顔を押し付けていて表情はわからなかった。
けど……どうやら反省はしているみたいだ。
市井はフッと息を吹き出すと、ベットでちぢこまっている後藤の横に座った。
「…いきなり、怒鳴ってゴメンな。
けど、後藤も高校に行きたいって言ってるから、市井も頑張って勉強教えに来てるんだよ。
誰だって勉強は嫌だけど、やりたい事するには嫌な事だって乗り越えなきゃいけないと思うんだよな。市井は、頑張れるやつを応援していきたい。
だから、後藤も――――」
「わかった」
くぐもった声が、布団を隔てて聞こえた。
顔を伏せた後藤は、もしかしたら泣いているのかもしれない。
人に説教するなんて嫌いだけど…元から後藤はやる気になったら絶対やれる子だと思ってるからさ。
- 7 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)11時56分23秒
□ □ □
「でもね、いちーちゃん。」
「…ん?」
布団から顔を上げた後藤は、泣いてなんかいなかった。
いつもの元気は感じられないけど、にやついた顔が気になって
直感的に市井は後藤の隣から立ち上がった。
- 8 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)11時57分17秒
「うわぁっ!?」
案の定、
立とうとした腰にギュッと抱きつかれて
市井は再びベットの上に腰掛ける形になってしまった。
抱きついた後藤はきゅーっと喉を鳴らして、ニコニコ笑顔のまま離れようとしない。
「なっ、なんだよ!」
「…何焦ってんの〜?市井ちゃん可愛いー!!」
「う…うるさいっ!早く離れろっ!!」
- 9 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)11時58分00秒
離れろ!離れない!とベットの上で格闘すること10分。
ついに体力に限界を感じた年上の市井は、汗をかきながら後藤のされるがままになっていた。
「えへへ〜♪やぁっとおとなしくなったねぇ。」
「…お前、一体なにがしたいんだよ。」
「んーと…さっきさぁ、市井ちゃんはごとーに勉強教えるために来てるって言ってたじゃん?」
「……う、うん。」
- 10 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)11時58分44秒
「教えるのって………勉強だけ?」
- 11 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)11時59分30秒
…なっ!なにを言ってるんだコイツは!!
昼メロじゃないんだから、中学生がこんな夜にそんな事言ってんじゃねー!!
市井はそんな事を頭の中で考えてはいたが、動揺のしすぎで声には出なかった。
そんな市井の顔を嬉しそうにニコニコ見つめる後藤。
く〜っ。可愛いじゃねーか。
…って、違う違う!!
「あはっ!市井ちゃん顔真っ赤だよ?」
「………」
「黙っちゃって〜。市井ちゃんのそーゆうとこ好きー♪」
- 12 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)12時00分25秒
「…も、問題集……やれよ…」
苦し紛れに出た言葉。
体をくっつけてくる後藤を、手でセーブしながら机を指差した。
早くこの状況・雰囲気を変えなければ本当に市井変になっちゃいそうだ。
ったく、こいつ一体どこでこんな色気を身につけてきたんだか……。
「やってほしいならさぁ……」
後藤は、にやついた顔をスッと真顔に戻して、
腰に抱き付いていた手を離し市井の首に巻きつけた。
- 13 名前:市井の生徒 投稿日:2003年06月20日(金)12時00分58秒
「……キス、して?」
いつになく真剣な後藤は、
そう言って市井の顔の前で目を閉じた。
- 14 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月20日(金)12時02分36秒
更新終了です。
家庭教師市井です。一度で良いから書いてみたくて…(w
次の更新は、とりあえず明日になると思います。
それでは、感想待ってます!
- 15 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月21日(土)04時39分51秒
- こういう小説待ってました!
続き期待。
- 16 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月21日(土)04時48分08秒
- 良い意味で定番萌えシチュですね。
続き楽しみにしてます。
ゴーゴー市井。
- 17 名前:市井の苦悩 投稿日:2003年06月21日(土)10時40分41秒
チュンチュン……
爽やかな鳥の鳴き声で目が覚める。
カーテンから漏れる光は眩しいくらい市井の顔を照らした。
「…あー……朝、だ……」
起き上がると頭がズキッと痛む。
後藤の家での出来事がまだ頭の中をグルグル回っていて、
そのせいで昨日の夜はなかなか寝付けなかったんだ。
だるい体をなんとか動かして、顔を洗いに洗面所へと向かった。
- 18 名前:市井の苦悩 投稿日:2003年06月21日(土)10時41分28秒
「ありえねぇ…」
廊下をはだしでペタペタ音を立てて歩きながら寝巻きのジャージの裾をキュッと掴む。
昨日、あの後市井は後藤の家から走って逃げた。
顔は真っ赤で、信じられないくらい取り乱して、鞄なんか置きっぱなしで…半分靴を履いて帰ってきたっけ。
かっこわりぃ……
あんな市井を見て後藤はどう思ったかな。
- 19 名前:市井の苦悩 投稿日:2003年06月21日(土)10時41分58秒
鏡の前に立って自分の顔を見た。
髪の毛は寝癖でボサボサだけど、別に至って普通の顔をしていると自分で思う。
可愛くも無いし、綺麗でもない。
ちょっと冷めたような瞳が鏡越しで自分を見つめる。
……後藤は、市井をどんな感情で見てるんだ?
蛇口をひねって水を出しバシャバシャっと寝起きの顔を洗う。
その日一日中その事を考えたけど、答えなんて出なかった。
- 20 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月21日(土)10時43分39秒
更新終了です。
ありえないくらい少量です。
( ´Д`)<ごめんなさーい
- 21 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月21日(土)10時48分02秒
レス有難うございました!!
>>15名無しさん
自分的にも『なんでカテキョ市井が無いんだ!!』と思っていたので
書いてみました。この他にもメンバーはたくさん出るつもりです。
>>16名無しさん
ゴーゴー市井!にはなりませんでした(w
へタレちゃむです。
また読んでくださると嬉しいです。
感想有難うございます。
またこれから宜しくお願いします。
では感想待ってます!
- 22 名前:ブラッククロス 投稿日:2003年06月21日(土)23時38分06秒
- いい感じなへたれ具合なチャム。いいですなぁ。
続き楽しみにしています。
- 23 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月22日(日)08時17分40秒
- 逃走w
思い切りヘタレ市井でいいですね。
ガンガレ市井
- 24 名前:学校1 投稿日:2003年06月22日(日)09時29分37秒
「んふふふふー♪」
昨日の市井ちゃんめっちゃ可愛かった〜。
ごとーが目を閉じてる間に、ドサッ ゴンッ バタバタバタッ って音がしたと思ったら
いつの間にかドアが開いてて市井ちゃん帰っちゃってたんだよね。
…家に履き忘れてった片方の靴、家まで届けに行ってあげようかな。
- 25 名前:学校1 投稿日:2003年06月22日(日)09時30分26秒
「…なに?なに笑ってんの?」
「あ、おはよーございますやぐっつぁん!!」
「おはよーって…そこ矢口の席なんだけど。」
「ごとーは朝早くからココでやぐっつぁんを待ってたの。」
「ふ〜ん?…そりゃあどうも。あ、オイラさぁ、ちょっと職員室にコレ持ってかなきゃいけないからー付き合ってくれる?」
矢口は鞄から取り出した昨日提出のはずのプリントを
ヒラヒラと後藤の顔の前で振って見せた。
「えっ、それ何?」
「…は?コレ昨日まで提出だったんだよ。
矢口知らなくて夜必死に終わらせてさー…英語の先生怖いんだもん。」
「………」
「ん?どしたごっつぁん。」
「…………あはっ。ま、いっか♪」
実はこの後藤、ここ一ヶ月プリントなどというものは見た事が無かったのだ。
後藤は授業中寝てるか食べてるかで、配られたプリントの行き先は、斜め後ろにあるゴミ箱の中へ直行となっている。
英語の先生…『ケメコ先生』
授業中気持ちよく寝ている後藤を、何度邪魔した事か。
他の先生は半分諦めてくれてるのにっ!
寝起きでケメコの顔を一番に見るほど最悪な出来事は無い。
- 26 名前:学校1 投稿日:2003年06月22日(日)09時31分12秒
「矢口…先輩。お、お、おはようございますっ!」
「あぁ…おはよう」
『キャーーーー!!』
職員室に向かう途中。
そう叫んで後輩の女の子3人組は走っていってしまった。
「んぁ〜。今日もやぐっつぁんはもててますなぁ。」
「もててなんかないよ。ただの挨拶だから」
「またそんな冷たい言い方する〜。そーゆうこと言ってると女の子にもてなくなっちゃうぞっ!」
「……別に、後輩にもてたって……」
「んぁ、なんか言った?」
「……な、なんでもない。」
- 27 名前:学校1 投稿日:2003年06月22日(日)09時34分25秒
□ □ □
ガラガラっと引き戸のドアを開けて二人は職員室の中へ入っていく。
「ケメコせんせーい!!」
―――「…その名前で呼ぶなって言ってるでしょ?」
「おわぁっ!?」「きゃあっ!!」
職員室に入って、大声で保田の名前を呼んだところ、
返ってきた返事は矢口と後藤の顔の間から聞こえた。
驚きすぎて口を開けっ放しの矢口。もうすでに泣き顔の後藤。
『…やっぱり…ちょっと怖かったかしら。』
保田は職員室に入っていった二人を見て、後ろから声をかけようとした所
自分の名前を呼んでいたので、少し隙間のあった二人の顔の間に自分の顔を突っ込んだってわけだ。
『それにしても…この反応。ケメコ傷ついちゃうっ!!』
矢口は背筋にとてつもない悪寒を感じた。
- 28 名前:学校1 投稿日:2003年06月22日(日)09時35分14秒
教室に戻る途中、矢口はすれ違った先輩に頭を下げた。
この学校は中等部と高等部が繋がっている。
その下には幼稚部がある、いわゆる「マンモス高」だ。
その先輩の背は後藤より小さく、茶色のショートカットで太陽のような笑顔をしていた。
可愛い…
やぐっつぁんも可愛いけど、この先輩もめっちゃ優しそうで良い感じだなぁ。
隣で今日もクールぶってるやぐっつぁんに聞いてみよっと。
- 29 名前:学校1 投稿日:2003年06月22日(日)09時35分53秒
「ね、今の人さー部活の先輩?」
あたしはやぐっつぁんの制服の袖を引っ張って顔を覗き込む。
「う、うん、そうだよ。」
なんでどもってんの……怪しい。
「名前は?」
「安倍なつみ先輩。みんなからは『なっち』って呼ばれてる。」
「へぇ〜。可愛いねぇ」
ごとーのタイプかも。なーんて。
ごとーのタイプは市井ちゃんみたいな『クール』な人だもん!
- 30 名前:学校1 投稿日:2003年06月22日(日)09時36分27秒
「じゃ、教室戻ろうか。」
「うんっ!」
後藤は矢口の後にくっつくようにして教室へと戻った。
- 31 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月22日(日)09時38分22秒
更新終了です。
後藤さんと矢口さんが同い年です(ありえねー
安倍さんは先輩で。
ちなみに高2って設定です。
- 32 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月22日(日)09時48分07秒
レスのお返しです。
本当に感謝!!
>>22ブラッククロスさん
楽しみにしているとそのうち火傷します。(?)
ごまをグイグイ引っ張っていくチャムも良いんですけど、こんな市井もありでしょう(w
>>23名無しさん
ヽ^∀^ノ<へタレです。でもがんばる!
( ´ Д `)<さぁ〜て、次は市井ちゃんに何を…んふふ♪
- 33 名前:初めての経験1 投稿日:2003年06月24日(火)22時01分36秒
「ごとぉ…遅いな。」
- 34 名前:初めての経験1 投稿日:2003年06月24日(火)22時02分13秒
今日はあの出来事から3日経った午後3時。
後藤の家に勉強を教えに来るのは週に2・3回。
土曜日なので、確か午後2時30分〜のはずなのに、教え子の後藤は朝遊びに行ったきり帰ってこないらしい。
『まぁ、こんなのもいつもの事だけど。』
…市井が、なんで2つ年下の後藤の家庭教師になったかというと
ちょっと頭には自信あったし、人に何かを教えるのも別に嫌じゃない。
だって…わからなかった所を出来るようになってくれるのは、教えてる側だって嬉しいじゃん?
高校生だけど、部活もやっていない市井はとにかく高収入なバイトがしたかった。
実は、今の若者には珍しく(?)すでに『将来の夢』とか持ってちゃったりして…
その為に市井は今からお金を溜めてるんです。
- 35 名前:初めての経験1 投稿日:2003年06月24日(火)22時02分43秒
あの日から、市井の前で目を閉じている後藤の顔が浮かんでは消えて浮かんでは消えて…を繰り返す。
起きてる間中後藤の事ばかり考えていた。
なんでこんなに異常なほど気になってるんだろう。
答えなんかいつまで経っても見つからない。
- 36 名前:初めての経験1 投稿日:2003年06月24日(火)22時03分18秒
「……今更…恥ずかしがってる場合じゃないよなぁ……」
わけもなく後藤の部屋の中でうろうろ歩き回る。
それにしても相変わらず汚い部屋だな…
うぉっ!し、下着なんかちゃんとタンスの中閉まっとけよ!!
市井は真っ赤になりながら『赤いソレ』(なんで中学生がこんな色…)を市井から見えないところまで移動させた。
- 37 名前:初めての経験1 投稿日:2003年06月24日(火)22時04分15秒
チッチッチッチッチッチ……
耳には無機質な時計の音だけが聞こえる。
いったい何処に行ってるんだアイツは…!!
すでに予定の2時30分からは1時間が経過していた。
後藤のお母さんが気を使って『今日はもうお帰りになっても…』と言ってくれたが、アタシはいい加減なアイツに喝を入れる為に、未だに部屋の中で胡坐をかきながらアイツの帰宅を待っている。
ガチャッ
「ただいまぁ〜!」
「こらっ!!アンタ、市井さんが1時間以上も待ってくれているのよ!?
こんな時間まで何処に行ってたの!早く自分の部屋に行きなさい!!」
「え…?あ、市井ちゃん来てるんだ。」
「『来てるんだ』って当たり前でしょうっ。土曜日は毎週来てくださってるじゃない!」
「うーん。ま、そうだけどさ」
「なんでもいいから早く行きなさいっ!!」
「はいはい〜わかりました〜」
タンタンタンタン!
後藤が階段を上ってく音が聞こえる。
アタシは真剣な表情を崩さないまま、部屋の戸をジッと見つめていた。
- 38 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月24日(火)22時05分01秒
更新終了です。
『初めての経験』は次回も続きます。
- 39 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月24日(火)23時55分40秒
- 一人一人のキャラがおもしろい。
その中でも矢口が気になる…。
続き期待!
- 40 名前:初めての経験2 投稿日:2003年06月25日(水)20時43分51秒
「…市井ちゃんこんにちわ〜♪」
「………」
「何黙ってんのー?ってかそんな怖い顔で睨まないでよ!こわ〜い♪」
『わーいわーい』なんて訳のわからない事を
幼稚園児のように言いながら後藤はアタシの周りを回っている。
この後藤のおちゃらけた態度で、悪いことしたという反省の気持ちは一欠けらもない事が決定。
市井はますます厳しい表情を浮かべて後藤の目をチラリと見た。
- 41 名前:初めての経験2 投稿日:2003年06月25日(水)20時44分35秒
「……後藤」
「な、なにっ…?」
ピクッと眉を寄せる後藤。今更そんな顔してもダメ。
ちょっと可愛いけどさ。そんなんじゃ許してあげないんだから。
今日の市井は怒ってます…
- 42 名前:初めての経験2 投稿日:2003年06月25日(水)20時45分15秒
後藤はゆっくりと歩を進めて市井の前で正座をした。
市井が本気で怒ってることくらいは、ちゃんと伝わってるみたいだ。
「なんで、今日、ちゃんと家にいなかったの?」
一字一句言い聞かせるように言葉を発音する。
市井から目を逸らさないで、質問に答えない後藤は唇をキュッと真一文字に結んでいた。
…答えないつもりか?
「今日は2時から勉強する予定だったよね?
後藤も毎週土曜は市井が来る日だって知ってるでしょ?
……時間守らないで、いままで何処に遊びに行ってたの。」
市井はすっかりふてくされた様子の後藤の肩を掴み、グッと力を込めた。
「………」
「……理由を聞かせてよ」
「………」
「後藤!」
市井の声に、後藤は逸らさずにいた瞳をスッと下ろして
やがて、バツが悪そうに俯いた。
―――と、その時。
- 43 名前:初めての経験2 投稿日:2003年06月25日(水)20時45分50秒
「ちわーーーっす!」
「こんにちはぁ〜お邪魔しまーす。」
- 44 名前:初めての経験2 投稿日:2003年06月25日(水)20時46分36秒
「あら、ひとみちゃんと梨華ちゃん!家に来るのは久しぶりねぇ。
でも、今日真希はちょっと勉強しなきゃいけないから…悪いんだけど帰ってもらえる?ゴメンなさいね〜」
「まぁまぁお母さんいいじゃないですか〜。
と、ゆうか…今日もお美しいですねぇ。肌なんか20代に見えるくらいピチピチで
こんな綺麗なお母さんなかなかいませんよ。いやあ〜…吉澤惚れちゃいそうです♪」
「あらぁ、そうかしら!?ほんとにひとみちゃんはお口が上手なんだから〜♪♪」
「ひ、ひとみちゃん…」
「何?ちょっと今お母さんと話してるから梨華ちゃんは先上行ってなよっ」
一瞬、ひとみは梨華の方を向いてウインクをした。
「わかった!」
すぐに可愛らしい音をたてて、梨華は階段を上っていく。
その間もひとみは後藤の母と喋り続けていた。
- 45 名前:初めての経験2 投稿日:2003年06月25日(水)20時47分17秒
「ごっちんっ!!!」
バシーンと豪快な音をたてて、ドアの向こうから一人の女の子が現れた。
ノックも無しに。突然に。
ってゆうか…後藤のお母さん、市井が上にいる事伝えてあるよなぁ?
「あ…」
その女の子の笑顔だった顔は、次の瞬間にはみるみるうちに真っ赤に染まり
市井と後藤の顔を見比べてから部屋からソッと姿を消した。
なんだったんだ今のは…。
- 46 名前:初めての経験2 投稿日:2003年06月25日(水)20時48分01秒
その数秒後。
「ひとみちゃんひとみちゃんひとみちゃぁあん!!」
「な、なに!?でかい声出さないでよ梨華ちゃんっ」
「あのね…ごっちんが男の人とチューしようとしてたぁっ!」
「うそっ!マジンガー!?」
開けっ放しのドアからそんな会話が聞こえてくる。
おいおい、アタシは女だよ。
ってか誰が後藤にチューしようとしてるって?
あの子も雰囲気から読み取れよ……なんか、変な女の子。さすが後藤の友達だな。
- 47 名前:初めての経験2 投稿日:2003年06月25日(水)20時50分20秒
◆ ◆ ◆
下はまだぎゃあぎゃあうるさい位騒いでいる。
特に、市井的には…梨華ちゃんって子の変わった高い声が耳にさわって落ち着かった。
「…市井ちゃん」
「ん?」
俯いていた後藤は下を向いたまま肩に乗せた市井の手をギュッと掴む。
「…………ごめんなさい。」
「ん、わかった。これからは気をつけるんだぞ!」
市井は優しい笑顔をしながらガシガシ頭を撫でてやった。
こんな風に素直なコイツは好きだ。
- 48 名前:初めての経験2 投稿日:2003年06月25日(水)20時50分55秒
「ごっちーーーん!!!誰だコイツぅ!清純なごっちんをたぶらかそうなんて、
このアタシが許さないぞ!!」
「そうよそうよっ!ごっちんは私達のものなんだからぁー!」
「………」
「んぁ〜♪梨華ちゃんによっすぃ〜家まで来たんだぁ。」
すっかりいつも通りに戻った後藤は、
市井を囲んでいるハイテンションな二人をおもしろそうに見ている。
「後藤……誰?コイツら」
「コイツとかいうな!!」
「そうよそうよっ!私には『梨華』っていう名前がちゃんとあるんだから!」
「アタシだって『ひとみ』っていうカッケー名前がついてんだよっ!」
「じゃあ『梨華』と『ひとみ』…一体、なんでココにいるわけ?」
「「名前で呼ぶな!!」」
じゃあどうしたらいいんだよ……
始めに市井のこと『コイツ』っつったのお前じゃねーかよ…
市井は背の高い方の女の子(?)をチラッと睨む。
…はぁ、疲れる。
- 49 名前:初めての経験2 投稿日:2003年06月25日(水)20時52分07秒
□ □ □
結局、市井が女だと信じてもらうだけで今日は終わった。
Tシャツに黒のジーンズ。髪は黒のショートカット。
だからって男はないだろう男は。ちょっぴり(とゆうか、かなり)傷ついてしまった。
ついでにまだこの二人は市井と後藤が付き合ってると思ってるらしい。
後藤も後藤でニコニコしたまま否定しないしさ…。
……って、今日勉強してないじゃんっ!!
「はぁ…」
夏も近づき、生ぬるくなった風を感じながら
市井は今日何十回めになる溜息をついた。
- 50 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月25日(水)20時54分16秒
更新終了です。
よしこ&梨華ちゃん組…作者は非常に好きですね。
- 51 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月25日(水)20時57分24秒
レスをお返しします!!
ありがとうございます。
>>39名無しさん
おもしろいなんてお言葉を頂いて作者小躍りして更新致しました(?)
登場人物すでに6人を越えてますが、この6人くらいが重要な人物だと思っていてください。
矢口も学校編でたくさん出します。
レスありがとうございました!
- 52 名前:ブラッククロス 投稿日:2003年06月26日(木)00時52分28秒
- 更新乙です。
ヽ^∀^ノはいつになったら授業出来るのでしょう?w
勘違いな( ^▽^)&(O^〜^)も心地よいです。
次回も期待してます。
- 53 名前:学校2 投稿日:2003年06月28日(土)21時10分37秒
4回目になる授業終了のチャイムの音。
その音でやっと机に突っ伏していた真希は顔を上げた。
- 54 名前:学校2 投稿日:2003年06月28日(土)21時11分20秒
4回目になる授業終了のチャイムの音。
その音でやっと机に突っ伏していた真希は顔を上げた。
- 55 名前:訂正 投稿日:2003年06月28日(土)21時12分20秒
二重投稿してしまいました。
>>54は抜かして読んでください。
すいません!
- 56 名前:学校2 投稿日:2003年06月28日(土)21時13分03秒
「よっ。起きたの?」
「んぁー…もうお昼だよね?」
朝から4時間ぶっ続けで爆睡していた真希。
今日は保田の授業も無いせいかいつもより気持ち良さげに寝れた気がする。
国語の時間、担当の平家先生が辞書を使って起こそうと試みたが(10cm上から顔のい上に落下)
真希は涎をたらしながらピクリとも反応しなかったので、最後には諦めていた。
- 57 名前:学校2 投稿日:2003年06月28日(土)21時14分13秒
「うん。よく寝てたな」
矢口が半ば呆れ気味にそう言った瞬間、真希は自分の鞄の中からお弁当を取り出すと、矢口の手をとってノロノロと歩き始めた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!やぐちお弁当持ってないって!」
「んえー?やぐっつぁん今日買い弁なのぉ?」
真希の眠そうな目と、お腹から聞こえる大音響に矢口は一瞬怯む。
「…そ、そうだよ。だからさ…買いに行かせて。」
「いいよ〜ごとーのお弁当分けてあげる♪」
「そしたらごっつぁんの食べる量が減っちゃうだろ」
「だぁーいじょうぶきっとだいじょ〜ぶ♪ヘイ!☆
ごとーのお弁当はおっきーから平気だよ〜。」
たくさん寝たからかやけにハイテンション気味な真希は、
そう言って強引に矢口の手を引っ張り屋上への階段を上がっていった。
- 58 名前:学校2 投稿日:2003年06月28日(土)21時15分08秒
□ □ □
「はい、あーん♪」
「あ〜ん」
「おいしい?」
「おいしいよ〜梨華ちゃん最高〜!!」
屋上のドアを開くとそこにはひとみと梨華の姿があった。
梨華は膝の上にお弁当箱を乗っけて、ひとみに一口一口食べさせてあげている。
- 59 名前:学校2 投稿日:2003年06月28日(土)21時15分53秒
「…やぐっつぁん、あそこにバカップルがいますぜ。」
「いるね。あいつら矢口達の存在にまったく気づいてないし。」
いつも男前なひとみの顔が緩みきってデレデレになっている事がソレを意味する。
「どうする?一緒に食べようか?」
「良いよ〜…なんか、邪魔したら悪そうだし」
前にふざけて真希はひとみと一緒にいた梨華にキスを迫った事があった。
嫌がる梨華に抱きついて顔を近づけていった瞬間にひとみのパンチが後頭部に炸裂。
真希が瀕死の状態になったことを今でもはっきりと覚えている。
後にひとみにその話を聞くと
『あれ?アタシそんな事したっけ?』と、本人はまったく覚えて無い様子だった。
つまり、無意識のうちに梨華を守ろうと真希に手を出したと考えられる。
真希は恋のパワーの恐ろしさを知った。
- 60 名前:学校2 投稿日:2003年06月28日(土)21時16分55秒
□ □ □
矢口と真希はバカップルから少し離れた所に腰を下ろした。
大きめビニール袋の中から、三段重ねの、信じられないくらい大きな弁当箱が出現した。
(……ありえない……)
矢口の顔色がみるみるうちに変わってゆく
「じゃっ、じゃーーーん☆後藤家特製『材料を大胆に使っちゃおう弁当!!!』」
「……うげっ」
(中のオカズもでかっ!)
「『うげっ』って何!失礼だよ〜。一生懸命作ったのに!」
「これ、ごっつぁんが作ったの?」
「うんっ!」
(やっぱり…)
矢口は真希にばれないよう密かに溜息をついた。
- 61 名前:学校2 投稿日:2003年06月28日(土)21時17分43秒
「はいっ!じゃあごとーが食べさせてあげるね〜。」
「はぁっ!?良いよ!自分で食べれるし!!」
「えぇ〜?いいじゃん。ラブラブって事で♪いまさら恥ずかしがらなくてもさ〜」
「意味わかんねーよっ!大体付き合ってもないのにラブラブってなんだ!!」
「だってやぐっつぁん可愛いんだもん!」
カッと矢口の顔が耳まで赤く染まる。
「…うっさい、バカ」
観念したように口を開ける矢口。
真希は一番大きな卵焼き(本当にでかい)を箸でつまみあげて矢口の口へと運んだ。
- 62 名前:学校2 投稿日:2003年06月28日(土)21時18分20秒
「…!う、うまっ!!」
矢口は予想以上の味に驚いて目を見開く。
「でっしょ〜?めっちゃ練習したんだから。
こっちのハンバーグとコロッケもおいしいよ♪」
お弁当の二段目には、そのままの大きさで入っているハンバーグとコロッケがあった。
「(普通、お弁当の中のコロッケって半分くらいになってるはずじゃ…。
ってか、ごっつぁんこれを一人で食べる気だったのかよ!!)」
「はい、あ〜ん」
「あ…あーん」
結局はひとみと梨華のバカップルと同じことをしている二人。
矢口の顔がいつもより少し緩んでいるのには、真希は気づかなかった。
- 63 名前:学校2 投稿日:2003年06月28日(土)21時18分51秒
- 64 名前:学校2 投稿日:2003年06月28日(土)21時19分24秒
「ふ〜。く…苦しい。ごっつぁんもすげー食べたね」
「ん?ごとーはいっつもこれくらいだよ。
今日は確かにちょっと作りすぎちゃったけどさ。」
食べ終わった二人は仲良く手を繋ぎながら教室へ戻る。
その途中、この前の笑顔が似合う先輩とすれ違った。
「んぁ。『なっち』先輩だ!」
「ん?あ…ほんとだ」
次が移動教室なのか、教科書等を持って友達と話しをしながら歩いている。
矢口の表情が一瞬曇る。
「んぁ…やぐっつぁん…?」
「………」
「どうしたの〜?」
真希の声で、矢口はハッと顔を上げて、何事も無かったかのように再び歩き始めた。
矢口の後について歩きながら真希は考える。
(どうしたんだろ…『なっち』先輩を見るとき、
いっつもやぐっつぁんは寂しそうな顔してる…)
小さな体がますます小さくなっているように見えて、
真希は心配そうな目で矢口の事を見つめていた。
- 65 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月28日(土)21時20分18秒
更新終了です。
- 66 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月28日(土)21時23分00秒
レスのお返しです。
>>52ブラッククロスさん
レスありがとうございます。
ブラッククロスさんの更新スピード羨ましいです!!
自分ももうちょっと頑張ります(w
そういえばちゃんと市井が授業している時がまだ無かったような…
(○^〜^)<ごっちん受験なのに良いのかよ!
- 67 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月29日(日)01時30分02秒
- 矢口矢口矢口〜!!!
作者さんの書く矢口が可愛すぎる〜!
ちょっとなちまりなのか気になる…。
なちまり好きなんで密かに期待しときます。
- 68 名前:学校2 投稿日:2003年06月29日(日)21時43分48秒
「おはよっ!」
「おはよ〜」
「なんだ元気ないんじゃない?」
「そ〜お〜?」
「いつもの覇気が感じられない。」
- 69 名前:学校2 投稿日:2003年06月29日(日)21時44分20秒
今日も矢口は学校を休んでいる。
屋上で一緒にお弁当を食べた日からどことなく様子がおかしくなった矢口は、一昨日・昨日・今日と連続で学校に来なくなった。
理由は『病欠』となっていたので、真希は一人暮らしの矢口を余計に心配していた。
地方からこの東京へ親元を離れて引っ越してきた矢口は、中学3年生にして一人暮らしをしている。
真希も一度家に遊びに行った事があるが
高級マンションの一室でかなり一人で暮らすには広くて豪華すぎる部屋だった。
学費や生活費は親(大きな会社を経営している社長らしい)から毎月送られているので
生活に不自由する事はないけれど、料理や洗濯、掃除まで矢口が一人で全部出来るとは思えなかった。
- 70 名前:学校2 投稿日:2003年06月29日(日)21時44分53秒
「…きょうやぐっつぁんの家行こうかな…」
「え!?矢口さんの所行くの?」
「うん、だって心配だしさ。」
「じゃあアタシも連れてってよ〜」
「遊びに行くんじゃないんだからね。やぐっつぁんが病気でいろいろと大変だろうから
ごとーが看病しに行くんだよ?」
「わぁかってるって!じゃあ今日放課後になったらごっちんのクラス行くから一緒に矢口さんの家行こうよっ!」
ひとみは目を輝かせながら胸の前に手を組み合わせて
まるで夢見る乙女のように真希の座っている机の前に立っていた。
- 71 名前:学校2 投稿日:2003年06月29日(日)21時46分11秒
「あれ?よしこ今日部活は?」
「んー…っと、今日はサボりっ!!」
「ってか、いつも思ってたんだけどーなんでよしこ達いつまでもやぐっつぁんの事『矢口さん』とか呼んでるの?
同級生じゃん。しかも話すとき敬語だし。」
「だって!あの矢口さんだよ!?成績優秀・運動神経抜群・明るくてリーダーシップも取れて後輩にも優しい、んでもってあの容姿!!めっちゃ可愛すぎるっ!うちの学校のアイドル的存在なんだよ!?」
「だからって…そんな風に接しられたらやぐっつぁん嫌がりそう。
ただでさえあんまり親しく無い人と話しとき顔がひきつってるのに。」
真希は矢口と3年間同じクラスである。
1年の時からいつも傍にいるから一番矢口の性格や本質を知っているのも
真希自身自惚れではなく、自分だと思っている。
- 72 名前:学校2 投稿日:2003年06月29日(日)21時46分53秒
「知ってる?矢口さんって校内にファンクラブまであるんだって。」
「……知ってる」
真希は頬を膨らませてひとみの目を睨んだ。
「モテモテだよね。ってかなにその顔………もしかして、ごっちん、矢口さん取られちゃうとか思ってんじゃないの〜?」
「なっ!に言ってんのっ!?」
―――瞬時に振り回した真希の拳が、ひとみの腹部へ入る。
ひとみは『ゴフッ!』という言葉を発しながら教室の床へと崩れ落ちた。
「あ…っ、よしこゴメン」
真希は謝ってはいるがやけに冷たい態度でひとみを見下ろす。
「ごっちんのバカー!マジ腹に入ったよ〜。」
ひとみが呻き涙目で訴えているとき、教室の扉が開いた。
- 73 名前:学校2 投稿日:2003年06月29日(日)21時47分26秒
「ひとみちゃんっ!!」
- 74 名前:学校2 投稿日:2003年06月29日(日)21時47分57秒
「り…りかちゃん…っ」
「誰!?だれなのっ?ひとみちゃんをこんな目に合わせたのはっ」
教室にいた全員が真希を指差す。
(…裏切り者…)
真希は頼りないクラスメート達に向かって一つ溜息をつくと、倒れているひとみを抱き起こした。
「ごっちん!ひとみちゃんが何したってゆうのよ!
いくらなんでもこんな事するなんてひどいじゃない!」
「いや…ってゆーか、もう普通に動いてるけど。」
元気にスキップしながら他のクラスメート達の元へ向かうひとみ。
「そうゆう問題じゃないでしょっ!!」
「そうゆう問題って…梨華ちゃんには関係ないじゃん!」
「ひとみちゃんのことを傷つける人は…例えごっちんだとしても許さないんだからぁ!!……えいっ!!」
梨華はシュッと手を振り上げると、真希の頬目がけて振り下ろそうとした。
- 75 名前:学校2 投稿日:2003年06月29日(日)21時48分37秒
「…っ…なんで、…なんで届かないのよぉお」
真希は梨華の頭に手を置いて、腕を伸ばしなるべく自分に近づけないようにして押さえつけている。
身長の違いからか、体をジタバタ動かしてくやしそうに唸る梨華。
ひとみは助けようともせず友達と話に花を咲かせている。
それどころか、そんな真希と梨華のやり取り(?)をチラリとおもしろそうに見つめていた
(梨華ちゃんってほんとによしこの事になると一生懸命だよなぁ…)
真希は急に目の前の生物が愛しくなり、押さえつけていた手をパッと離し体を包み込んだ。
「うひゃあっ!?……ごごごご、ごっちんっ?」
「りかちゃん…可愛い〜♪」
「こぉらぁぁああああっ!!!」
その後、ひとみのアッパーをくらう事になった真希はそのまま保健室へと送られていった。
- 76 名前:学校2 投稿日:2003年06月29日(日)21時49分32秒
□ □ □
「まったく…よしこってほんと暴力女だよね〜」
「ゴメンってば!あの時はほんとに無意識だったんだって!!
気がついたらごっちんがアタシの前で倒れてたって感じで…!!」
顎にシップを貼った状態の真希は不機嫌そうな顔でそう呟くと、
ひとみは弁解するように必死に声をあげた。
「まぁいいけどさ〜。これからやぐっつぁんに会えるし♪
さぁ〜よしこ、一緒にコンビ二でお粥の材料を調達しようぜっ!」
「イエッサー!!」
二人共ノリは良い方である。
- 77 名前:学校2 投稿日:2003年06月29日(日)21時50分04秒
真希とひとみはその後料理の材料とポカリスエット(1ℓ)を買うと、
矢口のマンションへ仲良く歩いていった。
- 78 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月29日(日)21時50分36秒
更新終了です!
- 79 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月29日(日)21時53分19秒
レスのお返しです。
マジで嬉しいです!ありがとうございます。
>>67名無しさん
ここの矢口はクール&可愛い(なんだそりゃ)となっております。
なちまり…さぁ、それはどうでしょうね〜(w
それが気になったら次の更新も見てください!!w
レスありがとうございました〜
- 80 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月29日(日)22時00分45秒
あ、それとつけたしです。
後藤さん→吉澤さんの呼び方『よっすぃー』じゃなく『よしこ』に統一させて頂きます。
何気こっちの呼び方の方が好きだったり(w
- 81 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月29日(日)22時53分55秒
- クール&可愛い矢口最高ッ!!!
しかもモテヤグ!←かなりツボ。
なちまりなのかずっと見届けます!
作者さん頑張って下さい。
- 82 名前:まろんめろん 投稿日:2003年06月30日(月)13時05分08秒
- おもしろそうなの発見!
いちごま・なちまり・いしよし最高!
これからの展開がかなりきになります!
更新がんばってください!
- 83 名前:矢口 投稿日:2003年06月30日(月)21時40分09秒
「すっげぇ…」
ひとみが思わず漏らしたこの言葉。
すべて目の前にある灰色のマンションへと注がれている。
12階建てで、マンションの敷地に入ると中庭のような所があり、やけにお洒落な格好をした貴婦人が高そうな犬を連れて散歩をしたりしていた。
――自分の家や近所とはまるで別世界だ。
入り口に立つと自動ドアがヒュン!という音をたてて開く。
あちらこちらに防犯カメラが設置されていて、
正直ひとみはこの場所にいる事自体落ち着かなかった。
- 84 名前:矢口 投稿日:2003年06月30日(月)21時40分53秒
「ご、ごっち〜ん。さっきからあの人ずっとこっち見てるんだけど…」
「大丈夫だよ〜、アレは確かこのマンションの警備員さんだから」
かなり強面のお兄さん(?)がこちらを厳しい表情で見守っている。
ロック式の自動ドアを、手早にピピピッと番号をコンピューターに入れて解除する真希。
(なんでごっちんはこんなに慣れてるんだよ…、それってやっぱり、何回もココに出入りしてるって事だよね?)
ひとみは真希が矢口と仲が良いことを知っていても、羨ましさからかやはり少し嫉妬してしまうのであった。
- 85 名前:矢口 投稿日:2003年06月30日(月)21時41分46秒
□ □ □
ピンポーン!!
8階の矢口の家のチャイムを鳴らす。
始めに1回鳴らしたところでは反応は無く、後藤が2・3回連続で鳴らすと
バタバタっと慌てたように中から走ってくる音がした。
- 86 名前:矢口 投稿日:2003年06月30日(月)21時43分03秒
「……はい、誰?」
「やぐっつぁん、ごとーだよ。」
「…!!…ご、…ごっつぁんっ!?」
矢口の声に焦りの感情が含まれてるのがわかる。
「今日はよしこも連れてきたよ〜。やぐっつぁん一人で不自由してると思って。
夕食も簡単なの作ってあげようかと思ってさ。…早く開けてよ〜?」
「あのっ、ちょ…ちょ、……ちょっと……待っててっ!!」
バタバタ忙しそうに奥の部屋の方へ走っていく矢口の足音。
「どうしたんだろ〜ね矢口さん…やけに焦ってたけど〜部屋片付けてないとかー?」
以前行った梨華の部屋を思い出しながら苦笑するひとみ。
「んー。そうかも。けっこうやぐっつぁんゲームとかやったらやりっぱなしだし〜
でも、梨華ちゃんなんかよりはずっと綺麗好きだよ。」
・・・・
「…くしゅんっ!」
(あぁ…なんでさっきからくしゃみが出るのかしら。
ま、まさか誰かが私の噂をしてる!?
いやんっ!ダメよ!!私にはひとみちゃんっていう心に決めた人が…!!)
一人自分の部屋のベットで暴れまわる梨華。
傍から見るととても怪しい人物である。
ひとみはその頃、わけが分からない悪寒に襲われていた。
- 87 名前:矢口 投稿日:2003年06月30日(月)21時43分36秒
矢口はまだ出てこなかった。
真希はいろいろな食材(+ポカリスエット)が入っているビニール袋の中身を見ながら、買い忘れがないか確認したりしている。
ひとみはというと、あの矢口の焦り具合がどうも不自然で気になっていた。
(…風邪にしては…なんか、元気だったし。何か理由があって学校休んだのかな?
だとしたらごっちんと顔合わせづらいのも分かるけど……)
そして、それから数分後家のドアが開かれる。
- 88 名前:矢口 投稿日:2003年06月30日(月)21時44分50秒
いつもよりは、少しだけ元気がないように見える矢口。
真希とひとみを見て、力ない笑顔をしながら声を出した。
「…こんにちわ。わざわざ、ありがとう」
「えへへ〜♪急に来ちゃってゴメンねっ!
やぐっつぁん電話にも出ないし、病欠って聞いてたから不安になっちゃって…」
矢口の顔を見た瞬間にふにゃっと真希は緩みきった笑顔を見せる。
「こ、こんちには」
「え?」
「よ、よしこ落ち着いて!」
「は…はじまして。吉澤ひとみでしょう。」
学校のアイドル的存在の矢口を目の前にして、緊張のしすぎで妙な日本語に変わりつつあるひとみ。すかさず真希がフォローにまわる。
「とっとりあえず中入ろうよ〜。ごとー達も実はお腹ペコペコでさぁ」
「あ、うん…」
矢口は少し躊躇いながらも、二人をリビングへと招く。
- 89 名前:矢口 投稿日:2003年06月30日(月)21時45分24秒
- 90 名前:矢口 投稿日:2003年06月30日(月)21時45分59秒
「…?」
誰かがいる。
矢口がお店で一目惚れして買ったと言っていた大きめの黄色のソファーに、
少し緊張気味な姿勢で、一人の少女が座っていた。
(誰?病気で休んでるはずのやぐっつぁんの家に、いったい誰がいるの…?)
真希は前を歩く矢口を抜いて、その少女の顔を見た。
- 91 名前:矢口 投稿日:2003年06月30日(月)21時47分20秒
「あ…っ、初めまして!」
そこには、何度か見たことのある笑顔が似合う先輩が座っていた。
- 92 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月30日(月)21時47分51秒
更新終了です。
- 93 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月30日(月)21時53分14秒
レスのお返しです。
ありがとうございます♪
>>81名無しさん
モテやぐ!!
なちまりですかね?さぁ、そ〜れはどうですかねぇ〜(小川w
ずっと見守っててください(w
頑張ります。
>>82まろんめろんさん
初めまして〜
いちごま…なちまり…いしよし。
そ〜れはどうですかねぇ〜?(小川再び)w
これからの展開に自分でもドキドキしながら更新頑張ります(?)
レスありがとうございました!!
- 94 名前:ノッキ 投稿日:2003年06月30日(月)21時53分44秒
ちょっと下げ
- 95 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月01日(火)12時04分50秒
- >「は…はじまして。吉澤ひとみでしょう。」
かなりおもろい!!!
続き気になる〜!
ずっと見守り続けます(w
- 96 名前:クロイツ 投稿日:2003年07月01日(火)15時17分05秒
- 先日はどうも〜♪読ませていただきました!!
すごいおもしろいですー!!てゆーか一人一人のキャラが面白すぎるー!!
私の石ヲタ魂をビシバシと刺激してくれる梨華ちゃんも素敵なんですが…
なんか、かっこかわいいと言う言葉がそのまま当てはまりそうないちーちゃんが!!
いちーちゃんが素敵!!
続き、楽しみにしております☆
- 97 名前:初めての経験3 投稿日:2003年07月01日(火)20時58分47秒
「……遅い!!」
- 98 名前:初めての経験3 投稿日:2003年07月01日(火)20時59分22秒
あのやろー!
誰もいない部屋で市井は一人そんな言葉を吐き出す。
この間あれだけ叱ったのにまったくわかってないじゃないかアイツは!!
ひょっとして市井………なめられてる?
こんなに人のいう事を聞かないやつは初めてだ。
さぞ後藤のお母さんも苦労してるんだろうよ。
そろそろいい加減にちゃんとした勉強を始めなければ。
市井は焦っていた。
今思えば、市井は後藤の家庭教師としてこの家に来たのに、何もそれらしい事してないじゃないか!!
受験が近い親の気持ちを考えずに、今日も後藤はそこら辺をフラフラ遊びまわってると思うとめっちゃくちゃ腹が立つ。
今日は……今日こそは泣いたって謝ったって許してやらないからな。
市井はギュッと力強く拳を握ると、後藤の好きなゴマちゃん(あざらしのぬいぐるみ)を蹴っ飛ばしてベットの上に座った。
- 99 名前:初めての経験3 投稿日:2003年07月01日(火)21時00分30秒
□ □ □
「…ただいま」
以外に早く帰ってきた後藤は(とは言っても、予定の40分遅れだが)
市井の方も見もせずに床へと腰を下ろす。
体をちぢこませて体育座りのまま床を指でいじっている。その様子はまるで親に怒られていじけている小さな子供のようだった。
そして、いつもの後藤にしてはぐったりしていて元気が無いように見えた。
- 100 名前:初めての経験3 投稿日:2003年07月01日(火)21時01分12秒
「時間、また遅れただろ」
とりあえず、今は時間に間に合わなかったことを叱らなければいけない。
怒っても無駄なんだ、なんて諦めてしまったら本当にコイツは腐った人間になってしまう。
市井は後藤の家庭教師になった。
それはただ、勉強を教えるだけじゃなくて、まだ中学生なんだから人として学ぶこともいっぱいあるはずなんだ。
おせっかいかもしれないけど、市井はそんな部分も後藤に教えてあげたかった。
2歳年下なだけで、こうも子供っぽくなれるのか…(体はしっかり大人なのになー)
自由奔放で掴み所が無い、他人からみても後藤の性格は気楽で良いとか思うかもしれない。
でも、いつかは大人にならなければならない時がくる。
やりたい事を『我慢』をするって事も、一つ大人になった証拠なのだから。
未だにそれがわかってないコイツに、今日1日いっぱいかかってでも
その事実を教え込んでやるんだから。
- 101 名前:初めての経験3 投稿日:2003年07月01日(火)21時01分52秒
市井は一度スウッと息を吸い込んで、後藤の目の前に正座をして座った。
「後藤、よく聞けよ。これから言う事はお前にとってウザイとかめんどくさいとか
思うかもしれないけど、とっても重要な事なんだ。いきなりやれとは言わない。
少しずつでいいから後藤に出来ることをだな、」
「……市井ちゃん……」
おい、人の話聞けよ。
いきなり出鼻をくじかれてしまった。
本当に幼稚園児かコイツは!!!
人の話を聞けって、小学校でも中学校でも先生に教わってきたはずだろ!?
市井はカーーッとなる頭をなんとか冷まして握っていた手の力を抜いた。
しょうがない、とりあえず大人な市井は、コイツの言う事をまず聞いてやるか。
- 102 名前:初めての経験3 投稿日:2003年07月01日(火)21時02分29秒
「ん、で?どしたんだ?」
「……て…」
「は?」
「………」
「ちょっと、はっきり言えよ!」
後藤の声は蚊の鳴くような声で、耳が悪く無いはずの市井もまったく聞き取れない。
「抱いて」
今度ははっきり聞こえた。
だけど、頭にその言葉の意味がはっきりと伝わってこない。
体の中の血が一気に足から頭まで逆流したような感じがした。
「…抱いて、市井ちゃん」
もう一度、念を押すような低い声で後藤は言った。
やばい、なんでこんな時に……
なんでコイツが可愛いなんて思っちゃうんだー!!
マジで市井は…バカかと、アホかと!(by貴さん)
「………」
…おかしいよ。おかしいよ市井紗耶香!
こんな中学生の女の子になにときめいてるんだ。
しかも今お前はこの子に説教していたはずだろ?
なのに…なのに、なんで、市井を見つめるコイツの視線から目が離せないんだよ…
- 103 名前:初めての経験3 投稿日:2003年07月01日(火)21時03分01秒
後藤が不意に市井の手首を掴んだ。
その手を、自分の胸の膨らみの辺りまで持っていく。
「ごと…っ!」
「触ってよ。」
「だ、だめだよ」
「なんで」
「なんでじゃない!」
「市井ちゃんだってやりたくてしょうがないくせに」
「な、なに言ってんだ!!んなわけないだろ!」
- 104 名前:初めての経験3 投稿日:2003年07月01日(火)21時03分43秒
「嘘つきっ!」
その後藤の声と同時に、目の前が真っ暗になる。
唇に柔らかい湿った感触がした。
「…っ…ん、ぅう…!?」
驚いて暴れだした市井の体を、いつもどおりの馬鹿力で平然と床へ押さえつける後藤。
角度を変えて何度も何度も口付けられる。
後藤の唇の柔らかい感触に、顔にかかる髪の良い匂いに一瞬だけ意識が飛んでしまった。
「…やめろっ!」
「なんで?市井ちゃんこの前もごとーとキスすんの嫌がったよね。
…そんなに、ごとーのことが嫌いなの?」
眉を眉間に寄せて、泣きそうな、悲しそうな顔をする。
「ち、ちがっ!…じゃなくて…。
こーゆう事は、好きな人とか出来るまでしない方がいいんじゃないかな……」
最後の方は声が小さくなってしまった。
なぜなら、後藤の顔が再び目の前に迫ってきてるから。
市井は恥ずかしいのやらなんやらで、変な感情に流されないようにギュッと目を瞑った。
頬も耳も、きっと真っ赤になっているに違いない。
震える手をなんとか押さえつけて、ただじっと静かに後藤が諦めてくれるその時を待っていた。
- 105 名前:初めての経験3 投稿日:2003年07月01日(火)21時04分15秒
「…いちいちゃんが、」
「………」
「ごとーの、好きな……大好きな人だもん」
「!?」
突然の、予想外の告白に市井は目を瞑ったまま驚く。
しかし…次の瞬間には、もう市井の上にかかっていた重みは取り去られた。
目を開けてみるともうそこには後藤の姿は無い。
- 106 名前:初めての経験3 投稿日:2003年07月01日(火)21時05分11秒
市井はただ呆然と後藤が出て行ったドアを見つめていた。
- 107 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月01日(火)21時05分42秒
更新終了です。
- 108 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月01日(火)21時12分50秒
レスのお返しです♪
ありがとうございました。
>>95名無しさん
矢口を目の前にして吉澤崩壊です(w
( ○^〜^)<今回はアタシの出番が無かったでしょう…
いちごま〜(自己満足)w
さーて、作者に振り落とされずに見守り続けられるか、期待してます(w
>>96クロイツさん
おぉー!!ようこそ駄文小説へ!(w
市井ちゃん今回はかっこいいところ見せられませんでした…
ごまの勢いにおされっぱなしw
クロイツさんの作品はこれからも読ませて頂きます(コッソリと
これからもこんな作者&文ですが宜しくお願いします!!
- 109 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月01日(火)21時18分47秒
次回は少し時間が戻って、場面が変わり矢口2を更新致します。
いやぁ〜後藤に取り残された吉澤がどうなったのか。
作者も楽しみです(?)w
- 110 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月02日(水)13時43分49秒
- 矢口も気になるけどいちごまもイイ!!(w
作者さん最高ー!好きです!(告白w)
- 111 名前:吉澤 投稿日:2003年07月04日(金)17時44分04秒
ごっちんに取り残されたアタシは、かなりのパニック状態に陥っていたと思う。
ごっちんは、矢口さんの家の居間に座っていた女の子の姿を見た瞬間に
一瞬悲しそうな顔をして、入ってきたドアから出て行ってしまった。
「………」
ってゆーか、矢口さんは眉間に皺を寄せてさっきから黙り込んでるし、
ソファーに座ったままの女の子は突然のごっちんの行動にポカンとして表情を浮かべていて、これまた無言のまま。
アタシはアタシで、矢口さんに会えた事だけで、やばいくらいテンパッてるのに
こんな状況のまま頼りにしていたごっちんに出て行かれたらまともな会話も出来やしない。
- 112 名前:吉澤 投稿日:2003年07月04日(金)17時44分54秒
「……なっち、何かしたのかなぁ?」
女の子は驚きで丸くなっていた目をスッと細めてポツリとこんな事を言った。
今にも泣きそうな表情で制服のスカートの裾をギュッと掴んでいる。
…?あれ?あの制服って…うちらの高等部の制服じゃ…?
ごっちんは、もしかしてこの先輩の事を知っていたのかもしれない。
何かあったのかな?
アタシは疑問を頭に浮かべたまま『なっち』という先輩(?)の前に立った。
いくら面識の無い人だからって、泣きそうになっている人を放ってはおけない。
「…あ、あのぉ…ごっちんって、たまにあーゆう所あるし、
先輩に身の覚えが無いんだったら、多分大丈夫だと思いますよ。はい、思いました」
「…そうかなぁ…?」
目を細めたまま不安げにアタシを見上げる先輩。
不覚ながら、その幼い表情にちょぴっとだけドキッとしてしまった…(梨華ちゃんゴメンよ〜)
「はい。だから、あ、あの…、泣かないで下さい」
「うん、ありがとぉ」
緊張で上手く喋れてないアタシの手を握って、先輩は軽く笑って見せた。
- 113 名前:吉澤 投稿日:2003年07月04日(金)17時45分28秒
「……ご…っ……」
ボソッと小さな声が後ろから聞こえてきて、振り返ると
矢口さんが床を見ながら何かを繰り返し眩いていた。
何を言っているのかはよく分からなかったけれど、矢口さんは悲しそうだった。
その顔は、ごっちんがあの時見せた顔と非常に似ていた。
- 114 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月04日(金)17時46分48秒
更新終了です。(短ッ!!)
- 115 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月04日(金)17時50分02秒
レスのお返しです!
>>110名無しさん
いやー!告白されてしまったw
矢口さん何を隠してるんでしょうねー。
そして、今回は微妙ななちよし(w
読んでる人がいてくれるって良いものですね。
これからも頑張りますので応援宜しくお願いします!
( ´Д`)<よろしくね!
- 116 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月04日(金)17時51分03秒
:予告:
次回は学校に戻りまして、新キャラも出す予定です。
- 117 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月07日(月)09時23分19秒
- おおおおここのごまは大胆だw
いちごまの展開が気になりますねー。頑張って下さい。
- 118 名前:学校3 投稿日:2003年07月08日(火)15時52分46秒
朝から憂鬱だった。
今日は久しぶりに学校へ行く日。
だけど、学校に行けばごっつぁんに会わなきゃいけなくなる。
「おはようございますっ」
「おはよう矢口さん!!」
すれ違う見ず知らずの女の子から挨拶を受けて、矢口は返事の代わりにちょっとだけ手を振ってみた。
女の子達はその後顔を真っ赤にして、自分の教室に走って帰っていく。
なんだかなぁ…、はっきりいって、こうゆう子達の相手するのしんどいんだ。
暗い気持ちのまま矢口は教室の扉をガラッと開けた。
- 119 名前:学校3 投稿日:2003年07月08日(火)15時53分31秒
「おはよ〜ございますやぐっつぁん」
他のクラスメートの声が聞こえる中、
とびきり気の抜けた声が矢口の耳に届く。
力んで無意識に力が入っていた手は、その声を聞いて一気に緩んだ。
「ん…おはよ、ごっつぁん」
「朝からテンション低いねぇ。良い天気だからごとーも結構眠くて
いつも以上に気合が入らないんだよね。」
(だからか…)
ふにゃりと緩みきった頬を見て、思わずつねりたくなる衝動に駆られた。
- 120 名前:学校3 投稿日:2003年07月08日(火)15時54分07秒
「んぁー!!今日ケメコの授業が2時間目と3時間目にあるよ〜!!!」
最悪だー、なんて大声で言いながらごっつぁんは席に座った矢口の膝の上に腰掛ける。
サイズ的には矢口の方がごっつぁんより小さいわけで。
ごっつぁんは痩せてる方だけど、この状態がつらくないって言ったらウソになる。
「…重いよごっつぁん…」
「えーっ!!ふつー女の子に向かって重いって言うー?」
「だ、だって、体格差がこんだけあったらさ…」
「ぶー!!ごとーはやぐっつぁんの膝に座ってたいのっ!だからどかない!!」
(…なんだその理由…ガキかよっ!)
矢口は体を必死に動かしても、上に乗ってるわがままな奴をどかさない限り
まったく動く事は出来ない。
「だから普通に苦しいってば!どいてよー!!」
「……ちぇ〜しょうがないなぁ」
そう言って、しぶしぶとごっつぁんは矢口の上から降りる。
- 121 名前:学校3 投稿日:2003年07月08日(火)15時54分41秒
やっと降りてくれたと思ってホットしていたのも束の間、
今度はめっちゃ笑顔で両手を広げて矢口の顔を見つめているごっつぁん。
「なに?」って言ったらごく自然に
「抱っこして?」ってとろけるような笑顔で答えられた。
そんな顔されたら…断れ無いじゃん。
「………」
「…ダメ?」
「………」
(ご、ごっつぁん可愛すぎる…)
矢口は顔がにやけないように、ギュッと左手で自分のお尻をつねった。
「…いいけど、ちょっとだけだよ?」
「うんっ!」
笑顔を絶やさないままごっつぁんは矢口の膝に向かい合ったまま座り
すっげー思いっっきり抱きついてきた。
その反動で、ごっつぁんを支えきれなかった矢口は椅子ごと後ろにひっくり返る。
- 122 名前:学校3 投稿日:2003年07月08日(火)15時55分20秒
ガターン!!!
「いった〜!!」
「いたーいっ!!!」
矢口もごっつぁんも半泣きしながら声をあげる。
マジで今のは痛かった…
ひりひり痛む背中とお尻を擦って、埃まみれの制服をパンパンと払う。
空いた手でごっつぁんの手を握って立たせてあげた。
「…ごめんね〜。やぐっつぁん…」
心底すまなそうに眉を下げた(かなり珍しい)表情のごっつぁんが矢口の制服の袖を握る。
「いいよ。別に怪我はなかったし。ごっつぁんを支えきれなかった矢口も悪いんだしさ」
ニコッと笑ってごっつぁんの背中に付いた制服の埃も手で払ってあげた。
- 123 名前:学校3 投稿日:2003年07月08日(火)15時56分14秒
□ □ □
バタバタ廊下を騒がしく走り回る女の子達の集団。
「ねぇっ!G組に入った転校生の顔見た!?」
「超かっこいい〜♪」
「なんかちょっと矢口さんと同じようなタイプだったよね!」
「うん、なんかクールっていうか、人を寄せ付けないような感じだった」
「他の子にも教えなきゃだね!………えーっと、名前、なんて言ったっけ?」
- 124 名前:学校3 投稿日:2003年07月08日(火)15時56分46秒
「「「「「「「市井紗耶香さん」」」」」」」
- 125 名前:学校3 投稿日:2003年07月08日(火)15時57分19秒
□ □ □
ごっつぁんとは以外にいつも通りだったし。
あの日の事はお互い触れない事にした。
こんだけ一緒にいても、ごっつぁんに言えない秘密だってあるし、
ごっつぁんにだって色々考える事はあるだろうから……
矢口は呑気に鼻歌を歌いながら教科書類を鞄から取り出す。
今日来た『転校生』のせいで、矢口の生活が激変するとも知らずに…
矢口はこの前のごっつぁんのお弁当を思い出して、笑ったりしていた。
幸せな時なんて、そう長くは続かないもんだ。
- 126 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月08日(火)15時57分53秒
更新終了です。
- 127 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月08日(火)16時00分58秒
レスのお返事です!!
本気で感謝です(w
>>117名無しさん
ごまが大胆なのは…市井がへタレだからw
さぁちょっとだけ急展開です。
少し思ったんですけど最近いちごまって少ないですね。
王道を上手く書ける様に頑張ります!!ので応援宜しくお願いします♪
- 128 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月08日(火)16時02分50秒
>新キャラも出す予定です
出してへんがなー!!(w
すいません嘘つきました。
でも新キャラはもう用意できてますので、次回あたり出せたら出そうと思ってます。
次回は『初めての経験4』です。
カテキョ市井と後藤の話に戻ります。
- 129 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月10日(木)17時20分04秒
- ドキドキドキドキ・・・・
続きが気になる・・・・
- 130 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月12日(土)03時06分58秒
- 何気にやぐごまが!やぐごまも好きだなぁ。
でも一番はいちごまだけど。
- 131 名前:初めての経験4 投稿日:2003年07月14日(月)08時27分55秒
「市井ちゃん!!」
「…うっさいな、そんな大声出さなくても、隣にいんだろ」
二人は今、市井の部屋にいる。
いつも勉強は後藤の家に教えに行っている市井が、『後藤にやる気が見られないのは後藤の部屋のせいだ』と勝手に考えた結果である。
後藤の部屋…まさに勉強する雰囲気とはかけ離れてる所じゃねーか!
うぅ。なんで今まで気づかなかったんだ…。
- 132 名前:初めての経験4 投稿日:2003年07月14日(月)08時28分58秒
◆市井が見る限りの後藤の部屋◆
1・まず、パッと見汚い。
後藤にいい加減片付けろと叱っても、この部屋はベットの上にいるだけで
『マンガを本棚から取り出すとか部屋の電気を消すとか、全部の動作が出来てすっごい楽だから片付けたくないっ!!』と半切れしながら言われてしまった。
そりゃそうだろうよ。あんだけ汚しても楽なら良いのかよ、って突っ込みたいところだけど、あえて我慢しておこう。
どんな仕組みになっているかは本人の後藤でさえ知らない。
2・基本的に部屋が汚いので、後藤はいつもベットの上にいる。机はあるが、椅子なんかどこ行ったんだ?って状態だ。きっと、市井的にはあの服の山の中に埋もれていると思う。
ってかベットの上で勉強なんか出来るわけねーだろ!!
3・後藤の部屋の中は遊びの宝庫だ。
ちょっとそっちに気が逸れちゃうような物ばかり置いてある。
マンガ・雑誌・TVゲーム・お菓子の束……
参考書や勉強道具らしきものは市井があげた問題集のみ。
これが本当に受験生の部屋かー!!ばかやろー!!
- 133 名前:初めての経験4 投稿日:2003年07月14日(月)08時29分55秒
…今考えただけでもムカついてくる。
ごとーのばぁか。
気づかなかった市井もバカだけど。
ってなわけで、今日は気分一新。
市井の部屋でしっかりお勉強タイム!!!
…なはずが
「なんでっ!?」
「なにが?」
「なんでごとーの学校に転校してくる事言わなかったの!?」
「だって、後藤中学部じゃん。市井は高等部だし…学校であんまり関わりそうになさそうだろ?」
- 134 名前:初めての経験4 投稿日:2003年07月14日(月)08時30分53秒
さっきからずっとこんな感じ。
なんで教えてくれなかったの? びっくりするじゃん! 普通知らせるでしょ
と、ぎゃあぎゃあずっと一人で騒いでる。
市井はこんな話してないで、さっさと勉強始めたいんだけど。
「そんなのわかんないじゃん!市井ちゃんっていっつも変なとこクールだよね。
ってか、友達が噂してるの聞いたとき本気でびっくりしたから!」
「…?…あのさ、高等部に転校生が来たのがそんなに珍しいの?
こんな時期に転校してくる奴は、まぁ確かに珍しいけど。」
後藤は、違うクラスの友達がちょっと興奮気味に市井の事を廊下で話していたのを聞いて知ったそうだ。
同じ学年に転校生がきたのならば、ちょっとはそんな噂も流れるだろう。
どんな子なんだろうってちょっとは興味が沸くかもしれない。
でも、直接関係無い所に転校生が来たってのに、こんなにすぐ後藤の耳に入るだろうか?
頭の上に?マークを浮かべている市井に、後藤は一つ溜息を付いて「あ〜あ」と呆れたような声を出した。
「なんでわかんないかなぁ」
「は?」
- 135 名前:初めての経験4 投稿日:2003年07月14日(月)08時31分26秒
「市井ちゃん、自分の顔見てみ。」
なんだコイツ、いきなり変な事言うなー。
市井は眉間に皺を寄せながらも、近くにあった手鏡で自分の顔を見る。
うん、いつものいちーの顔だ。
…一体これがどうしたってんだ。
- 136 名前:初めての経験4 投稿日:2003年07月14日(月)08時31分56秒
不意に後藤の手が、市井の頬に触れる。
この前の事を思い出してちょっと体をひいてしまった。
そんな市井の変化に気づかずに後藤は言う。
「……こんなにカッコイイのにさ……」
はぁっ!?
「なにそれ どーゆう意味?」
「まだわかんないの?」
「わかんねーよ」
「…バカだねぇ」
「後藤には言われたくない」
「………」
- 137 名前:初めての経験4 投稿日:2003年07月14日(月)08時32分31秒
「なっ、なんだよ…」
後藤が下を向いて顔を手で覆い隠したので、泣いているのかと焦った市井は後藤の肩にガシッと手をかけて言った。
なんだよ、コイツこんなに傷つきやすかったっけか?
「ほんとにバカだなんて思ってないから!な? ゴメンって…泣くなよ」
「………市井ちゃん」
「…え?」
…泣いてないし。
顔を上げた後藤は泣いてはいないが、やけに真剣そうな顔をしている。
- 138 名前:初めての経験4 投稿日:2003年07月14日(月)08時33分27秒
「……他の子にこんな風に優しくしちゃ、ダメだからね」
いまいち意味がわからんないんですけど…
「なんで?」
「ごとーみたいに惚れちゃうから」
「ねぇ、後藤さっきから言ってる事めちゃくちゃだよ」
「全然めちゃくちゃじゃないよ。ごとーは正しい事言ってる自信がある。」
「あー、もういいです」
わかりました と市井は理解するのを諦めて立ち上がった。
「じゃあ、その話はもうやめようね。
市井今からコンビ二でジュース買ってくるから、それまでに勉強の用意しておくんだぞ」
不満そうに唇を尖らした後藤を置いて、市井は玄関のドアを開けて外へ出る。
…なんか、今日の後藤は余裕無いように見えたなぁ。
「なんなんだろ…?」
後藤の考えてる事なんて、ぜんっぜんわかんないよ。
- 139 名前:初めての経験4 投稿日:2003年07月14日(月)08時34分06秒
・・・・
市井がジュースを買って家に帰ってきたら、後藤はしっかりと問題集を開いて
数学と格闘中だった。
突然の後藤の変化に驚いて突っ立ったままでいる市井に、後藤は椅子からクルッと振り向いて「ごとー、絶対いちーちゃんに飽きられないようにするから!!」と、再び意味が分からない事を大声で言って、また目を問題集へと移した。
後藤が、この時どんな気持ちでいるかなんてまったく予想出来なかった。
だって、市井は後藤の告白が本当なんてわからなかったから。
市井が『女子校』という所でどんな扱いを受けるか知らなかったから。
- 140 名前:初めての経験4 投稿日:2003年07月14日(月)08時34分39秒
すべては、明日学校へ、初登校した時点で知る。
- 141 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月14日(月)08時35分41秒
更新終了です。
毎度短くて申し訳ないですw
- 142 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月14日(月)08時48分00秒
レスのお返事です。
( ´D`)<ほんとにありがとうれす
>>129名無しさん
更新しました。
ヽ^∀^ノ が後藤の学校に転校してきて、何が変わるのでしょうか?
あんまりドキドキしてると心臓に悪いのでゆるーく見守っていてください(w
>>130名無しさん
やぐごまですねぇ。
作者もいちごまが一番好きです。
これから色んなカプが出てきてわけわかんなくなりそうですが
これからも応援してくださると嬉しいです。
(〜^◇^〜) <オイラは誰が好きなんだろ…
- 143 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月14日(月)08時48分46秒
次は『学校4』です。
- 144 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月14日(月)22時18分15秒
- いちごまは自分も一番なカプです!
イイ感じな2人を見れて幸せっす。
作者様がんばってくださいませ。
- 145 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)17時53分53秒
朝。
今日は快晴で、晴れ渡った空は自然と市井の心を軽くしてくれる。
転校初日…何事にも初めが肝心だよな〜
よし、今日は少し早めに家を出よう。
市井はベットの上でうーんと大きく1回伸びをすると、
朝食を作るためキッチンへと歩いていった。
- 146 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)17時54分37秒
この前学校長に親と挨拶しに行ったとき、市井はすっげー綺麗な学校だなって思った。
敷地はバカみたいに広いし、窓や廊下はぴかぴかだし、3つある校庭には
小等部には黄色・中等部にはピンク色・高等部には青色の花がたくさん脇に咲き乱れてる。
静かで落ち着ける良い雰囲気を持った学校だ。
さすがお嬢様学校って言われてるだけある。
「あぁ、こんにちは。市井君だね?」
「はい、この度はこんな時期に無理を言って…本当にすいませんでした」
「いやいや。そんな事は気にしなくて良いんだよ。
こちらとしては君みたいな良い子が入ってくれる事がとても嬉しいんだから」
「ありがとうございます」
「うん、初めのうちはいろいろと慣れないかもしれないけど、明日から頑張ってね」
学校長もすっげー良い人だ。
なんか、若いし金髪だしやけにファンキーな感じでこの学校には合ってない人だったけど。
- 147 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)17時55分32秒
ギュッと鞄を握り締め、新品の制服の裾を引っ張ってまっすぐにのばす。
今日からまた新しい一日が始まるんだ!
一応玄関を出る前に鞄の中身をチェック。
必要なものは……筆記用具だろ?…生徒手帳…教科書類…
うん。全部持ってる。
「さぁ、行くか!」
- 148 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)17時56分20秒
ガチャ!
「………」
「………」
おいおい、なんだってんだ…
コイツの突飛な行動に市井はいつも驚かされてばっかりだ。
ってかいつからここにいたんだ?
「市井ちゃん」
「…お前、なんでいんの…?」
ドアを開けた瞬間に視界に入った茶色の髪。
昨日と同じ仏頂面した後藤がそこに立っていた。
「迎えに来た」
「はぁ?なに、市井だったら一人でちゃんと学校行けるよ」
「違う」
「…?…」
- 149 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)17時56分51秒
「市井ちゃんを守るために、一緒に行くの」
ゴメン。
やっぱり後藤の思考は理解できない…。
守るって?何から?
「…まぁ、良いけど」
一緒に行こう、と後藤に言うと、嬉しそうに手を握ってきて
手を繋いだまま市井と後藤は電車に乗った。
- 150 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)17時58分23秒
「なぁ、後藤」
「んー?」
朝から眠そうな後藤。
なんでこんなになるまでわざわざ市井の家まで来たんだよ。
後藤はさっきから眠気と格闘中なのか、首をガックンガックン縦に揺らしている。
…ったく、ただでさえ朝弱いくせに無理しやがって。
「…朝早くからありがとう。でも、明日からは迎えに来なくても、一人で行けるからさ。
後藤だって家遠いのに大変だろ?」
「なんで」
「なんでも」
この様子では、後藤はこの後の授業全部寝ちゃいそうな勢いだから。
「………」
「大丈夫だよ。そんな心配そうな顔しなくても」
クシャッと髪の毛を優しく撫でる。
でも、後藤の顔はブスっと歪んだままだった。
- 151 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)17時58分58秒
- 152 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)17時59分33秒
「…市井ちゃん、さっきみたいな事言ってられんのも今のうちだよ…?」
「……え?」
電車を降りて学校へ続く道をテクテク歩いていく。
その途中、また後藤が変な事を言い出した。
「いったい後藤は、何が不安なの?」
ちょこっと首を傾けて後藤の顔の覗き込む。
そしたら後藤はウッという変な声を出して、市井から目を逸らした。
心なしか少し頬が赤くなっている気がする。
その後藤の反応に市井はますます?マークを頭に浮かばせた。
「…そんな、顔するのもダメ、だからね」
- 153 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)18時00分09秒
後藤がそう言った時、ついに学校の校門に到着した。
市井はわーやっぱりすげー、と楽しそうに声をあげながら高校に続く道を通っていく。
校門から市井が通う高等部までは歩いて5分くらい。
その途中に中等部があり、そこから高等部に繋がってる廊下がいくつかあるらしい。
道に生えてる木もたくさん実やら花がついていて見ていて飽きない。
市井が前いた公立の学校とは大違いだ。
- 154 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)18時01分59秒
「♪〜♪♪〜〜」
鼻歌を歌って嬉しそうにしている市井の顔を、後藤はさっきからじっと見つめている。
これ以上無いくらい無表情で。
いつも笑っている後藤だけに、その顔でずっと見つめ続けられるのは怖い。
「……どした?なんか市井の顔についてる?」
「ううん…」
「じゃ、なんで見てるの」
・・・・
「…あっ! 市井ちゃん!!!」
後藤がそう叫んだ瞬間、市井の視界は一気に暗くなる。
なんだ!?って大声をあげても周りには雑音しか聞こえない。
後藤の声がどんどん遠くなる…
「ごとぉっ!」
『市井ちゃーん!!』
市井の周りには、恐ろしいくらいの速さで女の子の集団が集まってきていた。
誰っ!?コイツら。
怖ぇえっっ!!
やだっ。怖いよ、後藤っ!!
- 155 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)18時02分39秒
ザワザワ騒ぐ女の子達、たまにキャーなんて歓声も上がってたり。
………なんなんだこれ。
すでに両手を拘束されて立ち尽くしている市井に向かって、なんだか他の子と違って一際派手な印象を持つ女の子が話しかけてきた。
「あのっ、高等部2年G組に引っ越してきた市井紗耶香さんですよね?」
「…はい」
そうです、と少し不機嫌さを交えてそう言う。
でもこの少女は『わ〜♪やっぱり本物はかっこいい!!』とまた変な事を喋っていた。
「初めまして♪私、市井さんのファンクラブ代表『松浦』っていいます。」
「は?ファンクラブ…?」
「そうですよ。市井さんのファンクラブです!!
ファンクラブのモットーは『プリンス市井紗耶香さんをみんなで応援し讃えよう』となっております♪」
「ゴメン、かなり意味わかんないや」
「今はわからなくても良いですよー。じゃあ、急で悪いんですけどこれからファンクラブに配る会報の写真撮りますんで、一緒に来てくださいますか?」
「えっ!…ちょ、待っ」
- 156 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)18時03分21秒
なんだコイツー。かなり強引な奴だなぁ。
松浦、だっけ?
だいたい市井の周りにいる女の子達はいったい誰だよ。
なんでいつまでもついてくるんだよ。
んでもって、この衣装とセットはなんなんだよ。
「は〜い!じゃ、撮りますよぉ」
市井はいつの間にか、白いスーツを着せられて
すっごい豪華な椅子に座らせられ、バラの花が何百本もバックに置かれている所で写真を撮られていた。
…頭痛い。
って、後藤はっ!!?
- 157 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)18時03分56秒
たくさんいるギャラリーの中に、一瞬後藤の姿を見た気がして、すぐに叫ぶ。
「後藤っ!!」
でも…返ってくるのは別の女の子の高い声ばかりだった。
- 158 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)18時04分36秒
・・・・
市井は初日から軽いパニックに陥り、
その日はその場に駆けつけた先生によって強制的に家に帰らされた。
うぅ〜…市井が何したってゆーんだよぉ。
半泣きになりながらフラフラした足取りで校門を出る。
と、そこには
- 159 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)18時05分08秒
「…ご、ごとー…」
「市井ちゃん」
「………」
「ね?だから言ったでしょ?」
キッと睨んでくる後藤の視線を受け止められなくて、市井は目を逸らす。
「…………後藤、授業は?」
「えーと。今日はサボりっ!いっつもまともに聞いてなんか無いしね。
どうせ市井ちゃんも帰らされるだろうと思って、ここで待ってた。」
- 160 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)18時05分41秒
なんだか、後藤がすべてを知ってそうだ。
昨日から言ってた意味不明な言葉は今日のこうゆう事を言ってたのか。
「…ん、じゃ、一緒に帰ろ」
「うんっ!!」
後藤はしっっかりと市井の腕にしがみ付く。
そして更にギュウッと力を入れて、肩に頭を押し付けた。
「ごとー…腕痛いって」
もげるって。
「離して」
「や、だ」
自分の力把握しろって。
- 161 名前:学校4 投稿日:2003年07月15日(火)18時06分32秒
離せ、いやだ、とこんな会話が駅まで続いて、ようやく家に到着した。
結局途中で市井が折れて、今も腕には後藤がしっかり捕まってるいるんだけど。
□ □ □
『…なんてことなの!?』
学校から、市井の家まで何者かにつけられているなんてまったく気づかなかった。
この人物はものすごい速さでその場を立ち去ると、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて
また、学校へと駆け足で戻っていったのであった。
- 162 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月15日(火)18時07分05秒
更新終了です。
- 163 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月15日(火)18時14分15秒
( ´ Д `)<レスのお返しです。
>>144名無しさん
良い感じですか?
今回はヽ^∀^ノ プリンスでした(w
(〜^◇^〜) <オイラの出番はいつなんだよっ!
次回もいちごまでw
相変わらずの文章ですが、これからもお付き合いくださいませ。
無理しない程度に頑張らせていただきます。
- 164 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月15日(火)18時15分40秒
次回は『初めての経験5』です。
- 165 名前:和尚 投稿日:2003年07月16日(水)13時15分32秒
- 翻弄されてるいちーさんに笑ってしまいました。
これからどうなってしまうのか非常に楽しみです。
- 166 名前:クロイツ 投稿日:2003年07月17日(木)07時49分19秒
- もてもていちーちゃん…か、かっけー!!
どうなるんでしょうねぇ、女子校ライフ…どきどき♪
ファンクラブ会長のあややが素敵!!
続き、楽しみにしております♪
- 167 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時39分56秒
「わぁーいっ♪」
- 168 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時40分26秒
「…何はしゃいでんの?」
今現在二人のいる場所は、普通の市営マンションの前。
まだ学校にいるはずの後藤の家に市井と後藤が帰るのもおかしいので
親は仕事で外国に行っていて一人暮らし気味の市井の家に後藤を連れてきた。
- 169 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時41分44秒
「だって〜市井ちゃんの家にまた来れたんだもんっ!!」
「は?何それー こんなとこ来て何が楽しいのさ。
しかも市井の部屋なんて後藤の喜びそうなものなーんも置いてないじゃん?」
「確かに必要な家具以外なんにもない部屋だったけど…
……しかもごとーの嫌いな字ばっかり書いてある本とかいっぱい置いてあるし。
でも、でも…さぁ」
「なに?」
そこで言葉を止めた後藤は、繋いだ手に力を込めて頬をちょっとずつ赤らめてゆく。
「…いちーちゃんの香りがするからさぁ…」
…ええっ!?
- 170 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時42分19秒
「…怖ッ!!
つーか、すっげー寒いって。それ」
市井は、冷静に後藤の冗談にいつもの調子で答えてからエレベーターに乗り込んだ。
後藤は『本気だって!』と、ちょっと怒った風に市井の手を強く握る。
今はおバカな後藤の冗談にいつまでも付き合ってる暇は無いので、市井はとりあえずその言葉をシカトしておいた。
- 171 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時43分32秒
エレベーターに付いている自分の部屋がある階のボタンを押す。
その間も後藤は市井の手を力強く握り締めていた。
学校から駅までは腕を組んで歩いていたんだけど、途中から手を繋いで歩いていたので今はもうすっかり汗ばみ始めている。
暑いから離せ…って言っても、どうせ後藤が嫌がるだろうしなぁ。
そんな事を考えながらチラッと後藤の方に顔を向けると、目が合った途端、嬉しそうにふにゃっとした笑みを浮かべていた。
・・・・
「あはっ♪」
…可愛いから、ま いっか。
- 172 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時44分06秒
「いち〜ちゃぁ〜ん」
目的の階まであと少し、といった所で
後藤は語尾を伸ばしきった変な声で市井を呼んだ。
こんな声を出すときは、大抵後藤にとって嬉しいこと、市井にとって嫌な事を考え付いた時だ。
最近の後藤はこう呼んだ時市井を困らせる事が多い。
- 173 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時45分06秒
くふふ、と笑った後に市井の顔を見ながら後藤は言う。
「ねー、今思ったんだけど……エレベーターって密室だよねぇ〜?」
ゴクリ。
「…う、うん」
にやついた後藤の顔が、市井の顔をますますひきつった表情へと変える。
- 174 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時45分51秒
正直。次に後藤が何を言うのかなんとな〜く予想はついていた。
だから気づかれないように少し体を離してみた。
でも繋いだ手は後藤にガッチリ掴まれたままだから……これ以上離れるのは不自然だから無理なんだけどね。
ただ今の後藤との距離30センチ。
近くないようで近いこの位置。
隣にはニマニマ微笑む後藤がいて、手は掴まれたまま、加えてココはエレベーターの中。
……そんで後藤の言う通り、密室。
やばい、やばいよ市井さん。
この状況はヤバイッて。
コイツは絶対言ってくるって。
後藤の半三日月形になった目がすでにそれを物語ってるから。
- 175 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時46分30秒
「ねぇ?」
「…はい?」
「キスしてよ」
「却下!」
ほらね。
- 176 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時47分06秒
「なーんでよぉ〜 市井ちゃんのケチんぼ」
後藤は眉間に皺を寄せながらぷうっと頬を膨らませた。
怒ったときの癖…だと思う。
市井はその膨らんだ頬を指で押して空気を抜いてやる。
- 177 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時47分46秒
チーン!
「ほ、ほら…ついたぞ」
後藤の頬から空気が抜けてブシュっと音をたてた瞬間にエレベーターのドアが開く。
市井はこの微妙な空気から早く逃れたくて、エレベーターから出る一歩を大きく踏み出した。
- 178 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時48分34秒
「―――っと!」
市井はもう歩き出したのに、後藤が止まったままだったので
繋いだ手がビンッと引っ張られる。
少しよろめいた市井の頬に手を当てて、後藤が軽く唇にキスをしてきた。
「!?」
そう、それはあまりに一瞬で。
当たり前出来事のようだったので、後藤は次の瞬間にはもう普通に歩き始めていた。
- 179 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時49分11秒
キスした時に手は離されていて、
市井は後藤の手の温もりが混じった手のひらをギュッと握り締めた。
…な ん だ …今のは…
今頃になって唇に感じた柔らかい感触の正体に気づく。
市井の口に押し当てられた後藤の唇。
この前みたいに、もっと長く押し付けられていたら舌が侵入してきそうな勢いだった。
「なに真っ赤な顔してんのいちーちゃん?」
後ろを振り返り、やけにスッキリした表情でそう言う後藤。
…この野郎。確信犯かお前は
- 180 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時49分50秒
「なんでもねーよ!!」
すぐに追いかけて、オデコにびしっと一発デコピンをくらわす。
いた〜い、なんて言いながら後藤も、ちょっと嬉しそうに追い抜いた市井の後について歩いた。
…まったく。最近のコイツはどっか変だぞ。
やたらと市井に触れたがる。
んでもってそれを市井が嫌がると一瞬で寂しそうな表情に変わるし。
『好き』なんて言葉、後藤からは普段から言われ慣れてるから
あの日の後藤の告白が真実がどうかなんて、まだわからない。
もしかして自分の思い違いかもしれないし、違ってたらめちゃくちゃ恥ずかしい事だ。
もしあの告白が本当の後藤の気持ちだとしたら…市井は、なんて答えたらいいんだろう?
- 181 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時50分27秒
自分の気持ちに整理がつかないままドアの鍵穴に鍵を通した。
ドアを開けて靴を脱いでいると、一足早く脱ぎ終わった後藤が部屋の中に上がりこんだ。
「…ほーんと、なんもない部屋だよねぇ。」
入ってきた早々そう呟く後藤。
自分の部屋に物がありすぎるせいか、ちょっと不思議なものを見ている感覚なようだ。
でも、何気に市井の部屋には文庫本やらギターやら好きなミュージシャンのCDがそこら辺に置いてある。
でも基本的に部屋が広すぎるので物が無いように見えるのかな?
いや、後藤の部屋と比べたら誰だってスッキリしてる部屋みたいに見えるぞ。
- 182 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時51分13秒
「とりあえずそこ座っといて。」
市井はシンプルな形をしたソファーを指差して、そこに後藤を座るのを見てからキッチンへ行き、紅茶のティーバックが入っている缶を取り出した。
カップにトクトクお湯を注いで中を掻き混ぜる。
後藤の方のカップには砂糖を死ぬほど入れてから、更に牛乳を加えた。
ぐぇ。…甘そう
これを作ってるこっちが気持ち悪くなってくる。
後藤もそろそろ紅茶くらい砂糖無しで飲めるようになれよな〜
- 183 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時51分52秒
「はい、お待ちどうさま」
「うむ ごくろうじゃった」
「なんだそれ」
「…んと、貴婦人のマネ〜♪」
その言葉に呆れた顔をした市井が、机の上にカップを置いてから
ゆっくり後藤の隣に腰掛ける。
「いやいやいや、貴婦人って女だよ?どっちかってゆーとそれは殿様だろ」
「う〜ん そうかも?」
「…まぁ、どっちでも良いけどさ」
- 184 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時52分31秒
市井はいつもの調子の後藤に溜息をつくと、すぐに真面目な顔に切り替え
学校から疑問になっていた事を聞くために体制を整えてから声を出そうとした。
が、それは後藤の発した小さい声に遮られてしまった。
「…予想通りだったね…」
?
- 185 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時53分20秒
「なにが?」
「…市井ちゃん、昨日からの後藤の言ってる事の意味。
今日でわかったでしょ?」
「んー…っと、大体は…わかったけど……」
まだ消化不良な問題ばかり残ってる。
明日も学校があるわけだし、今日すべてを後藤から聞いておかないと。
- 186 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時55分32秒
「全部教えてあげるから、…ちょっとこっちに顔向けて」
「ん?」
なんの疑いもせずに後藤の方に首をまわす。
すぐ傍には少し上目遣いで市井を見つめる後藤の瞳…
その目ははっきりと今の後藤の気持ちを映し出しているかのように思えた。
熱い…
その目でいつまでも見つめられていたら溶けちゃいそうだ。
かといって、ここで目を逸らしたら肝心の事を教えてくれないかもしれない。
なんとなく、そんな気がしていた。
- 187 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時56分08秒
スッと動いた後藤の手が市井の肩を軽く押した。
なんの力も入れていなかった市井の体は、その力に反応して素直にソファーへと倒れこむ。
市井が驚いて起き上がる前に、後藤のからだが市井の上に圧し掛かってきた。
どうやら…、普通に話しをするつもりは後藤にはないらしい。
再び。
やばい、やばいよ市井さん。
- 188 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時56分43秒
「…後藤」
「…い、市井ちゃん…」
緊張しているような後藤の声、その唇は微かに震えていた。
その震えを市井に悟られたくないのかすぐに後藤は市井の体に抱きついて
顔を市井の首筋に埋めた。
- 189 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時57分15秒
「…ぜんぶ……全部、話するから……ちょっとだけ大人しくしてて」
「………」
やばい、やばいよ市井さん。
この状況はヤバイって。
- 190 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時57分51秒
そっと唇が重なった。
グルグルと昨日から今日にかけての出来事が市井の頭の中を駆け巡る。
このままなんも抵抗しなかったら後藤は教えてくれるのかな?
いや、抵抗しなかったら市井はいったい何をされてしまうのかわからないじゃん。
どうしよう…
揺れ動く二つの気持ち。
知りたい 知りたいけどこのままじゃイケナイ。
……どうしよう。
- 191 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時58分30秒
〜♪〜〜〜♪ ♪ ♪〜〜〜〜♪〜♪〜
…そんな時、鞄の中からこの静かな空間に携帯の着メロが鳴り響いた。
けっこう長い間鳴っているのでどうやらメールでは無さそうだ。
しかし、後藤は目を瞑ったままキスをやめようとしない。
「…ごと…っ……電話、鳴ってる…」
「…いいよ 出なくて」
「…んっ……で、も…なんか……長いし。…緊急の電話かも……」
- 192 名前:初めての経験5 投稿日:2003年07月19日(土)13時59分22秒
キスの間間に市井がそう伝えると、後藤はものすごくめんどくさそうに体を市井の上から起こして、まだ鳴り響いている携帯を自分の鞄から取り出す。
「…ぁ…」
後藤は携帯のディスプレイを見たまま小さな声をあげて固まってしまった。
市井がその後ろに立ってそれを覗き込むと、黒い字で
『矢口真里 携帯着信』
と大きく映し出されていた。
- 193 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月19日(土)14時00分15秒
更新終了です。
- 194 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月19日(土)14時07分52秒
レスのお返しです。
(〜^◇^〜) <やっとオイラの登場だぜ!
>>165和尚さん
初めまして。いちごまマスターと呼ばれる(?)和尚様にレスを頂けて光栄です(w
ここの小説の中の市井は弱いです。特に後藤にw
きっと最後まで翻弄されているでしょうが、是非これからも読んでくださいね!
>>166 クロイツさん
おぉう!またお越しに頂いて有難うございます(●´ー`●) <嬉しいべー
とりあえず市井のイメージはチョコラブの頃で設定してあるので
『こんな子が女子校にいたらさぞモテるんだろうなぁ』と思って書きました(w
これから松浦さんも活躍する、はず…w
- 195 名前:ノッキ 投稿日:2003年07月19日(土)14時09分34秒
次は『動揺、そして経験』です。
- 196 名前:和尚 投稿日:2003年07月20日(日)14時35分38秒
- はい、いちごまマスターと呼ばれる(?)和尚です・・・って初めて知りましたよ(苦笑)
ごとーさん、いちーさんをリードしていますが、少し無理が見えてるのが良いっす。
やくぢさん登場で二人は今後どうなってしまうのか楽しみです♪
- 197 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月22日(金)20時29分36秒
- 保全
- 198 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月06日(土)01時47分12秒
- 今日一気に読ませていただきました。
へたれ市井ちゃん(・∀・)イイ!!
密かにやぐごまにも期待しちゃってます。
- 199 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/13(火) 22:40
- 保
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