ごとーさんと毎日

1 名前:紅屋 投稿日:2003年06月21日(土)21時13分21秒
はじめまして。緊張です。
あったかい目で見てやってください。
お暇な時、やる気のない時のお供にのぞいてやってください。
2 名前:悠希 投稿日:2003年06月21日(土)21時15分32秒
はじめまして。
同じ黄板で『学生ホスト』を書いてます。悠希です。
頑張ってください。
3 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月21日(土)21時18分01秒
あたしの名前は後藤真希。
あたしは現在、家のソファーで優雅にくつろぎ中。
で、さっきからずっと考えてる事があるんだけど・・・
天井のとこでクルクル回ってるプロペラみたいなのって何だっけ?
名前があった気がするんだけど思い出せないや。
てゆーかウチにあんなのあったんだ。初めて知ったよ。
4 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月21日(土)21時22分22秒
ただいま夏真っ盛り。今は夕方。
昼に開け放した窓からいー感じの風がきて、ちょっとうとうと。
あー、夏休みっていいね。のんびりできて。ってあたし学校行ってないけど。
ぐうたらしてても誰にも邪魔されないし。今まで邪魔してた人はいないから。
おおっと、涙でできちゃった。やばいやばい。強い子は泣かないのデス。
5 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月21日(土)21時27分41秒
ん〜?何かいい匂いがしますねぇ。
お隣りさんの本日の夕食はカレーみたい。いいなぁカレー。食べたいなカレー。
ちなみに後藤家の本日の夕食はインスタントラーメン・・・。
・・・・・・いいじゃん。おいしいじゃん、ラーメン。バターだってのってるし。

微妙に伸びてるけど。
6 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月21日(土)21時31分13秒
とりあえずこんな感じで。
>>2悠希さま
いつも読んでいます。元気でました。頑張ります!
7 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月22日(日)18時58分50秒
まぁ、とりあえずおいしいはずのラーメンを食べよう。うん、いける。
溶け出したバターの風味がなんともいえない。と、思おう。

ずるずるずる もぐもぐもぐもぐ カチャ ごくごく ぷはっ

やっぱりラーメンにはお茶が限るね。飲茶楼と見せかけて午後の紅茶を飲むあたし。
午後の紅茶っていえばCMの松浦亜弥ちゃん可愛いよなー。
アイドルは顔からして全然違うね。うん。

ずるずるずる もぐもぐもぐもぐ ヒュンヒュンヒュン

そして部屋に響くあたしがラーメンを食べる音とプロペラの音。

ずるずるずる もぐもぐもぐもぐ ヒュンヒュンヒュン
8 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月22日(日)19時06分04秒
あー、やっぱ5日間ずっとラーメンは飽きるよなぁ。
てゆうかプロペラの音が聞こえるくらい静かなのってどうなのよ?
しかもそのラーメンもインスタントだし。あたしは寂しい独身女か?!
わびしい・・・。わびしすぎる。これでもあたしはうら若き乙女なんだぞ。

「ひとりぃ〜ぼっちで少し〜♪ たいくぅつな夜〜♪」

あんまり静かだから、人気グループの歌を口ずさんでみた。好きじゃないけどさ。
今のあたしに凄くぴったりだったから。
9 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月22日(日)19時15分06秒
そういえば声出したのって本当に久しぶりだなぁ。5日ぶりくらいなんじゃないの?
自分でいうのもなんだけど、なかなかの美声。これならそのグループにも入れそう。
なんてね。あは。
歌ったら余計に寂しくなってきたよ。テレビつけよ。

今考えるとなんでそのニュースが気になったよく分からない。


 ”夕方ニュースの時間です。
  先ほど入りました情報によりますと、先週の金曜日に起こりました一家惨殺事件の
  犯人が逮捕された模様です。”
  
10 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月22日(日)19時25分25秒
今の時代じゃ珍しくもなくなったその事件を、あたしはぼーっと眺めてた。
ふーん、捕まったんだ。これで世の中もちょっとは平和になりますなぁ。
そういえばこの事件て凄かったんだよね。たしか。
奥さんはバラバラだったし、息子さんなんか血まみれのメッタ刺しで。
あんなんじゃ、家入った時滑って転ぶの当たり前だよ。
あれ?あたしなんでそんなこと知ってんだろ?

ニュースは犯人の顔を公開してた。
その中年男はクスリかなんかやってたらしい。バカだなぁ。

その時だった。
ブラウン管のなかの男の目がこっちを見てる気がしたのは。

「うあっ・・・」

 
 ああ、頭が痛い。

11 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月22日(日)19時33分12秒
突然アタマが最高に痛くなって、だらだら考えてた思考がまとまんなくなった。
思わずしゃがみ込んでゴロゴロ転がって、犬みたいにうめいてしまった。
ああー、うら若き乙女なんですよ。あたしは。ほんとに。

遠くで電話が鳴ってた気がしたけど、それに出る力はあたしにはなくて。
意識がなくなる前に見えたのはまだ麺の残ってるラーメンでした。
もう食べれないや。
12 名前:紅屋 投稿日:2003年06月22日(日)19時38分54秒
なんだよこれと怒らないでください。
書くの難しいです。精進します。泣
13 名前:悠希 投稿日:2003年06月22日(日)20時23分01秒
(O^〜^)<ごっちーん!!どうしたんだYO!?

つぅわけで、ごっちん、大丈夫でしょうか?w
何気にまったりといくのかと思いきや実はシリアス系!?
とりあえず更新待ってます。
14 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月23日(月)19時58分10秒
意識が戻るのは唐突で。
ぱちっと目を開いて真っ先に視界に飛び込んできたのは、心配そうな顔したお隣りさんだった。

「きゃあっ!!」

「うわぁっ!!」

んでもってその直後に超音波なみの悲鳴。当然のごとく驚くあたし。
耳が痛い・・・。

ピンクの部屋で、腰がひけたままマヌケに転んでる人と壁にはりつたまま固まってる人が
お互い引きつった顔してる光景を見たことがあるでしょーか?あたしは初めてデス。

「ご、ごっち〜ん。急に目ぇあけないでよ。」
「いや、そんな無理だってば。」

たった今あたしの聴覚をおかしくした、この人の名前は石川梨華ちゃん。
学年でいうと高3になるあたしより1コ上のお隣りさん。
数年前引っ越してきたあたしに何かと世話を焼いてくれて、年も近かったから仲良くなった。
今じゃ会ってちょっとしか経ってないのに親友と呼んじゃっていいくらいだ。
まぁ、つまりあたしに友達が少ないってことなんだけどさ・・・。別に寂しくないし。

15 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月23日(月)20時12分06秒
「ごっちん大丈夫?なんかすごい音聞こえたから、来て見たら倒れてるし。」

「あ、うん、平気。」

どうやらあたしは超ド派手にぶっ倒れたみたい。
梨華ちゃんが来た時には(開け放してた窓から入ったらしい)見事にラーメン丼が
砕けてたんだって。
あたしそんなにあのラーメン食べたかったのかな・・・。てゆうか食い意地はりすぎ。
なんか悲しくなってきた。

・・・でも、おなかすいたな。

 ガシっ!

「・・・梨華ちゃん。」

「な、なに?」

「大切なお話があります。」

「・・・はい。」

「ごとーは今、もーれつに。」

「猛烈に?」

「お腹がすいています。」

「・・・・・・。」

「カレーをください。」

「・・・いいけど、何でウチの夕飯知ってるのかな?」

「飲み物は午後ティーで。」

「・・・・・・。」

16 名前:ハジマリハジマリ 投稿日:2003年06月23日(月)20時23分12秒
梨華ちゃんはブツブツ文句言いながらもカレーを持ってきてくれた。(優しいなぁ)
5日ぶりのラーメン以外の食事は、言うまでもなく最高。
この感動は言葉で表現できるようなもんじゃない!やっぱカレーはいいなぁ。
いやいや、あたしだってカレーくらい作れるよ?めんどいから作んないだけで。
そこんとこ間違わないよーに。

「梨華ちゃん。このニンジン固い。」

「・・・・・・(泣)」

お腹いっぱいになったら眠くなってきた。
あれ?そう言えば忘れてたけど、あたしなんで倒れたんだ?
だめだ、眠くて考えらんない。ま、いっか。

「梨華ちゃん。ごとー眠ります。」

「はいはい、もう勝手にして。」

呆れた顔してる梨華ちゃんにお皿を返却して、布団にくるまる。
梨華ちゃんのつけてる香水のいい匂い。
・・・それではしばらくお休みなさい。
17 名前:紅屋 投稿日:2003年06月23日(月)20時30分33秒
梨華ちゃん登場です。
何気に世話焼きさん。w

>>13 悠希さま
>なにげにシリアス系?!
どーなんでしょう?それは気分次第で。w
私めの駄文を読んでくれてありがとうございます。期待に添えるよう頑張ります。
18 名前:イイヒト 投稿日:2003年06月24日(火)21時32分53秒
カレーをもの凄い早さで食べて、現在眠りに急速潜航中のごっちんの顔はとってもおだやか。
さっき倒れてた時の顔と全然ちがう。


隣の家から何かが割れる音がして、駆けつけてみたらごっちんは床に倒れてた。
ウチの家族はちょうど出かけて留守だったし、私はびっくりしちゃって意味なくおろおろしてた。
だって死んじゃったと思ったんだもん。
でも、このまま放っておいたらもっと大変なことが起きる気がして、
自分を励ましながら窓を乗り越えた。
中に入って、部屋を見渡してみてびっくりした。

部屋には何もなかった。

点けっぱなしになってるテレビと、ソファーとテーブル以外なんにも。
ごっちんは今までこんなところで暮らしてたの?

テーブルの下に割れた丼があって、中の麺が飛び散ってた。
ああ、音の原因はこれだったのねとかその時だけ妙に冷静に考えてた。
うつぶせに倒れたまま動かないごっちんに駆け寄って、体をひっぱって起こした。

19 名前:イイヒト 投稿日:2003年06月24日(火)21時33分36秒

ごっちんの顔は真っ青だった。

20 名前:ブラッククロス 投稿日:2003年06月24日(火)21時33分45秒
はじめまして。
海板で不器用な心臓の記憶と言うのを書いております。
すごく設定が気になりました。
ごっちんがどうなっていくのかなぁ・・・。

更新期待してます。
21 名前:イイヒト 投稿日:2003年06月24日(火)21時44分29秒
その顔をみたらよく分からないけど急に悲しくなってきちゃって、涙がじんわり浮かんできた。
でも泣くより先にごっちんを助けなくちゃと思って我慢した。

その後のことはあんまり覚えてない。
ただ必死になって、ごっちんを背負ってウチに引きずっていったのだけ覚えてる。
よく考えたらウチに連れてかなくても、ごっちんの家で寝かせればよかったのに・・・。
やっぱり動転してたのね。
それにしても私にあんなに力があったなんて。こういうのを「火事場の馬鹿力」って言うのよね。
・・・・・・え、バカってなんか。やだぁ。

それでなんとかごっちんを自分のベッドに寝かせて。
早くごっちんが目覚めますようにって神様に祈りながらじっと見てた。
普段神様なんか信じてないけど、どうしたらいいか分かんなかったんだもん。
(その時はすっかり119を忘れてた。今考えると怖い)
だから、ごっちんが急に目をあけた時はほんとにびっくりして叫んじゃった。
声とか超裏返ってたし・・・。あれは恥ずかしかったなぁ。もぅ。

22 名前:イイヒト 投稿日:2003年06月24日(火)21時56分50秒
起きたごっちんは普段と全然変わんなくて。
それはもう、倒れてたのは何だったの?くらいの。

「ごっちん大丈夫?なんか凄い音したから、来て見たら倒れてるし。」

「あ、うん、平気。」

ごっちんはよく分からないって感じで頭をぽりぽりかいてた。
そしてそのあと急に真剣な表情になった。本人いわく「キリリごとー」なんだって。
倒れた直後だったし思わず私も正座とかしちゃった。

そしたら「お腹すいた」だって。
拍子ぬけもいいとこ。私の心配かえしてよ。
まぁそんな気持ちもカレー食べてるごっちん見てたら消えてったけど。


私のベッドを堂々を占領しているお隣りさんの顔をながめる。

「ごっちん、つらいことだったと思うけど、私で良かったらいつでも力になるから。」

だから、あんな顔しないで。


私の脳裏には倒れてたごっちんの顔がまだ焼き付いて離れない。


23 名前:紅屋 投稿日:2003年06月24日(火)22時02分02秒
謎多きごとーさんです。

>>20 ブラッククロスさま
うわーうわーvv読んで頂いて嬉しい限りです。ありがとうございます。
話はある程度考えてあるんですが。ちょっとずつ明かしていきたいです。
24 名前:悠希 投稿日:2003年06月26日(木)16時15分29秒
(O^〜^)<梨華ちゃん。頑張った。君は偉いYO!

>それにしても私にあんなに力があったなんて。こういうのを「火事場の馬鹿力」って言うのよね。
 ・・・・・・え、バカってなんか。やだぁ。
すみません。うけました。wなんか本当に言ってそうだな、と。w
>「ごっちん、つらいことだったと思うけど、私で良かったらいつでも力になるから。」
うわ!言ってもらいてー!!w・・・すみません。おバカなレスをしてしまって。。。w
次回の更新、期待してます。頑張ってください。
25 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月26日(木)20時08分03秒
>>24
ageないで、期待しちゃうから。
26 名前:キオク 投稿日:2003年06月27日(金)18時50分20秒

  夢をみた
27 名前:キオク 投稿日:2003年06月27日(金)19時28分41秒

あたしは家族と夏休みを利用して、引っ越す前のとこの墓参りに来ていた。
お盆とかぶってたせいもあって、親戚のおばさんもやって来て世間話で盛り上がった。
そのおばさんというのは独身を通してるカッコイイ人で、口癖でよく
「女は一人で生きていけるものよ」って話してたっけ。
あたしはそのおばさんにひそかに憧れていて、あたしも一生独身でいようとか決意したりして。
そのことを弟に話したら

「無理にきまってんじゃん」

て、言われた。
そいつはそのあと涙目で過ごすことになるんだけど、なんでかは秘密。

・・・・あたしのスクリューパンチをなめんなよ?
28 名前:キオク 投稿日:2003年06月27日(金)19時39分41秒
まぁそんなこんなで、久しぶりに会えたってことでバーべキューすることになった。
大勢で食べるのはお父さんが死んでずっとなかったから、あたしも家族も妙にはしゃいでた。
あたしはなんとなく小さい頃ってこんな感じだったのかなぁとか思ったりして。
来て良かった。そういうイイ感じ。

結局、何時間かして肉もあらかた食べ終えたのでお開きになった。
その日あたしは前の学校の友達んちへ遊びに行く約束をしてた。

(なんで、あたしはそんな約束してしまったのだろう)

帰り道。とちゅうの交差点まで一緒に行って、そこで皆と別れた。
夕日がきれいだった。

「あんまり遅くなって迷惑かけないでよ?」

お母さんはそういって手を振ってて、あたしも振り返した。
・・・・弟はシカトしやがった。あとで覚えとけ。

結局、その時はやってこなかったわけなんだけど。

29 名前:キオク 投稿日:2003年06月27日(金)19時40分53秒

  場面は突然かわる
30 名前:キオク 投稿日:2003年06月27日(金)19時56分20秒

「真希ちゃんほんとに平気?やっぱりこっちに来ておばさんと一緒に暮らそう?ね?」

「ううん。やっぱりここで暮らす。やっぱり住みなれたとこがいいじゃん?高校も楽しくなってきたし。」

まぁ、その高校はやめてしまったけど。

「でも、女の子ひとりが住むような所じゃないでしょ?」

「平気。いざとなったらお隣りさんだっているし。おばさんだって独りがラクでしょ?
 それと同じだよ。あたしも独り暮ししてみたかったし。」

「それとこれとは・・・」

「それにさ、いろいろ考えたいこともあるし。・・・・お願いします」

「・・・・分かったわ。でも何かあったらすぐに電話をちょうだい。
 もし問題がおこったら、その時はおばさんと暮らすのよ?いいわね?」

「ありがとう」

「じゃあ石川さん。本当にすみませんがこの子のことよろしくお願いします。」

「はい、ご心配なく。」

なんだこれ?
あたしこんなこと話した覚えない。
皆があたしを心配そうに見てる。
あたしはうつむいてる。
泣いてるの?


あたしのなかで何かが音を立てて崩れた。


31 名前:紅屋 投稿日:2003年06月27日(金)20時06分46秒
短い・・・(汗)
ああっ怒らないでっ!w

レス大感謝です。

>>24 悠希さま
>うわ!言ってもらいてー!!
私でよければいくらでも(え
毎回レスありがとうです。励みです。とりあえず毎日更新めざします。

>>25 名無しさま
期待だなんてそんな(照
読んでくださるあなたのためにも頑張ります!
32 名前:ブラッククロス 投稿日:2003年06月27日(金)20時11分23秒
更新乙です。
またリアルタイム更新に遭遇しました。w
ますます謎な( ´ Д `)さんですなぁ。

次回も楽しみにしております。
33 名前:キオク 投稿日:2003年06月28日(土)23時16分43秒
あたしはこの5日間何をしてた?
毎日ラーメン食べてた。これは覚えてる。
ソファー、プロペラみたいなの、テレビ、断片的な記憶のカタマリ。

あれ?それから?それからどうした?
思い出せない。
そう言えばお母さんは?弟は?いないことに何で気づかなかった?
っていうかあたしの家族は今どこで何してるの?

次々浮かんでくる、今まで気にも留めなかった気にしなければおかしいこと。

頭の中が疑問でいっぱいになる。すかすかの隙間が埋まっていく。
さっきまでの景色は消えて、体がぐるぐる回ってる。
吐き気がする。苦しい。これは夢?それとも現実?
テープを巻き戻すように、記憶がフラッシュバックする。
34 名前:キオク 投稿日:2003年06月28日(土)23時22分22秒
『ただいまー。あは、遅くなっちゃったよ。お母さーん?ユウキー?』

  イヤダ

『うわっ!・・・なんだよぉ。誰?水こぼしたの。転んじゃったじゃん』

  ヤメロ

『え・・・な、にこれ』

  オモイダスナ

『もしかして・・・・血?』

周りを見渡すと、少し離れたところに人形が倒れてた。
35 名前:キオク 投稿日:2003年06月28日(土)23時34分32秒
うん、そうだ。これは人形だ。
その人形はやけに弟に似ていたけど。でもそれは弟じゃない。
だってあたしの弟はこの人形みたいに色白じゃないし、こんな風にじっとしてたことなんてない。
これは弟なんかじゃないっ!! 

あたしは自分をに落ち着かせてた。無理な理由探しに必死だった。
これはなんかの間違いだ。そうに決まってる。なにかの拍子にペンキの缶でもこぼしたんだ。
そうだよ、それ以外の何があるっていうの。
だってさっき交差点であんな楽しそうに


  物音がした


36 名前:キオク 投稿日:2003年06月28日(土)23時51分10秒
『誰っ!?お母さん!?』

出てきたのはお母さんじゃなかった。
そいつはあたしのことをじっと見てた。何も言わないで。しゃべらないで。
その瞳は不思議な光をうつしていた。少なくともあたしからは普通に見えた。
誰だコイツ。コイツがこんなことしたの?一体なんで?
人んちに人形転がして、床に赤ペンキぶちまけて。すごい迷惑。

(違う。あれは人形じゃないし、赤いのはペンキじゃない。そんなのわかってる)

でもあたしの精神はそれを理解してくれなかった。
あたしは今何を考えてる?
脳の処理判断が全然追いついてくれない。体は酸素を求めて喘いでる。
もうメチャクチャだ。何がなんだかわからない。誰か助けてよ。

『あなたのお母さんは、思ったより固かった。』

混乱してるあたしにそいつは突然話しかけた。そして真っ赤に濡れたノコギリを手渡した。
そう、手渡したんだ。逃げもしないで。ひどくあっさり。

あたしがそのノコギリに無意識に目をやると、長い髪の毛がが数本張り付いてた。
コイツはお母さんが固いと言った。この髪は・・・・お母さんの?




37 名前:キオク 投稿日:2003年06月28日(土)23時54分26秒
今目の前にいるコイツが、あたしの家族を殺した?



あたしの家族は コ ロ サ レ タ



「うわああぁぁぁっぁあああっ!!!」


38 名前:紅屋 投稿日:2003年06月29日(日)00時03分16秒
最初はもっとひどい描写だったんですが・・・。
それではageられないことに気づいたのでこうなりました。
多分こういう場面はもうないと思います。なんかいやです。
( T▽T)<ごっちんがかわいそう
私もそう思います。ハイ。

>>32 ブラッククロスさま
またリアルタイムとは・・・。これはもう運命ですね(え
ごとーさんの謎がだいぶ明かされました。
ごとーさんのこの記憶は最後まで引っ張るつもりです。

39 名前:ブラッククロス 投稿日:2003年06月29日(日)00時29分19秒
更新乙です。
またもやリアル更新に・・・
生活リズムが一緒なんでしょうか?(w
リアルだと続きがいつもより気になりますねぇ。
特にこんな感じの場面は・・・
ドキドキしますた。
次回も期待しております。
40 名前:キオク 投稿日:2003年06月30日(月)17時55分47秒
飛び起きた。
自分の叫び声で無理やり現実に引き戻された。
助かったような、もう少し見ていたかったような複雑な気分。
どっちにせよ気分は最悪だ。
心臓はこれ以上ないってくらいドキドキしてるし、情けないけど体は震えてる。
あたしは自分で自分の体を抱きしめた。

「・・・なんだよぉー、マジで勘弁してよ。」

どうにかこの状況から抜け出したくて声を出してみたけど、それは空回りしてるだけで全然意味がない。
だけどあたしはしゃべり続けた。傍からみたら絶対ヤバイ人だ。でもそんなの今はどうでもいい。
梨華ちゃんは出かけてるみたいで、部屋にはあたし一人だった。
不安だった。

「なんであんな変な夢みるかなー。あたしって実は情緒不安定?!」
「そりゃあ親にムカついて、死ねと思ったことがないわけじゃないけどさ。」
「リアルすぎじゃん?あ、もしかして貴重な体験なのかな、これ。」
「・・・んなわけないか。あーあ梨華ちゃん早く帰ってこないかなぁ。」
「・・・・・・」

しゃべることをやめるとまたあの夢がよみがえってくる気がして、両腕を抱きしめる手に力が入った。
やばい。なんか怖い。



41 名前:キオク 投稿日:2003年06月30日(月)18時15分23秒

「ただいま〜♪ごっちんまだ起きれないなら私のビューティボイスでやさしく・・・」

そんなんだったから梨華ちゃんが帰ってきたときには限界で。
いつも以上にハイテンションの梨華ちゃんにつっこむ暇もなく抱きついてた。
梨華ちゃんは突然のことにびっくりしたみたいで一瞬固まったけど、その後ぎゅっと抱きしめ返してくれた。
梨華ちゃんは暖かくて、いい匂いがして、すごく安心した。

「どうしたの?まさか怖い夢でも見ちゃったとか?」

その声はからかってる調子だったけど、あたしはただうなずいてた。
あたしの意外な反応に梨華ちゃんはただ事じゃないと思ったみたい。
だっていつもなら「石川サンの愛を感じたいの〜」とか言ってるんだから当たり前か。

「大丈夫だよぉ。私がいるからね。もう大丈夫。安心して。ね?」

梨華ちゃんの高いけど優しいその声に、自分がだんだん落ち着いてくのがわかった。

「・・・・ありがと。あは、そうなんだー。ちょっと怖い夢みちゃってさ。」


42 名前:キオク 投稿日:2003年06月30日(月)18時25分00秒
震えが止まったのを確認してから体を離して、にへっと笑う。
あたしのこの笑い方を見ると、梨華ちゃんいわく力が抜けるんだそうだ。
もう大丈夫っていうあたしなりのアピール。梨華ちゃんばっかに迷惑かけてらんないもんね。

でも梨華ちゃんはそれもみても心配そうな顔してた。
あたしはその表情をみたらつい夢の内容を話してしまった。
梨華ちゃんを安心させようと思って。
・・・・いや違う。

「あのさ、その夢ってのがさー。」

あたしは否定して欲しかったんだ。

「でさ、なんかやけにリアルなんだよぉ。本当に見ましたって感じ?」

梨華ちゃんに笑って言って欲しかったんだ。

「もうごとーびっくりしちゃって。夢で飛び起きたのはじめてだし。」

それはただの夢だから大丈夫だよって

「・・・梨華ちゃん?」

なのに

梨華ちゃんの顔がさっきより白いのはあたしの気のせいだろうか?
43 名前:紅屋 投稿日:2003年06月30日(月)18時35分36秒
毎回更新量少なくて申し訳。
ごとーさんがかわいそうで申し訳。
文章読みづらくて申し(ry

反省点いっぱいの紅屋でございやす。←誰?

>>39 ブラッククロスさま
うわぁおvvまたまたリアルタイムとは!
いやあこれは前世からの因縁があるのでは!?

( ´ Д`)<・・・いや、ないから

そうですね(笑)
44 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月02日(水)02時56分22秒
面白いです。続きが楽しみ!
更新頑張って下さい。
45 名前:キオク 投稿日:2003年07月05日(土)12時34分02秒
本当はあたしだって分かってる。
でもそこを笑って否定するのが友達思いってやつでしょ?お願いだよ。

「梨華ちゃん?」

あたしがもう一度呼ぶと、スイッチが入ったロボットみたいにあたふたするお隣りさん。
いつもならそんな姿に爆笑するけど、青白い顔のままでされちゃ笑えない。
なんでそこまで考えてることが顔にでるかなぁ。

梨華ちゃんは今にも泣きそうだ。何も悪いことしてないのにね。あたしがいじめてるみたいじゃん。
その凄い狼狽ぶりを見てるともっといじめたくなっちゃうよ。あたしってサドかも。
頭のすみっこでなんとなく考えてみたり。

「ごとーの夢がそんなに怖かったのかなー?」
「お姉さんぶるくせに、こういうのは怖がりなんだからねー。」

ふざけた調子でからかってみる。反応なし。
・・・なんだよぉ。ノリ悪いなぁ。

嫌な空気が流れる。
聞こえてくる時計の秒針。


カチ カチ カチ カチ カチ





「・・・・・・」
「・・・・・・」





カチ カチ カチ カチ カチ




46 名前:キオク 投稿日:2003年07月05日(土)12時54分26秒
先に根負けしたのはあたしの方。
まずいことが起きると先に根を上げるのは決まってあたし。
でも、今回くらい譲ってくれてもいいんじゃないの?

ため息ひとつ。

「あー、もう言っちゃてよ。梨華ちゃんの口から全部。話してよホントのこと。」

ついさっきまで否定して欲しいと思ってたのに、こうなってくると話して欲しいと思う。
真実を受け入れる覚悟を決めたくせに、心のどこかではまだ違う答えを望んでる。
矛盾だらけの情けないあたし。

「・・・あのね」

梨華ちゃんが話してくれたことは、そりゃー夢のことと一致してるわけで。
家族が殺されたこと。犯人がさっき捕まったこと。
あたしが今一戸建てに優雅に一人で住んでること。石川家が面倒見てること。などなど

話によるとあたしはこの何日か記憶を失ってたらしい。部分的にだけど。
部分的っていうのは都合の悪いこと。つまりあの夢の内容。
カウンセラーの人が言うには、衝撃的な場面に出くわして精神が一時的な自己防衛に走ったんだとか。
高校は療養という名目で辞めてしまったらしい。たぶん自暴自棄になってたからだろう。
悪い言い方をすればあたしは逃げてたんだ。仕方ないとは思うけどね。


47 名前:キオク 投稿日:2003年07月05日(土)13時07分28秒
でも記憶は戻ってきてしまった。
あたしはもう逃げられない。この事実を受け止めるしかない。
家族が殺されたという事実を。

体がこんなに震えてる。

今ここで、目の前で泣いてる梨華ちゃんをなじって、突き飛ばして、マンガみたいに外に飛び出そうか。
しばらくしたらきっと梨華ちゃんはあたしを見つけだして、家に連れて帰ってくれるだろう。
家に帰ったらあたしは泣きついて悲しみをぶちまける。それでいちおう落ちついて一件落着。
そんなことができたらどれだけ楽だろう。どれだけ救われるか。
・・・でも、あたしはしない。

「ごっちん?」

 私は強い

「泣いて、るの?」

でも今だけは

今だけは泣かせてください。


家族が死んで五日。あたしは事実を受け入れた。


48 名前:紅屋 投稿日:2003年07月05日(土)13時14分29秒
今テスト期間でして間があいてしまいました。

>>44 名無しさま
来てくださってありがとうございますぅ
( T▽T)<嬉しくて涙が・・・
お互いにがんばりましょう!
49 名前:名無し( `.∀´) 投稿日:2003年07月06日(日)20時52分43秒
何だか引き込まれる展開です。
好きな世界観かも。
がんがってください。
50 名前:バイト 投稿日:2003年07月06日(日)21時24分26秒

むく ごしごし ふわぁ〜

朝です。ごとーさん起床しました。なんだか少しだけいつもと違う朝。
よく眠るとやる気がでるらしい。これぞまさしくやる気It’s easy!
・・・・・・テンション高。

結局昨日は梨華ちゃんの腕のなかで泣いた。
涙腺があるとしたらそれは完璧に壊れてたと思えるほど泣いた。
しょっぱい水がボタボタ流れて服がべとべとになったけど、それはでもどこか気持ち良くて。
頭で無意識に我慢してたものが消化されていくような安心感があった。
泣いたとき独特のぼーっとする感覚を心地よく受けながら、そこでやっと眠ったんだ。
そうでした、そうでした。

正直いってまだ全てを整理して受け取ったわけじゃない。っていうか無理。
だから今は家族の死を受け入れられただけですごいと思う。
あたしはこれからもっと強くならなきゃいけない。
いつまでも傷を引きずっておばさんや石川さんちに迷惑かけちゃいけないんだ。
そのためにも頑張ろう。うん。

  
51 名前:バイト 投稿日:2003年07月06日(日)21時45分05秒
「あのもう夜なんだけど」

「あれ?梨華ちゃんいたの?」

「いたの?ってここは私の部屋だよ。」

あ、そっか。あのまま寝たってことはここは梨華ちゃん家だ。
昨日あんなことがあったのに、あえて普段と同じ態度で接してくれるのが嬉しい。
あたしは心の中でお礼を言った。
服のセンスは置いといて最高の友達だよ。
・・・・それにしても

「『いたの?』ってそれごとーのマネ?言っとくけど似てないよ。」

「ち、ちがうもん。マネしたわけじゃないからね。」

お、焦ってる焦ってる。おもしろい。

「それにしてもごっちん寝すぎっ!一日寝てたじゃん。私ソファーで寝たんだからね。」

「あ、ごめんねぇ。ここ何日かちゃんと寝てなかったから、つい。」

あたしが何気なく言った一言に、梨華ちゃんは悲しそうな顔になった。
たぶん事件のことを知ってて言わなかったことに負い目を感じてるんだろう。
梨華ちゃんは悪い方向に考えすぎだよ。
でも、心配してくれることは嬉しい。

「大丈夫だってば。ごとーは梨華ちゃんが思うより強いんですぞ?」
「なんかあったらまた胸かしてよ。ね?」

あたしがそう言うと梨華ちゃんは笑ってくれた。




52 名前:バイト 投稿日:2003年07月06日(日)22時27分44秒
結局一日梨華ちゃん家にいたまま夕食までいただくあたし。
ちなみにメニューはカレー(昨日の残り)だ。何度食べてもこれは飽きないねぇ。

「ところでごっちん。これからどうするの?」

「んぁ?これからって?」

「高校のこととか、住む所とか。」

事件があって、あたしは全てのことから逃げた。
高校は前もいったけど辞めてしまったし、おばさんと住むことも、現場に近い
そこは事件を思い出したくなくて避けていた。
まぁ家のローンは父親の生命保険でなんとかなってたから大丈夫なんだけど。
とりあえずこれから考えないといけないのはお金だ。

「やっぱり大学には行ったほうがいいよ?就職も今は難しいし」

「・・・・決めた!ごとーバイトする。」

「ええっ!今大学行った方がいいって言ったとこじゃん。」

梨華ちゃんの忠告はありがたいけど、これからの生活を考えるならお金はやっぱり大切だ。

「梨華ちゃん、ごとー頑張るよ!」

「もー、知らないんだから。」

あたしの生活は始まったばかりだ。
53 名前:紅屋 投稿日:2003年07月06日(日)22時35分29秒
実は更新途中お風呂いってました(爆
( ´ Д`)<アホだね
そうですw

>>49 名無し( `.∀´)さま
引き込まれるとは嬉しいお言葉!
なんですかねー、( `.∀´)のAAを見ると緊張するのは私だけですかね。
どうか見捨てないでやってください。
54 名前:44 投稿日:2003年07月08日(火)23時04分08秒
来ちゃいました。読んでみて面白かったので、レスまでして仕舞いました(笑)。
今回は何だかほのぼのですね。此れからの展開が読めなくて楽しみ!
うい、お互い頑張りましょうね^^
55 名前: 投稿日:2003年07月09日(水)18時35分01秒
はじめまして、なんか惹かれる内容ですね。
読んでて痛かったですけどこれから楽しみです。
梨華ちゃんとの関係はこれから変わってくるのかな?
56 名前:バイト 投稿日:2003年07月10日(木)00時17分56秒
開け放した窓から生暖かい風が吹いてくるお昼どき。
ソファーに寝そべって妙にベトつくシャツをパタパタする。
クーラーはあるけどつけたくないんだよね。節電したほうがいいと思うし。
あたしってなかなか頭いい。

「うう〜、あちぃ・・・。」

――――やっぱちょっとキツイかも・・・

あたしは何してるかって言うと、雑誌の求人欄を見てる。
コンビニでいいかとも思ったんだけど、せっかく一日空いてる訳だしもっと楽しそうなとこにしたいじゃん。
でも現実はやっぱり厳しい。

「お、これ楽しそう。・・・だめだ、18才以上か。」

あたしは今17。もうちょっとで誕生日だけどそれまで待つのはやや長い。
どうしよっかなー、ごまかすか。でもずっとやってくと考えると気が引けるなぁ。

こう見えてあたしは結構マジメな子だったりする。
高校行ってた時は一度も休んだことないし、授業にもちゃんと出てた。
・・・・遅刻の常習だったり授業中寝たりはしたけどね。
  
57 名前:バイト 投稿日:2003年07月10日(木)00時35分31秒
梨華ちゃんは大学を進めてたけど、やっぱりお金が気になるし勉強がしんどいってのもちょっとあったりして。
とりあえず今は働いて、あたしはできるんだぞーというのを感じたかったりする。

「うーん。どうしたもんだかねぇ。」

そんな具合でゴロゴロし始めて1時間。
あたしはまだ悩んでいた。


「ごっちん、何してるの?」

「おぉ、梨華ちゃん。」

最近梨華ちゃんは玄関じゃなくて窓の方からあたしの様子を見にくる。
なんで窓なのって聞いたら、いざと言う時に便利なのって笑顔で言われた。
あたしが倒れたのをまだ気にしてるのかもしれない。
でも、なんで笑顔?

「なんかいい感じの所が見つかんなくてさ。」

「もぉ、だからバイトなんかしないで勉強したほうがいいって・・・」

「なになに?ごっちんバイトすんの?」

「あ、やぐっつぁん。」

梨華ちゃんの長くなりそうな話を遮って、下からひょこっと顔を出したのは矢口真里ちゃん。
ここにはちょくちょく遊びにくる梨華ちゃんの先輩。
近頃のマイブームは石川イジメなんだそうな。梨華ちゃんかわいそうに・・・。

58 名前:バイト 投稿日:2003年07月10日(木)00時48分54秒
「あは、ごめん。ちっちゃくて気づかなかったよ。」

「なんだよ!どうせちっちゃいですぅ。」

「まぁまぁ、だから矢口さんは可愛いんじゃないですか。」

「なに石川。それどーいう意味だっ。」

「あ、いや、その。」

当然のように梨華ちゃんをいじめるやぐっつぁん。
いつものことだけどコントだよなぁ。ホント。
せっかく褒めたのに・・・とちょいブルーになった梨華ちゃんを見て思う。

「で、今日はどうしたの?やぐっつぁん。」

「ん?別に用はないんだけどさ。暑中見舞いだ、暑中見舞い!」

「ふーん。」

「反応うっすいなー。ま、いいや。ちょっと上がらしてよ。」

「あ、はいはい。」

玄関の鍵をあけて二人を中に入れる。

「暑っ!外より暑いじゃん。クーラー入ってんの?」

「あー、自然のことを考えてね。うん。」

「だめだー、我慢できない。クーラー付けていい?」

聞く前から付けてるし。
せっかく言い訳までしたのに。あたしの節電計画が・・・。
まぁ、でも正直キツかったしいいか。付けたのはあたしじゃなくてやぐっつぁんだしね。


59 名前:バイト 投稿日:2003年07月10日(木)01時03分48秒
部屋に入ろうとしたら、ドアのところでやぐっつぁんが固まってる。
どうしたんだろ?

「ごっちん、何だコレ。」

「んぁ?何って部屋だけど。」

「いや部屋じゃないだろ!なんもないじゃん。家具とかどうしたの!?」

「あー、捨てたみたい。」

「は?」

梨華ちゃんに言われて気づいたんだけど、情緒不安定だった時のあたしは家族のことを
無意識の内に忘れたかったみたいで、家にある物を片っ端から捨てたみたいだった。
今になってなんとなくその気持ちはわかるんだけど、怖いことしてたんだなぁ。
それでもテーブルだけ残ってるのは、どこかで忘れたくないと思ってたからかもしれないね。

「んー、まぁいろいろあったのさ。」

「・・・そっか。ま、こんだけ広い部屋ってのも中々ないしこれはこれで有りかもな。」

「ええー?でもやっぱりちょっと変じゃないですかぁ?」

「オイラにすればお前の部屋の方がおかしいんだよ!」

「ひどい・・・。すっごく可愛いじゃないですか!」

「あはは。」
60 名前:バイト 投稿日:2003年07月10日(木)01時16分27秒
さりげなく気を使う二人の優しさが伝わってきて暖かかった。
しばらく3人で笑った。

「でも石川の言うこともわかるな。」

「でしょ?」

やぐっつぁんは何か考えてるみたいだ。

「・・・よしっ、ごっちん買い物いこう。」

「買い物?」

「そ、とにかくこんなんじゃ暮らしてけないだろ?」

「でもお金とかないし・・・。」

「大丈夫だって。オイラを誰だと思ってんだ!ほら行くぞっ。」

「えぇっ!?」

こうしてやたらと自信ありげなやぐっつぁんに引っ張られて突然買い物に行くことになった。
61 名前:紅屋 投稿日:2003年07月10日(木)01時26分21秒
矢口さん登場です。

>>54 44さま
来てくださっただけでなくレスまで・・・。
イイヒトだなぁ(しみじみ)本当に元気がでます!嬉しいです。
お互い頑張って参りましょう

>>55 @さま
梨華ちゃんとの関係ですかー。ちなみに恋愛系は全く自信ないんですよ(汗
CPがあるとするなら1つだけ確定してます。
もちろんメインではありません(キッパリ)w
62 名前:バイト 投稿日:2003年07月15日(火)21時36分30秒
やぐっつぁんが言うには、この近くにおすすめの店があるらしい。
すぐそこらしいので歩いていくことになった。

道を二人はスタスタ歩く。あたしはだらーっと腕を下げて歩く。ちょっと眠い。
なんとなく後ろに下がって、しゃべっている二人を眺める形でそのままぶらぶら歩き。
せっかくなので観察する。

ちっちゃくて金髪がよく似合うやぐっつぁん。
いつも可愛い服を着てちょー女の子してる梨華ちゃん。
こうやって見ると絵になるなぁ。
一人で納得してやたら頷く。
あたしが男だったら絶対ほっとかないでしょ、そうでしょー。とオヤジな発想をしてみたり。

「ん?どしたごっちん。」

「いやぁ、こんな美人な友達がいてごとーは幸せもんだと思ってさ。」

正直な感想を正直に顔に出してみる。どっかの会社のヤらしい課長さん笑い。
あたしのニマニマ笑顔にやぐっつぁんは・・・・・・あっ、引いてる。

「やだぁ、ごっちん。そんな美人だなんて♪」

「お前アホか。」

梨華ちゃんは喜んでるみたい。
就職したらセクハラされないか心配だ。
63 名前:バイト 投稿日:2003年07月15日(火)21時50分28秒
「でも、二人共暇だね。せっかくの休日なのに。」

そう言った途端前の二人の肩がピクって動いた。
え?なんか変なこと言った?
突然止まってこっちに振り返ってくる。視線が微妙に痛い。

「なっ!どうせオイラは彼氏いねーよ。バカー!」
「わ、私は矢口さんやごっちんといる方が楽しいもん。」

同時に言って動揺しまくり。顔に出すぎだ。
うんうん寂しいんだね。わかるわかる。
それにしても反応正反対。なのになんでこんなに仲良いんだろう。
あたしはやぐっつぁんに引きずられながらそう思った。

「あのー、紹介してあげよっか?」

「余計なお世話だよっ」

引っ張る力が強くなる。
親切なのに。思いやりなのに。
―――――言わなきゃ良かった。

「痛い痛い。引っ張りすぎだってば。」

「たまにはごっちんも痛い目見ろ。」

口は災いの元。あたしは今日このことわざの意味を痛感した。
64 名前:バイト 投稿日:2003年07月15日(火)21時51分23秒
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
65 名前:バイト 投稿日:2003年07月15日(火)21時57分16秒
やぐっつぁんおすすめの店というのはリサイクルショップだった。
あんまり大きな建物じゃないけど、薄いグリーンで統一された壁がおしゃれだ。
壁には手作りっぽい看板がかかってて『リサイクルSHOP KAGO』と書いてある。
入り口には観葉植物が置いてあって、これはお店の趣味なんだろう。
なんというか雰囲気のいい、感じのいいお店だった。

お店に入ると、ドアの飾りがカラカラ鳴った。
いいなぁなんかこういうの。とか思ってたら

「いらっしゃいませ!」

目の前に背の小さい女の子が立っていた。
66 名前:紅屋 投稿日:2003年07月15日(火)22時01分05秒
量少なくて申し訳。
実は落雷でデータ飛びました。まじビビリでした。
67 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月16日(水)20時45分33秒
読ませて頂きました。
すごく気になる作品です。
落雷に負けずに頑張ってください。
68 名前:バイト 投稿日:2003年07月20日(日)23時28分51秒
うわー、小さいな。
それがあたしがその子を見た第一印象。
たぶん学校帰りなんだろう、紺の制服に壁の色と同じグリーンのエプロンを付けてる。
(このお店は本当にグリーンが多い。それが似合ってるからまたいいんだけど)
頭はちょっと茶色がかった髪を1コのお団子にして、熊のピンでとめてある。
店員さんなんだろうか?だったらやけに可愛い店員さんだ。

それにしての小さいなぁ。やぐっつぁんとタメ張るくらい小さい。
でも年でならやぐっつぁんの方がきっと上だ。だって見るからにこの子中学生っぽいし。
やぐっつぁんが聞いたら、また腕を引っ張られそうなことをぼんやり考える。

「あの、お客さん?」

何も言わないでじっと見られてることに戸惑ったのか、声をかけられた。
その声からはあたしを不審がってる様子が伝わってくる。
当たり前だよな、それは。あたしだって怪しいと思うし。
何か言わないと。

「あ、えーと中学生?」
「はい?」

・・・・・・しまった。焦って思ってることをそのまま口に出してた。これじゃナンパじゃん。
小さい店員さんの目が、なんだこの人と言ってる気がする。まずい。


69 名前:バイト 投稿日:2003年07月20日(日)23時42分38秒
あたしはどうしたらいいか分からなくて固まってしまった。
やっぱり初対面の人と話すのは苦手だ。
服を買いに行くときも、なんでかよく店の人に声かけられるけど上手く避けてるのに。
こんな場面じゃ逃げられもできない。
ていうか第一何買うかもよく決めてなかったじゃん。こうなったのもやぐっつぁんのせいだ。
あたしがやぐっつぁんに逆恨みしていると

「よっ!加護。元気してるか?」

その張本人があたしの後ろから顔を出した。

「あ、矢口さん。なんだ、お客さん矢口さんのお友達ですか。」

やぐっつぁんの顔を見た途端、その子は笑顔になった。
よく分からないけどやぐっつぁんとその子は知り合いみたいだ。
やぐっつぁんお勧めの店だから、知ってて不思議じゃないか。でもなんか悔しい。
さっきまで不審そうな顔してたのにやぐっつぁんが来たら笑顔になったし。
・・・あたしが悪いんだけどね。
どっちにしても助かった。変にかいた汗をぬぐう。
70 名前:バイト 投稿日:2003年07月20日(日)23時53分42秒
そのまま二人は何か話しながら店の奥に入っていった。
梨華ちゃんが笑いながら近づいてくる

「ごっちん、今緊張してたでしょ?」
「うん。焦った。やっぱごとー緊張してるのわかる?」
「んー、いつもと同じだったけど。なんとなくね。」

自分では自覚してないけど、普段のあたしはびっくりするほど表情が無いらしい。
それに人と話すのが苦手なもんで高校では友達がほとんどいなかったっけ。
昔のことだ。今は梨華ちゃんややぐっつぁんもいるし。
でも実際、梨華ちゃんもあたしと初めて会ったときは話かけづらかったんだそう。
毎回不機嫌そうに返事するあたしに、一人で落ち込んだりしてたんだって。
まぁ、もともと世話好きだったから無理やり仲良くなっちゃったけど。と梨華ちゃんは言った。

71 名前:バイト 投稿日:2003年07月21日(月)00時04分08秒
そんなにあたしって近寄りがたいかなぁ。あの子のことも怖がらせたかも。
近くにあった売り物の鏡に向かって、自分の顔をむにっと引っ張ってみる。
そこに映ったのはただ無表情にこっちを見てるあたし。
・・・・・・変な顔。


そのまま入り口のところで梨華ちゃんとしゃべっていると、二人が戻ってきた。
手にいろいろ抱えている。

「お待たせしまして。矢口さんから聞きました。家具お探しなんですよね?」
「あ、うん。」

さっきのことを考えて、笑顔で答えようとしたけど引きつった感じになってしまった。
周りの反応からみてやらない方がよさそう。
慣れないことはするもんじゃないね。

「まだ親が帰ってないんで、それまでカタログ見て待ってて下さい。」

そういって持ってきたカタログらしいものをドンと机に置く。
結構量があるなぁ。
72 名前:バイト 投稿日:2003年07月21日(月)00時13分07秒
「矢口さんのお友達ということでサービスしちゃいます。」
「うわ、すごい。カタログなんてあるんだ。」

梨華ちゃんはこういうのが好きみたいで、なんだか楽しそう。
早速一冊とってパラパラめくってる。中のキレイに表示された写真と値段が見えた。
それにしてもリサイクルショップでカタログって珍しいな。

「うちの店はお客様第一に考えてますから。他の店とは一味違いますよ?」

予想してた反応だったのか、小さい店員さんはニマっと笑った。
あたしに対して初めて笑ってくれたので嬉しくなる。

「じゃ、ゆっくり選んで下さい。」

そう言うと店員さんは奥に戻って行った。
73 名前:バイト 投稿日:2003年07月21日(月)00時23分15秒
「若いですねあの子。ほんとに店員さんなんですか?」
「あいつの親がこの店の店長してるんだよ。で、あいつもこうして手伝ってるワケ。
 どっちかっていうとオヤジさんよりあいつの方が商売上手だったりするんだよ。
 このカタログのアイデアもあいつが考えたらしいし。」
「へぇ、すごいですね。」

かわいいデザインでまとめられたカタログに目を通してみる。
これをあの子が作ったのか・・・。すごいなぁ。
素直に感心。

「でも矢口さん、なんでここのお店の人と知り合いなんですか?」
「ふふふ、オイラの人脈をなめんなよ。ま、ここのオヤジさんとはいい友達なんだよ。」

一体どんな友達かはあえて聞かないで、でもやぐっつぁんには感謝。
ここならいい買い物ができそうな気がしてきた。
店に流れるBGMを聞きながらあたしは本格的に何を買うか考え出した。

74 名前:バイト 投稿日:2003年07月21日(月)00時25分01秒
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
75 名前:バイト 投稿日:2003年07月21日(月)00時33分49秒
カタログを見ながら三人で騒いで、大体決まったころ。
―――――あたしと梨華ちゃんが珍しく対立していた。

「ごっちん、こっちの方がいいって。」
「ええー、でもこれの方が良くない?」
「いや、絶対こっちよ。」

こういうときの梨華ちゃんはやたらと頑固だ。
前にラーメンの塩と醤油どっちがおいしいかで喧嘩したときもそうだった。
あたしは塩バターが一番だって言ってるのに、醤油だと行って譲らなかったっけ。
この時ばかりはあたしもラーメン好きとして譲らなかったから、しばらく話さなかったな。

今考えてもアホらしすぎる・・・。
っていうか、これってあたしの家具決めてるんだよね?
困ったな。

「決まりました?」

さっきの店員さんがやってきた。
76 名前:バイト 投稿日:2003年07月21日(月)00時46分22秒
「今、これとこれのどっちがいいかで迷ってるんです。店員さん的にどっちがいいでしょう?」
「うーん。どっちもいい物ですけど・・・。こちらの商品は売れちゃいました。
 スイマセン。」
「えぇー!そんなぁ。」
「はいはい、石川残念でしたーっ。」

梨華はがっかりしてる。そんなに落ち込まないでも。


店長さんが戻ってきたらしいので、選んだ商品を見に行くことになった。
梨華はまだうなだれてる。よっぽど気に入ってたみたい。
やぐっつぁんはそんな梨華ちゃんに突っ込んでる。
それを横目で見ながら、あたしは店員さんに声をかけた。

「ごめんね。梨華ちゃんが迷惑かけて。」
「いえ、いいですよ。・・・・・実はさっき言ってた商品売れてなかったりするんですよ。」
「え?」
「いや、お客さんは別のがいいみたいだったから。」
「あー、見てたんだ。ありがとね。えーと・・・加護ちゃん?」
「下の名前は亜依っていいます。うちの店はお客様第一。またごひいきに♪」
77 名前:バイト 投稿日:2003年07月21日(月)00時52分02秒
中学生にしか見えない女の子の商売人ぶりに、やぐっつぁんの言ってることがよくわかった。
唖然としてるあたしに加護ちゃんはウインクして

「それと、ウチ一応高校生なんで。」

そう言って、店の奥に歩いてく背中はやけにかっこよくて。
思わず、すげぇとつぶやいてしまった。


もちろん、帰り際にバイト募集のポスターを見つけたあたしが雇ってもらえるよう
店長に頼みこんだのは言うまでも無いね。
78 名前:紅屋 投稿日:2003年07月21日(月)00時58分11秒
会話文の行間やめました。ちょっとは読みやすいでしょうか?

>>67 名無しさま
こんな駄文を気にかけてくださって・・・
( ^▽^)<梨華嬉しい!
紅屋も嬉しいw
79 名前:紅屋 投稿日:2003年07月21日(月)01時03分14秒
文章間違いがえらく気になったので・・・

>>75
醤油だと行って→醤油だと言って

>>76
梨華は→梨華ちゃんは

75はともかく梨華って・・・。
(〜^◇^)<呼び捨てかよっ
やばいな自分。
80 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月21日(月)18時36分39秒
あたしの家族を殺した犯人が捕まってから一週間。
その間テレビや新聞では

“現代の平和に潜む狂気!!”
“静かな田舎町でおきた恐怖の惨劇!!”

みたいな読んでる人の恐怖心をかきたてるタイトルで、取りざたされたみたい。
一時期なんかテレビをつける度にそれしか放送されなくて驚いた。
結構特集なんかも組まれて放送されてたみたい。
ま、見てないから知らないけどさ。

ニュースでは家族の写真とかは出なかったけど、おばさんちの近くの公園とかが
ブラウン管に写ってて、それを自宅で見るのは何か変な感じだった。

本当にあったのかな?みたいな。
自分が本当にこの事件に関係してるなんて信じられないよなぁって。
でも、人のいないガランとした家がそれを証明してるんだよね・・・。
最近は慣れてきたけど、やっぱり寂しいね。
つらいのは嫌いだからなるべく思い出さないように努力している。

81 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月21日(月)18時50分01秒
オカシイ事件が増えてる今日この頃。そしてタイムリーな殺人事件。
これに飛びついたマスコミが、被害者のあたしの家に押しかけてもう大変・・・
―――――では実はなかったりする。

事件が起こった直後のあたしは話せる状態じゃなかったし、
いろんなことを考慮して警察はあたしが事件現場にいたことを公表してないらしい。
おかげさまでマスコミの目から少し逃れることができたわけだ。
ただその代わりおばさんは大変だったと思う。何も言ってくれないけど。
犯人逮捕がニュースで流れたとき、留守電に

“あなたは自分の心配だけしてなさい。こっちは何とかするから”

ってメッセージが入ってた。

それを聞いたら不意に涙が出そうになって焦ったっけ。
ここ二週間くらいのあたしはすぐ泣きたくなる。
泣かないと決めた途端にこうなんだから参っちゃうな、ほんと。

ああ、思い出したらまた泣きたくなってきた。我慢だ我慢。


82 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月21日(月)19時04分34秒
もちろん“家族を殺されて一人になったカワイソウな少女”のインタビューはされた。
訳知り顔で「本当に大変でしたね。」という記者に不思議と怒りは感じなかった。
ただ、「大変でした。」という過去形な言い方が悲しかった。
この人にとって、この事件はもう過去のことなんだなってやけに印象的に残った。

あたしにとっては全然過去のことじゃないのに。
いつになれば過去のことだと言えるんだろう?

そう聞きたかったけど、被害者の本当の気持ちなんて分からないだろうからやめといた。

そうそう、梨華ちゃんも近所の人ってことでインタビューされてたみたい。
不機嫌そうな声で答えてる梨華ちゃんが写ってるのに笑っちゃって
テレビ出れて良かったねーって言ったら

「バカっ!!ごっちんは悔しくないの!?」

って本気で怒られた。
その後、こんなの悲しすぎる〜!って大泣きされて大変だったな。あは。
ごとー的には嬉しかったケドさ。

83 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月21日(月)19時11分59秒
でもね梨華ちゃん。あたしは別に悔しいとか思わないんだ。
だって周りの人は何も知らないじゃん?仕方ないんだよ。
むしろ、これくらいですんで感謝したいくらいなんだよ?
怒るから言わないけどさ。あたしはそっとしてもらえばいいんだ。
今は事件のことより、しなくちゃいけないことがあると思わない?
それは、生きていくことだよ。
家族の分もね。ごとーがするのはそれだけだよ。
決めたんだ。真実を思い出したときから。

あたしは生きる。

84 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月21日(月)19時23分05秒
―――と、まぁそういことであたしは今「リサイクルSHOP KAGO」の店番中なワケで。

セミの声がうるさい夏真っ盛りなワケで。
店の中はクーラーがかかってて快適なワケで。
・・・・・・・最高!!
一日ここにいるので家のクーラーは使わなくていい。
あたしの節電計画は順調だ。

「ごっちん!こちらのお客様お会計して。」

ぼーっと考え事をしていると、お声がかかった。

「はいよー。」

小走りで店内を急ぐ。
加護ちゃんとは思ったよりすぐ仲良くなれた。
何でも、最初にあったときからあたしをキレイな人やなって思っていたそうで。
(でもあたしには不審者を見る目つきにしか見えなかった・・・)
それにしてもキレイって・・・。いやー、照れますなぁ。
・・・・・・ってこれじゃ梨華ちゃんと同類じゃん。危ない危ない。



85 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月21日(月)19時35分05秒
お客さんが帰っていくのを送って、店内に人がいないのを確認。一息入れる。

「にしても、ごっちんいてくれてたすかるわぁ。」
「えー?そう?」

二人でカウンターに座りながらおしゃべりする。
この前は加護ちゃんの地元の奈良について話したっけな。

「だって普通タンスとかって一人で持てんやろ?
 おとんが居らんとき困ってたんや。」
「ああ、力だけは無駄にあるからねぇ。」

加護ちゃんははぁーっと息をついて、床に届いてない足をぶらぶらさせた。
今日は髪型を2コのお団子にしてる。似合うなぁ。

「あのな、怒らんといてな?実は正直な話、バイト募集にウチ反対やってん。」
「ふーん。」
「ふーんて・・・。ごっちんそんな事言われて悲しないの?」
「別に。本当はお父さんと二人でやりたかったんでしょ?」

あたしがそう言うと、加護ちゃんは驚いたみたいで目を丸くした。
ふふふ、あたしの観察眼を甘く見てもらっちゃ困るね。
ここ何日かの加護親子をみてればそんなの一発でわかるよ。

「なんや、お見通しやったんか。」
「まーねー。」

86 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月21日(月)19時45分51秒
それで会話はおしまいになって、なんとなく二人でイスにすわったままぼんやりする。
やけに優雅な、曲名は知らないけどBGMが流れる店に二人。
三十分くらいそのままだったろうか

「せやけど、今はそんなん思てへんからな。」

加護ちゃんが小さい声でぼそっと言った。
あたしはニマっと笑った。
なんだか今日は心地いい空気が流れてる。いいね、こういうの。

結局その日はさっきのお客さんを最後にして店を閉めた。
入り口のところでいつものように加護ちゃんに見送られて、バイバイして帰る。
手を振る加護ちゃんは。夕日に照らされて茜色に染まっていた。
キレイだと思った。そして何だかお母さんを思い出した。

帰り道。道をとぼとぼ歩く。
あたしの後ろには影ができて、夕方になったのにセミの鳴き声が聞こえてくる。
空をみてため息。

「こういう生活ができるって、いいね。」

なんとなくつぶやいてみた。
87 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月21日(月)19時55分10秒
肩を叩かれたのは家に到着して郵便受けを覗いていたときだった。

「あの、後藤真希さんですよね?」

振り返ると作り笑顔を浮かべてこっちを見てる人がいた。
誰だこの人?

「お昼頃一度伺ったんですが、お留守だったので今日はあいさつだけにさせていただきます。」
「はあ。」
「名刺お渡しておきます。それではまた日を改めて。」
「あ、あの。」

そういうと、その人は声をかける暇もなく足早に歩いていってしまった。
なんなんだ?一体。
もらった名刺を見ると「週刊モーニング 記者:保田圭」と書かれていた。

嫌な予感がした。
88 名前:紅屋 投稿日:2003年07月21日(月)19時58分14秒
今更ですが、加護ちゃんは出す予定すらありませんでした。
Σ( ‘д‘)<!!
にしては出すぎですが・・・(汗
89 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月21日(月)21時20分28秒
連日更新乙です。
やっすーの作り笑顔は危険な匂いがしますな(w
後藤さんは冷静に周りを見てますね。スゴイです
90 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月24日(木)02時33分47秒
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
91 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月24日(木)02時45分02秒
溢れる喧騒の音と逃げ出したくなる怒鳴り声。そしてその合間に聞こえる電話のコール音。
この空間にあるのは醜い野次馬精神と競争心、強い出世欲だけだ。

世間の視聴者サマのお気に召すまま、気のむくまま。
他よりもいち早い情報をシャワーのようにご提供。
その日しか賞味期限の効かないナマモノの特ダネを、冷めない内に召し上がれ。

視聴者の無限の欲望ははかりしれない。
そんな一瞬の欲望を満たすべく、今日も記者たちは飛び出していく。

その様子をちらりと眺めて、私はぬるいコーヒーを啜った。
ウマくもマズくもない中途半端な味が広がる。

「ご苦労さまなことで・・・。」




92 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月24日(木)02時57分59秒
私は「週刊モーニング」というクソ週刊誌の記者をしている。
ま、記者といっても名ばかりのものだけど。

数年前、親の反対を振り切って上京した大都会。
憧れていた出版業。かっこいいキャリアウーマン。
有名作家と交流したり、特ダネを求めて走り回る忙しい日々。

なれると思っていた。頑張ればできるのだと。

そんな私の夢物語は、入社すると同時に跡形もなく消え去った。
所詮、日本は学歴社会。高卒の家出娘なんて相手にされるはずもない。
出版社をいくつも落ちてなんとか今の仕事をしていられる現状。
その今でもいつクビを切られるか分からない。
雇ってもらえただけでありがたいと言い聞かされる毎日。

うんざりだ。

タイムマシーンがあるのなら高校時代の自分に言ってやる。
あんたバカじゃないのってね。
93 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月24日(木)03時06分37秒
私が書いていることといえば、やれどこの店のマットプレイは最高だとか今回のおすすめ嬢はこちら!とか。
目も当てられない風俗雑誌。しかも三流ときたもんだ。
需要はあっても女の私にしてみれば、ただそれだけのやりがいのない仕事。

怒鳴りながら原稿を突っ返す上司の顔にはもう飽きた。
どうせ書き直したところで同じなんだから。
私をストレス発散に使うなっつーの。
こんな生活いつか抜け出してやろうとは思ってた。
94 名前:マスメディア 投稿日:2003年07月24日(木)03時17分23秒
二週間ほど前におきたバラバラ殺人事件。
当然うちの会社のエリート連中はわれ先に飛び出して行った。
(動いてれば情報が手に入ると思ってるのかね?)
私にとって馬鹿の一つ覚えに見えるのは仕方ないんだろうか。


左手のメモ用紙をグシャっと握る。
ザラザラとした紙の感触を確かめた。

さっき入った情報には驚いた。
あの情報屋、普段はゴミ同然のしか寄こさないくせに。
お金は渡しといてみるもんだね。
下手な鉄砲もなんとやら。私にもついにチャンスが回ってきた。

「抜け出してやる。」

自然と笑みがこぼれるのを止められない。
コーヒーはもう冷めている。
私は立ち上がった。これから出かけなくては。

後藤真希に会うために。
95 名前:紅屋 投稿日:2003年07月24日(木)03時26分34秒
しまった!かっちょよく書きすぎた!
激しく後悔しております・・・。
( ‘д‘)<アホ―、アホ―
うう、これからどうしよう(泣)

≫89 名無しさま
ええ、魅惑のヤッスーですからw
ごとーさんは口下手な分周りをよく見ています。
この話はごとーさんの成長と優しさがコンセプトなんです!
( ´ Д`)<え?そうなの?
たぶん。
96 名前:名無し読者 投稿日:2003年08月03日(日)19時03分40秒
いしごまが好きですがヤグもいい味出してますね
ギラギラしたヤス登場で楽しみです
97 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月25日(月)01時21分23秒
待ってるよ
98 名前:紅屋 投稿日:2003年08月30日(土)02時08分29秒
更新が滞っててすいません。(汗)
夏になって忙しくなったのが原因です。PC触りたい・・・。
今回はレス返しだけで勘弁してやってください。

>>96 名無し読者さま
私もいしごまは書いてて楽しいです。
でも矢口さんも好きですし、保田さんも好きです。
( ‘д‘)<って結局誰が一番なん?
・・・かおりんw

>>97 名無しさま
ぶっちゃけ一ヶ月くらいなら更新しなくてもバレないと思ってました。
( ^▽^)ノ<バレバレじゃん♪
ぐはっ(死)
おそらく九月あたまには更新できるとおもいます。すいません。
99 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月30日(土)04時08分26秒
生存報告キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
楽しみにしてます!
100 名前:紅屋 投稿日:2003/09/09(火) 22:38
( σ‘д‘)σ<100gets!
やりたかったのね、コレ。w
101 名前:紅屋 投稿日:2003/09/09(火) 22:57
置いてあるオレンジジュースの氷がカランと音を立てた。
ちょっとしか飲まれてないコップにたくさんついた水滴が、だらだら流れてる。
溶けたせいで上の方が薄くなってるのを見て、ふいに昔やった理科の実験を思い出した。
なんだっけ?飽和水蒸気を調べるやつだったかな。
まぁ今はそんなこと思い出してもどうしようもないんだけど。

あたしの目の前にはこの間の変な人――――保田さんと言うらしい。が座ってる。
雑誌の記者をしてるらしい。
前に感じたヤな雰囲気はそのせいだったのかも。変にマスコミ慣れしてますね、あたし。
あの日来たのも取材のためだったらしくて、急ですみませんと謝られた。
最近は随分減ってきてたから少し変だと思ったけど、謝礼ももらえるし変に追われると困るから
こうして上がってもらったわけだ。
クーラーもちゃんとつけてる。渋々だけど。
102 名前:紅屋 投稿日:2003/09/09(火) 23:13
保田さんは困った顔をしてる。
あたしの隣にいる梨華ちゃんが原因なんだろうなきっと。
・・・っていうか本当に来るとは。冗談かと思ってたのに。
蒸し暑いあたしんちで変な構図が成り立っちゃってるお昼時。

あたしが住んでる家は一戸建てだ。えらく豪華な一人暮らし。
自慢じゃないけど割と閑静な住宅街に位置してる方だと言える。
人通りも少なめで、たまに車の通る音や近所の人の話し声が聞こえる程度。
だから日中も静かで、寝るにはもって来いなんだよなぁ。
あ、今車の音聞こえた。
・・・ってそれは置いといて。さっきから気になってるんだけど

何で二人共黙ってるの?

103 名前:紅屋 投稿日:2003/09/09(火) 23:23
いや、本当は何でか分かってるんだごとーも。
梨華ちゃんでしょ?そうなんでしょ。
あたしの手を握ってさっきから鋭い視線を保田さんに送ってる。

「あのさ、腕痛いんだけど。」
「・・・・・・。」
「むぅ・・・。」

言っても軽くシカト。さっきからこんな調子。
そもそも今日取材を受けることを言ったのが失敗だった。
あたしが世間の目に晒されるのを良く思ってない梨華ちゃんは、
自分も同席するって乗り込んできちゃったんだ。

梨華ちゃんいわく、あたしに何かあったらすぐ助けられるようにだそう。
うーん、悪い気はしないけどこれじゃ取材が受けられないよ。
悪いが今は友情よりお金を取らしてもらいます。
104 名前:紅屋 投稿日:2003/09/09(火) 23:33
どうでもいいけど腕が痛い。
掴まれてた腕をはずして梨華ちゃんと向き合う。

「ごめん、あのさ、ちょっとだけ二人で話さして。」
「・・・・・・。」
「ほら、保田さんにも迷惑かかるしさ。」
「隣に座ってるくらいいいじゃない。私邪魔しないよ。」

何も言わなくても視線が気になるんだよねぇ。
そんなことは言えないのでさらに説得。
やぐっつぁんならここでサクッと言っちゃうんだろうな。居なくてよかった。

「取材受けたのはごとーじゃん?やっぱ関係ない人がいるのはまずいかなぁって。」
「それはそうだけど・・・。」

もう一押し。

「終わったらすぐ呼ぶから。家隣なんだし大丈夫だって。」
「・・・分かった。絶対すぐ呼んでよ。」
105 名前:紅屋 投稿日:2003/09/09(火) 23:48
よっしゃ!心のなかでガッツポーズ。
渋々といった感じで出て行く梨華ちゃんを二へら笑いで見送る。
はぁー、あたし気ぃ使いすぎだよな。
なんとなく保田さんと目が合って肩を落として見せた。

「すいませんあたしの友達、邪魔しちゃった感じで。」
「いいんですよ、いい友達じゃないですか。」
「そうですかー?あたしも苦労してますよぉ。」

ぐったりして机に顎を乗っけると髪がばさっとかかった。
その様子が変だったみたいで笑われる。記者っぽくない人だなぁ。
髪の隙間から保田さんを覗く。
笑った顔をこうして見ると案外可愛いかも。
保田さんにちょっと好印象を持ったところでインタビューが始まった。

106 名前:紅屋 投稿日:2003/09/09(火) 23:49
少ないけど
107 名前:紅屋 投稿日:2003/09/09(火) 23:50
更新しました。
108 名前:紅屋 投稿日:2003/09/09(火) 23:51
ああっ!!タイトルがっ!!
109 名前:紅屋 投稿日:2003/09/09(火) 23:52
「マスメディア」で脳内変換お願いします。
110 名前:紅屋 投稿日:2003/09/09(火) 23:58
>>99 名無しさま
( `.∀´)ノ<生きてるわよ
短くてすいません(汗)
大丈夫です、自分で保全してでも完結させるつもりですから。
・・・自分で保全は悲しいなぁ
111 名前:takatomo 投稿日:2003/09/11(木) 23:05
再開心待ちにしていました。
石川さんがらしくて好きですねー
保田さんのインタビュー…ドキドキ
これからも更新楽しみにしております。
112 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/09/27(土) 12:00
待ってまーす。
113 名前:マスメディア 投稿日:2003/10/19(日) 15:34
『−−発達した低気圧が東シナ海を現在北上中。今夜半から明日にかけて広い範囲で暴風雨域に
入るため、多いところで百ミリから百五十ミリを越す大雨が予想されます。十分な警戒が必要です。
気象情報にご注意ください。
では、各地に出された注意報をお知らせします。−−』

ラジオから流れてくる声は、どんなに今流行りのタレントのものでも懐かしく感じてしまう。
だから、それがNHKのアナウンサーなんかになっちゃうと深刻な内容でも眠くなる。
小さいころにはラジオじゃなくて「むかしむかし」の話を聞きながらいつのまにか寝ていた。
最近本読んでないな。

玉ねぎを炒めるいい匂いが台所に充満してる。
やぐっつぁんが作ってるからだ。

「矢口さん料理上手ですね。」
「ま、こんぐらいはさすがにね。鍛えられてますよ。」
「んー、イイ匂い。」

あたしと梨華ちゃんはぼんやり頬杖をついてテーブルに腰掛けていた。
ラジオから流れてくるニュースは既に別の話題に切り替わっている。
114 名前:マスメディア 投稿日:2003/10/19(日) 15:49
「でもラジオ家で聞くのってあんまなくない?」

やぐっつぁんが歩き回るのを見ながら梨華ちゃんはお茶を一口飲んだ。
ピンクのマニキュアがきらきら光る。

「そう?最近よく聞くんだよね。レトロな感じがいい。」
「あー、ちょっと分かるかも。」
「それに・・・映像見るより声だけのほうが安心するっていうか。」
「ふーん。私はテレビとかつけっ放しにして見ちゃう方だなぁ。テレビつけてると
なんとなく賑やかじゃない?」

あの保田って人。

『この写真すごいでしょ?交通事故の写真。』
『これって・・・。』
『本当はこういうのあんまり人に見せちゃいけないんだけど。あなたは特別。』
『なんであたしはいいんですか?』
『参考にしたいのよ。お願い協力して。』
115 名前:マスメディア 投稿日:2003/10/19(日) 16:00
保田さんのシャープな顎と動く唇と小さいほくろ。
目が見れなかった。

『参考って何の参考ですか?』
『なんていうかこういうの見てどんな気持ちになる?可哀想って思う?』
『そりゃ思いますよ!こんなスクラップの写真。』
『本当にそれだけしか感じない?もっとこうない?』

ピンクの口紅。グロス。

『・・・なにが言いたいんですか?楽しいんですか?』
『全然。・・・わかったその写真あげるわ。よく見てね。』
『いりません、こんなの。』

あの人。またウチに来るつもりなのかな。
ポケットの嫌なガサガサがうざかった。
116 名前:マスメディア 投稿日:2003/10/19(日) 16:15
「ごっちん!話聞いてる?」
「あーはいはい。やせるためには塩マッサージがいいって話でしょ?」
「何だ、聞いてるじゃん。」
「うん・・・・・・まじっすか?!」

適当なんだけど。ひと時代遅れ気味ですよ、梨華ちゃん。

「はーい、でっきましたー!」
「「おおー!」」

ちょっと大きめのエプロンをつけたやぐっつぁんがイイ匂いの鍋を持ってきた。

「暑いときには熱いものってのが定番でしょ。」
「イイ匂いですね。キムチ鍋なんて久しぶり。」
「開けよ、開けよ。」
「よし、オープン!じゃーんどうだ!。」

むわっとした蒸気のむこうに得意げなやぐっつぁんの顔。
あたしと梨華ちゃんは絶句した。

「赤っ!ちょっと赤いよやぐっつぁん!」
「やばくないですかコレ。」
117 名前:マスメディア 投稿日:2003/10/19(日) 16:34
ぐつぐつ煮えてるんですけど。全て赤いんですけど。
すごく不安なんですけど。

「せっかく作ってやったのに何その言い草。大丈夫だっつーの。」
「あーあ褒めて損した。これなら私のほうがお料理上手ですよ。」
「石川、お前今言ってはいけない事を言った。罰としてこれ食べろ。」
「やっぱり罰じゃないですかー!」
「罰だけど罰じゃないって!おいしいから!ほら。」

あー、食わされてる。

「・・・あ、おいしい。」
「当然でしょ。」

作った鍋は思ったより辛くなかったみたい。
実験台の梨華ちゃんには悪いけど安心して食べられそうだ。

「やっぱ大勢で食べるのは楽しいね。」

辛さと熱さにひいひい言いながら夢中で食べる。
あらかた食べたら雑炊にしてまた食べた。

「いけてるよー。」
「カプサイシンが効いてくる感じ?塩よりか効くぞ。」
「聞いてたんですか?でもほんと鍋おいしいですね。」
「さっきまでやばいとか言ってたのにな。」
「うふふ、そうですね。」
「梨華ちゃんキショイ〜。」
「えぇーごっちん、ひどいよ。」

テーブルのラジオはいつしか音楽番組に切りかわっていた。
118 名前:紅屋 投稿日:2003/10/19(日) 16:47
また一ヶ月空いてた・・・。すいませんこれでも受験生です。(汗)
しばらくは更新は月一で勘弁してください(土下座)

レスとかすいません・・・。
>>111 takatomoさま
わーいわーい!嬉しいです。
ていうかこんな駄文にレスしちゃっていいんですか!?
( `.∀´)<じゃあ書くなよ
ははは(乾)インタビューはあんな形になりました。これからちょこちょこ保田さんは出てくるでしょう。

>>112 名無飼育さま
お待たせしました。待ってくれる人がいてくれるのは嬉しいです。
こんな作者で申し訳ないんですが・・・。
( ´ Д`)<頑張るようにね
はい・・・。
119 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/30(木) 11:02
石川後藤矢口保田っていいですね
続き楽しみにしてます
120 名前:紅屋 投稿日:2003/12/03(水) 19:35
本当に申し訳ないです・・・ああ。
レス返しだけでも。

>>119 名無し読者さま
ありがとうございます。ありがとうございます。
後もう一人出す予定です。
何か自分でもどうしようもないと思ってますが、適当に読み流してやってください・・・。
121 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/29(月) 23:35
年末保全
122 名前:名無し 投稿日:2004/04/05(月) 00:04
保全
123 名前:サクラ 投稿日:2004/05/05(水) 06:49
なんかこの話すげぇ
124 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/06(木) 18:17
ageんなよぉ!
期待しちゃったじゃねえかヽ(`Д´)ノウワァァン

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