夢の中
- 1 名前:名無し小説屋さん 投稿日:2003年06月23日(月)23時43分10秒
- てなわけで書きます。激駄文。
放置しないよう頑張りたいっす。
主な感じは、どちらかといえばパラレルっぽいです。
まぁ、期待せずに暇つぶしのつもりで。
- 2 名前:名無し小説屋さん 投稿日:2003年06月23日(月)23時45分00秒
- 6月24日AM10:30
その日は外は昨日から降り続いていた雨が止み
雲間から光が差し込んでいた。
その日は前日の収録が長引いたせいもあって
いつもより寝不足で、みんなとの待ち合わせに遅れてしまった。
支度をして家を出ると、朝日がキラキラと輝いていて
何の根拠もないのに、今日は良い一日になりそうだなって思ってた。
って、遅刻遅刻ぅ〜!
- 3 名前:名無し小説屋さん 投稿日:2003年06月23日(月)23時45分30秒
- 6月24日AM10:24 映画館前
「梨華ちゃん遅すぎぃ...」
最初にグチったのは、よっすぃ〜と加護だった。
我らがモーニング娘。は、従来の掟で
5分前行動ということを、まず訓練するのだが
時間にルーズな娘は多く、成人メンバーでもオリメンのわたしと
カオリ、まぁあとは、矢口かな。
この3人しかこの規律を守ってはいない。
けれど、今日は前日の収録のことで自分もすこしダラけていたので口には出せずにいた。
- 4 名前:名無し小説屋さん 投稿日:2003年06月23日(月)23時46分09秒
- 「もしかしてさぁ、時間間違えてるんじゃない?」
ポツリポツリと不満の声が、昨夜の土砂降りのように、急に出始めた。
「でもさぁ、1週間前から約束してたやん。この映画みんの。」
「それにさ、言い出しっぺって、梨華ちゃんでしょ?忘れたりはしないよ」
待たされることが嫌いな矢口とよっすぃ〜はそろそろ顔に出始めてる。
慌てて加護とごっちんがフォローするも、二人のほっぺたは今にも破裂しそうな
水風船みたいにぷくぅっって膨らんでる。
おーい、梨華ちゃん。これ以上はなっちでも無理だよぉ〜!
- 5 名前:名無し小説屋さん 投稿日:2003年06月23日(月)23時46分55秒
- 6月24日AM10:49
案の定メンバーはいなかった。
さすがに20分はキツい。途中、携帯に懸けようとしたが
電池切れ。こういうときに限って、悪いことって続くんだよねぇ…
待っててもしょうがないか。
とにかく、大急ぎで映画館に直行しよう!
タクシーを捕まえてる暇なんてなくて、夢中で走った。
途中、何かを踏んだ気がしたけど、気にしなかった。
でも、映画館って...どっちだっけ?
どうやら良い一日じゃないみたいだ。
- 6 名前:名無し小説屋さん 投稿日:2003年06月23日(月)23時48分06秒
- 6月24日AM10:35
ゴメンね、梨華ちゃん。携帯繋がんなかったし
矢口もマジで怒りはじめたから、先映画館来ちゃった。
まぁ、上映まであと10分ぐらいあるし、間に合わなくても我慢してね。
スマナイねぇ、なっちは矢口の怒ってる所、見たくないからさ♪
- 7 名前:名無し小説屋さん 投稿日:2003年06月23日(月)23時48分54秒
- 6月24日AM10:41
最初に気付いたのは、あの辻だった。
「ねぇ、なんかさ、私達しかいなくなってない?」
「「「「あ」」」」
一斉にみんなが声を上げた。私も思わず声をあげた。
隣に座っているカオリがたまらず
「何か、事前に事務所の人が知ってて、貸切とか?」と
みんなを宥めるようにフォローしたが、発言者はカオリ。
不安は増大する一方だった。カオリ…ドンマイ・・・。
- 8 名前:名無し小説屋さん 投稿日:2003年06月23日(月)23時49分24秒
- 6月24日AM10:45
ゴチャゴチャと喋ってるうちに、不安も消えたみたいで
映画のブザーが鳴っても、ガヤガヤ騒いでる。
「ねぇ…横いい?」
矢口がチョコンと隣の席に座ってた。いつの間に。
「いいけど…あの問題児のお世話はどうすんだべさ?」
「ん〜、いいじゃん。今日ぐらい。それより今日は、なっちと…」
「ほっ、ほら、始まったよ!」
「なっち、今明らかにそらしたでしょ!」
映画を見るときに暗くする文化があって良かった…顔真っ赤だよ、なっちは…
「あんまりイチャつかないでよね」
カオリにしかられちゃった。トホホ。
にしても、梨華ちゃん、遅いなぁ・・・
- 9 名前:名無し小説屋さん 投稿日:2003年06月24日(火)00時00分53秒
- 6月24日AM11:20
みんな映画に見入ってるみたいだけど
さっきからなっち、何かおかしいな…
おいらが呼びかけてもくすぐっても反応薄いし…
もしかして照れてんのかな?
キャハーッ、矢口も照れちゃいますぅー!
でもどうにも様子変…何だかみんな、心ココにあらずって感じ…
あれ…矢口もなんか、眠たくなってきた…
朝は飛行機雲一つ無かった空に、大きな黒雲。
雨が降り出した。何かの始まりを告げるかのようなその雨は
あっという間に雷雨へと顔を変え、雷鳴と共に大きな咆哮を上げている。
何かが違う一日が始まった。
- 10 名前:きゃる 投稿日:2003年06月24日(火)00時35分44秒
- なっちとやぐちとリカちゃん中心ですか?
おもしろそうです!頑張ってくださいねo(^-^)o
- 11 名前:名無し小説屋さん(‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年06月24日(火)17時44分53秒
- >>10
きゃるさん、お礼ありがとうございます。
期待には添えないでしょうが、できる限りワクワクする文章を書いていきたいッス!
愛読宜しくお願いしますw
- 12 名前:ヤグチ 投稿日:2003年06月24日(火)17時49分54秒
- 「んっ…やだぁ・・・やぐちってば…ちょっ、あっ…」
「なっち・・可愛すぎるよ…ヤグチはそんな顔してるなっち見ただけで…」
「んっ!やっ…ちょっ・・・ふぁっ、あっ、あぁっ!」
「なっち・・・好き…」
外は雨みたいだ。一昨日の夜からずっと降り続いてる。
そういえば、一昨日もこんな事してたっけ…
この後どうしよっかな…なっちに晩御飯おごってもらおっかな。
- 13 名前:ヤグチ 投稿日:2003年06月24日(火)17時50分35秒
何コレ。
アタシ、何てこと考えてるの?
アタシ、なっちに何てことしてるの?
イヤイヤイヤ!何?!何なのコレェ?!
さて、はやくシャワー浴びてご飯食べに行こっと!
「良い湯加減だよぉー、ほら、なっつぁん早く!」
「ヤグチ…」
「どしたの、なっつぁん、顔色悪いよ?」
「もう、遊ばれるの疲れたよ…」
「え?」
「もっと…愛して欲しかったな、なっちは…」
いつの間にか大粒の涙を浮かべていたなっちの手には が強く握られていた。
アタシ...殺されるんだ...
「ちょっとなっち!危ないからっ…離しなさいそれっ!」
「ヤグチがなっちだけのものじゃないなら、いらない。」
咄嗟に涙が出た。きっと、夢の中なんだ。嫌な夢。
「ごめんね…ヤグチ…」
最後に聴いたのは、なっちの涙が、浴槽の水に落ちた音だった。
- 14 名前:イシカワ 投稿日:2003年06月24日(火)17時53分13秒
- 6月24日11:00
「あれぇ〜…おかしいなぁ〜…映画館なんて無いじゃん、ちっとも。」
突然の豪雨に思いっきりやられた私は、急いで映画館を目指したが
映画館どころか、そこには公園しか無かった。
確かにあった。一週間前までは。でも、一週間やそこらで
映画館をここまでキレイさっぱり取り壊せるものなのか。
思いがけない落とし穴に、私は思わず頭を抱えてしゃがみこんだ。
「どうしよぉ…」
雨が、また降ってきた。
- 15 名前:アベ 投稿日:2003年06月24日(火)17時54分13秒
- 気が付くとわたしは、大勢の記者に囲まれていた。
訳もわからず、「ハイ」とだけうなずくと
一斉にフラッシュの嵐。一体、なっちが何したっていうの?
マネージャーさんを見ても、目でわかる。もう無理だって言ってる。
なっち、ちゃんとお弁当のおかず食べたし...約束も守ったし...
とにかく、この会見が終わり次第、つんくさんに聞
「お二人が交際されてた期間は長いと聞きますが、やっぱり原因は、関係のこじれですか?」
- 16 名前:アベ 投稿日:2003年06月24日(火)17時54分45秒
- 意識が遠のいていく感じ。何コレ。
なっち、男の人と最近は会っても無いし、彼氏だっていないし...
何でわたし、こんなトコいるの…?
誰か教えてよ・・ねぇ、ヤグチ…カオリ…裕ちゃん…みんな…みんな?
そういえば、アタシだけだ...
そういえば、アタシだけだ...
トクンって心臓が鳴ると同時に、目の前が真っ暗になった。
最後に聴こえたのは、どこかの新聞社の人が言った「人殺し」って言葉だった。
- 17 名前:名無しさん 投稿日:2003年06月25日(水)00時16分57秒
- うあぁぁぁ〜!
おもしろい!
めっちゃ続き気になる。
頑張って下さい!!
- 18 名前:ゴトー 投稿日:2003年06月25日(水)00時35分49秒
- 「ねぇねぇごっちん、今夜のパーティさ、安倍さんも誘ったら、怒る?」
「別に怒んないよ!それに、もうよしこの浮気癖にも慣れたし」
「コラコラ!人聞きの悪いことを。ごっちんがナンバー1!これ定説!」
「ハイハイ。それよりさ、天気悪くならないうちに買い物行こ?」
「オーケー!んふふ、よしこ今夜は張り切っちゃおうっと!」
外に出ると、昨夜までの豪雨が嘘だったかのように
一面は真っ白な白銀の粒で覆い尽くされていた。
まだ粉雪がチラチラと舞っている。
「うっひょぉ〜!見てみてごっちん、雪雪ぃ〜!」
よしこは相変わらず能天気というか子供っぽいというか。
- 19 名前:ゴトー 投稿日:2003年06月25日(水)00時36分39秒
- でも、わたしもあんな風にはしゃげたらなんて、時々思う。
今日は久々になっちとはしゃぎたいな…メンバー全員とも。
何にせよ、今晩は私にとっても良い日になればいいな。
ふと暖かく、柔らかい感触が頬に受けた。
「ちょっとよっすぃーってば。急にそーゆーことしないの」
「ふふっ、ねぇごっちん。雪ってさ、どうして冬に降るのかしってる?」
「そりゃあ、寒いからじゃないの?夏にこんな冷たいの、おかしいじゃん」
「ブブーッ、ごっちん頭固いねぇ、可愛い顔して。」
言い返そうとよしこの瞳を見ると、何か一瞬、暗いものが過ぎった気がした。
- 20 名前:ゴトー 投稿日:2003年06月25日(水)00時38分43秒
- 少しの沈黙の後、よしこが口を開いた。
「正解は…冬じゃないと、認められないからだよ…夏じゃ、邪魔者なだけ…」
「よっすぃ…どしたの?」
「ううん!何でもない!さ、今晩は鍋だぁー!」
後姿が、何かを物語っていた。急によしこが遠くなった気がした。
そこから私は一歩も動けずにいた。
目の前が暗くなった。最後に聴こえたのは、よしこの「バイバイ」って声だった。
- 21 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年06月25日(水)01時20分28秒
- >>17
名無しさん愛読サンクス!
おもしろいと言ってもらえるうちが華なのでw
まだまだ未熟な文ですが、ご愛読宜しくお願いします。
- 22 名前:きゃる 投稿日:2003年06月25日(水)02時02分14秒
- なっちとやぐちになにが起こったんだろ…
なちまり好きなんでそこがすんごく気になるーヽ(`o´)ノ
そしてごっつぁん視点はいきなり冬…謎だらけでつね。
つぎの更新も楽しみにまってるよー♪
- 23 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年06月25日(水)17時14分23秒
- >>22
毎度毎度感想サンクス!
拙者もなちまり好きですが、もう少し甘ぁぁいのが好きですw
次回作はもっと単純な楽しいモノを書こうと思ってます。
できる限り期待に添えるものを書いていきますので、応援よろしくです。
- 24 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年06月25日(水)17時15分45秒
- 安倍さんの自宅は、おそらく昨晩のまま放置してあるはずと思っていたが
どうやらコトは自宅では行われていなかったらしい。
安倍さんと矢口さんの関係は知ってた。
でも私のほうが、ずっと前から矢口さんのことを好きだった。
でも矢口さんはちっとも私の想いに気付いてくれなくて
いつも冗談のような態度で流されていた。
- 25 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年06月25日(水)17時16分15秒
- 一度本気で打ち明けようとも思ったけど、明らかに私に行為があるごっちんの顔を見ると
こんなに悩んでいる自分がバカみたいに思えてきて、すんでのところで諦めた。
その次の日から、私とごっちんは付き合い始めた。
でも、今でも私は心の何処かで矢口さんのことを想っていて
何かキッカケを探していたんだと思う。安倍さんから矢口さんを奪うキッカケ。
- 26 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年06月25日(水)21時03分30秒
- キッカケは偶然だった。普段ロクに読みもしない新聞を、今朝だけは読んでしまった。
これは運命なのだと確信した。
安倍さんが矢口さんを殺した。この記事を読んだ人は、どう思うだろう、安倍なつみを。
多分私は、笑ってた。やっと答えが出た。
矢口さんを手に入れることは永遠にできなくなってしまった。
けれど、安倍さんをどんな風にボロボロにするかは、決まった。
今、私は安倍さんの部屋にいる。
二人がどれほどの愛で結ばれていたのか、知りたかった。
そして、唯一矢口さんの温もりを知っている安倍さんを、どん底に突き落とすために何か強烈な物証が必要だった。
- 27 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年06月25日(水)21時05分03秒
- ベランダを覗くと、可愛らしいピンク色のサンダルが2つ。
捨てた。
お風呂場。鏡の前に2本のハブラシ。赤と青。
赤には「なっち」と矢口さんの字。
青には「やぐち」と安倍さんの字。
捨てた。
なかなかピンと来るモノが無い。引き出し、本棚、ベッド。全部調べたけど
キレイに片付けれている。やはり、強攻策に出るしかないようだ。
- 28 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年06月25日(水)21時08分23秒
- 最初の状態へとモノを動かし、侵入がバレるのを防ぐ。
ドアノブに手を回したその瞬間、プルルルルと電話が鳴り出した。
急に冷や汗が出てきた。まずい、まさか、見られた?
不安と動揺で、全身に生温い温度を感じ、汗が頬を伝いスニーカーに落ちる。
鳴り止まないコール音。ただひたすら、鳴り終わることを望んだ。
早く切れろ。早く切れろ。早く切れろ。
1コール。2コール。3コール。
- 29 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年06月25日(水)21時09分12秒
- 切れた。やっと終わった。
どっと疲れが押し寄せると同時に、自分が情けなくなった。
これから人を酷いめにあわせようと画策している人間が、コール音でビビっている。
無償にモノを蹴りたくなった。ドアを2回、3回と蹴る。
部屋に自分の荒い息遣いだけがこだまする。
ようやく落ち着いた私は、再度ドアノブに手を回そうとした。
刹那、カチャという鍵を開ける音とドアノブを回す音が共鳴した。
ドアが開いた。そこに立っていたのは、今まさに私が追い詰めようとしているエモノ。安倍さんだった。
心臓が止まった気がした。
- 30 名前:きゃる 投稿日:2003年06月27日(金)23時07分41秒
- 加護しく続きが気になります!!なっちとよっすぃ〜どうなって行くんだろ〜……
- 31 名前:イイダ 投稿日:2003年06月28日(土)01時19分08秒
- 朝から何か今日は悪いことが起きそうな予感がしてた。
今私は、辻加護を連れて、ごっつぁんの家へ向かってる。
チビどもは、一緒に行くのを躊躇ったが、二人で歩かせるには、今の世の中は危険すぎた。
朝からどこのチャンネルでも同じニュースばかり読んでいる。
インターネットの、私がよく見る掲示板サイトも回線がパンクするぐらいに
混雑してて、コトの大きさが嫌がおうにも感じ取れた。
- 32 名前:イイダ 投稿日:2003年06月28日(土)01時19分44秒
- 私の知るなっちは、モーニングに入ってからのなっちだけだ。
けど、付き合いは誰よりも長い。だから私には分かる。
なっちは本当はとっても強がりなくせに、寂しがりやで。
本当は自分をもっと見て!ってアピールしたいくせに、変なとこ謙虚で。
前に一度、喧嘩したときになっちに「何でいっつも笑えるの?」って言った覚えがある。
なんていう返事をくれたかは、イマイチ思い出せないけど
衝動で人を殺せるような子じゃないことは、誰より分かる。信じきれる。
今だ、今なんだよ。なっちの力になってあげるべき時。
なっちを、救いたい。
- 33 名前:カゴ 投稿日:2003年06月28日(土)01時20分18秒
- なんやよう分からへんけど、今日の飯田さんはちょっと変や。
ののは相変わらずボケーッっとしてるけどうちには分かる。今日は何かあるんや。
何やろなぁ。今朝起きてから一度もテレビ見てへんから
誰かの結婚とかかなぁ。いや、ちがうわ、そんな明るい話とちゃうわ。
ていうかのの、歩くの速すぎ...ほんま、何なんやろ?
- 34 名前:ツジ 投稿日:2003年06月28日(土)01時21分24秒
- いいらさんがないてる。なみだはながれないけど、ぜったいにないてる。
ののにはわかる。いいらさんのきもち。いいらさんのいしのこもっため。
しめいかんとゆうきにみちたそのめは、ふだんののにも、あべさんややぐちさんにも
みせないような、しんねん?みたいなものがつまったかんじがして、
なんだかきょうのいいらさん、ちょっとこわい。
でもいったい、いいらさんのめはなにをかたろうとしてるんだろう。
とにかくはやくしりたくて。すぐにでもいいらさんのちからになりたくて。
かってにあしがいそいじゃう。あいぼんがこまっためでみてるけど、きにならなかった。
はやく、いいらさんのちからに。
- 35 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年06月28日(土)01時29分52秒
- >>30
きゃるさん、毎度どうもですぅ。
ちょっとでも期待に添えていますでしょうか?
視点と時間軸がコロコロ入れ替わるんで
ちょっと読みづらいかもと思うのですが、如何すか?
この先も愛読宜しくです。
- 36 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年06月28日(土)01時35分26秒
- あ、ちなみに>>34はのの視点です。
ひらがな=ののなんですが、読みづらいかなとも思ったりも。
テストなの忘れてた…wてなわけで
ちょっと更新遅れたりします。まぁ、2日に一度は更新したいと思いますが。
気長に待っててくらさい。それでは、おやすみなさい。
- 37 名前:きゃる 投稿日:2003年06月29日(日)09時17分37秒
- 頭の切り替えが若干大変だけど、なんとかついていけてますよ。
なちかおイイ!!(ヲタとしては複雑な心境ですが…)オリメンの絆はやっぱイイですね。
- 38 名前:カオリ 投稿日:2003年06月30日(月)15時47分10秒
- ごっつぁんのマンションに着く、それと同時に視界に入ったのは
立ちすくんだごっつぁんの姿。瞳が、輝いていない。
まるで、真っ黒な絵の具を、パレットへ落としたときのような
深い、深い、深い、黒色をしてる。
一目散に加護がごっつぁんに近づく。
「どないしたん?!なぁ、ごっちん、どないしたん?!」
「加護...のの...先、部屋行ってて。ジュース買ってくるから」
ごっつぁんは言いおわると、私に目配せをした。私は頷いた。
おとなしく二人はエレベーターに乗り、エレベーターの動く音がして数秒してから
ごっつぁんがおもむろに口を開いた。
第一声は意外にも「今夜は、鍋だよ」って、明るい口調で。胸が締め付けられる。
明らかに無理して表情を作るごっつぁんを見ていられなくて
その場で抱きしめた。頭を撫でながらよしよしと私が言うと
堰を切ったようにごっつぁんが大声で泣き出した。
さっきよりも、強く抱きしめた。この子を、離さないように。
- 39 名前:カゴ 投稿日:2003年06月30日(月)15時47分45秒
- 「ごとうさん、ないてるのれす・・・」
のののずる賢さはホンマもんやなと、心から思った。
隣で食い入るように下の二人を見つめるののを見て、改めてスゴイ娘やなと思った。
うちはおとなしゅう部屋で待とうやって言うたんやけど
ののは、断固拒否。エレベーターを2階で止めて、非常階段から様子を見始めた。
何やスパイみたいで気がひけるけど、ののの持っとる勘は、何かとスゴイ。
ほんまに何かが起きた。
泣いてるごっちんを見とうなくて、うちは先に部屋で待つことにした。
今日呼ばれた理由を、確かめるために。
- 40 名前:ゴトー 投稿日:2003年06月30日(月)15時48分18秒
- カオリの胸の中は、すっごく心地良くて。
なんだか、吸い込まれちゃいそうなくらいふわふわとしてて、暖かくて。
このまま、ずっとこうしていられたら…って思った。
見上げると、カオリの一途に光る目が、私に何かを訴えかけていた。
さっきのよっすぃとのやり取りを、全部喋った。
難しそうな顔をしたカオリは、ふと悲しげな瞳で、私に聞いた。
「今日、新聞とか、テレビとか、見た?一度でも」
何気ない質問。けど、カオリの瞳は何か答えを求めていた。
ううんと答えた。カオリが「そう...」と下を向いた。
何かあったのだろうか。
- 41 名前:ゴトー 投稿日:2003年06月30日(月)15時49分49秒
- カオリは、「部屋に行こう」と言い、私の手を引っ張った。
震えてる。何だか、怒られるみたいで怖かった。
エレベーターに乗ってる間中も、カオリと私は手を繋ぎっ放しだった。
時々、ギュッって強く握ってくるカオリの真っ白な手は、本当に暖かかった。
チンという音と同時に、ドアが開く。
部屋の前には、ののと加護の二人が、目をを腫らして泣いていた。
カオリがどうしたの?と駆け寄っても、二人はぐすんぐすんと泣くだけで
何一つ答えようとしなかった。けれど、カオリの瞳には、すぐに答えが見えたみたいで。
二人と私を連れてカオリは私の部屋へ入ると、「そこに座って」と落ち着いた声で喋った。
相変わらず、辻加護は、泣いていた。
鼓動が自分でもビックリするぐらいドキドキし始めた。
「あのね、後藤…」苗字で呼ぶカオリ。4人いるはずの部屋が、まるで言葉を失った生き物ように
静まり返った。辻と加護の非規則的な呼吸と時計のチクタクという音だけが
まるでスピーカーを通しているかのように、大きく聴こえた。
カオリが、口を開いた。
- 42 名前:アベ 投稿日:2003年06月30日(月)15時50分49秒
- 外を歩いちゃ危ないって、マネージャーさんに言われて
ロケバスに乗せられた。グルグルと家の周りを一時間ぐらい旋回して
ようやくマンションの裏側に降ろしてもらった。
「ありがとうございました」って私が言うと、いつも笑顔のマネージャーさんが
眉間に皺を寄せて、悲しげな顔で私を見てる。
一言、「がんばってね」とだけマネージャーさんが声をかけるとロケバスが出発した。
- 43 名前:アベ 投稿日:2003年06月30日(月)15時52分11秒
- 足取りが重かった。エレベーターが故障してて、階段を上るはめに。
マネージャーさんの言ってたコトは、本当みたいで、表にはたくさんのカメラ。
無償に疲れた。普段なら、7階の自分の部屋までなら10分もあれば上がれるのに
携帯を見ると、20分近く経ってる。
ようやく部屋の前に着くと、いつもの見慣れたドアが、人の家のように見えた。
私に居場所なんてあるのかなぁ…?ねぇ、お母さん、なっちは頑張ったよね…?
鍵を取り出した瞬間、ドアがガンガンと内側から蹴られたような音を立てた。
急に怖くなった私は、逃げようとも思ったけど、足がすくんで動けなかった。
ゆっくりと鍵を開け、ドアノブを回す。汗ですべる。
目を疑った。そこには、よっすぃが。でも、変な人とかじゃなくてホッとした。
「よっすぃ、なんでこんなとこにい 」
一瞬の出来事に頭が対処し切れない。喉がカラカラになる。
- 44 名前:アベ 投稿日:2003年06月30日(月)15時53分21秒
- よっすぃの唇がアタシの唇に触れた。舌を絡めてくる。
「ちょっ、ちょっと…やめて、やめてよぉっ!」
ハァハァっていう自分の呼吸が、廊下に反響する。
咄嗟に腕を捕まれ、強引に部屋の中へ入れられる。よっすぃは乱暴にドアを閉め、ロックをかけると
ゆっくりと私の方に向かってきた。後ずさりするが、ついにベッドまで追い詰められてしまった。
腰が抜けて、ベッドに倒れこんだ。私を見下ろすよっすぃは、あの楽しい明るくて楽天的な
吉澤ひとみ ではなく、暗くて、まるで闇のような瞳をした『ニセモノ』の 吉澤ひとみ だった。
『ニセモノ』が、微かに笑った。ひどく冷たい瞳。怖くて、声を出そうにも、脳が怯えてる。
自分でも分かるぐらいに震えてきた。『ニセモノ』はじっと私を見下ろしたまま動こうとしない。
「なんで…どしたの?よっすぃ、怖いよ…?どしたの?」
「新聞、見ましたよ。良かったじゃないですか、一躍トップアイドルですよ」
何かが音を立てて崩れていくのが分かる。心の中で、何かが。
張り詰めていた何かが途端に形を失い、崩れ落ちる。
- 45 名前:アベ 投稿日:2003年06月30日(月)16時01分30秒
- 「いいですよねぇ、安倍さん。今誰も知らない人いないですよ?安倍さんのこと。
それに、ホラ。矢口さんと付き合ってたんですよね?うわぁー、いいなぁー。」
コイツは『ニセモノ』なんかじゃなかった。本当の姿が、コイツなんだ。
そう、 吉澤ひとみ の『ニセモノ』は、普段の、明るくて面白くて笑顔の可愛い 吉澤ひとみ だったんだ。
悔しい。こんな最低の、人の気持ちをちっとも考えない人間に、バカにされてる。
突然、昔私がイジメられてた時、よく面倒を見てくれてた先生が言ってくれた言葉を思い出した。急にふわって目の前に光景が浮かぶ。
口癖みたいに、言ってたっけ...
- 46 名前:アベ 投稿日:2003年06月30日(月)16時04分27秒
「本当に、本当に我慢できない時。一生に一度。そのときだけは、仕返しを許す。
けど、痛みを相手に投げ返したところで、繰り返される痛みは増幅するだけだ。」
覚えてるよ先生。ねぇ、聞いて先生。なっちね、ヤグチのこと、大好きだったんだ。
でもね、ヤグチは多分、なっちのことなんて目に入ってなかったんだよ。
最初は我慢してたけどね、もうなっち、無理だって思ったの。
でも先生、なっちは何もしてないんだよ。昨日の夜は、かえってすぐ寝たもん。
なっち、おかしいのかぁ…えへへっ、数学もっと真面目にしてればよかったかもね...
先生、増幅する痛みの意味。なんとなく分かった気がするよ。
だから、お願い。もう一度、昔みたいに、耐える勇気を…勇気を頂戴…!
- 47 名前:アベ 投稿日:2003年06月30日(月)16時07分49秒
無言。無言。無言。音を失った部屋は咆哮を挙げるのをじっと待っていた。
そして、沈黙の打破。
急に動き出した吉澤に、一瞬の隙をつかれた。
頭からベッドに叩きつけられると、吉澤の手が私のスカートの中に乱暴に侵入しようとする。
怖い。ただひたすら、怖い。声にならない声を張り上げたが、自らの耳にすら届かない。
強引に唇を奪われる。そして、吉澤の右手がショーツに手をかけた。
「安倍さん、矢口さんってどんな感じでした?上手でしたか?」
乱暴に胸を揉まれる。揉むというよりも、掴まれる感じ。吐き気がした。
瞬間、頭が真っ白になった。吉澤の右手が、秘部に触れた。もしかして私、感じてしまった?
- 48 名前:アベ 投稿日:2003年06月30日(月)16時08分43秒
- 「あれぇ…ピクピク動いてますけどぉ?もしかして、気持ちイイんですかぁ・・・?」
馬鹿にするような口調で喋りかける吉澤。手を休めようとはしない。
自分が一番知ってるからだ。だから、自分がいちばん感じてるのが分かる。
それが嫌だった。吉澤に犯されていても、快楽を求めてしまう自分が心底嫌いになった。
次第に抵抗する気力が失われる。感覚も麻痺してきた。
「あっ…やめて…もう、やだぁ…」
「安倍さんって可愛い声出すんですねぇ、矢口さんも好きになっちゃうわ、コレじゃ。」
「もう…やめて…」
完全なる降伏。もう、私の負けだ…
「濡れてる...やらしいですね、安倍さんって。イった顔、どんなのですかぁ…?」
視界が真っ白くなって、意識が飛びそうになる。
- 49 名前:アベ 投稿日:2003年06月30日(月)16時09分20秒
視界が真っ白くなって、意識が飛びそうになる。
吉澤の指の動きが速くなるにつれ、意識が薄くなる。
そして吉澤が、2本目の指を入れた時だった。
「あっ、ふぁぁ…あぁっ!あっ、ああああっ...んっ...!」
「そろそろいいですよ、安倍さん...気持ちよくなってください...」
「あっ…イク…イクぅっ!ふあっ、ふあああぁっっ!!」
「はぁっ…はぁ…安倍、さん…可愛かったですよ…」
汚れた…なっち、汚れちゃった…
お母さん、お父さん、ごめんね…なっち、もう、無理だよ…
涙で視界がぼやける。上手く焦点が合わない。世界が、遠くなっていく。
バイバイ…みんな…もう、疲れたよ…
なっちはもう、疲れたよ…
- 50 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年07月01日(火)00時30分26秒
- ジイイイィ パシャッ
これだけ撮っておけば、いざという時いくらでも強請れるだろう。
天下のアイドル、安倍なつみの行為中の写真なんて
一度ネットにばらまけば、半日で日本中の人間の目に安倍なつみの露な姿が
お披露目されてしまうであろう。自然に、笑みがこぼれた。
罰だ。これは、罰なんだ。矢口さんの人生を奪った安倍さんへの罰なんだ。
何も悪いことじゃない。むしろ、根本的な悪は、安倍さんの方だ。
矢口さんの笑顔を思い浮かべただけで、勝手に唇の端っこが上へ上へ上がっちゃう。
矢口さん...
えっ
笑ってない。矢口さんが笑ってない。笑ってる顔を考えられない。あれ?
どうしたんだろう、頭おかしくなったのかぁ?
考えても考えても、瞑った目の中の暗闇に見えるのは、真剣でどこか悲しげな眼差しの矢口さん。
- 51 名前:きゃる 投稿日:2003年07月05日(土)13時31分50秒
- なっちとよっすぃ〜どうなっちゃうんだろ…よっすぃ〜怖いよぅ
(((● ゜− ゜)))
- 52 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年07月06日(日)23時37分20秒
- 頭から血の気が引くとはこういうことなのだろう。
ふと、我に返った気がした。全身を鳥肌が襲う。
自分の行為の意味に心から震えた。今私が安倍さんにしたコト...
取り返しがつかないコトをしてしまった…鼓動が、次第に加速し始める。
プルルルルル
ハッとして我に返ると、あのコール音が鳴り始めた。
ダメだ。出ちゃいけない。出ちゃいけない。
スパートをかけるランナーのように私の心臓は徐々に鼓動のペースを高めていく。
耐えがたいコール音の嵐。気がおかしくなりそうだった。
震える指先。受話器を持ち上げようとするも、手先に力が入らない。
恐る恐る、渾身の力で受話器を上げ、耳元へ持っていく。
聞こえてきた声に、電気が走ったように視界がパアッと真っ白になった。
- 53 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月24日(木)13時34分33秒
- 更新待ってるよ。
- 54 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年07月27日(日)22時23分14秒
- まずは謝罪から。半ば放置状態になってしまっていて
今も少し忙しいのですが、何とか更新再開しようと思います。
次に言い訳w 実は私、現役スポーツマンでして
何とまた県代表に選ばれてしまったものですから
強化練習続きで執筆がアホみたいに疎かになってしまいました。申し訳。
と、まぁ駄弁はここまでにしてですね。
できるだけ早く更新開始しますので後少しお待ちをくださいです...
- 55 名前:jinro 投稿日:2003年07月28日(月)12時12分14秒
- 待ってるっす。
- 56 名前:ゴトー 投稿日:2003年07月30日(水)16時30分47秒
- なかなか電話が繋がらない。急がなきゃ、急がなきゃ。
事情は全て飲み込めた。辛いのに、私に全てを語ってくれたカオリ。
ありがとね。ここからは、私の役目。よっすぃを止めれるのは、私だから。
「あの、すいません。急いでもらえますか?」運転手さんも困り果てた表情。
「すいません、ちょっと渋滞巻き込まれちゃったみたいです」
時計が進むのが早い。いや、自分の鼓動が速いのか?
何にせよ猶予は全く残されてなどいない。今の自分がすべきことは、
一人の人間に命と一人の人間のこれからの未来に、多大な影響を及ぼしかねない窮地を
救うことだけが、私の生きている理由なのだと直感した。
私は今まで、人の役に立たないといけないと思ったことなんてなかったし
命がけで何かを守ることも、一度だって無かった。
でも、そういう場面に直面して初めて言える。
誰にでも、命がけで何かに打ち込めたり、人の役に立てたりすることは
とても簡単で、それ故にとても複雑なんだと、思った。
もし、もし全てが良い方向に向けば...その時は、よっすぃに...
- 57 名前: 投稿日:2003年07月30日(水)16時31分45秒
- 神様は、時に悪魔の片鱗を見せるコトがある。
そして、神様は時に、本当にどうしようもない人間に追い討ちをかける。
運命の駒を操る神はは、思わぬ方向に、まるで娘達を弄ぶかのように終幕へと歩を進め始めた。
- 58 名前:ゴトー 投稿日:2003年07月30日(水)16時32分48秒
- 目の前で火花が散った。ゴンという衝撃とともに、助手席の背もたれに
思い切り顔から突っ込む。急ブレーキによって放り投げられた私は
浮いた体で、助手席の横に突っ込む。そのとき、目の前のフロントガラスが割れる瞬間、何かがぶつかったのを捉えた。
目を疑った、そして、背筋が凍りついた。
見覚えのある、いや、そんなレベルの記憶ではない。
毎日生活を共にしていた、メンバー。そう、先ほどフロントガラスに当たった
黒い物体、それは他ならぬモーニング娘。メンバー、石川梨華であった。
意識が遠のいた。頭を打ったみたいだ。意識が、無くなると同時に誰かの「キャーッ!」という
叫び声と野次馬の声が一気に増徴し肥大していくのを聞きながら、私は意識を失った。
- 59 名前:イシカワ 投稿日:2003年07月30日(水)16時36分19秒
- 衝撃。同時にスローモーションで見える世界。
浮いている、体が浮いている。ただ、体を動かそうにも動かない。
浮くというよりは、吹っ飛んでいるという感じで
このまま行くと頭を打ってしまうと咄嗟に思った。
必死に手を頭まで持っていくと、スローになっていた世界が一変し
現実へと引き戻した。そして、痛みがやって来た。
激痛。激痛。激痛。今まで味わったことの無い痛みが体中を刹那のスピードで駆け抜ける。
あちこちが痛いなんていうレベルではない。もはや、「体」が痛い。「自分」が痛い。
背中から思いっきりアスファルトに打ち付けられたみたいで
刺さっているガラスの破片が一層食い込む。激痛が背筋の感覚を奪う。
- 60 名前:イシカワ 投稿日:2003年07月30日(水)16時36分49秒
- 痛い...痛い...何時間、いや何十秒だったかもしれないけど
私は意識がある間、ずっとずっと、ただひたすら痛いと呟いた。
それは長い長い間だったのかほんの1秒だったのか分からない。
けれど、私に苦しみという感覚しか与えてくれない神様を恨むだけの猶予は
これっぽっちも無かった。自分の運命を恨むことさえもできなかたった。
呼吸がしづらくなった。死というものを身近に感じたのはこれが最初で最後だった。
「映画...遅れちゃうなぁ....」
目の前が真っ暗になった。最後に...最後に見えた景色は...
- 61 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年07月30日(水)22時57分19秒
- てなわけで自分としては大量更新ですw
また合宿やらなんやらで更新が滞るかもしれませんが
首を長ぁぁぁぁくして待っててくらさい (^〜^○)ノ◎
とりあえず今日はこの辺で。また明日更新しやす。多分w
- 62 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月31日(木)22時21分30秒
- はじめまして。
いつも、楽しみに読んでます。
県代表ってすごいですね!
そちらもがんばって下さい!更新はゆっくり待ってますので
- 63 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年07月31日(木)22時34分57秒
- >>53,55,62
名無しさん、jinroさん励ましサンクスでした。
やはり小説の醍醐味は、良いものを書くということもですが
それによって皆様に評価し、誉めていただけるようになるというコトと思っております。
こういう申し訳ない状況なのに、見捨てず待っていてくださる方々のためにも
急いで更新して、お返しをしたいと思う所存でござる!
- 64 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年07月31日(木)22時39分04秒
- と、フリートークなんですが
なっち卒業というニュースを先日初めて知りまして。
だいぶ嵐が過ぎ去った後だとは思うのですが
皆様、この決定はアリっすか?ナシっすか?
- 65 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)13時18分39秒
- 「よぉ〜っすぃ!なぁにしてんの?」
「や、やや、矢口さんっ?!え、何で?何でですかぁ?」
「何それ、人を化け物みたいな扱いして。せっかく電話したんじゃぁん」
「あっ、えっとぉ...その...なんで私が安倍さんの家にいるって知ってるんですか?」
「もぉー、よっすぃの事なら、何だって分かっちゃうのぐらい知ってるでしょ!」
自然と口元が緩むのが自分でも分かる。すぐ後ろには犯されたショックで気を失ってる
この人の彼女の安倍さんが横たわってるというのに。
でも、矢口さんは死んだはずじゃなかったのか?疑問がよぎる。
- 66 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)13時20分08秒
- この時きっと私は、何もかも失っていて。けれど、最愛の人の声を、聞けるはずの無い声を聞けて
優越感というか、何か幻想にとり憑かれていたのだと思う。
何故この時私は、あるはずも無い電話に耳を傾け、相槌を打ち、お喋りを楽しんでいたのだろうか。
もしかしたらこれは、神様が最後に与えてくれた、幸せってヤツだったのかもしれない。
「よっすぃ、ビックリしたいっしょぉ?」
「ビックリって、何がですか?」
「へへ、ちょっと待っててね♪」
瞬間ピンポンと呼び鈴が鳴る。まさか、矢口さん?
そんなはずはないと分かっている。けれど、足が勝手に動く。
止めようにも止まらない。気付いたときにはもう、ドアノブを回し終えていた。
ここで何故、意識を取り戻せなかったのか。
そして、そもそも何故あの時イヤな予感がする電話を取ってしまったのか。
もしかしたら私は最初から、神様にこうなるように・・・
- 67 名前:jinro 投稿日:2003年08月01日(金)14時24分14秒
- どうなるだよ〜!!!
安倍さん卒業の件は…微妙ですな。
でも所詮オイラは安倍ヲタなんで
(●´ー`)ノ<なにがあってもなっちはなっちだべさ〜。
って感じです。
- 68 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)17時03分00秒
- 夢の中でしか、私の頭の中でしか見たことの無い景色。
目の前で矢口さんが、微笑んでいる。私だけを見て。私だけを。
もう、このまま死んでもいいとさえ錯覚させるほど、矢口さんは輝いていた。綺麗だった。
「へへへっ、すんげぇビックリしたっしょ?大成功ぉ〜♪」
「よ、よしてくださいよぉ・・・矢口さん、性格悪いですよ、心臓にも悪いですよぉ〜」
「性格悪いって、よっすぃ!口には気をつけなさいよぉ!怒るよっ!」
「す、すみません…」
自分で顔が火照っているのがイヤというほど分かる。
照れたのなんて、何年ぶりだろうか。ごっちんにだって一度も照れたことはないのに。
ふとごっちんのコトがよぎったけれど、目の前の天使の明るい笑顔には、微塵も勝てなかった。
- 69 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)17時05分19秒
- 可愛かった。ただひたすら私はこの数秒間を得るためだけに、ただひたすらに
今日まで走ってきたのだ。この笑顔を自分だけのものにできたのなら。
それが夢でしかなかった。だが、それはもう過去の話。遠い遠い過去の話。
私にチャンスが、いやもう掴んでいる。矢口さんを独占するチャンス。もう後少しなのだ。
邪魔者は私の手で消し去った。完全に葬ってやった。ボロボロになるぐらい。
後は、全て私のために。この人を愛せるのは私だけだ。私だけなんだ。
「ねぇ、よっすぃ?手つなごうよ…」
「えっ…は、恥ずかしいですよ、そんな...」
「私だって、恥ずかしいよ…でも、繋ぎたいの…」
触れる指先から、電気が全身を駆け抜ける。愛という見えない手袋をはめて
私と矢口さんは、今やっと初めて、心から一つになれた気がする。
もう、何もいらない…目を閉じても、矢口さんが伝わる。感じる。
それだけで私は、十分幸せだった。このままずっと、矢口さんと手を繋いでいたいと心から願った。
- 70 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)17時10分52秒
- だけど次の瞬間、ハッと手が離れた。えっ?っと思わず目を開くと、少し向こうにいる
矢口さんが手を振って、コッチへこいと言っている。
「よっすぃ、コッチコッチ!早く来てってばぁ〜!」
「ちょ、待ってくださいよぉ〜矢口さぁ〜ん」
そうだ、矢口さんに安倍さんのコトを話せばきっと喜んでくれるに違いない。
矢口さんが憎らしく思っていたヒトを誰よりもヒドイ目に合わせてあげましたよって。
そうだ、そうしよう!そしたらきっと、もっと恋人に近づけるはずだ・…
- 71 名前:イイダ 投稿日:2003年08月01日(金)17時11分36秒
- 目を疑った。まるでその姿からは、生気というか、意思そのものが感じられない。
私が駆けつけたとき吉澤は、ヤグチさん…と何度も呟きながら
部屋の前の通路のフェンスをよじ登ろうとしていた。
なっちの部屋のドアは開きっぱなしで、中からは私がずっと掛けている電話の
コール音が、小さく聞こえていた。
「ちょっと、吉澤ぁっ!何してんのっ!」
聞こえているのだろうか。いや、近所中の誰もが聞こえるであろう
大きな大きな、精一杯の声を出したつもりだ。
聞こえてなどいなかった。ほんの数秒止まっただけだった。そしてまた
フェンスを越え、飛び降りようとしている。
- 72 名前:イイダ 投稿日:2003年08月01日(金)17時12分07秒
- 慌てて腰を掴んで引きずり降ろすが、こんな時私は部活をやればよかったと思う。
昔からスタイルは良かったけれど、てんで運動や筋肉を動かすことには慣れてなくて
昔からミンナに「カオは運動ができたら・・・」なんて皮肉を言われていた。
吉澤の力は思った以上に強く、私の腕を振り解くと
再度フェンスへとよじ登ろうとする。どうにかして止めないと、このコは…
考えただけで、悪寒がする。今までずっと生活してきたメンバーの自殺を
止めようとすることになると、思ってもみなかった。
一体いつから、こんなコトになちゃったの…帰ってこない応答を求め
私はひたすら、吉澤に抱きつき、何度も降ろしては抱きつきを繰り返していた。
- 73 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年08月01日(金)19時04分52秒
- >>67
jinroさん、毎度感想サンクスでございます!
どうなるんだろ〜って思っていただければ、見事に私の目論見どおりなのでw
こうやってリアクションしてくれるのも、また嬉しいッス。
もちろん、カキコめんどい方は読んでいただくだけでも光栄ですが。
やっぱり、オイラもなちヲタなのでjinroさんと似てる気持ちはあるけど
今まで顔として突っ走ってきた安倍さんなだけに
何だかあっけないゴールの気がして、しっくり来ないでやんす。
自分としては、いつまでも「安倍なつみ」でいてほしいだけなので
ソロは反対ではないのですが、卒業という形に多少ですが
不安を抱けずにはいられないのです・…ヾ(´〜`;)
>>51
きゃる氏、毎度感想レス光栄の極みでございます。
固定で読んでいただく方が一人でもおられると、何だか活力になります。
なちまりはもう無い気もしますが、長い目でお付き合いくらさいw
次回作は甘い感じのなちまりがイイナなんて妄想してまふ。まふ。
- 74 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)19時21分54秒
- 「よっすぃ、もぉ、早く来てくんないとつぅまんないじゃ〜ん!」
「あっ、ハイ!今行こうとしてますぅ…」
「行こうとしてるじゃなくて、早く来てよってば!」
矢口さんの表情が、ちょっと怒ってる。私には分かる。
矢口さんの変化ならどんな些細なコトも。安倍さんだって気付かないようなコトも。
ここで怒らせるとマズい雰囲気になるなぁ…なんて思いながら歩こうとするけど
一向に歩が進まない。自分では動いてるつもりだ。けれど、何かに引っ張られている感じがする。
後少しで、後少しで矢口さんに手が届く。なのに、まだ足はイウ事を聞こうとしない。
- 75 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)19時22分39秒
「しょうがないなぁ、もう。よっすぃ、ホラッ」
手を差し伸べる矢口さんの顔が一瞬悪魔のように暗く光ったのを
私はハッキリと捉えた。瞬間、何処からか飯田さんの声がするのを聞き取った。
そして、ごっちんの顔がフラッシュで見えるのが分かった。
笑顔のごっちんが、「よっすぃ、今日はパーティだよ?早く帰ろっ?」と手招きしている。
あっ、そういえば…同時に、飯田さんの声も大きくなる。
さっきずっと「よっすぃダメェ!」と何度も叫んでいる。
あまりの必死さに、私はすっかり目が覚めた感じになった。そうだ、帰らなきゃ。
あと数秒思い立つのが速ければ、私はこの先の長い人生を
もっと楽しめていたのだろうか。それとも、あと数秒の幸せに全てを掛けたほうが
正しかったのであろうか。答えなんて期待しないけど、考えられずにいられないんだ。
私は、これから待っているであろうごっちんとの永久の愛よりも
二度と手に入らない矢口さんとの永遠の愛を選んだ。その選択は間違いなく 死 だった
- 76 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)19時23分37秒
飯田さんの名前を呼ぼうとしたとき、矢口さんが近づいてきた。
私に向かって手を差し伸べてくれている。後ちょっとで、矢口さんに届く。
飯田さんのコトはすっかり忘れていた。
ずっとずっと私は、矢口さんに届かない想いを毎日溜め込んでは
安倍さんへの嫉妬心に変え、毎日を生きてきた。けれどもう違う。
そんな塞ぎこんでいる人生はもう終わりなんだ。手を伸ばせばそこに、求めつづけていた人がいる。
人生最良の瞬間へと私は、確実に一歩ずつ近づいていっているのだ。
徐々に徐々に、私の足が動くようになってきた。後少しで矢口さんに手が届く。
すぐ先には、手を伸ばせば触れることの出来る場所に矢口さんの手がある。
無我夢中で足を動かすと、ついに足の自由が利いた!今しかない!
後少し、後少し、後少し、後少し、後少し、後
- 77 名前:イイダ 投稿日:2003年08月01日(金)19時25分14秒
- 届かない叫び声は相手をを探し彷徨うように廊下に反響して自分に返ってくる。
いくら叫んでもこのコには届かない。もう、手段が無いのだろうか。
ハッと気が付いた。もしかしたら、このコの頭に残ってる唯一の鍵は...
携帯を取り出し、一昨日の夜ホテルで撮った動画メールを吉澤の目の前で再生する。
吉澤の目は焦点を取り戻してはいなかった。けれど、何か眼球に光るものが一筋見えた気がした。
いける!この子はまだ、後藤のことを忘れてない!
ありったけの後藤の画像を見せては、吉澤!と叫んだ。すると、ごっちんと呟き始めた。
もしかすると、このコを救えるのかもしれない。きっとそう、何もかもが一変に起きすぎて
このコの頭では対処しきれないほど難しいことばかりが起きてしまって
何かすがるものを見つけていたんだ。人に甘えられない吉澤らしい答え。
早く気付いてあげれば良かったのに、私はいつだって一歩遅れているんだ。
- 78 名前:イイダ 投稿日:2003年08月01日(金)19時26分32秒
- と、吉澤の頭がガクンと垂れ下がる。一体何が起きたの?
コンクリートの廊下に、一粒の涙が染みている。ポツッポツッと左右に染みを作っている。
泣いていた。きっとこのコはどこかで頼られる存在よりも頼りたい存在を見つけたかったのだろう。
空は澄み渡っていた。真っ赤な空。久しぶりに見る夕焼けに、私は思わず「わあっ」と声を出してしまった。
恥ずかしい...うつむいた私の肩に手がかかる。えっ?
「綺麗ですよね、空」
いつもの笑顔で彼女は私の前に立っていた。
色白で、綺麗な顔立ちをしたこの少女は、きっと何かを見出したのだろう。
スッキリとした、意思のこもった顔をしていた。
吉澤が空を見上げて、ふと独り言のように「夢...なんだよね」と、呟くのが聞こえた気がした。
- 79 名前:イイダ 投稿日:2003年08月01日(金)19時27分53秒
- 「吉澤、帰ろう…?」
「飯田さん…ココで問題です。海のど真ん中に一人で放り出されたならば、まず何を願いますか?」
「こんな時にあんたってコは…じゃあ、私ならね、好きな人のコトを思い浮かべるかな。」
「どうしてですか?」
「どうしてって…もう助からなかったら、二度と思い出すこともできないんだよ?」
「あぁ、そっか…」
「アンタは?ごっちんのコト考えようとかって思わないの?」
「私ですか…私は…私は…」
涙が頬を伝ってピタッと落ちるのが分かった。一瞬だった。
ひょいとフェンスの上に上り、立ち上がった吉澤は、満面の笑みで大空を見つめていた。
「私ならきっと、メンバーに携帯で電話して、ソコに来てもらうかなぁ…」
「ちょっ、危ない!」
「飯田さんなら、真っ先に、来てくれますよね…?」
「吉澤ぁっ!」
- 80 名前:イイダ 投稿日:2003年08月01日(金)19時34分13秒
- そのとき、振り返った吉澤の顔は、笑顔だった。あのいつもの天真爛漫な。
人が暗いとき、一番喋りたいタイプの子だったから
いつもあの子の周りには、明るい雰囲気が漂っていた。
今だって、そうだった。本当に、この子は最後の最後まで人に心配をかけさせて・…
涙が零れ落ちた。死なせてしまった。まだ幼い少女だったのに。
芸能界という厳しい世界に身を置いているとはいえ、まだ10代の少女だったのに。
一度間違えた積み木を直すためには、一度全部壊さないと元には戻らないんだ。
やり直しのきかない人生という名の積み木は、おそらく未完成のまま
吉澤ひとみという所有者の人生を、立て直すかのように崩したのだった。
- 81 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)19時35分20秒
- 矢口さんの手に触れた瞬間、世界が一変した。
ずっと続いていた廊下が消え、私はフェンスの上に立っていた。
握った手がだんだんと温かみを失っていくのが分かる。矢口さんなんかじゃなかったんだ。
でももう遅かった。悪魔は、私の手を今まで以上の力で握り締めながら
飛び立つ準備をしていた。もう、何もかも遅かった。
気付くべきだった。あの時、電話の時に。神様ってのはなんでこう、変に伏線をはるのだろう。
神様を恨んだのは2回目だ。1回目は、安倍さんが矢口さんが部屋に入っていくのを見た時だ。
結局最後まで、矢口さんに届かないんだな…私って、何のために…
「よっすぃらしくないよ…そんな顔。いつもみたいにさ、さっっむいジョークで笑わせてよ」
目の前の悪魔は消えて、変わりに矢口さんが微笑んでいた。
何も言葉が出ない。今までの矢口さんとは全く違う、いつもの、本物の矢口さんだと確信した。
涙が頬を伝う。好きな人の前で涙は見せたくは無かったけれど、もうどうだっていい。
- 82 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)19時36分05秒
- 「矢口さん…グスッ、私ねぇ…、頑張ったよ…グスッ?」
「ほらほら泣かないの。泣いてるよっすぃは、ただの寒いジョークしか言えないヤツだよ」
「ヒドイですよぉ…そんな言い方…」
「そうそう、その笑顔!よっすぃ、私は大好きだよ。いや、娘。みんな、その笑顔が大好きだよ!」
見失いかけていたナニかを掴んだ気がした。手の中にまるでナニかがあるかのように
確かな形として、脳に伝わっている。
そうなんだ、憎しみあっていても何も変わらないのだ。
安倍さんをどうしたところで、私の想いを勝手さを増すだけなんだ。
安倍さんにはひどいなんて言葉じゃ言い表せないほどのコトをしてしまった。
多分、みんなには許して貰えないだろう。一生口を聞いて貰えないかもしれない。
それでも私は、どんな罰にでも絶えてみせる自信がある。
矢口さん、モーニング娘。はいつまでも走りつづけますよっ!
見ててください、何もかも終わりにできる日が来たら、その時はきっと・…
その時は、きっと…・
- 83 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)19時36分37秒
- 差し伸べられた手。今度はきっと本物だ。いや、もうニセモノでも構いはしない。
大事なモノは見つかったのだ。自分の中で、全てが一変し、変化したのだ。
今までの浅はかな考えを捨てることができたのだ。
矢口さん、今度こそ私は、アナタに追いつける。今度こそアナタに…
矢口さん…私は絶対に、幸せだったんですよね…?
反転した世界は、想像以上のスローモーションで時間を止める。
この先死が待っているのだろう。けれどもう、私にはそんなことどうだっていいんだ。
本当に大事なコトは、この脳でしっかり覚えた。本当に大切なモノは
この目と手で、しっかりと確かめた。本当に大好きな人は、この体で、私全てで、感じ取れた。
それだけで私は、十分、いや世界中の誰よりも、今のところは世界一幸せだったなと心から思った。
目の前に広がる真っ赤な夕焼けが、少し眩しくて目を閉じた。
目の前に浮かぶのは、娘。のみんな。お父さん、お母さん。色んなお世話になった人達。
色んな人から幸せをもらって生きてきたんだなって、感じた。
- 84 名前:ヨシザワ 投稿日:2003年08月01日(金)19時38分10秒
- あまりに綺麗な夕暮れに、見慣れた町は顔を変え、とても切なくなる。
この見慣れた景色を、私は忘れてしまう。綺麗な町だから、ずっとずっと覚えていたかったな。
あとちょっとで地面に当たる。もしここでスーパーマンが現れて
私を抱きかかえて助けてくれたら・…なんてね。アハッと自然に笑みがこぼれる。
最後の最後まで私は笑顔が耐えない人生だったと思う。我ながら、最高の人生だったとも思った。
そのスーパーマンの顔がごっちんだったら面白いなぁ…えへへへっ
もし本当に助かったら、こんなコト考えてたよってみんなに話そうっと…
色んなコトを考えてたら、あっという間に地面だった。真っ赤に染まった空が、一番遠く見えた。
目の前が真っ暗になった。最後に見えたのは、メンバー全員が笑っていたあのころの楽屋だった。
みんなが幸せになれるように…そう願いながら彼女は、吉澤ひとみは、人より断然短いれども最高の人生を終えた。
沈み行く太陽が、彼女の死を悲しむかのように、徐々に、夕日の色を漆黒の闇へと顔を変えていった。
- 85 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年08月01日(金)19時47分17秒
- てなわけで大量更新ッッッ!w
明日から遠征で更新はご無沙汰さんになっちゃうので
一気に昼寝のヒマも惜しんで書きまくりましたw
ところで、みなさんは、流石にお気に入りには入れてらっしゃらないと思うので
板トップから見ていただいてると思ってるのですが
いっぺんに多量更新しちゃうと、どっから読めばいいか分かりにくくないっすかね?
読みやすいように極力連投はしないようにしてたのですが...
もし何かありましたら、気軽にカキコんでくらさい。 即 直 し ま す w
- 86 名前:イシカワ 投稿日:2003年08月04日(月)21時54分54秒
- 何も信じられない。
昨日まで一緒に仕事をしていた仲間が、同様に私の仲間に殺された。
安倍さんは、そんなことできるような人じゃない。
矢口さんも、そんなふうに思われるような人じゃない。
と、信じていた。
でもそれは、私の勝手な思い込みであって、本来の二人を私は一度も垣間見てすらなかったんだ。
待ち合わせた映画館から数10m先の電気店。何故だろうか、テレビが気になったんだ。
別に液晶テレビだとか、おっきいからだとか、そんな理由らしい理由じゃなくて
何かこう、引き付けられたんだ。テレビというか、ニュースに。
そこで私は見てしまったんだ。安倍さんが記者会見場で倒れる場面の録画放送を。
テロップには モー娘安倍なつみ、メンバー矢口真里を殺害! と、見慣れた文字。
見慣れている名前と、最近ではそう珍しくもない殺害という単語。
けれど、いつも素通りして聞いていた普段のニュースとは違って心に衝撃が残った。
- 87 名前:ネス 投稿日:2003年08月09日(土)01時05分20秒
- やべぇ・・初めて小説で泣いた。痛すぎる話ですな・・・僕痴呆なんでこれからハロモニなんすけど、この作品明日見れば良かったw鬱になりますね。いやいい意味で・・
- 88 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年08月09日(土)11時29分05秒
- 県選抜ついに終焉!!!というわけでですね、更新を再開したいと思ってます。
大会は、まぁ全国に行くペアに2回戦でぶつかったので
こっちとしては言い訳する準備は万端なので
更新サボっといてその結果はねぇだろってツッコミは、無視しますw
なんやかんやでまぁ、お待たせしてスミマセヌ。
開始当初、このように何人もの人が見ているとは思ってもみなかったので
まぁ、2月に一度ぐらいかなぁ・・?
なんて浅はかな考えで初めて蓋を開けたら、くりびつてんぎょういたおどろ ですよw
追い立てられるかのような更新作業が、何だか楽しい限りで
やっぱり、皆様の感想レスは、元気というか活力源にマジでなります。たんくゆー!
- 89 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年08月09日(土)11時39分27秒
- >>87
ネスさん、感想レス本当に、たんくゆー!
まだまだ未熟な自分ではありますが、こうして一人の方に
賛同を頂けることは光栄の極みに思っている所存ですし、自信になります。
これからも、もうどんどん泣いてくださいw
物語りもそろそろ終盤戦なので、泣き落場面がチラホラ出てくるつもりですのでw
というわけで、これからも購読よろしくでっす!(‘Д‘)ノ
- 90 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年08月09日(土)11時45分50秒
- 購読って...恥を晒してしもうたw
急いで更新開始せねばぁ・…
そういえば、宿題してへんねや、俺...
- 91 名前:イシカワ 投稿日:2003年08月09日(土)11時50分55秒
- 何かがおかしかった。
私はいつもやさしい安倍さんに何度も助けて貰ったし
いつも明るくて可愛い矢口さんにも何度も助けて貰った。
何があって、何がおきたか。それすらも私の頭では処理しきれない。
逃げ出したかった。
とにかくこの場から、早く。一歩でも早くこの場所を離れたかった。
がくがくと震える足を奮い立たせ、一歩ずつ後ずさりをする。
みんなが見てる。私のことを。みんな、ヒドイ目で私を見てる。
耐え切れない。このままじゃ、どうにかなりそうだった。
ふっと意識が飛ぶ。ふらふらする体を立て直そうと重心を直すが
視界の揺れは止まる気配すらない。
- 92 名前:イシカワ 投稿日:2003年08月09日(土)12時16分47秒
- ふらふらとおぼつかない足をふんばり、ゆっくりと信号を待つ。
さっきからの渋滞は、ようやく解消されたようで
何だか人の視線が少なくなった気がしていた。
スイスイと動く車を目で追ううちに、意識がまた朦朧としだした。
ここで倒れるわけにはいかない。ただでさえ、今モーニング娘。は危機に直面してるんだ。
今ここで、私が頑張らないと、もっとメンバーや事務所、つんくさんが苦労してしまう。
私一人のコトで、みんなに迷惑をかけることだけは絶対にしたくなかった。
目の前をタクシーが通り過ぎようとしていたその時だった。
自分のすぐ後ろで、急に人の気配がして、そしてボソッと吐き捨てるように呟いた。
「人殺しの友達が街中歩かれると物騒で困るよねぇ…」
私は人に対して本気で怒ったりとか喧嘩をふっかけたりということは
滅多になかった。だって、正直めんどくさかったし後々謝るのはいつも私だったから。
でも、どうしてだろう。初めてだ。初めて自分の中で何かこう糸が切れたっていうか
初めて見ず知らずの人間に、怒りを覚えたんだ。それも、今まで感じたことの無いような。
- 93 名前:イシカワ 投稿日:2003年08月09日(土)12時17分54秒
- 自分のあまりの怒りで、涙がこみ上げてくる。どうして、こんなヤツに安倍さんを、私をバカにされなきゃいけない?
頭に血が上っているのが、おそらく周りからでも分かるぐらい顔が熱かった。本気でキレるというのはこういうことなのか。
「今言ったの誰…?」
周りの世界の空気が一変するのが、手にとるように分かる。
「今誰が言ったって聞いてんのよ…つぅか、マジで誰?」
周りの人間はテレビ画面やカメラ越しでしか私を見たことが無いはずだから
きっと今の私の言葉遣いとかには、本気で驚いていると思う。
驚かないはずがない、私は今まで可愛いイメージを抱かれているはずだし
アイドルというものは、普通のコギャルなんかとは一線引いているものと思っているに違いなかった。
「アンタらさぁ、何?面と向かって悪口も言えないわけ?ていうか、本当にムカツクんだけど」
私の右にいたおそらく今の渋谷なんかには5秒に一度のペースで見かけるような
制服にルーズソックス、ポロのショルダーボッグに頭の悪そうな顔をした
いかにもな女子高生が、ドンッと私を手で突き飛ばした。
コイツか。
- 94 名前:イシカワ 投稿日:2003年08月09日(土)12時28分16秒
「ねぇ、アンタさ、グループ内で人一人死んでるんでしょ?
しかも同じグループ内に犯人がいるって。超笑うんだけど?責任とんのは残ったメンバーじゃねぇのかよ」
「アンタみたいな頭の悪そうな人間に、説教される覚えないんだけど?」
「あ?何だと?」
「ていうかさぁ、さっきのアンタっしょ?今謝れば許してあげる」
「イヤだね。何で人殺しの友達に頭下げなきゃいけないわけ?」
「何にも分かってないくせにさぁ、いちいち人殺しとかって言うんじゃねぇよ!」
時間が止まる気がした。とはこういうコトなのだろう。
みんなの表情がいっぺんに変わる。さっきからつっかかってくる女子高生も驚いている。
ここで負ければ、今までやってきたプライドとか色んなものが壊れちゃって
二度とカメラの前に立てない気がする。だから、みんなのためにも私のためにも
負けは許されないんだ。モーニング娘。の前に、私は石川梨華なんだ。
- 95 名前:イシカワ 投稿日:2003年08月13日(水)09時14分28秒
- 棒立ち状態の女子高生の襟首を掴んで、グイッと引きずり寄せた。
手が出そうだった。けれど、暴力はよくないんだ。と自分に言い聞かせ、何とか抑えようとする。
でも、コイツの態度は悪くなる一方だった。
「本当のコトじゃん、つぅかおめぇらアイドルだろ!おとなしくいい子ぶっ 」
ピシッっていう乾いた音と自分の右手のしびれた感覚だけが、感じ取れた唯一の周りの状況だった。
理性とは言うのは、こんなにも脆く崩れやすいものなのだろうか。
決意なんて、全くの無意味だった。私は他人を、ぶってしまった。
周囲の人間の目が一層深く突き刺さってくる、耐えられない。
謝ろう。手を出したのは卑怯だったし、こういうことはちゃんとしておかないとダメだ。
「ごめんね...つい、カァッってなって・・・」
その子は無言で私のほうをキッと睨んで、そのまま立ち上がってどこかへ消えた。
- 96 名前:イシカワ 投稿日:2003年08月13日(水)09時15分09秒
- どうしようもない脱力感で体中がフラフラする。
今にも崩れ落ちそうな足をふんばって、ようやく周囲の人間の輪から抜け出す。
視線が突き刺さる。本当に刃を立てられているように、背筋がキーンと痛い。
見えない刃に耐えながらも、ようやく信号の所へと辿り着いた。
向かいのタクシーを止めてもらって、とりあえず事務所へ...
揺れる視界。ぼやけるビル。ふらつく足元。
おかしい、どうしてしまったのだろうか。さっきまで、あんなに走り回っていたはずなのに。
神様…助けてください…
その願いは、叶えられることはなかった。
- 97 名前:イシカワ 投稿日:2003年08月13日(水)09時15分44秒
- ふらふらと今にも前のめりに倒れそうな体を、電柱を掴んでようやっと維持している。
こんな状態じゃ、歩道なんて歩けない...
「スッ、スミマセン…少しだけ、肩をかしていただけません…か?」
「あっ、どうぞどうぞ。お互い様ですから」
その人はきっと、モーニング娘。を知らないぐらいの年代の人で
もし、この肩書きを認知していたら...私は、そのまま道路に放り出されていたかもしれない...
ドンッ
えっ?
信号は...まだ赤のまま…
えっ?
隣のおじさんの目が点になっている。まさか、本当に...
私はそのまま道路に放り出された。
- 98 名前:イシカワ 投稿日:2003年08月13日(水)09時16分54秒
- バランスを崩し、前のめりになった私は、そのまま体重を後ろに戻すことができなかった。
瞬間、体が宙に浮いた。後ろで「 ね、バァカ」って声も聞こえた。さっきの女子高生の声だった。
渋滞が解消されたのだろう、車はスイスイと走っていく。ブレーキの存在すら忘れているようだ。
ようやく自分の状況に気がついた時にはもう遅かった。
いや、私は半ば気付いていないままタクシーへと吸い込まれていった。
えっ?
轟音と共にゆっくりと景色が流れ、体中が空気になってしまったように感覚がまるで無かった。
夕暮れに染まろうとしているビルが一際大きく見えた。
数十秒後、私は死んだ。
最後に見えた景色は、メンバーで円陣を組んだときの場面で、何だか妙に懐かしくなった。
がんばっていきまっしょい!って、みんなの心に届くように大きな声で私は叫んでた。
夢の中ならいいなって、思いながら…
「映画...遅れちゃうなぁ....」
涙が、流れた。熱くなったアスファルトに大きな染みを作った。
私は泣きながら、息を引き取った。
- 99 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年08月13日(水)09時27分47秒
- 何か綺麗に100レスで終わりそうw
なので、っていうかそれだからじゃないですが
この物語もそろそろ終焉を迎えさせようかなと思っております。
とてつもなく中途半端な終わり方ですが...勘弁ッ!
今日からお盆ということで、この小説見てる方は皆無...と思っておりますがw
というわけで、今日からエピローグです。毎日夕方ぐらいに更新するつもりです。
情景が重なればいいなぁ...ってことで。
この時期の夕暮れ時て、何か好きなんですよねぇ・・・
- 100 名前:エピローグ1〜不老不死・・・〜 投稿日:2003年08月13日(水)17時59分42秒
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- 101 名前:イイダ 投稿日:2003年08月13日(水)18時09分43秒
6月24日pm5:10
初夏の夕暮れは、何かこう気持ちを切なくさせる。生暖かい風が頬に当たる。
吉澤…こっちは未だに、相変わらずだよ。
あの二人はちっとも変わってなくて、毎年この日にメンバーで集えるのを楽しみにしてるみたいです。
あっ、そうそう。去年までは私イラストレーターだったんだけど、正式な油絵書きになったんだ。
それに辻加護。二人でクレープにアイスを入れる「アイスクレープ屋さん」を始めたみたいで
ネーミングはまんまなんだけどね、それがテレビに出るぐらい売れちゃって!スゴイの!あの二人。
やっぱ、最初ッからそっちの道に行かせるべきだったわね…なんてね。
そうそう。
そっちはどう?石川とか矢口にも、出会った?
出会ったらさぁ、辻加護をどうにかしろって一緒に神様にお願いしておいてよね...
- 102 名前:イイダ 投稿日:2003年08月13日(水)18時10分51秒
- 「いいらさぁーーーーーん!」
「どしたぁーーー?」
「あいぼんが、いなくなったのれすー!」
「はぁっ!?」
「バァッ!」
「うっ、うわぁーーーーん!いいらさーーん!あいぼんのユーレイがぁーーー!」
「アッ、アホぉ!まだ全然生きてるっちゅうねん!何言い出すねんなホンマに!」
「あんたら、静かにしなさいよ…っていうか、もういくつになったの…」
「ほらぁ!飯田さん呆れてるやんけ!絶対のののせいやで、うちとちゃうもん絶対」
「あいぼんひどいれす!じぶんのつみを、かよわいののにせおわそうとしてるのれす!」
「あぁ〜もう!分かったから!どっちも悪い!」
「「そんなぁ〜〜」」
さっきのお願い、マジで頼んでよね...吉澤。
- 103 名前:イイダ 投稿日:2003年08月13日(水)18時11分28秒
- と、急に二人が静かになると私の両隣に立ち、私と同じように吉澤のお墓に話し掛け始めた。
「よっすぃ、ののね、さいきんはあいすよりもうまいぼーがまいぶーむなんれすよ」
辻の年齢は、いつになれば上がるのだろう。もしや、不老不死では...
いや、これは精神年齢があがらないだけか?いやもしかしたら、これは演技で…ブツブツブツ
「いいらさん、まだこうしんしてるんれすよ、よっすぃ、なんとかせいちょうしないものれすかね、いいらさんは。」
「のの、お前が言えた立場やあらへんで...きっと」
「なんれれすか?」
「それはまぁ、後でな…」
「?」
「ところでやよっすぃ、うち成長したんやで!ほら見て見て、背!背!背ぇがなぁ、3cmも伸びてん!ヤター!
な?な?スゴイやろ!3cmやで?一年で1cm!これスゴイことやろぉ?ほんでな、スンゴイ嬉しゅうてな、みんなに自慢してん!
そしたらな、みんな笑顔でな「スゴイねぇー!」って言ってくれたんやで!ええやろぉ〜、よっすぃにも見せたいわぁ、このぼでーをっ!」
「あいぼん…かわいそうなこれすね…」
- 104 名前:イイダ 投稿日:2003年08月13日(水)18時14分39秒
- しゃがみこんで、ボーッと考える。不老不死について。17秒ぐらいで馬鹿馬鹿しくなった。
ふと空を見る。素晴らしいぐらいに真っ赤な夕焼けに山並みが染まっている。
毎年この景色を見るたびに、吉澤のことやメンバーのこと、そしてあの日のことを思い出す。
私は未だに、あの時吉澤を止められなかったことを悔やんでいる。
一緒に、こんなにも綺麗な夕焼け空を毎年見たかったなって、毎年思ってる。
でも、吉澤のほうが空に近いわけだし、私より綺麗な空見てるのかもなぁ...なんて。
「「わぁ〜〜〜!」」
「はぁっ!?何ぃっ?!」
「よっすぃ…の声やったよなぁ?のの・…」
「うん…まちがいねーのれす!よっすぃれすよ!」
やはりこの二人は不老不死…と思った。
けれど、二人の顔つきが冗談を言う時の顔じゃないことに気がついた。
まさか…まさか、ね?
- 105 名前:イイダ 投稿日:2003年08月13日(水)18時18分33秒
「その吉澤は、何て言ってたの?」
「ののには、いいらさんにめいわくかけんなってきこえたのれす」
「うちは、その約束は無理かなあって飯田さんに伝えろって…」
信じられなかった。私しかこの約束を知っているモノなどいるはずがない。
あんなに騒いでいた二人なら尚更だ。もしかして、本当に・…?
いや、そんなはずがない。ましてや、死んだ人間からの声が届くなんてことは尚更...
でも
アイツなら
吉澤なら、ありえそうかも…ハハッ
吉澤らしい…本当に、いたずらっ子なんだもんね…クスッ
「ねぇ、あいぼん。いいらさんひとりでわらってるれすよ、へんれすよぜったい!」
「ののもそう思う…?あかんわ、こら。うちらには手が負えへん、逝ってもてる」
「よっすぃ、たすけてやってくらさい・…」
「うちからもお願いやで…よっすぃ」
- 106 名前:イイダ 投稿日:2003年08月13日(水)18時21分16秒
- 真っ赤になった夕陽を背に、二人は必死で拝んでいた。
立ち上がり、二人の横に並ぶ。
二人は私の存在に気付きもせず、一心不乱に拝んでいる。
そんなに何を願ってるんだ…?
心地良い風が体全体を包む。もう6月だというのに、今年は暖かい。風も、春のように澄んでいる。
真っ赤な夕陽に照らされて、赤くなった吉澤の墓石は辻加護に熱心にお願いされて、
何だか照れているように見えた。クスッって思わず笑っちゃった。
すると、一層真剣に目をきつく閉じ、眉間に皺をよせて二人は拝み始めた。
何をそんなに…
手を合わせて眉間に皺をよせ、目をきつく閉じ、私も一緒に思いっきり拝んだ。
多分その時の墓石は、トマトぐらい真っ赤になってるな。と私は想像して、またクスッと吹き出した。
横の二人が、少しうぅっと唸ったのが聞こえた。
二人は足にまで力を込め始めたのだろう。
ジャリッと砂利がなった。クスッ、ダジャレ言っちゃったよ…私ったら…こんなときに…クスッ
- 107 名前:イイダ 投稿日:2003年08月13日(水)18時24分12秒
「「ううぅっ」」
- 108 名前: 投稿日:2003年08月13日(水)18時27分08秒
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- 109 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年08月13日(水)18時38分43秒
- お盆すぺしゃると勝手に題してお送りしているわけですがw
とりあえずこの3人のエピは終了です。
あまりインに入っていたようなキャラではなかったのですが
年長者でありながらデフォルメされた性格(交信w)と
不老不死とまで思わせる低年齢さの中で締まったキャラクター。
『あいののかお』の新境地に目覚めた夕暮れ時...
曇ってて太陽なんて見えねぇよぉっ!o(`ω´*)oプンプン!!
See you tomorrow!━ヽ(*゚ー゚) 人(=゚ω゚)人(*´〜`*)人( *´ー`)人(`Д´)人(*‘ω‘)ノ ━!!!!
- 110 名前:エピローグ2〜夕焼けこやけで・・・〜 投稿日:2003年08月15日(金)18時18分13秒
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- 111 名前:ゴトー 投稿日:2003年08月15日(金)19時42分41秒
6月24日pm5:20
カオリが来たのだろう。花が換えてある。カオリらしい、綺麗なお花だ。
お線香が3本。10分前ぐらいに来たのかな?まだ半分も燃えていない。
「よっすぃ…もう、あれから3年も経っちゃったよ。私ももう、おばさんだよ」
帰ってこない応答を待ちながら、墓に水をかける。
夕陽が当たって、キラキラと輝いているよっすぃのお墓は、何だかとても綺麗だ。
- 112 名前:ゴトー 投稿日:2003年08月15日(金)19時43分21秒
「私ねぇ、今ミュージカルとかやっててさ。それがね、スッゴイの。聞いて。
私ね、今度、ぶろーどうぇいっていう有名な所で上演することになったの!すごいっしょぉ!」
よっすぃならきっと、「マジでぇ?!」ってオーバーに驚いてくれるんだろうなぁ…
声は届かないけど、応援してくれてるよね、よっすぃ…!
心地良い風が頬を叩く。毎年この日は、晴れだ。毎年この真っ赤に染まる空を見るんだ。
夏の香りが微かに鼻を擽る。その匂いはどこか、よっすぃの匂いに似てた。
キュンって胸が締め付けられる。怖いくらいに鮮やかな朱色に染まった空は
病院のベッドでよっすぃの死を告げられたときに見ていた景色にそっくりで
まるであの日にタイムスリップしたように錯覚させた。
ちょっとだけ、涙が出た。
- 113 名前:ゴトー 投稿日:2003年08月15日(金)23時18分28秒
- お線香を立てようと線香の箱を開けると、一本も無かった。ありゃ〜…
「ゴメンねよっすぃ、お線香買って来るから。すぐ戻るからね。そんじゃ、行ってきまっす!」
そういえば…お線香ってどこで買うんだろ…?
とりあえず、駆け出した。
夕陽に向かって走ってる...うぅ〜ん、青春っ!
- 114 名前:アベ 投稿日:2003年08月15日(金)23時19分03秒
ザッザッザッザッって、砂利を駆ける音が遠くから聞こえる。
メンバーの誰かだろうか?いや、もしそうだとしても私は気付かれちゃいけない。
私のせいで、モーニング娘。は無くなっちゃったんだもん…
帽子を深めに被る。あまり目立った服装はしてないから、多分ばれないだろう。
慌ててポケットからサングラスを出し、着ける。
チラッとサングラス越しに前を見る。ごっちんだった。
ヤバッ!と思った私は、墓石の影に隠れようとして、思いっきり石段の角に足をひっかけた。
「いっ…痛いべさ…くぅ〜」
いけない。ここで声を聞かれては、さすがのマイペース女王ごっちんでも
気付かないはずがない。痛みを堪えろ、堪えるんだ安倍なつみ!ファイトだべ!
「何してんのなっつぁん」
ファイトだべ……
- 115 名前:アベ 投稿日:2003年08月15日(金)23時24分49秒
「よかったぁ〜!なっつぁんがいなかったらさ、線香買いにローソンまで行ってたよぉ〜!」
「あっ、あははは!それは危なかったねぇ、あはは…」
ローソン…?
「お墓…よってくでしょ…?」
「うん...毎年さ、この日だけは暑いよね。決まって。」
「それってね、きっとよっすぃがさ、忘れんな!って、教えてくれてるんだと思うの。」
「なっつぁん...私も、最近ね、よっすぃが生きてるんじゃないかって思うの。」
その瞳からは、哀愁のようなものが感じられて、どうにも愛しい気持ちになった。
この子はもう、立派な大人になったんだね…見えてる?よっすぃ。
ごっちんは、こんなにもカッコよくなってるよ…
- 116 名前:アベ 投稿日:2003年08月15日(金)23時26分18秒
「ごっちん…何かさぁ、見ない間にさぁ、大人になったねぇ…何か、大人っぽい」
「もぅ...おだてても何も出ませんよ〜だ」
「うわぁ〜!ムカツクぅ!その顔!変わってないねぇ〜やっぱ。なっちの勘違いだわさっきの」
「それもそれで釈然としないけどぉ...」
「えへへっ、バレたぁ?」
「もぉ...」
- 117 名前:アベ 投稿日:2003年08月15日(金)23時28分11秒
何だか嬉しかった。
こうしてごっちんと肩を並べて歩くことができて。
何だかお互いを分かり合えないまんま、あっという間に私達は別れちゃってて。
毎年この日だけは、私達がモーニング娘。であった事実を思い出せる日でもあった。
でも、去年は来ることができなかった。
悪いことをしたら、それなりの罰を受けなくちゃいけない。
それは当然のことだから、私だって例外じゃなかった。
1年2ヶ月。ひたすらに長くて、毎日毎日同じ毎日が続いて。
それでも耐えれたのは、毎晩夢に、メンバーが一人ずつ出てきて励ましてくれたから。
だからなっちは、今日まで生きてこれた。なっちは、みんなのおかげで今生きている。
この事だけは忘れちゃいけないんだ、と胸に刻んで、なっちは今も頑張ってる。
- 118 名前:jinro 投稿日:2003年08月17日(日)15時34分39秒
- ごぶさたです。
改めて最初から読ませていただきましたが…。
スゴイですねえ…。
自分こういうの書けないんで尊敬です。
これからも頑張ってください!
- 119 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)13時48分30秒
- でもなっちはそんなに強い子じゃないから、新たに仕事をしていけるのか不安だった。
現実は予想以上に厳しいモノで、やっぱり最初はイメージだけ先行しちゃってて
仕事なんてゼロだった。でも、そんな時でも思い出すのは、あの辛い日々。
今私のすぐ横でのほほんとしてるごっちんが夢の中で言ってくれた言葉。
しっかり覚えてるよ…!
ようやくラジオとか深夜番組にも出れるようになって、自信がついて。
それでもなっち、実を言うと今日、お墓に来たくなかった。
未だによっすぃのコトを許してないわけじゃない。ただ、少しだけ怖かった。
ココに来ると、あの日のことを思い出してしまいそうで。
そして、またあのころのイケナイなっちが出てきてしまいそうで。
もしかしたら私は、ごっちんに見つけて欲しかったのかもしれない。
一人じゃ、とっても不安で、本当は歩けなくなりそうだった。
- 120 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)13時49分39秒
- 昔はあんなに幼い顔をしてたごっちん。
娘。に入ってきた時は、正直な話、どうなっちゃうんだろ、モーニング...って思わせるぐらい
明らかに異彩を放ってたごっちん。
髪もキンパツで、なっちはとっつきにくい子かなぁ?って思ってて
自らなかなか話し掛けれずにいた。
でも、仕事終わりにふと見せたあの切なげな瞳を見て、私はこの子はまだ子供なんだなぁって思った。
丁度そのぐらいの時からだっけ、ごっちんと仲良くなったのも。
あの日、あんなにも頼りない瞳をしていたこの子が、今では眩しいくらいに
夢とか希望がつまってて、そうまるで、宝石みたいにキラキラ輝いてる。
「なっち?どしたの?元気無いよ?」
「違うべさぁ〜。そんなんでなくて。」
「んあー...ほんじゃあ、どしたのぉ?」
「その”んあー”っていうの...なんか、癒されるねぇ...」
「んあ?」
- 121 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)13時50分14秒
- さっきまでサングラスをしていて分からなかったけれど
ふと空を見上げると、地球上の赤色の絵の具を全部使ったみたいな
本当に真っ赤な夕焼けがあって。なっち、感動しちゃった。
空を眺めるっていうコトは、こんなにも気持ちが安らぐことなのか...って。
なっちに足りないのは、こういうコト、なのかなぁ...?
お線香の良い匂いがして、視界がちょっとだけ白くなる。
煙越しに見たごっちんの横顔は
拝んでいるからだろうか?普段の明るいごっちんの雰囲気というよりは
どこか悲しげで、そう、あの日のごっちんみたいだった。
ごっちんがすぅっと目を開ける。その一連の動作が、たまらなく綺麗で、背筋がゾクッってした。
その時だった。
急になっちの耳元に気配がした。蚊かな?って最初は思った。
けれど、何か喋っているように聞こえる。羽音なんかじゃない。これは...
- 122 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)14時02分33秒
『安倍さん...アタシのごっちんをやらしい目で見ないでください』
「ハイィ!?よよ、よっすぃ?ねぇ、今のよっすぃじゃない!?」
「なっつぁん!どしたの急にぃ...何かさっきからブツブツブツブツ。変だよ?」
『怒られちゃったぁ...アハハハハ』
「ちょっ、よっすぃ!出てきなさいよぉ!」
『見つかったら幽霊じゃないじゃないっすか。まだこんなに明るいし』
明るいだとか、そういうのは本当に関係あるのだろうか...?
「でも、ごっちんだって会いたがってるよきっと。出てきなよ」
『……それは無理。だって、出ちゃったら、今度はアタシが戻りたくなくなるもん』
ドンって背中を誰かに押された感じがして、思わずこけそうになった。
- 123 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)14時03分10秒
- 「ちょっと、ごっつぁん!危ないっぺさぁ〜!」
「アタシじゃないってば!」
『アタシだってばぁ!」
「コラよっすぃ!!危ないでしょうがぁっ!」
『だって、このままだと安倍さんにごっつぁん取られちゃいそうで...』
「んなことしないよぉ〜!このエロよしこ!」
『言ったなぁ〜!えいっ!ほら、早く帰れぇっ!」
「わわわわわわぁっ!」
- 124 名前:ゴトー 投稿日:2003年08月18日(月)14時04分33秒
スケートリンクで猛スピード出したみたいに、砂利道の上を凄い速さで駆け抜けていくなっち。
もちろん、なっちの意思じゃないと思う。まるで、操られてるみたいだから。
何だか、なっちが幽霊に乗り移られたんじゃないか?って思って心配になった。
そういえば、さっきから変な独り言言ってたし...まさか、独り言じゃなくて...!!!
思わず駆け出した。
前方300m地点。このままのペースで行っても、出口までの間には辿り着けない。
こういう時こそ、まず深呼吸なのだ。ダンスの先生が教えてくれた。
一呼吸置き、真っ直ぐ標的を見据える。
320、350、370、390...
ダッ!っと強く左足に力を入れ、渾身の力でスタートを切る。
重心を高く保ち、腕を真っ直ぐ振り上げる。
目標は次第に減速し始めている。このカーブを抜けた直線で一気に抜く!
「っていう小説があったよなぁ...」
ところで、さっきから本当になっちが見えない。
なっち…?どこまで行ったの…?
- 125 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)14時05分12秒
『この辺まで来れば大丈夫だよねっ...』
急に足が自由に動くようになって、思わずしりもちをつく。
「ちょっ、急に止まんないでよ!危ないっしょぉ〜!」
と、言い返してくると思っていたよっすぃが急に黙りだした。
もしかしてなっち、変なコト言っちゃったかな...?
「どした?よっすぃ、いきなり黙っちゃって...」
ちょっとの沈黙の後、沈んだ声でよっすぃは私に問い掛けた。
『あの時のコト...まだ、根に持ってます...よね...?』
不意に心の中を見透かされた気がして、私は思わずドキッっとした。
その表情を読み取ったのだろうか。
途端に、吉澤の声が今までよりもずっと小さくなった。
- 126 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)14時05分59秒
- 『やっぱり、そうですよね...あんなに、ヒドイ事したんですもんね...」
そんなことないよって、言い返したい。けれど、何でだろう。
心の何処かで、ゼロに戻すことを拒否する自分がいる。
心臓がドキドキして、喉が渇いて、声が出ない。息がしづらい。
こんな時、どうしたらいいの...?ねえ、ヤグチ...教えて?
なっちにはどうしたらいいか分かんないよ....
『安倍さん...』
「....ゴメン...何か、私...」
『謝るなんてことじゃこれっぽっちも癒されない傷を負わせたのは分かってます。
だから、別にそのことで安倍さんが苦しむ必要も無ければ
私に気を使う必要も無いんですよ。私、安倍さんが笑ってくれないと困るんです。』
「へ?」
- 127 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)14時06分29秒
『知ってます?矢口さんが未だに安倍さんのコト愛してるって』
「そんな...だって、矢口は私が殺したのよ?愛してくれてるわけ、ないじゃない...」
『そういうのって、安倍さんの悪い癖って矢口さん言ってましたよ。
何かこう、全部一人で背負っちゃうみたいな。矢口さん、いっつも安倍さんの話するんです。』
「ウソ...絶対ウソ!よっすぃさぁ、人騙して遊んで、何が楽しいわけ?ヒドイよ!」
『どう思われても、矢口さんのコトだけは紛れも無い事実です。
だから、早くお墓に行ってあげて下さい。矢口さんの。』
「あそこには行きたくない...自分の罪を思い出したくないの...」
『矢口さんが会いたいって...安倍さんに会って、一言謝りたいって...』
「矢口が...?」
『ハイ...何ていうか、責任感じてるみたいで...』
「そんな...急に言われても、私...」
『安倍さん、私からもお願いします!矢口さんに会ってきてください!お願いです!』
- 128 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)14時07分13秒
- いるはずの無いよっすぃの声だけど、本当に頭を下げてるよっすぃの姿が見えるようで。
そんな一生懸命なよっすぃは、あの時とは違う。本当の、吉澤ひとみで。
久々に垣間見たよっすぃの、あの健気な優しい女の子の部分。
私は何を迷っていたのだろうか。犯された事実は拭いきれない傷として今でも残ってはいる。
けれど、いつまでも引きずっていては自分自身も先へは進めないし
何よりよっすぃをこれ以上責めたくなかった。
許す、っていうのとはまたちょっと違った感じだけど、
私にはこれ以上あの吉澤ひとみを思い出したく無かったし、
何よりこの吉澤ひとみを好きになりたかったから。
私は黙って頷いて、よっすぃに喋りかけた。
「聞こえる?よっすぃ...アナタの彼女、あんなに大人になったよ...へへっ、カッケー!だっけ?」
『安倍さん....』
「カッケー!って感じに...でも、まだまだ幼い部分もあるんだけどね...」
一時の静寂。通り抜けるそよ風の夏の匂いが、心に空いていた穴を通り抜けていく。
心地良い風だった。心が晴れ晴れとするというのは、こういう気持ちなんだなぁ。
- 129 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)14時07分53秒
「よっすぃ...」
『ハイ...』
「ごっちんのこと、しっかり守るんだよ...?」
『ハイ....』
「じゃあ、また来年ね...梨華ちゃんとかにも宜しくね」
『あっ、安倍さん!』
「ん...?何?」
『....また来てくれますよね、本当に...』
「当たり前じゃん。よっすぃこそ、成仏しちゃうなよ」
遠くからごっちんの声が聞こえる。
後は若いモンだけで...って、なっちオッサンみたいだべな...
- 130 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)14時08分54秒
「もぉ...ハァッ...ハァ...なっつぁん...何処行ってたのぉ?」
「あぁ〜、ごめんごめん。そうだ、私用事思い出したから、帰るね」
「んあー!この後ご飯食べ行くっつったじゃぁん!」
「ごめんごめん...ごっちん、よっすぃのコト忘れちゃダメだよ?」
「ふえ・…?何言い出すのなっつぁん…」
ポカーンとしてるごっつぁんを横目に、なっちの隣にいるであろうよっすぃに
軽くウインクをする。上手くやるんだよっ、よっすぃ...
振り返らずに走る。後ろのほうでごっつぁんの「あっ」って声が聞こえたけど
二度とあえなくなるわけじゃないし、何より今は『二人っきり』にしてあげたかったから。
そのまま私は、振り返らなかった。
- 131 名前:アベ 投稿日:2003年08月18日(月)14時09分30秒
- 『二人』が見えなくなるまで走り、お寺の出口まで辿り着く。
久しぶりに走ったなぁ〜…なんて息も絶え絶えに、空を見上げる。
今度からは、辛くなったり自分を励ますときには、空を見上げることにした。
真っ赤な空。こんな空を、矢口と見たかったな....
目を瞑れば、横には矢口がいる。
綺麗だねぇってなっちが言うと、ちょっとだけ微笑んで「うん」って答えてくれる。
目を瞑れば、横には矢口がいる。
そう、私の側にはいつだって、矢口がいる。
歩き出す私の横に、きっと今も...
- 132 名前: 投稿日:2003年08月18日(月)14時10分31秒
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- 133 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年08月18日(月)14時22分58秒
- >>118
jinroさん、毎度お褒めの言葉たんくす!
銀の方に私めも感想書かせて頂きましたが、お気づきでしたか?
しかし、jinroさんにそこまで誉めていただけたら嬉しい限りです。
変な自信がつきそうで、怖いですがw
コチラはそろそろ終わるので、当分は銀に常駐させていただきますw
良いモノが書けるよう頑張りますので次回からも引き続き、読んでくださいです!w
エピローグ2、終了でごぜぇますだ。
何だか会話が本編より増えたもので、普段より疲れましたw
ところでなっちイベントのスレを見てましたら
なんと、せんこう花火を唄ったとのリーク。携帯からの書き込みが。
こっ、これは、遠出してまで行かない俺がいけなかったのか...ッッ!
握手会無いんだぁ...ってな感じだった俺がいけないのかぁ...ッッ!!
神よ、今ごろ俺を笑っているのか....w
- 134 名前:エピローグ3〜俯きトマト〜 投稿日:2003年08月20日(水)17時34分02秒
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- 135 名前:ゴトー 投稿日:2003年08月20日(水)17時34分38秒
- 体に体当たりしてくるそよ風が、気持ちいい。
何だか、ちょっとくすぐったい感じ。
よっすぃと一緒に、近くの公園の原っぱでカケッコして遊んだのを思い出した。
あのころのコトを思い出すのは、自分からやめようやめようって思ってる。
思い出しては泣いてを繰り返していた1年ほど前の私。思い返すだけで恥ずかしい。
あのころは、私だけが寂しいんだって思ってて。みんなの励ましなんてすり抜けていって。
そのうち友達も減って、結局またそのコトで泣いて、励まされて...
何ていうかもう、イヤになって、その悪循環を絶とうって決心したのが、半年前。
辛くなったら、何か楽しいコトを考えようと心に決めた。
でも、浮かぶのはよっすぃの笑顔ばかりで、逆に辛いことを思い浮かべる方に慣れちゃって
どうにも変な感じ。
でも、そのおかげでどんな苦労にも耐えれる強さは手に入れたけどね。
- 136 名前:ゴトー 投稿日:2003年08月20日(水)17時35分39秒
- ミュージカルの時だってそう。
いっつもよっすぃの励ましが聞こえるから変に自分にプレッシャーをかける。
でも、今度はそういうことに慣れて、舞台慣れしちゃって。
自分でも知らない間に海外で公演するほどスゴイ舞台女優さんになっちゃってた。
何だかよっすぃのおかげのような、そうじゃないような複雑な感じだけど...
もしかしたらよっすぃ、私の守護霊にでもなったのかなぁ・・・?
あはっ、有り得るかも。
きっと今だって、私のすぐ後ろで「ごっちん走るの速いってばぁ〜」なんて言いながら
ついてきてるんだろうなぁ...
- 137 名前:ゴトー 投稿日:2003年08月20日(水)17時36分14秒
- ふと、立ち止まってみる。
背中に、何か温かいような、懐かしい感触がして、咄嗟によっすぃの存在を確信した。
いるはずのない存在を今、私は密かに肯定し、喋りかける。
「ねぇよっすぃ...お空がね...空が、真っ赤だよ...」
「 」
「うん、何かね、トマトジュースこぼしたみたい...んで、雲がそれ拭いてるタオル!ねっ?見えるっしょ?」
「 」
「あははっ!ヒドイよ、よっすぃったらぁ。んー、でもね。もうアタシ、前みたいにドジじゃないよ」
「 」
「ホントだってば!だから...だからもう...よっすぃは、自分のおうちに帰って...ね?」
「 」
「そんな悲しい声出さないで...アタシまで、悲しくなるじゃん...」
- 138 名前:ゴトー 投稿日:2003年08月20日(水)17時36分45秒
「 」
「いいの...だってもう、よっすぃには毎年逢えるもん...いつでも話し掛ければ、よっすぃに逢える」
「 」
「それに...それにっ!いつでもさ、頼ってばっかじゃ、アタシ大人になれないもん」
「 」
「うん…ありがとね、よっすぃ...よっすぃ...アタシ...寂しいよぉ...グスッ...」
温かい。毛布みたいなモノが、見えない何かが、私を包み込んでくれてる。
僅かに覚えがある身体の形...夏の匂い...そして、あの声。
顔は見えないけれど、絶対に私の側には、吉澤ひとみがいる。
それだけで、涙が止まらなくなった。
まだまだアタシは、お子様なんだ...
- 139 名前:ゴトー 投稿日:2003年08月20日(水)17時37分39秒
「ごっちん」
「ふぇっ?」
見上げた先には、昔と同じ笑みを浮かべたよっすぃが、夕陽を浴びて切なげな影を顔に落としていた。
涙が、溢れ出してくる。
堪えきれない涙は、頬を伝って何粒も何粒も、落ちていく。
自分の涙で、よっすぃの体が湿っていくのが分かる。
もう、どうにもならなかった。アタシは、よっすぃの胸で思いっきり泣いた。
「泣いてるごっちん、可愛くないよ...?もっとさ、笑顔で!笑顔で!」
「グスッ...えへっ、えへへ...こう、かなぁ...?」
「そうそう!ワタクシ吉澤はぁ、ごっちんの笑顔がぁ、大好きですっ!あははっ!」
照れくさそうなよっすぃは、夕陽のせいでオレンジ色になった顔を一層赤らめて、まるでトマトみたいで。
- 140 名前:ゴトー 投稿日:2003年08月20日(水)17時38分43秒
- 何だかこのまま終わってしまうのが寂しくて、私はギュッってよっすぃを抱き返して
ホントに短くだけど、アタシの中の愛情をぜんぶ込めて、よっすぃの唇にキスした。
唇を離すと、驚いた表情のよっすぃがいて、思わず笑っちゃった。
でも、すぐにいつもの全てを包むような笑顔に戻った。
「ごっちん」
「へっ?」
また唇に柔らかい感触がして、同時に私を包んでいた毛布が、ギュッと力強くなった。
目を閉じても、よっすぃが真っ赤な顔してるのが分かる。
それが可笑しくって、思わず吹き出しちゃった。
「ちょっ、ちょっとごっちん...せっかく良いムードだったのにぃ...」
「ゴメン…ゴメン…ゴメッ…プッ、あはははははっ!だって面白いんだもん!このトマトよしこ!」
「ヒドイなぁ!ごっちんこそ照れてたじゃんか!まだまだ子供なんだからなぁ〜」
「ちょっとどういう意味ぃ!」
「何がぁ!」
「「クスッ」」
- 141 名前:ゴトー 投稿日:2003年08月20日(水)17時41分55秒
- 真っ赤な夕焼けが、本当に空全部を覆った。
向こうからこっちまで、本当に真っ赤。
視線が一直線に合う。
眩しくって、微笑んでるよっすぃの体が逆光のせいでか見えにくい。
何も言わないよっすぃの目を、まっすぐ捉える。
吸い込まれそうなぐらい透き通った瞳。
「じゃあ、またね...よっすぃ」
「元気でね...ごっちん」
どこからか、夕焼け小焼けで〜...と子供の声が聞こえる。
少しだけ、夕陽が傾き始めた。
見えなくなったよっすぃが、まだソコにいるようで、よっすぃがさっきまでいた所に立つ。
きっと今も、何処かでアタシのことを見守ってくれてるんだ...
何も無い空中に向かって、私はそっとキスをした。
何も無いはずの『ソコ』が、ほんのちょっと、熱くなった気がした。
夏の匂いがした。
- 142 名前: 投稿日:2003年08月20日(水)17時45分58秒
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- 143 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003年08月20日(水)17時52分24秒
- エピ3終了〜。
こうやって投稿してみると、案外短く感じますねぇ...
実際、書いてるときはもう長すぎか?ぐらいに思ったんですが。
ようやく気温が上がってまいりましたね。私、暑いのは大嫌いなんですが
何より夕陽を見るのが好きでして。今日も、綺麗な夕陽でござんす。
この話にも夕暮れ時は阿呆みたいに皆勤賞です。
一度、情景を重ねてみて、是非ご一読してくらさいです。
全原稿が上がったので、当分はゆる〜りと更新していきたいと思っております。
明日から、用事で都会へ行きますです...w
- 144 名前:ラストエピローグ〜 home,my home.〜 投稿日:2003/09/21(日) 10:18
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- 145 名前: 投稿日:2003/09/21(日) 10:20
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『close your eyes ...夢の中までアナタが好きよ...』
- 146 名前:アベ 投稿日:2003/09/21(日) 10:20
-
久しぶりに味わうこの感覚。バックステージで感じるあの感じ。
興奮してて緊張してて、本当に心臓が飛び出ちゃうぐらいにドキドキする感じ。
ヤグチ、なっち今ね、ステージに立ってるんだよ?
ほら、ファンの人がなっちの名前呼んだ。ヤグチの名前も。
何だか懐かしいよね…
長かったぁ。ホントに、長かった。
ここまで戻ってこれたのはヤグチのお陰だよ絶対。
観ててよね、ヤグチ。絶対私の声、届けるからね。
ハァ〜、緊張するぅ・・・
- 147 名前: 投稿日:2003/09/21(日) 10:21
-
『Ah 雨の日曜だけど きっとあなたと歩くのね傘ひとつで』
- 148 名前:ゴトー 投稿日:2003/09/21(日) 10:22
- 本番10分前。
今ごろ日本のなっつぁん達は、コンサートしてるころかなぁ・・・
ふぁ〜!アタシも行きたかったなぁ・・・
んあ、もう本番?早すぎだってばぁ〜!
うぅ、今更になって緊張してきたじゃんか・・・うぅ・・・
あれから3年。あっという間。
みんな…アタシも早くそっちで一緒に、歌いたいよ。
それまでちゃんと、待っててね…!
ガシャンという音と共に、視界が暗くなる。
客席が一気に静まり返るのが目を閉じても分かる。
いよいよ、ここから私の一歩が始まるんだ…
ふわっと明るくなるセンターステージ。
私の、出番。
ハァ〜、緊張するなぁ・・・
- 149 名前:ゴトー 投稿日:2003/09/21(日) 10:22
-
演奏が始まる。
弾む鼓動を抑え、大きく深呼吸。
そして、舞台へ。
静まり返った客席を一望する。
みんなが私を見ている。
でも、一人じゃないんだ。
見えているのは私だけだ。でも、見えないトコロに、みんながいること。
これだけは確か。絶対に言い切れる。
応援して、背中を押してくれてるみんなに、応えるのは今。
今。
- 150 名前: 投稿日:2003/09/21(日) 10:23
-
『Ah ショーウィンドウの中を ちょっとのぞいてまた次のお店にゆく』
- 151 名前:カゴ 投稿日:2003/09/21(日) 10:25
-
「何や緊張するなぁ・・・のの」
「そうれすね…なんか…するれすね」
「意味わからんのは相変わらずやなぁ・・・ん?」
ののは小刻みに震えてた。うちの手を固く握って。
護ったらないかん。ののの事、ずっとずっと。
強く強く握り返した。ずっとずっと、ののを離さへんように。
「あいぼん・・・」
「ほら、行くでのの。」
ずっとずっと解けないように...この手を、放さないように...
- 152 名前: 投稿日:2003/09/21(日) 10:26
-
『どこにでもいるみたいな 二人だけど 感じは憧れ 街の中に 溶けこむわ』
- 153 名前:イイダ 投稿日:2003/09/21(日) 10:27
- 震えてるなっちは久しぶりに見た。
いつもの子供っぽいなっちじゃなくて、本当に真剣ななっち。
やっぱり私も、モーニング娘。が忘れられなかった。
絵を描いていても、何をしていても、頭の中では歌い、踊る自分とメンバーがいた。
不意にこみ上げてきた涙。
ダメ。まだダメ。
流すのは...何もかも終わってからだ...
- 154 名前: 投稿日:2003/09/21(日) 10:27
- 『強く抱きしめて 離さないで』
- 155 名前:アベ 投稿日:2003/09/21(日) 10:28
- 円陣。この円陣を組んだだけで、ジーンて来る。
なっちね、今こうしてまたみんなと歌ったりできることを本当に神様に感謝するよ。
4人分空いた円。
なっちの手は今、ヤグチの肩に置いてある。
きっとみんなにも見えてる。そこに4人が見えてる。
嬉しい...ようやくまた、始まるんだね...
みんな泣いてる。
こんなんでステージに立ったら、笑われるかなぁ。
- 156 名前:アベ 投稿日:2003/09/21(日) 10:29
- 照明が落ちる。盛り上がる会場。湧き上がる歓声。
そして、始まりを告げるイントロ。
何もかもが懐かしく、新鮮で、何だか自分の家に帰ってきたみたいで。
「がんばっていきまっ!」
『しょい!!!』
ステージに向かうごとに、鼓動が高まる。
いよいよ、いよいよなんだって思っちゃう。
なっちが緊張してるの、みんなは分かってる。
わざわざ向かい側から辻加護が走ってきて、「大丈夫!」なんて言って。
すぐ側のカオリまで、「心配ないよ」だって。
みんななんか、大人になったなぁ...って、オッサンなっちがまたもや...
ありがとう。
- 157 名前:アベ 投稿日:2003/09/21(日) 10:29
- 目を閉じてもう一度深呼吸。
ふと、手のひらに温かい感触。
目を開けると、そこにヤグチはちゃんといた。あの笑顔で。
向こうによっすぃ、梨華ちゃんもいる。
みんな、いるんだ。
ようやく、戻ってきたんだ。
みんな、ここからだよ!
さぁ、行こう…!
- 158 名前: 投稿日:2003/09/21(日) 10:30
- 『ずっと抱きしめて どんな時にも そっと』
- 159 名前:ゴトー 投稿日:2003/09/21(日) 10:30
- ”がんばっていきまっしょい…!”
届いてるよ、ちゃんと。みんなの声。
失敗したって後ろにはみんながいるから。不安なんて、カケラも無い。
大きな深呼吸。いつの間にか鼓動は落ち着き、普段よりも清清しい感じまでする。
さぁ、行くよ、みんな…!
- 160 名前: 投稿日:2003/09/21(日) 10:30
- 『夢の中 つぶやいた』
- 161 名前: 投稿日:2003/09/21(日) 10:32
-
歓声。
光。
鼓動音。
掌の感触。
「ただいま…!」
そして私達は、今
夢の中....
- 162 名前: 投稿日:2003/09/21(日) 10:33
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- 163 名前: 投稿日:2003/09/21(日) 10:33
-
e n d .
- 164 名前:jinro 投稿日:2003/09/21(日) 15:43
- 完結お疲れ様です。
たんたんと語られてるんだけど、なんか胸にぴりぴりくるお話。
本当に面白く読ませてもらいました。
次回作…書かれるんですよね?(w
楽しみにしています。
- 165 名前:名無し小説屋さん( ‘Д‘)ノシ 投稿日:2003/09/21(日) 18:25
- めっきり涼しくなりましたが皆様風邪などひいてはおられないでしょうか?
どうもご無沙汰の名無しです。
いやはや、ちょっと一ヶ月見ない間にもんのすごい落ちてましたねw
しかし文章力も見るも無残で構成もバラバラ、本当に駄文でしたw
高みを目指す上ではまだまだでしたが
何人もの方に優しく感想を頂いたことは本当に感謝の極みで
始めての小説にしてはなかなか良かったのかなと錯覚してますw
好き勝手書いてただけに、完全燃焼って感じですが。
>>164
jinroさんには毎回元気付けられるレスを頂き、誠にタンクス!w
銀での連載の方も頑張ってくださいませ。
最後の最後までお褒めのお言葉、マジで嬉しいですよw
次回作については即効で書きたいと思います’Д’)w
次はそうですね、甘い感じに行ってみたいッスね。
その時は是非、一読希望!
ここまで新参な私に暖かくレスをしてくださった皆様。
本当に最後までありがとうございました。
一つ確かな経験をさせていただきました。
近々新作始めようと思うので、その時にまた逢えたら光栄です。
本当にありがとうございました。 了
- 166 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 21:49
- 冒頭の安倍のシーンと石川のシーン、その次の後藤・吉澤のシーン、そしてそれ以後、
この三つを頭の中で繋げることができない……
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