紺夜 君と……
- 1 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年07月18日(金)21時57分19秒
- 初めまして!
今までいろいろとROMってましたが、今回書く方に初挑戦したいと思います。
まだまだ未熟な文章ですが、もし気に入ってもらえたならばお付き合い下さい。
ちなみにリアルチックですがアンリアルです。
- 2 名前:0. 投稿日:2003年07月18日(金)21時59分33秒
東京の夜は黒にはならない
たくさんのネオンや街灯でいつもうっすらと青を残す
そう、それは「紺色」……
まるで「キミ」の色……
- 3 名前:0. 投稿日:2003年07月18日(金)22時00分45秒
紺夜 君と……
- 4 名前:1. 投稿日:2003年07月18日(金)22時02分08秒
- ♪ BABY BABY BABY SHALL WE LOVE?
BABY BABY BABY SHALL WE LOVE? ♪
音楽が止まると同時に沸き起こる歓声と拍手。その中心にあたしたちはいる。
「「「どうもありがと〜!! 「ごまっとう」でした〜!!」」」
観客にむかって手をふりながらステージの袖に引っ込む。
それでもしばらくの間、歓声はとどまることを知らない。
「お疲れ〜、みきたん、ごっちん!」
舞台袖に引っ込んで汗をふいているとまっつーに声をかけられた。
「「お疲れ〜!」」
なのであたしとミキティはそろってまっつーに返事を返した。
- 5 名前:1. 投稿日:2003年07月18日(金)22時03分18秒
1. 愛ってどんな×××? 〜Goto〜
- 6 名前:1. 投稿日:2003年07月18日(金)22時05分33秒
- あたしは後藤真希。
で、今声をかけてきたのがまっつーこと松浦亜弥。
あたしのとなりで早々とジュースを飲んでいるのがミキティこと藤本美貴。
三人で「ごまっとう」というユニットを組んでいる。で、今日あたしたちの
記念すべき初のツアーの初日が終わった。
とはいえあたしたちは最初からユニットを組んでいたわけじゃない。元々は
三人ともソロで活動していたのだ。あたしもソロで何枚かCDを出してるし、
ライブをしたこともある。まっつーもミキティも同じこと。
しかし去年、事務所のアイディア(もとい策略?)により三人でユニットを
組むことになった。
それが大当たりしちゃったもんだから、その後もソロ活動と平行して活動して
いくことになり、そして今回、急遽ツアーをやるということになったのだ。
- 7 名前:1. 投稿日:2003年07月18日(金)22時06分36秒
- 「はぁ〜、疲れたぁ……」
「ホントだねぇ……」
「楽しかったねぇ!!」
楽屋に戻ってくるとすぐさまミキティがソファに倒れ込んだ。
あたしもそのとなりに腰掛ける。
まっつーだけまだコンサートの余韻が残っているのか、鼻歌なんか歌ってる。
若いっていいなぁ、っていってもまぁ、一つしか違わないんですけどね……。
- 8 名前:1. 投稿日:2003年07月18日(金)22時08分10秒
- コンサートは昼と夜の二公演。
構成は最初は三人何曲か歌い、そのあと、あたし、まっつー、ミキティの順に
ソロで数曲ずつ歌う。
そしてまた三人で歌って終了という感じ。
よってずっと歌いっぱなし踊りっぱなしってわけじゃないが、それでも
疲れるものは疲れるわけで。
「……亜弥ちゃん元気だねぇ……」
「ホントに……あの小さい体のどこにあんな体力があるんだか……」
ついには自分の歌を口ずさみつつ踊り出したまっつー。
素直に元気だなぁ、って思う。
あれっ? でもそういやこのあと雑誌の取材だって言ってなかったっけ?
「まっつー、これから雑誌の取材じゃないの?」
「えっ? あっ! やっば! 早く行かなきゃ!!」
「♪ 桃色の〜」なんて歌ってたまっつーが急に素に戻る。
マネージャーにもせかされてバタバタと衣装から私服に着替えている。
- 9 名前:1. 投稿日:2003年07月18日(金)22時09分48秒
- 「それじゃ、お先にー!」
着替え終わったまっつーは鞄をひっつかむとドアを思いっ切り開閉して
楽屋を出て行った。
と、思ったら、またドアがものすごい勢いで開いてまっつーが顔だけのぞかせた。
忙しいな……まっつー……。
「そういえばさ、今度事務所でオーディション行うらしいよ!」
「「オーディション!?」」
まっつーの言葉に、またあたしとミキティの声がそろう。
「うん。なんかごまっとうの妹分オーディションっていうらしいんだけど。
コンサート終わるくらいには決まってるかもって」
「へぇ〜」
事務所もいろいろと大変なんだなぁ……。
「じゃあ、今度は明々後日だね〜! がんばろ〜!」
「お疲れ〜!」
「取材頑張ってねぇ!」
まっつーは「♪ 迷うなぁ〜!」なんて口ずさみながら今度こそ雑誌の取材へ。
どうやら今度発売されるソロでの新曲らしい。
- 10 名前:1. 投稿日:2003年07月18日(金)22時11分56秒
- 「・・・・・・」
「・・・・・・」
ごまっとうのムードメーカー(or トラブルメーカー)がいなくなったとたん、
楽屋が急に静かになる。
ミキティのほうを見ると、ミキティもあたしを見ていたようで目と目が合う。
あたしたちはしばらくそのまま見つめ合っていた。
まわりの空気がだんだんと変わってくる感じがする。
ミキティはむくっと起きあがると、今度はあたしのふとももの上に倒れ込んできた。
「って、おーい、ミキティ! これじゃごとー動けないじゃん!」
なんて言ってみてもミキティはただ「ん〜」とうなるだけで動く気配がない。
「うぉーい! ごとー着替えたいんだけど!」
と言ったらミキティはふとももの上で体をもぞもぞ動かして、仰向けになってから目を開いた。
「……じゃあキスしてくれたらどいてあげる!」
- 11 名前:1. 投稿日:2003年07月18日(金)22時13分48秒
- ……はぁ
心の中だけで溜め息をつく。
ま〜たこれかよ……
「……じゃあしてあげるからどいてよ……」
「オッケー! 交渉成立!」
ミキティは瞬時に起きあがるとまた瞳を閉じて唇をあたしのほうに突き出してきた。
あたしとしてはどいてくれたんだから、今から着替えちゃっても別にいいんだけど……
なんて頭は考えてても腕が自然にミキティの首に絡まる。
そのままミキティを引き寄せると唇をあわせた。
ミキティのキスは魔性のキス。
唇と舌でだんだんと理性が奪い取られ、それを補完するように身体の奥から
本能が流出してくる。
身体と意識が切り離されたような感覚。
自分の身体の抑制が効かなくなってくる。
気づいたときにはミキティをそのままソファの上に押し倒していた。
- 12 名前:1. 投稿日:2003年07月18日(金)22時14分59秒
- 「あっ、ちょっ……ダ、ダメっ、ごっちん!!」
ミキティの手が必死にあたしを止める。
「……なんでよぉ?」
「なんでってここ楽屋だし!! それに……いっぱい汗かいたのにシャワーも浴びてないし……」
「誘ったのはミキティじゃん」
「ち、違うって! ごっちんは気が早すぎるんだよ!!」
そうさせてるのはミキティなのに。
あたしは渋々身体をどける。
ミキティも体を起こすと、少し乱れた服を整えた。
「……ウチに帰ってからでもいいでしょ?」
ミキティが優しく微笑んだあとにまた唇が重なった。
それがあたしの理性を危うくしてるっていうのに……。
- 13 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年07月18日(金)22時18分01秒
- 今回はここまでです。
一応ごっちんが主人公で、カップリングは今のところこんな感じです。
今 の と こ ろ は……。
少なくとも週1くらいでは更新していきたいと思っています。
では、ふつつか者ですがよろしくお願いします!
- 14 名前:名無し読者 投稿日:2003年07月19日(土)02時59分59秒
- みきごま発見
密かにこの組み合わせいいです
続き楽しみにしてます
- 15 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月19日(土)18時06分28秒
- いい感じです。
頑張って下さい!
- 16 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月20日(日)23時40分57秒
- こういう小説待ってました
みきごま最近ブームっす
続き期待してます
- 17 名前:1. 投稿日:2003年07月21日(月)23時27分18秒
「ふぅ……」
ミキティのマンションのバスルームに自分の溜め息が響く。
水滴が身体を滑って流れていく。
温かいシャワーの中で、あたしはミキティとつきあい始めた頃のことを思い出していた。
- 18 名前:1. 投稿日:2003年07月21日(月)23時29分29秒
ごまっとうを組むことになったとき、実はあたしは最初気が進まなかった。
あたしは二人とは面識こそ多少あるもののそんなに親しいわけでもなく、
それに比べてまっつーとミキティは一緒に番組をやるなどして、すでにかなり
仲が良かった。
そんな二人の中に入っていけるのかどうか、とても不安だった。
そんなだったため、自分では意識しなくても、どこかで二人に対して壁を
作ってたんだと思う。
表面上はまったく問題なく二人と解けあってても、心のどこかで。
まっつーは自分第一! な性格と、持ち前の無邪気さからか、特にそんなこと
気にせずに接してくれてたけど、ミキティには気づかれていたらしい。
あれは何回目かのテレビの収録のあと。
不自然じゃなかったかと、誰もいないスタジオで収録の内容を思い返していた
ときだった。
- 19 名前:1. 投稿日:2003年07月21日(月)23時30分46秒
―― ミキはごっちんのことが好きなんだ
―― ごっちんの不安とか寂しさとか、ミキがぜーんぶ受けとめてあげるから
―― だからそんな悲しそうな顔で笑わないで
- 20 名前:1. 投稿日:2003年07月21日(月)23時31分44秒
- それが始まりだった。はっきり言ってその時はその言葉に救われた。
そしてその関係は今でも秘かに続いている。
でも時々思う。
あたしはミキティに甘えているだけじゃないんだろうか?
あたしはミキティをちゃんと愛せているだろうか?
顔にあたる水滴がうざったくてシャワーを止めた。
- 21 名前:1. 投稿日:2003年07月21日(月)23時33分18秒
バスタオルを頭に掛けたまま、浴室から出てリビングにはいると、ミキティは
ソファに座って本を読んでいた。
「今日はちょっと長めだったね」
「うん。疲れたからね」
それだけ答えてミキティのとなりに座ると、まだ乾いてない髪をタオルで拭く。
そうしているととなりに座っていたミキティが本を閉じてスッと立ち上がった。
「拭いたげるよ」
「あっ、ありがと」
ミキティはあたしの後ろにまわって立つと、そっとタオルを掴んであたしの髪を
ワシャワシャと拭き始めた。
「ごっちんの髪って綺麗だよねぇ」
「んっ? そかな?」
「そうだよ〜、いいなぁ」
そんなことを言いながらミキティはあたしの髪を拭いてくれる。
ミキティの優しい手の感触が伝わってくる。
それに絶妙の力加減でかなり気持ちいい。
- 22 名前:1. 投稿日:2003年07月21日(月)23時35分34秒
- 「ハイッ、終わり」
最後に乱れた髪をサッと整えてくれると、ミキティはバスタオルを洗濯機の
ところへと持っていった。
その間あたしはミキティがなんの本を読んでたのか気になり、ちょっと見てみよう
と本の方へ手を伸ばしかけたが、それは後ろから首に絡みついてきた二本の腕に
よって止められた。
「……今日は泊まってくの?」
耳元で囁かれる甘い言葉。
でもシャワーを浴びてパジャマにまで着替えてるっていうのに……いったい
今さら何を聞くんだか……。
「帰っていいの〜?」
だからわざと意地悪く答えてみると、間髪入れずに「ヤダ」と返された。
そのままふり返り、ミキティに触れるだけのキスをする。
「……ベッド……行こうか?」
「……うん……」
耳元で囁きかえすと、ミキティはゆっくりうなずいた。
- 23 名前:1. 投稿日:2003年07月21日(月)23時37分11秒
そのまま二人で寝室に移動する。
ベッドの縁に二人並んで座り、暗闇の中でまたキス。触れるだけのキスから、
だんだん舌を絡める激しいキスになっていく。
また本能が理性を侵していく。
止めるなら今のうちだよ?
心の中でつぶやくが、当然ミキティから答えは返ってこない。
そのまま体重をかけて、ベッドの上にミキティを組み敷く。
今度は抵抗はない。あたしを見上げるミキティの目が少し潤んで見えて、
あたしの理性はさらに破壊されていく。
- 24 名前:1. 投稿日:2003年07月21日(月)23時40分06秒
- ミキティの首筋に唇を寄せ、それと同時に手をパジャマのボタンへと伸ばす。
「あっ……ごっちん……」
首筋と耳を交互に責めながらも、ボタンを一つ一つ外していった。
全てのボタンを外し終わると、いったん体を起こす。
「ミキティ……いい?」
ミキティは顔を横に向けるとそのまま無言でうなずいた。
もう止まらない。
パジャマを両手で掴み、ゆっくりはだけさせると、パジャマの下からミキティの
綺麗な素肌が現れた。
少しだけミキティの上半身を抱き上げて浮かすと、パジャマの上着を取り払う。
カーテンの隙間から差し込んだ月光がミキティの身体を部分的に蒼く色づけ、
それがまた艶っぽい。
あたしはミキティの胸の先端に吸い付いた。
「あっ……ごっちん……」
- 25 名前:1. 投稿日:2003年07月21日(月)23時41分34秒
「ふぁ……ごっ…んっ……ぁ…あん……」
「ミキティ……いいよ、イって…」
ミキティの絶頂が近いことを知ると、再び胸の突起を口に含む。
そしてミキティを責め立てている指の動きを激しくしていった。
「あぁん…んぅ……くあっ……ああぁっ!!」
あたしを抱きしめていた腕の力が抜ける。
ミキティの口から出ていた喘ぎ声が深い呼吸に変わる。
あたしはミキティを強く抱きしめた。
「ハァ…ハァ……ごっちん……」
「んっ?」
ミキティがとろんとした瞳であたしを見て囁いた。
「……愛してる」
「……ごとーも……愛してる……」
優しい口付けを交わした瞬間、あたしの中で別のあたしが囁いた気がした。
- 26 名前:1. 投稿日:2003年07月21日(月)23時42分14秒
―― 本当に……「愛」……してる?
- 27 名前:1. 投稿日:2003年07月21日(月)23時43分58秒
- 「……ミキティ……」
「んっ、なにっ?」
「も一回……いい?」
「…ハァ……ごっちんは元気だなぁ……」
はにかむように、そしてちょっと呆れたように微笑んだミキティにあたしも
笑顔を返す。
「とか言って拒まないじゃん」
そしてあたしはさっきの声を否定するように、忘れるようにミキティを求めた。
- 28 名前:2. 投稿日:2003年07月21日(月)23時46分04秒
- うっすらと差し込む朝日で目が覚めた。
そっと窓の方を向くと、カーテンが完全に閉まりきってなく、少し隙間が
あいてたことに気づく。
そういえば昨日もごっちんと始める前に「少し開いてるなぁ」なんて思ったっけ。
「終わってから閉めればいいか」と思ってたけど、終わったらすぐに力尽きて
寝てしまったんだった。
- 29 名前:2. 投稿日:2003年07月21日(月)23時48分03秒
- それにしても体がだるい……。コンサートの疲れと、まぁ…別の疲れがそれに
加わって……しかも寝たのもけっこう遅かったから無理もないか……。
自分の身体を見てみると、いたるところに赤い印がついている。
今日はオフだからまぁいいけど……明日までには消えるかな? いや、消えて
くれなきゃ困るんだよね……明日は仕事だし……。
横を向くと昨日アタシを散々疲れさせ、さらに体中にキスマークをつけた
張本人が幸せそうな顔で眠っていた。
その顔は見てるこっちも幸せになってしまうような顔で。
いつでもこんな幸せそうな顔を見せてくれればいいんだけど、なんて思ってしまう。
でもごっちんがそうだったら……きっとアタシたちはこんな関係になっては
いなかったんだろうな……。
- 30 名前:2. 投稿日:2003年07月21日(月)23時49分05秒
2. I for You 〜Fujimoto〜
- 31 名前:2. 投稿日:2003年07月21日(月)23時50分23秒
- 「あっ、みきたん、みきたん!」
「あ〜、亜弥ちゃん、どうしたの?」
「あのさ、今度一緒にユニット組むことになったからよろしくね!」
「…………はっ!?」
アタシがごまっとうの結成を知ったのは、何故かいつも情報が早い亜弥ちゃん
からの挨拶だった。
- 32 名前:2. 投稿日:2003年07月21日(月)23時52分34秒
- 「で、これが今度出す曲のデモテープと歌詞。近々レコーディングするってさ!」
亜弥ちゃんからMDと歌詞の書かれている紙を受け取る。
『SHALL WE LOVE? ごまっとう』と書かれたシールが貼って
あるMD。
そして紙のほうに目を移すと、歌詞の横に書かれた「後」「松」「藤」という
文字に目がとまった。
パート割りなんだと気づくと同時に「後」の文字に釘付けになる。
「後」って……もしかして……
「ねぇ、亜弥ちゃん……この『ごまっとう』ってもしかして……」
「うん、ユニット名だって」
「じゃあこっちの歌詞に書いてある『後』ってさ……」
「ごっちんだよ! 安直だよねぇ、『ごまっとう』って! アハハ!」
「へぇ……ごっちんか……」
ごっちんと一緒のユニットを組むと言うことがわかったのはこの時だった。
アタシは特に何とも思ってなかったと思う。……記憶上では。
- 33 名前:2. 投稿日:2003年07月21日(月)23時53分42秒
そしてレコーディング初日。
初めてアタシたち三人が集まった日。
その日、ごっちんは集合時間ぎりぎりにやってきた。
「おはよう! よろしくねっ!」
「あっ、ごっち〜ん! よろしくぅ!!」
亜弥ちゃんが手をふってごっちんに挨拶すると、ごっちんも笑いながら
手を少しあげて返した。
「よろしく、ごっちん」
「んっ、よろしく」
アタシもごっちんに簡単に挨拶すると、ごっちんも笑顔で返してくれた。
その笑顔が心に焼き付いて離れない。
とても美しく、でもどこか寂しそうなあの笑顔。
そしてその後すぐにレコーディングになった。
- 34 名前:2. 投稿日:2003年07月21日(月)23時55分13秒
無事にレコーディングが終了し、アタシたちのデビュー曲が完成すると、
それからしばらくはテレビの出演や雑誌の取材ラッシュ。
必然的に三人で行動することが多くなった。もちろん楽屋も一緒だし。
でも三人で話していると、どうもごっちんだけ浮いているように感じる。
収録中はそんな感じは微塵も感じさせないのだが、楽屋に戻ってくると、
ごっちんは大抵アタシと亜弥ちゃんの会話に適当に相づちを入れているか、
一人でボーっと聞いているか。
どこか一線引いているように感じてしまう。
まぁ、亜弥ちゃんはそんな空気まったく感じないかのように、当たり前に
ごっちんに話しかけたりしてたんだけど……。
- 35 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年07月22日(火)00時14分11秒
- 今回はここまでです。
中途半端に大量(? いや中量……)更新。
ちょっと28日までパソコンに触れないんで……。
おかげでごまDVDもお預けです……くぅ!(泣
よって次は28日に。もしDVDに見入っていたら29日に……。
あと、こんな感じで視点を少しずつ変えていきたいと思います。
>>14 名無し読者様
初レスありがとうございます!
みきごま良いですよね! 最近どんどんハマってます。(でもこれはごまみき?
期待に応えられるように頑張っていきます!
>>15 名無しさん様
レスありがとうございます!
いい感じ! と言っていただけるととても励まされます。
1週間ほどあいてしまいますが待っててもらえれば幸いです。
>>16 名無しさん様
レスありがとうございます!
みきごまキてますね! なかなか無いんで自分で書いてしまえ! と。
そんななんで「待ってました」なんて言ってもらえると本当に嬉しいです。
- 36 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月22日(火)00時27分34秒
- わ。今日初めて読んだけどごっつーおもしろい。期待期待。
- 37 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月22日(火)16時11分03秒
- 期待2号。
いつでも更新待ってます!
めちゃくちゃ楽しみだわ…(w
- 38 名前:@ 投稿日:2003年07月25日(金)14時54分05秒
- 最近PCに触ってなかったんで
ひさしぶりにきてみたらみきごま発見!!
文にすっごく惹かれます。
いしごま、りかみき好きの自分としては
みきごまも好きなのです(謎
- 39 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月26日(土)20時04分58秒
- タイトルを見てこんこん!!!とか思ったら違うかった。。。
- 40 名前:名無しさん 投稿日:2003年07月28日(月)08時06分47秒
- みきごまハケーン!
続き大期待!!
ochiてるのでageます。
- 41 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時07分56秒
そしてある日、三人での歌番組の収録のあと。
歌部分の収録が終わり、楽屋に戻ろうとしたらアタシだけマネージャーに呼び
止められ、二人より少し遅れて楽屋に戻ってきた。
しかし楽屋のドアを開けると、そこには亜弥ちゃんしかいなかった。
- 42 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時09分35秒
- 「あれっ? ごっちんは?」
「なんか寄るとこあるって言って途中で別れたよ」
「寄るとこ? ふ〜ん……じゃあミキちょっと探してくるよ」
その時はなぜこんなことを言い出したか自分でもわからなかった。
「えーっ! 一人じゃつまんないよぉ! 遊ぼうよ、みきたん!」
「……三人で遊んだほうが楽しいでしょ?」
「え〜、ん〜、そっか、そうだね。じゃあ松浦も探そうか?」
「亜弥ちゃんはいいよ、ここにいて。ごっちん戻ってきたら連絡してね」
「ん、了解!」
そしてアタシは携帯だけもってごっちんを探しに出た。
でもごっちんはどこにもいなくて。
見つけたのは「まさかね」と思ってのぞいた、さっきトーク部分を収録したスタジオだった。
誰もいないスタジオの中、ごっちんはセットのほうをじっと見つめてたたずんでいた。
- 43 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時11分20秒
- 「ごっちん」
「あっ!……ミキティ……」
声をかけると、ごっちんはビクッとしたようにこっちをふり向いた。
そんなにビックリしなくてもいいじゃんか、とも思ったが、とりあえずは何も
言わずにごっちんに近づく。
「こんなとこで何してんの?」
「んっ……なんでもないから。気にしないで」
そのままアタシに笑いかけてごっちんは前を横切り、出口のほうへ歩き出した。
その時の笑顔がとても寂しく思えて、気づいたらごっちんの手を掴んでいた。
「えっ? ミキ……」
驚いてふり返ったごっちんをそのまま引き寄せて抱きしめた。
ごっちんの身体か硬直するのがわかった。
- 44 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時12分35秒
- 「ぁ…あの……ミキティ?」
「ごっちん……ミキはごっちんのことが好きなんだ」
「えっ……」
目を見開いてアタシを見つめてきたごっちん以上にたぶんアタシのほうがビックリしていた。
それはまったく無意識のうちに出てきた言葉だったから。
「ごっちんの不安とか寂しさとか、ミキがぜーんぶ受けとめてあげるから」
だけど驚いているアタシとは無関係に口は言葉を紡ぎ出す。
「ミキティ……」
「だからそんな悲しそうな顔で笑わないで」
ごっちんの身体からふっと力が抜けた。
それと同時にアタシの背中にごっちんの手がまわった。
「ありがと……ミキティ」
「ごっちん……」
- 45 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時13分56秒
- 強く抱きしめると折れてしまいそうな細い身体を優しく包み込んだ。
鋭くて冷たく、固い氷柱ほど実は折れやすい。
あなたが決して折れないように、アタシがあなたを守ってあげたい……。
- 46 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時16分26秒
それからごっちんはちょっと変わった。
アタシだけでなく、亜弥ちゃんともいろいろと喋るようになったし、笑顔も増えた。
でも、それでもたまにどこかで一線を引いているような感じは拭いきれないし、
まだ笑顔に少し寂しさが宿る。
でもそれでもいいと思った。
今すぐじゃなくていい。ゆっくりでいい。
ゆっくりゆっくり一緒に変えていこう。
一人じゃ無理でも、二人でならできるかもしれない。
- 47 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時19分32秒
ベッドの中で体を動かし、身体ごとごっちんの方へ向く。
少し朝日が当たっていてもごっちんはまったく起きる気配がない。
昨日はごっちんもお疲れだったし、もともと朝弱いから無理もないんだけど。
ごっちんは口を少し開き、目をしっかり瞑って微かな寝息を立てている。
アタシを抱いているときとは大違い。とっても安らかな表情。
ごっちんとつきあい始めてからごっちんのいろいろな表情を見てきた。
恋人じゃなければ見れない顔、友達だったら見れなかった顔をいっぱい。
怒った顔、泣いた顔、あとたまぁにアタシがごっちんを責めるときに見せてくれる
恍惚の表情とか……おっと、なに思い出してんだか……。
思い起こせばたくさんあるけどその全てを愛しいと思える。
アタシはいつの間にこんなにごっちんに溺れてしまったのだろう?
- 48 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時21分08秒
- そのままベッドの中を移動し、ごっちんに抱きつく。
肌と肌が触れ合ってほんのりと暖かい。
そのままごっちんの肌に顔を埋めるともう一度目を閉じた。
ねぇ、ごっちん……アタシはもう一個だけ見たい表情があるんだよ。
現実世界のあなたはなかなか見せてくれないから……
せめて夢の中では見せてよね。
- 49 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時23分00秒
「……キティ……キティってば〜!」
アタシの身体を揺する手と、頭の上から聞こえてくる声で再び目覚めた。
「んっ……んんっ? なんだよぉ……ミキはサンリオのマスコットじゃないぞ〜……」
まぁ好きだけどさ……。
目を開けると明るい部屋が目にうつる。
と思ったらすぐにまた視界が暗くなった。
「んっ……」
それと同時に唇に感じる柔らかい感触。
それだけで一気に意識が覚醒した。
「なぁに寝ぼけてんだよぉ、ミキティ!」
次に視界が明るくなったときには悪戯に成功した子供みたいな笑顔のごっちんが見えた。
まったく……朝っぱらから心臓に悪い……。
- 50 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時24分15秒
- 「おはよう。朝ご飯できてるよ。食べよ」
「あっ…ありがと…」
改めてごっちんを見てみるとエプロン姿だった。
あっ、でもちゃんと下に服は着てるのか……チェッ……。
発想がオヤジだなぁ、なんて思いながらそのまま起きあがってベッドから出ると、昨夜
脱いでそのままの(まぁ、正確には脱がされたんだけど……)下着をはく。
洋服ダンスから新しい服を引っ張り出すとそれも着た。
- 51 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時25分17秒
「「いただきま〜す!」」
向かい合って座ったテーブルにはごっちんが作った朝ご飯がところせましと並んでいた。
「おっ、おいし〜い!」
さっそく一口食べて自画自賛しているごっちん。
そう言うだけあってごっちんの料理の腕は確かにいい。
和・洋・中、さらにはお菓子なんかも軽々と作ってしまう。
ちなみに今日の朝食は和食。アタシも目の前のおかずをいただく。
「どう? ミキティ?」
「んっ、いつもながら美味しい」
「ん、ありがと」
アタシの感想に気をよくしたのか、笑顔で食事を続けるごっちん。
- 52 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時26分29秒
- ねぇ、ごっちん……まだ変わらないね、笑顔。
アタシはあなたの心からの笑顔が見たいよ……。
あなたの微笑みはいつも美しく、安らぎを与えてくれるけど……どうしてだろう
どことなく寂しげで……それがアタシの心を締め付ける。
もしごっちんがいつも心から笑えるんなら……
アタシはなんでもするだろう。
- 53 名前:2. 投稿日:2003年07月28日(月)21時28分03秒
-
- 54 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年07月28日(月)21時39分48秒
- 更新しました。てか更新できました、予告通りに。
予告通りにDVDにも見入りましたが……。
>>36 名無しさん 様
ありがとうございます。
期待に添えられるかどうかわかりませんが、読んでいただければ嬉しいです。
>>37 名無しさん 様
ありがとうございます。
予告通り更新できて一安心です。
遅くてもこれくらいで更新していきたいと思います。
>>38 @ 様
文に惹かれたなんて……とても嬉しいお言葉です。
みきごまいいですね。特に最近は。
でもなかなか無いんですよね……みきごま。
- 55 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年07月28日(月)21時47分57秒
- >>39 名無しさん 様
とりあえずCPに関しては「今のところこんな感じ」としか言えません。
それでも待ってもらえれば、それはとても嬉しいのですが。
>>40 名無しさん 様
ありがとうございます、みきごまです。
けっこうみきごまは需要が多そうで。
しかし私自身は一つも見つけられないんですけど……
(だから書いちゃったわけですが……)
最後になりましたが、なっち卒業おめでとう!
や、この小説には出てくる予定はないんですけどね(w
この小説が完結したら次はなちごまを書こうと思ってたので。
予定は未定ですが……卒業に間に合うかなぁ……
- 56 名前:名無し読者 投稿日:2003年08月03日(日)03時08分50秒
- 付き合うきっかけがみきごまっぽくていいですね
2人ともハロプロでは色々大変そうなので
小説の中では幸せでありますように(^^;
- 57 名前:3. 投稿日:2003年08月04日(月)00時48分15秒
3. 出逢ってしまった二人 〜Goto〜
- 58 名前:3. 投稿日:2003年08月04日(月)00時49分08秒
- 「ふわぁ〜、終わったぁ〜!」
「疲れたねぇ〜」
テレビの収録を終えて三人そろって楽屋に帰ってくる。
普段はそんなに疲れるようなものでもないけど、コンサートの合間となるとやっぱり
疲れ方が違う気がする。
「いや〜、おっもしろかったねぇ〜!!」
……まっつーを除いては……。
- 59 名前:3. 投稿日:2003年08月04日(月)00時51分24秒
- コンサートは無事三日目を終了した。
そして関東は一時終了。次は明後日、明々後日と大阪で二日連続。
と、いうことは……ホテルに泊まりかぁ。
あたしとミキティがソファにぐったりと座っていると、まっつーがパタパタと近寄ってきた。
「ねぇねぇ、ちょーおオススメの焼き肉屋があるんだけどぉ、これから行かない?」
「焼き肉?!」
それだけでミキティは疲れが吹っ飛んだようだ。ガバッと立ち上がって目を輝かせている。
簡単にミキティを懐柔したまっつーはあたしのほうに視線を向けてくる。
まぁ、あたしも最近焼き肉好きだからいいんだけどさ。
と、いうわけで今日の夕食は三人で焼き肉ということに決定した。
- 60 名前:3. 投稿日:2003年08月04日(月)00時53分20秒
数十分後、あたしとミキティはまっつーに連れられてまっつーオススメの焼き肉屋
の前までやってきた。
そこは決して大きいとは言えないけど、年季の入った店のよう。
まっつーが扉を開けると店員の挨拶が店内に響いた。
「いらっしゃいませ〜!」
「どぉも〜、予約しといた松浦ですけどぉ」
「あぁ、どぉも! 席あちらの奥ですよ」
「はぁい!」
まっつーはどうやらここの常連のようで、席に案内される間にも店員さんと雑談を交わしている。
しかしいつの間に予約したんだろうか?
案内されたのは店の隅に作られている、周りが仕切りで囲まれた個室のような場所。
確かにここだと、他のお客さんからは見えづらく、あたしたちにとっては都合がいい。
あたしは変装用の帽子を脱いだ。
まっつーはそういうことも考えてこの店を選んだんだろう。
でも……このテーブルの上に置かれた『ご予約 松浦亜弥様』と書かれた
プレートは余計だと思うけど……。
- 61 名前:3. 投稿日:2003年08月04日(月)00時55分14秒
- その後、少し待っていると注文した肉が運ばれてきた。
さっそくまっつーが焼き始める。
あたしも一応はまっつーを手伝って、もう一つの皿の肉を適当に鉄板の上にのせていく。
ミキティだけはただ鉄板の上の肉を凝視していた。
その目はまさに獲物を狙う肉食動物の目。怖いって……。
さらに……
「いただきまーす!!」
まだ肉をのせてる最中だってぇのに、ミキティはさっそく獲物(焼けた肉)を
捕獲して食べ始めた。
その様子を見てあたしとまっつーは顔を見合わせる。
「……ごっちん……松浦たちの肉なくなりそうじゃない?」
「そだね……ごとーたちもさっさと食べよっか」
そしてあたしとまっつーも、肉が乗っていたお皿をひとまずその辺に置くと、
ミキティに食べ尽くされないように肉を食べ始めた。
- 62 名前:3. 投稿日:2003年08月04日(月)00時57分59秒
- 「そいえばさ、亜弥ちゃんの新曲っていつからコンサートでやるの?」
しばらくして、肉全体の量の半分くらいを一人で食べつくし、やっと喋る余裕
が出てきたのか、ミキティがまっつーにそんなことを問いかけた。
「ん〜、コンサートの中盤くらいかなぁ。まだ曲はできたけどPVとか振り付けとか
いろいろまだ終わってないし、正確な日程はわかんない」
「あっ、そうか。まっつーの新曲できたんだよね?」
まっつーの顔がニパッと輝いたのを見てあたしは「しまった!」と思った。
まっつーがこーゆー笑顔をするときは大抵あたしたちにとってよくないことが起こる。
ようは暴走の前触れ……。
- 63 名前:3. 投稿日:2003年08月04日(月)01時00分33秒
- 「今回の曲はね〜、デートに出かける前にぃ、あの人はセクシー系が好きなのかなぁ?
それともキュート系が好きなのかなぁ? って悩む乙女心を歌った曲なんだよぉ!!
『うわっ!! かわいい』ってかんじで松浦の身体にスッて入ってきたの!!」
まっつーはそこまでマシンガンのように一気に喋ると、急にガタッと立ち上がった。
ものすっごく嫌な予感がする。たぶんそれはミキティも感じてるようで、まっつーの
ほうをじっと見て固まっている。
「あっ、いくよっ!! ♪迷うなぁ〜! せぇくし……んんっ!!」
手でマイクの形を作り、大声で歌い始めたまっつーを、あたしとミキティは
慌てて取り押さえた。
店内を見渡してみるが、なんとかあたしたちに気づいた人はいないみたい。
「亜弥ちゃん! バレるから!!」
「だいじょーぶだよ! 新曲まだ発売されてないもん!」
「CMでガンガン流れてるじゃん!!」
- 64 名前:3. 投稿日:2003年08月04日(月)01時01分46秒
「はぁ〜、食べた食べた!」
まっつーの暴走をなんとか制御したあと、もう少し焼き肉を食べてからあたし
たちは店を出た。
おなかいっぱい食べてミキティはご満悦の様子。
そりゃ、あんだけ食べればねぇ……。
「じゃあ松浦は方向逆なんで! また明後日ね〜! オヤスミ〜!」
「あっ、そっか。明日はみんなバラバラだっけ。オヤスミ!!」
「おやすみ、亜弥ちゃん!」
まっつーは手を振って帰っていった。
まっつーだけ明日オフか。いいなぁ……。
- 65 名前:3. 投稿日:2003年08月04日(月)01時03分08秒
- 「ごっちんは明日レコーディングだっけ?」
「そ。新曲のね。コンサート中だからなかなかスケジュールがあわなくてさ、
やっと始まるよ……」
「大変だねぇ……ミキは明日取材だ〜!」
「そっちも大変だねぇ」
しばしのあいだ焼き肉屋の前で雑談。
でもお互いの目が合うと会話はピタッととまる。
「……今日は……どうする?」
「ん……今日は帰る。服とか荷物取ったらね……」
「そっか……」
あたしは帽子を目深にかぶるとミキティの家に向かって歩き出す。
ミキティも帽子をかぶり、少し足早に歩いてあたしに追いつくと自然に腕をあたしの
腕に絡めてきた。
- 66 名前:3. 投稿日:2003年08月04日(月)01時04分39秒
- 「ちょ……ミキティ……これは怪しいよ……」
「大丈夫だって。誰もミキたちのことなんか見てないし」
「そうだけどさぁ……」
手を繋ぐならまだしも腕を組むってのはどうなんだろうか?
変に見られてないだろうか?
そんなことが頭に浮かぶ。
別にいいじゃん、変に見られたって。
あたしたちは恋人同士なんだし。一応帽子もかぶってるからすぐにはバレないだろうし。
そうどこかで思い切れないあたしがいた。
- 67 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年08月04日(月)01時17分44秒
- 今回はここまでです。少しですが更新です。
あやや……すんません、暴走キャラにしてしまって……。
でもあややはこの小説でもムードメーカー(or トラブルメーカー)
みたいなポジションになりそうです。
あややがいないとたちまち暗くてシリアスになりそう……。
>>56 名無し読者 様
ありがとうございます!
きっかけ……けっこう行き当たりばったりだったのですが……。
ぽかったですか…よかったです。
幸せに……が、頑張ります……。
- 68 名前:とんぼ 投稿日:2003年08月04日(月)09時58分49秒
- 松浦さんも、誰かと・・。
それとも、トラブルメーカーなだけなのかな。
- 69 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月04日(月)12時10分08秒
- 抱いて抱かれてまた抱いて♪
みたいな二人の関係に萌え後藤さんの新曲
カッケーですね。
- 70 名前:3. 投稿日:2003年08月08日(金)12時17分11秒
- ミキティの家に着くと、その辺に脱ぎ散らかしてあった自分の服をバッグに詰める。
ミキティは「洗濯くらいしてあげるよ」と言ってくれるが、それは断った。
そうしないと自分の家に帰るきっかけがなくなってしまうから。
「それじゃ、帰るね。今度は明後日だね」
「もう帰るの? お茶でも飲んでけば?」
「いいよ、帰ったら自分で煎れる」
自分の家に帰るのが久しぶりに感じる。
けっこうここんところミキティの家に泊まってたからなぁ……。
そんなことを考えながら玄関に座り込んで靴を履いていると、急に背中に暖かい感触が走った。
それと同時にミキティのしなやかな腕が首に絡んでくる。
- 71 名前:3. 投稿日:2003年08月08日(金)12時18分37秒
- 「ミキティ?」
「……お願い、ごっちん……一回だけ……」
腕に少しだけ力がかかる。吐息が首筋を撫でていく。
「……明日早いんじゃないの?」
「大丈夫だから」
ふり向いたミキティの瞳は熱っぽくて、それはあたしの欲望を掻き乱す。
その目は反則だよ、ミキティ……。
履きかけた靴を脱ぎ、バッグをその場におろす。
「……一回だけだからね……ごとーも明日早いし……」
「うん……ありがと……」
そのままミキティの顔が近づいてきて、唇と唇が重なった。
唇を離すと立ち上がってミキティに手を差し出す。
二人手を繋いだまま寝室へと入る。
ベッドに座りもう一度キス。
舌が口の中に入ってきて、あたしもそれに応える。
ダメだ……あたしも抑制が効かなくなってきた……。
- 72 名前:3. 投稿日:2003年08月08日(金)12時20分03秒
- 唇を離すとそのままミキティを押し倒す。
ベッドに倒れたミキティの上に覆い被さると、ミキティのシャツを捲り上げた。
そのままシャツを脱がす。ズボンも脱がす。下着も取り払ってミキティを全裸にする
と、あたしも服を脱いだ。
「ごっちん……乱暴すぎだよ……」
ごめんね……もう自分の身体が制御できないんだ……。
そう心の中でつぶやいて、あたしはミキティと肌を合わせた。
- 73 名前:3. 投稿日:2003年08月08日(金)12時21分11秒
ガチャッ! と言う音とともに鍵が閉まる。
一度ドアノブに手をかけて開かないことを確認する。
イったあと、ミキティはそのまま眠ってしまった。
やっぱり疲れてたんだと思う。
あたしはミキティに布団をかけると、脱いだ服をもう一度着てミキティのマンションを
あとにした。
時計を見るともう夜の11時をまわっている。
あたしのマンションはミキティのマンションからそんなに離れてないとはいえ、夜に
女性の一人歩きは危険だ。しかもあたしはアイドルだし。
あたしは早足で帰路を急いだ。
- 74 名前:3. 投稿日:2003年08月08日(金)12時21分55秒
- それでも途中で立ち止まって空を見上げた。
見慣れた東京の空にポッカリと浮かぶまあるい月。
星は見えない。でもそれも含めて『見慣れた空』。
- 75 名前:3. 投稿日:2003年08月08日(金)12時22分56秒
- 『東京の空ってさぁ、なんていうか……『黒』じゃないよね? ちょっと明るいって
いうか……『紺色』って言うのかな?』
そんなことを言ってたのは確かミキティだった。
いっしょに夜の街を歩いて、いっしょに夜空を見上げて。
ミキティは「星が見えな〜い! こんなの夜空じゃな〜い!!」なんてぼやいていた。
北海道ではよく見えるんだろうか。
でもずっと東京で育ったあたしにとってはこの「紺色」が夜空なのだ。
少し空を見上げていたあと、あたしはまた早足で歩き出した。
- 76 名前:3. 投稿日:2003年08月08日(金)12時25分01秒
- 少し歩いて交差点にさしかかった。
ここを左に曲がればすぐにあたしのマンションだ。
何も考えずに角を左に曲がった。
その先の道路が視界に入ってきた瞬間、あたしの身体を突き飛ばされたような衝撃が襲った。
思わず後ろに倒れてしりもちをつく。
「いたた〜」
目を開けて前を見ると、視界の先に同じような格好で一人の少女が倒れていた。
そこでやっと彼女が勢いよく自分にぶつかってきたのだとわかった。
「あっ……ちょっと、大丈……」
腰を上げ、彼女のほうに近寄ったら彼女がガバッと身を起こした。
「す、すいません、急いでたんで! ケガとかないですか!?」
身を乗り出してまくし立てた彼女と目があった。
大きな真っ黒い瞳。
それはまるで吸い込まれるような瞳だった。
- 77 名前:3. 投稿日:2003年08月08日(金)12時25分28秒
あたしたちはしばらくそのまま動けなかった。
- 78 名前:3. 投稿日:2003年08月08日(金)12時26分05秒
-
- 79 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年08月08日(金)12時35分58秒
- 今日はここまでです。少なっ! でもキリいいんで……。
>>68 とんぼ 様
レスありがとうございます!
松浦さんはまだちょっとどうするか決まってません。
でもまぁ、当分はトラブルメーカーで!(笑
>>69 名無しさん 様
新曲に掛けての感想とわ! 光栄です。でも確かにそんな感じかも……。
新曲いいですね! 早くテレビで見たい。
そしてみきごま。誰かの陰謀でしょうか?
でもそれに見事にハマった奴がここに一人……。
- 80 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月08日(金)14時50分03秒
- 後藤さんがぶつかった相手は
だれなんだろう?俺の予想は
松浦さんか、高橋さんかな?
続きがきになるー!
次の更新楽しみにしています!
- 81 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月08日(金)19時38分42秒
- いやいや、あえて意外なあの人とか…
…予想当たってると良いな〜!
作者様、更新お疲れ様でした。
- 82 名前:tsukise 投稿日:2003年08月08日(金)23時34分59秒
- 片霧さん…とは、あの片霧さんでしょうか?
と、すれば、こちらでは初めましてですねっ。
今日、一気に読ませて頂きました♪
こちらのごまみきは、かなり私的にツボですっ!
そしてぶつかった相手は…っ!?もしかして、もしかするのでしょうか!?
続き、楽しみにしていますのでがんばってくださいねっ
- 83 名前:@ 投稿日:2003年08月09日(土)11時05分08秒
- ぶつかった相手は石川さんキボン
東京の空の話とか切なくてものすごい好きです。
ほんとに星って見えないんですよね。
楽しみにしてます。
- 84 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時05分51秒
- 紺色の夜に出逢った一人の少女。
重なった瞳と瞳。
動けなかった。彼女の瞳に縛られて……。
- 85 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時08分59秒
4. 不思議な少女 〜Goto〜
- 86 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時10分43秒
- まるで時が止まったかのように見つめ合っていたあたしたち。
彼女も動かない。あたしも動けない。
でもそんな均衡は彼女が走ってきた方向から聞こえてきた複数の男たちの声で破られた。
「どこへ行った!?」
「あっちだ、逃がすな!」
その声に彼女はビクッと身体をこわばらせると、一度だけ声の方向を向いて立ち上がった。
「あの、ホントにすいませんでした! それじゃ!」
そう言って彼女はあたしが歩いてきた方向に走っていこうとしたが、すぐにその体勢が崩れた。
「ちょ……大丈夫!?」
彼女に近づいてみてみると、彼女は足首を押さえていた。
ぶつかったときに捻ったのかな?
そうしているあいだにも男たちの声が近づいてくる。
- 87 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時11分54秒
- 「あっ……」
彼女は怯えているのか震えている。
状況はよくわからないけど……もしかして彼女、襲われかけてる?
とりあえずこのまま彼女を放ってはおけそうもない。
「ちょっとこのままここにいて」
「えっ、でも……」
彼女を道の端によせて目立たなくすると、あたしは立ち上がり、何食わぬ顔で
交差点を左に曲がった。
すると目の前に三人の男たちが立ち止まった。
なぜか三人ともスーツで、真ん中の男はサングラスなんかかけている。夜なのに……。
- 88 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時17分54秒
- 「失礼、今ここに女が一人走ってこなかったか?」
あからさまに怪しい。
あたしはそのまま後ろをふり返ると、道路の先を指さした。
「あっちの方向に走ってったけど」
「そうか、すまない」
男たちはあたしの言葉を鵜呑みにし、そのまま走っていった。
男たちの背中が闇に消えるのを見届けると、あたしは踵を返し、さっきの少女の
もとへ戻った。
- 89 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時22分42秒
- 「もう大丈夫だよ」
「あっ……ありがとうございました」
そう言って彼女は立ち上がろうとしたが、またその身体がよろけた。
「痛っ!」
「あっ、ちょっと!」
よろけた彼女の身体を支える。
彼女の小さな身体はあたしの腕の中にすっぽりと収まった。
「す、すいません! もう大丈夫……」
「いや、全然大丈夫じゃないから。ウチこの近くだからさ、よってきなよ。
シップくらいならあるから」
「で、でも……」
「そんな足じゃ歩けないだろうし」
そう言ってあたしは彼女を抱きかかえた。
彼女の頬がかぁっと赤くなってくのがわかる。可愛いなぁ。
「あ……あの……!」
「大丈夫! こー見えてもけっこう力あるんだよねぇ」
そしてあたしは彼女を抱えて家に帰った。
- 90 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時26分34秒
「ここだよ。ちょっと汚いけどね」
「すみません……」
最初はジタバタと抵抗していた彼女も、マンションに入るとさすがに観念した
のかおとなしくなった。
あたしは心の中で「最近ミキティの家に泊まりっぱなしでよかった〜」なんて思っていた。
いつも家にいたら……たぶん人なんかあげられないくらい汚れていたと思うから……。
まぁ、今の部屋の状況も決してキレイとは言えないんだけどさ……。まだマシ……。
「ちょっとここで待ってて」
彼女をリビングのソファに降ろすとあたしは救急箱を取りに行く。
といってもちょっと救急箱の場所がぱっと思い浮かばない。
最近使った記憶がないし……と、いうか下手にケガでもしたらマネージャーに
大目玉を食らう。
寝室の収納の中をひっくり返してみて、やっと奥から救急箱を取りだした。
「お待たせ…って、あれっ? 腕もケガしてたの?」
「あっ……はい……」
見ると彼女の左腕から血が出ていた。小さな切り傷のようなものがある。
それに蛍光灯の下でよく見ると、彼女は身体も髪も砂だらけだ。
- 91 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時30分39秒
- 「これじゃ、先にお風呂に入ったほうがいいかもね」
「えっ、お風呂!?」
「入って来なよ。あっ、そうだ! 洗ってあげる!」
「ぇえっ!? いいですよ! お風呂かしていただけるだけでも悪いのに……」
彼女は顔を赤くし、手を振って拒否った。
そんな彼女の仕草を見るとついついからかいたくなってしまう。
なんていうか……ミキティでは見られない新鮮な反応。
以前冗談でミキティにそんなことを言ったら「キャ〜、洗ってぇ、ス ミ ズ ミ ま で」
なぁんて言ってさっさと服を脱ぎだしてたっけ……。
「いいから、いいから! ほら、行くよ!」
「あっ……ちょ……」
あたしは彼女を再び抱きかかえると、そのまま脱衣所まで連れてった。
- 92 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時32分29秒
- 「じゃあ、ちょっと濡れてもいいように着替えてくるからさ。服脱いどいてね」
「あ、あのっ……」
彼女の言葉を無視してあたしは脱衣所を出ていく。
お風呂は自動だから、ちゃんとタイマー通りにお湯がはっているはず。
寝室まで来ると、服を脱ぎ、タンスからTシャツと短パンを出して着替えた。
そして髪の毛を後ろで束ねる。
脱衣所に一人残された彼女はいったいどうしているだろう?
いろんな彼女を想像しながら、あたしは脱衣所へと戻っていった。
- 93 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時34分05秒
脱衣所に入ると彼女の姿はなかった。
かわりに彼女が今まで着ていた服がきれいにたたまれて置いてあった。
と、いうことは……
バスルームへの扉を開けると、彼女の後ろ姿があった。
バスタオルを身体に巻いて椅子に座っている。
彼女はあたしが入ってきたことに気づいたのか、顔だけを動かしてちらっと
あたしを見た。
その顔が真っ赤に染まってたのは湯気のせいだけじゃないはず。
- 94 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時35分23秒
- 「あ、あの……お願いします……」
彼女はまた前を向くと、聞き取れるかどうかわからないくらい小さな声でつぶやいた。
そんな仕草にくすっと笑ってしまう。
ホントに可愛いなぁ……。
あたしはシャワーを手に取り、お湯の温度を調節すると彼女の髪を濡らし始めた。
ある程度濡らしたところでシャンプーを髪につけ、両手で洗う。
真黒い髪。彼女にとっても似合っている。
「目、閉じててね」
「ハ、ハイッ!」
ある程度洗い終わると、またシャワーをかけ、シャンプーを洗い流す。
そのあいだ彼女はあたしが言ったとおりギュッと目を瞑ったままだった。
- 95 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時39分46秒
- 「さてと、次は体か」
「か、体はいいですっ! 自分でできますっ!!」
頭を洗い終わったあとでいたずらっぽくそんなことを言ってみると、彼女は
思ったとおり真っ赤な顔で遠慮した。
「じゃあ背中だけでも流してあげるよ」
「で、でも……」
「いいからいいから」
そっと彼女の肩に手を置く。
彼女は一瞬ビクッとしたけど、少しするとそっとバスタオルを取った。
前はしっかりそのバスタオルで隠していたけど、あたしはきれいな彼女の背中に
釘付けになった。
彼女の後ろに座り、タオルにボディソープをつける。
そしてそれを彼女の背中にあてると、ゆっくり優しく洗っていく。
彼女の顔をそっとのぞき見ると、その顔は後ろからでもわかるくらい真っ赤に
染まっていた。
するとなぜかあたしもちょっと恥ずかしくなってきてしまった。たぶん顔も
赤くなってると思う。
そうして二人とも無言のまま、あたしは彼女の背中を洗い続けた。
- 96 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時41分07秒
「さ〜て、次は前かな?」
「ま、前は本当にいいです!!!」
「そう? 残念」
さすがにこれ以上やると彼女がオーバーヒートしてしまいそうだったので、
あたしはここで退くことにした。
まぁ、もうちょっと彼女のかわいい反応を見てみたいとも思ったけど。
「じゃあ、ちゃんと温まってから出てきなよ」
「はい、ありがとうございます」
- 97 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時43分12秒
- バスルームを出るとたたんである彼女の服が目に入った。
ちょっとつまんでみるとその服もやっぱり砂だらけ。せっかくお風呂入ったのに、
服がこれじゃまた汚れちゃうよ。
あたしは寝室まで行くと、代わりの服を適当に選び出す。
あたしのほうが彼女より大きいからブカブカかもしれないけど、あの服を着る
よりはいいでしょ。
再び脱衣所まで戻ると、彼女の服を洗濯機にかけ、かわりにあたしの服を置く。
そしてバスルームにいる彼女に呼びかけた。
- 98 名前:4. 投稿日:2003年08月13日(水)15時44分51秒
- 「あのさ〜、服汚れてるから洗っとくよ。かわりの服置いとくから、それ着て!」
「あっ、すいません!」
バスルームの中からはそんなかわいらしい声が聞こえてきた。
あたしはニヤッと笑うと、彼女の了解も得ないままバスルームの扉を開けた。
彼女は湯船につかっていて、真っ赤な顔して慌てて胸を隠すと「なんですかー!」と
講義の目をあたしに向けた。
でも悪いけど全然迫力ない。むしろかわいい。
もうちょっとだけからかっちゃおうかな?
「一緒に入っていい?」
「ダ、ダメですっ!!」
「あはっ、冗談だよ〜!」
- 99 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年08月13日(水)15時53分41秒
- 今回はここまでです。
ぐはっ! 結局誰だか書けなかった!
スンマセン、次の更新で絶対明らかにします……。
>>80 名無しさん 様
ありがとうございます! そしてすいません……。
次回で必ず明かします。
>>81 名無しさん 様
ありがとうございます! そして同じくすいません。
もうあと少しだけ予想していてくらはい……。
- 100 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年08月13日(水)16時02分03秒
- >>82 tsukise 様
レスありがとうございます!
ていうか私もずっと読ませていただいてます!
ツボですか!? マジで嬉しいです!
相手は……もしか……する……かも……?
>>83 @ 様
東京の空……ぶっちゃけちゃうとそこまでまじまじと見上げたことはないんですが(ぉぃ
ていうか夜まで東京にいることがそんなにないので……。
なのでけっこう個人的なイメージで書いてたのですが、そういってもらえて安心しました。
ありがとうございました!
- 101 名前:とみこ 投稿日:2003年08月14日(木)16時37分19秒
- 初めて読みました。
後藤さんのキャラが新鮮で良いですね!
吸い込まれそうな黒い瞳の少女・・・誰なんでしょうか。
がんばってください。
- 102 名前:4. 投稿日:2003年08月17日(日)14時02分37秒
- 「あの……お風呂ありがとうございました」
しばらくすると彼女はあたしの服をちゃんと着てお風呂場から出てきた。
やっぱりブカブカだったけど、なんか彼女だと似合うとも感じてしまう。
可愛いなぁ……って、あたしは何回「可愛い」って思ってるんだか……。
お風呂に入ってちょっとよくなったのかちゃんと立ててはいるが、それでも歩く
仕草はまだ足を引きずっている。
あたしは彼女に歩み寄ると、また彼女を抱き上げた。
彼女も今回は抵抗せず、そっとあたしの首に手を回した。
顔は相変わらず赤いし、身体は相変わらずガチガチに緊張してたけど。
- 103 名前:4. 投稿日:2003年08月17日(日)14時03分54秒
- 彼女をソファに降ろすと救急箱を取り出す。
「ちょっと足見せてね」
「ハ、ハイッ……」
彼女はズボンの裾を少しまくり、足をあたしのほうに差し出した。
足をそっと手に取る。やっぱり捻ったようで少し腫れている。
軽く触ってみると彼女が「ウッ!」と呻いた。
「やっぱすこし捻ったみたいだね。シップ貼っとこうか」
「はいっ、ありがとうございます」
救急箱からシップを取りだしてペタッと貼ると、次にあたしは消毒液を取り出す。
「じゃあ腕の傷も見せて」
「ハ、ハイッ!」
「そんな緊張しなくてもいいから」
「ハ、ハイッ!!」
そんな彼女の様子にまたクスッと笑ってしまう。
とりあえずはもう何も言わずに彼女の手を取ると傷口にティッシュをあて、
消毒液をかけた。
- 104 名前:4. 投稿日:2003年08月17日(日)14時05分43秒
- 「つっ……」
また彼女の口からうめき声が漏れる。
「あっ、ごめん。染みた?」
「大丈夫です……」
そっと零れた消毒液を拭くと、そこに絆創膏を貼った。
「はい、OK」
「すいません……」
彼女は丁寧に頭を下げた。
「いや、いいよ、強引に連れてきちゃったようなもんだし」
「いえ、本当に助かりました。……じゃあ私そろそろ帰りますね」
「えっ?」
ふと時計を見る。なんだかんだでもう0時すぎ
- 105 名前:4. 投稿日:2003年08月17日(日)14時08分59秒
- 「もう遅いよ。泊まってけば?」
なぜか自然とそんな言葉が出ていた。
「えぇっ!? そんな……ホントに悪いですよ!」
「でももう暗いし、危ないよ。また襲われるかもしれないし。それに歩けるの?」
「うっ……で、でも……」
なぜだろう……なぜだか彼女にこのまま帰ってほしくない。
確かに危ないし、歩くの辛いだろうってのもあるけど、それだけとはいえなそう。
もっと……彼女と一緒にいたい。
「家の人には連絡してあげるから」
「あっ……えっと……」
彼女は黙ってしまった。
まぁ、考えてみれば今日初めて逢った人のところに泊まるって言って心配しない
親なんていないか……。つーかまず彼女自身が不安かなぁ?
でもかといって迎えに来てくれちゃっても困るんだよな……。あたしの家の
場所を知られちゃうのはいろいろとまずいし……。
ど〜しよ……
- 106 名前:4. 投稿日:2003年08月17日(日)14時09分56秒
- そんな堂々巡りの思考は彼女の控えめに呟いた言葉で遮られた。
「……親は…いない……です」
「えっ……? あっ、ご、ごめん……」
しまった、さっそく地雷を踏んでしまった。
……でも、それなら……
「じゃあ、やっぱり泊まってきなよ」
「でも……」
「一人じゃ寂しいでしょ? 今日だけお姉ちゃんになったげる!」
彼女は少しうつむいていたけど、あたしが肩に手を置いて「ねっ?」と念押し
すると、ようやくうなずいてくれた。
「よかった。じゃあちょっと適当にくつろいでてよ。お風呂入ってくるから」
「はい!」
そしてあたしはさっきまで彼女が使っていたバスルームへと入っていった。
- 107 名前:4. 投稿日:2003年08月17日(日)14時12分23秒
お風呂から出てくると、彼女はソファに横になって寝息をたてていた。
そんなところを見ると、なんかあたしと似てるなぁ、なんて思ってしまう。
やることないと寝ちゃうんだよねぇ、あたしも。
起こすのも可哀想だと思い、あたしはそっと彼女を抱きかかえると寝室へと運ぶ。
ベッドに彼女を降ろすと電気を消して、少し迷ったあげくあたしも同じベッドに入り込んだ。
なんかホントに妹ができたみたい。
ごめんね、ミキティ。でもミキティもまっつーと一緒にお風呂入ったりしたこと
あるから……いいよね?
- 108 名前:4. 投稿日:2003年08月17日(日)14時13分03秒
- あんまりベッドも広い方じゃないのであたしはそっと彼女を抱き寄せた。
彼女が目覚めたとき、あたしがとなりに寝てることに気づいたら、いったい
どんな顔をするんだろう?
やっぱり真っ赤になるんだろうか?
そんなことを考えながら、あたしも目を閉じた。
おやすみ……いい夢見てね……。
- 109 名前:4. 投稿日:2003年08月17日(日)14時14分04秒
翌朝、目覚まし時計のけたたましいアラームで目を覚ますと、となりに彼女はいなかった。
玄関まで行ってみても靴がない。洗濯機の中に彼女の服もない。
かわりにポストにこの部屋の鍵が入っていた。律儀だなぁ、と関心。まぁ、確かに
開けっ放しで出て行かれちゃったら非常に困るんだけど。
鍵を持ってリビングまで戻ると、テーブルの上に一枚のメモ用紙が置いてあるのを見つけた。
- 110 名前:4. 投稿日:2003年08月17日(日)14時15分15秒
『
昨晩は大変お世話になりました。
かしていただいた服は必ずお返しに参ります。
本当にありがとうございました。
コンノ 』
- 111 名前:4. 投稿日:2003年08月17日(日)14時16分29秒
- コンノ……それが彼女の名前……。
そういえば聞いてなかったなぁ、なんて今さら思い出す。
紺色の夜に出逢った不思議な少女、コンノ。
彼女はいったい何者なんだろう?
そしてあたしは何故こんなにも彼女のことが気になるのだろう?
- 112 名前:4. 投稿日:2003年08月17日(日)14時17分01秒
-
- 113 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年08月17日(日)14時26分00秒
- 今回はここまでです。
よかった……誰だか明かせて……。
で、申し訳ありませんがまたちょっと少しのあいだ更新できません……。
一週間ほど……。次は24日くらいになってしまうと思います。
>>101 とみこ 様
レスありがとうございます。
黒い瞳の少女……こうなりました。
- 114 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月18日(月)01時32分13秒
- ごまこんキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━ !!!!!
こんな展開だとは思わずガッツポーズ
更新いつまでもいつまでも待ちます
- 115 名前:@ 投稿日:2003年08月19日(火)17時08分09秒
- やっぱりタイトルの紺夜は紺野さんの紺だったんですね
ごっちんの気持ちがどう動くのか楽しみです。
- 116 名前:tsukise 投稿日:2003年08月19日(火)23時12分53秒
- 更新お疲れ様ですっ!
つ、ついに名前が登場しましたね〜っ!
相手が紺野だったことに、かなり顔がニヤけてしまいました(爆
紺野の追われている理由や、ごっちんの気持ちの揺れ動きなど
すっごくこれからが気になりまくりですっ。
これからも、頑張ってくださいねっ!
- 117 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時17分12秒
5. Good Days, Good Night 〜Fujimoto〜
- 118 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時18分17秒
- 今日でコンサートの四日目が終了した。たいしたトラブルもなくてとても順調。
今日ははるばる大阪まで来ている。明日もまた大阪での公演なので、今日はホテルに
泊まることになる。
ホテルに泊まるときはアタシたちは大抵一人一部屋が割り当てられる。
何とも豪勢だけど、でもその時は必ずごっちんがアタシの部屋にやってくる。
一部屋分無駄なんじゃないのかなぁ? なんて考えてしまうけど、マネージャー
にそう言うわけにもいかないしね……。
- 119 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時20分27秒
- 「ミキティ……」
「んぅ……ごっちん……」
アタシを後ろから抱きしめ、首筋にキスをするごっちん。
ちょっと後ろをふり向くと、すぐ唇にもキスをしてくれる。
しばらくごっちんの唇を味わっているとそのままそっとベッドの上に倒された。
ごっちんもすぐにアタシの上に覆い被さってくる。
そっと頭だけ抱き寄せられてまた唇が触れた。
アタシも手をごっちんの首に巻き付け、指でごっちんの髪をいじりつつキスに応じる。
でも……地方のホテルってのはなんか落ち着かない。
なぜなら……
- 120 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時22分21秒
- ドンッドンッドンッ!!
アタシたちのユニットには無邪気で、底なしの体力で、人の都合を考えないで、
自分と楽しいことが大好きな少女が一人いるわけであって……。
突然聞こえた扉を叩く音に、アタシの上に覆い被さっていたごっちんがぱっと
飛び退く。
めずらしく真っ赤になっているごっちん。
アタシは乱れた服を整えると、ベッドから降りて扉のほうへ歩み寄る。
扉の向こうにいるのはだいたい想像がつくんだけど……。
- 121 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時25分45秒
- 「やっほ〜、みきたん!! 遊びに来たよ〜!!」
やっぱり……
「あれっ? ごっちんも遊びに来てたんだ。何やってんの、そんなところで?」
「な、なにも!」
ごっちんは真っ赤な顔のままベッドから慌てて降りた。
こんなごっちんも新鮮でいいかもしれない。
「じゃあ三人で遊びに行こ〜よ〜!!」
いつもと変わらぬハイテンション。
今日も昼と夜の二公演やってきたし、明日も同じ。
悪いけど……亜弥ちゃんのテンション&体力にはちょっとついていけそうにない……。
ごっちんのほうを見てみると、ごっちんも苦笑い。
- 122 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時28分34秒
- 「……ミキはちょっといいや。今日疲れたし……」
「ごとーも……。明日も大変だしさ……」
アタシとごっちんが次々に断ると亜弥ちゃんはプクーッとふくれた。
「なんでー!? みきたんとごっちんは二人で仲良くしてたじゃーん! 松浦
だけ仲間はずれなんてヒドいよー!!」
「「なっ……」」
亜弥ちゃんの言葉に思わずごっちんと顔を見合わせて赤面してしまう。
別に見られてたわけじゃないし、亜弥ちゃんがそういう意味で言っているん
じゃないってこともわかるけど……ねぇ……?
- 123 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時31分21秒
- アタシたちが固まっていると、亜弥ちゃんはすかさず別の提案をしてきた。
「じゃあさ、お風呂行こうよ! このホテルって大浴場もあるんだよ! それなら
疲れもとれるし! ねっ!?」
「お風呂……かぁ……」
確かにそれなら疲れない。むしろ疲れがとれる。
それはいいんだけど、問題は中途半端なところでお預けをくらってしまった身体で、
はたしてガマンしきれるんだろうかってこと。
「いいじゃん、決定! それなら文句ないでしょ!? 行こ〜!!」
いろいろと悩んでるあいだにも亜弥ちゃんはかってに決定を下し、アタシと
ごっちんの手をぐいぐい引っぱって部屋の外へ連れ出した。
まぁ……いいか……。
- 124 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時34分03秒
大浴場の脱衣所に入ってみると人はいなかった。
かごの中に服も入ってない。まぁ、時間も時間だし、このホテルには部屋にも
小さなバスルームが付いてるから誰も入ってなくてもおかしくはないんだけど。
亜弥ちゃんは「わおっ、貸し切りっ!? ラッキー!!」なんて叫ぶと、一気に
服を脱いで浴場に入っていってしまった。
「いっちば〜ん!!」なんて声と前後して思いっ切り水音が聞こえてきた。
- 125 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時35分31秒
- アタシも服をテキパキと脱いでいくが、ごっちんの姿が視界に入ってくると、
思わずそっちの方に視線が行ってしまう。
すると思いっ切りごっちんの視線とぶつかった。
ごっちんは赤くなって「ミキティのえっち」なんて言うとさっさと浴場に入って
いってしまった。
いや、なにもそこまで恥ずかしがらなくても……。
すでに裸なんて何十回も見てるし……それよりも恥ずかしいことだっていっぱい
してるし……。ていうか、目があったってことはごっちんもアタシのこと見てた
んじゃ……。
しかしなんか今日のごっちんはずいぶんと恥ずかしがり屋だなぁ。
- 126 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時38分28秒
- 浴場に入ってみるとそれなりに広いし綺麗だ。
こんな浴場を貸し切り状態にできるなんて亜弥ちゃんの言ったとおりけっこう
ラッキーかも。
亜弥ちゃんは予想通り湯船に肩までつかっていて、ごっちんはシャワーの前で
体を洗い始めていた。
「亜弥ちゃん、湯船には体を洗ってから入るのがマナーだよ!」
アタシもシャワーの前に座りながら、湯船の中の亜弥ちゃんを注意すると、
亜弥ちゃんは渋々といった感じで湯船から出てきた。
一時期テレビで一緒にマナーについての番組やってたっていうのに、亜弥ちゃん
には残念ながら身に付かなかったらしい。
まぁ、それはいいとして……なんでアタシの後ろに立つんですか……?
- 127 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時40分23秒
- 「あ、亜弥ちゃん、なに?」
おそるおそる後ろをふり向くと、亜弥ちゃんはすでに椅子を持ってきていて
アタシの後ろに座り込んでいた。
手に持っているタオル、ニッコニコの笑顔。これはもしかしなくても……
「洗ってあげるよ、みきたん」
やっぱり! 嫌な予感があたった。
以前亜弥ちゃんがテレビで「みきたんとはよく一緒にお風呂入ったりするんですよ!」
と言ってたのをごっちんに聞かれたときはしばらくプライベートで口をきいてくれなかった。
前にも三人でお風呂に入ったことがあり、同じくほとんど強引に亜弥ちゃんに身体を洗われて
いたときにはずっとごっちんが睨んでいた。
そして亜弥ちゃんはアタシが断る前に、すでにタオルにボディソープをつけ、アタシの背中を
こすっている。
アタシはおそるおそるごっちんの方を向いたが……
- 128 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時41分06秒
- あれっ?
ごっちんはただふつーに前を向いて腕を洗っていた。
こんなことだともうヤキモチ焼かなくなったのかな?
安心したけど、ちょっと寂しいかも……。
- 129 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時41分57秒
「それじゃ、また明日ね〜!!」
「おやすみ〜、お疲れ〜!」
「オヤスミ〜!!」
部屋の前まで戻ってくると、三人ともバラバラに自分の部屋に戻っていく。
アタシも自分の部屋に入って服やらタオルやらをしまう。
でもこれはただのフリ。ちょっと待っていれば……
- 130 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時43分31秒
- トンットンッ!
ほらね。
聞こえてきた控えめなノックの音。アタシは部屋のドアを開ける。
そこには当然のごとくごっちんが立っていた。
「入れば?」
「んっ」
そそくさとアタシの部屋に入ってくるごっちん。
アタシはドアを閉めるとそのまま鍵をかけた。あっ、チェーンロックもね。
「はぁ〜、気持ちよかったね〜、お風呂。今度は温泉とか入りたいな〜」
「あ〜、いいねぇ。今回のツアーでないかなぁ、温泉」
ベッドの縁にごっちんと一緒に座ると、ごっちんがそっと肩を抱き寄せてくれた。
そのままごっちんの肩に頭をのせる。
しばらく二人ともそのままで喋らなかった。
- 131 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時44分32秒
- 「……もう誘ってこないの?」
先に沈黙を破ったのはごっちん。でもそんな質問って……
「もう求めてこないの?」
いじわるな質問だったからいじわるに返してみた。
「今日は疲れたからいいかなぁって。明日も大変そうだし」
「ん〜、ミキもそう思う」
「またまっつーが来たら困るし……」
「だね……」
ごっちんの方を向くと、ごっちんもニコッと笑いかけてくれた。
「それじゃあヒサブリにまったりとしますか?」
「そうしますかぁ」
- 132 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時45分48秒
- そのまま二人でベッドに倒れる。
そのあとは他愛もない話をしたり、抱きしめあったり、触れるだけのキスを
したり……。
徐々に眠たくなってきたら二人で布団の中へと潜り込む。
枕は一つしかないけれど、両端に頭をのせて。
そっとお互いの身体を抱きしめあって眠りについた。
激しい夜もいいけれど、こんなふうに緩やかな夜もいいよね、なんて、
思ってるのはアタシだけかもしれないけど。
目の前で早くも優しい寝息を立てている恋人にもう一度だけ口付けをして、
また瞳を閉じる。
オヤスミ、ごっちん。明日も頑張ろうね。
- 133 名前:5. 投稿日:2003年08月24日(日)16時46分26秒
-
- 134 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年08月24日(日)17時01分10秒
- 今回はここまでです。
なんとか宣言通りに更新できました。
しかし……
あれっ!? 前回やっと誰だか明かせたってのに今回出てきてない?
とりあえず今回はラブラブごまみきで。次はきっと……
>>114 名無しさん 様
レスありがとうございます!
とりあえずこれからは同時進行って感じで……。
>>115 @ 様
タイトルはその通りです。名前とかけました。
もちろん紺色の夜という意味もありますけどね。
ありがとうございました!
>>116 tsukise 様
名前出せてよかったです。ご期待にも添えたようで。
(今回出せなかったですが……)
そのうちいろいろと明らかにしていければいいなと思ってます。
- 135 名前:tsukise 投稿日:2003年08月26日(火)16時22分26秒
- 更新、お疲れ様ですっ
おおっ、ごっちんの心情に変化があったんでしょうかっ!?
というか、テレるごっちんも可愛いですねぇっ!
今後の、みきごまの変化にも大注目していますので頑張ってくださいねっ!
- 136 名前:6. 投稿日:2003年08月29日(金)22時45分05秒
6. You make me Smile 〜Goto〜
- 137 名前:6. 投稿日:2003年08月29日(金)22時46分31秒
- 地獄の大阪一日二公演二日連続ライブが終わった。
とはいってもあたしたちは休んでなんかいられない。
翌日の飛行機ですぐに東京に戻り、着くとすぐにテレビの収録。
結局終わったのは午後8時すぎ。これで明後日は九州まで行かなきゃなんない
んだからものすごいハードスケジュール……。
さすがのあたしたちも疲労困憊。
それはあのまっつーの口から「疲れた〜……」なんて単語が出たことからも
うかがい知れる。
- 138 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年08月29日(金)22時48分29秒
- 「ごっち〜ん、今日はどうする?」
「さすがに帰る……今日はもう体力残ってない……」
「ミキも……。じゃあ今度は明後日だね。バイバイ」
「ん、バイバイ……」
明日はまっつーとミキティはオフ。しかしあたしだけ午後からソロの新曲の
レコーディング……。
今日ミキティの家に行くのはかなりの自殺行為というわけで……。
あたしはタクシーを拾って家まで帰った。
- 139 名前:6. 投稿日:2003年08月29日(金)22時50分21秒
タクシーに乗ってしばらく外の夜景をボーっと見ているといつのまにか家まで
着いた。
お金を払い、荷物を持って外に出る。
そのままマンションの入り口まで歩いていくと、そこに見覚えのある人影が
立っていた。
あの小さな身体と黒い髪。あれって……もしかして……
「コンノ?」
「あっ! こんばんわ!」
そこに立っていたのは紛れもなく、あの夜に出逢った少女、コンノだった。
「どしたの? 今日はいったい」
「あの……かしていただいた服を返しに……」
「あっ、そうか。わざわざありがとね」
コンノが差し出した服を受け取る。
それを受け取ってちょっと思った。もしかして……
- 140 名前:6. 投稿日:2003年08月29日(金)22時51分47秒
- 「もしかしてさ……昨日とか一昨日も来ちゃったりした?」
「あっ……えっと……いや、来てないです」
その返事を聞いて思わず苦笑い。コンノはきっとポーカーには向かないね……。
「そんなところで気ぃ使って嘘つかなくてもいいからさ。ゴメンね、ちょっと
仕事で大阪まで行ってたんだ」
「は、はい……」
「って、こんなところで立ち話する必要もないか。中入ろうよ。お茶くらいは
出すから」
「あっ、でも」
「こんな時間まで待たせちゃったからさ。ねっ?」
「……ではお言葉に甘えて……」
あたしは暗証番号を入力してマンションの入り口のロックを解除した。
コンノのほうに手を差し出すと、コンノはおずおずとその手を握りかえして
くれる。
手を繋いだまま、あたし達はエレベーターに乗り込んだ。
- 141 名前:6. 投稿日:2003年08月29日(金)22時53分04秒
「どうぞ、入って!」
「おじゃまします」
コンノを家に上げるとリビングに通す。よかった……今日もあたし的にはそんな
に散らかってない。
あたしはキッチンまで行って紅茶の準備を始めた。
何にしようかな? いろいろあって迷っちゃう。
とりあえずコンノの好みもわからないことだし、割とオーソドックスなアール
グレイを選んだ。
「そーいえば、コンノ〜! 足治った?」
「はい、完璧です!」
キッチンからリビングに声をかけると、そんなかわいらしい声が聞こえてきた。
でも『完璧です』って……
そのフレーズにちょっとクスッと笑ってしまう。
そうこうしているうちにお湯が沸いたので、あたしは紅茶を煎れてコンノの
もとへと持っていった。
- 142 名前:6. 投稿日:2003年08月29日(金)22時54分47秒
- 「はい」
「ありがとうございます」
コンノの前に湯気が立ち上っているカップを置く。
コンノはカップを手に取ると、ふーっふーっと少し冷ましてから口に含んだ。
「どう?」
「おいしいです!」
「そっか、よかった」
あたしも一口紅茶を飲む。んっ、我ながらなかなか……。
「アールグレイでよかったかな?」
「はい。……他にもあるんですか?」
「うん。他にはダージリンとか、アッサムとか、ニルギリとかもあるね」
「へぇ、いっぱいあるんですね」
「ごとーけっこう紅茶好きだからさ」
もう一口紅茶を飲む。
コンノの方を向くと、何故かじっとあたしのほうを見ていた。
なんだろ? 意外かなぁ、あたしが紅茶好きなの。
とか思ってたんだけど……
- 143 名前:6. 投稿日:2003年08月29日(金)22時57分15秒
- 「後藤さんっていうんですか! お名前!」
「へっ!?」
思わずすっとんきょうな声を出してしまった。
あ、あれっ!? もしかしてご存じない?
「え、えーと…あたし後藤真希っていうんだけど……知らない? 一応これでも
芸能人なんだけどね……」
「えっ……芸能人……?」
あ〜、その反応は知らないな。
もうそろそろ知名度も結構あると思ってたんだけどね。ちょっとしょっく……。
以前あたしんチに来たときにガチガチに緊張してたのも、あたしが芸能人だから
ってことじゃなくてコンノの地ってことか。
- 144 名前:6. 投稿日:2003年08月29日(金)23時06分09秒
- 「……あっ、ごめんなさいっ!! 私テレビとかあんまり見なくて……」
固まってたコンノの表情が一瞬にして変わった。とっても焦ってるってことが
こっちまで伝わってくる。わかりやす……。
「いや、いいよ、謝らなくても。コンノが悪いわけじゃないしさ」
「は、はい……。でもすごいですね、芸能人なんて。どおりで後藤さん綺麗
だし、スタイルもいいし……」
「そ、そかな……ありがと……」
真顔でそんなこと言われると照れてしまう。
あたしはあさっての方向を向いて、照れ隠しにまた一口紅茶を飲んだ。
- 145 名前:6. 投稿日:2003年08月29日(金)23時07分51秒
- 「でも芸能人ってどんな仕事してるんですか?」
「ん? コンノ芸能界に興味あるの?」
「いや、まぁちょっと。知的好奇心ってやつです」
「ん〜、ごとーは歌手が本業だよ。でも他にもドラマやったりミュージカル
やったりもしたけど」
まぁほかにもいろいろやってるけどね、コントとか……。
「あっ、そうだ! ごとーの歌聞く? っていってもCDだけど」
「聞きたいです!」
満面の笑顔のコンノ。
そんな顔をむけられちゃったら聞かせないわけにはいかない。
あたしは紅茶を置いて立ち上がると、棚から自分のCDを取りだしてコンポに
入れた。
何にしようか迷ったけど、何となく2番目をかける。
『手を握って歩きたい』
曲が流れ出すと、コンノはあたしの曲に聴き入ってくれたようでずっとそのまま
動かなかった。
- 146 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年08月29日(金)23時21分45秒
- 今日はここまでです。セカンド・コンタクトですね。
CDの曲はなんでもよかったんですけど、なんとなく。
完全にファーストインプレッションでした。
>>135 tsukise 様
いつもありがとうございます!
みきごまも気に入っていただけたようで嬉しいです。
まったり甘々なみきごまもけっこう気に入ってたりするんで。
- 147 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月30日(土)00時45分48秒
- いつも楽しみに読んでます。
ごっちん、浮気すなっ!(w
この後どうなっていくんでしょうかね。期待してます。
- 148 名前:tsukise 投稿日:2003年08月30日(土)18時38分29秒
- 更新お疲れ様ですっ!
ごっちんと紺野のセカンドコンタクトですねっ!
紺野の嘘のつけない性格がいいですっ♪
こういうマターリした感じもいいですし〜。
続き、楽しみにしていますので頑張ってくださいねっ。
- 149 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)16時48分51秒
- 「はぁ、ホントに後藤さんの声ですねぇ」
「なんだよそれ、信じてなかったの?」
聞き終わってコンノがそんな感想を述べるもんだからちょっとからかってみた。
するとコンノはおもしろいくらい一瞬で表情を変えて慌てている。
「ち、違います! ホントに純粋にそう思っただけで。すいません……」
「わかってるって、冗談だよ。なにもそんなに謝らなくてもいいから」
「す、すいません。……あっ! また……」
言ってるそばから謝るコンノ。
そんなコンノが可愛らしくて、可笑しくて……
「……プッ! アハハハハッ!」
思わず吹き出してしまった。
- 150 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)16時50分25秒
- だってコンノ……本当に可愛すぎ……。
コンノは「そんなに笑わないで下さいよぅ……」と赤い顔で抗議してきたけど、
それでもあたしの笑いは止まらなく、結局涙が溢れそうになるまで笑い転げて
しまった。
そういえばこんなに大爆笑したのってあたしいつ以来だろう?
そこまで考えてふとコンノのほうを見ると、すっかりうつむいちゃってる。
……ありゃ、ちょっといじけモード? ていうか凹みモード?
「ごめん。ごめんってば、コンノ」
「……なにもあそこまで笑わなくても……」
「ごめん、つい……」
立場逆転。今度はあたしが謝るハメに……。
- 151 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)16時53分55秒
- 「う〜ん……そうだ! お詫びと言っちゃなんだけどこれあげる」
あたしは鞄の中から一枚のチケットを取り出すと、それをコンノに渡した。
「えっ、何ですか、これ?」
「今ごとーさ、コンサートやってるんだよね。あぁ、ごとーだけじゃなくて
ごとーが組んでるユニットのコンサートなんだけどさ。それで昨日と一昨日も
大阪に行ってたってわけ」
「じゃあこれって……」
「そ、ごとーたちのコンサートのチケット! しかも東京でやる今回のツアー
の最終公演のね! 位置もけっこう前だし、日曜日だし。まぁ、まだ2ヶ月
くらい先なんだけど。今度は生で聞かせてあげるよ!」
「いいんですか、いただいちゃって?」
コンノの顔に笑顔が戻っていく。
よかった。機嫌なおしてくれたみたい。
事務所に無理言ってもらってきといてよかったよ。
ホントはお姉ちゃんにあげる予定だったんだけど……まぁ、いいか。
- 152 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)16時57分52秒
- 「うん。コンノに来てほしいなぁって思って」
「い、行きます! 絶対行きます!!」
「ホント? 嬉しいなぁ。最終公演はさ、ぱーっと野外の特設会場でやるんだ
よね! すっごく盛り上がるよ〜!!」
「や、野外ですか……」
「うん、そだけど。あれっ、なんか問題でもある?」
「いえ、すごいなーって思っただけです。……楽しみにしてますね! 絶対
見に行きますから!」
コンノは笑った。とっても綺麗な笑顔で。
そんなふうにされたら嫌でも気合い入っちゃうじゃん。
「おっけ〜! じゃあ絶対来てね!! 期待に添えるように頑張るから!」
- 153 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)17時00分17秒
そのあとはコンノと他愛もない話をしてすごし、気がついて時計を見たのはまた
日付が変わってからだった。
「コンノ、今日も泊まってけば?」
「えっ……でもいいんですか? 後藤さんコンサートでお疲れじゃないんですか?」
「んっ、平気平気。大丈夫だよ」
自分で言って気づいた。
そういえばスタジオから家に帰ってくるまでは心底疲れてぐったりとしていた
のに、コンノと一緒に話していたらいつの間にか疲れを感じなくなった。
コンノのほのぼのとした空気で癒されたのかな?
なぁんてガラにもなくそんなことを考えてみる。
- 154 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)17時01分24秒
- 「じゃあ……泊まっていってもいいですか?」
「ん、いいよ。あっ、なんなら明日も…あっ、もう今日か、一日中ここにいても
いいよ。休みなんだしさ。ごとーは仕事あるけど、ちゃんと帰ってくるから」
「えっ、いえっ! それは悪いですよ。また後藤さんが仕事終わるくらいに来ます」
「ふぅん……コンノって休日はなにしてるの?」
「えっ……えーと……寝てる…かな……」
「あはっ! なんだそれぇ!」
「す、すみません……」
顔を赤らめて照れてるコンノを見ると、何かまたついついからかいたくなって
きちゃって……
- 155 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)17時02分23秒
- 「まぁ、いいや。じゃあ、お風呂はいろっか、一緒に!」
「ぇえっ!? いいですよ、もう一人で入れます!」
「なんだよぉ、洗ってあげるよ。今度は前も」
「え、遠慮しますぅ!!」
コンノは真っ赤になって一人、お風呂場のほうに走っていってしまった。
そんな様子を見て自然と頬がゆるむ。
かぁいいなぁ。
なんていうか……飼いたい!! いやいや……アブないなぁ、あたし……。
- 156 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)17時03分52秒
- そのあとでコンノがお風呂から出てくると、入れ違いでアタシもお風呂に入る。
お風呂から出ると一緒に寝室に移動して、二人でベッドに潜り込んだ。
やっぱりコンノは恥ずかしがったけど、前回も一緒に寝たし(まぁ、コンノの
意志じゃなかったけどね)、それ以外に布団もないから結局コンノは了承して
くれた。
そっとコンノを抱き寄せて、コンノの頭を撫でる。
そのたびにコンノの体が硬くなっていったような気がするけど、特に拒みは
しなかった。
暗闇の中でも真っ赤だとわかる顔を見て、また「可愛いなぁ」なんて思っていた
けど、残念ながらそれ以降の記憶はあたしにはなかった。
- 157 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)17時05分31秒
翌朝、目覚めるとまた隣にコンノはいなかった。
まぁ、それは当然。いつの間に止めたのか記憶にない目覚まし時計を見てみると
もう10時だった。
心の疲労はコンノのおかげでとれたけど、やっぱり身体のほうは疲れてたっぽい。
レコーディングが午後からでよかったぁ。午前中からだったら確実にあたし遅刻
してたなぁ。
まぁ、普段もたまに遅刻することもあるんだけどさ……。たまぁ〜に、ね!
でも、コンノも起こしてくれてもいいのに。
なんて思ってみるけど、もしあたしが逆の立場だったら絶対起こさないだろうなぁ。
テーブルの上を見てみると、この前と同じメモ帳に書かれた手紙と、ラップに
くるまれたあたしの食器が目に入った。
見てみると料理が作ってある。
あたしは手紙を手にとって読んだ。
- 158 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)17時07分18秒
『 後藤さんへ
とても気持ちよさそうに眠っているので
起こさないで帰ることにします。
あとキッチンと冷蔵庫の中に入っていた食材を
少しお借りして朝食を作っておきました。
あまり美味しくないかもしれませんが、
よろしかったら食べて下さい。
それではお仕事頑張って下さいね!
PS
後藤さん寝顔可愛いですね。
コンノ 』
- 159 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)17時08分28秒
最後の一文のあたりにやけに消したあとが目立つ。
きっとコンノはこれを書こうかどうしようかとても迷って、でも書いたって
感じだろう。
散々からかったあたしに対してのささやかなイタズラのようなつもりだろうか。
「まったく……可愛いのはコンノだよ」
あたしは自然と微笑んだ顔を料理のほうに向ける。
それは決して上手とは言えなかったが、それでもコンノが一生懸命作ったと
いうことは伝わってきた。
そっと触れるとそれは冷たい。
あたしはコンノが作ってくれた朝食をレンジで温めて、ありがたくいただく
ことにした。
- 160 名前:6. 投稿日:2003年09月03日(水)17時09分15秒
-
- 161 名前:片霧 カイト 投稿日:2003年09月03日(水)17時18分09秒
- 今回はここまでです。
夏休みが終わってしまったのでちょっとペースが落ちるかもです。
そこまで忙しいわけでもないんですけど……。
>>147 名無しさん 様
レスありがとうございます!
浮気は……どうでしょう……?
というか今回のでもうすでにしてる!? それともギリギリ?
>>148 tsukise 様
いつもありがとうございます!
とりあえずセカンドコンタクトが終わりました。
はい、相変わらずマターリです。
でももうだいたい中盤なんで少しずつ動かしていかないと……。
- 162 名前:tsukise 投稿日:2003年09月04日(木)17時37分31秒
- 更新お疲れ様です♪
ほのぼのした二人のやりとりがいいですね♪
ごっちんが飼いたくなるキモチ…すごく判りますっ(マテ
何故か幸せすぎて…後の展開が怖い…ですが(ぇ
ゆっくりとお待ちしていますので、片霧さんのペースで
これからもがんばってくださいねっ!
- 163 名前:素人マン 投稿日:2003年09月04日(木)22時29分32秒
- 僕的にはこんごまで裏みきごまが良いッス。
それじゃ浮気か…(笑。
- 164 名前:尚也 投稿日:2003年09月04日(木)22時32分38秒
- お疲れ様です。
じっくり読ませてもらってます。
現実っぽい感じが好きです。
更新楽しみに待ってます。
- 165 名前:7. 投稿日:2003/09/10(水) 13:51
- い、忙しい……。
大阪での二日連続公演のあと、あたしたちは東京での仕事と平行して、鹿児島、
静岡、兵庫など西日本でコンサートを無事やり遂げ、これからまたちょっとの間
関東を中心にまわる。
早いものでコンサートが始まってからもう1ヶ月が経ってしまった。
コンサートはあと約1ヶ月ちょっと。レギュラー番組の収録やら、レコーディング
やら、取材やらで連日多忙な毎日をおくっている。
はっきりいって仕事のこと以外考える余裕がない。
- 166 名前:7. 投稿日:2003/09/10(水) 13:52
-
7. 満月 〜Goto〜
- 167 名前:7. 投稿日:2003/09/10(水) 13:54
- 「今日の仕事終了〜……」
「やっと終わった〜……」
楽屋に戻ってきたあたしとミキティはソファにぐたーっと座り込んだ。
そして案の定、まっつーだけ元気。
「飲み物買ってくる〜!」とか言って楽屋を飛び出していったっきり
帰ってこない。
おそらくはどっかで誰かと話し込んだりしているのだろう。
「ごっち〜ん……明日の予定は?」
「しーえむさつえー……」
「あぁ、新曲のタイアップのやつかぁ。ミキも明日CM撮影だよ。
お互い大変だねぇ」
「え〜!? ミキティただアイス食べてセリフ言うだけじゃん!
ごとーなんか一人で6パターンも踊らなきゃいけないんだよ!!」
「あのセリフが覚えられないんだよぉ! 普段あんな言葉使わない
もん! 『MD当たる!』くらいしか覚えられな〜い!」
「それは言葉遣いじゃなくて記憶力の問題だよ!」
- 168 名前:7. 投稿日:2003/09/10(水) 13:55
- しばらく二人して睨み合ってたけど、どちらともなくフッと笑顔になる。
ミキティはあたしの隣に移動してくると、あたしの肩に頭を寄せてきた。
「あ〜あ、ごっちんとデートしたいよぉ」
「無理だよ。忙しすぎるもん」
「わかってるよぉ。じゃあちょこっと変えて……ごっちんとキス
したいよぉ」
「はぁ……」
ミキティの頭を撫でつつ、おでこにキス。
するとミキティは目を開けて、上目遣いであたしを見てくる。
そのままそっとミキティを抱きしめて唇を合わせる。
……つもりだったんだけど……
- 169 名前:7. 投稿日:2003/09/10(水) 13:56
- 「ただいま〜!!!」
バタァンと開けられたドアと、そこから響いてきたまっつーの声で
あたしたちは慌てて離れる。
相も変わらずタイミング最悪だよ……まっつー……。
「あれっ? 二人ともなにしてたの? それになんで顔赤いの?
この部屋そんなに熱いかなぁ?」
「「な、なにもしてないって!!」」
あたしとミキティのどもった否定の言葉がキレイにハモった。
「ただごっちんに明日の仕事のこと聞いてただけだよ!」
「そうそう、それだけ!」
「なぁんだ、そんなことか。確か二人ともCM撮影だっけ?」
なんとかごまかせてホッと胸をなで下ろす。
おそらくはまっつーじゃなきゃごまかしきれなかったと思うけど……。
- 170 名前:7. 投稿日:2003/09/10(水) 13:58
- 「そうだよ。まっつーは?」
「んっ? 松浦はPVの撮影。新曲のね。このあとも雑誌の取材が
あるんだよねぇ。いいなぁ、二人は仕事終わりで」
「いいじゃん、亜弥ちゃんまだまだ元気なんだから……」
まっつーは「そんなことないもぉん!」なんて言うと、次の衣装に
着替えて楽屋を出て行った。
まっつーを見送ったあたしたちは、まっつーが楽屋のドアを閉めると
同時に一気に脱力する。
「よかった〜、亜弥ちゃんで……」
「だね……」
見つめ合ってお互い苦笑い。
もうちょっと気をつけないとなぁ……。
なのにミキティときたら……
- 171 名前:7. 投稿日:2003/09/10(水) 13:59
- 「じゃ、続きしよっか」
なぁんて言ってあたしに迫ってきやがった。
「ストーップ!! だから楽屋はダメだって!!」
「えーっ!? ごっちんは前にミキのこと押し倒したのに、ミキには
キスもさせてくれないのー!?」
「違うってば! またまっつーに見られかけたらどうすんの!?」
「大丈夫だよ、雑誌の取材行ったじゃん!」
あたしがなんとかミキティを止めていると、また楽屋のドアがバァン
と開けられた。
ミキティが慌てて離れる。
ドアからはまっつーが「忘れ物〜」なんて叫んで入ってきた。
幸いまっつーは忘れ物のことで頭がいっぱいらしく、あたしたちに
気づかずしばらく自分の荷物をあさったあと、またドアを荒々しく
開閉して出ていった。
「……わかったでしょ?」
「……わかりました、家までガマンします」
「んっ、よろしい」
- 172 名前:7. 投稿日:2003/09/10(水) 14:01
-
そのあと二人でいっしょにミキティの家に帰った。
もちろん楽屋では何もしないで。
タイミング最悪で神出鬼没なまっつーは何をしでかすかわからないし……。
「どうぞ〜」
ミキティは鍵を開けると、あたしを中に招いた。
「おじゃましま〜す」
なんてべつに今さらそんな仰々しくする必要もないんだけどね。勝手に
合い鍵で入ってるときもあるんだし。
あたしも靴を脱いで中に入ると、目の前にミキティが立ちはだかった。
- 173 名前:7. 投稿日:2003/09/10(水) 14:02
- 「さて、ごっちん。ご飯にする? それともお風呂? それとも……
ミ・キ?」
「ん〜、疲れたからお風呂かなぁ」
「なんだよぉ! ツッコむかのるかしてよぉ!!」
そう言いながらもミキティはお風呂の用意をしてくれて。
そしてあたしは「今日の夕飯は何にしようかなぁ?」と冷蔵庫を
覗き込んだ。
しばらくして、あたしが夕飯の下ごしらえをしていると、
「ごっちん、お風呂の用意終わったよ〜!」
と言うミキティの声が聞こえてきた。
まだ料理の途中だけど、今日も疲れたし、いっぱい汗もかいたから
お風呂に入りたい気分。
とりあえず料理をキリのいいところで中断すると、パジャマをもって
バスルームへと向かった。
- 174 名前:7. 投稿日:2003/09/10(水) 14:03
- そして、脱衣所へのドアを開けると……
「な、なんで……?」
「んふふ、たまにはいっしょに入ろうと思ってねぇ!」
そこにはほぼ全裸のミキティがいた。
あたしは今開けたドアを閉めようとするが、一瞬早くミキティの
腕があたしを捕まえた。
「なんだよぉ、今さら恥ずかしがるような間柄でもないじゃん!」
「違うって!!」
もたないんだよ、耐えきれないんだよ!
そんなあたしの考えを知ってか知らずか、ミキティはあたしをぐいぐい
と引っぱってきて。
結局、今日はミキティといっしょにお風呂に入ることになってしまった……。
- 175 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/09/10(水) 14:14
- 今回はここまでです。
新しくなりましたね。管理人様お疲れ様です。
>>162 tsukise 様
いつもありがとうございます!
飼いたくなる気持ち……私もわかります(マチヤガレ!
あっ、でも今回出てきてない……。
>>163 素人マン 様
レスありがとうございます!
裏……? というと浮気ですか? それとも(ピー!)な展開?
が、頑張ります……。
>>163 尚也 様
レスありがとうございます!
現実ぽいですか。ミキティのキャラが全然違うような気がしてたのですが
そう言ってもらえると安心します。
でもそのうち現実離れしていくと思われ……。
- 176 名前:tsukise 投稿日:2003/09/10(水) 22:32
- 更新お疲れ様ですっ!
ミキティ…積極的ですね〜(笑
オロオロするごっちんが、なんか可愛いです♪
何気に、あやや…いい感じです(笑
続き、お待ちしていますので頑張ってくださいね♪
- 177 名前:尚也 投稿日:2003/09/12(金) 17:31
- 更新お疲れ様です。
ごっちんのミキティとコンノとの関係の展開が楽しみです。
更新、楽しみにしてます。
- 178 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 10:58
- 服を脱いで、バスルームへと入る。
さすがにそこまで広くもないわけで、二人で入るとちょっと狭い。
最初にあたしが体を洗い、終わったらミキティと交代。
ミキティがバスタブから出てきて、あたしがかわりに浸かったんだけど……
「ごっちん、洗ってよ〜!」
「え〜!?」
最初からそれが狙いだったのか……。
あたしは渋々バスタブから出て、ミキティの後ろに座る。
ミキティはボディソープのついたタオルを放ってきやがった。
そのタオルであたしはミキティの背中をこすり始める。
- 179 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:02
- 「……ミキティの背中って大きいよね……」
「へっ!? そうかな? ……ていうかごっちん、いったい誰と
比較してんの?」
「えっ……?」
言われて気づいた。
あたし何言ってるんだ?
そして一体あたしは誰と比較した……?
「……まっつー」
「そりゃ、亜弥ちゃんよりは大きいけどさぁ。ていうか、ごっちん、
この前いっしょにお風呂に入ったとき、そんなに亜弥ちゃんの裸
ジロジロ見てたの!? ミキというものがありながら……」
「……ミキティはまっつーと二人でいっしょにお風呂入ったんでしょ!?」
「うっ……しょ、しょうがないじゃん、あの勢いで誘われた……
ていうか引っぱられたんだから……。まだ根にもってるの……?」
「別に……」
- 180 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:03
-
違う……
まっつーじゃない……。
無意識に思い出したのは……あの娘……
- 181 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:06
- 「終わったよ〜」
「んっ、サンキュ」
しばらくしてミキティの背中が洗い終わった。
「次は前かな〜?」
「うん、優しくしてね!」
「冗談だよ、自分で洗え!」
「え〜!?」
コイツには恥じらいってもんがないのか?
あたしはタオルをミキティに投げつけると、さっさとバスタブに
浸かった。
ミキティはぶつぶつ文句を言いながらも体を洗っている。
なんつーか全然反応が違うなぁ、なんて
バスタブに浸かってあたしはまた思い出していた。
- 182 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:07
- しばらくしてシャワーの音が聞こえてくる。
ミキティが体を洗い終わったようで、ボディソープを洗い流していた。
「さて、ごっちん、入っていい?」
「んあっ? あぁ、いいよ。じゃあごとーそろそろあがるから」
「えっ? いいよ、別に。もうちょっと温まれば?」
「でもそれじゃミキティ入れないんじゃ?」
「入れるよ、こうすれば!」
そう言うとミキティはバスタブに入り、あたしの前に座ってきた。
体重をあたしのほうにかけ、寄りかかってくる。
「ちょ、ミキティ、重いよ〜」
「なんだとー!」
「うそうそ、冗談だよ〜!」
そのままミキティの前に腕をまわして抱き寄せる。
体が密着しているところは、お風呂のお湯とはまた違ったぬくもりで
心地良い。
- 183 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:10
- 「ごっちん、温かいよ」
「ん、何が? お湯が?」
「んもぅ、わかって言ってんでしょ? ごっちんがだよ……」
「ミキティも温かいよ……」
そのままミキティの顔だけこっちに向けてキス。そして抱きしめる
力を少し強くする。
その間もミキティは舌を絡めてきて、あたしもそれに応える。
- 184 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:12
- 「……あのさ、ミキティ……」
ちょっと口を離して囁く。
こんなこと言うのはすっごく恥ずかしいんだけど……でも、ちょっと……
限界……。
はぁ、えっちぃなぁ、あたし……
「んっ?」
「……ちょっとガマンできそうにないんだけど……」
「……ミキも。ベッド行こうか……」
「いいよ、ここで」
「えっ!? ちょ、ごっちん!? ま、待って!」
ミキティはあたしが言った意味がわかったらしく、あたしの手を
ふりほどこうとジタバタ暴れはじめた。
でも無駄ムダ、体勢上あたしのほうが断然有利なわけだし。
あはっ! それでは……いただきま〜す!!
- 185 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:15
-
結局そのあとバスルームで一回、そのあとベッドでも一回した。
そして今、ミキティはあたしの隣でぐっすり(ぐったり?)眠ってる。
でも対照的になぜかあたしは寝付けなかった。
疲れてないわけない。別に暑いわけでも、寒いわけでもない。まだ
体の火照りが冷めないわけでもない。
それでも意識ははっきりと覚醒したままだった。
ベッドから出て服を着る。
そしてベランダに出て空を見上げた。
相変わらずの紺色の夜空。そこに満月だけが輝いている。
「……コンノ……」
何故かはわからないけど会いたくなった。
確か初めて逢ったときもこんな満月だったはず。
- 186 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:17
- ちょっと時計を見てみる。日付が変わってから30分が経過していた。
こんな時間、アイドルが……いや、普通の女の子も一人で出歩いて
いい時間じゃない。
普通に考えて会えるわけがない。約束もしてないんだから。
でもあたしが行動を起こしたのは、
やっぱり予感がしていたからだろうか……。
ミキティに書き置きを残すとあたしはマンションを出た。
ミキティはもう夢の中。
なんとなく罪悪感はあったけど、ちょっと今日は泊まれる気分じゃない。
なぜだかあの娘を思いだしてしまうから。
どうしても会いたかった……彼女に。
- 187 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:19
-
満月を見ながら道を歩く。
もうすぐで交差点。彼女と出逢ったあの交差点。
少しばかりの期待を胸に、交差点を左へ曲がる。
するといつかの夜と同じように、身体に衝撃が走った。
「いたた……」
今度はなんとか倒れずにすんだけど、目の前には見たことある姿が
倒れていた。
なんかデジャヴ、ってもしかして……
「す、すいませーん!!」
「……コンノ?」
「えっ? 後藤さん?」
うそっ、ホントに会えたよ。
偶然にしてはできすぎてる。それでもただ嬉しかった。
自然に笑顔になっていく。それはコンノも一緒みたいで、あたしに
笑顔をむけてくれた。
- 188 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:21
- 「ところでコンノ、何してるの?」
「えっ? あっ、そうだ!!」
「もしかしてまた追われてるの?」
「そ、そうなんです!! 失礼します!!」
走り出そうとしたコンノをあたしは捕まえた。
だってせっかく会えたのに、これでお別れなんてもったいない。
「また、あたしが撒いてあげるからさ。ここにいてよ」
「でも……」
「いいから、さ!」
コンノの肩をぽんと叩くと、あたしは交差点を曲がる。
またあのスーツにグラサン男か? と思ったけど、そこにいたのは……
- 189 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:22
- 「ちょぉっとゴメンあそばせ。ここに今女の子が一人走ってきません
でしたこと?」
「え、えーと……」
そこには赤いずきんをかぶった小さな少女がいた。
ていうかそのかっこは……何者?
「あ、あっちに行ったけど……」
いろいろツッコみたいところはあったけど、とりあえずは深く関わら
ないように、あたしはまた真後ろの道を示した。
「あら、ありがとう。というわけで、逃がすかー!!!」
その少女は豹変して叫ぶと、そのまま走っていってしまった。
ていうかホントに……何者……?
- 190 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:23
- 「コンノ……何、アイツは?」
「さ、さぁ……私にもよくわかりません……」
もどってコンノに聞いてみてもこの通り。
まぁ、あれを理解できたらそれはそれですごい。
とりあえずは見なかったことにしておこう。
「まぁ、いいや。それより、コンノ、またごとーの家よってく?」
「いいんですか?」
「全然オッケー!」
「じゃあ、おじゃまさせていただきます!」
そのままあたしはコンノと一緒に家に向かった。
あたしが笑顔をむけると、コンノも笑顔を返してくれる。
そっとコンノの手を握ると、コンノも握りかえしてくれる。
このころからあたしの中のコンノがどんどん大きくなっていた。
- 191 名前:7. 投稿日:2003/09/15(月) 11:24
-
- 192 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/09/15(月) 11:31
- 今日はここまでです。
夜の物語を朝書いてるヤツ……あはっ!
>>176 tsukise 様
ありがとうございます!
今回はごっちんが積極的(?)でした! ミキティ受けっぱなし……。
あややはムードブレイカー全開です(w
>>177 尚也 様
ありがとうございます!
関係……少し展開しました。
これからどうなることやら……自分で心配……。
- 193 名前:tsukise 投稿日:2003/09/16(火) 01:55
- 更新お疲れ様ですっ!
だんだんとごっちんのキモチに変化が出てきて、今後が気になりまくりですっ!
積極的なごっちん…ツボですよぉ…っ(ぉ
そして紺野に関する謎…これからが楽しみです…っ。
応援していますので、頑張ってくださいね!!
- 194 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:19
- 最近ごっちんが変わった気がする。
そんなことを思ったのは、アタシたちのコンサートも残り1ヶ月をきった
とある日の楽屋。
亜弥ちゃんといっしょに楽しそうにおしゃべりをしているごっちん。
その笑顔はすごく自然で、爽やか。
とってもいいことなんだけど、変わったことがもう一つ。
最近ごっちんはアタシの家にあまり泊まらなくなった。
危ないってわかっているのに終わったあとごっちんは家に帰る。
確かに家は近いけど……以前はそんなことなかった。
- 195 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:21
-
8. You & I 〜Fujimoto〜
- 196 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:24
- 「すいません、お願いします!」
「「「は〜い!」」」
ADさんが呼びに来て、収録が始まったことをつげる。
三人で楽屋を出るとスタジオへと向かった。
「……ごっちん、今日ウチ来る?」
スタタタっと前を走っている亜弥ちゃんの後ろで、あたしは隣のごっちんに
こっそり囁いた。
「うん、行っていい?」
「いいよ。……泊まってく?」
「ん〜、ごとーは明日朝早いから帰るよ。ミキティはオフでしょ? 起こしたら
悪いから」
「……そっか」
- 197 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:26
- ―― 以前はそんなこと関係無しに泊まってってくれたじゃん ――
喉まで出かかったそんな言葉を飲み込む。
「んもー! 遅いよー、みきたん! ごっちん!」
「ごめーん、まっつー。すぐ行くから!」
スタジオについた亜弥ちゃんが、入り口であたしたちを急かす。
ごっちんは小走りで亜弥ちゃんのもとへと走っていったが、なんだかアタシは
足が重くて走れなかった。
いつからだろう……こんなふうにごっちんとのあいだに距離を感じるように
なったのは……。
アタシはゆっくり遠ざかるごっちんの背中を見て思った。
たぶんあの夜……
いっしょにお風呂に入ったあの夜……
満月が綺麗だったあの夜……
夜中、ごっちんが出ていったあの夜……
- 198 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:27
-
「ふい〜、終わったー……」
「疲れた〜……」
収録が終わって三人で楽屋に帰ってくる。
さすがにコンサートもそろそろ終盤で、あたしたちの疲れも蓄積されてくる。
「あー、今日も楽しかったー!」
ま……亜弥ちゃんを除いては……なんだけど……
- 199 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:29
- 「ごっちーん、このあとは?」
「ん〜、このあとはレコーディング。ずいぶん遅れちゃったけどもう少しで
終わりそう。まっつーは?」
「テレビの収録。『ね〜え?』のプロモーションでねぇ。みきたんは?」
「ん〜、ミキは今日これで終わり」
「そっかぁ。いいなぁ、みきたんは。新曲出なくて」
カチン!
ちょぉっと、ちょっと、どーゆー意味ですかまつーらさん!?
「亜弥ちゃん、それは羨ましがってるの? ケンカ売ってるの? どっちなの?」
「アハハ、半分半分かな?」
「このー!」
狭い楽屋の中で亜弥ちゃんを追いかける。
亜弥ちゃんも「キャー!」なんていいながら、そこら中を逃げ回る。
「アハハハハ!」
ごっちんはアタシたちの様子を傍観して笑っていた。
亜弥ちゃんを追いかけつつ、ごっちんのほうを盗み見る。
ごっちんは心底楽しそうな笑顔だった。
- 200 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:30
-
「それじゃ、お疲れ〜!」
「また明後日〜、みきたん!」
「お疲れ〜!!」
一騒ぎしたあと、これから仕事に向かう二人を送り出す。
楽屋を出ていくごっちんが少しアタシの方を向き、目があった。
「後で行くから」と言いたそうなごっちんの瞳。
あたしもアイコンタクトで「待ってるよ」と伝える。
ちゃんと伝わったらしく、ごっちんは少し微笑むと、亜弥ちゃんに急かされて
アタシの視界から消えていった。
- 201 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:31
- 「はぁ…」
二人が出ていくと、アタシはソファにもたれて溜め息を一つつく。
最近のごっちんの笑顔を見ていると嬉しくなる反面、心が苦しくなる。
見たいと思っていた笑顔に近づいているごっちんの笑顔。
でも近づけているのはアタシじゃない。アタシはなにもできていないのだから。
別の『何か』がごっちんの笑顔を変えていっている。
嬉しいの? 悲しいの? どっちなの?
亜弥ちゃんの新曲チックに自分の心に問いかけてみるが、アタシの心は
返事を返さない。
自分自身のことなのに……ね……。
「はぁ……」
もう一つ溜め息をつく。
とりあえず、今は帰ってごっちんを待つことにしよう……。
アタシは立ち上がって私服に着替えはじめた。
- 202 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:33
-
ところかわってアタシの家。
ボーっとテレビを見ていると、ガチャッという鍵が開く音が聞こえた。
テレビを消して玄関まで行くと、そこには靴を脱いでいるごっちんの姿。
「おかえり、ごっちん」
あえてそんな言葉を使ってみた。
ごっちんはアタシのところに帰ってくるのが当然なんだよ、というニュアンス
をこめて。
「ん、ただいま、ミキティ」
ごっちんは何気なく返してくれる。アタシの黒い心も気づかずに……。
- 203 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:34
- 「ミキティ、夕飯食べた? ごとーなんか作ろうか?」
にこやかに笑いかけてくるごっちん。たまらなくなってアタシはごっちんを
抱きしめた。
そのまま強引にごっちんに口付ける。
「んっ、ミキティ、どうしたの?」
「……ごっちんにはミキを食べてほしいな……」
ただ抱いてほしい。そして全てを忘れさせてほしい。
たとえそれが一時のことでも。
「んもぅ、えっちぃなぁ、ミキティは」
今度はごっちんからキスしてくれる。
そしてアタシはごっちんに抱きかかえられた。
- 204 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:36
- そのままベッドに連れてってくれると思ったけど、アタシが降ろされたのは
さっきまで座っていたソファの上だった。
「じゃあ、ちょっとシャワー浴びてくるから待っててね」
笑顔でアタシにそういうと、ごっちんはバスルームへ向かう。
その笑顔がアタシの心を締め付ける。
立ち上がってごっちんに駆けよると、そのまま背中に抱きついた。
「ごっちん……」
「……ミキティ……なんかあった?」
ごっちんはアタシの方を向かずにそのまま優しく問いかけてくれる。
「なんか……あった……」
あなたの笑顔が変わってしまった。
あぁ、やっぱりアタシは悲しいんだ。
自分で変えられなかったことが。アタシじゃない何かが変えてしまったことが。
- 205 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:38
- ごっちんはアタシの方を向くと、アタシをきつく抱きしめてくれた。
「ごとーシャワー浴びてないよ。汗もいっぱいかいちゃったよ。それでもいい?」
「いい。抱いてよ……」
「わかった」
またごっちんに抱き上げられる。
今度はリビングを通り抜けて、寝室のベッドの上に降ろされた。
「ごっちん……ずっと一緒にいてね……」
アタシの上に覆い被さっているごっちんに問いかける。
「ん、いるよ……」
わかっていた。この言葉がいつか嘘になることを。
- 206 名前:8. 投稿日:2003/09/19(金) 16:38
-
アタシが一番見たかった顔は
一番見たくなかった顔だったのかもしれない。
- 207 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/09/19(金) 16:50
- 今回はここまでです。
初めてかちゅで更新しました。
行のあけ方がちょっと違って難しいですが、慣れれば楽ですね。
そして……く、暗っ!
なんか一転してシリアスに……。
>>193 tsukise 様
いつもありがとうございます!
だんだんと佳境になってきました。
でも謎明かしはもちっとあとに。
謎は……もっと深い……(真○之助?)
- 208 名前:葵 投稿日:2003/09/19(金) 20:02
- 切ないミキティ、なんかいいッス。この雰囲気、大好きです。
- 209 名前:tsukise 投稿日:2003/09/22(月) 07:49
- 更新お疲れ様ですっ。
い、痛い…、ミキティの気持ちも判っちゃうんで
辛いところですね…。本当に佳境みたいですね…っ。
謎はもっと深いですかっ!うぅ…気になりまくりです!
これからも頑張ってくださいね!
- 210 名前:8. 投稿日:2003/09/23(火) 16:04
- 「それじゃあ帰るね。また明後日だね」
「うん、バイバイ」
行為が終わり、アタシは帰るごっちんをできる限りの笑顔で見送る。
バタンと扉を閉める音。ガチャッと鍵をかける音が静かな部屋の中に響く。
「はぁ……」
今日何度目かもわからない溜め息。
そういえばおなかも減ってきた。いや、正確には減っていたことにやっと
気づいた。
ごっちんになんか作ってもらえばよかったなぁ、なんて今さら思う。
そんなことも忘れて一心不乱にごっちんを求めてたっていうのに……。
- 211 名前:8. 投稿日:2003/09/23(火) 16:05
- 何か食べようか迷ったが、結局このまま寝ることにした。夜に食べると太る
っていうしね。
ベッドに潜り込んで、電気を消そうとしたが……
♪〜♪〜♪〜♪〜
突然鳴り響いた携帯の着信音に反応してガバッと起きる。
あれっ? でもアタシこの着メロ使ってたっけ?
急いで自分の携帯を確認してみるが、それはさっき確認したときと何ら
かわりはない。
ついでに着信音は他のところから聞こえてくる。
- 212 名前:8. 投稿日:2003/09/23(火) 16:07
- ……玄関のほう?
音をたどって玄関まで歩いていくと、途中であたしのとは別の携帯が
着信音を響かせていた。
見覚えのあるこの携帯。これって……
「……ごっちんのじゃん……」
拾い上げた瞬間に音は止んだ。どうやら伝言メモ機能に切り替わったようだ。
悪いと思いつつも携帯を開いて確認してみると、着信はごっちんの
マネージャーからだった。
「……まだ間に合うよね?」
ごっちんが出て行ってから少ししか経ってないし、マンションもそんなに
遠くない。
アタシは「またごっちんに会える!」という少しの喜びとともに、携帯を握って
外へと出て行った。
- 213 名前:8. 投稿日:2003/09/23(火) 16:09
-
外に出るとさすがに外は真っ暗で。
空を見上げると、暗い夜空に鋭く尖った黄金色の三日月が浮かんでいた。
星は見えない。
地元の北海道では満天の星が見えたっていうのに……同じ日本でもここまで
違うものなんだなぁ……。
アタシはあんまりこの紺色の夜空が好きじゃなかった。
星が見えないというのもあるし、真っ黒じゃないというのもある。
やっぱり夜は漆黒の闇夜がいい。何もかも隠すような黒がいい。
アタシの嫉妬心も、欲望も……またこの心の苦しさも……
全て覆い隠してくれる黒ならいいのに……。
- 214 名前:8. 投稿日:2003/09/23(火) 16:10
- 歩き慣れた道を少し小走りで歩く。
こんな時間に出歩くことが危ないってのもあるし、早くごっちんに会いたい
ってのもある。
ごっちんの家にもけっこう行ったことがある。
ただ、ごっちんがアタシの家に来るほうが多いけど。
ごっちん曰く、アタシが行くことになると部屋の掃除が大変なのだそうだ。
普段からキレイにしとけって!
今日は予告なしでごっちんのマンションを訪れるから、片付けのために
部屋の外で待たされることになるんだろうなぁ。
- 215 名前:8. 投稿日:2003/09/23(火) 16:10
- 交差点を左に曲がる。
そこでアタシの足は止まった。
ついでに浮かれモードもそこで終了。
ごっちんのマンションの前にごっちんがいる。別にそれだけならなんてことない。
ただ、そこにはもう一人……見たことのない、黒髪のかわいらしい少女が
一緒にいた。
- 216 名前:8. 投稿日:2003/09/23(火) 16:11
- 「今日もよってく?」
「いいんですか?」
「いいよ、全然」
「ではおじゃまさせてもらいます」
そんなやりとりが風に乗って微かに聞こえてくる。
そのままごっちんはその少女の手を握ってマンションの中に入っていった。
少女に向けられたごっちんの笑顔は優しくて、キレイで、とても輝いていた。
あんな笑顔……見たことないよ……。
- 217 名前:8. 投稿日:2003/09/23(火) 16:12
- ごっちんの部屋の電気がついたのを見ると、あたしは踵を返して自分の
マンションへと向かった。
携帯を届けなければいけないのにどうしてもあそこから先へ進めなかった。
あの少女と一緒にいるごっちんを見たくなかった。
……終わりなんだね……
うすうす気づいていたこと。気づかないようにしていたこと。それを嫌がおうにも
気づかされた夜。
- 218 名前:8. 投稿日:2003/09/23(火) 16:13
-
もう一度見上げた三日月は滲んで見えた。
- 219 名前:8. 投稿日:2003/09/23(火) 16:13
-
- 220 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/09/23(火) 16:24
- 今回はここまでです。そしてごっちん誕生日おめでと〜!!
めでたいってのに話はさらに……暗っ! そして少なっ!
しかもごっちんほとんど出てきてないし……。(奈落
>>208 葵 様
レスありがとうございます!
雰囲気が大好きだなんて、なんて嬉しいお言葉!
携帯を意識しているわけではないんですが、特に自分のスタイルを変えるつもりも
ありませんのでたぶんこれからも見やすいかと……。
>>209 tsukise 様
いつもありがとうございます!
痛いですねぇ……書いてる私も微妙に痛いです……。
佳境と言っても物語はまだ中盤くらいなんで……。
てことはまだ続く……私がもつかなぁ?
- 221 名前:葵 投稿日:2003/09/23(火) 19:44
- おめで…たくねー(笑。気になさらないでください、
そのままで見やすいですから。あぁ、どうするミキティ!
- 222 名前:tsukise 投稿日:2003/09/25(木) 21:11
- 更新お疲れ様ですっ!&ごっちん、おめでとう!
そして…またまた痛いデス…というか、ミキティ切ないですね(涙
まだまだ物語は中盤ということで、これからの展開から目が離せませんね!
どこまでもお供しますので、頑張ってください!!
- 223 名前:尚也 投稿日:2003/09/27(土) 08:45
- 更新お疲れ様です。
少し来ない間に話しの展開すごい事になってますね。
これから、ますます目が離せませんね。
更新楽しみにしてます。
- 224 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:01
- 『トゥルルルル……トゥルルルル……』
耳にあてた携帯電話からは、まだ発信音しか聞こえない。
そのまま少し待ってみる。
『はい、もしもし……』
少ししたあと、発信音はごっちんの声に変わった。
「もしもし、ごっちん?」
『あっ、ミキティ? どうしたの? 家の電話にかけてくるなんて珍しいね。
なんか用?』
「だってごっちんミキの家に携帯忘れてったでしょ?」
アタシはなんとか平静を装って会話を続ける。
- 225 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:02
- 『えっ!?……あっ、ほんとだ! 無いっ!!』
「アハハ! ごっちんのマネージャーさんからかかってきてさ、明日集合
時間が1時間遅れるって」
『そっか、わかった。ありがとね』
「いいえ〜。携帯電源切って預かっとくからさ、明日仕事が終わったあとに
でも取りに来てよ。ミキは家にいるから」
明日会う口実。ごっちんにアタシの家に来てもらう口実。それにはピッタリ
のアイテム。
アタシはごっちんが携帯を忘れてったことに感謝するべきなのだろうか?
それとも恨むべきなのだろうか?
- 226 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:03
- 『えぇ〜! 今から届けてよ〜、ミキティ! 携帯ないと不安だよ〜』
「そんなこと言って今まで気づかなかったじゃん! それにミキはもう
寝るの〜。誰かさんがミキのこといっぱい疲れさせたからねぇ!」
『なんだよぉ! 誘ってきたのはミキティじゃん!』
「じゃあごっちん今から取りに来てよ」
そんなこと言ってみてもわかってる。
ごっちんが取りに来ないことなんて……。
『ヤダ〜! ごとーだって眠いもん!』
ほらね、やっぱり……
- 227 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:05
- 「じゃあやっぱり明日だね。ちゃんと保管しとくからさ」
『わかった。くれぐれもメールとか見ないでね』
「見ないよ〜! じゃあまた明日ね。オヤスミ〜!」
『オヤスミ!』
携帯電話を机の上に放り投げると同時にベッドに倒れ込む。
そのあとは何も考えられなかった。
ごっちんの携帯の電源をOFFにすると、布団に潜り込んで電気を消した。
そして睡魔が意識を連れてってくれるまで、ギュッと目を閉じていた。
- 228 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:06
-
9. 涙と笑顔 〜Fujimoto〜
- 229 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:08
- 翌日。
アタシは特に何をするでもなく、ごっちんを待っていた。
したことと言えば、セリフを考えたことくらいか……。
外を見てみる。もう辺りは暗くなっているが、昼過ぎから降り始めた雨は
まだ止む気配がない。
また玄関のほうを眺めてごっちんを待つ。
ごっちんに早く来て欲しがっている自分と、来ないでと願っている自分がいる。
まるで断頭台に向かう死刑囚のような気分。なら扉の向こうから現れる
ごっちんは処刑執行人になるのだろうか……。
- 230 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:08
- ガチャッ!
やがて鍵の開く音がして、そのあとドアが開けられた。
アタシはごっちんを出迎えに、玄関まで歩いていく。
運命の時間は意外とあっさり訪れるものだ。
- 231 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:09
- 「んあー、もう、すごい雨! ミキティ、タオル〜!」
「ん、ちょっと待ってて」
アタシはいったんバスルームまでもどると、バスタオルを一枚出してきて
ごっちんに渡した。
ごっちんは濡れた髪やら服を拭いている。
「……上がりなよ……」
「うん、おじゃまします」
アタシの先導で、アタシとごっちんはリビングに入っていく。
そして二人並んでソファに腰を下ろした。
- 232 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:10
- 「で、ごとーの携帯は?」
「あっ、そうだね。ハイッ!」
机の上に置いてあった携帯を取ってごっちんに渡す。
「ありがと。……メールとか見てないよね!?」
「見てないって!」
見ようと思えば見れたけど、怖くて見れなかった。
見たくないものまで見てしまうような気がしたから……。
- 233 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:11
- 「ごっちん……」
「んっ?」
「えっと……そのー……」
「何よ? どーしたの?」
……ダメだ……言えない……。
あれだけ一生懸命考えて、シミュレーションしたっていうのに……。
「……おなか空いた」
「・・・・・・」
「なんか作って!」
「……はぁ……神妙な顔して何言い出すかと思えば……」
ごっちんは呆れた顔をしたけど、スッと立ち上がるとキッチンに向かっていった。
アタシはごっちんの背中を見送る。
少しするとキッチンから野菜を切る軽快なリズムが聞こえてきた。
こんな姿を見るのは……今夜が最後になるだろう……。
- 234 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:13
-
ごっちんが作ってくれた夕食を食べたあとは、二人またソファに座りテレビ
を見る。
ごっちんはあたしの肩に頭をのせて。アタシはごっちんの頭に頭を寄せて。
でもテレビの内容なんて全然頭に入らなかった。
見ていた番組が終わると同時にテレビを消す。
不思議そうにアタシを見つめるごっちんを、アタシも目をそらさずじっと
見つめる。
「ねぇ、ごっちん……」
「……んっ?」
「あのさ……もう…んっ!」
意を決して言おうとしたアタシの言葉はごっちんの唇で止められた。
何回も何回も口付けられ、残りの言葉を全て吸い取られる。
まるで残り一生分のキスを今してしまうかのように。
もしかして……ごっちん……
- 235 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:15
- 「んっ、ごっちん……」
「ミキティ……」
始めのうちはなんとか抵抗してたけど、ごっちんのキスはアタシの思考回路を
狂わせる。
気づけばいつの間にかアタシも積極的に唇を合わせていた。
それでもアタシの口からはもう吐息が零れている。
結局アタシは主導権を握られちゃうんだなぁ……。
そう考えてる間にも優しく口付けてくれるごっちん。
かと思ったらいきなりそのままソファに押し倒された。
今度はアタシに覆い被さってきて、舌を絡める乱暴なキス。
ここまで来ちゃったらお互いもう止められない。
最後の……行為……。
そういえば初めてごっちんとしたときもこのソファだった気がする。
アタシも観念してアタシ自身の全てをごっちんにあずけた。
- 236 名前:9. 投稿日:2003/09/28(日) 13:16
-
別にいいよ……
優しくココロに刻んでくれても……乱暴にカラダに刻んでくれても……
ただアタシにあなたを残してほしい。
たとえそれが一生消えない傷になろうとも……。
- 237 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/09/28(日) 13:29
- 今回はここまでです。
そして……暗っ! 更に暗っ! まだ暗っ!
しかも次回は少しえっちぃかも……(マテ
まぁストーリーを壊さんように……書けるかな……?
>>221 葵 様
レスありがとうございます!
はい、めでたくねーっす。
まさかごっちんの誕生日にあの場面を書くハメになるとは……。
ペースもうちょっと考えればよかった……。
>>222 tsukise 様
ありがとうございます!
そして、まだまだ暗くて痛いです……。
でももうちょっとで脱出できると思われ……。
>>223 尚也 様
レスありがとうございます!
凄いことっていうか痛い展開になってしまいまして……。
書いてる自分もけっこう痛いですが頑張ります!
- 238 名前:tsukise 投稿日:2003/09/28(日) 21:20
- 更新お疲れ様ですっ
ぐふっ…、ミキティ…切ないですね…。
もうちょっとで脱出する…かも?なのですねっ。
いやいや、どこまでもお供いたしますっ。
- 239 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:44
- 「あぅ……ごっちん……」
部屋の電気を消すと、ごっちんはまたアタシに覆い被さってきて、またキス。
しばらくそのままキスしたあと、ごっちんの唇はアタシの耳を責めながら
徐々に首筋へ、ごっちんの手は鎖骨を撫でてアタシの胸へと移動していく。
そのまま胸を撫でられる。少しすると、ごっちんの手はアタシの服の中に
入りこんできた。
「うぁ……」
アタシの口からは自然と声が漏れた。
やっぱりごっちんは上手い……。
ごっちんはアタシのシャツを捲り上げて、さらに胸を撫でてくる。
- 240 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:46
- 「んっ…んんっ……あっ…」
「ミキティ、もうたってるよ……」
「――ッ! い、言わないでよ……恥ずかしい……」
「あはっ、かぁいぃ」
首筋を責めてたごっちんの唇も胸に移動してくる。
アタシの胸に、手とは違った刺激が加わる。
喘ぎ声がまた少し大きくなった。
ごっちんはアタシを抱き起こすと、もうほとんど脱げ掛けているシャツと
ブラをはぎ取る。
火照ったカラダが少しだけ冷やされた。
アタシはもう力が入らなくて、ごっちんのなすがままになっていた。
そのまま、またソファの上に倒されると、ごっちんの手は下にも移動して
きて、今度はアタシのスカートを脱がしにかかる。
- 241 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:47
- 「……ミキティ、もう濡れてる?」
「言わないでって! もぅ……」
そしてそのまま下着も脱がされる。アタシの一番恥ずかしい場所が露わに
なった。
「ごっちん……」
「んっ?」
「恥ずかしいよ……ミキだけ……」
「わかってるよ。恥ずかしがり屋だなぁ、ミキティは」
一回だけキスをされると、ごっちんは自分の服を脱ぎ出す。
あたしはその様子をじっと見ていた。
暗闇の中でもスタイルがいいとわかってしまうごっちんの姿。
でも……こんな姿を見れるのも……今夜で最後……。
最後……。
- 242 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:49
- アタシと同じく裸になったごっちんに抱きしめられる。
ほのかな温もりが身体に伝わった。
そのまま胸を触られると、アタシの口はまた淫らな吐息を漏らす。
「ミキティ、気持ちいい?」
「んっ……あっ……」
「ねぇ、気持ちいい?」
「気持ち…あっ、いい……」
「あはっ、よく言えました〜! じゃあご褒美あげるよ」
胸を弄んでいたごっちんの手が、下へと移動する。
やがてごっちんの手は、湿っているアタシのそこにたどり着いた。
ゆっくり、優しく撫で上げられる。
「あっ!」
「これだけ濡れてたら大丈夫だね。……入れるよ……」
- 243 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:50
- アタシの中にごっちんの指が侵入してくる。
それと同時にアタシの身体を快感の渦が突き抜けた。
一気に昂ぶる感情、そして身体。
ごっちんが指を抜き差しするたびに聞こえてくる淫らな音。
それと同時にアタシの口から零れる、熱のこもった荒い吐息。
それは外の雨の音にも消されることなく、暗い室内に響き渡った。
- 244 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:51
-
「あっ、だめっ、ごっちん!」
「ミキティ、イキそう?」
耳元で囁かれたのにアタシには聞こえてなかった。
ごっちんの言葉にも反応できないほど、快感が五感を支配している。
もうすでに頭の中は麻痺していた。
「ミキティ、力抜いて……」
ごっちんは指の動きをさらに激しくしてくる。
「だめっ! もう…あっ!」
視界がだんだん白くなってくる。
どこかに墜ちてしまいそうな感覚で、アタシは必死にごっちんにしがみついた。
「あっ、もう、あぁぁ――――――……っ!」
体中に電流が走り、一瞬目の前が真っ白になった。
そして視界がもどったときに見たのは、ごっちんの優しくも悲しいあの笑顔。
それと同時に意識がはっきりとしてくる。
- 245 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:52
- ごっちんはそっと顔を近づけてきた。
いつものこと。
でも唇が重なる寸前で、アタシはごっちんを止めた。
「ミキティ?」
不思議そうな顔でアタシの顔を覗き込むごっちん。
アタシは呼吸を整える。
- 246 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:53
- 言わないと……。
でも……言いたくない……。
でも……言わないと……。
でも……
―― いいよ、言わなくて……このままでも……
―― 言わなきゃダメだよ……もう……
二つの声が聞こえる。
どっちが天使の言葉でどっちが悪魔の囁きだなんてわかんない。
でも結局アタシは口を開いた。
- 247 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:54
-
「もう……終わりにしよう……」
いろいろと言葉を考えたのに……
頭の中でシミュレーションしたのに……
結局その「一言」しか言えなかった。
- 248 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:54
-
- 249 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:56
-
「えっ……ミキティ?」
ごっちんの顔が一瞬ゆがんだ。
「なんで?……ごとーのこと嫌いになっちゃった……?」
そんなことない。アタシは首を横に振る。
「ごっちんのことはずっと大好きだよ。でも……ミキはごっちんの隣にいる
べきじゃない……」
「えっ?」
「昨日さ、ミキ、ごっちんに携帯届けるためにマンションの前まで行った
んだよね」
「あっ……」
「あの女の子に見せたごっちんの笑顔、すごくキレイだったよ……」
「・・・・・・」
「その瞬間に思ったんだ。ごっちんの隣にいるべきなのはあの娘なんだ、
ってね……」
- 250 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:57
- アタシの胸元になにか水滴が落ちた。
見上げてみると、ごっちんは大粒の涙を流して泣いていた。
「ゴメン、ミキティ。……ゴメンね……」
「泣かないでよ……よけい辛くなるじゃん……」
ごっちんを抱きしめる。裸の身体がまた触れ合う。
でもごっちんは泣きやまない。
最後の顔が泣き顔なんて……そんなの悲しいよ……。
- 251 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:58
- アタシはごっちんを抱きしめたまま起きあがると、ごっちんを離す。
まだ泣いているごっちんの頬を包み込むと、優しく微笑みかけた。
「ねぇ、ごっちん、笑ってよ。ミキはずーっとごっちんの笑顔が見たかった
んだからさぁ。最後くらい見せてよ」
「ミキティ……」
「……ほら、笑え!」
そのままほっぺたをつまむと、両手でいじる。
「や、やめてよ!」
その手はごっちんの手で払われた。
ごっちんはそのまま涙を拭っている。
拭い終わると、ごっちんは顔を上げた。そして……
- 252 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 18:59
-
「ありがとう、ミキティ……」
涙の跡は残ってたけど、
まだ目にも涙が溜まっていたけど、
その笑顔は今まで見てきた中で、一番綺麗な笑顔だった。
- 253 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 19:00
- 「やっぱりごっちんは笑ってるほうが綺麗だよ」
「そうかな……」
「そうだよ。……よし! じゃあもう服着て帰んな! 待ってるんでしょ、
あの娘が?」
「……うん……たぶんね」
ごっちんはソファから降りると、さっき脱いだ服を着なおした。
ついでにアタシも服を着る。アタシだけ裸ってのも恥ずかしいし。
服を着たごっちんは無言のまま玄関まで歩いていく。
アタシはその背中を見送った。
「じゃあね、ミキティ」
「うん、じゃあね……」
あのままの笑顔でこっちを向いて言ってくれたごっちん。
そのごっちんが外の闇の中に消えていった。
- 254 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 19:01
- バタンというドアが閉まる音。ガチャッという鍵をかける音。
いつもと同じように部屋の中に響く。
でも今日はもう一つ。
少ししたあとに、カシャンという金属音が響いた。
つきあいだしてから少しして、アタシがごっちんにあげたマンションの
合い鍵。
その合い鍵がポストの中に落とされた音……。
その音を聞いたとたん、我慢していた涙が一斉に溢れ出した。
- 255 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 19:01
- 「……サヨナラ……ごっちん……」
アタシはその夜思いっ切り泣いた。
アタシの気持ちを反映するかのように、外の雨は止むことなく降り続いていた。
- 256 名前:9. 投稿日:2003/10/03(金) 19:02
-
- 257 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/10/03(金) 19:07
- 今回はここまでです……。
ぐはっ、どん底……。今までで一番暗いかも……。
暗いシーンは書いてる方も精神的にけっこう辛い……。
>>238 tsukise 様
レスありがとうございます。
全然脱出できませんでした(死 さらに暗く……。
でもこれ以上は暗くならない……はず……。
- 258 名前:葵 投稿日:2003/10/03(金) 23:52
- 携帯の前でマジ泣きしました。。切ない…。
>>254-255場面が超泣けたです。
ミキティ〜(T_T)
- 259 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/04(土) 21:31
- あう…痛い。
でもみきてぃー良いやつだな…
- 260 名前:tsukise 投稿日:2003/10/04(土) 22:11
- 更新お疲れ様です…
ミキティ…切ない決断ですね…うぅ(涙
ごっちんには、その気持ちを無駄にしないでほしいですね…っ。
続き、期待してまっていますので、頑張ってくださいねっ
- 261 名前:尚也 投稿日:2003/10/06(月) 19:25
- 更新お疲れ様です。
こんな展開になるとは、、、、、悲しく切ない、、
ミキティも良い奴ですね。
この続きの展開は何が待ってるのか、、、、
期待しております。
- 262 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/07(火) 18:44
- >>261
メール欄にsage
感想はsageで
- 263 名前:Interlude. 投稿日:2003/10/08(水) 16:06
-
Interlude. Way Out 〜Konno〜
- 264 名前:Interlude. 投稿日:2003/10/08(水) 16:07
- 目覚めるとそこは薄暗い部屋の中だった。
ベッドの上に起きあがってボーっと時計を眺める。
時計の針は7時過ぎを指していた。
しかし、なんだか今日は外がうるさい。
外に出てみると、空から大粒の雨が降っていた。
天が零した涙のような雨は、世界を包み込み洗い流していく。
こんなときでも私の気持ちはあの人のもとへと向かっている。
やっぱり会いたい。
頭ではダメだとわかっていても、心と体はいうことを聞いてくれない。
結局私は雨の中、今日もあの人のもとへと向かいだした。
- 265 名前:Interlude. 投稿日:2003/10/08(水) 16:07
- わかっています……私はあなたのそばにいてはいけないということは……
私とあなたでは住んでる世界が違うから……
でもどうしてもあなたと会いたい、お話ししたい、そばにいたい……。
こんな気持ちは初めてです……。だから私はこの気持ちを静める方法を
知らなくて……。
あの時逢ったのがあなたじゃなければ……
私の身体があなたのぬくもりを知らなければ……
ここまで引きずる想いはなかったかもしれないのに……
- 266 名前:Interlude. 投稿日:2003/10/08(水) 16:08
- この雨は私の罪を洗い流してくれるでしょうか?
そしてあなたは私を許してくれますか?
罪を犯し続ける私を……
後藤さん……
- 267 名前:Interlude. 投稿日:2003/10/08(水) 16:08
-
- 268 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:10
- ミキティの部屋を出て扉を閉める。
外はまだ激しい雨が降っていた。
今までならこんな雨の中、帰るなんてことはしないで泊まっていったのに。
もう、そんなことはできない……。
鍵穴に合い鍵を突っこんで鍵をかけ、一度ドアノブをまわしてみて開かない
ことを確認する。
そのあとそっと合い鍵をポストの口に入れた。
なかなか手を離せない。
この手を離したら……本当に終わるんだ……。
- 269 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:11
- でももう戻ることはできない。あたしはコンノを選んだのだから……。
そして戻ることをミキティも望んではいないのだから……。
そっと手を離す。
カシャンという無機質な金属音が聞こえてきた。
その瞬間、雨が強くなった気がした。
- 270 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:11
-
10. Heart goes on 〜Goto〜
- 271 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:12
- マンションの外に出てみると、やっぱり来たときよりも雨は確実に強くなって
いた。
傘をさして歩き出す。それでも雨を完全には避けきれず、服や肌が濡れて
いくのがわかる。
今のあたしは心も体もびしょ濡れだ。
さっき拭ったはずの涙がまた溢れてきて、あたしの顔までも濡らしていく。
- 272 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:14
- ミキティ……愛してた……。ちゃんと愛してたよ……!
終わってから気づくなんて遅すぎる。
本当に……「愛」……してたよ……。
いつか答えられなかった問いにやっと答えることができた。
ただ、今は過去形になってしまう。もう全てが遅すぎたんだ……。
あたしはもうミキティに「愛してる」なんていう資格はない……。
- 273 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:16
- 急に一陣の風が通り抜け、あたしの手から傘を奪っていった。
傘が飛ばされた方を目で追う。拾いに行こうと思ったけど……やめた。
そのまま雨に濡れながら歩いていく。
雨は弱まることなく降り続いている。
まるでこの紺色の闇を洗い流すかのように。
いっそあたしの心まで洗い流してくれたらいいのに。
でも冷たい雨はあたしの体から体温を奪うだけだった。
- 274 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:16
- そのままとぼとぼと雨の中を歩いていると、いつもの交差点にさしかかった。
なにも考えずに、いや、なにも考えられずにただ左に曲がる。
あたしのマンションが見えてくる。
それと同時にマンションの前にいる人影も。
「あっ! 後藤さんっ!!」
こんな豪雨の中でもちゃんと届く彼女の声。はっきりと見える彼女の笑顔。
もうあたしは自分の気持ちがわからなくて……
嬉しいのか悲しいのかさえもわからなくて……
コンノに駆けより、その小さな身体に抱きついた。
- 275 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:17
- 「えっ!? あ、あの……後藤さん!?」
「コンノ! コンノ……うっ、うわぁぁぁああっ!!」
「……後藤さん……」
子供のように泣きじゃくる私を、コンノは優しく抱きしめてくれた。
つめたく冷えた身体がコンノの温もりを感じて、徐々に熱を取り戻していく
のが心地良くて、
あたしはそのままコンノに抱きついて泣いた。思いっ切り泣いた。
降り注ぐ雨の中で、その雨にも負けないような声と涙を伴わせて。
- 276 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:18
- 「そんなことが……あったんですか……」
「うん……」
コンノを連れてあたしの部屋にはいると、あたしはコンノに今まであった
いろんなことを話した。
まだ泣きやめないあたしをコンノは小さい体で抱きしめてくれて。
その温もりがリアルで優しかった。
- 277 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:19
- 「でも……なんで後藤さん別れたんですか?」
「えっ……?」
コンノに話せなかった一つのこと。
君のことが好きだってこと。
やっぱりまだ話せない。
今はまだ完全に気持ちの整理がついてないから……。
でも気持ちの整理がついたら……その時は君に伝えるよ。
あたしの、本当の気持ちを。
- 278 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:19
- 「……今はまだちょっと言えない」
「そうですか……」
「でも……いつか絶対話すから」
「わかりました。じゃあそれまで待ってますね」
コンノは笑った。
それを見たあたしもやっと笑顔が戻る。
「やっぱり後藤さんは笑った顔のほうが綺麗ですよ」
「……それミキティにも言われた」
「そうなんですか、やっぱり!」
妙に納得したような顔になったコンノ。
そんなコンノが可愛らしくて、愛しくて、
あたしは思わずコンノを抱きしめた。
- 279 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:21
- 「えっ!? ぁ、あの……後藤さん!?」
「今日は泊まってくでしょ? もう遅いしさ、雨も降ってるしさ。……ていうか…
泊まってってよ……」
コンノの耳元でそっと囁く。
「今日だけ……ちょっとだけ……甘えさせてほしいんだ……」
「あ、あの、私でよければいつでも! あっ、いつでもって言ってもいつも
会えるわけじゃないし、それにたまには私も甘えたいし……ってそ、そうじゃ
なくて!」
急にバタバタと慌てふためきだしたコンノを見て、悪いと思ったけどまた
笑ってしまう。
そんな仕草も可愛いと思うと同時に、コンノの前だと自然に弱さを見せられた
ことに自分でも驚く。
今夜はコンノにちょこっとだけ甘えることにします……。
- 280 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:22
- でもコンノ、一つだけ言っておきたいよ。
「笑った顔のほうが綺麗」なんて言ってたけど
あたしの顔を一番笑顔にしてるのは、
コンノ……君なんだからね。
- 281 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:23
-
次の日は雨は止んでたけど、あいにくの曇り空。
そしてそんな日に限って東京でのコンサート。
やっぱりミキティとはちょっと顔合わせづらい。
けど仕事には当然行かなくちゃいけないわけで……。
あたしは複雑な気持ちでコンサート会場まで向かった。
- 282 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:24
- 「おはよ……」
「おっ、真希おっせーぞ!!」
楽屋のドアを開けたとたんに響いてくるミキティの声。
その声とセリフに呆気にとられて硬直してしまう。
「なんだよぉ〜、『はぁ〜い!』は?」
あたしが無反応だったため、真顔で詰め寄ってくるミキティ。
そんな仕草に思わずクスッと笑ってしまう。
するとミキティも同じように微笑んだ。
- 283 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:26
- 「はぁ〜い!」
「真希さん、こないだ貸したCD早く返してよ」
手を上げて例のセリフを言うと、まっつーもあたしたちにあわせて続ける。
「わかってる。……プッ! アハハハ!」
「アハハ!」
「アハハハハ!」
楽屋にあたしたち三人の笑い声が響いた。
- 284 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:27
- 「ごっちん、早く着替えないと! ギリギリだよ!」
「んあっ! やっばい!」
言われてやっと気づいた。
そういえば今日はいつもよりもさらに遅かったんだった。
慌てて用意された衣装に着替える。
着替え終わったと同時にスタッフがやってきてコンサートの開始を告げた。
「それじゃあ、やるよ、いつもの!」
ミキティの合図とともに三人で手を重ねる。
「じゃあ今日も、がんばっていきまーっ……」
「「「しょいっ!!!」」」
- 285 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:28
-
コンサートは「ごまっとう」での前半の出番が終了し、今はソロの演目。
大声援の中、あたしがソロ曲を終えて袖に引っ込む。
袖でスタンバってたまっつーが「お疲れ〜」と軽く手を上げて迎えてくれた
ので、あたしもその手にパチンとタッチする。
そしてあたしと入れ替わりでまっつーがステージの上に飛び出していった。
「松浦亜弥で〜す!! まだまだパワー全開で行っちゃいま〜す!
『Yeah!めっちゃホリディ』!」
曇り空を吹っ飛ばすようなまっつーの叫びとともに会場に音楽が鳴り響く。
そして最初からトップスピードで突っ走るまっつーを、あたしは舞台袖で
ミキティと一緒に見守る。
- 286 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:30
- 「ごっちんさ、ほんとにいい笑顔で笑えるようになったよね」
「えっ?」
しばらくステージのほうを見ていると、急にとなりにいたミキティがそんなこと
を言ってきた。
「自分じゃ気づかなかったかもしれないけどさ、今までのごっちんの笑顔って
まだどこか切なげだったんだよね」
「……そうだったんだ……ごとーミキティと付き合っててもまだ……」
「でも今はいい笑顔だよ。それこそ切なさなんか一欠片も含んでない」
そう言われてもやっぱり自分ではちょっとわからない。
いや、たぶん他の人でもわからないんだと思う。
ミキティだからわかること。ずっとあたしのことを見ていてくれたミキティ
だから……。
あぁ、そんなかけがえのない人がいるあたしはとても幸せなんだなぁ……。
- 287 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:31
- 「ありがと」
「どういたしまして。……ところでさ、あの娘とは上手くいきそうなの?」
「ふぇっ!?」
いきなり話を変えられたので、思わず間抜けな声を出してしまった。
それを見たミキティはクスクス笑ってる。
「あの娘がごっちんの笑顔を独り占めしちゃうんなら応援なんかしてやんない
んだけどさ、ごっちんはちゃんと笑顔見せてくれるからね。だからミキは
応援してあげるよ!」
- 288 名前:10. 投稿日:2003/10/08(水) 16:34
- その時ちょうどまっつーがステージから舞台袖に戻ってきた。
今度はまっつーとミキティが手を合わせる。
「頑張って〜、みきたん!」
「おう!」
まっつーがミキティに親指をびしっと立てて向けると、ミキティも同じように
まっつーに返した。
そしてミキティはステージの方を向いて、ゆっくりと歩き出した。
「頑張れ、ミキティ!」
気づいたときにはあたしもミキティに声援を送っていた。
ミキティはふり返らず軽く手を上げて振ると、そのまま薄暗い舞台袖から
光溢れるステージへと出て行った。
その時のミキティはとてもかっこよくあたしの目に映った。
- 289 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/10/08(水) 16:43
- 今回はここまでです。
ちょ、ちょっとは明るくなったでしょうか……?(汗
いや、まだちょっと暗いっすね……。抜け出せないかも……。
>>258 葵 様
ありがとうございます!
別れはいろいろ悩んだ結果あのような形になりました。
四苦八苦した場面だったので泣けたと言っていただけるとすごく嬉しいです。
>>259 名無し読者 様
レスありがとうございます。
ミキティはほんとにいいやつです。
でもそれで痛いことになってしまったため、
今回はかっこよく書いたつもりですが……ちゃんとできてるんだか……。
- 290 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/10/08(水) 16:54
- >>260 tsukise 様
ありがとうございます。
ミキティは……ホントに切なくなってしまって……うぅ(こっちも涙
一応ごまみきは今回で決着(?)って感じでこれからは新たな展開になっていく……
ハズです……。
>>261 尚也 様
ありがとうございます。
切なく悲しくなってしまったので、一応今回で明るくしようと思ったのですが……
中途半端に失敗した感じです……。
続きもどうなることやら不安ですが頑張ります。
- 291 名前:tsukise 投稿日:2003/10/10(金) 17:51
- 更新お疲れ様です。
ミキティの決断…ごっちんのキモチの確認…切なかったデスね。
冒頭の紺野のセリフが気になりまくりだったりっ。
これからどんな関係を築くのか楽しみにしながらお待ちしていますっ。
- 292 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:44
- それからもあたしたちはコンサートと番組の収録とレコーディングに追われる
毎日。
ミキティとも特にギクシャクしたところはなく仲良くやっていけている。
そんな日常もだんだんと慣れてきた。
時はめまぐるしく流れていき、そろそろコンサートもクライマックスへと
近づいていってる。
- 293 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:45
- 仕事が終わって家に帰ってくる。
交差点を左に曲がったところで辺りを見回すと……あっ、いた♪
あたしのマンションの前に立っている愛しい少女。
夜の闇に溶けてしまいそうな、黒い髪と暗めの色の服だけど、あたしは
確実にコンノを見つける自身がある。
それくらい、いっつもいっつも君のことを探しているんだよ。
- 294 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:46
-
最近はいつもこんな感じだ。
特に約束しているわけでもない。だから会える確証なんてない。
でも家に帰れるときには必ずコンノを探してしまう。
コンノももちろんいないときもあるんだけど。
でもあたしが見つけたら、コンノはあたしに可愛らしい笑顔を向けてくれる。
- 295 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:47
- 「ただいま。待った?」
「今来たばっかりです! 完璧です!」
「そっか。入ろう」
「ハイッ!」
そしてコンノはあたしのマンションに泊まってってくれる。
朝はあたしが目覚める前に帰っていってしまうけれども。
夜だけの同棲生活って感じ? なんて、そんなこと言っちゃうとコンノは
真っ赤になっちゃうね。
今日もコンノと手を繋いで、一緒に部屋へ入っていった。
- 296 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:48
- 「コンノ、なんか食べた?」
「いえ……まだですけど……」
「じゃあなんか作るよ。なにがいい?」
「なんでもいいですよ。私も手伝います!」
「いいよ、待ってて。ごとー料理得意だし」
「そうですか、ありがとうございます!」
コンノの方を向くととても嬉しそうな笑顔。
なんかコンノは食べ物が絡んでくると満面の笑みになるような……。
それにつられてあたしも笑顔になり、冷蔵庫を開けた。
卵がある。じゃあ今夜はオムライスにしようかな。
そう思ってあたしは卵と、冷凍しておいたご飯を取りだした。
- 297 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:49
-
「できたよ〜!」
作り終わると、できたてのオムライスをテーブルに並べる。
コンノは目の前に置かれたオムライスに釘付け。
今すぐにでもそのまま食らいつきそうなくらい。
「コンノ……そんなに見ないでも逃げないから……」
「はっ! すいません! つい……あの、とても美味しそうだから……」
「コンノは本当に食べるのが好きなんだねぇ」
「後藤さんの料理だからですよ! 私はあまり料理とかしないんで……」
あたしと話していてもコンノの意識はちらちらと料理の方に逝っている感じ。
わかったって。そろそろ食べよ。
「じゃあ、食べようか?」
「はいっ!!」
元気な返事が返ってくる。
そのまま二人とも手を合わせる。
「「いただきます!」」
- 298 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:49
- コンノはすぐにオムライスを口にほおばる。
「美味し〜!! とっても美味しいですよ、後藤さん!」
「ありがと!」
コンノの満面の笑みを見るとあたしも嬉しくなってくる。
やっぱり食べて喜んでくれる人がいるってことが料理を作る楽しみだよね。
じっとコンノの食べる姿を見ていると、コンノもその視線に気づいたみたい。
「そ、そんなにじっと見ないで下さいよ〜……」
そのとたんにコンノは赤くなって俯く。食べるペースも急に落ちる。
そんな可愛らしいコンノを見てあたしはまた笑顔になった。
- 299 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:51
-
晩ご飯を食べ終わったらリビングに移動してまったりとすごす。
もっとも、まったりしてたのはあたしだけかもしんない。
あたしの腕の中にすっぽりと収まっているコンノは後ろから見てもわかる
くらい真っ赤になっていて、ついでに身体もガチガチに固まっている。
「ねぇ、コンノ」
「は、はいっ!?」
耳元で囁くと、紺野はビクッとしてふり返った。
「泡入れてあげるからさ、一緒にお風呂、入らない?」
「えっ……ぇええ゛っ!?」
考えてみれば今までコンノとお風呂一緒に入ったことってないんだよね。
いつもは冗談っぽく言って拒否られてるから、今日はちょっと作戦を変えて
いたって真面目な声で。
フフフ、これでもあたしは連ドラにだって出たことあるんだぞ!
「……ぁ、泡入れてくれるなら……」
いつもと違うあたしにコンノも簡単に陥落。
真っ赤になったコンノの後ろで、あたしはばれないようにニヤッと笑った。
- 300 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:52
- 宣言通りにお風呂に泡を入れる。
しばらくするとバスタブは泡で真っ白になってスタンバイおっけ〜!!
「コンノ〜、準備できたよ〜!」
「は、はいっ……」
コンノよりも一足早く、あたしは服を脱ぐと浴室へと入っていく。
そのままバスタブに浸かり、泡をすくって遊んでいたら、控えめに脱衣所
から通じる扉が開いた。
入ってきたのはもちろんコンノで、隠しているタオルからのぞく白い肌とは
対照的に、顔はこれでもかってほど赤かった。
- 301 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:54
- 「おいで、コンノ」
「は、はいっ……」
バスタブの中から手招きすると、コンノは控えめに、あたしが寄っかかって
るのとは反対の隅っこに入ってきた。
コンノまでの距離がもどかしくってコンノを引き寄せようとしたけれど……
そんなことしたらコンノ沸騰しちゃうかな?
まぁ、今日はコンノと一緒にお風呂に入れただけでも一歩進んだってことで、
そんなに急ぐ必要もないか。
代わりといってはなんだけど、浮いている泡を少しすくってコンノの方に
吹きかける。
「キャッ!」
「アハハ!」
コンノの顔に泡がかかった。コンノは一瞬嫌そうな顔をしたがすぐに笑顔に
戻った。
「もう、後藤さん!」
「あっ、やったな!!」
お返しとばかりに今度はコンノが泡を吹きかけてきた。あたしの顔にも
泡がかかる。
そしてあとはコンノと一緒に泡で遊んだ。あたしも久しぶりに無邪気な
時間を過ごした。
- 302 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:55
- 「コンノ……」
「あっ……」
我慢できずにバスタブの中で遊んでいたコンノを捕まえて抱き寄せる。
コンノはまたあたしの腕の中にスポッと収まった。
「あ、あの! 後藤さん!?」
「コンノ……少しだけこのままでいさせて……」
「す、少しだけって……どれくらい……」
「フフ、少しだけ」
コンノの前髪をそっと梳くと、おでこに優しくキス。
その瞬間コンノの体温が少し高くなった気がした。
「よしっ、じゃあ身体洗ってあげるよ!」
「……はいっ」
「あれっ!? 今日は断らないの?」
「ちょっと後藤さんに甘えてみようかなーって。ダメですか?」
「あはっ、ぜーんぜん!」
- 303 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:56
-
次の日の収録はなぜかトントン拍子に進んで、予定よりも早めに終わった。
と、いっても辺りはもう暗くなりかけていたけれど。
「あっ、予定よりも結構早いね〜」
「やったね! いっぱい遊べる!」
楽屋に帰ってからも、収録が早く片づいたことであたしたちは上機嫌。
普段押すことはあっても、早くなるってことはなかなか無い。
今日は運がいいよ。
まっつーじゃないけど、あたしもさっさと帰って1秒でも長くコンノと遊ぼうかな。
ただでさえ夜だけしか会えないんだから。
コンノ今日はいるかな?
- 304 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:57
-
「じゃあね、お疲れ〜!」
さっさと私服に着替えて楽屋をあとにする。
楽屋からは「お疲れ〜」というミキティとまっつーの声が廊下にまで響いて
きた。
あたしははやる気持ちを抑えきれずに、足早でテレビ局をあとにした。
- 305 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:58
-
そしてマンションの近くまで帰ってきた。
ドキドキしながら交差点を曲がる。でも今日は見渡してみてもコンノは
いなかった。
あ〜あ、今日はコンノいないのかぁ……、なんてちょっとショックを受けて
いると……
- 306 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 20:59
- 「ぐあっ!!」
「えっ?」
一瞬夜の闇に男の叫び声が響いた。
なんだろう……けっこう近く……。
嫌な予感がした。
あたしはその声の方向へと向かって歩いていった。
そして裏路地の角を曲がると、そこにいたのは……
- 307 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 21:01
- 「コ…コンノ……?」
あたしは立ちつくしてしまった。
夜の闇の中に浮かび上がったコンノの姿。
コンノはぐったりしている男を右手に掴んでいる。確かコンノと初めて逢った
ときに、コンノを追っかけてた男の一人だったような……。
でもそれ以上に、あたしの目はコンノの唇の端から滴っている赤い血と……
背中からはえている禍々しく婉曲した……羽根? にとまった。
- 308 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 21:03
- 「……後藤さん……」
驚いたようなコンノの顔。その表情がだんだんとなくなっていく。
「……見てしまったんですね。後藤さんには知られたくなかったです……」
あたしはまだ悪い夢を見ているようだった。いや、夢ならよかった。
夢のほうがよかった。
「私はヴァンパイア。悪魔なんです。人間じゃないんですよ……」
コンノが男を手放した。男はそのままその場にバタリと倒れた。
首筋から血が溢れている。
「さよならです、後藤さん。本当はあなたに知られないうちに消えようと
思ってたんですけど……」
コンノの顔に悲しい微笑が宿った。
それと同時にコンノから生えた羽根が羽ばたく。そしてコンノの身体が
ふわっと浮いた。
それによってあたしは現実を突き付けられた。ガァンと殴られたような衝撃が
あたしを襲った。
- 309 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 21:04
- 「コンノ!!」
やっと硬直がとけ、コンノに駆けよって手を伸ばしたが、その前にコンノは
夜空へと舞い上がっていた。
星もなく、月も見えない、ただただ紺色の夜空へ。
「コンノーーー!!!」
すぐにコンノは夜空に溶けて見えなくなり、あたしの叫び声だけが空しく
響いていた。
- 310 名前:10. 投稿日:2003/10/14(火) 21:04
-
- 311 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/10/14(火) 21:14
- 今回はここまでです……。
ぐはっ……いっぱいいっぱいです……。
最初から決めてた展開とはいえここまでキツイとは……。
>>291 tsukise 様
いつもありがとうございます。
そしてすいません……またしても明るくしきれませんでした……。というかまた暗くなってるし……。
Interlude.は一応今回のための布石というか伏線というか……
そんな感じで急遽追加したんですけど……どうでしょうか?
- 312 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/10/14(火) 21:15
- 一応まだIEの人のためにレス隠しです。
- 313 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/15(水) 00:16
- ( ゚д゚)
なんと・・・まあ・・・
- 314 名前:うまい棒メンタイ味 投稿日:2003/10/15(水) 04:51
- (ノ゚ο゚)ノ オオオオォォォォォォ-
なんともはや、な展開!!
あ、失礼しました。初めまして。うまい棒メンタイ味です。
最初の頃からROMらさせてもらっていました。
「こんのーーーーーー!!」と叫びたくなってしまいました。ッテカ叫びましたw
これからいったいどうなるのかチョーー楽しみです!!
いったい二人はドンナ道を進んで行くのか・・・
ずっと読んでますんでがんばってください!!
粗雑な文になりましたがこれにて失礼します。
- 315 名前:11. 投稿日:2003/10/19(日) 13:03
-
11. Night Walker 〜Konno〜
- 316 名前:11. 投稿日:2003/10/19(日) 13:04
- 目が覚めると目の前には後藤さんの顔。
最近ではいつもそう。それに慣れ始めている私。
昼に寝てるから眠らなくてもいいのに、後藤さんのぬくもりの中ではなぜか
安心して眠ってしまう。
「後藤さん……」
昨日の後藤さんが作ってくれたオムライスの味。
そして一緒にお風呂に入ったときに感じた素肌のぬくもり。
そして……おでこにされたキス……。
今でもまだリアルに残っている。
- 317 名前:11. 投稿日:2003/10/19(日) 13:04
- 「……お返しです……」
後藤さんの綺麗な前髪をそっと分けて、
おでこに優しくキスをした。
わかってる。いつまでもここにはいられないことも。
でももうちょっとだけ……許してくれますか? 後藤さん……。
そのまま外へ出て、私はまだ暗い空へと飛び立った。
- 318 名前:11. 投稿日:2003/10/19(日) 13:05
-
今日も目覚めると私は後藤さんの街へ向かう。
時間は午後7時半。もう辺りも薄暗い。
安心して夜空の中に飛び立った。今日は月が見えない。雲もないから
新月みたい。
後藤さんと初めて逢った夜は……確か綺麗な満月だったなぁ……。
なぜか私はその時後藤さんと初めて逢ったときのことを思い出していた。
- 319 名前:11. 投稿日:2003/10/19(日) 13:07
-
満月の輝く夜空を飛んでいたあの日。
あなたの住む街に降り立ったのはただの気まぐれで、
あなたと出逢ったのは偶然だった。
――――――――――
――――――――
――――――
――――
――
- 320 名前:11. 投稿日:2003/10/19(日) 13:08
-
「ふぅ……」
ひとけのない夜の街に降り立った私。着地すると同時にすぐ羽根をしまう。
私はそのままその辺を歩き回った。獲物を探すために。
しばらくして一人の女性が通りかかった。
たぶん仕事帰りなのだろう。
ちょうどいい。私は彼女のあとをつけはじめた。
やがて裏路地にさしかかった。
ひとけが全くなく、街灯も少ない裏路地。
私は彼女に後ろから襲いかかった。
「やっ! な、なにっ!?」
おびえて暴れる彼女の首筋に噛みつく。
鋭く尖った牙から彼女の血が口の中に流れてくる。甘くてなかなか上物な血。
- 321 名前:11. 投稿日:2003/10/19(日) 13:09
- しばらくして暴れていた彼女の動きが止まる。
口を離すと彼女はその場に倒れた。
別に殺してはないよ。ただ死なない程度に血をもらっただけ。
口についた血を拭った瞬間、背後に別の人の気配がした。
「見つけた! ヴァンパイアだ!!」
背後をふり向くと、そこにはサングラスにスーツできめた男。しばらくすると
もう二人男がやってきて、サングラスの男の両側に立った。
- 322 名前:11. 投稿日:2003/10/19(日) 13:10
- こいつらはダークハンターだ! 本能が危険を察知した。
悪魔を専門にしている狩人。しかもそいつらが三人……。
分が悪い。また羽根を出すと、私はすぐさま飛び立った。
「逃がすなっ! 撃てっ!!」
叫びとともに背後で銃声が交錯した。銃弾が私のすぐそばを飛んでいく。
なんとかかわしていたが、そのうちの一発が羽根を貫き、左腕を掠めた。
「うあっ!!」
飛んでいられなくて、そのまま地面に落ちた。
左腕から焼けるような痛みが全身に伝わる。
おそらく銃弾は、邪をはらうと言われている純銀製の弾だったのだろう。
- 323 名前:11. 投稿日:2003/10/19(日) 13:11
- 「どこだ? どこに落ちた!?」
「こっちだ!」
また背後から声が聞こえた。
私はよろよろと立ち上がり、それでも走って逃げ出した。
そのままダークハンターたちから逃げていると交差点にさしかかった。
どっちに行こうか……確か右に曲がれば少ししたら人通りの多い市街地に
出たはず。人混みに紛れれば逃げ切れる。
一瞬の判断で右と決め、そのままの勢いで交差点を右折した。
でも、曲がりかけた瞬間……
何かにぶつかった私はそのまま後ろに倒れてしりもちをついてしまった。
- 324 名前:11. 投稿日:2003/10/19(日) 13:13
- 「いたた〜」
そんな声が聞こえて、私は向こうから同じように曲がってきた人にぶつかった
のだと気づいた。
「ちょっと、大丈……」
彼女の声であわててガバッと身を起こした。
「す、すいません、急いでたんで! ケガとかないですか!?」
起きあがった瞬間、彼女と目があった。
綺麗なダークブラウンの瞳。そして揺らめくサラサラの髪。
動けなくなってしまった。
体は動こうとしているのに、頭がそれを許さない。
彼女の醸し出す暖かな空気にもっと触れていたかった。
彼女の澄んだ瞳をもっと見ていたかった。
- 325 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/10/19(日) 13:26
- 少なめですけど今回はここまでです。
今回から少しコンノの視点で物語を進めていきます。
今回は出逢いのときの回想です。
>>313 名無しさん 様
ありがとうございます。
「なんと…まあ…」まさしくそんな感じですね……。
>>314 うまい棒メンタイ味 様
レスありがとうございます。そして初めまして!
こんな展開でも楽しみといっていただけて嬉しいです。
とりあえず今回はちょっとだけ回想を。
- 326 名前:tsukise 投稿日:2003/10/19(日) 15:56
- 更新お疲れ様ですっ!
前回分と一緒に拝見させて頂きましたっ!
こ、紺野…っ!なんと…こんないきさつが…(涙
幕間のセリフは、こういうことだったんですね…。
まだまだ目が離せない展開っ、どこまでもお供します!!
- 327 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:12
- 止まった時間が動き出したのは、私を追ってきたダークハンターたちの声が
きっかけ。
「どこへ行った!?」
「あっちだ、逃がすな!」
その声を聞いた瞬間、身体が危険信号を発し、頭を覚醒させた。
やばい! まだ追いかけてきてたんだ!
「あの、ホントにすいませんでした! それじゃ!」
私は彼女に謝ると、立ち上がって走り出す。
しかし一歩を踏み出した瞬間、右足に激痛が走り、私はまたその場に
倒れてしまった。
おそらくさっきぶつかって倒れたときに足を捻ったんだと思う。
「ちょ……大丈夫!?」
彼女がまた近づいてくる。
でも私はそんなこと気にしている余裕はなかった。ダークハンターたちの
声はすぐそこまで近づいてきている。
「あっ……」
怖かった。私はこのまま狩られてしまうの……?
- 328 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:13
- 「ちょっとこのままここにいて」
そんな声が聞こえた。
彼女は私をそっと道の端に誘導すると、そのまま交差点を曲がって見え
なくなった。
私はしばらくその方向をずっと見ていた。
なにが起こったかわからない。
彼女がなにをしているのかもわからない。
でも少しすると、私を追ってきていたダークハンターたちが、交差点を
まっすぐ走っていくのが見え、そのあと彼女が私のところまで戻ってきて
くれた。
- 329 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:14
- 「もう大丈夫だよ」
「あっ……ありがとうございました」
彼女が撒いてくれたんだ……。
心から彼女にお礼を言って立ち上がろうとしたけど、そのときまた足に痛み
が走った。
「痛っ!」
「あっ、ちょっと!」
またそのまま前に倒れそうになったけど、今回は倒れなかった。
次の瞬間には私は彼女にすっぽりと包まれていた。
柔らかい……それでいて温かい感触。それと漂ってくるいい香り。
生まれてはじめて感じた感覚。ヒトの優しい体温。
なぜかどんどん顔が熱くなっていった。
- 330 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:15
- 「す、すいません! もう大丈夫……」
彼女から離れようとしたけど、それは途中で止められた。彼女に。
「いや、全然大丈夫じゃないから。ウチこの近くだからさ、よってきなよ。
シップくらいならあるから」
「で、でも……」
「そんな足じゃ歩けないだろうし」
そういうと私は彼女に抱きかかえられてしまった。
一瞬のことだったのでまったく抵抗できず、頬がかぁっと赤くなってくる。
バタバタと暴れてみるけど、彼女は意外と力持ちらしく降ろしてくれない。
しばらく歩いて、彼女はあるマンションに入っていった。
- 331 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:16
-
「ここだよ。ちょっと汚いけどね」
「すみません……」
彼女に連れてこられたのはマンションの一室。
そのころには私もさすがにあがくはやめた。
傷なんてほっといてもすぐになおるけど、でもやっぱりまだ歩くのはちょっと
辛かったし。
なにより……私は心のどこかで彼女ともう少し一緒にいたいと思っていた
のかもしれない。
- 332 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:21
- 「ちょっとここで待ってて」
私はリビングのソファに降ろされた。そのあとで彼女はすぐにどこかへ
行ってしまった。
とり残された私は座ったままで部屋の中を眺める。
広い室内にオシャレな家具や、高級そうなテーブルが置いてあった。
でも、確かに彼女が言ったとおり……洋服とか散らかっててちょっと汚い
かも……。
そんなことを考えていると、木の箱を抱えた彼女が戻ってきた。
「お待たせ…って、あれっ? 腕もケガしてたの?」
「あっ……はい……」
そういえばダークハンターに撃たれたんだった……。
でもこれはかすり傷でもうだんだん回復し始めている。
それでも少し血が滲んでいたけど……。
彼女は私をじっと見ていて、私はなんだか恥ずかしくなってしまった。
- 333 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:22
- 「これじゃ、先にお風呂に入ったほうがいいかもね」
「えっ、お風呂!?」
確かに空中から落ちて砂だらけ。
それ以前に「最後にお風呂なんかに入ったのっていつだろう?」なんて
考えないと思い出せないくらい入ってないけど……。
でも……初対面の人にそこまでしてもらってもいいんだろうか?
ましてや私は……人間じゃないのに……悪魔なのに……。
「入って来なよ。あっ、そうだ! 洗ってあげる!」
「ぇえっ!? いいですよ! お風呂かしていただけるだけでも悪いのに……」
言ってから気づいた。「あっ、入ることは了承しちゃった……」
「いいから、いいから! ほら、行くよ!」
「あっ……ちょ……」
そんなことを考えていると、いつの間にか私はまた彼女に抱きかかえられていて。
そしてそのまま脱衣所まで運ばれてしまった。
- 334 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:23
- 「じゃあ、ちょっと濡れてもいいように着替えてくるからさ。服脱いどいてね」
「あ、あのっ……」
必死に彼女に話しかけても、彼女はすぐに脱衣所を出て行ってしまった。
そしてまたとり残された私。どうしよう……。
助けてもらった上に身体まで洗ってもらうなんて彼女に悪い。ていうか
それ以前に恥ずかしい……。
でも、結局このままここにいても彼女は退かないんだろうな……。
意を決して私は服を脱ぐと、まだちょっと痛む右足を引きずって浴室に
入っていった。
- 335 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:24
- そのまま浴室にあった椅子に座っていると、背後でカラリと扉が開いた。
顔だけ横に向けて後ろを確認する。
当然入ってきたのは彼女で、さっきまでとは違い、Tシャツと短パン姿で、
髪は後ろで一つに束ねていた。
対照的に私は裸。ただバスタオルを身体に巻き付けているだけ。
どんどん恥ずかしくなって、顔なんか赤くなってきたけど、もう後には
退けないわけで……。
「あ、あの……お願いします……」
彼女は私の後ろにそっと立つと、シャワーを取って私の髪を洗い始めた。
髪にかかるお湯の温かさと、頭に感じる彼女の暖かさ。
それはとても心地良かった。
- 336 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:26
- 「さてと、次は体か」
ポーっとしていた私はその言葉で一気に現実に引き戻された。か、体……!?
「か、体はいいですっ! 自分でできますっ!!」
「じゃあ背中だけでも流してあげるよ」
「で、でも……」
「いいからいいから」
彼女の手がそっと肩に触れた。
ぬくもりが直に肌に伝わる。
彼女がからかってるんだってこともだいたいわかってたけど、私はこの
ぬくもりに抗えずにバスタオルを取った。
前はちゃんと隠したけど……。
彼女は私の後ろに座り、私の背中を洗い始めた。
優しく……優しく……。
初めて人に体を洗ってもらう感触はとても気持ちよかったけど……なにげに
これってかなり恥ずかしい状況じゃ……。
終わるまで私はずっと赤くなって俯いていた。
- 337 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:26
-
「さ〜て、次は前かな?」
「ま、前は本当にいいです!!!」
ほ、ほんとにもう勘弁して下さい!
「そう? 残念」
彼女もやっと退いてくれた。「ちゃんと温まってから出てきなよ」と言って
浴室から出て行った。
私もお礼を言って、自分で体の残りの部分を洗う。
洗い終わってから泡を洗い流すと、私はバスタブに入った。
広いお風呂……。ゆったりと体を伸ばし、お湯に浸かる。
こんなところでのんびりしてちゃいけないのに……。
でも反対にもう少し彼女の優しさに甘えてたいとも思ってる……。
- 338 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:27
- 「あのさ〜、服汚れてるから洗っとくよ。かわりの服置いとくから、それ着て!」
「あっ、すいません!」
しばらくのんびりしてると、脱衣所の方からそんな声が聞こえてきた。
そういえば服も砂だらけだった……。
よく気がついてくれる人……とても優しい人……。
なんて思ってたんだけど、それはいきなり扉が開いたことで強制中断される。
慌てて胸を隠した。
顔を出したのはもちろんあの人。
「一緒に入っていい?」
「ダ、ダメですっ!!」
「あはっ、冗談だよ〜!」
笑ってまた扉を閉めた。
もしかしなくても…からかわれてる?……私……
ちょっとさっき思ってたことを前言撤回したい気分です……。
- 339 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:28
-
浴室から出ると、そこには彼女が言ったとおり新しい服が置いてあり、その
横で洗濯機がまわっていた。
彼女が用意してくれたTシャツとズボンを着る。
でも私にはちょっと大きくて……Tシャツもズボンもかなりぶかぶか……。
まぁ、しょうがないか……。
「あの……お風呂ありがとうございました」
なんとか立てるまで回復したけど、それでも歩くとまだ痛む。
壁に手をついて歩いていると彼女が来てくれて、また私は抱きかかえられた。
今度は私も抵抗せず、そのままそっと首に手を回した。
お風呂のお湯の温かさより……なぜか彼女のぬくもりのほうが落ち着く……。
そんなことを考えて私の顔はまた赤くなってしまったんだけど。
- 340 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:30
- 私をソファに降ろすと彼女は救急箱を開けた。
「ちょっと足見せてね」
「ハ、ハイッ……」
私はぶかぶかのズボンの裾を少しまくり、そっと足を差し出した。
彼女は私の足をそっと掴み、割れ物でも扱うかのように優しく触った。
「ウッ!」
彼女の指が捻ったところに触ると、まだ少し痛みが走った。
「やっぱすこし捻ったみたいだね。シップ貼っとこうか」
「はいっ、ありがとうございます」
彼女は救急箱からシップを取りだして、私の足にペタッと貼った。シップの
冷たい感触がほてった体に心地いい。
「じゃあ腕の傷も見せて」
「ハ、ハイッ!」
彼女の手が私の腕に触った瞬間、ビクッと体がはねた。
やっぱりまだ誰かに素肌を触られるってのは慣れてない。しかもそんな
優しい手つきで……。
彼女は「そんな緊張しなくてもいいから」といってくれたけど、治療中私の
緊張がとれることはなかった。
そんな様子を見て彼女はクスッと笑ってたけど……。
- 341 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:30
- 「はい、OK」
少し染みたけどほどなくして治療は終わり、私の腕には絆創膏が一枚
貼られた。
「すいません……」
「いや、いいよ、強引に連れてきちゃったようなもんだし」
「いえ、本当に助かりました。……じゃあ私そろそろ帰りますね」
「えっ?」
さすがにこれ以上彼女に迷惑かけるわけにもいかない。
ダークハンターも近くをうろついてるかもしれないわけだし。
でも彼女の口からは信じられない言葉が出た。
- 342 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:31
- 「もう遅いよ。泊まってけば?」
「えっ!?」
泊まってけば? って……私が? 初対面なのに……?
「そんな……ホントに悪いですよ!」
「でももう暗いし、危ないよ。また襲われるかもしれないし。それに歩けるの?」
「うっ……で、でも……」
確かにまだ足が痛いし……飛んで帰ろうにも羽根も銃弾で傷ついてるし
(傷がなくても彼女の前でそんなことできないけど)……。
でも……やっぱり悪い……。
- 343 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:31
- 「家の人には連絡してあげるから」
あっ……
彼女は気軽に言ったつもりだろう。
でも……私には親なんていない……。
「……親は…いない……です」
「えっ……? あっ、ご、ごめん……」
私たちのあいだに気まずい空気が流れた。彼女はたぶん「親は死んだ」と
とらえたのだろう。
でも違う……悪魔には、最初から親なんていないんだ……。
生まれてからずっと一人で生きていくんだ……。
- 344 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:32
- 「じゃあ、やっぱり泊まってきなよ」
「でも……」
「一人じゃ寂しいでしょ? 今日だけお姉ちゃんになったげる!」
そっと肩に置かれた手。そこから彼女の優しさが伝わってくる。
私なんかがこんなステキな人と接してもいいんだろうか? そんなことしか
頭に浮かばない。
「ねっ?」
でも彼女に目を覗き込まれて念押しされると、そんな考えは消えてしまった。
無意識のうちに……私は頷いていた。
「よかった。じゃあちょっと適当にくつろいでてよ。お風呂入ってくるから」
「はい!」
彼女は私に微笑みかけると、さっきまで私が使わせてもらっていたバスルーム
へと入っていった。
見送ったあと私はソファに横になった。
- 345 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:32
- 彼女が充満している部屋……優しさに満ちあふれている……。
心地良くて……安らげて……。
ニンゲンなんて餌と同じなのに……。それなのに……。
なぜだろう、変なキモチ……。
もっと……一緒に……
あの人と……一緒に……
…………
- 346 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:33
-
「んっ……?」
目覚めるとそこはベッドの中だった。でもなんかいつもよりも柔らかい感じ……。
あれっ? でも確か昨日は……
そこまで考えてやっと気づいた、背中に感じる微かなぬくもり。
昨日もたくさんたくさん感じた、心地良いあのぬくもり。
そっと体をよじって後ろを向くと……
「わっ!」
驚くほど近くにあった彼女の寝顔。
慌てて口を覆うと、とたんに恥ずかしくなって顔が赤くなってくる。
眠っちゃったんだ……一緒に……。
- 347 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:34
- しばらくポーッとしてたけど……ちょっと待って! 今何時!?
時計を探して見てみると……4時半!?
慌ててベッドからはい出て窓をちょっと開けてみるけど……よかった、まだ
日の出前だ!
でもちょっと東の空が明るくなってきている。早く帰らなきゃ!!
部屋から出ようとして、また私は気づいた。今着ている服……借り物だった
んだ……。
洗濯機の中を覗いてみると、洗い終わった私の服が入っていた。
でももちろんまだ濡れてる。悪いとは思ったけど服を借りていくことにした。
まだ眠っている彼女に置き手紙を書き、私は濡れた服を抱えてマンション
を出た。
空を飛んでいる途中、東の地平線から朝日が昇ってきて、私の身体は
強烈な苦痛に襲われた。
- 348 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:35
- ――
――――
――――――
――――――――
――――――――――
- 349 名前:11. 投稿日:2003/10/24(金) 16:35
-
- 350 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/10/24(金) 16:44
- 今回はここまでです。
そして今回も回想編です。4のコンノ視点ってことで。
ちょっと設定が曖昧なトコロもありますが……。
>>326 tsukise 様
レスありがとうございます。
コンノのセリフ、なんとかちゃんと機能していたようで。
ちょっと話が進んでませんが、次あたりでは進むかと……。
- 351 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/25(土) 19:07
- 紺野もつらいねー。
こんな紺野を後藤さんが優しく包み込んであげれると良いですね。
川o・-・)<ごとーさん...
( ´ Д `)<んぁ
- 352 名前:tsukise 投稿日:2003/10/27(月) 22:00
- 更新お疲れ様ですっ。
ごっちんと紺野、両者の視点で見ると色んな新しい発見が
あって楽しいですね♪浴室での紺野…やっぱ恥かしいよね〜とか(笑
次回はまたまた話が進むそうで♪楽しみにお待ちしていますので
頑張ってくださいねっ
- 353 名前:12. 投稿日:2003/10/30(木) 13:48
- それからも私は何度も後藤さんと会った。
借りた服を返そうとして一晩中マンションの前で待ってたり。
別のダークハンターに襲われてたのをまた助けてもらったり。
そしていろいろ後藤さんのことを知っていった。
まず芸能人だってことを知ってビックリ。どおりでとっても綺麗なわけだ……。
CDも聞かせてもらったけど、ほんとにうまくてステキな歌。
でもこれは私にとっても好都合だった。
だって後藤さんも一緒にいれるのは夜だけ。これなら私の秘密もばれない……。
- 354 名前:12. 投稿日:2003/10/30(木) 13:48
- 四苦八苦して後藤さんに朝ご飯を作ったこともあった。美味しいとは言え
なかったけど……。
後藤さんが失恋して私が慰めたこともあった。
いろいろあったけど一番思い出すのはあのぬくもり。
優しくて、温かい……私の心も身体も罪さえも全てを包み込んでくれるような、
あの……ぬくもり。
- 355 名前:12. 投稿日:2003/10/30(木) 13:49
-
12. ぬくもりは優しくて 〜Konno〜
- 356 名前:12. 投稿日:2003/10/30(木) 13:50
- 今日もまた後藤さんの家に行く。
後藤さんの部屋の窓を見てみるけどまだ明かりはついてない。今日はちょっと
早すぎたなぁ。
私はまたマンションの前で待つことにした。
- 357 名前:12. 投稿日:2003/10/30(木) 13:51
-
少し待っていると足音が一つ近づいてきた。
もしかして後藤さん!?
道に出てみるけど、それは後藤さんではなかった。
代わりにそこにいたのは私の天敵。以前会ったダークハンター三人組の
なかの一人だった。
「!! ヴァ、ヴァンパイア!!」
銃を抜いて私の方に向ける。そこから撃ち出された純銀製の銃弾。私は
羽根を出し、飛んでよけた。
「待てっ!!」
そのまま飛んで逃げる私を追いかけてくるハンター。
でも今日はコイツ一人みたい。
そのまま逃げるフリをして路地裏まで誘い込む。
そうとも知らず、しっかりとハンターはついてきた。
- 358 名前:12. 投稿日:2003/10/30(木) 13:52
- 「追いつめたぞ、ヴァンパイア!!」
背を向けている私に銃を向けるハンター。
違うね……あんたが追い込まれたんだよ……。
構えた銃から銃弾が吐き出された頃には、私は素早くハンターの後ろに
回り込んでいた。
「なにっ!?」
慌てふためくハンターの首筋に噛みつく。
「ぐあっ!!」
ハンターの血が口の中に流れ込んでくる。不味い血……。
しばらくして口を離すと、ハンターはぐったりとしていた。
ちょっと吸い過ぎちゃったかも。まぁ、いいか。コイツだって私を狩ろうとして
たんだもんね。お互い様だよ……。
- 359 名前:12. 投稿日:2003/10/30(木) 13:53
- ザッ!
背後で足音がした。ビクッと身体が跳ね上がる。ヤバイ……人に見られた?
「コ…コンノ……?」
後ろから聞こえた声。一瞬頭の中が真っ白になった。
それは私が一番好きで、でもこの状況で一番聞きたくなかった声。
「……後藤さん……」
後ろをふり返った。
そこにいたのは後藤さん。驚きすぎてどんな顔をしていいのかわからない
といった表情。
- 360 名前:12. 投稿日:2003/10/30(木) 13:54
- 「……見てしまったんですね。後藤さんには知られたくなかったです……」
私の中の感情が溢れて……弾けた。あとにはなにも残らなかった。
「私はヴァンパイア。悪魔なんです。人間じゃないんですよ……」
もう少しだけ一緒にいたかった。いつかはあなたの前から消えなくては
ならないとわかっていたけど。
でも……それすらももう叶わないんですね……。
これはたぶん私への罰だ……。
悪魔でありながらあなたに惹かれてしまった私の罪への……
……あなただけには知られたくなかったのに……
- 361 名前:12. 投稿日:2003/10/30(木) 13:55
- 「さよならです、後藤さん。本当はあなたに知られないうちに消えようと思って
たんですけど……」
羽根を羽ばたかせ、空へと舞い上がる。
もうなにも隠す必要がない。いや、隠しておけない。
「コンノ!!」
後藤さんの声が聞こえた気がした。
でも振り返れない。戻れない。
私はもうあなたのそばにはいられない。
あのぬくもりはもう戻らない。
- 362 名前:12. 投稿日:2003/10/30(木) 13:56
-
さよなら…。
さよなら……。
さよなら………。
ごめんなさい……。
後藤さん……。
- 363 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/10/30(木) 14:01
- 今回はここまでです。短いですね……でもキリがいいんで。
とりあえずやっと戻ってきたって感じです。
>>351 名無し読者 様
レスありがとうございます
ハイ、辛いですね……前回も今回も……。
>>352 tsukise 様
いつもありがとうございます。
そしてすいません……進みませんでした(死
戻ってくるのでいっぱいいっぱいだったようで……。
次こそは!
- 364 名前:tsukise 投稿日:2003/11/01(土) 08:27
- 更新お疲れ様ですっ!
のぉぉっ!(マテ あぁ…痛いです…(涙
ここで、ごっちんと紺野視点が重なったわけですね…っ。
次回からの展開も、目が離せませんねっ!
楽しみにしていますので頑張ってくださいねっ!
- 365 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:29
- 目覚めたのはベッドの中。郊外で見つけた廃屋の地下室。いっさい日光が
差し込まないようにし、そこを勝手に使っている。
時計を見てみると、時刻は7時。でももちろん夜の、だけど。
そのまま外へ出た。もうすでに日は暮れている。
月は見えない。昨日新月だったしね、当然か……。
私は羽根を出すと飛び立った。
街へ。血を求めに。
別にどの街でもよかった。ニンゲンがいればいい。
でもなぜか私は…
今日もまたあの街へ向かってしまった……。
- 366 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:30
-
夜空の中から地上へと降り立つ。
するとそれを見計らっていたように、後ろから二つの影が近づいてきた。
ふり向くとそこにはダークハンターが二人。昨日のダークハンターの仲間だ。
「ヴァンパイアめ! 今日こそは狩らせてもらう」
「仲間の仇だ!」
私に向けられる二丁の銃。そして襲いくる銃弾。
ダメだ……。昨日のヤツとは違う!
再び飛び立とうとしたけどその前に羽根と腕に鋭い痛みが走った。
「ぐっ!!」
腕を押さえて私は走り出した。
背後で銃声が轟く。たまに私の身体に激痛が走った。
それでも私は走り続けた。心の中で助けを求めて。
助けて……、……さん……
- 367 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:31
- そのまま道を走り続けた。
すると突然路地裏から手が出てきて私の手を捕まえた。
「なっ! んっ……」
私が何か言う前にもう一本手が出てきて私の口を覆う。
私は一瞬にして路地裏に引き込まれた。
そのまま抱きしめられる。片方の手は私の口にあてたまま。
そして感じた。この香り……このぬくもりは……
ダークハンターが走り去っていく足音を聞きながら、私は優しすぎるぬくもり
だけを感じていた。
- 368 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:31
-
- 369 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:32
-
「はいっ、これで大丈夫」
「すいません……」
また連れてこられた後藤さんの部屋で私は手当てを受けていた。
初めて逢ったときと同じように優しく治療してくれる後藤さん。
でも今はそのぬくもりが……優しさが……
……辛すぎる……
「ありがとうございました……。それじゃ……」
「待って!」
お礼を言って去ろうとしたけど、それは後藤さんに止められた。
ふり向くと同時にまた後藤さんに抱きしめられる。
「あ、あの、後藤さん! 私……」
「ヴァンパイア……悪魔なんでしょ……?」
わかってるなら……どうして?
- 370 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:34
- 「昨日いっぱい考えた……。考えすぎて、寝れなくて、今日仕事でミスって
怒られちゃった……」
「・・・・・・」
「いっぱいいっぱい考えたんだけどさ……やっぱりコンノはコンノだよね」
「……えっ?」
後藤さんが何を言ってるのかわからなかった。それでも後藤さんは続ける。
「コンノはコンノだよ。たとえヴァンパイアでも……人間じゃなくても……」
「後藤さん……」
「コンノ……ちょっと待ってて」
一回私をギュッと抱きしめると後藤さんはそのままどっかへ行ってしまった。
私はそのままボーっとしていた。
- 371 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:35
- なんでそんなに優しいんですか?
悪魔だってわかってるのに……。
あなたと違うのに……私は人間じゃないのに……。
そのうち後藤さんが戻ってきた。
後藤さんを見てハッとした。その手にはナイフが握られていたから。
後藤さんはナイフを自分の腕にあてた。
- 372 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:35
- 「えっ!? 後藤さ……!」
「つっ……」
私の制止の言葉も待たずに、後藤さんは腕をナイフで切り裂いた。
後藤さんの顔が一瞬歪んだ。
傷口から血が滴り落ちる。
「血がいるんならごとーのをあげるから……。だからもう誰も傷つけないで……」
「後藤……さん……」
「嫌なんだ……コンノが誰かを傷つけるの……」
- 373 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:36
- 「……うっ……」
涙が溢れてきた。たぶん……泣いたのはこれが初めて。
「うっ…うわあぁぁぁん!」
泣きながら私は後藤さんの血を飲んだ。
後藤さんの血は甘くて美味しくて。
私が腕に吸い付いているあいだ、後藤さんはずっと頭を撫でてくれていた。
優しく…優しく……
- 374 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:38
-
「……ちょっと染みますよ?」
「うん……うっ……」
今度は私が後藤さんの手当てをする。
止血をし、消毒をしてから包帯を巻いた。
「でも大丈夫ですか、この傷? お仕事とかに影響あるんじゃ……」
「ん〜、リストバンドでもしてごまかすよ。自分でつけた傷だから」
「……すいません、私のために……」
「それは言わないでよ。ごとーが自分で決めたことなんだし。ねっ?」
優しい笑顔を向けてくれる後藤さん。
それは私の心を癒していく。
「はい……」
思わず頷いてしまったけど……でも……
こんな私でもあなたに甘えていいんですか? あなたを傷つけてしまっても
いいんですか?
- 375 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:39
- 「後藤さ……んっ!」
何か言おうとしたときには後藤さんの顔が目の前にあって。
次の瞬間には私の唇に後藤さんの唇が重なっていた。
えっ……?
初めて感じる感触にとまどう私。でも後藤さんはしっかり私を抱きしめてる
ため離れられない。
しばらくの間、私は目を閉じることさえもできなかった。
- 376 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:40
- 「ぷはっ……はぁ、はぁ……」
ようやく後藤さんが離してくれて、私は空気を求めて深く呼吸する。
後藤さんはとても優しい笑顔で……
「コンノ……好きだよ……」
「えっ?」
思わず固まってしまった。今……なんて言ったんですか?
「大好きだよ、コンノ……」
また囁かれる甘い言葉。
徐々に心が素直になって、徐々に顔が笑顔になる。
- 377 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:40
-
人間とか、悪魔とか
そんなこともう迷わなかった。
「私も後藤さんのことが大好きです!!」
- 378 名前:12. 投稿日:2003/11/05(水) 17:41
-
- 379 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/11/05(水) 17:45
- 今回はここまでです。
なんとかもちなおした……かな?
>>364 tsukise 様
ありがとうございます。
ハイ、痛かったですね……前回は……。
今回もちょっと別の意味で痛々しいですが、これも一つのカタチってことで。
- 380 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/11/05(水) 17:46
- 隠せ!
- 381 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/05(水) 17:47
-
さよなら…。
さよなら……。
さよなら………。
って淀川長治かい!
岡村さ〜ん何してはるんですかー
すいません。無視してくだされば幸いです
つい発作が・・・
- 382 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/05(水) 17:53
- 先ほどは失礼しました。ツッコミキティの血が騒いじゃって。
紺野さん良かった。ホントに。
二人に永遠の幸せが訪れる事を願います。
- 383 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/06(木) 20:09
- 良かった…。
なんだかホッとしました。
次回も期待してます
- 384 名前:tsukise 投稿日:2003/11/09(日) 12:55
- 更新お疲れ様ですっ!
ごっちんの優しさに、自然と頬を緩めながら見てしまいました〜っ!
これから色々問題はある二人の関係…まだまだ目が離せないですねっ!
次回も凄く楽しみにしてますので、頑張ってくださいねっ
- 385 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:32
- 久々に遅く起きたオフの日。
目を開けると目の前には愛しい恋人が安らかに眠っていた。
こんなにも無防備な姿を見れる幸せ。
そして一緒に朝をむかえられる幸せ。
こんな幸せがいつまでも続くものと思ってた……
- 386 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:32
-
13. 時間よ止まれ 〜Goto〜
- 387 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:33
- 今日は久々のオフなので朝(ていうかもう時間的には昼だけど……)寝坊。
でもあたしが目を覚ましたとき、コンノはまだぐっすりと眠っていた。
目の前にある可愛い顔。
我慢できずに一回だけキスをする。
「……んっ?」
ありゃ? どうやら起こしちゃったみたい……。
そっと唇を離すと、コンノの目がパチッと開いた。
- 388 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:35
- 「おはよ、コンノ」
「……あれっ?……後藤さんっ!?」
慌ててガバッと起きあがり、部屋を見回しているコンノ。
アハハ、どうやらずいぶんと寝ぼけているようで……。
「だいじょーぶだよ! 昨日のうちに日光は入らないようにしておいたでしょ?」
「あっ、そうですよね……ついいつもの癖で……」
あたしも起きあがってコンノを後ろから抱きしめる。
そのとたんにガチガチに緊張しちゃうところは出逢ったときからまったく
変わってない。
- 389 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:36
- 「だからさ、今日はずっと一緒にいてくれるんでしょ?」
「はい……ずっと後藤さんと一緒にいます」
コンノを自分の方に向かせて抱きしめる。するとコンノもおずおずとあたしの
背中に手をまわしてくれた。
そのまま顔を近づける。
赤い顔したコンノが目を閉じたのを確認するとそっと唇を重ねた。
それは永遠に続くような甘いキス。
- 390 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:37
-
「さってと、それじゃなんかご飯でも作るよ。なにがいい?」
「あっ、私も手伝いますよ!」
「ん〜、じゃあお願い。チャーハンでも作ろっか」
「はいっ!」
パジャマから着替えると、さっそくエプロンをつけてキッチンへと向かう。
恥ずかしがり屋のコンノはあたしが寝室を出て行ってから着替えるみたい。
「着替えさせてあげよっか?」って聞いたら即答で「遠慮します!」って
返されてしまった……。
- 391 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:38
- 暗いリビングへと入る。
外は晴れてると思うけど、あたしの部屋の窓には全て雨戸を閉めてカーテン
を敷いてある。
手探りでスイッチを探して電気をつけた。
まるであたしの部屋だけずっと夜のままみたい。
でもそれでもいい。
ずっとコンノと一緒にいられるなら朝なんか来なくていい。
外に出れば紺色の夜空が広がっていて、
月が優しく輝いていて、
となりではコンノが笑ってくれている……。
- 392 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:38
- 「お待たせしました、後藤さん!」
振り向くとあたしとおそろいのエプロンをつけたコンノが寝室から出てきた。
なんか妙に似合ってて見てるだけでほのぼのとしてしまう。
んっ? のろけ?
「あの……これであってますか?」
「うん、ばっちり! さて、それじゃ料理開始!」
- 393 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:39
- コンノを連れてキッチンへと入る。
当然ながらキッチンも真っ暗なので、電気をつけて、冷蔵庫から野菜を
取り出した。
「じゃ、コンノ、これ切って!」
「は、はい!」
まな板を並べて一緒に野菜を切る。
途中ちょっと紺野のほうを見てみると……
……えーと……
- 394 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:40
- 「あれっ? 後藤さんどこ行くんですか?」
「一応救急箱用意しとく……」
「なっ! それどういう意味ですか!」
「や、念のため……」
なんとなくコンノの手つきに不安を覚えたあたしは、最近やけに使う機会の
多い救急箱を取りにまた寝室へ。
「そ、そこまで不器用じゃないですよ〜! 完璧です!!」
キッチンからはコンノの抗議の声が聞こえてきたけど、その直後……
「あっ! 痛っ!!」
「……はぁ」
キッチンから聞こえた悲鳴に、あたしは溜め息をつきながら救急箱を持っ
て戻った。
- 395 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:40
-
「あ〜あ、まったく……」
「すいません……」
料理を中断してコンノの指を見てみる。
包丁で切ったみたいでちょっと血が滲んでいたけどたいした傷じゃない。
- 396 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:41
- 「ちょっと切ったみたいだね。一応消毒しとこうか」
「はい……すいません……」
救急箱の中から消毒液を探したけど……
あっ、もっといいこと思いついた!
コンノの手をそっと握る。
キョトンとしているコンノの顔を見て、ニヤッと笑うと、コンノの指を口に含んだ。
「えっ!? 後藤さ……んっ!」
舌で傷口を何度もなぞる。口の中に広がる鉄の味。
そのたびにコンノは身をよじって、なんか可愛い。
- 397 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:42
- 「はいっ、消毒終わり」
「ふ、ふつーに消毒してくださいっ!」
指を口から離してコンノの顔を見ると、コンノはやっぱり真っ赤な顔。
ついでにちょっと目が潤んでて。
これはひょっとして……
「もしかして感じちゃった?」
「! ち、違います!!」
「アハハ、わかりやす! にしてもなんか立場逆だねぇ」
「あ……う……」
まだ真っ赤になって俯いているコンノの指にペタッと絆創膏を巻きつける。
- 398 名前:13. 投稿日:2003/11/11(火) 17:43
- 「あとはごとーがやるからさ、コンノは待ってて。すぐ作って持ってくから」
「は、はい……すみません、余計に迷惑かけちゃって……」
「そんなことないって。気持ちだけでも嬉しいよ。ありがとね!」
まだちょっと赤いコンノのほっぺに一回だけキス。
そのあと料理を再開する。
コンノは一瞬フリーズしてたけど、そのあとすぐにリビングまで戻って行った。
肌色に戻りかけていた頬はまた真紅に染まってしまっていたけど。
- 399 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/11/11(火) 17:50
- 今回はここまでです。
わーい、甘い甘い!
今までの反動だろうか……?
>>381, 382 名無し読者 様
ありがとうございます。(同一人物でいいんですよね?)
いい反応がいただけてこちらも嬉しいです。
ツッコミは……すいません、元ネタわかりません……。
- 400 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/11/11(火) 17:55
- >>383 名無し読者 様
ありがとうございます。
安心していただけたようで。
今回はかなり甘めにしてみました。
今までのストーリーの中で一番甘いかも……
>>384 tsukise 様
ありがとうございます。
やぁっと少し明るくなってきた……でしょうか?
暗かった反動で今回は甘々です。
やっぱり甘いほうが書いてて楽しいです。
- 401 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/12(水) 03:18
- はじめて読みました。
つかの間の幸せ(?)感に妙に切なくなりました。
切ないと言えばミキティ…彼女にも救いというか幸せきて欲しいなぁ…。
面白いです。
続きに期待。
- 402 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 11:54
- そのあと急いでチャーハンを二人前作り、コンノの元へ持っていく。
コンノの前にお皿を置くと、すぐにコンノは満面の笑顔になって。
一緒に食べ始めるとコンノは「美味しいです!」と行ってすぐに全部食べて
しまった。
「……よく起き抜けにそんなに食べられるねぇ……」
「あっ…その……後藤さんの料理美味しいんで……」
「ごとーのもちょっと食べる? 食べきれなそうだし」
「あっ……じゃあいただきます!」
チャーハンをスプーンに盛ってコンノの方に差し出す。
コンノはそっと手を伸ばしてきたけど、あたしがしたいのはそうじゃないんだよ。
すっと手を引っ込めると、コンノの顔が少し曇った。
- 403 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 11:55
- 「あの、後藤さん?」
「あ〜ん!」
「……ぇえっ!?」
「だから、あ〜ん! 食べさせてあげるから」
「そ、それは……」
急に真っ赤になっておとなしくなるコンノ。
あはっ、可愛い! やっぱからかい我意があるねぇ。
でもスプーンを口許に近づけると、そっと口を開けてくれた。
そのままスプーンをコンノの口の中に入れる。
「おいしい?」
「はい……でもちょっと恥ずかしいです……」
「アハハ、可愛い!」
- 404 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 11:56
-
ブランチを食べ終わってなにしようかと考えていたら、コンノがまたCDを
聞きたいと言い出した。
やっぱり自分のCDを自分の前で聞かれるのはなんとなく恥ずかしいん
だけど……
でも目を輝かせているコンノの頼みは断りきれなくて。
観念して自分のCDをコンポに入れる。
「はぁ……」
曲が流れ出すとコンノはすぐにうっとりとした表情に。
そのまま並んでソファに座り、あたしはあたしの曲に聴き入っているコンノを
見つめる。
キラキラしている笑顔であたしの曲を聴いてくれるコンノ。
なんか……嬉しいな、こういうの。
- 405 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 11:57
- 「あっ、後藤さんが出演したテレビのビデオとかないんですか?」
「はあっ!?」
CDを全部聞き終わったコンノの第一声はこんな感じ。
いや、あることはあるけど……さすがにそれは恥ずかしすぎる……。
もしかしてさっきの仕返し?
「えーと……見たいの……?」
「はい! ぜひ!!」
はぁ……しょうがない……。
あんまり見せたくないんだけど……コンノの期待しきっている目を見ちゃうと
どうしても断りきれない。
まぁいいか……でもその代わり……
- 406 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 11:58
- 「じゃあコンノ、こっち来て」
ビデオテープをデッキに入れるとソファに座って、コンノを手招き。
コンノが隣に座ると同時にコンノの肩をギュッと抱き寄せた。
コンノの髪がそっと頬をなでる。
「えっ!? あの、後藤さん……」
「いいじゃん。ごとー的にはもっとぴったりくっつきたいんだけど、それだと
テレビ見づらいだろうからね」
「は、はい……」
コンノも最初は真っ赤になって緊張していたけど、あたしの歌が始まると
そっちに夢中。
やっぱりちょっと恥ずかしいけど、自分の歌にこんなにも夢中になってくれる
人がいて、しかもそれがあたしの好きな娘ってのはとても幸せなことだと思う。
テレビを見つめるコンノと、そんなコンノを見つめるあたし。
そんな楽しい時間は驚くほど早く過ぎ去り、気づいたのはたぶん外も
正真正銘の夜になっているような時間。
- 407 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 11:59
- 「あっ、もうこんな時間か……。夕ご飯作るよ。何がいい?」
「あっ、じゃあ私も……」
「んっ? 私も、何?」
「や、やっぱりいいです。残りのビデオ見てます」
「ケガしたらまた消毒してあげるよ?」
「い、いいです!」
赤くなってまたテレビに向かったコンノを見てクスッと笑う。
やっぱりコンノはからかうと面白いなぁ。
そんなことを考えながらエプロンをつけてキッチンへと向かおうと思ったけど、
あっ、その前に……
- 408 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 12:00
- 「コンノ」
「はいっ?」
「んっ、血」
「えっ……あっ……」
リストバンドを外して手をコンノの前に出す。
コンノは戸惑ったようにしてたけど、
「いいから、さっ! ていうか飲んでもらわないとごとーが困るから」
「は、はい……じゃあ失礼します……」
コンノはあたしの手を掴んで、手首にそっと噛みついた。
コンノの牙がチクッと腕に突き刺さる。
「っ……」
できるだけ声を出さないように歯を食いしばる。
少ししたあとコンノは口を離した。
- 409 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 12:00
- 「すいません、後藤さん……」
「あやまんなくていいから」
コンノの口についた血をそっと拭う。
そして夕飯を作るために立ち上がった。
ちょっとだけふらつく。貧血かな……。
「あ、あの! やっぱり私も手伝います!!」
「いいから、そっちのほうが心配だからさ。コンノはビデオの続きでも見てなさい」
そう言い残し、あたしはキッチンへと入っていった。
今日はなににしようかな?
- 410 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 12:02
-
結局夕飯はシチューにした。
やっぱりコンノは美味しいって言って食べてくれて、おかわりもしていた。
そのあとも引き続きビデオを見てまったりとすごして。
見終わったら恥ずかしがるコンノを引っぱって一緒にお風呂に。
コンノはやっぱりまだ慣れないらしく、しょうがないからまた泡を入れて
あげて、ようやく一緒に入ることを了承してくれた。
ただ今日はお風呂の中でもコンノを抱きしめて離さなかったけど。
- 411 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 12:02
- 「あの……後藤さん……」
「ん〜?」
「その……変なトコ、触らないでくださいね?」
「え〜? 変なトコってどこ〜?」
「えっと……それは……」
「ココ〜?」
「キャッ!! わかってるんなら触らないでくださいっ!!」
- 412 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 12:03
-
お風呂からあがると体が冷めないうちにベッドに潜り込む。
最初にあたしが入って。そしてそのあとに入ってきたコンノをすかさず抱き
寄せる。
コンノの髪からほのかに漂ってくるシャンプーはあたしと同じ香り。
前髪をよけて、おでこにふわっと口付ける。
- 413 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 12:04
- 「コンノ、明日はどうする?」
「明日は……帰ります。夜になったらまた来ます」
「そっか。明日はそんなに遅くならないと思うから」
「はい、わかりました」
「それじゃ、もう寝よっか」
「そうですね。おやすみなさい、後藤さん」
「おやすみ、コンノ」
どちらからともなく一回だけ唇を重ねた。
唇を離すとコンノの手を握りしめる。
指を絡めて、決して離れないように。
あとはお互いの体温を感じつつ眠りについた。
- 414 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 12:04
-
思えばこの時あたしはずっとコンノとくっついていた。
離れたくなかった。離したくなかった。
なぜだかこの手で繋ぎ止めていないと……
コンノが消えてしまいそうだったから……
- 415 名前:13. 投稿日:2003/11/15(土) 12:05
-
- 416 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/11/15(土) 12:11
- 今回はここまでです。
甘いんだか暗いんだか……。
>>401 名無し読者 様
ありがとうございます。そして初めまして。
ミキティは確かにストーリー上辛い役割になってしまいました。
でも私はみきごまも大好きなので機会があれば番外編でも書きたいなぁとは思ってるんですけどね。
いつになるやら……
- 417 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/11/15(土) 12:11
- 一応隠し
- 418 名前:tsukise 投稿日:2003/11/16(日) 20:15
- 更新お疲れ様ですっ!
うひゃぁ…、甘々モード展開中ですねっ!(ぉ
こっちまで恥かしくなってしまいます…(笑
ただ、微妙に二人に不安を感じてしまっていたり…。
これからも楽しみにしていますので、頑張ってくださいね♪
- 419 名前:モテごまlove 投稿日:2003/11/21(金) 11:07
- みきごま好きなんですよ〜☆☆
番外編に激しく期待してます!
- 420 名前:Interlude. 投稿日:2003/11/21(金) 16:24
-
Interlude. 決意を胸に 〜Konno〜
- 421 名前:Interlude. 投稿日:2003/11/21(金) 16:27
- そっと空から地上に降り立つ。
それと同時に羽根をしまう。
後藤さんと付き合いだしてからは時間いっぱいまで後藤さんの家にいるように
なっちゃったから、今日も戻ってきたのは日の出ギリギリ……。
でも私は日の出少し前のこの空が好きだった。
紺色から薄白い紫にかわった空。
もうじき太陽が昇り、世界を照らすだろう。
- 422 名前:Interlude. 投稿日:2003/11/21(金) 16:28
-
"マジカルアワー"
そう言われているこの時間。
夜と朝が交錯する一瞬。
私以外の全てのものに生を与える太陽を唯一感じられるとき。
この光景も今日で見納めになる。
深く心に刻み込んでおきたい……。
- 423 名前:Interlude. 投稿日:2003/11/21(金) 16:28
- 日が水平線の向こうから昇る前に部屋へと戻る。
そして大切にしまっておいた一枚のチケットを取り出した。
それは永遠への片道キップ……
- 424 名前:Interlude. 投稿日:2003/11/21(金) 16:29
-
- 425 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:30
- この数ヶ月、いろいろあった。
コンサートで全国を飛び回って。
ミキティと別れて。
コンノを好きになって。
いろいろあって、ありすぎて
忘れていたんだ……あの『約束』……
いつか……かるく交わした、あの『約束』を……
- 426 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:30
-
14. 晴れすぎた空 〜Goto〜
- 427 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:31
- 「うっわー、すっごい人……」
「ほんとだねぇ……」
「おぉ〜、楽しみだぁ!」
舞台袖からちょっと会場を覗き見てみたが、そこはもうすでに人で埋め尽
くされていた。
今回のコンサートのグランドフィナーレ。
数万人クラスの野外ライブ。もちろんあたしたちにとってもそれは初めての
経験。
「……なんかミキ緊張してきたよ……」
「ごとーも……こんなに集まってるなんて……」
「大丈夫だよ! あんなのジャガイモだと思ってれば!」
「「・・・・・・」」
- 428 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:31
-
控え室に戻って最初の衣装に着替える。
衣装に着替えると自然と気持ちも引き締まってくる。
「よしっ! じゃ、いつものやるよ!」
ミキティの合図とともに三人で手を重ねる。
「じゃあ今日で最終回です! 気合い入れていくよ!! がんばっていきまーっ……」
「「「しょいっ!!!」」」
- 429 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:33
- そのまま控え室からステージの下に移動する。
今日のステージは凝っていて、ステージの下から足場が盛り上がり、
あたしたちはそれに乗ってステージ上に登場する。
「よしっ、行くよっ!」
足場が動き出し、あたしたちはステージへと上がっていく。
それと同じようにどんどん高まっていく緊張。
しかし、昇降装置が止まり、あたしたちがステージ上へと出た瞬間、会場は
割れんばかりの拍手と歓声で包まれ、同時に今までの緊張は嘘のように
消え失せた。
三人で一度だけ笑顔を交わすと、あたしたちはマイクを握りしめながら
ステージへ散っていく。
「ごまっとうでーす!!! 今日も盛り上がって行くよー!!」
ミキティが叫んだ。
そして会場に鳴り響いたオープニング曲のメロディーに合わせて、あたしたち
は歌い、踊り始める。
こうしてあたしたちのコンサート・最終公演が始まりを告げた。
- 430 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:35
-
今日は最終公演と言うことで、特別にソロでの曲が三人とも一曲ずつ
増えている。
あたしの場合、新曲が間に合えば今日初披露となるはずだったんだけど、
残念ながら間に合わなかった。
レコーディングは終わったんだけど、まだダンスレッスンの途中……。
そのためあたしは2ndシングルのカップリング、「LIKE A GAME」が
追加された。
この曲ってけっこう「好きだ!」っていってくれるファンの人が多いんだけど……
ものすごくダンサブルで激しいので正直体力的にキツイです……。
踊るのは好きなんだけど……ねぇ……。
- 431 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:36
- 「ただいまぁ……」
ソロが終わって舞台袖に引っ込む。
「おつかれ、ごっちん!」
いつも通りまっつーと軽くタッチすると、入れ替わりでまっつーが舞台の上に
飛び出していった。
超がつくほど元気な声がステージの方から聞こえてくる。
「おつかれさまぁ、ごっちん」
「おぉ、ミキティ……」
「すごいダンスだねぇ。さすがごっちん!」
「まぁね。おかげで疲れた〜……」
「亜弥ちゃんとミキのソロが終わるまで休んでなよ」
ミキティはあたしの肩を押して、置いてあったパイプ椅子に座るように促した。
あたしは素直に椅子に座る。
ミキティはもう一つパイプ椅子を見つけてくると、あたしの隣に置いてそこに
座った。
- 432 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:38
- 無意識のうちにミキティの肩に頭をのせようとしたけど……
あっ、ダメか……もう恋人同士ってわけじゃじゃないんだし……
肩につく寸前で慌てて頭を起こしたけど、次の瞬間にはミキティに頭を引き
寄せられ、結局あたしの頭はミキティの肩に落ちた。
「えっ!? あ、あの……ミキティ?」
「ん〜?」
「いや……あの……その……」
「……あのさぁごっちん、そんなに意識しすぎないでよ」
「えっ?」
「ミキたちはもう恋人同士じゃないけどさ、友達でしょ? 仲間でしょ? 少し
くらいなら甘えてくれたって全然かまわないからさぁ」
何気ないセリフだけどそこからミキティの優しさが伝わってくる。
そっと力を抜いてミキティに体重をあずけた。
「じゃあちょっと肩かして」
「んっ、おやすい御用さ」
そのままあたしはミキティの肩に寄りかかっていた。
頬に伝わるミキティの体温は心地良くて……
まっつーが帰ってくる頃には少しうとうとしていた。
- 433 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:38
-
- 434 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:39
- 「どうもありがとう! バイバイ!!」
そう会場の方に手をふってあたしたちは舞台裏まで戻る。
それと同時に沸き上がる「アンコール!」の声援。
アンコール用の衣装に着替えて戻ってきても、会場のアンコール声援は
とどまることを知らずに響き渡っている。
「これでほんとに最後の曲だねぇ〜」
「そうだねぇ」
「もう一回やっとこうか、コレ」
そう言ってミキティが手を前に出した。
あたしとまっつーも顔を見合わせて微笑むと、ミキティの手に自分の手を
重ねる。
「それじゃぁ、ホントのホントに最後です! 全部ステージ上に出しきって
こよう! いっくよー、がんばっていきまーっ……」
「「「しょいっ!!!」」」
- 435 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:40
- それを合図にあたしたちはステージ上に飛び出していった。
その瞬間に会場のボルテージは最高潮に。
「アンコールど〜もありがと〜!!!」
最初にまっつーが叫ぶ。そのあとをミキティが引き継ぐ。
「最後はミキたち「ごまっとう」の記念すべきデビュー曲です!!」
会場がさらに熱を増す。あたしも同じように叫ぶ。
「盛り上がって行くよー!!」
「「「SHALL WE LOVE?」」」
- 436 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:40
- ステージ上に設置された特大スクリーンにPVの冒頭の部分が映し出される。
『バイトなんかしてないじゃん』
最後のミキティの台詞とともに鳴り響くメロディー。
それと同時にあたしたちは歌い、踊り出す。
コンサートの最後を締めくくる曲。
あたしたち三人の一糸乱れぬダンスと、次々と移り変わっていくヴォーカル。
そして時折重なるハーモニー。
あたしたちが始まった歌。バラバラだった三人が一つに集まって作り上げた歌。
この歌はあたしたちにとって忘れられない歌になるだろう。
- 437 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:41
- そんなことを思いながらセンターで自分のパートを歌い上げ、ミキティと
場所を交換したとき、あたしは見た。
フッと見た会場。目にとまった、天気は快晴で気温も平年並みより高く、
そのうえ会場はすごい熱気に包まれてるにもかかわらず分厚いコートを
着てフードまでかぶっている子。
暑くないのかな?
ちょっと気になったけど、その子はすぐに人混みの陰に隠れてしまった。
そしてあたしはそんな考えを断ち切って最後のダンスと歌に集中した。
- 438 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:42
-
永遠と思われる時間にも終わりはくる。
無我夢中で体を動かし、歌を歌っていたあたしたちもピタッと止まった音楽に
合わせてそれらをやめる。
「どうもありがとう〜!!」
ミキティが一歩前に出て一番最初に叫んだ。
あたしとまっつーもミキティに並び息を吸う。
最後は三人で一緒に。
「「「ごまっとうでした〜!!!」」」
その瞬間会場は今までで一番の拍手に包まれた。
会場に手をふり、名残惜しいけどステージから退場する。
それでも会場の熱気はまだまだ冷めなそうだけど。
- 439 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:43
- 「終わったね〜!」
舞台裏まで来ると三人で抱き合う。
2ヶ月半のあいだ一緒に作り上げてきたものが、今最高の形で幕を閉じた。
会場と同じように、あたしたちもまだ余韻が冷めやらず、みんな異常なまでに
ハイテンションで控え室まで戻った。
控え室に入ってもあたしたちのテンションは変わらない。
それぞれこの2ヶ月半の思い出話を口々に言い合っては笑いあっていた。
- 440 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:44
-
「ふぅ、ちょっと松浦のど乾いちゃったから飲み物もらってくるねぇ〜」
「あっ、じゃあついでにミキのも!」
「ごとーも!」
「はいは〜い!」
しばらく経ってようやく落ち着いてくると、まっつーが飲み物をとりに控え室を
出ていった。
ついでだからあたしとミキティも飲み物を頼む。
「そういや、ごっちんさぁ」
「んっ?」
「あの娘は呼んだの? コンサートに」
あの娘? あぁ、コンノのことか。
そういえば前にチケットあげたっけ。
でもあの時あたしはなんにも知らなかったから。
「前に誘いはしたんだけど、彼女は来れない……」
- 441 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:46
- ―― コンノに来てほしいなぁって思って
―― い、行きます! 絶対行きます!!
―― 最終公演はさ、ぱーっと野外の特設会場でやるんだよね! すっごく盛り上がるよ〜!!
―― や、野外ですか……
―― うん、そだけど。あれっ、なんか問題でもある?
―― いえ、すごいなーって思っただけです。……楽しみにしてますね! 絶対見に行きますから!
ふいにそんなやりとりが頭に浮かんだ。いや、正確には思い出した。
- 442 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:47
- ―― 絶対見に行きますから!
―― 絶対見に行きますから!
―― 絶対見に行きますから!
そこだけが頭の中でリフレインする。
きっぱりと言い切った口調。
そのあと見せた綺麗で可愛い笑顔。
そして……今日会場で見つけたコートの子……。
まさか……
まさか…………
最悪の展開が頭の中をよぎった。
- 443 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:47
- 「まさかっ!!」
そう叫んで立ち上がったときには走り出していた。
衣装のままで、ミキティの声も聞かずに楽屋を飛び出す。
廊下を走り抜け、さっきまであたしたちが歌っていたステージの舞台裏まで
たどり着く。
そのまま客席の方に飛び出して、会場を一望した。
もうさすがにみんな帰ってしまっていて、しーんと静まりかえった会場。
その会場の中で見つけた……。「SHALL WE LOVE?」の途中で
目にとまったあの子が倒れてるのを。
- 444 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:49
- 「コンノっ!!」
叫んでまた走り出す。
その子の元にたどり着いて抱き起こし、フードを取ってみると、やっぱり
それはコンノだった。
苦しそうに息をし、瞳は閉じられている。
その身体がなぜかとても軽く感じた。
「コンノっ! 目開けてよ!!」
身体をつかんで揺さぶると、やっとコンノは少しだけ目を開けた。
「あっ……後藤さん。……ずっと…見てましたよ……」
「見てましたよ、じゃないよっ! だってコンノ……あんた日光は……」
「……はい。日光が当たるところにいれるのは長くても1時間が限界です。
……でも、後藤さん……私……耐えられましたよ、後藤さんが歌っている
あいだ、ずっと……。後藤さんを見てたら……なんだか苦痛も忘れるくらい
引き込まれちゃって……」
必死で笑顔を作っているコンノ。
目に涙が溢れてきた……。
- 445 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:50
- 「バカっ! どうしてこんなこと……」
「……約束しましたから……「絶対見に行きます」って。それに……私一回
見てみたかったんです……後藤さんが歌ってる姿を生で……。ステージの
上の後藤さん……とってもカッコよくて、ステキで……輝いてましたよ……
眩しすぎるくらいに……」
「バカ……そんなこと言ってくれたらいくらでも見せてあげたのに……」
その時そっと抱いていたコンノの右肩から右手にかけてが不意に崩れた。
腕は砕けて黒い灰になり、風に乗って舞い上がっていく。
コンノは「やっぱりもう限界みたいです……」と弱々しく呟いた。
- 446 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:52
- 「……どうなるの?……死んじゃうの、コンノ……?」
もはや現実を受け入れるしかない。
目から我慢していた涙がこぼれ落ちた。
「……厳密に言えば死ぬことはありません……。私という存在と肉体が
消滅し、私の魂は別の存在となって、またこの世界の中に組み込まれます……」
右腕の次は右足が消失した。
「次もまた悪魔になるかもしれません。全く別の生命体になるかもしれません。
でも……」
左足と左手が一斉に砕けた。
「もしも私なんかの願いが叶うなら……次は後藤さんと同じ人間になりたい……」
「コンノ……」
「でも、もしなれたとしても、記憶も消えちゃうから後藤さんのことは覚えて
ないんですけどね……」
もう胴体と頭だけになってしまったコンノを必死で抱きしめた。
- 447 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:54
- 「ほんとにもう時間みたいです……。後藤さん、あなたとすごしたのは少し
のあいだでしたけど……私は生きてきたなかで一番幸せでした……」
「・・・・・・」
「後藤さん、―――――」
「えっ!?」
思わず見たコンノの顔は笑顔だった。
それがコンノの最期の顔。
あたしの腕の中でコンノの身体は全て砕けて灰になった。
コンノだった灰が風に乗って空へと舞い上がっていく。
それは真っ赤な夕日に照らされて、輝いて、まるでコンノが「サヨナラ」を
言っているようだった。
「あっ…………」
あたしは涙を拭うことも忘れ、その場に座り込んだままただただその光景を
眺めていた。
- 448 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:54
-
耳の中、コンノが言った最期の言葉が残っている。
―― 愛してます……ずっと……。
- 449 名前:14. 投稿日:2003/11/21(金) 16:55
-
- 450 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/11/21(金) 16:59
- 今回はここまでです。
次回の更新で完結です。
>>418 tsukise 様
>>419 モテごまlove 様
レスありがとうございます。
個別には次回で改めて返しますので今回はまとめててでご容赦を。
- 451 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/11/21(金) 16:59
- 隠
- 452 名前:つみ 投稿日:2003/11/21(金) 17:01
- んあ〜・・・
こんの〜〜〜!
こうなる予感はしてましたけど・・・
どうにか2人には幸せになってほしいですね・・・
ラストの更新も楽しみに待ってます!
- 453 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:17
-
Epilogue. めぐり逢う世界 〜Goto〜
- 454 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:17
- 2ヶ月半にもわたったあたしたちのファーストコンサートは大盛況のなか
幕を閉じた。
そしてあたしたちは通常の、それでもじゅうぶんに忙しい仕事に戻る。
あたしの新曲もダンスレッスンが終わり、あともう少しで完成というところに
なった。
そんななか、あたしはあたしたちのプロデューサーであるつんくさんのもとを
訪ねた。
- 455 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:18
- 「失礼します」
「んっ? おぉ、後藤か。どないしたんや?」
「あの、今回の新曲のことなんですけど……」
「あぁ、悪い! もうちょっと待ってくれへんか? まだちょっといろいろと
迷ってんねん」
「そのことなんですけど……」
あたしはつんくさんに自分で描いたラフスケッチを渡した。
「こんな感じで行きたいんですけど……どうでしょうか?」
- 456 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:20
- つんくさんはしばらくラフスケッチをじっと見てたけど、顔を上げるとあたしに
笑いかけた。
「なるほど。奇抜やけどけっこう曲にあってるかもしれへん。意外性もあるしな。
検討してみるわ」
「あ、ありがとうございます」
お礼を言って立ち去ろうと、身体の向きを変えたところでつんくさんに
止められる。
「しっかし後藤もずいぶん思いきったことするなぁ……。なんかあったんか?」
「えぇ、ちょっと……」
あたしはそのままつんくさんの部屋をあとにした。
その後、結局つんくさんはあたしのアイディアを採用してくれた。
2種類のPVやジャケットなどの写真の撮影を終えて、ようやくあたしの
新曲は完成した。
- 457 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:21
-
新曲ができれば、そのあとはプロモーションでまた忙しくなる。
雑誌の取材、ラジオの出演などあるけど、今日は音楽番組の収録。
あたしは自分でデザインした衣装(今日は紫バージョン)を身に纏い、
その上にジャンパーを羽織ってスタジオへと入っていった。
「よろしくお願いしま〜す!」
あたしがスタジオにはいると同時にスタッフさんが撮影の準備に取りかかる。
あたしはジャンパーを脱ぎ捨て、マイクを持ってセットの真ん中に立った。
その時またちょっとだけコンノのことを思い出した。
- 458 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:22
- コンノ……どこかで見てるかな? あたしは元気でやってるよ。
願いが叶って人間になれた? それともまた悪魔なのかな?
どっちでもいいよ。どっちでも絶対あたしがもう一度見つけてあげる。
もしもまた悪魔だったら……
あたしだって悪魔になってあげるよ!
- 459 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:22
- スタジオに音楽が鳴り響く。
あたしもマイクを持ち上げると、体を動かしながら新曲を歌い始めた。
「♪ DRYに抱きしめて〜 うわさのSEXY GUY!」
- 460 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:23
-
「……はいっ、OK!」
音楽が止まり、しばらくするとディレクターさんの声がスタジオに響き、
収録の終わりを告げる。
「おつかれさまでした〜!」
あたしはステージから降りると、収録前に脱いだジャンパーを手に取り
スタジオをあとにしようとしたんだけど……
パチパチパチ!
スタジオの入り口の方で拍手が聞こえたのでその方向を見てみると、
そこにはミキティとまっつーが立っていた。
- 461 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:25
- 「おつかれ〜、ごっちん!」
「おつかれさま〜!」
ととと、っと寄ってきたミキティとまっつーはあたしの衣装の羽根をいじったり、
突っついたり……。
「おぉ〜、ごっちんせくすぃ〜!」
「なになに、今日は? なんで二人ともここにいるわけ?」
「んっ? あぁ、ちょっと用事があってさ、迎えに来たのよ! とりあえずは
楽屋行こ!」
というわけであたしはミキティとまっつーを連れて楽屋まで戻ってきた。
でも今日は一人用の楽屋なので三人も入るとちょっと狭い……。
特に羽根が場所をとって……。
なのであたしはさっさと私服に着替えた。
- 462 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:26
- 「で、なんなの今日は? 確かみんなこのあとはもう仕事ないよね?」
「んっ、その件に関しては亜弥ちゃんど〜ぞ!」
「はぁ〜い! あのねぇ、オーディションの合格者が決まったんだって!」
「オーディション?」
あっ、そういや確かコンサートが始まったくらいの時にまっつーがそんなこと
言ってたかも。
忙しすぎてすっかり忘れてたよ……。
「そ。ミキたちの妹分がようやく決まったってわけ。で、このあとご対面する
からごっちんを呼んでこよう、ってことでミキたちが来たの」
まっつーの説明をミキティが引き継ぐ。
なるほどね、そういうことか。
「もうスタジオに集まってるらしいから、ミキたちもさっさと行くよ」
「はいは〜い!」
三人で楽屋を出て、スタジオへ向かって歩く。
あたしたちの妹分かぁ……どんな娘たちなのかなぁ……。
- 463 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:27
-
やがてあたしたちは一つのスタジオの前にたどり着いた。
ミキティが一つ深呼吸して扉を開ける。ミキティもちょっと緊張してるみたい。
ミキティがスタジオに入り、まっつーもそれに続く。
あたしもスタジオに入ろうとして……足が止まった。
キレイに整列した四人のなかに、あの娘がいたから。
- 464 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:28
- 「それじゃ、一人一人自己紹介してもらおうかな」
あたしたちも彼女たちに向かい合って並ぶとミキティがそう促した。
「はいっ、高橋愛です。よろしくおねがいします!」
最初は一番左にいた、ちょっと訛った女の子。
「小川麻琴です。よろしくおねがいします」
次はそのとなりの、おっとりしたような女の子。
「新垣里沙です。よろしくおねがいします!」
背が低いけど、活発そうな女の子。そして……
「あっ、こ、紺野あさ美です! よ、よろしくおねがいします!」
ミキティがちょっとあたしのほうを見た。
ミキティが言いたいことはなんとなくわかった。「あの娘?」と問いかけたい
のだろう。
あたしは小さく首を横に振った。
- 465 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:29
- 「それじゃ、一応ミキたちも自己紹介しとこっか。といっても必要ないだろうけど。
あたしは藤本美貴。よろしく!」
「松浦亜弥です! わからないことあったらなんでも聞いてね!」
「後藤真希です。よろしくね」
そのあとあたしたちは一人一人と握手をすることになった。
あたしも高橋、小川、新垣と握手をして、次はあの娘。
あたしがそっと手を前に出すと、急に赤くなってもじもじし始めた。
- 466 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:30
- 「あ、あのっ! ずっと憧れてました!」
顔は赤かったけど、声も小さかったけど、その言葉ははっきりとあたしに
伝わった。
笑顔を返し、手を取って握る。
小さくて…暖かくて……変わらない手。
ちょっと前を見るとそこにはさらに真っ赤になった顔。そんなところも
変わらない。
よかった……また逢えたね……。
今度は絶対幸せにするから。歌だっていくらでも生で聞かせてあげるから。
ずっと一緒にいるから。
もうこの手は離さない。
少し手に力を入れて、最高の笑顔を向ける。
- 467 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:30
-
「よろしくね……紺野!」
「ハ、ハイッ!!」
- 468 名前:Epilogue. 投稿日:2003/11/25(火) 11:31
-
紺夜 君と……
〜 Fin 〜
- 469 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/11/25(火) 11:38
- は〜い、終わりました〜! これにて「紺夜 君と……」完結です!
いろいろとツッコミどころ満載なエンディングですがどうしてもハッピーエンドにしたかったので……。
一応番外編……というかアフターストーリーなんかも作ってあります。
でもちょっとした都合で少し間が空くと思います。
なのでもしよければもう少しお付き合い下さい。
最後に応援してくれた方、レスくれた方、読んでくれた方、本当にありがとうございました。
またいつかどこかで……。
- 470 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/11/25(火) 11:49
- >>418 tsukise 様
いつもありがとうございます。
最終的にはこんな形になりました。
もともと決めてたエンディングでしたが、それでもやっぱり暗いシーンは書くのきつかったですね。
あっ、読んでるほうがもっときついのか……?
>>419 モテごまlove 様
レスありがとうございます!
番外編はもうちょっとあとになっちゃうんですけど、みきごまも予定してます。
なのでそれまで少しお待ち下され。
>>452 つみ 様
レスありがとうございます!
はい、ラストはこうなりました。
一応自分では幸せにしたつもりですけど……どうでしょうかね?
- 471 名前:つみ 投稿日:2003/11/25(火) 15:34
- かぁ〜〜!!そうきましたか〜!!
いろいろ最後には絡んできましたね〜^^
微妙なリアル感がたまりませんでした!
本当に長い間お疲れ様でした。
アフターストーリーもどれだけでもお待ちしていますんでじっくりゆっくり
頑張ってください!
- 472 名前:tsukise 投稿日:2003/11/25(火) 23:04
- 脱稿お疲れ様ですっ!
暗いシーン…確かに読んでる方も痛かったですねー(ニガワラ
でも、ラストは二人のこれからを暗示させるカンジで
自然と頬が緩んでしまいました〜っ♪
アフターストーリーもマターリお待ちしていますので、頑張ってくださいね♪
- 473 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/01(月) 01:57
- 完結おめでとうございます。
ずっとROMっていたんですが、完結ということで
思い切ってカキコさせていただきました。
後藤さんも紺野さんもホントに素敵でした。
素晴らしいお話を読ませていただきありがとうございました。
アフターストーリーの方も楽しみにしております。
ホントにお疲れ様でした。
- 474 名前:名も無き受験生 投稿日:2003/12/06(土) 23:25
- 初めまして!最近この小説を見かけたのですが(遅!!)
感動です(泣)スゴクよかったです。
特に、ミキティとごっちんが別れる所「えぇ〜っ!意外な展開になって来たぁ!」
とか、思いながら.....泣きそうになりました(ってか泣いてました)
もっと、スゴかったのが最後!コンノが消えてしまう所。(めちゃ泣いた)
コンノがチケットを取り出した所から「えっ....もしかして」って思ったけど案の定ソウナリマシタ.....
スゴクイイお話でした&お疲れ様でした(だから遅いって)
僕が、これをカキコしている頃には多分カイトさんはこれを呼んでいないでしょうけど.......
とっても、イイお話でした....それと、ありがとうございました
- 475 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:19
- 「じゃあ、後藤さん! 明日行きますんで!」
「うん、待ってるよ! オヤスミ!!」
「はいっ、おやすみなさい!」
明日は久々に紺野とオフが重なったので、紺野があたしんチに来ることに
なった。
紺野を家まで送ったあたしははずんだ気持ちのまま家まで帰った。
……んだけど……
「……これじゃ紺野入れらんないよ……」
あたしの部屋は案の定、これでもかってほど散らかってる……。
「はぁ、しょうがない……」
仕事で疲れてるけどそんなことも言ってらんない。
あたしは残りの体力を総動員して部屋を片づけることにした。
- 476 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:20
-
Extra Story1. 星が見える場所で 〜Goto〜
- 477 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:22
- とりあえずは床に散らかってる服を全て洋服ダンスに押し込む。
これだけでもけっこう違う。でもやり出すと止まんないんだ、あたしは。
服の次は本やらアクセサリーやらを決めてある収納場所に入れていく。
「あとは……あれ、これってアルバム?」
掃除を進めていくとなぜか床に置いてあったアルバムを発見した。
あれっ? こんなんいつ使ったっけ?
ちょっと考えて思い出した。
確か紺野と撮った写真を現像したからアルバムを整理しようとしたんだ。
でも確か中途半端でやめてしまったはず。
- 478 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:23
- アルバムを掴んで持ち上げると、そこから何枚かの写真が滑り落ちた。
あぁ、抜く写真(主に紺野に見せられないような写真……)を選んだところ
まではやったんだった……。
落ちた写真の一枚を拾い上げて見てみる。
そこには今よりほんの少しだけ若いあたしとミキティが写っていた。
あたしがミキティを後ろから抱きしめている。
あれ? でも、これって確か……
ちょっと長めのお休みをもらったときに、ミキティと一緒に行った旅行の
時の写真じゃ……
何枚かあった漆黒の夜空を背景に撮られた写真。
一枚一枚並べていくと、その時の情景が昨日のことのように思い出された。
- 479 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:24
-
- 480 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:24
- 「ミキティ、オフはどうすんの?」
「ん〜、ちょっと実家に帰る……。親がたまには帰ってこいってうるさくてさぁ……」
「そっかぁ……一緒にすごそうと思ってたのに、残念……」
「ゴメンね。……あっ、そうだ!」
「んっ?」
「それならごっちんも一緒に来てよ、北海道!!」
「へっ!?」
きっかけは単純で簡単なもの。
ミキティに誘われた。そしてあたしも特にやることもなかったのでミキティの
帰省に便乗したって感じ。
北海道はライブやらロケでは行ったことあったけど、プライベートで行くのは
初めてだった。
- 481 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:27
-
「ふわぁあ〜、涼し〜い……。」
空港から出てきたあたしたちを北海道の涼しくからっとした空気が出迎えて
くれた。
やっぱり北の地だけあって関東と気温が違う。
そして風も湿ってなくて気持ちいい。
「さ、行こう! いろいろと案内してあげるよ」
「うん!」
ミキティにエスコートされていろいろなところを見てまわった。
海やら草原やら……そのどれもが東京とは規模が全然違う。
それで日も暮れかけた頃にミキティの実家へと案内された。
ミキティの家族はあたしを温かく出迎えてくれて。
バイオレンスなあたしの家族とは大違いだよ……。
- 482 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:28
- 「はぁ、美味しかった!」
「でしょ? 北海道の魚は美味しいでしょ〜!」
「うん! 新鮮だね。さすが本場!」
夕食をご馳走になったあたしはミキティの部屋でくつろぐ。
こっちのミキティの部屋は普通の一人部屋。やっぱり実家ではアイドル
じゃなくてただの女の子。
でもここで二人寝るとちょっときついかも……。
あぁ、でも関係ないか! 一緒にベッドで寝れば済むことだよね!
さすがにちょっとうるさくはできないけど。ちゃんと我慢してよ、ミキティ。ムフフ……。
- 483 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:29
- 「一人でなにニヤニヤしてんの?」
「えっ? いや、別に。なんでもないよ」
どうやら考えが顔に出てたみたい。危ない危ない。
「ふーん、まぁいいけど。それよりさ、ちょっと外に出てみない?」
「えっ、外? もう夜だよ? 真っ暗だよ?」
「夜だからだよ。東京じゃ見られないもの見せてあげる。ねっ、行こっ!」
急な提案にとまどっているあたしをミキティは強引に引っぱって。
「近くの公園まで散歩に行ってくる」と言い残すと、そのまま家の外に連れ出された。
- 484 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:30
- 「ほらっ!」
「うわ……」
外に出たあたしを待っていたのは、東京のような紺色じゃなく、漆黒の夜空。
そして黒い絨毯の上に散りばめられた宝石のような満天の星だった。
「すっご〜い!!!」
「東京じゃ空が明るすぎて見れないでしょ、こんな夜空は」
「うん……」
ずっと上を向いているあたしの手を取ってミキティは歩き始めた。
あたしはずーっと星を見上げていて無口になっていた。
ミキティもそんなあたしを見ながら特に話しかけてこないで歩き続けた。
- 485 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:31
-
連れてこられたのは小さな公園。
二人並んで小高くなった丘に腰をおろしたけど、それでもあたしはずっと
天を仰いでいた。
誰もいない、時が止まってしまったような小さな公園。
感じるのはとなりにいるミキティと、そっと通り抜けていく北海道の風たけ。
北海道の風って関東と違いさっぱりしてて気持ちいいんだけど……
やっぱりちょっと肌寒くて……
「……ハックシュン!」
静かな公園にあたしのくしゃみが響き渡った。
「アハハ! やっぱりちょっと寒い?」
「うん……ちょっとね。もうちょっと着てくればよかった……」
「じゃあこれ着てなよ」
「えっ……」
ミキティは着ていた上着を脱いでそっと掛けてくれた。
優しい暖かさがこもっていて、熱を取り戻していくあたしの体。
- 486 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:33
- 「でもそれじゃミキティ寒いでしょ」
「ミキは大丈夫だよ! 慣れてるもん!」
「うそ! ミキティ冷え性でしょ!? それに風邪なんかひいたら大変だよ!」
「そうだけどさぁ……」
「あっ、そうだ! それなら……」
ミキティが掛けてくれた上着に袖を通すと、あたしはミキティの後ろに移動した。
そしてそこに座ると、ミキティを後ろからギュッと抱きしめる。
「ごっちん……」
「これなら二人とも寒くないでしょ?」
「……そうだね、温かいよ……」
「ごとーも……温かい……」
ミキティの服があたしを包んで、あたしがミキティを包み込んで……
あたしたちは寒空の下、ずっと星を眺めていた。
あたしが前に回した手に、ミキティがそっと手を添えて……
そこからもミキティのぬくもりが伝わってきた。
- 487 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:33
- 「それにしてもすっごい数の星だねぇ……」
「そうだね」
「何個あるのかなぁ? 数えてみよっか!」
「やってみれば?」
「ミキティも一緒にだよ!」
「え〜? しょうがないなぁ」
「……いくよ?」
「うん」
「「い〜ち、にぃ〜、さ〜ん……」」
…………
- 488 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:34
- 結局そのあと途中で諦めたあたしたちは、写真を撮ったり語りあったり
遊んだりして、気がついた頃には夜明けが近かった。
また丘に座って空を見上げながら、ゆっくりと流れていく雲と、徐々に明るく
なっていく空を見つめていた。
まぶしい朝日の中で一回だけキスした。
そのあとはミキティの家に帰って二人で眠った。
ミキティのぬくもりに包まれて。
ミキティをぬくもりで包み込んで。
- 489 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:35
-
- 490 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:36
- 「……懐かしいなぁ……」
いつの間にかあたしはベランダまで移動し、空を見上げていた。
北海道とはだいぶ違う、紺色の空。
そしてあたしたちの関係もかわってしまったけれど、あの時ミキティと一緒に
見た夜空は決して忘れない。
風が少し出てきたので室内に戻る。
するとちょうどカレンダーに目がとまった。
もう12月。季節は冬。いろいろとイベントが尽きない季節。
もうすぐクリスマスで、そしたらもう今年も終わり。
新年になったらそのあとは……
あとは……
「あっ……そういえば……」
- 491 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:36
- その時急にあたしの携帯が鳴った。
それは紺野からのメールで、それであたしは我に返った。
やばっ! だから明日紺野が来るんだって!! まだ片づけ終わってないよ!
写真を揃えて机の引き出しに入れ、あたしはまた掃除を再開した。
- 492 名前:Extra Story1. 投稿日:2003/12/10(水) 01:36
-
- 493 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/12/10(水) 01:44
- はい、予告しとった番外編です。
一発目はごまみきで。本編は暗めだったのでこっちは割とほのぼのと。
こんな感じでいくつか短編で書いてくつもりです。
一応完全なリアル設定でも読めたり……。
でも次は……い、1ヶ月くらい先かな……(汗
>>471 つみ 様
レスありがとうございます!
微妙なリアル感というのは一応狙ってたものなので、良い感想がいただけて嬉しいです。
しかしアフターストーリーはもっとリアルに……。
不定期になりそうですけど頑張ります!
- 494 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/12/10(水) 01:54
- >>472 tsukise 様
ありがとうございます!
その後の二人は今のところ一応こんな感じに……。
今回はごまみきですがそのうちある……かも……?
本当にじっくりゆっくりになりそうですが……お、お待ち下され……。
>>473 名無し読者 様
レスありがとうございます!
感想とても嬉しいです。そこまでほめられると少々照れますが(^^…
アフターストーリー期待に添えられるように頑張ります。
>>474 名も無き受験生 様
レスありがとうございます!
あはは、しっかりと読んでました。一応もうちょっとだけ続くんで。
そして私の話で泣いて下さってありがとうございます。
いろいろと大変でしたが嬉しい感想をいただけると報われますね。
こちらこそありがとうございました。
それと受験頑張って下さい。
- 495 名前:名も無き受験生 投稿日:2003/12/10(水) 03:42
- レスありごとうございます(泣)
感激です!!!!
エクストラストーリー........イイ。まさか、こんなにも早く続編が出来上がるなんてスゴイですねぇ!
いつも、これを読むときは顔がついつい、にやけてしまいます(おいおい)
ぼくは、ミキティ&えりりん&愛chanファン(欲張りやなぁ)としてはかなりうれしいです。
続編、たのしみにしてます!
お互い、がんばりましょう(おぉ〜!)
- 496 名前:つみ 投稿日:2003/12/10(水) 13:36
- 短編ありがとうございます!
おいしくいただきました!
次回もまってます。
- 497 名前:モテごまlove 投稿日:2003/12/10(水) 21:34
- 短編いいですねぇ〜☆☆
というより、ごまみきいいですねぇ〜(w
和みました。
- 498 名前:エムディ 投稿日:2003/12/16(火) 21:43
- 最初からいっき読みました。すっごくいいです!!
ごまみき好き好き〜!まあ〜最後は後紺になりましたけど…
ごまみきが別れた時、マジで泣きました(泣
Extra story も楽しみしています。特に過去のごまみき(しかもラブラブ?)も読めるなんて嬉しいです。
頑張ってください!
- 499 名前:tsukise 投稿日:2003/12/18(木) 18:25
- 続編Upお疲れ様です♪
ミキティとの過去…いいカンジですね〜。
本編が切なかっただけに、ちょっと嬉しいですっ!
次回も楽しみにしていますので、がんばってくださいね♪
- 500 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/12/23(火) 01:29
- レスありがとうございます!
>>495 名も無き受験生 様
ありがとうございます。
はい、私も書いてるときついついにやけてます(マテマテ
続編もうちょっと続きます。ミキティも出てきます。
期待に応えられるよう頑張ります。
>>496 つみ 様
こちらこそありがとうございます。
お粗末様でした。
次回はもちっと後に。
>>497 モテごまlove 様
はい、十分存じております
和みましたか。嬉しいです。
ありがとうございました。
- 501 名前:片霧 カイト 投稿日:2003/12/23(火) 01:35
- >>498 エムディ 様
ありがとうございます。
私も書いてくうちにどんどんごまみき好きになってました。
私の小説で泣いてくださってありがとうございます
>>499 tsukise 様
ありがとうございます。
ホントに本編ではいたかったですから……。
できるだけ番外編は明るい……というか甘いストーリーにしたいです。
次のエクストラ・ストーリーは年明けくらいに書くつもりです。
それまでお待ちください。
そして管理人様。いつもお世話になっています。
まだちょっと書きたいことが残っているため、整理しないでくださると幸いです。
- 502 名前:名も無き受験生 投稿日:2003/12/25(木) 16:53
- メリークリスマス!カイトさん!
続編、楽しみにしてます!
ガンバッテください(ファイトぉ)
- 503 名前:つみ 投稿日:2003/12/25(木) 17:12
- メリクリ〜♪
まってますよ〜!
- 504 名前:名も無き受験生 投稿日:2004/01/01(木) 08:34
- あけまして(/@^。)/お☆め☆で☆と☆う\(。^@\)ございます!
今年も、ヨロシクお願いします(m_ _)m
ガンバッテくださいね!(ふぁいとぉ!)
- 505 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:32
- 寂しさを埋める恋なんて本当の恋じゃない……
わかってる…そんなこと……
わかってる……けど……
- 506 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:33
-
Extra Story2. ゆらゆら 〜Fujimoto〜
- 507 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:34
- 「終わった〜!」
「お疲れ〜!!」
「たぁのしかった〜!!!」
もはや定番のセリフのように、楽屋に戻ってくるアタシたち三人。
でも、もうコンサート中でもないので言うほど疲れてはいない。
むしろまだまだ体力は有り余ってるぞ、ってかんじ。コンサートで鍛えられた
のかなぁ……。
「さて、ちょっとマネージャーに呼ばれてるから行ってくるね!」
そう言って亜弥ちゃんは楽屋を出ていった。
その瞬間、楽屋はアタシとごっちんの二人きりに。
- 508 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:35
- 「ねぇ、ごっちん」
「んあっ!?」
「このあとさぁ……」
「予定ある?」と続けたかった言葉は、楽屋に響いた控えめなノックの音で
強制的に止められた。
「はぁい!」
ごっちんがノックに応えて楽屋のドアを開ける。
ドアの向こうには少し緊張した面持ちの紺ちゃんが立っていた。
「おぉ、紺野!」
「あ、あの、仕事終わったから来たんですけど……後藤さんももう終わり
ましたか?」
「うん、終わったよぉ! 今からすぐに着替えるからちょっと待ってて!」
「はい、わかりました!」
ごっちんは急いで私服に着替えだした。アタシはただただその様子を呆然と
見てるだけ。
- 509 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:36
- 「じゃあね、ミキティ! おっさき!」
「うん、お疲れ」
楽屋を出て紺ちゃんと一緒に歩いていくごっちんを見送ると、あたしはソファに
座って溜め息を一つついた。
「……はぁ、諦めが悪いなぁ、ミキも……」
「なんの諦めが悪いの? みきたん」
「うわっ!! 亜弥ちゃん!?」
突如背中側から首に巻き付いてきた腕に思わず飛び上がってしまった。
振り返ってみるとニコニコ笑顔の亜弥ちゃんがアタシの背中に抱きついて
いる。
ていうか亜弥ちゃんマネージャーに呼ばれたんでしょ!? いつ楽屋に
帰ってきたんだよぉ!
- 510 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:37
- 「いつの間に帰ってきたんだよ!?」
「今さっき帰ってきたんだよ、気づかなかった? で、なんの諦めが悪いの〜?」
「何でもない、何でもないって!」
「ふぅ〜ん……」
疑わしい目でアタシを見つめる亜弥ちゃん。
アタシも必死で目をそらさないように亜弥ちゃんを見つめる。
「まぁ、いいや。それよりみきたん、今から暇でしょ?」
「う、うん、暇だけど……」
「じゃあさ、松浦とで〜としよう!!」
「デ、デート!?」
「そ、で〜と! しゅっぱーつ!!」
そのままアタシの手を取ると、また楽屋のドアを開ける亜弥ちゃん。
相変わらず人の都合を気にしない&人の返答を待たない。
ていうか……
- 511 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:37
- 「ていうか亜弥ちゃん! ミキたちまだ衣装のままだから! 着替えないと!!」
「えっ? てことは着替えたらで〜としてくれるってことだよね! よっしゃ、
じゃあさっさと着替えて行くよっ!!」
「えっ!? いや、そうじゃなくて……」
亜弥ちゃんはアタシの弁解も当然聞かないでさっさと着替え始めている。
なんか見事に亜弥ちゃんにはめられてしまった感じ……。
どうやら今日は亜弥ちゃんに付き合うことになりそうです。
- 512 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:38
- 楽屋を出ると、ちょうどこっちも帰る準備を終えたらしい高橋、小川、新垣と鉢
合わせた。
「あっ! 松浦さん、藤本さん! これからどっか行かれます?」
「うん、これからみきたんとで〜となんだぁ!!」
「しょ、食事に行くだけだって!!」
小川の問いかけに、アタシの腕に抱きついて返す亜弥ちゃん。
ていうかなんでデートにこだわるの?
「あっ、じゃあアタシたちも連れてって下さいよ!」
「あ〜、別に……」
「ゴメンね〜! 今日はみきたんと二人っきりで行くんだぁ! また今度ね!」
軽く了承しようとしたアタシの言葉をさえぎって、亜弥ちゃんが完璧な笑顔で
断った。
でもそれでも相手に嫌な感じを与えないのが亜弥ちゃんで。
新垣は「じゃあ、今度は誘って下さいね!」なんて言って、高橋や小川と
一緒に帰っていった。
でも別に一緒でもよかったんじゃ……
- 513 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:39
-
……なるほど、確かにこれでは新垣たちは連れて来れない……。ていうか
アタシたちだって来ちゃいけない……。
亜弥ちゃんと一緒に食事(亜弥ちゃん曰く『で〜と』)に行くということで、
アタシは特に行き先を聞かなかった。
てっきりまた亜弥ちゃん行きつけの焼き肉屋だとばっかり思ってたけれど……
亜弥ちゃんに誘われるまま来てしまったのは高層ビルの最上階に作られた
店で、暗い照明とこの空間に似合ったBGM。
窓に向けられて作られた席からは東京の夜景を見渡せる。
何ともムードたっぷりなこの場所は……
- 514 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:40
- 「……亜弥ちゃん……ここってまさか、いわゆる『バー』というところですか……?」
「違うよ、みきたん! 『ショットバー』だよ!」
「同じだよ! ていうかアタシたち未成年じゃん!!」
「なんだよ、みきたん! 飲んだこと無いの〜!?」
いや、そういう問題じゃなくて……
ぶっちゃけ、あるんだけど……
いや、だからそうじゃなくて!
「こんなところ見られたら大問題だって!」
「大丈夫だよ、ホラ!」
亜弥ちゃんに言われてまわりを見渡してみると……た、確かに……
まわりにいるのはカップルだらけ。そこここに二人だけの世界が形成されて
いて、誰もアタシたちのことなんて眼中にない。
アタシも観念して、帽子を少し目深にかぶると、窓際に作られた席に座った。
- 515 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:41
- 「みきたん、何飲む?」
「えーっと……」
メニューを見てみる。
「ジントニック」とか「ブルドッグ」とか書かれている。あっ、なんかいやらしい
名前のもある……。
えーと、これはカクテル……だよね?
「……とりあえずカシスソーダ」
カクテルはそんなに飲んだことがなくて、アタシは聞いたことのあるものを
適当に頼んだ。
「わかった! すいません、カシスソーダとスクリュードライバーで!」
ス、スクリュードライバー……? よくわからないけどなんかすごそうな
名前だなぁ……。
しばらくすると、頼んだカクテルが運ばれてきた。
あたしの前には、赤く透き通ったカクテル。亜弥ちゃんの前には濃い
オレンジ色のカクテルが置かれる。
「じゃ、カンパーイ!」
アタシのグラスに自分のグラスをカチンとあてると、亜弥ちゃんはさっそく
カクテルを飲み始めた。
アタシも目の前のグラスに口を付けてみる。んっ、けっこう甘くて飲みやすいかも。
- 516 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:42
-
「ところで、みきたん」
「んっ?」
亜弥ちゃんに話しかけられてそっちを向く。
ゲッ! もうほとんど飲んじゃってるよ……。意外と酒豪?
「ごっちんと紺野ちゃんのこと気にならない?」
「んぐっ!! げほっ、げほっ!!!」
思わず口に含んでいたカクテルを吹き出しそうになった。
なんとかそれは耐えたけど思いっ切りむせる。
「な、なんで!?」
「んふふ〜、知ってるよ! みきたんがごっちんと付き合ってたことも、
ライブ先のホテルとか楽屋とかでイケナイことしようとしてたこともぜーんぶ!
キャッ!」
「・・・・・・」
もはや声が出なかった。うまく隠せてたと思ってたのに全部バレてたとは……。
亜弥ちゃんは見かけによらず鋭いのかも……。
- 517 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:43
- 「それでさ、みきたんに聞きたいことがあるんだけど」
「な、なに……」
なんとか声を絞り出す。
「あのね、みきたん……」
その時急に亜弥ちゃんの携帯が鳴った。
一瞬まわりのカップルたちの視線がアタシたちに集中したように感じた。
亜弥ちゃんはすぐに電話に出ると、申し訳ないように一旦店から出て行った。
一人残されたアタシはボーっと夜景を見ていたけれど、
なんとなく携帯を取り出すと、新着メールの問い合わせをする。
少ししたあと「新着メールはありません」のメッセージが表示されたので、
携帯をしまう。
ハァ……何やってるんだろ……バカだなぁ……。
- 518 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:44
-
しばらくして亜弥ちゃんが戻ってきた。
「誰?」と聞くと「マネージャー」と軽く答える。
亜弥ちゃんは新しいカクテルを頼むと、また席についた。
今度のは「ピーチフィズ」。なんか亜弥ちゃんに似合ってるかも……。
「でさ、みきたん……」
「んっ?」
さっきの話の続きだと確信する。亜弥ちゃんの目が真剣だ。
「まだごっちんのこと好きなの?」
「えっ……?」
まるでさっきの行動を見ていたかのような質問。
アタシは思わず固まってしまった。
- 519 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:44
- 「……なんでそんなこと聞くの……?」
「えーっとね、……松浦は〜、ず〜っとみきたんのこと好きだったんだよ……」
「えっ……」
また思考がフリーズする。今回は持っていたグラスを落としそうになった。
亜弥ちゃんが続ける。
「ごっちんのかわりでもいいから、松浦と付き合ってくれない?」
アタシの手に触れた亜弥ちゃんの指。金縛りにあったように身体が動かなくなった。
- 520 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:46
-
寂しさを埋める恋なんて本当の恋じゃない。
そんなことわかってる。
でも、やっぱり一人でいたくなくて……ごっちんを忘れたくて……。
忘れられるわけないのにそんなことを思ってる。
そんなアタシでもあなたはいいの?
アタシを好きと言ってくれるの?
今のアタシはこのカクテルの上に浮かぶ氷のよう。
亜弥ちゃんの優しさと、ごっちんへの想いの狭間でゆらゆら揺れてる。
- 521 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:47
-
「……ミキは……やっぱりごっちんが……んぐっ!」
迷いに迷い、そして決断して言おうとした言葉は、途中で亜弥ちゃんの手に
より止められた。
「わかってるよ〜、みきたん。ていうか冗談だって!」
「ふぉ、ふぉうはん!?(じょ、冗談!?)」
亜弥ちゃんはアタシの口から手を離すとクスクス笑った。
「みきたん最近元気なかったからさぁ、元気づけてあげようと思ったのに
マジになるんだもぉん! ダメだよぉ、冗談は笑って返さないと!」
「お、おどかさないでよねぇ……」
そのとたん急に力が抜けた。
ていうか真面目に悩んでたのがバカみたい……。
- 522 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:48
- 「みきたん元気出た?」
「出た、出た、すっごい出た!」
これ以上亜弥ちゃんの『冗談』につきあってはいられない。
あたしは無理にでも笑顔を返した。
「じゃあお礼の一つでもしてもらいたいなぁ」
「はっ!?」
一体なにを言い出すんだか。ていうか……なにをしろと?
すると何故か亜弥ちゃんは口を突き出してきて……
「一回だけ、ちゅ〜して!」
「はあっ!?」
「いいじゃん、女の子同士なんだし! それにごっちんとだって何回もした
んでしょう? ねっ!」
人の都合を気にしない。そして人の返答を待たない亜弥ちゃんは、いきなり
アタシの顔を手で包むと、そのまま唇を重ねてきた。
- 523 名前:Extra Story2. 投稿日:2004/01/02(金) 12:48
- 「んっ!?」
「ん〜」
亜弥ちゃんとの初めてのキスは亜弥ちゃんが頼んだ三杯目のカクテル、
カルーアミルクの甘く、それでいてほろ苦いコーヒーリキュールの味。
まるで……それは恋の味のよう……。
- 524 名前:片霧 カイト 投稿日:2004/01/02(金) 12:57
- あけましておめでとうございます! 今年も 川o・-・)ノ<よろ〜!
というわけでそんなめでたいときにめでたいんだがめでたくないんだか、
甘いんだか暗いんだかよくわからない番外編2!
川#・-・)ノ<ていうか番外編始まってから出番が少ないんですけど……。
うぐっ……
>>502 504 名も無き受験生 様
メリクリ〜!(遅っ! そしてあけましておめでとうございます!
ようやく続編アップしました。
今年もよろしくお願いします!
>>503 つみ 様
メリクリ〜♪(だから、遅っ!
お待たせしました、ようやく番外編2です。
じ、次回も1ヶ月くらい先かな……?(滝汗
ちょっとした理由があったりするんですがそれも次回で明らかに?
もうちょっとお待ちください(平伏
- 525 名前:片霧 カイト 投稿日:2004/01/02(金) 13:00
- あっ、Extra Story2. はこれで終わりです(終了です、っていれわすれた〜!)
あとお酒は二十歳になってから! 一応……。
- 526 名前:rina 投稿日:2004/01/02(金) 13:24
- あけましておめでとうございます。
Extra Story2.読みました☆
ミキティはやっぱりまだごっちんのこと好きなんですね。
なんか、それだけでも嬉しい自分がいます。
- 527 名前:つみ 投稿日:2004/01/02(金) 15:10
- あけおめ〜♪ことよろ〜♪
今回は少し切ないですね・・・
やっぱりホントは・・・
次回もまってます!
- 528 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/02(金) 23:06
- これはもしかして切ない松浦さんなんでしょうか。
Extra Story2はこれで終わりって事ですが、
この二人に救いはあるんでしょうか。
んー色々気になります!!
- 529 名前:tsukise 投稿日:2004/01/03(土) 19:25
- 更新お疲れ様ですっ!今年もヨロシクお願いしますねっ
ミキティ…いつかいい思い出になるといいですね…。
あやや、色んな意味でミキティを支えてあげて欲しいなぁ…なんて(ぉ
こ…紺野…本当に出番が…(笑
- 530 名前:名も無き受験生 投稿日:2004/01/03(土) 20:16
- こちらこそヨロシクお願い&あけまして(/@^。)/お☆め☆で☆と☆う\(。^@\)ございます(m_ _)m
イイですねぇー(オイオイ)
ミキティとあややのコノ関係(>_<)b
この寂しげなAyayaこの先どーなるか楽しみです(*^-^*)
続編、た・の・し・み・にしてます(>_<)bガンバッテください!
- 531 名前:通りすがりの受験生 投稿日:2004/01/06(火) 00:41
- 今までROM
ってた者ですが。
いや〜この甘さはが書けるのは作者さんの才能ですね
以降も頑張ってください。
センター試験が近かったりするのだけど・・・
- 532 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:36
- スポットライトが縦横無尽に走り回り、音楽が大音響で鳴り響くステージ。
アタシはその中央で歌って踊る。
今日はソロでの歌の収録なので、ごっちんと亜弥ちゃんはいない。
つまりはアタシの単独ステージ。
- 533 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:37
- ピタッと音楽が鳴り終わるとともに、アタシも決めポーズを作る。
しばしの間のあと、スタッフさんから「OK!」の声が出され、今日のお仕事は
無事終了。
アタシはステージから降りると、スタッフに笑顔で「お疲れ様!」と挨拶し、
スタジオを出る。
つもりだったんだけど……
パンッパンッ!!
「えっ!?」
「誕生日おめでとう、藤本!!」
「おめでとう!!」
「オメデトー!!」
突如鳴り響いたクラッカーの音に驚いてふり返ると、スタッフのみんなから
送られてくる拍手と祝いの言葉、あとついでにこれでもかってくらいの
クラッカーの破裂音。
そういえば、今日はアタシの誕生日だったっけ、なんてやっと思い出す。
このごろ仕事が多忙だったから自分でも忘れてた……。
- 534 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:37
- 女性のADさんから花束が渡される。
そしてそのあとでスタッフの人たちが次々とプレゼントをくれた。
「ホントにどうもありがとー!!」
アタシはいっぱいのプレゼントを抱え、笑顔でスタッフさんたちに挨拶して
楽屋に戻った。
- 535 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:39
-
Extra Story3. Present 〜Fujimoto〜
- 536 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:40
- パンッ!!
「みきたん、誕生日おめでと〜!!」
……えーと……
そういやこの楽しいこと大好き人間の存在も忘れてたわけで……
っていうか亜弥ちゃん……
どうやってアタシの楽屋に入り込んだのさ?
楽屋に戻って扉を開けると、誰もいないはずの楽屋から鳴り響いたクラッカーの
音にまた驚いてしまった。
なんかもう、クラッカーはいらないって感じ……。
クラッカーから吹き出された色とりどりの紙吹雪の向こうには、満面の笑みを
浮かべた亜弥ちゃんが自分の楽屋のようにくつろいで座っていた。
- 537 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:41
- 「亜弥ちゃん……どうやって楽屋に忍び込んだの?」
「ん、細かいことは気にしない、気にしない! それよりみきたん仕事
終わったんでしょ? なら誕生パーティーしようよぉ!!」
いや、全然細かいことでもないような気がするんだけど……。
まぁ、詳しく聞くのはなんとなく怖い気もするし……とりあえずは……
「誕生パーティー?」
「そ! せっかくの誕生日なんだしぃ! ちょっと準備が終わったらみきたんチに
行くからちゃんと待っててねぇ!!」
それだけ言うと亜弥ちゃんは「お疲れ〜!」なんて言って楽屋を飛び出して
いった。
なんつーか相変わらず人の都合を気にしない……。
……まぁ、このあとは特に予定もないし、素直に亜弥ちゃんの好意に甘える
ことにしますか。
- 538 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:42
-
「ただいま〜!」
べつに家には誰もいないんだけど、なんとなくくせで、帰ったら「ただいま」と
言ってしまう。
靴を脱いで上がると、もらったプレゼントをテーブルの上に置いて、すぐに
ソファにもたれかかった。
「そういえば今日はミキの誕生日かぁ〜」
誕生日だからといって仕事が休みになるわけでもない。
時計を見てみるともうすでに9時をまわっている。
アタシの誕生日もあと3時間もない。
亜弥ちゃん間に合うのかな?
- 539 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:42
- ふと棚の上に置いてあったピアスに目がとまる。アタシの宝物の一つだ。
それは去年の誕生日にもらったプレゼント。
去年はごっちんと誕生日をすごしたんだっけ。
そしてごっちんがアタシの家に初めて来たのも去年の今日だったっけ。
アタシは去年の誕生日のことを不意に思い出した。
- 540 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:43
-
――――――――――
――――――――
――――――
――――
――
- 541 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:43
- 「ミキティ!」
「んっ?」
「ごまっとう」での撮影終了後、急にごっちんに呼びかけられた。
「ミキティって今日誕生日なの!?」
「うん、そうだけど……」
「なんでごとーに教えてくれなかったのさ!?」
「えっ、だって聞かなかったし……」
「むぅ!!」
ごっちんは亜弥ちゃんが用意していたプレゼントを見て不思議に思い、
亜弥ちゃんに聞いてそれでアタシの誕生日を知ったらしい。
- 542 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:44
- 「なんでよー! 恋人の誕生日っていったら誕生パーティーでしょ!」
「ちょ、ごっちん! 声が大きいって!!」
「と、いうわけで、あとでごとーミキティの家に行くから絶対家にいてね!!」
それだけ言うとごっちんはダダダーッと駆けていってしまった。
「……あんなごっちん初めて見たかも……。まぁ、いいか。ならごっちんの
言うとおりちゃんと家で待って……」
そこまでつぶやいて初めて気づいた。
あれっ? もしかしてごっちんは今日初めてアタシの家に来るってことですか?
- 543 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:45
-
つきあい始めて間もないクリスマスは当然ながら二人とも仕事で、デート
なんかできなかった。
ちょっとでもデート気分を味わうために、仕事のあとテレビ局から二人で
途中まで歩いて帰った。
街はとても華やかで、輝かしいイルミネーションが街中を飾っていた。
ついでにまわりはこれでもかってくらいカップルだらけ。
「ミキたちって寂しい女二人に見えるのかなぁ?」ってごっちんに尋ねたら、
ごっちんは「寂しくなんかないもん!」って言ってそっと手を握ってくれた。
- 544 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:46
- そしてお互いのマンションへの分かれ道。
「じゃ、また明日ね」
「うん、バイバイ」
繋いだ手を離し、手を振って自分のマンションに帰る。
でも……
「ミキティ!」
「んっ?」
不意に呼び止められてふり返ると、すぐ目の前にごっちんがいて……
急に頬に感じたごっちんの手のひらの感触。
近づいてくるごっちんの顔。
初めて感じたごっちんの唇……。
- 545 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:47
-
結局クリスマスのあともお互い忙しく、デートらしいデートもできなかった。
仕事が終わる時間も別々だったりして、いままでお互いの家に行くって
こともなかった。
つまりはやっぱりごっちんは今日初めてアタシの家に来るわけであって……
「……えーと……部屋、かたしてなかったよね……」
今日の朝、アタシの部屋はどんな状態だったかと思い出してみる。
普段そんなに散らかしはしないが、恋人を初めて上げるなら超キレイに
しておきたい。
「やっば! 急がないとごっちんが来ちゃう!!」
アタシは急いで衣装から私服に着替えると楽屋を飛び出した。
- 546 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:48
-
家について、だいたい部屋をかたし終わった頃、タイミングよくチャイムが鳴った。
玄関まで行って、ドアについているスコープから外をのぞくとそこにはごっちんの顔。
急に心臓がドキドキしてきた。
このドアを開けたら本当にごっちんがアタシの家に入ってくるんだ……。
ドアノブを回してそっとドアを開ける。
そこにはやっぱり愛しい恋人の姿があって。
「誕生日おめでとう、ミキティ」
「ありがと。わざわざ来てくれて」
「入っていい?」
「うん」
ごっちんは「お邪魔します」なんていいながら、控えめに中に入ってきたので、
アタシはドアを閉めるとごっちんをリビングまでエスコートする。
- 547 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:50
- 「ハイッ」
「えっ?」
リビングに入ったらいきなりごっちんから渡された箱。
あっ、この包みってもしかして……
「ケーキ?」
開けてみるとやっぱりケーキが四つ並んで入ってた。
ショートケーキ、チョコレートケーキ、モンブラン、フルーツケーキと
オーソドックスな組み合わせ。
「誕生日知ってたら自分で作ったんだけどさ。急だからそんなのしか
買えなかった」
「いいよ、ありがとね」
「むぅ、よくないよ!! 今度絶対ごとーの手作りケーキ食べさせたげるから!」
「じゃ、楽しみに待ってるよ。約束だからね! 絶対食べさせてよ?」
「うん!」
- 548 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:50
- アタシはキッチンからお皿を持ってきた。
そしてごっちんが買ってきてくれたケーキの中からショートケーキを選んで
いただく。
ごっちんはフルーツケーキを選んで食べ始めた。
「あっ、美味しい」
「でしょ!? ここのケーキ屋さん美味しいんだよね〜」
アタシは夢中でケーキを食べ続けたが、半分くらい食べたところでふと
視線を感じてごっちんの方を向いた。
- 549 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/02(月) 17:51
- 「なに?」
「ね、ミキティのケーキ美味しい?」
「んっ? ちょっと食べてみる?」
フォークでケーキを切ってごっちんのほうに差し出すが、ごっちんはなぜか
首を横に振った。
「ん〜ん、味だけでいい」
「えっ?……んっ……」
不意に唇に感じた甘い感触に、思わずフォークを持ったまま固まってしまった。
誕生日を迎えての初めてのキスは、ほんのりとフルーツの味がした。
- 550 名前:片霧 カイト 投稿日:2004/02/02(月) 17:59
- 今回はここまでです。本当に1ヶ月あきました(汗
というのもミキティの誕生日ネタだっただけに、
さすがに2月入ってからでないと書けなかったという理由です……。
これでもちょっと早すぎ?
一応3は続きます。後編はできたらミキティの誕生日に。できなくてもその前後に。
>>526 rina 様
あけましておめでとうございます(遅すぎっ!
そしてありがとうございます!
今回はまたちょっとごまみき風味です!
>>527 つみ 様
あけおめです!(だから遅すぎっ! ありがとうございます!
少し切なかったですね、新年早々。
ホントは……どっちでしょう?
- 551 名前:片霧 カイト 投稿日:2004/02/02(月) 18:08
- >>528 名無し読者 様
ありがとうございます!
ちょっと切なかったですね。
一応松浦さんは今までと変わらず、ってかんじです。
本心か、はたまた本当に冗談かは本人のみぞ知る?
>>529 tsukise 様
ありがとうございます! こちらこそよろしくお願いいたします!
またしても紺野が出てきてません(死 完璧に……。
川o・-・)<・・・・・・・
そ、そんな目で見ないで!(逃走
>>530 名も無き受験生 様
ありがとうございます!
ミキティとあややはあんま変わってませんねぇ。
あややの本心は謎、ってことで(ぇ
受験がんばってください!
>>531 通りすがりの受験生 様
ありがとうございます!
才能かどうかはわかりませんが、甘いのは基本的に大好きです!
今回もちょっと甘々。
受験はそろそろ2次ですよね? 頑張ってください!
- 552 名前:片霧 カイト 投稿日:2004/02/02(月) 18:11
- P.S.
花版で新作始めてます。
「紺夜 君と……」とはまったく違ったお話ですが、興味ある方は読んでみてください。
『Dear my Princess』
http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/flower/1073627455/
- 553 名前:つみ 投稿日:2004/02/02(月) 21:03
- ふじもとさんはケーキが甘かったんでしょうか?
それとも・・・(w
こんこんの出番が・・・・
- 554 名前:名も無き受験生 投稿日:2004/02/03(火) 00:34
- いやぁ......今回のもイイ(>_<)b
Ayayaとミキティ......ミキティの誕生日ドウナルンデショウカ?
Ayayaはこのままミキティの方へ(?.?)
ごっちんとコンコンの方も気になりますねぇ(≧∀≦)
いやぁ......これで心置きなく明日の合格発表が見に行けます!
応援ありがとうございます└(^o^ ) ( ^o^)┘
カイトさんもガンバッてください(>_<)b
- 555 名前:名も無き受験生 投稿日:2004/02/04(水) 00:03
- 応援ありがとうございます(半泣き)(TдT)
おかげで、合格しましたぁ!└(^o^ ) ( ^o^)┘
これで、ボクも高校生です( ´ ▽ ` )
ほんとに、ありがとうございました!!
- 556 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:00
- 「ね、ミキティ」
「んっ?」
ごっちんは持ってきたバッグの中をゴソゴソあさると、包装された小さな
包みを取りだした。
「はい、誕生日プレゼント! おめでと〜!!」
「あっ、ありがと〜、開けてみていい?」
「ん、開けてみて!」
包装紙を丁寧にはがし、出てきた小箱を開けると、そこに入っていたのは
一組のピアス。
星形の飾りがついている小さなピアス。
可愛いなぁ、って思うけどちょっと待って……
このピアス……どっかで見た記憶が……
- 557 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:01
-
ふと視線をあげてごっちんのほうを見る。
ごっちんはちょっと視線をそらして赤くなった。
もしかして……
そっとごっちんに近づくと耳を隠している髪をそっとよける。
ごっちんの耳には今、アタシが持っているのと同じピアスが輝いていた。
「……おそろいのなんだけど……ダメかな?」
「そんなことないよ、嬉しいよ!」
「ホント!?」
「うん、ホント」
ピアスを取りだして、さっそく耳につける。
ごっちんの方を向くと、ごっちんも満足そうに笑ってくれた。
そしてそのままもう一度キスを交わした。
- 558 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:03
-
「ミキティ、もう一個プレゼントがあんだけど」
「えっ、まだあるの? なに?」
「んふふ〜」
ごっちんはまた笑った。
けど、今度の笑顔は……なんていうか、どこかたくらみのあるような、
小悪魔的な笑顔。
なぁんて考えてたら急に覆い被さってきたごっちんにそのままソファに
押し倒されてしまった。
ま、まさかこの展開って……
「えっ、ちょ、ちょっと、ごっちん……!?」
「あはっ! ミキティに最っ高〜の快感をプ・レ・ゼ・ン・ト♪」
「ぇえ゛っ!? ご、ごっちん!?……あっ、あんっ……」
- 559 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:03
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――――――――
――――――――――
- 560 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:05
-
思えばあのとき初めてごっちんに抱かれたんだっけ、なんて
思い出したら顔が赤くなってきちゃった……。
ピンポーン!
その時急に鳴ったチャイムの音に、完全に現実世界に戻ってくる。
やっばっ! そういえば亜弥ちゃんが来るんだった!
顔が赤くないか鏡でチェック。うん、なんとか許容範囲。1人で顔赤くして
たらアタシ完全に怪しいヤツじゃん!
急いで玄関まで行ってスコープをのぞくと……
「んっ?」
なぜだか真っ黒な色しか映さないスコープ。
「……ははぁん」
亜弥ちゃんのことだ、おそらくドアを開けた瞬間待っているのは本日通算
3回目のクラッカー攻撃。
もう驚くかぁ! と、アタシはゆっくりドアを開けた。
- 561 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:09
- パァンッ!!
ドアの隙間から入ってくる破裂音と紙吹雪。
ここまでは予想通りだった。
「ミキティ、誕生日おめでと〜!!」
……「ミキティ」?
亜弥ちゃんはだいたいアタシのことを「みきたん」もしくは「みきすけ」なんて
呼ぶんであって(最近は「みき」を省略して「たん」って呼ぶこともある。原型
とどめてないじゃん!!)……。
「ミキティ」って呼ぶ、この声は……
顔を上げてクラッカーをならした張本人の顔を見ると……
「ご、ごっちん!?」
「エヘへ、来ちゃいました」
そこに立っていたのはアタシの元彼女で現仕事仲間の一人。
ていうか来るのは亜弥ちゃんだったんじゃ……
- 562 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:11
- 「えっ? えっ!? 亜弥ちゃんは?」
「ちょっとまっつーにも手伝ってもらったんだよね、ミキティを驚かそうって
ことで! あがっていい?」
返事も聞かずに固まっているアタシの前を悠々と通って部屋に上がり込んで
いくごっちん。
あーもー十分すぎるほど驚きましたとも。
アタシ今日でどれくらい寿命が縮んだか……。
その時アタシの携帯が鳴った。
見てみるとそれは『誕生日おめでと〜、みきたん!!(^o^)/ ところでビックリ
した!?』と書かれた亜弥ちゃんからのメールだった。
こいつらほんとにグルだったのか……。
- 563 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:12
-
リビングに戻ってくると、なぜか中は真っ暗で。
明るいところから急に暗いところに入ったのでアタシはなにも見えない。
手探りで部屋の電気をつけようとしたんだけど……
「あっ! だめー、ミキティ!!」
ごっちんの声が聞こえたかと思うと、伸ばしかけた手を掴まれて引っぱられる。
そのままごっちんの誘導でソファに座った。
「な、なんなの、ごっちん?」
「まぁ、見ててって」
カチッ! と言う音とともに、暗闇の中に一つの火の玉が浮かび揺らめく。
その炎がスーッと動くたびに、火の玉が一つ二つと分裂していく。
火の玉が円を描くように並ぶと、やっとその正体の全体像が暗闇の中に
映し出された。
- 564 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:13
- 「これって……」
「えへっ、約束通り作ってきたんだよ、ミキティのために」
綺麗にホイップされている生クリーム。
炎を灯しているキャンドル。
板チョコに書かれた『Happy Birthday Mikitty』のメッセージ。
炎の揺らめきの中映し出されたのは、大きなバースデーケーキだった。
「……覚えててくれたんだ……」
なんかそれしか言葉が出てこない。
覚えてなんかないって思ってた。
覚えてても守ってくれるなんて思ってなかった。
でもごっちんは……もう恋人でもないのにちゃんと約束守ってくれたんだ……。
- 565 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:15
- 「覚えてるよ、当然じゃん。ほら、ミキティ、ろうそく消してよ」
「うん……」
ふーっと息を吹くと、ごっちんが灯してくれたろうそくの炎が一つ一つ消えていく。
最後の一本を消すと、また完全な暗闇が訪れた。
「おめでと〜!!」
パチパチと拍手をしてから立ち上がったごっちんをアタシは腕にしがみついて
慌てて制した。
「なんだよぉ、ミキティ……電気点けらんないじゃん」
「点けないで……」
「……なんで?」
「なんでも」
今電気を点けられたら泣いてる顔を見られちゃうから。
でもごっちんはそんなのわかっているようで
不意にごっちんに抱きしめられると、アタシの涙はキスで拭われた。
アタシが呆然としていると、ごっちんはまた立ち上がり、部屋の電気を点けた。
- 566 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:17
-
「……紺ちゃんに怒られるんじゃない?」
「ん〜、キスだけなら許してくれるよ、きっと」
よく見てみると、ごっちんの耳には去年アタシにくれたのと同じピアスが
輝いていて、
アタシはまた涙が溢れてきた。
「……じゃあ1回も2回もたいして変わらないかな?」
涙を拭い、笑顔を作って問いかける。ごっちんも笑顔で返してくれた。
「そうかもね。でも今日だけだよ」
重ねられる唇と唇。
それは触れるだけのキスだったけど
とても優しいキスで心が満たされていく。
- 567 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:17
-
「エヘへ、おめでとう、ミキティ」
唇を離すと照れたように、はにかむように笑うごっちん。
あぁ、その笑顔……1年前とは全然違うね。
寂しさなんか微塵も感じさせない笑顔。アタシが大好きな笑顔。
- 568 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:18
-
誕生日プレゼントなんかいらない。
あなたの笑顔が
アタシにとっての最高のPresent
- 569 名前:Extra Story3. 投稿日:2004/02/26(木) 01:19
-
- 570 名前:片霧 カイト 投稿日:2004/02/26(木) 01:26
- 今回はここまでです。宣言通り更新できました。
そしてミキティ誕生日おめでと〜!!!
2回にわけた番外編3でしたが結局こうなりました。
あれ? でもこれってごっちんう……
川o・-・)<ジーーーーーー
あぁっ!? 紺野さん、次はちゃんと出番あります!
というわけで一応番外編は4で終了です。
2回に分けるつもりなんであと2回ですね。
もう少しですがよろしくお願いします!!
- 571 名前:片霧 カイト 投稿日:2004/02/26(木) 01:31
- >>553 つみ 様
ありがとうございます!
ホントに何が甘かったんでしょうかね?(w
紺野さん、ホントに出番がなかったです(死
次こそは……。
>>554&555 名も無き受験生 様
ありがとうございます!
結局こうなりました。げはっ!(吐血
コンコンは……出てきてない……(激死
そして合格おめでとうございます!(パチパチ
高校生活楽しんでくださいっ!!
- 572 名前:rina 投稿日:2004/02/26(木) 14:46
- 番外編読みました!!
久しぶりのごまみき〜vvやっぱり大好きです〜vvv
約束を忘れないごっちんがおいらは好きですw
コンコンをあまり気にせずに、ごっちんに頼んでる(?)ミキティが大好きですw
あと2回で終わってしまうんですか(泣
後紺も楽しみに待ってます!
- 573 名前:つみ 投稿日:2004/02/26(木) 15:48
- おいしくいただきました。
なんか少しせつないっすね!ミキティが!
ポンちゃんが・・・
- 574 名前:名も無き遊び人 投稿日:2004/02/29(日) 19:11
- う〜ん、イイっす!楽しんじゃってます!ねぇ、ごっちん(ポンちゃんは?)
あと2回かぁ・・・・・なんか寂しいナァ(TдT)
のこりあと少しですが、ガンバってください!楽しみにしてます(>_<)b
それTO・・・ドモドモ└(^o^ ) ( ^o^)┘ドモドモ
ありがとうございます!!Enjoyシテイキタイト思います!
- 575 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:03
- あたしの部屋に紺野と二人きり。
あたしの前に紺野が座って、あたしが紺野を後ろから抱きしめてドラマを
見ている。
紺野は手に持った干し芋を食べるのも忘れるほどドラマに夢中だけど。
正直あたしはドラマなんかどーでもよくて……
ていうか……演技ってわかっててもラブラブなシーンを見せつけられるのは、
今の状態ではなかなかムカツク……。
紺野には悪いけど早く終わらないかなぁなんて考えてた。
だって……早く紺野とイチャイチャしたいんだもん!
- 576 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:04
- やがてドラマの次週予告が流れ、CMになるとあたしは速効でテレビを消す。
「後藤さん、おもしろかったですねぇ、今のドラマ」
「そうだねぇ……」
ほとんど見てなかったあたしは曖昧にしか返すことができなくて。
紺野が「あのシーンなんか……」とか言い出したのでそのままギューッと
抱きしめた。
「あ、あの……後藤さん……」
そのとたんに真っ赤になる紺野。
あはっ、可愛いなぁ。
「ドラマのラブラブな話はもういいじゃん。そろそろごとーとラブラブしよーよ!」
紺野をあたしのほうに向けるとそのまま抱きしめる。
紺野の身体が硬直していくのがわかった。
- 577 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:05
- 「紺野……」
「後藤さん……」
少し体を離して紺野の瞳を見つめる。
真っ黒く大きな瞳。見ていると吸い込まれそうな、大好きな瞳。
頬を手で包むと、ゆっくりと顔を近づけていく。
あと数センチ……今日はいけるかな……?
でも……
♪〜♪〜♪〜♪〜
突然部屋の中に響いた携帯の着信音で、紺野はビクッと体を離す。
そのままあたしの腕をすり抜け、携帯のところまで行くと電話に出た。
「もしもし? あっ、まこっちゃん? どうしたの?」
お〜ぐぁ〜わぁ〜!!
心の中で小川に呪詛の念を送るが当然効果はない。
昨日は高橋に同じようなことをしてた気が……。
- 578 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:05
- 「はぁ……」
ため息しか出てこない。
ミキティとはつきあってすぐのクリスマスに初めてキスして、その2ヶ月後の
ミキティの誕生日には初えっちだってしたっていうのに……。
紺野とはつきあいだして数ヶ月、いまだにキスもできないなんて……。
まぁ、要するに……
欲求不満なんです……。
- 579 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:06
-
Extra Story4−1. Want Your Lips 〜Goto〜
- 580 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:08
- 「ねぇ、ミキティ。聞いてるのぉ?」
「聞いてるよ、ノロケ話」
「ノロケ話じゃなーい!! 相談してんだぁ!!」
ごまっとうの楽屋。あたしの必死の相談を、見事に雑誌を読みつつ聞き
流したミキティ。
ていうかどこをどう聞いたらノロケ話に聞こえるんだ! なんて思ってたら、
ミキティはおもむろに雑誌を閉じた。
「まぁ、要するにごっちんは欲求不満なわけでしょ? ヤりたいんでしょ?」
「だ、誰もそこまで言ってない。ごとーはどうすれば紺野とふつーにイチャイチャ
できるかってのを聞いてるんであって……」
……まぁ欲求不満ってのは図星なんだけど……。
「でも欲求不満は不満なんでしょ?」
「・・・・・・」
「どうなのよ?」
「……うん、そのとーり……このままじゃごとーいつか襲っちゃうよ……」
普段そこまで自分がえっちぃとも思わないんだけど……
さすがにここまでお預けされると……身がもたない。
う〜ん、ミキティとのに慣れちゃったからかなぁ……?
- 581 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:09
- 「そだ、簡単に欲求不満が解消する方法があるよ!」
「えっ、ホント!?」
するとミキティはニコニコ笑顔であたしとの距離を一気につめてきた。
「かんたーん、ヤっちゃえばいいんだよ、ヤっちゃえば! なんならミキが
お相手してあげるよ〜!!」
迫ってくるミキティに問答無用で右ストレートをくらわす。
ミキティは顔を押さえて「冗談なのに……」なんて呟いてたけど、今のは
冗談って目じゃなかったぞ!!
「冗談抜きで、どうしたらいいかなぁ!?」
握り拳をつくってミキティに問いつめる。
「う〜ん、やっぱりそーゆーのは流れなんじゃないの? その場の雰囲気
とかさぁ、勢いとかさぁ……。ていうかミキは勢いだけでごっちんに奪われた
ような記憶があるんだけど……」
「ん〜、流れかぁ、難しいなぁ……。流れを作っても必ず壊すヤツがいるん
だよねぇ……」
小川とか、高橋とか、小川とか、高橋とか……。そして、もしかしたら新垣も……。
- 582 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:10
- 悩んでいると急に楽屋のドアが思いっ切り開けられた。
「ふぅ〜、やっと終わった〜!!」
亜弥ちゃんがソロでの撮影を終えて楽屋に帰ってきた。相変わらずの
ハイテンション&元気いっぱいで。
「今日も終わったねぇ! それでさぁ、これからまた一緒に焼き肉食べに
行かない!? 新垣ちゃんに教えてもらったんだけど、けっこういい店だよ!」
「焼き肉っ!? 行く行くっ!! ごっちんも行くでしょ!?」
「あっ、ちょっとごとー今日は先約があって……」
丁重に断ろうとしたらまっつーに腕をガシッと掴まれた。
嫌な予感……。なんかすでにまっつーは……暴走モード?
「じゃあけってー!! 今から行こー! すぐ行こー!!」
「って! ごとーの話聞いてたの!?」
そんな叫びもむなしく、暴走まっつーはすでにあたしを引きずりにかかってる。
「もうホントに美味しいんだよ! ごっちんも絶対満足するって!!」
「だからごとーは今日用事があるんだってぇ! 助けてー、ミキティ!!」
「よし、今助けるよ、亜弥ちゃん!!」
「さっすがみきたん!!」
「んあっ! 違ーう!!!」
- 583 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:11
-
で、結局……
「あれっ、食べないの、ごっちん? このレバー美味しいよ!」
「……レバー食べられないし、それに食欲がない……」
ミキティとまっつーがどんどんと焼き肉を食べていく中で、
あたしは紺野にどうやって謝ろうか必死で考えていた。
- 584 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:14
-
◇ ◇ ◇
「紺野ぉ……」
「・・・・・・」
「ごめんってば〜。ていうかごとーが悪いんじゃなくてミキティとまっつーが……」
「・・・・・・」
翌日のあたしの部屋。
今日も紺野と二人きり。
ただいつもと違うのは……紺野があたしのほうを見てくれなくて、あたしが
紺野に謝りっぱなしってこと……。
結局昨日、ミキティとまっつーが解放してくれたあとすぐに紺野との待ち
合わせ場所に飛んでいったけど紺野はいなくて。
携帯に電話しても、メールを送っても反応無しで。
今日の仕事終わりにやっと紺野を捕まえてあたしんチまでやってきたんだけど……
- 585 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:15
- 「ねぇ、紺野〜、許してよ〜……」
相変わらずあたしに後頭部しか向けない紺野を後ろから抱きしめる。
それでも紺野はあたしの方を向いてくれない。
「……後藤さんは藤本さんの方がいいんですよね!?」
「ち、違うって! 昨日のはミキティとまっつーに無理矢理連れさらわれた
だけで……」
「コントでも藤本さんと仲良く腕組んで楽しそうにしてますし」
「あ、あれは……あーゆー設定なんだし……」
「この前の藤本さんの誕生日だって藤本さんと二人っきりでパーティー
してましたし」
「あ、あれは……だって友達だしさ……」
ようやくあたしの方を向いてくれたけど、紺野はじーっとあたしのほうを
見つめてくる。
いつもはとても嬉しいんだけど、今はそんなこと考えてる余裕はない。
紺野の目が鋭い。
- 586 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:16
- 「……友達なんだったらどうしてキスなんかするんですか?」
「ぇえっ!? なんで知ってるの!?」
「ホ、ホントにしたんですかっ?!」
ゲッ!!
し、しまった!! あたしとしたことがこんな単純な罠に引っ掛かってしまう
なんて……。
紺野は真っ赤になって「サイテーです!!」なんて叫ぶと、あたしの手を
ふりほどいてまたあたしに背中を向けてしまった。
ヤ、ヤバイ……本格的に怒ってらっしゃる……。
「こ、紺野〜、ごめん〜、もうしないからさぁ!」
もう一度紺野を抱きしめるが、また反応無し。
「ていうかさ、いいじゃん、キスだけしかしなかったし。しかもソフトなヤツ。
だから許してよ〜」
なんて言ったら紺野の前に回した手を思いっ切り弾かれた。
「『キスだけ』ってなんですか、『キスだけ』って!!」
いきなりあたしの方を向いて詰め寄ってきた紺野に思わず後ずさる。
こんなに迫力のある紺野って初めて見たかも……。
- 587 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:17
- 「後藤さん、私にキスしてくれたことないじゃないですか!!」
「……えっ?」
「あっ……」
紺野は顔を真っ赤にさせたまま、また後ろを向いてしまった。
でも今回の赤はさっきまでの赤とはきっと違うはず。
「……えっと、紺野……もしかしてキス……」
してほしかったの?
「……好きな人とそういうことしたいって思うのは当たり前じゃないですか……」
紺野は相変わらずの真っ赤な顔で、あたしの方を少しだけ向いて呟いた。
あたしはその真っ赤な頬をそっと両手で包み込む。
「わかった、じゃあキスしてあげるからさ、許してよ」
紺野はなにも答えない。
でも「目、閉じて?」なんて言ったら素直に目を閉じてくれた。
「……紺野……好きだよ……」
邪魔すんなよー、高橋! 小川!! ついでに新垣も!!! なんて
おもいながら
あたしは初めて紺野と唇をかさねた。
紺野の唇は柔らかくて、甘くって……
まるでマシュマロみたいな唇だった。
- 588 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:18
-
そっと唇を離すと紺野はもっと赤い顔で。
あたしは紺野をギュッと抱きしめる。
「許して……くれる?」
でも紺野は首を横に振った。
「なんでよぉ」
「……じゃ……メです……」
「えっ?」
紺野の声が聞こえなくて、あたしは紺野に聞き返す。
「……一回じゃ…ダメです……」
……あはっ!
紺野の言った意味がわかったとたん、あたしは笑顔に、そして紺野は
もっと真っ赤になる。
「じゃあ紺野が許してくれるまで何回もしてあげるよ!」
そしてあたしは紺野の額に、頬に、唇にたくさんのキスの雨を降らせた。
- 589 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:19
- あたしがキスするたびに紺野の顔は赤くなって。
嬉しいんだけど、このぶんだと次のステップまで進むのにはまたかなりの
時間がかかりそう……。
あ〜あ、こんな美味しい罰ならもう一回浮気してもいいかな? なんて……
あっ、嘘だよ! 嘘だって、紺野! もうしないってば!!
( ´ Д `)<…………たぶんね!
- 590 名前:Extra Story4−1. 投稿日:2004/03/05(金) 12:20
-
- 591 名前:片霧 カイト 投稿日:2004/03/05(金) 12:25
- 今回はここまでです。ようやくごまこん書けましたー!
しかしそのわりには……甘々……? ちがくない?
一応続編としても、リアル短編としても読めるように書いたつもりです。
続編として読む場合は、ごまっとうと紺野たちで「ハロモニ」みたいな番組やってると考えてください。
>>572 rina 様
ありがとうございます!
私もごまみきは大好きなんで久しぶりに(微)甘なのが書けてよかったです。
2人とも紺野のことを気にしてないですねぇ……。
おかげでようやく紺野が出てきてもこんな感じに(汗
- 592 名前:片霧 カイト 投稿日:2004/03/05(金) 12:29
- >>573 つみ 様
ありがとうございます!
ようやく紺野出せました! でもこんな感じです……。
たまにはこんなごまこんも……どうでしょ?
>>574 名も無き遊び人 様
ありがとうございます!
楽しんじゃったおかげでこうなりました(笑
残りあと一回、頑張ります!
- 593 名前:つみ 投稿日:2004/03/05(金) 16:09
- おいしくいただきました!
少しずつ進んでいくのがごまこんですよね〜♪
ごとーさん・・・たぶんじゃあまた・・・
次回もまってます!
- 594 名前:rina 投稿日:2004/03/06(土) 08:18
- 更新お疲れ様です!
紺野がいつもと違う感じがしてビックリしてます。
ごっちんまたするつもりなんですか・・・
あんまりやると、ミキティが期待しちゃうぞ!!
- 595 名前:名も無き遊び人 投稿日:2004/03/06(土) 16:18
- お疲れさまデス!
ポンちゃんがこーゆーカンジで動くとは・・・・・・・
あと、1回かぁ、かなしいです・゚・(ノД`)・゚・。
ラストスパート!がんばってぇ(≧∇≦)
- 596 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:28
- 今日は後藤さんたちと一緒のコントの収録。
レギュラー番組のコントで、後藤さんは小学生男子の格好で藤本さんと
笑いあっている……。
わかってる。
これは仕事だってことも……演技だってことも……。
でもそれでもどうしてもココロが落ち着かない。
はぁ……どうして私はこんなにも嫉妬深いんだろう……。
- 597 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:29
-
Extra Story4−2. 浮気なハニーパイ 〜Konno〜
- 598 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:30
- 収録が終わって私は後藤さんの家にお呼ばれ。
ソファに座って一緒にドラマを見てるんだけど……
いつの間にか後藤さんは私の後ろに移動してて、私は後藤さんに後ろから
抱きしめられている状態に。
もう私は心臓がドキドキ言ってて。大好きな干し芋を食べる余裕もなく、
必死にドラマに集中していた。
そうでもしないと、後藤さんにこのドキドキが伝わってしまいそうだから……。
そしてドラマをじっと見てると、内容はなんだかラブラブな雰囲気に……。
そのまま見ていると、少ししたあと画面いっぱいにキスシーンが映し出された。
「・・・・・・」
いつもは携帯なんかいじって見ないようにしてるんだけど、今日はなぜか
釘付けになる私の目。
私もこんなふうに……キス……して欲しいなぁ……。
- 599 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:31
- ドラマが終わると後藤さんはすぐにテレビを消した。
部屋の中に沈黙が流れて変な気分。
「後藤さん、おもしろかったですねぇ、今のドラマ」
「そうだねぇ……」
なんとか沈黙を打開しようと話をふっても、後藤さんは曖昧に答えるだけ。
「あのシーンなんか……」
曖昧な記憶を必死に思い出すが、それは後藤さんが私の身体をギューッと
抱きしめたおかげで全て吹っ飛んでしまった。
「あ、あの……後藤さん……」
自分の顔が真っ赤になっていくのがわかった。
「ドラマのラブラブな話はもういいじゃん。そろそろごとーとラブラブしよーよ!」
そう言うと後藤さんは私の身体を反転させてまた抱きしめた。
後藤さんの胸の中で、私の身体はどんどん硬直していく。
- 600 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:31
- そのあと少し離れて目を覗き込まれる。私も後藤さんの目を見つめる。
意志の強い、それでいてとても優しいダークブラウンの瞳。
「紺野……」
「後藤さん……」
後藤さんの手が私の頬に伸びてきて、優しい温度が頬に伝わる。
そのまま後藤さんの顔が近づいてくる。
もしかして……
今日こそ……
さっきのドラマみたいに……
キス……
♪〜♪〜♪〜♪〜
- 601 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:32
- 突然部屋の中に響いた私の携帯の着信音で、思わず体を離してしまった。
そのあとで離れてしまったことをとても後悔した。
何とも間が悪い。私は後藤さんの腕をすり抜け、携帯のところまで行くと
電話に出た。
「もしもし?」
『あー、あさ美ちゃん!』
「あっ、まこっちゃん? どうしたの?」
心の中でまこっちゃんを恨みつつ、でも私はいつも通りに会話を続けていく。
そう言えば昨日は愛ちゃんに邪魔されたような……。
まこっちゃんの用事は『明日の集合時間何時だっけ?』という内容だった。
そんなことなら私に電話してこないでよー!!
- 602 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:33
-
結局そのあと後藤さんとさっきみたいな甘々な空気にはならなくて。
そろそろ私も帰らなくてはいけない時間。
「じゃあ後藤さん、私そろそろ帰りますね……」
「うん……」
そのまま玄関まで歩いていく。後藤さんも見送りについてきてくれた。
「それでは」
靴を履いて玄関を出ようとしたら……
「紺野! 明日も会える?」
その言葉で私の足は止まる。
どんどん私の顔が笑顔になって、私はそのまま振り返った。
「はいっ!」
「よかった。じゃあ……明日は別々のテレビ局で収録だから……いつもの
ところでね」
「わかりました! ではまた明日!」
「オヤスミ、紺野!」
私はウキウキ気分のまま、自分の家へと帰っていった。
- 603 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:34
-
◇ ◇ ◇
翌日の仕事の間も私の気分はウキウキのまま。
いつもと違ってとってもハイテンションな私に、まわりの人たちもいぶかしげな
目を向けるがそれも気にならなかった。
「なんか今日はずいぶんとご機嫌だねぇ」
里沙ちゃんにも収録の合間にこんなことを言われる始末。
「うん、今日仕事終わったら後藤さんと待ち合わせなんだ!」
「そーなんだ。てことはまた一緒にご飯行けないの?」
「あっ、ゴメン……」
「いいけどさ。たまにはアタシたちとラブラブしよーよぉ♪」
「うん、また今度ね」
「絶対だからね!」
- 604 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:35
-
◇ ◇ ◇
そう、ずっと上機嫌だったんだ……里沙ちゃんからメールが来るまでは……。
仕事が終わって待ち合わせの場所へ行ったけど後藤さんはいなかった。
時計を見ると、約束した時間を少しまわった頃。
でも後藤さんはよく遅刻してるし……まぁ、そのうち来るでしょ!
でも1時間待っても後藤さんは来てくれない。
さすがに私もちょっと不安になってくる。
収録が長引いてるのかな?
そんなこと思っていたら、急に私の携帯が鳴った。
「んっ? 里沙ちゃん? メールだ……」
そこには私の気分を逆転させるだけのことが書いてあった。
- 605 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:35
- 『 今日後藤さんと待ち合わせって言ってなかったっけ?
後藤さん、藤本さんたちと一緒にアタシたちと同じ店にいるんだけど…… 』
藤本さんと……?
もうそれだけで私の気分は最悪で。
里沙ちゃんに返信もしないで私は家に帰った。
途中で何度か携帯が鳴ったけど、取る気は起こらなかった。
- 606 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:36
-
◇ ◇ ◇
昨日から一転、今日の私の機嫌は最悪で。
それはあのまこっちゃんが私に話しかけるのをためらうくらい。
あのあと着信やメールがたくさんあったけど、結局その全てを無視してしまった。
約束をすっぽかされたのも悲しかったし、何より相手が藤本さんというのが
拍車をかける。
以前松浦さんにこそっと聞いたんだ。前に二人が付き合ってたことを……。
こんな嫉妬は醜いと思うけど……残念ながら私はまだ、嫉妬心を押さえ
込めるほど大人じゃない。
やっぱり私なんかより藤本さんのほうが……
そんな考えばかり浮かんできて、さらに凹んでしまう。
今日は同じスタジオでの収録だったため、終わるとすぐに私は後藤さんに
捕まって。
一言も発しないまま、私は後藤さんの家までついてきた。
- 607 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:37
-
「紺野ぉ……ごめんってば〜。ていうかごとーが悪いんじゃなくてミキティと
まっつーが……」
後藤さんの部屋に入っても私の機嫌はなおらない。
後藤さんに背を向けて、黙りこくっている私。
「ねぇ、紺野〜、許してよ〜……」
背中に後藤さんを感じたが、今はドキドキよりもムカムカのほうがまさってて。
「……後藤さんは藤本さんの方がいいんですよね!?」
自分でも嫌な娘だなぁ、と思うけど……でも、聞けずにはいられなかった。
「ち、違うって! 昨日のはミキティとまっつーに無理矢理連れさらわれただけで……」
「コントでも藤本さんと仲良く腕組んで楽しそうにしてますし」
こんなこと言ってもしょうがない。わかってるけど私の口はいうことを聞いてくれない。
「あ、あれは……あーゆー設定なんだし……」
- 608 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:38
- 「この前の藤本さんの誕生日だって藤本さんと二人っきりでパーティーして
ましたし」
これはホントにちょっと妬けた。
だって私に隠れてあんな大きなケーキ作ってたんだもん! 私だって
作ってもらったことないのに!!
まぁ、私の誕生日はもうちょっと先だけど……。
「あ、あれは……だって友達だしさ……」
やっぱりパーティーしたんだ……。
ケーキを見ただけだったから半信半疑だったんだけど……やっぱり……。
しかも二人っきり……二人っきり……元恋人の部屋で二人っきり……。
……ほんとにパーティーだけだったんですか?
- 609 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:39
- 後藤さんの方を向いてじーっと睨む。
「……友達なんだったらどうしてキスなんかするんですか?」
そんなことを聞いてみた。即否定してくれると信じて。でも……
「ぇえっ!? なんで知ってるの!?」
「ホ、ホントにしたんですかっ?!」
「しまった!!」という顔になってる後藤さん。
私の中にまた怒りがこみ上げてきて……
「サイテーです!!」
叫んで手をふりほどき、また背中を向ける。
私にキスしてくれたことないのに!!
「こ、紺野〜、ごめん〜、もうしないからさぁ!」
また背中に後藤さんを感じる。それでも私の怒りはおさまらない。
- 610 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:39
- 「ていうかさ、いいじゃん、キスだけしかしなかったし。しかもソフトなヤツ。
だから許してよ〜」
プチーン!
私の中でなにかが切れた。
『キスだけ』? そんなものなんですか? だって後藤さん……
前に回されていた手を弾くと、そのまま後藤さんのほうを振り返る。
「『キスだけ』ってなんですか、『キスだけ』って!!」
思わず後藤さんが後ずさったのがわかった。
でも私はそんな後藤さんに詰め寄る。
そしてリミットが外れた私の口は止まることなく……
「後藤さん、私にキスしてくれたことないじゃないですか!!」
- 611 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:40
- 「……えっ?」
「あっ……」
つい勢いで本音が零れてしまった。
後藤さんもそれがわかったらしく、目を丸くしている。
私の顔が、今までとは別の理由で真っ赤になった。
恥ずかしくてまた後ろを向く。
「……えっと、紺野……もしかしてキス……」
しばらくして、後藤さんは私に近寄ってきた。
やっぱり後藤さんにさっきの言葉の意味はちゃんと伝わってしまったようで……。
「……好きな人とそういうことしたいって思うのは当たり前じゃないですか……」
ふり返り後藤さんの目を見て言う。
後藤さんはニコッと微笑むと、私の赤い頬を優しく手で包み込んだ。
昨日よりももっと優しく……。
- 612 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:40
- 「わかった、じゃあキスしてあげるからさ、許してよ」
キス……するんだ……。
そんな思いにとらわれて動けなかった。
「目、閉じて?」
でも囁かれる甘い言葉に、催眠術にでもかかったようにまぶたが下がって
いく。
「……紺野……好きだよ……」
暗闇の中で響いた愛の言葉。
「私も好きです!」と言おうとしたけど、その前に私の唇は後藤さんの唇で
塞がれてしまった。
その瞬間、頭の中が真っ白になってなにも考えられなくなる。
ただただ唇の感触だけがリアルで
後藤さんとの初めてのキスに没頭した。
- 613 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:41
-
しばらくして唇が離れると、後藤さんは優しく微笑んで私を抱き寄せる。
後藤さんの胸の中でも私の唇にはさっきのキスの余韻が残っていて。
思い出して真っ赤になってしまう。
「許して……くれる?」
上から降りてくる後藤さんの言葉。
でも……藤本さんともキスしたんですよね……。
私は首を横に振る。
「なんでよぉ」
「……じゃ……メです……」
「えっ?」
俯いて言った私の言葉は後藤さんには聞こえてなかったようで、後藤さんは
聞き返してきた。
ちょ、ちょっともう一回言うのは恥ずかしいんですけど……。
- 614 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:41
- 「……一回じゃ…ダメです……」
今度はちゃんと後藤さんの目を見て。
後藤さんは意味がわかったらしくあはっと笑顔に。そして私はさらに真っ赤に。
「じゃあ紺野が許してくれるまで何回もしてあげるよ!」
また頬を優しく包まれて……
今度は唇だけでなく、頬や額にもたくさん後藤さんにキスをもらいました。
- 615 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:42
- でも、後藤さん
あんまり藤本さんと仲良くしすぎないで下さいね。
今回だけは許しますけど、
浮気はもうしないで下さい。
絶対に!!
川o・-・)ノ<めっ!
- 616 名前:Extra Story4−2. 投稿日:2004/03/27(土) 16:42
-
- 617 名前:片霧 カイト 投稿日:2004/03/27(土) 16:47
- はい〜、番外編4−2終了です!
一応4−1の紺野視点ってことで。
けっこうごまこんでは珍しい、「切れ紺野」です(笑
でもってネタも尽きたので、この辺で本当に完結ってことで。
これからは花版のほうに集中する……と思います(ぇ
ではでは、今までありがとうございました〜!!
- 618 名前:片霧 カイト 投稿日:2004/03/27(土) 16:53
- >>593 つみ 様
ありがとうございます!
はい、もうごまこんは少しずつ、一歩一歩ですよね!
でもそれだと後藤さんが待ちきれないっぽいですが(笑
>>594 rina 様
ありがとうございます!
確かにこんな紺野は珍しいかもしれませんね。
ごっちん、ヤる気満々でしょうか(ぇ
ミキティ、期待しないで待っててください!(笑
>>595 名も無き遊び人 様
ありがとうございます!
一応今回ぶんで、ポンちゃんのちゃんとした(?)動きがわかると思います。
とりあえず小川さんはダブルで恨まれってことで(爆
- 619 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/27(土) 22:48
- ああ、ついに終わってしまいましたね…。
あやみきの行方と言うか、藤本さんが気になりますが、
それはやはり妄想の中で楽しむのがいいんでしょうかね…。
残念ですが、花板の方に集中されるという事なので期待してます。
- 620 名前:つみ 投稿日:2004/03/27(土) 23:31
- 最後までありがとうでした!
紺野視点もすごくよかったです。
ついに終わりですか・・・今までありがとうでした!
花板のほうもこれから頑張ってください!
- 621 名前:名も無き遊び人 投稿日:2004/04/10(土) 22:52
- ども!!お久しぶりです(m_ _)m
ついに、終わっちゃいましたね........
この小説を見てから、よく夜空を見てそーいえばそーだなぁ....ってよく思ってました。
東京の空は、ホントに紺色だなぁって。
この小説の最後を読むのが、少し嫌でした.........
読んでしまうと、終わってしまうカラ(@_@)
今までで、あまり小説を読むことが無かったのですが、ミキティを通してこの小説を読むことができました!!
ありがとうございます(m_ _)m
とても、よかったです(>_<)b
感想は遭えて書きません。
花板の方がんばってください(>_<)b
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