娘がねじれるとき

1 名前:みぎまがり寿 投稿日:2003年07月27日(日)11時28分42秒
11WATERにがっちりハマってしまって、出だしをうっかり書きなぐってしまいました。
どうせならこの妄想をおわらそうと思っております。
長くなりそうな予感。。。
来年のシャッフルまでには終わらせたい、なんて思ってますがどうなることやら。
2 名前:みぎまがり寿 投稿日:2003年07月27日(日)11時29分47秒
「矢口、前に出すぎ。戻ってきてそこはあさみに任せて。」
 飯田が短く言った。矢口は焦っていた。相手はいつ絶えるとも分からないモンスターの群れ。飯田はオークと呼んだ。
「だってカオリ!」
 降り下ろされるオークの腕をかいくぐって矢口は言う。
「夜になったらこいつらの思うつぼだよ!」
オークの脇腹に肘、肩を連続で打ちつけ、怯んだところで矢口は飛び退く。一瞬後、あさみの降り下ろす斧が化け物の首を切り落とす音をあげた。その音を聞いて矢口は顔をしかめる。
「どんだけやっつければ」
振り返って言う矢口が目にしたのは、彼女に向かって回復魔法の印を慌てて結ぶ飯田だった。事態を察した矢口が身をひねる。錆びて欠けた刃が獲物を捕まえられずに空を切る。刃の持ち主はすかさず手首を返して獲物を追う。その一撃をやり過ごすのに、矢口の体勢は不安定すぎた。二体のオークに囲まれたあさみが矢口の名を呼ぶ。矢口はその声を聴いて目を閉じた。
 その視界が紅く染まる。全身が熱い。耳鳴りが酷い。死んじゃったのかなと矢口は思った。
3 名前:みぎまがり寿 投稿日:2003年07月27日(日)11時30分35秒
 その視界が紅く染まる。全身が熱い。耳鳴りが酷い。死んじゃったのかなと矢口は思った。
「矢口さん、貸し一つ。」
斉藤の声が頭に響く。矢口は目を開ける。
炎の柱に包まれたオークが叫び声を上げていた。斉藤の黒魔法だ。
オークは苦しみながら、捕らえ切れなかった小さな獲物に飛びかかった。
「ぎゃ・・・」
オークの体がびくんと伸びる。叫びかけた矢口が口をつぐんだのは、向かってくる巨体の胸元に鋭く研ぎ澄まされた剣が突き刺さったからではなく、肩に人の飛び乗る衝撃を感じたからだった。
「矢口さん、ののも貸し一つれす。」
矢口が自らの肩を振り仰ぐと、面影に幼さの残る少女はその瞳をまっすぐ目前のオークに向けたまま言った。
こんなところまで連れてきてしまった。矢口の胸に苦い空気が広がるのは、焦げたオークのせいだけではなかった。
実際に生き物を殺めた経験の無かったその少女が、今やこの場に欠かせない戦力になっている。
4 名前:みぎまがり寿 投稿日:2003年07月27日(日)11時31分07秒
「辻ちゃん、重い!」矢口が呻く。
「あ、ごめんなさい。」
辻は動かなくなったオークから目をそらし、素早く剣を引き抜いて矢口の肩から飛び降りる。
「そんな鎧着ておいらに乗るなよぉ!」
「てへてへ」
「まだ来るよ!」
柴田がそう声を張り、背中の矢壷から手探りで五本の矢を取り出し、弓につがえた。
「斉藤!」
「はいは〜い」矢口にはまだ斉藤がどこにいるかわからない。
五本の矢が光を帯びると、それを確認した柴田は矢を離した。びゅんと音を立てて矢口達の脇を通り抜ける。それぞれの矢は、いつの間にか彼女達を囲んでいたオークの咽を貫いた。
「油断しないで。」
柴田が鋭く言う。そして空を見上げ、斉藤を呼んだ。
「様子はどう?」
露出の多いドレスをまとった斉藤がゆっくり落ちてくる。その身の回りでは風がごうごうと渦巻いていた。「斉藤、飛べるのぉ!?」矢口は目を丸くする。一巻きの風がごうと斉藤の豊かな布をはためかせる。
「ふふ。ちょっとだけね。」
矢口にウインクを返すと斉藤は顔をこわばらせて言った。
「状況はかなり悪いわ。この丘、完全に囲まれてる。」
5 名前:みぎまがり寿 投稿日:2003年07月27日(日)11時31分39秒
「他のグループは?」
「柴田、落ち着いて。それは飯田さんに聞いた方がいいよ。」
斉藤の言葉で、あさみを除く皆が飯田に注目する。あさみは三体のオークを相手にしていたが、劣らぬ戦いをしていた。辻があさみの方へ駆け出す。
「石川組は恐らく全滅。展開予定場所にあの娘達を感じないの。」
それを聞いた皆が息を飲む。辻の足が止まった。これを聞きたくなかったんだと矢口は思った。ごめん、辻ちゃん。
「なっち組はやっぱり場所が悪かったみたい。大分苦戦してる。」
矢口は心臓が体の奥へ沈んでしまうような感覚を覚えた。なっち・・・。安倍、松浦、加護、小川、前田の五人は、敵の精鋭の集まる地区を制圧しようと別行動を取っていた。
6 名前:みぎまがり寿 投稿日:2003年07月27日(日)11時32分13秒
一瞬の沈黙を斉藤が破った。
「あさみ、一人で大丈夫?」
あさみはこちらに目も向けず答える。
「余っ裕!」
「がんばれー。」斉藤はそう言うと立ち止まってしまった辻の手を握り、それから矢口に目線をよこす。うなづいて矢口は言う。
「石川組のことは今は考えないようにしよう。なっち組と合流するのがいいと思う。」
柴田が後を継いだ。
「この戦力比だったら固まってた方がいいと思う。」
「だね。」
「カオリ、なっち組の状況を感じ次第おいら達に伝えて。」
「わかった。」
「合流で決定?」
斉藤はいつもこうやって足並みを整えてくれる。矢口は心の中で感謝した。
「そう。合流で決定。」
「紺ちゃん来ないかな。」辻が矢口に小さく漏らす。
「紺野は無理だから・・・。」無理だから、連れてこなかった。あんたもそのつもりだったんだよ、辻ちゃん。言わずに矢口は辻に苦笑を見せた。
柴田はそのやりとりを見てやはり少し寂しい気持ちになる。紺ちゃん、やっぱり最後まで、一緒にいたかった。一緒に戦い抜きたかった。
7 名前:みぎまがり寿 投稿日:2003年07月27日(日)11時32分47秒
そして五人は、次に同じ人間のことを思う。
ミキティ。彼女がいたら、もっと戦況は変わっていたのではないか。
藤本は矢口の要請を笑顔で断った。何か理由があるのか、ないのか、それを矢口が問うことは無かった。
「あさみ、合流でOK?」飯田が声を飛ばす。
「オッケーオッケー!まだまだ幾らでも来いっての!」
膝をついた三体目のオークに斧を叩き付け、背中を向けたまま拳を空へ突き上げてあさみは返事をした。
いける。このメンツで充分だ。なっちと、なっち組と合流すれば打開策はある。矢口もあさみに倣い拳を突き上げる。
「頼りにしてるぜ野郎ども!いくぜいっ!張り切っていきまーっ」
『ショーイ!!』
飯田が矢口をじろりと見た。矢口はペロリと舌を出す。
8 名前:みぎまがり寿 投稿日:2003年07月27日(日)11時37分08秒
とりあえずここまでれす。。。
なるべく死人は出したくないなと思ってはいますが、7AIRはすでに全滅。。。

感想、ご意見、その他ご注意下さるとやる気出ます。
似た話、幾らでもあるんじゃないかってのが今の不安。。。
9 名前:みっくす 投稿日:2003年07月27日(日)15時40分45秒
面白そうですね。
続き楽しみにしてます。
10 名前:かつらぎ 投稿日:2003年07月28日(月)15時18分44秒
お〜新作だ!
こういう「剣と魔法」の世界は大好きです。
基本設定は似たような話があるにしても、
結局書き手が違えば自然に「小説の個性」ってのは出てくる物だと思うので、
「こんなのはありがちかな?」なんて考えず思うまま作者様に書いていただきたい、
と思います。
続きを楽しみにしてます。
11 名前:みぎまがり寿 投稿日:2003年07月29日(火)22時09分52秒
>9, 10
みっくすさん、かつらぎさん、ありがとうございます。
とりあえず自分の物語(妄想)に自信と責任を持って終わらせようと思います。勇気でました。

自分、実はなっち推しでして。。。
代々木体育館で例の大本営発表を聞いてかーなーり落ち込んでおります。
次回はもう少し先になるのではなかろうかと思います。。。しばしお待ちあれ。
12 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月07日(木)22時15分23秒
自分は、紺ちゃん推しなんで早く登場するのを待ってます

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