短編集。

1 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年08月10日(日)01時32分43秒
安倍さん生誕記念。
なちまりのみの短編集を書かせていただきます。
感想大歓迎です。
よろしくお願いします。
2 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時33分22秒


お題「安倍なつみさんの好きな所」


10秒考えてからお答え下さい。

1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……

それではお答え下さい、スタート!!!



10秒間考えなくても言えるよ?
喋りだしたら止まんないよ?

矢口真里、マシンガンの如く…行きますッ!



3 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時34分30秒



へへっ…まずはねぇ、やっぱあの笑顔だね。
おいらが元気ない時でも機嫌悪い時でも
なっちの笑顔見たら一気に吹っ飛ぶもん!
すぐに元気出るし機嫌悪い事なんて忘れちゃうくらい!
それに歌声でしょー、表情でしょー、仕草でしょー、もうねー全部!
安倍なつみ、なっちの全てが好き!!!!!!
好き好き好き好き好きだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
料理もうまいし!なっちの作るハンバーグ最ッ高!!!
あの特製ソースがたまんないんだよねぇ…
この前なんかそのソースが口の端についちゃってなっちに
「やぐちソースついてるよ?」って!「よ?」ってってって!!!
「ん〜、とって?」って言ったら
「もう…」なんてブツブツ言いながら指でとってくれたんだよ!?
あ、もちろん『ソースを口の端につけた』のは計算だけどねっ!
あぁ〜思い出しただけでもニヤけてくるよぅ。
・・・って脱線してるじゃん!!
なっちの好きな所、なっちの好きな所・・・





4 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時35分46秒




「やぐちさっきから何言ってるの?」

「…ふぇ!?」

「いや、ふぇじゃなくてさ。ブツブツ言ってるから。」



どうやらベッドで一人悶えながら妄想に突っ走ってたみたい。
妄想の本人、なっちは呆れて
「よいしょ」って言いながらベッドに腰掛けた。

あぁ、その「よいしょ」も可愛いよ…
おいらのマイ…エンジェル…!


「お〜い…?今日のやぐち変だよ?」



5 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時36分37秒


首をかしげながらおいらの髪に触れる。
その触れ方も微笑んだ優しい表情も…
まさに…


「おいらの…マイエンジェル…」


「・・・は!?」


あっ・・・・・・しまった…!
おいらの髪をなでていたなっちの手も思わず固まる。


変態?…みたいな目線がい、痛いっす…安倍さん…


「あの、その…冗談冗談!
 ね、ねぇ…なっちはさぁ、おいらのどういう所が好き!?」


あせりまくってわざと別の話題に切り替えた。
マイエンジェルとか恥ずすぎるっ!


目線が泳ぐとかこういう事言うんだろーな…





6 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時37分18秒



「…えっ?」

なっちは今も固まったまま。
あ、れ??ココ固まるリアクションとる所じゃないんじゃない?

ゆっくりとなっちの手がおいらの髪から離れていくのが分かった。


何か・・・ヤな感じ…。


「あ、あのさ…おいらのどういう所が……なっち的に、好きなのかな?」




7 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時37分57秒


キョドりながら正に恐る恐るって感じにもう一回聞いてみる。
何でおいらキョドってるんだ…
恐れる事なんて…ない!

だっておいら達は相思相愛!!!なんだもん!



「・・・・ない。」


…だっておいら達は相思相愛なんだもん!


「・・・今、なんて?」


…だ、だっておいら達は相思…相、愛…


「……ない、って言った?」


相 思 相 愛 だ し・・・?


下を向いたままのなっち。



『ない』


 好きな所、ない=好きじゃない・・・?




8 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時38分45秒



「・・・・・・・マジで?」


背中に嫌な汗が流れた。


おいらの目線はなっちから離れないままでいた。
口が無意識にだらしなく開いたままの状態。

2人の間に流れる時間が遅く感じて、
っていうか時間が止まったような感じがした。



沈黙沈黙沈黙・・・




9 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時39分42秒


「あ、あの…ないっていうか…特に強調して言う所ないっていうか
 …そ、そんな感じ。」


なっちの必死と思われるフォロー。



「・・・・おいら、いいトコなし?」



今のおいらネガティブ矢口。



「違う!違うよ!・・・その、
 …あれも好き、これも…好き………ぜんぶ、好きっていうか…」



10 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時40分22秒


ぼけーっとだらしなく開いてた口をさっきよりも大きく開けた。




…あれも好き、これも…好き……ぜんぶ、好き


ぜんぶ、好き

全部、好き

全部好き



矢口真里の全部が好き。







11 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時41分03秒


「今…全部好きって…言った??」


未だ信じられない感じ満々にもう一回聞くと


「・・・・・・・・ぅん…」


小さく返事して頷く真っ赤な顔したマイエンジェル…!




さっきまで深海のような深い深い失意のどん底に落ちていたのに…
(なっちの一言で)
それが今、上空の遥か彼方にロケットに乗って飛び上がった気分!!!
(なっちの一言で)




12 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時41分55秒




「・・・へへっ…あははっ…んふふ…いや〜照れちゃうなぁぁぁぁ!!!!!
 ぜんぶ、好き・・・って!!もう〜!!!!なっち、好き!」


「えっ?・・・やぐっ…!」



急にハイテンションになったおいらは、
いきなりおいらのすぐ隣に腰掛けてたなっちの腕を引っ張って抱きしめた。

抱きしめるとちょうど2人で寝転んでる体勢になった。
向かい合って、
ギュって抱きしめて、
顔を近づけて、キスをした。


おいらしか触れられない、特別な場所。
(ていうか他の誰にも触れさせやしないよ!)


少し離れて額をくっつけてなっちの目を見る。







13 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時42分50秒




「・・・幸せ。」


「…ぅん。なっちも…幸せ。」


お互い照れたような笑いがこぼれる。


「あれも好き?
 これも好き?
 ぜんぶ好き?」

「も、もぅ言わないで…!」


あれも好き
これも好き
ぜんぶ好き

嬉しくって嬉しくってもう一回言ったら
なっちはさっきよりも真っ赤に照れておいらの口を手で塞いだ。




14 名前:溺愛My Lover 投稿日:2003年08月10日(日)01時44分03秒





おいらの口を塞いだその手をよけて一言。


「塞ぐのは手じゃなくて唇にして?」


「・・・・・・ん。」



その後、おいらの口はなっちの唇でもう一度塞がれた。

塞がれた直後やっぱりおいら達は相思相愛!
…なんて自意識過剰に思っちゃったり。







15 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年08月10日(日)01時47分53秒
『溺愛My Lover』
コレで一応終わりです。
何とも終わり方が微妙なんですが…
こんな駄文しか書けないんですけど頑張りたいと思います。
16 名前:くり 投稿日:2003年08月11日(月)13時04分29秒
ヤッター!!『なちまり』だぁーー!
私『なちまり』大好きなんです!
次の更新もがんばって下さい!
応援していますよ!!
17 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月11日(月)13時49分52秒
はじめまして。
前作の時からこっそりロムさせていただいてました。
銀色さんの書くなちまり、可愛くて好きです。
矢口さんが相当安倍さん好きなのが伝わってきます(w
次回更新も楽しみにしてます!
18 名前:タケ 投稿日:2003年08月11日(月)18時33分33秒
『なちまり』キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!
すっごいよかったです!
続きが読みたいです!!
19 名前:悪戯。 投稿日:2003年08月12日(火)01時10分29秒


「なっち、キスしよう。」

淡い黄色のソファに精一杯体を伸ばして
逆さに見えているであろう空を見つめているやぐちの唐突すぎる一言。


「やだ。」

淡い黄色のソファに精一杯体を伸ばして寝転んでいるやぐちの
すぐそばの床に座ってるなっちの速攻の一言。



お互い視線が絡み合う。

『ちゅぅぐらいイイじゃん。』――無言の視線でこう言ってたから
『何言ってんの?』――なっちの無言の視線でこう返した。



20 名前:悪戯。 投稿日:2003年08月12日(火)01時11分17秒




「じゃ、フリだけ。」

「・・・フリ?」

「実際は触れないでフリだけ。それぐらいだったらイイでしょ?」

全く何を考えてるんだこの人。
少し呆れ気味の表情も小さくついた溜め息も
一回なっちを見ただけですぐに流された。

こういう事になるとニヤニヤするやぐちサン。
俗に言う「企み笑い」ってヤツ。
なっち的には「おもしろいイタズラを考えてワクワクしている子供」
にしか見えないけども。



21 名前:悪戯。 投稿日:2003年08月12日(火)01時12分03秒



「ね。こっちおいでよ。」

ソファから体を乗り出してなっちの服の袖を引っ張るのは「早く」の合図。
すぐに「イヤだ」って言えればイイんだけどそうはいかなくて。
何だかなぁ…逆らえないというか思うツボというか。

「んー…」って唸りながらもやぐちの寝転んでいる
淡い黄色のソファの真横に移動。

したらいきなりなっちの首に腕を絡ませた。
手はしっかり首の後ろで固定。
なっちは特に抵抗する気もなく、それをじっと見てた。



22 名前:悪戯。 投稿日:2003年08月12日(火)01時12分49秒



「ただのゴッコ遊びだし?」

ニコっと笑った瞬間、真っ白なキレイな歯が見えたかと思うと
引き寄せられて間近にやぐちの顔が。


「瞼にキスを・・・」

間近だったやぐちの顔がもっと近くなって右目瞼のすぐ前に唇。

「・・・するフリ。」


息が右目瞼をかすめる。
顔が一気に熱くなって「ゾクッ」とした。


「そして唇にキスを・・・」

なっちの反応を楽しみながら微笑んでやぐちの唇が
なっちの唇にギリギリ重なるかどうか近づいてきた所で
思わず「キュッ」と目を閉じた。


「・・・するフリ。」


さっきと一緒で息が唇をかすめた。
顔は完全に熱くて多分真っ赤だ。





23 名前:悪戯。 投稿日:2003年08月12日(火)01時13分31秒



閉じていた目をゆっくり開くとぼやけた視界に
今まで以上にニヤニヤしたやぐちの顔。

「なっち、想像で感じてんのぉー?」


やーらしー、とか何とか言いながら企み笑い。


「なっ…違うべさ!やぐちが…変な事するからっ……!」


真っ赤だった顔を更に真っ赤にして言っても


「おいら何もしてないよ?なのに感じたんだね。」

クスクス笑って首に絡めてた手をほどいて
「何もしてない」と両手を挙げてアピール。

首にはまだやぐちの腕の感触が残っていた。





24 名前:悪戯。 投稿日:2003年08月12日(火)01時14分05秒




むかつく。したくせに(実際にはしてないかもしれないけど)
未だに笑ってるやぐちがもっとむかついて
やぐちの足元に落ちてたクッションを顔に思い切りぶつけてやった。


「バフッ」って音と「っぶ!」って不思議な声がした。
無残になっちとソファの間にずるりと滑り落ちたクッション。
そして「クッションぶつける事ないじゃーん!」
文句言い人形みたいに「グチグチ」言いまくるやぐち。




25 名前:悪戯。 投稿日:2003年08月12日(火)01時14分40秒






「こ、こんな事でからかわれるなら……なっち…」


「な、何だよぉ…」

とさっきの勢いと全然違う弱々しいやぐちの声。




言いかけた事をやめたのは、行動にうつしたから。





  ちゅっ…





触れるだけのキスを1つ、やぐちに。

離れてから

「最初からキスしとけばよかった…」

そうつぶやいてやぐちを見るとなっちと一緒で真っ赤な顔して呆然…。



「い、いたずらしすぎました…ゴメンなさい…」

「・・・ん、反省しろぉ…」

その後お互い気まずくてちょっと沈黙。
顔の火照りは直らないまま。









26 名前:悪戯。 投稿日:2003年08月12日(火)01時15分43秒





「でも、ビビった…。
 なっちからちゅぅしてくれるなんて初めてなんだもん。」

「・・・うん…」

「何か言ってみるもんだね、そーいうの。得した気分だよ。」


エヘヘ、なんて字に書いたような笑い方してるやぐちに
さっきぶつけたクッションをもう一度顔にぶつけてやった。

また「バフッ」って音と「っぶ!」って不思議な声がした。

さっきのは「怒りの鉄拳」
(でもクッション)だったけど今のはただの「照れ隠し」
…っていう事はやぐちにも分かったようで
ぶつけられた後もへらへら笑って

「素直じゃないなぁ〜」
なんてつぶやいた。

恥ずかしくてやぐちに背を向けたら

「でもそんなトコも好きだよ」

後ろからそんな声が聞こえた。


きっと笑っているであろうやぐちを想像して
「するんじゃなかった」と心の中で後悔した。





27 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年08月12日(火)01時29分46秒
「悪戯」
一応終わりです。
また終わり方微妙〜!

>16くりさん。
レスありがとうございます!
なちまり好きですか〜。嬉しいです!!
頑張るんで温かく見守っていて下さい(笑)

>17名無しさん。
レスありがとうございます!
前作のアレからですか!?
あんな駄文を読んでいただいてたなんて光栄です。
名無しさんのレスに浮かれてテンション高いです(笑)
ありがとうございましたー!

>18タケさん。
レスありがとうございます!
お褒めいただいてめっちゃ嬉しいです。
今回のは…微妙ですが…。

みなさんのレスに浮かれっぱなしです(w
本当にありがとうございますー!
頑張りたい!…んですけど思い浮かびません(苦笑)
甘い、イチャイチャしまくりのを書きたいんですが…


28 名前:タケ 投稿日:2003年08月14日(木)00時00分32秒
更新お疲れ様でした。
今回のは微妙ですか?とっても面白かったですけど・・・
2人とも可愛かったし・・・(爆)
29 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月15日(金)01時47分27秒
可愛い!こっちまで恥ずかしくなってしまうような
イチャイチャっぷりを、ありがとうございます。
イタズラ好きの矢口さんマンセー(w
30 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)01時54分19秒


コンビニの帰り道。
ちょっといつもと違う道を通ったら公園があった。


ねぇねぇ、ブランコあるよ!
やぐちはそう言ってさっさとブランコまで走って行った。

「小学生と同じじゃん…」

そうやぐちに聞かれない程度の小さな声で呟くように言った後
ブランコまで歩いて行った。



キィ…キィ…

夕方の公園にブランコの錆びた音だけが響く。


「懐かしいねぇ…ちっちゃい頃はよく乗ったっけなぁ…」


やっとブランコに辿り着いた。

やぐちは既に立ちこぎしながら

すごーい!たかーい!を連呼。



コンビニで買ったプリンとヨーグルトを置いてから
ブランコに座ってゆっくりとこぎだした。

この雰囲気、懐かしい。





31 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)01時54分52秒




――ズザザザザッッ!!


地面を擦る音と共に真っ赤な夕暮れの空に砂埃が舞う。
やぐちが乗っていたブランコが急に止まった。



「楽しいけど手ぇ痛いよ。肉刺出来るかも」


なっちこいだげるよ!

やぐちの任して!みたいな声。
それより肉刺大丈夫なの?


「いいよ、なっちは…」

「なーに言ってんのさぁ!2人乗り2人乗り!」


なっちの拒否の声もあっさりと流されて
やぐちはなっちの乗ってるブランコに乗ってきた。


ブランコが一気に揺れた。
立ってるやぐちを心配そうに見上げると

「大丈夫だって!」


何も言ってないのになっちの言いたい事が分かったのか
勢いよくこぎだした。




32 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)01時55分30秒




ゆっくり揺れていたブランコが急にスピードを上げていく。
段々真っ赤な空が一面に広がるくらいにスピードが上がっていた。


「おぉ〜!最高〜〜!気ー持ちイイ!!」

「ホントだぁ…風が気持ちいいね」


少し上を見上げるとオレンジに染まったやぐちの髪が見えた。
それと楽しそうなやぐちの顔。


何か、やぐちを見上げるなんてした事なかったから新鮮。
ふいにやぐちの香水の匂いがした。


キィ・・・キィ・・・







「なっち、跳んで!」

「はっ!?」

「今くらいのスピードだったら跳べるでしょ?」


急に何を言い出すのかと思えば…
確かにさっきに比べてスピードは落ちたけど…怖いっしょ?





33 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)01時56分08秒




「やだよぉ!やぐち跳びなよ?」

「だっておいら立ってる側だもん。小さい頃よく跳んだりしなかった?」

「したけど…立ってても跳べるよ!やぐち跳べ〜〜〜!」


あはははは!
笑いながらそう促してやぐちを見ると
「ん〜〜〜〜〜…」
とちょっと悩んでたみたいだけど


「よっし!行くぜぇぇぇ!」

すぐに跳ぶ事を決めたようで跳ぶ気満々。
右足を乗せてた所に無理矢理両足を置いた。
そのせいですごくバランスが悪いけども…


なっちも悪ノリして


「行け行け〜!」

とか言っちゃって…




「とぅおりゃぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」



思い切り跳んだ割には前のめりになって見てる側としては相当カッコ悪い…









34 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)01時56分42秒





やぐちの第一声は


「痛ッ!痛い!足捻った!なっち助けて!!」


さっきにも増してカッコ悪い…


ブランコから降りてコンビニの袋を持って
倒れて悶えてるやぐちの所へ…


「大丈夫?」

「大丈夫じゃない!痛ぃ!なっちおんぶ!」


えっ・・・・・・?


「…本気で痛いの?」

「痛いからおんぶしてって言ってんじゃん!
 なっちおんぶしてよぉ…でないとおいら動けなーい!」


地面に倒れたままの格好で上目遣いされても…


「んもぅ…」





35 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)01時57分12秒




倒れたせいでやぐちの服は案の定土まみれ。
おまけに髪にまで土がついている。

パンパン叩くと土埃が出た。


「ほら、負ぶさって。」

「やったー!」


やぐちに背を向けて屈んだ。
すると速攻負ぶさってきた。

「…よぃしょ、っと…」


コンビニの袋はやぐちに持たせて公園を出た。
トボトボやぐちを負ぶさりながら歩く姿は何となく恥ずかしかった。




36 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)01時57分50秒




「なっちいい匂いするね。」

エヘへ、とか笑って呑気に笑ってるけど…ほんとに痛いの?


「く、首筋に顔寄せないでよぉ!くすぐったいから!!」


「感じちゃったり?」


「ばか!落とすよ!?」


「ご、ごめんなさい。」


それから会話もなくなっちはやぐちを負ぶって歩き続けた。

足捻ってるんだったら冷やさなきゃいけないんだよね。
湿布、家にあったかなぁ…。
捻挫とかだったら絶対病院行かなきゃいけないし。

やぐち大丈夫かなぁ…。

それなりにやぐちの足を心配して、表情を伺うように後ろを見ると
やぐちは全く痛がっていなくて辺りをキョロキョロしてる。


時々ぎゅって腕に力を込めながら
首筋に顔を埋めてくるやぐちの仕草が子供っぽかった。





37 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)01時58分23秒




「…なっちの耳たぶ触り心地いいね。」


「…そう?」

ふいに右耳を触られた。
耳たぶを触る人なんてやぐちくらいだからそんなの言われた事ないけど…

なっちにちょっかい出してくるって事は
そろそろ暇になって来たらしい…。


「……柔らかいねー」


「普通っしょ?」


「いや、そんな事ないよ。やーらかい。」


「…ふーん?」




38 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)01時58分59秒





少し上を見ると一面綺麗なオレンジ色の空。
周りの建物や木々、そしてなっちとやぐちもオレンジに染まっている。

心地良い風が髪をなでる。
夕焼け、好きだなぁ。

・・・と思ってる最中でも右耳はやぐちの指で遊ばれてる。


「………こう柔らかいとさー…本当に血、通ってるのかなぁとか
 思って確かめたくなるんだよね。」

「うん…ってそれどういう・・・」


指の感触がなくなって代わりに何かがなっちの耳に触れた。
これって・・・・・・・・・歯?


立ち止まって硬直。










・・・・・・・・・・・・・・・・・甘噛みってやつ?










39 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)01時59分43秒




そう気付いた時には全身に鳥肌。
背筋がゾクゾクッとして。



両手が力なくだらん、としてそのせいでやぐちが落ちた。



油断していたやぐちはまんまと地面に叩きつけられたって感じで呆然。




「な、何だよぉ!?いきなり落とす事ないじゃん!ってか痛ッ!痛い!」


「や、やぐちこそ!なっちの耳に何したのさぁ!?」


そう言いながらやぐちの方に振り向いて見ると
地面に座って腰を摩っていた。
耳は真っ赤で・・・感触、微妙に残ってる…





40 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時00分22秒




「えー?……甘噛み。まさか感じちゃった?」


なっちは感じやすいからなぁー!
とかへらへら笑ってなっちの反応を楽しんでる…


「か、感じ…てないもん!」


「あー!感触思い出して真っ赤になってる〜!なっちやーらしー!」

「バ、バカ!そんな事ないって言ってるっしょや!」


あせって早口で言った。
そんななっちにやぐちは

「…そんなムキになんなくていいじゃん。…よいしょ、っと。」


呆れながら立ち上がって「ふぅ」と一息ついた。



…ってちょっと待って。





41 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時01分25秒



「やぐち…足は?」


公園で「足捻った!歩けない!」みたいな事言ってたよね?



「ん?あー…足治ったみたい」


「えっ!?」



「実は言うとさ、負ぶってもらった直後くらいから
足の痛みひいてたんだよね。捻ったのもおいらの勘違いってヤツー?
早とちりだったよ。でもさぁ、折角負ぶってくれてるし
ちょっと甘えちゃおっかなーって思って
 何も言わなかったんだよね〜。」


なっちの愛を感じたよ!

・・・と満足そうなやぐち。


なっちはやぐちと正反対って感じに機嫌悪くて苛々してた。

人が心配して一生懸命負ぶってたのにー!
(甘噛みはもういいとして。)




42 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時02分00秒




「こんなトコに突っ立ってないで、帰ってプリン食べよー?
 なっちのヨーグルトもちょっとちょうだいね。
 おいらのプリンちょっとあげるからさ!」


ガサガサと袋の中に入っているプリンとヨーグルトを見てご機嫌。
買ってから時間経ってるせいでもう冷たくないんだろうなぁ…


今はそんな事よりも飄々とした様子のやぐちがむかつく。




「・・・・・ばか!」



「はっっ??」


悪態づいたなっちにやぐちは「ワケわかんない」って顔。

その表情を見て苛々が爆発した。





43 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時02分54秒





「ばかやぐち!人がどれだけ頑張って
ここまで負ぶってきたと思ってんのさ!
すっごいしんどかったんだからね!?
 腕痛かったし、やぐちはちょっかい出して邪魔ばっかりするし…!
 それに……足捻ったっていうから心配もしたし…。」


最後の方は始めの方の勢いの半分もなく、
弱々しい声になってしまった。
目を合わせてられなくて下を向くと
なっちの影がやぐちの影と重なってた。

オレンジだった空も段々夕日が沈みかけているせいで暗い。
 


「ご、ごめん・・・」





44 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時03分30秒




さっきの飄々とした様子が嘘のようにやぐちは落ち込んだ声を出した。
でも、一言謝ったくらいじゃなっちの怒りがおさまる事はない。


「もう、いいよ」


仏頂面のまま呟くと、やぐちを無視して歩き出した。


冗談にもほどがあるよ。
やぐちなんかほっといてやる…。
ヨーグルトもやんない。
なっち一人で食べるもん。


・・・・・・・・ヨーグルト…??



5,6歩歩いた所でくるっと振り返って
やぐちの持っていたコンビニの袋を不機嫌そうに奪ってまた歩き出した。







45 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時04分01秒





「ちょ、なっち…待ってよ!」


後ろからやぐちの声がしたけど振り向いてやるもんか。
ごめん、とか謝ってもらったって許してやんないもん…。



走ってくる足音がして目の前にやぐちの姿。

ちょっとその必死な表情に「許してやんない」って気持ちがぐらついた。
それで「ごめんなさい」って言われたら…許しちゃうかも…。





ハァハァ言ってるやぐちの第一声は






46 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時04分41秒






「おいらのプリンまで持って行かないでよ!?」


小さいのならまだいいけどちょっと大きめのヤツ買ったじゃん。
しかもおいらの大好きなプッチンプリンだし。
だからなっちにはあげられないよぉ。


頭がクラクラして真っ白になった感じがして、
次に湧いてきた感情はもちろん、怒り。



「ば、バカ!!!もう絶対許してやんないから!」


袋からプッチンプリン(ちょっと大きめ)を手に持って
思い切りやぐちの顔に投げつけた。


予想してなかったせいか、
やぐちはナイスキャッチ出来ず顔面で受け止めた。
(性格には顔面にそのままヒット)







47 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時05分11秒





「〜〜〜〜〜ぃ、痛ぃ……」

蹲って顔を押さえながら、悶えているやぐちの隣を通って
家に帰ろうとしたら


下から苦しそうな声で


「なっち……す、スプーンくれなきゃ食べれないよ…」


とやぐちが言ったから
上から黄色いひよっこ色の髪にスプーンを投げつけた。



「・・・・・・ぃ、いだぃ……」


後ろから微かに聞こえた声はそのまま薄暗くなった空に消えていった。











48 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時05分47秒









・・・・・・間違い……。

こんな20歳がいるだろうか?
片手にプッチンプリン。(ちょっと大きめ)
片手にプラスチックのスプーン。

小学生じゃないんだから…。
かなり恥ずかしいけど、仕方ないのだ。

愛しの彼女に振られちゃったんだから。




なっちに追いつく為に走っている最中考えたおいらの想像はこうだった。


プリンくれって言ってなっちがプリンを渡す。
その渡そうとした手を掴んでなっちをプリンごと抱きしめる。
そして耳に囁くように「ごめんね」って言う。

・・・ハッピーエンド!!!!!フォーエバーラヴ!!!!!


・・・・・・・・・・・・・のはずが…。







49 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時06分25秒







相当ご立腹だったなつみさん。
おいらのプッチンプリンをぶん投げてきたよ…。
そのプッチンプリンは見事おいらの顔面にブチ当たって。
おいらの目の辺りは青くなっている。
・・・・青痣だよ、この歳で…。
ダセェ・・・・・・・。


スプーンくれって言ったのは、ただの意地。
そのスプーンまでも投げてよこすなつみさん…。
頭に当たったスプーン、10トンくらいの重さに感じたよ。



痛みが少しだけひいたからなっちの携帯に電話。

ずっとつながらないまんまなら
「まだ怒ってるんだ」
ってヘコむのに

わざわざ電話に出て
「現在使われておりません。」
って言われて切られるのはちょっと腹が立つってもんだ。


くそー、なつみめ…。
なっちなんて可愛く呼んでやんないぞ…なつみだ、なつみ…!
(↑ただ呼びたいだけ。)






50 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時07分06秒





電話が駄目ならメール!

でも、メール送っても今度は返事なし。
ちくしょぅ…。



って事で今は、なっちの家まで歩いて行っている最中。
はぁぁ…顔が痛い…冷やしたい。


おいらが悪いんだよ。
分かってるけど…あんな態度とらなくても…。

素直に謝ろう…。
ただ甘えたかっただけなのになぁ…。


でも、それだけおいらを心配してくれてたって事だよね。
嬉しいかも、っていうかすごい嬉しい・・・。





51 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時07分47秒





そう考えているといつのまにかなっちのマンションの前。

ニヤついてる表情を引き締めてエレベーターに乗った。
絶対部屋入れてくれないよ…。
ドキドキするー。

「チン」と短い音が鳴ってエレベーターが静かに開いた。





52 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時08分30秒






そして、なっちの部屋のドアの前。
左手にプッチンプリンとスプーンを持って
右手の人差し指でチャイムを押した。

――ピーンポーン。

「はーい、どちら様ですか?」

ドアを通り越して聞こえるなっちの声。

「・・・新聞配達の者ですがー」


「・・・・・・・いりません。」


「じゃ、じゃーピ、ピザ!ピザの配達の者ですが!」

「頼んでません。」

「・・・えっと…ヤクルトはいかがですか?」

「いりません。」

「何だよぅ…じゃ、牛乳は?」

「結構です。やぐち飲めば?」


「いらないよ!お、おいらが牛乳嫌いなの知ってるくせに!」



なっちは冷めたような口調でドアを開ける気が全くないって感じ。
ちょっとはノッてくれてもいいじゃんか…。
今はノリツッコミすらしてくれないの?






53 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時09分03秒





「・・・・開けてよ?」


「やだ。何で開けなきゃなんないのさ?」


「なつみの顔が見たいから」


「なっちはやぐちの顔見たくないから。」


おかしいなぁ…
「なつみの顔が見たいから」って言ったら
開けてくれると思ったのに…。
甘すぎたか…。


おいらはなっちの目を見て、ちゃんと謝りたかった。
だからドアを開けてもらわないと困るのだ。




54 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時09分45秒




「・・・・・なっちぃー…」


「泣きそうな声出してもだめ。」


「なちゅみー!」


「甘えた声出してもだめ。」


「・・・なつ…」


「・・・怒ったような声出してもだめだからね?」


「・・・・・・・・バレてる…。」


「やぐちが単純なだけっしょ。」





55 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時10分32秒






「ぅー・・・おいら、なっちがドア開けてくれるまで
ここで待ってるから。」



沈黙・・・・・・あれっ?



「な、なっち?聞いてる?ってまさかもうドアの前にいないとか?
 そ、そんな・・・ちょ、聞いてよ!なっち??」



それっきりなっちが何か言ってくれるような事もなく、
時間だけが過ぎて行った。

おいらは諦めてドアを背もたれにして座り込んだ。
プッチンプリンとスプーンを手の中でゴロゴロしながら
なっちが開けてくれるのを、ただひたすら待つ。





56 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時11分21秒




目を見て謝るっていうの、無理なのかなぁ。
おいらが謝らないから、開けてくれないのかなぁ。
そうだよなぁ、悪いのはおいらだもんなぁ。


「よしっ!」

小声でそう言って、立ち上がるとドアを見つめた。


「・・・なっち、聞いてくれてないかもしんないけど
 さっきは、ごめんなさい。
 ・・・でもさ、その、心配したって聞いてちょっと嬉しかった。
 心配してくれてありがとう。それと、ほんとにごめん。」


なっちからの返事はない。


「お、おいらの事嫌いにならないで。
 せめて…梨華ちゃんと同じくらいでいいから好きになって?
 あぁーでもな…辻!辻ちゃんで…いいや。
 辻ちゃんと同じくらいでいいから好きになって?」


さっきと同じようにおいら一人で話してて、
なっちからの返事はなかった。





57 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時11分55秒




おいら、相当嫌われちゃってんなぁ・・・

仕方ないよねー、おいらがした事だもんね。


…あ、辻って言ったのが悪かったのかも…


「・・・我侭すぎた…ごめん。」


ドアに向かって深々と頭を下げたまま、帰ろうって思った。
だってこのままココにいるのも迷惑だし。



一息ついて、頭を上げようとした瞬間、



――ガチャ・・・ゴン!!!



「い、痛ッ!頭痛い!頭打った!」


手に持ってたプッチンプリンとスプーンを落として、
あまりの痛さに座り込んだ。

多分、ちょうど頭を上げると同時にドアが開いて
タイミング良くドアの取っ手に頭をぶつけたんだと思う。

 今日ホント怪我してばっかりだ。





58 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時12分34秒




「ご、ごめん。大丈夫?」


頭を両手で押さえて声のする方を見上げるとなっちの顔。


「・・・・な、っち…?」


なっちはおいらの目の前に座り込んだ。
そのせいで目線が同じ高さになった。



「痛かった?」


「・・・・だい、じょぶ…。」


「そう、よかった。」



・・・・・なっちだ。
おいらが会いたかった、なっちだ。

ドアを開けてくれた事にすごくほっとした。




59 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時13分43秒





「・・・・・・ほんとにあの時心配したんだからね?」


あの時ってのはブランコ乗って足捻った時だってのが自然に分かった。
なっちは口を少し尖らせながらおいらの頭をなでてくれる。
ちょうど今ぶつけた所を優しくなっちの手が触れた。



「ご、ごめん。」


「でも、なっちが煽ったからやぐち跳んだんだもんね。
 元を辿ればなっちの責任でもあるし…」


「そ、そんな事ないよ!おいらが…悪いんです、ハイ。」



「んふふ、それよりココたんこぶになってる。」



そう言いながらなっちが指先で少し力を入れた。


「ぃ…ったいからマジで!!」


頭にビリビリしたモノが走ったように飛び上がった。
なっちはその反応を見て楽しそう…。



「ごめんごめん。
 ・・・プリンまだ食べてないの?」


おいらの頭から手を離して
なっちは地面に転がっているプッチンプリンを見てた。
無残に横になっているプッチンプリンとスプーン・・・。






60 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時14分27秒





「うん、なっちと食べようと思って。」


食べたかったのに、我慢してたんだよ?


「…なっちもまだヨーグルト食べてないよ。
 一緒に食べようか?」


「…も、もちろん!」



お互い顔を見て、笑い合った。

プリンとスプーンを持って
なっちの部屋に入ると安心して溜め息が出た。





61 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時15分06秒




ソファに座ってプッチンプリンのフタを開けると
「ペリペリ」という独特の音がした。
なっちも冷蔵庫からヨーグルトを持ってきて一緒に食べた。

プッチンプリンはぬるくなって微妙だったけどおいしかった。

おいらはなっちにプッチンプリンを一口あげて
なっちはおいらにヨーグルトを一口くれた。
ヨーグルトはプッチンプリンのせいか、すごく冷たく感じた。



「・・・そういえばさ、その顔どーしたのさ?」


ちょうどプッチンプリンがカップの底のカラメルの部分に辿り着いて
ご機嫌だったけどなっちの声で思い出した。


「な、なっちがやったんじゃんか!い、いてて・・・」


怪我っていうのは何で思い出したら痛くなるんだろ…。
蚊に刺された時とかもそうだよねぇ…

ってそんな話じゃないよ。





62 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時15分44秒




「もしかして、プリン投げた時のヤツ?」


「そ、そーだよ!どーしてくれるんだよ!
 青痣になっちゃったじゃん!」


「ほんとだぁー…痛いの?」


なっちは、そう言いながらおいらの目の辺りに出来た青痣を触ってくる。


「…力入れないでよ?痛いんだから…」


「うん。でもごめんね?」



謝るなっちの目が上目遣いで、おいらとしてはドキドキもの。
・・・やっぱ可愛い。
そんな目をされたら許さないワケないじゃん。




63 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時26分03秒


「まぁ、別にいいけどさ。」


「氷持ってきて冷やそうか?その方が痛みも和らぐと思うけど」


「あー…」


そういえば、さっきまで冷やしたいって思ってたっけなぁ。
でも今は青痣を冷やすよりも・・・


「ちょっと待ってて、氷持って…」
「いや、いーよ。いらない。」

なっちは断るおいらの声に驚いたようで

「なんで?痛いっしょ?」

って聞いてくるけど、おいらは


「そばにいてほしいから…取りに行かなくていい。」

ニコッと笑ってなっちの手を握る。
なっちは顔を赤くして下を向いてしまった。





64 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時27分16秒





真っ赤ななっちの顔を見て安心した。
実は、本気で嫌われたんじゃないかって思ってたんだけど
なっちの表情を見てその心配はなさそうだ。


やっぱなっちの中の1番は渡せないよ。
ずっと、ずっと1番はおいらだよ。


おいらの中の1番はもちろんなっちだけど。
それは変わる事なんてない、って断言出来る。

あなたが誰より1番!
・・・どっかで聞いた事あるなぁ、このフレーズ。



65 名前:黄昏ブランコ、カラメルキッス。 投稿日:2003年08月26日(火)02時28分26秒



なっちの指がおいらの指に絡まって恋人つなぎになった。
なっちからこういう事してくるなんて…。
今日のなっちは積極的だ。

なっちを見ると照れた表情をして、目を逸らされた。




あー、だめだなぁ。
今日はだめって自分でブレーキかけてたのに…。
・・・なっちが悪いんだぞ。
おいらは一応だめだって思ってたんだから、悪くない。
なっちのせいだ。
なっちが誘ったんだ。



食べかけのプリンもなっちのヨーグルトも置いとこう。

もっとおいしいモノを今からいただくから。
おいらの大好物。

恋人つなぎした手を引っ張って抱きしめる。

そして、少し離れて一言。


「いただきます。」

「え・・・?」


カラメルよりも、甘い口付けをなっちに。






66 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年08月26日(火)02時37分40秒
「黄昏ブランコ、カラメルキッス。」
終わりです。
何とも、短編と言えないくらいの長さ…。
関係ないけどヤクルトのおばちゃんって家来たりするんだろーか…。
ウチは毎週木曜に来ます(笑)


>28タケさん。
レスありがとうございます。
「悪戯」すごい微妙な短編だったけど
気に入ってもらえて嬉しいです。

>29名無しさん。
レスありがとうございます。
書いてるこっちも相当恥ずかしかったです…笑。
悪戯第二弾考えますか(w

67 名前:タケ 投稿日:2003年08月26日(火)03時53分25秒
更新お疲れ様
ここの矢口さん子供っぽくてとても好きですよ

次も甘いのを期待してますよ!
68 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時52分34秒



「おいら達って以心伝心・ツーカーの仲ってヤツだよね。」


「はぁ?」



コンポから流れてくる軽快な音楽がすごくいい曲で
思わず鼻歌を歌ってたんだけど、やぐちの意味不明な言葉で途切れた。

やぐちの部屋にくるのは意外と久しぶりだったり。
いつもなっちの部屋で過ごす事が多いから。


何ていうか…やぐちらしい部屋って感じ。
表現の仕方変だけどね。





69 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時53分07秒



ソファにきちんと体をおさめて寝転がっているやぐちを見ると
「ねっ?」って同意を求める声。



「いや、それは違うと思うけど…」


だってなっち、やぐちの思ってる事わかんないもん。



「何言ってんだよーぅ!愛があれば何でも出来る!」


やぐちがおさまっているソファの横に座った。
横を向くとやぐちの真剣な目。


愛があればって・・・




70 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時53分41秒



「あのねぇ、愛があっても以心伝心なんて無理っしょ?」


呆れた口調でそう言うと、やぐちは


「だって、おいらなっちの思ってる事分かるもーん!」


「フフン!」とか自慢気に鼻で笑ってウインク。
その態度にもっと呆れたけども…。
ほんとにばか。



「絶対分かんないよ。」

「分かるもん!当ててやろーか?」


当たってもビビるなよぉ?
「当ててみて」ってまだ言ってないのに
目を閉じて、難しい顔。
当てようと必死だ。




71 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時54分17秒




「今!今思った事だからね!?」


「あーはいはい。」

(今日の夕飯何しよっかなぁ…冷蔵庫の中空っぽだし買い物行かなきゃ…)


「ん〜〜〜〜むぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜はぁぁぁぁぁ!!!!!!」


「やぐち、うるさいよ。」


しかも全然可愛くないし…
多分、気合い?か何かだと思う…。



コンポから流れる音楽がバラードに変わった。
この曲いいよねー。なっち好きだなぁ…




72 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時54分47秒





「来た来た来たぁぁぁぁぁぁ!!!!!
 分かった!バッチリ!」


ソファから起き上がって両手を挙げてガッツポーズ!
・・・・・ほんとに?


「え、なになに?何思ってた?」


少しドキドキした。
早く聞きたい・・・


「フフン!あんねぇ・・・」


「うんうん」



自慢気な顔をしながらやぐちがソファから下りた。







73 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時55分23秒





「おいらにー・・・」


「・・・・う、うん?」

最初から違う、違うよ??

ゆっくり近づいてきて


「抱きしめてもらいたい!!!」


ギュッと抱きしめられた。
・・・・・・・・・・・・・ばか。
期待して損した。



「それってやぐちがしたい事っしょ!?
 っていうか暑いから離れてよ!」


ムカっとして頬を手の平で押し返してやった。
やぐちは「むぐー」とかワケ分かんない声を出して
「そんな照れなくてもいーんだよ?」ってニヤニヤした表情。





74 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時56分08秒




「あのねぇ、なっちが思ってた事は『今日の夕飯何しよう?』だよ。
 全然違うっしょ!?」


「え〜〜、なっち主婦っぽーい!
 22歳なんだからさー、もっと他に考える事あるじゃん!
 可愛い彼女がこーんな近くにいるのにそっちのけで夕飯の事?
 もーやだ、なっちー!」


「可愛い彼女って…何言ってんの!?ばか!」


主婦っぽいって…誰のせいでこんな考えてると思ってるワケ?
冷蔵庫に何もないせいっしょ!?
やぐちが悪いのに・・・このばか。





75 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時57分15秒





「何だよぉ…じゃーさ、今度はおいらが思ってる事考えてよ?」


愛の力で分かると思うけどねっ!
って声は当たり前に無視。




「えぇー…そうだなぁ…」







やぐちの顔を見ると、目線はなっちの唇。
・・・・・・・・なんて分かりやすいんだろ…。







「キス…したい。」



「・・・・・・・・・えっ!?マジで?」



やぐちは驚いた顔。
そんなに分からないって思ってたの?
やぐち見ればすぐに分かるのに…


「うん。」


ちょっと自慢気な顔になって
さっきのやぐちみたいに「フフン!」って鼻で笑った。







76 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時57分49秒




 
「な、なっちから言ってくれるなんて…積極的だね。」


「えっ!?」


ちょっと待って、勘違いだって!って言う間もなく
嬉しそうな顔をしながらさっきよりももっと近づいて、唇が触れた。



「…満足?」



目を細めて「もしや、まだ足んない?」とか言ってるけど…


「ち、違うって!やぐちが思ってる事当てたの!」


当てたつもりなのに何でこういう展開になってるわけ?
何かなっちが言ったみたいで恥ずかしい…


「…あぁ、何だそういう事か。
 よく分かったねぇ!おいらが思ってる事。」


やっぱねぇ、以心伝心・ツーカーの仲だよ!!
って喜んでるけど…





77 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時58分26秒



「ただ、やぐちが単純なだけっしょ。
 やぐち見てれば分かるもん。」


「なーんだ…。以心伝心だと思ったのに…」


なっちの冷めた口調と態度にガッカリの様子。
そして暑いから離れて、って言ったら渋々離れてくれた。


「大体以心伝心なんか無理だって。」


やぐちがくっついてて暑かったのに、離れたら急に涼しく感じた。
コンポから流れている曲も終盤に向かっている。

そろそろ、買い物でも行こうか…。
夕飯何食べたいか相談しながら手をつないで歩こう。




78 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時59分07秒





「やっぱ無理かぁ…以心伝心出来たらなっちが辛い思いしてる時とか
 泣きたいって思ってる時とか、気付いてあげれると思ったのに。」



「・・・えっ?」


耳を疑った。
夕飯の事を考えてた思考回路をストップして、やぐちを見た。
やぐちはなっちを見て、苦笑い。




「だってさ、なっちはそういう事言わないから。
 おいらに弱い部分見せないから。
 おいらが気付いてやればいいんだけど、
 なかなか気付いてやれない部分が多いからさ。
 だから、以心伝心出来たらなぁ、って思って。」



いつになく真面目な表情と真剣な目。
胸が高鳴った。








79 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)00時59分43秒





「やぐち・・・そんな事、考えてたの?」


何を言っていいのか分からなくて。
だってさっきまでバカやってたやぐちが、急にそんな話するから。



「うん。なっちの悲しみを癒す人がどんな時も
 おいらでありますように、なんちゃってね!」


いつのまにかコンポから流れてた音楽も終わってて、
部屋が静かな空間に包まれた。
その部屋に響く、やぐちの声。


―なっちの悲しみを癒す人がどんな時もおいらでありますように。

嬉しくて、恥ずかしくて、真っ赤になって、やぐちから視線を逸らした。






80 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)01時00分16秒





やっと伝えられた言葉は

「・・・・・・ありがと。」


感謝の言葉。


「あはは、お礼言うなんて変なのー。」

「ほんとだね…」


やぐちに抱きしめられた。
さっきと違って素直に抱きしめられた。
暑いとかちょっと思ったけど嬉しかったから。


やぐち、優しい。好き。






81 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)01時00分53秒






「・・・んふふ…惚れ直しただろー?」

「えっ!?」


やぐちを見るとニヤニヤして自信過剰な表情。
こ、こいつ・・・




「正直に言いなよ?おいらの事もっと好きになっただろ?」

「・・・・・・・・ばか!」


分かってるんだぞ?
みたいな顔をして覗き込んでくるから
黄色いひよっこ頭を軽く叩いてやった。


「い、いでぇ!叩く事ないじゃん!」

「…調子に乗るからっしょ?」


やぐちのこういう所がなかったらなぁ…







82 名前:以心伝心。 投稿日:2003年08月27日(水)01時01分35秒





何だよぉ!
って文句連発だったけど、なっちの気持ち気付いてないね。
叩いたのはただの照れ隠しだよ?
本当は、やぐちの言った通り。
目を見て言うのも、口に出して言うのも恥ずかしいから
この気持ち、以心伝心してよ。


・・・まぁ、出来るわけないか…。
自分で思っておきながら笑えてきた。
やぐちは「なに笑ってんだよぉ?」と不機嫌そう。


「何もないよ。
 ほら、いつまでも文句言ってないで夕飯の買い物行こ?」

やぐちから離れて、立ち上がって手を差し伸べると


「行こ行こー!!」

さっきの文句はどこへやら。
思い切り立ち上がってしっかりと手を握って部屋を出た。






83 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年08月27日(水)01時07分03秒
以心伝心、終わりです。
思いつきで書いたから内容おかしいかも…。

>67タケさん。
レスありがとうございます!
私が書く矢口さんは幼すぎなんじゃないのか心配です。
しかもかなりアホな感じが…(苦笑)

夏休みも残り少なくなってきたので頑張って更新します。
多分9月入ったら更新遅れると思うんで。


84 名前:タケ 投稿日:2003年08月27日(水)01時19分27秒
よかったです!
幼いように見えた(コラ)矢口さんの大人っぽい部分がまたよかったです。
次の話も期待してますよ〜
85 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時05分49秒



「お、おい、おいら…あの、あー…え…っと…
 なっちの事・・・す、す…好き…なんだ・・・・」


「・・・なっちもやぐちの事好きだよ?」


「いやッ!そーじゃなくて!ほ、本気だ、よ?」


「なっちも本気だよ?嘘なわけないっしょ?」


「ちッがう!・・・愛、してる…」


「あい?」


「…あい。冗談じゃなくて…ほんとに、愛してる・・・」


「・・・・・・ほ、ほんとに?」


「うん…。つ、付き合ってくれる…?」



これ以上にない、ってくらい自信なさげな
やぐちを見たら何だか笑えてきて、
なっちの反応にまた、やぐちは半泣きになってなっちを見つめてた。
そんなやぐちが可愛くて、このまま返事しないでおこうかと思ったけど
あまりにも可哀想になってきたから、何も言わないでただ首を縦に振った。


だって実はなっちもやぐちの事、好きだったから。








86 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時06分57秒





頷くなっちを見て、やぐちは大泣きした。
わんわん泣いて、
「お、おいら、絶対…なっちに、嫌…われる、って思ってて、それ、で…」
って必死に伝えようとしてた。
泣きじゃくるやぐちの頭をポンポンと軽くなでて
「ばかだね。」
って笑ってやった。





やぐちの愛の告白から1ヶ月。
付き合い始めて、1ヶ月記念日。

喧嘩もした事ないし、仲が良い。
でも、ラッヴラヴ!ってほどでもなくて、


キスすらした事ない。
お互いの気持ちを知る前はやぐちが冗談でしてきたりした事もあったけど、
付き合い始めてからそういう事はなくなった。









87 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時07分31秒






今日は1ヶ月記念日だから一緒に食事しようよ。
って誘いのメールが入ったから、食事する事になった。


やぐちに連れられて入ったお店は大人な感じがした。
静かな雰囲気とか少し暗い照明とか、ドキドキした。

「よくこんなお店知ってるねぇ…」

案内された席に座って小声でやぐちにそう言うと

「前、圭ちゃんに連れてきてもらったんだ。
 なっち、お酒飲もうよ。何にするー?」


メニューを広げながらやぐちは料理を適当に頼んだ。
・・・・お酒って…








88 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時08分05秒





「なっち飲めないからいいよ。」

「何言ってんだよぉ。ちょっとくらいなら飲めるでしょ?」

「そ、そーだけど…」

「んじゃ、決まりね。」


なっちには分からないお酒の名前を言ってから
「それだけで」って言うと、店員さんは一礼して去って行った。

何だかその姿が大人に見えた。
でもメニューを置いてなっちに笑顔で


「1ヶ月…早いね。」

と言うやぐちは、もう大人に見えなかったけど。


「そーだねぇ。もうあれから1ヶ月かぁ…ほんとに早いよぉ」

「…2ヶ月記念の日もここに来ようね。」

「…うん。」







89 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時08分38秒





お互い照れて、それがまたおかしくて笑い合ってたら
綺麗な色をしたお酒が運ばれてきた。

なっちのお酒はピンク色で、やぐちのお酒はオレンジ色だった。


「……綺麗だねぇ…」

「お酒に見えないでしょ?」

「ジュースみたい。」

「あははっ!なっちっぽいなぁ…」


やぐちが飲むのを少し見てからなっちも少しだけ飲んでみた。


「・・・・・おいしい…。」


お酒だとは思わないくらい甘くて、おいしかった。
・・・こんなお酒もあるんだ…


「甘いでしょ?アルコール度数も弱いのにしたからね。」


「・・・すごい。なっち飲めてるよ!?」







90 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時09分23秒





ちょっと自分でお酒飲めてるー!って嬉しくなった。
やぐちはそんななっちを見て笑いながら


「・・・おいらの飲んでみる?」

オレンジ色のお酒を渡してくれた。
あれも飲めたんだから、こっちも飲めるよねー!
さっきの事もあってぐいっと思い切り飲んだ。


「あっ…!」


やぐちの声が聞こえたのは飲んだ後。


「・・・な、なにこれ!?なにこれ!?さっきと違うべさ!」


「だって、度数もテイストも違うもん。
 なっちもそんな勢い良く飲まなくても…」

しかも訛ってるよ?
とか言われたけど口の中はもうすごい事になってて。
思わずお酒を出しそうになった。


周りの人達は不思議そうになっちとやぐちを見てた。














91 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時10分11秒







「・・・なっちー…大丈夫かぁ?」


「…もう、飲まないもん。やぐち飲めば?」


「…うん。」



あれからしばらくしてちょっとは回復した。
口の中も大丈夫。
でもお酒はもう飲まないもん。



料理はすごくおいしかった。
普段食べないようなモノばかりで珍しくて
「おいしいおいしい」
ばっかり言ってた気がする。
やぐちに「子供だなぁ」って言われたのがムカついたけど。


料理も食べ終えて、一息ついた所で少し気になってた事を考える。
やぐちのお酒のペースが早い。
顔を見ると無意味にニコニコして頬が赤くなっている。


・・・・酔ってるんじゃないの??






92 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時10分43秒





「やぐち、酔ってる?」

心配で聞いたら

「…なに言ってんのぉ?酔ってないですー!」

あはははは!と大笑い。
周りの人達がこっちをチラチラ見る。
…恥ずかしい…。


「も、もう行こ?」

「え〜、何でぇ?まだまだ夜はこれからじゃん?」

「何言ってんのさ!行くよ!?」


視線が気になって、なっちもやぐちと同じで顔が赤くなった。
(やぐちのとは意味が違うけど)
よろよろするやぐちを無理矢理引っ張って席を立った。





93 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時11分15秒




「あ〜…なっち、おいらが払うから。」

「えっ?いいよ、なっちが…」

「いいのいいの!」


足元も覚束ないやぐちを支えて会計に行くと
店員さんが微笑みながら料金を言ってくれた。

・・・・やっぱり結構高い…。
やぐち大丈夫なの?
心配そうにやぐちを見つめると

財布から福沢さんを5枚ほど出して…


「…ってやぐち、5万円もいらないから!」

福沢さん×5を奪おうとするとやぐちは

「いるよ!」

と言って、福沢さん×5を撒き散らした。

「「あっ・・・・!」」








94 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時11分58秒





ハモった相手は店員さん。
店員さんは苦笑いしながら福沢さん×5を拾ってくれた。

店員さんの苦笑いが恥ずかしくてここから逃げ出したかったけど…


「釣りはいらねぇーぞー!あはははは!!」

やぐちはそんな事知る由もないってくらいにテンション高い。

「ちょ、やぐち!お釣りいるに決まってるっしょや!」


「なっち、ケチくさい。人生一度きりなんだからさー
 もっと、デッカイ事しないとぉー、ねぇ?」

あせってるなっちがバカみたいだった。


「ワケ分かんないから!す、すいませんお釣り下さい。」

お釣り下さい、とか恥ずかしかったけど仕方ない。
店員さんにまた笑われた。

やぐちはなっちに支えられながらフラフラして


「いーらーなーいっつってんの!」

口出しするから、なっちもさすがにキレて大声で


「ばか!ちょっと黙ってて!」

と言った。するとやぐちは



「・・・ぁぃ。」

しぼんだ風船みたいに静かになった。










95 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時12分36秒






「すいません、すいません!ありがとうございました。」

「ど、どういたしまして…」

「やぐちに言ってないの!ほら、行くよ!?」

「・・・ぁぃ。」


お釣りをもらってから何回も何回も謝って頭を下げた。
そして、そそくさとやぐちを引っ張って店を出た。

多分、いや絶対1ヵ月後あの店には行けないだろうと思った。













96 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時13分18秒







少し手を離したらフラフラと一人で歩き出した。


「ちょっと待ってよ、タクシーで帰らないの?」

やぐちを追っかけてフラフラの体を支えてやると

「歩いてぇ、帰るー」


ニコッと笑って歩き出した。
こんなフラフラの体で?


「や、やぐち無理だって!」

やぐちの前に回りこんで止めると不機嫌そうな顔をした。


「うるさいなぁ・・・。
 んじゃ、なっちだけタクシーで帰ればいーだろぉ?」


虚ろな目をしながら酔っているせいで
弱々しくなっちの腕を振り払って歩き出した。


「・・・もぅ…」



仕方なく、なっちもやぐちと一緒に歩いて帰る事にした。








97 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時13分54秒






トボトボと賑やかな繁華街を抜けて
人通りのない道を歩いている最中。


「大丈夫ー?」

「心配無用じゃー。拙者は正気だぞぉ、なつみ殿!」

「なんで、時代劇風なのさ…」


逞しい言葉に反比例のやぐちの体。
全く…理解不能だ。


やぐちの左腕をなっちの肩に組ませて、
なっちの右腕をやぐちの肩に組んで支えてやってるんだけど…

こんなので帰らせるわけにもいかないだろうから
今日はなっちの家に泊まらそうか。


家に着いたら水を飲ませて、
酔いを覚まさせて、
でも、その前にこの様子だと寝そうだなぁ…






98 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時14分33秒






一人考えていると視線を感じて横を向くとやぐちの真っ赤な顔。
下唇を軽く噛んでなっちをじっと見つめていた。


ピタッと急に立ち止まったから、なっちも連られて立ち止まった。


「ど、どしたの?」

少し様子のおかしいやぐちを見つめると
(まぁ酔ってるから様子おかしいのは当たり前だけど)


「・・・ちゅぅしたい。」

「はっ!?」


驚いて声を出すと、抱きついてきて
まるで寝言のように「させろ!させろ!」を連呼。


「な、なに言ってんのさぁ!こんなトコで…
 それにただ酔ってるせいっしょ?」






99 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時15分22秒





全体重を預けられて少しよろけながら支えて
上を見上げると真っ暗な空に無数の星。
そして、ちょっと欠けた月。
綺麗だなぁ・・・静寂に包まれてる感じが…


「どーんなとこでも無問題!
 それにー、矢口さんは酔ってなんか、ないノダ!
 ここ、じゅーよーポイント!」


しないや…。
隣にうるさい犬っころがいる限り。
この酔っ払い。


「もう分かった、分かったから!
 いい子だから帰ろうねー。」


大人しくさせる為に頭をなでて宥めるように優しい口調で言ったら


「バカにす、ンじゃねぇよ!
 ぉーし、分かった。ぁーぁー、分ッかりましたとさ!
 安倍さんがその気なら、矢口さんもその気になろーじゃなーのー!」


「なに言ってんのさぁ…ってちょっ…」


抱き合ってなっちがやぐちの頭に手をおいていたのに
思い切りそれを振り払って少し離れて
フラフラの体で立ってなっちを見つめている。





100 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時16分10秒




 

「しょーぶ!かくごしろー!」


なっちに向けてビシっと指をさして睨んで
「手加減はなしだぁぁぁ」と一言。
誰か止めて・・・この酔っ払いを…。



「勝負なんていいから、帰るよ?」


呆れて一瞬言葉も出なかったけど気を取り戻して
やぐちに手を差し伸べた。

けどやぐちは

「ちかよーなぁー!」

全く聞く耳持たず。
呂律が回らなくなってきている。
(多分、近寄るなって言いたいんだと思う)


「もう…何さぁ…?何がしたいの?」


「ぁの、じはーきまでしょーぶだぁ!
 やぐちさんが勝ったら、ちゅぅさせろー。」



やぐちが指をさした方向には少し離れた自動販売機。
暗い夜道に電気が付いた自動販売機が目立っている。

あそこまで競争って事?
やぐちと?
・・・・無理っしょ、だってやぐち酔ってるんだし…







101 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時16分53秒






チラっとやぐちの方を見ると

「おぅ?何ら?こぁぃってんか?あぁー?」

そう言いながらなっちを睨んでいる。
タチの悪いチンピラだよ、ありゃ…。


どうしても勝負する気らしくなっちの返事を聞かないで
スタートダッシュをする気満々。

左足を地面につけて、両手を前に出して、前をじっと見つめている。


こんな夜に、いい大人2人が何でこんな事を?


疑問ばかりだったけど溜め息をついて
一応やぐちと同じ体勢になった。



「よーい・・・」


ちょっとだけマジになったり。
ドキドキするし。


「ゴーゥ!」


やぐちの声が響いて一気に走った。



「ぁでぇ!」


でも無惨すぎる声を聞いて、振り返ると
そこには前のめりに倒れているやぐちの姿。







102 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時17分23秒





「だ、大丈夫?」


やぐちの所へ駆け寄って起こしてあげようとするけど倒れたまま。


「あべさん、ひきょぅだぞー…
 やぐちさんの、足、引っ掛け、なんて・・・」


「やぐちが倒れたんっしょー!?」


こんな時にまで人のせいにするの?
人来たらどうするのさ。



「…そーなに、ゃぐちさんとの、ちゅぅがイヤかー?」

「だから、そうじゃないってば。それより、立って。」

いくら、静かな夜だって言っても
車がここを通らないって言うわけないから立たせないと危ない。







103 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時18分12秒





「本当は…ぁべさんは、ゃぐちさんの事が好きじゃなぃ、にヘキサゴン…」

地面に顔を埋めたまま右手は人差し指を立てている。
っていうかヘキサゴンって…


「…ヘキサゴンって使い方間違ってるよ。
 セーブじゃないの?」

「・・・・・・んじゃ、せーぶ」

「うん。ってそうじゃなかった!
 なに言ってんのさー。嫌いだったら付き合うわけないっしょ?」


つられていた事が少し恥ずかしかった。
ヘキサゴンとか、セーブとか今は全然関係ないっしょやー!


「嘘っきー、ぁべさん嘘っき。
 ゃぐちさんの事、嫌ぃじゃなくても、どーでもいーと思ってーだろー?」


「・・・何でそう思うのさ?」


お酒が入っているせいだと思うけど
普段のやぐちからは考えられないくらいネガティブだ。



「・・・・・・・・・・・・・・から。」




「えっ?なに?」









104 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時19分09秒



「一回も、好きって言ってくれた事が、なぃから。」

「・・・・や、やぐち…」




確かに、なっちは付き合って1ヶ月、一回もやぐちに
「好き」とか「愛してる」とか言った事がなかった。
反対にやぐちは「好き」や「愛してる」を
一日何回もなっちに言ってくれてた。

なっちはただ、恥ずかしいだけなんだけど。



「嫌ぃならそぅ言ってくれた方が気が楽だぁー。
 1ヶ月、幸せだったけど、ふぁんだった・・・」


胸に何かが刺さったみたいに痛んだ。
呟くようにそう言ったやぐちの声は少し掠れてて、心細い感じがした。

ちょうど1ヶ月前、告白してくれた時の声みたいに自信がないような…。



「・・・ご、ごめん。」

「分かってる、ぁべさんの気持ちは、ょぉーく分かってる。
 振るなら、今振って。今なら…酒のせぃで、忘れられると思うから。」


表情は、隠れて見えない。
多分わざと見せないようにしてるんだと思う。

でも声はすごく震えていた。











105 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時19分44秒







「ち、違う!そのごめんじゃないよ!」

「・・・・・どのごめん?」


夜道に2人の声が静かに響く。
生暖かい風がゆっくり吹いて、なっちとやぐちの髪をなでた。



「ふ、不安にさせてごめんなさい。
 なっち、ちゃんとっていうか、本当にやぐちの事、その…
 好きだから。告白される前から、好きだったから。
 だから、この気持ちは嘘じゃないよ?」


なっちの初めて言った「好き」
やぐちに伝わったのかちょっと不安だった。



反応がないやぐちを見つめていると




「・・・・・ょぃしょ…」


ゆっくりと立ち上がって、なっちに抱きついてきた。








106 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時20分19秒






「や、やぐち?」

なっちの驚いた声をやぐちは気にもせずに顔を埋めた。
なっちも自然とやぐちを抱きしめた。


「きゅーに…別れょぅって言ゎれても、ゎかれませんから…」

「・・・うん。」

「ぁべさんの、心、天国まで持ってってゃるから…。」

「・・・うん。」

「離してゃんなぃから。」

「・・・うん。」

「かくご、して下さぃ…」

「・・・覚悟します。」







107 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時20分49秒






そして、お互い顔を見合って自然に唇が合わさった。
キスする理由なんてない。
ただやぐちの事、好きでいっぱいだったから。

やぐちとの初めてのキスは少しお酒の匂いがした。
道端、とかそんなの関係なくなってて
夜道の真ん中でその姿を見ていたのは、お月様くらいだったと思う。













108 名前:アンチ・ロマンチック 投稿日:2003年08月28日(木)01時21分47秒








それから、未だフラフラのやぐちの体を支えながら
なっちの部屋まで帰ってきた。

やぐちは服を脱いですぐにベッドへダイブ。
呆れた表情で見てたら
「一緒に寝ろー!」と言いながら手を引っ張られて一緒にベッドへ。


電気を消して、布団をかぶったら抱きしめられた。
そして、どちらからというわけじゃなくキスをした。

離れて、カーテンの隙間から少し欠けた月が2人を見ているように感じた。
お月様にまた見られちゃったね。
少し手を伸ばしてカーテンをきちんと閉めた。
何か、恥ずかしかったから。


やぐちを見ると、もう夢の中。
さっきまでわーわー騒いでたのに…キス、したのに…

今日のやぐちを思い出して苦笑いしながら
抱きしめて、やぐちの温もりを確認しながら、
幸せいっぱいで、なっちも夢の中に入っていった。











109 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年08月28日(木)01時25分23秒
アンチ・ロマンチック
終わりです。
かなり迷惑な酔っ払い矢口さん…(苦笑

>84タケさん。
毎回レスありがとうございます!
やっぱり矢口さん幼かったですか!?笑。
こ、今回は・・・アホっぽいですが…
ちょっと大人っぽい矢口さんを書いてみるよう努力します。


110 名前:タケ 投稿日:2003年08月28日(木)03時39分17秒
お疲れ様です。
今回は・・・アホっぽいっていうかやっぱり幼いような(コラ)
でも酔ってしたったらずなとこが可愛かったですよ〜

次は大人っぽい矢口さんですか!期待してます頑張ってください
111 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月28日(木)06時43分52秒
連日の更新、ほんとにお疲れ様です。
2人とも二十歳越えてるとは思えないくらいの
可愛さがあふれていて、すっごく(・∀・)イイ!!w
大人っぽい矢口さん、どんな風になるのか気になります。
112 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)00時49分32秒


自然と目が覚めて、しばらく呆然としていた。
横には安心して眠っているなっちの姿。
少し薄めのタオルケットから覗く首筋・鎖骨・胸元。
全てに桜の花びらが散ったような赤い印が残っている。
真っ白な肌に赤い印がよく映えているように感じる。
なっちは「印」を付けるのを嫌がっていたけど無理矢理付けてやった。
嫌がる理由を知ってるけど、あえて何も気付かないフリをして。










113 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)00時50分24秒





タオルケットの中では、お互い手をつないでいる。
・・・多分、寝ている間もずっと手をつないでいたんだろう。
汗ばんでいる。


ぎゅっときつく握ると、なっちは少し顔を歪ませた。
体をさっきよりもなっちの方に寄せて、
首を動かせばキスが出来るくらいに近寄った。

長い睫毛。
少し濡れた唇。
規則正しい寝息。
淡い茶色の前髪。

  全てが好きだ。









114 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)00時51分24秒







こんなに近くにいるのに、
誰よりもなっちの近くにいるのに、



すごく遠い。



ねぇ、なっち。

変でしょう?

抱きしめて、昨日のようになっちの全てを愛したのに
心の中は満たされないんだよ。
不安でいっぱいで、安心する事なんてないんだ。
何が不安なのかおいら自身分かっているけど。








115 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)00時53分45秒






「んぅー…」


「・・・なっち?」



言葉に出来ないような声を出しながら、ゆっくり目を開ける。
なっちの瞳に吸い込まれそうだ。

眠そうな目を擦りながら、不思議そうにおいらを見つめている。

「・・・・なんで、こんな近いのさぁ?」


近くないよ。


遠いよ。


「寝顔、見てた。」



なっち、遠いんだよ。

距離が








116 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)00時54分35秒





「・・・・・・・・・・・見ないでよぉ。
 なっち、半目とかで寝てなかった??」


距離がありすぎるよ。



「あー…寝てなかったとも言えないかもしんないね。」



おいらが手を、思い切り伸ばしても届かないよ。



きっと、今つないでいる手を離したら



「それ、どっちさー?やだ、何か…恥ずかしいっしょ。」



なっちは、あの人の所へ行くでしょう?



「嘘だよ、可愛い可愛い寝顔だった。」



手を離したら、もう戻らないでしょう?
もう二度と、なっちを抱きしめる事、出来ないでしょう?








117 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)00時55分14秒





分かってるよ。
こんな事しても、何の意味もないって事。
いくらなっちをこんなに愛しても、
なっちはおいらを愛してくれないって事。



 愛のない行為は余計に虚しくなるだけだね。






ねぇ、なんで?

なんでこういう事、許してくれるの?
おいらの事、哀れに思ってるの?
カワイソウだ、って思ってるの?
同情してるの?
だから、許してくれるの?


お互いに、そういう事に触れないのは
いつのまにか暗黙のルールになっていた。








118 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)00時57分06秒





いつからだろうね、こういう関係になったのは。
その前から気付いてた。
なっちの事、人一倍見ているおいらだから、気付くのは当然。
目線を辿ると、あの人がいる。


なっちはなかなかあの人に自分の気持ち、言わないから
おいらが先に言ってやった。


「ねぇ、なっち。おいらなっちの事好きなんだ。
 だから、抱かせて。」


なっちはただ一言、

「…いーよ」

って言った。




コレでなっちはもうおいらのモノ。
なんて思えるワケなくて。

行為をする度、胸が痛い。
なっちを抱く度、心の中がグシャグシャになる。

それでも止められないのは、ただのエゴ。








119 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)00時57分45秒






なっちは、おいらが気付いてないって思ってる。
あの人の事、好きだっていう事に。

2人でいる時、あの人の事話すと笑うんだ。
嬉しそうな顔して、名前を呼ぶんだ。

おいらにはなっちをそんな笑顔にさせてあげる事、出来ない。
あの人にしか、出来ない。
おいらに、そんな笑顔で笑ってくれた事、ないもんね。










120 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)00時58分40秒









「やっ、やぐち?」


つないでいた手を離して、なっちを抱き寄せた。
離れるわけないのに、離れないようにきつく抱きしめた。


ずっとつないでいた手は、汗ばんでいて暑い。



「遠いよ、距離が。
 遠いんだよ、届かないよ。」


首筋に埋めた顔をなっちに知られない程度に歪めた。
目を瞑ると真っ暗で、1人だけのような気がして一気に不安になったけど
温かい体温といい香りがしてその不安は消えた。

温かい体温。
なっちの温もり。
シャンプーのいい香り。
なっちの匂い。








121 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)00時59分35秒





「なに言ってんのさぁ…近いよ?」


んふふ、わけ分かんないよー。
引っ付いてるんだから遠いわけないっしょ?
って言いながらおいらの頭を優しくなでるなっち。

本当に何も分かってないの?
それとも、分かってるくせに分からないフリしてるの?


ずるいよ、なっち。
曖昧ばっかりで、おいらは生温い沼に浸かってるみたいだよ。
そこから引き上げてくれる事が出来るのはなっちだけなのに。
おいらを助けてくれるのは、なっちだけなのに。



おいらが「したい」って言ったら何も言わないで
ただ「いーよ」って言うね。


なっちは本当はどう思っているの?
おいらとの関係、こんなのでいいの?
これじゃ、ただの「セフレ」だよ?









122 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)01時00分17秒







歪んでた顔を引き締めて、真剣な顔をしてなっちを見つめた。


「・・・・・好きって、言って?」

おいらのいつになく真剣な表情と、声に
大きな目がもっと大きくなっている。



「・・・・・・え?」


「それ」を言ったらなっちが困るって事、知ってるくせに。
なっちに無理言ってる。


ずるいのは、おいらの方だね。
世界中の人の中で、おいらが1番エゴイストだね。









123 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)01時01分27秒






「おいらは言えるよ、心から。
 ・・・・好きだよ?」


もし、なっちに「好き」って言われたら、悲しいよ。
多分、泣いちゃうよ。

本心じゃないっておいらが一番分かってるから。

本心じゃない「好き」なんて、何の価値もないね。




「あ、ありがと……」


「・・・・・・うん…。」


曖昧な表情で笑いながらお礼を言うなっちに
おいらはそう言うしかなかった。













124 名前:エゴ 投稿日:2003年08月29日(金)01時02分02秒






先の事なんて分からない。
これからなっちがおいらの事、愛してくれるかもしれないし。
おいらがなっちに、飽きるかもしれないし。


この関係も、いつ崩れるか分からない。


いつかなっちが、「もう嫌だ」と言ったら
おいらはただ一言、「そっか」と言ってやめると思う。

でも本当は、なっちに「嫌だ」と言ってほしいのかもしれない。
よく分からないんだけど、そんな気がするんだ。

生温い沼から抜け出せる方法はそれかもしれないね。













125 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年08月29日(金)01時12分31秒
エゴ、終わりです。
何かもう、すいませんとしか言いようがないです…
こういうの、大人って言わないんじゃ…
今回のは、書いてる自分が一番理解出来てないと思います。


>110タケさん。
レスありがとうございます!
やっぱり「アンチ…」の矢口さんは幼かったですか…!
今回は…大人矢口さん目指したんですが
自分の未熟さが思い切り出てしまいました…。


>111名無しさん。
レスありがとうございます!
そう言っていただけるとすごく嬉しいです。
今回大人矢口さんに挑戦したんですが…本当に駄文ですいません!


大人矢口さんは、私にはかなり難しいです…
もっと頑張ります。
でも多分次からまたアホで幼い矢口さんになると思います(苦笑


126 名前:タケ 投稿日:2003年08月29日(金)04時49分24秒
更新お疲れ様です。
変でしたか?自分はそうは思わなかったけど・・・
大人っぽい矢口さんが見れてよかったです!
ところで安部さんは誰が好きだったんでしょうか?

迷惑でなければこれの続きとか書いてくれませんか?
127 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月30日(土)00時48分23秒
切ないです…。・゚・(ノД`)・゚・。
銀色さんの書くなちまりは感情移入がしやすくて
すごく好きですが、涙腺を刺激させられてある意味困りますw
安倍さんの想い人、気になりまくりです。
128 名前:きゃる 投稿日:2003年08月30日(土)03時40分09秒
はじめまして!!
実は前作から読んでました!
なんだか続編的な雰囲気もあってかなりツボってます。
アマぁいのを希望してます(はあと
129 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月30日(土)15時36分01秒
上げられてるのでochiしときます
130 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時34分21秒



「なっち好きー!」

「分かってるよ。それよりそこに置いてる飴とって」

「よろこんで!!!」



やぐちがなっちの事を「好き」って言い出したのは
結構前の事だったと思う。
その頃はその場を盛り上げる為の冗談なんだろうと
勝手に思っていて軽く流してた。

でも、それが冗談じゃなくて本気だっていう事に
気付いたのはそれから半年くらい経った時の事。







131 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時35分18秒




その日も「なっち好きだよ?」ってやぐちが笑いながら言った。
いつもなら「はいはい。もういいから」とかそんな事言うんだけど
その日はちょっと気分も良かったせいかやぐちの「冗談」に合わせて

「なっちもやぐちの事好きだよ?」

と笑いながら言ってぎゅっとやぐちの小さな体に抱きついた。
抱きついて、やぐちはどんな反応するのかなぁ、とわくわくしながら
やぐちの顔を覗き込んだ。


するとやぐちは


「ぁっ…ぅん…」

とだけ言うと真っ赤な顔をしながら下を向いてしまった。


いつも元気でうるさいやぐちが真っ赤な顔をして俯いている。
その瞬間、初めてなっちは気付いた。


今までのって、本当だったんだ。
やぐちの本心だったんだ。







132 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時37分20秒






そう気付いてからやっぱり始めは戸惑ったり、やぐちを避けたりしたけど
結局はやぐちにぶつけた。
思いをぶつけた時はなっち自身
何でこんな事で悩まなきゃいけないの?って感じに
キレちゃってて言い方とかもきつくなっちゃって
やぐちはそんななっちを見ながら本当に困ったように、でも真剣な目で



「なっちの事本気で好きだよ。」



とまっすぐ目を見て言った。


いつもなら軽く流せるやぐちの告白も
本気の告白からは逃げられるワケもなくて、
っていうか本気で言ってくれてるやぐちに
逃げるなんて卑怯な事したくなくて
なっちもやぐちに対する本当の気持ちを言った。




「やぐちの事は友達にしか見れないよ。・・・ごめん。」




それから今までと状況が変わると思ってたけど
全く変わらなくて。
やぐちの愛の告白も健在で
毎日九官鳥みたいに同じ事を何回も言いに来る。









133 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時37分59秒





そんなやぐちの上手な扱い方を発見したのは最近の事。


ほら、今みたいに飴とってって言えば
犬のように尻尾を振りながら持って来てくれる。

飴の袋も

「・・・捨ててきて?」

お願いすると


「よろこんで!!!」


わん!と大きく吠えるようにそう言ってゴミ箱に捨てに行った。
その後ろ姿を見てちょっと笑えてきた。

ほんと…その辺りで飼われてる血統書付きの犬より従順だよねー。
戻ってきたら頭を2,3回撫でてあげるとしよう。






134 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時38分29秒






「やぐちー、今日なっちの家に来ない?」

頭を2,3回撫でてから、ふいにそう言ったら


「…えっ!?いいの?いいの?いいの?」


なっちの顔を覗き込むようにしながら「いいの?」って何回も言ってる。
あ、すでに興奮状態だ。

その姿はなっちには尻尾を振りまくってる犬にしか見えない。






135 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時39分07秒






「いいの?っていいに決まってるっしょやー。」


「マジで!?マジで!?」


やったぁぁぁぁぁ!!!お母さーん!ついにやったよぉー!
とワケの分からない事言いながら
やぐちは楽屋中を走って飛び跳ねて大の字に寝転んだ。

他のみんなは驚いたようにやぐちの姿を見つめている。


やぐちはと言うと、
ゼェーゼェー言って咳き込んでる。でも顔を見ると本当に幸せそうだ。


何回も家に来た事あるのに、変な犬…じゃなかったやぐちだ、やぐち。
心の中でそう訂正してから
そういえばやぐちが本当になっちの事好きって言ってから
家に呼んだ事なかったっけ…と思い返した。


まぁ、普通に遊びにおいでって呼んだワケじゃないんだけど。
やぐちはそんな事知る由もなくまだ喜んでた。







136 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時39分41秒






今日はいつもと違って夕方に全ての仕事が終わった。
こんなに早く終わるのは本当に珍しいくらい。

沈んでいく夕日を見ながらやぐちとマンションまで来た。
やぐちは電車の中でもマンションまで歩いている最中でも機嫌が良くて
鼻歌を歌ってた。


鍵を開けてドアを開くと生暖かい風がなっちとやぐちをお出迎え。
中に入って急いでクーラーを付けた。

やぐちはなっちの後についてきて
「なっちの匂いがするー。いい匂い。」
なんてちょっと危ない発言。






137 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時40分13秒





「あのね、何でなっちがやぐちを呼んだか分かる?」


危ない発言を聞いていないフリをしてなっちはやぐちを見つめた。
「嫌だ」って言ったらそれまでだよねー。
その時はすっごい機嫌悪いフリしよう。


「・・・二人っきりでイチャつきたかったから?」

「んなワケないっしょや。」


ちょっと期待しながら言ったやぐちだったけど
なっちの速攻のツッコミで玉砕。

すぐさまシュンとしてガックリ肩を落とした。



「なっちさー、最近疲れてるんだよね。」

「…確かに一日に3回は溜め息つくよね。」


ヘコんでたやぐちも数秒ですぐになっちの話にのってきてた。
立ち直りだけは早い。






138 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時40分58秒






「・・・そうなの?全然気付かなかった…」
「なっちの事好きなおいらが言うんだから間違いないよ。」


「・・・まぁ、それはいいんだけどさ、
 帰ってきても部屋片付ける気にもならないのさ。
 だからホラ、全然片付いてないっしょ?」


そう言うとやぐちは周りを見回した。
それにつられてなっちも周りを見る。


汚いってほどじゃないけど散らかってる部屋。
服とかいっぱい出したまんまだし。
朝はいつも忙しいのさ。
遅刻しないで行く方が先決だから部屋を気にしてる余裕はない。



「そういえば片付いてないねぇ。…それがどしたの?」


大分クーラーが利いてきて心地良くなってきた。
クーラーから出る冷風が涼しい。






139 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時41分42秒











「だからね、やぐちに片付けてもらおうと思って。」








にこって笑って言ったらやぐちは固まってた。




「おいらが?ここの部屋を?何で?」


やぐちはワケ分かんないよー、と言いながら唇を尖らせた。



「タダでとは言ってないよ?
 もちろん片付けてくれたら…ご褒美あげるし。」







「ま、マジで!?ご褒美って何!?」



あ…喰いついて来た…。
やぐちは「ご褒美」って言葉に弱いのか…覚えとこう。








140 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時42分15秒





「それはまだ秘密。言っちゃったらおもしろくないっしょ?」

ニコニコしながらそう言うとやぐちは「なるほど…」と呟いた。


頭を2,3回なでてあげるという名のご褒美。
ご褒美としては十分だよね。


「やぐち、どーす…」

「やる!やるやる!よろこんで!!!」


あ、犬みたいに尻尾振ってる。
やる気満々に右手を高く上げてアピールしてる。


「あ、そう?じゃ、よろしくねー。なっち買い物に行って来るから。」

「分かった!キレイにしとくから!ご褒美!ご褒美よろしく!」


そう言った後、早速片付け始めた。
・・・まぁとりあえず任せとこう…

なっちはやぐちを残して買い物に出かけた。






141 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時43分05秒






買い物をしてる途中、頭なでるってだけじゃちょっと可哀想な気がして…。
だって、あれだけ必死にやってくれてるから。

っていう事でご飯を作ってあげる事にした。
これなら喜ぶと思う。


…今頃頑張って片付けてるんだろうなぁ…
ご褒美という言葉に胸を弾ませながら。


歩きながら帰っていると、もう夕方も過ぎて辺りは暗くなってきている。
時間が経つのは早い。
やぐち、本当に掃除やってるのかちょっと心配。








自分の部屋に入ったら、驚いた。
なっちが買い物行ったのってほんの20分くらいよ?
そんな短時間でここまでやるとは…


部屋の中に入ってただ呆然と辺りを見回しているなっち。
さっきと全く違ってすっきりキレイに片付いている。
服とか全部片付けてくれたみたいだし…
やぐち…すごい。

どうやら心配する必要はなかったみたいだ。



やぐちはというと洗濯機の前で待機。
どうやら洗濯物まで洗ってくれてるらしい…。
全てはご褒美のために。
ご褒美にかける情熱はすごい。









142 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時43分42秒





「…ねぇ、いくら待っても洗濯完了するのは30分後だよ?」


じーっと洗濯機を見つめているやぐちに話しかけると


「………洗濯終わって干したらご褒美だよ?」


別の答えが返って来た。
やぐちはそう言うとまた洗濯機を見つめ始めた。
・・・すごい期待されてるし…

頭なでてあげる!と、ご飯作ってあげる!だけじゃ怒るかな…?
でもそれ以外の事、なっち出来ないし。


・・・・・・ご褒美なんか言うんじゃなかった。








143 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時44分39秒





とりあえず、やぐちがあぁだからほっといて
買い物して来た物を冷蔵庫に入れてから、ソファに腰掛ける。

何か…ほんと片付いてるなぁ。

買い物行ってる間にキレイになってるなんてまるで魔法みたい!


・・・やぐちが頑張ってくれたおかげなんだけどね…。


30分後やぐちは少し大きめのカゴに洗濯物を入れてベランダに直行。
そしてすぐにテキパキと干し始めた。

「夜のうちに干しとけば明日の朝でも取り込めるでしょ?」
と少し開けてた窓の隙間から声が聞こえた。


・・・窓開けられたら蚊が入ってきて刺されるかも。

やぐちの声をよそにそんなささいな事を思ったなっちは
やぐちのいるベランダに寄って行って窓を完璧に閉めた。


鍵まで閉めちゃったり。…はさすがにしないけどさ〜。



閉めた途端に

「何でだよぉ!」

とやぐちの声が…微かにした。







144 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時45分29秒






それからなっちはまたソファに座って雑誌を読み始めた。
雑誌を見ている視界の端には必死にタオルを干しているやぐちの姿。

聞こえるのはパンパンと皺を伸ばす音。やぐちの歌声。



雑誌に没頭していた時
『トントン…』と窓を叩く音がした。

首を動かして窓の方を向くとやぐちのニヤニヤした顔。
不思議に思って雑誌を机に置いてから窓を少し開けた。


「なにさー?」

なっちは少し開けた窓の隙間からちょうど顔だけ出してる状態。
部屋の中はクーラーのおかげで涼しいのに外は暑い。







145 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時46分02秒






「へへっ…なっち可愛いブラつけるんだねっ!」

「・・・はぁ?」


やぐちのニヤニヤした顔を見た後、手元を見るとなっちのブラ。


途端に恥ずかしくなる。
カァーっと一気に顔が赤くなる。
そして、次に来たモノは怒り。



勢いでやぐちの頭を叩いたらスパン!といい音が鳴った。


「いでぇ!何すんだよぉ!」



「バカッ!下着は干さなくていいの!なっちが後で干すから!」


やぐちはなっちの真っ赤になった顔を見ながら不服そう。








146 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時46分56秒






「何でぇ?可愛いって褒めただけじゃん…」

「褒められても嬉しくないっ!
 とにかく下着は置いといて!いい?分かった!?」


それだけ早口で言ってバン!と思い切り窓を閉めた。
正直ほんとに鍵したいくらいだったけど…



「ちぇー…下着干すのが洗濯物干す唯一の楽しみだったのにぃ…」


そんな声が聞こえた気がしたけど無視。
・・・この変態!


確かにそれはなっちの気に入ってるブラの1つだけどさ。
なっちだって可愛いと思って…買ったし?

……もう頭なでるだけにしよう…腹立ってきた。








147 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時47分57秒







しばらくしてから、窓が開く音がして
「カゴ、ここに置いとくよー?」と声がした。



そしてちょこんとなっちの座ってるソファに座ってきた。



「…全部終わったよ?」


「・・・ご苦労様。」


「………ご、ご褒美は?」

ちょっとどもってるような、でも期待まじりの声。



「はいはい。」




そう言ってポンポン、と頭を軽くなでてから


「コレがご褒美」


と言った。オマケに笑顔もつけるよ。


「・・・・・・・・・・へっ!?こ、コレ!?」


自分の頭をなでてるなっちの手を指さして固まってる…
ぽかーんと口を開けちゃったりして。








148 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時48分31秒





「そう、コレ」


やぐちは犬みたい。
喜んでる姿見ると尻尾振って「わん!」って言ってる気がするんだよねー。
従順で、なっちの言う事何でも聞いてくれるし。
聞かない事なんてないもんね。


コレがやぐちの上手な扱い方だよ。



「・・・ん、んなの納得いくワケないじゃんか!!!」

「え、ちょ、何す・・・!」





――『飼い犬に手を噛まれる』

ふいにそんな言葉が頭の中に浮かんだ。
まさに今、そんな感じ。


いきなりキスされたかと思うとそのまま押し倒されてしまった。







149 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時49分03秒







重なった唇。
離れたのはやぐちの方。
離れたって言っても吐息が顔を掠めるくらい近いんだけど…


「・・・コレぐらいのご褒美ちょーだい?」


「・・・・・・・・・・・」

呆然としてしまって何も言えずにいた。
重ねた唇の感触、雰囲気?とか…そういうの残ってる感じ。



「・・・なっち?」


「ば、バカ…早くどけてよ…」

そう言うので精一杯だった。

クーラーついてるのに何でこんなに体熱いの?
何でこんなに…ドキドキしてるの?
相手は、やぐちなのに。






150 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時50分03秒




「やだ。まだご褒美もらってない。」

「…もう…したっしょや!?」

「してないよ。なっちからはまだもらってない。」


少し目を細めて言うやぐちは犬なんかに見えなかった。
なっちよりもずっと大人に見えた。
恥ずかしい…



「な、何言ってんの!?大体なっちとやぐちは友達っしょ?
 そんな事する自体間違ってる!もういいから早くどけてよ…」


「ふーん…じゃーなっちは
『友達』にキスされて真っ赤になるんだ?
 普通された瞬間に突き飛ばしたり唇噛んだりしない?
 それをしないって事はおいらの事
『友達』以上に見てるって事なんじゃないの?」


やぐちの両手がなっちの頬を包み込む。
やぐちの手は、洗濯物を干したせいか少し冷たく感じた。
なっちはそれで自分の顔が真っ赤になって火照ってる事に今気付いた。


少し笑いながら「そこんとこどーなの?」なんて言って
なっちを追い詰める。







151 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時51分18秒






「そ、そんな事ないもん…」


「何でそんな自信なさげなワケー?」


最後の辺り声が小さくなったのをやぐちが見逃すはずがなかった。
今度はニヤニヤしながらなっちを見てくる。
でもなっちはやぐちと目線を合わせずにいた。



「・・・早くして?なっちからキスして?」



「・・・ご、ご飯作るから勘弁してょ…」


「無理。だっておいら超頑張ったんだよ?
 夕方に仕事終わって今もう夜だよ?
 なっち、おいらに感謝してるでしょ?」


「し、してるよぉ…」


「だったらちょーだいっ!」





「…で、出来ないよ…」




「・・・・なっちがしてくれるまでこの体勢のままだよ?」




それっきり沈黙。
なっちはやぐちの目線をそらすかのように机の方を向いたし
やぐちはずーっとなっちを見つめてる。














152 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時52分01秒





洗濯粉の匂いがする。
きっとやぐちの匂い。

いつもは、小さくて、うるさい犬とか思ってたのに
今日は全然違う。
少し大人っぽくて、なっちよりも大きく感じる。

だって今、やぐちに包まれているから。





「…ご褒美くれる気になった?」


沈黙を破ったのはやぐちの方。

顔を覗き込まれてクスクス笑われた。



「……なるわけないっしょ?」


唇を尖らせて上目遣いで睨んでやると


「・・・んじゃ、おいらからもう一回キスしていいって言うんだったら
 なっちからのはチャラにしてあげる。どーする?」


仕方ないなぁ、なんてボヤきながら言った。


何でこんな形勢逆転してるの?
いつもはこんなのじゃなかったのに・・・









153 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時52分40秒





「どっちも・・・」
「どっちもイヤはなしだよ?」

言いたい事が分かったのか、やぐちにさっさと言われてしまった。
なっちを見る、やぐちの目は
『なっちの思ってる事は何でもお見通しだよ?』
って言っているような気がした。



「・・・・・・わかった……」


つぶやくようにそう言ってキュッと目を瞑った。
何でこんなに心臓バクバクいってるんだろ。
何もわかんない。



やぐちの手がなっちの髪に触れる。
優しくなでられた。

なでるのはいつもなっちの方なのに…



「……愛してる。」


耳元で囁くような声がしてゾクっとした瞬間、二度目のあの感触がした。













154 名前:恋愛ゲーム 投稿日:2003年08月31日(日)00時53分16秒





それから・・・なっち流「やぐちの上手な扱い方」を
あっさり覆されたのは言うまでもない事で。

今なんかやぐちに「上手に扱われてる」って感じ。


なっちはというと自分の気持ち全然分からないし。
やぐちがなっちの恋人?
そんな事あるわけ…ないとも言い切れないのも事実。


耳元で囁かれた「愛してる」が今も耳に残っていて。
思い出しただけで背筋がぞくっとするような感じ。



やぐちとの恋愛ゲームは始まったばかり。








155 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年08月31日(日)01時17分36秒
恋愛ゲーム、終わりです。
ベタなタイトル…。

>126 タケさん。
レスありがとうございます!
あの矢口さん大人っぽかったですか!?
私的には黒ヤグのような気がしてました。
あと、安倍さんの想い人全然考えてませんでした!
「エゴ」の続き、頑張って書いてみます。
かなりの駄文になると思いますが…

>127 名無しさん。
レスありがとうございます!
私の書くなちまりは、ただじゃれ合いまくってる2人なので
単純すぎると思います(笑。
でも、痛い話はとことん痛いんで加減が出来ない所が問題かと…
あと矢口さんが幼すぎる所…(苦笑
安倍さんの想い人、全然決めてません!

>128 きゃるさん。
はじめまして!!
レスありがとうございます!
あんな小説を読んでいただけただけで光栄です。
ありがとうございましたー。
スパっとキレイに終われないんですよー。
今回のも続きありそうでないですし。
今回のは一応、甘いんですが…ど、どーですか??

>129 名無しさん。
お気遣いいただきありがとうございます。



156 名前:タケ 投稿日:2003年08月31日(日)02時29分01秒
よかったです!
安部さんの為に必死な矢口さんが可愛かったです!
あと立場を逆転された安部さんも・・・(w

次の話も期待してますよ〜
157 名前:きゃる 投稿日:2003年08月31日(日)03時32分55秒
なんかにやけながら読んでました(*^^*)
やぐちに翻弄されるなっちが良かったです!
158 名前:なちまり大好きっ子 投稿日:2003年08月31日(日)07時14分14秒
再び銀色さんのなちまりが読めるとは!!
朝からテンション上がりまくりですw
アンチ・ロマンチックの酔っ払い矢口さん可愛いすぎっす。
159 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時04分43秒



やりたい。



そう思ったからなっちの部屋に向かった。
きっと拒む事なんてないし、連絡も入れないでいいだろう。
キャスケットを少し目深に被って家を出た。


なっちの部屋のインターホンを鳴らすと中から
「はーい?」という声。


「おいらだけど?」

「・・・・やぐち?」


ガチャ、とドアが開けられてなっちが現れた。


「どーしたの?何かあった?」


不思議そうな顔。
おいらがなっちの部屋来る理由はあれしかないのに…。
こういう関係になってから
それ以外の事で来た事ってあった?








160 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時05分55秒







「やらせて。」

ぎゅっと抱きしめて、耳元で言ってやった。
その声にすぐ反応して顔が真っ赤になるのが見えた。


「と、とりあえず…中入って?」


「うん。」



部屋に入ると、クーラーの涼しさが心地良かった。
コーヒーのいい香りがする。




「…コーヒー飲む?」


「いらない。それより、こっち来てよ?」




目深に被ったキャスケットを取って机に置いてから
ベッドに座った。








161 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時06分46秒





淡い黄色のシーツとタオルケット。


何回ここでなっちの事、グチャグチャにしたかな?

きっと数え切れない回数だね。



何回ここでおいらは、なっちに隠れて泣いたかな?

きっとなっちをグチャグチャにした回数と比例してるね。







162 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時07分36秒





「うん。」



ゆっくりとした足取りで、おいらの隣に座った。
スプリングのせいで少し体が揺れたような気がした。



おいらがなっちの方を見ると、なっちもおいらの方を見る。
目が合ったまま、なっちの唇にゆっくりと自分の唇を合わせる。


唇が触れ合う瞬間まで目を合わせるのはいつもの事。
それからお互い目を閉じて、暗闇。


なっちの唇の感触が気持ちいい。
グロスのせいで唇がぬるぬるしている。



舌を入れて、口をこじ開けて、いやらしく絡ませる。







163 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時08分24秒






「…んぅっ…」

なっちの声が色っぽい。
その声を聞く度、背筋がゾクゾクした。

ぎゅっと首筋に抱きつくと、なっちの腕がおいらの腰に回される。
これも、いつもの事。




十分なっちの口の中を味わってから少し離れた。

なっちを見ると、目が合った。
少し赤い顔。
涙の膜が張ったような目。
さっきまで合わせていた唇を少しだけ噛んでいた。


そのまま勢い良く押し倒す。
なっちは特に驚いたような顔もしないで、されるがまま。







164 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時09分19秒





下から優しく見つめているなっちの表情が、痛い。


その思いを忘れようと唇を合わせる。

今度は、ついばむようなキス。
何回も何回も合わせながら
首筋に回したままになっていた手をほどいて
右手はなっちの頬。
左手は黄色のシーツを握り締めた。


唇から少し名残惜しそうに離れると
舌を這わせながら首筋・鎖骨へと行く。
その間にキスマークを残す。

なっちが嫌がるのを知っていながら。


「ゃ、ゃぐちぃ…キス、マークは…やだよ…やめてよ?」


予想した通りに、甘い声を出しながら嫌がった。
でもおいらはそれを無視してかまわず付けてやった。








165 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時10分09秒





嫌がる理由、知ってるよ。

あの人にコレを見られるのが、嫌なんでしょう?



「も、もぅ…」


上目遣いになっちを見ると真っ赤な顔をして唇を噛み締めていた。
目をきつく瞑っているせいか眉間に皺が寄っている。




その顔を見て、一瞬泣きそうになった。
なっちの鎖骨に顔を埋めて歯を食いしばった。



いつもそういう顔するね。
本当に嫌だったら、抵抗でもしてくれればいい。
叫んでも、ぶん殴ってくれても別にいいんだよ。

なっちがそういう顔をする度、おいらは歯痒い気持ちになる。
心が捻じ曲がったみたいで壊れそうなんだ。






166 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時10分53秒






頬を触っていた手をどけて、なっちの上から離れた。
なっちに背を向けて座ったらまた泣きそうになった。


「・・・・・どうしたの?」


後ろからなっちの不思議そうな声が聞こえる。

そりゃそうだろう。
途中でやめるなんて事、初めてだから。


変な感情がどんどん湧いては消えていく。
その感情はやがて怒りに変わる。


「いい、って…思ってんの?」


怒気がこもったような声。
あからさまに溜め息まで出る。
何を言うとか全然分からない、
だって行為をやめた理由さえも分からないんだから。







167 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時11分39秒






「な、なにが・・・?」


おいらの質問の意味…
気付いているような、でも気付いていないような声を出した。


頭をがしがし掻いて、何回も落ち着けって思った。
でも思うだけじゃ、そうならない事なんて最初から分かってる。



「おいらと、こんな事して…いいって思ってんの?」





「…や、やぐちがいいんだったら、いいよ?」


なっちの言葉が余計においらを逆撫でする。
なっちの意思はどうなの?
こういう事どう思ってるの?






168 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時12分35秒





「ふーん…じゃ、おいらはずっとなっちを犯し続けて
 なっちはおいらに犯され続けて…それでいいって思ってるんだ?」


「お、犯すとか…そんな言い方しないでよ!?
 なっちも同意してるもん!いいって言ってるんだからいいっしょ!?」


「んじゃそんな顔するなよ!?
 なっちは、言葉で言わないけど、表情で分かるよ。
 おいらは……なっちの事、本気で好きだから…分かるよ。」



さっきまでキレてたのに、今はもう泣きそうになっている。
核心に迫るのが怖く怖くてたまらなかったけど言わずにはいられなかった。




振り向いたそこには、座っておいらを見つめるなっちの姿があった。
さっきおいらが付けたキスマーク、よく目立ってる。



「わ、分かるって・・・?」













169 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時13分08秒











「………おいらの事、友達以上に見てないって事も・・・
 ・・・・・・・・・本当に愛してる人がいるって事も。」


自分でも驚くくらい震えたような、頼りない声。

なっちは驚いた表情をして固まってしまった。
少しだけの沈黙がおいらとなっちを包んだ。

でも沈黙してる場合じゃない。
さぁ、これからだよ。









170 名前:愛のままにわがままに 投稿日:2003年08月31日(日)23時13分44秒








「暗黙のルール・・・・・・・・破ろうか。」



おいらは悲しいくらい、顔を歪ませてしまっていて
それでも無理矢理笑った。

なっちは、おいらをじっと見つめていた。
その目からは涙が一筋、線を作って流れていた。




暗黙のルールなんてあったら駄目なんだよ。
いつかは絶対破らなきゃいけないんだよ。
例えどんな結果になっても
面と向かって話さなきゃ駄目なんだよ。


思い切り唇を噛んだら、口の中は血の味がした。 








171 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年08月31日(日)23時26分40秒
「愛のままにわがままに」終わりです。

一応「エゴ」の続きです。
172 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年08月31日(日)23時27分30秒

>156 タケさん。
レスありがとうございます!
安倍さんの為ならどんな事もする矢口さん…愛の力です!(笑)
あと、一応「エゴ」の続き書いてみましたが…ど、どうですか??
本当にこんなのしか書けなくてすいません!

>157 きゃるさん。
レスありがとうございます!
結局は矢口さんの思うがままの安倍さん…
今度はそれの反対を書いてみたいです。
下僕な矢口さんとか…どーですか??笑

>158 なちまり大好きっ子さん。
レスありがとうございます!
前作の時もレスありがとうございましたー!
今回もよろしくお願いします。
「アンチ…」の矢口さんはかなり迷惑な人ですよねー…。
酔っ払ってるのに幼い感じがかなりしますが…。



173 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年08月31日(日)23時31分35秒
今回…微エロっぽいんですが苦手な方、すいません!!
私的には微エロです(苦笑)

矢口さん、暗黙のルール…破らないままでいいよ!
…と自分で思いながら書きました…。
中途ですが…も、もう書けないかも!
かなり切羽詰まってます。


あと、夏休みという事で連続更新で頑張ってきましたが(一応)
今日で夏休み終了なので更新速度が遅くなると思います。
本当にすいません。



174 名前:タケ 投稿日:2003年09月01日(月)04時08分04秒
更新お疲れ様。
「エゴ」の続きを書いてくださって本当にありがとうございます!
とてもよかったですよ!

夏休み終了・゚・(ノД`)・゚・
鬱ですホント・・・
更新速度はマタ―リでいいんで頑張ってください
175 名前:きゃる 投稿日:2003年09月02日(火)17時22分47秒
ちょっと苦いめのなちまりも良いですねぇ〜。
これからもなちまりワールドを広げていって下さいね
176 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月03日(水)10時50分26秒
ヒサビサに矢安の良作に出会えた気がします。
アンチ・・・を読んで、なんだか泣きそうになっちゃいました。
ヤグさんに感情移入しすぎて。
ワタシのイメージする矢安は、きゃあきゃあといちゃついてる感じなんで
ここの2匹(笑)はピッタンコです。
待つのは全然苦にならないので、作者さんのペースで書かれてください。
177 名前:twenty loves 投稿日:2003年09月06日(土)00時25分54秒



1よりも2の方がいいって思うんだよね。
数、多い方が得した感じだし。
嬉しさも倍増?って感じ…。

そう、例えば・・・・おいらの歳、20から。


1回のありがとうより20回言われた方が…ねぇ?
まぁ、言う方は疲れるけども。



そうだなぁ・・・・・

20回の好き。
20回の愛してる。
20回のキス。
20回のセックス。
20種類の愛の言葉。
20通りの愛し方。
20通りの愛され方。


全部1よりもいいじゃん…。



178 名前:twenty loves 投稿日:2003年09月06日(土)00時26分59秒



でもなぁ…20回好きってなっちに言われても
最後の17,8回目くらいの時はもう愛情こもってなさそうだなぁ…。
おいらなら1回、1回に同じだけ愛情こめて言えるけど…。


あ、その前に20回も言ってくれないか…。



179 名前:twenty loves 投稿日:2003年09月06日(土)00時28分01秒




「ねぇ、20回好きって言って?」


「・・・にじゅっかい?」


「そ、にじゅっかい。」



冷夏の反動ってヤツっしょー?
超暑いよねー、こんなの9月じゃないよぉ…
とか言いながらベランダに出て行ったなっちを追って
おいらもベランダに出た。

日差しがキツクて死にそう、溶けそう…。
一気に明るい場所に出たせいか、目がジリジリ痛かった。


太陽は元気だなぁ…その元気、おいらに分けておくれよ。



180 名前:twenty loves 投稿日:2003年09月06日(土)00時29分30秒



「20回も言わなくても1回でいーっしょやー?」


目を細めながら、空を見上げてるおいらの横顔。
その視界の端になっちの茶色の髪が少し見えた。


あ、そうそう。20の話だ。


「でも、1回言われるより
 20言われた方が嬉しさ20倍だよ?」


「でもでも、それは回数じゃなくて愛情の問題っしょ?
 愛情こもってなかったら20回言われても意味ないべ?」


「おいらは、質より量派なのー。」


「あーそーですかー。」



181 名前:twenty loves 投稿日:2003年09月06日(土)00時30分35秒



大体20回も言う人なんていないっしょ。
ていうか言ってって言う人の方がおかしいよー。
やぐち、おかしいー。


なっちがおいらを見ながら
そんな事を言ってた気がしたけど無視。



おかしいとか言ってさ、本当は20回好きって
言うほどおいらの事好きじゃないんだろー。
だから1回で十分とか言うんだ。



1回じゃ伝わらない事ってのもあるじゃん。
・・・・・・多分。



おいらなら20回でも30回でも言えるのに。
それだけなっちの事が好きだから。



おいらがなっちにあげるラヴと
なっちがおいらにくれるラヴの大きさって絶対違うんだよ。


おいらの方が絶対大きいんだ。
そーだそーだ。




あぁー何か悲しくなってきたぞ…




182 名前:twenty loves 投稿日:2003年09月06日(土)00時31分53秒



青空を見上げると飛行機雲。
白いチョークで書いたような直線が青空に引かれている。


子供の頃、飛行機雲追っかけて自転車走らせたっけ。
何だか飛行機雲追っかけたら、地球の果てまで行けるような気がしてた。

この飛行機雲もおいらが見てる青空の端から端まで続いてるよ。
途中で途切れる事なんてないくらい。







そんな飛行機雲をぼーっと見つめていると
いきなり体を横に向けさせられて、おいらの目には何も映らなくなった。
あの飛行機雲も、視界の端にはなかった。
青空も、太陽も。
見えるのは、なっちのノースリーブから出た肩、それと茶色の髪。





だ、抱きしめられてる・・・・。





183 名前:twenty loves 投稿日:2003年09月06日(土)00時32分55秒



「・・・な、なっち・・・!?」


こういうのって慣れてなくて。
いっつも抱きしめる、キスをする…全部がおいらからだから。
なっちからされた事なくて、思わず戸惑うような声が出る。


 なっちはおいらの声を気にもしてない素振りで、耳元に唇。




囁いた言葉は





「・・・・愛してる。」



  ぐぁーーーーーっと体中が熱くなった。


暑いのは、冷夏の反動のせいだけじゃないよね…。






184 名前:twenty loves 投稿日:2003年09月06日(土)00時34分05秒





固まったまま、なっちを抱きしめる事も出来ないでいると
おいらから少し離れた。

表情は、なっち得意のスマイル。
いつものなっちだ。



「ね?20回言わなくても1回で十分っしょ?」


「・・・・・・・・・・うん………」



フフン!どーよ??って感じに得意気ななっち。
1回とか20回とかそんなの既に頭になくて、考えられなくて
呆然としたまま、曖昧に返事した。




なっちの「愛してる」は20回、30回、40回、50回・・・
いや、数えられないくらいの回数分の愛情がたった1回にこめられていた。



ちくしょー…そんななっちが、好きだ。





185 名前:twenty loves 投稿日:2003年09月06日(土)00時35分17秒



やっと我に返ったおいらは、さっきのなっちと同じように
真剣な表情で、目を見てから愛情たっぷりの言葉を耳元で囁く。




「おいらも、愛してる。」


照れくさそうに離れると、


「分かってるよ。」


なっちは笑顔でおいらの頭をなでてくれた。


20回も言われなくていーや…
1回言われただけでこんな幸せだから。




なっちの事、好きでよかった。
なっちに愛されて、本当によかった。




  2人の愛が、あの飛行機雲みたいに永遠に続くようにと、祈ろうか。







186 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年09月06日(土)00時56分12秒
twenty loves終わりです。
タイトルそのまんまって感じ。


>174 タケさん。
レスありがとうございます!
「エゴ」の続き…よかったと言っていただけてかなり安心しました。
続きはあるかどうか微妙です。

夏休み終了。
毎日しんどくて仕方ないです…
更新速度マタ―リしすぎないように頑張ります。

>175 きゃるさん。
レスありがとうございます!
「エゴ」シリーズ?の矢口さんは大人です。
でも痛い系の話は苦手なので駄文すぎてすいませんって感じです。
なちまりワールド広げます!
なちまり好きさんがもっと多くなればいいのになぁ…

>176 名無しさん。
レスありがとうございます!
しかも良作とまで言っていただいて私には勿体無い言葉です。
「アンチ…」のちょっと真剣な部分、本当は別の形で書きたかったです。
不安がる矢口さん…もっと真剣に書きたかったのに
ただの酔っ払いの戯言みたく納まって少し残念な気分です。

なちまりのイメージ同じで嬉しいです。
私も似たようなイメージを持ってます。
まるで子犬のじゃれ合いのような…。
いいですよねぇ…(笑



187 名前:タケ 投稿日:2003年09月06日(土)01時30分55秒
面白かったです!!よかったです!!
なんとなく大人っぽい安部さんが(・∀・)イイ!!
抱きしめられて動揺(?)してる矢口さんも(・∀・)イイ!!

次の話しも待ってます!!
188 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月06日(土)09時19分59秒
甘いですねぇ(ポワワ
甘くて甘くて虫歯になりそうな矢安を読みたかったんで、
こちらで補給しまくりです。

>酔っ払いの戯言
あー、でも、その方がむしろグッと来ました。ワタシ的には。
こう、酔ってないと言い出せないヤグさんの弱さってーか、
不安さ、って言うか、そんなんがすごい良く分かるような感じがして。
基本的にヘタレさん大好きなんで(笑)

次のオハナシも楽しみに待ってます。
189 名前:きゃる 投稿日:2003年09月06日(土)13時09分39秒
あっついですねぇ〜(笑
読んでて顔がにやけていきましたよ。人に見せられないです(恥
190 名前:jinro 投稿日:2003年09月06日(土)16時52分27秒
やばい…オイラなちごまスキーなのになちまり書きたくなってきた…(w
191 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月06日(土)21時39分45秒
雰囲気がすごくふわ〜っとした感じで、
なおかつすがすがしさもあって(・∀・)イイ!!
安倍さんのセリフで、自分も体が熱くなりましたw
個人的にはもっとじゃれ合いキボンヌですw

また、まったりと次回更新を楽しみにしてます。
192 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)01時57分00秒






これからの事をよく想像する。

きっと「このまま幸せに幸せに暮らしました」
なんてお伽話のような事なんかあるわけなくて
いつかは「終わり」というものが来るんだろうなぁ、と思う。


だってホラ、永遠なんてないから。






193 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)01時58分10秒






おいら的には、なっちがおいらの事好きじゃなくなって
別れを告げられちゃうって感じの終わり方だと思うんだけど、どうかな?

それは淡々としてて、
まるで一瞬の事のように突然振りかかりそうな気がするよ。


そして、まだ想像するんだ。

おいらの隣になっちがいなくなった日々の事。
笑い合う事がなくなった日々の事。
お互いぎこちなく過ごす日々の事。

しかもそれ、夜中に考えたりするものだから
余計に感傷的になって本当に泣いちゃうんだよ。







まだっていうか、当分あなたをおいらの手から離せそうにないよ。











194 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)01時59分03秒





まぁ、これはおいらの身勝手な想像だから気にする必要もないんだけど。


ホラ、未来は誰にも分からないし。

結局言いたい事はコレなのよ。

今が大事なんだ、って。



難しい事考えるの嫌いだし、
とりあえず隣で雑誌を読んでいるなっちから
おいらにかまって、っていう意味で雑誌を取り上げて

おいらの金色の髪と

なっちの茶色の髪が

綺麗に混ざり合うくらいに愛し合おうか。













195 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)01時59分51秒






未来の事なんて考えてもキリがないって事、よく分かってる。
でも恋愛すると考えずにはいられないんだよねー。


恋愛の相手がやぐち、ってちょっと笑っちゃうけどさ。
でも、なっちは真剣なのさ。
多分伝わってないんだろうけど、このバカな虫には。






  本当に好きで、大切な人で、誰にもやぐちは譲れないね。









196 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)02時00分32秒





こういうの言わないのは、すぐに調子にのってからかいに来るから。
からかわれるのはねぇ、本当に嫌なの!
分かる?なっちの気持ち?って誰に言ってんだろ…まぁ、いいや。
あのニヤニヤした表情。
勝ち誇ったような態度。

本当に、ムカツクの!
それでね、言った後後悔するんだよ。
言わなきゃよかったーって。


でもなっちが自分の気持ち正直に言わないから
一人で勘違いしちゃってるみたいだけど。


「なっちはおいらの事、好きじゃないんだろー!」とか
「おいらの愛の方が大きいよ!」とかよく言うの。


全然そんな事ないのにね、バカな虫だね。








197 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)02時01分11秒






ちゃんとなっちはやぐちの事好きって想ってて、
一日の中で半分はやぐちの事で頭いっぱいなのに。


ほら、今だって雑誌読んでるけどやぐちの事考えちゃってる。
隣でボーっと考え事してるやぐちの事気にしちゃってる。


意地悪で、
小さくて、
虫で、
うるさくて、
人の揚げ足ばっかとって、
エロくて、

悪い所言い出したらキリがないんだけど、ムカツクけど

やぐちが、好き。


あぁ、変なの。
こんな虫みたいなのになっちの気分左右されるなんて。
認めたくないけど、そうなんだよね。







198 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)02時02分00秒






永遠なんてないのは、分かってる。
「始まった」ものには「終わり」が来るの、当たり前の事だよね。


いつかはやぐちとも、って考えたら泣きそうだよ。



なっち的には、やぐちがなっちの事好きじゃなくなって
振られちゃう、って感じの終わり方だと思うんだけど、どうかなぁ?

それはあっさりしすぎてて、
言われた瞬間、何が何だか分からないと思う。


考えたらすごく怖いよ。



きっとやぐちはなっちに愛想を尽かすような気がして。



「好き」とか「愛してる」とか。
言わなきゃ分からない事っていうのもあるっしょ。


そういうの、言わないからやぐちは不安になって・・・・・・って。









199 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)02時02分43秒







それは嫌だよ。



好きだって、言わなきゃ。
今、振られるとかそういうわけじゃないんだけど
逆に言わなきゃ不安になってきた。


やぐちの特等席には、他の人を座らせたくないよ。
やぐちの特等席は、なっちのモノだよ。


恥ずかしいけど・・・・・・・・・・。













200 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)02時03分24秒






ん〜って雑誌を読んでるくせに、難しい顔してるなっちから
雑誌を取り上げたのはもちろん隣で考え事してたやぐち。


あまりにも急な出来事で、気付いたら雑誌はやぐちの手の中。

ニッコリ愛想笑いを浮かべて雑誌を机に置いた。


「二人でいる意味ないじゃん。おいらにかまってよ?」


返事をする間もなく、そのまま座ってたソファに押し倒された。

目の前にやぐちの顔。


なっちの頭の中は、
言わなきゃ言わなきゃ言わなきゃ…としか思ってなくて。
あせって、混乱して、何が何だか分からない。







201 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)02時03分59秒






柔らかく笑ったやぐちは、目を少し細めた。


やぐちが目を細めた時は
もうすぐキスするよ、という合図か
愛の言葉を言ってくれる瞬間。



「・・・・なっち、好…」

「ま、待って!!!!!」


案の定、愛の言葉を言うはずだったらしい。
いきなり止められたやぐちは驚いたように細めていた目を見開いた。
しかも、瞬き5回以上してる…。







202 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)02時04分49秒






「・・・なに?」


不思議そうになっちを見下ろすやぐち。
聞かれると、どうも言いにくい。


でも、今日はやぐちよりも先に言いたい。
いつもやぐちから言ってくれるから。
今日はなっちが言うよ。



「…………すき。
 やぐちが、すき。すごい、すきなの。」



真っ赤な顔して言えたのはただそれだけで、
他には何も言えなかった。








「・・・・・・おいらも、好きだよ?」





なっちがこういう事言ったら
絶対からかうだろうと思ってたのにそんな事全然なくて。
やぐちも普通に愛の言葉を言ってくれた。







203 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)02時05分21秒







それから、
ニヤニヤしたあの表情も
勝ち誇ったようなあの態度も


キスされたから分からなかった。




ぎゅって抱きしめられたから、なっちも小さな体を抱きしめた。
優しく髪を触られたから、なっちも金色の髪を優しく触った。


吐息が掠めるくらい少しだけ離れると、お互い似たような表情。

照れくさいような、歯痒いような。








204 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)02時05分56秒






「そゆこと、言われると…照れる。」

「…自分からは言うくせに。」

「おいらはいーの。」

「…言わなきゃ、愛されてないとか言うくせに。」

「そ、それはー…」


も、もういいじゃん。
とにかく、愛させて?


ばつが悪そうな顔をして、少し愛想笑いを浮かべると
ぎゅってきつく抱きしめられてこめかみにキスをされた。







205 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)02時06分31秒







未来は誰にも分からないし、永遠なんてないけど
愛し合ってる時くらい「永遠に一緒」って思っても、いいよね。


おいら、永遠になっちのそばにいるんだ!
この幸せ10年後も20年後も、命尽きるまで持って行くんだ!









206 名前:あなたに思うこと。 投稿日:2003年09月07日(日)02時07分07秒








未来の事なんて考えてもキリがないし
永遠なんてないんだろうけど今は信じちゃってもいいよね。


やぐちと永遠に一緒にいるんだー、って。
この幸せずっとずっと感じて今日も明日も明後日も、過ごすんだ。


やぐちの唇がなっちの耳たぶにキスをしたからくすぐったくて
体を捻りながらぎゅって小さな体を抱きしめた。











207 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年09月07日(日)02時21分30秒
あなたに思うこと。終わりです。
ややこしい&矛盾してる所ありそうな感じが…。

ちょっと愛される矢口さんを書いて
愛する安倍さんっていいなぁと思いました(w

いつもは愛される安倍さん・愛する矢口さんだったので。



208 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年09月07日(日)02時24分04秒


>187 タケさん。
レスありがとうございます!
思いつきで書いた話だったんですが気に入っていただけて嬉しいです。
いつも矢口さんと一緒で子供っぽい安倍さんですが
ちょっと大人っぽい感じで。
矢口さんは20回とかそういう事考えてる辺り、子供ですが…笑。

エゴ…かなり悩んでおります!(笑)
いつになるか分かりませんが待ってて下さい…。


>188 名無しさん。
レスありがとうございます!
基本的に甘すぎるようななちまりしか書かないんで
ちょっと痛い系の話も書くべきか悩んでたんですが…
もうちょっと甘い話を書いていこうと思います。

>アンチ…について。
ちょっと書き直そうと思ってたんですが
そう言っていただけて安心しました。
ちなみに私もヘタレさん大好きです(笑)



209 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年09月07日(日)02時41分31秒


>189 きゃるさん。
レスありがとうございます!
ここの2匹は異常にベタベタしすぎのような…(苦笑)
今度は読んでる方も書いてる方も恥ずかしくないような
程よい甘さのを書きたいと思います(笑

でも、じゃれ合いすぎ!の2人も書いてみたい気が…笑


>190 jinroさん。
レスありがとうございます!
かかりましたね!?なちまりマジックに☆笑
きっとこれからなちまりが気になって仕方ないと思います!
…書いて下さい!!笑

ちなみにこっそり言いますがjinroさんの作品かなり好きです(w


>191 名無しさん。
レスありがとうございます!
そう言っていただけると光栄です。
ありがとうございますー。
安倍さんに言われる矢口さん…羨ましすぎ!!!笑。

じゃれ合い希望ですか!?
もっと甘いのになると…すごい事になりますよ!?笑
…とか言ってかなり書きたいんですが(w




210 名前:名無し一読者 投稿日:2003年09月07日(日)15時19分08秒
いつもROMってたんですが今回とうとうレスします。
ここのなちまりかわいすぎ!
萌え死ぬ・・・。
211 名前:きゃる 投稿日:2003年09月07日(日)23時42分01秒
なんかもっとなっち→矢口が見たくなりましたぁ〜8(*^^*)8
あまぁ〜いの大好物なんで楽しみに待ってますよ(笑
212 名前:The heart is touched 投稿日:2003年09月08日(月)00時23分54秒



「キスってさ、簡単だけどなっち的に一番大切のような気がする。」


「・・・・大切?キスが?」



唇を指でなぞる仕草をしながら
ぽつり、と呟いたなっちの一言が妙にドキッとした。

それはそういう仕草をしながら言っているからかもしれないけど。






213 名前:The heart is touched 投稿日:2003年09月08日(月)00時24分43秒





なにするー?何もする事ないねぇ。

じゃー昼寝しよ!昼寝ー!


そう言って簡単に決まったこの昼寝。
ベッドにごろん、と2人寝転がって沈黙が続いてた。

全然苦痛じゃない、沈黙。
何か喋らなきゃ、とかそういう焦りなんか全くない。
ただ自然な事で、逆に落ち着くんだよ。

なっちのゆったりとした雰囲気に包まれて
すごく気持ちがいい。安心する。


クーラーが涼しくて、
横を向くと水滴がいっぱい付いたコップが2つ仲良く並んでいる。
ストローがお互いの方を向いていて、キスしてる。
これって微妙に間接キスだよね、って思っちゃったよ。







214 名前:The heart is touched 投稿日:2003年09月08日(月)00時25分33秒





「唇に触れるのは簡単っしょ?でも、特別な気がする。」

「…そりゃ、手に触れるのとはワケが違うけど。
 すごい緊張するしー。」


なっちからこういう話をするのは珍しい。
しかも、キスの話なんて・・・おいらにしてほしいの?
それって…おいらへのさり気ないアピール?


ストローもキスしてる事だし…場所だってベッドだし…いいよね?


急に体中が熱くなって、ドキドキしてきた。


やる気満々な感じでニヤニヤする顔を隠すように表情を歪ませた。



「・・・なっ…」

「何かさ、キスって心と心くっつけるような感じしない?」



なっちの方へ振り向いて
抱き寄せようと伸ばした手が、シーツの上に無力に落ちた。








215 名前:The heart is touched 投稿日:2003年09月08日(月)00時26分16秒





「・・・・・・・・こ、心と、心?」



なに?
なっちワケ分かんないよー。
心と心じゃなくて…唇と唇じゃん。



おいらが全く理解出来てないっていうの、なっちは分かったようで
天井をずっと見てた目線がおいらに向けられた。



「唇が一番心に近いような気がするの。
 だから、どんな所に触れるよりもドキドキするし…。」


なっちの指先がおいらの唇をなぞる。
普通にキスするよりも、こういう事される方がドキドキする。


今日のなっち、やらしーよ。


柔らかく笑うなっちの目先にはおいらの唇。

おいらもなっちの綺麗な色をした唇を見つめた。



唇が、一番心に近い。









216 名前:The heart is touched 投稿日:2003年09月08日(月)00時27分02秒





「・・・なっちの心に、触れていい?」


おいらの唇をなぞるなっちの手を握り締めた。
じっとなっちの目を見つめると、


「いーよ。」


優しく笑って、包み込むように抱きしめてくれた。
一気に距離が縮まって、ゆっくりとなっちの心に触れた。


離れると、お互い赤くなった顔をして見つめ合った。



「なっちの心、あったかい…」

「…やぐちの心も、あったかい…」






217 名前:The heart is touched 投稿日:2003年09月08日(月)00時28分36秒





心と心をくっつける。
そう考えながらキスすると
いつものキスと違うように感じたよ。

もっとドキドキして、緊張して、離れる瞬間唇が震えたよ。



唇が一番心に近いのなら、
なっちの心に触れる事が出来るのはおいらしかいないね。
反対においらの心に触れる事が出来るのも、なっちしかいないけど。



何も言わずにもう一回触れたら、コップに入っていた
形の崩れた氷がカラン、と気持ちいい音をたてて鳴った。









218 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年09月08日(月)00時41分16秒
The heart is touched. 終わりです。
・・・・・かなり微妙…
もっと頑張ります。


>210 名無し一読者さん。
初めましてー!
レス本当にありがとうございます!
ただの自己満足な駄文を読んで下さっていたなんて感激です。
私が書くなちまりは本当に子供っぽくて
全然矢口さんらしさ、とか安倍さんらしさ、とかないって感じなんですけど
可愛いと言っていただけて嬉しいですー。


>211 きゃるさん。
レスありがとうございます!
今回も微妙に安倍さん→矢口さんって感じ…
何か、愛され慣れてない矢口さんが好きで…(かなりマニアック…)
甘い話頑張って書いて行きます。




219 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月08日(月)10時30分47秒
ぬ、あー!タスケテー!萌え死ぬ!
銀色さん(省略ゴメンナサイ、笑)の、言葉選びのひとつひとつがツボです。
「あなたに思うこと」の、安倍さんの告白のセリフとか、
もう、胸がぎゅーって!ぎゅーって!

はぁー・・・もう完全に虫歯ですん。幸せ(笑)
220 名前:タケ 投稿日:2003年09月08日(月)16時16分46秒
いやー!よかったーーーーー!!
2本続けて読めてラッキー♪

今回(も)内容がとても大人っぽくてとってもよかったです!!
次も頑張ってください!!
221 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年09月08日(月)22時44分31秒

>219 名無しさん。
レスありがとうございます!
すいません、助けてあげられないです(笑)
このままもっと暴走するつもりなんでー!!(笑)
こちらこそ、そう言っていただけて幸せです(w
安倍さんに言わせてみたい告白みたいなのがもう1つあって
どっちにしようか悩んだんですがこっちで。

私なんかは文才も何もない人間で
ただやりたいようにやってるだけなんでそう言っていただけて光栄です(笑
あと、関係ないんですが名前勝手に省略しちゃって下さい!(笑

ちなみにサイトは作りたいのですが
自分には難しいっぽくて持ってないです。
作りたいんですが、未だ悩み中。

最近、自分の大好きな矢安サイトさんが
休業だそうですごくショックでした(苦笑)
毎日通ってたのに…。





222 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年09月08日(月)22時50分14秒
>220 タケさん。
レスありがとうございます!
平日更新出来ない分、
土日は連続更新したいなぁっと思って頑張りました(w

今回かなり内容もそうですが表現の仕方、変だったと思います。
すいませんー!!(今回に限らずいつもですが)
もっと、表現を上手く文に表す事が出来たらなぁ、と思います…。
頑張らないと…。駄文ですがお付き合い下さって本当に感謝です。




223 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003年09月08日(月)22時55分04秒

連続更新!とか思って書いてたんですが
内容が書いていくうちに段々エロになってしまったので
更新を諦めました(苦笑)

内容的には明るい系ですが、
矢口さんが嫌がる安倍さんを無理矢理って感じだったので(笑)

なに書いてんだ、自分・・・・・・。


だから今日はレスのお返しだけです。
すいません。



224 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/11(木) 00:17
エ、エロでもいいなぁ・・・とか言ってみる(笑)
225 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/11(木) 00:20
というか、エロがいいなぁ…と言ってみる(笑)
226 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/11(木) 20:30
エ、エロお願いします…(笑)
227 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:32




こんなに暑いのに、扇風機ってのおかしいね。
愛しのエアコン君が故障しちゃったから仕方ないんだけど。
君を攻めるつもりはないさ、気にしないで休んでくれ。
…なんて笑って言えるわけもなくて、
とにかく部屋を涼しくしろよって感じなんだけど。


暑いのはエアコンが故障したせいだけじゃなくて
ベッドで座ってるなっちに寝転びながらすがりつくように
抱きついてるおいらのせいでもあるよね。


おいら達二人にはちょうどいいベッドの大きさ。
少し狭い感じもするけど、
肌と肌がくっつくくらいがちょうどいいのだ。

シーツの色とお揃いの黄色のタオルケットは
こんな暑い日には用無し。


その証拠に今日は、ベッドの端っこに追いやられてる。








228 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:33







「暑くないー?」


扇風機の心地良いはずの風も
この暑い部屋の中じゃ温風でしかない。
扇風機って役立たずだ。


ブーン、なんて憎たらしい扇風機の音がやけに耳につく。
お前もうちょっとおいら達に涼しい風をよ、こ、せっ!




「んー…暑いねぇ。でも言ったって仕方ないっしょ。」



これに続く言葉は知ってる。


「「エアコン君壊れちゃったんだから。」」


ほら、ね。


「ハモったね。」

「おー、ハモった。ハモった。」








229 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:34





なっちが伸ばした足においらの足をからませる。
おいらって、器用でしょ?

腰に抱きついたら上から優しい手に頭をなでられた。
触れ合ってる部分、なっちの体温が伝わってくる。

汗ばんで、気持ち悪いけどなっちが何も言わないからおいらも何も言わない。



頭を少しずらして、上を見るとなっちの顔が見えた。

相変わらず、この人睫毛長いなぁ…
唇、いい色してるなぁ…
髪、さらさらだなぁ…
目、大きいなぁ…

ほんと、整った顔してるなぁ…


・・・・・・・まぁ、おいらの恋人だけど。




「なーに、人の顔じぃっと見てるのさ?」



「・・・・何もなーい!」



不思議そうな声を出しながら
おいらの顔を覗き込んでくるなっちを無視して目を逸らした。







230 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:35






見つめるのも、考え事するのも、飽きてきたから
腰に回していた手をほどいて、右手をTシャツに侵入させる。



なっち、白いTシャツ着てるからブラがうっすらと見えてるよ。
そういう所もそそるなぁ…コーフンしちゃうよ。

おいら自身もやらしーなぁって思うほどの手の動かし方で
なっちのお腹、鳩尾…と手を滑り込ませていく。


どんどん手が上の方へ行くせいでTシャツがめくれて
きれいなお腹が見える。







231 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:35






「手つきがやらしぃ!」



なっちのお腹に目を奪われてる時に、上から愛の制裁。
ぺしっと軽く頭を叩かれたけど、こんなの日常茶飯事なのだ。

これも愛情の裏返しって、おいらちゃんと分かってるから。



照れてるだけなんだよねー!
おいらのハニーはすごく照れ屋なのだぁー!


「いーじゃん。夏だし。」

「意味わかんない。」

「ナツユエだよ、ナツユエ。」



人差し指と中指がブラに触れた。


   あー、もうすぐっすか!?

      もうすぐっすよ!!








232 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:36





・・・・・ホックはずさなくても…いいよね。


全身に鳥肌がたつような感じ。
心の中の矢口さんが

『ゴゥ!ゴゥ!ゴゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!』

って応援してくれてるみたいで
(意味わかんないけど)

感情が高ぶった。


これ、いつもの事だけど。



「・・・・・触んないでぇー。」


暑さも、温風扇風機も、何のその。

矢口さんと安倍さんとのラヴっぷり、熱々っぷりにはまだまだだぜ!?
はっはっはっはっはっ!
みんな〜!おいら達のスピードに振り落とされないようによろしくッ!
イクとこまでイッちゃうけど、ちゃんとついてきてねぇ〜〜〜!!!



ワケの分からない事を考えながらも、気持ちは高ぶったまま。
顔の筋肉が自然に緩む。








233 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:37










どうやら、今日のなっちは嫌がるらしい。


普通は、嫌がる・怒る・叩かれる。
…たまに同意するってのがあるんだけどね。




でも、嫌がるなっちもまたおいらをそそるのです。



「・・・どうして嫌なの?」



フッフッフー!とか怪しい笑い方をしながら
小さい子供に聞くような優しい口調で言う。

多分

「恥ずかしいから」

とか顔を真っ赤にさせて可愛く呟いちゃったりするんだ。
そしておいらはまたそのなっちの態度にコーフンするのさ。


なっちのひとつひとつの口調、態度、全てがおいらをコーフンさせるのさ。









234 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:38




そういう想像をしながら上目遣いに見上げると
なっちは至って普通。


あ、れ?普通に目が合って、見つめ合った。



恥ずかしさのカケラもないって感じのなっちの反応においらの方が戸惑う。
い、いつものなっちじゃない・・・・・。




「何かね、よく分からないんだけど胸の間、蚊に噛まれてるのさ。
 だから、触んないでぇーって。」



服の中で留まっている右手を一瞬どうしていいのか分からなくなっちゃったよ。


変わらず部屋の中は暑いし、手が汗ばんできてるんだけど。








235 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:39






「・・・・・・・蚊?」


「・・・蚊。」


聞き間違いかな、って思ってもう一度確認。

答えはやっぱり、蚊。


やぐちの手ある近くなんだよね。ブラの下。
もう何でこんなトコ、噛まれちゃったのか全然分からないよー。




・・・・・・・・
それは、なっちの寝相が悪いせいだよ。

って普通に返したくなったけど、どうしたらいい??




折角の甘めな、いいムードも蚊のせいでブチ壊れ。
一人でコーフンしてた気持ちも一気にダウン。
心の中の矢口さんも
「諦めな…」
と切なそうに言っている気がする。

なっちは蚊の話に夢中だし。








236 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:40






とりあえずブラの下の蚊に噛まれた部分に触れてみる。


「・・・・何か膨れてるね。」

「そうっしょ?
 …って触ったら痒くなるから駄目だってー!」


ぺしぺし頭を叩かれながら
お腹までめくれてたTシャツをもっとめくって
おいらが今触れている部分を見る。


少し赤くなって膨れている、明らかに蚊に噛まれた跡だ。




爪で跡つけていい?
噛まれた時、爪でバツ印入れたりしない?


あーそういえばやるよねぇ…痒みはおさまんないけど。



・・・目の前にTシャツめくれたブラ丸見えの彼女がいるのに
何で蚊の話なんかしてるんだ??
何で爪でバツ印つける、なんて話してるんだ??


萎えるってこういう事だよね…


理解不能な今の状況。

本当にヤル気もなくなった。










237 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:40









「まぁ、蚊に噛まれた跡はもういいんだけどさ。
 鎖骨に蚊なんかより、もっとしつこくて嫌な虫に食べられた跡があるから
 そっちの方を何とかしてほしいね。」


蚊の話が一段落した時
深々と頷きながら嫌そうな表情のなっちに
おいらはワケが分からなくて
とりあえず右手を鎖骨辺りまで伸ばした。

右腕が汗ばんでいるせいで動かしにくかったけど
何とか鎖骨に触れられた。


嫌な虫って…ダニかなぁ??
それよりダニって噛むのか?



なっちの顔を見るとニコッとスマイル。
・・・・何かいつものスマイルより怖いぞ??






238 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:41





「…跡なんかないじゃんかー。
 膨れた感じもないよ?」


なっちの足に絡ませているおいらの足。
鎖骨まで伸ばしている手。

体勢がきつくて、
手はそのままで足を名残惜しい感じにゆっくりほどいた。

汗ばんでいたせいで、離れた時涼しかった。






239 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:41






「膨れてはないよ。でも、ちゃーんとくっきり跡があるのさ。
 すごく嫌なんだけどね。」


そう言うなっちは本当に嫌そうだ。

もしかして、ダニとか小さな虫じゃなくてムカデとか!?
うわー、怖いよ。
おいらのなっちに傷をつけるなんてどこの虫だよ!?
見つけたら踏み潰してやる・・・





今度はなっちを跨いでおいらが上に乗っかるような体勢に移動。
ちょうど腰辺りにおいらが座ってるって感じ。

ちょっとなっちはこの体勢に不服そうだけど気にしない。


Tシャツの中に侵入させたままだった右手を一旦外の世界に戻す。
右手が涼しいー。










240 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:42










「んー…触っても分かんない!見せてみろっ!」




場合によっては、治療するよ。
もちろん、舌で舐めるっていう治療だけどねっ!


前に倒れこむようにぎゅっと抱きついてから
襟を下へ引っ張って鎖骨を見ると、発見!!!



赤い跡発見!!!



ダニ?

ムカデ?


じぃっと間近に見ると・・・・・・


こ、これは・・・・・・・・・・・・・・






「ね?嫌な虫っしょ?」




なっちの笑い声。



これは・・・・ダニでもムカデでもない・・・・・













241 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:43









「おいらがつけたヤツじゃん!
 なっちとおいらの愛の印じゃんかー!!」



左鎖骨に1つ目立つようにつけられた愛の印。
昨日おいらが頑張った後だ。
(頑張ったってやらしいなぁ…)




睨むようになっちを見ると



「やぐちっていう虫に食べられた跡だよ。
 こんなトコにつけられたらねぇ、すっごい迷惑。
 タンクトップも着れないっしょー。」


クスクス笑いながらも、本当に迷惑してるんだぞって感じに
ほっぺたを捻られた。


おいら、虫なんかじゃないのに・・・・・



「何だよー!ひどいよ、なっちー!」


踏み潰すとか考えてたおいらアホじゃんかー。
なっちにしてみれば、おいらは蚊と一緒かよー。








242 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:44







「鎖骨だけじゃないんだよ。
 胸の辺りとか、首筋にもこんなのがあるからねぇ、困っちゃって。」


「おいらがつけたんだからドコにつけたかくらい覚えてるよ!」



何だよ、何だよ、何だよー!!!
鎖骨・胸・首筋・脇の下らへん・太ももの裏側…
全部覚えてるよ!
あの時のなっちの表情も、声も、全部。


昨日はね、久々に「同意してくれた日」だったからね…
ちょっとおいらもはりきっちゃって…
最初から最後まで全力疾走で頑張りましたって感…
…ってそういう事思い返してる場合じゃないよ!!!






243 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:44







一旦頭に血がのぼったら、
他の事なんか分からなくて、考えられなくて、真っ白になる悪いクセ。








それから

「やぐちは蚊と全然違うけど
 小さい所としつこい所が似てるねぇー。」

とかなっちは笑いながら言ってて。



おいらは、なっちの彼女だぞっ!?


彼女をそんな風に言うなんて・・・・・・















244 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:45








いきなりなっちの上から降りて、
無造作に横に追いやられてたタオルケットをバサッと頭に被って
ベッドから飛び降りた。

タオルケットを被ったのは偶然、視界に入ったからなんだけど。






「・・・・・・・・なっちのバカー!」


ありったけの大声で叫んでやって
温風扇風機の横を通り過ぎて、洗面所にそのまま直行。
途中でタオルケットを自分で踏んでこけそうになったけど
何事もなかったかのように扉に怒りをぶつけるように音を立てて閉めた。


後ろから「やぐち」って呼ぶ声がしたけど当然無視してやった。











245 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:46








立てこもった洗面所の中はもっと暑くて、
頭に被ったタオルケットを投げ出しそうになったけど
変な意地を張って我慢した。


それにしても・・・・・暑い………。



扉を背にして、小さく体を折りたたむようにして体育座り。



黄色のタオルケットのせいか、周りが黄色く見える。
いつも寝る時二人で半分ずつ被ってるんだよねー。
大きく息を吸ったら、何となくなっちの匂いがしたような気がした。



洗面所に立てこもるより、部屋自体から出て行った方がよかったなぁ
・・・と今頃になって思っても、もう遅い。








246 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:46






どれくらい時間が経ったのか分からない。
さっきからずーっとこうしているから、周りの状況すら分からない。

なっち、何してるんだろー…。
おいらに怒っちゃったかなぁ…



冷静になって考えれば、何でこんな事したんだろって感じ。
別に立てこもるほど怒る事もなかったのに。
後になって考えれば、今こうしている事自体、後悔だ。



洗面所の向こうの様子を伺うように耳をすませても
音という音は聞こえてこない。


出るのも出れないこの状況…。

なっち、どうしてんだよー!!







247 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:47







タオルケットに包まっている全身が暑い。
膝に顔を埋めてドキドキしてる鼓動を押さえつけるように
目を瞑った。





―――ガチャ。



静かな洗面所に響くドアが開く音。







なっちだ・・・














248 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:47








「・・・・こんな暑いとこで
 タオルケット被って…本当にやぐちは子供だねぇ。」


第一声がそれかよっ!

ムカッってしたけど、聞こえないフリをして無視。


そんな言葉だけど、なっちの声を聞くだけで少し安心した気分になった。




「・・やぁーぐちっ!
 暑いくせに無理していつまでそうしてるのさぁ?」

「ぅ、うるさぃ!!」



「暑いっしょ?」


「・・・・・全然、寒い。」


微かにクスクス笑う声が聞こえる。
正直に暑いって言えばよかったかも、とちょっと後悔。

 あーもー、ホント今日やる事全てが後悔だぁー!


フローリングとは違ってツルツルした床だから
歩いたらペタペタと足音がする。









249 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:48






ペタペタと2,3歩歩く音がして
おいらの後ろに座ったって分かったのは気配と空気。


「寒いのなら…温めてあげるっ!」

「へっ!?」


ぎゅっとタオルケットごと後ろから抱きしめられた。

全然寒くないから、余計に暑さ倍増って感じだけど
心の中は幸せいっぱい。


何でこういう時にこういう事するんだよーっ!
おいらがこういう事してほしい時にしてくれないくせにーっ!






250 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:49






なっちは

「やぁぐち、やぁぐち、やぁぐち、やぁぐちっ!」

とタオルケットごしに耳元で何回もおいらの名前を呼ぶ。
おいらも

「なっちー!!!」

って言いたくなってきたけど、
宥められた感いっぱいで悔しいから我慢した。



振り払えないまま、おいらは静かな洗面所で
なっちのおいらを呼ぶ「やぁぐち」を聞き続ける。

暑くて暑くて、溶けそうだけど
ひたすら我慢。


汗がこめかみあたりから顎まで滴り落ちてくるぐらい暑い。
今日で、一ヶ月分くらいの我慢をした感じがする。







251 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:50







「・・・・さっきの冗談だよ?」


「やぁぐち」ばっか言ってたなっちが急に真剣な声で呟いた。
ぽつり、と言ったそれは、妙に響いて聞こえた気がした。




・・・・・んなの、言われなくても

「分かってる。」



「・・・・じゃ、何で怒ってるのさ?」




・・・・・怒って…

「怒ってなんかない。」




「怒ってないんだったら・・・・何でこうしてるの?」




・・・・・それは、

「分かんない。」



意味分かんないよぉ…

溜め息まじりで呆れたように呟くなっち、どんな表情してるんだろ。


なっちは、


なっちは、今おいらがどんな表情してると思う?











252 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:50








「・・・・機嫌直して?」


それで「うん」なんて言えるわけなくて
っていうか機嫌直すも何も、機嫌損ねてもないんだけど

とりあえず


「やだ。」


って事で。




心の中の矢口さんが

「お前、タオルケット投げ捨ててなっちの顔見て謝れよー。」

って言ってる気がするけどそんなの、出来ない。








   邪魔なのは、おいらの無意味な意地。












253 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:51







んー…もう…子供なんだからぁ…


ブツブツ言ってる声が耳に届いたかと思うと
いきなり頭に被ってるタオルケットを剥ぎ取られて
顔を右に向けさせられた。


かなり涼しい、とか思う余裕はなくて
目の前になっちの怒った顔。



まるで一週間ぶりくらいに顔を合わせたって感じがした。
本当はちょっとした時間なのに。



「・・・・な、なっち?」


妙にドモったおいらの声。
キョドってる表情。



そんなおいらを見ても、なっちは怒った顔を崩さない。








254 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:52







「・・・・・・・・・・・・バカ。」

「・・・ば、バカってなん・・・」


バカって何だよ!

って言おうとしたのに、


怒った顔に全然不似合いなキスをされた。




「・・・機嫌、直った?」



それはたった一瞬の出来事で、触れるだけの軽いキス。



離れると怒った顔のなっちはいなくて、
真っ赤な顔をした上目遣いのなっちがいた。


だらしないけど、口を呆然と開けたまま一回頷いた。



「…もう、こういう事しないと機嫌直らないんだからー。」



なっち、自分からするの好きじゃないんだからね??
恥ずかしいっしょ?


とか何とか言ってるけど、おいらには全く聞こえなかった。











255 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:53





そして、本能のまま押し倒しちゃったり。

ついでにもう一回頭からタオルケットを被せた。


そのタオルケットでなっちも包み込む。
タオルケットの中は、まるで二人だけの世界のように
おいらはなっち、なっちはおいらだけ。

他は何も見えない。


さっきまでこの黄色が切なくて寂しい色に思えてたのに
今は、この黄色が幸せの色に思えて仕方ない。





「・・・や、やぐちっ!?」


驚いてるなっちにお返しのキス。


瞼、頬、耳、あらゆる場所にキスをした。




「・・・子供で、ごめん。」


一通りキスをした後で離れてそう言うと


「…ほんとに、子供すぎ。
 でも可愛いよ、そういうとこも…
 それよりさ、あっついよ!頭までタオルケット被ったら!」


唇を尖らせて、ちょっと怒った感じだったけど

すぐに表情が柔らかくなって安心した。


おいらの大好きな表情だ。




256 名前:ナツユエ。 投稿日:2003/09/13(土) 01:54






二人包まっているせいで、タオルケットの中はかなり暑くて。


そんな暑い暑い、言わなくても。



「まぁまぁ、今年の夏は一回きりなんだから。
 ナツユエだよ、ナツユエ。」
 

ニッコリ笑って、おいら自身わけ分かんないなぁと
心の中で思いながらも、言い聞かせるように2回ほど言ってみる。


ナツユエ。


わっけ分かんないよぉ!
だから、なっち夏あんま好きじゃないってばー。


苦笑いするなっちに触れるだけのキス。


そして、もう一回タオルケットに包まれたままキスをした。
そのキスは、何となく汗のせいでしょっぱく感じた。










257 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/13(土) 02:06
かなりドキドキしながら更新しました。
間違えずに更新できてよかったー。
管理人様、お疲れ様です。

ナツユエ。
今までの中で一番長いと思われる短編です。
長いくせに内容かなりくだらんし…
もうアホすぎて言葉ないです(笑)
かるーくとばして下さい(笑)


>224 名無しさん。
レスありがとうございます!
エロ書くのほんと苦手なんですよー。
でもだらだらと適当に書いてたりします…時々。
なちまりのエロは…ほんと期待しないで下さい(笑)


>225 名無し読者さん。
レスありがとうございます!
今回の「ナツユエ」もエロになりそうだったんですがなりませんでした(笑)
ご期待に添えられるようなエロは書けないと思います(笑)
すいませんー。


>226 名無し読者さん。
レスありがとうございます!
なちまりエロ・・・・人気ですか??(笑)


エロ・・・・・・ちょっと考えてみます(笑)
でも多分書けないと思いますけど…。



258 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/13(土) 03:06
はじめまして。
実は先程ここをみつけて一気に読ませて頂きました。
そこら中に矢口さんから安倍さんへの愛が溢れてますね(笑)
特にすきなのは『黄昏ブランコ、カラメルキッス。』での仲直り作戦失敗してプリンを顔面キャッチしちゃう矢口さん。
可哀想なんだけど笑っちゃいました。成功イメージとのギャップがまた。
あと皆さんが言ってる前作とはどこにあるのでしょうか?
よかったら教えてください、ホントは自分で探せばいいのですが・・・。
259 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/13(土) 09:19
更新キタ!!
平日の間ガマンした甲斐がありました。
それにしても、「安倍バカ」だねぇ、ヤグさんは(笑)
サイトは持ってらっしゃらないんですね。そうですか。
ちょいと残念です。

そ、それと、お待たせシマシタ・・・(謎)

>>258
雪板にありますよー。やっぱり矢安なオハナシです。
260 名前:タケ 投稿日:2003/09/13(土) 18:37
甘エロ(?)やぐなちよかったです!
思わず顔がにやけて(ry
2人共とにかく可愛すぎ・・・

次の話も期待してますよぉ〜!
261 名前:258です 投稿日:2003/09/14(日) 01:56
>259さま
おしえてくださってありがとうございます!
今から行ってきまっす。矢安〜!

>銀色カレースプーン。さま
ここの矢安、とってもツボです。
これからも安倍さんダイスキな矢口さんを是非。
もちろん作者さんのペースで!

262 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:34

『生まれ変わったら今よりももっと強い人になるから。
 そして、またやぐちと恋人になりたいよ。
 

 …あっ、無理だと思ったっしょ!?無理なんかじゃないよ!
 

 ・・・絶対、何があってもやぐちの恋人になるよ。
 
 こういうのって何て言うか知ってる?
 
 必然っていうんだよ?
 
 なっちとーやぐちがー
 出会って、恋をして、恋人になるのは、必然。
 


 だから、無理なんかじゃないんだよ。

 

 運命なんだから。神様が決めてくれた事だから。



 だから・・・・・・・・・



 泣かないでね。なっちがいなくなっても、泣かないで。

 やぐち、泣き虫だからなぁー…なっちが隣にいないとほんと駄目なんだから。


 また、会えるから。・・・・ねっ?
 その時まで、やぐちは変わらないでいて。
 そのままの、なっちが好きなやぐちのままでいて。
 
 ・・・・・・・・・・約束だよ・・・・・?』



263 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:35









  



神様がいるのなら、それはきっと悪魔だと思う。


白い天使がいるのなら、それはきっと黒い悪魔だと思う。





信じるもんか。



何も、信じるもんか。











264 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:35






死期が近づいてるの、自分自身が一番分かってるくせに
おいらに笑顔を見せてくれるその強さ。

自分の方が大変なのに、いつも会うと
おいらの事ばっか心配して、そっと手を握ってくれるその優しさ。



いなくなってから思い知るなんて
相当バカだけど、どうしようもないくらいバカだけど
数え切れないくらい、助けられた。

あの笑顔に。

あの優しさに。






265 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:36






本当は、おいらが強くなくちゃならないのに。

なっちを安心させるような包み込む優しさ、
おいらが持ってなくちゃいけないのに。



おいらは、なっちに何をしてあげれたんだろう?



なっちにもらってばかりだった気がするよ。










266 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:36







出会うのが必然なら、こうなる事も必然だったの?


おいらはまた、一人になるんだね。


やっと心から自信を持って言える、大切な人と出会えたのに。



手元に残ったのは、
憎らしいくらい輝いてるなっちとのペアリング。














267 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:37




・・・・・・・・・・・



『かんぱーい!いまー、君は人生のー
 おおきなーおおきなー舞台にー立ーちー
 はるか長い道のりを
 歩き始めた きーみにーしあーわせーあれぇー!』


『・・・・それ、結婚ソングっしょ?
 結婚するんじゃないんだからー!』


『んじゃ、エンゲェジリングって事で!!』


『もぅ…恥ずかしいっしょ?』


『照れるなよぉ!』


『ばかー。バカやぐちぃー!』








268 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:38




・・・・・・・・・・・



『なっちはコレにつけてて。』


『……なっち失くさないよぉ?』


『…失くさないと思うけど、指に嵌めるの恥ずかしいんでしょ?』


『・・・・・えっ?』


『・・・分かるよぉ、なっちが思ってる事くらい。
 だから、コレにつけてなよ。』


『・・・・・・・ぅん。ありがと。』










269 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:39






おいらは左手の薬指に。
なっちは銀色のネックレスに指輪を通して首につけてた。


二人だけの愛の証。



ただのシルバーリングで、安くて、オモチャみたいなものだけど
おいら達にはすごく大切なもので
何にも変えられないくらい価値のあるものだったよね。







270 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:40







なっち、

最後ね、おいらが指にしてた指輪をなっちの指に嵌めたよ。

すごく、似合ってたよ。


なっちの指輪はね、おいらが持ってるよ。

これからはなっちの指輪を指に嵌めるから。


何で交換したか分かる?



なっちの事忘れないように、じゃないよ。

なっちがいつでも側にいるって思えるような気がしたから。

それだけで、毎日頑張れるような気がしたから。







271 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:41







今度出会った時、交換ね。
その代わり次は婚約指輪じゃなくて、結婚指輪だよ。


二人で「乾杯」唄おうね。



だから、それまで大切に持ってて。
おいらも大切に持ってるから。


約束だよ。










272 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:41








バカでしょ?

おいら、まだなっちが側にいなくちゃ心細いんだよ。

おいらは本当に泣き虫で、弱くて、悲しいくらい脆いよ。


なっちの強さ、おいらにちょうだいよ。





手の中で輝きを放っている指輪を見ながらそう思っても、
なっちとの思い出に浸っていても、現実は変わらない。








273 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:42






泣きながらした最後のキスは、悲しいくらい未だ感触が残っている。


冷たい唇。


手を握っても、握り返してくれる事はもうなくて

何だかなっちの手が鉛のように思えたよ。





でもおいら、なっちの表情を見たら、この現実を受け止められなかったよ。

信じられなかったよ。






だって、本当に優しい表情だったから。
心なしか、笑っているように見えたよ。




その表情を思い出したら、涙が溢れて手の中の指輪にぽつり、と落ちた。










274 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:43






おいら、なっちがいなくなってから泣いてばかりだよ。

毎日毎日なっちの事しか考えてないよ。

生きてる心地がしないよ。

生きてる意味がないよ。



やっぱり、指輪だけじゃ駄目だよ。

なっちが側にいる、なんて思えないよ。

指輪を見ると思い出して、涙が零れ落ちるよ。
おいらは今、悲しみのどん底で動けないでいるよ。


もう、駄目だよ。









275 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:44





『隣で、手を握りながら笑ってくれるだけでいい。』



何でこんな事すら叶わないのかなぁ?

神様はいぢわるだね。


それとも、おいらの願い事が大きすぎるのかなぁ?




276 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:44






ねぇ、おいらもそっちに行っていいかなぁ?

おいら、なっちがこっちに来るまで待てないよ。

おいらから、会いに行っていいかなぁ?




目を瞑ると、どこまでも真っ白な世界になっちの後ろ姿だけが見える。


名前を呼ぶと振り返って

「やぐち」

って優しい笑顔でそう呼びながら手を振ってくれた。









277 名前:Forget Me Not 投稿日:2003/09/14(日) 02:45








そっちに行ってなっちに出会ったらまた泣いちゃうと思うけどごめんね。

その時は何も言わないで優しく抱きしめてて。






  今度は、離れる事なんてないようにずっと手を握っていようね。











278 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/14(日) 02:51
『Forget Me Not』

ただ安倍さんが最初に言ってる言葉を使いたかっただけで書きました。
なので、安倍さんに何が!?とかは全く考えてないです(苦笑)

矢口さんがかなりネガティブで恐ろしいです(笑)


関係ないけど矢口さんと安倍さんの『乾杯』…聞いてみたいなぁ(笑)




279 名前:明るい声で愛する人にご挨拶。 投稿日:2003/09/14(日) 02:52


「おはよう」

「さよなら」


言葉を交わすのはこの2つの挨拶だけなんて
おいらには辛すぎるよ。

いっぱい話をしたいけど、考えるとたくさん話題は出てくるけど
あの子を前にすると頭が真っ白になって声が言葉にならないよ。


「名前教えて?」


これすらも言えないよ。

顔中真っ赤になって、大好きなあなたの顔も見れないよ。


挨拶をした後はいつも後悔。
何でもっと話できないんだー、とか
もっと笑顔で挨拶すればよかったー、とか。

でもあの子の

「おはよう」

って言う声がいつまでも耳から離れなくて後悔してた事も忘れるくらい。





恋愛には性格に似合わず臆病な方だって気付いたのは、
あなたを好きになってからでした。











280 名前:明るい声で愛する人にご挨拶。 投稿日:2003/09/14(日) 02:53






今日は朝の挨拶も出来なかった。
いつも通るはずの廊下をいつもと同じ時間に通ってもあの子に会えなかった。


その日はいつもにも増してやる気がなくて
まるで廃人のようになった気分だ。

たった一言の「おはよう」だけでこんなにも気分が左右されるなんて
相当あの子が好きで仕方ないんだ、と自分自身恥ずかしくなってしまった。


会いたいっていうか挨拶したいよ。

顔はいつも恥ずかしくて見れないけど、
きっと可愛い笑顔で挨拶してくれてるんだろうね。









281 名前:明るい声で愛する人にご挨拶。 投稿日:2003/09/14(日) 02:54







今日の事を思い出すと溜め息しか出ないよ。


・・・・・・・もういい!忘れる!!

過去は振り返らない!



変えられない過去よりも、希望という光がある明日!



明日は、明日こそは。

あの子の顔を見て、目を合わせて、笑顔で挨拶するよ。


きっとそうするだけで、何かが変わるような気がするんだ。


もっといい意味で変われるような気が。









282 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/14(日) 02:57
『明るい声で愛する人にご挨拶。 』

とりあえずタイトルのセンスのなさ。
自分でも笑えます(笑)
すいません。


一応、矢→安の片思いの話なんですけど…
短すぎたかなぁ、と後悔してます。

 石は投げないで下さい(笑)精進します(笑)




283 名前:moremore happy!!! 投稿日:2003/09/14(日) 02:58





クーラー、ガンガンにつけて
抱きついたり、キスをしてたらいつのまにか本気になって
行為に夢中になってしまった。

今日のなっちは嫌がる素振りも見せずに、行為の途中に抱きしめたら
抱きしめ返してくれたり、自分からキスをしてきたり。

ちょっといつもと違っておかしいなぁ、とは思ってたけど。







284 名前:moremore happy!!! 投稿日:2003/09/14(日) 02:59





「・・・あちぃー…」

「・・・・・ダルい…」



タオルケットを足元へ蹴って部屋に荒い息だけが響く。


一言何か言うだけでも力がいる。


とりあえず・・・



「…ゴチソウサマデシタ。」


お疲れ様の意味も込めて。



「・・・・・・・その言い方、何かいや。」



うつ伏せに寝転んでおいらの方を嫌そうに見るなっち。



赤い顔。
汗ばんだ体。


生々しくて、こっちが恥ずかしくなった。








285 名前:moremore happy!!! 投稿日:2003/09/14(日) 02:59








髪の毛一本一本から、足の指先まで。

全てを愛したよ。

深く、深く愛したよ。




チョコレートより、砂糖より、何よりも甘い。

すごく甘い時間だったよね。



心の愛っていうの大事だけど体の愛も大事だ、って何かで聞いた事あるよ。









286 名前:moremore happy!!! 投稿日:2003/09/14(日) 03:00






ぅー…ほんとダルいよー。

言葉にならないような声を出しながらごろごろしてるなっち。

ごろん、と体勢が仰向けになっておいらと目が合った。




・・・・・・・・・・・・・・・





お互い何も言わないまま、ただ見つめ合って
時間が止まってるような感覚がした。




ふぅ、となっちの溜め息。

そして唇を尖らせて、

「ちゅっ」って音を出した。




・・・・・・・・・・・・誘ってんの?








287 名前:moremore happy!!! 投稿日:2003/09/14(日) 03:01








「・・・なんだよぉ?誘ってんのー?」


その表情に、行動に、音に、唇に、何もかもに。

ドキドキして胸が高鳴った。



そんなおいらを知ってか知らずか、なっちは


「・・・ばーか。」



もう一回ごろん、としておいらに抱きついてきた。

おいらが下、なっちが上っていうこの体勢。

すごい珍しいんだけど。



「・・・ばかって言ったじゃん。」



なっち、言動と行動が反比例だよ?

ギューッと痛いくらい抱きしめられた。
おいらも抱きついて同じようにギューッと抱きしめた。









288 名前:moremore happy!!! 投稿日:2003/09/14(日) 03:02







唇を尖らせて目の前のなっちを軽く睨んでやると

なっちが、鼻をくっつけにきた。


おいらの鼻がなっちの鼻とくっついてる。




「んふふ、鼻キッスだね。」


もしかしたら流行るかもよ、鼻キッス。

言葉的にも可愛い感じするし。



くっついてた鼻を離してキャーキャー騒ぐなっち。



ほんと、今日のなっち変・・・。








289 名前:moremore happy!!! 投稿日:2003/09/14(日) 03:03








「・・・・・・鼻キッスじゃ、やだ。」



普通に唇でいいじゃん。

まぁ、鼻でも嬉しいけど。



キャーキャー騒いでたなっちも、一瞬ピタッと止まって
少し嬉しそうにニコッと笑った。



「・・・・・したらすれば?」


おいらには今なっちの言った事が

「さぁ、どうぞ?」

って言ってるように聞こえたんだけど…。



何となくなっちの思惑ってヤツにハマってるように感じてきてちょっと悔しかった。









290 名前:moremore happy!!! 投稿日:2003/09/14(日) 03:03









「・・・・・・・・・・なっちからしてよ。」





おいらの言葉に、なっちの答えは





「・・・ん。」




短い返事と共に、キス。




抱きついてた手を上へずらして行って、茶色の髪をなでた。
すると、なっちもおいらの金色の髪をなでてくれた。

クーラーをガンガンにつけっぱなしのせいでなっちの体は冷たく感じた。

そろそろタオルケットが恋しい。








291 名前:moremore happy!!! 投稿日:2003/09/14(日) 03:04







「思惑」とか「今日のなっち変だ」とか。



悶々と考えてた事は後回し。




今は上機嫌のなっちとどこまでも行こー。


とりあえず、第2ラウンド突入していいよね?







292 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/14(日) 03:09
『moremore happy!!! 』

どうやら私は「行為前」と「行為後」というのが好きらしいです(笑)
あと、タオルケット(笑)
2人で包まってるのを妄想すると・・・・
うあーーーーってなります(笑)


かなり安っぽい感がしますが・・・・・すいません。

石は投げないで下さい(笑)本気で精進します(笑)




293 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/14(日) 03:23
無意味に更新を重ねてみました。
・・・・・ぶ、文才が欲しい…。


>258 名無し読者さん。
レスありがとうございます!
それと、初めましてー。
ただの自己満足な駄文を読んで下さって本当に有難うございます。

『黄昏ブランコ、カラメルキッス。』
何かすっごい恥ずかしいんですけど!(笑)
本当に駄文すぎて、情けなすぎて、涙が出ます(笑)

私の書く矢口さんは大抵アホで子供です。
でも、私の中ではそんなイメージなんで…可哀想な矢口さん(笑)


>前作のお話。
これこそ恥ずかしいです、ほんとに(笑)
ここ以上にアホな話なんで、覚悟して下さい(笑)




294 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/14(日) 03:29
>259 名無しさん。
レスありがとうございます!

私的に矢口さんは「安倍バカ」であってほしいです(笑)
反対に安倍さんは「ヤグバカ」であってほしくないです(笑)

あまり想いが報われない矢口さんが好きなんで(マニアック…)


>そ、それと、お待たせシマシタ・・・(謎)

今まで全然気付かなかったんですがやっと気が付きました(笑)
とりあえず・・・・お帰りなさい!!!めっちゃ待ってました!




295 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/14(日) 03:37
>260 タケさん。
レスありがとうございます!

ちょっと「甘エロ」という単語がかなりツボです(笑)
甘エロなちまり・・・・・・イイかも!
ただのエロじゃなくて甘いエロってのがポイントですよね!(笑)

やたら長すぎて内容くだらない話ですが
そう言っていただけると嬉しいです。
ありがとうございます。




296 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/15(月) 00:12
大量更新、お疲れさまでしたー。
三種三様でそれぞれに良い味が出ていて、銀色さんすごいです。
個人的には「moremore happy!!!」が好きです。
甘エロ大好きなのでw かなり萌えしなせていただきました。

>2人で包まってるのを妄想すると・・・・
あとがきでも萌えしにました、ありがとうございますw
297 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/15(月) 09:03
サクサク更新出来て、羨ましいやら嬉しいやらです。
ワタシも最後の甘いのが好きです。
ヤグさんが戸惑うほどに積極的な安倍さん。てのも結構新鮮ですよね。ふふ。
それにしても銀色さんは、ツボを押さえるのが上手いですね・・・。
やられっぱなしです。次作も期待してます。
298 名前:タケ 投稿日:2003/09/16(火) 09:47
更新お疲れ様(今回は特に・・・)
痛め・淡い(?)片思い・甘エロ(w
全部が全部よかったです!

珍しく(?)痛かった話Forget Me Notはかなり悲しかったです・・・
でもこれが3つの中で1番好きかも(w
次の更新も頑張ってください
299 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:28





「矢口真里、宣言します!
 これから、なっちに抱きついたりちゅーを迫ったりしません!!
 もちろん、その先の事も……一切しません!!
 それを今、このスプーンにのっているカレーライスに誓います!」






「・・・・・・・・・・・・なに、言ってんの?」




今日の夕飯は2人で作ったカレーライス。
…って言っても、ほとんどやぐちは邪魔してばっかだったような気がするけど…

包丁捌きは任せろぃ!!
そう言いながら包丁を振り回すやぐちを止められるわけもなくて
ジャガイモとニンジンを切るように頼んだら…


形の悪いジャガイモ…
大きさがバラバラのニンジン…

どちらも無残な姿になってしまってて、最早手遅れ…。
苦笑いするやぐちを軽く睨んだ。


まぁ…形は悪くてもマズイなんて事ないから全然問題ないんだけどね。









300 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:29






テーブルに向かい合って座って、おいしいカレーをいただく。
んー、やっぱうまいよぉ!!
おいらの切ったニンジン達も、いい感じじゃない??

満足そうな顔でいただいている目の前のなっちが何とも微笑ましい。


あぁ…今おいらのお皿にあるカレーよりも
なっちの口の中に入ったカレーを食べたいよ。
今、ちゅーしたらカレー味かなぁ?

…って駄目だ!またそんな事考えてるよ、おいら!!







301 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:32








そう、実は昨日からなっちにベタベタしないように気を付けているのです。

何でかって?
そりゃー、ただの思いつきだけど…

でもさ、なっちから
「やぐちぃ〜、好き!」
とか
「やぐち、ちゅーしてもいい?」
とかさ、
「やぐち・・・」
とかとか!!!!!!
(↑この後は秘密!!!!!)

あぁーテンション上がってきたよ。
違う違う、話ズレてるや…


そういうの言われたりした事ないから
直に言えば言われたいワケなのよ。

そう言われるって事は愛されてるって事じゃん?
でも決して今言われないから愛されてないってワケじゃないよ!!



まぁ早い話、『押して駄目なら引いてみろ』ってヤツだよ。








302 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:32









密かに昨日から思ってたんだけど、思うだけじゃ駄目だよねぇ…
なっちに宣言しないと。



って事で。



「矢口真里、宣言します!
 これから、なっちに抱きついたりちゅーを迫ったりしません!!
 もちろん、その先の事も…一切しません!!
 それを今、このスプーンにのっているカレーライスに誓います!」


そう言って、銀色のカレースプーンにのった
一口分のカレーをぱくっと勢い良く食べた。


口の中のカレーはいい具合にとろけて何とも言えないくらいにおいしい。


少し口の端にルーが付いたのが気になったけどそのままなっちの目を真剣に見た。







303 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:33








「・・・・・・・・・・・・なに、言ってんの?」


カチャン、とスプーンを置く音が響いて
はぁぁ、となっちの溜め息と呆れた表情。



「だから、言った通り。もうカレー食べたからね、誓ったよ?
 なっちからそういうのしてくれるまでおいらからはしないから。」


なっちにつられておいらもスプーンを置いたら
カチャン、と同じ音がした。


そして、もう一回なっちの目を見ると、言いたい事がすぐに分かった。


ただの思いつきでそういう事言って…
一日も経たないうちに言った事忘れるくせに。


って言ってる目。


そんな事は・・・・・・・・・・ないのだ!








304 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:34








「本気だよ?このカレーに誓ったから!」

「…まぁ別にいいけど。」



大して興味ないです。勝手にして下さい。

って感じの冷めた態度のハニー。



・・・・・・フフン!今に見てろよぉ。

もう絶対おいらから抱きついたりキスしたりしないんだから!!

それで、なっちが我慢できなくなっておいらに甘えてくるんだ!






305 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:35








そんな事を考えつつ上機嫌で浮かれてたら、カレーを食べ終えたなっちの

「ごちそうさま」

って声が聞こえて我に返った。


椅子から立ち上がるなっちを見ると目が合った。


・・・・・・・・・・

少しの沈黙の後
ニコッ!と愛想笑いをされて、ちょっとドキった。


ちくしょー…今日も可愛い…。
一瞬宣言した事、もう忘れそうになったよ…。


恐るべし、なつみ…!
魔性の女、なつみ…!

・・・・・でも、例えなっちが魔性の女だったとしても
おいらは離れられないなぁ…。
…貢ぎそうだ……ってそんな事あるワケないじゃん!


なっちは天使!
なっちは天使!!
なっちは天使!!!





306 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:37









おいらがそんな事を考えてる内に、なっちはお皿を洗おうとしていた。


その後ろ姿を見て、自然とニヤニヤ笑えてくる。

さっきの魔性の女だとか、そんなのもうどっか置いといて。



ニヤニヤ笑えてくるその理由は

『もし、なっちが甘えてきたら。』

っていうただの妄想でしかないんだけど。



恋人同士なら簡単な事のハズが全然簡単じゃない。

今まで妄想の中でしか甘えられた事ないからなぁ…あ、後夢の中。


でも、それももうすぐ終わる。


おいらが我慢したその先には、
抱きかかえられないくらい大きななっちの愛が待ってる!!!









307 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:41




胸が高鳴って、銀色のカレースプーンを口に銜えたまま妄想の世界に入り込んでいった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



『やぁーぐち!』

っておいらの名前を呼びながらぎゅっと抱きつかれて。


『・・・・・やぐちはー、なっちのことー……好き?』

潤んだ瞳でおいらを見つめているなっち。


『・・・・・・・嫌いなわけないじゃん。』

(↑ちょっとオトコマエキャラで。)


『そんなのじゃ分かんないっしょー!
 ・・・・・・・ちゃんと言って、よ?』

少し不安そうななっち。
唇を尖らせて、上目遣い。


『・・・好きだけど?』

(↑少し冷めたような口調がポイント)


『嘘じゃないよね?』

まだ疑って、不安そうななっち。
目を逸らすおいらの顔を覗き込んでくる。


『・・・嘘ついてどーすんの?』

(↑めんどくさそうな表情をするのがポイント)




308 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:42




『・・・・・・そ、そーだよね!
 …なっちはね、やぐちの事・・・』



真っ赤な顔をしながら、下を向くなっち。




『なんだよー言えよぉ』

(↑ちょっと偉そうな口調がポイント)









『…あのね、大好き。』





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












309 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:43









うぁーーーーー!!!最ッ高ッ!生きてて良かったって思える!

死んでもイイ!って思える!

おいらの人生薔薇色!!!

お母さん、おいらやったよ!

この星の…いや、なっちの中の一等賞になれたよぉー!!!!!



えーと、それからそれから・・・・













310 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:43











「…ぐち!やぐち!・・・・やーぐち!」


そうそう…そうやって優しく呼んで…ん?何か違うぞ?



瞬きをしながら見ると、目の前になっちの顔。



「妄想の泉」にダイブ!していたせいで気付かなかった。





「・・・・・な、なに?」


顔と顔の距離が近いよ。










311 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:44










もしかして、もうちゅーしたくなっちゃった??


ドキドキしながらも、口に銜えていたスプーンをどうしようか迷っていた。

ちゅ、ちゅーするんだから…スプーン邪魔だよね?


机に乗り出している体勢のなっちが近づいてきた。


な、なっちちょっと待ってよ。

おいらまだ心の準備が・・・・


「した事」は星の数ほどだけど
「された事」はおいらの年齢にも満たない数なんだから。



少しキョドりながらも、自然と顔が緩む。



頭に浮かんできた言葉は、

【押して駄目なら引いてみろ作戦】・・・・・・成功ッッ!!!












312 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:45











「・・・・・・考え事してないで、さっさと食べなさい。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?」




ピンク色の頭の中が一気に真っ白になった。


【押して駄目なら引いてみろ作戦】・・・・・・成功ッッ!!!
・・・・・・は違うの???勘違い???


呆然として、ほんの少し前まで高鳴っていた胸も一気にしぼんでいく。
(しぼむっていうのか分かんないけど)




なっちはそんなおいらにオマケめいた「デコピン」をくれた。

それのせいで口に銜えていたスプーンが床に落ちた。











313 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:45









「ぃでぇ!」


「いでぇ、じゃなくてさっさと食べなさーい。
 あと、お皿洗っといてね。」



多分赤くなってるデコっぱちを気にしながらも、床に落ちたスプーンを拾う。



なっち、手加減くらい知ろうよ…。



おいらの妄想も、プツン!と見事に途切れた。


なっちはそう言った後、おいらの横を素通りしてソファに座って雑誌を読み始めた。




やっぱ…そんな簡単にいくわけないよねー…。


あーぁ…妄想の泉も枯れちゃったよ。








314 名前:カレーライスと銀色スプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:46








とりあえず、カレーを一気食いして、氷水を一気飲みして
音を立てないで立ち上がってお皿を洗う事にした。

一気食いしながらも、しっかり味わう事は忘れずにね。



スポンジでお皿とスプーンを洗いながら自分自身を慰めちゃったり。



焦りは禁物だよ、矢口!

まだ宣言してから時間も全然経ってないじゃん!?

なっちもまだ疑ってるんだよ。

「どうせすぐに辞めるべ」とか思っちゃってるんだ。

そんな事ない、って所見せないと。

「我慢」の末には「明るい未来」が待ってるさ!

頑張れ、頑張れ矢口!



よし、とりあえずお皿洗い終わったらなっちの隣に座ってみるか。

願うことはただ一つ。

おいらの妄想のようになりますように…。












315 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 21:54
「カレーライスと銀色スプーン。」
終わりじゃなくて、一応続きます。

後2回くらいで終わりの予定。


しかし…矢口がアホアホすぎて情けないですが…。
後2回もこういうのが続くので…すいません。

ひたすら我慢し続ける矢口さんと、冷たい安倍さん。
可哀想になってきます(笑)


とりあえず…名前変えたいのと(笑)
自分の『妄想の泉』が枯れてきてるので
そろそろ終了しようかなぁ、と思っております。
書きたい話はたくさんあるのですが、言葉に出来ないという未熟さ。
あーもう嫌になります(苦笑)




316 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 22:01

>296 名無し読者さん。
レスありがとうございます!
えっと、ほんまに全然すごくないです!(笑)
ただ矢安ヲタなだけです!(笑)

私も個人的に「moremore happy!!!」が書いてて楽しかったです。
この話、10分くらいで出来たんですけど(笑)

>2人で包まってるのを妄想すると・・・・
ほんまに妄想するだけでどうにかなりそうです(笑)
こういう話、矢安好きさんと思う存分話してみたいです(w




317 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 22:06

>297 名無しさん。
レスありがとうございます!
積極的な安倍さんにキョドる矢口さん、結構好きだったりします。
反対に積極的すぎる矢口さんに、最高に冷たくする安倍さんも好きです。
・・・・基本的に矢安なら何でも好きです(笑)


>それにしても銀色さんは、ツボを押さえるのが上手いですね・・・。

そう言っていただけるとかなり嬉しいです。
自分勝手に書きまくっているので(笑)
ありがとうございます。




318 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/16(火) 22:12
>298 タケさん。
レスありがとうございます!
自分的に大量更新とは思ってないです(笑)
短い話が多かったせいだと思います。
特に片思いのは・・・・・短すぎだと…。


甘い話を書いていると、無性に痛い話が書きたくなります。
「Forget Me Not」はその衝動で書きました。
悲しいし、切な過ぎる話ですが気に入っていただけて嬉しいです(w




319 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 23:32
相手にされないやぐさんかわいいよぉー!!
後2回と言わずに矢口さんにはずーっと
可哀想でいてもらいましょう(笑)
半永久的にカラ回り(笑)
320 名前:タケ 投稿日:2003/09/17(水) 08:43
更新お疲れ様です
矢口さん『妄想の泉』素晴らしいです!(w
さぁ矢口さんの【押して駄目なら引いてみろ作戦】は成功するんでしょうか?
今から楽しみにしてます!!

後2回ですか!?
とても面白いのに・・・
それなら最後まできちんと見させてもらいます!(w
321 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:09





キスマーク。

愛の証。

キスマーク。

愛し合った印。



キスマークが・・・・・・・・・


「・・・・・・・・ほしい。…して?」



「・・・・・・・・・・・・・やだ。」



本当につれないハニーだなぁ…
ちょっとくらい愛しい恋人のお願いを聞いてくれてもいいんじゃない?



一瞬目を合わして、返ってきた言葉は「やだ。」の二文字。


キスマークくらい・・・・・愛の証くらい・・・・いいじゃんか…。







322 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:10







本当にある意味感心するねぇ、やぐちの思いつきには。


急にキスマークが欲しいって?


そんなの・・・・・・・恥ずかしくて出来るわけないっしょ!?




愛の証だとか、愛し合った印だとか…絶対言うに決まってる。







323 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:10








「ねぇ、なんで駄目なのー?恥ずかしーの?
 全然大丈夫だよ?だって、愛の証だもーん!…ねっ?」



そうそう、愛の証愛の証!

いい響きだよ、愛の証!!


さぁおいらの首筋に・・・・・・・どーぞ!!!!!!!!!








324 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:11









「本当に・・・・・・バカ。
 そんな事考えるならもっと別の事考えなさーい!」


ほら、思った通りの言葉『愛の証』

呆れるほどのバカ。

バカやぐちー。

あ・・・バカやぐちよりもエロやぐちかなぁ…。








325 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:11








「おいらにとっては『そんな事』じゃないのぉー!重要なのぉー!
 ・・・・・・・・・・してくれないと…おいらがするぞ!?」


なっち、分かってないなぁ…こういう事の方が重要なのに。

他の事なんて考えてらんないよ。


とにかく愛の証をくれぃ。
でないと、本当においらがするよ??

すっごい目立つような所にねっ!








326 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:12







やっぱりそうなるの?

「エヘ」って可愛く笑って
(でもなっちにはこの笑いがとても怖いのデス。)

ベッドに座っているなっちに近づこうとするから
近づけないように足で肩をぐいぐい押してやった。


もう・・・・


「やぐち、ウザイ。
 やぐち、エロぃ。
 やぐち、離れて。
 やぐち、嫌い。」







327 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:18






おいおい、本気ですか今の言葉。


矢口さん一応なつみさんの愛しい恋人なんですけど…
…って一応じゃねぇーよ!そんなんじゃ、ねェーよ!

本当だよ!マ、ジ、だ、よ、ッ!!!



おいらの肩をぐいぐい押している足。

タンクトップを着ているせいでなっちの足の体温が伝わってくる。


・・・・・・・微妙にちめたぃなぁ…クーラーつけすぎ?寒い?



「なっち、キスマークつけさせて。
 なっち、ちゅーさせて。
 なっち、抱きしめたい。
 ていうかなっち、ヤらせろ。」








328 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:19









あのねぇ、何で最終的にそうなるわけさ?

一気に言ってやったから諦めると思ったのに、効果全くなしですか?
反対に言い返されたし…。



肩を押している足が冷たいせいか
じんわりと肩からやぐちの体温が伝わってきて、温かい。


このバカエロやぐち。


ヤらせろなんてそんな・・・


「そんな事口に出して言わないのー!
 言い方も…嫌だし…。
 そういうのって、雰囲気っしょ?」


あー、ちょっと足痛くなってきたかも。






329 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:21






ふ、雰囲気?

そんな雰囲気になる前にいっつも逃げるくせにー!


言い方も…コレしかないじゃんか…

別の言い方、別の言い方・・・

んじゃー・・・・・・・・



「・・・・なっち、おいらと一緒にベッドで運…」


「コラ!」


女の子がそんなの言うんじゃないのぉー!

やぐちの言いたい事がすぐ分かるのなっちもどうかと思うけど…



本当に・・・どうしようもないくらい、救いようがないくらいの


・・・・・・・・バカで、エロ。



「ぐいっ」と一回思い切り押してやって足を下ろした。

やぐちはその衝動で後ろにごろん、と倒れていった。


足は相当辛かったみたいで下ろした後、ピリピリした。








330 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:22








「・・・・別に、したいわけじゃないけど…
 でも、したくないわけでもないけど…
 おいらは、ただ……愛の証が欲しい。」



目の前になっちがいたのに、ぐいっと思い切り押されて後ろへ転がった。

視界には、天井。見てもおもしろくない…当たり前だけど。


・・・・・・おいら我侭かなぁ・・・・









331 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:22








もう・・・・・なっち駄目なんだよぉ…


急にヘコまないでよ・・・。



こーんなにも、バカでエロぃんだけど…やっぱり好きなわけで。


だから…本当にしょんぼりされたり、声のトーンが落ちたり。

そういうのされると・・・・・・駄目なの。

一気に不安になる。



・・・・・やっぱり、なっちはやぐちに弱い。








332 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:23





急に静まった部屋。


なっち怒ったかなぁ…呆れたかなぁ…。


愛の証欲しいなんて言わなきゃ良かった…。

例え「証」がなくても、「印」がなくても
おいらがなっちを好きで、
なっちがおいらを好きでいてくれてるってだけで十分なのに。


とことん欲深いなぁ…おいらって。



ん〜〜〜〜〜〜って悩んでるとぺしぺし右足を叩かれた。


叩いたのは、もちろんなっち。







333 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:24









「・・・・・・な、なに?」

「・・・・・・・・バーカ。」

「な、何だよぉ?」

「・・・・・・・・・・やぐちのせいだから。」

「・・・・な、なにが?」

「・・・・・・ぜんぶ、ぜんぶやぐちのせい。」

「・・・・・・・な…っち?」



やぐちは分かってないんだろうけど…


なっちを不安にさせるのも、ドキドキさせるのもやぐちだけなんだからね?


そう言いたかったけど、恥ずかしいからやめた。



だってこれから逃げ出したくなるほど恥ずかしい事するし……

絶対に終わった後30分はやぐちの顔見れないよ。








334 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:24








・・・・・なっち何が言いたいの?

怒らせちゃったっぽくて、いきなりバカって言われて。


でも表情見ると、恥ずかしそうで目を逸らされた。


あ、謝った方が・・・・・・・いいの、コレは??






335 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:25







・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・



クーラーのせいで少し肌寒い体が一気に暑くなって
ドキドキして、テンション上がったのはそれからすぐの事で。


なっちは終わった後、
ベッドの端っこにタオルケットを被って小さくなってた。

タオルケットの隙間から見えるなっちの耳は真っ赤だった。


おいらはというと超テンション高くて、嬉しくて。
無意味にゴロゴロして時々なっちにちょっかいを出したり。

なっちは

「バカ!ほっといて!」

ってばっかり言ってて。


でも、そんな暴言も愛の言葉。








336 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:26









わざわざ洗面所に行って鏡を見るとくっきり残ってる「愛の証」ってヤツ。


首筋に一つ、桜の花びらみたいに。


指で触れると何となくだけどじんわりと温かい気がした。
おいらの体温のせいだけじゃなくてね。


「愛の証」なんてなくても、って思ったけどやっぱりされて嫌なわけないよねぇー!
てか、むしろ三段跳びしたくなるほど超嬉しいよねぇー!







337 名前:Mark of love 投稿日:2003/09/17(水) 23:26








やっぱり30分はやぐちの顔見れない・・・


もう駄目。恥ずかしいっていうか逃げ出したい!



するんじゃなかったするんじゃなかったするんじゃなかった!!!


ずっと思ってるけど、もう遅すぎだよね。





これから、またからかわれるんだ。
それで、「もっとして」って迫られるんだ。

目に見えて分かる感じがする。



でももう絶対してやんない!
こんなの二回も出来るわけないっしょ!?




・・・・・・・・・・・・多分ね。








338 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/17(水) 23:30
Mark of love

「カレーライス…」の続きの前に勢いで書きました。
段々…安易な感じがして嫌になってくるー。
しかも「アホエロ」って感じ…。
とにかくすいません!




339 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/17(水) 23:36
>319 名無し読者さん。
レスありがとうございます!

冷たい安倍さんと可哀想な矢口さんが妙にツボです(w
何となく勢いで書く矢口さんは大抵「アホキャラ」か
「可哀想キャラ」だったりします(笑)

多分次も「可哀想キャラ」のままのような気が…
矢口さんには悪いですが似合ってるから仕方ない(w




340 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/17(水) 23:41
>320 タケさん。
レスありがとうございます!

矢口さんの『妄想の泉』は私の『妄想の泉』でもあります(笑)


【押して駄目なら引いてみろ作戦】
本当にこんな事考えてる辺りアホだなぁ、と思いますが
1回は書いてみたかったので 楽しんで書きます(w


予定では2回ですが話の長さで3回に増えるかもしれません。
多分、最後までアホな話なんでそのアホさに覚悟しといて下さい(笑)




341 名前:タケ 投稿日:2003/09/18(木) 11:08
いえいえ甘エロです(w
とても面白かったですよ?
やっぱり矢口さんはエロ(ry

話しが増える!むしろこのままずっとって感じですが・・・
342 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/18(木) 22:30
自分もすごく「面白い!可愛い!」と思いました。
自分のなちまりのイメージは、
正に今回のお話の様な感じなので。
安倍さんの最後のモノローグ(?)が何げにツボです。

319さんではないですが、
自分も可哀想な矢口さんを見続けたいです…
343 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:26



ちょこん、と隣に座ってみる。
なっちとの距離は・・・・・ないに等しいくらい。
異様に近いせいで、膝がなっちとくっつく。

チラチラと目線を動かしてなっちを見ても、全く反応なし。


何だよぉ・・・おいらの妄想通り、甘えてこいよぉ…。

「やぐち」っておいらの名前呼んでよ。
おいら、なっちに呼ばれるの大好きなんだからさ。








344 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:27





「・・・・やぐち。」

そうそう…そうやっておいらの名前を呼…


え・・・・・・??


なっちの方を見るとおいらを見ている。

おいらの事呼んだ!?


なになになに!?

甘えるの!?

全然いつでもオッケェだよ!!






345 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:28






バクバクする心臓を心の中で宥めながら

『押して駄目なら引いてみろ作戦』成功かも☆

って希望の光が差し込んできた気分だった。



あ・・・


妄想内では、おいらオトコマエキャラだったよねー…
しかもちょっと冷たい口調!



・・・・・・・・・・・・・・・よし。







346 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:29








「・・・・・・なに?」


なっちを少しめんどくさそうに目を細めながら見て少し低めの声で、一言。


お、オトコマエ〜〜〜〜!!!
自分で惚れた!…ってのは嘘だけど。




そんなオトコマエキャラに変身したおいらに
なっちは少し驚いたような顔をしてた。


おぉぅ…ゲッツ??(意味はない)


ほ、惚れた??オトコマエキャラの矢口さんに!?







347 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:30







「・・・・・・・偉そうぶってるんじゃないのぉー!
 ていうか邪魔だよ、邪魔。ひっつきすぎ。
 だからぁー・・・・・・・・離れて?」


今まで読んでいた雑誌で思い切り頭を叩かれた。
・・・・・・・・痛い…。

どっちかと言えば、今なっちの方がオトコマエキャラかも……
やだよ、なっちは可愛いキャラでいてよぉ…
あぁワケ分かんない事思ってる場合じゃないや。


「・・・・・べ、別にいーじゃんかー。
 おいらがひっついたら迷惑なわけー?」


頭を摩りながら睨むようになっちを見たら
なっちは雑誌のページをパラパラ指で捲りながら
ニッコリと笑いながらおいらを見た。




そ、その笑顔は・・・・・・・・・裏なっち??









348 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:31








「やぐち……
 カレーライスに誓った事・・・・・・・・・・忘れてないよねぇ?」



グサグサグサグサッッッ!!!!!!!!!!!!


お、おいらの心に何かが・・・・・刺さった…。



裏なっち、恐るべし。

やっぱり…魔性の女なつみだ!


だって、仕方ないじゃんかー。
引っ付かなきゃおいらに甘えてこないじゃん。
だからわざと引っ付いて座ったのにー。
それを邪魔だなんて・・・・・おいらに甘える気なんか全くないじゃん!

愛を感じられないよ。
なっつぃー、おいらを想うラヴはどこにあるんだぃ!?








349 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:32








「・・・・・・・返事がないって事は…忘れてるんだ?」


おいらに追い討ちをかけるようになっちは
「ふぅ…」と溜め息をつきながら言う。


くそー…何か腹立ってきたぞ…

考えれば何でおいらがなっちの為に甘えられるきっかけを与えてやってるんだ??
そんな事する必要ないじゃんかー。

もう甘えられたいなんか思わないぞ…
だからなっちが本当に自分からおいらに甘えてくるまでほっといてやる…



「忘れてないよ。
 ・・・・・おいらもう寝る!
 おやすみっ!!!」


ムカムカする気持ちのまま、ソファを飛び越えて
ベッドにごろん、と横になった。



・・・・うー…ほんとおいらバカ。







350 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:34







「・・・・お風呂は?」


自己嫌悪の波に乗ってるおいらになっちの呑気な声が響く。

うつ伏せに寝てるせいでなっちの顔は見えないけど、
きっとおいらの方を見ていないんだと思う。



「朝入る…」


「ふーん・・・・おやすみ。」



雑誌の捲る音となっちの声が一緒に聞こえた。
そして、沈黙。



・・・・・・・・もう妄想なんかどーでもいいや…。








351 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:34








嫌な気分のまま、いつのまにか寝てた。
夢も見た記憶がない。

何故目が覚めたのかは分かんないけど、
自然と開いた目にはちょうどなっちがベッドに入ってきた時だった。





「・・・あれ?起きたの?」


「・・・・何となく、目ぇ覚めた。」


「・・起きる?」


「・・・いや、寝るよ。」


「・・・・そっか。」


「・・・・・・なっちは、今から寝るの?」


「・・うん。」


「今、何時?」


「えっと、1時過ぎだよ。」


「・・・・・ふーん…おやすみ。」


「・・・おやすみ。」








352 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:35







寝る前までの苛々とか、そういうのなくなってて
なっちと淡々と会話した。


少し薄暗い部屋の中で見るなっちは、
いつもの雰囲気と違って大人っぽく見える。





一緒のベッドで寝るのに手ぇ出せないって思ってたよりも相当キツイかも…。



バカなくらい、もうそんな事考えてるおいら。

横には目を瞑ったなっち。
・・・無防備すぎるんじゃない?









353 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:37










・・・・・・手ぇ、握りたい。
・・・・・・・・・・抱きしめたい。
・・・・・・・・・・・・・ちゅぅしたい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・ヤりたい。

・・・・・・全部、却下だよねー…

おいら、耐えれないかもしんない。


嫌な思いがよぎる。

ちゅぅくらいいいんじゃない?


・・・・そうかなぁ?


そうだよ。


・・・・・んじゃ、ちょっとだけ。


そうそう。



甘えられたい、とかそういうの今はなし。
ちょっとどっかに置いておこー。








354 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:38








30センチくらい開いてる距離をちょっとずつ縮めた。
なっちの顔が、はっきりと分かるくらい近づいた。
ちょっと体を起こして、なっちの顔を正面に見る。
・・・可愛い…。

カレーライスの誓いよ…ごめん。
明日から、本当に誓うから。
頑張るから。



重なる直前まで、目は瞑らない。
少しずつだけど、顔を近づけていく。
段々近くなる唇。
なっちの吐息がおいらの顔をかすめて余計に興奮しちゃうんだけど。



・・・・・・・舌はさすがに入れちゃー駄目だよなぁ…


あと、数センチ・・・・・・目を瞑る。



ごめんね、カレーラ…

「…カレーライスに誓った事、忘れてないよね、矢口さん?」



















355 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:39











・・・・・・・・・・・・・・なつみさん?



なっちを見ると、目を瞑ったまま。



「・・・お、起きてる?」


心臓、バックバクして声が震えてる。
まるで100m全力疾走したみたいに…。



「・・・・・・・・・そんなすぐには寝れないからねぇ。」

「・・・ソウデスカ…」

「・・・で、今何しようとしたの?」


目を瞑ったまま、というのが逆にかなり怖いんだけど…
薄暗い静かな部屋においらの心臓の音は響いてないか、心配だ。









356 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:40








「い、いゃ…別に何もしようとしてないと思われますです、はい。」

「・・・・・・カレーライスの誓い…忘れないでね。
 本気って言ったの、矢口さんだからね。」

「は、ハイッ!!!!!もう矢口さん寝ます。
 おやすみなさいです、なつみさん!」

「・・・・・・・おやすみ。」


慌てながらなっちの横にごろん!と寝転んだら
スプリングのせいで体が揺れた。
なっちの方を見ないように、背を向けた。

壁を見つめながら寝る日は、一人の時だけなんだけどなぁ…

なっちに背を向けて寝る日が来るなんて、思ってもみなかった。


心臓はまだバクバクしてる。

ほんっとにビビッた…体に悪いよ。








357 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:41







それからなるべくなっちのことは気にしないようにと心がけながら寝た。
でも、寝ようと思ってもやっぱり気になって仕方ない。


それどころか、寝相がかなり悪いなつみさんのせいで
おいらは心臓がバクバクしたまま。


足を直角に上げたりするだけならまだいいんだけど
おいらを抱き枕がわりにするのは本当にやめていただきたい…。

ぎゅっと抱きつかれて、
横を向くと気持ちよさそうに寝息をたてるなっちの顔。


まぁいつもの事なんだけどさ。
いつもなら、内緒でちゅぅしたり服の中に手ぇ入れたり
色々しちゃったりするんだけどさ…。








358 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:42








誓っちゃったから・・・・・・・・出来ないよ……

こんなの・・・・・・・耐えれないよ、カレーライス。





ちゅぅしてもいいじゃん。


って嫌な思いがよぎるんだけど、
またさっきみたいに起きてました☆ってなったらマジで怖いから出来ないまま。




おいら、本当になっちの抱き枕になった気分…。









359 名前:カレーライスと新たな決意 投稿日:2003/09/21(日) 02:43









結局そのまま寝れるわけがなくおいらは朝まで抱き枕状態だった。
途中、足で蹴られたりしたけど抵抗する事もしないまま固まってた。



この時ほど、

「誓いなんてどうでもいいや」
「甘えられるとか、もういいよ」

って思った事はない。



そしておいらは決意した。

「カレーライス」の誓いをしている間はなっちの部屋に泊まらない、と。











360 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/21(日) 02:56
カレーライスと新たな決意
「カレーライスと銀色スプーン。」の続きです。
後1回で終わりの予定。

今回全くカレーライス関係ないですが…笑。


ちょっと寝ている安倍さんを
襲う矢口さんっていうのを別の形で書いてみたくなりました(w
・・・・・ヤバッ!!!(笑)




361 名前:パパ 投稿日:2003/09/21(日) 03:03
はじめてリアルタイムで読みました。
裏ナッチこわー・・・

寝込みを襲うヤグさん、萌えですん。
書いてください是非(笑)
362 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/21(日) 03:04
>341 タケさん。

レスありがとうございます!

そう言っていただいてありがとうございます。
やっぱり矢口さんはエ(ry

甘エロいいですねー!!
最近特に甘エロ好きです(笑)




363 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/21(日) 03:11
>342 名無し読者さん。

レスありがとうございます!

そう言っていただいてありがとうございますー。
矢安好きに悪い人はいないなぁ(w
もう感激です(笑)

>可哀想な矢口さん
何かそういうイメージが強いです(笑)
報われない感じが…
それでもって私が書く矢口さんはすごく安倍バカです(笑)




364 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/21(日) 03:19
>361 パパ(w
即レスありがとうございます!(笑)
初めてリアルタイムで読まれました(w

裏なっちに固まる矢口さん。
やっぱり今回も可哀想でした(笑)
次こそはきっと幸せになるはずです!(多分…)


>寝込みを襲うヤグさん。
書いてみる気満々ですが
ここに載せるのは恥ずかしすぎです、ほんとに(笑)


えっと、某チャットのおかげで色々な妄想が
頭の中をぐるぐるしてます(笑)

ありがとうパパ(w




365 名前:タケ 投稿日:2003/09/21(日) 04:58
裏なっち・・・恐るべし(w
矢口さん、甘エロからただのエ(ry
(〜T◇T)<うるへ〜!
色々大変ですね矢口さん(w

ところで安倍さん内心はどう思ってるんでしょうかねぇ?
366 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:20





バカだよねー、って思ってた。
急に「カレーライス」に誓うんだから。
なっちはそういう事しないってやぐちが一番知ってるくせに…

まぁ、ほっとけばすぐに誓った事も忘れるっしょ。



始めのうちは、そう思ってた。




でも、カレーライスに誓った次の日。


朝起きると、すっごい疲れた顔をしたやぐち。
なっちはというと、よく寝れたなぁと思うほど気分良く目覚めたんだけど。

「そんな疲れた顔して…どーしたの?
 眠れなかった?」

呑気な声と表情でそう言ったなっちに、訴えかけるような切ない目を向けるやぐち。


まるでなっちが悪いことしたみたい。
なっち何もしてないよ??








367 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:21








そして、やぐちが言った言葉は


「・・・・・・おいら、これからなっちの部屋来ないから…
 それじゃーそういう事なんでよろしくぅー…。
 帰るね・・・・・」


「・・・えっ?何で、どーしたのさ??」


「・・・・・・・・・・誓いをしてる間は…来ないから・・・」


小さいやぐちがいつもよりも、もっと小さく見える。

やぐちには悪いけど・・・・・誓いの事、忘れてたよ…


「・・・そ、それはいいけど…帰るってこれから仕事っしょ?」


さすがになっちも動揺しまくってる。
そこまでやぐちが本気だったなんて、知らなかったから。
こんなの初めての事だから。







368 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:22









「・・・・・・そうだけど……一人で、いたい、から。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・分かった…
 それじゃ、後でね・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・うん。」


ドアが閉まる音がして、やぐちがいなくなっても呆然としていた。
やぐちが、あのうるさいやぐちが一人でいたいって・・・・どうなの、これ??


今日の仕事、大丈夫かなぁ・・・?
あれを引きずったままじゃなきゃいいけど。



不安に思い出したのはそれから。









369 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:22








予想通りというか、ギリギリ遅刻寸前で入った
うるさい楽屋には1人ぽつん、と座っているやぐちの姿。


しかも楽屋の隅っこに体育座り。



「矢口どうかしたの?」

いつもと様子があきらかに違うやぐちを心配したかおりが話しかけても


「・・・・・・・・カレーライス。」

…と一言言うだけ。








370 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:23






そんなやぐちのへコみにへコんだ態度にみんななっちの方を見る。
その目は、『安倍さん矢口さんに何かしたんじゃないんですか?』って感じの目。


・・・ていうか、いつのまにかやぐち=なっちって思われてる…何で!?



楽屋ではこんなにヘコんでるやぐちだけど、仕事ではうるさいやぐちだった。

そこはすごいなぁって思うよ。


でも、無理矢理明るくしてる感じがすごくして
いくらやぐちがおもしろい事を言って、みんなを笑わせても
なっちは笑えなかった。

それどころか、辛かった。








371 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:24









気になりながらもそのまま日々は過ぎて行って、やぐちと会話しない日もあったりした。

なっちは普通に話したりしようと思うんだけど
やぐちがなっちを避けてるようで。
目も合わせないし妙にキョドってたり。
そのくせ、よくなっちをチラチラ見にきたりする。

そんな日々が続いてた。

今日はあの「カレーライスの誓い」から一週間目の日。




この一週間、やぐちの事ばっか頭に浮かんでた。


仲直りってわけじゃないんだけど、どうしようか悩んでた。


やぐちの元気がないのは、なっちのせいで。
今のやぐちを変えられるのは、なっちだけで。
いつものバカで、エロくて、底抜けに明るいやぐちに戻せるのは、なっちだけで。


その方法は、なっちが甘える事で。









372 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:24










・・・・・・・・・・やだよ。

甘えるとか、恥ずかしいし。


でもそうしなきゃ、戻らないし…。


何かさ、何か・・・なっちが甘えたら負けたみたいっしょ?


結局やぐちの思い通りになりました。

って感じで・・・・・・・・・それが嫌なの。


・・・・・・・絶対調子のるんだから。


あーもーやだなぁ……









373 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:25











そういうの置いといて、どうなの?


一週間全く一緒にいない日が続いて。

ぎゅってされたいとか、キスしたいとか、そういうの…思わなかったの?


って考えたら、答えは恥ずかしいけど、思った…のね。


あーもー、ほんとに恥ずかしいなぁ…!!


ぎゅってあの小さい体に抱きしめられて。

「なっち!」

って嬉しそうに名前を呼ばれて。


「ちゅーしたい、ってかヤらせて。」

って押し倒されて。

(↑これは嫌だけど。)









374 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:26









・・・・・・・・何だか過去の事のように思えて仕方ない。

たった一週間しか経ってないのに。

一週間も、って感じがする。



あの、エロいやぐちがさ。

何もしてこないんだよ?

いくら誓ったからって…そこまでしなくても…ねぇ?


・・・・・・・・・・・ちょっとだけ、嫌われちゃったのか…悩んだりも、した。



・・・・・おかしいけど、変だけど。


やぐち・・・今何思ってる?

なっちの事、考えてくれてるかなぁ?


・・・・・・・・抱きしめられたいよ、なっちは。
















375 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:26













気が付くと、一週間。

カレーライスから、一週間。



時間が経つの、早いね。


おいらは・・・・・・・・生きてる心地が、ないよ。


なっちなっちなっちなっちなっちなっちなっち・・・・・・・・

呼んでも呼んでも足りないくらい。


なつみ、愛してるよなつみ。

心の中で何回言っても、満たされないよ。







376 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:27










ぎゅってして、目を見て「好きなんだよ」って言いたい。

何かもう、今はそれだけしか思ってなくて。


・・・・・ただ、なっちに触れたい。



まさに廃人だよ、今のおいらは。

本当に、本ッ当に・・・・・・・・・おいらなっちがいなくちゃだめだなぁ。


でも、一週間も2人の中で時間が流れたから
実は言うと、おいらなっちにどう接していいのか分からないんだよ。

本当に好きで、好きすぎて…何か恥ずかしいって感じ。
おかしいけど。







377 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:28








話しかけられたりもしたけど、恥ずかしくて思ってる事と正反対の事してた。

もう、片思いの気分なんだよ。
心だけ逆戻りしちゃったみたいなんだよ。

目を合わせるだけで、心臓がバクバクするんだよ。



「カレーライスの誓い」とか。
「押してだめなら引いてみろ」作戦とか。

そういうの、忘れちゃってて。
もうどーでもよくなってて。


意味もなく離れてる気がするよ。







378 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:28










なっちは普通で。

どう思ってるの?

一週間・・・・どう過ごしてた?



なっちをチラチラ見ても、いつもと変わらない笑顔。



・・・・・・・・・ちょっと、嫌われちゃったんじゃないかって。

・・・・・・・おいらの事なんか忘れたんじゃないかって。

・・・・・・・・・・・・・そういう不安に押し潰されそうだった。



なっち、おいらね。

今・・・・・・すごくなっちを抱きしめたいよ。













379 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:29














まずは、夕御飯を一緒に食べようって誘う事にした。
その先は・・・・・またそれから考える。


楽屋で、一人体育座りしているやぐちをちょっと見て
ドキドキしてるのを抑えるように
落ち着け落ち着け…と自分で言い聞かせてから近づいた。


「…やぐち、今日さー…一緒にご飯食べない?」


ドキドキしてる割には普通に話しかけられて安心。


やぐちはすごく驚いたような顔をして、呆然としている。

でも目を合わせないように下を向いてて。


「いやいやいや、いーです…おいら…よ、吉牛食べるから…」


何で敬語なの?
何で吉牛?
まさか一週間そういうのしか食べてないわけじゃないよね?



「・・・今日カレーの予定なんだけど?」

「か、かか、カレェー!?」


言わないけど2人の頭にはきっと一週間前の事が浮かんでいるはず。

『カレーライスの誓い』ね。




380 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:30









勢いで顔を上げたやぐちと目が合ったからニッコリ微笑んだら
また下を向いてしまった。

何でそんな態度なのさ?


「…だから来てね?来るまでなっち、ずーっと待ってるから。」


「え、ちょっと…なっ・・・」



後ろから「なっち」って呼ぶ声がしたけど、無視。


・・・・・やぐちは分かってなかったと思うけど、
普通に話しかけれたようでやっぱりすごくドキドキした。


やぐちはどう思ってるかなぁ?
















381 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:31











部屋の中が出来上がったカレーのいい匂いで充満している。

今日のカレーは一段とおいしいはず。


やぐちは、思ってたよりも早く来て今お皿を出している最中。
こんなに近くにいるのに、未だ話という話をしていなくて沈黙のまま。

何だかなぁ…妙にお互い緊張してる空気が流れる。


「・・・・・出来たよー、食べよ?」

「・・・・・・・・うん…」


受け取ったお皿にご飯を入れて、ルーをかける。

やぐちはコップに氷を入れて、水の用意。







382 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:31









銀色のカレースプーンを出して
やっと2人向かい合わせに座ってカレーを食べ始めた。


「いただきまーす。」

「い、イタダキマス…」


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「おいしい?」

「・・・うん。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・


沈黙沈黙沈黙・・・


やぐちはカレーを黙々と食べて。

カレーしか見てなくて、顔を上げようともしない。



・・・・・・・・とりあえずなっちもカレーを食べるけど…。










383 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:32











スプーンがお皿にあたる音。

溜め息。

コップを置く音。

氷水の中の氷がコップに当たる音。



それだけしか聞こえない。



2人で食べる夕飯はいつもうるさくて、
話ばっかりしてるからなかなか食べ終わらない。

なっちがご飯をこぼすのを笑いながらからかうやぐち。
やぐちがちょっかいを出してきて、それに怒るなっち。


いつもこんな感じなのに。

今日のカレーはおいしいけど、
一人で食べてるようですごく寂しいよ。

味とか、分かんないよ。
目の前のやぐちの事ばっか気にしてるせいだね。










384 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:33












気が付くと、お皿のカレーはなくなってた。
それと共にコップの中の水も、氷だけ。


スプーンを置くと、その音が部屋中に響いてドキッとした。
やぐちもその音に驚いたのか、こっちを見ないままピクッと体を反応させてた。



立ち上がって、お皿を片付けてやぐちの横を通り過ぎる時


「・・・・・向こうで待ってるから・・・」


呟くように言うとやぐちは


「・・うん。」


とだけ返事した。




結局今まで話、全然してないまま。

やぐちと一緒にいて、こんなに静かな時は初めてってくらい。









385 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:33









ベッドに座って、ただぼんやりとやぐちの背中を見る。

・・・・・何を話そうか。

何でなっちの事避けてるの?

・・いや、それは誓いがあるからだし…。

やっぱりなっちが甘えないと。


・・・・・・今なら出来ると思…う。

「負けたみたいで」とかもう考えてなくて。

ただ、抱きしめたいだけ。

あーもー!恥ずかしいなぁ!!



もし、なっちが抱きしめたら

やぐちはいつものやぐちになるかな?

多分、今のやぐちならからかいに来ないと思うし…

何かキョドってそう……

ちょっとそういうやぐち見てみたいかも…








386 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:34












クスクス一人でそんなやぐちを想像して笑っていると
スプリングのせいで体が揺れた。

それはちょこん、と控えめに少し距離を開けてやぐちが座ったから。



足を丁寧に折って、両手で抱え込むようにして座っている。
そして、膝に顔をつけて俯くような感じ。

ただでさえ小さいのに余計小さく見える。


チラッと見ると、目を合わせないように
ベッドの下のフローリングを見てる。


隣同士に座って、お互い話をしようともしない。

沈黙が続く。










387 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:35









やぐちは話す気も、目を合わす気すらないようだし…。


やっぱりなっちから???



「はぁぁ…」


溜め息をついてやぐちを見ると、既にキョドってた。



何か、もうその態度がおかしくて可愛くて
そのままほっとこうかと思ったけどさすがに可哀想だからやめた。








388 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:35





   


ゆっくりとやぐちの真後ろに移動した。

やぐちは「なに?」っていう感じで後ろにいるなっちの方を気にしてる。

ぐっと近寄って両足でやぐちを挟んで、両腕をお腹に回した。

ぎゅっと抱きしめて抱きしめて、額を背中につける。


「な…な、ななな…っち!?」


やぐちー。

声、おかしいよ。

「なっち」って言えてないよ?




なっちに抱きしめられてるやぐち。

何か新鮮だね、これって。









389 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:36









なっちの腕の中にいるやぐちの体が
一瞬にして固まったような気がしておかしかった。

額をつけていた背中に、今度は耳を押し当てると
緊張して早くなってる鼓動が聞こえた。


なっちもやぐちに負けないくらいすごい「ドキドキ」してるけど。

恥ずかしいし、どうしていいのか分かんないけど
とりあえず未だ固まってるやぐちに


「・・・・・・こっち、向いて?」


「・・・え!?」


左肩に顎をのせて、横を向いたやぐちのほっぺたに軽くキス。


離れて目が合った時、どんな表情をすればいいのかすごく戸惑った。








390 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:36










「・・・・・カレーライスの誓いとかそういうの…もうなしだよ?
 全部、ぜんぶ終わり。・・・・・・・ね?」



自分でも分かるくらい顔が真っ赤になってるせいで、熱い。


やぐちはただ呆然として、口が開いたまま。

それもおかしいけど、
なっちすっごい恥ずかしい事言ったんだから何か反応してよ!?


不安になって


「・・・・・・・や、やぐち?聞いてる?」


って言ったら、やぐちは瞬きを何回かして
なっちと向かい合うように体を後ろ向けた。










391 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:37










そのせいで、今までの体勢が崩れた。


「・・・・やぐち?」


じぃっと目を見つめてきたから、なっちも目を合わす。
そして、ぎゅっと抱きしめられた。



急にどうしたのさ!?ってあせる気持ちもなくて

久しぶりに抱きしめられて、ただ嬉しかった。

やぐちの匂いがいっぱいした。

温かかった。


なっちもやぐちを抱きしめた。









392 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:38









しばらくずーっと抱き合ってた。

まるで一週間分ってくらいの長い時間。

それでも足りなくて、まだずっとこうしてたいなぁって思った。


やぐちが離れていって、少し寂しい気がしたけど
目の前の真っ赤な顔のやぐちを見て、おかしくてそんな気持ちも吹っ飛んだ。



「・・・・なんて言っていいのか分かんないけど…
 色々言いたいんだけど…とりあえず……ちゅーしてイイですか?」


「・・・・・・・・・・・何だべそれー!
 ・・・・・・真面目な話かと思っちゃったよ。」


「・・・話もしたいけど、まずは………ねっ?」









393 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:38








ぅー…だめ??だめならいいけどさ…。


ブツブツ呟きながら上目遣いに
なっちの表情を伺うやぐちに返事は言葉よりも行動で。


軽く唇にキスしたら、
やぐちは驚いてたけどすぐに嬉しそうな表情をしながら
今度はやぐちから軽くキスしてくれた。


そして、最後は深いキス。


離れると照れくさくて、ドキドキして、恥ずかしくてどうしようもなかった。


一週間は短いようで長い。


たった一週間なのに



まるで初めてキスした時の気持ちみたいにドキドキした。









394 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:39










2人ベッドでごろごろ絡み合って、ひとつになったり

少し離れて、なっちの指だけ掴んだり

お互いの髪を弄って遊んだり

楽しくて、嬉しくて、

思わずなっちの二の腕を「カプッ」と噛んだら噛み返された。

でもそれも嬉しかったから抱きしめてまたひとつになった。


ちょっと真面目に

「好きなんだよ。」

ってずっとずっと一週間言いたかった事言ったら

ただ笑って抱きしめられた。







部屋に流れるゆったりとした時間。


カレーの匂いも、甘い匂いに変わった頃。

昂ぶってた気持ちもやっと落ち着いて、ただ手を握っている状態。

もちろん恋人つなぎ。











395 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:40









「…おいら、なっちに嫌われたと思ってたよ。」


目を瞑って2,3日前のおいらを思い出す。

辛かったなぁ…本当に後悔ばっかしてたんだよ?



「えー!?なっちもやぐちに嫌われたって思ってたよ…?」


まさかの返事においらは

「はぁぁ!?嫌うわけないじゃん!!!」



ただ驚いた。
ビビッた。

まぢ????


なっちがおいらの事嫌う事があっても、
おいらはなっちの事嫌いになんか絶対ならない自信あるよ?

例えこれから何があっても。








396 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:41









「だってそう思ったんだもーん。
 やぐちだって、何で嫌われたとか思ったのさ?」



「・・・んー…全然おいらの事なんか
 気にしてないって感じだったから……」



「やぐちだってなっちと目、合っても逸らしてたくせにー」




「そ、それは……恥ずかしかったんだもん。
 一週間もこんな形で時間空いたせいで
 どう接していいのか分かんなかったし・・・」


「・・・・・そーなの?」


「うん……片思いの時に戻ったみたいだった。」


「・・・・・・なっちも始めの頃の事、思ってた。」



首だけ右向けてなっちを見ると、照れたような表情。

「恥ずかしいね。」

って笑ってた。










397 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:41










「・・・・・・・・・・まぁ、こうやって…ね?
 前よりももーっとラヴラヴになれたし。
 おいらの作戦大成功ってわけですな!!」


『誓い』という名の裏には
『押してだめなら引いてみろ作戦』!!


成功には長い長い道のりがあったけど、よかったよ。



感無量です!



愛が、愛が体中を包んでもう最高の気分…












398 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:42










「………さくせん〜??何さ、それ。」


・・・・・・・・・・のはずが……


ぼ、墓穴を掘るって・・・こういう事??


しまった・・・・・・・・・・・・・


自分で『誓いという名の裏には…』とか思ってたくせに…





   おいらバカーーーーーーーー!!!!!!!!!!







「え・・あっ・・・・・!!!
 ・・・・・・い、いや何もない何もない!!何も言ってない!!!」



「今言ったっしょー!?さくせんって!!」



すごい疑いの目で、おいらの事を見てるなっち。

怒った顔も可愛いけど、裏なっちはやだよ??

裏なっちはマジで怖いから!!!











399 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:43









「・・・い、言ってない…よ??」


なっちの疑いの目を逸らすように目線を横に向ける。


目線の先の先には、さっきいただいたなっち特製のカレーが入ったカレー鍋。


・・・・助けてよ、カレーライス。

・・・・ピンチだよ、カレーライス。



「やだー、何かむかつくー!!!」

「えっ、ちょっと待ってよ、なっちー??」

「バーカ!」





そんなご機嫌ななめチャンになっちゃったなっちだけどちゃんと手は握ったまま。


それだけで、ちょっと安心したりね。


裏なっちには・・・・ならないっていう安心ね。











400 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:43











ま、まぁ考えてみれば…よかったのかも、ね。


妄想みたいにはいかなかったけどね。

「なっちの中の一等賞」には輝けたはず!!

・・・・・・・おいら的にね。



「好き」とか言われなくても「キス」とかされなくてもいーんだよ。


この『カレーライスの誓い』でよーーーーーーっく分かった。


大切なこと、忘れてたよ。


おいらにはなっちが絶対必要なんだって事。

それだけ、大切なんです。


いなくなったら・・・・・か、考えたくない!!!

もう地獄の一週間みたいな日々はうんざりだぁぁぁぁーーーー!!!!!!










401 名前:カレーライスと大切なこと 投稿日:2003/09/21(日) 23:44









とりあえず。



すぐ横で不機嫌モードななっちと


もう一回甘い時間を過ごそうかなー!なんてね。


何てったって、一週間分だからね。


…なっち、・・・・・今夜は頑張ろうね!!!!!











402 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/21(日) 23:52
カレーライスと大切なこと
「カレーライス…」シリーズ(?)
一応コレで終わりです。

あまり深くは突っ込まないで下さい(笑)
矛盾な点がかなりあると思いますが…


それにしてもかなり長すぎて自分自身ビビりました…。
もう一回に分けたらって考えたんですが一気に更新。

とにかく疲れたー!!


読まれた方、本当にお疲れ様です。
アホな終わり方ですいません(笑)

矢口さん、何をどう頑張るのかは分かりませんが(笑)





403 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/21(日) 23:58

>365 タケさん。
レスありがとうございます!

裏なっちには気を付けるべきですね(w
怖い怖い…。
結局最後まで矢口さんただのエ(ry
まぁ、苦労が多い矢口さんこそ素敵です(w


安倍さんの内心は今回で理解いただけたかと思います。
理解出来なかったらすいません。
自分の表現力のなさのせいです(笑)




404 名前:タケ 投稿日:2003/09/22(月) 00:48
更新お疲れ様
うおぉ〜!!さいこーだぁ!!!
とてもよかったです!!!
(〜T◇T)<ちょーかんどーした!!
安倍さんは安倍さんで不安になってるしあと裏な(ry
矢口さんは矢口さんで最後の最後で墓穴掘ってるし(w
「カレーライスシリーズ」終了ですが
続きはあるんでしょうか?
405 名前:愛のラヴノック 投稿日:2003/09/23(火) 00:46



やっと「あちー!」って感じじゃなくなったね。
秋って感じがするよ。
吹く風も涼しくて、それがまた心地いい。


フローリングにうつぶせに寝て、べったりと体をくっつける。
開けた窓からは、秋風。
その秋風に吹かれてフワフワと舞う淡い黄色のカーテン。


ベッドも、ソファも、おいらが見えてる範囲内にあるんだけど
何となく、ここから動けない。

ここが気持ちいいとかじゃなくて。
かと言って気持ち悪くもないし。

何かここにちょうどぴったしハマった感じ。

フローリングに押さえつけてる左頬からひんやりとした冷たさを感じる。
左頬だけからじゃなくて、フローリングにくっつかせている腕も手も足も。

ちめたいなぁ・・・・でも、それもいい。







406 名前:愛のラヴノック 投稿日:2003/09/23(火) 00:46








左腕を無造作に動かして、何かを探すように手探り。


すると、指が温かい腕に触れた。


温かい腕。


なっちの腕。


そこからちょっと上にずらすとTシャツの生地に触れた。


何色のTシャツだっけ…

あー…白だ。

真っ白なTシャツだった。


なっちの心みたいな、真っ白なTシャツ。

よく似合ってるね、今のおいらには見えないけど。




Tシャツの生地に触れている手を、今度は下へずらしていく。








407 名前:愛のラヴノック 投稿日:2003/09/23(火) 00:47









・・・・・・・・・・・次に触れたのは、なっちの手。



なっちの左手。

温かい。

感触とか気持ちいい。



自然と指が絡み合って、恋人つなぎ。










408 名前:愛のラヴノック 投稿日:2003/09/23(火) 00:47







ちょっとおいらの指に力を込めて「ギュッギュッ」って握ったら
なっちも「ギュッギュッ」って返してくれた。


愛のラヴノック。


これだけでも・・・・・・・・・幸せ。




嬉しかったから、もう一回。




ギュッギュッギュッ・・・・・・・





・・・・・・・・・ギュッギュッギュッ









409 名前:愛のラヴノック 投稿日:2003/09/23(火) 00:48









エヘ。


見えなくても、手を握ってるだけだけど、つながってる。




・・・・・もう一回。





ギュッギュッギュッギュッ・・・・・・





・・・・・・・ギュッギュッギュッ…ギュッ




・・・幸せ。









410 名前:愛のラヴノック 投稿日:2003/09/23(火) 00:49










もう一回しようかな、って思った時なっちから




…ギュッ・・・・ギュッギュッ……ギュッ…ギュッ




途切れがちのラヴノック、5回。


まるで、

「あ、い、し、て、る」

みたいだね。



おいらもすぐに



ギュッギュッギュッギュッギュッ!




「あいしてる」の気持ちを込めて、ラヴノック返し。








411 名前:愛のラヴノック 投稿日:2003/09/23(火) 00:49









何だかちょっと、キスよりも甘い感じがして

なっちの方へ首をぐりん、と右向けたら目が合って笑い合った。



「今の、愛してるって意味でしょ?」


「・・・・・・さぁね。」


「何だよぉ…素直じゃないなぁ…」







412 名前:愛のラヴノック 投稿日:2003/09/23(火) 00:50









怒ったような、本当は全然怒ってないんだけど
そういう素振りを見せて、目を逸らすと

なっちから


ギュッ

「あー」

ギュッ

「いー」

ギュッ

「しー」

ギュッ

「てー」

ギュッ!

「る!」



ラヴノックと途切れがちの愛の言葉。


なっちを見ると


「・・・・・・なっちは素直ですぅー!」



って笑いながら

またラヴノック。


ギュッ!









413 名前:愛のラヴノック 投稿日:2003/09/23(火) 00:51







あーもぅ…素直じゃなくてもいーや。


この手、離したくないね。


これからも。

この先も。

ずっと。



笑い返して


「・・・なっちの残りの人生、ぜーんぶ丸ごともらうから。
 
 悲しい思い絶対させないとか約束できないけど、

 ・・・・そのかわり、何があってもなっちの事守るから。

 ずっと・・・・・・そばにいて?」
 

ちょっと気取って格好いい言葉言っちゃったり。








「・・・・・・!?」



「……って、今思っちゃったりねー。」



言われたなっちも照れてたけど、

言ったおいらもかなり恥ずかしかった。









414 名前:愛のラヴノック 投稿日:2003/09/23(火) 00:53








でも、幸せだから。


こうやって、毎日過ごしたいじゃん。

嬉しい事は2倍に。

悲しい事は半分こ。


なっちとなら、きっと出来る!って思うから。



今度はラヴノックじゃなくて、力を込めてなっちの手を握りしめた。









415 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/23(火) 00:55
愛のラヴノック


ちょっと短いかなぁと思いますが。

書くのに20分くらいしかかからなかったんで
自分的に薄っぺらい感じがします(笑)




416 名前:銀色カレースプーン。 投稿日:2003/09/23(火) 01:00

>404 タケさん。
レスありがとうございます!
何か、感動してもらえてかなり嬉しいです(w
ありがとうございますー!

終わり方とか微妙やし、
ちゃんと表現出来てない部分が多すぎだと思いますけど(苦笑)


続き、ですが。

「妄想の泉」(何なそれ)が枯れつつあるようですが
完全に枯れるまで今回のような話を書き続けたいなぁ、と思っております。

駄文ですが、また読んでやって下さい(w

よろしくお願いします。




417 名前:タケ 投稿日:2003/09/23(火) 09:38
甘いのキタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!
短いのに(オイコラ)すっごく良かったです!!
(〜^◇^)<もっともっと手繋いでいたい・・・
続き期待してます
418 名前:名無し一読者 投稿日:2003/09/23(火) 16:18
「カレーライスシリーズ(?)」よかったです。
相変わらず甘くてすっごい幸せ(自分が)
これからもがんばってください!
419 名前:なちまり大好きっ子 投稿日:2003/09/23(火) 23:45
おおっ、すごい更新されてる。。
ぐっと近寄って両足でやぐちを挟んで、両腕をお腹に回した。

ぎゅっと抱きしめて抱きしめて、額を背中につける。

ここの描写想像して一人萌え転げまわっちゃいましたw
なちまりの甘々小説最高峰だと思います!
420 名前:愛 楽 投稿日:2003/09/28(日) 00:30






カーテンの隙間から差し込む温かい日差し。

黄色のカーテンだから余計に温かく感じるのは気のせい?


今日は雲一つない、いい天気。








421 名前:愛 楽 投稿日:2003/09/28(日) 00:31










「ぅあ゛ーーーーーーーーッ」


妙な声と共に、大きな欠伸。

無造作に頭の上へ投げ出した両手。



なっちの両足は今、そんなやぐちの膝枕になっている。



ソファでやぐちに寝られたら狭いし、邪魔って言ったら


「んじゃ、膝枕。」


って全然わけ分かんない事言いながらそのままゴロン。




まぁ…いいんだけどね。










422 名前:愛 楽 投稿日:2003/09/28(日) 00:31









目を瞑って、口を意味もなくモゴモゴ動かしてるのを見ると

やぐちが猫のように思えてくる。



猫の日向ぼっこって感じ?



それじゃやぐちは金色の髪だから、トラネコだ。



そう考えたらおかしくて自然と笑いがこみ上げてきた。










423 名前:愛 楽 投稿日:2003/09/28(日) 00:32









「・・・何だよぉ?なに笑ってんの?」



おもしろくないなぁ、って感じの表情。


目を開けて、なっちの方を見てる。



「んー?何もないよ、考え事してただけ。」


やぐちが猫だったらっていう想像してた、なんて事言ったら
怒られそうだからあえて言わないで誤魔化すように微笑んだ。









424 名前:愛 楽 投稿日:2003/09/28(日) 00:33










そんななっちの表情を疑うように見てるやぐち。



でもそれも一瞬。




そっと優しく髪をなでたら

気持ちよさそうに目を細めた。


今さっきの事なんか忘れたくらい、ご満悦に笑ってる。


そして


「んぅーーーー。」



って言葉にならない声を出してるのを見て、

思わず顎をゴロゴロしてあげたくなっちゃったよ。










425 名前:愛 楽 投稿日:2003/09/28(日) 00:34










「んあ゛ーーーーーーーー」


本日2回目の大きな欠伸。


目を見ると、涙目。





「眠いの?」


髪をなでていた手をやめて、

今度はほっぺたを「プニ」って突付く。


柔らかくて、気持ちいい。





「眠くはないけど欠伸が出る。」



やぐちはそう言い終わると、

なっちが突付いている左のほっぺたをプクーッと膨らませた。

 
そういう仕草、子供っぽいよ。










426 名前:愛 楽 投稿日:2003/09/28(日) 00:34









こうしてるうちにも、ゆっくりと時間が過ぎてく。

特に何もしないで

ただまったり、ゆっくり、時間の流れるまま。


でもこうしてやぐちと過ごす時間は、決して無駄な時間なんかじゃない。


むしろこんな風に過ごす時間がとても大事。


膝枕するのも、髪をなでるのも、ほっぺたを突付くのも

大切なスキンシップ。










427 名前:愛 楽 投稿日:2003/09/28(日) 00:35









「・・なっち、おいらとの距離が遠いよ。」


もっとかがんでよ。



膨らましていたほっぺたを萎ませて、

無造作に投げ出してた両手をなっちの首の後ろで組む。



「遠くないよ。逆に近いぐらい。」


膝枕してるしね。



…って言ってもやぐちは知らんフリ。


ニコッとあからさまな愛想笑いを浮かべると、一瞬にして真剣な表情。


そして、なっちの首の後ろで組まれた腕に力を入れて一気に引き寄せられた。









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