心の隙間
- 1 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月31日(日)14時40分59秒
- 小説書きます。
- 2 名前:一 投稿日:2003年08月31日(日)14時42分36秒
とにかく私はカゴちゃんには弱いのだ。ちいさな頃から2つ上の私は何かと
お姉さんぶってきたけれど、もしかすると、ほんとのところではカゴちゃんに
操られていたのかもしれない。まあそれはともかく、今回の顛末はこうだ。
- 3 名前:一 投稿日:2003年08月31日(日)14時43分22秒
私が家でだらだらしていると、不意に制服姿のカゴちゃんが入ってきて、寝っ
ころがっている私の袖を引っ張った。「ねぇゴッチン、ペット飼おうよ」キラキラ
した目でそう言うのだ。私はすこし興味をひかれたものの、わざと関心なさげ
に手を振った。
「つーかあんた、人の部屋勝手に入ってきちゃダメでしょ」
カゴちゃんはえへへー、と笑って、抱きついてくる。こうやって甘えてくる時は
たいてい、本気でお願い事をされる前兆だと、長い付き合いの私はわかって
いた。頭をなでなでしながら言う。
「あのねぇ、ウチのマンションはペット禁止なの。ただでさえ・・・」
「だいじょうぶだよ絶対バレないから」
とさえぎって、カゴちゃんは何やら雑誌の切りぬきをポケットから取り出した。
- 4 名前:一 投稿日:2003年08月31日(日)14時44分19秒
- 「・・・ハムスター?ってかこれアニメじゃん」
私は苦笑した。何度か見かけたことのある、アニメのハムスターが切りぬかれ
ている。確か名前はハム・・・何とか。
「それはアニメだけどぉ、でも可愛いでしょ?ハムスターだったらここでも飼えるし」
カゴちゃんはやっぱり本気らしく、お願い、などと手を合わせてくる。私は正直
どっちでもよかったのだが、なんとなく反対する立場にまわってみることにした。
「でもこう言うのって高いんじゃないの?」
「だいじょぶ、1000エンとかでも買えるよ」
「それにあんた、世話誰がすんの」
「自分でやります、毎日来る世話しに来る」
「またぁ・・・調子いいね、三日坊主で終わんないでよ?」
言いながら途中で、お母さんみたいだなーと自分で笑ってしまう。そしてカゴちゃんは
ぱっと顔を明るくした。
「じゃ、いいの!?」
「しょうがないなー、でも本物は喋ったり出来ないよ」
「わかってるもん、じゃあ行こ、今すぐ行こ」
- 5 名前:一 投稿日:2003年08月31日(日)14時45分08秒
- と、言うわけでペットショップへと向かった私達だったが、そこでのくだくだしいやり
とりは省く。とにかく私はハムスター代以外にも、店員に言われるままに買うハメに
なった小屋とか、回す車とか、床に敷くやつとか、色々と予想外の出費を食らい軽く
不機嫌になり、カゴちゃんは反面嬉しそうに「これもかわいい、あれもかわいいい」
などと言いながら店内をちょこちょこと動きまわったり、「小屋はカゴの形にしようよ、
カゴだから」とかつまんないことを言ったりして、ひたすら浮かれていた。
なんだかんだと時間もかかり、ペットショップを出た頃はすっかり夕暮れ時で、帰り道、
カゴを抱き締めて嬉しそうに何やらはしゃぐカゴちゃんの、夕陽に染まるあかい横顔
を、私はお姉さんみたいな気持ちで眺めたりした。
と、ここまではよかった。
- 6 名前:一 投稿日:2003年08月31日(日)14時45分44秒
- ハムスターは可愛かった。カゴちゃんはほんとに毎日世話しにきた。図書館で本
なんか借りて来たりして、エサは何々がいいとか、このハムスターは何々という
種類だからとか、私に力説したりした。カラカラ回るハムスターを二人で眺めたり、
頬袋をパンパンにするハムスターに笑い転げたりした。いい日々だった。
そして今私は腕組みをしながら、ハムスターのカゴを眺めている。カゴちゃんは
いない。ハワイに行っているとかそういう話だった。
「・・・うーん、どうしよう・・・」
日焼けしたカゴちゃんがにこにこしながら、お土産片手に入ってきて、そしてその
表情は凍り付いて、どさっとお土産を取り落として、「ゴッチンなんて嫌い!」なんて
叫んだりする。そんな想像が頭を回る。泣くだろうか。泣くかもしれない。私は頭を
抱えた。とにかく私はカゴちゃんには弱いのだ。
「つーかなんで死んでんの、ねぇ」
仰向けでぴくりともしないハムスター(確かあい〜んちゃんとか、そういう名前だった)
に私は呼びかける。
返事はもちろん、ない。
- 7 名前:名無しさん 投稿日:2003年08月31日(日)19時48分54秒
- 続き楽しみです。
- 8 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月01日(月)00時16分46秒
- 面白そう。がんばってください
- 9 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月01日(月)02時19分42秒
- かごま大好きなので期待です。
更新頑張って下さい。
- 10 名前:一 投稿日:2003年09月06日(土)23時07分36秒
- カゴちゃんの置いていったハムスター本をなにげなくぱらぱらめくったりエサを
追加したり、したけど、もちろん何も状況は変わらず、いてもたってもいられなく
なって気づけば私は街をさまよっている。いやでも胸に浮かんでくるカゴちゃんの
笑顔に、押しつぶされそうになりながら。
なんだか泣きたいような気持ちで、あてもなく私は歩きつづけた。死んだハムスター
もかわいそうだ。そしてそれを悲しむカゴちゃんもかわいそうだ。もちろん私もかわい
そうだ。世の中はなんて残酷なんだ。
歩道橋で立ち止まり私は、手すりにひじを乗せて下の道路を眺める。
- 11 名前:一 投稿日:2003年09月06日(土)23時08分59秒
- あの日と同じように、沈みかけた夕陽が街をあかく染めていた。トラック、自動車、
バイク、歩道には通行人が、それぞれ忙しなく行き交っている。ああみんなこんな
悲しい思いを抱えて生きているのだろうか。ガラにもない想像がかけめぐり、私は
しばらく放心した。
「もしもし」
背中を叩かれてわれに帰る。はっと顔をあげると、空はいつのまにかもう暗くて、
建物も道路もすっかり黒ずんでいる。ああずいぶん長いことぼぅっとしてたんだな、と
思ったその時、また背中を叩かれた。
「もしもし、って言ってるでしょ、ねぇ」
- 12 名前:一 投稿日:2003年09月07日(日)10時44分39秒
- 振りかえるとやたら背の高い女が、びっくりしたような顔で私を見つめている。知ら
ない顔だ。
「なんですか」
「なんですか、じゃないよ」
女ははぁ、とため息をつくような仕草を見せて、それから両手を振った。芝居くさい女だ。
「あんたほんとに気づかなかったの?カオリ何度も呼んだのに、ずっとシカトしてて」
「カオリ。ていうか、誰でしたっけ」
「誰って。」
カオリという女はまた両手を振りまわした。驚いた顔で。
「あんたがジサツしようとしてたから止めてあげたんでしょ?それを誰でしたっけって。
何様のつもりよ」
- 13 名前:一 投稿日:2003年09月07日(日)10時45分17秒
- 何を言ってるのか一瞬わからなかった。頭をぼりぼりとかいてみたりする。
「ジサツ?あ、なるほど、自殺。えっ、自殺?」
「あんたぼーっとしてるんだねぇ・・・カオリも人のこととか言えないけどさ」
「ていうかさ、人を勝手に殺さないでもらえますか、困るんで」
私はちょっと怒ったふりをした。間違われたのはしょうがない、とわかっていたけど、なん
となく恥ずかしかったからだ。「ちょっと考え事してただけだよ、まったく」
「ちょっと、って。あんた一時間くらいずっといたでしょ、カオリ見てたんだけど」
「・・・えっ、一時間も?」
「そう、一時間も。」
自信満々にうなずくカオリは、私の質問の意味がわかっていなかった。正確には
『一時間も私のことずっと見てたのかよ』という意味だったのだが、改めて言い
なおすのはよした。さっきから気づいてはいたが、このカオリという女からは危ない
臭いがしてならない。
「はは、そっか、もうそんな時間かぁ、そろそろ行かないと」と明るく言って、私は
その場を去ろうとした。
のだが。
- 14 名前:一 投稿日:2003年09月07日(日)19時09分29秒
「いい、一から、てーいねーいに、話すんだよ」
連れてこられたのは激安コーヒーで有名な喫茶店だった。激安ながらあまりにも
マズイコーヒーを飲ませるために、地元客からは敬遠されている。かく言う私も
入ったのは初めてだった。もちろん店内はガラガラだ。
「ね、お姉さんがなんでも聞いてあげるから、ほら話しなさい何があったの」
私はため息をついた。何度勘違いだと説明しても、カオリは聞いてくれない。
- 15 名前:一 投稿日:2003年09月07日(日)19時10分19秒
- 「だーかーら、自殺じゃないって言ってるじゃんか!」
「まだそんなこと言って・・・あのね、言わなかったけど実はカオリって、そういうの
わかるの」
「・・・そういうの、って?」
「人がね、死のうとしてるのとか、悩みがあったりとかって。その人を見てれば
だいたいわかるの」
やばいこの女イカれてる、と今更になって思い知った。目がマジだったからだ。
爛々と不気味な光をたたえるその大きな瞳から、しかし私は何故だか目が
離せない。どうしよう、怖い。
「ねぇ、カオリには、わかるの・・・」
私を安心させようとしてるのだろうか。カオリは物凄い顔で笑った。私は観念した。
- 16 名前:一 投稿日:2003年09月07日(日)19時11分26秒
- 「実は、これこれこういうことで」
私は説明を開始した。内心バカバカしいと思いながらも。
飼っていたハムスターが死んだ。知らない人に伝えるのだから、それだけでよかった
はずだった。しかし私はまるで何かにとりつかれたように、言わなくていいことまで
延々と喋りつづけた。カゴちゃんが可愛いこと、ハムスターとか実はあまり好きじゃ
ないこと。でもなんだか悲しかったこと。カオリをちょっとだけ気持ち悪いと思ったこと。
「ふーん・・・大体わかったよ」
カオリが腕組みをしてそう言う。その瞳は相変わらず爛々と光をたたえたまま、話の
最中も据え付けられてるように動かなかった。もしかしたら瞬きもしてないんじゃないか、
と思われるくらいに。
私は、その瞳に呑まれていたのかもしれない。ごくりと唾を飲んで、次の言葉を待った。
「カオリって、やっぱ気持ち悪いでしょ」
- 17 名前:一 投稿日:2003年09月07日(日)19時12分22秒
- 「昔からそうなの、カオリってほら、じっと人のこと見る癖があるから・・・でもそれって
癖じゃん、だからそんな人に害とかないと思うんだよね・・・汗っかきの人がほんとは
汚くないのと一緒でさ、カオリだってほんとは気持ち悪くなんかないんだよ・・・」
呆気に取られる私を尻目に、カオリはどんどん凹みはじめた。
「そりゃーじっと見られたらイヤだろうけど、でも見られるくらいいいじゃんねぇ・・・大体
人って見られることによって綺麗になるんだよ、知ってた?えぇと・・・名前なんだっけ」
「ゴトウ」
「ああ、ゴトウだからゴッチンって呼ばれてるんだ」
「うん」
「でもすごいよね、ゴトウだからゴッチンなんて。なんか頭ぶっつけてるみたいじゃない?
・・・で、何の話だっけ、あ、そうそうハムスターね・・・」
私は頷いた。頭のなかでは帰る口実を探りながら。
- 18 名前:一 投稿日:2003年09月07日(日)19時13分07秒
- 「選択肢が3つあります」
また大げさにゆっくりと、カオリが一本ずつ指を立てていく。
「ひとつ、カゴちゃんに謝る」
「うん」
「ひとつ、カゴちゃんにハムスターのことを忘れてもらう」
「うん・・・え?」
「ひとつ、ハムスターを生きかえらせる。これで3つ・・・さて、どれよお好みは」
指が三本立った。私は考え込むふりをしながら、やっぱり考えていた。もちろん
選択肢のことじゃなく、この場からどうやって脱出すべきか、だ。とりあえず相槌を
うつことにする。
「そりゃー生き帰ってくれればそれに越したことはないけどさ」
- 19 名前:一 投稿日:2003年09月07日(日)19時15分39秒
- 「じゃあさんばんでいいのね、よし、わかった」
あっさりとカオリは答えて、立ちあがった。「じゃ、カオリ帰るね」
カツカツという足音を響かせ、出口へと向かうカオリを私は呆然と見送る。
「あ、そうだ」
レジのところで、カオリが不意に振りかえる。
「ひとつだけ聞かせて・・・あんたは、カゴちゃんのためにハムスターを生き
かえらせたいんだよね?」
私は首をかしげた。当たり前の話じゃないか、と思った。
「当たり前じゃん、そんなの」
「そうだよね・・・自分のため、とかじゃないよね・・・愛だよね、それって」
ふっ、というような笑いを残して、今度こそカオリは消えた。
後には激マズで有名なコーヒーと、伝票だけが残った。
- 20 名前:一 投稿日:2003年09月07日(日)19時16分56秒
なんだかどっと疲れた私は、一口つけたコーヒーをそのままにして喫茶店を後に
した。どうやって帰ったかも覚えていないくらい疲れきっていた。家に辿りついた
頃にはもう夜中で、私は服も着替えずにベッドに飛びこんで泥のように眠った。
- 21 名前:一 投稿日:2003年09月07日(日)19時19分25秒
- 目が覚めてすぐに私は、ハムスターを買いに行くことを思いついた。カゴちゃんが
帰ってくる前に、あい〜んちゃんにそっくりなハムスターを。急いで寝室から飛び
出すと、そこにはすでに日焼けしたカゴちゃんが待っていた。
「おーゴッチン、おはよー、ただいまぁ」
そう言ってカゴちゃんがにっこり笑う。私は寝ぼけたままの頭で「ああ今からちょっと
新しいハムスター買いに行かないといけないんだ」と口走った。カゴちゃんが笑う。
「それってダンナさん?よかったねあい〜んちゃん、ダンナさんが出来るってさ」
そう言ってカゴちゃんは指をくるくる回し、それを合図にしてハムスターが嬉しそうに
車をカラカラと回す。
「・・・?どしたの、ゴッチン」
カゴちゃんが差し出すマカデミアンナッツを、私は受け取ることも忘れて、ただ
呆然と立ち尽くしていた。
その後しばらく部屋には、カラカラという音だけが響いていた。
- 22 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/11(木) 02:51
- お〜、なんだか不思議な展開。続き楽しみにしてます
- 23 名前:二 投稿日:2003/09/14(日) 19:34
-
ひらひらするカーテンの向こうでは空が、もう白みがかってきている。私はいまだ
眠れずに、ぼんやりと指を一本立てる。
「選択肢が3つあります・・・ひとつ、実は死んでなかった」
ぽつりと呟き、首を振る。
「いや、絶対死んでた。死んだフリするハムスターなんて聞いたことない・・・あ、でも
ゆうべは疲れきってたから、確認する前に寝ちゃったし・・・うーん・・・それでも・・・」
首を傾げて、それからまたぼんやりと指を立てる。
「ひとつ、あれは違うハムスターだった」
呟いて、今度は頭をかきまわす。
「なわけないよね・・・ウチのカギ持ってるのカゴちゃんだけだし・・・誰かが忍び込んで
ハムスターを取り替えた?・・・そんなわけないよね・・・ああ・・・」
- 24 名前:二 投稿日:2003/09/14(日) 19:35
- 三本目の指が立った。信じたくない気持ちをこらえつつ。
「ひとつ、カオリが・・・生きかえらせた。」
エンジンの音が響いて、窓の外を一台のスクーターが走りぬける。まるで朝を告げる
合図のように。そして私は気づく。一晩考えても、まるで結論が出なかったことを。
明け方の空を眺めながらベッドで一人、私はため息をつく。
そして一日が始まる。
- 25 名前:二 投稿日:2003/09/14(日) 19:36
-
「ねぇゴッチン」と、カゴちゃんがマカデミアンナッツをカリカリと頬張りながら言う。
「なんか今日ぼーっとしてるよ、どしたの」
私はその耳をくすぐりながら、答える。
「べつに」
カゴちゃんが不思議そうにこっちを見つめる。それから一瞬のち、まるで興味を
なくしたように、つけっぱなしのテレビに目を向ける。リモコンをかちかちと回す
音を聞きながら、私はまだハムスターのことを考えていた。
- 26 名前:二 投稿日:2003/09/14(日) 19:37
- もし偽者ならカゴちゃんが気づかないはずがない。あれほど可愛がっていた
のに。けれど・・・。と、何度も考えた疑問が頭をぐるぐるぐるぐると回り、私は
すこし疲れている。そうして心の中でこう問いかける。
「ねぇあい〜んちゃん、一体どうなってんの?」
もちろん返事はない。当のハムスターは呑気に、ヒマワリの種をカリカリやって
いる。
「ああ!」
ふいにカゴちゃんの大声が響く。私は反射的にテレビに目を向ける。なにやら
歌番組らしい映像が流れていた。
- 27 名前:二 投稿日:2003/09/14(日) 19:37
- 『♪おいしい牛乳ゴクるだぴょん。』
「何コレ」
派手な衣装を着て、ちっちゃな女の子たちが歌い、踊っている。
「知らないのぉ、ゴッチン!?」
カゴちゃんがなんだか嬉しそうに驚く。「今すごい流行ってるんだよ、このユニット!」
「ユニットぉ?」
自慢じゃないがテレビには疎い。「遅れてる」とか言われそうな予感がした。しかし
カゴちゃんはちょっと笑っただけで、私のヒザにもたれかかると、言った。
「今度さ、全国ツアーでこの辺来るんだってさ!ねぇ行こうよゴッチン」
「へぇ」
「あ、ほら、チケット今日から予約開始だって!紙、かみ、どこ」
- 28 名前:二 投稿日:2003/09/14(日) 19:38
- チケット先行予約、今夜12時受け付け開始。03−××××−○○○○、
24時間受け付け、深夜ですのでお間違いのないよう・・・画面に映し出される
そんなテロップを、カゴちゃんはぶつぶつと呟きながら、一言も逃すまいと
必死でメモっている。私のヒザを下敷きにして。ちょこまかと動くカゴちゃんは
とても可愛く、私はその瞬間だけハムスターのことなど忘れる。
「よーし、完全にメモったから」
番組が終わり、画面が切り替わって、なにやらニュースが始まった頃に、やっと
カゴちゃんが得意げに顔をあげる。こちらに紙を差し出して、上目づかいで私を
見つめ、こう言う。
「こんや、12時ちょっとまえに、電話して、起こして」
- 29 名前:二 投稿日:2003/09/14(日) 19:39
- 私は笑った。
「なんで笑うのよぅ」
「オコチャマだねぇ、12時まで起きられないなんて」
「起きてるよ!普段は起きてる、でもさ、今日はたまたま早起きで」
「へぇ〜」
「へぇ〜じゃないよ!・・・でもさ、起きられなかったら怖いじゃん」
「そんなわざわざ起こすくらいだったら、あたしがかけりゃいい・・・」
と言った後、しまった、と思った。カゴちゃんがにっこり笑ってメモを差し出す。
「それもそうだね、いーい、ゴッチン、12時ちょうどくらいにかけてよ・・・早くしない
とね、売りきれちゃうんだから」
私は苦笑しながら頷いた。
昨夜まったく眠ってなかったことなど、その時は忘れていた。
- 30 名前:名無し 投稿日:2003/10/01(水) 03:55
- 期待してます
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