私は下で彼女は上で。

1 名前:上海 投稿日:2003年09月03日(水)22時34分37秒
えーと初です。カップリングは・・・新感覚(?)よしみきで。 
少し暗い話になるかもしれませんが、どうぞよろしく。
2 名前:プロローグ 投稿日:2003年09月03日(水)22時37分21秒
私の彼女は藤本美貴。 
彼女はこの世にいなくなった。 
 
 
    死因は交通事故。
3 名前:プロローグ 投稿日:2003年09月03日(水)22時44分05秒
あの事件から一週間がたった。 
私は食事のときは食べ、そうでないときは大体寝ているとゆう動物のような 
生活を送っていた。 
もちろん学校なんて行けたもんじゃない。高3の私には大問題だが、もう何もかもが 
どうでもよくかんじた。 
   もうどうにでもなれ。 
   どうなってもいい。 
   美貴がいないんだ。
4 名前:上海 投稿日:2003年09月03日(水)22時46分45秒
えーと、こんなかんじです。ってゆうかまだプロローグしか終わってませんが 
何か御意見やらをお聞かせください。
5 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月03日(水)23時04分51秒
藤吉キタ━(゚∀゚)━!!
なちみきも見たい!
6 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月04日(木)06時14分48秒
最近気になるCPです。
頑張ってください
7 名前:上海 投稿日:2003年09月04日(木)20時44分59秒
うわぁ〜レスがきてる!!感激です。  
>>5名無しさん 第一号さんです。なちみきですか・・・どうしよう。 
 
>>6名無しさん 私もきになります。ハロモニなんか見てると。がんばりますよ〜


8 名前:上海 投稿日:2003年09月04日(木)20時51分03秒
あれからもう一ヶ月がたった。 
さすがにこれ以上学校をさぼるのはよくない。 
両親だって私がいい大学に入るのを望んでいるわけだし。 
それに、これ以上独りでいると美貴と出会ったことさえ悔やむようになるかもしれない。 
 
明日、学校へ行ったら、私の斜め後ろの空いた席を見て泣いてしまうかもしれない。 
 
 
そうだ・・・クラスメートはどんな気持ちでいるんだろう。
9 名前:上海 投稿日:2003年09月04日(木)21時05分07秒
「よすぃこ久しぶり!暗いぞ〜」 
「明るくてたまるかよ。」 
彼女は後藤真希。私の親友で、美貴の親友だった。 
彼女のこんなところが好きだ。他の人は同情した眼で見てるとゆうのに。 
 
 
 
「吉澤先輩!」 
「亜弥ちゃん・・・」 
彼女は松浦亜弥。年はひとつ下で、美貴にものすごく懐いていた。 
彼女の悲しみも相当だろう。 
「久しぶりだね。どうしたの?」 
「よかった。先輩、笑ってくれた・・・」 
「え?・・・亜弥ちゃんも元気そうでよかった。」 
「そうですか?じゃあ、顔見たかっただけなんで。」 
  
この後わかったんだけど、後輩の加護亜依によると、亜弥ちゃんは、よく屋上で泣いているそうだ。 
 
美貴、お前のせいだぞ。両親だって悲しんでるんだよ?  
   だから、出てきてよ・・・ 
   いつもの帰り道。一ヶ月ぶりの通学路。 
   手を伸ばせばそこに美貴がいるような気がした。
10 名前:上海 投稿日:2003年09月04日(木)21時06分57秒
あー名前のまんまうってた・・・。あ、学年とかは気にしないできださい。 
それでは今日はこの辺で。 
11 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月05日(金)13時46分59秒
題名が気になりますね。
これからに期待大。
12 名前: 投稿日:2003年09月05日(金)20時59分55秒
あーすいません!リクは気にしないで下さい。
藤本さんはどうしてしまったのでしょうか、気になります。
13 名前:上海 投稿日:2003年09月06日(土)18時00分18秒
>>11名無しさん題名はそんな重要じゃないかと・・・(ぇ 
期待大ですか・・・頑張ります! 
 
>>125さんすいません、事件の事は詳しく書くつもりないんですよ・・・ 
とにかく交通事故です。

14 名前:第1話 投稿日:2003年09月06日(土)18時24分19秒
「ただいま・・・」 
「お帰り。どうだった?学校は。」 
「別に。夕飯になったら呼んで。」 
 
 
 
ごっちんやクラスメートのおかげで結構すくわれた。 
この部屋にいるよりはずっといい。 
そういえば、このベッド。美貴が遊びに来たときよくここに座って雑誌よんでたなぁ。 
机の写真は学園祭の時の・・・。もう美貴がこの部屋に来ることはないんだ。  
当たり前の事なのに久しぶりの・・・一ヶ月ぶりの涙がとまらなかった。 
    コンコン 
「ハイっ!」急いで涙を拭った。 
「ひとみ!さっき藤本さんから電話があって、ひき逃げ犯、捕まったんですって。」 
「そっか。」 
お母さんは安心したような顔だった。 
 
  

 

  
 
 

 
  

 
  
  
    
       
15 名前:第1話 投稿日:2003年09月06日(土)18時34分47秒
私は正直、どうでも良かった。 
何故なら、何が変わるわけでもないし。確かに。犯人は憎いけど。 
そんな私の気持ちを察してか、お母さんが穏やかな口調で言った。 
「それと、もうすぐ夕飯よ。降りてきなさい。」 
「うん」    パタン 
 
良かったね、美貴。捕まったってさ。できることならもう一度美貴に会いたい。 
明日になって向かえに行ったら、いつもみたいにいてくれないかなぁ。 
そしたら美貴は、寝坊なんてしてなくて、準備も完璧で、寝癖もなくて。 
「おはよう」って言って。一緒に学校に行くんだ。 
 
 
「・・・あの事件の日さ、一緒に帰れなくてごめんね?」 
私は口に出して言っていた。 
 
 
『そんな事きにしてたの?』 
「美貴・・・?」 
『久しぶり。 』 
   
 
 
 
 
    目の前に美貴がいた。
16 名前:上海 投稿日:2003年09月06日(土)18時36分36秒
今日はここまで。美貴さんの登場です。
17 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月06日(土)22時05分28秒
うわぁ〜藤本さん登場だ!!
どうなるんだ??
18 名前: 投稿日:2003年09月08日(月)01時13分36秒
藤本さんキタ━(゚∀゚)━!!
続きが気になります。
19 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2003年09月08日(月)20時23分46秒
キタ━━━━━━ヽ(゜∀。)ノ━━━━━━!!!!
待ってましたみきよし!!
作者さんがんばって!
20 名前:上海 投稿日:2003/09/09(火) 17:01
>>17名無しさん 
ハイッ藤本さん登場です!どうなるんでしょう? 
 
>>185さん 
今から更新しますよ! 
 
>>19名無し募集中。。。さん 
頑張ります! 



21 名前:第一話 投稿日:2003/09/09(火) 17:09
「何でいんの?美貴死ななかったっけ?」 
『フフ・・・何、そのリアクション!死んだよ。一ヶ月前に』 
 
  じゃあなんでいんのさ・・・ 
  あー夢か、そーだそーだ。 
どうせ覚めるんならもっと楽しもうかなー。 
 
『・・・あのさ、夢とか思ってるわけ?夢じゃないよ。だってほら美貴透けてるでしょ?』 
「・・・・本当だ・・・」 
『信じてくれる?・・・幽霊なの。 』 
「ぅん・・・」 
『実は任務があってね。』 
「任務?」
22 名前:第一話 投稿日:2003/09/09(火) 17:17
『他の霊を成仏させてくれって。』  
「ハ?霊能力者にでもなったの?」 
『違うよー・・・この任務はよっすぃーの任務でもあるからね。』 
    何でわたしまで・・・。 
「で?どこの霊を?」  
『この町限定。ここにリストがある。』 
「てゆーか成仏なんてどうやってすんのさ。」 
『その霊が望むことを叶えてあげればいいらしい。』 
・・・何か怖いなぁ。取り付かれたりしないのか? 
「・・・何で美貴がそんな任務を?」
23 名前:上海 投稿日:2003/09/09(火) 17:27
『美貴がまだ下にいたいって言ったら、この任務が終わるまでいていいって。』 
 
『よっすぃーにしか見えないからね。』 
「え?そうなの?」 
『しかもよっすぃーから5m以上離れれないから。協力してね。』 
「するけどさぁ。期限とかあるの?」 
『早くしないと霊が成仏できなくなるって。終わったらさっさと帰って来いって。』
  
 
つまり、任務が終わると美貴はまたいなくなっちゃうのか・・・。
 
「てゆーかそれ、誰から言われてんの?」 
『管理人さん。向こうの。その人の仕事が上にいるべき霊たちを下から連れて来ることらしい。』  
  
 なるほど。それがじょうぶつと・・・。 
じゃあ任務ってゆうよりお手伝いじゃん・・・。
24 名前:第一話 投稿日:2003/09/09(火) 17:34
『明日土曜だし、一人目を探そう!』 
  
あー・・・明日って土曜なんだぁ。  
「いいけどさ。名前とかわかんないの?」 
『リストにのってる。高橋愛だってさ。○○病院で亡くなったって。』 
「フーン・・・。じゃあそこに行けばいいの?」 
『わかんないけど、とりあえず。』 
 
 
現実では起こりえないことが起こったけど、美貴と逢えたことが嬉しすぎて、 
私は素直に物事を理解できた。  
25 名前:上海 投稿日:2003/09/09(火) 17:38
この作品を友人に読んでもらったところ、「恋人っぽくないね。」 
とゆうとても素敵な突っ込みを頂いたので、よしみきは期待しないほうがいいかも・・・ 
これから作者の文才のなさが目立つと思いますが、どうか読んでやってください。
26 名前:( ´ω` )よっすぃ〜 投稿日:2003/09/09(火) 18:13
ミキティが死んじゃったのは悲すぃけど
なんか面白そうだよん!

がんがってください!mm(_ _)mm
27 名前:炯至 投稿日:2003/09/09(火) 22:40
よしみきっすか!?
最近、ハロモニで大注目しているよしみきっすか!?
ミキティが死んだのは辛いですけど、よっすぃーがんがれ!

作者さんも頑張って!
28 名前: 投稿日:2003/09/10(水) 18:24
こんな展開になるとは・・・。
ますます続きが楽しみになりました。
29 名前:上海 投稿日:2003/09/11(木) 21:54
>>26さん 
面白そうですか!?お褒めの言葉ありがとうございます。 
 
>>27さん 
よしみきですよ。ただ私のはよしみきと呼べるかどうか・・・。 
 
>>28さん    
続きを楽しみにしてくれてる方がいるとやる気がでます!
30 名前:第二話 投稿日:2003/09/11(木) 22:06
次の日(土曜日)、私と美貴はその病院に向かった。 
 
 
「ねぇ、私、霊なんて見えないよ?」 
『大丈夫、美貴といるんだから、見える。』 
「そうなんだ・・・。」 
 
それはそれで怖いんだよなー。 
病院なんていっぱいいそうだし・・・。 
 
 
 
何分かして、病院についた。 
・・・・てゆーか入っていいのかな。何か聞かれたらどうすんだよ。 
  
「入って平気なの?」 
『ヘーキヘーキ、見つかんなきゃいいんだよ。』 
   人いっぱいいるのに・・・。 
てゆーか高橋さんってどこに居るかわかんないんだよねぇ。 
 
 
31 名前:第二話 投稿日:2003/09/11(木) 22:15
『ね、受付で聞こう!高橋さんが入院してたか。』 
「え〜まじかよぉ・・・。」 
 
結局、私は受付の人に聞くことにした。 
高橋さんは15歳のとき、白血病でなくなったらしい。 
部屋は301号室だったって事がわっかた。・・・そんな事わかってもなぁ。 
 
私と美貴は、病院の外で作戦を考えていた。 
 
 
「301号室に行こう!」 
『えっ待ってよ。そりゃ無理だって。患者さんいるでしょ。』 
「・・・そうだね。じゃあどうしよう。」 
 
『あっ!あの子、見える?女の子!!』 
「へ?・・・・あっ見える。」 
『あの子だ〜絶対!』
32 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/11(木) 22:24
うわ〜、本当にみえるよ・・・。 
あーもうお墓とかいけないかも・・・。 
 
『?早くいこうよ。』 
「あぁ、そうだね。」  
 
ちょっと怖いけども。 
「ね、私の声あっちに聞こえんの?」 
『多分ね。』 
 
そのとき、高橋さん(と思われる人)と目があった。 
「あの・・・高橋愛さん?」 
〔えぇ?・・・はい、あなたみえるんですか?〕 
おーいいねぇ。そのびっくりした顔。 
・・・てゆーかどこの人だよ!! 
美貴なんて爆笑してるし。 
 
「何かやり残した事があるからこっちにいるんだよね?」 
〔・・・・。〕 
「聞かせてくれないかな。協力するからさ。」

33 名前:上海 投稿日:2003/09/11(木) 22:29
『』は藤本さんで〔〕は他の霊の方々です。
えーと、ラブラブが見たいとゆう意見があるようですが、・・・どうでしょう。 
最初のほうでは無理かもしれません。 
それによしみきといえばクールじゃないですか。(言い訳)
34 名前:上海 投稿日:2003/09/11(木) 22:31
>>32が名無しさんになってるのは気にしないでください。ミスです!




35 名前:高橋愛 投稿日:2003/09/13(土) 22:01
「愛ちゃん、大変だね。白血病だって?私、学校から帰ったら毎日お見舞いに行くから!」 
「本当?約束やな?」 
「うんっ」 
 
 
 
 
 
「ねーもうすぐ退院できる?」 
「うん、多分。私、こんな元気やもん」 
「よかった!早く退院できるといいね。みんなも心配してるよ」 
「うん。がんばる。」 
 
 
 
 
「看護婦さん、私いつ退院できるんですか?」 
「・・・そうね、もうちょっとかしら・・・。」 
「本当ですか!?」 
「ええ、早く治るといいわね。」 
 
 
36 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/13(土) 22:08
「先生、高橋愛ちゃんは・・・」 
「・・・どんどん悪化している。早くドナーをみつけないと・・・」 
「そんな・・・」 
 
 
 
 
「愛ちゃん、外出許可がでたんだって?」 
「うん。久しぶりに遊びにいけるわ〜」 
「やったー!どこ行く!?」 
「買い物も行きたいし・・・」 
「じゃ、いろんなとこいこうね!」 
 
 
 
 
 
「どうだった?昨日は。楽しかった?」 
「はい。・・・何で外出許可なんてでたんですか?」 
「え・・・」 
「私、最近ずっと体の調子悪くなってるのに。」 
「それは・・・」 
「もう助からないからですか?だから許可なんてでたんですか?」 
「大丈夫。あなたは助かるわ。気持ちが大事なのよ。」 
「・・・・・。」

37 名前:高橋愛 投稿日:2003/09/13(土) 22:18
「ねー愛ちゃん、このまえ外出許可がでたのにまだ退院できないの?」
「・・・・・・。」 
「退院したら、もっといろんな所行けるのに。」 
「私、もう助からんのやわ。」 
「・・・え?」 
「先生も、看護婦さんも大丈夫って、治ってきてるって言ってるけど。 
どんどん悪化してるのがわかるんやもん。この前よりずっとだるいし。」 
「なんでそんな事ゆうの!?大変かもしれないけど、愛ちゃんが直そうって気がなくて 
どうすんの!?」 
 
「真琴ちゃんにはわからんのや!私、もうすぐ死ぬんやで?」 
「何ソレ。・・・・勝手にしなよ。」 
    バタン! 
 
 
「あ〜あ、愛ちゃんが一番辛い時期に喧嘩なんてしちゃだめだよね。 
明日あやまろ。 
 
 
 
 
 
「真琴・・・愛ちゃん、亡くなったって。」 
「えっ」 
 
 
 
 
 
 
38 名前:上海 投稿日:2003/09/13(土) 22:23
高橋さんの過去終了です。 
>>36が名無しさんになってる・・・同じ過ちを繰り返してしまった。


39 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/14(日) 11:20
指摘しなくていいんだろうけど・・
麻琴
40 名前:第二話 投稿日:2003/09/26(金) 20:26
「それで、その友達と仲直りしたいんだ?」 
〔はい。〕 
『ね、その人どこにいんの? 』 
〔家は変わってないと思います。〕 
『じゃ、行こうよ。』 
「そうだね。・・・でもさ、私その人のこと知らないジャン。」 
〔大丈夫です。高橋愛の友達だっていえばいんですよぉ。〕 
 
・・・何か、私が一番苦労してるよなー。 
 
『早く行こうよー』 
〔行きましょうよー〕 
「わかったよぉ・・・」 
41 名前:第二話 投稿日:2003/09/26(金) 20:41
    ピーンポーン 
「はーい・・・どなた?」 
「あのー、麻琴ちゃんいますか?」 
「あら、ちょっと待っててね、     麻琴〜」 
 
 
「ハ?!あなた誰ですか?」 
「えっと、高橋愛ちゃんの友達で・・・」 
「愛ちゃんの?」 
 
 
私と小川さんと美貴と愛ちゃんは近くの公園へ向かった。 
理由は・・・・特にない。 
 
「喧嘩したんでしょ?愛ちゃんと。」 
「ハイ。次の日謝ろうと思ってたんですよ。・・・そしたら、もう遅くて。」 
「・・・・・うん。」 
 
てゆーか、これからどうすりゃいんだ?二人を仲直りさせなきゃいけないんだよね。 
小川さんが愛ちゃんのこと見えなきゃ意味ないじゃん! 
よしっ!美貴に聞こう。うん。 
 
「ちょっとまっててね?」 
「?え・・・」 
 
 
「ねぇ、これからどうすればいいの?」 
『小川さんが愛ちゃんが居ることを信じればみえる。』 
「本当?早く言ってよ〜。」 
『うまくやってね。』 
「よし。任せとけ。」
42 名前:第二話 投稿日:2003/09/26(金) 20:52
「待たせてごめんね。」 
「別にいいんですけど、どこ行ってたんですか?」 
「どこって・・・あ、トイレ!トイレ!」 
「そうですか。そんな大声でトイレって言わなくても・・・」 
「〜っ・・・あのさ、愛ちゃんに会いたいんでしょ?」 
「何言ってんですか。そりゃあ会いたいですけど・・・」 
「会わせてあげるからさ、」 
「会わせてあげるって、会えるわけないじゃないでさか。」 
「・・・ここにいるんだよ。愛ちゃんが。」 
「ここに?」 
「見えない?」 
「・・・見えません。」 
『見えてよ!』 
「・・・・」 
 
 
「あの、いるんですね?ここに。」 
「うん。いるよ。」 
「信じていんですね?」 
「うん。」 
43 名前:第二話 投稿日:2003/09/26(金) 21:07
「あの・・・ごめんね?愛ちゃん。あの後すぐ私が謝ればよかったんだよね? 
力になってあげられなくてごめん。」 
 
 
〔麻琴ぉ・・・〕 
「愛ちゃん!?・・・愛ちゃん・・・」 
〔私こそ、あたったりしてごめん。あと、ありがとう。〕 
「ううん。・・・仲直りできてよかった。」 
〔げんきでな? 〕 
「うん。」 
 

そういって、愛ちゃんは消えてしまった。 
本当に消えちゃうんだなー。・・・いつか、美貴も・・・。 
 
 
「よかったじゃん。私の言った通りでしょ?」 
「はい。ありがとうがざいました。」 
 
 
小川さんと別れて、家に帰る途中。本当に爽やかな気分だった。 
こうやって隣に美貴がいるけど、昨日までいなかったんだよなぁ・・・。 
なんかそっちのほうが夢みたいだ。 
 
「明日もなんかするの?」 
『うん。休みは有効につかわないと。』 
「そうだね・・・・」 
44 名前:上海 投稿日:2003/09/26(金) 21:12
>>39さん 
指摘ありがとうございます!読み直してないのがばればれですね・・・。 
 
そしてまた間違いが・・・>>42の、「会わせてあげるって、会えるわけないじゃないでさか。」 
でさかってなんだよ・・・ですかです。

45 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/02(日) 20:23
更新期待sage
46 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/02(日) 22:36
みきよし小説は貴重なので頑張って
47 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/10(月) 06:05
更新しないのかな?
48 名前:上海 投稿日:2003/11/22(土) 01:26
よく晴れた日曜日。こんなすがすがしい日に私は何をするかと言うと、もちろん任務続行。 
昨日一人目が終わったばっかだってゆーのに! 
でもやっぱり私の心は今日のそらのようにすがすがしく。 
なぜかと言うと、彼女が、美貴が、私の前にいるから。 
49 名前:上海 投稿日:2003/11/22(土) 01:34
『何でにやけてんの? 』 
そんなツッコミも最高だよ。うん。 
『ねぇ、何でにやけてんの?』 
「・・・、お前かわいすぎなんだよ〜。」 
『ナッッ!(照)ってか、答えになってないから!!』 
「だってこたえてないもん」 
『答えてよ!』 
「嫌だよ」 
『なんなの?美貴がかわいいからにやけてたの?』 
「知らないよそんなん〜」 
『・・・もういい。えっと、二人目は・・・』 
切り替えが早い所も好きだよ。もちろん。 
でもね〜。顔がまだ赤かったりするんだよね。・・・たまらん。 
50 名前:上海 投稿日:2003/11/22(土) 01:43
『・・・・・ねぇ、よっちゃんさん。』 
「何、美貴ちゃんさん。」 
『今日は任務やめて遊ぼうよ。』 
「えっ、休日は有効にって言ったの美貴じゃんか。」 
『ちょっとくらいいいよ。昨日一人終わったばっかだし・・・』 
「・・・・う〜ん、でも遊ぶって言っても何すんの?」 
『DVDを見ながらゴロゴロする!』 
・・・・遊ぶってゆーのか。ソレ。 
しかもゴロゴロって何、DVD見ながら転がってなきゃいけないの? 
・・・まぁ、それは冗談として。 
結局、美貴がいれば何したって楽しいし嬉しいし。 
「そんなんでいいの?」 
そんなこと本人にはいえないけどね。 
『そんなんでい〜の。』 
そう答えた美貴の顔は、有り得ないくらい可愛かった。 
 
51 名前:上海 投稿日:2003/11/22(土) 01:51
それから、レンタルショップでDVDをいくつか借りてきて、夜までずっと見てました。 
途中、私は寝ちゃったり、(もちろん起こされた。)美貴は画面にツッコンだりしてたけど。 
 
 
 
 
隣に美貴がいる。会いたくてたまらなかった美貴が。 
たまに、本当は夢で、いつかは覚めてしまうんじゃないかって考えちゃう時もあるけど。 
今は、私の隣にいる彼女が、この世の人じゃないなんて事はわすれることにした。 
52 名前:上海 投稿日:2003/11/22(土) 02:00
はい、二ヶ月ぶりの更新です。なんか、自分が情けないです。理由はあるには 
あるんですが、ここで言ったって言い訳にしかならないと思うので。 
更新のスピードは、前より遅くなるかもしれませんが、読んで頂けると光栄です。 
感想、指摘なども言って頂けるとありがたいです。 
そして、名前のままでうってる。。。正しくは「第三話」ですね。 
いい加減ミスをなくしたいってゆーかなくしますね。
53 名前:上海 投稿日:2003/11/22(土) 02:05
>>45さん 
期待してくださってありがとうございます! 
>>46さん 
はい、頑張ります! 
>>47さん 
本当にすみません。これからは放置しないようにします!
54 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/27(木) 01:42
更新されてるー!
なにやらマッタリモードですね
2人がどうなっていくのかも楽しみです
頑張って
55 名前:第4話 投稿日:2003/12/24(水) 01:21
『あー、なつかしい〜。この道・・・』 
 
 
『あ、ここ!まだ空き地じゃん! 』 
 
何がそんなに嬉しいのか、さっきから美貴はずっとこんな調子だ。 
 
「そんなさぁ、まだ一ヶ月しかたってないでしょ?」 
『でもなつかしいじゃん。』 
「そうか〜?でもさぁ、もう少し早くあるこうよ・・・」 
『じゃあ帰り!帰りゆっくり歩こう!』 
「あー、そうね。はいはい。よしっいくぞ〜」 
『あー!!はしんないでよー!』 
 
「う!?動けん・・・」 
『だから〜5m以上離れらんないんだってば〜。』  
「そっか・・・わすれてた・・・すごいなっ美貴っ。」 
『イヤ、すごくないし。ホラ、行こうよ。』 
「これさ、ダーって走って急に止まるから危ないよね。」 
『離れなきゃいんだよ?』 
「そーだね。」 
『そーだよ。』 

56 名前:第4話 投稿日:2003/12/24(水) 01:32
「よすぃこー!!」 
『あ!ごっちんだごっちん!本物じゃーん!』 
「・・・・」 
「どうしたの?」 
「いや・・・おはよ。」 
「おはよう。」 
「ごっちん最近朝来んの早いよね。」 
 
なんせ彼女は遅刻の常習犯だから。 
そんなごっちんがこの時間に学校にいるのは結構、珍しかったりする。 
「そう、最近ね、早起きの楽しさを知ってさぁ。来る時はしんなくていいし〜」 
「フーン・・・あ!」 
「え?」 
 
もし仮に短距離走なんかがあったとして、(体育祭おわったけど)美貴は 
私から5m以上離れられないわけだから・・・。 
一緒に走るのか!?んで、どっちかが速すぎても遅すぎてもだめなのか! 
うわっ・・・楽しい! 
「・・・よしこ怪しいよ。なんかあったの?」 
「へ!?あ、いや。思い出し笑い!!」
57 名前:第4話 投稿日:2003/12/24(水) 01:43
 
 
『ねぇ、何でさっき笑ってたの?』 
「んー?あぁ、さっき?だってさ〜」 
「・・・先輩・・・。」 
「わ、紺野!!」 
「どうしちゃったんですか?!ひとり言なんて・・あぁ、先輩、藤本先輩の 
いない寂しさについにおかしく・・・。」 
「や、なってないから!わ〜、もう、気のせいだよ気のせい!!」 
「あ、にげましたね、廊下は走っちゃいけないんですよー!」 
 
ドテ!! 
 
「っいってぇ〜!!」 
『アハハハ!バカじゃんっ、朝言ったばっかでしょー?5m以上離れらんないって。』 
「ちくしょォ〜・・・。本当に痛い・・・。」 
  
だめだ・・・短距離走なんかあったら、私絶対怪我する・・・。 
「センパ〜イ、大丈夫ですかぁ!?すごい音しましたよ?」 
「亜弥ちゃん・・・あ、そうか、ここ2の1・・・」 
 
やさしいな〜亜弥ちゃんは・・・  ハっ!! 
『亜弥ちゃああああ〜ん!!』 
 
何か前より騒がしくなったよぉ・・・私の周り・・・。 
 
58 名前:第4話 投稿日:2003/12/24(水) 01:54
_屋上_ 
 
『すっごい感動だよ・・・亜弥ちゃん・・・。』 
 
美貴はまだ感動に浸っているようだ。 
何だよ〜コイツ。私の前に現れた時は割りとクールだったくせに。 
『アレ?拗ねてんの?』 
「何で拗ねるんだよ。あきれてただけー。」 
 
うそです。すねてましたよ。どうせ。 
恋人との再会より親友との再会のほうが上なのかよ・・・。 
『いや、拗ねてるじゃん、絶対。あのね、よっちゃんさんの時はネ〜。  
 ほら、照れ隠しだよ。本当はめちゃめちゃ・・・こう、・・・抱きつきたかった。』 
「・・・・。」 
『あ。ニヤケた。』 
 
  キーンコーンカーンコーン・・・ 
 
「『あ』」 
「・・・さぼろっか。」 
『うん。』 
 
ってか、完全に任務なんて無視しちゃってんだけど。 
大丈夫なのだろうか・・・。
59 名前:上海 投稿日:2003/12/24(水) 02:00
更新終了・・・。えーと、吉澤さんが前とキャラが違ってきてるのは、ミキティパワーです。 
きっと。やっぱ更新おそいですよね。見離されてそうでこわいっす・・・。 
私、文才ないですから・・・。
60 名前:上海 投稿日:2003/12/24(水) 02:05
>>54さん 
はい、マターリですね。・・・頑張ります!頑張りますよ本当に。 
これからも読んでやってください。

61 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/24(水) 23:14
おお、そういえば任務はどうなっているのだろう?
続き楽しみにしてます
上海さんもマターリ頑張ってください
62 名前:第五話 投稿日:2004/02/06(金) 22:25
『忘れてたわけじゃないんだけどさ。そろそろ任務、ヤバイよね。』 
「そーだね・・・。」 
 
そう。私もやらなきゃいけないと思いつつも、多分一人目終えてから二週間 
はたってると思う。でも、決して忘れてたわけじゃない。・・・うん。 
  
「やっぱさ、正確な期限が分かればいんだよ。教えてくれてないのに期限切れですなんて 
言われたら嫌じゃん。」 
『それは美貴も思うよ。もしかしたら管理人さんも正確な期限分かってないんじゃない?』 
「う〜ん・・・かもね。・・・でさ。二人目は?」
        
63 名前:第五話 投稿日:2004/02/06(金) 22:34
『発表します!二人目は・・・市井紗耶香さーん!!』 
「イエ〜イって、わかんないから。誰だよそれぇ。」 
『美貴だって知らないしー。』 
「他の人とか分からないの?」 
『残念でした。一人づつしか分からないよ。』 
「へぇ〜・・・。」 
『でね。死因は・・・交通事故。』 
「そっか。」 
『てゆーかさ、手がかり少なくない!?名前と死因だけだよ?』 
「そーだよね。あ、でもさ、手がかり少ない方がカッケーじゃん。推理するみたいで。」 
『大変なだけじゃんか。』 
 
なんか最近この人つめたい・・・。 
でも一人づつしか分からないなんてはじめて知ったぞ。 
もしかして、人数もわかんなかったりして・・・。
64 名前:第五話 投稿日:2004/02/06(金) 22:43
ハー・・・。交通事故っていったってなー。結構多いし。 
せめてどこの近くかくらい分かればいんだけど・・。 
一人目は早く見つかったのに。 
 
『一人目はすぐ見つかったのにね。』 
「・・・・。」 
 
 
 
 
「だからっ交通事故ですよ。最近の。」 
「そんなこと言ったてねぇ。結構あるじゃない。」 
「いや、でも死人が出た事故ですよ。」 
「・・・あんたね、辛いだろうけど、現実は受け止めなきゃいけないわよ。 
 最近このあたりで死人が出た事故って・・・。」 
「あっ!違う違う!美貴じゃないです!」 
「あら、違うの?でも知らないわよ。藤本じゃないんなら。」 
「そーですか・・・。失礼しました。」 
65 名前:第五話 投稿日:2004/02/06(金) 22:55
『保田先生、変わってないね〜。』 
「そんな短期間で変わるかよ。・・・ハァ〜どうしよう。」 
『大丈夫大丈夫、余裕だよ。絶対みつかるって!』 
 
その余裕は一体どこから・・・。つーか人事みたいに言うけど、美貴も、 
ってゆーか美貴が引き受けた任務なんだけどね・・・。 
 
「吉澤・・・」 
「飯田先生っ!」   ぎゅっ!  「!?」 
「何か悩み事があったらなんでも相談してね。力になるからね!」 
 
・・・なんでそんなになみだ目なんですか・・・。 
ってかいい加減手離してもらわないと・・・。 
 
「あ!」 
「え?」 
「ありますよ、相談!」 
「何々?」 
「相談ってゆーか・・・最近の事故で女の人が亡くなった事故って 
 知ってますか?美貴以外で。」 
 
なんか嫌な言い方だけど。 
あー・・・やっぱ飯田先生困惑してる・・・。  
 
「ごめんね。分からない。じゃ、またの相談をまてっるよ〜。」 
「・・・・。」 
 
そう言い残して飯田先生は去っていってしまった。 
 
66 名前:上海 投稿日:2004/02/06(金) 23:00
>>61さん 
任務はなかなか進んでませんが・・・。マターリがんばります!
67 名前:上海 投稿日:2004/02/06(金) 23:02
更新終了。お久しぶりです。(苦笑)  
また近いうちに更新すると思います。それでは。
68 名前:名無しさん 投稿日:2004/02/12(木) 16:00
更新きてたー
任務結構アバウトなんですね (^-^)
今回の人は何をやり残したんでしょう?
続き待ってます
69 名前:第六話 投稿日:2004/02/21(土) 14:38
結局、全員に聞いたわけじゃないんでけど、事故のことを知ってる人は 
いなかった。やっぱり、一人目がすぐ見つかりすぎたのかな・・・。 
でも期限分からないんじゃ、焦らなきゃいけないのか、ゆっくりしてて 
いいのか分からないし。 
 
「ハアァ〜・・・」 
「こらぁ!何授業中にため息ついてんだ!おいらの授業がそんなつまんない!?」 
「えっ!?あ、いや違いますって!続けてください。」 
「そっか?じゃ、次。よっすぃ〜読んで。」 
「・・・・・。」
70 名前:第六話 投稿日:2004/02/21(土) 14:48
「よしこ〜さっきおもしろかったよ〜」 
 
なにが面白いんだか・・・。 
 
「やっぱ悩みあるんでしょ?何の悩み?」 
「やっぱって何だよ。ないよ、悩みなんて。」 
「あるでしょ。だって最近やけにひとり言多いし、ため息も多いし。」 
 
・・・そーか。美貴と話してるのって、他の人がみれば、 
ただのひとり言だもんな。何か寂しい・・・。 
ん?ごっちん何かにやにやしてないか? 
 
「恋の悩みでしょ!」 
「なっ!?」 
「あ、その反応!やっぱそうでしょ!?誰なのぉ!?」 
『・・・そうなの?』 
 
ヒィ!つーか美貴分かってるくせに!あー、ごっちんに思いっきり、 
任務のせいなんだー!!!!ってさけびたい! 
 
「ま、無理に聞かないよ。応援するからね。あ〜あ〜。よっすぃ〜ファン 
 かなしむぞー。今狙ってる人多いからね。」
71 名前:第六話 投稿日:2004/02/21(土) 14:52
「恋の悩みじゃないんだけど・・・。」 
「隠さないでいいって!あ、もうそろそろ帰るね。」 
「あ、ごっちん。あの・・・市井さんって知らない?」
「え」 
 
・・・一瞬、ごっちんの顔が凍った・・・よーに見えた。
72 名前:第六話 投稿日:2004/02/21(土) 15:03
「あの・・・ごっちん?」 
「へっ!?」 
「もしかして、知ってんの?」 
「・・・市井紗耶香?」 
「!そう、その人・・・。」 
「どーかしたの?市井ちゃんが・・・。」 
「あー・・・えっと・・・。」 
 
うわっ・・・聞きづらい・・。顔見知り程度じゃなさそうだし。 
でもごっちんに聞かなかったら、また探さなきゃいけないし。 
その人にも聞けなかったら、同じことだよなぁ。 
 
「よしこ?どーしたの?」 
「・・・知り合いだったの?」 
「うん。近所に住んでた人だよ。」 
「そっか・・・。」 
「そんなしんみりしないでよー。もう結構・・・半年くらい前だよ。」 
「・・・・・。」 
「よしこさ、人には聞いちゃいけないこともあるけど、聞いていいことだって 
 あるんだよ。何か聞きたい事があるんでしょ?私は市井ちゃんを知ってる 
 人がいて嬉しんだから。」 
 
そう言って、ごっちんはにこっと笑った。 
その理屈はわかんないけど。 
 
「ありがとう」 
「あは、なんじゃそりゃ。」
73 名前:第六話 投稿日:2004/02/21(土) 15:17
『ここだよね・・・。』 
「だと思うけど。」 
 
放課後、早速私と美貴は市井さんが亡くなったという事故現場を訪れた。 
私は普段あんまり通る事の無い道だけど、特に事故が多い道でもないし。 
 
『いないよ、霊なんか。』 
「え〜・・・いないね。」 
『あ、でもあそこに中年の男性が・・・・。』 
「も〜やめてよ。怖いじゃん!」 
『そっか、よっちゃんさん見えないんだね。でも任務に関わってる霊なら 
 見えるんだから、便利じゃん。』 
 
美貴はもう、霊が見える事になれてしまったのだろうか。 
こわくない?って聞くと、いつも決まって自分も霊だからって言うし。 
その度に私はそんな質問をしたことを後悔するんだけど。 
今、美貴はまだそのここにいるという中年男性のことを説明してる。 
 
「こっちの声聞こえないの?その人に。」 
『さぁ?聞こえるんじゃない?ま、いいや。で、どーする?』 
「どーしよっか。」 

  
74 名前:第六話 投稿日:2004/02/21(土) 15:31
『お困りのようですなぁ。』 
「!?」 
『あー、管理人さん!』 
 
管理人さん!?この人が!?想像してたのと全然違う・・・。 
こんなに派手なんだ。別にいいんだけどさ。 
 
『二人目、全然見つからないんだけど。手がかり少なすぎじゃん。』 
『しょーがないやろー?』
 
おぉ、ため後だ。この怖そうな(失礼)人と。 
まぁそんなことに関心したってしょうがないんだけど。 
 
『なんでいないの?市井さん。』 
『いや、それが私にも分からんのや。』 
「『・・・・』」 
『ま、そんなことどーでもいいんやけど、実は頼みがあってな。』 
 
どーでもいいのかよ! 
 
『まだ何かあるのぉ!?任務頑張ってるじゃーん!』 
『いや、大したことやないんやけど。吉澤さん。』 
「えっ?何ですか?」 
 
いきなり話ふられたよ・・。てゆーか、何でこの人私の名前知ってるんだろう。 
 
『何日か、ふじもっちゃん貸してくれへん?任務の方はまだ時間あるから。」 
『はぁ!?ちょっと待ってよ。何で??』 
『協力して欲しいことがあってな。本当に何日かでいいんや。 
 その後すぐに帰ってええから。』 
「私はいいですよ。あ、美貴がいない間、何もしなくていんですか?」
 
75 名前:第六話 投稿日:2004/02/21(土) 15:41
『あぁ、ええよ。自由にやってくれて。』 
『まってってば!美貴の意思は!?』 
「いーじゃん、すぐ帰って来れるって言ってるし。行っておいでよ。」 
『そうそう、吉澤さんもそう言ってくれてることやしな?』 
「えー・・・。」 
『じゃ、しばらくお借りします。元気でなぁ〜。』 
「はーい、いってらっしゃ〜い。」  
 
手を振る私と管理人さん。そして管理人さんに連れ去られてゆく美貴は 
ものすごく不機嫌顔。  あ、目が合った。 
 
『・・・美貴がいない間、おとなしくしといてね?』 
「・・・・・。」 
 
私、ペット扱い!?くそう。浮気しないでね、とかだったらかわいいのに。 
でも、まだ不機嫌なのは、引き止めて欲しかったからだよね? 
 
 

76 名前:第六話 投稿日:2004/02/21(土) 15:48
『ねえ、頼みごとって何?管理人さん。」 
『 え〜とな、あ、その前に管理人さんは堅苦しいやろ?』  
『じゃ、なんて呼べばいいの?』 
『中澤さん。』 
『・・・あんまり変わってないような気が・・・で?何なの?』 
『うちの担当してるエリア、若い子があんまりいなくてな。それで、 
 ちょっと手伝いを・・・荷物運びとか、掃除とかな。』 
『・・・・雑用?ってゆーか、それに何日もかかるの!?』 
『まあ、他にもいろいろあるんや。』 
『はあ・・・。』
77 名前:上海 投稿日:2004/02/21(土) 15:52
>>68さん  
任務は本当、テキトーですよね。管理人さんがアレだから・・・。 
続き、待っててください。
78 名前:上海 投稿日:2004/02/21(土) 15:54
更新終わりました。自分の中では結構更新できたのでは!?なんておもっちゃってます。 
・・・近いうちになんて言わないほうがよかったかな・・・。(汗)
79 名前:上海 投稿日:2004/02/21(土) 15:58
あー!>>74の吉澤さんのセリフ、ため後じゃなくて、ため語です。 
すみませんでした。
80 名前:プリン 投稿日:2004/02/29(日) 12:47
すごく(・∀・)イイ!
みきよし大好きなもんで
数少ないですよね。
頑張ってください!!!!
続きまってまーすっ!
81 名前:弟七話 投稿日:2004/03/13(土) 00:43
「う〜ん・・・。」  
「どーしたの?ごっちん。」 
「何か・・・今日のよしこ、いつもと違う気がするんだよね。何か前の雰囲気に 
 戻った感じ。」 
「じゃあ最近はどうだったの?」 
「んー?変だったよ。ため息ついたり、ニヤニヤしたり。」 
 
・・・だから、それは・・・。でもごっちんってやっぱすごいんだよな。 
やっぱり私は美貴がいないと違うのかな・・・。  
 
「あ、事故現場行ってみた?目的知らないけどさ。」 
「あぁ、行ったよ。昨日。でもいなかった・・・。」 
「へ?いなかったって市井ちゃんが?いるわけないじゃん。」 
 
  あ、ヤベ・・・。 
 
「いや、えーと、そーじゃなくて、・・・ま、気にしないで。」 
「やっぱ変だね、今日のよしこ。」 
 
 



82 名前:弟七話 投稿日:2004/03/13(土) 00:54
美貴がいないと暇だな〜。このまま帰ってもやることないし。 
図書室にでも行ってみよっかな。それか、部活見学・・・。 
私は三年生だから引退しちゃってるけど、結構見るの好きだし。あ、もちろん 
バレー部のこと。・・・とか思ってたら、結局図書室に着いた。 
 
    ガラッ 
 
相変わらず利用者少ない・・・お。 
 
「亜弥ちゃんっ」 
「あ、吉澤先輩。」                 
 
何とそこには亜弥ちゃんの姿が。一人窓際で何か読んでる。 
へぇ、亜弥ちゃんって本読むんだ。・・・あれ?
 
「部活は?」 
「何か・・・今日はそんな気分じゃないんですよね。」 
「ほー。さぼりか。」 
「そーですよ。」 
83 名前:弟七話 投稿日:2004/03/13(土) 01:06
「ま、そんな日もあるよ。」 
「フフフ、誰ですか、先輩・」 
  
いいな〜。和む。亜弥ちゃんって、美貴と物凄く仲良かったから、勝手に 
ライバル視しちゃったこともあったけど、やっぱかわいいよな。 
 
「あのさ、亜弥ちゃんって私と美貴が付き合う前から美貴と仲良かったでしょ? 
 美貴、私のことなんか言ってなかった?」 
「あー、ほぼ毎日聞かされてましたね。今日はちょっと話したとか、 
 席が近くなったとか、授業中に目が合ったとか・・・。」 
「へ〜・・・そっか。」 
 
何か照れるな。つーか、可愛いじゃん、美貴。そーかそーか、そんなに私が 
好きか。・・・なんてね。多分私のほうが美貴を好きなんだろうけど。 
 
「亜弥ちゃんは?好きな人いないの?」 
「私ですかぁ!?・・・いないです。」 
「うっそだ〜。いるでしょ。赤ずきんちゃんなんて読んじゃってさ。」 
「・・・関係ないですよね?赤ずきんちゃんは。」 
「関係ないね・・・。おもしろい?」 
「おもしろいですよ。」   
  
84 名前:弟七話 投稿日:2004/03/13(土) 01:22
「よし、私も何か読もうかな。」 
 
  ガラッ 
 
「あー、亜弥ちゃん、こんなとこにいたんだ!」 
 
いきなり誰が入ってきたかと思えば、加護だった。しかもジャージ姿。 
加護は入ってくるなり、亜弥ちゃんの方へ詰め寄り、私には気づいて 
ないみたいだ。 
 
「もー。探したよ。部活行こっ!」 
「え〜、今日はいいよぉ。行っておいでよ、あいぼん。」 
「駄目だよ〜・・・あ。よっちゃん。」 
 
どうやらこっちに気が付いた様子。そっか、亜弥ちゃんを探しに来たのか。 
フと加護の方を見ると、何かニヤニヤしてる。・・・ん?ニヤニヤ? 
 
「そっか。そーゆーことか。わかった。じゃ、行くね?亜弥ちゃん。 
 お邪魔しました〜。」 
 
何なんだ?勝手に納得してどっか行っちゃったぞ。ま、いいか。 
静かになったし。 
 
「変な奴・・・。」 
「私、ちょっと行ってきます!」 
 
と言い残すと、物凄い勢いで亜弥ちゃんは出て行ってしまった。 
多分加護を追いかけに行ったんだろーけど。 
にしても何か顔が赤かったよーな・・・。ま、いいや。 
はー、一人だと静かだなぁ。 
 
「美貴〜・・・早く帰って来てよぉ。」 
 
・・・ハァ。何読もうかな・・・。 
 
85 名前:上海 投稿日:2004/03/13(土) 01:24
>>80さん 
ありがとうございます!みきよし、少ないですよね。私も大好きです!
86 名前:上海 投稿日:2004/03/13(土) 01:28
更新終了。また遅くなっちゃっいました。 
でも頑張るので宜しくお願いします。
87 名前:プリン 投稿日:2004/03/21(日) 20:16
待ってましたぁ!!!!!
最近はみきよし小説ばっかし探してるような気がしますw自分w
この作品はすごく面白いので大好きです!!!

頑張ってくださいね。待ってますから!
88 名前:第八話 投稿日:2004/03/23(火) 20:05
もう私が図書室に来て一時間が経つ。 
あれから亜弥ちゃんは戻ってこない。結局、部活にでたのかな〜。 
ってか、図書室ってやっぱ人気無いな。私は結構好きなのに。 
今は私の他に真面目そうな一年生がスミの方で自習してるだけだ。 
よし、そろそろ帰ろっかな。  
 
「じゃ、勉強頑張ってね。」 
「  え・・・。」 
89 名前:第八話 投稿日:2004/03/23(火) 20:17
校内はシーンとしている。みんな部活かぁ。えらいなぁ。 
下駄箱まで着き、自分の下駄箱を開けると手紙が3通。 
美貴と付き合ってるって事が知れ渡ってからこーゆーのは減ったんだけど、 
最近また復活したらしい。何か複雑だ・・・。それから校舎を後にした。 
 
 
カコーン   カコーン 
 
おー、やってるやってる。亜弥ちゃんは・・・あ、いた。 
コートのすみのベンチで加護と何か話してる。 
少しコートに近づくと、加護が気づいたらしく、手を振ってきた。 
一応曖昧に手を振りかえすと、今度は手招きしてきた。 
しょうがないな。行ってやるか・・・。
90 名前:第八話 投稿日:2004/03/23(火) 20:32
「何?何か用?」 
「べっつに〜、もう帰るの?」 
「まーね、何だよ、用無いのに呼ぶなよ。」 
 
何かフェンス越しって変な感じだな。 
 
「あ、亜弥ちゃん。結局でたんだ。」 
「はい。だってあいぼんが・・・。」 
「そーそー。あの後亜弥ちゃん追いかけてきてさぁ〜。 
 あいぼんが思ってるよーな事じゃないから他の人に言わないでって 
 言ってきてさ、だからテニスで勝てば言わないって言ったの。」 
「へー、どっちが勝ったの?」  
 
そう私が言うと、亜弥ちゃんの誇らしげな表情と、加護の拗ねたような顔。 
もう聞かなくっても分かるんだけど。 
 
「・・・亜弥ちゃん。」 
「良かったじゃん。変な事言いふらすなよ?」 
「そーだよ。私吉澤先輩と二人っきりだったなんて知られたら、 
 ファンに殺される・・・。」 
「分かってるよ。・・でも何で二人でいたの?」 
「偶然だよ。私が図書室に行ったら亜弥ちゃんがいたんだよ。」 
「なんだ、つまんない。」 
 
全く。コイツは・・・。なんだってこう噂好きなんだろう。 
亜弥ちゃんが勝って本当に良かった。 
 
「じゃあ、もう帰るね。」 
「バーイバーイ。」 
「さようなら〜」 




91 名前:第八話 投稿日:2004/03/23(火) 20:39
帰り道がこんなに長く感じるなんて、久しぶりだ。 
それに、今五時半だし。中途半端な時間になっちゃったな。 
ここ最近美貴がいたからな。やっぱ寂しいよ。うん。 
 
「 あ  」 
「え?」 
 
突然、後ろから声がして、振り向くと・・・えっと。誰だっけ。 
 
「吉澤さん!」 
「あー・・・っと。誰だっけ?」 
「小川ですよ。愛ちゃんの友達の。」 
「あー思い出した!」
92 名前:第八話 投稿日:2004/03/23(火) 20:49
「吉澤さんのおかげで、私すっごく救われたんですよ。 
 仲直りできなかった事ずっと後悔してたから。良かった〜会えて。 
 お礼いいたかったんですよ。」 
「そっかそっか。良かったじゃん・・・でも・・・。」 
 
小川さんと高橋さんが会えたのは、私じゃなくて、私の彼女のおかげ 
なんだけどな・・・。私の彼女の・・・美貴の。 
 
「吉澤さん!?」 
「え?」 
「何で泣いてるんですか?!」 
「え?私、泣いてる?」 
 
目の下辺りを制服の袖で拭うと、確かにぬれていた。 
わー、こんな涙もろかったっけな、私。 
美貴の顔思い出しただけでこれだよ。 
 
「どうしたんですか?私、何かしましたか?」 
「あ、違うよ。ホラ、あの時さ、感動的だったじゃん。 
 思い出しちゃってさ。」 
「それで泣いてたんですか?何かカッコイイですね。」 
「でしょ?私は人の感動が分かる人だから。」
93 名前:第八話 投稿日:2004/03/23(火) 20:56
小川さんは一瞬?な顔して、にこっと笑った。 
 
「吉澤さん、でも本当にかっこいいですよね。もてるでしょ。」 
「いやー、私、彼女いるしね。」 
「あ、やっぱいるんだ!でも帰り一緒じゃないんですか?」 
「まあね・・・。今あいついないから。」 
「え?どっか行ってるんですか?」 
「うん・・・。ちょっと上のほうに。」 
「・・・上?」 
「じゃあね。気をつけて帰れよ。」 
 
小川さんは口をぽっかりあけたまま、手だけ振った。 
そのまま、まだ少し家まで距離のある道を一人で帰った。 
きっと、一人で帰るのもあと少しの間だ。あと少し・・・。きっと、 
美貴が帰るまであと少し。
94 名前:上海 投稿日:2004/03/23(火) 20:59
>>87さん 
面白いですか!?有難うございます!待ってて下さいね。
95 名前:プリン 投稿日:2004/03/24(水) 14:57
更新キタ━(゚∀゚)━!!
お疲れ様ですw
毎日チェックしてますよぉ〜。

やっぱみきよし(・∀・)イイ!
よっちゃん・・゚・(ノД`)・゚・。
我慢だ。我慢。頑張れぇー!

次回も待ってますね。
お体に気をつけ、頑張ってください。
96 名前:名無しさん 投稿日:2004/04/05(月) 21:11
題名に引かれて見てみたら、見事にハマりましたw
みきよしかなり(・∀・)イイ!
更新頑張ってくらさいね。
97 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/15(木) 23:15
みきよし大好きです!!照れるミキてぃーカワイすぎるです!!
ずっと拝見させて頂いていました。
更新楽しみに待たせてもらっています☆
98 名前:第九話 投稿日:2004/04/17(土) 20:30
『結局、任務って何人くらいなの?』 
『さあな〜。減る事はないけど増えることはあるし。』 
『てゆーかさあ、情報少なすぎだよ!早く終わった方がいいんでしょ? 
 もーちょっと教えてくれたって・・・。』 
『そりゃ分かる事があれば教えてやりたいわ!こっちだって本当に 
 リストに載せてることしかわかってないんやで?』 
『えー・・・。・・・まあ、いいや。頑張るよ。 
 じゃあさ、期限ってきれたらどーなるの?』  
『そうやなー。まず、成仏できなくなる。大抵、一人一年くらいは 
 大丈夫なんやけど、リストに載ってるんは、死んだばかりの人とは 
 限らんからな。』 
『じゃあ、やり残した事無い人はいないの?』 
『・・・やり残しがないんなら、彷徨ってるわけないやろ。』 
『あ、そっか・・・。』 
 
全く、任務ってホンットわかんないよ。手掛かりアレだけなんて有り得ない。 
それに、こっちはつまんないし。若い子も中澤さんの言うとおり少ないし。 
向こうの方に行ったらいるかもしれないけど、エリアごとで
区切られてるからなかなか遊びにいけないし。 
美貴の町、老人が多いのかな・・・。
99 名前:第九話 投稿日:2004/04/17(土) 20:46
『藤本さん・・・?』 
 
ん?誰だっけ?あー、見たことはあるな。そういえばこの子美貴と同じ 
エリアだっけ。若いのに大変だねー。・・・なんで名字知ってんの!? 
 
『あの・・・誰だっけ?』 
『ひどーい!私ちゃんと覚えとったのに!高橋愛ですよ! 
 藤本さんのおかげでこっちにこれた・・・。』 
『あー!一人目か!久しぶりだね。でも美貴のおかげじゃなくて 
 よっちゃんさんのおかげだと思うよ?』 
『よっちゃんさん・・・?』 
『フフ・・・美貴の恋人!』 
『あ、知ってます。吉澤さんですよね?』 
 
恋人って部分に少しは触れなさいよ・・・。 
 
『あの、どーしたんですか?もしかして、藤本さんも・・・。』 
『ん?いや、美貴はちょっとの間帰ってきてるだけだよ。 
 中澤さんの勝手な都合によって・・・。』 
『そうなんですか。管理人さん、最近忙しかったみたいですよ?』 
『そーなの?』 
 
中澤さんの本来の仕事って、霊を成仏させる事だもんな。美貴たちとは 
やりかたが違うけど。美貴が引き受けた任務だって、ほんの一部にしか 
すぎないし。それに他の仕事だってあるだろうし。忙しーんだろーけど。 
だからっていろんな仕事美貴に押し付けやがって・・・。 
 
 

100 名前:第九話 投稿日:2004/04/17(土) 20:54
『そういえば、私の通ってた学校と、藤本さんが通ってた学校って、 
 近いんですよ。』 
『へ〜、知らなかった。』 
『それで、よく帰りとかにすれ違ったりしてたんやけど、その度に麻琴、 
 大騒ぎしてたんですよ。吉澤さんのファンになったらしくて。』 
『・・・何ぃ〜!?あん時知らないふりしてたのに!』 
 
あ〜。急に不安になってきた。小川さんは心配いらないと思うけど。 
あの人だ。美貴が良く知ってる、あの人。確かよっちゃんさんファン 
だったはず。直接聞いた事はないけど。なんとなく。そして、 
よっちゃんさんも、その子といる時はでれでれしてた。 
 
『亜弥ちゃん・・・。』 
『 ? 』 
 
 

101 名前:第九話 投稿日:2004/04/17(土) 21:03
「最近吉澤先輩かっこいいよね〜。」 
「前からかっこいいよ!」 
「そーだけどさあ、なんか、磨きがかかったってゆーか・・。」 
「あー、わかる。いつにもましてクールだよね。」 
 
朝。下駄箱で靴を履き替えてると、どうやら後輩たちがちょうど、 
この裏側で私のことを話している様子。 
ごめんね。クールなわけじゃなくて、美貴がいなくて元気ないだけ・・・。 
 
「でもさー、松浦先輩と付き合ってるって噂あるじゃん。」 
「そーなの!?え〜、でもやっぱ、吉澤先輩には藤本先輩がいいな。」 
 
でしょー!?やっぱ、誰から見ても私と美貴は・・・って。オイ。 
亜弥ちゃんと付き合ってる!?まさか・・・。加護のやつ。 
いや、いくらなんでも約束はやぶったりはしないはず・・・。 
でもどーしよう!すでに噂になってる!!・・・やばい。 
102 名前:上海 投稿日:2004/04/18(日) 00:26
>>95さん 
毎日ですか!?本当に申し訳ないです。ハイ、頑張ります!
 
>>96さん 
ありがとうございます!更新頑張ります! 
 
>>97さん 
私もみきよし大好きです!待って頂いてるのに遅くて申し訳ないです。
103 名前:プリン 投稿日:2004/04/18(日) 14:08
更新お疲れ様です!
待ってましたぁー!!!!
いえいえ。全然。遅くてもいいですよw

あやや!?ミキティ!?
どうなるんじゃ!よっちゃんさん!
ドキドキだなぁ・・・w

次回の更新待ってますね!
自分は待ち続けますんで!ガンバです!
104 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/21(水) 21:34
>97のモノです。いえいえ、気になさらないで
下さい!
めちゃ楽しいですから!
105 名前:弟10話 投稿日:2004/04/22(木) 21:08
「どうしよっごっちん!」 
「ハァ?なにがぁ?」 
「私と亜弥ちゃんって噂になってる!?」 
「あ〜、加護が言ってたね。そんな事。どーせまた嘘でしょ? 
 気にすんな!」 
「ごっち〜んっ」 
 
私、君の友だちで本当に良かったです! 
 
「でもこの学校って噂好きじゃん?しかもまっつんとよすぃこじゃすぐに 
 ひろまるよ。」 
  
       ガタッ! 
 
「!?」 
「そーだったの!?よっすぃ〜!」 
「え〜、ショック〜!」 
 
何だ!?そっ総立ち!?もしかしてみんな聞いてた!? 
しかもどーゆー聞き方してんだよ!嘘だっていってんのに! 
 
「みんな聞いてたんだ。しょーがないよね、この際だし 
 公表しちゃえば?」 
  
106 名前:弟10話 投稿日:2004/04/22(木) 21:14
ごっち〜ん!言ってることが違う! 
さっきすっげー感動したのに・・・。 
 
「みっみんな、違うからね?誤解だから!」 
「ま〜、美男美女だし・・・。」 
「相手があややじゃしょうがないかぁ・・・。」 
「でも寂し〜。」 
 
うわっ、誰も聞いてねぇ!しかも美男美女の「男」って私!? 
美貴に早く帰ってきて欲しいのに、この時ばかりは美貴がいなくて 
本当によかったと思ってしまった・・・。 
107 名前:弟10話 投稿日:2004/04/22(木) 21:27
『よし、もう帰ってええで。ほんま助かったわ。ご苦労やったな。』 
『マジ!?やったぁ!でもこれからどーすんの?』 
『あぁ、大丈夫や。最近は色んな人が働いてくれるようになったし。 
 引越しの手伝いとかは全部ふじもっちゃんがやってくれたし。』 
『そっか。・・・じゃあ、また何かあったら呼んでよ。』 
『そうさせてもらうわ。ずっとここにいて欲しい気もするけどな。 
 あんたいると楽やし。』 
『でも、任務終わったらず〜っとこっちにいなきゃいけないんでしょ?』 
『まあな・・・。ふじもっちゃんは・・・。』 
『え?』 
『やり残した事とかないん?』
108 名前:弟10話 投稿日:2004/04/22(木) 21:40
うっは〜、疲れた。朝から質問攻めだよぉ。違うって言ってんのに聞いて 
くれないし。どうしたら分かってくれるんだろ。 
 
「はぁ〜・・・。」 
「はぁ〜じゃないでしょ、若いんだから。」 
「うるさいな〜、って加護ぉ!」 
「キャー逃げろォ〜!!」 
「お前よくも〜!!」 
「つい言っちゃったんだよ。でもただ二人きりで図書室にいたって言った 
 だけだよ?」 
「・・・おまえなぁ!よし、校内放送で私の言った噂は嘘でしたって 
 白状しろ。」 
「え〜、嫌だよそんなこと。大体嘘は言ってないもんね。 
 それに、そのうち自然に気付くって。みんな。」 
「無責任だなぁ。ま、そうかも知れないね。普通にしてればただの噂 
 だってきづくか・・・。」 
「そうそう、よっちゃんが必死に否定するからみんな騒ぐんだよ。」 
 
こいつ、自分のせいで変な噂がひろまったって忘れてんじゃないか? 
それより、今回の事で一番迷惑なのは亜弥ちゃんだろうし、早めに 
謝っとこうかな。 
109 名前:弟10話 投稿日:2004/04/22(木) 22:02
『やり残した事?』 
『そう。あんたまだ若いんやし。』 
『でも美貴が死んだときはちゃんとこっちにこれたじゃん。』 
『一度こっちに来れても成仏しきれずにまた下へ戻ってしまう事も 
 あるしな。』 
 
やり残しか・・・。考えた事無かったな。任務の事ばっかで自分のこと 
まで気にしてられなかったし。 
 
『・・・やり残したことなんて、いっぱいありすぎて分かんないよ。 
 高校も卒業してないし、背だってもっと伸ばしたかったし。』 
『そうか・・・。』 
『それに、よっちゃんさんと焼肉二人で行ってなかった!』 
『・・・なんや、やり残した事のレベルはふじもっちゃんが一番低い  
 かもな。』 
『そんなことないもんね!』 
 
ずっと前から行こう行こうって言ってて、結局行ってなかったんだよね。 
中澤さんからレベル低いっていわれたけど、美貴としちゃすっごく 
楽しみにしてた。本当に行きたかったな。  
 
『で、どーやって帰ればいいの?』 
『あぁ、よし、自分が帰りたい場所思い浮かべて!』 
『うん。』 
『で、・・・その前に、・・・任務頑張ってな。それと、またな。』 
『うん。またね。』 
『思い浮かべた?じゃあ、そのまま瞬間移動・・・。』 
 
・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  
110 名前:弟10話 投稿日:2004/04/22(木) 22:14
「ごめんね、亜弥ちゃん。加護捕まえてみんなに誤解だったって言わせた 
 から、多分もう大丈夫だよ。」 
「いいんです。先輩が悪いんじゃないんだし。」 
 
あの後、加護にちゃんとみんなに言ってまわるように言ったから、 
みんなの誤解は解けた・・・と思う。これでもう騒ぐ事はないだろう。 
そんで昼休みに亜弥ちゃんを呼び出して、今に至る。 
 
「じゃあ、ごめんね。呼び出したりして。」
「あ、いえ・・・。あの、先輩・・。」 
「ん?」 
「私、別にでっちあげられても、嫌じゃなかったんです。 
 私・・・あの・・・。」 
『あの?』 
「!!」 
『何二人で話してんの?』 
「ぎゃー!!ごめん、亜弥ちゃん、また今度ね!!」 
 
  ダッ!    バタン 
 
「・・・先輩?」
  

111 名前:上海 投稿日:2004/04/22(木) 22:21
>>103さん 
ありがとうございます!気長に待ってて下さいね。 
どーすんだろ、よっちゃんさん・・・。 
 
>>104さん 
めちゃ楽しいですか!?そんな勿体無いお言葉・・。 
ありがとうございます!
112 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/29(木) 23:42
「弟ってなんやねん!」っていうツッコミはありですか?

113 名前:第十一話 投稿日:2004/05/05(水) 15:24
「美貴ィ!何でいるの!?」 
『何でって・・・戻って来たんだよ。悪かったね、お取り込み中。』 
「や、別に悪くないけど・・そっかぁ、戻って来たんだね。 
 楽しかった?」 
『全然!もう超疲れた!中澤さん、人使い荒い!』  
「そーなんだ・・。」 
『もっと喜んでよ!何日かぶりなんだよ?』 
「・・・うん。」 
『もうっ!』 
 
こんな風に普通に話してるけど、実は今結構やばい。どうやばいかって、 
心の中で祭りが行われてる状態。だって美貴が、あの美貴が目の前に 
いるんだよ!?すぐに戻る事は知ってたけど。 
 
『そっちは?楽しかった?美貴がいない間。』 
「・・・いや、つまんなかった。」 
『・・・・・。』 
「美貴。」 
『え?』 
「おかえりっ。」 
『・・・・ただいま!』
114 名前:第十一話 投稿日:2004/05/05(水) 15:40
『向こうでね、高橋さんに会った。』 
「へ〜、あの子か。私は小川さんに会ったよ。」 
『そっか、気を付けてね。』 
「は?」 
『いや、何でもない・・・。』 
 
学校から帰ってきて、今は私の部屋で楽しく(?)お話中。 
ほんの数日会ってないだけなのに、本当に久しぶりのような気がする。 
美貴に会って話せるのがこんなに嬉しいなんて、私これから先大丈夫 
なのかな・・・。 
 
『でもさぁ〜、びっくりしたよ。美貴が向こうに言ってる間、 
 よっちゃんさん泣いてたし。』 
「ハ!?もしかして、上から見てたの!?」 
『ううん、そんなことできないよ。』 
「え・・・。」 
『アハハハ!やっぱり泣いたんだ!』 
「あ、やっぱ泣いてないって!うそうそ!泣くわけないじゃん!」 
『そーなの?もうちょっと寂しがってくれてもいいのに・・・。』 
「や、え〜と、泣いたって言っても、ほんのちょっとだからね!」 
『やっぱり泣いたんだ。』 
 
・・・もうコイツ嫌だ! 
115 名前:第十一話 投稿日:2004/05/05(水) 16:16
『まぁいいや、任務頑張らないとね。』  
 
そんな事言いながらまだ美貴は笑いを堪えてる。・・・今に見てろよ。 

「あー、そっか、忘れてた。」 
 
任務つったら、え〜と。あ、市井さんだ!市井さんが事故現場にいなくて 
帰ろうとしたら管理人さんが来て・・・。うん。 
美貴はもう笑いが収まったようだ。別に笑うような事してないのに! 
 
「市井さんについて何か分からなかったの?」 
『うん。向こうも分かんないだって。』 
「そっか・・・。」 
 
てゆーかね、その美貴のつまらなそうな顔、最高。  
もう本当にどうしちゃったんだろう、私。多分前より、・・生前よりも、 
今のほうがずーっと、美貴のこと、好きな気がする。 
 
『あのね、美貴考えたんだ。事故現場にいないんだったら、市井さんの 
 想い出の場所とかにいるんじゃないかって・・・。』 
「想い出の場所?」 
『うん、霊ってさ、一番思い入れのある場所に執りつくから。』 
「そうなんだ。じゃあ、自分が死んだ場所に執りついてる霊って・・・。」 
『それは・・・怨念とか・・。』  
 
ハァ、こんな事普通に話してる自分が怖い・・・。

 

 
116 名前:第十一話 投稿日:2004/05/05(水) 17:11
『考えてみると、霊って暇だよね。ずーっと何年も何年も、同じ場所に 
 執りついてるじゃん。』 
「うん。」 
『やっぱ、ずっとこっちを彷徨うのは嫌だな。』 
「う〜ん、成仏したくない霊だっているんじゃない?」 
『そう?』 
「でも、任務やってて、霊がすっごく身近に感じるようになったよ。 
 怖いものだってずっと思ってたけど、そこら辺の人と変わらないし。」 
『・・・美貴は幸せなんだね。死んでからもよっちゃんさんと一緒に 
 いれるんだから。』 
「なんだよ、急に・・・。」 
 
照れるじゃんか!・・・なんでそんなに深刻そうな顔してるんだよォ。 
 
「・・・なら、私だって幸せだよ。美貴と一緒にいれて。」 
 
どうだ、きまった!? 
 
『でも、もし美貴が生きてたら、もっとずっと長くいられたんだよ?』 
 
どうしちゃったんだろ、美貴。さっきのきまったと思ったのに。 
それに、ちょっと涙ぐんでるじゃんか・・・。 
 
『一緒に高校卒業したり、カラオケ行ったり、プリクラ撮ったり、 
 ・・・・焼肉行ったりもできたんだよ?』 
 
向こうで何か言われたのかなぁ。こんなの美貴らしくない!そんなこと、 
どうだっていいのに!生きてたってそうじゃなくたって関係ない!  
私はこうやって美貴に逢えたことに感謝しなきゃいけないのに。 
 
117 名前:第十一話 投稿日:2004/05/05(水) 17:26
「もし、なんて考えなくていいんだよ!私は幸せだよ。もうね、美貴と 
 逢えただけで、その時点で幸せなんだよ。今なんて独り占めだよ?」 
『よっちゃんさん・・・。』 
 
ごめん、くさ過ぎた・・・。美貴は、私にも聞こえないくらい小さい声で 
ありがとうって言った。いつも前向きで、気が強くて、ツッコミが激しい 
美貴が、たまにこんなんだから、私やっぱり美貴のこと好きなんだなぁ、 
って思っちゃうんだよ。美貴の方をみると、なにか考えてる様子。 
さっきと違って目はからっからだけど。 
 
『・・・そーだよね!?美貴も幸せだけど、よっちゃんさんも幸せだよ! 
 だって美貴が恋人なんだよ!?この幸せ者め!美貴だって自分を彼女に 
 したいと思うし、うん。』 
 
・・・こーゆー奴なんだよ。やたら立ち直り早くて、自信家。まあ、 
滅多に落ち込まないけどね、この人。ってゆーか趣旨ずれてないか? 
後半ちょっと亜弥ちゃんはいってたし・・・。 
 
『中澤さんにさ、』 
「ん!?」 
 
いきなり話変わったな。また暗めだし・・。 
 
『任務の事聞いたら、人数は増えることあるって言ってたの。』 
「うん。」 
『それでね?美貴、人数増えればいいなって、任務がずっと続けば 
 いいなって、思っちゃったよ。』   
 
118 名前:上海 投稿日:2004/05/05(水) 17:30
>>112さん 
ごめんなさいっ!間違えました。ご指摘ありがとうございます。
119 名前:イーグルボーイ 投稿日:2004/05/05(水) 23:37
すごく好きです!この作品は何度読んでもイイッ・・!!
更新待っています!
120 名前:上海 投稿日:2004/05/25(火) 13:21
「お、よっすぃ。今日は明るいね!この前いつもと違うって言ったの 
 気にしてた?」 
「え?いや、別に・・・。」 
 
すごい・・・。なんて奴なんだ。私、別に普通にしてるのに。 
なんかごっちんは美貴の電波でも受信してんのか!?それとも、私、 
本当にわかりやすいのかな・・・。 
 
「ここ最近、寂しそうだったからちょっと気になってたんだよね。」 
 
・・・なんかニヤけてるぞ、ごっちん。つーかね、そんな事いったら、 
ホラ、美貴が。 
 
『・・・・・。』 
 
喜んじゃうだろ!あぁ、くそ!そんなニヤニヤするなよな!どーせ 
寂しかったよ!でも、私のことバカにするけど、美貴だって寂しがってた 
に違いない! 
 
『そっかぁ、寂しかったんだね、ごめんねぇ、よっちゃんさん。』  
 
むっ・・・むかつく!なんだよ、美貴なんか席替えして離れちゃった時、 
しばらくの間不機嫌だったくせに。 
 
『もー。そんなにらまないの。ほら、市井さんのこと聞いてよ。』 
「(憶えてろ!)あ、あのさ。」 
「え?」 
「市井さんのことなんだけど、市井さんの好きだった場所、しらない?」 
「え〜・・・どうだろ。やっぱ自分の家とか?」 
「家・・・。」 
「う〜ん、でもお父さんと仲悪かったみたいだし。 
 ごめん、わかんないよ。」 
「あ、いいよ、ありがとう。」  
「・・・なんか、やけに熱心だね、市井ちゃん研究。」 
「う・・・まあね。」 
121 名前:第十二話 投稿日:2004/05/25(火) 13:39
「吉澤先輩!松浦先輩とは本当に付き合ってないんですか!?」
 
「あの噂って嘘なんですか?」 
 
「あややとの噂って・・・」 
 
「今度の学園新聞に・・」  
 
・・・・だーーー!!!うるさいぃぃ!!どいつもこいつも! 
さっきからなんだよ、ったく。大体なんで私がこんな目にあわなきゃ 
いけないんだよ。 
 
『ねえ、さっきから亜弥ちゃんとの噂って・・・何?』   
「!あ、いや、えーと・・・かっ加護がね、勝手に広めちゃって・・。」 
『広まるようなことがあったんだ?』  
「ないよっ!全然!ただ、図書室で亜弥ちゃんが赤ずきんちゃん読んでて 
 そこへ私が入ってきて・・・」 
『二人っきりになって、・・・何したの?』 
「なっ何もないって!亜弥ちゃんすぐ出てっちゃったし!」 
 
怖いよ〜。何で私ばっかり!みんな亜弥ちゃんには聞かないんだもんな。 
 
『まあいい。・・・でも、他になにかあったんでしょ?』 
「ないってば!」 
『だって美貴が帰って来たとき、屋上で二人っきりだったじゃん。』 
「あ・・・あれは!私が呼び出したの!」 
『何それ!もっと駄目じゃん!』 
「わー、ちがうちがうっ!噂が広まっちゃったから、亜弥ちゃんに 
 謝ろうと思って・・・。」 
 
・・・美貴黙っちゃったよ。なんだよう、ちゃんと全部話したのに。 
ここはひとつ、美貴が一番好きだよ、なんて言ってごまか・・・いや、 
説得して・・。 
 

122 名前:第十二話 投稿日:2004/05/25(火) 13:49
「みっ・・・」 
『−何てね。本当は、わかってるよ。何もなかったことぐらい。 
 よっちゃんさんの表情見てたら。』 
「え・・・。」 
『よっちゃんさんは美貴しか見えてないみたいだし。』 
「・・・。」 
『そーじゃなかったらたった何日か会ってないぐらいで泣かないよね。』 
 
さっきから言いたい放題だな、この人。確かに泣いたけど、ほんの数秒 
じゃんか。美貴も泣いたのかどうか探りたいけど、私は美貴ほど頭の 
キレがよくないから無理。でも何か悔しいぞ。 
 
『・・・何も言い返さないの?』 
「だって・・・。」 
『言い返せないんだ!』 
「・・・・。」 
『よっちゃんさん、』 
「なっ、何?」 
『・・・大好きだよっ!』 
 
・・・美貴はずるいと思う。でもやっぱり私、どうしようもなく 
美貴が好きなんだ・・・。悔しいけど。 
 
「・・・知ってるよ。」 
123 名前:上海 投稿日:2004/05/25(火) 13:52
>>119さん 
ありがとうございます!私、イーグルボーイさんの作品大好きですっ! 
更新頑張ります。
124 名前:上海 投稿日:2004/05/25(火) 13:55
めっちゃ短いけど更新終了です。あ、>>120、名前のままだ・・。
125 名前:名無しさん 投稿日:2004/05/26(水) 15:58
藤本いじわるだw
でもいい!
126 名前:第十三話 投稿日:2004/07/02(金) 16:14
私は今日もいつもと変わらぬ…、いや、普通よりは変わっているだろう 
日々を過ごしていた。授業も終わった放課後。 
廊下に出た私を待っていたものは… 
 
「吉澤っ!」 
 
飯田先生だった。結構びっくりしたけど、やっぱりキレイですね、先生。 
まぁ、そんなことはどうでもいいが。 
 
「…ずっと、気になってはいたんだけど。 
 吉澤の後ろ、何か憑いてない?」 
 
『「!!」』 
 
「あー。ゴメンね。変な事言って。ちょっと何かを感じたの。 
 私、宇宙と交信できるからね。じゃあ、何かあったら相談してね〜。」 
「はい、さようなら…。」 
 
知ってます。有名です。だからって美貴と交信しなくても…。 
 
『び、びっくりして耳がでかくなちゃった。』 
 
…ほう。いつもツッコミだからたまには私にツッコンで欲しいと 
いうのか。しかし、現実はそうあまくない。 
 
「あの人怖いよね、もう。でもさ、霊能力ある人ってやっぱり美貴が 
 見えたりするの?」 

 
127 名前:第十三話 投稿日:2004/07/02(金) 16:19
『フ。それがね、美貴は他の霊とこっちにいる理由が違うから 
 よっぽどすごい人じゃないと見えないよ。それに、 
 誰かの後ろに霊がいるのはそんなに珍しくないから、美貴を 
 知ってる人じゃなきゃ別に気にしないと思うよ。』 
「そうなんだ…。」 
 
さり気なく怖いよ、美貴ちゃんさん。 
 
 
128 名前:第十三話 投稿日:2004/07/02(金) 16:35
少し痛めの視線を感じながら、それでも前だけを見て前進 
した。気にするもんか。どうせ私はひとり言のスペシャリスト 
です。(周りからみれば) 
 
「先輩っ!」 
「ん?あ、亜弥ちゃん。」 
 
今度は亜弥ちゃんか。相変わらず可愛い。今から部活かな? 
美貴はとても明るい笑顔で亜弥ちゃんに手を振っている。 
 
「あの…。」 
「え?なに?」 
「……。」 
「あ、もしかしてあの屋上の続き?ごめんね、あの時は。 
 で、何だったの?」 
「…あー、あのことですか。アレは…。」 
 
あの事ですかって、もしかして違ってた!? 
 
「気にしないで下さい。」 
「え?いや、気にするって。」 
「いや、本当に…どうでもいい話ですから。」 
「もしかして怒ってる!?ほんっとごめんね?」 
「違うんです、怒ってませんよぉ。とにかく、もう忘れて 
 いんです。忘れて下さい。」 
「…亜弥ちゃん?」 
 
亜弥ちゃんは走って向こうの方へ行ってしまった。本当に 
どうでもいい話だったのかな。あのとき、真剣だったけど。 
 
「ねぇ、美貴、何だと思う?」 
『…愛の告白かな。』 
「…真面目に言ってんだぞ、もう。」 
『美貴も真面目だよ…。』 
「よし、何がなんでも聞き出してやる。」
『だから、告白だってば。』 
「もう、有り得ないだろ。」 

  
 
 
129 名前:第十三話 投稿日:2004/07/02(金) 16:42
どっちかって言うと、嫌われてるかもね。亜弥ちゃんは美貴の 
前だとすっごく楽しそうだし、加護や、友だちの前でもそう 
なのに、私といるときは何か変だ。いつもの明るさ半減って 
感じ。 
 
「…嫌われるようなことしてないのになぁ。」 
 
もしかして、亜弥ちゃんは美貴のことが大っ好きだったから 
私に嫉妬してるとか?? 
隣で美貴が溜め息をついたのが聞こえた。  
 
130 名前:第十三話 投稿日:2004/07/02(金) 16:51
「先輩さようなら〜!」 
「うん、さよなら。」 
 
手をひらひらさせると、二人ほどいる後輩たちは、 
キャー、などと言って去っていった。さすがは私。 
これほどまでに後輩受けするのに、何故亜弥ちゃんには…。 
 
「よしこ!」 
「 え? 」 
 
後ろを振り向くと、ごっちんが私めがけて走ってる。 
なんだか今日は次から次に…。 
 
「〜っはぁ!思い出しの!市井ちゃんは、やぐっつぁんと 
 知り合いだったはずだよ。」 
 
息を切らせながら話す彼女はやはり私の親友。 
ありがとう、ごめんね。君の勇姿に感動しました。 
 
「矢口先生?」 
「うん。聞いてみたら?」 
「わかった、ありがとう!」
131 名前:第十三話 投稿日:2004/07/02(金) 16:59
今来た道を引き返して、職員室に向かった。 
あ、保田先生だ。ちょうどいいから聞こう。 
 
「先生、今、職員室に矢口先生いますか?」 
「矢口?今日出張でしょ?」 
「なっ…」 
 
何ィー!?そうなの?今日矢口先生の授業ないから知らな 
かった。せっかく何かわかると思ったに。 
 
「どーする?美貴ィ…。」 
『しょーがない、明日にしよう。先生の携帯番号とか 
 知らない?』 
「知ってるわけないでしょう。うん、明日にするか。」 
 
矢口先生、私、出直してくるので明日はきっといて下さい。 
有力情報お待ちしてます。
132 名前:上海 投稿日:2004/07/02(金) 17:03
>>125さん 
ありがとうございます。藤本さん、少し意地悪すぎましたかねぇ?
133 名前:上海 投稿日:2004/07/02(金) 17:08
…ageてしまいました。以後気を付けます。 
ミス発見。 
>>130のごっちんのセリフ、思い出しの!ではなく思い出した 
の!です。 
あと、>>131のは、思ったに、ではなく思ったのに、です。 
つまらないミスを連発してすみません。 


134 名前:弟十四話 投稿日:2004/07/09(金) 17:34
「昨日確かやぐっつあん出張だったんだよね。 
 ごめん、忘れてた。」 
「いやいや、かなり助かりました。」 
「それより、またテストあるでしょ?大丈夫なの?」 
「あ、あはは…。うん、大丈夫。」 
 
これでも一応受験生だからね。ちなみに私が志望する大学は 
先生曰く、まぁ、いけるだろ、なのであまり心配してない。 
 
「はぁ、私本当やばいかも。第一志望変えよっかな…。」 
「大丈夫だって。ごっちんはやればできる子だから。」 
「…なんか先生みたいだね。うん、頑張る。 
 ね、よしこやっぱさ、ミキティに教わったりしてるの?」 
「え?あいつ頭良かったけ?」  
『……。』 
「美術以外は良かったと思うよ。」 
『……。』 
 
え、ちょっと待て。会話がおかしくない?進行形? 
 
「ごっちん、まさか…。」 
「ハイ、そのまさかです。見えるよ。」 
『「…えぇーーーー!!??」』 
「どうしたの?」 
「いや、…いっいつから!?」 
「あぁ、最近なんだけどね。初めはほんとぼんやりとしか 
 見えなかったんだけど、今日見るとくっきり。 
 びっくりした。おはよう、ミキティ。」 
『お、おはよう…。」 
「でも、よしこも見えるんだね。」 
「私は別に霊能力とかないんだけどね…。」  
 
135 名前:弟十四話 投稿日:2004/07/09(金) 17:47
何で!?なんでみえるの!?ごっちん。前から霊感あること 
くらいは知ってたけど。  
 
「市井ちゃん研究と何か関係あるの?」 
「うん。」 
 
この際だから、ごっちんに任務のことを全て話した。 
別に管理人さんに口止めされてるわけじゃないし、市井さん 
と知り合いであるごっちんが味方なのは心強い。 
 
「…楽しそうじゃん。早く言ってくれれば良かったのに。」 
「言えるわけないよ!誰も信じないって、普通。」 
「そう?…なるほど、だから誰とも付き合わなかったのか。 
 これじゃあまっつーは当分無理だね。」 
「 は? 」 
「まっつーって普段積極的なくせに、よしこの前だとあれ 
 だもんな〜。」 
「…びびられてんの?!私。」 
「…もうこの人は放っておこう。」 
『そうだね。』 
 
なんだよ、二人して。亜弥ちゃんは今関係ないでしょ!? 
何だってんだよ。 
 
「でも、久しぶりだよね、ミキティ!懐かしい〜!」 
『うん、久しぶり!最近よっちゃんさんとしか話して 
 なかったからさ〜。』 
「そーか、ひまだったでしょ?」 
『うん。』 
 
何ソレ、結構悲しいよ。まじで。 

136 名前:弟十四話 投稿日:2004/07/09(金) 18:13
ってゆーか、すごいよごっちん。何者なんだ。 
まさか美貴が見えるなんて。 
なんか、こうして見ると美貴が私以外の人と話してるって、 
本当に久しぶりだな。ちょっと前に戻ったみたいだ。  
 
 
 
 
「紗耶香?あぁ、高校一緒だったよ。どうかした?」 
「わあ、ナイスです。さっそくですが、市井さんの想い出 
 場所はといいますと…」 
「(さっそく?)想い出の場所?どこだろ。…あ!あれだ。 
 あの丘の上の展望台!」 
「展望台…。あそこってまだ人来るんですか?」 
「ううん。随分前から誰も利用してないよ。紗耶香は、 
 あそこでよく歌の練習してた。」 
「歌?」 
「シンガーソングライターになる事が夢だったの。」 
「そうですか。…じゃあ、ありがとうございました!」 
 
これはなかなかの有力情報だ。展望台に行ったら市井さんに 
会えるかもしれない。
 
 
 
 
 
137 名前:弟十四話 投稿日:2004/07/09(金) 18:17
「へえ、展望台か…。市井ちゃん、後藤にはそんなこと 
 言ってなかったのに。」 
 
あれ?ごっちんって一人称私じゃなかった?…まあ、いい。 
 
「で?どうするの?早速行く?」 
「うん。早速行くよ。」 
「よし、じゃあ後藤も行く!」 
「うん、是非!」 
138 名前:弟十四話 投稿日:2004/07/09(金) 18:22
「あー、よっちゃんとごっちん!」 
「こら、先輩に向かってなんですか。」 
「あは。あいぼん元気?」 
「元気〜。ね、亜弥ちゃん知らない?」 
「まっつー?見てないよ?今日休み?」 
「ううん、朝一緒に来たけど…。」 
『…屋上だ。』 
「「え?」」 
『絶対屋上!』 
「…らしいね、ごっちん。まず、この人が言うんだから。」 
「みたいだね。よし、あいぼん、まっつーは屋上です。」 
「?本当?じゃあ行ってみる。」  
139 名前:弟十四話 投稿日:2004/07/09(金) 18:32
「…ねえ、加護は何故私に対する態度とごっちんに対する 
 態度がちがうの?」 
「それはよしこがあいぼんをいじめるからでしょ。」 
「いじめられてるのはこっちだ。」 
「そう?でも後輩は可愛がらなきゃ駄目だよ?」 
「日々可愛がってるよ。」 
 
…しかし、何で美貴は亜弥ちゃんが屋上にいると言えるんだ? 
これでいなかったら面白いのにな。」 
 
「随分自信たっぷりだったね。なんでわかったの?」 
『美貴と亜弥ちゃんには通じ合えるなにかがあるの。』 
「すごい、とても感動的だね。」 
『でしょ?』 
 
…個人的に、この二人のやりとりは結構ツボだ。 
美貴は、私と付き合う前、それはそれは可愛らしい子だった。 
本人曰く、よっちゃんさんに合わせてたら自然と…らしい。  
何か、超清純そうな感じだったよ、美貴は。 
実際違ってたみたいだけど。
140 名前:弟十四話 投稿日:2004/07/09(金) 18:44
「うおー、流石に放置されてただけあるな。」 
「う〜ん。もうちょっと上に行こう。」 
 
矢口先生に教えてもらった場所に早速来た。 
これをもう少し上った所に見渡せる場所がある。 
でも、そこまでの道は何か、草とか生え放題だ。 
 
「あは、みてみて、変な色のキノコ!」 
「…いや、怪しいよそれ。」 
 
今、季節は秋だ。ちなみにうちの体育際は、一学期に 
行われる。キノコは秋に相応しい物だが、ごっちんが 
見つけたそれは、とてもセンスの悪い色をしていた。 
きっと食せばどうにかなってしまうんだろう。 
 
ごっちんは少し名残惜しそうにそのキノコを捨てた。そして 
私たちは更に進んだ。ま、別に道が険しいわけでも、距離 
があるわけでもないんだけど。 
そして、広い場所に出た。 
 
『ね、何か聞こえない?』 
「?そう?ごっちんは?」 
「んんー?」 
 
耳を傾けてみた。…確かに。 
私の耳に届いたのは、女の人の歌声だった。 
141 名前:上海 投稿日:2004/07/09(金) 18:49
更新終了です。 
また弟になってますね。第です。何度もすみません。 
他にも細かなミスが多々ありますが、どうか気に 
なさらないで下さい…。
142 名前:名無しさん 投稿日:2004/07/12(月) 13:41
おお!なんか楽しげな展開になってますね
同じく個人的に、あの二人結構ツボですw

>>132
いえいえ、とても心地の良い意地悪(?)でしたよ
143 名前:第十五話 投稿日:2004/07/25(日) 10:12
何だろ?この歌、聞いたことないな。…じゃなくて。 
 
「市井ちゃん!?」 
 
いち早く駆け寄っていったごっちんが彼女をそう呼んだ。 
やっぱり、市井さんなのかな。ってゆーかごっちん、 
何でも見えるんだね…。  
 
〔…後藤!?〕 
 
私も顔がよく見える位置まで来た。この人が市井さんか。 
髪は短くって顔もきれいで。うん。イメージ通り。 
市井さんって感じだ。ごっちんに話しかけられて 
吃驚してるけど。そりゃあねぇ…。 
 
「あは、市井ちゃんだ。」 
〔後藤っ?何でいるの!?ってゆーか何で見えるの!?〕
「えー…何でかな。」 
〔お前、もしかしてとうとう…。〕  
「いやいや、生きてるけどぉ…。」 
 
市井さんはすごいんだな。いや、ただ単純にそう思っただけ。 
144 名前:第十五話 投稿日:2004/07/25(日) 10:23
『市井さんですよね。』 
〔そうだけど。あんたも霊?…だよね。〕 
『そうですよ。あ、美貴は藤本美貴っていいます。』 
 
…美貴は藤本美貴…。やべぇ、吹き出しそう。 
こんなときくらい私って言えないのかね。 
 
『実は、管理人さんからの任務で…。』 
〔大体、見当つく。私を成仏させに来たんでしょ?一回、 
 その管理人さんがここに来たことあるし。〕 
 
何だと。じゃあ市井さんがここにいることしってたんじゃ 
ないか。管理人め…! 
 
『中澤さん、来たんですか。』 
 
美貴、私の存在忘れてない?こんな物陰にいる私も私 
だけど。だって初対面の人って苦手なんだよ!特に年上!  
まあ、いつまでもいるわけにはいかないし。 
 
『あ、よっちゃんさん。どこにいたの?』 
「…ちょっとね。あの、初めまして。吉澤ひとみです。」 
〔あぁ、どうも。何だ、みんな私が見えるの?〕 
「私は任務のせいで見えてるんです。ごっちんは…」
145 名前:第十五話 投稿日:2004/07/25(日) 10:29
〔…ごとう!?〕 
「ごっちん!?」 
 
見ると、ごっちんは声を殺して泣いていた。 
 
『どうしたの?』 
「…なんでもない。…久しぶりだね、市井ちゃん。」 
 
あぁ、我慢してたんだ。ごっちんは聞いていいことだって 
あるって言ったけど、私に市井さんのこと話してくれてる時 
どんだけ辛かったんだろう。 
 
〔…うん、久しぶりだね、後藤。よし、私、成仏するよ。 
 で?そうすればいいの?〕 
『やり残したことないですか?この世に悔いがなくなれば 
 成仏できるんです。』 
〔やり残した事…。〕  
146 名前:第十五話 投稿日:2004/07/25(日) 10:33
『ほら、例えば友だちと喧嘩したまんまとか。』 
「もっと焼肉に行きたかったとか?」 
『…とっとにかく、ないですか?』 
〔…あるよ。歌手になれなかったのも心残りだけど、それより 
 お父さんに認めてもらえなかったことが一番かな。  
 …話せば長くなるけど、いい?〕 
「どうぞどうぞ!」 
147 名前:第十五話 投稿日:2004/07/25(日) 10:46
〔私は、高校時代からずっと歌手になりたくて、でも教師や 
 両親にはずっと反対されてたの。当たり前の事だけど。   
 歌手になれる保障なんてないんだし、親としては、 
 大学卒業して、ちゃんとした職に就いて欲しいに決まって 
 る。でも、私は諦めれなくってさ。反対されると逆に 
 燃えるじゃん。それに、行きたい大学なんてなかったし。 
 それで、高校卒業したらすぐに家を出たんだ。もちろん、 
 親には内緒で。お金はバイトで貯めて自分で何とかした。 
 でも、家を出る前に、自分で曲を作ったの。 
 それをお父さんに聞いて欲しいって、頼んだけど、 
 駄目だった。全く聞いてくれなかった。でも、初めから 
 聞いてくれるなんて思ってなかったし、それにどっちにしろ 
 家をでるつもりだった。だから、その曲をお父さんに 
 聞いてもらいたいんだ。〕  
『お父さんに…。』 
「あっあの、交通事故って…。」  
148 名前:第十五話 投稿日:2004/07/25(日) 10:54
〔あぁ、何か気持ちの整理がついてなかったからかな。 
 家を出て数日後に、相手の不注意で、そのまま。〕 
『…会いに行きましょう、お父さんに。』 
〔本当に?でも、向こうは私が見えないじゃん。〕 
『でも、とにかく…。』 
「ねえ、市井さんのお父さんがそこに市井さんがいるって 
 こと信じたら見えるんでしょ?高橋さんの時みえたし。」 
『まぁ、そうだけど。…信じるようなお父さんですか?』 
〔いや、全然。信じるようなお父さんじゃないっす。〕  
『んんー、どうすればいいんだろ。』
『…お困りの様ですなぁ。』 
『中澤さん!?』 
 
…またでた。忙しいんじゃなかったの、この人。 
149 名前:上海 投稿日:2004/07/25(日) 10:56
すいません、また夜更新します。では。
150 名前:上海 投稿日:2004/07/25(日) 10:59
すいません、>>145の市井さんのセリフ、そうすればいいの? 
ではなくどうすればいいの?です。
151 名前:第十五話 投稿日:2004/07/25(日) 20:30
『いやー、この間はご苦労やったな。でも今回は別に 
 ふじもっちゃんをさらいに来たわけやないから安心 
 してな。』 
『じゃあ、手助けしてくれるの?』 
 
元々手助けしてるのはこっちだけどね。 
 
『まあ、そうやな。用は親父さんに見えればえんやろ?』 
〔できるんですか?〕 
『管理人を甘く見たらあかんで。早速行こうや。』 
〔や、あの…お父さん、夜にならないと帰って来ない 
 んです。〕 
『…しゃあないな。夜まで待つか。』 
「私たちはどうすればいいんですか?」 
『あー、一回帰ってまたここに来て。夕飯食べてからで 
 ええから。…あれ、この子誰?』 
「私!?よしこの同級生の後藤真希です。」
152 名前:第十五話 投稿日:2004/07/25(日) 20:40
『あんた、何で見えるん?何者?』 
「何でって言われても。見えるんだもん。それに、後藤 
 だって市井ちゃんの手助けしたい。」 
 
なんだか、市井さんがいる時、あるいは市井さんの話題 
の時のごっちんって可愛さがいつもの5割増しだよな。 
 
『よっちゃんさん、もう6時だよ!?早く帰ろう!』 
「あ、うん。何時に来ればいいんですか?」 
〔お父さんが帰ってくるのが大体7時半頃だから、7時 
 くらい?〕 
「わかりました。急ごうっ美貴!」 
「あ、後藤も帰る!」 
 
わ、もう真っ暗じゃん。走って帰ると危ないな。 
 
「歩こう、走ったら危ないよ。」 
『えぇ!?間に合うかな。あと一時間だよ。』 
「大丈夫、家までそんな遠くないし。あ、でもごっちんは 
 結構遠いよね。」  
153 名前:第十五話 投稿日:2004/07/25(日) 20:43
「大丈夫、よしこの家で食べるから。」 
『なるほど。いいね、それ。』 
「でしょ?後藤って天才?」 
『天才天才。やっぱり咄嗟に思いつくって大事だよね。』 
「そうだよねっ!」 
 
…だから、ツボなんだって。それにしてもごっちんには 
遠慮という言葉がないのかね。いや、迷惑なわけじゃ 
決してないけど。家の弟が…。 
  
154 名前:第十五話 投稿日:2004/07/25(日) 20:57
「ただいまぁ〜。」 
「お邪魔します。」   
  
   バタバタバタッ 
 
「あーっ!ごっちんだごっちん!」 
「わー、いらっしゃい!」 
「あは、どーも。」 
「はいはい、お前ら夕飯食べたの?」 
「食べたわけないだろ。まだ六時過ぎだよ?ねえ、 
 遊ぼうよごっちん!」 
 
…そう、私の弟たちは、大のごっちんファンなのだ。 
中学時代、初めてうちにやって来たごっちんは、格闘ゲーム 
じゃ私ですら勝てない弟たちに、勝ってしまったのだ。 
その後も、隠れキャラを出したり、ハイスコアを出したり、 
ラスボスを倒したりと、ありとあらゆるゲームで活躍した 
ごっちんを、弟たちは尊敬の対象にしてしまったのだ。 
 
「あら、真希ちゃんいらっしゃい!夕飯食べない?」 
「あ、はい。いただきます!」 
 
だってそれが目的なんだしね。に、してもどうして家の 
家族はこんなにごっちん好きなんだろう? 
 
「ねえ、おかあさんっ時間ないんだ。もうできる?」 
「できるけど、どこか行くの?」 
「うん、9時にはならないと思うから。」 
 
あ、その前に制服着替えないと。よし、なんだかワクワク 
してきたぞ。
155 名前:上海 投稿日:2004/07/25(日) 20:58
更新終了です。
156 名前:上海 投稿日:2004/07/25(日) 21:04
>>142さん 
おぉ、あの二人結構ツボですか。心地の良い意地悪でしたか?w 
ありがとうございます!
157 名前:名無しさん 投稿日:2004/08/30(月) 00:49
後藤さん何者なんでしょうね
一時的なものなのかな?
158 名前:上海 投稿日:2004/09/28(火) 17:19
約2ヶ月もの間、放置していたことに、お詫び申し上げます。  
こんな状態が多々続くことに、責任を感じて、一度は打ち切りも考えた 
んですが、それも無責任というか何というか。なので、完結はさせます。 
絶対に。いい加減愛想が尽きた方も大勢いらっしゃると思いますが、 
読んでくださってる方、どうか最後までお付き合い願います。
次回の更新は、今週中にするつもりです。
159 名前:上海 投稿日:2004/09/28(火) 17:27
>>157さん 
後藤さんは一時的なものも多少あると思いますが、彼女は生まれながらに 
霊感の持ち主ですから。レス下さったのに返事が遅くなって申し訳 
ございません。
160 名前:名無しさん 投稿日:2004/10/02(土) 22:11
>>158
ゆっくりでいいんでがんがれ!
161 名前:第十六話 投稿日:2004/10/03(日) 21:59
〔あの…私、お父さんに会って何を話せばいいんですか? 
 散々迷惑かけたし、言うこと聞かなかったし、今更、合わせる顔が 
 ないってゆーか…。〕 
『何を言うてんねん。あの子らも協力してくれてるんや。  
 弱気になってどないするん?今更会いたくないなんて、通用せんで。』 
〔でっでも…。私、今でも少しお父さんが怖いんです。お父さんは 
 私の歌なんて聴いてくれるでしょうか。〕  
『そんなの、分からんやろ。とにかく、絶対に会ってもらうで。 
 それに、ずっと会ってないわけやし、久し振りに会いたくないん?』 
〔…まあ、そりゃあ会いたいですけど。〕 
『よし。なら、会って何を話せばいいかとか、歌を聴いてくれるか、とか  
 面倒くさいことは考えんでええんや。』 
〔はあ、…そうします。〕
162 名前:第十六話 投稿日:2004/10/03(日) 22:12
『おー、早かったな。まだ7時になってへんで。』 
「急いだんですよ。」 
『ん、せかっくやし、早めに行こうか?』 
 
 
『もう一度確認やけど、お父さんにさえ見えればいいんやな? 』 
〔はい、いいんです。それで満足ですから。〕 
『よし、分かった。』 
  
市井さんの家から少し離れた物陰。時刻は既に7時過ぎだ。  
暇なので雑談したりしていたんだけど。 
  
「あ、市井ちゃん。もう7時半過ぎてる。」 
〔え、あれ?今日は遅いのかな…。〕 
 
しまった。市井さんのお父さんの帰宅が遅れることを考えてなかった。 
どうしよう。飲み会とかだったら当分帰ってこないぞ。 
 
『誰か来ますよ!あの人じゃないですか?』 
 
こっちに向かってくる人を、美貴がいち早く見つけた。 
ここは住宅街だし、時間が時間だけあって、人通りは少ない。 
加えて前方にいる人は中年男性。 
間違いない、と思う。この人は…。 
163 名前:第十六話 投稿日:2004/10/03(日) 22:22
〔お父さんだ!〕 
『ようやく来たか。待て。今行ったってまだあんたの姿は見えへんで。 
 どっちか説明に行って。その間に準備するわ。』 
 
どっちかってことは、当然ごっちんか私だ。それ以外の人は見えないん 
だから。不思議だな。5人もいるのに2人しか見えないなんて。 
 
「後藤がいく。」 
『おぉ。じゃあ頼むわ。』 
 
よかった。ごっちんが嫌だって言ったら私しかいないわけだし。 
私が市井さんのお父さんと堂々と話せる分けが無い。 
それにしても、管理人さんの準備って。気になるな。 
ごっちんが数歩進んだところで向こうが気づいた。  
 
「真希ちゃん…?」 
「お久し振りです。」 
「どうしたんだ?もう暗いし、一人じゃ危ないよ。」 
 
市井さんのお父さんの顔がいはっきり見えた。 
う〜ん、似てなくもないかな。
  
164 名前:第十六話 投稿日:2004/10/03(日) 22:35
「あの…市井ちゃんに会いたいですか?」 
「紗耶香に?」 
 
いきなり言ったな。さすがごっちん。 
 
「…何言ってるんだ?紗耶香はもう…。」 
「答えてください。」 
「そうだな、会いたいけど、向こうは会ってくれないかもな。 
 あいつにとったら、嫌な父親だったろうし。でも、どうしてそんな 
 こと聞くんだ?」 
「市井ちゃんが、会いたがってます。会ってくれますか?」 
「…真希ちゃん、あのなぁ。」 
〔もういいよ。後藤。ありがとね。〕 
「市井ちゃん!」 
「紗耶香!?」 
 
いつの間にか隣にいた市井さんがあんなとこに。しかもおじさんには 
すでに市井さんが見えてる様子。管理人さんが何かしたんだろうけど、 
夢中になってて気づかなかった。私って一体…。 
ごっちんは静かに頷いてその場を離れた。即ち、うちらの所に戻って 
来たんだけど、おじさんにはごっちんのこと気にかける余裕なんて 
ないみたい。 
  
165 名前:第十六話 投稿日:2004/10/03(日) 22:55
「お前、どうして…。」 
〔会いたくないわけないじゃんか。それに、嫌な父親でもなかったよ?〕 
 
おじさんは市井さんを怖がったりしなかった。こーゆーの、信じない 
人みたいだけど、やっぱり自分の娘となると別なんだな。 
 
〔私、まずお父さんに謝りたいんだ。迷惑かけてごめん、わがままで 
 ごめんって…。〕 
「本当に紗耶香なのか…?お前、心配したんだぞ!もういい、謝らなくて 
 いいんだ。こっちこそ、ごめんな。お前、化けてでるほど気にして 
 たんだなぁ。」 
〔あはは。うん、そうだよ。ちょっと、…泣かないでよ。〕   
「…お前、家を出る前に、歌を聴いて欲しいって言ったよな。 
 あの時はまさか家出するとは思って無くてな。あの後、後悔 
 したんだよ。こんなことになるんなら聴いてやればよかったて。 
 紗耶香のやりたいようにしてあげればよかったって。」 
〔そっか。実は、その歌を聴いて欲しくて会いに来たんだ。今から 
 歌っていい?〕 
「うん…歌って欲しい。」

166 名前:第十六話 投稿日:2004/10/03(日) 23:12
サビに入って、ハッとした。あの歌だ。私と美貴とごっちんが、展望台 
できいたやつ。…これ、てっきり元々ある曲だと思ってた。 
 
「…聴いてくれてありがとう。」 
「あぁ、歌ってくれてありがとう。すごくよかった。」  
「…じゃあ、私もう行かなきゃ。」 
 
「管理人さん…!」 
『…もう未練は無いからな。お別れや。』 
『そんな…。』 
 
そんなって、美貴。でも気持ち、すっごく分かる。 
もう会えなくなるなんて、分かりきってたことなのに。 
高橋さんの時はあっという間だったけど、やっぱり長くいた分だけ 
寂しい。…あ、ごっちんが。 
 
「市井ちゃん!!」 
〔後藤?〕 
「真希ちゃん…。」 
「あの、今までありがとう!後藤は、市井ちゃんのこと大好き!」 
〔…うん。私も、後藤のこと大好きだよ。お父さんのことも、みんなの 
 ことも。〕 
「紗耶香…。」 
 
みんなに、私や美貴を含んでくれたのか分からないけど、こっち向いて 
言ってくれたから多分含んでくれた。 
私だって、美貴だって、大好きですよ。市井さん。 
 
「じゃあ、よく分からないけどもう行くんだな? 
 また、会いに来いよ。歌、聴かせてくれ。」  
〔うん!〕 
 
その一言を最後に、市井さんは消えてしまった。 
だめだ、涙が止まらない。美貴にからかわれると思って必死に拭って 
たけど、隣をみたら美貴も泣いてたのでよしとしよう。
 
 
167 名前:第十六話 投稿日:2004/10/03(日) 23:20
家までの帰り道。暗くてよく見えないけど、多分お互いに目が真っ赤だ。 
ちなみに管理人さんはどっか行っちゃった。 
 
「ねぇ、次の任務は?」 
『次?ちょっと待ってね。』 
 
美貴がいつも持参してるリストとやらは、一人任務を終えると次が 
浮かび上がってくるらしい。名前と、ほんの少しのデータがね。 
一回見てみたいんだけど、見せてくれない。理由はないらしいよ。 
 
『えーと、辻希美…さん。』 
「…え!?」 
『あれ、知り合い?』 
「うん、まあ…。」 
 
それは、ある事故で亡くなった中学時代の後輩の名前だった。
168 名前:上海 投稿日:2004/10/03(日) 23:24
更新終了です。 
よく考えたら、ひとつの町だけなのに若い子死にすぎですね。 
かなり不自然かも…。
169 名前:上海 投稿日:2004/10/03(日) 23:24
>>160さん 
ありがとうございます!元気でました!
170 名前:名無し読者 投稿日:2004/10/04(月) 14:36
更新お疲れ様です
私もずっと応援してます
この作品は自分の中で、あるジャンルのパイオニアだと思ってます。
のんびり次回の更新お待ちしてますね
171 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/12(火) 17:58
おー、更新発見。
次回も待っています。
172 名前:名無しさん 投稿日:2004/10/14(木) 16:53
>>159
なるほどなるほど。解説ありがとうございます。
気長に待ってますので無理せず頑張ってください。
173 名前:上海 投稿日:2004/10/17(日) 09:30
吉澤視点の辻編書きます。
174 名前:辻希美 投稿日:2004/10/17(日) 09:37
中三の引退試合も終えて、高校受験に備えていた頃。結果は、全国大会に 
あと一歩のとこで届かなかったけど、十分満足な試合ができたと思う。 
 
それから、二学期の始業日 
 
「ねぇ、二年生に転校生が来るらしいよ。」 
「二年?」 
 
なんでこんな時期に。ってゆーかなんでごっちんがそんなこと知ってるん 
だろう。 
 
「可愛かったらい〜な。」 
「私、別にどうでもいいんだけど。」 
「えー?でも、何か可愛い気がするんだよね。なんとなくだけど。」 
 
なかなか無責任なことを言うよな。これで好みじゃなかったらどっかに 
八つ当たりしてそうだ。
175 名前:辻希美 投稿日:2004/10/17(日) 09:48
私は、そんな転校生のことを気にもとめてなかったんだけど、ごっちん 
より先に会ってしまった。 
その日の昼休みのこと。 
 
「吉澤選手だよね!?」 
「…え?吉澤だけど。(選手!?)」 
 
屋上でお弁当を食べ終えて、教室に戻る途中で会った。ごっちんは、 
購買部に行くとかで、先に帰ってしまった。(足りなかったらしい) 
その子は小柄で、可愛い感じのポニーテールの子だった。 
 
「辻希美っていいます!今日からバレー部に入部するので、よろしく!」 
「?…あの、私、もうバレー部じゃないんだけど。」 
「!…あ。」 
 
だってもう引退しちゃったんだから。 
でも、どうしてこの子私にそんなこと言うんだ? 
 
「そっか、三年生だもんね。あー…気づかなかった。」 
「 ? 」 
「前の大会で吉澤さんを見て、憧れてこの学校に来たんです。」 
「まっマジ!?」 
「残念だー。一緒に練習したかったのに!」
176 名前:辻希美 投稿日:2004/10/17(日) 10:01
何だか、そんな目で見られるとこっちが悪いことしたみたいな気分に 
なる。ってゆーか、この学校に来たなんて簡単に言うけど、編入試験 
とか大変じゃなかったのかな。一応、私立だし。 
辻さんは、ちょっとの間いじけてたけど、何かをひらめいたらしく、 
急に顔を上げた。 
 
「そうだ!辻に個人的に指導してください!」 
「えぇ!?でも、バレー部に入るんでしょ?」 
 
物凄いこと思いつくな。 
私ってそんなにバレー上手いのか? 
 
「入るけど、その、…練習ない日とかに…。」 
 
バレー部の練習ない日っていったら、偶数週の土日だよね。 
どっちにしろ、それなら月に二回かぁ。 
 
「駄目ですか?」 
「練習ないのが2、4週の土日だから、どっちがい?」 
「やってくれるの!?じゃ、じゃあ土曜がいい!」 
「よし、分かった。午前中でいい?」 
「うん!」
177 名前:辻希美 投稿日:2004/10/17(日) 10:09
そんなに喜ばれたらこっちまで嬉しくなってしまう。 
月に2回で1〜2時間くらいなら大丈夫だろう。そんなにレベルの高い 
高校を受けるわけでもないし。 
 
後日、2、4週の土曜日で午前十時から十一時半までと、正式に決定 
した。場所は、体育館は使えないから一番近い公園。 
 
何でも辻ちゃんは(そう呼ぶことにした)中一の中体連地区大会の時、 
補欠として見学していて、その中学とうちがあたった時に私を見て、 
憧れたらしい。 
二年生になってレギュラーになった辻ちゃんがうちの中学の編入試験 
を受けると知った顧問やらは、必死に止めたみたいだ。 
つまり、上手いんだろうな、やっぱり。 

178 名前:辻希美 投稿日:2004/10/17(日) 10:25
数日後 
 
「明日、十時だよね?あー、楽しみ!」 
「あはは、じゃあ明日ね。今から部活でしょ?がんばれ!」 
 
帰り際に下駄箱で辻ちゃんに会った。 
初対面の時は、敬語も混ざってたけど、今ではすっかりタメ語だ。 
吉澤さんだったのも、よっちゃんに変わった。 
 
「よしこ!あの子、転校生でしょ!?何で仲いいの?」 
「あ、ごっちん。」 
 
ごっちんは、あの後辻ちゃんを見れたらしく、しばらくの間可愛いと 
絶賛していた。私は軽く受け流していたから、もちろん個別指導のことは 
言ってない。 
 
「前に、中体連で会ったんだよ。」 
「そうなの?へー。あの子バレーしてるんだ。」  
 
面倒臭いから、適当なことを言った。これなら疑う理由も無い。  
 
「そういえば、どっかの中学のバレー部に、超可愛い子がいるらしい。」 
 
いつも、どこから仕入れてくるんだろう。そーゆー情報。 
ごっちんはいろんなこと知ってるよな。この前なんて、チキンカツと 
おろしポン酢が合うとか…話が脱線した。 
 
「知らない?中学校名は忘れたけど、確か藤本とかいう…。」 
「う〜ん、知らない。」 
 
いちいち相手の名字なんて見ないだろ、普通。可愛い子かぁ。 
出場する学校数が半端じゃないから、見かけなかっただけかも。 
 
もちろん、それは美貴のことだったけど、その頃は知る由も無かった。 
出逢ったのは高校に入学してからだ。
179 名前:辻希美 投稿日:2004/10/17(日) 10:37
そして、土曜日。 
 
「よっちゃん!遅いよー!」 
「えー?まだ三分前じゃんか。」 
 
苦笑しながら、辻ちゃんの座ってるベンチに近づいた。結構前から 
来てたのかな。なんかうれしい。 
遠足の日だけ早起きする小学生みたいだ。 
 
「あ、辻、バレーボール持ってないんだけど…。」 
「私、持って来たよ?はい。」 
 
辻ちゃんに持って来いなんて言ってないから、当然私が用意するものだと 
思って。 
  
「これ、よっちゃんの?いいな、自分のバレーボール欲しいんだけど、 
 なかなか買ってくれなくて…。」 
「そっか。じゃあそれあげようか?もう使わないし。」 
「本当!?でも、高校生になって使うんじゃないの?」 
「いーよ、別に。今までだってあんまり使わなかったし。」
「やったあ!本っ当 嬉しい!大事に使うね!」 
 
うん、私も嬉しい。ボールだっていっぱい使ってもらう方が幸せだろう。 
 
早速、練習を始めたんだけど、予想通り辻ちゃんは上手かった。 
上達も早いんだよな。ちょっと教えたらすぐにできる。 
あっという間に追い抜かれそうだ。 
 
そういえば辻ちゃんは、次の大会に早くもレギュラーとして出るそうだ。 
さすが。 
180 名前:上海 投稿日:2004/10/17(日) 10:50
>>170さん 
パイオニアですか!?そんな…有難いお言葉ありがとうございます。 
 
>>171さん 
ありがとうございます!頑張りますんで、待ってて下さい。
 
>>172さん 
あんな解説で申し訳ありません。 
気長に待ってて下さい。
181 名前:辻希美 投稿日:2004/10/19(火) 16:23
辻視点 
 
 
よっちゃんが中学を卒業してから、ののは一生懸命勉強した。 
同じ高校に入るためだ。でも、ののの頭では少し無理があるみたいだ。 
よっちゃんって、あんまり頭よさそうに見えないのに…。 
 
そして、合格発表の日。塾に通ったりしたにも関わらず、やっぱり 
駄目だった。仕方なく、念のため受けた公立高校に通うことに。  
  
…まぁ、大会とかで会えるかもしれないし、家もわりとちかいし…。 
いっか。でもやっぱり残念だな。 
 
  
182 名前:辻希美 投稿日:2004/10/19(火) 16:35
高校生活にも慣れてきたある日。 
 
「あー!辻ちゃん!」 
「!!」 
 
今日は職員会議かなんかで部活中止になったから、ふらふら寄り道 
していたら、よっちゃんの声。 
 
「よっちゃん!?」 
「超久しぶり!どうしたの、こんなとこで。」 
 
こんなとこってのは、よっちゃんの学校近く。知らぬ間に来ちゃった 
みたい。 
 
「ちょっと、寄り道してたの。よっちゃんは?今帰りなの?」 
「うん、今テスト一週間前だから、部活停止なんだ。」 
 
よっちゃんは変わってなかった。少し、背が伸びたような気がするけど。 
笑顔とか、話し方とか、前のままだ。  
久しぶりに会えたことが、物凄く嬉しかった。  
 
「学校楽しい?」 
「うん、楽しい。あーあ、でもよっちゃんと同じ高校がよかったな。」 
「あはは、うん、そうだね。あ、そうだ! 
 今度久しぶりにあの公園で練習しない?」
「本当に!?うん、したい!」 
「私なら来週以降であればいつの土曜でも日曜でもいいけど。」 
「じゃあ、今月の四週目の土曜日!」 
「あ、やっぱり?」

183 名前:辻希美 投稿日:2004/10/19(火) 16:39
2、4週目の土曜日、中2のとき、カレンダーに印をつけるほど楽しみ 
にしてた日だ。 
よっちゃんは、じゃあまたね、と言って帰ってしまった。名残惜しかった 
けど、テスト期間中だって思い出して、ぐっと堪えた。 
土曜日の何時かなんて、いちいち確認してる必要は無い。 
午前十時から。 
よっちゃんも覚えててくれたみたいだ。
184 名前:辻希美 投稿日:2004/10/19(火) 16:47
でもその直後。ののの後ろから一人の生徒が走ってよっちゃんを 
追いかけていった。追いついた後、よっちゃんの腕を軽く叩いた。 
よっちゃんは笑いながら何か言って、それから二人は手を繋いで歩いて 
行った。 
 
多分、 
  「もう、待っててって言ったじゃん!」 
  「ごっめーん、忘れてた。」 
                    てな感じだろう。 
  
綺麗な人だな。悔しいけど、辻なんかじゃ到底敵いっこないな。 
 
そっかぁ。よっちゃん、彼女いるんだ。そりゃそうか。だって格好いいし 
可愛いし。自分自身を納得させようとしてるんだけど、何故か涙が 
溢れてくる。…あぁ、そうか。ののは、よっちゃんのこと…。  
185 名前:辻希美 投稿日:2004/10/19(火) 17:00
…でも、いいんだ。よっちゃんは忙しいだろうに4週目の土曜に会って 
くれる。時間も、多分ちゃんと覚えててくれた。それでいい。 
よっちゃんにとって、辻が少しでも特別な後輩なら、それで…。 
 
 
第4週目の月曜日。夜中に目が覚めてしまった。 
 
「…焦げ臭い。」 
 
なんだろう。嫌な予感がする。時計をみると、まだ深夜2時を回った 
ところだ。周りを見渡しても変化はないし。…何なんだ? 
ののはこの時少し寝ぼけてたから、周りが明るかったのは気にして 
なかった。  
  
「…わっ!」 
 
フと、部屋の窓から見えてきた景色。 
 
「と、隣が燃えてる…。」 
 
これじゃ燃え移っちゃうよ!あ、お母さんたちをおこさないと! 
急いで、隣の部屋まで行った。 
でも、お母さんたちは既に起きていた。 
 
「の、希美!早く!消防車!」 
「あっはい!」 
 
お母さんたちの部屋には、既に火が燃え移っていた。隣の家のなにかが 
倒れ掛かって来たんだ。まだ火は小さい!間に合う!   
186 名前:辻希美 投稿日:2004/10/19(火) 17:09
駆け足で一階のリビングの電話で消防車を呼んだ。 
住所を教えて、受話器を置いた直後。上からメキメキって、すごい音が 
した。二階が燃えていた。 
 
「ど、どうしよう!みんなー!」 
 
お父さんとお母さんとお姉ちゃんは、まだ何とか燃えてない階段で 
おりてきた。…よかった。 
 
「みんな、無事ね!?早く外に出ましょう!」 
 
火の回る速さを侮っていた。もうすでに、階段に燃え移っていて、一階 
にまで進出していた。 
 
「う、ゲホっ!」 
 
今気づいた。周りが煙だらけだ。急いで口元を押さえた。 
 
外から見ると、隣の家は崩れかかっていた。そこに住んでいた老夫婦は、 
なんとか逃げ出せたようだ。のののいえも、もう随分と燃えていた。 
消防車は、まだ来ない。  
187 名前:辻希美 投稿日:2004/10/19(火) 17:23
「通帳と、印鑑…よかったわ、部屋に置いてて。」 
 
お母さんはそれを、いつなにがあってもいいようにと、自分の部屋に 
いつも置いていた。ののは、馬鹿にしてたけど、本当にいつ何が 
起こるか分かんないんだ。 
 
…あ。バレーボール!! 
 
「希美!?どこ行くんだ!戻って来い!」 
 
お父さんに腕を?まれた。当然だ。娘が炎の中に飛び込もうとしてるん 
だから。 
 
「お願い!離してっ!ボールが…!」 
「ボールなんていつでも買ってやるから!」 
「そうよ、こっちに来なさい!」 
 
ののは、一旦体の力を抜いた。それで安心したのか、お父さんは腕の力 
を緩めた。  その瞬間、ののは燃えている我が家に飛び込んでいった。 
 
「希美ぃーー!!!」 
「戻って来なさい!!」  
「希美っ!」 
 
みんなが叫んでるけど、お構いなし。みんな追ってきたけど、もう玄関 
は、入れる状態ではなかった。くれぐれも、入ってこないでね。 
…危ないから。 
 
「ゲホっ!ゴホっ!」 
 
真っ暗だ。もう何がどこにあるかなんて、分かったもんじゃない。 
 
「バレーボール…。」 
 
確か、自分の部屋にあるはずだ。 
でも、階段が見えない。どうしよう、ボール…。 
よっちゃんから貰ったバレーボール…。 
周りを見ると、のんは炎に囲まれていた。もうでられない。 
煙のせいで、何にも見えない。 
のども、物凄く痛い。そして、全身が熱い。 
188 名前:辻希美 投稿日:2004/10/19(火) 17:29
お父さん、お母さん、お姉ちゃん、…それに、お爺ちゃんやお婆ちゃん。 
その他、親戚の方々、学校の先生、友だち…。 
 
ごめんね、ごめんなさい。 
ののは、バレーボールと心中します。  

我ながら馬鹿げた判断だ。結局、ののは、命よりもボールのほうが大切 
だったんだから。 
もう、動けない。 
ののは、その場にしゃがみこんだ。 
全身がどうしようもなく熱くて、痛い。 
煙のせいかどうか分かんないんだけど、涙が止まらない。
189 名前:辻希美 投稿日:2004/10/19(火) 17:42
外から、サイレンの音が聞こえてきた。あぁ、やっと来たんだ、消防車。 
でも、もう遅い。 
 
あーあ、土曜日、楽しみにしてたんだけどなぁ。よっちゃん、いつも 
はやいののが遅いから不思議がるだろうな。 
そんで、よっちゃんのことだからずーっと待っててくれるだろう。 
それでも来ないんで、ののの家まで来ちゃうかもしれない。 
想像すると、こんな状況なのに笑えてきた。 
よっちゃん、行けなくて、ごめんね?また、誘って下さい。 
 
意識が朦朧としてきた。もう息をしてるのかさえ、分からない。 
ただ、頭の中はよっちゃんのことでいっぱいだった 
 
突然、前のほうにあった柱が、のの目掛けて倒れてきた。 
何故か、スローモーションにみえる。…ドラマみたいだぁ。 
 
…もう、会えないだろうから、ここで言うね? 
 
「…よっちゃんに、は、…彼女が、いる、けど… 
 ののは、ずーっと前、から…」 
 
不思議と、声は出た。痛みもなにもない。 
よっちゃんに、届いてるといいな。 
 
「よっちゃ…ん、の、こと、が…大好き、でした。」 
 
外では、サイレンが鳴り続いていた。

 
190 名前:上海 投稿日:2004/10/19(火) 17:43
更新しました。 
辻ちゃんだけ扱いがでかいような…。
191 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/01(月) 13:11
ののたん…・゚・(ノД`)・゚・。
192 名前:名無しさん 投稿日:2004/11/26(金) 18:37
次回も待ってます。

193 名前:第十七話 投稿日:2004/12/05(日) 17:28
『それで。』 
「うん?」 
『どこに行けば、そのこに会えるの?』 
 
昼休み、屋上で辻ちゃんとの思い出話を美貴に話した後、この質問。 
どこにって。さっきの話聞いてたら、予想つくだろうに。いや、絶対 
とは言い切れないけどさ、少なくとも、私はそうだと思う、ってか、 
思いたい。 
 
「だから、公園だよ。…多分。」 
『でもさぁ、そのこにとって、よっちゃんさんとの思い出ってそんなに 
 大切なもの?』 
 
わ、ひどい。そりゃあ、私だって分かんないよ。もっと大切な思い出が 
あるのかもしれないけど。 
 
「それ以外、思いつかないんだよ。行ってみる価値はあると思うな。」 
『そうかな〜。』 
「…あのさ。」 
『なにぃ〜?』 
「もしかして、拗ねてる?」 
『…はッ!!?』 
 
…わ、分かりやすぅ。ってか、やばい。カワイイ。 
なんかさっきから反抗的だと思ってたんだよね。なるほど。 
拗ねてたのか。 
本人は、真っ赤な顔で私を睨みながら、拗ねてない!とか言ってるけど。 
否定したって無駄なんだけど、分かってるのかな。 
 
「そろそろ、教室戻ろう。」 
『もう、絶っ対拗ねてないからねっ!そもそも、拗ねる理由なんか、』 
「はいはい、分かったから。」 
 
ニヤニヤが収まんない。最近、私幸せすぎるかな。 
 
 
194 名前:第十七話 投稿日:2004/12/05(日) 17:37
「お帰りぃ。」 
「ただいま。」 
『ただいま。』 
 
あれ、何この静かさ。みんな真面目に参考書とかノートとか見てる。 
隣のごっちんも、単語帳見てるし。 
そうかそうか、もうすぐセンターだもんな。 
私だって、余裕あるわけじゃないけどさ。 
 
「ごっちん、最近真面目だよね。」 
「ん?だってさ、こないだの模試でB判定だったもん。そろそろ真面目に 
 なんなきゃね。」 
「そっかぁ。」 
 
Bなら別にいいと思うんだけどな。私もBだったし。 
まあ、ごっちんは私と違って第一志望国立だもんな。 
  
五限開始まであと5分!よし、私も勉学に励むぞ! 
 
 
『よっちゃん、そこ、スペル違う。』 
「!」 
 
…頑張ろう!
195 名前:第十七話 投稿日:2004/12/05(日) 17:46
「へえ、次は辻ちゃんか。懐かしいね。」 
 
放課後、任務のことをごっちんに話したら、懐かしそうに、それと少し 
悲しそうに呟いた。 
確かに、懐かしい。あと、もういないんだって思うと、すんごく寂しく 
なる。 
ああ、今回の任務は市井さんのときより別れが辛いかもしれない。 
 
「後藤も会いたいけど、今日予備校なんだよね。じゃ、報告待ってる!」 
「うん、ばいばいっ」 
『バイバイ!』 
 
予備校か。まさか、あのごっちんからそんな言葉が出るとは。 
そりゃあ、クラスの半分以上が予備校やら塾やらに通ってるわけだし。 
私は、こんなんで大丈夫なのか? 
 
『よっちゃんさん。余裕だね。』 
「や、別に余裕なわけじゃ…。」 
 
う〜ん、まあ。今は任務優先だ。もう、どうにでもなれ。 
 
「…よし。行こうか。」 
『うん。』
 
196 名前:第十七話 投稿日:2004/12/05(日) 17:56
んー。寒い。もう秋だしな。なんて、しみじみ思いながら歩いていると。 
 
『あーっ田原さんだ!ほら、豆腐屋の!久しぶりに見る!』 
「…美貴。」 
『ん?』 
「田原さん、もう亡くなってるんだけど。」 
『あ、あーごめん。あまりにもくっきり見えるからさあ。最近区別 
 つかないんだよね。』  
 
もうっ、怖いんだってば!私、まだまだ普通の人でいたいんだよ! 
 
『よっちゃんさんさ、こんだけ霊と関わってるのに、まだ怖いの?』 
「怖いの!」 
『彼女が霊なのに、これ以上何をこっ怖がる、の』 
「…そこ、自分で言って自分で照れない。」 
『…〜っっ!!』 
 
まあ、照れずにサラッと言ったら可愛くないんだけどね。 
 
こんな、普通の幸せが一日でも長く続いて欲しい。 
隣でしかめっ面になっちゃった美貴も、同じように思ってくれてると 
いいな。 
   
197 名前:第十七話 投稿日:2004/12/05(日) 18:05
『…いないじゃん。』 
「いないね。」 
 
来た瞬間、あー懐かしいなんてのんきに思ってしまったけど、辻ちゃんが 
いないんじゃ意味が無い。 
せっかく、美貴の機嫌がよくなってきてたのに。 
 
『あの人に聞いてみる。』 
「あのひと?」 
『あの、女の人。』 
「…だーかーらぁ。」 
 
怖いっつってんの!私を怖がらせようとか、そんな気は無いだろうけど。 
私もそろそろ慣れなきゃいけないけどさ。…と、考えてる間に美貴が帰っ 
て来た。 
 
『あのね、いつも、第4週目の土曜日になると現れる女の子がいるん 
 だって!』 
「…間違いないね。」 
 
あぁ、そんな言われ方すると、辻ちゃんでも怖く感じてしまう。 
ごめんね、辻ちゃん。…って、ゆーかさ。 
今週は第2週でしょ?じゃあ、あと2週間ほど待たなきゃいけないのか。 
 
『よし、よっちゃんさん。2週間の間に、勉強だ!』 
「…はーい。」 
 
198 名前:上海 投稿日:2004/12/05(日) 18:08
>>191さん
ああ、すいません。辻さんがあんな役回りで…。 
 
>>192さん 
ありがとうございます!また遅くなっちゃいました。
199 名前:名無しさん 投稿日:2005/01/07(金) 15:36
待ってるのれす
200 名前:第十八話 投稿日:2005/01/18(火) 19:35
『…つまんない。』 
「何がぁ?」 
 
現在の時刻、午後九時三十分。夕食を済ませて、お風呂にも入って、 
自分の部屋で勉強してたら、それまで黙ってた美貴が口を開いた。 
 
『何で急にガリ勉になっちゃったわけ。美貴、ヒマなんだけど。』 
「勉強しろって言ったのは美貴じゃん。」 
『う…。まあ、そうだけどさ。だって、やることないんだもん。 
 お話しようよ。』 
「…。」  

ズキューンっ!! 
 
うっ!何かが胸に…!あぁ、もう何でそんなに可愛いんだよ!くそっ! 
そんな甘えた声出しやがって!美貴め! 
 
「…えっと。じゃあ、1868年一月…。」 
『鳥羽伏見の戦い!!…って、ちっがーう!ばか!』 
 
す、すげえ。こいつ年号だけで分かるの!? 
 
『もっとさ、ホラ。焼肉のこととか、亜弥ちゃんのこととか、映画のこと 
 とか…。』 
 
映画なら分かるけど、焼肉って…亜弥ちゃんって…。 
一体私に何を語れと。  
201 名前:第十八話 投稿日:2005/01/18(火) 19:47
「えっと、グリーンマイル、泣けるよね。」 
『こないだDVDで見たとき泣かなかったじゃん。』 
「…チルソクの夏、いいよね。」 
『何ソレ。』 
 
…なんだよ。映画の話したいって言ったの自分じゃんか。 
あぁ、何か不機嫌になってってるし。え〜と。 
 
「タン塩、おいしいよね。」 
『うん。』 
「…。」 
『…。』 
 
会話が弾まない。美貴のノリガ悪い。…。 
 
『あー!もう、勉強しないでよ!』 
「し、しないでよって…。じゃあどうすればいいの。」 
『あ、あのね…。』 
「え?」 
『辻さんで、終わりだったら、どうする?任務。』 
「まさか。」 
 
三人ってことは無いだろう。有り得るのか?でもこの、美貴のシリアスな 
表情は…。 
 
『最近の中澤さんは、忙しくなさそうだし。まだ美貴たちが手伝う必要 
 あるのかなって思って。』 
「なるほど。…でも、なんで知ってんの?」 
『夜中、たまに遊びにくるんだもん。』 
 
…初耳だよ。あぁ、だから最近美貴は、眠そうなのか。 
あ。幽霊だってちゃんと寝るんだよ。少なくとも美貴は。 
 
しかし。本当に任務が終わっちゃったら、私はどうなるんだろう。 
せめて大学入試が終わってからがいい。それより前だと、受ける気力さえ 
なくなるだろうから。 
全く、現実味が沸かない。 
202 名前:第十八話 投稿日:2005/01/18(火) 20:00
『よっちゃん、もう寝よう?』 
「もう?どうして?」 
『何か、感傷的になっちゃった。』 
「私は、もう少し勉強してから…。」 
『駄目。一緒に寝る。』 
 
まだ十時にもなってないのに。でも、美貴の気持ちも分からんでもない。 
もう寝ようかな。 
 
『一度、成仏しなかったら、ずっとよっちゃんと一緒にいられるって、 
 考えたことがあったんだ。』 
 
またもシリアスムードに。ってか、随分可愛いこと考えるんだね、美貴。 
 
『でも、駄目なんだよ。成仏できなくなった霊って、動けないんだよ。 
 思考能力だってなくなるし。ただ、何かに対する想いがあって、 
 その場を離れられないでいるんだ。』 
「…。」 
『だから美貴は、その時がきたら確実に、向こうに行く。…けど、 
 泣かないでね。』 
「うん、分かった。」 
 
実際、泣かないなんて、無理な話だろう。けど。見送るときくらい、 
笑顔の方がいいよね。…なんて、お約束を言ってみる。 

「何か美貴、かぐや姫みたいだね。」 
『はあ??』 
 
不意に出た言葉。私は翁…あるいは帝?で、月の人は管理人さん。 
でもかぐや姫って、何か悪いことしたから人間世界に飛ばされちゃったん 
だよね、確か。 
 
203 名前:第十八話 投稿日:2005/01/18(火) 20:11
「あ、吉澤!ちょっと、手伝って欲しいんだけど!」 
「え?」 
 
放課後、もう帰ろうかって時に、後ろから声を掛けられた。 
声の主は、飯田先生。 
 
「いやー、ちょうどよかった。いろんな生徒に声かけたんだけどさぁ。 
 急いでるんで、とか言われて。」 
「あの、私は何をすればいいんですか?」 
「ああ、こっち来て。」 
 
連れて来られたのは、事務室玄関。そこには、二体の石膏像が置かれて 
いた。  
 
「ほら、美術室の石膏像、破損がすごいでしょ。で、やっと買って 
 貰えたわけよ。」 
「へぇ…。」 
 
二人で一体ずつ持って、美術室に向かった。中は空洞だから、見た目程 
重くないんだよね、これ。 
 
「吉澤、もうすぐ卒業だよね。」 
「あ、はい。そうですね。」 
 
そういえばそうだ。冬休みあけて、センターがあって、仮卒で…。 
きっと、あっという間だろうな。 
 
「一、二年せいが、第二ボタン貰うんだって、張り切ってたよ。」 
「…マジですか。」 
「マジですよ。」 
「じゃあ、抽選会でも行ってください。」 
「あはは、そうだね。」   

204 名前:第十八話 投稿日:2005/01/18(火) 20:21
私は、第二ボタンにこだわりはないしね。誰の手に渡ったっていい。 
…で、美術室に着いた。 
 
「そこに置いといて。 うん、ありがとう。」 
「じゃあ、失礼しました。」 
「はーい。…あ、吉澤。」 
「はい?」 
「その、…頑張ってね。吉澤ならどんなことでも乗り越えられるから。」 
「…はい。」 
「じゃあ、気をつけて。」 
 
突然だから、普通なら、は?って顔するんだろうけど。私は、飯田先生 
との会話に慣れてるから、すぐに対応できた。きっと、大学入試のこと 
とか、将来のこととか、そんなことを言ってくれたんだと思う。 
でも今の私には、美貴のことにしかきこえなかった。 
 
乗り越えられるだろうか、私なら。美貴との、別れを。 
でも勇気付けられたのは事実。ありがとう、飯田先生。 
 
まあ、まだ辻ちゃんで最後だって決まったわけじゃないんだけど。 
そういえば、辻ちゃんに会える日まで、あと一週間をきったな。 
  

 
205 名前:上海 投稿日:2005/01/18(火) 20:24
>>199さん 
こーゆーの、本っ当に励みになります。ありがとうございます。
206 名前:名無しさん 投稿日:2005/01/24(月) 23:15
更新乙です。
イヤだなぁ、いつか来ちゃう別れ(´・ω・`)
チルソクの夏、自分見たんでツボでしたw
207 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/06(日) 01:48
更新お待ちしております!!
208 名前:第十九話 投稿日:2005/03/09(水) 21:11
今日は二学期の終業式。冬休み初日の明日が、第四週の土曜日だ。 
…クリスマスじゃんか。去年のクリスマスは、美貴の家で一晩中騒いで 
た。うん。懐かしいなぁ。ごっちんのケーキは美味しかったし。 
 
今年のクリスマスは、辻ちゃんに会えるのか。 
 
…で。何でこんなに私の下駄箱は、贈り物で埋め尽くされているのか。 
 
『うわ、何これ…。』 
「みんな、応援してくれてるんだよ。」 
 
合格祈願のお守りやら、キットカットやら、手作りクッキーやら。 
 
『クリスマスプレゼント兼入試の応援…。』 
 
そのプレゼントたちを、手提げ鞄に無理やり詰めて、教室へ向かった。 
私、お返ししなくてもいいんだよね…? 
名前書いてないやつもあるし。 
 
お。あの後姿は! 
 
「あーややっ!」 
「あ、吉澤先輩。」 
 
相変わらず、亜弥ちゃんを前にすると美貴のテンションは上がる。 
何なんだ。や、別に妬いてるわけじゃないけど! 
 
「そうだ、これ貰ってくれない?」 
 
鞄の中から、一番上にあったキットカット一箱を取り出した。(ファイト 
!のメッセージ付き)  
209 名前:第十九話 投稿日:2005/03/09(水) 21:21
「先輩、サンタさんですかぁ?」 
「あ、そうだね。サンタさんだ!」 
「…でもこれ、送り主は先輩のために買ったんですから。」 
 
私は受け取れません、と。 
 
「大丈夫、気持ちは受け取ったから。ね、加勢してよ。」 
 
そう言って、中身が亜弥ちゃんにみえるように鞄を開いた。 
この通り、みたいな。 
 
「…でも。ひとつくらいは、食べてあげて下さい?」 
 
ね?と言って亜弥ちゃんは、箱を開けて中身を一つ、私に差し出した。 
 
「ん…。分かった。」 
「じゃあ、受験頑張ってくださいね。」 
「うん、ありがとう。」 
 
何か、みんなに申し訳ないくらい、私自身のやる気がないんだけど。 
あぁ、美貴と一緒に受験勉強したかったな。放課後、図書館へ行ったり 
してさあ。一緒の大学に行きたいね、とか言いながら。 
 
『何、ニヤニヤしてんの?』 
 
ムスッとした表情。あ、違うってば。 
 
「美貴のこと、考えてたんだよ。」 
 
一瞬、美貴の口元が緩んだのを、私は見逃してあげなかった。  
210 名前:第十九話 投稿日:2005/03/09(水) 21:28
終業式は、始業式ほどだるくない。まあ、体育館はさむいんだけどさ。 
別に、中学の時みたいに、通知表が楽しみな分けじゃないよ。 
でも、明日から休みってなると、やっぱ…ね? 
 
…高三でこんなにのん気に冬休みを心待ちにしていいんだろうか。 
今回の任務が終われば、真面目に勉強しようかなって思うけど。 
  
 
 
 
「どうした、ごっちん。今日は楽しいクリスマスイブじゃないか。」 
「…へ?ってか、よしこのほうこそ、何でそんなにげんきなの。 
 受験生には、クリスマスもお正月もないんだよ?」 
 
何寂しいこと言ってんだ。去年のクリスマス会、一番はしゃいでたのは 
ごっちんなのに。大人になって…(違っ)。 
211 名前:第十九話 投稿日:2005/03/09(水) 21:35
「まあ、よしこはミキティとのクリスマスを楽しみなよ。邪魔してあげた 
 いのは山々なんだけど。」 
「…。そうだ、明日、辻ちゃんに会いに行くんだよ。」 
「へえ!いよいよ明日なんだ!いいなあ、よろし言っといてね。」 
「うん。」 
 
…はー。そう、いよいよなんだよ。楽しみって思うのは変なのかな。 
でも、私にとって、久しぶりに会う友人って感覚だから。
 
ところで、辻ちゃんのやり残したことって、何なんだろう。 
…バレーボール、くらいしか思いつかないけど。私、あんまり辻ちゃん 
のこと知らないんだなあ。ちょっとショックかも。だって、会えば必ず 
バレーの話題だったんだもん。  

212 名前:第十九話 投稿日:2005/03/09(水) 21:47
今年は、久しぶりに家族とクリスマスイブを過ごした。高校生になって 
から、友だちの家に遊びに行ってたからな。 
 
事故当初は、今年も美貴と一緒にクリスマスを過ごせるなんて、夢にも 
思ってなかった。そんなこと考える余裕すらなかったもん。 
 
いつか美貴は、任務がずっとつづけばいい、みたいな事を言っていたけど 
、本当にそうだよね。私も、そう思うようになったよ。でも、いくら 
望んだって、美貴は向こうに行かなきゃいけない時がくるんだ。  
そのとき、私はどうすればいい?私は美貴みたいに強くないから、 
なるようにしかならないなんて考え、できないよ。…ま、今日はもう 
寝ようかな。サンタさんが来るから、とかじゃなくて。私って、考え込む 
とキリがないし。さっさと寝ちゃった方がいいんだ。 
 
『え?もう寝るの?』 
「うん。お休み。」 
『あ、えっと…よっちゃんさん!』 
「はい?」 
『メリークリスマス!』 
 
…あぁ、もうさっきまでの悩みがもうどうでもよくなったじゃんか。 
私ってやっぱり単純なのか…?
213 名前:第十九話 投稿日:2005/03/09(水) 21:58
ついにやって参りました、土曜日です! 
わくわくする反面、不安だったりする。これで終わりなのか?ってね。 
もう、美貴があんなこと言うからだ。もしラストなら、事前に何か… 
ありそうな気がする。管理人さんが、次の人でラスト〜とか言いに来る、 
とかさ。そうだよ、そうに違いない。前置き無に終わるはずが無い! 
 
『よ、よっちゃん。ちゃんと見て歩いてね?美貴、道とか全く分かんない 
 んだから。』 
「あ、ごめんごめん!」 
 
慌てて周囲を確認する。えーっと…ここどこだ? 
 
数分後、無事、公園にたどり着いた。この前も来たけど、やっぱ懐かしい 
な。何だか、胸がキューンとなる感じ。 
 
〔よっちゃん…?〕 
 
声がした方向を振り向いて、声の主を視界が捕らえた瞬間、なんともいえ 
ない想いが体中を走り、私は金縛りにあったかのように動けなくなった。 
 
「辻ちゃん…。」 
 
…。そこにいたのは、間違いなく私の大事な後輩だった。  
 

 
214 名前:第十九話 投稿日:2005/03/09(水) 22:09
〔よっちゃん?本当に、よっちゃん??〕 
「うん、久しぶり…。」 
 
どうしよう。すごく胸が苦しい。 
辻ちゃんが、あの頃のままだったから。 
辻ちゃんが、私のことを覚えててくれたから。 
辻ちゃんが、…この公園にいてくれたから。  
泣いちゃ駄目だ、まだ泣けない。 
 
〔のんが見えるの?〕 
「うん…。」 
 
声が裏返りそうになるのを必死で堪えて、返事をするのがやっとだった。  
 
〔あ…。〕 
 
辻ちゃんは、美貴の方を見ると、なんともいえないような表情をした。 
やるせない、っていうのかな。何ていうか…思いつめた感じ。 
 
『あ、えっと…。藤本美貴です。』 
 
美貴には、誰この人?の表情に見えたらしく、自分の名前を告げた。 
 
〔辻希美です…。〕 
『あ、あの。突然会いに来てごめん。美貴たち、今管理人さんの仕事を 
 手伝ってて、それで…。』 
〔のんを、成仏させに…?〕 
『…うん。』 
215 名前:第十九話 投稿日:2005/03/09(水) 22:21
〔そっか…。〕 
 
胸がズキンと痛んだ。そんな顔、しないでよ辻ちゃん…。 
 
「やり残したことない?うちらでできる範囲なら協力するし、無理なら 
 管理人さんを…。」 
〔そうしたら、のんは成仏しちゃうの?…じゃあ、いますぐにでもできる 
 よ。〕 
「へ?今すぐ?えっと、何を…?」 
〔のんの未練は、よっちゃんに謝れなかったこと。約束、守れなかった 
 から…。〕 
 
じゃあ、私に謝るために、ずっとここにいてくれたの…?よかったぁ。 
この公園にいるんだって、信じてよかった。 
私はこんなに慕われてたんだ。 
 
美貴、ごめん。 
 
私は、何も言わずに辻ちゃんを抱きしめた。物質的にはやはり、手ごたえ 
なんてないんだけど、確かに辻ちゃんはここにいる。 
 
〔よっちゃん…?よっちゃん、ごめんね。あの日、いけなくて本当に 
 ごめん。〕 
「…いいって。」 
 
もう涙を我慢することはできなかった。次々に溢れてくる。 
 
〔あのね、もういっこ、いいたいことあるんだ。〕 
「ん…いいよ、何個でもきくよ。」 
 
だんだん、辻ちゃんが薄くなってきた。辻ちゃんは、少し私から体を 
離して、真っ直ぐに私を見て言った。 
216 名前:第十九話 投稿日:2005/03/09(水) 22:35
〔のんは、よっちゃんのことが、好きでした…。〕 
「っ!!」 
 
直後、周りがパッと光って、私は思わず目を瞑った。 
再び目を開けたときにはもう、辻ちゃんはいなかった。 
 
「…。」 
『よっちゃん…。』 
 
全く気付いてなかった分けじゃない。そりゃ、知り合って最初の頃は、  
分かんなかったけど。思い当たるフシは、何度かあったんだ。 
私の自惚れだと、勝手に解釈して、気付かないフリをしていた。 
 
ごめんね、辻ちゃん。でも、私も美貴と出会わなかったら、辻ちゃんを 
好きになっていたのかもしれない。 
 
…美貴と出会わなかったらなんて、そんなこと、考えたくもないけど。 
 
「私、美貴に会えてよかったよ。」 
『な、なに!?いきなりっ!』 
 
まだ目に溜まっていた涙を拭って、美貴がいる方へ振り返る。 
ビックリした顔の彼女。 
 
「出会えたこと、後悔してないから。これからも、後悔するつもりは 
 ないから。」 
『…うん。美貴も、よっちゃんさんに会えてよかった。』  

 
それから、家まで歩いて帰った。いつもなら任務が終われば真っ先に 
リストを確認するはずの美貴が、今日は開かない。 
美貴も私と同じ、嫌な予感がしてたんだと思う。
217 名前:上海 投稿日:2005/03/09(水) 22:46
>>206さん 
チルソクの夏、見たんですか!あれ、いいですよね。 
私は姉に勧められて観に行きました。  
  
>>207さん 
はい、ありがとうございます!今回はちょっと多めに更新…したつもり 
です。 

218 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/09(水) 23:13
更新お疲れ様です!!
・・・嫌な予感。うぅん、続き気になります!
次回の更新も、期待して、待ってます。
219 名前:nanashi- 投稿日:2005/03/25(金) 22:27
楽しく読ませてもらいました!!
辻ちゃんの所で泣きましたw
よしみき好きなので、これからも楽しみにしてます^^
220 名前:第二十話 投稿日:2005/04/05(火) 20:22
冬休みに入って、もうすでに数日が経っていた。私は、辻ちゃんとお別れ
したあの日以降、朝から晩まで勉強している。勉強していても、美貴は 
文句を言わなくなった。で、たまにこっちから話しかけると、すごく嬉し 
そうな顔をする。 
 
実は、未だに美貴はリストを見ないでいる。多分、見れないんだと思う。 
本当に勝手だけど、私だってまだ見たくない。 
管理人さんが何も言ってこないから、あれで任務が終わりだってことはな 
いと思うけど…。でも、何せまだ一週間経ってないからね。これから報告 
に来るという可能性もあるし。  
 
とにかく、まだ見たくない。…で。今日も朝っぱらから勉強して、もう 
お昼時になるって頃なんだけど、さっきから、すんごく視線を感じる。 
 
「…なに?美貴。」 
 
机の椅子をターンさせて、美貴の方を見る。あ、嬉しそう。 
 
『やっとこっち向いてくれたぁ。』 
 
はいはい、すみませんでした。ってか、かわいい。相変わらずかわいい。 
 
『ね、そろそろお昼だし、もうやめない?』 
「うん、そーだね。そろそろ…。」 
 
ちなみに今日、この家には私と美貴しかいない。みんなどこかに遊びに 
行ったんだけど、私は勉強するから、という理由で家に残った。 
つまり、お昼は自分で用意しなきゃいけない。 

221 名前:第二十話 投稿日:2005/04/05(火) 20:37
一階に降りてキッチンで食料を探す。カップラーメンとかあったら助かる 
んだけど。 
 
「ない。…ん?」 
 
テーブルに目をやると、メモが一枚…と、お金。これで何か食べて下さい 
って、そうか。買いに行かなきゃいけないのか。 
 
「面倒いなあ。ピザでも頼もうか…。」 
『ピザァ?駄目じゃん、よっちゃんさん!たまには自分で作りなさい!』 
「ええー!?あ、あのねぇ、美貴。確かに、私は家庭的に見えるよ。 
 でも実際、作れるという領域に達してるのはオムライスだけだった 
 り…。」 
『いや、家庭的には見えないから。う〜ん本当なら、美貴が作ってあげ 
 たいんだけど…。』 
「美貴はカツをカツではさみました、ってゆうカツサンドを実現させそう 
 で怖い。」 
『し、しないもん!そんなことっ!』 
 
でも、美貴だって料理が得意なわけじゃないでしょうが。やっぱ、ピザで 
も頼もうか。その方がいいよね。作って失敗したら、物体Aになりかねな 
いし。でも、ピザって結構高いんだよねぇ。 
 
「う〜ん…。幻のシェフ、マキ・ゴトウを呼ぶか。」 
『この、他力本願め!ごっちんは多分いそがしいでしょ。何事も挑戦 
 だよ、よっちゃん。さあ、外に出よう!』 
「うぅ…。」 
 
なんでこんな展開になっちゃったんだ。料理は、気が向いたら作るのが 
楽しいんじゃないの? 
 
「伝説のシェフ、カオリ・イイダを呼ぶか。」 
『はいはい、早く行くよ〜。』 
「…。」 

222 名前:第二十話 投稿日:2005/04/05(火) 20:45
「で、私はどこに向かえばいいの?」 
『スーパーかな。』 
「マック、とかじゃなくて。」 
『なくて。スーパー。』 
 
…はぁ。どうして?美貴は私に花嫁修業をさせたいの?それにしても 
何を作ろう。やっぱオムライス…。  
 
で。スーパーに着いたんだけど。材料を買おうにも何を買えばいいのか 
分からない。玉ねぎは…あったかもだし、卵も…。冷蔵庫チェックしとく 
べきだった。 
 
「美貴…。」 
『ん?』 
「カップメンにさ、調理方法って載ってるじゃん。つまり、あれも立派な 
 調理であって…。」 
『却下!そんなんで許されるとでもおもってるのかね!お湯を沸かすのが 
 調理なら、お風呂沸かすのも調理なのか!』 
「…。」 
 
う〜ん…つっこんでほしいのか、笑ってほしいのか。 
何だか、美貴に口で勝てる気はしないので、今日は諦めよう。
223 名前:第二十話 投稿日:2005/04/05(火) 20:59
「分かったよ。で、何を作ればいいの?」 
『お昼だし、チャーハンくらいで勘弁してやる。』 
「はあ、有難うございます。」 
 
えー、チャーハンって何入れるんだっけ? 
 
 
 
 
「つかれた…。」 
 
ようやく家に着いたのは、ちょうど12時半。買い物だけでこんなに疲れる 
なんて。作るのだるいなあ。 
 
『おー、エプロン似合う。』 
「あ、やっぱり?ま、私は何着たって似合うしね。」 
『うん、そーだよね。』 
 
あ、あれぇ?つっこみ無しですか!?今のめちゃめちゃ素でしたよ、 
藤本さん。ってか今の台詞、つっこみがないとただのナルシストじゃない 
か。よーし。 
 
「ま、美貴ほどでもないけどね。」 
『へっ!?そ、そう!?』 
 
美貴の頬がうっすら紅くなった。きっと、私もそんな感じだろう。 
こーゆーのって、周りから見ると完全にバカップルではないだろうか。 
 
「忘れもしない、調理実習の時のエプロン姿…。」 
『も、もーいいから。さ、作ろ?』 
 
ふ、照れてるぞ、こいつ。けど、これ以上調子乗っちゃうと怒るよ、 
絶対。 よし、作ろう。…ってか、どうしよ。まず、ご飯はあったっけ。 
 
「あのさ、私、チャーハン作ったことないよ?」 
『美貴も、お手伝いくらいしか…。』
 
炊飯器をみると、まだ昨日の残りがあった。 
 
『こう、バーっていれて、ジャーって炒めれば少なくとも食べれる範囲 
 のものは出来ると思う。』 
「わ、分かった。」 
 
224 名前:第二十話 投稿日:2005/04/05(火) 21:04
そして、完成したのがチャーハン(?)。 
いや、なかなかいいんでない?…私にしては。 
 
「いただきまーす!」 
『あの…美味しい?』 
「なんでそんな恐る恐る聞くんだよ。えっとねえ、…微妙。」 
『あ、微妙なんだ。』 
 
確かに食べれる範囲のものではあるけど。決して、まずくはないよ。 
でもやっぱり、微妙。  
 
「やっぱ、ピザ頼んだ方がよかったんじゃ…もしくは外食。」 
『いや、これでよかったんだよ。いい経験だ。』 
「そうかぁ?まあいいけど。」 
 
でも、チャーハンでよかった、もっと、複雑な料理だと、やばかったかも 
しれない。  
 
225 名前:第二十話 投稿日:2005/04/05(火) 21:10
食事を終えて、片付けもして、リビングのソファでちょっと休憩。 
さすがに、このあとすぐ勉強はきつい。 
面白い番組がなくて、意味もなくチャンネルを回していた。 
 
『よっちゃん。』 
「どーした?」 
『美貴ね、リスト見ちゃったんだぁ。』 
「うん、…えぇ!?」 
『のりつっこみ!』 
 
ドキっとした。あまりに急だったし、美貴の表情も、言葉とは裏腹に、 
暗かったから。 
あぁ、やっぱり辻ちゃんで…。でも美貴が発した言葉は、私が予想してた 
展開とは異なっていた。 
 
『辻さんで終わりじゃないよ。…四人目は…、』 
 
終わりじゃなかった!?や、やったぁ、…あれ?でも、じゃあなんでそん 
な表情がくらいんだよ、美貴。 
226 名前:第二十話 投稿日:2005/04/05(火) 21:15
『四人目は…美貴。藤本美貴。』 
 
そう言った瞬間、美貴の目から大粒の涙がこぼれた。 
四人目が…美貴? 
 
「本当に…?」 
 
美貴は、俯いたまま小さく頷いた。 
四人目が…最後が、美貴…? 
 
これは、管理人さんの優しさなんだろうか。 
あぁ、私は、好きな人との別れを、二度も体験しなくちゃいけないんだ。
227 名前:上海 投稿日:2005/04/05(火) 21:23
>>218さん 
そんな、期待して待ってますなんて、嬉しい言葉をっ! 
ありがとうございます! 
 
>>219さん 
なんと!こんな作品で涙して頂けるなんて!ありがとうございます。 
自分で読み返しても、ため息しかでないのでww
228 名前:名無しさん 投稿日:2005/04/05(火) 22:55
更新乙です。
前半の幻のシェフとかに笑ってたところで(ノ▽T)アチャーミー
いよいよそういう展開になってしまうんですか・・・
寂しいけど期待してます、頑張ってくださーい。
229 名前:名無しさん 投稿日:2005/04/06(水) 04:31
切ない・・・なんの因果かそのレス番号もまた切ない・・・
・。゚(ノД`)゚。・。
続き楽しみにしてます
230 名前:nanashi- 投稿日:2005/04/06(水) 23:01
続きが…気になる気もしますが、見たくもない気もします(謎
でも、楽しみにしてますよ〜
231 名前:第二十一話 投稿日:2005/04/10(日) 20:26
「結構、かっこいい別れ方だよね。」 
『…。』 
「映画のラストみたい!」 
『…。』 
「つーか、美貴、最高!!可愛い!!大好き!!」 
『…。』 
 
…なんなんだよォー!!…いや、原因はわかってるけどさぁ。 
どうすればいいんだ。何とかして元気をだしてもらわないと。 
 
『…ほんとに?』 
「は?えーと…?」 
 
なんかヤケになってたから、ほんとに?がどこにかかってるのかが分かん 
ない。ってか、何喋ったのかもあまり覚えてなかったり…。 
 
『美貴も、大好きだよ。』 
 
あー!そこか! 
そこに反応した美貴がとてつもなく可愛いんだけど。 
よかったよかった、調子がもどって。
 
『だけど…本当にお別れなんだよね。』 
「…うん。」 
 
美貴の未練がなくなれば、お別れだ。 
あとどのくらい一緒にいられるんだろう。 
 
なんか、実感が湧かない。  
 
232 名前:第二十一話 投稿日:2005/04/10(日) 20:36
「そ、そんなさあ、暗くなんないでよ。ね?何も今すぐにじゃないんだし 
 さあ。」 
『そうだけど…。』  
 
やばい。何かよくわかんないけど、泣きそう。 
どうしよう。美貴の前で泣きたくないんだけど…。 
ってか、美貴の方がなきそうじゃん。そっちの方が嫌だ。 
 
「美貴ちゃん、そんなに私とのお別れが嫌かね。」 
『…?うん。』 
 
私の話し方が変わったことに、つまりお笑い路線になってることに気付い 
ていながら、真面目に答える美貴。 
ノッてくる余裕もないのか。 
 
「いやー、愛されてるなあ、私。こんな変人がいて嬉しいよ。 
 あ、間違えた。恋人ね、恋人。」 
『…フ。』 
 
やっと、笑ってくれた。本来なら、誰が変人だ、だれが!ってゆうツッ 
コミが欲しいところ。 
でも、復活は近いぞ。 
 
「私のこと、大好きなんでしょ?もう、ぞっこんでしょ?ぞっこん! 
 ホレ、ホレ、ツッコミキティ!」 
 
つっこめと、こっちからあおってみる。さあ、どうだ。 
 
『否定はしないよ。…けど、死語だよね、それ。』 
 
おぉ!復活!ナイスツッコミ!それでこそだ! 
えっと、さり気に否定はしないって言っちゃいましたね。
  

233 名前:第二十一話 投稿日:2005/04/10(日) 20:46
お母さんたちが帰ってきたのは、夕飯前だった。  
 
で、その後だ。管理人さんがやってきたのは。 
 
『元気ぃー?久しぶりやなあ、吉澤さん!』 
「あぁ、どうも、こんばんは。」 
『えっと、…見たよな?リスト。』 
「『はい。』」 
『ほんま、二人がおってくれて助かった。もちろん、今回ので最後や。 
 いろいろ考えた末、これが一番いい別れ方や思って。』 
 
確かに、納得いくっつーか、しっくりくる別れ方ではある。 
 
『いつまでなの?いつまでに、美貴は…。』 
『あと、二ヶ月。二ヶ月は、大丈夫。』 
『そっか…。』 
 
長いような、実際はすごく短いような。…うん。短いんだろうな。 
 
『二ヶ月は、好きにしてかまわんし、その…あまり、任務のことも気に 
 せんでいい。』 
 
…って言われても、美貴といたら、やっぱり考えちゃうよ。  
考えたくないけど、考えちゃう。 
 
『何か質問。』 
「『…。』」 
『よし、…じゃあ、またな。』 
 
…消えちゃった。 
234 名前:第二十一話 投稿日:2005/04/10(日) 20:57
『…二ヶ月かぁ。』  
「…うん。」 
『二ヶ月、何して遊ぶ?』 
 
よかった。美貴が前向きで。 
 
「何して遊ぼっか。」 
 
ニコッと、微笑み返す。 
 
『二ヶ月だよ?いろんなことができるよね。また、DVD見たりさぁ。』 
「そうだね。あ、海行きたいね、海!」 
『あはは、寒いっつーの!』 
「このインドア派め!」 
『くっ!事実の指摘はずるい!』 
 
…本当は。DVD見るのもいいけど、海に行くのもいいけど、そんなこと 
よりも、こうやって、なんでもない普通の会話がいっぱいできればいいな 
って思う。 
私がボケて、美貴がツッコンで。たまに逆転したりして。いっぱい笑い 
あって。 
 
美貴と過ごしたここ数年は、これから先、私が生きていく上で過ごす年月 
よりも、ずーっと大切で、本当に意味のあるものなんだよ。 
 
一緒に過ごした年月は短いけど、きっと人生の中で一番濃いだろう。 
どうだ、美貴。私はこんなに前向きだぞ。ちょっと気が早いけど、安心 
して、向こうに行っていいよ。   
 
235 名前:第二十一話 投稿日:2005/04/10(日) 21:02
『あー、でも心配だなあ。よっちゃんが。一人で大丈夫かなあ。』 
「何言ってんの。大丈夫大丈夫。余裕綽々、なるようにしかならない!」 
『盗むなー!!』 
 
笑っているのにいつの間にか、お互いに涙が頬を伝っていた。 
うそだよ、余裕だなんて、うそ。でもさ、あと二ヶ月なんだから。 
どうせなら楽しもうよ。ぐずぐず言っててもしょうがない。 
…好きだよ、美貴。本っ当に、大好き。 
236 名前:上海 投稿日:2005/04/10(日) 21:17
今回は早めの更新です。いつもこんな感じだったらいいんですが…。 
 
 
>>228さん
いいいよ、ですね。 
私も、自分で書いてて寂しいですが…頑張ります! 
 
>>229さん 
あ、ほんとだ!美貴様おめでとう!(?)。 
楽しみにして下さって本当に嬉しいです! 
 
>>230さん 
見たくない気もしますかww 
楽しみって言葉、見るだけで幸せになります。
237 名前:nanashi- 投稿日:2005/04/10(日) 22:23
楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ!!!(爆)
2ヶ月…2人に時間があるようでないので…どう絡むか考えてしまいますw
ゆっくりでいいので↑↑次回も期待してます^^
238 名前:名無しさん 投稿日:2005/04/19(火) 15:42
少しうるっときてしまいましたww 
二ヶ月かぁ…寂しいなぁ 
次回も更新待ってます 
239 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/20(水) 16:07
二度目の別れ…寂しいなぁ。
二ヶ月間ふたりはどうなっていくのか期待です。
240 名前:第二十二話 投稿日:2005/05/17(火) 22:43
その、三日後だ。美貴が予想もしてなかったことを言い出したのは。 
 
 
時刻は夜の10時で、私はやっぱり勉強をしていた。 
…で、またしても突然管理人さんが現れた。 
 
『いやあ、君らが有意義な日々を送っているかどうか…。』  
『この前来たばっかりじゃん!』 
 
そうそう、つい三日前だよね。 
 
『何や、せっかく来たのにそんなに邪魔なら帰るわ。』 
『あ。ちょっと待って、中澤さんに聞きたいことがあったの。』 
『ん?言うてみ?』 
 
それまで、私はただ二人のやり取りをぼんやりと見ていた。 
その分、驚きが大きかったんだけど。
241 名前:第二十二話 投稿日:2005/05/17(火) 22:56
『二ヶ月以内ってことだったよね。つまり、それまでならいつでもいい 
 ってこと?』 
『…ん、まあな。望むなら、明日でも…。』 
『うん、分かった。』 
「わ、分かったって、美貴?まさか、明日…。」 
『まさか!明日なんて、言わないよ。ただ、二ヶ月は長いかなって、思う 
 だけ。』 
 
早める方が良いってこと?てっきり、美貴もできるだけ長くいたいと思っ 
てくれてるのかと思ってただけに、ショックだった。 
 
『ごめん、自分勝手で。誤解しないでね。美貴だって、本当は長くいたい 
 けど…駄目なんだよ。美貴は弱いから、絶対に向こうに行けなくなっ 
 ちゃう。二ヶ月もいたら、決心が鈍るってゆうか、なごりおしくなる 
 から…。』 
 
美貴の言葉をゆっくり理解する。うん、そうか。私と美貴は、立場が違う 
んだもんね。去る側と、去られる側。私はしなくてもいい決意を、美貴は 
してるわけだ。 
 
「美貴が弱いんだったら、この世に強い人なんかいないよ。」 
 
出来る限りの笑顔を美貴に向ける。大丈夫、ちゃんと分かってるよ。 
美貴がそう言うんだったら、私も力いっぱいに同意するから。 
不安にさせちゃいけない。
242 名前:第二十二話 投稿日:2005/05/17(火) 23:06
『ありがとう…実は、よっちゃんがね、嫌だ!って言うようなら二ヶ月 
 いてもいいかなって思ってた。』 
「私は、いつでも美貴の意見が最優先だから。」 
『…本格的に邪魔みたいやし、帰るわ。じゃ、感動したで!またな!』 
 
そうだ、管理人さんがいたんだっけ。何か恥ずかしくなってきた。 
 
「あ、聞きそびれてたんだけどさ、美貴のやり残したことって、結局 
 何なの?」 
『へ?あ、ああ…そんなの、決まってんじゃん。』 
「やっぱ、焼肉?」 
『ちっがーう!本気にしてたの!?』 
「え、違うの?」 
『違うよ!もう!」 
「えーっと、…あ、高校卒業か!」 
『ブー!』 
 
えっと、何だ?卒業証書授与??や、それは含まれてるぞ。 
なんか、他にあったけ?
   
243 名前:第二十二話 投稿日:2005/05/17(火) 23:19
『分かんないの?』 
「降参です。」 
『はぁー…。』 
「す、すみません。」 
『あの、じゃあ言うけどさ、笑わない?』 
「うん、笑わない。」 
『よし!えっと、生前の未練とかじゃなくて、こんな体験したからこそ 
 できた願望っていうか…。』 
 
珍しく歯切れの悪い美貴。 
ん?ってか、待てよ。それってつまり、私との再会がなかったらそんな 
願望持たずにすんだってこと?じゃあ、私のせいで美貴は…!いや、でも 
元々は美貴がまだこっちにいたいって言い出したんだっけ。 
それなら私だけの責任ではないな。それに、今はそんな美貴のわがままに 
感謝してるし。 
 
『あの、聞いてる?』 
「あ、うん、ばっちり!」 
『絶対、笑わないでね?』 
「…多分。」 
『…。』 
「絶対!!」 
『よし。』 
 
なんだよ、そんなお笑い系のこと?ドジョウすくいしたいとかか? 
笑ったら怒られるかな。よし、顔を引き締めて…。 
 
『…デート、したいなって。』 
「…え、デート!?」 
『何、その顔。』 
 
真っ赤な顔で私をキッと睨む美貴。 
 
「いや、だって…デート、してるじゃん。この前だってスーパー行ったし 
 結構出かけたりはするじゃん。」 
『違うの!その、…手を繋いでデートがしたい。もう一度。』 
244 名前:第二十二話 投稿日:2005/05/17(火) 23:27
「あぁ、なるほどね…って、できるかっ!」 
 
なんて可愛いんだ、美貴!と思いつつもここはツッコミ。 
 
『できそうじゃない?管理人さんなら、一日生身の人間に戻すくらい。』 
 
できるできないっていうより、やっていいのかそんなこと。 
実現したら、そりゃあ嬉しいけどさ。でも、そうしなきゃ美貴はあっちに 
行くことが出来ないんだよね。何とかしてくれるのかなぁ、管理人さん。 
さすがに無理のような気もするけど、まあ、また管理人さんが気まぐれに 
やって来るのを待とう。 
 
 
二ヶ月は長いと言ったものの、あと一ヶ月はこっちにいると、美貴は言 
った。私も、それくらいがいいと思う。短いけど、その一ヶ月を二か月分 
の濃度にすればいい。美貴が決めたことなんだから、一ヶ月損したなんて 
思わない。 
245 名前:第二十二話 投稿日:2005/05/17(火) 23:37
次の日は、家族で初詣に出かけた。みんなでおみくじを引いて、大吉が出 
たのは、私だけだった。私は、みんなとは少し離れたところにある木に 
おみくじを結びに行った。弟が不思議そうに見てたけど、すぐに向き直 
った。 
 
「みてよ、美貴。未来は明るいぞ。」 
『うん、安心したよ。凶とかだったら残ってやろうかと思ってたけど。』 
「やめてー。」
 
お互い、顔を見合わせて笑った。 
 
『…ねぇ、美貴が向こうに行っちゃっても、美貴とよっちゃんは恋人?』 
「恋人。永遠の恋人。」 
『…フフ、♪会話がなくても通じちゃう〜♪』 
 
お、ノリがいいね。 
そう、恋人なんだよ、ずっと。当たり前じゃんか。 
 
『CLOSE MYEYES 以心伝心 CLOSE YOUREEYES〜♪』 
 
…まだ歌ってるし。 
私は、キュッと勢いよくおみくじを木に結びつけた。
246 名前:上海 投稿日:2005/05/17(火) 23:46
>>237 
ぎゃー、嬉しい!!(爆)ありがとうございますw 
うーん、残りの時間、二人はどう絡むのでしょうか…。 
 
>>238
二ヶ月…一ヶ月になっちゃいましたが…寂しいですね。 
はい、更新待ってて下さい!ありがとうございます! 
 
>>239
二度目の別れですね。残りの日数、期待に応えられるよう気持ちを込めて 
書きます!
247 名前:nanashi- 投稿日:2005/05/18(水) 14:05
交信乙です^^
デートwwミキティより楽しみにしてますw

でも、よっちゃん…ミキティは皆に見えないのに、笑ってたら周りから怪しまれないのでしょうか…w
ちょっと思ってみたw
248 名前:名無しさん 投稿日:2005/06/05(日) 14:09
銀色の永遠!!やられたーwこの曲大好きです! 
いいですね、デート。自分も楽しみにしております
249 名前:第二十三話 投稿日:2005/06/11(土) 14:32
美貴が一ヶ月宣言をしてから、すでに数日が過ぎた頃。  
美貴が落ち着いてきたのに対し、私は急激に寂しさを感じ始めた。 
また、事故当初のようになってしまうのだろうか。いや、もっと穏やかで 
いられる自信はあるんだけど。 
 
でも、普通に考えてよ。これから美貴がいなくなっちゃって、何も変わら 
ない分けがないじゃん。 
 
そんな思いを抱えたまま、三学期は始まった。三学期にもなるとみんな 
勉強!勉強!勉強!だ。頭の中を受験以外のことが埋め尽くしてるのって 
私だけだろう。そうだな、私は美貴!美貴!美貴!って感じかな。  
私にとって重大なことが同じ時期に重なるのって、どうよ。
250 名前:第二十三話 投稿日:2005/06/11(土) 14:47
そんな私に、ごっちんが気付かないわけがなく。 
今、一緒にお弁当を食べてるんだけど。 
 
「じゃあさ、よっすぃはミキティが向こうに行っちゃうまで受験のこと 
 考えなくても良いよ。あたしが許す。」 
「や、ごっちんに許されても。大体、それじゃ手遅れなんだって。」 
「うん、そりゃあそうだろうね。」 
「勉強はしてるよ、ちゃんと。でも、その後が心配なんだよ。美貴が 
 いなくなっちゃった後。なんに対しても意欲がなくなるんじゃないか 
 って。…美貴、あまりニコニコしないでくれる?」 
『んふっ。だってぇ〜。』 
「んふって、ミキティ…。まぁ、確かに今のよっすぃはミキティがすべて 
 だよね。」 
 
言われたい放題だな、私。あぁ、そうだよ。いつだって美貴中心だよ。 
悪いかよっ! 
 
「でもさ。離れたくないっ!て思える相手と出逢えたことって、すんごく 
 幸せなことじゃない?あたしは、二人が羨ましいけどな。」  
 
そうだよね…。私は幸せなんだよ。こんな、滅多に…つーか普通じゃ考え 
られないような体験までしてさ。あの時、美貴が私の前にもう一度現れて 
なかったら、どうなっていただろう。正直、自殺を考えるほど追い込まれ 
てた。 
 
「じゃあさ、運命の出会いって思っていい?」 
「『いいと思〜う!』」 
 
いや、美貴が言うなよ。 
…じゃ、胸を張って言おう。私の運命の人は、藤本美貴だって。  
それは、この先ずっと変わることはないだろう。

251 名前:第二十三話 投稿日:2005/06/11(土) 14:57
放課後、久しぶりに加護に会った。あまり会いたくはないんだけどね。 
 
「よっちゃんよっちゃん、あのね!第二ボタンは無理だったけど、第一 
 ボタンは当選したよ!貰う権利はばっちり亜弥ちゃんに譲ったから!」 
「…は。何のこと?」 
「え、知らないの?よっちゃんの第二ボタン抽選会が行われたこと。」 
「え…。」 
 
本当にやったんだ、飯田先生。私に何も言わずに。 
 
「まず、加護が参加したことも謎だけど、何で亜弥ちゃんに権利あげるん 
 だよ、迷惑だろ。」 
「いいじゃん、亜弥ちゃんはずれちゃったんだし…もしかして、気付いて 
 ないの!?」 
「なにが?」 
「わー、バカがいる!」 
「ば、ばかぁ!?ちょっと、待てよ加護!」 
「だって用があるんだもーんっじゃあね!」 
 
…くっそー!バカとはなんだ、バカとは。言われ慣れてるけど、あいつに 
言われるとむかつく!つーか、マジで何故加護と亜弥ちゃんはそんなもん 
に参加したんだろうか。
252 名前:第二十三話 投稿日:2005/06/11(土) 15:09
『当選なんてしなくても、亜弥ちゃんが第二ボタン下さい!って言ったら 
 一発なのにね。』 
「確かに、言われたら当選者そっちのけであげるけど、本当に欲しい分け 
 ないじゃんか。」 
『大丈夫、その鈍さも魅力の一つだから。』 
「私は鈍くない!」 
  
するとそこへ、飯田先生が。 

「何、一人で主張してんの、吉澤。誰かに鈍いって言われたの?」  
「先生、はい、言われたんです。でも私は鈍くないです。」 
「よしよし、あまり気にしちゃ駄目だよー。」 
「はい、…あの、抽選会って本当にやったんですね。」 
「そうだよ。予想以上に倍率高し!」 
「で、第二ボタンは結局誰に…。」 
「近所の小学校の、村上愛ちゃん。」 
 
…なんでそんなとこから参加してんの!?小学生!?つーか、誰だよ! 
 
「なんと、今大会最年少!」 
 
当たり前だー!その前に、大会じゃないだろ。 
 
『なんか美貴、めっちゃ見たかったかも。』 
 
美貴まで変なこと言い出すし。 
 
『いやー、モテルね、よっちゃんさん。」 
 
嬉しいんだけど、何つーか、ここまでされたら現実味がありません。 
みんな本当に私なんかのボタンが欲しいのか? 
…今日は帰って昼寝でもしようかな。
253 名前:上海 投稿日:2005/06/11(土) 15:15
>>247さん 
めっちゃ怪しまれてると思います。それが分かってるから吉澤さんは 
みんなと離れた場所にある木に結びに行ったんですw 
 
>>248さん 
銀色の永遠!私も好きなんです!思わず使っちゃいました。 
はい、デート楽しみにしていて下さい。
254 名前:nanashi- 投稿日:2005/06/11(土) 22:55
ギャー!!!!(ヴぁく
交信おありがとうございます(´∀`)
いやぁー最高ですね(・∀・)ニヤニヤ
次回も待ってます☆
255 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/27(月) 13:28
さり気なくラブラブなみきよしが良いっす。
256 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/09(土) 08:37
この作品大好きです!!!!
更新待ってます。
257 名前:上海 投稿日:2005/07/22(金) 12:26
申し訳ありません!いまパソコンが壊れてるんで取りあえずネットカフェ 
から生存報告です。更新はいつになるか分かりませんが絶対しますんで! 
258 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/22(金) 15:26
>>257
作者さん、生存報告ありがとうございます!!
ずっと、待ってます^^
259 名前:名無しさん 投稿日:2005/07/24(日) 15:46
自分もずっと待ってますんで! 
これからの二人に期待大です
260 名前:名無しさん 投稿日:2005/08/18(木) 18:51
のんびり待っとります。
261 名前:上海 投稿日:2005/08/19(金) 17:02
更新が大変遅れて申し訳ありません。パソコンがようやく正常に動くよう 
になりました。(遅っでは早速本編を、と言いたい所ですが、なんせ 
パソコン自体久しぶりなので、まずは短編を書きたいと思います。内容は 
本編の二人が付き合う前の話です。続きを待って下さってる方がいらし 
たら、自分勝手で本当にごめんなさい。
262 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/19(金) 17:05
 
 
高1の秋。美貴とよっちゃんがまだ付き合ってない頃の話。
263 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/19(金) 17:12
文化祭も終わって、季節は秋というより冬に近くなっていた。 
そんでもって今、美貴は黒板消しを両手に装着して、叩いていた。 
  
ぱんぱん  
 
何でかって。日直だから。隣で黒板消しえを叩いてるのは、同じく日直の 
平井さん。 
 
ぱんぱん 
 
…って、ゆーかさ、どうして日直がしなきゃいけないわけ。こーゆーの、 
掃除サボってる人たちにさせればいいじゃんか。ほら、今だってほうき 
持ってるだけでおしゃべりばっかしてるやつ、いっぱいいるじゃん。 
  
ぱんぱん…バフ! 
 
美貴は、この怒りを黒板消しにぶつけたため、左手に装着してた黒板消し 
が、勢い余って窓の下に…落ちちゃった。
 
264 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/19(金) 17:27
「…あーっ!!」 
「ど、どうしたの?落ちちゃった?」 
「あ、あたっちゃった。中庭歩いてた人に…。」 
「えぇー!?」 
 
勢いよく、教室を飛び出して、階段を駆け下りた。 
どうしよう、やばいよ!ここ二階! 
 
中庭に着くと、頭が白くなってる人が制服をはたいていた。足元には 
ゴミ袋と黒板消し。…焼却炉に行き途中だったのかな。こっちから 
行ってるって事は、一年生…。二・三年生は校舎違うからね。 
 
「あ、あのー…すみません。」 
「ん?あ、君が落としたんだ。ちょっと、見てよこの制服!真っ白!」 
「や、頭も白いから。」 
「マジで!?…って、落としておいてその態度はなんだよ!」 
「す、すいません!本当、わざとじゃなくて…。」 
「…仕返し。」 
 
バフっ! 
 
「!?げほ、げほ…」 
「あはは。」 
 
…信じられないっこの人!謝ってるのに!なにも顔面目掛けてすること 
ないよね!?それに、その黒板消し、一度地面に落ちたやつじゃんか。 
 
「落としたのは美貴が悪かったけど、これでおあいこなんだからもう 
 謝らないからね!!」 
「あ、待ってよ!藤本さん!」 
「…なんで知ってるの?」 
「何でって…。学年一緒じゃん。知ってるよそれくらい。藤本さん、私 
 のこと知らないの!?」 
「はぁ?知るわけないでしょ。今日が初対面じゃん。…もう美貴行くから 
 。じゃあね。」 
 
265 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/19(金) 17:33
「み、美貴ちゃん、さっき黒板消しがあたっちゃった相手って、よっすぃ 
 でしょ!?」 
 
帰りのHRの前。隣の席の平井さんが話しかけてきた。あ、さっきのが 
よっすぃか。フーン、あいつが噂の。 
 
「いいなぁ、羨ましい!」 
 
黒板消しの粉顔にかけられたのに?どーゆー趣味してんの、この人。 
 
よっすぃよっすぃって、よく名前は聞くけど実際に見たことはなかったん 
だよね。あ、顔くらい知ってたけど、あの人が吉澤ひとみだってことは 
知らなかった。あぁ、そうか。だから私のことしらないの!?とか言って 
たのか、自意識過剰な奴。美貴はあまり好きじゃないなあ。もう関わり 
たくないかも。 
 
…って、思ってたのに。放課後またバッタリ。
266 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/19(金) 17:42
「あ、ミキティだ!ねー、一緒に帰らない?」 
「…み!!」 
「み??」 
「みきてぃ!?」 
「だって藤本さんじゃ堅苦しいじゃん。みんなから呼ばれてるでしょ。」 
「だからって、今日はじめて会ったのに!」 
「いいじゃん、帰ろう。私今日塾なんだよね。」 
 
…知らねぇよ!じゃあさっさと帰ればいいじゃんか!美貴の腕を掴んで、 
引っ張っていく吉澤ひとみ。…迷惑な人だなー。 
 
「よし、連れ出しは成功した。」 
「ねぇ、帰る方向は一緒なワケ?」 
「一緒だよ。朝よく見かけるし。そっか、気付いてなかったか、残念!」 
「うん、ごめんね。全っ然知らなかった。」 
 
っていうか多分見かけたとしても気にも留めてなかった。 
 
「藤本さんて、冷たいよね。」 
「悪かったね。」 
 
あ、ミキティじゃなくなってる。じゃ、さっきミキティって呼んだのは 
冗談だったのかな?   
 

267 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/19(金) 17:51
「もしかしなくても、私のこと嫌い?」 
「…。」 
「あ、仕返ししたこと怒ってるんでしょ。あれはね、私なりの優しさ 
 なんだよ。」 
「…はぁ!?」 
「だから、例えば、いいよいいよ、気にしてないよって言われるよりも、 
 やり返されたほうが罪悪感感じないでしょ。…本当はこんなこと自分で 
 言いたくないんだけど、藤本さん鈍いから。」 
「鈍くて悪かったな。美貴は罪悪感とか感じない人なんだよ。逆効果 
 だったかもね!」 
「…そっか。今後気をつけます。それより、藤本さんって堅苦しくない?」
 
まだ言うか、こいつ。案外しつこいな。フツー、自分で言わないよね。 
 
「分かったよ。じゃあ藤本って呼べば?」 
「あはは、そーゆー男友達みたいなノリ、好きだよ。でもやっぱり、 
 ミキティって呼びたいな。」 
「そう。じゃあ美貴は吉澤さんって呼ぶから。もう呼ぶ機会なんてない
 かも知れないけどね!」 
「うわ、やっぱ冷たい!」 
268 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/19(金) 17:58
だってこの人、よっすぃって呼ばれてるんだよね。恥ずかしくて呼べない 
よ!あだ名で呼び合うなんて、美貴たちが仲いいみたいじゃんか! 
 
「じゃあ、私ここだから。…一人で帰れる?」 
「は?あんたバカ?…言い忘れてたけどさ、掃除時間のあれ、大丈夫 
 だったの?その…コブとかできてない?」 
「えっ?う、うん。全然…。」 
「そっか。」 
 
?何、ぼーっとしてるんだろう。せっかく気遣ってやったのにさ。 
さっきまであんなに元気だったじゃん。 
 
「…どうしたの?家、ここでしょ?」 
「そうだけど…藤本さんがそんなこと言ってくれるなんて、思ってなかっ 
 から…。じゃ、じゃあね!」 
 
藤本さんに戻ってる。素になると藤本さんになるのかな? 
…そんな嫌なやつじゃないにかもなぁ、吉澤ひとみ。
269 名前:上海 投稿日:2005/08/19(金) 18:12
>>254さん 
おありがとうございますってwこちらこそ、おありがとうございます!  
待ってて下さってありがとうございます。
 
>>255さん 
さりげなくラブラブ!!密かに目指してるみきよしのありかたです! 
うわ、めっちゃ嬉しい。有難うございます。 
 
>>256さん
大好きですか!!もう、何て言ったらいいのか…。有難うございます! 
本編の続きじゃなくて申し訳ないです。 
 
>>258さん 
ずっと待ってますとか…嬉しくて倒れそうですw 
心強いお言葉、有難うございます! 
 
>>259さん 
ああぁ、またまた心強いお言葉!期待大とか言われたら、頑張るしかない 
じゃないですか!ありがとうございます! 
 
>>260さん 
保全有難うございます!これからものんびりと待って下さると嬉しい 
です。 
270 名前:上海 投稿日:2005/08/19(金) 18:15
短編が若干長くなりそうです;また明日にでも更新したいと思います。  
細かいミスはどうか目を瞑ってやって下さい(汗)。
271 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/19(金) 21:00
254です^^
nanashi-から脱出(謎
これからどうなるかマジで楽しみっす♪
黒板消しは、2年間も掃除当番でやりました(苦笑)
あれって袖とかに付くと取りにくいし臭いんですよねぇ。
ミキティ頑張れ(更謎)
272 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/20(土) 10:21
更新されてたぁー(>_<)ヤバイ、めちゃ嬉しい!!
本編の続きも気になるけど、短編も良いっス♪
作者さんのみきよし、やっぱ好きです。
273 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/20(土) 15:35
「美貴たん、最近元気ないよね。』 
「ちょっと嫌な奴が居て…いいな、亜弥ちゃんはいつでも元気そうで。」 
「そう?」 
 
日曜日。朝から幼馴染の亜弥ちゃんが美貴の部屋に遊びに来てる。この 
亜弥ちゃんってのがすごく可愛くて、妹のように可愛がってるんだよね。
 
「よし、美貴たん!昼から買い物行こうっ!」 
「別に良いけど。」 
 
それから家を出て、よく二人で行くお店でランチタイム。亜弥ちゃんと 
出かけるのって、楽しいんだよね。早く高校生になって欲しいな。 
 
「でっ!さっきの続きだけどさ、私が思うにその人は美貴たんのことが 
 好きなんじゃない?」 
「ないない、それはない!」 
 
その人っていうのは、吉澤さんのこと。実はさっきから亜弥ちゃんに愚痴 
ってたんだよね。あの黒板消し事件以来、やたら付きまとってくるし、 
帰りなんて待ち伏せしてる時あるし…って、この内容じゃ確かに好きなん 
じゃないかって思っちゃうか。 
 
「じゃ、まだ黒板消しのこと怨んでるんじゃない?美貴たんと仲良くなる 
 ことで弱点を探って、復讐法を考えてたりして…。」 
「あ、そっちの方が有り得る。でもなー、そうだとしたらすんごく心 
 狭くない?」 
「確かに。まぁ、そのうち分かるんじゃない?」 
「そうかもね。」
274 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/20(土) 15:42
食事を終えて、店を出た瞬間、向かい側にあるファーストフード店から 
出てくる吉澤さんの姿が目に飛び込んできた。…なんで制服なの?日曜 
なのに、部活があったのかな。で、一緒に出てきた人は!?うちの制服 
じゃないし、たしかあれってお嬢様学校の…。 
ってか、お嬢様寄り添いすぎだろー!! 
 
「…美貴たん、どうしたの?」 
「あ、何でもない!ごめんね。」 
 
吉澤さん、他校に恋人いたの?じゃあなんで美貴につかかってくるんだろ。
今度から無視しようかな。…あ、でもただの友達かもしれないし…。 
 
「美貴たん顔怖い…。」 
275 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/20(土) 15:50
買い物も終わって、今はバスの中。さっきから思ってたんだけど、雨が 
降りそうなんだよね。家に帰り着くまでに降らなきゃ良いけど…。 
 
「さっきね、美貴たんと同じ高校の人見かけたよ。」 
「へぇ…制服着てたの?」 
「うん。見なかった?さっき入ったCDショップにいたんだよ。その人、 
 超美人でさ。あー、美貴たんにも教えればよかったね。」 
「…違う制服の人と一緒に居た?」 
「そうそう!なんだ、見たんじゃん!」 
 
 …。 
 
「ねぇ、知り合い??」 
「ううん、全っ然!今日見かけるまで同じ学校に通っていながら存在も 
 知らなかった見知らぬ生命体。」 
「あー、あの人が吉澤さんか。」 
 
あ、亜弥ちゃん鋭い…。 
 
それから、バス停に着くまで下らない話をした。…まぁ、美貴が無理に 
話題を変えたんだけどね。それで、バス停に着いたのはいいんだけど…。
276 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/20(土) 16:02
  ザーッ 
 
「…どーする?」 
「…どーしよっか。」  
 
土砂降りの雨。雨降りそうだな、とは確かに思ってけどさぁ!これはない 
んじゃない!?小雨くらいなら走って帰れるなって思ってたのに。 
これは、雨宿りするしかないなぁ。 
仕方なく、亜弥ちゃんと二人でバス停のベンチに腰掛けた。 
 
「あっ!あの人、吉澤さんじゃない?」 
「え!?…うわ、最悪。」 
 
亜弥ちゃんが指差した方向を見ると、こっち側に向かって歩いてる吉澤さん
の姿が。しかも傘持ってやがるし。 
 
…あれ?お嬢様がいないぞ。送った帰りなのかな? 
 
「ミキティー!!」 
 
げ!気付かれた。しかも走ってくるし。 
 
「人の名前、大声で呼ばないでよね。」 
「はい、すいません。で、こっちの可愛い子は誰?」 
「松浦亜弥ちゃん…て、何真面目に答えてるんだ、美貴!」 
「あははー…カサ、貸してあげる。ほら、持って。ミキティ。」 
「な、なに言ってんの?吉澤さんが濡れちゃうでしょ。うちら、ここで 
 雨宿りするからいいよ。」 
「じゃあ、私も雨宿りしようかな。」 
「はぁっ!?」 
 
そういって、カサをたたんで美貴の隣に腰掛ける吉澤さん。さっさと 
帰ればいいのに。 
 
「実はさ、街でミキティ似の人見かけたって思ってたんだよね。私服 
 だったし、隣の子知らなかったから自信なかったけど。やっぱり本人 
 だった!」 
277 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/20(土) 16:16
「吉澤さんはどっかのお嬢様といたよね。」 
「お嬢様?あはは、それ本人に言ってあげて。多分喜ぶから。でもあの制服
 じゃあ誰でもお嬢様に見えない?」 
 
こんな屈託のない笑顔、吉澤さんでもするんだなぁ。よっぽどその人が 
好きなんだろうか。 
 
「そんなことない。…綺麗な人だったし。」 
「…なんでそんなに褒めるか分かんないけど、今日久しぶりに会ったら 
 一段と黒くなってたし、相変わらずアゴはでてたし…。」 
「久しぶり…?」 
「あぁ、中学の時の友だちなんだ。高校離れちゃってからはなかなか会え 
 なくてさ。で、あっちも今日は部活午前中までだって言うもんだから。」
「そ、そうなんだ…。」 
 
仲いいのは分かったけど黒いとかあごでてるとか、言いすぎなんじゃ…。 
美貴は、普通に綺麗だなって思ったんだけど。 
 
「あ、ホラ!もう6時じゃん!帰んなきゃ駄目だよ!ね、私はカサいらない
 から!三人は入らないし。」 
「いいってば!吉澤さんが風邪引いた時、美貴のせいにされたら嫌だし。
 どうしてもって言うなら、亜弥ちゃん送ってあげて。」 
「…う〜ん。じゃ、はい。亜弥ちゃん持って。」 
「えっ私!?」 
「じゃあ、ちゃんと二人でさして帰ってね。」 
 
吉澤さんは、立ち上がってクルッと回れ右をした。…いいつってんのに。 
大体、帰る方角一緒じゃんか。 
278 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/20(土) 16:29
「本当に、いいから。大体、それ吉澤さんのカサでしょ!本人が濡れて 
 どうするの!」 
「いい加減、受け取ってもらわないとかっこつかないじゃんか。私は丈夫 
 だから濡れてもいいんだって。…多分。」 
「何それ…。」 
「それに、可愛い子が濡れていいわけないでしょ!…今度こそじゃあね!」
 
派手に水しぶきをあげながら、雨の中を走ってく吉澤さん。どーゆー理屈 
してんだろう。自分だって十分可愛いくせに。 
 
「…かっこいいじゃん。」 
「へっ!?亜弥ちゃんまでそんなこと言い出すのぉ?」 
「…逆だったかも。あの人が美貴たんのこと好きなんじゃなくて、…美貴 
 たんが…。」 
「え?何?もう一回。」 
「…何でもない!ってかさ、吉澤さんがコンビにでビニールガサ買って来て
 くれたら、誰も濡れずにすんだのにね。」 
「あ、本当だ。バカだねあいつ。」 
「美貴たんも気付かなかったんじゃん。」 
 
気付いてた亜弥ちゃんが何も言わないってのもどうかと思うけど。 
  
 
翌日、吉澤さんの教室までカサを返しに行ったら、吉澤さんはモロに風邪 
を引いてた。くしゃみしまくってる姿を見て、ほんの少しだけど美貴の 
中の人物ランキングで、吉澤さんがランクアップした…ような気がした。
279 名前:上海 投稿日:2005/08/20(土) 16:36
>>271さん 
おー、脱出おめでとうございます(謎w 
黒板係は面倒くさいですね。制服白くなりますしねwミキティ頑張ります!
 
>>272さん 
めっちゃ嬉しいって、そういわれた私の方がめっちゃ嬉しいんですがw 
短編もいいって言ってもらえて嬉しいです。有難うございます。
280 名前:名無飼育さん(271) 投稿日:2005/08/20(土) 20:13
脱出でした(≧▽≦)(なじょ)黒板はそれ以来嫌いです_| ̄|○
ミキティー(*´Д`*)ランクアップしちゃえよ!!もっと!!(切実)
よっちゃんも紳士ですね〜^^普通にカッケーっす(/-\*)

281 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/23(火) 14:37
<吉澤視点> 
 
 
二学期終業式。去年の今頃なら、「ひゃっほう!冬休み!」とか何とか言 
って、受験生の癖にみんなで騒ぎまくっていたのに。 
…今年は。一番、クリスマスを一緒に過ごしたい人を、誘えないでいる。 
だってだって、あの人のことだから、「はぁ!?何言ってんの。」で 
一蹴されるよ!それに…他の予定が、あるかもしれないし。 
 
「おぉ、素晴らすぃね!」 
「ご、ごっちん!」 
「体育だけ。」 
「人の成績勝手に見んなよっ!」 
 
あわてて、通知表を取り上げた。確かに、一学期より下がったけどさ! 
ごっちんだって同じような成績のくせに! 
 
「ねぇねぇ、今年はどうする?また、朝まで騒ぐ?」 
「今年は…。あ、ごっちん、ミキティと知り合いだったりしない?」 
「まさか!…そうか、ミキティね。うん、分かった。頑張って!」 
「が、頑張ってって…。」 
「25日は一緒に遊ぼうね!」 
「うん。」 
 
…はぁ、どうしよう。誘えっこないよ。せっかく、あのカサ事件以来、 
ほんのちょっとミキティが優しくなったっていうのに。 
でも、予定聞くくらいなら…!
282 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/23(火) 14:45
終礼が終わって、とりあえず1組(ミキティのクラス)に向かう。 
あ、まだ終わってないのか。ここで待ち伏せするのは、ちょっと恥ずい 
かも…。また下駄箱のところで待ってようかな。 
やべぇ、ガラにもなくドキドキする。あ、1組の子が出てきた! 
終わったのか。 
 
小走りで、下駄箱に向かい、いつもミキティを待ち伏せしてる位置まで 
移動した。 
 
あ、きっ来た!…て、なに隠れてるんだ、私!これじゃあ気付かないで 
帰っちゃうよ! 
 
「あ、吉澤さん。じゃあねっ!」 
「う、うん!バイバイ!」 
 
やったー!ミキティのほうから声掛けてくれたぞ!…て、違うだろォー! 
しかも走って帰っちゃったよ!! 
どうしよう、追いかけようか…。でも、明らかに用事ありそう。 
ミキティのメルアドでも知ってたらパパパっとメールで聞けるのに。  
283 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/23(火) 14:56
何だかんだで、結局家に帰ってきちゃった。ごっちんの誘いも断っちゃっ 
たようなもんだし、これじゃイヴに一人!?まぁ、家族はいるけどさぁ。 
梨華ちゃんや柴ちゃんはごっちんが誘った中に入ってるだろうし。他に 
仲のいい人は、全然予定分かんないしなー。 
 
『もしもし、よっちゃん?』 
「加護ちゃぁん、…助けて。」 
『何々?相談?いつでも乗るよ!』 
 
前に、「恋愛相談ならお任せ!」みたいなことを言っていた加護に電話 
した。アテにしてる訳じゃ、全然ないんだけどね。 
 
「今から、好きな人を誘うにはどうすればいい?」 
『そんなの、直接言えばいいでしょ。』 
「でも、学校から帰るときに走ってたんだよ?急いでるってことはなにか 
 予定が…。」 
『じゃ、メール!メールで聞けばいいじゃん!今何してんのって。』 
「…メルアド知らないんだもん。」 
『 …。』 
「 …。」  
『と、とにかく、プレゼント用意すれば!?家に会いに行くにしても、 
 手ぶらじゃなんだし。健闘を祈る!』 
「…あ、切りやがった。」 
 
プレゼントかー。確かに、会う口実にはなるかな。ま、取り敢えず私服に 
着替えよう。
284 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/23(火) 15:08
街に出てみたはいいものの、ミキティの好みってわかんないんだよね。 
ぬいぐるみは好きじゃなさそう!アクセサリーってのは、…恋人っぽい。 
どうしようどうしよう。思い切ってペアリング…うへへ(怪 
でも、お揃いってのはいいいよな、うんうん。ミキティは使ってくれな 
さそうだけど。   
 
う〜ん、早くなに買うか決めないとなぁ。あの雑貨屋さんにでも入って 
みようかな。 
 
「いらっしゃいませー…よっちゃん!?」 
「あ、安倍さん!?なんでいるの!?」 
「なんでって、働いてるから…よっちゃんこそ、なんでいるの?」 
 
安倍さんってのは、前に家の近くに住んでた人。すごい面倒見のいい人 
なんだけど、ちょっと…いや、かなり幼い。 
 
「私は、友達のプレゼント選びに…。」 
「友だち?友だちにクリスマスプレゼントあげるの!?」 
「あ、えーと、…す、好きな人に。」 
「あはは、よっちゃんカワイイ。うーん、アクセサリーは?」 
「だっ駄目です!恥ずいです!」 
「なにその反応。じゃあ、マグカップは?ペアで!」 
「マグカップか。いいかも。」 
「奥にあるから見ておいで。」 
「はぁ〜い。」 
 
奥…っていっても、この店案外広い。お客さんも結構居るし。…あ、 
あっちか。う〜ん、どれにしよう。 
安倍さんはペアでって言ってたけど、ペアで渡せってこと?それとも 
私も同じの買えってこと? 
285 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/23(火) 15:18
同じティーカップティーカップ♪…あ、これカワイイ!ミキティっぽい。 
 
「ね、美貴たん、これかわいいじゃん!」 
「可愛いけど…。」 
「もう!プレゼント買ってくれるって言ったの美貴たんでしょ!そりゃあ 
 あの人へのプレゼントの方が気になるのは分かるけどさぁ。」 
「ち、違っ!分かった分かった、これね!これ買えばいいんでしょ!」 
「…美貴たん、レジそっちじゃないよ。うわ、耳真っ赤!」 
 
…ミキティー!!??と、松浦さん(だっけ?。 
って、また隠れちゃったよ。ってか、あの人って、誰よ。…やべぇ、 
テンション落ちた。もう買わなくても良いような気がしてきた…。 
 
一応、直感でミキティぽいなって思ったマグカップを買った。…ペアじゃ 
ないけど。これ渡して、告って、それから諦めようかな。 
私、ネガティブすぎ?でも、あんな取り乱してるミキティ、初めて見た。 
まぁ、付き合いは短いけどさ。…いつも、影から見てたんだもん。 
松浦さんの言う通り、真っ赤になってたし…。 
に、しても、いつ渡そうか…。
286 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/23(火) 15:23
  コンコン 
 
「ひとみ、いつまで寝てるの!?もうみんな晩御飯食べたわよ。」 
 
…ん?あーっ!!今何時!?7時半!?マジかよ…。 
 
「うん、すぐ食べる…。」 
 
ハァ、プレゼント、明日渡そうかな。今日行ったって、ミキティ家に 
いないかもだし…。 
 
晩御飯食べてたら、お母さんから「あんた今日は出かけないの?」なんて 
、傷つくことを言われた。出かけたいよ!ミキティと二人で、メルヘン 
街道走りたいよ!…それは無理だけどさ。 
今日は早めに寝るかな。悲しくなるし…。
287 名前:上海 投稿日:2005/08/23(火) 15:30
>>280さん
私も黒板はあまり好きじゃないですね。書く分にはいいですけどねw 
ランクアップしちゃえよ!1位になっちゃえよ!(爆w 
よっちゃんカッケーですか?有難うございます!
288 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/23(火) 15:42
キタ―――――(゚∀゚≡(゚∀゚)≡゚∀゚)―――――!!!
280でしたww
レモン色?ミルクティだー!!!!(完壊)
絶対上手くいくだろうと思い込んで舞い上がってます(爆)
安倍さんの登場嬉しかったですww
1位になっちゃえよーーー!!ってか、なれ!!w
よっちゃんカッケーっすね〜(^〜^O)俺惚れてるかなww
289 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/25(木) 23:01
<吉澤視点> 
 
 
ピンポーン 
 
食事を終えて、テレビ見ながらゴロゴロしてたら、突然インターホンが 
鳴った。 
 
「ひとみー、出て!」 
「ハーイ。」  
 
お母さん、今食器洗いしてるからね。全く、イヴのこんな時間(8時)に 
誰だよっ!!ヒマな奴!!…私もだけど。 
 
  ガチャ 
 
「は〜い、…みっっ!!??」 
「み?…もう、何て顔してるの。フフフ。」 
「ミキティ!?どうしたの!?あ、そうか。家間違えたのか。えっとね、 
 ミキティん家は、ここから真っ直ぐ行って左に…。」 
「お、落ち着いて。ちゃんと分かってるから。に、しても。イヴに家に 
 いるなんて、寂しいね、吉澤さん。」 
「じ、自分だって!」 
 
これは夢!?今、私の目の前にミキティが…。 
 
「美貴は、これから過ごすからいいんだもん!」 
「…そっか。」 
「吉澤さんと!」 
「…。…えっ!?」 
「反応遅っ!!今から出られる?」 
「で、出られる!出れなくても出る!!ちょっと待ってて!」 
「…忙しい奴。」 
 
 バタバタバタ  
 
マグカップ、どこやったっけ。まさか今日渡せるとは…!あ、お金どれ 
くらいいるんだろう。つーか、どこに行くつもりなんだろう。あぁ、 
やべぇ、にやける!!この服でいいのかなっ変じゃないかな!  
290 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/25(木) 23:17
「お母さん、今から出かけてくるから!」 
「行ってらっしゃーい。」 
 
「〜っお待たせ!」 
「よし!行こうか。」 
 
あー…幸せ。何々?ミキティは何をたくらんでるの?「あの人」と過ごす 
んじゃないの?…まぁ、いいや。ってか、私服ミキティ可愛すぎ。 
 
「まさか、家にいるとは思わなかったよ。いなかったら諦めようかと思っ 
 てたから。」 
「悪かったな。家にいて。」 
「いきなり家訪ねるなんて無謀かなと思ったけどさ。…メルアドとか、 
 知らなかったし。」 
「言ってくれたら教えたのに。」 
「美貴も、言ってくれたら教えるのにって思ってた。」 
 
…なんか、すごくいい感じじゃない?ねぇ!あのミキティがこんなこと 
言ってるんですよ!あの、「はぁ!?」と、「〜かよ!」が口癖な、 
ミキティが!! 
 
「で、今からどこ行くの?」 
「う〜ん、…どこがいい?やっぱカラオケ?」 
「人多いでしょ。ってか、決めてないのに誘ったの!?」 
「だって、急いでたんだもん。」 
「私、ミキティと一緒ならどこでもいいよ。」 
「…バカ。」 
 
うわわ、マジでどうしちゃったんだよ、ミキティ!照れてる!こんな可愛い
ミキティ初めてみた! 
 
「…ねぇ、今日はなんでそんなに可愛いの?」 
「いつもは可愛くないっていいたいの?」 
「だって、いつもはもう少し冷たくない?」 
「…ちょっと、素直になっただけだよ。」 
「へっ?」 
「…何でもない!」 
 
う〜ん、なんて言ったか気になるけど、今日はやけにかわいいぞ。 
ってゆーかね、マジでうちらはどこに向かってるわけ?さっきから、見た 
ことのない風景が立ち並ぶんだけど。ミキティは目的地決めた上で歩いて 
るのかな…。明らかに、こっち方面にカラオケはないんですけど。 
 
291 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/25(木) 23:37
「ちょっと寒いかもしれないけど、公園に行ってもいい?」 
「いいよ。だから、私はミキティと一緒ならどこでもいいんだって。」 
 
あ、今度は無視された。それにしても、夜の公園か…ムフフ。 
  
公園に向かう途中、コンビニで肉まんとか飲み物を買った。それから、 
歩きながら携帯の番号とメールアドレスをお互いに登録しあった。 
イヴに交換とか、よくない?ロマンティックだよねっ!! 
 
「ここね、美貴が子供の頃よく遊んでた公園なんだ。」 
 
しばらくして着いたのが、結構大きめな、まぁ、普通の公園。暗いから確 
信は持てないけど、多分、うちら以外人はいない。 
 
「へぇ、でも子供の頃遊んでたにしては少し家から遠くない?」 
「幼稚園が近いから。」 
「あ、そうなんだ。」 
 
2人で、ベンチに腰掛けた。うわ、懐かしいな、公園。この公園には行った
ことがないけど、なんだか懐かしい感じがする。 
…マジでいい雰囲気じゃない?夕方落ち込んでた自分に、教えてあげたい 
よ。そういや、松浦さんが言ってた「あの人」って誰なんだろう…。 
   
「ミキティさ、誰かにプレゼントあげた?」 
「うん、亜弥ちゃんに…なに、欲しいわけ?」 
「えっ!?い、いや…欲しくて聞いたわけじゃ…。」 
「じゃあ、あげないよ?」 
 
そういって、ミキティがひざの上に置いてあったバッグから取り出した 
のは、可愛くラッピングされた紙袋。 
 
「あーあ、せっかく買ったのにな。すごい選ぶのに時間かかったのに。」 
「ご、ごめんなさい!欲しいです、めっちゃ欲しいです!ってか、下 
 さい!」 
「しょうがないなー。」 
「ま、待って!私も…。」 
 
慌ててプレゼントを取り出す。あぁ、マジで買ってよかった!!加護に 
感謝しなきゃ! 
 
「マジ?…じゃあ、交換ね。」 
「うわぁ、マジで嬉しい…。」 
「ちょっと、なに涙目になってるの。」 
「だって嬉しいんだもん!!」 
 
まさか、ミキティに貰えるなんて夢にも思ってなかったし!こんなとこ 
で泣いてたまるか!泣くのは家に帰ってからにしよう。  
  
292 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/25(木) 23:48
「…吉澤さんも用意してたんだ。じゃあ、美貴から行かなくっても待って 
 たらいずれ吉澤さんが美貴の家に来てたってこと?」 
 
…いや。それはないな。ごめん、ミキティ。だって、明日渡そうとか思っ 
てたし!しかも振られるの覚悟で!! 
 
「それとも、これ本当は美貴用じゃなかったりして?」 
「そんなことない!開けてみてよ!絶対、ミキティに似合うから!」 
「…ん。分かった。帰ってからじっくり見るよ。」 
 
マグカップに似合うも何もないだろうけど、ミキティっぽいなって思った 
んだもん!それよりミキティが、私からのプレゼントをバッグにしまわ 
ないで手に持ったままなのが可愛すぎるんですけど!大きめだから多分 
入るだろうに!よし、私も真似しよ! 
 
「まさか、クリスマスイヴに吉澤さんと過ごすなんてね。1ヶ月前の美貴 
 が知ったらどんな顔するだろ。」 
「私は、1ヶ月前の私が知ったら、喜ぶと思うよ。」 
「…吉澤さんは、人を煽てるのがうまいよね。」 
「ありがとう、ミキティは下手だけどね。」 
「下手ってゆーか、煽てることなんてないし。」 
「だろうね。」 
 
なんか、この空気変な感じ。こうやって2人きりで公園にいて、プレゼン 
トも交換し合ってるのに、恋人同士ではない、みたいな。なんだろ、 
この微妙な雰囲気。ミキティはどう思ってるかな。 
 
293 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/25(木) 23:57
「あ、あのさ。ミキティはどうして私にプレゼントくれたの?」 
「まずは、自分から答えてよ。」 
「えーと…私は…。」 
 
好きだから!!…って、言えねぇー!!!なんでそんな興味津々な顔して 
るの!?マジ、緊張するじゃん…。 
 
「簡単に言えば、感謝の印…かな。何だか、迷惑もかけちゃってるみたい 
 だし。」 
 
そう言うと、それまでこっちを向いてたミキティが、正面に向き直った。 
 
「美貴も、似たようなもんだよ。お礼、したかったの。あの雨の日、なか 
 なか雨止まなかったもんねー。雨宿りなんてしてたら、日が暮れて 
 たよ。」 
「お礼なんて良いのに…。あれは、私の自己満足だし。」 
「本当に助かったから。」 
 
…告るなら、今だよね。でも、なんかもういいや。告白なんてしなくても 
やっていけそうな気さえする。そりゃあ、いつかは言わなきゃだけどさ。 
…今はいい。  
294 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/26(金) 00:04
それから、色んなことを話して、家に帰り着いたのは真夜中だった。
ミキティに、気持ちは伝えなかったものの、何だか分かり合えた気がする。
 
はー…なんだか、この関係がずっと続けばいいのにな。やっぱり告らな  
きゃ駄目? 
…駄目なのかなぁ。例えば、どうするよ。  
「愛してるよ、美貴。」とか?キャーッ 
「美貴ちゃんの50年後の笑顔も見たいな。」とか! 
だめだ、私が浮かれすぎてバカになってく。さっさと寝よう。 
295 名前:上海 投稿日:2005/08/26(金) 00:10
>>288さん 
安倍さん登場!イェイ!2人は上手くいくんでしょうか…私も吉澤さんを
応援しながら書いておりますw毎回毎回レス有難うございます。かなり励み
になってます! 
296 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/08/26(金) 12:33
288でした!!
と毎回言わなくても、文の調子で分かってしまってますか?(爆)
交換キタ――――(゚∀゚)―――――!!!
イヴにミキティがよっちゃんの家までキタ――――(゚∀゚)―――――!!!
すげぇー楽しみっすw
励みになんて…俺はこの小説が励みです!(キショ_| ̄|○
297 名前:272名無し 投稿日:2005/08/27(土) 03:19
更新お疲れ様です。
毎回ドキドキわくわくしながら読ませてもらってます!
何気に、ここの小説をチェックするの日課だったり♪
続きも楽しみに、待ってます!!
298 名前:272名無し 投稿日:2005/08/27(土) 03:21
すいません
ageちゃいましたorz
299 名前:名無しさん 投稿日:2005/08/29(月) 16:03
短編かなりいいです!これからの展開が楽しみ!!無理せず 
頑張って下さいね!
300 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/30(火) 22:15
<藤本視点> 
 
 
「毎日見かけるあの人に恋しーってた♪」
 
後ろから聞こえる、音程の怪しい歌声。恥ずかしくないのか 
な。人が全くいないわけでもいない訳でもないのに。
と、目が合った。 
 
「朝からテンション高いね、吉澤さん。」 
「だって今日から三学期ですよ藤本さん!」
「そうだけど。意外だね、吉澤さんのことだからだるいって言 
 うかと思った。」
「今日からミキティに毎日会えるんだよ?そんなこと言う 
 わけなーいじゃん!」 
 
何なの、このテンション。美貴なんて宿題終わんなくて大変  
だったのに。元気を少し分けて欲しいよ。 
 
でも、毎日会えるって行っても、クラス違うから朝と帰り 
くらいじゃん。それに帰りは吉澤さん、部活あるからたまに 
しか一緒に帰らないし。 
301 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/30(火) 22:16
「クラス、一緒だったらよかったね。」  
「!ミキティの口からそんな大胆発言が出たことにビックリ 
 だけど、私はクラス違ってよかったかもって思ってるよ。」 
「そうなの?」 
 
何々、さっきは毎日会えるとか言ってたくせにそういう 
こと言うわけ。美貴が不満そうな顔してたのか、吉澤さんは 
美貴の顔見るとフ、と笑って、それから前向いて、話し 
始めた。 
 
「だって、そうじゃなかったらあんな運命的な出会い 
 できなかったかもよ。あの黒板消し事件、私は 
 運命だって思ってるから。」 
 
たしかに、すっごく低い確率だとは思う。下歩いてる 
人に黒板消しが当たるなんてね。もし、同じクラス 
で知り合いだったら謝って終わってたかもしれない。 
同じクラスなら普通に仲良しだったかもしれない 
しね。 
 
「私、あの時じゃんけんで負けてごみ捨て行かされたん 
 だけど、今思えば負ける運命だったのかも。」 
「何かよくわかんないけど、そうなんだ?」 
「だって、あの時パーを出してたら勝ってたんだ 
 って!グーを出せって、神様からのお告げがあって。」 
 
それは間違えなく気のせいだろうけどね。でもなんか 
目をきらきら輝かせながら話す吉澤さん見てると、 
いつもならなんでもないツッコミができない。 
 
「で、なんだよ、負けたじゃん、神様のウソツキって 
 思ってたんだけどさ。…神様って本当にいるんだね。」
302 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/30(火) 22:24
この人、おめでたいなー。まあ、いいや。じゃあ美貴があの日 
日直だったのも、掃除サボってる奴らにムカついたのも、全部 
吉澤さんに会うための要素に過ぎなかったんだって、思うことに
してあげよう。 
 
「もう着いちゃったよ。じゃあね、ミキティ。」 
「うん。」 
「始業式中、メールするから。」 
「いや、ちゃんと話聞きなよ。」 
「あはは、冗談だよ。じゃあね。」 
 
下駄箱で靴を履き替えながら、にやけてる自分に気がついた。 
うわ、キモイなぁ、美貴。 
 
「藤本さーん、いつの間に仲良くなったのかな?ん?」 
 
突然現れたのは、クラスメートで親友の、里田まい。
303 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/30(火) 22:25
「べ、別になかよくなんか…。」 
「にやけてたくせに。」 
「 !! 」 
「ショックだなー。美貴が私に内緒でよっすぃと 
 仲良くなってたとは。」 
「…仲良く見えるの?」 
「見えるよ、一目瞭然!」 
「…そっか、へへっ。」 
「み、美貴!?」 
「うん?あ、まいちん、もう教室行かなきゃ! 
 早く行こう!」 
「こんなの美貴じゃない…。」


…眠。昨日遅かったもんなー。ってか、ほぼ 
寝てないんだもん。校長の話とか聞かされたら 
間違えなく寝るね!! 
 
始業式の開始前。だんだん生徒が体育館内に集まり 
始めた。みんな来るのバラバラだから、いつ 
吉澤さんが来るのか分かんないじゃん!…はっ!? 
な、何考えてるの、美貴!別に分かんなくてもよ 
くない? 
304 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/30(火) 22:26
「ちょっと、美貴!聞いてる?_」 
「あ、うん!聞いてる聞いてる!」 
「…さっきから、なんであっちばっか向いてるの?」 
「いや、なんとなく…。」 
 
そう、なんとなくだよ!別に探してるわけじゃ…。 
 
「あ、よっすぃ発見!」 
「えっ!?」 
「…やっぱり、よっすぃ探してたのか。」 
「う、うそつかないでよね!」 
 
探してないもん!全然、これっぽっちも。 
…あ!…人違いか。って、やっぱり美貴探して 
るんじゃん!?うわ、何自分にツッコミ入れて 
るんだろ。これは重症だ。 
 
「美貴、よっすぃだよ!今度はマジ!」 
 
まいちんの指差す方向には、確かに吉澤さん。 
 
「…本当だ。」  
 
まいちんが手を振ると、吉澤さんも手を振り返した。 
あれ、この2人知り合いだったっけ?部活一緒と 
か?違う、違うよ!まいちんテニス部だもん! 
305 名前:黒板消し 投稿日:2005/08/30(火) 22:27
「もう、どうして手振り返さないの?」 
「は?だって、あれはまいちんに…。」 
「私は、隣にいたごっちんに振ったの!よっすぃ 
 とは、目も合ってないよ?あれ、絶対美貴に 
 振ったんだよ!!」 
 
…本当に?吉澤さん2組だから結構近くに座った 
けど、今からでも気付くかな?気付け、気付け 
えぇぇぇぇ!!あ、こっち向いた。さっき振り返さ 
なかった分、力を込めて手を振った。あっちも、 
笑顔で振り返してくれた。 
 
やばい、なにドキドキしてるんだろう、美貴。 
だってあんな笑顔で振り返してくれるなんて 
思わなかったんだもん。いつか見た、あの 
屈託のない笑顔。あの時はどこかのお嬢様に 
向けられたものだったけど。いや、それに 
勝ってる気さえするのは美貴の自惚れ? 
…美貴、もしかして吉澤さんのこと…。 
…今は、考えるのよそう。もう何が何だかわかん 
なくなっちゃう。美貴、吉澤さんのことになると、 
いつも何故か考えすぎちゃうんだよ…。 
306 名前:上海 投稿日:2005/08/30(火) 22:33
>>296さん 
いつもすぐにレスくれるんで、分かっちゃいますよw有難うございます。 
この小説が励みとか、褒め殺しですねwマジで嬉しいです! 
 
>>297さん  
それはそれは大変喜ばしい日課をお持ちですね(?)有難うございます! 
楽しみに待っててください。 
 
>>299さん 
そういわれると幸いです!無理せず頑張りますよー。有難うございます!

307 名前:上海 投稿日:2005/08/30(火) 22:34
短編、若干どころか結構長くなってますね;もう少し 
お付き合い下さい。
308 名前:名無飼育さん(296) 投稿日:2005/08/31(水) 10:05
ほめ殺します(爆)
交信お疲れ様でしたー!!!いやぁ〜。ミキティやっと気づいたか!
まいちゃんの登場もあり、これからの展開が楽しみです♪
マジで待ってます(爆)
短編に、長さは関係ありません(謎)全然気にせずに^^凄く楽しいし。
俺の励みですからねww明日から学校で鬱なんで、みきよしに元気もらいますw
309 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/03(土) 04:15
ミキティ可愛すぎです
310 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/04(日) 10:51
<吉澤視点> 
  

『ねぇねぇ、よっちゃん。あの子とはどーなったの?』
 
夜の9時、部活帰りで部屋でぐったりしていると、久しぶりに
加護から電話がかかってきた。加護から電話なんて12月以来 
だな。 
 
「あの子って?」 
『あの、クリスマスに一緒に過ごしたいとか何とか…。』 
「あぁ、ミキティ!えっと、…なんて言ったらいいのかな。 
 まあ、仲良くなったとは、…思うけど。」 
 
もう2月にもなるけど、相変わらず告白は出来ないで、良好な 
関係が続いてる。でも、2月にはバレンタインがあるし、それに
、ミキティの誕生日もあるんだよ!  
 
「加護なら、バレンタインに告られるのと、誕生日に告られるの、 
 どっちがいい?」 
『う〜ん、自分の誕生日かな。特別度ではそっちの方が上!』  
 
…そうかぁ。たしかに、私もそっちの方が嬉しいかも。 
でも、クリスマスのあんないい雰囲気の中告白できなかった私 
だよ!?ちゃんと、できるのかなぁ。こんなに本気で好きに 
なったのなんて、初めてだから戸惑うんだよね…。 
311 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/04(日) 10:53
『その人の誕生日はいつ?』 
「2月26日。」 
『わ、2・26事件!…う〜ん、バレンタインの方が早いなら 
 バレンタインでもいいと思うよ。どうせチョコ渡すでしょ? 
 告らないで渡すのって、難しくない?』 
 
どう難しいんだよ!!…まぁ、なんとなくだけど分かるぞ。 
告白しやすいのはバレンタインだなぁ。その日自体がそんな 
空気だもん。告白しなさい!みたいな。 
 
でも、流れに乗っかっちゃって、ていうか、…そういうの 
ずるくない?こんなこと言ったらバレンタインに告白する 
予定の全乙女を敵にまわすけど。やっぱり、誕生日に告白され 
る方が嬉しいよね?ミキティはどうか分かんないけどさ。 
 
『ねぇ、いいこと思いついたよ!』 
 
私が黙ってたら、急に加護が言葉を発した。  
 
「うん、なに?」 
『26日の朝、メールで今日学校サボろうって送る!』 
「…はぁ!?」

予想もしてなかった答えに、声が裏返っちゃった。 
何々、どーゆーこと!?
312 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/04(日) 11:00
『海で待ってるから…みたいな!かっこよくない?』  
 
自分のことのように、はしゃぎまくる加護。一体何がそんなに 
楽しいんだろう。親身になって考えてくれるのは、嬉しいんだ 
けどさ。 

「断られたらかなりかっこ悪いけどね。」 
『ごめん、皆勤賞ねらってるんだ、って?』 
「う、うん。まぁそうだね。それに、誕生日なんだから私 
 以外の人にもプレゼント貰うでしょ?その人たちに迷惑 
 じゃない?」
『その人たちは、後日渡す!』 
「…加護の、そういう自分勝手なところ結構好きだよ。」 
 
でも実際無理でしょ。そりゃあミキティの誕生日に2人きりな
んて素敵だけど!そういうのは、付き合い始めてからで…。  
ミキティが今私のこと好きじゃなかったら、学校サボってまで 
ついてきてはくれないだろう。 
 
『ま、26日ってのは決定だよね?14日はチョコレート渡さ 
 れても受けとらないってのもありだよ!相手の気を引く!』 
「時には引くことも大事だと?でも…も、もしミキティが
 くれたとしたらさ…。」 
『うん。』 
「2月14日にあげなくても、ホワイトデイに返すんだって普通
 思うから、効果ないと思う。」 
『じゃあいっそのこと、渡されたらいらないって言う!』 
「それは引きすぎだろ!!」 
『あはは、あと、26日に知らん振りしてたら、あっち気に 
 なるでしょ?誕生日覚えてないのかなって。』 
 
私に気があれば、ね…。 
313 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/04(日) 11:04
『で、放課後呼び出す!そしたらあっちも諦めかけてた分嬉 
 しさ倍増!どう!?加護なら絶対グッとくる!ってか女の子 
 だったら!』 
 
私に気があればね。…しつこいようだけど。じゃあ朝一緒に登
校する際にはいつもと変わらない感じで話して、相手を不安にさ
せて放課後呼び出すに決定!?…でもさ、向こうから言ってき 
たらどうすんの。ミキティなら言いそうだぞ。「今日美貴の誕 
生日なんだよね。なんか奢ってよ」とか言いそう!まぁ、誕生日
は事前に教えあってるけど。「今日何の日か覚えてる?」くら
いは言いそうだ。ミキティが話す隙もないくらい一人で話して 
ようか。それは絶対嫌われるな。  
 
まぁとりあえず、その前にバレンタインだ!ホワイトデイに渡
すとかだと自分で言うのもなんだけど友達でもないのに私に 
くれる人たちと同じ扱いになっちゃう。やっぱ渡すならバレン 
タイン!  
314 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/04(日) 11:06
「ほう…私に手作りチョコを習いたいと?よっすぃにしては 
 関心関心。」 
 
休日、とりあえずごっちんの家に弟子入りしに行った。 
ごっちんってあー見えてめちゃめちゃお菓子作りうまいんだ 
…ちょっと悔しいけど。で、今はごっちんの部屋でお話中。 
 
「よっすぃってばそんなに美貴ちゃんにぞっこんだったか。 
 去年なんてみんなに煎餅配ってたくせに。」 
「うっ…!今年の私は一味違うんだよ!」  
 
あれは、時間がなかったんだって!用意しただけマシ!  

「うん、一味もふた味も違うね。ってかお煎餅とチョコじゃ
 100味くらい違うよ。」 
「も、もういいから。で、私は何を作るのがおすすめ?」 
「そうだな、学校に持っていくなら崩れないのがいいよね。 
 トリュフは…溶けそうで怖いし。チョコブラウニーとかで 
 いいんじゃない?」 
「まぁ、私が作れそうなら…。」 
「大丈夫、私がついてるからっ!」  

自信満々な表情でそう言うごっちん。 
やっぱ頼もしい。料理に関してはごっちんが神様に見える。
315 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/04(日) 11:07
「でも、なん言ってあげるの?好きですって?」 
 
な、何を言い出すんだよ!しかも、そんな真顔で! 
 
「…いや、告白はしません!」  
「普通にはい、ってあげるんだ?」 
「うん、そのつもり。」 
「そっかぁ…美貴ちゃんはよっすぃにくれるのかな?」 
「し、知らないよそんなの!」 
 
あの人は当日になってもチョコ渡されるまでバレンタイン 
だってこと忘れてそうけどね。それはさすがにないかな? 
私のこと友達だと思ってくれてるなら、くれるかもしれない 
…けど、やっぱり本命がいいんだよ!友チョコでも嬉しい 
けどさぁ!…私があげるのは大本命だけどね。 
 
「で、本番前に一回くらい練習する?」 
「ううん、ぶっつけ本番でいいや。」 
「あれ、練習したいから休みの日にわざわざ来たのかと 
 思ったよ。明日学校で行ってもよかったんじゃない?
 変なよっすぃ。」 
「そのつもりだったけど、なんかもういいやって。 
 大丈夫な気がするんだよね。…てわけで、13日は 
 泊まるから!」 
「あ、泊まるんだ。私寝ちゃうかもよ?」 
「ごっちんが遅くまで起きとけるなんて思ってないから 
 大丈夫。」 
「そりゃどうも。」 
 
まぁ、そんなに時間かかんないとは思うけど。私一人じゃ
朝までかかりそうだけどね。    
316 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/04(日) 11:08
突然、ごっちんがベッドに倒れこんだ。…お昼寝の時間 
なのかな。いつも、話の途中で普通に寝ちゃうんだよね、 
この人。 
 
「でもさ!」 
「えっ!?」 
 
まだ起きてた!ベッドに倒れているごっちんが、顔だけ 
私のほうを見て話しかけてきた。 
 
「よっすぃ、いつも美貴ちゃんと登校してるんでしょ?」 
「う、うん、まぁ…。」 
「14日は一緒じゃないほうがいいかもよ?ほら、いつも 
 バレンタインはよっすぃファンが入り口ではってる 
 じゃん!あれ見て、私のいらないみたいって思っちゃう 
 でしょ?」 
 
入り口ではってたのって、中学の時じゃん。高校になって 
までそんなことあるの?その前に、ミキティはそんな可愛 
いらしいこと言わないし! 
317 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/04(日) 11:09
「なんか、ミキティが私にくれるって決まったみたいな 
 言い方だね。」 
「大丈夫、多分くれるよ。」 
「その自信はどこから…。だって、期待しすぎると貰え 
 なかった時すっげぇ凹むよ?」 
「ちょっと!もっと自信持ってよ!クリスマスにはあげて 
 バレンタインにはあげないとか、そんなことあるわけ 
 ないじゃん?どっちかってとクリスマスプレゼントの 
 方が上だよ!?」 
 
なんか、ごっちん酔ってる?…あれは、でもお礼だって 
言ってたし。お礼すんだから吉澤さんと関わらなくていい 
やとか思われてたらどうしよう!そ、そんなことミキティ
が言うわけない…と、思いたい! 
 
でも別に、貰えなくてもいいや。貰いたいからあげるわけ 
じゃないんだし。まだ片想いなんだから、こっちの気持ちが 
伝われば十分! 
 
「よし、ごっちん!私ね…あ、寝ちゃってるよ。」 
 
本当、寝るの早いよね。とにかく、14日はミキティに 
あげることだけ考えよう。受け取ってもらうことが目標! 
 
318 名前:上海 投稿日:2005/09/04(日) 11:17
>>308さん 
里田さん、書きなれてないんで違和感あるかも;ミキティ、気付きかけて 
ます。では、長さは微妙に気にしつつ頑張りますねw有難うございます!
 
>>309さん  
本当ですか!可愛く書こうと努力しているのでかなり嬉しいです。 
有難うございます!
319 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/04(日) 17:57
308でした(爆)
いやぁ〜でもどんどん登場人物が出てきて面白いです♪
 バ レ ン タ イ ン ((( ・∀・)ニヤニヤ
楽しみー♪さぁ、どうなるwwよっちゃん手作りなんすか(ノ゜ο゜)ノ
頑張れー!!よっちゃんも作者さんも頑張れー(爆)
320 名前:272名無し 投稿日:2005/09/05(月) 01:18
更新乙です!
更新が速くて、自分的にすんげぇ嬉しいっす!!
バレンタインにバースデーと、イベントがぁ(>_<)
わーい、楽しみ楽しみw
次回もワクワクしながら待ってます
321 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/05(月) 20:18
<藤本視点> 
 
 

「おはよう、ミキティ!」 
 
玄関のドアを開けると、向かいの塀の前に、吉澤さんが 
立っていた。 
 
「おはよ。」 
 
どのくらい待ってたのかな?美貴より先に家を出てる 
なんて、珍しい。吉澤さんは、いい天気だなーとか 
言いながら、体を伸ばしてる。親父か、あんたは。 
 
あれ?ちょっと、目がとろんとしてる? 
 
「吉澤さん、もしかして昨日夜更かししたの?」 
「…いや。ってか、朝帰…あ、違うっ何でもない!」 
「…?大丈夫?なんか、めっちゃ眠そうなんだけど。」 
 
さっきから、あくびしてるし。もしかして、昨日 
チョコレート作ってたとか?それで朝までかかっちゃ 
ったのかな?…美貴もそうだから笑えないけどさ! 
あ、美貴は朝じゃないか。夜中にはちゃんと寝たし! 
 
あ、またあくびした。今のうちに、吉澤さんの分 
渡しておこうかな。今渡さないと、クラス違うから 
渡す機会がないかも。中身が吉澤さんに見えないよう 
に、チョコレートを入れてる袋を開けた。えっと、 
これはまいちんで、これが…。あっ!?ない! 
吉澤さんのがない!なんで!?もしかして、置いて 
きちゃったのかな?…そうかもしれないな。だって 
あれだけ手間がかかっちゃって完成が遅れ…って、 
違う!たまたまだよ!たまたま吉澤さんのだけ 
時間がかかちゃって…。あぁ、言い訳になってない。
大体、自分に言い訳してどうするんだろう。 
322 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/05(月) 20:19
「ミキティ?どうかしたの?」 
 
パッと顔をあげたら、吉澤さんのドアップ。わわわ、 
ちょ、近いって!!思わず吉澤さんの肩をどんと 
押したら、どう考えても押した力以上に後ろに 
下がりやがった。 
 
「ひどいなー、なにも突き飛ばすことないのに。」 
 
そんなこと言いながら、ニヤニヤしてる。相変わらず 
嫌な奴。…でも、憎めないんだよ。特に最近は。 
 
「軽く押しただけでしょ!」 
「あはは。いやぁ、ドアップミキティ可愛かった。」 
「 …。」 
「あ、赤くなっちゃった。調子に乗ってすみません。」  
 
あ、赤くなってる!?うわあ、マジ最悪!吉澤さんの  
バカ!! 
…あ、そろそろ学校に着いちゃう。どうしよう、取り 
に帰ろうかと思ったけど、もう間に合わないし…。 
放課後取りに帰ってロッカーに入れとこうかな。 
吉澤さん、部活あるだろうから。 
 
「…ミキティ!はい、これ。今渡さないといつ渡せるか 
 分かんないから。」 

突然差し出されたのは、吉澤さんらしくシンプルに 
ラッピングされた小さな袋。 
 
323 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/05(月) 20:19
「え…?これって…。」 
「今日、バレンタインじゃん。頑張って作ったんだよ。」 
「あ、ありがとうっ!」 
 
へぇ、吉澤さんでもお菓子とか作るんだ。やっぱり昨日は 
遅くまで起きてチョコレート作ってたんだな。 
 
「立ち止まっちゃってごめん。…行こっか。」 
 
なんだかちょっと、笑顔が寂しそうに見えた。…違う。 
違うんだよ、吉澤さん。ちゃんと、美貴も吉澤さんの分 
作ったんだよぅ…。 
 
…どうしよう、忘れてきちゃったって言えない。 
 
「じゃあね、ミキティ!」 
「うん、じゃあね!」 
 
いつものように下駄箱のところで、吉澤さんと別れた。 
吉澤さんが一人になった瞬間、多分ずっと待ってたと 
思われる数人の生徒が、吉澤さんを囲んだ。 
ありゃりゃ、相変わらずもてるね、吉澤さん。 
 
でも多分、今年吉澤さんからチョコレート 
を一番に貰ったのは、美貴なんだぞ。 
324 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/05(月) 20:20
「はい、まいちん。」 
「おう、お早よー…何々、手作り!?珍しい!!」 
 
教室について、始めにまいちんの席に向かった。 
 
「うん、今年はちょっと、頑張った。」 
「あ、そうか。そうだよね、フフフ。」 
「!?違っ、気分だよ気分!吉澤さんなんか関係 
 ないんだって!」 
「もう、美貴はかわいいなぁ。」 
 
何故か、頭を撫でられた。…もう!  

…吉澤さんが、美貴に朝一で渡してくれたように、 
美貴も一番に渡してあげたかったな。放課後 
取りに帰る予定だから、渡すの一番最後になっちゃうよ。 
あ、そうだ! 

「…まいちん!これ、家に帰ってから食べて!お願い!」 
「え?なんで?お昼休みか部活終わった後かに食べよう 
 かと思ってるんだけど。」 
「なんででも!お願い!」 
「…よく分かんないけど、いいよ。そこまで言うなら。」  
 
それから、友だちにチョコレートを配って回った。  

「平井さん、これ家に帰ってから食べてね!絶対だよ!」 
「木村さん、これ家に帰るまで食べないで、お願い!」 
 
「…変な美貴。一体何が目的なんだろう…。」 
 
後ろで、まいちんの呟きが聞こえた。 
 
325 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/05(月) 20:20
放課後、終礼が終わったと同時に、教室を飛び出した。 
荷物は置いたまま。 
間に合うかなぁ、部活始まる前に、どうしても間に合い 
たいんだけど…。 
 
家に帰ってみると、やっぱり置き忘れてたみたい。 
お母さんが冷蔵庫に入れててくれた。ありがとう。 
それから、全速力で学校に向かった。 
すげぇ、多分高校生活始まって以来の最短時間じゃない? 
学校に着くまでの時間!遅刻しそうな時だってこんなに 
速くはなかったな。  
 
えーと、とりあえず2組かな?もう教室にはいないかも 
しれないけど。そう思っていたら、幸運にも2組に向かう 
途中で吉澤さんにバッタリ会った。 
 
「よ、…吉澤さん。」 
「ミキティ?なんかすっげぇ疲れてるね。どうかした?」 
 
ここで渡したらやばいかな。よし、どっか場所を変えよう。 
そう提案したら、部活の時間にはまだ余裕があるからいい 
よ、と了解してくれた。 
 
「あ?もしかして、屋上に行ってる?」 
「?うん。どうして?」 
「や、屋上は…私、呼び出されてるから、やめた方が…。」 
 
326 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/05(月) 20:21
すっぽかすつもりだな。一体、何人からチョコレートを 
貰ったんだろう。左手に提げてる大き目の紙袋も、多分 
中身は…。 
じゃあ、どこにしよう。考えてたら、吉澤さんから腕を 
引っ張られた。 
 
「ミキティ、こっち!中庭行こう!」 
 
中庭…確かに、そこなら人いないかな。って、もしかして。 
美貴の予想通り、連れて来られたのは黒板消し事件の現場。 
 
「よし、人いないぞ!…で、どうかした?」 
 
吉澤さんは、辺りを見回した後、クルっと 
こっちを向いた。 
 
「あ、えーと…。これ、渡そうかと思って。」 
 
さっき取りに帰ったばかりのチョコレートを渡す。 
きょとんとした顔の吉澤さん。 
 
「朝、学校行く時家に置いてきちゃってさ。…受け取って 
 もらえる?」 
「あ、ありがとうっ!これって加護の作戦実践編…。」 
 
吉澤さんはぼそっと、わけの分からないことを呟いた。 
籠の作戦??まぁ、いいや。それよりも…。 
327 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/05(月) 20:21
「ねぇ、今食べてくれない?部活に響くなら一つでも 
 いいから!」 
「いま!?どうして?」 
「お願い、早くっ!一番じゃなくなっちゃう!!」 
「…はあ?わ、わかった。いただきます!」 
 
渡したのが一番じゃなかったから、せめて一番に 
食べてもらいたくて。他の人には、帰るまで食べるな 
って、念を押したから多分大丈夫。もしそれでも 
食べちゃった人がいても、ノーカウントにするから 
いいや。 
 
「…超美味しい!私の独断と偏見で言うなら、ごっちん 
 のより美味しい!!」 
  
美味しそうな、というよりは嬉しそうな顔でそう話す 
吉澤さん。よく分かんないけど、喜んでもらえたなら、 
よかった。 
 
まだ食べてないけど、美貴も独断と偏見で言っていいなら 
吉澤さんがくれたやつは、ゴディバのチョコレートよりも 
美味しいと思うよ。 
328 名前:夏炉 投稿日:2005/09/05(月) 20:28
えー、なんか上海さんってすでにいらっしゃるみたいなんで、名前 
変えますね。(気付くの遅い; 
夏炉というのは、飼い猫の名前を適当に漢字変換しただけといういい加減 
な名前ですw
329 名前:夏炉 投稿日:2005/09/05(月) 20:34
>>319さん 
よっちゃん手作りです!似合わな(ry登場人物はこれ以上増えない… 
と思いますw有難うございます、頑張りますね! 
 
>>320さん  
はい。いち早く本編に戻らなきゃな、と一応思ってましてw
これからも楽しみに待っててくださると嬉しいです。有難うございます。
330 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/05(月) 22:49
319でしたー!!(≧▽≦)
今日は疲れてて、寝る前に交信してる確信があってきたら、交信あり!!!
俺ってスゲー(爆)
1日が遅いと感じます、ここチェックしてると。
うん。確かによっちゃんに手作りは似合わn(ry(笑)まぁ、気持ちが大事ですw
1番に食べてもらってよかったね、ミキティw最短記録な所も愛の力だ(謎)
ミキティ視点も面白いです!!
次回の交信も近いのですか?やべぇ楽しみっす♪
331 名前:272名無し 投稿日:2005/09/06(火) 01:19
昨日の今日で更新されてたYO!
毎日チェックしててよかったw
本編も待ちどうしいけど、黒板消しもかなり好き!!
作者さんのペースで無理しないで更新してください。
332 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/07(水) 22:59
<吉澤視点> 
 
 
2月26日、当日。自然と、いつもより早く目が覚めた。 
今日こそ、ミキティに告白する!!
 
なんか、私って変なのかな?付き合いたいから告るとか、 
そういうんじゃないんだよ。ただ、伝えたいっていうか。 
で、やっぱりどれだけ本気か、知ってもらいたいし。 
加護は、多分冗談でいったんであろうあの作戦を今日は 
実行…します!結構、自信はあるんだ。これで振られた 
としても、悔いはきっと残らない。ただ、ミキティの 
本気の答えが聞きたい。あぁ、私って本当に、本気で 
恋したの、これが初めてなんだな…。 
 
そして、今、ミキティの家の前に向かい中。 
…寒い。そうだ、真冬なんだよ、まだ!はりきって 
早めに家出ちゃったけど、失敗だったかな。この 
寒空の下ミキティを出待ちか。 
 
「吉澤さん!?」 
 
数分後、玄関から出てきたミキティが、驚いた表情で 
言った。私がここで待ってるの、珍しいもんね。例の、 
朝帰りした日は、こんな風に出待ちしていたけど。 
333 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/07(水) 22:59
「おはようっ!ミキティ!」 
「お、おはよう。」 
 
はぁ〜…やっぱ、可愛いなぁ。寒い中待ってたことなんて、 
どうでもよくなっちゃったよ。問題は、どう切り出すか。  
 
「ミキティさぁ、これから予定とかある?」 
 
本当は心臓なんてバクバクなんだけど、頑張って平常心を 
保つ。冬なのに手に汗掻いてきたよ…。 
 
「…予定!?今日、これからの??」 
「うん、もちろん!」 
「そんなの、吉澤さんと一緒だと思うんだけど…。」 
 
学校って、言いたいんでしょ。でもね、私のこれからの予定 
は、学校じゃないんだよ、ミキティ。 
 
「そっか!じゃあ、行こうか!」 
「うん…はぁ!?ちょと、そっち違うからっ!」 
 
かなり強引だけど、許してね、ミキティ。でもホラ、 
さっきより腕の力緩めてんのに、振りほどこうとはしない 
んだよ。…突然だから、そんなこと考える余裕がないだけ 
かもしれないけどさ。 
334 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/07(水) 23:00
 
ようやく、ミキティの、掴んでいた腕を離した。 
後ろを向くと、困惑した表情で、息を切らしている 
ミキティ。…ごめんね。でもやっと、緊張が解けた。 
こうでもしなきゃ切り出せないから、私。 
 
「…もう、なんなの?」 
 
まだ肩で息をしながら、ミキティが言った。  
ほんとに、なんなの?だよね。でも、今日だけ許して。 
私、今日でミキティと話すのが最後になるかもしれない 
ってぐらい、覚悟してるんだよ。 
 
「学校、サボらない?」 
「…どうしたの?何かあったの?」 
「今日、ミキティの誕生日だから…。」   
 
まだ、困惑した表情のままのミキティ。 
 
「一緒に、どっか行きたいなって。」 
「…もう、強引だよ、吉澤さん。」 
 
ようやく、ミキティが笑った。あぁ、よかった。 
もっと怒られるかと思った。  
 
「どっかって、例えば?」 
「そうだな。ちょっと遠いとこ。この制服がどこの学校か、 
 分からない程度に遠く。」 
「ばれたらやばいもんね。」 
335 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/07(水) 23:01
…これって、オッケーなのかな?一人で考えてたら、突然 
ミキティが私の手を取って、一言。 
 
「じゃあ、行こっか。」 
 
い、いっ行こっかって、藤本さん!!しかもこれは手を繋ぐ 
という行為だよねっ!? 
 
「ね、どこ行くの?」 
「と、とりあえず駅行こっか!」 
「うん、分かった。」   

手を繋いだまま、駅へ向かう。絶対、手に汗掻いてるよ私! 
心臓の音だって聞こえてるかもだし…。 
 
駅に行って、とりあえず乗ったことのない本線に乗る。 
なんか、すごくない?こんなに普通について来てくれる
なんて、夢にも思わなかった。一生のお願いって言葉 
、絶対使うだろうなって思ってたよ。 
 
でも、どこで降りるかとか、降りた後どうするかとか、 
何も考えてなかったりする。とにかく、2人で遠くに 
行きたかったんだよ。 
336 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/07(水) 23:01
「美貴、こっち方面初めてだよっ!」 
 
電車の窓から、景色を眺めながらはしゃぐミキティ。 
可愛い…。ちなみに、車内はガランとしている。 
 
「…ってか、ありがとう。今日、英語の小テストあるから 
 行きたくないなって思ってたんだ。」 
 
…おいおい。そんな理由で付いてきちゃったんじゃないよね? 
ちょっとショックなんだけど。 
 
「明日になったら、噂になってるかもね、美貴たち。」 
「あー…かもね。」 
 
しばらくして、、右手に海が見えてきた。うわー…すっげぇ 
きれい。 
 
「ミキティ!次の駅で降りようっ!」 
「え?うん、いいよ。」 
 
駅に降りて、まずミキティの感想は…。 
 
「さっむーいぃ!!」  
 
あぁ、寒がりなんだっけ。私も寒いんだけどさ。 
でもミキティ、私のコートより厚手なの着てるんだけどなぁ。 
まぁ、海が近いからね…。 
337 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/07(水) 23:02
「あー…寒い。でも、なんかいい感じだよね、この景色。」 
 
やばいぐらい可愛い笑顔で、こっちを向いて話すミキティ。 
うんうん、いい感じだよ。ちょっと都心から離れるだけで、 
こんなに違うんだな。ただ、冬なのがちょっとね。 
…いや、その分くっつく口実ができるぞ。 
 
「海、行ってみる?」 
「いいけど…寒そうじゃない?」 
「大丈夫だって!」 
 
今度は、私からミキティの手を握る。ミキティも、普通に握り 
返してくれた。わ、手冷たいなぁ。   
 
 
「わーっ海だよ、海!」 
 
それから数分で、海に着いた。超きれいじゃん!でも砂浜 
じゃなくて磯になってるんだよね。ちょっと残念。貝殻 
拾いとかしたかったから…。でもこっちの方が田舎っぽくて 
いいかも? 
 
「…さ、寒くない?」 
「そんなの、今に始まったことじゃないよ!下行こっ!」 
 
一人はしゃぎまくる私に対して、ミキティはノリ気じゃない 
様子。 
 
「美貴、ここで見てるから、下行ってきなよ。」 
「えー、そんな、寂しいじゃんか。」 
「絶対ここにいるからさ。」 
 
…しょうがないなぁ。ってか、ミキティを置いてまで下に 
降りたがってる私って…。 
 
階段を下りて、波打ち際の近くまで行く。うぉー、足元が 
ごつごつしてるなぁ。…確かに寒い。だってスカートだし、
そりゃ寒いよね?もっと別の場所がよかったかな。  
 
338 名前:夏炉 投稿日:2005/09/07(水) 23:08
>>330さん 
>1日が遅いと感じます、ここチェックしてると。 
こんなに褒めていいんですかーw(爆ありがとうございます!愛の力 
ですよね、ミキティ!wなんかミキティが妙に乙女チックですよね(苦笑 
 
>>331さん 
実はパソコンぶっ壊れてた時期に短編書き溜めておいたので、更新早い 
んですよ;本編も頑張んなきゃなー。有難うございます!
339 名前:夏炉 投稿日:2005/09/07(水) 23:10
中途半端なとこで更新ストップしましたが、もちろん2月26日の話、 
まだ続きますw次回も早めに更新したいなぁ…と思っております。
340 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/08(木) 17:43
330でした〜
(*´∀`)ポワワ いやぁー真冬の海とか!!青春だぁ_| ̄|○
>こんなに褒めていいんですかー(爆)
えぇー?褒めてないですよ!!w素で思ってますからwマジ大好きww
次回の交信も待ってます♪時間とか気にせず。
中途半端なところでレスしてしまい申し訳ありません。ついつい(^^;A
341 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/10(土) 23:35
…って、あれ!?ミキティいないじゃん!絶対ここにいるとか 
言ってたくせに!ミキティがさっきまでいた位置を眺めてる 
と、どっかに行ってたミキティが、戻って来た。 
 
「吉澤さーん!上がってきて!」 
 
わけも分からず、言われたとおり階段を上って、ミキティの元へ 
行く。すると、ミキティが、何故か背中の方にやってた手を、 
前に差し出した。手には、缶コーヒー。 
 
「はい!あげる。どっちがい?」 
「こ、こっち…。」  
 
ってゆーか、どっちも一緒じゃんか!うわ、暖かい!  
 
「下、どうだった?」 
「寒かった…あ、でも、海は綺麗だったよ!」 
「そんなの、ここから見ても分かるって。」 
 
そうだけどさ…。 
階段に二人並んで、腰掛ける。はー、マジで暖かいなぁ、 
ミキティがくれた缶コーヒー。勿体無くて飲めない…。  
342 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/10(土) 23:35
 
「なんだか、学校サボってるって気がしないな。」 
「こんだけ学校から離れてればね。」 
 
確かに私も、サボってる気がしないもん。 
今頃、みんなは授業か。そんで、私はミキティを独占中か…。 
なんて幸せなんだ。…寒いけど。でもまた、こんないい 
雰囲気になっちゃうと、告白なんて今度でいいやーって 
なるんだよ。今日こそは、絶っ対に告ってやる! 
 
「…でさ。吉澤さんはどうして美貴を、ここに連れて来た 
 の?」 
 
ここって、決めてたわけじゃないけどね。う〜ん、やっぱ 
気になるよね。突然連れてこられたんだもん。 
 
「私、ミキティがこんな普通について来てくれるなんて、思っ 
 てもみなかったよ。」 
「だって、なんか楽しそうだったし、学校一日サボるくらい 
 どうってことないじゃん?」 
 
そうか、ミキティは結構軽いんだな。もっと真面目かと思っ 
てたんだけど。 
 
343 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/10(土) 23:36
「でも多分、…吉澤さんだから、付いてきたんだよ。」 
 
…い、今なんて!?うあー、何言ってんだろ、とか言いながら 
自分の膝に顔をうずめるミキティ。か、かわいい…。 
 
「誕生日に、ミキティを独り占めしたかったんだよ。」   
 
これが、さっきミキティがした質問の答え。
言葉が続かない。昨日の夜、いっぱい考えてたのに…。 
こう言った後、抱きしめるだとか、こういう場面の時は 
こういう台詞で…だとか。 
 
…そんなの、全部役に立たない。考えた台詞が、一応頭の中を 
グルグル回ってるんだけど、声に出せない。…そんなもんだよ 
ね。きっと、頑張って考えた台詞よりも、今咄嗟に浮かぶ言葉
の方が、私の本心だろうし。 
 
ミキティは、さっきから黙ってこっちを見つめてる。 
ちょっと気になって、チラッと見てみた。そしたらミキティは 
慌てて正面を向いて、口を開いた。 
 
「…美貴ね、クリスマスに誰かと遅くまで過ごしたのも、 
 バレンタインに徹夜したのも、…誕生日にこんな風に誰かと 
 2人で遠出するのも、全部初めてなんだよ。」 
 
私だって、初めてだよミキティ。…こんなに好きになるの 
だって、初めてなんだよ。 
344 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/10(土) 23:37
「わ、私はね。藤本さんがクリスマスプレゼントくれたこと 
 も、バレンタインにチョコくれたことも、今日ついてきてく 
 れたことも、全部予想外で、驚いてるんだけど、」 
 
あ、やべ。もしかして今、藤本さんって言った?ま、まぁ 
いいか。 
 
「それ以上に、すっごく嬉しくて。」 
 
また言葉に詰まっちゃって、なんとなくミキティの方を 
見ると、俯き加減で、さっきから地面を見つめてる。 
な、なんか頬が赤いような気がするのは、気のせい? 
 
…深呼吸。やべぇ、中学の時に全校の前で作文読んだ 
ときより緊張する。なんて言おう。…なんて言えばいいんだ 
ろう。 
 
「今日、私のわがままに付き合ってくれてありがとう。」 
「…うん。」 
 
立ち上がって、階段を四段ほど下りた後、ミキティの方を 
向く。急に私が動いたから、当然ビックリ顔のミキティ。 
やっと、顔上げてくれた。 
345 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/10(土) 23:37
うわー、やっぱ立つと寒いなぁ。よし、ミキティがこっち 
向いてくれてるうちに、言うぞ。…なんか、こんなに 
ドキドキして大丈夫なの、私の心臓。 
 
…とにかく、今の気持ち、そのまま声にだすね? 
 
「美貴ちゃん、めっちゃ好きだよ!」 
 
…はぁー…。言った。言ったぞ。 
 
なんだかすごく軽くなった。心も、体も。 
次に何言おうか迷ってると、ミキティも立ち上がった。 
立ち上がって、今私が立っている段まで、下りてきた。 
あ、またドキドキしてきた。だって、こんな至近距離 
で向かい合って…。 
 
「…美貴も、好きだよ。」 
「ほ、本当に…?」 
「うん。」 
 
あぁ、またそんな可愛い必殺スマイルを…。 
346 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/10(土) 23:38
「でもね…もし、付き合ってって言うんだったら、今は 
 付き合えない。」 
 
…は?い、今美貴も好きだって…。あ、もしかして恋愛感情 
じゃないってことですか!?  
    
半分放心状態で、何も言えないでいると、微笑を浮かべた 
ミキティが言葉を発した。 
 
「何だろうな…今の、この関係をもうちょっと味わいたいん 
 だよ。」 
 
あ、それ私がちょっと前に思ってたことじゃん。 
 
「友だち以上恋人未満、ってゆーの?だってね、今までの時 
 間、すっごく楽しかったから。わがままだって分かってる 
 けど…もう少しこのままでいたい。…無理かな?」 
「…うん、分かった。私もちょっと、そう思ってたし。」 
 
そっか、とミキティが言って、そのまま見詰め合うこと3秒。 
 
「それでね、吉澤さんが美貴の誕生日に告白してくれたから 
 今度は、美貴が吉澤さんの誕生日に告白するから。」 
347 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/10(土) 23:38
…ミキティって、負けず嫌いというかなんというか。 
バレンタインの時も、後日談で、自分は一番に渡せなかった 
から、せめて一番に食べてもらいたかったとかなんとか 
言ってたし。 
 
「だから、それまでちゃんと、美貴のこと好きでいてね。」 

うわぁーっ!!やられた!完全にノックアウトだ…。 
好きでいるよ、一生好きだよ、美貴ちゃん!  
4月12日ね、オッケー!手帳にでっかく、交際記念日って 
書き込んでやる! 
 
 
それから、2人で町を探索したり、また知らない駅で途中下車 
して遊んだりしてたら、あっという間に日が暮れた。 
 
家に帰った後、やっぱりサボったのばれてて、親にすっごく 
怒られたけど、完全に上の空だった。説教内容なんて全然 
覚えてない。 
 
その日、寝る前に加護に一言、「ありがとう」とだけ、 
メールで送った。 
 
348 名前:夏炉 投稿日:2005/09/10(土) 23:41
>>340さん 
そうですか、なおさら嬉しいですw中途半端とか全然気にせずに! 
レス頂けて嬉しいですから!有難うございます。
349 名前:夏炉 投稿日:2005/09/10(土) 23:44
よっちゃんとミキティって、リアルでは一つ学年が違うん 
ですよね。誕生日ネタを扱う上で、その辺が不自然になります 
が、どうかご了承下さい。
350 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/11(日) 11:03
中途半端にレスした340です(苦笑)
というか、毎度数字書いてますよね(爆)

キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゜Д゜)・∀・) ̄ー ̄)ノД`)・゜・。━━━!!!!!
駄目だー(爆)もう駄目だε=\_○ノ
出血多量で瀕死です、作者さん(滝汗)よっちゃん並みに完全にノックアウトされますた。
でも、よっちゃんも誕生日に海なんてよく頑張りましたよねw
みきよし万歳〜〜〜〜
次回の交信も、急がなくて大丈夫ですので^^待ってます〜
351 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:20
<藤本視点> 
 
 
 
「美貴ちゃーん!先に行っちゃうなんて、ひどいじゃん!」  
 
4月12日、いつもの登校時間に、吉澤さんは学校に来た。 
2年生になって、めでたく(?)同じクラスになったん 
だよね、美貴と吉澤さん。 
 
美貴の隣の席の人がまだ来てないから、吉澤さんは、そこに 
腰掛けた。 
 
「だって吉澤さん、絶対からかうじゃん。」 
 
2月26日に、宣言しちゃったんだよね。今日告白するって。 
正直何も、考えてない。昨日はなんか眠れなくて、結局 
今日のこと全然決めれなかった。吉澤さんみたいに、 
どっか遠くへ連れ出すのもかっこいいと思うんだけどさ、 
真似するのってやっぱり悔しいじゃん。  
 
「ってか、今日は美貴に話しかけないで!」 
「マ、マジで…?」 
「で、放課後一号館の中庭に集合!」 
 
結局、告白するならあの場所しかないし。 
考え付かない。なんか今日は、吉澤さんの顔見るだけで 
恥ずかしい。いつものように普通におしゃべりとかしてたら 
絶対告白なんてできないんだもん! 
352 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:21
「はい、分かったらさっさと自分の席に戻る!」 
「えー…そんな、寂しいことを…。」 
 
トボトボと、自分の席に帰ってく吉澤さん。…可愛い。 
じゃ、なくて!考えなきゃ!今日のプランを。 
 
まず、中庭に吉澤さんより早く到着して…いや、別にどっちが 
先でもいいか。それで…あー!ダメだ、その場面を想像したら 
ニヤニヤしてる吉澤さんが安易に予想できる。 
もういっそのこと、手紙に書いて渡そうか。う〜ん、それじゃ 
負けを認めたようなもんだな。告白もできないの?って思われ 
ちゃうよ…。 
 
授業中、ずっとあれこれ考えたんだけど、どうもいい方法が 
思いつかない。そうだ、亜弥ちゃんに相談しよう! 
 
今年亜弥ちゃんが入学してきたから、お昼はいつも一緒に 
過ごしてる。せめて学校でくらい、離れなよって友だちから 
言われるけど、そんなのお構いなし。 
 
「普通でいいんだよ!美貴たんらしくいこう!」 
「それが難しいんだよー…。」 
「なら、もう何も言わずに抱きついちゃえ!!」 
「ちょ、な、何言ってんの!?」  
「あはは、ごめんごめん。」 
 
353 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:21
誰にも聞かれたくないからって理由で、屋上でお弁当を 
食べることにした。 
それにしても、抱きつくとか…亜弥ちゃん絶対人事だと 
思ってるでしょ!実際そうだけどさぁ! 
 
「美貴たんは吉澤さんのこと、好きなんだよね?」 
「うっ…うん、まぁ…。」 
「なら、大丈夫だって!思ってることそのまま言っちゃえば 
 いいんだよっ!」 
 
…そうだよね。結局、それが一番いいんだよね。 
 
「美貴たんの場合、ふられるっていう可能性がないから 
 普通の人より楽だと思うんだけど。」  
 
そういえばそうだ。普通、返事が分かんないんだもんね。 
でも吉澤さんのことだから、急に気が変わったとか有り得る 
ぞ。 

「よし、じゃあそろそろ戻ろう!頑張ってね、美貴たん!」 
「うん、頑張るよ。ありがとう。」 
 
354 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:22
午後の授業は、午前中の授業よりさらに耳に入らなかった。 
こんなんでいいのか、美貴。授業中、意外と真面目な吉澤 
さんはちゃんと授業聞いてるし。…なんか悔しい。緊張 
してんの美貴だけじゃんか。2月26日は、吉澤さんでも 
緊張とか、したんだろうか。美貴も、基本的には緊張しない 
人なんだけどなぁ…。  
 
放課後、同じクラスだからやっぱり教室出るのも同じ時間。 
一緒に中庭に行くんじゃ待ち合わせの意味ないじゃん!  
 
「よ、吉澤さん…今から中庭に行くの?」 
「うん!一緒に行く?」 
 
教室から出て、慌てて吉澤さんに話しかける。 
それじゃだめなんだってー!! 
 
「美貴、ちょっと遅れるかも!ごめんっ。」 
「そっか。いいよ、先に待ってる!」 
 
理由も聞かずに笑顔で手を振ってくれる吉澤さん。 
用事なんかないのに廊下を走る美貴。
ごめんね、吉澤さん。 
 
はー…。曲がり角まで来て、壁にもたれかかる。 
あ、そういえば朝以来だな、吉澤さんと会話したの。 
355 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:22
すごい、有り得ないくらいドキドキする。 
でも、どうしても、美貴から告白したかったから。 
…うまくいけば、今日から付き合うんだよね、美貴たち。 
 
…よし、もう行こう。 
 
校舎を出て、中庭に向かう。あ、いたいた。 
遠くから、後姿の吉澤さんを見つめる。あー、美貴があっち 
から来ると思ってるんだな。残念でした。 
 
それでも足音で分かっちゃうみたいで、あと5メートルって 
とこで、吉澤さんはこっちを振り向いた。 
 
「ミキティ!」  
 
ゆっくりと、吉澤さんに近づく。 
 
「お待たせ。」 
 
幸い、ここから見る限り、一号館に人影はない。一年生、 
ほとんど部活に行ってるんだろうなぁ。入学早々、居残りも 
いないし、やっぱ待ち合わせはここで正解! 
 
さて、ここからだよ。目の前には吉澤さん。いきなり 
言うのも何だかなぁ…。 
 
「ミキティの教室、あそこだったでしょ?」 
 
突然、吉澤さんが、校舎の美貴が一年の時に使っていた教室 
を指差す。 
356 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:24
「うん、そうだよ。」 
「あそこから黒板消しが落ちて、ごみ捨てに向かってた私に 
 あたったんだよね。」 
 
実は、一号館自体の位置が高いから、二階って言っても普通 
の建物の二階より高かったりする。やっぱ、すごい確率だよ 
ね。 
 
「私さー、実はあの事件の前から、ちょっとミキティのこと気に
 なってたんだよ。」   
  
あぁ、そういえば朝見かけるとか言ってたなぁ。美貴は吉澤
さんのこと全っ然知らなかったんだけど。 
 
「…もう、私がまた告ってどうすんの。」 
 
呆れた様に笑う吉澤さん。あ、しまった。また聞く側になって
しまってた。 
 
「…ちょっと、後ろ向いててくれる?」 
「えっ?なんで??」 
「いいから向けっ!恥ずかしいんだよっ!」  
 
無理やり後ろを向かせる。かーわいーなんて言って、からかう
吉澤さん。後ろから蹴ってやろうか。 
 
357 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:24
「えっと…お誕生日おめでとう。」 
「…プッ!」 
「あー!笑うな!笑うとこじゃないだろ!ってか、こっち 
 向いちゃダメってば!」  
「はいはい。」 
 
真面目に言ったのに! 
 
…なんか、あっという間だな。あの黒板消し事件が去年の秋 
で。その後クリスマスで、バレンタインで、…美貴の誕生日 
で。吉澤さんに出逢ってから、時間が過ぎるのが早いなぁ。 
 
美貴がはっきりと、吉澤さんのこと好きなんだなぁって自覚 
したのは、最近だけど、ほんとはもっと前から好きだったんだ 
と思う。…こういう出逢いも、ありだよね。 
 
「最初はね、大嫌いだったんだよ、吉澤さんのこと。」 
「…うん。」  
 
うわ、肩が落ちちゃったよ。分かり易いな、この人。 
がっくしって感じ。 
 
「謝ったのに仕返ししてくるし、やたら付きまとってくるし。 
 正直ウザイなって。」
 
迷惑だよこの人!とか、なんでこんなんが人気あるの!? 
とか、思ってた。…ごめんね。 
358 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:25
「やっぱ、吉澤さんのイメージがよくなったの、あの
 雨の日だな。」 
 
なんか、かっこつけようとかそんなの考えてないなって何故 
か分かった。この人の優しさは天然なんだなって…。 
 
「誕生日の日、連れ出してくれてありがとう。嬉しかった。 
 美貴、こんなに想われたの初めてかも。」 
「…照れる。」 
 
なに普通にコメントしてんの、この人。 
美貴の方が照れるんですけどっ! 
 
「…でね、美貴の方も、こんなに好きになったの、初めて 
 なんだ。」 
「えーっ!?そうなの!?」 
「…ちょっと黙ってて。」 
「…はい。」 
 
もう、また言いにくくなっちゃったじゃんか。少しくらい 
静かにできないのかなー。 
 
「絶対、1回しか言わないからね。」 
「…うん。」 
 
藤本美貴、生まれて初めての告白、いきます! 
 
「大好きだよっ!」 
359 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:25
言った直後、思いっきり抱きしめられた。  
ちょっと、吉澤さん…。
 
「…まだこっち向いていいって言ってないー。」 
「いいじゃん、そんなの。…私も大好きだよ!」 
 
と、その時。 
 
  バコっ!! 
 
「〜ぃってぇ!!」 
 
吉澤さんの頭に、黒板消しが直撃。頭上から聞こえる笑い声。 
にゃははって…にゃはは!? 
 
 驚いて校舎の方を見上げると。  
 
「亜弥ちゃん!?」
「美貴たーん!おめでとう!」 
「ごめんねよっすぃ、痛かったー?」 
 
一号館の二階の教室の窓から、亜弥ちゃんと後藤さんが顔を 
出していた。  
き、聞かれてた…!?今の、全部! 
 
「ごっちん…速度が…速度が…。」 
360 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:26
涙目で後藤さんを見上げる吉澤さん。美貴が落としちゃった 
時と違って、明らかに狙ってたもんね、さっき。 
そりゃ痛いよ。多分後藤さん、本気で投げたんだろうな。
     
「ごめんねー。狙い定めようと頑張ったら、つい力が…。 
 いやぁー、よかったよかった。感動したよ!」 
「美貴たん、頑張ったじゃん!全米が泣いたよ!」  
 
…泣かねぇよっ!うわー、超恥ずいじゃん! 
見てるなら見てるって言って欲しいよ!…場所変えるけど。 
 
「ミキティ、行こっ!」 
 
吉澤さんはそう言って、美貴の手を握って走り出した。 
上から、逃げたなーとか、駆け落ちーとか聞こえたけど、 
(ちなみに全部亜弥ちゃん)気にならなかった。 
 
「ミキティ、カバン、教室?」 
「うん、そうだけど。吉澤さんは?」 
「私も教室!」 
 
さっき来た道を、2人で走る。さっきよりも何倍も、短い 
ような気がした。走ってるからって理由だけじゃなくて。 
 
吉澤さんと一緒にいると、あっという間に時間が過ぎる 
んだよなぁ。 
 
361 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:26
「また、あの海に行こうね。」 
 
…あの海?…あぁ、あの海か。 
 
「うん、でも…冬は嫌だな。」 
「同感!」 
 
本当は、いつだっていいや。吉澤さんと一緒なら。 
また、学校サボって行くのもいいなぁ…なんて。 
 
…それより、さっき黒板消しがあたったとこ、大丈夫 
だったのかな。すごい音したけど。あの演出、先に提案 
したのどっちなんだろ?ってか、吉澤さんにだけあてる 
なんて不公平だよね?…おもしろかったから、いいか。 
 
「ミキティ、そろそろ吉澤さんって呼ぶのやめない?」 
 
教室に向かう階段を上りながら、吉澤さんが言った。  
 
「そのうちね。…そのうち。」 
「そのうちかよー。」 
 
今は、無理だな。もう慣れちゃったし。 
 
「キスもまだだよね。」 
「…そのうちね。」 
「…ふはは。そのうちかよ。」 
 
今は、無理だな。恥ずかしいし。 
362 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:27
それから、教室に向かう途中も、教室を出てから家に 
向かう途中も、繋いだ手はそのままで。 
やっぱり、友だち以上恋人未満と恋人は、違うね、 
吉澤さん。あのときは本当に、このままの関係がいいって 
思ってたけど。今は…恋人同士も、いいなぁって。  
あ、もうすぐ家に着いちゃう。本当、あっという間だな。
 
この恋が、ずっと続くといいな。美貴は多分、ずっと 
吉澤さんのこと好きだから、吉澤さんも、ずっと美貴の 
こと、好きでいて欲しい。  
 
…それと。あの海、絶対また行こうね。 
 
「…約束だよ?」 
「…えっ?」 
 
美貴は、繋いだ手に、密かに力を込めた。   
 

 
                     おわり   
363 名前:黒板消し 投稿日:2005/09/13(火) 23:32
>>350さん 
出血多量ですか!!大変です!w 
よっちゃん頑張りましたよね。褒めてあげたいww次回も待ってて 
下さると嬉しいです。有難うございます! 
364 名前:夏炉 投稿日:2005/09/13(火) 23:34
↑名前欄がタイトルのままだ…_| ̄|○  
 
黒板消し終わりましたぁー!読んでくださった方、本当に 
有難うございました。本編も終わりが近づきつつあるので 
どうか宜しくお願いします。
365 名前:272名無し 投稿日:2005/09/14(水) 11:33
黒板消し完結乙です!!
藤本さん、頑張りましたねェ〜。
更新が早くて、話も面白くていろんな意味で良かったっす!!
本編も楽しみ待たせてもらいます!
366 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/14(水) 18:18
350でした^^
 完 結 お め で と う ご ざ い ま す ☆ 
・゜゚・*:.。..。.:*・゜(*´Д`*)・゜゚・*:.。..。.:*・゜
激しくみきよしにハマってしまいました(爆)
付き合う前の2人が見られて、むちゃくちゃ幸せになってきました(笑)
本編のほうも気になります!でも…
こんなラブラブな2人見てからなんて凄く辛すぎるっっ!(本気)
次回も待ってます♪
367 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/20(火) 11:48
↑なんだか本編が完結したみたいな書き方でスマソですorz
368 名前:第二十四話 投稿日:2005/09/20(火) 21:01
『よっちゃぁーん。起きろっ!』 
 
…もう朝か。って、まだ7時じゃん!今日日曜なんだから、 
もう少し寝かせて欲しいんだけどな…。 
 
「もうちょっと寝るー…。」 
『いや、起こしてって言ったのよっちゃんでしょ!』 
 
あー…そうだったかな?あぁ、そうだ。昨日、勉強してたら 
眠くなっちゃって、明日の朝やろーってなって…。  
 
「…やっぱ、寝る。」 
『えぇー、情けないなぁ。』 
 
そうだ、センター近いんだっけ。でもさ、こんな朝早くから 
やんなくても、ねぇ?全く、眠いと何考えるか分かんない 
な。 
369 名前:第二十四話 投稿日:2005/09/20(火) 21:02
『あとちょっとだからね。』 
 
そう言って、ふんわりとした笑顔を浮かべる美貴。 
今更だけど、この笑顔、もう少ししたら見納めなんだな…。 
うわ、急に切なくなってきた!どうしよう、眠気が吹っ飛んで 
しまった…。  
 
そういえば、美貴がこっちにいる時間を一ヶ月 縮めたこと、 
まだ納得できてなかったりする。本人はああ言ってたけど、 
なんか他に、理由があるような気がするんだよね。 
 
『…寝ないの?』 
「あ、あのさ。美貴が、一ヶ月縮めた理由って…。」 
『えー?言ったじゃんか。…よし、もっと分かり易く説明 
 してあげよう!』 
 
おぉ、言ってみるもんだな。でも美貴の説明って、基本的 
に分かりにくいような…。 
 
『うーんと…。あ、ホラ、例えば夏休みって、一ヶ月ある 
 でしょ?』 
 
な、夏休み!?まぁ確かに一ヶ月くらいあるけど。 
ってか、一ヶ月以上だね。 
370 名前:第二十四話 投稿日:2005/09/20(火) 21:05
『あれが、もし二ヶ月だったらどうする?』 
「…単純に、嬉しいけど?」 
 
だって、休みが増えたら、ねぇ?でも、美貴の答えは。 
 
『ちっがーう!もっとよく考えてよ。二ヶ月も休みだったら
 一日がすごくどうでもよくなっちゃわない?人によっては  
 違うかもしれないけどさ。』  
 
…あー…。分かるかも。一ヶ月でも、中盤に入るとどうでも 
よくなるもんな。気付いたら一日終わってました、みたいな 
ね。
  
『一日一日を大切にしなくなるでしょ?なんてゆーか、流さ 
 れてく感じだよ。』 
 
うんうん。明日も休みだからいいやー…ってね?そういうこ 
と?
 
『それに、二ヶ月も休みだと、やっぱり学校行くの嫌になるし 
  。ずっと家にいたーいって。』 
「…分かる気がする。」 
『…夏休みと違って、二ヶ月だったとしても、よっちゃんと過
 ごす毎日は、大切にできる自信はあるんだけど。やっぱ、一 
 ヶ月の方が濃くなると思うんだよ。』 
 
なるほどね。なかなか、分かりやすかったぞ。それとも、私が
単純なだけなのかな? 
371 名前:第二十四話 投稿日:2005/09/20(火) 21:06
『それが、ひとつめの理由で。』 
「は?まだなんかあるの?」 
『まぁそれは、別れる当日に教えてあげるよ。もしそれまでに、
 よっちゃんが思い出せなかったらね。』 
  
?なんだろ。ってことは、私も知ってるってこと??いや、全然
分かんないですけど。 
 
『あのね、言い忘れてたんだけどさ。』 
「ん?なに?」 
 
美貴って、結構重要なこと言い忘れるからなぁ。で、何なんだ?
  
『デート、管理人さんがOKだって!ほら、手繋いで歩きたい 
 って美貴が言ってたでしょ?』 
「マジで!?すげぇじゃん!んで、いつ会ったの?」 
『昨日。また夜中に…。』 
 
遊びに来たんかい。もしかして本当にヒマなんじゃないのか。 
あー、でも夜中だからなー。  
  
『どっか、遠くに行きたいね。』 
 
そりゃ、遠くに行かないとマズイだろ。 
でも美貴がうっとりした顔で言うもんだから、何も言えなかっ 
372 名前:第二十四話 投稿日:2005/09/20(火) 21:07
「私は美貴と一緒ならどこでもいいんだけどね。」 
『み、美貴も別に、どこでもいいけど…。』 
 
お、ちょっとほっぺが赤いぞ、美貴ちゃん!  
はあぁ…かわいい。  
 
「じゃあ、競馬場でもいいの?」 
『…一人で行ってろ。』 
 
ひどい!今どこでもいいって言ったばっかじゃん! 
私だって、本気で言ってるわけじゃないけどさぁ! 

「ひどいよ、美貴ちゃん。私は美貴ちゃんと一緒なら焼肉
 だろうがアデランスだろうが、付いて行くのに。」 
『誰がアデランスに行くんだ、誰が!!』 
「あはは…それはまぁ冗談として。マジで、どこでも行く 
 からね。遠くたっていいよ。」 
『…なんか、今日はやけに口が達者だね、よっちゃん。 
 あんまり嬉しいこと言わないでよ。』 
 
はにかんで笑顔がダイアモンドっ!!ってか、嬉しいんだね。 
そうかそうか。 
 
『付いて行ってあげようか?競馬場。』 
 
…美貴は、私を喜ばせるのがうまいなぁ。 
 
373 名前:第二十四話 投稿日:2005/09/20(火) 21:07
 
「あのね、あれはネタで言ったんだからね!」 
『あーあ、よっちゃんって競馬にも興味あるんだね。 
 もう全てが親父だよ。』 
 
聞いてないし。いや、聞こえてるんだろうけど。 
たしかにほんの少し興味はあるけど、私、まだ高校生だよ!  
 
『美貴がいなくなっても、無駄遣いしちゃダメだよ。』 
「分かってるよぉ。」 
『間違っても、競馬場とか恋人と行っちゃダメだよ。 
 嫌われるからね。』 
 
…もしかして、カマかけてる?? 
恋人つくっていいよって、言いたいわけ…? 
 
「そんなことで嫌いになるような恋人なんて、つくらない 
 もんねっ!」 
『なるほど。』 
「それに…私の恋人は、美貴だけだよ。将来、誰かと 
 付き合ったとしても、きっと美貴以外を好きになんて 
 なれないと思うから。」 
『それダメじゃん!相手に失礼。』
 
そう言いながらも美貴はすっごい嬉しそうで。 
いいなー、この笑顔。 
374 名前:第二十四話 投稿日:2005/09/20(火) 21:08
『ほんと、今日はなんかキザだね、よっちゃん。 
 キザ通り越してギザだよ!ギザギザ!』 
 
なんだよ、ギザって。キザだったことは認めるけどさ。 
…でも、全部、本気で思ってることなんだからね? 
 
『むしろザクザク。』 
「もっと意味不明。」 
『パリパリ。』 
「カリカリ。」 
『ゴロゴロ。』 
「ツルツル。」 
『誰がハゲだ、誰がぁー!!』 
「い、いや、言ってないから!」 
 
ハゲはちょっと飛躍しすぎじゃない? 
 
それにしても、あと3週間ないんだよ、うちら。 
こんなアホな会話してていいのか。…でもまぁ、 
こんななんてことない会話に幸せを感じてるのも、事実。 
う〜ん、デート、どこにしようかな。
375 名前:夏炉 投稿日:2005/09/20(火) 21:18
>>365さん 
有難うございます!いろんな意味で良かったですか!本編の方も最後に 
そう言ってもらえるよう、頑張ります!w 
 
>>366-367さん
いえいえー、気になさらずに!私もこの話の後じゃ本編の2人は切ない 
です・゚・(ノД`)・゚・。激しくハマりましたかw有難うございます!嬉しいですw
 
 
376 名前:夏炉 投稿日:2005/09/20(火) 21:19
>>371の最後の行!!「何も言えなかった」です。たが抜けました;
377 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/21(水) 23:06
366(367)でした〜
交信お疲れ様です!!もうどんどん近づいてきてますね〜_| ̄|○
抜けとか全然気になりませんでした(本当)!!気にせずに〜^^
あ、抜けって文章ですよ?髪の(ry (ヴぁく
競馬場か〜。さすがよっちゃん(爆)楽しいデートになればいいな〜。
でも、他の人には見えないのに…大丈夫かな……(ハラハラ
次回の交信も楽しみに待ってます ノシ
378 名前:名無しさん 投稿日:2005/09/23(金) 17:03
>>377 
ん??一日だけ普通の人間に戻るんだから、他の人にも 
見えるのでは?違ってたらスマソ 
 
では、自分も更新楽しみに待ってまーす!
379 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/09/24(土) 20:50
>>378
そっかー!(爆)1日だけ戻るんでした…(恥)ご指摘ありがとうございましたorz

何度もカキコ申し訳ないです(>_<)交信楽しみに待ってます。
380 名前:第二十五話 投稿日:2005/10/04(火) 13:25
「うっはぁー、終わった!これでちょっと安心だね。」 
 
ドサッとベッドに倒れこむ。 
あー、気持ちいい。このまま寝てしまいたいなー。 
 
実は今日、センター試験だった。…まぁ、思ってたより 
はできたんじゃないかな…。うとうとしていたら、 
美貴が隣に腰掛けてきた。 
 
『お疲れ様!よし、これで心置きなく遊べるね!』 
「いや、待て。まだ本命が終わってないから!」 
『知ってる…つまんないなぁ、勉強 
 勉強ってさ!』 
「仕方ないじゃん。」 
『あんまり寂しくさせると氷になっちゃうぞ。』 
「…。」 
『…。』 
 
呆れたフリしちゃったけど、実は可愛すぎて言葉にならないだけ 
だったりして…。もう、なんでそんなに可愛いんだよ! 
あんまり可愛いと沸騰しちゃうぞ! 
…あぁ、何言ってんだろ、私。 
381 名前:第二十五話 投稿日:2005/10/04(火) 13:26
『…ってか、ごめんね、よっちゃん。こんな大事な時期に。』 
 
あ、無理に笑顔作ってるな。美貴はこういう表情滅多に 
しないから、すぐ分かる。全く、似合わないんだから、こういう
顔すんのやめろよー。 
 
「私は、将来のことより、今の美貴との時間の方が大切
 なんだけどな。」 
『……。』 
「一応、親の希望だから進学はするけど、もしそれが第一志望 
 落ちちゃって、滑り止めで受けたようなとこでも、別にい 
 いやって思うよ。…それぐらい、美貴の方が大切。」 
 
涙がこみ上げてくる。美貴が好きで好きでしょうがない。 
どうして、ずっと一緒にいられないんだろう…。 
そんなこと今更思ったって、仕方がないことくらい知ってる 
んだけど。
 
…今すぐ、抱きしめたい。そんでもって、一生離したくない。 
もちろん、そんなことは不可能だってことぐらい分かってる 
んだけど。 
382 名前:第二十五話 投稿日:2005/10/04(火) 13:27

『ちょっと、どうしたの、よっちゃん!』 
「美貴ちゃぁん…。」 
『ほんと、なんで泣いてんの!?』 
 
心配そうな顔で、私を見つめる美貴。 
やべ、涙が止まんない。 
 
『…もう。美貴まで泣けてくるじゃんか…。』 
 
美貴が向こうに行っちゃった後も、私はやっぱり泣いちゃう
んだろうか。こうやって、ベッドの上で。 
その時は、隣でもらい泣きしてくれる彼女はもういなくて。 
 
…あぁ、もう。あと何日なんだよ。二週間あんのか? 
美貴が一ヶ月にするって言ったのが一月の始めで…。…ん? 
美貴が行っちゃうのって、そのちょうど一ヵ月後なのかな? 
 
「美貴、デートする日って、ちゃんと日にち決めてんの?」 
 
別れる日、じゃなくてデートする日。そう言った方がいいよね?
 
『…グスン。…え?デートの日にち?』 
 
わ。可愛い。まだ泣いてんの?私も多分、今目が真っ赤だから 
美貴のこと笑えないけどさ。 
383 名前:第二十五話 投稿日:2005/10/04(火) 13:31
 
『もちろん、決めてるよ。二月の終わりの方なんだけど…。』 
 
…二月の終わり!?じゃあ、一ヶ月というより二ヶ月に近 
いいんじゃ…?
 
なーんだ、やっぱり寂しいんじゃん、ミキミキ! 
どれだけ美貴から説明されても、一緒にいれる日を縮めるって 
ことには変わりないから、結構落ち込んでたんだ、実は。もし
かして寂しいのは私だけ!?みたいな。 
 
…あれ、二月の終わりの方って、もしかして…?でも、  
ちょっと待てよ。この前美貴が夏休みが二ヶ月だとどうとかって
いう話って、一体なんだったんだ。あ、でももう一つ理由がある
って言ってたな。じゃあ夏休みの話はカモフラージュだったって
こと?何か、意味わかんねー。…まぁ、いいか。とにかく、時間
はまだあるってことだ。
 
  
 
…でも、実際は時間なんてあっという間に過ぎちゃって。 
気がつけば、もう二月に入っていた。 
384 名前:第二十五話 投稿日:2005/10/04(火) 13:33
 
「よっすぃ!?うわぁ、よっすぃが学校に出てくるなんて珍しい
 ね!」
 
ごっちんの顔、久しぶりに見たような気がする…。 
二月にもなると、三年生のほとんどは学校に顔を出さなくなる。
私も、その内の一人で…。 
 
「ごっちんは毎日通ってるの?」 
「うん、大体ね。朝昼は学校で、夜は予備校に行ってるよ。 
 あ、ミキティも久しぶり!」 
『うん、久しぶり!』 
「ほんと、最近は睡眠不足なんだよー。」
 
ごっちんはそういって、頭を机に伏せた。こういう仕草見ると、
あぁ、ごっちんだなーって思うんだけどね…。  
 
周りを見ると、みんな熱心に勉強してる。 
なんだか、取り残されたような感じがする。ごっちんでさえ、 
こうして毎日毎日勉強頑張ってんのに。 
ちょっと前まで一緒にフザけあってた、ごっちんでさえ…。 
 
ごっちんの隣に座って、とりあえず参考書を開いてみたけど 
…全く内容が頭に入ってこない。 
385 名前:第二十五話 投稿日:2005/10/04(火) 13:33
「…あ!?ね、よっすぃ、芯貸して!」  
 
…は?進化して??どーゆーこと? 
ごっちんの方を見ると、こっちを見ながらシャーペンをカチカ 
チしてる。…あー。芯貸して、か。あはは、バカじゃん、私。 
 
「いいよ、はい。」 
「ありがと−。…そんな顔、しちゃだめだよ。」 
「…え?」 
「どうせ、私だけ取り残されてるとか思ってたんでしょ?」 
「…うん。」 
「…ちょっと、廊下にでない?」 
 
そう言うとごっちんは、私の腕を掴んで廊下に 
引っ張っていった。 
さすがごっちん。私、どんな顔してたんだろう。 
俯いてたら、ごっちんがニッコリ笑って言った。 
 
「よっすぃには、勉強よりも大切なことがあるんだから。」 
「…ごっちん。」  
「もしもね?もしも、よっすぃが受験失敗しちゃって、 
 浪人することになったら、私も一緒に浪人してあげる 
 から。心配しないで。」 
「…ちょ、なっ何言ってんの?!」 
「そのくらい、よっすぃなら大丈夫って思ってるんだよ。 
 私が保証するから。…だからさ。ミキティと別れるまでは 
 そっちに専念して欲しい。入試、三月に受けるんでしょ?」 
 
…ごっちんって、いっつも無茶なことばっか言うよね。 
386 名前:第二十五話 投稿日:2005/10/04(火) 13:34
その度に、私は励まされてるんだけど。そんな、数日 
勉強したぐらいで受かるような頭じゃないんだけどなー。 
ごっちんだって、そんなこと分かってるんだろうけど。  
 
「受かったって受からなくったって、私がついてるから。 
 とにかく今は、ミキティを大切にしなさい!」  
  
あー…、もう。本っ当に嬉しい。  
勉強のできない私に、運動神経の他に誇れるものが 
あるとしたら。それは、恋人と、親友だって、胸を 
張って言える。 
 
「…私、ずーっと高校生がいいなぁ。」 
 
こうやって、凹んだ時勇気付けてくれるごっちんと、 
離れたくないな。 
 
「え!?留年したいの?」 
「い、いやいや、そんな現実的なことじゃなくて。」 
 
このまま、時が止まればいいなって。
 
涙声でそう言う私を、ごっちんは、しょうがないなー 
よっすぃは!って言いながら、抱き締めてくれた。 
387 名前:夏炉 投稿日:2005/10/04(火) 13:43
>>377-379さん  
有難うございます!ほんと、楽しいデートになればいいですね〜。 
次回から抜けることのないよう注意します!あ、もちろん髪の毛の 
ことじゃな(ry ww 
 
>>378さん 
その通り、その日だけ周囲の人にも見えようになります。  
更新待って下さって有難うございます!
388 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/10/05(水) 18:20
前レスでアフォした377です(苦笑)

あーーー。受験!何だかリアルになってきましたね〜w
デート、楽しみにしてます^^
次回の交信も頑張って下さい〜♪
389 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/03(木) 14:06
待ってます・゜・(ノД`)・゜・。
390 名前:第二十六話 投稿日:2005/11/21(月) 22:03

ある日の夜。私はさっきから机に向かって勉強をしている。 
何気なく、ベッドに腰掛けている美貴の方を見ると、近くに貼ってある
カレンダーに目が止まった。 
 
「美貴ちゃんさー、どうして一ヶ月にするなんて言ったわけ?」 
 
もうすでに、あの日から一ヶ月経っている。 
美貴が、一ヶ月にしたいと言った、あの日。 
 
『この前言ったじゃん!二ヶ月だと、どうしても…。』 
 
もう、その言い訳は無駄なんだって。 
 
「もう一ヶ月過ぎてるじゃんか。」 
『…う。』 
391 名前:第二十六話 投稿日:2005/11/21(月) 22:03
分かっちゃったんだよね。初めから、美貴が気にしていたのは。 
一ヶ月だとか二ヶ月だとか、時間の長さじゃない。別れる、 
その日付だ。美貴が訳分かんない言い訳とかするから、 
混乱しちゃったけど。 
もう、キッパリ言います! 
 
「2月26日がいいんでしょ?」 
 
すると、美貴は。 
 
『…うん。』 
 
あ、何だ。素直じゃん。よかったよかった。私に自分の計画が 
バレたのが悔しいのか、美貴は不機嫌な顔をしている。 
 
「最初からさ、言えばよかったじゃん。何で二ヶ月は長いとか、 
 しなくてもいいような説明をしたの。」 
 
そう、初めから言えば今まで美貴がしてきた言い訳と思われる 
ものは、必要なかったんだ。 
392 名前:第二十六話 投稿日:2005/11/21(月) 22:04
『初め、中澤さんが二ヶ月って言った時は、あー、そうなんだ、 
 ぐらいにしか思わなかったんだけど。後で考えて、どうせ近い 
 んだったら、2月26日がいいのにって思って。で、中澤さん 
 、二ヶ月以内ならいつでもいいって言うもんだから、つい…。』 
 
つい、一ヶ月にするって言っちゃったわけ?一ヶ月と二週間くらい 
がいいって言えばよかったのに。…なんて。 
 
『中途半端だったしさ。一ヶ月とちょっとがいいって言ったら、 
 ばれちゃうでしょ?だから…。』 
 
確かに、何か企んでるな、とは思うけどさ。 ばれて 
なにが悪いわけ?
 
『よっちゃんに、ぎりぎりまで知られたくなかったんだよね。』 
「だってこの前、二月の終わりの方だって言ったじゃん。 
 それで分かっちゃったよ。まず、それ一ヶ月じゃないじゃん! 
 って思って、その後あれ、もしかして…って。」 
 
本当、そこまで言っといて美貴が隠したがる理由が分からない。 
どうせ、日にちが近づけば分かることじゃん? 
393 名前:第二十六話 投稿日:2005/11/21(月) 22:05
「誕生日がいいっていうメルヘン思考に対しては、からかわない 
 から。言ってくれたらよかったのに。」 
『…だってよっちゃん、覚えてないっぽかったし。だったら当日言って 
 驚かせてやろーって。』 
「…はぁ?美貴ちゃんの誕生日を、覚えてないわけないでしょ。」 
『…誕生日だけじゃないんだよ。…その日は。』 
 
え?違うの?確かに歴史上には有名な事件があるけど。 
色々考えてると、美貴がはぁーって、大きなため息をついた。 
 
『ほらね、覚えてないんじゃん。途中で思い出されても中途半端 
 だから、そのまま忘れてて。』 
 
…意味が分かんないんだけども。じゃあいいよ、忘れておいて 
あげるよ。ってか、本当に私の知ってること? 

これで、今までの疑問は解決したんだけど。…はぁー…。 
26日かぁ…。早いよね。ってか、早すぎ。もう既にあれから一ヶ月 
以上たつとか、有り得ない。あー…またマイナス思考になってるよ、 
私。前向きに前向きにって、考えるようにはしてるんだけど。 
こんな感じで沈んでる私とは裏腹に、美貴は。 
 
『なんかさ、今、幸せじゃない?』 
「…そう?」 
『分かる?なんかね、よっちゃんが本当に美貴のこと好きなんだ 
 なぁって、最近改めて感じるの。』 
「…そう。」 
『でね、美貴も、よっちゃんのこと好きだなぁって、改めて思う。』  
394 名前:第二十六話 投稿日:2005/11/21(月) 22:05
もうすぐ別れるってのに、そんなこと再認識したって悲しくなる 
だけじゃ…あー!違う違う!マイナス思考ストップ!! 
こんなこと、恋人から言われたんだから、素直に喜ぶべき 
じゃんか。 
 
美貴はもう、別れを受け入れてるんだろうな。私は受け入れる 
ことができないから、美貴みたいに穏やかに物事を考えられない 
んだ。結局、私の方が子供なんだよね。…なんか悔しい。 
 
でも、美貴と別れた後の自分からしてみれば、今は間違いなく  
幸せな時間なんだろう。 
 
「美貴が幸せだって思うなら、私にとっても幸せなんだろうな。 
 …多分。」 
『多分って。多分じゃだめでしょ。』 
「ごめん。…まだ、寂しいって感情の方が強いんだよ。」 
『そ、そんな真面目に謝らなくってもいいじゃんか!寂しいのは
 美貴だって同じだってば!』  
 
…そりゃそうだろうけどさ。 
俯いてると、美貴が近寄って来て、私の顔を覗き込んで言った。 
 
『でもさ。別れるのが嫌だって思えるのは、まだ別れてないから 
 でしょ?それって幸せなことじゃない?』 
「…うん。そうかもね。」 
『ね?』 
 
395 名前:第二十六話 投稿日:2005/11/21(月) 22:06
…それから。時間はあっという間に過ぎていった。相変わらず 
勉強はしまくったけど、夕方になると外に出て2人でブラブラ 
したりして、それなりに充実した時間が送れた。
 
「よし、今日はもう寝よっかー。」
『あ!よっちゃん、今日はまだ×印つけてないよ。』 
「え?あー、そうだったね。」 
 
最近、一日の終わりに、カレンダーに×印をつけるのが習慣 
になった。いつものように部屋に貼ってあるカレンダーの近くに 
行って、×印を入れようとしたら、途中で手が止まった。 
 
「…。」 
『どーしたの?』 
 
気がつけば、もう2月の半分以上の日付が×で埋まっていた。 
 
「…いや、残り少ないなーって思って。」 
 
美貴は苦笑いをしながら、しょうがないよと呟いた。 
…そんな言葉聞きたくなかったのに。 
 
『よっちゃんさん!』 
「…え?」 
『デート、物凄く楽しみだね!』 
 
何を言い出すのかと思ったら。 
396 名前:第二十六話 投稿日:2005/11/21(月) 22:06
『手とか繋いじゃってさ。あ!あと抱きしめてくれたりなんか 
 したら嬉しいなっ!』 
 
すぐに、私を元気付けてくれてるんだって分かった。それとも、 
さっきしょうがないよって言ったこと後悔してんのかな? 
 
『ね、楽しみだよね!』
「…うん。めっちゃ楽しみ!」 
 
あーあ、上手く笑えてないだろうな。…まぁいいか。 
美貴だって作り笑い、そんなに上手くないし。 
何今更意地はってんだろうね、うちら。 
 
こんなに好きなのに、あとちょっとしたら別れなきゃ 
いけないなんて、あんまりだよね。そんなこと 
言ったって、それこそしょうがないんだろうけどさ。 
今日はもう、何も考えずに寝よう。 
397 名前:夏炉 投稿日:2005/11/21(月) 22:11
>>388さん
更新遅くなってしまって申し訳ありません; 
受験…リアルですねw予定では次の更新がデートの回です。 
次回も頑張ります!ありがとうございます! 
 
>>389さん 
保全ありがとうございます!頑張ります! 
398 名前:夏炉 投稿日:2005/11/21(月) 22:17
作者の計画性の無さ故に最近、内容がぐだぐだになってますがどうか 
ご了承下さい;もうすぐ本編の方も終わります。読んで下さってる方、 
どうか最後までお付き合いして下さると嬉しいです。
399 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/11/22(火) 22:14
388でした!!交信お疲れ様です!

もう、ミキティもやるなぁ〜(謎)次回、期待してます!
素敵なものになってほしいです〜。
ぐだぐだとかじゃないですよ!!気にせず。頑張って下さい(^0^)
最後まで付いて行きます(爆)
400 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 05:15
突然失礼します。
いま、2005年の飼育を振り返っての投票イベント
「2005飼育小説大賞」が企画されています。よろしければ一度、
案内板の飼育大賞準備スレをご覧になっていただければと思います。
お邪魔してすみませんでした。ありがとうございます。
401 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/12/12(月) 22:57
よっちゃんとミキティがもっとラブラブになるのを楽しみにしてます。
気長に待っていますので、焦らず頑張って下さい。
402 名前:夏炉 投稿日:2006/01/22(日) 19:12
更新が滞っていることにお詫び申し上げます。一応生存報告です; 
近いうちに大量更新できたらいいなぁと思っております。待って 
下さっている方がいらっしゃったら、本当に申し訳ないです。
403 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/23(月) 01:40
生存報告キタ―(゚∀゚)―!
404 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/23(月) 13:40
待つよ
いつまでも待つよ!!
405 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/01/23(月) 17:23
報告ありがとうございます!
いつまでも待ってます♪
406 名前:TETRA 投稿日:2006/01/29(日) 17:42
今日見つけました。

いや〜今まで見落としてた自分を呪い殺してやってくださいww

二人のキャラがいいです^^

デート見たいような見たくないような…^^;
407 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:07
 
「起きろぉー!!」 
 
…もう朝か。やたら眠いなぁ。携帯で時間を確認すると、 
まだ早朝の5時前…って、じゃあ1時間しか寝てないんじゃん! 
なんでかって、そりゃあ今日が26日だからですよ。 
ほんというと、一睡もしたくなかったんだけど、さすがに寝て 
しまった。 
 
「はやく起きてってば!」 
 
       バサッ 
 
うわ、寒っ!!何も布団取り上げることないじゃんか! 
マンガみたい…え!? 
 
「み、美貴!?」 
 
見上げると、バッチリ美貴と目が合った。もう眠いとか 
寒いとか言ってる場合じゃない。
だって、美貴が…。 
408 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:08
「おはよう!」 
「お、おはよ…。」 
 
ベッドから起き上がって、恐る恐る、美貴の肩を 
突付いてみる。 
 
「なに、その微妙な仕草は。」 
 
わ、わ、わ!す、すげぇ、触れる…。 
 
「ね、驚いたでしょ!なんか、美貴もさっき目が覚めた 
 んだけど、起きたらこうなってた。いやー、さすが 
 中澤さんっ!あ、もう泣いてる。」 
「…だってさぁ…。」 
 
勝手に涙が出てくるんだもん、しょうがないじゃん! 
 
「それより、早く着替えてっ!外出ようよ!」 
「よ、よし!」 
「あ!」 
「え?」 
「できれば、制服がいいな…なんて。ほら、美貴も 
 制服だし!」 
「ん、分かった。」 
409 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:10
 
みんなが起きないように、こっそりと家を抜け出す。 
外はまだ暗い。 
 
「よっちゃん、こっちこっち!」 
「あ、そっちなの?」 
 
なにやらプランがあるらしいな。 
ってか、ほら!今、手繋いでる! 
あー、やべぇ。また涙が出てきちゃうよ。 
制服姿でこっち方面行くって何か新鮮だなぁ…。 
…あれ?でもなんか、この光景、見覚えが…。 
冬で、制服で、こっち方面って…。 
 
「あー!!」 
「な、なに!?」 
「いや、なんでもないっ!」 
 
そっかそっか。だからなんだ。美貴が26日にこだわった 
のは。思い出せなくてごめんね?今から、あの場所に 
行くつもりなんだよね? 
マジで、今まで忘れてたなんて有り得ないよね…。 
自分で告白しておいて。 
…じゃあちょうどあの日から2年か。早いなぁ。 
 
あの頃は私が勢いで掴んじゃった手を、そのまま 
握っていただけだったけど。今はこんなに自然に、 
美貴から握ってくれる。 
 
やっぱり、変わったよね、うちら。こうやって手を繋いで 
並んで歩くのって、懐かしいなって思うけど、あの頃とは 
確実に違う。 
410 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:11
「もっと厚着してくればよかったね。」 
「え?」 
「海、寒いじゃん。」 
「…そうだね。」 
 
わ、いい笑顔。きっと、最近の中じゃダントツだな。 
やっと思い出したかーって思ってるんだろうなぁ。 
 
 
     ガタン ゴトン… 
 
もう発車して10分ほど経っただろうか。 
車内はすっごくガラガラだけど、私と美貴はピッタリ 
くっついて座っている。 
…夢みたいだ。隣に座っている美貴から、体温が 
伝わってくる。 
もしくは、今までが夢だったんじゃないかとさえ 
思えてくる。 
あの事故も、その1ヶ月後に美貴が私の前に現れたの 
も全部夢だったんじゃないかって…。 
美貴は今も普通に生きていて、明日からも当たり前 
のように、美貴と過ごす毎日が続いていくんじゃない 
かって…。そう感じてしまう。 
411 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:12
「あ、よっちゃん!見えたよ、海!」 
 
景色を眺めていた美貴が、こっちを向いて言った。 
 
「あ、本当だ!」 
 
窓から、あの日と変わらないきれいな海が見えた。 
じゃあ、次の駅で降りればいいんだよね。 
 
「あー、相変わらず寒いなぁ。」 
 
駅から出たところで美貴は、そう言って、私に 
抱きついた。…相変わらずってさぁ。まだ2回目 
だよ、ここに来たの。
なかなか離れようとしない美貴を、思い切り 
抱きしめ返してやった。誰もいないし、いいよね? 
 
「美貴ちゃん。」 
「え?」 
 
美貴が顔を上げたのと、ほぼ同時に。 
 
     チュっ 
 
「〜〜!!!」  
「…すっげぇ久しぶり。」 
412 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:12
久しぶりの、やわらかい感触に酔いしれていたら、 
美貴がつぶやいた。 
 
「…なんですぐ離しちゃうの。」 
「…え。」 
 
ちょ、えー!?い、いますごいこと言わなかった!? 
 
「な、なんでもない!…もう1回。」 
 
そういって、目を閉じる美貴。…やべぇ、かわいい。 
押し倒したい…。 

それから、駅を離れたのは10分後だった。 
…駅前で何やってんだろうね、うちら。



「海だぁー!!」 
海に着くと、美貴はそういって、波打ち際まで 
階段で駆け下りて行った。
 
「よっちゃあ〜ん、はやくっ!」 
 
はいはい、今行きますよ。 
初めてきた時と、立場が逆転してない? 
あの時美貴は、下まで降りてくれなかった 
んだっけ、たしか。 
413 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:13
階段を下りて、海を眺めている美貴に、 
ゆっくりと近づく。そんでもって、後ろから 
ギューって、美貴に抱きつく。
 
「うわ、びっくりした!もー、なんだよぅ。」 
「…美貴ちゃんさぁ〜ん。」 
「よっちゃんさぁ〜ん?」 
 
そう言って美貴は、美貴の前に私が回した腕を、 
ぎゅって握り締めた。 
あー、もう。幸せすぎて忘れちゃいそうだよ。 
…これが最後だってこと。 
 
この際、忘れちゃった方がいいんだろうか。 
別れを意識したら、心から楽しむことなんて 
できないだろうし。 
 
「半年…ぐらいだよね。その…再会してから。」 
 
美貴は、後ろから私に抱きしめられたまま尋ねた。 
 
「うん、そーだね。」 
 
私は、後ろから美貴を抱きしめたまま答えた。 
 
414 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:14
そう…なんだよね。半年、もう経ってるんだよ。 
 
長かったんだろうか、短かったんだろうか、私にとって。 
…っていうか、美貴と一緒にいて、時間が長く 
感じたことなんてないんだけどね。これまでに、 
一度も。 
終わってみたらあっという間とかさ、よく言うじゃん。 
みんな。…終わってみなくったって、あっという間 
だよ、私の場合。 

どうやったら少しでも長く感じるのかなぁ? 
こうやって2人でぼーっと立ってたって、どうせ 
物凄い速さで時間は流れているんだろうなぁ。 
 
「あの時、美貴が中澤さんにまだこっちにいたいって 
 言った時にさぁ。」 
「うん?」 
「中澤さんがいいよって言ってくれてなかったら 
 今頃、うちらは再会できてないんだよね。 
 もしそうだったら、よっちゃんは今頃、立ち直って 
 たのかなぁ。」 
 
…そんな分けない。…と思う、多分。 
 
415 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:14
「普通に立ち直ってて、他の誰かに恋してて、そんで、 
 勉強も頑張ってて。そうだったんじゃないかなって 
 思うと、罪悪感感じるんだよ。」 
「…そうだったとしても、美貴との再会がない方が 
 よかったなんて、思わないよ、絶対。」 
「…うん。」 
「今度の別れは、突然じゃないから…きっと 
 耐えられるよ。私なりに成長したつもりだし。 
 だから、心配しないで。」  
 
…耐えられる分けなんてない。別れなんて、何回 
経験したって慣れるもんじゃない。特に、美貴との 
別れは。 
 
でも、今は。精一杯強がって、美貴に微笑む。 
 
美貴は、私の腕をほどいて、体をこっちに向けた。 
どっちからともなく、お互いの腰に手を回す。 
 
「美貴、よっちゃんに会えてよかったぁ…。」 
「てか、うちらは出逢うために生まれてきたんだよ?」 
「あはは。そうかもしれないね。」 
「絶対そうだから!」 
「…ねぇ、よっちゃん。」 
「え?」 
「今何時?」 
「そうね大体ね…って、おい!」 
「え?」 
 
ムードぶち壊しじゃないか!悲しくなってきた…。 
416 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:15
「えっとね、10時前…だけど。」 
 
ケータイで、時間を確認する。 
もうそんな時間なんだ…。 
すると、美貴が言った。 
 
「あん君に会いたいなぁ。」 
「あんくん!?あの、美貴の家の犬?」 
「うん。超会いたい。よっちゃんも会いたいでしょ? 
 ね?」 
「う…うん。」 
「よし!決まり!」 
 
もう少し、この思い出の場所にいたいとか思わないのかな、 
美貴は…。  
 
まぁいいや。そうと決まれば行動ははやい方がいい。 
今の時間だったら、地元に戻ってもうちの学校の生徒 
には会わないだろう。平日だし。 
 
 
…と、いうわけで。 
  
「絶対、そこから動かないでね?」     
「うん、大丈夫!」  
 
本当に大丈夫かなぁ。 
417 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:16
あん君を藤本家から借り出すため、美貴は物陰で 
待機中。あー、でも、おばさんが出てきたら興奮して 
声だしちゃわないかなぁ、美貴。 
 
    ピーンポーン 

家の中から、玄関に向かう足音が聞こえてきた。 
 
「は〜い…よっちゃんじゃない!どうしたの?」 
「ど、どうも!あのですね…あん君、いらっしゃい 
 ますか?」 
「あん君?いるけど…。」 
「実は、お散歩したいなぁ〜って思いまして…。 
 お借りしても宜しいでしょうか?」 
 
…なんでこんな丁寧な言葉遣いなんだ、自分。 
慣れてるはずの美貴のお母さんなのに。 
 
突然、おばさんの目から涙がこぼれた。 
な、何!?どーしたの!? 
 
「…行ってあげてちょうだい。あの子、美貴が 
 いなくなってから、ずっと元気ないの。」 
 
ちょっと待っててね、と言っておばさんは家の中へ 
入っていった。間もなくして、あん君を連れて、 
出てきた。 
418 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:16
「はい、これがリードね。で、フンをしたらこれで…。」 
「はい、ありがとうございます!」 
 
わー、あん君だ。なつかしぃ…。美貴とよく、散歩 
したっけ。あん君は、私を覚えているのか、しっぽを 
振ってくれた。   
 
「じゃ、お借りしますね。」 
 
あん君を受け取って、行こうとしたら、おばさんが…。 
 
「…よっちゃん、美貴に会いたくなったんでしょ?」 
 
すっごくすっごく優しい顔で、私に尋ねた。 
 
「…はい。」 
 
そういうと、おばさんはニコッと笑った。 
 
「受験、頑張ってね!」 
「はい!」 
 
藤本家を離れ、美貴の元へと向かう。 
やっぱり美貴は、泣いていた。 
 
「本当に会わなくてもよかったの?」
「…うん。顔も見れたし、声も聞けたし…。」 
「そっか。」 
 
419 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:18
さっきから、私の腕の中でバタバタして、美貴の元へ行きたがってる 
あん君を、美貴に手渡す。さっきとは比べ物にならないほど、 
勢いよく尻尾を振るあん君。 
 
「あん君ちゃぁーん…。」 
 
おぉ、感動の再会だ。ってかさ、あん君。そんなにキャンキャン 
鳴いてたら、おばさん出て来ちゃうから。 
 
美貴は、あん君の首輪にリードをつないで、それを右手に 
持って立ち上がった。 
 
「じゃ、行こっか。」 
 
そういって、もう片方の手で私の右手を握った。 
 
「うん。」 
 
 
 
 
やっぱり、美貴が選んだ道は、いつものお散歩コース。 
ご近所さんに見られるとまずいけど、平日のこの時間 
帯だけあって、人は少ない。しばらくして、美貴が 
口を開いた。 
 
「多分今、世界中で美貴が一番幸せだな。」 
 
深くは考えてないんだろうけど、これは紛れもなく 
美貴の本心だろう。 
420 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:19
…普通のことなのに。愛犬の散歩に行くことも、 
それに恋人が付き合うのも。そりゃ、幸せかも 
しれないけどさ。それは、平凡な幸せでしょ? 
その平凡な幸せを、美貴にとって一番の幸せに 
してしまった、神様が憎い。 
 
うちらは、こんなごく普通の幸せを1秒単位で噛み 
締めている。 
 
「…残念。」 
「はい?」 
「美貴と出会った時点から、一番の幸せ者は私 
 だから。今も、美貴の幸せ度は私を越していません。」 
「うっわー、くさい。」 
「…知ってる。」  
「あはは…ありがとう。でもやっぱり、そーゆーこと 
 言われることからして、美貴が一番幸せだよ。」 
 
…かわいいなぁ、こいつ。 
 
こんなこと言いたくないんだけど、美貴は私と 
出会ってなくても、幸せだったかもしれない。 
美貴みたいなやつ、誰でも幸せにしたくなるし、 
もてるし。…うん。 
…でも私は。美貴じゃなきゃ、こんなに幸せだなんて 
思えないだろう。 
 
ってわけで、絶対に私の方が美貴より幸せだと思う 
んだけど…キリがないから、もういいや。 
421 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:20
「ずーっと、幸せでいてね。」 
 
真っ直ぐ前を見て、美貴が言った。 
 
その横顔を見て、少し泣きそうになったけど。 
美貴がいないのに幸せになんてなれるわけがない 
って、言ってやりたかったけど。
 
「任せといて。」 
 
声が裏返らないように、できるだけ明るく聞こえる 
ように、言った。 
 
「大丈夫かなぁ。」 
「大丈夫だってば。私、美貴のこと思い出すと 
 いつでも幸せになれるから。」 
 
そっちかよって、ツッコミがくるかと思ったら。 

「…やめて。」 
「…えっ??」 
「今、両手塞がってるんだから…泣かせないでよ。」 
 
もうすでに涙声なんだけど。 
 
美貴は、私と繋いでる方の手をそのまま 
持ち上げて、涙を拭った。 
おいおい、なにもこっちの手ですることないんじゃ 
ないかい。 
…まぁ、いっか。 
422 名前:第二十七話 投稿日:2006/02/08(水) 23:20
散歩の途中、何回か少し前を歩くあん君が、 
美貴の方を振り返った。 
 
…美貴の存在を、確かめてるかのように。 
 
そう言う私も、隣を歩く美貴の横顔ばっかり 
見ていた。  
美貴もそれに気付いて何度かこっちを向いた 
けど、大抵、真っ直ぐに前を見つめていた。 
 
いつもの散歩コースをぐるりと一周し終えて、 
あん君を返しに行った。あん君は、もう美貴と 
会えないって感付いてたんだろうか。 
私がおばさんにお礼を言ってる途中、ずっと美貴 
が隠れている方向を、見つめていた。 
 
寂しいよね。…せっかく会えたのに。 
 
おばさんに抱かれているあん君を撫でながら 
心の中で呟いた。 
でもまるで、自分自身に言ってる言葉みたいで、 
なんだか切なくなってしまった。 
 
「満足した?」 
 
美貴の元へと戻って、尋ねた。 
 
「うん。ありがと。」 
 
そう言って微笑む美貴は、ものすっごくきれいだった。 
 
423 名前:夏炉 投稿日:2006/02/08(水) 23:25
中途半端なとこですみません。デート編、まだまだ続きます。 
近いうちとかいって2週間以上たつし、大量更新とかいって 
いつもとあまり変わりませんね;申し訳ありません。
424 名前:夏炉 投稿日:2006/02/08(水) 23:37
>>399さん 
ありがとうございます!最後まで応援宜しくお願いします! 
素敵なものに出来るよう、頑張ります。 
 
>>401さん 
ありがとうございます!気長に待ってて下さると心強いです。 
もっとラブラブになるよう、頑張ります。 
 
>>403 404 405さん 
ありがとうございます!頑張ります! 
 
>>406さん 
見つけて下さってありがとうございます! 
そんなこといわずに、デート見てやってくださいw
425 名前:272名無し 投稿日:2006/02/09(木) 00:32
更新お疲れ様です。
待っててよかったYO!
とうとうデートが始まっちゃいましたねぇ〜
続きが見たいけど、デートが終われば・・・。
あぁーー、切ない><
次回もマターリ待たせてもらいます!
426 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/10(金) 00:38
ちょっと泣いてしまいました
427 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/11(土) 00:28
399でした。

・゜・(ノД`)・゜・。ウワーン!!
どんどん哀しくなっていきますよ〜_| ̄|○
このまま時が止まってほしい。あの2人のためにもw
次回も期待してます!
428 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/02/12(日) 23:31
胸が痛いよー、ママン・゜・(Pд`q。)・゜・

本当に切ないです。どうか二人に幸せを………
429 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/03/02(木) 15:52
泣きました。せつない・・・
う〜ん二人とも幸せになって欲しい。ただそれだけを願います。
430 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:50
「すみませぇーん、レバ刺し追加!!」 
「…。」 
「…なに?」 
「いや、よく食べるなって。」 
「ありがと。」 
 
いや、全然褒めてないのに。 
 
お昼は、当然というか…まぁやっぱり焼肉になった。 
なんか私、美貴の食欲旺盛ぶりを見てるだけで 
お腹いっぱいなんだけど…。 
 
「美貴ちゃん、これからの予定は?」 
「う〜ん…。海行ったし、あん君に会えたし、
 焼肉も今食べてるし。…あ。」 
 
…嫌な予感がする。ってか、さっきからなんとなーく 
思ってたんだけど…。 
 
「それはやめよう。多分無理だから。」 
「まだ何も言ってない。」 
「…大体分かるってば。」 
「違うかもしれないじゃんか。じゃ、せーので言おう!」 
「え!?ちょっと待っ…。」 
「せーの!」 
「「亜弥ちゃんに会いたい。」」 
431 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:53
…やっぱり。 
 
「本当だ!当たってたぁ〜。」 
「当たってたぁ〜じゃないでしょ。無理だから!無理!」 
「…無理じゃない。」  
 
あぁー…どうしよう。言い出したら聞かないんだよね、 
美貴って。 
 
「亜弥ちゃんは、今学校でしょ?学校とか、もろやばい 
 でしょうが。」 
「亜弥ちゃんが帰るまで待つよ。ほら、今、陽が落ちるの 
 はやいから部活もすぐ終わるはずだしさ!」 
 
…止めらんないな。もう、美貴のわがままを聞いてあげる 
しかない。 
 
問題は、それまでの時間、どこで過ごすかだよね。 
 
「部活終わるのが多分6時ぐらいだよね。それまで、 
 どっか行きたいとこある?」 
 
私が訪ねると、美貴から予想外の答えが返ってきた。 
432 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:53
「え?戻るんじゃないの?海。」 
 
・・・えぇー!!? 
  
「え、も、もう気が済んだから帰ってきたんじゃなかったの?」 
「いや、急にあん君に会いたくなったから帰ってきただけ 
 だよ。だって、他に行きたいところなんてないもん。 
 美貴にとって、一番の思い出の場所ってやっぱあそこ 
 だからさ…。」 
 
思わずきゅーんときちゃったけど。はっきり言って、電車賃 
と時間の無駄だよね…。 
だったらあのまま海にいて、帰ってきてからあん君に会えば 
よかったのに。 
 
…まぁ、美貴といられるならどこに行っても私にとっちゃ 
一緒なんだけどね。 
 
って、いうかね。海が一番の思い出の場所なのは、私 
だって同じだから、実を言うとあれだけじゃ物足りなかった 
んだ。あ、黒板消し事件の現場も捨てがたいけど。 
 
とにかく、やっぱり行くしかないよね、海。 
433 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:53
で、再び…。 
 
「海だぁー!!」 
 
おおはしゃぎする美貴。あーあ。そんなに走って、こけても 
知らんぞ。絶対痛いから! 
…なんかさぁ。ごっちんとかに今日の内容話したら、 
何やってんのあんたらって、呆れられるだろうなぁ。 
 
に、しても、何時に来たって人いないよね、ここ。 
やっぱ寒いし、磯だし…。 
 
「よっちゃん、鬼ごっこする?」  
 
波打ち際まで行く気になれなくて、美貴の少し後ろ 
に立っている私に、美貴が言った。 
本気なのか、冗談なのか。大体、2人しかいない 
じゃんか。 
 
「あのさ、下手にこけたら大けがするよ。」 
 
間違えなく。…砂浜だったら、まだよかったんだろう 
けどね。 
434 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:54
「だって、寒いし。」  
「…美貴ちゃん!」 
「え?」 
 
さっきまで海のほうを見ていた美貴が、ようやくこっちを 
向いた。両手を広げる私。 
それを見た美貴は、ふにゃっと笑った。そんで、3メートル 
と離れていない距離を走って、私に抱きついた。 
私も負けじと抱きしめ返す。 
 
「あったかいでしょ?」 
「あったかい。」 
 
それから、本日何度目かもはや分からない、キスをした。 
 
…あー…。なんで、美貴なんだろう。人間って60億人 
くらいいるんだよ?よりによって、どうして美貴なの。 
 
美貴じゃなかったら誰が死んでもいいって分けじゃないよ。 
でも…私だってやっぱ人間だし。 
テレビで、知らない人の死亡事故のニュースを見るのと、 
目の前から美貴がいなくなるのとじゃ、比べようがない 
ぐらい、違う。 
やっぱりこの運命を憎まずにいることなんてできない。 
 
「よっちゃん困った顔してる。」 
「えぇ?」 
435 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:55
視線を落とすと、私を見上げてる美貴と、目が合った。 
 
「ほら、困ってる。」 
 
そう見えるのかなぁ。どっちかっていうと、いじけてるん 
だけどなぁ。 
 
「…美貴。鬼ごっこしよっか。」 
「え?さっきダメって…。」
「うん、ここじゃ危ないけど…よし、私逃げるわ!」 
「あ!ちょっ待ってよ!」 
 
勢いよく、階段を駆け上る。 
やばいやばい、あんな状況じゃ私、確実に泣く…。  

人がいないっていっても、やっぱちらほらいるから、 
上手くよけながら駆け抜ける。 
美貴もちゃんと、付いて来ている。 
…文句をいいながらだけど。 
 
「よっちゃ〜ん、どこ行ってんのぉ!?」 
「分かんない!」 
436 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:55
とにかく、走る。 
途中、階段で登れる丘を見つけた。  
なんとなく登ってみて、辺りを見渡すと、 
絶景が広がっていた。 
おー、町全体が見下ろせるぞ。 
 
「〜…あー、疲れた…。タッチ!」 
 
あ、そうだ。鬼ごっこしてたんだっけ。 
 
それから、美貴がここから一望できる町を見下ろして 
言った。 
 
「うわ、すっごいきれい!」 
「ねっ!すごいよね!」 
「うん!」 
 
高いところから見るこの町の景色は、本当にきれい。 
海なんてきらきら輝いちゃって。 
 
「なんか、ほんといいよね、ここ。来るたびにいいとこ 
 見つけてる気がするな〜…。」 
 
大きく体を伸ばしながら、美貴が言った。 
 
「また今度…あ。」  
437 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:56
言いかけて、はっとしたらしい。 
 
自然に出たって事は、そんだけ別れを意識せずに 
楽しんでくれてるってことだから、別にいい。 
 
私は、気まずそうな顔して俯いている美貴に、微笑み 
ながら言った。  
 
「いいね。また今度…来世になるけどさ。私が一緒に 
 行きたいって言ったら、付いて来てくれる?」 
 
顔を上げて、私の顔を見た美貴は、少し涙ぐんでた。 
 
「…うん。つれてって。」 
 
 
 
帰りの電車の中では、何故か亜弥ちゃんの話になった。 
…いや、なぜかっていうか、まぁこれから会えるからわくわく 
してるんだろうけど。 
 
気になったのが、「よっちゃんにはもったいないけど、まぁ 
頑張れ!」って台詞。意味が分かんなかったから、 
聞き流しちゃったけど、一体何を頑張るんだろう。 
亜弥ちゃんの話題であったことは確かなんだけど。 
頑張って仲良くしろってことかな?…ま、そんな感じ 
だろ。 
438 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:56
「はー…。緊張する…。」 
「あのさ…私、ここで待ってるから、亜弥ちゃんが来たら、 
 美貴一人で行きなよ。」 
「え?!なんで?」 
 
亜弥ちゃんの家の角で、帰りを待つ。 
もちろん、亜弥ちゃんがやって来る方向とは反対側 
に隠れている。 
 
「私が行ったって、しょうがないでしょ。2人の邪魔 
 したくないし。」 
「…う〜ん、じゃ、分かった。1人で会うよ。」 
 
それから数分たって、亜弥ちゃんは現れた。 
 
「よし…行って来ます!」 
「行ってらっしゃい!」 
 
亜弥ちゃん、あんまりビックリしすぎないといいけど。 
無理かな? 
 
そーっと、ばれないように、あちらの様子を伺う。 
439 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:57
「亜弥ちゃん!」 
 
その声にビックリして、顔を上げた亜弥ちゃんは、美貴 
の顔を見ると、更にビックリした。 
 
「みっ…美貴たん!?」
 
ぼとって、マンガみたいに亜弥ちゃんが右手に持っていた 
鞄が地面に落ちた。 
 
「あの…驚かせてごめん。どーしても、亜弥ちゃんに 
 会いたくって…。」 
 
まだ状況を把握できていない亜弥ちゃんが、呆けた 
顔で美貴を見つめてる。 
 
「えっと…夢じゃないよ?一応言っとくけど。 
 美貴、まだ亜弥ちゃんにお別れ言ってなかった  
 から…。」 
「…美貴たんなんだよね?」 
「うん、そうだよ。」 
 
途端に、亜弥ちゃんの目から涙が溢れ出した。 
ここからじゃ見えないけど、多分美貴も…。 
440 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:58
「なんで急にいなくなっちゃうんだよぉ…。私、こんなに 
 涙ってでるもんなんだってぐらい、泣いたんだよ?」 
「うん…ごめん。」 
 
美貴は、亜弥ちゃんを抱き寄せて、背中を擦った。 
 
そんな2人とは裏腹に私は、人が通ったら 
どうしようとか、話し声が家の人に聞こえたらどうしよう 
とか、そんな心配ばかりしていた。 
 
「…亜弥ちゃんには、感謝してもしきれないほど、 
 感謝してるよ。本当にありがとう。」 
「私の方がずっとずっと感謝してるって。…なんていうか、 
 ありがとうじゃ足りないんだ。大好きの方が伝わるかも。」 
「あはは。…うん。美貴も大好きだよ。 
 じゃあ…そろそろ行くね?」 
「…。」 
「ほら泣き止んで。」 
「美貴たんだって泣いてるじゃん。」 
「だって…出ちゃうし。」 
 
…全然言い訳になってない。 
 
っていうか、見てるこっちが切なくなってくる。 
 
しばらく2人は黙っていたけど、ついに、美貴が口を 
開いた。 
441 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:59
「…優しいけど優柔不断で、かっこいいけど、なんか 
 情けなくて…。」 
「え?」
「頼りになるけどたまに天然…なんだけどさ。…まぁ、 
 これからもよっちゃんを宜しくね。」 
「え…。」 
「あぁ見えてあいつ、寂しがりだし。」 
「…美貴たん…。」 
「亜弥ちゃんがいてくれたら、美貴も安心だからさ。」  
 
美貴が私のこと散々に言ったのは、まぁおいといて。 
亜弥ちゃんはなんだか腑に落ちない顔をしてる。 
…そりゃ、そうだろう。自分で言うのは悲しいけど、 
そこまで特別に仲がいいわけではない私を、美貴に 
任されたんだから。 
 
「…うん。分かった。」 
 
それでも優しい亜弥ちゃんは、そう答えた。  
美貴を安心させるためなのかな。…っていうか、 
私ってそんなに危なっかしい? 
 
「今まで本当にありがとう。美貴、亜弥ちゃんの幼馴染 
 で、本当によかった…。」  
「…私だって、美貴たんの幼馴染で、ほんとうによかった 
 よ?…ありがとう。」 
442 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 21:59
2人は、体を離して、握手をした。 
 
「じゃあ…亜弥ちゃんから先に帰ってくれる…?」 
「…うん。ばいばい、美貴たん。」 
「…ばいばい亜弥ちゃん。」 
 
それから亜弥ちゃんは、一度も振り返ることなく、 
家の中へと消えていった。  
 
私はそっと、まだその場から動かないでいる美貴に 
近付く。 
 
「…満足?」 
「…満足!」 
443 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:00
それから、私の家まで歩いて帰ったものの、家の前で 
立往生してしまった。 
 
「どーしよっか…。」 

お母さんには昼ごろにメールしといたから、朝っぱらから 
外出していたことに対しては怒られない。 
 
問題は、どうやって、美貴を連れて家に入るかだ。 
夕食はもう、済ませたから、後は私の部屋に侵入 
できればいいんだけど…。 
 
「よじ登るとか!」 
「マンガじゃないんだから…。」 
 
実際、2階にある私の部屋へよじ登るのは、無理 
だろう。伝えるような木もないし。 
 
「あの…やっぱさ、24時でお別れなんだよね?」 
「…うん、多分。」 
「だったら、このまま外にいようよ。私、まだ行きたい 
 とこあるんだよね。」 
「え?もう8時だよ?」 
「…前行った時もこんぐらいだったし。あー、でも 
 寒いかなぁ…。」 
 
実際、家に入る方法なんていくらでもあるんだけど、 
それよりも私は、行きたい場所がある。 
もちろん、美貴が嫌だって言えば、諦めれるけど…。 
444 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:00
「いいよ、行こう行こう!迷ってる時間が勿体ない!」 
「あ、そうだね。」 
 
今8時っていったら、24時まであと4時間なわけだし。 
4時間もあるの? 
4時間しかないの? 
まぁ…4時間しかないって感じちゃうんだけど。 
長い短いは別として、私と美貴に残された時間は、 
4時間なんだってことは、どうすることもできない 
事実。 
 
目的地に向かう途中、何故かお互い、口を開かずに 
いた。つないだ手に力を込めて、真っ直ぐに前を見て、 
歩いた。 
 
美貴は、私が前を歩いてるわけじゃないのに、スムーズ
に付いて来た。ってことは、どこに行こうとしてるのか、 
気付いてるんだろうなぁ。 
 
訪れたのは、美貴と2人でクリスマスイブを過ごしたこと 
のある、公園。 
辺りは真っ暗で、人なんか当然いない。 
唯一の灯りといえば、ベンチがある辺りを照らしている 
電灯。 
445 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:01
「…ここも、2年ぐらい来てないね。」 
 
美貴が、嬉しそうに笑う。 
 
「前に来た時は、付き合ってなかったんだよね。」 
「そうそう、私は美貴に拉致られて…。」 
「その割にはすっごく嬉しそうだったけど。」 
「…。」 
 
そりゃ、嬉しいでしょ、すっごく。 
当時片想いだった藤本さんからイブに 
誘われたら。 
こんなこと言ったら美貴が調子にのっちゃいそう 
だから、言わないけど。 
 
なんとなく入り口で立ち話していたうちらは、 
ベンチまで歩いて行って、腰掛けた。 
 
「よっちゃん、今日楽しかった?」 
「うん…多分、人生で一番楽しかった。」 
「決めつけちゃだめだよ、人生は長いんだから。」  
 
…なんで、こんな謙遜的なんだろ、最近の美貴は。 
美貴がいないこれから先の人生に、今日よりも 
幸せな日が待っているとは思えない。 
それでもいいやって思えるぐらい、今日は幸せ 
だった。…まだ終わってないけど。  
446 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:01
  
「よっちゃんは、いつでも世界一幸せでいなきゃダメ 
 なんだよ。」 
 
なんだよ、いなくなっちゃうくせに。 
そう思ってくれるなら、ずっと一緒にいてよ。
口に出したら美貴が困るのわかってるから、言え
ないけど。 
 
「…ずっと一緒にいられなくて、ごめん。」 
 
…ビックリした。私の心が読めるのかと思っちゃう 
じゃん。 
 
「ずっと一緒なんて、うちらに限らず、有り得ない 
 ことだよ。だから…今まで一緒にいてくれて、 
 ありがとう。」 
「うん…こちらこそ、ありがとう。」 
 
お別れはいつだって湿っぽくなる。…私の 
イメージでは。美貴との別れは、そうでありたく 
ないから、なんとかしてこの暗い雰囲気を 
変えないと。 
 
「最後だって感じがしないなー。」 
 
さっきとは打って変わって、明るい口調で言う 
美貴。やっぱり、美貴だって暗いのがいいわけない 
もんね。 
 
447 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:02
「…ねぇよっちゃん、ほら、息が真っ白。」 
「ほんとだ。寒いもんね。」 
「…。」 
 
あれ、ニヤニヤしてるぞ。なんだなんだ。 

「わ!」 
 
席を立ったと思ったら、すぐさま私のひざに乗っかってきた。 
 
「あったかいでしょ?」 
「うん…でも、重い。…いて!!」 
 
靴のかかとで、足を蹴られた。 
冗談に決まってるじゃんね。こんなほっそいのにさ。 
…ってか、ほんとに痛いんだけど…。 
 
『やぁ!』 
「「!!」」 
 
び、びっくりした。やぁって、この人のキャラに全然合ってない 
んだけど。 
 
「中澤さん!?」 
 
もちろん、この人ってのは、我らが管理人、中澤さん。 
 
448 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:02
『楽しんでる〜?あ、まだ時間じゃないよ?ただ、様子 
 見に来ただけやから、ご心配なく!』 
「時間って、やっぱ24時ですか?」 
『そーゆーことになるかな。まぁ、まだ時間はあるんやし! 
 存分に楽しんどき!10分前には迎えに来るわ! 
 …ムフフ。じゃぁな〜。』 
 
そう言って、管理人さんは消えた。 
…ムフフってなんだ。 
何を妄想したんだ、あの人。 
まぁ、大体想像できるよ。そりゃあね。 
でも、なんかそんな気分じゃないんだよね、悪いけど。 
 
「…よっちゃんがどうしてもっていうならいいけど、美貴は 
 あんまりそんな気分じゃないなぁ…。」 
 
ほらね、以心伝心。 
 
恋人同士が最後の日にすることっていったら、…まぁ 
普通、思い浮かべるのは、ねぇ?
 
だけど、うちらの場合なんか違うなって思うんだよ。 
ぶっちゃけ、そんな時間あったら、2人でお話してたい。 
美貴をぎゅーって抱きしめていたい。 
愛の形って、人それぞれじゃん?  
449 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:03
「やっぱり?」 
「え?」 
「私も、そんな気分じゃないんだよね。気が合うじゃん!」 
「フフフ…何を今さら。」  
 
美貴がそんな風に思っていてくれて、嬉しい。 
そうそう、うちらが気が合うのは、当たり前だもんね! 

「でさ。なんか、物足りないと思わない??」 
「え…いや、全然。」 
 
なんかまた嫌な予感がしたから、とりあえず否定してみる。 
 
「だってさ、思い出の場所といえば、忘れちゃいけない場所が 
 ひとつ、残ってるよね?」 
「ううん。」 
「…怖いんだ?」 
「うん。」 
 
だってこの人多分、今から夜の学校に行くつもりですよ。 
怖くないわけがないでしょ。 

で、案の定、美貴が不機嫌な顔になる。 
 
450 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:03
「どうしても行きたいんだよ。ね、いいでしょ?」 
 
…う。 
 
「だって…最後じゃん…。」 
 
…うぅ。 
 
「もう美貴と一緒に学校行きたいと思ったって、行けないんだよ?」 
 
…だよね。これから先悔いが残るかもしれないってのを考えたら、 
やっぱり行ったほうがよさそうだ…。 
 
「しょうがない、」 
「やったぁー!!」 
 
…まだ言い終わってないのに。 
 
「よし、行こう!はやくはやく!」 
「わ、わかったから…ひっぱんないで。」 
「あ。ごめん。」 
  
 
 
451 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:03
もうすっかり暗くなった道を、美貴と手を繋いで歩く。 
 
「なんかこうやって通いなれた道歩いてると、ますます 
 最後だって気がしなくなってくるね。」 
「うん・・・私も。」 
 
頭ではわかってるんだけど、実感がわかない。 
でも、いよいよそんなこと言ってる場合じゃない時間 
に突入したぞ。もう4時間とっくにきったからね。 
 
で、学校に着いたんだけど、やっぱり正門から入るのは 
無理っぽい。 
 
裏門の方が入りやすいって美貴が言ったから、裏門から 
入ることにした。 
裏門に回ると、鍵が閉まってなかったから普通に入れた。 
一応女子高なんだけど、これでいいんだろうか。
今日はたまたま閉め忘れたとか?それにしても警備が 
甘い。 
  
しょうがない、今日だけ神様がうちらのために開けてくれたことに 
してあげようか。 
 
そして、無事侵入。不思議と、怖さは感じない。 
452 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:04
普段夜に学校なんて来たら怖いに決まってるんだけど、 
美貴がいると、夜は肝試しスポットにしかならない学校も 
思い出の場所に変わっちゃうんだからすごいよなぁ。 
 
当然なんだろうけど、校舎は開いてなかったから、仕方なく 
校舎の周りをぶらぶら歩く。 
 
校庭でかけっこしたり、鉄棒で遊んだりしてたら、いつの間にか 
1時間が経っていた。 
 
でも、一番思い出がある中庭にはまだ行ってない。 
美貴はきっと、最後に行くためにわざと行かないようにしてた 
んだろうけど。 
3年生になった今、もうあの中庭を通ることは滅多になくなって 
いた。 
 
「うわー、やべぇ、なつかしい!」 
「ここで美貴ちゃんが私に告ったんだよね。」 
「…ここでよっちゃんが2回も粉まみれになったんだよね。」 
 
…まぁとにかく、うちらの歴史は、この場所無しでは
語れないわけだ。   
453 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:05
「美貴は今日でよっちゃんに会えなくなるけど…2年ぐらい 
 よっちゃんといれたこと考えると、すっごい幸せだって思えるよ。」 
 
自然に涙が流れてくる。こんな、思いでだらけの場所で 
そんなこと言うの反則だよ。 
 
「よっちゃん、後ろ向いてて。」 
 
あの日と同じように、美貴が私を強引に後ろに向かせる。 
 
「あの時はよっちゃんの誕生日だったから、今日が付き合って 
 丸々2年じゃないけど。約2年、よっちゃんと続いた 
 のって、美貴としてはすごいことなんだよ。」 
 
…あぁ、好きな人変わりやすいとかなんとか前言ってたっけ? 
 
「初恋がよっちゃんってわけじゃないけど、こんなに本気で 
 好きなのって初めてなんだよ…って、前にも言ったけど。」 
 
うん、言ってた気がする。 
 
「だから…本音言うとね?もっともっと、一緒にいたい。 
 別れは覚悟できてたけど、受け入れることなんて今に 
 なったってできない。」 
  
もう面倒くさいから、涙を拭うのやめた。地面にぽたぽた 
涙が落ちる。 
454 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:06
「今まで大人ぶっててごめんね。美貴、本当はよっちゃんより 
 ずっと子供っぽいんだよ。」   
「…なんでそう思うの?別れたくないって思うのは、 
 そんなに幼稚?」 
 
うっわ、鼻声で全然かっこつかねぇ。 
ちょっと泣きすぎちゃった。 
 
「…ありがとう。なんか、そういってくれて嬉しい。 
 最後まで背伸びしなくてよかったよ…。」 
 
もうそろそろいいかなと思って、美貴の方を向く。 
微笑んでる美貴と目が合った。 
見つめ合うこと3秒。 
 
「うん…ってかね、これこそ幼稚発言だと思うんだけど… 
 私、美貴ともう会えないなんて思ってないからね。」 
「…どーゆーこと?」 
「美貴は私よりちょっとはやめに上に行って、私は美貴 
 よりちょっと長く下に残る。ただそれだけ。…あの、 
 笑うなりつっこむなりしてくれない?」 
「ううん、そういうの、結構好き。」 
「…そっか、よかった。」 
「じゃあ美貴も、そう思うことにするよ。」 
 
 
455 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:06
それから近くの石段に、並んで座った。    
 
「もう行きたいとこない?」 
「うん、ありがと。」 
 
あとは、ここで時間になるまでいるだけになってしまった。 
あっという間だけど、こんな充実した1日は初めてだ。 
  
でもやっぱり、終わりが近付くにつれて、時間がすぎる 
のがはやくなっていった。 
 
中澤さんが現れる時刻になっているのに気付かないぐらい。 
 
『思う存分楽しんだ?』 
「中澤さーん、まだ来なくていいのにぃ。」  
『気持ちは分かるでも、残念!』

私は黙って2人のやりとりを見ていた。美貴だけじゃなく 
中澤さんに会うのも最後になるなぁ…とか思いながら。 
 
さっき泣かないって再度決めたのに、唇かみ締めて我慢 
してなきゃ涙が出てしまう。 
456 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:06
『じゃあ…そろそろやな。』 
「うん…よっちゃん、もう行くね?」 

そう言って美貴が立ち上がる。 
私もつられて立ち上がった。 
 
「ん、分かった。」 
 
のどが痛い。目頭が熱い。 
どうしよう、これ以上しゃべると泣いてしまう。 
顔を上がると、美貴はいつの間にか薄くなっていた。 
 
「はやく行ってくれないと…泣いちゃうじゃん。」 
 
美貴がはやく行ってしまえば、美貴の前で泣かないで 
すむのに…ずっと行かないでほしいっていう矛盾した気持ちが 
美貴が行くのを拒んでる。   
 
「じゃあ、泣いちゃえばいいじゃん。」 
 
私は美貴に一言そう言ってほしかったのかもしれない。 
その言葉が合図だったかのように、今まで我慢していた 
涙が溢れ出てきた。 
 
当然美貴も我慢できるわけなくて、それにつられて中澤 
さんも泣き出してしまった。 
457 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:07
「よっちゃんがそんなに泣いたら、美貴行けなくなっちゃうじゃん…。」 
「…美貴だって泣いてるくせに。」 
『あんたらほんとにもう…バカップルやなぁ。』 
 
そんなの言われなくても分かってる。 
 
『さて…あんまり長引くと、名残惜しくなるやろ?』 
「うん…じゃあ、よっちゃん。元気でね。」 
「うん。美貴ちゃんもね。」 
 
別れる時もあっさり。うん、さすが私の好きな美貴だ。 
そうでなくちゃね。 
 
「美貴…上でちゃんと待ってるから。よっちゃんにまた 
 会えるのを。」 
「じゃあ、私は下で美貴に会えるその時まで、頑張って 
 みるよ。」 
  
美貴のいない世界で。大丈夫、美貴がちゃんと待っててくれる 
なら、きっと頑張れる。  
お互い、再会を待つ場所が違うだけなんだ。 
458 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:07
「あ…。」 
 
美貴が自分の指先を見て、小さな声をあげた。 
 
…さっきより薄くなってる。 
  
でも美貴の表情は、微笑みに変わっていった。 
 
「よっちゃあぁぁぁん!大好き!!」 
 
涙を強引に拭って、笑顔でそう叫ぶ美貴の気持ちに 
こたえる。 
 
「私も、大好きだあぁぁ!!」 
「よし、これからもその気持ちを忘れないように!」 
「あはは、よし、了解!」 
「じゃ、またね!」 
 
そう言うと、白い光と一緒に2人は消えていった。 
 
 
…あー。いなくなっちゃった。 
 
ぺたんと、石段に座り込む。 
 
「…うっ…く…んぅ…。」 
 
涙が止まらない。 
459 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:08
…美貴がいない。隣に美貴がいない。 
 
もっと話したいことあったんだよ。 
もっと行きたいとこもあったんだよ。 
 
もっと…一緒にいたかったんだよ。 
  
なんで後悔ってどうしようもなくなってから押し寄せてくるんだろう。 
さっきまで、もう満足だって思ってたのに。やり残したことはないって 
自分に言い聞かせてたのに。 
 
結局伝えたいことだらけじゃないか。
美貴に聞いてほしい言葉で胸がいっぱいだよ。  
 
 
 
なんとか泣き止んで、重い足どりで家に向かう。 
幸い家族は寝てたから、泣き顔見られずにすんだ。 
 
部屋に戻ると、また悲しみがこみ上げてくる。 
 
460 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:08
半年、美貴と過ごした部屋。  
半年も一緒に過ごしたのに、この部屋には美貴が 
いた証拠がない。残ったのは、想い出だけ。 
 
意味もなく机の椅子に腰掛けると、机の上に美貴の字で 
書かれた手紙が置いてあった。…手紙っていうか、ノート 
破ったやつだけど。 
 
わー…ベタなことするなぁ、美貴ちゃんも。 
また泣いちゃうでしょうが。 いつの間に書いたんだろ。 
やっぱ朝かな。
461 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:09
『 よっちゃんへ 
  
  いよいよデートだね。多分楽しかったと思います。 
 
…うん、かなり。
  
  最後は泣かないでお別れできたかな? 
 
できるわけないでしょうが。 
 
  美貴にとってよっちゃんと過ごした日々は、ありふれた 
  言葉だけど、本当に宝物です。…美貴がこういう 
  こと言うの、似合わないけどほんとに思ってるからね! 
 
そんなのいなくなっちゃってから言うなよー…。 
 
  出会ってから2年で美貴がいなくなって悲しい思い 
  させちゃったし、よっちゃんにとって美貴との出会いが 
  よかったのか、今でも分からないけど。 
 
はぁ?会えたことに感謝でいっぱいだよ、そんなの。 
 
  まぁそれは置いといて、よっちゃんはもう美貴に 
  はまっちゃってるんで、美貴無しのこれからの人生は 
  つらいと思います。 
 
…なんだよ、わかってんじゃん。 
462 名前:第二十八話 投稿日:2006/03/18(土) 22:13
  でもよっちゃんなら大丈夫だと思う。心配なんて 
  してあげないからね。 
  でも、本当につらい時は誰かに頼らなくちゃダメだよ。 
  じゃあ、これからも頑張ってください。美貴はこれからも 
  よっちゃんが好きです。   
           

                      美貴より』 
 
 
やべ、涙で滲んじゃった。さっきので涙なんか枯れたと 
思ってたのに。 
 
さっきまで落ち込んでたのに。なんか少しやる気が出ちゃった 
じゃん。私をここまで悲しませることができるのが美貴なら、 
そこから立ち直らせてくれるのもやっぱり、美貴しかいないんだ。  
 
…心配してあげない、か。 
じゃあ心配してくれなくていいよ、美貴ちゃん。  
それだけ期待してくれてるんでしょ? 
さっきまで落ち込んでたのに。なんか少しやる気が出ちゃった 
じゃん。 
 
 
…さっさとお風呂入って寝るかー。 
美貴が夢にでてきてくれたらいいな。
463 名前:夏炉 投稿日:2006/03/18(土) 22:15
大量に更新w 
あと更新一回したら完結です…寂しいなぁ。・゚・(ノД`)・゚・。
464 名前:夏炉 投稿日:2006/03/18(土) 22:33
>>425さん 
待っててくださってありがとうございます! 
デート終わってしまいました…。私も自分で書いてるくせに切ないです。 
 
>>426さん 
ありがとうございます!泣いてくださる方がいて本当に嬉しいです。 
 
>>427さん 
ありがとうございます!どんどん哀しくなっていきますね…。 
次回の更新で哀しみ以上のなにかが伝われば嬉しいです。 
 
>>428さん
ありがとうございます!書いてるうちにどんどん切なくなっちゃい 
ました…;最後までお付き合いくださると嬉しいです。 
 
>>429さん 
ありがとうございます。私も2人の幸せを願ってます…。 
絶対にただ切ないだけのラストにはしないので!w
465 名前:夏炉 投稿日:2006/03/19(日) 00:17
今頃間違いに気付いた_| ̄|○  
>>462の、「それだけ期待してくれてるんでしょ?」の後に「さっきまで落
ち込んでたのに。なんか少しやる気がでちゃったじゃん。」って入って 
ますが、いりません;ごめんなさい。修正するの忘れてました; 
466 名前:名無 投稿日:2006/03/19(日) 00:43
更新,お疲れ様です。
切なすぎて涙が‥(T0T)
467 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/19(日) 00:50
更新お疲れ様です。
爽やかな別れに泣きました。
次回ラストですか、同じく寂しいなぁ。・゚・(ノД`)・゚・。
468 名前:名無し飼育さん 投稿日:2006/03/19(日) 02:01
お疲れ様です
初めて娘小説で泣きました
469 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/19(日) 22:00
427でした。交信お疲れ様です。

・゜・(ノД`)・゜・。

久しぶりに泣きました。つーっと流れました。涙が。
次回、とっても淋しいです_| ̄|○
2人とも、本当にー……・゜・(ノД`)・゜・。涙がとまりません(笑)

470 名前:最終話 投稿日:2006/03/23(木) 23:21
卒業式が終わった。その後なぜか写真撮られまくって、やっと 
今、帰る支度ができた。ボタンがなくなったブレザーを見て、苦笑 
する。 
 
誰もいない教室。みんな、まだ校庭でわいわい騒いでる。 
写真とか寄せ書きとか、面倒くさいから私はいいや。 
 
もう他の誰かが使っているけど、前美貴が使っていた机の椅子 
に、なんとなく腰掛ける。右の頬を机に引っ付けると、ひんやりと 
気持ちよかった。 
 
「美貴ぃー…私、卒業しちゃったよ。」 
  
高校の3年間なんて、あっという間だな。 
美貴と出会ったの、すごく最近に感じるよ。なのに…もう 
卒業だなんて。 
 
「卒業式の日に中庭で写真撮ろうって言ってたの美貴 
 なのに…忘れてるでしょ。」 
 
…返事がないことに違和感感じるぐらい、一緒だったんだ。 
あの夢みたいな半年間は、ずーっと一緒だったもんね。   
471 名前:最終話 投稿日:2006/03/23(木) 23:23
ん?なんだ、これ。 
 
こんな体制だから目に入ったのか、机の左端に小さな落書きがあった。 
しかも、鉛筆じゃなくて多分コンパスの針で。  
 
なんとなく気になったから、体を起こして何が書かれているのか確認する。
もしかしたら美貴が書いた落書きかもっていう願望に近い予感は、 
多分当たっていた。 
 
だって、こんなことするのって他にいない…よね? 
 
「なんか…似合わないことするの好きだよね、美貴ちゃんも。」 
 
いつもならここでくるんだ、つっこみが。多分顔赤らめて、眉間に  
皺寄せて。…あー、やべ。最近涙腺ゆるいよなぁ、私。今美貴がいたら、 
つっこんだ後に困惑した顔で、なんで泣いてんのって言うだろうな。 
そんで、いつの間にかつられて自分も泣くと思う。  
 
「よっすぃ〜!付き合い悪いなぁ、みんなよっすぃがいないとつまんない
 って言ってるよ!」 
「…ごっちん?」 
 
顔を上げると、教室の扉の前に、ごっちんが立っていた。 
ごっちんが階段上る音にも気付かない私って…。 
472 名前:最終話 投稿日:2006/03/23(木) 23:23
「なにしてたの?」 
 
ごっちんが静かに近寄る。 
慌てて涙を拭ったけど、もう遅い。 
 
「あれ?今頃泣いてんの?変なよしこ。」 
「ほっとけ。」 
「…相合傘?」 
 
私の目線の先にある机の落書きを発見して、ごっちんが言った。 
 
机の落書きの正体は、相合傘だった。しかも、私と美貴の名前入り。 
 
「よっすぃが書いたの…?」 
「まさか!」 
「でもミキティが書いたとか性格上…あ、よっすぃもか。」 
「悪かったね。」 
「あは。まぁでも…この字は、ミキティだね。」 
 
授業中にでも、書いたのかな。コンパスでガリガリ。  
先生に見つかってたら、クラス中から冷やかされてたぞ。 
危ない危ない。  
473 名前:最終話 投稿日:2006/03/23(木) 23:24
「ごっちん…私、もう帰るね。」 
「え、もう?なんか色んな人からカラオケとかボーリングとかに 
 よっすぃ誘っといてってすごい勢いで言われたんだけど…。」 
「悪いけど…、」
「うん、断っとくね。」 
「ありがとう。」 
「いえいえ。」 
 
二人同時に教室を出る。そのまま下駄箱まで行って、別れた。 
10歩分ぐらい離れてから、ハッとした。 
言わなきゃ。今までの、お礼。ごっちんは美貴よりずっと付き合い 
長いから、春から離れ離れだってこと忘れてた。 
 
「ごっちん!」 
「…え?」 
 
ごっちんが振り返る。 
 
「今まで、ありがとう。今までごっちんがいてくれてすっげぇ助かった 
 し、これからは別々だって考えると、寂しくて…えーと。」 
「よっすぃ!」 
「ぅえ??」 
「そんな最後のお別れみたいなの、お墓に入ってからじゃないと 
 聞かないよ?…また遊ぼうね!」 
「…うん!」  
 
今度こそごっちんに別れを告げて、歩き出す。 
ちょっと遠回りになるけど、1号館の中庭に向かった。 
474 名前:最終話 投稿日:2006/03/23(木) 23:24
当然、2月26日に美貴と来て以来だ。 
…自然に頬が緩むなぁ。多分あの海よりも、思い出が 
詰まった場所。  
 
やっぱり美貴と再会できてよかった。こんなに穏やかに 
美貴のこと想ってられる。事故の後の自分じゃ、到底 
考えられないな。 
 
「吉澤先輩!」 
 
後ろを振り向くと、亜弥ちゃんがいた。肩で息してるところ 
見ると、私を追いかけて来たんだろうか。 
 
「亜弥ちゃん?どうかした?」  
「私、どーしても伝えなきゃいけないことがあるんです。」 
「ん?」 
 
一瞬、美貴絡みのことかなぁって思ったけど、違った。 
475 名前:最終話 投稿日:2006/03/23(木) 23:25
「…先輩は今、恋してますよね。」 
「え!?な、なんで??」 
「見てたら分かるから…だから、何度も告白するのやめよう 
 かなって思ったんだけど。やっぱ聞いてもらいたくて。」 
 
…告白って、やっぱりあれだよね?でも、亜弥ちゃんが 
私に? 
 
「私…美貴たんと先輩が付き合ってる頃からずっと、 
 先輩のことが」 
「ま、待って!それ以上言われても、私…。」 
 
自慢じゃないけど告白なんてされ慣れてる。いつもなら 
さらっと断ることができるけど、相手が亜弥ちゃんじゃ 
そうするわけにもいかない。 
 
「別に…振り向いてもらえなくてもいいんです。気持ちだけ、 
 聞いてくれませんか。」 
「わ、わかった…。」 
 
一呼吸置いて、亜弥ちゃんが口を開いた。 
476 名前:最終話 投稿日:2006/03/23(木) 23:26
「…私、先輩のことが好きです。」 
「えっと…まず、今まで気付かなくてごめん。」 
「…はい。」 
 
どうしよ、なんて言おう。いい加減なこと言うわけにも 
いかないし、誤解を招くようなことも言えないし…。 
 
このこと、美貴は気付いてたことになるな。 
だからあんなにしつこかったんだ、亜弥ちゃんと仲良く 
って。なんだよ、私が亜弥ちゃんのこと好きになったて 
いいっていうのかよ。 
 
なんか…複雑だぁ。 
でも、仲良くしろっていう割には亜弥ちゃんのこと褒めると 
不機嫌になってたよね。 
 
「…先輩?」 
「あ!ご、ごめん。」 
 
やべ、口元が緩んじゃった。…美貴のせいだ! 
477 名前:最終話 投稿日:2006/03/23(木) 23:26
 
「私は亜弥ちゃんの気持ちには応えられないけど、その… 
 よかったら今まで通り、仲良くしてくれないかな。」 
「…にゃはは。」 
「え?わ、私なんか変なこと言った?」 
「いや…美貴たんにもこの前言われたから。先輩を 
 よろしくって。」 
「この前?」 
「あ、えっと…。」 
 
あ、そっか。あの日亜弥ちゃんに会いに行ったんだっけ。 
どうしよ、亜弥ちゃん困らせちゃった。えーっと…。 
 
478 名前:最終話 投稿日:2006/03/23(木) 23:27
「そりゃ、私と美貴は心が通じ合ってるからね。」 
「そうですね…やっぱ美貴たんには敵わないなぁ。
 …じゃあ先輩、引きとめてしまってごめんなさい! 
 もう帰りますね。」 
「あ、うん。じゃあね!」 
「これからも仲良くしてください。」 
「こちらこそ。」 
「…ちなみに、先輩が今好きな人って…。」 
「聞く必要ある?」 
「いや…聞くまでもないですね。」 
「わかってんじゃん。」 
 
ニコッと微笑んで、歩き出す亜弥ちゃん。 
距離が少しずつ離れていく。 
 
私は美貴が好きだ。この先どうなったって、それは 
変わらないだろう。…それこそ、結婚しても。 
479 名前:最終話 投稿日:2006/03/23(木) 23:28
私は美貴に会うために生まれてきた。
それに、この人生の末端には美貴が待ってくれている。 
 
…と、いうことは。 
私は美貴に会うために生まれてきて、美貴に会うために 
死ぬんだ。…なかなかいい人生じゃん。 
     
ただ、生きていくのは自分のためだと思う。 
今までの自分に負けないように、成長しないとね。 
 
「…美貴、待っててくれてるんでしょ?私、頑張るからね。」 
 
 
 
中庭に別れを告げてゆっくり歩き出す。 
もうこの中庭にも、あの海にも、行くことはないだろう。 
振り返っちゃだめだ。強く生きていかなきゃ。  
 
この先に待っているのは、美貴だけじゃないんだから。
480 名前:最終話 投稿日:2006/03/23(木) 23:29
 
 
               おわり
481 名前:夏炉 投稿日:2006/03/23(木) 23:32
最後なのでageちゃいますw終わり方に納得いかなかった方がいましたら 
、ごめんなさい;これで「私は下で彼女は上で。」は完結しました。 
今まで読んでくださった方、レスして下さった方、本当にありがとう 
ございました!
482 名前:夏炉 投稿日:2006/03/23(木) 23:45
>>466さん  
爽やかさを出したかったけど…やっぱ切ないとこもありますね; 
今までありがとうございました! 
 
>>467さん 
みきよしの別れは爽やかじゃないと!って思いましてw爽やかさが 
伝わって嬉しいです♪今までありがとうございました! 
 
>>468さん 
は、初めてですか!貴重な涙をどうもありがとうございます! 
かなり嬉しいですw今までありがとうございました! 
 
>>469さん  
ほんと、私の小説で泣いてくださる方がいて嬉しいです。 
私もすっごく寂しいです。・゚・(ノД`)・゚・。今までありがとうございました!
483 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/24(金) 09:25
469でした!!

完結、お疲れ様でしたorz そして、ありがとうございました!!!!
更新が楽しみで、楽しみで…1日に何度もチェックしてた日もあります(笑)
これからも、作者さんの話が読みたいです!
今まで、素敵な話をありがとうございました!!
484 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/24(金) 10:08
この日をずっと待っていました。
泣きそうです、自分。なんか、この物語の景色が頭に浮かぶんですよね。
すごく素敵なお話をありがとうございました。
執筆、お疲れ様です。
485 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/03/24(金) 14:22
>>428です。

作者様、お疲れさまです。切ないのに何故か心が温まりました。こんなハッピーエンドもありですね。
よっちゃんはきっと今よりもっと強く生きていけるでしょう。
良作をありがとうございました。
486 名前:初めて 投稿日:2006/03/30(木) 01:43
一気読みして泣けました。所々笑ったり、突っ込んだり…。
黒板消しも最初は別れを考えちゃって切なかったですが、それさえもどうでもよく感じるぐらい二人が可愛くて愛らしくて…。

本当に泣けました。
また機会があれば作者さんのお話を読みたいです。

本当にありがとうございました。
487 名前:夏炉 投稿日:2006/04/04(火) 20:58
すみません、遅くなりました!レス返しをさせていただきますっ! 
 
 
>>483さん
毎回レスを下さって、すごく心強かったです。 
1日に何度もですか!wほんと、更新が遅くて申し訳なかったです。 
ありがとうございました! 
 
>>484さん
気付けば書き始めてから3年程経過してしまって…長かったですw 
素敵な話だと感じて頂けて、本当に嬉しいです。今まで更新してきて 
よかったなぁって思えます。ありがとうございました! 
 
>>485さん
終わり方は、かなり悩みました。いっそのこと全部夢だったことに 
しちゃおうかとか思ったり…wありだと言ってもらえて、正直ほっと 
しています。ありがとうございました!
  
>>486さん 
一気読みお疲れ様&ありがとうございます!!黒板消しは私もやっぱり
その後を意識すると書いてるうちに切なくなってしまいました; 
こちらこそ、本当にありがとうございました! 
488 名前:夏炉 投稿日:2006/04/04(火) 21:01
自分の作品が読みたいなんてすっごくすっごく有難い言葉を言って 
頂けたのですが、自分今年一杯寮生活でして…。また更新遅くて皆様に 
迷惑かけたくないので、もし書くとすればそれ以降となります。 
そのときに覚えてくださる方がいらしたら、またよろしくお願いします!
489 名前:夏炉 投稿日:2006/04/15(土) 02:57
スレも余ってることだし、短編書きます。本当に短いですがw
490 名前:不即不離 投稿日:2006/04/15(土) 02:58
「よっちゃんさぁ、いつもここで何見てんの?」 
「あ、ミキティ。」 
 
新学期になってから、放課後よっちゃんはよくこの教室の窓から 
外を眺めてる。ずっと気になってたから、今日こそはと 
思って話しかけちゃった。  
 
「どれどれ。」 
 
よっちゃんの真似して外を眺めてみる。…特に変わったものは 
見当たらない。 
 
「ねぇ、なに見てんの?」 
「教えなーい。」 
 
なんかご機嫌だ、よっちゃん。やっぱ好きな人でも見えるん 
だろうか。 
 
「ヒント!」 
「だから、教えないって。」 
「…。」 
「拗ねんなよ…教えないけど。」 
491 名前:不即不離 投稿日:2006/04/15(土) 02:58
美貴はどっちかってーと人のこと気にならない方だと思う。 
じゃあなんでこんなに気になるかって。 
 
わかってる。よっちゃんのことだからってことぐらいちゃんと 
わかってるよ。 
 
よっちゃんが悪いんだ。美貴をこんなに夢中にさせるから。 
あーあ、魔女になれたらなぁ。 
よっちゃんの心読んじゃったり、ホレ薬作っちゃったりするんだ。 
…そーゆーことできないから楽しいんだろうけどね。 
 
「よっちゃん、まだここにいる?」 
「もうちょっと。」 
「そっか。じゃあ美貴はもう帰るね。」 
「うん、ばいばい。」 
 
 
よっちゃんがこんなに好きな自分が嫌だ。 
よっちゃんは絶対他の誰かを好きなのに。 
 
…に、しても。誰見てたんだろう?
 
492 名前:不即不離 投稿日:2006/04/15(土) 02:59
「美貴たぁ〜ん!お邪魔します!」 
 
部屋で宿題してると、元気よく現れたのはお隣の亜弥ちゃん。 
そういやこの部屋にノックもせず入って来るのは亜弥ちゃん 
ぐらいだな。 
 
「あ、宿題してたんだ。ごめんね。」 
「ううん。どうかした?」 
「今日の放課後さ、2階の窓から外見てたでしょ。」 
「あ、見えたんだ。」 
「吉澤さんと。」 
「へっ?よっちゃんのこと知ってんの?」  
 
よっちゃんの話はしたことあるけど、なんで顔知って 
るんだろう。亜弥ちゃんは高校に入ったばっかなのに。 
 
「知ってるよぉ。みんなが騒ぐから覚えちゃった。」 
 
あー…そりゃ1年生は騒ぐだろうなぁ。あの顔で 
フットサル部のキャプテンだもんね。 
 
「どこから見てたの?」 
「テニスコートだよ。あのさ、なんで吉澤さんはよく 
 あそこから外見てんの??」 
「さぁ…?教えてくれなかったけど。」 
「なんか、よく目が合っちゃうんだよね。」
493 名前:不即不離 投稿日:2006/04/15(土) 03:00
…嫌な予感。  
 
あの距離で目が合うって。しかも頻繁にって。 
たまたまじゃないよね。 
 
「あたし、なんかしたかなぁ…って。でも話した 
 こともないし。」 
「まぁ、気にしなくていいんじゃない?多分恨みとか 
 そんなんじゃないからさ。」 
「そう?ならよかった!」 
「なになに、亜弥ちゃんもよっちゃん狙い?」 
 
この時はふざけて言ったんだけど。冗談で。 
 
こんなこと言わなきゃよかったって、後で後悔した。 
 
「え…やだなぁ、美貴たん!あ!でも、紹介して 
 くれたら嬉しいな。」 
494 名前:不即不離 投稿日:2006/04/15(土) 03:00
またこの日がやってきた。前まで嬉しかったのに。 
…部活が休みの日。

週に1回も休みなんかなくていいのに。 
どうせなら日曜日休みにしようよ。 
嫌なんだもん、よっちゃんが窓から外眺めてるの。 
 
「また見てんの?」 
 
嫌なら帰ればいいのに。それでもよっちゃんと話して 
いたいんだ、美貴は。 
だって客観的に見たら教室で2人きりだし…。 
 
「ほっとけ。」 
「よっちゃんは部活ない日だけ一緒に帰ってくれない 
 って、まいちんが拗ねてたよ。」 
「そっか。」 
 
さっきから、返ってくる返事は一言。 
そっけないの。  
 
「美貴の友だちがさ。よっちゃんのこと紹介してって言って 
 るんだけど。」 
「へぇ。」 
「それだけ?」  
「紹介って言ったって色々あるし。」 
「そうだけど。」 
495 名前:不即不離 投稿日:2006/04/15(土) 03:01
「う〜ん。まぁ別にいいよ?ミキティの友だちでしょ?」  
 
反則だ、その台詞と笑顔。 
 
反応が見たくて言ってみたのに。まともなこと言い 
やがって。 
 
なにしてんだろ、美貴。亜弥ちゃんはよっちゃんを気に入ってて。 
確信は持てないけどよっちゃんは亜弥ちゃんが好きで。 
本当なら引き離したいのに、紹介だなんて。 
ばかみたいじゃん。 
 
「よっちゃんって好きな人いるの?」 
 
ほぼ無意識に、口から出た。 
 
「…いるよ。」 
「だれ?」 
「だ、だれって。ミキティから言いなさいよ。」 
「言ったらちゃんと教えてくれる?」 
「真面目に言ったらね。」 
 
…言えるわけないじゃん、本人に。 
 
どうしよ、中学時代の〇〇さんとかって言っちゃおうか。 
…それじゃずるいよねぇ。 
496 名前:不即不離 投稿日:2006/04/15(土) 03:01
美貴が悩んでると、よっちゃんが言った。  
 
「あ…やっぱ言えないや。」
「へっ?なんでよ。そんなのあり?」 
 
…美貴が言うのもあれだけどさ。 
 
「だってよく考えたら名前知らないんだもん。ごめん、 
 ミキティも言わなくていいからさ。」 
 
なにが悲しいかって。 
よっちゃんに少しも意識されてないことだよ。恋愛対象として。 
 
「名前知らないのに好きなの?」 
「一目ぼれ。」 
「そうなんだ。」 
 
だろうね。接点ないもんね、亜弥ちゃんと。 
…さっきから亜弥ちゃんって決めつけちゃってるけど。 
 
「わたくしらしくないでしょ?」 
「巷で噂の♪」 
「セクシーうぇうぇ♪」 
497 名前:不即不離 投稿日:2006/04/15(土) 03:02
…確かによっちゃんらしくないけどね。一目ぼれなんて。 
 
「ここから見えるんだね、その好きな人は。」 
 
ちょっと意地悪。よっちゃんが困るのわかってんのに。 
 
「な、違うよ!見えない見えない!」 
 
わかりやすーい。真っ赤になっちゃってさ。 
 
「わかったわかった。これ以上言わないよ。」 
「…。」 
 
なんでこんな笑ってんの、美貴。 
泣きそうなくせに。 
 
 
 
 
その1ヶ月後だったかな。 
 
よっちゃんと亜弥ちゃんが付き合い始めたのは。 
 
498 名前:不即不離 投稿日:2006/04/15(土) 03:02
 
「じゃあねぇ、ミキティとまいちん!」 
「お疲れ様でぇ〜す!はい、よっすぃ。荷物持って♪」 
「えぇ〜また?…しょうがないなぁ。」 
 
今日も2人は手を繋いで帰る。 
 
前まで亜弥ちゃんと帰っていた美貴は、前までよっちゃんと 
帰っていたまいちんと一緒に帰るようになった。 
 
「相変わらず暑苦しいね、あの2人。よしことか超デレデレだし。」 
 
…そんなの美貴が見たってわかるけど。 
そんな普通に言われると凹むなぁ、やっぱり。 
 

結局いつもそうなんだ、美貴は。 
 
告らないから始まんないし、振られもしない。 
いつもちょうどいい関係で止まる。 
振られるのが怖いから。  
 
こんなに引きずってんのは初めてだけど。 
 
よっちゃんともこんな風に不即不離な関係が続いていくんだろう。 
それでいいじゃん、なにが不満? 
 
いいんだよ、それで。   
499 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/18(火) 00:28
あー、そうだろうなぁこの二人は…w
500 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/18(火) 21:35
長編完結おめでとうございます!
昨年くらいからずっとみてたんですけど、
やっぱりせつないです・・・
何回涙流したことやら・・・ww笑
短編もなんか二人らしいですww笑
501 名前:名無飼育さん 投稿日:2006/04/26(水) 02:46
遅レスですが…

よかったお(;д;)
502 名前:夏炉 投稿日:2006/05/06(土) 00:16
GWなので帰省中wレス返しします!

>>499さん 
っぽかったですか?wありがとうございます! 
 
>>500さん
ずっと見てて下さったんですか!ありがとうございます! 
なんか私の勝手なイメージではみきよし=不即不離なんですよねぇ…w 
 
>>501さん 
遅レスも大歓迎っすよ♪ありがとうございます!

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