黄泉がえり

1 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月05日(金)14時07分49秒
ザッザッザッザッ

漆黒の闇の中を走っていた
走るたびに伸びきった草が足に当たるのも気にせずに走っていた


目の前には暗闇に紛れた数々の木が立ちはだかる
冷たい風が体全体につき刺さる
それにもかかわらず走っていた



でも・・・
でもここはどこなんだ?
なんで自分はここを走っているんだ?
2 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月05日(金)14時13分45秒
まるで木が避けてるように見えた
暗闇の中で・・・
しかも何本もある木が立つ中自分はまったく木にぶつからずに走っていた

そう、自分でも驚くくらいに・・・

そもそもここはどこだ?
なんで自分はここをはしっているんだ?
それに



自分は誰だ?
3 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月05日(金)14時20分37秒
一筋の光が見えた
建物の光りだろうか?
それとも電灯・・・

ザッザッザッザッ
走るたびに光りが大きくなる

がさっ

ついに暗闇から出られた
一瞬安堵した

けれどその刹那・・・
今度は一瞬で落胆することになる

建物が立っていた


今にも崩れそうな建物が
4 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月05日(金)14時24分08秒
私は落胆したままその建物に近づこうと歩き始めた

電灯はついているんだ・・・
きっと人はいるんだ・・・

そんな微かな希望を胸に

第一歩を踏み出した途端・・・

がくん

私はその場に崩れ落ちた
5 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月05日(金)14時28分07秒
地面に倒れると
草と地面の独特の匂いがした
が、今はそんなことに気にかけている余裕はない

体はもう動かない

意識も遠のいてきた

どうやら今までの疲労が一気に出たようだ


ここはどこなのか
なんのためにここにいるのか
そして、自分は誰なのか

すべてがわからないまま私は深い眠りについた
6 名前:タケ 投稿日:2003年09月05日(金)14時33分22秒
更新終了です。

挨拶が遅れましたが
花板で小説を書いているタケです。

今回も駄文ですが読んでもらえれば嬉しいです
7 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月05日(金)19時57分57秒
なんか気になる出だしですね
タイトルといい…今後に期待
8 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月05日(金)23時53分25秒
やっぱり朝のさんぽは気持ちがええ

わずかに残っていた眠気も朝の日の光りと2月の空気がそれを消してくれる



まぁ・・・もっともこんな幽霊スポットのような場所で
気持ちよくそう思えんけど

とは言うものの、実際もう何年もここに住んどるから
それにも慣れたけどな
9 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月05日(金)23時58分16秒
さて、戻るか
ウチはそう呟いていかにも幽霊なんかがでそうな建物に向かって歩き出した

まっそれは外側の話しやけどな?

ザッザッザッ

ウチはいつもと変わらない1日の始まりだと思っていた

でも今日だけは違った





誰かが倒れていた
10 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月06日(土)00時04分11秒
誰が倒れているのかと思ってその人に近づいた
「あのー・・だいじょう・・・」

『大丈夫ですか?』

そう言うつもりでいたウチの口からはその言葉はでず
そのかわりに口をパクパクさせていた

「な・・・なんで・・・」
しばらく呆然としていた


 誰か呼ぼうか
ウチはハッとして携帯に電話をかけた
11 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月06日(土)00時12分46秒
パタン
連絡をとって男3、4人と担架を呼んでもらった

本来ならこんな樹海のようなところじゃ電波が通らん
けどそれはウチらが・・・


「中澤さーん!」
「あっ あぁ、こっちや!早くっ!」

しかし彼らはその倒れてる人を見てぎょっとしてそこを動かなくなった
中にはすっかり怯えて腰を抜かしてる奴もいた
「おい!その子早く医務室へつれてけや!」

はい!と言う声と共に男達はその子を担架に乗せて連れて行った
「ったく・・・男ってのは・・・」

まぁ・・・その気持ちは十二分にわけるけどな・・・
12 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月06日(土)00時19分44秒
ん・・・ここは・・・どこだ・・・?

私は目を開けた
どうやら死んでないらしい・・・

と言うか助けられたらしく私はカーテンで囲まれた・・・
そう、病院のベットのようなところに寝ていた

ストーブがついているのか部屋は温かい

私はゆっくりと起き上がった
「おはようさん」
カーテン越しに誰かが立っていた
「入ってもええか?」
・・・関西弁?
「はい」
断る理由なんかないだろと心の中で思いながらカーテンをシャッと開ける音がした
13 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月06日(土)00時24分29秒
その人を見て1番印象に残ったのはその髪・・・

この病院みたいなところにあの金髪の髪・・・
って自分もそうか
「あんたも金髪なんやな」


この人も同じこと考えてたんだ
なんか笑えた


「さて・・・悪いが調べさせてもらうで?」
「えっ?」
14 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月06日(土)00時32分39秒
再び目が覚めた

今度は変な機械がたくさん置いてあった
自分もその機械の上に乗せられている

なんなんだ・・・
助けてもらったと思ったら今度は眠らされて勝手になんか調べられた・・・らしいけど
私がなにをしたって言うんだ?

「おい!お前っ!もう終わったからそこから降りろ」
1人の男が気分の悪そうな声でそう言ってきた
ムカツクやつだな・・・

そしたらもう1人の男がそいつに近づいていった
(おい!そんなこと言ってあいつを怒らせたら・・・)
「あ・・・ごっごめんな口悪くって」

いえいえと言って私はそこから降りた
なんか変だなここの空気・・・

しばらくして全部調べ終わったよと言われ私はドアを開け廊下にでた
15 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月06日(土)00時37分37秒
(おい!そんなこと言ってあいつを怒らせたら・・・)
あの男に悪いがちゃんと聞こえていたが
あれはどういうことだ?

どうもみんな私のことを知っているような気がする・・・
もっともみんな私を腫れ物のように見ていたけど・・・



廊下をでたもののどこを行けばいいのかわからない
そもそもここはどこだ?
昨日と同じことを再び考えていたら

「なにボーっと立ってんのや」

後ろから聞き慣れた声がした
16 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月06日(土)00時44分24秒
「あの・・・えっと・・・」
「あぁ、どこがどこかわからんよなあ初めて来たんやしな」

その人に連れられ私はどこかの部屋についた
「うわ・・・」
その部屋は1人なら広すぎると言えるくらいに広かった
「でかいやろ?」
「はい」
「あんなぁ〜その〜敬語使うの止めてくれんかなぁ?」

敬語を止めろぉ?なんなんだこの人
でもまぁ敬語は疲れるから止めることにした

「で? なんなのここは?」
まず私は自分の中に溜まった疑問点の1つを聞いた
17 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月06日(土)00時51分12秒
「ここは・・・さっきのボロい建物や」
え?あのボロかった建物!?
その人は私の顔を見て苦笑いをしていた
「・・・まぁええわ
で! ここはと言うとここは裕ちゃんの研究所なんや!」

裕ちゃん? えっと・・・誰?

「あっすまんすまん!名前言うの忘れてたな
ウチの名前は中澤裕子っていうんや裕ちゃんでいいでぇ」

なるほど・・・裕子だから裕ちゃんか・・・
って!!
「ここあんたのなの!?」
「ゆ・う・ちゃんや!!」
敬語は嫌なのに呼び方は気にする人なんだな
「えっとここは裕・・・ちゃんのなの?」
「そうや!自慢じゃないけどな」

自慢じゃないってアンタ・・・
18 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月06日(土)01時03分00秒
「あのさぁ・・・まだ聞きたいことあるんだけど・・・いい?」
「あぁ、別に・・・」
「じゃあなんでみんな私のことあんなにムカツク目で見てたのさ
オイラが何かした?」

そう言った途端裕ちゃんの顔つきが変わった
「それは・・・アンタやからな・・・」
「は?」
「しかたがない、じゃあちょっとこっちからも質問や」

な、なんだ・・・この緊張感は・・・

「あんた・・・『矢口真里』やな?」





『矢口真里』

「誰?」
「とぼけんな!!」
急に大声をだして裕ちゃんは私の胸倉をつかんで話し出した
「ここがボロボロになったのもあいつらの目つきがアンタに対して悪いのも
全部あんたが『あんな事』したから!!違うか!!」

『あんな事』

さっきの『矢口真里』と言いなんなんださっきから・・・
「とぼけても無駄やで?なんでアンタがそんな大人しいかはわからんがなぁ?」
私は呆然としていた
「・・・」

その時だった
19 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月06日(土)01時06分21秒
がちゃっ

裕ちゃんの顔つきが一瞬元に戻った

「中澤さん!検査の結果でました!
それでちょっと話しが・・・」

「ちっ なんやねん!」
そのまま裕ちゃんは私を睨んでから部屋を出た



なんなんだ・・・私は・・・一体・・・なにをしたっていうんだ?
「くそっ」
私は・・・私は誰なんだ?
20 名前:タケ 投稿日:2003年09月06日(土)01時13分10秒
更新終了です

>7 名無しさん 様
期待してもらって嬉しい限りです
>6で書き忘れましたがぶっちゃけこの話しは
映画になったその小説のタイトルにだけ使っているので内容は異なります
書き忘れてごめんなさい
それでも見てくれたら嬉しいんですけど・・・
21 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月07日(日)00時53分59秒
え?なんやって?
それを聞いた瞬間頭が一瞬真っ白になった


「す、スマン、もっかい言ってくれんか?」
「はい、ですからあの『矢口真里』は検査の結果・・・」





彼はこう言った
あの子・・・いや、『矢口真里』は記憶喪失だ・・・と
じゃあさっきのは・・・

(あんた・・・『矢口真里』やな)
(誰?)

あれはとぼけてたわけじゃなかったんか・・・
先程の自分のした事に後悔を覚えた

でもなんで記憶喪失なんか・・・
22 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月07日(日)01時04分47秒
「じゃあ、あの子は・・・ホンマに『矢口真里』かわかんないんか?」
「はぁ、まぁ容姿は『矢口真里』そのものですけど・・・」

確かに・・・
145cm程の身長に金髪の髪
それが『矢口真里』の1番の特徴・・・

もっともそれは外見の話
『あの時』の『矢口真里』は・・・

まてよ・・・
ウチはある人のことを思い出した
そう・・・『あの時』の前まで矢口の友達・・・いや、親友を
あっちはまだ生きてる

ウチはサッと携帯を取り出し彼女の番号を探す
結果を報告した男はウチの顔を不思議そうな顔で見つめていた
「あ・・・」

懐かしい名前
(お願いです!!矢口を、矢口を助けてください!)

あれからもう1年・・・か
ウチは去年の記憶に浸りながら
彼女に電話をかけた


23 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月07日(日)01時12分21秒
「おはよー」
「あっおはよー」

もうすぐ大学の2年生になるねぇと友達と話していた
「そっか・・・あれからもう1年か・・・」
「ねぇ・・・あの子の事はもう忘れたら」

その言葉にムカッときたから友達にひと睨みした
「あ・・・ゴメン」
こっちこそごめんと言いながら『矢口』達といたあの時を思い出していた


そうこう話している内に大学に着いた
「あっおっはよー」
「あぁ、おはよ」

いつもと変わらない日常・・・
でも、自分自身そうは思ってなかった

特に・・・今日はそんな気がした
24 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月07日(日)01時17分16秒
私の予感はよく当たるらしい・・・
昼になって昼ご飯なに食べようかと話していたら

ピリリリリリッ
急に電話が鳴った

ディスプレイを見る
『あの時』以来見ることはないと思ってた名前

「中澤裕子」からだった
25 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月07日(日)01時35分12秒
ザッザッザッ
そこは1年前とほぼ同じ風景のままだった

1回入れば迷い込んでしまえば2度と出られない、と言ったような森の中
そんな中ぽつんと立っている白い建物

外側だけ見ればヒビが目立ち汚れも多いまるで廃墟のような建物
でも中に入れば印象はまったく違う
男の人に確認をとってもらってから廊下を歩く


色は外と同じ白、だけど外側とは違いに中は建てたばかりかと思うほどだ



しばらく歩いていたら目的の人物に会った
「中澤さん・・・」
中澤さんは壁に寄りかかって私を待っていたようだ
「電話の通りや、入ってみぃ」

私は急いでその部屋に入った
「矢口ぃ!!」
26 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月07日(日)01時42分51秒
―数時間前
「もしもし?ウチや、わかるか?」
(はい、中澤さんです!で、なにかあったんですか?)

「ああ・・・矢口が・・・『矢口真里』が黄泉がえったんや!!」
(え?うそ・・・矢口が・・・?)

「うそやない・・・もっとも本人かどうか確認はできないんや・・・
せやから来てほしいんや!」
(確認できないって・・・)

「記憶喪失なんや・・・」
(!!)

「せやからアンタに来て欲しいんや!あの子がホンマに『矢口真里』なのか・・・
親友だったアンタならわかるやろ?」
(・・・わかりました今から行きます!)

「道は・・・」
(忘れてませんよ・・・『あの時』のことは全部・・・)
「そっか・・・じゃあ頼むで!」
27 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月07日(日)01時49分11秒
「矢口ぃ!!」

裕ちゃんが言ってた親友って人が入ってきた

その人見たその瞬間だった・・・
どこか懐かしいと感じた

でもそれ以上になんとも言えない嫌悪感に包まれた
私は目を逸らした
それを無理矢理我慢して彼女をもう1回見た

長くサラッとした髪
細身の体
大人っぽい顔

それが大きな特徴だった

「矢口・・・カオリのこと・・・覚えてる?」

(その親友の名前は飯田圭織って言うんや)

この人が飯田圭織?
私の親友だった人・・・?
28 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月07日(日)02時00分37秒
「ゴメン・・・覚えてないんだ」
その人の顔が凍った
「そうなんだ・・・」
目から涙がこぼれていた
ズキン

そのとき初めて記憶喪失になったことを悔やんだ
「やっぱり・・・覚えてないんだ・・・矢口・・・」

なんだろう・・・
この人の声ともう1人・・・誰かの声が
私の頭に微かに響いた

(矢口、私達はずっと親友だよ!)

(矢口・・・なんで信じてくれないの?)

(それでも矢口が信じてくれないんだったら私は矢口を・・・)

頭がズキンとした
痛みは増していきなにも考えられなくなった
私はその場に倒れた

「ちょっ矢口!? 矢口ぃ!!」
「おい!どないしたんや!矢口!!」

2人の声とバタバタと大勢の足音聞こえたのを最後に私は意識を失った
29 名前:タケ 投稿日:2003年09月07日(日)02時06分54秒
更新終了です
なんかわかりにくい文章だな・・・
そもそも人物のキャラが・・・

次回は矢口さんの過去を少しだけ書く予定です
30 名前:マコト 投稿日:2003年09月07日(日)23時25分20秒
タケさんの新作発見!!
飼育ふらついてたら見つけてびっくりしましたよ(笑)
こっちでは矢口さん記憶喪失ですか・・・。
『あの時』っていうのがめちゃめちゃ気になりますけど、
今度からはこっちもちょくちょく拝見させて貰いますよ(w
頑張ってください!
31 名前:タケ 投稿日:2003年09月08日(月)16時26分45秒
>30 マコト 様
ありがとございます・゚・(ノД`)・゚・ 嬉しいです
『あの時』・・・今回はそのことをちょこっと書こうかと・・・

っていうか『あの○○』使うの多いな自分(w
32 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)16時33分40秒
―あぁ〜くそぉ!!クラス表が見えな〜い!

私の・・・声?

―えっと私と同じ3組だよ

この声は飯田って言う人の声?

―あっありがと!!

―あっカオリ〜!探したよ?





ん? 誰の声?
33 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)16時36分31秒
―私、矢口真里!よろしく〜!

―私はカオリ、飯田圭織!よろしくね?

―じゃあ最後は・・・

その瞬間 

私達の声が聞こえなくなりかわりに蝉の声が聞こえてきた
34 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)16時40分47秒
―矢口ってっ性格のわりにはあんまおこんないんだよね〜

昔の私ってそんな怒らなかったんだ・・・
っていうかこれって私の・・・

―ははっ・・・ちょっと・・・ね?

乾いた自分の笑い
自分のことだからなのか何か隠してる気がする
でも・・・なにを?




またなにも聞こえなくなった
35 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)16時44分12秒
―え? いじめ?一体誰に?

心配する飯田って人の声
心配されてるのはその知らない人?

―だ、大丈夫だよ・・・
―大丈夫じゃない!私が守ってあげる!
―カオリも守るよ!

なんだろう・・・イヤな予感がした
36 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)16時49分03秒
―おい!いいかげんにしろ!!

―あぁ?お前が矢口真里?生意気なんだよ!お前もっ!

なんだ?なにが起こってるんだ?

―だめぇ!!矢口ぃ〜!!

ばきぃっ
殴られる音

どさっ
倒れる音

―あ・・・
唖然とした私の声


―うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!! なっちぃぃぃ!!
37 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)16時53分20秒
なっち?

この名前を聞いた瞬間なにか
私は変な感覚に襲われた

―うわぁぁ!逃げろ!
さっきまで強気だった人の声が急に弱弱しい声に変わっていた

―逃がさない・・・
え・・・これ・・・もしかして私の声?
なんか怖いよ・・・

―う・・・わぁぁぁぁぁ!!

その悲鳴と共になにも聞こえなくなった

38 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)16時57分46秒
―くそっ私は・・・私は・・・なんで

再び聞こえてきた声は今にも泣きそうな自分の声だった

―矢口・・・誰がなんて言おうとカオリとなっちは矢口の親友だよ?
―矢口、私達はずっと親友だよ!

飯田って人となっちって人?

でもこの言葉を聞いた瞬間・・・

なぜか心が痛くなった
39 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)17時01分38秒
一瞬また何も聞こえなくなった


―これは矢口の為なの!だからお願い!
―うん・・・わかったよ・・・
―ありがと矢口

なに?なんのお願いなの?
どうしてだろう?

さっきからイヤな感じのままだった
40 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)17時05分06秒
―矢口さん・・・あなた騙されてるんですよ

また初めて聞く声だ・・・誰?

―うそだ・・・
―うそじゃあありませんよ
―だって2人共矢口の為って・・・
―それがうそなんですよ

ホントに誰なんだ?

それにこの会話はなに?

・・・私はどうなるの?
41 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)17時09分05秒
―矢口っ!! 
―矢口ぃ!!

―来るな裏切り者・・・
裏切り者? あの2人のこと?
なんで・・・

―なんであんなヤツのこと信じて私達のこと信じてくれないの?
ねぇ矢口・・・なんで信じてくれないの?

悲しそうななっちって人の声
あんなヤツってのはさっきの声の人?
42 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)17時12分51秒
―矢口・・・やっぱり信じてくれないんだ
―もう誰も・・・なにも信じない
―そっか・・・そうなんだ・・・わかったよ
なっちって人の声はどこかスッキリしたように聞こえた

―それでも矢口が信じてくれないんだったら私は矢口を・・・
私が矢口を・・・



その瞬間再びなにも聞こえなくなり目の前が明るくなった
43 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)17時22分12秒
「矢口!大丈夫?」
目を開けると飯田さんが心配そうに私を見ていた
「・・・飯田さん?」

なにが起きたのだろう?

そう思って私は記憶を辿ってみた

飯田さんに会って
誰か覚えてなくて
そのとき誰かの声がして
そしたら頭痛くなって倒れたんだ

「あ・・・矢口倒れたのか・・・」
「よかったぁ・・・また矢口がいなくなったら私は・・・私は・・・」

飯田さんはついに涙を流して泣き出してしまった
「ちょっ、ちょっと飯田さんそんな泣かないでください・・・」
こんなときどうすればいいんだろう

「お!アンタ目ぇ覚めたんか・・・ってカオリ・・・なんで泣いとんのや?」
「だって・・・だってまた矢口が・・・」
「カオリ!それは言ったらアカン!!」
裕ちゃん?
なんだ?カオリはなにを言おうとしたんだ今・・・



それにさっきのあれは・・・夢・・・じゃないよね・・・
「ね、ねぇ飯田さん」
「・・・なに?」
「なっちって人知ってます?」
44 名前:黄泉がえり 投稿日:2003年09月08日(月)17時27分51秒
何気なくきいたつもりだった

飯田さんの顔がいきなり強張った
「なっちのこと覚えてるの!?」
いきなり両肩をぎゅうっと掴まれてそう聞かれた

「いや・・・さっき夢ででてきたんだ・・・」
「ゆ・・・め?」
飯田さんはまだ怖い顔をしていた
「はい」
「もしかしたらそれはアンタの「記憶」かもしれんよ」
裕ちゃんが横から口を挟んできた

「記憶・・・か」

確かにそんな気はしてた
あれは夢なんかじゃなくて私の記憶だってことは・・・
45 名前:タケ 投稿日:2003年09月08日(月)17時31分21秒
更新終了です
なんか半端だ・・・と思いいつつ

書いてく内にだんだん下手になってる気がするのは気のせい?

とりあえず今回は矢口さんの過去をちょこっと(?)書きました!
いつか本格的に矢口さん達の過去を書こうと思います
46 名前:つみ 投稿日:2003年09月08日(月)20時02分09秒
新作発見!
いい感じですね^^
47 名前:マコト 投稿日:2003年09月08日(月)23時48分16秒
矢口さんの過去になにがあったのか、もっと詳しく知りたいっす!!
変な声(?)みたいなのも気になるぅ・・・。

>だんだん下手になってるのは気のせい?
気のせいです!!タケさんの文章は綺麗で読みやすいんで大好きです(w
48 名前:タケ 投稿日:2003/09/09(火) 16:06
なんか移転されたみたいですね
今まで通りでいいのかな?

>46 つみ 様
いい感じですか!ありがとうございます!
これからもいい感じだといいんだけど・・・
っていうか心がけます(w

>47 マコト 様
綺麗で読みやすい!? 
ありがとうございますホント・゚・(ノД`)・゚・
矢口さんの過去は色々あってまだ考え中です(w
変な人(w もこれから出てくるんで期待しててください
49 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/09(火) 16:13
「カオリ、ちょっと廊下来てや」
「う、うん・・・」

私はこぼれる涙をこらえながら矢口がいる部屋から出ていった

ちなみに矢口は医務室でねてるんだけどって当たり前か・・・

「カオリ・・・」
中澤さんの言いたいことはわかってた

「はい、わかってます・・・
もし・・・矢口が知ったらきっとショックを受ける」
それは目に見えてる
私だってそう言われたらきっと驚くだろうな・・・

「あぁ・・・本来ありえんことやしな」
「うん」
50 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/09(火) 16:19
2人共なに話してんだろ・・・

2人して廊下に出ちゃったから私はもちろんこの部屋でたった1人だけ

なんかあの夜を思い出すなぁ

暗闇を駆け抜け
光りを探し
走りまわったあの夜を・・・

「っていうかまだ何日もたってないんだよなぁ」
私はベッドから降りて窓のある方へ歩いた
日はまだ十分に明るい

窓の外にはやはりたくさんの木が立っていて先が見えなかった
時計を見るとまだPM4:00前だった

がちゃっ
そのときちょうど2人がまた部屋に入ってきた
51 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/09(火) 16:25
心なしか2人の表情が暗い・・・
「2人とも・・・どうかした?」
私がそう言ったら2人はいきなり慌て出して

「なっなに言っとんのや!」
なんて焦って言う裕ちゃん
「そっそうだよ!カオリは元気だよ?」
そして明らかにおかしい飯田さんの反応がなんか笑えた



私の思いすごしだったのかな?










でもそれは思いすごしなんかじゃなくて・・・
この時私は2人のその表情の意味を知らなかっただけだったんだ
52 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/09(火) 16:33
―その夜

「矢口、カオリと寝ない?」
いきなりそう聞かれた

「え?いいですけど・・・飯田さん家はいいんですか?」
「うん、一応ね」
ホントに大丈夫なのかと不安だったけど
1人で夜を過ごさなくていいと思ったら少し安心した

ベットは以外と大きくて
私と飯田さんはなんとか一緒に横になれた

「久しぶりだなぁ・・・こうやって矢口と寝る・・・」
え・・・?
「むっ昔の私ってこうして飯田さんと寝てたんですか?」
なんか恥ずかしいな・・・

「うんん違うよぉ?」
え?なんだそりゃ
よくわかんない人だな・・・飯田さんって

私はなっちって人がどんな人か聞きたかったけど
午後の飯田さんの反応からして言わない方がよさそうだと思いそのまま寝た
53 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/09(火) 16:36
矢口・・・寝ちゃったか・・・

(久しぶりだなぁ・・・こうやって矢口と寝る・・・)
なんであんなこと言っちゃったんだろ・・・
懐かしいから・・・んなわけないのは自分がよくわかってるけどさ
でもなんか認めたくないんだよなぁ・・・










矢口が好きだってこと・・・
54 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/09(火) 16:40
前の矢口は鈍かったからなぁ・・・
それに矢口は・・・

はぁ・・・とため息が出た

昔のこと考えてもしょうがないよね!

よし!
とりあえず寝よう!!

そうして私は明日も大学があることを忘れてそのまま寝ることにした
55 名前:タケ 投稿日:2003/09/09(火) 16:43
少ないけど更新終了です
また『やぐかお』になりそう・・・
一途な飯田さんと鈍い矢口さんってのが
自分の『やぐかお』イメージになってるみたいです(w

56 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/11(木) 10:09
ザッ

風が吹き木の葉を揺らす

湿った地面

その地面を覆い隠すような伸びまくった草

照らされた太陽が眩しい

そして・・・
懐かしい白い建物がそこにあった
「ははっまだあったんだな」
誰もいないのに皮肉を一言言ってそこに近づく

「大体・・・ニヶ月ぶりかな?」
二ヶ月も以外と長いもんやな
けっこう懐かしいって思えるわ
57 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/11(木) 10:15
「えっと・・・中澤さんいてますか?」



受付の人に道を聞いて姐さんを探す

しばらく歩くと姐さんがいた
「姐さん!」
「おう!みっちゃんやないか!久しいなぁ!」
58 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/11(木) 10:23
(カオリ・・・逃げて・・・)

(ちょっとなっち!!なにするつもり?)

(ゴメン・・・矢口は私が・・・)

(矢口ぃ! なっちぃ!)

がばっ
「はぁはぁ・・・夢?」
私はゆっくり起き上がった

最近は見なくなったのに・・・
なんでまたあんな夢を

「いい・・・ださん?」
「あっ起きちゃった?」
「いえ・・・大丈夫ですけど」
そっか・・・昨日は矢口と・・・

矢口・・・ホントに言った通りになったね
なっちのそうなのかな?

「あっそう言えば私達って親友だったんだよ?だからカオリって呼んでよ!
それに敬語もイヤだからね?」

矢口は寝起きの色っぽさを残したままコクンと頷いた
「私・・・トイレ行って・・・くる、ね」
少しぎこちなさそうに矢口は言って部屋を出て行った
59 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/11(木) 10:37
ウチは久しぶりに来てくれたみっちゃんとの会話に花を咲かせていた

「あっ!そう言えばな、みっちゃん実はなぁ・・・」
「あぁ〜っとスンマヘン〜ウチちょっとトイレ行かせてもらいますわ!」
「あっちょっ」
「すぐ戻りますから」

まっいいか矢口のことは後でも・・・
矢口もトイレにいないだろうし・・・










―トイレ内

ジャーッ
手を洗う水が冷たくて気持ちいい

タッタッタッ
手を洗おうとしたとき誰かの走る音が聞こえてきた

足音が止まる
誰か知らない女の人が立っていた

その人は呆然とこっちを見た後
急に顔が真っ青になった

「あっあっあぁ・・・
うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

その人は私を指差して
急に狂ったように叫び出しそこに座り込んでしまった

わけがわからなくなった私は座りこんだその人を呆然と見つめていた
60 名前:タケ 投稿日:2003/09/11(木) 10:39
短いけどここで更新終了です

今回は平家さんを出してみますた
その平家さんの反応は一体?ってとこですが
実際はどうなんでしょう?
61 名前:sai 投稿日:2003/09/13(土) 14:46
不思議な話ですね。タイトルでひかれて読ませて
もらったんですが。中もすごく惹かれます。
続き期待してるんでがんばってください。
62 名前:タケ 投稿日:2003/09/13(土) 16:52
学校が始まって更新が・゚・(ノД`)・゚・

>61 sai 様
どうもです
惹かれますか・・・よかったぁ(w
しかも続きまで期待してもらっちゃって嬉しい限りです!!
頑張ります!!
63 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 16:57
しばらくして裕ちゃんやカオリが走ってきた
裕ちゃんは「しまった」って顔していた
カオリは状況が掴めないのか少し慌てていた

ざわっ
時間に比例するように集まる人も増えていった



なんでだろ・・・
なんか・・・懐かしい?
64 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 17:01
「う・・・わあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
びゅっ

その人は叫びながら入り口の側にあったモップを投げてきた
それは見事に私の頭に向かっていた

反応が一瞬遅れた
65 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 17:09
「!!」





ポタッ ポタポタッ
「あ・・・」
自分の目の前に落ちる赤い液体

それは

「っ!血・・・?」
血だった

「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
集まった人が急に叫び出した

私は近くに落ちてる血がついたモップを見つめた
金具がついているモップだったみたいでちょうどそこに当たったらしい・・・

頭がクラっとした
血が出たから気が動転しているみたいだ

実際今冷静に考えてるようでホントはそんな余裕なんかないんだ
血が出てるのは自分だし
頭からでてるわけだし

それに・・・




「わあああああああああああぁ!!」
びゅん
その人はまたなにかを投げてきたから・・・
66 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 17:14
その人が投げた物・・・
それはバケツだった
しかもそれは鈍い銀色をした金属製

もう、考え事など出来ない





彼女はきっと・・・私を殺す気だ

バケツはやはりというかなんというか私に近づいてきた
避けられるはずもない



一瞬『死』を意識した
67 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 17:18
その一瞬の間

自分が変わるのを感じた
いや・・・『戻る』とでも言うべきなのだろうか?

とにかくそんな気がした










ガアァン
バケツの鈍い音がした
当たったのは私じゃない



避けたんじゃあないよ? フフッ・・・

私が『とばした』んだよ 
クスッ
68 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 17:23
ガアァン

それは・・・
矢口に当たると思ったのに・・・
それは当たらずにこっちに『跳ね返った』
もちろん跳ね返ることなんかありえない

だって矢口にはバケツを跳ね返す余裕なんかなかったんだから

イヤな予感がしたんだ
だから矢口に近づこうとしたんだ

がしっ
「!! 中澤さん・・・」
でも中澤さんに邪魔された
69 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 17:29
ウチの・・・ウチの責任や・・・
やっぱりあのときみっちゃんを引き止めるべきやったんや・・・
みっちゃんにあの『矢口真里』が黄泉がえったことを言わんかったから・・・
こんなことには・・・


でも今の矢口の力・・・まさか・・・まさかっ


そのときカオリがトイレに入ろうとしていた
危険を感じたウチはカオリを止めた

「中澤さん・・・」

カオリ・・・気持ちはわかるで?
でも・・・今行ったら
みっちゃんやのうてカオリ・・・あんたが死ぬ・・・
70 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 17:37
クスッ
そっか・・・ここは・・・

「な〜んかなつかしいとこだなぁ〜あぁ!!そうかそうか思い出したぞぉ!」
私はわざとらしくそう言ってみんなの反応を楽しんだ

まっ今はこいつの処理か・・・
「おいアンタ!死んでもらうよ? フフッ」

久しぶりだから力がみなぎってる・・・
まぁ・・・『今』の私は・・・

「悪魔や・・・アンタは悪魔やぁ!」
「悪魔はテメェらだろ?」

激しい怒りを堪えその女なに手をかざした
「やめてぇっ!!」


!!?
なっ、か・・・カオリ!?
71 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 17:49
なんでカオリがまたこんなところに・・・?

っていうか・・・
「よく私に会おうなんて考えれたね?飯田・・・圭織さん?」
私は皮肉っぽくそう言った

「矢口・・・矢口がなんて言ってもカオリは・・・」
「っせぇ!! まずはカオリ!! お前から・・・」

ズキンッ

急に頭が痛み出した
「ちぃぃっ!こんなときにぃ!! があぁぁっ」

がくっと崩れ落ちる私
そのとき声がした

(ねぇ止めて・・・私はなにをしてるの?)

この声・・・私!?

(だめだ・・・カオリや裕ちゃんを傷つけちゃ・・・)

「な・・・んだとぉ」
このやろう!なんなんだよぉ!!
(私は・・・私だから・・・)
「私・・・だってぇわた・・・しだ・・・」
こいつ・・・なにが言いたい?

(あなたは危険過ぎるよ・・・もういいよ・・・もういいから!)
「っせぇ!!私がどんな思いしてきたと思って・・・」
いいわけないんだ・・・絶対に!!

(じゃあしょうがないね)
「なっ・・・うっ!」

一瞬で目の前が真っ暗になった
72 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 17:54
バタッ

小さな・・・少女のような彼女はそこで倒れた
「やっ矢口ぃ!!」

いつのまにか彼女のなを叫びながら彼女に向かって走っていた
「矢口!矢口!!」
返事がない・・・でも息はしていた

「矢口・・・あっ誰かっ矢口を!!矢口を医務室に・・・」
もうやだよ・・・もう誰も失いたくないんだ!

「誰か!はやくっ!!」
73 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 17:59
「みっちゃん!!」
矢口が倒れた後ウチは急いでみっちゃんに駆け寄った

みっちゃんはへなへなっと座り込んでしまっていた
「大丈夫か?みっちゃん!?」
「・・・姐さん、こっちは大丈夫ですけど・・・一体どういうことですん?」
みっちゃんは震えた声で・・・精一杯の声でそう言った

「誰かっ矢口を!!矢口を医務室に・・・」

そうや・・・みっちゃんと矢口を医務室に連れてかんとな
もっともみっちゃんはケガしてへんけど・・・
74 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/13(土) 18:06
―医務室

みっちゃんは鎮静剤を打ってもらってぐっすり眠ってる
ウチは椅子に座ていた

さっきのことを思い出すたび鳥肌が立っていたことに気付いていた

矢口・・・みっちゃん・・・なんでいきなりあんあことに
もちろん自分のせいだってことはわかってる・・・
でも・・・なんで矢口まで・・・・
「く・・・・っ!」

コンコンッ
「・・・誰やぁ?入ってええよ」

がちゃっ
「中澤さん・・・」
「カオリか」
ウチはカオリの方を向いた
75 名前:タケ 投稿日:2003/09/13(土) 18:19
更新終了です
今回の更新では不快感を感じる単語、言葉等を使っているのでご了承ください

ちなみに・・・
>>70 女なに じゃなくて
     女に  です
失礼しました

次回は再び矢口さんの過去を中心に話を進めてこうと思います
76 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/15(月) 01:28

「中澤さん」
もういいでしょ?

「カオリか・・・なんや?」

もう・・・話ても
「いいですよね?」

きっと中澤さんは意味わかってないだろうな
たとえそれがわかってても・・・
「なんのことかわからんなぁ?」


ほらね? そう言うに決まってる

わかってる・・・
『あの時』のことを今の矢口に話せばきっと矢口は・・・


「でもいつかは言わなきゃいけないんです!!
だから私が」
「・・・わかっとるけどなぁ、でもなぁカオリ自身辛いやろ?」
中澤さんは心配そうにそう言った


でも私が話さないといけないんだ
矢口の為に・・・自分が・・・矢口の親友だった・・・
うんん、親友の自分だからこそ私が言わなくちゃいけないんだ
77 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/15(月) 01:37
・・・カオリの言いたいことはなんとなくわかった

でも今言うべきなんか? 矢口の今の状態もそうやけど・・・
むしろ
「カオリ・・・アンタ自身決心したんか?」

カオリがあかんかったら意味ないんやで?



でもカオリは昔のカオリと同じやった
「矢口を助けたいんです」

クスッ
「ええよ?矢口のとこ行っても」

「ほっホントですか!?ありがとうございます!!」



カオリはあわただしく医務室を出ていった
78 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/15(月) 01:50



ここは・・・どこ・・・?

私は・・・


 目の前は真っ暗

  なにも見えない
 
   なにもわからない
 
    このまま消えてしまいそう

     いっそのことこのまま・・・
 


矢口っ! 矢口っ!!

 やぐち? 私の名前?
 
 だれなんだ? だれの声なの?

こっちだよ!こっちぃ

 なにも見えなかった闇の中を一筋の光が切り裂いた


私はその光りを辿って歩き出した
79 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/15(月) 01:55
矢口は医務室で眠っていた

私は椅子に座って矢口を見ていた

今考えるとなんで矢口はここにいるんだろう?
なんて考えてた


だって矢口は・・・





矢口はホントなら死んでるんだから
80 名前:タケ 投稿日:2003/09/15(月) 01:56
短いけど更新終了です

矢口さんの過去に入る前に終わらせてしまいました(汗
次は書きます(w
81 名前:マコト 投稿日:2003/09/15(月) 13:19
えっ!?矢口さん二重人格?!
なんか、こういうのあんまないんで、
どんどん引き込まれてしまいます(w
でも矢口さん死んでるってのはどういうこと?
次の更新も待ってます!
82 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/16(火) 14:22
私は矢口と過ごした記憶を整理していた



 
 ザワザワザワ

「う〜クラス表が見えない〜!!」

「ねぇねぇ、あなた、名前なんて言うの?」

「え?私?私は『矢口真里』!いつかセクシーな女の子になる予定なのだ!」

「ぷっ」
「あ〜!笑ったなぁ!なんだよぅ〜」

「ふふふっごめんね? えっと・・・『矢口真里』さんだね?」

「おう!そんでいつかはセクシーな・・・」
「あっ私と同じ2組だ!」
「無視かよ!!」
「あぁ、私は『飯田圭織』よろしくね?」
「・・・」

こんな変な会話が出会いだったんだよね
83 名前:タケ 投稿日:2003/09/16(火) 14:24
スミマセン3組でした!
いきなりスマソ・・・(汗
84 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/16(火) 14:28
「あっありがと」

「あっカオリ〜!探したよ?」

「あっごめーん!だってなっち遅いんだもん」
「ひどいべさぁ!ちょっと寝坊しただけだべ!!」

「あの・・・」

「あっごめんなさいねなっち今日寝坊しちゃって・・・」
「だからってひどい!」

「・・・」
85 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/16(火) 14:34
「で?あなたの名前は?」

「へ?私?」

「だべ!ここであったのもなにかの縁だべ?これから仲良くなるべさ!」

「・・・私、矢口真里!よろしく〜!」
「私はカオリ、飯田圭織!よろしくね?」












「じゃあ最後は・・・」
「え?ちょっと!!今の間は・・・」
「私は安倍なつみ!よろしくね?」

こんな感じで友達になったんだよね・・・
86 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/16(火) 14:40
それから1年・・・私達は親友と呼べるくらい仲良くなった・・・

「なっち〜!カオリ〜!一緒に帰ろっ!」
「よしっ帰るべ」
「今日も疲れたね〜」

どんっ

「ぎゃっ」
「うわっ!」


「矢口!大丈夫?」

「う、うん」
でも矢口とぶつかった人は・・・

「ったくエネルギーが溜まったガキはこれだから困る!」
一番嫌いだった先生だった

「・・・ごめんなさい」
「ふんっ!当然だ!」





「矢口ってっ性格のわりにはあんまおこんないんだよね〜」
「性格のわりにってなんだよ!」
「でも矢口が怒ったの見た事ないよ?」


「ははっ・・・ちょっと・・・ね?」

「?」

このときはわからなかったんだよね・・・
矢口のこの言葉の意味を・・・
87 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/16(火) 14:49
それがわかったのは高校1年のときだった

そのとき私達は矢口と出会って3年が過ぎようとしてた

「なっち・・・なんか顔色悪いよ?」
「・・・なんでもないよ」
「なっち・・・カオリの目はごまかせないよ?」

「・・・実は・・・」

「え? いじめ?一体誰に?」
「・・・上級生の・・・人」
「なんで私や矢口に相談しなかったのさ!」
「だって矢口達を巻き込めたくなかったんだもん!」

「でもなっちは大丈夫じゃないだろ?」
「矢口・・・」
「大丈夫じゃないよ」

「だ、大丈夫だよ・・・」
「大丈夫じゃない!私が守ってあげる!」
「カオリも守るよ!」


私達の結束は更に固くなった・・・
でも・・・それが悲劇の序曲だったなんて誰が知ってたのかな?
88 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/16(火) 14:57
これは・・・私の記憶?

どうやら今私はかつての自分の記憶を見てるみたいだ・・・


「なっちぃ!!!」
「やっやぐちぃ!!」

「ちっイヤなヤツがきやがって」

「なっち・・・このケガ・・・」
「大丈夫だよ・・・このくらい」

「・・・っ・・・おい!いいかげんにしろ!!」

「あぁ?お前が矢口真里か?生意気なんだよ!お前もっ!」
3人が私を襲い始めた

ぼかっ どかっ ばきぃ

でも、私はわずか数秒でそいつらを倒した

「もうなっちに手を出すな!!」
そのときだった
私の後ろで倒れてたヤツが起き上がって私に向かっていた

「!!」
「だめぇ!!矢口ぃ〜!!」

なっちは・・・私とそいつの間に走りこんだ




ばきぃっ
89 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/16(火) 15:01
どさっ

それはまるでスローモーションだった
なっちは私の目の前でそいつに殴られた

「あ・・・」





「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!! なっちぃぃぃ!!」

「へっざまぁみろ!さて、次はお前か・・・」


「・・・た」
「あ?」
「・・・れた」
「聞こえね―よ!!」

「私はもう切れた・・・もう許さないよ?」


私はそいつを見ながら・・・





笑っていた
怖いくらいの笑顔で・・・
90 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/16(火) 15:08
「うわぁぁ!逃げろ!」

まったくわからなかった

自分がなにをしたのかも

なにがおきたのかも



ただ取り巻いていたやつら全員は確実に私1人に追い詰められていた


「逃がさない・・・」
前に聞いた鋭く低い自分の声

私の目は・・・まるでナイフで切り裂くような鋭い目だった

「お前らはなっちを傷つけた・・・
責任はとりなよ?」

私はそいつらに向かって手をかざした


カッ


空気が・・・揺れた
「う・・・わぁぁぁぁぁ!!」

その瞬間
そいつらは宙を舞って地面に叩き落された
91 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/16(火) 15:15
そう・・・あのとき私は部活が長引いてあの道に行くのが遅れたんだ

「矢口!なっち!大丈・・・」
一瞬空気が揺れた気がした

なにかが飛んでいた
人? なんで?


目をこすってもう一度見るとそこはもう地獄絵だった

なっちをいじめてたらしい人達は矢口となっちの遥か遠くで倒れていた
なっちは矢口の近くに座りこんでいた
矢口は・・・

矢口は立っていた

そしてこっちを振り向いた・・・これ以上ない笑顔で・・・
92 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/16(火) 15:20


そう・・・矢口は自分の負の感情を『力』に変えることができたんだ


矢口は知っていたんだ・・・そのことに・・・
だから・・・

(ははっ・・・ちょっと・・・ね?)



ポタッ

思い出していたら涙が出てきた
でも私はこれを矢口に言う義務があるんだ

それに・・・




これはあくまでも『序曲』
本当の悲劇はまだ先にあったんだ・・・
93 名前:タケ 投稿日:2003/09/16(火) 15:27
更新終了です
長々と更新しちまった・・・
しかも最初ちょっと前の文と違うし(汗

>81 マコト 様
いつもどうもです
>矢口さん二重人格?!
それはこれからわかるんですが二人で一人ですね(謎

次回では飯田さんの言う『本当の悲劇』の内容が明かされますよ〜多分(w
94 名前:マコト 投稿日:2003/09/16(火) 18:08
『本当の悲劇』・・・うぅ〜ん気になる・・・。
キレた矢口さん怖いけど好きっス!(←重症?)
この先もチェックし続けますんで、頑張ってください!
95 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/18(木) 11:40
―バーサーカー



それから矢口はそう呼ばれるようになった



もっとも
あの事件から矢口は怒ることに我慢できなくなって
いつも怒らない矢口が怒ってあの人達を病院送りにしたわけだから・・・


それから矢口は変わった
すぐ切れるようになって色々問題を起こすようになった
しまいには『力』を出して物に当たるようになっていった


あの人達以外、矢口は誰も傷つけなかった


でも矢口自身の心は傷ついていった

そのうち誰も矢口に近づくことはなかった・・・
私となっちを除いて
96 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/18(木) 11:51
「くそっ私は・・・私は・・・なんで」
矢口はいつもそう言って自分の『力』に嫌悪してた
そして矢口自身も・・・





「ねぇカオリ・・・なっち・・・私・・・もういない方がいいのかもしれない」
ある日矢口が帰り道ポツリと呟いた
その哀愁を秘めた矢口の横顔は夕日に照らされて皮肉にも矢口をいっそう綺麗に見せた

「なっ・・・なに言ってるのさ矢口!!」
私となっちは驚きを隠せなかった

「もういいんだよ・・・私さえいなければ・・・」
「ばかっ!!!」
パーンッ

矢口の頬を叩いたのはなっちだった
私はなにも言えずそこに立っていた

・・・

・・・

・・・

沈黙だけが続いた

その沈黙を破ったのは私だった
「矢口・・・誰がなんて言おうとカオリなっちは矢口の親友だよ?
矢口、私達はずっと親友だよ!」

いつのまにか私は彼女のことを好きになっていた
このとき初めて気がついた

97 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/18(木) 11:55
「そうだよ!!カオリの言う通りだよ!なっちもカオリも・・・
矢口のことが大好きだよ?だから・・・ばかなこと・・・言わないで?」

なっちは涙を流して矢口にそう訴えた

そして矢口も
「うん・・・なっち・・・カオリ・・・ありがと」










「ずっと・・・ずっと友達でいようね?」
その道で私達は一生親友でいようと誓った
98 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/18(木) 12:01
私は一生矢口となっちと親友として生きていけると信じてた
きっとなっちも矢口もそう思ってた





でも・・・善意だったはずのできごとが
『本当の悲劇』を呼び、
あの日誓った約束が一瞬で無になるなんて・・・





あの日の3人は知ることはなかったんだ・・・
99 名前:タケ 投稿日:2003/09/18(木) 12:06
ごめんなさい、ここで更新終了です
>94 マコト 様
『本当の悲劇』・・・書くつもりでしたがごめんなさい

>キレた矢口さん怖いけど好きっス!
ありがとうございます(w 大丈夫だと思いますが?(オイコラ)
失言スマソ・・・

とにかく次こそは『本当の悲劇』までもっていきたいです!
100 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/20(土) 16:10
「え?なっちが変? どういうこと?」
ある日矢口が私に相談して来た
その日はなっちは先に帰ってしまって私も気になっていたけど・・・
それは矢口も同じだったみたい

「ん〜なんて言うかなぁ・・・うん、コソコソしてんだよねなっち・・・」
「コソコソ?」

言われてみれば確かに

最近のなっちは休み時間や昼休みにはいつもいなかった

いつもは私達と話しをするのに・・・



もっとも私達は矢口と付き合ってるってことで
他の人からも敬遠されていたからもともと話す相手がいないんだけど・・・

「まさか・・・またいじめかなぁ・・・?」
「えっ? まさかぁ」
あれからなっちはいじめられることはなかった
でもその1番の理由は・・・

「だってみんな矢口に仕返しされるって思ってるから・・・」
101 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/20(土) 16:15
「そうだね」
矢口は笑っていなかった

私は自分が今言ったことを後悔した
「ごっごめん・・・矢口・・・変な意味じゃあないよ・・・」

「・・・わかってるよ」

このとき・・・矢口はどう思ったんだろうか?



この一言があの悲劇を生んだ最初の伏線だったのかもしれない
少なくとも私は・・・そう思ってる・・・

悔しい・・・あのときなんで私はそう言ってしまったんだろう・・・
102 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/20(土) 16:23
―数日後

「なっち!!」
私はどこかに電話をかけているなっちをみかけた
電話を終えたなっちを後ろから声をかけてみた
「!! どっどうしたのカオリ?そんな慌てて・・・」
なっちは少なからず動揺していた

わかりやすいよね、なっちって・・・
それから私はなっちを問い詰めた

「ねぇ、なっち・・・なに隠してるの?」
「なにも隠してないよ?」
「とぼけないで?なんで隠すの」
「だからっ!!」
「もう嫌?」 

「?」

「もうカオリと・・・矢口と付き合うのは・・・嫌?」
「そんなわけないよ!!」
「じゃあ話してよっ!!」




なっちはしばらく黙り込んでたけど
「じゃあ・・・矢口には言わない?それなら言ってあげるよ」
そう言った
103 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/20(土) 16:28
意味がわからないなんで矢口には言っちゃいけないのさ?
「なに言って・・・」
「矢口に言うのはまだ・・・まだ早いから・・・」

なっちの目は真剣だった
だからその目を信じて私は話しを聞いた





「なっちは矢口を助けたいの矢口がこのまま生活するってのは難と思うし、
それにこの先友達が全然いない人生なんて・・・」
なっち・・・そこまで考えてたんだ・・・
でも・・・
「でも・・・それが最近のなっちの変な行動と何の関係があるの?」
私は知らなかった
なっちは驚くべき計画を考えていたんだ・・・
104 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/20(土) 16:37
「どこかの研究所に「中澤裕子」っていう人がいるらしくて
その人は人間の特別な『力』を研究してるらしいの!
だから矢口の『力』も研究してもらえばその『力』を押さえることが
できるかもしれない・・・」

私は唖然としてなっちを見つめていた
「じゃあさっきの電話は・・・」

「うん、その人に電話をかけてたんだ・・・
でもその人は変人扱いされててある日どこかへ消えたらしくて・・・」


「その人ってホントに矢口を助けてくれるのかな?」
「わからない・・・でも何もしなければ何も変わらないから・・・」

なっち・・・

「そっか・・・それはわかったよ・・・でも」
「でも?」
1つだけわからなかった
「なんで矢口に言わないの?」
それだけがわからなかった
105 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/20(土) 16:41
でもなっちは
「だって・・・結局矢口は多分実験されるわけだから・・・
きっと嫌だと思う」
そうさらりと言ってしまった

なっちがここまで考えてるなんて思ってなかった
私はなっちの言う通りそれを矢口には言わなかった

そして私となっちの「中澤裕子」探しが始まった
106 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/20(土) 16:48
で・・・ここだってわかったのはだいぶ後で
中澤さんと連絡を取ることが出来たのはなんと去年の夏頃だった

今更ながらよくここを探し出せたなぁ

なにはともあれこれで矢口を調べてもらえる
矢口の『力』をどうにかしてもらえる
矢口が普通の女の子に戻れる

そう思ってた





でも




なっちが電話をしてるのを見たことが
悲劇を呼び起こした
107 名前:マコト 投稿日:2003/09/20(土) 16:50
初のリアルタイムですかねぇ?
最後までお付き合いしますんで、頑張ってください!
108 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/20(土) 17:01
ある日・・・
「ねぇ・・・なに隠してんの」

矢口は気付いていた・・・
私達がなにかをしていることを・・・

まぁなっちがなにかしてるのを前々から知ってた矢口だったから・・・

気付いててもおかしくはなかったんだけど
私はなっちに了解をとって矢口に全てを話した


「・・・なに・・・・それ?」
「調べてもらえばきっと『力』を押さえることが出きると思うから・・・
そうすれば・・・」
「矢口は嫌だぞ!・・・そんな・・・私は・・・」
「でもこのままじゃあ変わらない・・・矢口・・・
矢口が変わらなきゃずっとその『力』に悩まされるんだよ?いいの?」

「・・・」


「これは矢口の為なの!だからお願い!」
「うん・・・わかったよ・・・」
「ありがと矢口」

これで矢口は開放されると思った
自分の『力』から・・・





中澤さんと会う日を来週の日曜日に決めた




けど・・・
その前日・・・
全ての悲劇を伏線を繋げた『あいつ』が

『本当の悲劇』を起こした『あいつ』が





矢口の前に現れた
109 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/20(土) 17:10
私は自分の記憶を見ている

自分はある『力』を持っていた

自分の負の力を『力』にする力を・・・
でもなっちって人とカオリがその『力』をなんとかしようとしてたのがわかった
そして自分の記憶は今・・・

裕ちゃんと会う日の前日・・・土曜日に移り変わっていた










「明日か・・・なんか不安だな・・・
でもまっなんとかなるよな・・・うん」
そのとき後ろから誰かが近づいて来た

「矢口・・・真里さんですよね?」
「へ?」

「・・・男?」
その人は背が高く、髪はショートでボーイッシュな顔つきをしていた
でもその人は・・・

「いいえ、あなたと同じ性ですよ」

女の人だった・・・
110 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/20(土) 17:19
「そっそうですか・・・あの・・・なんで私の名前を?」
私もそれが気になっていたなんで私の名前を知ってるんだこの人?
どうやら昔の私の知り合いでもなさそうだし・・・

「知ってるに決まってるじゃないですか『実験材料』・・・さん?」
「なっ!?」
なんなんだこいつは・・・
それに『実験材料』って・・・

「なにそれ?あなた頭おかしいんじゃないんですか?」
「おかしいのはあなたの方でしょ?」
「なんだとっ!!」
「おっと!落ち着いてくださいよ〜『力』出しちゃうでしょ?」

え?

「なっ・・・」

「単刀直入に言いますよ?
矢口さん・・・あなた騙されてるんですよ」

私はハッとした
この声は・・・あのときの・・・

「うそだ・・・」
「うそじゃあありませんよ」
「だって2人共矢口の為って・・・」
「それがうそなんですよ」

「うそだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

私の声は空にむなしく響いた
111 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/20(土) 17:25
ボコッ

その瞬間私がいた近くの道路がへこんだ
「これも『力』・・・なのか?」
「みたいですねぇ〜」
「てめっ・・・っ」
「あっとっとごめんなさいね?
私は別に怒らせに来たわけじゃないし
泣かしに来たわけでもないんですから」
「・・・」
「私は・・・その『力』を見に来ただけですから」
彼女は薄気味悪い笑顔を浮かばせて私に背を向けて
そのままどこかへ走り去ってしまった

「なっち・・・カオリ・・・嘘じゃ・・・ないよね?」
この瞬間・・・私は嫌な予感がした
予感と言うより・・・記憶がそう言ってるのかもしれない
112 名前:タケ 投稿日:2003/09/20(土) 17:28
更新終了です
やっぱりと言うかなんと言うか中途半端です(反省)
かぎかっこばっかで読みにくいかも・・・
誰の喋りなのかもわかりにくいし・・・
むずかしいです(泣

次は『本当の悲劇』が起きたその日曜日を書くつもりです
113 名前:マコト 投稿日:2003/09/20(土) 23:16
更新お疲れ様でした!
今回出てきた人って市井さんですか?
それに読みにくくないですよ!
『本当の悲劇』楽しみにしてます!
114 名前:きゃる 投稿日:2003/09/21(日) 01:58
>作者さん
ずっとROMってました。なちかおやぐ最高です!!
>マコトさん
ネタバレや更新途中のレスは他の読者さんの迷惑になる行為なので
注意してくださいね
115 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 16:15
私達は人気のない広場に集まることにしていた
途中でなっちとあってこれからどうなるか色々話していた

「きっと矢口は『力』から開放される・・・きっと」
「うん、カオリもそう思うよ・・・」

その時がきたら私は・・・





でも数分後、その願いが その先の期待が これまでの私達の友情が
その全てが無になることになるなんて・・・

悲劇が起きた
116 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 16:19
広場についた

時間は一時間も早い
でも私の心は昨日の変なヤツの言葉でいっぱいで・・・
時間前までに心を整理しておこうと早く来た

「おはようございます」
でも

「!!アンタは・・・」
そいつは

「アンタじゃありませんよ私は?」
私の目の前に

「私の名前は吉澤ひとみっていうんですよ?」
現れた
117 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 16:27
「で・・・昨日のことはどういうこと?」
私はすぐさまその答えを聞いた

「あぁ、あれ?そのまんまの意味ですよ・・・
あなたは騙されてるんだ・・・飯田って人と安倍って人に・・・」

なにを言ってるんだこいつは・・・そんな・・・

「てめぇ・・・これ以上へんなこと言ったら・・・」





「なんであの2人があなたに早くこのことを言わなかったかわかります?」
「!?」
吉澤ってヤツは話しを続けた
「あなたを強制的に研究所に行かせる為ですよ・・・」
「なっ?」
「だって!前々から言ってたら断られるかもしれないじゃないですかぁ」
「それならそれで2人はきっと説得してくれ・・・」

あれ?
自分の言ってる事と現実は確かに矛盾していた
118 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 16:33
「ねっ?変でしょ?」
「変じゃ・・・ないっ!!」

でも私の顔は確かに動揺していた
そんな私の顔を楽しんで見るかのように
吉澤は笑顔で再び話し始めた

「だから一週間前に話しをしたんですよ
あなたに考える時間を与えない為に・・・ね?」

・・・
まさか・・・そんな・・・

「でも・・・なんでアンタそんなに詳しいのさ・・・」
!! 確かに・・・一週間前に話しを聞かされたことや研究所のことや

それに・・・


私の『力』のことも・・・

でもそいつはあっさりと理由を述べた
「それは私が中澤さんの助手だからですよ」
119 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 16:40
「えっ!?」
助手? でも吉澤は見かけなかったぞ?
「だから知ってるんですあなたのことやあなたのエセ友達2人も」
「!! てめっエセって言うなぁ!!」

ひゅんっ
ズバッ

「ぐっ!?」
その瞬間地面に転がっていた小石が宙を飛んで吉澤の頬をかすめた
どさっ
そして吉澤はその場に倒れた

「次は・・・こんなんじゃすまないよ?」
「・・・」

吉澤は黙って私を見つめていた
そして・・・
「そうだ・・・
なんで2人があなたを研究所に行かせようとしたか知ってます?」

それは悪魔の囁きだった
120 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 16:46
「なっそんなの・・・私の『力』を調べて・・・」
「違いますよ?」
「?!」

違う?なにがだよ!

「なにが違うんだ!」
「違いますよ・・・本当の理由は・・・」










「あなたという存在から開放されたかったからですよ」

「」

私は声を失った
そしてその瞬間・・・体中が気持ち悪い感触で一杯になった

もうなにも考えられなくなった

「うそ・・・だ・・・」
やっと出た私の声はかすれていて出すのがやっとだった
「本当ですあの2人はあなたから逃げる為に
中澤さんに助けを求めたんですよ」


「うそだ・・・うそだ・・・う・・・っ
うそだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
121 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 16:53
「!?今の声・・・矢口っ!?」
「そんなぁ〜まだ時間早いっしょ?」

でもその声は矢口の声だった

「急ごう!なっち!!」
「えっちょっと・・・」
私はなっちの手を引っ張りながらその広場まで走って行った


入り口が見えた
「矢口っ!!」
私は矢口を呼んだ
広場の真ん中に金髪の小さい女の子がいた・・・矢口だ





でも・・・
もう矢口ではなかった


それに気付かず私となっちは矢口に向かって走り出した


「矢口ぃ!!」





「来るな裏切り者・・・」



全ての時間が一瞬完全に止まった気がした
122 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 17:02
なにも考えることができなかった

矢口が今なにを言ったのかも・・・

その言葉の意味も・・・

友情と言う言葉の意味も・・・

「こいつのおかげで君達の企みがわかったよ・・・」
その言葉にハッとした
よく見ると矢口の近くに誰か倒れてた

「誰?・・・その人・・・」
「さぁね?でもこいつが教えてくれたんだ君達が裏切り者だってね?」
「え?・・・なんでそうなるのさっ!?」
「君達は私といたくなかったから研究所に行かせようとしたんだろ?
だから一週間前にそのことを言って私に考えさせるひまを・・・」
「なにそれ?わけわかないよ!?」

なっちがそう言ったそのとき・・・
「吉澤ぁ!!」

後ろから声がした

「あ・・・」
それは中澤さんだった
123 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 17:08
「いてて・・・」
その言葉に反応するかのように倒れてた人が起き上がった

「あの・・・中澤さんあの人は・・・?」
「あいつは・・・吉澤ひとみ・・・
ウチの研究所のメンバーやったヤツや」
「メンバー『だった』?」
「ああそうや・・・あいつは今は精神病院で・・・」
「え?精神病院!?」

そう彼女は・・・
「吉澤は・・・研究のし過ぎでノイローゼ気味になったんや・・・」
「!?じゃあなんでここに・・・?」
「わからん・・・ !?
もしかしたらみっちゃんと電話しとるのが・・・?」

「え?」
「実は・・・」
124 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 17:12
「悪いですけど全部聞いちゃいましたよ?病院のベットで・・・」
吉澤って人はゆっくり置き上がりながら話し始めた
「!?」

「そして昨日からちょっと抜け出したんですよ」
「なっ・・・なんでみっちゃん連絡せーへんのや?」
「あぁあの人なら今どっか出てますよ?
それにあの病院ないの電話線全部切ったし番号書いてあった紙も
破いて捨てたし・・・」

彼女はノイローゼ気味のはずなのに
全てが計算高くしかも正確だった
125 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 17:25
「さて、これからどうしますかねぇ?」
そう言って吉澤って人はポケットから・・・

「じゃーん!これなーんだ?」

拳銃を取り出した

「なっ!?」
「実は研究中にあまった機材から作ってたんですよ〜」
だからって拳銃なんて作れるのかと思ってたら

「さすがやな・・・その技術・・・あんたの十八番やったな」
どうやら作れたらしく
とにかく状況は最悪だった

「さて、どないするんや? 吉澤ぁ!!」
中澤さんはすごい剣幕で吉澤って人を威嚇した
でも彼女は銃を持っているからなのか落ちつきながら
「彼女を・・・矢口真里をもらうだけですよ・・・」

「なっ・・・」
これが吉澤ひとみの最大の目的だった
だがこれには大きな誤算があった
126 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/21(日) 17:31
そう、矢口に吹き込んだことは芝居だと矢口は気付いてるはず・・・
だから彼女の計画は失敗に終わる・・・
ハズだった・・・




「だぁれか忘れてませんか?」
「え?」

空気が揺れた

その瞬間
どさっ

なにかが落ちるような音がした
それは1回見たことがあった光景だった

「あ・・・あのときの・・・」
今でずっと黙ってたなっちがやっと口を開いた
そしてその言葉は私が思った事と同じだった

「くくくっ一丁あーがりぃ♪」

そう・・・彼女の計画は失敗に終わった
しかしそれは彼女の計画を上回る悲劇の幕開けに過ぎなかった・・・
127 名前:タケ 投稿日:2003/09/21(日) 17:42
ここらで更新終了とします
>107、113 マコト 様
気付かなくて(107の方)ごめんなさい
改めて・・・リアルタイムで見ていただいてありがとうございます
>今回出てきた人って市井さんですか?
今回の更新でも正体(?)を明かしましたが吉澤さんです
黒吉でスマソ・・・

>114 きゃる 様
>ずっとROMってました
ありがとうございます!とてもうれしいですよ。はい(w
なちかおやぐ・・・今回と次回でついにそれも・・・?
個人的に好きですが(w

ネタバレ!?
自分の中ではそのキャラは最初から吉澤さんと決めてたので
バレたと言うかなんと言うか・・・
とりあえず自分的にはネタバレされたと思ってないと言うことで・・・
いいのかな?(ダメだったらごめんなさい)
128 名前:タケ 投稿日:2003/09/21(日) 17:43
次回の更新ではついに『本当の悲劇』も終盤に・・・なるはずです!(w
(話しが膨らみすぎてる気もするけど・・・)
129 名前:マコト 投稿日:2003/09/23(火) 08:27
更新お疲れ様でした!
よっすぃ〜の登場にはびっくりしました。
あんま予想してなかったもんで・・・。
あと、途中でレス入れてしまってすいませんでしたm(_ _)m
次回からはやらないようにしますんで、更新してやって下さい!

>きゃるさん
ご忠告ありがとうございましたm(_ _)m
やっぱり、良くないですよね。これからは気をつけます。
130 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/23(火) 14:25
「さて・・・あと2人だよね?あれ3人かな?まぁどっちでもいいや♪」
楽しそうな矢口の声・・・
だけどやってることはまったく笑えないよ

吉澤って人は矢口から数十メートル離れたところまで飛ばされて気絶している

ザッ
急になっちが矢口に近づいていった
「次はなっちか・・・」
そう言って矢口が手をなっちに向けようとしたとき
「なんであんなヤツのこと信じて私達のこと信じてくれないの?」

「え?」

「ねぇ矢口・・・なんで信じてくれないの?」

なっち・・・

「そうだよ!!私達親友でしょ?」
私もなっちに続いた

だけど・・・矢口は・・・
131 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/23(火) 14:35
「違うよ・・・そんなの違う・・・矢口にはいないよ
矢口に親友なんていないよ・・・友達も・・・誰も・・・何も・・・」










全てが無になってしまった

あのとき誓った友情はなんだったんだろう

ねぇ矢口・・・私達は矢口の・・・なんだったの・・・?

「さぁて、もういいかな?」
再び矢口は手をなっちに向けた

「ダメっ!!」
自然に体が動いた
私はなっちの前に・・・

矢口は驚いた顔をしている

よかった・・・
無表情のままだったらカオリは悲しいよ?
だって本当に親友だって思ってないってことじゃない?
だから矢口はきっとまだ私達を親友だって思ってる

きっと・・・

うんん、絶対にそうだよ


だから私は嬉しいんだよ・・・矢口

私は目を閉じた
132 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/23(火) 14:47
バンッ

ものすごい音がした
痛みは感じない
もう死んじゃったのかと思った

でも・・・目を開けるとさっきと同じ風景が目の前に写ったんだ

矢口はまだ驚いた顔をしていた

その目線はカオリ・・・の後ろにいたなっちを見ていた

なっちは・・・?
そう思って後ろを振り返った

「・・・なっち?」
なっちの雰囲気が違ったこと以上に驚いたのは
なっちが・・・矢口と同じように手を向けていたこと

それを矢口に向けて





「矢口・・・最後に聞くよ?私達は親友?」
最後・・・? なにそれなっち・・・変だよ?
なんで最後なんて言うの?



「違うね・・・矢口にはいないよ・・・そんなもの」
それを聞くたび心になにかが刺さる

「そう・・・」
なっちは平然とそれを受けとめた
いや・・・違うかな・・・
感情を押し殺してるだけだ・・・今のなっちは





でもなっちは信じられないことを矢口に言った
133 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/23(火) 15:00
「矢口・・・やっぱり信じてくれないんだ」
「しつこいよ・・・矢口はもう誰も・・・なにも信じない」

「そっか・・・そうなんだ・・・わかったよ」
淡々と話す2人の間に自分がいたことを忘れていた

なんでだろう矢口となっちの間にカオリじゃなくて・・・
大きく厚い壁が立ってるようにみえた

「それでも矢口が信じてくれないんだったら私は矢口を・・・」

なっ・・・ち?

「私が矢口を止める・・・命に代えても矢口を・・・」
「なっち!?なに言って・・・」
私は今の言葉をまったく理解できなかった

「へぇ〜どうやって止めるのかな?」
挑戦的に矢口がそう言った瞬間

空気が・・・揺れた・・・

「!?」
矢口はカオリの目の前で吹き飛んだ


さっきと同じようになっちは手を矢口に向けていた
じゃあ今のは・・・

「くっそ・・・」
矢口は土を払いながら立ちあがる
「次会ったら・・・もう矢口は敵だからね?」
なっちはくるっと背を向けて歩き出した

「・・・」
矢口も背を向けた





この瞬間が本当にあの日の誓いが無になったときだった
134 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/23(火) 15:10
吉澤さんは中澤さんが連絡した平家さんによって病院に引き戻された
そして中澤さんはできるだけ私の力になると言って帰っていった
きっとそれはなっちのことを言いたかったんだろうな





それから数日後・・・矢口は学校を襲った
奇跡的にもケガ人はでなかったものの学校は半壊した

これを境に矢口はいろんなところで『力』を使って暴れまわった
そのたびになっちが矢口を止めようと追いかけた
徐々に被害が多くなって
新聞沙汰になり警察まで動き出すのはそれから一ヶ月もしなかった





そして・・・運命の日
それは皮肉にも矢口の誕生日一月二十日のことだった
135 名前:タケ 投稿日:2003/09/23(火) 15:17
更新終了です
話がおかしくなってる気がしてならないんですけど(汗
134なんか中身省いてるし(汗汗
精進します・゚・(ノД`)・゚・

>129 マコト 様
吉澤さんの描写が下手だったようでスマソ
実際書いてるとき市井さんとかぶるかなって思ったんですけど(w
これからもお付き会いしてもらえればうれしいです

えっと、次回は『本当の悲劇』の最後です(きっと)
136 名前:つみ 投稿日:2003/09/23(火) 15:29
なっちにもまさか力が・・・
次回の本当の悲劇をハンカチを用意しつつ待ってます
137 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/24(水) 18:59
一月二十日
矢口と出会ってから欠かさず矢口の誕生を祝った日

だけどこの年は違った

私達、なにが間違ってたんだろうね・・・矢口・・・なっち・・・?





私達は中澤さんの研究所に来ていた
その近辺に矢口が逃げ込んだと噂されていたから

そして・・・
「やっ矢口!!」
私となっちが着いた頃、矢口はすでに研究所の中にいた
その研究所は外側はすでにボロボロだった
中澤さんや研究員は壁に集まってびくびくしていた


一瞬の沈黙の後
「矢口・・・もうやめなよ」
「くらいなっ!」
なっちがそう言うのも聞かず矢口は手をなっちに向けた

「・・・っ!!」

空気が揺れる感じがした

バチィッバチッ
矢口となっちの『力』がともにぶつかりあった

それが2人の最後の闘いの始まりの合図だった
138 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/24(水) 19:06
2人は狭い入り口の中で近距離で闘っていた

私や中澤さん達はその闘いを必死で見守った

「なっちさんよっ!いいかげん諦めたらっ!?
だんだん当たんなくなってるよ?」
「・・・っ!」
矢口の言う通りなっちの『力』は矢口に当たらなくなっていた

「じゃあこうするまでだよ」
「えっ?」
なっちは手を床に向けて『力』を撃った

バコッ
「!!?」
その瞬間崩れた床のコンクリートが矢口に襲いかかった

ドスッ
「!!がっ・・・」
矢口はいくつか避けたもののついにその一個がお腹に当たった
なっちの攻撃はそれだけじゃ終わらなかった
139 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/24(水) 19:15
「まだだよ!!」
なっちはいつのまにか矢口の目の前に近づいていた
そう、さっきの床に当てた攻撃は矢口の気を逸らす為でもあったんだ

バキッ
そのままなっちは矢口を殴った

「くっ・・・なめんなよぉ!!」
ドンッ
「あっ・・・う・・・」
矢口は倒れながら『力』をなっちに向けて撃っていた

なっちの口からは血が流れていた
それを拭きながらなっちは再び矢口に近づいた

「今度はどうすんのかなっ!!」
そう矢口が言った瞬間、なっちは手をなっちの後ろ側の床に・・・
つまり矢口と反対の方向の床に手を向けた

ドンッ

なっちの動きが速くなってそのまま矢口に体当たりをした

ドォォォン
「ってぇ・・・」
矢口は勢いよく壁にぶつかった
矢口の頭から少し血が流れてることに気が付いた
140 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/24(水) 19:20
「上手いじゃん!後ろに撃って勢いをつけるなんてさっ
でもアンタ自信もダメージは大きいんじゃないの?」
「・・・」

実際なっちは苦しそうに立っていた

(このままじゃ2人とも死んじゃう)
そう思った瞬間
「もうやめてよっ!!」
私はそう叫んでいた
「やめてよ・・・私達親友でしょ?・・・なんでこんなことするの?
ねぇなっち・・・ねぇ・・・矢口ぃ・・・」

「っせぇ!!なっちの前にお前からやってやるよ!!」
そう言って矢口が私に近づいた
「あ・・・」
「カオリっ!!危ないっ!!!」
な・・・なっち?





ドンッ
141 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/24(水) 19:29
目を開けると煙が上がっていた
矢口は・・・? なっちは・・・?

煙が晴れた
「あ・・・なっ・・・なっちぃぃ・・・」
なっちは私の目の前で倒れていた

体は傷だらけで左腕は折れているのか変な方向に曲がっていた
頭や足からは血が流れていた


もう・・・もう何が何だかわからないよ・・・


ハッ 矢口は・・・?
ちょうど煙が上がって矢口の姿が見えた
矢口の姿はなっちとほとんど変わらないほど酷い状態だった

「矢口っ矢口ぃ!」


「まだだっぞ・・・がはっ!」
矢口は起き上がったと同時に口から血を吐いた

気が狂いそうになった 
142 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/24(水) 19:32
「なっち・・・もだべ・・・」
なっちも同時に起き上がった

なんで・・・なんで起きあがるの?
なんで?










次の瞬間、
目の前で2人の親友の最後のぶつかりあいを見た

「いっいやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
2人は私の目の前で崩れ落ちた
143 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/24(水) 19:37
2人はもう虫の息だった
「なっち!? 矢口っ!?」
呼びかけても2人とも答えない
このままじゃあ・・・2人とも・・・

「せぇ・・・よ・・・」
「やぐっ・・・っ」
涙が溢れた
「なに・・・泣いてん・・・だ・・・よぉ!」
「だめ・・・喋っちゃダメ!!」
「へっ・・・どっちにしたって・・・私は・・・も・・・う・・・」
「矢口ぃ!!」

「カオ・・・リ・・・逃げて・・・早・・・く・・・」
「なっち!?なっちぃぃぃ!!」
「もう・・・なっち・・・だめ・・・みたい」
「やだよ・・・2人とも何言ってるのさ!!やめてよぉ!!」

流れる涙は止まらずに流れ続けていた
144 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/09/24(水) 19:51
「・・・最期に・・・一個だ・・・け言うこと・・がっ・・ある」
「やだよ最期なんて・・・矢口!!」
「私は・・・黄泉がえる・・・から・・・なっもう・・・1度
そんとき・・・はっ」










そう言って矢口は目を閉じ何も言わなくなった

「う・・・そ・・・でしょ?」

「カオリ・・・」
「ねぇなっち・・・?嘘だよねぇ?」
「・・・なっちも・・・黄泉がえ・・・るよ・・・また・・・
矢口を・・・止める・・・か・・・」

なっちも動かなくなった

私はただ声にならない悲鳴を上げるだけだった
全てが終わった
145 名前:タケ 投稿日:2003/09/24(水) 19:52
更新終了です
スミマセンこれから用事があるんでレス返しはまた後日
あと1週間くらい放置しますスマソ・・・
146 名前:つみ 投稿日:2003/09/24(水) 21:17
2人ともそんな言葉を残して・・・
ということは、そろそろなっちも・・?
147 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/01(水) 16:58
「あっ!!」

気がつくと・・・そこは矢口が寝ている医務室で



窓の外はもう赤く照らされて



一日が終わろうとしていた



「そっか・・・」
夢・・・見てたんだ・・・
と言うよりやっぱり「記憶」を見てただけで・・・

矢口の方を見た
矢口はまだスヤスヤと眠っている

その瞬間

ぽたっ



視界がぼやけてきた
涙が出ていた

この涙は嬉し涙なのかな?それとも・・・
148 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/01(水) 17:07
そっか・・・そんなことがあったんだ・・・
私はさっきまで昔の自分の記憶を辿っていた

その全てを見終わった瞬間
辺りがまた真っ暗になった



「一体・・・ここはどこなんだよ・・・」
(ここは私達の『心の中』だよ)

え?

「だっ誰?」
(誰って・・・はぁ・・・言わなくてもわかるだろ?)

今の声・・・なんで・・・

「なんで・・・私の声が?」
(鈍いね・・・私も矢口、アンタも矢口・・・
私が何言いたいかわかるかい?)

「そっそんなの知らないよ・・・」
(あっそ、じゃあ簡単に説明してあげるよ)

説明・・・?なんの?

(私はアンタから『主導権』を握りたいのさ)
「しゅっ『主導権』!?」

なんの主導権だよ・・・

(もちろんこの体さっ!!)
149 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/01(水) 17:15
「なっ・・・」
(だって今この体・・・アンタの意思で動かしてるだろ?)

「・・・」
(まぁいいや、とにかくさっ、アンタが今『主導権』握ってるから
私がこの体使うことできないんだよねぇ〜)

・・・まさか・・・そんなことってあるの?
とにかく色々聞いてみた

「で?『主導権』ってのを握ってどうするの?」
(もちろん復讐すんのさ・・・中澤ってヤツも・・・
吉澤ってヤツも・・・まぁあいつは復讐の標的じゃないけどなっ
そんでもって最後は・・・飯田圭織、だ!)

なっ・・・
「!!」
(驚いた?っていうか当たり前なんだけどな〜)
もう一人の私の声はクスッと笑いながらそう言った
150 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/01(水) 17:21
でも私は笑えないよ? 逆にぶっ飛ばしたくなった・・・
「・・・どうやって『主導権』を握るのさ?」
(だからさ〜・・・まぁいいか、今から出るよ)
「え・・・?」

もう一人の私がそう言った途端、突然私の体から何かが飛び出した

たんっ



それは・・・



(こうすんだよ・・・)



間違いなくもう一人の私だった
151 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/01(水) 17:29
ドンッ


その音を聞いた瞬間、
もう私は地面に崩れ落ちていた
「いっ・・・たぁ・・・」
これって・・・

(そう・・・『力』だよ・・・)
「くそっ!!」
私は起きあがると同時にもう一人の私に近づいた

でも

(無理だって♪)

どんっ

それは私のお腹に当たった
「あっ・・・うぅ・・・」
ばたっ
そのままさっきと同じように倒れこんでしまった

「く・・・私だって・・・」
私は手をもう一人の矢口に向けた










「え?」
(ばーか!!お前じゃあ出ね―よぉ!!)

ぼすっ
わき腹に衝撃が加わる
「・・・っ」
一瞬息ができなくなった

でもなんで・・・
「なんで私じゃ『力』を使えないの!?」
152 名前:タケ 投稿日:2003/10/01(水) 17:36
更新終了です
1週間も空けた上にこの更新の少なさ・・・
ごめんなさい

>136、147 つみ 様
遅れてすみませんでした 
ハンカチは意味がなかったかもしれませんね、出来が悪いから(w

>>そろそろなっちも・・?
現在この話は2月の始めなんですけど
きっと出て来ると思っててください(オイ)

次回は中途半端な所の(?)続きからです
153 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/02(木) 05:30
(そりゃぁアンタが『力』使えたらだめでしょ?)
「・・・?どっ・・・どういうこと?」

なんで私が使えたらだめなんだ?

「くっ」
とにかく私はなんとか立ち上がった
でも足はもうガクガクしていて今にも倒れそうだった

(何にも知らないみたいだね?じゃあ教えてあげるよ!
私達が存在する理由をなっ!)
「へっ?一体どういう・・・」

(私達にはある役割があるんだよ)





この後
私は全てを知ることになった
154 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/02(木) 05:46
「役・・・わり?」
(そう、そしてアンタは私を止めるためにいるんだ)

止めるため?なにそれ?意味がわかんない

「なにを止めようってんだよ!」
(くくくっまだわかんないのかよ! じゃあ言ってやるよ!
簡単に言えばアンタは「理性」
私と私の『力』を止める役割があんだよ!)


「・・・」
その事実に私のなかの時間がが止まった


(でもさ、「理性」はやっぱり切れちゃう訳でさ?
そしたら私の出番ってわけ『力』を出して暴れるんだ
でも不公平だよな〜『主導権』ないとずっと『心の中』だし
しかもアンタがいないと私出てこれないわけだし)





私は・・・「理性」?





(つまりさぁアンタが『主導権』握ってたんだよ
最初から・・・今までなっ!)

ドンッ
「!! がはぁっ」
再びお腹に鋭い痛みを感じた



(でもさぁ、アンタなかなか切れてくれないから困ったよ
小学生の頃は1回すごい事しちゃったけどあれっきりだしな〜)

すごい事? まだなにかあったの? 昔の私は・・・

(まぁ、カオリやなっちがいてくれたおかげでめでたくアンタは
プッツンしてくれたんだけどね?)

今の一言で怒りが頂点に達した
155 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/02(木) 05:50
私はもう一人の矢口に飛びかかった
「いい加減にしろぉぉぉ!!」
(ちっ)

ドンッ
『力』は私のわき腹をかすめた
「いっ!・・・くっそぉ!」

私はそれもかまわずもう一人の矢口に迫った
(くっそぉ!)

もう一人の矢口が手を向けた瞬間
ぎゅっ
(なっ!?)
私はその手を掴んだ
156 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/02(木) 05:53
「さっき言ったよね・・・私がいないと出てこないって
ってことは私を殺すことは出来ないよね?」
(!!?)

ビンゴ!!
明らかに動揺した顔をしているもう一人の矢口

そのまま私は殴ろうとした















((寂しかったんだ))
え?
157 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/02(木) 06:00
今の声は・・・
(隙あり!!)

ドスッ
「ぐっ」
私は逆にお腹を殴られた


(良くわかったね!そうさ!私達は2人で1人の感情を保ってるんだ
だから傷つけることまでしかできないんだよ
まっそれはそれで理不尽だけど・・・)



もう1人の矢口の声は半分聞こえてなかった
私はさっきの声のことを考えていたからだ
あの声はもしかしたら・・・いや、きっとそうだ!!


私は再びもう1人の矢口に向かって駆けた
(またかよ!)





































「寂しかったんだよね」
(・・・!?)
158 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/02(木) 06:04
そのまま私はもう1人の矢口に近寄って抱きしめた
(!!?)
「ずっと一人ぼっちだったんだよね・・・
私・・・知らなかったよ・・・」
(なっなに言ってんだ!お前はぁ!)




















さっきの声は・・・
もう1人の矢口の声だったんだ
なんとなくわかった
だって・・・同じ心だもんね

そう思えたらなぜか彼女が初めて可哀相に思えた
159 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/02(木) 06:14
「私はなにも『力』を持ってないから・・・ずっと表にいたから・・・
親友がいたから・・・
だけどあなたは違った・・・ずっと1人でいた・・・
でももう1人である私はそれを知らなくって・・・
それをあなたをそれを溜め込んでて・・・」

(違う・・・違うっ!違うぅぅ!!)

「それに私がその『主導権』ってのを持ってたから
ずっと『心の中』に一人ぼっちで・・・
ごめんね・・・私・・・やっとわかったよ」

(うるさい!そんなこと思ってない!!)

「じゃあ撃ってよ・・・私をさ」
(なにぃ!?)
「私を撃ってさっさと『主導権』ってのを握ったら?」
(・・・)

あなたの気持ちはわかったよ
私はもういつ撃たれてもいいよ

「でも『主導権』が入れ替わっても・・・
もしもあなたが誰かを傷つけるならそれは止めるよ?
っていうさ・・・かもうそういうのはやめようよ」
(う・・・っく・・・うわああああああああああああああああ!!!)

もう1人の矢口は私の胸に顔を埋めて泣き崩れた
160 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/02(木) 06:22
(寂しかったぁ!!アンタには友達が・・っいた・・・
でも・・・私は・・・ずっと・・・っ・・・ずっとぉ・・・
だからぁ・・・ずっとアンタが憎かったっ・・・ぅぐっ)

私は泣き叫ぶもう1人の矢口の頭をそっと撫でた


「結局さ・・・私達って2人で1人なんでしょ?
だったらさ、『主導権』なんてなくして一緒に生きようよ」
(ぐっ・・ぅく・・・どう・・・やって・・・っ!)
「それはこれから考えるよ」
(でも・・・っ やくわ・・・りは・・・どうすん・・・ぐすっ)

「関係ないよ・・・一緒に生きるんだからさ」
(うん・・・)

「ありがとね・・・あと・・・ごめんね?今まで気付かなくて」
(こっちこそ・・・ごめん・・・っ、今まで」





この瞬間
二つに分かれていた2人の『矢口』が一つになった
161 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/02(木) 06:31


ん・・・


ここ・・・は・・・?

目を開けると・・・真っ白な天井が見えた
ゆっくりと記憶を辿ってみた

朝トイレに行ったらあの平家って人が・・・
それから・・・もう1人の矢口が・・・出てきて・・・

ハッ
もう1人の矢口は!?

私はガバッと起きあがった
もっともベットの上だったので上半身だけだけど・・・

「もう1人の・・・『私』は?」
(ここだよ」
「え?」

頭の中から声がした

(まぁ・・・もうじきおさらば・・・だけどな・・・」
「!? それどういうこと?」
(私達は・・・一緒の心になるんだ・・・だか・・・ら
お別れ・・・だ」

意味がわかんないよ・・・なにそれ?
「やだよぉ!せっかく分かり合えたのに・・・」
(大丈夫・・・だよ・・・もう寂しくない・・・
アンタがいるから・・・な・・・」





そう言って頭の中から声はしなくなった
「やぁぐちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
162 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/02(木) 06:35
矢口の声!?

そう思って私は医務室へ走った
「矢口!!」

矢口は窓を見ていた
もう夕暮れどきだった
あの日のように矢口は特別綺麗に見えた

「カオリ・・・おはよ・・・全部見てきたよ・・・
今まで何が会ったかを・・・」

その言葉はまったく意味がわかんなかったけど
矢口が目を覚ましてくれたことが嬉しかった

「矢口・・・よかった」
「え・・・」
そしてそのまま私は矢口をぎゅっと抱きしめた
163 名前:タケ 投稿日:2003/10/02(木) 06:39
更新終了です
書いてるこっちが意味わかんなくなりました・゚・(ノД`)・゚・
話がぐちゃぐちゃに・・・鬱です
滅茶苦茶なストーリーになってしまってごめんなさいm(_ _)m


次回はその後の話を書こうかと・・・
(こんな話誰が付き合ってくれんだろうか?)
164 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/05(日) 09:46
―矢口と別の医務室

「う・・・ん・・・?」

「みっちゃん!?」

「あ・・・ねぇ、さん・・・?」
みっちゃんは寝ぼけてるのかまだちゃんと喋れてない
まっとりあえず一安心やな
「大丈夫か?かなり寝っとったけど」
「ホンマですか?・・・はっ!!」

みっちゃんは急にベットから飛び起きて

がしっ

とウチの腕を掴んだ
「あの子は・・・『矢口真里』は・・・?」
「あっ」
そうやった・・・みっちゃんがここに寝てたのは・・・
なっちがここで死んだとき・・・実は『あの時』ウチらの中にはみっちゃんもいたんや
矢口の恐ろしさだけしか知っていなかったみっちゃんやから
さっきの出来事はしょうがないんやけど・・・



「大丈夫や・・・あの子は前の矢口とちゃう、別人や」
正確に言うと記憶喪失で性格だけが別人なんやけど・・・
とりあえずみっちゃんを安心させようとそう言った

「・・・?」
さっきまで寝てたみっちゃんには難しかったかな?
みっちゃんは眉間にしわを寄せて首を傾げた
165 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/05(日) 09:53
ウチは知ってる限りの過去の出来事やこの2日間のことをみっちゃんに話した
過去の出来事はもちろんそれはカオリやなっちから聞いたんやけどな





「そうやったんですか・・・」
みっちゃん・・・

「ウチが悪かったんですね・・・吉澤をちゃんと見てれば・・・」
「そっそんな・・・みっちゃんが悪いわけやないやろ!しょうがないやんか
もう過ぎたことや・・・矢口の目が覚めたら謝っときぃ」
「はい・・・」



「それはそうと吉澤は今どうしてる?」
さっきの話の中でふと吉澤のことを思い出して聞いてみた

「まだ・・・病院にいますけど・・・
まぁ『あの時』からはちゃんと警戒してますけどね」

ウチはそれを聞いて安心した

またあんなことがあったら・・・
166 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/05(日) 10:01
―矢口のいる医務室

「ちょ・・・カオリ・・・」
さっきまでもう1人の私のことでいっぱいだったけど
(今もそうだけど)
今この状況は正直恥ずかしい・・・

「ごめん・・・もう少しこのままでいさせて・・・ね?」
それを聞いてなんとなくカオリの気持ちが分かった
カオリにも寂しい思い、させてたんだろうから・・・

「ゴメンね・・・カオリ・・・私がなっちを・・・っ」
それ以上言葉がでなかった
同時に鼻がツーンとした

「もう終わったことだよ・・・矢口・・・
それに・・・なっちも黄泉がえるかもしれない」



「え?」
カオリの言葉に一瞬戸惑った
でも





(・・・なっちも・・・黄泉がえ・・・るよ・・・また・・・
矢口を・・・止める・・・か・・・)
記憶の中で聞いたなっちの最期の声

自分も同じようなことを言って
結局今再び生きている

ってことはなっちも・・・

167 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/05(日) 10:05
でもそれはきっと同時にまた・・・

「矢口・・・」
「・・・っ・・・なに?」

「また・・・また3人一緒に過ごせたらいいね
3人でずっと・・・ずっと・・・」

カオリ・・・





「そう・・・だね」
私はそう言い返した

ほんとにその日が来るといいな・・・という願いをこめて・・・
168 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/05(日) 10:10
数日後、平家さんは矢口に謝った

「ホンマゴメンな!ウチ・・・あんなに酷いことを・・・」
「大丈夫ですよ・・・急所も外れてたらしいし
それにそんなことされてもおかしくないことしてきたんだし・・・」

「これから一個ずつ返してこうな?矢口」
暗い雰囲気の中、中澤さんがフォローしていた

「そうだよ!塵も積もれば山になるんだよ?知ってた?」
中澤さんに続こうとそう言ったけど

「あははははははっ!!」
「きゃはははははっ!!」
「ハハハハハハハッ!!」










なぜか3人に笑われた・・・
169 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/05(日) 10:17
「ふふっあははははっ!」
私も笑っていた










矢口となっちがいなくなってから
こんなに充実した日を感じたことはなかった
毎日が寂しかった
毎日胸に穴が開いていた
毎日・・・2人のことを考えて・・・想って・・・泣いた

でも今は違う

矢口がいる

きっとなっちも黄泉がえる
そうすればまたあの日に戻れる

それに・・・





「じゃあウチは帰らせてもらいますわ」
「あぁ!元気でな!」

それにもう私達は3人じゃないよ
中澤さんに平家さん・・・
それにこれからもきっとたくさんの出会いがあると思う

だからこれからも自分の道を歩いて行きたい
矢口と・・・なっちと・・・みんなと一緒に・・・
170 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/05(日) 10:29
それから数ヶ月後・・・
私は大学の二年生になった

矢口は今中澤さんの研究所で働いている
「なんで矢口ばっかり雑用しなきゃいけないんだよぅ!」

いつのまにか1人称が「矢口」になっていた
本人曰く
「私は2人で1人だったからね結束の意味で呼ぶことにした!」

意味はよくわからなかったけど
矢口はホントにイキイキして毎日を送っていた
そして私も・・・ね










だけど・・・

ザッ
「ふぅ〜ん久しぶりだなぁ・・・この研究所も・・・
『あの人』が黄泉がえったってのはホントなのかな?」

平和ってのはいつ崩れるかわかんないんだね
再び現れた『アイツ』と闘うことになるなんて・・・



あのときの私達は夢にも思ってなかっただろうな
171 名前:黄泉がえり 投稿日:2003/10/05(日) 10:30
黄泉がえり

第一章 完
172 名前:タケ 投稿日:2003/10/05(日) 10:41
更新終了です
同時に第一章終わりです
ホントは章に分けるつもりはなかったんですけど・・・
第二章では新しい登場人物も出てくる予定なので
お楽しみに・・・(してくれる人はいるのだろうか?)

ありがとうございました
173 名前:つみ 投稿日:2003/10/05(日) 17:06
奴がまたきましたね・・・
第二章も楽しみに待ってます。
174 名前:タケ 投稿日:2003/10/06(月) 10:19
>173 つみ 様
奴が来ました・・・
いきなり第二章始めます(爆)
心機一転に新スレでやろうかと・・・

新スレのアドレス↓
http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/moon/1065403086/
175 名前:タケ 投稿日:2003/10/08(水) 17:40
色々迷惑かけてごめんなさい
こちらではキャラクターの過去を書こうかなと考えております。
なのでこちらも読んでくださると嬉しいです
176 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/08(水) 17:44
「おかーさーん!」
バタバタと階段を降りてくる私

「どうしたの?真里?」
お母さんは少し心配した顔でこっちを除いていた

「あしたからがっこうなんだよね・・・なんかこわいよぅ・・・」
「大丈夫!友達なんてすぐできるからね」
そう言ってお母さんは私の頭をそっと撫でてくれた
177 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/08(水) 17:50
―入学式

「はい、じゃあ新一年生のみなさん。頑張って下さいね」
「「はーい!」」
無邪気で元気そうな声・・・一年生ってみんなこうなんだろうなぁ
そして新一年生は先生に導かれて教室へ向かう


「わたしのなまえはね・・・」
「ぼくは・・・」



みんなわいわい話してる間私は1人椅子に腰掛けて窓を見ていた
「・・・おかぁさん」
寂しさがこみ上げてきた





そのとき




さっ
「!?」
私の目の前に誰かが立っていた
178 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/08(水) 17:54
そしてその人は手を差し伸べていた
「あ・・・」
私はそれが握手をしようとしてるのだと察知して急いで握手した

「わたしは市井沙耶香よろしくね?」
「・・・え!?おんなのこ?」
彼・・・もとい彼女は女の子とは思えないくらい男の子に似ていた

「おとこだとおもってた?」
私はその問いに素直に「うん」と答えた
同時に彼女は苦笑する
「で?あなたは?」
「わたしは真里!矢口真里って言うの!!よろしくね」

そう言って私達は再び握手をした
179 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/08(水) 18:02
それから数ヶ月が過ぎたある日・・・

「真里!!勉強しなさい!!」
「うーんあとでー」
本(もちろん教科書じゃない)を読んでいた
でもあとでと言っても子供は簡単にはやる気配を見せない

「真里っ!!いいかげんにしなさいっ!」

パァァン

「!??」
私の頬は勢いよくお母さんに叩かれた
「言うこと聞かなきゃだめでしょ!!」
「・・・っ!」


それを聞いた瞬間・・・

パリーンッ
「え?」
窓のガラスが割れた





これが最初に出てきた『力』
そしてこれが数年後3人の親友と決別した根元の理由にあたることになるなんて
誰も知らなかったであろう・・・
180 名前:タケ 投稿日:2003/10/08(水) 18:05
短くてすみませんがこれで更新終了です

>175で書き忘れましたがキャラクターの過去編は
短編っぽくしようかなと考えていますのでよろしく
とりあえず〜矢口編〜まだまだ続きます
181 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/11(土) 09:52
それからはそれほど怒ることをなく『力』はあれっきりだった
でも・・・お母さんはあの日から私をこわがるようになっていた

「ねぇねぇ、おかあさぁん」
「うるさわねぇ・・・後にして!」
「・・・」

だから私は外で遊んだ
みんなと遊ぶ日もあった 1人で遊ぶ日もあった
毎日毎日暗くなってもずっと遊んでいた

ただひとつ・・・心に虚しさを抱えて・・・
182 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/11(土) 09:55
気が付いたらもう5年生になっていた

友達とクラスが変わっても絶対変わらないものがあった

市井沙耶香

私はいつも沙耶香といた

一緒にお弁当を食べたり、話をしたり、一緒に帰ったり

私の心の虚しさは沙耶香が埋めてくれた
183 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/11(土) 10:01
でもその日は来てしまった

「真里ぃ!!」
「なんだよ!!」
このころ私とお母さんの関係は最悪で
顔をあわせれば毎日口ゲンカ

もはや他人としか見ていなかった
そしてその日もいつも通りに口ゲンカが始まってしまった

「お母さんにそんなこと言うんだ〜嫌らしい子ねぇ!!」
「っせぇなぁ!!どっか行けよぉ!!」
「お父さんと離婚してずっと育てた恩を忘れたわけ?」
「それはアンタが悪いんだろ?」

でもその日・・・私は完全にお母さんを怒らせてしまったんだ・・・
184 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/11(土) 10:04
「お・・・やめろっ・・・よぉ!! くるしぃ・・・」
お母さんは私の首を絞めていた

「うるさいっうるさいっうるさいぃ!!」


このままじゃ殺される・・・そう思った瞬間

ピンポーン がちゃっ
「真里ちゃ―ん!」
沙耶・・・香・・・

その瞬間、頭が真っ白になった
185 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/11(土) 10:11
ドォォンッ

空気が揺れ動いた

それだけがわかった





気が付いたら首の圧迫感がなくなっていた
そのまま起きあがって周りを見まわした
でもそれは・・・
「あ・・・あぁ・・・うぅ・・・っ」

でもそれは自分のしたこと恐ろしいことを確認するだけだった

マンションに住んでいた

でも今は地震があった後みたいにボロボロだった

お母さんは壁があったところに倒れていた
息はまだあった・・・でも体中ボロボロであちこちから血が流れていた

(沙耶香は?)

気を失う寸前、私は確かに沙耶香の声を聞いた

そして顔をきょろきょろさせた
「!!?」
沙耶香は玄関があったところに倒れていた
お母さんと同じで血だらけだった

「いやああああああああああああっ!!!」
186 名前:タケ 投稿日:2003/10/11(土) 10:14
更新終了です
く・・・暗い・・・(汗)
どうなるんだこの話・・・

次で 〜矢口編〜 を終わろうか続けようか考えてますがどうでしょうか?
187 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/12(日) 05:25
数分後近所の人の通報で警察、救急車、消防車があわただしく
サイレンを鳴らしながらやって来た




数日後・・・

結局事故という形で事件はかたずけられた・・・

お母さんと沙耶香はすぐに救急車に運ばれ
幸い2人とも命に別状はなかったようだ


でも警察の人達はさまざまな疑問を抱いていた
そして私も色々事情を聞かれた
今話をできる状態にあるのは自分だけだった



私だけは無傷だった
188 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/12(日) 05:31
私は何日か学校を休んでた間、病院でずっと沙耶香を看病した
それから2、3日で沙耶香は退院した

「沙耶香・・・よかったね・・・治って」
「うん・・・でも・・・あのとき何が起こったんだろうな?」

その言葉に胸がチクリとした

「あっごめん・・・その」

私の様子に沙耶香は小さく謝った
「大丈夫だよ」
「・・・何かあったら私を頼ってよ?」
「うん・・・ありがと」





私は親戚の家にしばらく預けられた
おじさんもおばさんも優しく『力』をだすことなく過ごすことができた
189 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/12(日) 05:38
もうすぐ6年生になろうかという季節になった
「もうすぐ誕生日だ・・・」

まだ私はおじさんたちの家に預けられていた
でもいつも外に出て沙耶香と一緒にいた





「傷・・・残っちゃったんだね・・・ごめんね」
沙耶香の頬にうっすらと傷がついていた

「真里が謝ることじゃないよ・・・」



沙耶香は優しかった
ケンカをした後で謝ったときも沙耶香は笑顔で許してくれた
悩みがあるときも一緒に悩んでくれた

私はそんな沙耶香が好きだった・・・





それなのに・・・
190 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/12(日) 05:45
「私・・・転校することになったんだ」
「え・・・」

いつも通りの帰り道
いつもと違うその話を聞いた瞬間・・・
私の心にヒビが入った

「い、いつから・・・」
「・・・来週」
「来週!?いつから決まってたの?」
「・・・半年前から・・・」

半年前・・・『力』を発動してしまった頃だ
きっと私といるのを危険だと親が思ったんだろう


でも・・・

「でもっ・・・なんで私に言ってくれなかったの!?」
「・・・危ないって・・・お母さんが・・・」





沙耶香・・・





心が割れる音がした
191 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/12(日) 05:50
その後私は自分でも妙に明るくなってみんなと接した

その分友達が増えた



だけど・・・
「沙耶香・・・」
しばらくは沙耶香のことが頭から離れなかった

沙耶香を無理矢理忘れても心はポッカリと穴が開いていた









そして私は本気で怒らないようした
2度と・・・2度と『力』を使わないように・・・
私は心にそう誓った
192 名前:黄泉がえり0 〜矢口編〜 投稿日:2003/10/12(日) 05:56
それから1年後の春、私は転校して他の中学に通うことになった

その初日・・・


ザワザワザワ

「う〜クラス表が見えない〜!!」
少し遅かった
私は行列の最後尾でクラス票がまったく見えなかった


ちょんちょんと誰かが肩を叩いてきた
背が高くて髪が長い人だった



「ねぇねぇ、あなた、名前なんて言うの?」










黄泉がえり0 〜矢口編〜 完
193 名前:タケ 投稿日:2003/10/12(日) 05:59
〜矢口編〜 完結いたしました
また続きを書こうかと思ってます

次は安倍さんか飯田さんの過去でも書こうかなと思ってます
194 名前:つみ 投稿日:2003/10/12(日) 08:31
安倍さんの過去が見てみたい・・・
195 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/12(日) 13:17
矢口はもう・・・逝っちゃったのか・・・
「カオリ・・・」
「ねぇなっち・・・?嘘だよねぇ?」

嘘じゃあないよ・・・って言いたいトコだけど・・・

なっちももうダメだ・・・





その時だった

走馬灯って言うのかな?
今までの自分の記憶が頭を駆け巡った
196 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/12(日) 13:25
「なつみ!行くわよ!」
「う・・・うん・・・じゃあねみんな!!元気でねっ!!」
「「「なっち〜!」」」

ブロロロロロッ
車が走り出した

みんなは私が乗ったその車を追いかけて来てくれた
「また会おうね―!」
「元気でね―!!」
「手紙書くからねー!!」

みんな・・・

「みんなも元気でね―!!」


これは・・・私が引っ越した時の記憶だ・・・
この時私は小学4年生・・・と言っても
春に引っ越したから5年生のときだったんだけどね
197 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/12(日) 13:32
新しい学校の生活は順調だった
「安倍さんて北海道にいたんでしょ?すっご〜い!」
「ねぇねぇ、なんて呼ばれてたの?」
「えっとぉ・・・」

すぐに友達もできたし

勉強もついていけた



新しい学校に慣れてきたとき1人友達の輪に入ってなかった人がいた
「ねぇ・・・飯田さん」
「・・・」

飯田圭織
今目の前で泣きそうな顔をしている
私の大切な親友・・・

これが最初の会話だった
198 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/12(日) 13:36
「あ〜だめだめっ!カオリは今交信してるから」
「こう・・・しん?なにそれ」
「とりあえず今のカオリになに言っても無駄だよ?」

私はチラッとカオリを見た
「・・・あっ・・・」

・・・確かに無駄みたい・・・

でもカオリとの出会いが
これからの私を変えることになったなんて・・・

「・・・あっ!」



この時は想像もできなかったなぁ
199 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/12(日) 13:48
日が経つに連れて北海道の友達から手紙がこなってきた

それからしばらくして事は起きた


―ある日の放課後
「あれ〜?キーホルダーがない・・・」
あれは友達から貰った大切なキーホルダーだったのに・・・

「ねぇ、誰か一緒に探してくれない?」
「「うん」」

でも結局30分しても見つからなかった


「ごめーん私塾だから・・・」
「うん」

「ごめんね、もう家に帰んないといけないから」
「うん・・・」


それからまた30分が過ぎた頃・・・
もうなっちしかいなかった

「あ・・・」
・・・いや、違ったカオリが・・・カオリだけがいた

「飯田さん・・・なんで・・・」
「大事な物なんでしょ?だから探す」
「・・・うん!」




私は・・・仲良く喋ったり一緒にいたりするのが友達だと・・・親友だと思ってた


だけどそれは違ったみたいだ・・・






「あっあったー!!」
私は初めて「親友」と呼べる人と出会ったんだ
200 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/12(日) 13:56
私はカオリとよく話すようになった
「でさぁ・・・」
「え〜そうなんだぁ」



カオリはたまによくわかんない発言をするけど
それが面白くって好きだった





でもある日・・・

「先生!私の給食袋がありませーん!」
その子の一言で教室中に緊張が走った

「落としてないのか?」
「いいえ、体育の時まではあったんですけど・・・」

「そうか・・・」
「まさか誰か盗んだんじゃないの?」
誰かがそう言った

あっという間に
教室は「誰が犯人か?」という話しで盛り上がった

「最後に教室にいたのは?」
「えーっと・・・カオリ・・・じゃなかったっけ?」

誰かがそう言った
私を含む全員がカオリを見た





「・・・うん」

その言葉に再び教室中に緊張という沈黙が流れた
201 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/12(日) 14:03
「カオリが盗んだの?」
「ちっ違うよぉ!そんなわけないじゃん!」

カオリは即答で否定した
でも状況は不利にあった

でも私はカオリを信じてた



(絶対違う・・・)

「お前が盗んだんだろ?」
「だから違うって!」
「じゃあ最後に出たのは誰だ?」
「・・・カオリだけど・・・でもっ!」
「じゃあお前じゃないか!正直に言え!」
カオリ・・・





「違うよ!」

ざわざわ

「何が違うんだ?安倍・・・」
「カオリはそんなことしない!みんな知ってるでしょ?」
「それはそうかもしれないが」
「でも・・・」
「それともお前がやったって言うのか?」
「違っ・・・」





「なにやってんだよぉ!お前っ」
え?


声のした方を見るとカオリが教室中を探していた
202 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/12(日) 14:10
「お前が盗んだんだろ?そんな探すフリすんなよ!」
「違う!だから探すの!!」

みんなの視線の集まる中カオリは1人黙々と給食袋を探ていた

カオリは意地っ張りだけど・・・真っ直ぐだった
でもこの時ほどそれを見たことはなかった

「なっちも探すよ」
私もカオリに続いた

「私も・・・」 「俺も・・・」 「僕も・・・」

気が付いたらみんなが探していた
そして・・・

「あった!」
なんと給食袋はなくしたと言った子のロッカーの奥でランドセルに押しつぶされていた
あっけない幕切れだった

その後その子含めたみんなと先生はカオリとなっちに謝った






そして私はカオリのことを少し理解することができた
203 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/12(日) 14:16
そして中学生になった初日・・・

「なっちぃ〜!!おいてくぞー!」
外からカオリの声がした

「ぅぅん・・・眠い・・・」
「なつみっ!時間よ!カオリちゃんも呼んでるわよ!」

「う〜」

時計を見ると・・・
「あっ」
時間ギリギリだった





「ごめーん!遅くなっ・・・てっ!」

もうカオリは50メートルくらい前で走っていた
「カオリィィィ!!待ってぇぇぇぇぇぇぇ!」
なっちも力の限り走った
204 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/12(日) 14:26
でも道を間違えて一瞬(実際は10分くらい)迷った
「カオリのバカ〜〜〜〜〜!」

そう叫んだ後再びなっちは走り出した








やっとこさ学校に着いてそれからカオリを探した
あ!!いたっ 誰かと話してる?
私はカオリに近づてこう言った

「あっカオリ〜!探したよ?」

「あっごめーん!だってなっち遅いんだもん」
ムカッ

カオリは結構正直だ
「ひどいべさぁ!ちょっと寝坊しただけだべ!!」

「あの・・・」
カオリと話していた人がなにか言いかけたけどそれどころじゃあない

「あっごめんなさいねなっち今日寝坊しちゃって・・・」
ムカッ!!
「だからってひどい!」

その人は私達のやり取りを呆然と見ていた
「寝坊したなっちが悪い!」

ムカッ!!!もういいよ!
「で?あなたの名前は?」
とりあえずその人に声をかけた

「へ?私?」

「だべ!ここであったのもなにかの縁だべ?これから仲良くなるべさ!」
北海道弁・・・まだこのときは訛ってたんだよなぁ

「・・・私、矢口真里!よろしく〜!」


これがなっちと矢口の出会いだった
今更だけど・・・ほんとに矢口とは縁があったんだね・・・
205 名前:タケ 投稿日:2003/10/12(日) 14:32
ここらで更新終了です
矛盾した点が多かった(汗)
しかも途中飯田さんの方が主人公っぽいし(滝汗)
さらには安倍さんほとんど(っていうか最後のほう以外)訛ってないし(涙)
あっでもまだ続きますよ〜

>194 つみ 様
2だけじゃなくこっちまで・・・ありがとうございます!!
安倍さんの過去・・・書いて見たんですけど・・・上の通りです・゚・(ノД`)・゚・
つっ次は頑張りますよぉ〜(弱気)

次は上に書いたとおり安倍さんの中、高校生辺りを書こうかと・・・
206 名前:つみ 投稿日:2003/10/12(日) 21:23
ほう・・・
この時点ではなっちは力を持ってなかったのかな?
この疑問を抱えつつ次回待ってます。
207 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/13(月) 16:21
「なっち〜いつまで訛ってるつもりなんだよぉ〜」
「うるさいべ!北海道弁はなっちの大切な言葉なんだべ!」
「カオリも北海道出身なんだけどなー」



矢口と知り合ってから1年が過ぎた

いつのまにか矢口はカオリと同じくらい大切な友達になっていた



でも・・・
矢口はなっち達に何かを隠しているようだった・・・

今日だって
なっち達が嫌ってる先生に怒られてもなにも言い返さない
でも何か裏を感じた

「矢口・・・」
「ん?どした?」
「あっなんでもないべ・・・」
まぁ矢口が言いたくないんだったらしょうがないよ・・・ね?


きっといつか話してくれる日が来る・・・そう思ってた

だけどその前になっち自身にある事件が起きるなんて・・・
208 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/13(月) 16:30
中学時代は楽しかった
いつもカオリと矢口と一緒にいたから

毎日が楽しかった
3人とも部活こそ違ったけど休憩時間は必ず矢口かカオリのところまで行って話しをしていた
家に帰っても勉強なんかしないで夜遅くまで電話で話しをしていた


でもある雨の日・・・
なっちは気付いちゃいけないことに気付いてしまったんだ・・・




ザァーーッザァーーッ バシャシャッ
「うわ〜ドシャブリだべ・・・」

その日・・・ちょうど傘を忘れていた
しかもお母さんに傘を持ってきてもらうことも忘れていた

「大体午後に雨が降るのが間違ってるべさ!!朝はあんなに晴れてたのに・・・」
とぶつぶつ言いながら昇降口で立ち往生していた
209 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/13(月) 16:38
「何してんの?なっち・・・」
「やっ矢口・・・あれ?部活は?」

「え?あぁ、今日は休みだよ?私陸上だし今日は雨だし」
「あ・・・そっか・・・」

矢口は部活が休みなので早く帰れて嬉しそうだった
いいなぁ・・・なっちなんて傘が・・・



サッ
刹那・・・目の前に赤い色をした物体がなっちに迫っていた
「???」

「ないんでしょ?貸してあげるよ」
「え・・・でも矢口が・・・」
「さっき言ったでしょ?私は陸上部!しかも家からは走って5分しかないんだぞ!
だから余裕だぜ!」

矢口・・・

「でも・・・」
「じゃあ行くか」
矢口がなっちの言葉を制した

「・・・じゃっじゃあ一緒に入れば」
「えー狭い!」
そう一言言って矢口は雨の中に身を投じた
210 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/13(月) 16:44
一瞬で矢口はずぶ濡れになった
「矢口っ!」

予想以上に雨は強かったらしい
「やっぱり傘一緒にはいろうよ!」



矢口は前を向いていてなっちからは矢口の顔が見れなかった
「やぐ・・・ち?」

「へへっ・・・ずぶ濡れだぁ」
ドキンッ

矢口は振り向きざまにそう言った
髪は雨に濡れていて矢口の頬に数本くっついていた
でもそんなこと問題じゃなかった

その矢口の姿が色っぽくて・・・
なんかドキドキした

「どーしたの?なっち?」
急に矢口がなっちの顔に近づいてくるから
心臓がもっとドキドキしてきた
「あ・・・えっ・・・ぅ」





なっちは矢口に恋をしてしまったんだ
211 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/10/13(月) 16:52
中学3年生になって、
なっち達は一緒のクラスになった

「よろしくなっち!」
「うん、よろしく〜」
「いつのまにか訛りぬけてんじゃん」

なっちは矢口に自分の気持ちを伝えることなく3人の時間を過ごした






ある日・・・あの時の矢口の表情が気になっていた
「矢口ぃ、あの時どうかしたの?」
つい聞いてみた
「あの時?いつだよ」

当たり前のことを言い忘れ矢口につっこまれた

「あの〜傘貸してくれたときの」
「・・・あっ・・あぁ〜〜〜!!あの時かぁ!」
「うん、なんかあのときの矢口、なんか様子変だったから・・・」
そう言いかけた瞬間・・・矢口の顔が笑って無かったことに気が付いた









しばらく沈黙が流れた
「小学生の頃・・・」
最初に口を開いたのは矢口だった
212 名前:タケ 投稿日:2003/10/13(月) 16:58
更新終了
安倍さんは現在まだ黄泉がえってないので
矢口さんとの関係を意識して書いたんですが実は・・・って感じになりましたね

>206 つみ 様
『力』とはまったく関係無い話になってしまいました(汗)
機会があったら書いてみますね

次回は〜安倍編〜を休んで〜市井2年前編〜にしようかと思ってます
(2の方で2年前のことちょっとかじったんで・・・)
213 名前:つみ 投稿日:2003/10/13(月) 17:43
赤い色をした物体・・・
なっちは水もしたたるやぐっさんにヒトメボレっすか〜^^
市井さんのことも気になってたんで次回も楽しみにしてます。
214 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/16(木) 15:33
いつのまにか中学卒業してて・・・

いつのまにか高校生になってて・・・

いつのまにか3年生になってた




でも、矢口のことを片時も忘れたことはなかった

私はいつか矢口と笑顔で再会できると信じていた
でも・・・それは永遠に叶わないものとなりつつあったことに
私はこのときまだ知らなかった
215 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/16(木) 15:42
そしてその日・・・
「あっちぃ〜なんだよ今日はぁ!もう夏じゃん」

いつもと変わらない日常だった
朝っぱらから学校のために早く家を出て、友達とあって
勉強して部活して家に帰って・・・
今日もそんな1日が待っているんだろと思っていた


「アハハッでさぁ・・・」
でもそれは・・・

「はははっ!沙耶香笑えるよ!あははっ!!」

「次のニュースです。
女子高生が自分の通っている学校を襲うという事件が起きました」

このニュースで一瞬にして覆されることとなった

「へぇ〜だれか殺っちまったのかよ?」


「逃走した矢口真里さん(17)は・・・」






(・・・え?)






―沙耶香ぁ!
それは聞き覚えのある名前だった・・・いや、それどころか大切な友達の名前だった
(矢口真里?・・・真里?そっそんな・・・嘘に決まってる) 
「え〜女なの?マジで?」

「・・・」

「沙耶香?」

「えー現在原因はまったくわかっておらず・・・」




何も考えられなかった
ただ1つ・・・真里との思いでを思い出すだけだった
216 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/16(木) 15:46
日が経つにつれて矢口に関するニュースが増えていった

私はそれが真里だと信じなかった


(笑って真里と会うんだ!絶対・・・絶対に!!)


それだけが自分の支えだった





「矢口って奴怖いよね〜」
「矢口の悪口を言うなぁ!!」

でも、私は変わっていた
あれは真里じゃないと思っても
いつのまにかそう言っていた



真里じゃないと信じてたはずだったのに・・・
217 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/16(木) 15:50
家に帰ってから私はベットに横になって自問自答を繰り返した
「あれは・・・矢口真里なの?それとも・・・」
(違う・・・真里はあんなことするような奴じゃないよ)

「でも・・・小学生の頃の真里は・・・なんだよなぁ」
(でも真里は優しいんだ!人を襲うなんてできないんだ!真里は!!)














そして、私は矢口と出会った
218 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/16(木) 15:57
「さぁ〜て、学校行くかぁ・・・」
矢口発言(真里が悪い奴じゃないと言ったこと)のおかげで友達は減った
「みんな真里の外側しか見てないよ・・・真里は・・・真里は本当は・・・」





「私がどうかしたって?」
後ろから懐かしい声が聞こえた

え?

急いで後ろを向いた

金髪に染められた髪の毛
小学生といい勝負の身長

そして・・・

私のかつての親友の顔を彷彿させるその顔立ち・・・
間違い無くそれは・・・

「あ・・・ぁぁっ・・・やぐ・・・ちぃ・・・っ」

でも私は真里との再会を祝うことはできなかった
219 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/16(木) 16:04
ドンッ

かつて昔・・・
どこかで感じたことのある感覚に襲われた

(あぁ・・・そうだ・・・あの日、矢口に遊びに行った時・・・)

あのときと同じだった


気付いた時には地面に転がっている自分がいた
「あんた・・・私のこと知ってんの?」
「やぐち?」
「まぁいいや・・・あんたが最初の・・・」

ドンッ

「え?」
再び懐かしい感覚に包まれたと思ったら
矢口の目の前で小さな爆発が起こった

「矢口ぃ!!やめろぉ!!」
「なっちか!チッ! 今日こそ送ってやるぜ!!」

その瞬間、私は真里が真里で無いことを悟ってしまった

かつての真里から出ていた優しさが今では殺気だけしか出ていなかったから・・・



私は逃げるようにそこから立ち去った
220 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/16(木) 16:11
私は高校を辞めた

理由は思いつく方が難しかった
とにかく・・・

1人になりたかった

自分は真里の何だったんだろうか?


自分は真里の親友じゃあ無かったのか?


自分は真里のことならなんでもわかってたんじゃなかったのか?



「真里・・・なにがあったんだよ・・・くそっ!!」





私は家を追い出され1人放浪の旅に出ていた
いつも1人で歩いていた


2、3日が過ぎた
さすが腹がへったし喉も乾いた
足も痛い

だんだん頭が上手く働かなくなった
ここはどこなのか、私はどこへ行くのか、右はどこ?左は・・・





足がバランスを崩し倒れこんだ
運よく倒れた所は芝生の上だった


でもそれを認識した瞬間

意識が途絶えた
221 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/16(木) 16:24
「?・・・ここ・・・は?」
気が付いたらどこか知らない所に寝かされていた

起きあがると誰かがドアの近くに立っているのに気が付いた
「だ・・・れ?」
「・・・」

「誰だって聞いてるんだけどな」
「・・・」

「おい!いい加減に・・・」
「あなたが市井沙耶香?」

いきなり名前を呼ばれた そしてその人が女の人だとわかった

「何で私の名前を・・・?」
「あなたは選ばれた」
「???」

「矢口真里と・・・安倍なつみを捕まえてください」
安倍・・・なつみ・・・? ・・・誰だ?

「安倍って誰?私には関係無いよ?」
「矢口真里もかい?」

その言葉にぎくっとした

「なっ・・・あんた・・・なんで・・・」
「私の目的はその2人の捕獲、それをやって欲しいんだよ」

目的? 捕獲?

「君はあの2人とは違う・・・『力』がある・・・その『力』を使ってあの2人を
捕まえて欲しいんんだ」
「『力』?なんですかそれ?私にそれがあるって言われてもねぇ・・・」

まったく意味がわからない
そもそも『力』とはいったいどのような『力』なのだろうか?

「じゃあ見してもらうよ」
ヒュッ
そう言うと同時に彼女は私に向かってナイフを投げつけてきた
222 名前:タケ 投稿日:2003/10/16(木) 16:30
更新終了です
2年前には登場人物はみんな色々あったんですね(w
ちなみに市井さん達の『力』は誰かさんが言っていたように矢口さん達とは違う
『力』なんです。その『力』は次の更新で・・・(でもここでは市井さんだけ)

>213 つみ 様
一転して市井さんの過去に入りましたがいかがでしょう?
この話しが終わったらまた安倍さんの過去を再会するつもりです
↑安倍さんと矢口さんはどうなるんでしょね?
それから市井さんも(w
223 名前:つみ 投稿日:2003/10/17(金) 17:00
おぉぉぉぉお!
市井さんも何か力が!?
ということは、矢口さんとは戦う運命なんでしょうか・・・
市井さんに話し掛けているのは誰なんだろう・・?
224 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/19(日) 01:55
ナイフは私目掛けて飛んできた

その瞬間今までの記憶が自分の脳裏に浮かんできた





初めて真里と話したとき

真里と一緒に遊んだり話をしながら帰った日々

真里の家に行って爆発が起きたとき

転校するとお母さんに言われたとき

転校を伝えたときの真里の顔

つまらない中学、高校生活

再会したありえない真里の姿




いやだ・・・こんな・・・真里とちゃんと再会しないまま死んで・・・
「たまるかあぁぁぁぁぁ!!」
225 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/19(日) 02:04
自分の意識をナイフに向けた
その時
「!?」

自分に向かっていたナイフが目の前で垂直に落ちていった

カァンッ

地面が刃の部分に当たったのか金属音が部屋全体に響き渡った

「はあっはあっはあっはぁはぁっ・・・」

「上出来だよ!市井さん」
パチパチパチと拍手する

「はぁっはぁっはぁっ・・・っくぅ!?」
急にめまいがして更に吐き気がしてきた
「ぅ・・・ぁ・・・がぁっ」

(体が痛い・・・気持ち悪い・・・なんで・・・真里!!)
「おっと、これが代償か・・・まぁ仕方が無いか・・・おい!」

その人の言葉に合わせて多くの人が部屋に入ってきた
(看護師・・・?)




それを最後に私は再び意識を失った
226 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/19(日) 02:11
再び目が覚めると医務室らしい部屋のベットに寝ていた
ゆっくりと体を起こす
「ってて・・・ったくなにがなんだか・・・」

コンコンッ ガチャッ

誰かが部屋に入ってきた

「お目覚めかな?市井さん?」
さっきの人だった
「・・・またあんたか!私をどうする気だ!」
「さっき言ったでしょ?矢口真里と安倍なつみを捕獲しろって・・・」
「だから何で私が!」
「聞いて無かったみたいね?あなたには『力』がある常人にはない『力』が・・・
そしてさっき・・・あなたの力は開花されたの」
「!!」

ってことは・・・
さっきのが『力』?
227 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/19(日) 02:20
「でっでも私が『力』を持ってるからって私が力を貸す理由なんて・・・」
「矢口が死んでも?」

なっ?

「なんだと!?あんたっ!!冗談言うんだったらブン殴るぞっ!!」
真里が死ぬなんて考えたくもない!

「だから君の『力』で矢口真里を助けるの」
「私の『力』で?」

一体どういうことだ?

「矢口と今闘ってる人がいるんだ・・・それが『安倍なつみ』
矢口と同じ『力』を持ってる子」

矢口と同じ・・・『力』?

「いつか2人は殺し合うわ・・・いえ、すでにもう・・・」

―なっちかっ!チッ

あの「なっち」て呼ばれたのが・・・安倍なつみ?
「だから君は矢口が死ぬ前に連れてくればいいんだよ」
「・・・真里がどこにいるかわかるのか?」
「大体ね?」

普通に考えればそんなことありえない・・・
だけど私はこのときこの人が嘘をついているようには思えなかった

真里を助ける・・・守るため・・・

「わかったよ・・・」

私は闘うことを決めた
228 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/19(日) 02:26
それから私はこの組織の一員になった

私は1週間に2回には『力』を調節するように訓練された
「はぁっはぁ・・・ぅぐっ!」
「まだだ!!」

なんども倒れそうになったし吐きそうになった

でも私は辞めなかった
真里を守るため・・・助けるため
それだけが私を支えてくれた





そんなある日・・・
「コードネーム11」
「はい?」
私はコードネームをつけられた
語呂合わせの・・・11を

「グループを組んでもらう」
「えっ?」
「コードネーム510!コードネーム44!入ってこい!」

「は〜い!」 「はいっ!!」





これが後藤真希と吉澤ひとみとの出会いだった
229 名前:タケ 投稿日:2003/10/19(日) 02:32
短いけどここで更新終了です
2でも書いた市井さんの『力』はここで初めて使われたという話でした
そして後藤さん、吉澤さんとの出会いも・・・

>223 つみ 様
市井さんは矢口さんを守るために闘おうとしていたんです
しかし現在は・・・と言う感じですね
市井さんと話してるのは2でも出てますよ?
口調が変になってたりしてるけど(泣)

では次の更新では上の通り後藤さんと吉澤さんとのファーストコンタクトから
続きます
230 名前:つみ 投稿日:2003/10/19(日) 10:53
市井さんは利用されてるのでしょうか?
やぐちさんを守るために利用されているという姿は健気でなりません・・・
2も見てきます!!
231 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/26(日) 00:25
市井だから11

後藤真希だから510

吉澤だから44


全部語呂合わせじゃん・・・


(大丈夫なのか?ここは・・・)
「あの・・・」
「え?」
この組織に微妙な不安を感じている途中、吉澤が声をかけてきた
どうも睨まれてるきがする・・・なんかした? 私

「なんで私達3人が組まされたんですか?」
「え・・・そんなこと言われてもなぁ・・・」
私だって聞きたいっつーの!

「わかりました、じゃあ私は部屋に戻りますよ?」
「え・・・」


「・・・」
吉澤は無言のまま部屋に戻っていった




「・・・」
(こんなんでやってけるのかよ)

この組織に更に不安を覚えた私だった・・・









でも私はここで辞められない
真里を助けるために・・・私は・・・
232 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/26(日) 00:33
「いちーちゃーん!」
「え?」
横にいた後藤が急に私を呼んだ・・・いやその前に抱き着こうとしていた
ギュッ

「んぐぅ!?」
一瞬の出来事にまったく動けなかったので思いっきり抱きしめられていた
(こいつ・・・力強い・・・)
その勢いで思いっきり倒れこんでしまった

ドスンッ

「んあぁ」
「いでっ!」

私は背中から思いっきり地面に叩きつけられた
「いってぇ〜・・・」

「ごめんね〜いちーちゃぁん」
こっこいつ・・・さっきから いちーちゃんい ちーちゃん って

「いちーちゃんって呼ぶなあぁぁ!っていうかさっさと離せえぇぇ!!」
「あっごめんね?いちーちゃん」

こいつ・・・学習能力って知ってるのか?
233 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/26(日) 00:40
「とりあえず・・・さっさと離せ!怒るぞ?」
声を低くして言ってみた
いや、実際もう怒りたい気分なんだけどね・・・

「んぁ・・・わかったよぉ」
そう言って後藤は抱きつくのを止めた
そのまま後藤と私は起きあがった

「いてて・・・」
「ごめんね?いちーちゃぁん」
コノヤロ!また いちーちゃん って・・・

再び怒ろうとした・・・んだけど・・・
「? んあぁ」
上目遣いからの笑顔を見て怒る気が失せた・・・

「はぁ・・・わかったよ・・・」
「?」
「いちーちゃんって呼んでもさ」
「さっきから呼んでるよぉ!いちーちゃん!」

・・・怒るぞ?
234 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/26(日) 00:46
それから後藤は毎日のように私の部屋に入ってきてはちょっかいをだしてきた

「いちーちゃぁん、ちゅーしよーよー?ちゅう」
「し・な・い!!さっさと部屋戻れよ〜」

「いじわる〜!いちぃちゃんなんか大っ嫌いぃ!」
なんて言って部屋から急いで出る後藤





「後藤・・・私・・・悪いことしちゃったかな・・・」
なんて思ったのは最初の2日だけ
だってそう呟いた瞬間

「でしょ?だからさぁ〜いちーちゃ〜ん?ちゅうしよ?」
扉から笑顔で顔を出してきたから・・・

私って・・・もしかして遊ばれてる?
235 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/26(日) 00:55
そんなある日・・・ちょっとした事件(?)が起きた


そう言えば・・・吉澤ってのはまったく顔見てないなぁ・・・

「いちーちゃん?」

こいつの顔はもう見飽きるほど見てんのに・・・

「キスしてもいい?」

どんな奴だろ?

「ん〜」

1回話しを・・・!?!?!!

「ぅんっ!?んんんっ!!?」




















長い間・・・ずっとキスをされていた・・・
舌も・・・
「・・・」
「いちーちゃん・・・ごめんね?」

「・・・たし・・・ったのに・・・」
「え?」

「私・・・初めてだったのに・・・」
「・・・」

はっきり言ってショックだった
好きでもなんでもない後藤にファーストキスを奪われた

「後藤のバカ!!もう来んなっ!!」
吉澤のことはすでに頭から消えていた

今はこの怒りを後藤にぶつけるだけだった

「・・・ごめん」

後藤は私に背を向けて部屋から出ていった
ガチャッ

そのまま扉も閉めて・・・
「・・・」

それでも私の怒りは収まらず、鍵まで掛けて後藤が入れないようにした
236 名前:タケ 投稿日:2003/10/26(日) 01:04
更新終了

吉澤さんの出番が・・・(汗)
ってことでいちごま風味の今回の更新でした(w

(〜T◇T)<そう言えば最近出番ないなー
えっと・・・もうすぐ出します

>230 つみ 様
市井さん・・・矢口さんを守るために闘ってるようなもんですが
今回の更新で後藤さんの存在が・・・?
こっちと2共に頑張ります!
237 名前:つみ 投稿日:2003/10/26(日) 01:05
気分的にはさやまりだけど・・・
今回はごっちんがんばれ!って言いたくなりましたv
238 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/26(日) 16:56
後藤にキスされてから1週間が経とうとしていた
あれから後藤を見ることはなかった

(後藤・・・)

もちろんあれを許した覚えはない
だけど・・・

「はぁ・・・」
(なんだろ・・・この虚しい気持ちは・・・)















―ガチャッ
―いちーちゃーん!

「ごとっ!・・・?」
(夢・・・か・・・)
239 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/26(日) 16:59
なんでだろう?



後藤がいなくなってから・・・いや後藤と出会ってから私の毎日は変わった・・・
それがいい意味なのかはわかんなかったけど・・・





もう我慢できなかった

キスされたこと忘れてやるから

抱きついてもいいから

「いちーちゃん」って呼んでもいいから


コンコン
「はぁい・・・」





もう1回お前の顔を見せてくれ・・・後藤

ガチャッ
「あ・・・」
「よ、よぅ」
240 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/26(日) 17:07
後藤は一瞬うれしそうな顔をしたんだけどすぐ無表情になって

「なんのよう?私のこと嫌いなんでしょ?」
と一言だけ言ってドアを閉めた


後藤・・・


「後藤!私は・・・もう怒ってないから!!」
そう大声で叫んで私は部屋に戻った



「後藤・・・来てくれるかな・・・」





次の日・・・
いつも通りの後藤のいない静かな朝を迎えた
241 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/26(日) 17:16
私はドアを見つめた
人の気配はない





そっか・・・やっぱりダメか・・・
なんで怒った私がこんな気持ちになるんだろうな
寂しくて・・・虚しい・・・
こんな日々を過ごしたのは矢口と会えなくなったとき以来だな・・・
なんで後藤に対してそう思ったんだろう

そんなこともどうでもいいや・・・結局後藤は会ってくれないわけだしな
あーなんか精神的にやばいかも・・・










ガチャッ

ほら、空耳が聞こえてるよ私・・・

「いちいちゃん・・・」

ははっ後藤の声までしてきたよ、明日病院にでも行ってみようかなぁ

「ねぇ!い・ち・い・ちゃん!!」
「え?」
空耳・・・じゃない!?

「後藤!!」
242 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/26(日) 17:22
「来てくれたのか・・・」
「うん、謝りに来たごめんねいちーちゃん、ごとーが悪かったよ
勝手にその・・・しちゃって」
照れながらそう言う後藤が可愛く見えた

「わかってる・・・でも私はもう怒ってないよさっきも言ったけど」
後藤の頭を撫でながら確認するようにそう言った

「いち〜ちゃん・・・」
「ん?どうし・・・」
ぎゅうっ

久しぶりに後藤に抱きしめられた

「ぅ」
でもやっぱり後藤は力加減ってのを知らないみたいで・・・
背骨が折れそうなくらいの力で思いっきり抱きしめられた
243 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/10/26(日) 17:29
でも正直ホッとした

また後藤と話すことができたから・・・
「いちーちゃぁん」
「ん?なんだよ」
「もっかいちゅうしよ?」

ただ・・・こいつに反省の色が見られないのが気のせいに思えないんだけど・・・

「だめだ」
疲れそうだから深くは考えないことにした

「えぇ〜!?」

まぁとりあえず前みたいな関係が戻ったわけなんだけどまだ問題はあった

吉澤・・・アイツとはまだほとんど話すことがなかった
もちろん私が後藤のことを考えてたからかもしてないけど・・・





っていうか・・・最近どこかへ出入りしているような気がした
でもどこへ?
244 名前:タケ 投稿日:2003/10/26(日) 17:34
更新終了です
市井さんと後藤さんの仲が深まった今回の更新
(○^〜^)<私の出番は?
(〜^◇^)<前のオイラの一言とかぶってるよ!

>237 つみ 様
さやまりかいちごまか・・・
今回は市井さんが頑張りました(w

さて、次の更新では吉澤さんが出てきますよ〜
(○^〜^)<私どこに出かけてるんだろ?
245 名前:つみ 投稿日:2003/10/26(日) 17:54
よっすぃ〜どこ〜?
    
   (○^〜^)<ここ
246 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/15(土) 10:12
吉澤がどこかへ出入りしてることに気づいたそんなある日・・・
私の知らない誰かがこの建物に入ってきた

私はこっそり後をつけていった
彼女はあの人の部屋へ入っていった

私はドアに耳を当てなかの話しを聞いてみた

「こんちはぁ平家ちゅうもんなんですけど」

彼女は平家みちよと名乗っていた
「あぁ、久しぶりどう?最近は」

「ボチボチ・・・ってとこやね」

顔見知りなのかあの人と平家って人は楽しそうに話をしていた
247 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/15(土) 10:16
「さて・・・そろそろ本題に入りますか?」

「そうね・・・で?どうなの吉澤は」

吉澤!?
やっぱり平家って人、吉澤となにか関係が・・・
「やっぱウチの精神病院に預けてくれんとなぁ」
(えっ?)









精神病院・・・吉澤が?・・・なにそれ・・・
248 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/15(土) 10:21
それからは2人の話しはもう聞こえて来なかった

「あ、じゃあウチもそろそろ帰りますわ」

「そう、じゃあ元気で」

「ああ、そっちこそな」


(ヤバイ!ばれる!?)
私は急いでダッシュして自分の部屋まで戻って行った




「はぁはぁはぁっ・・・それにしても・・・」

吉澤が行ってたのは精神病院だった


かなりショッキングな事実を知らされたもんだよ
ずっとそのことが頭から離れなかった


「いちーちゃーん!どーしたのぉ!?」
ごとーが部屋に来ても上の空だった

「キスしちゃうよ?」
「やめろ」

そのやりとりが始まるまでは・・・
249 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/15(土) 10:27
それから何日かが過ぎてあの人に呼ばれてあの人の部屋に入った
後藤も呼ばれたらしくあの人の部屋まで話しをしながら一緒に歩いた

ガチャッ

「失礼します!」
「します!」
あの人の部屋は私達の部屋より少し広いくらいだった


「あぁ、来たね?話しってのは・・・」
ガチャッ

突然ドアが開いた
「どうも・・・」

それは吉澤だった
250 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/15(土) 10:32
「吉澤も来たか・・・じゃあ話しを始めるよ
今日から吉澤は・・・」

イヤな予感がした















「精神病院へ行くことになった」

私はその場で凍りついた
ホントに行くことになったなんて・・・

後藤を見ると後藤も青ざめた顔で吉澤を見ていた

251 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/15(土) 10:38
前に後藤から聞いたことがあった

吉澤と後藤は昔色々あったらしくて今は親友と呼びあえる関係だったらしい
まるで私と矢口のように・・・

離れ離れになるのまで・・・


だから私は後藤がどう思ってるのか分かっていた



「ごっちん〜!そんな顔しないでよぉっちょっと行ってくるだけだからさぁ」

「・・・うん、待ってるから・・・早く帰ってきてね」

後藤は泣きそうな顔でそう答えて俯いた
252 名前:タケ 投稿日:2003/11/15(土) 10:42
更新終了です

こんな経路で吉澤さんは精神病院に入院することに・・・
つまり矢口さんとあっていた頃はまだ通院止まりってことですね
まぁその話しは吉澤さんのエピソードで・・・

>245 つみ 様
よっすぃ〜は精神病院にいましたとさ(w
今回は1、2で初めて後藤さんと吉澤さんの関係が出てきました
まぁその話しは吉澤さ(ry
253 名前:つみ 投稿日:2003/11/15(土) 10:58
ごっちんとよっすぃ〜には何かがあるんですね・・・
なんで精神病院へ・・・
何か能力に関係が・・・?
次回も楽しみに待ってます!
254 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/23(日) 07:22
吉澤が精神病院へ行くことになってから数ヶ月が経った

半袖でも汗をかいていたのが今では長袖を着なければいけない季節になっていた
「吉澤・・・元気かなぁ・・・」

「いちい〜ちゃ〜ん!」
がばっ
「ぐえっ」

最近では『力』の練習も少なくなっていた
私が『力』を使うのに慣れてきたのか私の健康を考えた配慮なのかは分からないけど・・・

だから前にも増して後藤は私の部屋に来るようになっていた
でもきっとそれは吉澤のいない寂しさを紛らわすタメなんだろうと私は思っていた


私も・・・そうだったから・・・
255 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/23(日) 07:27
「もうすぐ今年も終わっちゃうよね〜」
「ああそうだな、それより抱きつくのはやめて欲しいんだけど?」

声を思いっきり低くして後藤に話しかけた
さみしいのはわかるけど抱きつかれるのは嫌だ

「ちぇっ」
と一言呟いて後藤はやっと私から離れてくれた

「それにしても・・・」
「んあ?」

「あっいや、なんでもないよ・・・」





今年が終わればすぐ真里の誕生日だなぁ





そういいかけたけどやめた





でも今年の真里の誕生日が真里の最期となるなんて・・・
その時の私は知らなかった
256 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/23(日) 07:32
一月二十日

いつもと変わらない朝を向かえた

朝食をとった後いつものように『力』の練習をして
練習が終わった後はいつものように後藤が私の部屋に来て・・・

そこまではいつもと変わらない1日だった・・・ハズだった・・・
257 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/23(日) 07:39
「え?真里が死んだ?」

突然のことだった
その連絡が届いたのは



目の前が真っ暗になった
何も考えられなかった

世界が壊れるような思いだった

私は部屋の扉を閉めて
枕に顔を埋めて泣いた

いつまで泣いていたのかはわからなかった
とにかく悲しさがこみ上げてきた

泣いている間ずっと真里のことを思い出していた
思い出して・・・また泣く・・・その繰り返しだった
「うそ・・・だよぉっ・・・っまりがっ・・・死ぬなん・・・ってぇ・・・っ!」





その年の真里の誕生日・・・それは真里の命日となった
258 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/23(日) 07:44
それから何ヶ月もの時間が過ぎたと思う
でもそんなことも分からなくなるくらい私はショックを受けた
そしてそれをずっと引きずっていた

もう生きてる意味がないと思っていた

実際真里が死んだことによって『力』の練習も凍結され
私はただここに住みついているだけだった


その間後藤はずっと私の側にいた
もっともそれは食事だけの話しで私はずっと部屋の鍵を閉めていて後藤をいれることをしなかったから
259 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/23(日) 07:50
私の心はポッカリと穴が空いていた
真里の分だけポッカリと・・・

でもそれを埋めてくれたのは後藤だったんだ・・・





「いちいちゃん・・・今日は部屋にいれてもらうよ?」
「・・・別に」

実際どっちでもよかった
部屋にいれようがいれまいが関係なかった

ガチャッ
「いちいちゃん・・・どうしたの?」

「・・・別に、どうってことないさ」

「うそ!後藤は分かるよ?いちいちゃんは・・・」
その言葉にムカっと来た


「お前に・・・お前なんかにっ私のなにがわかるっていうんだよおぉっ!!」
260 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/23(日) 07:52
ただの八つ当たりだった・・・

それに気づいたときにはもう口に出してしまっていた
「分かるよ・・・ごとーには・・・」
それでも後藤は話すのをやめない

「ごとーはいちいちゃんが好きだもん!わかるよぉっ!!」
そのとき初めて後藤の素直な気持ちを知った
後藤が私のことを好き・・・だと
261 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/23(日) 07:55
「・・・っぁ?」
なんでだろう・・・

「いちーちゃん!?」
なんで私は・・・

「何で泣いてるの?」

何で私は涙を流しているんだろう?
どうして涙が止まらないんだろう?

どうして・・・空いた心が埋まっているんだろう・・・
262 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/23(日) 08:01
そして今・・・黄泉がえった真里と闘おうとしている
「いち〜ちゃん?ついたよ?」
「市井さん、行きましょう」
吉澤も戻ってきた(どうやら無断だったそうだけど・・・)

「あ・・・あぁ・・・」
なんか色々思い出してたなぁ・・・






そうだ・・・今は作戦を上手く実行することを先に考えないと・・・



私達は再び深い深い樹海へと入っていった





真里を・・・かつての親友を捕まえに行く為に・・
263 名前:黄泉がえり0 〜市井2年前編〜 投稿日:2003/11/23(日) 08:06
更新終了、そして 〜市井2年前編〜 終了です
最後の方は無理矢理だったけど・・・

>253 つみ 様
>なんで精神病院へ・・・

黄泉がえりの
>>123  に書いてあります
まぁこれからそれについても書くつもりですが・・・

次の更新は〜安倍編〜の続きから入りたいと思います
264 名前:つみ 投稿日:2003/11/23(日) 09:47
おっ!更新されてる!
次回からは安倍編ですか・・
こちらも謎が多く残ってますからねぇ〜^^
楽しみに待ってます!
265 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/11/28(金) 17:40
もう放課後で誰も廊下にいなかった

ザーッザーッ
そして外はあの日と同じように大雨だった


「小学生の頃・・・」
矢口は全てを話してくれた

昔大事な親友がいたこと
謎の爆発事故でその親友を傷つけたこと
その親友が引っ越して自暴自棄になっていたこと

他にもたくさん話してくれた

でも全てを聞く事はなかった
「ごめん・・・ごめんねぇっ・・・」
話の途中でなっちは涙を流して俯いてしまっていた

「なっちは悪くないよ・・・私が勝手に言ったことだから」
矢口は優しい
そんなこと前から知ってるけどさ
266 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/11/28(金) 17:46
「ありがと矢口・・・」
ちょっと落ちついた
でもまだ俯いたまま

「私はなにもしてないよなんにも・・・」
「矢口・・・」
「ん?」





矢口には笑顔でいて欲しかった
だからなっちは矢口に想いを伝えなかった

きっと・・・

きっと矢口は笑顔を消すだろうから

だから言わないでいた










ハズだったのに
「なっちさぁ、矢口のこと好きだなぁ」
そうして俯いたまま矢口に抱きついた
267 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/11/28(金) 17:51
なんでだろう・・・言ってしまった

言った瞬間・・・一瞬前の自分を後悔した
なんで言ってしまったのだろうか
言うべきじゃあなかったのに・・・

「なっち・・・顔上げてよ」

「・・・無理だよ」

「そっか・・・なっち・・・ありがとね」

矢口の『ありがとう』意味はなんとなくわかった

それはなっちが矢口に告白したことに対しての『ありがとう』で、
なっちの告白の答えじゃない

「うん・・・ありがとう」

268 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/11/28(金) 17:56
振られちゃった

でもそのわりには不思議とスッキリしていた
なんでだろう・・・

「ねぇ矢口」

「ん?なんだよ」

私はやっと顔を上げた
「まだ・・・なっちを友達だって思ってくれる?」


矢口はポカーンとしてて口をだらしなく開けた

「キャハハハハハッ!なっちはばかだなあっ
当たり前じゃないかぁっ!
むしろ私がそれ聞こうと思ってたのにっくくくっ」
いきなり矢口はそう言って笑い出した

(そっかこれからも友達でいられるんだ)
カオリには悪いけど・・・
カオリより少し矢口の親友に近くなったみたい
269 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/11/28(金) 18:04
(あぁ・・・そうだ・・・私の初恋は・・・矢口で・・・すぐに振られちゃったんだ)

カオリは涙を流していた

なっちは最期の力を振り絞ってカオリに伝えることを伝えた
「・・・なっちも・・・黄泉がえ・・・るよ・・・また・・・
矢口を・・・止める・・・か・・・」

意識が遠くなる















あぁ・・・そっか
なんであの時・・・振られたのにスッキリしたのか・・・

なっちは・・・ただ単純に・・・矢口に自分の気持ちを伝えたかっただけなんだ
付き合うとか、付き合わないとか、そんなの関係なしに
だから・・・満足できたから・・・















ありがとう
矢口 カオリ









270 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/11/28(金) 18:08
なっちの意識は・・・これを最期に途絶えた














―一年後の夏
「ん・・・ここ・・・は?」
私は・・・ここは・・・どうして・・・

なにもかも意味がわからない

私はどうしてこんなところにいるのか

前、私はどこにいたのか

で、私はどこの誰なのか


その時だった
「!?」
頭の中に記憶が映し出された
271 名前:タケ 投稿日:2003/11/28(金) 18:12
更新終了です

安倍さんの中学時代は一応ここで終わりです
また他のエピソード書くかもしれませんが・・・

>264 つみ 様
とりあえず安倍さんの中学時代が終わりました
もっとも謎が多いのは高校の方なんですが・・・(多分)

そういえば2より早く安倍さんが黄泉がえってしまった(汗)
どうしよう・・・
272 名前:つみ 投稿日:2003/11/28(金) 20:27
おお!
黄泉がえったのですか?!なっつあん!!
謎がまだ多いっすけど、作者さんがんばってください!
273 名前:黄泉がえり2 投稿日:2003/12/02(火) 18:35
高校生になって数ヶ月したある日

「ねぇ、俺と付き合わない?」
「え・・・?」

放課後・・・
体育館裏に呼ばれた先輩に私は告白された

まったく意味がつかめなかった
まさか告白されるなんて・・・


その先輩は背が高く細身でハンサムだった
「ね〜どうなの〜?」





「ごめんなさい」
「え」
先輩はショックだったのかそのまま動かなかった

私は悪いと思いいつつそのまま足早にその場を去った
これが全ての始まりだった
274 名前:タケ 投稿日:2003/12/02(火) 18:36
タイトル間違えました(爆)

黄泉がえり0 〜安倍編〜

です
失礼しました
275 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/02(火) 18:41
私は矢口とカオリにそのことは言わなかった
話すのも恥ずかしかったし・・・
それに・・・










一週間後・・・
私はある異変に気がついた
(くつが動かされてる?)

それは気のせいではなかった
それから何日かするとくつの中に小さなゴミが入っていた
(もしかして・・・)





悲しいかな
予想は当たる事になる
276 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/02(火) 18:47
それから更に数日が過ぎた
相変わらずへんなイタズラは続いていた




そのなある日の放課後
「あの〜安倍さんだよねぇ?ちょっといいかな?」
私は女の先輩に呼ばれた
でも私はその先輩とまともに話しをしたことがなかった

「あ、はい」
(おい、なっち!あの先輩と知り合いなのか?)
小声で矢口が話しかけてきた
「うんん、全然知らない人」

そのまま私はその先輩に体育館の裏まで連れてかれた


そのとき私はやっとわかった
変なことをしていたのはこの先輩だと

「きたね?安倍なつみぃ!!」
2、3人の先輩が立っていた
277 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/02(火) 18:51
「あの・・・私がなにか・・・」
ドンッ

『私がなにかしましたか?』
と聞く前に連れてこられた先輩に背中を押され倒された

「なにしただぁ!?お前自分がしたこと気付いてないわけ?」
私はまったく見当がつかなかった


「前に振っただろ?男をさぁ」
!!
そう言えば前にここで・・・


「あの人さぁ私達と遊ばなくなっちゃったんだよねぇ〜
あんたに振られてから!!」
そうか・・・そのはらいせになっちを・・・




どうしよう・・・
278 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/02(火) 18:55
「ほら・・・立ちなよ」

私は言われるまま立ち上がろうとした

ボスッ
「!??っあぁ・・・」
いきなりお腹を殴られた

その不意打ちで私はその場に座り込んでしまった

「おい!顔とか腕とか足とかはやるなよ!あざがついたら大変だからな!」
先輩の1人がそう言って後ろから私の髪をつかんで無理やり立ち上がらせた
「いたっ!」
279 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/02(火) 19:00
「なにが『いたっ!』だよぉ!!いたいのはこれからだぜぇ!!」

























気がついたら私は地面に寝転がっていた

ズキン
お腹や背中に激しい痛みを感じた

「っぁ・・・っく・・・うぅっ」
私は声を押し殺して泣いた

280 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/02(火) 19:05
それから1週間に1回のペースで私は先輩に呼ばれるようになった
「ね〜安倍ぇ!一緒に遊びに行こう!」
その一言は
(いかねぇとただじゃあおかねーぞ!)
と言っているようにも聞こえた

実際そうだろうし・・・


体育館裏へ行けばいつもの先輩達が不気味な笑顔で待っていた

それからあとはただただ殴られたり蹴られたりするだけだった
お腹や背中を中心に私が動けなくなるまでそれは続けられた




私は矢口とカオリに相談しようと思った
でもそれはダメだった





「もし誰かに言ったらそいつまとめてボコボコにしてやるからな!」
と言われていたからだ

矢口とカオリには迷惑かけたくない
その一心で私はいじめを耐え続けた
281 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/02(火) 19:12
でも2人の目をごまかせたのは一ヶ月もたたなかった

「なっち・・・なんか顔色悪いよ?なにかあったでしょ?」
その日の放課後・・・矢口とカオリと帰っていたときだった
急にカオリがそう言い出した

「・・・なんでもないよ」
「なっち・・・カオリの目はごまかせないよ?」
さすがカオリ・・・私はごまかしきれないと悟って全てを話した

「・・・実は・・・」

「え? いじめ?一体誰に?」
「・・・上級生の・・・人」
「なんで私や矢口に相談しなかったのさ!」

矢口は怒っているのか泣いているのかどっちとも言えない顔だった
その目には涙が溜まっていた
カオリも顔と目を赤くしていた


「だって矢口達を巻き込めたくなかったんだもん!」

「でもなっちは大丈夫じゃないだろ?」
矢口の目から涙がこぼれた
282 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/02(火) 19:16
「矢口・・・」
「大丈夫じゃないよ・・・でしょ?なっち・・・」


「だ、大丈夫だよ・・・」
私は必死でそれを否定した
これ以上2人に迷惑をかけさせたくなかった





でも2人は私を振り切ってこう言ってくれた
「大丈夫じゃない!私が守ってあげる!」
「カオリも守るよ!」
2人の目からは大粒の涙が流れていた



「ありが・・・とぉ・・・っ」
私の目からも涙が零れ落ちていた

私はもういじめは怖くなかった





2人がいる





これだけで充分だった
283 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/02(火) 19:20
それからは矢口とカオリは学校にいる間ずっと私に付きっきりだった
「そこまでしなくても・・・」
「だめだよ!どこでそいつらが狙ってるかわかんないじゃん!」
「そうそうっ!気を抜いたらダメだよなっち!」

あまりにも真剣な2人の顔に私は感謝し、それ以上なにも言わなかった










そして問題の日がやってきた
「今日だね?」
「うん、今日だよ・・・多分」

この高校の部活がある日は月・水・金で
先輩達が来るのは部活のない木曜日が多かった



そして・・・
「安倍ぇ〜!」
先輩達はやってきた
284 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/02(火) 19:27
「さっ遊びに行こう?」

そう言って私に近づいてきた途端
矢口が先輩に近づいていった
「あの〜先輩?」
「あ?お前誰?」

「矢口真里って言うんですけどぉ私とカオリも先輩と遊びたいなぁって
思っちゃったり思ってなかったりしてるんですけどぉいいですかぁ?」

わざと語尾を伸ばして可愛らしく喋っている矢口だったけど
目はすでにケンカ腰だった

なっちの隣にいたカオリもキッと先輩達を睨んでいた

それに気付いたのか先輩は
「あぁ、いいよ?安倍と一緒に遊んでやるよ」

こうして私と矢口とカオリは体育館裏に呼び出された
285 名前:タケ 投稿日:2003/12/02(火) 19:32
更新終了です

今回は安倍さんへのいじめについてでした
ちなみに矢口さんが『力』を出してしまうケンカは
また後の話しです

>272 つみ 様
謎・・・多いです・・・自分でも忘れるくらいに(泣
まぁこれで少しは謎が解明されたと思います
(〜^◇^)<ホントかよ!

次回はケンカです
286 名前:つみ 投稿日:2003/12/02(火) 21:30
喧嘩・・・
安倍さんの力の謎はまだですか・・・
気になって眠れません・・・
(〜^◇^)<教えてくれよ!
って感じです・・はい・・
287 名前:名無し読者。 投稿日:2003/12/12(金) 00:41
中澤さんと平家さんの過去も読んでみたいな〜
288 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 17:25
―体育館裏

先輩はいつも通り3人いた

「あれ?今日は3人なんだ」
待っていた片方の先輩が私達を連れてきた先輩に聞いていた

「あぁ、アイツらも遊んで欲しいって」
「そう、じゃあ始めよっか?」
「誰からやるの?」
もう片方の先輩が聞いた

連れてきた先輩はう〜んとうなりながらこっちをギロッと見ていた





なにを見たのか先輩は納得した顔をして
「じゃあまず遊んでもらいたそうな顔してるそこのちっちゃいのからね」
と矢口に目を向けた
289 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 17:29
「ちょっ、なんで矢口が・・・」
思わず私は止めに入った

矢口達にはケガをさせたくなかったから

「ふーん、じゃあ・・・」
そう言うと先輩は私に一歩近づいた
(ヤバイ!!)



「まずは安倍からねっ!!」
ビュッ











290 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 17:35
「イテテテッ!はっ離せよぉ!!」
殴ろうとした先輩の手は矢口の右手に収まっていた

その手を思いっきり握ったんだろう、先輩は顔を歪ませて痛々しい声を挙げていた

「そいつの手を離せよぉ!!」
矢口に向かってもう1人の先輩が迫っていた



ぼすっ
「くぁ・・・」
向かってきた先輩のお腹に矢口は蹴りを入れた

ダメージが大きかったのか無防備だったのか
その先輩はそのまま地面に倒れこんだ

「次、あんたね?」
矢口は手を掴んでいた先輩に目を向けた
291 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 17:40
「このっ」
その先輩は手を振り払い、無理矢理矢口の手から逃れた

「今度はこっちから・・・」
向かってくる先輩に矢口は
「元々そっちからだったろ?」
と言って右手で先輩の顔を狙った

ビュン

スッ
それを紙一重で先輩は避けた

そして今度は先輩の右手が矢口の頬に向かっていた






ぼすっ
292 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 17:47
矢口の頬スレスレで先輩の右手は止まった

「ひだり・・・て?」
ガクッ

そう言ってその先輩もお腹を抑えてその場に座り込んでしまった

そう、矢口が出した右手はフェイクで本当は左手で先輩のわき腹を狙ったのだ
「すご・・・」
私は思わず声を漏らした




「きゃあああっ!!」

「!?」
私と矢口の後ろから声がした



「かっカオリ!?」
残っていた先輩がカオリを後ろから羽交い締めをしていた
それは私達を連れてきた先輩だった
293 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 17:54
「おい!アンタ!!カオリを離せっ!」
「うっせぇ!!なんでこっちがやられなきゃならないんだよぉ!!」

先輩はカオリを羽交い締めをしたままゆっくり矢口に近づいた
「殴らせろ、じゃないとコイツを殴るぞ」

「殴れるのかよ?」
矢口は強気だった

「あぁ、コイツは力弱そうだもん」
その先輩も強気だった

「そこじゃねぇよ!」
ダッ

矢口は小さい体をさらに小さくするように身をかがめて
その先輩に近づいた

「ばーか!コイツを殴る気かよ」
294 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 17:57
その瞬間
ザッ

「!!」










矢口は土をつかんでそれを先輩の顔に目掛けて投げた

べちゃっ
「うわっぷ」
土は見事先輩の顔にあたった
295 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 18:01
それを矢口は見逃さなかった
カオリと先輩の間に入って先輩の腕を殴った

ゴツン
「がぁっ!!」
それによってカオリは羽交い締めから逃れることに成功した







でもそれもつかの間
ガシッ

「わっ!?」
先輩は捨て身で矢口にしがみつきそのまま倒れこんだ
296 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 18:09
「てめぇ!!なめるのもいい加減にしろよっ!!」

先輩は馬乗りになるような形で矢口のお腹の上に乗っていた
「がっ・・・」

「死ねぇっ!!」









(矢口が危ないっ!!)


そう思った瞬間
私は無我夢中で先輩に突進していた

どぉぉん



ドサッ
先輩は体を浮かせ矢口から少し離れたところに体を叩きつけられた
297 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 18:14
私はそのままその先輩に近づいて胸倉を掴んだ

「アンタ!!矢口とカオリに怪我させてみなよ!!
私は・・・私は絶対アンタを許さないからね!?」
そう言って私は先輩を掴んでいた手を離した

先輩は呆然とその場に座りこんでいた
298 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 18:26
私は後ろを振り向いた
「矢口・・・カオリ・・・ごめん
怖い思いさせちゃって」

「なに言ってんだよ!なっちは悪くない!」
矢口はゆっくり起き上がりながらそう言った

「そうだよ!矢口とカオリはなっちのためにここに来たんだから!」
カオリも続いた

「・・・でもカオリは矢口と違ってなんにも出来なかった
それどころか足手まといになっちゃって」
その言葉に私は反応した

「なに言ってんだよ!!私はうれしかった
矢口とカオリがいてくれたから・・・
ホントは自分1人で解決しなくちゃいけないんだろうけど・・・それでも私は嬉しかったよ!!」

「なっち・・・」
カオリの目には涙が溜まっていた

「なっ泣かないでよぉ」
「あわわ私こう言うの苦手なんだよ〜カオリぃ〜!!」
矢口が焦った声でカオリを慰めようとした
「ごっごめん・・・ごめっ・・・」

そのままカオリの目からは大粒の涙が零れ落ちていった
299 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2003/12/24(水) 18:29
それからは先輩はもう来なくなった

私は嬉しかった
でもそれは先輩が来なくなったからじゃなかった





矢口とカオリがいてくれたから
私は神様に感謝した




この2人と巡りあわせてくれたことに・・・
300 名前:タケ 投稿日:2003/12/24(水) 18:41
更新終了です

ケンカ終了ですw
どうも登場人物を生かしきれてないなーと思い反省

>286 つみ 様

>安倍さんの力の謎はまだですか・・・
はい。謎です(マテ)
これからの展開できっと明らかになるはずなんで・・・
(〜^◇^)<待っててくれよ!
って感じです、スマソ・・・

>287 名無し読者。 様

中澤さんに平家さん・・・共に謎が多いですねw
そんな2人の過去・・・いつか書こうと思ってます


次回
ついに悲劇が・・・
301 名前:つみ 投稿日:2003/12/24(水) 18:46
次回
ついに悲劇が・・・
いったい作者さんはどんな悲劇を・・・
川o・-・)<来年もよろ〜♪
302 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/01(木) 17:31
あっという間に時間が過ぎ気が付いたら
私達は3年生になっていた

『あの』先輩達は3月に卒業していったので
もう完全にいじめられる不安はなくなっていた

それでも私達はいつも一緒だった

朝の登校も 休み時間も 部活のない放課後も
とにかく時間があれば3人で行動していた




そう、『あの日』までは・・・
303 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/01(木) 17:40
カオリは去年生徒会に立候補し、見事、副会長になっていた
矢口は部活に熱中していた


それが『あの日』に繋がっていた


―カオリ
「あ〜ごめん!今日生徒会の話し合いなんだぁ」
いつもは部活のある日に行うはずの生徒会はその日・・・木曜日に行われた

―矢口
「あ〜ごめんなっちぃ〜なんかさぁ、顧問の先生が今日も練習するって言うからさぁ」
これも偶然だった




教室の窓からほんのり赤く染まった太陽がこっちを照らしていた
私はなぜか嫌な予感がした

でも私はそれに気付かないフリをした
「じゃあ、また明日!」
最近ではほとんどなかった1人での帰宅だった
304 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/01(木) 17:47
「あれ?安倍じゃんか」



ドキッ
家に変える途中の・・・人気の少ない場所で偶然『あの』先輩達に会ってしまった

「へぇ〜あの金髪のチビとデカイのはいないんだ〜」
私は恐怖で何も言えなかった










どさぁっ
「あ・・・うぅぅ」
先輩達はあのときの出来事のうっぷんを晴らすように私に暴力をふった

矢口も・・・カオリもいない・・・

どうすればいいのか?
「ほらぁっ 立てよぉ!!」
先輩の1人に無理矢理立たされたとき私は思った
(そうだ・・・いつまでも2人に頼っちゃ・・・ダメだ!)
305 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/01(木) 17:52
私は出きる限りの抵抗をした

カバンををブンブン振って先輩を威嚇したり
捨て身で先輩に体当たりしたり

ぼかっ

でもそんなのは先輩にとってなんでもなかった

ずしゃあ
体中が悲鳴を挙げていた

もうダメだ・・・








その時だった
「なっちぃ!!!」
「やっやぐちぃ!!」

(結局私は矢口を頼ってる?)

矢口が来てくれたのを嬉しく思うその裏で私はふと疑問を持った
306 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/01(木) 17:57
「もうなっちに手を出すな!!」
矢口は一瞬で先輩たちを圧倒した

矢口は私の方を向いた

私がさっきの疑問も忘れ、立ちあがり、矢口の元へ向かおうとした
その時だった

先輩の1人が起きあがり
矢口の背後から矢口を襲おうと向かってきていた

「!!」
矢口が気づいたとにはもう先輩の間合いに入っていた




ばっ
その瞬間・・・私の体は先輩の前と、
矢口の前に立っていた
307 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/01(木) 18:03
ばきぃっ

左の頬の感覚が無くなったような気がした
だんだん地面が私の顔に近づくのがわかった

もっとも近づいているのは私のほうだったけれど・・・


どさっ

冷たいコンクリートに叩きつけられた

徐々に意識が無くなってくのがわかった










「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!! なっちぃぃぃ!!」
矢口の叫び声と

瞬間の空気の揺れを感じ

私の意識は










途絶えた
308 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/01(木) 18:10
目が覚めると
さっきまで倒れていた2人の先輩は私の遠くで、さっきより傷ついて倒れていた

「う・・・わぁぁぁぁぁ!!」

そう叫んだ先輩はさっき矢口を殴ろうとして私を殴った先輩だった
先輩の目の前には矢口





ドンッ
また空気が揺れた





意識が戻ったばっかりだったからなのか
暗くなりかけてた空のせいだったのか

先輩は宙を浮いているように見えた
浮いていると言うよりは吹っ飛んだと言う方が正確だったかもしれない
309 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/01(木) 18:17
ドサッ
「あ・・・ぁ・・・」
先輩は口をパクパクさせ暗くなりかけていても分かるくらいに怯えていた

矢口に目を移す
矢口はクルッと後ろを振り向いた

後ろには道が一本あった
左右と前方には少ないスペースしかなく、壁が立ちはだかっていた
私はしばらくそこで先輩達に暴力を受けていた

でも今では逆だ
前方には矢口に吹き飛ばされた先輩が

左側の壁側には残りの先輩2人が倒れていた



そして唯一の通り道の・・・矢口の後ろの道に目を向けた
そこで私はカオリの姿を確認できた
310 名前:タケ 投稿日:2004/01/01(木) 18:23
更新終了です

安倍さん視点の『悲劇』でした
そしてこれから『本当の悲劇』が幕をあけるわけです

>301 つみ 様

>いったい作者さんはどんな悲劇を・・・
こんな悲劇でしたがいかがでしたか?
(いかがもなにも>>88−91の視点が変わっただけだけどw)

(〜^◇^)<今年もよろ〜♪
311 名前:つみ 投稿日:2004/01/01(木) 21:16
あの悲劇でしたか・・・
ということは『本当の悲劇』とはやはり・・・
312 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/19(月) 04:08
その後はたまたま歩いた人が救急車を呼んできて、結局警察まで来てしまった

その後どうなったかはよく覚えてない





その先輩が全員無事だった事と近くの交番で話しをしたことを除いて・・・


気が付いたら私は学校にいた
教室に入ると急にみんなが私に寄ってきた

「ねぇねぇ、昨日何があったの!?」
1人の生徒が聞いてきた

「へ?え?・・・何のこと?」
全く状況が理解できてない私は困惑したような声で聞き返した

「矢口が・・・停学くらったんだよ!」

耳を疑った
それと同時に胃が重くなるような感覚がした




「え?」
私はそれ以上口を動かすことができなかった
313 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/19(月) 04:13
状況が理解できない間に先生が入ってきた

そして開口1番に、
「今日は緊急で全校集会がある
みんな今から体育館に行ってくれ」
と言って慌ただしく廊下を走って行った


私はその集会がなんのために行われるのかわかった




矢口の事だ・・・って
314 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/19(月) 04:20
ザワザワ ザワザワ

体育館へ行ってみるともう大半の生徒が入って学年、クラス、出席番号順に並んでいた
私達のクラスは急いで並んだ





(あれ?カオリは?)
教室にもいなかったし・・・今日は休みなの?
何か・・・よくわからないけど漠然とした不安が私を襲ってきた





「安倍、安倍!」
ハッとすると後ろから先生が私を呼んでいた

「どっどうしたんですか?」
「すまんすまん、お前はいいんだ」

「私は・・・いい!?」
一体何の話?




そして私は先生に連れられて生徒指導室へ連れてかれた
315 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/19(月) 04:24
ガラッ

「あっなっち!!」
見るとそこには椅子に座っているカオリの姿があった

「カオリっ!なんでここに・・・」

「なんか学校来たら・・・急に先生に呼ばれて・・・」
カオリも不安だったのか顔が青かった

「先生・・・」
私は意味がわからなくて先生に今の状況を尋ねた
316 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/19(月) 04:36
「昨日電話があったんだ・・・警察から」

「警察!?」
カオリが叫んだ

昨日って・・・まさか


「それでな・・・矢口と安倍と飯田、お前らがこの学校の卒業生と一緒にいたって・・・
体中ボロボロで・・・倒れていたそいつらと・・・な」
先生は俯きながらそう言った
顔からは冷や汗が流れていた

「「・・・」」
私もカオリも黙りこんだ
何を言えばいいのかわからない・・・言葉が見つからない


「で、その場の状況とその卒業生の話しで矢口は停学3日・・・で、今あいつは家にいる
で、安倍、飯田・・・お前らは今日1日ここにいろ」




先生は辛そうな顔をしながら話し終えた
「あっあの・・・」
「じゃっじゃあ、おとなしくしてろよ」

ピシャッと音と共に先生はいなくなった
317 名前:タケ 投稿日:2004/01/19(月) 04:41
遅くなりました
更新終了です

>311 つみ 様
『本当の悲劇』・・・まぁその通りなんですがw
安倍さんの視点なんで・・・ちょっと変わると思います
318 名前:つみ 投稿日:2004/01/19(月) 15:45
やぐっつあん・・・
このころからオオカミみたいに・・
やはり次はあれですか。
次回を待ってます!
319 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/25(日) 17:06
―3日後

「やっと矢口が帰ってくるね!」
学校へ行く道の途中、私は笑顔でカオリと話しをしていた
「そうだねぇ〜長かったね〜」
カオリも眩しいくらいの笑顔だ



長かったって・・・3日だけじゃん

って思ったものの私自身矢口のいないこの3日間は辛かった
だからそんなことは口に出す事は無かった









 でも本当に辛くなるのは・・・これからのことだったんだから


そんなことに気付くはずもなく私とカオリは意気揚揚と学校へ向かった
320 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/25(日) 17:10
「おは「うるさいなぁっ!私は話したくないんだ!!ほっていてよ」
私の言葉を遮るように誰かが叫んでいた

「「矢口?」」
私とカオリの声が重なった

そう、その声は私達の親友、矢口真里のものだった





ただ、その時の矢口の目は、『あの時』矢口の目のように冷たく、恐ろしかった
321 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/25(日) 17:14






 矢口は変わった・・・変わってしまった



今まで私とカオリは矢口が本気で怒るのを見たことがなかった


それが『あの時』から
―あぁ!?なんだよぉっ!!

―はぁ?知るかそんなの!

―ねぇ、そんなに私を怒らせたいわけ?





矢口は変わり果ててしまった
322 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/25(日) 17:21
それから矢口は誰とも話さなくなった
というよりみんなが矢口から離れてしまったのだ

私と、カオリを除いて・・・



皮肉なことに仕返しを怖がったのか誰も私達をいじめようとはしなかった


そして矢口の暴走は更に続いた


ついには『力』を出すようになってしまった
もっとも・・・その『力』は弱くて、運も助けてくれたようで誰も怪我することなく、
そして矢口の『力』の存在に気付かずにいた


323 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/01/25(日) 17:27
矢口は怒らなければいつもの「矢口」だった
よく笑って・・・よく喋って・・・まったく変わっていなかった



でもそれは私の思い違いだったんだ

―ある日

(矢口真里ってさぁ、バーサーカーみたいだよなぁ?)
(なんだそれ?)
(知らないのか?どっかの神話でさ、
普段おとなしいのに闘いとかになると人が変わるんだってよ?)
(あ〜ホントだ、アイツみたいだな)
なんて話しを誰かがしていた


そして何日かして矢口は本当にそう呼ばれるようになった
あくまで裏でコソコソと・・・
324 名前:タケ 投稿日:2004/01/25(日) 17:32
更新終了です

風邪をひいてしまいました(爆)
と言ってももうほぼ治りましたが・・・
雑談でスマソ

>318 つみ 様

そうです、まるで一匹狼の如し・・・
そしてそんな矢口さんのためについに安倍さんが!!
となるのは先の話しになりそうです(あんま進んでないんで)
325 名前:つみ 投稿日:2004/01/25(日) 22:52
バーサーカー・・・
確かに今の矢口さんには当てはまる言葉ですよね・・
確かバーサーカーは戦いが終わると眠ったようになるとかいうやつですよね?
じゃあやぐちさんは眠れる日が来るのでしょうか?
そういうところで、次回まで待ってます。
なっち卒業おめ!
326 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/08(日) 18:52
それから数日後・・・

「じゃあ帰ろっか」
「うん・・・」
矢口の声は小さくて、顔を見てみると青ざめているように見えた

「矢口・・・大丈夫?」
「あぁ、私は大丈夫だよ・・・」
「そう」





 嘘付き・・・ ホントは苦しいくせに・・・
 いつも言ってるじゃない・・・『なんであぁなるんだ』って・・・
 
 なんで『力』が出るんだ って・・・ 


私はどうにかして矢口を助けたかった
でもどうすればいいか、わからなかった
327 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/08(日) 18:58
その帰り道だった

私達意外誰もいない、静かな帰り道だった
夕焼けが私達の背中を照らしていた

「ねぇカオリ・・・なっち・・・私・・・もういない方がいいのかもしれない」
急に矢口は立ち止まってポツリと呟いた


矢口の言った意味がわかるのに数秒かかった

ドサッ
隣でカオリがカバンを落とした
カオリも気付いたのだろう真っ青な顔だった


きっと3人は同じ事を思ってたと思う







 矢口は・・・死ぬつもりなんだと
328 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/08(日) 19:05
「なっ・・・なに言ってるのさ矢口!!」
カオリが悲痛な声で叫んだ
私もなにか言おうと思ったのに声がでなかった
それでも気持ちはカオリと一緒

矢口には心でほしくない・・・





矢口はこっちを見ながら「はぁ」とため息をついて話し始めようとした
「もういいんだよ・・・私さえいなければ・・・」
「ばかっ!!!」
パーンッ

その途中を遮ったのは
「な・・・っち?」
私だった
329 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/08(日) 19:09
「あ・・・」
気が付いたら矢口を殴っていた
矢口は頬を押さえ驚いた顔でこっちを見ていた














「矢口・・・誰がなんて言おうとカオリなっちは矢口の親友だよ?
矢口、私達はずっと親友だよ!」

沈黙を破ったのはカオリ・・・


そうだよ・・・私もカオリも矢口の親友だよ・・・ねぇ矢口・・・
涙が流れてきた

「そうだよ!!カオリの言う通りだよ!なっちもカオリも・・・
矢口のことが大好きだよ?だから・・・ばかなこと・・・言わないで?」
その涙を無視して私はカオリに続いた
330 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/08(日) 19:17
矢口は頬を押さえたまま私達の訴えを聞いていた
そしてすぐ、矢口の肩が震えているのがわかった

「うん・・・なっち・・・カオリ・・・ありがと」
途切れ途切れに矢口はそう言うと両手を流れる涙を隠すように顔にもっていった







「ずっと・・・ずっと友達でいようね?」
矢口は涙声でそう言った
私とカオリは矢口に近づいて3人で小さい輪を囲むように抱き着いて

「「うん、誓うよ」」

と矢口に聞こえるようにハッキリと言った










この瞬間、私達の友情は一生のものになった
331 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/08(日) 19:24
私は家に帰って自分の部屋にこもった

お母さんは心配そうな顔だったのが頭に浮かんだ
きっと私が矢口と一緒だからなんだろう
矢口の悪評は近所の人達にも知れ渡っていた
もちろん・・・お母さんも・・・


だから最近、私とお母さんの仲は悪い
お母さんは本当の矢口を見ていない

本当の矢口は誰よりも優しくて温かいんだ・・・
だから誰よりも自分を憎むんだ
自分がみんなを傷つけているから・・・





だから私が助ける・・・矢口を・・・矢口自身の『力』から・・・
332 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/08(日) 19:34
まず始めにどうやって矢口の『力』をなくせばいいのか?

これが1番重要で、なおかつ1番の難関でもあった


カオリが言うには矢口の『力』は矢口が心に溜めていた怒り・悲しみ・憎しみなどの
人間の『負』の感情と言えるものが矢口の我慢を超えると『力』がでてしまうらしい・・・

だから私が思うに最近矢口が微弱な『力』を何度も出しているのは
何らかの原因で精神的に安定しなくなった矢口の心は負の感情を押さえ切れなくなって
しまっているから・・・
微弱なのは限界を少し超えているだけだから・・・あくまで少しだけ


だからこの考えが当たってれば矢口の『力』を無くすには矢口の精神状態を安定させることが1番いい方法・・・
なんだけど・・・
実際にやってできるわけじゃないしどうすればいいのかもわからない

私は最初から難問の壁にぶつかっていた
333 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/08(日) 19:41
結局その日は考えが浮かばず、そのまま寝てしまった





―なっち!カオリ!ありがとう!

―え?

―「え?」じゃないよ!
なっちぃ〜なっちとカオリのおかげで私の『力』、無くなったんだよ?

―ホントに?

―ホントだよぉ!
334 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/08(日) 19:45
―やったねなっち!カオリも手伝ったけどさ
なっちだ見つけたんだよ?『力』の無くしかた

―カオリ・・・それホント?

―うん!

―・・・よかった・・・ほんとよかった・・・

―でも、

―え?どうかしたの?

―問題はなっちの方だよね

―え?私?それどういう・・・

―今度はなっちの『ちか・・・

―なに?聞こえないよ!?カオリ!

―なっち!!

―矢口?今のどういうこと?

―なっちの『ちか・・・は・・・ま・・・ら』・・・わたし・・・カオ・・・まも・・・

―聞こえない・・・聞こえないよ!










「聞こえないよ!! カオリ!矢口!」
335 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/08(日) 19:51
「あ・・・」
まず目に入ったのは天井

それから視線を下げて壁、それから自分の机、椅子、そして床





「夢・・・だったの?」
そう理解すると同時に肩の力が抜けるのが分かった

 矢口の『力』が無くなったと思ったのに・・・

それにしても・・・

―なっちの『ちか・・・は・・・ま・・・ら』・・・わたし・・・カオ・・・まも・・・

あれは何だったんだろう・・・





ずっと夢のことを考えている私をよそに時計の針は学校の登校時間に到達しようとしていた
336 名前:タケ 投稿日:2004/02/08(日) 19:56
更新終了です
やっと安倍さんが始動してくれました
まぁ最初の壁にぶつかってますが(w

>325 つみ 様
>確かバーサーカーは戦いが終わると眠ったようになるとかいうやつですよね?
それは知らなかった(w
皮肉なことにこれも矢口さんに当てはまりそうです
そして安倍さんにも・・・
337 名前:つみ 投稿日:2004/02/08(日) 20:36
いよいよ何かが芽生えてきてますね〜
そろそろいろんな謎が解明されてきそうですね!
楽しみに待ってます!
338 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/16(月) 12:20
7月が近づき、日に日に気温が暑くなるのがわかった

矢口が事を起こしたのは5月

私が矢口の『力』のことを考え始めたのが6月だからそれからもう一ヶ月が過ぎようとしていた・・・


その一ヶ月間私の考えに進展はなかった
結局矢口の『力』をどうするか・・・未だにそれがわからずにいた



そんなある日の朝
私は『ある人』の存在を知る事になる
339 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/16(月) 12:32
その日、私は早く起きてゆっくり朝ご飯を食べることができた
時間に余裕があったのでお父さんが見ていたニュースを見ていた

その間でも私は矢口のことをどうするか考えていた
そのときだった

―え、次のニュースです。
中澤裕子さんが行方不明になってからから今日で5年目になります

始めは そんな人いるんだ って思っただけだった
私は空になった茶碗を持って台所に持って行こうとした

―え、中澤さんは心理学者で、
『人間の感情とその現象について』について調べていたのですが・・・



カチャーン
私の茶碗がテーブルに落ちるのも忘れ私は2階へ走り出した
340 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/16(月) 12:39
自分の部屋に入ってすぐパソコンを開いた
そして 中澤裕子 心理学者 と検索して調べてみた

でも5年前に消えた彼女の事を記述しているサイトは少なかった
それでも私は単語を色々組替えては彼女について調べた

 この人は私と同じことをしようとしてた・・・きっと今私の壁になってる部分も知ってるはずだ!


そう期待しながら私は登校時間ギリギリまで「中澤裕子」という女性を調べた
341 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/16(月) 12:44
学校でも私は作業を続けた

昼休みと放課後に限って生徒はパソコン室でパソコンができるようになっていた
私はカオリと矢口から離れて単独で作業を続けた

多分私は焦ってた
約一ヶ月頑張って頭を捻っても見つからなかった答えが
彼女によって解決されると思ったからそのぶん夢中になって・・・





だからそのときの私は周りが見えてなかった
当然2人が気付かないわけないのに
342 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/16(月) 12:49
それでも私は狂ったように彼女の事を調べ続けた



そして・・・私はついに中澤さんの情報の手掛かりになりそうなサイトを見つけた
そのサイトを見つけるのに時間がかかったのはまさに灯台下暗し・・・
というかそのサイトがとても心理学者・中澤さんのことを書いてるように思えなかったから・・・

何はともあれ私はついに情報を得た
まず私はそのサイトの管理人さんと中澤さんについてメールのやりとりを行った
343 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/16(月) 12:59
メールをしている内にそのサイトの管理人はどうやら中澤さんの親友だったらしい
あるときその人からとんでもない事実を聞かされた

私はいつものように管理人に中澤さんに関するメールを送った
数十分後に返事が返って来た

 あなたは信用できそうだから書くけど、
 裕ちゃんはね、ただ変人だとか奇人だとか言われて消えたんじゃないの。
 私と裕ちゃんの間に起こったことが原因だったの・・・
 もっとも、今はそれを言う勇気はないけど。
 
 そう言えば、さっきあなた、「中澤さんはまだ生きてるのか」って書いたでしょ?
 実はね、ちゃんと生きてる。数十人の研究員を引き連れて元気にやってるの。
 まぁ、私は上に書いたとおり色々あってその一員じゃないけど。
 じゃあ、またなにかあったらメール送ってね?
344 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/16(月) 13:03
中澤さんは生きている・・・
行方不明になったのが5年前だからもう亡くなってるのかと半信半疑だったけど
今その悩みが晴れた

(聞けたら・・・中澤さんの電話番号とか聞いてみたいな)

そう思い、私は勢いに乗って再びメールを打ち始めた




その後ろで、ベットに置いてある私のカバンから、携帯がなっているのも気づかずに・・・
345 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/16(月) 13:15
それからというものの私のメールの内容は
中澤さんの今いる場所や携帯、電話番号を尋ねているのが多くなった

始めはわからないと言っていた管理人だったけれど
半ば無理矢理に問い詰めたらついに管理人さんが中澤さんの携帯の番号を教えてくれた




「でも・・・冷静になって考えると、なんかおかしいよね?この管理人・・・」
なんで中澤さんと一緒にいないのにここまで今の中澤さんを知っているんだろう?
それに5年前から仲が悪いらしいのになんで中澤さんのサイトを?

「ま、いっかぁ」
私は疲れてそのままベットに横たわって寝てしまった


矢口かカオリのメールが届いているであろう携帯には目もくれずに・・・
346 名前:タケ 投稿日:2004/02/16(月) 13:20
だらだらな更新でした
まぁそれはいつもの事ですが・・・(汗)

>337 つみ 様
だんだんと過去が明らかになってきました
ちなみに今回登場した「あるサイトの管理人さん」
実は2でも出てます(上の名前じゃないけどw)

あ・・・自爆ネタバレか?
347 名前:つみ 投稿日:2004/02/17(火) 00:54
管理人・・・
あの方かはたまたあの方か・・・
どちらにせよあちらの方ですよね〜
なっちさんは友達思いだホントに。
348 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 19:42
次の日・・・

「おはよう、矢口!カオリ!」

「うん・・・おはよ」
「おはよう、なっち・・・」



私はなにか違和感を感じた

心なしか矢口とカオリの顔が暗く見えたから・・・
私は気のせいだと勝手に思いこみ、そのまま3人で学校へ行った




私の足取りは軽かった
それは昨日、ついに管理人さんから中澤さんの電話番号(携帯)を知る事ができたから
今日さっそく学校で電話しよう・・・


でもそのときの私は周りが見えていなかったんだ
私の後ろで足取りの重い矢口とカオリが、なにかを話してるのに気付かないほどに・・・
349 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 19:50
ツーッ ツーッ ツーッ

「・・・出ないや」
休み時間、学校の電話をかりて中澤さんに電話し始めてもう5回目・・・
中澤さんへは1回も出なかった

ガシャッ

「まさか・・・ダマされたってこと・・・ないよね?」
私は自分に問いかけた
不安になった私はもう1回電話する事にした

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

私は待った
中澤さんが電話に出るのを

もう次の授業が始まろうとしている

それでも私は続けた


もう10回以上、コールして、何回鳴ったかわからなくなったころ
ガチャッ
「もしもし?」
350 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 19:56
ついに中澤さんは電話に出てくれた

「もしもし!?中澤さんですか?」
「・・・アンタ、誰や?」

「お願いです!矢口を・・・矢口を助けてください!!」

「・・・は?」





私は大まかに事情を話した

「なるほどな・・・」
「じゃあ、あなたは、中澤さんなんですか?」
私は念を押した

「あぁ、そうや・・・えっと、安倍さん?」
351 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 20:00
また後で電話しようと言って中澤さんは電話を切った

ガシャッ

「・・・よかった繋がって・・・」
私は体から力が抜けたように深く安堵した




「なっち!!」
「ぇ?」

ただ、私は安堵するにはまだ早すぎたんだ
352 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 20:05
「!! どっどうしたのカオリ?そんな慌てて・・・」
実際慌てていたのは自分だった
カオリは今にも飛びかかりそうな顔でこっちをじっと見ていた

「どこの誰となにを話してたの?」
「それは・・・えっと・・・」

お母さんとでも言えばごまかせたかもしれない
でも慌てていた私はただ口を濁らせるしかなかった

「ねぇ、なんで?なんでカオリにも矢口にも言ってくれないの?」
「どういうこと?」
急に違う質問をしてきたカオリの言葉に私は無意識で言い返した
353 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 20:12
「それはこっちのセリフだよ?なっち」
カオリの目が鋭くなっちを見ている
私はその目を見れずに横を向いた

「ねぇ、なっち・・・なに隠してるの?」
カオリは最初の質問をもう1度聞いてきた

「なにも隠してないよ?」
「とぼけないで?なんで隠すの」
「だからっ!!」
お互い口調が強くなって、ケンカが始まりそうだと思った

「・・・もう嫌?」 
そう言ったカオリの口調はさっきまでと違った
寂しそうな声だった

「?」


「もうカオリと・・・矢口と付き合うのは・・・嫌?」

そんなことない
「そんなわけないよ!!」
誰のために私は

「じゃあ話してよっ!!」
354 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 20:16
私はハッとした
カオリの言葉が頭を駆け巡った

私は間違っていた
私は1人で突き進みすぎていた・・・2人のことを忘れて・・・


なんでだろう・・・なんで今までそんなことに気付かなかったんだろう?


私はカオリに話そうと思った
でも
「じゃあ・・・矢口には言わない?それなら言ってあげるよ」
矢口には言わないことにした
355 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 20:22
「なに言って・・・」
カオリは少し考えて言った

「矢口に言うのはまだ・・・まだ早いから・・・」
違う

それはその場しのぎの言葉でしかなかった

本当は・・・怖かった
中澤さんに矢口のことを話して、矢口が私を親友と思ってくれなくなることが・・・




私はこれまでのことをカオリに話した

「なっちは矢口を助けたいの矢口がこのまま生活するってのは難と思うし、
それにこの先友達が全然いない人生なんて・・・」

「でも・・・それが最近のなっちの変な行動と何の関係があるの?」
356 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 20:28
「どこかの研究所に「中澤裕子」っていう人がいるらしくて
その人は人間の特別な『力』を研究してるらしいの!
だから矢口の『力』も研究してもらえばその『力』を押さえることが
できるかもしれない・・・」

「じゃあさっきの電話は・・・」

「うん、その人に電話をかけてたんだ・・・
でもその人は変人扱いされててある日どこかへ消えたらしくて・・・
でもそれは」

 (あなたは信用できそうだから書くけど)

ふと管理人さんの言葉を思い出し、私はそこで言葉を切った

「でもさ、その人ってホントに矢口を助けてくれるのかな?」

正直私も不安だった
中澤さんが頑張っても、もし『力』の原因がわからなかったら・・・
でも私はその不安を打ち消すように言った

「わからない・・・でも何もしなければ何も変わらないから・・・」
それはカオリにというよりは私自身に言い聞かせるための言葉だった

「そっか・・・それはわかったよ・・・でも」
「でも?」

「なんで矢口に言わないの?」
357 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 20:33
そのカオリの心配そうな顔を見て、私はあることに気が付いた
(カオリ・・・もしかして・・・矢口の事が)

「ねぇ、なんで?」



「だって・・・結局矢口は多分実験されるわけだから・・・
きっと嫌だと思う」
結局ホントの理由は言えなかった

「・・・わかった カオリも手伝うよ!いい?」
「カオリ・・・」
私の心が温かくなるのを感じた
自分の居場所に帰ってきたみたいだった

「もちろんだよ!」
こうして私とカオリの中澤さんへの連絡が始まった
358 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 20:39
その日の夜、私は中澤さんに電話をした

「そっか、友達の1人に言ったんか・・・」
「はい、すごい顔でせまられたんで」

ははっと笑って中澤さんは話しを続けた
「でも、矢口って子に言わんかったのは正解やったかもな?」
「なんでですか?」
「ウチ可愛い子好きやからねぇ?夜までずっと矢口って子を調べて・・・」

あぁ、この人ってこんな人なんだ・・・

私は一抹とは言わず十抹くらいの不安を覚えた
359 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 20:45
「あ、そうだ すっかり忘れてた!」
急に中澤さんは焦った声になって

「あのな、ウチ1週間ごとに携帯の番号変えてるから」
「え?え?どうし・・・」
「っていうか助手に買ってもらった携帯を使うんやけど、
その番号は」プチッ ツーッツーッツーッ










プチッ?
ツーッツーッツーッ?

私は中澤さんの番号は知っていたけど、自分の携帯の番号は教えなかった

つまり・・・
「また振り出しに戻るの?」
そういうことだった
360 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/02/29(日) 20:54
結局私とカオリが再び中澤さんと連絡をとれるようになるのは
私とカオリの誕生日が過ぎた8月頃下旬だった


私は再び矢口とカオリと一緒に行動を共にした
一緒に歩いて、一緒に話して、一緒に笑って

その日まで私とカオリは矢口がそのことに気付いてないって思っていた

でもそれは嘘だった

私とカオリは知らなかった
それまでの矢口が今まで以上に明るかったことに、元気だったことに
そしてそれが私とカオリのことを知らないフリをしている矢口の演技だってことに

矢口はとっくに気付いていたんだ
361 名前:タケ 投稿日:2004/02/29(日) 21:01
更新終了です

久々の更新だったのではりきって多めの更新に

>347 つみ 様
あの方はまた・・・まぁそうなってしまうんですが、
そろそろ名前出そうかなって思ってます・・・2でですが

安倍さんもカオリさんも、もちろん矢口さんも友達おもいです
自分も見習わないと(ぇ

いままでの話とちょっと矛盾したりしてきてちょっと焦り気味
362 名前:つみ 投稿日:2004/02/29(日) 23:20
友達思いっすね〜・・・
そろそろあいつがでてきますね・・・
なっちさんの力も・・・
次回を待ってます!

363 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/11(木) 11:08
「ねぇ・・・なに隠してんの」


いつものように3人で帰っていたある日の放課後



「え?何が?」


それは突然やってきた


「なっちとカオリ、私に何か隠してるでしょ?」
「そっそんな・・・」
「別に隠し事なんて・・・」

そんな言い訳は矢口には通用するはずがなかった
それでも私は隠したかった

たとえそれが無理だとしても・・・
364 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/11(木) 11:14
(ねぇ、なっち)
カオリが横から矢口にわからないように小声で話しかけてきた

(なに?)
(もうダメだよ・・・言っちゃおうよ)

カオリ・・・


ホントは分かっている 矢口にはもっと早く言っておけばよかったんだ
嫌われるかもしれないことを恐れた私がいけなかったんだ


(ねぇ・・・)
カオリはじっと私を見る

カオリの目は真っ直ぐだった





カオリ、私は汚いね?
だってカオリは矢口のために言おうと思ってたのに
私はそれを自分が嫌われるのが恐くて言わないようにしたんだよ


だからさ、こんな自分とはもうサヨナラだよ

「矢口・・・実はさ」
365 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/11(木) 11:20
私はこれまでの全てをカオリに話したときと同じように話した

それを聞いた矢口はしばらく黙っていたけど
「・・・なに・・・・それ?」
と、一言漏らした

そりゃあ意味わかんないよね
カオリだって私が話した後は矢口と同じ反応してたもん

「調べてもらえばきっと『力』を押さえることが出きると思うから・・・
そうすれば・・・」
「矢口は嫌だぞ!・・・そんな・・・私は・・・」
矢口は私の予想通り、それを拒んだ

でも私はそんな矢口に一歩近づいて

「でもこのままじゃあ変わらない・・・矢口・・・
矢口が変わらなきゃずっとその『力』に悩まされるんだよ?いいの?」

矢口の両肩を掴みながら叫んでいた
366 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/11(木) 11:24
「・・・」
矢口は黙ったままだった

そしたら今度はカオリが叫んだ
「これは矢口の為なの!だからお願い!」

矢口は俯いてそのまま動かなかった

私は矢口の両肩を掴んだままだった


そして矢口は顔を上げて

「うん・・・わかったよ・・・」

と一言呟いた

矢口の目は私達を信じていると言っているように見えた

「ありがと・・・矢口」
367 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/11(木) 11:29
―安倍の家

「あー!矢口って子説得できたんかい」
「はい!」
私は嬉しかった
これで矢口が背負っていた重荷を外すことができると


会話は30分ほど続いて最後に約束の時間と場所を聞いた
「じゃあ、来週の日曜日、そっちの近くの公園で会おうか」
「はい・・・よろしくお願いします」
「大丈夫や、安心しぃ!」

「じゃあ、おやすみなさい」
「あぁ!おやすみな」プッ
368 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/11(木) 11:38
矢口とカオリに約束の日にちと場所を電話で伝えた

プッ
「よし、寝るかなぁ」

私は携帯を机に置いた
そのとき

ガタッ ガシャッ
「あぁぁっ!」

携帯を置いたと同時に机に立てていた写真立てが急に倒れた
それは私と矢口とカオリが中学時代初めて3人で遊びに行った時の写真が入っていた

私は慌てて写真立てを立てた
「あちゃ〜」
割れはしなかったものの、ガラスの部分にヒビが入っていた




でも私はこのときとてつもない不安に襲われた
ヒビの形がまるで3人を分けたようだったから
369 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/11(木) 11:41
 そんなわけないって!

私は心の中で自分を言い聞かせて早々とベットに入って寝ることにした

でも頭の中では写真立てのことで頭が一杯だった
なんでこんなに不安になるのか・・・私にはわからなかった




その不安が的中したのは・・・来週の日曜日だった
370 名前:タケ 投稿日:2004/03/11(木) 11:46
テスト前にちょいと更新

>362 つみ 様
そろそろアイツが・・・そうですね
次回あたり出てきそうです
371 名前:つみ 投稿日:2004/03/11(木) 13:35
あいつは次回ですか・・・
安倍さんの力は一体何処からくるのだろう・・・?
楽しみにしてます!
372 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 01:20
昔から私の嫌な予感はよく当たった



だからその日の私はどこか嫌な気分だった
せっかく矢口が中澤さんと出会う日なのに・・・


でもとにかく足が、頭が、体が重かった



もしかして私はわかっていたのかな?

私が・・・矢口と死んでまで戦うってことを
373 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 01:28
「なつみ、また真里ちゃんと・・・」
「行って来ます」

お母さんの言葉を振りきるように私はそう言って家を出た

お母さんは結局わかってくれなかった

前からお母さんにとって矢口は私への不安要素としか思ってなかったけど
最近では前よりもっとうるさくなっていた

誰も矢口の心を見ていなかった



今の時間は6時40分
約束の時間は朝7時
この時間なら公園に来る人も少ない、と私が思ったから


途中、カオリと会って一緒に公園へ向かった
374 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 01:32
「中澤さん・・・信じてもいいのかな」
カオリがボソッと呟いた

正直私も不安だった
もしかしたら中澤さんでも無理かもしれない
でも
「でもカオリ・・・私もホントは不安だけど、私は中澤さんを信じたい」

「そうだね」

「きっと矢口は『力』から開放される・・・きっと」
「うん、カオリもそう思うよ・・・」

そして・・・悲劇は始まる・・・
375 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 01:48
公園まであと数メートルって所でカオリが急に声を上げた

「!?今の声・・・矢口っ!?」
「そんなぁ〜まだ時間早いっしょ?」

私にはその声は聞こえなかった

「急ごう!なっち!!」
「えっちょっと・・・」
カオリに手を掴まれてそのまま公園の入り口へ入っていった




「矢口っ!!」
カオリが手を離した

公園の広場の真ん中に、矢口は立っていた

そのとき、私は鳥肌が立ちそうになった

 あれは・・・矢口じゃない・・・

瞬間的にそう思った



「矢口ぃ!!」
カオリが矢口の元へ駆けていた

 危ない!!

私はとっさにカオリを追いかけた



















「来るな裏切り者・・・」
376 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 01:56






その言葉に私とカオリの時間は止まった

矢口の口からその言葉が出るなんて信じられなかった

きっと冗談だ・・・と思いたかった
でもそう思えなかった

「こいつのおかげで君達の企みがわかったよ・・・」
私の心臓は嫌な予感に鼓動を早めた

矢口の横で、誰かが倒れていた

「誰?・・・その人・・・」
カオリが真っ青な顔で矢口に聞いた

「さぁね?でもこいつが教えてくれたんだ君達が裏切り者だってね?」
「え?・・・なんでそうなるのさっ!?」
カオリが声を張り上げた

私は声を出すことができず、その場で立ちすくむことしかできなかった

「君達は私といたくなかったから研究所に行かせようとしたんだろ?
だから一週間前にそのことを言って私に考えさせるひまを・・・」
「なにそれ?わけわかないよ!?」
カオリがそう叫んだ瞬間


「吉澤ぁ!!」
私達の後ろから走ってくる人を見た

「あ・・・」
私は直感した
あれが中澤裕子だと
377 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 02:01
「いてて・・・」

今度は前から声がした

背がカオリくらいに高くて、ショートカットの男っぽい人
服はさっきまで倒れていたのか土や砂で汚れていた

「あの・・・中澤さんあの人は・・・?」
私は中澤さんに聞いてみた
「あいつは・・・吉澤ひとみ・・・
ウチの研究所のメンバーやったヤツや」
過去形?
「メンバー『だった』?」

「ああそうや・・・あいつは今は精神病院で・・・」
「え?精神病院!?」

何?どういうことなの?
私の頭がおかしくなった?
全然話しが繋がんないよ!!
378 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 02:08
「吉澤は・・・研究のし過ぎでノイローゼ気味になったんや・・・」
ますます意味がわからない・・・なんでそんな人が?

「!?じゃあなんでここに・・・?」
「わからん・・・ !?
もしかしたらみっちゃんと電話しとるのが・・・?」

「え?」
みっちゃん・・・誰?
「実は・・・」

中澤さんの口から言葉が出る前に
「悪いですけど全部聞いちゃいましたよ?病院のベットで・・・」
その人はゆっくり置き上がりながら話し始めた

「!?」
中澤さんは驚いていた
でもそれとは別の感情が含まれていた気がした

「そして昨日からちょっと抜け出したんですよ」
「なっ・・・なんでみっちゃん連絡せーへんのや?」
「あぁあの人なら今どっか出てますよ?
それにあの病院ないの電話線全部切ったし番号書いてあった紙も
破いて捨てたし・・・」

この人・・・なんなの?ホントに・・・何が目的なの?
379 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 02:14
「さて、これからどうしますかねぇ?」
吉澤って人は自分のポケットに手を突っ込んで何かを探っていた


「じゃーん!これなーんだ?」
それは拳銃だった

冷や汗が流れた

「なっ!?」
「実は研究中にあまった機材から作ってたんですよ〜」
そんな・・・拳銃って機材から・・・そんな簡単に作れる物なの?

「さすがやな・・・その技術・・・あんたの十八番やったな」
中澤さんは冷静そうに口を滑らせたけど額からは冷汗が流れていた

「さて、どないするんや? 吉澤ぁ!!」
そう思ったら中澤さんはキッと吉澤を睨んでそう叫んだ

吉澤って人はそんな中澤さんに臆することなく冷静に切り返した
「彼女を・・・矢口真里をもらうだけですよ・・・」

「なっ・・・」
そして、その言葉は吉澤って人の一番の目的であった
380 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 02:20
 !? 殺気?

「だぁれか忘れてませんか?」
「え?」

吉澤って人が後ろを振り向いたその瞬間

空気が揺れた

それはかつて先輩に私が殴られて矢口が怒った時にも感じた物だった



吉澤って人は宙に浮き、
ドサッと鈍い音を立てて地面に落ちた

「あ・・・あのときの・・・」
自分でも気付かないうちに声を上げていた


「くくくっ一丁あーがりぃ♪」
矢口は楽しんでいた
『力』を使うことを・・・
それはもういつもの「矢口」ではなかった
381 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 02:27
「さて・・・あと2人だよね?あれ3人かな?まぁどっちでもいいや♪」

 もう・・・こんなの「矢口」じゃあない・・・

そのとき、私の中で声がした
なっちの『ちか・・・は・・・ま・・・ら』・・・わたし・・・カオ・・・まも・・・

夢で聞いた声だった

その時にはわらなかったけど今の私にはそれがはっきりとわかった





     なっちの『力』は 守る 『力』私とカオリを守る『力』




382 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 02:32
私の中で確実に何かが変わった
私は矢口の前に立った

「次はなっちか・・・」


「なんであんなヤツのこと信じて私達のこと信じてくれないの?」
私は「矢口」に叫ぶように訴えた

「え?」

「ねぇ矢口・・・なんで信じてくれないの?」

「そうだよ!!私達親友でしょ?」
カオリも「矢口」に訴える 




「矢口」ならきっとわかってくれる





「違うよ・・・そんなの違う・・・矢口にはいないよ
矢口に親友なんていないよ・・・友達も・・・誰も・・・何も・・・」

そう思った私とカオリの期待を矢口は打ち砕いた
383 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 02:37
「さぁて、もういいかな?」
そして矢口は私に向かって手を出した

「ダメっ!!」
後ろから声がして、誰かが私の前に立った





カオリだった


頭が真っ白になる

カオリと過ごした日々が浮かんだ




嫌だ・・・死なせるもんか!
384 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 02:40
私は無意識に手をカオリ越しに矢口に向けていた

そして、矢口と少し違う『力』が私の手から出ていくのがわかった

空気が揺れた

「矢口」・・・私はあなたを『矢口』から守ってみせる!!
そしてカオリも・・・カオリも私が守る!!
みんな守ってみせるんだ!!!
385 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 02:43
ドンッ
『矢口』の目の前の地面が音を立てて砂埃を上げた


それがまた地面に落ちたとき
『矢口』の驚愕した顔がこっちを見ていた


「・・・なっち?」
カオリの声は耳に入らなかった
それは私の意識が矢口に向いていたから

私はある決断をしていたから・・・
386 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 02:48
「矢口・・・最後に聞くよ?私達は親友?」
これで『矢口』がNOと言ったら私は・・・




「違うね・・・矢口にはいないよ・・・そんなもの」
絶望した
『矢口』が本気でそう言ってることに


「そう・・・」
今までの記憶が流れる
胸が熱くなった


「矢口・・・やっぱり信じてくれないんだ」
それを押さえながら言葉を続けた

「しつこいよ・・・矢口はもう誰も・・・なにも信じない」
「そっか・・・そうなんだ・・・わかったよ」
「それでも矢口が信じてくれないんだったら私は矢口を・・・」
387 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 02:53
「私が矢口を止める・・・命に代えても矢口を・・・」
矢口を・・・

「なっち!?なに言って・・・」


「へぇ〜どうやって止めるのかな?」
 ! もう・・・やるしかないんだね



ドンッ

空気が揺れる

『矢口』が吹っ飛んだ
「!?」




『矢口』・・・『矢口』が止めないなら
私が・・・私が『矢口』、あなたを殺す
388 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/03/21(日) 03:00
「くっそ・・・」
矢口は険しい顔つきでこっちを睨む

「次会ったら・・・もう矢口は敵だからね?」
私は矢口に背を向けて歩き出した

「・・・」
矢口は何も言わない
きっと矢口もこっちに背を向いたんだろう

まずは決別が先
『矢口』はとっくに決別したって思ってるけど私は違う

ホントに信じてた
だからまず決別しないと・・・私は『矢口』を討てない

だから私は言った

―次会ったら・・・もう矢口は敵だからね?

今までは親友
でも次からは敵

私なりの決意
『矢口』を・・・殺すために・・・
389 名前:タケ 投稿日:2004/03/21(日) 03:05
更新終了です

一気に行きました
これからは安倍さんと矢口さんの争いが中心になってく予定です

今更だけど「殺す」って書くのはちょっと抵抗があるなぁ


>371 つみ 様
さくっとあいつを出してみましたw

安倍さんの『力』・・・ついに解禁しました
ついに安倍さんと矢口さんとの長い戦いが始まります
390 名前:つみ 投稿日:2004/03/21(日) 13:42
力解禁しましたね〜!
泥沼のような戦いが始まるんですよね。
あのときが来るまで。
なっちの力はいいらさんが鍵ですかね?
次回もまってます!
391 名前:黄泉がえり0 〜安倍〜 投稿日:2004/04/01(木) 06:57
『矢口』と公園で別れた後、私は真っ直ぐ自分の家に向かおうとしていた

タッタッタッ
「ちょっと・・・なっち!」
後ろからカオリの声がしたから足を止めて振り向いた


「なんで・・・なんであんなこと言ったの?もうしかしたら矢口は・・・」
「カオリ・・・それはもう無理なの・・・私はもう決めたから・・・」

カオリは私の目の前で倒れるように崩れ落ちた

「うっ・・・ひっく・・・うぅっ・・・っ」

そして泣き始めてしまった


私はカオリに掛ける言葉を見つける事ができなかった

なぜなら、私は勝手に矢口と戦うことを決めて勝手に矢口と決別して・・・・カオリの意思は完全に無視してたから・・・


私がカオリを慰めることなんかできない
392 名前:黄泉がえり0 〜安倍〜 投稿日:2004/04/01(木) 07:02
タッタッタッ

今度は中澤さんが走ってきた
「はぁ・・・はぁ・・・なっち・・・」

「何ですか・・・」
私は冷たく言い放った

それは吉澤って人が中澤さんの元研究員だって聞いたから・・・
でも、ホントはそんなの関係なくて・・・結局は八つ当たり

今更になって後悔しはじめてる 
矢口と決別したこと・・・
393 名前:黄泉がえり0 〜安倍〜 投稿日:2004/04/01(木) 07:05
「ごめんなさい!」

そう言って頭を下げたのは中澤さんだった

「え・・・」

「ウチが・・・ウチがちゃんと吉澤のことどうにかできてたら・・・今ごろ・・・」

違う・・・違うよ・・・


「違いますよ」
私はさっきより優しい口調で言った
394 名前:タケ 投稿日:2004/04/01(木) 07:07
短いけどここで更新終了です

ここのやりとりを書くのをすっかり忘れてました。うぅぅ・・・
ってなわけで短めの更新でした

>390 つみ 様
長い戦い・・・はもう少し先になりそうです(泣)
395 名前:つみ 投稿日:2004/04/01(木) 15:36
孤高の戦士安倍なつみって感じですね〜

戦いは長いようで・・・
396 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/04(日) 19:20
「悪いのはあなたじゃないですよ・・・悪いのは、私ですから」
私は俯いた

中澤さんもカオリも何も言わない

私はもう一度顔を上げた
「私は・・・自分で『矢口』と決別した・・・中澤さんに責任は」
「だからっ!!その原因はウチにあるやないか!」
言いかけた言葉は中澤さんの叫び声で止められた

「それでも・・・それでも違います! 私はあのとき、『矢口』との仲を保つことができた
でも私はしなかった!!だからっ中澤さんに責任はないんですよ!!」


 もう決めたから・・・
  『矢口』を倒して・・・カオリを守るって
    
397 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/04(日) 19:32
「それだったら・・・私にだって責任があるよ・・・」
カオリがポツリと呟いた


「私だって・・・止められたよ・・・矢口をさぁ!」
カオリの目には涙が溜まっていた

「カオリ・・・」
カオリも私と同じ責任を感じていたことに私は始めて気づいた

「カオリ・・・私があんなことしたからだよ・・・カオリに責任はないよ」
「でも、でも私は止められなかった・・・矢口を・・・止められたのに・・・何も言えなくて」


「カオリ・・・ごめんね
私はあのときずっとカオリのこと無視してた
だからカオリが『矢口』を止めさせる前に私が」

「そんなっなっちは・・・」
398 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/04(日) 19:37
「カオリ!もう言わないで・・・私・・・もう決めちゃったから」
「何を・・・」
目を赤くして泣いているカオリを見て胸が熱くなる
同時にズキンと痛くなる

「さっき言ったことだよ・・・私が『矢口』を止めるって・・・カオリを守るために」
カオリはそれを聞いた途端、両手で顔を押さえて声を上げて泣き出した

一瞬体がフラっとした

私の勝手で大事な親友が傷つく
私はその親友を守ろうとしてしたことだと思ったのに

そのギャップが私の頭の中を、心の中を深くえぐった
399 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/04(日) 19:43
ピッピッピッ
「!?」
しばらく俯いたままだったその時、急に音が聞こえた
音の方を見ると中澤さんが携帯のボタンを押していた

「中澤さん?」
声が弱々しくかすれる
中澤さんはもうしわけなさそうな顔をしていた


「あ、もしもし?みっちゃん・・・実はな、吉澤がな、さっき・・・
あぁ、そうや・・・で、矢口って子が・・・」
みっちゃん? それってさっき中澤さんが言っていた精神病院の・・・?


「ってことや、早よ来てや?じゃあ」
パタン

「中澤さん・・・今の・・・」
400 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/04(日) 19:50
「みっちゃん!ウチの大切な親ゆ・・・!!」
そこで中澤さんは口を止め、またもうしわけなさそうな顔をする

  親友
  
 その言葉が私の頭に浮かぶ

「スマン・・・今は言わんほうがよかったな・・・『親友』って」
「いえ・・・で、その人になんて?」
重苦しい空気から逃れるために私は別の話をふった

「あぁ、ここに来て吉澤を連れてってもらおうと思ってな、電話したんよ
やっぱりアイツ、勝手に抜け出したらしいわ・・・みっちゃんの留守中に・・・」
401 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/04(日) 19:56
「そうだ・・・アイツが・・・アイツがいなければ矢口は・・・」
今まで顔を押さえて泣いていたカオリが震える声で言った

「アイツさえここにいなければ矢口があんな風に」
「カオリ!!」
私は声を上げてカオリを制しながら中澤さんの顔を横目で見た

中澤さんの顔は青ざめていた

「あ・・・ごめんなさい!私っそんなつもりは・・・」
それに気づいたのかカオリはすぐに謝った


「大丈夫や!カオリの言うことはもっともやし、
親友があんなんなったら誰だって取り乱すやろ・・・」
軽く笑う中澤さんの目は笑ってなかった
402 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/04(日) 20:00
「じゃあ、後はウチとみっちゃんがどうにかするから、2人は帰んな!」
私とカオリはその言葉に甘えることにした




「じゃあ、さようなら」
「あぁ」

私とカオリは中澤さんに背を向けてそれぞれの家に向かった
403 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/04(日) 20:04
その道の途中で
「ねぇ、なっち・・・」
カオリが急に私を呼ぶ

「何?」
私はそれに反応する



「さっきのってさ、夢じゃないんだよね?ホントにあったことなんだよね・・・」
「うん 全部ホントだよ・・・」
「だよね・・・」
「うん」

カオリが顔を下げてそこで会話が途切れた




「なっち・・・」
再びカオリが私を呼ぶ
「どうしたの?」

「私さ、信じるから・・・なっちが矢口を助けてくれるって」
「え?」
404 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/04(日) 20:13
私は歩みを止めた
「どういう意味?」

カオリも止まる
「そのまんまだよ」
「それって私が言ったのと逆っしょ?」

「うん、でもさなっち 私のことはいいの!
矢口を助けよう?矢口はもう1人ぼっちだから・・・
私も手伝うから・・・一緒に、一緒に助けよ!矢口を」
カオリの顔はまた泣きそうだった

「うん、そうしよう!一緒に・・・矢口を助けよう!!」
「うん!ありがと・・・なっち」

しばらくしてカオリと別れた
「約束だよ!!」
とカオリは叫んだ

私はカオリが見えなくなるまでその道とカオリを見つづけた
カオリが見えなくなると私は
 




 「ごめん・・・ごめんねカオリ・・・私その約束守れそうにないや」

と一言呟いて自分の家に向かった
405 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/04(日) 20:17
 
 私は結局その約束を破ることになる
  これからの私は1月20日まで『矢口』と戦いつづける   
   そして、その序章はこの日から数日後、私達の学校で始まる
406 名前:タケ 投稿日:2004/04/04(日) 20:25
更新終了です

『悲劇』の後を書くために戦いを書くの長くなるって前に書いたくせに
今日のでさっさと終わらせてしまったw
それにしても重苦しい話が続くなぁ・・・まぁ中身が中身だからなぁ

一応言っておきますが、まだ 〜安倍編〜 は続きます


>395 つみ 様
孤高の戦士・・・かっこいい!w
その安倍さん、戦いは近いです(私の勝手でコロコロと・・・スマソ)
407 名前:つみ 投稿日:2004/04/04(日) 21:19
戦いはもうすぐそこまで来ていますね・・・
いいらさんがけなげっすね〜
友達思いで・・・
408 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/12(月) 14:25
学校が、2学期が始まった




矢口は学校へ来なかった
もちろん来たら来たで何が起こるかわかんないんだけど・・・


教室に入ると男女生徒の何人かが興味半分、恐怖半分って感じの顔でこっちに近寄ってきた
「ねぇ、バーサ・・・い、いやっ矢口はどうしたんだ?」

 バーサーカーって言おうとしたな?

そうは思ったものの、とりあえずそいつらに私はこう返した
「ごめん・・・もう、知らない」 と・・・
409 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/12(月) 14:30
そいつらはわかったと言ってそのまま私達から離れるように窓へ移動した


 さーて、これからどうしよっかな?

多分私とカオリはいじめられる
私はとにかくカオリが不安だった

私は後ろにいるカオリをチラと見てみた
カオリは軽く笑って
「何?」
と呟いた


緊張感がないなーカオリは





・・・私もそうか?
410 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/12(月) 14:37
「あれ」からの夏休みの残りは『矢口』との関係を忘れ、『矢口』を倒そうと考える事に努めた

自分でも以外なほどに今、落ちついている

もちろん心の切り替えが出来てないよりはいいんだけど・・・どこか不安だった




 それはきっと『矢口』と戦う事がまだ夢の中の出来事だと思ってて、
  まだ実感が湧いてなかったんだと思う


でもそれも数日で終わった
いじめについての不安ももう考える必要も無くなった


それは2学期が始まって何日も経たなかった時に起きた
411 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/12(月) 14:43
それは通学途中の出来事だった


 空気が軽く揺れた気がした

「やぐ・・・ち?」
「え?なっちどうし・・・」
カオリが喋り終わる前に空気が揺れた気がした場所へ走った

 あれ?でもこの道・・・

いつも通る道だった

空気の揺れに気を配り過ぎて気づいてなかった




「あ・・・がっ学校が・・・」
空気が揺れた気がした場所は学校の方角で、やっぱり学校だった
412 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/12(月) 14:51
でももうそこは学校とは言い難かった


校舎の壁は、ヒビが入ってる箇所もあれば大きな穴が空いている箇所もあった

ガラスは割れ、昇降口からは生徒達は一目散に学校から逃げていっていた

先生の何人かも外へ逃げていた



 なんだ・・・ここは?

何が起きているのかはっきり分かった

1人だけ明らかに違うオーラを持った人間がいるじゃないか
昇降口からゆっくり歩いてる奴が・・・


「『矢口』・・・」
私は柔らかい口調で言った
413 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/04/12(月) 14:56
「お前か・・・」

『矢口』は私の手前で止まった
もう逃げていた生徒はもうほとんどいなくなっていた

「広いとこでやるほうがいいんじゃない?あ・べ・さ・ん!!」
「そーだね・・・『矢口』っ!!」

ドォン
ドォン

同時に空気が揺れた

それが私達の約4ヶ月に渡る戦いの幕開けだった
414 名前:タケ 投稿日:2004/04/12(月) 15:01
更新終了です

いきなり2人の再会
その2人の初対決はまた次回で・・・


>407 つみ 様
ついに2人の初対決です!!
友達思いの飯田さんは段々影が薄くなってきそうです(泣
415 名前:つみ 投稿日:2004/04/13(火) 22:17
始まっちゃったですね〜・・・
それにしても安倍さんの
「『矢口』を倒そうと考える事に努めた。」
ってのが怖い・・・
416 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/02(日) 00:31
「はぁっはぁっ・・・くっ・・・」

「・・・・」

私と『矢口』の差は歴然だった




―10分前

ドォン
ドォン

「へぇ〜やるじゃん?」

「甘く見ないで!!」

タタタッ
タタタッ

ドォン ドォン

私達は互いに牽制しあいながら運動場に向かって駆けた
417 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/02(日) 00:38
ドォン

「!?」
運動場へ入ると突然『矢口』は地面に『力』を当てた


私の目の前に砂ぼこりが舞った


その瞬間私は気が付いた
大量の砂ぼこりのせいで『矢口』の姿が消えていたことに


 一体どこに・・・


ドォン    バシッ
「あぁっ!」
突然の 空気の揺れ と右足の痛みが私を襲った
418 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/02(日) 00:44
 
 後ろから?

気づいたときには遅かった

右足から激痛が襲い私はその場に倒れこんだ


「さて・・・もう1回行こうかな?」
砂ぼこりの中からまるでテレビゲームを楽しむような『矢口』の声がした

私は右足の痛みを耐えながら起きあがった

ドォン バシッ

私の目の前に何かが走ったように見えた
次の瞬間に『矢口』の『力』だったことがわかった

「くっ・・・どこから・・・」
419 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/02(日) 00:50
ザッザッザッ

ドォン バシッ

「っあ!!」
『矢口』の『力』は今度は私の左腕をかすめた

 どこかに・・・逃げないと・・・

状況が悪い・・・
私はとにかくただ闇雲に走った


でもそんな私を『矢口』は追いうちをかけるように笑いながら言った
「甘いよ?」

ドォン
今度は左足に当たった
420 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/02(日) 00:55
左から・・・

「こっち?」

ドォン

私は左側に向かって『力』を撃ち出した
左側に舞っていた砂ぼこりに穴が空いた


私はもう走れなくてその場にひざをついた
421 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/02(日) 01:02
周りは水を打ったように静かだった

私の『力』が『矢口』に当たったのか外れたのか、それすらわからなかったけど
私はなんとなく『矢口』には当たってないと思った


そしてその通りだった
「危ない危ない!あとちょっとで当たっちゃうとこだったよ!」
楽しそうに話す『矢口』
「・・・後ろにいたんだ」

「そう言うこと♪」

ドォン


体が宙に浮いていた
背中に激痛が走る

数メートル先で私は地面に落下した
422 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/02(日) 01:05
ずしゃぁぁぁっ

怪我してる左腕から地面に叩きつけられた

「ぁあああっ!!」
激痛の余り私は声を張り上げた

「さ・て・と!」
『矢口』はゆっくりと私に近づいてきた
423 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/02(日) 01:08
「はぁっはぁっ・・・くっ・・・」

「・・・・」

私と『矢口』の差は歴然だった

私は何もすることができなかった
ただやられるだけ・・・


『矢口』は私の目の前に立ち、右手を私に向けた


このまま私は死んでしまうのかな?
そしたらカオリは・・・

ドォン
424 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/02(日) 01:12
再び砂ぼこりが舞った
「何っ!?」


気が付いたら私は『矢口』の『力』を避けていた
どう避けたのかはわからなかった 
でも『これで終わりたくない』 そう思った瞬間もう私は避けていた

「いっけえぇぇ!!」
ドォォン

私は力の限り『力』を矢口に撃ち込んだ
425 名前:タケ 投稿日:2004/05/02(日) 01:22
更新終了です

初めての戦いで苦戦する安倍さんと
圧倒的に戦いを進める『矢口』さん

>415 つみ 様
安倍さんの一言は怖かったですか・・・
次回は安倍さんの逆襲が・・・
426 名前:つみ 投稿日:2004/05/02(日) 09:47
現実のなちまりを見てからこの作品を見ると
どうしてもぬぐいきれない違和感がありますね〜・・
現実のように仲良くなって欲しい・・
427 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/16(日) 00:13
「くっ!」

バシッ
私の『力』は『矢口』の左腕に当たった


「っ・・・やるじゃん?」
左腕に当たったものの『矢口』の顔にはまだ余裕があった

「今度はこっちからいくよぉ!!」
ドォォン
再び『矢口』は地面に向かって『力』を撃ち出した
428 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/16(日) 00:18
周りが埃で囲まれて、また『矢口』の姿が見えなくなった


 あれ?何だろう・・・この感覚・・・右!?

ドォン
私は右から来た『矢口』の『力』を避けることに成功した

ドンドンッ
私は逆に『矢口』に攻撃を仕掛けた




 それにしても・・・さっきの感覚は・・・
429 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/16(日) 00:24
バシッ
「っぁ!」

右から『力』が当たった音と『矢口』の声が聞こえた

「くっそぉ・・・」
『矢口』の声からはさっきの余裕が消えていた
それほど以外だったんだと思う、私の攻撃が『矢口』に当たった事に


ドォン
再び地面に『力』を撃ち出した

周りがシンとなった
そう言えばさっき変な感覚もこんな感じの時に・・・

 ! またあの感覚が・・・今度は・・・また右!
430 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/16(日) 00:28
私は再び右からやってきた『力』を避けた
そして右に向かって『力』を撃ち出そうとしたそのとき

 またさっきの感覚・・・何かが動いてる・・・これって・・・




ドン
「うわぁっ!?」
どしゃぁぁぁ

矢口は転んだのか野球とかサッカーでスライディングした時のような音がした

 そうか・・・この感覚って・・・
431 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/16(日) 00:33
『矢口』は何度も何度も砂ぼこりを発生させた

でも今の私は『矢口』と『力』の位置が分かっていた


 今度は後ろ・・・

ドォン
「くぁぁ!」
ドサッ

私は急いで『矢口』に向かった
近づくと『矢口』は今にも起きようとしていて私は『矢口』に飛びかかった
432 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/16(日) 00:39
私は矢口に飛びついて両手で矢口の胸倉を掴んだ

「『矢口』もうやめて!これ以上やったら・・・死んじゃうよ!?」
私は『矢口』の鼻がくっ付きそうになるくらいに顔を近づけた

「・・・甘いよ?安倍さん」
「え?・・・がぁっ!?」
『矢口』は右手で私の腹を殴った

両手のの力が緩んだ隙に『矢口』は私から離れた

「げほっげほっごほっ」
みぞおちに入ったみたいで咳と吐き気がした


「食らいな!!」
433 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/16(日) 00:44
ドォォン

「くっ」
『矢口』の『力』が向かってきた
でも『矢口』の攻撃で私は思うように動けていなかった


ドゴッ
『矢口』の『力』は私の胸に直撃した
「がぁっ!」
434 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/16(日) 00:47
口の中で鉄の味がした

どさぁぁぁ
私は数メートルくらい地面を転がるように吹っ飛ばされた

「げほっ」
びちゃっ

口の中の鉄の味は血だった

私は甘かった
矢口は手を抜こうなんて考えて無い

 本当に私を殺す気だ・・・

私は素早く起きあがった
435 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/05/16(日) 00:52
「もう1回やってみるか」
ドォン
『矢口』はぽつりと言って『力』を地面に打ちつけた

再び砂ぼこりが舞い、『矢口』は砂の中に消えた
私は目をつむって全神経を集中させた


 感じるんだ・・・『矢口』の位置を・・・いた!!


さっきから感じていた感覚・・・それは・・・

「うわぁぁぁっ!!」
ドォォン


『矢口』の気配と『矢口』の『力』から出る気配だった
436 名前:タケ 投稿日:2004/05/16(日) 00:56
更新終了です

逆襲の安倍さんでした
あと1,2回でで学校での戦いは終わります

>426 つみ 様
確かに現実とのギャップが激しいですね
そんな違和感を楽しんでもらえると嬉しいですw
437 名前:つみ 投稿日:2004/05/21(金) 14:51
進化なのかな・・・?
安部さんのほうが強いのかなあ〜?
438 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/04(金) 18:52
私が打ち出した『力』は『矢口』に当たった・・・





はずだった・・・


「なーんだぁ、安倍さんもできるんだ?『力』感じること」

私は動揺した

 もしかして『矢口』も同じことができるの?

そう思うと恐ろしかった
やっと『矢口』への唯一の対抗策が見つかったのに『矢口』にもそれができるなんて・・・
439 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/04(金) 18:57
「さて、今度はこっちからだよ!!」

ドォン
『矢口』は今度は砂ぼこりを発生させずに『力』を打った

 避けられる

私は軽く右へ飛んで『力』を避けた


ドォン ドォン
「え・・・」

それを待ってたように『矢口』は右へ飛んだ私に向かって2発『力』を打ち出した
440 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/04(金) 19:02
どすっ と鈍い音が体に響いた

今度は避けられなかった


『力』は私の左わき腹に直撃した



「あぁっ・・・」
私はその場にひざを突いた
体が動かない

思い出したように両足と左腕の痛みが襲った

一瞬私は死を考えた

 まだ・・・まだ・・・死ねない・・・

でもすぐに思いとどまった

『矢口』はゆっくりと私に近づいてきた
441 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/04(金) 19:06
「正直ここまでやるとは思ってなかったよ」
「・・・」

「ま、ここまでだね」
『矢口』の右手がゆっくり私に向かった


 今だ!


ドォォン 
「うっあぁぁぁぁ!?」
442 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/04(金) 19:11
まるでスローモーションのようだった
『矢口』は宙に浮かんで崩れ落ちるように地面に叩きつけられた

『矢口』が地面に落ちるのと同時に私はその場で倒れた
もう限界だった


 もし『矢口』に意識があったらきっと死んじゃうんだろうな・・・
 それにカオリはどうなっちゃうのかな・・・

そんなことを思いながら私の意識は薄れ、消えた
443 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/04(金) 19:17
更新終了です

次回で学校編は終了予定です

>437 つみ 様
実力では今のところ矢口さんのほうが強いです 今のところはですが・・・
444 名前:つみ 投稿日:2004/06/04(金) 20:27
悲しき争いもようやく……
そろそろあれかな…?
445 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/13(日) 04:35
 なっち・・・なっち・・・



誰かが・・・呼んでる・・・誰?


 なっち・・・なっちぃ!


私を呼ぶ声は・・・だんだん声が大きくなってきた


 なっち!なっち!!

この・・・声は・・・


「なっち!!!気がついたんだ!中澤さーん!」
あぁ、やっぱりカオリか・・・
446 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/13(日) 04:41

 あれ・・・『矢口』は・・・

「カオリ!『矢口』は!? 『矢口』はどこ!?」
私が目を覚ましたことに喜んでいたカオリは急に無表情になった

「私達が来る頃には、もうどこかに行っちゃったみたいで・・・」
「そう・・・」

どこに行ったんだろう・・・もしかして別のどこかで誰かに攻撃を・・・?


私ははっとして思い出した
 私は『矢口』の『力』を感じることができるんだ・・・
447 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/13(日) 04:46
目をゆっくり閉じて意識を『矢口』の『力』の場所に集中させた


「なっち?」
横からカオリの声がした気がしたけどよくわからなかった

・・・

・・・

・・・

・・・いない? 違う!ここだ!『矢口』は!!

「あっち!」
「なっち?どーし・・・」
カオリが話し終わる前に私はカオリの手をつかんで感じた方向へ向かって走り出した
448 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/13(日) 04:50

 動いてない?・・・それに、『力』が微弱・・・?
『矢口』の『力』はさっきより弱弱しく感じたため、
さっき『矢口』居場所がわかりにくかった あやうく見逃すほどに・・・


右へ左へ曲がって『矢口』のいる場所まであと少しだった

 !? 『矢口』の『力』が上昇した?

そして左角を曲がると・・・
449 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/13(日) 04:53
「『矢口』!!」
私より先にカオリが叫んだ

「ちっ 見つかったか・・・」
『矢口』は私達に向かって手を出した


(カオリ・・・下がって)
私は『矢口』に手を向けながら小言でカオリに言った
(でっでも・・・)
(いいから!早く!!)
(う、うん)
カオリは私から離れた
450 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/13(日) 04:58
私と『矢口』はお互いに手を向けたまま動かなかった

でも戦ってないわけじゃなかった
お互いに気を張り詰めながら手を向けていた

 少しでも気を抜いたら・・・やられる・・・集中しなくちゃ


息がつまるような思いだった

自然と汗が流れる


くらっ
「!?」
急にめまいがした
 
 さっきの戦いの影響!?そんな・・・こんなときに・・・

ドォン
『矢口』の『力』がこっちに向かってくるのがわかった
451 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/13(日) 05:01
「だめぇ!!」
「!?」
 カオリ!? だめ!!来ちゃっ




ドゴォォン

「・・・」

「・・・」

『矢口』の『力』は私の足元の地面に当たった
私もカオリも無傷だった
452 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/13(日) 05:04
「安倍さん、飯田さん、今日はいったん退かせてもらうよ・・・今日は・・・」

「!『やぐ」

『矢口』は再び私の足元の地面に『力』を放った

ドゴォン


煙が晴れる頃にはもうすでに『矢口』の姿はなかった
453 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/13(日) 05:09
すぐに『力』を感じようとしたそのとき、

「なっちぃ・・・」
急にカオリは私の両肩をつかんで顔を俯けた

「どうなるのかなぁ・・・これから」
カオリの声は震えていた
そしてカオリの涙はぽたぽたと地面に落ちていった

私は小さく震える大きなカオリの背中に腕を回した
「大丈夫・・・私が・・・カオリを守るから・・・」


私はカオリが泣き止むまでずっとそのまま動かなかった
454 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/13(日) 05:13
カオリが泣き止んで学校へ戻ると崩壊した学校を背に中澤さんが立っていた

「一体どこ行っとったんや!?」

「『矢口』を追いに・・・」

はぁ〜と中澤さんはため息をついた
「まぁよかったわぁ 2人とも無事で・・・」
中澤さんは私とカオリの肩に手を置いてもう一度ため息をついた
今度は安堵のため息を・・・
455 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/13(日) 05:21
「・・・さて、」
中澤さんの顔が急に鋭くなった

「自分等、これからどうするん?」
「そうですね・・・とりあえず、『矢口』を追います!」
「私も・・・『矢口』を追います」
カオリは弱々しく答えた
「ほんなら学校は・・・ってこの状態じゃあ無理か」
「学校なんて行ってる場合じゃないです 『矢口』を止めないと」
「そうだよ!その間に『矢口』が悪いことしてるかもしれないじゃないですか!」

「せやな・・・」
中澤さんは一瞬空に目をやってからもう一度こっちを見た

「なぁ、自分等、ウチの研究所来ぃへん?」
「「は?」」

私とカオリは同時少しにとぼけた声を上げた
456 名前:タケ 投稿日:2004/06/13(日) 05:26
更新終了です

学校編終了しました
安倍さん達にも束の間の休息が・・・

>444 つみ 様
学校編も終わってしばらく戦いはお休みになりそうです

ところで
次回から安倍編を続けるか飯田編を始めようかと迷っているんですけど
どちらがよいでしょうか?
457 名前:つみ 投稿日:2004/06/15(火) 22:50
更新乙です。
そうですね〜・・・わたくしは
なんとなく二人の戦いを見守っている飯田さんの立場からの視点がいいっすね〜
458 名前:タケ 投稿日:2004/06/27(日) 14:06
こんにちは、タケです
前回の更新後、安倍編を続けるか飯田編を続けるかで非常に迷ってました

途中、つみさんの助言もあり飯田編の話を開始しようと考えておりましたが、
>>137>>144で飯田さん視点で矢口さんと安倍さんの最期を記述していたので
このままだとシーンが被ってしまうことに気づきました

そこで、『矢口』VS安倍までを安倍編で、それ以降は飯田さんの過去
という形で話を進めて生きたいと思います

>457 つみ 様
と、いうことにしました
ご助言ありがとうございました

では始めます
459 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/27(日) 14:08
はぁはぁ・・・・っ・・・はぁはぁ・・・










「ほい着いた!ここがウチの研究所や!・・・って、自分ら・・・大丈夫か?」
一体どうやってここまで来たんだろう?・・・
それよりむしろどうして来ることができたんだろう?

研究所に着くころには私とカオリはもう歩く力なんてもうなくなっていた
きっと1人でここに来ることは不可能だろう・・・

それが2人の感想だった
460 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/27(日) 14:10
そんな場所に中澤さんの研究所はあった
外装は緑の多いこの樹海の中では派手に見える白い壁


「まったく・・・最近の若い連中はぁ、体力がないんやなぁ
・・・ってウチも若いか♪」

ため息をつきながら独り言を言っている中澤さんの言葉を無視して
私とカオリはぼろぼろの足を必死に動かし研究所に入った
461 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/27(日) 14:10
「うあわぁぁ・・・」
「すごい・・・」
研究所に入ると私とカオリはまず感嘆の声を上げた

内装も外装と同じように白が基本色のようで壁、天井は真っ白だった
そこはまるで新築の建物のようにきれいだった

入り口の近くにソファーがあったからそこに座った

「あー疲れたぁ〜」
「うーん・・・」

休んで久しぶりに頭を働か機会ができた
462 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/27(日) 14:12
まず頭に浮かんだのが『矢口』だった
これからどうしようか・・・私は『矢口』の『力』を感じることができるからどこに『矢口』がいるかはわかる


・・・でも倒せるかと言われたらわからない
『矢口』も私の『力』を感じることができるから・・・


もしまた戦うときが来たら・・・
そのとき私はどうなるのか・・・
そして・・・
463 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/27(日) 14:14
そのときに横に座ってるカオリが頭に浮かんだ

カオリを・・・守らなきゃ・・・『矢口』には殺させない・・・
だから私は・・・


「わかってるよ・・・そんなことさ 何度も言ってるじゃん」
私はポツリと呟いた

「なっちぃ?何か言った?」
「う、うんん、何にも」
焦った まさかカオリに聞こえてたなんて・・・

「カオリまた交信してたんじゃないの?」
私は話をそらそうと試みた

「そんなこと・・・」
とは言いながらも頬を少し赤らめるカオリ

 ホントに交信してたんだ・・・よく私の声に気づいたね

464 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/27(日) 14:15
「さて、あんたら、いつまでもそこにおったらアカンよ、はよぉ部屋に行きぃ」
入り口から中澤さんが入ってきた

「部屋って・・・どこですか?」
「えっと・・・まず、すぐそこの曲がり角を右にいけばええよ
んでもってまっすぐ行って2つ目の部屋があんたらの部屋や」

「はい・・・カオリ、行こっか」
「・・・」
「カオリ?」
「・・・月から何が見える・・・うさぎ?」
「・・・」
ダメだこりゃ・・・

私は交信に目覚めたカオリを無視して1人で部屋に向かった
465 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/27(日) 14:17
「うわっ!すごいべ!!」
思わず方言が出てしまったがそれほど驚いた

その部屋は1人では広いと感じられるほど広かった
色はやっぱり白が基本色のようで、
他の色が見当たらないのが印象的だった

あたりを見回してまず右側に大きなベッドがあることにきがついた
その手前には机が、近くの壁には窓がついていた

左側には『トイレ』と書いてあるドアがあった
「ここって・・・水流れるのかな?」

不安に思いながら上を見ると電球が真ん中に取り付けられていた

その他には目立った物は置いてなく、
やっぱり白くて広いという印象が強く残った
466 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/06/27(日) 14:19
「どう?広いやろ?」
後ろから自慢げに言う中澤さんが立っていた

「そうですねぇ」
私も相槌を打つ
でもホントに広いんだけどね

「あ、カオリを連れてこないと!」
「そう言えばカオリ、変なこと言っとったで?」

「な・・・なんて?」
私は恐る恐る聞いた

「何やったかなぁ・・・
『うさぎはね、ホントはすごいのにわざとそれを隠すの・・・
だから亀に負けたの』って言ってたかなぁ?・・・何のこと?」

「さっぱりです」
私は聞かなかったことにして無理やりカオリを部屋へ連れていった・・・
467 名前:タケ 投稿日:2004/06/27(日) 14:22
更新終了です
飯田さんの交信モードは難しい・・・なんて書けばいいのやら・・・

>>458で返レスしたのでこれだけです
468 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 08:51
私とカオリは中澤さんの研究所に住み始めた


『矢口』が襲ったのはそれから何日もしなかった




「! 『矢口』の気配がする」
「ほな、行こか」
「なっち・・・」

「大丈夫だよカオリ、ただ止めるだけだよ」
もちろんそんなわけなくて、ただの気休めだったけど
心配そうに私を見つめるカオリに何も言わないよりはましだった
469 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 08:59
『矢口』の気配は中澤さんの研究所からは少し遠かった

「よーし!ウチの車でとっとと行こか!」
「あのー中澤さん?」
「さぁ喋っとらんとカオリ!はよ車乗りぃ!」
「はい・・・ところで、この車ってちゃんと動くんですか?」
「さーさーなっち!!さっさと道を言わんかい!!」
カオリの疑問は中澤さんの大声でかき消された

私は何も言わなかったがそれほどに中澤さんの車はぼろぼろだった




10分後・・・
「あー!タイヤがパンクしたぁぁぁ!!」
「って!中澤さん!!前から煙出てますよ!!危ないですよ!」
「中澤さん・・・やっぱりスピード出しすぎですよ」

「うるさーい!!」
470 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:04
けどその(スピード出しすぎ)おかげで『矢口』の気配はすぐそこまで迫っていた

私は中澤さんの車から降りて気配のする方向へ一目散に走った
「なっち!!待たんかーい!」
「あ、なっち!待って!!」



タッタッタッ

 『矢口』・・・絶対止めるから・・・こっちだ!


「まぁいいや・・・あんたが最初の・・・」

曲がり角を曲がると『矢口』が誰かを襲っていた
471 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:10
周りには矢口と倒れている女の人だけしかいなかった

ドンッ

『矢口』の腕を狙った私の『力』は寸前のところで『矢口』に避けられた
けど『矢口』をけん制するには十分だった
とにかく今襲われそうな人を逃がすほうが先だったから

「矢口ぃ!!やめろぉ!!」
「なっちか!チッ! 今日こそ送ってやるぜ!!」


襲われそうだった人が私と『矢口』から離れた

 よし!これで『矢口』に人質を取られることもないし『力』が誰かに当たる心配もない

ドォン
472 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:15
ボコッ

私は軽くジャンプして『矢口』の『力』を避けた
『矢口』の放った『力』はそのままコンクリートの地面に当たった

「はぁっ!」

ドンッ

私はそのまま『矢口』に『力』を打った
「甘いよ!!」

バチッ

今度は『矢口』がジャンプして私の『力』を避けた
473 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:20
矢口は飛んだ勢いでこっちに向かってきた
まだ体が宙に浮いている私は今完全に無防備だった

「くらいな!!」

ドォォン

 当たる!?

ドスッ
「うっ・・・」
『矢口』の力は『私』のわき腹に当たった

ドサッ
私は空中でバランスを崩して地面に打ち付けられた
474 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:24
「まだまだぁ!!」

ドォン ドォン ドォン

同時に3発の『力』が私に向かってきた
「くっ・・・こっちだって!!」

ドン ドン ドン

私はその3発に向かって『力』を打ち出した


バシュッ バシュッ バシュッ

私と『矢口』の『力』がぶつかった
475 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:26
「ふーんやるねぇ!」

「別にあなたにほめられても嬉しくないよ!」





それからは均衡した戦いが続いた
『矢口』が打った『力』を私の『力』が相殺する
私は防戦一方だった

攻撃しようにも連続で攻撃を続ける『矢口』には隙がなかった
476 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:32
「ねぇ!こう言うのを『攻撃こそ最大の防御』って言うんだよね!」

私は『矢口』の言葉を無視して『力』の相殺に神経を傾けた


 でもこのままじゃ・・・いつまでももたない・・・どうにかして『矢口』の隙を・・・!

私はハッとした

「まだあぁぁ!」

ドォン ドォン ドォン

私は全神経を『矢口』の足元に集中させた
477 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:36
バンッ
左肩に『矢口』の『力』1発目が入る

「!?」

 まだ・・・あと一発!

私は足に力を入れて崩れそうになる体を支えさせた
そして目線は『矢口』の足元

バシッ

今度は右腕に当たった

 今だ!!

右腕の痛みを振り切って『矢口』の足元へ渾身の『力』を打ち出した
478 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:42
打ち出した瞬間に左足に『矢口』の3発目の『力』が当たった

それにかまわず私は『矢口』に向かって駆けた

「くっ」
『矢口』は『力』を打ち出すのに集中し過ぎていたため
避けるのが一瞬遅れた


バコォッ
私の『力』がコンクリートに当たった
私の渾身の『力』はコンクリートの一部を砕いた

「な・・・」
「まだぁっ!」

ドン ドン ドン
479 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:48
砕けたコンクリートは宙をさまようように不規則に浮いていた・・・『矢口』の目の前に

バシュッ バチッ
「つぁっ!」
いくつかのコンクリートの破片が『矢口』を襲った


さらに私の打ち出した『力』がコンクリートの破片に当たり、
威力を増して『矢口』にぶつかる

ドゴッ バシッ ズバッ
「う・・・ぁぁ・・・」

コンクリートの破片と一緒に『矢口』はゆっくりと地面に倒れていった
480 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:54
「なっち〜!『矢口』〜!!」
「カオリ!待ちぃ!・・・! なっちぃ!」

 カオリ? 中澤さんも?

「くっ・・・」
「!」

『矢口』はぼろぼろな体を無理して起こさせた


「まだやる?」
「・・・今日はやめるさ こんなにぼろぼろだし・・・そ、それに ぅっ!!」
「!? 『矢口』どうし・・・」
「うるさい! こ、今度は・・・負け・・・ないから・・・なぁ!」

ドォン ドォン ドォン

『矢口』は再び連続で『力』を打ち出した・・・地面に向かって
481 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 09:57
バコッ
私はその攻撃に怯んでしまった

「く・・・待って!やぐ・・・」


『矢口』はもうその場を去っていた

 でも、まだ『力』で『矢口』の場所は・・・え?

目を瞑って神経を『矢口』の気配に集中させたにもかかわらず
『矢口』の気配はもうしなくなっていた
482 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 10:00
「なっち〜!!」
カオリが私の元に駆けてきた
「カオリ・・・道わかったんだ」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?大丈夫?どこか怪我してない」
「うん、一応無事」
カオリははぁ〜っとため息をついた

「なっち!大丈夫か?」
今度は中澤さんだった
「あ、はい、大丈夫です・・・一応」
「そ、それならよかったわ で、『矢口』はどこにおるんかわかる?」


「それが・・・その、わかんないんです」
私はバツが悪くなってうつむいた
483 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 10:07
「そっか、ほんなら帰ろっか?」
「え?でも・・・」
「『矢口』はまだ・・・」
カオリが私の言葉を受け継いで言った

「さっきあいつ言うとったやろ?『今日はやめる』って
ああいう子は自分の言ったことはちゃーんと守る子やで? 意地っ張りやからな」
私はクスッと笑った
カオリもクスッと隣で笑った
484 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/13(火) 10:10
2人の顔を見た中澤さんは安心したような顔を見せ、
「ほな、帰るか」
と言った

「「はい!」」

「歩きで・・・やけどな」

中澤さんの車はこの日限りで見ることはなかった




それから3ヶ月、私と『矢口』は戦いを繰り返した
私は全力で『矢口』とぶつかり何とか『矢口』を退けていった
時には私が『矢口』に追い詰められたときもあった

でもいつも途中で『矢口』は姿と一緒に気配を消してしまった

その理由は今でも知らないけど・・・
私と『矢口』の最後の日はだんだんと近づいてきたのは確かであった
485 名前:黄泉がえり 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/31(土) 00:23
12月24日・・・と言えばクリスマス・・・なんだけど・・・


今年はそれを喜ぶ気も無かったし暇も無かった




「カオリ〜!こっち押さえてて!」
私は縦に長い板を持って壁の破損した部分にを隠すように押さえた
「OK!ちょっと待って・・・よっと、いいよ!」

コンコンコン

「・・・よーし!こっちはもう大丈夫だね!」
「あー、私もう疲れたよ」

「な〜に言ってるべさ!まだ始まったばっかりだべ!!」
486 名前:黄泉がえり 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/31(土) 00:28
そう、今日は中澤さんの研究所の補修工事を行っていた

寒くなってきて(12月だからもうずいぶん冷え込んでるんだけどね)
壁や窓の破損した部分を徹底的に板で押さえては釘で打ちつけていた


コンコンコン

「ふ〜、こっちも終わったぁ」
私は安堵というか疲れというかなんともいえないため息をついた


 でも体動かしたほうが楽だなぁ・・・何も考えなくてもすむから
487 名前:黄泉がえり 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/31(土) 00:34
「2人とも〜!昼ごはんやで〜!!」

「「はーい!」」
私とカオリは急いで食堂へ向かった




「あ〜あ、今日はクリスマスなのに・・・なんで私達こんなことしてるんだろぉ?」
「何言ってるのさ!結局カオリは板押さえてただけで全部私が板打ったんだからね!?
・・・まぁ確かに今更って感じだけどね」

「中澤さんに彼氏いないからかなぁ・・・?」
ボソッと言ったカオリの一言に私がぷっと吹き出した瞬間・・・


「な〜〜〜にが可笑しいのかな?安倍なつみ・・・ちゃん?」
「あ・・・」
怖いまでに笑顔の中澤さんが後ろに立っていた・・・
488 名前:黄泉がえり 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/31(土) 00:37
「はぁ・・・」

中澤さんの怒りを買って私とカオリは更に作業の数を増やされてしまった

「なんでこんなことになったんだろね・・・」
「・・・カオリの責任だと思うんだけど・・・」

「・・・そう?」
「はぁ〜」

私はまた大きなため息をついた




作業が終わるのは夕方までかかった
489 名前:黄泉がえり 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/31(土) 00:41
夕飯を食べ終わった後、私は早々と部屋に戻った

ガチャ

ドサッ
「あ〜疲れたぁ〜!!」
私は大声で叫びながらベッドに倒れこんだ


体を使えば考えることはしてなかったけど
もう体を使うことをしなくなった私は色々と考えをめぐらせた




もちろん『矢口』について・・・
490 名前:黄泉がえり 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/31(土) 00:46
でも考える前に私は顔に違和感を感じた


突然喉が痛くなり、鼻がツーンとしたかと思うと目から涙が溢れ出していた

 あれ?どうしたんだろう? なんで泣いてるんだろう?私・・・

自嘲気味に笑おうとすると口の筋肉が変に動いた
その口元に涙が伝っていた



私は『矢口』について考えていなかったことに気づいた

その先にある『死』について考えていたのだ
491 名前:黄泉がえり 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/31(土) 00:53
今まで『矢口』を倒すことを考えていたのは自分の『死』を考えないためだったんだ



私は怖かった

自分が死ぬことを・・・

つまり親友に殺されること、もう1人の親友をおいていってしまうこと

私という存在が消えてなくなってしまうこと


「うぅっ・・・やだよぉ・・・ぐすっ・・・死にたく・・・っ・・・ないよぉ・・・」
『矢口』を倒すと決めたあの日から今日まで考えようとしながら押し殺していた考え・・・

その押し殺していた糸がついに切れてしまった

涙が止まらない
そして・・・もう決着までの道のりも止まらない
492 名前:黄泉がえり 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/31(土) 00:58
でも私の心は泣くたびに逆にすっきりしていくのがわかった
それは安堵に近いものだった


親友と戦う・・・死ぬかもしれないのに戦う

そのことをやっと怖いと感じ、恐れることができたからなのかもしれない


私は泣き続けた

カオリが部屋に入ってきても
カオリが私の様子に気づいてあたふたしても
しまいには中澤さんがやってきても

私は泣き続けた


もう止まらない

決着までの道のりは止まらない
493 名前:黄泉がえり 〜安倍編〜 投稿日:2004/07/31(土) 01:03
そして決着の道は1月20日で終点に到着する

私は死にに行く・・・
『矢口』を止めるために

カオリを守るために

中澤さん達を守るために















1月20日・・・
「カオリ・・・おはよう」
「う・・・ん、おはよう・・・」




私と『矢口』の戦いのピリオドの日がやってきた
494 名前:タケ 投稿日:2004/07/31(土) 01:09
>>485
12月24日はクリスマス・イブでした

失礼しました
495 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 20:20
『矢口』の『力』を感じた

 ここから近い所にいる

私は中澤さんの研究所を出た




しばらくすると後ろから大きな声がした
「待って!!なっち」
声の主はカオリだった
「カオリ?なんで・・・」

「はぁ、はぁ・・・私も行く・・・『矢口』の所に・・・」
「カオリ・・・うん、わかった でも私から離れないでね」

「・・・うん」
止めなくちゃだめだと思いながら私は結局カオリを連れていった
496 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 20:24
それから何分もしないうちにある異変が起きた

「あ・・・れ・・・?」
「どうしたの?なっち」

突然『矢口』の『力』の気配が消えた
私は焦りを感じ始めた

 どこ? どこに行ったの?『矢口』・・・

急に寒気がした
私はカオリの手を掴み中澤さんの研究所に駆け出した
497 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 20:30
「ちょっ、なっち!どうし・・・あっ!」
「!!」

中澤さんの研究所の外壁に数箇所破損していて、
一部では壁が崩れ落ち、小さな穴を作っていた

「中澤さん!!」

私とカオリはさらに急いで駆けた



バン
「やっ矢口!!」

入り口の近くに『矢口』はいた
内部も多少破損が目に入った そして壁の向こう側で研究員の一部が小さく固まっていた


『矢口』がゆっくりとこっちを向いた
498 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 20:33
「『矢口』・・・もうやめなよ」
私の言葉はもう『矢口』に攻撃を止めさせるという意味ではなく
私が止めるという意味合いを含めていた

「くらいなっ!」
『矢口』は速い動作から『力』を撃ち出した
「・・・っ!!」
私も『力』を撃ち出し応戦する

バチィッバチッ


空気が揺れた
499 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 20:45
私と『矢口』は互いに接近しながら牽制しあっていた

「だぁぁ!」

ドン ドン ドン

距離から連続で撃ち出した『矢口』の『力』を私は避け切れなかった
その一発がわき腹をかすめた

バシュッ
「く・・・今度はこっちから!!」

ドンッ

私は『矢口』の顔めがけて『力』を撃ちだした
「おっと・・・!」
その隙に私は『矢口』の懐に飛び込んで『力』を撃ち出した

ドン
「ちっ」
『矢口』は避けようとしたけど左腕をかすめた

「まだまだぁぁぁ!」




そんな調子で何十分も戦いはお互い何発か『力』を受けたが共に決定打とはなっていなかった
500 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 20:51
そして牽制同士だった戦局がついに動いた

「当たれぇ!」
ドォン

バチッ
「うぅっ!」

『矢口』の『力』が私の右腕に直撃した


予想以上にダメージが多かった
そしてそれを境に私の『力』が『矢口』に当たらなくなってしまった

私は徐々に『矢口』の勢いに押され始めた
避けた何発かが壁に当たり、崩れたため研究員の人たちはさらに壁の奥に隠れていった

「なっちさんよっ!いいかげん諦めたらっ!?
だんだん当たんなくなってるよ?」
「・・・っ!」

 どうしよう・・・この流れをどうにか変えないと・・・なら!!
501 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 20:56
私は賭けに出た
前に戦ったときに使った戦術を使うことにした

「じゃあこうするまでだよ」
「えっ?」

ドン
私は地面に向けて『力』を撃った・・・『矢口』に当たるよう角度をつけて


バコッ
「!!?」

突然のコンクリートの嵐に『矢口』は回避行動をとることしかできなかった

ドスッ
「!!がっ・・・」

そして大きい破片が『矢口』のお腹に当たった


でもこれはあくまで目くらまし本当の狙いはこっち!
502 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 21:00
「まだだよ!!」

バキッ
私は『矢口』に向かって猛然とつっこみ右頬を力いっぱい殴った

けど同時に殴った右腕がズキンと痛んだ
さっきの『矢口』の『力』を受けたからだった

「くっ・・・なめんなよぉ!!」
『矢口』は体勢を崩しながら『力』を撃ち出した

ドンッ

「あっ・・・う・・・」
お腹に直撃した

血が出た
503 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 21:04
『矢口』は一瞬で体勢を立て直し、後ろに下がった

私は血を拭きながら再び『矢口』に突っ込んだ
だけどさっきの攻撃で思うように速く走れない

「今度はどうすんのかなっ!!」

 走れないなら・・・跳んでやる!

『矢口』は手を私に向けた


ドンッ

でも私の方が『力』を撃ち出すのは早かった
私は後ろに向けて『力』を撃ち出していた

『矢口』に向かって跳ぶために
504 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 21:07
思った以上に勢いがついた
矢口のお腹に私の頭がぶつかる

「ぐぁっ」
そのまま『矢口』勢いよく後ろの壁に激突した

ドォォォン

「ってぇ・・・」


『矢口』は頭から血を流しながら立ち上がった
その顔から笑みが見えた
505 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 21:10
「上手いじゃん!後ろに撃って勢いをつけるなんてさっ
でもアンタ自信もダメージは大きいんじゃないの?」
「・・・」

実際そうだった
『力』に勢いがあり過ぎた

私の体はさっきの攻撃で限界を迎えていた

『矢口』が手を出そうとした瞬間・・・










「もうやめてよっ!!」
カオリが叫んでいた
506 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 21:13
「やめてよ・・・私達親友でしょ?・・・なんでこんなことするの?
ねぇなっち・・・ねぇ・・・矢口ぃ・・・」

 カオリ・・・今の『矢口』にもう声は届かないよ

私は悲痛な思いでカオリを見つめた

「っせぇ!!なっちの前にお前からやってやるよ!!」
そう言って矢口がカオリに向かってに走り出した

「あ・・・」

 させない!!

「カオリっ!!危ないっ!!!」

私は思い切り跳んだ
そして『矢口』に向かって思いっきり『力』を撃ち出した




ドンッ
507 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 21:17
何がどうなったんだろうか・・・?

私は宙に一瞬浮かんだかと思うと急に地面に叩きつけられていた


私と『矢口』の『力』が近距離で相殺されたために暴発したことに気づいたときには
左腕を中心に体全体が悲鳴を上げていた

「『矢口』っ『矢口ぃ』!」
カオリの声がした

どうやら私を先に見つけたらしく、もう『矢口』の名前を呼んでいた
508 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 21:22
ガバッと何かが起きる音がした
『矢口』であるのは間違いなかった

「まだだっぞ・・・がはっ!」
どうやら『矢口』も限界らしい

 今のうちに・・・倒さないと・・・

「なっち・・・もだべ・・・」
私は悲鳴を上げる体を無理矢理起こさせた


『矢口』と目が合った

そして私と『矢口』は同じ行動をとった
お互いの最後の『力』をお互いの「敵」にぶつけた

「いっいやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
カオリの悲鳴が聞こえた
509 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 21:28
気がついたら『矢口』がぶつぶつと何かを喋っていた

「・・・最期に・・・一個だ・・・け言うこと・・がっ・・ある」
「やだよ最期なんて・・・矢口!!」
「私は・・・黄泉がえる・・・から・・・なっもう・・・1度
そんとき・・・はっ」

しばらくの沈黙が流れた

 矢口はもう・・・逝っちゃったのか・・・

「カオリ・・・」
「ねぇなっち・・・?嘘だよねぇ?」

嘘じゃあないよ・・・って言いたいトコだけど・・・

なっちももうダメだ・・・


カオリは涙を流していた

「・・・なっちも・・・黄泉がえ・・・るよ・・・また・・・
矢口を・・・止める・・・か・・・」
510 名前:黄泉がえり0 〜安倍編〜 投稿日:2004/08/11(水) 21:38
「あのぉ・・・」

「へ!?」
全ての記憶を見終わったと同時に誰かが声をかけてきた

声の主は女の子だった
「あの・・・そこで何してるんですか?」
彼女が指した指の方を見ると立ち入り禁止区と書かれている木の板があった

よくみるとここは小さな空き地で木の板のあった方向には大きな旅館が建っていた


「あの・・・よかったら家に来ませんか?今日、両親帰ってこないんで・・・」

私は彼女の言葉に戸惑いながら厚意を受けることにした
「あ、ありがとう・・・ところで、あなたの名前は?
私は安倍なつみ」

なんともいえない沈黙が流れた

「あれ?」
「はっ!私ですか?私の名前は・・・紺野あさ美です!」




8月10日・・・安倍なつみの黄泉がえりと、紺野あさ美との出会いの日だった


黄泉がえり0 〜安倍編〜 完
511 名前:タケ 投稿日:2004/08/11(水) 21:41
タケです
 
 〜安倍編〜 なんとか完結しました
次回からは予告(?)通り〜飯田編〜を開始しようかと思っています
512 名前:つみ 投稿日:2004/08/12(木) 09:30
おお!
彼女がついに・・・
そっちの展開も気になりますが、飯田編も楽しみにしております!
513 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/08/24(火) 16:21
「私は・・・黄泉がえる・・・から・・・なっもう・・・1度
そんとき・・・はっ」










そう言って矢口は目を閉じ何も言わなくなった

「う・・・そ・・・でしょ?」

「カオリ・・・」
「ねぇなっち・・・?嘘だよねぇ?」
「・・・なっちも・・・黄泉がえ・・・るよ・・・また・・・
矢口を・・・止める・・・か・・・」

なっちも動かなくなった

私はただ声にならない悲鳴を上げるだけだった

涙がボロボロと零れ落ち矢口となっちが歪んで見えた

そして急に頭が真っ暗になり私はその場に倒れた

・・・

・・

514 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/08/24(火) 16:28
私は北海道で生まれた

そして7歳のときに引っ越してここにいる


私はどうやら変な子だったようでみんなとは見ているものが違っていた(らしい)

「カオリちゃーん!何見てるの?」

「・・・」

「カオリちゃん?」

「・・・あ・・・」

「ダメだこりゃ」

何が見えた気がしていた
でもみんな見えてるのだと思っていた

それが違うと気付かなかったのはその何かを見ているとき、
視覚、聴覚が完全に遮断されて、他のみんなの反応がわからなかったから(だと思う)
515 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/08/24(火) 16:36
そして徐々にそのことに気が付き始めたものの、
やっぱりその何かを見続けている内に3年が過ぎ、5年生になっていた

そこで私は運命的な出会いをする

「安倍なつみ、北海道から来ました
よろしくお願いします!」
緊張しながら一言一言述べる転入生を私はまた何かを見ながら見つめていた




しばらくしてなっちは友達がたくさんできていたようで、よくみんなと話していた
私も時々話しに加わったもののその途中で何かが見えて会話を止めまくっていた

そのころはそんな私の行動をみんなは「交信」と呼んでいた

そしてなっちが来てから半年くらいしてある出来事が起きた
516 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/08/24(火) 16:42
「あれ〜?キーホルダーがない・・・」
放課後・・・突然なっちの困った声がした

「ねぇ、誰か一緒に探してくれない?」
「「うん」」
私も教室にいたので手伝うことにした

「ごめーん私塾だから・・・」
「うん」

「ごめんね、もう家に帰んないといけないから」
「うん・・・」
キーホルダーを探していたみんなは徐々に減っていって最後には私となっちしかのこっていなかった

時計を見ると5時を過ぎていた
私は部活とか習い事とかはまったくやっていなかったけど5時が門限だった

家の母は心配性で5時から1分でも過ぎればすぐに焦りだすような
ある意味時間に厳しい人だった


つまりはっきり言って私もやばかった
でも私が帰って一番困るのは・・・
517 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/08/24(火) 16:49
「あ・・・」
なっちは私に気付いた
もう誰も居ないと思ってたらしく、ひどく驚いた様子だった

「飯田さん・・・なんで・・・」
「大事な物なんでしょ?だから探す」
そう、一番困るのはなっち
母を心配させてしまう理由はそれだけで十分だ
母はちゃんとわかってくれるはず

「・・・うん!」





「あっあったー!!」
それから10分くらいしてついになっちはキーホルダーを見つけた
それはなっちの机の足の部分にちょうど上手く隠れていた

その日を境に私となっちの仲は急に良くなりよく話すようにもなったし
お互いの不満や不安を話し合うようにもなった


そんなある日・・・
「先生!私の給食袋がありませーん!」

今度は私の身にとんでもない出来事が訪れることになった
518 名前:タケ 投稿日:2004/08/24(火) 16:52
更新終了です

>512 つみ 様
飯田編始まりました!
でも小学生時代は安倍編とかぶるかも(実際かぶってるし・・・)
519 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 09:39
「最後に教室にいたのは?」
「えーっと・・・カオリ・・・じゃなかったっけ?」

その瞬間、クラス中の視線が一気に私に向けられた
もちろん、なっちも・・・

「・・・うん」
私は普通に答えた
別に私は何も盗んでないから
520 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 09:41
「カオリが盗んだの?」
「ちっ違うよぉ!そんなわけないじゃん!」

私は盗んでない

でも誰も信じてくれていない


悲しかった

「お前が盗んだんだろ?」
「だから違うって!」
「じゃあ最後に出たのは誰だ?」
「・・・カオリだけど・・・でもっ!」
「じゃあお前じゃないか!正直に言え!」

なっちも私を疑っているのだろうか?
521 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 09:43
私がなっちの方をチラッと見ようとした時だった

「違うよ!」
なっちが大声で叫んだ

なっちの一言で一瞬、みんな黙ったけどすぐに騒ぎだした

「何が違うんだ?安倍・・・」
先生が疑うように聞いた
そんな先生に私は不快感を覚えた
「カオリはそんなことしない!みんな知ってるでしょ?」
「それはそうかもしれないが」
「でも・・・」
「それともお前がやったって言うのか?」

その言葉で私の中で何かが走った
522 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 09:49
私は席から離れた
もちろん給食袋を探すために・・・

自分と、親友のために

「なにやってんだよぉ!お前っ」

まずはゴミ箱、ガサゴソとゴミ箱をあさりながらそれがないか探した

(ない・・・じゃあ次・・・)

今度は掃除ロッカーに向かった
(ない・・・じゃあどこ?どこいったの!?)
「なっちも探すよ」
横でなっちの声がした
523 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 09:51
私は少し焦っていたみたい

なっちの一言で気持ちが落ち着いた
そして同時にあることに気が付いた

さっきまで騒いでいたみんなも給食袋を探していた





「あった!」
524 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 09:56
給食袋はあっさりと見つかった

どうやら体操袋を入れるときにそのままランドセルの下に落ちていたらしい
それをその子が気づかず、同じとこにないから「ない」と言ったらしい
つまり・・・せっかちってこと

事件の後、先生とその子を含めたみんなが私となっちに謝った





放課後・・・
「あー今日は大変だったなぁ」
「そーだねぇ〜もう一時はどうなるかと思ったよぉ」
それから私となっちは事件に対する意見を話していった
525 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 10:00
その後その子と話すことは少なくなってしまったのが心残りだった

6年生になったときはクラスが離れ話す機会もほとんど無く卒業を迎えた


そして卒業式が終わって・・・




「カオリぃ〜!また交信してたべ!!せっかくの卒業式だったのにぃ!!」
「ホントホント、でもなっちだって泣き過ぎだよぉ!ねぇカオリ」

「・・・」

「「・・・はぁ」」
526 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 10:04
「あ、あのさ」
突然声がして私はハッとして教室の入り口を見た

「カオリ・・・ちょっといい?」
あの時の子だった
今が何か言うチャンスだって思って私はその子の方へ向かった




「あの・・・小5の時は・・・ごめんなさい」
廊下に出たらペコリと頭を下げられた

「え?い、いいよぉそんなこと
それにさ、私、卒業する前にもうちょっとあなたと話したかったし・・・」

卒業ギリギリでその子と話ができて、ほっとしながら卒業を迎えた
527 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 10:08
「なっちぃ〜!!おいてくぞー!」
今日から中学生!
元気に頑張ろう!・・・と昨日電話でなっちと話したのになっちは寝坊・・・
まぁ、なっちらしいんだけど・・・

でも時間はそんなこと許してくれるわけもなくもうすぐ遅刻しそうな時間に・・・

しょうがないから私は走り出した

するとすぐになっちの声がしたので安心した
でも遅刻寸前なのでスピードは落とさなかったりするんだけど・・・
528 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 10:13
途中からなっちの足音と声がしなくなり不安に思いながら
なんとか中学校にたどりついた

「あぁ〜くそぉ!!クラス表が見えな〜い!」

入り口の前に大きくクラス分けした紙が出されていた
でも私の視線はクラス表じゃなくて1人の女の子に注がれた

微妙にわかりにくいけどちょっと茶髪が入ってて、
大勢の生徒の後ろでぴょんぴょんと跳ねているのにクラス表が見えていない
ホントに小さな子が・・・なぜか目から離れなかった
529 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 10:20
私はハッとした
小さな女の子は疲れたようで肩で息をしていた

とりあえず私は助け舟を出そうと話しかけてみた
「ねぇねぇ、あなた、名前なんて言うの?」

「え?私?私は『矢口真里』!いつかセクシーな女の子になる予定なのだ!」
荒い息遣いでしゃべる矢口は一気に言った

「ぷっ」
自分でセクシー言う矢口に最初は笑ってしまった

「あ〜!笑ったなぁ!なんだよぅ〜」

だけど・・・
530 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 10:22
「ふふふっごめんね? えっと・・・『矢口真里』さんだね?」

「おう!そんでいつかはセクシーな・・・」

「えっと私と同じ3組だよ」
「無視かよ!」

「あぁ、私は『飯田圭織』よろしくね?」
「・・・」

矢口はため息をついた
何が矢口をそうさせたのかはまだわからないまま・・・

「あっカオリ〜!探したよ?」
突然後ろからなっちの声がした
531 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 10:24
「あっごめーん!だってなっち遅いんだもん」
「ひどいべさぁ!ちょっと寝坊しただけだべ!!」

「あの・・・」
しばらく私となっちは矢口を忘れ(なっちはまだ知らないけど)口論を続けた

「で?あなたの名前は?」
なっちはこれ以上の口論は無駄だと判断したらしく矢口と話すことにしたみたい

「へ?私?」
「だべ!ここであったのもなにかの縁だべ?これから仲良くなるべさ!」
532 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/10(金) 10:26
「・・・私、矢口真里!よろしく〜!」
「私はカオリ、飯田圭織!よろしくね?」
と冗談で私もなっちに言ってみた





「じゃあ最後は・・・」
「え?ちょっと!!今の間は・・・」

そんな感じで私達は矢口と知り合った

でも・・・このときから私は矢口に対してある違和感を覚えていた
533 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 00:28
矢口は人見知りを知らない性格に見えた

誰にでも明るく、誰にでも優しく・・・そんな風に見えた

一週間くらい過ぎて、矢口は大勢の友達と話すようになった
他の人だったら「調子に乗ってる」って言っていじめられるかもしれない
でも矢口にそれはなかった


不思議な子だった
それは別に誰にでも明るいとか優しいとかそういう不思議ではなかった


明るく笑ってるはずの矢口の目は笑っていなかった
もう何も見えてない・・・見てないように私の目には映った
534 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 00:38
矢口と出会ってから一ヶ月が過ぎた


「お、カオリ、一緒に帰ろうか!」
矢口と一緒にいる友達よく見るとみんな体操服を着ていた
「あー今日みんな部活なんだ」
「なるほど!そう言えば矢口は部活は・・・」
「短距離走・・・けっこうつかれるからサボってるけど・・・
あ、で、そんなわけで一緒に帰らない」

「うん、いいよ 
あっそうだ!なっちも一緒でいい?」

「ん?おっけー!」
にかっと笑う矢口
でも私には矢口が泣いているようにしか見えなかった
535 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 00:42
「でさぁ、その子がね・・・」
「へぇー!そうなんだぁ」
「でしょ?私もびっくりしたんだぁ」

結局私はなっちと一緒に帰らなかった
矢口に聞きたいことがあった

なっちがいたら
「そんなことしたらだめだべ!矢口が話してくれるまで待つべ!」
なんて言われるから・・・

なっちはまだ矢口の目に気づいてなかったけど・・・
536 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 00:45
「ねぇ、矢口」
私はわざと矢口を見ないで言った

「ん?なんだい?」
矢口は相変わらずの作り笑顔

この顔を見るたびにいつも悲しくなる

「もう、その顔で笑うのは止めたら?」
「なんの事かな?」
矢口はまだ笑っていたし声もさっきのままだった
537 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 00:49
「矢口・・・他のみんなは分かってないみたいだけど・・・多分矢口も含めてね、
矢口、目ぇ笑ってないよ?」

「・・・」
矢口の顔から笑顔が消えた
怒ったような、真面目な顔でこっちを見ていた

「それで?」
矢口の口調が変わった
いつもの優しい声じゃなくて・・・人を見下すような声だった

「だから・・・止めたほうがいいよ・・・それだけ」
538 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 00:55
「なぁ〜んだ!それだけかぁキャハハハハッ!!」
矢口は大笑いした後、またすぐに真面目な顔をした

「友達なんて・・・私にとっては表面的なもんでしかないからね」
そう言って矢口は小さく笑った
でも今度は作り笑いじゃない・・・自分を自嘲するかのように笑っていた

その顔で私は今の矢口の言葉が矢口の本音だと確信した

「つまり・・・自分の、矢口の心・・・誰にも見せない気なんだね」
「そーいうこと♪頭いいね、カオリは」
矢口はまだ自嘲した笑顔のままだった
539 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 01:06
「でもなんで?なんでそんな・・・」
「親友は私から逃げてったんだ それだけだよ」
「え・・・?」

「あいつは・・・私が小1のときからずっと友達だった
私は母親と仲悪くて、父親もどっか消えちゃったから、いつもそいつと遊んでいた」
私は声を失った
矢口の家庭がそんな状態だったなんて知らなかった

「ある日ね、まぁそれから結構後の話なんだけど、
私の家さ、ちょっと事故が起きたんだ」
540 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 01:15
「そのときちょうどそいつも遊びに来てて・・・一緒に事故った」
私はまだ何も言えないままだった

それでも矢口はまだ言葉を続けた
「で、そいつと母親は病院送り、そいつは母親より退院は早かったけどな」

「・・・」

「私はいつもそいつを心配した私のせいで事故ったから・・・
でもそいつは大丈夫、大丈夫て言って普段通り接してくれた・・・って思ったんだ」
541 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 01:22
「思った?」
「そう、あいつはそれから半年して急に転校したんだ
矢口は思ったよ・・・『あぁ、矢口は捨てられるんだ』ってね」

 違う・・・それは違うよ・・・矢口・・・

「だから私はもう親友なんていらない!友達だっていらない!
私は1人で」
「違うよ矢口!それは違うよっ!!」
私は思わず叫んだ

「何が違うのさ?何が違うって言うんだよ!!」
542 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 01:27
「違うよ・・・その人はきっと矢口が大好きだったと思うよ?」

「なんでそんなこと言えるんだ!カオリはあいつと会ったことないだろ?
なんだ分かるんだよっ!!」
矢口は張り裂けそうな悲痛とともに絶叫した





「私だったら早く逃げてるから・・・でもその人、半年してからだったんでしょ?
だから、なんとなーく」
543 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 01:32
「なんとなーくか・・・ははっ・・・はははっ・・・」
矢口は俯きながら声に出して笑った

「ホントはさ、気づいてたんだ・・・でも・・・それでも悲しかったんだ
あいつが・・・沙耶香がいなくなるなんて・・・耐えられなかった・・・」
矢口は泣いていた

「矢口」
私は矢口に近づいた

「だったら・・・私となっちが沙耶香って人になるよ・・・
最初は代わりでいい・・・でも、いつか飯田圭織、安倍なつみとして見てよ・・・」
544 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 01:37
「だから矢口・・・私たちと友達になってくれない」
「・・・うん」
矢口は手で涙を拭いていた

私は嬉しくなって思わず矢口を抱きしめた

「! かっカオリ?」

「え?・・・あっ!ごめん!!」

私は自分のしてることに気づき、ぱっと矢口から離れた
545 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/20(月) 01:39



「・・・ありがと」

「え?」
「あ、いや・・・抱きしめたことじゃなくて、その・・・
友達になってて言ってくれて・・・信じていいよね」

「うん」
私は少しドキドキしながら、でも確信を持っていった
546 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/27(月) 16:03
それから矢口は変わった・・・いい意味でね

笑うときの矢口の目はほんとに楽しそうな、嬉しそうな目をしていた


私はだんだん矢口の笑顔を見るのが楽しくなった


いつのまにか私は
矢口と話すときはどうにかして矢口を笑顔にさせようと色々考えていた




・・・でも実際は何故か何も考えてないときのほうが矢口の笑いを誘っていたんだけど・・・
547 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/27(月) 16:08






そのことに夢中で私は気づいてなかったのかもしれない
私が感じた矢口への違和感は、目だけではなかったんだ

それに気づいたのは1年後、今度はなっちも気づいていた

「ねぇ、カオリ・・・矢口って、何かおかしなとこ・・・ない?」
「なっちもわかる?私も・・・そう思ってたんだ」
548 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/27(月) 16:13
そう私達が思ったのはこの前矢口が先生とぶつかったときだ

その先生は私となっちを含むほとんどの2年生から嫌われていた

「なっち・・・あの人嫌いだべ」
「うん、私もー」

「ふーん」

私となっちは矢口の反応に驚いた

矢口も相槌を打つという2人の予想と違っていたから

あの先生は矢口に愚痴ったのに・・・
549 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/27(月) 16:16
「ねー矢口」
「ん?なんだいカオリ?」

なっちが心配そうな顔してたけど私は思わず聞いてみた
「矢口ってっ性格のわりにはあんまおこんないんだよね〜」
矢口は一瞬動きを止めて
「性格のわりにってなんだよ!」
といつも通り私につっこんだ

「でも矢口が怒ったの見た事ないよ?」
さっきまで心配顔だったなっちも続いた

「ははっ・・・ちょっと・・・ね?」
矢口は曖昧な返事をした
550 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/27(月) 16:20
「?」

「じゃあ帰ろうよ」
笑顔でそう言った矢口の目は久しぶりに笑っていなかった

「うん・・・」
「そうだね・・・ごめん変なこと聞いて」

いつもと様子が違う矢口に私となっちは
それ以上そのことについて質問することはなかった


         矢口は怒らない


その次の日から矢口の様子を見ていると
なんと矢口は怒った顔を一度も見せていなかった
551 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/27(月) 16:26
もちろん冗談でしかめることは何度かあった
私達と話しているときでもそれはよくあった

それ以外は笑顔でいたり、真顔だったり、退屈そうな顔だったり・・・

とにかく人に対する不満をもった顔は矢口の顔からは存在していなかった
それどころかそういった感情を押し殺そうとする仕草すら見せなかった



だから私は逆に矢口に対して一種の恐怖を感じた
552 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/27(月) 16:29

この世にまったく怒りを見せない人がいるのだろうか?

表の感情に出さないだけの人ならたくさんいると思う





でも矢口は特別だ・・・裏の感情にもそれはない


まるで別の誰かが矢口の「怒り」という感情を矢口の代わりに感じているみたいだ
そう思っていた


まさか実際そうだったなんて『あれ』が起こるまで知らなかったけど・・・
553 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/27(月) 16:33



6月になって・・・今度はなっちの異変に気がついた

どうも矢口を避けている
私の気のせいかもしれないけどそう見えた


なっちが矢口を避けるようになったのは梅雨入り前の雨の日からだった

それまでは休み時間も昼休みも放課後でも・・・すっと一緒だったのに・・・

雨の日からなっちは変わってしまった
554 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/09/27(月) 16:40
「なっち、最近矢口避けてない?どうしたの?」
私は気になってついになっちに聞くことにした

「別に・・・私は・・・」
なっちはうそが下手だ・・・
今にも泣き出しそうな切ない表情をしながらそんなこと言っても説得力0なのに

「私にも言えないことなの?」

なっちは首を縦に軽く振った
「言ったら・・・恥ずかしいから・・・」
なっちは顔を赤らめてうつむいた

私はなっちの仕草でピーンときた

顔を赤らめると言えばやっぱりそうなんだろう
「もしかしてなっち・・・矢口のこと・・・好き?」

ただこの一言が今後の私の気持ちに大きな影響を与えるなんて・・・
このときの私はまったく気づかずにいた
555 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 04:17
















なっちが矢口とそれまでと同じ関係になったのはそれから1年後・・・

どうやらなっちは振られたらしい

でも、このときの私は自分のことで頭がいっぱいだった
556 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 04:20
どこかで感じていたのかもしれない





でも別のどこかで忘れようとしていた
・・・でも忘れられなかった
だから必死に押し隠していた

中学校を卒業して・・・
高校生になって、矢口となっちと同じ高校に入学した

そしてあっという間に1年が過ぎた
557 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 04:25
ある日からなっちの周りに知らない先輩が群がっていることに気づいた

なっちの表情もおびえた様子だった

 まさか・・・


私は矢口に相談することにした

「ねぇ、矢口・・・」
「うん、私もそう思う・・・なっち、あいつらにいじめられてると思う」

矢口も気づいていた
もっとも、なっちのあの表情を見れば誰でも気づくかな
558 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 04:30
「でも・・・なんでなっち、私とカオリに相談してくれないんだろう?
相談してくれたら絶対そいつらとっちめてやるのに」

なっちが私達に相談しない理由・・・

それはなっちが優しいから

優しいから私達に迷惑を掛けないようにと我慢してるから


でも私はそのことを矢口に言うことはなかった


「まぁいいや、じゃあカオリ、いつなっちに聞く?」
559 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 04:33
「なっち・・・なんか顔色悪いよ?なにかあったでしょ?」

話を聞くことにしたのは次の日の放課後
ちょうど部活もなかったから

ただやっぱり「いじめられてるの?」とは聞きにくいけど・・・

それでも、
私はなっちに聞いた


なっちは事情をすべて話してくれた

話を聞いて、私の目からは涙がこぼれていた
理由はなっちがやっぱりいじめられていたから・・・だけじゃなかった
560 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 04:36
私は悪い女だ

矢口が「なっちが相談してくれたら絶対そいつらとっちめてやるのに」
と言った言葉を聞いてから心の隅で(私もそうなれたらいいのに)

と思っていた

だから私はあえてなっちが相談しない理由を矢口に教えなかった


私はなっちに嫉妬していた

でもなっちは本当に苦しんでいた
そのことに気がついて私は自分の考えていたことの愚かさを知って泣いた
561 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 04:41
私と矢口はなっちを守ることを決めた

私は喧嘩とかそういうのは苦手だから先輩に対して何ができるかわからない
でもどうにかなっちを守りたかった

その決心はは親友としての念と一種の罪滅ぼしの念が含まれていた


数日後
先輩がなっちを呼んだ

同時に矢口が笑ってない目で先輩を見つめていた

そして私達は体育館へと移動した
562 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 04:45
「あれ?今日は3人なんだ」
先輩は3人いた

「あぁ、アイツらも遊んで欲しいって」
「そう、じゃあ始めよっか?」
「誰からやるの?」
3人とも楽しそうで・・・許せなかった

 でも・・・私に何ができるの?


「まずは安倍からねっ!!」
そう言ってなっちを殴りかかった先輩を矢口が止めた

私はその場から動けなかった
563 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 04:50
矢口は一瞬で2人の先輩を倒した

私は矢口の強さに驚愕していた
後ろから迫るもう1人の先輩に気づかずに・・・


先輩の気配を感じる前に私は腕を捕まれた
「きゃあああっ!!」
そのまま私は先輩に羽交い絞めにされた

矢口となっちが心配そうな顔でこっちを見ていた

 なんだよ・・・やっぱ私って何もできないんじゃないか
564 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 04:54
「おい!アンタ!!カオリを離せっ!」
「うっせぇ!!なんでこっちがやられなきゃならないんだよぉ!!」

先輩は私を前に押しながら矢口に近づいた
「殴らせろ、じゃないとコイツを殴るぞ」

「殴れるのかよ?」
ふと矢口が私の方を見てにこっと笑った




そして次の瞬間、矢口は土を先輩の顔に掛けて私を掴んでいた腕を殴った

私は先輩を振り払って先輩から逃げ出した

「カオリっ!」
「なっち・・・ごめん」
565 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 04:59
「てめぇ!!なめるのもいい加減にしろよっ!!」

後ろからさっきの先輩の声がした
はっとして振り向くと矢口が地面に倒れこんでいた
そして先輩は・・・矢口のお腹に乗っていた

「死ねぇっ!!」

私は矢口を助けようと走り出そうとした
でもその前に私の隣にいた親友が走り出していた

先輩と激突したなっちは矢口を助けることに成功した

 あ・・・やっぱダメだ・・・カオリは2人のために何もしてない
 足を引っ張ってるだけだ

566 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 05:02
「アンタ!!矢口とカオリに怪我させてみなよ!!
私は・・・私は絶対アンタを許さないからね!?」

その言葉に私ははっとしてなっちを見た
「矢口・・・カオリ・・・ごめん
怖い思いさせちゃって」
 
 やっぱりなっちは優しすぎるよ・・・
 私なんていなかったほうがよかったのに心配してくれて

「なに言ってんだよ!なっちは悪くない!」

「そうだよ!矢口とカオリはなっちのためにここに来たんだから!
・・・でもカオリは矢口と違ってなんにも出来なかった
それどころか足手まといになっちゃって」

なっちは優しすぎる・・・今はそれが苦しいよ・・・
567 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2004/11/08(月) 05:08
「なに言ってんだよ!!私はうれしかった矢口とカオリがいてくれたから・・・
ホントは自分1人で解決しなくちゃいけないんだろうけど・・・
それでも私は嬉しかったよ!!」

私はその言葉に思わず涙を流してしまった
私は悪い女だ・・・こんな優しいなっちに勝手に嫉妬して・・・
 
 ごめんね・・・親友・・・





「と、いうわけだから先輩さん・・・今後なっちをいじめるようなことすれば
私とカオリが許さないからね?」
必死で涙を止めようとしている間に矢口が先輩達に話しかけていた
その言葉を聞いた先輩達はその場から逃げていった
568 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/02/11(金) 17:39
あれから風のように時間は進んで・・・
気がつくと私達はもう高校3年生になっていた

生徒会副会長になった私は多忙になり、
前のように矢口となっちと帰る機会が減ってしまっていた

それでも仕事がないときには当然のように一緒に帰っていた




「あ〜、大学どっこ行こぉ〜!」
突然矢口が叫んだ

「もう来年だもんね、はぁ・・・」
なっちもため息混じりに呟いた

「・・・」
私は黙っていた

「どしたの?カオリ・・・」

 ドキッ

すると私の目の前に矢口の顔がやってきた
「!・・・!!」
私は突然の出来事に心臓が飛び跳ねる

「あ!またいつもの交信かぁ♪あははっカオリらしいやぁ」

 ちょっと違うんだけどね・・・





だって私が動けない理由は・・・
569 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/02/11(金) 17:48
私は確信していた

きっと来年もその先の未来もこんな他愛のない会話をしながら
2人とその時の「今」を楽しんでいるんだろうと・・・

今度は就職について語っているかもしれない
もしかしたら私達3人の中の誰かに恋人ができて結婚就職するかもしれない
(って、気が早いか)

とにかく私はこの先の「未来」に何の不安も抱いていなかった
この2人がいる限りは・・・










そう確信していたのに・・・
570 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/02/11(金) 17:56
「あ〜ごめん!今日生徒会の話し合いなんだぁ」
前回の生徒会でまとまらなかった話し合いが、
偶然その日に続きをすることが決まってしまったため、
私はなっちと一緒に帰れなくなってしまった

なっちはいつになく不安げな顔をしていた

「ごめんなっち・・・でも今日は話し合いの途中だけだから・・・」
「あ、大丈夫、大丈夫!まっすぐうちに帰るから・・・」
それでもなっちの顔は曇っていたけどなっちが大丈夫と言っている以上、
これ以上は何も言えなかった

「じゃあね、カオリ」
「うん、じゃあねなっち!気をつけてね」

なっちが階段を降りていくのを見て私は生徒会室へ向かった
571 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/02/11(金) 18:04
結局話し合いは30分くらいで終わりった。

今日は矢口ともなっちとも一緒に帰れないことは知ってたので
私は足早に家に帰ることにした


今頃2人は何やってるのかなぁ、
なんて考えながら暗くなり始めた帰り道を歩いてると

・・・突然空気が揺れたような感覚を覚えた

(え?・・・何・・・これ)

私は空気が揺れた方向へ走り出した

右へ、左へ、今思えばどうやってあの場所まで行けたのかはよくわからない
でもその時の私は確かにその場所へたどり着くことができた

『悲劇』の場所へ・・・
572 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/02/11(金) 18:11
角を左に曲がるとなっちと矢口の姿があった

ただ、なっちはあざだらけになって地面に倒れてたし、
見覚えの人達が倒れていた

その人達を見て、前になっちをいじめていた人達だということに気づいた

(なっちは倒れている・・・じゃあ、いま矢口は・・・!!)

私は一度止めた足に再び力を入れて矢口に向かって駆け出した

私なんかたいしてなにも出来ないかもしれないけど・・・
矢口を、なっちを守ることくらいはしたいから・・・

だけど・・・

「矢口!なっち!大丈・・・」

ドン

まるで人が車にはねられたような音と同時に空気の揺れを感じた
573 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/02/11(金) 18:18
駆け出していた私の足は再び止まってしまっていた

そして私は自分の目を疑った


だけど間違いなかった


矢口の目の前に誰かが飛んでいたのだ

鈍い音とともにその人は地面に叩きつけられる


「や・・・ぐち?」
私は状況が分からず、咄嗟に矢口の名前を呼んだ

矢口がこっちを向く
途端に私は自分の顔から血の気が引いていくのがわかった




矢口は笑っていた
初めて出会ってから一度も見たことのない・・・狂気に満ちた笑顔で・・・
574 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/02/11(金) 18:26

「あんた達!何して・・・!ちょっと、どうしたの?これ・・・
あ、救急車は!?」
突如後ろからおばさんがやってきた
どうやら買い物の途中で偶然こっちを通りかかったらしい

その人は慌てて携帯電話で救急車を呼んだ

「ふぅ・・・」
「すみません、お手数掛けてしまって」
「いいのよ別に・・・それより、これ、どうしたの?」
おばさんは不安に満ちた顔で地獄絵を眺めていた

「私にもわかりません、さっきここに来たばかりなので・・・」

「さ、最近の若い子はこんなに激しい喧嘩をするんだねぇ・・・」
おばさんは両手で口を押さえ、恐ろしそうに(いや、実際恐ろしいのだけど)言った。


おばさんはそのまま近くの交番に連絡すると言って走り去ってしまった




しばらくして救急車のサイレンの音と警官とおばさんが来た
575 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/04/19(火) 15:51
その日を境に矢口は変わった

普段はいつも通りの矢口なのに一度怒らせると
まるで人が変わったかのように荒れるようになってしまった

そして私となっちを除いたみんなはそんな矢口の様子を
こう例えるようになった





「バーサーカー」って・・・
576 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/04/19(火) 16:00
「ねぇカオリ・・・なっち・・・私・・・もういない方がいいのかもしれない」

私となっちは矢口のその一言に激怒した

「ばかっ!!!」
そう言って矢口を殴ったのはなっちだった
なっちが矢口を殴るなんて初めてだと思う


「矢口・・・誰がなんて言おうとカオリとなっちは矢口の親友だよ?
矢口、私達はずっと親友だよ!」
そう言ったのは自分だ

矢口を失いたくない
その理由はいつの間にか2つに増えていた


「ずっと・・・ずっと友達でいようね?」
私達はそう誓った

そう、誓ったはずだったのに・・・
577 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/04/19(火) 16:08
それから一ヶ月以上過ぎた頃から、私はなっちの異変に気付いた

一緒に帰ることも少なくなったし、携帯に電話しても繋がらないし、
ついにメールも1本も帰ってこなかった

そんなある日の休み時間、
私はついになっちを尾行することに決めた

矢口もついて行きたいと言っていたけど
とりあえず様子を見るだけと諭した

怒るかと思ったけど「わかった」の一言で矢口は納得してくれた

なっちの跡をつけると学校にある電話で誰かに電話していた



ガシャッ
なっちが受話器を置いたとき、私は急いでなっちに近づいた

「どこの誰となにを話してたの?」
578 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/04/19(火) 16:17
なっちはついに全てを話してくれた

中澤という人が矢口みたいに『力』を持つ人の研究をしているらしく
なっちはその人の連絡先を必死にさがしていたらしい
そしてさっきの電話でやっと中澤さんと連絡が取れたと

「なんで矢口に言わないの?」
もちろん必死になってて言い忘れてたんだろうけど、
実際に『力』を持っていて、1番『力』を嫌っているのは矢口なのに・・・

「だって・・・結局矢口は多分実験されるわけだから・・・
きっと嫌だと思う」
その言葉を聞いて私はハッとした
自分の嫌いなことについて調べられるとしたら矢口だっていい気はしない

それに、私はまだその人がちゃんと矢口の『力』を無くしてくれるのか
未だに信じられなかった
579 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/04/19(火) 16:23
次の日、なっち曰く「振り出しに戻った」ということで私は再び中澤さんと
連絡が取れるようになる8月まで矢口に嘘をつくことになった

矢口が「なっちどうしたんだろうね」と言うたびに良心が痛んだ
そのたびに真実を伝えそうになった

でも、もし中澤さんがちゃんと矢口の『力』を無くせなかったら・・・
そう思って必死に言わずにいた



私達からは矢口はいつも通りの様子で、私達の事には気付いてなかった





・・・わけじゃなかった
580 名前:黄泉がえり0 〜飯田編〜 投稿日:2005/04/19(火) 16:29
「ねぇ・・・なに隠してんの」

バレてた
最近ではまた3人で帰るようにもなったけど無駄だったらしい



(もうダメだよ・・・言っちゃおうよ)
私は小声でなっちに言った

私は卑怯だった
ここでまた嘘ついて矢口に嫌われるのが怖くて・・・
全てをなっちに伝えさせようとして・・・

私は最低だった


結局なっちは今までのことを全部話してくれた
その間私は自分に対して罪悪感と嫌悪感しか感じることができなかった

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