◇◆ この気持ちが恋だと気づくまで ◆◇

1 名前:名無し作者 投稿日:2003年09月07日(日)21時21分44秒


多分後藤中心の話になると思います。
本当にダメダメな駄文ですが、感想など頂けたらとても嬉しいです。
それでは宜しくお願いします!!


2 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月07日(日)21時22分29秒




       〜この気持ちが恋だと気づくまで〜





3 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月07日(日)21時23分10秒



−1−




「よしこ〜!!」

大声で名前を叫ばれたと思ったら、突然背中にタックルされたような衝撃を感じた。

少し低い位置から前へと廻るその細い腕は、あたしがもっとも仲の良い人物のものだった。

「…いきなり抱きついてきたら痛いって」
「へへへ〜 ほんとは嬉しいくせにぃ」
「何言ってんの。早く離してって」
「ちぇ…。なんか今日冷たいのー」

渋々、といった感じに廻した腕を離す。
後ろを向かなくとも彼女の表情はきっと唇を尖らせて不満そうな顔をしているに違いない。
あたしはフッと溜息を漏らすと、ゆっくりと体を反転させ後ろへ振り返った。

「今日はどしたの? 仕事?」

あたしが後ろを振り返ると、やはり予想通りの彼女の顔がそこにあった。
ただちょっとだけ違ったのは、眉間に皺を寄せてあたしを睨むような仕草を見せているという事。
そんな顔をしてもやっぱり可愛いんだから、同じアイドルとして少し嫉妬を感じてしまう。
「…仕事だよ」
彼女は不機嫌を装ったまま低い声でそう答えた。

4 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月07日(日)21時23分53秒



「なに、拗ねてんの?」
あたしはわざとからかう様な口調で彼女の頭を撫でる。
ガキ扱いされた事にすぐ気がついたのか、ますます眉間に皺を集めて
頬をプクッと膨らませた。その顔は魚で言うとフグそっくりだった。
「よしこって…ごとーの事嫌いでしょ」
「全然!大好きだって!」
これはほんと。
「じゃあなんでいっつも苛めるの!」
「誰が誰を?」
「よしこが、ごとーを!」
子犬のように下から上目遣いに見上げてくる。
その顔を見てたらもっとからかいたくなってきたが、これ以上やると流石に彼女も怒ってしまうかもしれない。
あたしは頭を撫でていた手を止めると、完全に拗ねているごっちんの顔を見て言った。

5 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月07日(日)21時24分34秒



「それはね……ごっちんが可愛いからだよ」
「…嘘」

「本当だって。ごっちん可愛いから大好き!」

「………」

ごっちんは何も言わずに下を向いて爪を弄りだした。
ついに怒ってしまったのかと思って、あたしは横から顔を覗き込もうとする。


ごっちんはそれを手で制して、プイッとあたしから顔を背けた。


その行動は、ごっちんが怒ってるんじゃなくて照れてるんだと気づく。
だってごっちんの耳は林檎みたく真っ赤だったから。

6 名前:名無し作者 投稿日:2003年09月07日(日)21時27分08秒


とりあえずこんな感じで始まります。
良かったら感想などください!!
7 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月07日(日)22時34分44秒
よしごまだぁVVV
ごっちんかわゆい
8 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月08日(月)20時53分55秒
よしごま!
照れる後藤さんかわい〜(w
よしごま大好きなんで楽しみにしてます。
9 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月08日(月)20時56分18秒



「どうしたの?」
照れてる。
それが分かると、あたしの中の苛めっ子精神がむずむずと疼きだす。
どうした?なんて聞かなくてももう分かってるのに。

あたしはわざとごっちんの肩を右手で掴むと自分の方へと引き寄せた。


「…っ!!」



片手で髪を掬って耳へかけさせる。
今度は頬の赤みまでばっちりと確認出来た。
「やめてよ、馬鹿よしこ」
なんて憎まれ口を聞いてるけど、ごっちんの声はちょっと上ずってて、照れているのを隠し切れなかったみたいでおもしろかった。
あたしは引き寄せた体を更にギュッと胸の中に閉じ込める。


10 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月08日(月)20時57分44秒



「ちょ、ちょっと。なに、何してんの」

「ギュッてしてる」


「…そんなのわかるっつーの!!」
いつもマイペースのごっちんがこんなに焦っているのは珍しく、あたしはごっちんの肩に顎を置きながらケタケタ笑ってしまった。



「もう嫌い!よしこのバカ!」
そう言うとごっちんはキュッと口を噤んだ。
目には薄っすらと涙が。
あたしはそこまでごっちんをからかうつもりは無く、そのごっちんの状態に驚いて
抱きしめていた体をそっと離した。

「ごめんっ」


11 名前:名無しさん 投稿日:2003年09月08日(月)20時58分15秒



後ろから声をかける。
それでも完全に機嫌を損ねている様子で。
あたしは負のオーラが漂うごっちんの背中をじっと見つめていた。

ごっちんは結局、こちらに顔を向けないままツカツカと歩いていってしまった。


「…あーあ。なんだよごっちんのやつ〜。 変なの」


12 名前:名無し作者 投稿日:2003年09月08日(月)21時00分17秒

毎回少量更新ですいません!!
その分早いペースで更新していきたいと思います。
13 名前:レス 投稿日:2003年09月08日(月)21時03分48秒
有難うございます。
まさかこんなものにレスが…(w

>>7名無しさん

よしごま好きですか??
まだこれからいろいろ展開していくので、楽しみにしていてください!

>>8名無しさん

よしごまって需要多いんですね〜。
作者も基本的に好きです(w
これからも楽しみにしてくださると、そして感想など付けてくれるととても嬉しいです。
頑張ります!!
14 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/10(水) 01:46
いやぁ〜ごっちん可愛いなぁ…。
最近荒んでたもんで、久々にほんわかした気持ちになれました。
よしごまの基本・マターリ感がすごく感じられていいですね。
これからも私を癒し続けてください、作者様。
15 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/10(水) 22:09
もっとぎゅっとしちゃって!
やっぱよしごまは癒されるな。
16 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/11(木) 21:05




―2―




その日は朝からスタジオでTV番組の収録があった。
天気は残念ながら曇り空で。なんだか今にも雨が降ってきそうなくらいに
灰色をした雲が空全体を覆いつくしている。
そんなどんよりした空を見上げて、あたしは一つ溜息をついた。
「やな天気だなぁ……」


あたしは基本的に晴れが好きだ。
自分で晴れ女と言って自分で喜んでいるくらいに、どんな天気よりも快晴な日を好む。
外が晴れていると自然と心が軽くなるし、やりづらい仕事だってなんなくこなせてしまうような錯覚におちいるんだ。
あたしが快調な日は、ほとんどがそんな気持ちの良い天候の日だったりする。


17 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/11(木) 21:06




「…あっ!」



あたしが空と同じような暗い気持ちになりながら道端に落ちている小石を蹴っ飛ばして歩いていたら、
目の前にもうすぐモーニング娘。を卒業する先輩の後姿が見えた。
その小柄な体つきはあたしとは正反対で、どんな時でもこの人の笑顔があればやっていけるぞ!というような気持ちをメンバーにも起こさせてくれた、あたしにとってもみんなにとっても大事な大事な存在の人。




あたしはコンサートで卒業する事を発表した後、打ち上げで話した安倍さんの言葉を思い出した。



『なっちねぇ、もうすぐ卒業しちゃうけどさ。
メンバーのみんなと過ごしてきた日々は、なっちを確実に成長させてくれたよ。
初めは、ソロで歌いたくて芸能界に入ったけど、結局は『モーニング娘』っていうグループでデビューする事になっちゃって、全然考えてもない事だったから焦って周りが見えなくなっちゃっててさ。随分あの頃は周りに反発してたなぁ』
随分昔の事を、まるでついこの前起こったことのように話し始める。
その口調は穏やかで。
コンサートで興奮した気持ち冷めやらぬあたし達とは違った雰囲気を醸し出していた。


18 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/11(木) 21:07




『でもね、段々みんなで協力し合って出せた曲がオリコン入っちゃったりすると、ものすんごぉく嬉しくてね。手を取り合ったり抱き合ったり、多分、自分一人じゃあそこまで感動しなかったと思う』



安倍さんの後姿を見つめながら、ぼんやりと一語一語頭の中に思い浮かべる。
あたしの足は動きを停止したままだ。
持っていたバックの重みをふっと肩に感じた時、あたしはゆっくりと小さな背中に向かって歩き始めた。




みんながいてくれたから、今のなっちがいる。安倍なつみは、モーニング娘。を卒業しても、ソロとして、娘。に恥じない立派な歌手になってみせるよ。




そう安倍さんは目をキラキラと輝かせながら笑顔で言っていた。
あの綺麗な瞳には何が映っているのだろう。
大きな夢。これからの期待が胸に詰まって、溢れかえるかように強い光りをその瞳の中に感じた。



19 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/11(木) 21:08





これで卒業していったメンバーは安倍さんを含め7人。


寂しくないと言ったら嘘になる。


でも、抜けていくパートやダンスの割り振りなどで、悲しい気持ちを感じるまでもなく多忙な日々が続いていくと、いつも間にかそんな感情も薄れていってしまっていた。
「………」
そんな毎日を送っているけど、あたし達は一歩一歩確実に成長していっているわけであって、卒業した元メンバー達も、それぞれの想いを抱きながら充実した日々を送っているはずだ。
そんな風に考えると、『寂しい』『悲しい』なんて考えるよりは、ずっとあたしの心を落ち着かせられて、そして自分の成長をも感じられる。
何事にもポジティブに考えるようにしているあたしは、そうして卒業していったメンバーに『頑張れよ!!』って笑顔で見送っていった。


20 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/11(木) 21:09




「安倍さん」
あたしは、もうTV局に入ろうとしていた安倍さんを、後ろから声をかけて立ち止まらせた。



「……おっ!よっすぃ〜じゃないかい。今日はやけに早いねぇ?」
「安倍さんこそ、どうしたんですか?」
「なっちはこれから雑誌の取材が2本入ってるんだ。」
「そうなんですかぁ。あたしは、Bスタジオで収録なんです」



安倍さんとエレベーターまでの道のりを並んで歩く。
それだけ言って、二人共黙り込んでしまった。
無言のままエレベーターの中に入り、あたしは3階、安倍さんは5階のボタンをそれぞれ押してうぃーん、と扉が閉まった。



21 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/11(木) 21:09



何も話さなくとも嫌な感じはまるでしない。
中学時代の親友と一緒にいるみたいに、心が落ち着く。
安倍さんしか出せないこのふんわりとした雰囲気があたしは好きだった。

22 名前:名無し作者 投稿日:2003/09/11(木) 21:11

間を空けてしまってすいません!
しかも中途半端に区切って申し訳ないです。。


23 名前:レス 投稿日:2003/09/11(木) 21:19


レス有難うございます!
本当に嬉しいです。感動しました(w

>>14名無しさん 

普段クールなんて言われてるごっちんだけども、絶対プライベートではこんな感じなんです(w
多分ハードな内容にはならないと思っていますので、これからもこのゆるい雰囲気を保っていけたら良いなと思います。
レス有難うございました!!

>>15名無し読者

今回はごっちん出てきませんでした。
基本的に恋愛ものなのでもっとギュッとしていくつもりです(笑)
ゆっくり見守っていてください。
これからも宜しくお願いします!!

24 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/15(月) 10:17




―3―




「…え?」



「だから、なっちはよっすぃーの事が好きなんだって」



エレベーターの扉が閉まった瞬間、突然された告白。
あたしは目を瞬きさせて、
わけも分からないまま何度も同じことを繰り返し聞いていた。




「…今なんて言ったんですか?」


「だぁ〜か〜ら! なっちは、よっすぃーの事が好きなんです!って言ってんだべ!!」

25 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/15(月) 10:18



安倍さんは少し呆れたように溜息をつきながら、声を荒げて語尾を強くする。
そして、呆然としているあたしの腕を引っ張り、自分の方へと向けさせた。


「あの…それは、メンバーとしてですか?」
「違うけど」


あっさり言ってのける安倍さん。


「なっちは、ちゃんと『恋愛感情』としてよっすぃーの事が好きなんだ」


そういった安倍さんの表情があまりに自然すぎて、
あたしはぼーっとしたまま何の反応も返せないでいた。



26 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/15(月) 10:19




「もうすぐ、なっちは卒業しちゃうからね。
けっこう昔から溜め込んでた気持ち…伝えようかと思ってたんだ。


そしたら今日偶然声かけてくれたでしょ?よっすぃーと二人っきりになる事あんまり無いから、今がチャンスだと思って………」



エレベーターはとっくに3階に着いていて、それすら気づかないあたしの腕を引っ張って
安倍さんは人気の無い階段付近にあたしを連れてきた。
一応仕事までにはまだ時間があるものの、安倍さんがどうかは分からない。
状況を話してくれるのが少し早口なのは、もしかしてそろそろ仕事の時間が迫ってきているのかもしれなかった。




「……安倍さん……」


27 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/15(月) 10:20



安倍さんがあたしの事を好きだなんて、地球が引っくり返っても有り得ない事だと思ってたから、今まで意識したことなんてもちろん一度も無かった。
でも、安倍さんは『けっこう昔から』あたしの事を気にしていてくれていたわけで。
それに気づかなかった鈍いあたしがなんとなく情けなく思えた。



もしかしたら梨華ちゃんはあたしの事好きかもナー、なんて自惚れてた時もあるけど、
結局は『好きな人が出来たの…』なんて相談役にまわされちゃったりしてさ。マジでそんな事考えてた自分が恥ずかしくなった事もあったし。


でも、
あたしはメンバーにそんな「感情」を持つこと自体考えられない事だった。
『女の子同士』とかそういうものでの差別とかもしないけれど、特別な感情を、メンバーの誰にも抱いてはこなかった。
だから…。


28 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/15(月) 10:20




「ごめんなさい」


あたしはペコッと頭を下げると、申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら
まだ、どこかで安倍さんのこの告白が冗談だったって事を、少し期待していた。


「……それは…さ……ダメって………事だよね……」


頭の上から悲しげな声が直接頭の中に響く。
分かってたことだけど、気持ちが伝えられても、受け取られなかったら悲しいものだ。
罪悪感らしきものがあたしの胸の辺りでぐるぐる回って、下げた頭を上げたら安倍さんがどんな顔をしているか考えるだけで嫌だった。
メンバーを悲しませるなんて、あたしには嫌だった。




けど……安倍さんの気持ちは受け取れない……



29 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/15(月) 10:21




「じゃあさ…」



「最後に」





「キスしてくれる……?」

30 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/15(月) 10:21



頭を数回撫でられ、泣きそうな声で上から声をかけられる。
まるで頭を3回パンチされたような衝撃を受けて、驚いて目が開きっぱなしのあたしは、腰を30度曲げたまま動けなくなっていた。

31 名前:名無し作者 投稿日:2003/09/15(月) 10:24

更新終了です!
次回はごっちんが出てきます。
少しだけ話が展開するかも…?
ゆっくり更新して無事完結出来るように頑張ります!!


32 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/15(月) 17:11
おぉーなっち大胆ですな。
こんな展開になるとは・・よしこどーする??
33 名前: 投稿日:2003/09/15(月) 19:56
おー!モテ吉!もてる吉澤さん大好きです。
ここで後藤さん登場ですか?・・・ドキドキ(笑
いしかーさんの相手は誰でしょうか、自分としては保石が(w
34 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 16:57





◇ ◆ ◇ ◆ ◇




あれから3日経った今日。

結局、安倍さんとはぎくしゃくしたまま何も話せない状態になってしまっている。



35 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 16:58



もちろん……キスなんか出来なかった。
だって、あたしの頭はSOS危険信号が出ていて『これが最後といっても、安倍さんの事を好きじゃないあたしがキスなんかしてはいけない』という事だけが頭の中をグルグルと駆け巡って。
気づけば、顔を上げて「ごめんなさい!!」と謝り、そこから一目散に逃げ出してしまっていた。


………めちゃくちゃ気まずいんですけど………

36 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 16:59



目も合わせない不自然すぎる二人に気づいて段々メンバーが心配し始めたときに、
安倍さんと仲の良い矢口さんから声がかかった。



『よっすぃー。…なんか、最近さ……元気無いよね?』

『いえ!そんな事ありませんよっ!!
 ほら、あたしはこんなに元気いっぱいです!!』


大袈裟に腕を振り回して、突然1・2・1・2とラジオ体操第二を踊りだすあたし。
誰にも安倍さんとの事には触れてほしくなくて、つい変な行動を取ってしまった。



予想通り、そんな奇妙なあたしを見て、矢口さんはやれやれといった感じの顔になって。
ラジオ体操第二が終わり、うろ覚えの第一に入ろうとしてるあたしの腕を掴んで、ふぅと息をはき吐き出すように言った。




『………そーゆうのって、空元気っていうんだと思う……』

37 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 16:59




結局。

「なっちとなんかあったんだろ。喧嘩でもしたの?
 ……そろそろなっちだって卒業しちゃうんだから早めに仲直りしなよ」と、勝手に二人が喧嘩したと思い込んだ矢口さんは、そう言って満足そうにバシン!とあたしのお尻を叩いて微笑んだ。



それについて何も言い返す気力の無かったあたしは、ハハ…と力無く微笑み返して
フラフラと楽屋から出て自販機まで歩いてきた。
そこで偶然座っていたのがごっちん。
楽屋にもあまり遊びにこないし(仕事が忙しくて来れないせいもあるだろうけど)、コンサートとハロモニ以外あまり会う機会の無くなったごっちんはあたしを見つけると、いつものふにゃり笑顔でこちらへ来いと手招きをした。


あたしは、まだフラフラとおぼつかない足取りでごっちんの隣へ腰掛ける。

38 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 17:00




「……はぁ……」



「よしこ、溜息つくと幸せが逃げるんだよ」




知ってるよ!と突っ込むことも出来ず、あたしはクタッとごっちんの肩に寄りかかる。
ごっちんの体はちょっと温かくて、さっきまでガンガン冷房の効いていた楽屋にいたあたしの体にその温かさが染み渡った。


「どしたの? よしよし」


普段あんまり弱みを見せないあたしがこんなに弱っているのが珍しいらしく、ごっちんは心配そうな声で頭をなでなでしてくれた。


39 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 17:00



「………ごっちん……『好き』って…なんなんだろう?………」



自然と口に出た言葉。
この3日間ずっと、安倍さんに告白された言葉が耳について離れない。


夜にベットの中で、あたしのどこが好きになったんだろうとか、あたしがあの時声をかけなかったら安倍さんはあんな事言わなかったのかな、とか色々考えてみても
胸の中がモヤモヤとするだけなので、布団を被ってすぐに寝ようとした。
……でも、なんだか寝られずに睡眠不足のまま3日間仕事に行くはめになってしまった。

40 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 17:01



「…ふぇ?何、急に」
ごっちんは間の抜けたような顔をした。
でもすぐに真剣な表情に変わって、あたしの髪を撫でながら考え始めてくれる。


………1分……2分……3分……4分……5分………



その間二人共黙ったまま、ごっちんのあたしの髪を撫でる優しい手は止まらずに。


10分ほどしてからごっちんはその手をそのまま耳へと持っていって、あたしの耳元でそっと囁いた。



「『好き』とか『愛してる』っていう感情って人それぞれ違うけどさ… たぶん、相手のことをどんだけ想ってるかって事だと思うよ。……自分が好きになった人の事を、どんだけ気にかけてるかとか、どんだけ心配してるかとか………ちょっと違うかもしれないけど。
 きっと、他の人とは違う『想いの強さ』なんだと思うよ」

41 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 17:02



ごっちんなりに一生懸命考えてくれた意見は、あたしの耳にじんわりと入り込んでいった。



「……ありがと。 ごっちん……」


「あはっ………元気でた?」



「うん。めっちゃ出た!………っと、あのさ」
「なに?」

「…今日…仕事終わったらごっちんの家行っても良い?」

「いい…けど。よしこ明日の仕事は?」
「午後からだから、大丈夫」
「ん、わかった。ごとーも今日これであがりだから家でご飯作って待ってるよ」
「マジで!?うっわ〜久しぶりだしごっちんの手料理!」

42 名前:名無し作者 投稿日:2003/09/16(火) 17:03

更新終了〜
よしこの後藤宅行き決定です!!



43 名前:レス 投稿日:2003/09/16(火) 17:08

>>32名無し読者

よしざーさんへタレです!(w
なっちとの絡みはまた後ほど…。
まだよしこはピュアなままです(w

>>338様

モテ吉ですね。
でもこれから話が展開していくかも…(?
石川の相手もまた後ほど…( ^▽^ )<もうちょっと待っててください♪


44 名前:つみ 投稿日:2003/09/16(火) 21:13
いい感じですね!
45 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/19(金) 20:51




―4―




「お邪魔しま〜す!!」
「よしこ、声でかい」



最近ごっちんは一人暮らしを始めた。
家でいると、疲れているにも関わらず弟と喧嘩したりしてしまい余計な体力を使ってしまうそうだ。
都心にあるマンションの一室はまだ新しくて、けっこうめんどくさがりなごっちんにしては部屋の中も意外にキチンと片付いていた。



「片付いてるね」
「そりゃ〜人が来るんだし。昨日片付けたんだよ」
「へぇ……」
(そんなの前のごっちんじゃ有り得なかった事じゃん。
 これはもしかして………)

46 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/19(金) 20:52



「ごっちん、好きな人出来た?」
「……は!?」


紅茶を用意しようとティーカップにお湯を注いでいたごっちんは
あたしの言葉に驚き、見事に手を滑らせてしまった。



「………っ!!」

「あー、何やってんの」

あたしは熱さに顔を歪めているごっちんの手をとって、傍にあったタオルを水に濡らしてその手の甲に押し付ける。
どうやら軽く火傷してしまったみたいだ。


「だいじょぶ?こうやって冷やしといたほうが良いよ。
 しばらくして腫れてきちゃったら病院行ったほうがいいけど」
「………ありがとう……」

47 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/19(金) 20:52



「じゃ、話の続きしようか?」
あたしはにんまり笑顔を浮かべてごっちんをソファーに座るよう促す。
その時のごっちんの顔は見るからに引きつっていて、あたしは吹き出したいのをなんとか抑えこんだ。
ここで笑ってしまったら、ごっちんが拗ねて話さないと思ったから。


あたしとごっちんは向かい合うようにして広いソファーに腰掛けた。
こうして見ると、まだ家具も買ったばかりのように新品で、まだ越してきたばかりなんだなぁとあたしはぼんやり考えていた。
そういえば、ごっちんの実家には何度も遊びに行ったり泊まったりしたけれど、ここみたいに完全に二人きりの空間になった事は無かったな。
あたしの家にも親と弟が2人いるし。

48 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/19(金) 20:53


ごっちんは はぁ と溜息を一つはいて、あたしの目は見ずに言った。



「好きな人は…………いない」
「うっそ」
あたしは大袈裟に首を大きく横に振る。
真っ赤な顔をして俯くごっちんが、嘘をついている風にしか見えなかった。


「気になる人はいるけど」



ドクッ
(え?)
なぜか一瞬心臓が大きく動いた気がした。
(……なんでだろう……)



「…マジで? ごっちん、それは『好き』って事じゃないの?」
あたしの声は段々真剣な声に変わりつつあった。

49 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/19(金) 20:54


「まだよくわかんないんだよね……一緒にいた時は別に気にならなかったんだけど。
 離れてからは、なんだかその人の事ばっか考えるようになっちゃってさぁ」



へへへ…とはにかんだように笑うごっちんの瞳は、誰が見ても『恋する乙女』の目だった。
きっと片思いなのに幸せそうなオーラが体の周りにあるように見える。




『じゃあさ…』

『最後に』

『キスしてくれる……?』



なぜだかその瞬間安倍さんの言葉が脳裏に過ぎった。
瞬間、はじかれた様にあたしは立ち上がり、ごっちんの両肩に手を置いて、 トン と後ろへ突き放した。

50 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/19(金) 20:55


ごっちんは重力に従うようにゆっくり後ろへ倒れていき、柔らかいソファーへと埋まる。
びっくりしたように目を瞬きさせるごっちんの体の上に膝をつき、覆いかぶさるようにして上からごっちんを見つめた。



「ごっちん……」
「な、なに?」
「一回、キスしてみない?」



・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・・・・・




「はぁあっ!?」
「ごっちんは……あたしの事をその『気になる人』って思ってていいからさ」
(あたしは、悪いけどごっちんの事を実験台にさせてもらうから)
「なに言ってんの!? 冗談ならやめてよ!」
「本気だよ」


51 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/19(金) 20:56



グッと顔を近づけるとごっちんの体が軽く震えた。


「…ダメだよ!!…なんかこんなの……やだ…」

「ごっちんはあたしとすんの、や?」

「…………」



女の子とキスするっていうのが、どんなものか。
安倍さんはあたしと最後にキスがしたいと言った。
あの時はパニくってて結局うやむやにしてしまったけれど、本当は心のどこかに少しだけそれに対する「興味」は持っていた。

52 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/19(金) 20:56


おふざけのキスじゃなくて、もっと真剣な形でのキス……
きっとこの場にいるのが辻や加護だったら、それは得られないだろう。
あたしはフッと微笑んで答えないごっちんの額にキスを落とす。


「……やぁっ」

ごっちんはくすぐったそうに眉を顰める。

「くすぐったい?」
「…………」
ギュッと目を瞑って耐えるように体をちぢこませている。
ごっちんは耳元で問いかけるあたしの声にも何の反応もしなかった。

53 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/19(金) 20:57



「ごっちんが嫌じゃないんなら、するよ…?」



ごっちんは体をちぢこませたまま動かなかった。
それを見たあたしはゆっくりごっちんの顔に唇を近づける。
初めに頬にたくさんキスをして、首筋にもついばむようなキスをいくつかした。
その間ごっちんは無反応だ。
それでも、徐々に息があがっていって「はぁ…はぁ…」と苦しそうに呼吸をし始める。




「………んぁ………」




顔が上気して頬をピンク色に染めたごっちんは今までに無かったくらい
………可愛かった。

54 名前:名無し作者 投稿日:2003/09/19(金) 20:58


更新終了です。
遅れ気味ですいません!!
55 名前:レス 投稿日:2003/09/19(金) 21:00

>>44つみ様

良い感じですか?
有難うございます!!
これからも頑張ります(0^〜^0)
また感想でもありましたら宜しくお願いします!!

56 名前:つみ 投稿日:2003/09/20(土) 00:12
やべえ・・・血が欲しい・・
57 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 06:02
やばいです。
これは萌え死にしますよ。
続きが気になります!
58 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 17:28




―5―




「……あ………ぁ………」


「…ごっちん、恐い?」



眉間に皺を寄せるごっちんのおでこの髪の毛を掬って、そう問いかけた。
まだ唇には到達してないものの、確実に『それ』に近づくあたしの唇は首筋から段々上へと上っていった。

59 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 17:29


ごっちんの顔の横についていた腕を、ゆっくり上げて器用にブラウスのボタンをはずしていく。
ブラウスの隙間から覗く白い肌はハッとするほど綺麗で、思わず息を呑んでしまった。



「…よしこ……っダメ……」
「……なんで?」
自分でもびっくりするくらい冷たい声が出る。
途中で止められたことに相当な不快感を持っているようだ。
「キス……だけじゃ、ないの?」
弱弱しいごっちんの声。
「それだけで止めれたらね」



はたしてこのまま何もしないで止められるか、
あたしにはまったく自信が無かった。

60 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 17:29



ごっちんは、下から潤んだ目で何かを懇願するようにあたしを見上げる。

その上気しきった赤い頬を両手で包み込んで、そっと唇を合わせた。


「…………」
「………んっ………」

61 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 17:30


けっして「無理やり」といった感じじゃなく、唇をただ合わせている、といったように軽く唇を押し付ける。
キスをした瞬間に大きく開かれたごっちんの瞳は左右に揺れ、
そんなキスをしている間にいつのまにか瞼も閉じられていった。


「…はぁっ」


……なにこれ……
女の子の唇って……ごっちんの唇……って、めちゃくちゃ柔らかい…
……ってかなんか…気持ち…いい……


62 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 17:30


すっかりその感触に欲情しきったあたしは、荒い息を整えてまたごっちんの顔に唇を近づけてゆく。


今度はただ合わせるだけじゃなくて、
角度を変えつつごっちんの唇全体を貪るような深いキス。



「……んはぁっ……はぁ……」
より快感を求めるために続けるあたしの深いキスに、
堪らずごっちんは苦しげに息を漏らす。
「…………」
「…んん…っ、よし、こぉ……っ」


ギュッと体にしがみ付くごっちんはやっぱり可愛かった。
あたしの中にある気持ちが大きく揺れ動く。

63 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 17:31



……このまま抱いてしまおうか

…いや、そんな事好きでもない人には出来ない

……でも、なんかごっちん可愛すぎるし

…早く決めないとあたしの…方が…なんかヤバイ




ごっちんとのキスに頭の中が溶けていって、最後は理性だけになってしまいそうな自分が恐くなった。

64 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 17:31



あたしがぐるぐるそんな事を考えている間に、
ごっちんはいつのまにやらあたしの体の上に跨っていて。
トロンと焦点の定まらない視線だけをあたしに向けながら、髪を耳にかけて、ゆっくり唇を重ねてきた。


「…んっ…んっ…」


ちゅっ、ちゅっと音をたてて味わうように何度も唇が重ねられていく。
完全にあたしに体重を預けた形のごっちんは、腕をあたしの首の後ろに回してギュッと抱きかかえるようにして夢中になってキスを続けていた。




そのキスは、何かをあたしに一生懸命伝えようとしているような気がした。

65 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 17:32



どうしよう……
ごっちんが…めちゃくちゃ可愛いんだけど…。

なに?この気持ち…あたし、なんか変かも……




・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・




「…ごっちん?」


長い長いキスが終わった瞬間、意識が飛びそうなのを何とか抑えて、息を弾ませながらあたしを抱きしめるごっちんの名前を呼んだ。

66 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 17:33


すると、ごっちんは細められた目をハッと大きく見開き、「きゃあっ」と叫びながら素早くあたしの上からどいた。
そんな驚くことないだろーに。
きゃあって言いたいのはこっちの方なんだからさー。
ここから見ててもごっちんの顔がカーッと赤くなってゆくのが見える。




「…ごっ…ごめん……」
「別に、いいよ」
「………なんか、気持ちよくって…さ…」
「…あたしも」



そして、二人共黙り込む。
その時は気づかなかったけど、あたしも相当赤い顔をしていたらしい。

67 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 17:33



試すつもりが、いつのまにか本気になっていた。



「…ゴメン。今日は、もう帰るね…」
「ん……わかった」


このままこの場にいては危険だと感じたあたしは、ゆっくりソファーから腰を上げた。
リビングの机の上には、ごっちんがあたしの為に作っておいてくれた料理がずらりと並んでいた。
せめてこれだけでも食べて帰ればよかったと後悔しながらも……

68 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/20(土) 17:34



その日の晩、ずっと、ごっちんの柔らかい唇の感触が忘れられなかった。



69 名前:名無し作者 投稿日:2003/09/20(土) 17:36


微エロ?
更新終了です!!


70 名前:レス 投稿日:2003/09/20(土) 17:40

>>56つみ様

大丈夫ですか?!(w
今回の更新では平気だと思いますが。
なんだか自分で書いてて恥ずかしくなりました。

>>57名無し読者

爽やかなイメージを持つこの( ´ Д `)(0^〜^0)二人だからこそ萌える展開になるんですよね(?)
続きを気になってくれて有難うございます!!
レス感謝です!

71 名前:つみ 投稿日:2003/09/20(土) 17:55
鉄分摂取のためにレバニラ食ってきます。
72 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/21(日) 00:11
腹の底で沸々と何かが煮えたぎっています。
少々息も荒くなってまいりました。
一言で言えば、  萌   え
73 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/21(日) 22:33
なぬ〜、やっぱり萌え死にますよ。
積極的な後藤さんもいいっすね。
74 名前:マックス 投稿日:2003/09/22(月) 19:42

後藤さんかわいい!
ヤバイですよ。

75 名前:名無しさん 投稿日:2003/09/23(火) 23:50
ageないでよ
76 名前:マックス 投稿日:2003/09/24(水) 16:53
あ〜ごめんなさい(汗
sageって入れたのになぜか消えてました…。
77 名前:作者 投稿日:2003/09/26(金) 20:11

昨日更新しようと思っていたら、書き溜めたものが消されていました。
更新が遅れて申し訳ありません!!!
でも頑張って土日のどちらかに更新したいと思ってます。
78 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:18




―6―




――――初めてごっちんと触れ合ったとき、
         あたしは、この感じたことの無い気持ちに翻弄されていた―――――




79 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:19



「おはようございます……」


ガチャリと楽屋のドアを開ける。
睡眠不足が続いているあたしには、そのドアがいつもの3倍は重く感じられた。
体もズッシリ重く感じて、節々がギシギシ痛む感じ。
おまけに頭の中までいろんな事を考え過ぎてぐちゃぐちゃで………

こんなんじゃ元気を出せったって出せやしないよ。


「おはよう」

「おはよう〜よっすぃー!」
「おっは〜!!」


そんなあたしを一番初めに迎えてくれたのは、ドア付近に座っていた梨華ちゃんで、
その隣で喋っていた矢口さんと加護も揃って挨拶を返してくれた。

80 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:19



ハハ…と力なく笑うあたしは、そのまま鞄を置きに畳があるのスペースまで歩く。
そこに鞄を置いて、靴を脱いでゴロリと寝そべった。



「……なんか…疲れたぁ……」


81 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:20


吐き出される息と共に、小さく眩いて。今日までの自分を思いだす。


ごっちんをからかった事。


安倍さんに話しかけたこと。


その後、安倍さんに予想外な告白をされた事。



ごっちんと――――キス、したこと。




「なんであんな事したんだろ………マジで」

82 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:20



自分はごっちんを実験台にしようとしただけなんだけど。
本当にそうだったのかな?
『実験台』なんて、ただの自分への言い訳と、ごっちんに触れたいっていうただの口実だったんじゃないの。


あの時の事を思い出すと、まだ少し胸がドキドキする。



でも、でも、ごっちんはただの元メンバーで。
ただの友達だもんな。
………しかも女同士だよ?
いや、別に偏見があるわけじゃないけどさ……。
自分がそうなんだって思うとやっぱりちょっと違和感があって。
ごっちんの事をそうゆう風に見たかっていうと、やっぱり…なんか、違う気がする。



83 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:21



「どうしたの…?」

優しい声が頭上から聞こえる。
いつもはアニメ声とかからかっているその声が、今日はなんだか天使のように感じた。
それもこんなに自分が弱ってるせいだろうなぁと思った。



「…べっつに。 どうもしないけど?」


「そうは見えないなぁ」


梨華ちゃんはニコッと微笑んで、靴を脱いであたしの隣に腰掛けた。
あたしは寝そべったまま梨華ちゃんの顔を下から見上げる。

84 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:21


「最近、全然元気ないじゃない?特に今日なんか、いかにも気分最悪です!みたいな」
「……疲れてるだけだよ」
「…………」



沈黙。



梨華ちゃんと二人でいるとどうしても間が開いてしまう。
ごっちんとだったら会話が尽きないのに。

85 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:22



「………昨日、ごっちんとなにかあった?」


86 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:22



「えっ?」


ごっちんの名前がでただけで、心臓が飛び出るかと思った。
しかも、なんか梨華ちゃんに今まで考えてた事をズバリ言い当てられた気がして、驚いて。


このあたしの反応に、梨華ちゃんはなんだか勝ち誇ったように フンと鼻を鳴らす。


]

「…昨日の帰りさ、ごっちんの家に久しぶりに行くんだって凄い喜んでたじゃない?
 最近ずっと元気なかったから心配してたんだけど、あんなに仲が良かったごっちんとなら、ちょっとは元気出るかなって思ったんだ」
「…………」
「………でも……今日はいつも以上に疲れてるような感じだったから
もしかして、なにか、あったのかなって。」


87 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:23


「なんもないよ?」

梨華ちゃん相手につい弱気な声が出てしまった。
あたしにはどうやら嘘は向いてないらしい。



梨華ちゃんは困ったように笑って、鼻を2・3回かいてから
キッとあたしの目を見つめてきた。



「私は、そう思わないけどな………」

88 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:24



あまりに梨華ちゃんが真剣な声で言うもんだから、あたしはその問い詰めるような瞳を受けとめられずに
ツイと視線を外す。


「………あっ」
視線を外した先に安倍さんがいて、また驚いた。
不安そうな安倍さんの瞳とばっちり目が合って、バッと目を逸らしてしまった。
あたしは不思議そうな顔をしている梨華ちゃんの方を見て、誤魔化すようにゴホゴホと咳払いをする。


89 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:24




「……もしかして……よっすぃ〜………」


「な、なに……?」


90 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:24



ぴりりっ ぴりりっ ぴりりっ


無機質な携帯の着信音が聞こえる。
あたしは今、梨華ちゃんの話の方が大事だったので、無視しようと決めていたんだけど
真面目な梨華ちゃんに「仕事の電話かもしれないから……」と鞄の中から携帯を取り出すように促された。



あたしは渋々体を起こして鞄の中を漁った。
ここは電波状態が悪く、よく会話の途中で電話が切れたりするので、あたしはピカピカ光るアンテナを引っ張り起こして、携帯を耳に当てる。

あたしは、このタイミングの悪い電話の相手に少しいらつきながらも受話ボタンを押した。

91 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:25



「もしもし!」
『…………』
「どなたですか?」
『……なに怒ってんの?』

「…だから、誰かって聞いてんの!」


『………ご、ごとーだけど』

92 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:26


(えっ!?)


電話を一旦耳から離して液晶部分を見ると、確かに『ごっちん‘s携帯』という
文字が浮かび出されていた。

あたしは誰かも確認しないで電話に出ていたらしい。




「…ごっ、ごめん!」
『あは。べつにいーよぉ』
電話の向こうで、ごっちんがふにゃっと笑った気がした。


「……で、何か…用?」


梨華ちゃんが隣でじっとあたしの方を見ている。
その視線が気になりつつも、あたしはごっちんの声を聞き逃さないように耳を傾ける。


93 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:26



『…あのさ…ちょっと、話したい事があるんだけど
  ……今から会えないかな?』

甘えてるようないつものごっちんの声。
あたしは顔の筋肉が一気に緩んでいくような気がして、それが梨華ちゃんにばれないようにキュッと顔を引き締めた。

「いいよ」

94 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:27



幸い、早めに来たからまだ仕事には時間があるし。
あたしは待ち合わせ場所を聞いて、それがそんなに遠くなかったことに安心しながら
楽屋を出る支度を始めた。
梨華ちゃんの話も気になるけど、今はごっちんの『話したい事』の方が大事。



「梨華ちゃん」
「…なに?」

「あたし、これからごっちんに会ってくるから。
 さっきの話はまた今度でもいい?」


「……さっきの電話、ごっちんから?」
「そうだよ」
「…そっか………わかった」

95 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:28


梨華ちゃんの声が一気に沈んだように最後の方が小さくなった。

あたしはそれが気になったけど、待ち合わせまで時間が無いので、とりあえず後で纏めて話を聞こうと思った。


「んじゃ、行ってくる」
「うん」


梨華ちゃんの視線を背後に受けながら、あたしは楽屋を出る。

96 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:30



◇ ◆ ◇ ◆ ◇



『よしこ』


赤みを帯びた肌、艶っぽい声・目線。
あの時のあたしは完璧にごっちんに心を支配されていた。
耳にかかる吐息がくすぐったくて、嬉しくて、女の子同士の不思議な感覚を、唇が離れる最後の瞬間まで感じることが出来た。


(……ごっちん……)

97 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/27(土) 19:31


少し男っぽいあたしと、
女の子らしくて、たまにカッケーごっちん。
似てるようで似てないあたし達。


着ている服の趣味やらなにやらほとんど一緒で、ごっちんが傍にいると凄く楽しかった。
今まで、こんなにも気が合った友達っていなかったから、ごっちんの事、大切にしようと思った。
そう、あくまでも友達、親友として。

でも、あの時感じた胸の高まりはいったいなんだったんだろう。



この気持ちがどーゆう気持ちなのか、あたしはまだ知らない。

98 名前:名無し作者 投稿日:2003/09/27(土) 19:32


平凡更新終了です。
一週間に一回は更新出来るように頑張ります。


99 名前:レス 投稿日:2003/09/27(土) 19:40


レスありがとうございます!!


>>71つみ様

レバニラ!(w
鉄分摂取するほどの内容では……(まだ)ないですよ(w

>>72名無しさん

萌えていただけてありがとうございます。
これからちょっとずつエロ表現も含まれていきますので、苦手な方は見ないようお願いします!!(w

>>73名無し読者

ありがとうございます!
この積極的な( ´ Д `)の行動に、何か意味が……
また感想頂けると嬉しいです!!

>>74マックス様

可愛いごっちんを目指しているので、そう言っていただけると嬉しいです。
レス有難うございました!!
これからの展開に少しでいいので期待していてください!(w

100 名前:レス 投稿日:2003/09/27(土) 19:42

>>75
>>76

あんまりsage ageは拘っていないのですが、自分はだいたい更新する時にageでやらせて頂いているので、出来れば感想はsageでお願い致します!!



101 名前:つみ 投稿日:2003/09/28(日) 00:23
ふう・・・
まだ血は足りてるな・・・
梨華ちゃんも絡んできたしそろそろやばいかな?
102 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:34




―7―



今日の天気は晴れ。
頬を吹き抜ける風もとても爽やかで、普通に歩けば間に合う待ち合わせ場所なのに、
なんでかあたしは走り出していた。



103 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:35



「…………あっちぃ」


変装用に帽子を目深に被っているけど、日差しが強いのが分かる。

もう9月なのにじりじりと照りつける太陽がアスファルトを焦がしていた。



………長袖なんか、着てこなきゃ良かったよ。
家を出た時は寒いくらいだったのに。

104 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:36



・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・


待ち合わせ場所へと到着すると、ごっちんの姿はまだ無かった。
時計を見ると、時間の10分前くらいだ。
走ってきたせいもあってか予想以上に早く着いてしまった。


「汗かいちった……」

長袖を肘までたくし上げて
中に着ているTシャツの襟を引っ張ってパタパタと風を送り込む。
額辺りにうっすらとかいていた汗が、時間が経つにつれて小さな雫へと変わり、頬へと流れてきた。

105 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:36


普段からハンカチなんか持ち歩いてないあたしは、とりあえずシャツの肩口でグイッとその汗を拭き取る。
でも、いくら日差しが出てきたとはいえ今日がこんなに暑くなるとは思わなかった。


「…………」
あたしは帽子を被り直して、ふぅっと息をはきだす。


106 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:36



「はい」



目の前に差し出された、小さなハンドタオルみたいなもの。
あたしが俯いていた顔をゆっくり上げるとごっちんが困ったような顔をして立っていた。


「…ハンカチくらい、持ってないの?」
「うん」
「………汗かいてるじゃん」

あたしがハンドタオルを受け取らないでいると、
ごっちんは静かにあたしの額から首元まで丁寧に汗を拭き取ってくれた。

107 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:37


「よしこ、早いね。 いつから来てた?」
「………んーと、10分前くらいかな」

時計を見ると、待ち合わせ時間を3分程過ぎていた。


「ごめん。無理して呼び出したのにごとーの方が遅刻しちゃったね」

申し訳なさそうにふにゃっと笑う。
その表情にあたしはドキッとした。

108 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:37



…ごっちんのこんな顔。いつも見慣れてるはずなのに。
なんでかな。



「…んで、話ってのは?」


「ちょっとここでは………あ、そこの喫茶店にでも入らない?」


ごっちんの指差した先には、
いかにも女の子に人気のありそうなお洒落な雰囲気を持った小さな喫茶店があった。


あたしは断る理由も無いので、一つ首を縦に振って、
そこにごっちんと二人で入っていった。

109 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:38


「アイスティー」
「あ、あたしは……コーヒーで」


喫茶店の中は空調がきいていて、過ごしやすい環境になっている。
ウエイトレスに適当に注文をしてからあたし達は無言になった。
まだ朝も早いから店内の客もまばらで、静かな音楽が流れる店内はいつもなら気持ちの良いものと感じられるだろうけど、なんだか今は………逆にそれが、嫌だ。


「……話ってのはね…」

急にごっちんが話し始めたから、表には出さなかったけれど体の中がビクリと波打った。
ごっちんの表情は至って真剣だ。


何を言われるんだろう。
…昨日の事だよね。
気まずいなぁ……

110 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:39



「相談事なんだ」

「…相談事?」

「うん」

ごっちんの顔がそう言った瞬間、少し苦しそうに歪んだ。



「こんなこと、ほんとはよしこに相談するのおかしいと思うんだけどさ……」
「う、うん?」

111 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:39




「…あのね、ごとーね………」



112 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:39



「お待たせしました〜!」

ウエイトレスが、ニコニコ笑顔を振りまきながら注文した品を机に並べていく。

話の途中に割り込まれたので、あたしは不機嫌な目つきで、その店員を睨んだ。
ごっちんも、なんだか力が抜けてしまったようだ。


そんなあたし達の状態にも気づかないアホな店員は「ごゆっくりどうぞ」と言いながら
また笑顔で厨房に戻っていった。

113 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:40

「んで…?続き………」
あたしは少し苛つきながら、ごっちんに続きを促した。



「うーんと…」


ごっちんはちょっと言いづらそう。
さっき勢いをつけて一気に言ってしまおうと考えていたのかもしれない。
……そんなに、言いにくいことなんだね。


ごっちんは忙しなく目線を動かしてキョロキョロ辺りを見回したり、
いざ言おうとして口を開くが、グッとまた閉ざしてしまったり。

114 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:41



あたしも出来ればゆっくり話を聞いてあげたいんだけど、もうすぐ仕事の時間がやってきてしまう。
店内の時計をチラリと見て、あたしが「…また、今度にする?」と言いかけた時。



「ふわぁっ!?」

バシャッ!!



…ごっちんが、アイスティーを膝の上に派手にぶちまけた。

115 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:42


「あー、もう、何やってんのさ!」
「……だって〜…」
「だってじゃないっしょ」


素早くおしぼりでごっちんの着ているスカートを拭いて、垂れている雫も全部拭き取った。
床などは、少し遅れて気づいた店員が綺麗に拭いてくれていた。



ごっちんはその間、恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせながら下を向いていた。



「ごめんね。よしこ……」
「いーよ別にぃ」

116 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:42


「……話す時間、無くなっちゃったね?」

「……うん。そろそろ楽屋戻らないとやばいかも」



「そっか……」

ごっちんは情けない顔で俯いた。

後輩の前では絶対こんな表情見せないのに。
強がりだって事は前から知ってるけど…。

甘えんぼで、意外にドジやったりするごっちんの方が可愛いのにな。

117 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:43


「………よしこ」
「ん?」
「あのさ、」
「うん」
「…………」
「……えっ?」




「なんでもないっ!行こっ!!」

ごっちんは立ち上がってあたしの腕を引っ張り、手早にお勘定を済ませて外に出た。
あたしの腕を握るごっちんの手は体温が高くて、異様に熱を持っていた。

118 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:43




「外、さっきより涼しくなったね」
「うん」


あたしは腕を握ったまま先導しているごっちんに話しかける。
もうすぐスタジオに着いてしまって、ごっちんとまたしばらく会えないかと思うと、少し寂しくなった。



「よしこ……今日、仕事何時まで?」
「ん〜、まだわかんないなぁ。多分そんなに遅くならないとは思うけど」

119 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:44



「待ってる」


「は?」



「……ごとー、よしこが仕事終わるまで待ってるから。
  話の続きは、よしこの家でしても良い?」


ごっちんがギュッと腕にしがみ付いてきたので、あたしは思わず うんと頷いてしまっていた。
下から少し見上げて話すごっちんは可愛くて、この前みたくギュッと胸の中に閉じ込めてやりたかったけど、流石にここは外なので我慢した。

120 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 12:45



腕に当たる胸の感触がやけに気になって。
あたしはようやく、昨日からそんな風にごっちんを……
『性的対象』として見てしまっている自分に気づく。



「うげぇ」
「………どしたの?」


「…なんでもないよ」


そんな自分に激しく自己嫌悪。
絡んでくるごっちんは普段どおりで平然とした顔をしているのにさ。



胸の鼓動が早くなっている事をごっちんに気づかれないように、
あたしはスタジオに向かって早足で歩き始めた。

121 名前:名無し作者 投稿日:2003/09/29(月) 12:46

更新終了です。
(0^〜^0)<ごっちん可愛いんだよぉ!!(逆切れ

122 名前:レス 投稿日:2003/09/29(月) 12:49


>>101つみ様

次辺りちょっと鉄分を必要とするかもしれません(w
石川はけっこう大切な役割にまわそうと思ってます。
レス有難うございました!!

123 名前:つみ 投稿日:2003/09/29(月) 15:18
次回は鉄分が必要になりそうな予感・・・
レバニラにホウレンソウのおひたし程度で待ってます。
124 名前:初カキコ 投稿日:2003/09/29(月) 20:46
うう…生殺しなとこできってある(悶絶
は、早く続きを…(悶死
125 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:40




―8―




     ―――君さえいれば、あたしは………―――



126 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:41




『待ってる』


そう言った時のごっちんの表情がなんだか切なげで。

まるで、あたしが遠くに行ってしまう恋人のように感じた。


こんな風に考えてしまうところが――――――すでにあたしは重症なのかもしれない。


127 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:42




◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



娘。の楽屋に入ると、仕事で疲れきった体をなるべく早く動かして帰りの支度をした。
ついさっき携帯を見たら、ごっちんから『楽屋で待ってるね』というメールが1時間程前に届いていたからだ。


いつもだったらダラダラ2〜30分はかけて行う作業も今日は5分で終わらせた。
鞄の中に忘れ物が無いかしっかりチェックして、一応辺りを見回す。
飲みかけのジュースは欲しがってた加護にあげて、上着を着て携帯をそのポケットにしまうと
あたしは足早に楽屋のドアノブに手をかけた。

128 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:44


「よっすぃ〜」


今まさに外に出ようとしていたあたしは、襟首を掴まれてカクンと後ろに引っ張られた。
声をかけてきたのは………あれ?どこだ?


「どこ見てんの?ここだよ!」

「あ、すいません」


……小さい矢口さんだった。
いつものことながらその身長の小ささにはびっくりする。
ついつい目線を自分の高さに合わせていると大半のメンバーの顔は見えない。


―――ってかみんな背が小さすぎるんだよ。
そろそろあたしも慣れないとなぁ…。


129 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:44



「今日この後、暇?」


目をキラキラ輝かせて15センチ下から見上げられる。
あっちゃぁ…もしかしてまた焼肉のお誘いかな。
この前も眠いとかいって断ったし、今回もだとさすがに悪いよなぁ。


「暇……では、ない、ですけど」
「えぇーー!?」

やっぱり。

「よっすぃ、この前もそう言って断ったじゃんか〜」
「はい、すいません」
「『はい』じゃないっつーの!」

130 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:45



「……まさか、今日も眠いから寝るとかいう理由じゃないよね?」
「違いますよ…」
「じゃあ何?」



「………ごっちんがうちに来るんです」


131 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:45


「…あれ?昨日はよっすぃがごっちんの家に泊まりに行ったんじゃなかったっけ?」
「そうですよ」
「……ふーん。まぁ、いっか。
 じゃあ今度誘ったときは絶対断らせないからねっ!」
「えぇー…」
「えーじゃない!!」
「はいはい」



『はいは一回!』と矢口さんに半分切れられながらあたしは楽屋を出た。

扉を閉める瞬間まで感じていた2つの強い視線。
それに気づかないふりをして、あたしは急ぎ足でその場を去った。

132 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:46



エレベーターを使ってごっちんの楽屋がある階のボタンを押す。

……一緒のスタジオの仕事で良かったなぁ。



ずっと前に携帯で話してて、今から遊ぼうかなんてなった時に
「今どこにいるー?」
『大阪〜!!』
「はぁ?」
『よしこはどこ?』
「東京」
『えー!?』
なんて事があったもんね。


お互い仕事で地方に飛びまわってるから、今日なんかほんと奇跡に近いかも。
歌番組の収録でたまに一緒になったりするけど、やっぱり仕事中は忙しくてなかなか話せないしさ。

133 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:46



・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・




「ごーっちん!!」

「…………」

「あれ?」


134 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:47



驚かせてやろうかと思って、ノックもせずにドアを豪快に開くと、中には机に突っ伏して寝てるごっちんの姿があった。
手には携帯を握り締めて、鞄は足のすぐ横に置いてある。
いつでも出れる準備でもしてたんだ。


「…ごっちん、遅れてごめんね」

言いながら(おそらく)爆睡中のごっちんの体を揺さぶった。
軽く揺らしたくらいじゃ起きない事は承知しているので、両手を使って力強く揺らす。


135 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:47



それでも――――まったくと言っていいほど、ごっちんは起きる気配がしなかった。



「ごっちん!」

耳元で大声で呼びかけても反応無し。
寝ずギ。起きてよ。待たせて悪かったけど、あたしだって疲れてるんだよ。

136 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:48



「ごっ・ちんって、ば!!」



ガクガク首がなるくらいおもいっきり肩を揺らすと、
やっとの事でピクリと少しだけごっちんの体が反応した。


「……ん……」
「あ!…起きた?」
「…………」
「ごっちん、朝ですよ! 起きてくださーい!!」

137 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:48


「………んうぅ…」


ゴロリと寝返りを打って、薄っすらと目を開けたごっちんはぼんやりとした顔であたしを見上げている。
ごっちんって寝起きは超機嫌悪いんだけど、今はそんな事言ってられないし。
ちょっと強引だけどそろそろ覚醒してもらわないとね。


「はいはい!ごとーさん起きて!早く帰ろう?」


頬をベチベチ叩いて早く起き上がらせようと試みる。
不機嫌なのかむっつり顔のごっちん。

138 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:49



「ほら!早く!」
「……っだぁ…」
「は?」


「……やぁだぁ………」



うっ…。
今のって、不意打ちじゃない?
やめてよ。
ごっちんにそんな『欲』が沸かないようにこっちは努力してるんだからさぁ。
………そんな、無防備な姿見せないで。

139 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:49


「そんな子供ぶったって、ダメ!」
「ううぅ〜……」
「はい、起きたー!」


両わきに手を入れて、無理やり体を起こさせる。
これじゃ、ほんとに子供みたいだね。



ごっちんは何度か目を瞬きさせながら、ようやくここがまだ楽屋だって事に気づいたらしい。
急にパッて目を見開いて、今までさんざん駄々をこねて起きなかった事を反省していた。


140 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:50




「ごめん……よしこ」
「…ほんとだよ」


駅までの道を二人で歩く。
ここのスタジオからあたしの家までは、タクシーを使わなくても全然近い。


そして、さっきからごっちんはしきりにあたしの表情を伺っている。


あたしが来るまで起きていようと頑張っていたのだけれど、やっぱり仕事の疲れが溜まっていていつの間にか爆睡してしまった。しかも、寝ぼけてあたしの事をうちのお母さんと勘違いしてしまったと、笑いながらあたしに謝ってきた。

141 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:50


その反省の無さになんとなくムカッときたあたしは
「あっそ」と、だけ返した。
したら、ごっちんは焦って今度は真剣に謝ってきたんだけれど、そのごっちんの必死ぶりがおかしくて、つい怒ったふりを続けてしまっている。



「ごっちん、切符代は250円だから」
「あ……うん」


駅に着いて、ごっちんはそれっきり無言のままあたしの後に着いて来る。

そろそろ演技も終わりにしないと、ほんとにごっちん泣いちゃいそうだ。

142 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:51



「ごっ…」
ごめんね、と言いかけた時に電車がホームに入って来た。


なんでこう、今日はタイミングが悪い日なんだろう。
まぁ…謝るのは電車の中でも出来るからいっか。


あたしは俯くごっちんをチラッと横目で見て、溜息をつきながら電車の中に足を踏み込む、

143 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:51



「…うわ」



電車の中は文字通り『超 満 員』
仕事帰りのサラリーマンやOLがほとんどで、それでもみんなギュウギュウな車内に慣れているのか嫌な顔をしている人は少ない。


「…すっごいね」
「………うん」


ごっちんも大体はタクシー帰りだから、このラッシュを見て呆然としている。
あたしは一応ばれないように帽子を深く被り直して、ごっちんの手をギュッと握った。


もちろん、二人共はぐれない為にだ。
ごっちんもそれを分かっているのか、その手をギュッと強く握り返してくれた。

144 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:52


「なるべく、窓際の方行こっか」
「うん!」


あたしは気合を入れて人を押しまくって道を作り、なんとかドア付近のスペースを確保した。
ごっちんの方が体が小さいから窓際にやって、あたしはそれを護るように上へ覆いかぶさる。
ちょっと下を見ると、ごっちんの顔には笑顔が戻っていて。
なんだかつくづく単純な子だなぁ、なんて思ってしまう。


145 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:52



――ガタンゴトン…
     ガタンゴトン……―――



揺れる車内。
だけど、吊り革に捕まらなくても体が揺れないのはこの電車がめちゃくちゃ満員だから。
あたしはごっちんがつぶれないように一生懸命足を踏ん張って、周りの人の圧力を受ける。


「うぐ…っ」

「よしこ…?大丈夫?」


「へーきへーき」

146 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:53


ほんとは、けっこうキツイんだけどこの体制。
そんな心配そうに言われたら「ごとーが代わろうか?」なんて言いかねないし。
いくらごっちんの力が強いとはいえ、この押し合い圧し合いの中ではきっと無力だよ。



「無理しなくていいよ……」
「してないって」

「それより、ごっちん苦しくない?」
「ん……大丈夫。ありがと」

147 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:54



次の駅に停まると、ますます車内はギュウ詰めになった。
降りる人も多いけど、乗る人の方が多い。
ごっちんが苦しくないようにと、少しだけ開けといた体の隙間が見事に埋められてしまった。
結果。
電車の窓に押し潰されるようになったごっちんは、苦しそうに「うー」と呻く。


「くるし…」
「ごめん……」
「…よ、よしこは悪くないよ」



完全に密着する体と体。
なんだか変な気持ちがまた上ってくるかもしれない。
あたしは他の人になるべくごっちんの体に触れて欲しくなかったので、繋いだ手を離して代わりにその体をギュッと抱きしめた。

148 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:54


「よ、よしこ…?」
「…………」
「ちょ…離して。苦しいよ」
「ごめん。もう、……動かせない」


ムラムラする………って、こーゆう事を言うのかな。
顔のすぐ斜め下には、ごっちんの暑さで少し上気した顔。


ごっちんの手はあたしの服の裾を掴んで、そこから動かなかった。

149 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:55


「はぁ…はっ……」
段々荒くなっていくごっちんの呼吸が耳に当たる。
ゾクッとした変な感触が体の中に走って、
気づけばあたしはごっちんの頬に口付けていた。

「…っや……ちょっと、よしこ!」
「……ちょっとだけ」

「……やぁっ………」

150 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:55


軽いキスを顔全体におとして、最後に唇に優しく触れた。
周りから見たらあたし達は、ただの若いカップルがいちゃついてる程度にしか見えないんだろうケドさ。
幸い、あたしもTシャツの上にカジュアルな上着を羽織って下はジーパンっていうそこら辺にいる男の子みたいな格好だ。


「ねぇ…ほんとに……ヤだ……ねぇってば」

ごっちんの声も聞こえないくらい、あたしは欲望の塊になっていた。
ごっちんにキスするだけじゃ物足りなくなってきて、背中に回していた手を前に持ってきた。

151 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:56


「ひぁ……っ」

そっと膨らみに手を添えてみる。
そこを円を描くようにやわやわ揉みしだくと、ごっちんはつらそうに顔を歪めた。
むやみに声を出せないのが苦しいらしい。


「…んっ…ぁ……あぁ…っ」


あたしの服の裾を掴む手の力が強くなった。
段々涙目になっていくごっちんは、欲望のままに愛撫を繰り返すあたしの顔を見はしなかった。



嫌がるごっちんを無理やりなんて。
自分は最低な事をしているのに。
止まれない。
152 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:56



プシュー……


ドアが開いて、また人が車内からドッと降りていく。
抱きしめていた体を少し緩めると、ごっちんはあたしの体を突き放すようにしてあたしの傍から離れた。

「嫌だ……って、言ったのに」

「…ごっちん…」

153 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:57


「………よしこのバカっ!!」

そう言って、閉まる寸前のドアからごっちんは飛び出した。


あたしが降りる駅はまだずっと先だ。
呆然としているあたしを、潤んだ目で睨みつける。


無情にも、ドアは音をたてて閉まり、電車はすぐに出発してしまった。

154 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 10:57


自己嫌悪。
自己嫌悪。
吐き気がする…。
どうして、あたしの意思はこんなにも弱いのか。



ごっちんに泣かれてしまった事よりも、
ごっちんの『相談事』が聞けなくなった事よりも、


あたしは自分を――――――最低な人間だと今更になって気づいた事が、一番つらかった。

155 名前:名無し作者 投稿日:2003/09/30(火) 10:59

更新終了です。
( ´ Д `)<……ばぁか

156 名前:レス 投稿日:2003/09/30(火) 11:03

>>123つみ様

あんまり必要じゃなかったかもしれませんね(w
今回はよしこ欲望のままに……
レス有難うございました!

>>124初カキコ様

な、生殺しにしたつもりは……
今回の更新で消化できたでしょうか…。
なかなかよしこはムッツリスケベみたくなってますが、一応クールな人物像にしてあるので。脳内に入れておいて下さい(w
レス有難うございました!!

157 名前:つみ 投稿日:2003/09/30(火) 18:14
よしこさん・・・電車の中でやるとはね・・・
少し危なかったですが耐えました!!
158 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/01(水) 00:38
吉澤さん、あんたは発情期の男子ですか。
女の子にはそんなやり方したらだめですよ〜。
いやどっちも女の子なんだけど(w
159 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 19:08
初めて全部最初から読みました!!!
いいですねえー萌えますねー
私の小説もよしごまですw
萌えます。これ以上に萌えるカップリングはないと私は思います・・・
あくまでも、私は、ですが・・・・(弱)
頑張って下さい。
160 名前:みかん 投稿日:2003/11/01(土) 13:21
おもしろいっ!
がんばってください☆
161 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/22(土) 22:02
お待ちしてます。
162 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 01:44




―9―


163 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 01:44



「……っう……はぁっ…………」


薄暗い部屋の中。
電気も何もついていない。
ただごとーは、カーテンの隙間から差し込む月の光りを、思考も何もないぼんやりとした頭でその行為が終わる頃までずっと見つめている。
体がフワフワして落ち着かない。
皮肉にも気持ちいい、のは確かだと思う。



しかし、目から溢れ出る涙は一向に止まる様子はなかった。

164 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 01:45


「…っめて、よぉ…」
「いやだ」


短く切られて、その人物は一瞬上げた頭をまたごとーの胸に埋める。
……やめてよ…
もう一回言葉にしようとした声は掠れて音にも鳴らなくて、喉元がもどかしく震えただけで終わった。

いや。
イヤダ。
気持ち悪い…。



段々麻痺していく頭と体と、ごとーの上に覆いかぶさるようにしてくる白い体の人物は
決してその行為を途中で止めたりはしなかった。
「やめて」と言っても聞いてはくれない。
抵抗しようにも体に力が入らない。

165 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 01:45


「……はぁっ…」


荒い息が体にかかって、思わず顔を背けた。
…違う。
自分が望んでいたのはこんな状況じゃない。
ただ昔のように、話を聞いて、相談をして、穏やかな時を過ごしたかっただけだ。
それなのに―――――



久しぶりに会った懐かしい訪問者は、昔と変わらない冷たい表情を浮かべながら
ごとーをじっと見下ろしていた。

166 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 01:46



SIDE◇後藤



今日は久しぶりに娘。のメンバーと食事に出かけることになっていた。
ちょっと空は薄暗くなってきたけど、駅までだったらタクシーを呼ばなくても良さそう。
そう思い腕につけている時計をチラッと見て、あと1時間程で待ち合わせ時間だという事に気づく。
ここからその場所は電車に乗っていく距離にあるので、余裕をもって行こうと昨夜寝る前に決めていた。


じゃ、そろそろ家を出なくては、 とポケットに携帯と財布などは鞄に入れてごとーは椅子から立ち上がった。

167 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 01:47


「…えっ?」


異変に気づいたのはごとーが玄関のドアノブをまわそうとした頃だ。

誰かが、家の前にいる。

覗き穴から見る限りそれは男の人のような感じだった。

そして、ごとーの家のドアを背もたれにして、地面に座っているようだ。

168 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 01:47


チャイムは―――鳴っていない。
ただの訪問者ではない…?
悪質なファンがごとーの家を突き止めて押しかけてきたのだとしたら、マネージャーか、もしくは警察に電話する必要がある。


「………」


今までストーカーみたいなものや悪口が書かれた手紙などもらった事はあるけれど、
家まで来る。こんな事は初めてだったので、ごとーは緊張を保ちながら冷静にマネージャーの携帯にコールしようとした。

169 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 01:48


電話をかける前に、もう一度、覗き穴からその人物を確認しようとすると……



突然、懐かしい顔が目の前に現れた。

170 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 01:48


「…あっ!」

思わず、そう声を上げてしまった。
パンパンとお尻を叩きながら立ち上がった人物は、昔と変わらないそのショートカットを揺らしながらゆっくりと伸びをする。
そしてチラリとこちらを見てから、また玄関の前に座りなおした。



胸がドキドキする。

なんで、今頃になって―――

171 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 01:49


ごとーは自分の胸を落ち着かせるように、そこに手を置いて
一回深呼吸をしてから「えいっ」と鍵をまわし、ドアを開けた。



勢いよく開けてしまったものだから、その場にコロンと転がる訪問者。
無言で起き上がり、ちょっと怒ったような顔をしながら、そして同時に驚いた表情をみせてごとーの前に立つ。


「…家にいたのかよ」

「いたよ」

「っつーか。 ドア、いきなり開けるな」

「だって…気づかなくて、ちょっと、びっくりしたから……」

172 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/23(日) 01:50


地面に置いてあった水色のパーカーを掴んで羽織り、「中入っていい?」
と、懐かしい顔は前と変わらない笑顔で微笑んだ。
「いいよっ」
答えて、家の中に上がらせた時には
これから予定がある事などすっかり頭の中から忘れて去っていた。
突然の訪問はなんでだろう?とは思ったけど純粋に嬉しくて、ニコニコしながらその人物を居間へ通す。



「なんか飲む?」
「んー、じゃー、紅茶いれて」
「アイアイサー」


そして無意識に、ごとーはポケットにある携帯の電源を切っていた。
邪魔されたくなかったんだろう。
久しぶりに会うその人との時間を。
ごとーの前からいきなり姿を消した、―――市井ちゃんとの時間を。

173 名前:名無し作者 投稿日:2003/11/23(日) 01:51

更新終了です。
遅くなってすいませんでした!
174 名前:レス 投稿日:2003/11/23(日) 01:56

>>157つみ様

耐えましたか…
次回は耐えさせません(w

>>158名無しさん

後藤さんをこんな状況で目の前にしたら、よしこじゃなくても
こうなってしまうかもしれませんよ…w

>>159双六様

有難うございます!
双六様の小説はどこにあるのですか?
是非読ませて頂きます。
作者の萌えカプは幅広いのですが、ごま絡みは基本的になんでも好きですね。

175 名前:レス 投稿日:2003/11/23(日) 01:59

>>160みかん様

おもしろい、と言って頂けるのが一番嬉しいです。
これからも宜しくお願いします!

>>161名無し読者

お待たせしてすいませんでした。
更新ペースは1ヶ月以内に、暇を見つけてやる程度になってしまいますが…


176 名前:つみ 投稿日:2003/11/23(日) 09:32
あぁ〜〜・・・
ごっちん・・・やつの魔の手から逃げ切れ!
177 名前:みかん 投稿日:2003/11/26(水) 14:00
あちゃ〜
ごっちん隙ありすぎなんでしょうか!?
つづき期待!!
178 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:39





―10―


179 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:40



………どうしたんだろう。
待ち合わせの時間になってもごっちんが来ない。
携帯に電話をしても、電源を切ってあるのか『お掛けになった電話は…』と、ごっちん
じゃなく機械的な女の人の声が聞こえてくるだけ。

180 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:40




「どうした?ごっちん、やっぱり携帯繋がらない?」


矢口さんが心配そうな顔をしながら、あたしの携帯を覗き込む。



「はい…」



「…何かあったのかね。 事故にでも遭ってなきゃいいけど……」

181 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:41




「後藤のことだから、案外爆睡しちゃってたりして起きられないのかもよ?」



段々暗くなっていく雰囲気を打破しようと、保田さんはわざと明るい口調で冗談を言った。
それに合わせて梨華ちゃんも「きっとそうですよっ!」と、相変わらずのアニメ声で
下がっていた眉尻を くっと上げた。



「じゃあさ、ここにいても寒いし。 あそこで話しでもして、ゆっくりごっちん待ってようよ」


182 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:41



ここで暗くなっていてもしょうがない。
あたし達は1時間待ってもごっちんが来なかったら予定通りの料亭に行くとして、
とりあえず近くの喫茶店で待機することになった。









今日は矢口さん、梨華ちゃんとあたし、そしてごっちんと保田さんという
滅多にスケジュールの合わないこの5人で食事に行くことになっていた。
ごっちんも、忙しい中こうやってメンバーのみんなに会えるというので、とても今日を楽しみにしていたらしく。
昨日の夜のメールでは梨華ちゃんに『絶対ぜったい絶対行くからね!!^□^v』と、激しく念をおしていたようだ。
なのに………

183 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:42



「………ごっちん……遅いねぇ…」


「誰か、後藤の携帯にもう1回電話してみたら?」


「さっきしてみましたけど……やっぱり繋がんなかったです」


「……そう…」



……1時間待ってみても、やはりごっちんは待ち合わせ場所に姿を現さなかった。
普通に考えてみても何の連絡も無しにここまで遅れることはおかしい。
保田さんの言うとおり、ごっちんが寝てしまっていたとしても、あんなに今日を楽しみにしていたごっちんが約束をすっぽかす様な事をするだろうか…?
本当にごっちんが事件にでも巻き込まれていたとしたら、と いうような事ばかりがあたし達の頭の中を駆け巡りはじめる。

184 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:43



「来ないね…」


「だね……」



「…………」



次第にどんどん口数が減ってゆく4人。
そして、あの元気な矢口さんまでもが口を閉じてからは、誰も喋らなくなった。

185 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:43




186 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:43




その無言の空間は――――梨華ちゃんの携帯が鳴り響くと同時に壊された。


187 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:44



―――ちゃらららー♪ ちゃーららーらららー♪



「…あっ。 着信みたいです」

マイペースにゆっくりと鞄から携帯を取り出す梨華ちゃん。
その行動に、その場にいる他3人の視線が集まる。



「だ、誰だれ!?まさか、ごっちんからっ!?」

188 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:45


焦ったように矢口さんが言うと、
んー、と 梨華ちゃんは口を尖らせて、携帯の液晶画面を見つめながらポツリと言った。



「………ですねぇ」


「バカッ!!早く出ろっ!」



矢口さんがなぜか梨華ちゃんの顎を ガシッと掴みながら携帯を奪うと、受話ボタンを押し、すぐに電話へ出る。

189 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:45



「ごっちん!大丈夫!?今どこにいんのっ!?」

「…矢口ひゃん…痛いですぅ」




「…えっ?」



矢口さんの眉間に一瞬皺が浮かび、それが解けると不思議そうな顔になり、
「ほら」とあたしに向って携帯を差し出す。



「…なんですか…?」


「ごっちんが、よっすぃ〜に変われだって」



「……あたし、に…?」
190 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:46



この前のことがあった。
あの日から、あたしとごっちんはまったく話さなくなり、露骨に避けられていたのも知っている。
あたしは前々から集まることになっていたこの時に、この前のことも合わせて
今までの事を全部謝ろうと決心していたのに。



……まさか――――今日来なかったのもあたしがいるから―――?



震える手で矢口さんの手から携帯を受け取り、耳にあてる。
聞こえてきたのは、久しぶりに聞く、ごっちんの甘い声だった。

191 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:46



『………よしこ…?』


「…うん…」



『……………』

192 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:47




「今日、どうしたの?」



名前を呼んだきり、ずっと黙ってしまったごっちんの代わりに、あたしはそう問いかけた。
それでもごっちんは無言のままで。
周りの矢口さん達の視線が怖いあたしは、溜息をつくと『ちょっと待っててください』
と トイレの方に席を立った。

193 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:48



「ごっちん…?」


「…何か、あったの? みんな心配してるんだよ?」



トイレの前の壁に寄りかかって、周りに誰もいないことを確認すると、携帯に向って
何度もそう呼びかける。
携帯を切ってはなさそうだけど、あたしが何を言っても反応が無い事に困っていると
ようやく向こうから小さく、か細い声で何か言っているのが聞こえてきた。
神経を集中させ、その音を必死で耳で拾う。



『………ょし…こ………』




―――たすけて

194 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 15:48



「ごっちん……!?」



確かに、そう言っているように聞こえた。
今はもう声じゃなくすすり泣くような音が耳に伝わってくる。
何かあったんだ。何があったんだ。
気がつくと、あたしは走り出していた。




梨華ちゃんの携帯を握り締めたまま、ごっちんの自宅へと―――

195 名前:名無し作者 投稿日:2003/12/20(土) 15:50


更新、一ヶ月単位に落ちてしまいますが、どうかお許しください。


(0^〜^0)< ごめんなさいっ!

196 名前:レス 投稿日:2003/12/20(土) 15:54

>>176つみ様

遅くなって申し訳ありません。
ごっちん、魔の手から逃れられると良いですね…(人事)w

>>177みかん様

基本的に後藤さんは隙があります(w
そこにつけいるのは誰でも出来ますが、相当な覚悟が必要です。
更新遅れてすいませんでした。

197 名前:つみ 投稿日:2003/12/20(土) 16:32
やつの魔の手が・・・
よっすぃ〜には早くごとーさんを助けて欲しい・・・!
198 名前:みかん 投稿日:2003/12/26(金) 08:18
うぉぉぉまたいい所で!とTVの前の会話をしてしまいました(笑)
199 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/26(金) 13:00
すれ違いで悪いけど、198は自分の小説書かないでよくのこのこと現れること出来るな
200 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/26(金) 14:31
>199放置はよくないけど作者さんはスランプなのかもしれないし、他の作品読んだら勉強にもなるんだからそういう言い方はよくないと思うよ。
201 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/26(金) 14:33
すんません、上げちゃった…
202 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/28(日) 09:57
作者さんスレ汚しすみません・・・。
自分の思ったことをそのまま勢いで書いちゃって。
こんなこと書いてからなんですが、是非更新がんばってください!
203 名前:pj 投稿日:2004/01/11(日) 12:46
更新楽しみにして保全させていただきます。
とにかくこの先の話がとても気になるので期待して待ってます。
204 名前:名無し読者 投稿日:2004/02/07(土) 15:40
保全!!
205 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/26(木) 19:00
待ってます。
206 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/10(水) 00:43
楽しみに待ってます
207 名前:名無し読者 投稿日:2004/04/07(水) 18:11
このまま待ってても大丈夫ですよね?
208 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/28(水) 05:40
待ってるよ
209 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/30(日) 03:05
保全
210 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/04(金) 01:55
お願い更新して
211 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/30(金) 02:06
作者さん帰ってきて

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