maximum

1 名前:マックス 投稿日:2003/09/15(月) 21:10
初めまして、マックスという者です。

普段は絵描きなんですが小説に挑戦してみようかと。
ほぼよしごまになると思います。


下手な文章ですが感想などいただけると嬉しいです。
2 名前:ある一日の楽屋の様子。 投稿日:2003/09/15(月) 21:12

「よっすぃーはあたしのなの!」


「何勝手に決めてんだよ!」







私、吉澤ひとみは今とても困っています。


その原因は・・・
3 名前:ある一日の楽屋の様子。 投稿日:2003/09/15(月) 21:17

「よっすぃー!いちーちゃんよりあたしのが好きでしょ!?」


「後藤なんかよりいちーだよな!?」




そう、この師弟コンビ・・・ごっちんと市井さん。
なぜか二人がウチの取り合い・・・
いや〜、モテる女は大変だなぁ・・・なんて考えてる場合じゃない。



「や、あの・・・どっちと言われても・・・。」
4 名前:ある一日の楽屋の様子。 投稿日:2003/09/15(月) 21:25

そりゃあウチはごっちんが大好きだ。
もちろん市井さんも好きだけど、「好き」の意味が違う。


正直に言えば収まるんだろうけど、ここで言うのは少し恥ずかしい。


なぜなら・・・この大騒ぎの所為で
楽屋に居るメンバー全員の視線が集まっているからだ。



「・・・よっすぃー・・・あたしのこと好きじゃないんだ。」



あ、ヤバイ・・・泣きそうだ。

普段は強がってるけど、ウチが関わると泣きやすいごっちん。
・・・喜んでいいのか悪いのか・・・。


5 名前:ある一日の楽屋の様子。 投稿日:2003/09/15(月) 21:34

「そんなことないって!ごっちんが一番好きだよ。」

「・・・ホント?」

「うん、ホント。」


「じゃあ・・・ちゅーして?」

「えぇ!?ここで!?」

「・・・・・・ダメ?」



潤んだ瞳で上目使い。


・・・後藤さん、それは反則ですよ。
しなかったら拗ねて口聞いてくれなくなるだろうし・・・仕方ない。

ごっちんの腰に腕を回して抱き寄せ、軽い触れるだけのキス。




「・・・よっすぃー大好きぃ!」

「ぅわっ!」




唇が離れると、ごっちんは満面の笑み。
思いっきり抱きつかれてバランスを崩し、その場に倒れこんだ。


6 名前:ある一日の楽屋の様子。 投稿日:2003/09/15(月) 21:41

ぶつけた後頭部が痛くて涙目になったけど

他のメンバーが呆れた顔で見てるけど




ウチの肩に顔を摺り寄せるごっちん。

すごく、幸せそうに。





ごっちんが嬉しそうだし・・・ま、いっか。






 *   *   *   *   *


「紗耶香、いい加減あのバカップルで遊ぶのやめなよ。」

「え〜、だって楽しいじゃん?
 あ、もしかしてやぐっちゃん・・・ヤキモチ?」

「な・・・!バカじゃないの!?」

「照れるなって。」

「照れてねぇよ!!」




この日の楽屋はいつも以上に騒がしかったようです。




7 名前:マックス 投稿日:2003/09/15(月) 21:46
吉後&市矢でした。
ほんと下手でもうしわけない(汗

モテ吉大好きですv
ちなみに他のCPは、保石・小高紺・田亀・藤松が好き。
最近のマイブームは田→吉です(笑
吉後は絶対に他の人とは絡みません。
8 名前:マックス 投稿日:2003/09/15(月) 21:48
書き忘れ。
吉澤さん受けくさいですが、攻めです(苦笑
精神的受けな吉澤さんが好き。
9 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/15(月) 21:52
よしごまだぁ〜!
マックスさんと同じCPの趣味ですごく嬉しいです。
モテ吉&よしごま万歳っす。
10 名前: 投稿日:2003/09/16(火) 01:39
マックスさんのよしごま、ようやく探し当てました!
今までに二度程お会いした者でございます(笑)
ずっと小説書かれるの楽しみにしてたんですよ〜♪
よしごまを始め、推しCPは完全に同じです☆
へタレ吉もモテ吉も大好きなので、期待してますね(^^)v

…きっと毎日来ることでしょう(笑)
11 名前: 投稿日:2003/09/16(火) 02:02
ごめんなさい…ageてしまった(涙)

ではまた来ます〜m(__)m
12 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 02:23

13 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/16(火) 02:26
よしごまマンセー!!
作者様、頑張ってください!
14 名前:マックス 投稿日:2003/09/16(火) 19:25

>9名無し読者様
 お、同じCP!
 同士の方がいて嬉しいですv
 モテ吉&よしごま最高です!

>10凛様
 見つかってしまった(w
 お久しぶりです〜。
 また小説に挑戦してみました。
 凛様とはまったく同じCPなので嬉しいです。
 まだageでOKですよー、今のところは(笑

>13名無し読者様
 よしごまマンセー!!
 ありがとうございます
 マターリ更新だと思いますがお付き合いください。


15 名前:マックス 投稿日:2003/09/16(火) 19:27

少しシリアスな話になります。
中編?ぐらいになるかと。


16 名前:秘密的恋情 投稿日:2003/09/16(火) 19:30



あなたが好きです。





整ったキレイな顔


大きな手と 細くて長い指


あたしよりも高い背


暖かい笑顔


さり気ない優しさ








全部が、大好きです―――――





17 名前:秘密的恋情 投稿日:2003/09/16(火) 19:36


ここはモーニング娘。の楽屋。


今日はハロモニ。の収録で・・・あの人も、来る日です。
いつもみんなの輪の中にいるあなた
でも、今は無表情のまま雑誌をパラパラと捲っているだけ。

あたしがぼーっとあなたを眺めていると
ドアを叩く音。




「おはよー。」


「おー、おはよー。」

「おはようございます。」




いつもより早めに来たあの人は、当たり前のようにあなたの隣に座った。




18 名前:秘密的恋情 投稿日:2003/09/16(火) 19:44


「おはよ、今日は早いじゃん。」


「ん〜、早く逢いたかったから早起きしたの。」


「頑張ったねぇ、えらいえらい。」





さっきまでのあなたはもういない。


優しい笑顔であの人の頭を撫でている。
あの人にしか見せない、とても優しい笑顔で・・・。

そしてあの人は嬉しそうに瞳を細めて、あなたに身を寄せる。




すごく、幸せそうに。






19 名前:秘密的恋情 投稿日:2003/09/16(火) 19:52



「「アターック!!」」


「ぅおっ!?」




甘い雰囲気を壊したのは・・・辻ちゃんと加護ちゃん。

・・・あたしには、あの二人の邪魔をするなんて出来ない。
ある意味、尊敬しちゃうよ。



「お前ら重いっつーの!」


「えぇやん、遊ぼうや。」


「遊ぶのれす。」



「ヤだよ、すぐ人をオモチャにすんだから。」




20 名前:秘密的恋情 投稿日:2003/09/16(火) 20:01



騒ぐ三人の隣で、始めは邪魔をされたからか
少し不機嫌だったあの人。

でも今は・・・あの人独特のふにゃっとした笑顔で
その様子を見つめていた。




視線に気づいたあなたは、またあの笑顔であの人を見るんだ。









・・・あぁ・・・あたしじゃあ、あの人には敵わないんだろうなぁ。






21 名前:秘密的恋情 投稿日:2003/09/16(火) 20:07


「よっすぃー、ごっつあん行くぞー!」


「「はーい。」」




楽屋を出て行く二人の手は、しっかりと繋がれていた。






「愛ちゃん。」


「・・・麻琴。」


「ほら、早く行くよ。」





握られた手。
少し前を歩く麻琴の背中を見ながらあたしはついて行く。




麻琴には悪いけど・・・
これが吉澤さんだったら、と思ってしまった。




その時、あたしの手を握る麻琴の力が
少し強くなったような気がした。




22 名前:秘密的恋情 投稿日:2003/09/16(火) 20:11



この想いは叶わないと、始めから解っていた。






けど、あたしはあなたを見てるだけで幸せになれるんです。



あなたに名前を呼ばれるだけで嬉しいんです。







だから、もう少し・・・もう少しだけ・・・・・・


あなたを好きでいていいですよね?







あなたを想うこと

それがあたしの、幸せだから。





FIN。


23 名前:マックス 投稿日:2003/09/16(火) 20:14

高→吉後のお話でした。

秘密的恋情ということでしたが実はたかーしちゃん以外に
もう一人秘密の恋をしている人がいます。
三部作の予定なのでその人は三話目に登場予定v

24 名前: 投稿日:2003/09/16(火) 22:13
前回はよく分からないまま書いてしまってすみません(^^;
今のところ…ということは…いつかそうなるんですか!?(笑)

他の視点からのよしごまは何だか切ないですね。
2人の雰囲気がいい分、邪魔できなくて見つめてるだけっていうのが…
高橋さん以外の秘密の恋をしてる人、気になりますね。
6期か紺ちゃんかな?
無理かもしれないけどおがこんが見たいなぁなんて思ってしまう私(笑)
25 名前:マックス 投稿日:2003/09/17(水) 21:23

>凛様
 いえいえ、全然大丈夫ですよ。
 age禁止・・・いつか書きたいですねぇ
 ( ^▽^)<ふふふ・・・。
 よしごまがラブラブな分片思いの相手は辛いですよね。
 高橋さん以外の秘密の恋をしている人・・・
 少しだけ出ちゃってたりします(笑
 おがこん挑戦してみたいです。


26 名前:マックス 投稿日:2003/09/17(水) 21:24


それでは第二部、スタートです。


27 名前:残酷な優しさ 投稿日:2003/09/17(水) 21:31



この日のあたしは、少しおかしかった。


あの人には敵わないと解ってから
頭のネジが一本はずれたみたいだった。






収録中、何度もNGを出してみんなに迷惑をかけた。
いつも通りに振る舞おうとしてもそれが空回り。

その時のあたしは自分のことで精一杯で
その人の視線には、気づかなかった。





「高橋。」



みんなが帰った楽屋。
一人で心の整理をしようと思っていたところに


一番聞きたくて・・・一番聞きたくなかった声。





「・・・吉澤、さん。」






28 名前:残酷な優しさ 投稿日:2003/09/17(水) 21:36


「まだ残ってたの?」


「はい・・・吉澤さんは、どうしたんですか?」


「ウチ?ウチはまだごっちんの仕事が残ってるからさ
 帰ってくるまでお留守番。」





―――どくんっ・・・―――




あの人の名前を聞いた瞬間


心臓が、跳ね上がった





どんどん 鼓動が早くなる





29 名前:残酷な優しさ 投稿日:2003/09/17(水) 21:42



「今日ごっちんの家行くからさぁ。」



・・・やめて下さい

あの人の名前、呼ばないで下さい。




「もうすぐ終わると思うんだけど・・・ん?どした?」



やめて・・・近づかないで・・・。




「高橋?」



あたしの名前、呼ばないで下さい・・・。




「顔、赤いよ?」



やめて・・・―――――!





大きな手があたしの顔に触れた時

・・・意識が・・・真っ白になった








「・・・好きです、吉澤さん。」


30 名前:残酷な優しさ 投稿日:2003/09/17(水) 21:51




あたしは無意識のうちに
言ってはいけないコトバを口にしていた。

我に返った時には、遅かった。
吉澤さんは大きな瞳をさらに大きくしてあたしを見ていた。




「・・・あ、あの・・・・・・。」



あたしはどうしていいのか解らず、一人パニック状態。


今のコトバを冗談にしようと思考を巡らせていると






「ウチも好きだよ、高橋のこと。」





その一言で、あたしの思考は停止した。




31 名前:残酷な優しさ 投稿日:2003/09/17(水) 21:57





吉澤さんが・・・あたしを好き?





そんなことを言われるなんて思ってもいなかったあたしは
ただ、今のコトバを何度も頭の中で繰り返す。








(ウチも好きだよ、高橋のこと。)





心臓が壊れそうだ。






32 名前:マックス 投稿日:2003/09/17(水) 22:00

短いですが用事があるのでここまでです。
話の展開が早いような・・・

二部は前の話より少し長めになりそうです。

33 名前: 投稿日:2003/09/17(水) 23:49
おぉ…第二部は展開早いですね〜
頭のネジが1本はずれた高橋さんはどんな行動を取るのか…
秘密の恋の人(微妙に略。)はまこっちゃん?かなぁ。
続き、期待してます♪
34 名前:マックス 投稿日:2003/09/19(金) 17:06

>凛様
 もう少し延ばしたいのですが・・・なかなか(汗
 たかーしちゃん可哀想な役になってしまいましたが 
 私は大好きです、幸せにしてあげないとなぁ。
 秘密恋人(さらに略)は、麻琴・・・ですかねぇ?(w



35 名前:残酷な優しさ 投稿日:2003/09/19(金) 17:13




「あ……それっ、て…。」



「ウチってさぁ弟しかいないじゃん?
 高橋って妹みたいでかわいいんだよね。」






―――一瞬、時が止まったような感覚



………妹?…あたしは、妹…






「高橋みたいな妹、ほしかったなぁ。」


「…そ、ですか?」


「うん。」








……なんだ


あの人に敵わないんじゃない


あたしは、あの人と競うことすら出来ないんだ









妹…だから。






36 名前:残酷な優しさ 投稿日:2003/09/19(金) 17:16





「よっすぃー、終わったぁ。」



「おつかれー。
 じゃあね高橋、遅くなんないうちに帰んなよ?」





「…はい。」








二人が楽屋を出た後
何かの糸が切れたように、涙が止まらなかった。
37 名前:マックス 投稿日:2003/09/19(金) 17:17


ほんとに短いですがこれから出かけるので
ここまでです。


38 名前:残酷な優しさ(後藤視点) 投稿日:2003/09/22(月) 19:11



*  *  *  *  *  *  *






テレビ局からあたしの家に帰るまでの間
よっすぃーはほとんど何も話さなかった。

どこか、思い詰めたような顔をして。





家に着いても、ベッドに腰掛けて、じっと床を見つめたまま。




「…ごっちん。」




よっすぃーが「ここに来い」というように
自分の膝を叩く。

膝の上に座ると、ぎゅっと痛いくらいに抱きしめられた。





「よっすぃー…?」



あたしの肩に顔を埋めてゆっくりと呼吸を繰り返す。

ほんの少し、あたしを抱きしめる腕が震えていた。





39 名前:残酷な優しさ(後藤視点) 投稿日:2003/09/22(月) 19:17






「…がんばったね。」




実は聞いてたんだ
よっすぃーと高橋が話してたこと。


あたしは気づいてた、高橋の気持ち。

よっすぃーも気づいてたんだよね?


鈍感だと言われるよっすぃーでも解っちゃうくらい
それだけ高橋は、ホントによっすぃーが好きなんだと思った。

いつもいつも、高橋の瞳にはよっすぃーが映ってたから。







「…ウチは…何も、してあげられない……。」



「うん…。」






40 名前:残酷な優しさ(後藤視点) 投稿日:2003/09/22(月) 19:21

じわっと、服越しに何かが沁み込む感覚。
顔は見えないけど、声を出さないように必死に耐えて
泣いてるんだって解る。


高橋を傷つけたって自分を責めてるんでしょ?

あなたは人を傷つけることが一番嫌いだから。





「よっすぃー。」


「……ん?」


「愛してるよ。」


「…ん………。」



41 名前:残酷な優しさ(後藤視点) 投稿日:2003/09/22(月) 19:24




ごめんね?高橋




あたしはよっすぃーがいないとダメなの


よっすぃーがいなくなったら生きていけなくなるくらい




だから、高橋にはあげられないの







……ごめんね?








外は、冷たい雨が降り出していた…。







42 名前:残酷な優しさ 投稿日:2003/09/22(月) 19:36



*  *  *  *  *  *  *






もう何時間も経ったような気がする


実際には、数十分。





未だに、涙は乾かない。





「っう……よしざ…さん……。」






気づいてたんですよね?
あたしの気持ち。

「妹みたい」と言ったあなたの瞳は
なぜか少し、哀しそうだった。




あたしを傷つけない為の優しさ。




いつもは嬉しかったあなたの優しさが
今のあたしにはすごく痛い。



その優しさが、あたしの心を捉えて離さない。





「好きです…吉澤さ………。」



43 名前:残酷な優しさ 投稿日:2003/09/22(月) 19:38





二度目の告白は、もうあなたに届かない。



いっそ、突き放してくれたら楽なのに。









この想いが消えるのはいつになるんだろう。




「好きです…。」







この恋は まだ 終わらない







FIN。
44 名前:マックス 投稿日:2003/09/22(月) 19:41


第二部終了です。

第三部は、もう一人の秘密恋の人が出てきます(笑
たかーしちゃん、幸せにしてあげたいなぁ。

それではまた明日。
45 名前: 投稿日:2003/09/22(月) 23:35
う〜みんな切ないですね…
相手の気持ちに気づいてて、傷つけるって分かっててもああ言うしかないよしこは複雑な気持ちでしょうね。
傷つけたくないから優しい言葉を使うのに、その優しさが相手にとっては残酷だってことがあるから…やっぱり切ない。
でも変に中途半端な態度を取るよりは救われるなぁと思います。
…だんだん何書いてるか分からなくなってきました(笑)

『この恋は まだ 終わらない』が気になりますけど、第三部はついに秘密恋の人(笑)が出てくるんですね。
楽しみにしてます♪

HEY!×3は色んな意味ですごかったですね…(汗)
46 名前:マックス 投稿日:2003/09/23(火) 12:49

>凛様
 なんかすごくシリアスな話になってますね。
 たかーしちゃんを傷つけても後藤さんを選ぶ吉澤さん
 …愛、ですかね。
 たかーしちゃんの恋はまだ終わりません。
 あの人次第で変わるかもv

 HEY!×3はMAXさんがステージに向かう時に
 その後姿を見て「わ〜お」と言っていたたかーしちゃんが可愛かったv
 やぐっちゃんも何か言ってたなぁ。
47 名前:マックス 投稿日:2003/09/23(火) 12:51

では、第三部スタートです。

48 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 13:07



午後 8時34分





あたしは矢口さん、あさ美ちゃん、里沙ちゃんと食事中。
みんなが楽しそうに話している中で、あたしは一人落ち着かない。



今日の収録中ずっと様子がおかしかったあの子が…

愛ちゃんが、気になってしょうがなかったから。



一緒に帰ろうと思ってたのに
矢口さんに捕まって「今日はオイラの奢りだぁ!」と
ほぼ強制連行な感じで食事に連れていかれた。




「麻琴?どうしたの?」

「…え?」

「何だよ〜全然食ってないじゃん
 せっかくオイラの奢りなんだからさぁ。」

「あ、すいません…。」


あたしは目の前の料理に手を伸ばす。


49 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 13:11




でも、味なんて分からない。






気になってしょうがない



愛ちゃんのことが、気になってしょうがないんだ






その時、ケータイが震えた。




メール…?

吉澤さんからだ。







『ごめん…高橋泣かせちゃった
 小川、高橋をよろしく』









50 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 13:16



―――ガタッ―――





急に立ち上がったあたしに驚く三人。

あ、あさ美ちゃん料理こぼしてるよ…。




「すいません、用事思い出したんで帰ります!
 ごちそうさまでした!」

「え、ちょ…小川!」

「麻琴、ほとんど食べてないよね。」

「うん。」

「ったく、何なんだよ。」





51 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 13:21



いつの間にか雨が降り出していた。





前に一度、吉澤さんに相談したことがあった。

好きな人がいるってこと
この想いをどうしたらいいかってこと

名前は出さなかったのに
どうやらバレていたらしい


だからあたしにあんなメールを送ってきたんだ。






あたしは傘もささず、走り続ける。
周りの視線も気にせずに、あの子のところへと走り続けた。



今、心に決めたことが鈍らないように。



52 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 13:24



午後 9時06分





普通なら、とっくに帰ってる時間。

でも、なぜかあたしは、まだ愛ちゃんがそこにいると
確信していた。




それはなぜか、あたしにも解らない。






テレビ局まであと数十メートル




入り口の前で一人
傘もささずに佇んでる人影が目に入った。





その姿を見間違えるわけがない。








「愛ちゃん!!」




53 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 13:30


あたしが名前を呼ぶと驚いて振り返った。


やっぱりそうだ…

…どれくらいそうしていたんだろう
赤いパーカーが、黒ずんで見える。





「…麻琴?」

「はぁ…はぁ……愛、ちゃ…。」




手を膝に置いて肩で息をするあたしを
愛ちゃんは不思議そうに見ている。

その瞳は、少し赤かった。



「どしたぁ?矢口さん達とごはん食べに行ったんじゃ―――」





コトバが終わる前にあたしは愛ちゃんを抱きしめた。



離さないように、離れないように。



54 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 13:33


「ちょ…麻琴、痛いって!」




腕の中でじたばたともがく愛ちゃん。
あたしは少し力を緩めて、愛ちゃんの瞳を見る。



この想いを、告げる為に―――







「麻琴?」



「…愛ちゃん……好きだよ。」


55 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 13:40





「……え?」


「私、小川麻琴は、高橋愛を愛しています。」





ずっとずっと、言えなかったコトバ。


君はあたしを見てないことぐらい解ってたから。





きっと、君は勇気を振り絞って
…あの人に想いを告げたんだろう。

ズルイよね?こんな時に告白するなんて。






「ま…こと………。」


「あたしは…本気だから。」




卑怯だと思いたければ思えばいい。

でも、抑えられないんだ




あたしは、君が好きで好きでしょうがない。





じっと愛ちゃんを見つめていると、その瞳から涙が零れ落ちた。





「…っ……まこ、とぉ…!」

56 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 13:44

ぎゅっとあたしに抱きついて涙を流す君。

あたしは、ただ抱きしめることしか出来ない。






「ごめ…まこっ……あたし…。」


「知ってるよ。」





言わないで。
君のことなら何でも知ってるから。


君の…好きな人だって…






「…あたし、ずっと……好き、だった…吉澤さ……!」





知っていても、直接愛ちゃんの口から聞くと
…結構痛い。



57 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 13:53

だけど、声を上げて泣く君がとても愛しくて
抱きしめる腕に力を込めた。

少しでもあたしの想いが届くように。





このまま君に、口づけてしまおうか。




そう思ったけど、いくらズルイあたしでもそれは出来なかった。


今は…この腕の中にいてくれるだけで、充分だから。






「…っ、ごめん…ごめんね、麻琴…。」


「謝んないでよ…あたしは待ってるから
 愛ちゃんがあたしのこと好きになってくれるまで
 …ずっと、いつまでだって待ってるから。」



「…麻琴ぉ………!」




このまま離したくなかった。

離したら、君はまた遠くなってしまいそうで



58 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 13:57


愛ちゃんの涙が止まっても
あたしは愛ちゃんを抱きしめた腕を解けずにいた。




――このまま、時が止まってしまえばいいのに――




神様にお願いした。

でも、時間を止める魔法はあたしには無かったみたい。




愛ちゃんがそっとあたしの肩を押す。
名残惜しいけど、ゆっくりと身体を離した。


59 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 14:01






「…麻琴?」


「は、はい!?」




なんか急に恥ずかしくなって上擦った声が出てしまった
…かっこ悪いなぁ。






何言われるのかな


あたしは何を言われても泣かないように
身体に力を入れる。




俯いていた愛ちゃんが顔を上げて、あたしの瞳を見つめた。








60 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 14:06





「あたし、まだ解んないけど…
 麻琴のこと……好きになるかも。」





「………へ?」



「だから…それまで、待ってて?」





「…うん!」





泣かないようにと思ってたのに
あたしの瞳からは涙が零れていた。


愛ちゃんはソレを自分の服の袖で
優しく拭ってくれた。



61 名前:君が好き。 投稿日:2003/09/23(火) 14:07


午後 9時57分



雨は、いつの間にか止んでいた。







FIN。

62 名前:マックス 投稿日:2003/09/23(火) 14:11

はい、とゆーことでこのお話は終了です。
途中で区切ろうとしたんですが、勢いで最後まで(笑
たかーしちゃんと麻琴は幸せに…なれるのか?

次は吉後にしようと思ったのですが…
まだ話が出来てないので田→吉でv

暇だったらまた今日更新するかも。
63 名前:マックス 投稿日:2003/09/23(火) 14:19

後藤さん誕生日おめでとうございます。
これからも吉澤さんと仲良くしてください。
64 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/26(金) 20:28


もし、目の前で王子様が眠っていたら
あなたはどうしますか―――?


65 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/26(金) 20:35


「うわ、まだ三時間以上ある…。」


今日あたしは欲しかったCDを買う為に早めに家を出た。
しかし、早く出すぎたらしく集合時間までは
まだまだ時間が余っていた。


「どうすっかなぁ…楽屋にいよ。」


このままフラフラしてて遅刻してもヤだから
楽屋でCDでも聞いてようと思いのんびりと歩き出した。



66 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/26(金) 20:40


ゆっくり歩いてもかかった時間は三十分
すぐに楽屋に到着してしまった。

とりあえず自販機で飲み物を買ってから楽屋のドアを開けた。



誰もいるわけないと思っていた楽屋
しかしそこには…


「……吉澤さん?」


まだ二時間半もあるというのに
一体いつからいたのだろうか。
吉澤さんはソファーの上に仰向けの状態で熟睡中。

静かに荷物を置いて起こさないようにそっと近づく。

67 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/26(金) 20:53


綺麗な瞳は閉じられ、ほんの少し口が開いてる。
そこから聞こえるのは規則正しい寝息。
それに合わせて微かに胸が上下する。

その姿に、少しの間見惚れていた。



「…CDでも聞くか。」


はっと我に返り、誰に言うでもなくそう呟いた。


CDを袋から取り出し、持ってきたプレイヤーに入れてイヤホンをする。

曲に集中すればいい
だけど、たまにモゾモゾと動く吉澤さんの気配が
伝わってきてそれどころじゃなかった。


68 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/26(金) 20:58



思えばこうして二人きりになるのも初めてだ。



いつの間にか止まっていたCD。
あたしはイヤホンをはずすと再び吉澤さんの元へ。

ソファーの前に膝立ちして、じっとその顔を見つめる。
白い肌にそっと触れてみた。


「ん……。」


起きた………!?

そう思って手を離した。
でも起きる気配は全く無し。

69 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/26(金) 21:01


もう一度触れてみる。



「…無防備な……。」



目線をずらすと薄い唇が目に入った。
あたしは吸い込まれるように自分のソレを近づける。



あと、数センチ。




70 名前:マックス 投稿日:2003/09/26(金) 21:02

今日はここまでです。
感想などいただけたら嬉しいです。
71 名前: 投稿日:2003/09/27(土) 00:37
わ〜い更新されてるv って前回感想書いてませんね、私(汗)

高橋さんは…いつかまこっちゃんを好きになるんでしょうか?
まこはしばらく苦労しそうだ〜(笑)

今回のは予告通り田→吉ですかね?
眠れる楽屋の王子様・よしこは罪作りなお方だなぁ(爆)
無防備なとこを田中さんに狙われちゃうのか!?←落ち着け私(^^;
実は寝たふりとかだったら面白いなぁ…田中さんの反応を楽しむ悪趣味なよしこさん♪

続き、楽しみにしてます☆
72 名前:マックス 投稿日:2003/09/27(土) 10:52

>凛様
いえいえ、今回書いてくれたのでOKです(笑

麻琴は吉澤さんを乗り越えましたが
もう一人、紺野さんというライバルが(w

田→吉ですv
寝てても狙われる吉澤さんはすごい(笑
吉澤さんは天然鈍感な方向でv

73 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/27(土) 11:02


その時、廊下から足音が。
たぶんスタッフの人だろうと思ったけど足音は楽屋の前で止まり
コンコンとドアをノックする音。


「…っ!!」


誰か来た。
あたしは急いでソファーから離れた場所へ。

ガチャっという音を立てて開いたドア。
見えたのは、ダークブラウンのサラサラな髪。



「あ、田中。おはよー。」

「…おはようございます、後藤さん。」


74 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/27(土) 11:11

入ってきたのは後藤さんと、その後ろにもう一人。



「おはよー、れいな。」

「はよ…絵里。」


同期の、亀井絵里。


「どうしたの?早いね。」

「あー、早く出すぎたから。」

「さゆはまだ?」

「んー…。」

「へへっ、じゃあれいなは絵里のだぁ。」

「…なんでそうなんの。」


嬉しそうに抱きついてくる絵里を
鬱陶しそうに払いのけた。
それをかわしてまた抱きついてくる絵里。


「え〜だって、ほら後藤さんには吉澤さんがいるし。」


そう言って絵里が指差す方向を見ると
吉澤さんが寝ているソファーの前にしゃがみ込んでいる後藤さんの姿。


75 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/27(土) 11:18


「だから、絵里にはれいな。」




…どういう理屈だ。
早く他のメンバー来ないかなぁ…。


後ろから「よっすぃー起きろー。」と
吉澤さんを起こそうとしている後藤さんの声。

少ししてその声が聞こえなくなって
諦めたのかと思ったその時




76 名前:マックス 投稿日:2003/09/27(土) 11:19

中途半端ですがここまで。
また夕方ぐらいに更新するかもしれません。
77 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/27(土) 18:06


「うえっ!!」



その声に驚いて振り返ると
…吉澤さんの上に馬乗りになっている後藤さん。

吉澤さんが起きないので強行手段に出たらしい。



「起きたー?」

「…っ、げほっ…ご、っちん?」



あー…吉澤さん涙目だ。
一方後藤さんは何事も無かったかのように
ニコニコと笑っている。


「いきなり何すんだよ。」

「だってぇ、よっすぃー起きないんだもん。」

「だからって乗っかることないっしょ…
 それに…昨日寝かせてくれなかったのはごっちんじゃん。」

「なっ…!そ、それはよっすぃーがぁ…。」

「人が寝ようとしてんのに、誘ってくるし…。」

「それ以上ゆーなぁ!!」



……矢口さんがバカップルって言うのがよく分かりました。

78 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/27(土) 18:15


始めは起こされて少し不機嫌そうだったのに
今は…ただイチャついてるだけ。



「…れ、れいな!飲み物買いに行こ!?」

「え、あたしはもう…。」

「いいから!!」



どうやら絵里には刺激が強かったらしい。
普段はあんなにアタックしてくるくせに…。

あたしは腕を掴まれて楽屋の外へと連れて行かれた。


楽屋を出るとすぐに藤本さんに会って
楽屋の様子を話すと「楽屋行きたくなーい。」と言うので
三人で飲み物を買いに行くことに。

自販機の前にあるソファーに座ってしばらく話し込んでいると


「藤本、亀井ちょっと来て。」


通りかかったマネージャーさんに呼ばれ
二人は衣装さんのところへ。

一人残されたあたしはそろそろ他のメンバーも来てるだろうと思い
楽屋に戻ることにした。

79 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/27(土) 18:18



ドアのノブに手をかけようとした時
いきなりドアが開いた。


「わっ…!」

「あ、ごめん田中。」



出てきたのはバカップル…じゃなくて後藤さん。



「…戻るんですか?」

「うん、もうすぐ収録の時間だし
 よっすぃーにも会えたしね。」



とても幸せそうに微笑む後藤さん。

あたしは少し、ほんの少し…綺麗だと思ってしまった。
吉澤さんが惚れるのも解る気がする。


……でも

80 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/27(土) 18:20


「…あんまり油断してると、奪っちゃいますよ?」

「え?」

「いえ、何でもないです。」

「そ?じゃあね。」




確かに、あなたは輝いてる。
だけど負けない、負けたくない。

あたしは、これから輝くんだから…。
81 名前:LOVE PRINCE 投稿日:2003/09/27(土) 18:24


楽屋に入ると吉澤さんは辻さん達と笑っていた。
太陽のように眩しい笑顔。


今はまだ眩しすぎて真っ直ぐ見れないけど
今はまだ眠る王子様に軽く触れることしか出来ないけど


もしあたしが輝くことが出来て
あなたがまた一人で眠っていたら

どうなるか、解りませんよ?



「田中、こっちおいでよ!」


「はい!」




あたしは吉澤さんの元へと駆け出した。






FIN。

82 名前:マックス 投稿日:2003/09/27(土) 18:26

田→吉終了。
実際には亀→田→吉後ですがv

次こそは吉後で。
83 名前: 投稿日:2003/09/28(日) 02:46
紺ちゃんはまこのライバルでしたか。
この2人も行方が気になるところですね〜

田→吉、いい!
天然鈍感王子よっすぃーと、後藤さんに奪っちゃう宣言をする田中さん…
それに強気な亀ちゃんが加わると楽しい楽しい♪
面白い組み合わせですよねv
さすがに重さんが入ると予想もつきませんが(^^;
FUNでよしこと6期(主に亀&田)の絡みに思わず萌えてしまったので、この先田&亀がどうなるか楽しみです(笑)

もちろん純粋な吉後も期待しております(^^)
84 名前:マックス 投稿日:2003/09/28(日) 17:46

>凛様
 五期の基本はモテ高でv

田→吉いいですか!
田亀も好きです、いつかは田亀で。
重さんもれいな好きーでv
FUN見忘れたぁ、妹のビデオ借りるか。

次はホントに吉後主役で行きます。
 
85 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/28(日) 17:51


そいつは、突然やって来た――――


86 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/28(日) 17:57
主な登場人物

・吉澤ひとみ
17歳 高校2年
両親は幼い頃から海外出張が多く、家族で過ごした時間はほとんどない。
その所為か人を信じられなくなっている
ひとみが心を開いているのは梨華と圭だけ

・後藤真希
17歳
高校には行かず、ハロープロジェクトという便利屋で働いている
両親はいない

・紗耶香
34歳 ひとみの父親
一流企業の海外事業部で日本に帰ってくるのは年に数回

・真里
35歳 ひとみの母親
紗耶香と同じく海外事業部に勤めている
紗耶香の出張には常に同行(浮気防止?)

87 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/28(日) 18:03

・石川梨華
17歳 高校2年
ひとみの幼馴染でクラスメイト
世話好きでよくひとみの面倒を見ている

・保田圭
25歳
ひとみと梨華の高校の教師
生徒からの信頼が厚く、ひとみの相談相手にもなっている

・中澤裕子
38歳
ハロープロジェクトの社長
真希の母親代わりになっている
88 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/28(日) 18:39


――ピンポーン、ピンポーン――




「はーい。」


ウチは吉澤ひとみ、17歳
両親は海外出張中で今は1人で暮らしている。

今日は土曜日、友達との約束の時間まで寝てようと思ってたのに
家中に響くインターホンの音で目が覚めた。

89 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/28(日) 19:10

――ピンポーン…――



…しつこい。
まだ7時じゃねぇかよ

またばあさんが料理でも持って来たんだろう
そう思ってドアを開けた。


「おはようございます、ハロープロジェクトです。」

「…はい?」



ドアの前に立っていたのは白髪混じりのショートカットではなく
茶色いロングヘアーの少女。
90 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/28(日) 19:21


…誰だ?見たことも無い。



「お父様より1ヶ月間お嬢様の身の回りのお世話を
 して欲しいという依頼がありました。」

「…親父から?」

「はい。」



そう言って差し出された依頼書。
そこには確かに親父の名前が。



「ハロー、プロジェクト?」

「はい、依頼者の身の回りのお世話や犬の散歩などを
 私達スタッフがやらせて頂いてます。」



…便利屋みたいなもんか。
91 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/28(日) 19:25


「1ヶ月ねぇ…で、君は?」

「あ、申し遅れました。あたしは後藤真希と申します。」

「へぇ…まぁ入んなよ。」

「はい、おじゃまします。」



ここで話しててもしょうがないから
とりあえず中に入れたのはいいけど…


…何考えてんだ、親父は。

92 名前:マックス 投稿日:2003/09/28(日) 19:29

吉澤さんと後藤さん、キャラが全然違います(汗
吉後以外に市矢、保石、その他ちょこちょこ出てくると思います。

感想くださーい。
93 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/28(日) 22:19
よしごま大好きです!!
マックスさんのお話最高です☆☆
これからどおなるか楽しみなので
ゆっくり頑張って下さい!!
94 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/29(月) 06:53
吉後主役だ〜♪
これから二人一緒に暮らすんですね
楽しみです!
95 名前:マックス 投稿日:2003/09/30(火) 00:07

>93名無し読者様
よしごま大好きですか!
最高だなんて(照
ありがとうございます、マターリがんばります。

>94名無し読者様
やっと吉後の話になります。
これから同棲(違)ですv
96 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 00:16

―プルルル、プルルル―



ドアを閉めるとすぐに家の電話が鳴った。
今日は朝から忙しくないか…?



「もしもし、吉澤です。」

『おー、ひとみか?』

「…っ親父!てめぇどういうつもりだよ!」

『ん?あぁ、ハロプロの子来たのか?』

「何でこんな依頼なんかしたんだよ。」

『お前もうすぐ誕生日だろ?
 だから、少しの間楽させてやろうと思ってな。
 お父さんからの誕生日プレゼント♪」

「だからって勝手に…。」

『おぉ、今行く。じゃあ真里が呼んでるから切るな
 上手くやれよ〜?』

「ちょ、おい…!」



親父は言いたいことだけ言ってさっさと電話を切った。
今すぐ契約取り消してもらおうと思ったのに…。

…何が誕生日だ。
1人なんて、もう慣れてんだよ。

97 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 00:22



小さい頃から…ずっと、1人だった。





―お父さん。―

―ごめんな、仕事なんだ。良い子にしてろよ?―

―…お母さん。―

―行って来るね。―




親父も母さんも、いつもウチを置いて行った。

親戚の家に預けられても、所詮ウチはそこの家の子供じゃないから。
中にはウチを邪魔者扱いする家だってあった。

どんなに優しくされても腹の中じゃ何考えてるか分からない。



もう、誰も信じない。

98 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 00:26


「…今さら、親父面してんじゃねぇよ。」



「……あの…。」



その声に振り向くと、彼女は困ったような顔をして
ウチを見ていた。


「あたし…迷惑、ですよね?」

「…いや、いいよ。」



別に彼女は悪くないわけだし。
洗濯とか掃除とかやってもらえるなら損は無いだろう。

99 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 00:30

ふと足元を見ると、大きめなボストンバッグ。



「後藤さん。」

「…あ、真希でいいです。
 名字は呼ばれ慣れてないので。」

「…そう…で、その…真希は、住み込みなの?」

「はい。」




…聞いてねぇっつーの。

それでも、ニコニコしながら言う彼女を見たら
怒る気力も失せた。
まぁ、部屋なんていくらでも開いてるし。
100 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 00:35

「じゃあ…ウチの隣の部屋使っていいよ。」

「はーい。」



荷物を持とうとする彼女の腕が目に入った。


…細いなぁ。

よくこんなデカいバッグを持って来れたな。
ウチは彼女がバッグを持つ前に、それを持ち上げて部屋へと向かった。



「あ……。」

「重いっしょ?ウチが運ぶから。」

「いえ、そんなこと…。」

「いいから、ね?」



これから世話してもらうんだから
これくらいしないとね。

101 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 00:42

2階の1番奥にあるウチの部屋。
その隣はたまに物を置くぐらいでほとんど使っていない。



「ここね、全然使ってないし
 たまに掃除してるから使えるよ。」

「ありがとうございます。」



…こういう仕事をやってる人は、みんなこうなのだろうか。

ふにゃっとした人懐っこい笑顔。
なぜかウチは、彼女の笑顔を見てドキッとした。
まぁ…かわいい、よな。

102 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 00:46


「家の中、見せてもらってもいいですか?」

「うん、いいよ。」



ウチが答えると彼女は1階に降りて1つ1つ部屋を確認し始めた。
「広いですねー。」なんて言いながら。

ウチは彼女の後について行って部屋の説明をしていた。
その時、ウチのポケットに入っていたケータイが着信を知らせた。


103 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 00:49

「もしもし。」

『もしもし、ひとみちゃん?』

「あー、梨華ちゃん。どーした?」

『今どこにいるの?』

「え、家だけど?」

『…ひとみちゃん、約束忘れてるでしょ。』



約束?…ん〜……………




………あ!!
104 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 00:53

「ごめん!忘れてた!」

『はぁ…私待ってるんだから、早く来てよね。』

「ホントごめん、すぐ行くから!」



ヤバイ、梨華ちゃんとの約束すっかり忘れてた…。
待ち合わせは9時、今は…9時30分…。

ウチは急いで部屋へ戻ると適当に服を引っ張り出して着替え
財布をポケットにつっこんだ。


「真希、ちょっと出かけて来る。夕方ぐらいに帰るから。」

「あ、はーい。行ってらっしゃい。」

105 名前:マックス 投稿日:2003/09/30(火) 00:54

ここまでです。
明日球技大会二日目…早く寝ないと(汗
106 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 12:38
まさしく同棲ですね。
これから楽しみです
107 名前:マックス 投稿日:2003/09/30(火) 20:25

>106名無し読者様
吉後の同棲生活、どうなるのでしょうか。
あまり重くならないようにしたいです。
108 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 20:32

*  *  *  *  *  *  *



「梨華ちゃーん!」

「ひとみちゃん…大遅刻。」

「はぁ、はぁ…ごめん、ちょっと、色々あって…。」



確かに忘れてたけど、色々あったのはホントだし。

待ち合わせ場所に到着したのは約束した時間からちょうど1時間後。
梨華ちゃんは少し怒っていたけど、肩で息をするウチを見て



「しょうがないなぁ、今回は許してあげる。行こ?」



…許してくれたようだ。

歩き出した梨華ちゃんの後を慌てて追いかけた。

109 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 20:37


「ねぇねぇ、何がいいと思う?」

「ん〜、とりあえずいろんなとこ入ってみようよ。」



今日は梨華ちゃんに買い物に誘われた。
保田先生に誕生日プレゼントを買いたいんだけど
何がいいか分からないから一緒に選んで欲しいと言う。

保田先生はウチらの学校の英語教師で
まぁ…梨華ちゃんの恋人ってやつ。

ちなみにウチの学校は恋愛自由らしく
生徒と教師が付き合うのも普通らしい。

110 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 20:44

買い物開始から約1時間。
いろんな店に入ってみたものの、なかなかいい物が見つからない。




「あ、見てーコレかわいいよ。」

「…梨華ちゃん、保田先生にピンクはどうかと思う。」

「え〜、そーかなぁ…。」



やっと梨華ちゃんが気に入った物
それは…ピンク色の“HAPPY?”と書かれたリング。

…コレは、保田先生…嫌がるだろう…。



「かわいいと思ったんだけどなぁ。」

「保田先生にはこんなんがいいんじゃない?」

111 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 20:51

ウチが手に取ったのは、シンプルなシルバーリング。

保田先生がつけてるのは大体シルバー系。
それに、派手なのは好きじゃないと言ってたから。



「そっか…じゃあコレにする。」


と言って梨華ちゃんはレジに行き会計を済ませ
プレゼント用に包んでもらったリングをそっとカバンにしまった。

梨華ちゃんはとても幸せそうに微笑んでる。
きっと、プレゼントを渡した時の保田先生の姿を思い浮かべてるんだろう。



「この後どうしよっか。」

「ご飯食べに行こうよ、お腹すいちゃった。」

「じゃあ、そこ行く?」

「うん。」



112 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 21:15

目の前にファミレスがあったのでそこに入ることに。


昼時の少し前、ウチらが席に着くとすぐに店は込み始めた。
運ばれて来た料理を食べながら、今日あったことを梨華ちゃんに話してみた。




「へ〜、便利屋ねぇ。」

「ホント迷惑だよ、あのクソ親父。」

「…本当にそう思ってる?」

「え?何で?」



梨華ちゃんはウチの顔をじーっと見てそんな質問を。
ウチはその質問の意図が解らず聞き返した。



「その真希ちゃんの話してる時、全然嫌そうに見えなかったから。」



「ひとみちゃんはすぐに顔に出るから。」と付け足した。

ウチってすぐ顔に出るのか…
さすがは幼馴染、ウチのちょっとした変化が判るらしい。
ウチの顔はなぜか真っ赤。



「…べ、別に…真希が悪いわけじゃ、ない…し…。」

「ふふっ、珍しいね。ひとみちゃんが動揺するなんて。」

「……梨華ちゃ〜ん。」



しばらくはこのネタで遊ばれそうだ…。

梨華ちゃんは「ひとみちゃん、もしかして…。」と何か言おうとしていたけど
「ううん、何でもない。」と言って昨日あったことを話し始めた。

もしかして…その後は一体何だったんだろうか。



113 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 21:23


ウチは人が嫌いだ。
親父も、母さんも、学校の奴らも。

ウチが心を開けるのは梨華ちゃんと保田先生だけ。
他の奴らとは話すのも嫌なくらい。


でも…梨華ちゃんの言うとおり、ウチは真希を嫌とは思わない。
いきなり来てウチの家に泊まる?そんなこと許すわけがない。
今まで他人を家に泊めたことなんて1度もなかった。

なのに、何でウチは真希を受け入れたんだ?
朝だったから頭が回らなかったのか?



この時はまだ、何も解らなかった。

114 名前:Key of Love 投稿日:2003/09/30(火) 21:29

*  *  *  *  *  *  *




「今日はありがとう、また学校でね。」

「うん、じゃあね。」



ファミレスから出た後はゲーセンに行ったり、服を見に行ったり。

気付いたらもう7時。
ウチは梨華ちゃんを家まで送ってから自分の家に帰った。


遊んでいる間に、彼女のことなどすっかり忘れて。


115 名前:マックス 投稿日:2003/09/30(火) 21:33
更新終了です。
116 名前: 投稿日:2003/09/30(火) 21:50
初のリアルタイムでした〜☆
昨日1日倒れてた間にたくさん更新されてたとは…しくった(笑)

そんなことより、新しい吉後話が始まりましたね♪
アンリアルも楽しみです。
よしごま同棲…萌えるなぁvさやまり夫婦も仲良さげで。
ごっちんにも事情がありそうですが、早くよしこが自分の気持ちに気づくといいな〜
そして目指せバカップル希望(笑)

では、続きも頑張ってください(^^)v
117 名前:マックス 投稿日:2003/10/04(土) 12:31

>凛様
おーリアルタイムv
た、倒れてたって大丈夫っすか!?(汗

やっと吉後メインの話になりました。
よしごま&さやまりでやすいしもちょこっとv
早くバカップルにしたいです(笑
ありがとうございます、頑張ります!
118 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/04(土) 12:37

――ガチャ――




「おかえりなさい。」

「あ…ただい、ま…。」




あ、彼女がいたこと忘れてた…。
「おかえりなさい。」なんて言われたことなかったから
なんかくすぐったい感じがする。



「お食事はどうしますか?」

「いや、食べて来たから。」

「それじゃあお風呂にしますか?」

「あー、うん。」



ウチがそう言うと、彼女はパタパタと
洗面所に向かった。

なんか、今の会話…新婚夫婦みたいだなぁ…。

自分でそんなこと考えといてなんだか恥ずかしくなった。
119 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/04(土) 12:52


「もぉ入れますよー。」



バスタオル片手にウチを呼ぶ彼女。



「あ、着替え。」

「いいよ、自分で持って来るから。そういえば真希、ご飯は?
 って言ってもウチは何も作れないけど…。」



ウチは料理は苦手。
大体外食かばあさんが作って来た物を食べてる。
たまに梨華ちゃんと保田先生が家に呼んでくれたりもするけど。



「いえ、お嬢様に作ってもらうなんて出来ません。
 あたし一応料理出来ますし。」

「じゃあ家にある物適当に使っていいよ。」



彼女をキッチンに連れて行って皿や箸などの場所を教えた後
自分の着替えを取りに2階へ上がった。
120 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/04(土) 12:58

彼女の部屋の前を通った時、ドアが開いていて
中の様子が見えた。



「…何だコレ。」



部屋の中は大変なことに。
彼女が持って来たのであろう、服や本が散らばっていた。

どうしたらこんなことになるのだろうか…。




「真希!ちょっと来て!」



このままほっといたらもっと凄いことになるだろう。
ウチは急いで彼女を呼んだ。



「どうしました?…あ…。」



自分の部屋の前に立つウチを見て
どうして呼ばれたのか解ったらしい。
121 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/04(土) 13:02

「コレ…どうしたの?」

「ごめんなさい、あたし…片付け苦手なんです。」



申し訳なさそうに言う彼女。

…片付け苦手って。



「…真希…この仕事何回目?」

「初めてです、普段は事務の仕事してるんですけど
 今は人手が足らなくて…。」



初めて……。
ってことは、ウチは実験台かよ。
122 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/04(土) 13:07


「はぁ…別にいいけどね。
 真希はご飯食べてきなよ、ウチが風呂から出たら片付けとくから。」

「え、でも…。」

「いいって、片付け嫌いじゃないし。」

「ごめんなさい…。」



肩を落として謝る彼女。
もし犬だったら、耳とかしっぽが垂れちゃってるんだろうなぁ。

…なんか…かわいいかも。
123 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/04(土) 13:23

っと、そんなこと考えてる場合じゃない。
早く風呂入って片付けないと…。

ウチは自分の部屋に入って着替えを出し、風呂場へ向かった。
あれじゃあ、結構時間がかかりそうだ。



髪と身体を洗い、さっさと風呂場から出て彼女の部屋へ。

さて、片付けは嫌いじゃないと言ったものの
ウチはこんなに散らかしたことないからなぁ…。


たった1日でここまで散らかすなんて、ある意味尊敬しちゃうよ。

124 名前:マックス 投稿日:2003/10/04(土) 13:23

今日はここまでです。
125 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/05(日) 21:18


とりあえず、服はクローゼットにしまって、本は棚に並べて…
ついでに布団も敷いとくか。

それにしても…1ヶ月なのにやけに多くないか…?




片付け始めて1時間ちょっと。
ようやく部屋はキレイになった。

片付け終わったと同時に、パタパタと廊下を走る音。



「あ、終わっちゃいましたか?」

「うん、今終わった。」

「ホントごめんなさい…。」

「いいって、それより疲れてるっしょ?
 早く風呂入って寝た方がいいよ。」

「…はい。」
126 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/05(日) 21:23

風呂場に向かう彼女の後姿を見送って
ウチは自分の部屋に入って、ベッドに倒れこんだ。



「はぁ…疲れた。」



なんか、いつもより疲れた気がする。
初めて会った彼女に気使ったり、彼女が散らかした部屋掃除したり…。


確か親父はウチに楽して欲しいって言ってたよな
…やっぱり親父はろくなことしない。



まぁ、いいか。
ホントに嫌になったら、会社に電話して
依頼を取り消して、もらえば…い、い…し……。


ウチはそのまま眠りについてしまった。

127 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/05(日) 21:29

*  *  *  *  *  *  *




「…ん………。」



カーテンの間から差し込む日の光で目が覚めた。
身体を起こしてぐーっと伸びをする。


顔を洗う為に、ベッドから降りて1階へ。
顔を洗って歯磨きをしている途中、昨日のことを思い出した。



「そういえば…真希がいないなぁ。」



洗面所から出て、リビングやキッチンを見ても
彼女…真希の姿はない。


もしかして…いや、こういう仕事で来てるんだし
だけど、この仕事初めてだって言ってたしなぁ……。

ウチは真希の部屋へと向かった。


128 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/05(日) 21:33


――コンコン――



ドアをノックしても応答なし。




「…真希、入るよ。」



一応声をかけて中へ入った。



「……やっぱり。」



真希は…まだ熟睡中。
普通さぁ、ウチより先に起きて食事の準備とかするもんじゃない?
ドラマとかマンガでもそうでしょ?


…起こすか…。



そう思って真希の顔を覗き込んだ。
129 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/05(日) 21:48


「……っ…。」



その姿に、息を呑んだ。

閉じられた瞳と、少し開いた唇。
まくらを抱いて眠っている真希の姿に。



…ヤバイ…かわいい…



そう思った瞬間、自分の本能なのか
気付くと目の前に真希の顔。
自分でしたことに驚いて身体を起こした。

さすがに、仕事で来てる子に手出すのはいけないよな…。

130 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/05(日) 21:53

「…真希、真希朝だよ。」


名前を呼んでも、身体を揺らしても起きる気配全くない。


「真希!起きろー!!」

「…んぁ……。」


やっと起きた…そう思ったその時
真希の手がウチの腕を掴んだ。


「え……?」



どさっ。

そのまま勢いよく引っ張られて
ウチは真希の上に覆いかぶさるような形に。
真希はウチの首に腕を回して、ぎゅっと抱きついてきた。


「ちょ…真希!!」

「ん……ぁ…。」
131 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/05(日) 21:58

ようやく目が覚めたようだ。

首に回してた腕を解いて起き上がる
真希の顔は、真っ赤。


「ご、ごめんなさい!」

「いや、別に……。」


2人共、真っ赤な顔で布団の上に正座。
なんだよ、この微妙な空気は…。


「…嫌な夢でも見た?」


先に沈黙を破ったのは、ウチ。


「いえ、大丈夫です。」


そう言った真希の身体は、微かに震えている。
132 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/05(日) 22:03

ウチの言葉に肩がびくっとなったのを見逃さなかった。
布団を両手で握り締めて俯いている真希。
身体の震えを止めようとしているのだろう。

ウチはそんな姿を見ていられなくて、真希の腰に腕を回して
自分の方に引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。


「…!…あ、あの……。」

「少しだけ…こうしてよう?」

「……はい。」


まだ震えている真希の頭を優しく撫でる。
すると、真希は安心したのかウチに身を預けてきた。
133 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/05(日) 22:20


どんな夢を見たのか
なぜか、それは聞いてはいけないような気がした。

今は、まだ……。


「…もう、大丈夫です。」


ウチの肩をそっと押した。
真希の腰に回していた腕を離す。


「「………」」



また、沈黙。



「…あー…ウチさぁ、ちょっと用事あるから出かけてくるわ。」

「あ、はい。わかりました。」



ウチはその空気から逃げるように家を出た。

134 名前:マックス 投稿日:2003/10/05(日) 22:22
更新終了です。
今週受験なので更新遅れるかもしれません…。
135 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/06(月) 17:47
真希は何の為に来たのか分かりませんねーー・・仕事を増やしているような(笑)。
もう少しぎゅっとしていて欲しかったっす。
受験頑張ってくださいね。
まったり待ってますので。
136 名前: 投稿日:2003/10/06(月) 21:42
理性を失いかけるよっすぃーに、寝ぼけてご主人に抱きつく真希ちゃん…
どっちも萌え〜vv
毎日こんな調子になるのでしょうか。
確かに仕事増やしてるよなぁ、真希ちゃんは(笑)
夢も含め、続きが楽しみです♪

マックスさん受験がんがってください(^^)v
私もまたーりお待ちしてます☆
137 名前:マックス 投稿日:2003/10/08(水) 19:25

>135名無し読者様
なんか吉澤さんの方がお手伝いさんみたいになってます(笑
たぶんそのままいたら吉澤さんの理性が…v
ありがとうございます、頑張ります。

>凛様
萌え〜ですか(w
真希がちゃんと仕事をする日はくるのでしょうか(笑
夢は真希の過去が絡んで…(略
受験終われば自由になれるので頑張ります!
138 名前:マックス 投稿日:2003/10/08(水) 19:26
受験のこと考えてると頭痛くなるので
気晴らしに更新します。
139 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/08(水) 19:32


外に出たはいいけど…今はまだ9時を過ぎたばかり。
開いている店といったらコンビニぐらいで
ウチはただ静かな街をふらふら歩くしかなかった。

さて、どうするかな…。


「よっすぃー!」


朝から何も飲んでなかったウチは、飲み物でも買おうかと
コンビニに入ろうとした時、後ろから服を引っ張られた。
驚いて振り返るとそこには…。


「よっ。」

「…亜弥。」



同じ高校で1つ年下の、松浦亜弥。
140 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/08(水) 19:39

「何だよ、何か用?」

「うわ〜、冷たい言い方ぁ。」


亜弥とは入学式の日に1度話しただけなのに
なぜか懐かれてしまって、まとわりついてくる。

正直、1番苦手なタイプ。
他の奴だったら無視するんだけど…なぜかこいつだけは相手をしてしまう。



「ねぇねぇ、何やってんの?誰かと約束でもあるの?」

「別に…お前は何やってんだよ。」

「あたし?あたしは…あーもう!聞いてよ、よっすぃー!!」

「ぅわっ、何だよ!」



さっきまでニコニコ笑っていた亜弥の顔が突然険しくなって
ウチの胸ぐらを掴んできた。
141 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/08(水) 19:47

「みきたんが、みきたんがダメになったって!」

「はぁ?訳分からん。」

「だーかーら!今日みきたんと遊ぶ約束してたのに
 さっき急に親戚の家に行くことになったって!もぉ、ムカつく!!」



…あ〜、そういうことね。
っていうか松浦さん、そんな力入れられると苦しいんですけど…。

みきたんというのは、ウチの同級生の藤本美貴、亜弥の恋人だ。
美貴はサバサバした性格で、結構ウチと気が合う。
ウチの数少ない友人の1人。

亜弥はウチに不満をぶちまけてすっきりしたのか、ようやく手を放した。



「よっすぃー、今日暇?」

「…まぁ、暇だけど?」

「じゃあ亜弥と遊ぼう!」

「え、おい…!」



ウチは返事をする暇も与えられず、腕を掴まれて強制的に
街の中心部へと連れて行かれた。
142 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/08(水) 19:54

*  *  *  *  *  *  *



「よっすぃー!この服可愛くない?」


「うわ〜、見てよこの指輪高いよ。」


「あ、次あそこね!」



この小さい身体のどこにこんなパワーがあるのか。

さんざん引っ張り回されたあげくに荷物持ち。
ウチの両手には亜弥の買った物が山積み。
それでも、亜弥はまだ他の店に行きたいと言う。

美貴はいつもこうなのだろうか…少し、同情した。
143 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/08(水) 20:02

太陽が真上に上がった頃、ウチはもうヘトヘトで
店の前に荷物を置いて座り込み、亜弥が出てくるのを待っていた。

日差しが眩しくて下を向いていると、ふっと目の前が暗くなった。
その影を作った物が何か解らずに顔を上げると
ウチの前に、2人の女が立っていた。

2人とも20歳ぐらいだろうか。
いかにも遊び相手を探してますといった感じだ。



「お兄さん、暇なら私達と遊ぼうよ。」

「…ウチ、お兄さんじゃないんだけど。」

「あ、ごめん。ねぇ、お姉さん暇なんでしょ?カラオケでも行こうよ。」



おいおい、それで謝ってるつもりかよ。
こういう奴はしつこいからなぁ…。

どうやって断ろうかと考えている時に



「よっすぃーお待たせ!」



タイミングよく亜弥が戻って来た。
144 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/08(水) 20:07

「悪いけど、今デート中だから。行こ、亜弥。」

「え、何?デート?」

「いいから!」



ウチは置いといた荷物を持ってさっさと歩き出した。



「ま、待ってよ〜。」



…今日は亜弥に感謝しないとな。




*  *  *  *  *  *  *



「よっすぃー今日はありがと、じゃあね〜。」



ウチは遊んだ相手を家まで送って行く癖があるらしい。
今日も荷物を持ったまま亜弥を家まで送り届けた。
145 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/08(水) 20:13


家を出た時には青かった空が、今はすっかりオレンジ色。

あぁ、もうこんな時間か…真希、どうしてるかな。
朝出てったきり何の連絡もしていない。
今思えば、何でこんなことになったのか。
ただ真希を抱きしめただけ、それだけなんだから恥ずかしがることないだろう。

ウチは自分にそう言い聞かせると、足早に家へと向かった。





*  *  *  *  *  *  *





「ただいま…。」

「おかえりなさい。」



朝はぎくしゃくした感じだったのに
真希は昨日と同じようにウチを出迎えた。

何だよ…緊張してたウチがバカみたいじゃん。



「夕飯どうしますか?」

「んー、食べる。」

「すぐ準備しますので、座って待ってて下さい。」
146 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/08(水) 20:19

そう言われたので、ウチは1度手を洗いに洗面所に行ってから
リビングの椅子に腰掛けた。
近くにあったテレビのリモコンに手を伸ばす。

まだ7時前。
やっている番組といえばニュースばかりだ。
ぼーっとテレビを眺めているとキッチンからいい匂いが漂ってきた。

なんか…この感じ、久し振りだなぁ。
リビングを使うなんて梨華ちゃんや保田先生が来た時ぐらいだ。
普段はいつも自分の部屋にいるから。

数分後、真希が両手に皿を持ってやって来た。



「はい、どーぞ。」

「あ、これ…。」



真希が作ったのは…オムライスと小さめなサラダ。
147 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/08(水) 20:25

「お父様にお嬢様はこれが1番好きだと聞いたので。」



コップに紅茶を注ぎながら言う真希。
親父、そんなことまで教えてたのか。



「どーぞ、食べて下さい。」

「うん、いただきます。」



ウチは早速出来立てのオムライスを1口。



「どう、ですか?」

「…すっごい美味い。」



ウチがそう言うと、真希は照れたようにふにゃっと笑った。

お世辞じゃなく、真希が作ったオムライスはそこら辺のレストランよりも全然美味い。
こんな料理食えるなら外食は必要ないなぁ。

真希はウチが食べているのをとても嬉しそうに見つめている。
148 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/08(水) 20:32

「…真希も食べなよ。」

「あ、はーい。いただきます。」



そんなに見つめられてると…ちょっと恥ずかしいっしょ。






食べ終わった後、ウチはリビングのソファーでテレビを眺めて
真希はキッチンで洗い物。
座っているとこから見える真希の姿に、なぜか少し顔がニヤけた。
149 名前:マックス 投稿日:2003/10/08(水) 20:33
更新終了です。
150 名前:つみ 投稿日:2003/10/08(水) 22:07
(・∀・)ニヤニヤ
151 名前: 投稿日:2003/10/09(木) 02:23
気晴らしですか〜大変ですよね、受験。
まぁ私はのん気にやってた方なんですけど(^^;

でも更新早くて驚きました。嬉しいです♪
あやみき、出てきましたね〜
藤本さんもちゃんと出てきたら、また絡みが楽しみだなぁv
…それよりも、新婚さんですか?この状態は…
ニヤけてる吉澤さん、想像できすぎます〜(笑)

無理なさらないように、続き頑張ってくださいね(^^)v

それと私信なんですが…今週はマックスさんにメールしても迷惑にならないでしょうか?
ご連絡したいことがあるので、もし大丈夫でしたらレスくださると嬉しいです☆
152 名前:マックス 投稿日:2003/10/10(金) 19:33

今回はレス返しのみで。

>つみ様
( ´Д`)<〜♪(皿洗い中)

(0^〜^)<ニヤニヤ


>凛様
ついに明日です…。

藤松出ました。
今度は藤本さんも一緒に出したいです
吉後は新婚のような熟年夫婦ですから(w

メール大丈夫ですよ〜。
返事遅くなるかもしれませんがお待ちしてます。
153 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/13(月) 20:57


リビングに来てからつけっぱなしだったテレビは
ニュースが終わって歌番組に変わっていた。
その中では今風の若い男のバンドが唄っている。

人気あるらしいけど…ウチはこの曲好きじゃないなぁ。
なんて思っていたら



「ぃたっ…!」



キッチンから真希の声。



「何?どうした?」



ウチがキッチンに行くと、真希は左手の人差し指をおさえていて
そこからは赤い液体が流れていた。



「ちょっと、包丁で切っちゃって。」



真希の視線の先は流しの中にある包丁。
たぶん皿を取ろうとして切ったんだろう、包丁の横には少し血のついた皿が。
ウチは切った指をおさえている真希の手をどけ、手首を取って傷口を見た。

ちょっと、深いか…?



「…あ、の…。」

154 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/13(月) 21:04

消毒液とか必要かなぁ、なんて考えてると
真希がウチに声をかけた。
真希の顔を見ると、ほんの少し赤くなってる。

何だ?もしかして…照れてんのか?
ウチはただ真希の手首を掴んでるだけなのに。

赤くなる理由が解らず、じっと顔を見つめるとさらに赤みが増した。



「お、お嬢様…?」

「…あのさぁ、そのお嬢様ってのやめてくんない?」



初めて呼ばれた時からずっと思っていたこと。
なかなか言い出すタイミングがなかったから言わなかったけど。
第一、ウチはお嬢様ってがらじゃないっしょ。

155 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/13(月) 21:09


「いえ…会社の決まりなので…。」

「ウチがいいって言ってんだからいいじゃん。」

「…でも……。」



その時、ウチの指に何かが触れた。
真希の指から流れる血が、ウチの掴んでいる場所まで流れてきたらしい。

タオルは…皿拭いたやつじゃアレだし…。
でも他に何もないしなぁ…。




…舐めとけば治るって言うよな。



ウチは真希の手を自分の顔の前まで引き寄せて
傷がある指を口に含んだ。

156 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/13(月) 21:15

「きゃっ!…ちょっ…!」



指を口に含んだまま、流れる血を丁寧に舌で拭った。
ちらっと真希の顔を見ると、見事に真っ赤。

その顔を見てある考えが浮かんだ。



「名前で呼んでくれたら…やめるよ?」



真希の瞳を見つめながら意地悪く笑った。



「や…何、言って……。」



お、結構強情だな。
ウチは血をなぞっていた舌を傷に這わせた。
すると、痛かったのか真希の肩がびくっと揺れた。
157 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/13(月) 21:22



「どーする?」

「…っで、すから…会社の、決まり…で…。」




ここまで拒まれるとウチもムキになって。


指から口を離して、真希の両手首を片手で掴んだ。
空いている左手で肩を掴んで壁に押し付けた。


真希は驚いたようにウチを見上げる。


そんなことは気にせずに肩から手を離して右腕を真希の顔の横に置き
片足を真希の両足の間に割り込ませて動きを封じた。

158 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/13(月) 21:29


「ねぇ…どーすんの?」



耳元で囁くと、真希の顔はこれ以上ないってくらい真っ赤になった。




「……分かりました…名前で、呼びます。」

「あ、敬語もなしね。」

「………。」

「ん?」


「……うん。」



ようやく頷いた真希の手首を解放して
今度は右腕と同じように左腕を真希の顔の横に置いた。

159 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/13(月) 21:39


「ん〜、じゃあどうしよっか。周りからはひとみとかよっすぃーって呼ばれてるけど
 …真希だけの呼び方考えてよ。」


「え…んと……。」



別に呼び方なんてどうでもいいんだけどね。
でも、真希真剣に悩んでるし…何て呼ぶのかな。



「…………よし、こ?」

「…ははっ、それいい。」



顔を赤くしながら疑問形で言った真希が可笑しくて少し笑ってしまった。
よしこ、なんて初めてだよ。

満足したウチは真希の身体を解放した。

160 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/13(月) 21:53

「明日からちゃんと呼んでよ。
 呼ばなかったら…もっとすごいことしちゃうよ?」

「…ふぇ!?」

「なんてね、冗談だよ冗談。じゃ、おやすみ。」



階段を上っている途中、真希が小さな声で「おやすみ。」と言ったのが聞こえた。




明日から学校、部屋に入ってすぐに布団に潜る。

そういえば…ウチは何であんなにムキになっていたのか。
ただウチの言動で赤くなる真希が可愛くてからかっただけ。
好きな子ほどイジメたいってやつ…ん?好きな子?


まさか…ね。


この夜はいつもよりも寝つきが悪かった。

161 名前:マックス 投稿日:2003/10/13(月) 21:55
更新終了。

ようやく受験が終わったと思ったら
今週末から中間試験です…。
それでもまたーりと更新します。
162 名前:つみ 投稿日:2003/10/13(月) 21:57
吉澤さん強引ですね〜^^
吉澤さんも自分の気持ちの変化に気づきはじめてきてますね。
163 名前: 投稿日:2003/10/14(火) 17:11
いや〜よしこさんが積極的だ♪
真希ちゃんの反応楽しんでますね…
自分の気持ちに中々気づかなくても、無意識に攻めるのはいいことです(笑)

受験、お疲れ様でした☆
中間試験もあるんですね…がんがってください(^^)v
164 名前:マックス 投稿日:2003/10/21(火) 20:32

>つみ様
吉澤さん一歩間違えば犯罪です(笑
これが恋だと自覚するのはいつになるのでしょうか。

>凛様
いつもはヘタレな吉澤さん。
今回はがんばってみましたv
S全開で(w
中間、やけに長く感じました…。


ようやく中間テスト終了したので更新します。
165 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/21(火) 20:37

朝7時30分、天気晴れ。


真希は…やっぱり寝ていた。
軽めの食事を済ませて制服に着替える。

うちの学校、ハロー学園の制服はスカートかズボンを選べるようになっている。
ウチはもちろんズボン。
スカートは動きにくいから嫌いだ。
女子高ということもあってかズボンをはいてる生徒なんてほとんどいないけどね。

学校へ行く時間になっても真希はまだ夢の中。
起こすのは可哀想だし、昨日のことで気まずくなっても嫌だから
起こさないように静かに家を出た。

166 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/21(火) 20:47


学校までは歩いて約20分。

この時間なら余裕で学校に間に合う。
ウチはいつもの通学道をのんびりと歩いていた。


「おーい、よっすぃー!」


振り返ると、美貴と亜弥の姿。
亜弥が美貴の手を引っ張りながら走って来た。


「おー、おはよ。」

「おはよー、よっすぃー昨日はありがとね。」

「あぁ、別にいいよ。…お2人さん仲直りしたの?」

「えへへ、昨日の夜ね、みきたんが家に来てくれたの。」

「へぇ。」

167 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/21(火) 20:54

亜弥の隣にいる美貴を見ると少し苦笑い。
昨日もし美貴が亜弥をほっといたら
今日、いや2,3日は2人でいる姿を見ることはないだろう。

1週間口をきかなかったこともあったぐらいだから。


「美貴、英語の宿題やってきた?」

「あ!…ヤバイ、忘れてた。」

「またかよー、保田先生に怒られんぞ?」

「よっすぃー、お願い写させて〜。」

「しょうがないなぁ、昼おごりね。」

「…りょーかい。」


しぶしぶ承諾した美貴。
いつも写させてやってんだからこれくらいしてもらわないとね。


168 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/21(火) 21:02


その後、亜弥のノロケ話を聞かされながら3人で学校へ。

亜弥は美貴の話をすると止まらなくなる。
余計なことまで言って美貴に頭をはたかれた。
その所為で亜弥が拗ねると、美貴は慌てて謝る。
…いつもの光景だ。

学校が近づくにつれ、だんだん生徒の姿が目に付くようになってきた。


「よっすぃー、おはよー。」

「吉澤先輩おはようございます。」

169 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/21(火) 21:08

すれ違う生徒がウチに声をかけてくる。
それは元クラスメイトや名前も知らない後輩など様々。

ウチは面倒くさいと思いながらも笑顔でそれに答える。



「相変わらずモテモテだねぇ、よっすぃー?」

「…別に嬉しくねぇよ。」


こんなのは毎朝のこと。
それを知ってるくせに茶化す亜弥。

人に好かれることは悪くないことだと思う。
だからウチは誰にでも愛想よく振る舞っている。

その所為で好意を持たれることもあるんだけど…。
ウチにとってそれは迷惑以外の何でもない。
170 名前:マックス 投稿日:2003/10/21(火) 21:09
ここまでです。
最近寝不足で眠い…。
171 名前:つみ 投稿日:2003/10/21(火) 21:15
よしざーさんは孤高の少女って感じですね。

あっ!受験合格おめでとうございます!
 (0^〜^)<おめでとー!>(´Д` )
172 名前:マックス 投稿日:2003/10/27(月) 20:33

>つみ様
吉澤さんはみんなの憧れで。
この話では少し冷たい感じになってます。

ありがとうございます!
これで受験のプレッシャーから解放されました♪
173 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/27(月) 20:39

ウチなんかのどこがいいのだろうか。

告白してくる子に聞くと
「かっこいいから」 「優しいから」と言う。
そんなのは表面上のことで、ホントのウチを知らないで好きなんて言われても嬉しくない。
それに一方的に好きになられてもウチはその子のことは何も知らないし
知ったからといって好きになるとは限らない。

どうして相手の気持ちを考えないのか、それが不思議だ。


「吉澤さーん!」

「おー、麻琴。」
174 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/27(月) 20:47

朝から元気よく走って来たのは、小川麻琴。
亜弥と同じ1年で中等部からの付き合いだ。


「今日生徒会があること忘れてませんよね?」

「え?あー…覚えてるって。」

「…忘れてたでしょ。」

「はは…。」


実はウチはこの学園の生徒会長で、麻琴が副会長。
中等部の頃から生徒会に入っていて麻琴もその1人。

それもあってか麻琴はウチを慕っていて
ウチにとって麻琴は妹…いや、弟みたいな存在。

175 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/27(月) 20:56

「藤本先輩も!今日はちゃんと出てくださいよ?」

「はいはい、分かりました。」


あ、忘れてたけど美貴は生徒会の書記。
サボってばかりでよく麻琴に怒られている。


「そうそう、今日は中澤先生も来るって言ってました。」

「え〜マジで?行きたくないなぁ。」

「藤本先輩?」

「行きます、行きますよ。」


そこで今まで黙っていた亜弥が美貴の服の袖を引っ張った。


「みきたん、今日遅くなるの?」

「さぁ、分かんない。」


どうやら亜弥は美貴と一緒に帰れないかもしれないのが不満らしい。
「う〜ん…」と俯いて1人何か考えてる様子。
そして結論に達したのか笑顔で美貴の顔を見た。
176 名前:Key of Love 投稿日:2003/10/27(月) 21:08

「じゃあみきたんが終わるまで待ってる!」

「え、ダメだって。帰るの遅くなるかもしれないんだよ?」

「へーきだもん。」

「いや…そう言ってもさぁ…。」


普通なら待ってると言われれば頷くもんなんだろうけど
美貴がいいと言わないのは…
前にも1度こういうやりとりがあって、その時は美貴も頷いた。
だけど思ったより生徒会が長引いてしまい、亜弥は…と、まぁいつものパターンだ。
その時も美貴はかなり苦労したようだった。


「みきた〜ん。」

「…分かったよ、遅くなっても怒らないでね?」

「うん!」


亜弥の甘えた声に負けてしぶしぶ頷いた美貴。
しかし、今日は早く終わるわけがない。
…中澤先生が来るのだから。

あの人話長いからな…帰る頃には真っ暗になってるだろう。


――キーンコーンカーン…――


「あ!予鈴なっちゃいましたよ!」

「ヤバイ遅刻だ!行くぞ!」


校門前で話し込んでたウチらは昇降口へと全力疾走した。



177 名前:マックス 投稿日:2003/10/27(月) 21:08
短いですが終了です。
178 名前:つみ 投稿日:2003/10/27(月) 23:15
(´ Д ` )<ごとーも学校・・・
って私には聞こえてきましたv
179 名前:マックス 投稿日:2003/11/03(月) 21:06
>つみ様
後藤さんはそう思ってると思いますv
吉澤さんも後藤さんを家に置いとくのはいろんな意味で
心配なので連れて行きたいのではないかと(笑
180 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 21:19

放課後の生徒会室。

ここにいるのはウチと美貴と麻琴の3人。
今、高等部の生徒会役員はこの3人だけ。
そのおかげで生徒会の仕事がある時は目の回るような忙しさ。


「あーぁ、また仕事なのかなぁ。」

「そんなこと言ってぇ、ほとんどサボってるじゃないですか。」

「ほとんどなんて失礼な、半分は出てますぅ!」

「全部も半分も同じです!」


また始まったよ…。
この2人は仲が良いんだか悪いんだか。
いつものことだとそのまま放置しとこうと思ったら


「お前ら何騒いでるんや!」


…中澤先生登場。
181 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 21:26

「ったく、廊下まで聞こえとったで。
藤本!お前前回は堂々とサボってくれたなぁ。」


1歩1歩美貴に近づいて行く中澤先生。
顔が青ざめていく美貴。


「あ、あのー…ちょっと、用事がありまして…。」

「ほぉ、どんな用事や?」

「…亜弥がですね…。」

「はぁ!?」

「いえ…ごめんなさい。」


さすがの美貴も中澤先生には弱い。
そして…それ以上に亜弥に弱い。
サボる理由は全て亜弥絡み。

ホント、尻に敷かれてるよなぁ。


「先生、今日は何するんですか?」
182 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 21:38

これから説教を始めそうな中澤先生を止めたのは麻琴の一言。


「あー、今日はなぁ新しい生徒会役員を募集しようと思ってな。」

「新しい生徒会役員ですか?」

「そうや、3人だけじゃ大変やし、人数いた方が仕事も早く終わるやろ?」


確かに1人でも増えてくれれば仕事の進みも全然違うだろう。
ってゆーか…もっと早く言って欲しかった。
今入っても、もうすぐ春休みだからなぁ。

そんなことを言えば中澤先生の機嫌が悪くなることぐらい解ってるから
そのまま話を進めることにした。


「そうですね、どれくらい募集しましょうか。」

「まぁ2、3人やな。誰かおらんか?募集すんのもめんどいやろ。」


2、3人か、それぐらい入れば充分だろう。
誰か生徒会役員になれそうな奴は…………あ、そうだ。


「亜弥は?」

「はぁ?」


ウチが出した名前にいち早く反応したのはもちろん美貴。
183 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 21:44

「何で亜弥なの?」

「亜弥ならやってくれんじゃないの?美貴の言うことなら聞くんだしさ。」


普段はわがままで言うことを聞かないけど
美貴の言うことなら大体は聞く。
生徒会に入れば美貴と一緒にいれる時間も増えるわけだし。
頼めばやってくれそうだ。


「ね、頼んでよ。」

「…分かった、言ってみるよ。」


よし、これで1人確定。

あとは………。


「愛ちゃんだ。」

「ぅえ!?」
184 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 21:53

次にウチが出した名前に反応したには麻琴。


「愛ちゃんやってくれそうでしょ?」

「…そーですけど…でも……。」

「ドキドキしちゃって仕事どころじゃなくなるってか?」

「何言ってんですか!そんなことないですよ!!」


真っ赤になりながら否定する麻琴。
それじゃそうですって言ってるようなもんだろ。

愛ちゃんというのは、麻琴と同じ学年の高橋愛。
明るくて少し訛りのある子だ。
本人は訛ってないって言ってるんだけど…。

何で麻琴が真っ赤になったのかというと……愛ちゃんが好きだから。
何度かそのことで相談を受けたことがあった。
麻琴は普段は結構強気なくせに恋愛関係になると途端に弱気になる。
まぁ、そこがかわいいんだけどね。
185 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 21:57

「何だよ、まだ好きって言ってないのか?」

「そ、そんなこと言えないですよ!」

「早くしないと誰かに取られちゃうぞ?」

「う……。」

「あの子かわいいから人気ありそうだし。」

「そんなこと言ったってタイミングというものが…!」

「そこ!無駄話すんな!」

「「はい…。」」


今日2度目の雷が落ちた。




186 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 22:07




「よーし、とりあえず候補として松浦、高橋、紺野やな。
今日はここまで、解散!」


結局話は長引いて2時間ちょっと。
思っていたより時間がかかってしまった。


「ヤバッ、もう30分も過ぎてるよぉ。」

「早く行ってやれよ。」

「うん、じゃあまた明日!」

「さよーならー。」


美貴もこんなにかかるとは思っていなかったんだろう。
慌てて亜弥が待つ昇降口へと走って行った。

明日美貴の隣に亜弥はいないかもな…。


「あ、吉澤、ちょっと話があるんや。えぇか?」

「話?何ですか?」


中澤先生は話しづらそうに麻琴の方を見た。


「あ、あたしも帰りますね、さよなら。」

「おぅ、また明日。」


麻琴はその場の空気を読んで、気を使って帰って行った。
187 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 22:33

バタン、とドアが閉まった後、中澤先生はソファに座り
ウチにもう1つのソファに座るようにと指差した。
それに従ってソファに座る、中澤先生と向かい合わせの状態。


「なぁ吉澤、最近変わったことあった?」

「え?」


突拍子も無い質問。
ポカンとしているウチを中澤先生は腕組みして無言で見つめる。

最近変わったことなんて、1つしかない。


「土曜日に…女の子が来ました、仕事だって。」

「その子の名前は…後藤真希、やろ?」

「え…何で…。」


真希のことを知ってるんだ?
知り合いなのかもしれないけど、ウチと一緒にいるとこなんて見てないはずだ。


「実はなぁ、ハロープロジェクトの社長はあたしなんや。」

「…えぇ!?」


「あ、このことは内緒な?」と口に人差し指を当てる。


「あんたの両親…紗耶香と真里はあたしの友達でなぁ
紗耶香があんたの為になんかしてやりたいって言うからあの子を送ったんや。」

「…そうなんですか、でも…。」


余計に大変な気が…。

ウチが言葉を詰まらせると中澤先生はウチの考えてることが分かったのか
少し苦笑いして続きを話し始めた。


「あの子、真希は小学生の時に交通事故にあってな、真希は助かったんやけど
両親は亡くなって、施設に預けられるとこをあたしが引き取ったんや
…真希の両親も、あたしの友達やったからな。」


…そんなこと知らなかった。

いや、知らないのも当たり前か。
出会ってまだほんの数日、そんな奴に話すことではない。

だけど、真希にそんな過去があったなんて…。
188 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 22:48

「あたしのとこに来てから、真希は学校も行かずにあたしの会社を手伝ってくれたんや。
ほんまにえぇ子でなぁ…。」


そこまで言うと、ポケットからタバコを取り出して火をつけた。
ふーっと煙を吐き出すと今までの優しい表情とは打って変わって真剣な顔になった。


「…せやけど、ずっと会社の中にいたら真希はずっとこのままかも知れん。
だから、あんたのとこに行くように言ったんや。」

「何で…。」

「まぁ、ずっと事務の仕事してるよりいろんな経験した方がえぇと思ってな。
その時にちょうど紗耶香から連絡があったんや、紗耶香の子なら安心やし
真希も少しは変われるかもしれん、それに…あんたもな。」

「…ウチ、ですか?」

「そうや…女遊び激しいらしいやん?紗耶香と同じでなぁ。」

「ちょ、女遊びって…。」


ニヤニヤしながらウチを見る中澤先生。
…女遊びって言い方は酷いんじゃないっすか?


「よろしく頼むわ吉澤、真希も今まで同い年の子と話すなんてほとんど
なかったから喜んでたし。
ただし!真希に手ぇ出すんやないで?あたしの子供みたいなもんやからな。」

「そ、そんなことしないですよ。」

「ちょっとドジなとこあるやろうけど…よろしくな。」


中澤先生は立ち上がってウチの頭をポンポンと叩くと
仕事があるからと職員室に戻った。

189 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 22:50

初めて知った真希のこと。

きっとあの時、昔の夢を見たのかもしれない。
そしてウチの心にある感情が芽生え始めた。


真希を、守りたい。



だけど「あんたもな」ってのはどういう意味なんだろうか。


190 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 23:07


外は真っ暗になっていた。


少し早歩きで帰り道を歩いていると、前から歩いてくる人影が。
だんだん近づいてくる人影が街灯に照らされて、その姿がはっきりと見えた。


「…真希。」

「あ、よかった。なかなか帰って来ないから心配で…。」


そういえば真希に連絡するの忘れてた。
どれくらい歩き回っていたのか、ほんの少し顔が赤くなっていた。


「早く帰ろ…よしこ。」

「え…あぁ、うん。」


中澤先生の話で昨日のことなんて頭の隅に追いやられていた。
ウチがふざけてやったこと…中澤先生に知れたら殺されるかも…。


人影すら見えない道を2人並んで歩く。
この季節はまだ夜になると結構冷え込む、隣で真希が鼻を啜る音が聞こえた。

中澤先生のこと。
中澤先生に聞いたこと。

真希に話してもいいのだろうか。
191 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 23:21

もし話したら真希の心の傷を抉ってしまうかもしれない。

だけど、確かめたい…自分の気持ちを。


「…ねぇ、真希の会社の社長ってさ…中澤さんっていうの?」

「え?そうだけど、何で知ってるの?」

「うん…ウチの学校の先生も中澤っていうんだ。」

「…そっか、よしこの学校だったんだ。」


真希は大して驚かなかった。
中澤先生が教師をやっていることは知っていたらしい。
どこの学校かまでは知らなかったみたいだけど。

その続きを言い出せないウチを問いただすでもなくただ黙って歩き続けた。
ウチは覚悟を決めて話の核心に触れた。


「でさ、今日……真希のこと聞いたんだ、全部…。」

「……そっか。」
192 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 23:34

真希は真っ直ぐ前を見たまま、一言だけ呟いた。
そっけない返事、だけどその横顔は哀しそうだった。

やっぱり、傷つけたかな…。

隣を歩く真希の左手をぎゅっと握ると驚いたのか少しびくっとなった。
いつも冷たいウチの手が冷たいと感じるくらい、真希の手は冷えていた。
少しでも熱が伝わるように握った手に力を込める。

今のウチの気持ちも伝わるようにと思いながら。


「…ウチは、その話を聞いた時……
真希のことを守りたいって思った………ウチは真希が―――」

「ありがとう。」


ウチの最後の言葉は真希の声によって掻き消された。
真希は足を止めてウチの方に身体を向けた、ウチも真希の方に身体を向ける。
握っていた真希の手がウチの手を握り返した。

193 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/03(月) 23:47

俯いていた真希がゆっくりと顔を上げた。


「ありがとう、よしこ。」


街灯に照らされた真希の笑顔にウチの胸が高鳴った。
自分の顔が赤くなっていくのが分かる。


「どーしたの?早く帰ろ、お腹空いたでしょ?」

「う、ん…。」


真希にも聞こえてるんじゃないかと思うくらい
心臓が破裂するんじゃないかと思うくらい

ドキドキしていた。



―――ウチは真希が、好き

真希と出会って3日目のことだった。
194 名前:マックス 投稿日:2003/11/03(月) 23:51
今回は結構多めでしょうか。
真希の過去と中澤さんの正体が明らかになりました。
吉澤さんも自分の気持ちに気付きました。

続きは…(汗

195 名前:つみ 投稿日:2003/11/04(火) 00:14
中澤先生って時点でまさかと思ってましたけれど・・・
社長と教師を同時にやるなんてね〜^^
よしこさんも気づきましたね・・・
次回からのよしこさんが楽しみです!
196 名前:つみ 投稿日:2003/11/04(火) 00:15
すいません!落としてしまいました・・・ので
197 名前:みかん 投稿日:2003/11/13(木) 02:27
後藤さんかわいいですね〜
いい感じです★
198 名前:マックス 投稿日:2003/11/16(日) 20:21
>つみ様
中澤さんは昼は教師で夜は社長さんって感じです。
吉澤さん自分の気持ちに気付きました。
これからどうするのでしょうか。

(〜^◇^)<考えてないのかよ!

age,sageは気にしてないんで大丈夫ですよ。

>みかん様
後藤さんかわいいと言ってもらえると嬉しいですv
なるべく後藤さんをかわいく、吉澤さんをかっこよくしたいです。
199 名前:マックス 投稿日:2003/11/16(日) 20:22
少しですが更新します。
200 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/16(日) 20:29


真希が好きだと気付いてから3日。
今までと何も変わらない生活。

ただ1つ、ウチの真希に対する態度がほんの少し違うこと以外は。



「よしこー。」

「んー?」



いつも通りの登校時間。

玄関で靴を履いていると、後ろから真希の声。
201 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/16(日) 20:32



「靴下、履かないで行く気?」

「…あ…。」

「もぉ、はい。」

「…ありがと。」



寝惚けていたのか靴下を忘れていたらしい。
1度履いた靴を脱いで座り込み、真希から渡された靴下を履く。




最近、まともに眠れていない。
202 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/16(日) 20:36


真希に名前を呼ばれるとドキドキする。

真希に触れられるだけで顔が熱くなる。

真希の笑顔を見るだけで…幸せな感じがする。




こんなこと、初めてで。
自分でも、どうしていいか解らないんだ。


「ほら、寝癖ついたまんまじゃん。」


真希の手がウチの頭に触れる。
寝癖のついた部分を覗き込むように、顔が近づく。


ウチの顔は一気に紅潮した。
203 名前:Key of Love 投稿日:2003/11/16(日) 20:41



「わっ…!」



ウチは反射的に真希の手を払ってしまった。
真希を見ると、呆然として払われた手を握り締めていた。


「あ、ごめ…こんなん学校行って水つければ直るからさ
気にしなくていいよ。」

「…うん。」

「じゃ…行ってきます。」


赤くなった顔を見られたくなくて
真希に背を向けたまま家を出た。



その時、真希がどんな顔をしていたかなんて
気にする余裕もなかった。


204 名前:マックス 投稿日:2003/11/16(日) 20:41
ホント短いですが終了です。
205 名前:つみ 投稿日:2003/11/16(日) 21:52
んあ〜〜〜!!
もどかすぃ〜〜〜!
新婚さんみたいだ・・・
んあ〜〜〜!!
206 名前:みかん 投稿日:2003/11/23(日) 03:52
よしごまだいすきです!!
待ってます!!
207 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/07(日) 04:01
がんばってください
208 名前:マックス 投稿日:2003/12/11(木) 19:07
>つみ様
書いてる自分ももどかしいです(笑
新婚さんみたいにラブラブな二人にしてあげたいです。

>みかん様
よしごま大好きですか(w
更新が遅くなってしまいましたすみません。

>名無し読者様
ありがとうございます。
一言でもくださるとすごく嬉しいです。

更新が1ヶ月近くあいてしまいました。
イベントや期末が重なってしまったので続きを書く時間がなくて…。
少しずつでも更新できるようにがんばります。
209 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/11(木) 19:21

今日は少し肌寒い。
だけど火照ったウチの頬には冷たい風がちょうどいい。

真希が来てから何度もこんなことがあったような気がする。
真希の何でもない言動にいちいち反応して
もしかしたら真希は傷ついてるかもしれない。

あの時、守りたいって言ったのに…。


「…よし。」


もう真希に嫌な思いはさせたくないから。

ウチはこの気持ちを心の奥にしまうことにした。

210 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/11(木) 19:30


「吉澤さん。」


いつもより早く着いた所為か、人のいない昇降口。
視線を靴箱からウチを呼ぶ声の方へ向けた。

そこにいたのは、現社の斉藤先生。


「斉藤先生、おはようございます。」

「おはよう、今日吉澤さんのクラスは5限現社よね?
お昼休み資料室にノートを取りに来てほしいんだけど、いい?」

「はい、いいですよ。」

「よろしくね。」


すっとウチの顔に伸びて来た手。

軽く触れると斉藤先生の口元が上がった。


「分かってるよね?」と言うように。


211 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/11(木) 19:36





あっという間に午前の授業が終わって
昼食の後、ウチは資料室へ。

高等部1年から3年までの教室がある東側校舎と
職員室や実験室がある西側校舎は別々で
1階と2階にある通路でつながっている。


資料室があるのは西側の3階。

ここに来るのは授業の時ぐらいなので
昼休みのこの時間、人がいるのは職員室だけだ。



静かな廊下に響くウチの足音。
資料室のドアはほんの少し開いていた。


「失礼します。」

212 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/11(木) 19:53

2回ノックしてドアを開けると
斉藤先生は入り口のすぐ近くにある本棚に寄り掛かっていた。

「ほら、早く入りなさい。」

促されてウチが資料室の中に入ると斉藤先生がドアを閉める。
その後、ガチャっとカギの閉まる音が耳に届いた。

振り返ると目の前には斉藤先生の顔。
両手で顔を挟まれたと思ったら、斉藤先生の唇がウチの口を塞いだ。

少しよろけて後ろにあった机に手をついた。
ウチの口の中に斉藤先生のソレが入ってくる。
ウチは、されるがまま。


唇を離した斉藤先生はウチの顔を掴んでいた両手を机に置いて
身体を密着させると不気味な笑みを浮かべた。

213 名前:マックス 投稿日:2003/12/11(木) 19:55
ここまでです。
吉澤さん、襲われてます(笑

これからまた忙しくなるので更新が遅くなるかもしれません。
214 名前:つみ 投稿日:2003/12/12(金) 00:48
おいおいおい!
ど〜ゆ〜ことだよぉ〜!!
理想のよしごまふぁ・・・
でも何かがあることを信じてまってます!
215 名前:なち 投稿日:2003/12/20(土) 14:05
待ってます(ノ^▽^)ノ
216 名前:マックス 投稿日:2003/12/21(日) 20:12
>つみ様
ここの吉澤さんは少し遊び人のようで(苦笑
でもよしごまです!絶対に!

>なち様
ありがとうございます。
少しずつですががんばって更新します。
217 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/21(日) 20:16


「いい加減、あたしのモノになりなさいよ。」


言いながらゆっくりと腰の辺りを撫でる。



「…イヤですよ。」


斉藤先生の肩を押し退けて、教室に戻る為にドアの方へ歩く。
だけど斉藤先生に腕を掴まれて、また唇を重ねられた。


「最近遊んでないらしいじゃない?」


掴んだ手はそのままに、そう言ってくすっと笑った。


218 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/21(日) 20:20



真希が来るまでのウチはほとんど家に帰っていなかった。
家に帰っても1人だし、誘ってくる女はたくさんいたから。


だけど、今はウチを待ってくれている人がいる。

真希がいるから。






掴まれていた腕を振り払ってドアに手を掛ける。
そこで足を止めて顔だけ斉藤先生の方に向けた。




「今…好きな人いますから。」


斉藤先生は何も言わずに
ただ呆然と立ち竦んでいた。



219 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/21(日) 20:25


「ひとみちゃん!」



放課後、帰ろうとしていたウチを梨華ちゃんが呼び止めた。
椅子に座って手招きをしている、その隣には美貴。

「何?」

「あのさ、明後日から春休みでしょ?それでね…。」

何やらごそごそとカバンを漁る梨華ちゃん。
そこから取り出された物は


「じゃーん!」


遊園地のチケットだった。



「梨華ちゃんが親戚に貰ったんだって、そんで3組でデートしよーってことになったの。」

美貴が自分のチケットをひらひらさせながら楽しそうに言った。


ん?3組って……。


220 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/21(日) 20:31


「私と保田先生、みきてぃと亜弥ちゃん、それと…ひとみちゃんと、真希ちゃん。」



「…は?」



「楽しみだねー。」なんて言いながら笑い合う2人。
すでに行く日も決まってるらしく、待ち合わせの時間と場所を決めている。



…って、ちょっと待てよ。




「何で、真希?」

「え?だってひとみちゃん真希ちゃんのこと好きなんでしょ?」


梨華ちゃんは躊躇うことなくさらっと言い放った。
美貴はにやにやしながらウチを見てる。


鏡を見なくても分かる、ウチの顔は赤くなってることが。

221 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/21(日) 20:35

「はい、これひとみちゃんと真希ちゃんの分。」

「時間と場所決まったらメールすんね。」


有無を言わさずにチケットを押し付ける梨華ちゃん。

結局断る理由なんてないから
ウチと真希も参加することになってしまった。



*  *  *  *  *  *  *  *




帰り道、チケットを見ながら考える。


真希は遊園地なんて行くのかな

この話をしたらどんな顔するかな

喜んで、くれるかな…。


222 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/21(日) 20:39

真希のことだけが頭の中を埋め尽くす。
気が付けばいつの間にか家の前。

…行かないって言われたら、断ればいいか。


「ただいま。」


ドアを閉めても真希からの返事が返ってこない。
靴はあるから家にいるはずなんだけど…。

何かあったのかと思い、急いで家の中を探す。


1階にはいない、後は……。



「真希!」


真希の部屋、ノックもせずにドアを開けた。

真希は…布団の上ですやすやと眠っていた。

223 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/21(日) 20:45

その姿を見たら一気に身体の力が抜けてその場に座り込んだ。


「…真希、起きろー。」


ゆさゆさと身体を揺すると、ゆっくりと閉じられていた瞳が開いた。
寝起きでぼーっとしているのかウチの顔をぼんやりと見つめている。


「………ぁ!」


やっと完全に目が覚めた真希は慌てて身体を起こした。


「ただいま。」

「おかえり…ごめん、あたし…。」

「いいって、まだ4時過ぎだし。」

「…うん。」


しゅんとしている真希を見てチケットの存在を思い出した。
制服のポケットに手を突っ込んでチケットを取り出す。

真希が喜んでくれますようにと願って。
224 名前:Key of Love 投稿日:2003/12/21(日) 20:54



「あのさぁ、今日梨華ちゃんにこんなの貰ったんだ。」


真希の分のチケットを1枚差し出した。
それを手に取ってじっと見つめる真希。


「…ゆーえんち?」

「うん…真希の分もくれたんだけど、どうかなって。」


真希は黙ってチケットを見つめたまま。
答えはなかなか返ってこない。

喜んでくれるかもって、期待してたんだけど。

真希の顔を見ると笑ってないし、どちらかと言えば困っているようにも見える。


…やっぱ、行きたくない…か。




「嫌、だよね。じゃあ梨華ちゃん達に断って…。」

225 名前:マックス 投稿日:2003/12/21(日) 20:55
更新終了です。
226 名前:つみ 投稿日:2003/12/21(日) 21:39
嫌なのか?!
そんなはずはない!
がんばれごっちん!
227 名前:マックス 投稿日:2004/01/25(日) 20:59
最近全く更新できなくてすみません。
今週のテストが終われば2月は休みになるので少しでも更新しようと思ってます。
読んでくださっている方(いるのかな…)もう少しお待ち下さい。
228 名前:つみ 投稿日:2004/01/25(日) 21:10
待ってますよ〜!
229 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/25(日) 23:35
ずっと前から読んでました。作者さんのペースで頑張ってください。
待ってます。
230 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/20(金) 23:57
頑張ってください。
231 名前:マックス 投稿日:2004/03/01(月) 17:51
>つみ様
遅くなってすみません、なかなか話が進まなくて…。

>名無し読者様
ありがとうございます、ホントに更新遅いですが放置はしないようにします。

>名無飼育様
かなり遅いですがゆっくりとがんばります。

二月にと言いながら三月に入ってしまいました。
読んでくださっている方申し訳ありません。
ほんの少しですが更新します。
232 名前:Key of Love 投稿日:2004/03/01(月) 17:58

「行く!!」


断ってくると言おうとしたら、真希の声によってそれはかき消された。


「行く!ゆーえんち行く!」

呆気に取られてるうちの腕を掴んでぐいぐいと引っ張る。
まるで小さい子がおもちゃを買ってほしいと駄々をこねているように。


「…え、行く?」

「うん!」


その顔はとても嬉しそうで。
うちが想像していた以上の笑顔だった。

正直めんどくさいと思ってたけど、こんな顔されちゃったら断るわけにはいかないな。


「わかった、じゃこれ預かっとくね。」


床に落ちていたチケットを拾う。
真希に持たせとくと失くす可能性があるから。


明日学校行ったら話し合いに参加しなくちゃいけないかな。





233 名前:Key of Love 投稿日:2004/03/01(月) 18:07



「よかったー喜んでくれたんだ。」


昨日の真希の様子を話すと梨華ちゃんは嬉しそうに笑った。

今日は終業式、ホームルームが終わって一時間も経てば教室は静かになる。
三人で窓側の机に固まって行く日と待ち合わせの時間、場所の相談をすることにした。
窓の外には数人の生徒が正門に向かって歩いて行く姿が見えた。

春休みといってもほんの二週間程度。
保田先生は休みでも学校に来てやらなきゃいけない仕事がある。
美貴達は遊園地以外にも二人で遊びに行く予定が詰まっているらしい。

それらを全て合わせると空いている日は六日後の木曜日しかなかった。

234 名前:Key of Love 投稿日:2004/03/01(月) 18:26
うちと真希は別に遊びに行く予定なんかなかったからすぐに同意。
時間と場所も十分程で決まった。


「じゃあ九時に駅前集合ってことで。」

「おっけー。」


梨華ちゃんは話し合いが終わるとすぐにカバンを持って教室を出た。
たぶん保田先生のとこへ行くんだろう。

美貴は「亜弥ちゃん迎えに行くから。」と言って一年生の教室へ行った。


うちは用事もないので真っ直ぐ家に帰ることにした。


235 名前:Key of Love 投稿日:2004/03/01(月) 18:34


「ただいまー。」



玄関のドアを閉めるとキッチンからぱたぱたと走って来た。


「ゆーえんちいつになった?」


おかえりの前にそれですか。
真希は遊園地に行くのがそうとう楽しみなようだ。


「来週の木曜日、九時に駅だから八時前に起きなきゃいけないよ?」

「…がんばる。」


朝が苦手な真希にはちょっと大変な時間。
今ではうちが真希を起こすようになっていた。

でも遊園地に行く日はすぐに起きてくれそうな気がする。
小さい時どこかに出かけるという日はなぜか早起きしてしまうらしいから。

こんなこと言ったら「小さくないもん!」って怒られるから口には出さないようにした。

236 名前:Key of Love 投稿日:2004/03/01(月) 18:49
部屋着に着替えて真希が作っておいてくれた昼食を食べる。
始めは隣に座ってた真希は途中で自分の部屋に戻って行った。

…なんかイヤな予感が。

早めに食べ終わらせて真希の様子を見に行くと


「…真希。」

「あ、よしこ。ねぇねぇどの服がいいかなぁ。」


部屋の真ん中に座って遊園地に行く時の服を選んでいた。
これだけ聞けばかわいいなぁと思うけど、続きがある。


「真希…これ片付けられんの?」


持って来た服を全て広げているため足の踏み場もない。
唯一空いている場所は一番奥の布団の上だけだった。


「んー…あはっ。」


…またこの笑顔に負けそうだ。
結局うちが全部片付けることになった。


237 名前:マックス 投稿日:2004/03/01(月) 18:50

更新終了です。
次はいつになるかわかりませんが待っていてもらえると嬉しいです。
238 名前:つみ 投稿日:2004/03/02(火) 00:35
更新お疲れ様です!
ゆーえんち楽しみですね〜♪
よしごまが進んでくれるのに期待。
239 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/02(火) 13:50
期待してます
240 名前:名無し読者 投稿日:2004/04/02(金) 20:08
更新待ってます!!
241 名前:春巻き 投稿日:2004/04/27(火) 00:50
おもしろいですね。楽しみにしてます。
242 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/27(火) 09:33
更新楽しみにしてます。
243 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/29(土) 21:57
ほぜん
244 名前:マックス 投稿日:2004/07/28(水) 21:13
すみません!かなりひさしぶりです。

>つみ様、239:名無飼育様、名無し読者様、春巻き様、242:名無飼育様、243:名無飼育様
本当にごめんなさい、予想以上に学校が忙しくて中々続きが書けません。
夏休み中に一度は更新しようと思ってますので待っててくださると嬉しいです。


今回は短編を一つ、田亀です。
(〜^◇^)<こんなん考えてるなら続き考えろよ!
245 名前:イエスタデイ 投稿日:2004/07/28(水) 21:20

「桜が…。」


空を見上げたら桜の花びらがひらひら落ちてきた。
その様子を眺めていたら、ふと去年のことを思い出した。




「れーな、れーな。」


嬉しそうにあたしの名前を呼ぶ声。





「キレイだね、桜。」

「あー、そうやね。」


風に吹かれて靡く黒髪。





「また来年もこようね。」


桜よりもキレイだと思った笑顔






もう、どれも見ることが出来ないんだ。




―イエスタデイ―



246 名前:イエスタデイ 投稿日:2004/07/28(水) 21:25



「れいなが好き。」



幼馴染の絵里から告白されたのは三ヶ月前のことだった。
遠回りなしのストレートな彼女らしい告白。

突然のことで混乱していたあたしは


「もう少し待って。」


それだけしか言えず、その場を立ち去った。
絵里はどんな顔をしていただろうか。
その時のあたしにはそんなことを考える余裕すらなかった。


それから絵里とは気まずい関係のまま…。


247 名前:イエスタデイ 投稿日:2004/07/28(水) 21:32

断らなかったのは好きだから。

「あたしも」と言わなかったのは
恋愛感情としてなのか、友情としてなのかが解らなかったから。




「れいな、ちょっときて。」



絵里があたしに話しかけてきたのは、告白から二週間後のこと。
それまで会話といえば挨拶ぐらいだったから少し驚いた。





連れてこられたのは屋上。
二月に外で話すってのは結構キツイ、雪でも降りそうな寒さ。

絵里もやっぱり寒いんだろう、両手を擦り合わせている。


248 名前:イエスタデイ 投稿日:2004/07/28(水) 21:39
「なん?」


久しぶりの所為か、あたしは緊張して素っ気ない言い方になってしまった。
絵里はフェンスに寄りかかったあたしの隣にきて、真っ直ぐ前を向いたまま言った。


「…この前のこと、忘れていいから。」

「は…?」

「もう好きにならないから…れいなの傍にいさせてほしいの。」


絵里が何を言ってるのか解らなかった。
別に嫌いになったわけじゃない、あたしだって絵里と一緒にいたい。
こんな気まずさだって時間が経てば忘れる、そう思っていた。

でも絵里は…悩んでたんだ。
当たり前か、告白した方は答えがなければ辛いだけ。


249 名前:イエスタデイ 投稿日:2004/07/28(水) 21:45

「…絵里、あたしは」

「いいから、気にしないで。」



そう言ってあたしの方に向いた絵里の笑顔は、桜並木の下で見たモノとは違っていて。
瞳に涙を溜めて、無理矢理に造った痛々しい笑顔。

絵里はあたしを置いて教室に戻っていった。
残されたあたしは何も出来ずにその場に取り残された。

あたしがあんな顔させたんだ。

そう思ったら、酷く胸が痛んだ。



そしてそれが…あたしが最後に見た、絵里の笑顔だった―――





250 名前:イエスタデイ 投稿日:2004/07/28(水) 21:51




眠れない…。
目を閉じるとあの時の笑顔と今日のあの顔が交互に浮かんできては胸を締め付ける。
頭を冷やそうと思いベッドを降りた時、枕元のケータイが着信を知らせた。

絵里かもしれない。

そう思い急いでケータイを手にとって開くと「さゆ」という文字。
さゆには悪いけどかなりがっかりして電話に出た。


「もしもし。」

『れいな!?私!』

「さゆ、どーした?」

『…りが、絵里が…!』

「絵里?絵里がなん?」


『さっき連絡があって、事故に巻き込まれて病院に運ばれたって!』




頭が、真っ白になった。
251 名前:イエスタデイ 投稿日:2004/07/28(水) 22:01

まださゆが何か言っているけど、一言も頭に入らない。

事故?病院?なんで?
訳が解らなくなったあたしは会話の内容すら曖昧になって。
どこの病院だとか、どんな状態なのかとか
色々聞きたいことがある筈なのに、言葉が出てこない。

あたしは放心状態で朝を迎えた。




翌日、緊急の全校集会で絵里の事故の話をされた。

飲酒運転の車に撥ねられたこと
病院に運ばれたこと
そして…絵里が、息を引き取ったこと

周りから啜り泣く声や嗚咽が聞こえる。
けれどあたしは泣かなかった、いや泣けなかった。
悲しいのに、一粒の涙も出てこない。
お通夜でも葬式でも、何故か泣けない。


あたしは何処かおかしいのだろうか。



252 名前:イエスタデイ 投稿日:2004/07/28(水) 22:07


絵里が死んでから三ヶ月、あたしは今桜並木の下にいる。
一年前絵里と二人できた場所。
何をするわけでもなく、ただぼーっと立っているだけ。

その時、あたしより少し背の高い黒髪の女の人が横を通り過ぎた。
あたしは無意識に叫んでいた。



「絵里…!!」



あたしの声に驚いて振り向いたその人は、全く知らない人。


「あ、ごめんなさい…。」


女の人は不思議そうに首を傾けると再び歩き始めた。
あたしはその後姿を見つめていた。





「……っ…。」


その人の姿が見えなくなった時
堰を切ったように、涙が次々と溢れてきた。
253 名前:イエスタデイ 投稿日:2004/07/28(水) 22:14

「絵里っ…ごめ…!」



誰もいない桜並木の真ん中、あたしは泣き続けた。




「…ご、めん…好き、絵里が…好き!」



届く筈のない、あの時の答え。
あの時に言っていたら、君は今もあたしの隣にいたんだろうか。

昨日のことのように思い出す、嬉しそうな君の笑顔。




「好きだよ…絵里…!」



何度も空に向かって叫ぶ。

一年前のこの場所で見せた笑顔と同じように
君が笑っていてくれますようにと願いを込めて。



「絵里、愛してる…。」



『あたしもだよ。』

絵里の声が、聞こえた気がした―――。




END。
254 名前:マックス 投稿日:2004/07/28(水) 22:16
ごめんなさい、痛いです…。
一度書いてみたかったネタなんです。

やっぱり痛い話は合わないな…てか短編?
次はちゃんと更新します。
255 名前:つみ 投稿日:2004/07/28(水) 23:58
お久しぶりです!
夏休み中待ってますんでよろしくおねがいしますっ!
256 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/01(日) 21:19
更新待ってました。
短編痛いっすね。
けど、痛めも結構好きなんで・・。
よしごまの続きのほうもまったーり待ってますので!

257 名前:マックス 投稿日:2004/08/23(月) 23:47
>つみ様
おひさしぶりですー。
夏休みも残りわずか・・・っていってもうちの学校は10月までですが。
なんとか少し書けました。

>名無飼育さん様
待ってていただいてたなんて・・・遅くて申し訳ない。
痛いのはあまり好きではないのですが、たまに書きたくなります。


遊園地編更新します。
258 名前:Key of Love 投稿日:2004/08/23(月) 23:57





「よしこー!朝だよ、起きろー!」

「…っ!?」


勢いよくドアが開く音、真希のデカイ声、身体にかかった衝撃。
その衝撃と驚きで声が出なかった。
一気に夢から覚めて目を開けると、うちの上で何かがばたばたしているのが見えた。

その何かは確認する必要もナイ。



「真希…重い。」

「むっ、重いとは失礼な。そんなことより朝だよ、今日はゆーえんち行く日!」


うちの腹の上で騒いでる真希はとりあえず放置しといて…。

手探りで頭の近くにあるはずの時計を探し、手にとって時間を見てみる。
…寝惚けてるのかなと思って目を擦ってもう一度確認。


「…まだ六時なんですけど。」


アラームをセットした時間の一時間前。
確かに寝坊しないようにとは言ったけどさ…いくらなんでも早過ぎじゃないかい?

259 名前:Key of Love 投稿日:2004/08/24(火) 00:04

まだ眠っている頭を軽く振って身体を起こすと、鼻に届いたトーストの香ばしい匂い。



「真希、何時に起きた?」

「五時前。目覚めちゃってさー、だからご飯の用意できてるよ。」


得意げな満面の笑み。
それを見たら「もう少し寝せて」とは言えなかった。



「…そろそろ、どいてくれる?」


起こしにきてからずっと、真希はうちの上に跨ったまま。
乗っかられてたら何もできないでしょ。


早めな朝食の後、真希は支度してくると自分の部屋へ。
それから数十分経った、真希は帰ってこない。

まさか……。

昨日と同じ、イヤな予感。

260 名前:Key of Love 投稿日:2004/08/24(火) 00:10




「…真希。」


そんなことはないだろう。
そう思って部屋を覗いたが…その予感は見事的中。

格好とカバンを見る限り準備は済んだらしい。
今から家を出れば集合時間には充分間に合うと思っていたが、そう簡単にはいかないらしい。



布団の上で寝息をたてている真希を起こさないと。


「真希、真希ー!」

これまでの経験からして、一度眠った真希はなかなか起きない。
大声を出しても、おもいっきり揺さぶっても。
大災害が起こっても寝てるんじゃないか?


「真希ー!!」


集合時間まで、あと五分。


261 名前:Key of Love 投稿日:2004/08/24(火) 00:19



「よっちゃんさんおそーい!」




結局間に合うはずもなく『遅れるから先に行ってて』とメールを送った。
送ってすぐに真希が目を覚ましたから予定の電車の一本後に乗れた。

だから少しの遅刻なのに、美貴はご立腹。
開口一番に怒鳴られた。

他の三人は笑って許してくれてんのにさ…。


「ごめん、ちょっと色々あって。」

「まぁいいじゃない藤本。吉澤、その子が真希ちゃん?」


まだ何か言いたそうな美貴の口を抑えて、保田先生がうちの隣に視線を移す。
梨華ちゃんと亜弥も気になるのか、こっちをじっと見てる。

みんなの注目の的になっている本人は…うちの後ろからわずかに顔だけ覗かせてる。
その手は不安そうにうちの服の袖を掴んでいた。

262 名前:Key of Love 投稿日:2004/08/24(火) 00:29

「ほら、自己紹介しないと。」

「…ごとー、まきです。」


ぼそっと名前だけ言って、俯いてしまった。
恥ずかしいのか、落ち着きなく掴んでいるうちの服を弄ぶ。

「それじゃ顔が見えないでしょ」と真希の腕を取って隣に立たせた。
…引っ越した時ってこんな感じかな、てかうち親みたいじゃん。


「初めまして、石川梨華です。梨華って呼んでね。」

「松浦亜弥です、亜弥でいーよ。よろしく!」

「吉澤の学校の英語教師、保田です。」

「藤本美貴です、真希ちゃんかわいーね。」


おい美貴、横で亜弥が睨んでるぞ。
そう目で合図してやると、慌てて「亜弥ちゃんが一番だから!」とご機嫌取り。

「保田先生は私の恋人でーす」と保田先生に抱き付く梨華ちゃん。
いや、誰も聞いてないから。
保田先生は呆れて何も言えない様子。
263 名前:Key of Love 投稿日:2004/08/24(火) 00:41

四人が歓迎してくれているってことが分かって緊張が解れたのか
みんなの顔を見て「よろしく」と答えた。

しかし、未だに真希の手はうちから手を離さない。


「早くいこーよ!」

亜弥が真希の手を取って走り出した、それと同時にもう片方の手はうちから離れる。
戸惑いながらもうちの傍から離れた場所を歩く。
梨華ちゃんと亜弥に挟まれて、色々話しかけられてるようだ。

心配だったんだけど、結構仲良くなれそうかな。
徐々にいつもの笑顔を見せ始めた真希を見たらそう思えた。


「ホントかわいーね真希ちゃん…よっちゃんさん、手ぇ出しちゃったんじゃないの?」

「…んなことしてねぇよ。」


ニヤニヤしている美貴の頭を小突くと大げさに「いてー!」と騒いだ。

本当に手出してないさ…その一歩前ぐらいまでだからね。
あそこまでいっといて何もしないなんて、これまでのこと考えたらあり得ない。
真希には、何もできないよ。


嫌われたくないから。


264 名前:Key of Love 投稿日:2004/08/24(火) 00:55

中に入った瞬間、亜弥は美貴を引っ張って駆け出した。
梨華ちゃんと保田先生もうちらの先を歩いている。

まだ入り口前なのに、もうバラバラですか。


「これじゃ、一緒にきた意味ないだろ。」


みんなの後姿を見て苦笑していると、くいっと袖を引っ張られた。
その方向に顔を向けると、真希がふにゃっと笑って

「あたし達も、いこ?」


「…うん。」


ま、二人きりの方がいっか。
他の二組の邪魔にならないように、もちろんうちらも邪魔されないように。
四人とは違う方へと歩き出した。






メリーゴーランドやコーヒーカップ、ジェットコースター、お化け屋敷…。
うちは散々乗ったけど真希にとっては何もかもが初めてで、見る物全てに「アレのろーよ」と言う。
真希が乗りたいと言う物は何でも乗ってやる、って思ってたけど…。


「真希…アレは子供用…。」

「え〜、ダメなの?」

「…乗りますか。」


さすがにこの年でコレは…恥ずかしくないっすか?
一緒に乗せられたのは、ちっちゃな機関車に乗ってレールの上をゆっくり走るというモノだった。

265 名前:Key of Love 投稿日:2004/08/24(火) 01:07

途中に食事をして、一通り周り終わると空は真っ暗になっていた。


「どーしよっか、あと何乗りたい?」

「んー…あ、かんらんしゃ。」


真希が指差す先にあったのは、かなり大きい観覧車。
そういえば、ココで一番人気あるやつだっけ。

「ちょっと待たなきゃいけないけど、いい?」

「うん!」


時間の所為もあってか待ち時間は二十分、しかも周りはカップルだらけ。
目の前でいちゃつくな、うちは我慢してるんだ。
甘い空気に苛立ちながら、やっと順番が回ってきた。

まずは真希を先に乗せて、自分もその中に入ったはいいんだけど…何処に座ればいいのだろうか。


隣に…いやいや、傾いても困るし、それに…もし嫌がられたら。
そしたらショックで立ち直れないかも…。
その前にこんな狭い空間に二人っていうのは、うちにとって拷問同然。


「どしたの?早く座んなよ。」


閉まった扉に凭れかかってアレコレ考えていたら、腕を引かれて強制的に隣へ。
悩んだ意味…なかったな。
それでも真希から隣に座らせてくれたことが、すごく嬉しかった。


266 名前:マックス 投稿日:2004/08/24(火) 01:14

中途半端ですみません…。
また次回は、いつになるんだか分かりません。

何か一言くださると励みになるのでよろしくお願いします。
267 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/24(火) 14:02
読んでますよ〜!!
ちょくちょく見にくるんで頑張ってください。
268 名前:M 投稿日:2004/08/29(日) 05:08
読ませてもらってます
更新楽しみに待ってますんで頑張って下さい!
269 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/21(火) 11:08
待ってますよ
270 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/24(日) 00:27
まじで待ってるんだけどなぁ・・
271 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/02(木) 21:28
ほぜん
272 名前:マックス 投稿日:2005/01/28(金) 00:13
かなり間が空いてしまいました…。
テストが終わったら少しでも更新しようと思っているのでお待ちください。
273 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/29(土) 12:03
そうだったんですか!?!
これからもずっと待ってますょ。。
274 名前:Key of Love 投稿日:2005/02/07(月) 21:27


ゆっくりと流れる時間。
それとは反対に、うちの心臓はドキドキと落ち着かない。

大きい外見の割には中は意外に狭くて、たまに肩が触れる。
そんなことにすら今のうちは動揺してしまう。

真希はうちの気持ちなんか知るはずもなく、嬉しそうに外の風景を眺めている。


落ち着こうと思い軽く深呼吸をしたその時


「…あたしね」

「ぅえ?」


突然話し出した真希にまた動揺して、声が上擦ってしまった。
275 名前:Key of Love 投稿日:2005/02/07(月) 21:31

「夢だったんだー」。

「なにが?」

「…好きな人と、かんらんしゃに乗ること。」


そう言って微笑んだ真希、今までにないくらいに心臓が跳ね上がった。

好きな人って…言ったよね?


「…うちでよかったの?」

「んー?なにが?」

「その…好きな人と、乗りたかったんでしょ?」


そう言うと真希は黙り込んでしまった。
やっぱ、うちのこと好きなわけじゃないよな…。


「…だよ。」

「え?」


「好きだよ…よしこのこと。」
276 名前:Key of Love 投稿日:2005/02/07(月) 21:34

否定したばかりの答えを言われて、うちの思考は一旦停止状態。
真希は顔を窓の方へ向ける、髪の隙間から見える耳は、真っ赤。


ヤバイよ…耐えられるわけないじゃん。


「…真希。」

そっと肩に触れるとびくっと揺れた、微かに震えている身体。

ゆっくりとうちの方に向けられた顔。
紅く染まった頬、少し潤んだ瞳。

顔を近付けるとギュッと瞳が閉じられた。


あと数センチ――
277 名前:Key of Love 投稿日:2005/02/07(月) 21:37


〜〜♪




「………。」

雰囲気に合わない音楽がメールの着信を知らせた。

驚いた真希が目を開けると、目の前にあったうちの顔に紅かった頬をさらに紅くさせて。
うちとの距離を空け、顔を背けた。

誰だよこんな時に!

心の中でそう叫びながらケータイを開くと…『美貴』という文字。
メールの内容は、『八時に入口前で。』と一言だけ。

「だれから?」

ケータイの画面を睨んでいたら真希が覗き込んできた。

「八時か、あと十分しかないよ。あ、でももう着くからだいじょーぶだね。」

「…そーだね。」
278 名前:Key of Love 投稿日:2005/02/07(月) 21:43


真希さん、なんですでにいつも通りなんですか?

さっきまでの雰囲気はどこへやら、いつもと同じ笑顔で言われてしまったらそんなことは言えなかった。


観覧車を降りて美貴に指定された入口へと向かう。

アレは自分の妄想だったのかと思うほど、真希は変わりない。
ふざけてたのか、好きっていうのは友達としての意味だったのか。

はぁ…っとひそかに溜め息を吐いた。

ホント、真希は解らない。


「よしこ。」

「んー?」

前を向いたまま、真希がうちの名前を呼ぶ。
279 名前:Key of Love 投稿日:2005/02/07(月) 21:53

今度は何を言い出すのか…まぁこれ以上驚くことはないと思うけど。


「あのさー…。」

「何?」

「…んー。」

「なんだよー。」


顔を掻いたり髪を弄ったり、なぜか落ち着かない様子。
さっきの観覧車の時とまではいかないけど、顔がほんのり紅い。

「よしこー。」

「だからー何?」


「…手、繋いでいい?」


前言撤回、真希の発言には心の準備が必要です。

真希の手をとると、ギュッと握り返してきた。
うちらは無言のまま、自然に歩く速度が遅くなっていた。
280 名前:マックス 投稿日:2005/02/07(月) 21:56
やっと更新したのに少なくて申し訳ないです。
ケータイからなんでちゃんとなってるか心配…。

また時間かかると思いますが、もう少しで終わりなので頑張ります。

(О^〜^)〈テストの結果次第だね。
281 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/07(月) 22:07
更新されてて嬉しいです。
ヘタレなよしこさん最高です。
282 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/02/22(火) 21:47
一気に読まさせて頂きました。 クールなのかヘタレなのか、続きの更新待ってます。
283 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/01(火) 07:35
いつまでも待ってますよー。
284 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/03/06(日) 02:18
待ってますよー。
285 名前:通りすがりの者 投稿日:2005/03/18(金) 20:05
まだまだ待ってます。
286 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/13(水) 11:57
まだまだまだ待ってます。
287 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/04/21(木) 06:07
まだまだまだまだ待ってます。
288 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/05/21(土) 21:11
まってますよー。
289 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/26(日) 14:50
待ってます
290 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/07/13(水) 21:34
作者さん待ってます

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