A-NEW-MOON
- 1 名前:こお 投稿日:2003/09/30(火) 02:37
- 学園物であやみきです。
更新は週1〜2回を目標に。
誤字・脱字などはどうぞご指摘下さい。
では、よろしくお願いします。
- 2 名前:こお 投稿日:2003/09/30(火) 02:44
- 朝からずっと雨だな、ふと思った。今日は、バスケットシューズの床をする音がやけに耳に付く。キュッというこの音を不快に感じる人もいるらしいけれど、私は好きだ。バスケットというスポーツの「音」という感じがするし、なんとなくカッコイイ響きがする。そんな他愛もない事を考えていると、突然、背中にボールの当たる感触がした。
「美貴先輩、ぼーっとしすぎ」
不意をつかれて振り向くと、いつの間にか後輩の亜弥が立っていた。手にはボールを抱えている。
「アンタさ、不意打ちは卑怯だよ」
笑いながら亜弥のおでこを軽くつつく。すると、彼女は少し頬をふくらませて怒った顔を作った。
「ってかねぇ、さっきから何回も何回も呼んでるのに。美貴先輩がぼーっとしてて気付かなかっただけだし!」
「あはは、そっか、ごめんごめん。雨の音でさ聞こえなかったんだよ」
本当は亜弥の言う通りだが雨のせいにしてみる。
- 3 名前:雨 投稿日:2003/09/30(火) 02:47
- 「も〜別にいいけどさぁ。しょうがない、許したげる」
亜弥はそう言ってニコッといつもの笑顔に戻った。そんな彼女の笑顔は女の私から見てもとても可愛
いくて魅力的だ。こんなのに男は弱いんだろうなぁ。
- 4 名前:雨 投稿日:2003/09/30(火) 02:55
- 「あっそういや、先輩・・・大丈夫ですか?」
亜弥は唐突に話を切り出した。
「何が?」
「だーかーら、今度の練習試合の事ですよ!」
決まってるじゃんと言わんばかりの顔で亜弥は言った。
「え?練習試合あるの?」
きっと昨日のミーティングで出た話なのだろう。だけど私は昨日学校をサボっている。
「えぇ?何言ってるんですか!?」
私の返答が予想外だったのか亜弥は驚いた様子で私の顔を見た。そして、あーそっかと小さく呟いて顔を曇らせた。私が昨日休んでいたという事を今思い出したのだろう。彼女は感情がすぐ顔に表れるので見ていてとてもおもしろい。百面相とはこの事を言うのだろうか。私は亜弥の言いたい事がよく分からなくて先を促した。
「だからさぁ、何の話?」
「あ〜・・うん、そう、今度の日曜に練習試合やるらしいんですけどね・・・」
それだけ言うと亜弥は急に口ごもった。何でもハッキリと言う彼女にしては珍しく歯切れが悪い。そんな亜弥の様子に少し嫌な予感がする。
「だから練習試合が何なわけ?」
この予感を取り除いて欲しくてつい口調がキツクなる。亜弥は私の顔色を窺うように少し上目遣いでこちらを見た。
- 5 名前:雨 投稿日:2003/09/30(火) 03:04
- 「その相手ってのが・・その・・朝高、らしくて、ですねぇ・・・」
予感は見事に的中した。朝高・・・。朝乃山高校。思い出したくなかった過去が一気に頭をよぎる。忘れようと決めたのに。私は軽くため息をついて、指で軽く首筋を撫でた。あー、この仕草私がイライラしている時の癖だって前に誰かに言われたっけ。急に思い出して苦笑いした。そんな私の様子を見て、亜弥は戸惑いの色を浮かべた。私の気持ちを図りかねているのだろう。
「んで、それは誰が決めたわけ?」
亜弥の目を見て出来るだけ穏やかな口調で尋ねた。すると、彼女は私の目から視線を外して眉間にしわを寄せ、下唇を少し噛んだ。私はそんな彼女の様子を見てハッキリと答えを知る。だけど、口に出したくなくて亜弥の言葉を待った。亜弥がゆっくりと口を開く。
「・・・中澤、が」
スバラシイ。今日は勘がとても冴えている。
- 6 名前:こお 投稿日:2003/09/30(火) 03:11
- とりあえずここまでです
次からはもっと読みやすく載せよう・・・
- 7 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 14:33
- お、バスケ部ですか。凛々しい美貴たんが目に浮かぶようです。
- 8 名前:名無し読者 投稿日:2003/09/30(火) 19:55
- 適度に改行入れてくれればうれしいかなぁ・・・
でも作品自体は期待大っす!
この2人のスポーツものって、いかにも青春って感じですし。
あやみきが先輩後輩の関係のままなのかも気になりますが・・・w
- 9 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/01(水) 01:01
- 鞄から鍵を取り出して、無言で部屋に入った。
ただいまという言葉を使わなくなって二年と少し経つ。父親の転勤と私の高校の入学が重なったので、私は一人でここに残ることにしたのだ。
実家には親戚が住んでいて、以前はたまに遊びに行ったりしていたが、ここ数ヶ月は全く足を運んでいない。自分の生まれ育った家で、他の家族が当たり前の様に生活しているのを目の当たりにすると何とも言えない妙な気分になる。家族揃った食事風景。微妙に家具の配置が変わったリビング。客間の布団。要するに嫉妬しているのだ。でも、そんな自分を認めたくない自分がいる 。
- 10 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/01(水) 01:04
- 小さい頃から美貴ちゃんはしっかりしてるね、良い子だねと言われ続けてきた。
ただ単に両親が共に働いているから言われる言葉だったのかもしれない。
しかし、私は自分からそう思われることを望んでいたように思う。
人に認められたかった。早く大人になりたかった。
だから、いつも何があっても平気な顔をし続けてきた。
- 11 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/01(水) 01:06
- リビングを抜けて自分の部屋に入ると、鞄を放り投げそのままベッドに倒れ込んだ。
制服を脱ぐのさえも面倒くさい。
このままだとスカートにしわが寄って、明日の朝きっと後悔するだろう。
しかし、今の私にとってそんな事はどうでもよかった。
何もしたくない。何も考えたくない
- 12 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/01(水) 01:10
-
私は仰向けになると、天井を見つめた。
ちょうど目線の先に小さな染みがいくつか目に入る。
去年のクリスマスにみんなで飲み会をした夜に付いたものだ。
酔っ払ったひとみがベッドの上に飛び乗って、片手の缶ビールをマイク代わりに熱唱した時に勢い余って中身が飛び散ったのだ。
すると、調子に乗ったひとみが『吉澤ひとみ、優勝しました!ばんざ〜い!ビールかけ〜!!』とか何とか言いながら、そのまま手にあるビールを部屋中にまき散らし始めたのだ。
もう誰も暴走し始めた彼女を止められる人はいなくて、逆にみんなでますます盛り上がってぎゃあぎゃあ騒いだ。
その後は、隣の部屋から苦情は来るわ、部屋中臭くなるわ、床に敷いてた絨毯はびちょびちょになるわで、本当に大変だったっけ。
だけど、生まれてから今までであの時ほど笑った事は無いかもしれない。本当に楽しかった。
- 13 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/01(水) 01:17
-
ふと気付くといつの間にか部屋が暗くなっていた。
起き上がって電気を点ける。
蛍光灯が何度か点滅した後すぐに部屋を明るくした。
眩しい。少し目を細めて壁の時計に見をやると、針は6時10分を示していた。
帰って来たのが確か5時前だから・・・もう1時間以上も経ってたのか。
私は小さく伸びをした。
その時、部屋中に甲高い電子音が鳴り響いた。
一瞬、体がビクッとなる。携帯だ。
鞄から取り出して開くと、画面に『ひとみ携帯』の文字が浮かんでいる。
「はい」
「あ、美貴〜?部活終わった?」
ひとみの明るい声が聞こえてきた。
何故か、そんな当然の事にホッとしている自分がいる。
「うん。ってか・・部活休んだけど」
数時間前の出来事を思い出して、少し嫌な気分になる。
「あっ、そうなん?だったら今家?」
ひとみは部活については何も触れなかった。
「うん」
「じゃあさ、今から・・・・た・に来て」
突然、ひとみの声が途切れ途切れになった。電波が悪いのだろう。
「ひとみ〜、聞こえな〜い」
少し大きめの声を出す。
「えっ?ちょい待って!・・・・ユースタに来て!!って今聞こえた?
来れる?」
場所を移動したのだろう。ひとみの声はうるさい位に耳に響いた。
ただでさえ馬鹿デカイ声なのに。
「分かった。んじゃ今から行く」
こんな暗い気分の時は一人じゃいたくない。
私はひとみに少しだけ感謝した。
- 14 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/01(水) 01:21
-
ユースタ。
こう呼んでいるのは『ユナイト・スタジオ』の事だ。
私の家から電車で三つ先の駅のすぐ近くにある音楽スタジオ。
私は家を出ると、傘を差しながら駅までの道を歩き出した。
まだ五月だというのに蒸し暑い。雨のせいもあるだろう。
少し顔を上げて傘の隙間から空を仰いだ。
雨粒が全て自分に向かって降ってくるような感覚。
この後に来る雨の季節が終わると夏がやって来る。
今年の夏はうんと楽しもうって、昨日ひとみが言ってたな。
だよね、高校最後の夏なんだし、と私も頷いた。
駅に着いた。傘を畳むと改札を通る。すぐに電車はやって来た。
乗り込むと、空いている席には座らず、扉にもたれかかって外を眺めた。
- 15 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/01(水) 01:23
-
改札を通ると何故かひとみの姿があった。
ユースタにいると言っていたのに。
「どうしたの?」
「なんか美貴さ、傘持ってなさそうだったから」
歯を見せてニヤっと笑った。
「んなわけないじゃん」
軽く突っ込んで、並んで歩き出す。
- 16 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/01(水) 01:26
- ひとみとの付き合いは結構長い。もう四年くらいなる。
中学二年の時に彼女は私の通う中学に転校して来た。
教壇に立つ彼女を見て、すごく目が綺麗な人だなと思ったのを今でも覚えている。
澄んだ目をして私達を見渡していた。
その後、席が近くなった事もあって私達はすぐに仲良くなった。
お互いにサッパリとした性格だったのが良かったのかもしれない。
私達の友情は高校に入ってからも変わらなかった。
- 17 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/01(水) 01:30
-
そんな高一の12月、ひとみが突然『バンドを作ろう!』と言い出した。
本当に突然の事だったので、私はすぐには返事をしなかった。
お金がかかりそうだし、音楽は普通に好きだったが別に自分で演奏しようと思ったこともなかった。
そもそも二人では出来ないだろうし。
私がそう言うと、ひとみはしばらく考え込んで『うん、分かった』と言った。
何が分かったのだろう。私は疑問に思ったが敢えて口にはしなかった。
きっともう諦めたのだろうと思った。
しかしそれは大きな間違いだったと後から気付かされた。
それから二日後、ひとみから電話があった。
そしていきなり一方的に喋りだした。
『二人ゲットしたよ!ギターとボーカル。あ〜美貴のベースはね、
知り合いから安く譲って貰ったから。大丈夫。まぁドラムは何とかなるっしょ。
ね?だからさ、やろうね?』
突然の話で、最初は何の話をされているのか理解出来なかったが、すぐに二日前のあゆむとの会話を思い出した。
諦めたのだとばかり思っていたのに。かなり驚いた。
しかし、まぁ楽器も用意してくれるみたいだしと軽い気持ちでオッケーした。
こうして私達のバンドは始まった。
- 18 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/01(水) 01:34
-
「真希とヤッさん、ちょっと遅れるってさ〜」
ひとみがボーっと空を見上げながら言う。
「そっか〜。じゃあどうする?先入っとく?」
そう言った後、スタジオの中はもっと蒸し暑いかもしれないなと思った。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ひとみはだったら腹ごしらえでもしよう、と近くのファースト・フード店に向かって歩き出した。
- 19 名前:こお 投稿日:2003/10/01(水) 01:46
-
早々と更新しちゃいました
早速、打ち間違い・・・
17の最後の方『〜、すぐに二日前のあゆむ〜』
ってなっちゃってます。スイマセン。あゆむじゃなく
ひとみの間違いです。あゆむって友達の名前だし・・・
あほだ・・
早速、読んで下さりありがとうございます
>7
そーなんです。何故かバスケで(w これからもよろしくお付き合い下さい
>8
読みにくくてごめんなさい。これから色々と工夫していきますんで。
今後も温かく見守ってやつて下さい
- 20 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/02(木) 21:13
-
ちょうど店から出ようとした時、ひとみの携帯にごっちんからメー
ルが入る。もう少しで着くらしい。
ひとみは、ごっちん傘持ってないかもしれないな〜と笑いながら
言うと、駅へ向かって歩き出した。
私も笑ってそうかもねと頷いてひとみの後に続いた。
数分後、改札の向こうに見えたごっちんの姿を見て
私達は思わず顔を見合わせて笑ってしまった。
ごっちんは本当に傘を持っていなかった。
- 21 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/02(木) 21:18
-
彼女は、私達の姿を認めると少し驚いた顔をして、濡れた前髪を
手でかきあげながら私の方に向かって走って来た。
私はごっちんが濡れないように傘を横にずらす。
「え〜?なになに??迎えに来てくれたの〜?」
ふにゃっとした笑顔で私とひとみの顔を交互に見ながら聞く。
「違うよ。ごっちんを迎えに来たんじゃないし」
ひとみは少し怒ったようにそう言うと、
スタジオに向かって一人で歩き出した。
突然どうしたのだろうか。
さっきまであんなに笑ってたくせに。
「ちょっと、ひとみ。何いきなり・・・」
言いかけた途中でごっちんの手に口を塞がれた。
- 22 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/02(木) 21:22
-
「なっ、なにすんのよ〜」
突然の事にビックリしてごっちんの方を向いた。
彼女は何故だかとても嬉しそうな顔をしていた。
「いーよ。ひーちゃんはさぁお子ちゃまだから放っとこう?」
ごっちんはそう言うと、私の腕を取って歩き出した。
あれ?脳裏に何かが引っかかる。
あっ、分かった。
今の彼女の言葉で私はさっき感じた違和感の答えに気付いた。
店に入る前にひとみが言った言葉だ。
彼女はごっちんの事を『真希』と呼んだ。
いつもは『ごっちん』と呼ぶのに。
何でそんな些細な事が気になったのだろう。
今日の私は何かおかしい。
- 23 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/02(木) 21:27
-
三人でスタジオに入る。やはり外にいるより少し蒸し暑い。
私はスタジオに預けてあったベースを受け取ると、
それを抱えたままアンプの上に座り込んだ。
ケースからシールドを取り出して準備しながらひとみに目をやる。
もう機嫌は直ったのだろうか。
彼女はスティックを片手にドラムの調節をしていた。
私の視線に気付いたのか顔を上げると、いたずらを思い付いた
子供のような顔でニヤリと笑った。
いつも私に見せる笑顔。
どうやら直ったらしい。
でも私は彼女が怒った理由は知らない。
まぁ、考えてもしょうがないか。
- 24 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/02(木) 21:31
-
チラリとごっちんの方に視線を移すと、
鞄からペットボトルを取り出しているところだった。
ごっちんは歌う前にはいつも水を少し口に含んで喉を潤す。
顔を真上に向けてゴクッと水を飲み込んだのが喉の動きで分かった。
彼女の首はすごくセクシーだ。
私より一つ下とは思えないくらいの色気がある。
きっと、歌を歌っているというのもあるのだろう。
女の子らしい細くて触れると折れてしまいそうな儚い感じではなく、
しなやかで少し長い綺麗な首。
- 25 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/02(木) 21:36
-
そんな事を考えていると、私の脳内にドラムの音が響き渡った。
軽快なリズムがスタジオを包む。
今日は調子がいいらしい。
テンションの高い時のひとみのドラムは、とても音がはっきりしている。
迷いが無くて素直な感じだ。
そこに、もう一人のメンバーがスタジオに入ってきた。
- 26 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/02(木) 21:39
-
「あ〜〜お菓子だ〜〜」
ごっちんはそう叫んで保田さんというより、保田さんが持っている
コンビニの袋に向かって駆け寄る。
そんなごっちんのはしゃぐ姿を見て、私もひとみも思わず頬が緩んだ。
保田さんは肩にかけたギターを壁に立て掛けるとごっちんに袋を渡す。
そして、私とひとみの方を見て遅れてゴメンと言った。
- 27 名前:気持ちは胸に 投稿日:2003/10/02(木) 21:44
-
保田さんは私とひとみの三つ年上で、店を経営している。
昼間はカフェで夜はダイニングバーになるお洒落な店だ。
ここ最近店が軌道に乗り始めたらしく忙しいらしい。
私達とは本当に三つしか違わないのだろうかと思わせるくらいに
とても落ち着いた人で、私は彼女を尊敬している。
ひとみもきっとそう思っているのだろう。
普段は保田さんに対して軽口ばかり叩いているくせに、
たまに話す真面目な話の時は決してそういう言葉は口にしない。
学校では先生が真剣に話をしている時でもさえも、
ふざけた事ばかり言っているのに。
今にもお菓子を食べそうなごっちんから袋を奪い取り、
ひとみは練習するよ、練習〜と手を叩きながらが言った。
よし、始めますか。
私は勢いよく立ち上がってアンプの電源をオンにした。
- 28 名前:never know 投稿日:2003/10/02(木) 21:55
-
ふぅ
鏡の前でため息を一つついた。
元気のない見慣れた顔がこっちを見ている。
オイ、らしくないぞ?松浦亜弥。
鏡の中の自分に呟く。
・・・返事ナシ。
何だか虚しくなってきてベッドに横になった。
あっ、まだ髪ちゃんと乾いてないじゃん。
頬に少し濡れた髪が触れる。
完全に乾かしたつもりだったけど。
あ〜あ、このままじゃ傷んじゃうだろうなぁ。
この前、髪を染めたばっかだから余計に気遣ってたのに。
- 29 名前:never know 投稿日:2003/10/02(木) 21:58
-
先輩どうするんだろう。
さっきから何度となく考えてるコト。
ちゃんと考えてから喋ればよかったなぁ。後悔。
明日、部活ちゃんと来るかなぁ。
もしかして辞めちゃったりして・・・。
考えれば考えるほど不安は広がっていく。
そういやアタシがバスケ始めたのって先輩がきっかけなんだよね。
ふと思い出した。
- 30 名前:never know 投稿日:2003/10/02(木) 22:06
-
そう、中学一年の時だ。
バスケ部の友達の練習試合を応援しに行った時、
たまたま先輩の学校も来てたんだ。
先輩は一人飛びぬけて凄かった。
『藤本美貴』っていう名前だよ。
友達が教えてくれた。
まだ中三なのに、高校まで名前が知れ渡っているくらい
すでにバスケ界では有名な人だって。
まず足がすっごい速かった。
さっきまで自分とこのゴール下にいたって思ってたら、
もう次の瞬間には相手ゴール下にいたりした。
パスもシュートもバスケの事なんて全然知らない
私が見ても分かるくらいに巧かったし。
そして何より先輩に対する声援が物凄かった。
先輩がシュートを決める度、パスする度に会場が歓声に包まれた。
最初はかなり圧倒されたけど、もう試合が終わる頃にはアタシもその中
の一人になって応援してた。
そしてその次の日、アタシはバスケ部に入ってた。
先輩みたくなりたかった。
一緒にテニス部に入ろうって話してた友達には呆れられたけど。
- 31 名前:never know 投稿日:2003/10/02(木) 22:10
-
そんな私を携帯の着信音が現実に引き戻す。
この音は・・・彼氏から。
携帯を手に取る。
通話ボタンを押そうとして・・・止めた。
今はあんまり話したい気分じゃない。
ゴメンね、と携帯に向かって呟くと
携帯はそれに答えるかのように静かになった。
- 32 名前:こお 投稿日:2003/10/02(木) 22:11
-
更新終了〜
- 33 名前:ad-as曲線 投稿日:2003/10/03(金) 04:14
- あやみきが見たい
- 34 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/03(金) 15:03
- なんだか現実味があってすごく好きです。
彼氏のいる松浦さんが一体どうなるのかが気になるポイントですね。
それとも藤本さんが先に好きになってしまうのかな。
あぁー気になる。
行動とか心情とか詳しく表現されてて、イメージが作りやすいです。
頑張ってください!
- 35 名前:かかし 投稿日:2003/10/03(金) 21:36
- すっごい作者サンの世界に引き込まれます。
続きが気になる。。。。
さり気に期待v
- 36 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/03(金) 23:49
- 少し、よしごま風味も入ってるのかな?
たのしみです。
- 37 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 03:58
-
目覚めてすぐに、数学の課題が今日提出だった事に気付く。
いつもより鏡に向かう時間を減らしてアタシは学校に向かった。
早く登校してあさ美ちゃんに課題を写させてもらおうと思ったのだ。
しかし、学校に着くと肝心のあさ美ちゃんはまだ来てなかった。
な〜んだ、意味ないじゃん。
教室にいても暇なので、まだ完全には慣れてない校内を散歩することにした。
色々な教室の前を通る。
まだ時間が早いのでどの教室も人が少ない。
すっごい静かだなぁ。新鮮な気分。
- 38 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:00
-
しばらく歩いていると中庭のような場所に出た。
室内なのに植物がたくさん植えられている。
天井はガラス張りになっていて空が見えた。
いくつかベンチが置いてあって、ちょっとした公園みたいだ。
「へ〜こんなトコあったんだ」
奥へ進んでみた。
すると、驚いた事に一番奥のベンチに美貴先輩が座っているのが目に入った。
声をかけようか一瞬迷ったけど、思い切って呼んでみる。
- 39 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:02
-
「美貴せんぱ〜い」
・・・・・・あれ?
返事ナシ。
不思議に思って近づいてみると、先輩は目を閉じて眠っていた。
な〜んだ。
ガッカリしたようなホッとしたような複雑な気持ち。
起こさないように気を付けながら隣に座った。
顔を横に向けて先輩の顔を見る。
キレイ。
いつも見ているはずなのに、こうやって改めて見ると何故だかそう思った。
そう、先輩ってさ実はかなり整った顔してるよねぇ。
モテるはずだよ。
一年の間でもすでに有名人で男子が噂してるのよく聞くし。
男子だけじゃなく女子にもカッコイイって騒がれてるって、
アナタ知ってます?
心の中で隣に座って眠っている人に向かって聞いてみる。
- 40 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:06
- それにしても、ここは穴場だな〜。
そう思ってまた天井の空を見上げていると、
急に右肩に何か重みを感じた。
見ると、すぐ近くに先輩の顔がある。
ビックリして思わず顔を引いてしまった。
バランスを崩したのだろう。
アタシの肩に頭を乗せている。
なんかめっちゃドキドキするんですけど。
友達なんかとふざけて顔を寄せ合うなんてしょっちゅうしてる・・・。
けど・・・・・・
- 41 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:09
-
固まってしまって身動き一つとれない。
先輩の規則正しい吐息が耳元で聞こえる。
そう意識した瞬間、顔がカーッと熱くなるのが自分でも分かった。
どうしたんだろ。アタシ、絶対おかしいって。
何で?美貴先輩だよ?
何こんなに意識しちゃってんの、松浦サン??
アタシは思わず立ち上がってしまった。
あっ、しまった・・・・・・・。
- 42 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:13
-
予想通りいきなり支えを失った先輩の体はそのままベンチの上に崩れた。
ゴトッ。
「っつ、ッイタ〜」
先輩は頭をさすりながら起き上がろうとした。
「だ、大丈夫ですか〜??」
慌てて先輩の体を支える。
「えっ?ってか、何で亜弥がいるわけ?」
先輩は驚いた顔をしてアタシの顔を見つめた。
アタシは事の経緯を説明した。
もちろん美貴先輩を意識しすぎて思わず立ち上がってしまったって事は言わなかったけど。
- 43 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:17
-
「虫がいたからって、アタシを突き飛ばしたわけ?」
先輩はそう言うと、けらけら笑いながらアタシの顔を覗き込んだ。
うわっ。いきなりアップは止めて下さい。
私は慌てて視線を逸らすと、負けじと言い返した。
「突き飛ばしてなんかないですよ〜。ただビックリしたもんだから、その・・」
うまく嘘が付けない。
「で、でもですね!先輩感謝して下さいよ?アタシの肩タダで借りれたんですからねっ」
「確かにね〜。今、人気急上昇中の松浦亜弥の肩借りれたんだもんね〜。これは得した」
からかわれてしまった。何かムカツク。
「何ですかそれ?また人を馬鹿にして〜〜」
そう言うと、先輩は意外にも真面目な顔になって
「嘘じゃないし。アンタさ可愛いって評判だよ?
三年でも狙ってる人、結構いるんじゃないかなぁ」
と言った。
- 44 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:19
-
何だそれ。
そんなの初耳だよ。
ってか、アタシ一応、彼氏、いるし。
って、先輩はその事知らないのだろうか?
そう思って何故だか急に悲しくなってしまった。
そういえば先輩はあまり私の事聞いてきたことないなぁ。
別に興味も無いんだろうけど・・・。
あ〜また変な事を考えてしまった。
- 45 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:25
-
「美貴〜」
突然、先輩を呼ぶ声が聞こえた。
見ると入り口の所に先輩の友達が立っていた。
何て名前の人だっけ??確か―――
「あっ、梨華ちゃん」
そう、石川梨華さんだ。
先輩といつも一緒にいる、大人っぽくて声が高いキレイな人。
「やっぱりここじゃないかな〜って思ったんだぁ」
梨華さんはそう言いながらこっちに近づいて来た。
そして、アタシの姿を認めると
「あっ、初めまして〜、美貴の友達の石川梨華です」
と丁寧に自己紹介してくれた。
アタシも慌てて立ち上がると松浦亜弥ですとペコリと頭を下げた。
- 46 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:28
-
「どうしたの?」
先輩が梨華さんに尋ねた。
まだ眠いのか、欠伸をしている。
なんだかその仕草がとても可愛く見えた。
「あっ、そう数学でね少し教えて欲しい所があるんだけど」
その言葉でアタシは数学の課題のことを思い出す。
あさ美ちゃんもう来てるかな。
教室に戻ろうかとも思ったけど、もう少し先輩と喋ってたいという気持ちが消えない。
先輩どうするんだろう。帰っちゃうのかなぁ。
チラリと先輩の顔を見る。
- 47 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:33
-
すると、先輩の頭に沙紀さんの手が伸びるのが目に映った。
「また寝癖あるよ〜。もう、家で直してきなよって
いっつも言ってるでしょ」
そう言いながら、ごく自然な手つきで先輩の髪を直し始めた。
いつものことなのだろうか。
先輩は別にいちいち直さなくていいからと言いつつも、
梨華さんにされるがままになっていた。
アタシはその光景を見た途端に胸が締めつけられる。
そして思わず―――
居たたまれなくなって、二人に課題があるんで帰ります、
とだけ告げるとアタシは急いで教室に戻った。
- 48 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:35
-
―――先輩に触れないで
あの時、一瞬でもためらわなかったらきっと口にしてた言葉。
アタシ一体・・・どうしちゃったんだろう
- 49 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:38
-
どうしたんだろう。
慌てて出て行った亜弥のことを考えていると、梨華ちゃんがふふっと笑った。
「今の子、バスケ部の一年生?」
「うん」
「ホント噂通り可愛い子ね」
「本人は自分が噂になってるって知らないらしいけどね」
「そりゃまだ知らないわよ。入学してからまだ一ヶ月と少しだし」
「まぁ確かにね」
そういえばまだそれくらいしか経っていないのか。
いつも先輩、先輩と仔犬のようになついている亜弥は
昔からの知り合いのように思える。
- 50 名前:never know 投稿日:2003/10/05(日) 04:42
-
「それにあの子彼氏いるじゃない?」
えっ?彼氏?
「アイツ彼氏いるの?」
思わず声を上げてしまった。
そんな話、亜弥から一度も聞いた事がない。
その時になって気付いた。
私は彼女の事をあまり知らない。
というか、ほとんど何も知らなかった。
「知らなかったの?彼氏もねわりと男前でさぁ、
美男美女カップルって結構有名だよ?」
梨華ちゃんは不思議そうな顔をして言った。
そうだ。別にあんな可愛いんだから彼氏くらいいたって不思議じゃない。
私は彼氏がいるという事よりも、あんなに毎日一緒にいる亜弥の事を
何も知らない自分にショックを受けた。
- 51 名前:こお 投稿日:2003/10/05(日) 05:05
- また少量更新です。来週から少し忙しくなるので、出来てる分は更新してきます。
そして、またまたやっちゃいました。人名ミス・・・。
というのは、この小説途中まで娘小説じゃなくて、普通の人をモデルにして書いてたもんですから。書き込みする時に名前を変えてるんですよ。
って、いいわけスミマセン。頑張ります。
>33 :ad-as曲線 サン
あやみき、なかなか出て来なくてスミマセン。
回りくどいのが好きなもので(w
>34 :名無しさん サン
そういう風に言って頂けて嬉しいです。
出来るだけ分かり易いように心掛けるので。
彼氏・・・結構、重要キャラかも?って感じです
>35 :かかし サン
はい、さり気によろしくです
これからも作者ワールドに引きずっていきますよ〜
>36 :名無し読者 サン
あ〜〜〜鋭くてイタイ指摘ですね(w
一応、まだということで・・・
- 52 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/05(日) 12:54
- やった、更新だ!松浦さんが藤本さんの事を意識し始めてきましたね〜。
これからどのように物語が進むのか予想がつきません…作者さんがんがって!
- 53 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/05(日) 13:17
- 面白いっす。
じれじれした感じがさいこー。
- 54 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 22:51
-
自分の席に座ると鞄の中から数学の課題を取り出す。
まだあさ美ちゃんは来てなかった。
やれるとこまでは自分でやろう。
そう思ってシャーペンを握る。
しかし、目の前の数字はアタシの頭には全然入って来なかった。
どうしてもさっきの美貴先輩と梨華さんの親しげな様子が頭から離れない。
そんなアタシの肩に誰かが手を置いた。
「おっはよ〜」
愛ちゃんの声。振り向くと愛ちゃんとあさ美ちゃんが立っていた。
「あ〜おはよ〜」
「おはようございます。今日はやけに早いですね」
あさ美ちゃんがいつもの口調で言う。
最初は彼女のその丁寧な言葉遣いに戸惑いを覚えたりしたけど、
今ではもうすっかり慣れた。
「課題やってなくてさ〜」
そう言ってあさ美ちゃんの顔を上目遣いに見た。
すると彼女はいつものように顔色一つ変えずに、
「紅いもパン」
とだけ言った。
「了解です」
アタシはそう言うと、差し出された課題を急いで写し始めた。
アタシが宿題を忘れてくるのは珍しい事ではない。
だから毎回、あさ美ちゃんに何か奢る代わりに写させてもらっている。
- 55 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 22:54
-
「そういえばさっき見たやつ、噂は本当なのかもねぇ」
愛ちゃんが話を切り出した。
あさ美ちゃんはうんうんと頷いている。
「何の話?」
課題を写す手は止めずに、二人に尋ねた。
「さっきね、あさ美ちゃんと一緒に教室来る途中でね見かけたんだ〜」
愛ちゃんはちょっと興奮気味にそう言った。
「藤本先輩と石川先輩」
愛ちゃんの口から出た名前に心臓がドキドキし始めた。
思わず手を止めて彼女を見上げる。
そんなアタシに気付いていない二人は
やっぱりそうだ、何だと言い合っている。
「ふ、二人がどうしたの?」
出来るだけ平静を装って二人の会話に割って入る。
落ち着いて、アタシ。
- 56 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 22:58
-
「ほら〜あの二人ってさ〜付き合ってるって噂でしょ?
さっき渡り廊下ですれ違ったんだけどさぁ、雰囲気がもう
普通じゃないっていうか、ラブラブっていうか〜」
愛ちゃんはそう言うと、亜弥ちゃんすんごいビックリ顔になってるよ〜
とアタシの顔の前で手をひらひらさせた。
あさ美ちゃんがすかさず、でも愛ちゃんの方がだいぶビックリ顔ですよ、
と横から突っ込みを入れる。
そんな二人のやり取りを見ながら、アタシは唖然としていた。
――――ツキアッテル?
「そんなのありえないよ」
自分でもビックリするくらい大きな声を出してしまった。
愛ちゃんとあさ美ちゃんがギョッとした顔をしてアタシを見る。
近くにいた何人かのクラスメートもこっちを振り向いたのが分かった。
あ〜しまった。
慌てて口を抑えると、今度は声をひそめて言った。
「だって、二人とも女だよ?」
- 57 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:01
-
そうだよ。
二人とも女の人なんだよ?
アタシは二人の顔を見つめた。
すると、愛ちゃんがちょっと困った顔をして口を開く。
「そうだけどさぁ。でもあの二人全然彼氏とか作らないらしいよ?
告ってもね二人とも『好きな人がいるから』って断っちゃうんだって〜。
しかもね、二人がキスしてるとこ見たって人がいるんだよ〜」
・・・・・・・キス。
美貴先輩と梨華さんが?
さっきのシーンが頭の中に浮かぶ。
二人が唇を重ねている姿が簡単に想像できた。
・・・・・そっか。
さっきのはそういうことか。
な〜んだ。
何故か胸が苦しくなる。
だけど、アタシはその痛みの意味を考えないようにした。
考え出したら、今まで知らなかった自分に気付きそうで怖かった。
- 58 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:04
-
ホームルームが終った途端に、教室はがやがやと賑やかになる。
帰宅する人、部活に向かう人、はたまた受験生らしく残って勉強を始める人。
いつもの見慣れた光景を私はただボーっと見つめていた。
いつもなら私も真っ直ぐに体育館へ向かうところだけど・・・・・・。
これからどうするかを決めかねていると、
前の方からひとみが近づいて来るのが目に入った。
- 59 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:07
-
「美貴〜。部活行こ」
ひとみはバレー部だがバスケ部と練習が重なる日は
いつも一緒に体育館に行く。
「う、うん・・・・」
そう言いつつも足が進まない。
そんな私の様子に気付いたのかひとみは怪訝そうな顔をした。
「どしたの?部活行かないの?」
「う・・ん。今日は・・・休む」
サボる事にした。
私が行かなかったからって、朝高との練習試合が
無くなるわけじゃないだろうけど。
ただ、あの過去を思い出してしまっては
バスケットボールに触れる事は許されないような気がした。
- 60 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:09
-
「だったらあたしも休もうっと」
ケロッとした口調でひとみはそう言った。
「何でひとみまで休むのよ!
大体アンタ、キャプテンでしょうが」
「別にキャプテンだからって毎日行くって決まってないし。
今日は気分が乗らないからいいんだよ。
じゃあさ、あたし顧問のとこ行ってくるから
靴箱のとこで待ってて!」
そう言うと、ひとみは物凄い速さで教室から出て行った。
- 61 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:11
-
並んで駅に向かって歩く。
十分くらい歩いただろうか、突然、
私達の目の前にボールが転がってきた。
ひとみが拾い上げる。
すると、公園の方から5、6才くらいの男の子が走ってきた。
「君の?」
ひとみは男の子の目線に合わせて屈むとボールを差し出した。
「・・・うん」
男の子は手を後ろに組んでもじもじしている。
「道に出たら危ないからさ、気をつけて遊ぶんだよ」
ひとみは男の子の頭を軽くなでると、ボールを渡した。
「ありがとうっ」
男の子は照れくさそうな笑顔を浮かべると、
元気よくお礼を言って公園の中へ駆けていった。
- 62 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:13
-
「な〜んか子供はいいねぇ」
ひとみは立ち上がりながら、しみじみとそう言った。
「だね。悩みなんか無さそうでさ」
思わず本音が出てしまう。
そんな私を見てひとみはニヤリと笑った。
「よし、んじゃ今から子供に戻りますか!」
ひとみはそう言うと、公園の中へ向かって駆け出した。
- 63 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:14
-
「も〜」
遠ざかるひとみの背中を見つめながら一人呟く。
しかし、分かっていた。
それが彼女の優しさだと。
へこんでいる私を元気付けるためなのだろう。
不器用だけど気持ちが真っ直ぐな彼女らしいやり方。
私は胸の辺りが少し温かくなるのを感じた。
- 64 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:16
-
「疲れた〜〜」
そう言いながらベンチに座り込んだ。
「高三にもなってこんなことするとは思わなかった」
私は苦笑いしながらそう言った。
「いいじゃん。思い出、思い出」
ひとみはそう言うと、ベンチの隣に設置されている
自販機に向かって歩き出した。
「烏龍茶?お茶?」
「ん〜ロン茶」
「あはは、何だそれ」
ひとみがそう答えるのと同時にガタンッとジュースが
落ちてくる音が聞こえた。
- 65 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:19
-
「はい」
「ありがと」
缶を開けて中身を勢いよく喉に流し込む。
おいしい。やっぱり運動した後の冷たい飲み物は格別だ。
「にしても、子供はすごいな〜」
ひとみが空を見上げながら言った。
そう、私達は今さっきまでのあのボールの男の子達に混じって
遊んでいたのだ。サッカーをしたり、ドッジボールをしたり。
子供相手と最初は軽い気持ちで始めたが、
子供の元気さには部活をやっている私でさえ疲れるくらいに参ってしまった。
「ホントに。下手したら部活よりキツイかったかも」
私もそう言って、空を見上げた。
沈む夕日と夜の闇。
二つが微妙に入り混じるこの時間の空が私はとても好きだ。
どこを見上げても全く同じ空は無い。
- 66 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:22
-
「でも美貴、楽しそうだったじゃん」
ひとみはそう言って笑った。
確かに楽しかった。
最初は恥ずかしさもあって真面目に参加してなかったけど、
子供達の『お姉ちゃん、へたくそ〜』という言葉で
私の負けず嫌いに火がついてしまった。
気が付くと子供相手に真剣にやっている自分に笑えた。
でも、それが返って良かったのかもしれない。
帰り際には『また遊ぼうね。絶対だよ!』
と指切りまでされてしまうくらいに仲良くなっていた。
- 67 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:24
-
「アンタだって、めちゃくちゃ楽しんでたくせに」
そう言ってひとみの顔を見た。
まだ空を見上げている。
彼女はホント不思議な空気を持ってる。
何て言うんだろう。
誰に対しても壁を作らない。誰にでも平等に接する。
それが先生でも後輩でも子供でも犬でも。
何に対してもそう。
でも、私はそれが逆に誰か特別の人がいるからこそ
出来る事なのではないかとたまに思う。
それについて何度か触れようとしたけど、
私は結局出来ないでいた。
何故だろうか。
- 68 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:26
-
「あのさ」
ひとみはいつの間にか私の方を見ていた。
その目が真剣なのに少し戸惑いを覚える。
そして、続けて口を開いた。
「どうしたの?」
その短い言葉に含まれている意味を
私は誰よりも知っていた。
ひとみには隠していても仕方無いか。
私は短くため息をついて呼吸を整えた。
「部活のこと?」
お互いに分かっている事なのに敢えて確認する自分に笑ってしまう。
「うん」
ひとみはそう答えると、両手で握った缶を見つめた。
私はもう一度空を仰いで口を開いた。
- 69 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:28
-
私は中学を卒業すると、バスケの名門の朝高に推薦で入学した。
バスケ部だけは完全寮制だったので、
父親の転勤が重なった私にとってはラッキーだった。
寮は二人部屋だったが、同室の大谷雅恵とはすぐに仲良くなれた。
二人で一緒に全日本目指そうね、なんていつも言っていた。
練習は厳しくて辛かったけど、目標があったから頑張れた。
もともと体力には自信があったし、何よりも負けず嫌いだったから。
- 70 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:32
-
そして、総体を前に控えたある日、
顧問が大会の登録メンバーを発表した。
三年生も最後の大会で気合が入っていたし、みんな緊張していた。
顧問が次々に名前を挙げていく。
そのメンバーは全員が三年生。
なにせ、名門校だけあって三年生だけでも部員が三十数人いる。
だから中には最後の大会だというのに、ベンチ入りさえ出来ない先輩もいるのだ。
そんな中、最後の選手が発表された。
『最後は・・・あー、一年の藤本美貴』
顧問が一呼吸おいてそう告げた。
その瞬間、その場の雰囲気が変わったのは言うまでもない。
ワタシ?頭が混乱して何も考えれなくなる。
- 71 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:35
-
そんな私の体を誰かがぶんぶんと揺さぶった。
見ると、雅恵が顔をくしゃくしゃにして私に向かって何か言っていた。
『・・・き、みきぃ!選ばれたんだよ!』
彼女は自分が選ばれたかのように喜んでいた。
そんな彼女を見てもまだ信じられなかった。
そして、私がやっと実感を持ち始めた時にはミーティングはすでに終わっていた。
その時からだった。
私の長く苦しい日々が始まったのは。
そして、私はまだ何も知らなかった。
自分が選ばれた訳も、大切な友達を失う事も。
- 72 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:37
-
その日から私は嫌がらせを受けるようになった。
相手は三年生を中心とした先輩達。
部室のロッカーはめちゃくちゃに荒らされ、
バスケットシューズは切り刻んでごみ箱へ。
コーチや監督がいない時は色々な所からボールをぶつけられ、罵られた。
その手は部活を越えて教室にまで及んだ。
教科書は全て落書きされ切り刻まれ、
机には毎朝、卑猥な言葉が書き連ねられていた。
しかし、私は耐えた。
平気な顔をし続けていた。
バスケへの思いと雅恵の存在が私を支えてくれていた。
- 73 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:40
-
そんな私の態度がおもしろくなかったのか、
嫌がらせはますますエスカレートしていった。
今度は、ただ黙って見て見ぬふりを決めていた
同級生にまで指示するようになったのだ。
部活でも教室でも孤立していった。
共学だったらまだマシだったかもしれない。
だが、残念ながら朝高は女子高。
しかも、その中で生徒を牛耳る存在がバスケ部だった事が
私の運の無さかもしれない。
- 74 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:43
-
雅恵は何度も『顧問に話しに行こう。担任に相談しよう』
と言ってくれた。
しかし、私がいつも懇願していたので、
雅恵は何も言わずにただ黙っていてくれた。
その方が有難かった。
雅恵にまで嫌がらせが及んだら、私はきっと耐えきれなくなる。
夜中になると雅恵が声を押し殺して泣いているのを
私は何度か耳にしたことがある。
きっと悔しくて悔しくて仕方なかったのだろう。
そして、そんなある日、私と雅恵は信じられない話を
聞いてしまう。
- 75 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:45
-
ある日、私と雅恵は廊下を歩いていた。
すると、体育教官室から聞きなれた声が耳に届いた。
顧問の声だ。
そして、もう一人は・・・三年生で中心となって嫌がらせを指示している先輩だった。
嫌な予感がした雅恵と私は思わず聞き耳を立てた。
「今年の奴はなかなか骨があるみたいだな」
顧問がおもしろそうにそう言うのが聞こえた。
- 76 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:48
-
「そうなんですよ。藤本の奴、全然平気そうな顔してるんですよね。
中学から騒がれてたからって、調子に乗ってるんですよ。
まぁ、そこがイジメ甲斐があっていいんですけど。
すぐ辞めてもらったら楽しみも続かないし」
「ほどほどにしとけよ。去年の奴は学校辞めた後、自殺未遂して、
今精神科行ってるらしいからな」
「分かってますって〜。
だって、これは毎年恒例のただのゲームなんですから」
「確かにな。私もメンバー発表の時は思わず
笑いそうになったからなぁ」
「先生も悪いですよね〜。
こんなのが教育委員会にバレたらクビですよ?」
「おいおい、脅すなよ」
- 77 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:50
-
私は頭が真っ白になった。
ゲーム?
ナンノハナシ?
私は何も考えられなくなった。
その時、ガラッと扉が開いて雅恵が顧問に飛び掛る姿が目に入る。
顧問が倒れて床に頭を打ち付ける。
先輩が『だ、誰か来てぇ〜〜』と叫びながら
私の横をすり抜けて行った。
雅恵が顧問の顔や頭を拳でめちゃくちゃに殴っている。
誰かが私を突き飛ばして雅恵の体を押さえつけた。
顧問は頭から血を流していた。
雅恵が泣きながら何か叫んでいる。
スローモーションの映像を見てるみたい。
- 78 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:52
-
えっ?雅恵、聞こえないよ?
不思議な事に私の耳には一切音は入って来なかった。
目の前で非常事態が起こっているのにも関わらず、
私の体の中は静かだった。
雅恵が先生二人に押さえつけられながら何処かへ運ばれて行った。
雅恵?何処に行くの?
何故か言葉が出ない。
私はただ小さくなっていく雅恵の背中を見つめていた。
その日、雅恵は部屋に戻って来なかった。
- 79 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:54
-
翌日、雅恵は退学した。
すでに昨日の時点で退学届を出していたらしい。
私はバスケ部を辞めた。
顧問の怪我は大した事なかった。
そして、その日から私に対する嫌がらせは無くなった。
クラスメイトも何事も無かったかのように、私に接してくる。
誰も雅恵の事について触れようとしなかった。
まるで、そんな人間など存在しなかったかのように振舞った。
そんなみんなの態度に私は吐き気を覚えた。
教室にいても気分が悪くて、窒息しそうになる。
嫌がらせを受けていた時よりも居心地が悪かった。
- 80 名前:never know 投稿日:2003/10/08(水) 23:59
-
そんな中、一通の手紙が届いた。
シンプルな封筒だった。
『美貴へ
ゴメンね。いきなりいなくなって。でももうしんどい思いは
してないよね?嫌がらせされてないよね?それだけが気がか
りです。私は元気だよ。だから心配しないで。あと、最後に
一つだけ約束して下さい。絶対にバスケは辞めないって。あ
んな奴らのせいで美貴がバスケ辞める必要なんてないんだか
らね。私は美貴のバスケしてる姿が好きだよ。だからこれだ
けは守ってほしい。
いつか、全日本で美貴の姿を見れるの楽しみにしています。
雅恵』
- 81 名前:never know 投稿日:2003/10/09(木) 00:00
-
その後すぐに、私は自主退学した。
朝高にいる意味なんて何一つなかった。
そして、二学期から地元の公立高校に転入した。
- 82 名前:こお 投稿日:2003/10/09(木) 00:09
-
更新しました。
なんだか、長々と説明入れてしまいました・・・・
ホント私の文章ってクドいな(w
読んで下さり、ありがとうございます
>52 :名無し読者 サン
今回は全然、あやみき無くてスイマセン・・
私も話がどう進むのか想像つかなくなって来ました
ってのは、嘘ですけど(w
まだちょっと遠回りするかもしれませんが
宜しくお付き合い下さい。
>53 :名無し読者 サン
ホントじれったいですね(w
面白いだなんて・・・・
とても励みになります。
これからも宜しくどうぞ。
- 83 名前:笑々 投稿日:2003/10/09(木) 18:58
- 更新キターー
初めてレスさせて頂きます。
こおさんの文章かなりツボです。
藤本さん。。。。。イタイ
ますます楽しみな展開になってきました。
続きどきどきしながら待たせてもらいます!
- 84 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/09(木) 21:31
- あやみきが見たい。。。
_| ̄|○
- 85 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/10(金) 18:08
-
あやみき。じれじれじれったいっすね。でも作者殿のペースについていきますぞ。
- 86 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/13(月) 08:10
- 面白い!気づけてよかった
バスケとバンドがどうなっていくか
すごく気になります
更新待ってます
- 87 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/14(火) 13:16
- まさお〜涙
練習試合一体どうなるのだろう、
松藤の関係も気になる気になる
- 88 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 02:57
-
話し終わると、喉がカラカラになっているのに気付く。
手元の烏龍茶を持ち上げるが、空だった。
そんな私の目の前にアイスティーが差し出される。
「全部飲んでいいよ」
そう言ったひとみの顔は少し悲しげだった。
こんな表情の彼女を見るのは初めてかもしれない。
「ありがと」
受け取って口をつけた。
少しぬるくなっていたけど、
それでも私の喉を潤すのには十分だった。
好意に甘えて、一気に飲み干す。
- 89 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:01
-
ふぅと一息ついてまた口を開いた。
「それでさ、今度の日曜に朝高と練習試合やるらしいんだ」
わざと明るい声を出す。
「まぁ決まったことはしょうがないよね〜。最初聞いた時
はやっぱちょっとへこんだけどさ、今は全然余裕で大丈
夫。明日からはちゃんと部活出るし。今まで朝高のこと
思い出さないようにしてたから罰が当たったんだ、きっ
と。それに私、顧問の中澤に嫌われてるっぽいし。中澤
が決めたらしいんだ、練習試合するって」
ひとみに心配かけたくなくてつい長々と喋ってしまった。
でも、もう大丈夫。
- 90 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:03
-
私は思い切り立ち上がった。
「もう暗くなるし帰ろっか」
ひとみは何を考えているのか分からない顔をして私を見上げた。
「うん」
彼女はそう言って立ち上がると、
出口に向かって歩き出した。
私も空き缶をごみ箱に投げ入れると急いで彼女の後を追った。
- 91 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:04
-
もう駅に着くというところで、それまで沈黙を守っていたひとみがおもむろに口を開いた。
「空き缶二つとも捨てた?」
「えっ?」
「公園で飲んだやつ」
「自分のしか捨ててないけど?」
「あたしのアイスティー、美貴に渡したから
捨ててないんだけど」
「・・・」
「・・・」
まぁ、いっか。
細かい事は気にしない気にしない。
- 92 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:06
-
友達と別れて一人駅への道を歩く。
今日の部活はしんどかったなぁ。思い出して余計に疲れを感じた。
道を歩く人もみんな疲れたような顔をして、足早に家路を急いでいる。
今日のご飯何だろう。お腹減ったなぁ。
そんな事を考えながら、ふと先の方に目をやると、
誰かがアタシに手を振っているのが目に入った。
逆光でちゃんと顔が見えない。
誰だろ?
その人はこちらに向かって走って来た。
あっ、やっと顔が確認できる位置まで近づいて分かった。
- 93 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:09
-
後藤さんだ。
彼女はアタシがよく行くビデオ屋の店員さんで、通ううちに仲良くなった。
いつもオススメの映画なんか教えてくれたりする。
こんな所で会うなんてビックリ。
「亜弥ちゃ〜ん。偶然だねぇ」
「こんにちは。ホント偶然ですねぇ。私服だから一瞬誰だか分かんな
かったですよ〜」
ビデオ屋さんのエプロン姿以外の格好は初めて見た。
Tシャツに細身のパンツという極めてシンプルな格好だけどカッコイイ。
スタイルいいもんなぁ、後藤さん。
「それはそうと、亜弥ちゃんどうしたの?暗い顔して歩いてけど」
「そ、そんな事ないですよ〜」
「そんな事あるよ〜。いっつもニコニコしてるのにさぁ。
ほら、あたしでよかったら話くらい聞くよ?」
そう言ってアタシの顔を覗き込んできた後藤さんの目はとても優しかった。
- 94 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:14
-
近くに公園があったので、そこのベンチに腰を落ち着ける。
端っこにポツンとアイスティーの空き缶が放置されていた。
アタシは無意識にそれを手に取ると、近くのゴミ箱に捨てに行く。
戻って来ると、後藤さんは何故かアタシの顔をじっと見つめた。
「な、何か付いてますかぁ?」
思わず顔に手をやる。眉、ちゃんと描いたよね?
「違うよ〜。亜弥ちゃんってさ、ちゃんと躾されてるなぁって思って」
「そうですか??」
自分ではよく分からない。いつも普通にしてるつもりだけど。
「うちの店でもさ、ほら、返却する時って確認するじゃん?
亜弥ちゃんその時だって確認が終わるまでずっとニコニコしててさぁ、終わ
ったらぺコリって頭下げてくれるし。そんな客めったにいないんだよね。
だから、亜弥ちゃんってうちの店の中じゃ、かなり評判良いんだよ」
- 95 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:18
-
「そうなんですか〜?あっ、でもですね、親には小さい頃から『挨拶はし
っかり、いつも礼儀正しくしなさい』って言われてましたね、毎日のよ
うに。そのせいかなぁ」
「きっとそのお陰だね」
そう言って、後藤さんは、んぁ〜と大きく伸びをした。
「そういえば、彼氏君とはうまくやってる?」
『彼氏』という言葉に胸がキュッとなる
「まぁ・・・一応」
曖昧な言葉になってしまう。最近、あんまり話してないしなぁ・・・・。
「ん?なになに?ちょっとヤバイ感じなの?」
後藤さんはそう言って少し悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「や、ヤバイわけでもないんですけど・・・・。
なんか、分かんないんです」
- 96 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:21
-
心にずっと引っかかっていた思いを口にした。
ずっと誰かに教えて欲しかったコト。
「分かんないって?」
「彼氏のこと・・・・好きなのかどうかが。嫌いではないんですけど、
でも・・・・ちゃんとした恋愛の好きなのかが分かんないんです」
アタシがそう言うと、後藤さんは少し考え込むような表情を浮かべた。
そして、アタシの顔をじっと見つめると口を開いた。
「何の参考にもならないかもしんないんだけどさぁ」
そう言って空を見上げる。
- 97 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:24
-
「あたし幼なじみいるんだけどさ〜、その人の事めっちゃ好きなんだ」
「・・・はぁ」
唐突な話に少しビックリする。
「いつもずっと側にいたのに、最近になってやっと気付いたんだよ?
すごくない?」
そう言って後藤さんはニヤリと笑った。
「何で気付いたんですか?」
「それがさぁ、すっごい不思議なんだよね」
「不思議、ですか?」
「うん、その人が叱ってくれてさ〜。それで気付いたんだ」
- 98 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:26
-
「えっ?叱られて〜?」
何でそんなんで分かるんですか?
「しかもね、あたしがオーディション落ちてもうぜーったい歌手なんか
なれるわけないってヘコんでた時にさぁ。普通そういう時って励ます
もんでしょ?なのにね『高校行かないで自分で選んだ道だろ。そんなん
で簡単に諦めるな〜』って怒ってさ〜。でもその時、思ったんだよね、
この人好きなんだな〜って。って、訳分かんないって感じだよねぇ」
そう言って後藤さんはう〜んと唸りだした。
叱ってくれたから分かった・・・・・。
アタシにはいまいちピンとこない。
そんなアタシの様子を察したのか、後藤さんがまた口を開いた。
- 99 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:34
-
「う〜〜ん。うまく言えないんだけどさぁ、だから些細な事で人を好き
になったり、その人が好きだって気付いたりする事もあるってことか
なぁ。あ〜ゆ〜あんだすた〜ん?」
そっかぁ。
アタシは少しだけ分かった気がした。
その人が好きかどうかなんて頭で考えても分かることじゃないってこと?
「それで・・・その人とはうまくいってるんですか?」
聞いちゃいけないかなぁと思いつつ、つい口が滑ってしまう。
「どーだろ。口にはしないけどお互い解ってるって感じなのかなぁ。
普通にちゅーとかしちゃうんだけど。どうなんだろうねぇ?」
そう言って後藤さんは照れたようにまた空を見上げた。
って、ちゅ〜はしちゃうんだ・・・・・・・。
そんな恋愛もあるんだなぁ。
一つ大人に近づけた気がする。
- 100 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:38
-
きっと後藤さんと幼なじみさん、いい関係なんだろうなぁ。
とその時、美貴先輩の顔が頭に浮かぶ。
先輩・・・・・・梨華さんと・・・・・。
また胸が苦しくなってくる。
アタシは思い切って後藤さんに質問をぶつけた。
「いきなりなんですけど・・」
一呼吸置く。
「女の子同士の恋愛ってどう思いますか?」
「んぁ?」
後藤さんは一瞬呆気に取られたような顔をしたけど、
すぐにまたふにゃっとした笑顔に戻った。
もしかして気持ち悪いって思われちゃったのかな・・・。
気持ちが一気に沈む。
あ〜こんなの聞くんじゃなかった。
- 101 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:42
-
「いいんじゃない、別に」
しかし、後藤さんの言葉は意外なものだった。
「だって、好きになった人がたまたま同じ女だったってだけでしょ?
そりゃ確かに軽蔑する人とかはいっぱいいるけど、でもそんなの
関係ないじゃん。好きになったものはしょうがないし」
そこまで言って後藤さんは一旦、言葉を切った。
そして、真剣な眼差しでアタシの目を捉える。
「大事なのはさ、結局その人の気持ちの強さだと思うよ」
- 102 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:44
-
アタシはその言葉に全てを気付かされた気がした。
っていうか、ホントはずっと前から気付いていたのに。
些細な事で好きになったり・・・・・・。
後藤さんのさっきの言葉を噛み締める。
そう、アタシはただ逃げてただけ。
知らないふりをしてただけ。
少しみんなとは違う道を選ぶ勇気が足りなかっただけ。
アタシはずっと――――――――――。
- 103 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:50
-
「き・・・きってば〜」
遠くの方から声が聞こえる。
ん〜あと五分・・・・・。
「ったく、起きやがれぇい」
ガバっと勢いよくシーツが剥がされた。
慌てて目を覚ます。
あれ?
いつもとは違う光景が目に飛び込んできた。
あっ、そっか、ここ保健室だ。
隣には呆れ顔のひとみとニコニコ顔の梨華ちゃんの姿があった。
- 104 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:52
-
「やっと起きた」
梨華ちゃんはそう言いながらベッドに腰掛けた。
「って、今何時限目?」
まだちゃんと頭が働かない。
眠い目を擦りながら聞く。
「何時限目ってとっくに昼休みだよ!もうこっちは腹減って死にそう
なんだから、早く屋上行くよ」
ひとみはため息をつきながらそう言うと、
一人でさっさと保健室から出て行ってしまった。
- 105 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 03:55
-
「ほーら、美貴も早く行こうよ」
梨華ちゃんはベッドからぴょんと飛び降りると、
私に向かって大きく両手を広げた。
「その手はキショイから」
私はそう言うと、ベッドを抜け出し一人廊下へ出る。
後からひど〜い、泣いてやるぅという梨華ちゃんの声が聞こえたけど、
いつものように無視した。
- 106 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:03
-
昼ご飯はいつもここ屋上で食べている。
コンビニの袋から、パンを取り出して口に運んだ。
今日は良い天気だなぁ。
風が気持ちいい。
もぐもぐと口を動かしながら、空を仰ぐ。
と、突然、梨華ちゃんにシャツの裾を引っ張られた。
「見て、見て、あの人だよ」
梨華ちゃんが指差した先を見る。
反対側の校舎のベランダに数人の男子が座り込んでいるのが見えた。
誰?
「誰よ?」
私の代わりにひとみが尋ねた。
- 107 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:07
-
すると、梨華ちゃんは続けて
「ほら、あの髪がアッシュ系の人!」
とやや興奮気味に指を指しながらそう言った。
あの教室は二年か。
アッシュ系・・・・・・。
アイツか。ふ〜ん、わりとカッコイイ顔じゃん。
「あっ、もしや梨華ちゃんの好きな人?」
ふと、思いついてニヤニヤしながら聞いた。
梨華ちゃんって意外と面食いなんだ。
「そうじゃなくて〜。あの人が松浦さんの彼氏なの!」
梨華ちゃんはやっと伝わったかと満足そうな顔でそう言った。
アイツが?
慌ててまたベランダに目を移す。
アイツが亜弥の彼氏・・・・・・・・。
何か軽そうじゃん。
なんかムカツク。
- 108 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:10
-
「あ〜バスケ部の亜弥ちゃんか〜」
ひとみがはニヤニヤしながら私の肩を叩いた。
「何が言いたいわけ?」
ひとみがろくな事考えてないのは分かっていたので、ジロッと睨む。
「べっつに〜。何も言いたくはないけどさ、アンタの可愛い亜弥ちゃんに
男前の彼氏がいるなんてね〜」
「別にいたっていいじゃん。それに亜弥はただの後輩だし」
そうだよ。彼氏がいたからって私には関係無い。
「でも、な〜んで美貴に言ってないのか不思議だな〜。
あんなにいっつもベタベタしてんのにさ」
ひとみの言葉に私は少しへこんだ。
- 109 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:13
-
そうだよ、いつも先輩先輩ってうざいくらい色々話かけてくるのに。
朝ご飯何食べただの、
昨日の映画が怖くて泣きそうだっただの、
すっごい可愛い犬を見かけただの・・・・・・・
下らないことはたくさん言ってくるくせに。
何で彼氏がいるの黙ってるわけ?
予鈴が鳴るまで、私はずっと一人考え込んでいた。
- 110 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:20
-
放課後、携帯の日付を見て今日は部活の休みの日だと気付いた。
梨華ちゃん達と帰ればよかったなぁって今さら考えてもしょうがないか。
ひとみは部活行っちゃったし。
私はおとなしく帰ろうと、教室を後にした。
- 111 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:25
-
「今日は部活お休みの日ですよね?」
帰り支度をしていると、後からあさ美ちゃんの声がした。
「うん。あさ美ちゃんは・・・部活行かないの?」
彼女は化学部に入っていて、一年生だというのに部長を任されている。
何曜日が活動日だとか決まってないらしく、行きたい時に行くらしい。
前に一度遊びに行ったけど、白衣をまとい何やら怪しい色をした液体が
入ったビーカーを手に持つあさ美ちゃんがちょっと怖くて、
すぐに帰ってきたことがある。
それ以来あまり化学部について触れてないんだけど。
「まだ怖いんですか?」
あさ美ちゃんの目が怪しく光った。・・・・・ように見えた。
「そ、そんな事ないけど」
思わず声が上ずってしまう。
「今日は行かないですよ。さぁ、帰りましょう」
「う、うん」
あさ美ちゃんには何でも見透かされてそうな気がする・・・・・。
- 112 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:29
-
二人で校舎を後にする。
と、ちょうどその時、後から名前を呼ばれた。
「まつーらさん」
声で分かった。
アタシの心臓の鼓動が一気に早くなる。
立ち止まって振り向くと、やっぱり美貴先輩が立っていた。
「今から帰り?」
「ふ、はぁい」
「な〜に変な声出してんの」
美貴先輩は笑いながらアタシのおでこを指でびしっと弾くと、
視線を隣にいるあさ美ちゃんに移した。
- 113 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:32
-
「あっ、この前の。紺野さん、だよね?」
「お久しぶりです。この間は突然失礼致しました」
あさ美ちゃんはいつもの口調でそう言うと、深々と頭を下げた。
そして、アタシの方を向くと
「やっぱり少し調べ物をしてから帰ることにします」
と口早に言った。
「ちょ、あさ美ちゃん??」
驚くアタシを残して、あさ美ちゃんはそれじゃあ失礼しますと言うと、
校舎の中へ消えていってしまった。
いきなりどうしたの?
「あはは、マジおもしろい子だよね」
美貴先輩は校舎の方を見ながら可笑しそうにそう言った。
「何であさ美ちゃん知ってるんですか?」
「あ〜この間、挨拶されたんだよね、亜弥ちゃんのことよろしく
お願いしますって。その時ちょこっと喋ったから」
あさ美ちゃん、そんなこと一言も言ってなかったのになぁ。
ますます謎が深まる・・・。
- 114 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:36
-
「亜弥?」
「わぁっ!」
だから、いきなりアップは止めて下さいってば。
心臓に悪すぎます。
「アンタ、さっきからおかしいよ?顔赤いし。熱でもあるんじゃないの〜?」
そう言って先輩はケラケラ笑い出した。
って、全然心配してないじゃん!
だんだん悔しくなってきた。
「もう、アタシ帰りますからっ!」
先輩の顔を見ずにそう言うと、校門の方に向かって歩き出した。
どうせ梨華さんと一緒に帰るんでしょ?
そんな二人が一緒にいる姿は絶対に見たくなかった。
急に涙が出そうになって、慌てて堪える。
「って、何で先行っちゃうわけ?せっかくなんだから、一緒帰ろうよ」
予想外の先輩の声と共に、後から腕を掴まれた。
「だって、先輩・・・梨華さんは?」
- 115 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:43
-
梨華ちゃん?
何でそこに梨華ちゃんの名前が出てくるわけ?
そう私が口を開こうとした瞬間、鞄から振動を感じた。あっ電話だ。
「ちょっとゴメンね」
私はきょとんとしている亜弥に背を向けて、鞄から携帯を取り出した。
画面を確認する。
保田さんの店からだ。
一体、何なんだろう。
「もしもし」
『美貴〜、あっ、私だけど』
「って梨華ちゃん?どうしたの?」
『私の携帯充電切れちゃって〜。今、保田さんの店にいるんだ』
「うん」
『暇だったら美貴も来ないかな〜っと思ってさぁ』
どうしよっかな。一瞬考える。亜弥の顔をチラリと見た。
- 116 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:45
-
「あ〜ゴメン。私ちょっとこの後予定あるんだよね」
『そっか〜ざんね〜ん。じゃ明日学校でね!』
「うん。じゃあまた明日ね」
携帯を閉じて鞄にしまう。
そして、亜弥の方に向き直るとゴメンねと謝った。
「梨華さんだったんですか?」
そう言う亜弥が、少し拗ねているように見えるのは気のせいだろうか。
- 117 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:47
-
「うん。遊ぼうって誘われたんだけどさ、用事思い出しちゃって断ったよ」
「だったら、早く帰らなくていいんですか」
「うん。帰るよ。でさ、亜弥、今から予定ある?」
「アタシ?アタシは別に無いですけど」
亜弥は少し首を傾げると、不思議そうな顔をした。
「だったらさぁ、一緒に遊び行こっか?」
- 118 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:51
-
美貴先輩、アナタ、今、何て言いました??
「えっ?嫌なの?」
先輩はそう言って、少し顔を曇らせた。
「嫌なわけないじゃないですかぁ!!」
また、大声を出してしまった。
周りの生徒がビクッとした様子でこっちを振り向く。
「あはははは、アンタ声でか過ぎだから」
先輩はおかしそうにお腹を抱えて笑い出した。
「そ、そんなに笑わなくてもいいじゃないですかぁ」
ハズカシイ・・・・・・・・。
- 119 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/15(水) 04:54
-
「だってさ〜。あはは、マジ可笑しい。こんな笑ったの久しぶりだし」
先輩はそう言いながらまだ笑っていた。
もう、笑いすぎだから〜。
でも・・・・・・・
こんなに笑う先輩を見れてアタシは幸せな気持ちになった。
「んじゃ行こっか」
ひとしきり笑うと、先輩はそう言ってアタシの背中をポンッと叩いた。
そんなさり気ない仕草にでもドキドキしてしまう。
神様、こんなアタシおかしいですか?
- 120 名前:こお 投稿日:2003/10/15(水) 04:57
-
更新しました〜。
で、もう寝なきゃなんないのでレスのお返事は明日にさせて頂きます。
スミマセン。では、おやすみなさい・・・
- 121 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/15(水) 10:16
- ぁゃゃ全然おかしくないよぁゃゃ……
何か見てるこっちがドキドキしちゃいます(w
- 122 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/15(水) 10:30
- 自習中の教室で携帯から読んでたんですけど、
更新があっただけで顔がにやけちゃいました
次の更新もお待ちしてます
- 123 名前:こお 投稿日:2003/10/15(水) 20:43
-
レス返事遅れてスミマセン。
読んで下さってありがとうございます。
>83 :笑々 サン
ちょっと藤本さんにはイタイ思いしてもらいました
ツボに入れてなによりです(w
これからもお付き合い下さいまし
>84 :名無し読者 サン
ホント遠回し遠回しでスイマセン・・・・
書いてるこっちもじれったいです(w
でも、今回はちょっと満足頂けたでしょうか?
>85 :名無し読者 サン
多分、気分屋ペースになると思われますが
見失わないようにお付き合い下さい(w
これからも宜しくお願いします。
- 124 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/15(水) 20:50
- この焦らされてる感がたまんないです。(w
- 125 名前:こお 投稿日:2003/10/15(水) 20:52
-
>86 :名無し読者 サン
気付いて下さり何よりです。
バスケとバンドの両立、作者自身難しく
なってきました(汗
藤本さんはエライですね(w
>87 :名無しさん サン
まさおは結構お気に入りのキャラなので・・・
っと、口が滑るところだった(w
これからもお付き合いくらさいね
- 126 名前:こお 投稿日:2003/10/15(水) 21:02
-
>121 :名無し読者 サン
あややはどうなっちゃうんでしょうか?
作者にも分かりません(w
ドキドキが続いてもらうよう頑張ります
>122 :名無し読者 サン
携帯から読みにくくなかったでしょうか?
まだ改行のタイミングなどが掴めてない未熟者なので(w
更新できるだけ早め早めに心がけますね。
>124 :名無し読者 サン
焦らして焦らして焦らしまくって
ひかれたらどうしましょう?(w
これからもこのペースでいくと思われますので
宜しくお付き合い下さい。
- 127 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/16(木) 18:01
- あやみきデートクル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
焦らされた甲斐がありました。超期待してます!
- 128 名前:かかし 投稿日:2003/10/17(金) 18:46
- 久々にパソ開いたら更新されてて涙が出てきました(w
おもしろすぎ。次の更新までおとなしく焦らされてます。
- 129 名前:チビ読者 投稿日:2003/10/19(日) 16:59
- 今日全部よみました
自分のツボにハマりまくりました!
つづきまってますです!!!!!
- 130 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 22:47
-
「どっか行きたいとこある?」
先輩と一緒ならどこでもいいです。
なんて口が裂けても言えないけど・・・・。
「どこでもいいです!」
大声にならないように気を付けながら、でも元気よく答える。
そんなアタシの様子を見て先輩は優しく微笑んでくれた。
そんな顔めったにしてくれないのに・・・・。
また胸がドキドキしてくる。
「じゃあさ、取り合えずなんか食べよっか?
私のオススメの店連れてってあげる」
そう言う先輩について、アタシ達は電車に乗り込んだ。
- 131 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 22:49
-
駅を降りて、改札を抜ける。
先輩は色々な店が並ぶ大通りを抜けて、裏の狭い通りに足を進めた。
飲み屋さんが多くて、アタシが想像してたような場所とは少し違う感じがした。
でも、先輩がその店によく行くんだなぁってことは分かった。
話しながらでも、狭い道をするすると迷わずに抜けていく。
その横顔は、なんだか学校で見る先輩とは全然違う人に見えてきた。
アタシここで置いてかれたら、一人じゃ帰れないかも・・・・・。
そう思うと急に不安になってくる。
- 132 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 22:50
-
「どうしたの?」
急に先輩が立ち止まって、アタシの顔を覗き込む。
「えっ?」
「いや、その、手が・・・」
そう言って先輩が視線を下に向ける。
アタシもその視線を追う。
と、自分でも気付かないうちに先輩の制服のシャツを
思いっきり握っている自分の手が目に入った。
「ご、ごめんなさいっ!!」
慌てて手を離す。
先輩のシャツはそこだけ不自然にクシャっとなっていた。
「あ〜シャツが・・・・ホントごめんなさい」
めちゃくちゃテンションが下がる。
- 133 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 22:55
-
「亜弥」
うなだれてるアタシの頭に先輩の声が降ってきた。
「知らないところに連れて来られて怖かった?」
さっき思ってた事を言い当てられてドキッとする。
「・・・そんなんじゃ無いんですけど」
「嘘つけ〜。目泳いでるし〜。あはは、アンタ分かりやす過ぎ」
先輩はそう言っていつものように、アタシのおでこに手を伸ばす。
アタシは反射的に目をつぶった。
しかし、感じたのはいつもの軽い痛みではなく
頭に乗せられた先輩の手の温もりだった。
- 134 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 22:56
-
「でも、私が一緒だから大丈夫でしょ?」
目を開けると先輩の優しい顔が目の前に現れた。
何で今日はそんなに優しい顔ばっかりしてくれるんですか?
そんな顔されたらアタシ――――――。
「でも、もうすぐで着くからさ。よし、んじゃ行くべ」
先輩は照れたように笑うと、また前を向いて歩き出した。
ずっと一緒にいれたらなぁ・・・・・。
その後姿を見つめながらアタシは心の中で呟いた。
- 135 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 22:58
-
「ここだよ」
そう言って先輩が足を止めたのは、ちょっと古びたラーメン屋さんだった。
って、ラーメンっすか??
まぁアタシが勝手に甘い雰囲気を期待してただけだけど・・・。
「入るよ〜」
でも先輩の嬉しそうな顔を見たらそんな思いも一気に吹き飛んでしまった。
「はいっ」
先輩がガラス戸を開いて店に入った。アタシも後に続く。
「らっしゃい!」
カウンターの中から店のおじさんの威勢のいい声が聞こえた。
「おう、美貴ちゃんじゃないか。久しぶりだねぇ」
おじさんは嬉しそうに目を細めるとカウンターの席に案内してくれた。
「今日はお友達も一緒かい?誰か連れてくるなんて珍しいじゃないか」
先輩の後に立っていたアタシに目をとめておじさんはニコッと笑いかけてくれた。
なんかすっごい良い人そうだなぁ。
- 136 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 22:59
-
「ご無沙汰してます。店長、相変わらず元気そうっすねぇ。
あっ、この子部活の後輩なんですよ」
そう言って先輩は隣に座ってと手招きした。
アタシもこんにちはとぺコリと頭を下げて席に着いた。
そっか、店長さんなんだ。
「おう、可愛い子だねぇ。サービスしとくよ」
店長さんはそう言って、いつものやつでいいよなと先輩に確認すると、
奥の方へ消えていった。
- 137 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:01
-
「ホントおいしかった〜〜」
ラーメン屋を出てすぐに亜弥はそう言った。
「でしょ?」
そう言われると別に私の店でも何でも無いけど気分が良くなる。
連れて来てよかったな。
「お腹いっぱいになっちゃいましたねぇ」
「だね」
鞄から携帯を取り出して時間を確認する。
四時ちょっと過ぎ。
明日は学校休みだけど、ん〜どうしよっかなぁ。
「亜弥、これからどうする?」
って聞かれても困るかなぁ。誘ったのは私の方だし。
- 138 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:03
-
「ん〜・・・・・・あっ!」
突然、何かを思い出したかのように亜弥は両手をパチンと叩いた。
「どしたの?」
「プリクラ撮りに行きましょうよ〜」
プリクラ〜?
「え〜めんどくさい」
別に嫌いじゃないけど、並んだりポーズを作ったりするのがなぁ・・・・。
「だって、だって、先輩前からプリクラ下さいって言ってんのに、
いっつも今度今度って言うじゃないですかぁ」
口を少し突き出して、子供のように拗ねる。
私には到底出来そうにない芸当だ。
ホント可愛いな〜。改めてそう思った。
「だって別に必要無いしさ〜。貰ったってかさばるだけで意味ないし」
と、言った後でしまったと思ったが、時既に遅し、だった。
- 139 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:04
-
「じゃあ、アタシが今までにあげたプリクラどうしてるんですかぁ?」
さっきまでの拗ねモードが今度は怒りモードに突入したらしい。
けど、亜弥の場合怒っててもどこか可愛らしさがあるのが女の子らしい。
私の場合、怒ってる顔は相当キツイらしいけど・・・・・。
「やぁ、その、ちゃんと机の引出しにしまってあるって」
「あんなに手帳に貼っとくよって言ってたじゃないですかぁ!」
「分かった、分かりました。今日、家帰ったら絶対貼っとくから」
「約束ですよ??」
「はい、約束します」
ヤバイ、帰ったら今までに亜弥から貰った無数のプリクラ達を
探し出さねば・・・・・。
- 140 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:06
-
大通りの方へ戻って、近くにあったゲームセンターに入る。
奥にプリクラコーナーがあった。
前に一度だけバンドの四人で撮りに来たことがある。
その時は、全く表情を変えない保田さんにみんなで大笑いしたなぁ。
やっぱりこの時間は学校帰りの学生で賑わっていた。
しかも週末だし。
機種選びは亜弥に任せることにして、彼女の後をテクテクついて行く。
亜弥は何がそんなに楽しいのか、きょろきょろと吟味しながら人ごみの中を進んで行く。
「これにしましょ〜」
そう言って彼女が指差した機種にはすでに二、三組並んでいた。
そこで前に亜弥と話した時の事が思い出される。
『アタシ、プリクラ撮りに行ったら絶対三、四回は撮っちゃうんですよねぇ』
・・・・・。
さっきのプリクラ救出大作戦といい、今日はプリクラに苦しめられそうだなぁ。
私は他人事のようにそう思った。
- 141 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:08
-
私の予想通り二人で四種類くらいプリクラを撮った。
一回でこんなに撮ったの初めてだった。
しかし、実際撮っていくとテンションも上がってきて
――やけになってたのかもしれないけど――結構おもしろかった。
亜弥はさすが百面相だけあって、顔の表情が豊かだった。
それを言うと、亜弥はふと一瞬顔を曇らせたかのように見えたのは気のせいだろうか。
撮ったプリクラも一通り見終り店から出る。
先ほどより道を歩く人の数が増えていた。
いつもならこのまま誰かの家に行ったり、カラオケに行ったりするところだけど。
亜弥の方に視線をやる。
彼女はまだプリクラを見つめていた。
- 142 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:10
-
「いつまで見てんの?」
少し呆れながら亜弥に向き直った。
何がそんなにおもしろいのだろうか?
「だって、先輩のプリクラ嬉しいんだもん」
少し照れながらでもハッキリとした口調で亜弥はそう言った。
・・・・可愛いやつめ。
素で嬉しいと思ってしまう自分がいる。
しかし、面と向かってそんなことを言われると正直どんな顔していいのか分からない。
だから、ついいつものからかい口調になってしまった。
- 143 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:12
-
「アンタ、もしや私の事好きなわけ?」
冗談で返ってくるとばかり思っていた。
『そんなわけないじゃないですか〜』って。
いつもの笑顔でそう返ってくると思ってた。
だけど、私の予想とは違い亜弥は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
- 144 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:13
-
えっ?
何なの、その反応は?
動揺するじゃん、ねぇ、まつーらさん?
「って、アンタ彼氏いるしね〜。ありえないって感じだよねぇ。
あはは、からかってゴメン」
思わず、私は笑いながらそう口にしていた。
だよね?
これでいいんだよね?
- 145 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:16
-
「・・・もう、からかい過ぎですって、先輩」
アタシは顔を上げると、いつもの笑顔を作る。
バカみたい。
ホントは泣きそうなのに何でこんな顔してんだろ、アタシ。
先輩がアタシのこと全くそういう風に見てないって事、十分に分かっちゃったじゃん。
最悪。
ってか、最初から分かってた事だけど。
こんなつらいなんて・・・・。
- 146 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:17
-
「・・・ゴメン」
先輩、何で謝るんですか?
ほら、アタシちゃんと笑ってるじゃないですか。
そんな顔しないで下さいよ〜。
「亜弥、ついてきて」
先輩はアタシの腕を掴むと、勢いよく歩き出した。
先輩、どこに行くんですか?
なんかすれ違う人がアタシの顔を見てる気がした。
- 147 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:19
-
着いたのは『ユナイト・スタジオ』って所だった。
そう言えば、先輩ってバンド組んでるって言ってたっけ。
「ここでちょっと待ってて」
先輩はカウンターにいる人と少し話をすると、すぐにアタシの所へ戻ってきた。
「こっち、ついてきて」
先輩はそう言うと、廊下の奥をズンズン進んで行く。
先輩、何か怒ってるの?不安に駆られる。
先輩が入ったのは一番奥の部屋だった。
うわぁ〜スタジオって初めてだ〜。
ドラムがあって、四角い箱みたいなのが幾つかある。見たことない機材がいっぱいあった。
キョロキョロするアタシの目を先輩の顔が遮った。
見たことも無い真剣な顔をしている。
- 148 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:21
-
「せ、せんぱい?」
そんなに近づかないで・・・。
アタシの心臓はまだ未練がましくドキドキし始める。
せっかく諦めがつきそうだったのに。
「亜弥、どうしたの?」
先輩はそう言ってアタシの頬を優しく撫でた。
その時、初めて気付いた。
アタシいつの間にか泣いてたんだ。
自分でもビックリしてしまう。
そっか、だからみんなアタシの顔ジロジロ見てたのか。
「何でもないですってば〜。ちょっと目にゴミが入ったみたいで」
わざと目を擦りながら、いつもより大袈裟に言ってみる。
これ以上、先輩に迷惑かけたくない。先輩は少し表情を強張らせた。
- 149 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:24
-
「いい加減にしてよ」
先輩は静かに、でも凄みのある声でそう言った。
「アンタ今日ずっとおかしいって。一体どうしたわけ?
私が気付かないとでも思った?何で何にも言ってくれないの?
私はねぇ、アンタのこと・・・・・」
そこで先輩は言葉を切る。アタシは先輩の?
「・・・・大切な後輩だって、思ってるんだから、さぁ」
先輩は顔を真っ赤にして早口でそう言った。
「だから、思ってる事とか言ってよ、ちゃんと」
先輩の顔はますます真っ赤になる。ゆでダコみたい。
でも、スッゴイ嬉しい。
例え・・・・この思いが通じなくても。
- 150 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:26
-
なんか、めっちゃ恥ずかしい台詞言っちゃってない?私。
考えれば考えるほど、恥ずかしくなってくる。
「先輩」
顔を上げた亜弥はさっきより幾分明るい顔になっていた。
少しホッとする。
「何?」
「ありがとうです」
「べ、別に私は何にも・・・」
「嬉しかったです。先輩に『大切だ〜』なんて言ってもらえて」
亜弥は少し悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
アンタ、何か企んでません?
「ここのガラスって、外からは見えないんですねぇ」
突然、亜弥は壁の方を向いてそう言った。
「あ〜うん。外からは鏡みたいにしか見えないんだよ。
ここ一番奥の部屋だし、防音だから。
変な人とか来たら分かるように、そうしてるみたいだけど。
って、それがどうしたわけ?」
「じゃあピッタリだぁ」
亜弥はそう言うと、鞄から携帯を取り出し顔の横でそれを振った。
何しようとしてるわけ?
- 151 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:31
-
先輩は怪訝そうな顔をしてアタシを見ている。
アタシはそんな先輩の視線を無視して、携帯から先輩のメモリーを呼び出して通話ボタンを押した。
数秒後、先輩の鞄から着信音が聞こえてくる。
「先輩、電話ですよ〜」
何も知らない先輩は慌てて鞄から携帯を取り出して開いた。
「って、アンタじゃん」
先輩はますます怪訝そうな顔をして携帯を手にアタシを見ている。
少し怒ってるようにも見えるけど、でももうちょっとだけ
アタシのワガママに付き合って下さい。
「先輩、電話取って下さいよ〜」
アタシはそんな先輩を無視してそう言った。
先輩は首を傾げながらも、通話ボタンを押してくれた。
- 152 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:33
-
1秒、2秒・・・・。画面に数字が表示される。
普通に話せる距離にいるのに、二人とも携帯を耳に当ててるっておもしろいなぁ。
「これから先輩にず〜っと言いたかったこと言いますね」
『うん。って普通に言えばいいじゃん』
先輩の声は携帯からも、直接にも聞こえる。
なんか不思議な感覚。
「だから、直接は言いにくいんで、先輩ガラスの向こうに行って下さいっ」
『はぁ?』
先輩は明らかに嫌そうな顔を作る。
もう、せっかく可愛いのにそんな顔しないで下さいよ。
「お願いします」
アタシはそう言ってペコリと頭を下げる。
『・・・まぁ、別にいいけどさぁ』
先輩はそう言って、やれやれといった感じで部屋を後にした。
- 153 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:35
-
すぐに部屋の外に先輩の姿が現れた。
アタシと全く目が合わない。当たり前だけどさ。
「せんぱ〜い、もうちょっとこっち近づいて下さい」
『ここら辺でいい?』
「はい。そこでいいです」
鏡一枚隔てたすぐ向こうにいる先輩は立っているのに、
なぜかもっと遠くにいるように感じた。
先輩はもう手が届かない人なんだ。
- 154 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:36
-
「先輩」
『うん』
「言いますね」
『うん』
先輩の顔を見つめる。
キレイな顔。
初めてアタシに失恋の痛みを教えてくれた人。
「アタシ、ずっと前から――――――」
そこまで言っで、電源を切った。
ツーツーという音が聞こえる。
「先輩のこと好きだったみたいです」
- 155 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/19(日) 23:40
-
「ずっと好きだったみたいです」
目の前にはビックリした先輩の顔。携帯を見つめてる。
肝心なところで電話切っちゃってゴメンなさい。
美貴先輩、今さら好きだなんて言う勇気アタシにはありません。
でも、先輩の事ずっと好きでいてもいいですか?
アタシはそっとガラスに顔を寄せると、先輩の唇の方に自分の唇を寄せた。
ヒヤリとした冷たい感触
これがアタシのファーストキスだって思っててもいいですか?
- 156 名前:こお 投稿日:2003/10/19(日) 23:55
-
更新しました〜。
今回は松浦サン、切ないモードですねぇ。
これからどうなるんでしょうかねぇ?(w
- 157 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/20(月) 00:00
- うはぁああああっ!!
なんっつー切ない事をするんですか、この人は…。
うぅ…心臓が痛い…。
…早く助けて下さい。(w
- 158 名前:こお 投稿日:2003/10/20(月) 00:02
-
いつもいつもありがとうございます。
皆さんのレス、とても励みになります。
>127 :名無し読者 サン
あやみきデート、期待を裏切ったかもしれませんねぇ(苦笑
すんません。
また焦らしモードに入ったら怒ります?(w
>128 :かかし サン
そんな涙まで流していただけるなんて・・・
何がそんなに悲しかったのですか?
って、バカなこと言ってすんません。
いつもありがとうございます
>129 :チビ読者 サン
ツボに入れて何よりです(w
これからも期待に添えるかどうか分かりませんが
お付き合い下さいね〜
- 159 名前:こお 投稿日:2003/10/20(月) 00:06
- >157 名前:名無し読者 サン
レスを返す間に書き込むなんてテクニシャンですねぇ(w
って、大変だ〜。救急車呼ばなきゃ〜(w
こんな展開、まつーらサンごめんなさいって感じですたい
- 160 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/20(月) 00:37
- 切なすぎるよぅ・゚・(ノД`)・゚・
こんなとこで切るなんて殺生や〜
- 161 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/20(月) 01:52
- こんなの嫌だよ〜(泣)
松浦さん可愛すぎるし切なすぎます!
こんな投げかけ方式で更新終了されると
体に悪いですよ。実際!
- 162 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/20(月) 07:55
- まったくだ…
頼みますよ作者さーーん(泣
- 163 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/20(月) 09:25
- 心臓がギュッと締め付けられました…しかも涙まで出てきました(泣
切ないよ〜〜〜
- 164 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/20(月) 23:51
- せ つ な い よ
- 165 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/21(火) 10:12
- 思い合ってるのにすれ違い…
青春だなぁ…青春だけどさぁ!!(泣
続き待ってますー。
- 166 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 21:57
-
何で切れたんだろ。ってか、切られたような・・・・・。
訳分かんないだけど。
しばらくじっと携帯を見つめていたけど、亜弥から電話がかかって来る気配は無い。
自分の方からかけ直そうと思ったが止めた。
何故かそうしちゃいけないような気がした。
- 167 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 21:58
-
顔を上げて鏡の中の自分を見つめる。
少し険しい顔。
目の前に立っているだろう亜弥の姿を想像した。
明らかに向こうからは全部見えてるハズで、でも電話はかかって来なくて・・・・。
その瞬間胸騒ぎがした。
まさか――――
ドアに駆け寄り、ノブに手をかける
――――倒れてるんじゃ。
焦りながらドアを押し開く。
- 168 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 21:59
-
しかし、予想に反してちゃんとそこには彼女の姿があった。
ガラスにおでこをピタッとつけて、静かに目を閉じて立っている。
よかった。
そう思って安心した瞬間、肩の力が抜けるのが分かった。
「もう、本気で焦ったって〜」
「せ、んぱい?」
私の言葉にハッとして、亜弥は驚いた顔をこちらに向けた。
私が入って来た事に気付いてなかったらしい。
「急に電話切れるからさぁ、もしかして倒れたんじゃないかって
心配したし」
そう言いながらアンプの上に座り込む。
- 169 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:01
-
さっき何故だか亜弥が消えてしまったんじゃないかっていう錯覚に襲われた。
そんな事有り得ないのに。
「ごめんなさい。充電、切れちゃったんですよ」
そう言って亜弥は携帯を手で弄びながら、視線を落として呟く。
あ、何か隠してる。
直感でそう思った。
「で、話の続きは?『ずっと前から』の続きって何なわけ?」
意識して少しキツめの口調で尋ねる。
その方が本当の事を話してくれそうな気がした。
誤魔化されたくない。
しかし、彼女は下を俯いたままで何も言おうとしなかった。
「亜弥」
まだ顔を上げない。
「顔上げて」
その言葉で亜弥は渋々といった感じで顔を上げた。
困っているのか、怯えているのか、怒っているのか・・・・。
読み取れない表情。
亜弥がそんな言葉で表現出来ないような顔をするなんて。
私は何故だか切なさを感じた。
- 170 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:02
-
先輩はじっとアタシを見つめている。
今日、何回目か見る真剣な表情。
そんな強く見つめられたら、心の中が全部見透かされてしまいそうな気がした。
でも、それでもいいかな。
伝えたいような、伝えたくないような。
切なくて苦しくてどうしようもないこの気持ち。
- 171 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:04
-
ホント気付くの遅いよ、アタシ。
思い出してみたらすぐに気付けてそうなのになぁ。
アタシが他人に感化されるなんて滅多にあることじゃない。
先輩の存在は初めて見たあの日から心に根付いていたんだ、思ってた以上に深く深く。
先輩のことずっと意識してた。
そう、先輩がアタシの存在を知る前から。
それが実際に会って憧れから恋に変わっただけの話。
気付いた時には終わってただけの話。
でも、やっぱ悟られちゃいけない。
先輩を困らせちゃいけない。
そう思って何か別の言い訳を考え始める。
- 172 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:05
-
「あ〜〜分かった」
突然、先輩が声を上げた。
えっ?気付かれた?
心臓が物凄い速さでドキドキし始める。
「アンタ意外と気使うんだね。いつもズバッと言っちゃうくせに」
先輩は何故か笑いながらそう言った。
ヤバイ。
絶対バレてる。
絶対拒絶される。
そんな面と向かって言われたら絶対耐えられない。
やだ――――。
- 173 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:07
-
「部活のことでしょ?」
ブカツ???
先輩の口から全く予想してなかった単語が飛び出してきて、
アタシは一瞬何のことか分かんなくなった。
・・・・・部活?
そんなアタシの表情を肯定と受け取ったのか、
先輩は頷きながら話を続けた。
「練習試合の話聞いてから私が部活来なくなったからさぁ、
亜弥それ聞こうと思ったんでしょ?」
そういう意味か・・・・。
ホッとしたようなガッカリしたような不思議な気持ち。
でも良かった。全然気付かれてない。
これからもこうやって普通の先輩後輩で一緒いれるんだ。
アタシは前向きに考えることにした。
- 174 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:08
-
「ばれちゃいました?」
わざと悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「そんなの普通に言えばいいのに」
先輩は少し呆れ顔で苦笑いしている。
「でも、なんか聞いちゃダメかな〜って思ったりして」
「いいよ、別に。みんな知ってることだし。亜弥だって知ってんでしょ?
私が朝高辞めたの顧問殴ったからだって噂」
「・・・・・知ってますけど」
やっぱホントだったんだ、あの噂。
でも、こんなにあっさりと先輩の口から聞くなんて意外で、
逆に本当っぽくない気がした。
先輩は滅多に自分の昔の話をしないのに。
- 175 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:10
-
「・・ホントなんですか?」
しつこい気もしたけど、でもちゃんと確かめたかった。
これでウザイって思われても悲しいけど。
「何で?嘘っぽい?」
先輩は意外な質問にビックリしてるみたい。
声に少し動揺の色が混じっていた。
「そんなんじゃないんですけど」
どう返していいのか分からなくなってきて言葉に詰まった。
う・・やっぱ聞かなきゃよかった。
「亜弥みたいな子、初めてかも」
えっ?
先輩はいきなりそう言った。話が見えない。
- 176 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:11
-
「だって、みんな噂ってだいたい信じちゃうじゃない?」
先輩は立ち上がって、アタシの方に近づいてきた。
「わざわざ確かめる人初めてだよ。あっ、練習試合にはちゃんと行く
から。休んでみんなに迷惑かけるわけにも行かないし」
そう言いながら先輩はアタシとの距離をどんどん縮めていく。
ちょ、近いんですけど?
「み、き、せんぱい?顔、顔近すぎなんですけど?」
思わず声が裏返ってしまった。
それでも先輩の顔はどんどんどんどん近づいてきて―――――――
- 177 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:13
-
キスされる
思わず目をつぶった
・・・・・
「へぇ〜唇にほくろあるんだ〜」
先輩の声が耳に響いた。
・・・・ほ、ほくろ??
目を開けるとすぐ目の前には先輩の顔。
目線はアタシの唇。
反射的に口に手をやる。
「なんかせくすぃーだね」
先輩はからかうような口調でそう言った。そして、少し意地悪そうな笑みを浮かべた。
- 178 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:16
-
「って、アンタ目つぶったのキスされるとでも思ったわけ?」
ニヤニヤしながらそう言った先輩の顔を見てると、
すごくムカツいてきた。
と同時に悲しくて悔しくて泣きそうになる。
人の気も知らないで―――――。
「じゃあキスしてって頼んだらしてくれます?」
上目遣いで睨む。
先輩を困らせたかった。
「な、何言ってんの?彼氏に頼めばいいじゃん」
先輩はまだからかい口調のままでそう言った。
- 179 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:18
-
さっきから彼氏彼氏彼氏って。
先輩を好きな気持ちと彼氏がいる矛盾に頭が爆発しそうになる。
アタシは全部言ってしまいたい衝動に駆られた。
そして、それが自分でも予想もしなかった行動に移させた。
- 180 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:20
-
すごい勢いで亜弥の顔がアップになったかと思った次の瞬間、
唇に何か柔らかいものが触れた。
えっ?
亜弥の顔が離れる。その顔には少し赤みが宿っていた。
でも、まだ私を睨んだままだ。
はぁ?
今、起こった事を頭で整理してみる。
こうなんか唇になんか当たって。
- 181 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:21
-
「先輩」
えっ?
亜弥の声が聞こえる。
「アタシ今から12時間後には彼氏いませんから!!」
彼女は早口でそれだけまくし立てると、鞄を掴んで部屋から走って出て行ってしまった。
はぁ?
私はしばらくの間そこに立ちつくしていた。
- 182 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:23
-
帰り道、電車に揺られながら、やっと冷静になってきた頭でさっきの亜弥の行動を考えていた。
そう、キスされたんだ、私。
別にキスをしたのが初めてでは無かったけど、なんかあまりにも不意を突かれ過ぎてどうしていいのか分からなかった。
何で亜弥はあんな事したんだろう。
答えはいくつか見えたけど、どれも確信するには浅はか過ぎる気がした。
- 183 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:24
-
亜弥は私の事が好き。
でも、私も亜弥も女だし。
別に偏見があるわけじゃないけど実感が持てなかった。
それに、彼氏いるし。
でも、彼氏いなくなるとか言ってたし。
もう一つ考えられるのは仕返し。
いつもからかってるからそれに対する仕返しとか?
分からない。
答えの無いなぞなぞみたい。
考えても考えても答えは出てこない。
- 184 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:26
-
唇に手を伸ばす。
亜弥の唇、なんかめちゃくちゃ柔らかかった。
まだその余韻が十分に残っている。
そして、それ以上に驚いて事実が一つあった。
―――――私、全然嫌じゃなかった。
彼女のキスに抵抗を感じなかった自分がいた。
それがさっきから何度となく私の頭を悩ませている事なのかもしれない。
でもだからと言って、イコール亜弥を恋愛感情で好きだということではないのは自分でも分かっていた。
じゃあ何なんだろうこの気持ちは。
- 185 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:27
-
ため息を一つついて窓から空を見上げた。
細い月が弱々しく空に浮かんでいた。
ああいう形の月は何て言うんだっけ?
昔、理科で習ったような。
そんな事をぼんやりと考えていると、電車はいつの間にか降りる駅に着いていた。
私は慌てて降りた。
改札を通り、家へと足早に急ぐ。
結構遅くなってた。亜弥ちゃんと家帰れたかなぁ。
少し心配になる。
高校生とはいえ、何ヶ月か前までは中学生だったんだんだし。
- 186 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:28
-
ふと亜弥のさっきの言葉が思い出された。
『ずっと前から―――』
電話を切る直前、彼女は確かにそう言った。
って、部活のこと聞きたかったんだったらそんな言い方する?
練習試合の話聞いたのって、たった何日間かのことなのに。
- 187 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:29
-
アレ?おかしくないですか?
じゃあ私が勝手に勘違いしてただけ?
亜弥は一体私に何を言いたかったの?
また頭が混乱してきた。
私、ホント何にも分かってないじゃん。
空を見上げる。
弱々しい月が自分と重なって見えた。
- 188 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:30
-
お風呂から自分の部屋に戻ってくると、ベッドに倒れ込んだ。
最悪。
ホントとんでもないことしちゃった。
絶対気付かれたし、絶対軽蔑された。
あ〜もう最悪。
なんであんな事しちゃったんだろう。
自分でもよく分からなかった。
ただ、悔しくてムカツいてた。
何にも知らないで無邪気にからかってくる先輩に無償に腹が立ってた。
- 189 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:32
-
でも、だからって・・・・・・・・。
は〜マジ最悪。
これじゃあ、昨日みたいな先輩後輩の関係にさえ戻れなくなっちゃったじゃん。
「あ〜〜〜もう」
ベッドに仰向けになる。
手に携帯が触れた。
そうだ。
やらなきゃいけないことがあったんだ。
自分の気持ちに正直になるため。嘘付くの止めるため。
- 190 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:32
-
体を起こしてベッドの上で正座する。
やっぱり緊張する・・・・。
一つゆっくり呼吸して、アタシは慣れた操作で番号を呼び出した。
通話ボタンを押す。
コール音がやけにクリアーに耳に響く。
- 191 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:34
-
『もしもし』
この一ヵ月間で何度も何度も聞いたその声。
「今、大丈夫?」
落ち着いて、落ち着いてアタシ。
『あ〜全然余裕だけど。どうした?
亜弥ちゃんからかけてくんの珍しいじゃん』
電話の向こうの声が微妙に嬉しそうなのに、
胸が苦しくなってくる。
「アタシね・・・」
『うん?』
一呼吸おく。ちゃんと言わなきゃ。はっきり言わなきゃ。
- 192 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:35
-
「好きな人が出来たの」
電話越しでも空気が変わったのが分かった。
『・・・はぁ?』
明らかに不機嫌そうな声。
「だから、好きな人が出来たから・・・・・別れて、下さい」
一気に最後まで言う。
『・・んだよ、それ』
相手の声にますます不機嫌さと怒りが滲み出てきた。
「ごめんなさい。ホントにごめんなさい」
それだけ言うのが精一杯だった。
- 193 名前:ローリング・ストーン 投稿日:2003/10/26(日) 22:40
-
ごめんなさい。
初めての彼氏。
電話を切ると、自然に涙がぽろぽろ流れてきた。
誰のための何のための涙なのか分からない。
ただ、泣きたかった。
彼氏がいなくなっても現実は何も変わらない。
けど、自分に正直になれた気がした。
- 194 名前:こお 投稿日:2003/10/26(日) 22:45
-
更新終了です。
こんな展開どうなんでしょう?
期待に沿えてる自信は無いですけど、まぁこんなんでも良かったら最後までお付き合いくらさい(w
- 195 名前:こお 投稿日:2003/10/26(日) 22:50
- いつもいつもありがとうございます。批判でも何でもレスはホント励みになります。
>160 :名無し読者 サン
スイマセン。自分でも後から読んでこんなとこで
切るのかよ!ってつっこんでおきましたから(w
勘弁して下さい
>161 :名無し読者 サン
かわいーまつーらさんを目指してるので
それは何よりです。
お体悪くされたら治療代払いますよ(w
>162 :名無し読者 サン
うぅ、そんな責めんといて下さい(泣
でも焦らされるの好きなんでしょ?(w
って、調子乗りました。スンマセン
- 196 名前:こお 投稿日:2003/10/26(日) 23:01
-
>163 :名無し読者 サン
ささ、涙はお拭きになって(w
って、こんな駄文で涙を流せるなんて。
あなた、只者じゃありませんね?(w
>164 :名無しさん サン
ご め ん よ
切ないとほら青春って感じでいいじゃないですか〜
これからもその書き方でレスくらさい(w
>165 :名無し読者 サン
一体、どうなんでしょうねぇ
青春って・・・・いいですなぁ
二人にはここでたっぷり青春してもらいます(w
- 197 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/26(日) 23:03
- あんた鬼や!!(泣
うぅ…もどかしい…。
てゆーか…
た す け て
いや、まじで。
心臓痛すぎて死にそうでつ。
素早い次回更新を心から求む。
- 198 名前:こお 投稿日:2003/10/26(日) 23:05
-
字、間違えました。『無性』。どっかにあるはず。
漢字もろくに書けんとは!全く困った作者だ。
- 199 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/27(月) 00:46
- もどかしい……。
何だこのもどかしさは!けどちっとも嫌な感じじゃないんだチクショウ!!(爆
あかん、何だか壊れてきた……。
- 200 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/28(火) 08:47
- 最終的に二人には春が訪れる。
そうですよね? そうだといって下さい!
っていうか言えーー!!
失礼しました、更新待ってます。。。
- 201 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/28(火) 14:51
- 一般的な恋愛ではない故のはがゆさ
とてもよく表現されてると思います
期待してます、がんばってください
- 202 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 01:56
-
ヤバイ、目めっちゃ腫れてる・・・・。
鏡に映った自分の顔にため息をついた。
こんな顔誰にも見られたくないけど、練習は行かなきゃだし・・・・。
はぁ。
昨日のことを思い出してさらに憂鬱になった。
美貴先輩、今日は来るかなぁ。
朝高との練習試合、明日だしなぁ。
でも、どんな顔して会えばいいんだろ。
しかもこんな昨日泣きましたってバレバレの顔だし・・・。
はぁ。
考えてもしょうがないよね。
蛇口を捻って水を出し顔を洗う。
肌に触れる冷たい水が嫌な思いを溶かしてくれるような気がした。
- 203 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 01:58
-
学校に着くと、そのまま体育館の隣にある部室へ向かう。
今日は学校は休みだが、もうすでにグラウンドでは野球部と陸上部が練習をしていた。
みんな総体へ向けて気合が入ってるのが、遠くから見ていても分かる。
特に野球部の方は大会でもいい線まで行くらしくて、見ているこっちにまで十分に気迫が伝わってくる。
それに比べてうちの部は弱いからなのか、雰囲気が全然違う。
のほほんとした感じだ。
でも、そんなまったりした感じのこのバスケ部がアタシは好きだった。
部室に着くと、何人かはすでに来ていた。
が、美貴せんぱいはいなかった。
着替えて体育館へ向かう。
- 204 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 01:59
-
徐々に人が集まり始める。
そして、集合時間になる。
しかし、先輩は姿を見せなかった。
「んじゃ、ランニングね〜」
キャプテンの声と共に練習が始まった。
先輩、来ないんですか?
入り口の方に目を向ける。
しかし、ドアは閉まったまま開く気配は無かった。
先輩・・・・
「松浦!何してんの〜!」
キャプテンの声が飛んできた。
「は、はいっ」
アタシは慌てて既に前を走っているみんなを追いかけた。
- 205 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:01
-
「キャプテン、出席確認」
中澤先生は顔を上げずに何か手元の資料を見つめたままで、いつものように聞いた。
「・・・・美貴が、藤本がまだです」
キャプテンは言いづらそうにそう告げた。
みんなも中澤先生の顔色を窺っている。
中澤先生が美貴先輩にだけ何故か厳しいのは周知の事実。
でも、理由は誰も知らないらしい。
だから、正直な所アタシは中澤先生には少しムカツていた。
何で先輩にだけあんなに冷たい態度を取るんだろ?
他の部員には気さくに話しかけてくれるのに。
- 206 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:04
-
「・・・・藤本は今日もか。まぁええわ。で明日はいよいよ朝高と
練習試合や。別に勝とうとかは思わんでええ。向こうは毎年全国
大会行ってるような連中や。かと言って、諦めろって言ってるん
やないで。隙を突く。技を盗む。その為には相手の動きをじっく
り見ること。今日はミニゲームを中心にやろう思う。試合に出て
ない時はプレーしてる人の動きをよく見る。それを自分に活かし
てプレーする。しっかりそれ頭に叩きこんどきや。ほんなら、す
ぐ始めよか」
先生は心なしかいつもより気合が入っている感じがした。
みんな、それぞれ散らばって準備を始める。
と、その時だった。
ギギーッという音を立てて、入り口のドアが開く。
思わず息を呑んだ。
そこには、美貴先輩が息を切らして立っていた。
- 207 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:05
-
「先輩・・・・」
思わず呟く。
「遅れてすいませんでした」
先輩は大声でそう言うと、走ってこちらへやって来た。
みんな息を呑んで中澤先生と美貴先輩を見つめる。
先生はじっと先輩を見つめると口を開く。
「遅れた理由はええ。走って来たんやから体は温まってるやろ。
ミニゲームや。コート入れ」
先生は冷たい口調でそれだけ言うと、
先輩に背を向けコートの真ん中へ歩き出す。
- 208 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:07
-
「10点入ったらすぐ勝ちチーム交代。いつものルールや」
先生はそう言うとボールを高く舞い上がらせた。
ジャンプボール。
始まった。
アタシはギュッと拳を握り締めて、コートの側から先輩の姿を追った。
- 209 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:09
-
久しぶりに感じる体育館の床の感触。
ボールが宙に舞うのが見えた。
取らなきゃ。
ジャンプボールものにしなきゃ。
だけど、何故か体が動かなかった。
ボールが誰かの指先に当たって、丁度私の目の前に飛んできた。
取らなきゃ、ほら、私何やってんの。
あれ?
体が、体が動かない。
- 210 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:11
-
「美貴っ!」
仲間の声が聞こえた。
分かってる、分かってるけど、体が・・・・・。
「何やってんの!」
動かない私の代わりに誰かが目の前でボールを取って、
ゴールに向かって走り出す。
一斉にみんなが追いかける。
遠ざかるみんなの背中を私はボーっと見つめることしか出来なかった。
シュートが決まる。
みんながこちらに戻って来た。
- 211 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:11
-
「藤本先輩!」
誰かが私を呼んだ。
気付いた時にはこちらにボールが向かってきた。
慌てて受け止める。
ドリブルしなきゃ。
ゴールに向かって走る。
すぐに、相手チームの一人に阻まれる。
腰を落として、ドリブルしながら相手の様子を窺う。
- 212 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:13
-
えっ?
その時、いるはずのない人の顔が見えた。
目の前には朝高時代の先輩の顔があった。
そんな・・・・
周りを見回すとみんな何故か朝高のメンバーだった。
みんな意地悪そうな笑みを浮かべながら、私の方へ寄って来る。
何で――――
怖い、助けて―――――
- 213 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:14
-
その時、笛の音が私を現実に引き戻す。
みんな一斉に足を止めて笛の音の方へ向く。
「藤本、やる気ない奴は邪魔やから帰れ」
いつの間にか目の前には中澤が立っていた。
周りを見回してももう朝高のメンバーは消えていた。
その時、初めて空気の重さに気が付く。
みんな沈痛な表情を浮かべていた。
- 214 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:16
-
私のせいで・・・・・
みんなゴメン・・・・・
「本当にすみませんでした」
深く頭を下げながらそう言って私は体育館を後にした。
外に出た途端に照りつける陽射し。
このまま私を蒸発させてくれたりしないかなぁ。
一瞬、本気でそう考えた。
- 215 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:17
-
先輩が出て行った後の体育館には、何とも言えない空気が漂っていた。
それを破るかのようにキャプテンが口を開く。
「厳しすぎじゃないですか?」
多分、この場にいる全員が思ってること。
「美貴が何で朝高辞めてここ来たか、先生だって知ってますよね?」
みんな中澤先生をじっと見つめる。
先生は先輩が出ていった扉の方に目をやった。
その目には少し翳りが見えた気がした。
- 216 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:20
-
「藤本は、あいつは乗り越えなあかんねん。
今の自分を乗り越えな、前に進めへん。
うちは藤本に昔みたいな中学の時みたいな
自分に戻って欲しいだけや。
バスケを心から楽しんでいたあいつにな」
呟くように小さな声でそう言うと、先生はみんなの顔を見回した。
昔の先輩に・・・・・
どういう意味なんだろう。
「あとは自分らで練習しい。
明日は、中庭に九時に集合や。
遅れるんやないで」
それだけ言うと先生はくるりと背中を向けて体育館を後にした。
バタンと扉が閉まる音が体育館に響く。
それが合図だったかのようにキャプテンが口を開いた。
「今は気持ち切り替えて、明日の試合に向けて練習しよう。
じゃあ、美貴の代わりに・・・相川入って。
ゲームの続き始めよう」
この雰囲気に合わないキャプテンの明るい声はよく響いた。
- 217 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:22
-
先輩・・・・・
今どうしてるんだろう。
どういう気持ちでいるんだろう。
考え出すとじっとしていられなかった。
「アタシ、気分悪くなったんで帰ります。ごめんなさい」
言い終わらないうちに走り出していた。
「ちょっ、亜弥?」
「松浦っ!?」
後から先輩や同級生の声が聞こえる。
勝手な真似してすいません。
でも、今行かなきゃ絶対後悔しそうな気がするんです。
- 218 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:23
-
蛇口を思いっきり捻った。
水が出たくて出たくて堪らなかったとでも言うように次から次へと流れ出す。
水は、この水たちはこれから一体どこへ行こうというのか。
何をそんなに焦っているんだろう。
私みたい。
何をどうしてどう考えればいいのか分からなくて、ただ時間だけが流れていって。
そして、明日になって―――――。
何をそんなに焦っているの?
何をそんなに怯えているの?
私はただただその水の流れを見つめていた。
- 219 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:24
-
その時、水の音だけが支配していたこの空間に電子音が響き渡った。
反射的に蛇口を閉める。
面倒なので着信音は全員同じにしてある。
だから、誰からの電話なのか分からなかった。
悪いけど今は何にもしたくない。
蛇口に手を置いたまま音が止むのを待つ。
音はしつこく鳴り続けていたけど、そのうち止んだ。
自分の部屋に向かう。
ドアを開けて扉を開く。
- 220 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:26
-
中に入ろうとしたその瞬間また携帯が鳴った。
多分さっきと同じ人だろう。
無視しようかとも思ったけどなんとなく引き返して、リビングのソファーに置いてあった鞄の中から携帯を取り出す。
親かひとみか梨華ちゃん辺りだろうと思っていたけど、
画面に表示されている文字は意外なものだった。
『亜弥ちゃん』
見た瞬間ドキッとした。
何故かは分からない。
昨日あんなことがあったせいだろうか。
ってか、まだ練習してるはずなんじゃ・・・・。
少し迷ったがかけ直してみることにした。
ソファーに座ると何気なく窓の方に目をやる。
あっ
外ではいつの間にか雨が降っていた。
- 221 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:28
-
「もう、聞いてないよぉ」
雨宿りのために一時非難してる店の下で小さくそう呟いた。
あんなに天気良かったくせに急に降ってくるんだもん。
はぁ、昨日からついてないよ、アタシ。
先輩を追いかけて来たのはいいけど、降りる駅しか知らなかった。
何てバカなんでしょうか、松浦さん。
しかも、先輩に電話しても出てくんないし。
そんな事を考えながら空を見上げていると、手に握っていた携帯が震えだした。
もしかして・・・・・
慌てて画面を開く。
予想通り先輩からだった。
心臓がドキドキし始める。
胸に手を当てて少し間を置いた。
よし。
- 222 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:30
-
「もしもし」
思わず声が上ずってしまう。
『あーあの私だけど・・・』
先輩の声も心なしか緊張している感じが伝わってきた。
まぁ昨日あんなことしちゃったんだもん。
仕方ないか・・・・・
「先輩、アタシ、実はですねぇ」
『うん』
「先輩の家の近くにいるんですけど」
『ええっ?』
そりゃビックリしますよね・・・・・
「けど、その、迷ってしまってですねぇ」
一方的に追いかけてきて、その上迷うなんて・・・・・
最悪。
帰れって感じですよね。
ゴメンなさい・・・・・
- 223 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:31
-
『分かった。今から行くよ』
「えっ?」
『だから、迎えに行くから。今いる場所教えて』
先輩の声が優しく耳に響く。
何で何でこんなアタシなんかに優しくしてくれるんですか?
アタシは泣きそうになった。
というか、いつの間にか涙が出ていた。
- 224 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:32
-
数分後、傘を差した先輩の走ってくる姿が見えた。
思わず胸が高まる。
「ずぶ濡れじゃん」
先輩はアタシを見て驚いた顔をする。
「うち傘一つしかなくてさ」
そう言いながらアタシの方に傘を寄せた。
「なんか、ゴメンなさい・・・」
先輩がどんな表情をしているのか知るのが怖くて思わず顔を伏せる。
「もういいから。取り合えずうちおいでよ。ね?」
「・・・・はい」
ちょこんと先輩の隣に移動した。
「ちょっと、そんな離れてたら濡れるでしょーが。
もっとこっち寄って」
先輩はそう言いながらアタシの肩を引き寄せた。
心臓のドキドキがさらに速まる。
「濡れるかもしんないけどさ、家すぐそこだから。我慢してね」
先輩はそう言ってアタシの方に顔を向けた。
その顔がどこか寂しげで悲しそうなのに、胸が締めつけられる。
思わず抱き締めたくなる衝動を、アタシは何とか必死で抑えた。
- 225 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:34
-
亜弥を連れて家までの道を無言で進む。
歩きなれた道なのに、どこかいつもと違うように見える。
亜弥、何考えてるんだろ。
私は隣を歩く後輩のことを考えた。
昨日からなんか亜弥の考えてることがいまいち掴めない。
今、隣にいるこの子は、ホントに今まで美貴先輩、美貴先輩って仔犬のようにまとわりついて来たあの亜弥なのだろうか。
どっからでも目ざとく私を見つけては、周りいる人間がビックリするくらい大きな声で私の名前を呼ぶあの亜弥なのだろうか。
分からない。何もかもが分からなくなってきた。
- 226 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:36
-
「着いたよ」
先輩は一度立ち止まってアタシの方を向いた。
「えっ?ここ、ですか?」
思わずアタシは確認してしまった。
というのは、目の前にそびえ立つのはどう見ても高校生が一人で住むような感じのマンションじゃなかった。
なんていうか、芸能人が出てきそうな、金持ちしか住めなさそうなめちゃくちゃ高級そうな感じ。
「親の知り合いの人のマンションでさ、余ってるからって安くで貸してもらってるんだ」
アタシの表情から読み取ったのか、先輩は傘を畳みながらそう言うと建物の中へ歩き出す。
遅れないように急いで先輩の後を追った。
- 227 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:38
-
「入って」
先輩に促されて部屋の中へ入る。
「お邪魔します」
おぉ、めっちゃ広い。そして、シンプルな部屋だなぁ。というか、ものがあまり無い。必要最低限だけって感じ。
じろじろ見ても悪いかなと思いつつも、好きな人の部屋を見たくない人なんていないでしょ。勝手に自分を正当化する。
先輩は机の上に鍵を置くとアタシの方へ向いた。
「取り合えず、シャワー浴びといで」
「や、でも・・」
「嫌でもなんでもそのままじゃ風邪引くでしょうが。
お風呂そこの青いドアだから。先行ってて。
私、タオル取ってくるから」
先輩はそう言い残して他の部屋へ消えた。
アタシはおとなしくそれに従う。
- 228 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:39
-
ドアを開くと脱衣所兼洗面所だった。
アタシはボーっとしながら、服を脱ぎ始める。
なんか先輩の家のお風呂に入るなんて。
はっきり言って想像もしてなかったことだ。
って、アタシ何考えてんだろ。
自分の考えてしまったことに恥ずかしくなって顔が熱くなる。
そういや、アタシ運動着のままで飛び出して来ちゃったんだった。
Tシャツにハーフパンツという格好を今さらなが気付いてますます恥ずかしくなってきた。
まぁ今は取り合えずお言葉に甘えてあったまろう。
そう思いTシャツに手をかけて脱いだ。
そして、ブラに手をかけたちょうどその時・・・
ドアが開いた。
ええっ!?
- 229 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:40
-
「タオル持ってきたか――」
そう言いながらドアを押し開く。
と、目に飛び込んできた光景に言葉を失う。
「きゃあっ」
「ぅわ」
亜弥の叫び声と同時に思い切り突き飛ばされた。
バランスを失って、思わず転びそうになった。
が、なんとか堪えて踏み立ち止まる。
「ご、ごめん。これ、タオル」
私は手だけを差し入れてタオルを渡した。
「す、すいませんっ」
中から彼女の動揺した声が聞こえた。
「う、ん。ってか、こっちこそごめん」
私はそれだけ言ってリビングに戻った。
- 230 名前:crash 投稿日:2003/10/30(木) 02:42
-
ヤバイヤバイヤバイ、ヤバイって私。
信じられない。ってか、有り得ない。
だって、亜弥、女だよ。
私と同じ女なんだよ?
どうしようどうしようどうしよう。
あの時、私確実に――――
亜弥が叫ばなかったら、私――――
確実に亜弥を押し倒していた。
あの瞬間、亜弥をそういう対象に見てる自分がいた。
ただの変態じゃん。
何で?
どうしちゃったの。
分からない。
もう、全部、全部、分かんないよ・・・・・
誰か
助けて
下さい
急に気が遠くなる。
視界がぼやけてきて―――――
私はソファーに倒れ込むと静かに目を閉じた。
- 231 名前:こお 投稿日:2003/10/30(木) 02:47
-
えーっと、更新終了です。
なんちゅう展開やねん、みたいな(w
おい、意味分からんみたいな(w
書いてて思ったんですが、関西弁って話言葉を文字に直すのって
難しいですね。作者自身、関西人なのですが・・・
今回、かなり早く更新したんで・・・・と言い訳しときます(w
- 232 名前:こお 投稿日:2003/10/30(木) 02:56
- 鬼、悪魔と罵られたので早々と更新しましたよ(w
>197 :名無し読者 サン
はーい、鬼作者です(w
こんなにもどかしくなるなんて私自身
分かりませんでした。
心臓お大事になさって下さい(w
>199 :名無し読者 サン
もどかしいッスねぇ。
ホント苛々しますねぇ(w
ってか、壊れちゃダメですたい。
壊れるのは最後まで読んでからにして下さい(w
- 233 名前:こお 投稿日:2003/10/30(木) 03:02
-
>200 :名無し読者 サン
どうなんでしょうかねぇ
最初にあやみきとは書きましたが、
最終的にどうなるかは・・・ねぇ?(w
ってな感じでこれからもどんどん
作者に喧嘩売ってきて下さい(w
>201 :名無しさん サン
そう言って頂けると嬉しいです。
なんかリアル話じゃないけど、
実際に有り得そうな感じにしたいなぁって思ってるので
これからもどうぞお付き合い下さいませ
- 234 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/30(木) 11:28
- 作者さんは神です(w
何て萌えな展開!!
- 235 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/31(金) 19:04
- 待ってた甲斐がありますた!!!
かな〜り期待しつつ萌えながらまっとります。
- 236 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/01(土) 00:38
- 俺がどうしちゃっったのだよぅ(´Д`;)
続き、続きをはやく…
- 237 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:27
-
今・・・・・
見られた、よね?
アタシ・・・・・
上、何も着けてない、よね?
肩を抱いていた両手に思わず力が入る。
腕に当たるのは間違いなく胸の感触。
そう意識した瞬間、さっきから熱くなりっぱなしの顔が今までで一番熱くなったように感じた。
うわ・・・ハズカシすぎる・・・・・・
「・・・・っもぉ・やだぁ」
思わず呟いて床に崩れ込んだ。
- 238 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:29
-
恥ずかしすぎても涙って出てくるんだ。
抱え込んだ膝に落ちる雫を見て思った。
嫌とかそんなんじゃないけど・・・・・
これから先、何回涙を流したらいいんだろ。
本気で誰かを好きになるのって大変ですね。
ねぇ、先輩?
・・・・・
アタシはすっと立ち上がると、自分の顔を両手で覆った。
よし、これは事故。単なる事故。
第一先輩だって、別にアタシの裸見たからって何とも思ってないだろうし。
それに胸だけだし。余裕、余裕。
呪文のように何度もそう自分に言い聞かせると、お風呂場へと進んだ。
- 239 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:30
-
熱いシャワーを浴び、幾分スッキリとした気持ちになってお風呂場を後にする。
と、その時、重大なことに気が付いた。
・・・・・アタシ、何着ればいいんだろう。
Tシャツとかはびしょびしょだし。
どうしよう・・・・・
あっ、鞄に制服入ってるんだったけ。
しかし、そう安堵したのも束の間。
鞄は玄関の所に置いたままだったことにまた気付く。
- 240 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:32
-
先輩に取って来てもらうしかないよね。
さっきの事もあってかなり躊躇われたけど、しかし今はそんなこと気にしている場合じゃない。
「せんぱ〜い」
ドアの間から顔だけ出して先輩を呼ぶ。
しかし、反応は無かった。
別の部屋いるのかな。
そう思って少し大きめの声を出した。
「美貴せんぱ〜いっ」
反応無し。
どうしよう。
外に出掛けちゃったとか。
しばらく待ってても微かな雨音しか聞こえてこない。
- 241 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:33
-
アタシは思い切って自分で取りに行くことにした。
体に巻いたタオルが落ちないようにギュッと握り締める。
恐る恐る、抜き足差し足、玄関へ近づく。
なんだかドキドキする。
泥棒にでもなった気分。
って、これで今先輩が帰って来たらヤバイけど・・・・・。
そうやってちょうどさっきのソファーの所まで戻って来たところで、小さな音が耳に届いた。なんか寝息みたいな・・・・。
んっ?
不思議に思ってソファーを覗く。
「せっ・・!?」
言いかけて慌てて口を抑えた。
ソファーの上には丸まって眠る先輩の姿があった。
- 242 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:34
-
そりゃ気付かないわけだ。
先輩がちゃんといたことにホッとして、そのまま先輩の寝顔を見つめていた。
可愛い。
好きな人の寝顔って何で見るだけでこんなに幸せな気持ちになれるんだろ。
思わず顔がほころぶのが自分でも分かった。
そのままずっと見ていたかったけど、しかし今は服を着る事が先。
名残惜しい気持ちを何とか振り切って玄関にあった鞄を拾い上げた。
そして、また戻ろうとした時、
「・・たす・・け・・」
突然背後から先輩の声が聞こえた。
「わっ!」
起きたのかと思い慌てて脱衣所へ向かうが、先輩が起き上がる気配は感じられなかった。
- 243 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:36
-
戻って恐る恐るソファーに近づき確認する。
すると先輩の目は閉じられたままだった。
寝言、かぁ。
しかし、その先輩の表情が苦しげなのに驚く。
よく見るとうっすらと汗もかいている。
悪い夢でも見てるのかなぁ。
起こした方がいいかもしんない。
そう思って手早く制服に着替えると、先輩の耳元で声をひそめて名前を呼んだ。
「・・・んっ」
少し反応が見えたがまたすぐにうなされ始めた。
「先輩っ」
呼びながら肩を揺すった。
と、その時突然、先輩に腕を掴まれる。
「えっ、ちょ・・・」
そして、そのままアタシは訳が分からないままに先輩の胸の中に引き寄せられてしまった。
- 244 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:40
-
うぅ・・・・・
あまりに突然のことに頭がついていかない。
先輩の体温が、心臓の音がリアルに伝わってくる。
そして、その音のリアルさに胸が締めつけられた。
アタシ、本気でこの人のことが好きなんだ。
そう自分でも笑えるくらいに改めてそう思った。
ドクン、ドクン・・・・・
先輩はこうやってちゃんと生きている。
当たり前のことだけど。
でも、アタシはどこかで現実を受け入れてなかったのかもしれない。
先輩が女だから、先輩には彼女がいるから、先輩はアタシのこと何とも思ってないから。
自分の気持ちの前に周りの状況を見てた。
自己完結してそれに酔ってただけなのかもしんない。
でも今はっきり分かった。
アタシは先輩が好き。
うん、それでいいんだ。
何も始まってないのに勝手に自分で終わらせてた。
努力しよう。ちゃんと言おう。
先輩の胸の中でアタシはそう大きな大きな決心をした。
- 245 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:41
-
って、取りあえずどかなきゃ。
このままでいたい気持ちを抑えて離れようと力を入れる。
が、先輩の力は意外に強くて離れようにも全然動けなかった。
もう一度力を入れて、抜け出そうと試みた。
今度は逆に先輩ごと引っ張ってしまった。
「わぁっ!」
そして、そのままくっついたまま床へと崩れ落ちる。
- 246 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:43
-
「・・・ったぁ」
物凄い衝撃で目が覚めた。
と、何故か目の前には大きく目を見開いってこっちを見ている亜弥の顔のアップが。
ヤバ、さっき変なこと考えてたから幻覚まで・・・・・。
目を閉じ軽く頭を振ってもう一度目を開く。
が、やはり亜弥の顔が見える。
そして、その時初めて体の下に感じる柔らかなモノに気付いた。
「なっ、ご、ごめん!」
慌てて体をどける。
亜弥もハッと我に返ったように起き上がった。
「い、いえ・・・」
そう言いながら亜弥は何故か胸を押さえている。
- 247 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:45
-
って、もしや無意識のうちに襲っちゃった、とか。
背中に冷たいものがよぎる。
よく見ると亜弥のシャツはだけてるし・・・・・。
私、トンデモナイコトしちゃった?
「あの、えっと、その、私・・・・ってゴメン!
私、なんか変なこと・・・・した?」
って、めっちゃ変な質問だな、オイ。
思わず自分につっこむ。
お願い否定して下さい。
生まれて初めて心の底から神様に祈る。
「しました」
しかし、祈りも虚しく亜弥の声にはっきりと肯定されてしまった。
頭に何かをぶつけられたような衝撃が走る。
最悪。最低藤本。変態藤本。
頭の中で自分を罵る声が聞こえてきた。
何て謝ればいいんだろう。
じっと床を見つめる。
自分のことが本気で嫌いになれそうな気がしてきた。
- 248 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:47
-
「先輩、今日の練習すっごい変でした。」
「ごめん。ホント何て言えばいいのか分かんないけどゴメンなさい。
・・・ってはぁ?練習!?」
練習。バスケの練習。今日の練習。体が全くついてかない。全然プレー出来ない。中澤に帰らされる。
・・・・・変。
うん、確かにいつもの私では無かった。
・・・・・確かに変。
私はゆっくりと顔を上げると亜弥の顔を見つめた。
すっごい意地悪そうな笑みを浮かべている。
彼女のこんな表情初めてみた気がした。
- 249 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:49
-
コイツ、絶対わざとだ。
私は確信した。
そして、その瞬間、私と亜弥の間にあった何かが音を立てて崩れていった。
確実に変わった。
昨日からずっと不思議に思ってた。
亜弥の態度。亜弥の表情。
でも、変わったのは亜弥だけじゃなかったんだ。
私もいつの間にか変わってた。
亜弥のこと意識し始めてしまった。
亜弥のこと知りたくなってきた。
ヤバイ。
この状況は絶対ヤバイ。
- 250 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:53
-
「練習の話ですよね?」
アタシは自分でも意識してわざとらしい口調でそう言った。
昨日の仕返し。
先輩もドキドキしたでしょ?
アタシが先輩に襲われたって言うって思って。
そして、気のせいじゃない。
先輩の目が変わった。
うまく説明出来ないけど。絶対さっきまでの先輩じゃない。
でも同じようにアタシも変わった。
というか、変えた。
今までずっと隠してたもの、胸の奥に気付かないふりしてしまってたものを取り出してアタシは身につけた。
先輩にだけ分かるように。
もう自分のこと作らない。諦めない。
- 251 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:56
-
先輩はそんなアタシを見て笑っていた。
でも目は笑ってない。
アタシの目をその奥まで覗き込むくらいに真剣な目。
「バスケするの怖くなっちゃった」
先輩はそう言うと、ソファーに座りそのまま体を寝かせる。
「怖い?」
床に座っているアタシとソファーに横たわる先輩の目線はほぼ同じ。
そのまま首を少し伸ばしたらぶつかりそうなくらいに近くなった。
「うん。怖い。大好きなんだけど、怖い」
そう言って先輩はアタシに本当のことを、朝高を辞めた本当の理由を教えてくれた。
- 252 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:57
-
「だから私、本当はバスケなんかしちゃ駄目なんだけどね〜」
先輩はそう話終えると自嘲気味に笑った。
その顔が痛々しくてアタシは思わず窓に目をやる。
相変わらず雨は続いていた。
むしろ勢いを増したようで、さっきよりも存在感を増した音を静かな部屋に響かせている。
「雨止まないね」
いつの間にか先輩はソファーから立ち上がっていて、アタシの視界に入ってきた。窓のすぐ側に立って、左手の手の平をガラスにぴったりとつけた。先輩は力を入れていたのかバシッという音がする。
- 253 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 21:59
-
「冷た〜い。亜弥も来てやってみてみ。ホント冷たいからさぁ」
先輩は楽しそうにアタシの方を振り向いて言った。
子供みたいな笑顔。
アタシはその言葉に従い、立ち上がって窓の側へ進む。
同じようにやってみた。
「うわ、ホント冷たいですね」
思わず言葉が漏れる。本当に予想外に冷たくて驚いた。
先輩はそんなアタシの反応が嬉しかったのかすっごい嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「でしょ?」
戸惑ってしまうくらいに無邪気な笑顔だった。
しかし、その笑顔はすぐに消えてしまい、変わってひどく真剣な表情が現れた。
その急激な変化に戸惑う。
何?何なんですか?
心臓の鼓動が一気に速まる。
- 254 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 22:01
-
「亜弥」
アタシは両手首を掴まれると、そのままガラスに体を押し付られた。
制服を通して冷たい感触が背中に伝わる。
「せ・・ん、ぱい?」
心臓が爆発しそうなくらいドキドキしている。
先輩はアタシの肩に顔を乗せた。
先輩の髪の毛が鼻をくすぐる。
うわぁ・・・・これって・・・・・。
「別れたの?」
吐息を感じた瞬間に耳に届いたその言葉にアタシはすぐには意味が掴めなかった。
「彼氏と」
先輩はアタシの肩に顔を乗せたまま続けてそう言った。
やっと回り始めた頭でその意味を理解した。
って、何で知ってるんだろう。まだ誰にも言ってないのに。
「昨日・・・昨日の夜、別れようって言いましたけど。
でも何で知って・・・」
「向こうは別れたつもりは無いっぽいね」
途中で言葉を遮られる。
- 255 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 22:03
-
「どうして、ですか?」
先輩はアタシの顔を覗き込むように顔を寄せると不敵な笑みを浮かべた。
その表情は今まで見てきた中で一番アタシの心を鷲掴みにした顔かもしれない。
「外にいるから」
「えっ?」
「その彼氏がさぁ、さっきからこっち見てるんだけど」
何で・・・・・。
反射的に顔を窓の方に向ける。
が、先輩の手に阻止されてしまった。
先輩の冷たくなった手に頬を触れられて、元に引き戻された。
「今は、見ない方がいいと思う」
先輩の不敵な笑みはいつの間にか消えていて、代わりに少し困ったような表情を浮かべた。
「めっちゃ怒ってるっぽいよ」
「・・・・怒ってる?」
「傘投げつけて走ってたから」
先輩は一度視線を窓に移して、そのままキッチンへと向かった。
- 256 名前:crash 投稿日:2003/11/05(水) 22:06
-
アタシは急いで窓の外に目を向ける。
先輩の言った通り、マンションに面している小道には紺色の傘が開いたままの状態で雨粒をうけていた。
そしてその傘には見覚えがあった。
この間雨の日に一緒に帰った時に、彼氏が差していた傘。
足が一本微妙に折れていて『ダサいけど差さな仕方ないよなぁ』と苦笑いしながら言ってたっけ。
ホントにいたんだぁ・・・・・。
別に先輩のこと疑ってたわけじゃないけど、何でこんな所にいるのか不思議だった。
家全然違うとこだし。
って、それより先輩のとった行動が謎だった。
あんなの見せたら誰だって絶対誤解しますよね?
先輩、もしかしてわざと・・・・・?
疑問が心を支配する。
- 257 名前:こお 投稿日:2003/11/05(水) 22:32
-
更新終了です。
これまた微妙な所で切ってしまった・・・。
今日は時間が無いのでスイマセン。
次のやつはもう準備してるので早めに更新しますね。
- 258 名前:こお 投稿日:2003/11/05(水) 22:37
-
>234 :名無し読者 サン
少しは萌えていただけたようで安心です。
今までさんざんお待たせしたので(w
まだじれじれした感じになってしまいましたが
どうぞよろしくお願いします
>235 :名無し読者 サン
お待たせしました(w
今回は萌えていただけるか微妙ですが・・・
またすぐ更新するのでお楽しみに(w
>236 :名無し読者 サン
どうしちゃったんでしょうねぇ(w
続きお待たせしました。
取りあえずこれで少しの間凌いで下さいませ
- 259 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/06(木) 01:36
- いい展開になってきましたね。続き楽しみに待っとります
- 260 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/07(金) 13:15
- 藤本さんはどうしてそんなドキドキさせるんですか。
こっちまでドキドキですよもう。
たまらないです、楽しみに待ってます。
- 261 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/07(金) 13:33
- 期待だけが高まっていく…
- 262 名前:チビ読者 投稿日:2003/11/08(土) 18:24
- う〜ん楽しみ!!!
二人の関係は一体・・・・・・・
- 263 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/12(水) 03:29
- 期待してます。
- 264 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/19(水) 00:20
- 待ってるYO!
- 265 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/19(水) 06:23
- そろそろ続きお願いします!!
- 266 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/22(土) 23:14
- 面白いなぁ…このびみょうな距離がなんとも言えません。
続き、楽しみに待ってます。
- 267 名前:普通に名無し 投稿日:2003/11/25(火) 16:28
- 更新してちょ〜だい!!
っあ、でも焦んなくて良いッスよぉ〜末永く待つんで☆
- 268 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/25(火) 20:11
- 矛盾してるなw
- 269 名前: 投稿日:2003/11/26(水) 16:08
- そうだよ〜〜焦んなくて良いから更新お願いしますYO!!
楽しみで、毎日A来ちゃうぅぅぅぅ!萌えて萌えて死にそうだYO!!
- 270 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/26(水) 23:31
- とりあえずaegるなと。
- 271 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/27(木) 19:51
- 松浦の彼氏がびみょーに関西弁・・・。
描写がすごく透明で好きです。
嫉妬美貴たん萌。
続き期待してますです。
- 272 名前:つみ 投稿日:2003/11/27(木) 21:30
- わたし待つわ〜♪いつまでも待つわ♪
- 273 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/29(土) 14:38
- 石の上にも三年・・・
- 274 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/29(土) 22:01
- 放置じゃないですよね??
- 275 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/30(日) 00:53
- >>272
うざい
- 276 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/30(日) 01:18
- >>275
これこれ。
- 277 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/30(日) 01:22
- 噂のうざい読者レスってここか
- 278 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 02:06
- 作者です。
急に家を空けないといけなくなりまして全然更新が出来ない状態でした。すぐに続きを載せると言ったのに、長い間お待たせして本当にスミマセンでした。
今日家に戻ったので明日中に絶対更新します。
あと、たくさんのレスありがとうございました。かなり励みになります。上がってたので誰かが続きを書いたのかとちょっと焦りましたけど(w
では、また明日ということで。おやすみなさい。
- 279 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:10
-
冷蔵庫からお茶を取り出して注ぎながら、さっきの自分の行動をぼんやりと考える。
何となく見た窓の外にキョロキョロと辺りを見回す不審な男がいて。
よく見たらそいつは昨日梨華ちゃんに教えてもらった亜弥の彼氏で。
亜弥を追いかけてきたんだろうと予想がついて。
わざと窓を強く叩いて注意をこっちに向けさせて。
亜弥を呼んで彼氏に誤解させるようなことして。
お茶がグラスを完全に満たす前に手を止めた。
それって・・・
もう一つのグラスにも同じようにお茶を注ぐ。
それってなんか・・・
両手にグラスを持ってソファーの所へ戻る。
それってなんか私が亜弥の事好きみたい、だよね?
自分で導き出した答えに顔が熱くなる。
- 280 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:11
-
「ってありえないし」
思わず口から言葉が漏れた。
それに反応してまだ窓の外を見つめていた亜弥がこちらを振り返った。
「えっ?」
「あっ、ゴメン、何でもないよ。
これ、お茶入れたから良かったら飲んで」
そう言いながら両手を軽くあげて誤魔化した。
「どーもです」
亜弥は少し不思議そうな顔を浮かべたけれど、すぐに笑顔を作ってソファーに座った。
私もグラスをテーブルの上に置いてその隣に座る。
なんかまだ顔が熱く感じる。それがなんとなく熱っぽい感じもしたけれど、気のせいだと決め込んだ。
- 281 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:12
-
「ちょっと寒くなってきましたね」
亜弥が窓を見つめたまま呟くように言った。
「あったかいのが良かった?」
私も前を向いたまま尋ねる。
雨の音が同じリズムで部屋に響いている。
「いえ、喉渇いてたから大丈夫です」
「そう?だったらいいけど」
「雨・・・止まないですね」
「だね」
お互いに相手の顔を見ない不思議な会話だった。
それが今の私の、いやお互いにかもしれない、気持ちを表しているように思えた。
- 282 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:14
-
聞きたいのに聞けない。
知ってるのに知らないふりをして。
どうして昨日キスしたの?
どうして今日私に会いにきたの?
どうして彼氏と別れたの?
確かめたくてちゃんと亜弥の口から本当の事が聞きたかった。
だけど、口に出したら全てが壊れてしまいそうで壊してしまいそうで怖かった。
答えは知っている。
99%の確率で当たっていると思う。
でも、自分の気持ちが分からなかった。
どう応える?
亜弥の気持ちに応えられるの?
亜弥のことが好きなの?
分からない。全然分からない。
自分の気持ちを知るのがこんなに難しいなんて・・・・・
色んな思いが頭の中を交差して、そのまま私は沈黙を破れずにいた。
だけどいつまでもこんなんじゃ何にも変わらない。
何にも進まない。
このままじゃ嫌だ。
- 283 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:15
-
私は決心して口を開いた。
「あのさ、亜弥」
「先輩、さっきの」
全く同時に喋り出した私達の言葉はお互いの声にかき消されてしまった。
すっごいタイミング。
思わず笑ってしまった。
亜弥も一瞬呆気に取られた顔をしたけど、すぐに顔をくしゃっとさせて笑い出した。
「ホントすごいんだけど。全く一緒だったね」
「ビックリした〜。先輩タイミング悪すぎ〜」
「アンタが悪いんでしょうが」
「ぜぇ〜ったい先輩が悪いんです」
「ってか、先輩に向かって態度悪すぎだし」
「先輩なら先輩らしくして下さいよぉ」
お互いに普段の調子で軽口を叩く。
それが妙に嬉しくてたまらなかった。
このままこうやって何にも無かったようにやってければいいのに。
心の隅でそう思う。
- 284 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:17
-
しかし、すぐにその甘くてずるい期待は裏切られた。
亜弥の顔が真剣な表情に変わる。
「アタシ、先に言ってもいいですか?」
そう言った亜弥の言葉は強くて切ない響きに包まれていた。
私は逸らせていた視線を亜弥に向ける。
もう逃げられない
もう戻れない
と、ちょうどその時私はひどい頭痛に襲われた
思わずこめかみに手をやる
ズキン
またひどい痛みが走る
視界も少しぼやけてきた
ぅわ・・・何で?
ズキンズキン
今大切なとこなのに
ズキン
最悪
- 285 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:18
-
「先輩?」
急に頭を抱え込んだ先輩の顔を覗き込む。
その顔が苦しそうなのに意を突かれた。
「大丈夫ですか!?」
「う・・ん。なんか頭痛くて。
ちょっとゴメン、薬飲んでくる」
そう言いながら立ち上がりかけた先輩を慌てて押し止める。
「アタシが取ってきますから。どこにありますか?」
強引に先輩の肩を押してソファーに座らせる。
先輩は苦しそうな顔のまま少しだけアタシに微笑み返してくれた。
自惚れかもしれないけどそれがホッとしたような顔に見えた。
- 286 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:19
-
しかし、その顔はすぐにふっと消え先輩は目を閉じたかと思うとそのままソファーへ倒れ込んでしまった。
「せ・・先輩!?」
慌ててしゃがみこんで先輩の腕に触れる。
そして、そこから伝わってきた予想外の熱さに驚いた。
そっと先輩の額に手を当てる。
やはり熱い。
予想外の出来事に頭の中がぐちゃぐちゃになる。
心配で不安で仕方ない気持ちを抑え、アタシはひたすら良くなることを願い無我夢中で看病に徹した。
- 287 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:21
-
亜弥がいた。
でも、何故かその顔は寂しげで。
アタシ行かなきゃいけないんです。
亜弥はそれだけ言うとくるっと私に背を向けて歩き出す。
どこに行くの?
聞きたいのに引き止めたいのに。
私はそれを見ていることしか出来なかった。
何で?どこ行くの?
しかし、私の気持ちも虚しく亜弥の後姿はどんどんどんどん小さくなっていく。
いやだいやだやだよ。
亜弥、亜弥、亜弥――――――――
- 288 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:22
-
はっと目が覚めた。
亜弥?
体を起こして周りを見回す。
見慣れた部屋が目に映る。
って、夢、か。
汗でべたついた感触が私を現実に引き戻した。
どうしたんだっけ。
まだハッキリと覚醒してない頭で考える。
確か亜弥と話してる時にいきなり頭痛くなって――――
と、その時
台所の方から物音が聞こえた。
はっとして振り向くとそこには亜弥の姿があった。
起きたことを告げようと声をかけようとしたちょうどその時、亜弥がこちらへ振り返った。
反射的に私は体を寝かせた。
って、何してんだろ。
「あれ?なんか起きたような気したのになぁ」
亜弥のぽつりと呟くような声が聞こえてきた。
- 289 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:23
-
よかった。気付かれてない。
って、ホント私何してんだろ。
亜弥がこちらへ近づいて来るのが分かった。
もう、いいや。
何故だかバツが悪くなってしまって私はこのまま寝た振りをすることにした。
すぐ隣に亜弥が座った気配を感じる。
そして、しばらく間を置いて額に手の温もりを感じた。その冷たさが熱っぽい体に心地良い。
「ちょっとは下がったかなぁ」
亜弥は少し安堵した感じでそう漏らすとその手を引いた。
それを名残惜しむ自分に心の中で苦笑いする。
- 290 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:25
-
その時、私は初めて部屋の暖かさや体を覆う毛布に気付いた。
そっか、ずっと看病してくれてたんだ。
そう思うのと同時に不覚にも涙がこぼれた。
正直、私は朝高でのあの出来事以来人が怖かった。
意識してあまり心を開かないようにしていた。
ひとみも梨華ちゃんも多分それを分かってるんだろう。
たまに見せる態度にそれが如実に表れていたから。
でも亜弥だけは違った。
私の心にストレートに入ってきて、でもそれが全然嫌じゃなくて。
亜弥がくれる真っ直ぐな気持ちも純粋で屈託の無い笑顔も全部ホントは嬉しかったんだ。
- 291 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:26
-
「せ〜んぱい」
亜弥はおどけたような口調でそう呼びかけた。
勿論私が寝ていると思ってのことだろう。
顔を目をつぶっているのに亜弥の視線を感じる。
そのまま射抜いてしまわれそうな位強い視線。
それが私の答えを確信するパーセンテージをさらに上げていることを彼女は知っているのだろうか。
「アタシ」
突然、さっきの口調とは打って変わって出て来た彼女の真剣な言葉に私の体が少し緊張する。
- 292 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:28
-
次に宙を舞う言葉を悟った。
「ずっと前から、先輩がねアタシのこと知る前から」
ドクン
心臓が一つ大きく跳ねる。
「好きでした」
あまりにも真っ直ぐな言葉が胸に突き刺さった。
「っていうか、好きです」
少し照れたような口調で亜弥はそう言い直した。
それが妙に可愛く感じてドキドキする。
ヤバイヤバイヤバイって。
聞いちゃったよぉ・・・・・
- 293 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:34
-
さっきまでちゃんとはっきり言って欲しいだなんて思っていたくせに、実際に――まぁある意味盗み聞きではあるけど――耳にすると後悔する自分に呆れた。
何て勝手なヤツ。
そんな私の悶々とした気持ちを知らない亜弥は何が可笑しいのかクスクス笑い出した。
「でも、もう気付いた時には遅すぎましたけど」
その声にはどこか自嘲的な響きがこもっていた。
遅すぎたって何が?
そんな私に答えるかのように亜弥は続ける。
「梨華さんキレイだもんな〜」
何でまたそこに梨華ちゃんが出てくるわけ?
そういえば昨日帰る時も梨華ちゃんの名前だしてたな。
イミワカンナイ。
- 294 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:37
-
と、その時以前ひとみに言われた言葉が脳裏を掠める。
『美貴と梨華ちゃん、そういう噂になってるらしいよ』
ニヤニヤしながらそう言い放った彼女の顔がはっきりと頭に現れる。
あーそういうことか。
納得してみたものの、それを亜弥が勘違いしていることが今の私と亜弥の微妙な関係に大した意味を成す気はしなかった。
むしろ解けない問題が増えたようなそんな気がした。
- 295 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:38
-
さっきまで耳に届いていた音がしないのに気付き窓に目を移す。
いつの間にか雨は上がってしまったらしく、弱々しい光が薄暗い部屋に差し込んでいる。
それが沈んでいた気持ちを少し救ってくれた。
先輩に視線を戻して少し冷静になった頭でぼんやり考える。
自分の気持ちを言葉にするのは昨日と合わせてこれで二度目。
だけど、先輩に伝わってないって意味じゃ言ってないのと同じかもしれない。
こうやって落ち着いてみたら先輩のこと諦められそうな気もする。
でも、先輩の声を聞くと、くしゃっとしたあの笑顔を見るとどうしても気持ちを消すことは無理だと分かる。
- 296 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:41
-
何百年も根を張り少しずつ成長し続けた大木を倒すのが困難なように、アタシのこの気持ちも心の中に深く深く根を下ろしている。
そっと先輩の額に再び手をやった。
やっぱ熱もう下がってるや。
これでまだ熱でもあったら先輩の側にいる口実が出来る気のにと、頭の隅で勝手なことを考えてしまう。
よし。
諦めの悪い自分を断ち切るために勢いよく立ち上がると、部屋を軽く整えて先輩に短い手紙を残しアタシは部屋を後にした。
- 297 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:42
-
エレベーターを降りると駅までの道を頭に描きながら、外に足を踏み出す。
しかし、すぐに引き返してある場所に向かう。
マンションの窓側に面している小道。
さっき彼氏がいた場所。
別に意味はないけど、何となく足が進んだ。
さっきの傘はやはりそこに転がっていた。
拾い上げて雨粒を払い丁寧に畳む。
- 298 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:45
-
「ゴメンね」
誰に向けた言葉なのか自分でも分からないけど、でも心にあった小さな刺が少しだけなくなった気がした。
顔を上げて先輩の部屋を探す。
キレイな色のカーテンがすぐに目に飛び込んできた。
先輩・・・・・
さっきの先輩の行動が頭に浮かぶ。
こうやって手を掴まれて、先輩の顔がすぐそこにあって、先輩の温もりを感じて・・・・・
先輩?
さっきの行動にね理由なんて要らないよ?
からかわれただけならそれでもいいです。
ただ嬉しかったから。
すっごくドキドキしたから。
それだけでいいんです。
だから、だからこれからも側にいてもいいですか?
ただの後輩でいいから、特別じゃなくてもいいから、その笑顔をアタシにも向けてくれますか?
- 299 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:46
-
ポストに何かが落ちる音がした。
体を起こして玄関に目をやる。
鍵、かな。
知ってはいたけど、部屋に亜弥の姿がないのを妙に寂しく感じる。
ふとテーブルの上に置かれた紙に目が留まった。
丁寧に畳まれたそれを取り上げて広げる。
亜弥が書いていったらしく少しバランスの悪い可愛らしい文字が並んでいた。
勝手に訪ねたことへのお詫びと鍵を外からかけてポストへ落としておくということ、あと無理はしないようにと記されていた。
高一のくせになかなかしっかりしてるんだなぁ。
少し感心する。
いつものあの仔犬のようなイメージしか無かったから余計にそう感じたのかもしれない。
- 300 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:47
-
「亜弥」
無意識のうちに彼女の名前を呟く。
四月に出会ってから何度となく呼んだその名前。
呼びかけたらいつでも振り返って『何ですか〜?』って嬉しそうに笑顔を浮かべる。
それに特別な意味がこめられているなんて思いもしなかった、昨日までは。
じゃあ気付いたら?
全部知ってしまった今、私はどうすればいい?
自分の気持ちも分からないまま、私はしばらくぼんやりと亜弥の手紙を見つめていた。
- 301 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:49
-
うるさく鳴り続ける携帯のアラームを止めると、のそのそとベッドから這い出た。
全然眠れなかった・・・・・
けど今日は朝高との練習試合。
絶対に休むわけにはいかない。
鏡の前に仁王立ちになって気合を入れていると階下からお母さんの呼ぶ声が聞こえた。
「亜弥〜。起きてるの〜?」
「起きてるよ〜」
今日は絶対に遅刻できないからと、昨日の夜何度も何度も起こしてくれるように頼んでいたのだ。
「早く降りてご飯食べなさ〜い」
「は〜い」
顔を洗って歯を磨き下へ降りる。
おはようと軽く挨拶し席に着いた。
黙々と箸を進めるアタシの横からお母さんが話し掛けてきた。
- 302 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:50
-
「本当に好きなのねぇ」
「へっ?何が!?」
ドキッ。先輩の事かと思い一瞬焦る。
「何がってバスケットよ」
はいはい、バスケね。
「バスケ、うん、好きだよ。って、急に何で?」
「いやね、亜弥がバスケ始めるって言い出した時のこと
また思い出しちゃってね」
「もうあの話はいいからぁ」
今まで何度となく言われてきた話だった。
「テニスのラケットやらウェアやら全部揃えてたのに、
アンタいきなりバスケ始めるとか言い出して」
少し嫌味混じりな声がチクリと心に刺さる。
そう、結構な値段したのにアタシは断固としてバスケ部に入ると聞かなかったのだ。
結局その一式は親戚の子にあげることになったのだけど。
「もう時効だって。あっ今日の味噌汁おいしいね〜」
誤魔化すように話題転換を図る。
- 303 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:51
-
「そういえば藤本さんは元気?最近あんまり聞かないけど」
突然出て来た先輩の名前に口に含んだ味噌汁をこぼしかけた。
お母さんわざとですか?
「何で急に先輩が出てくんのさぁ」
「この間ね偶然、駅前の喫茶店で見かけたのよ。
お母さんみたいな方と一緒にいたんだけど、
なんか二人とも神妙な顔で話してたから気になって」
「お母さんと一緒に?」
確か先輩の家族は転勤で遠くにいるはずだけど。
まぁでも普通に会いに来たりするんだろうけど。
でも、神妙な顔ってのがちょっと気になる。
「それより早く食べて行きなさい。遅刻するわよ?」
急かされて時計に目を向ける。
うわっ、もうこんな時間!
慌ててご飯を食べると、アタシは急いで学校へ向かった。
- 304 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:53
-
ギリギリ五分前に学校に着いた。
もうほとんどの部員は集まっていて、荷物を詰め込んだりしていた。
みんなに遅いだの珍しいだの言われる中で適当に返事しながら、美貴先輩の姿を探す。
ちょうどスクールバスから降りてくる先輩の姿が目に入った。
ちゃんと来てる!
ホッと胸を撫で下ろす。
体もう大丈夫かな。
話しかけようと思い近づく。
と、その時振り返った先輩と思いっきり目が合う。
その瞬間、周りの時間が止まる。
- 305 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:54
-
ドクン
自分の心臓の音だけが音のない世界に響いた。
しかし、先輩の視線はアタシの顔を一瞬通っただけでそのまままた背を向けられてしまった。
えっ?先輩!?
再び動き出した時間の中でアタシはその場に立ち尽くしてしまった。
今明らかに無視、されたよね?何で?どうして・・・。
すぐに湧き上がってきた胸の痛みを堪える。
「亜弥?もうバス乗ろーよ」
肩を叩きながらアタシの顔を覗き込んできた友達に愛想笑いしながらバスに乗り込んだ。
- 306 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:55
-
朝高へ向かうバスの中はいつもより静かだった。
相手が強豪なせいもあるかもしれない。
だけどそれ以上にやっぱりみんなの頭の中には先輩のことがあるのだろう。
そんな雰囲気を乗せたままバスは朝高に着いたらしく停車した。
車内は俄かに騒がしくなりみんな席を立ち荷物を抱えて降り始めた。
そんな中、チラリと一番後ろに座っている先輩に目をやる。
先輩は険しい顔をしてじっと体育館の方を見つめていた。
先輩やっぱりまだ・・・・・・
言いようのない気持ちを胸にアタシも急いでみんなに続いてバスを降りた。
- 307 名前:こお 投稿日:2003/11/30(日) 23:56
- バスを降りると、いつの間にか強く握り締めていた拳を開いた。
今更ながらに気付いた痛みに手のひらを見ると、うっすらと血が滲んでいた。
爪が食い込んでいたらしい。
「何やってるん?」
いきなり降ってきた声に振り向くと、中澤が少し呆れた顔をしてバスのステップから降りてきた。
「あっ、いや、ちょっと・・・・・」
うまい言い訳を考えるには突然すぎた。
「そんな力んでどないすんねん」
中澤は肩にかけた鞄から包帯を取り出すと私の右手に巻きつけた。
「スイマセン」
「絆創膏やったら汗ですぐ取れてまうからなぁ。
これでいいやろ」
「ありがとうございます」
- 308 名前:こお 投稿日:2003/12/01(月) 00:00
-
軽く頭を下げて地面に置いた鞄を持ち上げた。
見回すと二年前とほとんど変わらない風景が目に映る。
それは同時に嫌でもあの時のことを思い出してしまうという意味でもあるのだけど。
何人かが私を見ているのが分かった。
同情してくれているのか心配してくれているのか。
どっちにしろここで立ち止まってちゃいけないんだ。
私はどうしても確かなきゃいけないことがあるのだから。
秘めた思いに触れるつもりでぎゅっと握った拳を胸に当てた。
- 309 名前:こお 投稿日:2003/12/01(月) 00:04
-
更新終了です。
約束を破り本当にすみませんでした。
これに懲りずにこれからもお付き合い頂けたら嬉しいです。
そして、てんぱってたせいでやっちゃいました。
タイトルに名前入れちゃってます。
バカなやつめと笑って流して下さい(w
レスのお返しは明日にします。
- 310 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/01(月) 00:33
- 藤本さんがどういう感じになるのか次回更新がはやくも楽しみですー。
更新おつかれさまでした。
- 311 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/01(月) 15:35
- うんA今回の更新もとてもよかったです!!
「放置じゃないですよね??」なんて言ってしまいスイマセン↓↓
次回の更新も、楽しみに待っています!!頑張ってください!!
- 312 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/03(水) 11:01
- 更新待ってましたよ!
目が離せない展開にドキドキです。
- 313 名前:川VvV从 投稿日:川VvV从
- 川VvV从
- 314 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/10(水) 23:41
- ↑一体何なんだ!?何でここに書き込んでるのかわからん
- 315 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/11(木) 00:13
- >>314
ここんとこ見るコピぺだね。
騒ぎ立てず放置しよう。
- 316 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/11(木) 17:24
- (´ー`)。o0(今週末ぐらいに更新かなぁ・・・)
続き楽しみでつ。
- 317 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/15(月) 16:34
- まっだかな、まっだかな(・v・)/
楽しみ!
- 318 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/15(月) 19:32
- >>317
気持ちはわかるがageるのは勘弁してくれ。
- 319 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/19(金) 17:05
- 待ってます。作者さん。
- 320 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/29(月) 03:25
- 待ってます。
- 321 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/30(火) 23:47
- プチ保全
- 322 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/04(日) 13:02
- 待ってるよー。
- 323 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/09(金) 15:16
- ・・・・まだ・・なの・・?
- 324 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/21(水) 23:23
- 今日、初めて読みました。
続き楽しみにしています。
- 325 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/25(日) 20:32
- 待ってます。
- 326 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/26(月) 15:43
- 今は待つんで更新はドヴァーっとたのんます。
- 327 名前:名無し飼育さん 投稿日:2004/02/06(金) 09:35
- ひたすら待ってるんで少しだけでも更新お願いします…。
- 328 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/09(月) 21:37
- 作者さんの小説書き能力はスゴいとおもいます!!
なので更新たのしみにしています。
- 329 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/11(水) 06:19
- レスする時は上げないで下さい。
更新されたかと思う人(その一人ですがw)がいて、迷惑になります。
上がっていたので落ちしますが、更新待っています。
更新まではいかなくても生存確認をお願いします。
- 330 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/11(水) 10:28
- 昔よくあった期待ageも今はダメなの?
- 331 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/22(日) 15:15
- オソイダロ・・・・・
ハヤクシテクレ・・・・・ヨゥ
タノミマス・・・・ヨゥ
ホントニネェ・・・・
- 332 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/23(月) 01:21
- なんだかんだお忙しいのではないかな?
一度勢いを失ってしまうと、続きを書くっていうのはけっこう大変だし。
んー…それでも、ここで止めるのは殺生ですよw
続き、ひたすら待ってますので、どうかどうかお願いします、作者さん!!
- 333 名前:名無し読者 投稿日:2004/03/07(日) 14:52
- ほ・ぜ・ん・さ・せ・て・い・た・だ・き・ま・す!!
とてもとても素敵な作品なんで、私は待ち続けます。
みきあや(・∀・)バンザイ!!です。
- 334 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/09(火) 05:20
- 恋人宣言も出たところだしそろそろ…
更新が無理でも生存報告だけでもいいですから…
マジでお願いします、作者さん。
- 335 名前:名無し読者 投稿日:2004/03/18(木) 15:05
- 待ちます!!
この小説スッゴク好きです。
みきあやの大好きなんでずっと待ちます!!
- 336 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/21(日) 16:20
- 作者さん、気長に待ってます!
- 337 名前:名無し読者 投稿日:2004/03/30(火) 12:54
- あぁ〜、早く読みたいよぉ。
更新してくれることを祈って待ってるよ。
- 338 名前:名無し読者 投稿日:2004/04/09(金) 15:42
- お願い致します。
更新してくださいませ。m(_ _)m
せめて状況報告だけでも・・・。
このみきあや小説ホントに好きなんです!
- 339 名前:名無し読者 投稿日:2004/04/21(水) 19:57
- 絶対!待っています!!
- 340 名前:名無し読者 投稿日:2004/04/29(木) 09:34
- 更新されることを期待していつまでも待ってます。
- 341 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/30(金) 22:31
-
- 342 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/04(火) 16:33
- ochi
- 343 名前:名無し読者 投稿日:2004/05/05(水) 12:19
- 楽しみにいつまでも待ってます。
が、せめて状況報告だけでもしてほしいです。
- 344 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/09(日) 16:38
- あぁ、このすばらしい作品の作者さんよ、もし、あなたがこの作品を
楽しみにしている者達の存在をわかっているのなら、少しでも、
本当に少しでもいい、あなたの言葉を聞かせてほしい・・。
人それぞれ様々な事情があると思いますが、何卒、お体に気を使われ、
気楽なお気持ちで物語を進めていただければ幸いです・・・。
作者さん、応援してます。ずっと待ちます。のんびり待ちます。だから、
作者さんも、のんびり、のんびりでいいです、続きを聞かせてください。
追伸 この文章、微妙におかしいですよね。(しかも長いし・・・)
でも、ホント応援してます!
- 345 名前:名無しマスク 投稿日:2004/05/15(土) 13:05
- ↑同じく!!
- 346 名前:みき好き 投稿日:2004/05/18(火) 19:54
- 続きが早く見たいんですが。。。
- 347 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/19(水) 19:54
- あのー、だから上げない方がいいんじゃないですか?
みなさん期待してらっしゃるんだからさ。
- 348 名前:名無し読者 投稿日:2004/06/15(火) 01:55
- もうだめなんかな〜?
- 349 名前:名無し読者 投稿日:2004/06/16(水) 18:54
- このままだと自分もガッカリだし、他の読者の方にも気の毒だと思う。
7月に入っても状況が変わらないままなら、どなたかに書いてもらえないだろうか。
本当は作者に書いてもらうのが一番なんだろうけど・・。
みなさんどう思いますか?
- 350 名前:名無し読者 投稿日:2004/06/17(木) 13:41
- まあ、半年以上も経ってますしねえ〜。
7月になっても生存報告がなければ、誰かに書いて貰うのもいいんじゃない?
- 351 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/17(木) 16:04
- 誰かって誰が書くんだよ?
自分が書くってんならまだしもさぁ…
なんかあんまりにも他力本願でなんだかなぁ…。
- 352 名前:名無し読者 投稿日:2004/06/18(金) 18:30
- もうこの小説は諦めた方がいいのかなぁ・・・。
自分もこの小説を任せられるような文才なんてないし。
読んでて結構好きだったんだけど。
- 353 名前: 投稿日:2004/06/24(木) 22:31
- もー無理A!!!!
作者も途中でやめるんなら、最初からかかなきゃいーのに
- 354 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/25(金) 01:52
- 皆さん、半年くらいでそんな騒ぐのはやめた方がいいですよ。
もうちょっと長い目で見たらどうでしょう。
一読者が偉そうにすいません。そして作者さん、スレ汚しすいません。
- 355 名前:名無し読者 投稿日:2004/06/28(月) 02:22
- 生存報告だけでもあれば、何とか待っていられるんだけどもね。
- 356 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/03(土) 03:25
- いつまでも待ちます。
- 357 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/11(日) 02:39
- 作者さん生存報告してくれ
放置なら放置でいいから知らせてくれ
じゃなきゃいつまでも気になってチェックしちゃうだろ
書く側としてもそのくらいの責任感持ってくれよ
- 358 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/13(火) 04:44
- 生存報告もなにもできない状況なんじゃないのか?
- 359 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/18(日) 16:57
- 辛い・・・
- 360 名前:名無し読者 投稿日:2004/07/30(金) 04:02
- まだかな〜
- 361 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/10(火) 17:30
- いつ、続きがよめるんだろう・・
気長に待ってます。
- 362 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/11(水) 10:29
-
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