monastic
- 1 名前:トーマ 投稿日:2003/09/30(火) 10:24
- 一読者として、ここに来て、数ヶ月。私にとっての[娘]のリアルを書きたく
なったので、書きます。
短い物を幾つか書くつもりですが、石川さんが好きなので、たぶん彼女
中心の話になります。
- 2 名前:プロローグ 投稿日:2003/09/30(火) 10:50
- 私たちはたぶん、極普通の女の子で、ただ、取り巻く環境がかなり普通じゃない。
例えるなら、やけに厳しい全寮制の女子校の中のオリンピックを目指すような、団体競技のチーム。
そんな感じだろうか。
アイドルなんだからもちろん男女交際禁止だし、めちゃくちゃハードなスケジュールで、
プライベートなんて、後回しだし、ユニットだから、チームワークは大事なんだけど、
そんな中で、センター争いとかあるわけで、それにほとんど毎日、同じ面子と顔合わせて、
もちろん、家族や姉妹みたいにもなるけれど、普通に年頃の女の子が十数人集まって、
みんな仲いいなんてありえない。当然相性もあるし、年齢もあるし・・
それから、やっぱ、閉鎖された空間だから、友情よりもちょっと重い感情だって生まれてくる・・・
- 3 名前:お魚マーク 投稿日:2003/09/30(火) 11:40
- 「fun]のトーク収録が終わって、楽屋に戻る。今日はこれでオフ。
きっと、アニメ声が[さっきの何よー]とか言って絡んでくる。そしたら今日は
久々にましなかっこうしてきたから、飯にでも誘おう。・・と思ってた。
でも、ちっとも寄ってこない。さっきからずっと、ミキティとしゃべってる。
何か最近仲ヨサゲ。ちょっと前まで、何それって思うくらい険悪ぽかったのに、
・・・着替えも終わっちゃったし・・
と矢口さんが、「梨華ちゃん行くよ!」と二人の脇から声をかける。
「あっ今日って焼肉ですよね。美貴ちゃんも誘っていいですよね。」
「へっ、ミキティ行くの?圭ちゃんも一緒だけどOK?」
「肉でしょ行きますよ―。美貴はお肉ならいくらでも入ります。」
「そうじゃなくて、案外付き合い悪いのかなぁって感じだったから・・」
「何言ってんですかぁ、私だって用事がなきゃ、いつだって付き合いますよ。
お腹はいつだって開けてますよ。だってお肉でしょ!」
「ようは、肉が目当てかー」
アー、何か笑ってる。三人で笑ってる。
「個室取ってあるからさ、人数大丈夫なんだけど、ヨッスィーも誘う?
ねぇ、ヨッスィ―」
「ああ、アタシは・・・」って首を伸ばしたら、
「ダメですよ。あの子お肉だめなんだからーー」
「あっそうか」
って、答えさせてもくれない。ついでに誰かさんこっちを見てもくれてない。
アタシだって、焼肉屋で食べれるものぐらいある。
- 4 名前:お魚マーク 投稿日:2003/09/30(火) 12:25
- 「じゃほら、圭ちゃん待ってるから行くよ」
すると隅のほうで固まってた6期メンの方から、田中がスーっと矢口さんの前に来て、
「あのー」
「ああ、田中も焼肉ラブだったよね。でも、今日はもう遅いからダメ。あんたら明日学校でしょ。」
「ええ、ハイでもー」
ってモジモジしてると、梨華ちゃんが、
「田中ちゃん今度ね、あっそうだ、乙女コンの時、泊りだから、連れてってあげる。」
「えっ、本当ですか?約束ですよ」
「うん、その時デートしょ。」
「デートですか、二人ですか!」
あの田中が真っ赤な顔なんかしちゃって、似合わないって。
「ああ、シゲサンも、美貴ちゃんも一緒だけどね。」
「あっ、なんだぁ・・でもうれしいです。約束ですからね。」
「うん!」
何か爽やかな顔しちゃって、田中の肩たたいちゃったりして・・。
「田中よかったねー、梨華ちゃんと同じ組で。」って、ちっこいの。
「ハイ!」
「オー、素直だねェ。じゃほら行くよ。あの人待たせると酔っ払っちゃうから。ほらほら」
「「「おつかれしたー!」」」
三人はそそくさと楽屋をあとにする。
あーあー、こっちには挨拶もなしかよ。なんかなーって思ってたら、
「アンタさあ、さっきのちょっと表現方法まちがってたと思う。」
唐突に宇宙人に声をかけられた。
「あれじゃあ、梨華ちゃんだって、引いちゃうよ。絡みたいのはわかるけど、
何かちょっと変!」
変って、アンタにいわれたかないよって、そうかなぁー。
「そうかなぁーって、そうよ。」
口に出してないのに、やっぱこの人・・・・
「とにかく、今日はもうあきらめてカエンナ」
って、ぽんとアタシの頭たたいて、長い髪なびかせて、自分の星に帰っていく。
あきらめるって・・・。
- 5 名前:お魚マーク 投稿日:2003/09/30(火) 13:09
- 「ナッチさぁ、思うんだけどさぁー」
またも唐突。
「ヨッスィ―さあ、名前にお魚マーク付けたほうがいいと思うわけさ」
またわけわかんないことをー。
「ホラ、前ドーモト何とかで沙、占いの人に言われたべ、タイミング悪いって、
あれだよ、きっと。」
「はぁ?」
「つまりさ、ヨッスィ―が必要な時と、梨華ちゃんが必要とする時と、お互いにね、
何かズレてんの、気持ちがさ、今っていらないんだよヨッスィ―のこと。」
ー――さらっと、そんなきついことをこの人は。
「じゃあねー、あっそれから寝る前六時間は何も食べないほうがいいんだよー
ナッチの経験から。」
またまた、きついことを言い捨てて、・・
アンタこそ温泉マーク付けたほうがいいよ。ソロになるんだし。
そういえば、梨華ちゃん写真集で、しっかり使ってたなハートマーク。
だんだん人が少なくなってく楽屋。しょうがねー帰るか。
「あんま、さびしかったら、のんたち遊んであげようか」
「そやで、でもこんどなー、」
って、ちっちゃくて丸いものが2つコロコロと出て行く。
みんなよけいなことを・・・アタシってそんな哀れぽかった?
- 6 名前:お魚マーク 投稿日:2003/09/30(火) 13:42
- お魚マークねえ、あっそうだゴッチンにメールしよう。これって普通の連想だよね。
帰りの車から、親友にメールする。
「元気してる?ドコ?」
「うーん、疲れたー、ソロコンあけ、ホテル」
「お疲れ、こっちは収録あけ。次いつあえんのかな」
「えっと、たぶんHEY×3 サイタマ」
「サイタマ、ケメコン以来だね」
「ケメコンかぁ、ゴトーも見にいったんだよねぇー。
圭ちゃん元気かなって、ハロモニで会うけどね」
「何かしょっちゅぅウロウロしてるよ、今日も梨華ちゃん達と焼肉だって」
「あの人たちよくつるんでるよね。矢口さんとでしょ」
「そう今日はミキティも一緒」
「エッ、ミキティ意外だね仲いいんだ?」
「うん、最近ね。」
「梨華ちゃんと?」
「そう、梨華ちゃんと」
「ヨシコ複雑だねぇ」
「フクザツ、そんなことーあるよ」
「珍しく、正直だね。今度ゴトーがなぐさめてあげるよ。」
「なぐさめるって、ゴッチンだって複雑なんじゃないの?」
「アタシーーってか、何で」
「まあいいや、じゃサイタマでね」
フクザツって・・・なんかそれ前は三人、アタシとゴッチンと梨華ちゃんとだったような。
ゴッチン!アタシ知ってるんだからね。
- 7 名前:お魚マーク 投稿日:2003/09/30(火) 14:07
- それから・・何か毎日のように会ってるのに、ほんと傍にいないよね。まあこの人数じゃ意識しないと
なかなか・・それに組違うしね。何気に楽屋ちがったりして。
でもーなんか空気ちがくない?
前はさ、アタシがアイボンとじゃれたりしててもソバデ笑ってなかったっけ。
矢口さんとふざけてたって、こっち見てなかったっけ。
ダンスレッスンの合間だって一緒にお茶したりしてたよね。
てか、いつからこんな遠くなったわけ?
- 8 名前:@ 投稿日:2003/09/30(火) 21:41
- やばい おもしろいです。
メンバーみんなのキャラがそのまんまなのに
笑える。いしごま?だったら嬉しいな
- 9 名前:お魚マーク 投稿日:2003/09/30(火) 22:25
- 9月22日。HEY×3。歌ったり、しゃべったりする時間なんて、ほんの10分足らずなのに、
お昼過ぎから、現場に入って、リハやらなんやら。本番始まったって、ずーっと座ってなきゃ
ならないんだって。なんかさ、こんな番組やるたびに思うけどさ、何気にすごい仕事だよね。
座って、笑ってなんぼだって・・。とりあえず今は休憩。今日はゴッチンも来てるから
そっち行ってようかなーって思ってたら、オイこっちくんのかよ!
「オー、ゴッチン、今日トップだって。緊張するよねー」
と、いつものようにちっこい元気印が真っ先に声をかける。
その横の梨華ちゃんが少し心配そうな顔して、ゴッチンの顔のぞきこんで、
それから、安心したようにフアァーと笑って
「ねぇ、明日のコンサート、地方だよね?」
「うん、福岡。」
「だからね、一日早いんだけど、今日会えると思って。はい、これ!」
「うあ、もしかして」
「うん。18才おめでとう!」
ゴッチン、ふにゃふにゃになってる。
- 10 名前:リエット 投稿日:2003/09/30(火) 22:33
- モテ石ですねw
面白そう。期待しています。
- 11 名前:お魚マーク 投稿日:2003/09/30(火) 23:02
- 「あっ、オイラも、オイラも。梨華ちゃん抜け駆けだぞ!」
って、ちっこいのが、梨華ちゃんのより、少し大きめの箱を取り出す。
「アタシもー」とか言って、ミキティまで。
ってか、アタシ持って来てない。明日渡そうと思ってて、・・エッー福岡なのー
他のメンバーも、「そっか、明日いないのか、今度ね。」なんて言って集まってる。
「みんな、あんがと。ゴトーも18だよー。」
なんて照れてる。
何か輪に入れないなーなんて思ってたら、後ろからアイボンがツンツンして、
「忘れとったんやろ。薄情やなー」
「なっ、わけないだろ!明日ワタそと思ってたんだよ。」
「福岡行ってか?」
「うーん、知らんかった」
「ひとのスケジュールやもんなって、調べりゃわかるやろ。
現にあの人らあーやって用意してるやろ。」
「アイボンも?」
「そや、って言うか、いつ会えるかわからんから、ののと一緒に家の方に
送ってあんねん。用意いいやろ。」
「そっかー、大人になったねー、そんなことできるんだ。」
と、お団子のない頭をなでてやる。
「アタシは福岡に送っといた。ドラえもんの大きいの。」
ってリーダー、それって荷物にならないか?
- 12 名前:お魚マーク 投稿日:2003/09/30(火) 23:27
- いつの間にか楽屋は平常営業に戻っていて、それぞれ雑誌見たり、お菓子食べたり。
ボーッとしてたら、輪の中心だった人が横にいた。
「ヨシコ忘れてたでしょ!」
「そんなことないよ。用意してあるよ。でも明日だからさ・・」
「オー、来てくれるんだ。」
「って、無理だけど。」
「アタシのスケジュールまでは知らないと」
「はい!」
「正直だねー。まあそのズボラなところがヨシコなんだけどね。」
「ハイ。充分へこんでます。」
「ていうか、みんな優しいよね。」
「うん。優しい。」
「ゴトー、最近しみじみ思うんだ。娘の時はよかったなって。」
「えっ」
「普通にさぬるま湯の中って感じでさ、よく眠れた。」
「眠れたって、眠れないわけ、今?」
「いや、いや寝てるよ。けどさー、それとちがくて、前はサー、こんな騒がしい中で、
何か安心して寝てたナーって・・」
「特技だものね。」
「そう、みんなの騒ぐ声を子守唄にさ。」
「何かゴッチン、今日はやけにしみじみしてんね。」
「アタシも年かなぁーってまだ18じゃん。」
- 13 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/01(水) 00:01
- 「本当に仲ヨサゲだね。」
「えっ?」
「って、あれ。梨華ちゃんとミキティ。」
「うん。」
「映画の宣伝とか舞台挨拶とかあったじゃん。その時も思ったよ。前と空気ちがうなぁって。」
「そうなんだ。」
「何かあったんかね。ヨシコ聞いてないの?」
「よくわかんないけど、ほら、今、楽屋とか違う時あったりしてさ。
でもたぶん、ハワイあたりからかなぁー。」
「まあ、良いことじゃないの。これからあの二人たぶんペアなんだし。それより
ヨシコが何も聞いてないってのが問題なのさ。」
「ゴッチンだって聞いてないじゃん。」
「アタシはね。・・でも聞いてなくないかー。」
「エッ、話てん?」
「たまにメールするしさ。二人とも。直接そんな話でもないけど、名前出てくんの
多くなってたからさ、最近。」
「そうなんだー。」
「ヨシコ喧嘩でもしたんかい?」
「してねーって。普通、普通にしてるよ。ずーっと同じ・・・はずなんだけどね。」
「少し遠いってか?」
ズバット刺さった。ゴッチン、ストライク。
「いつもここにいないアタシより遠いんだ。やった。勝った!」
「勝ったって、何なのさー。」
小突こうとしたら、ひらっとかわして・・
「もうすぐ、カメラテストだから行くね。プレゼントすんごく期待してるから。
遅れるぶんだけ良い物おくれねー。」
って、背中で手を振って・・・
- 14 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/01(水) 00:44
- 出てくついでに、入口の近くにいた梨華ちゃんと一言、二言。最後に二人して投げキッスして・・
そのことミキティに突っ込まれて、きゃっきゃしてる。
そんなの眺めてたら・・・
「アンタたちおもしろいよね。」
って、デカリーダー。
「やっぱ、お魚マーク!」
って、イモリーダー。しつこっ!
「同期ってさ、あんたたちの場合はゴッチン含めてだけどさ。いろいろあるんだろうけどさ。
カオたちもいろいろあったけどさ。」
「そうそう、いろいろあったよねー。喧嘩したり、喧嘩したり、喧嘩したり・・」
って、ケンカだけかよ!
「そのうち、本当の家族みたいになるんだけどさ、メンバーみんな。
同期ってそれだけじゃないからさー。」
って、最近、卒業ひかえて、かなり感傷的じゃねーの。お姉さま方!
同期ねー。ゴッチンや圭ちゃんの卒業、6期が入るなんて頃からかなぁ。
やけに意識してるよね。みんな。
アタシもかなー。辻・加護のことはそうでもないんだけど、正直、年ちがうからね。
じゃあ梨華ちゃんだけかよって・・よく比較されたりしたからね。
辻・加護がセットで、アタシと梨華ちゃんがセット。それからゴッチン含めた3人セット。
でも、だいぶ変わっちゃったよね。ゴッチンいないし、それに実質4期のあの人入って来たしね。
今度は、梨華・美貴セットなのかなぁー・・アタシは、アタシは・・
、いろいろ会ったよねー。喧嘩したり
- 15 名前:訂正 投稿日:2003/10/01(水) 00:46
- 上の一行、消し忘れちゃった。みっともねー。
- 16 名前:リエット 投稿日:2003/10/01(水) 01:52
- 更新の邪魔をしてしまってすみませんでした。
吉澤さんが切ない…。
石川さんの気持ちはどうなるんでしょうか…?
- 17 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/01(水) 09:48
- 本番でちょっとアクシデント。
オイオイ!梨華ちゃんアンタ前列中央でしょう!って・・そこに・・
「ああ、しょうがないじゃん。浜田さん、座っちゃってるしー。」
って、平気な顔してアタシの隣かよ!
後でマネージャーさんに怒られるって。アンタ前に座る人でしょ!
何かこういう時に平然と段取りと違うことできるようになっちゃって、この人。
前だったらほら、あの田中みたいにバタバタしてたよね。きっと・・
オイ、デカリーダー、怒ってないかー・・・
エッー、本人は・・いつものプロスマイルだ。
次はゲッツかよって、
「おかしいよねー、あの人。はずしまくって。私よりすべってる。」
って、ケラケラして。
「ねぇ、マネージャーさんとかに怒られたりしないかな」
って、さっきから気になってたことを言ってみる。
「大丈夫じゃない。生にアクシデントはつきものだって。それに私的にはココノ方がいいなぁ。
前だとさ、足元とかずーっと緊張してなきゃいけないし、あんまり好きじゃないんだ。」
って、それがあなたのホジションでしょうが!
前に行きたくたって行けない子達がたくさんいるんだよ・・・。
アタシはこんなだから、前に行ったら行ったで、アイボンよりひどいことになるけどね。
「アイボンかわいそうだったねぇー。前だと目立つからねぇ。」
って、・・あぁ、ののとしゃべってるんだ。
「うん。のん後ろでよかったよ。」
「ののは大丈夫。だいぶ細くなったじゃん。がんばったねぇー。」
「うん。でも、”辻、腹!”ってまたウタバンで中居君に言われそう。」
「平気だって、本当にスッキリしたもの。」
って、アタシの横で本番中にダイエット話かよー。って思ってたら、ののが・・
「よっちゃんもがんばってね!」
何気に声大きいしー。ほら、みんなアタシの方見てんじゃん。
松本さんや浜田さんに聞かれたら、今度アタシがつっこまれるじゃん。
ってか、矢口さんウケスギ!
- 18 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/01(水) 10:17
- その後、アダルト組居残りで、どーなんのかなぁって思ってたけど、自然に話せて・・
何か、浜田さん、あんがと!
ゴッチンも残りかと思ったら、そうか今日はマダ17なんだねぇー。
待ってんのかなぁってー期待してたけど、そうだよね、明日早いからね。
帰りの移動バス。アタシはいつものように一番後ろでひっくり返って。
人数少ないんだから、いいよね。
前の方は・・・
交信中のリーダー。
すごい体勢で熟睡中の道産子。
まだまだハイテンションのちっこいの。
それにつっこむ新入り。
笑って、ぼけてるアニメ声。
何か最近の定番だよね。これ。・・・おやすみ・・・
事務所に着いて、解散。
「何か食ってたりするー?」
って、矢口さんが梨華ちゃんに声かける。これも定番。
「そうですねぇー。明日はオフだから、ウチに来たりしますぅ?」
って、これ定番じゃない。
「梨華ちゃんチ?私も行く!」
って、ミキティ。これも新しい。
「って、梨華ちゃんチって、きたなくねぇー。」
おっと、これはお決まり。
「大丈夫ですって。昨日お母さん着てたから。」
って、おいおい!
- 19 名前:訂正 投稿日:2003/10/01(水) 10:20
-
誤・・・お母さん着てたから
正・・・お母さん来てたから
- 20 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/01(水) 10:59
- 「そっか。じゃ近いしそうしよ。ナッチもカオリもヨッスィーもどうさ?」
主人じゃない人が誘ってる・・普通に・・
「そうだねぇー。こんなのアンマないから、たまにはいいか。」
って、また珍しい人が・・。卒業決まって、少し感傷的なんだろね。
「うん。私も今日の分の交信終了したし、噂のイシカーんち見てみたいし行く!」
って、初めてなんだ。やっぱこの人付き合い悪いよね。
「ヨッスィーは?」って、みんなに見られた。
「うん。」
何か久しぶり梨華ちゃんチ。ゴッチンと行って以来かな。
コンビニでいろいろ買い込んで。
・・・何か少しピンクじゃなくなってる。って思ってたら、ミキティが・・
「このまえより、シックでない。」
あっ、来てんだコイツ。
「うん。お母さんがね、少し大人にしなさいって。」
来てんだ。来てんだ。・・
ってか、ちっこいのと新入りが普通にキッチンに立って、グラスとか出してる。
冷蔵庫のぞいて、
「やっぱ、なんもない。」とか言って。コンビニの袋開けて・・・
まるでゴッチンみたい。
ゴッチン、ここくると必ず最初にキッチンに立って、
「なんてで、ゴッチンがやってんのさぁー」とか言うと、
「だって、私より上手なんだもん!」
って・・・何気にいい感じで。・・・
「やっぱー、イシカーって感じ。」
でかいのが、少しキョロキョロしながら、奥のソファーを確保する。
「だねー。ナッチ引越しの時に矢口と来て以来かなぁ。」
とか言いながら、クッション抱えて、床にペたーと座り込むおイモ。
そこって、何気にアタシの場所・・・。
- 21 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/01(水) 11:28
- 「ほら、ヨッスィー、ぼーっとしてないで運ぶ、運ぶ!」
・・・トレイ渡されて、あれ、家主は?ってキョロキョロしてると
「あれはお風呂わかしてる。入る人もいるだろうからって。」
何か、ツーカーなんだね。
小さなテーブル囲んで座って・・
「はいこれ。」ってチューハイの缶わたされた。
えっーいいのー。ソリャいつも飲んでるけどさ。お姉さま方怒んないの?
って、リーダー最初から日本酒かよ。オッそれCMのだ。さすが律儀だねぇ。
まさか梨華ちゃんもって、見たら、カクテルなんとかいうのグラスについでる。
いつから、飲むようになったんだよ!ケメコにでも仕込まれたか。
「わぁー、ナッチとオソロ。」
とかいって、22歳が騒ぐな!
「よくそんな甘いの飲めるなぁ。」
って、ミキティはビールかよ。やっぱおっさんぽい。こいつ。
「「「「「「カンパーイ」」」」」」
テーブルの上には、イカクンやホタテの貝柱、チーカマにポテチ、かきのたね・・・
アタシたち、アイドルだよね。国民的。
- 22 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/01(水) 12:07
- 「圭ちゃんやユウチャンが知ったら、なんで誘わなかったって怒られそうだよね。」
「でも、なんかこのメンバーって新鮮で良くない?」
「そうだね。ミキティもいるし。」
「案外、付き合いいいんだねぇー」
「案外はないでしょ!愛想は悪いけど、付き合いはいいすよ。道産子だから。」
「てか、その道産子の先輩たちはメチャクチャ付き合いわるいよー。」
「アハッ。・・・そうじゃなくてさぁ。ミキティって娘ニ入るの何気に嫌そうだったしさぁ。」
おおー、直球だ!さすが毒舌王。
「おっとー、そうきたかぁー。
マア、まじな話、今更って感じだったし・・・。
だって、ソロになるから卒業おめでとう。なんてやってるのに、ソロから入るってねぇ、
何それ!って思いません?」
「そりゃそうだ。」
酔っ払いのチビが合いの手をいれる。
「でも、事務所の言うこと聞かなきゃいられませんもんね。この世界。
美貴は大人ですから、いいように考えて前向きにやろうって・・・」
「って、今は思ってるわけだ。」
リーダーが宇宙から戻ってきて参戦。
「まあ、娘にとっては良かったと思うよ。
何か最近、穏やか過ぎたからね。競争心がないっていうか。
人数多くて、どうなんのかなぁとは思ったけどさ、あの3人も、アンタも
チョット・・だからさ、変なの増えてなんか面白い!」
って、アンタが一番変!
「そーだ、そーだ、オモシロイ!」
って、チビの酔っ払い。
「ナッチもまだまだいたかったよぉー。」
「てか、お前もうちょっとイロ!」
- 23 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/01(水) 12:41
- 「そーだねぇー。ナッチ、娘好きだネェー。ソロも大変そうだしね。」
「そーだねぇー、ごっつぁんも大変そうだし・・・。」
「あっ!」って、甲高い声。
「12時になっちゃいますよ!」 って、何!
「あっ、そうだそうだ。」 って、ちっこいの、何!
「忘れるとこだったょ。」って、新入り、何!
ガサゴソ携帯出し始める。
「私、一番ですからね。」
「しゃーねぇなぁ。いいよオイラ二番で。」
「じゃ、三番ということで・・。次、誰いきます?飯田さん?安倍さん?
てか、フツー、ヨッスィー打つでしょ!最初にぃ・・・」
って、何!
「ほら、メール、メール。メッセージかぶったらダサいからね。
ちゃんと他の人のチェックしてね。」
って、何仕切ってんのこの人。
「そうだね。アタシはポエムだから、かぶんないけど、時間かかるから、ラストにするね。」
「ナッチはぁ、しりとりにしよう。美貴ティ最後の文字なに?」
って、またわけのわかんないこと言って、で何よぉー
って、顔してたら・・・・
「「「「「ゴッチンのバースディメールでしょう!」」」」」」
全員につっこまれた。
あっ、そうか。
- 24 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/01(水) 22:21
- 「きっと、他のみんなもどっかで打ってんだろうね・・・。」
今日はつくづく感傷にひたってるよね。この人。
そういえば、アタシの誕生日も日付変わったとたんメール入ったよね。みんなの・・
この仕切り屋いなかったけど・・・・
ひとしきり、セレモニーが終わって・・・
「ゴッチンも18かー、13だったんだよねぇ」
って、またまた感傷的。
「そうだったよねぇ、金パの中学生。田中の比じゃなかったよねー。」
「うっわって感じで。」
「遅刻するしねぇー。」
てか、アンタがそれ言うか。
「あっという間にスターでねぇー。」
「私たちやっぱりゴッチン見て、オーディション受けたんだと思う。
あんなふうになりたくて・・・ねぇヨッスィー。」
オイ、急に話しフルなよ!
「そうだね。あんなふうになりたくて。」
って、アタシャ鸚鵡かよ!
「私さ、梨華ちゃんに負けたんだよね。」
って、唐突にどーしたのミキティ!
「えっ」
「だから、4期のオーディション。」
「なんで?」
「だって、キャラかぶんないようにするんでしょ。娘って・・・」
「だから?」
「同じ歳で、同じ背格好で、お姫様キャラ。」
お姫様って、あんた自分で・・
「そうじゃないと思うけど・・・・。」
って、アーアうつむいちゃった。
- 25 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/01(水) 23:00
- 「だから合格発表のテレビ見てて思ったんだ。あっこいつのせい!ってね
すんごく、憎らしかったーー。」
って、泣いちゃうぞー梨華ちゃん。
「そんなことないと思うけど・・・。」
ほら、泣きそうじゃん。
「今はそーとーキャラ違うけどねぇ。」
って、何気にフォロの矢口さん。
「どっちかって言うとヨッチャンの方がかぶりじゃなあい。バレーボールとか、軽ヤンとか・・・
また余計なことをイモリーダー。
「ううん。違う。だって、お姫様キャラ。」
って、まだ言うか。
「今でも憎らしい?」
って、そこに突っ込むかぁ、でかいの。
「はい、かなり!」
つて、認めんのかよ!
「でも、好きだからイイデス!」
えーっ!、今度は爆弾!
「「「「えっ」」」」 みんな顔上げて・・・
「それに唄ヘタだし!」
って、何それー。えっ、ここって笑うところ?
・・・・そうそう、笑うとこ。笑うとこ・・・・。
笑われている当人はーっと。あっ笑ってる。
って、どっちの言葉に反応して?
「今は娘、楽しいし、まあ色々あったけど、これはこれでいいです!ネェー梨華ちゃん。」
って、抱きついて・・・って抱きつくかフツー。まあ、酔っ払ってるし・・・
てーか、梨華ちゃんフツーに嬉しそうじゃん。
てーか、何これ!
- 26 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/01(水) 23:41
- 「アイボン今日かわいそうだったね。」
また、トートツに・・・やだなその話。
「どーしょうかと思ったよカオ。あの子、受け答え上手だったからよかったけど。」
「あのネタはきついからねぇー。女の子には。ナッチもほらあったじゃん。
いろいろ・・・育ち盛りだし、ストレスとかもあるしねぇ・・・。」
って、アタシのこと見るなって!・・・おいみんなかよ!
「アンタ少しはどーにかしなさい!」
って、ちっこい酔っ払い。
「「ソーダ、ソーダ」」
って、そこのバカップル。・・・バカップル?
なんかあれ以来、何気に寄り添ってねー。
「私もそう思う。10キロ、うーん12キロは落とさないと・・・」
って、話を具体的にするなヨ、リーダー。
「あのネ、豆腐とかね、玄米とかね・・・。」
オーイ、ダイエットレシピかよ。イモ!
「ほら、もう食うな!飲むな!」
って、チビ!
「「「そーだ、そーだ」」」
この酔っ払い集団がぁぁぁ。人の痛いとこつきやがって!
「「1.5倍、2倍、やっぱ3倍」」
とか、ヒソヒソ。オイ、そこの二人!
そう、そう、あんたら細いですよ。肉食ったって、ケーキ食ったって、体質だろーが。
叫んじゃおうかな。叫んじゃおうかな。うん、叫ぼう・・・
「ヨッスィー、叫んじゃダメ!苦情くるから!」
って、アニメ声。やっぱ、わかってらっしゃる。
「さあ、ヨッスィーいじめはこのへんにしてと、飲み直し、飲み直し。」
って、また仕切ってる新入り。ついでにマダひっついてる。
- 27 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/02(木) 07:17
- おもしろい。
- 28 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/02(木) 09:35
- 「ミキティ、梨華ちゃーん、ちょっと、ヨッスィーがこわいんですけどぉ。」
って、ちっこいの。
「そろそろ、離れてやんなよ。ほら、あんな睨んでる。」
「えー、そうですかぁー。」
なんかトローンとしちゃって、酔ってんのかよ。アニメ声!
「おもしろいじゃないですか。」
って、キツイナ、三白眼!
・・・そしたら、急にチビがケタケタ笑い出して・・・オイオイ涙流すなよ!
いったい何があったんですか!
「どーしたのヤグチ?」
って、おイモちゃんが訳わかんないまま、つられ笑い。
「アーハハ。ナンカさぁ、オイラさ、思い出しちゃってさ。ほれ、ほれ、
あのイビツナトライアングル。なんか似てネェー。」
「あー、あー、あれ。」
って、梨華ちゃんとミキティとアタシの顔を順々に見ながら、イモがなんか納得している。
「カオもそう思ってた。何か懐かしいよねぇー。」
「本当、本当。似てるかもぉー。」
って、三人で手をたたきながら、笑いこけてる。大丈夫ですか、お姉様方!
「なんですか、そのイビツナ・・・って?」
やっぱ、この人突っ込み早!
「あーあ、アンタ知らないんだよね。」
「って、私にもわかんないんですけどぉー。」
「アンタは当事者だからね。案外わかんないんだよ。なんか本当に懐かしいんだけど・・・。」
「そう、そう、もう一年になるんだよねぇー。」
「一年って、ゴッチンの卒業式?」
「うん。ダベサ。」
「なんかあったんですか?」
興味津々って感じの新入り。あっアタシなんかわかったみたい。
- 29 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/02(木) 10:16
- 「あのさ、そうだな始まりはいつだったかなぁ。たぶんレンレボとかの頃かなぁ。
それから、去年の今日まで。毎日おもしろかったんだよ。」
「だから何がですか。」
「ゴッチンとその二人。」
「へっ?」
って、どこから出せばそんな声になんだよ。
「当事者って結構気づかなかったりするのかなぁ。」
「面白そうですねぇ。」
新入りさん、アンタが目を輝かせてるとナンカすごく怖いんですけど。
「この三人ってさ、仲がいいのか悪いのか・・・。三人ですんごく良い感じの時もあるんだけどさ、
だけど、例えばゴッチンとヨッスィーがやけにテンション高くてさ、
梨華ちゃんが入れなくて、圭ちゃんの所に避難して来たり、
ゴッチンと梨華ちゃんがまったりしてると、ヨッスィーがすーっと辻加護に混じったり、
梨華ちゃんとヨッスィーがじゃれてると、さっとゴッチンがオイラたちの方に来て寝てたり。
何か、毎日、空気違うのよ。微妙に。その微妙さかげんがおもしろくてさ、
オイラが観察してたら、ナッチがサ、それ何って、感じで。
今日は正三角形。次の日は直角三角形だとか、二等辺とかね・・・
カオに言ったら、知ってたよーって。あたしらおもしろがってただけだけど、
さすがリーダー、少し心配してたよね。」
「うん。少し心配してたかな。悪い方に行ったら困るなってね。
喧嘩みたいになったら、みんなの空気悪くなるでしょ。
でも、なんか妙にバランスとれててね・・・。」
- 30 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/02(木) 10:56
- 「うん、うん。ナッチもおもしろかったよ。矢口と賭けしたりね。
ユーちゃんに言ったら、あんたら暇やなって。
圭ちゃんは、プッチの二人と愛弟子のことだから、カオ以上にヤキモキしてたけど。」
「へーそうだったんだ。私、単純に三人仲良しなんだと思ってた。」
「って、何、人のことおもしろがって、賭けとかしたって本当ですかぁ。」
「「うん。したした。」」
っーか、あんたら悪趣味!
でも、そんなふうに見えてたんだ。ってか、事実だし。なんかアタシら色々微妙だったかも・・・
最初、アタシと梨華ちゃんは同期で普通に仲良くて、ゴッチンとはプッチで一緒で、気も合って・・・
でも梨華ちゃんは、ずーっと「後藤さん」で、何かゴッチンにびくびくしてたよね。
ゴッチンスターだったし、すごいオーラでちょっと近寄りがたかったからね。
でも、そのうち、きっと自分に自信がついてきたんだろうね、少しずつゴッチンの方に寄って来た。
でも、正直、あの二人合わないって思ってた。性格違いすぎるし、趣味も違うし・・・
アタシがいなきゃ成立しない関係だと思ってた。
そしたら、何気に急接近しちゃって、梨華ちゃんがゴッチンの家に泊りに行ってるって聞いた時は、
正直、おどろいたよね。なにそれーって感じで。なんかやだった。
アタシどっちに嫉妬してんだろ・・・って感じで。
でも、あの二人も微妙で、べたべたしてるかと思えば、急によそよそしかったり、
それって、アタシもか。やっぱ、はたから見てると、おもしろかったのかな。
- 31 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/02(木) 11:29
- 「ねぇ、ヨッスィー、ちょっとここおいでよ。」
って、矢口さん。
「ほら、混じってごらんよ。これでまたやったら。トライアングル。ほれほれ、85年組。」
「って、なんすかそれ?」
「えっ、知らないのあんたらの生まれ年。」
「そうそう、阪神の優勝した年!」
って、このトラオタが!
「・・・ね、85年組。ゴッチンの代わりにミキティ入れてさ、またやってよ、あんなの。」
「おもしろいかもぉー。」
って、ミキティ、アンタ入りたいんかい!
「あのー、真里ちゃん、ちょっと趣味悪すぎぃ。あれって、結構つらいんですよ。
ほら、海外旅行とか女三人で行っちゃだめって言うじゃないですかぁ。」
「へー、そうなの?」
「あっ、ナッチも聞いたことある。2対1になっちゃうからダメだって。」
「そうですよ、1の方になったときって結構きついんですから・・・。」
「そうそう、カオリも変なことに気をつかいたくないから・・・
それに、あの時とはちょっと違うような・・・・。」
「あっ、そうか。お魚マークだ!」
って、誰もわかんないだろーが。
「「「何ソレー」」」
さすが同時突っ込み。・・・梨華ちゃんは覚えてんのかな、笑ってる・・・。
- 32 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/02(木) 11:52
- 「あのネ、前ねTVの番組でね・・・・・・。」
って、得意げに説明をするイモリーダー。
「でね、そのマークついてないわけさ。だからヨッスィーはタイミングはずしてるの。」
「あっ、そうなんだ。」
って、納得すんなよ!
「じゃあさ、違う子でいこうか。そうだなぁ・・・タカハシ・・・うーん、ちと弱いか・・
田中なんてどうよ、アイツ、イシオタだし・・・。」
「子供すぎでしょ。」
えー、もうアタシはずれてんの?何、人選とかしてるわけぇ。
「あのー。」
とか、少し大きい声だしてみた。
そしたら・・・・
「あー、12キロ落としたらねー。」とか
「マーク、マーク。」とか
「他はさー。」とか
何、アタシ、発言権もなしかよ。
・・・・ウーン、頭来た。メチャクチャ頭来た。
「あのー、ていうか、梨華ちゃん、最近、冷たすぎじゃねー。アタシに。」
・・・・えっ、あれ?アタシ、何言い出してんだ?みんなの前で・・・
ほら、みんなアタシの顔見て固まってる。固まってる・・・
- 33 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/02(木) 12:23
- 「だってーー。」
妙にハイテンションのアニメ声。
「タイプじゃないし、価値観違うしぃー。」
「って、それって、TVじゃん。いつもの定番じゃん。」
「そーかなー。いくらなんでも、あんな言い方ありかなぁー。
そうじゃなくったって、いつもマイナスのこと言うよね。私のこと。
公共の電波であんなこと言われて、フツーにヨッスィーとか寄ってったら、
何か、バカみたくない私。それに、何かみんなにオモシロイとか、大好きとかね
彼女にしたいとか、モテモテッぽく思われてるヨシザーさんに、
友達少ないが定番の私が擦り寄ってったりしたら、何か嫌われてるのに
しつこいみたいなぁー、実際そんなふうにも言ってるしね。ヨシザーさん。」
「だって、あれは、お決まりじゃん。いつもの・・・。」
「そのいつものってのが嫌なの!・・・6期なんてさ、しっかりTV見てるからさ、
あの質問の時なんて、田中がさ、「吉澤さん、絶対、石川さん書くから、
私カタキとります。」なんてヤケニ意気込んでてさぁ・・・アーア、この子達、
やっぱり、そんなふうに見てるんだなぁーとか思っちゃった。」
「だって・・・。」
「だから、カオも言ったでしょ。あれ、言葉変って。」
「ソーダなぁ、ナッチも思った。タイプじゃないはないよなぁーって。」
「「ソーダ、ソーダ」」
って、矢口さんとミキティが肩組んで・・・・てか、みんな敵?
- 34 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/02(木) 13:41
- 「アンタさ、マイナスの質問にとりあえず、石川って書くのはさ、いつものことだから
いいんだけどさ、あんな顔つきで、ああ言ったらさ、やっぱ引くでしょ。普通。」
アタシ、そんな悪いことしました?リーダー。
だって、ああいうの他の人書けないじゃん・・・
ってか、ああいうのダメな関係だったっけ、アタシたち。って、どーゆー関係だよ。
「本当、すんごく嫌な顔して、語ってた。うんうん。」
って、アタシどーすればいいんですか?安倍さん。
反論、反論、なんとか反論しなくちゃ・・・って思ってたら・・・。
「ゴッチンはあんなこと絶対言わなかったもんな。同じ友達でも。」
って、矢口さん。
おっ、それ頂き!
「だって、ゴッチンとアタシじゃ、梨華ちゃんとの関係ちがうもん!」
「えっ?」ほら、食いついた。
「ゴッチンと梨華ちゃんは友達じゃないもん。」
「えっ?」よし、よし。
「恋人だったじゃん!!」
爆弾投下。アタシも被爆したけど。・・・みんな止まってる。よし、もう一押し。
「キスしてた!」
- 35 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/02(木) 14:27
- 「えっー!ってか本当?」 新入り。
「うそーぉ。オイラもしてないのにぃ。」 ちっこいの。
「ののとか、アイボンとかのじゃないのぉ。」 芋姉ちゃん。
「アタシ知ってた。」 って、なんで?宇宙人。
さぁー、どう出る。イシカーさん?
「・・・うん。確かに。一度ね。・・・ほら、ゴッチン、卒業で情緒不安定だったじゃない。
私もそうだったし。何かこのままサヨナラってありかなぁーなんて時に、
何気に楽屋で二人きりになっちゃって・・・なんとなくね・・・。」
「それだけぇー。すきだったんでしょー。」
オッ、ナイスつっこみ!矢口さん。
「そりゃ、好きだったよ。ていうか、今だって好きだよ。でも、どういう意味か、
今もよくわかんない。だけど、あれはしなきゃよかったって、後悔してる。」
「どういうこと?」 新入り。
「あの時ってさ、本当にゴッチン、不安定でさ、あの後私が他の人と話してたり、
手をつないでいたりするだけで、すごく怒っちゃって、ゴトーとどっちが大事なんてね。
自分だけを見ててくれなきゃ嫌だって・・・あのいつものクールな彼女じゃなくなっちゃって、
それで、そんなの無理。って言ったら、・・・・
フレンドパークで肩にのせた手、払われた。・・・・」
- 36 名前:OGA?t???[?N 投稿日:2003/10/02(木) 18:38
- なんか他にないパターンですね。
続き楽しみです。
- 37 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/02(木) 23:19
- 「あー、あったよねぇ。アレ、放送されちゃったよね。後で、オンエアの録画見て、
オイラびっくりしちゃったよ。でも、フツーぽくなかった?卒コンとか・・。」
「うん。その後ゴッチンも落ち着いたらしくて、それにやっぱり、そんなまんまで卒業って、
嫌だって、友達でいようって、仲直りっていうか、お互い謝って・・・
でも、本当は今でもよくわかんない。すごくなついてくれるっていうか、
親しげな時と、何かやけによそよそしい時と・・・
あーあ、でも彼女、今「ヨシコ一番」らしいから・・・
そうよ、ヨッスィー、私なんかにかまってないで、ゴッチンだけを見てあげて。
今、なんか大変そうだから、ね!」
「・・・かまうなって・・・。だけど梨華ちゃん、アタシのこと特別だって、
一緒にいたら、安心できるって、そういってたじゃん!」
あーあ、アタシ何んで、みんなの前で泣き入れてんだろ。
「そりゃ、同期だし、ライバルだし、だからずーっと特別だよ。
でも、価値観ちがうんだからさ、一緒にいなくてよくなあい。」
またそれかい。確かにそう言ったよアタシ。本当にそうだし。でもでも・・・
「でも、好きなんだけどなぁ。」
って、何、みんなの前で告ってるのアタシ。嘘でしょ。嘘でしょ。
アレ、でもみんな平気な顔してるよね。どーして、アタシ今口に出したよね。
- 38 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/02(木) 23:51
- 「そんなのみんな知ってるよ。」って宇宙人。
「だから、やっぱお魚マークだって。」アンタまたそれかい。
「うん。ヨッスィー、タイミング悪すぎ。」って矢口さん。
えっ、それどーいう意味?
「ほら、アノ占いの人が言ってたじゃん。好きな人がいて、相手はそうじゃないんだけど
ずっと好きでー、それが相手がやっと好きになってくれた時には、こっちは冷めてる。
みたいな。今回はその逆かな。」
「えっ、そうなの梨華ちゃん?」
「うん。ていうか、嫌いじゃないよ。たぶん好き。
でもさ、ゴッチンに気をつかったり、二人のことで気をもんだり・・・
そういうことするのが嫌。っていうか、今、そういうのいらないかなぁーって・・・」
「何それ、意味わかんねー!」
「あのさぁ、ヨッスィーが価値観違うって言ったの、何気にピンポンなんだよね。
特にこの仕事に対する考え方、違うよね。まるっきり。・・・
・・・ヨッスィーてさ、10年後もこの世界にいたいとかって思ってないよね。」
「うん。そうだよ。たぶん。へたすりゃ5年もヤバイ。」
「そうだよね。でもね、私はね、20年たってもここにいたいのぉ!」
「えっ?」
「そのために、今、がんばってる。だから、アナタとは違うの。」
「だけど、それとこれとは・・・」
「違わない!」
って、即答かよ。優柔不断なんじゃなかったの。アナタは・・・。
」
- 39 名前:お魚マーク 投稿日:2003/10/03(金) 00:16
- 「まあ、ヨッスィー飲みな!」
って、ミキティが冷蔵庫から、新しいチュウハイを出してくれる。
シュポ。これで何本目だろ・・・
「後は私にまかせな。」
って、何をだよ!
「ほら、これ食えって、オイラもいるし、梨華ちゃんのことは心配するな。」
って、サキイカかよ!
何だよ、何だよ、みんなして・・・・なんか泣きそうって思ってたら・・・
「ハイ、ハンカチ。」
って、リーダー、やっぱアンタ変。早すぎ。マダ泣いてない。
「やっぱマークだべ。」
って、アンタそればっかじゃん。
チクショー!泣かしてもくれないのかよ。もう飲んでやる。
飲んでやる。飲んでやる。・・・・飲んでやる・・・・
ああ、でも、付けてみようかな「お魚マーク」。
誰かさんの温泉マークより、数段かわいいし。
少し痩せぎすのお魚さんの誕生日でもあるし・・・・・
何か飲みすぎたよね。周りがぼんやりしてきた。意識が、意識がトークナル・・・・
あっ、誰か布団かけてくれた。寝よう。寝ちゃおう。
ほら、梨華ちゃんが笑ってる。笑ってる。笑ってる。・・・・・
おしまい
- 40 名前:トーマ 投稿日:2003/10/03(金) 00:26
- 慣れないもので、センテンス長すぎですよね。読みにくくてすいません。
最初の話はこれで終わりです。何人かでも読んでくれた人がいて嬉しいです。
次はこの話の中に出てきた、一年前の後藤さんと石川さんのエピソードを
書きたいと思います。
もうちょっとはシリアスな感じになると思います。よろしければ、また読んでください。
- 41 名前:don't touch me 投稿日:2003/10/03(金) 10:43
- 取り残されたように、二人になった夕方の控え室。
帰り支度は終わってるはずなのに、私も彼女も隅のパイプイスから立てずにいる。
「もう、二週間もないんだよね。」
「うん。ないねぇー。」
「・・・・・」
「やっぱり、少しは淋しかったりする?梨華ちゃんでも・・・。」
「梨華ちゃんでもって、ないでしょう。メイッパイ淋しいんだから。私。
でも、ゴッチンは嬉しかったりするんでしょ。」
「半々かな・・・ソロになるつもりで入ったからね。この世界。」
「そうだよね。娘に入りたかった私とは違うんだよね。」
「でも、やっぱ、かなり淋しいかな。楽しかったものね・・・娘。」
「あのね、私ね、ゴッチンとこんなふうに話せるようになって、
友達みたいにしてくれて、すごく嬉しかったの。」
「友達みたくって、友達じゃん。」
「ほら、ゴッチンて、雲の上の人だったからね。」
- 42 名前:don't 投稿日:2003/10/03(金) 11:09
- 「梨華ちゃん、何気にびびってたでしょう。ゴトーに。」
「うん。だってー、だってすごいオーラでさぁ、うわぁー、って感じで・・・。」
「何それ、ゴトーはフツーだよ。そんなこと言ったら、梨華ちゃんだって
ばりばりアイドルじゃん。」
「そっかなぁー、今だってやっぱり違うと思うんだけど、だいぶ・・・。」
「そんなことないよ。梨華ちゃんってもう娘の真中じゃん。」
「それって、たまたまピースの時だけでしょう。」
「違うよ!もっと自覚しな!」
「何か保田さんみたいなこと言うね。だってほら、私、歌えないし・・・」
「そういう問題じゃないんだよ。・・・存在感かなぁー。
まあ、最初の頃は、なんだこの子って思ったけどね。
歌えないし、ブキッチョだし、おどおどしてるし、目の下くまつくるし、
黒いし、アニメ声だし・・・。」
「あっそこまで言うんだ!。」
「うん。言う。それに何かいつも必死で、がんばってて、浮きまくりで・・・」
「ひどーい!どーせ浮いてますよ私は。」
- 43 名前:don't 投稿日:2003/10/03(金) 11:41
- 「って、ほら、うちら何気にがさつじゃない?何かこの子雰囲気違うって感じで・・・」
「えーっ、そーおー。私だってがさつじゃん。」
「今はね。って、がさつだってことじゃないんだけど、馴染んだけどね。
でも、前はさー、この子大丈夫かなぁー、この世界入ったの間違いかもって・・・
ケメちゃんなんて、マジに心配してたよ。いつヤメちゃうんだろうって。」
「でも、何かそのうち、みんなに大切にされてさ・・・」
「そーおー、イジラレテタだけじゃん。」
「アハ、あれは愛情だよ。ゴトーうらやましかったもの。」
「うっそー!みんなゴッチン大好きじゃん。私なんか、からかわれてるだけじゃん。」
「何かネェー、ゴトーのはちょっと違うんだよね。なんかね、距離感がね。
あっ、ゴトーだみたいな。少し腫れ物に触るって言うか、ちょっと離れてる。
梨華ちゃんはさ、あーあイシカーって、頭なでられたり、抱っこされてる感じ。」
「何それ。よくわかんない。」
「そーかなー。ゴトーにしてはスンゴク上手に表現できたと思うんだけどな。
ていうか、梨華ちゃんはほっとけないって言うか・・・」
「それって、単にゴッチンはしっかりしてて、私は頼りないってだけじゃない。
ねぇー、私って、そんなに頼りない?」
- 44 名前:don't 投稿日:2003/10/03(金) 12:03
- 「うーん、今はそうでもないけど。
っていうか、ゴトーにとっては少しお姉さんかな。たまに抱っこされたくなる・・・」
「えっ、本当!頼りにしてくれいいんだよ。
少しでもゴッチンの役に立てれば嬉しいんだけどなぁ。
ほら、私、何もしてあげられてないじゃん。ゴッチンに。」
「そんなことないよ。何かいっぱいもらってるよ。
何気に癒されない系ではあるけどね。」
「何それぇー。」
「ほらさ、なんかさ、梨華ちゃんに頑張れって言われるとさ、
自分が頑張ってる人だからさ、本当に頑張らなくちゃって思うわけさ。
だからさ、癒されないの。どんどん急かされてる感じで。」
「それって、何気に悪いことぽくなぁい?」
「そんなことないよ。ゴトー今走んなきゃいけないからさ。
それが例えばヨシコだとさ、休んじゃえばぁーって感じでさ、
そうだねって、癒されるけど、前にいけない。」
「じゃあ、取り合えず今はいいことなのね。私が頑張ってて言うの。」
「そう。ゴトー怠け者だからね、少しハッパかけてくんないとね・・・」
- 45 名前:リエット 投稿日:2003/10/03(金) 16:18
- あー前作そういう風に終わりましたか。
予想と違う展開で面白かったです。
今作も楽しそう!
会話のテンポが大好きです。
- 46 名前:don't 投稿日:2003/10/03(金) 16:48
- 「・・・・本当に頑張ってね。ゴッチンは私たちの目標なんだから、
一人でどんどん先に行ってね。」
「一人でねぇー、やっぱ淋しいねぇ。・・・それに、少し怖いかな。一人・・・」
ゴッチン、そんな辛そうな顔しないいでよ。
「大丈夫。ゴッチンなら・・・・。」
って、やだ、涙出てきちゃった。
「泣かないでよ、梨華ちゃん。ゴトーも泣きそうじゃん。キャラじゃないからさ・・・」
って、私の両頬を抱いて、少し冷たい親指で涙を掬い取ってくれる。ゴッチン。
そのまま、静かにおでこを合わせて・・・・
「・・・・・会えなくなるよね。」
「そんなことないよ。一緒の仕事だってあるし。」
「でも、今までみたいじゃないよね。」
「今までみたいじゃないかもしれないけど・・・でも、会えるよ。会いに行くよ。
ゴッチンが会いたいって、言ってくれたら、私、会いに行くから・・・。」
- 47 名前:don't 投稿日:2003/10/03(金) 17:06
- 「本当?会いに来てくれる?。」
「行くよ。どこでも。」
「きっと、毎日、会いたいって言うよ。」
「いいよ。毎日会いにいくよ。」
「アハッ。梨華ちゃん優しいね。嘘でも嬉しいよ。」
「嘘じゃないよ。私だって毎日あいたいもん。」
「アリガト・・・」
ゴッチンは、おでこを離して、少し首を傾けて・・・
「ねぇ、梨華ちゃん・・・キスしていーい。」
「えっ・・・」
「結局、文麿は出来なかったからさ・・・」
「・・・いいよ。私でよければ・・・」
「私でよければって・・・梨華ちゃんにっていうか、梨華ちゃんだからしたい。」
「私も、ゴッチンだからいいよ。」
・・・・軽く重なる唇。少し温かな柔らかい感触。
娘の中では、キスは日常茶飯事だけど、これは意味が違うんだよね。ゴッチン。
- 48 名前:don't 投稿日:2003/10/03(金) 17:16
- 次の日も、その次の日も、私たちは何時もに増して忙しかった。
ゴッチンの卒業を惜しむように、毎日慌しく仕事をした。
私はなるべく、ゴッチンのそばにいられるようにした。
本当はすごく不安で淋しがってるのに、それを他人に見せずに、気丈に振舞ってる
彼女を少しでも支えられたらって思っていた。
そうしているつもりだった。
でも、それだけじゃ足りなかったんだよね。
全然、足りなかったんだよね。・・・ゴッチン。
- 49 名前:don't 投稿日:2003/10/03(金) 22:49
- ”フレンドパーク”の収録の日。
いつものように、早めに入った控え室。珍しく、先にいたヨッスィーと雑誌を見ていた。
「梨華ちゃん、これ、カッコよくねー。」
「えーっ。私わかんないよ。こーゆーの。って、これ何の本?何、K1って。」
「梨華ちゃんって、こういうの疎いからなぁー。」
「て、いうかぁ、普通女の子はこういうの見ないんじゃなぁい。詳しい方が変なのよぉー。」
なんて、フツーに肩ぶつけたりして、話していた。
いつの間にか、騒々しくなってきた控え室。
「オハヨー。」
って、入って来たゴッチンに
「ねぇー、ヨッスィーたらね、こんなの読んでるんだよー。絶対変だよねぇー。」
「そー。」
とか言って、何か怒ってる?
「ちょっとこつち来て!」
って、ドアの外に引っ張られた。・・・手首握る手、ちょっと痛いんですけど・・・
- 50 名前:don't 投稿日:2003/10/03(金) 23:09
- そのまま、廊下の隅まで連れて行かれて・・・
「ねぇー、どういうつもり。」
「どういうって?」
「どーして、アタシの前で、ヨシコといちゃつくわけ。」
「いちゃつくって?」
「だからぁ、さっき。」
「フツーにしてただけだけどぉ。」
「あんなのフツーじゃない!」
えっ、ゴッチン、何言ってんの。ねぇーゴッチンどうしちゃったの?
「昨日はケメコに抱きつかれてたし、ヤグッァンと腕組んでたし・・・。」
「だって、そんなのみんなフツーにしてるじゃない。」
「そのフツー、ヤダ!」
- 51 名前:don't 投稿日:2003/10/03(金) 23:36
- 「アタシのこと好きなんだよね。」
「うん。好きだよ。」
「他のメンバー好きなんていうのと違うんだよね。」
「うん。きっと違うと思う。ゴッチンのことすごく大事だし、そばいたいし、
何でもいいから、役に立ちたい・・・。」
「だったら、アタシのことだけ見ててよ、他の人を見ないでよ。みんなに優しくしないでよ!」
「そんなぁ、だって、みんな大切な仲間じゃない。ゴッチンだって、みんなと仲良くしてるでしょ。
ヨッスィーとしゃべったり、加護ちゃんと手をつないだり・・・」
「梨華ちゃんがするなって言ったら、アタシしないよ。梨華ちゃんとだけ話すよ。
他の子と手つないだりしないよ。」
「そんなの言えないよ。みんなゴッチンのこと好きなんだよ。
みんなゴッチンと話していたいんだよ。みんなゴッチンと少しでも一緒にいたいんだよ。」
「梨華ちゃんって、結局そうじゃない。アタシが誰といたっていいんじゃない。
みんなにいい顔していたいだけじゃない。ゴトーが淋しそうだったから、
ちょっと同情してくれただけじゃない。」
「そんなことないよ。同情なんかじゃないよ。
ねぇ、ゴッチン無理言わないでよ。ゴッチンらしくないよ。」
「アタシらしいって何よ。どーゆーのがゴトーなのよ。
やっぱり、梨華ちゃんは何もわかってない。もういいよ!。」
- 52 名前:don't 投稿日:2003/10/03(金) 23:57
- 走って控え室に戻るゴッチン。取り残される私。
ねぇ、ゴッチン、私どうすればよかったのかな。
ずーと、アナタの側で手をにぎって、他の子が寄ってきたら、追い払って、
そうしてたらよかったの?そうしていたら喜んでくれたの?
でも、そんなことできないよ。他の子だって、みんなアナタのことが好きなんだよ。
みんなゴッチンのことが大好きなんだよ。
もう、目もあわせてくれないんだね。
本番で、何気なく肩にかけた手・・・・・
・・・・・そんなに嫌いになっちゃった?
私もう、アナタに触れてもいけないの?
私、アナタのこと好きなんだよ。たぶんゴッチンがそんなふうに私のこと思ってくれるズット前から。
私、たぶん娘に入る前から、ずーとアナタが好きなんだよ。
特別に思ってなんかくれなくていいの
前みたいに普通の友達でいいの。普通に一緒にいたいの。普通に笑いあったりしたいの。
ねぇ、もうダメなの?
.
- 53 名前:don't 投稿日:2003/10/04(土) 00:21
- 次の日、ハロプロニュースの収録。
サンザンな出来。だめだね私。中澤さんにも、スタッフにも迷惑かけて・・・
「イシカー、アンタこの後時間あるか?」
あっ、やっぱり、怒られちゃうよね。・・・先に謝ろう。
「本当にすいませんでした!」
「あんたなぁ、アタシが声かけると、いつでも怒るんちゃうかと思ってるやろ。」
「いえ、あの。」
「まあ、ええわ。あんた、今日様子がおかしかったからな、何かあったんかなぁ思ってな。
アタシでよかったら、ちーと話聞いてやろうかなと思っただけなんよ。
まあ、嫌やったらえーんやけどな。」
「そんな、嫌だなんて・・・。」
中澤さん優しいよね。何か涙こぼれてきちゃった。
「こら、こんな所で泣いたらあかん。またチャーミー苛めって叩かれるやろ。
ヨシャ、この後あんたオフやろ。うちおいで。簡単な話じゃないみたいやから、
このお姐さんがゆっくり聞いたるわ。」
久しぶりの中澤さんの部屋。やっぱり豹柄。
でも、なんか懐かしくて温かい。
- 54 名前:don't 投稿日:2003/10/04(土) 00:36
- 「まあ、これでも飲みや。」
って、これアルコールじゃないですか。
チャーミー、まだ17なんですぅー。って、ぶりっ子してる場合じゃないか。
「あっ、これな、ナッツアンでも飲めるやつだから、大丈夫や。」
って、そういう問題!
アー、でもこの人といると落ち着くよね。最初はあんなにこわかったのにね。
「まあ、あたしに話してもしょうもないことかも知れんけど、
話すだけでも、気が楽になることもあるからな。」
私は少しずつ、正直に、できるだけ正直にゴッチンとのいきさつを話した。
私、話が下手だから、あっちいったり、こっちいったり、時々涙でつまったり、
なんかめちゃくちゃだったけど、
中澤さんは根気よく聞いてくれた。
いつものような突っ込みもなく、ちびちびお酒なめながら、優しい顔で聞いてくれた。
- 55 名前:don't 投稿日:2003/10/04(土) 01:07
- 「大体わかったわ。あんたも大変やったな。
ゴッツアンかぁ、まだあんたには荷が重かったなぁ。
あの子な、えらい不器用なんよ。」
「えっ?」
「普通のことちゃうよ。他人と接することにな、不器用なよ。
なんていうかなぁ、愛したり、愛されたりすることが苦手なんやな。」
「・・・・・」
「あの子な、お父さんおらんやろ。」
「ええ、亡くなったとか・・・。」
「アタシもな、そうやから、わかるんやけどな、父親のいない娘ってな、
愛情に臆病になるんよ。
父親って、娘に対する愛情に条件付けんやろ。どんな不細工でも、どんなアホでも、
条件なしで、ついでに見返りもなしで、愛してくれるやろ。
あんたのパパかて、あんたがどんなに悪態ついても変わらず愛してくれるでしょ。」
「はい。たぶん。」
「動かない愛情って言うのかな。絶対安心していられる愛情やね。
父親のない娘はそれがない。母親も愛してはくれるけどな、ちょっと違うからなぁ、
同性やからね、少し突き放してる感じになるんよ。
だからな、あの子、しっかりしてるようにみえるけどな、芯のところでな、
不安で震えてるんよ。愛情に飢えてるくせに、強がっててな、
うまいこと、他人との距離掴むことが出来ないんやなぁ。」
- 56 名前:don't 投稿日:2003/10/04(土) 01:31
- 「例えばな、あんた誰とでも、ぱっと手つないだりするやろ。もちろん友達やけどな。
そういうの平気やろ?」
「はい。でもゴッチンも・・・。」
「あの子はな、一瞬、ほんの一瞬やけどな、躊躇するんよ。
それで、つかんだはいいけどね今度は離すタイミングがわからない。
何て言うか、人と触れ合うことが自然にできないんやな。」
「あっ、ゴッチンもそんなこと言ってました。私と自分とではメンバーとの
距離が違うって。でも、それは彼女の方からじゃなくって、相手からだって。
だから、私のことうらやましいって・・・。」
「あの子はそう思ってるかもしれへんけどな、その距離作ってるんは、あの子自身よ。
知らず、知らずのうちに、他人との間に壁作ってな・・・・
でも、そんな自分がどこか嫌いで、それでキット頑張ってあんたの所へな、
その壁乗り越えてきたんやろうな。でも、乗り越えたら、乗り越えたで、
その後どうしたらいいかわからんかったんやろな。きっと。
可愛そうな子やな。ほんまに。時期が時期やからな。
余計に、感情のコントロールができんようなってるんやろな。」
- 57 名前:don't 投稿日:2003/10/04(土) 01:49
- 「あの、私どうすればいいんでしょうか?」
「まあ、時が解決してくれるんやろうけどなー。
このまま、卒業ちゅーのもなぁ、お互い辛いわなぁ。
とにかく、もう一辺、腹割って話すことやな。キット、あの子もこのままは
嫌なはずやと思うよ。
そやな、アタシ22日の横浜、TVで行くことになってるから、チャンス作ったるわ。
でも、チャンス作るだけやで、後は自分でなんとかしなさいよ。」
「ありがとうございます。お世話かけます。」
「ほんまやなぁ。手のかかる子達やなぁー。」
って、私の頭をなでてくれる。優しいなぁー。お母さんみたい。
でも、そんなこと言ったら、そんな歳じゃない。て怒るんだろうな。
「まあ、がんばりや」
「ハイ!チャーミー頑張ります!」
「そや。そのイキや!」
- 58 名前:@ 投稿日:2003/10/04(土) 21:14
- いしごまめちゃめちゃ楽しみにしてます。
- 59 名前:don't 投稿日:2003/10/04(土) 23:55
- 9月22日。横アリのコンサート。
今日はゴッチンのための中継も入って、いつもより少し長くなったステージ。
帰り支度をさっさと済ませて、言われた通り、中澤さんの楽屋でゴッチンを待った。
ドアが大きく開けられて、乱暴に中澤さんに手を引かれて入ってくるゴッチン。
「後は知らんでー。」
って、ゴッチンの背中をポンと押して、私に小さくウインクして、出て行く中澤さん。
しばらくドアの所で俯いているゴッチン。
椅子から立ち上がって、何か声をかけなきゃ・・・って、言葉を探していたら・・・
意を決したように、つかつかって私の前まで来て、
「ごめん!」
って、いきなり、頭を下げるゴッチン。
「ごめん。ゴトー、どうかしてたよ。」
「私こそ、ごめん。ゴッチンをわかってあげられなかった。」
ゆっくり、顔を上げるゴッチン。何日ぶりだろうね、目を合わせてくれたの。
「梨華ちゃんに悪いって、すごく悪いことしたって、どうしようって思ってた。
でも、ゴトー、子供だから・・・
ユウチャンに、このままでいいんか、って言われて、
いいわけないじゃん。って思って・・・。」
「ううん、私がもっとしっかり受け止めてあげれたら良かったんだよね。
でも、私も子供だから・・・・」
- 60 名前:don't 投稿日:2003/10/05(日) 00:25
- 「梨華ちゃんは悪くないよ。あんなのフツーに無理だし・・・・。
でも、ゴトー、そういう奴なの。こんなこと言ったら、本当に引かれちゃうかもしれないけど、
ゴトーが歌ってる時に、他の子見てるファンの人がいるってだけでイヤって、
そんなふうに思っている奴なの。
だから、ソロになりたいなんて、言っちゃって・・・。」
「ゴッチン・・・」
「梨華ちゃんのこと、みんなにいい顔してるって言ったけど、
本当はたぶん、アタシの方が、みんなにかまって欲しいって思ってるの。
みんなに、アタシを一番って思って欲しいの。
・・・ただの欲張りのわがまま!」
「ゴッチン・・・みんな、みんな大好きだよ。ゴッチンのこと!」
「わかってる。みんなすごく、優しい・・・温かい・・・わかってはいるんだ。」
肩を震わせて、唇噛んで、一生懸命、涙こらえてるゴッチン。
初めて見るよ。そんなアナタ。
「ねぇ、ゴッチン。イヤかもしれないけど・・・」
って、俯いて、少し私より低くなってるゴッチンの頭を抱きしめた。
「ごめんね。イヤかもしれないけど、少しの間こうさせて。」
- 61 名前:don't 投稿日:2003/10/05(日) 00:59
- 「梨華ちゃん・・・」
「ね、・・・・泣いてもいいんだよ。ゴッチン・・・」
「梨華ちゃん、アタシ、やっぱり娘、やめたくないよぉー。
梨華ちゃん、アタシ、ずっと一緒にいたいよぉー。
梨華ちゃん、アタシ、本当は一人なんて怖いんだよぉー。」
私の胸で、泣きじゃくるゴッチン。
初めてアナタが年下なんだって思えた。
初めて”愛しい”っていう言葉の意味が分かったような気がした。
「アタシ、こんなイヤな奴で、こんな子供でどーしようもない奴だけど、
嫌いにならないでね。アタシのこと。」
「嫌いになんて、なるわけないじゃん。
だって、ゴッチンなんだよ。私の前にいるのは後藤真希なんだよ。
嫌いになんてなれるわけないじゃない。」
いつの間にか、私も泣いてて、二人して声だして泣いて・・・・
ゴッチン、私、こんな近くにアナタを感じるの初めてだよ。
どのくらいそうしていたんだろう。
いつか、二人ともすっかり落ち着いて、
「あと一日。ゴトー頑張るから。」
私の肩を両手で優しく抱いて、いつものゴッチンに戻ったアナタ。
「うん。私も頑張る!」
- 62 名前:don't 投稿日:2003/10/05(日) 01:17
- やっと笑ってくれた。やっぱりその笑顔好きだなぁ。
ゴッチンの一番無防備な顔。
「ねぇ、梨華ちゃん、お願いがあるの。聞いてくれるよね。」
「なぁに?」
「明日、ラストでさ、ほらメンバー一人一人のコメントあるでしょ。
その時にね、アイボンとか、ののとかたぶんゴトーに抱きついたりすると思うの。」
「あーあ、きっとそうね。」
「その時にさ、お願いだから梨華ちゃんはしないでね。」
「って、何を?」
「だからぁ、抱きついたりしないでね。」
「えー、やっぱりイヤなんだ私のことぉー。そんなの悲しすぎるぅー。」
「僕にはわかるって、そーじゃなくてぇ、ゴトーさ、自信ないんだよね。
最後の最後じゃん。だぶん、少しおかしくなっちゃうと思うのね。さっきみたく。
だからね、梨華ちゃんに抱きつかれたりしたら、お仕事忘れてさ、
そのまま、離したくなくなっちゃうかもしれないと思うの。だから・・・ね。」
- 63 名前:don't 投稿日:2003/10/05(日) 01:38
- 「わかった。梨華がんばる!」
「・・・私たち、友達でいられるんだよね。これからも・・・。」
「うん。ト・モ・ダ・チっていうのも淋しいような気もするけど。
・・・・ねぇ、梨華ちゃん、もう一つお願いしていいかなぁ。」
「なぁに、変なこと言わないでよ。」
「ゴトーがさー、もっと大人になって、もう少しましな奴になって、そうしたら、
そうしたらさ、もう一度、梨華ちゃんの前に立っていい?」
「えっ?」
「もう一度、梨華ちゃんの前に立って、キスさせてって言っていい?」
「うん、いいよ、待ってる。ずっと待ってる。
だから、必ず来てね。ずっとゴッチンのことだけ待ってるから・・・」
「ありがとう。なるべく早く行くから。」
ゴッチン、本当に、本当に来てよ。待ちぼうけはやだからね私。
- 64 名前:don't 投稿日:2003/10/05(日) 01:55
- 9月23日。本当に最後の最後。
私はアナタの前にいた。短いコメントをして、
いつもにまして輝いていて、それでいて少し震えてるアナタを抱きしめたいのを我慢して、
・・・でも、そっと手を差し伸べてみる。
・・・握り締めてくれた手が熱くて、離したくない、離したくないけど・・・
手を握って道を歩こう
山や谷も当然あるだろう
手を握って乗り越えよう・・・青春
いつかこの唄のように、私たち一緒に歩けるよね。ゴッチン。
私、待ってるから。ずっと待ってるから・・・・
おしまい
- 65 名前:トーマ 投稿日:2003/10/05(日) 02:06
- この話はこれでひとまず終わりです。
文中で、後藤さんの一人称が変わるのは、感情の高まりの違いによります。
読みにくかったかも知れませんが、一応、拘ってみました。
次は、とっても短くて軽いものを書いてみたいと思います。
@様、アナタの作品、大好きなので、出来たら続きをお願いします。
- 66 名前:リエット 投稿日:2003/10/05(日) 03:11
- うわーこの話も面白かった!
次回作はあるんでしょうか?
期待しています。
- 67 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 09:21
- えっ、どういうこと?!
最初にその話を聞かされた時、正直呆気にとられた。
いったい、このオッサン、何言ってるわけぇー。
しばらくして、フツフツと怒りが込み上げた。・・・何を今更・・・・
ソロでデビューして、約一年。
それなりに結果は出したじゃない。
取り合えず、紅白にだって出たでしょう。
それを、今更・・・はぁー、モーニングに入れだとぉー。
うちの事務所、いったい何考えてるんだか・・・。
でも、これは決定事項。
イヤだなんて、言えるわけもなく・・・
いくら、強気の私でも、事務所に逆らって、生きていける世界じゃないことぐらい知っている。
イヤだなんてごねたら最後、あっそ、なんて簡単に捨てられて、
明日から、ただのプータローだ。元アイドルなんていって、AVに出るの落ちだ。
前向きに考えなきゃ。前向きに・・・・
4期のオーディション落ちた時だって、
上京して、お小遣い程度の給料で、レッスンだけの日々だって、
モーニングのコンサートで冷たい反応のファンの前で唄った時だって、
取り合えず、前向きに頑張ってこれたんだから・・・
- 68 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 09:52
- ものは考えようだ。
多少、落ち目とはいえ、知名度はナンバーワンのグループだ。
それはそれなりに、価値がある。
たぶん、TVの扱いだって、ギャラだって違うはずだし、
ソロ活動にだってプラスになるかもしれない。
案外、短い期間で卒業して、その後はかなりオイシイかも知れない
ただ、いくらなんでも、人数多すぎ。
私が入る時には・・・15人・・・。合唱団かよ、って感じ。
とにかく、真中にいなくちゃお話にならない。
私を入れるからには、それなりのポジションなんだろうけど、
それなりじゃ、ソロのプライドが許さない。一番じゃなくっちゃ。
そのためには・・・
まず、モーニング娘といえば、安倍さん。
かなり手ごわいけど、歳も年だし、たぶん卒業が近い。
飯田さんは、リーダーってだけで、エースにもセンターにもなり得ない。
矢口さんは、これはもうバラエティー担当。人気はあっても別の色が付きすぎてるから、
本体のセンターって感じじゃない。
加護ちゃん、辻ちゃんもジャンルが別。お子様、お笑い担当。
5期の子達は、いまだに新メンバー。事務所は高橋ちゃんとか推したいんだろうけど、
あんだけやっても、影が薄い。
- 69 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 10:21
- ヨッスィーはあんなになっちゃったから、前に出したくたって、出せないし、
せいぜい、ハロモニのお笑い担当。
6期はワケわかんないけど、V見る限りでは、まだ子供。
となると、やっぱりターゲットは石川梨華。
この子に勝れば、モーニング娘はもらったも同然。
私たちは本当によく働かされる。
年明け早々から、ハロプロコンサート。
いつもなら、正月ぐらい休ませろよ!とか思うけど、今の私には好都合。
戦うにはまず敵をよく知らなきゃならない。
このコンサートは関係者が全員揃ってるから、敵情視察にはもってこい。
リハーサル中にさぁ、リサーチ、リサーチ。
「ミキタァーン。」
さっそくやって来た、日本一のナルシストアイドル。
「ミキたん、モーニングに入るんだってぇ。たいへんだよねぇー。」
この娘が言うと、ちっとも大変そうじゃない。
「そうなんだよね。まいっちゃうよねぇー。」
「あんまし遊べなくなるよねぇー。一緒の仕事減っちゃうと思うし。」
「そうだね、あっちもカナリ忙しそうだしね。」
「じゃあ、今のうちに遊ぼうね。」
って、アンタ、超ハードスケジュールだろうって!
- 70 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 10:52
- 「うん、そうだね。」
って、ここは適当に相槌打っといてー。
「それより、アヤッペってさ、前、シャッフルで梨華ちゃんと一緒だったよねぇ。」
「シャッフルって三人祭?・・・えーミキたん、梨華ちゃんに興味んのぉ。」
「って、同じ歳だし、ほら・・・」
「そっか、ライバルってことね!」
意外とするどい。
「まあ、そんなところかな。で、ドンナコ?」
「あの後、あんまし付き合いないからなぁ・・・
あの時はぁアタシもまだ新人で、わけわかってなくてぇ・・・
ていうかぁ、あれなんかスンゴイかっこうだったでしょう。
三人でさぁ、うぁ、水着だよ、ピンクのかつらなんて信じられないー、
とか、キャッキャッしてたかなぁ。
だって、パンツ、3って書いてあるの、あれ見せるんだよぉー。
ヤダね恥ずかしいねって、アイボンと言ってタラね、
梨華ちゃんがね、こういうのは、照れてたら本当に恥ずかしいからって、
思いっきりぶりっ子やっちゃえばいいって、ちょうどカツラだし、別の人がやってると思えばいいって、
ほら、他のユニットのメンバー見てご覧、これ出来るのって私たちだけでしょってね。
それでね、見渡してみたわけ。そしたら、本当だこれ出来るのって他にいない。
と納得して、ぶりっ子したわけ。ほら、私かわいいから、はまってたでしょ。」
ううん。思ったより、根性座ってるんだ。
「はい、あんがとね。」
「えー、そんなことより、ミキたぁーん・・・。」
とか言ってる、この子はほっといて・・・おっ、いいの見つけた。
- 71 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 11:10
- 「ゴッチーン!」
「あっ、ミキちゃん、今度娘にはいるんだって?」
「そうみたい。」
「いいなぁ。」
つて、アンタ好きで辞めたんでしょうが。
「楽しいよ。何気に、結構。」
「そう、ドンナ感じ?」
「うるさくてー、そーぞーしくてー、ガチャガチャしててー、忙しいかな。」
「それって、楽しいの?」
「うん。結構楽しいよ。」
この人の感覚、よくわからん。
マイナスとマイナスかけたら、プラス。みたいなこと?
「で、メンバーって、それぞれドンナ感じ?」
「そうだなぁー、カオリはね、リーダーだし、しっかりしてるけど、
かなりボーっとしてるかな。」
あー、それは有名。
「ナッチは、笑ってるか、笑ってるか、難しそうな顔して、何も考えてないかだね。」
なんじゃそりゃ。
- 72 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 11:27
- 「やぐっつぁんは、笑ってるか、、しゃべってるか、怒ってるか、笑ってるかかな。」
トリアエズ、そーとー、うるさいと・・・
「ののとアイボンは騒いでるか、食べてるか、ふざけてるか、食べてるかかな。」
これは、食べてるが2回ある所が、ポイントだね。
「ヨシコは、だべってるか、食べてるか、ふざけてるか、だれてるかかな。」
まっ、そんな感じだね。
「ケメちゃんはー、って、入れ替わりかぁ。
まあ、取り合えず、怒ってるか、いらいらしてるか、変なことしてるかだね。」
変なことって、伝説のビューティーケメコやってるってことか。
「5期メンは、いつも一緒にいるかな。仲いいよあの子達。」
個々の特徴なしか、やっぱり。
「・・・・・」
って、終わりかよ。肝心の人はどーしたの?
「あのー、一人たらないんですけどー。」
「えー、梨華ちゃん?りっ梨華ちゃんはねぇー。」
って、ちよっと挙動不審じゃなぁい。後藤さん。
- 73 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 11:58
- 「あのね、梨華ちゃんはね、みんなに遊ばれてるかな。反応おもしろいから・・・
あのね、表情がねクルクルかわるの。見てて飽きないんだよね。」
おっ、語り始めたぞ。
「コンサートとかでそ、地方に泊りになるじゃん。そん時にさ、必ず梨華ちゃんの部屋に
集まっちゃうの。イヤって言えないからさ、あのコ。
ののとかアイボンとかとお菓子もって、ゲームとかするんだけど、
みんな自分勝手だから、眠くなると、そのまま帰っちゃうの。自分らの部屋に。
そうじゃなくても、片付けヘタだからさ、梨華ちゃん。ぐちゃぐちゃの中で寝ちゃうの。
それでね、それ見られて、ケメちゃんとかに怒られたりするの。
それでも、次もやっぱり、梨華ちゃんの所におしかけちゃうの。
ダメだって言えないんだよね。梨華ちゃん。」
おい、おい、遠い目しちゃって・・・・
「それからね、お菓子の作り方教えてってね、ゴトーの家でさ、
かわいいエプロン持ってきてさ、そのカッコまでは完璧なんだけどさ、
泡だて器に振り回されて、キッチンべたべたにしちゃうし、
気をつけて、って言ってるのに、オーブンで焼けどしちゃうし。」
「そー、おもしろい子だね。」
って、一応、相槌うっとこう。
「うん。おもしろいよ。でも、結構お姉さんだったりもするかな。
ゴトーの衣装とか、髪とか何気に直してくれたりね・・・。」
って、マスマス、目がいっちゃってる。
はいはい、よーく、わかりました。ゴッチンとは、ワケアリってことで・・・。
これは、後でつかえるかもね。メモっとけ、メモッとけ・・・
「それからー・・・」
「うん、また今度聞いたゲルカラ・・・。」
切がないから、次行こう。
- 74 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 13:29
- もうじき、モーニングのリハが始まるらしい。
ステージのそでで見てよーッと。
・・・早めにスタンバってた保田さんが、私を見つけて、ツカツカッと寄ってくる。
オイオイ、ちょっと睨んでないかぁー。
「藤本、アンタ、娘に入るんだって。」
「ええ、そう言われました。」
「まあ、頑張ってね。アタシの代わりなんだから。」
って、そうじゃないと思うけど・・・・
「アンタねー、石川のこと苛めるんじゃないわよ!」
って、何を根拠に・・・て、わかりますぅー。
「えーっ、そんなことしませんって。」
「まぁ、今度、ゆっくり話そう!」
と、ステージに戻っていく。
アンタとはゆっくりしたくない。
- 75 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 13:43
- モーニングのリハーサルが始まる。
と、いつの間にか横に中澤さんが立っていた。
「フジもッちゃんも何かと大変やなぁ。今度は娘かい。で、様子見てみなってわけやね。
まあ、ええこっちゃ。見るのも勉強やからな。」
って、そーゆーわけでもないんですけどー。
「はい!」
って、ここは良い子で・・・
「まぁ、ホンマのとこ、イヤやろうけどな。」
「そんなこと・・・・」
「あるんやろ。姐さんは何でもお見通しやから、キレイ事言わんでエエヨ。
でもな、あの子達かて、イヤなんよ。本当は。
お前等だけじゃダメだって、言われてるのと同じやからな。」
「そうなんですか?」
「そら、そーやろ。まるっきり新しい子が入ってくるのとは、わけちゃうからな。」
「まあ、そうですけど・・・・。」
- 76 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 13:59
- 「で、やっぱり、イシカーが気になるんか?」
「えっ、どーゆー意味ですか。」
「どーゆー意味って、アンタにしてみりゃ、あのへんが、目の上のタンコブって、
ところやもんなぁ。」
「そう見えますー。」
「そら、そうやろ。入るからには真中狙いや。そういう子やから、入れるんやからな。
事務所の方かて。そしたら、そこにおるもんどかさなぁー。」
「そういうもんですかねー。やっぱり。」
「そうや。
それで、アンタ、あんなのチョロイと思ってるやろ。」
「そんなことないですよ。」
「そーかー、思ってるって。チョロそうやもんなぁー、あの子。
でも、ちゃうで。あんなふうに見えて、結構手ごわいで、ホンマのとこ。」
「人気ありますもんね。」
「って、そやけど。そんなことやないんよ。」
- 77 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 14:21
- 「アンタ、あの子、身体やーこいの知ってるか?」
「あっ、そうみたいですね。Y字バランスが得意だとか・・・」
「そう、やーこいねん。身体だけじゃなくてな、心もな。うたれ強いっていうのかな、
弱そうに見えて、中の方が強くて、簡単には折れへん。まっ、竹みたいなもんやな。」
「竹・・ですかぁ。」
「そや、竹やな。ちょっとの風でも揺れるけど、台風が来ても、倒れへんって、
やつかな・・・・おっこれ、うまい表現やな。さすが姐さんや。」
って、自画自賛かよ。
「でも、さっき、保田さんに石川苛めるなって、言われたんですけどー。」
「圭ちゃんはなぁ、溺愛してるからなぁ。イシカーのこと。
かわいくて、かわいくて、守りたいって意識が強すぎて、あの子の強さが見えないんやな。」
「中澤さんはかわいくないんですか?」
「アタシもかわいいと思ってるよ。娘はみんなな。
特にあの子はな、頑張ってるからなぁー、ホンマかわいいけどな、
そこは大人やし、離れてるからな、第三者的に本質が見えるんよ。
やっぱり、さすがやわ、アタシ。」
って、また自画自賛。
- 78 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/06(月) 14:40
- 「まあ、でも頑張りやー、思いっきり戦ってみー。アンタなら、好い勝負できるかもしれへんわ。」
「って、応援してくれるんですか?」
「応援するで、っていうか、今の娘にはたぶん、それが足らんのや。
みんな、妙に仲が良過ぎる。前はな、あったでー、ギラギラしたものが・・・
みんな、少しでも前に出ようとしていたっていうのかな。
今は、何か平和すぎんねん。そやから、アンタを入れたんやと思うわ。」
「そうなんですかねぇー。」
「なんやかんや言うて、アンタや松浦がいくら頑張ってもな、
ハロプロは娘が主体やからなぁ。ここがあんまりのんびりしてても、
締りがないってわけや。アンタは一種のカンフル剤ってことかな。」
「じゃあ、思いっきり戦います。」
「そや、その意気やで。」
って、私の肩をぽんと叩いて・・去っていく中澤さん。
ちょっと、痛いんですけどー。
でも、さすが姐さん。だてに歳は食ってない。
お墨付きをもらったところで、いざ、戦闘開始・・・だね。
- 79 名前:リエット 投稿日:2003/10/06(月) 23:17
- おおー今度は藤本さんですか!
ここからどうやって一章の関係になっていくのか、
凄く楽しみです。
- 80 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/07(火) 10:50
- って、映画ですか?
アイドル映画ねぇ・・・ダブル主演のぉー
今時、流行んないんじゃないの。そういうの。
どうせやるんだったら、主役じゃなくてもいいから、アヤッペみたいな、
本格的なのに出した方が良いと思うんだけどねぇ・・・
しかもゴッチンは単独で、こっちはダブル。
何か事務所の意図が見え見えだよね。ソロでやってくゴッチンと、娘に入る私と。
それに、何かネェーこの設定。
少し捩れた私と、良い子でけな気な梨華ちゃん。
異なる境遇の二人が出会って、友情を育む・・・
だーって、まんまじゃん。せめて逆の役柄振るぐらいの冒険しなきゃつまんないでしょう。
まあ、加入前にこういう設定を作っといて、(公開は秋だとしても、前宣伝はあるわけだし)
加入後は、すーっと二人並べてみるわけだ。
・・・・甘い!
今時、子供の漫画だって、こんな甘い設定見たことない!
まあ、私は本来、誰かさんよりずーっとポジティブだから、
こんな機会だって、上手に使ってみせるけど・・・
映画、当たらなくても、私のせいじゃないからね。
- 81 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/07(火) 11:18
- 初めての絡みのシーン。
無視してビビらすっていう手もあるけど、今日はスチール撮りとか、TVの取材とかも、
入っているから、露骨にやると、マネージャーさんに怒られそうだし、
無視っていうのは、最初にやってもあんまり効果がない。
取り合えず、今日のところは軽くからかってみますか。
休憩時間。おっ、来た来た。
良い子の梨華ちゃんは、まずは仲良くなってとか、本気で考えているんだうな。
「ねぇ、呼び名なんだけどぉー、あの、ミキティじゃなくて、美貴ちゃんでいいかなぁ。」
はぁー、いきなり何、それ。
「別に何でもいいけど、ナンデ?」
「なんとなくって言うか、ほら、私たちアヤヤとか、ゴマキとか呼ばないじゃない。フツー。
ミキティって、何かそんな感じじゃなぁい。」
「よくわかんないけど、何でもいいよ。アンタ、どこでも梨華ちゃんだけどね。」
「うん、名字か、それだよね。ちっちゃい時からそうだしー
なんかね、リカチャンって言うと、リカチャン人形で、
リカって言うと、東京ラブストーリーなんだって・・・・。」
「何だそれぇ。」
「よくわかんないけど、お父さんが言ってた。」
本当によくわかんないよ。これって、天然?
- 82 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/07(火) 11:36
- 「あのさ、梨華ちゃんって変な声だよね。」
「うん、よく言われる。」
「どこから出してんの?」
「クチ」
って、この手のボケは鍛えられてるってわけね。
「あのさ、梨華ちゃんって色黒いよね。」
「うん。だから、こういう外のロケって、やなんだよね。
私にだけ日が差してるみたいにさぁ、吸収しちゃうんだよね。
ほら、なんかもう焼けたみたい。」
「顔のイメージと違うよね。」
「よく言われる。・・・でも、矢口さんに言わせると、それで白かったら、
本当にお嬢様キャラで突っ込みようがないから、あんたは黒で正解、なんだって・・・。」
「はー、お嬢様ねぇー。」
かなり、ばかにしたように言い放つ。へこむかな・・・
「うん。どこかってな感じだけどね。」
「違うんだぁー。」
- 83 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/07(火) 12:01
- 「ぜーんぜん。うちなんか、普通だし。神奈川ったって結構イナカの方だし。
中学の時とか部活やってたから、本当に真っ黒だったしね。
あれってさ、チャーミーのイメージなのかな、一人でヒラヒラ着てたからねぇ。」
「あれ、すっごいよねー。今時、あんな格好でTVでてんの梨華ちゃんぐらいだよねぇー。」
結構、きつく返した。こんどこそ、へこむかな・・・・・・笑顔かよ。
「うん。でも終わっちゃうんだよあれ。」
「そーなんだ。」
「結構、好きだったんだけどネェー。」
「あれが?。」
「ほら、あれって、キャラが濃いから、楽なのよね。
こうやればいいっていうのが、はっきりしてて・・・
私ってさ、不器用だから、アドリブとかだめじゃない。」
「はい。」
ここは、即答。
「でも、チャーミーなら、こうするんだろうなって感じでね。
まあ、なんだかんだ言っても、中澤さんがいたから出来たんだけどね。」
「でー、終わるわけだ。」
おー、へこんできた、へこんできた・・・・
- 84 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/08(水) 00:23
- 「うん、コーナー変えして、紺野と、小川がやるみたい。」
「ハロモニも世代交代ってわけだ。」
「そうみたい。それに私自身も、いつまでもぶりっ子キャラじゃダメなんだって・・・」
「そりゃ、そうだ。」
「やっぱりぃー、まあ、18だからねって、18でアダルトチームってねぇ・・・。」
「まだ未成年なのにね。で、路線変更して今度何やるわけぇ。」
「セクシーだって。」
「セクシー?」
「笑うよね。」
「笑うネェー。」
「それこそ、何処がって、感じだよねぇー。」
「胸がってとこ?」
「そーかなー。」
おい、取り合えず否定しろよ!
- 85 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/08(水) 00:45
- 「そんなにないよぉー、せいぜい身体に比べてって程度じゃないの。
って、ホラ、矢口さんがセクシー担当とか言ってるじゃない。」
「言ってるねぇー。」
「あれって、本人がセクシーじゃないからいいんだって。
本当にセクシーな、飯田さんとかやったら、アイドルじゃなくなっちゃうんだって。」
「そりゃ、そうだ。」
「私たちだったら、どうやっても限界あるからいいんだって・・・。」
「いろんな意味でね。」
「えーっ、どういうことー。
でも、矢口さんは何かスゴイ写真集出すらしいよ。もう、反則って感じの。」
「へー、矢口さんがねぇー。」
「もうミニモニじゃないからいいんだって。」
「そーゆー問題なの?」
「そーゆー問題みたいよ。あれって、キャラクター契約とかあるから、大変みたいよ。」
「梨華ちゃんは出さないの?次の。」
「わかーんない。って、いつも突然だからね。じっくり時間かけてなんてあり得ないもの。
ハイ、決まったー、ハイ撮る、ハイお終い。って感じでねぇー。
この映画だってさぁ、ねぇー。」
- 86 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/08(水) 01:17
- 「梨華ちゃん、不満?」
「うん。ほら、私って鈍いからさ、感情移入っていうの、あれなかなか出来なくてさ、
あー、こうなんだって、分かった時には、終わってました。みたいなぁ。
もっと、要領よく出来なきゃダメなんだけどね・・・。」
この子、本当に真面目なんだァ・・・
「そういえば、美貴ちゃんも写真集出したじゃない。ハワイの。いいよねハワイ・・・。」
「ハワイはよかったけど、短かったしさぁ、それに、ハワイ=水着だからね。
何かねぇ、不特定多数に水着姿さらして、何やってんだって感じ。」
「そうだよね、フツー恥ずかしいよね。でも、私たちって、水着に限らず、
足出して、おなか出してナンボみたいなところあるじゃない。
最初、抵抗あったけどね。」
「慣れた?」
「ていうか、慣れるしかないからね。
初めの頃のコンサートとかでさ、なんか私だけ、何で生地、節約してんのぉー
って感じで、恥ずかしがってたら、中澤さんにさ、アンタなんかそれしか取り柄ないやん。
とか言われちゃって・・・。」
「あーあ、そうだね。」
「って、失礼だよね。何気に。」
「だって、そうじゃん。」
「・・・はい。」
「はい、素直でよろしい。」
って、何で私、この子と楽しくお話しちゃってんだろう・・・まあ言いや、今日は。
- 87 名前:@ 投稿日:2003/10/09(木) 17:55
- りかみき?いしごま?ものすごい好きな展開です。
楽しみにしてます。
- 88 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/10(金) 22:53
- 次の日。作戦決行!
朝から、一度も目を合わせてやらない。
演技以外では絶対にね。
ほら、もうキョトけてる。
どーしてなんだろうって顔して、
そのうち・・・ほら、考え始めた。
「私、なんか怒らせるようなことしたかなぁー。」ってね、
考えてる。考えてる。
分かり安すぎて、怖いくらい。
ほーら、NG連発。監督に怒られちゃった。
泣くかなぁー・・・そーでもないか・・・でも完全に凹んじゃった。
中澤さん、あなたの言う竹ちゃんは弱い風で、揺れまくりです。
確かに揺らすの簡単すぎ。本当に台風でも倒れないんですか?
そうこうしてるうちに、撮影は一段落。
私は始めての・・・まさか最後にならないよね。・・・ソロツアーで走り回る。
合間、合間に、娘の曲のダンスレッスン。バカみたいに忙しい。
6期の新メンバーとも顔合わせがあったり・・・
何、この子。生意気そーっていうか、私より目つき悪くなあい。
た・な・か・・・
- 89 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/10(金) 23:14
- 娘は娘で、保田さんの卒コンツアー。
5月4日、5日は私たちも合流する。
今回はなるべく普通に接していようっと。
保田さんに睨まれても、場違いだし、
矢口さんにラジオで何か言われても、なんだかネェー。
梨華ちゃんも、この二人に何も話してないみたい。普通に接してくる。
オッ、本人登場。フツーに「おはよー。」とか言ったら、
ちょっと戸惑って・・・すぐ、安心したように笑って、
「オハヨー!」
って、アンタ、ちょっと簡単すぎー。
まあ、今日、明日はそれどころじゃないか・・・
保田さんのラストステージ・・・
5期までの皆さんは、ホント、ぼろぼろだったね。
これが、娘の恒例行事ってやつか。
私はもちろん、泣く理由もなく・・・
ていうか、これからもあるんだろうけど、先輩たちの卒業式。泣けるのかなー、私・・・
梨華ちゃんはー、あーあ、これはもう完全にしおれちゃってるね。
教育係って、そんなに思い入れあるものなんだろうか。
さて、ここでちょっと、ジャブ。
「ねぇー、梨華ちゃん、ゴッチンの時より、グチャグチャなっちゃってるよねぇー。」
- 90 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/10(金) 23:36
- 「だってー、そんなの当たり前じゃない。」
「へー、当たり前なんだ。ゴッチンが聞いたら悲しむだろうなぁ。」
「そーじゃないよ。ゴッチンはソロになりたいから・・・ソロになれるから・・・。
でも・・・保田さんは・・・。」
あー、やっぱり、クビなんだ。保田さん。
「あんなに、娘が好きで、あんなに一生懸命で、あんなにみんなに気を配って・・・
でも、私たち、それだけじゃ・・・それだけじゃダメなんだよぉー。」
「保田さんがそう言ったの?」
「そんなこと、言うわけないじゃん。
そんなこと言ったら、みんな不安になっちゃう。特にちっちゃい子達は・・・
だから、自分で決めたみたいに言って、
大丈夫、仕事あるからって、女優になるからなんて・・・
あんなに歌が好きなのに、もう唄えるかどうかわかんないんだよー。」
「それは、気の毒だね。」
「何かしてあげたいんだけど、私なんかじゃ、何の役にも立たない。
ただ、保田さんの強がりを真に受けたふりして、頑張ってくださいとか、
そんなことしか言えない。本当なやんなっちゃうよね・・・。」
本当に、この子は無防備だ。どーして、私なんかに真情吐露しちゃって、
化粧ボロボロにして、泣いてるんだろう・・・・
- 91 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 00:15
- 私たちの仕事は、本当にヤーになるほどめまぐるしい。
彼女たちの涙が乾く間もなく・・・
今度はミュージカルの稽古に入る。
私は初参加だから、発声法とか特別なレッスンを受けたりして・・・
娘の舞台は、みーんな主役みたいなタテマエだけど、
実質は、安倍さんと梨華ちゃんと私が主演って感じなのかな、今回は。
だから、セリフも多いし、稽古もきつい。
ミュージカル中は、こっちも必死だし、もめても面倒だから、
取り合えず、淡々と、自分の役割を果たしていく。
ミニライブでは、保田さんのポジションにそのまま入る形で・・・
っていうか、保田さん、パート少なすぎ・・・
「ねぇ、美貴ちゃん、AFOで、愛してる、愛してる・・・っていう所あるじゃない。
あの時さー、何回やっても、アー、保田さんじゃないんだって思っちゃうんだよね。」
「梨華ちゃん、不満なんだ。私で。」
「そーいうんじゃなくて、ポジションは何気に近くにいたけどさ、保田さんとディオってなくてさ、
あれ、ダンスレッスンの時とか、何かたんび、フイてたのね。
保田さんと顔見合わせると・・・。」
「顔がへんだから?。」
「うん。じゃなくて、何かてれちゃってさ。それに最後の曲だってわかってたから、
あんまり、マジになるとなんて、感じでサ。」
「思い入れがあるってわけだ。」
「そうね。ほら、私たちって、誰か抜けるとパート割とか、フォーメーションとか、
変えるじゃない。でも、今回は、すっぽり美貴ちゃんが入ってるから、何かね・・・。」
「私にはよくわかんないけどね。」
- 92 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 00:46
- 「そーだよね。あーでも、今度15人になるから、また変わるんだよね。
9人から、13人になったときも、多いなぁーとか思ったけど、今度15人だもんね。
ぶつかったりするんじゃないかなぁーマジで。」
「想像つかないけどね。」
「本当に、多いヨネェー。それに、いつの間にか後輩ばっかになっちゃって・・・、
引っ張ってかなきゃならない立場になっちゃって・・・。」
「しょうがないじゃん。アダルトチームなんだから。」
「アダルトねぇー。でも、それはまだいいんだ。
それより、アンタ、真中にいなさいみたいのがねぇ・・・。」
「嫌なわけ?センターが。」
「嫌とかじゃなくて、似合わないかな。」
「えっ、何それ。」
「何か、タイプじゃないような・・・。」
「贅沢だね。梨華ちゃんは。やりたくても、やれない子が沢山いるんだよ。」
「そうだけどね。だからなおさら、私がここでいいのかなってね。」
「何言ってるの、自信持ちなよ。」
あー、私、何でこの子、励ましたりしてるんだろう。
- 93 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 01:24
- 「何か、保田さんみたいなこと言うね。
でも、思うわけ、私がセンターの娘より、そうじゃない娘の方がいいんじゃないかって。」
何、この子、いきなり試合放棄かよ。
「でも、今は与えられたホジションを一生懸命やるだけだけどね。」
「なあに、欲とかないわけぇ。」
「そーゆーんでもないかな。
ピースの時なんて、不安だったけど、すごく嬉しくてさ。これで、本当に娘になれたんだって気がした。
特にあの歌、あの時の楽屋風景みたいで、あー、私の歌って感じで・・・
それに、安倍さんとゴッチンが両隣で支えてくれてて・・・
あれ、ゴッチンが抜けた後、ガキさんがやってるじゃない。
こんなこと言っちゃいけないんだろうけど、それじゃあ意味無いよねって思っちゃうわけ。」
「それはわかる気がする。」
「ねぇー、例えばさ、私と美貴ちゃんが両端にいるモーニング娘って、
何気にすごくなぁい。自分で言うのもなんだけど。」
「何それ!」
「だって、たぶん、私の両脇にゴッチンと安倍さんがいたから、
あの時の私に、箔がついたって言うのかな・・。」
「あーあ、そういう意味ね。でも現状は無理じゃないの。
端っこで踊ってるだけの石川梨華なんて、ファンが怒るよ。」
「・・・・・だから、今はせめて、ここでいいんだって、自分で納得できるくらいの力が欲しいかな。
それが、応援してくれてる人に対する誠意って感じかな。」
案外、自分や娘を客観視してるわけだ、この子。
- 94 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 01:47
- 「本当に、いろんな意味で、力が欲しいよね。
自信もって、自分を認めてあげる力。やりたいことをやりたいって言える力。
嫌なことを嫌と言える力・・・。」
力ねぇー、私が思う力と、この子が思ってる力っておんなじなんだろうか。
私の力、何気に試してみた。
27時間テレビの深夜の部、
疲れてるから、出たくないと言ってみた。
「そうだねー、ミュージカルに支障が出ても困るから、。」
って、やけにアッサリ認めてくれた。
これって、私に力があるってこと?
シャッフル、新曲・・・えっー、イキナリあの目つきの悪いのがセンターかよ。
まあ、あの子らしい歌だけどね。・・・とかあって・・・
この間、しばらく、梨華ちゃんとの距離をとってみた。
そー、完無視。
やっぱり、毎日、私の態度をうかがってるけど、案外平気そう。
でも、一度、ハロモニで、ヨッスィーにベタベタしてたら、
少し、引きつっていたみたい。それって、気のせい?
アンタのカントリーもらったけど、紺野と一緒ってか、
何これ、道産子揃えただけかよ!
って、私、こんなことするために、娘に入ったわけ?
- 95 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 02:09
- 珍しくハロモニの控え室に、早く入ったら、先に梨華ちゃんがいた。
二人きりか・・今日はちょっと、突付いてやるかな。
「やんなっちゃうよねー。カントリー。」
「えっ、まいちゃんもあさみちゃんも良い子だから、楽しいでしょう?。」
「だって、握手会とかあるんだよ。事務所も販促に必死って感じ。」
「私も最初の時やったなぁー。」
おーお、懐かしがっちゃって・・・
「やっぱ、はずされて悔しい?」
ここで、ストレートパンチ。
「そーだねー。どーだろー。
でも、私が入れって言われた時、初めは、不安だったし、責任あるって思って
必死だったけど、やっぱり嬉しかったしね。
でも、少し悪いなーって思って。」
「どーゆーこと?。」
「ほら、それまでのカントリーの曲と全然違ったじゃない。
リンネさんが、一生懸命守ってきたものを壊しちゃうんじゃないかって・・・
でも、梨華ちゃんのおかげでメジャーデビュー出来たって、
リンネさんに言われて、それならガンバローってネ。」
- 96 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 02:29
- 「それがなくなるわけだ。」
「ていうか、私なんかより、リンネさん卒業したじゃない。
それ、ショックだったかな。カントリーも変わっちゃうんだなーって、
娘もだけどさぁ、私たちって、いつも、そのままっていうのがダメなんだよね・・・。」
「何かしみじみしてるねぇ。」
「うん。何か美貴ちゃんの前だと、私いつもこんなだね。
何か、話しやすいって言うか・・・。」
「はーっ。
ていうか、私さ、梨華ちゃんのこと、露骨に無視したりしてるじゃない。
何で、そんなにぶっちゃけたりできるわけぇー。」
「あーあ、そうだよね、よく無視してるよねぇ。」
って、笑ってるのかよ。
「やっぱり、私のこと嫌い?」
「はーっ、っていか、怒ったりしないわけ?」
「怒るかぁー、まあ、初めはね、何か私、気に障るようなことしたかなとか考えたけど、
こういう人なんだろーなって・・・ほら、私、結構ウザイし、
美貴ちゃんと話してると、ほら、同じ年だから、話しやすくて、
何かいろいろ話しちゃうじゃん。だから、ウザイのかなって・・・。」
- 97 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 02:46
- 「私が、話しやすいの?」
「うん。でもごめんね。美貴ちゃんは嫌かもしれないけど、同級生いなかったから・・・。」
「ていうか、嫌いじゃないの、私みたいの。」
「嫌いじゃないよ。しいて言えば苦手かな。」
「苦手?」
「うん。私、嫌いな人ってめったにいないんだよね。
でも、こんなだから、苦手は沢山いるの。
中澤さんも、飯田さんも、保田さんも、矢口さんも、ゴッチンも苦手だったなぁー。
でも、嫌いはそれで終わりだけれど、苦手は克服できるじゃない。」
「克服ネェー。」
「うん。正面から向き合えばなんとかね・・・みんな大好きだしネェー。
ていうか、大好きになったかな。」
「で、私も克服できるわけだ。」
「それは、これからだと思うけどね。
美貴ちゃんはどうか知らないけど、私は話していると楽しいけどなぁ。」
だめだこりゃ。戦おうにも、リングに上がってこないんですけどー。
- 98 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 03:03
- ハロプロコンが、始まって、久々に中澤さんに声をかけられた。
「どや、ふじもっつぁん、頑張ってるかぁー。」
「あのー、戦いにならないんですけどぉー。」
「なんでー。」
「リングに上がってこないんですよ。上がったとしても、完全ノーガードって感じで、
全然、戦いにならないんですけどぉー。」
「アンタ、あのコと格闘技しようとしたんか?」
「はい。中澤さんに言われて。」
「あほやなぁー、よっさんじゃあるまいし、あのコとするのは格闘技じゃない。
競争やな。ホレ、陸上競技とかの。同じゴールに向かって、ヨーイドンってやつや。」
「はぁー。」
「だからぁ、殴り合いじゃなくって、カケッコ。
あれは、案外そういうの負けず嫌いやからな、のってくるでぇー。」
「はーっ。って、どーすればいいんですか、それって。」
「そやなぁー・・・、やり方は自分で考えー。じゃあまたなぁー。」
て、無責任じゃありません?
陸上競技ネェー。私、結構速いよ。
- 99 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/11(土) 11:20
- 何度も読み直しています。
うまくいえないけど、とにかく、おもしろいです。
更新楽しみにしています。
- 100 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 21:57
- 取り合えず、やってみますか。かけっこ。
乙女組のレコーディング。
「ねぇー、梨華ちゃん、ダメだし何回?」
「えーっ、つとねぇー、5回かなぁー。」
「私、3回。私の勝ち。」
「何それー。」
ダンスレッスン。
「藤本、そこんとこ遅れてる!」
「石川、目線、固定して!」
夏先生の注意。
「私、4回。梨華ちゃんは?」
「2回だったけどぉー。」
「ちーっ、負けかぁ。」
「何それー。」
ハロモニの収録。
「私の突っ込みの方が絶対よかったよ。」
「うそー、あれは私のボケの方がよかったよ。」
- 101 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 22:13
- 「何、二人でやってんのさ。」
矢口さんが、そんなやり取りを聞きつけてやってきた。
「私たち、勝負してるんです。」
「えっ、そうだったの?」
オイ、相変わらず、鈍すぎだよ。イシカーさん。
「へー、そうなんだ。て、梨華ちゃん知らないでやってたの?」
「はい。初耳です。でも、て、ことなら、梨華負けない!」
「てか、寒すぎー。私だって負けないーだ。」
「ていうか、こういうのって、客観的評価も必要でしょ。
オイラがジャッジしてやるからさ!」
って、矢口さんスゴク楽しそうなんですけどー。
「今日は、ミキティの勝ちかな。」
「えーっ。」
「ホラ、かったー。」
それから、番組の収録、ダンスレッスン、コンサートのMC。あらゆる場面で勝負した。
梨華ちゃんって、本当にこういうの熱くなる。
- 102 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 22:25
- 「今日は、私の負けかぁー。」
これで、17対17。わっ、タイだ。って、携帯にメモってたら、
「わー、美貴ちゃんちゃんとメモしてんだ。」
「あったりまえじゃん。私はマジだよ。」
「こっちだって。」
「てーか、これから、ご飯行かない?」
「いいけどー、どこー。」
「中華バイキング。どんだけ、入るか勝負!」
「ふぇ、・・・・うーん。梨華頑張る!」
・・・・・・・
「あーあ、完敗。くやしーい。
美貴ちゃん、これからウチ、寄らない?」
「いいけどー。」
こいつ、何たくらんでんだぁー。
- 103 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 22:43
- 「ハイ、これ!」
トランプかよ。
「スピードね。」
「自信ありげだねぇー。」
「うん。何気にね。これ、ゴッチンに鍛えられたから。」
本当にむきになっちゃって・・・結構オサナイ。
でも、キャッキャ付き合っちゃってる私もそーとーかも・・・
保田さんの奢りの焼肉について行って、どっちが何皿とかやってたら、
「あんたらネェー、たくー、誰が払うと思ってるのよー。」
とか、渋い顔してたけど、
保田さんも矢口さんも、結構、楽しんでるよねぇ。
「何か、良いかんじだよ、ちみたち。」
だってさ。
こんなんでいいのかなぁー。戦いって。
「あんたら、この頃、仲良さげだよねぇー。」
って、仲いいの、私たち。
「だって、美貴ちゃんって、面白い。」
「アンタに言われたくないよ!」
「ボケと、ツッコミだもんねー。てか、オイラにも突っ込ませろつーの。」
何気に、矢口さん悔しがってません?
- 104 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 22:52
- 岡女の運動会。今日は本当に陸上競技だ。
50で勝って、ハードルで負け。トータルで・・・何か私、優勝しちゃった。
完璧に勝ったね。
「梨華ちゃん、体力無さすぎ。今日は私の完勝だね。」
「うん。バテたよ。・・・でも、ハロプロでは負けないからね。」
「無理、無理。」
「もー。」
「もーって、アンタ牛かい。」
「たまにね。」
やっぱ、何か楽しいじゃん。こーゆーの。
- 105 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 23:09
- 久々に中澤さんに会った。
「そうかー、徒競争で藤本で、ハードルで石川。それって、現実ぽいなぁ。
障害あると、強いタイプやからなぁーあの子。」
「でも、トータルで私の圧勝です。」
「イシカー、悔しがってたやろ、目に見えるようやな。」
「でも、こんなんでいいんですか?戦うって・・・」
「いいかどーか、本当のところはわからんけどな。
何か、この頃、活気あるヤン。特に乙女組。」
「そーですかねぇー。」
「何か、エエ感じやわ、アンタら。面白いやん!
イシカーも楽しそうやしな、もう一皮剥けるかもしれんな。
それに、アンタ今、娘、楽しいやろ。」
「あー、そー言えば。」
「そやろ。それでエエンちゃうか。」
「ええ、あのままソロでやってるより、入ってよかったかなぁー、って最近思ってます。」
「そいつは、ホンマ良かったわ。これからも頑張りやー。」
そうなんだ、私。最近、娘に入って良かったと思い始めてる。
それからもう一つ・・・
- 106 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 23:27
- 「梨華ちゃーん、今、私が1ポインと勝ってるからね。」
「えーっ、次って娘の新曲かー・・・。絶対負けないから・・・。」
「自信ないんでしょ、音入れ。」
「そんなことないよ。ふーんだ。イジワル。」
「イジワルは私の特技だもん。梨華ちゃんのぶりっ子と同じ。」
「何それーぇ。ホント、性格悪いんだからぁ。
でもね、美貴ちゃん娘に入ってくれて、本当に良かったって思うんだ、私。」
「へー、たまには正直になるんだ。」
「私はいつだって、正直だよ。誰かと違って。
でも、本当に最近、ハリがあるって言うか、面白いかな・・・」
「そーなんだ。私も面白いよ娘。」
「よかった。美貴ちゃん娘に入るの嫌そうだったから・・・
お互い、いいライバルでいようね、これからも・・・。」
「うん。でもね、私もう一人ライバルがいるんだ。」
- 107 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 23:38
- 「だあれ?」
「ゴッチン。」
「あーあ、ソロとしてね。」
「それもあるけど、それと違うこと。」
「違うこと?」
「うん、全然違うこと。」
「なあに?」
「梨華ちゃ本当に鈍いよね。わかんないんだぁ。」
「はい。鈍いからわかりません。」
「そーゆーところだけ、素直なんだから。
マアいいや。私、負ける勝負はしない主義だから、
勝てる見込みがついてから話すよ。」
「今、負けてるの?」
「そーだね。今のところたぶん敵わない。」
- 108 名前:bomboo smile 投稿日:2003/10/11(土) 23:52
- 「そうなんだぁ。頑張ってね。」
「頑張ってるよ、毎日。」
「応援するよ。って、何かわかんないけど・・・」
「・・・ねぇー、アンタ、もしかしてわかってるんじゃないのぉー。」
「・・・・うーん、わからないことにしといて。」
「そーゆーことかぁ。まあ、いいや。
いつか、絶対に勝ってみせるから。」
「・・・・・・」
「梨華ちゃんにも、ゴッチンにもね。」
私、いつか本当に勝ってみせる。
梨華ちゃんに勝って、モーニング娘の一番になる。
ゴッチンに勝って、梨華ちゃんの一番になる。
覚悟しといてね。私、本当に強いんだからね。
アナタの中のゴッチンを消してみせるからね。
それが出来るの、きっと、私だけだからね。
梨華ちゃん、私、娘に入って、本当に良かったよ。
お終い
- 109 名前:トーマ 投稿日:2003/10/12(日) 00:13
- この話はこれで終わりです。
読んで頂いている皆さん、ありがとうございます。
お気づきかとは思いますが、これらの話の大前提はいしごまです。
でも、そんな甘くはありません。この二人に限って言えば、
ちょっと可愛そうな状態にあります。
でも、やっぱり、頑として、いしごま前提です。
ただ、前提に過ぎないという、弱みがあります。
この話は、私の中では、完全リアルなので、最近の絡みの無さは・・・
ただ、後藤さん石川さんの関係については、
このサイトとか、カップリングとか、全然知らない状態で、
普通に娘を見ていたときに、あれ、この二人って・・・と思ってしまったので、
私の中ではガチなんです。どーしても。
この二人って、普通なら、絶対に友達にならないタイプなんですよ。
違いすぎて・・でも、人は大概、自分に無いものを求めるもので・・・
そういう意味では、何気に今は、藤本さんって、ありなんですよね。
この二人も、まったく、違ってるから・・・
次はわけあって、ちょっと、設定違いのものを一本書きたいと思ってます。
- 110 名前:リエット 投稿日:2003/10/12(日) 00:22
- 完結お疲れ様です!
自分もいしごま大好きなんですが、これを読んでいる時は、
ついつい藤本さんを応援してしまっていました(w
次は設定違いとのことなので、どんな話がくるかドキドキしています。
- 111 名前:@ 投稿日:2003/10/12(日) 17:26
- ものすごくいい作品です。
いい作品とかそういう言葉で表現してはいけないのかもかもしれないけど
そんな言葉しか浮かびません。むしろそんな言葉があってるとすら思えてきます。
何度も読みたくなります。完結おつかれさまでした。
次回も期待してます。
- 112 名前:トーマ 投稿日:2003/10/12(日) 22:12
- 先日、私の知人が、バイク事故で、若い命を落としました。
場違いかもしれませんが、彼に対する哀悼の意を娘の設定を借りて、表したいと思います。
- 113 名前:バカ 投稿日:2003/10/12(日) 22:28
- 「吉澤が事故起こした。K病院。」
それだけを告げると、事務所からの電話は切れた。
夜中の3時過ぎ。
その日の仕事は押していたから、眠りについたばかりの私は、
半分、夢の中で、その電話を聞いた。
ツーツーという発信音が続いている。受話器を置かなけりゃ・・・
意外と落ち着いている私。
たぶん、どこかで、そんな知らせがあることを、予期していたのかも知れない。
・・・また、バカやって・・・
事故、何度目だろう。
誰にどれだけ言われても、乗るのやめなかったバイク。
「吉澤、また足くじいちゃって・・・」
何度、聞かされただろう。
・・・でも、今までは、仕事場でマネージャーさんから、伝えられてた。
それが、この時間。
えっ、まさか・・・
- 114 名前:バカ 投稿日:2003/10/12(日) 22:46
- 取り合えず、顔を洗って、着替えをして、タクシーを呼ぶ。
夜中の病院に着いたのは、4時少し前。
入口で待っていたスタッフに、案内された病室の中には、
すでに、何人かのメンバーが揃っていた。
えっ、みんな泣いてるの?
と、入口のドアを背に立ち尽くしている私を見つけた、ののが、
いきなり走り寄って来て、そのまま、私にしがみついた。
「梨華ちゃん、ヨッチャンが、ヨッチャンが・・・。」
大きな涙、いっぱいこぼして。
「のの、のの、大丈夫?どーしたの?」
「ヨッチャンが、ヨッチャンが・・・」
言葉が繋がらない。
私は奥の方でボーっと立っている飯田さんに、助けを求めるように、目を移した。
怒ったような顔で、こちらを向いた飯田さんの口から、
「・・・・だよ。」
聞き取れない。でも、でも、その唇の動き・・・
- 115 名前:バカ 投稿日:2003/10/12(日) 23:00
- すると、飯田さんの隣で、ベットに取りすがっていた矢口さんが
「バカー、ヨッスィーのバカーヤロー!
何でだよ、何で死んじゃったりするんだよー。」
って、悲鳴のような叫び声をあげた。
「えっ?」
ののを抱きかかえながら、きょとんとしている私に、
少し前にいた安倍さんが近づいてきて、
「梨華ちゃん、あのね、ヨッチャンね、死んじゃったんだって。
ウソみたいだよね。だってさ、死んじゃったんだよ。ウソみたい・・・」
安倍さん、放心状態でふらふらしてて、私、ウソじゃないことがわかっちゃった・・・
ウソじゃないんだ、これ。
それで、夢でもないんだ、キット。
私は不思議に涙が出てこなかった。
何か、私の中に大きな暗い穴が出来たみたいで・・・何も見えない暗い穴が・・・
- 116 名前:バカ 投稿日:2003/10/12(日) 23:21
- 矢口さんは、わめき続けていた。
それを飯田さんが、抱き起こして、
「矢口、だめだよ、ご両親がいらっしゃるんだから・・・」
って、病室の外に連れ出しながら、
「石川、まだ会ってないんだから、会わせてもらいな。」
って、ベットの方に目をやった。
私は、グシャグシャの、ののを隣に佇んでいる安倍さんに渡して、
ベットの方に行こうと・・・
でも、足がそれを拒否してる。動いてくれない。
それを見つけたのか、奥にいた保田さんが、近寄ってきて、
私の肩をかかえて、ベットの枕もとに引きずるように連れて行ってくれた。
保田さんは、ヨッスィーのご両親に小さく会釈して、
白い布が、被された人の前に私を立たせて、
「会ってやんな、きれいな顔してるから。」
なおも動けずにいる私を見かねるように、
「よかったよ、頭打たずに・・・本当にきれいな顔してる。」
と言いながら、白い布を両手で取り除いた。
ヨッスィー、なんでそんな涼しい顔して、ネてんのよ。みんな大騒ぎだよ。
「ヨッスィー、起きなよ。」
- 117 名前:バカ 投稿日:2003/10/12(日) 23:37
- 私は、無意識のうちに、そんなこと言ったらしい。
それから後のことは、あんまり良く覚えていない。
後から保田さんに言われた。
「あんたが、あんなこと言うから、またご両親泣いちゃって・・。」
その後、バタバタと他のメンバーや、関係者が入って来たような気がする。
これも後で聞いた話だけれど、地方局で仕事だった中澤さんと、
コンサートで九州の方に煎っていた、ゴッチンは来れなかったらしい。
どのくらいの時間そこにいたんだろう。
その後、私たちは、自宅待機を命じられて、それぞれスタッフに連れられて帰宅した。
これからのことは連絡待ち・・・なんだとか。
・・・次の電話が入るまでの何時間か、私は寝たんだろうか、起きていたんだろうか・・・
とても短かったような気もするし、逆に何日もたったような気もする。
次の連絡で、いろいろな段取りとかが説明されたみたい。
この時は、事務所からの連絡で、お母さんが来てくれていたから、
私はこの電話を受けずにすんでいた。
そういえば、お母さん、いつ来たんだろう・・・
- 118 名前:バカ 投稿日:2003/10/12(日) 23:57
- たぶん、ちゃんと記憶があるのはこのへんから。
「梨華、何かお腹に入れなさいよ。もうすぐ、出かけなきゃだから・・・」
「どこに?」
「何処にって、アナタ、わかるけど、しっかりしないと・・・
あのね、事故だったから、内密にってわけにもいかなくってね、
もう、報道されちゃって、大騒ぎになっちゃってるんだけど、
ご遺族のこと考えるとね、取り合えず密葬にして、本葬は後日なんだけど、
本当は、内輪でおやりになりたいんでしょうけどね、アナタたちは、身内みたいなものだし、
最後のお別れだからね、だから、特別に、メンバーと近しい人だけ出席するってことでね、
今夜、これからお通夜で、明日がお葬式ってことでね・・・」
「誰の?」
「ホント、このコったら・・・」
お母さんが泣いていた。本気で泣いていた。
「アナタは絶対に、私より先に逝っちゃいけないからね。」
って、言いながら、泣いていた。
「吉澤さんのご両親のこと思うとねー。」
なんて、泣いてた。
そーか、ヨッスィーだ。ヨッスィーが病院で寝てた。
寝てた・・・・・死んじゃったんだ・・・・
- 119 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 00:16
- ヨッスィーがバイクを始めたのは、一年半ぐらい前。
事務所にも、私たちにも内緒で。
でも、足を軽く捻挫する事故起こして、ばれちゃった。
もちろん、事務所からは禁止されたし、みんなにやめるように言われた。
「アンタね、いくら運動神経良くてもね、生身で、車と同じスピード出してるのよ。
本当に、危ないんだから、絶対やめなさいよねー。」
飯田さんは、半分キレテ、そう言った。
「ヨッチャン、実際こーして、怪我しちゃったんだから、
今回は、打撲くらいで済んだからよかったけど、
どんなことになるか、わかんないんだからね。
大怪我したら、つまんないからね、やめなよね。」
安倍さんは優しく諭した。
「ヨッスィー、お前、みーんなに迷惑かけんだからな。」
矢口さんはいつもの調子で軽く。でも本当に心配してた。
「顔とか、怪我したら大変だよー。痛いよー。」
ののとあいぼんだって、可愛く、諌めていた。
でも、私はその時、何も言わなかった。
アナタの溜めているストレスが、何気にわかってたし・・・
ダカラ・・・でもね、でもね・・・・
- 120 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 00:31
- 次に入院騒ぎになった時、飯田さんはマジギレして、
「アンタね、バカは死ななきゃ直らないって、言うけど、
死んじゃったらお終いなんだからね!」
足、骨折して、横になっているアナタは、それでもニヤニヤしていた。
みんなに口々に怒られて、
痛いの我慢して、照れ隠しみたいに笑ってた。
みんなが、帰った病室に、私一人残らせてもらって・・・
「お願いだから、もうやめて。」
「梨華ちゃんまで、そう言うんだ。理解してくれてると思ってた。」
「だって、こんなになって。本当にそのうち死んじゃうよ。」
「大丈夫。運動神経いいから。」
「何度もころんどいて、何言ってるの。」
「だって、急に車が出てきたから。ほら、運動神経いいから、当たんなかったの、その車に。」
「だから、危ないって言ってるんでしょう。何があるかわかんないんだよ!」
「だってー、本当に気持ちいいんだよ。」
- 121 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 00:47
- 「他のことじゃダメなの?」
「他のことねぇー、代わるものないんだよねぇー。」
「みんなにこんなに心配かけても?」
「うん。」
「ヨッスィー、アナタ本当に何やりたいの?娘じゃないの?」
「娘はやりたいけど、でもバイク乗ってる方が、自分らしいんだよね。」
「何それ。」
「娘の私は、本当の私じゃない気がするんだ。」
「どーゆー意味?」
「うまく言えないんだけど、本当に生きてるって感じがするんだ。バイクで風切ってると・・・」
「・・・アナタ、娘のメンバーなんだっていう責任、感じてないの?」
「どーだろう・・・」
「アナタ、本当にバカじゃないの?」
「バカなんだよ、きっと。死んだら直るかなぁ。」
「死んでも直らないわよ。そのバカさかげんは。
・・・本当に死んじゃったら、どれだけの人が悲しむか、わかってんの!」
- 122 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 00:58
- 「ねぇー、こんなにお願いしてもだめなの?何でもするから。」
「梨華ちゃんのお願いネェー・・・何でもしてくれる?」
「うん。」
「それじゃーねぇー。」
「なあに。」
「うーん。やっぱ、イイヤ。」
「何よぉー。」
「なんか無理だから、きっと。」
「そーなの、たいがい聞いてあげるよ。私に出来ることだったら。」
「そーお。・・・・でも、やっぱいいよ。」
「そんなぁー。」
「でも、少し考えてみる。バイクやめる方向で。」
「本当、本当にちゃんと考えてね。」
「うん。バカはバカなりに考えるよ。だから心配しないでいいから。」
「わかった。本当にちゃんと考えてよ。ハイ約束。」
私たち、指切りしたよね。ちゃんと、指切したよね・・・・
- 123 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 01:15
- 私は、お母さんの用意した、黒い服を着せられて、指示された場所に座った。
ほんの身内だけのお通夜と言ってたけど、大きな斎場は満員だった。
あちらこちらで、すすり泣く声がして・・・
私たちメンバーは遺族の席のそばに、身を寄せるようにかたまっていた。
みんなこの一日で、いくつも年を取ったみたいに、やつれて・・・
お焼香が終わりに近づいた頃、
ゴッチンが普段着のまま飛び込んできた。
斎場を一通り見渡して、祭壇の写真を一睨みして、
そうして、私たちを見つけると、すごい勢いで駆け寄ってきた。
「梨華ちゃん、これ、ドッキリだよね。」
「・・・・・」
「ちょっと、大掛かりすぎるよね。」
「・・・ゴッチン・・・」
「ねぇー、どこの局の仕掛けなの?」
「ゴッチン。」
「ねぇー、梨華ちゃん、教えてよぉー。」
ゴッチン、声、大きいよ。わかるけど、わかるけど・・・
- 124 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 01:35
- 「ごっつあん、気持ちはわかるけどな、ご遺族もいらっしゃるんや、チト、静かにしーや。」
そばにいた中澤さんが、静かにたしなめる。
「だって、こんな悪い冗談。そーだよね、梨華ちゃん。」
私に同意を求めるゴッチン。ごめん。私、何も言えないよ。
「ほら、顔見せてもらえるからな、いこ、ごっつあん。」
いつの間にか、長い焼香の列も終わって、
親族の後に続いて、メンバーが順におかんに近づいて行く。
「ウソー、ちょっと手が込みすぎてるよぉー。」
中澤さんに連れて行かれるゴッチン。
私も、すぐ後を追った。
白木のおかんの中で眠っているヨッスィー。
本当に寝ているみたいだよね。
「ヨシコ、何ふざけてるのさ、おきなよぉー。おきな、おきろってば!」
ヨッスィーの白い、本当に白い頬をペタペタ叩くゴッチン。
「ゴトー、ご遺族の前やで、いいかげんにしー。」
「ありえない、ありえないよ、こんなの・・・」
そのまま、崩れ落ちそうになるゴッチン。私は思わず、後ろから抱きすくめる。
- 125 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 01:46
- 「ありえない、こんなの絶対にウソ。ウソだよね―、梨華ちゃん。」
「うん。きっとウソなんだと思う。」
そんなことしか言えないよ私。
「ソーダヨ、ウソだよね。いくらヨシコがバカでも、こんなことしないよね。」
「・・・・・」
ヨッスィー、アナタのバカは直りましたか?
- 126 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 01:57
- 次の日のお葬式には、ゴッチンも喪服姿で現れた。
ねぇー、ゴッチン。私たち納得出来なくても、納得しなきゃならないんだよね。
「みんな、黒似合わないよね。」
「うん。」
「ヨシコ、梨華ちゃんがピンクじゃないから、驚いてるよきっと。」
「うん。」
「梨華ちゃんにこんな格好させて、本当にバカだよね、ヨシコ。」
「うん。」
私は、本当に言葉を知らない。ゴッチン、あなたに何て言って上げたらいいの?
最後のお別れに、みんなでヨッスィーを花で飾った。
「この子、ホンマにエエ顔してんなぁー。」
「すやすや眠っちゃって・・・」
口々に別れを言いながら、ヨッスィーを花で包む。
- 127 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 02:13
- 「ヨシコ、本当にきれいな肌してるよね。」
ゴッチンは、ヨッスィーの頬をなでる。
「ホント、真っ白で・・・」
私は手を差し伸べてみたけれど・・・無理。
動かないあなたに触れられない。動かないあなたを確かめられない。
おかんのふたが閉められる。
あちらこちらで、悲鳴のような泣き声。
私たちは、みんな、一人で立っている事が出来なくて、それぞれ抱き合って泣いた。
ごめん、ゴッチン。今日は私にすがらせてね。
ゴッチンの痩せた腕の中で、私は声を出さずに泣いた。
「本当に、バカだよね。ヨシコ。」
ヨッスィー、アナタのバカは直りましたか?
火葬場には、遠慮することになっていたみたいだけど、
中澤さんと、飯田さんが、どうしてもって、お願いしたみたいで、
結局、メンバー全員で行くことになった。
重く閉ざされた扉の前を離れると、私たちは控え室に案内された。
でも、なんとなく、私とゴッチンは、廊下の長いすに二人で腰掛けていた。
- 128 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 02:30
- しばらくして、誰かが前に立った気配がして、目をあげると、ヨッスィーのお母さんがそこにいた。
「後藤さん、石川さん、本当にありがとうございました。」
「「えっ」」
「あの子の お友達になってくれて・・・あの子、よく言ってたんですよ。
まさか、この世界入って、ちゃんとした友達が出来ると思わなかったって。
自分はとっても、ラッキーだって。お二人は特別だって・・・」
「そんな、こちらこそ・・・」
ヨッスィー、そんなふうに思ってくれてたんだね。
「私たち、何も出来なくて、何もしてあげれなくて・・・」
「いいえ、あの子本当に幸せそうでしたから。モーニング娘になれて、
あなた方とお友達になれて。・・・本当にありがとうございました。」
深々と頭を下げられるお母さん。私たちも立って、お辞儀をして、
どこか、やっぱりヨッスィーに似てるその後姿を見送って・・・
それから、抱き合って泣いたんだ。本当に声をあげて泣いたんだ。
肩を震わせて泣いたんだ。
ヨシコのバカー、ヨッスィーのバカー、私たちのバカー
って泣いたんだ。
ヨッスィー、アナタのバカは直りましたか?
- 129 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 02:46
- 係の人が、本当に白くて、きれいなお骨だって言ってた。
・・・でも、本当に骨になっちゃったんだね。
最後に、のど仏を取り出して、
立派な仏様の形だって説明していた。立派な骨。立派なのど仏。
そんなの誉められたって、しかたないのにね。
ヨッスィー、アナタのバカは直りましたか?
帰りに用意された車を断って、私たちは夕方の街を手をつないで歩いた。
「ごめんね、ゴッチン、私、近くにいたのに止められなくて、バイク。」
「しょうがないよ。自分で勝手に乗ってたんだから。」
「考えるって約束してくれたのに。指切りしたのに・・・。」
「バカだよね、ホント。」
「何でも聞くから、やめてって言ったら、何か言いたそうだったんだけど・・・」
「何を?」
「でも、無理だからいいって。
あの時、もっとちゃんと聞いてあげればよかったんだよね。」
「無理だからいいって言ったの、ヨシコ。」
「うん。」
「じゃあ、本当にきっと無理なことだったんだよ。
ホント、バカだよねぇー、ヨシコは・・・」
ゴッチンは、唇をかんで、涙をこらえようとしてたけど、大粒の涙が頬をつたってた。
- 130 名前:バカ 投稿日:2003/10/13(月) 02:54
- 吉澤さん、アナタのバカは直りましたか?
こんなに、ゴッチンを、みんなを悲しませて。
吉澤さん、アナタのバカは直りましたか?
この後も、アナタに思いを残したまま、生きていかなきゃならない私たちをおいて、
一人で、勝手に先に逝っちゃって。
ヨッスィー、アナタのバカは直りましたか?
ひとみちゃん、アナタのバカは直りましたか?
おわり
- 131 名前:トーマ 投稿日:2003/10/13(月) 23:05
- 設定は元の娘に戻ります。
矢口さん視点の短いのを一つ書かせて下さい。
- 132 名前:50センチ 投稿日:2003/10/13(月) 23:27
- オイラが梨華ちゃんと友達になったのは、たぶんこの一年位のこと。
最初に、あの子達が入って来た時は、ただの新メンバーだったし、
その後、タンポポとかあって、かわいい後輩になったけど・・・ちょっと違うかね
どっちかと言うと、ちょっと苦手な後輩っていう感じだったかな・・・
それから、たぶん、その後しばらく、オイラ、梨華ちゃんにジェラシー感じてた。
何か、オイラの大事な人たち、取られちゃったみたいで・・・
初めは圭ちゃん。
まあ、教育係っていうのもあったけど、あれは半分、番組の企画みたいなもので、
ハッピーサマーが終わって、彼女たちが、馴染んだ頃には、自然と解消してたのに、
だって、オイラがヨッスィーの教育係なんて、自分たちだって忘れてるよ。
なのに圭ちゃんは、ずーと、梨華ちゃんの教育係やってた。
たぶん、卒業するその日まで・・・
もちろん、圭ちゃんの責任感みたいなものもあるんだろうけど、あれ何か違うよね。
あの子が入った直後なんて、
「何よ、あの子、ルックスだけなんてありなんだー。」
なんて、文句言ってたのに。
教育係に決まった時だって、
「どーゆー組み合わせなのよー、あんな子に、何を指導しろっていうのよ。」
とか、ブーブー言ってたのに・・・
いつの間にか、鬼教師が、親ばかの保護者みたいになっちゃって・・・・
- 133 名前:50センチ 投稿日:2003/10/13(月) 23:51
- オイラと話してる時も、石川がどーした、石川がこうしたって、煩いから、
オイラ、何気に、
「石川のどこがそんなに可愛いのさっ。」
って聞いたら、
少しテレながら、
「出来が悪い子程、可愛いものなのよ。何か心配で目が離せないじゃない。」
なんて、言ってたけど・・・
あの子がセンターとかになって、5期が入って、
全然、手がかからなくなっても、何かと先輩風吹かせて、離さなかった。
梨華ちゃんも、ヤナ顔せずに従ってたけど、
ほら、圭ちゃんって熱いから、プッチの二人なんか、完璧に敬遠しちゃってたのに・・・
オイラだって、タンポポで一緒だったから、それなりに近くにいたんだけど、
なんとなく、ミニモニのこともあって、オイラは加護ちゃん、カオリが梨華ちゃんみたいになって。
カオリも本気で梨華ちゃんの面倒みてたな。
カオリは本来、人付き合いの苦手な人で、どこかメンバーとの距離置いてたけど、
辻ちゃんの教育係任されて、小学校の新米教師みたいになっちゃって、
戸惑いながらも、まめまめしく面倒見てた。
その頃から、少し変わって来たのかな・・・
梨華ちゃんに対しても、本当に熱心な先生だった。
梨華ちゃんもたぶん、優秀な生徒だったんだろう。
まっすぐ成長して、ついでにカオリも成長させたみたい。
たぶん、カオリにとって、辻ちゃんと、梨華ちゃんのことは
リーダーをやっていくための、すごくいい経験だったと思う。
- 134 名前:50センチ 投稿日:2003/10/14(火) 00:06
- 裕ちゃんだって、4期が入って来た時は、
「何かとんでもないことになったなぁー。」
って、嘆いて、
「特に、あの子、扱いにくそうやな。」
って、こぼしてたのに・・・
チャーミーが始まってからかな、あの引っ込み思案が前に出れるように、
何気に、突っ込んだり、フォロしたり・・・
最初は、上の指示かなって感じもあったんだけど、
でも、そのうち、オイラの前でも、
「イシカー、イシカー。」
言い出して。
「裕ちゃん、石川、嫌いじゃなかったっけ。」
って、聞いたら、
「そうや。嫌いやった。・・・何か、あの子場違いな感じやったからなぁ。
どー扱っていいかわからんかったしな。
でもな、ほら、頑張ってるヤン、あの子。
純粋に、ひたすら頑張ってるヤン。・・・ほだされるんよ、そういうの。」
「ほだされるねぇー。」
- 135 名前:50センチ 投稿日:2003/10/14(火) 00:28
- 「でも、オイラ何で、裕ちゃんも、圭ちゃんも
そこまで、石川に惹かれるのか、わかんないよ。
普通に、可愛いとか言ったら、辻・加護だろうし。」
「もちろん、あのこらも可愛いにきまってる。
まあ、アタシにとっては、メンバーはみんな可愛いけどな。
当然、それぞれ、その可愛さは違うんよ。
まっ、取り合えず、一番はアンタや。これは、ペットみたいなもんやからな。」
「なんだよそれ!」
「まあ、可愛がってるんやから、エエヤン。
例えばな、ナッチとカオリは、これはもう特別や。同志やからな。
圭ちゃんは、気の置けない友達やな。あの子には年の差感じへんしな。
ごっつあんは、すっごくカワイインやけど、時々、近づかないでオーラ出してる。
よっさんはガードが甘いようで、最後のところで壁作ってるみたいな感じあって、
ちょっと、わからんところあるな。
辻、加護は、もー反則やな。可愛がられる天性を持ってるんやな。
それで、石川か、あれはな、何て言うのかな・・
10メートル先の人と、50センチ以内の人間を魅了する力があるんよ。」
「何それ。ユーコ、意味わかんない。」
- 136 名前:50センチ 投稿日:2003/10/14(火) 00:45
- 「だから、あのルックスやから、10メートルはわかるやろ。
番組収録してても、スタッフとか、デレーとしてるもんな。
で、それより近くだと、ちと、ウザイし、なんか絡みづらい。
あんたが、今いるホジションやな。
で、50センチ以内。これは例えば、圭ちゃんやな。
圭ちゃんが何てゆーかは知らんけど、アタシの場合はな・・・
あの子、人の目を見て話すんよ。こっちが話してるときもな、じーと。
何にも作らずに、無防備に、まっすぐにな。
それで、すごくイイ顔する。
圭ちゃんが、とろけるのも無理ないんよ。
私には、あんたという、立派な愛玩物があるからな、
あんなふうには、溺愛せんけどな・・・。」
裕ちゃんが、語る、梨華ちゃん。その時はよく意味がわからなかったけどね・・・
- 137 名前:50センチ 投稿日:2003/10/14(火) 01:01
- 去年の7月31日。
変化には慣れているはずのオイラも、さすがにあれには参った。
今まで、信じていたものが、全て崩れ去ったみたいで・・・
しばらく、頭の中が、何を考えていいのかもわからないくらい混乱していた。
ゴッチン、圭ちゃん、タンポポ、ミニモニ・・・
オイラの大切にしてた物が、一辺に持っていかれちゃって・・・
その時、何気に梨華ちゃんが隣にいてくれた。
後で聞いたら、
「矢口さんが、一番辛い思いしてると思ったから。」
何て、言ってた。
ゴッチンが卒業して、期ごとの並びで、梨華ちゃんが隣になった。
それに、圭ちゃんへの思いが近かったから、
何気にプライベートでも、一緒になることが多くなって、
・・・・裕ちゃんの言っていた50センチの意味がわかった。
それから、オイラ達は友達になった。
石川が梨華ちゃんになったのも、その頃から・・・
- 138 名前:50センチ 投稿日:2003/10/14(火) 01:18
- で、今、オイラには一つの不満がある。
いろんなこと話すのに、悩みとか打ち明けてくれない。
どっちかって言うと、オイラが愚痴っているのを聞いてくれてる。
そりゃあ、ああ見えて、結構、太っ腹で、男前なのは知っているけど・・・
「梨華ちゃん、オイラ、これでも一応、先輩なんだから、頼ってくれていいんだよ。」
「ちっちゃいですけどね。」
「ちっちゃい、ちっちゃい、言うなー!
て、でもホント、何でも抱え込むなよ。クマできてるよ。」
「えー、目立ちますぅー。」
「夏は、より黒いから、わかんないけどね。」
「もーっ」
「でも本当に、オイラだって、相談ぐらい乗ってあげられるよ。」
「わかってますって。真里ちゃんが頼りがいあるってことぐらい。
でも、私、もう一つわかってることがあるんです。」
「何を?」
「私より、真理ちゃんの方が、たくさん、抱え込んじゃってること。」
「へっ。」
「私たち、似てるんですよ。そんなとこが・・・・」
「あーあ。」
- 139 名前:50センチ 投稿日:2003/10/14(火) 01:30
- 「安倍さんが卒業しちゃったら、もっと増えるんですよ、真里ちゃんの荷物。」
「そーかもね。」
「でも、私たちって、結構力持ちですよね。」
「そーだね。そんなに細いのにね。」
「ええ、そんなにちっちゃいのにねぇ。」
「・・・・どっかに降ろしちゃおうか、荷物。」
「そーですよね。放り投げるってのもありですよね。」
「そうだね、その内ね・・・」
「二人で逃げちゃいましょうか。」
「手に手を取って、駆け落ちか?」
「いいですね、それ。そんなのありですかねぇー。」
「ありだよ。あり。きっとあり。」
「じゃあ、その時は宜しくってことで・・・
はい、今日は荷物しょって帰りますよ。明日、早いんだから・・・」
- 140 名前:50センチ 投稿日:2003/10/14(火) 01:48
- 石川さん、アンタ本当に働き者だね。
だぶん、オイラもだけど。そんなところも似てる。
結構、損な性分だよね。
それでさぁ、梨華ちゃん、アナタの隣の50センチ、
しばらくオイラ、いていいかな?
ゴッチンも圭ちゃんもいないんだし・・・
結構、居心地いいからさぁ。
オイラ達の荷物が、軽くなることはないかもしれないけど、
結局、放り出せもしないんだろうけど、
何とか、抱えていられるように・・・
アナタの隣の50センチ。
オイラしばらく、この位置キープしていてもいいよね・・・梨華ちゃん。
- 141 名前:トーマ 投稿日:2003/10/14(火) 01:52
- あっ、エンドマークを付けるのも忘れてる。
50センチは以上で終わりです。
文中、矢口さんの名前を間違えてしまいました。
正しくは、真里です。ごめんなさい。
- 142 名前:ななし読み 投稿日:2003/10/14(火) 10:59
- えぇ話や 。・゚・(ノД`)・゚・。
後半部分、本当にこんな会話してそうっすね
- 143 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 14:05
- ブラウン管にアナタの顔が映っている。
さっきまで、一緒にいたはずなのに、何故か懐かしい。
F先生のお別れの会。
久しぶりに、一緒に踊ったラブマシーン。
かなり不謹慎だけど、やっぱり嬉しかった、アナタの唄うラブマシーン。
あれから、まだ一年と少ししかたっていないのに、
何か遠い昔のようなあの日。
ずーと待ちつづけている私。
たぶん、最初はあえて置いた距離。
それがだんだん大きくなって、
電話の数も、メールの数も、少しずつ少なくなって・・・
たまに同じ仕事がある時だって、アナタはいつもヨッスィーといる。
映画がらみのイベントの時でさえ、殆ど挨拶程度の会話。
あえて時間を取ろうとしないアナタ。
やっぱり時間を取れないでいる私。
TVのアナタが「愛のバカやろう」を唄う。
あの歌を唄っている頃のアナタは、とても眩しくて、私はただただ、魅せられていた。
- 144 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 14:15
- でも、今日は・・・本当に大丈夫なの?
夏場はいつも痩せるから
ってメールで言ってたアナタ。しまった感じでいいでしょうって、
本気でそうおもっているの?
ちゃんと食べてますか?
ちゃんと寝てますか?
そんな言葉さえかけてあげられない私。
一体、アナタにとって私は何ですか?
この前、何気に
「頑張って。」って言ったら
「これ以上頑張れないよ。」
って、いつになくマジな一言。
ごめんね。そうだよね。
何をどう、それ以上、頑張れって言ってんだろう。
でも、私たち、走りつづけなきゃならないんだよ。
- 145 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 14:30
- TVから、アナタの顔が消えて、
・・・・・・
たまらず、アナタのアドレスを呼び出す。
返信を期待しないで済むような、何気ない文面を探して・・・
「TV、かわいかったよ。」
これだけ。
意外に早い返信。
「アリガト、見ててくれたんだぁ」
返事を誘うような言葉。
「あったりまえじゃーん。ゴッチンが出てるのはみんなチェックしてるよ。」
「ふーん、梨華ちゃんも結構ヒマなんだね」
「うん、スンゴクヒマ。
・・・どーしょうかな、でも少し勇気を出して・・・
ヒマだから、会いたいな。」
送信を悩みながら、その時間が意味を持ってしまうことに気づいて・・・送信。
少しの間。
「ゴトー、忙しいから会えない」
あっ、やっぱり…
「ウソ、忙しくなくても会えない」
・・・・
「それもウソ、会いたくないから、会わない」
立て続けの3本。打ちのめされる私。
あーあ、少しの勇気なんか持つんじゃなかった。
- 146 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 14:46
- 「ゴメン。変なこと言って、気にしないでね。」
きっと、今のアナタにとって、私なんか何の役にも立たない人間なんだ。
久々のネガティブモード。
しまいかけた携帯が、また音をたてる。
「ごめん。ホントにごめん。みんなウソ。会いたいけど、会えない。」
ゴッチン、優しいね。気をつかわなくてもいいのに。
きっと、私の落ち込む顔、想像しちゃったんだね。
「無理しなくていいよ、気にしないから。」
こんなんで、軽くなるかな、この会話・・・・
ダメっぽい。打ち直し・・・
「ふーんだ!いつもいじわるなんだからぁー。」
これで、オーケー?
これで、みんな冗談になる?
もう返ってこないメール。今日はこれでサヨナラ・・・
シャワーを浴びて、髪を乾かす。
まだ、眠れないから・・・・矢口さんに借りたDVDでも見ようかな・・・
充電器に収まった携帯から、再び鳴り出す着メロ。
- 147 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 14:57
- 「ごめん、ゴトー、ホントにウソつきだ。
本当のこと言うから・・・だから、ドア開けて!」
えっ、私は慌てて、オートロックを解除して、
ドアを開ける。
少し、照れた顔して、そこに立っているアナタ。
「梨華ちゃん、パジャマだぁー、スッピンだぁー。」
「何よー、それ・・・あっ、でも・・・」
「大丈夫だよ。そのままTVでてもオーケーって感じだから。」
「そんなお世辞言っても、何にも出ないかんね。」
「それより、入れてくれないの?」
「あっ、ゴメン。」
「相変わらず、トロイよね。」
「はい、おっしゃる通り。」
- 148 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 15:03
- 奥のソファーの前で戸惑う、ゴッチン。
「模様替えしたんだぁー。」
「うん、お母さんがね、18はもう大人だからって・・・」
「大人ネェー、ゴトーもなっちゃったよ18.」
「うふっ、同じ年。少し嬉しい。」
「何だよそれ。」
「ほら、年末の番組とか一緒に残れるじゃない。アダルトチームで。」
「・・・・・ゴトー、出れるのかなぁ。」
「何、いってんのよ。」
冗談とばかりはいえない言葉・・・・
- 149 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 15:17
- 「来てくれたんだぁ」
「うん、寝るところだった?ゴメン。」
「ゼーンゼン。DVD見ようと思ってたの。
来てくれるなんて思わなかったから、びっくりしたよ。」
「だって、会いたいって言うから。」
「だって、会いたくないって言ってた。」
「何でそんなウソつくの?」
「だってー、梨華ちゃんの前ぐらい、かっこつけていたいから・・・」
「何それ。」
「アタシ、だって今、あんましカッコよくない。わかってるんだ自分でも。」
「梨華ちゃんもウソつきだよね。」
「えっ」
「だって、顔合わせるたんびに、大丈夫って感じの表情してるよ。」
「・・・・・だから、避けてるの?」
「そー、だって、大丈夫って言えないんだもの。」
「ごめん。」
「ほら、そーやってすぐあやまる。だから、そんな顔させたくないから・・・」
- 150 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 15:31
- ゴッチン、本当にゴメン。
私、もっと大人にならなきゃいけないんだよね。安心して頼れるような・・・
「それに、梨華ちゃんのそばには、必ず誰かいるしね。」
「だって、グループなんだものぉ。」
「そーゆーんじゃなくって、何ていうのかな、梨華ちゃんを必要としてる人がね、必ず・・・」
「そーかなぁー。」
「ほら、アタシ、独占欲強いからね。何人かの中の一人ってヤナノ。」
「でも、ゴッチンだって、娘と仕事する時なんて、必ず回りに人がいるじゃん。」
「みんな、気を使ってくれてるんだよ。」
「そんなことないよ。みんなゴッチンが好きなんだよ。」
「好きネェー、でも必要じゃない。」
「それも違うよ。少なくとも、私には必要だよ。」
「アリガト、ウソでも嬉しいよ。」
「ウソじゃないよ。本当に必要。」
- 151 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 15:49
- 「だけど梨華ちゃんは、ゴトーがいなくても一人で歩けるでしょ。」
「えっ・・・」
「だから、それは必要とは違うんだよ。」
「でも、それならゴッチンだって、ゴッチンの方が立派に一人でやってるじゃない。」
「立派になんてやってない。・・・不様なくらいだよ。心細くて仕方ない・・・。」
「それで、ヨッスィーなの?」
「うん、楽だからね。ヨシコといると、頑張らなくていい・・・」
「・・・・ごめん。会いたいなんて無理言って。
私といると、癒されないんだったよね、ゴッチンは。」
「うん。少し、辛くなる。
でも、会いに来たのはアタシの方だから・・・
やっぱり、アタシには梨華ちゃんが必要なんだと思うから・・・・
会いたいって言ってくれて、うれしかったのは本当。たとえそれが同情でもね。」
「同情なんかじゃないよ。そりゃ、心配だけど・・・
必要って言葉が違うって言うなら、そうは言わないけど、
私が一番、心配なのはアナタで、
私が一番、好きなのはアナタで、
私が一番、一緒にいたいのはアナタなんだから・・・
だから、時々でいいから、こうして会って欲しい!」
- 152 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 16:00
- 「ありがとう。本当は、自信満々に、梨華ちゃんのこと支えるぞ、
みたいな勢いで、会いに来たかったんだけどね・・・
前に約束したみたいに・・・。」
「ねぇ、ゴッチン、私まだ待ちつづけなきゃならないの?」
「うん、全然ダメ、今。」
「そうなんだ・・・」
「待ちくたびれた?」
「ちょっとね。」
「じゃあ、待っててくれなくていい。」
「どーゆー意味?」
「よそに行っていいよ。」
「えっ?」
「梨華ちゃんを必要としてるほかの人の所に行ってもいいよ。」
「そんなこと出来るわけないじゃん。」
「アタシ、梨華ちゃんの前に立てる自信ないから、いつまでたっても・・・」
「わかった、そうする。もう待たない。」
「うん。そうして・・・・。」
- 153 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 16:06
- 「でも、他の人の所には行かない。」
「えっ?」
「待ちきれないから、私から行く。」
「えっ?」
「ゴッチン、キスしていい?」
「ふぇ・・。」
「何て顔してんのヨ、私だって、結構、男前なんだからね。
待ってばかりなんていられない。
ゴッチンが言ってくれないなら、私が言う。
ねぇ、ゴッチン、キスしていい?」
「・・・・うん。」
- 154 名前:待ちぼうけ 投稿日:2003/10/14(火) 16:18
- ねぇ、ゴッチン。
私たちは、たぶんとんでもなく、大変な世界に生きていて、
同じ年頃の子達が、絶対しないような、苦労をいっぱい経験してて、
でも、それでも、まだやっと18の子供なんだよ。
一人一人じゃ、不安定に揺れてる、とても頼りない存在なんだよ。私も、アナタも。
だから、無理して、一人で立っていなくていいんじゃないかな。
冷たい外気にさらされた、冷え切った心を温めるために、
人のぬくもりを素直に求めていいんじゃないのかな。
それで、ずっと後で本当の大人になった時に、
あの頃はって、笑って昔話をしようよ・・・・
ねっ、ゴッチン。
おわり
- 155 名前:トーマ 投稿日:2003/10/14(火) 22:34
- 書き始めた時は、メール交換だけで、会わせるつもりは、まったくなかったんです。
自分で書いてて、こんなこと言うのも変なんですけど、何か、可愛そうになっちゃって、
ついつい、会わせてしまいました。これからのお話どうしょう・・・
次は、たぶん、ものすごくふざけた物を書くと思います。
嫌じゃなければ、付き合ってください。
- 156 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/14(火) 23:26
- 男前なイシカーさんよかったです。
つぎ、楽しみにしています。
- 157 名前:リエット 投稿日:2003/10/15(水) 00:12
- 更新お疲れ様です。
三作まとめて読みました。
どれも甘いだけで終わらない所が凄く好きです。
次も楽しみにしています!
- 158 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/15(水) 00:20
- じーんときました。とっても。
そう、まだ18才なんですよね。
いろいろ慣れているはずの大人だって凹むこと多いのに..。
次回作も楽しみにしてます!
- 159 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 09:35
- ハロモニの収録が終わって、帰り支度をしていると、
梨華ちゃんが、小走りに近寄ってきた。
「ちょっと、ヨッスィー、それに美貴ちゃんも・・・ねぇ、ちょっとコッチ来てぇ。」
って、アタシと隣のミキティの上着のすそを引っ張る。
アンタねぇ、5歳児じゃないんだから、そんなの可愛くないよって、
何だろう?
ドアの外にって、・・・別の部屋に連れて行かれる。
何の内緒話よぉー。
「何よ、こんなとこに連れ込んでー。」
って、ミキティ。やっぱりアタシの言う前に・・・
「あのね・・・・・」
とーっても言い辛そうな梨華ちゃん。
私ら二人を前にして、告白ってわけでもないだろうに、妙にモジモジして・・・
「もー、早く言わないと、犯しちゃうよ!」
そーだよって、犯すのかよ。
「ほら、ヨッスィーと二人でやれば、簡単だよ。」
って、ミキティ、アンタの冗談、やっぱキツイ。
「あれー、お代官様、それだけはご勘弁をー。」
って、古いボケかましてないで、さっさと言えってーの!
- 160 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 09:50
- 「・・・あのね、娘。サミットがあるの。これから・・・。」
「はぁー、何それ。」
「あのね、アダルトチームの会議なの。”娘。サミット”命名はカオタン。」
「へー、そんなのあるんだぁー。娘も何かと大変なんだね。」
へー、前、矢口さんが、時々難しい話をするって言ってたやつかなぁ。
「それでね、二人を連れて来いって言われて・・・」
「へっ、私たちもなの?」
「だからぁ、アダルトチームなの。18以上。」
「へー、面倒くさいなぁ。アタシ帰るよ。欠席って言っといて。」
「それがダメなのよ。強制参加なの。」
「何だよそれ!」
「何の権限があってのことよ!」
「リーダー命令。」
「へー、で、行かなかったらどーなるの?」
「お弁当抜き、一週間。」
- 161 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 10:07
- 「はぁー、そーなんだって、何で。」
「美貴ちゃんは、案外と大喰らいだから、それがキツイだろうって、矢口さんが・・・」
「うん。キツイかも。」
「アタシはイイや。ベーグルでも買って来るし。」
「あっ、ヨッスィーは、罰ちがうの。」
「へっ、何?」
「ハロモニのメインコーナーの衣装、ヘソ出しタンクトップにミニスカだって・・・」
「はぁー。」
「これも矢口さんが・・・」
「わかった。付き合う!」
「えーっ、見てみたーい。ヨッスィー、来んな!」
「いや、行く!絶対行く!」
何てこと考えてんだ、あのチビは・・・
「私もちょっと見てみたいかなぁー、ヨッスィー、来なくていいや。」
って、梨華ちゃん、アンタもそーとー感化されたね。アタシは悲しいよ・・・
「で、例えばの話、梨華ちゃんの場合は何なのさ。アンタ、お弁当くらい平気でしょう。」
「私の場合は・・・・放置だって。」
- 162 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 10:18
- 「何それ―。」
「だからぁ、私が寒いこととか言った時に、突っ込まないんだって。」
「あーあ、それはキツイわ。」
「かなりキツイ。ていか、私はハナカラ断れないし・・・」
「そりゃ、そーだ。梨華ちゃんに断る勇気はないよね。
で、これって何で内緒話なわけ。楽屋で話してもいいでしょ。」
「あー、これ一応、お子様チームには内緒なの。自分たちのこと言われてるんじゃないかって、
疑心暗鬼になるからって・・・」
「疑心暗鬼ネェー。」
ギシンアンキって何?
「ところで、梨華ちゃんは今まで出たことあるの?」
「うん、2回かな。」
「どんな話したの?」
- 163 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 10:33
- 「最初は、美貴ちゃんの加入と、新メンバーが決まった後でぇ、
どーするかみたいなぁー。」
「へー、どーすることにしたの?」
「うーん、こーすることにしたの。」
「はっ、まあ、言いにくいか。どーせ、藤本は態度でかいからとか言ってたんでしょ。」
「・・・・ノーコメント。」
「イエスってことか。まあいいや、本当のことだから。
で、2回目は?」
「保田さんが卒業した後のサブリーダーをどーするかってことと、
ヨッスィーを召集するかどーかだったかな・・・」
「何よ、アタシをどーしたって?」
「だからぁ、ヨッスィーも18になったから、どーするかって・・・」
「あっ、美貴ちゃんは大人だから当然で。」
「何、アタシは子供だから、どーしょうかってこと?」
「うん、子供って言うか・・・だからってことじゃなくてぇ・・・あっ、ほら、学年が違うじゃない!」
- 164 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 10:49
- 「・・・だからって、どーゆー意味だよ。」
「バカで、何にも考えてないからってことでしょ。
それより、行くんならさっさと行こうよ!」
何気に、ものすごく失礼だよね。この女。
・・・・で、車に乗り込んだ。
「で、どこ行くの?何屋さん?」
「お店じゃなくてね、中澤さんち。」
「へー、卒業メンバーも入ってるの?」
「いつもは違うんだけどぉ、ほら、この前、みんなでウチに来たことあったじゃない。」
「あー、ヨッスィーが酔いつぶれた時ね。」
「あれを矢口さんが、言っちゃったみたいでぇ、何で呼んでくれないんや、
こんどの集まりは、絶対ウチでやるーって、決めちゃったの。
あの人には、誰も逆らえないし・・・・」
そんな命知らずはいない。
「それにィ、今回は問題大きいから、オブザーバーが必要だって、飯田さんも。」
「ふーん、そんな大問題なんだぁー。」
「よく分らないんだけどね…」
- 165 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 11:05
- 「でも、中澤さんちってことは、当然、お酒とか出てくるわけだ。」
「うん、ていうか、いつも。それで最後の方はグダグダになっちゃうの。」
「へー、結構面白いかも。」
「アタシはヤダナー。また、吊し上げられちゃいそうだよ。」
「またって、そんなことあったっけ?」
って、ミキティ、お前らサンザン人のことコケにしといて、忘れたのかよ!
そうこうしてるうちに、中澤さんち。
これが噂のアニマルテーストってやつか・・・・
この人いつも、このジャングルの中で、野性に帰ってるわけだ・・・
リーダーとちっこいのが先に着いてて・・・そいでもって、ケメコも・・・
って、ケメコもかよ!
まだ、アルコールは・・・入ってなさそう・・・一安心。
「お酒は後よ。ちゃんとした話するんだから。」
って、リーダー、アンタやっぱりテレパシーできんの?
- 166 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 11:23
- 「安倍さんまだですか?先に出たはずなのにぃ。」
「何か買物するって言ってたけど、また迷ったかなぁ。
ナッチ、ここに来るたんび、迷子になんだよな。」
「はぁー?」
ミキティ、アンタまだ知らなかったっけ、究極の方向音痴。
「まあ、子供じゃないんやから、そのうち来るやろ。
とにかくすわりぃ、そのへん、適当に。」
豹柄ガウンが、リビングのテーブルの周りに、アタシたちをうながす。
テキトーに座ると・・・あれ、梨華ちゃんは?
はー、キッチンでお茶の用意かい?
アンタ、もしかして、パシリやらされるためにこの会、入れられたんじゃねーの。
って、ミキティが手伝いに立つ。
ハイ、ハイ、アンタ達はマメですよ。
出されたお茶に、おう、とか言ってたら、ケメが、
「ヨシコ、新参のわりに、態度でかくないか。」
だって、アタシは座ったら立てなくなるタイプなのー。
「ケツ、重いかんなー。ヨッスィーは。」
って、チビ。アンタは口が軽すぎ!
- 167 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 11:36
- 「それで、今日はどんな話するんですか?」
って、梨華ちゃん。相変わらず真面目だね。
「今日の議題はねぇ、紺野発言と分割コン。」
紺野発言って、・・・・あれ?
あれって、問題になるわけ?
「そーなのよ、ヨッスィー。あれってアンタが言わせたの?」
「・・・・・・」
「まあいいわ。本題はナッチが来てからね。
それまで、私に話し掛けないでね。」
って、こんな所で交信かよ。・・・ある意味、尊敬だよね、これ。
ってわけで、雑談。
梨華ちゃんとミキティは、さっさとキッチンの方へ・・・つまみでも用意してんのすなぁ。
矢口さんは中澤さんにセクハラされて、キャッキャッやってるし・・・
何か、変な集団だよね。これ。
で、・・・ケメコが来たー。ずりずりとアタシに近寄ってきて、
「アンタ、最近どーよ。」
って、バスローブは着てないか。
- 168 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 11:51
- 「どーって、こーですよ。」
「真面目にやってんの?」
「ふざけてるように見えますか。」
「見える!。」
あちゃー、即答かよ。てーか、目つき、怖すぎ。
「何だかんだ言っても、アンタはプッチの後継者なんだからね。しっかりして欲しいのよ。」
「プッチですか、・・・プッチねぇ。」
「って、アンタがそんなだから、CDリリース出来ないんじゃない!
小川とアヤカが可愛そうでしょー。」
「はぁー。」
って、プッチがCD出せないのって、アタシのせいなの?・・・かもね。
ケメコはずーっと、ブツブツ言ってる。
アタシは、はーとか、へーとか、ハ行だけの相槌をうって・・・
梨華ちゃん、よく耐えられるよね。この人に。
って、そーだよ、アイツじゃん、この役目。呼んでこよ。
トイレに立つふりして、キッチンに行く。
- 169 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 12:40
- つー、たくー、何だぁーこいつ!
ダイニングテーブルで、菓子食いながら、くつろいじゃって・・・
アタシが、ケメコの生贄になってるっていうのに。
「ずりー、アタシも混ぜてよ。あんなとこいたら、保田さんにからまれるだけだよ。」
「ヨッスィー、保田さん、本当に心配してんだからぁ、
ちゃんと話を聞いてあげなきゃダメでしょ!」
「って、それは梨華ちゃんの仕事でしょ。」
「私はいいのよ。いつも聞いてんだから。ヨッスィーはいつも逃げてるんだから、
たまにはちゃんと聞きなさいってーの。」
逃げてるねぇー、逃げてるかぁ。
「それにしても、安倍さん遅いよね。」
って、ミキティ。
「遅刻常習犯だからねぇー・・・それとも地下鉄にでも乗っちゃったかなぁ、あの人。
・・・そしたら、これないじゃん。」
「まさかぁ、って、そこまで・・・なの?」
「うん、絶対に今日中には着かない。
地面の下じゃ、方向わかんないべとか言ってたけど、あの人地上でも無理だから・・・。」
「へー、すごいねぇー。そういうのって、100%女なんだって。」
「何、それぇ」
- 170 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 12:57
- 「あのね、話を聞かない男と、地図を読めない女って言うじゃない。
女って、ものごと図形化したり、俯瞰的に見たりできないんだつて。」
「へー、美貴ちゃんって、時々難しいこと言うよねぇ。
でも、そーしたら、ヨッスィーって、100%男じゃなあい。人の話聞かない。」
「そーなるねぇー。」
「そーだよねぇー。」
って、なんだよこいつら、分けのわかんない話しやがって・・・
でも、安倍さん来なかったら、この会議とかどーなるわけー。
てなこと考えてたら、
ドアの外、なにやら、音してません?
「あれー、安倍さんかなぁー。」
って、梨華ちゃんが立とうとしたら、
「もしかしたら、変なおじさんとかかも知れないよ。梨華ちゃん、危ないって。
・・・そうだ、ヨッスィー、出てみてよ。」
って、藤本さん、アタシは危なくないんですか?・・・まあ、危なくないかぁ。
って、ドアの覗き穴から・・・
なーんだ、やっぱー、安倍さんじゃん。
でも、どーしてこの人、インターフォンを押さないんだろう・・・
って、開けたら・・・
「あー、びっくりしたー、おどかさないでヨー。」
だってー
- 171 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/16(木) 13:14
- 「なんで、そんなとこに立ってるんですか?」
「あのね、ナッチね、鍵をさがしてたの。」
「って、中澤さんちの鍵、持ってんですか?」
「ふぇ、あっそーか、持ってないや。」
って、この天然・・・・何も言えねぇ・・・
「タクシーでさー、近くでさー、降ろしてもらったんだけどさー、
ちっともわかんなくてさー、本当、困ったよ・・」
とか、ニコニコわめきながら、奥に入ってく。
「携帯とか、入れれば、迎えに行ってやったのにぃ。」
「あっ、そーか、そーだよね。」
ッテ、本当に、安倍さん、アンタって人は・・・
てーわけで、これで全員集合ってことだね。
「オーイ!カオリ、戻ってコーイ!」
って、ちっこいのに呼ばれて、無事リーダーもご生還。
いつの間にか、梨華ちゃんとミキティも着席してて、
「じゃあ、いくっよーがんばってー・・」
「「「「「コンサートじゃないから!」」」」」
って、オール突っ込み。
豹柄が、涙流しながら、笑い転げてる。アタシたち、よくこんなんでやってるよね。娘。
- 172 名前:@ 投稿日:2003/10/20(月) 20:12
- 続きが楽しみで仕方ありません。
- 173 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/20(月) 23:03
- 「・・・・それでね、紺野の発言のことなんだけど・・・」
いよいよ、本題ってとこ?
「あっ、ゴメン。あれさ、オイラたちの台本のチェック甘くてさ・・・」
「そー、それになんかさ、あんなにさ、紺野がね、スラーっと言っちゃうとは思わなくてさ、
ほら、いつもみたいにさ、フェイドアウトしちゃうかなぁーってさ、
・・・みんなで、なんかワイワイ煽っちゃったのもあるんだけどさ、
何気に中居くん、テンション高くてさ、ついついナッチたち調子に乗っちゃってさ・・・。」
そーそー、アンタが一番調子こいてた。
「何だい?その紺野発言って?」
「あーそーか、まだオンエアされてないんだよね、圭ちゃん達知らないんだぁ。」
「あのね、うたばんでね、乙女とさくらの対決みたいな企画でさ、
目隠しトークで、相手のことやっつけようみたいのあったの。
石川弄れみたいな指示あってさ、それで紺野がさ、
石川が最近保田さんみたいで、気持ち悪いから、近づかないでください。
ってさ、結構スラーっと言っちゃったんだよね。」
「なんだそれ、何気にアタシにも失礼だよね。」
「私、あの近づかないでくださいっていうの、絶対に中居君が言ってるんだと思ってた。
だって、保田さんにも、あそこまで言わなかったですよね。オェってぐらいで・・・」
ミキティ、それも充分失礼だよ。
- 174 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/20(月) 23:24
- 「それに、私も、笑って流すとか、普通にいじけてればよかったんですけど、
何か、半ギレしちゃって・・・ごめんなさい。」
「そりゃ、石川だってキレルわよ。矢口とかヨッスィーが言うならともかく、
紺野じゃねー。・・・・矢口、アンタ、ばっかじゃないの?」
「へっ?」
「あれ、オソロの最終回の後のオンエアなのよ!」
「えっ、どーゆー意味?」
「わかんないの、オソロで、石川が何気に熱い思い語っちゃった後に、
その熱い部分を否定するようなことを、仮にもタンポポのメンバーに言わせて・・・
それって、石川にだけじゃなくて、タンポポやオソロを応援してくれてた人たちにも
失礼なことなんだよ。」
「あっ、そーか、そーだよね。ゴメン、カオ・・・」
あーあ、ちっちゃいのがマスマスちっこくなっちゃって、
でも、タンポポって、プッチとちがって、熱いよね、ってか、熱かったかな・・・
「そーじゃなくてもさ、何かアタシタチの、オリメンからの熱い思いが下の子たちに、
うまく伝わってないみたいな感じあるのにさ・・・。」
「まぁ、どんな放送になるかわからんけどな・・・・
今、アタシがな、外から見ててもな、アンタラの中に温度差あんのは確かやな。」
- 175 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 00:00
- 「温度差・・・何ですかそれ?」
「まあ、藤本にはちょっとピンとこんかも知れんけどな・・・
アタシラ、ほら、手売りとかしてな、オーディション落ちた素人がな、
一生懸命努力して、這い上がったみたいな売りがあったんよ。
あれはな、確かに番組の企画やからな、売りなんやけどな、
それでも、アタシラはな、本当にマジだったんよ・・・」
「そーだったよね、ナッチたち、みんなで頑張ろうってね、デビューしたくてね。」
「それで、オイラたちは、そのオリジナルメンバーに認めてもらえるように、必死でサ、
それも、結構マジで・・・」
「・・・それで、オリコン一位になったりしたけど、それでもマダマダってね。
アスカがやめたり、ゴッチンが入ってラブマが大ヒットしたりして、
それでも、やっぱマダマダってね・・・」
「アタシラ、本当に頑張ったんよ。ファンの子たちもな、こいつら普通のアイドルとちゃう、
自分らで作ったる、みたいなな・・・
そういうのが、期をおうごとに薄くなるのはわかるんよ。しょうがないと思う。
それでもな、まだこの子らまではな、みんなで娘作ってくみたいなのがな、あったように思うんよ。
追加メンバーが入る度にな、矢口たちの時も、ゴッツアンの時も、この子らの時も、
その度、形は変わったけどもな、どっかに同じ思いがあったように思うんよ。」
「それまでの娘を壊しちゃいけない。でも、私たちも娘になるんだって、
ファンの人たちにも認めてもらおうってね・・・」
そうだったよね、梨華ちゃん。あの時、アタシたち、本当に必死で、
先輩たちに追付こうって、頑張ったよね。
- 176 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 00:33
- 「・・・思えば、5期の加入は、タイミング悪かったよね。」
「そやな、ある意味、出来上がってたもんな、これ以上は無理やろ、みたいなな。」
「今にして思えば、あの頃がピークだったのかな、オイラたちの・・・」
「そーは思いたくないけど、広がる所まで、広がっちゃったみたいなさ、感じはあったよね。
ほら、子供の層とかさ、ナッチたちだけじゃさ、考えられない人気がさ、
ミニモニとかでさ・・・。」
「そー考えると、5期メンも可愛そうだよね。これ以上どーしろって感じの時にさ。
それに、あの子たちアンタたちと違って、妙にいい子で、手が掛からなかったからね。
ていうか、掛け難かったかな、いつまでも固まっててね。」
ていうか、ケメちゃん、そんなに手が掛かりましたか、アタシたち?
「そーだよね、5期はとっつきにくかったかな。
その点4期は、辻、加護はあの通り、かまって、かまってって感じ丸出しだったし、
梨華ちゃんは、いつでも助けてください光線出してたし、ヨッスィーは、まあ手かかんない方だつたけど、
・・・だつたしね。」
って、・・・部分はなんだってんだよ、ちっこいの。
「それに、アサヤンが終わっちゃったのもいたかったと思うの。
成長物語みたいなものがなくなって・・・もう、そーゆーのは売りじゃないみたいなね、
オーディション受かったら、もう娘の一員みたいなね、
何か、みんな仲良くしてればいいみたいなね・・・・」
- 177 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 09:19
- 「TVの扱いとか、事務所の待遇とか、最初のころとは全然変わってたしね、
地方局回りとか、握手会とかもなくて、コンサートの会場も大きくなって・・・」
「アタシたちいつのまにか、スターになってたんだよね・・・」
「国民的アイドルってやつか・・・」
「・・・で、努力を怠ったっていうわけじゃないんだけど、忙しさにかまけて、
何かたぶん、大事なものを忘れてたんだよね。」
「それで、やっぱり気づかないうちに、下り坂みたいになっちゃって・・・
でも、それはそれで仕方ないのかなって、アタシたちは自分たちのそれぞれの立場で、
頑張るしかないのかなって、
でも、去年のあの改編・・・でね、あっ、自分たちはただのゲームのコマなんだなって、
思い知らされちゃって、何でもありなんだなって・・・
気づかないうちに、アタシたちの気持ちと、上の人たちの気持ち、
ずいぶん離れちゃったんだなって・・・・」
リーダー・・・アンタ、ボーっとしてるだけじゃなかったんだね・・・
「なんかさー、上のほうも本当にジタバタしてるっていうか、
落ち着かないうちに、増員でさ・・・
ミキティもいい迷惑だよね。」
「はい。」
って、やっぱり・・・・
「それで、今度は、ナッチの卒業・・・やな。」
「そーだよ、ナッチもついにだよ、裕ちゃん・・・」
- 178 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 09:37
- 「・・・それできっと、そんなに遠くないうちに・・・アタシも、矢口も・・・」
「そんなぁー、困りますぅー。」
本当に、困っちゃうよね、梨華ちゃん。
「そーしたら、オイラたちの娘じゃなくなるな、やっぱし・・・」
「そんなこと言わないでくださいよぉー」
「アタシたちの帰る場所、故郷、なくなんのかい、やっぱり。」
わー、空気、すんごく、重くネェー?誰か、何か言えっーの。
「嫌だよ、そんなの、ナッチは娘やめても、やっぱり、モーニング娘のナッチだもの。」
「オイラだつて、そんなの嫌だ!」
「そんなの嫌に決まってんじゃない。
あのさ、上の人がどー考えてようとさ、つんくさんが何しようとさ、
娘ってさ、やっぱりアタシたちのものでもあるんじゃない?
番組の企画や、事務所の思惑だけじゃなくてさ、
アタシたちだって娘、作ってきたよね、自分たちで。」
「そやな、アタシラで作ってきたくやな。」
「そーだよ、娘はオイラたちのものだー!」
- 179 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 10:04
- 「・・・・だから、少しあがいてみよーよ。ジタバタしてみよーよ。
ナッチ、このまま卒業はやだよ。
どーすればいいのかわかんないけどさ、何かしよーよ!」
「そーだね、もう間に合わないかもしれないけど、もう少し、頑張ってみよ!」
「そーだよ、このまま事務所のなすがままってのも、悔しいじゃん。
5期とか、6期には迷惑な話かもしれないけど、
これが、娘だっていうのをさ、伝えて行こうよ。
オイラたちが、いなくなってもさ、あれはオイラたちの娘だってのをさ、
思い出とか、昔話じゃなくて、生きてる娘にさ。」
「そやな、やるだけのことはした方がエエ。後悔せんようにな。
特に、なっつあんは時間がないからな。」
「そうしよ。・・・・で、どーする?」
「・・・・やっぱりさ、ここは取り合えず、ダサくても、臭くても、寒くても、
圭ちゃんみたくても・・・語るのがいいとおもうわけ。
石川だけに押し付けるんじゃなくてさ、みんなでね。
ほら、アタシたちってどこかカッコつけてるじゃない。下の子にウザがられないように、
少し、距離置いてみたいな・・・。」
アンタ、充分にウザイと思うけどね、リーダー。
「そーだね、何か自分たちの姿、見ててくれたらわかるだろみたいにさ、
たかくくってさ、ちゃんと向き合ってなかったよね、きっと。
圭ちゃんいる時は、そういうの全部任せちゃって、今の子はそういうの嫌がるって、
何か、遠慮してたっていうか・・・・」
- 180 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 10:26
- 「たぶん、オイラなんて、完全に愛情不足だ。
辻、加護みたいにビシビシなんて全然できなかったんだから・・・」
矢口さん、あなたの愛情表現って・・・それだけ?
「教育係ってんじゃなくてもいいけど、ビシビシ行こうよ。
嫌がられても、ウザがられても、しつこく・・・
歌でも、ダンスでも、MCでも、何でもいいから、伝えて行こうよ。
アタシたちのやり方でさ、アタシたちの娘を・・・」
「あのー、私、大丈夫でしょうか。やっぱり本当にウザがられてるみたいなんですよねぇー。」
「何を今更言ってんの。石川、アンタが一番圭ちゃんみたいなんだから、頑張ってよ!」
あのー、リーダー、何か言い方、間違っていると思うんですけど・・・
「あのー、それより私なんですけど・・・さっきからズート思ってたんですけど、
私、一応、6期だし、ここにいてもいいのかなぁーって。」
「って、ミキティ、アンタ実質4期でしょ!」
って、そーなんだー。
「そー思ってていいんですかねぇー。」
「アンタだって、そー思ってるんでしょーが。
それに、実質4期、名目6期っていうのは、うまく使えば、結構都合がいいかもね。
接着剤や、緩衝材になるから。まあ、アンタが嫌なら、しょうがないけど・・・」
カンショウザイってなーに?
- 181 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 10:58
- 「嫌っていうか、本当の意味での、先輩たちの思い何ていうのはわかんないですよ。
でも、私だって、ソロでそれなりに苦労したと思うし、藤本が入って、
娘が悪くなったって、思われるのは嫌だし、
それに、入る前に、娘を見てた時に、5期の子たち、あれで本当にいいのかなって、
思ってたから・・・」
「どーゆーところで?」
「ほら、歌番組とかで、後ろの方に座って、何にもしゃべんないで、ただいるみたいな、
そんなの一年以上もやってて、楽しいのかなって、どーしたいのかなーってね。」
「そーだよね。だんだん野心みたいなものさ、なくしちゃってさ、
マコトなんて、初めソロになりたいって言ってたのに、
今では、どーやって、みたいな感じだものね。」
「でも、ふじもっつあん、そーゆー感覚持ってんやったら、大丈夫。
やっぱり4期扱いやな。」
「でね、アタシ思うわけ。ほら、原点に帰るみたいなこと言って、分割コンするじゃない。
まあ、事務所の言うことはわけわかんないんだけどね、いつも・・・
でも、せつかく小さい会場とかさ、いつもと違う感じになるんだから、
そのへんをうまく利用してさ、
ほら、アタシたちって、今ホテル、一人部屋が普通じゃない。初めの頃はさ、
二人、三人当たり前だったでしょ。今だってたまに下の子たちは二人だったりするけど、
あれ、当然のようになっちゃってるけど、例えばさ、教育係じゃないけど、
年上のメンバーと、下のメンバー組み合わせるみたく、部屋割りとかして、
少しでも壁なくすっていうか、緊張感持たせるっていうか・・・」
「えっ、飯田さん、今度のコンサート、一人部屋じゃないんですか?」
「うん、ヨッスィー、そうしてもらおうと思ってるの。」
えーっ、やだなそれ・・・
- 182 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 11:18
- 「そやな、それエエかもしれん。入りたてのごっつあんとか、よくなっつあんや矢口と同室で、
娘に馴染んでいったみたいのあったしな。今から教育係つけるって言うのもなんやから、
そのへんから、個人個人にアプローチしていくのも手やな。
ゴロッキーズで固めんと。」
「うん、普段はそれぞれが心がけるとして、具体的にはそんなのいいかもね。
オイラ、賛成。」
「みんなもいいよね。じゃ、さっそく部屋割り決めようか・・・」
「そやな、善は急げや、そーしー。・・・・で、そろそろエエやろ、イシカー、酒!」
「ハイ!」
って、やっぱり、パシリだよ、イシカーさん。
ここは、アタシも手伝ってやつか、って立とうしたら、ミキティがもう立ってる。
でも、腰浮かしちゃったし、ヨイショット・・・
「ねぇー、梨華ちゃん、面倒なことになったね。」
って、小声で話してる。
「うん、でもなんか具体的なことしないと、何にも変わらないからね。」
「そーだけどね。今度の泊り、二人部屋なら絶対、梨華ちゃんと一緒だと思ってたのに、
ちょっと残念かも・・・」
「そーだねぇー、この前のトランプの決着つけたかったねぇー。」
って、アンタタチ・・・結構ガキ・・・って、それだけ?
- 183 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 11:36
- アルコール各種と、つまみあれこれをテーブルに運ぶと、紙とペン。
本当にするんだ、部屋割り・・・
「まず、さくら組からね。8人、4部屋か・・・」
「ナッチと、オイラと、ヨッスィーと加護がわかれるんだろ・・・加護、大丈夫か?」
「アイボンはああ見えても、結構大人だよ。むしろ、ヨッチャンより色々考えてる。」
ムカーッ!
「でも、たぶん高橋とかとはさ、普通に友達だろうからさ、
亀井ちゃんと組ませるしかないんじゃないかな。緊張感持たせるには・・・」
「わかった。じゃ、加護は亀井と、これ決めて、と。オイラはー・・・」
「矢口は紺野がエエな。」
「そっか、って何で?」
「あの子、ああ見えて、結構頑固やからな、一筋縄じゃいかへん。」
「アタシもそう思うよ。ほれ、この前ハロモニで泣いたじゃん。あの時はアタシも司会で、
いっぱいいっぱいで、わかんなかったんだけど、後でVTR見たら、あれって、
辻はいいのにアタシは何でみたいな、責任感もあったんだろけど、
何か、悔しいみたいな方が大きかったっていうか・・・・」
「あれねえー、ナッチも悪いことしたと思ったよ。」
- 184 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 11:56
- 「あの子はな、この世界では劣等性かわからんけど、たぶんそれまでは、なんでもできて、
優等生だったと思うんよ。だから、えらいプライド持ってるんよ。」
「アタシもそー思う。どこかで自分自身を貫き通すみたいなね。
それ自体は悪いことじゃないんだけどね、融通がきかないというか、
協調性がないというか・・・」
アンタに言われるんだから、たいしたもんだよ。
「だから、矢口みたくコンプレックスのかたまりみたいのが、ちょうどいいと思うの。」
って、キツイご指摘。矢口さんってそーかなー・・・
「あーあ、そーだねって、えっオイラそんなに・・・
そーだな、コンプレックス強いから、がむしゃらに何でもやって来たんだもんな。
よし、紺野は任せろ!タンポポの後輩でもあるしな。」
「じゃあ、矢口と紺野。これも決まり。で、ナッチはどっちがいいかなぁ。」
残りは、クソマジメとカンチガイ娘か・・・・
「あのー」
「なあに、よっちゃん。」
「アタシ、選んじゃダメですかぁー。」
「いいけど、どっち?」
「タカハシ。」
「ヘー、そっちが好みなんだー、ヨッスィー、面食いだから・・・」
って、チビ。そーじゃなくてぇー
- 185 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 12:17
- 「そーだね、それでいいんじゃない。ガキさんとヨッスィーじゃ、トンチンカン過ぎて、
思い伝えるどころじゃないだろうし、高橋はクソ真面目だから、
ヨッスィーぐらいがちょうどいいんじゃないの。深刻にならずに・・・」
アタシぐらいって、リーダー、ホントにアンタ失礼だよね。
アタシはただ、ガキさんのテンション読めないから、苦手なんだって、二人きり・・・
「そーだね、それにガキさんはナッチのこと超尊敬してるからね。」
「じゃあ、さくらは決まりだね。ナッチとガキさん、矢口と紺野、ヨッスィーと高橋、
加護と亀井・・・うん、結構うまく決まってる。
・・・で、乙女か、7人、4部屋・・・と。
あのさ、相部屋ってさ、言い出しといてなんなんだけどさ・・・
アタシ、一人でいいかな?」
「はっ?」
って、ミキティ、ちと顔怖いよ・・・
「あのさ、全体のリーダーでもあるからさ、みんなと等距離を置きたいって言うのはタテマエで、
アタシ、部屋ではボーっとしてるだけで、役に立たないし、きっと相部屋の子も、
たぶん気味悪いと思うのよね。」
「それは言えてるー。」
「そーですね。お互い変に気を使って、次の日、二人とも仕事にならなくても
困るし、いいですよ、私たちで引き受けますから。ね、美貴ちゃん。」
「しゃーねーなあー。」
明らかに不満ですよね、藤本さん。
- 186 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 12:55
- 「私と、梨華ちゃんと、辻ちゃんが一人ずつ引き受けるわけですよねぇ、
辻ちゃんって、大丈夫なんですか?」
「ああ見えても、ののはここ一番って時はしっかりしてるし、
下の子にも、案外と人望あるし、大丈夫よ。
でも、小川とじゃ、友達だから、シゲさんか田中よね・・・」
「あの、田中はダメです。」
「何で?石川」
「怖いって、ののが・・・」
「まだダメなの?」
「はい、まだちょっと・・・・」
おーい、辻さん、しっかりしろー。
「わかった。じゃあ、シゲさん。これは大丈夫?」
「ハイ!」
イシカーさん、アンタ、辻ちゃんの保護者やってんのかい。
「じゃあ、あとはっと・・・石川と田中、ミキティと小川でいいかな・・・」
・・・・梨華ちゃんと田中って・・・オイ!
- 187 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 13:11
- 「それ、ダメです!」
って、ミキティ、早!
「梨華ちゃんと田中って、絶対ムリです。」
「どーしてぇー、私、別に怖くないヨぉー。」
って、そういう意味じゃねーだろ。
「ダメ!危険が大きすぎる。とにかくムリだから。」
「そんなに凶暴なのあの子?結構いい子だよ。私の言うこと、何気にニコニコ聞いてくれるよ。」
だからだろーが。
「オイラもそー思う。やめとけ田中は。教育係みたいのならいいけど、
泊りはやばいだろ、フツー。」
「そーなの。」
って、梨華ちゃん、わかんないのかよ、ボケ!
そんなニブイトいつかきっと襲われる・・・・
「あーそーか。」
って、リーダー、いつになく洞察力とぼしいんじゃねーの。
頭の上に?マークついてんの本人と安倍さんぐらいだかんね。
「じゃあ、田中はミキティって、喧嘩にならない?」
「大丈夫。負けませんから!」
って、それ問題が違うから・・・
- 188 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 13:25
- 「じゃあ、石川は小川ってことで・・・」
「小川ねぇ、・・・ってそれ大丈夫ですか?矢口さん。」
って、ミキティ、あんた何考えてんの・・・あっ、そーか。
「小川かー、アイツ、紺野の浴衣はだけてんの見るだけで、ドキドキするとか言ってたよな。」
「そーなんですよ。」
「・・・でも、根性なしだからな、ヤツは。
梨華ちゃん、ジャージ持参な!浴衣は禁止!」
「えーえ、それはいつも持って行きますけど・・・」
「それから、湯上りバスタオルも厳禁!」
「はーあ。」
「そーだね、完全武装って、ことでヨロシク!」
何気に乙女は、大変だね。って、にやけてたら・・・
「アンタ、高橋、襲っちゃダメよ!」
って、ケメコ。変な所でコッチに突っ込むなつーの。
「そーだぞ、ヨッスィー、見境つけろよ!」
って、チビ、アタシを何だと思ってるだよ!
- 189 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 13:38
- ずいぶんとアルコールも回ってきたみたいだね、みなさん。
今日の話は、ひとまず終了って感じですか・・・・
ミキティと矢口さんは、まだ、田中は危ないとか、小川の根性なしは本当かとか、
ブツブツやってるし、安倍さんと飯田さんは昔話始めてる・・・
それに中澤さんと保田さんが混ざっていって・・・
私たちの娘。私たちの思い・・・ねぇー・・・とか、ボーっとしてたら、
梨華ちゃんが、アタシのおかわりのチューハイ、持ってきてくれた。
「ヨッスィー、頑張ろうね。」
って、いつものスマイル。
「あー。」
「ていうか、ヨッスィー、頑張ってね、私の分も。」
「うん、・・・えっ?」
「・・・私もそんなに長くないと思うから・・・」
「エーエ!」
「しぃー、声、大きいって。」
「どーゆー意味よ、それ。」
って、できるだけ小さな声で・・・
- 190 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 13:52
- 「たぶん、先に行くから。」
「どこにって、えー、そーなの?
何で?何か、誰かに言われたの?」
「ううん、まだ。でもそんな気がするの。
もしかしたら、飯田さんや矢口さんより早いかもってね・・・」
「まさかー、ないでしょ、フツー。」
「でもね、例えば、飯田さんも矢口さんもいなくって、
私がリーダーのモーニング娘。って、想像できないじゃない。
まあ、自分で決められるものでもないから、わかんないけどね。
でも、そーなったら、ヨロシクね。」
って、アタシの肩を軽くたたいて・・・
涼しい顔して、矢口さんの隣に戻る、梨華ちゃん。
って、どーゆーこと?
安倍さんのいない娘だって、まだ想像できないのに、
飯田さん、矢口さん、それで梨華ちゃんって、ムリだよ、そんなの考えられない。
ゼータイムリ。
- 191 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 14:04
- ねぇ、梨華ちゃん、アタシたちこのままじゃダメなのかな?
中澤さん、ゴッチン、保田さん、それで安倍さん・・・
そりゃあ、アイドルグループだからさ、いつまでもってわけにはいかないけど・・・
あんなすごいこと言っときながら、何もなかったみたいな顔して、
矢口さんとミキティの間で、わけのわかんないカクテルなんか飲んじゃって・・・
ねぇ、梨華ちゃん、せめて順番守ろうよ。
ゆっくり、先輩たち送り出してからさ、
・・・って、ゴッチンは早かったよね。でも、ゴッチンはソロでやってたから・・・
でも、梨華ちゃん、ここんとこソロの仕事多いよね・・・
て、じゃあ、ありなの、それって・・・
安倍さんのいない、モーニング娘。
飯田さんのいない、モーニング娘。
矢口さんのいない、モーニング娘。
梨華ちゃんのいない、モーニング娘。
・・・・・・そんなの絶対ムリ!
- 192 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 14:21
- 「アタシもやめてやるー!」
って、つい叫んじゃった。
全員、いっせーにコッチ見て、
「「「「「「何それーっ」」」」」」
梨華ちゃんは、わかってるから、ちょっと困った顔して、
「ダーメー!」
って、勝手な女だ、本当に。
ミキティに、どーゆーこと、とか聞かれて、
「何でもないよ、いつもの遠吠えじゃないの、ヨッスィーの。」
とか、笑って・・・
チキショウ、また飲んでやる!
何本か缶を開けて・・・・・
・・・・薄くなっていく意識・・・・・・
「あーあ、またヨッスィー、つぶれちゃったよ。」
「こいつ、一人で飲んでたからなぁ。」
「重くて、動かせないじゃん。」
・・・・・口々に勝手なこと言って・・・・・
ウェ、何か気持ち悪い・・・・
途切れ途切れの記憶・・・・
トイレで少しもどしたみたい・・・・・背中をさすってくれる手・・・・
ひとみちゃん大丈夫・・・懐かしい呼び名・・・・氷の浮いた水・・・豹柄のベッド・・・
おでこに置かれた冷たいタオル・・・・さー飲み直すよーって・・私、ついてますからって・・・
- 193 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 14:44
- 少し、眩しくて、目を覚ました。
アーア、カーテン閉め忘れたのか・・・って、ここどこ?
頭いたい。体重い。
豹柄・・・・そーか、中澤さんち。中澤さんのベッド。
アタシ、一人で寝ちゃったんだ・・・
上半身を起こして・・・
ベッドにもたれて、そのまま寝てる梨華ちゃん。
ゴメン。ついててくれたんだ。
ベッドの下には、矢口さんとミキティ。一つの毛布で・・・安らかな顔しちゃって・・
誰も起こさないように、ベッドをそーっと抜け出して、リビングへ・・・
ソファーに中澤さん、その下に保田さんと安倍さん。
ていうか、安倍さん、寝相ひどすぎ!あなたの足、それテーブルの上ダカラ・・
あれ、もう一人いたよね、リーダー、リーダーって見回してたら、
「あーあ、よっさん起きたんか。
カオリはな、一人じゃなきゃ寝れないって、朝方帰ったで。
今日、仕事やからって・・・えっ、今日仕事って、
よっさん、今何時や?」
えっ、何時って・・・・
ポケットの携帯出して・・・と、
「えっと・・・9時、9時32分・・・・ゲッ!」
「あんたら、今日、何時入や?」
「10時きっかり、スチール撮りです。」
って、ヤベー!
「コラー、みんな起きー!」
やっぱ、大丈夫ですか?モーニング娘。?
- 194 名前:娘。サミット 投稿日:2003/10/21(火) 14:44
-
おしまい
- 195 名前:OGAフリーク 投稿日:2003/10/21(火) 15:46
- リアルすぎてなんかもやもやします。
すばらしい!!!
すばらしすぎてもやもや・・・・
よっちゃんガンバレ!!!
ゴロッキーズもガンバレ!!!!
- 196 名前:トーマ 投稿日:2003/10/22(水) 10:04
- 読み直したら、誤植ばっかりで・・・・恥。
一々訂正もなんなんで、文脈にそって、適当に読んじゃって下さい。
次は極、短く、軽い、会話だけのものを書きたいと思います。
嫌いじゃなければ、読んでやって下さい。
- 197 名前:one day 1 投稿日:2003/10/22(水) 10:56
- 「美貴ちゃん、私たちって、仲、悪いんだって。」
「何それーっ」
「矢口さんが言ってた。そーゆーことになってるんだって。」
「矢口さんって・・・あー、インターネットとかで?」
「うん、そーゆーのがあるんだって。誰と誰が仲良くて、誰と誰が悪いみたいなァ・・・」
「ふーん、それで、私たち、悪いんだ、仲。」
「そう、何かね、最悪の相性で、ありえない関係らしいよ。」
「へー、おもしろいね、それ。へー67くらいはあるね。」
「67って、ずいぶん微妙だね。」
「でも、矢口さんって、まだ見てんだ、そーゆーの。」
「うん、自分の悪口とか書いてあるの見てるんだって。」
「何それー、矢口さんってマジにマゾ?」
「へっ?」
「精神的マゾだね、それ。私なら絶対に血圧上がっちゃう。」
「うふっ。
「何、笑ってんのよー」
- 198 名前:one day 1 投稿日:2003/10/22(水) 11:15
- 「美貴ちゃんって、時々、おばさんみたいなこと言うよね。
何か保田さんみたい。」
「保田さんー、何気に失礼だね、アンタ。」
「ほら、そんな言い方も・・・
何かキャラかぶってるよね、絵とか・・・」
「うーん、絵は否定できないか・・・でも梨華ちゃんだって、人のこと言えないジャン、
絵本作家を目指してるくせに。」
「あは、そーだね。二人がいてくれて良かったよ、目立たなくて。」
「でも、私、そんなに保田さんに似てる?」
「見た目は、まるっきりだけどね。
何気に、食べ物の好みとか、お酒の飲み方とか・・・ね。」
「ちーっ、気を付けよ、今度から・・・
でも、梨華ちゃん、保田さんのこと好きなんだよね。」
「うん、好きだよ。頼りになるし、優しいし、やること変で、笑えるし。」
「じゃ、似ててもいいや。」
「イイんだ?」
「うん、イイ!」
「ふーん、で、今日どーするの。帰る?泊る?」
「もちろん、泊る!」
one day 1 end
- 199 名前:one day 2 投稿日:2003/10/22(水) 11:39
- 「梨華ちゃん、この前、誰と誰が仲良いみたいなこと言ってたじゃない。
あれさ、私、誰と仲良いことになってるの?」
「あれねー、美貴ちゃんは、一番は亜弥ちゃんだったかな。」
「あー、そりゃそーだね、あの子TVで言いまくりだもんね。
プリクラとか、お風呂とか・・・」
「お風呂とか、本当に一緒に入っちゃったりするんだぁー。」
「あの子、お風呂好きだからね、フツーでしょ、それ。」
「フツーなんだぁ。」
「なあに、梨華ちゃん、恥ずかしかったりするんだ。」
「うん、ちょっとね。温泉とかならアリだけどさ・・・それでもメンバーだとちょっと恥ずかしいかな。」
「ふーん・・・あーあ、梨華ちゃんって、同性にも、何気に観察されちゃうってやつだ。」
「そんなことないと思うけど・・・」
「まーあ、今度ゆっくり入ろーね、温泉。じーくり、観察してあげるから。」
「もー、本当に、意地悪だよね、美貴ちゃんって。
でも、最近、亜弥ちゃんに会えないんじゃないの?」
「そーだね、お互い、スケジュールキツイからね、あんまり遊べないかな。」
「寂しい?」
- 200 名前:one day 2 投稿日:2003/10/22(水) 11:56
- 「まあね、この世界に入って、最初に仲良くなった子だからね。
ていうか、あれは事務所の作戦なんだけどね。」
「作戦って、そーなの?何で?」
「ほら、あの子が一人で出てる番組とかで、名前出せば、露出度増えるじゃない。
私、新人だったからさ。」
「あーあ、でも、仲良しは本当なんでしょ。」
「まーあね、おかげで仲良くなったかな。
向こうも、ソロで寂しかったんじゃないのかなぁ、他は大体、ユニットだしね。
先輩だけど、妹みたいな感じかな。アヤッペは長女でお姉さん欲しいくて、
私は下がいないから、ちょうどよかったんじゃないかな。」
「ふーん。」
「他には誰と仲良いことになってんの、私。」
「あっ、最近はヨッスィーらしいよ。」
「ヨッスィーって、あーあ、ちょっとベタついてるからね。」
「かなりね。」
「私、隣にいる人に必ず触っちゃうんだよね。手とか、肩とか・・・」
「ののみたいだよね、本当に。」
「あは、で、妬ける?」
- 201 名前:one day 2 投稿日:2003/10/22(水) 12:07
- 「何が?」
「だから、ヨッスィー。」
「何で?」
「ほら、かなり前だけど、ハロモニでさ、梨華ちゃんの表情こわばってた時あったじゃない。」
「そーだっけ。」
「ほらー、新垣塾対娘。みたいな時。」
「あー、美貴ちゃんとののが腕相撲やった時ね。」
「それ、それ。」
「あの時はねぇ、またヨッスィー怒られちゃうかなぁって、ちょっと心配してた。」
「何それ?」
「あのね、前にね、ヨッスィーと私、マネージャーさんに呼び出されてね、
怒られたことあったの。カメラの前で、イチャツクなって。」
「えっ、どーゆーこと?」
- 202 名前:one day 2 投稿日:2003/10/22(水) 12:32
- 「ほら、娘って、フツーに手をつないだりしてるじゃない、あの頃、並びが多かったから、
フツーに絡んでたんだけどね、
ほら、ミスタームーンライトであの子男装してたでしょう。調子に乗って腕組んでたりしたらね、
そーゆーのに過敏に反応するファンがいるから、やめなさいってね、怒られたの。」
「えっ、どーゆー意味?」
「ヨッスィーと私だと、男女みたく見えちゃうんだって。
ほら、ヨッスィーって、あんなだし、私って、こんなだし・・・・」
「あーあ、見える、見える。ヨッスィーって、中学生ぐらいの男の子って感じだものね。」
「だからぁ、何か、特殊な関係に見えるらしいの。」
「特殊ねー、そーだね。で、実際、どーなのさ。」
「実際って、フツーだよ。そりゃ、同期だし、年が近いから、仲良い方だとは思うけど、
そんなのがあったから、変に意識しちゃって、不自然なんだけどね。」
「そーなんだ、なんか変な空間あるなとは思ってたんだ。」
「うん、矢口さんに言わせれば、それも問題なんだって。」
「何で?」
「本物だから、わざとあーあやって、隠してるって思われてるって。」
- 203 名前:one day 2 投稿日:2003/10/22(水) 12:43
- 「本物ねぇー。」
「それに、矢口さん、変なこと言うの。
そういうのが好きな人も多いから、たまにはイチャツケって。」
「何それ?」
「まあ、いいんだけどね。
で、ほら、ヨッスィーと美貴ちゃんでも、男女に見えるじゃない。
で、また怒られちゃうかなーってね。」
「そっかー、私、結構、男キャラだと思うけど。」
「見た目は違うよ。華奢だし。それにヨッスィーの隣にいると、
たいていの子が、女の子になっちゃうし。」
「そっか、じゃあ、離れてようかな。」
「でも、急に離れたりすると、本物だからってことになるよ。」
「本物ね、大変だね、イロイロ。」
「うん、大変。」
- 204 名前:one day 2 投稿日:2003/10/22(水) 12:58
- 「で、私と梨華ちゃんじゃ見えないかなぁ。」
「何に?」
「だから、カップルに。」
「フツーに、ムリじゃなあい。」
「どーして?」
「美貴ちゃんは、中身はともかく、外見は女の子だし・・・私よりちっこいし。」
「そーおー、って、梨華ちゃん、公称155だよね、同じじゃん。」
「もう少しあるよ。ちょっと成長した。・・・ほらっ。」
「・・・だね。背低くちゃだめかー。でも、カワモチ君とか、あるじゃない。」
「あれって、小学生だからね。・・・何で?そー見られたいの?」
「・・・・・ちょっとね。」
「ふーん、変なのぉ。で、今日はどうする。帰る?泊る?」
「もちろん、泊る!」
one day 2 end
- 205 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/22(水) 18:12
- みきりかイイっすね〜(w
密かに好きなんで嬉しいです!この会話もいい!
- 206 名前:ななし読み 投稿日:2003/10/23(木) 00:42
- 微妙にリアルで面白い!
次回はどんな話になるんだろうか・・・楽しみにしてま〜す!
- 207 名前:リエット 投稿日:2003/10/23(木) 02:18
- 更新お疲れ様です!
統一感ある世界観で面白いです。
次は誰の話だろ〜(w
- 208 名前:one day 3 投稿日:2003/10/23(木) 09:13
- 「ねぇ、この前、変な言葉つかってたよね。」
「なあにぃー。」
「ほら、何だっけ、マターリとかいうの、何あれ?」
「2ch用語なんだって、まったりのこと。矢口さんの受け売り。」
「2ch用語?」
「矢口さんが覗いているインターネットで使っている言葉なんだって。」
「ふーん、そんなのあるんだ。そー言えば、梨華ちゃんはやらないの?インターネット。
そこにあるのパソコンでしょ。」
「うん、やろうと思って買ったんだけどね、つないでないの。
矢口さんにね、絶対やるなって言われて・・・・」
「えっ、どーして?もったいないじゃん。」
「アンタはあんなの見たら、絶対に娘やめるって、ヘタしたら自殺するって言われて・・・」
「そんなにすごいんだぁ・・・」
「うん、フツーに応援してくれてるのもあるらしいんだけど、酷いこと言ったり、
厭らしいことかいてあったりするんだって。」
「へーっ」
「私もイイのだけ選んでなんて、たぶんできないから・・・やめといたの。
ほら、根がネガティブだから。」
- 209 名前:one day 3 投稿日:2003/10/23(木) 09:32
- 「そのわりには、好奇心旺盛だしねー。」
「そー、絶対イロイロ見ちゃう。」
「そだね、やっぱり、やめとけ、やめとけ。
でも、矢口さんって、よく時間あるよね、そーゆーの見てる。
あんなに仕事して、外でも結構遊んでるし・・・」
「何か、寝る間を惜しんで、ゲームに、ネットって感じみたい。
そんなんだから、大きくなれないんだよね、きっと。」
「えっ?」
「ほら、寝る子は育つって言うじゃない。娘になってから、逆に縮んじゃったって。」
「へーっ、じゃあ、飯田さんはよく寝るんだ。」
「寝るって言うか、よくボーっとしてるじゃない。ああゆーのいいんじゃなぁい。
あの人、ハタチ過ぎてからも伸びたらしいよ、身長。」
「へー、ハタチすぎても伸びるんだぁ。」
「・・・だって。」
「美貴も寝たら大きくなるかなぁ、18でも。」
「かもね。」
「じゃ、お休み。」
「って、コラ!私のベッドとるな!」
- 210 名前:one day 3 投稿日:2003/10/23(木) 09:50
- 「・・・・ていうか、大きくなりたいの?」
「できたら、梨華ちゃんよりかね。
でも、ムリかな。この3年ぐらい、全然伸びてない・・・」
「やっぱり、寝る間を惜しんで遊んでたんだぁ。」
「そー。じゃなくてぇ、お仕事、お仕事!」
「はいはい、そーゆーことにしといてあげる。
で、今日はどうするの。また泊るの?」
「うん、もちろん!
でさ、パジャマとかさ、今度持って来るから、置かせてくれるかなぁ。」
「私のじゃイヤ?サイズとか合うでしょ。趣味悪くてヤダとか?」
「そーじゃなくって、いつも借りてて悪いかなーと思って。」
「それだったら、別に気にしないで。あれ、今、殆ど美貴ちゃん専用だから・・・」
「へー、専用なんだぁ。じゃ、いいっかなぁ。名前書いちゃおうっかなぁ。
・・・じゃ、マグカップとか置いていい?」
「・・・いいけど・・・」
「じゃ、服とかも少し運ぼ。」
「・・・って、美貴ちゃん、何か善からぬこと企んでるよね。」
- 211 名前:one day 3 投稿日:2003/10/23(木) 10:03
- 「だって、一々、着替えとか持って、仕事行きたくないじゃん。」
「あのねー!」
「ダメ?ここ、事務所とか近いし、ちょーどいいんだけどな。」
「もーおー。」
「大丈夫だよ。私たち、ほら、特殊な関係には見えないんだし、仲悪いんだし。」
「もー、そーゆー問題じゃなくてぇー。」
「まあ、いいじゃん。時々はちゃんと帰るし。」
「時々って・・もー。」
「もー、もーって、梨華ちゃん、マタ、牛になってるよ。」
「・・・うーん、だって、お肉スキスキってね!」
「バーーカ!牛になったら、食べられる方でしょ!」
「・・・あっ、そっか。」
「食べちゃオッかなー。私も、お肉スキスキ!だからねー。」
「って、コラ!」
- 212 名前:one day 3 投稿日:2003/10/23(木) 10:12
- 「まあ、生でもなんだから、今度ゆっくり、料理してからね。」
「何それー!」
「じゃ、ほら、美貴専用のやつ出してよ!」
「ハイハイ。」
「梨華ちゃん、イイお嫁さんになるよ。」
「って、本当に調子いいんだからーあ。」
「ほれ、マジック出して!」
「えっ、本当に名前書くの?」
「うん!ダメー?」
「・・・・まっ、いいけど。」
「ハイ、素直でよろしい!」
one day 3 end
- 213 名前:トーマ 投稿日:2003/10/23(木) 10:22
- これで、一応、one dayは終りにします。
この辺が、りかみきの限界ということで・・・
やっぱり、石川さんには浮気をせずに、後藤さん一筋でいて欲しいのでって、
結構、危うくなってますが・・・・
次は、6期のあの方の視点にするつもりです。
読んでくださってる皆さん、感想ありがとうございます。励みになります。
ご意見とかもありましたら、是非書いて下さい。参考にします。
- 214 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/23(木) 10:56
- 作者さま
後藤さんももっと会わせてあげてください。
きっと寂しがってるはず。きっと....。
- 215 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/23(木) 23:48
- 正直思い入れの有るメンツとそうでないメンツの書き方に結構温度差が見られるような…
リアルものでなければ気にならなかったのかもしれませんけど
もっとアンリアル方向に行っちゃうか登場人物を絞るかしてみてはどうですか?
- 216 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/24(金) 00:23
- >>215
別にプロが金もらって書いてるもんじゃないんだからいいんじゃないの?
むしろ、好きなメンバーに片寄るのが自然じゃないかな?
全メンバーとかにこだわってると収集つかなくなっちゃうし。
俺はこのままで十分面白いと思いますが…。
- 217 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/24(金) 00:36
- 自分もこのままで十分面白いと思うけど・・・
- 218 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/24(金) 00:50
- 私も十分、というよりとても面白いと思う。好きです。
- 219 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/24(金) 01:12
- 意見をと言うことなので意見を書いただけなのですが…
出来ればもう少し登場人物全てに愛情を注いでやって下さいな
リアルなエピソード挟まってるんで何て言うか正直少し歯がゆい思いをした個所が有ったんです
まぁもうこういう事書き込みませんので
- 220 名前:リエット 投稿日:2003/10/24(金) 03:16
- 更新お疲れ様です!
意見って程でもないですけど、
この世界観のままでもっと読みたいなーと思います。
変えてもきっと面白いんだろうなあとも思いつつ(w
- 221 名前:メルアド 投稿日:2003/10/24(金) 22:26
- 今日はハロモニ劇場の収録。
待ち時間の控え室、いつもの定位置の奥の隅。
今日は何気に静かだなぁって、思ってたら、そっか、ミニモニがいないんだ。
三人抜けたって、充分、大人数なんだけど、でも、やっぱ、静か・・・
辻さんと加護さんって、何気にいつも動き回っていて、
安倍さんたちの所にいたかと思うと、吉澤さんとふざけていたり、
いつのまにか、5期の先輩たちの中にまじっていたり・・・
その二人がいないから、何気にみんな自分の定位置に収まっている。
矢口さんと安倍さんは、入る前に想像していたよりは、ずっと大人で、
二人で、ファッション誌見ながら、静かに話している。
飯田さんは、思っていた通りで、いつも難しい顔して、難しそうな本を読んでる。
石川さんと、吉澤さんと、藤本さんは三人で雑談してる。
ていうか、石川さんのピアスか何かを、二人してからかっている。
紺野さんと、小川さんは秋のスイーツとかなんかの特集している雑誌みながら、
今度のオフの食べ歩きの予定を、結構、マジな顔して、相談してる。
新垣さんと、エリは、あれ、珍しく教科書出して、勉強。
あーあ、もうすぐ中間。私もだけど・・・
で、私の隣のサユは・・・・また鏡見てる。本当に好きだなぁー・・・
自分の顔がそんなにイイかなぁー、最初聞いたときは、絶対ギャグだと思ってた。
私なんて、見るたびにイヤになる。
なんで、あの人みたいに、生まれてこなかったんだろうって・・・・
- 222 名前:メルアド 投稿日:2003/10/24(金) 22:50
- バタっとドアが開いて、
「おはよー。」とか言って、後藤さんが入って来た。そっか、今日は一緒の撮りだ。
部屋の空気が少し揺れる。みんな、口々に軽く挨拶をかえして・・・
後藤さんはいつものように、ふにゃっとした笑顔・・・
ていうか、いつもより一段と笑顔。ああゆーの満面の笑顔とかいうんだろうな。
で、いつものように吉澤さんのところに・・・
あれ、ちょっと様子が違う。
まーすぐに、石川さんの方見て、まーすぐに近づいて、
そのまま石川さんの前に立ってる。
えっ、そしたら、藤本さんが吉澤さんの手を引いて、
何か小声で話しながら、ドアの外に出て行く。
二人がいなくなって、空いた石川さんの隣に、後藤さんが納まる。
何か、いつもと違う展開。
後藤さんが持ってきた雑誌を、二人の寄せた膝の上にひろげて、
くっついちゃうくらいに頬寄せて、覗き込んでる。
何か笑顔でささやきあいながら・・・
それにしても、なんだろ、あの雰囲気。ヤケニきれいな組み合わせ・・・
ただ、普通にしているだけなのに、そこだけ違う照明か何か当たっちゃってるみたい・・・
何かずーっと見とれてた。
・・・そしたら、
あっ、石川さんが顔上げた。ヤバ!目が合っちゃった。
にこって、いつもの笑顔。
いつも見ていることが多いから、よく目が合っちゃうんだけど、
そのたび、いつも笑ってくれる。
って、手招きしてる・・・・
えっ、私?
- 223 名前:メルアド 投稿日:2003/10/24(金) 23:12
- 確認のため、目を合わせたまま、自分の顔を指でさす。
と、コクンと小さく頷いて、手招き・・・
へっ?
たぶん、すっごく間抜けな顔してんだろうな、私。って、思いながら、
入口近くのその場所に・・・・
「ねぇ、田中ちゃん、こっち、ずっと見てたでしょ。」
「えっ?」
あー、気づかれてた・・・
「ゴッチンが来てるから、見てたんでしょう。」
「あ、いえ。」
「照れなくってもいいって。」
って、石川さん一人で納得して・・・
「あのね、ごっちん、この子ね、ゴッチンのこと尊敬してるの。」
「ふーん。」
何か、興味なさげ。
「あのね、私がね、相談乗るとか言っても、何にも言ってくれなくて・・・
ほら、私じゃね、たぶん頼りないから、だからね、何かあったら、
ね、ゴッチン、聞いてあげて。かわいい娘の後輩だから、ね。」
「ふーん、ゴトーも、頼りないよー。」
- 224 名前:メルアド 投稿日:2003/10/24(金) 23:25
- 「そんなことないよ。それに、私も入ったばかりの頃にね、
憧れのゴトーさんから、ダンス上手くなったねとか言われたら、
すっごく、励みになったもの。」
「アハッ、憧れのゴトーさんって、照れるよ、梨華ちゃん。」
「だからぁ、同じ言葉だって、尊敬している人から言われると、重みが違うから、
ね、お願いね、ゴッチン。」
「尊敬ねぇー。」
「ね、田中ちゃん。」
「あ、ハイ。よろしくお願いします。」
って、何か言わされちゃったって感じ。
確かに、後藤さんは尊敬してるけど・・・いろんな意味で。
なんて、やってたら、タイミングよくって言うか、悪くって言うか、
「石川ー、ちょっときてー。」
って、ドアが半分開いて、スタッフの人が、石川さんを呼び出す。
「ハーイ。じゃ、ゴッチンよろしくね。」
とか言って、石川さんが出てったドアを、ぼーっと見てた。
・・・・そしたら、
- 225 名前:メルアド 投稿日:2003/10/24(金) 23:37
- 「あっ、そーゆーことね。」
って、ポンと肩をたたかれた。
「梨華ちゃんには、相談できない理由があるってことだ。」
「へっ?」
「でもね、田中ちゃん、その相談には、ゴトーも乗ってあげられないからね。」
「あっ、ハイ?」
「・・・・10年早いんだよ、田中ちゃん。」
「・・・・・」
「てか、今、いくつ?」
「11月で、14になります。」
「中二かぁ、ゴトーが娘に入った歳だ。
じゃあ、4年かな、早いから。フツーに早いから。ムリ、ムリ。マジにムリだから。」
「あのー、何のことですか?」
「とぼけちゃってー。てか、わかりやすすぎ。
好きなんでしょ、梨華ちゃん。」
「・・・・・あー、はい。てか、ファンでしたから・・・」
- 226 名前:メルアド 投稿日:2003/10/24(金) 23:48
- 「ファンねー。って、梨華ちゃん、知ってるの?」
「はい、初めの頃に、ファンですって言ったら、ありがとうって、
でも、これからは仲間だから、ただの先輩として、遠慮なく接してね。
って、言われました。」
「で、今は?」
「・・・・やっぱり、ファンです。」
「ふーん。・・・そーだね。そんな感じがよいかもね。
田中ちゃん、そのスタンスでいなさいこれからも。
間違っても、それ以上のことを望まないことだね。」
「はーぁ。」
「4年は大きいよ、田中ちゃん。」
って、この人、妙に楽しげ。
「あのー、一つ聞いていいですか?」
「いいよー、先輩がなーんでも聞いたゲル。」
「何かあったんですか?」
「ふぇ?」
- 227 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 00:04
- 「何かいいことでもあったんですか、後藤さん?」
「へっ、どーして?」
「何か、とっても楽しそうだから・・・」
「あは、楽しいかぁ・・・楽しいかも・・・
何てったって、4年早く生まれたからねぇー。4年は大きい・・・」
「はーあ。」
何かもう、何言ってんだろこの人。
てか、コンナ人だつたっけ、この人。・・・イメージが・・・
ていうか、今、すごくガキ扱いされてるよね、私。なんか、えらく悔しいんだけど。
「ねぇー、ゴッチン、Yさんが今度はゴッチン呼んでこいって。」
って、石川さんが戻ってきた。
「なんかサー、Yさん、次々呼び出すなんて、わざと意地悪してんじゃないのー。」
とか、ブツブツ言いながら、ドアの外に消えてく後藤さん。
「あっ、田中ちゃん、ゴッチンから何かアドバイスもらった?」
「えっ、まあ。」
「あのね、ちょっと意味不明なところあるけどね、ゴッチンの言うことって、
結構、当たってるからね。これからもイロイロ相談するといいよ。」
- 228 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 00:17
- 「はー、って、あの、4年って大きいですか?」
「ほぇ?」
「あのー、4つも違うと、全然ですか?」
「何のこと?」
「あの、私って、ガキですか?石川さんから見て・・・」
「あーあ、そーゆーことか。歳で4つ、学年で5つ違うんだよね。
うーん、かわいいかな。あっ、でもガキだなんて思ってないよ。
田中ちゃん、しっかりしてるし、歌もダンスとかもイケてるし・・・で、何で?」
「ですよね。」
「うん。でも、田中ちゃんから見たら、私なんて、オバサンなのかな。
私と保田さんぐらい離れているものね。」
「あっ、保田さんですか・・・イエ、石川さんはオバサンなんかじゃないです。」
「そーおー、ののとか、最近、平気で言ってるけどね。」
- 229 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 00:33
- 「いえ、大丈夫です。・・・・かわいいから・・・」
「あっ、ありがと。でも、もうすぐ19だよー。早いねー、年取るのって。」
年取るのって・・・石川さん・・・
あっ、私、前にハロモニで、19はオバサンみたいなこと言っちゃった・・・
ヤバ、話変えよう。
「あのー、ちょっと聞いていいですか?」
「なあに、何でも聞いて。」
「石川さんって、メールとか嫌いなんですか?」
前から聞いてみたかったこと。
「何でー、するよフツーに。」
「アドレスとか教えてくれないから・・・」
保田さんとか、矢口さんとか、入ってすぐに教えてくれたのに・・・
「あーあ、下の子に自分からアドレスとか教えるのって、ちょっと押し付けがましいかなって、
ほら、先輩にアドレス聞いているのに、メールしなかったら、怒られるかなって、
なんか、プレッシャーになるかなって、ね・・・
ほら、私、うざがられてるじゃない・・・」
ウザイなんて・・・本当にそー思われてると思ってるんだろうか、この人・・・
ただ、みんな、ちょっと近寄りがたいだけ・・・
何か、違う世界に生きてる人みたいで・・・
- 230 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 00:50
- 「あのー、じゃあ聞けば教えてもらえるんですか?」
「うん、もちろん。田中ちゃん、知りたい?」
「ハイ。できれば・・・。」
「じゃ、ちょっと待って・・」
って、バックから、携帯取り出して・・あっ、やっぱりピンク。
「田中ちゃんの教えてくれる?今、打つから・・」
私は、ポケットから携帯取り出して、アドレス表示して、そっと差し出す。
それ、覗き込んで・・・わっ、顔、近。
「ハイ、送信と。」
♪♪
「あれ、愛の園。えらいね、田中は。私なんて、六甲おろしだよ。」
って、何それ。・・・メール開くと
「ハッピー!byチャーミー」
って、あは、ウレシイ・・・
「それ、アドレスだから、何でも相談とかしていいからね。
頼りないかも知れないけど、これでも一応、先輩だからね。」
って、私の肩をポンとたたく、石川さん。
- 231 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 01:03
- 「そろそろ、スタンバってくださーい!」
って、外から、スタッフの声が掛かる。
ハーイとか言って、みんなゾロゾロ出ていく。
あっ、石川さんもういない。
私、何かずーっと、携帯の画面見てたみたい。
サユに、何してんのとか、言われて、
あわてて、アドレスを登録する。
うーん、何て入れとこう・・やっぱ、フツーに「イシカワさん」ってことで。」
何か、顔緩んでるのかな、やっぱり・・・
「何か変だよ、レナ・・・ほら、行かないと、怒られるよ!」
やっと、ゲットしたメルアド。
サユなんて、憧れの高橋さんのアドレス、さっさと聞き出して、
今はもうメル友だよ。なんて、威張ってたけど・・・
私はどーしても聞けなかった。
だって、いくら隣で歌ってても、何かちっとも近くにならないんだもん・・・
- 232 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 01:22
- 私は、絶対にモーニング娘に入れると思ってた。
オーディションで東京に呼ばれた時から。
てか、本当のこと言うと、5期のオーディションを小学生で受けた時から。
絶対にモーニング娘になれると思っていた。
よく考えれば、そんなに自分に自信があるわけじゃない。
歌も、ダンスも、ルックスも・・・
でも、絶対なれると思ってた。
TVで見るたびに、あの中で歌う自分を、簡単に想像できた。
できたら、あの人の隣でって・・・
で、やっぱり合格した。
・・・レッスンや、握手会なんかで、ずいぶん待たされたけど、
それでも、やっぱりモーニング娘になれた。・・・と思う。
だけど、ちっとも近づかない距離。
隣で歌ってても、歌番組とかで、隣に座っていても、なんでだろ、少しも近くない。
話したいし、そばにいたいし、なのに・・
話し掛けられても、笑いかけられても・・・まともに顔も見られない。
意識しすぎだよって、サユに言われたけど・・・
やっぱ、オーラが違うって感じ・・
他の大人メンバーも、それぞれ、芸能人オーラがあって、ちょっと引くけど、
やっぱり、特別・・・・
でも、メルアド、やっとゲットできた。
・・・・少しは近くなれるかな・・・
- 233 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 01:45
- 収録が終わって、エリとサユとご飯を食べて・・・
何か、二人が色んなこと話してたみたいだけど、ずーっとウワノソラで、
帰ってから打つメールのこと考えてた。
「これが、例の交信っていうやつだね。」
って、エリにからかわれた。
家に戻ったのが9時すぎ、まだ、仕事かな石川さん。
10時。・・・あんまり遅いと、迷惑だろうし・・・
で、なんて打とう・・・ここはゴク簡単に、かわいい後輩って感じで・・・
「お疲れ様です。今日はイロイロありがとうございました。
これからも、宜しくお願いします。」
って、ありきたりすぎるけど・・・送信。
♪♪♪へっ、まさかすぐ返ってくるとは思わなかったから、少し動揺。
「どーいたしまして、つて、田中、ずいぶん堅苦しいね。
もっと、気楽に話してくれていいんだよ。」
「あ、ハイ。もう、おうちですか?」
「うん。今しがた帰ったとこ。田中もちゃんと帰ってる?」
「ハイ。コー見えても真面目ですから。」
「そーなんだよね。意外と真面目なんだよね。
じゃ、真面目ついでに、勉強とかしなさいね。もうすぐ中間でしょ!」
勉強しろって・・・もう、メールやめなさいってことか・・・
「ハイ、そーします。おやすみなさい。」
「うん、頑張ってね!それじゃまた明日ね。グッチャー」
- 234 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 01:53
- で、おしまい。
ちょっと物足りないけど、今、この時間・・・共有してたよね。
何か、いつも一緒にいるのに、初めて、同じ時間過ごしたって感じ。
何気にすごーく、嬉しいかも・・・
少しだけ近づいた気がする。
「ねぇ、ゴッチン、この前、田中に何言ったの?」
「ふぇ?」
「ほら、楽屋で私いない時。」
「あーあ、・・・何言ったかなぁ、何かあったの?」
「あのあと、メルアド聞かれて・・・」
「それで、メールしてるの?」
「うん、毎日。短いけど。」
- 235 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 02:05
- 「相談とか?」
「そんな感じじゃないなぁ、雑談。」
「ふーん。ちょっと、逆効果だったかなぁ。」
「逆効果って何が?」
「うん、10年早いって言ってやったんだけどなぁ。正確には4年か。」
「何それ、っていうか、何かそんなこと言ってた。私、ガキですかっみたいな。」
「そーなんだよ。ガキなんだから、あきらめろって言ったつもりなんだけどなぁ。」
「はーぁー。」
「アイツが負けず嫌いだってこと、ついつい忘れてて・・・
ふぇー、梨華ちゃん、大丈夫だよねぇ、あんなガキ相手にしないよねぇー。」
「って、意味わかんないし。」
「梨華ちゃん、誰にでも優しいからなぁー。心配だよ。」
「どーゆーこと?」
「まっ、気にしないで、ゴトー信じてるから・・・」
「はーあーっ。」
- 236 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 02:22
- 「それから、今度、ミキティにも言っとこ。一年遅いってね・・・ムフフ。」
「ますます、意味わかんない。」
「まぁ、いいって。でも、やっぱり心配だよね。あんま、会えないから。
あーあ、何で、地方ばっかりなんだろ、ライブ。」
「あー、ゴッチン、かなりハードだよね。体、大丈夫?」
「秋だからね、だいぶ戻った。でも、梨華ちゃんもロケとかあるんでしょう?」
「うん。なかなかスケジュール合わないよね。」
♪♪♪
「あっ、メール・・」
「誰から?」
「田中ちゃん。」
「今、相手してやるの?」
「うん、ちょっとね。ダメ?」
「イイケド。」
「ほら、かわいい後輩の面倒はやっぱ見てあげないと、ね。
それに、あの子、きっとゴッチンの後継者だから・・・」
「えっ、そーなの?」
「うん、そんな感じみたい。だから大事に育ててあげなきゃ。」
「お母さんみたいだね。」
「そーなのよ、なんたって、アダルトチームだからね。」
「梨華ちゃんも大人になったんだねぇー。」
「そーなのよ。いつの間にか、年下ばっかり増えちゃって・・・
で、メールしていい?」
- 237 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 02:29
- 「しょうがないなぁー。いいよ、ゴトー、シャワーしてくるから。」
「ごめんね。」
「いいって、今日はお泊りだから、時間あるし。」
「それじゃ、これタオル。それとゴッチンのパジャマ・・・」
「ハイハイ。それから、必要以上に優しい言葉打っちゃダメだよ。」
「えっ?」
「アイツ、勘違いすると面倒だから。」
「大丈夫だと思うけどねぇ。」
「梨華ちゃん鈍いからねぇー、そーゆーの。まっ、ほどほどにね。」
- 238 名前:メルアド 投稿日:2003/10/25(土) 02:40
- 「ハイ、おまたせ。」
何て、打って。本当にたわいのない会話。
でも、少し嬉しいかな。少し先輩になれた気分。
みんなもっと、気軽にしていてくれればいいのに・・・
結構、面倒見るの好きなんだけどなぁ。大きなお世話かも知れないけど・・・
この前、飯田さんたちと約束したしね、ウザがられてもアプローチしていこうって、
でも、こんなのでいいのかなぁ
田中ちゃん、少しは役に立ってますか?私。
今日は、ずいぶん、返って来るの遅かったなぁ。
誰かといるのかな・・・
でも、それでもいいや。
こうやって、メールのやり取りしている時間だけは、
確実に、私と石川さんは繋がっている。
ほんの短い時間だけれど、
それでも、確かに繋がっている。
おしまい
- 239 名前:トーマ 投稿日:2003/10/25(土) 02:59
- メルアドはこれで終わりです。
219様、不快な思いをさせたなら、すいません。ただ、好きなメンバーに偏るのは
やっぱり仕方ないと思います。全体を書くだけの能力もありません。
アンリアルをとの提案もありましたが、自分が読んでて、リアルの方が、
おもしろかったものですから。
これは、嫌味ではないので、誤解のないように聞いて欲しいのですが、
自分で書いてみたらいいと思います。私がそうでしたから。自分の好きな
作品が、終わってしまったり、途切れてしまったり・・・
それから、そーじゃないだろうみたな感じがあったり・・・
それじゃぁ、書こうかなって感じで・・・
もし、もう書いている方でしたら、すいません。まだ、書いてなかったら、
是非、書いてみてください。結構、楽しいですよ。
私もまた、読む楽しみが増えます。
次は、辻さんにでも、出てもらおうかなって考えてますが、
まだ、纏まってないので・・・
- 240 名前:トーマ 投稿日:2003/10/25(土) 03:03
- メルアドについて言い忘れました。
藤本さんのパジャマはどーしたって、突っ込まれそうなんですけど・・・
読み流してやってください。
ただ、そのうち、修羅場があったりして・・・
でも、やっぱり、石川サンがかわいそうだから、それはないかなァ・・・
- 241 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/25(土) 03:05
- じゃぁ参考にするから意見をくれとか書かなきゃ良かったですね
好きなように書くから黙って見とけって書けば良かったのに
- 242 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/25(土) 12:50
- >>241
なんなんだあんたは?
てかもうそういうのスレ汚れるからさ、やりたいなら雑談とか行ってくれよ。
- 243 名前:名無しさん 投稿日:2003/10/25(土) 15:08
- 信者が現れました
- 244 名前:リエット 投稿日:2003/10/26(日) 15:50
- 更新お疲れ様です!
今回も面白かったー。
石川さんと田中さんのお話はありそうでなかったので、嬉しいです。
次は辻さんですか。
どんな話になるんだろう…。
- 245 名前:ななし 投稿日:2003/10/26(日) 18:40
- りかれなイイ!
二人の今後の展開が非常に楽しみです
というわけで、続編大いに希望!
- 246 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 11:11
- その1
「りがぢゃーん!」
帰りのエレベーターを待っていたら、ののが突進してきた。
「うげっ!」
避ける間のないボディータックル。
・・・きっと何時か殺される・・・
「どーしたの?」
「だってー、だってー!
さっき、写真の時、梨華ちゃん、先に行っちゃうし・・・」
「あっ、ゴメン。Tさんに呼ばれてて・・・」
「のんどーしようかと思ったよ。
だってー、なちゅみも、アイボンも、よっちーもみんなあっちなんだよぉー。」
「そーだねぇ。ビックリしたよね。突然だもんねぇー、組み分けなんてね。」
「びぇー、のん、これからどーしょう。」
「でも、始まるの秋からだよ。それにほら、飯田さんもまこっちゃんもいるし、ね!」
- 247 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 11:23
- 「だけど、ほら、こっち、ミキティいるし・・・」
「えっ?」
「怖いでしょ、ほらぁー。」
「のの、ミキティ、怖いの?」
「うん。」
「普通にしてるじゃない。仲良く・・・」
「だって、ミキティ、絶対に嫌がってるもん!」
「あーあ、そーだね。嫌かもね。イヤイヤ入る人なんて、初めてか・・・」
「でしょ、だから・・・」
「・・・だけど、それは当たり前だよね。ソロで頑張ってて、やっとソロコンできるって、
喜んでたのに、今更ねぇー。」
「でしょ、でしょ。」
「でも、しょうがないよ。上の人が決めたことだし・・・
それはミキティだってわかってるよ、きっと。
それに、だからって、意地悪なんてしないよ。」
「そっかなーぁ。」
「少なくとも、ののにはしないって。」
「そーおー。」
「大丈夫。ミキティは大人だもん。」
- 248 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 11:32
- 「大人かー、じゃあ、あの子は?」
「あーあ、田中さんだっけ?」
「うん、先生泣かしちゃったの。」
「そーだねー、びっくりしたよねぇ。オーディションで泣いた子はいたけど、
泣かしちゃったのは初めてらしいからねぇー。」
「でしょ、でしょ。」
「でも、子供だよ。ののより2つも下。」
「だから、困るんだよ。」
「へっ?」
「のん、先輩やるのヘタだもん。」
「えっ?」
「のん、先輩ってのむいてない!」
「そんなことないでしょ、ほら、愛ちゃんたちと、私なんかよりズットうまくやってるじゃない。」
- 249 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 11:44
- 「だって、愛ちゃんたちは、一応、後輩だけど、お友達だもん。」
「あー、そーかもね。」
「愛ちゃんは、年上だし、あさみちゃんとまこっちゃんは、同じ年だし、
のんよりしっかりしてっぽいし、りさちゃんだって・・・」
「そーだねぇー。」
「だから、先輩やってなくて、いいんだもん。」
「そっかなぁー、のの、ちゃんとやってると思うよ。先輩。
太っ腹だし・・・」
「なにそれ?そんなにデブくないもん。」
「そーじゃーなくてぇ、太っ腹って、気前のいいことだよ。
ヨッスィーが言ってたでしょう、尊敬するって。」
「あれはー、ただ、面倒だからだよ。よっちーはお財布持って歩かないし、
のん、ワリカンとかいうの面倒くさくて、嫌いだし・・・」
「そーゆーのを、太っ腹って言うんだよ。
みんな、言ってるよ。ののは面倒見がいいって・・・・」
- 250 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 11:54
- 「そっかなぁー。」
「そーだよ、だから、何人後輩が出来ても、ちゃんとできるって。
きっと、立派な先輩になれるよ。
ののは自分で思ってるのより、ずっとしっかりしてるんだから。」
「てへっ、そっかなぁー。」
「うん、だから、怖がんなくて大丈夫!」
「うん。・・・・・・でも、梨華ちゃん、そばにいてよね。」
「何言ってんのよ!いつもウザがってるくせに。」
「・・・・だけっどーおー。」
「わかってるって。」
「約束だかんね。」
「はいはい。」
「じゃ、いいや。のんガンバル。」
「そーだ。頑張れ、のの。」
- 251 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 12:05
- 「・・・・・・・でもね、のんね、一つだけ、嬉しいことあるの。」
「えっ?」
「あのね、人数の少ないの初めてなの・・・・」
「えーえ?」
「ほら、シャッフルとかでも、いつも一番多いとこでしょう。」
「あーあ。」
のの、やっぱり気にしてたんだよね。
「だからね、少しだけ嬉しいの・・・・」
少し、はにかみながら、笑っちゃって・・・たった一人の違いなのに・・・
「ののー、本当にかわいいねぇー、ののは。」
思わず、ギュットしちゃった。
テレて、真っ赤になっちゃって・・・・
何にも考えてないようなふりをして、本当は色んなこと悩んでて・・・
でも、大丈夫。あなたを苛める人も、嫌う人も、きっと誰もいない。
だって・・・ほら、こんなにかわいい・・・
のの、頑張ろうね、本当に・・・・・
- 252 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 12:25
- その2
「りがぢゃーん!」
ハロプロのコンサートの控え室。
まだ、大勢のメンバーが帰り支度で残ってる、雑然とした中、
ののが、半泣きで、突進してきた。
「うげぇ。」
やっぱり、避けるヒマなく、ボディタックル。・・・やっぱり、何時か殺される。
「なちゅみがやめちゃうよー。本当にやめちゃうよー。」
昨日、リハーサルの途中で、みんな集められて、つんくさんから、話があったけど、
どこか、半信半疑で・・・でも、今日、ステージの上で発表があって・・・
本当のことなんだよね。それ。
「びぇー。」
あっ、本泣きしてる・・・
「そーだよね。でも、ほら、まだだよ。来年のことだよ。」
「・・・でもー、そんなのいつだって、すぐ来るじゃん。」
そーだった。中澤さんの時も、ゴッチンの時も・・・
ずいぶんと発表から時間があったはずの保田さんの時でさえ、やっぱり、その時はすぐに来た。
「そーだね。でも、ソロになっても、ハロプロだし、会えなくなるわけじゃないんだから・・・」
「でも、やっぱり違うじゃん。」
そーだった。それも今までの経験でわかってた。
中澤さんも、ゴッチンも、保田さんもやっぱり、それまでとは違くなった・・・
- 253 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 12:54
- 「ゴメン。そーだよね。それに、安倍さんはののにとっては、特別だもんね。」
「やだよー、なちゅみがいなくなるなんてぇー。」
「そーだよね、やだよね。」
って、私も泣きそうじゃない・・・
「でもね、ほら、安倍さんにとってはね、きっと好い事なんだからね、
ちゃんとして、送り出してあげよ、ね。」
いつの間にか、誰もいなくなっている、控え室。
「・・・・・のんね、なちゅみが心配なの。」
「えっ?」
「なちゅみはドジだし、すーごく寂しがりやだし・・・」
あー、そーだ、ののはいつも素の安倍さんと向かい合ってたんだ・・・
安倍さんは、私たちにとって、たぶん矢口さんや保田さんにとっても、特別な人だと思う。
最初からのエースで、娘の顔で、もしかしたら、モーニング娘そのもの・・・
それに、太陽みたいな笑顔の中には、本当はガラス細工の内面があるみたいで、
むやみに触っちゃいけない、壊しちゃいけないって・・・
だから、安倍さんが、ピリピリしていたり、落ち込んだりしてても、
なんとなく、近寄りがたい感じがして・・・・
でも、ののは違ってた。
飾らないそのままの辻希美で、娘の顔でも芸能人でもなんでもない、
ただの安倍なつみに接していた。それが、当たり前みたいに・・・
だから、安倍さんもののに癒されてたんだろうな、きっと・・・
- 254 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 13:09
- ののが心配しているのは、ソロとして活躍していく安倍なつみじゃなくて、
方向音痴で、食べこぼしをして、ホームシックで、甘えん坊の、素の安倍なつみなんだ。
・・・・そう思ったら、本当に心配だよね。・・・でも、
「大丈夫。安倍さんだって、22歳だし、もう6年もやっているんだし、
実力あるんだし・・・それに、それにね、
いざとなったら、みんないるじゃない。ののがいるじゃない。」
「えっ?」
「本当にさ、寂しくなったら、帰ってくるよ。
あー、もう一回、娘に入るとかいうのじゃないよ。
気持ちがね、気持ちが帰ってくるから、私たちのところに、のののところに・・・」
「そーなのかな。」
「そーだって。そのための仲間じゃない。
ゴッチンだって言ってたよ。
イッパイ、イッパイの時は、みんなのこと思い出すって。」
「そーなんだー。」
「だから、よく来てるじゃない、娘の楽屋に。自分の静かな部屋あるのに、
わざわざ、煩い所に来て、寝てるじゃない。」
- 255 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 13:21
- 「そーだよね。なちゅみも帰って来れるんだよね。」
「そーだよ、だから、しっかりして、ちゃんと送り出せるようにね、
いつでも帰って来れるように、私たちしっかりとね、ね、のの。」
「うん。」
あっ、やっと笑ってくれた。やっぱり、ののは笑顔がいいよ・・
「そー言えばねー、梨華ちゃん・・・」
「なあにぃ。」
「なちゅみ、寂しがってたよぉ。」
「何を?」
「梨華ちゃんが、なっちって、呼んでくれないって・・・」
「あーぁ。」
それ言われると、弱るよね。
「自分はとっくに、梨華ちゃんなのに、いつまでも敬語でさん付けだって・・・」
「だってねぇー、それは・・・。
それに私は、安倍さんに限らず、みんなそーじゃん。上の人・・・」
- 256 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 13:37
- 「でも、矢口さんはマリッペだよね。」
「あれはー、本人嫌がるからね、面白がってやってるうちにね、
ほら、何かと一緒の時、多くて、それにちっちゃいから、真里ちゃんとか言うけど・・」
「なちゅみだって、ちっちゃいじゃん。梨華ちゃんより。」
でも、存在が大きいんだよ・・・
「あーあ、そうだけど、年が離れてるし・・・」
「って、のんなんか、もっと離れてるけど、呼びつけだよ。」
「そうだね、ののはえらいねぇ・・・」
「なちゅみは、やっぱり名前出呼んで欲しいみたいだよ、みんなに。
なのに、梨華ちゃんがいつまでたっても、安倍さんだから、
下の子達がみんな、安倍さんだって・・・寂しがってた・・・」
えーっ、それって私のせいなのぉー。
「わかった、なんとかする。」
そー言えば私も、コンノやガキさんに、梨華ちゃんとか呼ばれたかったりするもんね。
石川さんじゃ、いつまでたっても他人行儀って気がして・・・同じかぁー。
「本当に、なんとかしなさいよ!」
「うん、じゃあ、安倍さんの卒業までにはなんとか呼べるようにする。」
- 257 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/27(月) 13:52
- 「よし!梨華ちゃん、がんばんだぞ!」
って、肩たたかれた・・あのー辻さん痛いんですけど・・とっても・・・
最後には、逆に励まされちゃったりしたけど、のの、本当に辛いんだろうな・・・
甘えるだけなら、飯田さんでも、矢口さんでも、ヨッスィーでも、私だって、
甘えさせてあげられるけど・・・
相手が、自分を本当に必要だと感じられることって、すごく嬉しいんだよね。
だから、やっぱり安倍さんは、ののにとっては特別。
でもね、のの、ののは知らないかもしれないけどね、
私だつて、充分、癒されているんだよ、あなたに。
メンバーとか、同期とか関係なく、素のままんまで、接してくれる、ののに、
私だって、ずいぶん、精神的に助けられてる。
でも、そんなこと、口に出したら、誉められることが苦手なののは、
テレて、今の10倍ぐらいの力で、たたくんだろうなぁ・・・
だから、言わない。私だって命が惜しい。
それで、どーしても言わなきゃならないような時が来たら、
その時は、覚悟して、重装備してくるから・・・ね、のの・・・・
- 258 名前:トーマ 投稿日:2003/10/27(月) 13:54
- 「ののの小さな悩み」は「その3」まで書くつもりです。今日はここまで。
- 259 名前:jinro 投稿日:2003/10/28(火) 00:22
- 初めて読みました。
なんかいいなあ、こういうの。
見習いたいです。
- 260 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/28(火) 10:05
-
その3
「りがぢゃーん」
おっ、来た来た・・・
あれ、今日はボディアタックなしだ・・・・
「どーしたの?何かあった?」
「・・・・沖縄・・・一人なの。」
「あー、写真集だ・・・よかったねぇー、のの、すごいよね、ソロだよ、ソロ。」
「・・・だけどね、だからね、ロケ、一人なの・・・」
「ソロなんだもの、しょうがないでしょ。それにスタッフの人もいるし。」
「うん、だけどね・・・。」
「・・・本当は嬉しいんでしょ?ほら、図星だ。」
「・・・てへっ、少し、そーかも・・・
でも、沖縄だよ・・・また、黒くなっちゃう。」
オイ、オイ、私の前で言うか、それ。
「ハワイのもとれてないのに・・・」
「あは、私もだよ。」
「そーだねぇー、今年は一段と黒いよねぇー。」
って、あんたねぇー・・・
- 261 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/28(火) 10:19
- 「でも、黒いと細く見えるって、アイボンが言ってた。」
「そー、そーだよ。ののは今度もおなか出してるしね・・・」
「そーなの、ミニモニまで腹出しだよ。
・・・ミニモニ・・・何か、全然、今までと違くて・・・・」
「イヤ?」
「イヤって言うのじゃないんだけど・・・大丈夫なのかなぁーって・・・」
「大丈夫って?」
「ほら、のん、コンサートとかで、ちびっこのみんなもってやってるじゃない、
あんなのって、小さい子とか好きかなぁー。」
「うーん、そーだねぇー。」
「フリとかさ、絶対真似できないよね。」
「あー、あれは難しいよね。でも、あれカッコいいよ、とっても。のの、上手!」
「そっかなぁー。」
あっ、誉めちゃった・・・肩に一発・・・痛いんだって、ホントに・・・
- 262 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/28(火) 10:39
- 「でへー、そっかなぁー。・・・でも、いいのかなぁ、ミニモニ・・・」
「うーん、わかんないけどねぇー。ののたちも大人になっていくんだし、
キッズがあの歌だからねぇー。」
「そーそー、キッズすごいよね。
レコーディングの時にね、あっちの方がずっと大人っぽいって、
つんくさんに怒られちゃったよー。」
「あは、そーかもねぇー。」
「びぇー、・・・でも、やっぱり、このまま子供って言うのダメなのかな・・」
「えっ?」
「・・・むずかしいよ、大人・・・」
「あー、でも、ののは結構大人っぽくなってきてるよ。
表情とかさ、時々びっくりするぐらい、大人っぽいよ。」
「そーかなぁー、だってさ、のんたちが入った時の梨華ちゃんと一緒じゃん、今。」
「そーだねぇー。」
「あん時とかさ、梨華ちゃん、ちゃんとお姉さんだったじゃん。」
「そんなことないよ、ののが小さかったから、そー見えただけだよ。」
「でもさ、ゴッチンとか、ヨッチーとかもさ、みんなもっと大人ぽかったよ。」
「そーかなぁー、まあ、ゴッチンとかは、そー見えたかな。
でも、見た目はともかく、中身はみんな、それなりに子供だったんじゃないの。」
- 263 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/28(火) 10:57
- 「やっぱり、大人っぽかったよ。この前もアイボンと話してたの。
どーやったら、あんなふうになれるかって・・・」
「あー、アイボンもののもかわいいからねぇー、ちっちゃいし・・・」
「年下の子も、増えちゃったし・・・頑張って大人になりたいんだけど、
どーしたらいいのかわかんないし、
アイボンも結構深刻な問題やなって、悩んでるよ・・・」
そーだろーなぁ、アイボンはきっと、ののより深刻。
「でも、大丈夫だよ。きっとののは、自然に大人になるって、
変に考えすぎない方がいいよ。考えるとろくなことないんだから・・・
ほら、あの高飛びみたいになっちゃうよ。」
「びぇー、あれは言わないでよ、本当にわかんなくなっちゃったんだから・・・」
「だからぁ、ののはそのままでいいって。そのままで、ちゃんと大人になれるから。」
「そっかなぁー、じゃあいつか、梨華ちゃんみたくなれる?」
「私みたくって、ええっ、私って大人?」
「うん、けっこう大人。」
「うふっ、何か、ののにそんなこと言われたら嬉しいなぁ。」
いつも、バカにしてるくせに・・・照れちゃうよ。
「で、なれる?のん。」
「私ぐらいなら、すぐなれるんじゃないの。」
- 264 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/28(火) 11:09
- 「そっかなぁー。」
「そーだよ。」
「でも、背も大きくならないし、胸もペッタンだし、色ぐらいだよ対抗できるの。」
そーゆー問題かよ。
「あのねぇー。」
「今のは冗談だよ。でも、大丈夫かな本当に。」
「うん、きっとののが一番素直に成長しているんだから。」
「そーなの?」
「そーなの!」
「てへっ。」
あーあ、また真っ赤になって照れちゃって・・・
ホント、こんな表情はまるで子供。無邪気すぎて、反則なくらいかわいい。
って、言ったら、怒られるから言わないけど・・・
でも、本当にののは奇跡。まるっきり、まんまなのにキャラ立ってて、
意識してないのに、存在感あって・・・
- 265 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/28(火) 11:52
- 私たちはとても大人数のグループだから、どーしても、自分の個性を出すためには、少し無理をする。
素の自分と、なりたい自分と、ファンの人とかが求める自分と、色んなもののギャップの中で、
他のメンバーとの差別化を考えながら、少しずつキャラを作っていく。
ていうか、作られていくのかな・・・
例えば、超童顔の永遠の少女みたいな安倍さんの存在があったから、
飯田さんは、急速に大人の女の人になったんだと思う。本当はかなりの少女趣味なのに。
矢口さんは、もともと元気なのかも知れないけど、小さいと目立たないからって、
益々テンションあげて・・・結構、いつも疲れてる。
ヨッスィーは、きっと私がこんなだから、益々、男前に磨きかけちゃって、
かけすぎちゃって、おっさんみたくなっちゃって・・・
それで、アイボン。入った頃は、この子、本当に小学生ってくらい大人っぽかったのに、
ののが、子供丸出しで、みんなに可愛がられるの見てて、だんだんお子様化していった。
それに、あのルックスだから、本当の意味での国民的アイドルになっちゃって、
もともと、サービス精神旺盛だから、そんな世間の求める「加護亜依」を、
一生懸命、演じ始めた。それも、本当に上手に・・・
だけど、アイボン自身はカッコイイ大人な人に憧れてて、ゴッチンみたいな。
そーなりたいと思ってる。
・・・で、もうじき16歳になる。辛いだろうな、アイボン。
たぶん、ののの百倍辛い。
「ねー、ねー、梨華ちゃん聞いてる?」
「えっ?」
「だからぁー、筋肉。」
「はぁー、何、筋肉って?」
- 266 名前:ののの小さな悩み 投稿日:2003/10/28(火) 12:08
- 「やっぱり、聞いてない。
ダカラネ、筋肉がね必要なの。ののらしい大人になるためには。」
「ふぇ、えーえー、そーなの?」
「うん、絶対に筋肉なの!」
あのー、辻さん、意味わかんないんですけどー。
まあ、でも、それでこそ、ののだよね。
私みたいな、普通の人には絶対に真似できないよ、その発想。
なんか、妙に納得しちゃって。うんうんなんて、頷いちゃって。
やっぱり、そーゆーところも、めちゃくちゃ幼い。
いつも、そのまんまの、ののだから、きっと本当に素直に成長して、
何時か、素敵な大人の女の人になるんだろうけど・・・
やっぱり、まだ、大人にならずに、少しそのままでいなさい。ね。
もう少しの間でいいから、そのまんまの、のので・・・・
ののの小さな悩み おしまい
- 267 名前:トーマ 投稿日:2003/10/28(火) 12:11
- なんか、中途半端にフェードアウトしちゃったみたいで・・・
筆力のなさということで、勘弁してください。
次は、ドラマ共演ということなので、安倍さんを書こうかなと思ってます。
- 268 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/30(木) 09:50
- りかののはなんかスゲー癒される。
また気が向いたらお願いします。
次はなちりかか、なんか最近いい感じになってきましたね。
はたしてどんな話になるのか期待して待ってます。
- 269 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 09:58
-
「なんかさー、初めてだよねぇー、梨華ちゃんと二人ってさぁ。」
「あーあ、そーですよねぇ。」
「なんかさ、不思議だよね。考えてみれば、今までなかったっていうのも不思議だけどさ、
こーして、二人でやるっていうのも、やっぱりさ、なんか変だよね。」
「えっ、変ですかねぇー。」
「だってさ、なんかさ、三年以上もさ、一緒にやってるのにさ、
一番縁がないっていうかさ、一番遠いところにいたみたいなさ。」
何気に、ちょっとショック。だけど言われてみれば、本当にそーだったかも・・・
「それがさ、ナッチがもうじき卒業なんて時になってさ、
二人っきりでさ、結構長く一緒でさ、なんか面白いよね、こーゆーの。」
私たちは今、ドラマのロケで、北海道に来ている。
初めてのNHKのドラマ。クリスマスイブの日の単発。たった一時間の放送なんだけど、
そこはさすがにNHK。台本も早くからもらってたし、本読みなんかもあったりして、
今までの民放のドラマとは、まるで時間のかけ方が違う。
当然、他の仕事も平行しているから、メチャクチャ忙しいけど、
なんだか、ちょっと嬉しい。
それで、今日と明日は、北海道ロケ。
まるまる二日かけて、いくつかのシーンを撮る。
昨日も、遅くまで仕事だったし、今日は朝から何テイクもやって・・・
ほら、私、やっぱり大根だし、安部さんは何時も通り、カミカミだから・・・
で、疲れているはずなんだけど・・・
- 270 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 10:20
- 二人だけで、泊りなんて、本当に初めてだから、
何かそのままホテルで、寝ちゃうっていうのももったいないかなって、思ってたら、
安倍さんが、お菓子とか買って、お部屋でしゃべろうかなんて、誘ってくれて・・・
二人で、コンビニ寄って、何か色んな物・・・ののとかいないんだから、
そんなに無理だって程、飲物とか、お菓子とか買っちゃって、
アハ、やっぱ、こりゃ無理だわなんて言って、スタッフさんに半分以上、差し入れして、
それで、こーして、今、安倍さんの部屋におじゃましている。
「でさー、嬉しいよね、北海道だよ、ロケ。イイベサー、北海道。」
「そーですよね、本当に広々としてるし、空気がイイし。
・・・・・私、北海道って、何かと縁があるんですよね。
カントリーとか、やってたし、タンポポも北海道の人多いし・・・」
「そーだねぇー、娘もそうだけど、ハロプロ自体、多いよね道産子。」
「そーですよね。それでね、面白いんですけどね、タンポポって、歴代、
アイボン以外は、みんな北海道か神奈川なんですよ。」
「へっ、そーなの。あー、アヤッペも北海道、コンノもか。
それであとは、ヤグチ、ガキサン・・・柴ちゃんも神奈川なの?」
「ええ、神奈川も第二勢力なんですけどね、ハロプロの。
それが、みんなタンポポがらみなんですよ。」
「へー、面白いね、それ。つんくさん、わざとやってんのかねぇ。」
- 271 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 10:38
- 「あっ、でも、同じ臭いがするみたいなことは、言ってましたよ。」
「同じ臭い?」
「何か、ちょっと浮世離れしている言うか、外国ぽかったりとか、
関西人の自分には、わからん空気持ってるって・・・」
「えー、浮世離れねぇー、でもそーかもねぇー。」
「特に、北海道組は、総天然で・・・」
「天然ねぇー、悔しいけど、否定できないね、それ。
それに、外国っぽいっていうのも、何かわかるよね。
札幌とか、函館とかさ、ちょっと日本じゃない感じだもんね。」
「そーですよね。それで、横浜とかも。うちの方も米軍基地があったりして・・・」
「そーだね。だから、人間とかも、少し変なの多いんだ。」
「えー、変なのですかぁー。」
「あれー、梨華ちゃん、自分のことマトモだと思ってんの?」
「えー、まあ、安倍さんに比べたら・・・」
「なーに言ってのさ、前、ハロモニで6期の子たちが言ってたべサ、
安倍さんが一番、普通っぽいって。」
- 272 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 10:51
- 「あー、あれはまだ知らないからですよ。実態を・・・」
「梨華ちゃんも、ヨク言うようになったねぇー。」
「はい。鍛えられましたから。」
「そりゃあ、教育係が悪いベサ。・・・圭ちゃんか・・・悪いのに当たったねぇ。」
「はぁー、苦労しました・・なーんて。」
「ダベサ。・・・だけど、ちょっと羨ましいかな。」
「何がですか?」
「教育係。・・・・ナッチさぁー、なんでかさ、一度もないでしょ、そーゆーの。」
「そーですねぇ。」
「何でだろうねぇ。そんなにしっかりしてなさそうに見えるのかねぇ。」
「そーゆーんじゃないですよ。
安倍さんは娘の中心だから、みんなのお手本なんです。
だから、誰か一人っていうわけにはいかないんですよ、きっと。」
「娘の中心ねぇ。そんなふうに思ってくれるのは嬉しいけどね。」
「ほら、それに、みんな自然に、安倍さんに頼ってるじゃないですか。
アイボンやののはもちろんですけど、まこっちゃんや、ガキサンも・・・」
- 273 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 11:12
- 「でも、まこととかって、最近やっと、みたいな感じだけどね。」
「それは、やっぱり、近寄りがたいって言うんですか、そーゆーのあるから・・・
でも、それがやっぱり、卒業ってことになったら、離れがたいっていうか、
このままじゃイヤだみたいな・・・実は私もそーなんですけどね。」
「そんなふうに思ってくれてるんだったら、何か嬉しいかな。
・・・・でも、本当に梨華ちゃんとは縁がなかったよねー。
シャッフルとか、組とかさ、ドラマとかでも・・・
一緒になったのって、一昨年の24時間テレビのドラマぐらいかな。」
「あれは、ほんのちょっとって感じでしたよね。」
「そーそー、今年のミュージカルは、結構からみ多かったよね。
姉妹だったし、あれが初共演って感じかな。」
「あー、ヨッスィーが長女で、ガキサンが末っ子・・・」
「ヨッチャン、初め、なんでアタシが安倍さんや梨華ちゃんより上なんだって、
文句言ってたよねぇー。」
「でも、妙に似合ってて・・」
「で、途中から、しっかりものの長女っていうより、ボケまるだしの長女になっちゃって・・」
「面白かったですよね、アドリブばっかりで。」
「で、カミカミの次女と、滑舌の悪い三女。」
「そーして、しかめっ面の四女。」
- 274 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 11:26
- 「そーそー、変な姉妹だよねぇー。
ヨッチャンがMCで、こんな姉妹だったら、毎日幸せみたいなこと言ってたけど、
きっと、本当だったら、毎日疲れるんだろーねぇー。」
「そーですよね。テンション下げる暇がなくて・・・」
「・・・・・でも、仕事以外でも、不思議なくらい縁がなかったよね。梨華ちゃんと・・」
「あーあ、えーえ。」
「だってさ、例えばさ、梨華ちゃんて、ヤグチと仲いいじゃん。」
「はい。」
「ののとも仲良しだよね。」
「あー、はい。」
「それでさ、ナッチもさ、その二人と仲良しなのにさ。
・・・・もしかして、梨華ちゃんって、ナッチのこと避けてた?」
「はーあー、それを言うなら、安倍さんの方でしょう。
矢口さんがよく言ってますよ。アイツ付き合い悪いって。」
「あー、ナッチ、打ち上げとかあんまり行かないからねぇ。
最近は、頑張って付き合ってるんだけどね・・・・
- 275 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 11:44
- ていうか、カオリともよく話すんだけどさ、アタシタチって、集団生活むいてないって・・・
気持ちのオフの時間をたくさん取らなきゃダメなんだよね。」
「気持ちのオフ、ですか。」
「そー、気持ちのオフの時間。仕事とかさ、みんなと一緒にいる時とかってさ、
ほら、スイッチ入れてね、さー、頑張ろうって、テンション上げて、
でね、そのままだと、バッテリー上がっちゃうから、終わったらオフにして、
一人の時間作ったり、仕事と関係ない人と過ごしたり・・・
そーしてないと、もたないところあってさ・・・・」
「・・・・」
「でもさ、梨華ちゃんって、やっぱり、ナッチのこと敬遠してるベサ。」
「そんなことないですよ。」
「ほら、そーやって、いつまでも敬語だし、安倍さんって呼ぶしさ。」
「あー、だつて、年上だし、すごい先輩だから、尊敬してるんですよ。」
「そー言ってもらうのは嬉しいんだけど、てか、スゴイっていうのは微妙だけど、
やっぱり、少し他人行儀だよね。
せめて、呼び方くらい、なんとかならないかなぁ。」
- 276 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 12:01
- 「えー、ののにも言われたし、頑張ろうかなとは思うんですけど・・・」
「桜島に向かって、叫んでるだけじゃダメだべサ。」
「あは、あれでも結構、勇気いることだったんですよ。」
「まあ、そーゆーところが、梨華ちゃんらしいけど、
ナッチとしては、やっぱり、ナッチって呼んで欲しいかな。
だって、梨華ちゃん、カオタンとか、マリッペとか言えるようになったじゃん。」
「それは、ふざけてる時だけですよ。それに、何かあだ名みたいなものだし・・・
あーあ、安倍さんもあだ名みたいなのが、あればいいんですけど・・・」
「あだ名?」
「ほら、飯田さんは、カオリとは呼べないけど、カオタンならどーにかなるし、
保田さんは、圭ちゃんは無理でも、オバちゃんとか、ケメちゃんならみたいな・・・」
「あー、そーゆーのか、って、ナッチって、もともとあだ名みたいなものダベサ。」
「だつて、私が娘に入る前から、安倍さんつて世間的にナッチだったじゃないですか。」
「はぁー?」
「ほら、例えば、ゴッチンなら、ゴマキだつたから、ゴッチンって言えたけど。」
「結構、長いこと、後藤さんだったけどね・・。」
「はい、あれも、結構努力が必要でした。」
- 277 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 12:09
- 「本当に、堅い子だよねぇ。
でも、梨華ちゃんが、安倍さんとか言ってる間は、
下の子に、梨華ちゃんなんて、呼ばせられないよ。」
「そーなんですよねぇー。
・・・・・じゃあ、ナッチサンとか・・・」
「何それー。」
「あー、結構、呼びやすいかも・・・これでいきます。これ。ナッチサン・・・」
「まあ、かなり変だけど、安倍さんよりは進歩かな。」
- 278 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 12:58
- 「でも、本当に、頑張ってよね、梨華ちゃん、これから・・・
ナッチ、もうじき卒業しちゃうんだから・・・」
「あーあ、そーなんですよねぇー。
でも、まだ信じられないところあって・・・
安倍さんと飯田さんだけは、ずーっと娘にいると思ってたんで・・・」
「何よそれ。」
「何か、私とかいなくなっても、二人はずっといるみたいに、勝手に思い込んでて。
二人がいれば、モーニング娘。みたいな・・・」
「まあ、最初からいるからね。
でも、こういうのは、やっぱり順番なんだよ。」
「あのー、やっぱり、あ、ナッチサンもソロになりたいんですよね。」
「そーだねぇ、ソロでやりたくて、この世界はいったからねぇ。
でも、娘は好きだよ。本当に・・・
正直言うとさ、裕ちゃんが卒業する前くらいまではさ、
ずーっと、早くソロになりたい、ソロになりたいって思ってたの。
早く娘から開放されたいって・・・」
「・・・・そーなんですかぁ。」
やっぱり・・・・
- 279 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 13:19
- 「でもね、ここんとこにきて、だんだん、ナッチ、娘が好きなんだなぁーって、思えてきたのさ。
みんなと一緒にさ、歌ったり、踊ったりして、一つのものを作り上げてくってさ、
何か、すごく楽しいなって・・・
ほら、ナッチはさ、子供の頃に苛められたことあって、
なんとなく、やっぱりトラウマだったりして、集団って苦手だったりしたからさ、
それで、どこか心閉ざしてたりしてさ、
それに、例えば、ゴッツアンが入った時とかさ、苛めてるとか思われたり、
本当に笑ってたりするのにさ、あの笑顔は作ってるみたいに言われたりさ、
そーゆーのが、すごく嫌でさ、グループって面倒くさいっていうか・・・ね。
でも、やっとわかってきたのさ、みんなでやることの意味がね。
いつの間にか、家族みたいな信頼関係が生まれていたり、
もちろん、競争みたいなものはあるけど、助け合いみたいなものがあったり、
イイ緊張感の中でさ、みんな、それぞれ頑張ってるみたいな・・・
上手く言えないんだけど、本当のモーニング娘の良さがね、少しずつわかってきたの。
ほら、ナッチ、鈍いからさ、わかるまで、ずいぶん時間かかったけど・・・
やっと、娘でいる意味がさ、娘でいた意味がさ、理解できたんだよね。
・・・だから、卒業してもいいのかなって・・・・」
「だから、卒業したくない、じゃなくてですか。」
「そー、だから、卒業してもいいんだってね。
学校とかと同じかな。娘の過程を終了したっていうか、やっと合格したのかな。」
- 280 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 13:38
- 「・・・・でも、あ・ナッチサンがいない娘って・・・・何か・・・困るんです、私。」
「なーに、言ってんのさぁー、この子は。
梨華ちゃんが、そんなこと言っちゃダメだべさ、しっかりしなきゃ。
もう、みんなを引っ張っていく立場なんだよ。」
「・・・でも、私なんて、とても安倍さんの代わりになんてなれませんよ。」
「・・・そんなの当たり前だべさ。
梨華ちゃんが、ナッチの代わりになんか、なれるわけないよ。」
そんなこと、百も承知だけど、そんなはっきり言わなくても・・・
「でもね、梨華ちゃんの代わりにだって、誰もなれないんだよ。」
「はっ?」
「だからぁー、アスカの代わりにも誰もなれなかったし、アヤッペの代わりにも、
サヤカの代わりにも、裕ちゃんも、ゴッツアンも、圭ちゃんも・・・
誰もその人の代わりにはなれないの。歌のパートは代われてもね。
もちろん、ナッチや、梨華ちゃんや、他の子も、入りたての6期の子でも、
誰もその子の代わりにはなれないの。みんな、それぞれ違うんだよ。
みーんな、それぞれが、モーニング娘の顔なんだよ。」
「安倍さん・・・」
「だからね、ナッチがいなくなっても、娘は娘なの。
ちょっと、童顔が一つなくなっただけでさ。
そのうち、カオリや、ヤグチや、もしかして、梨華ちゃんだって、卒業するんだろうけど、
それでも、娘は娘なんだよ。少し顔が変わるだけで。」
- 281 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 13:59
- 「それでね、卒業した人だって、ほら、よく、何々大卒みたいなのあるじゃない、
あれみたいにね、娘だったっていうことは、これからもずーっと変わらないの。
もし、娘自体がね、なくなっちゃったりしてもね。
それだけさ、みんなで一緒にやってきたって言うのはさ、すごいことなんだよ。
それぞれ、歳が違ったり、年数が違ったりするけどさ、
青春のさ、一番イイ時期をさ、同じ目標に向かってさ、一緒に過ごしてさ、
なんかさ、半端じゃなくすごいことなんだよ、きっと。」
「安倍さん、あ、ナッチサン・・・・うふふ。」
「なーに、笑ってるのさー。少し、熱かったけど・・・そんな、おかしこと言った?」
「おかしくて笑ったんじゃないですよ。嬉しいんです。とっても。
なんか、ナッチサンとこーして話ができて。
とっても、大事なこと教えてもらえて。やっぱり、偉大な先輩だなぁーって。」
「そんなふうに、ストレートに誉められたら、照れるべさ。」
って、お日様みたいに笑う安倍さん。
この笑顔で、ずーっと、娘を引っ張ってきたんだなぁ・・・・
なんだけどー
「あのー、それで、さっきから気になってることがあるんですけどぉー、
言っていいですかねぇ。」
「うん、何でも言って。」
「あのー、口の横の所にポテチのかすがついてるんですけどぉー。」
「
- 282 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 14:09
- 「えーえ、どこどこ。」
「ほら、そこ。」
「ひどー、早く言ってよ。恥ずかしいなぁー。」
「まあ、見ている人いませんし、熱いお話の最中だったんで・・・」
「また、子供みたいだって思ってるでしょ。」
「はい、少し。」
「なんだかんだ言って、梨華ちゃんって意地悪だよね。」
「そーですかー。」
「だべさー。」
なんて、少しふてくされてみて、その後、はじけるように笑って、
本当にまるで子供みたい。
さっきまでの落ち着いた笑顔とは違う、無邪気な笑い声。
このギャップもまた、この人の魅力の一つなんだろうな。
「じゃあ、そろそろさ、こんな時間だから、明日も早いし・・・」
「はい。」
って、散らかした物を片付ける。
- 283 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 14:25
- 「あっ、それから、こんな機会あんまりないだろうから、一つだけ、言わせてもらっていいかな。」
「あーあ、はい。」
「梨華ちゃんって、私なんかって、よく言うでしょ。
あれ、よくないよ。」
「あーあ、でも、やっぱり、私、何にも上手にできないし・・・」
「そんなことないべさ。梨華ちゃんには、梨華ちゃんしかできないことたくさんあるし、
ナッチが持ってないものたくさん持ってるし。」
「そーですかねぇー。」
「私なんかっていうのは、一つの逃げだからね。」
「あーはい。」
「例えばさ、演技とかヘタだって思っているでしょ。」
「あーあ、でも、実際・・・」
「確かに、ちょっとボー読みみたいになったりするけど、
でも、ナッチにはとても出来ないような表情とか、簡単に作ったりできるじゃない。
梨華ちゃんは、いいものいっぱい持ってるんだから、もっと自信を持って、ね。」
- 284 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 14:37
- 「・・・・ありがとうございます。
・・・・あの、怒んないで下さいね。
私、どっかで、安倍さんは絶対に、私のことなんて認めてくれないって思ってて。」
「もー、ナッチだって、そんなに人間悪くないよ。
ちゃんと、見るところは見てるし、ちゃんと認めてるって。」
「だったら、嬉しいんですけど。」
「そー、だから、もう、私なんてって、言っちゃダメだよ。」
「ハイ!」
「じゃ、明日も頑張ろうね!」
娘に入って初めて、安倍なつみという人に触れた気がした。
初めて、こんなにちゃんと安倍さんと向き合えた。
私は、改めて、この仕事を、この時期に入れてくれたことに感謝したいと思った。
- 285 名前:最後の贈り物 投稿日:2003/10/30(木) 14:48
- これから、娘も、私も、安部さんもどんなふうに、変わっていくかはわからないけど、
でも、この三年と数ヶ月の間、確かに、私たちは一緒に、娘として過ごした。
そんな、当たり前のようなことを、初めて実感できたように思う。
安倍さんのいたモーニング娘に、
私もいたことに、誇りを持とうと思う。
安倍さんの卒業してしまう、モーニング娘に、
私がいることを、真剣に受け止めようと思う。
それで、残りわずかとなった、一緒に娘でいられる時間の中で、
本当の意味での仲間になっていこうと思う。
それぞれの道を歩き出しても、
どこかで、繋がっていられるように・・・・・・
最後の贈り物 終わり
- 286 名前:オーロラ 投稿日:2003/10/31(金) 13:24
-
「行くよ!梨華ちゃん!」
珍しく、早く終わった、ダンスレッスン。
新曲のTV出演も、大体済ませて、今は、分割コンに向けての、フォーメーション確認や、
パートの割り振りの時期。本来だったら、遅くまで掛かるんだろうけど、
今日は、先生の都合で、早めに終わるとは聞いていたけど・・・
レッスン場のシャワー室で、軽く汗を流して、帰り支度をしていたら、
いきなり美貴ちゃんに、腕を取られた。
「えっ、どこに?」
「だからぁ、急いで。間に合わないって!」
この人は、いつも私の質問にまともに答えない。
引かれた腕を、引き返して・・・
「あのー、藤本さん、何かお約束でもしてましたっけ?」
「何、梨華ちゃん、今日、デートでもあるの?」
「別にないけど。」
「じゃあ、問題なし。ほら、急ごう。」
問題なしって・・・・
ここは、抵抗の余地なさそうだから、取り合えず、バックを持ってと・・・
あら、あら、藤本さん。なんだかすごい荷物じゃなぁい。
- 287 名前:オーロラ 投稿日:2003/10/31(金) 13:35
- 「まあ、しょうがないから付き合うけどぉ、
ねぇ、行き先ぐらいは教えてよ・・・」
「いいから、ほら!」
って、タクシーを止めて、中に押し込まれる。
「羽田!」
って、運転手さんに、さっさと指示して。
ええー、羽田?
「美貴ちゃん・・・あのー、羽田って、まさか空港?」
「当たり前じゃない。わざわざ羽田に、ご飯とか行かないでしょ。」
「はー、そりゃそーだって、アナタねぇー、
もしかして、これから飛行機乗ったりするの?」
「決まってるじゃん。まだ、何便かあるはずだから。」
「あのー、一応、聞いてもいいかなぁ。どこ行くの?」
「北海道。」
「えーっ、・・・私たち明日も仕事だよねぇ。」
「知ってる。でも昼入じゃん。」
「確かに、そーだけど・・・って、本気?」
- 288 名前:オーロラ 投稿日:2003/10/31(金) 13:49
- 「ちゃんと調べてあるから、大丈夫。遅れないから。美貴にまかせなさいって!」
「って、・・・ちょっと待ってね。美貴ちゃんがこれから北海道に行く為に、
羽田に行くのよねぇー。それはわかった。
で、私は、それをわざわざ、お見送りに行くの?」
「なーに、寝ぼけたこと言ってんの。梨華ちゃんも一緒に行くのに決まってんじゃん。」
「ふぇ・・・決まってるの?」
「5時ごろの便に乗れば、間に合うと思うから。」
「ごめん、もう一つ聞いていい。何しに行くの?」
「オーロラ。」
「えっ?」
「オーロラが見えるかもしれないって、今朝、TVで言ってた。」
「オーロラって、あの南極とかで見えるやつ?」
「そー、そのオーロラ。」
「それが、何で北海道で見れるの?」
「・・・・難しいことは、よくわからないけど、太陽がどーにかして、
電磁波がどーにかして、・・・とにかく、チャンスなんだってっばぁー。」
- 289 名前:从‘ 。‘从 投稿日:从‘ 。‘从
- 从‘ 。‘从
- 290 名前:オーロラ 投稿日:2003/10/31(金) 14:00
- 「チャンスねぇー。
で、どーして私が行くわけ?」
「見たくないの?」
「うーん、あれ、安倍さんが一度見てみたいって、言ってたやつよねぇ。
うーん、見てみたいかな、見たことないし。」
「じゃあ、問題なし!」
「あー、問題ないないわけねって、大有りじゃん。
結構、大変なことだよね。ちょっとした旅行だし、
それに、何にも相談してくれてないよねぇ、私に。」
「じゃ、ダメ?」
「・・・ダメじゃないけど、ちょっと強引すぎない?」
「だって、私、強引なんだもの。」
「はーぁー、で、私が行かないって言ったら、どーするの?」
「えっ、行かないの?」
「だからー、そー言ったら、どーするの?」
「梨華ちゃんが行かないんだったら・・・美貴もやめる。」
- 291 名前:オーロラ 投稿日:2003/10/31(金) 14:12
- 「えー、どーしてぇ、見たいんでしょう。」
「梨華ちゃんと一緒に見たいの。」
「何それー。」
「で、行かないの?」
「美貴ちゃん、・・・・見たい?」
「うん。」
「・・・・じゃあ、付き合うよ。」
「そーこなくっちゃ。やっぱり梨華ちゃんは付き合いいいよね。」
「うん、よく言われる。
で、本当に仕事とか大丈夫だよね。」
「大丈夫だって。台風も来てないし、明日の飛行機は飛ぶから。
帰りの便はちゃんと予約してあるし・・・やっぱり私って計画性あるよね。」
「って、もー、最初から行くって決めてんじゃん。ちゃっかりと・・・」
「美貴は人を見る目あるからね。
梨華ちゃんは、断れない人だし・・・それになんだかんだ言って、
どーにかなんじゃん。とか思ってるよね、結構。」
「はぁー、そっかなぁー。」
「そーだって。」
- 292 名前:オーロラ 投稿日:2003/10/31(金) 14:25
- 「で、オーロラって、本当に見えるの?」
「50%くらいんな。」
「半分かぁー。」
「見れなかったら、見れなかったで、美味しいものご馳走するから。」
「はーあ。」
こんな強引なことをする方も、する方。
でも、なんだかんだ言って、付き合ってる私もどーかしている。
で、空港に着いて・・・
「梨華ちゃん、下着とか持ってきてないよねぇ。」
「うん、さっき着替えたけど・・・」
「メイク道具とかは持ってるよね。
防寒着は美貴が用意したし・・・」
「って、その荷物?」
「うん。ちゃんと2着持ってきた。やっぱり夜は冷えると思うから。」
「用意のイイことで。」
「じゃ、チケットとってくるから・・・」
「あー、私も。」
「奢るって。美貴が強引に連れてきたんだし・・」
- 293 名前:オーロラ 投稿日:2003/10/31(金) 14:39
- 「・・・それはヤダなぁ。自分のは自分で出すから。」
「って、梨華ちゃん、あんまりお金、持ち歩かないじゃない。」
「カードぐらいあるもん。」
「そーおー、でも、ここは美貴が出すよ。
ツアーの費用は、主催者負担ってことで・・・」
「これ、ツアーなの?」
「そー、梨華と美貴で行く秋のオーロラツアー。」
「はぁー、じゃあ、帰りの分は、私に出させてね。」
「えっ?」
「美貴と梨華で行くお仕事復帰ツアー。」
「はーっ、まっいいか。とにかく買ってくる。
その間に、必要な物があったら、用意しておいて。次の便に乗れそうだから、
急いでね。うーん、15分後。ここ。」
って、せかされて。取り合えず、ランジェリーショップで、下着とストッキング・・・
あっ、それから・・・
16分後にさっきの所に戻ったら、
「おそーい!」
このせっかち。とても安倍さんやコンノと同郷の人とは思えないよね。
- 294 名前:オーロラ 投稿日:2003/10/31(金) 14:52
- 「で、何そのでっかい袋。」
「あー、これ。かわいいの見つけたから。」
「えー、スノーブーツ。まだ、雪なんてないよ。いくら北海道でも。」
「そーなの?」
「まあ、履けば温かいから、別にいいけど。
この前、札幌とか行ってなかったっけ。梨華ちゃん。」
「うん、この前行った。」
「雪とかあった?」
「ううん、あったかで、冬の格好してたから、汗かいた。」
「だよねぇ。それから、今日までに、季節ってそんなに進むんだ。」
「ふぇー、苛めないでよ。」
「まあ、いいやって、美貴の分もあるの?」
「うん。ほら、色違いで、オソロ。」
「ばっかだね、本当に。でも、ありがたくちょうだいしとこかな。
初めてのプレゼントだし・・・」
「えーっ、この前の誕生日に、ネックレスあげたじゃん。」
「そーだっけ?」
- 295 名前:オーロラ 投稿日:2003/10/31(金) 15:06
- 「そーだよー、あー、趣味悪いとか言って、捨てちゃった?」
「・・・・捨ててないけど、使ってない。」
「あー、やっぱり・・・」
「ほら、へこまない。・・・とにかく、次の便取れたから、行くよ。」
5時ちょうどの飛行機に乗って、千歳空港に着いたのは6時半。
その間、何度か、指差されたり、囁かれたりとかしたけど、
これといったトラブルもなく・・・
空港の前でタクシーを拾う。
「ねぇ、運転手さん、オーロラ見たいんだけど、どこ行けばいい?」
って、美貴ちゃん、アナタの計画性って・・・
「へーっ、お姉ちゃんたち、オーロラ見にきたんかい。」
「そー、わざわざ、東京から来たの。で、どこで見れる?」
「うーん、天文台とかがいいんだろうけど、ずいぶん遠いよ。」
「どのくらいかかんの?」
「そーだねぇー、3時間はかかるべさ。」
「3時間かぁ、じゃあ、すごく見晴らしのいい所。1時間ぐらいで行ける所。」
- 296 名前:オーロラ 投稿日:2003/10/31(金) 15:20
- 「見れるかどうかわかんないけど、いいのかい。」
「うん、どーせ確率は半分くらいなんだから。空が大きく見える所。」
「わかったよ。オッちゃんにまかせとけ。
で、お姉ちゃんたち、どっかで見たことあるような・・・」
「あっ、それ、気のせいだから。
よく、色んな人に間違えられるよね、私たち。かわいいから、ね。」
「うん、そーそ、よく芸能人とかに間違えられるね。」
「そーかい、でも、声も聞いたことあるような・・・」
「本当、気のせいだから、とにかく急いで。」
「あいよ。」
しーって、美貴ちゃんに口抑えられて、それから私たちは無言で車に揺られた。
どこまでも、何にもないような、真っ暗な道を、たぶん北に向かって、真直ぐに・・・
美貴ちゃんはいつの間にか寝ていた。
私は、ついさっきまで、東京の雑踏の中にいたと思うと、夢の中みたいだなんて、
思いながら、いつの間にか、本当の夢の中にいた。
- 297 名前:@ 投稿日:2003/10/31(金) 18:46
- りかみきだ!!しかもなんかロマンチックでいいです。
続き楽しみにしてます。
- 298 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/01(土) 22:45
- 作者が石川好きなのが読んでて丸分かりで、ちょっと興醒め。
あんまりモテモテ過ぎるとうざいっすよ。ってゆーか飽きた。他にパターンないの?
- 299 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/01(土) 22:52
- 最近>>298のような横柄なレスを書く人間が増えたけど、寂しいですね…
いくら2ch系列とはいえ、もうちょっと人がその言葉にどんなショックを
受けるか考えてレスを書くと、みんなもうちょっと幸せな気持ちになれるのに…
作者さん、毎回楽しみにしてますんで頑張って下さいm(_)m
- 300 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/02(日) 00:14
- >>109
今日読んだので遅レスですが・・・・
同じく正反対で仲良くならないタイプなのに不思議な2人って所から自分の中ではガチです
子供のような母親(石川)と大人の外見を持つ子供(後藤)ってイメージを持っていたのですが
作者さんと似てるのかな?続きを楽しみにしてます
- 301 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/02(日) 00:16
- 要するに自分の推しメンがよく書かれてなくて不満なだけでしょ
吉澤とか後藤なんて他の小説ではもてまくってるし、石川がもてる話があったっていいじゃん
>>298って今まで不満レス書いてたのと同一人物だと思うけど
いい加減読まなきゃいいのに、うざすぎですよ。
作者さん、私は楽しく読んでます。いつも更新楽しみにしてますよ。
- 302 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/02(日) 02:02
- 自分は石川好きなので作者さんの作品好きっす!
続きも、そして次の作品も楽しみにしてます!
作者さんが>>1で石川さん中心になるって書いるじゃん・・・
嫌なら読むな、これにつきる
- 303 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/02(日) 04:41
- ボクもいやなら読まなきゃいいと思う。
こんだけ小説があってみんな推しメンがいるのはあたりまえだし。
たぶん>>298さんはトーマさんの小説がスバラシイのに
自分の推しメンがあんまりなんで不満なんだと思うけど。
お願いしてもいいけど嫌なら読まなきゃいいだけですよね。
- 304 名前:ハルカ 投稿日:2003/11/02(日) 19:18
- 今日、初めて読んだんですが、すっごいいいと思いますよ。
今日まで、石川さんが主人公のものとか読まなかったんですよ。
食わず嫌いっていうか。でも、この作品読んだら、そういうのがなくなった
っていうか。
すっごいいい作品ですよ?
推しメンが違うのは当たり前のことですし。作者さんが一生懸命書いてるんですから。
不満があるなら、一度自分で書いてみたらどうです?作者さんの苦労がわかるはずですよ?
作者さま、ぐだぐだ申し訳ありませんでした。
あんまりいい作品だったものですから。
これからも頑張ってください。私は読み続けますので。
- 305 名前:sai 投稿日:2003/11/02(日) 21:31
- >>298
他人の作品で満足できないならば自分で書くべきだと思いますよw
- 306 名前:オーロラ 投稿日:2003/11/02(日) 22:12
-
「この辺でどうダベサ。」
って、人のよさそうな運転手さんの声で目を覚ます。
「ここ、降りた所の左手に小さな丘があるから、登ってみるといいべさ。」
「うん、いい感じかな。
ほら、行くよ!
運転手さん、荷物預けとくから、ここで待っててね。
こんな所で、置いてけぼりされたら、私たち死んじゃうからね。」
「わかってるって。で、どのくらいかな?」
「そーだなぁ、一時間、一時間して見れなかったら、あきらめて帰るから・・・」
「はいよ。じゃ、見れるといいね。お二人さん。」
「うん、祈ってて!」
私たちは、美貴ちゃんの用意した防寒用のコートと、私の買ったスノーブーツを履いて、車を降りた。
美貴ちゃんは、真直ぐに丘の上の方に、私の手を引く。
そこは、もう何にもない、短い草が生えているだけのなだらかな丘で、
街灯なんて何にもないのに、星明りなのかな、思ったより暗くない。
- 307 名前:オーロラ 投稿日:2003/11/02(日) 22:27
- 丘の頂上付近に辿り着くと、美貴ちゃんは、一通り夜空の星を眺め回して・・・
うわっ、すごい星の数・・・
「うーん、あっちの方かな。」
って、指をさす。
「オーロラが出るとしたら、北の空だから、あっ少し白いよね。」
「すごいね、美貴ちゃん!こんな暗いのに方向とかわかっちゃうんだ。」
「当たり前でしょ。安倍さんじゃあるまいし。私、強いんだからね、こーゆーの。
だてに、田舎で育ったわけじゃないんだから。星の位置みりゃ、見当つくよ。」
「すっごいねぇ、尊敬しちゃう。」
「うん、して、して。」
「うん、する、する。」
そのまま、二人で、美貴ちゃんの示した空を並んで見つめる。
確かに、少し白んでるような・・・・
「ねえ、美貴ちゃん、何か不思議だよね。こーしているの。」
「そーだね。」
「こんな何にもない、空と大地だけみたいな所で・・・」
「うん。・・・・怖い?梨華ちゃん。」
「それがね、怖くないんだよ、全然。」
「なら、良かった。」
- 308 名前:オーロラ 投稿日:2003/11/02(日) 22:37
- 「でも・・・不思議だよね。美貴ちゃんとこうしているって。」
「そーおー。」
「なんかさ、美貴ちゃんって、もっと現実的って言うか・・・」
「あーあ、ロマンチストじゃないってこと?」
「うん、勝手にそー思っていたから。」
「そーね。そーかもね。」
「こーゆーこと平気でしちゃいそうな人って・・・・」
「・・・・ゴッチンかぁ。」
「うん、ゴッチンならやりそう。ただ、明日の予定とか全然考えなしにね。」
「梨華ちゃんって、そーゆーのに弱いでしょ。」
「えっ?」
「ゴッチンのそーゆーところが、好きなんでしょ。」
「あーあ。」
「だから、だから、対抗してみたの。」
「えっ?」
「この前、ゴッチンに言われたんだぁー。一年、遅いんだよって。」
「・・・・・・・」
- 309 名前:オーロラ 投稿日:2003/11/02(日) 22:57
- 「最近、私が気をきかせているからって、ゴッチン、ちょっと調子に乗っているから、
頑張って、対抗してみたの。
一年遅い分、取り返さなくっちゃってね。」
「・・・・・・」
「で、今日、もしオーロラが見えたら、ちょっと本気で頑張ろうかなってね。
で、見れなかったら・・・・」
って、握った手が、少し強くなる。
私は、彼女の表情を伺おうと、顔を向けたけど、真直ぐに北の空を見つめるその顔は、
暗さで、そのきれい輪郭を確認できるだけ・・・
・・・私、今、オーロラ、見たいんだろうか。見られないままの方がいいと思ってるんだろうか。
・・・思考は停滞して、同じところをグルグル回る。
その時
それは、確かにオーロラだつた。
TVとかで、見たのよりは、ずーと小さく、儚げだつたけど・・・
それは、確かにオーロラだった。
北の空の、地平線間際に、赤く光る雲のようなものが、少し揺れて、湧き出てる。
その光で、地平線が丸みを帯びているのがわかる。
赤い、赤い光のうす雲・・・・
- 310 名前:オーロラ 投稿日:2003/11/02(日) 23:12
- 「うわっ、あれ!」
「うん、あれ。」
そのまま、私たちは、じっとその宇宙の不思議に見入っていた。
どのくらいの時間だったんだろう。・・・たぶん、ほんの一、二分。
でも、その間、世界は止まっていた。
驚くほど、静かな、宇宙の神秘の中で、
現実を感じさせるのは、この繋いだ手のぬくもりだけ・・・
その、少し脈打つ、手のひらだけ残して、
世界は確かに、止まっていた・・・・
そして、すーっと白い余韻を残して、またもとの空にもどる。
「うわっー、見た、見たよね、今。」
「うん、見たよね、オーロラ。」
って、私たちは、自然に抱き合って、ピョンピョン跳ねて・・・まるで、子供みたいに。
「本当に、見たよね、今。」
「本当に、見ちゃったねぇー。」
「・・・・あっ、写真撮るの忘れてた。うわーっ、せっかく写真つき携帯なのにぃー。」
「あー、・・・でも、いいんじゃなぁい。ちゃんと瞳の奥に焼き付けたから。」
- 311 名前:オーロラ 投稿日:2003/11/02(日) 23:25
- 「そーだね、へたに写真撮って、みんなとかに見せちゃうより、
二人の頭の中だけって方が、よりロマンチックだもんね。」
「ロマンチックねぇ、そーだね。でも、美貴ちゃんの口から、その言葉って、
やっぱり違和感あるよね。」
「もー、人をなんだと思ってんのよ。
このツアー、企画してやったの、誰だと思ってんのさぁ。」
「あっ、そーだよね。ごめん。
すーごく、よかったよ。感動しちゃったぁ。
何かさぁ、あの時、世界が止まっているみたいな、地球上に他に誰もいないみたいな・・・
ありがとう、美貴ちゃん。
私、一人だったら、こんなこと思いつかないし、
思いついても、絶対、実行できないもの。
本当に、ありがとう。連れてきてくれて・・・」
「そーだよ、感謝してよね。」
「うん、する、する。」
「で、感謝のついでに、ご褒美・・・」
私の顎に、手をあてて、そのまま、顔を近づけて・・・
静かに重なる唇。
少し、冷たい・・・
- 312 名前:オーロラ 投稿日:2003/11/02(日) 23:43
- 自然な動作・・・拒絶しない私・・・
一度、離れた唇が、今度はもう少し深く重なって・・・・
風の音が、わずかに聞こえる・・
空一面に、広がった降るような星の下で・・・
また、時が止まった。
少し、私より小柄な彼女は、そのまま私の肩に、頭を預けて、
「本気だから。」
「美貴ちゃん。」
「でも、安心して。誰かさんみたいに、自分だけのものにしようなんて思わないから。」
「美貴ちゃん・・・」
「梨華ちゃんの中に、別の人がいるのは知ってる。
美貴の方が遅いんだから・・・それをどーとかは言わない。」
「でも、私・・・・」
いつの間にか、涙がこぼれていた。
「泣かないでよ。そんなふうに泣かれたら、後悔しちゃうじゃない。
嫌だったら、謝るから・・・」
「ごめん、美貴ちゃん・・・そーじゃないの。
嫌じゃないから・・・嫌じゃないから、自分が嫌なの。」
- 313 名前:オーロラ 投稿日:2003/11/03(月) 00:00
- 私は、ゴッチンが好き。
だけど、この人も・・・・好き。
それに、この人の気持ち気付いてて、気付かないふりしてて、
こんな所まで、のこのこ付いて来て、優柔不断にも程がある。
「梨華ちゃん、そんなふうに、自分を責めないでよ。
こんなの、どーってことないでしょ。
ちょっと、友情の進んだもの・・・
美貴は、保田さんみたいに、梨華ちゃんのお姉さんなんてなれないし、
辻ちゃんみたいに、妹にもなれない。
だけど、ちょっとだけ、特別になりたいの・・・」
「美貴ちゃん・・・」
「それに、私たち、どっち道、世間の常識からは、離れた所で生きてるんだから、
変な道徳感とか、持たなくていいんじゃない。
どーしたって、結果なんて出ない、関係なんだし・・・
でもね、でも、心に思うことは、誰にも止めることはできないの。
美貴は、梨華ちゃんが好き。
で、梨華ちゃんだって、美貴が・・・」
私は、小さく頷いた。
やっぱり、この人が好きだと思った。
- 314 名前:オーロラ 投稿日:2003/11/03(月) 00:15
- 好きの種類は、いく通りあるんだろう。
好きの大きさは、どうやって、比べるんだろう。
私の好きは、どうやって、伝えればいいんだろう。
「でも、梨華ちゃんが、どーしても、ゴッチンに悪いと思うなら、
夢の中ってことにしちゃえばいいよ。
ほら、ここ、現実なんて思えないじゃない。
ウソみたいでしょ、ほら。」
って、美貴ちゃんは、空を仰ぎ見る。
そこには、さっきより、また多くなったような、星屑の世界。
「わかった。今のは、夢の中のことだよね。
・・・・だから、今度は・・・・」
私の方から、唇を重ねる。
不器用なキス。不器用な表現。
私の好きも、こうして伝える。
たとえ、それがいけないことでも・・・・
そのまま、額と額を合わせて・・・・
「・・・・・行こっか。」
もう一度、北の空を見やって・・・
ゆっくりと、丘を下る。
「いつか、もっと大きなオーロラ、見に行こうね。」
「うん、いつか、きっと・・・」
- 315 名前:オーロラ 投稿日:2003/11/03(月) 00:34
- 車に戻ると、美貴ちゃんは、
「滝川に行って。」
と、運転手さんに告げる。
夜の道を、走り出す車。
「もしもし、美貴だけど、これから、帰るから。
うん、急に来たの。
あっ、それからね大切な友達、連れて行くから、イイの用意しといて。」
って、携帯をかける、美貴ちゃん。って、もしかして・・・
「美貴ちゃんのおうちに行くの?」
「うん、空港のそばで、ホテルとろうと思ってたんだけど、
梨華ちゃんといたら、家もいいかなって気分になったの。」
「ご迷惑じゃないの、こんな時間だし・・・」
「ううん、すっごく喜んでるよ。特に友達連れてくって行ったらね。」
「なら、いいけど・・・」
「・・・あのね、本当のこと言うと、私、自分チ、嫌いだったの。
町も、家族も・・・すごく田舎だし、ダサいし・・・
でも、それって、自分のこと嫌いってことなんだよね。
梨華ちゃんといたらね、そーゆーの違うかなって、思えてきた。
本当に、自分を愛する為には、自分の周りも愛さなくちゃいけないんだって、
そういうことが、わかってきたんだよね。」
「・・・・」
「それに、とっても美味しいんだよ、うちのお肉。」
「ホント、楽しみー!」
- 316 名前:オーロラ 投稿日:2003/11/03(月) 00:47
- いつの間にか、私の肩に頭を預けて、寝息をたてる、美貴ちゃん。
私も、その頭に、自分の頭を重ねて・・・目を閉じる。
まぶたの裏に映る、赤い雲。
いつか、もう少し、大人になって、
いつか、もう少し、時間が取れるようになったら、
きっと、見に行こう、空一面のオーロラ。
その時、この人が、私の隣にいるかどうかは、わからないけど、
きっと、思い出すだろう。今日の日のこと。
北の地平線に、小さく湧き出た、赤い雲。
その時、確かに、世界は止まって、
この地球上には、私とこの人、二人だけしか、いなかったことを。
繋がれた手のぬくもりと一緒に・・・・
オーロラ 終わり
- 317 名前:トーマ 投稿日:2003/11/03(月) 00:50
- やっぱり、ラブシーン、苦手だなぁ。
へたくそで、すいませんでした。
次は、ぐーんと軽いの行きます。
お嫌じゃなければ、お付き合いください。
- 318 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/03(月) 01:23
- なんかジ〜ンとしちゃいました。
作者さんが書かれる話はどれもいいですね。
次回も楽しみに待っています。
- 319 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/03(月) 01:57
- 泣けました。
石川さんも藤本さんもステキです。
ぐーんと軽いの楽しみにしています。
- 320 名前:@ 投稿日:2003/11/03(月) 15:14
- 綺麗な話ですね。素敵です。
トーマさんのりかみきってなんか惹かれなす。
ミキティが梨華ちゃんの魅力に惹かれていく過程が
ものすごくイイです。りかみきになりきらないとこが
また引きつけられるんでしょうね。
次回作も楽しみです。
- 321 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 10:58
-
「もー、だから何なんですかぁー。」
オイラは、歌番組の収録上がりの、イタメシ屋で、
梨華ちゃんと、圭ちゃんの来るのを待っている。
「絶対、面白くないっつーの!」
「だからぁー、何でですかぁー。」
「梨華ちゃんは、いいと思ってるわけ?
あの田中が、あんな猫みたいになっちゃって。キャラじゃないじゃん。」
「猫ですかぁ?」
「そー、まるで猫。かわいい子猫ちゃん。
アイツさー、オーディションの時とかさー、野性的つーか、ギラギラしてたじゃん。
・・・・野性の虎、じゃないな。・・・・うーん・・・ハイエナ!
そう、ハイエナ、そんな感じの目つきしてたじゃん。」
「ハイエナ?・・・ちょっと、可哀相じゃありません、それって。」
「うんにゃ、絶対ハイエナ。なんか飢えてて、抜け目なさそーで。」
「でも、真里ちゃんだって、田中は本当は努力家だって、感心してたじゃないですか。
意外とカワイイって。」
- 322 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 11:12
- 「それは、別の話なの。
なんかなー、つまんないじゃん。最近。まるで、飼い猫みたいじゃん。
つーか、もしかして・・・梨華ちゃん、まさか、アイツのこと飼っちゃった?」
「へっ?」
「だからー、猫、猫飼っちゃったの?」
「いーえー。・・・犬なら一匹飼ってますけどね。」
「えっ?」
「ちっこいパグ。最近、笑ったりしてますよ。火曜8時に。」
「このー、人をパグ呼ばわりしやがってー。」
「ほーら、ポチ、このパスタ、美味しいよー。」
「ワン!って、このやろ。
・・・・で、本当に猫は飼ってないんだな。」
「えーえ。」
「でも、何かあったろう。最近のヤツのにやけ方は、尋常じゃない。」
「・・・・うーん、メールとかしてますけどぉ。」
「メール?・・・いつの間に・・・それだ、そいつがいけない。」
- 323 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 11:26
- 「えー、何でですかぁ。なるべく下の子たちと、関わるようにって、言ってたじゃないですかぁー。」
「それは、そーだけど・・・
で、なんだ、それはラブラブメールなのか?」
「はーあー?」
「だからー、おはよーチュ!なんてやってんのか?」
「うふ、そんなバカなことしてるわけないじゃないですかぁ。マリッペじゃあるまいしぃー。」
「マリッペじゃあるまいしって、オイラが何時・・・」
「してるじゃないですかぁー。」
「バーカ、あれはギャグだ、ギャグ。キショさ勝負してるだけだつーの。」
「わかってますって。でも、本当にただの雑談ですよ。普通の・・・」
「でも、きっとそれが、ヤツに野性の本性を忘れさせた元凶だな。」
「ずいぶんと、大げさですねぇー。」
「・・・・それに、何だあのハワイのツーショット!」
「あー、真里ちゃん、妬いてるんだぁー、カワイイ。」
「って、バーカ。何で、オイラがオメーに妬くんだよつーの。」
「それは、そーですよねぇー。」
- 324 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 11:41
- 「アンタら、何盛り上がってんのさ。」
って、何時の間にか、圭ちゃんが立っていた。
つて、アンタ、またノーメイクかよ!
「圭ちゃん、顔、少しはつくっといでよー。」
「だってさぁー、サウナ上がりだし、どーせ外じゃ、帽子にサングラスだし、
それに、いくら塗りたくったって、アンタらに敵うわけないし・・・」
って、諦めてんじゃないよ、バカ。
「おはよーございます。ケメタン。
何か、真里ちゃん、一人でヒートアップしちゃって・・・・なだめてあげて下さいね。
私、これで失礼するんで・・・」
「って、石川、アンタ、アタシの顔見て逃げんのかい。」
「そーじゃないですよぉー。
今日は、私はただの場つなぎですから・・・明日、早いんで・・・」
「あー、アリガトネ。無理に付き合わせて。フットサル頑張れよー。
つーか、梨華ちゃん、あんなのやってて、本当に大丈夫なんかい。ドラマとかもあんだろーに。」
「ねぇー、どーなんでしょう。って、本当に今日はすいません、後は宜しく!」
って、ヒラヒラ手を振って、帰っていく梨華ちゃん。
どー見ても、アンタにサッカーボールは似合わないだろーが。
- 325 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 11:52
- 「石川も大変だねぇー。」
「みたいだね。今日は無理ムリ、引っ張ってきて、悪いことしたよ。」
「で、あんたはどーなのさ。スケジュールきつそうだけど・・・」
「あー、うん、オイラ、明日は昼入だから。」
「ふーん、悪いね。アタシさぁー、やっぱ、結構ヒマだからさぁー、ツイツイ誘っちゃうけどさー。」
「気にすんなって、圭ちゃんらしくないぞ。無理なら来ないから、オイラ。」
「そりゃ、そーだ。アタシに遠慮するようなタマじゃないもんね。」
「オーッ。」
「で、何の話で、盛り上がってたのさ。」
「あーあ、最近、あの田中が飼い猫みたいになっちゃって、それでいいのかって話。」
「何だよ、それ。」
「アイツの野性を返せって、話さ。どーも、梨華ちゃんが、骨抜きにしたらしい。」
「えーっ、そーなんかい。」
「・・・・みたいだ。」
- 326 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 12:04
- 「つーか、ここの石川、ちとモテスギじゃないかい。」
「あーあ、そーだな。」
「作者の石川好きにも、程があるだろ。」
「うん、言えてんな。」
「こんなモテ石、見たことないぞ。アタシなら、わかるけど・・・」
「えーっ、モテケメなんてあんの?」
「それがあるのよ。」
「・・・・どっちかと言うと、そっちの方がチャレンジャーじゃないかぁ。」
「って、アンタ失礼ね。
つーか、ここの扱いも何気に失礼なのよ。アタシなんて、最初から保護者よ。」
「嫌なんかい、それ。」
「石川がアタシに夢中なんて設定の方が、多いんだからね。他では・・・」
「アハ、無理だな、そりゃ。
って、ここの梨華ちゃんは、何気に面食いだ。」
「あっ、そりゃ無理だって、アンタ、本当に失礼だよね。」
- 327 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 12:21
-
「で、田中はやっぱり、野性に帰さなきゃいけないんかい。」
「そーだろう、フツー。」
「でも、アイツ、ファンだったんだろ。仕方ないんじゃないのかい。」
「そーゆーもんなの?」
「うん、アタシもナッツアンのファンだったからさー、わかんだけどさ、そーゆーの。
初めのうちは、会話できただけでも、結構、舞い上がったりしたからな。
そのうち、普通になんじゃないの・・・」
「・・・でも、あの田中が石川のファン、つーの、何か、おかしくないか、キャラじゃないだろ。」
「そんなことないだろ。だいだい自分にないもの求めるだよ、たいがい。」
「あー、ないものねぇー。
圭ちゃんがナッチ。加護がゴッチン。シゲさんの高橋。
あー、じゃ、やっぱり、田中は梨華ちゃんでいいわけか・・・・
でも、何かよくないつーの。あんなすごいキャラだったのに。」
「つんくさんに、「シャボン玉」書かせたぐらいだからなぁ。
でも、ヤンキーなら、ミキティがいるだろ。」
「まあな、でも、ミキティは軽ヤンって感じじゃん。
田中は、本物ぽかったのになぁー。」
- 328 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 13:35
- 「って、どーしても、娘にヤンキーが必要なわけかい?」
「あーあ、15人もいるからな。かわい子ちゃんばっかじゃ、面白くないだろ、フツー。」
「だからって、どーすんのさ、本人は満足してるわけだろーに。」
「そーだよなぁー、梨華ちゃんに、冷たくしろったって、
せっかく、後輩に慕われたって、思ってんのに、可哀相だしな。」
「そーだよ。石川って、アタシら上のメンバーと付き合うのは上手だけど、
下の子たちとは、微妙だもんな。」
それに、もしかして、元々石川のファンってことは、田中のヤンキーキャラって、
スタッフが作り上げたネタなんじゃないの。」
「ネタ?」
「ほれ、6期観察日記みたいので、変なナレーションとか、入ってたじゃん。
あんなんで、生意気を印象づけられたんじゃないの。」
「あっ、それはあるかもな。あーゆーのって、結構、同じことやってても、
イメージ変わるもんな。オイラたちも、勝手に思い込んでたかもな。」
「・・・・オッ、じゃあ、その手があるじゃん。」
「えっ?」
「ハロモニでさ、普通に田中が笑ってる下にさ、テロップ入れてももらうの。
何、バカなことやってんだろ、コイツラ。とか、キショいんだよ、石川。とかってさ。」
そうすりゃあ、ニコニコがニヤニヤに見えるだろ。」
「うん、いいかもって、ダメダメ。
そんなことしたら、田中、ファンの総タタキくらうぞ。
紺野のうたばんの台本の件だって、いまだに引きずってるファン多いんだから・・・」
- 329 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 13:50
- 「そーかー、結構いい案だと思ったんだけどなぁ。
じゃ、取り合えず、カオリにでも、相談してみたら。」
「・・・・・うん、オイラ、一応、したんだよ、カオリに。」
「で、何だって。」
「喧嘩してるより、いいじゃないって。
そーじゃなくても、乙女は、個性の強いのが多いんだから、
これから、春ツアーもあるんだからって・・・・」
「・・・・・・ヤグチー、アンタのイライラの訳って、本当はその辺じゃないの。」
「へっ?」
「カオリの言葉、乙女組のことには、関わるなみたいに、受け取っちゃったんでしょ。」
「そっかなぁー。そーかもね。カオリがそんなつもりで言ってないのはわかってんだけど。」
「寂しいんだー。」
「・・・・・つーか、2月、3月、ずーっと分割コンなんだよ。
ナッチの卒業もさ、オイラ、勝手にハロプロコンの後に、追加の娘コンやって、
なんて思っててさ、でも、本当にハロプロコンで、卒業でさ、
そんで、2月になったら、ナッチは、もー単独でミュージカルで、
オイラたちも、分割コンでさー・・・」
- 330 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 14:08
- 「それで、寂しいってわけだ。」
「かもな。だって、当たり前みたいにバラバラで・・・・
ほら、秋コンは本数、少ないじゃん。うちの事務所のことだから、
これで、分割も終わりなのかなって、勝手に思ってて・・・
で、春コンのスケジュール聞いたら、やっぱ、本気なんだって、
オイラたち、本当にモーニング娘。なのかなって・・・」
「何、言ってるんだか。別に解散するってわけじゃないんだし、
どーせまた、本体活動あるんでしょうが。」
「うん、そーなんだろうけど・・・・」
「贅沢な悩みだよね。まったく。」
「・・・あっ、ごめん、圭ちゃん。贅沢だよね、オイラ。」
「それに、ナッツアンがいなくなったら、アンタがさくらのリーダーなんでしょ。
アンタが、石川とか、田中に関わっていたいのは、わかるけど、もっと大事なことがあるでしょうに。」
「うん、よくわかってるつもりなんだけどね。
オイラ、やっぱり、モーニング娘。が好きなんだけどなぁ。」
「本当に、贅沢な悩みだわ。よくそんなこと、アタシの前で言えるよね。」
「・・・ごめん。」
- 331 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 14:22
- 「悪気があってじゃないことは、わかってるからいいけど。」
「・・・でも、別れてやってて、本当にそれ、娘なんだろうか。」
「大丈夫よ、また、普通に合体するって。」
「・・・・そうかなぁ、見た?新曲。」
「あっ、うん。」
「やってる時は、よくわかんなかったんだけど、TV見たらさ、本当、多いよね。」
「あっ、そーだね。」
「もう、誰が誰だかわかんなくない?」
「あー、アンタとカオリはわかりやすいんだけどねー。」
「だろ、だからさ、今度一緒の時はさ、カオリとか、オイラとかいないんじゃないかって・・・」
「そんなこと心配してたんだ。大丈夫じゃないの、まだ何も言われてないんでしょ。」
「でも、ソロの仕事とか多いしな、最近。」
「そーだねぇー、でも、そん時はそん時でしょ。
アタシみたいのでも、こーしてまだ、ハロプロで仕事してんだから・・・」
「あっ、本当、ゴメン。オイラ、無神経過ぎるよね。
でも、こんなこと、圭ちゃんにしか言えないし・・・」
- 332 名前:笑う犬の憂鬱 投稿日:2003/11/04(火) 14:36
- 「わかってるって。」
「なんかさー、オイラとカオリの卒業式って、分割コンだったりしてねー。」
「アンタ、本当に考えすぎよ。
アンタが上の人たち、信用できないのは、よくわかるけど・・・」
「・・・・・」
「まあ、いつまでも、答えの出ないこと、グチャグチャ考えてないで、
いつもの矢口らしく、テンション上げていこうよ。
さ、次、呑みに行くよ。」
「えっ、やっぱり、今日も呑むんかい?」
「当ったり前じゃない。何のために年取ったと思ってんのよ。」
って、オイラたち、酒呑むために、年取ったんだ・・・・
アイドルの賞味期限って、どのくらいなんだろう。
酒飲みの、アイドルなんて、本当はナシなのかな。
オイラ、モーニング娘。だよね、これからも。
オイラ、モーニング娘。でいいんだよね、まだ・・・・・
笑う犬の憂鬱 おしまい
- 333 名前:名無子 投稿日:2003/11/04(火) 16:15
- ほんとに聞いてきたみたいな会話ですね
飯田さん矢口さんの卒コンの話、私もそんな風に考えたことあります
ある意味保田さんまでが幸せな卒コンかなーなんて
がんばってきた二人は盛大に送り出してあげたいなぁ
- 334 名前:捨てペンギン 投稿日:2003/11/04(火) 17:18
- 今日はじめてココ見つけました。
笑って切なくて恋愛して、でも現実にあってもおかしくない。
リアルは、こーでなきゃって思いました。
石川もてすぎ(田中、ミキティ、後藤の3人だけなのに)とか、
他のメンバーの扱い悪い(誰が?)
なんていうレスもあるけど、
そんな事ないでしょう。
・「オーロラ」...飛行機、梨華、美貴、二人きり、オーロラ、ファースト..、
まさに、ロマンチックの塊って感じ、こんな恋してみたいですね
・「娘。サミット」...このスレ内で、一番笑えました。
でも、石川の卒業なんて考えてもみなかったんで、ちょっとショック(TT)
それでは、続き期待しています
- 335 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/07(金) 10:30
-
「アイボンも、あんまし食べちゃダメだよ、お菓子。」
あの日からこっち、みんな、しつこいぐらいに、そんなことゆー。
もちろん、ウチにだけ、ちゃうけどな。
ヨッシーにも。・・・・まこっちゃんなんて、本番中にも言われたりして・・・
それも、アンタがゆーんかいてな人にな・・・
で、楽屋でも、毎日のように、ダイエット談義や。
なら、お菓子なんぞ、置いとかなーええのに・・・
そりゃ、ののは成功したかもしれへんけどな、安倍さん流ダイエット。
夜中に、おなか減ったら、豆腐一丁ってやつ。
そやけどな、みんながみんな、それで上手くいくとは限らんやろ。
だいたい、何が3倍や!
どこが、3倍やちゅーねん。・・・・・せいぜい、1.5倍ぐらいやろ・・・・
よりにもよって、生放送で、いたいけな少女に向かって、言う言葉か、ボケ!
あんな激しいダンスして、コンサして、フットサルまでやらされて、
それでよくまあ、ここまで・・・とか、ゆーな、アホタレ!
ストレスが溜まっるんや。ストレスがな。
なぁ、よく考えてみー、
若干・・・偉いやろ、ジャッカンや、言葉知ってんねん。決して、ワカセンなんて読まへんで。
若干、12歳で親元を離れてや、ほとんど休みもなしで、仕事と学校の往復や・・・
まあ、今年になってから、ちーとは楽になったけどな、その分仕事も増えるんや。
- 336 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/07(金) 10:52
- たまの休みに、遊びに行くゆーても、
ほれ、ウチらみたく、国民的アイドルしてるとな、
どこ行っても、顔かくしてな、コソコソとな・・・・
ストレス溜まんの、当たり前やろが!
そやからな、楽しみと言ったら、美味しいもの食べるぐらいやないか。
みんなかて、ちーと前までは、
成長期やしー、ほれ食え、あれ美味しいでーとかゆーて、
食わせとったやないか。胃もいいかげん広がるちゅーねん。
それを、今更、ダイエットしろー・・・・何ぬかしとるんや。
ウチより、先に肥大化した人もほっといたくせに・・・
ウチはな、色白やし、ちっこいし、自慢やないけどな、胸が大きいやろ、
そやから、ちと、目立つんや。まあ、着太りするタイプやな。
それに、歌番組とかで、座る位置も前の方やしな・・・
でも、何で、一人だけ、言われなーあかんねん!
第一、あの衣装に、あの髪型や、あれがあかんのや。
何考えとんのやろ、スタイリストさん。
しかも、テロート細い愛ちゃんの隣や・・・嫌味かちゅーねん!
それに、ミニモニかて、そうやろ。
何で、ミニモニで、腹出さんなああかんねん。
ミニモニやぞー。子供らのカリスマやぞ!
国民的美少女アイドル、加護ちゃんやぞー!
アホかー、このー、ボケー!
- 337 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/07(金) 11:06
- って、ゆーてもな、ウチかて、年頃や。花も恥らう15歳や。
気にはしとる。気にはしとるけどな・・・
その、なんや、ウチより肥大化しとる、そこのオッサンがな、
ウチのストレス、また増殖させんねん。
おー、また難しい言葉つこーてしまった。
やっぱり、教養は隠せんなぁー。増殖やで、増殖。増えるつーことやな。
ののには、絶対わからんやろなー。
そんでもって、何でかーゆーたらな、
ここんとこに来ての、ウチ以外のメンバーに対しての、セクハラの激しさや。
ガキさん、つっついたり、まこっちゃんにベタついたり、アサミちゃんに手をだしたり、
まあ、ミキティは、エーわな。お互い様みたいやからな。
ほれ、みー。アサミちゃんなんか、根が純情やから、マジで赤くなってるやろーが。
このスケベオヤジが・・・・・
するんなら、ウチにしとけちゅーんや。
ウチなら、なーんぼでも・・・・・・ってな。
- 338 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/07(金) 11:21
- 「ねー、ねー、アイボーン。」
って、ウチの黒い相棒の登場や。
「これ、見て、見てー。」
「何や?」
「ね、いいれしょー。」
って、何や、この雑誌。テレビジョンか・・・て、なぬー!
「ほらあ、おもしろいれしょ、この写真。」
って、何やこの写真。ムカーッ!
何や、何が夫妻や、ボケー!
今更、いしよしでもないやろが。
そいで何で、ののが子供なんよ・・・・
「何や、これ?」
「てへっ、ヨッチャンがモーチャンやるって言うから、
のんがのせて、撮らせちゃった・・・・いいれしょう。」
って、余計なことを・・・・
で、何でウチが、おらへんねん。
家族仕立てやったら、頑固一家やろ。長男おらへんかったら、成立せんやろ。
まあな、あんな役、ウチが満足してるわけやないけどな、
ののはともかく、本来、ウチに汚れ役は似合わへん。
ちゅーか、何で、梨華ちゃんがヨッシーの嫁ハンやってんの。
- 339 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/07(金) 11:37
- しっかし、それにしても、肩なんぞ組よって・・・あーあ、幸せそうな顔して・・・
オマエラ、とーに離婚したはずやろが。
「ねぇー、何見てんのー。」
とか言って、フタスジの母ちゃんがやって来た。
まあ、コイツラ、親子ちゅーたら、そやな、同じような肌の色しとんもんな・・・
やるんやったら、母子家庭やっとけ、ゆーんや、勝手に。
「あっ、この写真載せたんだー。へー、私、かわいい?」
って、母親のくせに、ぶりっこすんな!
「てへー、のんもかわいいでしょ。」
「うん、かわいい、かわいい。」
って、頭なでて、このバカ親子が。
「ねー、ヨッチャンも見たー。」
「オー、なんだよー。」
って、父ちゃんのおでましや。てか、アンタ、何時の間に酢漬けイカになったんよ。
まあ、色の白さからすれば、ウチの父ちゃんでも、おかしくないけどな。
・・・・って、ナンデ、父ちゃんやねん。アンター、一応、女やろーが。
「うへっ、このカット載せたんだー。」
って、撮らせたの自分やろが。アンタのページやろ。
「アイボンもいればよかったのにね。」
「そーだね、そー、そー。」
とか、3人で盛り上がって・・・・
- 340 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/07(金) 11:56
- 「そやな・・・」
って、気ー悪くしたから、その場を去ってやった。
テーブルのポッキー、一つつまんでな。
もう、ポッキーガールやないけどな、ウチは律儀やから、いまだに食うてやってんねん。
ジュースでも買いにいこ。
何やなー、自販機ちゅーのは、便利やけど、領収書、出えへんゆーのが、難やな。
何や、ウチのことケチや思うたやろ。
ケチやないでー、何時も、スタッフの人とかに、奢ったりしとんのやで。
何でも領収書、集めんのは、ウチら個人事業主としては、当たり前のことや。
な、収めてる額が違うんややからな、ちとは節税せんとな。
ダツゼイちゃうよ、セツゼイよ。一文字違いで、大違いや。
考えてみー、この若干、おーまたつこーてしまった。お気に入りやな。
・・・15歳のいたいけな少女がやな、大勢の家族しょって、生きてんのや。
多少、しみったれるのは、しょーがないことや。
稼いでるゆーても、な、後何年もつか、わからんのやからな、この世界。
って、自販機の前、立ってたら、
「何にする?」
って、500円玉持った、黒い手が、お金入れるところに伸びてきた。
「へっ、じゃこれ。」
って、午後ティーを指す。これは、アヤヤのCM繋がりやな、ウチは本当に律儀者や。
- 341 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/07(金) 12:08
- 梨華ちゃんは、その午後ティーを2本買って、一本、ウチに渡して、
もう一本を、後ろに立ってたヨッシーに渡す・・・
って、アンタ、何時の間にそこにおったん?
「じゃ、後、よろしくね、ヨッスィー。それから、収録、じき始まるからね。」
って、ヒラヒラ楽屋に戻ってく、トメコ。
「あの人、何しに来たん?」
「ジュース奢りに・・・」
何や、それ。まあ、エエわ。
あの人は、ウチらの中でも、稼ぎ頭や。ジュースの一本や二本、へみたいなもんや。
で、そのまま、ベンチに腰掛けて、午後ティーを飲んだ。
ヨッシーは、何にもしゃべらんと、ただ、ウチの隣で、同じ物飲んどった。
・・・でも、何かエエーなぁ、こういうの。
ちと、黄昏てて・・・美少女二人にピッタリや。
って、誰かさんは、相変わらず、ジャージ姿やけどな。
- 342 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/07(金) 13:21
- で、収録が終わって・・・・帰りの支度しとったら、のののアホーが、
「アイボン、今日はお泊り会だかんね。」
「へっ?」
「付き合わなきゃダメだかんね!」
「何でや。」
「何でも、さっ、行くよ!」
って、何でやねん。そんな話聞いてへんやろ。
で、腕、思いっきり引っ張られて・・・痛いやないか、このボケ!
って、ロビーまで連れ出されて、そしたら、ヨッシーと梨華ちゃんがニコニコしながら、待ってた。
ヘッ、お泊り会って、頑固一家か?
脇を通り抜けてく、ちっこいのに、
「オー、今日は、花の4期がお揃いかい。いいねー。」
なんて、言って・・・・
で、ウチは半分、拉致状態で・・・
オー、また難しい言葉つこーてしまった。これはな、テレビのニュースで覚えたんや。
すごいやろ、ウチかて、ニュースぐらいは見んねん。
オイ、ニュースゆーたかて、ジャニやないで、くれぐれも変な噂、流さんといてな。
まあ、その拉致されてな、何てゆーても、娘を代表する怪力の持ち主が、
二人もおるからな、抵抗できへん。まあ、もう一人は役立たずやけどな。
- 343 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/07(金) 13:42
- そんでもって、役立たずの家に連れて行かれる。
途中、車の中で、ムリムリ、ののに家に連絡させられて・・・・
ホンマにこれから、お泊り会なんかい。
で、何や、このディナーは・・・・
のの特製の、豆腐サラダに、納豆スパゲティー・・・・
まあ、トメコ母ちゃんのヤキソバよりかは、ましやけどな・・・
なんやかんやゆーても、
ワイワイ言いながら、4人で、ご飯作って、食べて、遊んで・・・
って、何やなつかしなー、トランプ、ダウトや。
昔、よくやったなぁ、4人で・・・そや、あと、ウチの師匠もおったなぁー。
「よくやったよねこれ。」
って、母ちゃん。
「ゴッチンもいてね。」
って、フタスジ。
「そーだねー。ゴッチン、強かったよね、これ。ポーカーフェイスで。」
って、父ちゃん。
「そっそー、アイボンは、嘘つくと、すぐ耳が赤くなっちゃって、ヨッスィーは柄にもなく、
少し、キョトっちゃって、私は何気にカード出す手が震えてるっから、
みんな、分りやす過ぎるって、ゴッチンに言われて・・・」
「そー、そんで、のんは分んないって。強かったでしょ、のん」
「そーなんだよなぁ、ののはジャンケンとか、ゲームとか、トランプとか、
何気に最強なんだよね。いつも、ゴッチンとトップ争いしてたよな。」
「てへっ、だから、今日はのんの一人勝ちれすね。」
- 344 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/07(金) 13:59
- 何か、ホンマになつかしいなぁー。
あれって、何時頃やったろなぁ。
地方のコンサートの泊りの時はたいがい、梨華ちゃんの部屋集まって、
ヨッシーは、眠いとか言って、欠席多かったけどな。
トランプやったり、お菓子食べたり・・・って、そや。
「お菓子とかないんか?」
って、何気に聞いたら、
「アイボン、何言ってんの。お菓子は、一番の大敵だって、なちゅみも言ってたもん。
のんだって、今は、夜は絶対に食べないんだよ。」
「そーなんかー。」
「ゴメンね、アイボン。
でもね、くれぐれも過剰なエサを与えないようにって、飯田さんに言われてるし・・・」
って、エサかい。・・・・まあ、エエわ。
ウチはともかく、このオッサンは、もおいい年やし、デブキャラってのも、ネタにならへんし。
で、やっぱり、ののの一人勝ち。
「やっぱり、強いねー。」
とか、また母ちゃんに、頭なでられて、ベタベタ甘えて・・・
ホンマにアンタは幸せ者や。何時までも、ガキんまんまで・・・
ウチの場合は、あれや、いい加減、テレっつーもんが、出てきたつーか、
父ちゃんに甘えたくてもな・・・・って、父ちゃんでもないやろ。
- 345 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/07(金) 14:18
- 「でも、本当に、このメンバーで遊ぶの久しぶりだねぇ。」
「そーだよなぁー。」
「やっぱりさ、若い子たちが、沢山になってから、ののたち遊んでくれなくなったものね。」
「なーに、言ってんだか。梨華ちゃんだって、矢口さんたちばっかと、
ご飯とか、行ってんじゃん。」
「そんなことないでしょ。ののとコンノが、カラオケ行った時、押しかけたら、イヤイヤだったじゃない。」
「あれはー、だって、アサミちゃんたちの前では・・・難しいんだもん。梨華ちゃんといるの。」
「はっ?」
「あっ、何か分る、それ。甘えモードに入れないんだぁ。
ののは、後輩の前だと、何気に男前だもんな。
そー言えば、アイボンもしっかりしてねよな、下の子といると・・・」
「ウチのしっかりしてんのは、昔っからや。ウチがアンタらと遊んでやっとんたんや。」
「あー、そーかもね。私なんか、初めの頃っていうか、タンポポの時とか、
完全に、アイボンのオモチャみたいだったもんね・・・」
そや。アンタはウチのオモチャやったんや。・・・結構おもろかったで・・・
「でも、よっちゃんと梨華ちゃんも、最近、遊んでないでしょ。」
「「エッ?」」
「ゴッチンいなくなってから、遊ばなくなったでしょ。」
「あっ、そーいえば、そーかもねぇー、何でだろうねぇ。」
って、アンタ、わかってるくせに・・・・
- 346 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/10(月) 10:41
- 「まっ、でも、ホント久々って感じだよな。」
「たまには、いいれしょ、こーゆーのも。」
「何か、3年前に戻ったみたいだよね。みんな成長したけどね。色んな意味で・・・」
って、ウチらを見んな!この年増が・・・
「でー、何で今日は、急にお泊り会なん?」
「あっ、これはのんが決めたの。
・・・・だって、アイボン、さっき怒ってたみたいだから・・・」
「怒ってなんか、おらへん!」
「ほーら、怒ってる。」
「ちゃう、ゆーてるやろ!何で、ウチが怒らんならんねん。」
「・・・・のん、わざと仲間ハズレにしたんじゃないよ。あの時、アイボンいなかったから・・・」
仲間ハズレって・・・アンタ、小学生か?
「じゃ、難で、あんな写真撮るんや。
ヨッシーと梨華ちゃんの2ショットなんて、なかったやろ、最近。」
「だからじゃん。組み違ったりさ、別々の仕事多かったりさ・・・
そんで、運動会終わったらさ、組ごとのレッスンに入っちゃうしさ・・・」
運動会って、スポーツフェスティバルやろ・・・・って、どこが違うんや
- 347 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/10(月) 10:55
- 「寂しかったんだーのの、カワッイイ。」
って、梨華ちゃんが、のののホッペタをつつっく。
「うん。」
って、てれて俯いちゃって・・・
「そっかぁ、このヨッチャンと離れるのが、そんなに寂しいか。ヨチヨチ。」
って、似合わん、赤ちゃん言葉つこーて、ののの頭をグチャグチャなでるヨッシー。
のの、アンター、ホンマ素直でエエなー。
「アイボンらって、寂しいでしょ。」
「ウチは・・・アンタと違って、大人やからな、寂しないわ。」
「強がっちゃって。アイボン、最近、イライラしてんじゃん。何か。」
「イライラなんかしてへん!・・・・イライラなんか・・・・」
まっ、しとるけどな・・・
「まぁ、二人とも喧嘩しないで。
たまに遊べて楽しかったから、ね、それでいいじゃない。
でも、今日はもう遅いし、明日も仕事早いから、
もう、シャワーして、ネンネしよ。いい子だから、ね。」
って、アンタ、すっかり母ちゃんやな。
- 348 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/10(月) 11:12
- 「うん、わかった。・・・アイボーン、一緒に入ろ!」
「あー、いいけどな。」
「洗いっこしよ!洗いっこ。」
「しゃあないなー。」
ホンマに、このガキは・・・まあ、エエけどな。・・・つて、まさかあとの二人・・・
「アンタら、一緒に入ったりせーへんよな?」
「へっ?アンタらって、私とヨッスィー。
まっさかー!ウチのお風呂そんな広くないもん。ヨッスィーと一緒に入れる人はいません。」
って、何気に嫌味なこと言うなぁ。まっでも、これで安心やな。
って、ののとお風呂に・・・あっ、バスタオル、一枚しかないなー。
聞きにいこ・・・って、リビングに戻ろうとしたら・・・
何やら話しとる。何や入りづらいなぁー。・・・立ち聞きしよ。
まあ、エエ趣味とは言えんけどな。ここは遠慮してるつーことで・・・
「ヨッスィーさー、こんな時だから、言うけどさー。」
「何だよ。」
「アンタさー、何気に最近、コンノとかにさー、セクハラしすぎてなあい。」
オ、ウチと同じこと思っとる。
- 349 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/10(月) 11:28
- 「なに、妬いてんの?」
「そんなわけないでしょ。そりゃ、ヨッスィーのそういうのはさ、前からだけど、
アイボンとかなら、のりで済むかもしれないけど、
あの子達、どーしていいのかわかんないって、顔しててさ、可哀相なんだけどな。」
「そっかー。・・・・だって、ほら、この前、下の子とコミュニケーションとれって、
言ってなかったっけ?」
「えっ?何それー。」
「ほら、中澤さんチで・・・」
「えーっ、それ、全然、意味違うでしょ。あれは娘の精神を伝えてくってやつでしょ。」
「だってー、スキンシップは、中澤さん以来の、娘の伝統じゃん。」
って、どんな集団なんや、それ。
「バカね、本当。ここまでとは思ってなかった・・・・てゆうか、それ建前でしょ。」
「へっ、バレてた。つーか、最初はさ、本当にそのつもりつーか、どうしていいのかわんかなくてさ、
でも、そのうち、反応が面白くてさ、ツイツイやり過ぎてました。ごめんなさい。」
「って、本当に悪趣味なんだからぁー。やめなさいよ、本当に・・・
それに、アイボンが可哀相じゃない・・・」
って、ウチ、ウチ可哀相なんか?
「えっ?」
- 350 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/10(月) 11:46
- 「アイボンの、イライラの本当の原因って、それじゃないかと思うの。」
ウチのイライラの原因・・・結構するどいんやな、この人。
「ヨッスィー、知ってんでしょ。アイボンの気持ち。」
「・・・・うん、まーね。」
って、知っとんのかい・・・・・
「わかってんなら、少しは気を使いなさいよ。」
「梨華ちゃんも、他人のことになると、よく気が回るんだね。」
「何よそれ。でも、ヨッスィーだって、アイボンのことは好きなんでしょ?」
オッ、何や、急に核心をついた質問すんなー。
答え・・・聞きたいような、聞きたないような・・・
「・・・・うん。でも、何だ、そのー、
梨華ちゃんが、のののこと好きなのと同じような好きなんだよね。きっと・・・」
えっ?今、何ゆーたん、この人・・・
「・・・ごめん。そーなんだ。私、ちょっと勘違いしてたな。」
「えっ、何?アタシが、アイボンに気があるって思ってたの?」
「うん。それで、小学生みたいに、わざと意地悪してんのかと思ってた。」
「アタシだって、いつも同じパターンじゃないよ。」
- 351 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/10(月) 11:58
- 「えっ、何が?」
「まっ、それはいいや。
で、アイボンはののよか、大人じゃん。てーか、女の子じゃん。」
「うん、そーだよね。・・・で、どーしていいか、わかんないんだ、ヨッスィー。」
「うん。そー、どーしよ。」
・・・・これって、ウチ、失恋したんか・・・・
・・・・風呂、入ろ。タオルはエエわ、ののと一緒の使お・・・
「アイボーン、何してたの?」
「うん、タオル取りにいったんやけどな・・・余計な物、拾ってもーたみたいや。」
「えっ?何、何。」
「子供にゆーても、わからん!」
「何ゆーの、自分も子供のくせに!」
「・・・・そやな、ウチも子供やな。だから、何拾ったのかも、わからんのや。」
「何か、ホントにわけわかんないよ・・・・」
ウチかて、ホンマにわけわからんのや・・・・
- 352 名前:アイボンの大きな悩み 投稿日:2003/11/10(月) 12:10
- ウチが、ヨッスィーのこと好きなんと、
ヨッシーが、ウチのこと好きなんは、どのくらい意味が違うんやろ。
初めて、オーディションで、会った時から、ずーと見てたんに、アンタのこと。
ずーと、好きやったんに・・・
まっ、途中、ちっとだけ、師匠に浮気したけどな、これは内緒や。
ウチが、子供やからアカンのやろか。
ウチが、もっと大人やったら、好きの意味が同じになるんやろか。
それとも、ののみたいに、子供のままで、おったら、
フツーに可愛がってくれるんやろか・・・・
何か、やっぱり、イライラすんなー。
それに、お腹へったなー。
ウチはまだ、色んな意味で成長期みたいやな・・・・
って、どこまで、成長すんのやろ・・・・
アイボンの大きな悩み お終い
- 353 名前:トーマ 投稿日:2003/11/10(月) 12:22
- もう少し、話を膨らまそうかと思っていたのですが、
市井さんのニュースを聞いて、そっちが書きたくなったので、
このへんで纏めちゃいました。大きな悩みってほどのことにならなくて・・・
それから、どうも関西弁がよく分ってないのに、中澤さんの時とかもですが、平気で使ってて、
ネイティブスピーカーの人が、読んだら、可笑しいんだろなと思いつつ・・・
また、たぶん、インチキ関西弁書いちゃうんだろうな・・・すいません。
で、次は、市井さんの引退を受けて、ということなので、少しシリアスな話になると思います。
- 354 名前:迷子 投稿日:2003/11/11(火) 12:35
-
「おはよーございまーす。」
その日、私は別の仕事があって、少し遅れて、スチール撮りの控え室に入った。
えっ、何かいつもと様子が違う。
それぞれが、年の近いメンバーと一緒にいるのは、いつものことだけど、
何か空気が静まっている。
あちらこちらに出来ている、小さな輪には、普段は絶えない、笑い声が一つもない。
その代わりに、暗いざわめきのようなものが、部屋全体を静めている。
入口の所で、少し戸惑い気味に立ち尽くしている私を、飯田さんが見つけて、
自分の席に手招きをする。
「あの、何かあったんですか?」
私の問いに、飯田さんは、かなり躊躇しながら・・・
「うん、ちょっとね・・・あのさ、まだよくわかんないだけどさ、
本当に、まだよくわかんないんだけどさ・・・・サヤカが辞めるみたいなの。」
サヤカ・・・・市井さんのことだ。
「えっ、ユニットをですか?完全にソロになるとか・・・」
「・・・・ううん、本当にまだ確かなことじゃないんだけど・・・・引退するって・・・」
「えっ?」
引退って・・・・
「今、矢口がさ、マネージャーさんとこに、聞きに行ってる。
私が、行こうとしたら、あの子、いきなり飛び出しちゃって・・・・」
- 355 名前:迷子 投稿日:2003/11/11(火) 12:54
- 「そーなの。ナッチもさ、今、来たばっかでさ、訳わかんないんだけどさ、
何か、誰かが、ホームページで見たとか言ってさ、それで、こんな感じになっちゃって・・・」
「何時のことですか?」
「それがさ、今日の日付で、今日、引退するって、変でしょ。
きっと、たちの悪いデマなんじゃないかと思うの。
ちょっと前に、新しい活動、始めたって聞いてたし・・・・」
「そうですよ。今日の今日なんて、絶対、おかしいですよ。」
「ナッチもそう思う。やっぱり、変よね、変!なんもなしで、急に引退なんて。」
「そーだね。インターネットとかで、たまにすごいデマ、流れてるみたいだし・・・
だからね、とにかく、ここは矢口を待とうよ。」
「はい。」
娘の中には、いくつかの触れてはいけないこと、そう、タブーがある。
例えば、石黒さんが、在籍中に、今の旦那様とお付き合いしていたこと。
・・・でも、これは最近の、活動再開で、あまりタブー視されなくなってきたのかな。
それから、ゴッチンや保田さんの卒業の時の本当の経緯。
それが、公式に発表されたコメントとは、少し違うことは、みんな薄々知っているけど、
誰も大っぴらには言わないし、敢えて、話題にはしない。
- 356 名前:迷子 投稿日:2003/11/11(火) 13:18
- で、やっぱり、最大のタブーは、市井さんの脱退のこと。
色々な噂や、憶測は聞いているけど、はっきりしたことは、誰も知らないのか、
言わないだけなのか・・・。とにかく、事務所やつんくさんから、納得の出来る説明は、
誰もされてないみたいだし、私たち自身も、この件に関しては、聞いてはいけないこと、
触ってはいけないことっていう、感じに自然となっている。
市井さんと、私たち4期が、同時に娘にいた期間は、一月に満たない。
だから、本当のことを言えば、私は市井さんについて、ほとんど何も知らない。
市井さんの卒業の、同じステージに立ったといっても、
あの時は、自分のことで精一杯で、正直、よく覚えてさえいない。
あとで、VTRを見て、あーこんなんだったんだって、恥ずかしくなるぐらいで・・・
ただ、一つだけ、市井さんについて、強烈に印象に残っているのが、初対面の時の目。
ものすごく冷めた目をして、私たちを見てたなっていうこと。
あの時は、他の先輩たちも、みんな怖くて、私たちあんまり歓迎されてないなって空気あったけど、
市井さんの目は、キツイとか、冷たいとかいう感じじゃなくて・・・
後で、直に脱退するって聞いてからは、あー、この子たち関係ないんだって、
思ってたんだなって、納得できたけど・・・・
入口のドアが開いて、矢口さんがゆっくり入って来た。
いつもよりも、いっそう小さく見える。
・・・・暗い・・・・って、本当なんだ。
- 357 名前:迷子 投稿日:2003/11/11(火) 13:41
- 「・・・矢口、どーだった・・・・えっ、やっぱり、本当なの?」
飯田さんの声に、矢口さんが小さく、本当に小さく頷く。
「どーしてー!」
安倍さんが、少し場違いなくらいの大きな声をだして、
メンバー全員が、一斉に入口の矢口さんを見る。
「矢口、どーゆーこと。どーゆーことなの。」
今にも掴み掛かりそうに、矢口さんに詰め寄る安倍さんを、
飯田さんが、制して・・・
「ナッチ、ちょっと興奮しないの、ね。
矢口にはちゃんと話してもらうから。
ねえ、みんな、ちょっとこっちに集まって!
みんなも、まるっきり無関係なことじゃないはずだから・・・」
矢口さんを中心に大きな輪ができる。
年下のメンバーは、少し戸惑っているみたいに・・・それでも、少し神妙な顔して・・・
お互い不安を堪えるように、手を握り合ったりして・・・矢口さんの言葉を待つ。
「ね、矢口、聞いてきたこと話して。」
「あっ、うん。取り合えず、今、Tさんに聞いてきたことだけ話すよ。
・・・・今日、ホームページに書かれてたことは・・・本当らしい。
少し前から、タイセーさんと事務所の方で、相談してたみたい。
本人の意志ってことで、とにかく今の活動も、事務所も今日付けで、辞めるって。
それで、この件に関するイベントも、会見も用意されてないって、
それから、もう、娘でも、ハロプロでもないから、オイラたちに事務所から、
報告する必要はないって、判断みたいだ・・・」
- 358 名前:迷子 投稿日:2003/11/11(火) 13:57
- 「それ、どーゆーことよ!」
安倍さんが、矢口さんにつっかかる。
「矢口に当たっても、しょうがないでしょ。少しは落ち着きなよ。
矢口だって、言いたくないこと、言わされてるんだから・・・」
「あっ、ゴメン。本当にゴメン。
でも、関係ないから、必要ないなんて、どーゆーことよ。」
「うん。確かに酷い言い方だよね。で、そのホームページって、どう書いてあるの?」
「あっ、これ。今、プリントアウトしてもらってきた。」
矢口さんは、一枚の紙を飯田さんに渡す。
飯田さんは、それを一通り読むと、安倍さんに回して・・・
「・・・何、これ。訳わかんないじゃない。こんなんじゃ。」
「そうだね。でも、理由はともかく、引退だけは事実みたいだね。」
「・・・うん。」
一枚の紙が、次々とメンバーの中を回る。
じっくり読む者、目を落としただけで、次に回す者・・・・
私の手にそれが、渡った時、矢口さんが飯田さんに何か耳打ちして、
安倍さんに何か言い置くと、二人で、ドアの外に消える。
紙には、タイセーさんのメッセージ、市井さんの短いコメント、
それからギターの吉澤さんのコメントがあって、それぞれのサインが記されている。
- 359 名前:迷子 投稿日:2003/11/11(火) 14:18
- それを、私の肩越しに覗き込んでた、美貴ちゃんが、小さな声で、
「市井さんって、地方の小さなレコード屋さんとか、回ってたんだって。」
「えっ?」
「この前、まいちゃんが、地元の友達から聞いたって言ってた。
何十人かの前で、歌ってたって・・・・」
知らなかった・・・・・
市井さんが、復帰するっていう企画は、当時のレギュラー番組で取り上げてたし、
その後、何度か現場で、一緒になったけど、ほとんど私は、挨拶程度しかしていない。
・・・保田さんは、色々話し掛けていたみたいだけど、向こうもユニットだし、
何か私たちのことを、意識的に避けているようにも見えた。
で、最近、見かけないなとは思っていたけれど・・・
プリントアウトされたコメントが、一周して、安倍さんの所に戻った頃には、
さっきの輪は、少しバラけて、控え室は、少しざわつき始めていた。
メンバーの市井さんに対する感じ方は、たぶん相当、違いがあるのだろう。
同じメンバーとして、活動した、矢口さんまでの人たち。
ほとんど、すれ違いだったけど、市井さんがいた娘に入った私たち。
TVで見ていただけの5期、6期の子たち・・・
でも、たぶん、一つ、共通して感じていると思えることは、
元モーニング娘が、ホームページの告知だけで、この業界から消えてしまうという事実。
元モーニング娘。が・・・・・
- 360 名前:迷子 投稿日:2003/11/11(火) 14:42
- 元モーニング娘。・・・・そこまで考えを廻らせて、初めて、私の頭に、二つの顔が浮かぶ。
あー、なんて、鈍いんだろ私。
私なんかより、ずーっとこのことで衝撃を受ける人がいる。
こうしちゃいられない・・・
ドアが音をたてて、飯田さんと矢口さんが戻ってきた。
「みんな、ちょっと聞いてくれるかな。」
ざわめきは治まり、メンバーがリーダーを注視する。
「今日のスチール撮りは、中止になったから。これからはオフ。
それで、明日は、他に仕事の入ってない子は、10時にココ。
あっ、中学生は、何時も通り、午後からだから・・・
でね、こんなことは言われなくても、分っているだろうけど、この件に関して、
外部の人に、余計なことは言わないこと。
新聞とかには載るだろうけど、選挙だから、TVとか取り上げないだろうっていう
事務所の判断らしいから、これに対する事務所や、つんくさんのコメントも、
もちろん私たちのコメントも、いっさい発表しないみたいだから、
みんなもそのつもりで・・・・じゃ、今日は解散!」
皆それぞれ、静かに帰り支度を済ませ、足早に部屋をあとにする。
私は、気がかりなことの一つを解決する為に、矢口さんの元に急ぐ。
- 361 名前:迷子 投稿日:2003/11/11(火) 15:00
- 「あの、矢口さん。」
「あっ、梨華ちゃん、ちょうど良かった。ちょっと残ってもらえるかな。」
「いいですけど、あの、私、ゴッチンに連絡とりたくて、それから、保田さん・・・」
「わかってるって。梨華ちゃんは、二人のことが心配なんだろ?」
「ええ。」
「オイラも同じ。あと、サヤカ自身のことも。
だから、さっき、アッチコッチ連絡とってみた。」
矢口さんは、飯田さんがスタッフに今日のことを、交渉している間に、
色々、連絡をしておいたらしい。
で、他のメンバーが帰った控え室に、飯田さんと安倍さんと矢口さんと私が残った。
「サヤカは連絡とれてんの?」
「あー、裕ちゃんに連絡したら、裕ちゃんがその前から、探してるって。
自分が探すから心配するなって、裕ちゃんが・・・
たぶん、オイラたちには会いたくないだろうからって・・・・」
「そーかもね。もしかしたら、今一番、ナッチたちの顔見たくないかもね。」
「で、圭ちゃんも、ゴッツアンも、オフで家にいる。オイラ、今から圭ちゃんチ行くよ。」
「そーだな、圭ちゃんの所は矢口一人がいいかもね。で、」
「ゴッチンの所には、私が行きます。」
- 362 名前:迷子 投稿日:2003/11/11(火) 15:26
- 「そーだな。ゴッツアンの所は、梨華ちゃんがいいかも。
で、知ってんの、ゴッツアンはこのこと。」
「それがさ、オイラ、何か怖くてさ、直接、連絡してないんだよね。
ウチの人に聞いたら、部屋にいるって言うから、
とにかく外出させないように、頼んでおいた。
今、知らなくても、遅かれ早かれ知ることになるんだろうから、
梨華ちゃん、これ、見せてやって。たぶん、納得しないだろうけど・・・」
って、さっきの紙を渡される。
「はい。・・・でも、一つ聞いていいですか?
あの、ゴッチンと、市井さんって、どんな感じだったんですか。
・・・私、入れ替わりだし、ゴッチンの口から、市井さんの事、聞いたことなくて・・・」
「そーだなー、アタシにも、よくは分んないだけどさ、やっぱり、教育係だったし、
一番年が近くて、プッチも一緒で、一番最初に仲良くなったメンバーで、
一番頼りにしてて、だから、脱退を知った時には、かなり荒れてたかな、ゴッツアン。
休んでる間とか、復帰してから、どのくらいの付き合いがあったかは分かんないけど・・・」
「でも、オイラ、このこと知ったら、
絶対、会いに行こうとすると思うんだよね、ゴッツアン。」
「そーだね、ナッチたちでも、出来たら、会いたいと思うものね。」
「で、会わせちゃいけないと思うんだ。絶対。
今の状態で、二人会わせたら、何か、ヤバイことになりそうで・・・」
- 363 名前:迷子 投稿日:2003/11/11(火) 15:41
- 「えっ?どーゆーことですか?」
「圭ちゃんがさ、さっきの電話で言ってたんだけどさ、
ちょっと前にサヤカに会った時にさ、かなり変だったって、少しおかしくなってるって。」
「やっぱり、少し、壊れちゃってんだ・・・」
「だから、梨華ちゃん、とにかく、会わないように伝えて。」
「はい、わかりました。」
「で、何か困ることになったら、すぐにアタシたちに連絡してね。
すぐ、動けるようにしてるから・・・・あっ、もちろん圭ちゃんの方も。」
「圭ちゃんは、大人だから、大丈夫だろうけど、まあ、連絡はするよ。
それから、裕ちゃんも、サヤカに会えたら、連絡するって言ってたから。」
「そーだね、とにかく、今日はそーしょう。」
「うん。・・・・・でも、下の子たちも大丈夫かなぁ。このことで動揺してなきゃいいけど・・・」
「うん、何も感じてないって、わけにはいかないだろうけど・・・
あんまり、ピンとはきてないんじゃないかな。
マスコミが変な取り上げ方しなきゃいいけど・・・・」
「案外、ヨッスィーとかの方が、危ないんじゃないか。」
「ヨッチャンかー、あの子、案外脆いからねぇ・・・」
- 364 名前:迷子 投稿日:2003/11/11(火) 15:54
- 「あっ、ヨッスィー、ゴッツアンのとこ、行ってないよね。
あの二人そろって、落ちちゃったら、石川じゃ、太刀打ちできないだろ。」
「あっ、ちょっと待って下さい。」
部屋を出る時、美貴ちゃんがヨッスィーと一緒にいたはず・・・
何気に、美貴ちゃん、私に目配せしてたから、たぶん・・・・
とにかく、確認してみよう・・・・やっぱり、大丈夫。
「あの、今、美貴ちゃんが一緒に食事しているって、
付いててくれるみたいです。」
「へー、やっぱ、藤本って、大人なんだね。」
「じゃ、私、行きますから。」
「あっ、オイラも。」
「本当に、何かあったら、すぐ連絡いれるんだよ。」
「頼んだからね。」
って、飯田さんと、安倍さんの優しい声に送られて、私たちは車にむかう。
「でも、本当、アイツ、わけわかんないよ。」
「アイツって、市井さんですか?」
「うん、一体、何がしたくて・・・・・」
そのまま、矢口さんは黙り込んでしまった。
この人のこんな表情、あの去年のあの日以来・・・・
- 365 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 11:45
- 「じゃ、保田さんによろしく。」
「うん、そっちこそ、ゴッツアンのこと頼んだからね。」
私と矢口さんは、別々の車で、それぞれの大切な友達の元に急ぐ。
でも、私、一体どんな顔して、会いに行けばいいんだろ。
車の中から、ゴッチンに携帯・・・
その前に、家の人に電話を入れる。
ゴッチンのお母さんは、ゴッチンが部屋にいること、別に変わった様子がないことを教えてくれる。
これからお邪魔することを、短く告げて・・・
ゴッチンの携帯に・・・メールを送る。今、何かを聞かれたくない。
「ゴッチン、今ヒマ?どこにいる?」
少し、白々しいかな・・・
「あっ、ヒマしてるよ。部屋でごろってる。」
「仕事、早く終わったから、これから遊びに押しかけちゃうね。
キショがって、逃げちゃダメだぞ!」
「オッ、珍しいねぇー。ちと、キショイけど、楽しみにしてるよ。
おみやげ持ってきてね!」
あっ、きっと、知らないんだまだ。でも、お土産って・・・
私は、バッグの中にしまった、例の紙を取り出して、もう一度読み返す。
こんなお土産、持って行きたくないよね。本当は・・・
途中のケーキ屋さんで、車を止めてもらって、いくつか物色して・・・
こんなの気休めにもならないけど・・・
何度かお邪魔したことのある、家のチャイムを鳴らすと、
ゴッチンのお母さんは、すぐに出て来てくれた。
- 366 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 11:59
- 「わざわざありがとう。」
「あの、これみなさんで・・・」
「あっ、こんな気まで使わせちゃって、今日はあの子の部屋の方がいいわね。
後で、お茶運ぶから。本当に、あの子のことお願いしますね。」
そのまま、階段の下まで、通されて・・・
私は、二階の一番奥のドアを、軽く二つ叩く。
「あっ、入っちゃって!あいてるから。」
中から思いのほか、元気な返事が返ってくる。
やっぱり、まだ知らないんだ・・・どうやって、告げよう・・・
「いつも、きれいにしてるねぇー、ゴッチンは。」
「今、急いで掃除したの。梨華ちゃん、来るって言うから。」
「あっ、ゴメン。急に来ちゃって。」
「あー、大歓迎だよ。たまのオフなのに、一人で家にいてもねぇー。」
「そー言ってくれると嬉しいけど。」
- 367 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 12:10
- しばらく続く雑談。
「だからさー、絶対ダメだって、本気でキーパーなんかしちゃ。」
「えーっ、どーしてぇー。そりゃ、ののの方が、上手いけど。」
「そうじゃなくて、梨華ちゃんみたく、無駄にやる気のあんのは、怪我するだけだって。
やめとけ、やめとけ。」
「って、なによー、その無駄にっていうのはー。」
「本当、ムダ、ムダ。」
「もー、人のことバカにしてぇー。ゴッチンのシュートくらい取れるんだからね。」
「そーなんだよねぇ。ヨシコのは避けるくせに・・・」
「だってー、ホントに怖かったんだよ、あれ。」
「あれ、絶対、顔とか狙ってたよね、ヨシコ。」
「やっぱ、そー思う?」
「うん、絶対。アイツ、ガキみたいだからなぁ、すぐ、梨華ちゃん苛める。」
「そーよねぇー。」
- 368 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 12:25
- トントン、ノックの音がして、
ゴッチンのお母さんが、ケーキとコーヒーを、持ってきてくれる。
「お持たせで、悪いけど・・・あっ、これ石川さんが、私たちも頂いちゃって・・」
「あっ、本当にお土産、持ってきてくれたんだー。」
「うん、この店、前に美味しいって、言ってたから、ゴッチン。」
「あっ、あの店のかぁー、美味いんだよね、このミルフィーユ。」
お母さんの足音が、遠くなるのを、確かめるように、
ゴッチンがつぶやく。
「で、もういいよ。・・・本題に入って・・・」
「えっ?」
あっ、知ってるんだ、知ってて・・・
「・・・・ゴトーにもさ、悪い友達とかいてさ、本当に悪い友達でさ、
面白がって、電話してきた。ホームページ見たって。
ホント、面白そうにさ・・・」
「ゴッチン・・・」
「ホントに、何がそんなに面白いのかってな感じでさ、まいっちゃうよね、ホント。
でも、おかげで、いい友達のこと思い出したよ。来てくれると思ってた。」
「あ、うん。」
「でも、仕事だと思ってたけど、何、このことで、騒ぎにでもなったの?」
- 369 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 12:46
- 「あっ、ちょっとね。それで、今日は写真だけだったから、飯田さんが交渉してくれて、
早めに、切り上げになったの。」
「ふーん、じゃあ、ちゃんとした説明とかあったんだ。」
「ううん。噂があって、矢口さんが確かめに行って、
それで、私たちに関係ないから、報告の必要がないって言われて・・・」
「そっか、娘に関係ないか・・・アタシのところにも連絡ないわけだ。
・・・関係ないか・・・そっか、関係ないんだよね。」
「あっ、ゴメン・・・、でも、そう言われて・・・」
「あっ、気にしないで、いかにもあの人たちが言いそうなことだもん。
で、本当のお土産あるんでしょ、矢口さんが確かめたんなら、抜け目ないから・・」
「あっ、・・・・これ。」
私は、例の紙を、ゴッチンに渡す。
「・・・・・・・へー、相変わらず、訳わかんないねぇー。
何言いたいんだろねぇー、ゴトー、バカだからさー、ホント、意味わかんない。」
「うん、安部さんたちも、そう言ってた。」
「市井ちゃん、結局、何したかったんだろーねぇ。何したくて、娘、辞めたんだろ。
あのさ、ゴトーのその悪い友達がさ、地元のスーパーのイベントにさ、
アンタの先輩来てたって、面白そうに、教えてくれたことあったけどさ、
地方のレコード屋とかも、回ってたみたいだし・・・
何のために再デビューなんてしたんだろーね・・・・」
- 370 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 13:02
- 「で、本人は、居所わかってるの?」
「あっ、中澤さんが探してる。」
「そっか、裕ちゃんか、裕ちゃんだったら、捕まえられそうだよね。
あの人、しつこいからねぇー。
それから、圭ちゃんは?圭ちゃん、ショック大きいでしょ、仲良しだったから。」
「あっ、保田さんの所には、矢口さんが行ってる。」
「ふーん、それでもって、ゴトーの係りは、梨華ちゃんなんだ。
相変わらず、チームワークヨイよねぇー、娘は・・・」
「ゴッチン・・・」
「あっ、でも、ほら、ゴトーなら、全然平気。心配してくれたのは嬉しいけど。」
「うん、元気そうで、安心したよ。」
「ゴトー、このところ、すっかり打たれ強くなったからね・・・
この世界、そんな甘くないよ。売れなかったから、辞める。しょうがないじゃん。」
「ゴッチン・・・」
「ゴトーだって・・・きっと娘だって、本当に売れなくなったら、お仕舞い。」
「・・・そーだね、きっと・・・もう要らないってね・・・」
- 371 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 13:18
- 「ねぇ、梨華ちゃん、もしも、もしもさ、もう要らないって言われて、
この仕事、辞める事になったら、梨華ちゃんなら、どーする?」
「そーだなぁー、・・・ねぇ、ゴッチン、笑わないでよ。
私ね、学校に行こうかなって。」
「学校?」
「ほら、辞めちゃったじゃない、高校。でね、さすがに高校っていうのは、
もう恥ずかしいじゃない。でもね、大検っていうのが、あるんだって・・・
前にね、お姉ちゃんが言ってたんだけど、それようの予備校とかあるんだって。
で、一年ぐらいちゃんと勉強したら、大学受ける資格がもらえるんだって・・・」
「ふーん、ホントに真面目なんだね。で、大学行くの?」
「うん、てゆーか、私って、不器用じゃない。だから、手に職ったって、無理っぽいから、
幼稚園の先生とかさ、そんなのになれる学校に行ってさ、そーゆー仕事とかどーかなって。」
「幼稚園?」
「うん、子供と関わるのって、そんな甘くないだろうけど、楽しそうかなって。」
「へー、梨華ちゃんの先生ねぇー、よいかもね。
参観日とかさ、何気に、お父さんばっかりになっちゃって、団扇とか持って、鉢巻とかして・・・」
「何よそれー。」
- 372 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 13:37
- 「それでさ、発表会とかでさ、オルガンとかの音はずして、生徒がみんなでコケルの。」
「あー、どーせそーですよ。」
「でも、ヨイヨイ、何か想像できるよ。」
「ゴッチンは?」
「アタシかー、アタシはね、ヘアメークとかさ、スタイリストとかさ、どう、そーゆーの。」
「あーあ、それ、いいかも。ゴッチン、上手だし、センスいいし、器用だし
あとさ、コックさんとか、ケーキ屋さんとか、何でも出来そうだよね。」
「そーだねぇ、何でも出来そうか・・・ヨイねぇ、その何でも屋やろうかな。
梨華ちゃんさ、頑張って、タレントさんとか、女優さんとかやっててよ。
そしたら、ゴトーが専属になったげる。」
「えっ?」
「だから、梨華ちゃん専属の、ヘアメークで、スタイリストで、シェフで、パティシエ。」
「あは、それ、すっごく嬉しいかも。」
「でしょ、そしたら、梨華ちゃん、ベストドレッサーとか取れちゃうよ。」
「いいねぇー、それ。私がベストドレッサーって、受けるよね、それ。
でも、ゴッチンがやってくれたら、本当に取れそうだよね。で、料理もしてくれんの?」
「うん、お菓子も作ってあげる。」
「すごいね、それ、贅沢だよね。」
- 373 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 13:50
- 「じゃあさ、ゴッチンがさ、ずっと歌手やってて、そしたら、私のこと、
お手伝いさんとかで、雇ってくれる?」
「えーっ、それはなしでしょ。家事、ダメじゃん。」
「ダメー?じゃあ、付き人とか、マネージャーさんとかは?」
「何か、それもなー・・・」
「えっ、ダメなの?」
「せいぜい、目覚まし時計の代わりぐらいにしかなんないんじゃないかな・・・」
「ふぇー」
「まあ、でもいいよ。専属目覚ましで雇ってあげるよ。」
「本当?」
「でも、やっぱり、幼稚園の先生の方がいいよ。
ゴトーの子供も、そこに入れてあげるから。」
「そーおー。」
「そー、そー。で、メンバーみんなの子供とかも、そこに通うの。」
「あっ、それいいかも。で、何気に園長先生が、中澤さんだったりして。」
「ありだねぇー、それ。で、いつも梨華ちゃん、苛められてるの。ゴトーの子供とかにも。」
「あっ、大変だねぇー、それ。」
「うん、大変・・・」
- 374 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 14:05
- 「・・・・みんな、どーなるんだろーね。5年後、10年後・・・」
「本当にね。・・・・でも、同窓会とかやりたいなぁ。」
「同窓会?」
「うん。何年後か、みんな別々の道、行っていても、集まって、
旦那とか、子供とかの話するの。で、カラオケでね・・・」
「シャボン玉?」
「そ。あのキショイセリフ、ゴッチンにやらせたげるから。」
「抱きしめてよーって?」
「うん、それで、ラブマシーンとか踊るの。」
「よいねぇー、イイおばさんが、イェイ、イェイ、イェイ、イェイか・・・
・・・市井ちゃん、来るかな・・・」
「・・・・来れるといいよね。」
「・・・・・」
「ゴッチン・・・」
「・・・梨華ちゃんはさ、ゴトーの何が心配で来たの?」
「えっ?」
「だから、落ち込みそうだから、慰めに来たの?
それとも、市井ちゃんの所に飛んで行くのを、止めに来たの?」
「・・・両方。」
「なら、ほら、落ち込んでもいないし、それに、行こうにも、連絡取れないから今。」
「えっ?」
- 375 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 14:15
- 「携帯、繋がらないし、部屋も変わったみたい。自宅にも繋がらない。
・・・・結構前から・・・・」
「そーなんだ・・・」
「もう、ゴトーの顔なんか、見たくないみたいだよ。市井ちゃん。
だから、梨華ちゃんが、心配するようなことは、何もないんだよ。」
「・・・・あっ、うん。」
「じゃ、もう、帰んな。明日、仕事でしょ。」
「うん、あの、でも・・・・泊っちゃダメ?」
「あっ、別にいいけど・・・」
「ねっ、ほら、久しぶりだしー、ダメー?」
「うん、じゃあ、布団、運んでくるわ。」
ゴッチンは、思ったより、ずーと明るい。
でも、だから余計に、心配なんだよね。無理しすぎだよ・・・
泣いちゃえばいいのに・・・・
- 376 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 14:28
- えっ、何課とがする。うん、確かに音がする。
ゴッチン、もう起きたのかな。
私は、少し嫌な予感がして、目を覚ます。暗い部屋。
まだ、眠りに付いてから、そんなに時間は経っていなさそう。
そのまま、半身を起こして、音のする方に目をやる。
えっ、ゴッチン、もしかして、着替えてる?えっ、コート着て・・・
「ゴッチン!」
「あっ、ゴメン、起こしちゃった?」
「どこ、どこ行くの?」
「うん、ちょっと、コンビニ・・・」
「ウソ、そんなわけないでしょ!」
そのまま、部屋を出ようとする、ゴッチンにしがみついて・・・
行かせられない。
「ゴメン、でも行かなきゃ。」
「どーゆーこと?」
「うん・・・・行かなきゃ、きっと後悔するから・・・」
「ダメ。行かせられない。」
「・・・・・わかった、ちゃんと話すから・・・」
ゴッチンは、私の取りすがる腕を、優しく、下ろさせて、ポケットから携帯を取り出す。
- 377 名前:迷子 投稿日:2003/11/13(木) 14:44
- 「・・・・こんなのが、入ったんだ。」
って、メールを見せてくれる。
そこには、たった一言・・・・「バイバイ」それだけ、名前さえない。
「えっ?何これ!」
「ねっ、やばそうでしょ。・・・だから、行かなきゃ。」
確かに・・・危ない。・・・でも。
「どこか、アテあるの?」
「うん、絶対じゃないけど、思い当たる所ある。
たぶん、そこにいると思う。・・・・そこで、アタシのこと待ってる。」
「・・・・」
「だから、行かなきゃ。」
「じゃ、私も行く。」
「えっ?」
「一人でなんか、行かせられるわけないじゃん。」
「でも、市井ちゃんは、たぶん、他の人に会いたくないんじゃないかな。」
「それはわかるけど・・・ね、止めないから、ほっとけないのわかるから、
でも、一人で行かせたら、きっと、私が後悔する。ね、お願い。」
「・・・わかった。一緒に行こう。」
「ありがとう。それから、やっぱり、みんなに連絡させて。」
「それは・・・」
「みんな、ゴッチンと同じように、心配してるんだよ。
きっと中澤さんは、この時間でも、探し続けてる・・・・」
- 378 名前:訂正 投稿日:2003/11/13(木) 14:49
- 376 1行目
誤:えっ、何課とがする。
正:えっ、何か、音がする。
- 379 名前:迷子 投稿日:2003/11/18(火) 12:36
- 私が身支度をしている間に、ゴッチンが中澤さんに、メールを入れてくれる。
やっぱり、これから向かう先にあるものに対する、不安は、
私よりむしろ、ゴッチンの方が、強く感じ取っているのだろう。
たぶん自分たちだけでは、とても手におえないだろうって。
深夜の道で捕まえたタクシーに飛び乗ると、ゴッチンは、都心のある場所を指示する。
「ねっ、そこが心当たりなの?」
「うん、たぶん、そこ・・・・
去年、卒業の後、少しだけ、お休みもらった時に・・・・
ほら、市井ちゃん、来てくれたじゃない22日に、
その時のお礼言おうと思って、会ったんだよね。
あの頃はまだ、連絡とれていたから・・・・」
「うん。」
「その時、夜の街、何気に歩いてたら、市井ちゃん、急にその雑居ビルに入って行って、
そー、7階か8階の小さなビルなんだけど、
何だろなって、付いて行ったら、エレベーターに乗ってさ、最上階まで上がると、
そこから非常階段づたいに、そのまま屋上まで上って・・・・
景色いいだろうって、今時、珍しいよね、屋上に上れるのとか言って、
それで、この柵、簡単に越せるんだよねって、柵の外に出ようとするの。
危ないって止めたら、大丈夫、しないよって、
でも、言ったんだ、今はしないって、いざとなったらの話だって、
・・・・だから、きっと、あそこ・・・・」
「そんなことがあったんだ・・・・」
「そっ、それからすぐに、連絡とれなくなって・・・
でも、普通に仕事してたみたいだから、このメール来るまで、忘れてた・・・」
- 380 名前:迷子 投稿日:2003/11/18(火) 12:54
- 「・・・・市井ちゃんって、アタシにとってさ、娘とアタシを繋ぐフックみたいだったんだよね。」
「えっ?」
「・・・・アタシさ、娘に入った時、本当は良く知らなくてさ、娘のこと。
TVで見てて、あー、こんなグループ出てきたんだ程度でさ、
そこに入るなんて、夢にも思わなかった・・・」
「そーなんだ・・・」
「うん。・・・歌手になりたくてさ、小さい頃から、あの時だったら、そーだな、
アムロさんとか、そんなふうになりたくてさ、で、養成所みたいな所行ってて、
そこの先生に、オーディション受けろって言われて、デビュー出来るならってね。
だから、入った時は、本当、なーんにも分んなくて、メンバーの区別もつかなかった。
・・・だから、浮いてたよ、ホント、浮いてた。
なのに、スケジュールすごくて、すぐステージで、すぐラブマシーンで、
あっと言う間に、プッチて感じで、だから、ホント、何がなんだか分んなくて。
それに、アタシ、人見知りじゃん。とっつきにくいし・・・」
「そーだね。」
「で、市井ちゃんが、教育係みたいになって、手取り足取り、付きっきりで面倒みてくれて、
で、アタシ、なんとか娘になっていけたんだよね。きっと。
市井ちゃんを通して、娘と繋がっていたっていうのかな。」
- 381 名前:迷子 投稿日:2003/11/18(火) 13:23
- 「・・・ほら、前、言ったじゃん。アタシって、自分だけ見てくんなきゃ、嫌な人だって、
あん時なんてさ、もっと子供だったから、ホント子供だったから、
市井ちゃんが、そーやって、アタシのことかまうの、当たり前だと思ってた。
入るなり、センターだし、ミリオンとかいってた時だし、
何か、ゴトーのお陰みたいな持ち上げられ方してたし、特別扱い当たり前みたいなね。
アタシ、本当に子供だったから、そんなの全然、普通だって思ってて・・・・
でも、考えてみたら、すごく不自然なことで・・・
だって、年齢的なこと考えたって、今の辻加護が、田中とかの世話してるみたいなものでしょ、
ママゴトみたいな話だよね。それを大真面目にさ、
で、市井ちゃんって、それでいい人なんだって、勝手に思ってて、
でも、違ってたんだよね・・・・
元々、娘なんてみんな、アイドルつーか、アーティストつーか、
そーゆーの志望してた人たちなんだから、
みーんな、人より目立ちたいし、前に出たいの当然なんだよね。
みーんな、本当は同じ種類の人間。
縁の下の力持ちで、いいやなんてのが、いるわけないんだよね。
だから、ずーと、我慢してたんだと思うんだ。市井ちゃん。
で、結局、我慢しきれなくなったのかな。
まあ、きっかけは・・・何か、お金のこととかあったみたいだけど、
それはたぶん、ただのきっかけ・・・
で、梨華ちゃんたち入るの決まったじゃん、もー無理だって思ったんじゃないかな。
このまま、娘にいても、埋もれちゃうって・・・
で、色んな理由くっつけて、ムリムリ理由考えて・・・辞めちゃった・・・
もうちょっと、我慢してれば、よかったのにね。我慢・・・」
私は、自分に言い聞かせるように話す、ゴッチンの声を聞きながら、
初対面の日の、市井さんの目を思い出していた。・・・あの冷めた視線を・・・
- 382 名前:迷子 投稿日:2003/11/18(火) 13:45
- 「で、ムリムリつけた理屈に、自分自身が、振り回されちゃって、
で、迷っちゃったのかな・・・
別の道探すって、別の地図持ってきて、で、うろうろしてるうちに、
どこに行きたいのかも、分んなくなっちゃって、迷っちゃったのかかな、
・・・・大きな迷子だよね。まるで・・・」
確か、娘、辞める時も、そして今度も、新しい旅と言っていた、市井さん。
本当は、何処に、行くつもりだったんだろう・・・・
車は、繁華街のネオンから、幾つか路地を入った、一つのビルの前で止まる。
何軒かの飲食店の入った、ゴク普通の古いビル。
5人も入れば、いっぱいになりそうなエレベーターで、最上階の7階に上ると、
そこは小さなオフィスが、幾つか入っていそうな、ほの暗いフロア。
私は、ゴッチンに導かれるまま、非常口から出て、外階段を屋上へと上がる。
夜の街明かりに、照らされたそこは、ちょうどテニスコート位の広さが、
胸辺りまでの高さの、柵に囲まれていた。
左右と後ろは、別のビルに囲われ、一辺だけ道路に面して、開けている。
その、左の一角は、ブルーシートに覆われた、大きな廃材。
そして、そのシートのすぐ横に、隠れるように、小さなシルエット・・・・
・・・・いた。
「・・・市井ちゃん。」
ゴッチンの声が、その人影を、小さく揺らす。
「市井ちゃん!」
「・・・・」
- 383 名前:迷子 投稿日:2003/11/18(火) 14:05
- 「市井ちゃん!!」
三度目の呼びかけと同時に、走り寄ろうとする、ゴッチンを、冷たい声が制する。
「来るな!
来るな、後藤、近寄るんじゃない!」
「市井ちゃん・・・」
「何しに来た。」
「何しにって、バイバイって、あんなメールくれるから・・・
何、あれ?どーゆーことよ?」
「そのまんまの意味だよ。・・・後藤が思ってる通りの・・・」
と、市井さんが、ゆっくりと振り向く・・・・
そして、ゴッチンの少し後ろで、半身を隠すように立っている私を、一瞥すると、
「何だよ、それ。・・・後藤、一人じゃなかったんだ・・・誰だよ、それ。」
「それって・・・梨華ちゃんだよ。心配して、付いて来てくれたんだ。」
「梨華ちゃん?・・・誰、それ・・・あー、何とか言うアイドルグループの・・・
案外、ヒマなんだね、アイドルさんも。」
「何言ってんだよ、市井ちゃん。」
「・・・後藤、アタシ、その子には用はないんだけどな。
アンタ、石川さんだっけ、帰ってくれるかな。」
「市井ちゃん・・」
「・・・あの、市井さん・・・私、帰れません。・・・こんな状況じゃ・・・」
- 384 名前:迷子 投稿日:2003/11/18(火) 14:30
- 「こんな状況って、あっ、大丈夫だよ。後藤のことなら。
道連れなんかにゃしない・・・後藤だって、今のとこまだ、そんな気はないだろうし・・・」
「・・・私、市井さんが心配です。バカなことしないで下さい。
みんな、心配してます。」
「みんなって、何、あのお節介な、グループかい。」
「そーです。みんな・・・中澤さんも、保田さんも、矢口さん、飯田さんも、安倍さんも・・・
それに、他の若いメンバーも。それから、きっとファンの人たちも、
市井さんの周りの人たちみんな、きっととっても心配してます。」
「心配・・・へー、そーかな。面白がってるだけじゃないの・・・
アイツ、偉そうなこと言って、どこまで、落ちるんだろうなって。
あー、それともなんだ、メンバーとかにしてみりゃ、明日は我が身っていうやつか。
そりゃあ、心配にもなるわな、昇る所まで昇って、後は、落ちるしかないもんな。」
「・・・・」
「図星か・・・・まっ、そんなところだろうな。
アタシのことなんて、みんな本気で、心配したりはしてない・・・」
「市井ちゃん・・・何言ってんの。」
「・・・・市井さん、正直に言います。
私は、市井さんに何かあった時の、ゴッチンが心配です。
保田さんが心配です。矢口さんや、飯田さんや、安倍さんも、他のメンバーも・・・
市井さんが、引退っていうだけでも、みんなショックを受けてます。
それぞれ、意味は違うかもしれないけど、それだけで、動揺しているんです。
この上、何かあったら・・・本当、困るんです。
だから、お願いします。バカなことしないで下さい。」
私は、市井さんにむかって、頭を下げた。本当に・・・本当に、バカなことはしないで・・・
- 385 名前:迷子 投稿日:2003/11/18(火) 14:50
- 「あら、あら、ホント正直な話しだね。
でも、アンタが困ったって、アタシには、関係ないからさ、勝手にさせてもらうよ。」
「市井ちゃん、いい加減に、そんな悪態つくのやめなよ・・・らしくないよ。
じゃ、ほら、ゴトーのために、やめてよ。」
「何でさ、アンタにも、そんな義理はないね。」
「・・・・じゃ、何で、バイバイなんて、送ってよこしたのさ、
何で、アタシと来た、ここにいるのさ。」
「それは・・・」
「アタシが、来ると思ってたんだよね。
アタシが、止めに来るって分ってて、メールくれたんだよね。
でしょ、ほら、きたじゃん、ゴトー。こーして、止めにきたじゃん。
だから、やめてよ!もー勘弁してよ!」
「そや、サヤカ、エエかげんにしーや!」
いつの間に、来ていたのか、中澤さんが、私たちの所に、駆け寄りながら、叫ぶ。
その後ろから、矢口さんと、保田さん。
「なんだ、またお節介なのが、ゾロゾロと・・・よっぽどヒマなんだね。」
そう言いながら、市井さんは、ひらっと柵を乗り越えると、外側の縁に降り立って、
両腕で、外から、柵を抱えるようにして、私たちと対峙する形になる。
その一連の素早い動きが、ゆっくりと、近づいて行こうとしていた、中澤さんの足を止める。
- 386 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/18(火) 23:33
- 今回の事こういう形でネタにされると非常にムカつくんですけど…
市井ちゃんの事こんなネタにせず石川話を書いてれば良いのに
以前何人かが批判していた事が今私にもようやくピンと来ました
市井ちゃんとそのファンに対してすっごく失礼だと思います
- 387 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 00:32
- 私は続きが読みたいです。
- 388 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 00:42
- よくこんなふうに書けますね。
市井ファンとして愕然としました。
- 389 名前:? 投稿日:2003/11/19(水) 00:49
- おもしろいよ?
ネタにするのも、読むも読まないも人々流でしょ
- 390 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 01:02
- ネタにとびつきすぎ。
短絡的なストーリーだし。
ずっと楽しませてもらってきただけに残念。
- 391 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 01:22
- あー、またか。そんなにここの小説に刺激されちゃうのかね。
文句いう前に、ちゃんとどこが失礼でどこで愕然としてどこが気に入らないか
具体的に指摘してあげた方がお互いのためなんじゃないの?それもしないで
キーキーいっててもしょうがないじゃん。まだ話が終わってもないのにさ。
「私のいちーちゃん(ごっつぁん、よっすぃーetc...)はこんなじゃない!」と
本気で思ってるなら、自分の思う小説を書いて紹介してね。
そしたら読みに行くからさ。
それで、できればここにはもう来ないでほしいなあ。
ここの小説楽しみにしてる私のような人もいるんで。
- 392 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 01:27
- もともとここはそういう『ネタ』を『ネタ』として楽しめる人のための場所でしょ。
マジヲタを非難するつもりはないけれど、
この程度で騒ぐようじゃ端からここには合わないと思うよ。
マターリいこうぜ、マターリ。
- 393 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 06:49
- ネタなら何やっても良いかって事だよね
ここだけ何度も紛糾してるってのには理由があるんじゃないの?
- 394 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 08:05
- 紛糾してるも何も勝手に切れたマジヲタが一人で喚いてただけなのに
それに影響されちゃったマジヲタが釣れちゃっただけだろ。
何度も言われてるけど、気に入らないなら読まなければいい。
推しメンをよく書いてほしいなら自分で書くか他に小説を探せばいい。
飼育には15の板、倉庫を含めれば膨大な量の小説があるんだから。
ここで切れても時間の無駄だろ。
作者さん、更新待ってますよー。
- 395 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 08:06
- 批判なされているみなさんも最後まで見てから、批判されてはいかがでしょうか?
というわけで作者様続き待ってます
- 396 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 19:38
- やっぱ上手く動かせないキャラまで使ってリアルものやろうとするから破綻するのでは?
- 397 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 19:51
- 同じ市井引退ものでも青の短編はいいよね。愛がある。
作者の想い入れの差?単なる力量。
- 398 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/19(水) 21:14
- もっと愛のない小説もたくさん見たことありますよ
最後まで読んでから感想は書くべきではないでしょうか?
- 399 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 21:29
- ここで議論してもスレが汚れるだけだし。
嫌なら読むな、それだけだよ。
確かにもっと愛のない小説はたくさんあるしね。
要は押しメン1人が悪者なのが気に入らないんだろ。
キショヲタは放置してマターリいこうぜ。
- 400 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 21:38
- 早く更新してうざい読者を黙らせよう。
- 401 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/19(水) 21:46
- どういうオチにするんだろう?
難しいとこに手を出したよね。
作者さん、期待してるよ!
- 402 名前:迷子 投稿日:2003/11/20(木) 09:08
-
「サヤカー!」
「やめてー!」
「何しとんのやー」
それぞれの叫び声が、夜の空に響く。
「来るな!
誰も近づくな!・・・一歩でも動いたら・・・」
と、両手を離してみせる市井さん。
矢口さんは、もう、その場にしゃがみこんで、泣きじゃくって、
それを抱えるように、保田さんも、へたり込んで・・・
私は、ゴッチンの震える背中にしがみついていた。
「サヤカ・・・」
中澤さんが、震える声で、でも一言、一言、確認するように、しっかりと語りかける。
「なぁ、サヤカ、アンタ幾つや。
まだ、二十歳にもならんのやろ。
・・・ホンマのとこ、アンタに何があったんかは知らん。
でもな、アンタ、まだそんなに若いんや。
これから、なんぼでもやり直しきくやろ・・・・」
「やり直し?・・・面白いこと言うね・・・
やり直しがきかなかったのは、知ってんじゃない、みんな。」
「サヤカ、アンタ、何、狭い了見しとんのや。
世間は広いんよ。アンタが思ってるよりずっと。
どんな仕事かて、どんな生き方かて出来るやろ。
一度や二度のしくじりで、そんなんみんな諦めてどーするんや。」
- 403 名前:迷子 投稿日:2003/11/20(木) 09:29
- 「何言ってんだか・・・
元モーニング娘の看板だけで、業界にぶら下がってる人に、そんな説教されたくないね。」
「・・・サヤカ、ホンマ、怒んで・・・
そら、アタシは、元モーニング娘で、仕事してるかもしれん。その看板なかったらダメかもしれん。
けどな、元モーニング娘なんやから、
元娘じゃないアタシは、この世におらんのやから、それでエエやろ。
アンタみたいに、元いたグループなんて言ってる方が、
よっぽど、へんに拘ってるように見えるけどな、アタシには・・・」
「・・・アタシは、アタシは、モーニング娘に、拘ったりしてない!」
「・・・そらな、そら、アンタの気持ちも、わからんでもないけどな。
娘の看板なしで、自分自身の力だけで、勝負したいっていうのもな、
わからんでもないけどな・・・・
でもな、アンタが娘だったことは、どーやったって、消せんやろ。
・・・・楽しかったやろ、娘。好きな歌、歌って、TV出て、人気者になって、
・・・・何で、そのこと、わざわざ切り捨てんならんのや。」
「・・・・・・だって、あの時のアタシは、本当のアタシじゃない・・・」
「本当の自分か・・・それは難しい話やな。
でもな、たとえ、アンタの過去が、アンタの思い通りの物でないとしても、
もう、歩いてしまった道は、消せんのちゃうか。
それを認めた上で、今を生きなー、先が見えてこないやないか・・・・」
「・・・・・」
- 404 名前:迷子 投稿日:2003/11/20(木) 09:47
- 「・・・過去の自分、否定するから、今の自分、肯定できないのと違うの。
今の自分が、肯定でけんから、未来の自分が、見つけられないんと違うの。
なあ、認めてあげようや、過去も含めた、今の自分を。
自分自身が認めんかったら、誰も認めてくれへんで・・・・」
「・・・・・」
「アタシは、アンタの歌、好きなんやけどな、
アンタのその、肩肘張った、頑固な物の考え方も、好きなんやけどな・・・
そこから、また、新しいものが、見えてくると思うんやけどな・・・」
「・・・・・だけど、だけど、もう、歌えない・・・」
「そんなことない!」
それまで、黙っていた保田さんが、立ち上がって、叫ぶ。
「そんなことない。歌いたかったら、アタシタチは歌える。
路上ライブでも何でも、声が出る限り、アタシタチはいつだって、歌える!」
泣きながら、叫ぶ保田さんの肩に、中澤さんは、優しく手を置く。
「そやな、圭ちゃんの言う通りや。
誰かに、何かしてもらおうとするから、間違えるんや。
自分で出来る、精一杯のことしてみーや。
死ぬ気になったら、なんでも出来るんとちがうか。」
「・・・・」
市井さんの柵を握る手が、小刻みに揺れる。
泣いているのかな・・・・唇噛んで、俯いて・・・・
- 405 名前:迷子 投稿日:2003/11/20(木) 10:15
- その時・・・私たちの後ろを、黒い影が二つ、左側の柵づたいに、追い抜いて、
ブルーシートを被せられた、廃材の陰に、忍び込む。
「サヤカ、人生、長いんよ。今までよりも、これからの方がずっと。
で、それが、良かったか、悪かったかなんてものは、最後になってみんとわからんやろ。
何が正しくて、何が間違いかなんて、最後の最後までわからんやろ。
アタシかて、この子らかて、この先、どーなるかなんて、誰もわからん。
もしかしたら、娘なんかにならんと、ゴク普通に暮らしてた方が、幸せやったかも知れん。
でもな、なってしまったんや。
その道、選んでしまったんや。だから、過去は変えられへん。
でもな、これから先の道は、幾つもあるやろ。それは、自分自身で選ぶことできるやろ。」
「・・・・」
「アンタのな、今回の引退の決断はな、もう、してしまったことやから、
それは、それで、アタシの口出しすることやない。
いさぎいいとも思うわ・・・・でもな、それとこれとは話が別やろ。
たとえ、歌手の市井紗耶香が、引退してもな、
人間、市井紗耶香まで、アタシは失いたくない。
きっと、アンタのファンも、周りの人たちも、それにアンタ自身も、
本当はそんなこと、望んでないはずや。
今はな、今は、ちーいと気が立ってて、自暴自棄になってるかもしれんけどな、
でもな、落ち着いて考えてみー・・・・アンタに代わる人間は、他に何処にもいないんよ。
市井紗耶香は、ここにいる市井紗耶香だけなんよ。なっ、もったいないやろ。
なっ、アタシらから、市井紗耶香を奪わんといて、
お願いや、アタシにとって、みんなにとって、大切なんや、アンタは・・・」
それは、
- 406 名前:迷子 投稿日:2003/11/20(木) 10:34
- 「・・・裕ちゃん・・・」
その時、市井さんの握っていた、鉄の柵が、嫌な音をたてる。
・・・・・えっ?
小さく、揺れる市井さん。
「キャ!」
私が、目を覆うとしたその瞬間、
ブルーシートの陰から、二つの影が飛び出す。
市井さんの頭を、その両腕ごと抱え込む、大きな影。
柵越しに、その両足にしがみつく、小さな影。
その動きを合図にするように、中澤さんと、保田さんも駆け寄る。
4つの影が、一つの力になって、市井さんの細い身体は、
壊れかけた柵の内側に、引き戻される。
「ホンマ、おんぼろビルやな。危ないなー、ホンマに。
で、アンタら、いつの間に来とったん?」
「あー、さっきねー。」
「うん、ちょこっと前かなー。」
その緊迫した状況には、とても不似合いな、いつもの声。
「カオリー、ナッチー!」
泣き崩れていた、矢口さんが、へたへたとその場に駆け寄る。
「あーん、よかったよ。アリガトネ、アリガトネ。」
「へへーん。」
子供みたいに胸を張る、安倍さん。
「オイラ、初めてだよ。二人がこんなに頼もしく見えたの。」
「矢口、アンタ、本当に失礼ね!」
いつものように、怒ってふざける飯田さん。
- 407 名前:迷子 投稿日:2003/11/20(木) 10:51
- 「ホンマ、良かったわー。もうちょっとで、事故るとこやったわー。」
引きづり込まれたまま、四つんばいで泣いている市井さんに、中澤さんが声をかける。
「サヤカ、かんべんな。
アンタ、本当はこんなことする気はなかったんやろ。
ちっと、ゴッツアンのこと、呼び出してみたかっただけやろ。
それを、アタシらが、ウジャウジャ来てしまったもんやから、
引っ込みつかんようになって・・・・
ホンマ、ゴメンな。怖い思いさせてしまって。
ホンマ、かんべんな。」
「そーだよね。大騒ぎしちゃったからねぇー。ゴメンねサヤカ。」
と、保田さんが、市井さんを抱えて、立ち上がらせようとする。
「ホント、もー、無茶するんだから!」
腰が抜けているのか、立ち上がれない、市井さんに、矢口さんも手を貸して。
「・・・・ごめん。・・・ごめん。アタシ・・・・」
泣きじゃくりながら、声を絞り出すように、言葉を繋ごうとする市井さんを、
「いいから、わかってるから。」
と、保田さんが、優しく制する。
市井さんを中心に6つの影が、寄り添う。
・・・・・・・
私の知っている、モーニング娘。がそこにいた。
- 408 名前:迷子 投稿日:2003/11/20(木) 11:03
- 市井さんを両脇から支える、保田さんと、矢口さん。
それを見守る、中澤さん、飯田さん、そして安倍さん。
みんな、半分泣きながら、それでも、半分笑って・・・
スクラム組むように、支え合って・・・・
モーニング娘。がそこにあった。
保田さんと矢口さんに支えられたまま、歩き出した市井さんが、ゴッチンの処まで来ると、
「・・・・後藤、ゴメン。」
俯いたまま、つぶやく。
「市井ちゃん・・・・でも、アタシ、嬉しかったよ。
どんな形でも、市井ちゃんが、アタシに連絡してくれて。
アタシのこと、忘れないでいてくれて。
アタシ、本当に嬉しかったよ。」
「後藤・・・・」
やっと、上げた市井さんの顔は、ちょっと驚いたような、少し、はにかんでいるような・・・
さっきまでとは、別の人のようで。
「さっ、サヤカのことは、アタシにまかせて、アンタらは、もう帰んな。」
- 409 名前:迷子 投稿日:2003/11/20(木) 11:18
- 「そやな、取り合えず、今日のところは、圭ちゃんちに連れてくわ。」
保田さんと、中澤さんに連れられて、階段の下に消える、市井さん。
それを見送る、矢口さんに、飯田さんと、安倍さんが追付いて。
「そうだね。明日があるし、もう帰ろ。
アンタ達も、風邪ひかないようにね!」
「気をつけて帰るのよ!」
「明日、遅れんなよ!」
優しく声をかけて、降りていく、3人の先輩。
「何か、結局、何にも出来なかったね、アタシたち。」
「うん。」
「でも、本当、よかったよ、みんな来てくれて。」
「うん。」
「何か、すごいよね。やっぱり、あの人たち。」
「うん、何か、全然、敵わないって感じ。」
「そうだね。・・・でも、市井ちゃん、大丈夫かな、本当に。」
「・・・・うん、きっと大丈夫。
中澤さんが言うように、半分は、本気じゃなかったと思うし、
それに・・・・それに、あんなすごい仲間がいる。」
- 410 名前:迷子 投稿日:2003/11/20(木) 11:35
- 「・・・・そーだよね。きっと。
それに、根はしっかりとした人だもの。
落ち着いたら、落ち着いたらまた、歩き出せるよね。」
「うん、きっと。」
「今度は、いい旅、出来るよね。」
「そーだね。いい旅・・・・」
迷わずに・・・
もしかしたら、私たちは、みんな、迷子なのかもしれない。
娘になったその時から、大きな迷路に迷い込んでしまったのかもしれない。
今は、正しいと思って、歩いているこの道の、行き着く先にあるものが、
決して、幸福とは限らない。
スポットライトの当たる、その影には、暗い落とし穴が、あいているのかも知れない。
そんな不安を抱えながら、それでも歩いて行かなきゃいけない。
自分自身の選択を信じて・・・
一緒に歩いて行く、仲間を信じて・・・・
そして、いつか、振り返った時に、自分の歩いたその道を、
愛しめることを信じて・・・・
誰の足跡もついていない、地図のない道を、迷いながら・・・
それでも、歩き続けなきゃいけない。
今日も、そして、明日からも・・・・
「 迷子 」完
- 411 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/20(木) 11:43
- 愛あると思いました。
良かったです・・・。
- 412 名前:訂正 投稿日:2003/11/20(木) 11:46
- >405 一行、消し忘れ。
- 413 名前:トーマ 投稿日:2003/11/20(木) 11:54
- なんか、お騒がせしちゃったようで・・・・
ネタに飛びつき過ぎ、と言われたら、本当にそうかも知れませんけど、
あの発表のされかたは、かなりショックで、
そのことについて、何も言えないであろう娘たちが、
それでも何か、このことを、重く受け止めている人たちであって欲しい、という願望から、
拙い話を書かせていただきました。
場面の設定の陳腐さは、作者の力量のなさです。ごめんなさい。
- 414 名前:捨てペンギン 投稿日:2003/11/20(木) 12:29
- 楽屋での会話は、すごくリアル感あると思います。
現実には、さすがに自殺未遂はないでしょうけど...
現実にはメンバーは引退を、何日前くらいに知ったんでしょうね?
貴作品と同じ、インターネットで知ったって事はいくらなんでも...あるかも
偉そうなレスですいません
次回作にも期待しています
- 415 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/20(木) 13:12
- 更新乙でした。
トーマさんのお話に出会えて私は幸せを感じています。
次作楽しみにしています。
- 416 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/20(木) 17:24
- 最後まで読みました。
もう市井さんをネタにしないでください。
- 417 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/23(日) 02:50
- もうネタにもならんだろうから大丈夫だよ、お前も二度と来るな。
- 418 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/24(月) 15:02
- 中途半端に知ったかぶりで書くなよ。
- 419 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/25(火) 01:05
- ほんとにしつこいなあ。いい加減にしてほしい
お前が読みたい物がここにないならもう来るなよ
自分の推しメンがよく書かれてないのがそんなにイヤなのか?
ガキが駄々こねてるみたいなマネはもうよせよ
小説なんて所詮虚構。お前が知ってる現実なんて意味ねえよ
- 420 名前:ss.com 投稿日:2003/11/26(水) 17:53
- 雑音なんか気にしないでトーマさんの世界を守って下さい。
次作を楽しみに待ってます。
- 421 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/01(月) 07:58
- >>420さん
に同意
- 422 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/01(月) 10:43
-
「梨華ちゃーん!」
ハロモニの控え室。
矢口さんが、ちょっと不気味なくらいの、満面の笑みで、近づいてくる。
うわっ、こわっ!
「何ですかぁー。」
恐る恐るの質問。
「これ、新企画だってよ。」
ピラピラ見せる、一枚の紙。
「えっ?・・・・・あー、新コーナー、始まるんだぁー。」
紙を受け取って、読んでみる。
箇条書きに・・・
(仮題)制服でカラオケ
何これ!・・・・・コスプレ?
内容:某カラオケ店にて、メンバーの普通に遊んでいる姿を
固定カメラにて、収録。
何これ?手抜き?モーム素部屋みたいなやつ?
出演(予定):1、後藤真希
2、石川梨華
3、藤本美貴
あー、ゴッチンも出るんだー、って、何これ、えっ、この3人なの?
- 423 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/01(月) 10:56
- 「なっ、面白そーだろ。」
「おもしろそーって・・・・・」
「個室で、3人きりだ。あはっ、やったね、水入らず。」
「・・・・・水入らずって、矢口さん、何おもしろがってんですかぁ。」
「梨華ちゃん、もしかして、困ったりしてる?」
「な、わけないじゃないですか。・・・・楽しそうじゃないですか。」
「だねー、楽しそうだよねー。色んな意味で。」
「もー、何言ってんですか。」
「オイラ、見てみたいな、現場。OAだけじゃなくて。」
「えー。」
「てか、OA出来んのか、これ?」
「どーゆー意味ですか?」
「何気に、スンゴイことになったりしてな。修羅場、修羅場。」
「な、わけないでしょう!楽しく、ワキアイアイと・・・・」
「行けばいいけどなぁー。」
そこに、
「何、盛り上がってんですかあー。」
って、出演者その3、登場。
- 424 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/01(月) 11:09
- 「へー、新コーナーなんだぁ。って、美貴も出んの?
へー・・・・オモシロソ!」
って、何か、ものすごーい笑顔。矢口さん以上に不気味。
で、私の肩をツンツン・・・
「楽しみだねー。収録、いつだろ?
って、梨華ちゃん、何気に、マユ、へなっない?」
「そーおー。」
「何か、困ることでもあんのかなー。」
って、益々ニタニタして、藤本さん、アナタもしかして、何か企んじゃったりしてないよね。
「まっ、ともかく、梨華ちゃん、頑張れよ。オイラも陰ながら応援してるよ。
それに、どんなことになっても、それはそれで、それが青春ってやつだ!」
って、矢口さん、笑い噛み殺して、クサイ台詞言わないで下さいよ。
顔が、関根さんになってますよ。って、人事だと思って・・・・
- 425 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/01(月) 11:33
- で、収録日。
えー、本当に制服とか着るんですかぁー。これって、完全に、その手のオタ狙いだよね。
第一、私、もうそんな年でもないんですけど。
俗に言う、なーんちゃって女子高生ってやつよねぇ。何か、恥ずかしいよね、やっぱし。
「かわいい、かわいい」
なんて、ゴッチン、妙にテンション高く、キャッキャはしゃいでるし・・・
「ゴッチン、何気に楽しそうだね。」
って、美貴ちゃんの悪魔の笑顔。
「だって、楽しくない?こーゆーの。」
って、ゴッチンの天使の笑顔。
あーあ、こーゆー時のゴトーさんって、何か本当に、幼いというか、無邪気というか・・・
何?本当に自由にやんの?これ。
後で、適当に編集するからって。
少しは何か考えなさいよ。って、顔してたら、
もちろんプロなんだから、カラオケだけじゃなくて、ちゃんと美味しいことしてね。
だって、本当に、適当なんだからぁー。
カメラ位置、確認して、じゃおまかせー、なんて、スタッフさんたち出てちゃった。
「じゃ、座ろっかー。」
って、さっさと席に着く。左端、確保。TV的には、右側ってやつ。
取り合えず、挟まれたら、たまったもんじゃない。
ニコニコして、ゴッチンが、真中に納まって、しぶしぶって感じで、美貴ちゃんがその横。
あっ、これって、ごまっとうの亜弥ちゃんポジション?
TV的にはOKじゃない?何気に・・・・ごまっとうファンには怒らそうだけど・・・
- 426 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/01(月) 11:52
- 「カラオケ、久しぶりー。」
「私もー。」
ヤバ、素で返しちゃった。・・・・まっ、いいか。
「このメンバー、初だよね。」
なーんて、言ってみたりする。
「そーだよ、初だよねー。」
で、何で、抱き合うわけ?・・・・まっ、ともかく、ワキアイアイ・・・
しゃべって、ゲームして・・・
ゴトーさん、やっぱり、あの豆乳は狙いすぎたね、って、ホントに好きなの?
で、カラオケ・・・
「歌えるのにしてね。」
って言ったら、シャボン玉?
わっ、ゴッチンの歌うシャボン玉、初めて聞いた。ヨイヨイ、なんて思ってたら、
えー、やっぱり、セリフは私やんの?
ほれ!なんて促されて、やれって言うなら、やるけどさ、キモイとか言わないでよ。
せいぜい、キショイにしておいてね。って、変わんないかー。
「・・・・ね、好きなのよねぇー・・・」
とか、ついつい、ゴッチン見て、言っちゃった。
アハッ、笑ってくれてよかったー。・・・・そーでもないかー・・・・
取り合えず、2時間弱・・・・・ふー、オツカレー。
なんとか、無事に終わったよね。何事もなく・・・・
って、どこをどーつかうんだろ?
- 427 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/01(月) 12:07
- 何か、いつもの倍は疲れた感じ。
ハイハイ、今日は、お仕事終了。さっさと着替えて、帰って、寝ようーと。
って、帰り支度してたら、肩をポンポン叩かれて・・・・
何気に、すんごくイヤナ予感・・・
「イシカーさん、もしかして、さっさと帰ろ、なんて思ってないよね。」
って、悪魔の囁き。
藤本さん、アナタ、今度から、コントの悪魔役やるといいわ、きっと。
「ハイ、そーしよっかなーって思ってたんですけどー。」
「甘い!」
「へっ?」
「誰のお蔭で、今日のアレが収録出来たと思ってんのよ。」
「と、おっしゃいますと?」
「美貴のお蔭でしょ。何事もなく、ワキアイアイと・・・・
アンタラのイチャツクのも我慢して・・・あーあ、なんてケナゲなんでしょ。」
「いちゃつくなんて・・・・してないけど。」
「何、言ってんだか、人の目の前で、堂々と見詰め合ったりしてたくせに。」
「そっかなー。」
あのー、自覚症状ないんですけどぉー。
「とにかく、借りは返してもらうから。」
「はー?」
「ほら、行くよ!」
- 428 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/01(月) 12:28
- 「何処に?」
「カラオケ。」
「へっ、って、カラオケなら、今したばっかじゃん。」
「今したって、TV的に、ちょっとじゃん。歌いたい歌も歌えないし。
これからが、本番なの!」
「そーなんだぁー。」
「そっ、ゴッチンも待ってるから、早く!」
「って、もしかして、3人で行くの?」
「あったり前でしょ。めったにない組み合わせなんだから。
ある意味、それもこれからが、本番なの!」
「あのー、藤本さん?もしかして、私のこと、泣かそーとか思ってる?」
「うーん、ちょっとね。」
「えーー!」
「とにかくー、決まってんだから、行くの!
・・・・・それとも、ゴッチンと美貴が、二人で行ってもいいのかな?」
「ふぇ、ゴッチンと美貴ちゃん・・・・・」
何か、それもすごく怖い気がする。
「わかりました。お供します。」
「そっ、最初から、素直にそー言えばいいのに。
いちいち、面倒な子だよね。」
って、手を引かれて。
何かもしかして、私って、この人の言いなり状態?
- 429 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/01(月) 12:39
- 入口の処では、ゴッチンがニコニコしながら待っていて・・・・
あー、なんかその笑顔、痛いんですけどぉー。
あーあ、誰か助けて、て、矢口さん。
「ねっ、せっかくだから、誰か呼ばない?」
「何で、いいじゃん3人で。」
「そーだよ、それこそせっかくなんだから。」
って、あえなく、却下。
「あー、でもヨシコとか暇かなぁー。」
って、ヨッスィー・・・なんか、ますます複雑になりそう。
「あっ、そこまでくるとさすがに話が、ややこしくなる。
いいよ、3人で。」
って、こればっかりは、美貴ちゃんに感謝。
で、前、よく来たカラオケ屋さん。
「ここ、よく来るの?」
「うん、前、よく梨華ちゃんとかと来たよね。」
「ふーん。」
「あっ、でも本当、久しぶりって感じ。」
とか、私、何あわてて、言い訳めいたこといってんだろ。
- 430 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/01(月) 12:55
- さっきのお店より、だいぶ狭いスペースに、3人座り込んで、
って、何で、私を挟んじゃう訳?・・・二人して。
「じゃ、歌お、歌お。」
って、本、めくり始めたら、
「そー、あせんなさんなって。何頼む今度は?」
「えー、そーだなあー。」
ゴッチン、また豆乳とか言っちゃうの?
「フツーでいいよ、普通で。今度は昆布茶とか。」
って、あなたの普通って・・・ゴッチンって、時々、わかんないんだよね。
「美貴はー、コヒーとか・・・って、TVじゃないんだよね。生でいいかな。」
「生って、ビール?」
「当たり前でしょ。他に生なんてある?」
「生麦、生米、生卵。」
「わかった、梨華ちゃんの分は、卵、頼んどくわ。」
「あのー、私は、レモンアイスティーで。」
「たくー、人の揚げ足取って、ぶりっ子してんじゃないの。
まっ、いいや、適当に頼んどくから。」
って、勝手にオーダーする美貴ちゃん。
何か、本当に、なんだかんだ言って、私、逆らえないのよね、この人に。
- 431 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/01(月) 13:06
- 「ハーイ、きたよー。」
って、何これ!
中生、ライムハイに、ピーチハイ?アタリメに、サラミに、枝豆・・・
絶対、アイドルのテーブルじゃないよね、これって。
「はーい、可愛いのにしといたからね。ホーラ、ピンク。」
だって・・・・
「えー、ゴトーの注文も無視なわけぇー。」
って、少々、戸惑い気味のゴッチン。
「そー、一人だけ、しらふっていうのも、きつくない?
それに、たぶん、呑んだ方がいいと思うんだよねぇー、今後の展開的には・・・」
って、あのー、藤本さん、それどーゆー意味よ。
「まっ、いいか、たまには。」
で、カンパーイだって・・・・
ハイハイ、もー、どーにでもなって下さいよって感じ。
てーか、ここはもしかしたら、酔っ払っちゃった方がいいのかもね・・・・
- 432 名前:@ 投稿日:2003/12/01(月) 14:35
- ほんきで待ってました。
やっぱりこの3人の空気が息苦しくていいですよね(爆
続き楽しみにしてます。
- 433 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/01(月) 21:31
- おお、待望の三人言ネタがきてる
積極的な美貴帝、何も知らないごっちん、絶体絶命の梨華ちゃん
この3人がどんな駆け引きをするか続きがスゲー楽しみです
- 434 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/02(火) 01:23
- カラオケ話首を長くして待ってました
続き楽しみにしてますね
- 435 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/02(火) 10:46
- 「で、何歌う?」
って、やっぱり、仕切り屋さんが、仕切って。
「ゴトーはねぇー、中島美嘉さんのとかが、いいかな。」
「あー、よいねぇー。じゃ、やっぱ、雪の華かな。」
って、ソロ歌手のお二人さんが、半分ずつ歌って・・・・
いいなー、こーゆーの。何かしみじみ聞き惚れちゃう。
私も、こんな恋がして・・・
「こんな恋がしてみたい。とか、思ってたでしょ。梨華ちゃん。」
って、想像の世界にまで、突っ込まれた。
「えー、そんなことー・・・・・あるかな。」
「ホント、分りやすいんだからー。とろーんとした顔しちゃって。」
「もー。・・・・でも、二人とも、バラードいいよね。すごく素敵だった。」
「でしょ、歌いたいよねぇー、こーゆーの。」
「だねー、ゴトーも、たまにはバラードとかやってみたいよね。」
「亜弥ちゃんみたいに?」
「あー、あれはー、ちょっと・・・・」
「あれは、論外でしょ。フツー。」
「えー、そーなのー・・・・って、わかる気がする。」
- 436 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/02(火) 11:05
- 「でしょ、バラードは詩が命でしょ。ここだけの話。
何、あの公団の駐車場って・・・」
「だね。」
「あれで、乗ってた車が、スポーツカーから、いきなり、軽四とかになっちゃうじゃん。」
「はー、そー言えば、そんな感じあるねぇー。うまいこと言うよね。」
「そ、もらった指輪も、なんか安っぽくなる。」
「あー、夜店で売ってるみたいなー。」
「そ、梨華ちゃんが、カワイイとかいいながら、買っちゃいそーなヤツ。」
「えー、その例えは却下。」
「そーおー、ぴったりだと思うけどなー。
まっ、でも最近、何か酷いよね。前々から、変な詩書くなぁーとは思ってたけど。」
「あー、言っちゃったねぇー美貴ちゃん。それ、タブーだよ。」
「えっ?そーなの。いいじゃんTVじゃないんだから。だって、娘だって、恋愛大臣だ
「あー、あれは何かと思ったよね。私、最初、歌詞カードのミスプリかと思った。
それに、すごいブリブリだしね。」
「梨華ちゃんに、言われたら、ホント、終わってるよねぇー。」
- 437 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/02(火) 11:22
- 「何よ、それー。」
「だってー、いい年して、一番ブリブリやってたじゃん。」
「それはー、一応、お仕事だからね。それに、ブリブリ担当だしー。」
「ハイハイ、真面目だこと。でも、ブリブリ担当つーのは、笑えるよね。
やっぱー、セクシー担当は無理だったかー、色気ないもんねぇー。」
「もー!」
「でも、カン娘の歌も、今度は思いっきり痛いよ。」
「へー、そーなの。どんな?」
「セリフとかあったりするの。」
「へー。・・・・で、もしかして、それ、美貴ちゃんやったりしちゃうの?」
「そー、すんごくクサイヤツ。」
「・・・・ねぇ、キモイとか言っちゃっていい?」
「どーぞー、言ってみればー、百倍ぐらいにして、返してあげるから!」
「言わなくたって、いつも言ってんじゃん!」
なんて、いつもの調子でやってたら、
「ねぇー、梨華ちゃん、歌わないのー。」
って、ゴッチン。
あー、なんか、ゴッチン、話に入ってこない。つーか、入る隙がない感じ・・・
「えー、私はいいよー。ゴッチンの歌、聞かせてよー。」
「ダーメ。歌いな!」
「だってー、思いっきり、突っ込みそーな人がいるんだもの。」
「歌わなくても、突っ込むけどね。」
「勝手に入れるよー。」
って、CHARAさんの歌だ。・・・そー言えば、前、一緒に来た時、歌ったんだよね、これ。
- 438 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/02(火) 11:37
- 「・・・・ふーん、結構、歌えてんじゃん。娘のより、ましじゃない。」
「ましって・・・だね。てーか、カラオケだと、エコー付いてるからね・・・」
「あー、そーゆーことかー。梨華ちゃん、声、足りてないからね。」
「うん、だね。踊るとマスマスだしね。」
「踊りはー、もー少し、抜けばいいのに・・・でも、腹筋とか、ボイトレとかしてんの、ちゃんと。」
「うーん、一応・・・」
「てか、ヘコヘコやってるだけじゃないのー。」
「そっかなー。」
「たくー、もっと、自覚持って欲しいよね。一応、歌手なんだからー。」
「・・・ハーイ。」
なんて、やってたら・・・・
「アンタラ、ホーント、仲良いよねー。
何か、さっきから、ずっと、ゴトー、置いてきぼりだよね。」
「ふぇ?」
「本当、予想以上だよねぇー。」
あっ、ゴッチン・・・もしかして、怒ってる?
「何、ゴッチン、妬いてるの?」
って、美貴ちゃん、いらんこと言って。
「うん。何か、妬けるよね。てか、梨華ちゃん、早くなーい。」
- 439 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/02(火) 11:51
- 「梨華ちゃんってさ、ゴトーの時なんてさー、一年以上かからなかったっけ。
慣れるつーか、親しくなるつーか、心開くつーか・・・」
「そーだったっけ?」
てか、そーでした。おっしゃる通り。
「そーだったじゃん。それに、相手が、このミキティーだよ。。」
「って、どーゆー意味よ?」
少し、切れ気味の美貴ちゃん。
「普通に合わないでしょ。一番、苦手っぽいタイプじゃん。」
「だってー、同級生だしー。」
とか、あまり、意味のない反論。
「そんなこと言ったら、ゴッチンだって、合わなそー、梨華ちゃんと。」
って、これはかなり意味のある反論。
「・・・・あっ、そっか。えっ、じゃあ・・・」
あーあ、にぶいお魚さんが、気付いちゃった。頭の上に!マークついてる。・・・やばっ!
「あー、そーゆーことなんだー、やっぱ。・・・で、梨華ちゃん的にもOKなわけ?」
「そーそー、そーゆーこと。」
って、藤本さん、煽らないでよー。
- 440 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/02(火) 12:09
- 「ふーん、で、いつからウマクいっちゃったわけ?」
「えっとねー。」
うわっ、美貴ちゃん、指とか折らないでヨー。
本当、やばそう。・・・逃げよっかなー・・・
うん、逃げよ。ここは、ひとまず、逃げるのが正解。梨華は、日本一の卑怯者になります。
なんて、バッグとって、立ち上がろうとしたら・・・
両側から、すごい力で押さえ込まれた。
やっぱ、無理かー。力でこの二人に、敵うわけもないし・・・
「じゃ、歌おうかなー。」
なんて、歌本、開いて、背もたれの方に、深く沈み込む。
「いまさら、ごまかさないの!」
とか、美貴ちゃんに睨まれて・・・・
あーあ、私、本当、こーゆー展開、慣れてないというか、それこそ、タイプじゃないというか・・・・
真面目で、一途な石川さんは、どこに行っちゃったのかなー・・・なーんて、言ってる場合でもなさそーだし、
これが、私の優柔不断さが、招いた自業自得ってやつなのよね。
うーん、梨華、ピーンチ!
「そーなんだー、うまくいっちゃったんだー。」
うわっ、ゴッチン、許してー。
「で、どこまで、行ったの?」
って、えっ?何て質問してんの。
「うん、ちゃんと、告ったし、キスもしたしー。」
って、まともに答えないでよ、藤本さん。
- 441 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/02(火) 12:23
- 「それから?」
「うん、まだそこまで。」
「そっかー、まじったなー、さっさと先に進んどきゃーよかったなぁ。」
って、その先って何? なんて、一応、かまととぶっとこー。
「えっ、ゴッチンも、そこどまりなの?」
って、美貴ちゃん、何気に、目が輝いてるよ。
「うん、梨華ちゃんって、こんなだからさー、拒絶でもされたら、痛いかなーって思って・・・」
「そーなんだー。うわっ、それって結構嬉しいかも。
美貴、とっくに二人は、そーゆー関係なんだと思ってた。」
って、どーゆー、関係よ。・・・て、そー思ってたんだこの人・・・
「へー、そーなんだー、へー。」
なんて、妙に納得して、ニマニマして、
「じゃ、美貴がもらっとこ!」
だって、・・・えっ、今、何言った?
「何、言ってんの。だめだかんね。やっぱ、ゴトーのだもん。」
「だって、ゴッチンって、浮気は許せないタイプじゃなかったっけ。
もう、やめとけって、こんな浮気者。」
- 442 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/02(火) 12:42
- 「えー、だよねー、てか、梨華ちゃんが、こんなに軽いとは思ってもいなかったよ。信じてたのにな。」
ふえーん、ゴメンねゴッチン。
「・・・・でも、ゴトーも、だいぶ鍛えられたよ。かなり、大人になった。
一度や、二度のキスぐらい、娘じゃ、日常茶飯事だし、もーしないってことで、許したげる。」
「えー、でも、梨華ちゃんも、美貴のこと好きだって言ってたしー。」
「ゴトーの方が、先だしー、一番大切だって言ってたもん。」
「じゃ、百歩譲って・・・・半分ずつにしよっかー。」
って、私の目の前で、二人して・・・私を一体なんだと思ってるんだろ。
・・・・て、やっぱり、私がいけないんだもんね・・・・どうしょう・・・・
「って、梨華ちゃん、アンタ、どっちが好きなのよ。」
二人に、いっぺんに睨まれて・・・・
「ふぇーん。」
って、コント並みの泣きまね。
「ごまかさないでよ。」
「泣いても、許さないからねー。」
だってー、二人ともすきなんだけどなー、って、ダメ?そーゆーの。
・・・・て、私、いつから、ゴッチンって、即答できなくなっちゃったんだろう。
ゴッチンと誰かを比べてるなんて・・・うそー、私、いつの間に美貴ちゃんのこと、こんなに好きになってたんだろ。
こんなに、憎たらしいのに・・・・うわっ、本当に、選べない!
- 443 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/02(火) 13:01
- 本当、ダメだ、これ!
全然、私らしくないじゃん。こーゆーの、やっぱ、無理。
もー、仕方ない・・・一番、誠意ある対応ってゆーやつするしかないよね。こーゆー時は。
「ごめんなさい!
・・・・・あの、ずるいようだけど、私、選べないから、だから、二人ともなしということで・・・」
「えー、何それー。」
「だからー、私、どっちも好きだからー、そーゆーのナシでしょ。
だったら、他に方法ないし・・・・。」
「何よそれ・・・・そんなんだったら、元も子もないじゃん。せっかく、ゴッチンと張り合えるまできたのに。」
「そーだよ、ゴトーも、そんなんじゃ納得いかない。」
「てか、イシカーさん、アンタ、いい子になりたいだけじゃないの?
いい子の私はバイバイ、したんじゃなかったっけー。」
「うーん、だけどー・・・・・」
「てか、アンタ、もう面倒くさいからって、アタシラやめて、田中とかに、乗り換えたりしちゃうんじゃないの?」
「そんなことしないよ!」
「て、田中のメとか、まだ生きてたりすんの?」
「なんだよねー、結構、かわいがってんの、コイツ。」
「そんなんじゃないよー、かわいい後輩じゃん、だから。」
- 444 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/02(火) 13:21
- 「でも、アッチは、かなりマジだよね。梨華ちゃん、押しに弱いから・・・わかんないよー。」
「なー、ことはありません。いくら、私でも、あんな若い子に手はだしません。それこそ、犯罪じゃん。」
って、いくら私でもって、どーゆー、私だよ。なんか、ジゴロっぽい発言だよねぇー、
まるで、ヨッチャンみたい・・・・なーんて、思ってたら・・・
「てか、ヨシコなんかの方がヤバくない?」
だって。
「えー、ヨッスィー・・・・ないでしょ、それは・・・・て、あるかなー。」
「何気に、強いらしいよ、同期の絆ってやつ。」
「あー、何気にあるよねー、そーゆーの。美貴にはヨクわかんないけど・・・・」
「なんだよね。ゴトーも一人だったから、時々羨ましくなったけどね。
4期は、特に仲いいし、なんか、家族みたいつーか・・・」
「そーだよね、時々、入れない感じあるよねー。」
「ゴトーも、そーだったなー、普段はいいんだけど、なんかの拍子に、あっ、違うってね。」
「だよねー、そうゆー意味じゃ、何か、ゴッチンと美貴って、似てるよね。一匹狼みたくて・・・」
「だねー、どこか、群れに混じれないんだよね・・・」
そーいえば、そーかも。二人とも、ちょっとした時に、すごく寂しそうな顔する。
それが、母性本能くすぐるのかな・・・・なーんちゃって・・・・
- 445 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/03(水) 03:22
- 今日初めて来ました。
モテ石でいしごま前提の娘。ワールドがよい感じです。
しかも、ごいしとう! 個人的に好きな組み合わせなんで、尚面白いです。
更新楽しみに待っています。
- 446 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/03(水) 11:39
- な、時に、TELの音。お時間ですけどー、だって。
オッ、もしかして、救われちゃった?
「帰ろっかー。」
「うん!そーしよー!」
「うーん、じゃあ、ここはひとまず、切り上げてー。」
あーよかったー。助かったみたい・・・・
「場所替えしよ!」
アー・・・・やっぱり・・・・
「梨華ちゃん、アンタ、もしかして、このまま逃げられるとか、思ってないよね!」
「へっ、はー。」
「本当に甘いんだから。ほら、行くよー!」
「って、何処に?」
「梨華ちゃんチに決まってるでしょ!
一応、私たち、アイドルなんだから、夜中に、街、うろつくわけにいかないでしょう。」
「で、ウチに決まってんだぁー。」
「そっ、決まってんの!まだ、決着ついてないしねぇー。」
えっ、やっぱり、決着とかつけちゃうわけ?
今年が、厄年なのは知ってたけど、なんか今日は、人生最大の厄日ってな感じ・・・
梨華、大ピーンチ!
「あっ、それから、会計は当然、イシカーさんだから。」
だよね。
- 447 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/03(水) 11:54
- タクシーに、また拉致状態で・・・私の部屋に向かう。
当然のように、道順を説明する、美貴ちゃんに、ゴッチンが少しむくれて、
真中に座らせられた私の腕を、思いっきり抓る。
イタッ!って、これ痕とか残りそーだよね。まっ、黒いから、目立たないけど・・・
こーゆー時は、地黒も悪くないよね・・・なんてね。
もうちょっとで、ウチのマンションって処で、
「ここで、止めて!」
って、ゴッチンが、急に、車を止める。
「何よー!」
って、仕切り屋さんが、少し切れ気味に、降りて・・・
「あっ、もちろん、梨華ちゃん、払っといてねー。」
ハイハイ。だよね。
「こっち!」
って、道路際の児童公園の方に、ゴッチンが、私の右手を引っ張る。
「どこ行くのよ。」
とか、左手が、少し抵抗する。
「ここ、前、よく来たよねー。」
って、ゴッチン。
「何、二人の歴史とか、アピールしたいわけ?」
って、美貴ちゃん。
- 448 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/03(水) 12:07
- 「そーだよ。よく、仕事帰りに、ブランコとかしたよね。」
って、ブランコに座る、ゴッチン。二つしかないブランコのもう一つに、私を促して、
「よく、いろんなこと話したよね、ここで。」
えー、よくって、一、二回だったよーな・・・・でも、ここは後藤さんを立てて、
「そーねー。」
とか、相槌を打ってみる・・・私も、結構、調子がいいよね・・・
「へー。」
ゴッチンの前で、腕組みしていた美貴ちゃんが、いきなり、私のブランコにたって、
「二人乗りしよー!」
って、思い切り、こぎ始める。
わっ、ブランコがギシギシうめいて、マジこぎ。
負けるもんかみたいに、ゴッチンも立ち乗りして・・・・・子供みたい・・・
って、あっ、なんか気分悪くなってきた・・・さっきのお酒が回ってきたのかなぁー。
・・・やっ、地球が回ってる・・・
- 449 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/03(水) 12:21
- 「止めてー!」
夜空に響く、甲高い声に、美貴ちゃんが、こぐのやめて・・・
「ゴメン。少し気分、悪くて・・・」
「あー、ゴメン。てか、美貴もだ。」
「ふーん、ブランコって、子供の時は、なんでもないのに、大人になったら、酔っちゃうんだってー。
年だねー、二人とも。」
って、ゴッチンが笑って。あっ、これって、ブランコ酔いなんだ。
で、ゴッチンは平気なんだぁー。
「悪かったわねー。どーせ私が、最初に19になりますよーだ。」
って、もう子供じゃないんだよね、私たち。
いつまでも、女子高生みたいに、女の子のこと、好きとか、嫌いとか、
やってちゃいけないんだよね。・・・・たぶん、本当は・・・・
「ねっ、もう気分落ち着いてたでしょう。ジャングルジムとか、登んない。」
って、今度は、美貴ちゃんが引っ張る。
「そーだね。」
って、ゴッチンが、あっさり同意して。
ちょっと、ヒールにスカートで、大変だったけど、
なんとか、二番目に高い所に、三人並んで、腰を下ろす。
- 450 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/03(水) 12:36
- 「月とかきれいだよね。」
「さすがに、ここじゃ、星は無理みたいだけどね。」
半分だけのお月様を、斜め上に見上げて・・・
「ゴトー、お月様と、お日様って、同じなんだって思ってたんだよねー、ちょっと前まで・・・」
「えー、どーゆー意味ー。」
「だから、昼間が太陽で、夜になると、同じモノが、お月様になっちゃうの。」
「えー、何それー!って、それ、小さい頃とかじゃなくて?」
「うん、つい最近まで。で、時々、夕方とか、両方あることあんじゃん、空に。」
「うん、うん。」
「で、おっかしーなーって。」
「気付いたんだー。」
「そー、違うものなんだなってね。別々なんだなーって。」
「信じられなーい。」
って、美貴ちゃん、目が落ちそう。
「本当、ゴッチンって、時々、わかんないよねぇー。うふっ。」
「かわいいとか?こーゆーところが魅力だったりするんだー。」
「うん!」
あっ、いっけない!
- 451 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/03(水) 12:51
- 「ホント、正直だよねー。・・・・まぁ、わかる気はするけど・・・」
「で、ミキティーに惹かれる所って、どこよ?」
やっ、ゴッチン、そんなこと聞いちゃうんだぁー。
「・・・・・・」
「何、ゴッチンの前じゃ、言えないつーの!
このまんまじゃ、美貴、負けちゃうじゃん。言いなさいよー、何か。」
「・・・・こんなふうに、憎たらしいところかな。」
「何よそれ。」
「意地悪で、強引で、しっかりしてるくせに、案外・・・・幼かったりするとこかな。」
「何よー、それって、悪口じゃん。」
「そーおー?」
「あーあ、でも、ゴトー、それわかったりする。」
「えっ?」
「だって、それって、梨華ちゃんが、持ってないもんだもんねー。」
「うん。」
「じゃあ、いいや。ゴッチンも、美貴も、梨華ちゃんにとっては、充分、魅力的なわけだ。」
「うん。」
- 452 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/03(水) 13:02
- 「それじゃ、近くにいる分、美貴の方が、有利だよね。」
「そんなことないよ。遠くにいても、同じくらいってことは、ゴトーの勝ちでしょ。」
「それは違うよ、ゴッチン。美貴の場合は、今、上がり調子なんだよ。
ゼロから出発して、今、並んでるとしたら、あとは抜くだけじゃん。」
「えーっ、そーゆーもんなのー。」
「そーだって、マラソンなんか見てみなよ、後ろから来た方が、絶対、有利だって。」
「あー、でも、並ばれたとたん、猛ダッシュ、つー作戦もあったりするよー。」
「えー、ゴッチン、ダッシュとかしちゃうの?これから。」
「うん、ライバルいると燃えるからねぇー。」
「じゃ、美貴もダッシュしよ!」
「ゴトーの方が、足、速いって。」
「そーおー、美貴も結構やるよ。」
って、あれー、何気に楽しそうに話してるよね、二人。
- 453 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/03(水) 13:13
- 「うふっ」
「「何、笑ってんのよー!」」
「だっーてー、二人、仲良いんだもん。・・・なんか、嬉しいかなって・・・」
「て、ゴトーとミキティーは、最初から、仲良いよ、フツーに。」
「そーだよねぇー。・・・何、それとも、殴り合いでもすると思ってたの?」
「あー、でもー・・・」
「何、何、喧嘩はやめてーとか、私のために争わないデーとかぁ、してみたいわけ?」
「あっ、そーじゃないけどー、この場合ー、そーなんのかなーってね。」
「な、わけないじゃん。だって、この場合、悪いのは梨華ちゃんであって、ゴッチンじゃないでしょ。」
「だねぇー、梨華ちゃんはダメだけど、ミキティは悪くないでしょ。」
「あはっ、そーだよねぇー。」
- 454 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/03(水) 13:32
- 「あのさ、よくさ、旦那が浮気して、奥さんが、相手の女の人の所に、殴りこみとか行くやつあんじゃん。
あれってさ、美貴、全然、信じられないんだよね。」
「あーあ、ゴトーも、それって、悪いのは旦那だもんね。」
「そーそー、殴るんだったら、旦那だよねー。」
「それからさ、相手の女が、奥さんに逆恨みして、押しかけたりすんのもあんじゃん。
あれも、マジ変だよねー。」
「だねー、奥さんは、元々いたんだし、相手の女の人だって、人を好きになる自由はあるわけだし、
どっちかが、脅迫でもしていない限り、悪いのは旦那だよねー。」
「だねー。」
「あー、それは、私もそー思う・・・」
「だからー、この場合、悪いのは梨華ちゃんだけでしょ。」
「そっ、美貴が、強引に犯したつーなら、違うけど、そーじゃないし・・・」
「ゴトーが、別れたがってる人を、無理やり引き止めているわけじゃないし・・・」
「だねー、やっぱ、殴るんなら、どっちつかずの梨華ちゃんだね。」
「えー、そーなのー・・・てか、えっ、ぶったりすんの?」
この二人に、ぶたれたら、マジに痛いんだろーなー・・・って、一応、顔はやめといてね。
- 455 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 12:45
- って、目をつぶってたら、
「本当にバカだね、梨華ちゃんは。本気で、殴られるとか、思ってんだぁー。
一応、商品なんだから、キズつけたりしないって。」
って、美貴ちゃんが、マネージャーさんみたいなこと言って、
「だよねー。ゴトーが、本気で殴ったりしたら、顎とか折れちゃうよ。」
だって、
「えっ、じゃあ、凹んだりするかなぁー。」
「かもね。」
「そー、じゃあ、やってみてー。」
「バーカ!うまいこと、凹むわけないじゃん。」
「冗談よー、私だって、痛いのやだもん。」
「だよねー、普通。・・・それに、アタシ、その顎、結構、好きなんだよねぇー、プニプニしてて。」
って、何気に、触ってくる、ゴッチン。この人、よく触るのよね、人のウィークポイント。
「何、ゴッチンって、顎フェチなの?」
って、美貴ちゃん。そんなフェチってあんの?
「てーか、こーすると、梨華ちゃん、赤くなって、面白いから・・・」
「ふーん、じゃ、今度、美貴もやってみよーと。」
「もー!二人とも、私で遊ばないの!」
- 456 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 13:09
- 「あれー、ダメだったの?
てか、やっぱし、梨華ちゃん、少しズーズーしいよねぇー。こんなイイ女、二人とも好きとか言っちゃって。」
「だねぇー。」
「・・・・だってー、あのさ、例えばさ、一番好きな食べ物は、とか聞かれるでしょ、よく。
それってさ、お肉だったりとかするけどさ、ケーキとかも好きだったりして、
ご飯とデザートとは比べられないみたいなー。」
「何、それ。いつもステーキだから、たまにはお茶漬け。みたいなやつ?
それって、ただの浮気モノの言い訳じゃん。」
「そーじゃなくてー。じゃ、違うのね。好きな色はピンクだけど、好きな花は、タンポポみたいな。」
てか、我ながら、ヘタな例えだよね。
「えー、だってー、この場合は、好きな人なんだからさー、その例えは間違ってるよ。
ねぇー、ゴッチン、変だよねぇー。」
「えー、ゴトー、よくわかーんない。でも、梨華ちゃんが、案外、欲張りだっていうのは、よくわかった。」
「だねー。てか、少し、寒くなぁーい。そろそろ行こうよ、ピンク部屋。」
「だね。」
って、さっさとジムを降りる、美貴ちゃんとゴッチン。
二人とも、スニーカーだからいいけどさ、私、ヒールなんだからねー・・・って、グズグズしてたら、
「スカートの中、丸見えだよー。」
って、もう、下に降り立っている、美貴ちゃん。
「えーっ、」とか、慌てて、抑えたら、
「バッカだねー、こんな暗くて、見えるわけないじゃん。
それより、そんな格好して、落ちて、怪我しても知らないよー。」
だって。手ぐらい貸してくれたっていいじゃん。
- 457 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 13:24
- って、思ってたら、ゴッチンが、すっと手を伸ばしてくれる。やっぱ、優しいよね。
「ダメだよ、ゴッチン。そーやって、姫扱いするから、つけあがるんだから。」
「そっかー。」
って、あーあ、すがる手、なくなっちゃった。
ハーイ、わかりましたよーだ。自力で降りればいいんでしょーだ。
もー、さっさと先に歩いて行っちゃうし、ってテコテコついていったら、
あっ、止まった。やっぱり、待っててくれるんだー。急いで、追付いたら、
「カギ、ちょーだい。先、行ってるから。」
だって、何、それー。
「えー、どーゆーこと?」
「だって、どーせ、冷蔵庫とか、空でしょ。」
「あー、うん。」
「アルコールは、この前、美貴が買い置きしたのが、あるはずだから、
何かつまみになるものと、明日の朝ご飯、買ってきてよ、コンビニで。」
「えー、一人で行くの?」
「そ。嫌なの?」
って、美貴ちゃん。今日は、徹底して、意地悪だよね。
「って、部屋、散らかってるしー。」
「いつものことじゃん。ゴトーが片付けておいてあげっから。」
だって。
「はいはい。」
あーあ、もしかして、私って、ものすごく弱い立場なのよね。きっと・・・
- 458 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 13:45
- 文句言われないように、なんやかんや買ったら、大きな袋二つになって、あーあ、重たー。
部屋を開けたら、おっ、さすがー、きれいに片付いてる。
「流しの物ぐらい、すぐに洗っとかなきゃだめだよ。」
とか、お母さんみたいなこと言う、後藤さん。
「それにしても、貧しい食生活してるよね。少しは、ちゃんとしたもの作って、食べなさいよ。」
って、藤本さんのお説教。
「はいはい、わかりましたよ。今度から、ちゃんと自炊します。」
「って、それ、無理だから。梨華ちゃん、自分で作ったもの食べてたら、普通にお腹こわすから。」
って、ゴッチン・・・人をなんだと思ってんのよ。・・・・て、当たってるけど。
すっかり、酒盛りの準備が出来ているテーブルに、買ってきたつまみをひろげると、美貴ちゃんが・・・
「あのさ、ゴッチンと、相談したんだけどさ・・・・梨華ちゃん、いつまでたっても決められないだろーし・・・
美貴とゴッチンってさ、結構、気が合っちゃうみたいだしー。」
えっ、何、言い出すんだろこの人。
「この際、二人とも、梨華ちゃんやめて、二人で付き合っちゃおーかって。」
えー、うそー。本当なの、ゴッチン。
「うん、そーすれば、話、早いじゃん。梨華ちゃんもいい子でいられるしねえー。」
「・・・・・そーだよね。その方がいいかもね。わかった、そーして・・・」
って、そーゆーしかないじゃん。こーゆーのを二兎を追うもの一兎も得ず、て、言うんだよね。きっと・・・
- 459 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 14:04
- 「じゃ、そーするよ。・・・ゴッチン、キスとかしちゃおうか。」
「だね。こーゆーのは、形で表さなくっちゃね。」
「って、ここで?」
「だよ。だめ?」
「あっ、いいけど。・・・・じゃ、おじゃまでしょーから・・・・」
って、キッチンに避難。・・・いくらなんだって、見てられるワケないじゃん。
・・・・ゴッチンのバカ!美貴ちゃんのバカ!・・・もー、知らないから!って、仕方ないんだよね・・・
「りーかーちゃーん!」
「冗談だってー。」
「えっ?」
「ほら、帰っといでー。もー、すぐ、騙されるんだからー。」
「だよね。でも、泣かなかったねー、すぐ、ふぇーって、なると思ったのに。」
「だね、絶対に、泣くと思ってたけどねぇー。」
「何、なによー、もしかして、私のこと泣かそーと思って、やったの?」
「そーだよ。梨華ちゃんが、いない時に、打合せして、どうしたら泣くかなーって。」
「本当、二人とも、意地悪なんだからー。ふぇーん。」
って、何か泣けてきちゃった。これって、騙されたのが、悔しくてなのかなー、
それとも、ウソでよかったって、安心したからかなー・・・・・わかんないや。
「あー、このタイミングで泣くんだー。ここまでは想像してなかったね。
でも、これで、一応、作戦成功だね。」
って、美貴ちゃん。なんか、本当に、楽しんでるよね、あなた。
- 460 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 14:20
- 「ほら、ヨシヨシ。」
って、ゴッチンに、頭、なでられて・・・
「でも、ゴッチンとは、いままでより仲良くなれそーなのは、本当だよね。」
「そーだね。いい友達になれそうだね。ゴトーの親友ランキング3位ぐらいに入れるね。」
「何、その3位って?」
「ヨシコとアイボンと約束してるからね。親友だって。」
「へー、そーゆーの約束するもんなんだー。じゃ、美貴も親友ランキング4位ぐらいにしてあげる。」
って、楽しそうに、二人で盛り上がっちゃって・・・て、あれー、
「ねー、ねー、私は、そこに入れてくれないワケー。」
「えっ、梨華ちゃん?・・・入れてあげるわけないじゃん。」
「えー、そーなのー、そんなの悲しすぎる・・・」
「って、梨華ちゃんって、親友って感じじゃあないもんねぇー。」
「だねー。」
「えー、どーしてー。」
「だってねぇー・・・親友は普通、キスとかしないよ、てゆーか、しようと思わないよ・・・・」
「だね、・・・・梨華ちゃんって、何気に、絶対、誘っているよね。」
「うん、うん、誘ってる。」
って、何、言ってんのよー、二人して。って、そーなの?自覚症状ないんですけどー。
- 461 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 14:35
- 「って、よく、ゴッチン、我慢してたよねー。」
「だねー、ゴトー、案外、オクテなのかも・・・そーゆー、ミキティだって。」
「あっ、だよねー。」
って、二人して、何言ってんだかー。
「でもさー、どーするー、結論でないよねー。」
「だからさー、分けよーよ半分ずつ。」
「ミキティ、それ、好きだねぇー。って、どーやって、分んのよ、左右とか?」
「でもいいけど、上下とか。」
「上下って、何、ウエストあたりから、そんな分方ありなんだー。」
「うん、で、ゴッチン、どっちがいい?」
「てか、普通、上でしょ。」
「じゃ、美貴、下でいいよ。」
「じゃ、そーしよ。・・・・・って、ダメだそれ、ちょっと待って・・・下も捨てがたいじゃん・・・」
って、何て話してんのよー。てーか、何、考えてんのよ、二人とも。・・・エッチ・・・
「ほーら、イシカーさん、色んなこと想像して、赤くなってる。やだねー、すけべ!」
「だね。」
って、何よー、二人して、人のことからかって・・・どこまで打ち合わせ済みなんだろう・・・
- 462 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 14:51
- 「取り合えず、しばらく、結論は持ち越しだね。」
「だね、まあ、こーやって三人で遊んでるのも、結構楽しいし。」
「そーだね、これからも、時々遊ぼうか。スポンサーついてるし。」
って、そのスポンサーって、私のこと?
ふぇーん、何よー、二人で人のことだしにして、遊ぶつもりなんだー。
・・・・まあ、いいけどね。結構、私も楽しいし・・・ちと、きつくもあるけど・・・
「じゃあ、もう、遅いから・・・シャワー、朝でいいよね。」
って、3人で並んで、歯を磨いて、洗顔して・・・
「美貴のパジャマだしてー。」
「えー、ミキティもパジャマおいてんの?。」
って、二人のパジャマと自分のと出して・・・
「なーんだ、これ、梨華ちゃんのじゃない。」
「違うって、ほら、ここに名前、書いてあるでしょ。」
「えー、ホントだー・・・・って、御揃いみたいじゃん、それじゃ。」
「そーだよ、オソロ!」
って、さっさと着替える美貴ちゃん。・・・何か、後藤さん、不満そー。
- 463 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 15:12
- 一組しかない、来客用の布団を、ベッドの下に敷いて・・・
どーやって、寝るつもりなんだろうって、シーツ引っ張ってたら、
ゴッチンが、いきなり、パジャマの上のほう脱ぎだして・・・、何も下に着てないよー、何、始めるつもりよ。
って、そのまま、私のパジャマの上着、抜き取って、って、ウソでしょー・・・Tシャツ着ててよかった。
って、私のパジャマをさっさと着ちゃって、私にはゴッチンのを被せる。
えー、何これー、何してんの、後藤さん。
「ねー、ゴッチン、アンタ、何がしたいわけ?」
って、美貴ちゃんが、半ば呆れたように、つぶやく。
「ほら、これで、オソロじゃなくなった。てーか、ゴトーとオソロ。」
だって。あーそーゆーことなのね。ゴッチンと上だけ取り替えたパジャマ。
上がグレーで、下がピンク。この組み合わせって、大丈夫な感じなの?
「それじゃー、美貴が納得いかないじゃん。梨華ちゃん、下、脱ぎなさいよー。」
って、えー。
「ほら、パンツまでとは言わないから。早く!」
って、ここで、脱がなきゃ、脱がされそうだし・・・それはいくらなんでも、ちと怖いから・・・
で、美貴ちゃんも、自分の脱いで、ハイ交換。
「はい、これで、平等!」
って、妙に納得してる。そーゆーものなのかなぁー。
ゴッチンの上と、美貴ちゃんの下。これが、上下に分けるっていうことなのかしらねぇー。
そんなことないんだろーけど、まっ、いいか。二人が納得してるんなら。
- 464 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 15:30
- 「じゃ、寝よーっと!美貴が、梨華ちゃんのベッド!」
って、美貴ちゃんが、私のベッドにダイブして、
「ゴトーもー!」
って、ゴッチンが続いて・・・そのまま、ベッドの上で、じゃれて遊んでる。
ハイハイ、いつまでも、やってなさいよ。何か、本当に、今日は疲れたわ・・・
しょーがないから、灯りを絞って、下の布団に潜り込む。
「おやすみー。」
「えー、梨華ちゃん、そっちなのー。」
「うそー。」
とか、しばらくやってたけど、そのうち、静かになる二人。
一応、セミダブルだけど、そんなには広くないベッド。
大丈夫かなって、起き上がって、覗き込んで見る。
あーあ、二人とも細いもんね。てゆーか、何か、小さく寄り添っちゃって・・・かわゆい。
でも、よく考えてみると、一年前の、ゴッチンじゃ、とても、無理な話だったのよね。
私が、誰かと手を繋いだだけで、マジギレしてたのにね・・・・
ゴッチンが大人になったってことなのかな、それとも、私に対する感情が、弱くなったってことなのかなぁー。
二十歳までには、結婚したいなんて言ってたからね、ゴッチン。
案外、とっとと、私なんて忘れて、お嫁とかに行っちゃったりして・・・・
そー言えば、マシューが、電撃結婚しそーな人で、美貴ちゃんあげてたけど、
美貴ちゃんだって、そんな感じなのかも・・・・
何か、少し寂しいよね。・・・・・そんなふうに思ったら・・・・
- 465 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 15:48
- 布団に戻って、ウトウトしかけてたら、
「りっかちゃーん、ゴトー、本当に、好きなんだからねー。」
って、ゴッチンが、左手に滑り込んでくる。
あれー、寝ぼけてんのかなー、私の肩の辺りに頭を預けて、そのまま、寝息をたててる。
どーしよー・・・・少し重いけど、やっぱり、こーゆーのって嬉しいから、
左腕を、ゴッチンの首の下から、回りこませて、そのまま、ゴッチンの頭を抱え込む。
そしたら、ベッドの隣が空になった、気配でも感じたのか、
「あっ、ずるーい!」
って、美貴ちゃんが、起き出して、右側から潜り込んでくる。
で、えー、何で、パジャマの中に、手を入れるワケー。
「こーすると、落ち着くんだよねー。」
って、私の胸の辺りを探って・・・えー、ウソでしょー・・・何かしちゃったりするの?
って、そのままの形で、寝ちゃってる。
ウソー・・・・私、落ち着かないんですけどー。
あーあ、これじゃ、寝れないじゃん。ベッドに行こうにも、体、動かせないし・・・・
でも、何か、ちょっぴり、幸せだったりして・・・・
こーゆーのって、だぶん、今だけのことだから、ちょっと、浸っちゃってもいいよね。
でも、いつか、罰が当たりそう・・・こーゆー身勝手な幸せって・・・・
- 466 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 16:02
- って、罰はすぐ当たった。
いつの間に寝たんだろう・・・こともあろうに、朝、一番弱い、後藤さんに起こされた。
「ねー、アンタラ、もしかして、今日、仕事じゃない?」
「えー、今、何時?」
「えっとね、もうすぐ、お昼。」
「うそー!遅刻だー!」
って、美貴ちゃんが、跳ね起きて、
「ほら、梨華ちゃん、急いで!」
って、うそー、今日って、もしかして、11時入だよね。すでに、遅刻してんじゃん。
「ゴトー、今日、オフだから、片付けといてあげるよ。」
とか言われて、バタバタと、顔だけ洗って、わー、シャワーも使えない。
「遅い!」
とか、美貴ちゃんにどやされながら、そこら辺のもの適当に着て・・・
やーん、髪はクチャクチャだし、うわー、目の下、大きな熊さんニ匹。
って、何か、身体中、変な筋肉痛だし・・・・
とにかく、大き目の帽子に髪、入れて、ノーメークのまま、サングラスで顔隠して、
美貴ちゃんに引っ張られて、走る。
良かった。タクシーは、すぐにつかまった。
- 467 名前:カラオケ 投稿日:2003/12/05(金) 16:18
- 「梨華ちゃん、何気に、すごいことになってるよ。
顔も髪も、それから、服も、上下あってないし・・・・」
「えー、そーなの?慌ててたから・・・」
「すごーく変!」
「ふぇーん。」
あーあ、きっと、このまま楽屋に入ったら、矢口さんにおもいっきり、笑われて、
飯田さんに、メチャクチャ叱られて、安倍さんに、何があったのってしつこく聞かれて、
ののとアイボンに、しばらくネタにされて、ヨッチャンに、そのうち、生本番で、暴露されて、
下の子たちには、おもいっきり、引かれて・・・・・
うわー、やっぱり、これって、天罰だ。
隣で、さっきからずっと、笑い転げてる美貴ちゃんは、あんまり条件変わらないはずなのに、
何気に余裕で、まあ、この人の、髪の毛クチャクチャや、ノーメークは、いつものことだもんね。
あーあ、いいなぁー・・・・
って、ここは、笑うしかないのかな、そうよね、笑っちゃうしかないよね。
で、一応、おしまい。
?って、一応って、何よ?
ねぇ、終りにしようよ。もう、この展開、困るんだよね。
「ダーメ!これからが、本番なの。ここは一応なの!」
って、美貴ちゃん、本当に意地悪なんだからー
ということで・・・・・
「カラオケ」 一応、おしまい。
- 468 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/05(金) 18:14
- 最近読み始めて、初めて感想書きますが、
面白い!!!
次の更新も首を長くしてお待ちしています。
- 469 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/05(金) 23:25
- もー、作者さんが巧いからー、
すっげーミキティに嫉妬してしまうじゃないですかぁ。
(いしごまラブな人間です。)
二人には幸せになって欲しいと切に願います。
- 470 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/07(日) 05:11
- 作者さんの言いたいこと思ってること(ネガティブなこと)を
キャラクターに語らせるのはやめた方がいいと思う。
例えばラスナイを気に入ってる人は、あの部分にはカチンとくるんじゃないかな。
本人達はもっと前向きだし、誇りをもって仕事してると思いたい人もね。
気に入らなきゃ見なきゃいいというのも分かるけど、凄く巧くて面白いだけに
主旋律とは関係無いところで、いたずらに読者を狭めるのは勿体無いと思う。
- 471 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/07(日) 09:17
- 確かに前々から読者を不快にさせるシーンが多い。
気に入らなきゃ見るなって言われるのはわかってます。
- 472 名前:- 投稿日:2003/12/07(日) 09:39
- 470> 471>
作者さんの言いたいこと思ってることを書かずに小説なんて生まれませんよ。
実況レポですら主観ってものが入るのに。
創作したものが嫌いなら娘。のテレビ、ラジオなんかを見てればいいんじゃないですか?
スレに来るなって問題よりもこのホームページが向いてないんじゃないですか。
- 473 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/07(日) 11:26
- 娘の名前借りただけでぜんぜん違うだろって小説いっぱいあるじゃん。
別に男になっちゃう奴が全部悪いってんじゃないけどさ。
そーゆーのは気にならないのかな、こういう人たちは。
主観で娘をネタに楽しむとこだからな、ここは。
確かに、飼育来ない方がいいんじゃねーか?
気に入らなきゃ見るなっつーか、わかってるんだったらんな事書き込まないで欲しいな。
俺はこういう読者のレスの方が不快になるよ。
- 474 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/07(日) 11:51
- まあまあ落ち着いて。
ここだけ何度もこんな風になるのは、やっぱりどこかに問題があるんだろう。
- 475 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/07(日) 22:36
- 別に気にならないよ
作者さん続き期待
- 476 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/08(月) 14:49
- 同じ人が粘着に何度も叩いてるとしか思えない
- 477 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/08(月) 15:46
- それは同感だなぁ。
なんだってこのスレだけってのも思う。
なんとなく昔の娘。に対するイメージと言うか幻想と言うか、
大切にするのはわかるんだが、だからってねぇ…。
ここまでくるとちょっと気持ち悪いかな。
- 478 名前:トーマ 投稿日:2003/12/11(木) 09:49
- エー、何て言っていいのか・・・・それとも、何も言わない方がいいのか・・・・
取り合えず、どんな形にしろ、読んで下さっている人がいるのは、嬉しいことだと思ってます。
それに、具体的に批判していただくのも、参考になるので、それはそれで、真摯に受け止めたいと思います。
ただ、作者本人は、そんなダイソレタものを書いている気は、さらさらなく、
どちらかっていうと、コメディーとか、パロディーの分野だと思っているので、
気軽に、読み飛ばしてもらえればな、と・・・・「そんなに面白くないよ」と言われるのが、落ちですけど・・・
もう、やめた方がいいのかなとも思いましたが、
一つ出来ているものがあるので、書かせていただきます。
- 479 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 10:18
- それにしても、筋肉痛って、こんなに長引くものなんだ。
大阪のハリが、まだ本当には取れきれない。・・・私も年なのかな・・・ってね。
もちろん、その間に休みなんてなく、私は、お正月のドラマのロケも入っていたし、
もうじき始まる、分割コンのレッスンもあったりして・・・・
つーか、なんで運動会を二回もするんだっよ!って話なんだけどね。
それにしても、この控え室のピリピリした空気・・・・
そりゃあ、あんだけ大負けこいたんだから、仕方ないっちゃあ、仕方ないんだけど。
朝から、中澤さんの顔が、鬼のようになってるし、って、これはいつもかー。
飯田さんも、眉間にしわ寄せちゃって・・・って、これもいつもなのかな。
それでもって、梨華ちゃんまで。まあ、この子が勝負に拘るのは、いつものことなんだけど、
ずーっと、真顔つーのは、ちと、怖い。
「よっしゃー!ちょっと、ミーティングするよー!」
って、鬼が立ち上がって・・・
それぞれ、小声で話してたり、ストレッチしていたメンバーを集めて、大きな輪を作る。
「ええな、ミンナ・・・・わかってるやろーけどな・・・・頑張ってな!
アタシはな、アンタラにプレッシャーかける気は、微塵もない。そやけどな・・・・
そやれど、アタシはー、勝ちたいんや!
大阪の二の舞だけは、勘弁や。なっ、わかってるよな!」
アンタは、星野監督か、つーの。
てか、めちゃくちゃプレッシャーかけてるだろうが。って、突っ込もうと思ったけど、
うわっ、目がコワー、マジっぽいから、やめとこ・・・・
- 480 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 10:42
- 「カオリ・・・・まあ、アンタは年のわりには、ヨー頑張ってる、頑張ってるけどな、
もちっと、頑張って!」
「うん、わかってるよ、裕ちゃん。去年も同じ組で、負けちゃったし、
今度こそ、勝とう!ね、みんな!」
って、あーあ、リーダーまで・・・この人も相当、負けず嫌いなんだよね。ジョンソン復活!かな?
「イシカー!」
「ハイ!」
「アタシがな、アンタを頼りになると思うのんは、こんな時ぐらいなんやからな、な、わかってるよな!」
「ハイ!」
何気に、かなり失礼なお言葉にも、素直に返事しちゃって、今日は本気でやる気満々ってな感じ。
「フジモッアン!」
おっ、次は私かよ。
「アンター、大阪でも、頑張ってくれたけどなー。
けど、もう一息や。なっ、もう一息、頑張ってや!」
「はー。」
てか、人には限界つーのが、あるんですけどー。
特に短距離系は、速いのは速い。遅いのは、どーやったって、遅い・・・・
「つーじー!」
「へっ」
「へっ、やないやろが。・・・・で、身体の調子どうや?」
「てへっ、今日は大丈夫れーす。」
「なら、やれるよな。期待してるでー!」
「へーい!。」
おっ、今日は元気みたいね、辻ちゃん。
- 481 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 11:01
- 「マツーラ!」
「はーあい!」
「今日はな、TV入ってるからな。
わかってるやろーけど、イイ絵撮ってもらわんと、あかんのやからな。」
「マツーラ、そのへん、ヨーク、心得てまーす。ご心配なくー!」
「まっ、そやろな、頑張ってやー。」
まあ、アヤちゃんのことだから、そのへんは、バッチリやってくれるんだろーな。
なんたって、アイドルサイボーグだもんね。
「小川ー!」
「ヘイ!」
「ヘイやないやろ、魚屋のオッちゃんやあるまいし、アンタはー・・・・うーん・・・」
「ハー・・・・ハイジャンとかあればよかったんですけどねぇ・・・・」
「へー、つて、アンタ、高跳び、得意なんか?」
って、もろ、意外そうな顔しちゃって、確かに見た目、無理っぽいもんね。
「裕ちゃん、マコトは、背面跳びとか出来ちゃうのよ。ねー、マコト。」
「そーなんか、カオリ・・・・・・・
じゃ、これから、高跳びを競技に入れてもらえるよう、ゆーてこよ!なっ!」
「って、今からそれはねー、さすがに・・・・」
「やっぱし、無理かー。しゃあないなー。なら、まあ、出来るだけ頑張りー!」
「へい!」
- 482 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 11:28
- 「田中ー!・・・・アンタは騎馬戦ぐらいかー・・・まあ、頑張ってな。」
「ハイ・・・・」
こいつ、意外と運動ダメなんだよねー。人は見かけに依らないつーけど、
あの亀井が、結構やったりするもんなー。で、次は、見た目通りの人か・・・
「道重!」
「ハー・・・」
「・・・・・・まあ、アンタは、笑っときー。」
あーあ、戦力外通告だ。まっ、しょうがないかー。
「アヤカにミカ・・・・アンタラがなー、せめて、カントリーの半分でもやってくれたらなー・・・・。」
「ハー・・・ゴメンね裕ちゃん。・・・水泳大会ならよかったんですけどねー。」
「そやなー・・・・ならー、来年からはそうしてもらおうか。
その方が、マスコミ受けもええしなー。昔はアイドルといえば、水泳大会はお決まりやったもんなー。
アタシの水着姿も、マダマダ捨てたもんでもないし・・・そや、来年は水泳大会や!」
「あのー、中澤さん・・・・カオタン、泣きそうなんですけどー。」
って、梨華ちゃんが、想像の世界に入りそうな、三十路の袖を引っ張る。
「あっ、そっかー・・・カオリ、泳げんもんなー・・・・じゃ、やめとこかー。」
って、それ、元々無理な企画だから。って・・・・ウウン・・今年のアロハロハといい・・・
ウチの事務所じゃ、やりかねないかー・・・・こわっ!
「斉藤、柴田はー、まあ、ソコソコにな。って、東京で1500、なくなるんやったら、
大阪で、柴田を紺野にぶつけとけば、よかったなぁー。」
「えーえ。」
「まっ、終わったもんは、しょがない。ソコソコ頑張ってや。」
- 483 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 11:47
- 「それにしても、皆、足、大丈夫かー。テーピングだらけやなー。」
なんだよねー。特に、フットサル兼任組は、かなり重症。無傷の人は、殆どいない感じ。
「みんな、大変やと思う。でもな、相手もそーなんやからな、勝ち目はあるんや!
わかってんな、今日の合言葉は・・・本気と書いて、マジと読む。・・・やからな、えーな!」
「「「「「「ハーイ」」」」」」
って、どんな集団なのよ、私たち・・・・
「あとー、じょうちゃんたちも、頼むねー。後で、お姉ちゃんが、美味しいもの食べさせてあげるからねー。」
って、キッズには、さすがに優しい口調だね。そりゃ、自分の子供でもおかしくない年だもんね。
でも、辻ちゃんじゃあるまいし、今時の子供は、食べ物じゃつられないって・・・
「中澤さん、かなり気合入ってるねー。」
「だねー。・・・って、あの後、大阪で、大変だったらしいのよ。」
「って、何が?」
「保田さんとね、賭けしてて、負けたら奢るって・・・
で、5件ぐらい梯子で、奢らされたみたいなのよ。朝まで・・・」
「へー、あの後、朝まで呑んだの?・・・ある意味、すごい体力だね、それ。」
「だねー。で、今日はその分、取り返すんだって、どーしても。」
「って、そのために、あんなに気合入ってるわけ?」
- 484 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 12:08
- 「まあ、それだけじゃ、もちろんないんだけどね。
だって、悔しいじゃん。やっぱ、負けるのは・・・私も勝ちたいなー、やっぱり。」
「そりゃ、やる以上は、誰でもそーだけどさ。・・・で、梨華ちゃん、今日のその頭、何?」
って、朝から気になってたことを聞いてみる。・・・だって、すごいヒッツメ。
「えっ、これ?・・・・これねー、本気モード。引き締まるでしょ、こーすると。
本気と書いて、マジと読む。つーやつよ!」
「そーなんだー。って、美貴には出来ないね、とても。」
「えっ、そーおー、前髪ないと、さっぱりするよー。」
って、人の前髪、上げんなって、こら!
「それよか、足、大丈夫なの?」
「うん、なんとかね。って、私なんて、軽い方よ。みんな大変なのよ、フットサルチームは。
大阪の後も、毎日、練習してたみたいなんだけど、疲れ取るどころか、故障者続出になっちゃって、
でも、なんとか今度は、点取りたいって、みんな、気合だけは入ってるんだけどねー。」
「何気にスポ根、入っちゃってるよねー。」
「うん。あーゆーのやってると、自然に燃えてくるんだよね。
すごいよ、みんな。特に、ヨッチャンなんて、完全マジモードで、本当、久しぶりに、あんなヨッチャン見たって感じ。」
「かっこいい?」
「うん!何年ぶりかに、マジ、カッコイイ!」
- 485 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 12:28
- 「で、惚れ惚れしちゃったりしてるんだー。」
「えっ?またー、何言ってんだかー、この人はー。
でも、やっぱり、あの子はカッコイイのがいいよ。バカばっかやってんじゃなくて。」
「だね。で、ゴッチンもカッコヨイねー。大阪じゃ、MVPだし。」
「だねー。カッコヨイのはいつものことだけどね。
・・・・フットサルで、ディフェンスやってるじゃない、身をていして、キーパー守っちゃって・・・」
「何、何、私もキーパーだったら、守ってもらえたのにーてか。」
「うん!」
「このー!たく、よく言うよ。でも、美貴も、やりたかったなー、楽しそーだよね、みんな。」
「って、美貴ちゃん、スケジュール、全然、無理だったじゃん。」
「なのよねー、初めの頃の練習に、全然出れなかったもんねー。
って、梨華ちゃん、アンタ、よくやれたよねー。」
「うん、私も、半分も出れなかったんだけどね。アヤちゃんよりは、まだずっと恵まれてる。」
「あー、アヤちゃんはねー、忙し過ぎるもんね。」
「うん、練習は、ドラマでやったぐらいで、何度かしか、みんなと出来なかったんじゃないかなぁー。
そのわりには、上手なんだけど、結局、大阪の後は、練習、出れなかったみたいだし・・・」
- 486 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 12:44
- 「そーなんだぁー。」
「って、アヤちゃんから、聞いてないの?」
「うん、この頃、本当にハードらしくて、全然会ってないし、今日は、大阪以来だよ。」
「それは、寂しいねぇー。」
「まあね。・・・でも、あの子は、忙しいのが好きみたいだから・・・・」
本当に、彼女は仕事、大好き。・・・それは、とてもいいことなんだけどね・・・
「だね。・・・・あー、でも、本当に今日は、点取りたいなー。
みんな、一生懸命やったんだもの。なんか、結果が欲しいよねー。」
「まあ、何とかなるんじゃないの。ヨッスィーとか、前、惜しいのいくつかあったし。」
「だねー。何とかしたいよねー・・・・って、案外、私なんかが、得点しちゃったりして。」
「な、ことはないでしょ。普通。」
「えー、そーおー。わかんないよー。」
「ムリ、ムリ。いくらなんでも、ありえないから。」
「そっかなー、犬も歩けば、棒に当たるって言うじゃない。」
「って、この場合、それで正しいの?」
「じゃ、ヘタな鉄砲も数打ちゃ当たる?」
「それはないな。そんなチャンス自体、少ないから。」
- 487 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 12:57
- 「じゃあ、棚から牡丹餅。瓢箪からコマ。」
「何、運頼みかよ。」
「まっ、そんなとこ。
・・・・でもさ、もしかして、万が一さ、私がさ、点入れたら、何かしてくれる?美貴ちゃん。」
「えっ、何かするって・・・まっ、ありえないから、いいよ。何でも言ってみて。」
「じゃあねー、何がいいかなー。あっ、ソーダ、髪型。」
「はっ?」
「今、私がしてるみたいなの、コンサとかで、やってよ。」
「えーーー。・・・・でも、まず、ありえないからね。いいよー、したげる。」
「本当ー、うわー、頑張ろ!ワーイ、おでこ全開、ミキティだー!」
って、何、はしゃいでるんだか。大丈夫だって、ありえないから。
結構、点入れるのって難しそうだし・・・ヨッスィーか゛、あんだけやって、入らなかったんだから、
・・・・うん、万が一にも、梨華ちゃんか゛、得点なんて、ありえない・・・・だよね。
- 488 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 13:19
- それにしても、悲惨な運動会だね。
故障者続出で、リタイヤ多いし、参加してても、テーピングだらけだし・・・
でも、オレンジの主戦級の、大阪MVPゴッチンや、MIP復活ヨッシーや、たぶん実力1の、まいちゃんが、
不調のお蔭で、なんと、ウチのチームが、大幅リードだよ。
あーあ、中澤さん、朝とはまったく表情が違うよね。もー、フクフク。
何かすでに、保田さんに奢らせる店でも、考えていそー。
で、騎馬戦。
・・・・・石川さんマジギレ・・・って、これって、絶対ルールの不徹底だよね。
よっしゃー、ここは、女、藤本、一肌脱いで・・・・
「まあ、勝ってるからいいやん。ここは引き下がろ。」
って、そーゆー問題じゃないと思うんですけどー。
ほーら、梨華ちゃん、納得してない。
しかし、この子は、こーゆーことになると、私なんかより、ずーっと怖いよね。
喧嘩しちゃあ、いけない相手なのかもね・・・まあ、やる予定はないけど。
引き上げながら、
「美貴ちゃん、アリガト!」
って、ここは、やっぱー、同じチームの特権だよね。
ゴッチン、美貴、一歩リード。・・・同志愛は、強いんだよーだ。
って、あーあ、フットサルじゃあ、アッチがチームメートか・・・
やっぱ、やりたかったよね。フットサル。
って、運動神経いいので、入ってないのって、私ぐらいじゃん。確かに、練習には出れそうなかったけど、
やりゃー、やったで、どーにかなったんじゃないかなー。アヤちゃんもやれてることだし・・・・
まっ、あれはドラマがらみかぁー。
- 489 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 13:44
- 今日の対戦相手も強そうだねー。
なんか、ガタイがちがうんだよね。こう、比較すると、ウチはみんな華奢だよね。
一部を除いて・・・・
あーあ、やっぱり、押されちゃってる。
・・・・って、あれ、チャンスじゃない、これ・・・えっ、うそー!
ワーッ!!!!
・・・・入っちゃったよ。うわっ、なんで、どーして・・・・ヨッシーじゃないわけ?
ナントいう運の強さ・・・って、石川さん、アナタ、薄幸キャラじゃなかったっけ・・・
まあ、取り合えず、よかった、よかった。
TVや新聞も、イイ絵撮れたし、めでたし、メデタシ・・・
って、私、もしかして、とんでもない賭けしちゃった・・・・うわっ、やばっ!
後半のアサミちゃんのシュートも、本当、よかったよねー。
会場中、大感激って、感じだよ。
やっぱ、団体スポーツはいいよね。喜びが共有できるもんね。
まあ、試合は大差でまけちゃったけどね。
みんな、コンディション悪い中で、大善戦だよね。よかった、よかった・・・
我、ブルーハローも、優勝できたし、
大阪、リタイヤの辻ちゃんが、MVPとったし、梨華ちゃんも、連続でMIPだし、
アヤちゃんも、跳び箱やリレーで頑張って、賞もらったし、・・・・はい、めでたし、めでたし・・・
って、どーしよう・・・・
- 490 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 14:01
- 「美ー貴ーちゃーん!」
おっ、嬉しそうなのが、飛んできた。
「ネー、ネー、この後のライブで、さっそくやってみる?」
「って、何を?」
「何をって、ほら、おでこ全開!」
って、やっぱ、覚えてるよね・・・てか、本気だったんだー。やだな。ぜーったいイヤ!
「私さー、何気にゴム持ってたりするのよね。ほーら、こーやって。」
って、人の髪で遊ぶな!つーの。
「ねっ、かわいいって。キャハ!」
「あのー、イシカーさん。・・・取り合えず、初ゴール、オメ!本当、よかった。かっこよかった。
なんだけどねー・・・。ねっ、お願い、勘弁して。ねっ、美貴、お嫁に行けなくなっちゃう。」
「えーっ、美貴ちゃん、お嫁に行きたい?」
「うん。ね、だから、勘弁して。それとも、責任とって、もらってくれる?」
「うーん、それは困るよねー。一生、尻に敷かれそう。」
「でしょ!・・・まあ、ある意味、それもありだけと。」
「はっ?」
「まあ、・・・とにかく、あれはなしにしよ!ねっ、何か他にするから、奢るとか、奢るとか・・・」
「そーねー、結構かわいいと思ったんだけどなぁー。そんなにイヤ?」
「イヤ!」
- 491 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 14:12
- 「じゃあ、他のことねー。」
あーあ、助かったー。で、今度は何言い出すんだろ・・・
「じゃあねー、そーだなー・・・・・ハッピーでもやってもらおうかなぁ。」
「はー?」
「そーだ。そーしよ。乙女コンでね、MCで、ハッピーって。」
「へっ?ハッピーって、あの?」
「そっ、あの、ハッピー。」
「美貴が?」
「当然。うふ、美貴ちゃんのハッピー、見たいよね。ついでに、グッチャーもしていいよ。」
「って、マジで?」
「うん。本気と書いて、マジと読む。」
「はあー・・・・でも、おでこ全開よりはましかー。うん、わかった。今度いつかね。」
「じゃ、あさってのコンサートからね。」
「えー、あさってー。」
「そう、あさって・・・明後日と書いて、あさってと読む。」
- 492 名前:ハッピー! 投稿日:2003/12/11(木) 14:28
- 「・・・・うーん、わかった。・・・でも、それって、何気に仲良しアピールしてるみたくない?」
「あれ、いやなの?仲良し。」
「って、そーじゃないけどー、ちと、恥ずかしいつーか、照れくさい。」
「あれー、なんか、らしくないねー。案外、純情なのねー、美貴ちゃん、かっわいい!」
「って、調子にのって、人のことからかって、もー!」
「あーら、美貴ちゃんが、牛になってる。おかすぃー!・・・・で、やるよね。」
「・・・・ハイハイ、やらせていただきますよーだ。」
「うわっ、やったね。ハッピー!」
だって。
私も、ついにぶりっ子ミキティかよ。・・・まあ、ここは、石川さんのゴールに敬意を表して。
で、やってまーす。ハッピー、乙女コンで。
はーい、もー、ぶりっ子全開でーす。って、これ結構受けるのよね。・・・なら、いいか。
梨華ちゃんと一緒に、ハイ、ハッピー!っと。
なんか、私、最近、キャラ変わってなあい?大丈夫かなぁ。
藤本美貴、18歳、かなり、ブリブリやってます。
じゃ、みなさんも、ご一緒に・・・ハッピー!っと。
ハーイ、ついでに、グッチャー!だ。
「ハッピー」 おしまい
- 493 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/11(木) 14:59
- 更新乙です。
実際藤本さんがハッピーをやったと聞いたときは驚きました。
私はトーマさんのお話にちりばめられている小ネタも含めて笑ったりないたり
させてもらっています。
石川さんや娘。に対しての愛情も感じています。
これからも楽しみにしていますので、ぜひまた書いてほしいです。
- 494 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/12(金) 00:17
- 今回のお話も楽しく読ませていただきました
作者さん、応援してますんで意欲があるのならどしどし書いちゃってくださいな
- 495 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/12(金) 08:44
- 今作も楽しく拝見しました。
一部の人間に振り回されないでがんばってください。
更新を楽しみにしている人がほとんどだと思いますよ。
- 496 名前:捨てペンギン 投稿日:2003/12/12(金) 12:07
- 自分も続き楽しみにしています
梨華争奪戦...藤本、後藤どちらが勝つのか期待してます
個人的には田中さんに勝ってもらいたいですが
- 497 名前:ss.com 投稿日:2003/12/16(火) 21:36
-
>もう、やめた方がいいのかなとも思いましたが、
そんな事、いわないで下さい。毎回、更新を楽しみに待っている読者の方が
圧倒的に多いと思いますし…。
- 498 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/19(金) 08:02
- >>474
同じ人達が同じようなこと書いてるだけでしょ。
作者さん、気にせずに…と書いても気にしてしまうとは思いますが
自分の書きたいものをマイペースに書いて欲しいです。
- 499 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/19(金) 10:02
- ・・・・田中ちゃん、どこかなぁー。
乙女コンの2回目がはねて、何だかんだ言って、年内の泊りは、今回しかないから、
みんなで、打ち上げしようってことになって、
前にした、焼肉デートの約束が、そんな形に変更になったことを、一応、謝っておいた方がいいのかなって・・・
・・・・あっ、いたいた。いつものように、重さんと一緒にはしゃぎながら歩いてくる。
あーやっていると、本当に、普通の中学生。
「田中ちゃーん・・・あのー、ごめんねぇー。結局、みんなで行くことになって・・・
けど、焼肉は、焼肉だから・・・・いいよね?」
「あっ、別にいいです。」
あら、案外、あっさりしてる。・・・・まっいいか・・・
てか、なんとなーく、あれ以来、この子の態度、微妙に違うのよね。
もちろん、毎日のメールは続いているし、よく目が合うのも、変わらないんだけど、
何かね、以前は、その後、さっと視線はずすよーな、ちょっとテレてるみたいなね、
そんな感じだったのが、なんか睨んでいるみたいなね・・・よくわからないんだけど、なんかね・・・
あっ、あれって言うのは・・・・スポーツフェスティバルの時の・・・・
人の言う所によると「石川、マジギレ事件」。
私的には、そんなたいしたことだと思ってなかったっていうか、
興奮してたし、よく覚えてもいないんだけどね、
あの後の控え室で、何か、みんなに、色々言われちゃって・・・・
ののには、
「りがぢゃん、スンゴク、怖い顔してたー。」
って、半泣きされて。
アイボンには、
「久々に、エエもん見させてもらったわー。」
とか、からかわれて。
- 500 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/19(金) 10:24
- よっちゃんには、得意の
「カッケー!!」で。
安倍さんには、
「やっちゃったね!」
って、肩たたかれて。
かおタンには、
「カオリ的にはー、少しやりすぎかなーって、思うのー。」
とか、例のしかめっ面で、叱られて。
当事者のケメタンには、
「アタシャ、アンタをこんな子に育てた覚えはないよ!」
って、嘆かれて。
矢口さんには、
「あれは、なんだ・・・百年の恋も冷めるっていう形相だったな。」
って、キャハキャハ笑われて・・・・
で、さすがの私も、少しヤバかったかなって、ふにゃーと笑ってるゴッチンに、
「ねぇ、私の顔って、そんな酷かった?」
って、聞いてみたら、
「あーあ、あれはあれで、やっぱ、梨華ちゃんって感じだったよ。」
だって。・・・・この人の思う私っていったい・・・って少し鬱になってたら、
「最高だったじゃん。美貴が今まで見た中では、一番迫力があって、おもしろかったよ。」
とか、また美貴ちゃんが、わけのわかんないフォロの仕方して、
矢口さんに、
「そーゆーのを、痘痕もえくぼっていうんだよ。」
って、突っ込まれて・・・・
で、中澤さんに、
「よーやった、さすがは、イシカーや。・・・しっかし、アンタのファンは、あーゆーの見て、
嬉しいんやろか、悲しいんやろか・・・まあ、アタシとしては、アンタを敵に回さんでよかったわー。」
だって。この人に、敵に回したくないって言われちゃったら、なんかもうお仕舞よね。
- 501 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/19(金) 10:57
- なんてことがね、あったわけ。約一週間前の話なんだけどね。
そのうち、みんな揃って・・・・あっ、乙女組みのメンバーとね、あと、スタッフの人というか、
お目付け役の人がね、数人で・・・で、みんなで、ホテルの裏口から移動バスに乗って、近くのお店まで行く。
まだまだ、コンサートの興奮も残っているし、打ち上げは、みんなの大好きな焼肉だし、
だから、バスの中は、少しハイテンション。
特に、ののと、まこっちゃんは、一番後ろの座席で、小学生が遠足行くみたいに、はしゃいでる。
その前に、普通の中学生に戻ってる二人が、たぶん山口弁と福岡弁で話してて・・・
で、その前の席に、私と美貴ちゃん。ここは、ちょっと疲れ気味。
やっぱ、朝、移動後の二回公演は、ちょっとキツイ・・・年には敵わない・・・ってまだ18なんだよね。
で、22歳のリーダーは、私たちの前で、マネージャーさんと、明日のスケジュールの確認なんかして、
まだまだ、お仕事モード。リーダーの仕事も楽じゃないよね。てか、引率の先生みたい・・・
お店は、一応、貸切状態なんだけど、大事をとって、メンバーは奥の個室。
いつもの半分の人数だから、テーブル二つだけの、小さな部屋にも収まって、これも分割効果なのかな。
こういう時は、いつも自然に、大人チーム、あっ、これは18歳以上を指すんだけどね、娘では・・・
と、子供チームに分かれて、着席・・・・と思ったら、一番、若いのが、
「あのー、私、コッチに座っていいですか?」
って、私の前にやってきた。
「あっ、別にいいよー、遠慮しないで。」
って、リーダーが許可して、
結果、かおタンと田中ちゃんが並んで、その前に、美貴ちゃんと私、で一つの鉄板を囲む。
隣は、私の並びに、ののとまこっちゃん。で、その向かいに、所在なげな重さん。なんか少し、かわいそう。
で、
- 502 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/19(金) 11:14
- ののが中心になって、ワイワイ、オーダーをとって、
まっ、取り合えず、タン塩から焼き始める。うーん、おいしそー。
お肉が、カルビにかわった頃、それまで、私たちの雑談に、相槌程度に付き合ってた、
田中ちゃんが、少し、唐突に・・・
「あのー、石川さん。」
「あっ、なあに?」
「私・・・・ずっと、石川さんって、すごく可愛い人だと思ってたんですよね。」
そんなー、テレるなー・・・・って、過去形かよ!
「だけど、それは、違うんだなって。」
「・・・・」
「この前の、スポフェスの石川さん見て・・・・」
あー・・・・やっぱ、失望しちゃったよね。
「何か、見直しました!」
「えっ?」
「すごく、かっこいいんだなって。」
おっ、そーきたかー、なら、いいけど。
「で、決めました。田中レイナ、一生、石川さんに付いて行きます!」
「はーー?」
「これからは、石川さんの舎弟になります!」
「えっ?」
てか、それ、ちょっと、ちがくなあい・・・・
- 503 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/19(金) 11:33
- 「あっ、それ、いいんじゃないのー。そーゆースタンスなら、変な野心とか持つより。」
って、美貴ちゃん。野心って何よ?
「てーか、どーゆーこと?」
「適当に、パシリとかに使えばいいのよ。ね、そーゆーことでしょ?」
「ハイ!何でも言ってください。親分!」
「って、ヨッチャンじゃあるまいし、やめてよ、親分なんて。」
「そーよ、そーゆーグループじゃないでしょう、娘は。せいぜい、姉御か、姐さんにしときなさいよ。」
って、リーダー、それは、中澤さんだって。
「まあ、呼び方はともかく、本人が、そーゆーんだから、適当に使ってやればいいのよ、梨華ちゃん。」
って、ねー、藤本さん、私、そーゆーの困るのよねー。
「ハイ!宜しくお願いしまーす。」
「あのねー、田中ちゃん、アナタ、何か勘違いしてる。
私、そーゆーキャラじゃないから・・・・普通は、ごくごく普通だから・・・」
「そりゃ、そーだ。時々キレテ見境なくすだけで、普段はただのブリキャラだ。」
「って、美貴ちゃん、何よ、そのブリキャラって?・・・私を大根と一緒に煮たりしないでよ!」
「いいじゃない。油乗ってて、美味しそうじゃん、冬場のブリ。ねー、田中。」
「ハイ、とっても美味しそうです!」
って、二人で、遊ぶな!・・・まっ、いいかー。
- 504 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/19(金) 11:55
- 「どーでもいいけど、お肉焦げてるわよー。ほら、そこ、いちゃっついてないで、食べなさい!」
って、かおタン、いちゃついてなんかないからー。
そんなこと言うと、またこの人、調子に乗っちゃうじゃん。
「そーだね。はーい、食べよ、食べよ。・・・ほら、アーンして。」
ねっ。・・・・まあ、頂いときますかー。何気に、前方からの視線が痛いけど・・・
「おいし?ねぇー、コッチも食べてみなよー。」
って、何、それ?レバ刺し5人前も頼んじゃって、オッサンみたい・・・
って、なーに、女の子にはいいの、それ?・・・・でも、何か、見た目、ムリ・・・
「でも、大人いないと、呑めないから、物足りないよねぇー。」
って、唯一の大人が愚痴って・・・・それ、この人の前では、禁句なんだけどなー。
「じゃ、付き合いますよ。」
ね。すぐ、その気になるんだから・・・・
「そーおー、じゃあ・・・」
って、オイオイ!
「てなわけにいかないでしょー。」
あーあ、よかったー。今日は、一応、スタッフ同伴の公認行事だもんね。
って、賑やかに、宴は進む。隣の鉄板には、乗り切らない程の、お肉が置かれて・・・
あーあ、食べ過ぎないでね。特に・・・・・まあ、こんな時ぐらいはいいかー。
でも、重さんまで、競争するみたいに、食べなくても・・・・成長期なんだよねー。
まあね、縦に伸びているうちは、いいんだけどねぇー。
- 505 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/19(金) 12:16
- 田中ちゃんも、本当にお肉好きみたいねー。ムシャムシャ食べちゃって・・・
って、あれ、口の横にタレ付けちゃって・・・かわゆい。
生意気なこと言ってても、やっぱ、まだ子供なんだよねー。
って、こーゆーの気になるのよねー・・・私。
「田中ちゃん、ほら、お口の横・・・・」
って、ついつい、指伸ばして、掬い取ってあげる。・・・そしたら、
「こら!やんないの、そーゆーの!」
って、美貴ちゃん。えっ?どーゆーことー。
「アンタねー、そーゆーことするから、相手が誤解して、その気になるのよ。」
「えっ?その気って・・・・」
「ほら、田中、見てごらんよ。あーあ、真っ赤になっちゃって・・・」
「はー?」
「梨華ちゃんがさ、いつもそーやって、辻ちゃんとかにするようにさ、当たり前みたくそーするけどさ、
相手によっては、変なふうに誤解するでしょ、フツー。」
「えー、そーなの?・・・そんなことないよねー、田中ちゃん。」
「・・・・・・・はい?」
「ほーら、ぼーっとしちゃってる。せっかく、親分、子分の盃、酌み交わしたんだからさ、
そーやって、変な風に、その気にさせないの!」
何よ、その盃って・・・って、ダメなの?こーゆーことするの。
- 506 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/19(金) 12:36
- 「はー、そーゆーもん?」
「そー、そーゆーものなの!・・・たく、変にみんなにイイお姉さんぶりっこすんだからー。
ゴッチンが、イライラした気持ちもわかるよ。」
あー、この人、妬いたりしてんだー。へー、美貴ちゃんがねー・・・ウフ。
「・・・・・それに、人のこととか構ってないで、梨華ちゃんだって、なんかついてるよ。
ちょっと、顔、よこしてみて。」
「えっ、ウソー。」
そんなはずないんだけどなぁー。私、ほら、食べ方上品だし・・・てほどでもないけど・・・
でも、そー言われたらねー、ちょっと美貴ちゃんの方に顔を近づける。
そしたら、ちょこっと、顎に手をかけられて・・・・
えっ、なに?・・・・美貴ちゃんのドアップキターー!へっ?
美貴ちゃんって、唇で、拭いてくれるわけ?汚れ・・・・って、そのまま、私の唇に・・・
ちょっと、何?・・・公開キッス?
って、やだー、それなら、目を閉じたのに・・・って、そーゆー問題じゃないでしょ!
「キャ!」
田中ちゃんの、日頃に似合わない、かわいい悲鳴で、みんなが一斉に、大注目。
・・・・もちろん、すぐ離れたけど・・・・見られちゃったのかな、やっぱり・・・
ののも、重さんも、リーダーも口をポカンとあけちゃって、
もちろん、いつもあけてるあの人は、いつも以上の大口で・・・あーあ、ハエピーンチ!
- 507 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/19(金) 12:52
- 「アナタたちねー、中学生もいるんだからねー。
やめなさいよ、こんな所で、後にしなさい、後に。」
って、リーダー、それ怒り方、間違ってるから。
「ハーイ。後にしまーす。」
ほらね。
「もー、ふざけないでよー、美貴ちゃんはー。」
ここは、ほら、いつもの娘内での、おふざけにしとこ、おふざけに・・・
「ふざけてなんかないでしょ。まあね、人前ではよくないかも、だけどね。
でも、わかったでしょ、田中ちゃん。こーゆーことだから・・・・」
「って、どーゆーことですか?」
「だから、見ての通りじゃない。こーゆーこと。だから、ね、アンタはおとなしく舎弟してなさい。
それなら、許してあげるから。」
「っな、別に、藤本さんに許してもらわなくて結構です。
って、石川さん、嫌がってるじゃないですか!」
「っなこたー、ないでしょ。これは、嫌がってるつーのじゃなくて、テレてんの。
子供には分らないかもしれないけどねー。」
「そっ、そーなんですか、石川さん?」
「・・・・・ノーコメント。」
あーあ、何て、言っていいんだかー・・・。もしかして、一番拙い答えだった?
- 508 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/20(土) 21:37
- 更新乙です。
トーマさんの書く田中はすごくかわいいですね。
あんまり田中には興味が無かったけど好きになってしまいましたよ。
では続きがんばってください。
- 509 名前:@ 投稿日:2003/12/21(日) 21:07
- ノーコメントな石川さん…
おもしろいですねぇ。らしい気がします。
続き楽しみにしてます。
- 510 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/22(月) 10:47
- 「ねっ、ほら、嫌がってないから。」
「そっ、そーなんですか?石川さん。・・・・・石川さんって、そーゆー人だったんですか・・・・
こーゆーの嫌じゃないんだぁー・・・・・」
あーあ、今度ばかりは、マジに失望させちゃったみたいね。
でも、仕方ないよね。これはこれで、やっぱり事実なわけで・・・・
「で、わかったでしょ!」
「・・・・わかりました。・・・そーゆーことなら・・・・石川さんが、こーゆーのOKな人だってことなら・・・・
私にだって、そーゆーチャンスがあるんですよね!」
って、えっ?
「はーあー、アンタ、何言ってんの?・・・今、見たでしょ。梨華ちゃんは、私のものなんだからね。
・・・・って、今んとこ、半分だけど・・・・」
「その、半分って何ですか?半分、残ってるってことですか?」
「それは、いいの!別の話。とにかく、アンタには、その半分の権利もないから!」
「そんなのわかんないじゃないですか!・・・藤本さんで、OKなら、私だって・・・」
「何よ、その藤本さんで、つーのは。「で」じゃなくて、「が」なの!
だいたい、アンタが、私に敵うはずないでしょ。」
「そんなことないですよ。若いし、ピチピチだし・・・」
「ただのガキってことじゃない。」
- 511 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/22(月) 11:12
- 「アンタラねー、こんなところで、喧嘩しないの!」
って、かおタン。ここは、リーダーの腕の見せ所。私も、お手伝い、お手伝いっと。
「そーおーよ、喧嘩しないのぉー。」
「って、アンタが元凶でしょ!娘の風紀、乱さないでよ!」
そんなー。って、マジ、顔、怖い・・・・ふぇーん、泣いちゃうからねー。
「泣きまねしてもダメ!アンタのその手は、もうアタシには通用しないんだからね。」
だね。
・・・・で、この二人には、リーダーの注意は通用しないと・・・あーあ、完全に無視して、続けてる。
「もーいいわ。アタシ、お酒呑む事にしたから。」
って、オーダーに立って、そのまま、重さんの隣に、逃げちゃうリーダー。
もー。・・・・ののー、助けてって、ののの服引っ張ったら、
「りがぢゃんの浮気者!」
って、睨まれた。
その向こうでは、まこっちゃんが、大口開けて、呆れてる。
それでもって、器用なことに、目だけコッチに向けながら、なんと休まず、お肉をその開けた口に運んでる。
あーあ、あんまり、食べ過ぎないでねぇー。
で、恐る恐る、その前の重さんを見たら・・・あれ?何やてんのこの子?携帯出して、ピコピコと・・・
「ねー、重さーん、何してんの?」
「あっ、メールです。」
「・・・で、聞いていい?誰と?」
「あっ、高橋さんです。」
あー、そーゆーことね。けど、この子、いつもは・・・・
- 512 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/22(月) 11:36
- 「あのさー、ついでだから、もう一つ聞いていい?」
「はー、何ですか?」
「重さんってさー、普段、あんまし話してないよねー、高橋と。」
「えー、しゃべってると、よくわかんないんですよねー。言ってる事。
あっ、メールはー、普通の言葉なんですよ。」
あー、そーゆーことかー。言葉の壁をメールで埋めてるつーわけね。なにかと、アナタも大変ね。
だけど、この場の雰囲気で、メールやってるつーのもね・・・やっぱ、ある意味、師匠だね。
でも、本当、どーしょう。私が何か言っても、逆効果になりそーだし・・・
かといって、このままじゃ、収集つかないし・・・・居たたまれない雰囲気だし・・・
って、ところに携帯鳴ってる。あーあ、因みに今は、六甲おろしじゃないからね。
あれ、矢口さんだ。なんか、取り合えず、ラッキー。
「私、ちょっとー。」
とか言って、部屋の外に出る。
「あー、矢口さん、何気に助かりました。」
「何、どーしたの?てか、何してんの今?」
「打ち上げで、焼肉屋さんにいるんですけどー」
「いいなー、焼肉かー。で?」
「なんか、美貴ちゃんと田中が、もめちゃって・・・」
「なんかって、それ、原因は、オマエだろ。」
「まあ、そーみたいなんですけどー。」
「やっぱなー。でも、いいなー、そっち。打ち上げやってんだー。」
「って、そっちはやってないんですか?」
「なんかなー、ナッチは、何時も通り、付き合い悪いし、下のメンバーは、ヨッスィーの部屋に集まってるみたいなんだけどなー・・・」
「そーなんですかー。」
「で、どんな具合?他の連中は。」
「あー、かおタンは、あきれ果てて、お酒呑んでて、ののとまことは、ひたすら食べてて、
重さんは、メールしてます。高橋と。」
- 513 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/22(月) 11:57
- 「へー、相変わらずてーか、おもしろそーだな乙女は。」
「えー、まー。」
「いいなー、オイラも参加してー、マジ、おもしろそー。」
「笑いごとじゃないですよ。めちゃくちゃで大変なんですよ。こっちは。」
「だからー、そーゆー、めちゃくちゃがいいんじゃないかー。平和つーのも、退屈だぞー。」
「そんなもんですかねー。」
「オー、そんなもんだって。てか、やっぱ、オイラたちも打ち上げしよ!」
「えっ?これからですか?」
「そっ、オイラ、これから、ナッチ、叩き起こして、街に繰り出すから。
話のネタも、仕入れたし、じゃな!」
って、勝手に切っちゃって・・・・第一、話のネタって何ですか。
あーあ、きっとこの後、私たちのことで、散々、笑うんだろーな。サクラの皆さん。
部屋に戻ると、やっぱ、まだ続いてるのよね・・・・
でも、何気にこの喧嘩、暗くないって言うか・・・あーあ、姉妹喧嘩みたい。
どこか似てるのかな、この二人・・・・あーあ、似てる、似てる。
ちょっと、立場は違うけど、一応、同期だしね。きっと、そのうち、私たちみたく、
あーあ、私たちって、4期のことね。本当の姉妹以上になったりするんだろーなー。
色んなこと積み重ねて。喧嘩したり、喧嘩したり、喧嘩したり・・・もちろん、それだけじゃなくてね。
だから、このまま、ほって置いてもいいのかなー・・・・・・
- 514 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/22(月) 12:16
- 「ね、梨華ちゃん!」
「違いますよねー、石川サン!」
って、そーもいかないみたいねー・・・・
「もー、きりないからヤメ、ヤメ。それに、もうイイ時間だから、そろそろお開きにしよ!」
って、リーダー。かなり入ってる割には、しっかりとしたお言葉。
酒は呑んでも呑まれるな。っていうやつね。あー、ケメタンにも見習って欲しいわー。
「つて、アンタタチ・・・同部屋よねー。」
あっ、そーだったー・・・・大丈夫かなー、って、大丈夫なわけないかー。
「美貴、嫌ですよ!こんなやつとなんて。」
「私だって、嫌です!・・・・・あの、替えてください。・・・小川さんと。」
「そーおー、じゃあ、そーしよっかー。」
「あっ、飯田さん、それ、ありえないから。
コラ!アンタ、ドサクサに紛れて、何言ってんのよ。」
「イエ!この際、紛れさせていただきます!」
「あー、そーかー。それはマズイんだものねー。じゃあ、重さんと交代しようか。
のの、もう、平気だよね?」
「うあ?」
デザートのゴマアイスを私の分まで食べてた、ののが、急にふられて、驚いて・・・
「のん、平気よね、もう怖くないよね、田中。」
「うぁん・・・たぶんヘーキなのれす。」
「って、飯田さん、その、怖くないって、どーゆー意味ですか?」
- 515 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/22(月) 12:31
- 「ののが、アンタのこと怖がってたのよ、最初。」
「そんなーー。」
「あっ、気にしないで。みんなそーだったから。」
あーあ、かおタン、言っちゃった。
・・・・さすがに、凹んじゃったじゃない、田中ちゃん。まだ、14の女の子なんだもんねー。
ここは、先輩として、フォロ、フォロ。
「・・・・あのね、田中ちゃん・・・・第一印象がね、悪いっていうのはね、そんなに悪いことじゃないのよ。
ほら、そのあと、印象良くなるばっかだから。・・・あら、意外にこの子、かわいいって、感じでね。」
こんなんで、よかったのかなー・・・・あー、大丈夫ぽい。ぽわーっと笑顔になった。
「梨華ちゃーん、アナタはまたそんな余計なこと言って、その気にさせてー。」
って、美貴ちゃんに怒られて。
「じゃあ、決定ね。ののと田中。ミキティと道重。」
「あのー・・・・」
それまで、ぼーっと話を聞いていた、もう一人の部屋替えの当事者が・・・
「あのー、ちょっと聞いていいですか?」
「あっ、重さん、なあに?何か都合悪い?」
「あっ、そーじゃないんですけどー・・・」
- 516 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/22(月) 12:44
- 「あのー、石川さんって、可愛いですよねー。」
おっ、イイコト言った。
「でー、ぶりっこですよねー。」
はー・・・・そーですかねー。
「だね。」
って、リーダー、私、そろそろ、そのキャラ、卒業したいんですけどー。
「でー、私も可愛いですよねー。」
おっ、始まった。
「でー、よく、石川さんみたいにブリブリって言われるんですけどー。」
それは、ベタだね。って、私みたいは余計でしょ。
「・・・・私、藤本さんと一緒で・・・・大丈夫ですか?」
「はぁー?」
って、美貴ちゃん、目が飛び出しそう。
「藤本さんは、石川さんみたいのが好みなんですよねー。・・・だから、私も危なくないですか?」
って、えーっ?
「何、美貴が、アンタを襲うとでも思ってんの?」
「えー、まー。」
「あのね、その梨華ちゃんとアンタの例えね、絶対、イコールにならないから。
心配しなくても、私は、アンタには興味ないから。」
- 517 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/22(月) 13:05
- 「えー、そーなんですかー。」
って、何気にかなり、不満そう。
「えっ、何、それとも襲って欲しいとか、思ってたりするわけ?」
「はー、私、そーゆーの経験ないから、どんなのかなーって。」
「興味があるってわけだー。」
「ええ、少し。何事も経験だって言うし。それが、モーニング娘の伝統みたいだし・・・」
って、何言い出すんだか、この子は。
そりゃ、おふざけのキッスは、中澤さん以来の伝統とも言えなくはないけど・・・・
でも、決して、そーゆー集団じゃないからね。いたって健全なんだからー。
って、私には、そう言う、権利ないのかな・・・・・
「道重、アンタねー、何か勘違いしてる!」
おっ、さすが、リーダー。ここは、びしーっと、言ってあげて。
「カオリはね、愛には決まった形はないと思うの。」
って、かおタン、それ、方向が違う。
「でもね、興味だけでね、そーゆー、キスしたり、そのあと、あーしたり、こーしたりとかはね、」
オイオイ、中学生相手に、何言い出してんの、この人は。
「そーゆーのは、愛が伴わないとね、ただの不毛な行為になっちゃうのよ。
興味本位でやるとね、そこからは、何も生まれないのよ。」
「・・・・・」
ちょっと、難し過ぎたみたい。てゆうか、いいのかなー、そんな話・・・・
- 518 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/22(月) 13:52
- 「・・・・うーん、つまりね、そーゆーのは、本当に好きな人とだけ、しようね。」
「ハイ、わかりました。・・・今度、高橋さんにお願いしてみます。」
「そーね、そーしなさい。」
って、もー、何、唆してるのよー。
「・・・・でも、どーすれば、いいんですか?」
オイオイ、そんなこと、聞くなって。
「そんなの簡単だよ。ダンスレッスンとかの時に、無理やり押し倒して、ブチューと。」
って、のの、そんなのするのアンタとアイボンだけだから・・・
そーいえば、私もされたなー。あーゆー時のこのチビッ子の力は半端じゃないからねー。
何人、犠牲者がでたことか・・・・
「って、そーゆーのは、違うの!
ちゃんと告って、それなりに、ロマンチックなムードにもっていって・・・」
って、美貴ちゃんアナタまで・・・
「今度、楽屋で二人っきりにしてやるからさー。」
「あっ、お願いします。」
「みんなで、覗いてよーね。ね、梨華ちゃん。」
「って、ダメよー、そんなこと面白がっちゃ。」
「だって、面白いじゃん。」
もー、矢口さんみたいなこといわないのー。
てーか、高橋、かわいそう。・・・・あの子の純潔も風前の灯火って感じよね。この人たちにかかったら・・・
でも、話の矛先が、そっちにズレたのは、ありがたいんだけど・・・・
って、もしかしたら、これって、この後のネタふり?
- 519 名前:乙女たちの宴 投稿日:2003/12/22(月) 14:01
- 「じゃ、私も、石川さんと二人っきりにしてもらいます!」
って、田中ちゃん。それ、もーいいよ。話、戻さないでよ。
「そーは、いかないの!」
ハーイ、また、始まった・・・・
で、結局、何の収集もつかないうちに、打ち上げもお開きになって・・・
本当に、私たち、こんなのでよいのだろーか。
・・・・まっ、いいかな。
これから、年末年始に向けて、ただ、ただ、忙しいだけの日々が続くんだものね。
少しぐらい、他の刺激も欲しいよね・・・・って、あー、疲れたー。
「乙女たちの宴」・・・・・オシマイ
- 520 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/22(月) 18:17
- 来た来た〜!!待ってました!!
更新乙です。
ん〜今回も面白い!ミキティっとゴッツァンの間に田中が割って入れるのか?
重さんと高橋はどうなるのか?(こっちは今後展開するのかな?)
楽しみが続きますね〜。次作もお待ちしています。
- 521 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/22(月) 22:17
- すげーおもしろいよ
キャラが多彩すぎて乙女の打ち上げ、全然収拾つかないじゃんw
- 522 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/28(日) 17:39
- ハロモニ裁判の田中がここの田中とかぶってましたね
ここを読んでた者としてちょっとニヤっとしてしまいましたよ
ま、そんだけなんですけど、次回作期待して待ってます
- 523 名前:トーマ 投稿日:2004/01/08(木) 08:50
-
遅らばせながら、明けましておめでとうございます
・・・・あまり、おめでたい気分にはなれないのですが・・・・
「事実は小説より希なり」と言いますが、まさに、現実は、私などの想像を遥かに越えていて・・・
年末年始に、書こうかななんて思ってたことなど、全て、吹っ飛んでしまって・・・
というわけで、今回のことを少し書かせていただきます。
作者自身、かなり鬱なので、またネガティブなこと書いちゃったりするかもしれませんけど・・・
- 524 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 09:08
-
ガァーン
まるで、漫画みたいに、頭の中で音が鳴った。
なんつー正月だ。・・・春から縁起が悪すぎる。
それなのに、なんで、オメデトウとか、また言わなきゃならないんだ!
オメデタクなんて・・・・オメデタクなんて・・・絶対ありゃしない。オメデタクなんて・・・・
元日の生が終わった後、事務所の会議室に集められての発表。
リーダーと安倍さん矢口さんあたりは、きっと事前に知ってたんだろーな。
マジ顔してるけど、そんなに驚いてる感じはしない。
で、本人たちは・・・・そりゃあもちろん、知ってるわな。
そーいえば、今日は朝からちょっとテンションが違ってた。
あれは、フラフープのことだけじゃなかったんだなぁ・・・・
他のメンバーは、殆ど目が点状態。
アタシだって、本当の所、まだあまり状況が飲み込めてない。
で、梨華ちゃん・・・・
あーあ、ダメだ。俯いたまま。背景に、縦線しょってる。
久々に見る、超ネガ状態・・・・
そりゃ、そーだよ。アタシだって、こんなんだもんね。
だって、まさかね、まさかだよ。
・・・・辻加護卒業・・・・
つんくさん、それはないでしょう、それは・・・・
- 525 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 09:30
- あまりのことに、ザワメキさえ起こらない会議室に、明後日からのハロプロコンのリハのスケジュールが、
短く伝えられて・・・・今日は、解散。
明日は、やっとの正月一日だけの、オフだってつーのに・・・
ちぇーっ、ちっとも楽しめないじゃないか。バッカヤロー・・・
それに、せっかく皆で、安倍さんのラストツアーを、頑張ろうって、盛り上がってたのに・・・
せめて、せめてそれが済んでからにしてくれよー!
どーしても、正月、一発目に発表しなきゃいけないのかよ!バカ事務所。
・・・・・でも、でも何で、何で・・・辻、加護なんだよ・・・・
皆、のそのそと席から離れ始める。
「さっ、帰って、思いっきり寝るぞー!」
って、矢口さんが、空元気の声上げて、
「皆も、ゆっくり疲れ取ってね。三日からは、また、ハードだからね・・・・」
リーダーが語尾をフェードアウトさせて、
「おもち食べ過ぎないでねー。」
って、安倍さんが、ひきつり気味のナッチスマイル浮かべて・・・・
それぞれ、部屋をあとにする。
「ヨッチャン、なにボーットしてんの、帰るでー。」
って、アイボンがニコニコしながら、寄ってくる。
アイボン・・・・アタシ、かける言葉、思いつかないよ。
「・・・・・」
「ほら、行こ!」
「・・・・・そーだな。行こうか。あー、今日も疲れたなー。」
「そやで、ほんま、疲れたわー。働かせ過ぎちゃうか、この会社。」
- 526 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 09:58
- 梨華ちゃんは、部屋の隅で、ののと話してる。
背中だから、表情はわからないけど、ののがいつものように、キャッキャじゃれてるから、
大丈夫なんだろーな。・・・・・なっ、わけないか・・・・
ポツポツと帰り始める、娘たち。下の子たちは、それぞれ、堅く手を握り合ったりして、
コンコンとか、アイちゃんとか、少し涙ぐんでるみたい。
皆、大きさはちがっても、やっぱり、ショックで、やっぱり悲しい。
けど、ここでは、誰も、声を上げて泣いたり出来ない。
そう、これはタテマエ的には、オメデタイ、喜ばしい知らせなんだ。・・・・いつも。
梨華ちゃんの所から、ののが、こっちに走って来て、アイボンの手を引く。
「ヨッチャン、アイボンもらってくよー。のんたちコンビなんだから。」
「そや、新ユニットやもんな。一緒に帰るか。ヨッチャン、じゃあねー。」
って、変なテンションで、駆けるように部屋を出て行く二人組み。
そーだね、新ユニット、オメ!
・・・・・あの二人だって、今は、他の人の前じゃ、泣くことも出来ないんだよね。
だから、もう、ここにはいられない。
アイツにでも泣かれたら、ヤバイものね。
・・・・で、その泣き虫は・・・・二人の背中、目で追ってたけど、まあ、なんとか持ちこたえてる。
で、あっ、こっち見た。
だよなー、こーゆー時は、やっぱ同期でしょ。
本当の意味で、同じ気持ちでいるのは、アタシだけなんだから・・・
来るな。きっと、来るな、こっちに。
エッ?
少し、小さくひきつらせた笑顔見せて、バイバイって、手を振って・・・
エーッ、帰えんの?・・・・このまま、一人で?
そっかー、アタシになんにも言わずに、帰っちゃうのか、梨華ちゃん。
・・・・まあ、疲れてるしね・・・てーか、今の梨華ちゃんに必要なのは、アタシじゃないんだよね。
そーだよな、きっとそう。
- 527 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 10:17
- あーあ、アタシも帰ろ。ここにいても、しゃーないし・・・
ノソノソとドアの外に出たら、ゴッチンが腕を組んで立ってた。
そっか、今日は、ゴッチンも一緒の仕事だったんだもんね。
「ヨシコ!何で、梨華ちゃん、一人で帰すんだよ!」
「えっ?」
「心配じゃないのかよ。」
「んなこと言ったって、アタシ、そーゆー役じゃないじゃん。」
「なーに言ってんだか。この件に関しては、アンタしかいないでしょう。フツーに。」
「ええー、そうなの?」
「そーに決まってるでしょうが。ホントにヨシコはバーカだよね。」
「そりゃ、バカだけどさ、アタシは。だけど、一応、空気読めるからさ。
ここは、やっぱ、誰かさんに遠慮しといた方がいいのかなって・・・」
「だからー、その空気が、今回は違うでしょ、明らかに。」
えっ、やっぱ、そーなのかなー。
「ヨッシーって、本当、鈍いよね。早く、行ってやんなよ。
フツーにかわいそーでしょうが。」
って、あれ、いつの間にか、ミキティまで、後ろに立ってて。
てーか、本当に、いいわけ?
「ホントのとこ、同じ気持ちなのって、ヨシコしかいないじゃん。
行って、思いっきり泣かせてやりなよ。てーか、二人して、泣いて来い!」
あー、やっぱ、そーだよね。
「うん、行ってくる。」
「ヨシ!行け!・・・よろしくな!」
「オー、まかしとけって!」
- 528 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 10:37
-
「行ったねー。」
「やっとね・・・・」
「てーか、先輩たち、ちょっと、人が良すぎません?」
「って、どーゆー意味かな、田中ちゃん?」
「だって、こーゆー時は、慰めた者勝ちでしょ。それを吉澤さんに譲るなんて、甘すぎますよ。」
「そーかー。甘いちゃあ、甘いけどね。梨華ちゃんには。」
「そーだよね、どーしても甘くなっちゃうんだよね。今のあの子に一番必要なものは、なんて考えちゃってさ。
もしかしたら、慰めついでに、押し倒すチャンスだったかもしれないのにねー。」
「オー、相変わらず、過激だねー。でも、ミキティだって、今回はヨシコが正解だと思うでしょ、やっぱ。」
「うん。同期の絆とか、あるんだろーからね。
あの子たち見てたら、時々さ、こりゃ、入れないわって、思うことあるもんね。」
「だよねー。アタシなんか、ずーっとソレ感じてた。
アタシとは、普通に友達なのに、あの子たち同志は、なんか姉妹みたいな、親子みたいな・・・
なんか、特別な雰囲気あるんだよね。特に四人揃うと。」
「だね。なんか、やっぱ、違うだろーね、同期って。」
「みたいだね。アタシにはわかんないけど・・・・
そっ、だからね田中ちゃん、あの二人は心配いらないの、肉親だから。」
- 529 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 11:02
- 「そーなんですか?・・・夫婦じゃなくて?」
「夫婦かー、それは頑固一家でしょうが。
なんつーかなー、4期はね、やたら心配性の長女と、マイペースの次女と、
いたずらで、甘えん坊の三女と、ちゃっかりしてて、実は一番しっかりものの四女、
って、感じかな。あーあ、もちろん、ヨシコは長男でもいいけどね。」
「そんなもんですかねー。」
「そんなもん。アンタたちもそのうちそんな感じに・・・・うーん、なんないかー。
年、近いもんね。あーゆー感じって、あの子たちだけなのかなー。
5期は皆、同級生って感じだし、オリメンとか、ヤグッツアンたちは、友達以前にライバルみたいなね。
6期はどーなんのかねー、って、ミキティも一応、6期じゃん。」
「やっぱ、美貴は、そこには入っていけないかな。
なんか寂しいねー、ゴッチンも一人だつたから、そーだろーけど。」
「そだね。ミキティの場合は特殊だもんねー。シイテ言えば、アヤちゃんぐらいかなぁ。」
「アヤちゃんねー、妹みたいって言えば、そーだけどさ。
アヤちゃんと美貴は、どっちかっていうと、ゴッチンと梨華ちゃんに似てるかな。」
「えー、どーゆーこと?」
「年下の先輩。トップアイドルと、新人・・・・」
「あー・・・・・じゃあ、アタシたちみたいだったの・・・・」
「って、何、想像してんのよ。そーゆーんじゃないからね。
てーか、娘ほど一緒にいる時間なかったし、あのままソロなら、そーなってたかもしれないけど、
その前に、娘に入って、誰かさんを知っちゃったから・・・・」
「そっかー、って、その前から知ってんでしょうが。同じ、ハロプロで。」
「知ってはいたけどさ、そーゆー意味じゃないでしょ。
・・・あれってさ、近くにいないとさ、わかんない感じじゃん。」
「あっ、そっか。そーかもねー、あれはねー。」
- 530 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 11:17
- 「って、何、二人でにやけてんですか。」
「あはっ。・・・・でもさー、その距離でも、ののには負けちゃうんだよね。」
「そーそー、辻ちゃんといる時って、なんか違う顔するよねー、悔しいけど。」
「うん、何か違うよね。・・・そー言えば、カオリがさ、あれはミケランジェロとかいう人の
ピエタのマリアだって、言ってたな。」
「何それ?」
「よく、わかんないだけどさ、前にね、カオリって、のののお母さんみたいだね、
って言ったらさ、あれには負けるって、梨華ちゃんのことをさ、あれは聖母の顔だって。」
「へー、よくわかんないけど、やっぱ、保護者なんだねー。だったら、余計に辛いよね、きっと。」
「だね。親の子離れの方が、子供の親離れより難しいらしいからねー。」
「だねー。」
「・・・・・って言うことは、子供つーか、妹つーか、そのポジション空きますよね。」
「あっ、まーね。」
「そこ、アタシ、入れますかね。」
「えっ?」
「決めました。舎弟返上、妹の線で!」
- 531 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 11:30
- 「そーねー、まあ、頑張るのは自由だからねー。
まー、無理だと思うけどね。」
「どーしてですかー。可愛がってくれてますよ。今だって。」
「・・・・うーん、でも、同期じゃないからねー。」
「えーっ!」
「だねー。ありゃ、特別だ。羨ましいねー、あーゆーの。」
「寂しいねー、ウチラ。」
「ホント、寂しいねー。・・・・ゴッチン、寂しいモノ同志で、一杯やっか。」
「そーすっか。」
「じゃ、美貴んち、オイデヨ。」
「あっ、いいねー。初めてだねー、ミキティ部屋。」
「アタシも混ぜてくださいよー。」
「「子供はダーメ!」」
って、肩組んで帰っていく、後藤さんと藤本さん。
ちーっ、まだ18のくせに、大人ぶっちゃって・・・・
でも、空くんだよね、石川さんの特別席・・・・
田中れいな、14歳、狙わせていただきます。
同期じゃなくたって、同じ、娘として、いられるんだから、マダマダ・・・・
- 532 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 11:43
-
「梨華ちゃーん!」
急いで追っかけたら、車を待ってる梨華ちゃん発見。
オイ、肩、落ちてんじゃん。やっぱ、大丈夫なわけないか・・・・
「あっ、ヨッチャンどーしたの?」
「どーしたのって、心配だから。」
「何が?」
「何がって・・・・まっ、いいや、今日は梨華ちゃんチ、行くから。」
「えっ?二度と行きたくないんじゃなかったっれ?」
「何を今更。」
「そーだね。そー言ったわりには、来てるもんねー。」
「いい加減に慣れたつーの。」
「そっか。でも、今日はいいの?家の人、待ってるんじゃないの、お正月だし・・・」
「それは、明日でいいよ。それとも、梨華ちゃん、実家に帰るの?今から。」
「ううん。私も明日。てーか、どーしよーかなー。」
「アケオメっていう感じじゃーないかー。」
「だねー。」
「だから、アタシ、やっぱ、一緒にいるよ。」
「・・・・そーだね。そーしてもらう。」
- 533 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 11:59
- やっぱり、ピンクの梨華ちゃんチ。でも・・・
「少し、別の色入ったじゃん。」
「うん。この前、矢口さんに言われたから、クッションとかだけ変えてみたの。変?」
「ううん、少しは落ち着く。」
「なら、よかった。・・・まあ、そこへんに座ってて、今、お茶入れるから。」
アイボリーのクッション抱いて、ピンクのカーペットに座って、キッチンの梨華ちゃんを待つ。
あれ、いつもと香りが違う。
「ジャスミンティーにしてみたの。ほら、オリビアの・・・」
「あー、これが、そーなんだ。」
「あのね・・・ジャスミンティーって、眠り誘わないんだって。」
「へっ?」
「どっちかっていうと、寝覚めの、朝の香りらしいのよ。だから、この時間には、合わないんだけど、
あの歌決まってからね、なんとなく買ってみたら、結構はまっちゃって・・・・」
「ゴッチン、歌ってたもんね。・・・後ろにいれて、嬉しかった?」
「うん。ゴッチンの後ろで、踊るのって久しぶりだったから・・・まあ、ダンスって程のものじゃなくて、
どっちかといえば、衣装係。・・・でも、ゴッチンの初めての紅白で、少しは役に立てて、嬉しかった・・・」
「・・・・よかったね。」
- 534 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 12:14
- 「ふーー。」
ティカップを両手で持ったまま、大きくため息をつく梨華ちゃん。
「・・・・・・やっぱ、ちょっと、ショックおおきいよね。」
「ああ、うん。」
「さっき、アイボンと何話してたの?」
「・・・何にも・・・アタシ、言葉、見つからなくて。」
「・・・・だよね。」
「そっちは?」
「・・・・あのさ、言葉、探してたらさ、ののがね、まだ半年以上先だよって、
安倍さんの時に私がそー言ったら、そんなのいつだつてスグくるって言ってたくせにさ。
それから、会えなくなるわけじゃないって・・・それも自分で、でも、今までと違うって言ってたくせに・・・
で、そこまで聞いて・・・分ったんだ。・・・ののは安倍さんの時に、私がののに言った言葉、返したいんだなって、
私が、安倍さんがいつでも帰って来れるように、しっかり娘やっていこうって言ったこと、
そのまま、私に、返したいんだなって・・・・」
「・・・・・・」
「いつの間にか、大人になったんだよね、あの子・・・」
「・・・・うん。」
「でもさ、それ思ったらさ、私、何か力抜けちゃってさ・・・」
「えっ?」
- 535 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 12:32
- 「だってさ、私、勝手に自分の方が先だと思っててさ。
それで、ののたちが、娘で頑張っていてくれたらさ、そこに帰って行けるって、
気持ちがね、気持ちが帰る場所あるって、そー思ってたから・・・勝手に。
それが、なくなっちゃうんだよねー・・・・」
「・・・あー、なんとなく分るよ。」
「いつもさ、いつも変わって行くのはさ、変わんなきゃいけないのはさ、覚悟してるんだけど、
・・・・せめて、順番守って欲しいよね・・・・」
「だね。」
自分は、守らなそーなこと言っときながら・・・・でも、ホント、順番守って欲しいよね。
「なんで、ののとアイボンなんだろーね。」
「うん。」
「自分が卒業しろって、言われるのより、キツイかも。」
「ああ、うん。」
「・・・・卒業試験、受かったんだよね、あの二人。」
「えっ、何それ?」
「うん、安倍さんが言ってたんだけどね、娘の課程が終了したから、卒業なんだって。
自分は、娘の本当の良さが、わかったから、卒業してもいいんだって・・・
あの子たちも、受かったんだよね。」
「あーあ、そーなんじゃないの。実力評価してって、つんくさん言ってたから・・・」
「・・・・・私たち、落第しちゃったのかな。」
「あーあ、そーだね。」
「バカだからねー。」
「てーか、梨華ちゃんは、音痴だからじゃねーの。」
「あっ、そーかって、本当のこと言わないの!いじわる!」
「あっ、ゴメン。」
- 536 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 12:50
- 「あれー、素直に謝ったりするんだ。ヨッチャンが。」
「あっ、今日は慰め役だから。」
「何、それ。てーか、ヨッチャンだって同じじゃない。」
「うん、同じだから、適任らしいよ。」
「なーにー、誰かに、行ってやれとか言われたの?」
「あっ、まーね・・・・つーか、いいじゃん、そんなこと。」
別に、ここでゴッチンたちの株上げてやる義理はない。
少しごまかすように、視線をはずした先にあった、飾り棚のポートレート・・・・
あっ、中澤さんの卒業前のやつ。10人・・・・
アタシの視線を追うように、右後ろを向いた梨華ちゃんが、
「半分以下になっちゃうんだよね・・・・」
その言葉にまともに答えないように・・・・
「若かったねー、てーか、おさなー。」
「うーん、幼いねー。・・・・そー言えばさー。」
って、本棚から、なにやら取り出す、梨華ちゃん。
「ほら、これ、懐かしいよねー。」
・・・・・・ハミルトン島。
「うわー、何これー、若ーい!細ーーい!」
「誰かさんなんて、別人だ。」
って、何言いたいんだ、このやろー。
- 537 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 13:43
- 「・・・・まだ、中一だったんだよね、あの子たち・・・・」
ペラペラめくるそのページには、
12のアイボンと、13のののと、15のアタシたち。
無邪気に笑って・・・・無邪気すぎて悲しいくらいに・・・・
「ほら、これなんか。」
って、次々出てくる、懐かしい写真の数々・・・
もちろんそこには、中澤さんも、保田さんも、ゴッチンも、安倍さんもいて・・・・
「みんな、変わったよねー、変わっちゃったよねー。」
「この時なんて、寝姿とってたら、ののもアイボンも本当に寝ちゃって・・・・」
って、写真と一緒に、よみがえる、その時の思い出。
「お寺の時から、仲良かったよね、あの子たち。」
「だったねー。」
「こんな子供たち、大丈夫だろかって、思ったけどねー。」
「うん、でも、案外、ちゃっかり、しっかりやってたよね。」
「だね。・・・・楽屋とかでも、いつも騒いでて、よく中澤さんに叱られて・・・」
「二人が呼び出されて、叱られるのを、いつも、帰らずに待ってたよね。」
「そー、心配でねー。」
「梨華ちゃんの奢りのアイスとか食べながら、慰めたよねー。」
「あー、歩いたよねー、駅まで。・・・私が落ち込んだ時も、皆で待っててくれたよね。」
「うん、うん、よく落ち込んでたからねー、誰かさん。」
「なによー、でも、そーだったねー。皆、慰めてくれたつーか、からかってくれたよねー。」
「あー、そーだね。そー言えば、初めてのステージの時、梨華ちゃんが、手のひらに人の字書くのからかって・・・」
「でも、結局、四人で、並んで、人の字書いて・・・」
「そー、だって、みんな足、震えてて…」
「・・・・・・お弁当食べられちゃってね、ののに。」
「アタシが分けてあげてたら、アイボンが、いらんのやったら、もらっとくでー、
って、アタシの分もとってって・・・・」
- 538 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 14:00
- 「仕方なく買って来たパンも、結局取られちゃって、本番中に、お腹が鳴って・・・」
「それを、矢口さんに笑われて・・・」
「本当に、育ち盛りは困ったもんだったよねー。よーく食べてた・・・で、成長しちゃったと。」
「こら!ドサクサに紛れて、人の腹見るな!」
「うふっ・・・・で、よく喧嘩した。」
「そーそー、梨華ちゃんとアイボンのマジ喧嘩。」
「止めもしないで、見てたよねー。」
「てーか、マジ過ぎて、怖かったんだもん。ののと二人で震えてた。」
「ウッソー。でも、アイボン、大変だったからねー、あの年で、親元離れて・・・」
「ののともよく喧嘩してたよねー。梨華ちゃんが、間に入ってオロオロしてて・・・・」
「ヨッスィーがさ、二人の頭、両脇に抱えて、ゴチンとやって、喧嘩治めたことあったじゃない。」
「あったねー。」
「あれ、マジに尊敬しちゃったんだけどさー。」
「それで、梨華ちゃんが、次に真似して・・・」
「そー、あえなく二人に押し倒されて・・・」
「遊ばれてたねー。でも、それで、喧嘩は治まった。」
「だったねー。」
- 539 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 14:16
- 「私たちが、雑誌とか、読んでると、いつの間にか、二人が間に座っててね・・・」
「そーそー、そのうち、アイボンが、ヨッスィーにもたれて寝ちゃって。」
「ののが梨華ちゃんの膝枕で、寝ちゃって・・・・」
「幼かったよねー二人とも・・・・本当、幼くて・・・・」
梨華ちゃんの指が、写真のののと、アイボンをなぞる。
「本当にいたずらでさ、本当にいつも困らせて・・・・
でも、本当は、いつも助けられてた・・・・
先輩たちに馴染むのも、あの子たちの方が、ずーっと上手で・・・・
なんかさ、ずっと、世話やいてきたと思ってたんだけどさ、
本当は、私のほうが、ずっと、助けられてた。
この二人が、ううん、ひとみちゃんと・・・・三人が一緒じゃなきゃ、
私、やってこれなかったよ、娘。」
「・・・・アタシだってだよ。みんながいてくれなかったら、無理だったと思う、きっと。」
「・・・・本当、いろいろあったけど・・・喧嘩したり・・・バカやったり・・・でも、本当、楽しくて・・・」
今にも、泣き出しそうな梨華ちゃん・・・なんで、堪えてるの涙・・・
「でも、せめて、二人一緒でよかったよね・・・・名コンビだし・・・」
「うん。」
「仲良くやっていくんだろーな、今まで以上に・・・」
「うん。」
- 540 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 14:30
- 「私たちもしっかりしないとね、今まで以上・・・」
「うん。・・・・・ねぇ、梨華ちゃん、誰もいないよ。」
「えっ?」
「強がんなくたっていいんだよ。」
「・・・・あっ、うん。」
「泣いちゃっていいんだよ。そのためにアタシ、来たんだから。」
「・・・そーだよね。今更、ひとみちゃんの前で強がっても、泣き虫、ばれてるんだもんね。」
「オー、バレバレだ。・・・・よーくメソメソしてたもんなー。」
「一番年上だったのにね・・・・一番しっかりしてなきゃいけなかったのにね・・・一番・・・・」
詰まる言葉・・・・震える肩・・・
「・・・梨華ちゃん、どこがいい?貸してあげるよ。」
「・・・・背中。」
そっかー、背中かー、この期に及んで、まだ、泣き顔みられたくないんだなー。
アタシは、梨華ちゃんの横に移って、後ろを向く。
アタシの肩に両手をかけて、おでこを背に押し付けて・・・梨華ちゃんが震えてる。
「・・・・・なんで、卒業なのよー」
「・・・・・なんで、あの二人なのよー」
「どーして、どーして、先にいっちゃうのよー」
「どーして、どーして、離れなきゃいけないのよー」
- 541 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 14:47
- 梨華ちゃんの搾り出すような、泣き声に、アタシもいつの間にか、つられてる。
そーだよね、なんでなんだろーね。どーしてなんだろーね。
「でも・・・・いいことなんだよね、二人にとって・・・
ね、ひとみちゃん、これは、いいことなんだよね。」
「あっ、うん。きっとイイコト・・・・そー思うよ・・・・」
「そーだよね。・・・・卒業だもんね・・・そー思わなくちゃね・・・そーだよね。」
「・・・・うん。」
でも、二人とも、娘が大好きなんだ。モーニング娘。が・・・・大好きなんだ。
「ごめん、やっぱ、アタシもダメだ。アタシにも、貸して・・・」
振り向いて、梨華ちゃんの涙でグチャグチャになった顔にお願いする。
「・・・・梨華ちゃんの胸。」
「・・・うん。」
そのまま、顔を、梨華ちゃんの胸に押し当てて、
「お願いだから、梨華ちゃんは、梨華ちゃんは先に行かないでよね。お願いだから・・・」
って、梨華ちゃんの心臓に、直接・・・・無理なお願いをする。
「やだよー、こんなの。もー絶対やだよー。」
そんな、アタシの頭を、梨華ちゃんの腕が、強く抱き取って・・・・
「やだよねー、ホント、やだよねー。」
- 542 名前:卒業 投稿日:2004/01/08(木) 14:55
- 「・・・・でも、ひとみちゃんが泣くなんて、珍しいよね・・・」
「・・・・だって、ここには、誰もいない・・・・」
「・・・・うん、そーだね、誰もいない・・・」
ここにいるのは、12アイボンと、13のののと、15のアタシと梨華ちゃん。
ハミルトン島の、白い砂の上・・・・
先を走る、ちっこい二人組み・・・・
「りかちゃーん」
「よっしーー」
「待ってよー」
「コラー、待ちやがれー」
「おそいよー」
「おいてちゃうよー」
待ってよ・・・・早いよ・・・・早すぎるよ・・・・
オイテカナイデヨ・・・・・
「卒業」・・・・・おしまい
- 543 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/08(木) 15:00
- 読みながら涙ぐんでしまいました。
やっぱりこの話の相手役はよっすぃーしかいないって感じですね。
- 544 名前:ロン 投稿日:2004/01/10(土) 20:32
- 最後のシメがうまいですね。
悲しみを誘うイメージ。
- 545 名前:トーマ 投稿日:2004/01/14(水) 13:28
-
543様 ありがとうございます。
行く二人にとっても、残る二人にとっても、良い結果になることを、祈るのみです。
544様 その肝心なところで、誤植してしまって・・・・12のアイボンが正解でしたね。恥
読み直してみたら、いしごま派を標榜しながら、今まで、後藤さん視点が皆無だったことに、我ながら「?」
というわけで、後藤さん視点で、短いものを一つ。
時間は少し、戻ります。
- 546 名前:カウントダウン 投稿日:2004/01/14(水) 13:41
- 急がなきゃ、急がなきゃ・・・・間に合わない。
アタシは衣装を手早く着替えて、娘の控え室に向かう。
今年は、今年は、みんなと一緒に、年が越せる。
みんなと一緒に、カウントダウンが出来る。
去年は、事務所のテレビで見てた紅白。
久しぶりの視聴者で、それは、それで楽しかったけど、
やっぱり、この世界にいる以上は、立っていたいステージ。
しかも、今年からは、アダルトチームで、残業OKだから、
年越しだって、ここで一緒に祝える。
「みんなー、おつかれー!」
「オー、ごっつあん、お疲れ!」
「間に合ったー?」
「オー、後、3分ある。さすがに早いねー、支度。」
って、やぐっつあんが、いかにも感心しましたっていう顔して。
「うん。猛スピードで着替えたよ。この後、CDTVもあるし・・・・」
「そっかー、まだ仕事あるんだっけ、ごっつあんは。大変だねー、明日も早いし。」
「明日もよろしくだよー。」
- 547 名前:カウントダウン 投稿日:2004/01/14(水) 13:59
- 「そろそろ、準備しよっかー。」
って、カオリが言って、みんながそれぞれ、ウーロン茶かな?コップを持って、
アケオメ乾杯の用意をする。
アタシも、渡されて、みんなと輪になって・・・・あれ?足りないじゃん。
「梨華ちゃんは?」
「それがさ・・・」
って、ミキティが、奥のメイク台の方に、目をやる。
そこに、うつ伏せてる黒い髪。
もしかして、衣装のまんま?
見慣れたコートがかけられてて・・・・
「アイツ、メーク落としながら、寝ちゃって・・・・」
って、呆れ顔のやぐっつあん。
「イシカー、疲れてたからねー。まあ、みんなもそーだけど。」
って、やっぱり、疲れ顔のカオリ。
「何気に、ひっこんでる時も緊張してたしねぇー。」
って、ナッチがフォロして。
「ヨッシーなんて、本番以外、ずーと寝てたけどねー。」
って、ぼーっと立ってるヨシコに、ミキティがつっこんで・・・・
「・・・・で、どーしよっかー。・・・起こす?やっぱり・・・・」
「そーだねー。」
とか言いながら、アタシは、みんなの間を抜けて、奥に入って、梨華ちゃんの顔を覗き込む。
あー、幸せそーな顔して、眠っちゃってる。
「いいんじゃないの、このままで。」
- 548 名前:カウントダウン 投稿日:2004/01/14(水) 14:16
- 「でも、どーせ、帰る時に、起こさなきゃなんないし、まだ、着替えてないし・・・」
って、ミキティが、何気に寄って来て。
「どーして、カウントダウンに起こしてくんなかったんですかー。とか、言いそうだしなー。」
って、やぐっつあん。
そーだねー、確かにそんなこと言いそう。
でも、でも・・・・
こんな無防備に寝てる姿見てると、起こすのなんてかわいそう・・・・・
・・・・それに・・・・ピンポーン!
アタシ、いいこと考え付いちゃったし。
「あっ、ゴトーが起こすから・・・」
って、梨華ちゃんの肩に、手をかけて、目で、ミキティを追いやる。
「てーか、もうすぐたぞカウントダウン。」
やぐっつあんが騒ぎ出して、
「あの時計って、正確なの?」
「ったりまえじゃん。テレビ局のだぞ。遅刻常習犯のナッチの時計とは違うんだぞ。
あっ、あと、15秒。ごっつあんも早く!」
「行くよー。」
って、時計の秒針に急かされた、カオリの声で、みんなが輪になって、コップを掲げる。
10、9、8・・・
アタシは、みんなのカウントを合図に、梨華ちゃんの顔を、少しおこして・・・
7、6、5・・・
顎に手をあてて、自分の顔を傾げる。
- 549 名前:カウントダウン 投稿日:2004/01/14(水) 14:33
- 4、3、2・・・・
少しずつ、顔を近づけて・・・・
・・・1・・・チュ!
「アケオメー!」
「カンパーイ!」
背中に、みんなの歓声を聞きながら、
一年の最初の瞬間を、一番一緒にいたい人と、一番近くで、刻む・・・・
みんなの声に、起こされたのか、それともアタシの小さな感触に、反応したのか、
至近距離の梨華ちゃんが、目を開けて・・・・
少し、驚いたみたいに・・・・
でも、すぐに笑顔になって・・・って、アタシの笑顔につられたのかな?
だって、自分でも自覚できるくらいに、きっとニヤケちゃってるよ・・・アタシ。
みんなに内緒の、小さな幸せ・・・・
「てーか、ゴッチン、何してんのよ!」
な、わけないかー。ちゃーんと、見てる人がいるんだよね、これが。
「何って、ハッピーニューイヤー・キッスじゃん。これ、アメリカの常識。」
「って、日本人のくせに、アメリカ、語るなつーの!
てか、ドサクサに紛れて、ズル過ぎ!」
「まあ、まあ、新年早々、怒ると幸せになれないよー。ミキティ。」
- 550 名前:カウントダウン 投稿日:2004/01/14(水) 14:50
- 「・・・・ごっつあん、何してくの?」
「なあにー、アメリカの常識って?」
ミキティが、声大きいから、他のメンバーも、こっちに注目。
「ニューイヤーキスだよ。アメリカとかでするの。年明けと同時に、周りの人とキスするの。
去年、テレビで見たんだ。」
「あっ、それ、カオリも知ってる。野外とかで、やるんだよね。」
「あー、ナッチも見たことあるかも。なんかさ、大勢で、すごく盛り上がるやつでしょ。」
「幸せになれるんだよー、それすると。縁起物、縁起物。」
って、そーだったかは、定かじゃないけど、この際、そーゆーことにして・・・・
「へー、じゃ、オイラたちもしよー。」
って、やぐっつあんが、迫って・・・・
「ヤダよー!」
って、ナッチが逃げる。
「でも、ズッコイ!寝てる梨華ちゃん、襲って・・・」
って、かなり怒ってるミキティ。
「えっ、寝てなんかないよ。ホラ、起きてんじゃん。」
って、よく状況が飲み込めてない、梨華ちゃんの両肩を掴んで、椅子から立ち上がらせる。
梨華ちゃんは、なされるがままって感じで立ち上がって、
で、小首をかしげて・・・
「何かあったの?」
あー、やっぱ気付いてなかったのかー。
- 551 名前:カウントダウン 投稿日:2004/01/14(水) 15:02
- 「あのね、ハッピーニューイヤー・キスしたの。」
「なあに、それ?」
「アメリカのね、新年の挨拶。・・・キス。」
「ふーん、誰が?」
「ゴトーとね・・・・梨華ちゃん・・・今、ここで。」
「えっ、うそー!」
って、真っ赤になって、両頬を手でおさえて、
絵に描いたような、テレポーズ・・・・
「ホラー、やっぱ、寝てたんじゃない。ゴッチン、反則!」
って、ミキティがあんまり煩いから・・・
「挨拶だよ、あいさつー。」
ほーれって、ミキティと、その隣のヨシコと・・・そのほっぺにチュッ。
「今年もヨロー!」
「オー、ごっつあん、オイラもオイラも。」
って、やぐっつあんが、頬を突き出す。
で、やぐっつあん、カオリ、ナッチの順に、ほっぺに挨拶。
「みんな、コトヨロ。
じゃ、ゴトー、そろそろ行かなきゃだから・・・・」
って、娘の楽屋を後にする。
- 552 名前:カウントダウン 投稿日:2004/01/14(水) 15:17
- ・・・・・
あっ、肝心な人に、言葉の挨拶忘れてる・・・・
戻ってドアを開けると、
あー、やっぱり。・・・メイク台の前で、ミキティに迫られてる梨華ちゃん。
しゃーねーなー。そのくらいは、大目に見てあげるけど・・・
「オーイ、りっかちゃーん!」
って、廊下に立ったまま、開けたドアを覗き込む形で、声をかける。
アタシの大声に、奥の二人だけじゃなくて、
今度は、ヨシコを追っかけてたやぐっつあんや、
なにやら、笑いあってたカオリとナッチも、こっちを見る。
「言い忘れてた。アケマシテ、メデトー!今年もよろぴく!」
「あっ、あー、こっちこそ、よろしくー!」
「梨華ちゃーん、今年も、愛してるからねー!」
その言葉への、応えは聞かないで、ソノママ、ドアを勢いよく閉じる。
だって、やっぱ、照れくさいじゃん。
ハーイ、お仕事、お仕事・・・・
きっと、今ごろ、みんなに散々からかわれて、困ってる梨華ちゃんと、
少しキレ気味のミキティを想像しながら、移動の車に乗り込む。
- 553 名前:カウントダウン 投稿日:2004/01/14(水) 15:23
- みんなと一緒の、アケオメ乾杯は出来なかったけど、
へっへー・・・もっといい年越しできちゃったから・・・・・
2004年は、きっといい年になる。
去年より、ずっといい年になる。
絶対、いい年にしてみせる。
ね、そーしようね、梨華ちゃん。
今までで、一番ハッピーな年に・・・・
一緒に・・・・・
カウントダウン・・・・・おしまい
- 554 名前:名無しさん 投稿日:2004/01/14(水) 23:33
- 寝込みを襲う後藤さんいいです。
しかし、石川さんモテモテですね。羨ましい(笑
- 555 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 00:59
-
「なんですかこれー。」
「アッ、アタシが用意しました。完璧です!」
って、田中ちゃん。
「・・・完璧ですって、コンコンじゃあるまいし・・・いいんですかーこんなことしてー、飯田さーん。」
「いいのよ、石川。アタシが許可したの。まさか壁に穴あけるわけにいかないでしょう。」
「それはそーですけどー・・・これって・・・・盗撮・・・・」
「あっ、その単語は禁句よ!」
「あっ・・・はい。それにしても・・・・」
ここに用意されているのは、モニターとヘッドフォン・・・で、画面に映し出されているのは、隣の小さな楽屋。
今のところ誰もいない。
それでもって、こっちの部屋には、乙女組みの一人を除く6人。
「いいじゃん、おもしろそーじゃない。」
「って、美貴ちゃん・・・いいのかなー、プライバシーだし・・・」
「何言ってんの、私たちにプライバシーなんてないの!」
「えーそーなの?」
「そーじゃん。盗聴に盗撮、過去写真の暴露、もーなんでもありなんだから。
それを乗り越えてこそ、真のアイドルつーもんでしょうが。」
って、あなたねー、それとこれとは話が違うでしょうが。
「それにこれには、アタシ達乙女組の命運がかかっているのよ。
サクラのエースをうちの若い衆が落としにかかる、大イベントなのよ。」
リーダー、若い衆って・・・・それ完全に世界が違うから・・・
「って、かおタン、それ本気で言ってます?」
「なんて、冗談に決まってるでしょう。先輩として、暖かく見守ってあげるのよ。」
「てーか、かおタンって、こーゆーことする人でしたっけ?」
「・・・・うん、まあねー、日頃リーダーとして、分別くさくしてるからねー・・・・
でも、そのせいで誰もかまってくれないの・・・・カオリ寂しい・・・って、これも冗談よ!」
って、冗談ばかりとも思えないんですけどー。
- 556 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 01:13
- 「しっかし、よくこんなの用意できたわねー。」
「エー、うまいこと言って、ADさんから借りてきました。」
って、さっきから妙に張り切っている田中ちゃん。
「これは、一つのテストケースですから。よく観察しないと・・・」
「何、そのテストケースって?」
「はい、先輩に対する、告白の仕方の実験です。
うまくいくようだったら、アタシも試させていただく予定です。」
「ふーん、そーなんだー。」
「ふーんってねー、アンタのこと言われてんのよ!もー、どこまで天然なんだかー。」
って、美貴ちゃん。
「えーっ、そーなの?」
「そーなのってねー、もー天然すぎて、相手にしてらんないわ!」
「いいわよー、相手にしてくんなくても。」
「コノー、すぐそーゆーふーに開き直るんだからー。」
「ほら、そこ、いちゃつかない!そろそろ来るわよ。」
って、リーダー、いちゃついてなんかいないから・・・って、いつの間にか、私の腕を絡め取ってる美貴ちゃん。
何気に田中ちゃんの目が怖いんですけどー。
- 557 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 01:36
- 「ほら、来たわよ。」
モニターの中に二つの影が横切って・・・ちょうど二人が対面する形で、うまくカメラに収まる。
「偉いわー、道重。ちゃんと指示通りの位置に誘導できたじゃない。」
「って、指示したんですか?」
「当たり前でしょ、ちゃんとカメリハしてるもの。」
おっ、さすがリーダーって、かなりやり過ぎ。
「おっ、何か話始めたわよー。」
って、ヘッドフォンを耳に押し当てるかおタン。
「ねー、何も聞こえないとおもしろくなーい!」
後ろの方にいたののが、騒ぎ出して・・・そりゃそうだ。
「しーっ、壁薄いんだから、静かにね。あっ、でもアタシだけ聞いてるのも変よね。
実況するわけにもいかないし・・・」
って、スピーカーをオンにするリーダー。
最初からそーしとけばいいものを、みんな集めてるんだから・・・って、もしかして、盗聴のイメージ持ちすぎてた?
「あのー、高橋さんがー、好きなものってなんですか?」
「あん・・・・あっしが好きなもの?それはなんつーても宝塚。特にー、○○さんとか、××さんとかー。」
- 558 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 01:53
- 「ネー何で、名前の部分が伏字になってんですかねー。」
「あー、きっと作者が、宝塚のことよく知らないんじゃないの。」
「調べりゃいいのに。手抜きもいいとこだ。」
って、美貴ちゃん、あなた、作者にまで厳しいのね。
「あー、そーなんですかー。」
「シゲさんも興味あるんかい。そやったら、コレ、かしたげるから。」
「はー。」
「宝塚のDVDやよー。」
「はー・・・・」
「ちやーんと見てよね。あっし、他にもたくさん持ってるから、慌ててかえさんでもいいからね、ちゃんと見るんやよ。」
「あーあ、梨華ちゃんそーとー、根にもたれてるよねー。見ないで返したから。」
「だってー、見たいとも言ってないのに、
これ見てくださいね、絶対いいからって押し付けられちゃって・・・・」
「それでも、見てあげんのが、思いやりつーもんでしょうが、酷い先輩だねー。」
「やっぱ、そーだよねー・・・反省・・」
「こら、聞こえないでしょ、そこ、静かに!」
「「ハーイ」」
「あのー、やっぱり宝塚に入りたいんですか?」
「そーやねー、でも背がたらんからねー。いいねー、シゲさんは大きくて。」
「はー、じゃあ、もしアタシがー、宝塚に入ったら、好きになってくれますかねー。」
- 559 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 02:04
- 「はー?アンタも入りたいん?」
「というか、高橋さんが好きなんだったらーってことなんですけどー。」
「うん?よく意味わからんけど、宝塚入るんは、結構大変やよ。
小さい頃から、バレエやら、声楽やらやっとらんとねー。」
「あーあ、そーなんですかー。じゃあ、無理ですよねー。」
「まあねーぇ。」
「じゃあ、他に何が好きですかー?」
「他?・・・・・そやねー、ソースカツ丼とか?」
「・・・・じゃあ、アタシはソースカツ丼になればいいんですよね。」
「はぁ?人はソースカツ丼にはなれないでしょ、普通。」
「えー、そーなんですかー。」
「って、会話、かみ合ってんの、あれ?」
「かみ合ってないんじゃないの、たぶん。」
「だよねー。」
- 560 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 02:17
- 「あのー、高橋さんは、娘の伝統って知ってます?」
「はぁ?」
「飯田さんに言われたんですけどー、娘の精神を大切にしなさいって。
それでー、それはー、好きな人とキスすることなんですって。」
「ええ?」
「えー、かおタンそんなこと言ったの?」
「言うわけないでしょ!何かとんでもない曲解よ、曲解!」
「それでー、石川さんに言われたんですけどー、やるときはやりきりなさいって、
中途半端はダメだって。」
「梨華ちゃん、そんなこと言って、シゲさん唆したの?」
「唆すって、あれは、ステージとかのことでしょ、保田さんの教えだもの。」
「でー、藤本さんにも言われたんですけどー、勢いつけて、やっちゃいなって。」
「あー、それは確かに言った。」
って、美貴ちゃん・・・あなたって・・・・
- 561 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 02:31
- 「それでー、レナに、先輩落とすのに、遠慮はいらないって言われてー。」
「はい、言いました。サユ、ガンバ!もー一押し・・・」
「でもさー、なんかさー、高橋びびってなあい。あれは驚愕の表情よね。」
「キョーガクノヒョウジョウってなあに?」
「猛獣に襲われそうな時の顔。とゆうか、この世のものと思えないものを見たときの表情のことよ。
もっと、言葉のお勉強しょうね、のの。」
って、リーダー、いくらなんでもこの世のものと思えないとかはないでしょう。
まあ、でも怯えてるのは確かね。
「あれで、いいんですかねー。」
「そーねー、かなり、変な告白よねー。」
「でー、辻さんに言われたんですけどー。」
「なんてかー。」
「こーゆーのはー、強引に押し倒して、ブチューと・・・・」
「ヒエー!」
あーあ、ついに直接行動に出ちゃった。いきなり、ソファーに押し倒しちゃって・・・
- 562 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 02:49
- 「ダメー!!!」
今まで、後ろの方で、例によって口をポカーンと開けて立ってた、まこっちゃんが、
叫ぶと同時に、部屋を飛び出して、そのまま、隣のドアを開ける。
「まこと、何するの」
「コラー、じゃましないの」
「どーしたのよー」
「ダメ、入っちゃ!」
って、みんなで追いかけて、そのまま、全員で隣に乱入・・・・
「ダメー!そこまで!シゲさん、離れて!」
って、ソファーの上のシゲさんを、高橋から引き剥がす、まこと。
そりゃー、あの体格だから、ものすごい力があるわけで・・・・
「ダメ!絶対ダメ。」
その状況が、たぶんよく飲み込めてない高橋は、唖然としていて、
で、ドアの処で立ち尽くしている私たちを見つけて・・・
「どーゆーことですか、これ。なーにしてんですか、みんなして・・・」
「あーあ、ゴメン。」
って、飯田さんが、まだキョトキョトしている高橋を抱き起こして、
「ちょっと、外に出ようか。」
って、そのまま、ドアの外に連れ出す。
一体、どーフォロするんだろう、この状態を。高橋が人間不信にならなきゃいいけど・・・
- 563 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 03:09
- 「どーゆーことですか、小川さん!」
困惑顔のシゲさんの代わりに、田中が、まことに噛み付く。
「もー、ちょっとだったのに。」
「・・・・ごめん。」
「まぁ、今のシゲさんのやり方はどうかと思うけど・・・・てーか、まことはヨッチャンじゃなかったっけ?」
「・・・・・・」
「そーだよ、まこっちゃんはヨッシー好きなんでしょ、関係ないのにシゲさんのじゃまするのはおかしいよ。」
って、美貴ちゃんまで怒っちゃって・・・・
「・・・ごめんなさい・・・でも・・・」
「あー、でも、のんには分るような気がする。」
「えっ、どーゆーこと?」
「まことはさ、違うかもしんないけどさ・・・・同期の仲良しが、後から入って来た子に取られちゃうのが、
イヤてゆーか、ダメだったんだよね、きっと。」
「・・・・・」
「自分たちのものだって思ってたから・・・・
それとも、本当は愛ちゃんのこと好きなの気付かなかっただけなのかなー、わかんないや。」
「どーなの?まこと。」
「・・・・・あのー、ホント、ごめんなさい。ごめんね、シゲさん。アタシよくわかんなくて・・・
本当、なんだかよくわかんなくて・・・・」
あーあ、泣いちゃった・・・・何だか色々ありそうだね、これは・・・・
- 564 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 03:25
- で、当のシゲさんはー・・・
「あっ、別にいいです。まだチャンスはいっぱいありますから。
案外、簡単に押し倒せることも分りましたし・・・・」
って、そーゆー問題じゃないと思うんだけどなー。」
「それより、あれって、少し強引過ぎなかった?」
「そーですかねー。」
「そーだよなー、やっぱさー、あーゆーのは相手の同意を得なきゃ。ねー、梨華ちゃん。」
って、語尾にハートマークつけたようなしゃべり方しないでヨ、美貴ちゃん。
「そーれす。押し倒すにしても、もっと上手にやんなきゃ。こんなあーに。」
「キャ、のの、だめ!」
もー、すぐにいたずらするんだからー。シゲさんと、あなたのそれは違うんだからね。
って、そーよね。
「やっぱり、同意って必要なんですかねー。てゆーかー、アタシみたいに可愛い子に迫られて、
嫌な人って、世の中にいないじゃないですかー。」
って、あなたのその自信の根拠っていったい何処に・・・・
「違うよサユ!人には、それぞれ好みってものがあるんだから。」
オッ田中ちゃんイイコト言った。
「そーだよな、押し倒し方にも色々ある。」
って、美貴ちゃん、それ違うから・・・・
- 565 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 03:36
- 「それに、やっぱり、まこっちゃんの気持ちも聞いてあげないと・・・」
オー、ののの大人発言。さすが先輩。
「でも、アタシが小川さんに遠慮することはないですよねー。」
「そーだ、先輩だからって、遠慮することはない!」
田中ちゃん、力入りすぎ・・・
「まあねー、でも、今日のところは取り合えず、お開きにしよ。
もー遅いし。明日、学校でしょ。」
「・・・・はーい。」
って、まだまだ文句言い足りなさそうな中学生二人を帰す。
「まこと、もー泣かないのー。今度ゆっくり話し聞いてあげるから・・・」
「・・・・ハイ・・・」
「のの、ゴメン、一緒に帰ってあげてくれるかなー。」
「わかってるよ、まかせといて。」
って、次に高校生の二人を帰して・・・・
「あー、大変だったねー。」
「予想外の展開だったねー。」
- 566 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 03:53
- 「かおタン、うまいこと高橋のフォロできたかなー。」
「大丈夫じゃないのー、一応リーダーなんだし。・・・あー、でも話かみ合わないかー。」
「あの組み合わせも、共通言語もってなさそーだもんねー。」
「でも、それでかえって誤魔化せるかも。」
「かもねー。どー弁明したって、良くないことしてたのは確かだものね、私たち。」
「さっ、私たちも帰ろっかー。」
「・・・うん。あっ、でもその前に、これ片付けなきゃ。」
「あっ、そーだね、盗撮、トーサツっと。」
「それ、禁句!」
「ハイハイ、禁句、禁句。」
私たちは、隠しカメラとモニターを、機材置場に戻して・・・
「あれって、やっぱ、三角関係なのかなー。」
「うん、どーなんだろー、イマイチまことの気持ちがわかんないんだよねー。」
「だよねー、絶対ヨッシーにベタぼれだと思ってたもんねー。」
「複雑だねー。」
- 567 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 04:01
- 「でー、こっちの三角関係は、どーなってんの?」
「はぁー?」
「また、しらばっくれちゃって。アンタ、ここの話が自分から逸れてんの喜んでんでしょ。」
「・・・・うん、まあね。」
「まだ、決められないかー。」
「決められないねー。」
「かなり、ずーずーしいよね。」
「ずーずーしいねー。」
「今度のクリスマス、一緒だよね。」
「あーあ、ラジオあるねー。」
「矢口さんも一緒だけど、一応イブだよね。」
「日をまたぐけどね。」
「終わってから、どっか行く?」
「結構、時間遅いよ。」
- 568 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 04:08
- 「でも、せっかくのクリスマスじゃん、どっか行こうよ。」
「そーねー。」
「じゃ、焼肉だー。」
「って、イブに焼肉なの?」
「いけない?だって、12時回るんだよ、普通のレストランとか無理じゃん。」
「そっかー、焼肉のイブかー。」
「不満?」
「・・・・・まあ、いいけどさー。」
「それとも、ホテルのスイートでも取る?」
「えっ?」
「ルームサービスで、シャンパンでもとって、甘ーい夜を過ごしちゃう?」
「・・・・あっ、いいです。焼肉で・・・・」
「そっ、イマイチ、乗りが悪いよね。」
「あっ、はい。」
- 569 名前:告白大作戦 投稿日:2004/01/18(日) 04:14
- 「で、都合が悪くなると、敬語になる。」
「えっ、そーですかー。」
「ね。」
「だね。」
「まっ、いいっかー、シゲさんじゃないけど、チャンスはいくらでもありそーだしね。」
「・・・・・」
「焼肉、焼肉っと」
ハーイ、お肉好き、好きということで・・・・
12月のある日のお話でした。
告白大作戦・・・・おしまい
- 570 名前:トーマ 投稿日:2004/01/18(日) 04:31
- 554様。また、もててしまってます。
時間が前後してしまって、読みづらいですよねー・・・
これは一応、「乙女たちの宴」の続編ということで。
次は、小川さんのお悩み相談にでもなるのかな。あっ、ここの主役の誕生日ですよねー・・・
- 571 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 09:19
-
ハロプロコンの名古屋が終わって、私たちは移動バスに揺られている。
一日三回公演なんていうバカなスケジュールだから、
どんな若い子だって、乗って10分もしないうちに、すっかり夢の中で・・・
いつになく静かなバスの中。
普段だったら、このまま東京に着くまで、ひたすら眠っとけばいいんだろうけど、
今夜ばかりは、そうもいかない。
日付が変わる少し前に、静岡を少し越えた辺りなのかな・・・
飯田さんが小さなアラーム音に反応して、前の席から立ち上がって、
メンバー一人一人を静かに起こしていく。クラッカーを渡しながら。
で、バスの運転手さんに、一言。そう、もし運転手さんまで驚かしちゃったら、
ハッピーサプライズが台無しになりかねないから。
私たちは、何も知らずにスヤスヤ眠っている、彼女の周りに何気に集まって、
もちろん窮屈なバスの中だから、取囲むっていうわけにはいかないんだけど・・・
私は、隣のヨッシーと一緒に、自分の座席に膝立ちする格好で、後ろの席の方を向く。
その席には、辻ちゃんと頭を重ねる形で眠っている梨華ちゃん。
「飯田さん、辻ちゃんいいんですかねー。」
「あー、しょうがないわよ。のの起こしたら、イシカーまで起きちゃうんじゃない、この態勢じゃ。」
「そーですよねー。」
前から、結構ベタベタな二人だったけど、あの発表以来、
どっちかと言うと、梨華ちゃんが離さないって感じで、いつも寄り添っている二人。
私としては、ちょっと面白くないけど、二人の関係はよく知っているから、
まあ、しょうがないかなって感じで、見守っている。
- 572 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 09:41
- 飯田さんが、小声でカウントダウンを始める。
カーラジオからは、矢口さんの放送も流れ始めて・・・・
10、9、8、・・・・・3、2、1
パーン!!!!!
一斉に12個のクラッカーが鳴らされる。
矢口さんも、ラジオの中から、オメデトウ。
「キャ!!」
いきなりの大きな音に飛び起きる梨華ちゃん。まるで、漫画みたいなリアクション。
「「「オメデトー!!!」」」
メンバー12人が、一斉に声をかけて。本当に、すごいチームワーク。
驚き顔の梨華ちゃんも、事態が飲み込めたようで・・・・
一緒に飛び起きた辻ちゃんが、
「あーん、ののも、ののも。」
って、膝の上に措かれてあったクラッカーを、
パン!
ついでに、
「りがぢゃんオメレトー。」
って抱きついて・・・・
「あっ、ありがとー。もーみんな驚かさないでヨー。でも、ホント、ア・リ・ガ・ト!」
って、チャーミースマイル。
「サプライズ、大成功!」
って、今度は一斉の拍手。
ニコニコ、幸せそうに笑ってる梨華ちゃん。
「こら、ネボスケ!」
って、私は背もたれ越しに手を伸ばして、梨華ちゃんのおでこを指で弾く。
「あっ、もー驚いたなー。一言、言ってくれればいいのにー。」
「言っちゃったら、サプライズにならないじゃん。」
「そーだけどさー。・・・でも、もしかして今までで一番嬉しかったかも。」
- 573 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 09:58
- 「イシカー、これ。」
って、飯田さんが渡したのを合図のように、次々と梨華ちゃんの膝に積まれていくプレゼント。
移動中のことだから、みんなそれなりに気を使って、小さ目のものが多いんだけど、
それでも数が数だから、辻ちゃんの膝の方まではみ出しちゃって・・・
「持ち帰るの大変そうだねー。だからアタシは思いっきり気を使って、
ほーら、特大袋つきだから・・・」
って、ヨッシーが、何やら大きな袋を取り出して、梨華ちゃんの伸ばした腕に渡す。
「あっ、気が利くねー。ありがとう。
・・・でも、この中のもの、何?・・・少し重くなあい。」
って、袋の中を覗いた梨華ちゃんが、
「何よこれー、お土産じゃない。」
「そーだよ、名古屋といえばー。」
「ウイロウかー・・・。」
「そっ、うまいよ結構。」
「ヨッチャンらしいけどねー。・・・・クリスマスにおせんべいで、誕生日にウイロウねー。」
「ナニ!文句でもあんの。せっかく買ってやったのに。」
「いいえー、ありがたーく、食べさせていただきますよ。私、結構好きだし、ウイロウ。
で、ハイ!」
って、私の目の前に手を差し出す梨華ちゃん。
「何?」
「・・・・えっ?あれ?美貴ちゃん・・・・くれないの?」
「うん!」
- 574 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 10:16
- 「えー!・・・・そーなんだー・・・梨華、悲しい・・・」
って、思いっきりのブリブリ泣きまねする梨華ちゃん。
面白いから、もう少し苛めてやろうかとも思ったけど、まあ、誕生日だしなー。
「今あげても、目立たないじゃん。ア、ト、デ!」
「ふーん、あとでねー。」
「そっ、あとで、梨華ちゃんの部屋の前で、リボン付けて待っててあげる。」
「えっ?」
「美貴をもらってくださーいってね。」
「・・・・・・マジで?」
「な、わけないでしょ。明日、仕事終わってからデートして、そん時にね。」
「はー、デートねー。」
「イヤなの?!じゃ、プレゼントなんて、一生してやんないから。」
「えーっ、そんなー。」
「だから、デート、デート、OKだよね。」
「・・・はーい。」
「何、その心のない返事は!こっちが愛情込めた、プレゼントしてやろうてーのに。」
「イヤイヤイヤ、喜んでお受けいたしますよ、藤本さん。」
「そーおー、じゃ、もちょっと可愛い応えしてみようか、イシカーさん。」
「えっ?・・・あーあ・・・・美貴ちゃん、梨華をデートに連れてってー、因みにハートマーク付。」
「まっ、かなりキショイけど、それでよろしい!」
- 575 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 10:34
- 「イシカーも19かー。」
「なんだよねー。」
って、感慨深げなリーダと、安倍さん。
「オバサンだよねー。」
「そやな、すっかり、オバちゃんやな。」
っていう、辻ちゃんと加護ちゃんの発言を受けて、一斉にオバちゃんコール。
「もー、アタシがオバちゃんなら、飯田さんや安倍さんはどーなるのよー!」
って、梨華ちゃんが甲高い声で叫んで、
「もっとオバちゃん。」
「もーほとんどオバーちゃん。」
って、すかさず、でてくる辻加護発言に、
「何よー!」
って、安倍さんが笑いながら怒って・・・
夜中の東名高速を、テンション上がりっぱなしのバスが走る。
「ね、あけてみなよ。」
辻ちゃんにせっつかれて、一つ一つ、プレゼントを開けていく梨華ちゃん。
取り出すたびに、
「これかわいー!アリガトー、マコト。」
「わー、これにあうかなー、センスいいよね、愛ちゃんは。」
「アッ、これこの前欲しいって言ってたヤツ、覚えくれてたんだね、のの。」
って、ほとんどがアクセサリーや小物のプレゼントを、着けてみたりしている。
私は、何気にそれを確認する。よし、かぶってない。
- 576 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 10:53
- 最後に開けた飯田さんの包みから出てきたのは、
「あっ、これ日記帳。ちょうど次の買わなきゃって思ってたんですよー。カオタン、アリガトー。」
「イシカー、日記つけてるって言ってたからさー。で、やっぱ、日記といえば、赤でしょ。ウチラ的には。」
「そーですよねー。赤い日記帳かー。」
って、コラ!誰、思い浮かべてんだよ・・・って、こんなことでさえ、幸せそうな顔しちゃって・・・
やっぱ、東京着いたら、喜ぶんだろうなー、もう一つのサプライズ。
私たちは大騒ぎのまま、目的地に帰り着く。
ドヤドヤ、バスから降りて、そのまま本日は解散ってことになる。
他のハロプロメンバーのバスはもう到着していて、
で、やっぱりバスの前で、ヤツは待ってる。
ヨッシーにもらった袋に、他のプレゼントもみんな収まったけど、
それでも自分の荷物とで、歩きにくそうにバスを降りる梨華ちゃんを見つけて、
駆け寄ってくるゴッチン。・・・後ろ手に何か持って。
「あっ、ゴッチン。」
「ハイ、石川さん。」
差し出されたのは、きれいにラッピングされた小さな箱と、赤いバラ一輪。
オイオイ、オマエは文麿かよ!・・・・あっ、そのつもりなんだ・・・
- 577 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 11:11
- 「石川さん、お誕生日おめでとう。」
その演出に気が付いたのか、梨華ちゃんは荷物を下に置くと、
胸の前で手を組んで、すっかりハロモニ女学園の生徒に変身してる。
「文麿様、あ、り、が、と。」
って、俯きがちのまま、両腕を伸ばして、プレゼントを受け取る。
さすがに、学ランは着てないけど、誰の目にも、あのコントの1シーンで・・・・
「ヒューヒュー」
って、周りのメンバーが囃し立てる。
「石川さん、周りが煩いですね。」
「そうですね。みんな下品で、梨華、悲しいー。」
「僕にはわかる。きっと、君の美しさに、ミンナやきもちを妬いているんだよ。」
「そんなー、梨華、てれちゃう。」
「・・・さっ、こんな所にいると何されるかわからないから、もう行こうか。」
「はい。」
「あっ、荷物は僕が持つよ。」
「えっ、でも重いですよ。」
「だからじゃないかー、こんな重いもの、か弱い君に持たせられないよ。」
「・・文麿様ー!」
って、そのまま下手にはけて行く二人。
メンバーもコントの乗りのまま、
「見てらんねー!」
「オアツイコトデ。」
「お幸せにー。」
とかいいながら、笑って見送る。
- 578 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 11:25
- 「美貴ちゃん、目が怖いことになっちゃってるよ。」
って、いつの間にか横に亜弥ちゃんが立ってた。
「えっ、そーおー。目つきが悪いのはいつものことじゃん。」
「いつもに増してって感じだけどなー。でも、いいの?あれ、ほっといて。」
「えっ、あれって、あのバカップル?」
「うん、かなりなバカップル。」
「それなら、いいの。」
「ヘー、そーなんだ。・・・・だけど、美貴ちゃんって、梨華ちゃんのこと好きなんじゃなかったっけ。」
「えっ?・・・・あっ、気付いてたの。」
「うん。結構分りやすいよ、美貴ちゃんって。・・・で、いいわけ?それなのに。」
「うん。・・・あのさ、ゴッチンがさ、今日のコンサートの時にさ、美貴に言ったんだ・・・」
「うん、うん。」
「今夜は遠慮しろって。」
「えっ?」
「クリスマスも一緒で、今度のバレンタインも一緒なんだから、誕生日ぐらい素直に譲れって。」
- 579 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 11:45
- 「へー、それで素直に譲っちゃったのー。」
「まーねー、なんかさ、そーいえば、そーかなーって。こっちはいつも一緒じゃん、殆ど毎日。」
「うん、そーみたいね。」
「ゴッチンはさ、ハロプロコンでもない限り、会えないんだよなーって思ってさ。
それに、明日のデートの約束はしてあるし。」
「でも、いいのかなー、そーゆーんで。好きな人はヤッパリ独占したいでしょ、フツー。」
「・・・独占ねー、だよね。・・・・でもさ、まだ半分だから。」
「半分?」
「梨華ちゃんの気持ちが、あっちとこっちに半分ずつみたいなー。」
「何よそれ、何気に、酷くなあい、梨華ちゃん。」
「そーだねー。でも、美貴の方が、後からだからねー。」
「そーゆー問題?」
「うん、どーだろ。・・・でもね、ちょっと前まではさ、ゴッチンに会っちゃうとさ、
そのまま向こうに行ったきりになっちゃうかもって思ったけどさ、
何か、この頃、何気に自信あるんだよね。」
「えっ、自信って、ゴッチンに勝てる自信ってこと?」
「ううん、ちょっと違うかな。・・・美貴が、梨華ちゃんの特別になれたっていう自信かな。」
「特別?」
「
- 580 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 12:03
- 「うん、特別。・・・あのさ、今週までで、安倍さん辞めちゃうじゃない、娘。
で、夏になったら、辻ちゃんと加護ちゃんが、卒業しちゃうでしょ。」
「そうみたいねー。」
「娘ってさ、そりゃー、個人個人、一人のアイドルだけどさ、やっぱ、チームプレーじゃない。
だから、戦力が、特にポイントゲッターがさ、抜けちゃうとさ、ミンナ頑張ろうって、頑張らなきゃって、
なんか、戦友みたいにね、何と戦ってるのかわかんないけど。
特に梨華ちゃんって、そう言う意識強い子だから、お互いガンバローって。
そーゆーのって、もーライバルとか、友達とか超えちゃうんだよね。」
「・・・よくわかんないんだけど・・」
「亜弥ちゃんにはわかんないよ。美貴だって、一年前は全然わかんなかったもん。
娘に入るってことが、どーゆーことなのか。
でも、だからね、ゴッチンがどー頑張ってもさ、今の私と梨華ちゃんの関係にはなれないわけ。
彼女は、もう、モーニング娘じゃないんだから・・・」
「ふーん、ホント、ゼーンゼンわかんない。」
「だろーねー。」
「・・・・・でも、なんか、寂しいなー。」
「えっ、何が?」
- 581 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 12:15
- 「美貴ちゃん、すっかり娘に馴染んじゃって。」
「あー。」
「この頃、ちーとも遊んでくれないし・・・」
「それは、どっちかっていうと、亜弥ちゃんが忙しいからじゃない。」
「そっかなー。」
「そーだよ。もし、ヒマがあったら、遊んであげるよ。」
「ホントー?」
「本当。だって、美貴にとって、亜弥ちゃんは特別だもん。」
「ふーん、アタシも特別なんだー。それって、梨華ちゃんとは違う特別?」
「うん、違う特別。特別ってさ、いろんな特別あんだよね。」
「いろんなねー。・・・あっ、でも、泣いてくれたんだよね、マジックの時。」
「あー、マジで驚いたよ、あれは。一言いってくれたらよかったのに。」
「・・・だって、マジックはネタバレしたら、いけないんだよ。」
「それは、そーだけどさ。心臓に悪いよ、本当。」
「・・・・でも、嬉しかった。」
- 582 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 12:36
- 「そっ・・・・で、遊べる日、ありそうなの?」
「あっ、えっとねー・・・・」
「やっぱ、無理っぽいね。当分。」
「・・・・・うん。」
「頑張って、仕事しな!」
「・・・・うん。」
「ホラ、今日も疲れてんだから、早く帰って、寝なきゃ。」
「・・・・うん。明日も早いんだー・・・・それじゃ、お休み。愛してるよ、美貴タン!」
「うん、お休み。美貴も愛してるよー、アヤッペ!」
亜弥ちゃんも忙しい。私たちも忙しい。
コンサに、テレビに、ラジオに、雑誌、グラビア・・・・・
私は、娘に入った頃、正直、梨華ちゃんの一生懸命っていうのが、よくわからなかった。
何こんなに必死になってんだろうって、半分あきれてた。かなり、空回りしてるし・・・
でも、最近少しずつ、わかってきたんだ。
娘はやっぱりチームプレー。だから、それぞれのポジションがある。
で、バレーでいったら、梨華ちゃんは本来決して、アタッカーじゃない。
クイックとかするセンタープレーヤーとか、そんな感じかな。
なのに、エースアタッカーが、次々抜けちゃって・・・得意じゃないポジションで、
慣れないスパイク打たされてる。だから、必死にやらなきゃ、やってられない。
私は、どーなんだろー、アタッカータイプかな。でも、作戦があいまいなチームだから、
トスもあげなきゃならないし、レシーブも拾わなきゃならない。
大きな声じゃ言えないけど、きっとベンチがアホなんだろーな。
- 583 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 12:53
- でも、そんなこと、小さな声でも、やっぱり言えないから、
とにかく与えられたポジションで、精一杯プレーするしかない。
それは、もしかしたら、部外者から見たら、かなり滑稽な姿かもしれないけど、
本人たちは、いつだって必死なんだ。
私は、梨華ちゃんの特別になりたいと思ってた。
辻ちゃんみたいな特別でも、保田さんみたいな特別でもない、別の特別。
で、最近、なれたような気がしてる。
今の娘の中で、梨華ちゃん、アナタの隣に立つのが相応しいのはきっと私で、
私の隣にいるのが相応しいのは、きっとアナタ。
だから、私はもうアナタの特別。
だから、少しぐらいの時間を、ゴッチンに分けてあげても、たぶん大丈夫。
アナタの居るべきところは、彼女の隣ではないと思うから。
私たちは、モーニング娘。なんだから・・・
もちろん、私はソロ活動したいし、
アナタもいずれ娘を卒業することになるのだろうけど、
少なくとも、今は、一緒に歩いているのだから・・・・・
- 584 名前:ハッピーサプライズ 投稿日:2004/01/20(火) 13:00
- 梨華ちゃん、アナタと私の、十代最後のこの一年、
同じところを見て、同じところに向かって、同じ気持ちで歩いて行こうよ。
ゴッチンの歌じゃないけど、手を握って・・・・
梨華ちゃん、私、モーニング娘。になったよ。
一年近くかけて、本当の意味で、モーニング娘。になれたよ。
梨華ちゃん、お誕生日おめでとう。
で、これからもよろしくね。
ハッピーサプライズ・・・・おわり
- 585 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/20(火) 13:23
- 良かったです。
後半の藤本さんの独白に泣けました。
同級生コンビに改めて期待しエールをおくりたいです。
そして石川さん、19歳おめでとう。
- 586 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/20(火) 14:21
- 藤本さんもいろいろ考えてるんですね。
藤本さんの気持ちがわかってよかったです。
19歳の2人が良い1年が過ごせると良いです。
- 587 名前:捨てペンギン 投稿日:2004/01/20(火) 16:06
- はい、ベンチがアホなんですよ
れいなガンバレ
- 588 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/20(火) 23:23
- ぶっちゃけ名古屋は新刊で帰りましたが・・・
関係ないけれど、梨華ちゃんはごっつぁん、ミキティは亜弥ちゃん
亜弥ちゃんはみきたんって呼びますが・・・
なんかリアルがリアルに感じられませんね。。。
もうチョッと学習した作品期待しています。
- 589 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/21(水) 04:28
- >>588
新刊
- 590 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/21(水) 04:35
- なんかほのぼのしてていいですよねー^^
じぶんとしてはいしみきごまに田中が割ってはいる展開が好きなんですが^^;
>>588
みきたんだってちゃんと使ってますよ。きちんと読んでますか?
↑の方でもあったこのスレが気に入らない人のうちの1人ですか?
あと他の人の呼び方も合ってると思いますけど…
梨華ちゃんはごっちんを呼ぶときは二通りの呼び方で、その気分の時々で
ごっつぁん、ごっちんって呼びますし。
ミキティは亜弥ちゃん、あやっぺってその時々で呼んでますし、
亜弥ちゃんのみきたん、美貴ちゃんってのもその時々で呼んでますし…
むしろきちんとその時の感情とかで何通りかの呼び方を使い分けててすごいと関心しましたが。
その人が相手を呼ぶときに、1つだけの呼び方で呼ぶなんてありえませんし。
なんでも負の方に考えるより、正の方に考える方が楽しく人生過せると思いますよ^^
- 591 名前:@ 投稿日:2004/01/21(水) 21:08
- やっぱりここのはほんとリアルな気がしてならないですね
全ての話がループしてるってのも他の小説には無い魅力で
毎回楽しみです なんかりかみきに負けそうですね
どっちも好きだからなんとも言えませんが
どっちに転がっても むしろどっちにも転ばなくても
ここの話を楽しみにしてます
- 592 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/21(水) 23:47
- ごっちんがんばれぃ!
応援してるぞ。
- 593 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/23(金) 04:05
- >>588
そんなこと言ってたらほとんどのいしよし小説はどうなるのかとw
- 594 名前:トーマ 投稿日:2004/01/23(金) 09:47
- >585様 ありがとうございます。本当に頑張ってほしいですよね。
>586様 ハイ!ここの藤本さんは本当にいいヤツなんで・・・・
>捨てペンギン様 いつも田中さんの応援ありがとうございます。
で、お宅のレナさんは、亀井さんに持ってかれちゃうんですかねー。イツモ、楽しくよませてもらってます。
>588様 新幹線での移動は、知っていたのですけど、まさか、列車内でサプライズってわけにもいかないので、
勝手にバス移動にアレンジさせてもらいました。すいません。
呼び名については、概ね、589さんが、おっしゃるとおりです。
特に後藤さんについては、「ごっつあん」だと、少しかわいくないので・・・
>589様 新幹線のことですね。上でも書きましたが、ドラマにしやすいので、
これからも、ココデハ、バス移動が多くなりそうですけど・・・
>590様 フォロありがとうございます。
呼び名については、そのつもりで書いていたのですけど、読み手には分りづらいかなとも懸念していました。
きちんと読んでもらえてて、とても嬉しいです。ありがとうございます。
>@様 ありがとうございます。
「THE BRIDGE」楽しみに読ませていただいてます。ほのぼのとした感じが大好きです。
>592様 私も実は応援しているのですが・・・・
>593様 ですよね。
読
- 595 名前:トーマ 投稿日:2004/01/23(金) 09:59
- あっ、何か一文字残してしまった・・・・・
読んでくださってる皆さんありがとうございます。
呼び名について、ちょっとご指摘があったので、少し説明します(蛇足かな)
後藤さんについては、現実の石川さんは「ごっつあん」と呼ぶことが、多いみたいですが、
ここの二人は一応恋人?なので、それじゃあ色気がないかなと、「ゴッチン」とよんでもらってます。
藤本さんについては、最初の方で、ココノ石川さんの性格ならと、あえて「美貴ちゃん」で、
スタートしちゃいましたが、最近は現実の石川さんも、そう呼んでる場面があるので、安心して、
そのまま通します。他のメンバー同士の呼び方も、ココノキャラや場面にそった形で、その都度、変えてます。
違和感を感じる方もいるかと思いますが、あくまでもフィクションなので、読み流してやってください。
- 596 名前:便利な頭の構造 投稿日:2004/01/23(金) 10:18
-
あーあ、時間間違えちゃったよ。
そっかー、今日は10時入りなんだよねー。
昨日まで、9時だったから、てっきり今日もだと思い込んじゃってて・・・
もっと寝れてたんだよねー。ったくー。
気付いたのは、エレベーターを降りてから。何かいつもと様子が違うなって、
そこにいたスタッフに聞いたら、今日は遅出だよって・・・
まっ遅れるよかいいけどね。それにしても後一時間十分もあるよー。何してよ。
って、取り合えず、娘の楽屋に入る。
・・・・・あれ、もう誰か来てんじゃん。早えー。・・・って、えっ?ゴッチン?
あーあ、今日はコントの撮りだから・・・って、そーじゃなくてー
「あれ?ここ、娘の楽屋だよねー。」
「うあ?」
私の声に、化粧台に顔をうつ伏せていたゴッチンが、ぬあっと振り向く。
・・・・もしかして、寝てたとか?
「・・・・・あっ、そーだよ。ここ娘の部屋。」
「だよね・・・ちょっと聞いていいかな。・・・何してたの?」
「・・・あ、寝てた。」
「だよね。で、何で?」
「うん、眠いから。」
「じゃなくて、ゴッチンの部屋あるよね?」
- 597 名前:便利な頭の構造 投稿日:2004/01/23(金) 10:32
- 「うん。でも、こっちの方が寝心地いいから。」
「はっ?」
「今朝さー、なんか早く起きちゃって、ついでだから、早く来ちゃったんだけど、
誰もいないし、やっぱ、寝てようかなーって。」
「ハア・・・」
「で、もう時間?」
壁の時計に目をやるゴッチン。
「なんだ、まだまだじゃん。・・・・ミキティこそどーしたの?こんな早く。」
「集合時間まちがえちゃって。」
「あっ、そーゆーこと。それは、ご愁傷様だね。」
「もーまいっちゃったよ。何してよ。・・・てか、ゴッチンまだ寝てる?」
「・・・・あっ、そっか、いいよおしゃべりぐらい付き合うよ。」
「よかったー、どーやって時間つぶそうかと思ってたよ。」
「おしゃべりミキティだもんね。」
「何よそれ。」
「もっぱらの評判。口から先に生まれてきたって。」
「何気に失礼だよね、それ。・・・・でもまあ、否定はしないけどね。」
「でも、いいんじゃないの、そーゆーの。」
「えっ?」
「ゴトーなんかさー、言葉が足りないってゆーか、表現力ないってゆーか・・・」
「あっ、そーかもね。てーかさー、ゴッチンって、何かしゃべること変だよね。」
- 598 名前:便利な頭の構造 投稿日:2004/01/23(金) 10:45
- 「そーかなー、やっぱり。」
「うん、何かさ、時間の観念めちゃくちゃって言うかさ、
例えば、ずっと前にあったこと、ついこの前みたいな言い方とかするじゃん。」
「あーあ、それよく言われる。」
「それからさ、チョットそれとは違うけどさ、この前、ラジオでバレンタイン話してたじゃない?」
「うん、した、した。」
「でさ、梨華ちゃんに聞いてみたの、毎年、ゴッチンと一緒にチョコ作ってるのって、
そしたらさ、一昨年、教えてもらって、去年は一人で作ったって・・・・」
「あー、そーだよ。去年はミュージカルとかで忙しかったし。」
「てーことはさー、一度しか一緒に作ったことないんだよね。」
「そーかな。で、何か問題でも?」
「だって、今年は乙女コンあるから、梨華ちゃんと一緒に作れないとか言ったらさ、
今まで、毎年一緒に作っていたのに、今年は出来ないみたいに、聞こえるじゃん、フツー。」
「あっ、そーゆーことね。・・・でもさー、ミキティ、よく考えてみなよ。」
「何を?」
「梨佳ちゃんってさ、あー見えても、料理とか苦手だよね。」
「だね。」
- 599 名前:便利な頭の構造 投稿日:2004/01/23(金) 11:00
- 「チョコもさ、それまで作ったことなくて、ゴトーが教えてあげたんだよね。」
「それで?」
「で、梨華ちゃんって、結構不器用だよね。」
「かなりね。美貴もタメはるけど。」
「だから、いろいろ自分でアレンジとか出来ないとおもうんだよね。」
「だろーね。」
「てーことはさ、去年、一人で作ったチョコってさ、ゴトーが教えたヤツなんだよね。」
「たぶん、同じだろーねー。」
「でしょ。だからね、これから、何回、梨華ちゃんが一人で作っても、
それってゴトーと一緒に作ってるのと、かわんないだよね。」
「はぁー、何か、全然、意味わかんないし。てーか、変な理屈だよねそれ。」
「そっかなー、アタシ的には、かなりピンポンなんだけどな。」
てーか、絶対変だし。
「でも、ホント、ゴッチンの話聞いてると、それいつのこと?って、言いたくなることあるよね。」
「そーかなー。・・・・アタシ達ってさ、もう18年以上生きてたりするじゃない。」
って、何?話題、転換?
「だね、美貴なんか、もーじき、19年だよ。」
「だからさー、思い出とか、記憶とか、18年分あるわけじゃない。」
「あるねー。」
- 600 名前:便利な頭の構造 投稿日:2004/01/23(金) 11:15
- 「でもさ、頭って、そんな沢山入れとけないじゃない。」
「まーね。」
「だからさ、アタシはさ、イイコトとか、楽しかったこととか、そーゆーのだけ、
よく分る所に、並べておくんだよ。」
「はっ?どーゆーこと?」
「だから、頭の中のね、目立つところに、良い思い出とかを、並べておいとくの。
で、何か聞かれた時とかさ、そこから引き出してきて、しゃべるから・・・」
「聞いてる人はよくわからないと。」
「かもね。・・・・でも、ゴトー的には、それが正解なんだけどね。
そーしとけば、取り合えず、記憶の中はハッピーじゃん。」
「何か、ものすごく便利な頭だよね。」
「でしょ、ある時から、そーすることにしたんだ・・・・」
「ふーん。」
何か、これが楽観主義ってやつなのかな・・あっ、違うよね。未来のことじゃないもんね。
・・でも、ある時って・・・もしかしたら、何か重いもの持ってるのかな、心の中に・・・
なんていう、必要以上の懸念は、この際ちょっと置いといて。
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