頭を悩ませること
- 1 名前:警告 投稿日:2003/10/04(土) 11:17
- エロを含みます。
しかも、異性との。
- 2 名前:登場 投稿日:2003/10/04(土) 11:19
- 川o・-・)ノ
- 3 名前:挨拶 投稿日:2003/10/04(土) 11:22
- 川o・-・) <どうも、紺野です。
作者の方は見切り発車のため、推敲作業急です。
代わって必要事項のほうを連絡しておきます。
- 4 名前:挨拶 投稿日:2003/10/04(土) 11:27
- ・何本かの中篇を予定しています。
・出来上がっているので、やめろと言われない限り放棄はないです。
・最初の通り、エロを含みます。嫌いな方は無視してかまいません。
・かといって、望み通りかどうかも分かりません。
・初心者です。不手際は無いようにしますが、許してやってください。
- 5 名前:予告 投稿日:2003/10/04(土) 11:34
- 川 `〜`)|| <まずは私の話。
余計なことを考えたりします。
・更新は二日後。すいません。
- 6 名前:浮かんでは消える思い 投稿日:2003/10/06(月) 10:23
-
主演 飯田圭織
- 7 名前:始まり 投稿日:2003/10/06(月) 10:24
- 彼は私の頭を抑えない。
背中にも手を回さない。
だから距離が縮まらないことが多い。
だから、二人ともがそうしようとしないと、こうして隣にいることもできない。
- 8 名前:真剣に悩んでる 投稿日:2003/10/06(月) 10:25
- 唇を離すタイミングって難しいもんだ。
どのくらいが適正なんだろう?
ただ夢中だった時機を通り過ぎようとしている私達には、結構、重要な問題だ。
そんなことを考えている。
- 9 名前:一マス進む 投稿日:2003/10/06(月) 10:26
- お互いに口数が減っていく。
それは合図。
自然に距離が詰められないから、こういう儀式が必要なんだ。
- 10 名前:一方通行 投稿日:2003/10/06(月) 10:27
- そのまま腰を下ろす。
視線がぶつかった。
このまま固まっているわけにもいかない。
でも、どうしてあげれば一番気持ちが伝わるのだろう?
それが分かればいいのだけど・・・・
- 11 名前:愛情表現 投稿日:2003/10/06(月) 10:28
- 私は吸い寄せられるようにキスをした。
きっと、本能のままにだと思われてるんだろうな・・・・
- 12 名前:しかたないとはいえ 投稿日:2003/10/06(月) 10:30
- 唇が触れる。
結局、今日もどちらからともなく唇を離すことになった。
- 13 名前:鼓動 投稿日:2003/10/06(月) 10:31
- 肩に置かれた手が動き始める。
服の上から私の形を確かめる。
肩から腕、腕から胸。
一つ一つ。
順番にしか触らない丁寧な人だから。
- 14 名前:接触 投稿日:2003/10/06(月) 10:33
- 胸は正面から握るように掴む。
ちょっと痛い。
ほんの一瞬そうしてたかと思うと、すぐに場所を変える。
上着の下に手が滑り込んでくる。
下着の上から丸い輪郭をなぞり、先端の位置を確かめる。
私はその時になって、ようやく上着を脱ぐ。
私達にとっては、慣れた手順だ。
- 15 名前:でも、そんなもんだね 投稿日:2003/10/06(月) 10:34
- 完全に見えてしまうと、下着というものに一気に興味がなくなるみたい。
すぐに外すと、胸を口に含む。
できることなら、すべて飲み込みたいのかな?
- 16 名前:やさしく 投稿日:2003/10/06(月) 10:36
- でも、それは無理。
だから、飲み込むんじゃなくて溶かそうとしている。
丁寧に優しく舐めて、乳首なんてなくなってしまうまで。
- 17 名前:集中力 投稿日:2003/10/06(月) 10:37
- 私は目を閉じて彼を抱き寄せる。
難しいから。
胸を舐められたり、触られたりするのは気持ちいいし、大好きだ。
でも、全身で感じられる感覚じゃない。
だから目を閉じる。
そうすれば私は一つになる。
- 18 名前:私なりの 投稿日:2003/10/06(月) 10:39
- 腕とか、手とか、ばらばらの感覚が一つになる。
胸のくすぐったさが全身のものになる。
背中を伝う指先も、お腹を軽く押したり、摘んだりされることも。
その刺激が、局所じゃなくて私全部に対するものだって感じられるから。
- 19 名前:自分の中の自分 投稿日:2003/10/06(月) 10:41
- 口が胸を離れ、もう一度私の唇を求める。
両手で肩を掴むと、そのまま押し倒される。
そのくせ、いつだって自分が下になりたがる。
私は彼の上に横になる。
彼を見下ろすと、自分の中の性欲が掻き立てられる。
それを分かってるのかなぁ・・・・
- 20 名前:特徴の裏返し 投稿日:2003/10/06(月) 10:43
- その時にいつも、自分の髪は邪魔だなあと思う。
彼の顔にかかった髪をどけると、私からキスをする。
そうすると、両手は私の太腿に。
- 21 名前:落ち着くさき 投稿日:2003/10/06(月) 10:44
- そこから上がっていくとお尻だ。
この形が気に入ってるのかな?
ずいぶん長い間そこで手が止まる。
ズボンの上から何度も撫でられる。
- 22 名前:ラインを越えて 投稿日:2003/10/06(月) 10:47
- 右手が離れると、ベルトを緩める。
できた隙間に手が入ってくる。
奥に行くほど、ズボンは私に密着して狭くなっている。
そこに強引に手を伸ばす。
- 23 名前:それでいいよ 投稿日:2003/10/06(月) 10:50
- 私の肌も、その上の下着も、彼の手には関係ない。
手を伸ばし、触るだけだ。
頭を胸につけ、足を広げ、腰を浮かし、されるままになる。
少しでも触りやすい姿に。
それが私の一番望むことだから。
- 24 名前:整理整頓 投稿日:2003/10/06(月) 10:52
- ちょっとだけキスしていた唇を離すと、上半身を起こし、ズボンに手をかけた。
彼にまたがった姿勢から、立膝のままズボンを脱いだ。
裏返ったズボンをベットの下へ。
途中でだらしないそれが見えると、ちょっと嫌だから。
それでも、丁寧にたたむ余裕がないから、こういうふうにしている。
始まってしまったら、集中しなきゃね。
- 25 名前:受身 投稿日:2003/10/06(月) 10:54
- 裸になった私は彼の横に寄り添う。
そこから彼が私を隈なく舐める。
横向きだったのに、いつの間にか覆い被さられていた。
- 26 名前:リラックス 投稿日:2003/10/06(月) 10:56
- 肩。
二の腕。
おへそ。
唇が触れ、その後、舌の感触がくる。
丁寧にキスをさていれるようだ。
こうして、たっぷり時間があるのって、ほんとにいいな。
- 27 名前:恥ずかしいね 投稿日:2003/10/06(月) 10:58
- その時によって違うのだけど、行き着くところはいつも同じ。
上から。
下から。
入り口に表面。
中へ。
- 28 名前:それでも 投稿日:2003/10/06(月) 11:00
- その丁寧さの分だけ私の体は反応する。
触れられている感覚は刺激に変わってくる。
『舐める』というなぞる方法から、明確に私の体を圧迫する刺激に変わる。
- 29 名前:続いている 投稿日:2003/10/06(月) 11:02
- 舌は私を擦りつける。
加速度のついた快感は止められない。
私にできることは、全身の筋肉でブレーキをかけるだけだ。
一秒でもそれを感じていたいから。
- 30 名前:思うところ 投稿日:2003/10/06(月) 11:03
- 慣れていくんだと思う。
それがほとんどっていってもいいんじゃないかな。
最初の頃はおっかなびっくりだった。
こうなることは、私にとっては、けっこう特殊なことだから。
- 31 名前:一般論と自分 投稿日:2003/10/06(月) 11:04
- そりゃ、こんなの普通のこと、大したことじゃない、当然するだろって言い分も分かるよ。
好きであるなら、そりゃそうだろって。
それが毎日だろうが、一晩で何回だろうが。
私もそれに反対なんてしない。
ただ、やっぱり何か意味を持たせたいと思う私がいる。
- 32 名前:その中でも 投稿日:2003/10/06(月) 11:05
- 『溺れる』ってことはないな。
それは確か。
むやみに拒んだりはしないけど『適度に』と思ってる。
- 33 名前:説明なしだと同じにされる 投稿日:2003/10/06(月) 11:07
- 最初は確かに溺れてた。
気持ちいいからじゃない。
一生懸命しなきゃって思ってたから。
初めてのことで、相手しか見えなくて、うまくいくように、失敗しないようにって感じで。
- 34 名前:なにより 投稿日:2003/10/06(月) 11:09
- ただ、やっぱり慣れてくると、より気持ちよくって思う。
私もそうだし、彼もそう。
例えば、んっ! こういう指の動かし方とか・・・・
そもそも・触る場所が・・だんだん・・・的確に・・・・
あっ! ック・・セントのつけ方とか・・ね。
- 35 名前:こういうことも 投稿日:2003/10/06(月) 11:11
- そうすりゃ私だって、ただ手を背中に回しておくだけじゃない。
いろいろ動かしたり、触ったり、撫でたり。
あと、なるべく彼の目を見るようにしたり・・とか。
- 36 名前:その結果 投稿日:2003/10/06(月) 11:12
- そういう技術(・・・・でいいのかな?)がついてくると、当然、より気持ちよくなる。
それは間違ってないけど、それってやっぱり、自分が一歩引いた目線に立てるようになったからだよね。
- 37 名前:私の結論 投稿日:2003/10/06(月) 11:14
- 夢中っていうのはどういうことか最初に知ってしまったから、違いは分かるよ。
だから『溺れる』ってことにはならない。
『専念』するんだ。
『没頭』するんだ。
だから・・・・・・・・・・
- 38 名前:そして真理 投稿日:2003/10/06(月) 11:15
- やっぱ気持ちいいな〜
自分からキスをする。
満足って合図だ。
- 39 名前:大胆 投稿日:2003/10/06(月) 11:16
- 舐めるのだって、私は別にかまわないんだよ。
たださ〜 どうやって切り出す?
そういう意味では、失敗だったな〜 最初の時!
慎重になりすぎたんだね。
- 40 名前:自分を変えるなら 投稿日:2003/10/06(月) 11:17
- もちろん満足してる。
他の人がどうか知らないけど、恵まれた初体験だったと思う。
でも、最初にそうなっちゃうと、変えるのって難しい。
それに、無理して変えなくてもいいものでもあるから。
彼も彼で、自分から言い出してくるような人じゃないし・・・・
ここはやはり、自分から言うしかないか・・・・
- 41 名前:私の決断 投稿日:2003/10/06(月) 11:18
- 「舐めていい?」
「!?」
だよね。
そうだけどさ・・・・なんか言ってよ!!
「・・・・」
どっちだよ。
- 42 名前:そして実践 投稿日:2003/10/06(月) 11:19
- 私はゆっくり顔を近づけた。
舌先が軽く触れる。
びくっと、反射で腰を引かれた。
それが引鉄になった。
思い切って(といっても)軽く咥えた。
- 43 名前:初心者への壁 投稿日:2003/10/06(月) 11:20
- やっぱり、実際にするのはまったく違うものだった。
それは想像以上にかさばるもので、口の中と唇はすぐにスペース不足になった。
リズムの取り方も、動かし方も分からず、ただそのまま固まってしまった。
- 44 名前:勉強不足 投稿日:2003/10/06(月) 11:22
- 緊張のせいか、すぐに息苦しくなる。
口はふさがっているため、鼻息が荒くなる。
私は何もできず、そのまま口を離した。
- 45 名前:二人で 投稿日:2003/10/06(月) 11:23
- 面目ないと彼を見上げると、彼は視線をそらした。
恥ずかしかったらしい。
さっきまではずっと私を見てたくせに・・・・
- 46 名前:下心 投稿日:2003/10/06(月) 11:24
- 「大好き」
私はそう言った。
でも、これは感極まってじゃない。
突然こんなことを言い出したことや、自分のしたことを正当化するため。
それに、上手くいかなかった照れ隠し。
好きだって理由をつければ、これも許されるかなって。
私はずるい。
- 47 名前:それでもいいなら 投稿日:2003/10/06(月) 11:24
- 彼は私の背中に手を回し、抱き寄せた。
そして慰めるように唇を包む。
そして、さらにきつく抱きしめる。
胸が潰れそうだ。
- 48 名前:自己嫌悪 投稿日:2003/10/06(月) 11:26
- そうなると体勢が気になる。
いつだって気になってばかりだ。
- 49 名前:これもその通り 投稿日:2003/10/06(月) 11:26
- 彼と出会って分かったこと。
人間は上手くくっつくようにはできていないものだということ。
- 50 名前:だからこのように 投稿日:2003/10/06(月) 11:27
- 彼にまたがるように素早く足を動かす。
向い合う体勢になり、これでひとまず思い切り抱き合える。
その際、ちょっと入りそうになるけど、今は無視しておく。
- 51 名前:再び 投稿日:2003/10/06(月) 11:29
- 彼の関心は再び私の胸にいったようだ。
弾くように、手触りを確かめるように、口に含み、舌を這わせ、息を吹きかける。
すべてを私は深〜い所で受け止める。
目を閉じ、たくさんのくすぐったさの中から気持ちよさを取り出して。
小さく漏れる声を、しっかりと聞いていてくれてるだろうか?
- 52 名前:知ってほしいこと 投稿日:2003/10/06(月) 11:29
- 薄っすらと目を開けると、彼の顔が真正面にきている。
自惚れるわけじゃないけど、私の顔に見惚れてる。
それが私のプライドを満たしてくれる。
これを実際に口に出したら、彼はなんて言うのかな?
- 53 名前:途切れない 投稿日:2003/10/06(月) 11:30
- 彼の手は、その間中、私のあちこちを触る。
腰とか腕とか。
これ、けっこう好き。
一見何もない(つまり、感じない)箇所だって思うよね。
- 54 名前:望むことの違い 投稿日:2003/10/06(月) 11:31
- もちろん、彼は何もないところから快感を引き出す、達人でもテクニシャンでもない。
(と、思う。たぶん・・・・)
そういうことじゃなくてさ。
- 55 名前:受けとるのは私だから 投稿日:2003/10/06(月) 11:32
- ただ触られてるっていうだけで、温かいなって思うだけで満足。
いい気分になる。
感じるかどうかではあまりプラスではないのかもしれないけれど、してよかったという充実感に関わる大事な問題だ。
- 56 名前:ペース 投稿日:2003/10/06(月) 11:32
- 彼もそのへんを感じたいらしく、手を添え、私の肌をただ触る。
敏感なところは、私が刺激を受け過ぎるということらしい。
それじゃいけないの?
順番があるんだよね?
それは・・分かってるけどさ・・・・
- 57 名前:こういうことか 投稿日:2003/10/06(月) 11:33
- きっと、私の方がエロいんだろう。
もちろん、彼は人並に性欲もある。
徹底して攻めるあたりからすると、ひょっとしたら、人より強いのかもしれない。
ただ、考え方が淡白なのか、しないならしないでかまわないらしい。
私が望む時にするというささやかな欲求で満足してるみたいだ。
- 58 名前:勧めてみる 投稿日:2003/10/06(月) 11:33
- ただ、きっと分かってないだろうけど、私がそのささやかな欲求で満足してると思ってるんじゃないだろうか?
当然これだけの関係になるつもりなどないし、常に求められても困る。
ただ・・・・恋人なんだし・・・・ね?
- 59 名前:ちょっと待った 投稿日:2003/10/06(月) 11:34
- やっぱり誤解を招きそうだからちゃんと言っておくけど、淫乱じゃないぞ。
ただ、彼のサイクルと合わないだけ。
彼よりほんの少し(ほんの少し)求めてるだけだ。
- 60 名前:惚れた弱み 投稿日:2003/10/06(月) 11:35
- でも・・・・それでもいいのかな。
それがすべて『優しさ』からきてることを私は知ってるから。
私を傷つけたくないから、私の好きなようにってことなんでしょ?
- 61 名前:その一方 投稿日:2003/10/06(月) 11:35
- ・・・・・自分に都合よく考えすぎだね・・・・
- 62 名前:きちんと相手の立場も 投稿日:2003/10/06(月) 11:36
- だから、やっぱりどっかでブレーキかけてるんだろうか?
分からない。
『本当にしなくてもいい』
本当にそういう人なのかもしれないし。
- 63 名前:不安の生まれ方 投稿日:2003/10/06(月) 11:37
- これから合わせていけばいいんだろうか?
でも、こういうことをいつか言える時ってくるのかな?
いつまでも、このまま少しの距離を残して付き合っていくのかもしれない。
それが不安になる時がある。
分かってるか!?
おっぱい舐めてる場合か!?
- 64 名前:解決 投稿日:2003/10/06(月) 11:38
- でも、これが変わらず続くっていうことなら、こんなに安心することはない。
それなら多少ぎこちなくても、それがいつも隣にあるのなら、それもいい。
本気でそんな甘いことを考えている。
- 65 名前:ああ 投稿日:2003/10/06(月) 11:38
- ふと、支える力が弱くなった。
私は逆らうことなく後ろに倒れこむ。
天井が見えた。
そのまま視線を下にずらす。
- 66 名前:うん 投稿日:2003/10/06(月) 11:39
- 足を軽く立て、下半身の力を抜く。
この、受け容れる体勢って、なんか情けない。
彼は両手で足を開かせ、掻き分ける。
ここが唯一、行為全体の中で強引さを感じるところかな。
- 67 名前:そうだね 投稿日:2003/10/06(月) 11:39
- 一瞬間を置いて、生暖かいものが触れた。
私の体全体が反応する。
普段、神経が通っているとは感じない、耳たぶや、心臓や、少し入った奥の部分まで。
それが、ビクッという一瞬の身震いとなって現れる。
- 68 名前:私の体調 投稿日:2003/10/06(月) 11:40
- そして舌が離れる。
最初は濡れてないから、乾きかけの糊を剥がすみたいに、私の肉は舌から離れず、少しだけ持っていかれる。
でも、いつまでもそのままというわけにはいかず、私の肉は元の位置に戻った。
引っ張られて、剥がされて、じんわりと水分が湧き出るのを嫌でも意識する。
それは、どんなふうに見られてるんだろう?
一心不乱に舐める彼に答えは求めようもない。
- 69 名前:真剣勝負 投稿日:2003/10/06(月) 11:41
- 彼はここを舐めるのが一番好きらしい。
これに関しては技術の向上と共に、常に創意工夫が見られる。
例えば・・・・
「くっ!」
- 70 名前:一撃 投稿日:2003/10/06(月) 11:41
- 全身が強張り、体を収縮させる。
そうでないと刺激を受け止められないからだ。
舌が触れたから。
- 71 名前:まだ 投稿日:2003/10/06(月) 11:41
- それだけじゃなくて、あらかじめ唾液をたっぷり舌に含ませといて、強く引っ掛ける。
すると、当然水分で滑り、強すぎる刺激を残して私を弾く。
一瞬だけの痛みがちょうどいい具合に・・・・私の体はまた濡れる。
そこだけじゃなくて全身。
ひょっとして、すごく恥ずかしい反応なんじゃないか?
- 72 名前:くそっ 投稿日:2003/10/06(月) 11:42
- そうすると、少し間ができる。
じっくりそれまで舐めていたところを見ているらしい。
私は恥ずかしくて、それを確かめたことはないけど。
それまで少し広げていたものを、力を強めて、もう少し広げる。
突然表に広げられた部分にふっと息を吹きかけた。
「あっ!」
- 73 名前:解説 投稿日:2003/10/06(月) 11:42
- これはね・・・・さっきとは比べものにならない。
体に直接電気を流されているようだ。
もう感じるとかそういうことでなく、人間の体に直接働きかけるようなもので、ある意味拷問だよ。
- 74 名前:ルール 投稿日:2003/10/06(月) 11:43
- だから卑怯だと思うし、認めてない。
こんなことされたら、誰だって声出るよ!
だからこれは私の負けじゃない。
でも、彼はそれが嬉しいみたいで、気を良くしてたくさん舐めてくれる。
- 75 名前:私 投稿日:2003/10/06(月) 11:43
- 私が望んでいるのは、こっちの方なんだよ。
気持ちいいっていうのは結果だから。
どれだけしてくれるかっていうのをいつも見てるから。
刺激が強い方がいいって勘違いしないでね。
- 76 名前:好きなこと 投稿日:2003/10/06(月) 11:45
- 思い出したようにキスをする。
することがなくなった時、タイミングを計る時、何をしようか考えてる時にするらしい。
そういうの好きだな。
- 77 名前:支配者 投稿日:2003/10/06(月) 11:45
- 私が逆向きにまたがる格好になる。
この方が私の奥まで見えるらしく、舐め方はすべての行為の中で最も精密を極める。
何しろ、ほとんど空振りをしないといえば分かってくれるだろうか。
最近は本当に慣れたみたいで、意図的に内部のそれ以外の場所を強く舌で押したりする。
- 78 名前:性能以上の 投稿日:2003/10/06(月) 11:46
- 最初はぐーっと押される感じだだったけど、今では物足りない。
物足りないっていうのは、刺激の強さじゃない。
もっとって思ってるうちに、気がついたら追い詰められてるってこと。
例えば、痛いっていう自覚症状があるから自分を守る行動を起こすんだよね。
これは、気持ちいいって自覚がないうちに私を追い詰める。
なんか損してるような気になる。
- 79 名前:慣れ 投稿日:2003/10/06(月) 11:47
- 最初の頃は、ただしているという興奮感だけで感じていた部分が大きかったけど、それは慣れと共に小さくなっていく。
それを補うように、確実に感じる方法や、場所を見つけていく。
それが今日までの私達だ。
- 80 名前:互いの適性 投稿日:2003/10/06(月) 11:48
- そして、こちら方面の学習能力は彼の方が高いみたいで、程なく幾つもの応用を見つけた。
それと共に、私はもう一つの能力(か?)に長けるようになった。
- 81 名前:私の力 投稿日:2003/10/06(月) 11:48
- それは感じる能力とでもいうか・・・・簡単に言うと、敏感になった。
いろんな場所への刺激を上手く快感に変換できるようになった。
単純にエロくなっただけとも言う。
- 82 名前:したいこと 投稿日:2003/10/06(月) 11:49
- もちろん、与える側の技術も習得中だ。
そうじゃないと、ただの一方通行になってしまう。
私は何もしないで、相手にただされるのを見ていればいいだけになってしまう。
- 83 名前:理想の女性 投稿日:2003/10/06(月) 11:49
- 私はそんなことないから。
彼が喜んでくれるなら(ただし、できる限りでね)それが一番だと思ってる。
そんな思いについてこない自分の不器用さに腹が立つ。
『なにもしなくていい。いるだけでいい』って言ってくれるけど、そんなの嫌だ。
- 84 名前:変化 投稿日:2003/10/06(月) 11:50
- それに、初めてこういうことをしてから、だんだん二人の関係も変わってきた。
その他の部分でも、私は知らず知らずのうちに受動的になってきている。
彼の腕の中に潜り込んだり、膝にもたれかかったり、後ろから抱きしめたり。
- 85 名前:でも 投稿日:2003/10/06(月) 11:52
- これだと積極的だって思うでしょ?
でも、なんでそうするかって言うと、彼に手を出してほしいから。
してほしいから。
- 86 名前:当然 投稿日:2003/10/06(月) 11:53
- きっと、本当なら言葉でちゃんと『してほしい』って言わなきゃいけなんだろう。
そして、実際に押し倒さないといけないんだろう。
私がね。
されるのを待ってるだけじゃ。
- 87 名前:複雑な状況 投稿日:2003/10/06(月) 11:54
- さらに困ったことに、彼も私にはまだ遠慮してか、受け身なことが多い。
そうなると、お互いが求めてばかりで、実際に行動に移らないことが多い。
二人が望んでるのに、そうならないことがあるなんて!?
私も信じられないけど、そうなんだからしょうがない。
- 88 名前:一転 投稿日:2003/10/06(月) 11:55
- さて、そろそろだ。
余計なことが考えられなくなってきたぞ。
といっても、彼のペースは上がったわけじゃない。
それも当然で、私は声で知らせたりしないから。
淡々とした舐め方で十分気持ちいいから。
変なやり方を覚えられても困る。
- 89 名前:分かってほしい 投稿日:2003/10/06(月) 11:56
- 私はただそれに耐える。
生まれた時からインプットされた私のやり方だから。
ビデオで見たものとはだいぶ違う。
私もそう思うんだから、彼もそんなふうに思っているんだろうね。
- 90 名前:緊張 投稿日:2003/10/06(月) 11:57
- 「くっ!」
それにしても、色気ないな。
首を絞められてるんじゃないから、もっと『あっ』とか言えばいいのに。
でも、今更わざとらしくてさ・・・・
体中が強張る。
合図。
- 91 名前:意識は空想へ 投稿日:2003/10/06(月) 11:57
- 足を開き、お尻を限界まで突き出す。
もうそっからは、体を動かす余裕さえない。
目を閉じ、声を殺し、それでも零れる声に自分で聞き入る。
頭の中では、正気では考えられないような卑猥な場面が映る。
しかも自分が主人公で。
- 92 名前:引き戻される 投稿日:2003/10/06(月) 11:58
- 指か舌か。
どっちでもいい。
ただ、それが触れていたものから離れた瞬間、体は強張り続けるボーダーラインを超えた。
「あっ・・はぁ・・・・ぁ」
- 93 名前:帰るところ 投稿日:2003/10/06(月) 11:58
- 少し高い声がでる。
体の緊張は解け、力の入らない麻痺状態になる。
でも、口をつけられた場所は、感覚が薄れながらも震えている。
それまで舐められ、触られ、溜め込んだものをゆっくり吐き出すまで動きを止めない。
開放感に浸ろうとする体を無理矢理起こし、向きを変えて彼の胸元目掛けて倒れこむ。
そこでようやく全身の力が抜けた。
- 94 名前:つきまとう不安 投稿日:2003/10/06(月) 11:59
- よく考えてみると、これはかなり自分勝手な行動なんだよね。
自分だけ満足しといてさ、彼の方に何がしてあげられたのだろうか?
こういう一方通行はいつか致命傷になるのだろうか。
- 95 名前:それを消してくれるなら 投稿日:2003/10/06(月) 11:59
- 彼の腕が私を抱きかかえる。
そのまま体を横に回転させた。
私は上に乗っていた姿勢からベットの上に着地する。
- 96 名前:一緒にいる 投稿日:2003/10/06(月) 12:00
- 布団の柔らかさに少しだけ目を閉じる。
瞬きより心持ち長かったぐらいだけれど、その一瞬で彼は私との距離を詰めた。
正面に顔がきたと思ったら、唇に感触があった。
- 97 名前:欲 投稿日:2003/10/06(月) 12:01
- 顔の位置がだんだん下がり、もう一度、丁寧に全身を舐められる。
感じやすい私としては、それほどしなくても余韻は残っているのだが、そういう効率の問題ではなく、彼が私にこれだけのことをしてくれるというものに酔っている。
つくづく欲張りだと思う。
- 98 名前:ここから 投稿日:2003/10/06(月) 12:01
- 寝転びながら横向きで抱き合う。
すると、彼が上半身を上げた。
自然、私は仰向けになる。
覆い被さるようなキス。
- 99 名前:感覚として 投稿日:2003/10/06(月) 12:01
- これは対等じゃない。
お互いが中に進んでいくものではなく、侵入されるもの。
- 100 名前:せいいっぱい 投稿日:2003/10/06(月) 12:02
- 下から舌を伸ばす。
いつものように、同じように、変わらず絡み合う。
でも、私は何かに押し戻されるような感触があるんだよ。
だから、どうしても最後は受身になってしまう。
- 101 名前:あなたへ 投稿日:2003/10/06(月) 12:02
- 一生懸命受け止めるキス。
嫌なんかじゃない。
ただ、普通と違うだけ。
もちろん、私が上からすることもあるんだから、お互い様だしね。
- 102 名前:冷静に 投稿日:2003/10/06(月) 12:03
- 彼の手が膝に触れた。
いくら感じやすい私でも、膝には感触はあっても、気持ちいいってのはない。
だから、それ以外の目的があると考えた方がいい。
- 103 名前:無抵抗 投稿日:2003/10/06(月) 12:04
- ゆっくり外側に開く。
そして私の両足の間に空いたスペースに、彼の膝が割り込む。
それも上半身は動かさず。
だから、私は見つめられたままだ。
- 104 名前:うまいねえ 投稿日:2003/10/06(月) 12:06
- 有無を言わせないというのは、こういうことだろう。
顔はすぐそこにある。
さっきまでと何も変わらない。
それなのに、いつの間にか、私は受け容れる体勢になってしまった。
- 105 名前:下になると 投稿日:2003/10/06(月) 12:06
- 私の両足は、間に彼を置くスペースを作るだけというのには、少し大げさに開かれる。
この姿勢がプレッシャーになるというのは、何となく分かるような気がする。
覆い被さるというのは、相手の自由をほとんど奪ってしまえるから。
しかも、その相手は、私とまるで違うもの。
- 106 名前:リエット 投稿日:2003/10/07(火) 00:04
- 更新お疲れ様です。
いきなりの展開に、これからどんな方向に行くのか気になります…。
- 107 名前:異物 投稿日:2003/10/07(火) 11:29
- 触ると硬い。
辻やなっちや吉澤や矢口や・・・・そのどれとも違う硬い体。
筋肉質というわけでもなく、中肉の彼でさえ、私にとって異性はそういうものだ。
ひょっとしたら、何より男を感じる時かもしれない。
- 108 名前:その感触 投稿日:2003/10/07(火) 11:30
- そんなことを考える。
力って絶対に恐怖を伴うものだから。
- 109 名前:その後の行動 投稿日:2003/10/07(火) 11:30
- そう。
だから私はこの人が好きなんだと思う。
なるべく近くに顔を持ってきてくれるから。
見下ろされたら、きっと私は・・・・
- 110 名前:否定的なニュアンス 投稿日:2003/10/07(火) 11:31
- ・・・・拒みはしないけど・・・・
- 111 名前:こうだね 投稿日:2003/10/07(火) 11:32
- そうじゃないとしても、なんか無理矢理っていうのを感じるだろうな。
ちゃんと近くにいてくれるということで、お互いの顔が見える範囲ということで、だいぶ助けられてるんだよ。
- 112 名前:姿勢制御 投稿日:2003/10/07(火) 11:33
- 足を立膝にする。
腰は浮かせないけれど、お腹に力を入れ、くの字になるように腰を上に向ける。
どうしても、その入る瞬間に集中するため、視線は下へ向く。
口を閉じ、目は少し細くなっているかもしれない。
- 113 名前:相手次第 投稿日:2003/10/07(火) 11:34
- さあ、いつくるか・・・・ん?
顔を上げると、すぐ近くで視線がぶつかった。
近くに浮いていた顔は、その瞬間にあまり関心がないようで、私の顔を見ていた。
なんだよ!
せっかく人が真剣にやろうってしてた・・・・
- 114 名前:パニック 投稿日:2003/10/07(火) 11:34
- 不意を突かれた。
よく考えてみれば、私の気をそらす作戦だったんだ。
悪ふざけに腹を立てた表情をするつもりが、一気にアホみたいな顔になったことだろう。
彼の先端は、あろうことか、私のお尻の穴に少しひっかかった。
- 115 名前:激情 投稿日:2003/10/07(火) 11:35
- 待った!
そんなの聞いてない!
嫌だよ!
そんな・・急には・・・・じゃない!!
そういう行為自体が駄目だってことだ!!
- 116 名前:私にも隙が 投稿日:2003/10/07(火) 11:36
- しかしそれは軽くかかっただけで、そのまま互いの水分で滑り、下へと滑る。
ちょうどお尻でそれを挟むような形になった。
なるほど・・・・これはこれで、なんともいえない感触が・・・・違う!!
- 117 名前:冷静になっても 投稿日:2003/10/07(火) 11:37
- どういうことだ?
さっきの行動の意味は?
これまで、そんなことをする素振りは見せなかったよね?
そんな知識もなく、いきなりできるもんでもないでしょう?
あらかじめ言ってくれないと・・・・
もちろん、そうしたからって、嫌なものは嫌だけど・・・・
- 118 名前:理解しにくい 投稿日:2003/10/07(火) 11:38
- ・・・・冗談だってさ・・・・
・・・・リラックスさせるためだって・・・・
- 119 名前:怒れない私 投稿日:2003/10/07(火) 11:41
- あのね・・私、初めてってわけじゃないんだよ!
一番よく知ってるはずのお前が、何を考えてるんだ!!
必死な顔してたから?
それは恐くて真剣な顔してるんじゃない!
ただ・・・・入ってくる瞬間が好きなだけだ!
ちょっと・・期待してるだけ・・・・だよ。
- 120 名前:そうすれば相手のペース 投稿日:2003/10/07(火) 11:42
- 改めて先端をあてがう。
少し下じゃないかな?
それでも熱は伝わってくる。
まだ、お互いの部分が完全に触れ合ったわけでもないに。
すると彼は、それに添えていた手を離した。
- 121 名前:はて 投稿日:2003/10/07(火) 11:43
- ん?
入れる場所忘れちゃったのかな?
それとも、いつかのように私にして欲しいってこと?
ん・・・・っ!
- 122 名前:言いたくもないけど 投稿日:2003/10/07(火) 11:44
- 彼の先端はそれだけの反り返る力で上に動き、収まるべきところへ移動した
- 123 名前:無言の後 投稿日:2003/10/07(火) 11:44
- ・・・・最低・・・・
- 124 名前:罵声 投稿日:2003/10/07(火) 11:45
- 私は彼を抱き寄せた。
もう知らん。
その瞬間に期待した私が馬鹿だった。
もういいから、さっさと入れろ。
どうせお前が先にイクんだろ!
わざわざ限界を速めるなんて、お前は馬鹿だ!!
- 125 名前:恋人 投稿日:2003/10/07(火) 11:46
- やっぱり、ゆっくり入れてくれた。
私の中のすべてに感触が行き渡るように。
その時間はすごく長く感じ、彼のそれはどこまでも入っていくように思えた。
- 126 名前:注 投稿日:2003/10/07(火) 11:47
- (ちなみに彼のは普通ぐらいだと思ってる。比較するものが映像と本の資料のため、プロと比べているので気の毒だとは思う。さすがにあのサイズは笑うしかないからね)
- 127 名前:静かに 投稿日:2003/10/07(火) 11:48
- 最後まで入ると、部分同士以外の肌が密着した。
汗にしろ、何にしろ、互いの水が触れ合い、クチュンと本当に小さな音をたてた。
- 128 名前:静かに続く 投稿日:2003/10/07(火) 11:48
- その音はいろんなことを想像させる、すごくいやらしい音だった。
私は深く息を吐いた。
その時は必ず彼の顔が近くにあって、私からこぼれた息を、少しも離れていない位置にある唇で受け止めた。
そのまま口を塞がれる。
- 129 名前:無神経 投稿日:2003/10/07(火) 11:49
- あのね・・・・
さっき息をはいたばかりだということ知ってるよね?
だから・・・・・・・・苦しいんだって!!
唇を少しずらすと、その隙間から息をはいて吸う。
- 130 名前:困った 投稿日:2003/10/07(火) 11:50
- 口の中の舌が動いた。
興奮してるんだ。
こっちはそんなつもりじゃないのに・・・・
- 131 名前:ならば 投稿日:2003/10/07(火) 11:50
- 自棄になって、こっちから逆に舌を入れてやった。
首の両手を頭に回して。
- 132 名前:いよいよ 投稿日:2003/10/07(火) 11:51
- 少し腰を引いて、中ほどまで後退した。
そして再び入って来る。
私に限らず、みんなその部分は弾力性のあるもので、抜かれたら元の形に戻り、また入ってくるものの形に押し広げられる。
そうやって擦れる。
- 133 名前:私の準備 投稿日:2003/10/07(火) 11:52
- うん。
それを一回確認したところで、唇を離した。
両手は背中に回して、あごを引く。
首筋から肩口に顔をつけた。
そこを軽く舐めると布団に頭を落とした。
ずっとくっついていたいけど、これからはある程度、全身運動が必要とされる。
スペースを空けないと、ままならない。
- 134 名前:いつもの通りに 投稿日:2003/10/07(火) 11:52
- 男性は頭の横にしろ、脇の下にしろ、両足を持ち上げて絡ませてにしろ、腕を伸ばして体を支えるのが普通(でいいんだよね)だ。
彼は頭の横に肘をつく。
そして肘から指の先までで、私の頭を包んでくれる。
顔は、はっきり見える近いところに。
こうして、なるべく近くにいてくれる。
- 135 名前:相手がいることだから 投稿日:2003/10/07(火) 11:53
- でも、そうしてくれようとするほど、やっぱりくっついていたいって気持ちが強くなる。
これでも十分窮屈な姿勢で、腰だけを動かしている姿って、情けないものかもしれない。
それで彼が十分に感じているのかも気になるところだし・・・・
- 136 名前:それでも自分 投稿日:2003/10/07(火) 11:54
- せめて、もう少し胸が大きければ、もっと離れてても、十分体がくっつくのかもしれない。
仰向けになった体の上で、私の胸は潰れている。
でも、乳首が擦れるくらいでちょうどいい・・・・かも。
何がしたいんだ、私は・・・・
- 137 名前:これも合図かな 投稿日:2003/10/07(火) 11:54
- 背中に回した腕に力を込め、強引に抱き寄せた。
了解したというように、彼が私の上に倒れ込む。
するっと私から抜けた。
まだ、中の擦れてる感触が抜けないうちに、体位を入れ替える。
- 138 名前:気合い 投稿日:2003/10/07(火) 11:55
- 私が上になる。
抜けたものを探し当て、掴む。
いちいち言う必要はないけど・・・・うん、いいね!
- 139 名前:ロマンス 投稿日:2003/10/07(火) 11:56
- それを真っ直ぐに立て、上になる。
こうやって準備する姿がいいらしい。
前にこうした時、ずっとその姿を下から見ていたからだ。
- 140 名前:飯田様 投稿日:2003/10/07(火) 11:56
- その視線にふと目を合わせた。
恥ずかしがり屋がニタついていた。
よっぽど好きになってくれたんだろう。
私としては・・・・にっこりと余裕の笑顔で答えた。
- 141 名前:少し未来 投稿日:2003/10/07(火) 11:57
- その時以来、ここは彼を焦らすチャンスだと常々思っているのだけど・・・・
さっさと入れてしまう。
焦らすっているのは、ものすごく高度なテクニックだと思う。
それをするってことは、相手を恥ずかしがらせて、快感を生むことだから。
そんなことをされたら、私の頭は焼き切れるんじゃないかと思う。
- 142 名前:近い将来 投稿日:2003/10/07(火) 11:57
- もちろん、それに興味がないと言ったら、嘘になる。
どんなものなのか・・・・
ただ、それをするには、私達は未熟過ぎる二人だ。
- 143 名前:ゆっくり進めばいい現実 投稿日:2003/10/07(火) 11:58
- それに、ただ私を抱きしめ、一生懸命な彼がいる。
そんなに私が好きならば、私もそれに十分答えましょう。
もっと余裕ができたら、最中にも話しかけてね。
- 144 名前:一面 投稿日:2003/10/07(火) 11:58
- 身勝手な私は、自分が上になると、ただ気持ちよくなるためだけに動く。
つまり、ただ激しく動くだけというやつだ。
そして、それがその通りの効果があるのだから、また厄介だ。
腰からお尻にかけて手を添えられて、二人でタイミングよく動き合う。
このコンビネーションは我ながら素晴らしいと思う。
- 145 名前:性欲 投稿日:2003/10/07(火) 11:59
- ただ解消するというだけなら自分でやればいい。
その方が確実だし、時間もかからない。
そもそも、快感で満足っていうのはどこまでも自分自身のためでしかない。
それが二人でしているのでも。
- 146 名前:こっちの意見 投稿日:2003/10/07(火) 12:01
- 確かに、人間は誰かを求めて、その人としたいって思うけど、それは自分のため。
相手を使って自分が満足したいため。
それだけじゃないのは分かってるけど、それもあるでしょ?
相手としたいのも、自分がしたいのも、どちらでもある。
それなら私はネガテブな方を考えてしまう。
自分のためだって。
- 147 名前:その進展 投稿日:2003/10/07(火) 12:02
- でも、そんな自己満足を二人でできるってすごいことじゃない?
もちろん一人でしてる時に『虚しい』なんて考えてるかっていうと、そんなことない。
それはそれで満足してる。
でも、それが虚しいって思えるってのは、やっぱ幸せなんだろうな。
- 148 名前:迷い道 投稿日:2003/10/07(火) 12:02
- 最初から『二人で愛し合うって素晴らしい』って言えばいいのかな?
そうすれば、こんなに回りくどくなくて済むんだろう。
でも、今日は学校あるのかって思ってて休みだと、いっそう嬉しいでしょ?
わざわざ自己中にして、それを二人でやるって考える。
私は幸せな人間だ。
- 149 名前:私だけの 投稿日:2003/10/07(火) 12:03
- きっと、言ったら笑われるだろう。
最後は向い合って抱き合う。
そうしたいから。
- 150 名前:私 投稿日:2003/10/07(火) 12:03
- 「は・・・・んっ・・・・はぁ・・・・くっ」
- 151 名前:苦行のようなもの 投稿日:2003/10/07(火) 12:04
- 彼のタイミングに自然に合わせてしまう。
食いしばっている歯が何の役にも立っていない。
それでも私は我慢してしまう。
耐えてしまう。
- 152 名前:こんなもの 投稿日:2003/10/07(火) 12:05
- 声を出せばいいのかな。
叫びたいのを我慢してるのは・・・・ばかなこと?
- 153 名前:神経戦 投稿日:2003/10/07(火) 12:05
- くっ
- 154 名前:耐久力 投稿日:2003/10/07(火) 12:06
- 私はこみ上げてくるものを全力で押さえ込む。
声も、気持ちいいも、汗も、唾液も、彼も。
彼がくれる刺激と、私の中に生まれる快感を誰にも渡さないように。
欲張りに、自分のものだけにしてしまいたい。
- 155 名前:声 投稿日:2003/10/07(火) 12:07
- 「ねっ・・え・・・・」
- 156 名前:欲張り 投稿日:2003/10/07(火) 12:09
- でも、気づいてほしい。
知らせたい。
感じていることすべてを。
- 157 名前:伝える 投稿日:2003/10/07(火) 12:10
- でも声にできない私は、彼の名前を呼んだ。
合わせた唇を離してでも。
小さな声で、呟くように。
それでも聞いてほしくて、ほっぺをくっつけて耳に唇を近づける。
荒れた息と、抑えきれない声の隙間に、名前を呼んだ。
- 158 名前:伝わる 投稿日:2003/10/07(火) 12:11
- ・・・・カオリだって・・・・
・・・・それは私の名前だよ・・・・
・・・・大丈夫、ちゃんと聞こえたから・・・・
- 159 名前:そして 投稿日:2003/10/07(火) 12:11
- 彼の小さな声で私は決壊した。
どんなに抑えようとしても、私からすべてが出て行く。
落ちていく自分に最後まで爪を立てる。
それがすべて無駄だと分かった時、私は熱い息を吐いて力を抜いた。
彼の体が強張り、抜ける感触がすると、お腹の下に出されたのを感じた。
抱き合ったまま横になった私達の間で、精液が押し広げられたのを感じた。
- 160 名前:有終の美 投稿日:2003/10/07(火) 12:12
- ちょうどパンティーのようにかかったものを見る。
これはこの後すぐにふき取られてしまうのだけど、何か違うような気がしてる。
私は彼が好きだからこうするんだし、それを確認するためだって思ってる。
(気持ちよさというのは、今回は置いておく。それ考えると非常に微妙な問題になるから)
- 161 名前:そのために 投稿日:2003/10/07(火) 12:13
- とすると、後処理もそれを確認するものなんだろうか?
終わった後、しなくちゃいけないことだからしてるだけって気がする。
- 162 名前:したくないこと 投稿日:2003/10/07(火) 12:14
- ならどうするか?
中に・・・・違う。
違わないけど、それはすべてを大切にしてないってことかな。
それは、他の人達に私達のことを馬鹿だと思うチャンスを与えてしまうことになる。
- 163 名前:こうだから 投稿日:2003/10/07(火) 12:14
- 何度も言うけど、それが間違ったことだと思わない。
ただ、『おめでとう』という内心に、少しでも『失敗したな』というものを感じるのは嫌だ。
彼を馬鹿にされる(実は自分が馬鹿にされるのが一番嫌なのかもしれない)のは嫌だ。
- 164 名前:これこそ 投稿日:2003/10/07(火) 12:14
- とすると・・・・飲むか・・・・
嫌じゃない。
でも、なんて言い出そうか・・・・
きっちりとそうやって終われるものかどうか・・・・
- 165 名前:可能性ではなくて 投稿日:2003/10/07(火) 12:16
- なら、最後は口で出るまで・・・・違うな
彼を感じない。
彼じゃなくてもいいと思えることはしたくないしね。
- 166 名前:少し揺れる 投稿日:2003/10/07(火) 12:17
- それじゃ・・・・無理かな・・・・
でも、そうすれば、最後まで好きだという気持ちで締めくくることができるのかな?
試してみる価値はあるかな?
そんな変な積極性は嫌われるかな?
- 167 名前:難題 投稿日:2003/10/07(火) 12:17
- 好きだから・・・・それでごまかしてるって言われるかな。
ただ好きなだけでは上手くいかないものですね・・・・
- 168 名前:私達らしさ 投稿日:2003/10/07(火) 12:20
- お風呂からあがると、先に済ませた彼はいつものようにベットに腰掛けていた。
「あがったよ」
顔を上げる。
私が来たってこと、ほんとは分かってるはずだ。
でも、言われるまでは動かない。
他の人から見ればイライラしたり、鬱陶しいとか、愚図ということになるんだろう。
- 169 名前:理想なんて 投稿日:2003/10/07(火) 12:21
- 最初に言っておくと、私も満足してるわけじゃない。
でもいいんだ。
これが好きだから。
- 170 名前:この関係とは 投稿日:2003/10/07(火) 12:22
- 彼の名誉のために言っておく。
彼がそうなのは、私だからだよ。
自惚れてるんじゃない。
彼は一人で生活していける人だし、仮に私がいなくなっても何一つ困ることはない。
(精神的にはショックを受けるはず。受けて欲しい)
- 171 名前:依存しないもの 投稿日:2003/10/07(火) 12:23
- 仕事もしてる。
そりゃ当然で、そこでも優柔不断だとしたら、恋人以前に人間として駄目ということだ。
- 172 名前:隣の席 投稿日:2003/10/07(火) 12:24
- パジャマを着て、ベットに二人で入る。
彼は私のすぐ隣にいる。
顔を傾けると、当然のように視線が合った。
触れている部分は右手だけだ。
- 173 名前:投げ遣りに 投稿日:2003/10/07(火) 12:24
- その部分だけ体温が上がっている。
何か違う力が働いている証拠だ。
そこから私の気持ちが全部伝わればいいと思う。
- 174 名前:深呼吸 投稿日:2003/10/07(火) 12:26
- 『この方が安心する』というのが本心かな。
するのは嫌いじゃない。
気持ちいいし。
ただ、言葉で何回確認し合うよりも、もう一つ上の確認ができる。
これはついでについてくることだけど、充実感とか、小さな悩みなら消えてしまってすっきりするとか。
- 175 名前:例外 投稿日:2003/10/07(火) 12:27
- (といっても、私達の関係についてのことで、私個人が抱えてる悩みには当てはまらないけどね。でも、その分、自分に余裕ができるってことも事実)
- 176 名前:核心 投稿日:2003/10/07(火) 12:27
- でも、それにはしなきゃいけない。
動かなきゃいけない。
ただこうしているだけなら、何もしなくていい。
- 177 名前:リーダー 投稿日:2003/10/07(火) 12:28
- 私はいつだって何かをしなきゃいけない。
仕事だから当然!
弱音を吐くつもりなんてない!!
本当だよ。
ただ・・・・それだけじゃないんだってのも分かってきた。
- 178 名前:飯田圭織としても 投稿日:2003/10/07(火) 12:28
- 好きな人と一緒にいるのも、好きだってことを確認するのでも行動しなきゃいけない。
快感や満足感や愛情も、そうでないと成り立たない。
嫌いじゃないし、彼の裸にはいつだって興奮する。
でも、それと違うところで疲れてるんだ。
- 179 名前:中身 投稿日:2003/10/07(火) 12:30
- だからこうして、終わった後に何も考えずにくっついてる。
本当に何もしていないのって、こんな時くらいだね。
二人きりの時にだって『好きだ』って行動しなきゃいけない。
無意識のうちにだけど、そんなことを考えてしまう私は、時々疲れるんだ。
- 180 名前:さぼり癖 投稿日:2003/10/07(火) 12:33
- だからこうしてたい。
できるだけ長く。
好きでいなくてもいい時間がほしい。
でも、それでも近くにいてほしい。
これは我が儘にもならない。
これはどういう感情なんだろう?
- 181 名前:答えは綺麗じゃなくても 投稿日:2003/10/07(火) 12:33
- 背中の指に少しだけ力が入る。
あっ・・・・もう駄目だ。
私の中はまた彼のことになった。
何も考えないでそばにいる幸せも、満たされる幸せも、どちらも同じで、どちらかの時には逆が欲しくなる。
とにかく彼が欲しいのかな?
- 182 名前:顔 投稿日:2003/10/07(火) 12:34
- 唇を重ねにいく。
咥えるように。
- 183 名前:攻撃性 投稿日:2003/10/07(火) 12:35
- 近くで見た彼の表情を読み取ってみる。
眠たいのか、薄くなっている目。
いつだって私を掻立てる唇。
こいつをどうしてやろうかって気分になる。
- 184 名前:貴重になった平凡 投稿日:2003/10/07(火) 12:35
- でも、終わりだって分かった。
満足しきった顔だった。
それも『幸せ』って顔じゃなくて、ぼけ〜っと気の抜けた顔で。
しょうがないか。
最後に、キスにならないように、唇だけで軽く触れた。
- 185 名前:解けない矛盾 投稿日:2003/10/07(火) 12:36
- こんなに好きだから、ただそれだけで、何でもできそうな気がしてる。
そして、実際にやってしまおうかというところまで来ている。
ただ、そうしたら嫌われるんだね、きっと。
- 186 名前:何個目かの難題 投稿日:2003/10/07(火) 12:39
- そのセーブしなきゃいけないラインはどこかっていうのは、よく分からない。
何度も彼とこうしたけれど、やっぱり分からない。
彼が何を考えてこうしているか、それに、私の考えていることが伝わっているか。
- 187 名前:道半ば 投稿日:2003/10/07(火) 12:40
- たぶん、どちらもできていないのだろう。
しゃべって確認するのが恥ずかしい分、特にそうなってしまう。
- 188 名前:自信 投稿日:2003/10/07(火) 12:40
- それでも少しずつ分かり合った、たくさん話した自分の中身とか、一緒にいる時の表情とか、そんなのがある限りきっと大丈夫だね。
- 189 名前:そこでの実感 投稿日:2003/10/07(火) 12:42
- 体について知ったことが、何かに直接関係することは少ないかもしれない。
でも、それを含めて好きだぞというのは胸を張ってしまう。
そんなことを言いふらし、顰蹙を買うほど馬鹿ではないけど、そう思っていることも知ってほしい。
彼だけには。
- 190 名前:勝手 投稿日:2003/10/07(火) 12:43
- 誰にも話せないことだし、恥ずかしいことだけど、自慢したいし、誰かに羨ましがってほしいっていうのもあるんだよね。
こんなに好きだし、こんなに気持ちいいし、こんなに幸せだし、こんなに満足しているということを。
- 191 名前:混同 投稿日:2003/10/07(火) 12:43
- 彼だけに?
いや、例えば、羨ましがってくれそうな・・・・やっぱり駄目だな。
やっぱり変な奴だと思われそうだから。
浮かんできたのは、どのメンバーの顔だったのか。
- 192 名前:睡眠不足 投稿日:2003/10/07(火) 12:44
- 久しぶりのまとまった休み。
まだ、たっぷり時間はある。
恥ずかしがってる時間はない。
とりあえず、明日の朝をどうやって説得してそっちにもっていくか。
そんなことを考えていた。
- 193 名前:浮かんでは消える思い 投稿日:2003/10/07(火) 12:49
- それは続くのだろうけど、ここで終わり。
- 194 名前:緊張しました 投稿日:2003/10/07(火) 12:57
- なんとか終了です。うまくできるかどうかだけが気にかかってました。書きながら肉付けなどという余裕はとてもなかったです。ですから、内容がまずいのは焦りではなく、能力の限界でしょう。
- 195 名前:ありがとうございます 投稿日:2003/10/07(火) 13:02
- >>106 リエットさん
どきっとしました。見られてるなーと。内容が内容なので、悪さを見つかった気分です。こうなりました。少しでも気に入ってもらえたらと思ってます。
- 196 名前:第二話予定 投稿日:2003/10/07(火) 13:14
- ( ´ Д `) <次は私ね。
たまに追い出すこと。
着想・参考・引用 『山月記』 著・中島敦
少し日を置きます。教科書にも載ってますが、名作です。お勧めします。
- 197 名前:リエット 投稿日:2003/10/08(水) 01:23
- なんか、上手い言葉が出てこないんですが、面白かったです。
名前欄の使い方もすごくよかったです。
次は後藤さんですね。どんな話になるんだろう…。
とりあえず、読み返してきます(w
- 198 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/09(木) 17:44
- 次回後藤…期待!!
- 199 名前:訂正と返事 投稿日:2003/10/10(金) 13:21
- >>196 追い出すこと→思い出すこと
恥ずかしいです。
>>197 リエットさん
そうですね。いきなりこれじゃあ面食らうと思います。掲載順は考えたんですが、不意打ちよりは先に持ってきたほうがいいと思い、こうなりました。
>>198 名無し読者さん
やってみます!!
- 200 名前:さんげつき 投稿日:2003/10/10(金) 13:24
-
はじまりの前
- 201 名前:宇宙の片隅で 投稿日:2003/10/10(金) 13:24
- まるで時間が止まったような空間。
あらゆるものがそのままでいようとしている。
そんな中、少女はお茶を飲んでいた。
- 202 名前:永遠 投稿日:2003/10/10(金) 13:25
- その動きはゆっくりと、そして一定のペースを保っている。
時間に縛られる人間という存在が、その中で永遠を作るという奇跡。
あまり意味のない使い方だとしても。
まあ、永遠なんてそんなものだ。
- 203 名前:ドラえもんのうた 投稿日:2003/10/10(金) 13:26
- 「あ・さ・美・ちゃ〜〜〜〜〜〜ん!!!!」
- 204 名前:小川はのび太 投稿日:2003/10/10(金) 13:27
- 主題歌が始まりそうなセリフと共に、小川麻琴が駆け込んで来た。
「・・どうしたの・・まこっちゃん?」
なるべくびっくりしたことを気取られないように、紺野あさ美は答えた。
「大変だよ! 明日テストなんだ!!」
まだ学生でもある彼女達は、やはり避けて通れない悩みを持つ者であった。
- 205 名前:しょうがないなあ、まこっちゃんは 投稿日:2003/10/10(金) 13:28
- 「それでさ、友達にノート借りたんだけど、新しく使い始めたノートみたいで、授業の最初の部分が書いてないんだ!」
どんなに状況が厳しくても、やるからには手を抜かない。
そして、それを当然だと思う。
そんな健全な彼女達だった。
- 206 名前:私のノート! 投稿日:2003/10/10(金) 13:29
- 「だからさ、あさ美ちゃんのノート見せて!」
「別にいいけど・・範囲とか違うんじゃない?」
「たぶん大丈夫! あさ美ちゃんと同じ教科書だから、そんなに違わないよ」
こうして小川麻琴は無事に勉強の材料を手に入れた。
もちろん、だからといって、必ず良い点かどうかは保証されないが。
- 207 名前:ものすごく便利な魔法の言葉 投稿日:2003/10/10(金) 13:29
- ─数日後─
- 208 名前:彼女達の日常 投稿日:2003/10/10(金) 13:31
- 結果は十分納得のいくものだった。
もちろん小川自身の力によるものだが、紺野のノートが少しでもそれを手助けしたのなら、そしてそれが二人の関係に良いものを生んだのならば、どちらでもいいことなんだろう。
- 209 名前:ひとまずの区切り 投稿日:2003/10/10(金) 13:32
- 今回、この二人にはこれ以上の物語は生まれない。
ただ、こんな毎日が続いていく。
二人が笑って過ごすことがただ一つの結末である。
そしてそれは結末にもならず、始まりでもなく、過ぎていく日々であった。
- 210 名前:山月記のあらすじ1(紺野ノートより抜粋) 投稿日:2003/10/10(金) 13:34
- 李徴は非常に優秀な人物であった。
そして高級官職を得るが、その仕事に納得をしない。
また、人と交わることを嫌い、自らのみで物事を考える性格でもあった。
そして李徴は職を辞し、詩家としての活動に入る。
時は流れる。
作る詩が自分以外の人間に認められることはなかった。
それは日々の生活にも大きな影響として現れる。
自分だけならともかく、妻や子にそれは関係なく、それは自分が保障しなければならない。
李徴は再び官職を求めた。
一度捨てたはずの職。
自分が『下らぬもの』としたものを再び求めなくてはならないこと。
自分の詩家としての失敗。
それによる自分自身への絶望。
李徴の高い性格の全ては、自分への自信に原因するものであった。
とすれば、このことが李徴にどれほどの傷を与えたか、どれほどの屈辱だったのか。
李徴は虎になった
- 211 名前:山月記のあらすじ1(あさ美ちゃんって、字うまくないよね) 投稿日:2003/10/10(金) 13:36
- 袁慘は李徴の同級生であり、数少ない学友であり、理解者でもあった。
袁慘が高官として任地へ向かう時、一匹の虎に襲われた。
しかし、その虎はどこか様子がおかしい。
ありえないことだが、もしやと思い当たると、やはり旧友の李徴であった。
李徴は姿を見せない。
しかし、そのまま声のみで再会を懐かしむ。
李徴は自分の詩を袁慘に託した。
そして自分の家族を袁慘に託した。
別れる時がきた。
袁慘は言われた通り、しばらく離れると後ろを振り向く。
先程まで自分がいた辺りの茂みから虎が飛び出した。
白い月の下、その姿を見る。
虎は数度咆哮し、そのまま姿を消した。
- 212 名前:川o・-・) 投稿日:川o・-・)
- 川o・-・)
- 213 名前:川o・-・) 投稿日:川o・-・)
- 川o・-・)
- 214 名前:過去の話 投稿日:2003/10/10(金) 13:44
- ─
──
────
先生の声がと〜お〜〜く〜〜〜に聞こえる。
それだけじゃない。
周りの世界が全部ぼんやりとしてきた。
- 215 名前:退屈な気分 投稿日:2003/10/10(金) 13:45
- それとは正反対に、授業を始めたばかりの先生は、まだまだ元気だ。
仕方がない。
最初のうちは付き合うとするか。
- 216 名前:とりまく世界 投稿日:2003/10/10(金) 13:46
- そんな決意は一体なんだったんだろうか?
私は窓の外に目をやる。
よく晴れていて、晴れすぎて、何も感じない、いつもの風景だ。
晴れた一日でも、嫌になるような暑さは消え、それだけは都合がいいと思う。
- 217 名前:私の感想 投稿日:2003/10/10(金) 13:46
- 残念ながら、それ以上は何も考えることがないや・・・・
きっと、見る人によっては、涙が出るくらい綺麗な一日なのかも。
でも、私の目には、映るもの以上に訴えかけてくるものはなかった。
- 218 名前:大人な後藤さん 投稿日:2003/10/10(金) 13:48
- そして、なんといっても、学校だから。
学校っていうものは、日常を作る場所だから。
だからこんなに居心地が良くて、こんなに退屈なんだろうね。
- 219 名前:授業 投稿日:2003/10/10(金) 13:49
- 「じゃあ、まず読むぞ」
誰かにあてるとかすればいいのに、いつも最初は決まって先生が自分で読む。
起きていると決めた以上、何もしないわけにもいかない。
何もしないっていうのは一番無駄な行為だから。
私の昼寝よりも。
- 220 名前:暇潰しと勉強 投稿日:2003/10/10(金) 13:50
- 授業がめんどくさいなら寝てしまう。
でも、受けるって決めたら、あまり好きじゃないことでもやらなきゃね。
何でもいいからやらないとね。
そうじゃないと、時間がもったいないから・・・・
ここで大きな欠伸をした。
- 221 名前:欠伸混じりの哲学 投稿日:2003/10/10(金) 13:51
- 忙しくなった私は、昔以上に時間を大切にするようになった。
でも、そうしようとするほど早く過ぎていくように感じる。
焦っているのかも。
これでも時間を大切にするようになったと、言え・る・・よね?
- 222 名前:リラックスして 投稿日:2003/10/10(金) 13:52
- さて、お話の時間だ。
教科書を広げ、文字を追いながら、聞こえてくる声を聞き流す。
- 223 名前:『山月記』冒頭引用 投稿日:2003/10/10(金) 13:53
- 『隴西の李徴は博学才穎』
- 224 名前:びっくり 投稿日:2003/10/10(金) 13:54
- なんだこりゃ。
- 225 名前:授業 投稿日:2003/10/10(金) 13:55
- その後も同じ調子の文体が続く。
固い。
読んでいる私も背筋が伸びるような気分になる。
そうすると、本の世界に自分が入り込んでいくのが分かる。
難しく退屈なもの(だから?)なのに、こんな反応をしてしまう。
言葉に追い抜かれないように、私は頑張った。
- 226 名前:印象に残る言葉 投稿日:2003/10/10(金) 13:56
- 『自嘲』
『慟哭』
- 227 名前:わからないからこそ 投稿日:2003/10/10(金) 13:57
- 聞き慣れない言葉。
だからボヤ〜っとなる。
具体的にどんな状態かはっきりしない。
もういいやって思いたくなるんだけど、何かあるような気がして、だから頑張った。
- 228 名前:裏と表とその間 投稿日:2003/10/10(金) 13:58
- たとえばねぇ・・・・
『最悪』
『最高』
こんな感じで、針が最大値を指している言葉なら分かりやすい。
でも、そうじゃないと、その感覚は自分で補っていくしかない。
そんなことを言われても、私の表情なんて数えるほどしかない。
その組み合わせだけで説明できるのかな?
- 229 名前:青春 投稿日:2003/10/10(金) 13:59
- いつしか私は自分で文字を追い、話を組み上げていった。
嫌でも耳に入る先生の声が、酷く邪魔になってくる。
それでも次々に浮かんでくるのは、ちゃんとした物語の世界だ。
見ていてスカッとするようなものではないけどね。
- 230 名前:午後の授業 投稿日:2003/10/10(金) 14:01
- 物語の主人公は私とは全くの別人で、その人にしか分からないものを抱え、生きる。
そこには私が入り込む余地も、一体化する余地もない。
ただ、起こることを私に置き換えて、見て、感じるだけだった
────
──
─
- 231 名前:本当の始まり 投稿日:2003/10/10(金) 14:02
- とにかく、最初の出会いはそんな感じだった。
- 232 名前:訂正 投稿日:2003/10/11(土) 10:28
- >>212
Q,なぜ李徴は虎になったか
A,自己を飼い慣らすのに失敗したから
李徴の性格は、まず、自分に対する自信が第一にある。
学業の成績などで自分が優秀なことを自認し、それを信じている。
孤立を好み、他人との協力を嫌った。
自分に力があり、それを十分に生かすことを一番に考える。
そのため、一人で考え、一人で行動するべきという考えを持つに至る。
それ以外のことには、苦手でも嫌いでもなく、ただ興味を失っていった。
協力してしかできないことはしたくないし、しなくてもよいと考えた。
このような感情は誰もが持つもので、人間が抱えた猛獣であると言える。
それを飼い慣らすのが人間である。
李徴はそれに失敗した。
ならば、それは人間でなくてもよい。
それを発狂という自覚によって虎になった。
- 233 名前:訂正 投稿日:2003/10/11(土) 10:29
- >>213
Q,なぜ飼い慣らすことに失敗したのか
A,臆病な自尊心と、尊大な羞恥心のため
李徴は自分の力を信じていた。それが自尊心である。
しかし、それは肯定という強い力ではない。
その力が、実はたいしたことがないのではという恐れをから起こる自尊心であった。
そのため、優れた人との交わりを避け、自分の力を他人の評価から守った。
そうして優れたものから守っただけの自己の力でも、当然、李徴は信じている。
優秀であると信じなくてはならず、そうでないことを知られるわけにはいかない。
それが羞恥心である。
そのため『凡庸なもの』つまり、仲間と交わることも避けた。
自分の凡庸さが露見してしまうのではないかという理由で。
自己を飼い慣らすのには『他者』が必要である。
この二つによって『他者』は阻害され、解決できる問題は解決されなかった。
李徴は人間ではいられなかった。
- 234 名前:変身 投稿日:2003/10/11(土) 10:31
- >>231より続き
目が覚めると、虎になっていた。
そんな重大な異変にも、意外と気がつかないもんだね。
といっても、話が飛躍し過ぎているからしょうがないと私は抗議したい。
とにかく! 目が覚めた時の話からね。
- 235 名前:感覚の変化 投稿日:2003/10/11(土) 10:32
- 目を開けると、薄っすらと明るい。
綺麗なのかも知れないけど、この時間が私の一日の中で一番めんどくさい。
仕方ないので起きる準備をしていた時、仰向けの姿勢から上手く起き上がれなかった。
片手を後ろについて体を支えようとするが、どう考えても自分の腕の尺が足りない。
髪が顔にまとわりつかない。
確かに大きな鼻だと思うけど、やけに視界に入ってくる。
いろいろ変だとは思ったんだけどね。
- 236 名前:綺麗な色 投稿日:2003/10/11(土) 10:33
- 必死で自分の体を眺めてみる。
それさえも首が思うように動かないので、一苦労。
でも、結果ははっきりしたみたい。
暗がりでも分かる、黄色地に黒の縞模様。
虎だ。
- 237 名前:妥当な意見 投稿日:2003/10/11(土) 10:34
- 意外にも冷静な私。
・・・・・・・・いや・・・・寝起きで頭が回っていないだけだ。
夢・・・・そう! そうに違いない!!
とにかく、もう一眠りしておこう!
そうすれば・・・・・・・・
「真希ぃー! いつまで寝てんの!!」
- 238 名前:いいわけ 投稿日:2003/10/11(土) 10:34
- やばい!
夢だろうがなんだろうが、この状況はまずい。
これを見て冷静な人間は、当事者の私くらいだろう。
「疲れてんだから少しは寝させてよ〜 どうせ休みなんだから〜〜」
- 239 名前:続く混乱 投稿日:2003/10/11(土) 10:35
- やや芝居がかった眠たそうな声。
お母さんは呆れたのか、それっきり何も言わなくなった。
言葉はちゃんと話せるんだね。
ますます混乱しそう。
- 240 名前:アイドルの虎 投稿日:2003/10/11(土) 10:35
- 目が覚めて一時間。
状況は変わらず。
整理しよう。
頭の中は後藤真希だ。
声も後藤真希。
新曲だって歌える。
ただ、体は虎だ。
構造上、新曲はやはり無理だろう。
- 241 名前:ポジティブ 投稿日:2003/10/11(土) 10:36
- 姿見を覗き込んでも変わらない。
ただ、自分で言うのもなんだけど、けっこう締まった体だったから、この脇腹の無駄のなさとか、前足の張り具合とか、きっとその辺りが他の虎と比べてセクシーなのかな?
- 242 名前:嘘 投稿日:2003/10/11(土) 10:36
- 虚しい。
- 243 名前:人間の叡智 投稿日:2003/10/11(土) 10:38
- とにかく、元に戻らないと!
こういう時は、まず冷静になることが一番大事だ。
考えろ。
自分が朝起きたら虎になっていた。
考えろ。
どうする? どうしたらいい?
- 244 名前:呪泉境 投稿日:2003/10/11(土) 10:40
- ・・・・・・・・・お湯を・・・かぶる?・・・・・・・・
- 245 名前:しょうがない 投稿日:2003/10/11(土) 10:41
- 駄目だ。
情けないことに、これが私の限界だった。
- 246 名前:猫とか 投稿日:2003/10/11(土) 10:42
- そのままさらに三十分。
いい方法は全く見つからない。
イライラすると尻尾がピクピクする。
それがまた、私をイラつかせる。
- 247 名前:焦って考えても 投稿日:2003/10/11(土) 10:43
- 落ちつけ。
原因があるはずだ。
そうに決まってる。
何か悪いことをしたか? 何か悪い物でも食べたか? 狐の祟り?
どうすんだよ!! 何にも思いつかないぞ!!
- 248 名前:そうか! 投稿日:2003/10/11(土) 10:43
- ・・・・これぞトラブル・・・・
- 249 名前:そうだ! 投稿日:2003/10/11(土) 10:43
- 私の『大丈夫、やる気次第』って曲に乗せて思いついたことがこれだった。
- 250 名前:それはそれぐらいにして 投稿日:2003/10/11(土) 10:44
- 苦労してノブを回し、首だけドアから出してみる。
家の中は静まりかえって、物音一つしない。
「おね〜ちゃ〜ん?」
返事はない。
- 251 名前:行動開始 投稿日:2003/10/11(土) 10:45
- となると、誰もいないということになるか・・・・
でも、起きてないだけで寝てるのかも。
でも、そんなことを考えてたら動けないし・・・・・・・・
あと、お腹が空いたということも手伝い、恐る恐る部屋を出た。
- 252 名前:異世界 投稿日:2003/10/11(土) 10:45
- どうしたって四つん這いで歩かなきゃいけないから、見える世界はまるで違った。
不思議というか、当たり前というか、視線が地面に近いぶん、安定感のある走行だった。
ただ、階段はほとんど直角で降りる感じだったので、格好悪いけど、後ろ足からを降りることにした。
- 253 名前:食事の場面 投稿日:2003/10/11(土) 10:46
- リビングに着くと、お母さんが用意してくれていった朝食が並んでいた。
「いただきまーす」
なるべく普通を装うのは、そうすれば元に戻るんじゃないかって期待を込めているから。
当然何も起こらず、とにかく神経を使って食べた。
- 254 名前:食べるだけならともかく 投稿日:2003/10/11(土) 10:47
- 箸は当然使えない。
フォークも無理だ。
歯と舌だけでは綺麗にとはなかなかいかず、何とか机には零さなかったものの、やっぱり食い散らかした後という感じになる。
- 255 名前:難産 投稿日:2003/10/11(土) 10:48
- 舌を使って一つ一つ口に運ぶ。
箸を使ったって面倒なこの作業を、舌だけでやろうとしている。
それに、今の自分の手(というか前足)は、茶碗を抑えるという仕事を上手くこなせない。
漸く食事を終えた時には、疲れてお腹が空いたような気がした。
- 256 名前:食後の運動 投稿日:2003/10/11(土) 10:48
- 食事を終えると、普段ならリビングでゴロゴロというはずだった。
そんなにすぐは動けないし、家族とだらだら話すのはいいものだから。
しかし、虎となってはやや状況も違う。
一目散に自分の部屋に戻った。
階段をロッククライミングしながら。
- 257 名前:他人の部屋 投稿日:2003/10/11(土) 10:49
- 再び戻って来た自分の部屋は、まったく違うものに見えた。
机の上とか、物置の上の壇とかは見えない。
自分の部屋の一部しか私の自由にならない気がして、それだけでストレスだ。
- 258 名前:3倍 投稿日:2003/10/11(土) 10:50
- ベットに乗る。
ショックなくらい大きくきしんだ。
あのスレンダーな後藤さんはどこへ?
一瞬かわいいと思った尻尾だけど、やっぱりいらない。
- 259 名前:普段の私 投稿日:2003/10/11(土) 10:52
- とにかくイライラするのはよくない。
目線はいつものように、読み散らかした本や、使い慣れたプレーヤー、攻略中のソフトが入ったままのプレイステーション2にいった。
- 260 名前:人間っていいな 投稿日:2003/10/11(土) 10:52
- やろうと思えばできる。
意識が自分なら、どんなものに変身しようと、体を動かせる限りはできるだろう。
でも、普段以上に時間がかかるだろうし、そのことに気づかされて、きっとイライラするだけだろうから。
何もしていない今だって、もう嫌になっているくらいだから。
- 261 名前:余裕ないね 投稿日:2003/10/11(土) 10:53
- とすると、やることは一つ。
さっさと元に戻ろう。
- 262 名前:小さなひかり 投稿日:2003/10/11(土) 10:53
- 考えて考えて、焦って焦って、それに疲れた頃、ふと思いついた。
そういえばどこかで見たような・・・・聞いたような・・・・
- 263 名前:思い出の分類 投稿日:2003/10/11(土) 10:54
- そんなにしっかりと残っているわけじゃない。
ということは、モーニング娘。とか、楽しいこととか、そんなのに関係した記憶ではない。
それ以外で『虎』に触れたことがあったような・・・・・・・・
そんなもんあるか?
- 264 名前:思い出す 投稿日:2003/10/11(土) 10:54
- ────────
───高校───
途中で辞めたけど,ちゃんと通ってたし、嫌いじゃなかった。
- 265 名前:頭の隅から 投稿日:2003/10/11(土) 10:55
- ─────────
──国語の授業──
わりと好きだった。
少なくとも、何を言いたいのか分かるから。
- 266 名前:零れ出た記憶 投稿日:2003/10/11(土) 10:56
- そんな中で触れたもの。
虎になる話。
知らないうちに、ぽつりと言葉が洩れた。
そうだ・・・・私、知ってるよ。
- 267 名前:押し入れたもの 投稿日:2003/10/11(土) 10:57
- 片付けが得意じゃない。
めんどくさいから、まとめて押入れに閉まってある。
探す時は大変だが、どんな物でも捨てられずに残っている。
だから、根気さえあれば何でも出てくる、嘘みたいな空間だ。
首だけを突っ込む形で漁り回ったところ、運良く発見できた。
綺麗なままの国語の教科書。
- 268 名前:虎と人間の違い 投稿日:2003/10/11(土) 10:57
- 前足になってしまった手で何とかページをめくる。
虎にそんなことができるわけないと私も思ったのだけど、私は私だ。
虎だってやろうと思えば餃子ぐらい作るだろう。
もっとも、そんなことを考える虎はいない。
だからできないだけなんだよね。
- 269 名前:読書の秋 投稿日:2003/10/11(土) 10:58
- そんなに長くないものだし、一回読んで知ってるから、流し読みをする。
それでもページをめくるのは苦労したけど。
- 270 名前:あのとき 投稿日:2003/10/11(土) 10:58
- そうだったね。
思い出してきた。
初めて読んだ時のことを。
確か学校で先生が授業の最初に読んでいたっけ。
ページを抑えていた前足を外した。
本はゆっくりと元の形に戻り、パタンと閉じた。
- 271 名前:あの私 投稿日:2003/10/11(土) 10:59
- そうすると、初めて読んだ時からあまり変わってない自分に気がつく。
いつだってそうだ。
色々感じることはあるんだけど、それが上手く言葉にならないんだ。
だから、自分の中に上手に残しておくことができない。
残していれば、その上にいろいろ考えることもできたのに・・・・
- 272 名前:モーニング娘。 投稿日:2003/10/11(土) 11:00
- どこまでいっても話の中の世界で、私には関係ないことだった。
でも・・・・今は自分のことだね。
結局、あの時からスタートでもしょうがないか。
元に戻るためには。
- 273 名前:二人と一人 投稿日:2003/10/11(土) 11:00
- ・・・・・・・・李徴って人はいいよね、話を聞いてくれる人がいてさ・・・・・・・・
- 274 名前:愚痴でもある 投稿日:2003/10/11(土) 11:01
- 私は一人で考えなきゃ駄目なんだ。
どんなに辛いことでもさ、全部自分に突き刺さっちゃうよ。
ああやって友達の袁慘に話すのはさ、半分は自分のためなんだよね。
誰かに聞いてもらえれば、辛い事実は全て自分に返ってこないからさ。
でも、やらなきゃ。
分かってるよ・・・・
- 275 名前:虎の正体 投稿日:2003/10/11(土) 11:02
- 私は力なく寝そべった。
私もそうなのかな・・・・・・・・
そうなんだよね、きっと。
私にもきっと、そうなる原因があったってことでしょ?
- 276 名前:孤立 投稿日:2003/10/11(土) 11:02
- 自分でもとっつき難い人間だと思う。
自分から話しかけるわけでもないし、話しをすれば面白いという人間でもない。
だから?
- 277 名前:心の孤立 投稿日:2003/10/11(土) 11:02
- ・・・・違うね・・・・
それは外見上のこと。
虎になるのは、虎の心をもっているから。
私が一人なことが多いのは、社交性とかそんなんじゃなく、自分の中身がそうだから。
- 278 名前:私の性格 投稿日:2003/10/11(土) 11:03
- 一人が好き?
みんなが苦手・・・・・・・・こっちの方がしっくりくるな。
それはみんなに理由があるわけじゃない。
自分がみんなに入っていくのが苦手だから。
それが分かってるから行かないんだ。
一人なのは誰のせいでもなく、自分のせい。
- 279 名前:独裁者でもできないこと 投稿日:2003/10/11(土) 11:04
- それなら解決方法は簡単。
自分が変わればいい。
構造的なものじゃなくて、自分が変わればいいだけだから。
世界全てを変えるよりずっと簡単なこと。
でも、それが一番厄介なんだよな。
- 280 名前:甘えてるのかなあ 投稿日:2003/10/11(土) 11:05
- だって・・・・・・・・そういうの嫌なんだ。
わざとらしいから。
そんなことしなくても頑張っていればいいはずだよ。
みんな分かってくれてるはずだから。
- 281 名前:プライドだよ 投稿日:2003/10/11(土) 11:06
- それにさ、何もできなくて『ただ調子を上手く合わせてるだけ』というのがここにいる理由っていうのは嫌だから。
ここにいてもいい理由は望まれているから。
それがいい。
- 282 名前:それが孤立? 投稿日:2003/10/11(土) 11:06
- だからわざと仲良くしなくったって大丈夫・・・・・・・・
でも・・・・それって私だけがそう思ってるのかなぁ?
違うよね!
みんな分かってるよね!!
- 283 名前:みんなのやりかた 投稿日:2003/10/11(土) 11:07
- じゃあ、みんなは何で・・・・・・・・
分かってるの?
そういうの知ってて、みんなそうしてるの?
- 284 名前:やっぱり 投稿日:2003/10/11(土) 11:07
- 『羞恥心』なのかなあ・・・・
わざとらしいって理由だけで避けるのって『羞恥心』なのかなぁ・・・・
でも違う!
だって私はみんなと一緒にやってきたし、自分の中になんか篭もったりしてない。
みんなで一緒に・・・・・・・・
- 285 名前:忘れたかったこと 投稿日:2003/10/11(土) 11:08
- ・・・・それって自分が中心にいたいから・・だったよね・・・・
たしかそう考えてたよね。
ね、後藤真希。
- 286 名前:知られたくなかったこと 投稿日:2003/10/11(土) 11:09
- だって、みんなそうじゃん!!!!
やっぱり目立ちたいでしょ?
なんだかんだ言ったって、見てる人はそれでしか判断してくれないじゃん。
だから梨華ちゃんはチャーミーなんだし、辻はお腹空いてるんでしょ!!
私だって負けてるわけにはいかないじゃん。
なのに、なんで私だけ・・・・
- 287 名前:駄目な私 投稿日:2003/10/11(土) 11:09
- ・・・・競わなかったから?
みんなは動していく中で見つけたことだから?
私はモーニング娘。に入る前と変わらずに、自分の中に篭もったから?
見つけてもいないし、変わってもいない。
みんなといても、近くにいるだけで交わろうとしなかったから?
- 288 名前:救世主なんていらなかった 投稿日:2003/10/11(土) 11:10
- 私には、李徴さんみたいに才能なんてない。
それなのになんで?
先生もつんくさんもやぐっつあんも圭ちゃんもよっすぃーもなっちもお母さんもみんな言ってくれたじゃん!
「後藤らしくていい」って!!
それは後藤を虎にするためだったの?
私は・・・・・・・・
- 289 名前:でも、分かってるんだよ 投稿日:2003/10/11(土) 11:11
- 違うよ。
みんなは悪くないよ。
『後藤らしく』っていうのは確かに本当だった。
それっていいことだ。
- 290 名前:認めたくなかったこと 投稿日:2003/10/11(土) 11:11
- 駄目なのは後藤だね。
『後藤真希』っていう奴の正体が虎だったから。
みんなが応援してくれたものが、そんなものだったんだよ。
正体そのものが間違ってたんだ。
- 291 名前:行き止まり 投稿日:2003/10/11(土) 11:12
- 私がもっと上手くやってれば・・・・
もっとすばらしいものを見つけていれば・・・・
みんなが望むものだけを手にしていれば・・・・
そうすればよかったんだね。
- 292 名前:虎 投稿日:2003/10/11(土) 11:12
- 必要なのは『後藤真希』だけでよかったんだよね。
私はいらないんだ・・・・だって、私は虎だから。
- 293 名前:時間の流れ 投稿日:2003/10/11(土) 11:13
- ──────────
────────────────────
- 294 名前:始まり 投稿日:2003/10/11(土) 11:13
- 目を開けると、カーテンの隙間から見える光は真っ赤だった。
時計を見ると、午後の五時。
綺麗なのかもしれないけど、私が一番疲れる時間。
私の手は私の手で、私の顔は私の顔だった。
- 295 名前:始まり 投稿日:2003/10/11(土) 11:13
- 「なんだ・・・・」
- 296 名前:普段の私 投稿日:2003/10/11(土) 11:15
- 体を起こして真っ直ぐ立つ。
まったく違和感のない部屋だった。
階段を降りて、台所に着いた。
大きめのコップいっぱいのお茶を一息に飲み干す。
体は望んでいなかったけど、自分の中はすっきりした。
- 297 名前:私の顔 投稿日:2003/10/11(土) 11:15
- ついでに鏡も覗き込んでみた。
寝癖が酷い。
寝癖が酷い後藤真希だった。
- 298 名前:自分の部屋 投稿日:2003/10/11(土) 11:16
- 部屋に戻る。
階段は大変なことなんてない。
ベットに腰掛ける。
見渡す全てが私の自由になるものだ。
でも何もしないで、ただボーっとしていた。
- 299 名前:虎と後藤真希 投稿日:2003/10/11(土) 11:17
- 私は虎になれなかった。
虎のように綺麗な黒と黄色の模様は私にはなかった。
虎のように気高い精神は私にはなかった。
虎のように強い意志は私にはなかった。
虎のように強い情熱は私になかった。
私は虎にもなれなかった。
『後藤真希』をやれってさ・・・・
- 300 名前:情熱 投稿日:2003/10/11(土) 11:17
- 「まだまだだね・・私も」
- 301 名前:後藤真希の正体 投稿日:2003/10/11(土) 11:18
- 自分の手を見つめる。
でも、私の中には何もなくなんてなかった。
虎の欠片がある。
プライドも力もあった。
あと不安も、臆病も、羞恥も、力不足も、昔の自分も、自分を信じきれない弱さも、たくさんのできないことも。
- 302 名前:決意 投稿日:2003/10/11(土) 11:19
- そのどれかが、いつか私を飲み込んでしまうのかな?
だったら力がいいな、自信がいいな、私は何かになりたいな。
私は虎になりたいな。
月が一番似合う虎になりたいな。
- 303 名前:自分の部屋で 投稿日:2003/10/11(土) 11:19
- そんなことを考えた。
- 304 名前:私の話の結末 投稿日:2003/10/11(土) 11:20
- 月に吠える代わりに、自分の歌を口ずさんでみた。
- 305 名前:さんげつき 投稿日:2003/10/11(土) 11:21
- 主演 後藤真希
- 306 名前:終了です 投稿日:2003/10/11(土) 11:28
- ミスは数え切れないほど。削除とかもありましたし。
最後にもう一度。
着想・参考・引用 『山月記』 著・中島敦
自分なりに理解して書いたつもりです。
元に戻ってしまうのは、後藤さんだけじゃなく、この話も完全ではないということです。
そういうのを抱えて頑張りましょうということですね。
- 307 名前:終了です 投稿日:2003/10/11(土) 11:39
- ノノ*^ー^) <絵里の番です。
悩むことだってありますよぉ。
一番最近にできたものです。週が明けた頃に予定してます。
- 308 名前:余計なミスを・・ 投稿日:2003/10/11(土) 11:42
- >>307 『終了です』→『三話予定』です。気が抜けてました。
- 309 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/12(日) 09:18
- おもしろいです。
なんだか読み終わったときには不思議な空間が漂ってました。
次も期待してます。
また後藤主演の話を書いてくれると嬉しいなー。
- 310 名前:ありがとうございます 投稿日:2003/10/14(火) 13:37
- >>309 名無し読者さん
結局理由は、はっきりしなかったですからね。
そういうことに自分なりの解釈をつけるって感じでいいと思います。
この後藤はああしたけれど、読んでる人は違って構わないわけですから。
主演は・・上手く浮かんだら挑戦してみます。
- 311 名前:神学論争(亀井学派) 投稿日:2003/10/14(火) 13:42
- 論者 亀井絵里
- 312 名前:序論 投稿日:2003/10/14(火) 13:42
- 神様。
それってどんなものって聞かれた時、私はあれを思い出す。
たぶん、どんな人の頭の中にも浮かんでくるやつ。
白い服を着て、長い髭で、わっかをのせた。
そして私の場合、てっぺんはげのあの人。
- 313 名前:数年後の本論 投稿日:2003/10/14(火) 13:43
- それから私は大人になった。
立派な中学生だ。
先生曰く『もう大人』だ。
そんなことが嘘であることぐらい分かるほど大人になった。
- 314 名前:新機軸 投稿日:2003/10/14(火) 13:44
- 全知全能。
いつどこで聞いたか覚えていない。
神様についての新情報。
- 315 名前:イメージ 投稿日:2003/10/14(火) 13:44
- 全知全能。
なんでも知っていて、なんでもできる。
すべてのものであって、すべてのものである。
そんな意味だ。
- 316 名前:混乱 投稿日:2003/10/14(火) 13:45
- それを聞いてから、私は神様をイメージできなくなった。
- 317 名前:畏怖 投稿日:2003/10/14(火) 13:47
- すべてであるなら人間の格好なんてしないのではないか?
人間がそんなことを考えていることを神様は知っているに違いない。
全知だから。
それなら、私が意識を伸ばせるようなものではないのではないか?
- 318 名前:人類の神様 投稿日:2003/10/14(火) 13:48
- 私の考えている言葉と違う言葉が世界にはある。
フランス語、関西弁、バスク、エスペラント。
そのすべてに存在している神様。
日本語しか知らない私に、そんなものが分かるはずないんじゃないかな・・・・
- 319 名前:発展する思想 投稿日:2003/10/14(火) 13:49
- そんなことに思い当たっていた。
でも、そんなふらふらしたものでは済まなくなってしまった。
はっきりとした答えのようなものが見えてしまったからだ。
- 320 名前:神隠し 投稿日:2003/10/14(火) 13:50
- 神様の絵が消えていたことだ。
- 321 名前:身の回りの存在 投稿日:2003/10/14(火) 13:51
- 小さいころに読んだ本や、現在小さい子が見る本にも、神様はいる。
例のお爺さんで、杖を振りかざして活躍している。
でも、ふとその姿を見なくなった。
そんなことを意識して探してみるけど、見つかりにくかった。
神様は子守りで忙しいのだろうか?
- 322 名前:ぼんやりとしてきた 投稿日:2003/10/14(火) 13:51
- そのシーンは、真っ白な光の絵になったり、宇宙空間になったり、声だけになったり。
じゃあ、その声優は誰?
漫画でも、本の挿絵でも、本の中身でも。
ますます正体不明になっていた。
- 323 名前:神仏創造 投稿日:2003/10/14(火) 13:52
- きっと、みんな同じなんだろうな。
誰でも大人になると分からなくなるんだ。
神様の形。
だから、そんなふうに感じるところの・・自分のイメージをそこに書くしかない。
でも、そのイメージすらないから、そんな姿になってしまっているのだろう。
- 324 名前:人類皆兄弟 投稿日:2003/10/14(火) 13:53
- 人間のイメージする全知全能。
それが光だったり、宇宙だったりする。
私は、違うともそうだとも言えなかった。
でも、気持ちは分かるような気がする。
私の中のイメージも、みんなとある程度同じなんだなあ・・・・
- 325 名前:終末っぽさ 投稿日:2003/10/14(火) 13:54
- それって人間の限界なんだろうか?
私だけじゃないところを見ると・・・・やばいなあ。
考えるほど、これが答えっぽくなってきた。
- 326 名前:この矢印の通りお進み下さい 投稿日:2003/10/14(火) 13:55
- 無神論。
神は無いという例のやつだ。
私はそれになった。
ならざるを得なかった。
- 327 名前:行き止まりを越えて 投稿日:2003/10/14(火) 13:55
- 分かんないなら放っておけばいい。
でも、ここまできたら納得するようなものが欲しい。
そんなふうに思って、私なりに頑張ってみた。
- 328 名前:結論 投稿日:2003/10/14(火) 13:56
- 『イメージすらできないものは信じられない』
私の結論はこうだった。
- 329 名前:素直な感想 投稿日:2003/10/14(火) 13:56
- うん。
納得できた。
神様はいるかどうか分からない。
いるとしても、少なくとも私に分かるようなものじゃない。
- 330 名前:現在の亀井絵里に至る 投稿日:2003/10/14(火) 13:57
- すっきりはしないけど、そんなものだって思った。
それでいい。
それで再び私は安定した。
- 331 名前:移動車 投稿日:2003/10/14(火) 13:58
- 目の前のガラスには私の顔が映っていた。
流れる景色からそっちにピントが移っていた。
移動の車の中は静かで、ちょうどみんなの雑談のエアポケットに入っていた。
- 332 名前:夢の生活 投稿日:2003/10/14(火) 13:59
- 窓際の席でぼんやりとしていた。
ヘッドフォンの音楽は新曲で、何度目になるだろうか、リピートされ続けている。
- 333 名前:その中での生活 投稿日:2003/10/14(火) 14:00
- 嫌になったとかそういうわけじゃなく、不意に飽きた。
自分が覚えなきゃいけない曲だとしても、今はもういいかな・・・・
スイッチを切ると、ヘッドフォンを外す。
他にすることといっても、窓の外を見るくらいしかないんだけど。
- 334 名前:モーニング娘。 投稿日:2003/10/14(火) 14:02
- 「・・亀井はどう思う?」
その行動が会話に入る合図ととられたのだろうか、石川さんがそう声をかけてきた。
「え、何がですか?」
そんな感じで、私は何度目かの他愛もないおしゃべりに参加した。
- 335 名前:ずいぶん前のこと 投稿日:2003/10/14(火) 14:03
- モーニング娘。になれた。
最終候補は三人だった。
その前のオーディション合格者は四人だったから、今度こそ一人だけだと思っていた。
結果は三人合格。
うれしかったなあ。
- 336 名前:こうなると邪魔者 投稿日:2003/10/14(火) 14:04
- で、私の中にまた顔を出したやつがいた。
神様。
しつこいな! 分からないって言ってるのに!!
- 337 名前:こんなふうに囁く 投稿日:2003/10/14(火) 14:06
- 受かったのはなぜ?
実力・・・・とは言えないな。
これは実力がまるでないからじゃない。
選ぶ側から見た私の評価なんて、私には分からないからだ。
力があったのは間違いない。
でも、それがどんなものかは分からないから、自分で『実力だ』とは言えない。
- 338 名前:だから言ってやる 投稿日:2003/10/14(火) 14:06
- じゃあ、神様?
だから・・・・そうじゃないって!
神様は私の中でイメージできなくなった。
だから、それが助けてくれたなんて思えない。
- 339 名前:それで足りないなら 投稿日:2003/10/14(火) 14:07
- それに、神様の役目そのものが変わってきちゃった。
昔の、私の願いを聞いてくれるものじゃなくなった。
私の願いとか小さなものじゃなくて、それを含んだすべてというものになったから。
- 340 名前:おばけがでるぞ 投稿日:2003/10/14(火) 14:08
- なんだろう・・・・
個人的な願いをかなえたりするものじゃなくて、もっと全部、すべてを支配している。
ちょっと恐くて、不気味で。
そんなものになってしまったから。
- 341 名前:発言者亀井絵里 投稿日:2003/10/14(火) 14:09
- 「運がよかったんですよ」
そんなふうに答えた。
話題は『自分がモーニング娘。になれた理由』というものだ。
- 342 名前:みんなの感じ方 投稿日:2003/10/14(火) 14:11
- 「でもさ、ほんとに分かんないよね。つんく♂さんってどう決めてるんだろ?」
石川さんが少し真面目な顔で言った。
「ロックとか言ってますよね。よく」
高橋さんは『バレエが目についたから』らしい。
それは結構核心だと思う。
私にもはっきりした理由があればなあ・・・・
- 343 名前:参考意見 投稿日:2003/10/14(火) 14:12
- 「ようするに、気合いでしょ?」
吉澤さんは『私の男っぷり』とのこと。
初めは違った意味だったような気もしますけど・・・・
「そうだね。やる気が一番だと思う」
飯田さんはモーニング娘。の前から選ばれてたからなあ・・・・
- 344 名前:身の引き締まる時間 投稿日:2003/10/14(火) 14:13
- 今日のコンサート会場に着いた私達は、早速リハーサルを始める。
だいたいの流れを通しながら、練習の少なかった曲を重点的に確認する。
マイクで響く先生の声を注意しながら、何回か踊り、何回か止まる。
それでも順調な方で、細かな点の注意で終わった。
- 345 名前:本番の鼓動 投稿日:2003/10/14(火) 14:14
- 「六期、ちょっと!」
舞台に上がってきた先生から最後の確認を受ける。
動きの確認と、気合いや大胆さなどの精神的なこと。
「・・分かった? だいたい出来てるから、自信持ってやること」
「「「「はい」」」」
それで本当に解散になった。
- 346 名前:抜けてる私 投稿日:2003/10/14(火) 14:16
- 「あっ、タオル・・」
置きっぱなしのやつを拾いにいった。
自分のいた場所に忘れてきたらしい。
さて、この後は着替えか・・・・
早足で楽屋に戻る。
- 347 名前:私を置いて逃げて! 投稿日:2003/10/14(火) 14:17
- ステージ裏にはさゆ達がいた。
やっと追いついた。
「待っててって言ったじゃん!」
「だって遅いんだもん。何してたの?」
「タオル忘れた」
首からぶら下がってるのを摘み上げた。
- 348 名前:足元注意 投稿日:2003/10/14(火) 14:18
- 暗がりに加えて、建て込まれたセットの裏はごちゃごちゃしている。
その上、段差も多くて・・・・
「わっ!!!!」
突然藤本さんの体が沈んだ。
咄嗟に伸ばした手と、何かを掴もうとした藤本さんの手が、運良く合わさった。
その勢いにつられて私も倒れそうになるが、二人でどうにか踏みとどまる。
- 349 名前:私にかまわず行って! 投稿日:2003/10/14(火) 14:19
- 「藤本さん、大丈夫ですか!?」
れいな・・それって私のことは心配してないってこと?
「大丈夫。それより、亀井ちゃん大丈夫?」
藤本さんはこっちを振り向いてそう言った。
- 350 名前:啓示 投稿日:2003/10/14(火) 14:19
- ──ドラマなら恋愛の始まりだね──
- 351 名前:光 投稿日:2003/10/14(火) 14:20
- 一瞬、何も分からなくなった。
それはどこから聞こえたんだろう・・・・
もちろん、藤本さんの口だろう。
私にしか聞こえない大きさの声だったけど、確かに唇が動いたから。
でも、自分の中から聞こえたような気もした。
- 352 名前:神に至る道 投稿日:2003/10/14(火) 14:21
- 自分の中?
─そうだよ─
誰だ?
─分かんないかな、神様だよ─
だからもういいって!!
─チャンスだよ、知りたいんでしょ? 私の正体?─
- 353 名前:大いなる一歩 投稿日:2003/10/14(火) 14:22
- 私は振り向いた。
自分の中に向かって。
- 354 名前:亀井絵里 投稿日:2003/10/14(火) 14:22
- 「そうだよ。やっと気付いてくれた?」
そこには白いローブを着てわっかを乗せた私が立っていた。
- 355 名前:祈り 投稿日:2003/10/14(火) 14:23
- キリスト様。
あなたに救われてる人は、二千年ほど経った今でもたくさんいます。
アラー様。
砂漠に生まれたあなたの戒律は今でも生きて、世界と人間を創ってます。
仏陀様。
神ではなく、人間があるがままに世界を理解するべきという考えは素晴らしいです。
- 356 名前:それと共にあるもの 投稿日:2003/10/14(火) 14:26
- でも、違うんです。
そのすべてを受け容れてくれるものを見つけました。
- 357 名前:生意気な中学生 投稿日:2003/10/14(火) 14:27
- その神様は常に私の中にいます。
笑ったり、怒ったり、泣いたり。
私をそそのかしたり。
- 358 名前:その存在 投稿日:2003/10/14(火) 14:28
- 私の神様は私でした。
- 359 名前:思想的余地 投稿日:2003/10/14(火) 14:29
- 全知全能。
それはとても大きなものに感じて、イメージしきれなかった。
それはどんなものか分からず、形が分からなかった。
じゃあ、簡単。
変えればよかっただけなんだ。
- 360 名前:変わる世界 投稿日:2003/10/14(火) 14:30
- 全知全能って何?
それはすべて。
知っていることのすべて。
私が知っていることのすべて。
この世のすべてじゃなく、私の知っていることのすべて。
- 361 名前:オーダーメード 投稿日:2003/10/14(火) 14:32
- 私が考える『すべて』
それをすべてぶつけても平気な顔をしているのは私だけだから。
既にある神様は、既にいろんなことを決めている。
私がそれを分かるようにならなくては、少し難しいね。
既にある神様を感じることは。
- 362 名前:反論 投稿日:2003/10/14(火) 14:32
- 『すべて』なら『私が知らないこと』はどうなる?
それを含めないと『すべて』にはならないんじゃないか?
それが抜けてるんじゃ全知全能にはならないだろ?
- 363 名前:聞いてみましょう 投稿日:2003/10/14(火) 14:32
- どうですか、神様の亀井さん?
─知らないよ、そんなこと─
だそうです。
- 364 名前:すべてのこと 投稿日:2003/10/14(火) 14:34
- 私の神様は知らないことを含んでいる。
『すべて』の中に『知らない』も入ってる。
それですべて。
それが私のすべて。
私が創っている世界はそれで事足りる。
なんの不都合もない。
- 365 名前:改めて神学論争 投稿日:2003/10/14(火) 14:34
- 「藤本さんって、神様とか信じてます?」
「なに? 亀井ちゃん・・さっきので恋に落ちちゃったとか? 恋愛の神様のこと? 運命の神様のこと? 私とのこと?」
不思議そうに笑いながら、藤本さんはそう言った。
- 366 名前:亀井学派 投稿日:2003/10/14(火) 14:35
- 私の中で、白いローブを着た私が元気よく手を上げた。
- 367 名前:本当の結論 投稿日:2003/10/14(火) 14:36
- 藤本さんと肩を並べて楽屋まで。
この何時間か後にはコンサートだから。
- 368 名前:神学論争(亀井学派) 投稿日:2003/10/14(火) 14:40
- 参考資料 私の人生・モーニング娘。・仕事と環境・藤本美貴
論者 亀井絵里
- 369 名前:更新終了 投稿日:2003/10/14(火) 14:43
- 終わりました。
きっかけは『神様→亀様』という、殴られても文句を言えないようなものです。
このくらいの量でさくっと載せられたのは成功でした。
- 370 名前:予定 投稿日:2003/10/14(火) 14:53
- ∬∬´▽`) <小川麻琴です。
がんばりMAX!!
近日の予定ですが、少し時間がかかるかもしれません。
- 371 名前:個人的な願い 投稿日:2003/10/17(金) 13:49
- 主演 小川麻琴
- 372 名前:藤本美貴 投稿日:2003/10/17(金) 13:50
- 気がつくと、そこは自分の家だった。
いや、気がつくという感覚すら間違ってる。
気がつくというのは『突然分かる』という感じ。
今回は、そういう状況だということが自然に理解できた。
そんな感じだった。
- 373 名前:不確かな感覚 投稿日:2003/10/17(金) 13:52
- 『今日は一日休みだ』
そんなことに思い当たる。
なんだろう?
最初から知っていることを、順番に思い出しているような感覚だ。
- 374 名前:動き始める神経 投稿日:2003/10/17(金) 13:53
- 周りを見渡すと、見慣れた部屋。
おばあちゃんの実家だ。
薄暗い部屋と、柱に使われている木の感触が、そのことを思い出させた。
- 375 名前:内側からの補足 投稿日:2003/10/17(金) 13:54
- 何をしているかということに理由はない。
だって、これは私の夢だから。
- 376 名前:そういうことか 投稿日:2003/10/17(金) 13:54
- ─
──
そうか。
やっと分かった。
これは夢なんだ。
- 377 名前:翻弄 投稿日:2003/10/17(金) 13:55
- 突然変な感触に包まれた。
『ジェットコースターに乗った時のよう』と説明すれば分かるかな。
それまで普通だった感覚が全て無くなり『ふわふわ』しか感じなくなった。
- 378 名前:夢をみる 投稿日:2003/10/17(金) 13:56
- それにしても・・突然だな。
いくら夢といったって、そんなに突拍子もないことが起きるはずがなく、ストーリーみたいなものが薄っすらとあるはずなのに・・・・・
- 379 名前:口癖 投稿日:2003/10/17(金) 13:57
- ・・・・・・待てよ・・・・・・
- 380 名前:好奇心の代償 投稿日:2003/10/17(金) 13:58
- どうして私は自分の思う通りに考えてるんだ?
夢って自分が参加するんじゃなくて、かってに頭が考えたことが見えるだけだよね?
そう思ってしまったのが間違いだった。
そんなことに思い当たったのが間違いだった。
- 381 名前:前衛劇 投稿日:2003/10/17(金) 14:01
- 夢の中の藤本美貴は、その瞬間に完全に役目を放棄したみたいだ。
そこにいるのは現実の私。
『藤本美貴』だった。
- 382 名前:そんなの疲れるだけ 投稿日:2003/10/17(金) 14:02
- 「やれやれ・・・」
仕方なく、私は夢の中でまで動き回らなくてはならなくなった。
- 383 名前:生きているということ 投稿日:2003/10/17(金) 14:03
- とりあえず・・・・・ここはどこだ・・・・・?
ほらね。
自分でやるってことは、考えなくちゃいけないってこと。
だから面倒臭いんだ。
- 384 名前:場所 投稿日:2003/10/17(金) 14:03
- すぐに思い当たったのは、普段使ってるレッスン教室ということだった。
夢ならもっと現実感のない場所の方がいい。
夢の中でまで、これをやらせるつもり?
文句を言ったって、変わるものでもないけどね。
- 385 名前:登場人物 投稿日:2003/10/17(金) 14:04
- 「おはよう・・ございます」
道重ちゃんだ。
一瞬ふと考えた。
別に今やらなくても、起きたらどうせ同じことするんだから・・・・・
「おはよう・・」
二度手間でも、夢の中でも、挨拶は大事だということだろうね。
たぶん。
- 386 名前:この出会い 投稿日:2003/10/17(金) 14:05
- 「・・・・あの・・これって・・・・夢、ですよね・・?」
制服のままの道重ちゃんがそう言った。
「・・うん。私もそのつもりだった・・」
たぶん、私の夢の中に出演している道重ちゃんではないだろう。
そして、道重ちゃんにとっても、自分の夢の中での私ではないだろう。
普段仕事で会う時と同じ、その関係で間違いないと思う。
それぞれ独立した人間として、この夢の中で顔を合わせていた。
- 387 名前:言わば、プライベート 投稿日:2003/10/17(金) 14:06
- しばらくすると、絵里ちゃんと新垣ちゃんが入ってきた。
絵里ちゃんはステージ衣装、新垣ちゃんは水着だった。
「なんで・・」
「だって、温水プール・・・・」
やはり、それぞれ各自の夢から集められているんだ。
- 388 名前:SF 投稿日:2003/10/17(金) 14:06
- 夢の中の決まりごとというか、考えるだけで服装は変えられた。
練習用のジャージで新垣ちゃんも落ち着いたようだ。
加護ちゃんは看護婦で登場。
何をしてたんだろう・・・・・
- 389 名前:その基本的な知識 投稿日:2003/10/17(金) 14:07
- まあ、たぶん全員集合するんだろう。
勝手にそう決めたけど、たぶん間違ってないと思う。
- 390 名前:と、ルール 投稿日:2003/10/17(金) 14:08
- あと、実は現実だったなんていうオチはないみたいで、つねってみても痛くなかった。
けっこう貴重な体験だ。
「じゃあ・・飛び降りてみても大丈夫かな?」
亀井ちゃんが恐ろしいことを言った。
- 391 名前:解決方法 投稿日:2003/10/17(金) 14:15
- 「じゃあ、これは夢ってこと?」
集まったメンバーが騒ぐ中、私は梨華ちゃんと話し込んでいた。
「はっきりしない。ただ、現実では説明のつかないから、そうじゃないかって思うだけだけどね」
「確かに・・・・私の夢の中だったら、美貴ちゃんもっと優しいもんね」
いったい、私に何をさせているのか・・・・・
「でも、それだったら、この部屋は誰の夢なの?」
私にも梨華ちゃんにも答えは分からなかった。
- 392 名前:全員集合 投稿日:2003/10/17(金) 14:16
- 「あれ、何でみんないるの?」
飯田さんが最後に顔を出し、全員揃った。
矢口さんが分かっていることを手短に説明する。
「じゃあ、カオリのこと待っててくれたの?」
「まあね。たぶん全員揃ったから、これから何かあるんじゃない?」
安倍さんの言ったことは、みんなが感じていたことだった。
- 393 名前:あのひと 投稿日:2003/10/17(金) 14:18
- 最後に登場する人が『フフフ・・・・よく集まってくれたね』と登場するのだと思っていた。
が、そんな展開にはならないらしい。
となると、誰の夢でもないのか・・・・・
いや、メンバーの中の誰かでないというだけで・・・・・
あの人、三十路がストレスになってたのかなぁ・・・・・
- 394 名前:フライング 投稿日:2003/10/17(金) 14:18
- 一瞬、何かが部屋の真ん中で光った気がした。
窓の外に車が走る音が聞こえた。
外を見ると、確かに車も人も動いていた。
「あれ・・・・!」
愛ちゃんが指差した先にはいつもの時計がかけてあり、秒針が動いていた。
- 395 名前:限りなく現実 投稿日:2003/10/17(金) 14:19
- よく見てみると、それまで何となく部屋だと思っていた空間が、急にリアルになった。
たとえば、部屋の隅に置いてある招き猫とか・・・・・
「夢・・じゃなくなったのかな?」
加護ちゃんが隣のよっすぃーの肩を叩く。
何が嬉しいのか「痛くねー!!」と大はしゃぎだった。
- 396 名前:超重大発表 投稿日:2003/10/17(金) 14:20
- 扉が開いた。
ビクッと全員が反応する。
- 397 名前:説明会 投稿日:2003/10/17(金) 14:21
- 入ってきたのは男の人だ。
スーツを着て、片手に書類を持って、なんとも特徴を挙げ難い顔をしていた。
一瞬だけ映ったテレビ局のアナウンサーみたいな感じ・・かな?
「皆さん、お休みのところをすいません」
呆然としている私達の前に立つと、丁寧に挨拶をした。
- 398 名前:怖さ 投稿日:2003/10/17(金) 14:22
- 「・・・・誰?」
こういう時、矢口さんは本当に頼りになる。
辻ちゃんは私のすぐ隣で固くなっていた。
「それも含めてお話します。聞いて下さい」
- 399 名前:イメージが崩れる 投稿日:2003/10/17(金) 14:23
- 「私は・・・・説明が難しいのですが、天使のようなものをイメージしてください。正確には違うのですが、それが一番近いでしょう」
天使は書類を取り出した。
天使というより、役人みたいだ。
- 400 名前:強気な少女 投稿日:2003/10/17(金) 14:24
- 「まず、皆さんに謝らなくてはいけません。完全にこちらの手違いです。すいません」
「そういうのずるいよ。とりあえず謝っておけっていうの。ちゃんと本題から話してよ」
梨華ちゃんとは思えない鋭い言葉。
それにしても、本当に役人みたいだ。
- 401 名前:いよいよSF 投稿日:2003/10/17(金) 14:25
- 「失礼しました。あのですね、我々はあらゆる事象の因果律を管理する者です」
「インガリツ?」
梨華ちゃんの間抜けな声に、
「原因と結果の関係のことです。たとえば、風船に息を吹き込めば、当然膨らみますよね。この世界で『あたりまえ』と呼ばれているあらゆることです。でないと、膨らまなかったり、代わりに花が咲いたり、月が出たり・・・・要するに滅茶苦茶ってことです」
紺野ちゃんが少し興奮したように一息で説明した。
- 402 名前:人の手に負えないもの 投稿日:2003/10/17(金) 14:26
- 「そういうことです。ただ・・・・ただ、それが時にずれることがあるのです」
そんなこと言われてもねぇ・・・・・
「じゃあ、神様に頼めば・・・・」
「そんなものいません!」
天使の人はきっぱりと言った。
- 403 名前:同情と共感 投稿日:2003/10/17(金) 14:27
- 「困るんですよ、いつもいつも。人間はいつも私達に逢うとそれを言う。そんな万能なもの、いるはずないんですよ。私達は私達の仕事をしているだけなのに、いつもそんな理不尽なことで怒られて・・・・」
天使の愚痴はしばらく続いた。
それなら天使だなんて言わなければいいのに・・・・・
どんな仕事でも大変なんだなあ。
- 404 名前:人間の集中力 投稿日:2003/10/17(金) 14:28
- 「失礼・・・・そこで、ずれた因果律を直すのですが、こちらを直すとあちらがずれ、あちらを直すとこちらがずれ、と、きりがないんですよ。ほんとに」
「それで!!」
飯田さんが焦れたように声を荒げた。
私も、いいかげん集中が続かない。
- 405 名前:複雑さに反比例 投稿日:2003/10/17(金) 14:29
- 「・・・・そのシミュレーションを繰り返し、ここらで手を打つというか・・・・些細な変化となったことが確認できた時点で、因果律のズレを初めてあなた達の世界に現すという形を取っています。例えば、いつの間にか何か身の回りのものがなくなってるとか、そういったようなことぐらいのレベルです」
- 406 名前:あらゆる事態を想定して 投稿日:2003/10/17(金) 14:30
- 「些細な形・・・・じゃあ、幽霊とかそういうのも、そのずれってやつ?」
よく幽霊を見るという安倍さんが言った。
「全てではありませんが、そういう場合もあります」
「ほら! これが証拠だよ!! なっちが見た幽霊、本物だって!!!」
全てじゃないんですから、安倍さんが嘘をついているかもしれないという証拠でもあるんですけどね・・・・・
もちろん、私は何も言わなかったけれど。
- 407 名前:一応の主旨 投稿日:2003/10/17(金) 14:31
- 「帰っていいですか」
全く感情のこもっていない声。
飯田さんだ。
「すいません、もう終わります! で、今回はそれがあなた達に影響するものだということを伝えに来たというわけです」
既に興味を失っていた何人かのメンバーを除いて、全員がキレた。
- 408 名前:無理ないです 投稿日:2003/10/17(金) 14:32
- 「じゃあ何! 『そのうち身の回りでピンセットがなくなるかもしれませんよ』ってことを言いに来たの!! そんなことで私の睡眠時間を奪ったの!!!」
一際大きな声は飯田さんだ。
ちなみに飯田さんはタキシードで現れた。
何をしてたんだろう・・・・
モーニング娘。のメンバーを理解しようというのは無謀なのか・・・・・
「いえ・・・・それが、今回は些細というわけにはいかなくて・・・・」
- 409 名前:選択の自由 投稿日:2003/10/17(金) 14:33
- 話がややこし過ぎる。
「・・・・ですから、戦場や貧民窟では人が死ぬということは些細なことになります。実は、それがどんな形で現れるかということは、こちらで決めるものではないんですよ。あなた達人間が、何が些細であるかということを決めるわけです」
「じゃあ・・・・何が起こるの?」
「それはこの後すぐに分かります。ただ、それが何かの異常だと勘違いされないように、こうして警告に来たのです。あまり考えられないようことが起きても、それはこれが原因だということを覚えておいて下さい」
何が起きるか分からないのに、それに注意しろって言われても・・・・・
- 410 名前:それは、発想の限界 投稿日:2003/10/17(金) 14:34
- 「ちなみに、それは2週間で解除されます。今回は本当に特殊なケースなので、例外として説明にあがらせてもらいました。もう皆様に逢うこともないでしょう。それでは、時間を再び動かしますので、お仕事頑張ってください」
目の前が一瞬暗くなったかと思うと、すぐに目が開いた。
見慣れた自分の部屋の天井が見えた。
- 411 名前:矢口真里 投稿日:2003/10/17(金) 14:37
- 「・・・・ということは、嘘じゃないということだね」
圭織が真剣な顔でそう言った。
番組の収録で集まった私達は、今日の朝の出来事で持ちきりだった。
何しろ、私が楽屋に入っていくと「矢口さん、分かりますよね!?」と田中が興奮しながら話し掛けてくるというものだったから。
新しいメンバーとの話題ができたということが、いいことといえばそうなるかな?
「辻と石川は? それから、小川もいないね」
「まだ来てない。たぶん遅れるよ」
- 412 名前:サブリーダー 投稿日:2003/10/17(金) 14:38
- 仕方がない。
あの馬鹿、時間を元に戻すとき、律儀に止めてた分を進めやがった。
前日用意しておいたからいいものを、そうでなければ私も遅刻に違いない。
三人しか遅れてないのはたいしたものだ。
年下のメンバーの自覚に、少し嬉しくなった。
- 413 名前:話題 投稿日:2003/10/17(金) 14:39
- 「それで、その・・・・なんだっけ?」
「『些細なこと』でしょ」
「そう。それってどうなった?」
「さあ・・・・とりあえず、今いるメンバーに変わったことは起きてないみたい」
確かに、全員を見渡しても、特に何か変わった様子はないようだ。
- 414 名前:大丈夫だとのこと 投稿日:2003/10/17(金) 14:41
- 「となると、残り三人のうちの誰かってことか・・・・」
「だね。2週間って期限もちゃんと決まってるから、もう始まってるって考えた方がいいかもね」
「じゃあ、遅れてるのもそれが原因かな?」
「マネージャーが連絡取れたって言ってたから、大丈夫だとは思うけど・・・・」
- 415 名前:おなじみではあるけど 投稿日:2003/10/17(金) 14:42
- 「そろそろ準備してー!」
マネージャーの声が響いた。
「石川達はどうするんですか?」
「とりあえず、来たらすぐ行かせるから、先に準備だけしといて。間に合わないようなら始めるから」
マネージャーは顔色を変えながらそう言った。
- 416 名前:ものまねバトル 投稿日:2003/10/17(金) 14:44
- 収録は順調に進んだ。
滑り込みで間に合った三人を加え、そのまま時間通りにスタート。
今回は、私達飯田チームが勝利し、無事にデザートを手中に収める。
OKが出たところで、やはりいつものように全員が入り乱れ、試食大会が始まる。
これもいつものことだ。
- 417 名前:嵐の前のなんとか 投稿日:2003/10/17(金) 14:45
- そんな雰囲気の中、すっかり忘れてしまったが、もう既にそれは起こっていた。
その当人もいつもの通りなので、つい、気がつかなかったけれど。
- 418 名前:嵐を起こすオイラ 投稿日:2003/10/17(金) 14:46
- 全ての収録が終わり、やっと休憩時間だ。
このあとのツアーのレッスンまでは自由時間。
仕事を離れたおしゃべりがあちこちで始まる。
ただ、その前に一つだけ確認しとかなけりゃ。
- 419 名前:先輩 投稿日:2003/10/17(金) 14:47
- 「石川、遅いよ!」
とりあえず、そんな切り出し方をしてみた。
- 420 名前:共通の話題 投稿日:2003/10/17(金) 14:47
- 「だって、気がついたら一時間ぐらい時間進んでたじゃないですか?あれじゃあ間に合わないよ」
その一言で、みんな改めて今朝の出来事を思い出したようだ。
- 421 名前:選ばれた人 投稿日:2003/10/17(金) 14:49
- 「そういえば・・・・あの『些細なこと』ってどうなったんだろ?」
なっちが呟く。
「そっちじゃなかったんですか? 私は変化なしですよ」
梨華ちゃんは力瘤を作るふりをした。
「ののも何ともない」
この二人じゃない・・とすると・・・・・
「小川?」
- 422 名前:うつむく少女 投稿日:2003/10/17(金) 14:51
- 「まこっちゃんなの?」
近くにいた高橋が顔を覗き込む。
小川は顔を伏せたままだ。
「へぇ〜 早く言ってくれればいいのに」
圭織も話を聞いて寄ってきた。
「で、何だったの?」
新垣に限らず、みんな興味津々だ。
逃げられないと悟ったのか、小川は話し始めた。
- 423 名前:なんか緊張するな 投稿日:2003/10/17(金) 14:51
- 「些細じゃないです・・・・たぶん」
言い辛そうだ。
「大丈夫だよ! 驚いたりしないから」
なっちがフォローする。
「でもさ・・・・そんなに言い辛いならさ、無理して聞かなくてもいいんじゃないかな? どうせ2週間で元に戻るんだし、無理して知らなくても・・」
「いや・・・・言います・・・・言わないと絶対に迷惑かけると思うし・・・・みんなに協力してもらわないと・・・・どうにもならないと思うし・・・・」
私の声を遮って小川は言った。
「じゃあ・・言って。大丈夫だから」
- 424 名前:真っ先に分かった 投稿日:2003/10/17(金) 14:52
- 小川は大きく息を吐いた。
「・・・・・・・・生えてきました」
(生えてきた?)
「何が?」
(生えるもの?)
「だから・・・・」
(もしかして・・・・)
「しっぽ? つの?」
(・・・・分かった)
分かったメンバーから視線が集中していく。
最後に亀井の視線が加わって全員が理解した。
- 425 名前:ふたなりじゃない完全変化 投稿日:2003/10/17(金) 14:54
- しばらく誰も何も言わなかった。
下手にコメントしようがない。
ただ、私の視線は小川の股間から動かなかった。
そう言われてみれば・・・・・いや、分からない。
恐らく、かなり厳重にカムフラージュしているのだろう。
- 426 名前:シナリオは最悪へ 投稿日:2003/10/17(金) 14:55
- 「言えないね・・・・」
恐らく、マネージャー達にも打ち明けて乗り切っていこうと考えていたのだろう。
圭織が方向転換の意を表した。
- 427 名前:男性 投稿日:2003/10/17(金) 14:56
- こんな話、誰も信じないだろうし、休養、脱退・・・・・
考え過ぎだとは分かってても、そんなことに思い当たる。
「・・本物?」
「・・・・はい・・・・一応トイレ行きました・・・・本物です」
「目立ってないみたいだけど・・」
「サポーターはいて、短パンはいて、衣装もなるべくゆったりしたのにしてもらって・・・・」
「・・それがついただけ? 男になったってことじゃないの?」
「・・・・胸は完全にパットです。元々小さいですけどね」
精いっぱい、小川はへらっと笑った。
- 428 名前:混乱動乱 投稿日:2003/10/17(金) 14:57
- 「まあ・・・・とにかくだ! 2週間だけなんだし、何とか乗り切っていくしかないね・・・・」
終始覇気のない声で圭織が言った。
「そう・・・・だね。大したことでもないでしょ! 今まで女だったんだし! 2週間じゃ、慣れる前に女に逆戻りって感じでしょ・・うね」
何の根拠も無くそう言った。
その声に、何か拠り所をほしがっていたメンバーが同調した。
私の方が何とかしてほしい。
- 429 名前:加護亜依 投稿日:2003/10/17(金) 15:01
- あれから5日経った・・・・あれっていうのは、あれのこと。
- 430 名前:勢力分布 投稿日:2003/10/17(金) 15:02
- 飯田さん達はすっかりいつものペースを取り戻して、普段の生活を送っている。
私はというと・・・・・まだまだ遊び足りない。
それが年上の人ではなく、まこっちゃんだったっていうのもあり、河童と塾長、それに塾生達を巻き込んで麻琴包囲網は完成しつつある。
- 431 名前:しゃかいのまど 投稿日:2003/10/17(金) 15:03
- 「まこっちゃん、出てるよ」
私の一日はだいたいこんなところから始まる。
出てるわけがない。
倒れるんじゃないかと思うくらい神経を磨り減らしてガードしているのだから。
それでも反射的に覗き込んでしまうらしく、男の習性というものの哀しさを感じた。
- 432 名前:見せ魔 投稿日:2003/10/17(金) 15:04
- 「嘘つかないでくださいよ〜」
精いっぱいはしゃぐまこっちゃんだが、まだ甘い。
ののならここで本当に出すだろう。
そこから何かが生まれていく・・・・・まあ、それが辻加護と言われる所以だろう。
- 433 名前:パターン 投稿日:2003/10/17(金) 15:04
- 仕方なく私はまこっちゃんの股間に手を伸ばす。
「ちょっ・・・・と、やめてください〜!」
逃げ回るまこっちゃん。
仕方なく追いかける私。
違う。
これじゃあ、ただのドタバタで終わってしまう。
追いかけっこなど散々やり尽くしたので、今更誰も笑わないどころか、興味すら引けない。
- 434 名前:トップリーグ 投稿日:2003/10/17(金) 15:05
- 逃げるまこっちゃんに綺麗にタックルが決まった。
新垣ちゃんのファインプレーだ。
「今だ!!」
新垣ちゃんの号令の下、れーなちゃんと道重ちゃんが押さえにかかる。
「へへ、逃げるなよ」
追いついた私はまこっちゃんに乗っかる。
- 435 名前:捕虜の拷問は禁止 投稿日:2003/10/17(金) 15:06
- 「こちょこちょ」
気づかないうちにそう言葉に出しながら脇をくすぐる。
まこっちゃんは声も出せないほど悶え苦しむ。
男らしくなった体は、それに見合う力も持っているが、さすがに五人に押さえ込まれてはどうにもならない。
- 436 名前:かごあい 投稿日:2003/10/17(金) 15:07
- 私はなんか変な気分になっていた。
軽いトランス状態だった。
視線がまこっちゃんの顔から離れない。
顔をくしゃくしゃにしながら笑うまこっちゃんをもっと見たくなった。
さらにくすぐるスピードを上げる。
笑え、笑え、笑え、笑え、笑え、笑え、笑え、わら・・
- 437 名前:援軍 投稿日:2003/10/17(金) 15:07
- 突然後ろから衝撃を受けると、背中がやけに重い。
「まこっちゃんをいじめるのは私が許さない!!」
モーニング娘。一特徴のある声の、同期の女だ。
脇の下に手が伸びてくるのを感じた。
- 438 名前:叫び声 投稿日:2003/10/17(金) 15:08
- まずい!!
私はマッサージも受けられないほど、触られるという感触に弱い。
- 439 名前:たのしいねえ 投稿日:2003/10/17(金) 15:09
- 「はははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
回線が一気に吹っ飛んだかと思うと、私は声の限りその言葉を叫んだ。
頭の中では、狸と坊主が手を取り合って踊り続けていた。
頭が壊れる。
- 440 名前:つじかご 投稿日:2003/10/17(金) 15:10
- 「あいぼ〜ん!」
気づかれたか!!
私の戦友が獲物の臭いを嗅ぎつけた。
足の上にどっかと腰を下ろした。
- 441 名前:本土決戦 投稿日:2003/10/17(金) 15:10
- 「おお重もももいいいいいっっっっははははははははははははははははははははははは」
その一言がよくなかったらしく、靴を脱がされ、足の裏をやられた。
私と共に戦った勇将新垣は、機を逃さず裏切った。
新しくできた後輩は、私でなく直属の司令官に従い、私の包囲殲滅戦に加わる。
掠れる視界にまこっちゃんの顔を見た。
- 442 名前:終戦記念日 投稿日:2003/10/17(金) 15:11
- 「はい、スト〜〜ップ!!」
飯田さんの声でようやく開放された私は、汗まみれで、放心状態だった。
床にうつ伏せになったまま、敗北をかみ締める。
「馬鹿だなあ。小川の人望を知っていながら手を出すなんて。それに、新垣達が信頼できる仲間だと思ってたのか?」
矢口さんの声が聞こえる。
- 443 名前:敗軍の将は語る 投稿日:2003/10/17(金) 15:12
- 「・・・・分かってますよ。でも、男は敵だ」
- 444 名前:高橋愛 投稿日:2003/10/17(金) 15:15
- ツアーが始まって、それ用の生活が始まった。
確かに忙しいんだけど、それすら慣れっこになってしまった。
- 445 名前:高橋愛 投稿日:2003/10/17(金) 15:16
- 例の事件も折り返しを過ぎた。
経過は至って順調で、誰にもばれることなく完走できそうだ。
確かに、身体つきががっしりしたようだし、力も強くなったみたいだ。
髭が生えるとか、声が低くなるとか、一発でばれるような変化は起こらなかったというのが幸いしたというのもある。
- 446 名前:高橋愛 投稿日:2003/10/17(金) 15:17
- しかし、胸がなくなったのはショックみたいで、下半身と同じくらい躍起になっていた。
この際だから、多少大きめのパットにしようとしているまこっちゃんを『不自然なことはするな』と押し留めたりするのも、あと4日だ。
- 447 名前:楽屋 投稿日:2003/10/17(金) 15:17
- ヘッドフォンから曲が始まりだした頃、ドアを開く音が微かに聞こえた。
大きな荷物を抱えてスタイリストさんが入ってきた。
今回の衣装の一部が遅れて、今日の今になって届いたようだ。
「一回着替えて! チェックするから!」
私ものそっと立ち上がった。
- 448 名前:密会 投稿日:2003/10/17(金) 15:18
- 「まこっちゃ〜ん」
トイレに隠れているまこっちゃんに衣装を持って行く。
カムフラージュしているといっても、目の前で着替えたらばれる可能性がある。
それでもチェックしてもらわないといけないから、呼び出されてるとか、ついでだから届けるとか、適当な言い訳で抜け出してきた。
- 449 名前:扉越し 投稿日:2003/10/17(金) 15:19
- 「これ、衣装ね」
個室から顔を出したまこっちゃんに手渡す。
中からベルトを外す音がした。
短パンだから、カップもつけなきゃいけないだろうしな・・・・
- 450 名前:かわいい 投稿日:2003/10/17(金) 15:20
- 「どうかな?」
まこっちゃんが出てきた。
うん。
サイズの方は問題ないみたいだ。
そして、胸と下の方に目を移すが、こちらも問題ないようだ。
- 451 名前:分からないこと 投稿日:2003/10/17(金) 15:21
- 突然、また個室に戻った。
何してるんだろう・・・・早くチェックしてもらって、オープニングの衣装に着替えなきゃいけないのに・・・・
- 452 名前:? 投稿日:2003/10/17(金) 15:21
- 「まこと〜?」
「すぐ行くよ。先に行ってて」
- 453 名前:異性 投稿日:2003/10/17(金) 15:22
- 私はそのままトイレを出た。
・・・・反応したらしい・・・・
私は意外とすぐに思い当たった。
- 454 名前:一生分からないこと 投稿日:2003/10/17(金) 15:23
- 特に何がどうというわけじゃなくても・・か・・・・
ただ、ああなったまこっちゃんと一緒にいて、自分の意思とは関係なく反応することもあるということを知った。
別に麻琴本人が言ったわけでもないけど、一緒の部屋になった時もあったし、たぶんそうだろうというくらいだけど・・・・
- 455 名前:女の私 投稿日:2003/10/17(金) 15:24
- 男の人は大変なんだな・・・・いや・・男の人は大変じゃないか。
それは男の人なら生まれつき持ってるものだし、それを迷惑だなんて思ってないだろう。
ただ、女のまこっちゃんがそういうのに左右されなきゃいけのは大変だと思う。
- 456 名前:複雑なのは 投稿日:2003/10/17(金) 15:24
- 本人がまったくその気がなくても、自然に自分にとっての同性を求めてしまうっていうのは、どんな気分なんだろうか?
私には推し量ることもできない。
ただ、私に反応したのか・・な・・・・?
- 457 名前:君のせいだけじゃない 投稿日:2003/10/17(金) 15:25
- やめ。
何を考えてるんだ。
- 458 名前:変な私 投稿日:2003/10/17(金) 15:27
- 「高橋、小川はどうしたの!」
「トイレ行ってます。もうすぐ来ますよ」
私はそう答えると、ヘッドフォンを探した。
- 459 名前:中断 投稿日:2003/10/17(金) 15:29
- 続きは後日、速やかに更新します。
- 460 名前:小川麻琴 投稿日:2003/10/18(土) 10:08
- ホテルの部屋に着くと、さっさと風呂に入った私は、そのままベットに直行した。
今日も一日ご苦労さんというところだ。
ツアーはまだ続くものの、とりあえず今日と明日でこの変な生活も終わる。
最初はどうなることかと思ったし、不安だったけれど、どうということもなかったな。
改めてこのメンバーの結束を知った。
- 461 名前:早めの感想 投稿日:2003/10/18(土) 10:09
- 出会いが女だったからかも知れない。
だから、『小川麻琴に男性器』と言う感じだったのかな。
全然違うけれど、胸の大きな女性の気持ちが分かったような気がした。
常にそこを見られているような気がするというやつだ。
考えすぎが半分と、ほんとに見られてるのが半分といった辺りが実感だった。
貴重な体験だったのだろう。
そう思えるだろうね、きっと・・・・・・・・
- 462 名前:明日に備えて 投稿日:2003/10/18(土) 10:10
- そんなことを考えてるうちに、自然に眠ってしまったらしい。
今日のルームメイトに『おやすみなさい』も言わず。
- 463 名前:異変 投稿日:2003/10/18(土) 10:11
- 暗闇の中で何かが起こった気がする。
私の神経が確かに何かを感じた。
だから目が覚めたのだろう。
目を開けると、真っ暗だ。
寝る時にきちんと電気を消したはずだから、おかしいということはない。
- 464 名前:メンバーの怖がり 投稿日:2003/10/18(土) 10:11
- ペアになる人によって、それは決まる。
電気を消すのが恐いという人もいる。
そんな時は電気をつけたまま、そうでなければ消して。
- 465 名前:睡眠第一主義 投稿日:2003/10/18(土) 10:12
- 私はどちらでもいい。
普段は消して寝るけど、そうじゃなくても寝れる。
今日は消しているのは、ペアがあさ美ちゃんだからだ。
彼女は消す派だから。
だから、おかしなことは何もない。
- 466 名前:始まり 投稿日:2003/10/18(土) 10:14
- はずだった。
- 467 名前:大きな目 投稿日:2003/10/18(土) 10:14
- 暗い視界にあさ美ちゃんが入っているのも、おかしなことではない。
ただ、目に映ったのがあさ美ちゃんの目だというのは少しおかしいぞ。
- 468 名前:重さ 投稿日:2003/10/18(土) 10:15
- 「どうし・・」
起きられなかった。
あさ美ちゃんの顔は私と20cmほどしか離れていない。
ちょうどお腹の辺りに座って、私の頭の横に両手をついて、私の顔を覗き込んでいる。
- 469 名前:ああ、そうか・・ 投稿日:2003/10/18(土) 10:15
- そのまま顔が、ゆっくり下がってきた。
一瞬の躊躇もなく私はそれを迎えにいった。
唇は少し触れて、そのまま強く重ねられた。
私とあさ美ちゃんによって。
- 470 名前:抱きしめるよ 投稿日:2003/10/18(土) 10:16
- 私は下から両手を背中に回した。
少し力を込めてあさ美ちゃんを引き寄せる。
しっかりと抱き寄せて横に転がす。
長い髪があさ美ちゃんの頬を隠した。
右手ですくう。
まだ少し濡れていた。
- 471 名前:おふろあがり 投稿日:2003/10/18(土) 10:17
- お風呂・・・・・
手はそのまま耳の裏で、顔を近付けた。
今度はあさ美ちゃんの唇の形にキスをする。
少しだけ開いた唇同士の隙間から、粘膜同士がほんの少し重なった。
目に映るほどではなかったけど、確かに少しだけ糸を引いた。
- 472 名前:本能 投稿日:2003/10/18(土) 10:17
- それだった。
もっとちゃんとしたいって考えたきっかけは。
- 473 名前:分からない 投稿日:2003/10/18(土) 10:18
- 舌を入れる。
あさ美ちゃんの舌に当たった。
私はただ、何がしたいのか分からないけど、一生懸命に動かした。
しばらく二人ともぶつけ合ってばかりだった。
けど、あさ美ちゃんが動かすのを止めた。
私は腕にギュッと力を入れ、全部、とにかく全部飲み込んでやろうとキスを続けた。
- 474 名前:感情の波 投稿日:2003/10/18(土) 10:19
- 息が持たなくなって口を離す。
荒くなった自分の呼吸を整えるので精いっぱいだった。
その時はあさ美ちゃんから視線を外し、なんか情けない気持ちで呼吸を続けた。
- 475 名前:駆り立てるもの 投稿日:2003/10/18(土) 10:20
- その時、すぐ近くで聞こえた。
あさ美ちゃんの掠れるような息遣い。
慌てて顔を見ると、胸と肩がほんの少し呼吸に合わせて動いていた。
少し開いた唇から、ほんの少し乱れた息が漏れてる。
私はあさ美ちゃんに覆い被さって、むちゃくちゃに抱きしめた。
- 476 名前:一番深い欲 投稿日:2003/10/18(土) 10:21
- 上着のボタンを外し、下着を取る。
全て見えたはずなのに、綺麗だとも思わなかった。
ただ、触っていた。
- 477 名前:それだけ 投稿日:2003/10/18(土) 10:23
- 気持ちいいとも思わなかった。
ただ『痛くしちゃ駄目だ』それだけが頭の中にあった。
できる限り、ゆっくり丁寧に触ったつもり。
欲求とか、性欲とか、満足すらなかった。
自分のためにやったのではないような気がする。
あさ美ちゃんのためでもない。
- 478 名前:意地 投稿日:2003/10/18(土) 10:25
- パジャマをずらし、下着をずらした。
一つ一つ。
焦る気持ちを必死で抑えて。
なんか、焦ったら、急いだら、あさ美ちゃんに何かを考えさせてしまったらそれで終わりって気がずっと頭の中にあった。
それなのに止まらないし、早くしなきゃって思ってた。
- 479 名前:わたしからあなたへ 投稿日:2003/10/18(土) 10:27
- 両太腿を両手で少し持ち上げた。
あさ美ちゃんがほんの少し腰をずらした。
すこし持ち上げたまま開く。
すぐに、何も考えないまま口をつけた。
あさ美ちゃんを寝かせたまま、私はそのまま這いつくばるように掻き分けて舐めた。
- 480 名前:人と人 投稿日:2003/10/18(土) 10:28
- あさ美ちゃんの足は私の肩をまたぐような形になった。
初めはぴったりと閉じていて、私が舌を隙間に潜り込ませる。
そして少しづつ奥に入って行くところで、太腿を抱えるように上から伸ばした手で、舌で広げた分だけ、広げたまま抑える。
そうして徐々に開いていく。
- 481 名前:同期 投稿日:2003/10/18(土) 10:28
- ふと視線を上げた。
あさ美ちゃんは寝転がっていたはずだ。
だからここからでは仰向けになっている胸越しにしか顔は見えないはず。
そして顔も、顎とか、下から見える部分しか見えないはず。
でも、あさ美ちゃんは私を見下ろしていた。
上半身を起こし、両手を後ろについて支え、舐め続けていた私を見下ろしていた。
- 482 名前:ありがとう 投稿日:2003/10/18(土) 10:29
- その表情。
見下ろしているはずなのにうつむいて、何かにじっと耐えているようだった。
痛いの?
違うの・・・・・か?
私は少しだけ余裕を持って続けた。
- 483 名前:所作 投稿日:2003/10/18(土) 10:30
- そのあとずっと舐め合ってた。
何をしてるのか分からない。
それが何になっていたかも分からない。
それはどこかで見た何かの真似だったんだと思う。
でも、それにもなってなくて、ただ、お互いに舐め合ってた。
- 484 名前:選んだこと 投稿日:2003/10/18(土) 10:32
- 私は何度出しただろう。
そのたびにあさ美ちゃんから口を離して、抑えきれない声を漏らした。
ゆっくりと出ている感触が続く。
出たものがどうなっているのか分からない。
ただ、あさ美ちゃんの口の中はあったかかった。
- 485 名前:きっと、これだけのこと 投稿日:2003/10/18(土) 10:33
- あさ美ちゃんが震えた。
あさ美ちゃんが私を口から話した。
あさ美ちゃんが声を上げた。
私は嬉しかった。
- 486 名前:あついね 投稿日:2003/10/18(土) 10:34
- それで私はあさ美ちゃんと向き合った。
汗を顔中に浮かべて、髪はぐしゃぐしゃと、顔に張りついていた。
そこに私の汗が落ちる。
- 487 名前:すべてだから 投稿日:2003/10/18(土) 10:35
- 倒れ込むように額同士をくっつけた。
そのまま唇を重ねる。
さっきと違って、あさ美ちゃんの口の中は乾いていた。
私の舌が触れると、唾液が溢れた。
それにあさ美ちゃんがむせる。
ほんの少しざまあみろと思った。
- 488 名前:いらないもの 投稿日:2003/10/18(土) 10:35
- 私はあさ美ちゃんに入れた。
あさ美ちゃんの顔を見てしまった。
痛がった顔を。
なんとしてでも取り除かなきゃ。
- 489 名前:でも、なにができる? 投稿日:2003/10/18(土) 10:36
- 私はただ抱きしめた。
あさ美ちゃんはそれ以上に抱き返した。
顔からはまだ痛みが取れない。
私は動かす。
また痛い顔をした。
私は止めなかった。
痛い顔を痛い顔で塗り替える。
それが何になるかも分からず、ただ、腰を動かした。
- 490 名前:分かってもらえないから 投稿日:2003/10/18(土) 10:36
- あさ美ちゃんが私を見る。
私も見つめ返す。
あさ美ちゃんが何言いいたいかは分からない。
私は何も言いたくない。
- 491 名前:そんな所有 投稿日:2003/10/18(土) 10:38
- ただ、あさ美ちゃんを自分のものにしたくて、ずっと握っていたかった。
そして握り潰してしまいたいと思った。
それだけ抱きしめれば何か分かるんじゃないかって。
ただ、形を確認したくて。
何度も動いた。
- 492 名前:私達は 投稿日:2003/10/18(土) 10:39
- 勝手に限界が来た。
とにかく腰をつけ、とにかく奥に入れたかった。
その形で止まると、あさ美ちゃんを抱きしめた。
離さないように。
あさ美ちゃんも私を抱きしめる。
そして、足で、腕で、私に絡みついた。
- 493 名前:結末 投稿日:2003/10/18(土) 10:41
- キスをする。
全身で一つになりたくて。
そこまでしてくっついて、それで出ている感触をずっと二人で感じていた。
それを二人で感じていることが、一緒になったこと・・・・・・頭がよく働かない。
ただ、その格好はどう見ても綺麗なんかじゃなかった。
- 494 名前:それだけだった時間 投稿日:2003/10/18(土) 10:41
- 体を離して、一息つくだけのはずだった。
実際に何秒も経っていなかった。
ただ、その時間だけで私は眠ってしまった。
- 495 名前:小川麻琴 投稿日:2003/10/18(土) 10:43
- 今日のコンサートで、全体の5分の1程度が終わったことになる。
つまり、まだ始まったばかりで、特別な意味など何もない日だった。
でも、違う。
今日で2週間だ。
私にとって、突然すべてのカウントダウンの起点になったあの時から、ちょうど2週間だ。
- 496 名前:フィナーレ 投稿日:2003/10/18(土) 10:44
- 「さ〜て、いよいよ決定的瞬間だ」
里沙ちゃんは凄く楽しそうに言った。
ここは石川さんの部屋。
私が戻る瞬間を見届けようと、暇で、疲れていないメンバーが集まっている。
しかも、かなり疲れている石川さんの部屋に。
- 497 名前:軽いパーティ 投稿日:2003/10/18(土) 10:46
- 私はというと、ベットの上で毛布に包まっている。
そうでもしないと、実際に脱いで見せろと言われそうだったから。
「そもそも、最初についてた時はどうだったの?」
藤本さんが聞いてきた。
「いや・・・・起きたらそうなってたから、なんとも思わなかったな〜」
そんな言葉と共に、この2週間が浮かんできた。
- 498 名前:その瞬間 投稿日:2003/10/18(土) 10:46
- 「痛いかもよ〜」
矢口さんが声を潜める。
「脅かさないでくださいよ!」
ほんとにそんな気がしてきた。
- 499 名前:加護さんの歯のように 投稿日:2003/10/18(土) 10:48
- 「とれるかもよ」
へ?
加護さんが突然言った。
「なくなるんじゃなくてさ、ポロッと、とれるのかも」
なるほど、そうかもしれない。
ポロッとか・・・・・
- 500 名前:我が息子 投稿日:2003/10/18(土) 10:48
- 「そうしたら見てもいいよね?」
複雑な気分だ。
元々自分には関係のないものだし、それでも、自分についているうちは恥ずかしいという気持ちもあった。
でも、取れてしまえはそれは全く別のものだし・・・・・でも、自分のものだったものを見せるというのはちょっと・・・・・
- 501 名前:それぞれの意見 投稿日:2003/10/18(土) 10:49
- 「なんにしても・・・・ようやくまこっちゃんに戻るんだよね」
愛ちゃんが時計を見ながらそう言った。
「私はそのままでもかっこいいと思うけどね」
里沙ちゃんが言う。
「「私も別にいいと思うな」」
矢口さんと藤本さんもそう言った。
「そうですかね・・・・でも、完全に男になるんだったら、また違うのかも・・・・」
愛ちゃんの声がそう言った。
- 502 名前:興奮 投稿日:2003/10/18(土) 10:50
- 5秒前からカウントダウンが始まった。
自然に力が入ってくる。
・・・・・やばい・・・・・
なに考えてるんだ!!
そういうことじゃないだろ!!!
- 503 名前:神舟 投稿日:2003/10/18(土) 10:51
- 「「「「ゼローー!!」」」」
- 504 名前:日付変わって 投稿日:2003/10/18(土) 10:52
- 「どう・・・・?」
やはり気になったのか、石川さんが参加してきた。
私は毛布に包まったまま顔を上げる。
六人の視線が集中した。
- 505 名前:? 投稿日:2003/10/18(土) 10:53
- 「変わって・・・・ない」
念のためズボンの上から確認した。
一瞬、膨らみかけた状態から元に戻って、相変わらずそこにあった。
- 506 名前:恥ずかしい 投稿日:2003/10/18(土) 10:53
- 「ほんと? 見せて」
加護さんは言う。
仕方なく、私は立ち上がってパジャマのズボンを引っ張りあげた。
そこには確かにそれがある分、膨らんでいた。
- 507 名前:カウントのずれ 投稿日:2003/10/18(土) 10:55
- 「なんなんだよ〜!」
矢口さんが不満気な声を上げた。
「日にちじゃなくて、あの夢を見た時点からカウントされてるのかな?」
たぶん藤本さんの言う通りだろう。
「じゃあ、待っててもしょうがないね。徹夜するわけにもいかないし」
石川さんがやっと寝れると解散を促した。
- 508 名前:お泊り会 投稿日:2003/10/18(土) 10:55
- 「石川、泊めろ〜!!!」
矢口さんがベットに向かう石川さんをそのまま押し倒した。
「あたしも〜!!」
愛ちゃんは石川さんと同部屋の里沙ちゃんに飛びかかった。
「じゃあ、あたし達も・・・・」
加護さんと藤本さんが顔を見合わせる。
「そうだね・・・・終電もなくなったし・・・・」
藤本さんはものすごくニヤっとした。
- 509 名前:自室へ 投稿日:2003/10/18(土) 10:56
- 「じゃあ、おやすみなさい」
「紺野も泊まってけよ〜」
「これ以上は無理ですよ。また明日にします」
二つのベットに三人ずつは、強引過ぎるだろう。
私もそのまま部屋を出た。
「小川〜 明日どうなったか教えてよ〜」
矢口さんのそんな声が聞こえた。
- 510 名前:過剰 投稿日:2003/10/18(土) 10:56
- 部屋に入った私達は何も話さなかった。
手早くシャワーを浴びると、そのまま寝巻きに着替える。
ベットに入っても、そう簡単に寝付けるはずもない。
当然、期待していた。
- 511 名前:一人じゃ出せない答え 投稿日:2003/10/18(土) 10:57
- 期待というと、待ち焦がれてると思われるけど、そうじゃない。
自分から望もうとは思ってない。
ただ、あさ美ちゃんがどうなのか。
全てはそれだ。
望むなら答える。
そうじゃないならそれでいい。
とにかく、早く答えを知りたかった。
- 512 名前:背中越しの気配 投稿日:2003/10/18(土) 10:58
- ほんの少しだけ、部屋が明るくなった。
洗面所の光が漏れたのかな?
足音が聞こえる。
顔をそっちに向ければ分かるのに、私は天井を見ていた。
あさ美ちゃんは私のベットに来ると、毛布の形を崩さないように入ってきた。
- 513 名前:向かい合う感触 投稿日:2003/10/18(土) 10:58
- 私は横向きになり、あさ美ちゃんを覗き込んだ。
あさ美ちゃんの目がこっちを見てる。
表情には少しの隙もなかった。
私は両手を背中に回して抱き寄せた。
お互いが背中に回した腕はぎゅっとしている。
一番近くであさ美ちゃんの顔を確かめると、ふっと力を抜いた。
- 514 名前:隣同士のあたたかさ 投稿日:2003/10/18(土) 10:59
- 私達は隣同士になった。
私の体はあさ美ちゃんに触れるほど近くにあった。
きっと私の方が先に眠ってしまったんだろう。
あさ美ちゃんの寝息は聞こえなかったから。
- 515 名前:時間通り 投稿日:2003/10/18(土) 10:59
- 目が覚めると、私は無意識に手をやった。
うん。
終わった。
- 516 名前:朝 投稿日:2003/10/18(土) 11:00
- 隣のベットには、ボーっとあさ美ちゃんが座っていた。
「なおったよ」
「うん」
そして、今日のスケジュールや、昨日あったこと、学校の話や、初めて話す話なんかをたくさんした。
- 517 名前:リーダー 投稿日:2003/10/18(土) 11:01
- 「いや〜 ご迷惑をおかけしました!」
練習で集まるなり、早速そう言った。
「直ったの?」
「もちろんですよ! 安倍さん!!」
張り切って準備運動をする。
「私が確かめてあげようか?」
飯田さんはきっと少し芝居がけたつもりなんだろうけど、目付きが普通じゃなかったし、それを言ったタイミングも最悪で、全員が固まった。
- 518 名前:休憩時間 投稿日:2003/10/18(土) 11:01
- それから何かが変わったということはない。
今まで通りモーニング娘。だし、あさ美ちゃんとも、それからどうということはない。
ただ、ああいうことになったせいで、そうなって、そして今こうしてるってだけだ。
- 519 名前:ボーっと考える 投稿日:2003/10/18(土) 11:03
- あさ美ちゃんにとって、私が『初めての』ということになった。
でも、この先に、もう同じことは永久にないだろう。
そして私は、違う誰かとそうすることになる。
- 520 名前:あの時のこと 投稿日:2003/10/18(土) 11:03
- 答えは簡単だ。
私はあさみちゃんとそういうことを望まないし、あさ美ちゃんも私以上にそんなことを望まないだろう。
ただ、これまで通り一番仲良くて、一緒に頑張るってことだけだ。
- 521 名前:未来のこと 投稿日:2003/10/18(土) 11:04
- きっと、将来の恋人に話さないことをお互いにたくさん話すし、聞いてくれる。
恋人以上に深い、でも、どんなにそんなこと言ったって恋人にはなれない。
そんな関係になった。
いや、戻っただけ。
元々、あさ美ちゃんとそんなことを考えたことなんてなかったのだから。
- 522 名前:それぞれの思い 投稿日:2003/10/18(土) 11:06
- だから、少し不公平かなって思う。
一緒にやったことでも、あさ美ちゃんには初めてになって、私はそうなってないのだから。
男としての初めてなんて、この先ずっと女の私にとっては関係ないことだ。
- 523 名前:人生の1ページ 投稿日:2003/10/18(土) 11:06
- きっと、先輩達が聞いたら鼻で笑うだろう。
この先の人生の中で何回経験するか分からないうちの一回だって。
そのたびに考え込んでちゃ身がもたないって。
本人が納得するならそれでいいことで、特別なことでも何でもないって。
あれはそういうものだって。
- 524 名前:理解と疑問 投稿日:2003/10/18(土) 11:07
- 確かにそうかもしれない。
私が死ぬ時、6回目と7回目、22回と23回目がどう違うのかって言われても、きっと答えられないだろう。
そんなものなのかもしれない。
でも、0とそれ以外はぜんぜん違う。
それにだけは意味があると思う。
- 525 名前:だから同じになりたくて 投稿日:2003/10/18(土) 11:08
- だから私だけペナルティを受けてないんじゃないかって、そんな気がする。
だからといって、あさ美ちゃんは私の初めてを要求しない。
- 526 名前:同じがいい 投稿日:2003/10/18(土) 11:09
- なんで?
そりゃ意味が違うのは分かるよ。
あの時は異性で、今は同性で。
でも、私にも同じく与えて欲しい。
同じことを。
その準備はできてる。
いや、準備とかじゃなくて、そうするのが普通だから。
ちゃんと、お互いにとって初めてになろうよ。
- 527 名前:あさ美ちゃんのこと 投稿日:2003/10/18(土) 11:10
- 確かに・・・・・恐いっていうのは少しあるよ。
正直に言うと、あさ美ちゃんが実際に私を求めてきたら・・・・・いいんだけど・・・・・どこかに少しだけ『本当に?』っていうのもあるんだろうな・・・・・
でも・・あさ美ちゃんも、あの時そうだったんだよね・・・・・
ならなんで・・・・・・・・
- 528 名前:答え 投稿日:2003/10/18(土) 11:10
- ─
──
────
『『些細なこと』は人間が決める』
────
──
─
- 529 名前:じゃあ・・ 投稿日:2003/10/18(土) 11:11
- あさ美ちゃん・・が、望んだの?
- 530 名前:なんだ 投稿日:2003/10/18(土) 11:12
- なんかすごくほっとした。
でも、ずるいよ! そんなの!!
自分だけ勝手に望んでさ、叶えてもらって、それで私やみんなを振り回して・・・・・
でも・・・・・・・・
- 531 名前:うん 投稿日:2003/10/18(土) 11:13
- 私のこと、好きでいてくれたんだね。
- 532 名前:分かったよ 投稿日:2003/10/18(土) 11:13
- たった一度だけ。
それも恋とか愛じゃなく(あんなもの、そのうちのほんの何パーセントかでしかない)私達は特別に触れ合った。
- 533 名前:恋愛観 投稿日:2003/10/18(土) 11:14
- よく聞くよね。
恋愛は体だけでも成り立たない。
心だけでも成り立たない。
どっちかに偏っても駄目だし、どちらかだけで埋められるものでもない。
バランスがカギだって。
同性が難しいのって、そのバランスが上手くとれないからだって。
- 534 名前:相手 投稿日:2003/10/18(土) 11:15
- 同性ってのを否定するつもりじゃないけどさ・・・・・
ただ、やっぱり意味が違っちゃう(逆に言えば、それだけのことだけど)から。
何度も言うけど、この先あさ美ちゃんと恋愛はきっとないだろう。
- 535 名前:心の中身 投稿日:2003/10/18(土) 11:16
- ただ、この先一緒にやっていく中での、たった一回の特別な関係。
それは時間を重ねることで薄くなっていくだろう。
今はその思い出が100%でも、一年後は70%、恋人ができれば10%、たぶんどちらかが死ぬ時には0.000001%に満たないことなのかもしれない。
でも・・・・そんな、ほんの僅かな繋がりが、私とあさ美ちゃんを普通の仲間じゃない何かにしてくれるのかな?
- 536 名前:特別 投稿日:2003/10/18(土) 11:17
- これから交わす言葉と心には0.000001%の何かが混ざる。
それが、あさ美ちゃんをただの仲間にしてくれない。
愛ちゃんとも、里沙ちゃんとも、辻さんとも、絵里ちゃんとも違う何かを与えてくれる。
それが邪魔になったり、疲れたりもするかもしれない。
でも、もしかしたら、もしかしたら、もしかしたら、もしかしたら・・・・・
- 537 名前:思いつく限りの 投稿日:2003/10/18(土) 11:18
- バランスとれてないけど、『心で繋がっているんです』とか子供以上に甘いこと言うかも知れないけど、すごく不幸で、傷つけ合うことしかできなくて、結局何も起こらなくて、離れることでしか解決できないかも知れないけど・・・・・
- 538 名前:今の先 投稿日:2003/10/18(土) 11:19
- 恋ができるかもしれないね。
恋人になれるかもしれないね。
- 539 名前:今 投稿日:2003/10/18(土) 11:19
- ただいつものように笑うあさ美ちゃんに、いつものように笑う私。
不自然に近づいても、それはだけは変わらなかった。
- 540 名前:個人的な願い 投稿日:2003/10/18(土) 11:22
- それは一人のためだけのもので、ほんとに、ほんとうに、小さなものでした。
- 541 名前:更新終了 投稿日:2003/10/18(土) 11:25
- 終わりました。
視点が切り替わったところはもう少しはっきりと示したほうがいいかも。
- 542 名前:追記 投稿日:2003/10/18(土) 11:28
- 次はどうするかも含めて、後日更新。
ということで、予定はありません。すいません。
- 543 名前:告白 投稿日:2003/10/23(木) 12:30
- 主演 後藤真希
- 544 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:31
- なっちへ
- 545 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:31
- 久しぶりですね。
元気ですか?
- 546 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:31
- やめ。
そんなつもりじゃないないんだ。
でも、手紙の書き出しって難しいよね。
つい最近も仕事で会ってる。
『元気か?』って、分かりきってることだね。
でも、他にいい方法を思いつくわけでもないからさ。
ということで、もうしばらく続けてみようかな。
- 547 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:32
- 私も元気です。
今更だけど、もうすっかり一人の活動にも慣れました。
- 548 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:32
- でもね、違うんだ。
こんな手紙を書いたのは、こんなことをするためじゃない。
むしろ、これとまったく逆のことがしたかったからだよ。
- 549 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:33
- 仕事場で会うと、どうしても、仕事の話が中心になっちゃうよね。
それに、私はもうモーニング娘。じゃないからさ。
そうなると、ますます話す機会がなくなっちゃったから。
だから、こういう形なら大丈夫かなって思ったんだ。
- 550 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:33
- あと、機会だけじゃないんだ。
実際に顔を見ると話し辛いってことあるよね。
関係ない話でごまかしたり、形式的な話でごまかしたりしちゃうことってあるよね。
でも、やってみようと思うんだ。
本当のことを打ち明けるってやつを。
- 551 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:33
- あっ、その前に、ソロデビューおめでとう。
で、いいんだよね?
- 552 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:34
- 正直に言って、複雑なんだ。
もちろん、うれしいっていうのは本当だよ!
なっちは、それだけの力もあると思う。
でもさ、そういうのとはまったく関係なく『辞めたくない』っていうのもあるんだよね。
- 553 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:34
- ソロでやれるっていうのは、やっぱり憧れみたいなものがある。
なっちとそういうこと話したこともあるからさ、分かるつもりだよ。
だから『うれしい』って思ってることも分かる。
自分だけのことに集中できるって楽しいしね。
今、私が本当にそうだから。
- 554 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:34
- でも、そういうのと矛盾なく、『辞めたくない』ってのもあるんだよね。
私もそうだったよ。
やりたかったことでも『モーニング娘。を辞めてまで・・』って思ったこともあった。
- 555 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:35
- でもさ、やってみると楽しんだよ、これが。
不安だったのが、少しバカらしくなるくらい。
- 556 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:35
- 戻りたい時もある。
みんなで騒いでるの見た時とか『あの中にいたいな〜』と思う。
それでもいいんだよ。
というか、それでもしょうがないんだよ。
- 557 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:35
- 逆にさ、それだけ楽しかったってことがすごく特別だったんだよ。
モーニング娘。って奇跡みたいなものだったんじゃないかなって。
あれだけ楽しかったことって、他にはないんじゃないかって。
それならさ、一人でやるとことがそうじゃなくても、しょうがないじゃん。
これが普通で、モーニング娘。が特別だったんだよ。
- 558 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:36
- 不安でもあるし、楽しみでもあるよね。
だから複雑なんだ。
- 559 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:36
- 複雑だって言ったのは、今、なっちが、どっちか分からないってこと。
不安なのかもしれないし、楽しみにしてるのかもしれない。
不安なら『おめでとう』ってのは少し重くなっちゃうよね。
楽しみだとしても、それは不安を伴ったものだから、単純に『よかった』とも言えない。
- 560 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:37
- でも、私の気持ちは『応援している』で間違いないから。
絶対に。
それに、一応、ソロでは先輩だね。
でも、たいしたアドバイスなんてできないけど、話し相手ぐらいになら・・・・
そんな気持ちで、応援してるよ!
- 561 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:37
- どうかな?
頑張って、なるべく思うことをそのまま書いたつもり。
この調子で本論も書いてみようと思います。
できれば、最後まで読んでほしいです。
- 562 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:38
- で、今回書こうと思ったことは、私はなっちが嫌いだということです。
モーニング娘。に入ってきた時から、なっちはずっといたね。
最初はなんとも思ってなかったんだ。
でも『嫌いだな』っていうのは最初からそうだったかな。
- 563 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:38
- 『嫌い』っていう気持ちもちょっとづつ変わっていったから、一言で言うのはよくないね。
最初は・・・・『鬱陶しい』って感じだった。
- 564 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:38
- でも、それはなっちだけじゃなかったんだ。
正直に言うなら、みんなが鬱陶しかったんだ。
でも、それは少し、しょうがない部分もあったんだよ。
入ったばかりで、自分のことで手いっぱいだったからさ。
- 565 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:38
- 練習するよね。
で、当然のように遅れる。
それを注意される。
なにしろ全部できてないんだから、注意の量も半端じゃなかった。
それでパンクしかけてたんだね。
- 566 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:39
- で、そうなると最悪で。
本当に自分のことだけしか考えないようになってた。
それで、他のメンバーのことまで・・・・って感じだったね。
だから・・・・みんなのことが嫌いだった。
- 567 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:39
- それは、実のところ、みんなが嫌いなんじゃなくて、自分が嫌いなんだよね。
できてない自分に腹が立っているだけ。
何となくそう思ってたから、気にしなかったんだ。
そのうち消えるものだと思っていたから。
- 568 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:39
- あと、これも大きかったな。
周りの人の噂話。
もちろん、それを全部真に受けたりなんてしてなかったよ。
でもさ、そういうのって自分に都合よくもあった。
- 569 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:40
- ちょうど都合よくみんなと距離をおく理由ができた。
『みんなからそんなふうに思われてるんじゃないか』ってね。
少し傷ついてるふりをしてね。
本当は、私はそんなに気にしてなかったけどね。
- 570 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:40
- 特に、なっちとは特集も組まれてたしね。
その頃からかな・・・・なっちのことが嫌いになったのは。
- 571 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:40
- 今考えればよく分かるんだけど『新しく入ってきたメンバーを、中心に持ってくる』っていうのは普通のことなんだね。
よく考えてみればそれもそうで、せっかく新しくなったんだから、それを十分に使いきるのは当然のことだよね。
それはつんく♂さんにしてもそうだし、周りの人もそうだったんだね。
- 572 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:40
- でも、そんなこと言われても分かんないよ。
私は自分のことで手いっぱいだったし。
ただ、自分が上手くできるかどうかが心配だったから。
本当に余裕がなかったんだね。
- 573 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:41
- 全部なっちが悪いわけじゃない。
周りの人が変なふうに煽ったっていうのが一番だと思うんだ。
でも、それがなくても、私はなっちが鬱陶しかった。
その噂ってやつを使って自分の中で『嫌い』を正当化してたりもしてたしね。
- 574 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:41
- こんなふうに、最初は小さなものだった。
みんなと上手くできなかった。
その中でも、特に嫌だった。
そんな感じだった。
でも、それでも『みんなが嫌い』の中の一つだと思ってた。
そして『みんなが嫌い』は一時的なものだと思ってた。
だから大丈夫だろうって思ってたんだけどね・・・・
- 575 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:41
- でも、不思議だったのは、それが過ぎたあたりだったかな。
やっと自分に余裕ができて、みんなのことも分かるようになってきた。
それでも、なっちのことは嫌いなままだった。
- 576 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:42
- 『嫌い』が消えなかった私は、その理由を探した。
それで分かったんだ。
なっちはすごい。
やっぱり、モーニング娘。としてすごくレベルが高いんだなって。
そういうのが、すごくよく分かったんだ。
- 577 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:42
- これは『嫉妬』が混じってたんだと思う。
どうしたって私となっちは比べられた。
最初からそうだった。
みんなの中でも、特別なっちへそう思ったのは、それがあったからだった。
それは結局、最後まで続いたしね。
- 578 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:42
- だから頑張った。
追いつけ、追い越せって。
でも、無理だったね。
- 579 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:43
- 私がいればいるほど、なっちは絶対になっていった。
確かになっちはすごいよ。
でもそれを、私を否定するために使う人がいた。
それって違うのにね。
それぐらいなっちは絶対になった。
- 580 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:43
- 私はなっちじゃないから、なっちにはできないことでも、私にはできることがある。
でも、それさえ認めてくれなかった。
なっちがいて、私がいて。
それぞれに認めてくれれば、こうはならなかったのかなあ。
- 581 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:43
- なっち越しに私だったんだよ。
私はどんなに頑張ってもなっちになれなかった。
いや、なるつもりなんてなかった。
私は横に並びたかっただけなんだ。
それでよかったのに、それもさせてくれなかったんだ。
必ず、一番は決めなきゃいけないものみたいだね。
- 582 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:43
- それならってことで、私は頑張った。
誰よりも一番綺麗に。
誰よりも一番上手く。
そういうふうになれれば、私が一番になれるって。
でも、駄目だった。
- 583 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:44
- 『一番』っていうのは、一番優れているってことじゃなかったんだね。
一番っていうのはなっちだったんだ。
だから、他の人は、何ができても一番になれなかった。
一番になるにはなっちにならなきゃいけないから。
それは無理だから。
- 584 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:44
- そんなふうに分かっちゃったんだ。
そしたら、もう止まらなくなった。
嫌いだよ。
- 585 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:45
- 私はなっちのすべてを否定しなくちゃいけなくなった。
好きだと思っていたところも。
すごいと思ってたところも。
- 586 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:45
- それはまだよかったよ。
でも、誰にでもあるじゃん。
あまり好きじゃないところ。
それが、もう我慢できないくらいに嫌いになった。
- 587 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:45
- すごかったよ。
自分の中にそんな感情があったなんて。
負けず嫌いなのは分かってた。
でも、その針が振り切ったのを見たことがなかった。
あの時の私はそうだったんだよ。
- 588 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:45
- 気がつかなかったでしょ?
それも負けず嫌いだからだよ。
そういうのは見せたら負けだって思ってたから。
- 589 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:46
- でも、書きたいのはそんなことじゃない。
これは悪口コンテストじゃないんだ。
私の気持ちを伝えるものだから。
- 590 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:46
- 一番辛かったこと。
それは、私がいい人間じゃなかったことなんかじゃない。
嫉妬もするし、怒ったりも当然する。
それは分かってたことだから、大丈夫だった。
- 591 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:46
- 辛かったのは、なっちが悪い人じゃなかったからだよ。
- 592 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:46
- 純粋に嫌いになれたらどんなに楽だったかな。
喧嘩してしまえればどんなに楽だったかな。
- 593 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:47
- なっちは悪い人なんかじゃない。
こんなことを書いておいてだけど、これは信じて。
誰かに憎まれなきゃいけないような人じゃない。
これは胸を張って言える
- 594 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:47
- 『お前嫌いだって言ってるじゃん』って思った?
それは少し違うね。
私が嫌いになったのはその状況のせいだった。
私は、モーニング娘。っていう状況の中のなっちが嫌いだったんだ。
違う形で出会ってたらどうだったかな?
それでも・・・・かなあ?
- 595 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:47
- 間違えないでほしいのは、だからソロになったとかそういう単純な話じゃないこと。
それは、ずっと前から希望として持ってたことだったから。
そのタイミングがあの時だっただけのことだよ。
でも、卒業ってなった時、ほっとした。
これで終わるんだってね。
- 596 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:48
- これは、今になったからこういうことも考えられるようになったのかな?
一緒にいる時には、そんなことできなかったからね。
一緒に頑張ってるのに、そんなこと考えちゃ駄目だって思ってたから。
少し離れて分かったことだよ。
- 597 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:48
- あと、考え込むことなんてないよ。
さっきも言ったけど、なっちは悪くない。
『自分が後藤を傷つけてた』なんて思わなくていいよ。
これは、私が勝手にこうなっちゃっただけだから。
- 598 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:48
- こんなこと、今更言われても迷惑だよね。
『あの時言ってくれればよかった?』
それも違うよ。
こんな気持ちは隠しておけばよかったんだ。
- 599 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:48
- ずっと気づかれないようにやってきたのにな・・・・
でも、どっかで吐き出しちゃわないといけないって思ったんだ。
『本当の気持ちは言わないと』ね?
それがどんなものであったとしても・・・・
- 600 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:49
- この手紙はなっちを困らせるだけだっていうのは分かってる。
私の身勝手だっていうのも。
『伝えなきゃいけない』って思った。
それが間違った焦りだとしても。
- 601 名前:手紙 投稿日:2003/10/23(木) 12:49
- それでは、このへんで。
ソロになって、しばらくは大変だと思う。
でも、それを乗り越えれば一呼吸できるよ。
そこで体を壊さないように。
頑張ってください。
応援しています。
- 602 名前:机の前で 投稿日:2003/10/23(木) 12:50
- 書き上げた手紙を読み返す。
間違った字や、読みにくい字を何度も直した。
うん、これで完成かな。
今回のは、なかなかいいできだと思う。
- 603 名前:何度目かの文面 投稿日:2003/10/23(木) 12:51
- 私はしばらく前から同じことを繰り返している。
何度同じことようなことを手紙にしただろうか。
でも、その手紙は出せるわけがない。
いつも決まって、書きあげては捨てていた。
本当の気持ちは絶対に届かない。
- 604 名前:現実の限界 投稿日:2003/10/23(木) 12:52
- 分かり合えるわけなんてないんだ。
『本当の気持ちを伝える』
作り物の世界では当たり前のように起こっていること。
でも、それはこの世界では、こんなにも無理なんだ。
- 605 名前:返事 投稿日:2003/10/23(木) 12:53
- こんなことを話された人はなんて思う?
絶対に相手のことを嫌いになるよ。
- 606 名前:純粋な悪意 投稿日:2003/10/23(木) 12:53
- 『正直に言ってほしい』ってやつね。
確かに、それって嘘をつくよりはいいことなのかもしれない。
でも、それは免罪符になんかならない。
それは汚い感情だから。
正直に言ったところで、汚いものだから。
- 607 名前:仮面 投稿日:2003/10/23(木) 12:54
- こんなことをなっちに言っても、なっちは私を嫌いになるだけ。
それが本当の気持ちなのだから? それが自然な姿? それがいいこと?
嫌だよ。
だったら私は、偽物だろうがなんだろうが、作り笑いを迷わず選ぶ。
- 608 名前:仮面の素顔 投稿日:2003/10/23(木) 12:55
- 私にはそれができる。
簡単に。
なっちの前で私は笑う。
その理由にも自信が持てる。
『なっちはいい人』
まったく間違えのない答えだよ。
嘘じゃない。
- 609 名前:隠すと変わる 投稿日:2003/10/23(木) 12:55
- でも、嫌いだ。
こんなに、こんなに、嫌いだ。
- 610 名前:できると嫌だ 投稿日:2003/10/23(木) 12:56
- こんなふうに自分はできる。
でも、そんなのは嫌だ。
でも、嫌われるのはもっと嫌だ。
- 611 名前:何度目かの破棄 投稿日:2003/10/23(木) 12:57
- 私は手紙を握り締めた。
小さく丸まった紙を、ばらばらに切り裂いた。
- 612 名前:その度の真実 投稿日:2003/10/23(木) 12:57
- こんなものの何が本当だ。
本当の気持ちなんていらないんだ。
なんでこんな余計なものが本当なんだよ。
- 613 名前:残骸 投稿日:2003/10/23(木) 12:58
- 椅子の上で膝を抱えた。
私は声を殺して泣いた。
しゃっくりが止まらなくなる。
我慢していたはずの声が、こみあげるしゃっくりの息と共に漏れた。
私は声をあげて泣いた。
- 614 名前:悲鳴 投稿日:2003/10/23(木) 12:58
- 顔をくしゃくしゃにして、涙を流して。
私は泣き続けた。
- 615 名前:考えること 投稿日:2003/10/23(木) 12:59
- こんなことをしたって。
どんなに泣いたって。
私の『本当の気持ち』は変わらない。
何度繰り返してもやっぱり嫌いなんだ。
- 616 名前:終わり 投稿日:2003/10/23(木) 13:00
- だから私は泣く。
そうしたら許してくれる?
私だって辛いんだよ。
どうしようもないんだ。
矛盾してるんだ。
解決できないんだ、絶対に。
- 617 名前:それでも続くこと 投稿日:2003/10/23(木) 13:01
- それが苦しくて泣くんだ。
でも、でも、なっちは分かってくれないよね。
誰が分かってくれるんだろう・・・・こんなの、誰も分かってくれないよ。
- 618 名前:行き止まり 投稿日:2003/10/23(木) 13:01
- 私は変われない。
頑固や信念なんかじゃない。
本当に分からないんだ。
どうしたらいいか。
どうしようもない馬鹿だから。
- 619 名前:まだ 投稿日:2003/10/23(木) 13:02
- なっちがいい人なのも、なっちが嫌いなのことも、どっちも正しいんだ。
こんなもの、私にどうにかできるものじゃない。
だから・・・・
- 620 名前:逃げ方 投稿日:2003/10/23(木) 13:03
- じゃあ、その二つから答えを見つける?
そんなことしていいの?
そんなふうにして作った答えって『私の中のなっち』じゃないの?
- 621 名前:無策 投稿日:2003/10/23(木) 13:04
- ありのままのなっちがいい。
それはすごく素敵で。
でも、すごく嫌いで。
だからって『自分のなっち』を作っていいの?
そうしたら、今度は、私は後藤真希を嫌いになる。
- 622 名前:壁 投稿日:2003/10/23(木) 13:05
- どこを崩せばいいんだろう?
どこで折り合いをつければいいんだろう?
それすら分からない。
それが正しいのかも分からない。
『純粋』って悪いことなのかなあ。
- 623 名前:本当 投稿日:2003/10/23(木) 13:06
- 『本当の気持ち』
それが一番だっていうのは・・・・嘘なのかな?
- 624 名前:思想の枠 投稿日:2003/10/23(木) 13:08
- 悲しいんじゃない。
それもあるけど。
抱えきれないものを前に途方に暮れている。
それを自分の中にしまい込むには、自分を壊さないと駄目だから。
そうしないと、私には納まらないものだから。
泣いて麻痺させているうちに。
心が壊れているうちに。
でも、それはすごく痛くて。
- 625 名前:その越え方 投稿日:2003/10/23(木) 13:08
- だからなっち。
私を赦して。
あなたのことを嫌いだと言う私を。
- 626 名前:なっち 投稿日:2003/10/23(木) 13:09
- 罪を正すのではなく、罪を罪のまま赦してください。
こんな我儘な私を赦してください。
- 627 名前:花 投稿日:2003/10/23(木) 13:09
- その言葉と共に、涙が溢れた。
それを受け容れるために、私は大きな声で泣いた。
- 628 名前:涙 投稿日:2003/10/23(木) 13:10
- 収まりきらないものが私という枠に触れる。
その度に痛む。
その度に私は泣く。
- 629 名前:告白 投稿日:2003/10/23(木) 13:11
- 後藤真希より
- 630 名前:更新終了 投稿日:2003/10/23(木) 13:12
- 終わりです。
後藤主演作ってみました。
きっと、望んでいるものとは違うのだろうけど。
- 631 名前:最後に 投稿日:2003/10/23(木) 13:42
- これでここは終わりにしたいと思います。
次は海板で長いのをやってみようかと思ってます。
タイトルは『四重奏』の予定です。
最後に、読んでくれた人、本当にありがとうございました
- 632 名前:名無し 投稿日:2003/10/28(火) 18:01
- うまい言葉が出てきませんが・・・
とにかく、良い作品をありがとうございました!
- 633 名前:失敗 投稿日:2003/11/17(月) 13:28
- 大学卒業。
で、就職。
今のお前はやりたかった仕事をしているのか?
いや・・・・そんなことない。
そもそも、いつからだか、将来の夢というやつはなくなっていた。
最後になりたいと思った職業はなんだったか?
『政治家になって日本を変える』
とか・・・・だったかな?
- 634 名前:失敗 投稿日:2003/11/17(月) 13:30
- しかし、世の中に絶望などしているわけでもない。
食って、生きていくぐらい、どうにでもなるもんだ。
それぐらいの力はあるつもりだ。
現に、こうして、何とか生きている。
真面目な学生生活で、頭もそこそこ良かった。
寄り道っていわれるものには、ほとんどはまらずに、ここまできた。
おかげで、なんにもない大人になったと思う。
それと引き換えに、最低限の生活力はついた。
成功かどうかは分からないが。
- 635 名前:失敗 投稿日:2003/11/17(月) 13:32
- 二十五。
ひとまず収入も安定した。
最下層クラスの賃貸から、贅沢にも、空き部屋ができるような部屋にも移った。
一人暮らしのくせに。
『精神的な余裕は必要だ』
などと、生意気なことも言えるようになった。
仕事もある。
だから、世界に取り残されてるって感じはしないな。
あと、それとは別に、やることもある。
本読んだり、見たいテレビがあったり・・・・
ゲームやったり、ビデオ見たり・・・・
そこそこ知識欲もあったり・・・・
まず、不自由ない生活ってことだろう。
- 636 名前:失敗 投稿日:2003/11/17(月) 13:33
- ただ、これは俺の中だけの世界であって、よく言われる『楽しいこと』ってのもある。
カラオケ、合コン、免許、酒、タバコ、賭け事、大きな意味で金・・・・
こういう発想しかできない辺り、自分の経験値がいかに低いか分かる。
でも、知らないのだから、無理に求めようともしていない。
狭いままでも安定した世界ができてしまった。
部活でも、勉強漬けだったわけでもなくこうなんだから、まあ、珍しい人間だろう。
で、後悔もしてないときている。
こうなると、誰がなんと言おうと、この状況から抜け出したりはしない。
『向上心がない』と言われようが、知ったことじゃない。
少なくとも、自分では満足している。
- 637 名前:失敗 投稿日:2003/11/17(月) 13:34
- 悟ってるわけでもない。
だから、陰口は恐い。
耳にしないように、無関心を決め込んでいるだけだ。
笑ってくれてかまわない。
馬鹿にしてくれて結構。
ただ、自分の前で聞かされるとちょっと・・・・
活力に満ちた人間からすると、信じられないような奴だろう。
ただ、病気じゃないから、外部と接触を絶っているわけでもない。
人並に、世間用の顔も持っている。
そのストレスで潰されるほどやわでもないと思う。
『社会に出る』とか『自立する』ってのは、そういうことだろうって分かってる。
諦めじゃなく、理解してる。
だから、絶望なんてしないわけだ。
- 638 名前:失敗 投稿日:2003/11/17(月) 13:36
- そういうふうにしてりゃ、世間一般の『普通』というやつも享受できる。
『恋愛』というやつだ。
ラブストーリーを羨ましがり、エロ本に埋もれてたのが俺だ。
そんな自分が、まさかそんなものと関係ができるとは・・・・
驚いている。
見た目は、我ながら、まあまあ。
見るべき点はないが、マイナスになるような点もない。
強いて言えば、少々男濃度が高い。
流行が中性的である今では、積極的に求められるタイプでもないだろう。
背は百七十四。
運に恵まれれば、ぎりぎり最後尾になれるかも知れないラインだろう。
まあ、俺のクラスには、いつも百八十以上がいたから、関係なかったけど。
何が言いたいかというと『見た目で選ばれるほど強烈じゃない』ということだ。
平均・・・・より多少多くの選択肢はあるだろうという程度だろう。
だから、何もしなければ、駄目だったはずなんだが・・・・
- 639 名前:失敗 投稿日:2003/11/21(金) 11:45
- 借りていた本をまとめて返却ポストに押し込むと、早速『一般』の棚に向かう。
涼しくなってきたが、まだ十分熱を感じる。
図書館というやつは、その避難場所としては、うってつけだった。
読書は、結構長い間、俺の趣味に認定されているものだ。
ジャンルは基本的になんでもいいのだが、専門書はさすがにだるい。
といっても、日本語(できれば現代語)で書いてあるなら、理解は別に、読みきれる。
でも、できれば楽しい方がいいに決まっている。
そこで、今回も小説を何冊か選ぶつもりだった。
- 640 名前:失敗 投稿日:2003/11/21(金) 11:46
- 本棚の前で背表紙のタイトルを眺め、手にとって捲る。
それをしているだけで、時間を有効に使っている気になる。
何もしなくても、この雰囲気だけで満足できてしまうのだ。
単純な奴だと、自分でも思う。
基準は適当だが、一応しっかり選んだつもりの何冊かを抱える。
だいたい、タイトルとかの感じで選ぶ。
はずれを引くことも多いが、どうせ、人の薦めた本には背を向けるタイプだから・・・・
あと、それとは別に、なんとなく気に入ったやつも。
これは、ここで読んでしまえばいい。
- 641 名前:失敗 投稿日:2003/11/21(金) 11:47
- 俺が勝手に『専用』としている席は、既に埋まっていた。
大学生だろうか。
真剣な顔をして本にかじりついていた。
真面目そうで、その本を読む理由があるという顔だ。
それならしょうがない。
方向転換すると、もう一つ奥の方に行くことにした。
残っているのは、個別に仕切られた机付きの席だけだ。
ソファーと違って、椅子になっている。
そのため、足を伸ばすことはできない。
だから人気がなく、空いていることが多いわけだ。
しかし、この際、座れればなんでもいい。
- 642 名前:失敗 投稿日:2003/11/21(金) 11:48
- 個別とはいえ、ブースにはなっていない。
間の仕切りだって、一応体は隠れるが、少し椅子を引くと、隣が見える。
もちろん、本を読むことが目的の人間だから、そんなことは気にならないはず。
しかし、俺のように、集中していない奴だっている。
だから、隣に人がいる感覚は好きじゃない。
本を机に置くと、なぜか急にバランスが崩れ、雪崩が起きた。
それは隣の席との仕切りにぶつかり、大きな音を立てた。
しまった!!
反射的に俺は隣の席に頭を下げた。
ちょうどそこには、驚いたようにこっちの席を覗き込む顔があった。
それはよく知っている顔で、たぶん『高橋愛』で間違いない。
- 643 名前:失敗 投稿日:2003/11/21(金) 11:49
- まずい!!!!
不自然なほど慌てた俺は、本を抱えると、急いでその場を離れた。
さっさと借りる手続きをして、そのまま図書館を出る。
間違いなく『気持ち悪いファン』として登録されただろうな・・・・
- 644 名前:失敗 投稿日:2003/11/27(木) 13:07
- 雨は鬱陶しい。
しかし、これが晴れれば、いよいよ秋だと言われれば、まあいいだろうとも思う。
年は関係ないのだろうが、この年で歯医者とは・・・・
甘いものなど、そんなに食べなくなったつもりなのに・・・・
しかし、診断書を出さないと、いろんな不都合が生じる。
会社と言っても、この辺は、学校みたいなものだ。
というより、社会のシステムというやつで、昔から変わってないんだろう。
- 645 名前:失敗 投稿日:2003/11/27(木) 13:07
- 歯医者は混んでいた。
といっても、待合室には座っている人が一人だけ。
でも、すぐに自分の番がこないのなら、混んでいると言ってもいいだろう。
虫歯になる奴が増えているのだろうか・・・・
せっかくの休日をこんなことで潰さなくちゃいけない人が多いということだ。
ただ、嫌な予感がしていた。
ただ一人だけの、待合室の人間のことだ。
制服は着ていないが、そのくらいの年齢であることは間違いない。
小さいだけでなく、華奢な体。
よりにもよって『高橋愛』だとは・・・・
- 646 名前:失敗 投稿日:2003/11/27(木) 13:08
- 適当な間を空けて座る。
本を手に取り、眺める。
やめてくれよ・・・・
そんな願いも届かず、チラッとこっちを見たのに気がついた。
そして恐らく、俺の顔に思い当たったことも分かってしまった。
間違いなく俺は『変なファン』だろう。
違うと説明したいとこだが、向こうにすれば『いいから、話しかけてくるなよ』だろう。
一方的に非難される覚えもないんだが・・・・仕方ない。
こういう場合、最初に引いた方の負けだ。
で、俺は『高橋愛』に対抗できるようなものは何一つないから。
- 647 名前:失敗 投稿日:2003/11/27(木) 13:10
- 「あの・・・・」
やめろよ! 馬鹿!!
自分の立場を考えろって!!!
「何日か前、図書館で会いましたよね?」
「ああ・・・・そうだったね」
挨拶ということなんだろう。
それなら、それでもいい。
でも、その先をちゃんと考えてるのか?
ちゃんと会話を終わらせることができるのか?
- 648 名前:失敗 投稿日:2003/11/27(木) 13:11
- 「・・・・」
ほらみろ。
できないのなら、無理するなよ。
「どんな本読んでたの?」
仕方がない。
人生の経験値の分、こういうのは俺の方が上手い(いくら内向的でも)だろう。
でも、きちんと会話を成立させたのは、互いに協力的だったからだろう。
結局、確たる理由もないのだけど・・・・
まあ、そういうことで・・・・
- 649 名前:失敗 投稿日:2003/12/01(月) 14:27
- 「ただいまー」
まとまった休日の内の一日。
つまり、ほんのわずか。
そんな頻度でしかないが、高橋は俺のアパートに来る。
当然防犯設備などないし、高層ビルというわけでもない。
ばれるだろ。
確かに、裏は突いているとは思う。
『こんな場所にモーニング娘。が・・・・』
確かに、その通りなんだけど・・・・
でも、ばれるだろ。
- 650 名前:失敗 投稿日:2003/12/01(月) 14:28
- 高橋がそっちの関係者に、俺をどこまで話して、どこまで隠しているかは知らない。
付き合ってると言っても、その辺のことを全部高橋に任せてしまっている。
十七歳だから・・・・九歳も年下の相手に・・・・
デートの行程としては、料理がメイン(というかほとんど)だ。
買い物にすら一緒に出れないから、あらかじめ、俺が買っておいたものを使う。
それで、ああでもないこうでもないと言いながら作る。
それをまた、そのようにしながら食べる。
これで、普通の恋人のすることすべての代わりにしようというものだ。
まあ、無茶苦茶だね。
- 651 名前:失敗 投稿日:2003/12/01(月) 14:29
- テレビを見る。
ビデオを見る。
ゲームをする。
あまり一人の時と変わらない。
まあ、場所が部屋の中だから、しかたなくはあるが。
ただ、正にその通りで、俺は表情を変えずに画面を見ている。
普段部屋にいる時も、こんな感じだ。
そして、今、彼女ができたというのに、こんな感じだ。
相手がかなり特殊だからだろうか・・・・
高橋は無表情になったり、笑ったり。
俺が居ることなど関係ないように。
- 652 名前:失敗 投稿日:2003/12/01(月) 14:30
- ここからでは後頭部が七十%というところだ。
俺の位置から見下ろした高橋はそんな感じだった。
今、高橋の視線は正面、テレビに向いている。
ただ、その内容とは違って、なんの表情も作っていない。
そういう意味では、気の抜けた顔をしている。
ボーっとして、目の中に、テレビの画面をそのまま映していた。
壁にもたれかかり、反対正面のテレビに対峙している。
その俺の中に、高橋がもたれかかる。
楽な姿勢のわりには力が入る。
こういうのは、間が持たない。
- 653 名前:失敗 投稿日:2003/12/01(月) 14:31
- ちらちらと高橋を盗み見る。
で、さっきの表情。
もっと頑張れよ! 少なくとも視聴者の一人は笑ってないぞ!!
テレビの中のタレントに声をかけるが、そいつにはそんなことは無理みたいだ。
ひたすら間を埋めるように喋るが、それだけだった。
突然チャンネルが切り替わった。
高橋が完全にこっちを向いたのだ。
「見てた?」
何を?
というか、どっちを?
「・・・・うん」
引き締まった表情が崩れる。
へらっと笑う。
機嫌が良くなったということは、テレビじゃない方を聞いてたんだな。
事実、俺は高橋を見ていたから。
- 654 名前:失敗 投稿日:2003/12/05(金) 13:53
- 高橋はそのままじっとしている。
いや、俺の方が視線を外さなかっただけだ。
とすると、しなきゃいけないということで・・・・
顔だけを近づけて、キスをした。
バレエが関係あるかどうかは知らないが、高橋の首はよく回る。
ちょうどいい角度は、かなりのものだけど、苦もなくそうしていたから。
テレビが消えると、外を通る車の音が聞こえる。
そんなもん、別に特別でも何でもない。
それで雰囲気が作れるなら、世界中の男は、何も苦労はしないだろう。
俺が使ったのは、真剣そうな表情と、恋人としての義務感。
甘い雰囲気とは程遠い『しなきゃいけない』というような雰囲気。
ちょっと卑怯だな・・・・
- 655 名前:失敗 投稿日:2003/12/05(金) 13:54
- 高橋は、椅子に浅く座るように、俺の中に浅くもたれ直した。
肩の辺りだった高橋の頭は、胸の位置まで下がった。
それ以上下がっていかないように、脇の下から手を伸ばし、高橋のおなかの上で組む。
そのおなかの上に乗っている手を、高橋はじっと見ていた。
背中越しだから視線は確認できないけれど、たぶんそうしてるんだろう。
その上に、高橋の手が重ねられる。
結局、だらだらとしていることには変わりない。
だが、体が触れるとなると、やっぱり違う意味を持ってくるものだ。
- 656 名前:失敗 投稿日:2003/12/05(金) 13:54
- 誤魔化されてばかりだ。
高橋の肌の感触と色に。
華奢な体と、両手に収まってしまう尻に。
キスをする感触や、服の上からでも触りたくなる感情。
そういうのは、すごく心地良いものだから。
何も考えず、ただこれに身を任せられたらどんなにいいか・・・・
かっこつけているが。実際はそうしている。
で、都合のいい部分だけ純粋ぶったりしている。
- 657 名前:失敗 投稿日:2003/12/05(金) 13:55
- 「好き」
高橋が小さく漏らした。
この言葉が何も意味していないのは知っている。
これを呟いたからといって、ずっと続かないことも。
誰かと付き合ったことのある人間にとっては、避けて通れない儀式のようなものだろう。
ひょっとしたら、別れるということも、そうなのかも知れないから。
これがいつまでも続くわけはないのだろうか。
高橋にとっては十七歳という時期の景色でしかないのか?
俺にしたって、若過ぎると言われるような年齢だ。
そのうちの一つの場面でしかないのだろうか。
- 658 名前:失敗 投稿日:2003/12/05(金) 13:57
- 恋だろうが愛だろうが、こんなにも不安定なものだった。
こんなものを信じることはできない。
少なくとも、俺にとってはそうだった。
なら、俺は何を信じればいいのだろう。
この綺麗な体?
変なイントネーションの声?
綺麗な顔?
高橋の考えていること?
喋る言葉?
- 659 名前:失敗 投稿日:2003/12/05(金) 13:58
- 自分の気持ちか?
答えなど出ないし、安心もできない。
ただ、その不安を表に出さずに笑っているしかできないのだろうか?
俺には本物というやつが分からない。
だから、この感情が特別かどうかも分からない。
高橋は知っているのか?
なら教えて欲しい。
俺はちゃんとできているか?
望むものを分けていれているか?
恋人ってこんな感じでいいのか?
- 660 名前:失敗 投稿日:2003/12/19(金) 12:20
- 少し躊躇してしまうのはなぜだろう?
やることは決まっていても、踏ん切りをつけるのは難しいから?
というより、ボーっと眺めているのもそんなに悪くないから。
それに、始めてしまえば、もうそのまま進むしかないから。
だから、こういう時間というのは、案外大切なものだと思う。
よし・・・・
覚悟は決まった。
- 661 名前:失敗 投稿日:2003/12/19(金) 12:20
- とりあえずと言うか、いきなりと言うか・・・・
ベルトを緩めて、ズボンのボタンに手をかけた。
緩んだ隙間に手を入れる。
下着越しの体の感触にぞくっとした。
高橋は微動だにしない。
ただ、俯いただけで。
あまり動きは止めない方がいい。
一回止まってしまうと、変な間が空いてしまうから。
だからといって、一気に突っ走るほど無理性にもなれない。
止まれなくなるのは確かだけれど、それはもう少し先の段階の話だ。
いつだって最初は確かめながらしてしまう。
いつになったら慣れるものやら・・・・
- 662 名前:失敗 投稿日:2003/12/19(金) 12:20
- しばらくして、下着の間から直接肌に触れる。
今日は寒いわけじゃない。
俺も平熱だ。
ということは、高橋の体が少し熱いということだ。
温度に違いはそう説明をつけることにした。
指先だけを下着の下に潜り込ませる。
このくらいでちょうどいい。
何に対してちょうどいいのかは分からないけど、俺はそんなふうに思ってる。
- 663 名前:失敗 投稿日:2003/12/19(金) 12:36
- ズボンと下着をずらす。
高橋は俺にもたれながら、軽く足を立てている。
その太腿の中ほどまで、下着とズボンを捲り上げた。
高橋はそのタイミング合わせて、靴下を脱いだ。
そして何回かなぞると、そのまま中に指を入れていった。
それにつれて、おなかが動く
大きく息を吸い込み、そして吐いた。
そのことを示す動きだった。
- 664 名前:失敗 投稿日:2003/12/19(金) 12:37
- じんわりと濡れていたのが、ちゃんと分かるように濡れ始めた。
それが満足なのは間違いないし、そうなってもらわなきゃ困る。
でも結局、あまり変わり映えしないことなんだよな。
まだ何回もしているわけではないけど、そんなふうに感じた。
ただ、刺激を伴うから癖になるだけで・・・・
「どこがいい?」
高橋は目を閉じて、刺激を受け止めている最中だったろう。
顔は見えないけれど、それはいつものことだから分かるし、間違ってないだろう。
そんな時に話しかけられるとは思ってなかったのだろう。
ビクッと体が跳ねた。
- 665 名前:失敗 投稿日:2003/12/19(金) 12:47
- 「えっ?」
「どこがいい?」
「どこって・・」
「場所を教えてほしい。じゃないと、分からないから」
それは指を中で動かしながらだった。
高橋は、俯いていた姿勢からこちらを向いている。
その視線が泳いだ。
感じているわけではない。
『そうしたいけど、戸惑いの方が強い』
そんな感じなんだろう。
- 666 名前:失敗 投稿日:2003/12/19(金) 12:48
- 「例えば、近くでいいとか・・・・」
その通りに浅く入れて動かす。
「もっと奥がいいとか・・・・」
そのまま指を伸ばして、奥に入れた。
高橋は反射で腰を引くが、俺に当たってそれ以上腰を引けなくなった。
- 667 名前:失敗 投稿日:2003/12/22(月) 12:49
- ちょっと前になる。
俺は高橋を抱いた。
高橋は、処女ではなかった。
高橋より八歳も年上の俺だが、童貞はおろか、付き合った経験すらなかった。
で、高橋との初体験。
俺にとっては初めてで、高橋にとっては何度目かの。
緊張した。
- 668 名前:失敗 投稿日:2003/12/22(月) 12:50
- それから会う度に、一応はこうしてるわけだが・・・・
主に、忙し過ぎる高橋に合わせる形での逢い引きになってしまう。
だから、浅い関係でしかない。
片手で数えることができるほどの。
もちろん、今回が不発に終わらなければの話だけど・・・・
最初は、他のことなど気にかける余裕はなかった。
知らない経験に夢中になってたから。
一応手順は踏んで、完走しなきゃいけないとしか考えていなかったから。
つまり、そのことのみしかなかったというわけだ。
しかも、夢中になってるわけじゃなく、頭の中のシミュレーションを辿ることだけ。
上手くできなきゃかっこ悪いから。
- 669 名前:失敗 投稿日:2003/12/22(月) 12:50
- 少し慣れてきた。
その余裕なんだと思ってた。
いろんなことを考えてしまうことも。
余裕を持ってできているのかと思っていた。
ただ、それにしては、おかしなもので・・・・頭を掠めるのは高橋のことだ。
自分のことじゃなく。
俺なんて単純なもので、性欲的には、出せれば満足。
興奮しない時もあると聞くが、高橋相手じゃ、そんなことを心配する必要もない。
その意味では満たされている。
でも、きっと、何か違うんだろうな・・・・
- 670 名前:失敗 投稿日:2003/12/22(月) 12:51
- 『じゃあ、高橋はどうなのか?』
自然に考えることはそうなってしまう。
とりあえず、一応、達してはいてくれるみたいだ。
演技?
それはないと思いたいけど・・・・
でも、経験者からしたら・・・・
しかし、それも結構大きな問題だが、そんなことじゃない。
頭を掠めることというのは・・・・
- 671 名前:失敗 投稿日:2003/12/22(月) 12:52
- 「なんで・・」
「いいから、教えてほしい」
「・・分かった・・いいよ・・」
「どこ?」
「奥・・でいい・・」
- 672 名前:失敗 投稿日:2003/12/22(月) 12:53
- ほら。
高橋はすぐに対応できる。
恥ずかしがるのも一瞬だけ。
そういう反応に何回か遭遇している。
だから不安になる。
俺はちゃんと気持ちよく出来てるのか?
それより・・・・誰と比べられているのか?
そいつより気持ちよくしたい。
でも、高橋が示した部分は、誰かが触った場所なのか?
- 673 名前:失敗 投稿日:2003/12/22(月) 12:55
- 「ここ?」
指を限界まで挿し入れ、その周りの壁に指を伝わせる。
高橋は返事をせずに、何度か頷いた。
いつの間にか足は閉じられ、俺の腕を締めつけていた。
手首から先が動かせれば、何の問題もない。
指先で痒いところを掻くように。
それも、爪を立てないで。
高橋は、我慢しきれない分だけの声しか漏らさない。
- 674 名前:失敗 投稿日:2003/12/22(月) 12:56
- 「指・・長いね・・」
ただ一言、そう漏らした。
「長い?」
誰より?
「うん・・やっぱり違うなあって・・」
それでも、決定的なことは聞けない。
「自分でしたことある?」
「うん・・たまに・・だけど・・」
「で、それと比べると?」
「うん」
そういう嘘なら大歓迎だ。
喜んで騙されよう。
- 675 名前:失敗 投稿日:2003/12/22(月) 12:57
- それに、そのことで出た『指が長い』っていうのは、本当なのだろう。
たぶん、そいつより俺の方が、指が長いのだろう。
それだけでも、高橋の初めてになれたのであれば・・・・
最低だ。
こんな時に何を考えてるんだ。
- 676 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 11:54
- 少し前のことだね。
私が中学生の時。
恋人がいた。
うん。
すごく好きだった。
そんなに目立つ人じゃなかったんだ。
人気者でもなかった。
私達の『誰が好き?』とかいう話には、ほとんど出てこないような・・
際立ってかっこよくはなかったけど、でも、私は好きだった。
- 677 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 11:54
- 『付き合う』
でも、最初は、あんまり実感がなかったんだ。
どうしていいものか・・
結局、自分がそう考えていることを知ってほしかったんだろうな・・
最初はそうだった。
その勢いで告白したんだ。
だから、付き合うってなっても、どうしていいか分からなかった。
でも、そこで駄目にならなかった。
分からないからって、無理に分かろうとしない人だった。
普通さ・・そこで迷ったりするんだよね。
で、他の人がやってるような恋愛を真似しようとしてしまう。
でも、そうならなかった。
『私が好きになった人は正しかったんだ』
そう思ったよ。
- 678 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 11:55
- まず、仲良くなることからだったんだ。
告白する前は、何の繋がりもない人だったから。
いろんなことを話して、一緒にいて、それで、仲良くなって・・
まず、そこからだった。
頭のいい人だったよ。
成績も、もちろんだけど。
いろんなことを知ってて、それをきちんと分かるように話してくれた。
そこから、順番に求めていったんだ。
もっといろんなことを話したくなった。
もっと知りたくなった。
特別になりたかった。
キスがしたくなった。
抱き締めたくなった。
- 679 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 11:56
- だから・・その時なんだよ。
でも、私は、それを疑問にも感じなかった。
当然だと思った。
満足してた。
どっちの意味もでだよ。
心も体も。
- 680 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 11:57
- あの時の『モーニング娘。のオーディションを受けてみる』って言った時の顔。
きっと、あそこが別れ道だったんだ。
反対はしなかった。
むしろ『やってみろ』って言ってくれた。
でも、あの顔は違った。
私は・・それに少し気がついてた。
でも・・無視したんだ。
そんな不安は吹き飛ばせると思ってたから。
- 681 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 11:58
- 私は・・何も変わらないと思ってた。
仕事頑張って、たまに帰って、たまに東京に来てくれて・・
そんなふうに、続いていけると思ってた。
本当だよ。
できるって思ってた。
本当に・・できたんだよ。
モーニング娘。は、確かに忙しいよ。
でも、すべてをそれに使ってしまうわけじゃない。
休みの時や、合間の時間で、きちんと連絡できてた。
- 682 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:01
- 『離れてるんだから、会えないのは当然』
ちゃんと思えた。
寂しい時もあったけど、だからといって、他の人がどうだなんて思わなかった。
かっこいいって人にもたくさん会ったけど、それだけだった。
そんなこと、本当に思わなかった。
だから、大丈夫だって思ってた。
よく聞く『誘惑』っていうやつも、全然関係なかった。
私はうまくやっていけてるって思ってた。
- 683 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:04
- 「触り方・・・・どれくらいの強さがいい?」
今度はそう言うと、少し力を込めて、高橋の中を押すように引っ掻いた。
高橋が息を飲むのが聞こえた。
でも、分からない。
びっくりしたのかも知れないし、痛いのかも知れないし、気持ちいいのかも知れない。
どれだったのかは分からない。
- 684 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:05
- 『快感なんて、ある程度の強さと比例しているものだ』
これは俺の実感だ。
テクニック云々より、絶対にこっちだろう。
もちろん男と女は違うし、それがすべて当てはまるとは思ってない。
でも、ある程度の性感帯が分かれば、そこへの刺激の強さがポイントになる。
精密にどこを狙うかということよりも、そういうことだ。
だからこそ難しい。
どこまでいっても、人は他人にはなれない。
他人の気持ちなんて分からない。
どのくらいの強さが適切なのかも。
だから俺は、どんな達人よりも自分自身が一番の相手だと思う。
- 685 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:07
- 「どうしたの・・今日は・・」
普段とは違うやり方に、高橋がそう聞いてきた。
「うん」
返事だけをすると、そのまま続けた。
そんなに冷静にならないでほしい。
そんなに余裕を見せないでほしい。
離しかけることですら『特別なこと』じゃないのか?
身勝手だと分かっていても、こんなことを考える。
- 686 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:08
- 少しとまどったあと、高橋はこちらを振り向いた。
そして上半身をひねると、伸び上がるようにキスをした。
そして、そのまま目を閉じる。
正面を向き直すと、俯いて、再び刺激を感じ取る姿勢に戻っていった。
いい子だよな・・・・絶対・・・・
少しずつ力を込めて動かす。
「・・んっ・・」
了解。
それ以上の力にはしない。
- 687 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:10
- 中の方での動きが決まると、次は胸の方に手を伸ばした。
ブラジャーをきちんと外さずに、胸の上にずらした。
そこに上着を挟む。
そうしておけば、高橋の肌を見ることができるから。
空いた左手は、高橋の胸の下に添えた。
そこから粘土で形を作るように、胸の方に肉を持ち上げる。
普段より少しだけサイズが増えた胸は、肉が余って柔らかかった。
そして、指先で、少し上を向いている乳首を摘む。
その力を抜くと、軽く触れるぐらいで触った。
手のひらを離すと、元の胸になり、いつもの少し張ったような感触になった。
- 688 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:12
- 左手を高橋の胸の辺りに巻きつける。
そして自分の体に抱き寄せ、押さえつけるように固定した。
信じられないくらい細い体。
俺の手に添えられた高橋の腕も、やっぱり細い。
そうして押さえたはずの高橋が、身をよじらす。
全身が強張っていくのを感じた。
腕やふくらはぎに、筋肉が浮かび上がってきた。
俺は腕の力を緩めた。
楽な姿勢にしてあげた方がいい。
- 689 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:14
- 腕の中で高橋は身を縮めていく。
全身の力を使って耐えているようだ。
中に入っている指ですら、それを感じた。
そして、一瞬の収縮のあと、大きく息を吐いた音が聞こえた。
声さえ漏らさない、凛とした達し方だと、俺は思う。
- 690 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:15
- で、別れたんだ。
いつだったか、福井に帰った時。
久しぶりに会ったんだ。
うれしかったな。
本当にうれしかった。
お互いのことをいっぱい話したよ。
新しい高校のこととか・・もちろん、仕事のことも・・
私達のことも・・それも、もちろん話した。
浮気はしてないって言った。
もちろん、確かめる証拠なんてない。
でも、それは彼も同じことだった。
私の『芸能界』っていうイメージからして、彼の方が心配だったと思う。
でも、それ以上は確かめられないことだからって言ってくれた。
正直に話したよ。
気持ちは揺れなかった。
で、今でも大好きだ。
確かに、今は離れてなきゃいけない。
でも、大丈夫だって話した。
- 691 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:17
- 彼は、あの時の顔をしたよ。
私がモーニング娘。になりたいって言った時の。
あの時は、少しだけしか分からなかった。
でも、分かった。
あの顔は、何かを覚悟した時の顔だったんだって。
『付き合っているとか、そういうのを意識しなくていい』
そう言われた。
一瞬、意味が分からなかったよ。
それは、こういう意味なんだ。
私も、説明されて、やっと分かったんだけどね。
- 692 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:19
- 恋人の『付き合ってる』って『特別』って意味だよね?
他の人とは全然違う気持ちを、その人に対して持ってるっていうこと。
特別に思ってるから、離れてても、その人のことを考えたりする。
そうじゃなったら、そんなことを考える余裕なんてないよね。
とにかく、目の前のことだけしか見えなくなる。
人間ってそうだよね。
私は、彼と付き合ってる。
だから、離れてても、会いたいって思う。
それだけじゃない。
会っても、話をするだけじゃ嫌だ。
したい。
そんなふうに考える。
それは、特別なことだよね。
友達にも、家族にもない、そんな感情だよね。
- 693 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:22
- でも、それってつらいことだよね。
会えないっていう現実や、そばにいない現実を、頭で押さえ込むのって、つらいよね。
そんなことを、常に頭の中に置いておくのはつらいよね。
そういうことだったんだよ。
もし、私が付き合ってなかったなら。
そんなのは、一切考えなくていいことなんだよね。
感じなくていいことなんだ。
悩まなくていいことなんだ。
でも、付き合っているから考えてしまう。
なら『付き合っている』って思うことをやめればいい。
- 694 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:25
- そこまで説明されて『ああ、なるほど』って思っちゃったよ。
騙されやすいね、私。
でも、結局、付き合ってないってことだよね。
恋人じゃなくなるっていうことだよね。
怒ったよ。
『そんなことぐらい分かるぞ! 騙されるか! 馬鹿!』
本当に怒ったよ。
でも、納得した。
最後にはね。
『諦めた顔』
そういう意味だったんだね。
特別になることも、特別に思うことも、無理だって分かったってことだったんだね。
- 695 名前:失敗 投稿日:2004/01/06(火) 12:25
- 私達が付き合った時の『特別な関係同士』っていう恋愛は、無理になったんだ。
でも、私は、彼のことをずっと特別だって思ってた。
環境が変わっても、彼のことはずっと特別だった。
それで、変わってないって思ってた。
でも、実際に会って分かったよ。
私達が思ってたのは、そんな特別じゃなかった。
うまくは説明できないけど・・
- 696 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:13
- ボーっとする間を与えず、振り向かせる。
完全に向き合う姿勢になった。
そのままキスをする。
何も感じてはいないだろう。
力の抜けた、放心状態だから。
でも、その時に、さらに頭をかき回すようなことをする。
高橋は、キスの間にいつもの状態になるだろう。
その時に、キスされているという状況にしておく。
そうすることで、この普通じゃない状況を普通だと思ってしまうような・・・・
- 697 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:14
- 「・・んっ・・」
唇から苦しそうな息を漏らした。
そのまま唇を離すと、胸の方に顔を下ろした。
高橋の少し荒い呼吸が聞こえる。
それを聞きながら、乳首を咥えた。
舌で皮膚を伸ばすように押しつける。
口をつけ、口の中に含み、舌を動かす。
高橋は、俺の頭を抱え込むように抱いた。
立て膝になり、ちょうど、胸の辺りに顔がくるようにして。
- 698 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:14
- 「このまま、上着脱がして・・よだれがついちゃう・・」
上着は、胸の上の辺りに捲り上げられたままだ。
そこから協力してもらって、上着を脱がした。
服の上からのラインそのままの裸だった。
「そういえば・・・・ちゃんと脱いでなかったんだな・・・・」
よく考えると、ズボンと下着も、太腿に残ったままだった。
「いつもと違うから・・びっくりした」
一息ついたのか、高橋はようやく笑った。
そして、改めて、すべての衣類を脱いだ。
汗で顔に張りついた髪を、後ろにすくいあげ、身なりを整える。
- 699 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:15
- 高橋はこっちを向くと、距離を詰めて、俺を抱き締めた。
高橋の顔が近づいてくると、唇同士の感触がした。
その姿勢のまま、上着の下から手を入れてきた。
高橋の手は背中を昇り、肩を掴んで、自分の胸に俺の体を引き寄せた。
そして、そのまま俺の上着を上にずらす。
「いいから」
急に恥ずかしくなった俺は、そのまま高橋の脇の下から手を伸ばした。
よっと持ち上げると、腰をまたぐようにして上に乗せる。
- 700 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:15
- ズボンだけは足首まで下ろす。
金具が高橋の肌に当たらないように。
下着は脱ぎかけのまま。
そうして、体育座りの足と体の間に、高橋を置く格好になった。
また、戸惑った顔を見せる。
今日はずっとこんな調子だ。
俺の体にまだ残っている服を、そんな顔で見ていた。
- 701 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:17
- 「でも・・私だけ裸じゃ恥ずかしいよ・・ちゃんと触りたいし・・」
聞こえないふりをしたまま、高橋を持ち上げる仕草をする。
「だって、明るいだろ?」
「それなら、私だって同じだよ」
「後ろからだったから、そんなに見えてなかった」
いまいち納得してくれてないようだった。
でも、それ以上は何も言わず、準備を手伝ってくれた。
避妊具をつける。
なにしろ、二人でそれを挟んで向い合っている。
上着を脱ぐことなんかより、こっちの方がよっぽど恥ずかしいはずなのだが・・・・
ただ、何も言わずに被せ終わるのを待っていた。
している最中だというのに、何かまったく違うことをしているような気分だった。
- 702 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:17
- 入れる。
本当に言葉そのままに、高橋は俺の上に腰を下ろした。
視線はしっかりと目に向けられていたけど、視点は俺以外に向けられているみたいだ。
俺を通り越した、その奥の何かを見ている。
噛み合わないのは一瞬だけど、そんな瞬間も、確かに存在する。
高橋は、ゆっくりと感触を楽しむように腰を下げると、安心したように座った。
高橋の体重が、全部自分にかかったことを確認する。
完全に、俺の上に腰を下ろした。
感触の余韻というより、一息ついたような一時停止だった。
- 703 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:19
- 中学の時も、いつも一緒だったわけじゃない。
デートだって、しょっちゅうしてたわけじゃないし。
たくさんしたいって思ってたわけでもない。
だから、離れている今と、そんなに変わるわけじゃなかった。
でも、違ったんだ。
何かがすごく離れちゃった。
会うペースや、話すことは何一つ変わらなかった。
でも、離れてて、電話や手紙をする。
そして、たまに会う。
それは、私達二人の考えていた『特別』じゃなかった。
それなら、それを特別だと思い込むのはもうやめようって・・
私がいることが普通じゃない。
私がいないことが普通。
彼にとってはそうなった。
私はモーニング娘。でいることが普通。
そこに『特別』なんてなかった。
絶対に・・できると思ってたんだけどなあ・・
- 704 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:20
- 尻を抱き寄せる。
そんなちょっとの動きでも、確かに擦れる。
少し上気した顔が、すぐ近くにあった。
高橋が唇を合わせてきた。
この姿勢でできる、精いっぱいだ。
しばらく、そのままで動いてみる。
当然、上の高橋が主導ということになる。
手を添えた腰が、ゆっくりと前後に動いた。
目の前に実物がいて、そうしているにもかかわらず、頭の中で同じ場面を思い浮かべた。
客観的に高橋のそういう姿を想像する。
エロ過ぎる気がしてきた。
AVそのままみたいに。
そして目の前に意識を戻すと、真剣な表情で動く高橋がいた。
- 705 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:21
- そんな変なことを考えるから、すぐに限界が近くなるのだろう。
何度も高橋の中に擦り込むように動く。
漏れる息が一定のリズムで聞こえてくる。
改めて見た顔は赤くて、いいものだった。
耳元でのたくさんの言葉と共に、高橋は達したらしい。
奥に入れたまま、しばらく動きを止め、その高揚を噛締めていた。
こちらとしても、ようやく最低限の仕事を達した気分になった。
これで、あとは自分のことに専念できる。
- 706 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:22
- 高橋はあまり動かなくなり、受身になった。
俺は尻を掴むと、やや強引に動かす。
力の抜けた体は、割と思い通りに動くから。
それまでは、高橋の感じる部分を刺激するような動きだった。
これからは、自分のために動かす。
自慰行為のようなものだ。
言葉は悪いが、そのために高橋の性器を使っている。
そんな動かし方だ。
- 707 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:24
- 指先は、尻の割れ目の、奥の方を探りながら。
穴をどうこうというわけじゃない。
ただ、少しでも敏感な場所を触っていたいというだけのことだ。
そのはずでも、少し引っ掛けたりしてしまう。
それが、高橋の表情をくるくると変えてくれるからだ。
驚いた顔も、多少うっとりした顔も。
嫌なことをしてるってのは分かってる。
でも、それもいいものだから。
高橋はすべての意識を集中させているみたいだ。
余裕なんだろう。
これまでの経験で、それがどんなものであるか知っているから。
高橋と出会うまで知らなかった俺など、当然圧倒されるくらい。
- 708 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:28
- 高橋は、今でもそいつのことを引きずってた。
別れ方もそうだし、整理がつかない気持ちもあって。
そして、それが今でも続いてる。
本当は一緒にいたかったんだろう。
今でも。
・・・・返してあげるべきなんだろうな・・・・
「その・・・・付き合ってた人と・・・・やり直したいんだろ?
そんなふうに別れたままでいいのか?
そんなんじゃ、何の解決にもなってないんじゃないか?」
「そうかな・・そうなのかもしれない・・きっと・・私が元に戻れば・・」
- 709 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:29
- 「・・でも・・駄目だよ・・駄目だと思う・・たぶん・・」
高橋は、ゆっくりとそう言った。
正直に言わせてもらうと、ほっとしてる。
ものすごく打算的に、これだけの人間と出会えることなんてないかもしれない・・・・
まして、付き合うことなど・・・・
そんなことを考えていた。
かっこつけるのは気分がいいけど、結果が悪ければ意味がないから。
- 710 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:30
- 「そろそろ・・・・かな・・・・」
そんなことを言ってみた。
これまでは、そんなことを言わずに終わってきた。
ただ、その前にキスをすることが合図だった。
そうしてきたのも、そんなことを言われても困ると思っていたからだ。
でも、そうしてみたくなった。
男が達するということを、高橋はどんなふうに思ってるんだろうか・・・・
声をかければ、必ず反応する人間だから。
- 711 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:32
- 「いいよ・・出しても・・」
掠れ気味でも、繋がった言葉になった。
予想以上だった。
その言葉の刺激だけで絶頂にさらされた。
この言葉に酔ってしまえればどれだけいいだろうか・・・・
もちろん、避妊具はつけている。
それでも、避けうる限りは尽くすべきだ。
でも、高橋の表情はそんなことを気にしないと言っているようで・・・・
もちろん、それが嘘なのは分かっていても。
高橋が強く目を閉じた。
体の反応で、達したことを知る。
そうすると、こちらも一気に緊張感が解けた。
そして、結ばれた唇に軽く触れると、抜いた。
もう、限界を我慢することもない。
抜いた後は、避妊具の中に出せばいいだけだ。
- 712 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:33
- 結局は、どちらかが中途半端になることになる。
この場合は、高橋だ。
両者が同時に達するのは、理想だが、なかなか難しい。
やってやれないことはないのだけれど。
ただ、抜かれたという感触と、新しい刺激がこないということ。
その二つで自分の中を整理しているところだろう。
それにもかかわらず、俺は自分勝手なもので。
高橋にキスをした。
- 713 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:34
- 唇に触れると、高橋の腕が頭に回された。
それは、高橋が主導権を取る時にする仕草だ。
しっかりと頭を抑え、舌で俺の唇をなぞる。
唇に歯を立て、人工呼吸のように口を大きく広げ、俺の口を覆った。
「・・はっ・・」
短く息を漏らし、最後に深く、口の奥までキスをしてきた。
それで、自分の中の残っているものに区切りがついたのだろう。
にっこりと笑うと、高橋はどさっともたれかかってきた。
- 714 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:36
- 高橋が失恋をどう受け止めたかは分からない。
どんなふうに乗り越えたのかも分からない。
ただ一つ。
はっきりと分かったことがある。
『特別っていうものはもういい』
そんなふうに思ったんだろうな・・・・
それが、あの余裕の正体だったんだろう。
『付き合った経験値がある』
高橋は、必要以上にそれを演じたってことだったんだろう。
もちろん、無意識に出ている部分もあるだろう。
実際に経験値があるのだから、自然とそうなっても当然だ。
でも、それだけじゃなかったんだな
- 715 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:37
- そうやって、普通の恋愛がしたかったんだろう。
いや、したかったんじゃないな。
それしかなかったんだ。
高橋にとって、中学のそいつは最初の恋愛だった。
それにすべてをつぎ込んだんだろう。
それまで自分が考えていたこと。
恋人にしてあげたいと思っていたこと。
いっしょにしようと思っていたこと。
自分が考える理想のすべて。
でも、駄目だった。
誰が悪いわけでもない。
状況が悪かっただけだし、誰かを責めればいいというものでもないから。
- 716 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:39
- でも、現実に別れるしかなかった。
それまで自分が信じてきたものが、すべて駄目になった。
そりゃ、混乱もするよな。
で『特別はもういい』と。
唯一絶対の恋愛じゃなくて、どこにでもあるようなものでいいと。
好きにもなれるし、そうじゃなくなったら別れてしまえるものでいいと。
そんなふうに、みんなが『普通だ』って言ってる恋愛でよかったんだな。
それしかないって思ったんだな。
なるほど・・・・高橋、今回は失敗したな。
『分からないことを無理に分かろうとしない』
自分で言ってたそれを、自分がやってしまったということだ。
無理に分かろうとしたんだな。
そして、みんなが言っている『普通』で満足しようとした。
- 717 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:40
- ただ、もう一つ失敗があるぞ。
その相手に俺を選んだことだ。
俺にとっては、高橋が最初の恋人だった。
どうだ、予想外だろう!
まさか、二十五歳がこれまで付き合ったことがないなどとは思ってなかっただろう!!
もっと、ちゃんと割り切って付き合いたかったんだよな。
初めから力を入れないで、もっと自然にできればいいと思ってたんだろ?
だから、びっくりしてたし、戸惑っていたんだろう。
俺の反応が全然違ったから。
それもしかたない。
なんといっても、俺にとっては初めてだらけだったから。
だから、今日だって、積極的な俺に驚いてたんだろう。
- 718 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:43
- だるい体を引きずるように浴室へ向かう。
適当に体を流す。
本当にさっとだけど、それでも体を拭く手間は、普段の入浴と同じだ。
なんか、よけいなことをしている気分になる。
さらに、着る服は、さっき脱いだやつ。
それを持ってきて、改めて着ている。
やっぱり、無駄なことをしている気分だ。
- 719 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:44
- 高橋は、壁にもたれるように座っていた。
タオルで念入りに髪の水分を拭き取りながら。
「おかえり」
高橋の口癖だ。
少し距離を置いて、横に座る。
水分を吸収したての肌が目に映る。
タオルを頭からかぶり、その隙間から長い髪が零れている。
終わったすぐ後だからだろうか、パジャマの下の姿を想像していた。
ただ、ボーっとしている時間ですら、こんなことを考えているものだ。
少し意識すると、そんなことに気がついた。
- 720 名前:失敗 投稿日:2004/01/09(金) 12:47
- なるほど・・・・なるほど・・・・
滅茶苦茶に入り組んだ方程式を解いたように、俺はニヤニヤしていた。
「どうしたの?」
すっかり着替え終わった高橋が、不思議そうにこっちを見ていた。
俺は堪えきれずに、声に出して笑った。
「何? 私、何かした?」
いや、分かっただけだよ。
時間はたくさんある。
一晩かけてじっくり説明しますか。
高橋愛さんの失敗を。
- 721 名前:失敗 投稿日:2004/01/16(金) 12:59
- 「・・そう・・さすがやね」
高橋は、はっきりとそう言った。
「さすがやね。
きちんと私のことを考えてくれたんやね。
やっぱり、年上の人は違うな。
間違ってなかったみたいやね」
今まで見たことのないくらいニヤニヤと、高橋は笑っていた。
- 722 名前:失敗 投稿日:2004/01/16(金) 12:59
- でも違うな。
私は失敗してないんかいないよ。
思ってた通り。
全部あしの計算通りやったよ。
私は理想を捨ててなんていない。
よく考えてみるがし。
- 723 名前:失敗 投稿日:2004/01/16(金) 13:00
- 高橋はそのまま眠ってしまった。
なんか、とても満足そうに。
ということは・・・・ただの強がりなんかじゃない?
何でだ!?
俺、どこか間違ってたか・・・・
- 724 名前:失敗 投稿日:2004/01/16(金) 13:01
- 思った通り・・・・それって、理想の恋愛ができてるってことだよな・・・・
理想ってなんだっけ?
『特別』
だよな。
でも『特別』は無くなったんじゃ・・・・
だから『普通』でよかったんじゃ・・・・
俺が『特別』?
なんでだ?
俺はどこにでもいるような奴だろ?
・・・・あっ・・・・
俺は『これが初めて付き合う人』なんだっけ・・・・
高橋にとっての『特別な恋愛』は、確かに終わったのかもしれない。
それなら、相手にとって『特別』になればいい。
自分を『特別』としてくれる相手を見つければいい。
例えば『まだ付き合ったことのない奴』とか・・・・
- 725 名前:失敗 投稿日:2004/01/16(金) 13:01
- 相手にとって初めての恋愛対象になってしまえばいい。
そうすれば、相手にとっての『理想の恋愛』をもう一度やり直せる。
しかも、高橋本人は『理想と現実』の両方を知ってる。
だから、理想だけしか見えていない俺をある程度操ることなど、わけもないだろう。
以前より経験を積んで、さらに『理想の恋愛』をやり直そうということか・・・・
なるほど・・・・そうでなきゃ、おかしいもんな・・・・
同じぐらいの年がいいんじゃないのか?
かっこいいほうがいいんじゃないのか?
金持ちの方が・・・・
立派な仕事をしている方が・・・・
そんなふうに何度も考えた。
俺でいいと思った理由はなんなのか?
その答えをずっと考えてた。
答えは『経験値が無さそうだから』ってことだったのか・・・・
・・・・女って恐いな・・・・
- 726 名前:失敗 投稿日:2004/01/16(金) 13:02
- 「半分正解だけど、間違ってる」
翌朝、味噌汁を飲みながら昨日の宿題の答えを話してた。
「初恋の人の代わりだなんて思ってないよ。
ほんとに、全然違う人だって思ってる。
どっちがいいとか、そんなんじゃなくてさ」
「でも、結局『初恋の時の特別な雰囲気』が欲しかっただけだろ?」
「それはそうだよ。
そう簡単に自分の理想を捨てられるはずなんてない。
それに、他の人に流されて『普通』で手を打ちたくなんてない」
「じゃあ・・・・」
「理想だったんよ。
こんなふうに、ちゃんと私のことを考えてくれる恋愛。
小さい部屋で二人きりって恋愛。
二人でいることが特別じゃなくて、普通でいられるような恋愛」
- 727 名前:失敗 投稿日:2004/01/16(金) 13:04
- 「そんなの・・・・長続きしないだろ?
高橋が忙しいから、こんなのが良く見えるだけだろ?
実際にはこんなのはよくないことなんだぞ。
もっと良い人間の方がいいに決まってるだろ?
すぐに飽きるぞ、こんなの」
「かもしれん。
でも、これ嫌いじゃないんよ。
こんなにうまいものが食べれて、そういうのを口に出せる。
気を使わんでそこらへんに居れる。
そういうのいいなって。
理想じゃこうはいかんが?」
「・・・・理想の逆は『所帯地味てる』ってことか?」
「分からん。
そんなことは分からん。
あしは理想の先はなんも考えとらんかったわ。
けど、ここにいて、一緒に居てくれるなら、なんか分かるかも知れんから。
そんでもいい?」
「別に・・
「じゃあ、一安心。
今は、これ以上はええよね」
うまく丸め込まれたような気がする。
- 728 名前:失敗 投稿日:2004/01/16(金) 13:05
- 「なぁ?」
「ん?」
「キスせん?」
「・・・・なんで?」
「いかんか?」
「・・・・極端なんだって!
もうちょとやり方があるだろ。
そう一変に普通にしないでくれ。
俺にとっては初恋なんだから」
高橋は俺の正面で座り直した。
背筋を真っ直ぐ伸ばして、俺を見上げる。
「「それでは」」
やることはやっておきながら、ようやくここからか・・・・
- 729 名前:終了 投稿日:2004/01/16(金) 13:10
- 今度こそ終了です。
モーニング娘。の話にすらなってないですね。
失敗だったけど、最後まではやろうということでした。
それでは、ありがとうございました。
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