Let It Be

1 名前:Ena 投稿日:2003/10/08(水) 22:04
初めまして!!
Enaという者です。
いしよしです。
よろしくお願いします!!
2 名前:さすらいのおれ 投稿日:2003/10/08(水) 22:08
2ゲッツ
3 名前:Ena 投稿日:2003/10/08(水) 22:08
2003年 夏


梨華ちゃんと行った、初めての神社の夏祭りの帰り道。
空には星が、珍しくとてもきれいに輝いていて、そして花火も上がっていて、とても印象的だった。
まるで・・・夢の中にいるみたいだった。
梨華ちゃんは長い茶色の髪を結って、黄色い花柄の浴衣を着て、うちわを後ろにさして、
手には絞りの布でできた浴衣とおそろいの巾着と、一生懸命すくった金魚がいて。
あたしは、もともとショートカットの茶髪に、Tシャツにだぼっとしたジーパンに、サンダルというそっけない格好で。


鈴虫の鳴き声が、頭に響いた。

・・・ふいに前を歩いていた梨華ちゃんが立ち止まって、こっちに向き直った。

梨華ちゃん・・・なんてきれいなんだろう・・・
あたしはまるで息を呑むようにその場に立ちすくんだ。


「どうしたの?」
「・・・ぇ・・・ぁ・・・いや何でも。梨華ちゃんこそいきなり立ち止まって
どうしたの?」
「ぁ・・・え〜べっつに何でもないよ〜!あ、ね、ソレより見てみて!!うわぁ〜・・・花火すっごいねぇ〜・・・あ、また!わぁ〜キレイ♪」
「ぅおー!すっげー!!かっけー!!なんか花火が上がると昼間みたいに明るいよね。」
「そうだね〜・・・ね・・・ひとみちゃん・・・・・・・・」
「ん?な・・・・っ・・・・梨華ちゃっ・・・」


付き合い始めてから2年半。
数え切れないぐらいしたうちの、たぶん・・・1番せつなかったキス。

あたしたちは2人とも知っている。
そろそろ見切りをつけ始めなきゃいけないって事。
こんなことはずっとずっと長くは続かないんだって事。
世間も大人も、家族ですら、誰も認めてはくれない。

でも・・・もう遅すぎたのかな・・・深みにはまっていたのかも知れない。

あたしたち2人は、女でありながら恋人だった。
別に何の理由もなく、ただ単に純粋に、本気でお互いを愛していた。
他に何もいらないぐらい、愛おしくてしょうがなかった。




狂いそうなほど・・・・



4 名前:1,息を呑むほどに 投稿日:2003/10/08(水) 22:10
中学3年になったばかりだった。

学校で最上級生でもあるということは上にはもう先輩もいなければ今度は自分たちがその「先輩」の立場にいるということ、
そして自分たちがかつて憧れたり恐れたりしていたその立場にいるわけで。
ここの学校は私立の中高一貫校なのでどうせ高校生もいるにはいるし来年高校生になれば
また中1のときとまったく同じ状況になるのだが、とりあえず今はそんな特別な立場になって、
なんだか中学3年全員が妙に新しい、妙に興奮した、妙に浮き立ったような
雰囲気に包まれていた。
誰も彼もみんながわくわくしていた。
新しく入った後輩を見にわざわざ一回まで降りて行ったり、部活の新入生勧誘を
するために自分の妹に会いに行くとかいって実はその友達目当てだったり、
自分が考える「かっこいい先輩」作りに励んだり・・・



― あ!ねぇ、あの子かわいいよ!
― 今そこ通った子、すっごい態度悪いんだよー。ちょームカつくんだけど。
  一回しばいちゃおっかなー♪なぁーんてね。冗談だよーん あっはは!笑
― あ、あれXXの妹だよ!あははっちょーそっくりじゃん!
― うわぁあの子すっごいギャルだねー うっざーい
― あ、あの子うちの部活に勧誘しちゃおっかなー♪
― 先輩ってなんかいい気分だよねー?しかも今年はうちらが最上級生だし!イェーイ♪
― 受験のことはしばらく忘れてこの雰囲気味わっとこーっと




― ・・・ねぇねぇ、知ってる?C組の吉澤ひとみね、今年もすごいらしいよ・・・
5 名前:1、息を呑むほどに 投稿日:2003/10/08(水) 22:13

吉澤ひとみっていうのはあたしの名前。あだ名はよっすぃ〜。15歳A型おひつじ座、
好きなものは学校とかわいい女の子(もしくは人がいっぱいいるところ)嫌いなものは
しつこい人間。
ついでに弟が2人と両親が1組。
いたって平凡である。
じゃぁ、一体何がすごいのか?

その頃の私は・・・・・かなり調子に乗っていた。
正直言って、今からしてみればただ単に雰囲気に飲み込まれて馬鹿をやっていただけの
ような気がする。
小さいときからずっと言われてきたことが今になってさらにエスカレートしたのだ。
6 名前:1、息を呑むほどに 投稿日:2003/10/08(水) 22:14
友達に言わせてみれば・・・
すらっと伸びた165cmもある身長と体型。
ちょっと長めのさらさらした茶色のショートカット。
きっと祖母がイタリア人だからだろう、決して色は白くはないが
日本人にしてはかなり彫りが深く整った、パッとする顔立ちに大きな瞳。
中身を言えば、いっつも笑ってて明るくてノリがいい性格で、運動神経も抜群のバレー部のキャプテンで。
そして・・・
「よっすぃ〜のちょっとしたしぐさとかしゃべり方とか行動とかって本物の男より
かっこいいんだよね〜」
らしい・・・。

そりゃぁそのことで傷ついたこともあったしヤだなって思った事だってあった。
普通の女の子みたいに、自分をかわいく見せたり男の子に恋をされたりしたりしたいって思った。
でも・・・中学に入ってから毎日(方法はいろいろだが)もらう手紙
     どこから飛んで来るんだかわからない、体に突き刺さるほど痛い視線
     部活に行く度に飛び交うキャーキャー言う声
     毎日呼び出されて(大抵は屋上だが)される告白
     うわさによるとどうやら実在するらしいファンクラブ



・・・・・こんな毎日を送っていてハマらないわけがない。


ぞくぞくするような感覚。
ドキドキするような興奮。
毎日が刺激的だった。

人によってはうれしいのにわざと嫌がる人もいれば知らないフリをしたりする人も
いるんだろうが、あたしにはそんなことするのは不可能だった。

「あたしはモテる」

そう思ったらもう止まらなかった。
相手は全員女の子だったけど、そんなこと関係なかった。
むしろそれがあたしを余計に興奮させていた。
あたしは本物のレズじゃないってわかってたから、どうでもよかった。

そしてしばらくするともう、あたしはそれから抜け出せなくなっていた。
毎日がそんなことでいっぱいだった。他のことなんか考えられなかった。
わざと、デートまがいな事もしたし、本当に気に入った子とはキスもした。
頬にキスをしたり、口説きまがいな事や、他にも色んな事をした。
あたしにとってそれらは一種の刺激剤だった。
7 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/09(木) 16:31
吉ってO型じゃなかったっけ・・・
8 名前:1、息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:40
こんなことだけに染まっていった毎日の中である日いきなり、B組に転校生が来るという
うわさが流れた。

今頃の転校生なんて珍しい。ってゆーかビミョーだ。もう中3始まって2週間経ってる
のに。

一体どんな子なんだろうか。
めちゃくちゃ頭がいい眼鏡とかかけてつんつんしてる優等生タイプか・・・
何か過去を持ってる子か・・・
ぶっさいくで何のとりえもない子か・・・
お決まりの何でもできちゃうようなパーフェクトな子か・・・
それともただの平凡な子か・・・
かわいい子だといいな・・・
あたしのことどう思うかな・・・
他の子みたいにあたしのこと好きになるかな・・

それかもしやあたしと同じ人種だったりして・・・

・・・・・・そんなことがないように祈っておこう・・・・・

9 名前:1、息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:41
・・・・・・そんなことがないように祈っておこう・・・・・

うわさによれば、その転校生というのはこれまた急で、明日来るらしい。
さらに友達がどこから持ってきたんだか色々な情報をくれた。
なんでも・・・その子は生まれは東京だけどそれからすぐに両親の仕事の都合で沖縄に
行ってそれからずっと沖縄で育ってきたとか。
兄弟はいなくて1人っ子だとか。
頭がとてもいいとか。(最初にあたしが思ったパターンじゃないといいな・・・)
しかし半年前に父親が海の事故で亡くなっているらしい。
今回また東京に戻ってきたのは、母親の仕事でっていうことだ。

そんなうわさが沸き立って、雰囲気がなんとなくまるで秘密を持っている子供みたいに
なって少し高まったような感じのまま下校の時間になった。
10 名前:1、息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:42
「よっすぃ〜っ、帰ろ〜っ!」
「ひとみーっ、早くしないと帰っちゃうよー?!」
「あいぼんが寄りたいとこあるんだって!!早く行こー!!」

こんなふうに教室の外からぎゃーぎゃー叫んでいるのは、親友の加護亜依、辻希、
市井沙耶香、矢口真里、後藤真希。
この6人、学年は違うがなぜか物心ついたときから一緒にいた幼馴染だ。
家も近くて小さい時は毎日毎日公園や誰かの家で遊んでたし、小学校は区立のに6人
仲良く通ってたし、中学もまさに全員必死にがんばってそしてそれプラスかなりの奇跡に奇跡が重なってみんな同じ私立の女子校、ここの学校に通っている。
学年は、サヤちゃんが高2で、まりっぺが1年。あたしとごっちんが中3で、あいぼんとののが2年。
今はもう登校も下校もお昼も買い物も遊びに行くのも、何をするのもこの6人でやるのが当たり前になっている。
誰か一人でも欠けるなんて考えられない。

これがあたしたちにとって物心ついたときからの当たり前の環境なんだ。

11 名前:1、息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:44
さてさて。学校のいたるところであたしと帰ろうと待ち伏せていた後輩や先輩たちを
どうにか撒いて、玄関までたどり着く。
ここであたしには一つ習慣がある。それは、カバンを開けること。
毎日毎日下駄箱に入っている無数の手紙を突っ込むためだ。

「よっすぃ〜サマ愛してる?」
「私と結婚してぇー!!」
「ひとみ様 ちょーかっこいい!!」

なんてめちゃめちゃふざけた走り書きのメモもあれば・・・

「吉澤ひとみちゃんへ 明日のお昼休みに話したいことがあるから屋上に来てくれると
うれしいな♪待っています。 2年B組 日吉ルリカ」

なんていう明日告白しちゃいます宣言しまくっているのもあるし、

「吉澤ひとみ様    初めまして。1年D組の川本あかりって言います!いきなり
だけど、入学してから(まだ1ヶ月と少ししか経ってないけど)ずっとずっとあなたのことだけを見てきました。こんなにかっこいい人に会ったのは生まれて初めてです。
ホントーに他のどんな男の子よりかっこいい!!(キャー!!)ちゃんと喋ったこともないし、たぶん吉澤さんは私のこと知らないと思います。でも毎日毎日吉澤さんのことを見ているだけで私すっごく幸せなんです? ただ私の気持ちを伝えたくてこの手紙を書きました。お返事は・・・吉澤さんに任せます。返ってこなくっても別に気にしません。 
川本あかり」

なんていうこってこてラブレターもあったり。
まぁそれぞれだけど、なんかやっぱりパターンみたいなものはあって、最初はもらった
手紙は毎通毎通丁寧に読んでいたけど2週間もするとさすがに飽きてきて、今ではこの
手紙たちの行き先は・・・大抵は机の引き出しの中または書いてくれた人には悪いけど
ゴミ箱だ。
12 名前:1、息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:46
だから今日も必然的にあたしはカバンを開ける。
そして今日も必然的に大量の手紙が入っている。
ざらざらとそれらの手紙をカバンに流し込むあたしを横目で流しながらごっちんが言う。

「よしこってさ、なんか・・・たまに見てると冷たい感じがする。
心がなくなっちゃったような感じかするよ。たとえば今とかさ、その手紙流し込んでるあたりとか。なんてゆーか・・・・ちょっと怖い。」
「へっ?!急に何言ってんのごっちん?!怖いってちょっと・・・えぇ〜??」
「ん・・・いや〜・・・えへへ・・・だってごとーにはそう見えるんだもん」

「ちょっと2人ともまだぁ〜?」

「アッはいはい今行くよー!!」

急に飛び込んできたサヤちゃんの声であたしたちはつい今までのかいわなんか忘れて
ダッシュでみんなのところに行った。
13 名前:1、息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:47
「なになに、今日もひとみモッテモテさん?!」
「いーねーモテるやつは。でも相手全員女だからね〜笑 ある意味気ぃつけないと
やばいかもよ?なぁーんちゃって あははっ!!」
「そうれすよーよっすぃ〜気をつけないとやばいれすよ〜笑」
「(苦笑)あはは、そうだね。相手みぃーんな女の子だもんなー。ちゃんと男
捕まえないと笑」

「あははははっ!!!!」


「でもさー、うちらみんななんか自分がなんにも思えてないころから一緒にいてしかも
よっすぃ〜が女の子だからかもだけどさ、もしもよっすぃ〜が男の子だったら絶対私
好きになってたと思うなー。とか思わない?みんな」

急にそんなこと言い出したのは、まりっぺだった。

「あ〜・・・それはうちも前に思ったことあるでぇ〜。今のまんま女の子でも十分やけど
もしよっすぃ〜が男の子でずっと前から一緒にいるようなやつじゃなかったらきっと
惚れてたと思う。」
「ののもれす。もしもよっすぃ〜が本物の男の子だったらどんな悪党でもののは惚れるの
れす。」
「いちーもなんとなくそれは感じたことある。もしも気がついたら隣にいてこいつが
どんなやつか知らなくてかつ、ひとみがマジで男だったらおっかねぇ〜笑」
「何だよソレ〜笑何?そんなに惚れちゃうほどあたしかっけー?笑でもさーそんな言い方
されるとまるでうちが間違って女に生まれてきたみたいじゃんかよ〜。」
「でもごとーたちは別によしこが男でも今のまんまだったと思うよ?」


今までいつもはまっさきにしゃべってわいわいしているごっちんが今日は存在を忘れさせるほど静かだったのにいきなり口を開いた。

「ごとーはそう思うよ?よしこはよしこだもん。男でも女でも変わんない。」

そうぽつりと言ったごっちんの顔は、いつもふにゃふにゃ笑っている無邪気なあの笑顔
じゃなくて、なぜか・・・こっちを見てはいなかったもののとても真剣そうだった。
14 名前:1,息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:48
それからみんなであいぼんが寄りたがっていた新しくできた駅前のケーキ屋さんに行って、家に帰ったのは夕方の6時半だった。

それからさらに5時間後の夜11時半。
ベッドに入ったあたしの頭の中に急に、今日の帰りにごっちんと交わした会話が
よみがえった。

― よしこってさ、なんか・・・たまに見てると冷たい感じがする。
  心がなくなっちゃったような感じかするよ。
  たとえば今とかさ、その手紙流し込んでるあたりとか。
                     なんてゆーか・・・・ちょっと怖い。―

怖い?あたしが?
あたしはただあの時毎日やってる当たり前の行動をしてただけで他には何にもやってない。
それのどこが怖いんだ?
ごっちんだって他のみんなだっていつもいつも見てるあたしの行動じゃん。
いつものあたしと何にも変わんないのに。
今日のごっちんはなんか変だ。いつものごっちんじゃない。
考えてみれば変なのは帰りからじゃない、もっと前からだ。
・・・うん・・・きっと転校生のうわさが一気に流れ出したあたりで・・・。
どうしたのかな、ごっちん・・・何かあったのかな・・・
15 名前:1,息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:51


次の朝、いつもどおり7時15分きっかりにドアのチャイムが鳴る。
インターホンの受話器を手にすると同時にきっと画面に顔を押し付けているんだろう
誰かさんの馬鹿でかい顔が映り周り4人の声が聞こえる。

「ぉわっ?!(゜.゜)」
(あっははは!!!!爆笑)
「(てめぇら何笑ってんだよ!)よっすぃ〜おっはー?やぐちだよーん♪学校行こうぜぃ☆」
(ひっとみ〜聞こえるか〜?いちーだぜー♪)
「ぁ〜・・・まりっぺか、何だ・・・」
(ギャハハハハハハハ!!!!よっすぃ〜・・・マジ受ける・・・!!!!)
「何だとは何さ?!なんかこの矢口の顔に不満でもあるのか?!なんでみんなも笑ってるわけ?!説明しろよ?!」
「・・・ないない。今行くから待ってて・・・」
「(笑うなっ!!!止めろ!!)あ、オウケィ(^o-)-☆待ってるぜダーリン☆」

いつもの朝のハプニングである。
16 名前:1,息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:54

食べかけてた朝食を一気におなかにつぎ込んで、カバンをひっつかんで玄関にダッシュ。

「いってきまーっす」
「ひとみいってらっしゃーい」
「「ねーちゃんバイバーイ」」
「じゃーなひとみー」

家族に一声かけてからドアを開けて、みんなとわいわい学校に向かった。

「ねぇねぇ、確か今日だよね、うわさの転校生が来るのって!」
「ぉおそうじゃん!今日だよー転校生来るの!いや〜楽しみだね〜へっへっへ」
「・・・よっすぃ〜・・・顔がビミョーに犯罪者になっとるで・・・」
「・・・怖っ(゜゜)!」
「転校生ビビっちゃうよねーこんな犯罪者が同じ学年なんてさ笑」
「そうなのれす。転校生がかわいそうなのれす。ごっちん、ちゃんと転校生をこいつから 守ってやるのれす」
「なんてこと言うのさ?!あたしは犯罪者なんかじゃない!!」
「今さら大嘘こいたってしっかり顔に出てるよよっすぃ〜♪笑」
「・・・っ・・・違う!!前科なんかない!!あたしはふつーの女子高生だぁーっっっ!!」

・・・・あれ・・・・ごっちんからの反応が何にもない・・・
いつもなら真っ先に話してくるのに・・・・・
なんかいつものごっちんじゃないみたい。
あたしの必死に弁解する絶叫がまるで聞こえてないみたいに歩いてる。
目がどこを見ているのかわからない。
・・・ごっちん?
17 名前:1,息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:54
「あれ・・・ごっちん?どうしたのさ?今日はなんかイヤに静かじゃん」
「・・・・・・」
「ね、・・・ごっちん?」
「・・・っ・・・えっ?!あ、ごめん、何?」
「もぉ〜ごっちん大丈夫〜?いっつもめちゃめちゃ明るいのに急に静かだと心配しちゃうじゃん!」
「あは・・・ごめんまりっぺ。・・・あの・・さ、ごめんねみんな、実は今日ごとー
ちょっと朝から色々やることあってさ・・・今からダッシュで行ってきまっす!
ごめんね!またあとで学校で!」
「「「「「えっ?!ちょっとごっちん?!」」」」」

5人の驚きの叫びが見事にキレーにハモった。

たぶん・・・走っていく寸前に振り返りながら一瞬見せたあの悲しげな顔は、きっと
あたししか見ていない。


ごっちん?
一体ごっちんに何があったんだろう?
朝から色々やることがあるなんてごっちんにとって初めてじゃないだろうか?
いつもいつも学校に着いたら真っ先に寝るクセに・・・
昨日の帰りからごっちんの様子が変だ。
あたし何かしたかな・・・?何にも思いあたることがないんだけどさ・・・

18 名前:1,息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:55


そんなことを考えながら学校につくと、案の定、中3全体が転校生のうわさだらけだった。

― ね、転校生来るの今日でしょ?!
― 沖縄からなんてかっこいー♪
― お父さん亡くなってるんでしょ?ちょっと神経質とかになってるかな・・・
― かわいい子かなー♪
「あ、よっすぃ〜だ!!おっはよー♪」
「あ、おっはよ〜みんな?」
「今日来る転校生のこと知ってるでしょ?」
「かわいい子だといいねー♪」
「仲良くなれるかなー」
「でもさ、もしかしてその子もよっすぃ〜のこと好きになっちゃうかもー!!(>_<)?」
「「「「「「「「「「「「「「「「キャーっ!!!!!!!!(>_<)?叫」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「(うっ・・・うるさい・・・)あっはは・・・そうかなー苦笑」

フン。
もちろんなるよ。
当ったり前じゃん?
この吉澤ひとみサマの醸しだすオーラに噂の転校生もイチコロ☆
ってゆーかならなくってもならせて見せる。
まぁもっともならないなんて可能性は1%ぐらいなもんだけどねっ(^_-)へっへっへ
顔合わせが楽しみじゃん♪
でも・・・もしぶっさいくとかなんか冴えない子だったら即座に身を隠そう(゜.゜;)


「・・・よしこ、顔が犯罪者になってるよ・・・」
「っギャーっ?!ごごごごごごごごっちん?!なんでそんなとこに?!」
「ん〜・・・べつに。教室にきたらよしこがモロ犯罪者顔でへっへっへって笑ってたからちょっと注意してやろうかと思って。」
「あ・・・ああ、わかった。あーびっくりした!!もうやめろよなーいきなり声かけんの。   
・・・それにしてもごっちん朝やることがあるからって急に走ってっちゃったけど何
やってたの?」
「ぇ・・・・・いや・・・・べつに・・・いいの!よしこは気にしなくて!」

そういうとごっちんは席に走っていってしまった。

やっぱ変だよなーごっちん。
何隠してんだろう・・・

とか思ってたら担任が入ってきた。
19 名前:1,息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:58
「はいはいみんな席についてねー!」

そう言ってパンパン手をたたく担任はそのスレンダーな体を余計に見せ付けるような
真っ黒な薄手のスーツに身を包んでいて、あんまり化粧もしてる様子はないのに
めちゃめちゃ美人だ。
彼女の名前は飯田佳織。
英語の担当で、教師になって3年目。留学してた先で4年ぐらい飛び級してたらしくて(これって結構すごいと思う。相当がんばったんだろうなー・・・)、23歳の若い先生。そのせいか他の先生と違って何でも話せちゃうようなフレンドリーな感じがして、そこがみんなに人気のある1つのポイントでもある。

「もうさー3年にもなってそりゃーこの学校受験ないからお気楽なのはわかるけど?もうちょっと大人っぽくなろうよー。なんか、かっこいい感じ?う〜ん・・・なんかもっと
こう・・・・・・・・カオリもわかんなくなってきちゃった・・・。」
「だめじゃん先生笑」
「まぁいっか。とりあえず静かにさっさと席につけってことよ。じゃー出席とるから、
返事しないやつは欠席ってことで。Are you ready?相川ー、浅田ー、今井ー・・・」

この先生は生徒のことを苗字で呼び捨てにする。
外見はすごく華奢なのに中身はとても勇ましい人だ。
どんなに悪い生徒もこの先生の前では頭が上がらない。
他の先生の言うことは聞かなくてもこの先生の言うことだけはちゃんと聞く。
どんな生徒の悩みもちゃんと聞いてちゃんと最後まで解決してくれる。
絶対逃げたりしない。曖昧な答えで片付けたりはしない。
何があってもしっかりうちらを守ってくれる。
うちらと同じ時にこの学校に入ってきたのになんか何年も前からいるような雰囲気だ。
正直言ってただ単に・・・すごいなー・・・って思うのがあたし。
べつに憧れとかそんなんじゃないけどさ。

そんなことより早く噂の転校生ってやつに会ってみたいなー・・・
会うの楽しみだなー・・・えっへっへっへっへっへ・・・
20 名前:1,息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 00:58
「・・・吉澤ぁー・・・何がどうなってんのかは聞かないよ。でもね、カオリその
犯罪者顔やめた方がいいと思うんだけどなー・・・(;一_一)」
「・・・」
「・・・吉澤・・・?(― ―;)」
「・・・あ?・・・なんですか?」
「あのー・・・ね、カオリは、その犯罪者顔やめたほうがいいんじゃないかなって思うよって言ったの。」
「へ?やだなー先生この吉澤ひとみが犯罪者なわけないじゃん!あっはっはー!笑」
「ん〜・・・そうだよね・・・もうやめよう・・・なんでもないよ」
「あ、そうですかー?変な先生ー笑」
「そだね・・・カオリはまともだけどね・・・ハイ!じゃーみんな1時間目始まる
からね!あ、そういえば1時間目教室移動じゃん?生物だっけ?早く行かないと遅刻し
ちゃうよー」

その声でみんなハッと我に返ったようにワサワサ動き出す。
急に教室が沸き立ったようになる。

21 名前:1,息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 03:28
「ごっちんごっちん、生物室行かなきゃ。1時間目遅れちゃうよ?」
「・・・ん・・・んあ?よっすぃ〜・・・教室移動なの?めんどくさいぃぃぃ〜」
「ほら荷物だして!行こう!!」

2人で教室を出たその時、隣のクラスのB組も移動教室らしくみんながぞろぞろ出てきた。
・・・なんか視線を感じる・・・まぁいつものことだし?こんなこと当たり前だし?
・・・でもなんか今日はミョ〜に気になって仕方ない・・・

あたしがフッとそのB組の生徒の波に目をやった瞬間・・・

あたしは一瞬、何を見たのかと目を疑った。
22 名前:1,息を呑むほどに 投稿日:2003/10/17(金) 03:28
あんなにいっぱいぞろぞろ出てくるB組の生徒の中で1人だけ、輝いて見えた。

確かにあたしを、じっと見つめてて、目があったら・・・ふわっと優しく微笑みかける。

それと同時に暖かい風が吹いたような感覚。

春の桜の妖精を見ているみたい。

時が永遠に止まった感じ。

息ができない。

呼吸が苦しい。

心臓の音がやけにリアルに聞こえる。

頭の片隅が熱い。

頭が痛い・・・・
23 名前:1,息を呑むほどに 投稿日:2003/10/19(日) 03:20
「ちょっ・・・よっすぃ〜!!どうしたの?早く行かなきゃ!」
「っ!!!!!」

急にあたりが騒がしくなる。
ごっちんの声で現実に引き戻されたんだ・・・。
まだ夢の中にいたような感じがしてだるい。
顔がほてって熱い。

「早く、よっすぃ〜!!遅れちゃうって言ったのよっすぃ〜じゃん!」
「え・・・あ・・・うん、そだね・・・・・・・」

ごっちんに引っ張られながら急いであの人がいた辺りを見渡すと、
もうあの人はいなかった。
あんな人、あたしの学年にいたっけ・・・




あたしは・・・恋に落ちた。



そしてあたしを必死でひっぱるごっちんの目には、大粒の涙が光っていた。
24 名前:Ena 投稿日:2003/10/19(日) 03:25
こんにちは。作者のEnaです!
なんか・・・誰かこの話読んでくれてるのかな・・・
実は小説なんて書くの初めて(まだ高2なんです)で思いっきり未熟な話で間違えも多いかもしれないけど、
もしも読んでくれてる人はいたら感想とか間違えとか色々教えてもらえたらとてもうれしいです!(>д<)
間違いに関してなんですけど夏休み・春休み・冬休み以外は某外国にいるので
ノートパソコンで打ったのをディスクに入れてワード開いてコピーして貼り付けて、それで投稿してるから
多分(ってゆーか実際本当に)行変えとか色々読みにくくなっちゃってる部分があって、
投稿する前にちゃんとチェックするようにはしてるんですけど、そこのところ、ごめんなさい。
25 名前:Ena 投稿日:2003/10/19(日) 03:34
更新は1週間に一度ぐらいでがんばろうと思ってます。
この間の金曜日にかなり大量にやっちゃったんですけどね笑
でもそのせいで今まで書いてたやつ全部更新しちゃって
ストック(っていうんでしょうか)が無くなっちゃったんで今一生懸命お話書いてます。
Ena的には皆さんの意表をつけるようなお話が書ければって思ってます。
(ちなみに名前はエナって読んでください☆)
26 名前:Ena 投稿日:2003/10/19(日) 03:35
名無し読者様>早速のご指摘ありがとうございます。
アフォでした。
吉は確かにO型です・・・。
ああああああああああああああ!!!!!! 叫涙
これからもアフォな間違いあったら教えてくださるとうれしいです・・・・泣
27 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/19(日) 13:41
がんがってください
28 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/22(水) 10:17
もっと肩の力抜いてもいいと思いますよ
29 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/05(水) 19:59
書く気無いの?
30 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/25(木) 21:15
書く気ゼロかもしれないけど一応保全
31 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/03(土) 16:19

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