ゆるやかなノイズ
- 1 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/09(木) 01:49
- いしよしバンザイ。あやみきバンザイ。
でも主役は田中さんです。ごめんなさい。
- 2 名前: 投稿日:2003/10/09(木) 01:55
- ビルが建ち並び、空の色は消えて。灰色の街。
- 3 名前:1 灰色の街 投稿日:2003/10/09(木) 01:56
- 改札を抜けると、目の前一帯に広がる人だかり。ゆっくりと辺りを見回して、
田中れいなは一人溜め息をついた。
知らない街は嫌だ。
そして、それが大きな街になればなるほど、その薄気味悪い音たちが、波の
ようにうねり、大きな渦となって、れいなの鼓膜を震わせる。吐き気をもよお
す程に不快なノイズ。
暑さのせいか、空気が歪んで見える。ここがこれから暮らす場所かと、れい
なは早くも辟易していた。人の流れは十三歳の自分には早すぎたし、ビルだら
けの街並みは、押入れに閉じ込められた時の感覚に似ていて、思わず顔をしか
める。
空は青いはずなのにな、と思いながら、色あせた空を見上げた。
街は灰色に染まっている。自動車の排気ガス、建ち並ぶビルの壁。その中で
人の着る服の色だけが無闇に明るい。
そんなことを考えながら大通りをまっすぐに行くと、待ち合わせをしている
喫茶店が見つかった。鮮やかな緑の屋根に、真っ白な煉瓦の壁。なるほど、確
かにわかりやすい。れいなは長旅の疲れを感じながらも、喫茶店の扉を開けた。
- 4 名前:1 灰色の街 投稿日:2003/10/09(木) 02:00
- 休日の午後ということもあってか、店内は多くの客で溢れ、空いている席は
もう見当たらなかった。れいなはつい、と唇を突き出して、辺りを見回す。
しばらくの間視線を彷徨わせていると、同じ年のころの少女と目が合った。
肩までおろした髪に、猫のような瞳。少女は、れいなに気付くとにっこりと微
笑んだ。
「れいなちゃん、長旅ご苦労様」
少女は笑顔のままにれいなに近づいてくると、ひょいと旅行鞄を受け取った。
――のは最初だけで、すぐに顔を歪ませ両手で必死に鞄を抱える。
「重いんだね」
そう言って、また笑った。
- 5 名前:1 灰色の街 投稿日:2003/10/09(木) 02:02
- 「んっと」
「何? どうしたの?」
一声かけただけで、少女は嬉しそうに笑顔を向けてくる。れいなは、料金と
か取られないよな、と内心ビクビクしながら次の言葉を続ける。
「鞄……」
「ああ、気にしないで! れいなちゃんは疲れてるんだから、これくらいさせ
てよ!」
相変わらず高いテンションを保ったまま。れいなは言うべきかどうしようか
迷ったが、やっぱり言うことにした。東京は怖いところなのだし。
「あんた、誰?」
「……え?」
しばしの沈黙。やはり言うべきではなかったかな、と後悔しかけた頃、少女
は相変わらずの笑顔で口を開いた。
「言ってなかったっけ?」
「うん」
「そっか」
少女は鞄を地面に起き、パタパタと服の埃をほろう。そして、黄色い縞模様
のシャツの襟をしっかりと直してから、れいなに向き直った。
- 6 名前:1 灰色の街 投稿日:2003/10/09(木) 02:03
- 「亀井絵里と申します。ふつつかものですが、どうぞ末永くよろしくお願いい
たします」
「はぁ」
いきなり末永くと言われても。
先程からこの亀井絵里という少女はれいなの予想の出来ない行動ばかりをす
る。
どこで名前を手に入れたかは知らないが、そろそろ逃げないといけない。れ
いなは直感でそう思った。
「じゃあ、そういうことで」
冷房の効いたこの部屋を出るのは少々名残惜しかったが、引越し早々厄介ご
とに巻き込まれるのはごめんだった。運の悪いことに待ち合わせまでにはまだ
時間があるが、ハンバーガーでも食べながら時間を潰せばよいだろう。
れいなは、引きつった笑みを浮かべたまま、鞄に手をかけた。
- 7 名前:1 灰色の街 投稿日:2003/10/09(木) 02:04
- 「よいしょ」
「……」
「よいしょ」
「……」
「……よいしょ」
「……」
「……」
「……」
先程かられいなは両腕に力を入れている。絵里が苦しんでいたように、決し
て軽い鞄と言うわけではなかったが、持てない程のものではなかった。
れいなは、目の前の絵里にきつい視線を送る。絵里は、相変わらずに笑顔。
- 8 名前:1 灰色の街 投稿日:2003/10/09(木) 02:05
- 「手、離してくれないかな」
れいなは出来る限り優しい笑みを持って話した。その頬が引きつっていたこ
とを、誰も責めることなど出来はしないだろう。
しかし、彼女は笑顔のまま、微動だにしなかった。その頬には、脂汗が一つ。
「離して」
もう一度、今度は強めにそう言って、手にも今まで以上の力を入れる。絵里
は、既に答えを返す余裕もないのか、猫のような目をギュッと閉じ、唇を噛み
締めながら、必死にバッグを握っていた。
その表情を見ていたれいなは、諦めの合図か、大きな溜め息をついた。そし
て、すうっと大きく息を吸い込んだ。
「離せって言っとろうが!!」
「きゃあ!」
思い切り引き取った鞄は、そのままれいなの手のひらを離れ、テーブルに直
撃ホームラン。観客の拍手は聞こえずに、代わりに悲鳴が響き渡った。グラス
の割れる音は、応援団の騒がしさに通ずる所がないでもない。
- 9 名前:1 灰色の街 投稿日:2003/10/09(木) 02:06
- 「あ……」
二人の声が重なり合って、同時にカウンターの中をうかがった。アルバイト
らしきお兄さんが、顔を引きつらせてたっている。
「やば……」
触らぬ神に祟りなし。
もう十分触ってしまった感もあるが、そんな嫌な考えは取っ払って、れいな
はポジティブに物事を考えることにした。
今ならまだ、混乱に乗じて逃げられるかもしれない。大体まだ何も頼んです
らいないのだ。少なくとも食い逃げにはならないだろう。
れいなは水浸しの鞄を回収しようと一歩踏み出した。つもりだった。
「……あんた、なにやってんの?」
れいなの視線の先には、見たくない顔が一つ。相変わらずに両手に力を入れ、
バッグを握っている。
「ずるいずるいずるい!」
絵里はついに笑顔を崩し、その両瞼にたっぷりと雫をたたえながら、れいな
のティーシャツの袖を引っ張っている。
うるうるとした瞳で見つめられ、れいなもさすがに良心の呵責を覚えたが、
しばし考えをめぐらせると、再び口を開いた。
「知らん! 元はと言えばあんたが悪いっちゃろ!? いつまでたっても鞄放
さんし!」
「だって……」
「だってじゃなかと!」
- 10 名前:1 灰色の街 投稿日:2003/10/09(木) 02:07
- いつの間にやら論点はずれて、鞄のことはすっかり忘れ去られていた。
れいなは怒り狂って何度も叫び、絵里は涙声になりながらも、自分の罪にな
りそうな部分だけは、ちゃっかりとごまかしてみせる。
永遠に終わらなさそうな論議。しかし、終わりはあっさりと訪れるものであ
る。
目の前に立ちはだかった怖い顔のお兄さんを確認すると、二人そろって引き
つった笑みを浮かべた。こうして見ると、仲のよい姉妹に見えないこともない。
「ここは君たちの遊び場じゃないんだけど」
「あは…は」
れいなはぎこちなく笑ったまま、横歩きで鞄へと向かう。何故か少女もそれ
に着いてくる。その途中、思い出したように、少女は飲みかけのジュース代を、
テーブルの上に並べた。
「すみませんでしたー!」
そう同時に叫ぶと、二人仲良く鞄を持って、出口まで一直線に駆けて行く。
後ちょっとでゴールテープが切れるというところで、二人は最後の障害物に
見事に引っ掛かった。入ってきた客と正面衝突。そのまま後ろに倒れこんだ。
こいつといると碌なことがない、と心の中で少女を毒づきながら、れいなは
再び謝らなければならない自分の運命を呪った。
その時だった。
- 11 名前:1 灰色の街 投稿日:2003/10/09(木) 02:09
- 「れいなちゃん?」
その女性はれいなを見ると、一瞬不思議そうな顔をして、その後顔をほころ
ばせた。
この女性のことを、れいなは何度か見たことがあった。写真の中で。そして、
地元を出てくる直前に。
「おばさん……」
れいなは時計を見た。一時半。まだ約束の時間には三十分もある。予定外に
早く登場してくれたおばさんに、れいなは心の底から感謝をした。
ようやく、この摩訶不思議な少女から解放されるのだ。
「じゃあ、あたしはそろそろ……」
絵里に向かって別れの言葉を満面の笑みで言いかけたとき、隣りから不思議
な文字列が聞こえてきた。オカアサンとか何とか。
れいなは口元だけで微笑みながら――目元は不自然なまでに冷静さを残して
――彼女の言葉に耳を澄ました。
「お母さん、早かったね!」
絵里は彼女によく似合った、満面の笑みではっきりとその言葉を口にした。
絵里の明るく弾んだ声を聞きながられいなは、意識が遠くなるのを、他人事
のように感じていた。
- 12 名前: 投稿日:2003/10/09(木) 02:09
-
- 13 名前: 投稿日:2003/10/09(木) 02:10
-
- 14 名前: 投稿日:2003/10/09(木) 02:10
-
- 15 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/09(木) 06:32
- ……。。。亀井さん……。。。かめれな(ほのぼの)になりますように……。
- 16 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/09(木) 09:04
- いや、すごくいいです。
軽い文体で読みやすいし、楽しみな作品が生まれそうな予感。
- 17 名前: 投稿日:2003/10/10(金) 15:56
- 木々のざわめき、舞う水飛沫、そして。一輪の花。
- 18 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 15:57
- 待ち合わせ場所から、電車やバスを乗り継いで一時間。促されるままに連れ
て行かれた亀井家は美しい緑に囲まれた坂の上にあった。東京にこんなに緑が
あるなんてれいなには意外だったし、この間まで自分が住んでいた福岡の家よ
りも、よっぽどのどかで落ち着いた場所だった。
「れいなちゃん、今日からよろしくね」
そう言ってニコリと笑った絵里は、れいなよりも一つだけ年上で、少しだけ
お姉さんぶりたそうにしていた。こうして見ると、絵里の笑顔はやはり周りの
友達よりも大人びていて、昼間のアレを見ていなければ、素直に甘えられたの
かもしれないと思ったりもした。
- 19 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 15:59
- その日はとても暑い日だった。れいなが手持ち無沙汰のまま扇風機の回るリ
ビングで休んでいると、絵里が小さなうちわを持ってやってきた。
いる、と聞かれたかられいなは、いらない、と言った。れいなが扇風機を指
差すと、絵里は今さらながら納得した顔で戻っていった。
少しだけ時間が空いて、また絵里がリビングに入ってきた。右手には棒付き
のアイス。
「食べる?」
にっこりと笑う絵里に内心ドギマギしながら、れいなは無言で棒アイスをひ
ったくった。
「東京に来ていきなりひどい目にあわされたんだから、これくらいもらえない
と困る」
絵里は顔を真っ赤にして、あれはぁ、とか言い訳を始めた。それを無視して、
れいなは窓の外に目を向ける。ここから見える空は、結構青かった。
- 20 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 16:00
- れいなは東京で暮らしていくことに不安があった。慣れない場所、知らない
人間。そういった環境はれいなにとってはノイズでしかなく、排除されるべき
ものだった。
でも、れいなは今、望んでここにいる。
そうするしかなかったと言えばそれまでだが、れいなが初めて自分から動き
出したと言うのも、事実だった。
「れいなちゃん?」
気付くと目の前には絵里がいた。アイスはすっかり食べ終わってるし、日は
もう落ちかけている。キッチンから聞こえるのはおばさんの包丁の音。それと
、じゃがいもとたまねぎの匂い。
「カレーだ」
当たりー、という声がキッチンから聞こえてきて、れいなはようやく我に返
った。
「絵里、どうしたの?」
自然と名前で呼んでいた。絵里は、お姉ちゃんがいいなあなどとボソボソ言
った後、ああ、と手を叩いた。
「手洗ってきなさいって」
「ああ、わかった」
テーブルに手をついて立ち上がると、れいなはリビングを出た。後ろから、
突き当たりを右だよ、という声が追いかけてきて、素直にそれに従った。
- 21 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 16:02
- お風呂やら洗濯機やらがある洗面所には、大きな鏡がついていて、れいなは
一日分の汚れを落とすように丁寧に手を洗った。その後で、水を一杯に出すと、
両手ですくって、顔に何度もかけた。水はとても冷たくて、気持ちがよかった。
洗濯機の上に置いてあったバスタオルで顔を拭いた後、れいなは水を出しっ
ぱなしにしたまま、大きな鏡に見入った。見慣れたはずの自分の顔が、この家
では全く違ったものに見える。水道の水の音も、前に住んでいた家とは少しだ
け違っていた。それは、家のベランダから見る太陽と、修学旅行のときに見た
太陽の違いにとてもよく似ていた。
不思議と不快感はなかった。この水飛沫の色とか、ジャーっという音とか、
微妙なずれが妙に心地よく感じられた。そう言えば、絵里の声も別に嫌じゃな
いな、とふと思い、その後慌てて首を振った。
- 22 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 16:03
- 「れいなちゃーん」
パタパタと走ってくるスリッパの音。余りのタイミングの良さに、れいなは
少しだけビクビクとしていた。少しだけ、絵里のことを意識していた。
一度深呼吸をして、洗面所のドアをあけると、
「あうっ!」
目の前で、絵里がこけた。
「……いきなりドアを開けないでー」
「フ……フフッ…」
「ちょっと、れいなちゃん……」
「アハハハ!」
「もー!」
れいなは久しぶりに、声を上げて笑った。視線の下では、絵里が泣きそうに
なりながら、れいなをじと目で睨んでいる。いつまでも笑いの止まないれいな
に、絵里はふくれっつらを見せていたが、しばらくすると、諦めたように優し
く微笑んだ。
- 23 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 16:04
- テーブルについてしばらくすると、湯気に包まれたおいしそうなカレーが目
の前に置かれた。昼ご飯も絵里のせいで食べる暇がなかったから、全員分が並
べられるのを、今か今かと待ちつづける。
そのとき、れいなの目に嫌な色が移った。緑の野菜。
(まさか、ピーマン……ッ!)
さりげない風を装って、皿を前後に動かしてみる。カレーの海の中から出て
きたのは、間違いなくピーマン。
途端に落ち着きがなくなったれいなは、きょろきょろと辺りを見回す。カタ
ン。ちょうど絵里のもとへもカレーが運ばれたところだった。
- 24 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 16:05
- これだ。
何故か、れいなはそう思った。ひっきりなしに動かしていた瞳を一点に集中
させ、その時をうかがう。
そして待ちわびた一瞬が訪れた。絵里が、おばさんが、カレーから目を離し
た。その隙を逃さずにれいなは緑の野菜を――
「もうお母さん、ピーマン嫌いだっていってるでしょ。はいれいなちゃん、こ
れあげる」
緑の野菜をカレーの更に放り込まれた。
自分でもふるふると体が震えるのがわかる。絵里はにこにこ顔で絵里を覗き
込んでいる。
「なんだ、もっと欲しいなら最初からそう言ってくれればいいのに」
ぽい。ピーマンがもう一つ投下される。ぽい。更にもう一個。
そうして三個目に箸をつけた絵里の手を、れいながギュッと掴んだ。
- 25 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 16:06
- 「……あれ、れいな?」
絵里はニコニコ笑っている。れいなもニコニコ笑っている。一瞬だけれいな
の目の奥が光って、絵里の頬から一筋の汗が流れ落ちた。
「あの、れいなちゃん……?」
「……」
れいなは無言のまま、絵里の口の中にピーマンを突っ込む。ぐいぐいとえぐ
るようにねじ込んでいく。
「あぐぅ、あう、あぅ……」
絵里の口から声にならない声が漏れても、れいなは表情を変えずに行為を続
ける。
「あらまぁ、仲がいいわねえ」
にこにこ顔のおばさんに、絵里が涙目で必死に首を振る。れいなは相変わら
ず箸を回転運動させたまま、おばさんに笑いかけた。
「仲良くなれるかなぁって心配だったけど、大丈夫だった」
それを聞くとおばさんは満足そうに一度頷き、再びキッチンへと戻っていく。
れいなはしばらくすると、絵里をいじめることに飽きたのか、自分の皿から
絵里の皿へピーマンをうつす作業を開始した。
「もし残したら……わかっとろう?」
絵里はその言葉に、無言でコクコク頷く。
れいなは、ピーマンのなくなったカレーを笑顔で覗くと、元気よく、いただ
きまーす、と言ったのだった。
- 26 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 16:07
- 食事が終わると、れいなはおばさんに案内されて階段を上った。バック一つ
のれいなに割り当てられた部屋は、階段を上ってすぐのところにあって、想像
していたよりも大きな間取りだった。床はフローリングでも絨毯でもなくて畳。
部屋の隅の方に、布団がつまれている。
「ここ自由に使っていいから」
はーい、と返事を返し、おばさんが部屋を出て行くのを待って、畳の上にご
ろんと横になった。そのままごろごろ転がっていると、れいなの目に布団の山
がうつった。れいなはベットの方が好きなんだけどなあと思って、またごろご
ろと転がった。
そうしていることに飽きると、れいなはむくりと起き上がり、風に揺れるカ
ーテンを一杯に開いた。開ける前よりも涼やかな風が部屋を包んで、れいなの
汗を拭い去った。
- 27 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 16:08
- 外はもう日が見えなくなっているのに、まだ結構明るかった。広く街を覆っ
た緑の先に、大きなプールが見えた。こんな時間だというのに、まだ何人か泳
いでいるようだった。
れいなはなんとなく、洗面所で浴びた水を思い出した。今度の休み辺り、プ
ールに行ってみるのもいいかもしれない。れいなは緑に包まれたプールで泳ぐ
自分の姿をぼんやりと思い浮かべた。
色がないように思えた灰色の街にも様々な色が溢れていて、それはどれも、
すごく綺麗な色だった。
街を覆う緑。飛沫をあげる青。
- 28 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 16:09
- ドアがノックされる。れいなが、はいと、言うか否かの間に、絵里は部屋の
中に入り込んでいた。
「この部屋いいなー。私もこんな広い部屋がいい」
部屋に入るなりれいなの承諾も得ずに、一直線に自分の居場所を確保する。
(それは別に構わないんだけどね。あんたの家だし。でも……!)
「ん、どうしたの?」
無言のれいなを、絵里は不思議そうな顔で見つめる。れいなは何も言い返す
ことが出来ずに絵里をじっと見ていた。
押入れに収まる絵里の姿を。
「ああ、ここのこと?」
絵里は周りをぐるっと見回して聞いた。れいなは無言で頷く。
「なんかこれくらいの大きさがちょうどよくって」
照れながらくすぐったそうに微笑むその姿を見て、れいなは諦めたように溜
め息をついた。
(わかっとったよ。最初に会ったときから変やってのはわかっとったっちゃけ
ど……)
- 29 名前:2 一輪の花 投稿日:2003/10/10(金) 16:14
- 「そろそろ出ようかな……」
広い間取りの部屋の中で、押入れにはまり込んでいる違和感にようやく気付
いたのか、絵里はもぞもぞと押入れの中から這い出てきた。その姿がやけに可
愛くて、れいなはくすくすと笑った。
「花が欲しいなぁ」
「え?」
「あ、何でもない……」
れいなは慌てて手を左右に振る。絵里の顔を見ていたら、いつのまにかそん
な言葉が口から飛び出していた。
しばらくその様子を不思議そうに見ていた絵里は、目を細めると、
「明日にでも買ってくるね」
と言って笑った。れいなもつられて笑っていた。
その後二人は、たわいもないおしゃべりで時間を潰した。いつのまにやら笑
顔で喋っている自分にれいなは驚いたが、絵里が楽しそうだったので、別にい
いかと思った。
そんなおしゃべりに包まれながら、東京に来て初めての夜が更けていく。
きっと明日には、一輪の花が、窓辺を彩っていることだろう。
- 30 名前: 投稿日:2003/10/10(金) 16:14
-
- 31 名前: 投稿日:2003/10/10(金) 16:15
-
- 32 名前: 投稿日:2003/10/10(金) 16:22
- 最初なので早めの更新。次回からは少し遅くなるかもしれません。
>>15 もう一人重要人物が出ます。その後どうなるかは未定です(w
>>16 ありがとうございます。読みやすい文章を心がけます。
レス返し短くてごめんなさい。レスには感謝しています。
- 33 名前:つみ 投稿日:2003/10/10(金) 19:21
- ほのぼのな田亀っぽくていいですね^^
- 34 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/11(土) 21:16
- 雰囲気がいいっすね
がんがってくらさい
- 35 名前: 投稿日:2003/10/21(火) 23:43
- ペダルから足を離して、風を切って。下り坂。
- 36 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:45
- れいなが目を開くと、そこには見慣れない天井が広がっていた。れいなはぼ
んやりと一点を見つめた後、そういえばもうここは福岡ではないのだと思い出
した。
着替えを済ませボサボサの髪を軽く手ぐしで梳かす。そういえば随分と太陽
がまぶしい。寝惚けまなこのまま、れいなはさらに目を細めた。
「おはようーーー!」
鏡の前でれいなは凍りつく。元気よく扉を開け放った絵里は、そんなれいな
を無視して、布団をばっさばっさと始める。窓から差し込む光。舞う粉ボコリ。
「朝早いね……」
奥の壁に掛かってある時計を見ると、時間は朝の七時。夏休み中にしては異
常に早い時間だ。少なくとも、れいなにとってはそうだった。
「だって今日学校だもん」
そう言う絵里の顔は今日も笑顔。れいなの布団をてきぱきとたたんで、部屋
の隅に寄せる。
- 37 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:45
- 「あ、そうだ」
思い出した、と言った感じで絵里が笑う。
「れいなちゃんも今日学校だから、早くしてね」
「はぁ?」
れいなは不機嫌に顔をしかめて見せて、たたまれた布団にダイブする。
「れいなちゃん?」
「……」
「ねえ、れいなちゃん……?」
「……くー」
そして、梳かした髪を再びボサボサにさせて、寝息をたて始めた。
- 38 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:46
- 「れいなちゃーん!!」
泣きそうな声で絵里がれいなを揺する。一分ほど揺すっていると、ものすご
く不機嫌そうな表情で、れいなが目を覚ました。その眼光に、絵里は思わず後
ずさる。
「遅刻しちゃうよぉ……」
「じゃあ、早く行きなよ。あたしは寝るから」
「だかられいなちゃんも学校だってばぁ」
「知らん」
「れいなちゃぁん……」
- 39 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:46
- 朝っぱらからぐずぐずになっている絵里を見て、れいなはなんだかなぁと思
う。これで年上だと言うのだ。しかし、れいなの口元には自然と笑みが浮かん
できていた。
「わかったわかった……。で、あたしは何しに行くの?」
「あ、えっとね!」
布団から顔を上げ聞く体制を作ると、絵里は途端に笑顔になる。れいなは思
わず吹き出した。
「れいなちゃんも二学期から学校行かなきゃでしょ? だから、色々手続きが
あって」
そんな説明を聞きながら、れいなはもう一度布団に顔をつける。
- 40 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:47
- 「へー、学校かぁ。学校ねぇ。ふーん」
「……寝ちゃ駄目だよ」
「ね、寝んとよ」
「どもった」
「どもってない」
「どもった!」
一呼吸置いて、二人は同時に吹きだした。何でもないことなのに、腹がよじ
れるくらいに楽しい。こんなことはいつ以来だろうとれいなは思った。
太陽は今日もまぶしい。外は相変わらずうだるような暑さなのだろう。居間
から、ご飯だよ、というおばさんの声が聞こえた。
- 41 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:48
- 「れいなちゃん、御代わりはいるかしら?」
「あ、大丈夫です」
れいなはおばさんの申し出を断り、目の前にある目玉焼きの黄身をぷすぷす
と箸で刺した。
テレビでは今日も変わらず、国会がどうだの、戦争がどうだの、そういうニ
ュースばかりを流している。
れいなはそんなノイズから意識を逸らすように、絵里に視線を向けた。
「絵里とは学年違うっちゃろ?」
「そうそう、私の方が一個お姉さん。れいなちゃん、訛りかわいいね」
「はぁ?」
「照れちゃってこのぅ」
「ぶつよ?」
「……」
- 42 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:48
- れいなが再び皿に視線を向けると、半熟の黄身が割れて、白身の部分まで黄
色に覆われていた。
れいなは冷えてしまったそれを口に入れ、ごちそうさまと言った。
れいなが立ち上がると、絵里も慌てて立ち上がった。れいなは壁にかけてあ
る時計を見上げる。七時五十分。れいなの前いた学校ならば、そろそろ急がな
ければならない時間だ。
「れいなちゃん、早く!」
どうやら、絵里の学校も同じらしい。
「……遅れて立ったくせに偉そうに」
そう言いながらも、引きずられるようにして、れいなは玄関を飛び出す。
- 43 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:49
- 外に出ると、れいなの想像通り、眩いばかりの日光が一面に降り注いでいた。
今日もまた夏休みらしい暑さだ。
絵里が自転車の鍵をあけているのをぼんやり眺めていると、ひとすじの風が
吹きぬけた。絵里のスカートの裾がはためく。れいなとは違う制服。
「あたしだけ違う制服っての、結構嫌かも」
「えーいいじゃん、目立って」
ニコニコ笑いながらスタンドを上げる。ガシャンという音がして、黒いタイ
ヤが回りだした。
- 44 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:50
- 「さ、どうぞ」
そう言って自転車を指差す。どうやらこれはれいなのための自転車だったら
しい。準備がいいなぁと思いながら、れいなはスカートの裾をたたんで、サド
ルに腰掛けた。絵里もスカートの裾をたたんで、荷台に腰掛けた。
「出発ー!」
そして、叫んだ。
「待て」
なにかがおかしい。れいなはそんなことを思いながら、後ろを振り返る。
「ん、なあに?」
夏の陽射しに目を細めながら、絵里はにっこりと微笑んだ。それを見て、れ
いなは思わず、がっくしと脱力する。
「笑顔が可愛いのはわかったけん、とりあえず降りろ。降りてください」
半ば祈るように声を絞り出す。はるか前方から降り注ぐ日の光によって、れ
いなの頬には既に汗が滲んでいた。
- 45 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:50
- 「訛りかわいい〜」
絵里はニコニコと笑ったまま、そんな言葉を漏らす。れいなは無言のまま、
絵里の鼻を捻り上げる。
「あうっ!」
「あ、ごめん、手がすべった」
手がすべった、と言いながら、れいなの手にはさらに力が入る。痛がる絵里
をよそに、れいなは真顔で彼女を見つめていた。
「で、降りるの降りないの?」
「降りるっ! 降りるから離して……!」
その言葉にうんうんと頷きながら、れいなは笑顔で手を離した。満面の笑顔。
絵里は涙目で鼻をおさえ、上目遣いでれいなを見上げた。
「一台しかないんだもん……」
(だったらお前が前に乗れよ!)
そうれいなは口に出しかけたが、あまりに情けない絵里の顔を見て、言葉の
代わりに溜め息を吐き出した。
- 46 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:50
- 「……時間危ないんじゃないの?」
「え?」
細い目を潤ませている絵里に対して、れいなは二三度荷台を叩いて見せる。
「早くしないと置いてくよ」
「……うん!」
その途端、絵里の表情に笑顔が戻った。荷台に飛び乗って、絵里の体に腕を
巻きつける。
れいなはそんなことなど気にもしていないように、ペダルを強く漕ぎ出した。
自転車が勢いよく走り出す。
「あ、れいなちゃん、そっちじゃない! 右! 右!」
れいなはその言葉にも何も返さず、無言で方向を変えた。それでも頬は真っ
赤に染まる。
絵里はそんなれいなの表情を後ろから覗き込んで、クスリと笑った。
- 47 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:51
- 二人を乗せた自転車は、勢いよく景色を流していく。薄汚れたガードレール、
開店前のレストラン、車もまばらな駐車場。
れいなは絵里に言われるままにハンドルを切って、桜並木のアーチへと飛び
込んでいく。夏を迎えた桜並木は、鮮やかな緑の葉を一面に広げていた。木々
に遮られ、長く続く道に影が落ちる。
並木道を抜けると、何処までも続くかのような下り坂が、目の前に広がった。
「うわぁ」
れいなは感嘆の声をあげ、ペダルから足を離した。それでも勢いはどんどん
と増して、二人を乗せた自転車は風に包み込まれる。
スカートの裾がはためく。髪が後ろに流されていく。絵里の両腕に力がこも
る。
- 48 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:52
- 「このながーぃーながーいーくだりぃーざぁかをー」
下り坂も中盤に差し掛かった辺り。絵里が凄く楽しそうな声で、歌を歌いだ
した。
「なにそれー?」
「知らないー、友達が歌ってたー!」
「へー」
どうやらうろ覚えらしく、途中から歌詞は消え、フンフンという鼻歌に切り
替わる。れいなの顔には自然に笑みが溢れ、空を見上げて瞳を軽く閉じる。
- 49 名前:3 下り坂 投稿日:2003/10/21(火) 23:53
- 「まー、ナツメロってやつかなー」
サビが終わったらしく、絵里は先ほどの言葉の続きを言う。
「なにそれー?」
「知らないー、友達が言ってたー!」
「へー」
「あ、そこ左ー!」
突然の方向転換の指示に、れいなは思い切りブレーキを握り締めた。
「きゃぁ!」
絵里は前につんのめるようにして、れいなにもたれかかる。うだるような暑
さなのに、絵里から伝わってくる温もりは、何故か心地よかった。
れいなは、ハンドルを強く握り締め、サドルから腰を上げる。
「ちゃんとつかまっててよー?」
そして、空に向かってそう叫ぶと、ハンドルを勢いよく左に切った。
- 50 名前: 投稿日:2003/10/21(火) 23:53
-
- 51 名前: 投稿日:2003/10/21(火) 23:53
-
- 52 名前: 投稿日:2003/10/21(火) 23:57
- レスありがとうございます。嬉しいです。
>>33 ほのぼのしすぎて進展なくてごめんなさい。
>>34 こんな感じの雰囲気で進めていけたらと思います。
- 53 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/22(水) 00:11
- ゆったりで爽やかで最高です
良い作品をありがとう
- 54 名前:トモ 投稿日:2003/10/22(水) 09:56
- れなえり!最高です。
続き気になります。
頑張ってください!
- 55 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/10/22(水) 10:42
- すでに懐メロか・・・まあ、年齢的にはね。
風景が浮かんできて、読んでいてとても気持ちがいいです。
- 56 名前:16 投稿日:2003/10/22(水) 15:05
- 人が心を開いていく様を、堪能させてほしい。
それさえあれば、
大きな事件はなくてもいいと思えるくらい好きです。
- 57 名前: 投稿日:2003/10/29(水) 02:25
- いつもと違う彼女の表情。戸惑い。優越感のわけ。
- 58 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:27
- れいなはぼんやりと黒板を眺める。カツカツと文字を綴るチョークの音がや
けに耳障りで、思わず突っ伏してしまいそうになった。それをすんでの所で押
しとどめ、窓の外を眺める。
(なんでこんなことしてるんだろう)
外は鮮やかに晴れ渡っていたが、今朝自転車の上から覗いた空とは、根本的
な何かが違っているように見えた。
れいなが昔過ごした学校とは少し違う音色のチャイムが鳴り、授業は終わり
を告げた。大して真面目にやってもいないのに、ぐーっと伸びをする。
「れいなちゃん、初めまして」
伸びが終わるか終わらないかの間に、一人の少女が笑顔で声をかけてきた。
眉毛がやけに目立つな、とれいなは思った。
- 59 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:27
- 辺りを見回してみると、何人かがれいなの方をチラチラと覗いていて、また
何人かは席を立ちれいなの傍へと向かってきている。
質問攻め、という言葉がれいなの頭に浮かんだ。「攻め」という位だから気
分のいいものではないんだろうな、などとどうでもいいことを考えていると、
さっそく眉毛の少女が口火を切った。周りの生徒は、眉毛が話し出すのを待ち
望んでいる気配があった。
どうやら、この眉毛がクラスの中心らしい。
「新垣里沙って言います。わかんないことがあったら何でも聞いてね」
ニイガキリサ。彼女はそう名乗り、れいなに右手を差し出した。れいなもと
りあえず、右手を出してそれを握る。
それを見て、ニイガキリサはさっきより余計に笑った。
- 60 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:29
- 「れいなちゃんって、福岡から来たんだよね。なにか部活とかやってたの?」
「んー、特に」
「そっかー」
「うん」
「福岡ってトカイなんだよね」
「まーここよりは」
「そっかー」
「うん」
探る、というのとも、好奇心、というのとも違った感じで、一問一答式の質
疑応答は進んでいく。次第に輪が広がっていって、質問者の人数が増えていく
様は、どこか儀式めいていて、しばらくすると、れいなはほぼ無意識のまま言
葉を返すようになっていた。
- 61 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:29
- ――ノイズだ。ノイズは何処にだってある。授業中の笑い声も。黒板を叩くチ
ョークの音も。
- 62 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:29
- 先生が遅れてきたらしく、その儀式は二十分近くにも及んだ。
黒板を見ると、さっそく数式が書き出される。次の授業は数学らしい。
長旅の次の日。しかも苦手な数学ということもあって、あっという間にれい
なの意識は闇にのまれていった。
- 63 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:30
-
- 64 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:31
- 学校に着くと、絵里は真っ先に職員室へと向かった。ドアを開ける絵里の後
ろ姿を見ながら、入りにくさは何処の学校でも変わらないなとれいなは思った。
それはもしかしたら、自分の素行にも関わっているのかもな、とも思う。
れいなを職員室に預けると、絵里はさっさとその場を立ち去ってしまった。
授業が始まっちゃうから、というのが言い訳にしか聞こえず、れいなは絵里の
後ろ姿を、先生に声をかけられるまで恨みがましく見つめ続けた。
しかし、その後の先生の言葉は、れいなに今のことを忘れさせてしまうほど
に、彼女にとっては衝撃だった。
今日から授業受けてもらうから。そう言われた瞬間、れいなの目の前は真っ
暗になった。
体育ですか。体育ならいくらでも受けますが。
そう言いかけて、夏休みのこの暑い中で体育も嫌だな、と思い、言葉を押し
止めた。
そうこうしているうちに、教師はさっさと歩き出す。れいなも慌ててそれに
ついていく。
そして今に至るという訳だ。
自己紹介をさせられ、教科書は何故か手配されており、席もしっかり一つ空
けてあった。
- 65 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:31
-
- 66 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:32
- 「れいなちゃん、れいなちゃん」
ゆさゆさと肩を揺すられ、れいなは目を開いた。ここが福岡だったらなぁと
淡い期待を抱いてもみたが、何処からどう見てもそこは先程までいた教室に他
ならなかった。
「まゆ……ニイガキさん、どうしたの?」
れいなは眠たい瞳をしぱしぱとさせながら、顔を上げた。ニイガキリサは困
ったように特徴的な眉毛をハの字に下げている。
「もう授業終わっちゃったよ」
れいなは窓に目を向ける。太陽はかなり高いところにある。
「昼で終わり?」
「うん」
「よっし!」
れいなは小さくガッツポーズをし、鞄に手をかける。来たときとは違い、教
科書やら何やらでずっしりと重みを感じた。
- 67 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:33
- 「れいなちゃん、家どこ?」
今にも教室を飛び出そうとしていたれいなを、後ろからニイガキリサが呼び
止める。
れいなは来た道を思い返しながら、首をかしげた。
「よくわからんっちゃね」
と言って、れいなは慌てて口を押さえる。
「かわいい〜」
絵里と似たような反応。れいなはニイガキリサの眉毛を抜いてやろうかと思
ったが、さすがに初対面なので止めておいた。
- 68 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:33
- 「急いでないなら、一緒に帰らない?」
にこにこ笑いながら言われると少し断りづらかったが、絵里がいるのだから
一緒には帰れないと思った。自転車は一つしかないのだから、やはり絵里と一
緒に帰ったほうがいいだろう。第一れいなは家の場所を知らない。
「あー、ごめ――」
れいながニイガキリサに謝りかけたとき、ガラガラ、と教室の扉が開いて、
見知った顔が入ってきた。彼女の制服についているリボンはニイガキリサのつ
けているそれの色とは違っていた。
- 69 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:33
- 「亀井先輩!」
どこからかそんな声が聞こえて、クラスの女の子数人駆けて行く。大して時
間も掛からぬまま、絵里の回りには人だかりができた。
れいなはそんな絵里とクラスの女の子達をぼんやりと眺めていた。気付くと、
遠巻きながら、幾人かの男子も絵里に視線を送っている。
絵里の立っている場所は、電気の消された教室内にあって、まるでスポット
ライトのような太陽光の細く差し込む位置にあった。
チョークの粉がキラキラと舞う中、絵里は相変わらずにニコニコと微笑んで
いる。でもそれは、れいなの見覚えのある笑顔よりもずっと大人っぽくて、何
故だか少し悲しくなった。
まだ絵里と知り合ってたったの二日なのに。そう思い、れいなは苦笑する。
- 70 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:35
- 「亀井先輩、やっぱりかっこいいなぁ」
隣りでニイガキリサがそんなことを呟く。
「ねぇ、れいなちゃんもそう思わない?」
んー、と困った風に笑うと、ニイガキリサは、やっぱりかっこいいよ、と言
って、絵里に再び視線を戻した。
「先輩、今日一緒に帰りませんか?」
誰かの声。絵里は相変わらず優しい笑みを浮かべている。
「ごめんね。今日はちょっと無理なの」
そして、れいなが知っているよりずっと大人っぽい言葉遣いで、集まってく
る女の子達の誘いをいとも簡単に断っていく。
どれくらいそうしていただろう。
不意に、れいなと絵里の視線が交わった。
- 71 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:35
- れいなはバックを手にとり、軽く後ろを振り返る。
「ニイガキさん、また明日」
そしてそのまま、つかつかと人だかりの中へと歩き出した。数人の生徒をか
きわけ、絵里の目の前に踊り出る。
「れいなちゃん」
絵里は首を傾げにっこりと微笑んでみせる。れいなは一瞬だけその笑顔に見
惚れて、すぐ後に胸がじくじくと痛んだ。
れいなは、絵里の肘を掴み、じっと目を見据える。
「早くしないと置いてくから」
そう言って、再び人だかりの中を抜けていく。
「れいなちゃん、ちょっと!」
後ろからは、途端に慌てた声が聞こえてくる。それは今までれいなの触れて
きた言葉の温度とはずいぶんと違った。
れいなはクスリと笑うと、後ろを振り向かずにそのまま教室を後にした。
- 72 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:36
- 外に出ると、太陽がずっと遠い所から、辺り一面を照らし出していた。
校庭には、コンビニの手提げ袋を持ったジャージの集団や、自転車で校門を
走り抜ける生徒など、放課後特有の開放感と気だるさが入り混じっている。
れいなは駐輪場の柱に体を預けて、ぼんやりと東の空を見ていた。白い雲が
ゆらゆらと流れていく。
- 73 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:36
- 「れいなちゃぁん!」
ハァハァと息を切らせて、絵里が走ってくる。サラサラと流れる髪の毛を、
れいなは眩しそうに見つめた。
「遅いよ」
「だってぇ……」
情けないその表情を見て、れいなは思わず吹き出した。そう言えば、先程ま
で話していた少女もこんな顔をしていた気がする。ええとなんだっけ、ニイ――
れいなはそこまで考えて、眉毛でいいやと結論を出した。
「それにしても、絵里って二重人格?」
「え、なんで?」
二人乗りは最初の一メートルがきついんだと力を込めながら、れいなは不意
に言った。
「何か大人っぽくなかった? 猫かぶってんの?」
れいなが思っているより、きつい言葉が出る。でも、言った言葉は戻しよう
がなくて、勢いよく校門を走り抜けた。
- 74 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:36
- 生ぬるい風がれいなに吹き付ける。腰に回された手がじっとりと汗ばんでい
るのがわかる。
それでも無言のままに自転車は進み、コンビニを越え、薬局を越えた辺りで、
えりはようやく口を開いた。
「よくわかんない」
自転車は、最初に絵里が出した指示のままに、来た道とは逆の方、東に向か
って真っ直ぐに進んでいく。
電信柱に道の名前がついていたから、きっと有名な道なのだろう。それでも
道幅は狭く、対向する自転車をかわすのに苦労した。
- 75 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:37
- 「そこ左」
「うん」
ファーストフード店を目印に左に曲がり、少しだけ大きな道に出る。熱くて
頭がくらくらする。少しだけハンドルを切り間違えて、ベルを鳴らされた。
チリンチリン。
「あのね」
乾いた金属の音と、絵里の声がごちゃまぜになって、れいなの頭の中にうわ
んうわんと反響する。
「こうやってれいなちゃんと話してる時の私のほうが、楽な気がする。……本
当の私の気がする」
すーっと汗がひいていった。腰に回されていた手が一瞬だけ、強くしまった。
れいなは後ろを振り返ることは出来なかったが、絵里がどんな表情をしてい
るのか何となく分かった。きっとくすぐったそうに笑っている。
- 76 名前:4 優越感のわけ 投稿日:2003/10/29(水) 02:37
- 「帰り、花屋寄らん?」
上ずった声で、後ろの絵里に声を掛ける。
「約束っちゃろ?」
自分でも何を言ってるのかわからないまま、言葉になってどんどん出てくる。
訛っているのか、訛っていないのか、それすらもわからなくなった。
「うん、行こう」
夏の湿った空気に、絵里の言葉が溶け込んでいく。二人を乗せて、自転車は
かろやかに風を切る。
カーブを曲がると、目の前にゆるやかな上り坂が見えた。
- 77 名前: 投稿日:2003/10/29(水) 02:39
-
- 78 名前: 投稿日:2003/10/29(水) 02:39
-
- 79 名前: 投稿日:2003/10/29(水) 02:47
- たくさんのレスありがとうございます。
年齢の設定等苦しい部分もありますが、これからもよろしくお願いします。
>>53 これからゆったり爽やかだけではいかなくなるかもしれません。
>>54 次回もう一人加わる予定ですが、よろしくおねがいします…。
>>55 ナツメロと書いておきながら、作者もショックでした。
>>56 心の開いていく様を、よりよく書けるように精進します。
- 80 名前:名無し 投稿日:2003/10/29(水) 20:14
- 亀井っぽいですね。面白いです
- 81 名前:つみ 投稿日:2003/10/29(水) 21:16
- おもろいね!
- 82 名前:まりも 投稿日:2003/11/03(月) 14:15
- はじめまして^^
モテ亀!!!
モテ亀・・・wいいですww
あぁ・・wもう顔がにやけちゃいますよぉw(怪。
がんばってください!!
- 83 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003/11/07(金) 19:04
- とても好きな雰囲気です。どんどん嵌ってく(;´Д`)
なんつっても田亀がええですな。
- 84 名前: 投稿日:2003/11/10(月) 01:27
- 腕をするりと抜けて、彼女は何処かへ行ったのだった。猫は気ままに。
- 85 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:30
- 窓の外に、白い線が走る。何本も何本も走る。時には空気を編みこんでいく
ように絡まりながら、それは絶え間なく線を描き続ける。
今日、れいなが東京に来て初めての雨が降った。
空気をしっとりと潤ませて、薄暗い明かりを灯して、サァサァと振り続いて
いた。
こんな風だったから、れいなはせっかくの休日だというのにどこにも行かず、
リビングからぼんやりと空を眺めていた。
新しい学校は夏休みの間も学校があったが、さすがに日曜日は休みらしく、
そう言えば絵里が喫茶店まで迎えに来た日も日曜日だったな、と今さらながら
に思い出した。それはつまり、れいなが東京に来てちょうど一週間たったこと
を意味している。
- 86 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:30
- もともと今日は、絵里に街を案内してもらう予定だった。しかし、雨が降っ
てしまったためそれは中止になり――雨の日に自転車をこぐのは嫌だったから、
れいなは自分から辞退した――恐らく今ごろ絵里は、部屋で宿題でもやってい
るはずだ。
おばさんも買い物ついでに近所のおばさんと立ち話でもしているのか、なか
なか帰ってくる気配はない。
れいなはごろんと寝返りを打つ。
一週間。東京へ来て、もう一週間が経った。
- 87 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:31
- 初めて学校へ行った日。クラスみんなの前でとった絵里に対する態度は、き
っと何かしらの反感を生むだろうと覚悟していたのだが、予想外にもそれは、
彼らによい印象を与えたらしかった。
突然の転校生。気の強い性格。憧れの先輩との対等な関係。
気付くと、転校二日目にして、れいなはクラスの中心部分に配置されていた。
ニイガキリサと馬が合ったのも原因の一つらしい。
あの眉毛は、あれでいてなかなかいいやつなのだ。
- 88 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:32
- 時計の長針が九十度動いても、れいなは相変わらず、ぼんやりと雨を見つめ
ていた。
サァサァ。
れいなの耳は、雨の音にしっとりと濡れる。
サァサァ。
ずっとずっと、意識の奥にまで雨音は染み込んでいく。
サァサァ。
雨の降る音は、いつだってれいなを深い意識の奥へと誘うのだ。ノイズも何
もない、澄んだ意識の海へ。
すっと瞳を閉じると、久しぶりに、お母さんのことを思い出した。大好きな
お母さん。
――――――
――――
――
- 89 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:32
- 「にゃーお!」
が、想像以上にあっさりと、れいなは意識の奥から引っ張り出された。猫の
鳴き声。
少しむっつりとした表情になりながら、鳴き声の主を探す。しかし、どこを
見ても猫はいない。先程の鳴き声は、かなり近くから聞こえてきたはずだ。
れいなは再び辺りを見回す。そして、あるところで、ピタリと止まった。
猫は見つからなかった。でも、何かいた。
「にゃーお!」
「……」
彼女は、なんのためらいもなく、猫のような鳴き声を上げた。
- 90 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:33
- 「にゃーお!」
「あの……」
「にゃーお!」
「猫ですか?」
彼女は口をあけたままピタリと一時停止をし、カクンと首を横に、四十五度
傾けた。
「……」
「……」
「違うよ?」
「うん、知ってる……」
「にゃーお!」
「……」
- 91 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:34
- れいなはなんだか頭がズキズキして、どさりと腰を下ろす。少女は変わらず
猫の鳴きまねをしている。
雨は相変わらず、サァサァという音を奏でながら、地面に水溜りを作ってい
る。
サァサァ。にゃーお! サァサァ。にゃーお!
落ち着いて聞いてみると、なんだか愉快だ。
「で……あなたは誰ですかね」
「わたし?」
コクリと頷いてみせる。
「わたしはさゆだよ?」
「ほー……」
- 92 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:35
- そう言えばおばさんが裏の庭によく猫が出るといっていたなぁ、などと考え
ていると、階段をどたどたと駆け下りてくる音がした。さゆはれいなに飽きた
のか、部屋をとてとて歩き回りながら、にゃーおにゃーおと鳴いている。
ばたんとドアが開いた。
「誰かお客様?」
今日も相変わらず笑顔を浮かべて、絵里が辺りをきょろきょろ見回す。にゃ
ーお。さゆの声が聞こえる。
「あれ、さゆ?」
途端に、今まで以上に――ぱぁっと花が咲くように――笑顔になった絵里が、
キッチンに向かって駆けて行く。その笑顔はれいながいつも心に思い浮かべる
天使の笑顔と少し似ていた。笑うと目のちっちゃくなる天使様。
- 93 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:35
- 「さゆー、久しぶりだねー」
自分より身長の大きなさゆの頭を抱えるようにして、ぎゅうっと抱きしめる。
さゆは胸の中でも、にゃーおと鳴いていた。
「どれくらい? 一ヶ月ぶり?」
なおも興奮して話しつづける絵里の腕の中から、さゆがするりと抜けた。
雨は勢いを強めて、地面を打つ音が、れいなの耳をつんざくような大きさで
聞こえてくる。
れいなの胸が少しだけズキリとした。今の絵里の笑顔は、れいなに見せる表
情とも、学校で見せる表情とも、どこか違う気がした。
- 94 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:36
- れいなが難しい表情で二人を見ていると、絵里は慌てたようにれいなに向き
直って言った。
「ごめん、紹介してなかったよね。この子、さゆって言ってね――」
「知ってる」
ぶっきらぼうな声が出た。絵里は何故だかしゅんとしてしまっている。
慌てて声を掛けようとすると、さゆが絵里の頭を撫でた。落ち着いて見てみ
ると、さゆはとても綺麗で、二人のその様子はとても絵になっているなとれい
なは思った。
しかし、さゆはそれにすら飽きてしまったらしい。おもむろにれいなに近づ
く。
「れいなぁ、あそぼ」
「はぁ?」
れいなは思い切り顔をしかめる。
「れいなってかわいいねー。わたしほどじゃないけど」
れいなはますます顔をしかめる。こういう子は得意じゃない。ニイガキリサ
のようにハキハキ喋られる方が、れいなの性に合っていた。
- 95 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:37
- 「うざいなぁ……」
自然と口から出てしまう。
「え?」
「だから、うざいって言ってるっちゃろ」
じろりと睨みつけると、さゆは怯えたように絵里に目を向けた。
「れいなちゃん!」
すぐに、絵里がさゆを庇うように、れいなの前に立ちはだかる。今までに見
たことのないような目で、厳しく睨まれる。
「わたし帰る」
「あっ……」
絵里が振り向いた時には、さゆは窓を開けて、どこか遠くに消えていってし
まった。遠くの方で、にゃーおという鳴き声が聞こえた。
- 96 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:37
- 二人残されたリビングは、だだっ広くてやけに静かだった。雨音一粒一粒の
地面に当たる音が聞こえてくる気がした。
絵里はふらふらとテーブルに向かっていくと、崩れるようにソファーに腰を
下ろした。おんぼろのスプリングは、その衝撃にギシギシと悲鳴をあげた。
「大きな声出しちゃって、ごめんね……」
絵里はぼそりと呟いた。笑顔じゃない絵里を見るのは久しぶりだった。
「れいなちゃんが悪いんじゃないってこともわかってるんだ、ごめん」
「別にいいよ」
れいなは絵里と背中を合わせるようにして、ソファーに寄りかかった。
頭の中には再び、雨の音とさゆの声が混ざり合って聞こえるてくる。わんわ
んと耳鳴りみたいに鳴るその音は、今度はちっとも愉快ではなかった。
- 97 名前:5 猫は気ままに 投稿日:2003/11/10(月) 01:37
- ただいま、と声がして、おばさんがリビングに入ってくる。チラリと二人を
見て、そのままキッチンへと向かった。冷蔵庫を開けて、買ってきたものを詰
めている。
「ちょっと出てくるね」
れいながそう呟くと、絵里は驚いたように顔を上げた。外には相変わらず、
強い雨が降っている。
れいなは玄関に置かれた傘立てから適当に一本抜き取り扉を開けた。
外に出ると、先程までより大きく雨の音が聞こえて、れいなはすぐに傘を差
した。れいなの頭のすぐ上で、雨がバチバチと強い音をたてる。
とりあえず、当てもなく歩いてみようと思った。ぶらぶらと、何処まででも。
下り坂の手前にある公園にでも行ってみようか。露に濡れた草花の香りは、き
っと心を落ち着けてくれるだろう。
真っ直ぐに歩いて、最初の曲がり角を右に曲がった時、れいなの耳ににゃー
おという鳴き声が聞こえた。それでも、れいなは真っ直ぐに、公園に向かって
歩き続けた。
- 98 名前: 投稿日:2003/11/10(月) 01:38
-
- 99 名前: 投稿日:2003/11/10(月) 01:38
-
- 100 名前: 投稿日:2003/11/10(月) 01:44
- 本当にたくさんのレスありがとうございます。書く気力が沸きます。
>>80 そう言っていただけると嬉しいです。今回雰囲気が変わりましたが…。
>>81 ありがとうございます。励みになります。
>>82 今回はモテ亀、とはいかなかったですけど、どうだったでしょうか…?
>>83 三人目の登場です。彼女もよろしくお願いします。
- 101 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/11/10(月) 02:47
- 更新お疲れさまです。
新展開もますますいい感じですねー。
あっさりと素朴な子供の世界で、同時に子供なりのあれやこれやなもやもやがあって。
とてもリアルで自然に読めます。いいなあ。
これからも期待です。
- 102 名前:捨てペンギン 投稿日:2003/11/10(月) 12:27
- やりとりが目に浮かぶようです
ピーマンの話が一番好きです
- 103 名前:名無しさん 投稿日:2003/11/10(月) 14:35
- 道重がかわいいww
亀井と田中の会話もいいですっ
がんばってください!!
- 104 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003/11/10(月) 17:28
- 心が和みますえ。
重さんもまたええキャラしてますな。
- 105 名前:まりも 投稿日:2003/11/10(月) 23:35
- モテ亀も好きなんですけど、
亀絡みはほとんど好きです!
みごとにツボですね(笑)
頑張ってください!!
- 106 名前:守(読者) 投稿日:2003/11/19(水) 02:10
- いいよいいよ〜!
- 107 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/11/20(木) 09:19
- >>105
>>106
レスはsageましょう
- 108 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/11/30(日) 13:35
- 作者さん、そろそろ続きが読みたいです
- 109 名前:真那実 投稿日:2003/12/02(火) 19:31
- 私もはやく続きが読みたいです!楽しみにしていますのでゆっくりでいいですから書いていってほしいです!
- 110 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/12/02(火) 20:11
- >>109
感想はsageませう(メール欄に半角でsage)。
気持はわかる。作者さん、のんびり待ってますからねー。
- 111 名前:作者 投稿日:2003/12/03(水) 16:55
- すみません、今諸事情で書くことが出来ず、もう少し更新が遅れると思います。
待って頂いて申し訳ありませんが、もう少しだけお待ちください…。
- 112 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/12/03(水) 18:14
- はい待ちます
前回更新から1ヶ月もたってないのに更新を待ち望むレスがすごい
...うらやましい
- 113 名前:名無しどくしゃ 投稿日:2003/12/04(木) 16:16
- いつまでも待ちますよヽ(´ー`)ノ
- 114 名前:守(読者) 投稿日:2003/12/04(木) 20:30
- 続くんですね。ヨカター
- 115 名前:石川県民 投稿日:2003/12/11(木) 13:33
- キャラが全員可愛いですよね、話もほのぼのとしていて、とても好きな世界観デス。
まったり・ワクワクと更新楽しみにさせていただきます♪
- 116 名前:名無飼育さん 投稿日:2003/12/26(金) 11:16
- いいですね〜。
亀井好きなんでうれしいです。
- 117 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/02(金) 17:38
- ここの田中かわいい〜!!更新待ってますよ〜。ゆっくり待ちますね!!
- 118 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/02(金) 17:52
- >>117さん
気持ちはわかるけどレスはsageましょう!!
作者さん、もう待ちきれないですー、続きをーーー!!
- 119 名前:名無しさん 投稿日:2004/01/02(金) 20:39
- 作者s。続きお願いしやす。
- 120 名前:真那実 投稿日:2004/01/03(土) 16:26
- 作者さん、お願いします。マジでもう『読みたい病』で死んでしまいそうです(笑)
続き待ってま〜す!!
- 121 名前:名無し 投稿日:2004/01/09(金) 18:06
- 今最も更新が楽しみな小説です。
続きキボ〜ン。
- 122 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/11(日) 20:00
- この話好きですーーーー
更新よろしくおねがいしますーーー
- 123 名前:一愛読者 投稿日:2004/01/15(木) 02:10
- いいねぇこのほのぼの感!
ちなみにテーマ曲には久石譲の『Summer』が似合いそう…
- 124 名前:名無し読書 投稿日:2004/01/16(金) 02:05
- ↑名前が黒字になっているみなさん、
メール欄に半角でsageと入力してから書き込みましょうね。
- 125 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/25(日) 11:46
- おもしろいです。更新待ってます!
作者さんのペースで頑張れ!
- 126 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/25(日) 21:54
- ochi
- 127 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/26(月) 10:04
- ほ
- 128 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/26(月) 17:03
- 落とします。
- 129 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/28(水) 02:56
- 放置かよ・・・・・
- 130 名前:真那実 投稿日:2004/01/28(水) 21:19
- 違いますよ!たぶん・・・。
作者さん更新お願いします!!
- 131 名前:名無 投稿日:2004/01/28(水) 21:32
- 更新おねがい・・・。。
- 132 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/28(水) 21:41
- 落として静に待つべし
- 133 名前:作者 投稿日:2004/01/30(金) 16:51
- 生きています。なかなかパソコンに向かえませんが生きています。
次の書き込みは更新の時、と思っていましたが書き込んでしまいました。
読者のみなさま、更新がなかなか出来ず本当に申し訳ありません。
- 134 名前:名無し読者 投稿日:2004/02/02(月) 23:33
- おお!
…ということは終わっちゃいないんですね?
更新お待ちしてます!
- 135 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2004/02/19(木) 23:46
- 期待してます。
頑張ってください。
- 136 名前:ふふふ 投稿日:2004/07/25(日) 22:25
- 報知新聞ですか?
応答してくださいよぉ、作者さん!!
- 137 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/27(火) 00:46
- 出来が良い作品なだけにこのまま終らすのはもったいない。 何とか復活して欲しい。
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