ハニィ。

1 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 20:58

* *
 HONEY
*    *
2 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 20:59








「・・・ごめんなさい。」

放課後、夕日で紅く染まる教室。
あたしは長く伸びる影を見ながら、そう言った。

目の前に居るのは、さっき知ったばかりの先輩。

名前も知らないし、ぜーんぜん話したことも無い。
なのに、なぜか今あたしは彼女に告白されてる。

「やっぱりね。」

「え??」

「断られるってこと、わかってたよ。」
・・・じゃぁ告るなよ。

「ホント誰とも付き合わないよね、よっすぃー、好きな人でもいるの?」

「いますよ、い〜〜〜〜っぱい!!先輩のことも好きですよはあとはあと」

「またそうやってゴマかす。」

「えへへっはあとはあとあたしはみんなのモノなんで。。。」

女って怖い動物。
フラれると一気に性格変わってサ
・・・そんなコワイ顔で見ないでよ。

あ〜やだやだ。


「もういいよ、バイバイ。」
3 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 20:59


相手が正門を出るのを、教室の窓から確認する。
やっとそれであたしも教室から一歩出るんだ。

あーあ、お腹すいたな。
なんかタチの悪い先輩だったなー。あとで仕返しとかされたらどーしよう・・・まっ、いっか。

うー・・・さむっ。
っていうか学校の廊下ってこんな寒かったっけ・・・
もう冬ですねー。なーんて。



「あれ?よっすぃー?」

静けさを裂いたのはその一声だった。

「安倍先輩!どうしたんですか?こんな時間まで。」

「生徒会の仕事。も〜疲れちゃったよ〜。よっすぃーこそ何してるの?」

「・・・いや、ちょっと・・・」

「あ、また告白されてたんだ?」


図星。そのイタズラな笑顔はなんですか。
なんだかなー。いつも安倍先輩にはタジタジ。

「・・・今日は手強かったです。」

「アハハ!お疲れ。っていうか、お腹すかない?」

「はい!も〜メッチャすいてますよ〜!!」

「じゃぁ、なんか食べに行こっか?」



「はいっ!」
4 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 20:59


ちなみに安倍先輩は中学校時代からの仲の良い先輩。

すごく頭も良くて、優しくてカワイイ。
ここの高校に入ってからも生徒会やってるみたいで・・・大変そう。


「あーお腹いっぱい!なんか付き合ってもらっちゃって、ごめんね?」

どこまでも謙虚なんですね、先輩・・・

「いえいえ。っていうかあたしが付き合ってもらったんで。おごりますよ!」

「え〜いいよ〜悪いし。」

「今度なんかおごってくださいね。」

そういってあたしは返事を聞く前にレジに向かった。
いつもお世話になってるお礼、ってとこですかね。

――――――


「ごちそうさま。じゃぁ、よっすぃー、また明日ね。」

「はい。さよーなら。」



カワイイなぁー安倍先輩。
でも、好きにはならない。っていうか、なれない。

だってさ・・・だってなんだもんっ!




・・・なんちゃって、ね。

5 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 21:00


吉澤ひとみ、16歳。

好きなもの・・・カワイイ女の子。

高校生になって、もう半年。

ってことで、一人暮らしを始めて、もう半年ってこと。

もともと家は裕福で、なんにも苦労することなんてなかったけど。
結構やりたいこととかいっぱいあったし、高校に入ったら一人暮らしするって決めてた。
親は厳しくないからあたしも逆にそのおかげで自立は早かった。

「ただいまー。」

誰もいない家に帰宅。でもなんとなく、この挨拶は忘れない。


♪〜♪♪

「あー・・・ん?」

携帯から【踊る大走査線のテーマ】が流れた。
あー青島さんカッケー〜〜!!

・・・じゃなくて。あたしはカバンの中で鳴ってる携帯をひょいっと取った。

「はいはーい、吉澤でーす♪」

着信元も見ずに、いつものよーに、愛想よく電話に出た。

『もしもしひとみ?お母さんよ。』

「なんだ、お母さんか。何?」

『なんだとはなによ!!もー!』

「はいはい。んで?」

親のキャラもどうかと思うけど。
なんだかんだ電話してくるのは結構珍しい。

6 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 21:00


『あんた、いとこの女の子覚えてる??』

「・・・いとこ?そんなの、いたっけ?」

『まったく、覚えてないの?・・・まぁいいわ。明日からそっちに引っ越すらしいから。』

「え?そっちって?」

『ひとみと同じマンションよ。しかも隣。』

「マジ?ふーん。そんで?」
反応薄いって?しょーがないんじゃん、関係ないもん。

『まだ中学生だから。色々面倒見てあげてね。』

「あたしがぁ?無理無理。めんどくさっ。」
ひとりでもろくな生活してないのに・・・見知らぬいとこの世話なんか・・・

『じゃぁよろしくねー♪』

プツッ



「は?!ちょ、待ってよ!」



プーップーップー。。。。。





なんか、
ややっこしくなりそー・・・


はぁ・・・
7 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 21:00



翌日、いつも通り徒歩5分の道のりをのんびり歩きながら登校していた。

「吉澤先輩、おはよーございますっ!」
「よっすぃー、おはよー。」
「吉澤〜おはよっ!」

すれ違う人はみーんなあたしに挨拶してくれる。
っていうか、うちの高校の人はだいたい知り合い。まぁ知らない人もいるけど。
言い忘れたけど、うちは中高一貫の有名な頭のいい高校。

つまり、お嬢様学校。女子校です。

だからちょっと男っぽいあたしは、しょっちゅう告られるんです。
周りの後輩も先輩もタメの子もみーーーーーんな、超カワイイはあとはあと子ばっかり♪
 
みんなが言うには、あたしのイメージは・・・ 
     【見た目も中身もパーフェクト。でも軽くてチャラチャラしてて女好き。なのに誰とも付き合わないのが謎。】

らしい。。。。


軽くてチャラチャラして女好き・・・うーん、たしかに。
だって、女の子大好きだもん♪♪

でも、あたしは誰とも付き合わない。
なんでって?
そりゃぁ、愛してる人がいないんだもん。
8 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 21:00

「オーッス、みなさん、おはようございますはあとはあと」

教室に入るなり投げキッスを振りまいてみたいして。
黄色い声援が「キャー」みたいな・・・いいですなぁー♪女の子って裏は怖いけどやっぱ可愛いよなぁー。

「「よっすぃー!!おはようはあとはあと」」

みんなそんないっせいに・・・よしこ照れちゃうぞ!!

「みんな今日も可愛いね♪」
なーんちゃって。えへっ。




「コラァ!油売ってないで席つけぇ!!」



・・・・・・この人は担任の中澤先生。


「も〜先生、ひがまないのはあとはあと」


ギロッ・・・っと先生の目が光った。


「・・・すみません。」
結局あたしはおとなしく席についた。
それでも教室はあたしに話しかけてくるみんなの声で静かにはならないのだ。


「えー、今日は転校生が来てるから・・・後藤、入って。」



・・・転校生?

カワイイ子だといいな♪
9 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 21:00



ガラッ







おっ!





「・・・・後藤、真希です。」




少し色素の薄い、綺麗な長い髪。
大きな瞳。スラッとした身体。



かなりストライクです!!!


10 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 21:01



「んじゃ、後藤はそこの席な。」

「あ、はい。」


え、もしかして・・・隣?


予想通り。彼女はあたしの隣の席についた。
そしてHRは終わり、1時間目の授業に入った。

話しかけてみよっと♪

・・・・・・


「あたし、吉澤ひとみ。よろしくね!」

「うん。」

・・・あれ?
人見知りするタイプなのかな??


「女子校初めて??」

「ううん、前の学校も中学から女子校。」

「へぇ〜。じゃぁさ、女同士の恋愛とかそういうのは興味あるの?」

「・・・・・。」

「あれ、後藤さん・・・?」


ひと息置いて、彼女はこう言った。






「そうやっていつも色んな女口説いてんだ?」










は?


11 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 21:01


キーン、コーン、カーン、コーン


結局何も言い返せないまま、1時間目は終わりを告げた。

っていうか・・・後藤さんって何者?!
あたしにあそこまでキツイこと言うとは・・・・
だいいち、別に口説こうとしたわけじゃないし!!

あーなんかムカついてきた!!
あぁいう素直じゃない女はキライだー!別にあんたなんか口説いてねーぞコノヤロー!



あーなんかイライラするー。

めんどくさ、帰ろっっと。
あたしはカバンを持ってそのまま廊下に出た。

「あれーよっすぃー帰るのー?」
「つまんなーい。あたしも帰ろっかなー」

周りの女の子にも今日は反応せずにあたしは玄関までツカツカと進んでいった。




「コラァ、吉澤なにやっとんのや!」

「体調悪いんで帰りまーす!」

中澤先生も軽くかわして、あたしは早足で家路を急ぐのだった。


12 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 21:01



あーあ、なんかスッキリしないな・・・

マンションにつくと、家の前には引っ越し屋のトラックが止まっていた。
誰か引っ越して来たのかな???
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?

もしかして・・・



エレベーターに乗って部屋のある4階まで上ると、廊下にはダンボールがいっぱいあった。
そしてあたしの部屋の隣ではなんだか忙しそうに引っ越し屋さんがガヤガヤして・・・



「じゃぁ、あとは自分でやるんで。ありがとうございました。」

隣の部屋の中からは女の子の声が聞こえ、引っ越し屋さんは同時にそそくさと帰っていった。
そして誰もいなくなった廊下に、女の子がスッと・・・・・・・・・



おっ、結構カワイ・・・



「あ!吉澤さんですか??」

「・・・へ?」

「いとこの、亀井絵里です♪」

「あ、君が・・・」

「よろしくお願いしますねはあとはあと」




こうして、カワイイ妹のような子がお隣さんに引っ越してきた。
中学生にしては、かなりカワイイ。
これなら、面倒みちゃおっかな♪

13 名前:双六 投稿日:2003/10/12(日) 21:02
ども、双六(スゴロク)と申します!
初の更新終了しやした!
なるべく早め大目の更新にしますので
是非是非、いつも暖かく見守ってくだせぇ!!
14 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/12(日) 22:58
面白い!
モテ吉好物なんで楽しみにしてます。
15 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/13(月) 01:07
期待してます!
16 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 08:42
>14・名無し読者様
初レスだぁー!!!(www
ありがとうございます!!モテ吉好物とは・・・
これはもっともっと味を付けていきますよ!!w
これからもよろしくお願いします!

>15・名無し読者さん
期待ありがとうございます!
期待のひとまわりもふたまわりも多く頑張りますぜ!!

ーーーーーー

PS。小説は「はあとはあと」で絵文字でないんですね。。。
   昨日の更新はいっぱい使ってしまって・・・不覚です。
   読みにくかったようで、ごめんなさい!
   今日からはハートは使いません!!ってか使えないんですけどねw
17 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:40

その子の名前は、亀井絵里というらしい。
とりあえずあたしは彼女を家にあげて、話を聞くことにした。

「まぁ汚いけどあがってよ。」

「ありがとうございますっ。」

リビングのソファーに彼女を座らせ、あたしはキッチンに向かった。
・・・コーヒーとかいう年齢じゃないよね・・・中学生だったっけ。
何歳だろ・・・っていうか、大人っぽいよなぁー


「あ、わざわざすみません。」


紅茶を出すとそう言うのだった。礼儀ただしいなー
さすがあたしのいとこ!!イイ子、イイ子。

――――

「んで、何があってこっちに??」

「えっと、・・・今度吉澤さんと同じ高校を受験するんで、こっちに来たんです。」

へ?!
じゃぁこのこ頭いいんだ。。。

「マジ?ってことは今中3?」

「いえ、中2です♪これから1年間ここで受験勉強です!一人暮らしで落ち着いてってことで。」

「ほぉー。じゃぁ2個下なんだぁ・・・」

にしてはタメ・・・いや、年上ぐらい大人っぽい・・・
18 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:40


「色々お世話になりますが、よろしくお願いします。」
んな深々と。。。なんて礼儀正しいコなんだよ〜(感動)

「いえいえ。絵里ちゃん、だよね?」

「はい!絵里でいいですよ!」

「ん、わかった。絵里ね。あたしはよっすぃーでもなんでもいいよ!」

「ホントですか?!」

「うん、ってかタメ語でいいからね〜」

「・・・うん♪」

――――

絵里はうちの高校を受験するまで、近くの公立中学に転校したらしい。
うーん、たしかに叔母さんは教育ママだからなぁ。。。
こんなかわいいコあたしがお世話していいのか?


・・・襲わないように気をつけなきゃ!!


なんちって。
19 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:40


翌日。。。

「よっすぃーっ!起きて、遅刻しちゃうよ〜」

「んー・・・あと5分〜」

「だーめ。よっすぃー!!」

なんなんだよぉ・・・っていうか誰が起こし・・・



「うわぁぁっ!!」

ガバッ


「え、え、絵里??」

なんとベッドから起き上がると、目の前には絵里の度アップが・・・!!
鼻血ブーしそうになった・・・


「もー、朝ごはんおすそわけしようと思って来たらまだ寝てるんだもんっ。」

だもんって・・・カワイイなオイ。。。

「ごめんごめん。ってか何時・・・うぉ?!やべっ、遅刻!!」

「だから起こしたんだよー?はやくはやく!」


なんだかあたしがお世話されてるよーな・・・思わず苦笑した。
20 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:40


「じゃぁ絵里はもう学校行くね!」

アハハ、自分で絵里っていってるよ。まだまだ子供だなって感じ♪


「おう、気をつけてね!M中学だよね?道とか平気?わかる?」

「もう、よっすぃーじゃないんだからっ。行ってきます!」


・・・そうでも、ないか。

「はーい・・・いってら〜〜〜」


どうやら中身も大人っぽいみたい。。。複雑。
もっとちゃんと面倒みなきゃな。っていっても何すりゃいいかわからんけど〜

さて、あたしも学校行きますか!


――――


21 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:40



「あーさみぃ〜〜」

あたしは教室に入るなり、机で丸まっていた。
東日本の寒さをなめちゃいかんな・・・


ガタンッ


ふと、物音に振り向くと・・・


「・・・あっ。」

ちょうど後藤さんが隣の席に座ったところだった。


・・・きまずっ。






「お、お・・・おはよう。」

恐る恐る話しかけてみる・・と・・・


「・・・うん。」







つめたっ!!!

超クールじゃん!なんなんだよチクショー!
こっちは勇気出して話しかけたのに!!
ってかなんであたしは昨日あんだけひどいこと言われたくせに挨拶してんだ?!

意味わかんねぇーねぇーねぇー・・・(エコー)

22 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:40



「はい、ここの問題を〜・・・・吉澤。」

「あ?」

「あ?じゃないやろー早く前に出て解きなさい。」

「みっちゃんのイジワルー・・・」

数学教諭、へいけみちよ。通称みっちゃん。
いっつもあたしのこと当てんだもん。イジワル。。。
見返してやる!!




カツ、カツカツカツ・・・カツカツ・・・

静かな教室に響くチョークの音。
それがだんだん生徒の声へと移転する。

「すごーい・・・よっすぃー。」
「さすがだね。頭もいいしサイコーっっ」
「今度教えてもらっちゃおっと♪」


・・・ふっふっふ。そう、あたしは女の子に顔だけでモテるだけじゃないのだ。
実は・・・・・頭もいいのだ!!!


「はい、解けました。」

「・・・むむっ。さすが吉澤やな。」

みっちゃんもビックリ。へっへっへ。

23 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:41

満足げに席につくと、後藤さんがこっちを見ていた。

「・・・な、なに?」
ちょっとそっけなく言ってやれーぃ。



「頭いいんだ?」

「・・・そ、そうは見えないって?」

「うん。意外でビックリした。」

ニコッ

って・・・・・・・台詞はちょっとムカつくけど、。。。

その笑顔、ストライクです。


あたしも素直にならなきゃね。



「よかった〜〜〜っ。後藤さん、もう話してくれないと思ったよー」

「え?」

「笑った顔。すごいカワイイね。」



「・・・・。」



あれ?怒った?


「ごめん、別に口説こうとしてるわけじゃ・・・ないよ?」







その直後


彼女は、あの笑顔で、ほんの少し、笑った。


24 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:41


「頭いいなら、もっとマジメに生きればいいのに。」

その時間、後藤さんとの会話はなんだかよく弾んだと思う。


「だってさ、世の中には可愛い女の子がいっぱいいるんだもんっ。」

「だから軽いって思われるんだよ・・・ちゃんと好きな人とかいないの?」

「それがいないんだなぁー。可愛いっていうのと好きって違うじゃん?」

「・・・へぇ。意外とそういうとこはしっかりしてんだ。」


・・・なんか、後藤さんって話せばすごくいい人じゃん。
っていうか、もっと笑えば可愛いのにな。



――--


チャイムと同時に、みんないっせいに教室を出て遊びに行った。



その時・・・





「それから・・・」









「真希でいいよ。」




―――


そういっていつの間にか目の前から彼女はいなくなっていた。



フシギ。なんだか、変な感じ。


25 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:42



「ただいまー。」

っていってもいつも通り返事はないんだけど・・・



「おかえりなさーい!」


へ?



「絵里!ど、どうしたの?」

そこにはセーラー服の上からエプロンをかけた絵里が立っていた。
っていうか・・・微妙にエロチック・・・・いやいや、相手は中学生だぞ吉澤ひとみ!!!。


「ごはん作っといたよ♪よっすぃー・・・ハンバーグ、食べれる?」

「もちろん!!!ってか、メッチャうまそーじゃん!」

ホホイッっとカバンをベッドに放り投げて、テーブルに座った。
おおー!!なんか新婚さんみたい!・・・っとあんま調子乗らないことにしよっと。


「いただきまーす・・・・・・
・・・うん!!!!ウマイ!最高!」

「ほんと??ホント?よっすぃー?」

「ホントだよ。マジうまいって。毎日食べたい!」

あたしが言うと口説き文句とかそういう風に聞こえるかもしれないけど・・・
マジでうまいよー絵里最高!

26 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:42



「はぁーおいしかった♪」

「これからも絵里がよっすぃーのごはん作っていい??」

「え!!いいの?あたしは大歓迎だけど・・・」

「うん♪」

毎日こんな美味しい手料理が食べれるなんて・・・・・
いつもコンビニとかばっかだったもんなぁー・・・・幸せ♪

「じゃぁ絵里にもなんかしてあげないとね〜」

「え??よっすぃーが絵里に??」

「うんっ。何かほしいものとか、ある?行きたいとことか・・・」

中学生の望みぐらい、このひとむ君がかなえてあげますとも♪



「じゃぁ・・・えっと、よっすぃーといっしょに登校したい!」

「えぇ?!」

「・・・やっぱ、ダメ?」

「いや、そんなんでいいの??」


そんなことお安い御用だけど・・・


「うん!毎朝・・・駅までだけど、よっすぃーといっしょに行きたい!」

「・・・よっし!じゃぁ明日からそうしよう!」


ということで新しい約束をひとつ。
ほんとに、かわいい妹ができたようです。

27 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:42



翌日・・・


「よっすぃー早く〜〜〜」

「あーごめんごめん!!今行くよ〜〜」


さっそく寝坊・・・ごめんね〜絵里。トホホ・・・


―――――

通学路をふたりで歩いてると、うちの生徒がいつもどおり・・・・・


「「「「よっすぃーおはよー♪・・・って、え??!」」」」」

みんな一気に絵里に視線を集中させた。
・・・・や、やっぱり・・・・

「よっすぃー、その女誰?!」
「吉澤先輩、誰ですか?彼女ですか??」
「よっすぃーより年上じゃない??」
「でもセーラー服ってS中学じゃん?!」
「よっすぃー年下好きだったの?!」


みんな早まりすぎ・・・・・はぁ・・・・


「いや、みんな違うよ!このこはいとこの・・・」


・・・といっても誰も聞いてはくれなかった。
この大人数に誤解とくなんて無理っしょ・・・



その時・・・


「あっ・・・・」


後藤さ・・じゃなくて真希がスッと横を通った。


28 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:43




真希はチラッとこっちを見ると、
何事もなかったようにそのまま通学路を進んで・・・・・・・・・・・・・








ご、ご、


誤解された?!


絵里と付き合ってると思われたかな?!!どーしよ!!

また軽いとか言われる?!!?



うわぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







29 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:43




「あのね!!みんな、この子はいとこだから!!」

大きい声でそう言うと、みんなは・・・


「なーんだ、ビックリしたぁ・・・・」
「よっすぃーに彼女できたと思って青ざめたよー」
「そうだよね、よっすぃーはみんなのものだもんね♪」

そうそう、あたしはみんなのものですから・・・・えへっ




――――


絵里と駅でバイバイして、あたしは学校に行った。



みんなの誤解はとけたけど・・・・


ごっちんはきっとカンチガイしたまま通り過ぎてしまった。



あーどうしよー・・・学校で誤解解いとこっと・・・

30 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:43



「あ、真希、お・・・おはよ!」

席につくなり即話しかけた。・・・が。


「・・・うん。」



うわっ!!テンション低!!!

絶対絶対ゴカイしてるよー・・・・・・・




「あのー・・・さ、放課後屋上きてくれない??」

「なんで?」

「ちょっと話したいことあるから・・・」

「・・・わかった。」



放課後で挽回だ!!あたしの巧みな話術で誤解なんてチチンプイだ!!

31 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:43



そして放課後。。。



「で、話って?」

コワイっす、後藤さん・・・・じゃなくて真希。


「あー・・・・あのー・・・・・・・・・・・」


言い出せない・・・



「っていうかさ。」





「へ?」


突然、真希はそういって話を切り出した。

・・・何??







「よかったじゃん。ちゃんと本当に好きな人、いるじゃん。」




・・・・・え?


32 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:44



「どういう意味・・・?」

「どうって、あの中学生、彼女でしょ?よかったじゃん。おめでとう。って。それだけ。」


何それ・・・



「意味わかんないよ・・・全然祝ってる様には見えないけど?」

「そう?っていうか、こうやってあたしと合ってる時点で浮気って思われちゃうよ?」

「・・・浮気?」

「よっすぃー軽いから。」










ちがう・・・


ちがうよ。

あたしはそんなんじゃ・・・・・





















「あたしが好きなのは・・・」










好きなのは・・・・・・・






「後藤真希、あんただよ。」












33 名前:双六 投稿日:2003/10/13(月) 18:49
更新終了です。

波乱の始まりです・・・あーコワッ


34 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/13(月) 19:18
更新はやいですね!双六さんからお返事きて嬉しいです。
続き楽しみにしてます。
35 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/14(火) 12:39
展開が早いですね〜。
真希の返事はどうなんでしょうか?
36 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:10
>34・名無し読者様
更新量は少なく無いでしょうか??意見お聞かせ下さい♪
続き楽しみだなんて・・・嬉しいです!!がんばりますよ♪

>35・名無し読者さん
そうですねぇ。でも展開の速さが波紋を・・・・・いやいや。^^;
返事は・・このあとすぐ!!!w
37 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:11


「・・・へ?」






驚いて当然だよね・・・



「だからぁ、好きなの。真希のことが。」


――――




「・・・好きって・・・え、なんで?え、?」

「朝いっしょにいた子は、いとこの中学生。同じマンションに住んでるの。」

好きなのは、あんただけだよ。
そう言わんばかりの真剣な目で彼女を見た。


・・・でも本当は、何も考えずに「好き」って言ってしまった。



でも、好きって言ってから気がついた。


あたし、やっぱあんたのこと好きだわ。

38 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:11



「なんで?どこが?知り合ったばっかりだよ?!」

真希はいつもより早口で質問を繰り返す。
んないっぺんに聞かれても・・・・・・・・・・
でもいえることはただひとつ。


「真希は、他の子と違うから。特別だから。」

「・・・特別?あたしのどこが?」

「あたしと、メリット無しに話してくれるところ。」


「周りの子みたいに何も言わなくても甘えてきたり、くっついてきたり、
優しくしてくれたり、「よっすぃー、よっすぃー」って、そんな風にはしてくれないけど・・・・・」


「・・・うん・・・?」



「真希のそのそっけない所が好き。大好き。ほっとけない。」


殺し文句。

誰もがそう思うよね、あたしが言えばなんでもそう聞こえるし・・・










「付き合って下さい。」





ま、無理だろうけど。


39 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:11




だいいち、ついさっきまであたしのこと「軽い、すぐ女を口説く」って
そんな風に言ってた人が、告白されてOKするわけないっつーの。

真希にもきっと、もっと理想があって・・・
マジメで、誠実で、カッケー人とかが、好きなんだろうな。

どっちかっていうと・・・あたしは苦手な・・・いや、嫌いなタイプだろうし。










「ばーか。」









え?






「ば、バカ・・・?」



「ほんっと、バカだね。よっすぃーって。」



・・・・・こ、こ、これって・・・・・

めちゃめちゃひどいフラれ方する勢い???


最悪・・・・・・・・・・・・・・












「でも、あんたのバカなところ、結構好きだよ。」













40 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:12





「・・・・・・・・え。」


え?

え?え、え、???


?????


待って、整理しろ、あたし。

あたし告白したよね?好きですって・・・


そしたら「バカ」って言われて・・・・・・




でも、バカなところが好きって・・・


好きって・・・


好き・・・

好き?







「えぇーーーーーーー?!?!?!」


思わず雄叫び。

「なに?」

「好き?!あたしを??」

「うん。好き。」




真希・・・あんたっていったい・・・・・・





でも







幸せ、勝ち取った???


41 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:12



「じゃぁ、つ、つ、付き合ってくれるの?」

「ごとーでよければ、別にいいよ。」


【ごとー】でよければって・・・・・・・・



【ごとー】がいいんです!!!!!



「よっしゃぁぁぁぁー!!」


大きくガッツポーズ。思わず空に向かって、ね。



「何それっ。」

真希は口に手をそえてプッと笑った。



あ、あの笑顔。






「もっと笑ってよ。あたしの前だけでもいいからさ。」


あんたの笑顔は、世界一だよ。

適わないよ、真希には。




42 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:12




「ただいまー。」

「おかえりよっすぃー!!」



さっそく玄関からいいにおいがしてきた。
おっ、今日はカレーかな??

「うまそー!!」

「寒かったでしょ?大丈夫?」

「平気平気!!いただきまーす!」

中2に心配されてどうすんだっつーの・・・
でも中2に見えないからしょうがないけどさ・・・


「・・・・おいしい?」


・・・そんな可愛い顔で見ないで下さいよ。
っていうか、近い。近いから。


「うまい!っていうか、絵里が作ればなんでもうまいって!」

「もー、よっすぃーってば♪あ、明日の朝ごはんの買い出ししてくるね!」

「えーもう遅いよ?平気?」

「スーパーまでだから大丈夫♪いってきまーす☆」


大丈夫かなぁ??可愛いから知らないおじさんについてったりしないよね・・・

って中2だぞ?平気か・・・・・・・・・

43 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:12





♪〜♪♪〜♪・・・






絵里が家を出た後、向こうの部屋で携帯が鳴った。
ったく、メシ食ってんのにぃー・・・
しぶしぶ携帯のところまで行くと、ちょうど着信音が止まった。


「メールか・・・」


ピッ


【今から会える?真希】

短文・・・さすがクール後藤さん!!




もちろん返事は・・・・・


【会えますとも!!!学校の前で落ち合おう♪♪愛しのよっすぃー王子★】


送信っと・・・・・・・・・

よっしゃぁー!!行きますか!!


あたしは一気にカレーを流し込むと、家をダッシュで出た。

44 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:12




自慢のママチャリ(通称よしこ2号)で商店街をスイスイ走っていた。
もうだいぶ遅いからほとんど店は閉まってるけど・・・・・・


「いいじゃん別に〜。ちょっと遊ぼうよ〜」


ん?

「やめてくださいっ、急いでるんで・・・」




・・・絵里?!


スーパーの前で絵里が何人かの男にからまれていた。



ゆ、ゆ、ゆるさーーーーーーーん!!!!!!!!



――――


「ちょっと、その子離してくれません?連れなんで。」

「あん?何が連れだぁ?部外者は引っ込んでろ!」


ドンッと肩を突き飛ばされ、その衝撃で・・・・・・・・


プツンッと、何かがキレた。




45 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:12




「おーりゃっ!!」


一本背負い。

・・・別に柔道やってるわけじゃないんだけどね。


「ほれっ!」

相手の右手をひねって床に押し付けた。

・・・別に護身術やってるわけじゃないんだけどね。



――――

そんなこんなで相手はすたこらさっさと逃げていった。


「ふぅ。」

絵里はその場に座り込んでぼーぜんとしていた。




「平気?ケガない?」

「・・・う、うん。」

「ごめんね。あたしが絵里を暗い中買い物行かせたから・・・・・」


その時、絵里はぶわっと泣き出してしまった。


「えっ、絵里?大丈夫?どっか痛いの?」

彼女はぶんぶんっと首を横に振り・・・・

「ひっく、・・・怖かったの・・・ひっく、・・・びっくりして・・・」




あたしはギュッと絵里を抱きしめて、「もう大丈夫だよ・・・」と頭をなでてあげた。

やっぱり、まだ中学生だなって。そう思った。



あたしが、守らなきゃな。


46 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:12


自転車のうしろに絵里を乗せて、あたしは家に帰った。


「落ち着いた?もう平気?」

ソファーに座らせ、うなづくのを確認してホッとした。


「でもよっすぃーなんであの場所に居たの?」

「え?」




・・・












「あぁーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」




真希と待ち合わせしてるんだった!!!!











やばい、行かなきゃ!!!


そうして急いで家を出た。


47 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:13



約2分で学校についたけど、すでに待ち合わせから30分以上過ぎていた。




「はぁ・・・はぁ・・・・」



もういないよね・・・





あれ?

そこにはひとりの人影が・・・・・・・・・・・・









「真希・・・・?」

彼女は振り向いて・・





ひとこと。
















「おそい。」









48 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:13




・・・・コワっ!!






「ホントにごめん!!!!!」


思いっきり体を曲げて謝った。


「平気でそういうのすっぽかすんだね。ふーん。」

「違う、誤解だよ真希!!」

「何が【愛しのよっすぃー王子】よ・・・もういいや、バイバイ。」







去っていく真希を、止めることもできなくって・・・・・・








無念・・・・・・・・!!



あーバカだぁー

あたしは世界一バカだ・・・



初めて真希からのお誘いだったのに。



なさけねぇー・・・・・・・・・・






とほほ。

49 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 21:16
更新終了デース。
ここでこの先のお話のちょっと裏ヒント。

@真希が簡単によしこをOKしたのには何かワケが・・あったりなかったり。
これは本気の恋なのか?!という感じです。

では。
50 名前:双六 投稿日:2003/10/14(火) 22:39
学校のテストがあるので少し更新遅めになります、、、
51 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/15(水) 18:15
どんなわけがあるんだろう?
展開がきになります。
あと、更新量は、ちょうどいいです。
テスト勉強がんばって!私もがんばるよ・・・
52 名前:双六 投稿日:2003/11/02(日) 10:41

吉澤ひとみ、一生の不覚です・・・・・・

あーバカだよ、ほんとに。
真希にいやな思いさせてばっかり。サイテーだな、あたし。。。




「ただいまー・・・」

「よっすぃー!おかえり。いきなり家飛び出したからびっくりしたよ?」

さっきよりだいぶ落ち着いた絵里がてくてく歩いてきて、
あたしは玄関でくつも脱がずに絵里が歩いてこっちに来るのをボーッと見ていた。

「ごめんね、ちょっと急用思い出して。」

「急用??」



ぼふっ


・・・


あたしは目の前にいる絵里の肩に、顔をうずめた。

そのまま身を任せるように絵里を、ぎゅーっと抱きしめた。


「・・・よっすぃー?」

いきなり抱きつかれたのに、意外にも絵里はそんなにビックリせずに名前を呼んでくれた。
・・・・相手は中学生なのに、あたし、ガキだな・・・・・・・・・

ずっと彼女より背の高いあたしは、甘えるということの心地よさを久々に知った。




53 名前:双六 投稿日:2003/11/02(日) 10:41


絵里はそのあと、あたしが体を離すまでずっと抱きしめていてくれた。

無言で、ずっと、ずっと。



「っていうか・・・ごめん、いきなり。」

スッと・・・だんだん体を離し、あたしはリビングに戻った。





「あたし、恋してんだ。ある人に。」


「よっすぃーが??」

「そう。っていうかその恋は実ったはずだったんだけどさ・・・どーもキレイな花が咲かないんだよな。」


変なの。
言葉がスラスラでてくるよ。なんだか、絵里にだったらなんでも話せるって感じ。




「どうして?何かその人に不満でもあるの?」

「不満はないよ。ただ、あたしと性格が正反対でさ。彼女はあたしみたいに軽い性格はちっともないんだ。」

「・・・そっか。よっすぃーは、その人を愛してる?」

「愛してるよ。すごく。メッチャ愛してる。」



愛してるよ。すごく、すごくね。

54 名前:双六 投稿日:2003/11/02(日) 10:42

「じゃぁさ・・・・・・・・」






そこまでいうと、絵里は黙り込んだ。


・・・?


「何?」





・・・・・



「その人に気持ちは、よっすぃーに向いてる?」



・・・え?


真希の気持ちは・・・・・・・あたしに・・・・・・









あの子




あたしのこと、本当に好きなのかな?


55 名前:双六 投稿日:2003/11/02(日) 10:42



「・・・・わからない。」

気がついたらそう答えてた。
確かに、あの日真希から【好き】という言葉は聞いたけど、
言葉の中に、愛があったかどうかは、わからない。


「どうして?」

絵里はなお質問を続けた。


「・・・そっけない性格だからそこまで尽くさないタイプだと思う。でもきっとあたしのこと、心のどこかで愛してくれてる。」

「本当に?」



え?


「本当に、彼女はよっすぃーを愛してる?」

「・・・・・え・・・」

「確かに、よっすぃーのことを愛そうとしてるかもしれない。」

「・・・うん?」



「でもそれは例えば、彼女は他の人が好きで、でもその人を忘れるためによっすぃーを愛そうとしてるのかもしれない。」






・・・・そんな・・・

56 名前:双六 投稿日:2003/11/02(日) 10:42

「その人がもし本当によっすぃーを好きで、愛そうとしているなら・・・」





「よっすぃーは、その人からの愛を感じてもおかしくないと思うよ。」


真希からの、愛?

あたし、感じてる?ちゃんと・・・



「その人に愛されてるって、思ってる?」







・・・・答えは




「・・・思わない。愛してるのは、あたしだけかもしれない。」


NO。


57 名前:双六 投稿日:2003/11/02(日) 10:42



「じゃぁそれを彼女に直接聞かなきゃ。」

絵里は、強くそういうのだった。


「・・・・・うん、わかった。」

「偉そうなこといって、ごめんね。」

「ううん。マジでありがとう。」




絵里はどうしてここまで大人なんだろう。



まるで


今までつらい恋愛をしてきたかのように。

・・・いや、本当にそうなのかもしれない。
絵里には、きっとつらい過去があるんだろうな。


いつか

絵里の話も、聞いてあげたい。
58 名前:双六 投稿日:2003/11/02(日) 10:43
>51 名無し読者さん

どういう展開になるか・・・わかりませぬ。
でも痛くなるかもしれません。
というか、とてつもなく更新遅れてすみません。。。うぅ。
59 名前:pj 投稿日:2003/11/03(月) 21:06
よしごま小説発見!
そして期待!
ごっちんは一体よっすぃーのことをどう想っているのでしょうか。
とても気になります。とても。
更新の方は作者さんの都合のいい日で結構ですよ?私は作者さんを信じてますから。
60 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/05(水) 01:13
更新お疲れ様!
亀井の過去が気になって来ました・・・
双六さんのペースで頑張ってください。
まったり待ちますよ☆
61 名前:双六 投稿日:2003/11/11(火) 16:02
>pj様
ありがとうございます!!
マイペースな更新になりますが、期待は裏切りません!!
今日は期末前に入るのでの更新します!

>名無し読者様
亀井の過去・・・後藤の過去・・・
いやぁ、色々大変ですわ。
でも進展多しの小説ですから、飽きは来ないと思います。笑

62 名前:双六 投稿日:2003/11/11(火) 16:20
夜更新します!
63 名前:双六 投稿日:2003/11/11(火) 23:10


ここは体育館裏。


「どういう意味?」

真希は、冷たく言い放った。

・・・


「だから・・・あたしのこと、好きで付き合った?」

なんか変なことにヤキモチ妬いてる子供みたいで、ちょっとイヤだった。



「・・・うん、好きだから付き合った。今も、好きだよ?」


あれ・・・。
やっぱり、好きでいてくれてるのかな?
絵里が言ってたことはなんなんだろ。
いや、今真希は正直に言ってないだけかもしれないよね・・・

「そっか。んー・・・なんでもない。ごめんね。変なこと聞いて。」

「うん?別にいいけど。」

あっ。


「あと・・・昨日はごめん。」


真希はあたしの言葉にクイッと頭をあげた。

64 名前:双六 投稿日:2003/11/11(火) 23:10


「別に怒ってないよ?」

・・・へ?


「いや、でもメッチャ待たせたし・・・」

「なんかワケあったんでしょ?よしこがそういうのすっぽかすヤツじゃないことくらい、知ってる。」




真希・・・・



も〜〜・・・・・ラブ!!!!!

マジで好きだよ、アンタのこと・・・



そのまま勢いで彼女を思いっきり抱きしめた。

そのまま、そのまま・・・

S極とM極のように引き付けあう唇―――



「・・・んっ」

びっくりしてちょっと色っぽい声を出す彼女に、理性がぶっ飛びそうだった。





絵里のいうこともよくわかった。



でもあたし、真希が好きだよ。


大好き、ヤバイくらい。
65 名前:双六 投稿日:2003/11/11(火) 23:10

「そっか、でも上手くいったならよかったね!」

土産話に絵里は嬉しそうに笑った。
暖かい食卓に華が咲く。そんな感じだ。


「・・・昨日は、いきなり抱きついたりしてゴメンネ?」

「あっ・・別に絵里は平気だよ!よっすぃーの役に立てたなら♪」

はぁ・・・この子は本当にいい子だな。
本当にあたしは少しでも血つながってんのかなぁー?
こんな気遣いのいい子、初めて見たよ。

「ほんっと絵里はいい子だね。」

思わず口にすると、絵里は恥ずかしそうに照れ笑いした。


「年下じゃなかったら、付き合ってんのにな。」


そういって箸をすすめた。


・・・その時の絵里の表情なんて、見ることもなかった。


66 名前:双六 投稿日:2003/11/11(火) 23:10



私も再来年は大学受験だ。

そのために、今日から予備校に通うことにした。
学費は全部親負担だけどね。


「今日から○○アカデミーの新入生、吉澤ひとみさんです。」

野太い声の塾長から紹介してもらって、軽く会釈した。
もちろん、女子生徒はキャーキャー言ってるけど。


「こんにちは。」
席に座ると、隣の女の子が気軽に話しかけてきてくれた。
なんか緊張ほぐれる〜・・・しかも・・・

「あ、こんにちは。」

「あたし。矢口真里!よろしくね??」



かわいいっっ!!



・・・・・

話によると、矢口さんは浪人1年目の高卒19歳。3個上だそうで。
背はあたしより20cmほど小さくて、どうしても見下ろしてしまう・・・・
でも上目遣いであたしを見る彼女はものすごーく可愛いんだな、これが。

「じゃぁ矢口さん、また。」

「うん!よっすぃーに会えるから予備校楽しみ♪なんちゃってね!」

「ははっ、じゃ気をつけて。さようなら。」


・・・

67 名前:双六 投稿日:2003/11/11(火) 23:11



・・・・・・・・過去。

それは思い出であり、


傷である。

何度も思い出したくなるような、涙もろい思い出。




でも、過去。それは逆に・・・



毎晩夢に見る、恐ろしいあの人が。

深い深い、傷を心に残したもの。




怖い過去を持った人は、忘れようとするのだった。





・・・・・

68 名前:双六 投稿日:2003/11/11(火) 23:11


過去。




それは、過去という大きな傷を負った本人しか分からないもの。




深い深い、不治の傷。
69 名前:双六 投稿日:2003/11/11(火) 23:12
更新終了です。短いです。ごめんなさい。
近々また更新します。
70 名前:pj 投稿日:2003/11/12(水) 16:49
おっ!!更新どうもです!
このごっちんはよっすぃーに対して、あんまり積極的ではないようですね。
でもまたそんなところが良かったりするんです(爆
過去・・・これって一体誰の過去なんでしょう?かなり気になります。
期待して待っております。
71 名前:双六 投稿日:2003/11/12(水) 16:55
>pj様
内気なごっちんが好きなもんで。笑
過去・・・誰の過去なのか、これから暴いていきます!
では、更新しまーす。
72 名前:双六 投稿日:2003/11/13(木) 17:52


−−−−−−−−


「矢口さん、こんにちは。」

学校帰りに予備校に行くと、また矢口さんに会った。
どうやらコマ数が一緒みたい・・・

「おーっ!よっすぃーじゃん!元気?」

「はい!ってか、おととい会ったじゃないですかー。」

「アハハ!そうだったね。」



ガラッ

「コラー、席つけー。矢口自分の席もどれよ〜」

「あははーごめんごめん!」

矢口さんと親しげに話しているのは、どうやら数学を教えてくれる先生のようだ。


「おぉ、あんたが新人か。」

先生はニコッと笑った。白い歯がカッチョエー・・・






・・・


「あたしは市井紗耶香。よろしく。」


73 名前:双六 投稿日:2003/11/13(木) 17:52


なんか女のあたしから見てもカッチョエエ先生。
市井先生は授業もわかりやすくって、なんかいい人だった。


「市井ちゃーん、そこわかんないし!」

「知らん。自分でやれー」

矢口さんと市井さんのこの関係って・・・・
なんかケンカ越しだな・・・って、これは仲が良いと言ったほうがいいのか?




−−−−−−−−−−−−−−−



「じゃぁ、今日はここまで!質問ある人は個々になー。」

「あっ、先生!」
ちょっとわかんないとこあったんだよね。

生徒が次々と帰っていく中、あたしは先生に駆け寄った。




「ふんふん・・・これは、こうして・・・こことここで、こうなるんだな。」

「あ、なるほど!じゃぁ答えはこれでいいんですか?」

「おう。吉澤は出来がいいな。」

「いえいえ・・・じゃぁ、さようなら!」


教室を出ようとしたその時、
矢口さんが市井先生に近づいていった。



74 名前:双六 投稿日:2003/11/13(木) 17:52



あたしは

「今日行くね?」

「おう。じゃぁこれ。」


気になる会話に少し耳を傾けると・・・


「ありがとっ。」


先生は家の鍵っぽいものを矢口さんに手渡していた。




・・・・どゆこと??







とりあえず邪魔なような気がして教室を出ると、矢口さんが走ってきた。




「あ、よっすぃー待って、一緒にかえろー?」

「あ、はい。いいですよ。」


・・・帰りに聞いてみよーっと。

75 名前:双六 投稿日:2003/11/13(木) 17:52



街頭の灯りに照らされて歩いていた。

さっきのこと・・・聞いてみよっかな。



「あのー・・・ひとつ聞いていいですか?」

「んー?いいよ!どうしたの?」

「さっき市井先生から受け取った鍵っぽいもの・・・もしかして市井先生の家の鍵ですか?」

「うん?そうだよ。」

「じゃぁ矢口さんと市井先生って・・・」


恋人同士??




「付き合ってるの。1年前からね。」

「やっぱり・・・。驚きましたよ〜〜」

「アハハ。矢口が予備校に入ってからの付き合いだよ。」

へぇー・・・じゃぁ予備校で見つけた恋ってことか・・・
なんかロマンティック〜〜〜!!!



「よっすぃーはいないの?彼女とかー・・・彼氏?」

「あー・・・彼女は、います。」

「え!!本当に?どんな子??」

「メッチャ美人ですよぉー。すっごい無口で無愛想ですけど、根は優しくていい子です。」

「へぇー!よっすぃーを仕留めたんだからスゴイ美人なんだろうね!」


あはは、あたしから一目ぼれしたんだけどね。。


76 名前:双六 投稿日:2003/11/13(木) 17:52


そのあと近くのマックで矢口さんと恋の話で盛り上がった。

夜9時をすぎて、あたしは絵里のことを考えて家に帰った。


・・・・・



「ただいまー。絵里、いる?」


珍しく、絵里はいなかった。
学校・・・ってことはないよね。


・・・

ピンポーン


隣の絵里の部屋を訪ねると、ばたばたと足音が聞こえてドアが開いた。



「あ、よっすぃー!」

「やっぱ家にいたんだ。ただいま。」

「ごめんね、塾で。ゴハン作ってないの・・・」

「全然いいってば!今日はあたしがどっか食べに連れてくよ。」

「ホント!?やったぁー♪」


ということで絵里のリクエスト、中華を食べに行くことにした。


77 名前:双六 投稿日:2003/11/13(木) 17:53



「もー、よっすぃーってば本当に横浜まで来ちゃうなんて。」

「ははっ。中華といえば横浜中華街でしょ?」


自慢の単車、【メッチャホリデーひとみ1号】(ママチャリに続き・・・)に絵里を乗せて飛ばしてきた。



・・・・

おいしいラーメン屋さんでご飯を食べて、
中華街のカワイイおもちゃやお菓子を見て回った。


「これもかわいー!すごーい!」

こういうはしゃいでるとこ見ると、やっぱ中学生だなー。
すっげーかわいいし・・・これで年がタメならなぁー・・・・・・なんちゃってね。




「あっ!!このネックレスすごい可愛い!」

絵里は突然思いついたようにアクセサリーを手にとってあたしに見せてきた。

「おー。可愛いじゃんかー。ちょっとそれ貸して?」

そういって絵里からネックレスを取って、お店の人に渡した。



「すみません、これ下さい。」

「はいよ。」


絵里は驚いてこっちを見て、
あたしはニコッと笑って、ピンクのケースに入れられたネックレスを渡した。

78 名前:双六 投稿日:2003/11/13(木) 17:53


「い、いいの??」

「もちろん。ほら、付けてみてよ。」

「う、うんっ。」



連結した星がいくつも付いているネックレスは、なんだかメッチャ似合ってた。

「すっごい嬉しい♪よっすぃー、ほんっとにありがとう!!」


・・・・マジで、可愛いっす・・・






−−−−−−−−


と、その時。




「あ・・・・」


嬉しそうな絵里の表情が一変して、何か恐ろしいものでも見たような目をした。


「絵里?・・・どうしたの―――・・・?」





目の前には、仲の良さそうな家族が前から歩いてきてた。
・・・この人たちになんかあんのかな・・・?

絵里の目線はずっとその家族に向けられていた。




「絵里・・・・?」



ずっと、気づいてあげられなかったものが、ここにあった。
79 名前:双六 投稿日:2003/11/13(木) 17:53
更新終了です。
80 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/14(金) 13:35
おぉー!面白いっす。
期待!!
81 名前:双六 投稿日:2003/11/14(金) 14:17
>名無し読者様
面白いって行ってもらえるのが一番嬉しいです!!
更新量や更新日まばらですが、頑張ります!!
82 名前:pj 投稿日:2003/11/14(金) 19:33
更新お疲れ様ですっ!
それにしても、あぁ〜この先の話が気になる〜んです(笑
亀井さんのことも気がかりなんですが、私的にはごっちんの方も気になります。
これからもこの小説に期待しております。頑張ってください!
83 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/15(土) 02:18
よしこ〜あんま期待もたしちゃだめだ〜!!!
続き期待★
84 名前:双六 投稿日:2003/11/15(土) 14:55


「絵里?あの家族がどうかしたの?」

「・・・・っ。」



絵里の様子がおかしい・・・



「わかった、話はあとで聞くよ。とりあえず家に帰ろう?」

・・・・



家に帰って、絵里をソファーに座らせた。


「もし良かったら、あの家族がどうしたのか聞かせて?」

少しの沈黙の間に、色々な想像が頭を駆け巡った。
あの家族は絵里の家族ではない。だって、絵里のお母さんの顔だって知ってるし。
じゃぁあの家族はいったい絵里のなんなの・・・?


「よっすぃー。」

「え?」

「絵里の家が、母子家庭だって知ってる?」

想像を覆す質問に少し戸惑った。
でも知ってた。絵里の家は2年前くらいに離婚して、今はおばさんと絵里ふたり。
まぁ、絵里が一人暮らししてからおばさんはひとりだけどね。


「あぁ、知ってるよ。離婚したんだよね・・・。」

それが、何に関係するんだろ・・・?

85 名前:双六 投稿日:2003/11/15(土) 14:55


「さっき会った家族。その家族の父親、絵里の・・・実の父親だった・・・。」



・・・え?



「・・・実の父親って・・・?」

「さっきも言ったけど、絵里が中1の時にお母さんとお父さんは離婚して、
さっきの家族は父親が再婚して新しく持った家族なの。
でも別に絵里はお母さんとふたり家族ですごく幸せだよ。でも・・・・。」


「・・・でも?」



「あの父親は、・・絵里の実の父親だけは、絶対許せないの・・・。」





うっすら涙を浮かべる目は、真剣に何かを訴えている目だった。
怒りと、憎しみが込められた瞳。

でもどこか、恐怖さえ感じた。




「どうして?」



―――絵里から返ってきた言葉はあまりにも衝撃的で、

思わず耳を疑った。

86 名前:双六 投稿日:2003/11/15(土) 14:55













「絵里ね、実の父親に・・・性的虐待を受けてたの。」


・・・


性的・・・虐待・・・






「中1の時に、無理矢理お父さんに犯された。頭んなか真っ白で、何がなんだかわかんなかった・・・」


あまりにも衝撃的な事実に、あたしは言葉を一言も返せなかった、
絵里のつぶやきだけが部屋に響き渡る。


・・・


「お母さんにも言えないで、でも毎晩のようにお父さんがあたしの部屋に来て・・・・・」




そんな・・・

ひどすぎる・・・・・・・






「もう、その時は死にたいと思った・・・」









絵里をそこまで追い込むなんて

許せないよ・・・・・

87 名前:双六 投稿日:2003/11/15(土) 14:56



「もう我慢の限界まで来た時、お父さんが借金作って、お母さんが離婚しようって言ったの。
本当に助かったの・・・お母さんがお父さんと離婚してくれて。」

結局、おばさんには言えなかったんだ・・・・


「それからずっと恋愛できなくって、男の人が怖かったの・・・だから女子校を受験するって決めたの。」


絵里・・・・・・・――――



あたしは無心で絵里を思いっきり抱きしめた。


「もういいよ、もう・・・いいんだよ。」



痛いくらい、ぎゅっと、ぎゅっと。
つよく、つよく抱きしめた。

絵里の涙が乾くまで、ずっと一緒に居てあげようと思った。

心の傷は消えない。

過去の傷は・・・・癒えない。

でもあたしが少しでも和らげてあげる。




だからもう泣かないで、絵里。


88 名前:双六 投稿日:2003/11/15(土) 15:00
>pj様
亀井と後藤のダブル過去で責めるつもりです!!笑
はぁ。。。ちょっと痛い感じになってしまいましたが。
どうでしょうか?笑

>名無し読者様
・・・確かに。笑
痛々しいままですが更新終了です・・・。
89 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/16(日) 08:14
ん〜痛いの好き
頑張って!!
90 名前:pj 投稿日:2003/11/16(日) 10:47
更新ありがとうございます。
っていうか、確かに痛いですね、亀井さん。そんな過去があったとは・・・。
ごっちんの過去もやはり痛い系なんでしょうか。
全てはよっすぃーにかかってますね。
91 名前:エムディ 投稿日:2003/11/16(日) 20:04
東新お疲れ様です。
よしごまだ〜☆ 結構好きです。
かっ、亀井さん、痛いです。あ〜マジで。普段はそんなに可愛いなのにあんな過去があったなんて…
ってか、亀井さんには恋愛相手います?
続き気になりますよ。 頑張ってください!
92 名前:みかん 投稿日:2003/11/23(日) 03:51
痛いの好きです!!
頑張って!!
93 名前:双六 投稿日:2003/11/29(土) 12:42

「ふーん・・・なんか大変な過去のある子なんだね。」

真希は紅茶を一口飲んで、そうつぶやいた。

昨日の絵里と父親の出来事を、あたしは全部真希に話した。
いや、真希には言っておこうと思ってさ。

「うん、色々聞いてもらってありがとね!」

「別に平気。っていうか・・・夜とかは絵里ちゃんと一緒にいてあげてね。」


「うん。サンキュ。」

あたしは、大きく首を縦に振った。
真希、やさしー・・・。

・・・・・・

その夜。


「よっすぃー、一緒に帰ろー??」

「あ、ハイ!」

今日も矢口さんと予備校から一緒に帰った。

夕暮れにしては遅すぎる、少し暗くなり始めた時間だった。

94 名前:双六 投稿日:2003/11/29(土) 12:42


「どうしたの?なんか元気ないじゃん?」

「え?そうですか?いや・・・ちょっと昨日色々とあって。」

「なによー??矢口様に話してごらん♪」

そういって、いつものスマイル。

「・・・ほぼ同居してる中学生のいとこがいるんですけど、
その子の過去をちょっと聞いてしまって。父親と色々あったみたいなんです。」

真剣な面目でそう言うと、矢口さんは少し黙ってしまった。


「すみません、なんか暗い話なんかしちゃって。」

「・・・いや、そんなんじゃないよ。ちょっと矢口も昔のこと思い出しちゃって。」

「昔のこと?」

矢口さんも過去にツライことでもあったのかな・・?


「・・・紗耶香のことなんだけどね。」


市井先生の・・?




「よかったら、聞いてくれる?」


「・・・はい、あたしでよければ。」


95 名前:双六 投稿日:2003/11/29(土) 12:43



「あたしと紗耶香はね、実は同じ高校だったんだ。」

・・・へ?


「え、予備校で出会ったんじゃなかったんですか?」

以前の話と違うぞ・・?


「うん・・実は違うの。・・・・・話、長くなるけど、いい?」

「・・・はい。全然構わないですよ!」


96 名前:双六 投稿日:2003/11/29(土) 12:43



「・・・あのね。あたし、高校の時、紗耶香のこと・・・ずーっとを好きだった。
でも、紗耶香はあたしのこと名前すら知らかったと思う。あたしも告白なんて出来なかったし。
しかもその時紗耶香は年下の中学生と付き合っていて、叶わない恋だったんだ。」

年下の彼女・・・か。
矢口さんはずっと彼女のいた市井さんに片思いしてたってわけか・・・


「でもね、ある日・・・・・・・・紗耶香はバイク事故で・・・・・記憶喪失になったの。」











・・・・え?



そんな・・・・



・・・

あまりにも衝撃的で言葉が出なかった。



97 名前:双六 投稿日:2003/11/29(土) 12:43



「家族や友達ことは覚えてたみたいだけど、その・・・付き合っていた中学生の彼女のことは、忘れちゃったの。」

「・・・そんな、その人かわいそうですよ!!」

あたしは思わず大声を出してしまった。
矢口さんも、「ホントだよね・・・」と言って苦笑した。


「もちろんその彼女は思い出してくれるように努力したきたけど・・・・ダメだったの。
紗耶香はそのまま卒業して大学に入って、矢口も浪人したし、別々になった。」

・・・複雑な気持ちだっただろうなぁ・・・



「でもね、その浪人生活中、予備校の教師になってた紗耶香に再び出会ったの。」


「・・・へ?」


「ホント、びっくりした。あの高校時代の好きだった人が目の前に現れたんだもん。
しかも、もうあの中学生の子のことなんか、頭の片隅からも消えちゃった状態でね・・・・・。」


あ、そっか・・・

「矢口ね、その当時付き合ってた中学生の子への罪悪感を感じながらも、市井に告白しちゃった。
しかも・・・・・・・OKされた。」



・・・・・・。


「そんで、今に至るって感じかな。」


あたしは驚きを隠せないまま、矢口さん聞いた。





「今、その中学生だった子は・・・・?」






98 名前:双六 投稿日:2003/11/29(土) 12:44


・・・


矢口さんは、横に首を振った。




「わからない。でも紗耶香は彼女のことを忘れてしまったけど、



・・・彼女は、一生紗耶香の事、忘れることなんか出来ないと思う。」








・・・


なんだか、その彼女がすごくかわいそうに思えた。



「矢口って、最低だよね・・・ハハ・・。」



「・・・矢口さん・・・」

「ごめんね!こんな話聞いてもらっちゃってさ!」

「いえ、そんな。」

「あ、もう家そこだから。ごめんね、また明日予備校で!」



そういって矢口さんと別れた。

99 名前:双六 投稿日:2003/11/29(土) 12:44


家に帰っても、あたしは矢口さんの話が頭から離れなかった。


・・・


たしかにその元彼女はすごくかわいそう。

だって、好きだった相手が、一瞬で自分のことを忘れちゃうなんてさ。



でも、矢口さんの気持ちも、すごくわかる。

・・・

罪悪感、すごく重かったと思う。

でもそれでも


市井さんを今支えることができてるんだもん。

すごい勇気だよね。



今市井さんは、幸せだと思う。







今・・・・



市井さん彼女だった人は


どこで、何をしてるんだろう。

夜、ひとりで泣いてないかな?

たまに、市井さんを思い出すのかな?



新しい恋、してるかな・・?

100 名前:双六 投稿日:2003/11/29(土) 12:48
>名無し読者様
痛いの好きですか?私も好きですw
頑張ります!!

>pj様
更新遅くなってすみません。
亀井さんの過去・・・痛いです。
ごっちんの過去の前に矢口の過去がきました。^^;

>エムディ様
ありがとうございます。
よしごま好きですか!嬉しいです^^
私今までもよしごましか書いてないんで・・・。w
>普段はそんなに可愛いなのにあんな過去があったなんて…
確かに・・・w 頑張ります!!
>ってか、亀井さんには恋愛相手います?
それはこれから・・・・w

>みかん様
まだまだ痛いです!!
頑張ります!!




更新終了です。
101 名前:わくわく期待中 投稿日:2003/11/29(土) 21:25
も、もしかして市井ちゃんの元彼女って…
102 名前:エムディ 投稿日:2003/11/30(日) 00:08
更新お疲れ様です。
あら、ひょっとして…市井さんの元彼女って…
ってか、今回亀井ちゃんは出なかったんですね。
ずっと気になってたのに〜(泣)
あと、これだけ言わせてください、「矢口さ〜ん、あなたは悪くないっス!」(笑)
ああ〜続き気になります! 作者さん、頑張ってください。
103 名前:双六 投稿日:2003/11/30(日) 10:00


「ごめん、待った?」

「ううん。平気。」

うー!今日は久々に真希とデートだぁ♪

あれから真希は、あたしの門限を7時に決めて、なるべく絵里といてあげるように言われた。
そりゃぁあたしだって真希といる時間は多い方がいいけどさ、
絵里は大切なイトコだし、まだまだ子供だし。
それに・・・ひとりで泣かせたり、思い出させたりさせたくないもん。

「どこ行く?真希の行きたいとこでいいよ。」

「巣鴨。」

「えぇ?!おばあちゃんの原宿ですか!」

「だって、古着屋さんいっぱいあるし!」

「あっ、そっかそっか。刺抜き地蔵行きたいとか言ったらどうしようかと・・・」


そうして巣鴨の古着屋さんを数件回り、たくさん服を買って地元に戻った。


・・・





「あれぇ!よっすぃーじゃん!」


・・・ほぇ?


104 名前:双六 投稿日:2003/11/30(日) 10:00


地元を歩いてると、前から矢口さんがひとりで歩いてきた。


「矢口さん!どうしたんですかー?」

「予備校の振り替えだったんだ!よっすぃーは?・・・あ、デート?」

矢口さんは真希の姿を見ると、笑ってそういった。


「えぇ、まぁ。」



「よっすぃーの彼女かぁ!こんにちは!あたしは矢口真里!」



「あ、こんにちは。後藤真希です。」





・・・




その瞬間



「え・・・?」


矢口さんは表情が180度変わって、目を見開いていた。



「どうしたんですか?矢口さん。」
あたしが聞いても、戸惑っていて何も答えてくれなかった。


・・・


「よっすぃー、絶対真希ちゃんを幸せにしてあげてね・・・。」

「え?」

突然なに・・・

矢口さんはUターンして、走って去っていった。

・・・泣いてた・・・?
105 名前:双六 投稿日:2003/11/30(日) 10:00


「よしこ、今あの人泣いてたよ?」

「・・・うん。どうしたんだろう。」


幸せにしてねって・・・・そりゃするつもりだけど。
なんでそんな泣きながら・・・??


その日、気になって仕方がなかった。
明日予備校で聞いてみよっと・・・・。







家に帰り、絵里の作った夕飯をふたりで食べていた。


「ねぇ、よっすぃー・・・」

「んー?おいしいよ?」

「ちがう!・・・あれから後藤さんと上手くいってる?」

「うん?いい感じだよ♪」

「そっか・・・」


急に下向いて・・・何さ。

あ、もしかして・・・♪



「何、ヤキモチ?」
イタズラっぽくニカッと笑った。すると絵里は顔を真っ赤にして

「ちっ、違うもん!」



アハハっ、かわいいー。

あたしは絵里の頭をなでた。





「大丈夫。そりゃ恋人だから真希も大事だけど、絵里も同じくらい大事だよ。」

「・・・うん。(違うのに・・)」


(そんなんじゃないのに・・・)

(よっすぃーは・・絵里のこと妹しか思って無いもんね。)

【タメだったら付き合ってんのになー】


(あの言葉・・・絵里は、ショックだったんだよ?)

・・・




106 名前:双六 投稿日:2003/11/30(日) 10:00



次の日。

昨日のこと、矢口さんに聞こうっと・・・

「あ、矢口さん・・・こんにちは!」

「・・・うん。」

・・・へ?


避けてる・・・?






授業中も席を離されて、ずっと矢口さんは下を向いていた。



なんで避けてるんだろう。

やっぱ、昨日のこと・・・かな?



帰りに聞いてみよ。

107 名前:双六 投稿日:2003/11/30(日) 10:00


「矢口さん、一緒に帰りましょう?」

「ごめん、今日は用事があるから・・・」


えー・・・

そういってスタスタと予備校をあとにしてしまった。



でも・・・昨日の涙が気になって仕方が無いよ。


結局、あたしは走って矢口さんを追いかけた。






・・・・


「矢口さん!」

突然名前を呼ばれ、びっくりした顔で振り向いた。




「どうして昨日・・・泣いてたんですか?」

ちょっと、唐突すぎるか・・?



・・・

「・・・・それはっ・・・」

「・・言ってくださいよ!あたしに何かあるんですか?それとも真希に・・・?」

質問をぶつけると、矢口さんはブワッと涙を流した。

っ・・・やば!


「わっ・・・ご、ごめんなさい。泣かせちゃって。」

矢口さんは首を横に振る。











・・・



「あのね・・・真希ちゃんが・・・・・・」


108 名前:双六 投稿日:2003/11/30(日) 10:00




やっと話し始めてくれた矢口さんの言葉に、耳を傾けた。





「真希ちゃんが・・・」






・・・・





「真希ちゃんが・・・・・紗耶香の、モトカノなの・・・」
















・・・



「・・・は?」









固った。


何がなんだかわかんないよ。

「・・名前を聞いてびっくりした。自分が憎くなった。きっと真希ちゃんは、まだ紗耶香のこと・・・――」

矢口さんは泣きながらそういった。


「やだ!そんなの聞きたくないです!」

つい、あたしも大声を出して・・
・・・だって、だって・・・・・・・・

109 名前:双六 投稿日:2003/11/30(日) 10:01


「え・・・・」

「真希は、あたしの彼女です。だから、真希が好きなのは、あたしです!!」


「・・・よっすぃ・・・」


「だから矢口さん、もう泣かないで下さい。お互い幸せなんだからいいじゃないですか。」


「・・・でも、」

「でもじゃなくて!ね?」






矢口さんは泣きながらも、小さくうなづいた。


・・・・・・







110 名前:双六 投稿日:2003/11/30(日) 10:01




キレイゴトなんか言っちゃったけど。

矢口さんは罪悪感が蘇ってツライだろうけどさ・・・・・・・・・




あたしも、どうしていいかわからないよ・・・


真希は、市井先生の、モトカノ・・・

突然事故で自分のことを忘れられて、捨てられて・・・・・・





まだきっと、市井先生のことが、頭から離れないハズだよね。



・・・




【その元彼女は、今どこで、何してるのかな?】


・・・あたしのそばに、いたんだね。


【新しい恋、してるかな・・?】







あたしと恋をしたフリをして

市井さんと重ねたあたしとキスをして






ニセの笑顔で笑うんだね。

111 名前:双六 投稿日:2003/11/30(日) 10:03
>わくわく期待中様
>も、もしかして市井ちゃんの元彼女って…
そのもしかしてでした・・・w

>エムディさん
ありがとうございます。
はぁ、そのまさかでしたね。w
亀井さん今回は登場させました。少し、情緒不安定?w
矢口もなんか痛いです;;
112 名前:双六 投稿日:2003/11/30(日) 10:03
更新終了です。
113 名前:pj 投稿日:2003/11/30(日) 13:02
アチャ〜、市井ちゃんの元カノは気づいてはいたけどやっぱりごっちんだったんですかぁ〜。
・・・・痛いですね。っていうか、ごっちんはよっすぃ〜のことが好きではないんでしょうか。
ごっちんの本音が知りたいです。
それにしても、作者さんのこの小説を読んでいると、かなり引き込まれますね。
尊敬します。
近々の更新、楽しみにしておりますので頑張ってください!
114 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:38

朝もどうやって起きたのか覚えてない。

朝ごはん食べたっけ?っていうかなんで今学校にいるんだ?
・・・あ、今日は月曜か。昨日は真希と遊んで・・・・・・・・


【紗耶香のモトカノは・・・真希ちゃんなの・・・】


矢口さんの言葉が頭から離れない。


「・・・あー、もう!」

「よしこ。おはよ。」


あっ・・真希・・・

「お、おはよ。」

うわっ、なんかそっけない返事しちゃったよ・・・
ごめんね、真希・・・

115 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:38


「あーあ・・・」

「どうしたの?よしこ。」

うぇ!?!?

「え!な、な、なんでもないって。バイバイ!」


あぁぁぁ!もう、なんなんだよ、あたしは。


なんで?

なんで真希を避けちゃうんだよ・・・・・・・・





・・・


「ねぇ、よしこ?」

下駄箱で靴を履いてると、真希が降りてきた。


「・・・な、何?」

「どうしたの?なんか、元気ない。」

「別に。なんでもないよ。」

「じゃぁなんで避けるの?」

「え?避けてなんか・・・」

「避けてる。」

「・・・。」


なんか、だんだんイライラしてきた。

116 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:38

「よしこ・・・っ」

「しついこいな!」


つい、怒鳴ってしまった。


「・・・・・・ごめん。」

今あやまっても無駄。
彼女の表情は一気に暗くなってしまった。


「具合悪いだけ。じゃぁね。」




・・・・・


なんか・・・

なんかあたし悪者みたいじゃん。

なんで?

なんでそんな目で見るの?



彼女ぶってさ。



あたしのことなんか、好きじゃないくせに。


117 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:50

真希は市井先生が好きなんだ。
忘れられないんだ。

あたしはただの、繋ぎでしかない。


・・・


「よっすぃー・・・」

予備校で席に着くと、甘えた声で矢口さんが声をかけてきた。



「矢口さん・・・・」

「ごめんね。こないだは。」

「いえ。もう何も心配しないでくださいよ?」

「・・・・うん。あたしが変なこと言ったから、真希ちゃんとギクシャクしてない・・?」


グサッ。



「・・・いえ。そんなことないッスよ。」

「嘘。してるでしょ?ホント・・・ごめん。」

「あたしが悪いんです。真希は自分のこと好きじゃないって知ったら、なんかムカついて。」

「真希ちゃんはよっすぃーのこと好きだよ!」

バンッ

あたしは思いっきり机を叩いた。


「・・・そんなわけないですよ!!」


「・・・よっすぃー・・?」




あぁ

もう全部捨てたいよ。

118 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:50




「ごめんなさい・・・」

「ううん・・。」

「でも、矢口さんの話聞いてて分かりました。
真希はまだ市井さんのこと、忘れられてないですよ。」

「そんなっ、もうお互い幸せだからって言ったじゃん!真希ちゃんが今愛してるのはよっすぃーだよ!」

「・・・矢口さんは市井さんと幸せになれますよ。それでいいじゃないですか。」

「え?」

「あんま、うちらの事に首突っ込まないで下さい。じゃ。」



・・・


そう言って席を離れて座り、授業中も頭の中は真っ白だった。


119 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:51


「ふぅ・・・」

授業が終わって、あたしは予備校の外に出た。



すると・・・・






「よしこ!!」



・・・!


「真希・・・・?なんで・・・」


そこにはマフラーをぐるぐる巻いて寒そうにしている真希が立っていた。


「よっすぃーを・・・待ってたの。」

「あたしを?・・・っていうか寒いのにずっと・・・」

「平気。」

「平気じゃないの。これ、着て。」


自分の着ている上着を真希にかぶせた。




・・・


「おーい、吉澤。」


・・・ん?

120 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:51


予備校から市井先生が出てきた。


「・・・先生・・・!」

「ほれ、忘れ物。」


あたしは先生からふでばこを受け取ると、そのまま真希の顔を見た。

・・・が、


・・・もう遅かった。













「市井・・・ちゃん・・・?」












最悪な事態。




真希と先生が・・・・・・・・・・・・


2度目の出会いを果たした。

121 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:51



その時

なんと矢口さんもが予備校から出てきてしまった。



「紗耶香〜♪帰ろ・・・・・・・・・・・・・」




矢口さんも同様、真希と市井先生を見て固まった。







「・・・市井ちゃん、覚えてないの?!真希だよ!後藤真希!!」


真希は必死で先生の肩を揺さぶった。
・・・ヤダ。
そんな目で先生を見ないで・・・・・・・・・・・



「・・・・矢口の知り合い?」

先生は何も知らずに矢口さんに話を振った。

真希は

先生が覚えてないことがショックで、目にいっぱい涙を浮かべていた。






「・・・っ!」



「真希!」


そのまますごい勢いでその場を去っていった。

122 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:51



なんで・・?


真希には泣いてほしく無いのに・・・

好きだから

愛してるから・・・・・・・・・・・・・・・・


なのに

なのに・・・・


助けられない。彼女の涙もぬぐえない。





だって涙の原因は、


【過去】という、逆らえない大きな壁だから。







「紗耶香、あたし黙ってたけど・・・・」


矢口さんが口を開いた。


「え?」



「あの子、紗耶香が事故にあう前に付き合ってた子なんだよ。」





矢口さん・・・・


「え?あたしがあの子と?」


123 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:51

「記憶喪失だから覚えてないみたいだけど。高校時代、ずっと付き合ってたんだよ。」



「マジかよ・・・矢口は何でそれを知ってるんだよ?」


「あたし、紗耶香と同じ高校だったんだよ?紗耶香とは知り合いじゃなかったけど。」

「え?」

「矢口は・・・真希ちゃんが居たからずっと片思いで、予備校で会った紗耶香は・・・
もう記憶喪失で真希ちゃんのことは忘れてた。だから告白したの・・・」

「・・・・そんな、全然知らなかったよ。でも、あたしは本当に後藤のことは覚えて無いんだ。」




・・・なんだよそれ。



「・・・あんたは忘れても、真希はあんたのこと忘れられるわけないんだよ!」


思わずまた大声をあげた。


「吉澤・・・」
「よっすぃー・・・」




「あたし、真希のこと探してきます・・・!」



124 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:51


「はぁ・・・はぁ・・・」


あたしは必死に走った。

真希・・・・・・・・・・・・・


・・・

生まれて本当に数えるほどしか、泣いたことなんかなかった。

今はもう17だし、泣く機会なんかもなかった。



なのに、こらえきれなかった・・・

走りながら

思い切り走りながら、

袖で目を思いっきりこすった。


悔しい。

悔しいよ・・・・

どうして?



市井さんは事故で記憶を無くして、今は新しい恋見つけてる。

なのに・・・・真希の心はアンタに向いてんだよ・・・・・・



真希は、事故で記憶を無くした人を、いつまでも追いかけてる。

なのに・・・・あたしの前ではとびっきりの笑顔で笑ってくれる・・・・






あたし、何も悪いことしてないよ?
・・・・・・なのに・・・


どうしてこんなにつらいの?


なんで・・・

こんなツライ思いしなきゃいけないの・・・・・・・・?




もう、やだよ・・・・

125 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:52



「真希!」


公園のベンチでうずくまってる子がいた。

「・・・よしこ・・・・・・?」

「・・・探したんだから。バカ。」



「ごめんなさい・・・・」


真希は涙が止まらないままスッと立ち上がった。

あたしはもう一度袖で目をこすってから、真希をギュッと抱きしめた。


・・・


「真希が市井さんのことを忘れられないことぐらい、知ってたよ。」



真希は驚いて顔を上げた。

なんで知ってるの・・って顔だね・・・



「まぁ、理由は長くなるからいいや。」

「・・・・。」

「ハッキリさ、気持ち聞かせて?」

「・・・・え?」

「真希は、今あたしのこと愛してる?それとも・・・・・・市井さんを愛してる?」




自分が一番聞きたかった質問で

一番聞きたくなかった質問でもあった。


126 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:52


「待って!!」


・・・え?

・・・



矢口さん・・・市井さん・・・・

・・・なんで?


「市井ちゃん・・・」

真希の目からはいっそう涙が溢れてきた。




「・・・ほら、紗耶香。」

「うん・・・」



何。

何言い出すの?






「後藤。」


・・・

真希はびくっとした。




傷つくこと言ったら、許さない・・・

127 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:52


「ごめんね。あたしは、今は後藤のこと・・・わからないんだ。」


・・・。


「もういいよ、別に。」

真希は立ち上がってそう言った。


「え?」

「市井ちゃんが思い出してくれることなんか、望んでない。」


どういう意味・・・・


「だから矢口サンと幸せになってよ。」

「・・・後藤・・・・」
「真希ちゃん・・・・」



本当?

それは真希の・・・本音?




そのあと真希はあたしの方を向いた。



「なんで・・・なんでいきなりごとーを避けたの?」


・・・

「それは・・・っ」

「よっすぃー、やっぱ真希ちゃんのこと、避けてたんだ?」
矢口さんもあたしに向かってそう言った。





「当たり前じゃん。あたしのこと好きでも無いくせに!!」



あたりはシーンとした。



・・・



「どういう意味・・・?」

真希は泣きそうな顔でたずねた。


128 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:52



「ずっと、あたしと付き合ってるときも市井さんのこと考えてたんでしょ?
どうせ、あたしのこと好きでもなんでもないんでしょ?!」


だって・・・ずっとあたしは騙されてきた。

バカみたいじゃん・・・

あたしが一番、かわいそうじゃん・・・



「真希は他の人を好きってわかってて、そんな人好きなんて思えるわけないじゃん!!
だから避けてたんだよ!もう・・・片思いなんてイヤなんだよ!!」





パンッ




「痛っ・・」



突然、矢口さんの手があたしの頬を叩いた。

何・・・・・・・・?




「よっすぃー、バカじゃないの?!」

「・・・・・なっ・・」

「真希ちゃんは紗耶香のこと忘れられなかったけど、だから忘れるためによっすぃーと付き合ったかもしれないけど
でも、今は紗耶香よりよっすぃーのこと、愛してるんだよ?!あんた、愛されてるんだよ?」

「わかったようなこと言わないで下さいよ!真希が今あたしを愛してるなんて何でわかるんですか?!」

真希はまだ市井さんが好きなんだ。
だからあたしはつなぎで、付き合い始めから今もずっと・・・


「好きじゃなきゃ、避けられたぐらいで泣くわけ無いじゃん!!」




矢口さんは大声でそういった。
129 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:52


「・・・え?」



「好きだから、泣くんでしょ?よっすぃーのために、泣いてんだよ?」



「でもっ・・・、真希はあたしのことなんて想ってな・・・」

「想ってないのはよっすぃーの方だよ!!」






・・・・・・・え・・・






「真希ちゃんは今も紗耶香が好きだって思い込んで、・・・真希ちゃんが好きなのはよっすぃーなのに・・・」


「そんな・・・」


「なのに真希ちゃんを避けて・・・ちゃんと愛してないのはよっすぃーだよ!!」







「・・・ごとーは・・」



真希はあたしの目の前に立った。


「よしこが好き。だから避けられた時、死んじゃうかと思った・・・」


真希・・・


「市井ちゃんの代役じゃないよ。」





「よっすぃーが、後藤の王子様だよ。」





・・・・



「ほら、ね?」


矢口さんはあたしの背中をポンッと押した。



「・・・真希・・・・・・・」












「・・・ごめんね。」




130 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:53




あたしは本当はすごく弱くて、

真希みたく、叶わない恋を追いかけるほど強くなくて、

だから嫉妬心も多くて、本当にダメダメで・・



でもひとつだけできることがあった。





・・・


それは、


真希を助けたこと。


・・・


つらかったよね。

一瞬で恋人を失って。





これからも真希を守っていくから。


ごめんね。

ありがとう。




あたし、強くなったよ。



・・・・・・・・・・・・


世界で一人だけの



あたしのHONEY。









。。。。fin
131 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:53


番外編・・・「イトコ」



その後――――



「荷物、全部まとめた?」

「うん!ありがとう。」


いとこの絵里は、このマンションを出て行くことになった。


「おばさんには、絵里しかいないんだからね。」

「わかってる。頑張るね!」


・・・

絵里は小さいころの父親からの性的虐待のことを、母親に話した。
っていうか、あたしが話したら楽になるよって言ったんだ。
そしたら、おばさんは一言だけ【お母さんと、2人で暮らそう。】って言ってくれたんだって。
よかったね。絵里。

そして、今日が引っ越しの日だった。



「あ、引っ越しのトラック来た!」

あたしたちはマンションの外に出た。

132 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:53


「あれ?真希。」

そこには真希が居た。

「手伝おうと思ったんだけど・・・ごめんね。見送りだけ来た。」

「そっか、ありがとう。」


絵里も真希に会釈をして、荷物を積み出した。


・・・

「おしっ、じゃぁこれで最後だね。」

「うん。よっすぃー、短い間だったけど、本当にありがとう。」

「ううん。あたしも本当にありがとうでいっぱいだよ。」


そういってニコッと笑った。
その時ちょうど迎えのタクシーも着て、ついにお別れの時間となった。


「じゃぁ、元気でね。」

「絵里もね。」



すると絵里は背伸びをして、

あたしの耳元でこう言った。


133 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:53





『絵里、よっすぃーにつりあう女になって帰ってくるから。』










「・・・へ?」



「ふふっ。じゃぁね!」




な、な、な、何・・・???



・・・・・・・・・・


タクシーはそのまま何事もなかったように去っていった。


「よしこ?顔赤いよ?」

「えぇ!?ウソ!な、なんでもないよ!」

「え〜何よぉ?」

「は、はやく部屋もどろ!」



こうして、また新しい生活が始まるのだった。



・・・番外編「イトコ。」
134 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:55
>pj様
ふぅ・・・完結しました。
なんだか下手なもんで後悔いっぱいありますが^^;
応援ありがとうございました。
135 名前:双六 投稿日:2003/12/03(水) 15:56
というわけで完結しました。
新作たてる予定です。立てたらこのスレで報告します。

たくさんの応援ありがとうございました。
136 名前:ここ 投稿日:2003/12/03(水) 16:59
双六さん、HONEY最高でした!
最後の公園のシーンは本当にハラハラドキドキで読んでいました。
よっすぃFANですが、特に、私の中では、矢口さんも良かったです。
それに、番外編の「イトコ」も良かったです。
亀、頑張ってよっすぃにつりあう女になって帰ってきてください。
吉後も好きですが、亀吉もHONEYを読んで好きになりました。
たしか亀は、新垣塾でもなっちに「よっすぃマニア」と言われてましたね。
吉後も亀吉も双六さんも大好きです。
137 名前:pj 投稿日:2003/12/04(木) 16:36
更新&完結お疲れ様でした!!
いやぁ〜、ごっちんの気持ちがわかってホッとしましたよ。
やっぱりごっちんはよっすぃ〜LOVEだったんですね(笑
素晴らしい作品有難うございました。
新作の方ですが、吉後なのでしょうか?とりあえず頑張ってくださいね。
期待しております。
138 名前:名無しさん 投稿日:2003/12/06(土) 11:57
感動しました〜よしごま最後よかったです〜

ヒソカに亀井その後が気になってるわけで・・・・・

素晴らしい作品ありがとうございました
139 名前:双六 投稿日:2003/12/08(月) 18:25
>ここさん
>双六さん、HONEY最高でした!
読んでくれてありがとうございます!!
亀吉は結構むずかしかったです^^;
応援ありがとうございました!!!新作は緑板です。

>pjさん
よしごま結ばれましてハッピーエンドでした!!w
何度もレスありがとうございました!!!
本当に応援などなど感謝しています!
新作は緑板です。

>名無しさん
時間があれば亀のその後・・・あるかも?w
応援ありがとうございました!




新作は、緑板に立てましたので、見てくれると嬉しいです!

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