短編集『彩』
- 1 名前:鋼乃69 投稿日:2003/10/25(土) 01:02
- 森板でしつこく残ってる雪花火の作者w
鋼乃69です。
前回が結構ダークな物だったんで今回は明るめに行こうと思ったんですが、ペースが持たないためw
短編集という形で連載させていただきます。
短編集『彩』(イロドリ)です。石黒さんとは何の関係もありませんw
あるテーマに沿ってやっていきますが、あえてここでは明かしません
まあ、分かる人は一本目見た時点で分かると思いますw
それでは、くだらないモノばかりですが…おつきあいください。
- 2 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:03
- 今吹いた風は、どこから来てどこへ行くのだろう?
私の髪を揺らした空気は、どこの国の空気だろう?
- 3 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:03
- ふとそんな事を考えた。
- 4 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:03
- 最近の私はおかしい。みんなは気がつかないようだけど、私には分かる。
こんな丘に来たからと言って、こんな場所に立ったからと言って、こんな気持ちになる物なんだろうか?
- 5 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:04
- あと、三歩歩けばそこは崖。踏み外せば確実に命を吸い取られる崖。晴れていても、花が所々に咲いていても、それは変わらない。
昔はこんな場所に立つ事も出来なかったのに。ビルのフェンスがかかった屋上でさえも裕ちゃんの腕にしがみついていないと立てなかったのに。
今は何にも掴まらないで、二本の両足だけでこんな場所に立つ事が出来る。
でも、これは強さなのかな?
- 6 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:04
- 北の大地から吹いた風は、ゆっくりゆっくりと南に向かう。
ただ自然に、自然に。
でも自然が生み出したその風は、高層ビルの間は通り抜けることが出来ない。
慣れていなかった、都会の風になることが出来なかった。
でも…
- 7 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:04
- みんなは優しかった。
- 8 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:05
- 安倍なつみ。
いなかっ子。イモ。
北海道からこっちに移り住んだのは16歳、今はもう22歳。
6年。私の人生の四分の一以上をここで過ごす。
でも、そろそろ終わっちゃうんだよね?
- 9 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:05
- 崖はきれいだった。本当にここが毎年10人以上の命を奪っている崖なんだろうか?信じられなくても事実がそうなんだけど…
私はゆっくりと一歩を踏み出した。
そして…
- 10 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:05
-
- 11 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:06
- 「あべさ〜ん?どうしたんですか〜?」
私がしゃがみ込んだとき子猫が近づいてきた。
その子猫は可愛い手を、私の腕に絡め付けてきた。
のの。猫みたいに私にじゃれついてくる。可愛い妹。
「なにやってたんですか?」
「ん?これ」
私は私の足下に置かれたモノを指差してそういった。
「花束…ですか?」
「うん、ここにいるみんなにね」
「へぇ〜…」
ののはそう返事をすると、小さなその手を胸の前で合わせて目を閉じた。
私もののの隣で同じようにゆっくりと手を合わせた。
二人並んで、崖に立って、顔も、名前すら知らない人たちの冥福を祈る。
- 12 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:07
- ここで星になることを決意した人は、どんな気持ちだったんだろう?
絶望?それとも、失意?
何にしても、いい言葉は見つからない。
でも、ここで吹く風はこんなにも気持ちいい。
ここで吹く風は、私の心を暖かく包み込む。
- 13 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:07
-
風が通り抜ける。私の髪を揺らす。
この風は多分、みんながふいた息。ずっと昔の人も、遠い国の人も、そしてここで散っていった人も…
それが重なり合って重なり合って、大きな風になって、この星をずっとぐるぐるぐるぐる、終わらない旅をしている。
北の大地から吹いた風は、ゆっくりゆっくりと進んでいき、長い間ここで止まっていた。
でも、また動き始める。
- 14 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:07
- 夏が大好きな風は、おっちょこちょいだから、夏を待てずにはしゃぎ回って、はしゃぎ回って…
みんなの元を離れちゃうけど…。まだまだ強くなんてないけど…。
- 15 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:08
- 「あべさんっ!いつまで目閉じてるんですか?」
「ほえ…?」
「みんな待ってますよ!」
ののが指差す方を振り向くと、みんながいる。お姉さんが一人と、たくさんの妹たち。
- 16 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:08
- みんなには、いつでも会えるから…ね?
大丈夫でしょ!ね!なっち!
「そうだね!いこっ!」
「うんっ!」
- 17 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:08
- 北の大地から吹いた風は、ゆっくりゆっくりと進んでいき、長い間ここで止まっていた。
でも、また動き始める。
終わらない旅かもしれない。でも、簡単に終わってしまう旅なら、ずっと終わってくれない方がいい。
だってみんなと会えるから。私がこのままここで進み続けたら、みんなに会えるから。
今のように毎日会える事はなくなっても、みんなとは絶対会えるから。
やっぱり、ゆっくりゆっくりとしか動くことは出来ないけど、だから私は進んでいく。
- 18 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:08
- 北から吹いた夏風は、南で多くの仲間と会って、これから再び旅立つけど、仲間はいつまでも仲間のままだから、私は一人じゃないから。
-おわり-
- 19 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:09
- 「おっそ〜い!」
「ごめんごめん!」
「いいよ、謝らなくて。そのかわり…」
「?」
「吉田屋のアイスクリーム全員におごれ〜!」
「え…!まりっぺ!あそこのアイス一個500円も…」
「じゃあ、早速れっつらご〜!!」
「ま、まりっぺ〜!古いよ…」
- 20 名前:吹き抜ける夏の風 投稿日:2003/10/25(土) 01:09
- ( ´D`)<流すれす
- 21 名前:鋼乃69 投稿日:2003/10/25(土) 01:10
- 川o・-・)<流します
- 22 名前:鋼乃69 投稿日:2003/10/25(土) 01:14
- 読み返してみてもワケワカランw
こんな駄作揃いですが、後14本(予定)よろしくです。
もしテーマに気がついても、まだなるべく言わないでくださいw
川o・-・)<別に言ってもかまいませんが
ついでに言っておくと、自分はののこん推しなもんでこの二人結構いろんなのに絡んできますw
感想、批評、指摘何でもお待ちしております。
- 23 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:35
- それは私が小学生の頃だったかな…?
よく晴れた日、秋なのにまだまだ暑かった日、一人の女のヒトに出会ったんだ。
- 24 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:36
- 「あ〜…待ってよお〜…はあ…はあ……ああ…行っちゃったぁ………」
カラフルな塗装が施された都営バスは、私のその頑張りを無視するかのように、
坂の向こう側へと消えていった。
バスが去ったその急な坂道には静けさと、息を切らした私だけが残り、
電線を揺らす小鳥が私を笑うように小さくさえずる。
次のバスは…ええっ……一時間後…?
……仕方がない。歩こう…。
- 25 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:38
- 「はあ…はあ…」
息切れはずっと続く。毎日のように、学校に通う度に思うことだけど、
この坂はきつい…きつすぎる…。
角度で言えば三十度近く、ああ、もしかしたらそれ以上かもしれない。
……やめよう。そんなこと考えてると、余計に足が重たくなってくる。
隣で楽々とこの坂を上っていく車たち。
……私も18歳になったら絶対に免許とってやる。そして、この坂を楽々上ってみせるんだ。
そんなことをちょっと考えたけど、自分でもあまりにくだらないことに気が付き、
一人で真っ赤になっていた。
この坂道の別名、『心臓破りの風道』
心臓破りは聞いて名の通りだけど、問題は風道。
何で素直に心臓破りの坂道じゃないのかとか、聞いてくる人がよくいるけど、
この坂道を上れば、その疑問はすぐ解決へと向かうだろう。
- 26 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:39
- この坂道は時々、坂の下の方からもの凄い突風が吹く。
それは夏の涼しい風とかそういうレベルじゃなくて、帽子をかぶっていたら止めてない限り、
確実に飛ばされるぐらい。強いときだと傘まで壊してしまうほどだ。
山を削って無理矢理団地にしたから、風がそこらじゅうから一点に集まって、
こんな現象が起こるらしい。
今じゃ、その風が名物になっていて、ニュースとかでおもしろ半分に取り上げられたりもしたけど、
この周辺に住んでいる人にとっては、そんなのただの迷惑でしかない。
そんなんだからここを通るとき、女の子は絶対スカートをはかないという、
この町での決まりというか、常識があった。
でも……
バスに乗るつもりだった私の衣服は見事にフリフリの黄色いワンピースだった。
- 27 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:40
- ビュウワァッ!
その音が聞こえたら注意だ。位置にもよるだろうけど、この音から5秒ほどで、
ものすごいスピードの風がこの坂道を駆け上がってくる。
私はこの音が聞こえる度に、頭にのっかった麦わら帽子と、スカートを押さえなければならない。
その単純作業を音が聞こえる度、繰り返す。バカっぽいけど、
こうしないと自分自身までも本当に飛ばされそうになる。
- 28 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:41
- それプラスきつい傾斜…。信じられないだろうけど、こんな場所が地獄じゃなく、
この現世に存在するんだ。
坂を上り初めて十分ぐらい。すでに三回の風をやり過ごした私に、また突風が襲いかかってきた。
ビュウワァッ!
その音と共に私は立ち止まり、押さえるとこを押さえて、目にゴミが入らないように首を下げる。
そして、準備万端の所へ予想通り、いつも通りに突風がやってくる。
でも、今回の風はこれだけじゃ足りなかったみたいだ。
そして、台風が私の身体に襲いかかってきた。
- 29 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:41
- 「止めて〜!!」
そんな声が聞こえた気がした。でも突風に煽られている私には、
それをちゃんと聞き取ることもできないし、ましてや確認することなんて無理に近い。
「止めてよ〜!!」
どうやら気のせいじゃなさそうだ。さっきより声が大きくなった気がした。
そしてどうやら声の主は女性だというのもわかった。
「わぁぁ!!!!」
ずいぶん耳元で声が聞こえた気がした。
と、次の瞬間。
ドンッ!!
私は何かにはね飛ばされて、その場に尻餅をついた。
そして、風は去った。
- 30 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:42
- 「つうっ……!」
「いたたたた……あ!君!大丈夫!?ごめんね!痛かったでしょ!?」
風が去ってからも閉じっぱなしだった目を開けると、目の真ん前に女の子の顔があった。
「わあっ!?」
「わ!な、なに?どうかしたの?」
どうかさせた張本人は私の顔から離れるとキョロキョロと辺りを見回した。
「別に…なにもないよね?あ!立てる?」
そう言ってその女の子は、手を差し伸べてくれた。
「あ…、大丈夫ですから…」
私はその女の子の手を使わずに、自分の手だけで立ち上がり、ワンピースに付いた砂埃を振り払う。
「ごめんね、急いでたら止まらなくなって…」
その女の子…いや、よく見ると私より年上っぽい。ここは女の人と表した方がいいだろうか?
その女の人は、少し申し訳なさそうにしながら、小さく頭を下げた。
- 31 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:43
- そして、顔を上げたとき、その人のセミロングの髪が、まるでコンディショナーのCMの外人さんのように、
ふわっと舞う。
一言で表すと、本当に可愛い感じで…ちょっとほっぺふっくらしている人だ。
私がかないそうにもない…。
ああ…私がもし男の子だったら、絶対一目惚れとかしてるんだろうなあ……。
「あの〜……、もしもし?」
「ふぇ?…い、いや!はい!」
気が付くと、その人に見とれてしまっている私がいた。
「ごめん、ぶつかったついでと言っちゃ悪いんだけど…」
そのフワフワしたほっぺが、プクプクと動いていた。
「この辺に競技場ってない?」
………それが私の知っている競技場ならば、坂道を上りきったところ。
今この人が駆け降りてきた方向だ。
- 32 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:44
- 「何だ、意外と近かったんだね」
さっきまで急いでいたはずの人は、今、なぜか私の側でのんびりと歩いている。
それにしても…何でこの坂を軽々と上れてるんだろ…?男子さえも上るのはつらい坂なのに…。
運動神経がかなり優れてないと、無理っぽい。その証拠に私は隣で、ぜえぜえと息を切らしていた。
人は見かけによらないとは、まさにこんなことを言うのだろう。
「君、何才?」
「え?…12才です」
急な質問に何となく戸惑った。元々人見知りの激しい私だ。名前も知らない人と隣あって歩くなんて状況、
変な緊張感以外の何物でもなかった。
「そっか〜二つ下だね」
小学生にとって、中学生とは一つ違い、または同い年の人もいるけど、かなり上の存在に感じる。
私がこの時に持った感情も、そんなところだろう。
……たぶん。
- 33 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:44
- 「ねえ、ボーイフレンドとかいる?」
急に何を聞くのかと思った。
「え…!?い、いないですよ…。こんな不細工な女と付き合いたい人なんかいるはずないです…」
「そっかな〜可愛いと思うよ?とっても」
「お世辞はやめてください…」
自分で、何余計なこと言ってるんだろうと思った。
ただ、彼氏がいないことだけを伝えればいいのに…。いつもの無愛想に見られる私っぽくない。
「お世辞じゃないよ〜。可愛いってば。多分私なんかよりは全然」
そのトロトロした笑顔と、優しい言葉が私の心をキュンとさせた。
…気がした。
- 34 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:44
- 「あなたの方…ずっと可愛いです…。アイドルみたい…」
女の人の肩とほっぺがぴくっと揺れた。
「え!?私のこと知ってるの?」
「………はい?」
…何を言っているのだろう?この人。
話が全く繋がってない。
頭の上にクエスチョンマークが付くのはこんな時なんだろうな。
「ああ、何でもないの、気にしないで。知らないなら、知らない方がいいし」
「はあ……」
もう、訳がわからなくなってきたから、考えるのはやめにしよう…。
もしかしたら行き着くのは『この人は天然だ』なんて安易なオチかもしれない。
「でも、君の方がずっとアイドルみたいに見えるけどなあ?私なんかより」
「そんな…全然そんなことないです…」
「そっかな…アイドルになりたいと思ったことないの?」
「……あります…けど…」
女の子なら、誰でも一度は夢見るアイドル。その願望が強く残って、さらに実力がある人はその夢を叶えられる。
願望だけの私じゃあ、遠い……遠い世界の話だ。
- 35 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:45
- 「ねえ、こっち向いて!」
「えっ…?」
私がその人の方を向くと、急に頭が引っ張られた。
コツンと、私のおでこにその人のおでこがぶつかる。いや、正確に言うとその人がくっつけてきた。
心臓が破裂しそうだ。
私の目を10cmも離れていないところでじっと見つめているきらきらした透明な瞳。
そよ風が流れる度、私の頬をくすぐる、さらさらとした柔らかい髪。
私が少しでも身体を前に出したら重なりあってしまいそうな唇。
そのすべてが、私の手を汗ばませ、心臓の動きを早くし、ほっぺたをピンク色に染める。
鼓動が………止まらない……。
- 36 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:46
- 「うん!可愛い!」
……………………は?
「君、十分に可愛いよ!アイドル目指しなよ!絶対になれるよ!成功するよ!応援するからさ!」
きょとんとしている私に襲いかかるマシンガントーク。
私はそれに返事をするどころか、その話の中身を理解することだけで精一杯だった。
「あ、あの…!」
「来年で中学生でしょ?そしたら、一気に受けれるオーディションとか増えると思うからさ、
その中から好きなの選ぶといいよ!」
「あ、あの!」
「あ〜、今から歌の練習とかはしておいた方がいいかもね?ずっと有利になると思うし」
「あのっ!!」
「ん?どうしたの?」
- 37 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:46
- やっとマシンガンの乱射が止まる。
「無理ですよ……アイドルなんて……絶対に……こんな不細工女が……」
「不細工?どこが?」
「どこがって……」
全部。
そう答えようとしたとき、私の言葉は彼女の話で遮られた。
「逆自意識過剰だよ〜、そんなの。アイドルなりたいんでしょ?」
「なりたいですけど……」
「なら、自分に自信を持たなきゃ!」
- 38 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:47
- 「アイドルってね、楽しいことばっかりじゃないんだ。辛いことも絶対にある。
…でもね、歌が好きだから、ダンスが好きだから、そんなのどっかに飛んで行っちゃう。
たとえ、怪我して、みんなと一緒に歌えなくても、みんな優しい。だから、頑張ろうって思えるんだ。
それは足を引っ張っちゃいけないとかじゃなくって……。まあ、それもちょっとはあったけど……。
なんて言うかな?応援してくれている人がいる。私はそれに、私の力全部使ってでも答えなきゃって思えるんだ。
嬉しいの。理想より厳しいことはたくさんあるけど……、それ以上に…予想より楽しいこと、
嬉しいことが溢れてるから。頑張れるんだよ!」
その時は、ほとんど理解できなかった。何言ってるか分からなかった。
でも、彼女の熱い想いだけはひしひしと伝わってきていた。
- 39 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:48
- 「はぁ…」
「うん、そういうこと♪」
結局どういう事なのかはよく分からなかったけど。
「あっ!いけない!もう行かないと!」
「え?」
私が彼女の方を見たとき、既に彼女の姿はそこにはなく、
いつのまにか、坂の頂上近くまで走って行っていた。
「あ!あの!」
私が声をかけた時、彼女はすでにもう私の小さな声が届いていないであろうほどに遠くの位置にいた。
「ねえ〜!名前なんて言うの〜!」
上に口の横に手を当て、叫んでいる彼女が見える。
「か、亀井絵里です!」
その時は、反射的に私の名前を叫んでいた。
「かめ?かめさんね?」
「え!?かめじゃなくて亀井…!」
「かめさ〜ん!頑張ってね!私、待ってるから!かめさんがくるの!
ずっと、モーニング娘。で待ってるから!」
「え…!?モーニング娘。…!?」
- 40 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:48
- ビュウワァッ!
「きゃあっ!」
その音と共に突風はやってきた。この坂名物の突風。
「私は紺野あさ美!じゃあね!待ってるよ!」
風に煽られている中で、微かにその声だけが私の耳に届いた。
風が去ったとき、すでに、彼女の姿はどこにもなかった。
私だけが残った坂道には、嵐の後の静けさだけが残った。
「………モーニング娘。?」
彼女が口にしたその言葉が、私の心に残っていた。
そういえばあの人………。
「ああっ!!」
急いで坂を駆け上る。でも、そこには彼女の姿どころか、人の影すらもなかった。
「………モーニング娘。か……」
- 41 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:49
- モーニング娘。が近くの競技場にロケに来ていたと知ったのは、その日の夜のことだった。
- 42 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:49
- 「太陽がギラギラと照りつけて…夏のような熱い日の出来事だった…っと…」
「亀井ちゃん?何してるの?」
「わあ!?紺野さん!?見ないでくださいよ!危ないなあ…」
「なになに?見られると困るの?もしかして…ラブレター!?」
「え…?ふふっ♪ありえないです」
「なんだ、つまんないの。あ!ほら!収録始まるよ!」
「あ!はいっ!」
- 43 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:49
- 「紺野さん?」
「ん?どうしたの?」
「あの…、覚えてないかもしれませんけど…」
「?」
「二年前の今日、初めて私は紺野さんに会ったんですよ」
- 44 名前:うさぎとかめ 投稿日:2003/11/23(日) 23:49
- ―――そして………その日、私はモーニング娘。に入ることを決心したんです。
- 45 名前:鋼乃69 投稿日:2003/11/23(日) 23:58
- 川o・-・)<待ってた人がいたとは思えませんが
すみません…
めちゃくちゃ遅れましたw
企画だの、何だのやっててw
次回はもっと間置かないようにします。
Converted by dat2html.pl 0.1