メロンメロン、メロン。

1 名前:はつしま 投稿日:2003/10/25(土) 13:34
メロン中心で短編をぽつぽつ書いていきたいと思います。
更新は遅いですがよろしくおねがいします。
2 名前:侵食 投稿日:2003/10/25(土) 13:35

さっき部屋で晩御飯作ってたらいきなり村っちが来た。
なんだか酔ってるらしく、顔は赤いしいつもよりさらに舌が回ってない。
いつものことだけど、村っちは態度がでかい。

「ねーえー雅恵、マーシー、しない?」

「・・・何を」

さっきからベッドに背もたれにして一人で喋る村っちの相手も
半ば飽きてきた、というかそんな村っちに呆れてきた。
いったい、誰とどこで飲んでたんだろう?

「エッチ」

ブッ・・・


3 名前:侵食 投稿日:2003/10/25(土) 13:35

「はぁ!?」

いきなり何言い出すんだこの酔っ払い女。

「ねーしない?」

目がとろんとしてる。
多分、自分が何を口走ってるのかもよくわかってないんだろう。
村っちの白い肌と赤い頬、だらしなく開いた唇がなんだか厭らしく見えた。
変なの、3年以上の付き合いでこんなこと思うのはこれが初めてだ。
でも村っちとはそういうんじゃないし。


「・・・何言ってんだか」
「ヤなの?村っちのことキライなの?」
「あのねぇ・・・」

ヤなの?って言いながらテーブルの向こう側からあたしの方に
四つん這いになって近づいてくる村っち。
ますます酒くさい。

4 名前:侵食 投稿日:2003/10/25(土) 13:36

「柴っちゃんがいるでしょうがあんたには」

どうせ言っても通じないと思ったけど、
とりあえずは村っちの彼女である柴っちゃんの名前を出してみた。

「知らないよーあんなヤツー。
村っちはあんたがいいの。大谷くんが好きんなった」

喧嘩でもしたの?

そう聞こうと思ったけど出来なかった。

気づくと唇を塞がれていた。


「・・・っ!!」

驚いて唇を離そうとしたけど、すぐに舌が入ってきて
村っちのねっとりしたそれは瞬時にあたしを捕まえてしまった。
村っちの指があたしの耳たぶ、ピアスを撫でる。
5 名前:侵食 投稿日:2003/10/25(土) 13:37

―――やばいよこれ・・・でも・・・


『めぐちゃんのはねぇ・・・なんかこう』

―――包み込まれる感じ。

柴っちゃんの言葉をそのまま心でつぶやいた。

キスされている相手の恋人の言葉を、
こんなときになってなるほどなんて思ってる。
そしてこのまんま、どうにかなってもいいかもなんて思ってる。
あたし最低かも。

なんてぼんやり考えていたら携帯が鳴った。
鳴ったのはあたしので、着信はひとみんからだった。


6 名前:侵食 投稿日:2003/10/25(土) 13:37

「・・・出なよ」
唇と唇をまだ透明の糸が繋いでいる。
「うん・・・」
正直、村っちに出ろと言われて寂しくなった。
無視しろと言ってくれても良かったのに。
村っちはいつも優しいけど、時々すごく冷たい。今がそう。
あたしにも柴っちゃんにも。

「もしもし?」
『もっしーあたしー、ねー煮物作りすぎたんだけど食べに来ない?』
「あー・・・えっと・・・」

ちらっと村っちの方を見たけど、
村っちはいつの間にかつけたテレビに夢中になってた。

『マサオ?都合わるいのー?』
「んーと、ごめんね、今日もう寝るから・・・」
『そー?わかったじゃあ明日ね!』
「うんおやすみー」

7 名前:侵食 投稿日:2003/10/25(土) 13:38

「へーもう寝るんだ?」
意地悪言いたそうな表情の村っち。
「・・・」
「ひとみんに嘘ついたねぇ」
「ついてない。ほんとにもう寝るから」
「あーそ。あたしも寝よ」
トゲのある言い方をしたのに村っちは全く動じない様子で服を脱ぎ始めた。
「ちょっ・・・何してんの!」
「寝るっつったでしょ。お風呂入るから」
「まだお湯いれてないっつの!」

村っちって不思議ちゃんて言われてるけど、
ときどきそんなものは超越してるんじゃないかと思う。
8 名前:侵食 投稿日:2003/10/25(土) 13:38
しばらくぎゃーぎゃーやっていたら、今度は村っちの携帯が鳴った。

「もしもし」

微かに、気持ちのよくない予感みたいなものが頭を掠める。

「あー・・・うん・・・え?」

ちょっと村っち、さっきまでと全然顔つきが違うじゃん。

「今?自分の家にいる・・・うん。うん・・・」

なんで嘘つくわけ?誰からの電話?

「これから?・・・平気だけど・・・どこ?」

え、えぇぇ!?
9 名前:侵食 投稿日:2003/10/25(土) 13:39
「わかったすぐ行く」


電話を切ってすぐ、村っちは脱ぎかけてたモヘアのニットを着直し
携帯をバッグに入れた。

「マーシーあたし今日は帰る!じゃあ!」

「え!ていうか!何?仲直りしに行くの?」

「わかんないよぉ別れ話かも」

そんな風に言って村っちは自信満々に悪戯っぽく笑った。
その夜はもう、気が抜けちゃって元いた場所から動けなかった。

10 名前:侵食 投稿日:2003/10/25(土) 13:39


次の日の午後、仕事場に行くともう村っちと柴っちゃんは来てた。
柴っちゃんはいつもより何だか浮かれてるみたい。

村っちの事好きになったわけじゃない。
でもずっと胸には空虚感だけ居座ってる。

そこには村っちがいる。



END.
11 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/25(土) 17:44
面白いです。
次回も期待してます。
12 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/26(日) 00:09
イイッス。村柴も書いて欲しいです。
期待してま〜す!!
13 名前:つかまえる 投稿日:2003/10/26(日) 21:28

「でねぇ、はっさくさんどこ行ったんだろと思ってたらさ・・・」
「なにそれ!さすが大谷くんのペットだねぇ」

ダンスレッスンの合間、楽しそうに話してるマサオとめぐちゃん。
あたしは会話には加わらない。
ただなんとなくめぐちゃんの横に座って、めぐちゃんのレッスン着を
指でつまんでいる。



「あたしジュース買ってくる」

めぐちゃんが立ち上がった。
レッスン着とあたしの指が、するりと離れる。

14 名前:つかまえる 投稿日:2003/10/26(日) 21:30

「マサオの分も買ってきてー」

「えー?しょうがないなぁ」

なぜか焦って、部屋を出て行こうとするめぐちゃんの手をつかんだ。
軽く驚いた声をあげてから、めぐちゃんはどうしたのしばたくん?て
あたしの顔を覗き込んだ。

「あ、えっと。・・・あたしもジュース買いに行こうかなって」

恥ずかしくなって目をそむける。

「ほら、瞳ちゃんの分も買ってくるし」

「そっか。じゃー行こっか」

もう一度めぐちゃんから手を差し出してくれた。
マサオの方を見ると、呆れたような顔で笑ってた。


15 名前:つかまえる 投稿日:2003/10/26(日) 21:31
「めぐちゃん。」
「なーに」
自販機にお金を入れながら答えるめぐちゃん。

「キスしたい」
「駄目。」

はやいよ。

「なんでぇ」

「ここでしたら、村っちはずかしくてこの後メンバーの顔まともに見れなくなる」

気持ち良いくらいにしれっと言う彼女が少しおかしい。


「嘘つけ。」
「嘘じゃないもん」
「・・・」


ちょっとやな空気。
めぐちゃんは淡々とジュースを選ぶ。

16 名前:つかまえる 投稿日:2003/10/26(日) 21:31


二人で買いにきたのに、4本ともめぐちゃんがお金を出している事に気づいて
少し慌てながら財布のファスナーを開く。
そしたらめぐちゃんの白い手があたしの財布に被せられて、パッと顔を上げると
めぐちゃんはあの優しい顔で「いーの」って言った。



17 名前:つかまえる 投稿日:2003/10/26(日) 21:32

「戻ろしばたくん」

缶ジュースを4本とも抱えて歩き出しためぐちゃんの背中を追う。

「半分持つ。」

缶を2本受け取って、もう一方の手をめぐちゃんの腕にまわす。
二の腕から手首まで降りていって、最後に手を繋いだ。
きつく繋いだ。

18 名前:つかまえる 投稿日:2003/10/26(日) 21:33

ずるい。ずるい。

あたしばっかり好きなんでしょう?
応えてくれる優しさはあっても、心まではくれないんでしょう?
時々いっそつきはなしてほしくなるけど、
それでも好きで。好きで。




他のことなんてなんでもよくって。
ただ君を、つかまえたかった。





END.

19 名前:はつしま 投稿日:2003/10/26(日) 21:39
村柴は柴田がまだ片思いのつもりでいても
実は村田もかなり柴田を愛してる、みたいな設定が自分の中にあります。
それで結構すれ違うけど結局離れられません、みたいなのが。

>>11 名無し読者様
レスどうもありがとうございます。
不安だらけでしたが面白いと言ってもらえて本当に嬉しいです。
がんばって書いていきます。

>>12 名無し読者様
村柴、書いてみました。
村柴は一番好きなんですけど二人ともあまのじゃくっぽくて扱いづらいです(汗
斉大ははっきりしてていいんですけど。
20 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/26(日) 23:11
伝わってるようで伝わってなくて、でも伝わってて、でも伝わってないような…
こういうの、すごい好きです。

それにしても、すげぇ萌える設定ですね。
読みたいです(w
21 名前:名無し読者 投稿日:2003/10/27(月) 01:38
メロン小説増えてきてますねぇうれしいっす!!
はつしまさんの作品はどちらも恋心がもどかしい感じですねぇ〜
好きなのに素直になれないというか…
精神的優位に村さんが立っててなんともいい感じです。
更新期待。。。
22 名前:プラスティック 投稿日:2003/11/01(土) 22:27
こんなはずじゃなかった。

「・・・すきなひとができた」

ベッドから天井を見上げ、ぽつりとつぶやく。

「そう」

あたしより一足早くベッドを出たあゆみが、こっちを見もしないで言った。
口調だけはやわらかい。
こうして二人でいるときのあゆみはなんだかいつもとは別人みたいだ。
艶っぽく、冷たい。
今のあたしはいつもと同じだろうか。
23 名前:プラスティック 投稿日:2003/11/01(土) 22:27

月に何度かあたしはあゆみを訪ねる。なんとなく、なんとなくの関係。
みんなの前ではただの仲の良いメンバー同士。

『罪悪感とか、持たなくていいよ。間違った事してるとか。
あたしちゃんとわかってるから』

一番最初にあゆみが幼い口調でそう言った。
その時はあたしが主導権を握っていたのに。いつの間にか捕われてた。

24 名前:プラスティック 投稿日:2003/11/01(土) 22:28

「すきだよ」

あたしの髪に触れて唇を落としてくる。

―――そういうんじゃないの。

プラスチック、プラスチック。
触れる手も、言葉も、その大きな目も、二人を繋ぐ透明の糸も。
結局全部ニセモノなんだと思う。

「あたしも」

だから肝心な言葉は、あたしには言えない。


25 名前:プラスティック 投稿日:2003/11/01(土) 22:29

「じゃあ・・・またあしたね」

「うん」

あゆみの家を出て駅まで歩き出す。
もうコートなしでは冷たい風が吹いてる。

あゆみの手がほしくなる。

26 名前:バニラ 投稿日:2003/11/01(土) 22:30

「冬にアイスって、なんか知らないけどおいしいよねぇ」

今日はオフだけど外には出ずに
めぐちゃんの家でゆっくりしようっていう約束。
今めぐちゃんが食べているのは、
駅前であたしが買ってきたバニラアイス。
めぐちゃんは食べるのが遅い。
あたしはもうとっくに食べてしまっているのに。
おいしいよねぇ、って言った後の笑顔がたまらなくって、顔が緩んだ。

27 名前:バニラ 投稿日:2003/11/01(土) 22:31

「今日、髪かわいいね」

今日のめぐちゃんは、珍しく髪を後ろで結わえている。
普段見えにくかった首のラインに少しドキドキした。

「そ?ありがとー」

こっちを見もしない軽い返事でも、気にならない。関係ない。
頬杖をついてめぐちゃんを凝視する。

28 名前:バニラ 投稿日:2003/11/01(土) 22:31

「・・・しばたくん香水いつもと違う?」
カップから最後のアイスをかきとっていて、視線は下を向いてるのに。
「違うけどなんで?」
「あ、あたった。来たときから思ってたの。」
スプーンを口に運びながら満足そうな顔を向けられる。

あたしは彼女が時折ふと見せる子供っぽい表情が大好きだ。
言ったらもう見せてくれなくなりそうだから心にしまった。

29 名前:バニラ 投稿日:2003/11/01(土) 22:32

「アイスおいしかったけど手は冷たくなったや」

あたしの頬に白い手が触れる。
冷たい、柔らかい、一番好きな感触。

「めぐちゃんの手好き」

「手?」

「手も髪も全部好き」



頬に当てられてるめぐちゃんの手をとって、
体ごとこっちに引き寄せキスをした。

かすかに香ったバニラは、バニラだけどめぐちゃんの香りだった。
それにいつまでもいつまでも、包まれていたいと思った。
30 名前:バニラ 投稿日:2003/11/01(土) 22:33

END.
31 名前:はつしま 投稿日:2003/11/01(土) 22:38
「プラスティック」の最後にEND.をつけ忘れました・・・読み難くなってすみません。

>>20 名無し読者様
はつしま自身もそういうのが好きだから書いてますw
そしてそういうのが村柴だと思い込んでます。

>>21 名無し読者様
増えてきてますねぇほんとに。
はつしまも自給自足と思って書き始めたくちですがw
村さんはいつだって優位に立ってます、大人です。
でも結構奔放なイメージもあったりします。
32 名前:名無し読者 投稿日:2003/11/04(火) 18:46
実に素敵っす。
メロンメンバーが持つエロチックさ(?)が
上手に引き出されてる感じがします。
33 名前:プレゼントより、もっと。 投稿日:2003/11/19(水) 23:32

「ちょっとー。まだ怒ってんの?」

「・・・最初っから怒ってなんてない」
「声が怒ってる」
「怒ってない」

さっきからこんなやりとりを何度繰り返しているだろうか。

34 名前:プレゼントより、もっと。 投稿日:2003/11/19(水) 23:33

『雅恵ぇ、今度のオフさー見たいって行ってた映画一緒に行かない?』
『あ、今度のオフはひとみんと買い物の約束いれちゃった・・・』
『なんだそっか。じゃーまたの機会にしよ』

と、ここまでは良かった。
村っちは少し残念そうな顔をしただけで、だからあたしも悪いなと思いつつ
特には気にしなかった。今だってこうして二人でいるし、
あたしたちの時間は他の人とのそれよりずっとたくさんある。
そう思っていた。
35 名前:プレゼントより、もっと。 投稿日:2003/11/19(水) 23:35

『・・・雅恵いっつもひとみんひとみんだね』

急に、村っちがぽつりと行った言葉。

『・・・そう?』
『そう・・・』
『・・・怒ってんの?』
『怒ってません』
『怒ってんじゃん』


そんな会話が始まりで、もう一時間ほどは経ったと思う。
村っちが案外やきもち焼きなのは知っていたし、
あたしの、態度はともかく言葉があいまいなのが悪いっていうのは、
薄々自分でも気づいていた。
だっていつも村っちが笑ってたから。
それでいいのかなって妙に安心してたから。

36 名前:プレゼントより、もっと。 投稿日:2003/11/19(水) 23:35


「・・・村っち」
「なに」


「あのー、ごめんね?」
「何が?」
「わかってるでしょ・・・」
「わかりません」


これじゃあらちがあかないと思って、村っちの隣に同じような体勢で座ってみた。
お互いの肩だけが、微かに触れている。

37 名前:プレゼントより、もっと。 投稿日:2003/11/19(水) 23:36


「・・・なによう」
「村っちこっち向いてくれないんだもん」

「だって雅恵が」って言いながら顔を上げたところで唇を重ねた。
やっとこっち見てくれた。

38 名前:プレゼントより、もっと。 投稿日:2003/11/19(水) 23:37

「なに勝手にチューとかしてんのー・・・」
「村っちがアホだから悪いんだよ」
「なにそれぇ・・・」

満足気、って自分で言うのも変だけれど、とにかくなんだか満たされている。
きっと今あたしはそういう顔をしてる。


「うそだって。好きだから。だよ。」


村っちだけが、ちゃんと好きだから。





END.


39 名前:はつしま 投稿日:2003/11/19(水) 23:40
村田さんがよわっちい。

>>32 名無し読者様
エロチック!
嬉しいですーレスどうもありがとうございます。
40 名前:オレンジ 投稿日:2003/11/23(日) 00:44

明かりを落とした部屋。
ベッドサイドのライトだけがあたしたちをオレンジ色に照らす。
淡いブルーのベッドカバーと、枕。
雑誌をめくるめぐちゃんの横顔を、ちらちら盗み見る。
ふたりでベッドに寝るのは本当はとても苦手だ。
呼吸をするのも緊張して、居心地が悪い。

「ねむれないよ」

あんまり静かだから。息遣いが聞こえるほど静かだから。
恥ずかしくなってこんなことしか言えない。

41 名前:オレンジ 投稿日:2003/11/23(日) 00:45
「あぁごめん。消すね」

なんだよ。今まであたしの事ちらりとも見なかったくせに、急に優しくなる。

「手冷たくなってる」

ライトのスイッチに伸びようとしていた手を捕まえてキスをした。
変なの。さっきまであたしだけどきどきしてたのに、
今はめぐちゃんが「しばたくん?」なんてあわててる。

「ちゃんと布団かぶんないで雑誌なんて見てるからだよ・・・かまってくんないし」
「・・・それが本音なんだ?」
「・・・」


思いがけず弱みをみせてしまって、くやしくなったのだけど、
微笑んだめぐちゃんがすごくキレイで複雑なきもち。
42 名前:オレンジ 投稿日:2003/11/23(日) 00:47
「じゃー、さ。あっためて?あゆみちゃん」
「あほ・・・」




つかまえた片手の優しい温度と彼女の笑顔の所為で、
あたしの心のなかまでもがこのオレンジ色。





END.
43 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/10(水) 01:28
クールで何考えてるんだか分からない大人な村田さん。
そんな村田さんを一途に想う切ない柴田さん。
いいですねーこういう村柴大好きです。
続き楽しみに待ってます。
44 名前:はつ雪 投稿日:2003/12/22(月) 22:01

ライバルにはかっこ悪いとこ見せたくない。のに。

あたしは数学のノートが今日提出ってことをすっかり忘れてて
恥ずかしながら村っちゃんに見せてもらってしまっている。

「ごめんねぇーほんと・・・しかも残らせちゃって」
「いーよぉどうせ日誌書きもあったし」
そういって笑う。
笑顔、やーらかいよねぇ・・・負けてるなんて思いたくないし思わないけど、
時々雅恵ちゃんには村っちゃんの方があってるんじゃなんて考えてしまう。
二人は親友だし、付き合ってるっていう噂も流れてた。
あたしだってまるっきり信じてて告白もダメもとでしたから。
45 名前:はつ雪 投稿日:2003/12/22(月) 22:02

ノートを写し終えて、村っちゃんも日誌を書き終えたので職員室に向かっている。

「今日、あの一年生の子と帰る予定だった・・・よね?」
「柴田くんのこと?」
「そう・・・」
「気にしないでいいよぉ」
そうやってまた笑うけど、柴田さんはきっと村っちゃんと帰りたかっただろうな。
もうすぐ卒業だもん。
もう毎日は会えなくなるんだし。
ごめん、柴田さん。
46 名前:はつ雪 投稿日:2003/12/22(月) 22:02

先生にノートと日誌を提出して、校舎を出る。
正門の横に誰かがいた。
背はあまり高くない。黒のピーコートを着て、
キャラクターのキーホルダーがたくさんついた革のスクールバッグを提げている。
その子がこっちを向いて声を出して初めて、柴田さんだとわかった。

47 名前:はつ雪 投稿日:2003/12/22(月) 22:03

「めぐちゃん!」

村っちゃんをずっと待ってたんだ。
今日は午後からずっと雪がふってる。
今年これまでにないほど寒くて、友達みんなが足早に家路についているのに。
「あれ柴田くんだ」
当の本人はのん気な声出してるけど、村っちゃんを見つけた
柴田さんの嬉しそうな顔を見てたらなぜかお腹の奥がキュッてなった。
だれかに似てる気がしたから。
「早く行ってあげなよ」
「うん・・・」
48 名前:はつ雪 投稿日:2003/12/22(月) 22:04
村っちゃんの、最近染めたばかりの濃い茶色の髪が走り出した瞬間なびいて、
シトラスの香りがあたしの鼻先をくすぐった。
村っちゃんを待つ柴田さんのためより、
雅恵ちゃんを村っちゃんから遠ざけようとする自分のために、
行ってあげなよなんて言った。


あたし雅恵ちゃんのこと好きなんだってこれほど強く自覚したのは
今日が初めてかもしれない。
今年初めて、雪がふった日。



END.
49 名前:はつしま 投稿日:2003/12/22(月) 22:09
高校生にしちゃったよメロンを・・・!
今回もsageた方が良かったかな(ドキドキ
この話は他の3人それぞれの視点からも書きたいですね

>>43 名無し読者様
村田は柴田に対しては大人ぶろうと必死ですw
大谷さんには一途で乙女、斉藤さんに対してはエロ、みたいな。
50 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/23(火) 10:31
雪の中で健気に待つ柴田くん萌え。<今回の主役は誰だよ!

>この話は他の3人それぞれの視点からも書きたいですね
書いてください(w

51 名前:はじまりの終わり 投稿日:2003/12/25(木) 16:21
「ドジだねぇ雅恵は」
「っさいなぁ・・・」

メガネをかけた茶色い髪の少女と、派手な金髪の少女。
金髪が水をかぶったように汗を流しているのに対し、
メガネは汗を垂らすどころか長袖のジャージまで着ている。

メガネをかけているのが村田めぐみ、金髪が大谷雅恵だ。

「まだ足ひっこめちゃ駄目だよ包帯巻くから」

色素の薄い細い指が大谷の足に触れる。
一瞬、大谷の足がビクッと反応したが村田は気づいていないフリをした。

52 名前:はじまりの終わり 投稿日:2003/12/25(木) 16:22
沈黙。
それを相手よりずっと気まずく感じていたのは大谷で、
五月蝿いくらいに胸を鳴らしていたのも大谷で、
先に沈黙を破ったのも大谷だった。


「ごめん・・・」


村田は顔も上げず、手を休めることもなく言葉を返した。

「それって何に対して?」
「きのう、すっぽかしたこと・・・」
「あぁ、雅恵のことだから忘れて寝てたのかと思った」

驚くほど冷たい村田の返答に、顔を歪める。
53 名前:はじまりの終わり 投稿日:2003/12/25(木) 16:24
・・・ひとみんからメールきて」
「で行っちゃったんだ」
「ごめ・・・」


村田が手を止めた。
大谷が言い終わる前に唇を塞ぐ。
大谷は驚いてすぐ近くにある村田の顔を見た。
これまで見たことがなかった、彼女の切なそうな顔。


「・・・いいよあやまんなくて。今日9時公園で待ってる」
村田は、あとは自分でやっといてと言い残して保健室を後にした。

54 名前:はじまりの終わり 投稿日:2003/12/25(木) 16:25
本当は昨夜大谷に別れを切り出すつもりでいた。
もういい加減振り向いてくれない恋人を忘れ、
あの子の方を向いてしまおうかと考える。
だけどいつも頭に浮かぶのは大谷のことばかりで、
苦しがってるなら離してやることは今まで簡単だったのに、
今回はそう出来ない。

つよくなれない。やさしくなれない。
あの子みたいに。

55 名前:はじまりの終わり 投稿日:2003/12/25(木) 16:26

「あきらめだけは悪いからなぁ・・・昔っから」

思い当たる二人の女の子に心の中で謝りながら、
もう少しだけこの糸をつかんでいようと思う。


END.


56 名前:はつしま 投稿日:2003/12/25(木) 16:31
「はじまりの終わり」は「はつ雪」よりぐぐんとさかのぼって、
気持ち9月くらいの設定。
一応、村柴編斉大編が終わったら全部つながると思います。

>>50 名無し読者様
雪の中で待たせるのはやりすぎかと思ったんですがやってしまいました。
柴田斉藤村田あたりはこれくらい健気でも良いと思います。
57 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/31(水) 18:32
高校生メロンキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!w
いい感じです!!
雪の中で待つ柴っちゃん健気でキャワイイなぁ〜
それぞれの恋心が交じり合ってて期待大です。
それでは、よいお年を〜
58 名前:はち蜜と釘 投稿日:2004/01/21(水) 22:47

好きな人がいる。
それは言葉にして、態度で、いつだって伝えている。
それにはいつだって多少の勇気がいる。
なのに気づかないふりは、ずるい。

「あのさぁ」

「ん」

こっち見ろ。雑誌のあたしたちじゃなく、ここにいるあたしを見ろ。
イライラして、テーブルに置かれていたた手を取って
彼女をこっちに引き寄せた。

59 名前:はち蜜と釘 投稿日:2004/01/21(水) 22:48
「おぉっ・・・何・・・」

なんにも知らないで。好き勝手泳ぐ。
たまにおどかすと今みたいにちょっとおびえた目をする。
ムカついてしょうがないのにその顔を見ると嫌でも思い知らされる。

「好きなんだよねめぐちゃんのこと」

告白とは思えないくらい乱暴に投げつけた言葉に、
返ってきたのはけらけら笑う声。


「は・・・ちょ、何笑ってんの?」

まだ笑ってる。身をよじって笑ってる。
手は、放してやるもんか。

60 名前:はち蜜と釘 投稿日:2004/01/21(水) 22:50
笑い声が少し落ち着いてきたかと思ったら
彼女はこんな、鋭いような鈍いような事を言った。

「はーぁ・・・っていうか知ってるって。そんな怖い顔しないでも」


あたしがつかんでいないもう片方の腕をあたしの背中にまわし、
肩に顔をおとしてきた。

61 名前:はち蜜と釘 投稿日:2004/01/21(水) 22:50
「知ってるんなら・・・」

だったら。

「うん。だから。」


めぐちゃんが顔をあげ、あの『なんでも許せる』笑顔を見せる。
あたしはだまって、続きを待つ。


『だから』




「恋人になろう?」





END.
62 名前:はつしま 投稿日:2004/01/21(水) 22:55
>>57 名無し読者様
ちょっと村田さんに都合良く書きすぎててごめんなさい柴田さん。
続きはもうちょっと(ちょっとじゃないけど)まってください〜
63 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/22(木) 19:21
かーわいいなぁ〜。
いつも楽しみにしておりますっ!更新頑張って下さいー。
64 名前:yellow☆summer 投稿日:2004/03/20(土) 22:59
斉藤瞳には夏が似合う。
今は夏休みでひとみんとは会えない。
しょっちゅう会っている村っちよりも彼女のことを考えるのをやめにしたい。
いい加減やめないと、いつか誰かにばれてしまいそうでこわい。
きっと夏のせいだ。夏だから、ひとみんを思い出す。
じりじり照りつける太陽やひまわりが、なぜか彼女を連想させるのだ。


午後3時。
近くのコンビニまでジュースを買いにでる。
夕方から村っちがうちに来ることになっているので村っちの分も。
村っちは夏はあついし嫌いだと言って
昼間は冷房で冷やした部屋で眠っている。
夕方起きて気まぐれにあたしの家に来る。
なんか、らしいなぁって、笑ってしまった。


だけどあたしは夏が好きだ。
65 名前:yellow☆summer 投稿日:2004/03/20(土) 23:01


「雅恵ちゃん」
コーラとソーダのペットボトルを2本ずつカゴに入れて顔を上げると、
ひとみんが見慣れた眩しそうな、黒目がちな目であたしを見ていた。
「あ、ひさしぶり・・・」
彼女と話すとき変に緊張するのはいつものこと。
彼女の方もいつも緊張しているように感じるのは気のせいだろうか。


「飲み物ばっかだ」
「うん暑いし」
「ね」
「友達が来るから、それ用もある」
「そっか。やっぱりそれって村っちゃん?」
「あー、うん」
「仲いいもんね」


なんで、なんで。
なんでそんな声で、そんな表情で村っちの名前を出すのか。
本当はわかっている。
彼女も本当は、あたしも、本当は。

66 名前:yellow☆summer 投稿日:2004/03/20(土) 23:05

「じゃあね。9月に」
「うんバイバイ」
「バイバイ」


まだ言えない。
言っちゃいけないんだと思う。


うだるような暑さ。
考えるのは、彼女のことばかり。





END.

67 名前:はつしま 投稿日:2004/03/20(土) 23:09
雅恵ちゃんは結構、罪作りですよね。妄想ですけど。

>>63 名無し読者様
おひさしぶりですすいませんw
68 名前:はつしま 投稿日:2004/03/20(土) 23:09
かくし
69 名前:はつしま 投稿日:2004/03/20(土) 23:09
かくし
70 名前:bou 投稿日:2004/03/30(火) 15:26
今、見つけて頭から一気読みしました。

しばっちゃんには悔しく思うけど、こんな可愛い柴田くんになら、村っちも堕ちるよなぁ…と思いました。

かなり好きです。
71 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/04/16(金) 23:56
続かないカナァ....
72 名前:名無し 投稿日:2004/05/12(水) 19:17
また村柴かよ

73 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/13(木) 01:22
>>72
メロンスレで村柴の何がわるいねんゴルァ(ノ ̄□ ̄)ノ~┻━┻
…村柴ヲタですが何か?w
74 名前:名無し 投稿日:2004/05/13(木) 04:14
ムキになるなよ
ホント村柴斉大オタってUzee
75 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/01(火) 21:34
お言葉ですが74の方その言葉そっくりそのままあなたに返しましょうか?
わざわざウザイとか書く必要ないでしょう?
作者さま、更新お待ちしています。
76 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/17(水) 21:57
作者さん?
いないんですか?もっともっとイッパイ読みたいです。

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