Sweet Berry Kiss

1 名前:名無しモン 投稿日:2003/12/11(木) 19:33



そう。
もしあの時、あたしがあの子の事だけを見つめていたら
こんな事にはならなかっただろうに。


2 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:34


@

3 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:34



「いちーちゃん、おっは〜!」

「はよ…」

「なんだよぅ。 朝っぱらから元気無いね」


突然後ろから抱き付かれて、短い髪の毛をガシガシ撫でられる。
そして、抱きついた姿勢のまま後藤は
犬みたいに市井の首筋に鼻を寄せて、クンクン匂いを嗅ぎ始めた。

4 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:34



「やめろー。くすぐったい」
「……ぅへへっ♪いちーちゃんって良い匂いがする〜」
「気持ちの悪い笑い方すんなっ!」
「ご機嫌斜め…ですね?」
「そんな事ないけど…」
「ですね?ですね?」
後藤は市井の肩に顎を乗っけて、にやにや。
「ですね、ですね、ですね…………って、何言わせてんだ!!」

5 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:35




「…………」



こいつのこーゆうとこ、たまにめちゃくちゃウザくなる。
あたしは昨日習得出来なかったダンスをほぼ一晩中練習してて、
眠気からか「いつも以上に鋭い目つきになってて怖いよっ♪」とさっきロビーで会った矢口にも笑って言われたりもして、ちょっと凹んだ。



…ってか、『いつも以上に』ってなんだ?
市井はいっつもそんな目つきになってるってこと?
あたしは少し釈然としない思いを抱きながらも、その場は笑って済ませたけど。

6 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:35




肩にずっしり感じる後藤の重みに、市井は眉の間に皺を寄せた。
…重い。 寝てなくて、あんまり体力無いのに。
………疲れる……



そんな事に気づくはずのない後藤は、鼻歌を歌いながら市井と一緒に『モーニング娘。』の楽屋を目指す。

7 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:36




「ごとー…ほんと、今日市井お疲れ気味だから、離して」

「だぁ〜め〜」


「…離せ」


「い〜やぁ〜」

8 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:37





「離れろ、バカっ!!」



その後藤のふざけた態度に
ちょっと(ってゆーか、かなり)ムカついた市井は、思いっきり後藤のデコにチョップを入れながら、抱きついていた体を無理やり自分から引き剥がした。
「あぅっ」なんていう情けない声をあげて、後藤は叩かれたオデコを触り、
市井の方を恨めしげにジッと見つめてくる。


9 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:37




「…暴力女」


「うっさい。 ごとーがいつまでも離れないのが悪い」



「………暴力男」


「あぁ!?」

10 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:38




ボソッと小声で言った後藤の言葉を正確にキャッチした市井の耳。
…おい……男とはなんだ男とは!!
確かに、最近、ちょこっとばかし中性的になってきたかなぁ?とは思うけど。
実際にメンバーに言われるとちょっと傷つく。
そう思った市井は、眉間に皺を寄せながらすかさず反論した。



「男ってなんだよ!こんなに女らしい女の子に向って何言ってんだ!!」


「自分で言わないでよっ!いちーちゃんは『女の子』って言うより、
『少年』の方が全然お似合いですよーだっ!!」



「…なっ!マジ、こいつムカつく!」



自分がちょっと人気あるからって。
可愛いからって…
色気あるからって……

11 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:38





「そんな事言ってると、ほんと嫌うぞ!」




…はっ。
何言ってんだ……市井。


12 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:39




「…………」



頭に血が上りすぎて、思わず変な事を口走ってしまった。
これじゃ、ただの子供じゃん…
『嫌うぞ!』ってなんだよ…。



………ぜったい、絶対……笑われる………



後藤のことだから
これで今日1日中、市井の事からかうに決まってる。

13 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:39




年上のプライドからか、2つも年下の後藤にからかわれるかも…という考えに
市井は冷や汗ダラダラ。
入ってきた頃は『市井さん市井さん』って可愛げあったのに、
市井は今や後藤のおもちゃ状態だし。
教育係もやってるし、一番メンバーの中で仲が良いってのはいい事だけどさぁ。
もっとこう…年上を敬うっていうか……そうゆう心も大事だと思うんだよね…。



そんないろんな事を考えながらボーっとしていた市井の前に差し出される手。
いったい何をされるのか、市井は思わず体をビクつかせてしまう。

14 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:40





「……ごめん」




……へっ?


逸らしていた視線を後藤に合わせると、
なぜか、泣きそうになって市井の袖を掴んでいる後藤の姿が…



「…ど、どうして?」

15 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:41




「……だって…いちーちゃんが………『嫌うぞ』って、言うからぁ………」




……マジで?

16 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:41




目を潤ませ、後藤はしきりに鼻をすすっている。
市井はてっきり、笑われて散々からかわれる事を予想していたから
その後藤の態度に、少し戸惑ってしまった。
普通に意外すぎて…言葉も出ない。



「いちーちゃん、ごめんね…?」



眉尻を下げ、下から市井の顔を覗き込む後藤。
答えないままの市井を不安そうに見つめて、袖を掴む手が微妙に震えている。




…っつーか、可愛い。


後藤、お前めっちゃ可愛いぞ。

17 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:42




「……わ、わかれば良いんだよ…」



純粋に謝ってきた後藤に対して、嬉しいのに、市井はめちゃくちゃ可愛げのないことを言ってしまった。
それでも後藤は本当に嬉しそうに「良かったぁっ」って笑って。
なんか……
後藤ってほんと、単純。
可愛いやつめ。

18 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:42




「ほら、遅れるから。行くぞ」



時計を見ると、もう集合の10分前。
ふやけた顔の後藤の手を引いて、一緒に楽屋に向って走る。




「…あれ?」

「どしたの…?」

19 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:43




「なっ、なんでもない」



自然に繋がった手。
触れた途端に、胸がドキドキし始めた。
なんだこれ…。
……心臓が、なんかドクドクいってる。

20 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:43




後藤に『恋』するなんて、ありえない事だから
市井はこの気持ちを真っ先に否定した。
繋がっている市井の手と後藤の手。
市井以上に、後藤がドキドキしてるなんて気づかずに。


楽屋までそんなに距離もないのに、手を離した瞬間、やけに汗ばんでいた手のひらを、
不思議そうに市井は見つめていた。

21 名前:@ 投稿日:2003/12/11(木) 19:44


更新1回目終了。
読んでくれる人がいたら、レスを頂けると嬉しいです。

22 名前:名無しモン 投稿日:2003/12/11(木) 19:47


まだ他のメンバーもたくさん出てきます。
とりあえず市井と後藤もメインカプなんですが、もう一つのカプもほぼメインの形で、2つの恋を同時進行でやらせて頂きます。
次は川VvV从 と 从‘ 。‘从の場合です。
ではこれから宜しくお願い致します!

23 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/11(木) 20:39
どちらも好きなCPです。
色々出てくるようなので続きもお待ちしています
24 名前:みどり 投稿日:2003/12/13(土) 11:54
おもしろそうなの発見です!!
『いちごま』大好きなんでメチャA楽しみです☆
これからは毎日チェックしちゃいますよぉ。
次の更新も楽しみに待ってます♪
25 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 16:53



A

26 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 16:54





イライライラ



………遅い。



美貴たんからのメールの返信が、今だかつてないほど、遅い。

27 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 16:54




「…もうすぐ1日、経っちゃうじゃん」



メール受信も着信も無いのに、用も無く何度も携帯をパカパカ開ける。
……愛する美貴からの連絡が無ければ、携帯などただの鉄の塊。
そんな亜弥の心情も知らずに、待ち受けのプーさんがたくさんハートマークを出しながら楽しげに空を飛んでいる。
美貴と一緒の待ち受け画面だ。
なんだか、これを見てるだけでも悲しくなってきた。

28 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 16:55




あまりに寂しくなって、先程加護にメールを送ったら『今、ちょーど休憩時間なんや♪』と、すぐにメールの返事が返ってきた。



モーニング娘。さんが休憩時間ってことは…美貴たんも今暇って事、だよね?
なんで返事、来ないかなぁ…

29 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 16:55




イライライラ



ここ数日の間。
仕事がめちゃくちゃ忙しかったのもあって、
亜弥から美貴に連絡をしそびれていたのも事実。
けど……、美貴は「そんな事全然気にしてませんよ」って感じでメールも何もよこさない。




「……はぁ……」


30 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 16:57




なんでだろう。
美貴たんも女の子なのに、イベント事にも何の興味ももたないし。
クリスマスとか、バレンタインとかの話ふっても『はぁ?』って感じだったし。
さすがに私の誕生日なんかはちゃんと覚えいて、一番最初に祝ってくれたりして
嬉しかったけれど。



『サッバサッバしてる男らしい性格』



美貴たんがこーゆう性格だって…前から知ってる……


けど…




さっきから何の反応もない携帯を拾い上げ、画面を見つめる。
相も変わらずプーさんがパタパタと空を飛んでいる様子が待ち受け画面に現れていた。



……ちょっと、いきすぎなんじゃない?

31 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 16:58




◇ ◇ ◇



加護にメールを返した後、美貴の携帯に2・3回電話をかけてみた。
…しかし。
何度かけても、聞こえてくるのは虚しい『留守番サービスセンター』の女の人の声だけで。
もう一週間近く聞いていない、愛しい美貴の声ではない。

32 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 16:58





「…………」




不安になる。
美貴がモーニング娘。に入ってからここずっと、
亜弥は、今まで感じた事のないような悲愁を味わってきた。




声が聞きたい。
そして何よりも…


33 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 17:29




「…………美貴たんに、会いたいよぉ……」




一人の楽屋で、膝を抱えてクスンと鼻を鳴らす。
寂しくて、悲しくて…。
しかも今、楽屋のエアコンが壊れていて体が寒くて。
心も体も、心身共に寒い状態。

34 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 17:30




美貴たんは今頃モーニングのみんなと楽しくやってるんだろうな…。
…ってゆーか、なんでいっつもあんなに吉澤さんとベッタリなわけ?
そりゃあ美貴たんと吉澤さんは性格も似てるし、相性ばっちりかもしれないけど。
普通にくっつきすぎなんだよっ!!
美貴たんとあんな風に接触していいのは……私だけなんだから。




「………美貴たん………」


35 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 17:30





美貴たんは。
私みたいに、美貴たんの事ばっかり考えて
考えすぎて、仕事ミスっちゃう事なんて絶対無いんだろうな。




私は美貴たんのこと、ずっとずっと前から好きだった。
でもどんなにアピールしても、美貴たんは私の事を友達としてしか見てくれなかったんだ。
私がいつも心臓が飛び出ちゃうくらい緊張してるチューも、
友達同士でする、おふざけの延長線上くらいにしか考えてくれてないみたいだし。

36 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 17:31




『……ね?美貴たん?』


『んー、なに? 急に改まっちゃって』



『……わ、私のこと…好き?』



『好きだよ』




…本当に『好き』だったら、
あんな風に簡単に言えない。

37 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 17:31





「はぁ…」




亜弥が今日何度目かの溜息をついている頃――――
問題の美貴は、ある楽屋の前で今にも倒れそうになっていた。



38 名前:A 投稿日:2003/12/13(土) 17:33



更新2回目終了。


今回は松浦視点 从‘ 。‘从

39 名前:名無しモンヾレス感謝 投稿日:2003/12/13(土) 17:39


>>23 名無し読者様

色々でてきます(w
メインカプはいちごま&あやみきですが。
レスありがとうございます。

>>24 みどり様

今回はいちごま出ませんでした。すいません(w
こんな駄文を毎日チェックするなんて…感激です( ´ Д `)
楽しみにしてくださって有難うございます。

40 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/14(日) 02:50
いちごまと最近はやりのあやみき。
どちらもめちゃくちゃ好きなCPなので
めちゃハッピー☆です!
続き楽しみにしてます。
41 名前:エムディ 投稿日:2003/12/18(木) 01:13
あやみきといちごま!!わ〜嬉しいです。
ごっちん可愛いすぎるぅ〜
美貴たんはどうなるのかなぁ?
き、気になります!! 頑張ってください。
42 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:02




B


43 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:02





「……マジで…?」


44 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:02




こちら藤本。
まだピチピチの18歳。
職業はアイドル。
他人からは、怖いとか軽ヤンとかよく見た目で言われてるけど、
本当はただちょっと目つきがきついだけで、お笑いが好きなふつーの女の子なんだ。



そんな美貴は、初めはソロでやっていて
途中から『モーニング娘。』というグループに入った。
メンバーのみなさんは個性豊かな人ばっかりだけど、悪い人は1人もいなかった。
初めは「どうなるんだろう…」って、不安だらけだったけど、今はよっすぃーという気の合う友人も出来たし、なかなか楽しく毎日を送っている。

45 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:03





………しかし今。
信じられない光景が目の前に……
と、ゆーか美貴から約5m先で行われている。





「…ん……っ」

46 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:04




『…おぉっ!?』





今から10分前…。
ジュースを買おうと1人楽屋を出て、自販機に向う途中だった。
誰も使ってないはずの空き楽屋のドアが少し開いていて、美貴は何も思うことなく
ただ単にそのドアを閉めてあげようと、そっと手を伸ばした時、

47 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:04




その楽屋の中で…



『…だめだよぉ…いちーちゃん……』



『なんで…?』





ありえない事に。
……ごっちんと市井さんがキスをしていた。

48 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:05




正確に言うと、「キスをしようとしていた」所なんだけど。
慌てた美貴は何を思ったのかドアを半開きの状態にしたまま、
自販機まで走っていってしまった。




―――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――


――――――――――――――

―――――――――――


――――――――

49 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:05





…そして現在。
あれは何だったんだろうと思いながらその楽屋の前を通り、
やはり半開きになった状態のままのドアの中を、ひょいと覗く。




「………んっ……だ、めぇ…っ!」



(……続いてたー!!!……)

50 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:06




美貴は心の中でそう叫んで、ドアの前にへたり込む。
その横を数人のスタッフさんが不思議そうな顔をして通り過ぎていった。
そしてそのうちの1人、人の良さそうな顔をしたスタッフさんが
美貴の青ざめた顔を見て、心配そうに声をかけてきた。



「どうしたんだ藤本?そんな驚いた顔して………大丈夫か?」




「…やっ! なんでもないです!大丈夫です!!」




ドアの中を見られないようにして、
美貴は焦りながらドアを背中を向けて へらっと笑う。
そんな美貴を見て、ますますスタッフさんは不思議そうな顔をみせ、
でも仕事が忙しいのか、そんなに気にした様子も無くすぐにスタジオの方に走っていった。

51 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:07




「…………」




…で、結局。
なんで美貴…ごっちんと市井さんのキスシーン覗いてんだ?




「……ほんと…っ……もうやめっ…!」



「…ごとーは、市井のこと嫌い?」

52 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:07




「……嫌いじゃない……けど」




だってだって。
このまま何事も無かったかのようにドアを閉めても、誰がこの楽屋に入ってくるか分からないし。
もし、この二人の関係がばれたら
モーニング娘。全体の問題に発展しちゃってワイドショーとか出ちゃうし。
だから美貴は見たくもないけど、二人をこうやって見守って……
……まぁ、ちょっと、興味心みたいなのがあるのは間違いないけどさ。



でも…なんか、ごっちん……嫌がってない?

53 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:08





「……市井は、なんかごとーのこと、好きみたい」




えぇっ!
市井さん今告白ですかっ!?



思わずドアの中の市井さんに向ってビシッと突っ込む。



美貴はてっきり、
二人はもう恋人同士で、合意の下キスしちゃってんのかと思ってたけど。
ってか、普通そうだよね…?
……ごっちん、なんか複雑そうな表情してるなぁ。




「ごとー…?」

54 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:09




「………」



市井さんは、黙り込むごっちんを悲しそうな表情で見つめて、
右手で そっとごっちんの左頬を包む。
その瞬間。
ごっちんはビクッと大きく体を反応させて、反射的に目を瞑った。

55 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:09




「いきなりキスしてきて……勝手に告白して…おかしいよ…
……こんなの、いちーちゃんじゃないよ……」


56 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:10




小さな声でボソボソとそう呟き、ごっちんは頬にある市井さんの手を軽く振り払う。
目を開けたごっちんの瞳は、涙で潤んでいた。
…で。
……やばっ!…ごっちん、こっちに来る…っ!!




(……っ!!………)



やばいやばい!!
どどどどどっかに隠れなきゃ!
でも…どこに?


57 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:11




唯一隠れられそうな廊下の曲がり角は、はるか20メートル先に…。
この一瞬であそこまで行けたら、オリンピックの陸上に出れるって。




「…わぁっ!?」




「……えっ!?……」





…結局、見つかってしまいました。
ドアの前で頭の上に手を置きながら、座っている美貴。
明らかに怪しい。
まるで『覗いてました』とでも言わんばかりのその格好。
普通に通りかかった感じにでもすれば良かったのに……
美貴のバカ。

58 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:11





気まずい雰囲気が流れるこの空間で、
立ち止まったごっちんの後ろから、市井さんがゆっくりと顔を出した。



「……藤本…?…なんでお前……こんな所にいんの?」



眉間に皺を寄せて、
市井さんは、不機嫌そうな表情のまま座っている美貴に手を差し伸べた。
美貴がその手につかまって立ち上がり、お尻を払っている間に
ごっちんは背中を向けてその場を去ろうとしていた。

59 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:12




「おいっ!ごとー、ちょっと待てよ! どこ行くんだよ!」




市井さんは声を張り上げてごっちんの背中に呼びかける。
怒声にも聞こえるその声。
でも、悲しそうな、語尾が震えている弱い声。
こんな市井さん…はじめて見た。



いつも凛とした態度を崩さない市井さんが、
こんなにも感情を露わにしたような、脆い人間性を持っていたなんて
ちょっと意外だった。

60 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:13




「…後藤っ!」




「…………」




必死な市井さんの声に、足を止めるごっちん。
シーンとした静寂がこの空間を支配した。
美貴は、ゴクリと喉を鳴らして唾を飲む。
こんな状況の所に、何の関係も無い美貴がいる事自体間違っているけれど。
今は、とりあえずさっきからポケットの中で陽気な音楽を流し鳴り止まない携帯に
出ようか出まいか、どうしようかと悩んでいる。



―――ちゃらららら〜♪ ちゃららららーちゃーらららーら♪

61 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:13




「…藤本」


「はいっ!?」



「……お前、悪いけど楽屋戻ってくれる?」



「……はい…すいません………」

62 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:14





シリアスな雰囲気の場で炸裂した『桃色片想い』の着メロ。
……まったく。 亜弥ちゃんは。
ちょっと1日メール返さなかったぐらいで何度も電話して来ないでよねー。
確かに連絡返さないのは悪かったけど、そんな頻繁に連絡取り合わないでもいいじゃん。
会おうと思えば、家に遊びに行くとかして会えるわけだし。
…美貴だって、今色々あって大変なんだから。




市井さんとごっちんを残してあの場を去った美貴は、
携帯の着信にずらずらと浮かぶ『亜弥ちゃん』の文字を じっと恨めしげに見つめていた。

63 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:14





もちろん、
そんな美貴が亜弥ちゃんがどんな気持ちでいるかなんて、分かるはずもなく―――



その日1日、ギクシャクして微妙な2人を心配そうに見ているのに精一杯で、
亜弥ちゃんに電話もメールを返す事はなかった。

64 名前:B 投稿日:2003/12/18(木) 22:15


更新3回目終了!


今回は川VvV从 視点でv

65 名前:名無しモンヾレス感謝 投稿日:2003/12/18(木) 22:20


>>40 名無し読者様

いちごまは最近見なくなりましたねー。
いきなり先行き不安な2組ですが、どうか最後まで温かく見守っていてやってください。
( ´ Д `)< いちーちゃんのバカっ!

>>41 エムディ様

いちごまとあやみきって人気なんですね♪
美貴たんはこうなってました。
自分の中での藤本って、結構めんどくさがりな性格だったりします(w
レス有難うございました。

66 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/18(木) 22:43
藤本さん冷たいですね…
亜弥ちゃんがかわいそう。
67 名前: 投稿日:2003/12/22(月) 01:48
いちごま発見☆
最近いちごま少なくなってきてるんですごくうれしいです。
頑張ってくださいね!
68 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:25




C


69 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:25




―――― 大好きな人とのキスは―――
        なんでこんなに悲しいんだろう――――


70 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:25




触りたい。
もっと、もっと触れたい。
今までの関係なんかじゃ物足りない。


「…後藤」



果てしなく続く欲求―――それはすべて彼女に

71 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:26




「さやかーっ!」
「……ん?」
「なぁにさっきからボーっとしてるのさ。らしくないねー」



「…いちーだって、考え事ぐらい、するさ」


「ふ〜ん?」

72 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:27




矢口は市井の周りを物珍しそうな顔をして歩き出す。
じろじろ人の顔を見つめてきやがって。
なんかムカつく…




「さやか最近、元気ないよねぇ」

「そう?」



「…………ごっつぁんと、何かあったの?」

73 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:27




すぐに背後にべったりくっついてくる金髪のチビっ子。
こいつは失恋モードの市井に、最近特によく話しかけてきて、それでいて離れない。
正直いって、うざったい。



「なんも」

「うっそぉ!」


大袈裟に驚いた顔をして、
そのまま「ほんとのこと言えよっ!」と 首を絞められる。

74 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:28




「…………」



こんなにイライラするのは、あの時後藤に拒否られたからだろうか。
傷つく言葉を言われたからだろうか。
結局市井の悩み事なんて、すべてあいつ絡みなんだから、直接本人とまた話し合えば良いじゃないか。
そんな事を出来たのならば、もうとっくにやってるけれど。



「二人とも…っつーか、特にごっつぁんの方。
いっつもさやかの近くにいたのに、最近全然一緒にいないよね。
話してもないみたいだしさぁ……何かあったとしか思えないね」

75 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:28




「あのさぁ、そうゆうのって」

「おせっかい?」



矢口は首を絞めていた腕を解いて、「だよね」と言いながら市井の頭に抱きついた。
人の体温をこんな顔間近に受けるのは初めてで
不謹慎だけど、ちょっとだけドキッとしてしまう。



「………」


「……だけどさぁ」

76 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:29




小刻みに震える矢口の胸。
頭を抱きしめられているから、直でそれが伝わってくる。
…な、なんだよ。
少し冷たくしたぐらいで、泣かなくてもいいじゃんか…



顔を斜め上に上げると、すぐそこに矢口の顔があって。
でもその顔は予想に反して、泣いたりはしていなかった。
ただ、いつもよりは元気の無さそうな表情でつらそうに眉を顰めていた。
市井は『しょうがないな…』といった様子で、金色の頭を優しく撫でる。



「……矢口、心配なんだよね」


「なにが?」


「さやかが…『芸能界からいなくなっちゃう』かもっていう話……聞いた時から」
77 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:30




「ありえなくない?こんな状況で辞めるなんて。
 クビになるなら、まだしもさぁ」


へらっと笑って言ったら、ゴチンッと鈍い音がして、頭をグーで殴られた。



「いっったい!?なにすんの!」

78 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:30




「…そーゆうこと、冗談でも言うな!バカッ!!」



その顔があまりに真剣で。
矢口が本気で怒っているみたいなので、市井はじんじんする頭を擦りながら「ごめん」と眩いた。



「…で。 矢口は結局、何が言いたいのさ」


極力優しい声で言ったつもりが、語尾が少し強くなってしまった。
これじゃあ、まるで怒られた市井が一人で拗ねてるみたいだ。

79 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:31




「さやかって、なんでも1人で解決しちゃうじゃない?
同期で愚痴を言い合ったりした時も、矢口や圭ちゃんの悩みを聞いてばっかりで
さやかの本気の悩みって聞いた事無い気がする」


「う、うん…」



「こんなに長く付き合ってても、さやかの弱い部分見たことないって、
なんか寂しいよ…。1人で溜め込むって、つらいのに……矢口達のこと、もうちょっと頼ってくれても良いと思う」

80 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:31




真剣な表情の矢口に抱きつかれたまま、市井が何て言ったら良いのか言いよどんでいると、雑誌の取材に言っていたメンバー達が、
タイミング悪くぞろぞろ楽屋に帰ってきた。



「ぉあーー!!?矢口さんと市井さんが抱き合ってるー!!?」

「うそうそうそっ!?だめじゃんさやか!カオリってゆう彼女がいるのに!」

「……いつからカオリがさやかの彼女になったんや?」

「と、とにかくっ! い、い、いちーさんっ!ダメですよ、こんなお昼時から!!」

「そやそや。するなら楽屋じゃないとこか、夜プライベートになった時間に頼むわぁ」


次々に言葉を発する藤本・カオリ・裕ちゃんの3人。

81 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:32




……あー。
こいつらマジうるさい。
ってか、今市井こいつら相手にする元気無いから、矢口否定してくれ…



「……矢口…」



そう思ってチラッと矢口に視線を向けると、
矢口は『わかった!』と 目で合図してくれた。
ほっ。
 どうやら通じたみたいだ。
82 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:32




「みんな誤解しないでよ? 矢口とさやかはぁ………」


そうそうそう。
ただ語り合ってただけで、みんなが思っているような事は、何もないと。




「……………内緒にしてたけど、実は1ヶ月前から付き合ってまーーす!!!」

83 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:33




「……っえ………」



……おいっ!?




「……………」


矢口の大声にその場にいたメンバーは固まり。
傍で頷きながら聞いていた市井も、当然のように動きが停止し。
そして、更に最悪な事に。
ドアの向こう側で3人が邪魔で入れなかったが、後藤がいたらしい。

84 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:33




市井達の動きが再開したのは、矢口の『…なんちゃって♪』と
おどけたように舌を出しながら言った頃だった。
その時には、後藤の姿はそこには無く。
藤本から後藤があの場にいた事を知らされ、仕事直前になって楽屋に戻ってきた後藤に
弁解しようと話しかけた瞬間、思いっきり頬を引っ叩かれた。



「……最低っ!!」


85 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:34




…市井は悪くないのに。


その豪勢な音にびっくりする全メンバー。



赤い手形がくっきり残る頬をおさえる市井の前に、
さっきまで泣いていたのか――――赤い目をした後藤が立っていた。

86 名前:C 投稿日:2003/12/22(月) 19:35


更新4回目終了♪


ヽ^∀^ノ < なんでじゃー!!

87 名前:名無しモンヾレス感謝 投稿日:2003/12/22(月) 19:40


>>66 名無し読者様

確かに冷たいですね…w
自分的には藤本さんはこうゆう性格かと。
しかし、意外にメールはマメだったり?

>>67 K様

有難うございます。
稚拙な文ですが、これから頑張らせて頂きますので応援よろしくお願いします。
88 名前: 投稿日:2003/12/31(水) 11:29
続き待ってるべさ〜

ヽ^∀^ノさん、Happy Birthday☆
89 名前:名無しモン 投稿日:2004/03/09(火) 14:33
諸事情により放置させて頂きます。
申し訳ありません。
90 名前:名j無し 投稿日:2004/03/09(火) 19:32
その事情ってやっぱり…
91 名前:名無しモン(本物 投稿日:2004/03/09(火) 20:30
>>89? 勝手に名前を使わないでくださいますか?

長い間放置気味にしてすいません。
市井のニュースには毎回驚かされていますが今回の事は
聞いた後しばらく呆然としてしまいました。
続けるか続けないかは気持ちに整理がついてから決めようと思います。
勝手な理由で本当に申し訳ありません。
もう少し時間をください<(_)>
92 名前:名無しモン(本物 投稿日:2004/03/10(水) 21:06
ochi

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