白馬に乗った吸血鬼

1 名前:もりもと 投稿日:2003/12/13(土) 04:36
初めて書かせていただきます。
更新はマターリしていくつもりです。
白い人と黒い人を中心に話が進んでいきます。
その他の人も登場させるかもしれません。

それでは、よろしくお付き合いくださいませ。
2 名前:_ 投稿日:2003/12/13(土) 04:37


==白馬に乗った吸血鬼==

3 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2003/12/13(土) 04:39

吸血鬼の血は 燃える燃える 紅だった

4 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2003/12/13(土) 04:41
差し込む月の光の中に、アナタの背中を見つけて私は微笑を浮かべた。
白く冴える月光の中に浮かび上がるアナタの顔はいっそう白く輝いて、その唇の紅を際立たせた。
体の中から震えるほどの欲情が溢れてきて、それをアナタに口移しで渡したいという思いが、
きつく自分を抱きしめる両の腕から零れ落ちて、私の体を甘く滑り落ちる。
その絹のような滑らかさに、私の体の上を舞うアナタの白く細いしなやかな指を思い出す。
体に刻み込まれた悦楽の予感が、背中をひと撫でして、私は唇から吐息を漏らした。
5 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2003/12/13(土) 04:44
アナタがこちらを振り返って、私の気持ちを見透かすかのように低く笑う。
何にも言わずに伸ばされた腕の中に身を収めると、
アナタはやんわりと私を抱いてくれる。
とてもとても甘いニオイが鼻を掠めて、
自分の体が勝手に高ぶってくるのを感じる。

それを引き寄せたアナタの唇に直接伝えて、
私たちは甘く舌を絡めあった。
痛いほど深く深く絡ませて、アナタは私に蜜のような唾液を注ぐ。
私が喉を鳴らしてそれを飲む。
ほのかに香る血のニオイの甘さに、クラクラと気が遠くなる。
6 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2003/12/13(土) 04:45
 ああ、天国。
 もっともっと天国に行こう。
 今すぐ連れて行って。
 アナタと天国へ。
7 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2003/12/13(土) 04:48
初日につき、本日はこれまでです。
短くてごめんなさい。
それから、4レス目が読み難くてごめんなさい。
改行とか勉強しなきゃならんなと思いますた。
近日中に更新いたします。
8 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2003/12/14(日) 15:25
妖しく微笑んで、噛み付くような接吻をアナタに贈った。
また、貪るように舌を絡ませあって、
我慢しきれずに側にあったソファにアナタを押し倒した。
私の突然の行為にもアナタは驚かずに、
捕らえた私の舌にやんわりと噛み付いた。
どうやら主導権を奪い返したいらしい。

私は判ったと頷く代わりに、
アナタの鎖骨にキツク吸い付いた。
口の中に血の味が広がって、
私はより一層、この上もなく興奮した。
9 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2003/12/14(日) 15:29
ついばむような接吻を繰り返しながら、
アナタが私の夜着をゆっくりと脱がしにかかる。
だんだんと口吻に夢中になりながらも、
私も必死に指で探りながらアナタの服を脱がしていく。

上の服を取り去って、お互いが半裸になったとき、
アナタが私の上に覆いかぶさって、そっと抱いてきた。
触れ合うお互いの素肌。
アナタの真っ白な肌は少し冷たくて、
触れたところからジンジンと熱が膨れて、
私たちを一つの熱の塊にしていくようだ。
恍惚に溺れながら、相手を抱く腕に力を込める。
10 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2003/12/14(日) 15:29
ああ。

天国だ、天国だ、天国だ。
ここが天国。
アナタと居る天国。
11 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2003/12/14(日) 15:33
夢なんかじゃないと、
強く強くアナタを抱きしめて、そのまま接吻する。
何度も何度も角度を変えて繰り返される口吻に、
唇の端から交じり合った二人の唾液が零れた。
その跡をアナタが唇で辿りだす。
ドクンッと体の中の熱が大きくなるのを感じた。

薄く開いた唇から、真っ赤な舌が覗く。
ペロリと私の首筋を軽く舐めながら、耳へと移動して、
それから耳朶を甘噛みする。
私の唇から堪えきれない吐息が漏れる。
誘うように、髪を掻き分けて、自分の首筋を露にする。
吐息のような声を漏らすと、アナタは少し苦笑して、
私の首の根あたりに咬みついた。
12 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2003/12/14(日) 15:34
そうよ。

そのまま私の血を吸って。
私はアナタに血を吸われて死にたいの。

愛しい私の吸血鬼。
13 名前:もりもと 投稿日:2003/12/14(日) 15:35
少ないですが、本日はここまで。
14 名前:_ 投稿日:2004/03/06(土) 20:45





15 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2004/03/06(土) 20:51
「・・・ふっ・・・ぅんっ」

白い指が私の乳房を柔らかく揉む。結局いつもアナタは私の血は吸わない。
誤魔化そうとしたってダメよ。 私はキッと横目で睨んだ。

「・・・んあっ」
私の胸の頂が強く指で弾かれる。漏れる声。
じわじわと押し寄せ始める快楽の波に抗うことなど出来なくて、私はあっさりとアナタの目論みにハマっていく。

アナタの舌と唇と美しい指とが私の体を翻弄して、
私の体の中で膨れ上がった熱が出口を求めて、激しく暴れまわる。
私は狂喜と恐怖とに揉みくちゃにされながら、アナタの名を必死に呼ぶ。
這い回るアナタの紅い舌に気が狂いそうになる。

ああ、私アナタに殺されたい。殺されたいの。

16 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2004/03/06(土) 21:00

優しい声が私の名を呼んで、見上げるとアナタが微笑んでいた。
そのまま視線を絡ませながら、いつの間に下着を脱がしたのか、私の露になった太股の間に顔を埋めた。

「……ハッ、っぁ……んんっ」
堪えても堪えても喘ぎ声が漏れた。
それに比例して大きくなっていく卑猥な水音が私の脳を侵蝕して何も考えられなくなる。
舌の先で甘皮を捲られたときには死ぬかと思った。
真っ白な世界が私を覆い尽くして、世界にはアナタだけが残るの。
私の耳にはアナタの声だけが残る。

ああ、アナタを愛してる。
愛して愛してどうにかなってしまいそうな程。

17 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2004/03/06(土) 21:11

私の中にアナタの指がゆっくりと押し入って、背筋に歓喜が震え走る。
溢れ出す体液も、漏れる吐息も、零れ落ちる涙も、沸騰する血も、みんなアナタのモノ。

一滴も残さず舐め尽して、喰らい尽くして。
もっともっと私を愛して。私を殺して。


爆発しそうな熱情が私の体を突き破ってアナタへと向かいたがる。
もう少し、もう少し。激しく腰を振るう。
頭の中はぐちゃぐちゃで、何に向かっているのかも判らなくなりながら、
それでも体は極みに駆け上っていく。

シーツを握り締める指の先が痙攣し始める。
何かが背骨を食い破って中から出てくる感覚。

その恐怖の瞬間、内壁を一際強く押し上げられた。
私は絶叫しながら、昇りつめて、そして果てた。

18 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2004/03/06(土) 21:19
荒い息を繰り返す私を抱き締めて、それからアナタは私の瞼に柔らかい口吻を一つ。
私はそのまま目を瞑って息が落ち着くのを待つ。
アナタは私の髪を手櫛で梳きながら、好きだよ、と囁いた。

目を開けて、不満気にアナタを見ると、アナタは困ったように微笑んだ。
まだ力の入らない腕を伸ばして、強引にアナタを引き寄せる。
それから、その白い首筋に軽く咬みついた。

優しくて、愛しくて、でも残酷な私の吸血鬼。
ねぇ、本当は私、天国になんて行けなくていいの。

悪戯に薄い肌に犬歯を突き立てた。鮮やかな紅の痕。
指の先で愛でたなら、アナタがまた困ったように微笑んだ。

19 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/06(土) 21:20



更新ここまで。



20 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2004/06/21(月) 22:42


闇の中で目覚めると、夢の続きを見ているような、それでいながら、
意識ははっきりと覚醒しているような、そんな不思議な気分になる。
それは私がこの世で4番目に好きな瞬間だ。

3番目は、半分眠りに落ちながら、ふわふわ飛んでいきそうな意識の中で、耳元で囁くあなたの声を聞く瞬間。
洗い髪を掻きあげた彼女の首筋の匂いを嗅ぐことが2番目に好きなそれ。
そして1番目は、そう、もうすぐ。

ギシギシと古い階段を上ってくる音が、いつものとおりに耳に心地よい。
3歩目、4歩目。音がする度ブツブツと口の中で数える。
5歩目を過ぎてからは、あと、6段、5段。そうブツブツと。
スッスッとすべりのよい廊下の上をスリッパで歩く音。
こちらに近付けばより大きな音になるはずなのに、この人の場合はいつも逆。
ドアに近付けば近付くほど、小さな音で。
つまり、私を驚かせたいらしい。もっとも、その思惑は外れっぱなしだけど。


「コンコン」
声に出せば、同じタイミングでノックの音。
クスクス笑うと、部屋に入ってきた人が首を傾げた。

「なぁに」
「べつに」
「なにか笑ってたじゃん」
「べっつにぃ」

なによ。
ちょっと膨れてみせる、かわいい人。
もっと顔がよく見たいよ。あなたの瞳に映る私が見たいんだ。
21 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2004/06/21(月) 22:47


ルームランプに伸ばす指をそっと包み込まれた。
私が部屋の灯りの中で彼女を見るのが好きなように、
彼女は少し暗い部屋の中で私を見るのが好きらしい。

あのね、ちょっと暗い部屋で見るとね、ひとみちゃんだけ輝いて見えるんだよ。
ひとみちゃんが羨ましいな、だって私黒いからさ、と言って舌を出して笑った彼女を、信じているけれど、でも、やっぱり。
少しだけ、そう、ほんの少しだけ、不安を、覚える。


ねぇ、私が好きなの? あなたの瞳に私は映ってる?
柔らかく包みこまれた指先は、自分とは違う人の体温を私に教えて、だから私は納得する。何かが暴れだす前に。
それがムリヤリかどうかは、考えない。
そう、考えたって仕方のないことだ。世界には二人だけなんてそんなこと言わないけど、
でも、今ここには私と彼女しかいないのだから。

22 名前:もりもと 投稿日:2004/06/21(月) 22:50


問題だらけの更新終了。
なにがって、2レスとかありえれいな。


23 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/21(月) 23:10
なんとなく覗いてみれば更新されてた…
まだまだ物語の全貌が見えてきませんが続きを楽しみにしてます。
24 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2004/08/08(日) 11:43


世間では私のことを吸血鬼と呼ぶらしい。
吸血鬼は夜ごとその生贄を求めて彷徨い歩く、そう言われているらしかったが、少なくとも私はそうではなかった。
私が飲みたいのは、彼女の血だけだ。
うすら寒い世界から私を連れ出した人。太陽の人。

絡めた指を引き寄せて、手の甲に口付ける。
暗い部屋を望む彼女と、彼女を灯りの中で見たい私の要望の間をとって
ほのかに灯されたランプが彼女の頬をオレンジ色に弾いている。
鼻に残る熟した果実のような濃厚な匂いに気分が高揚するのを感じる。
下の先でざらりと犬歯をなぞって、うつ伏せる彼女の首筋にキスをする。
その滑らかさをもっと味わいたくて、ぐいぐいと押し付けるように舌を動かすと、
仔犬の鳴き声のような甘えた声が聞こえだし、私の中でぐるぐると混ざり合う血が、激しく燃え広がった。

また、夜が始まる。

25 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2004/08/08(日) 11:46

いつも通り闇の中で目覚めて、そしてまた1日が始まる。
昨日と少し違うのは、今日は久しぶりに外出するということだ。
どのくらいぶりなのかと考えていたら、私の表情を読み取った梨華ちゃんが、2週間ぶりかな、と教えてくれた。少し困った笑顔で。


部屋を出た途端、もわんと纏わりつくような夏の息吹。
マンションの灯りが道に光を投げて、眩しさに目を細めていると、梨華ちゃんが私の袖を引っ張った。
控えめな花柄の白のワンピースから伸ばされた彼女の肩が艶やかで、思わず苦笑する。

「なぁに」
「べつにぃ」
「笑ってたじゃんー」
「べっつにぃー」

むぅ、と彼女がむくれる。
今日はなんだか頬が膨らむというよりも、アゴが突き出る感じ。
それがまたおかしいけれど、本人はとてもアゴを気にしているので、そんなこと言えやしない。

それがまた顔に出ていたんだろうか、
なによ、笑顔で問い詰め寄られて、私はとてもあやうい感じ。
うん、あのね。その、あ、あ、

「アゴーン!」
そうそう。アゴン。アゴンなのよ。って、えぇ?!
振り向くと、そこには誰もいな……ちがった。小さな巨人がそこにいた。

アゴ……いや、梨華ちゃんは、もー、まりっぺやめてよー。と顔を真っ赤にしている。

「いよぅ! 元気だったかー」
ご近所様にもおかまいなく大声をあげるのは、小さな巨人こと矢口さんだった。

「あの、元気ですけど……もうちょっと小さ」
「アゴンは相変わらずアゴンだなぁ。きゃはは」

な声で話しません?
続きは口の中でもごもごと消えた。
まったく、この元気な人には敵わない。
梨華ちゃんを見ると、彼女もまた呆れたような、困ったような、でも優しい笑顔で矢口さんを見ていた。

26 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2004/08/08(日) 11:48

矢口さんは、私と梨華ちゃんのことを知る、数少ない人だ。
それでいながらこんな風に当たり前みたいに接してくれている。
あんまり口には出さないけど、本当に感謝している。
矢口さんがいなかったら、きっと私と梨華ちゃんは、ずっとあの部屋の中で、閉じた時間を過ごしていただろう。
もしかしたら、もう死んでいたかもしれない。
死んで……。
そこまで考えて背筋をゾクゾクと這い上がってくるものに気付く。
死んで……。
死ん……。
死。

27 名前:白馬に乗った吸血鬼 投稿日:2004/08/08(日) 11:49

「よっすぃ? どうかした?」

ボーっとしていたらしい。
覗き込んでくる梨華ちゃんの少しだけ心配そうな顔。
ん? そう? と曖昧に笑ってさりげなく視線を外したら、じっとこちらを見つめている矢口さんと目が合った。
素早く眉根を寄せて、私に合図を送ってくる。
はは。やっぱり矢口さんには敵わない。
心で苦笑しながら、私はもう一度梨華ちゃんを見た。

「だーいじょーぶだって」
わざとおちゃらけて言うと、少し複雑そうに笑った彼女。

「そーうそう、アゴンは心配性すぎんだよなぁー」
続けて、もうひとみちゃんったらぁ、と梨華ちゃんの真似で頬を膨らませてアゴを突き出す矢口さん。
「そんなにアゴ出てません!」
「何言ってんだよー、おまえこのくらい出てるだろー」

とうとう堪忍袋の緒が切れた梨華ちゃんと矢口さんが、
虫。アゴン。かめ虫。アゴン星人。と不毛な言い合いを始める。
たはは。でも、とても微笑ましい気持ち。
それから。少し後ろめたい、かな。
もし、私がいなければ……。

そこまで考えて、また矢口さんと目が合った。
私をたしなめるように、恐い顔をして、それから、目顔で梨華ちゃんを差す。
はぁ。本当、頭が下がります。

「梨華ちゃん、そろそろ行こうよ」
「だってまりっぺがー」

右手で彼女の肩を捕まえて、耳元に唇を寄せた。
大丈夫。梨華ちゃんは可愛いよ。
血流の爆音が聞こえはしなかったけれど、梨華ちゃんはすぐに赤くなった。

「よっすぃ……」

トロンとした梨華ちゃんの瞳。
うん? 梨華ちゃん?
あの、顔が近付いてくるんですけど。あの、その。
ちょっ。こんな外とか、あの、矢口さんもいるし、だから……。
矢口さん、が。矢口さんとか、や、やぐちさ……。

ニヤニヤ

「や、矢口さん、ニヤニヤしないでくださいー!」

きっと一番近所迷惑だったのは、悔しいけれど、私だった。……かもしれない。

28 名前:もりもと 投稿日:2004/08/08(日) 11:56


更新終了。


>23
ありがとうございます。
まさかここにレスがつくとは思わなかったので、喜びです。
にも関わらず、相変わらずの更新速度。
これからは少し早めていきたい……と思います。
これからも読んでくださることを祈っております。
29 名前:放置慢性ってなわけで短すぎる小話 投稿日:2004/10/12(火) 22:19



言葉を唇で押し止められたのは、彼女の家に来てこれで3回目だ。
だから、つまり、今日5回目ということになる。
ついでにいうなら、私が生きてきた中で交わした口付けの数ともぴったりイコールだ。
全て彼女に奪われて、そうして私は今、何故かというべきか、なるべくしてなったというのか、ともかく、彼女の部屋でふたりきり。


一度唇が離されて、興奮を抑えるように緩く漏れる彼女の吐息が濡れた唇にあたる。
頬のあたりを指が遊んで、そうしながらも私が嫌がっていないかどうかちらりと伺ってくる。
何をいまさら。何度も勝手に人の唇を奪っておいて。
私はなんだか可笑しくなってくる。それが顔に出たのか、彼女が少し首を傾げる。
なんでもないよ、と返したら、ふーんと唸って、すっと視線を外す。

普段はオラウータンと揶揄される彼女の顔は、でも、とても美しい。
横顔のラインを辿れば、唇が。
斜めに伏せられた睫毛が。私を射すくめる瞳が。

スッと開いた薄い唇からアゴにかけてのラインが艶かしくあえぐように動いて、
なにかを決意するように上を向いた視線が、またすぐに虚ろになる。
そうすると彼女は途端にそのまますっと消えてなくなりそうで、胸のあたりがズキズキしはじめる。
どうにかして、ここへ。私のところへ。


30 名前:放置慢性ってなわけで短すぎる小話 投稿日:2004/10/12(火) 22:20
さっきまであんなキスを仕掛けてきたくせに、その張本人は、私と目が合うなり悲しく笑った。

「ご……っ」

ごめん、と彼女が言ってくることはわかっていたから、
今度は私が言葉を押し止める番だった。
6度目の口付け。
こんな風に奪うのも、悪くない。
頭のてっぺんが痺れるように熱くて、触れた唇は、ふにゃふにゃでとけそうだった。
愛ちゃんも、奪われるのも悪くないって思ってるのかなって考えていたら、
彼女の舌先が私の口内へちょっと強引に潜り込んだ。

まったく。
私は熱に呻きながら、ちょっと苦笑する。
不安がっていたかと思えば、こんな風にやっぱり強引で。
愛ちゃんのこういうところ、思っていたよりもずっと好きかもしれない。

私の首に回された腕が強く左肩を掴んで、そのままゆっくりと斜めに折り重なる。
ちょ、ちょっと。まって、これって、つまり。つまり。


「ちょっ……」

7度目の口付けは、今までよりもずっと長くて、荒々しい。
やっぱり、奪われる方が好きだ、なんて考えてる間に、ほら、私たちは鳥になる。
青いシーツはどこまでも澄み渡り、私たちは不器用ながらもずっとずっとと飛んでいく。
縺れるように啄ばんで、飛んで。
キラキラと漏れる光に導かれるように、空は今彼方へと続いていく。ずっとずっと続いていく。


31 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/12(火) 22:23


短すぎる小話終了。
本当に短いですね。2レスて。
しかもこれ余所で書いたのそのまま持ってきたやつだし。さぶっ。

32 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/18(月) 11:57
定期的に覗いていますが、更新されていたとは・・・
遅くても、徐々に進んでけば良いかと。
短編良いです。でも本編も期待して待ってます。
33 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/19(金) 16:35
本編のほうすごく面白いです。
続きかなり気になります。
更新がんばってください。

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