飯田探偵事務所〜謎の影〜
- 1 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/18(木) 21:53
- 飯田さん中心に、軽く書いてみようかと。
舞台は東京・・・謎の鍵を開けます。
Are you ready?
- 2 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/18(木) 21:59
- Yes!
楽しみにしてます
- 3 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/18(木) 22:00
- 東京、副都心新宿。
今日も朝から人が絶えず、サラリーマン、学生、リーマンやギャルなどがたむろってる姿もある。
その人混みの街に、古ぼけていてる建物が一つ。看板にはこう書かれたある。
「飯田探偵事務所」
その探偵の印象はと言うと、「怪しい」「何か怖い」「いつもタバコ吸ってる」「危ない仕事も引き受ける」などと、とても褒め言葉には思えない。
中を覗いてみると、ソファに寝転がり、寝息を立てている男・・いや、女が一人。
この女こそ、事務所の主、飯田・・飯田圭織だ。
- 4 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/18(木) 22:10
- 部屋は散らかり、書類が散乱。とても女性に見えない、と思う。
「ん・・・ん・・ふわぁぁ・・・」
どうやら目覚めたようだ。が、目覚めた瞬間、好みであろう、セブンスターの柄の書いたタバコを出し、火をつける。
「やっぱ朝はこれだね・・・フー」
何言ってんだか、と思われる一言だ。これでは女性、と言えない。むしろおっさんである。
「んー・・・さて!どうするかな」
背筋を伸ばし、紺色のジャケットを着て、コーヒーでも入れるのか、キッチンに向かおうと立ち上がった。
と、その時である。扉に手でノックするような音が聞こえる。
「はい、どーぞ」
うざったそうに答える飯田。入ってきたのは、高校生ぐらいだろうか?普通の少年・・と言える男が入ってきた。
「あの、依頼を・・・お願いしたいんですけど」
- 5 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/18(木) 22:21
- 飯田はその言葉を聞くなり、キリっとした顔に。
「どうぞ、そこにかけて。あ、何か飲む?」
現金なものである。依頼、と来れば気分反転だ。・・・金の亡者、とも言える。
「あ、いいです・・それより、聞いてもらえますか?」
飯田は動きをピタ・・と止めた。探偵の第六感か、何かを感じ取ったのだろう。
「人を捜して欲しいんです。これ・・」
少年は写真を出してきた。少し薄汚れた写真。移っているのは女性だった。
「ふーん・・・これねぇ。で、依頼金は?」
情報よりもまず金。やはり・・金の亡者確定である。
「30万」
飯田は固まった。30万である。これならばしばらくは独りだから困らない。
「・・受けたわ!・・あと、情報が欲しいんだけど」
- 6 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/18(木) 22:21
- 本日はここまでです。
>名無し読者さん
OK!Come on my world!
- 7 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/19(金) 20:35
- 飯田はすかさずポケットからメモと万年筆を取りだした。
「この子の名前は辻希美。高校生です」
少年の言葉に頷きながらメモを取る飯田。が、その次は予想外の言葉だった。
「それだけです」
膝をガクっとさせ、体勢を崩す。そりゃそうだ、これだけでは何もわからない。
「もっと他ないの?他っ!」
飯田がちょっとムっとした瞬間・・・異変が起こる。
「それ
からは
自分で調
べてください・・・」
飯田は突然目眩に襲われ、テーブルに手をつきうずくまる。苦しそうに歯を食いしばりながら。
「な・・何!?」
少年の言葉が変に聞こえ、姿を何とか見ようとするがうまくいかない。
「あな
たなら・・全
て知ってくれ
る・・・そして
救っ
てください・・・」
少年の言葉が消え、目眩もおさまってくる。息を荒くしながら姿を確認しようとするが、もう既に姿を貸していた。
「何か、ヤバそうね・・これ。30万のハズだわ・・・」
飯田はギュっとメモを握りしめ、道具の準備を始めた。
- 8 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/19(金) 20:44
- 鞄にタバコのストック、探偵の秘密道具(飯田はこう呼んでいる)、資金、そして・・拳銃。
「こんなもんかな・・ああ、あとメモだ」
ポケットにメモを詰め込み、事務所の階段を下りて、外に出た。うーんっと背伸びし、顔をパンパン叩いて「おしっ!」と気合いを入れ、駅に走った。
電車に乗り、着いた先は渋谷。さすがに人通りは多いが、かまわずスタスタ歩く。と、その時飯田は気づいた。
「・・・どこ行けばいいの?」
何も考えずにここまで来て、正直今更である。後先考えないと失敗するということを知らない女だ。
「あ、そだそだ!」
長い髪を揺らし、タッタッタと走っていく。何か思いついた、という顔は輝いて見えるから不思議だ。まあ、こういう所が「美人な面」なのであろう。
「ここだわ。いるかな?あの人」
カランカランと音の鳴る扉。飯田はサッと入っていき、扉をバタン、と閉めた。
肝心の店の名前は「Youkth」と書かれてあった。
- 9 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/19(金) 20:46
- 今日は(多分)ここまでです。
文字は効果ですが、見にくいかもしれません・・・。
- 10 名前: 投稿日:2003/12/20(土) 02:08
- お気に入りに追加しました
面白いです、続きめちゃくちゃ楽しみです
- 11 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/20(土) 20:05
- 飯田が立ち寄った「Youkth」という店。
飯田が渋谷に行くと必ず立ち寄る店で、女性マスターが経営している。淡い電気に静かな音楽。まさに大人のバーと言える。さすがにまだ昼過ぎなので、酒を飲む人は少ない。
「ん?・・何や、あんたか。久しぶりやんか」
店に飯田が入るなり声をカケル、金髪で・・見た目30過ぎぐらいだろうかと思える女性。にこやかだが怒ると怖い。
「マスター・・・いや、裕ちゃん。どうもお久し!」
手をビシっと揚げ、カウンターに座る飯田。裕ちゃんと呼ばれたマスターは苦笑いし、尋ねた。
「で、今日は何しに来たんや?まさかこの真っ昼間から酒やないやろな?」
ニィっと意味深に笑うマスター。飯田もまた苦笑いし、手を横に振る。
「違うよ。聞きたいことがあるんだ・・・」
そう言ってマスターに顔を近づけ、真剣な表情になる。マスターもそれを察してか、真剣な表情に。
バー「Youkth」のマスター、中澤裕子は店の経営だけでなく、情報屋という名でも世負っている。と言っても、渋谷の中に限ったことであるが。
- 12 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/20(土) 20:17
- 「これ何だけど、ね。何か知らない?」
胸ポケットから「辻希美」の写真を出す。中澤は写真を手に取り、まじまじと見つめる。
「少女・・やね。高校生ぐらいか」
中澤はふーんっと声を出し、腕を組んで考えている、がまだ言葉を飯田に求めている表情だ。
「名前は辻希美、高校生だね。それ以外はわかんないから、聞きに来たんだけど・・・」
中澤は写真をポンとカウンターに置くと、首を横に振る。まったくわからないよ、といった感じだ。
「そっか・・うーん」
飯田は落胆した表情で突っ伏す。渋谷で情報を得られるのはここだけである。それでないとしたら、それでもうお手上げだ。
「そやけど、まだ情報があるかもしれへん」
中澤の呟きに、飯田はバっと顔を上げる。他の客に酒を私ながらさらにこう言った。
「ある所にな『ブラッド・ウェイ』っちゅ店あんねけどな。地下カジノや。そこやったらもしかしたら、やけど」
飯田は鞄に写真を詰め、颯爽と出ていこうとしたが中澤が声をかけて止める。
「でも、注意せぇ。あそこはマフィアがおんねん。ヘタうったら・・・ズドン!や」
中澤は指で撃つ真似をした。飯田は振り返り、苦笑。そして手をヒラヒラさせて店を出ていった。
「危ない仕事やな・・また。まあ、アイツがおらんようになったのも、そういう仕事やったけど、大丈夫かな?」
心配そうな言葉を誰ともなく、天井に向けて言う中澤だった。
- 13 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/22(月) 13:54
- 飯田は中澤に教えられた「ブラッド・ウェイ」に向かっていた。
「マフィア、ね。あんまいい思い出ないな・・・。」
飯田は過去に、仕事で何度もマフィアと遭遇している。銃撃戦、奪還、重傷を負ったことも。そして、極めつけは、相棒をうしなったことだ。
「次は守ってくれる人なんかいない。自分で頑張らなきゃ」
おし!と気合いを入れ、走っていこうとしたその時、携帯が鳴り響く。あやうく飯田はこけそうになった。
「もしもしぃ!?」
不機嫌そうに携帯を取る飯田。電話の相手は、女の、少し幼い声。
「いい態度ですね、飯田さん。人に情報収集頼んでおいて」
- 14 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/22(月) 16:11
- 飯田の体がビクっとなり、焦った表情を浮かべる。
「え?いや、あははは・・今か今かと待ってたわよ、紺野様〜」
電話の奥で軽く引いているのが何となくわかる程、飯田は猫なで声。
「気持ち悪いです。で、調べたんですが・・・何件かヒットしましたよ」
飯田はパチンと指を鳴らし、喜びの表情。その雰囲気を感じたか、紺野はため息である。
「とりあえず、そっちの携帯に送りたいんですけど・・・」
飯田は何?という顔で、とんでもない切り返しをかます。
「そんな機能ないよ」
紺野が電話の奥でガシャーンという物音を立て、コロンだようである。今時、どんな機種なんだ、飯田。
「わ、わかりました。じゃあ後で来てください。もう少し調べておきます」
電話がピッツリ切れた。飯田は再び気合いを入れ、渋谷の街を走った。ケバイ女、ダサイ男、今時の男女、サラリーマン風の男など、かき分けて走っていく。
そして、「ブラッド・ウェイ」の階段の前まで到着した。
- 15 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/22(月) 20:55
- 「ここ、か」
地下に降りると、カジノの雰囲気と共同して怪しい雰囲気、怪しい人間の匂いがぷんぷんする。
「とりあえず、人に聞かないと」
飯田はまず、奥にいた男に話しかけようとする、が黒人の大男が立ちはだかる。
「Do you want help?」
柔らかい言葉だが、目は笑っていない。何かあればいつでも殴る、と言った感じだ。
「Not at all」
飯田は苦笑いし、手をヒラヒラ振って離れた。他にいないか、とキョロキョロすると、同じぐらいの年齢か、少し年下の女がいる。
「あの、聞きたいんだけどいい?」
女は振り向くと、うざったそうな顔で「何?」と答えた。
「この子探してるんだけど、知らない?」
写真を見せると、ひったくるように取って、まじまじと見る。
「知らない、全然〜」
こいつ殴ってやる!と飯田は思ったが写真を受け取り、笑いながら離れた。
「ダメだ、収穫は・・・」
と思った瞬間、両方の肩を誰かに捕まれ、引っ張り込まれた。見ると、さっきの黒人と、真ん中にいた男だ。
「お前、俺の妹に因縁つけてたな?」
飯田は違う!と言おうとした瞬間、後頭部にドッ!という音と共に激痛を感じ、意識を失った。
- 16 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/22(月) 21:08
- 「う・・・」
飯田が目を覚ますと、外の暗い路地に放り込まれていた。起きあがろうとしたが、体中に激痛が走る。
「どんだけ殴られたんだろ?ま、犯されなかっただけマシよね」
笑いながら立ち上がり、持ち物を確認する。財布、拳銃、携帯・・Etc。とりあえず鞄の中には全てある。
「ね、大丈夫?」
振り返ると、さっきのカジノの女。確か、さっきの男の妹言っていたか。
「あんた、無鉄砲だね。何も知らないであっこに入ってきたんでしょ?」
飯田は頷き、鋭い目つきで女を見た。女は気配を察し、手を横に振る。
「あ、私何かしに来たわけじゃないから。私、真里。矢口真里って言うの」
さっきは気にならなかったが、小さい。150ないだろうという身長の、金髪の女、いや女の子?しかし顔は同じぐらいか、と思える。
「探偵の飯田よ。さっきも聞いたけど、この女の子、知らない?」
矢口は写真を再び取り、少し頷く。何か知っているようだ。
「あのね、こっから・・少し行った所に『At』って言う喫茶店あるんだけど、そこで・・」
飯田はバっと食いつき、真剣な表情で矢口の肩を持つ。
「見たの!?」
矢口は少し離れ、微笑みながらメモを取り、地図を書いて渡す。
「ここなんだけど、見たよ。確か、男の子といたと思う」
飯田はメモを受け取り、矢口の頭をポンポンと叩いて微笑む。
「それと、これから何かあったら相談乗るよ?あの店だったら顔きくし」
ニっと笑う矢口。飯田はありがとう、というように微笑み、走っていった。
- 17 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/22(月) 21:08
- 本日、ここまでです。
- 18 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/24(水) 20:01
- 飯田は地図を見ながら「At」を探していた。
「・・・どこ?」
自慢ではないが、飯田は天性の方向音痴である。地図を見ながらでも、既に「At]探して2時間。普通に行けば20分ぐらいなのだが。
「仕方ない。」
周りを見渡し、路上にいる人に聞くことに決めた。歩いていた男に声をかけ、聞くとまず笑われた。
「そこだよ、看板見えない?」
フっと指を指された所を見ると、目と鼻の先に、看板「At]
「・・・ありがと」
消えそうな声で礼を言った。そりゃそうだ、恥ずかしくてたまらないだろう。
そして、「At]の前に。『準備中』のパネルが扉についたいた。が、かまわず飯田は入っていく。
「すいません、まだ開店してないんですけど」
高校生ぐらいの女の子が愛らしく微笑み、申し訳なさそうに答えた。
「私は客じゃないんで。ちょっと聞きたいことがあってね」
煙草に火をつけ、コートの裾をピっと伸ばす。女の子が不思議そうに首を傾げ、奥に入っていった。
- 19 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/24(水) 20:18
- しばらくして、さっきの子と、もう一人、男が出てきた。
「何?あんた誰だよ?」
不審な人を見るような、疑いの目で飯田を見つめる。懐に手を入れ、名刺を取りだし、ピンと飛ばした。
「飯田探偵事務所・・・所長、飯田圭織。その探偵さんが何か用?」
飯田は煙草をフーっと吹かすと、椅子に座って写真を取りだして、テーブルに置く。
「この子、知らない?辻希美っていうんだけど」
2人の表情が強張る。空気がシン・・と張りつめ、沈黙が訪れてくる。
しばらくして、ようやく男の方が口を開いた。飯田の目を見据え、ゆっくりとした口調で答える。
「あんた、希美の何を知りたいんだ?」
飯田がピクリ、と眉を動かす。見ると、女は少し怯えたような、驚いたような・・複雑な表情で俯いている。
「まず、この子、どこにいるの?依頼を受けたの。探して、って」
男は俯き、ため息をつく。飯田はそのため息の意味が理解できず、「何?」と答えた。
「死んだよ。希美はもうこの世にいないんだ」
男が振り絞ったような、苦しそうな口調で答える。飯田は驚き、口を開いたまま黙ってしまった。
「自殺、だって。私たちは納得してないんだケド」
自殺。その言葉にますます固まってしまう飯田の思考。
と、もう一つ聞くべきことがあった。そう、一緒にいた男。その人はまさか―――。
「一緒にいた男?ああ、遠野礼治(トオノレイジ)って言うんだけど」
写真を見せて欲しい、と頼むと、渋々ながら見せてくれた。そこにいたのは、今居る2人に辻希美、そして―――依頼人の男、遠野礼治と呼ばれた男だった。
- 20 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/24(水) 20:18
- 本日、更新終了です(多分)
- 21 名前:名無し 投稿日:2003/12/25(木) 10:24
- 面白いから期待保全
- 22 名前:名無し 投稿日:2003/12/25(木) 16:13
- 「そういうこと・・でも、どうして?」
独り言を呟き、納得いかないと言った表情の飯田。それを見ていた2人は、首を傾げた。
「ま、そういうことですから。すみません」
謝られ、飯田はとんでもない、と手を振った。そして、店から出て、空を見上げた。
「これで、終わり?」
依頼の女性は死んでいた。情報はない。途方に暮れていた飯田だが、妙に引っかかることがあった。
「情報。辻希美の自殺は何故?そして、あの依頼人、妙だったし・・・」
飯田はタバコを取りだし、火をつける。
「自殺。これ、どういうことか調べるのは・・あそこしかないっか!」
飯田は走った。人をかき分け、必死に。日は沈みかけて、もう夜になりそうだった。
着いた先は、警察―――。
「まだ、いるかな」
どうやら、探し人を求めてきたようだ。しかも、自殺を調べた警察内部の関係者。
- 23 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/25(木) 19:59
- 「どういったご用件で?」
ニコニコした婦警が尋ねる。飯田は頭をかきながら、ある刑事の名前を言った。
「はい、少々お待ちください」
内線電話で呼び出している。飯田は壁にもたれかけ、しばらく待った。
「どうしたんです?突然」
出てきたのは、少し小柄な男。飯田のことを迷惑そうな目で見ている。
「よっす、岡田ちゃん♪」
岡田啓吾。飯田の昔のなじみで、階級は巡査部長である。飯田に情報を何度も迫られて胃痛。
「・・あの、飯田さん。守秘義務って知ってますよねぇ?」
恐る恐る岡田が飯田に聞く。飯田は深く頷き、ニッコリ微笑む。岡田がホっとした、その瞬間だった。
「でも、あんた歌舞伎町で・・モガッ!」
岡田が慌てて飯田の口を塞ぐ。どうやら、警察として言われてはいけないことのようである。
「わかりました、わかりましたから!今日は何ですか?」
飯田がしてやったりと笑うと、岡田はガックリ項垂れた。
警察署にある、コンピュータルーム。
飯田と岡田はPCの前に居た。飯田が調べて欲しいことを言うと、岡田がカタカタと打ち込む。
「自殺、ですか」
岡田は内心ホっとしていた。国家機密や警察の、深い事件まで聞かれるかもしれなかったからである。
「都内某日、渋谷の高層ビルから少女が転落、即死。名前は辻希美・・高校1年。自殺との断定で終わる」
飯田はうんうん、と頷いた。やはり情報はないのか、と諦め賭けた時だった。
「飯田さん、この事件・・あんまり突っ込まない方がいいですよ。おかしいです」
- 24 名前:ヘッポコ探偵J 投稿日:2003/12/25(木) 23:02
- 名前、他のところで使ってもそのままになるんだ・・。
で、更新終了
- 25 名前:名無し読者 投稿日:2003/12/28(日) 19:28
- 「はぁ?どういうこと?」
確かに、ただの自殺でおかしい、というのは変である。
「・・これは厳密なんですが、公安が動いてます」
「何ですって!」
飯田が大声を上げると、岡田が慌てて指で静かに!とジェスチャー。民間人と刑事がこういうことをしていると、問題なのだ。
「事実、自殺で終わらせておかしくないのに、再調査の命令が下りました。上層部の命令だから動いてますが、証拠や痕跡からも・・ね」
岡田の表情が厳しいものになる。コンピュータルームに、何とも言えない沈黙と緊張が走る。。
「それと、目撃者の話なんですが、一人の男がその、辻って娘と一緒にいたのを見かけたそうです。死んだ日にも」
飯田はハっとして、一人の名前を上げた。それは―――。
「遠野礼治・・・」
- 26 名前:へっぽこ探偵J 投稿日:2003/12/28(日) 19:34
- 岡田の表情が驚きに変わる。パソコンの電源を消し、凄い表情で飯田に迫る。
「飯田さん、何を知ってるんです!」
岡の迫りに驚いたが、事情を説明すると、落ち着いた。
「皆言ってますね。『遠野は普通の青年にしか見えなかった』って」
「そうだろうね。私も―――。」
違う。
飯田は思った。普通ではなかった、あの感覚、頭痛に目眩、言葉。普通なら起こりうることではなかったはず。それに、そういう報告もない。
「・・ださん?飯田さん!」
ハっとし、苦笑いして何でもない、と切り返す。岡田は心配していたが、止めても無駄だと知ってか、そのまま見送った。
「そういえば・・・」
岡田の情報によると、自殺したのは、某高層ビル。どうせならば、と思った飯田は・・・
「行こう。何かあるかも」
そう言って、また歩き始めた。謎と、背後に迫る影を感じながら。
- 27 名前:へっぽこ探偵J 投稿日:2003/12/28(日) 19:34
- また間違ってしまった_| ̄|○。
鬱だ、逝ってくる。
- 28 名前:へっぽこ探偵J 投稿日:2004/01/02(金) 21:13
- ビルの中はホコリ、ゴミ、崩れた壁や石が散乱しており、かなり進路が狭くなっていた。
「さて、どうしようかしら」
辺りを見渡すと、エレベーターを発見。しかし、電気が通ってないだろうから無視。次に階段を見つけたが、壁が崩れて阻まれている。
「これじゃあ無理ね。帰ろう・・・」
外に出て、改めてビルを眺める。と、端っこの方に道がある。
「非常階段・・これなら行けるかな?」
階段を一歩上り、上を眺める。
かなり高い。体力は、ハッキリ言って落ちている。ヘビースモーカーってことも影響している。
しかし飯田は上り始めた。いや、引き上げられたと言った方がいいだろう。
自分を振り回している、どす黒い影の正体を暴くために。
・・・
そして屋上に着いた時には、飯田の息はかなり荒くなっていた。
「ちょ、ちょっと・・きっつ〜!」
膝に手を置き、は・・は・・と息を整える。そして体を上げると、夕焼けが沈みかけていた。
「さあ、来てやったんだから、何かあってもいいわよね?」
- 29 名前:へっぽこ探偵J 投稿日:2004/01/02(金) 21:28
- 後ろからコツ・・コツと足音が響き渡る。普通なら聞こえないでもおかしくないが、何故か耳に残る。
「やっと、来てくれた」
この声は忘れられない、依頼主の声・・遠野礼治の声だ。
「さあ、教えて頂戴?何故まわりくどい事をしたのか。」
遠野はフっと笑い、そして冷たい空気が肌を刺す中、こう言った。
「全てを知って欲しかった。そして・・」
あの感覚。また、ひどい目眩に襲われてくる。しっかり意識を保とうとするが、膝をついてしまう。
「そし
て解
放をし
くだ
さい・・・
全てを・・・・」
再び正常に意識を保った時、あた遠野は消えた。渦巻く謎。巻き込まれる自分。恐怖。
「ほんと、割にあわないわね。・・死があるかも」
飯田はそう呟くと、階段を下りていった。
降りきると、携帯の着信音が鳴り響く。電話を取ると、相手は紺野だった。
「調べてたこと、進展ありしたよ」
- 30 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/05/09(日) 22:01
- 更新待ってます。
何度かここを訪れているのですが・・・。
- 31 名前:紺ちゃんファン 投稿日:2004/06/06(日) 18:11
- つづけて失礼・・・。
ここ1ヶ月まってるんですが・・・何か来れない事情でも?
もしあるんならまってます。早めに更新できるといいですね。
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