もっと心行くまま短編集。

1 名前:如月 投稿日:2004/01/05(月) 14:21


なんの捻りも無いパート2です。
内容も前スレッドとほぼ同じです。

如月は石後ラブなので、主なカップリングは石後です。

が、時折石川サンを他の誰かと絡ませたりもします。
ので、石川総受けとお考えください。


暇つぶしにもなりませんが、お付き合いくだされば嬉しいです。
よろしくお願いします。

2 名前:如月 投稿日:2004/01/05(月) 14:27

突然の知らせに驚いて、思わず書いてしまいました。

石後じゃないです。
カップリングじゃないです。
四期です。

それでも読んでやろうって方、どうぞ。
3 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:29





だからちょっと一休み
今だけ、今日だけ、この時間だけ

お願いだから、一緒にいさせて









4 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:30



「・・・まっさかののとあいぼんがねぇ・・・。」
「んー、ウチらも驚いたよなぁ?」



ちょっと飄々と話すのは、吉澤と加護。
現状をきちんと把握しかねて、現実味が無いのかもしれない。

知らされたのは、ほんの数十分前。
楽屋で二人がそのことをメンバーに伝えた後、なんとなく。
本当になんとなく、四期メンバーは自販機のところに集まっていた。


ソファに座って、少し俯く辻。
その横に腰を下ろしている加護。

加護は壁側にいて、その壁には吉澤が背中を預けて立っている。
石川は、三人に背を向けて、自販機の前。


普通でいるつもりで、実はそうではない。
四人が意図せず集まったのは、久しぶりだった。



5 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:30




「入ったころみたい。」



呟いたのは辻。



「・・・あーの頃はまだメンバーに馴染めなくてさぁ・・・」



それを拾ったのは吉澤だった。
懐かしむ口調に、加護も乗る。



「楽屋よりも自販機前にいること多かったなぁ。」



6 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:31




今ではそれぞれ仲の良いメンバーもいて、お気に入りもいて。
四人だけでかたまっていることなど、滅多になくなっていた。

仲が悪くなったということではない。
きっと、それが自然のことなんだろう。

たまたまオーディションで受かったのが同じというだけ。
ずっと一緒に、ずっと仲良く。
その方が、不自然なことなのだろう。



7 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:31




「中澤さんとか怖くてさ。」
「そうそう。だってキンパでカラコンだよ?」



クスクスと、吉澤と辻が笑いあう。



「最初、ごっちんも怖かった。」
「テレビ見てたら、印象クールだったもんね。」



『ねー、ねー』と、加護と辻が意見を共有する。
それに笑いながら、吉澤も頷く。

石川の立つ自販機からは、ガコンガコンと音を立てて、缶ジュースが落ちてくる。



8 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:32




「結構さー、ケンカもしたねぇ」
「てゆーか、それ特にあいぼんと梨華ちゃんね。」
「そうそう。うちら止めるのも聞かないからさぁ、最終時には放置だったね。」
「えー?」



『よく喧嘩をした』と言う加護に、それはお前らだけだと突っ込む吉澤と辻。
もう一人は、未だ会話に入らない。

見かねて、吉澤が壁から背を離す。
わざとらしい溜め息をつきながら、石川の背後に立って。


「あーもー梨華ちゃん泣くなよー」
「ぅー・・・」

9 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:33




ぐしゃぐしゃと、自販機に預けられている石川の頭をかき回す。
返す言葉は意味をなさず、うめき声しか出せない石川。



「つんくさんに話聞いて、驚いてさぁ・・・」
「そんで、次に浮かんだの、梨華ちゃんの泣き顔。」



辻と加護が、苦笑気味に言う。



「今から泣いちゃってどーすんのさ。まだコンサート先だよー?」



ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ。

目の前で小さくなって無言で涙を流す石川。
その姿から、だんだんと三人も実感していく。

この空気が、薄くなることを。


10 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:33



誰も何も言わない。
一言でも話せば、涙が溢れそうで。


しばらく、静かな時間が流れた。



11 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:33




「・・・梨華ちゃん、は、よく代わりに泣いてくれて・・・」



沈黙を閉ざしたのは、加護だった。



12 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:34




「泣きたくても、まだ子どもで、泣くことが、恥かしくて」



言葉を選びながら、自分の言いたいことを一生懸命探しながら。
加護は石川に話す。



「あーもー!って、なっちゃった時、泣いてくれたのは梨華ちゃんだったから・・・」



加護の言葉を聞いて、辻もすでに目が潤んでいる。



「だから今も、ホントは多分泣きたいんだけど・・・へーき。」



そう言って笑う瞳には、涙が滲んでいるのに。
石川の頭に手を乗せたまま、そんな二人を見て、吉澤が涙を零す。
それに気付いて、辻が驚愕に声をあげる。



13 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:34




「ぅええ!?なんでよっちゃん泣くの!!」
「ウッセーばーかばーか!泣いてねえよ!!」
「泣いてるやんか〜」
「そういうお前らだって泣いてるじゃん!!」
「「泣いてない!!」」

「ふはっ」
「「「てか梨華ちゃん笑ってるし!!!」」」



三人のコントのようなやり取りに、石川がふきだす。
同時に、ほぼ同じ言葉で三人から突っ込みが入って。

少し間を置いて、笑い出した四人。
笑顔には、まだ涙があるけれど。

あの日の、嬉しいだけの笑顔では、ないけれど。



14 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:35




「もう、寂しいよ――!!」
「梨華ちゃんそれ禁句〜!!」



石川と加護が叫べば。



「だー!チクショウなんで泣いてんのアタシ!!!」
「寂しいから――!!」



吉澤と辻も叫ぶ。



「卒業とかすんな―――!!!」
「無茶言うな―――!!!」



吉澤と加護の叫び。
そう、それが本音で。



15 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:35



ここが公共の場だということも忘れて、四人は泣いた。
それはもう、テレビでは流せないほどに顔を崩して。
円陣を組むようにして、抱き合いながら。

吉澤、辻、石川、加護。
まるくなって。



16 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:36




「・・・ガンバレよ。」
「そっちこそ・・・」



額をくっつけて、吉澤と辻がエール交換。



「泣きたくなったらおいで?泣いてあげるから・・・」
「何やねんそれ・・・泣かしてくれるんちゃうん・・・」



同じように、石川と加護が言葉を交わす。



「・・・まあ、夏までまだ時間はあるし。」
「そうね。まだまだ一緒だね。」
「せやな〜。まだ二人のお守りしたらんとあかんな?のの」
「だね〜。」
「「なんだと?」」



そして、また大声で笑いあう。



17 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:36




「じゃあ、取り合えず、こーんぐらっちれーいしょ〜ん♪ってコトで!」



石川が、自販機からオレンジジュースを取り出す。
四人分。



「私の奢りっ!」
「お、梨華ちゃん気前いいねぇ」



吉澤が、カシュっとプルタブに手をかけた。



「ありがとー」
「ありがとー」



同じニュアンスで言う辻と加護。
カシュ、カシュと、小気味良い音が響く。



18 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:37




「それじゃあ乾杯しときますか!」
「梨華ちゃん唐突〜。」
「ののに『唐突』とか言われるのは心外だな〜」
「まーまー、ハイじゃあ乾杯しよっか。」



その場を吉澤がまとめて、取り合えず四人は乾杯の姿勢。
こうやって、何度ジュースで乾杯しただろう。

増えたり減ったりするメンバーの中で、この四人は常に同じ記憶を共有してきた。
いつでも一緒に、乾杯してきた。


19 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:37



本当は分かっている。
夏のコンサートなんて、すぐに来てしまうこと。

今まで、大切なメンバーの卒業を経験してきた四人には。
半年などすぐだということは、身をもって実感してきている。


それでも、まだまだ一緒にいられると。
そう思いたかった。

続いてきた過去。
もうすぐ、分かれ道になってしまう。



20 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:38




「「「「かーんぱ――――い!!」」」」



カコンと音をさせて、四つの缶がぶつかり合う。



「あーっ!ちょっとのの!なにこぼしてるの!」
「えぁー?」
「もー、そういうとこは相変わらずだなー、ののは。」
「・・・しゃーないなぁ・・・。」



こんな日常も、積み重なって、思い出になる。

四人でやっと抱えている、たくさんの思い出。
はなれた後、きちんと抱えきれるのだろうか。

ずっと一緒だったから。
その先があまりにも不安定。



21 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:38




変わらずにいたい。


嬉しいこと。
なにも泣くことじゃない。
ステップアップ。
もっともっと、上を目指すんだ。

そんなことは分かってる。


心は理屈についていけない。
勝手に流れる涙は、そんなこと理解してくれない。

変わらずにいたい。





22 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:39









だからちょっと一休み
今だけ、今日だけ、この時間だけ

お願いだから、一緒にいさせて


今はただ、感じていたい

あたたかくて柔らかい
居心地の良い、この空気を


23 名前:+++はじめの一歩+++ 投稿日:2004/01/05(月) 14:40





            +++はじめの一歩・おわり+++
  

24 名前:如月 投稿日:2004/01/05(月) 14:47

>>2-23
ってな感じで。

これは、もう如月の思いです。
だから、彼女たちはこんな風には思ってねぇよ!って突っ込みは・・・勘弁してやってください。

モーニング娘。を好きになったのは、四期メンバー加入後からで。
当初はモーニングというよりも、彼女たち4人が好きでした。
多少変化しつつも、今も確実にある四期メンの絆のようなものに、すごく惹かれていました。

その絆がなくなるとは思っていません。
もうただ単純に、寂しいんです。

25 名前:如月 投稿日:2004/01/05(月) 15:01

前スレのお礼をさせていただきます。


719 春雷様

初レス、凄く嬉しかったです。
如月なんかにはもったいないお言葉を、有難う御座います。

今回は四期メンのお話しでしたが、基本は勿論いしごま。
せっかくいしごまスキーが増えたのに、書かないわけにはいきません(笑

受験生ですか。
一緒に苦しい受験期を乗り切りましょう!


720 つみ様

にやけてくださると、作者冥利に尽きるというか・・・。
嬉しいですね。
ありがとうございます!


721 ROM読者様

おめでとうございます。

今回は、さらに昔を思い出しながら書いてました。
まさか辻加護がくるとは・・・。

こちらのスレッドでもお相手くださるとうれしいです。


722 pj様

おめでとうございます。

あは!萌えてくださいましたか!!
嬉いっす。

如月も、お姉ちゃんな石川サンが好きだったりします。
ので、またああいうテイストの駄文、書けたら良いなーと思います。


723 sai様

おめでとうございます。

新年早々、お目汚し駄文で申し訳です。
サンタのリーダーは見てませんね・・・。
勉強不足で、さらに申し訳ないっす。

お引越しいたしました。
よろしければ、ご一緒くださいませ。


729 名無しさん様

如月も、『後藤さん』呼びの頃の石後好きなんです。
微妙な感じにゾクゾクします(危ない

楽しみにしてくださったスレ一発目が四期メンでごめんなさい・・・。
あくまでここは石後メインですので!

26 名前:如月 投稿日:2004/01/05(月) 15:03

ハイ。いきなり石後じゃないです。
四期メンです。

まあ、そんな感じでスタートするのも如月らしいかなと。
(どこがでしょう)


それでは、お付き合いくださった方、お目汚しを。
読んで下さって感謝です。

27 名前:つみ 投稿日:2004/01/05(月) 21:35
新スレおめでとうございます!
ちゃいこーです!
4期からもついにでてしまいましたね〜
でもこうやってホントに4人で話してそうですよね。
28 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/06(火) 02:46
新スレおめでとうございます。
本当にこんな会話してそうですね。
4期は1・2期とは違う絆があるような気がします。
家族っぽい雰囲気という感じがしますね。
お姉さん二人と妹二人って感じで…
次の更新も楽しみにしてます。
29 名前:pj 投稿日:2004/01/06(火) 12:27
如月さん、新スレおっめでとぉございまぁす!
私もこの二人が卒業ってテレビで聞いた時、正直びっくりしましたね。
あややイリュージョンまではいきませんでしたが(笑
私も4期には固〜い絆があるように思えます。
ま、この二人だけでなく、4人ともどんどん走り続けて欲しいですね。
・・・『ごっちん』のように!!
それでは、また甘甘な石後を期待しつつ更新楽しみにしております。
30 名前:ROM読者 投稿日:2004/01/07(水) 06:28
新スレおめでとうございます。
今年は何回くらい彼女たちの涙を見るんだろう。
見えない力に振り回されながら必死に時の流れに
しがみついて。
一番戸惑っているのは、もしかしたら彼女達
なのかも。
31 名前:如月 投稿日:2004/01/07(水) 17:47

こんばんは、如月です。
一応石後ですし、甘いのもあげねばと思いまして・・・

結局あまり甘くないんですが、お付き合いくだされば嬉しいです。
では。
32 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:48

「・・・ごっちーん・・・」
「んー・・・」



携帯いじってる後藤さん。
すっごいムカツク。

なによ人が真剣に話してるのにっ!

・・・って、しないよ。


まあそれはともかく、さっきから携帯しか見てないごっちん。
メールしてるんだけど。

相手は誰よ。

浮気を疑ったりはしない。
(ちょっとだけ不安にはなるけど)



33 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:48




「よっすぃーと・・・?」
「んー・・・」



あ、そうなの?
よっすぃ、メール大好きだもんな。

あ、メール大好きといえば。



「・・・あいぼん?」
「んー・・・」



どっちよ!!



34 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:49




「・・・・・・外をサルが走ってますヨー」
「んー・・・」



ってゆーか完全に空返事だし!
走ってるわけないじゃん、サル!



「ちゃーお〜☆チャーミー石川でーっす」
「んー・・・」



生チャーミーに見向きもしないの?
それって結構ひどくない?
『☆あなただけに生チャーミー☆』なんて企画あったら、多分問い合わせ殺到で・・・

・・・なんか虚しくなってきたからやめよう。



35 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:49




「ごっちん、ばーか」
「んー・・・」



・・・なんかもう、いいです。
そんなにメール楽しいですか。

じゃあお言葉に甘えて(←?)私もメールしよっかな〜

ごっちんの後ろに回って、背中を合わせて座る。


今日暇そうな・・・
柴っちゃんは、今日はお仕事だって言ってたし・・・
取り合えず、矢口さん・・・は、今日は安部さんとデートだって大喜び。
・・・メールなんか入れたら殺される。

いろんな人の顔を、浮かべては消し、浮かべては消し。


結局、『暇』と断言できる人物は、目の前にいる後藤真希しかいなかった。
私って友達少ないのかな・・・。



「はぁ・・・」
「んー・・・」
「・・・溜め息です。」
「んー・・・」



36 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:50




仕方ない。
ごっちんのアドレスを呼び出す。
さって、なんて送ろう。



『今暇ですか。』



・・・暇なわけないね。
メールガンガンだもんね。
消去。



『今日のお夕飯、何食べる?』



ああ、今日はごっちんがパスタ作るって張り切ってたっけ・・・
ダメだ、消去。



37 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:50




『久々に会えて、スゴクうれし 』



・・・く、ない!こんな状況。
ハイ消去!



『あぼーん』



バカじゃん。
もう意味がわかんないじゃん。
あーもう消去。


ここで『好き』とか送れれば、多分カワイイ女なんだろうけど。
もしかしたら、ごっちんもこっち向いてくれるかもしれないけど。
まったく相手にしてもらえなくて、そんなコト言うのはなんだか理不尽な気がして。

結局、誰にも何も送らないまま携帯を床に置いた。



38 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:51




「・・・はぁ」



なんかちょっと寂しくなって、もう一度溜め息。
あら、もう反応すらしてくれなくなっちゃいましたよ、この人は。
それでも背中のぬくもりは愛しいだなんて、私ってば健気。

ちらり盗み見たごっちんの横顔は、目線は携帯でも、真剣な顔。
やっぱ綺麗。



「・・・私のこと好きー?」
「当たり前じゃん」
「ぅえっ」



もう言葉を返してもらうことなんか頭になかった。
完全な独り言に、突然明確な返答をされて、かなり驚いた。

と、さっきまで静かだった私の携帯が床の上で震えて大きな音を出す。



39 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:51




「うぁ・・・っ」



驚いて、慌てて携帯を手にすると、液晶画面には。



『ごっちん』



「・・・へ?」



連続で驚きつつ、後ろのごっちんを見る。
ごっちんは知らん顔で、相変わらず携帯と睨めっこ。

取り合えず、メールを開く。



『両方正解。』



「はい?」



40 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:51




意味不明な内容に、思わず声が出た。
それでもごっちんは相変わらず、ぷちぷちと文章を打ち込んでる。

一分経たないうちに、また私の手の中で携帯が震えた。
送信者はやっぱりごっちん。
しかも今度は立て続けに。



『いいんじゃない?サル。干支だし。』
『(^×^) v Happy v \(^▽^)/』



こ・・・これはっ・・・。

記憶の糸を辿って。
さっきまで、ごっちんの背中に呟いてきた言葉をリプレイする。

リプレイ途中で、再びバイブ。



41 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:52




『どうせごとーはバカなんで。』



決定打。

そう。
ごっちんからのメールは、さっきの私の呟きへの答え。



「・・・・・・ごっちん」
「ため息つくと幸せ逃がすよ?」



あ、それもやっぱり、さっきの。



「・・・き、聞いてた?」
「モチロンでしょ。」



42 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:52




事も無げに、サラリ言う。
相変わらず、片手でぷちぷち携帯いじってるけど。
こっち見ないけど。

なんか嬉しかったから、もう一度ごっちんの背中にに背中を預けて。
やっぱりさっきの送ってあげることにした。



43 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:53


ぷちぷち。
送信。



『すき。だからもっとかまえ!』



ちょっとして、ごっちんの携帯が震える。
パクって音をさせて、ごっちんが携帯を開く。
何度かボタンを押して、メールを確認。

背中越しに、それらの動作をうかがった。



44 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:56




携帯を両手で握って。
ちょっとドキドキしながら返信メールが届くのを待った。


ごっちんが体ごとこっちを振り返った気配がして。
私は首だけでちらりと見上げる。



返ってきたのはメールじゃなくて。
苦笑気味の笑顔と、優しい口付け。


柔らかなキスの中で、ごっちんの携帯が鳴る。
チラッと閉じた瞳を開けて、ごっちんを盗み見た。
まったく気にしてなくて、携帯は床で震えたまま。


・・・うん、満足。
私ってゲンキン。


45 名前:+++メール+++ 投稿日:2004/01/07(水) 17:57





               +++メール・終+++


46 名前:如月 投稿日:2004/01/07(水) 17:59

ん〜・・・中途半端・・・

藤本様も絡めようとしたんですが、やっぱり石後オンリーで。
吉澤サンと加護サンへは、多分またフォローメールを送るんでしょう。
47 名前:如月 投稿日:2004/01/07(水) 18:10

27 つみ様

ありがとうございます。

出ちゃいましたねー、4期から。
やっぱり寂しいっす。



28 名無飼育さん様

ありがとうございます。

そうですねー。
家族な形容が4期にはあってますよね。

で、石後です。
( ´Д`)<んぁ〜・・・
って感じで、さり気に手の早い(?)こんな後藤サンが好きです。


29 pj様

ありがとうございます。

如月は驚きはそんなにはなかったんです。
・・・免疫でしょうかねぇ・・・。
ただただ寂しいです・・・。

で、石後ですが・・・思ったより甘くなりませんでした、ごめんなさい。
精神的に殺伐としてるからでしょうか(笑


30 ROM読者様

ありがとうございます。

そうなんですよね。
一番戸惑ったのは、多分辻サンと加護サンだと思います。
そんな気持ちも、ちらちら入れて書いてみたつもりです。

48 名前:如月 投稿日:2004/01/07(水) 18:13

>>32-45
まったりまったり。
陽だまりでじゃれる石後なイメージで。


今日で休み最後だったので、更新してみました。

読んでくださった方、お目汚しを。
お付き合いありがとうございました。
49 名前:つみ 投稿日:2004/01/07(水) 21:09
ああ・・
いいですね・・・
まったりしている感じが・・・
50 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/07(水) 21:53
新スレおめでとうございます
「メール」妄想キャラの石川さんいいですね

辻加護卒業は驚きました
当人達はもちろん、4期ファンの方も衝撃は大きいのでしょうね
自分も2002年の夏、石後が離れ離れになった当時はかなりへこみましたから
(如月さんの小説には助けられました^^;)
51 名前:ROM読者 投稿日:2004/01/08(木) 06:37
いいですねぇ。2人だけのゆっくりとした
時の流れに心癒されます。
52 名前:pj 投稿日:2004/01/08(木) 16:59
更新乙です。
内容としては甘な感じでよかったと思います。
なにより石後なんで満足ですw

後で知ったんですが、イリュージョンでは前にもまったく(?)同じようなことをやったみたいですね。
そう聞いてしまうと、たちが悪かった上にちょっと冷めちゃいました。
個人的な感想なんですがね^^;
後、気になったんですが、殺伐とは一体どうなさったんでしょうか?
普通に気になりましたw
とにかく更新の方如月さんのペースで無理せず、石後中心に書いてもらえると嬉しいです。
今年もそんな感じ(?)で宜しく願いしますm(__)m
53 名前:sai 投稿日:2004/01/09(金) 20:45
ダンボールの中から出現しましたw

いしごまご馳走様でした(´ー`)ノ
>『すき。だからもっとかまえ!』
なんかものすごい「すき」って文字がかあいくみえました・・・

( ^▽^)<なんで?

如月さんのいしごま大好きなんでまた楽しみにしてます(´∀`)
っていうか来週は遂にセンター試験ですね・・・
悔いの残らないように頑張って下さいよぉーw
54 名前:如月 投稿日:2004/01/14(水) 08:49

どうしよう、もうすぐセンターだ。
胃痛もMAXな如月です。

石後じゃないです。
藤石です。

それでも良いよって方はお付き合いくださいませ。

では。

55 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:50


楽屋で。
暇だったから、なんとなく梨華ちゃんの隣りに座ったら。



「でもまさか美貴ちゃんが泣くとはな〜」
「・・・当分そのネタでからかうきだなー?」



正月の特番以来、何かといえばこのセリフ。

普段はいじられ役の梨華ちゃん。
美貴のコトかまえて、それはそれは嬉しいんだと思う。

ホラ。
めっちゃくちゃ嬉しそうな笑顔。



56 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:51




「ふふふ、からかってなんかないよー。」
「そーいうのを、からかってるって言うの。」
「そんなコトないよ。」
「ある。」
「だって、『ああ、仲良しなんだな〜』って思っただけだもん。」



嬉しそうな笑顔はそのままに。
にこにこしながらそんな事を言われた。
なんだか腑に落ちない。



「・・・なんっか、美貴のこと、冷たいとか思ってる?」
「へ?」
「他人のコトでは涙を流さないような?」
「ぇえっゴメン!そんなコト思ってないよ!?」


57 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:52




ちょっと傷ついたように、責めるように。
そうすれば、梨華ちゃんは慌ててフォローに入る。



「面白いね、ホント。」
「・・・・・・美貴ちゃん、騙した?」
「からかったのー。」




58 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:54



からかいがいのある人間の条件。
素直な性格であること。
すぐムキになること。
カワイイこと。

美貴が梨華ちゃんをかまいたくなるのは、条件を満たしてるからで。
美貴にSっ気があるとか、別にそんなんじゃない。



59 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:54




「・・・ホントさぁ・・・・・・」



何か言おうとして。
梨華ちゃんの口から出たのは『ハァ』という溜め息。



「なに?」
「・・・なんでもない。」
「気になるじゃん。言いなよ。」



ちらっと横目で美貴を見て、また『フゥ』と息をつく。
ちょっと何それ。

肘でぐりぐりと梨華ちゃんの二の腕あたりを押しやる。
くすぐったいのか、梨華ちゃんは身をよじって笑う。



60 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:55




「あははは、ちょっと美貴ちゃん。くすぐったいくすぐったい」
「言いかけたんだから最後まで言いなさいよー」
「あーもうやーめてってば(笑)」



なかなか先を言わない梨華ちゃんに、しつこいくらいに肘で攻撃。
観念したように、口を開いた。



「ただね、私が同じ状況にあったら、美貴ちゃん絶対怒ってただろうなーって。」



やっとで吐いた言葉。
ちょっと待て。



61 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:55




「はい?」
「だーからぁ、私だったら美貴ちゃん泣いたりしなかったでしょ?」



普通の会話の流れ。
客観的に聞いていれば、別に何の問題も無い。
梨華ちゃんだって、特にその中に意味を持たせたりしてない。

ただ。
美貴はその言葉に妙に引っかかった。

と、スタッフの声が響く。
飯田さんの『じゃあ行こうか』って声に、隣りの梨華ちゃんが席を立った。



62 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:55




「んなことないよ。」
「ん?」



振り返って、美貴を見る。
ちょっと不思議そう。
なんのことだか分かってないみたい。

会話。
会話の続きだよ。
まだ話は終わってない。



63 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:56




「泣くよ、梨華ちゃんでも。」
「ああ・・・えー、そーかぁ?そのコトでさらにいじめられそうだけどなぁ?」



笑いながらそう言われた。

美貴と梨華ちゃんの関係。
こんなノリの会話が、確かに正しいんだけど。
そうなんだけど。

ダメだ。
なんか分かんないけど。


すごいイヤ。




64 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:56





「泣くって。ホント。」
「もー分かった分かった。ホラ、もう本番だよ、行こ?」



絶対信じてないし。
なんだか流されかけて、すごいムカついた。

みんなと楽屋を出ようとする腕を取って、引っ張る。
そのまま壁に、梨華ちゃんの体を押し付けて。
逃げられないように、その体を挟み込むように両腕を壁に叩きつけた。



65 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:56




「藤本!?」
「ミキティ!?」



飯田さんと矢口さんの、驚いた声が耳に入ったけど。
今はそんなこと気に出来なかった。

自分でも自分の行動がおかしいことくらい分かってたけど。



「泣くってば!!」



楽屋には美貴の声が響く。
ああ、ドアが開いてるから、廊下まで洩れてるかもしれない。



66 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:57




「梨華ちゃんでも泣くって!心配するよ!」



突然の状況に、かなり驚いてる梨華ちゃん。



「ご、ごめん・・・」



呆気にとられたように美貴を見ながら、『ごめん』と呟く。
肩を竦めて。
恐怖というよりは驚愕な表情。

大人げない自分の行動に嫌気がさして。
壁を突き放すようにして、梨華ちゃんから離れた。



67 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:57




「藤本、石川・・・なんかあった?」



飯田さんが近寄りづらそうにこっちに来て。
ああ、本番だ、と、やっと冷静な判断力戻ってくる。



「・・・すみません。行きましょう。」



飯田さんは明らかに釈然としない表情だったけど。
それを押し切って、本番に向かった。



68 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:57



その後のコント、梨華ちゃんはボロボロ。
それは明らかに美貴のせい。

クールで飄々として、「梨華ちゃんなんかハイハイハイ」って感じの。
『いつもの藤本美貴』じゃなかったせい。

なんであんなことやっちゃったかなぁ、と。
今さらながら、ちょっと後悔。
あとでちゃんと謝らなきゃ。

思いながら袖で控えていると、チラリ目が合った。
どうしようかなって、迷って。

にやっと笑って見せてから。



69 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:58




「しっかりしろ」



って、口パクで言ってみる。
ちゃんと、『いつもの藤本美貴』で。

すると、梨華ちゃんは嬉しそうに笑って、声に出して「うん!」と頷いた。
その笑顔で、思わず笑ってる自分に気付いて。



そして、気付いてしまった。



70 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:58




思わずムキになったのは、誤解されたことが悔しくて。
亜弥ちゃんを美貴の中で『特別』な存在にしてほしくないから。

小学生が感情をコントロールできなくて、好きな子をいじめてしまうような。
そんな、コドモじみた恋愛感情。


なんかカッコ悪い。
出来れば気付きたくなかったかもしれない。

いじりがいのある対象ってだけの存在のほうが、楽だったのに。
認識を改めちゃったら、もうあとには引けなくなる。




71 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 08:59





美貴が梨華ちゃんをかまいたくなるのは、条件を満たしてるからで。
美貴にSっ気があるとか、別にそんなんじゃない。


からかいがいのある人間の条件。
素直な性格であること。
すぐムキになること。
カワイイこと。

そして、ひとつ追加。

その対象が、『石川梨華』であること。


72 名前:+++からかいの条件+++ 投稿日:2004/01/14(水) 09:01





            +++からかいの条件・ヲワリ+++


73 名前:如月 投稿日:2004/01/14(水) 09:04

>>55-72
受験前の重圧。
素直に石後なんて出しませんよ(ひねくれ者)。

あ、この石川サンは、後藤サンとどんな関係にあるのか。
それは読んでくださった方にお任せします。
友人でも、ラブラブでも。
如月、そのへんの設定は今回まったく考えてませんでした(オイ)

74 名前:如月 投稿日:2004/01/14(水) 09:16

49 つみ様

次、まったりが出るのはおそらく2月過ぎかと・・・。
その頃また遊びに来てくだされば嬉しいです。
それまでは多分、こんなテイストが多い、と思います。


50 名無し読者様

ありがとうございます。

石後が離れたとき、耐え切れなくて駄文を書き始めました。
自分の萌え不足解消のためだけに(笑
でも、そんな風に言っていただけると、凄く嬉しいです。

今回藤石でごめんなさい。


51 ROM読者様

石後がふたりでいると、まったりのんびりになってしまうので
今の如月の精神状態では書ききれないんだと思います。
だから、藤石。

ハイ、ごめんなさい。


52 pj様

えーと、とりあえず・・・藤石でごめんなさい。

如月、さすがに正月特番は見てません。
一応その時間は勉強してました・・・。
お話、お付き合いできなくてすみませんです。

殺伐・・・試験近いからですよ(笑
いや、もう笑ってる場合じゃないんですけどね。
ホントに胃が、胃が・・・(キリキリ


53 sai様

あやみきスキーのsai様的には『んだよコレ!』な感じになってしまいました。
ごめんなさいです。

『メール』の石川サンは、可愛く可愛くを心がけました。
そう言っていただけると、嬉しいですね。

書いちゃったのは藤石でした。
センターはついに今週です。
悔いの残らないよう・・・ハイ、出来る限り頑張ってきます。

75 名前:如月 投稿日:2004/01/14(水) 09:22

・・・なんだか謝ってばかりなお返事になってしまった・・・

如月に石後を求めてくださってる、数少ない皆様。
ごめんなさい。
でも如月、受験で苦しんでますし、一緒に苦しんでください。
(何それ)


あやみき派の方が目にすると、もしかしたら嫌な感じかもしれません。
ご注意ください。
バカなやつが打った文だと流してやって下さると有り難いです。


それではお付き合いくださった方、感謝です。
お目汚しを。


76 名前:pj 投稿日:2004/01/14(水) 22:02
忙しい中更新誠に乙です。
なるほど受験でキリキリマイだったんですか。
ってか今も進行中みたいですね^^;
そんな中でも更新してくださるなんてとても嬉しいです。
受験が受かることをお祈りして気長に待ってます。
77 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/14(水) 23:48
如月さん
好きな小説を好きなペースで書いてくださいね
受験がよい方向に向かうよう祈りながらマターリ待ってます
78 名前:ROM読者 投稿日:2004/01/15(木) 15:29
大変な時期に更新ありがとうございます。
藤本サンのストレートな心理描写にグッときました。
ROMも゛『特別』な存在″にしてた一人ですが。
最近は、すっかり洗脳されてマス・・・藤石に・・・

79 名前:如月 投稿日:2004/01/19(月) 00:29

こんばんはー。
石川サン生誕記念ですね。
でも、ココは基本、記念日無関係スレなんで。

石川サン誕生日ネタではありません。
それでもよろしければ、お付き合いください。
80 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:30



「梨華ちゃーん・・・」
「なんですか?」
「ごっちんとどれくらい会ってるー?」
「ごっちんですか?んー・・・週2回会えれば多いほうですかね。」



安部から、突然の質問。
周りはがやがやと騒がしい。

某番組で、入りを待ってる時間。
スタジオの隅のパイプ椅子に隣同士腰掛ける、石川と安倍。



81 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:30




「どうしてですか?」
「ん〜?イヤぁ・・・意味はそんなないんだけどもサ・・・」



歯切れの悪い安倍の返答に首を傾げる石川。

斜め45度に下ろした視線もおかしい。
普段の安倍ならば、きちんと相手の目を見て話す。



82 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:31




「・・・どしたんですか?」
「んーと・・・さ。」
「はい?」
「あーっと・・・ね?」
「はいはい?」



ざわざわとした空気の中で、二人の会話はゆっくりと進む。
いつだってまったりペースの会話なので、普段とそう変わりはないが。
安倍の言葉が、なかなか意味をなそうとしない。

石川の首も、傾きざるをえない。

疑問符いっぱいの石川の耳元に顔を寄せる安倍。
『なんですか?』と、石川も聞く体勢に入る。



83 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:31










「エッチって、どれくらいの割合でする?」











84 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:32




飛び込んできた、わりと衝撃的な囁き。
石川は、一瞬頭が真っ白になる。



「・・・・・・はい?」
「わーっわーっっ!忘れてイイ!やっぱ今のナシ!ナシナシ!!」



石川の方を見ず、正面を向いて視線は斜め45度。
真っ赤にした顔の前で、安倍はブンブンと手を振る。

ブンブン手を振り続ける安倍を、石川は暫し見守る。



85 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:32




「・・・・・・・・安倍サン・・・?」
「わー!ひゃー!ゴメン!ゴメン聞かなかったってコトで勘弁!!」



一人で突っ走る安倍に取り残されつつ、石川は質問を反芻する。
確かにとんでもないことを聞かれたが。
何故そんなことを聞かれたのか。



86 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:33




「・・・・・・・・安倍サン・・・?」
「わー!ひゃー!ゴメン!ゴメン聞かなかったってコトで勘弁!!」



一人で突っ走る安倍に取り残されつつ、石川は質問を反芻する。
確かにとんでもないことを聞かれたが。
何故そんなことを聞かれたのか。



「ちなみに安部さんは?」
「へっ!?」
「安部さんはどうなんですか?どのくらいの割合ですか?」
「りりりり梨華ちゃんはそんなキャラだったかい!?」
「安部さんが照れまくってるせいで照れるキッカケ逃しちゃったんですよ。」



87 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:34




妙に開き直った石川の態度に、狼狽する安倍。
自分でまいた種。
しっかり芽吹いてしまって、どう刈り取ろうか思案する。



「あー・・・うー」
「言っちゃえ言っちゃえ♥」
「・・・梨華ちゃんも言うんだよ?」
「はいはい。」



安倍は刈り取りに失敗し、結局花を咲かせてしまった。
再び石川の耳に口を寄せ、囁き気味に白状する。




88 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:34





「週4!!?」
「わ――――!!!?」



石川が、大声を出すと、安倍は大慌てで叫んだ。



89 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:35




「はー・・・週4・・・」
「梨華ちゃん声デカイ・・・」
「あー・・・ごめんなさい・・・イヤ、元気ですねぇ・・・・・」



少々放心の石川。
安倍がさらに顔を赤くして、石川に迫る。



「そっちは。」
「イヤ、週に2回会うか会わないかですからー・・・」
「月平均何回!」
「え〜?・・・数えてないし・・・んーと・・・」



自分は言ってしまったのだから、何としてでも吐かせようと安倍は食い下がる。
その目を見て、仕方ないなぁというように、石川は頭を整理する。



90 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:35




「・・・月2回とかですか。」
「月に2回!?」
「安部さんも声、大きいですよ。」
「少なくない!?」
「そちらが多すぎるんですよ。ってゆーよりも、会えないですから、まず。」



と、石川は自分の言葉にピンと来た。
何故、安倍が急に自分にこんな質問をしたか。



「あー・・・」
「・・・なんだい梨華ちゃん・・・」
「そういうコトですか。」
「・・・・・・なにが。」



どうやら感づかれたらしいことに気付き、決まり悪そうに呟く安倍。
石川は思わずニヤリと笑んでしまい、口元を抑えた。



91 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:35




「そうですよね、もうすぐ安部さんも会えなくなっちゃうわけですもんね。」
「・・・・・・」
「心配ですよね、色々ね?」



意味ありげに含み笑いをする石川を、若干目を潤めながら睨み上げる。



「・・・ムカツク。」
「大丈夫ですよ、結構すぐ慣れちゃいますよ、会えなくても。」



さらりと出てきた石川のその言葉に、安倍の表情が少し固まった。
そして俯いて、口を開く。



92 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:36




「・・・そんなんイヤだな・・・」
「はい?」
「ヤグチに会えないの慣れちゃうなんて・・・ヤダなぁ・・・。」



安倍のこぼした素直な言葉に、石川はくすりと笑った。



「やっぱりまりっぺに会えないのが寂しいんですね。」
「ぁ・・・・・・・」



石川の口車に乗せられたことに気付いて、安倍は『しまった』と石川を見上げる。



93 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:36




「慣れるわけないじゃないですか。」
「え?」
「寂しいですよ。会えない日は。」



笑いながら、石川は言った。
その悲しそうな微笑みに、安倍は胸が痛くなる。



「そっかぁ・・・」
「そーです・・・。」



94 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:37




二人とも視線を足元に落として。
両者、しばらく言葉を探す。



「・・・でも、なんか大丈夫だと、思いますよ?」
「そーかなぁ・・・」
「そーですよ。大丈夫です、きっと。」



なんの根拠もない言葉。
具体的に『何』が『大丈夫』なのかも分からない。

けれど。
他でもない石川が発することで、何よりも力強い音になって安倍に届いた。



95 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:37


















「あ――――!!!」

















96 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:37



スタッフやメンバーの声を切り裂いて、叫び声が響いた。
その叫び声の持ち主が、凄いスピードで二人に駆け寄ってくる。
そして勢いそのままに、椅子ごと押し倒さんばかりに、石川に飛びつく。



「なっちダメ!!梨華ちゃんはごとーの!!」



やって来たのはもちろん後藤真希。
正面から抱きつかれた石川は、少々息苦しそうだ。

苦笑を洩らした次の瞬間、安倍は突如、椅子ごと背後から抱きすくめられる。



97 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:38




「何てこと言うんだごっつぁん!!なっちは浮気なんかしないぞ!!」



ぎゅむ〜っと、お気に入りのぬいぐるみを抱き締めるように。
安倍を抱き締めながら、後藤に文句を言うのは矢口真里。



98 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:38




「梨華ちゃんのこの可愛らしさにときめかない人間なんていないね!」
「オイラはときめかないぞ、そんな寒いヤツ!」
「やぐっつぁんはバカみたいになっち専門だからでしょ!」
「バカみたいとはなんだよ!なっちの方が断然可愛いじゃん!!」
「そりゃなっちだって可愛いけど梨華ちゃんはヤバイよ?」
「なっちのがヤバイよ!」
「絶対梨華ちゃん!!」
「完全になっち!!!」



唐突に現れた後藤と矢口。
石川と安倍を抱き締めたまま、ぎゃんぎゃんと言い争いを始めた。



99 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:39




「むぐぅー・・・梨華ちゃん」
「・・・ぅぁ、・・・はい?」
「なんか、大丈夫そう、だね?」
「・・・でしょう?」
「へへ、うん。」



苦しさに顔を歪めながら、石川と安倍は視線を交わす。
髪をぐしゃぐしゃにされながらも、二人は嬉しそうに笑いあった。



「梨華ちゃん!!」
「なっち!!」
「梨華ちゃんだって!!!」
「なっちだっつってんだろ!!!」



100 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:39






101 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:40






 ホントは毎日逢いたいけど
 距離を感じて 寂しい日だってあるんだけど

 逢ったその時 たくさんたくさん 温度をわけてくれたなら
 逢えない時間に 気持ちを育てていけるから

 きっとたぶん だいじょうぶ







102 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:40



        あなただけが知ってる
        おいしい愛の作り方





103 名前:+++おいしい愛の作り方+++ 投稿日:2004/01/19(月) 00:41




            +++おいしい愛の作り方・オワリ+++


104 名前:如月 投稿日:2004/01/19(月) 00:43

いしごま&なちまり。
如月は、石川サン絡み以外ならばなちまりが一番好きです。

105 名前:如月 投稿日:2004/01/19(月) 00:52

76 pj様

切羽詰ってるときのほうが…書きたくなったりするじゃないですか。
そんな感じでした。

如月も、受験受かることを祈ります。
(祈ってるだけじゃ・・・

77 名無し読者様

優しいお言葉と、受験エール。
ありがとうございます。

如月、突発的に藤石が書きたくて書きたくて仕方ないときがあります。
このスレは、前置きに一応『石川総受け』と書いたので、前スレよりは書きやすい気分です。


78 ROM読者様

ギクシャク石後が好きだった如月。
今の藤石は、あの頃の石後のようでなんとも・・・。
のほほん石後も、もちろん大好きなんですけどね。


106 名前:如月 投稿日:2004/01/19(月) 00:54


>>80-103
石後+矢安でした。

お付き合いありがとうございました。
お目汚しを。

ではでは、失礼します。
107 名前:ROM読者 投稿日:2004/01/19(月) 15:49
もろもろお疲れ様です。

いゃ〜ごちそうさまでした。これは美味しかったっす。
2人分の生誕記念ですか?ROMの好きなCPが夢の
競演でお腹一杯です。

それにしてもセクシー隊長・・・頑張り過ぎ・・・
108 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/19(月) 22:32
いつも楽しみに、読ませてもらっています!
私もいしごまラブ人間なので、如月サンの小説は
とても大好きです!!

これからも頑張って下さい。
109 名前:如月 投稿日:2004/01/21(水) 09:30

こんにちは、如月です。
冬っぽいの書きたいなーと思いまして。
こんなん出ました。

110 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:31



何度目になるか分からない寝返りを打つ。
隣りに寝ている背中を見つめて、軽く息をついた。

眠れない。

眠くないわけではない。
むしろ眠い。
日付が変わって、1、2時間。

それなのに、体の沈むような浮くような。
あのふわーっとした感覚は訪れてはくれない。

睡魔に見放された石川。
もぞもぞと、もう一度寝返る。



111 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:31




「眠れない?」



背後からかかった声に、石川は再び寝返る。
さっきまで寝息を立てていたはずの後藤が、石川を見つめていた。
暗がりでも、その視線の優しさは伝わる。

小さく囁く。



「ごめんごっちん・・・起こした?」
「んーん、へーきだよ。」



112 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:32



いつものんびりと話す後藤。
寝ぼけているのか、その口調からは分からない。



「ごめんね?ちょっと目がさえちゃって・・・」
「謝んなくていーって。」
「・・・今日オフで、久々に疲れてないからかも・・・」



眠れない理由をそう分析した石川。
それを聞いて、後藤が緩慢な動きで上半身を起こして石川の顔の両脇に手をつく。

突然上から見下ろされた体勢の石川。
不思議そうに名前を呼ぶ。



「・・・・・・ごっちん?」



113 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:32




呼ばれ、にやりと笑んだ。
その笑顔のまま、囁く。



「じゃあ、疲れることしよっか?」



オレンジ色の薄い電気の灯りの中。
その意味を理解し、石川が溜め息をつく。
じとっとした視線を投げられて、後藤は苦笑気味に言う。



114 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:32




「じょーだん。」



触れるだけの口付けを鼻筋に落として。
壁際に寝ていた後藤は石川の体を這うように越えて、ベッドを抜け出した。



「ごっちん?」
「ちょっと待ってて。」
「え?」
「あ、寝られそうだったら寝ちゃってていーからね。」



115 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:33




言い残して、後藤は部屋を出て行ってしまった。
どうやら階段を降りているらしい。

すでに夢の中であろう家族を起こさないように歩いているようで。
石川の耳にも、後藤の足音ははっきりとは届かなかった。


急に広くなったベッドが、妙に寂しい。
石川はもぞもぞと、壁際に体を移動させる。
後藤の温もりがぬくぬくと残っていて、少しだけ眠れそうな気がした。


下の、どうやらキッチンで。
カタカタと小さく聞こえてくる音。

時折、うとうとと意識が浮遊するものの、やはり寝付くことは出来なかった。
布団の温もりも、すでに自分の温もりに変わってしまった。

頭は眠い。
体が睡眠を拒絶する。

凄まじく嫌な感覚に、石川は深く息を吐いた。



116 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:33




トントントンと、今度は階段を上がる足音。
その音に反応して、ドアの方に向き直った。

キイと小さい音をさせ、後藤が部屋に戻ってきた。
左右の手には、大きめのマグカップがふたつ収まっている。



「あ、起きてる。」



後ろ足に、パタムとドアを閉めた後藤。
普段の石川なら『行儀が悪い』とたしなめるところ。
両手がふさがっているので、目をつむることにした。



117 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:34




「ん?梨華ちゃんそっちがいいの?」
「え、あ・・・うん、ごっちんこっちが良ければ・・・」
「んー、別に良いよ。」



さっきまで自分が寝ていたところにいる石川に、後藤が問うた。
『ぬくもりが恋しかった』などとは勿論言えず。
石川の曖昧な返答に、後藤は特に疑問も持たず流された。



118 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:34




「ハイ。」
「なぁに?・・・あ、牛乳・・・」



枕を立てて背中を預け、上半身を起こして座る。
差し出されたマグカップを受け取り、中身を確認。



「ん。ホットミルク。あったまったら、眠れるかなーって。」
「ありがと・・・。」
「いーえ」



冷たい空気をつれて、後藤がベッドに入ろうとする。
それに気付いて後藤は少しためらった。



119 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:35




「あ、寒いかな?」
「・・・寒く・・・うん、でも、ごっちんあったかいよ。」



ふざけたように石川が後藤に軽くきゅっと抱きついた。
喉で笑って、後藤がその体を片手で柔らかく包む。



「ホラ、こぼすよ?」
「うん。いただきます。」



カップの淵に口を近づけて、石川がふと気付く。



120 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:35




「・・・ねー、ごっちん?」
「んー?」
「ホットミルクって、レンジで2分とかで出来ちゃうよね?」
「うん。かな?」
「でもコレ、結構時間かかってなかった?」
「ああ、だってコレ、鍋であっためたんだよ。」



マグカップを少し上に掲げて、後藤は答える。



「レンジなんか使ったのと、味が全然違うんだよ。」
「へぇ〜・・・そうなの?」
「そーだよ。ごとーが『梨華ちゃんが眠れますよーに』って念を込めながらさ・・・」
「念(笑)」
「ふふ、心を込めてね?ゆっくりゆっくりあっためるんだから。」
「・・・そっか。」



121 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:35




嬉しそうに照れくさそうに。

こくり。
喉を鳴らして、石川が牛乳を飲む。



「あ、おいしい・・・」
「でっしょ?」



カップの中のホットミルクに目を輝かせる石川。
得意そうに笑う後藤。



122 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:36




「あー・・・あまーい・・・。」
「ハチミツ入れたからねー。」
「あ、砂糖っぽくないと思ったらハチミツの甘さなんだ。」
「うん。ハチミツのほうがやらかい甘さになるし、なんか喉にも良さそうでしょ?」
「・・・ふふ、うん。」



喉の弱い石川を思ってのハチミツ。
ちょっとした心遣いが嬉しくて、石川は笑顔を溢した。


ふー、ふー、こくり
ふー、ふー、こくり


マグカップを両手に持って、ゆっくりゆっくりと飲む石川。
可愛らしい姿に笑みを溢し、後藤も石川に習ってカップに口をつけた。



123 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:36




「あ、それから、ブランデーも落としてるから。」
「・・・お酒・・・」
「んぁー、でもホントちょっとだけだよ。香り付け程度に。」
「うん、なんか良い匂いする。ハチミツも。」



ひとくち、ふたくち。

こくり、こくりとホットミルクが体に落ちていく感覚。
一口飲めば飲んだ分、体に眠気が走る感覚がするような気がする。


ふわふわと、優しいハチミツの香りに包まれながら。
石川は、徐々に意識が浮くのを感じる。



124 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:37




「ごっちー・・・」
「んぉ、きた?」
「んーきたぁ・・・ねむいかも・・・」
「ん、おやすみ?」



ひょい、と、石川の手からマグカップを取る。
眠そうな手つきで、うにうにとそれを取り返そうとする石川。
苦笑しながら、サイドテーブルにカップを二つ並べる後藤。



「なになに。どした、梨華ちゃん?」
「ぜんぶぅ・・・」
「もう寝なさいねー?」
「やだー・・・のむ・・・」
「ホラ、そんな眠そうにしてなに言ってんの。また作ってあげるから、こんなん。」
「ん〜・・・じゃあ・・・おやすみぃ・・・」
「はいはい。おやすみ。」



125 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:37




ぽてん、と、ベッドに沈む石川。
後藤は微笑んで、布団をかけなおしてやる。



「・・・ごとーも寝よっと。」



くふーくふーと、気持ち良さそうに寝息を立てる石川。
後藤はそのあたたかさを抱き締めて、ゆらゆらと思考が霞んでいくのを感じた。



126 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:37








心地良い温もり。

ふわりふわりと湯気がのぼって。
部屋に漂うのは、甘いホットミルクの香り。







127 名前:+++ホットミルク+++ 投稿日:2004/01/21(水) 09:38




             +++ホットミルク・ヲワリ+++
 

128 名前:如月 投稿日:2004/01/21(水) 09:39

ハイ、まったり。
あったかい感じを目指しまして。
これは、わりと狙い通りに仕上がったかな、と思います。
129 名前:如月 投稿日:2004/01/21(水) 09:42

107 ROM読者様

もろもろありがとうございます。

いしごま+なちまり。
如月、大好きなんですね。
てか、なちまり大好きなんで、近々なちまりオンリーとか書きかねません。


108 名無し読者様

嬉しいお言葉、ありがとう御座います。
ご期待に少しでも応えられるよう、精進します。


130 名前:如月 投稿日:2004/01/21(水) 09:44

>>110-127
後藤サンのふわふわした優しさを書いてみました。
こんな寒そうな話書いたらなんか最近あったかくて・・・

ではでは、お付き合いくださった方、お目汚しを。
ありがとう御座いました。
131 名前:ROM読者 投稿日:2004/01/21(水) 12:36
更新お疲れ様です。

この柔らかい時の流れがたまりません。
特に124の辺りは思いっきりツボにはまって
ジタバタしながら読みました。
心の中までポッカポカになれました。
132 名前:pj 投稿日:2004/01/21(水) 21:17
かなりまったりさせていただきましたがなにか?
ってか、ほんと良かったですw
今かなり寒いんですが、温かいです。周りの空気が。
如月さんの作品はやっぱり良いです。
なんかすごぉく落ち着きます。特に冬にはもってこいですね^^
切羽詰っても書いてくれてる如月さん・・・尊敬です。
133 名前:春雷 投稿日:2004/01/22(木) 12:22
あぁ!いつのまにやら新しく立ててらしたんですね。
気付かなかったことにショックです。
ホットミルクのあまあま〜なかんじにやられました。
134 名前:如月 投稿日:2004/01/23(金) 18:56

ギャグですね。
ギャグです、ギャグ。
しかもいつもより長めです。

お付き合いくだされば嬉しいと思います。

135 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 18:59



in焼き肉屋。

店の奥の座敷に、壁を背にして座るのは矢口。
その前に、三人並んで肉を焼きまくっているのは。
右から、後藤、石川、吉澤。



136 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:00




「なあ、・・・梨華ちゃん、よっすぃ・・・」



「ホラちょっと二人とも待って待って、私全然食べれてない!」
「甘いよ梨華ちゃん。基本弱肉強食だからっ」



「ちょっと・・・ごっつぁん、よっすぃ・・・・・・」



「そうそうってヨシコ!それはごとーがさっきから焼いてたカルビ!!」
「言ってんじゃん、早い者勝ち〜」



「・・・三人とも・・・」



「チックショこのヤロじゃあコレ食ってやる!!」
「ええっ!?ああっ!?ねえ、ちょっとごっちん、それ生・・・っ」
「うーわバカッ!腹壊すよ!?」
「げっふぁいがいぎょうふ(絶対大丈夫)」



目の前で繰り広げられる、人気アイドル三人娘の肉争奪戦。
微笑ましいというか、壮絶というか。

普段の矢口ならば『懐かしい』と目を細めるところだろう。
しかし、今日の彼女にそんな事を思う余裕はない。

そう、昔を懐かしむ余裕はないのだ。
重要なのは、今現在。
流れていってしまいそうな今を繋ぎ止めたいのだから。



137 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:00




「聞けよお前ら!!」



一向に話を聞こうとしない彼女たち。
耐え切れず、矢口が叫んだ。
その叫びに苦笑して、石川がまず箸を止めた。
そして、肉を食い続ける横二人の静止に入る。



「あーホラ二人とも、ちょっと落ち着いて?」
「落ち着いてたら食いっぱぐれる!」
「食いっぱぐれるって、そんなよっすぃ・・・」



吉澤の返答に呆れる石川。



「ねえホラごっちん、矢口さんの話、聞いてあげよ?」
「ヤダ!」
「ヤダってごっちん・・・ここ、その矢口さんの奢りだよ?」
「肉とは無関係!食べてからっ!」



後藤の返答に溜め息をつく石川。



138 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:01




「あ〜もういいもういい。梨華ちゃん、好きなだけ食べさ――」



諦めモードの矢口。
『もう好きなだけ食べさせてやれ』と言いかけて、石川のオーラを感じる。
そろり、見やれば。

普段のぽえぽえオーラではなく。
効果音をつけるとすれば『ゴゴゴゴ・・・』といったところだろう。
石川はなんだか穏やかではないオーラを纏っていた。

両サイドの仲良し二人組みは、相変わらず肉に夢中。



「よっすぃ、ごっちん」



石川の声を聞かず、ばぐばぐ食いまくる二人。

矢口には、『ぷつ』という音が聞こえた。
気がした。

ガッっと、両腕で二人の利き腕を取る。
強制的に食を遮られ、不満アリアリで石川を見た。
石川は二人を見ない。
顔は、目の前にいる矢口に向けている。



「ちょっと梨華ちゃん・・・ごとー、まだ食べたいんだけど」
「アタシもまだ全然食い足りないんだけど」



139 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:01




ぶーぶーと文句を言う年下二人。
その言葉に返すことなく、石川は相変わらず微笑む。
そして、言う。



「食べるなって言ってるでしょ?」



絶対零度のナイス微笑み。
一瞬で二人は凍りついた。



140 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:01



二人がゆっくりと箸を置くと、石川の手が腕から離れた。
もぞもぞと座りなおし、正座する二人をシカトして。
石川は何事もなかったかのように矢口に問う。



「それで、まりっぺは私たちに何の・・・・・・矢口さん?」



三人の力関係を目の当たりにした気がして、動けない矢口。
固まってしまった矢口を、不思議そうに眺める石川。
あとの二人はその横にきっちり正座して、俯きつつ未だ少し震えている。



「あ、ああ・・・ちょっと・・・相談のって欲しくてさ。」



フリーズを解いて、矢口が今日の本題を切り出す。
その言葉に、石川が意外そうな声をあげた。



141 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:02




「・・・私たちにですか?」
「そう。」
「でも・・・相談事ならもっと・・・中澤さんとか保田さんとか・・・」



年下の自分達よりも、頼り甲斐のある人物は頭に浮かぶ。
石川の疑問はもっともだった。



「イヤ、今回ばかりはキミらがいいんだよ。」
「はあ・・・?」



疑問符を頭上に浮かべ、首を傾げる。



「実は・・・てか梨華ちゃん、その二人のフリーズ、解いてやったら?」
「へ?フリーズ?」



142 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:02




小さくなって正座している両サイドの二人をきょときょとと交互に見やる。
無意識だから怖い。



「・・・・・・一言『よし』って言ってやればいいから。」
「・・・ごっちん、よっすぃ、『よし』?」



緊張の糸が切れたようにグデンと崩れ落ちる。
足を崩して、リラックスモード。
さすがに学習して、箸を持とうとはしなかった。

そんな三人を見つつ、矢口は切り出す。



「特に、ごっつぁんの意見を聞きたいんだけど・・・」
「んぁー?なぁに?」
「卒業するときって、どんな感じだった?」
「卒業・・・・・・そりゃ、とりあえずはビックリドッキリって感じ?」
「あー・・・そ〜なんだぁ・・・」



矢口の質問の真意が見えない限り。
後藤も、率直なことしか言うことが出来ない。



143 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:03




「・・・イヤ、そーじゃなくてやぐっつぁん。」
「そんなん聞きたくて焼き肉奢ってくれたんですか?」
「違いますよね?」



三人に口々に問い質されて、矢口はなんとも言いづらそうに口を開く。



「ほらぁ・・・もうすぐさぁ・・・卒業じゃん?」
「なっちが?」


後藤が切り返す。
頷く矢口。



「・・・うーん。で、さぁ・・・・・・矢口はほら、みんな知ってると思うけど・・・」
「大好きなんですよね?安倍さんのこと。」
「う・・・梨華ちゃん・・・そんなハッキリ言われると・・・」



石川の言葉に、顔を赤くして言葉を濁す。



「それで?なんなんですか?矢口さん?」
「だから・・・なっちはオイラの気持ちを知らないワケで・・・」



吉澤に促されて、俯きながらブツブツと言葉を続ける矢口。



144 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:03




「「「・・・・・・あ〜ぁ・・・」」」



すると、三人揃ってピッタリと。
納得したように頷いた。



「なるほどねー。わかったわかった、やぐっつぁん。」
「な、なんだよ。」
「やだ、まりっぺったら可愛い」
「なにがだよ」
「つまり、安倍さんの卒業前に一発ドカンとかましちゃいたいと。」
「・・・なんか、そう露骨に言葉まとめるなよ・・・。」



兎にも角にも、三人に今日の相談内容は(一応)伝わったらしい。



145 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:03




「こういうコトは、キミら三人に聞くのがベストかなーと思ったんだよ。」
「(; ´ Д `) ・・・」
「(;●^〜^) ・・・」
「(?^▽^) なんで?」



矢口の言葉に、一人疑問形な石川。



「そーりゃあ、タラッタラタラッタラ長いこと微っ妙〜な三角カンケ」
「「だああああああああああああああああっ!!!!!」」



『何を言い出すんだ』とでも言いたげに叫ぶ後藤と吉澤。
相変わらずワケの分からなそうな石川。
『ゴメンゴメン』と言いながら、まったく悪びれずに矢口は仕切りなおす。



「なっちの気持ちをどうしたらゲット出来るか。手解きよろしくお願いします!」



テーブルに手を着いて、ガバッと頭を下げる矢口。
三人も、なんだかんだで協力することに無論異存はなかった。






146 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:04





■□■



147 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:04



ココではなんだからと場所を石川宅に変えて。
『矢口のなっちゲット大作戦企画会議』が開かれた。



「ここはやっぱり梨華ちゃんの話を聞こうよ。」
「え、私・・・?」
「だね。一番女の子な感性の持ち主だし。」



真っ先に後藤が提案。
すぐさま吉澤が乗る。

石川の望む告白の形を聞き出そうという二人の意図。
矢口にはそれがはっきり伝わったが。

――まあ確かにそう言う意味では一番期待できるか。

矢口も他二人と一緒に、石川の返答を待つ。



148 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:05




「え〜・・・やっぱりストレートに言われたら嬉しいかなぁ・・・」
「クァッ (゜◇゜〜) 例えばッ!!!」
「ビク Σ(;^▽^))) こ、怖いよまりっぺ・・・んー、そうだなぁ・・・」



石川が頭を悩ませていると、吉澤がにょんとその肩に手をまわした。



「あっ!コラよしこ!」
「うっさい!実践を踏まえて説明した方が分かりやすい!」



吉澤の抜け駆けを非難する後藤。
そんな後藤を一蹴して、吉澤は石川を見つめる。



「心が痛むというのかい・・・?」
「へっ?」
「それは恋・・・恋煩いさ・・・。」
「「( ` Д ´)古っ!!(`◇´〜)」」



ダブルで突っ込みが入って、吉澤の実演はそこでストップ。
吉澤は不満そうに石川の肩から手を放す。



149 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:05




「え〜?だってアタシこれくらいしかキメないんだもーん。」
「んー、でもちょっと確かに古いかな」
「梨華ちゃんまで・・・」
「ゴメンゴメン。でもそれに、それはよっすぃじゃないとキマらないでしょ?」



その石川の一言に、吉澤は目を輝かせる。



「今アタシ、キマってた!?カッコ良かった?」
「え?あ、うん、もちろ・・・」
「マジで!?っしゃ!!」



喜ぶ吉澤から石川を奪って。
おもむろに後藤が石川にバラを一輪差し出す。



「僕にはわかる・・・」



キラキラオーラを惜しみなく放出。
今日の後藤は黒のタートルネック。
学ラン代わり・・・かなり苦しいが、まあ見えないこともなくはない。



150 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:06




「文麿かよ!」
「つーかそれどっから出したごっちん!」



矢口・吉澤の師弟コンビからの突っ込みをスルー。
後藤はコントを続ける。



「石川さん・・・。」
「え・・・っと、ふ、文麿様?」



優しい石川。
ワケも分からずコントに乗っかる。



「僕には分かる・・・」
「はい・・・?」
「キミは・・・僕に恋をしているんだ。」



151 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:06




優しく肩を抱いて、そのまま石川を見つめる。
吉澤が割って入って、文麿を後藤に引き戻した。



「それもごっちんにしか出来ないだろー!?」
「あーもう。邪魔しないでよよしこは・・・」
「今は矢口さんのコトだろうがっ!」
「そっちが先に抜け駆けしたんじゃん!!」
「文麿で良いメ見てんだからたまには譲りなよ!」
「最近は一徹でオイシイじゃん!!」
「あれは微妙じゃないか!?」
「じゃあ変わってよ!!」
「ごっちんやるの!?あれを!?」
「やるさ!!」



徐々におかしくなっていく会話。
石川が二人の間から逃れ、生コントを至近距離で眺めていた矢口ににじり寄った。



152 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:06



「矢口さん、矢口さん」
「・・・・・・なーに?」
「ごめんなさい。ちゃんと相談に乗ってあげられなくて・・・」
「イヤ、梨華ちゃんは悪くないよ。」



申し訳なさそうに謝る石川に、苦笑して答える。



「・・・あの二人も悪くないか。」
「矢口さん?」
「可愛いじゃん。一生懸命で。」



誰かを想って、振り向いて欲しくて。
頑張る気持ちは自分と一緒だと、矢口は思った。
その姿は、こんなにも可愛らしく目に映る。
それだけで、少し勇気が湧いてくる気がした。



153 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:07




「矢口さん」
「なーに?」
「矢口さんも、可愛いんですよ」
「え〜?そーかなぁ・・・」
「安倍さんのコト話してる矢口さんは、キラキラしてて、すごく可愛いです。」



にっこりと言う石川を、その瞬間、とても綺麗だと矢口は思った。

誰かに想われて、輝くのか。
輝いているから、想われるのか。



154 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:07




「いい加減、ご近所に迷惑なんで止めてきます。」
「そだね。」



『ホラ二人とも〜』と、ぎゃんぎゃん騒いでいる二人に近づいていく石川。
なんだかんだで、両サイドから抱きつかれている。
苦しそうに、よしよしと二つの頭を撫でる石川に、撫でられる後藤と吉澤。

懐かしすぎるその光景に、思わず矢口は吹き出した。


155 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:08




環境が変わっても、時間が流れても。
変わらないものは、ここに確かにある。
気持ちも、想いも、この三人はあの頃からちっとも変わらない。

大好きな大好きな人が卒業してしまう。

その事実に、自分はとても慌てた。
『離れていってしまう』
けれど、それはもしかしたら違うのかもしれない。

大切なつながりは、どうやらそう簡単には消えたりしないようだ。




156 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:08



矢口は『ふぅ』と息をついた。
心と頭の整理がついたような気がする。

焦ったりしなくても良いんだと。
もっとゆっくりで良いんだと。

――なーんだ。別にこのまでいいんじゃん。

おもむろに携帯を取り出す。
呼び出したアドレスはもちろん安倍なつみ。

『なっち大好き!』

いつも通りのノリ。
本気になんて、多分とりはしないだろう。
でも、今はまだそれで良いと思えた。

卒業に踊らされて、慌てて距離を縮めようとすることはない。
本当に、心から伝えたいときに伝えたいと思う。
真剣な想いだから。



157 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:09



気持ちがスッキリと澄んでいく。
胸に空気をいっぱい吸い込んで、矢口は叫んだ。



「告白やめ―――――っ!!!」
「「「えええぇ――――――!!?」」」



焦らなくてもいい。
人は急に、変わったりはしないから。

教えてくれたのは、バカでアホな、愛しいキミたち。



158 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:10





■□■




159 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:10




矢口が何か一つ吹っ切って、晴れ晴れとして三人をかまっているそのとき。



「ゆーちゃぁ――ん!!」
「あーもうなんやねん」
「ホラまたヤグチってばこんな能天気なメール・・・ッ」
「『なっち大好き!』・・・良かったやんか。熱烈告白。」
「絶対本気じゃない!絶対本気じゃないもん〜!」
「・・・そーかなぁ・・・」
「だってヤグチは鈍感だからニブイから、なっちの気持ち知らないんだよ!!」
「それはそーかもしれんけどさぁ・・・」



ちょうど、『卒業後』のことを安倍が中澤に相談していて。
絶妙なタイミングで届いた無邪気な『大好き』メールが、安倍の心を苦しめていた。


160 名前:+++流れの辺+++ 投稿日:2004/01/23(金) 19:11






                +++流れの辺・おわり+++


161 名前:如月 投稿日:2004/01/23(金) 19:13

>>135-160
ギャグですね、完璧ね。

あ、タイトルは『ながれのほとり』と読んでやってください。

162 名前:如月 投稿日:2004/01/23(金) 19:19

131 ROM読者様

>特に124の辺りは思いっきりツボにはまって
具体的に指摘されると参考になりますね。
ありがとうございます。

いしごまはこっちまでほのぼのさせてくれるので好きです。


132 pj様

なんだか凄く有り難い文章が羅列してて・・・
もう恐縮で御座います。

>なんかすごぉく落ち着きます。
>特に冬にはもってこいですね^^

・・・落ち着いていただいた次が、こんなドタバタで申し訳。
冬の方がのってくるんでしょうか、気分が。
如月、冬大好きなので。

あ、センター終わって、とりあえずヒトゴコチって感じです。


133 春雷様

ご感想ありがとう御座います。
ハイ、立ててました〜。
こちらでもお付き合いいただければ嬉しいです。
『ホットミルク』みたいなのは、やっぱ石後の基本形かな、と。
まったりのほほん。

163 名前:如月 投稿日:2004/01/23(金) 19:21

基本に帰って(?)吉石後でした。
この三人組、やっぱり好きです。

それではお付き合いくださった方、お目汚しを。
多謝です。
164 名前:名無し読者 投稿日:2004/01/23(金) 19:29
更新お疲れさまです。
なちまりいいですね〜。
二人とも相手の気持ちに気付いてないのが、
なんだか可愛いです。
梨華ちゃんを取り合う、よしごまも面白くてスキです!
165 名前:つみ 投稿日:2004/01/23(金) 21:48
更新お疲れでした!
終始楽しい雰囲気で楽しまさせていただきました。
この2人もすぐに心を通わせられるでしょうね!
166 名前:ROM読者 投稿日:2004/01/23(金) 23:42
更新お疲れ様です。
基本形・・いいですね。単なるドタバタかと思ったら
最後の姐さんの件で、とても深いものへと変化しました。
キャストが等身大っぽくて、読んでいてとても楽しいです。
167 名前:sai 投稿日:2004/01/24(土) 01:31
2週ぶりに登場(´∀`)

>あやみきスキーのsai様的には『んだよコレ!』な感じ
亜弥ちゃんはWのTKさんと(ryなんで。゚(つд∩)゜。

いしごまは月2・・・Σ(゚д゚lll)ガーン
もっとイパーイさせて下さい(変態w
疲れることしよっかーの流れでそのまま・・・(ノ∀`)

なっちが辞めるのぶっちゃけ今日知りました(嘘ばっかw
なんで横浜へ明後日は暇潰せに行ってきますー。

如月さん更新( ゚д゚)ハヤーなんで次回も楽しみなのれす。
168 名前:pj 投稿日:2004/01/24(土) 14:53
更新とセンターお疲れ様です。
矢口さんは周りのことはよく見てるのに、自分のことはって感じなんでしょうか・・・。
それと3人のコント(?)は微妙なんだけど自分的には笑えましたw
なっち卒業まであと一日・・・!一日?!
早っ!かなりあっという間に日にちが過ぎたような。
ここでいうのもなんですが、ソロとしてこれからますます頑張ってほしいです。
如月さんも次回更新、これからももちろん応援してますので頑張ってください!
169 名前:名無しさん 投稿日:2004/01/25(日) 01:08
3作品一気に堪能させてもらいました
如月さんの作品はあったかいです

一徹ごま見たいような恐いような(笑
170 名前:如月 投稿日:2004/01/27(火) 18:25

めざましにて、如月号泣。
みんなにもらい泣き。

もう、辻とか・・・辻とか・・・ッ(涙)

まあまったく無関係の話なんですが。
お付き合いくだされば嬉しく思います。
171 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:27

おててつないで


   +中澤・石川+



172 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:29



「寒っ!」
「ねー。寒いですね。」



173 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:29




駅でばったり。
同じスタジオへ行くわけで。
まさか別々に行くわけにも行かないってコトで。



「『ねー』ちゃうやろ。やっぱタクシー拾おうやー。」
「ダメですよ。イルミネーション綺麗でしょ?」



何故か妙に歩きたがる石川。

そんなもん、いつでも見れるやろ。
今日めちゃめちゃ寒いやん。
頼むから勘弁してくれ。



「・・・石川、もうアンタ一人で行け。」
「ハイ!?」
「ギブ。もうタクシー乗る。」
「そんなぁ、中澤さーん」
「うっさい!」



流れ行くタクシーを止めるべく。
車道に向けて振り上げた右手。

その手をヒョイと、おろされる。

『ヘ?』と見やれば、石川の左手に握られた、自分の手。



「寒いんなら、手繋いで行きましょう?」
「ハァ?」
「あったかいでしょ?」



横を見れば、楽しそうな石川の笑顔。



「人肌恋しい中澤さんに、石川からのサービスですよぉ」
「余計なお世話ですぅ。」
「もー、嬉しいクセにぃー」



おどおどしていて、怯えていたあの頃の石川はもういない。
少し寂しい気も、しなくはない。



「しゃーないなぁ。甘えさせたるか。」
「え〜?何ですかソレ」
「最近かまってやれんから、甘えてんやろ〜?」
「じ、自意識過剰ですよ、中澤さん」
「大丈夫大丈夫。いつも見てますよー石川さんの活躍。」
「・・・中澤さん、なんか良くないもの食べました?」



174 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:30



おててつないで


   +中澤・石川+オワリ+








175 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:31


おててつないで


   +飯田・安倍+




176 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:33






懐かしい会話を思い出した。
初めて立つステージの前日。
緊張で、どうしようもなくて。

なっちのベッドに潜り込んだ。









177 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:33





「寒いねー。」
「寒いよねぇ。」



赤信号で、待ちぼうけ。

だいぶ下にある頭に話し掛ける。
同じ様な言葉が返ってきた。



「地元はもっと寒かったはずなのにねぇ」
「そうだねぇ」



いつの間にやら、この土地の四季に慣れてしまった。


『リーダー』として、しっかりみんなをまとめなきゃ。
そういう重圧が、こういう会話を減らしていたかな。

卒業直前に気付いちゃった。
もっと、こんな風に話したかったかもしれないよ。


行っちゃうの?
ねえ、行っちゃうの?

ねえ、なっち。



「カオリ?」
「ふぁ?」
「久々に交信かい?」



呼ばれて気付けば、周りの人込みは動き出してて。



「ホラ、青だよ、行こ?」



差し出された手。
握り締めた。

きっと、コレで最後。
きっと、コレが最後。



「ねぇ、なっちぃ?」
「うん?」
「大丈夫だからね?」
「うん。」
「大丈夫だよ?」
「うん。」



178 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:35




おててつないで


   +飯田・安倍+オワリ+









179 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:36


おててつないで


   +後藤・吉澤+




180 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:36




「ヨシコ、寒い。」
「そりゃ奇遇だ。アタシだって寒い。」




181 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:37




冬のちょっと良いムードの歩道。
何で隣りがヨシコだよ。
不満そうな空気を察知したのか、ヨシコが言う。



「・・・悪いけど、あの店先に入ってたのアタシだから。」
「何でこうも趣味似てるかねぇ・・・」
「さあ?」



たまたま見つけた雑貨屋。
その雰囲気につられてフラリ入った。
なんとそこには吉澤さん。

もちろん、ヨシコが嫌いだとかそんなんじゃない。
そんなんじゃないけど。



「・・・梨華ちゃんが良かったよぅ・・・。」
「あっ、ひでー。」
「じゃあヨシコの心の中は〜?」
「梨華ちゃんが良かった。」



マジマジと見詰め合う。
同時にふきだした。



「しゃーない、ヨシコで我慢してやるかー」
「思いっきりこっちのセリフだけどねぇ」



どっちからともなく、手を繋ぐ。
ドキドキもワクワクも特にナシ。



「さっさとスタジオ行こ!寒い寒い!」
「待ったごっちん!コンビニ寄ってかない?」



駆け出した矢先に、目に飛び込んできたコンビニ。
くるり、ヨシコを振り返る。



「「肉まん買ってこ!」」






182 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:38




おててつないで


   +後藤・吉澤+オワリ+









183 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:43





憎まれ口を叩きつつ。
嬉しそうに握られる右手。

久々に見た、その笑顔。

仕方ない。
寒いの堪えて、甘やかしたろ。










怖いよなっち。

大丈夫だよ、カオリ。

絶対失敗しちゃうよ。

カオリなら出来るよ。

出来るかな?

出来るよ。

そうかな

がんばろ、いっしょに。









慣れたぬくもり。
馴染んだぬくもり。

きっとこの先も、一緒のぬくもり。





184 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:45







185 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:45





「んぁーっ!り〜かちゃぁ〜ん!!」

「あっ、ごっちん待ったぁ!!オイコラちょっと!!」

「おっさき、ヨシコ!」


「・・・騒がしいのが来たで?」

「あーははは、今日は早いねぇ?二人ともって、わ!イタイイタイ!!」

「若いなぁ〜・・・」


「そーいう発言が、裕ちゃんはオバチャンなんだよね?カオリ」

「そーだよねぇ?」

「なっち、カオリ。なんや?手なん繋いで。」



前を駆けて行く10代三人組。

真ん中のお姉さんは、左右二人に手を引かれ。

その後ろをまったり歩く20代+30代。

もうじき卒業の小さいお姉さん。
後ろを歩いていた30代のお姉さんの手をとる。



「じゃ、ホラ、裕ちゃんもつなごっ?」




186 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:46





寒い日は おててつないで

心がほっこり

あったかくなる


みんなで仲良く 歩いていこう


187 名前:+++おててつないで+++ 投稿日:2004/01/27(火) 18:47






           +++おててつないで・オワリ+++


188 名前:如月 投稿日:2004/01/27(火) 18:50

・・・コレなんだろう・・・
雰囲気モノですね・・・。


>>171-187
『おててつないで』

189 名前:如月 投稿日:2004/01/27(火) 19:02


164 名無し読者様

なちまり・・・好きなんですよね〜・・・。
よしいしごまも、もともと大好きで。
毎回ああいうノリで書きたいくらいなんですが、
テンション追いつかないので無理(笑


165 つみ様

心通う前の関係が好きなので、
ココの二人はなかなか難しいかもしれません(笑)。


166 ROM読者様

ドタバタで終わろうと思ったんですが・・・
なっちの卒業が、そうもさせてくれませんでした。


167 sai様

(*^▽^)<エッチィ♪

交信・・・否、更新。
ストレス溜まると、どうも更新ペースが速くなるみたいっスー。
あはは、複雑〜(ホントにな)。


168 pj様

如月も、安倍さんの活躍を祈ってます。
モー娘。ファン前から、彼女の空気と歌声、大好きでした。
ますます期待したいと思います。


169 名無しさん様

こんな駄文であったまっていただけるなんて、恐縮です。
と、同時にとても嬉しいです。
これからも精進したいと思います。

後藤サンたら勢いで『一徹やる』だなんて言っちゃって・・・
如月書けませんよ?後藤サン・・・

190 名前:如月 投稿日:2004/01/27(火) 19:03

それでは、こんな感じで。

お付き合いくださった方、お目汚しを。
感謝です。

191 名前:如月 投稿日:2004/01/27(火) 19:17
しまった。
『もうじき卒業』じゃないですよね。

卒業前に書いてたもので…

すみませんでした!!
192 名前:ROM読者 投稿日:2004/01/27(火) 21:43
更新お疲れ様です。

すごく暖かいオムニバス・・と思いきや、最後はしっかり
手と手を繋いで。昨日の今日でこの作品はかなりきました。
なっちを抱きしめて号泣してた飯田さんの姿が忘れられません。
193 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/01/28(水) 05:42
更新お疲れさまです。
如月さんの作品はほんとにあったかくていいですね。
自分もめざましなどを見て朝っぱらから何度も泣いてしまいました。
なっちとメンバーの強い絆を感じた気がします。ソロでも頑張って
欲しいですね。なっちファンでありながら石後好きな自分ですが、
如月さんを応援していきますんで、頑張ってください!!


194 名前:pj 投稿日:2004/01/29(木) 20:15
更新毎度お疲れ様です。
「おててつないで」よかったです。
ほんわか、まったりな感じがでていてまたまたこっちまでほんわかしましたよ。

なっちラス紺行った方はすっごく感動したそうですね。
テレビなんかを見てても結構感動したくらいですからw
私もテレビや、どっかの画像なんかを見ると辻さんと、矢口さんのとこがひじょうに感動しました。
またこういう話も待ってたりしますので、頑張ってください。
195 名前:如月 投稿日:2004/02/02(月) 10:32

なちまりです(え)。

石後書きたいんですが、てかストックはあるんですが
・・・(黒 ´ Д `)
って感じなんで。

もう少し黒さ抑え目に仕上げてからにしたいと思います。

196 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:34




『着信 梨華ちゃん』




197 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:34




人がへこんでいるときに、何だというのだろうか。
出来れば、出たくない気も、しないではない。

下手ななぐさめなど要らない。

心が狭いといわれようと、今は話したくない。


結構放置しても、静まらない携帯。
震えるそれを、手にとる。

電源切ったら、さすがに嫌なヤツすぎるだろうか。


しかたなく、出た。



198 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:34




『パンパカパーン!おっめでとーございまぁっす☆』



バカらしいくらいのテンション。
何がめでたいんだ。
是非とも教えてくれ。



199 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:35




『ロンリーガールに愛をあ・げ・る♥
 お久しぶり♥チャーミー石川でーっす』

「あーのさぁ石川・・・」

『さてさてそこのあなた〜?ウルトラミラクルラッキーですよっ』

「・・・風邪で番組蹴って、おうちでまったり出来てか?」

『ハイハイ腐らない腐らない♪』

「切るぞ」



うん、つーか切るぞマジで。



200 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:36




『ジャーン!そんな感じで本日復活特別バージョン・ハロニューでーっす!』



大喜びで『フゥッ♪』とか言ってる。
うーわー・・・なんなんだこのノリ・・・



「ねぇ石川さん、ヤグチさぁ、実は凹んでたりするんだぁ。」

『そんなときこそご一緒に?ハイ、はぁっぴぃ〜♥』



お話通じない感じで。
お姉さんちょっと泣きそうなんですが、チャーミーさん。



「・・・石川・・・」

『ではでは、まず復活記念の企画で御座います。』



めげずにチャーミー突き通す梨華ちゃん。
もうオイラには、復活ハロプロニュースに付き合うしか道は無さそうだった。
心を決めて、一息ついた。



201 名前:+++You 投稿日:2004/02/02(月) 10:36




『はぁい、では参りまショー。超☆期間限定、チャーミー石川改めぇっ?』



妙なところで文章を区切って、石川の気配が携帯の向こうから消えた。

え、なに?
ハロニュースペシャルおしまい?
切っちゃって良いの?

と、悩んだ瞬間。



202 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:37





『改め、エンジェルなっちでっす♥』





203 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:37




「なっち!?」



飛び込んできた、可愛い可愛いなっちの声。

聞きたくて、聞きたくない声。
今のオイラの心境は複雑。



204 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:38




「なっちぃ・・・」

『なんだなんだぁ?暗いぞミニマム矢口ぃ?』

「・・・暗くもなるし。」

『なんでだい?』

「・・・・・・」



なっちの生放送ラストに、一緒にいられなかったから。
そう言いたくて、でもやめた。
言葉にしたら、涙が出る。

テレビの前で歌うオイラは、なっちのファンでしかなかった。

モーニング娘。として、そばにいたかったのに。


ああ、さっきあれだけ泣いたのに。
悔しくて悔しくて泣いたのに。
思い出しただけで、また涙が出そう。


205 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:38


言葉に詰まってしまったオイラ。
なっちが苦笑しているように感じた。

そして、まるで耳元で聞こえるように、なっちの深呼吸する音が、聞こえて。



『――メモは・・・すこし長いけど・・・』

「・・・へ?」

『――でも最後まで読んでよ ねぇ・・・』



なっちが口ずさむようにして歌い出したのは、今日の放送で歌った歌。
横でハモりたかった、あの歌。



206 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:39




『・・・ホラ、歌ってよ』

「・・・なっち?」

『歌ってよ、・・・ヤグチ?』



なっち
なっち

そんな、泣きそうな声にならないで。
どうしたら良いのか分からなくなる。



『・・・いくよ?』

「・・・うん・・・」



207 名前:+++You 投稿日:2004/02/02(月) 10:39




電波に乗って、なっちの歌声が耳元で響く。
こんなに遠くで、こんなに近く、なっちの歌声を聴いたのは、そういえば初めて。

柔らかくて切ない、綺麗な歌声。

風邪で荒れた喉の痛みを堪えて、一生懸命ハモった。
なっちの耳に、オイラの声が離れないように。



208 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:39




『・・・フフ、ヤグチ、音外してた。』

「・・・しょーがないじゃん、風邪ひいてんだから。」



にくたらしいなっちの発言。
泣いてるのを悟られないように、憎まれ口を返した。
たぶんその可愛くない言葉は、オイラと一緒なんだと、思う。

何度かうわずった、なっちの歌声。
泣いてる自分が、照れくさかったんだろう。



209 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:40




『じゃ、早いとこ風邪治して、本調子の歌声、お聴かせくださいよ』

「おう!・・・じゃあとっとと寝るとしますかね。」

『うし、イイコイイコ。』

「そっちこそ、風邪なんか引くなよ、いもなっち?」

『だー!うっさい子だね!もう寝ちゃえバカっ!!』



なっちの表情が手にとるように分かった。
楽しい空気。

と、突然その空気ががらっと変わって。



210 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:41




『ハイっ、再びハロニューメインキャスター、チャーミー石川でーす』

「うわ、うっさ!!うっさいよ声が!!」

『あっら〜?もー、ミニマムってば、照れない照れない』

「照れてません。」



梨華ちゃんが笑った気がした。
それは、からかうような笑いとかじゃなくて、なんていうか。



『祝☆復活バージョンは如何でした?お楽しみいただけましたかっ?』



安心したような、そんな笑い。
・・・あ〜・・・心配されてたのかぁ・・・



『あなたのハートに愛をお届け、みんなのアイドル、チャーミーでした〜』

「うん、ありがと。」

『へっ!?』



かなり素直に言葉が出た。
梨華ちゃんも、まさか謝礼の言葉を聞くとは思っていなかったらしい。
明らかに驚きの声。

けれどそんな予想外な展開にも、アドリブに強くなったチャーミーはしっかり対応。



211 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:41




『ミニマムの口からそんな素直なお言葉引き出すなんて、さすがはチャーミー!』



って、さり気に失礼だよね、キミね。
でも、今は感謝の気持ちのほうがおっきいから、スルーしてやる。



『ってなワケで、以上!一夜限りの限定復活ハロプロニュースでした!グッチャ〜♥』



212 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:42




けたたましくかん高い声を残して切れた電源。
耳をつんざくようなその声。

でも、イライラはない。
荒んでた心、サラサラ流れ出した。

そりゃ、まだちょっとは苦しくて痛いけど。


元気でたよ。
HAPPYありがと。



213 名前:+++You make me HAPPY+++ 投稿日:2004/02/02(月) 10:42





            +++You make me HAPPY・end+++

214 名前:如月 投稿日:2004/02/02(月) 10:45

>>196-213
なちまりが書きたかったのか、チャーミーが書きたかったのか。
紙一重で、後者って感じですか。

215 名前:如月 投稿日:2004/02/02(月) 10:54


192 ROM読者様

『なっち』のいないモーニング娘。が、今後どうなるのか。
如月、ちょっと怖いです。
でも、安倍サンが安心してソロに専念できるようなグループになってほしいです。
がんばれモーニング娘。


193 名無飼育さん様

めざまし、泣けましたよね。
朝っぱらから勘弁してくれよと思いつつ、もらい泣きもらい泣き。
これから先、モーニングも安倍さんも。
両者の飛躍を期待します。

応援くださって、感謝です。
ご期待に添えられるよう、頑張りたいと思います!


194 pj様

もともとオムニバス好きなんですよね。
書きやすくて。
ホラ、一つの文が短くて済(略

先日のハロモニで、また涙してしまいました。
なんだか、改めて『ふるさと』聴きたくなってしまいました。

216 名前:如月 投稿日:2004/02/02(月) 10:55


なちまりでした。

それではお付き合いくださった方、お目汚しを。
読んで下さって、ありがとうございました。

217 名前:pj 投稿日:2004/02/02(月) 20:25
更新お疲れ様です。
梨華ちゃんのブリ(痛?)キャラもありつつ、ほのぼのしていて心打たれてしまいました。
そして和みました。
はっきり言って(・∀・)イイ!です。

私の地域ではハロモニの放送日が7日遅れなのでまだチェックできてないんですが、
必ず見てみようと思います。
私も当然のごとくなっちの歌うふるさとが大スキです。
218 名前:ROM読者 投稿日:2004/02/03(火) 14:35
更新お疲れ様です。

これでもか!って程、たたみ掛けてきますネ。
この時の矢口さんにしても、横アリの紺野さんにしても
どれだけ悔しい思いをしたのだろうって、考えただけで
泣けてきます。 

これからも、変わらずみんなまとめて応援していきたい
と思います。

219 名前:如月 投稿日:2004/02/03(火) 17:29

アホな感じです。
深いことは考えないで読み流すのがポイントです。
では、お暇な方お付き合いくだされば嬉しいです。
220 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:31



ふわふわとした、白い空間。
周りは何もなくて。

寒いとか、暑いとか。
そういうのも良く分からない。

くるり、まわってみる。
周りは同じ景色で、まわったんだかまわっていないんだか。
そもそも、自分の体があるのかすら。


ただ、意識がそこに浮遊してる感覚。



221 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:32




「ちゃおっ♥」
「ぅあっ」



激しく至近距離で急に耳に飛び込んできた、声。
驚いて振り返ると、そこにはやけに肌露出の高い。



「最近出番多すぎの、チャーミー石川でッス♥」



その人が、笑顔で立っていた。



222 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:32




「・・・自覚アリなんすか・・・。」
「コレは作者のせいで、私のせいじゃないもん。」



どうも、ここの作者、私のコト好きみたいなのよね〜と、ブチブチ言い出してしまった。
ごとーは置いてけぼり状態。

ちょっと待って。
お願い、ココどこ。



「あの・・・お取り込み中のトコ、すみませんが・・・」
「えっ?ああ、ごめんなさい!チャーミーってば大失敗!」



カメラ目線で(カメラ?)『えへっ♥』と笑顔。
わざとらしく咳払いをして、梨華ちゃんがこっちを向いた。



223 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:33




「えー、チャーミー石川プレゼンツ、あなたの夢を叶えましょうのコーナ〜♪」
「は?」
「・・・あなたの夢を叶えましょうのコーナ〜♪」
「は?」
「・・・・・・あなたの・・・もう、のってよっ」



人差し指で、肩を『ツン』とやられる。
最近では滅多にお目にかかれない、寒いほどのぶりっ子モード。



「・・・り、梨華ちゃん・・・」
「梨華じゃなくって、チャーミーです!も〜ぉ」
「・・・・・・」
「・・・唖然って感じになっちゃってますが、ほっといて参りましょう。」
「・・・ねえ、結局ココはどこなワケ?」
「それはこの企画のアレで、教えられません。」



キッパリと言い放たれて、どうも昔からこの人に弱いごとーは黙るしかなかった。



「えー、このコーナーは、あなたの夢をワタクシが叶えてしまおうというものです。」
「アナタが・・・。」
「ハイっ。せめて夢の中では欲望を存分に発揮していただこうと・・・」
「夢なんだね?」



自ら暴露ってしまったことに気付き、ハッと口を抑える梨華ちゃん。
・・・チャーミーか。



224 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:34




「・・・・・・ッてなワケで!」
「強引に押し切るんだね。」
「あなたの願望、叶っちゃいますよっ!!」



押し切りやがった。
ま、夢ってコトで、なんでもアリか。

・・・ん?
『願望』?
『欲望』?



「・・・ごとー、そんなモンないんだけど・・・。」
「うーそ〜ぉ。」
「・・・イヤ、ホント。」



欲求不満とか、特に思い当たらない。



「え〜?例えば、私にそっくりの、あの可愛らしい石川梨華さん。」



よく自分のことそこまで言えますね。
あ、別人なんでしたっけね。

ごとーの心の中の突っ込みを気付く由もなく。
チャーミーさんはとっとと企画を進行していく。



225 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:34




「彼女にぃ、ん〜、そうだなぁ・・・セーラー着せてみたいとか、思ったコト、ない?」



梨華ちゃんにセーラー・・・。

・・・・・・う。
そ、そんな同じ顔で上目使いに見つめられると・・・


思わずセーラー服に身を包む梨華ちゃんを想像しかける。
その瞬間。
『ぽわん』と妙な音を立てて目の前の人が、一瞬霞んだ。

霞みが晴れ、再びはっきりその姿が現れる。

けれど、そこにいたのはセクシーな衣装のチャーミー石川ではなくて。
清楚なセーラーに変わった、梨華ちゃん。



「・・・ナルホド。真希ちゃんはルーズより紺ハイが好みなのね。」
「なっ・・・な、な・・・・ッ」



226 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:35




どうやら中身は相変わらずチャーミー石川のままのようだ。
衣装チェンジした自分を、腕を伸ばしたり首をまわしたりしてチェックしている。

突発的な状況に着いていけず、あわあわしているごとーをほっぽって。



「まあ、こんな感じで、あなたの妄想を現実にって感じな企画なワケです。」
「げっ・・・げ、現実じゃないじゃん・・・夢なんでしょ?」
「あわあわしつつ、ツッコミ厳しいぞっ」



言いながら、ほっぺた『ツン』。

・・・感触がある。
夢なのに、妙にリアル。

って、そうじゃなくて。



「あの、別に良いです・・・。」
「え〜?なんでぇ?」



恥かしいから。



227 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:35




「だから、ごとーには願望なんかないんだって。」
「じゃあこの今の私のカッコはどう説明するのよ〜」
「それは誘導尋問じゃん!」



あんな聞き方されたら誰だって想像しちゃうじゃん!



「妄想すれば、色んなカッコに変身してあげちゃうんだよ?」
「いいですっ」
「こんなビックチャンス、逃しちゃうのぉ?」
「逃しちゃうよ!早いトコ逃げちゃって!!」



梨華ちゃ・・・じゃなく(ややこしいな)、チャーミーさんに背を向ける。
グルンと、勢い良く背を向ける。

だって、これ以上彼女を見ていたら――・・・


228 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:36






『ぽわん』






229 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:36




・・・・・・・・・遅かった。

230 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:36



「・・・ふーん・・・ナースかぁ・・・。でもナースって着てなかったっけ?コントで。」



背後で聴こえる可愛い声。
今のごとーには、悪魔の囁きに聴こえる。

ごめんなさい神様仏様梨華様。
不埒な思考を取り払えなかったごとーをお許しください。

チラッと振り返ると、そこにはもうヤバイくらい可愛いナースな梨華ちゃん。

うん、いいの。
もう梨華ちゃんなの。

薄いピンクの膝丈のナース服。
ナースキャップもピンク。

勿論、ガン黒メイクなんてしてない、ナチュラルメイクの看護婦さん。

見惚れてたら、目が合った。
その目がゆっくり笑って。



「・・・可愛い?」



カワイイ!!
ってバカ!!



231 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:37




「い、石川さん・・・」
「はぁい?」
「ごとー・・・どうすればいいのでしょうか・・・。」
「ん〜?楽しんじゃえば良いのに・・・結構真面目なんだね?」



そう言う彼女が、『ぽわん』と霞んだ。
そして出てきたのは。



「あ、ミニスカポリス♥」
「だああああああっ!!ごめんなさい――っ!!!!」



232 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:37




結構ギリギリなミニ。

ダメじゃん。
ごとー欲望全開じゃん。

しかも『逮捕しちゃうぞ♥』とか。
ちょっと言ってみて欲しいとか。
思っちゃダメじゃん。



「タイホしちゃうぞっ♥」
「ええっ!?そんな願望まで完璧に!?」
「もちろーん」



得意げに拳銃を構えてみせるミニスカポリス。


倒錯的世界ってヤツなんだろうか。
なんかちょっとゾクゾクする。



233 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:38




『ぽわん』

「あ、スチュワーデス。ん?今は言い方違うんだっけ?」


『ぽわん』

「あはは、『社長、お茶が入りました』って感じ?」


『ぽわん』

「これ何?あ、保育士さんかぁっ」


『ぽわん』

「教師?教師?」


『ぽわん』

「お姫様だぁ♥」


『ぽわん』

「わ、バスローブ」


『ぽわん』

「ピースの衣装じゃな〜い(笑)」



234 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:38




妄想大爆発。

ダメだ。
ごとー、なんかダメだ。
人として、なんかダメだ。

いくら夢だからって、梨華ちゃんにこんな・・・こんな・・・ッ


肩をがっくりと落として、膝をつき、両手を床に。
失意のどん底なごとーの耳に届く、あの妙な音。



235 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:39




『ぽわん』

「あ、ウサギ。」



236 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:39




・・・・・・ッ!!

ごとーが悔い悩んでるってのにごとーの頭はそんな楽しいコト考えてんのか!
一緒にきっちり悔やめ!悩め!
ごとーの思考回路のせいで、今ごとーすっごい自己嫌悪なんだから!!
(錯乱のため、言うことがおかしい)

ウサ耳とかウサ耳とかウサ耳とか!!!

バカッ!
ごとーのバカバカ!!


237 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:40



と、肩にのしっと重みがかかる。
不思議を顔いっぱいに出しながら、ふと顔を上げる。

満面の笑みのウサ耳梨華ちゃんがそこに。

前にかかってた重心。
肩に乗せた手から、梨華ちゃんがぐぐっと体重をかけてくる。
倒れないように、両手を後ろに突っ張った。



「へ?」



完全に押し倒された形。
立てたひざとひざの間に、ウサ耳梨華ちゃん。



「へ?へ?」
「ふふ♥」



スルリと首に腕をまわされた。
意味ありげな微笑みのまま、梨華ちゃんの顔がゆっくり近づく。



238 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:41




「ちょ、ちょっと・・・」
「しー。」
「しーって・・・ねえ・・・うわっ待って、待って待って待って」
「なぁに?」
「ごとーにそんな願望ないって!!」



耳元を撫でられる。
うわ・・・やらし。

妙に積極的。
小首をかしげて上目使いは可愛い。
耳がピョコンとか動いちゃってかなり可愛い。

確かに可愛い。
凶悪的に可愛い。

可愛いけどでも!



239 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:42







「こんな積極的でえっちぃ梨華ちゃん、ごとーはイヤだ――――ッ!!!!」








240 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:42



ドガン



「った!!!」



241 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:42




ソファから床に転げて、腰を強打した。
ズキズキと痛む腰をさすりながら上半身を起こす。



「いーったぁ・・・」
「だ、大丈夫!?」
「梨華ちゃん・・・」



心配そうな梨華ちゃんが駆け寄ってくる。
ああ・・・可愛い・・・。

そっか、娘。の楽屋に来て寝てたんだっけ・・・
・・・なーんか・・・変な夢見た気がするけど・・・・・・

とりあえず、今はこの可愛らしい梨華ちゃんを抱き締めたい衝動。

えい、ぎゅ。



242 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:43



「わ、どーしたの?」
「ん〜・・・なんか怖い夢見た・・・。」
「怖い夢?」



立てひざ突いてる梨華ちゃんの腰に腕をまわして、ぎゅ〜っとしがみつく。



「で?」
「は?」



『で?』と問うのはやぐっつぁん。
にやにやと楽しそうに笑って、ソファの背凭れの向こうからごとーを覗き込む。
その後ろから、ヨシコと美貴ちゃんも似たような顔で笑ってる。



243 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:43




「・・・・・・なにが?」
「どんな夢見てたんだよ」
「・・・ゆめぇ?」



寝ぼけた頭で考える。
ダメだ、ワケ分からん。

きょろきょろ見回すと、5期メンと6期メンはどことなく顔が赤い。
なっちとカオリは呆れたように笑ってるし。
辻ちゃんとあいぼんは・・・も、寝てるのか。



「三人とも・・・なにニヤニヤしてんの・・・キショイよ」
「ほぉ、そんなコト言うかごっつぁん。」
「・・・だから何が。」



三人は、おもむろに顔を見合わせてさらに顔を緩ませた。


なに。
なに。
ホントなに。

と、次の瞬間。



244 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:44




「「「こんな積極的でえっちぃ梨華ちゃん、ごとーはイヤだ――――ッ!!!!」」」



三人に叫ばれて、さっきの夢がいっきに蘇る。
ぐぁ〜っと、体の底から熱が湧きあがった。



「うっわ!!うわうわ!!!ちょっと三人とも・・・ッ」
「ひゃははははははっ!!ごっつぁん顔真っ赤ぁ〜」
「まったく、ホントどーんな夢見てたんだよごっち〜ん」
「美貴にもわ・け・て〜♪」



三人から口々に茶化される。




245 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:45




どんな夢?
どんな夢って?
どんな夢かって!?
言えるワケないだろっ!!!

と、とりあえず・・・

梨華ちゃんから離れて、床に両手をつく。
いわゆる土下座で、平謝り。



「ごめんなさい梨華ちゃん!!」
「「「謝るような夢〜〜〜!!!」」」



ゲラゲラと大爆笑する三人。
赤くなって俯く梨華ちゃん。




246 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:46





こんなバカバカしくてあったかい楽屋の中。
ごとーはなんてハレンチな夢をみてしまったのか。

それもこれも、すべてアイツが悪い。
あのブリブリの可愛いアイツのせいだ。

もう絶・・・・・・っ対!!
絶対ごとーの夢には出てくるなー!!!




247 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:46



「さってと。次はドコに行こうかな〜♪」



248 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:47



・・・心の中で絶叫してたごとーの耳に、そんな声が聴こえた気がした。







・・・美貴ちゃんトコと裕ちゃんトコにも行くな。
あの二人はなんか危ない気がする。



249 名前:+++心のトビラ+++ 投稿日:2004/02/03(火) 17:48





             +++心のトビラ・終わり+++

250 名前:如月 投稿日:2004/02/03(火) 17:51

>>220-249
sage忘れたので、潔く忘れたままで更新してみました。
こんなバカ話sage忘れちゃって・・・。


251 名前:如月 投稿日:2004/02/03(火) 17:55


217 pj様

和んでいただけましたでしょうか。
あんなワケ分からんもので申し訳です。

ハイー。是非チェックくださいませ。
懐かしいやら切ないやらで。


218 ROM読者様

なっち大好きらしいですからねー如月。
気付かなかったんですけどね。
ずっとファンだったみたいです。
なんかモーニング娘。にはいて当たり前の存在で、自覚なかったんですけど。

・・・紺野サンと加護サンのお話も考えてみたんです。
が、やっぱりなちまり大好きなので、ああいう形になりました。

252 名前:如月 投稿日:2004/02/03(火) 17:58


えー、そんな感じで。
心の扉を〜思い切り〜開〜こ〜♪
ってコトで、後藤サンの心の扉を・・・(w

お付き合いありがとうございました。
お目汚しを。

ではでは、失礼します。
253 名前:つみ 投稿日:2004/02/03(火) 20:04
すんごくおもしろかったです!!
この石川さんが自分のところにも・・・
はあぅ!
鼻血がまじででてきました!
ナース梨華ちゃんお願いします!(w
254 名前:名無し読者 投稿日:2004/02/03(火) 21:15
後藤さんの心の扉はあぁいうことになっていたのか・・・w
なるほどなるほどです。
今まで和み系?が多かったのですが、今回は・・・萌えましたw
はい、とっても素敵でしたよ、如月さんの妄想w
是非また見たいと思いました!
255 名前:ROM読者 投稿日:2004/02/03(火) 21:42
更新お疲れ様デス。
オタの妄想を具現化してくれたごっちんありがとう!
いやぁ〜楽しかった。つっ込み3人も最高。
でも、今度は自分の楽屋で寝たほうがいいかも。

>モーニング娘。にはいて当たり前の存在で、自覚なかったんですけど。
今回思い知った人は多いと思いますよ。ROMもその1人ですから。
256 名前:名無し読者 投稿日:2004/02/04(水) 19:30
お疲れさまでした!!
嫌がっていながらも、いろんな事を想像してしまう
純粋なごっちんがメチャ可愛かったです!!
257 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/05(木) 12:26
最高です!
めっちゃおもしろかったっす!!

>あの二人はなんか危ない気がする。
あの二人の夢もみてみたいかも・・・(w
258 名前:pj 投稿日:2004/02/07(土) 17:16
254はpjです。
間違えて違う名前で打っちゃいました。

如月さんの次回作楽しみです。
あぁいう石後スキなので今度は石川さんの心が見てみたかったりもします。
259 名前:名無しさん 投稿日:2004/02/07(土) 22:10
心のトビラよいですね
pjさんと同じで石川さんの心も見てみたいような
260 名前:春雷 投稿日:2004/02/10(火) 13:45
笑かさしてもらいました!
チャーミーさんいいですねぇ。わたわたしてる後藤さんも。
自分、ハロモニのなっちSP録りそこなってなきそうだったんですが前ので、癒されました
261 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/02/22(日) 00:51
前レスまでは真希チャン呼びしてたのに、今回は全然なーい!!
名前呼び好きなので如月さんお願いしまーす。
262 名前:名無し読者 投稿日:2004/03/11(木) 01:38
如月さんの描くいしごま不足になりそうです
263 名前:如月 投稿日:2004/03/15(月) 11:01
お久しぶりです(ホントニナ
如月です。

ひたすらほのぼの目指して。
相変わらず撃沈ですが、お付き合いくだされば嬉しいです。
264 名前:心解く瞬間 投稿日:2004/03/15(月) 11:08



「亀井ちゃん亀井ちゃん」
「あ、ハイ、なんですか?加護さん」



テレビ局の廊下、歌撮りのリハを終え、自分達の楽屋に向かうさくら組の面々。



「あのね、腕で顔が見えなくなっちゃってたから、もちょっと下げた方が良いよー?」
「あ、ホントですか?ドコですか?」
「えっとねぇ・・・」



腕の振りを確認しながら歩く加護と亀井。
その後ろを、新垣・高橋が、その斜め後ろを矢口・吉澤、の順に、並んで歩く。



265 名前:心解く瞬間 投稿日:2004/03/15(月) 11:09




「いや〜、加護ちゃんももう立派に先輩っぽいねぇ」
「おやぁ?寂しいですか?矢口さん」
「ん〜?いやぁ、寂しいのはよっすぃーじゃなーいの?」
「えー?なんでスかー」



ふははは、と笑いあう先輩二人を振り返って、新垣が言う。



「お二人とも、寂しそうですよー。」



クスクスと笑いながら、『ねー』と高橋と紺野に振る。



「そうだね」



少し苦笑を交えて、高橋が答えた。
紺野もその横で笑う。

その笑顔にさらに苦笑を返してから、矢口が吉澤を見やる。



266 名前:心解く瞬間 投稿日:2004/03/15(月) 11:09




「よっすぃーも、おっきくなっちゃったもんなぁ。」
「えー?吉澤はもともと矢口さんよりデカかったじゃないですかー。」
「そーいう話じゃないっしょー?ココロが、おっきくなったねって。」
「良いことじゃないですか。大人になったってことでしょ?」
「教育係としては、嬉しくもあり、ちょっとばかし寂しくもあるんだよ。」



少々しみじみ言う矢口に、吉澤が照れくさそうに鼻筋をかく。
そんな会話を知る由もなく、先を歩く加護は楽屋のドアノブに手をかけた。



「あ、梨華ちゃん!」
「しーっ」



加護の声に、名前を呼ばれた石川が人差し指を立てる。
慌てた様子でパッと自分の口を覆う加護。
その仕草にクスリと笑いをこぼす石川のもとへ、てけてけと駆け寄る加護。



「早くない?おとめは昨日歌撮っちゃったから、今日の入りはもちょっと・・・」
「うん、そうなんだけどね、『早く来すぎちゃったよ〜』って電話寄越してきてね。」



『この子が』と、自分の膝を指差す。
そこには、気持ち良さそうに眠り込んでいる辻の姿。



267 名前:心解く瞬間 投稿日:2004/03/15(月) 11:10




「付き合ってあげたんだ?」
「ふふ、それにあいぼんに早く会いたかったし〜」



茶化すように言いながら加護の額に自分の額を合わせ、ぐりぐりと押し付ける。
くすぐったそうに笑う。

笑いながら、加護はちらっと眠る辻を見た。



「梨華ちゃん」
「なぁに?」
「ひざ、重い?」
「んー?んーん。そんなこともないよ、平気。」
「ホント?」



嬉しそうに笑って、加護が辻とは反対の石川の膝にころんと転がる。
石川の両膝は、見事に二つの頭に独占された。



「なーにぃ〜?甘えんぼ〜」
「ふへへへへ〜」
「ホラ、あいぼんシー。のの起きちゃう。」
「あ。」



再び『しまった』と口元を押さえる仕草が可愛くて、石川は加護の頭を撫でる。
それが心地良いのか、しばらくして加護はゆっくり瞼を閉じた。

そんな三人の風景を見ながら、矢口が笑う。



「あーゆートコ見るとなんか安心するねー、ねぇ?よっすぃ・・・アレ」



268 名前:心解く瞬間 投稿日:2004/03/15(月) 11:10




三人の風景が四人になる。
うとうとし始めた加護の隣りに横になる吉澤。

ごろんと膝元に転がった吉澤に、石川と矢口が苦笑をこぼす。



「なに?よっすぃまで甘えんぼ?」
「そんなんじゃないですぅ〜」



なんとも説得力のない口調で否定されて、石川はやわらかく笑う。
瞳を閉じた吉澤に問う。



「よっすぃーも寝るの?」
「ん〜・・・どーしよっかなぁ・・・」




269 名前:心解く瞬間 投稿日:2004/03/15(月) 11:10



すでに眠たげな語尾。
寝入るのも時間の問題。


ぽかぽかと降り注ぐのは、優しい日差し。
もう春かぁ・・・

と、石川は思った。



270 名前:心解く瞬間 投稿日:2004/03/15(月) 11:11





          +++心解く瞬間・オワリ+++

271 名前:如月 投稿日:2004/03/15(月) 11:13
大人びた心を、ちょっと緩めてくれるのは、
慣れ親しんだ空気だったりしたりしたり。

ってことで、次は石後です。
272 名前:ひだまりの唄 投稿日:2004/03/15(月) 11:15



「おこんにちは〜」
「しーっ」



間の抜けた声とともに、楽屋に入るのは後藤真希。
その声に反応して、矢口が口元に人差し指を立てた。

人はまばらだ。
と、いうよりも、意識のある人間は矢口のみ。



「うぃっすやぐっつぁん。」
「うい〜。」
「どしたの?『しー』って。」



その後藤の質問には返さずに、矢口は指で矢印を作り、壁際の陽だまりを指す。
そこには、お昼寝タイム真っ最中な四人組み。



273 名前:ひだまりの唄 投稿日:2004/03/15(月) 11:15




「お〜、かっわい〜(笑)。何アレ、どしたの?」
「イヤ、あれよあれよと言う間にあんな感じに。」
「へー・・・でも梨華ちゃんつらくないか?アレ」



後藤が言う『アレ』な石川。
両膝に加護と辻の頭を乗せ、その足元には吉澤。

吉澤の存在に、脚を伸ばすことも出来ず、たたんだまま。
座った状態で、上半身はうつらうつらと船を漕ぐ。



「何度か倒れかけて目ぇ覚ますんだけどね。」
「そりゃそうだろね。寄っかかるトコもなくて寝づらいでしょアレは。」
「でも、『私が動くとみんな起こしちゃうから平気ですー』って。」
「梨華ちゃんらしいねぇ・・・」



274 名前:ひだまりの唄 投稿日:2004/03/15(月) 11:16




歌撮りをすでに先日済ませていたおとめ組よりも少々早い集合のさくら組。
それも終わり楽屋に戻ったが、まだおとめ組が来るまで時間がある。

眠る先輩たちに気を使ったのだろう。
新垣、高橋、亀井は何か飲んでくると言い残して、少し前に出て行った。


ゆぅらゆぅら。
いよいよ石川の船漕ぎが大きくなってきた。



「脚、痺れてるだろうね。」
「だね。」
「・・・てか危ないよ、アレ。」
「・・・・・・確かに。」



後藤の言葉に、矢口が頷く。



「起こす?」
「ん〜・・・辻加護はたぶん疲れてるだろうから、もちょっと寝かせといてやりたいけど・・・」



275 名前:ひだまりの唄 投稿日:2004/03/15(月) 11:16




ユニットデビューが決まり、ちらりちらりと二人だけでの仕事が出てきた辻と加護。
そんな二人を思って、起こすことをためらう矢口。

どうしたもんかと陽だまりを眺める。

それまで前後に揺れていた石川が、ガクッと横に大きく倒れこんだ。



「うっわ・・・!」



慌てて後藤が駆け寄る。
ギリギリのところで後藤がなんとかその上半身を抱き止め、床への激突は免れた。



276 名前:ひだまりの唄 投稿日:2004/03/15(月) 11:17




「あっぶな・・・。」
「・・・んぁれ?ごっちん?」



ぽえぽえと寝ぼけ眼で後藤の姿を確認する石川。
至近距離にある後藤の顔を、マジマジと見つめる。



「立場的にはごとー結構、白馬の王子って感じだね。」
「ふぁ・・・?」
「こっちの話。」



何のことだか理解する由もなく、石川が首をかしげるのを後藤は笑顔でかわす。
矢口は小さく笑って、その様子を眺める。

支えていた石川の体重を、自分のの肩に預けさせた。



「寝ちゃっていいよ。ごとーに寄りかかれば、ちょっとは寝やすいでしょ?」
「ふふふ。んー、ありがと・・・」



277 名前:ひだまりの唄 投稿日:2004/03/15(月) 11:17




夢の国へ戻る石川の体から、甘い匂いが香る。



「・・・バニラエッセンス?」
「んぅ・・・クッキー焼いてきたの・・・」



呟いた独り言に、石川からの返答があり、少し焦る。
せっかくの眠りを妨げるわけにはいかない。



「あ、ゴメン、寝ていいよ?」
「うん・・・あのね、起きたら、みんなで食べよーねぇ?」
「・・・そだね。」
「うん・・・」



嬉しそうに、石川が笑うのを見て後藤も微笑む。
肩にかかる重みが増して、石川が眠ったのが分かった。




278 名前:ひだまりの唄 投稿日:2004/03/15(月) 11:17





甘い甘い空気。

窓からはぽかぽかとあたたかい日差し。



ふくふくとした陽だまりの中で、後藤は大きくあくびをする。


それにつられるように、矢口もひとつ、あくびをした。



279 名前:ひだまりの唄 投稿日:2004/03/15(月) 11:18




          +++ひだまりの唄・オワリ+++


280 名前:如月 投稿日:2004/03/15(月) 11:22

・・・はたしてこれは石後と言えるのだろうか。

<<264-270
『心解く瞬間』

<<272-279
『ひだまりの唄』


ひだまりの詩ってありましたよね。
気づいた時には遅かった。
でも、このタイトルがパッと浮かんでしまったのでまぁ・・・いいか。


えーと、スランプだなんて大それたものではないのですが
ちょっと、思ったように文章がまとまらなくてですね。
久々の出現となりました。
281 名前:如月 投稿日:2004/03/15(月) 11:47

253 つみ様

ナースチャーミーを派遣しましたが、現れたでしょうか?(笑
え、来てないですか?
残念!夢ですからね、覚えてらっしゃらないのでしょう。


254 名無し読者という名のpj様

如月の妄想ですか。
まぁ書き手的にはすべて妄想ですが、如月はメイドさんが良(ry


255 ROM読者様

と、いうことは・・・後藤サンは石川サンオタ・・・?

突っ込み三人衆は好きです。
あのトリオで一本書いてしまいたくなる勢いです。


256 名無し読者様

ありがとうございます。
純粋な変態と認められて、良かったねごっちん!(笑


257 名無飼育さん様

あんなバカ話を最高だ何て。
嬉しいです、どうもです。

>あの二人の夢もみてみたいかも・・・(w
あ、ホントですか?
じゃあ軽くシリーズ化狙ってみようかなぁ(笑


258 pj様

石川サンの心・・・?
後藤サンは何に扮したらいいんだろう・・・
文麿?(何かに扮さないとダメなんですか、自分


259 名無しさん様

・・・見たいですか?石川サンの心のトビラ・・・
んー・・・後藤サンはなににさせればいいかなぁ(やっぱりそこ


260 春雷様

笑っていただければ何よりです。
ああいうおバカなものは、笑っていただけてこそです。
わたわたしてる後藤サンが好きみたいで、書いてて楽しかったです。


261 名無飼育さん様

ハイ了解です。
じゃあ、名前をネタに何かひとつ考えてみますです。


262 名無し読者様

え、えへ(←キモ
最近いしごま増えましたよね。
なんか『いしごま』って単語見てるだけで満たされてしまって(末期
不足が解消されるほどイチャついてないですが・・・
こんなもんで許してくだされば嬉しいです。
282 名前:如月 投稿日:2004/03/15(月) 11:50


>>264-270
『心解く瞬間』

>>272-279
『ひだまりの唄』

間違えてちゃんと出来ませんでした。


それでは、読んでくださった方、お目汚しを。
お付き合い感謝です。
283 名前:RYO 投稿日:2004/03/15(月) 12:31
待ってましたよ如月さん。
ほのぼのとしていい雰囲気ですね。
これからもご自分のペースでがんばって下さい。
284 名前:257 投稿日:2004/03/15(月) 13:22
いいですねぇ・・・。
梨華ママに甘える3人の子供たちに暖かく見守る後藤パパって感じ(w
こっちの心もぽっかぽかしてきます。

>じゃあ軽くシリーズ化狙ってみようかなぁ(笑
是非お願いします!!(笑
285 名前:ROM読者 投稿日:2004/03/15(月) 21:54
更新お疲れ様です。
今回も癒されました。何だか、心がほっとします。
・・春眠不覚暁 ・・・もう、そんな季節ですか。
どうりで、仕事中に居眠りする訳だ・・・(あは
286 名前:春雷 投稿日:2004/03/16(火) 00:55
如月さん、待ってました。
『心解く瞬間』『ひだまりの唄』、ほのぼのしててよかったです。お姉さんと言うよりお母さんぽい梨華ちゃんがいいですね(笑


現実の矢口さんは入院だそうで…。早くよくなってほしいです
287 名前:如月 投稿日:2004/03/16(火) 17:54
連日です。
昨日のに軽く、イヤ、普通に繋がってます。

お時間あれば、お付き合いくださいませ。
288 名前:お昼寝のその後 投稿日:2004/03/16(火) 17:57



「アレ、みんな寝ちゃったんですか?」
「お、紺野ー、おかえりー。」



ひとり楽屋に戻らず、そのままトイレへ行っていた紺野。
戻ってみれば、なんだかかたまって寝ている集団。



「惜しかったね。」
「え?」
「もちょっと早く戻ってくればよかったのに。」
「スタッフさんに呼ばれて・・・え、何がですか?」
「ごっつぁん、さっきまでは起きてたんだけどね。」
「え・・・」



矢口から、窓際のかたまりに目を移す。
角度的に見えづらいが、石川と寄り添うように、後藤が眠っていた。
ちょっと意地悪く笑う矢口を無理矢理流して、紺野は首を傾げる。



289 名前:お昼寝のその後 投稿日:2004/03/16(火) 17:57




「なんで皆さんあんなにかたまって寝てるんですか?」
「んー、ごっつぁんはミイラかな。」
「へ?」
「ミイラ取りがミイラになる。んー?ちょっと違うかな。」



自分の発言に首を傾げる矢口を見守る紺野。



「・・・ま、とにかく寝ちゃってるんだよ。もっちょっと寝かせといてやって。」



言いながら、口元に人差し指を立てた。
にっこりと笑って、了解の意を矢口に伝える。


290 名前:お昼寝のその後 投稿日:2004/03/16(火) 17:58



ゆっくりと五人が群れて眠る陽だまりに近づく。
暖かい空気を感じるのは、陽の光だけのせいでは、きっとない。

ふわふわとした雰囲気。
それは、昨夜もたっぷりと睡眠をとった紺野にすら眠気を及ぼすほど。

それほど大きくない陽だまりに、身を寄せ合いながらすぅすぅと眠る五人。
可愛らしい光景に、思わず紺野の思考が飛ぶ。



「・・・売れそう・・・・・・」
「は?」



紺野の突拍子のない呟きに、矢口が速攻で訊き返す。



「え、あれ・・・もしかして私、声・・・」
「『売れそう』。」
「あ・・・」



291 名前:お昼寝のその後 投稿日:2004/03/16(火) 17:58




冬の猫のように集まって眠る彼女たち。

あまりにも可愛い。

この光景を撮って、ファンに売りさばけばいくらになるのだろう。
イヤ、ヤフ●クに出せばいくらまで跳ね上がるだろうか。
もちろん、自宅観賞用も忘れてはならない。

そんなことが、めまぐるしく紺野の脳内を駆け回っても仕方がないくらいに。


訝しげな視線を投げてくる矢口に対して、曖昧に笑い返してから。
紺野は再び陽だまりに目を向ける。


今、自分の目線はファンの目線と同じかもしれない。
と、紺野は思う。

それは、憧れの対象・後藤真希へだけではなく。
わいわいと仲良さげに騒ぐ彼女たちを見ていると、何故だか楽しくなってしまう。
仲良くお昼寝の図も、また同様らしい。



292 名前:お昼寝のその後 投稿日:2004/03/16(火) 17:58




「楽しい?」
「へっ?」



飛んでいた意識を急激に引き戻されて、少し驚いた様子で矢口を振り返る。
呆れたような、からかうような優しい笑顔で、矢口が言う。



「ず――っと見てるから。そんな楽しいのかなって。」
「えへへ・・・楽しいです、すごく」
「ふーん・・・?」



五人に視線を戻す紺野に習って。
少し遠くから矢口も彼女たちに視線を向けた。

その瞬間。

互いに体重を預けていた石川と後藤の体が大きく後ろに傾いた。



293 名前:お昼寝のその後 投稿日:2004/03/16(火) 17:59




「「あっ!!」」



その先の衝撃を予想して、矢口と紺野が声をあげる。
が、起こさないように近づかないでいたのが災いした。

二人の体を抱きとめるには、距離がありすぎた。

石川と後藤は、ほぼ同時に仲良く畳に激突した。
しかも、上手い具合に互いの頭をぶつけながら。
鈍い音がした。



「・・・ッ!!」
「っで!!」



さすがに、その痛みに二人が目を覚ました。
倒れた反動で、石川の膝で寝ていた辻と加護の頭も畳にごろん。



「「!?」」



言葉にならない声を発して突然の痛みに頭を抱えながら、のた打ち回る辻と加護。
と、バタバタ暴れる加護の足が、見事に吉澤のみぞおちに直撃。



「ぐッ・・・」



うめき声とともに、吉澤がうつ伏せになって激痛に耐える。



294 名前:お昼寝のその後 投稿日:2004/03/16(火) 17:59




「・・・あーあ・・・」



言葉なく痛がる五人を見ながら、矢口が哀れそうに息をつく。
オロオロしながら様子を見守る紺野。

しばらく無言の時が流れて。
不意に、甲高い声が静寂に響いた。
起き上がろうと、石川の腿に辻が手を置いた途端。



「やめて動かないで!!」
「・・・梨華ちゃん?」



奇妙な格好で一時停止状態。
何事かと、周りで寝ていた四人が石川を覗き込む。

が、石川が理由を口にする様子は見受けられない。

固まったままの石川を、不思議そうな瞳で加護が触れた。
ビクッと反応して、石川が叫ぶ。



「お願い触らないでぇ!!」



295 名前:お昼寝のその後 投稿日:2004/03/16(火) 18:00




言ってしまってから、ハッと表情を強張らせる石川。
バレてしまっては、イタズラ好きな四人の恰好の標的となってしまう。
しかし、とき既に遅しといったところだろうか。

にやぁっと気味の悪い笑みを浮かべ、四人は石川を囲む。
後藤以外は、何故このメンツが集まっているかは分かっていないにもか関わらず。
四人は息もピッタリに、配置につく。



「ま、待って・・・待ってホントに今は・・・ッ」



恐怖の怯えた表情の石川を無視して、四人は一斉に石川に飛びついた。
後藤が背後から羽交い絞めにし、吉澤が足首を拘束。
自由の利かない石川の脚を、辻と加護が触りまくる。



「いやぁぁぁ!!!ホントやめてぇぇぇ!!!痺れてるんだからぁぁぁぁ!!!」



296 名前:お昼寝のその後 投稿日:2004/03/16(火) 18:00




叫び声に、大はしゃぎで笑う四人。
さっきまで静寂は何処へやら。



「ここは幼稚園か。」



矢口が呆れたように呟いた。
口をもごもごと動かしながら。



「・・・矢口さん?なに食べてるんですか?」
「んー、梨華ちゃんのクッキー。紺野も食べな?」
「クッキー・・・石川さんの・・・」
「あ。味の保証はするよ、梨華ちゃんね、お茶菓子系は上手いんだよ。」



ひょいひょいと次々にクッキーを口に運ぶ矢口。
『勝手に食べても良いんですか?』という疑問は飲み込んだ。



297 名前:お昼寝のその後 投稿日:2004/03/16(火) 18:01




「も、いい加減にしてぇ・・・」



ヘロヘロになった石川の声につられて、視線を戻す。
辻と加護の手は、石川の脇腹までまわり、石川はくすぐったそうに身をよじる。

五人とも、楽しそうな笑顔(一人死にそうではあるが)。


標的を脚の痺れからくすぐりに転換し、いよいよその場は大騒ぎになる。
もつれるようにじゃれあう姿。



「・・・売れる。」



確信めいた紺野の呟きは、騒がしい楽屋と化した空間の中。
今度は、黙々とクッキーをたいらげていく矢口に届くことはなかった。


298 名前:お昼寝のその後 投稿日:2004/03/16(火) 18:01







             +++お昼寝のその後・オワリ+++

299 名前:如月 投稿日:2004/03/16(火) 18:05


>>288-298
『お昼寝のその後』

フォロー的な番外。
前回、紺野さんが行方不明な感じに仕上がっちゃってたので。
自分の中では設定してても、書かなきゃ伝わりませんよね。

すみません、ちょっと某王様が帰還した余波が脳に・・・(言い訳
300 名前:如月 投稿日:2004/03/16(火) 18:16

283 RYO様

ありがとうございます。
復帰(?)後、初レスが温かいお言葉で、凄く嬉しかったです。

今回、ほのぼのぶっ壊してしまいましたが。
恩を仇で返す感じですか(笑
・・・でもこれもほのぼのですよね?(聞くな


284 257名無飼育さん様

後藤パパ!
ナイスですね、それ。
家族設定はいしよしの特権と怒られそうですが、ちょっとやってみたいかも。

>是非お願いします!!(笑
では、あまり期待しないでお待ちください。
とりあえず一本下書きはしてるので、近々仕上げたいと思います。


285 ROM読者様

癒されていただけると非常に嬉しいです。
ふわふわをひたすら目指しました。

・・・なんだか睡眠ネタが多いのは気のせいです。


286 春雷様

お待ちくださっていたと。
めちゃくちゃ嬉しいです。
梨華ママかぁ・・・確かに、読み返すとお姉ちゃんって言うよりママですね。

矢口さんの件は、昨夜ネットニュースで知りました。
腸炎は痛いんですよね。経験があります。
如月の場合はストレス性でしたが。
早く良くなって欲しいと思います。
301 名前:如月 投稿日:2004/03/16(火) 18:19

花粉症が厳しいですね。
勘弁して欲しいです。

それでは、お付き合い感謝です、お目汚しを。
ではでは。
302 名前:名無し読者と名乗ったpj 投稿日:2004/03/16(火) 22:18
・・・お、おもろいっ!!!
ずっとニヤニヤして見てました。(危
てか、かなりツボだったので自分でもビックリです(汗
それにしても足の痺れはただでさえ苦しいのに、羽交い絞めって・・w
ホント可愛らしいですね。(オイ
妄想しちゃいますよ、紺野さんまで頭は回らないですがw

私はまだ花粉症には奇跡的になってないです^^;
でもそろそろ鼻で息が出来なくなる日が・・・
自作もお付き合いさせていただきますm(_ _)m
303 名前:春雷 投稿日:2004/03/16(火) 23:38
如月さん、…ホレなおしました!!
かわえ〜。まじでかわえ〜!!
紺野さん。ぜひ、売って下さい!ってカンジですね。お昼寝中でなく、その後のじゃれあいも撮って(笑
これも、ほのぼのだと思います。(紺野さんの脳内除く)
304 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/17(水) 01:27
やヴぁいです。かぁいい上におもしろい!!
もうこのじゃれあいたまんないっす。
コンコンたのむよコンコン
305 名前:ROM読者 投稿日:2004/03/17(水) 07:24
更新お疲れ様です。
まさに石川サン総受け状態(笑
リアルでありそうな状況だけに激萌えしました。
紺ちゃん、即決お願いします・・・
306 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/03/29(月) 19:52
雪のほうも更新まってます
307 名前:如月 投稿日:2004/04/05(月) 12:24
花粉症でダウンしてました。
お久しぶりです。

どーしようもないネタなのです。
お暇つぶしにもならんと思いますが、それでもOKな方はお付き合いどうぞです。
308 名前:エイプリルフール 投稿日:2004/04/05(月) 12:25



「ごとー・・・実は男だったんだよねー・・・」



今日も今日とて、娘。の楽屋に当然のようにいる後藤。
放った一言で、紺野、小川を固める。



「はぁ?ああ、エイプリルフール?」
「あ。バレた?」



呆れた様に、少し遠くからアッサリと言ってのけるのは吉澤。

ひょうひょうと答える後藤。
一瞬で見抜かれたにもかかわらず、さほど悔しそうな様子はない。
勿論本気で騙そうなどとは思っていないのだから。


彼女たちの会話はとても大人だ。

と、紺野は思う。


感情の起伏が感じられず、とてもクールに会話が進む。
そんな二人を見るのが、実は紺野は好きだったりする。

わざわざ視線を合わすことなく、さらさらと為される会話が、なんだかとても大人で。
時折同時にふぁっとあがる笑い声も、二人の仲の良さを物語っている。

と、いうよりも。

二人で会話する吉澤と後藤は、なんとも格好良くて。
好きと言うか、ただ単に見惚れているというか。



309 名前:エイプリルフール 投稿日:2004/04/05(月) 12:25




「もちょっとまともなウソつきなよ。」
「まともねぇ・・・」
「あ、考えてないな」
「ホントは騙す気なんかないしさー」



淡々とした会話の流れに突っ込んで行く一人の茶髪。



「後藤さんてぇ、ネコかぶってます?」
「「は?」」



非常に不躾な質問に、ダブルで聞き返す後藤と吉澤。
その瞳の先には、小川麻琴。



「・・・唐突になに言い出してんの」



ぐしゃっと小川の頭をかき回しながら、吉澤が問う。
後藤は軽く笑みを浮かべつつ、斜めに小川を見やる。



「だって石川さんがですね、『ごっちんは可愛いよー』って言ってたんですよぉ」
「梨華ちゃんが?」



反応したのは後藤。
『石川さん』の名が出た途端、小川を正面から見る。
その後藤に苦笑を隠し切れず、吉澤が喉を鳴らす。



310 名前:エイプリルフール 投稿日:2004/04/05(月) 12:26




「はいー。『普段の後藤さんてどんなですか?』って訊いたら。」
「ふーん?」



どこか頬を緩ませながら後藤が首を傾げる。



「そーかなぁ・・・」
「そーかも。」
「えー?そー?」
「自覚ないだけでしょ。」
「んー?」



小川を放置して、再び二人の会話の流れ。
置いていかれている自覚がない小川は、口を開けて、交互に二人を見る。

その三人の会話には加わることはせず。
なんとなく輪には加わりながら、紺野は後藤を見る。

紺野の視線に気づいたのか、後藤はひょいと紺野に視線を合わせた。



311 名前:エイプリルフール 投稿日:2004/04/05(月) 12:26




「紺野どう思う?」
「へ?」
「ごとー、どう思う?」
「あー・・・」



突然話題を振られて少々動揺をきたしつつ。
紺野は軽く頬を染めながら、まるでお決まりのような言葉を。



「・・・カッコイイ、です。」
「あは、アリガト。」



後藤は照れた風もなく笑う。
それに、更に照れたように俯く紺野。

そんな紺野を
小川は相変わらず口を開けたまま。
吉澤は『あーあ、出たよ天然タラシ。紺野騙されちゃって』的笑顔で見つめる。


ふと、楽屋のドアが開いた。
現れたのは。



「梨華ちゃんっ!」



石川が入ってきたとほぼ同時に、後藤が声を上げる。
それまでの落ち着いたトーンではなく。

そして弾ける様に、石川に飛びついた。
わ、わ、と少し慌てつつも、なんとか後藤を抱きとめる。



312 名前:エイプリルフール 投稿日:2004/04/05(月) 12:26




「ごっちんオハヨ。ふふ、また来てたんだ?」
「んーっ。梨華ちゃんだー」
「なにそれー(笑)」



石川を両腕でしっかりとロックオン。
そのまま石川の胸元に顔を埋め、蕩けそうな笑顔で会話を交わす。

その光景に、呆気にとられる吉澤、小川、紺野。



「梨華ちゃーん」
「ハイハイ、なぁに?」
「会いたかったんだよー梨華ちゃん」
「あはは、嬉しいなー」



ぐるぐると、喉を鳴らさんばかりに石川に懐く後藤。
なるほど、ネコをかぶっているという小川の意見もあながち間違ってはいないかもしれない。



313 名前:エイプリルフール 投稿日:2004/04/05(月) 12:27




「・・・ごっちーん」
「なに」
「うわ・・・」



『なに』という単語に『うっさい話し掛けんな』という意味を込めて。
吉澤の呼びかけをばっさりと切り捨て、石川に夢中な後藤。



「・・・アンタのその変わり身の速さこそ『ウソ』だろ。」



呆れたように吐き出される吉澤のその言葉に。
紺野も思わず頷かざるを得ないのだった。



314 名前:エイプリルフール 投稿日:2004/04/05(月) 12:27





      +++エイプリルフール・オワリ+++

315 名前:如月 投稿日:2004/04/05(月) 12:29
4月1日を世間ではエイプリルフールと。
今日は5日ですね。

・・・相変わらず、シーズンネタに遅い如月でした。
316 名前:如月 投稿日:2004/04/05(月) 12:58

302 ・・・pj様

まさか名前欄、ひねって返されるとは思わなんだ。
如月の負けです。

なにやらツボってくださったとのこと。
マジっすか。あんなんで良いんですか。
かなり恐縮です。

如月、花粉症ピークは熱出すんですよ。
まったく酷かったです。
無事切り抜けられましたでしょうか?


303 春雷様

可愛く可愛く!
と、ブツブツ呟きながら打ったので、なんとも嬉しいお言葉です。

紺野さんの脳内は、常人には理解し難いんです、きっと。
紺野さん的には、最上級にのほほんなのかもしれません。


304 名無飼育さん

如月はじゃれあい大好きなのです。
ただ、あまり人数が出てくると書き分けが出来なくな(略
あ、コンコンは結局、あの日の5人を携帯に収めたそうです。


305 ROM読者様

下手すると、淫乱な光景になりかねないですよね(え
あの5人は、一緒にいてくれるだけで如月幸せです。
多分、ここの紺野さんはそんな如月の化身・・・。


306 名無飼育さん

最近、こちらとあちらの文章の形が書き分けられなくなってます。
書いてはあるんですが、出せるような形になってません。
待っていてくださる方がいらっしゃるのは、とてもとても嬉しいです。
同時に、とても心苦しいです。

もう少しお待ちください。
申し訳ありません。


317 名前:如月 投稿日:2004/04/05(月) 13:00
へっぽこなエイプリルフールネタでした。

どっきりテイストもちょっと考えたんですが
過去に素晴らしい作品が沢山あるよなぁと、やめておきました。

そろそろチャーミーさんが恋しいな
などと、予告めいた発言を残しつつ。

お付き合いくださった方、感謝です。
お目汚しをいたしました。
318 名前:ROM読者 投稿日:2004/04/05(月) 21:55
更新お疲れ様です。
こんな後藤さんもROMは大好きです。
予告めいた発言に妄想を掻き立てつつ・・
319 名前:春雷 投稿日:2004/04/05(月) 22:17
如月さん、お疲れ様です。

そんな後藤さんが大好きです(笑)
先週のチャーミーさんのおまぬけっぷり、かわいかったですよね。
320 名前:pj 投稿日:2004/04/06(火) 19:29
微妙にツボなところがいくつもあって、ずっと鼻で笑ってましたw
多重人格?ごっちん、なんか面白くて可愛いし(・∀・)イイ!です。
こんなんだからこそツボにはまってしまいますw

如月さんは花粉症でなんと熱まで出ちゃうんですかぃ?
いやぁ、それはさすがに聞いた事がないです。。
私の方はなんとまだ!奇跡的になっていません。
このままスルーできるといいんですが^^;
それでは次回もツボにはまるようなの待ってますw
321 名前:名無しさん 投稿日:2004/05/06(木) 01:33
期待ほぜん
322 名前:如月 投稿日:2004/05/10(月) 18:37
こんにちは、如月です。

今回は趣味に走りました。
お暇な方、お付き合いくだされば嬉しいです。
323 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:39


『あ』
口の中で呟いて、嬉しそうに駆け出した横を歩いてた人物。
彼女の走っていく方向を見やると。



「中澤さん中澤さん中澤さ〜ん♪」
「ぐっは!」



局のロビーで、背後から思い切りその人物に飛びついていった。
飛びつかれた中澤さんは、そりゃもういい歳だし(うーわ聞かれたら殺される)
その衝撃に、あわや転倒ってトコで、なんとか踏みとどまった。



324 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:40




「い〜し〜か〜わ〜」
「中澤さーん」



青筋立てて振り返る、大抵の人物なら震え上がりそうな中澤さん。
けど、ダイブしてった張本人はご機嫌に背中に抱きついている。






「こんなトコで何してるんですか?あ、お仕事ですか?え、歌番組ですか?中澤さん新曲なんか出してました?あはは、ウソウソちゃんと買いましたよー。勿論毎日アレ聞きながら寝てますって。まぁおかげで夢見は最悪なんですけどねー。ところでなんかご機嫌斜めですか?なんかありましたか?」






ちょっと離れたココからでも聞き取れる、梨華ちゃんの弾丸トーク。
ここまで喋りまくる梨華ちゃんて、ちょっと違和感。






「・・・『こんなところで何してるんですか?』?仕事に決まってるでしょう、じゃあアナタは何しにココに来てんですか見学ですか違うでしょう?今日は歌の撮りじゃありません、つーかハロモニでしょ一緒でしょコントあるでしょ。大体新曲っていつの話ですか夢見最悪?そんなの知りませんよご機嫌なんかアナタの声がした瞬間から一気に急降下ですよ。」






その弾丸トークに、滞りなくスラスラと答えてく中澤さん。
すげぇ、内容もちゃんとかみ合ってるっぽい(全部は把握できない)。


325 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:41



いつまでも中澤さんの背中に引っ付いて離れようとしない梨華ちゃん。
それはなんだかちょっといつもの辻ちゃんみたい。



「ところでお久しぶりですね、中澤さん。」
「・・・順番が逆なんちゃうん・・・」
「なに照れてるんですか、も〜」
「アンタはホンッマ、キャラ変わったなぁ」
「褒めてますよね?」
「ハイハイ、褒めてる褒めてる。褒めてるから離れなさい。」



言いながら、梨華ちゃんの腕をぐいぐいと引き離そうとする。
それでも離れない梨華ちゃんは、まるで猫よろしく擦り寄っている。

なんだかんだ言ってるけど。
中澤さんの顔は全然嫌そうじゃなくて。



326 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:41




「石川どー?最近。」
「え〜?」



結局、引っ付く梨華ちゃんを引きずるように中澤さんは歩き出した。



「まぁなぁ・・・下がいっぱい入ってきてこう・・・しっかりせにゃって気持ちはわかるよ」



歩きながら語り出した中澤さんの口調は柔らかく。
話し掛けられてるわけじゃないこっちの心まで無理矢理包み込んでくれる。



327 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:41




「でも、無理したらアカンよ。」
「・・・無理?」
「石川は石川らしく。そのままでエエんよ。」



『んなぁ〜』と、かまうように梨華ちゃんの頭に自分の後頭部を押し付ける。
そのままぐりぐりと首を左右に振る中澤さん。

もうなんでそんな嬉しそうなんだろうってくらい。
幸せそうに笑ってる梨華ちゃん。



「も〜、中澤さんてば結っ局石川のコト好きですよね〜」
「はーぁ〜?ナァンノコトデスカー」
「良いですよ、マコトにちょっと浮気したことくらい笑って許してあげます。」
「浮気て。」



あははは、と笑いあう二人はすごく楽しそうで。
二人の周りには、なにか目に見えない壁を感じる。



328 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:42




「あーの壁は突破できないよ。」



まるで心を読まれたかのような言葉に、ちょっと驚いて振り返る。
わりと聞きなれたその声の持ち主は。



329 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:42




「ごっちん。なに、読心術でも使えんの?」
「イヤ、すーごい見てるからさ、アレを。」
「アレを・・・。」



仲良さそうに相変わらずじゃれてる『アレ』。

そういえば今まで改めて考えたことって無いけど。
あの二人の関係性って一体なんなんだろう。
まあ、先輩後輩ってのが一番無難なんだろうけど、なんかちょっと違ってる気がする。



「あーあーもう梨華ちゃんてばあんなに懐いちゃって・・・」



ごっちんが悔しがるように呆れたようにため息と共に吐き出した。



330 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:42




「・・・ごとーのライバルは目下あの人なんで。」
「は?」
「ってコトでミキティなんかアウトオブ眼中なんで。そこんとこヨロシク。」




二人から視線をはずしてチラっと美貴を見る。
なるほど、確かにどうもその目は美貴を敵視しているようには見えない。
まぁヘタに敵意を持たれるのもそりゃイヤだけどさ。



「てか美貴は既に梨華ちゃん好き設定なワケ?」
「あ、違うなら違うで良いよ。その方がライバル減るしね。」
「あーっそう。」



確信に満ちた口調。
ふーん、もうバレてるワケね。



「美貴はライバルでもないんだ?」
「だって別に梨華ちゃんのこと好きじゃないんでしょ?」



331 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:43




ニヤッと笑ってごっちんが美貴の出方を待つ。
チクショウこのポーカーフェイス野郎。
時々、なんとかしてこの飄々とした笑顔を崩してやりたい衝動に駆られる。

時々 てか今。



「余裕ぶってると、足元すくっちゃうよ?」



口をついたのはそんな言葉で。
目の前のごっちんはいつもよりなんだか目が丸い気がする。
お、ちょっと気分がイイ。

と、密かに悦ってたらば耳に届く楽しげなイチャイチャ。



332 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:43




「んなこと言うんやったらホレ!チューせぇっちゅーに!」
「やぁーだー中澤さんセクハラですってば!」
「なにがやコラ!」
「あはははは!えー、ホントにチューしちゃいますよー?」
「え〜・・・」
「なんですかそれー!!」



そして湧き上がる二人の笑い声。



「・・・美貴ちゃん・・・」
「・・・・・・ん・・・」
「やっぱりあの人が一番の強敵だよ・・・。」
「・・・かもね。」



333 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:44




眩しい眩しい梨華ちゃんの笑顔。
なんで美貴以外と楽しそうに笑いあう梨華ちゃんに見惚れなきゃなんないのさ。
めちゃくちゃ不服なんですけど。

横の人も、やっぱり美貴と同じみたいで。

『カワイイなぁ』みたいな、『こっち向け!』みたいな複雑な表情。


そんなウチらに対して、最大の強敵がチラッとこっちを見て。

『にやり』

笑った気がしたのは。



出来れば気のせいであって欲しいと思う。



334 名前:+++ライバル+++ 投稿日:2004/05/10(月) 18:46





           +++ライバル・終(?)+++
335 名前:如月 投稿日:2004/05/10(月) 18:52

>>323-334
煤i ´ Д `)姐りか!?

所詮ハロニュスキーなんですよ如月は。
ビバ姐りか。
336 名前:如月 投稿日:2004/05/10(月) 18:57


318 ROM読者様

チャーミーさんにお声をかけたのですが
「えー?GWまで働かせる気ぃ?」
とかなんだか寝ぼけた一言で却下されてしまいました。
GWボケが治り次第、ご登場願いたいと思ってます。


319 春雷様

無意識に二重人格な後藤サンが理想です。
邪魔する人間にはとかにはとことん冷酷にいってもらいたいです(笑


320 PJ様

今回はちょっと路線が違いましたでしょうか。
次回はちょっとしっとり系に挑戦予定です。

先輩、如月今も花粉症に苦しめられてるんですが。
これはいったいどうした事でしょうか。


321 名無しさん様

すみませんでした。
更新してみました。
337 名前:如月 投稿日:2004/05/10(月) 19:01
は、Pj様、お名前少々間違ってしまいました。
ごめんなさい。

暑かったり寒かったりで、なかなか過ごしづらい日々ですね。
お体崩さないよう、皆様お気をつけくださいませ。

ではではお目汚しを。
失礼しました。
338 名前:春雷 投稿日:2004/05/10(月) 19:42
ああ、姐さんっっ?

更新お疲れ様でした!!
339 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/10(月) 23:53
姐りかさいくぉーっ!

二人の絡みをまた見たくなりました。
340 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/12(水) 00:14
良かったです!
姐りかもいいもんですね。
341 名前:ROM読者 投稿日:2004/05/12(水) 20:47
更新お疲れ様です。
いるじゃないですか。チャーミーちゃんと絡んでましたね。(嬉
傍観者二人のズッコケVSトーク、最高でした。
でも、やっぱりあの人の手の上で踊らされているようで・・
342 名前:如月 投稿日:2004/05/13(木) 09:11
スッキリしない天気が続くので、爽やか系狙ってみました。
どうも上手くいかない(いつものこと

つまんないですよー。
後悔しても良いって方はお付き合いくださいませ。
343 名前:如月 投稿日:2004/05/13(木) 09:11

「梨華ちゃん梨華ちゃんホラ、ドラゴンやろうドラゴン!!」
「やぁだ怖いよ!ひとみちゃんにでもつけてもらってよぅ!」



五人で花火。
すでに寝てたよっすぃーと辻ちゃんを叩き起こして。
ホテルのちょっと横の駐車場で。


きゃあきゃあ騒ぐ、梨華ちゃんに楽しげにまとわりつく加護ちゃん。

さっき半泣きで部屋に飛び込んできたのに。

まったく。
良かったね、仲直りできて。



『梨華ちゃんに嫌われちゃいましたぁー・・・』



グズグズと鼻をならしてドアを叩いてきたのはほんの数十分前のこと。







344 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:13




■■■




345 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:13




「オレンジとリンゴ、どっちが良い?」
「・・・えっと、リンゴください。」
「ん。」



ひょいっと、備え付けの冷蔵庫から一本缶ジュースを取り出して放る。
ベッドに軽く腰かけた加護ちゃんは、上手にそれをキャッチした。

かしゅ、と遠慮がちにプルタブを開け、コクンと小さく飲んで。
プハ、と加護ちゃんが一息ついたのを見てから、ベッドの反対側に座った。
背中越しに会話を始める。



「んで〜?『嫌われちゃった』って?」
「あーの・・・泣かしちゃったんです・・・梨華ちゃんを・・・」
「は?泣いたの?梨華ちゃんが?」
「ハイ・・・」



何で年下に泣かされてるんですかイシカワさん・・・。



346 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:13




「何、ケンカしたの?」
「・・・ケンカ・・・と、言うかぁ・・・」
「んー?」



口ごもる加護ちゃん。

・・・人の相談って、あんま乗ったことないんだけど。
こういう時ってもしかして正面で話聞いた方が良かったりしたんだろうか。

悶々と苦悩するごとーをよそに、加護ちゃんは喋り始めた。



「加護がキレちゃったんですよ・・・」
「・・・へぇ・・・それまたどして。」
「・・・・・・こども扱いされて・・・」



出てきたのは、ごとー的にはちょっと意外な言葉。
普段から子供の特権を充分に行使して、周りに可愛がられてるから。



347 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:14




「梨華ちゃんが言ってることはぜんぶぜんぶ正しくて・・・」
「あー・・・うん」
「加護は何言っても言い訳にしかならないんです・・・。」
「で、子ども扱いされて、イラっときた、と。」
「・・・ハイぃ・・・。」
「ふーん・・・で、泣かしちゃったんだ。」
「泣かしちゃいました・・・。」



『涙を流す梨華ちゃん』。
想像上は、なにも違和感はない。
はらはら綺麗に泣く姿とかね。
想像するのは簡単。

でも、リアルに感じられない。

きっと梨華ちゃんの喜怒哀楽をあまり目にしないから。



「んぁ〜・・・でも反抗出来る相手がそばにいるって・・・ちょっと羨ましいなぁ」
「へ?」



348 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:14




4期の中で一番大人で、ごとーよりも一つお姉さんで。
いつもゆったり笑って、ツジカゴコンビに押されまくってる。
ごとーの中の梨華ちゃんはまさに『お姉さん』そのもの。

『お姉さん』が泣くことに対しての驚き。



「・・・泣くんだぁ、梨華ちゃんて」
「泣きますよぉ?ののよりも泣き虫かも。」
「うえぇっ!?」
「・・・ふへへ」



349 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:15




ごとーの過剰な驚きがどうやら面白かったらしく。
加護ちゃんはいつもみたいに可愛く笑った。

良かった良かった。
笑顔戻ったじゃん。

じゃあ次は。



「このホテル、近くにコンビニあったっけ?」
「えと・・・あ、角曲がったトコに多分・・・」
「あー、あったねぇ。じゃ、ちょっと行こっか。」
「へ?」



裕ちゃんにはキツく『外に出るな』って言われてたけど。
まぁちょっと緊急事態って事で大目に見てもらいたい。

財布と加護ちゃんの手を引っ掴んで、バタバタとホテルを出た。


頬を撫でる風はもう夏の匂い。






350 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:15




■■■



351 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:16




結局よっすぃーに火をつけてもらって、きゃいきゃいと辻ちゃんと騒ぐ加護ちゃん。
さっきまでの涙は、もう影もなくなった。



「もう花火って売ってるんだね。」
「梨華ちゃん」



可愛い二人組みに目を取られて。
花火をやる原因になったこの人のことをすっかり忘れてた。



「そこのコンビニ?」
「そう。もっと色々売ってたんだけどさ。」
「コレくらいがちょうど良いよ、明日も早いんだし。」
「と、言うと思って。」



ぴっと指を指して顔を覗き込んだら、フフ、と軽く笑った。
へぇ、こんな風にも笑うんだ。



352 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:16




「あの子は見た目よりも全然大人だって事は分かってるんだけどなぁ・・・」
「え・・・?」
「可愛いから・・・ついつい口うるさく色々言っちゃうんだぁ・・・。」
「気分はお母さんだ。」
「・・・みたいな感じ?」



まだ少しぎこちなくごとーに話す梨華ちゃん。
部屋のドアを叩いたとき、目が腫れてたから、きっと泣いてたんだろうな。
泣き顔って見られると照れくさいもんね。



「でも・・・イライラさせちゃって、しかも泣いちゃって。こっちが子供だって話だね。」
「泣き虫なんだって?」
「そう言ってた?」
「辻ちゃんより泣き虫だって」
「あはははは、のんちゃんよりかぁ〜」



大きく口を開けて笑う。
あ、また違う梨華ちゃん発見。



353 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:16




「ありがとうね、真希ちゃん。」
「ふぇ?」
「真希ちゃんがキッカケ作ってくれなかったら、多分まだ部屋で泣いてた。」
「あは、まだ泣いてたの?」
「分かってるんだ、あの子が子供扱いされるのイヤだってこと。」



ふと。
また違和感。



「んー・・・とさぁ。」
「ハイ?」
「加護ちゃんは、子供扱いされるのがイヤってワケじゃないと思うんだよね」
「え・・・」
「甘えてるんだと思うけどなぁ」
「甘え・・・」



しっくりこないらしい。
ごとーも自分の説明がどうもしっくりいかない。



「んーとんーと・・・あ、例えば辻ちゃんを加護ちゃんが泣かせたとして。」
「ハイ。」
「その場合、『ケンカしちゃった』ってごとーに泣きついてきたと思うのね。」
「ハイ。」
「でもね、『嫌われちゃった』ってごとーのトコに来たんだよ。」
「嫌う・・・」
「だからね、梨華ちゃんが自分と『ケンカする』なんて思ってないワケで・・・」



354 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:17




アレ、ごとーは何が言いたかったんだろう。
なんか言っててワケ分かんなくなってきた。

ぐるぐるする思考を必死でまとめてると、横でクスっと笑い声。



「なんとなく分かった。」
「・・・今ので?」
「今ので。」



茶化すように笑うこの顔も、今日初めて見た。



355 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:18




「二人ともー!もう花火終わったよー」



一瞬飛んだ意識。
よっすぃーの呼ぶ声でハッとする。



「行こうか、梨華ちゃん」
「今日はありがとう。」
「え、」
「色々。ありがとう、真希ちゃん。」



356 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:18




ふわっと笑って、三人のところへ歩き出す梨華ちゃん。


その横顔が蒼い月に軽く照らされて。
艶やかに黒髪を揺らして、白いワンピースを淡く青に染める。
はたはたとワンピースの裾をなびかせた風が、ごとーの胸をすり抜けて。



全身がドクンと大きく鳴いて。
ぐぅっと、強く強く心臓を握られて。

薄く夏の色をした風に吹かれて。



心が奪われた瞬間を感じた。




357 名前:+++初夏の風+++ 投稿日:2004/05/13(木) 09:19







             +++初夏の風・ヲワリ+++


358 名前:如月 投稿日:2004/05/13(木) 09:22
>>343-357

レッツsage忘れ。
なんてこったい。


年齢差だけはどう足掻いても越えられず。
ジレンマを抱える微妙なお年頃、な、加護サン。
・・・かごりか?(笑
359 名前:如月 投稿日:2004/05/13(木) 09:26

338 春雷様

姐りかの絡みが大好きなんですよ。
石川サンが子供に見えて。


339 名無飼育さん

ハロニュ復活希望。
激しく希望。
そんな願いを込めて(笑


340 名無飼育さん

姐りかも良いですよね?
如月あのコンビ大好きなんですよ。


341 ROM読者様

ライバルは手強いわけですね。
なんたって石川サンご本人が懐いちゃってますから。
姐さんが本気かどうかは不明のまま。
踊らされ続ける二人組みってことで。

360 名前:如月 投稿日:2004/05/13(木) 09:27
ハイ。そんなこんなで初めて物語。
馴れ初め話が、実は書いてて一番楽しかったり。

では、お付き合いありがとうございます。
お目汚しを。
361 名前:mun 投稿日:2004/05/13(木) 19:39
更新お疲れ様です!
馴れ初めがお好きと!!

ではでは、二人がどう付き合うようになったか、
どうピー・・までいったらをぜひぜひ!!(切実)
362 名前:ROM読者 投稿日:2004/05/14(金) 01:52
更新お疲れ様です。
いつまでも頼り頼られる師弟関係と、同期だけど姉妹みたいな
関係の微妙な心理が如実に伝わってきます。そして、そこから
始まる新たな関係もまた新鮮で、とても爽やかな作品でした。
363 名前:如月 投稿日:2004/05/14(金) 21:35
そういえばこの時間軸はピースより前な設定です。


…加えるの忘れてました。申し訳です。
364 名前:如月 投稿日:2004/05/15(土) 01:14
連日更新。

頭の中は雪板の方でいっぱいなのです。
向こうでボツにしたネタがどんどん溜まってゆく・・・。
徐々にこちらでちゃんとした話にまとめれば、10.20話は軽く越えそうな・・・。

365 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:16



『梨華ちゃんてば可愛くてさぁ。ごとー我慢するのもういっぱいいっぱい。』



そんな仲間内での戯言。
軽い冗談のつもりで言ったのに。

その『仲間内』の輪の中に、裕ちゃんがいたことが間違いだった。



「わたしのこと抱きたいの?」



正面きって直にズバリ訊いてくる梨華ちゃんは。
やっぱり変に度胸があるな、と妙に感心してしまった。



366 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:16




「・・・は!?」



唐突に振られた話題に、動揺しない人間がいたら是非代わってもらいたい。
イヤ、今のこの会話を他でされたらごとーは泣くが。



「今日ね、中澤さんに言われたのよ。」
「・・・裕ちゃんがなに言いやがった・・・?」
「『ごっちん欲求不満みたいやで。触らしたりーや』って。」




ゴスッと思わずテーブルに突っ伏してしまった。
オデコが痛い。



367 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:16




「・・・・・・あの人はなんつーコトを・・・」



ごとーの愛しの梨華ちゃん捕まえてなんてハレンチな。



「あのね、わたしだって子供じゃないから・・・なんていうかな・・・」
「うん・・・。」



そうですね。
『子供じゃないから』ごとーも困ってるワケですよ。

梨華ちゃんが続ける。
ごとーは頷くばかり。



「まぁその・・・付き合ってればさ・・・」
「・・・うん・・・」
「・・・・・・ね?そういうのもやっぱり・・・さ。」
「・・・ハァ・・・・・・。」



368 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:17




うーわ。
うーわうーわうーわ。

ちょっと待ってちょっと待って。
何コレ今メチャクチャ気恥ずかしいんですけど。
なにこの空気。

なんかアレだよ。
小さい頃、親と一緒に何気なく見てたテレビからラブシーンが流れてきちゃった、みたいな。

そんな感じの空気だよコレ。

それを無視してさらに梨華ちゃんが続ける。



「でもね、わたしって女じゃない?で、真希ちゃんもホラ、女の子じゃない?」
「そだねぇ・・・」



ムズムズしてきた。
ムズムズしてきた。
ヤバい超恥かしい。



369 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:18




「でね?抱くとか抱かれるとか・・・男女の関係とちょっと違う・・・でしょ?」
「・・・ストレートだね。」
「えっ、そう!?なんかオカシイこと言ってる!?」
「イエ、続けてください・・・。」



ごとーのにこの会話を進めるのは無理くさいし。



「えっとだから・・・欲求の起こり方も、男の人とは違う、でしょ?」



そりゃ生物学的に構造上違うしねぇ・・・。



370 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:19




「わたしはね?真希ちゃんのそばにいられれば、それで満足なの。」
「そばに・・・?」
「・・・そう。今みたいに、こうやってお休みの日に一緒にいられたり・・・」
「なるほど・・・。」



ちょっと落ち着いて考えてみる。
確かに梨華ちゃんの言う通り、ごとー達は女だから。
抱き合っても子供が生まれるわけじゃない。

けど。



371 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:19




「キスは?」
「へ?」



ごとーは突然切り替えしたせいで、梨華ちゃんは必要以上に反応する。



「恋愛上のセックスって、キスの先って感じじゃない?」
「・・・まあ確かに。避妊してるのは子供欲しくないからだしね。」
「でしょ?でも、セックスレスの夫婦だっているじゃん?」
「そうだね。それでも愛し合ってる夫婦はたくさんいるよね。」



さっきまでの気恥ずかしさはどこへやら。
スラスラ言葉が出てくる。



372 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:20




「ごとーはさ、梨華ちゃんが好きで、梨華ちゃんの近くにいたいって思うよ。」
「うん。」
「触れたいって思うのは、素直な欲求なんだ。」
「・・・やっぱり抱きたいとか思う?」



そこに戻るんですね、お姉さん。



「抱きたいって言うか・・・抱きたいのかなぁ・・・」
「・・・どっちよ。」
「なんかさぁ・・・なんて言うのかなぁ・・・だからキスしたいって感じなんだよ。」
「へ?」
「梨華ちゃんは難しく考えすぎなんだよ。キスって生殖活動に関係ないでしょ?」
「え、ああ・・・まぁ・・・。」
「同じ。ちゅーするみたいに、子供できなくたって梨華ちゃんに触りたいんだよ。単純に。」
「単純に・・・。」
「もっと単純に言えば、ヤバイくらい梨華ちゃんがすきってコトかな。」



373 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:21




話してるうちに結論が出たごとーの考え。
そうそう、そーいうことなのよ。

ポカンとしてる梨華ちゃんに、伝わったかどうかは分かんないけど。



「・・・分かった?」



ゆっくり訊いたら、ゆっくり頷かれた。
良かった、伝わってた。
(ホントにちゃんと伝わったかはちょっと不明)

伝わったは良いけども。
伝わっちゃったら、答えを聞きたくなっちゃうワケで。



「・・・で?」
「『で?』・・・って・・・」
「ごとーは梨華ちゃんに手ぇ出しても良いの?」
「えっ!?」



374 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:22




形勢逆転。
今度は梨華ちゃんがしどろもどろし始めた。



「えと、あーっと・・・えぇ?」



急にピンクになった空気に、梨華ちゃんは慌て気味で。
上がる心拍数は、これが『興奮する』ってヤツなんだろうか。



「ダメなの?」
「えっ!イヤあのダメっていうか・・・」
「良い?」
「イヤイヤその、良いってあの・・・」
「・・・良いよね?」



耳まで真っ赤な梨華ちゃん。
ごとーもかなり赤くなってるとは思うけど。
押し切ればいけるかもしれない。

とか、思ったら。



375 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:23




「ああぁぁぁあのねっ!?」



普段より2オクターブくらい高いひっくり返った梨華ちゃんの声。
面白いくらい綺麗にひっくり返った。



「わ、わたしも単純に言って良い!?」
「・・・どぞ?」
「は、は・・・は、恥かしいの・・・」
「・・・・・・・・・ハイ?」



本気で真っ赤。
倒れやしないだろうかとか、そんなことを思いつつ。



「意味とか理由とか、そんなことホントは関係なくてね、ただね、まだ・・・」
「・・・『まだ』・・・・・・」
「まだ・・・」



376 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:24




消え入るように呟いて、そのまま俯く梨華ちゃん。

あー、可愛い。
もうさぁ、仕方ないよね。
だって可愛いもん。



「ごめんね梨華ちゃん。」
「へっ!?」
「裕ちゃんがアホなコト言うから変に意識しちゃったんでしょ?」
「え・・・っと・・・」
「いーんだよ、そんなの気にしなくて。ついでに言えば、周りのことも。」
「え?」
「どーでも良いよ。ウチらはウチららしく。ね?」
「・・・真希ちゃん・・・」



377 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:24




抱きたいって言うのも、そりゃ本音は本音。
けど、そんなのよりも大切なコトだってたくさんある。

カラダを欲しいとも思うけど、やっぱり本当に欲しいのは心だから。

サラサラと流れる髪に触れる。
そう、愛おしさはきっとこんなことでも伝えることが出来るはず。

気持ち良い感触に、何度も何度も髪を梳いていたら。
ぽすんと胸にもたれかかってきた可愛い人。



「あー・・・」
「・・・どうしました石川さん。」
「分かったかも・・・」
「なーにがぁ?」





一呼吸置いて聞こえたその言葉に。
ごとーの心拍数は今度こそメーターを振り切った。



「良いよ真希ちゃん。セックスしよう?」




378 名前:+++石後的性教育+++ 投稿日:2004/05/15(土) 01:25








               +++石語的性教育・終+++


379 名前:如月 投稿日:2004/05/15(土) 01:27
ラスト、誤字です。

中盤あたり書いてるときにパッと浮かんだタイトル。
いつもタイトル迷うので、今回は助かりました。

380 名前:如月 投稿日:2004/05/15(土) 01:32

361 mun様

如月リクエストされるのって慣れてないので
ちょっと嬉しくて早速書いてみました(アホ
まぁリクエストされても、思い通りにはきっと書けないので調度良いのですが。

mun様のお言葉で文章が浮かびました。
ありがとうございました。


362 ROM読者様

加護辻ネタは多分増えると思います。
4期大好きですからね。
卒業が近づくにつれ・・・。

と、まぁそれはそれ。
ダブルユーの可愛らしさにはメロメロな如月です。

ごっちん魂抜かれちゃったヨ的なお話が好きなので、
如月も挑戦してみたんですが『初夏の風』
・・・なかなか難しいですね。
381 名前:如月 投稿日:2004/05/15(土) 01:39

>>365-378

いつもタイトルに悩まされるのですが
今回は中盤でぱっと浮かびました。
助かりました。

それではお目汚しを。
おやすみなさいませ。

382 名前:如月 投稿日:2004/05/15(土) 01:53
なんで締めの言葉同じこと二度も書いてるんだろう。

失礼しました。
383 名前:ROM読者 投稿日:2004/05/15(土) 06:52
更新お疲れ様です。
なんだか、ROMがまだ純真?だった若かりし頃の酸っぱいデート
を思い出して、読んでいてかなり心拍数が上昇しました。

微妙にピントのずれた会話が本当にリアルで、作者様の手腕の巧み
さにただ脱帽です。大オチ、大爆笑しました。
384 名前:如月 投稿日:2004/05/15(土) 08:27
蛇足。

>>361
mun様

今回も初めて物語ですが、
http://mseek.xrea.jp/red/1038563690.html#r58
http://mseek.xrea.jp/red/1038563690.html#r221
これとかも馴れ初めの類です。
前スレのものですが。
お暇なときにでも試食してみて下されば嬉しいです。

ROM読者様

いつも素早い反応で如月ドッキドキ。

てか大爆笑!?
あっれおっかしいなぁ・・・
今回はハートドッキリラブアタックを狙ったのに・・・(そうかよ)
きちんとしたお返事は次回更新時に。
いつもありがとうございます。
385 名前:mun 投稿日:2004/05/15(土) 11:27
>>384
管理人様、どうもありがとうございます!!
読ませていただきました!!
素敵なお話ですね〜
ほのぼのします(^◇^)/
386 名前:春雷 投稿日:2004/05/15(土) 11:59
お疲れ様です。
なぁんか、はずかしいですね(笑)

んで、姐さ〜ん!!
姐さんの使い方が、すごく好きです。
387 名前:pj 投稿日:2004/05/15(土) 12:52
まとめて更新お疲れ様です。
姐りか、加護りか、石語wと全部読ませていただきました。
はい、正直今回も全てツボでしたよ。
なんか、飽きるということをさせてくれない小説ですね。
参りましたm(_ _)m
最後のなんて・・・w
先輩から言わせてもらうと、ほっとけば花粉症なんていつか治る・・・いつか・・・
その時までしばし待て!!です。
388 名前:如月 投稿日:2004/05/21(金) 14:33
最近まったりものばかりだったので、少し路線を変えて。
痛い系とかではありません。

それではお付き合いくだされば嬉しいです。
389 名前:+++わたしの居場所+++ 投稿日:2004/05/21(金) 14:38



「まーぁたこんなトコいた。」



空が青くて雲が白くて。
久々の良い天気。

近くで見たいと思ったときは、ココでごろんと寝転がるのが好き。

声が聴こえて。
目を閉じた。



「あんまり入り浸ってると、屋上出入り禁止になっちゃうよ?」
「梨華ちゃんがバラさなきゃヘーキ。」
「バラすかもよ?」
「バラさないよ。」



390 名前:+++わたしの居場所+++ 投稿日:2004/05/21(金) 14:39




がちゃりと重たげに鳴いてドアが開いた瞬間から。
気持ち良い風に、梨華ちゃんの好きな香水の香り乗ってくる前から。
ココに来るのは、梨華ちゃんくらいだなって分かってた。

で、梨華ちゃんがごとーのオアシスを人にバラすような人間じゃないってことも。
分かってる。



391 名前:+++わたしの居場所+++ 投稿日:2004/05/21(金) 14:39




「ごっちんには甘いからなぁ。」
「みんなに優しいじゃん、梨華ちゃんは。」
「優しさと甘さは違うの。」
「そんなもん?」
「そんなもん。」



梨華ちゃんの匂いが濃くなって、横に座ったのに気づく。
閉じた瞼の裏にも感じる、梨華ちゃんの影。



「あー、良い天気だね。」
「気持ち良いっしょ?」
「んー。」



ちらっと目を開けた。
空を仰いで瞳を閉じて。
気持ち良さそうに風に吹かれてる梨華ちゃん。

転がったらもっと気持ち良いよとは言わなかった。
横に並んで転がられたら、ナチュラルに盗み見が出来なくなってしまう。



392 名前:+++わたしの居場所+++ 投稿日:2004/05/21(金) 14:39




「やぁっと五月って感じだね。」
「サツキバレ?」
「そうそう、よく知ってまちた。」
「・・・良いけどさ」



はらはら遊んでる黒い髪に腕を伸ばしてみる。
触れる前に、降ろした。



「せっかく晴れたのにね。またすぐ梅雨入りなのかなぁ。」
「元鞘ってカッコ悪いと思う?」



会話の流れを無視したどごとーの言葉に、梨華ちゃんはゆっくり瞼を開く。
反対に、ごとーはまた目を閉じた。

梨華ちゃんの答えは、大体予想がつくけど。



「カッコ悪いね。」



やっぱりね。



393 名前:+++わたしの居場所+++ 投稿日:2004/05/21(金) 14:40




「カッコ悪いかぁ・・・。」
「ごっちんがそんな事言うあたり、既にカッコ悪い。」
「カッコ悪いかぁ・・・。」
「カッコ悪いね。」
「じゃあさぁ、殺してよ。」



堂々巡りの会話にピリオドを打つ。
零れ出たのは素直な言葉だった。



「もう殺しちゃってよ、どーせなら。」



394 名前:+++わたしの居場所+++ 投稿日:2004/05/21(金) 14:40




反応を見るのがなんか怖くて。
閉じた瞼はそのまま。

首筋に懐かしい唇を感じたのも、それはあくまで感覚。
確認はしない。



「愛してるわハニー。」



届いた声は、耳に直接吹き込まれた音。
柔らかさに誘われて、思わず目を開ける。

逆光に、艶やかに笑う梨華ちゃんの顔が普段よりも近い。
もとい。

あの頃と同じ距離にある。



395 名前:+++わたしの居場所+++ 投稿日:2004/05/21(金) 14:40




「死んだら泣いちゃうから。」



おどける様に言って、ふわんと風を置いて、梨華ちゃんは立ちあがる。



「あと10分くらいで呼ばれると思うよ。ちゃんと戻ってくること。」



お姉さんの顔に戻って、事務的に伝えて。
そのまま一度も振り返ることなく、重いドアに消えた梨華ちゃん。


いつの間にか風に流れて、雲の姿は視界から消えた。




396 名前:+++わたしの居場所+++ 投稿日:2004/05/21(金) 14:41







手をのばせば届きそうで
ぐーっと両腕を突き出してはみるものの。

勿論青空が掴めるはずもなくて
そんなことは分かっているのに、もう何度手をのばしただろう。


微笑を、もう一度この手にしてみたいとか。
思うことは、きっと間違いなんだろうと、思う。


目の前には一面の青。





397 名前:+++わたしの居場所+++ 投稿日:2004/05/21(金) 14:41






            +++わたしの居場所+++

398 名前:如月 投稿日:2004/05/21(金) 14:44
タイトルは、これを書いてるときにずっと流してた曲。
の、中に入ってる歌詞です。

タイトルまんま持ってくるのはどうかと思い。

399 名前:如月 投稿日:2004/05/21(金) 14:52

383 ROM読者様

如月あまり『女の子同士』の苦悩みたいなもの書いてなかったので。
ちょっと挑戦してみました。
・・・例によって、砕け散りました。


385 mun様

『変化するトキメキ』はいつか続編チックなモノを書きたいと思ってるものです。
・・・願望です。


386 春雷様

テーマは気恥ずかしさ。
存分に気恥ずかしくなってください(笑
書いててめちゃくちゃ照れくさかったです。

如月は姐さんが大好きなのです。
扱い方を褒めてくださるととても嬉しいです。


387 pj様

実はかごりかスキーな如月です。
そのうちちゃんとしたかごりかを書いてしまうやも・・・

花粉症。
如月、幼稚園からずーっと花粉症なんですよ。
まったくつらいものです・・・。

400 名前:如月 投稿日:2004/05/21(金) 14:54

暗めな感じもやっぱり楽しい。
いつか真っ黒な後藤サンを書くのが夢。

それではお付き合いくださった方、感謝です。
お目汚しをば。
401 名前:春雷 投稿日:2004/05/21(金) 19:03
さわやかなのに・・・。
思わずひきこまれました。

「無色」という曲を連想しましたが、違うかな?
402 名前:ROM読者 投稿日:2004/05/21(金) 23:44
更新お疲れ様です。
シュールでちょっと寂しげな、でもこんな部分もあるのかな、と
また違った一面を垣間見たような気がします。

タイトルの曲・・ネタバレは避けますが、某TBSドラマの主題歌
だったかな?ふらっと屋上に登って、空を見たくなるような・・・
403 名前:如月 投稿日:2004/05/24(月) 18:43


あははははは。


404 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:44



「よっすぃ。」
「なに?」
「今日電車でしょ?駅まで一緒に帰ろ?」
「いーよー。」



局の廊下でつかまって、駅までの道を二人で並んで歩く。
なーんか久々な気がする。
どれくらい振りだっけ。



405 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:44




「卒業かぁ・・・」
「卒業だよー」



思わず呟いた一言。
すんなり返ってきた一言。



「てか、結構前から知ってたっしょ。」
「え〜?そんなことないよー。」
「ウソだね。」
「なんで?」
「ホントに最近聞いたんだったら、梨華ちゃんならもっとテンパってるはずだもん。」
「あはは、なるほどねー」



二人きりの会話なんて、本当に久しぶりで。
久々に会ったイトコのお姉ちゃんとなかなか上手く話せない様な。
そんな照れくささが、少しつきまとう。



406 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:45




「んー、でもホント、結構最近なんだよ。」
「へぇ・・・」
「ダブルユーでぇーすっ」
「・・・は?」
「の、二人の卒業が決まってからねぇ?」



突拍子のない事を言い出すのは相変わらず。
毎日一緒にいるのに、なんだかそんな事を改めて確認してしまった。



「ああ、私たちもそういうポジションに来たのかなぁって、ちょっと思ってたから」



語る横顔は。
少しだけ、ほんの少しだけ。



407 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:45




「・・・ふーん。」
「・・・拗ねてる〜?」
「はぁ?」



何を言い出すんだこの人。



「ゴメンね?もっと早くよっすぃには言いたかったんだけどさ。」
「え。イヤ、いーよ別に。」
「でもねー?よっすぃ泣いちゃうでしょ?」
「は!?」



一人で会話を持ってくな。
ちょっと待てって。



「なーんでアタシが泣くのさー。」
「え〜?」
「泣きません。」
「えー!?泣いてよー!!」



軽く笑いあってるあいだいに、駅が近づいてくる。
改札を抜けて、アタシは自分が乗る電車のホームへ。



408 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:46




「梨華ちゃん何番線?」
「ん、よっすぃのよりちょっと後だから、ホームまで一緒に行く。」
「でももう来ちゃうよ?電車。」
「いーの。」
「そ?」



頷く梨華ちゃんと階段を下りる。
ああ、なんだか本当に久しぶりだ。



「ねぇ、久しぶりにさ、今度ご飯食べに行かない?」
「二人でぇ?」
「二人で。」
「えぇ〜?マジでぇ?」
「なによぅ。」



ホームに下りる。
まだ電車は来てなかった。

平日の昼間。
人はまだまばら。



409 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:46




「で、吉澤さん。」
「ハイハイなんです石川さん。」
「『おめでとう』は?」
「はい?」
「『卒業おめでとう』はないの?」



ドクンと。
心臓が騒ぐ。



「まーだ早いでしょ。来年だろー?」



頭はちゃんと動かないくせに、口はしっかり言葉を紡ぐ。
いつも通りに、ノリは軽く。
なのに。



「そんなのすぐだよ。」
「・・・」
「わかってるクセに。」



410 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:46




さらっとした梨華ちゃんの言葉に、思わず息を詰める。
思わず横の人物をまじまじと見つめてしまった。

心臓はドクドクと早く。

その人の視線が少し上がって、瞳にアタシが映る。

優しく笑ってる眼。
何度も何度も見てきた。
苦手だよ、ソレ。



411 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:47




「あ、電車来るよ、よっすぃ下がって。」



梨華ちゃんより少し前に出ていた体。
くいっと腕を引かれて、白癬の内側へ引き寄せられる。

甘いにおいは、なんとなく年上のお姉さんの香り。

プシューとドアが開く。
アタシは無言で乗り込んで、梨華ちゃんを軽く振り返る。



412 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:47




「いつだって奥歯ぐーって噛んで、涙堪えちゃうよっすぃだから。」



優しい眼のまま、言葉を連ねる。



「私の前でくらい、もっと泣いてくれてよかったんだけどな。」



『戦友でしょ?』と。

瞳がうっすら濡れたのがわかった。
その瞬間、思わず踵を返したら。

目の前で、静かにドアが閉まった。

向こう側で、『バイバイ』と手を振る優しい眼。
ゆっくり流れ出した駅のホームに、梨華ちゃんも一緒に流れてく。



413 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:48




速度をあげて消えていく風景。
頭の中は真っ白。

目の前が熱く熱くなるのを、キャスケットのつばを引き下げてごまかす。


ねぇ梨華ちゃん。
やっぱりその眼、苦手だよ。

梨華ちゃんがその眼をするときはいつだって。
アタシが周りにバレないように、奥歯かみ締めてるときだから。



414 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:49







でもそうだね。
久々に、ちょっと語ってみるのも悪くないかもしれない。

あの頃と同じ空気はもうないけど。
今までのアタシたちのこと、色々振り返ってみようか。


肩を並べて歩いてきた毎日。
背中合わせに歩き出す前に。






415 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:49






「Don't cry 泣ーかないおーんなーのこー・・・強く生ーきてゆくの・・・」




416 名前:+++ムースポッキー+++ 投稿日:2004/05/24(月) 18:53








               +++ムースポッキー・オワルナ+++

417 名前:如月 投稿日:2004/05/24(月) 18:56

>>404-416
コメントはもはや必要ないかと。

418 名前:如月 投稿日:2004/05/24(月) 19:01

401 春雷様

爽やかさと内容に、どれだけギャップを生じさせるか。
『わたしの居場所』のテーマでしたー。

連想していただいた曲。
上●あずみさんでしょうか?
検索かけてみました。
そうでしたら聴いてみたいと思います。


402 ROM読者様

あれですかね。
ROM様はエスパーか何かでいらっしゃる?
ビンゴです。
まさか言い当てられるとは思ってませんでした。

419 名前:如月 投稿日:2004/05/24(月) 19:12

某雑誌の吉澤サンの石川サン語りネタを織り交ぜつつ。
だから4月頃の時間軸設定ですか。

如月にとって4期はやはり特別なものなのですよ。


それではそれではお目汚しを。
お付き合い感謝です。
420 名前:ROM読者 投稿日:2004/05/24(月) 22:14
更新お疲れ様です。
最近、時の流れが速く感じます。彼女達はどの様に感じているのでしょうか。

>ビンゴです。
んはは。なんか聞いたことあると思って、部屋に散乱している歌本を必死に
漁った結果発見。たまたま耳になんとなく歌詞が残っていたので、偶然です。
421 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/05/25(火) 16:25
涙しました。
素敵な話をありがとう。
422 名前:春雷 投稿日:2004/05/27(木) 21:48
今頃、石川さん卒業を知りました・・・。
もう、そんな時期なんだとしみじみしました。

●原あずみさんの「無色」のことです。
歌詞を読み返してみたら、夜空だったり・・・
423 名前:如月 投稿日:2004/05/30(日) 16:12
暑くなってきましたので、バカ話を一つ。
いしごまです。
424 名前:+++素直すぎるキミ+++ 投稿日:2004/05/30(日) 16:13



ピピピピ
ピピピピ



朝の静寂を、機械の無機質な音が壊していく。
この音は・・・と、石川は眠気の中で頭を必死に働かせる。

手探りで携帯を探し出すと、ピと通話ボタンを押す。



「えーと・・・おはようございます中澤さ」
『石川見たか!?』



寝起き一発に、彼女の怒声はキツイ。



425 名前:+++素直すぎるキミ+++ 投稿日:2004/05/30(日) 16:13




「はぁ・・・ごめんなさい、中澤さんのドラマって朝でしたっけ・・・?」
『アンタ寝ぼけとるな?寝ぼけとるやろ!?』
「大丈夫です、元気ですよぅ・・・」
『・・・ッとにかく今月号の××見てみ!届いとるやろ!?』
「ぇ・・・ああ、ハイ。昨日事務所行った時に渡されまし・・・た、よね?」



やはり寝ぼけているらしい石川に、少々諦めたのか。
口調が落ち着いてきた中澤。



『ウチに訊いたって知らんよそんなん。とにかく中身早よ確認せぇ。』
「はぁ・・・あの、一体なにが・・・?」
『確認したら、アンタからキツク言っときや。あっけらかんとなんもかんも喋んなって。』
「・・・あの?」
『ほなな。』



一方的に切れた通話。
静かな携帯を、暫し見つめる。



426 名前:+++素直すぎるキミ+++ 投稿日:2004/05/30(日) 16:14




「・・・あ。雑誌・・・」



真っ白な頭にぽかんと浮かぶのは中澤の言葉。
とりあえず石川は、のそのそと昨日帰って置いたままになっていた雑誌に手をのばす。



「えー・・・何々・・・『後藤真希が語る・真実の愛』・・・』」



ガサガサと袋から取り出すと、目に飛び込んできたのは見出し。
目立つ配色と太目の文字の配列。

中澤のテンションには結びつかない。
恋愛に関して話したことはこれまでにも何度かあったはずだ。

ぺらり、ページを捲る。



「お〜・・・」



427 名前:+++素直すぎるキミ+++ 投稿日:2004/05/30(日) 16:14




若干際どい写真に感嘆の声を洩らしながら。
ぺらぺらと中澤が怒っているのであろうインタビューのページを探す。

ぴたりと石川の手が止まったページ。
そこには。



428 名前:+++素直すぎるキミ+++ 投稿日:2004/05/30(日) 16:14







「『ダイスキ!梨華ちゃん』・・・?」








429 名前:+++素直すぎるキミ+++ 投稿日:2004/05/30(日) 16:15



どうして見出しがコレなんだろうか・・・。
ホラ、メンバーはふざけて『愛してる』とか『好きだよ』とかさ。
言うじゃない、結構頻繁に。

わざわざこんなに大きく書くほどのこと・・・?


思いながら、石川はとりあえず読みすすめてみることにした。

430 名前:+++素直すぎるキミ+++ 投稿日:2004/05/30(日) 16:18







後藤(以下後) よろしくおねがいしまーす。

――よろしくお願いします。あれ、今日なんかご機嫌?

後 アレ、分かります?

――分かるよ。全然テンション違うもん。

後 あは。ちょっと良いことあったんですよぉ。

――それは聞いても大丈夫?(笑

後 えー、どうしようかなぁ・・・

――・・・もしかして彼氏かな、なんて思ったりして。

後 ぶー。彼氏じゃないですよ。

――えー?じゃあなんだろう・・・

後 娘。関連ですよ。

――あ、久しぶりにメンバーに会った!

後 正解!

――なるほどね。誰と?

後 今のところまだメンバーの子と。

――辻ちゃん加護ちゃん?

後 じゃ、ないです。

――カオリか梨華ちゃんだ?

後 そうそう、梨華ちゃん。久々にさっき会ったんですよ〜。

――仲良いの?

後 あはっ。ラブラブですよ〜。

――へ〜、ごっちんはヨッスィーと仲良しなのかと思ってたなぁ。

後 ああ、よっすぃーはLIKEですね。

――梨華ちゃんは?

後 LOVEです。

――お、爆弾発言〜?良いの?載せちゃうよ?コレ。

後 (笑)どーぞ?

――それはごっちんの片思い?

後 まさか。だからラブラブですってば。

――意外な組み合わせだなぁ・・・一部では不仲説も出てるよ?知ってる?

後 ああ、良いんじゃないですか?実際仲良くない時期もあったし。

――突っ込んで聞いてもいい?

後 梨華ちゃん加入当時ですよ。どう接していいのか分からなかった。

――ファーストインプレッションは?

後 『ゲ』(笑)

――(笑)苦手だったんだ?

後 苦手って言うか〜・・・ホラ、梨華ちゃんて女の子女の子してるじゃないですか。

――ああ、可愛いよね。

後 騙されてるし(笑)。

――え、騙されてる!?(笑)

後 (笑)ま、騙されててあげてください。

――はい(笑)話の続きをお願いします。

431 名前:+++素直すぎるキミ+++ 投稿日:2004/05/30(日) 16:18
後 えーと、あ、で、ごとーはそういうタイプの友達少なかったんですよ。

――免疫がなかったわけだ。

後 それこそよっすぃーみたいな感じの子といることのほうが多かった。楽だから。

――認識が変わったのはいつくらいから?

後 いつだろうなぁ・・・オーストラリアの前後ですかね。何度か二人で話す機会があって・・・

――人となりがわかったりしたの?

後 芯のある人だなーと思いましたね。

――『しっかりしてる』と?

後 微妙に違うけど、そんな感じ。ちょっとビックリしましたね。

――想像と違って。

後 そう。もっとオヒメサマな感じの人かなーと思ってたから。

――実際はどんな人?梨華ちゃんて。

後 テレビのままですよ。ああいう人。なんでもかんでも頑張っちゃうような。

――そこに惹かれた?(笑)

後 も、好きですよ。でももっと・・・なんだろーなぁ・・・保護欲掻き立てられるんですよ〜

――イマイチどこまで本気でとっていいのか分からないけど・・・(笑)

後 あはは、ご想像にお任せします。

――なんかごっちんのインタビューだったのに梨華ちゃんのこと聞きまくりだったなぁ・・・

後 まぁ、ごとーの中身はほとんど梨華ちゃんでいっぱいですから。

――ノロケ!!

後 (笑)ハイハイ。ノロケました。

――なんだかご馳走様な感じで。今日はどうもありがとうございました。

後 ありがとうございましたー。






432 名前:+++素直すぎるキミ+++ 投稿日:2004/05/30(日) 16:18







「・・・微妙・・・・・・っ」



雑誌を閉じて、石川はその場に寝転がった。

どうしてこうも自分のことばかりツラツラ書いてあるのか。
後藤の記事にもかかわらず。

と、タイミング良く携帯が騒ぎ出す。

痛む頭を抑えながら、石川は携帯を開いて通話ボタンを押した。



433 名前:+++素直すぎるキミ+++ 投稿日:2004/05/30(日) 16:19




「・・・ハイ」
『石川か!?あの記事はなんや!お前後藤にどういう教育してんねん!!』
「もう・・・石川はごっちんを教育した覚えはありません!!」
『ちゅーか何で事務所はあの記事差し止めへんねん!!』
「だからどうして中澤さんもつんくさんも石川を怒るんですか!知りませんよ!!」



半泣きでつんくに言い募る石川の声に。
騒ぎの元凶が後ろのベッドがもぞりと動いた。

それを視界の端でチラッと捕らえて、石川は深くため息をつく。



「・・・分かりました。石川からキツク言っときますんで・・・」



結局、石川の不幸キャラは続くらしい。


434 名前:+++素直すぎるキミ+++ 投稿日:2004/05/30(日) 16:19







                +++素直すぎるキミ・終+++


435 名前:如月 投稿日:2004/05/30(日) 16:20

なんてことがあると良いな、なんて(笑

最近絡みを目にしないので。
436 名前:如月 投稿日:2004/05/30(日) 16:24

420 ROM読者様

いつもお付き合いくださって嬉しい限りです。
最近リアルに彼女たちの絡みを見てないので、こんなん書いてみました。
・・・微妙っ(笑


421 名無飼育さん

ありがとうございます。
大変身に余るお言葉です。
吉澤サンはきっと堪えちゃうだろうなーなんて思いまして。


422 春雷様

了解です。
近いうちに聴いてみたいと思います。
夜空バージョンもいつか考えてみようかなぁ・・・。


437 名前:如月 投稿日:2004/05/30(日) 16:34
昔のタモステ引っ張りだして見てました。
ミスムン。

小川の歌い出しの回のいしごまがめちゃくちゃ可愛いんですよー。

同意見の方、ご一報を(笑)。


それではお目汚しを。
お付き合い感謝です。
438 名前:ROM読者 投稿日:2004/05/30(日) 18:33
更新お疲れ様です。
まずは…グッジョブ! こういう視点てゆうか展開も面白いですね。
何にも考えていない誰かさんも最高だし、何故かとばっちりまくり
の相方も爆笑でした。 

>最近絡みを目にしないので。
ホント寂しい限りです。でもその心の隙間を埋めて下さるのがこの
スレの素敵な作品達なのです。
439 名前:ROM読者 投稿日:2004/05/30(日) 19:09
>>437
2001年11月2日? 石川サン・・・凄過ぎデス。
440 名前:春雷 投稿日:2004/05/30(日) 20:50
如月さん、ナイスです!!

石川さん、そういう意味の不幸キャラなら文句はないんでは?(笑)

2001年11月2日のですか。実家に帰ったら探します。
441 名前:名無しさん 投稿日:2004/05/30(日) 22:00
素直すぎるキミ萌えました(笑)
2001年11月2日のミュージックステーションですか
実はその頃ハロプロに興味がなかったのでみてないです(泣)
ネットでさがしてみます
442 名前:如月 投稿日:2004/05/31(月) 20:59
連日更新。
と、いうかコレは元ネタがかなり前からあったので
チラチラ直してみました。

パラレルです。
前スレ『サンタは遅れてやってくる』のシリーズです。
http://mseek.xrea.jp/red/1038563690.html#r649

それではお付き合いくだされば嬉しいです。
443 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:00



久々の晴れ間。
五月だっていうのに、見事に曇天続きだった今日この頃。
『五月晴れ』という物を、やっとお目にかかれた。

溜まった洗濯物を一気に干して、ふぅと一息。



「・・・暇や。」



アカン有り得ん。

こんな良い天気のいい休日に、独身の女ざかりが『暇』て。
何コレ何コレ夢?
夢か!?



「夢じゃないんじゃないですか?」
「分かっとるわアホ。んなツッコミいらんねん・・・」



って、待て。



444 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:00




「アンタ誰や!!!」
「反応鈍いっすよ。」



さっきも言った通り、私は女ざかりの一人身。
常に婚約者募集中。

・・・話を戻そう。
とにかくこの部屋には私以外はいないはず。
セキュリティもバッチリ。

なのに何故。

こんな時期に全身真っ赤なサンタスーツに身を包んだ奴がおんねん。
見るからに怪しすぎる。
人の部屋に無断でいるところからして既に怪しさ充分なのに。
さらにサンタコス。

有り得ない。



445 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:01




「・・・みっつ数えるうちに出てけ。」
「あらまぁそんなつれないコトを、中澤先生。」
「ヒィッ!な、なんでそれを!!」



ヤバイ、新手の殺し屋か!?
ハッ!
まさかこの服の赤は全部血!?



「な、ワケないじゃないっすか。」
「つーか何でアンタはさっきから私の思考が読めんねん!」
「サンタですから。」



服装はな。
そりゃ世界各国、共通意識でサンタのカッコやろな。

けど、茶髪で歳若い(私よりも完璧に若い)女が。
それがサンタだと。
ますます有り得へんやろ。



「・・・サンタが人の心読めるんは知らんかったわ。」
「心なんか読めませんて。分かるのは考えてることだけですよ。」



違いが分からんけども。
とにかくこの超怪しすぎる危険人物と、なんで私は普通に会話してんやろ。



446 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:01




「まあそんなコトは結構どーでもいいんですよ。」
「・・・結構ど−でもいくねーと思うねんけど。」
「うるさいなぁもう。こっちも仕事なんですよ。パパッと終わらせましょーね。」
「なんっかムカツクのは気のせいなんかな。」
「気のせいですね。」



サラサラと人のトゲを流していく、目の前のサンタコス危険少女。
人の顔も見んと、サンタにつきもののあの白いデカイ袋をガサガサとあさりだす。

イヤ、ホンマ何者やねん。

私を『中澤先生』とか言ってるあたり、うちの生徒なんか?
年は16,7に見えるし。

授業中に取り上げた携帯取り返しに来たとか。
あとは没収したアクセを取り返しに来たとか。

でも授業受け持ってる生徒は顔は覚えてるはずやねんけど・・・
歳かな・・・。
もう色々限界なんかな・・・。

つーかムチャクチャやんなぁ最近の女子高生は・・・。



447 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:01




「ムチャクチャなのは先生の思考ですよ。普通そんなんしません。」
「・・・なぁ。その考え読むんやめんか?」



私の言葉を綺麗にシカトしつつ、引き続き何かを探すエセサンタ。



「あー・・・やっぱ忘れちゃったかぁ・・・。スミマセン中澤先生。」
「・・・何を謝られてるのかすら分からん。」
「あのね、去年のクリスマス、プレゼント届けそびれたんですよ。」



突っ立ったまま斜に構え、さらっと意味不明なことを言う。



「・・・・・・ぷれぜんとぉ・・・?」
「先生、クリスマス直後に毎年彼氏出来てません?」
「はぁ?なんやの突然・・・」
「ホラ、ちょっと思い出してみて下さいって試しに一昨年。」
「・・・おととしぃ・・・?」



448 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:02




チャラチャラした見かけと軽い口調。
さらに常日頃から接している程度の年齢。
エセサンタに対して、私の警戒心は既にだいぶ薄らいでいるようで。

ふざけろと思いつつも、記憶の糸をたどり、別れた男との始まりを思い返す。



「・・・・・・ぁ。」
「思い出しました?じゃあその前。」
「ちょ、ちょお待て。待」
「いいからホラ。思い出してみて下さいって。その前はいつですか?」



混乱する思考をまとめて答えを出す。

そう、一昨年は大晦日。
その前の年は元旦に告白されて付き合い出したはず。

取り合えずここ数年。
思い返せば、確かに12月24日前後に告白を受けていた。

だからなんやねん!
だからなんやねん!!



449 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:02




「それはつまりサンタが私に彼氏をプレゼントしてくれてたっちゅーことか!?」
「ん〜、さっすがは聡明な中澤先生。お察しがヨロシク。」
「ウソやん!?」
「マジです。」



コイツは・・・ッ!!
さっきからなんともやる気のないっつーかなんつーか!



「ちゅーことはつまり私は今までサンタの情けを受けてたと!?」



そういうことか!?



「それはちょっと違いますね。」



ズル。
衝撃と怒りで沸点に達しかけていたテンションを思い切り流されて。
私は思わずずっこける。



450 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:02




「もともと中澤先生に好意を寄せてた人だけですよ、告ってたのは。」
「・・・・・・そーなん?」
「そりゃそーですよ。相手の男の意思無視したらまずいでしょ。人権侵害。」
「・・・無理矢理告らすんは人権侵害ちゃうの?」
「違いますって。軽く背中押す程度ですもん。基本的にはその人の意思ですよ。」



・・・『背中押す』て。
サンタって(コイツがホンマにサンタやった場合)どんな職業やねん。



「頑張ってる人への、神様からのご褒美。」
「は?」
「を、届けるのがサンタですよ。」
「・・・また読んだんかい・・・。」
「すみません。でも、中澤先生の本当に欲しいものが分からないので。」
「そんなもん彼氏が欲しいですー。年収一億超えるようなー。」



捻たように吐き捨ててみる。
願ったらそんな男を連れてきてくれんのか。



「毎年毎年、そうやって心を隠して何を願ってますか?」
「・・・は?」



唐突に真剣な声で返されて面食らう。
思わず言いよどんでしまった。



451 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:03




「告られて、結局振るのはいつも中澤先生でしょ?」
「・・・だから・・・何でアンタがそんなん知って・・・」
「大抵、中澤先生が約束すっぽかすでしょ。」
「!?」
「そんで、グチグチ言う男に『じゃあ別れたるわ!』」
「なあ、ホンマなんでアンタがそんなん・・・」
「しかも約束すっぽかす理由はみんな生徒のためですよね?」



なんやろ。

これはコイツが『サンタ』だということを仮に、仮にあくまで仮に認めたとして。
だとしても、こんなにも私生活情報が漏れてても良いもんなか?
プライバシーの侵害にはならんの?
サンタは何でもかんでも免罪符?



「普段はプレゼントリサーチ期間外は思考読んだりしませんよ。」
「じゃあ私のコレは何事や。見事に読みまくっとるやん。」
「だーから、中澤先生は特別。このままおとなしく男贈り続けたって幸せにならなそうなんで。」



アバウトな物言いに、流石の私も絶句する。
教育者として、ここは『男性をそんな風に言うのはよくアリマセン』と注意すべきか。



452 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:03




「つーかぶっちゃけ、今年も男だったんですけど。」
「・・・年収一億?」
「・・・さすがにそれは。でも今年はカタログ持って来る予定だったんですよ。」
「カタログ?」
「そう。ホラ、遅れちゃったんで。」



もうどんな非常識なことを言われても、そんなに驚かん自信がある。

カタログとか。
どんなサービスや。

非常識にもほどがある。



「でもね、カタログ忘れちゃったんです。」
「・・・えーよそんなん・・・」
「そうですよね。ホントの願いじゃないんですもん。」
「・・・私のホンマの願いって何よ。」
「そんなの私の知ったこっちゃないっスよ。」



ごもっとも。
訊いた私が悪かった。



453 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:03




「ま、ただ少なくとも中澤先生の幸せが男じゃないってコトは分かりますよ。」
「・・・男男てアンタなぁ・・・」
「ホントの幸せ、中澤先生もう分かってるんじゃないですか?」



言いながら。サンタは人差し指をピッと伸ばして。
拳銃よろしく、私の胸を指差す。



「生徒追っかけ回してる中澤先生はメチャクチャ幸せそうに見えますけど?」
「やっぱアンタうちの生徒か?」



私に向けてた人差し指を、そのまま自分の口元に。
『シー』と、ウィンク付きのキザなジェスチャーをかます。



「サンタの素性は見えないからこそ夢があるんですよ。」



その流れがめっちゃ自然で。
不覚にも、ちょっとカッコイイだなんて思ってしまった。
こんな不審サンタに対して。

なんとも甘い自分に落胆していると、その指をすっと掲げた。
今度は何事かと見守ると、『パチン』とそれを鳴らした。

と、次の瞬間。

私の後ろの窓から、ザァーという水音。



454 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:04




「!?」



驚いて振り返ると、予想通りに外は雨。
陽はさんさんと輝いているにもかかわらず。
つまり天気雨。



「ささやかながら。サンタからの贈り物です。」
「雨が!雨がか!つーか洗濯物ッ!!」



そう。
溜まりに溜まった洗濯物を、さっき干したばっかりだったのだ。



「だーもうコノ疫病神ッ!!」
「サンタですって。」
「黙れッ!!!」



まだ言うか。
一蹴して、慌ててベランダへ飛び出て洗濯物を引っ掴む。

ふと顔を上げるとソコには。



455 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:04




「うーわ・・・!」



目の前に広がるのは、七色の虹。
しかも、ちょろっと出るようなヤツじゃなく、本当に橋が掛かっている。
今まで、こんなちゃんとした虹を見たことはない。



「ちょおサンタ!!これホンマにアンタが・・・」



興奮で年甲斐もなく声を荒げながら室内を振り返る。
さっきまでそこにいた、不可解なサンタ少女はもう居なかった。

イヤ、もしかしたら最初からそんなものはいなかったのかもしれない。

何の痕跡もない今。
むしろいなかった説の方が信憑性が高い。

静寂を取り戻した部屋から視線を外し、再び虹を見る。



456 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:04




「うーわうーわスッゴ・・・なんやコレ〜・・・こんなんなんねんなぁマジで・・・」



暫し見惚れる。

が、それは長いこと人目についてはいけないものだったらしい。
早々に消えてゆく。

一瞬の掛け橋。
この忙しい街で、いったい何人が渡れたのだろうか。


457 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:05





消えた橋と同時に、雨も上がる。
気まぐれなそれは、なんだか不可解なサンタ少女の雰囲気のようだった。

『BANG』と打ち抜いた、見えない弾。
穴の開いた心は、気持ち良く風が通り抜け始めたような気がする。






「・・・さって。明日の一時間目は〜・・・」



458 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:05















459 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:06




二日連続の青空。
もうすぐ梅雨入りらしいけど・・・。

こんな日は屋上が気持ちエエねんけど。
まぁ生徒に禁止してる手前、行くワケいかんなぁ。


と、思いながらも足は屋上へ続く階段の前で立ち止まる。
空へとつながるドアを見つめるが、フッと笑って立ち去ろうとした。

その瞬間。



460 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:06




「やーっぱ昨日のアレ、ミキティの仕業だったんだ。」
「なんで。バレてた?」



誰か居る。
ドアの向こうから生徒らしき話し声。

・・・引っ叩いたろか。

いきり立ってドアノブを掴む。



461 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:06




「あんなん勝手にしたらダメじゃん。怒られるよ?上に。」
「色々あったんだよー。ホラ、美貴当日ミスって道間違ったじゃん。」
「そんなんミキティがアホなんじゃーん。」
「言ったな。ごっちんだってクリスマス外にサンタ権力行使してたじゃん。」
「アレは緊急事態。」
「じゃ、美貴も緊急事態。」



・・・は?



「てーかやっぱ昨日の親にもバレちゃって。小遣い3ヶ月カット。」
「自業自得。」
「もう親手伝ってこんな目にあうなんてさー。マジ勘弁して欲しい。」
「ま、そういう家系に生まれたことを恨むんだねぇ。」



・・・・・・。
さっきから聞こえてくる『サンタ』の単語。

・・・何か?
この向こうには昨日のサンタが?
『手伝い』?
『家系』?

しかもなんか・・・サンタが二人?


気が付けば、放心状態のままガチャリとドアノブをまわしていた。
ギィと重たく開くドア。

そこにいたのは、制服を着た紛れもないうちの生徒。
(しかも授業サボリ)

ドアの音に驚いて振り返る二人組み。
ひとりは授業を受け持ってるクラスの生徒。
2年3組後藤真希。

そしてその片割れは。



462 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:07




「「・・・あ。」」



向こうも、私を見て驚いた声をあげる。



「な、中澤・・・センセ・・・」
「サンタ・・・?」



マヌケな声を出す私とサンタ。
空気がまったり流れていくのを感じる。

・・・。

ハッとして、慌てて頭を振る。



463 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:07




「学年クラス番号名前!!」
「2年3組ごとーまき。」
「・・・3年2組藤本美貴・・・。」
「授業中に。しかも立ち入り禁止の屋上で。優雅にサボりか?」
「・・・裕ちゃん感じ悪ーい。」
「ウッサイ後藤。『中澤先生』。二人とも、職員室まで来い!反省文!!」

「「はぁー!?」」



464 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:08




不服満々で叫ぶ二人。
サンタだかなんだか知らんけど、この学校の生徒である以上。
サボりなんか許したるかい。



465 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:08






「ちょっと中澤先生!サボりなんか取り締まってる場合じゃないですって!」
「アンタは不法侵入で警察突き出したってもエエ。」
「違うますって!この子、不純同性交友(片思い)してるんでしょ!教師と!」
「なにワケ分かんないこと言ってんのミキティ!つーか(片思い)って何!!」
「梨華ちゃんがごっちんなんか相手するわきゃないでしょ!」
「なに『梨華ちゃん』て!ちょっと裕ちゃんこの人教師を『ちゃん』呼ばわりだよ!!」
「アンタもでしょ!!」


「うっさいバカサンタ!!!」






466 名前:xxxサンタは五月にやってくるxxx 投稿日:2004/05/31(月) 21:09








              xxxサンタは五月にやってくる・ENDxxx


467 名前:如月 投稿日:2004/05/31(月) 21:11

>>443-466

サンタネタPART2でした。
ああ楽しかった。
468 名前:如月 投稿日:2004/05/31(月) 21:18

438・439 ROM読者様

雑誌っぽいのはいつか挑戦したいなと思ってたのです。
楽しく書けました。

>素敵な作品達なのです。
テレテレ(←キモ
唐突に中澤サン+藤本様ネタで申し訳です。

>2001年11月2日?
日付まではちょっと分からないのですが、その時期だったです。
Let's singing a song〜♪のトコ。
凄い石川サン(笑)もさることながら、それを受ける後藤サンの溶け顔が・・・ッ


440 春雷様

>石川さん、そういう意味の不幸キャラなら文句はないんでは?(笑)
(;^▽^)<イヤだよぅッ!!

>2001年11月2日のですか。
是非。
見つかることを祈ってます。


441 名無しさん

萌えて頂けましたか。
嬉しいです。

見ていただきたいです〜。
メロメロな後藤サンが拝めますよ。

469 名前:如月 投稿日:2004/05/31(月) 21:18

それではパラレルでした。

お付き合いくださった方、お目汚しを。
感謝です。
470 名前:ROM読者 投稿日:2004/05/31(月) 22:11
更新お疲れ様です。
エセでもいいから、うちにも突っ込みに来てホシイ。もちコスプ(ry

>唐突に中澤サン+藤本様ネタで申し訳です。
申し訳なんて。ROMは二人とも大好きです。特に姐さんは、握手
をして頂いた時のオーラが未だに忘れられず・・・グランビ〜ム!

>Let's singing a song〜♪のトコ。
はい。放送日、ビンゴです。(春雷様&名無しさん
後藤さん、デレデレっすね。ほとんど放送禁止・・
471 名前:春雷 投稿日:2004/06/01(火) 00:23
姐さんかわいい(笑)
最初、藤本さんでなく吉澤さんかと思ってました。
最後のやりとりが三人とも、いいですね。

ROM読者様、情報ありがとうございますm(_ _)m
472 名前:如月 投稿日:2004/06/04(金) 17:38

天然黒い系な後藤サンです。
嫌なヤツとか腹黒とか鬼畜とかとは違います。
天然に黒いんです。

ではでは。
473 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:39



紺野が好意を持ってくれてるのは分かってた。
あからさまなそれは、さすがに鈍いごとーにも分かった。

ただ、別に気づいたからといってどうこうできるはずもなく。

内気でおとなしそうな彼女だから。
特にアクションは起こしてこないだろうと踏んでたのに。



474 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:40




「私、後藤さんが好きなんです。」



目の前で自分を見つめる紺野の目はマジだ。
ゴメン。ぶっちゃけめんどくさい。



「あー・・・ありがと・・・」



なんて言葉じゃ誤魔化されてくれないであろうことは充分に分かる。

ここでごとーの素でも出しちゃえばあっさり退かれるんだろうけど。

さすがに『憧れの先輩』像をブチ砕くのも良心がとがめる。
それくらいの気遣いはある。

まいったな。
今日は楽しみにしてた漫画買ってとっとと帰ってまったりするつもりだったのに。



「あーっと・・・気持ちは嬉しいんだけど・・・」



なんてお決まりの言葉を口にすれば丸く収まるだろうか。
つーかむしろOK出しちゃえば今日は早く帰れる?

・・・さすがにそれは可哀相かぁ。


口元に手を添えて、どうしたもんかと思案する。



475 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:41




「私のこと・・・嫌いですか」
「嫌いじゃないよ。」



別に嫌いじゃないよ。
嫌いになるほどキミの人間性知らないし。
ただ単に興味がないんだよね〜。

ん〜・・・。



「あの・・・お試しでも良いんです・・・ッ」



なんのだよ。

思わず突っ込んじゃったよ。
ダメだよー、うら若き乙女がそんな事言っちゃ。
悪い男に騙されちゃうよ、紺野さん。

・・・ああ、悪い女に騙されてるわけね。
まさに今ね。

うーわ泣きそう。
ああもうその目やめてくれないかなぁ・・・。



476 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:41




「んー・・・好ーきな人が・・・いたりするんだよねぇごとー・・・。」



こういう時はコレが一番なんじゃなかろか。
うん。
ごとーなかなか利口だと思う。

その言葉に、ハッとしたような紺野。
え、マズかった?



477 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:42




「その人ってもしかして・・・石川さん・・・ですか?」



架空の『好きな人』。
今のごとーは全くもって恋愛モードじゃない。
もしかしても何もあったもんじゃない。

しかも『石川さん』。

なかなか愉快な思考回路の持ち主だ。

ただ、ここは無難に切り抜けるのが第一の目標。



「そうなんだ・・・。ごとーね、梨華ちゃんが好きなんだ。」
「もしかして・・・お付き合いとか・・・」



してないしてない。
つーかまず恋愛感情なんかない。



478 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:43




「あーうん・・・。実は、ね。」
「そうなんですか・・・。」
「うん、だから・・・紺野気持ちには応えられない・・・」
「・・・ハイ。」
「ゴメンね?」



笑顔で首を横に振る紺野。
あ〜・・・ごめんねぇ。
次はもっと心のキレイな人に惚れるんだよ。

心の中でそう忠告を残して、ごとーは足早にその場を去った。

早いトコ漫画買って、なるべく早い電車に乗るために(最悪)。


この話はコレで終わったと。
そう思ってたごとーが甘かった。



479 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:44




次の日、打ち合わせで事務所にもそもそ赴いたところ。
廊下の端からもの凄い勢いで駆け寄ってくる人物。

石川梨華。



「あっれ〜、梨華ちゃーん。おは」
「アンッタって子は全くなーにを考えてんのよ―――ッ!!!」



がしっと両肩を掴まれて、その勢いで、女子トイレに押し込められる。
あれ?あれ?とか言ってる間に、そのまま個室へ。

ごとーの肩を片方掴んだまま、後ろ手に鍵をかけた。



「おはよ、梨華ちゃん」



走ってきたから、息があがってて、俯いて呼吸整えてる梨華ちゃん。
とりあえず挨拶してみた。



「お、おはよ・・・」



ゼェゼェ言いながらも挨拶を返してくるところとか、なんとも梨華ちゃんらしい。



480 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:45




「じゃなくて・・・なんで紺野にあんなウソ言うの。」



フゥ、と最後の一呼吸を整えきって、梨華ちゃんが顔を上げながら言った。
ああ、昨日のコトね。



「紺野に聞いたの?」
「私を見る様子が変だったから・・・。問い詰めて聞き出したの。」
「ふ〜ん」
「・・・なんであんな事言ったの?」
「昨日ね、告られたんだよ。」



それだけ言えば、梨華ちゃんはたぶんわかってくれるだろう。
悪友歴は、なかなか長い。

案の定、その顔は怒り顔へと変化した。



481 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:46




「ウソつくならもっとマシなウソツキなさいよ!」
「マシなウソって・・・」
「知らないよそんなの!・・・可哀相に。紺野私の顔見て泣きそうだったじゃない。」
「だぁーって・・・これでも考えたんだよ?傷つけないでフルにはどーすればいいか。」
「ウソついてどうするのよ。普通に『そういう風には見れない』って言えば!?」



口調はきついけど、場所が場所だけに小声で怒鳴る梨華ちゃん。
首にかかる息がちょっとくすぐったい。



「んぅ〜・・・」
「どーせごっちんのことだから?見たいテレビがあったか読みたい漫画あったか?」



うわ図星だし。

つーか肩、手、イタイイタイ。
そんな強く握り締めないでよ。



「どっちにしろ、面倒だからそんなこと言ったんでしょ?」
「えーでもさぁ・・・」
「・・・百歩譲って。早く帰りたかったなら、『少し考えさせて』とかさぁ・・・。」
「おお、なるほど。」
「なるほどじゃないでしょ!」



482 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:47




梨華ちゃんのおこりんぼー。

頬を膨らませてブーたれていたら、はぁと梨華ちゃんがため息。
そっと肩から手を外して、握り締めてたトコを少し撫でてくれる。
こういうトコは可愛いなぁと思う。

そのままくるりと向きを変えて、鍵を開けて出て行こうとする。

え、待って待って。


ちょっと慌ててドアを引き戻して、乱暴に鍵をかけなおす。
首だけでこっちを振り返って、目で『何?』と聞かれた。



「梨華ちゃんどうする気?」
「どうするって・・・紺野の誤解を解いてくる。」
「ダメ!!」
「は?」
「そしたらごとーなんて紺野断れば良いのさ!」
「知らないよそんなの!ごっちんの問題でしょ!?」



ぐぐぐぐっと、鍵を押さえてるごとーの手を外そうとする。
力で梨華ちゃんがごとーに敵うはずがないのに。
しばらく頑張ってたけど、諦めたのかこっちを向く。



483 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:47




「ぅあっ」



脇腹をくすぐられた。

くすぐったさに手の力がゆるんだ隙に、梨華ちゃんは素早く鍵をあけて出てった。

あわあわ。



「ちょっと待ってよ梨華ちゃん!」
「ごっちんの問題に私を巻き込まないでよ!大体紺野だって可哀相じゃん!」
「謝るからちょっと付き合ってるフリしてて!!」
「ハァ!?バカじゃないの!?」



確かにバカかも。
でもごたごたしたくないんだよー。

トイレの洗面台わきの壁に梨華ちゃんを両腕で貼り付けた。



「勝手なことしたのは謝るから!お願い!!」
「イヤ!ってゆーか無理!」
「なんでぇ〜!」



484 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:48




騒いでいたら、トイレのドアノブが動いて誰かが入ってきた。
梨華ちゃんからはまだ死角で気づいていないらしい。

あ。



「ゴメン。」
「はぁっ!?なんぅ・・・ッ!?」



小さく詫びの言葉を囁いてから、申し訳なくも実力行使に出た。
騒ぐ唇を塞いで、言葉を飲み込む。



485 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:49



驚いてフリーズしてる梨華ちゃんを無視してキスを続ける。
ガタンと静かなトイレに響く音。

その音に梨華ちゃんがハッとしてごとーを押しのける。

その音源には。
ちょっとボー然としてる紺野がいて。



「紺野!!違うのコレは・・・ッ!!」



慌てて言い募ろうとする梨華ちゃんの腕を引いて、自分の腕の中に収める。



486 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:50



ビックリして動けないでいる紺野。
ごとーの中の天使は一応騒ぐ。



「ゴメンね紺野。・・・みんなには内緒にしといて?」
「ごっちん・・・ッ」



瞳が零れ落ちそうなくらい大きく目を見開いて。
『信じられない』とばかりに梨華ちゃんがごとーを見つめる。



「・・・ハイ。」



紺野は柔らかく笑って。
手を小さく震えさせながらドアノブを引き、パタパタと足早に出て行った。


487 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:51




それを見送って、少し腕を緩めた瞬間、突き飛ばすように梨華ちゃんが腕からすり抜けた。

右腕を大きく振り上げて、ごとーの頬目掛けて振り下ろす。
コレくらいは仕方ないかと、避けようともせずに流れに身を任せた。

でも、梨華ちゃんの平手はごとーの頬に触れることなく握られて。
そのまま力なく降ろされた。



「叩けば?」



ハラハラ落ちる梨華ちゃんの涙を、指の背で拭う。
その手はさすがに払われた。



488 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:52




「・・・最っ低。」
「知ってる。」
「大キライ・・・ッ」



感情を殺したように言って、そのまま出て行った。


初めて触れた唇の。
綺麗で可愛い泣き顔と、その涙。
『大キライ』の言葉。



「・・・マズイな・・・。」



蘇る感覚は、梨華ちゃんに触れた・触れられたすべての感覚。
握られた肩に触れてみるだけで。

ドキドキ。



489 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:52




マズイ。
ほんとマズイ。

こんなに不利な状況でスタートなんですか。
・・・そりゃ不利な状況にしたのはごとー自身なんだけども。

自作自演に見事に自分でハマってしまったらしく。



「あー・・・」



取り合えず告白・・・。
とかしたら、さすがに殺されるだろうか。


ああ。
とにかく紺野に謝ろうか。
今度はちゃんと、心の言葉を使って。


490 名前:+++待雪草+++ 投稿日:2004/06/04(金) 17:53







               +++待雪草・オワリ+++

491 名前:如月 投稿日:2004/06/04(金) 17:57
タイトルは花言葉です。
もう花言葉に逃げました。

492 名前:如月 投稿日:2004/06/04(金) 18:02

470 ROM読者様

如月のところにはきっとWが来てくれます。
あの二人のサンタコス。絶対可愛い。

>後藤さん、デレデレっすね。ほとんど放送禁止・・
ですよね。
放送禁止ですよねアレ。
すーごいトロトロですよね。
如月はあれがきっかけで完全に石後に落ちました。


471 春雷様

吉澤さんもサンタ設定でしたね。
自分で書いといて忘れてました(爆
誰のところに派遣しようかなぁ・・・。

493 名前:如月 投稿日:2004/06/04(金) 18:04

>>473-490

天然黒い系後藤さんでした。
それではお付き合いくださった方、お目汚しを。
感謝です。
494 名前:ROM読者 投稿日:2004/06/04(金) 21:13
更新お疲れ様です。
かなりスパイシーな作品かと思ったら、後半ほろ苦く、微かな
甘酸っぱさが後に残りました。


495 名前:春雷 投稿日:2004/06/04(金) 22:53
お疲れ様です。
こういう後藤さん、かなり好きです。
そして、そんな後藤さんを見事によんでる梨華ちゃんもステキでした。

>吉澤さんもサンタ設定でしたね。
誰のところに派遣しようかなぁ・・・。

サンタシリーズが、なんか好きです。
なんで、ぜひ誰かの所へ派遣してください!
496 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/05(土) 14:00
更新お疲れ様でした。
こういう、ごっちん&梨花ちゃん大っ好きです!!!
もしよろしければ、続きなど期待してもよろしいでしょうか??
お願いします。
497 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/06/05(土) 14:02
あぁぁぁ!!!
梨花ちゃんじゃなくて、梨華ちゃんでした…(泣)
498 名前:名無し? 投稿日:2004/06/05(土) 15:26
ごっちんハマッちゃいましたねぇ(^―^*)
その後の2人がメッチャ気になります!!
続きがあることを期待してます☆☆
499 名前:如月 投稿日:2004/06/09(水) 18:35

あやみきですが、あやみきでないです。

ちなみに、二人が今現在なんと呼び合ってるか
如月はいまいちわからないので、過去の一番好きな呼び方でいきます。

ではでは。
500 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:37
彼女の笑顔の先に居たいと。
願ったのはいつからだっただろう。

同時に、彼女の幸せを祈る自分が居たのは。



501 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:37




「ミキスケがウチ来るの久々だねぇ?」
「そー思うんなら、たまにはあやっぺがご飯作ってよ。」
「ミキティのご飯のが美味しいじゃん。」
「じゃあ片付けくらい手伝いなよ。」
「えへっ」
「・・・どーでも良いけど。もう終わるし。」



この子に常識を求めたミキがバカでした。



「あ、このオレンジ剥いて良い?」
「アリガトーっ。ミキスケ大好き。」



じゃあ手伝ってよ。
とは、もう言わなかった。

まぁあやっぺは可愛いし。
過剰に喜んでくれるあたり、この子の世話を焼いてあげるのは嫌いじゃない。

食器類を全部洗い終えて、切ったオレンジを片手にリビングへ。
あやっぺはおとなしくテレビを見てた。



502 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:38




「ハイ。」
「ありがとー。ね、ホラ、出てるよ」
「ん?」



ブラウン管の向こうでキャラキャラと可愛らしく笑うのは仲良し二人組み。
『ダブルユーでぇーっす』と、元気に決めポーズ。



「んっは。かーわいいでしょ〜?この子たち〜」
「・・・うん、可愛いねぇ。」
「・・・何その間。『アタシの方が可愛いけど』とか思った?」
「あはははは。」



否定はナシかい。



「それもちょっと思ったけど、」
「やっぱ思ったんだ。」
「ミキスケの口調が、なんか身内みたいでビックリしたのー。」



は?



「身内?」
「そーそー。」



503 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:39




オレンジに手をのばしながら、何でもない風にあやっぺは続ける。



「なんかイトコとかを自慢してるみたいな感じだったよ。」
「さっき?」
「そう。辻ちゃん加護ちゃん見て。」



ぱくっとオレンジに食いつきながら、あやっぺはなんてこと無さそうに言った。


渋い顔して考え込んでしまったらしい。
あやっぺはミキの額を軽く小突いて笑った。



「イイ傾向。」
「・・・なーにが。」



真似て、ミキもオレンジをぱくついた。



504 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:39




「あ、梨華ちゃん。」



ぶほっ。



「・・・何ふいてんのミキスケ。」
「ゴ、ゴメン別になんも・・・」
「『女はスキマよね』♪」



例のWコンビと一緒にCMで登場した梨華ちゃん。
そのセリフを真似て、あやっぺが隣りで踊ってる。

それを横目に。
踊る三人を正面に見据えて。

また、ミキはオレンジを食べる。



505 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:40




「ミキスケって梨華ちゃん好きだよね。」



ぶっ。



「汚いなぁミキスケ!」
「それはない!絶対無い!!」
「何が!!」
「何がって・・・ッ」



何がって・・・
アンタが振ってきたクセに・・・ッ



「・・・それ外で言ったら怒るからね。」
「それ?『藤本美貴は石川梨華が好き』?」
「そうそれ。」
「ふーん?」
「・・・イヤな笑いだなオイ。」



あやっぺは二つ目のオレンジに手を出す。
てゆーか。



「・・・ミキが梨華ちゃん好きとか。言ったっけ?」
「目は口ほどになんとやら〜。」
「ふざけてるでしょ。」
「ちがーうよ。マジ。テレビ見てて、気づいたんだよ〜。」
「は?テレビ?」
「ね、告んないの?」



ミキの質問を質問で潰す。
レッツ自己中。



506 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:41




「告るとか・・・。」
「どうして?好きなんでしょ?」



子供みたいな率直な言葉。
でも、ミキは知ってる。



「・・・そんだけ鋭いんなら、分かってるんでしょ。」
「ん?」
「梨華ちゃんが誰を好きなのか。梨華ちゃんの大切な人は誰なのか〜」
「あーは?」
「すっとぼけんな。」



さっきのお返しとばかり、あやっぺの額を小突いた。



「このトラブルメーカー。」
「えー、あたしトラブル起こしたことなんかないもん。」
「そうかもね。でも、人のトラブル見るのは楽しいでしょ。」
「えへっ」



えへじゃないだろよ。



507 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:42




「とにかく。そういうコト。」
「どーいうコトぉ?」
「だっから分かってんでしょ?梨華ちゃんは・・・」
「でも好きなら欲しいと、思うでしょ?」



・・・コイツは。



「奪っちゃえ、とかさ。思うっしょ。」
「思いません。」
「え〜・・・。」



めちゃくちゃ不満そうだし。
ちょっと。
仲良しなんでしょ?ミキ達。

そんなさぁ、友達のトラブル期待しないでよ。



「だってさ、梨華ちゃんも卒業しちゃうんでしょ?」
「ああ、来年の春ね。」
「ってコトは、同じグループって特権なくなっちゃうんだよ?」



『特権』っていうのは、彼女との対比なんだろう。
・・・やっぱり気付いてんじゃん。



508 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:43




「だからって、ミキにどうしろってのさ。」
「だから、今のうちに気持ち押し付けちゃえ。」
「・・・そんな押し売りみたいなことデキマセン。」
「告られて、嫌な気持ちする子なんかいないと思うけどなぁ。」



独り言のように呟いて、しっかりミキに話し掛けてる。
ミキに心を誘惑する。



「それまで意識してなかったのに、急にそういう対象で見ちゃったり・・・。」



チラッとミキの方を軽く見る。
ミキはテレビを見てる。



「言ってみなきゃ、なーぁんにも変わんないで終わっちゃうよ!?」



痺れを切らしたのか、ミキの背中に圧し掛かってくる。
軽いけど重いって。



「終わるなら、それで良いよ。」



首に絡み付いてる細い腕を解きながら、ミキは呆れたように言う。



509 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:44




「今の関係は心地良いよ。良い距離感だと思う。」



言葉を続けるミキ。
あやっぺはおとなしく聞いてる。



「こんな気持ち伝えたって、梨華ちゃんは困るだけだよ。」



いつの間にか、ミキの横でミキの顔を覗き込んでくる。
その眉間のしわを再度小突いて、軽く笑って見せた。



「もう寝よ。あやっぺだって、明日早いでしょ?」
「うん。じゃあ寝よっか。」
「じゃ、お皿片してきちゃうね。」
「一緒に寝ようねっ」
「・・・ハイハイ。」



ちゃっちゃっとオレンジの乗っていた皿を洗って、電気を消す。
すでにあやっぺが横になってるベッドに潜り込んだ。



510 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:45




「ミキスケぇ・・・」
「なに?」



背中を向けてたあやっぺが、もぞもぞとこっちを向く。
ミキは仰向けになりながら、首だけであやっぺを見た。



「・・・・・・ゴメンね?」



申し訳無さそうに眉根を下げるから。
思わず彼女を思い出してしまった。

そんな自分とあやっぺに苦笑して。

もう一度その額を小突いた。



「オヤスミ。」



ミキが笑うと、あやっぺも笑って瞳を閉じた。

疲れていたんだろう。
しばらくして、おだやかな寝息が聞こえ始めた。

暗い天井を見つめながら、あやっぺの言葉を反芻する。



「・・・ミキこそゴメンね」



511 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:45




ミキはウソをついてる。
本当は、このままなんかじゃ嫌なのに。

ミキだけの名前を呼んで欲しい。
誰の目からも隠して。
あの子の華奢な体をこの腕に閉じ込めて。

そんな衝動を、全身が襲うことだってホントはある。

それを言葉にしないのは、優しさなんかじゃない。
彼女の笑顔を壊したくないからとか、この関係を壊したくないからとか。
そんなのは綺麗事。

ひとつこぼしてしまえば、あとは溢れるだけ。

気持ちを伝えるだけなんかじゃ終われない。
胸に抱えてる汚い感情を、きっと彼女に押し付けてしまう。
傷つけてしまう。

ミキはこの気持ちをセーブできる自信がない。



512 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:47



だから、あやっぺを騙して、周りを騙して。
自分は騙された周りに騙される。

それで良いんだ。
ミキとあの子は『友達』のまま。

それ以上は、望まない。
望んだら壊れてしまう。


苦しいと思う気持ちを誤魔化しながら。
きっと明日もミキは笑う。



『梨華ちゃん、あのCMきしょーい』



それで良いんだと。


だからあやっぺ。

鋭いキミのことだから。
きっとバレてるんだとは思うけど。

そのまま上手に騙されたフリをして、ミキを騙して。



513 名前:+++本心+++ 投稿日:2004/06/09(水) 18:47






                +++本心・オワリ+++

514 名前:如月 投稿日:2004/06/09(水) 18:49

>>500-513
こういう藤本様を書くのが如月は大好きなようで。
515 名前:如月 投稿日:2004/06/09(水) 18:55

494 ROM読者様

スパイシーってかむしろギャグで終わらせようとしてたんですが。
あれよあれよと、違う方向に突っ走りました。
・・・思うように後藤サンが動いてくれません。


495 春雷様

如月も、ああいう後藤サンが好きなのですよ。
いつものまったりも、勿論好きなのですが。
サンタシリーズは書きやすいので、また多分出てきます。
気長にお待ちくだされば嬉しいです。


496 名無飼育さん

期待・・・に添えるかは自信がないですが。
あの話は続きます。
しばしお待ちください。


498 名無し?様

ハマっちゃいましたねぇ・・・。
後藤サンは自分でもビックリです。
そんなワケで、花言葉シリーズはすでに続編がほぼ出来てます。
期待せずにお待ちください。


516 名前:如月 投稿日:2004/06/09(水) 18:56

それでは次回は花言葉で。

お目汚しを。
お付き合い感謝です。
517 名前:ROM読者 投稿日:2004/06/09(水) 19:08
更新お疲れ様です。
こんな思慮深くて奥ゆかしい、実はこれが本当の彼女
の姿なのかと思ってしまいます。

二人の関係(登場人物の方)が実際もこうであって欲
しいと密かに妄想しています。
518 名前:春雷 投稿日:2004/06/09(水) 19:30
お疲れ様です。
この二人にしては、めずらしい関係ですね。
人のトラブルを楽しむ彼女がいいかんじ(笑)

次回を楽しみにしてます。
519 名前:如月 投稿日:2004/06/12(土) 17:30

ちょっと嫌な感じの後藤サンが書きたいはずなのに。
どうも片思い少女になってしまってる。

いしごまは歪んだ関係も似合うと如月は思います。
520 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:31



・紺野に告白されました
・早く帰りたかったので、適当に断りました
・『石川梨華ちゃんとちゅきあってるんでしゅ』とウソをつきました
・梨華ちゃんには殺されんばかりに叱られました
・色々やらかしちゃいました
・本気で梨華ちゃんに嫌われました



521 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:31




『当たり前じゃん。』



赤裸々に告白。
聞いて、さらっと言い放つヨシコ。

うんまぁね。
当たり前だけどね。



『梨華ちゃんケッペキだもん。紺野の気持ちも前から知ってたし〜。』
「でもしゃーなくない?ごとー別に紺野好きじゃないんだもん。」
『ものにはやり方ってもんがあんのー。』
「知らないよ。面倒だし。」



あ、ため息つきやがった。
チクショウ、ヨシコのクセに。



522 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:33




『でもそっか。それで君ら三人なんか空気がおかしかったワケね。』
「で、続きがあんだよね〜」
『は?さらになんかやらかしたの?』
「うん。どーも、ごとー梨華ちゃんに惚れちゃってさぁ。」



沈黙。
なになに、なんか言わないわけ?



『・・・マジでぇ?』



うさんくさそうに聞き返す声。
ごとーだって誰かに聞き返したいよ。
何であの流れで惚れるのさ。



「でーもさぁ、このドキドキ?これはいわゆる恋心っぽいのさ。」
『はー・・・梨華ちゃんにねぇ・・・。』



意外そうに、でも大した興味も無さそうに。
ごとーの言葉をかみ締めてる。



523 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:33




『つーか「色々」って。アンタ何したわけ。』
「ちゅーした。」
『は?』
「無理矢理。」
『梨華ちゃんに?』
「しかも紺野の目の前で。」



盛大なため息が聞こえる。
やな感じ。



『で?梨華ちゃんのコト好きだって?』
「そう。でも梨華ちゃんに『大キライ』宣言された。」
『だから当たり前だっつの。』



分かってるっつの。



「でさ、どうしたらいいと思う?」
『とりあえず諦めたら?』
「早。」



ちょっと待ってよ。
もーちょっとなんか考えたりしようよ。



『ムリムリ。ぜーったい無理。そんなん修復不可能ー。』
「え〜、やっぱぁ?」
『賭けてもいいね。絶対無理。』
「・・・じゃあごとーは修復可能に賭けるもん。」
『頑張ってみれば?天地がひっくり返ったって無理だね。』



そこまでかよ。



524 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:35




「・・・うっさいヨシコ!バカ死ねっ!!」
『はぁ!?何その言い草。そっちが死ねっ!!』
「バーカ!!」
『バーカバーカ!!』
「バーカバーカバーカ!!」
『バーカバー』



ピ。

切ってやった。

まぁね。
ヨシコの言ってることは9割方正しい。
でもアイツはアイツで性格歪んでるんだよ。
計算で世の中渡ってるあたり、ごとーよりタチ悪いと思うんだけどな。

ま、とにかく今は梨華ちゃんのコト。
と、紺野のコトが問題。

梨華ちゃんに許してもらうには、紺野にちゃんと謝るのが近道だし。


えーと。
『梨華ちゃんと付き合ってるのはウソだけど、でも梨華ちゃんのことは好き』
って言ったとして。
紺野に。

でも告られた時点ではまだ好きじゃなかったんだから。
これじゃ結果的にウソになるか。

んー・・・
『実はなんとも思ってなかったけど、あのキスの前後で好きになりました。』


・・・紺野の立場だったら、そんなん言われてもって・・・思うよなぁ。
結局アンタは石川梨華好きなんでしょ?ってねぇ。


・・・・・・・どーしようかなぁ。



525 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:36




携帯を手にとって、思わず呼び出しかけた番号は梨華ちゃんの携帯。

しまった。
いつも真剣に悩んだ時は梨華ちゃんに相談してたんだ。

なんだかんだ説教をしながら。
自分のことみたいに一緒に悩んでくれる梨華ちゃん。
いつのまにか泣きつく癖がついてしまったらしい。



「・・・」



トゥルルルル・・・
トゥルルルル・・・
トゥルルルル・・・
トゥルルルル・・・
トゥルルルル・・・
トゥルルルル・・・
トゥルルルル・・・
トゥルル



『・・・なに?』



うわ出た。



526 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:37




「出ないかと思った。」
『・・・じゃあ切るよ』
「あーッ待って待って!」



だって出てくれるとは思わないじゃん。
梨華ちゃんどこまでお人好しだよ。



『何か用があったんじゃないの?』
「ついクセで・・・。」
『クセ?』
「悩むとね、梨華ちゃんに電話するのがクセになっちゃってるみたいでさぁ」
『・・・いい迷惑。』
「・・・ごもっともです。」



はぁ、と向こうでため息が聞こえる。
ヨシコといい梨華ちゃんといい。



『それで、何?』
「あー・・・いろいろ悩んでるんだけど・・・」
『うん』



聞いてはくれてる。
でも、声は硬い。
まだ怒ってるかぁ・・・。

そりゃそうだよなぁ・・・。



「でもね、梨華ちゃんに言ったら多分、今よりもっと嫌われると思うのね。」
『今よりごっちんを嫌うことなんて、多分ないよ。』
「・・・そんなにキライですか。」
『大嫌い。』



527 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:38



うわバッサリ。



『だから話してみれば?聞いてあげるよ。』
「怒らない?」
『分からない。』



ああ。
さらっと言い放つ、そう言うところは前から話してて楽だったよ。
今更気付いてみたりして。

これ以下はないらしいから、まぁ悪化の心配はなかろう。
言っちゃうか。



「ごとーね、梨華ちゃんのこと好きみたいなんだけど。」
『はっ?』



あ、今の『はっ?』は、聞き返しの『はっ?』じゃないね。
梨華ちゃんのビックリしたときの口癖だ。

あは。
ごとー結構梨華ちゃんのこと分かってんじゃん。
ちょっと嬉しいかも。



528 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:39




『・・・・・・』
「・・・・・・」
『・・・・・・』
「・・・・・・」



でもこの無言の意味はちょっとさすがに把握できない。



「梨華ちゃん?」
『・・・ごっちん、私にまでそんな平気でウソつけるようになったんだ。』
「はぁ?」



なにそれ。



『最悪。最低。もうホント・・・ホントバカ。』
「ちょっと・・・」



ブツ。



「あ。」



切りやがった。



529 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:42




リダイヤル。
今度はホントに出てはくれなかった。

なんだよ。
話してみろって言ったのは梨華ちゃんじゃん。



「・・・『最低』『最悪』・・・・・・」



それから?
ああ、『ホントバカ』。

・・・ごとーってばスゲー言われよう。
まぁ確かに梨華ちゃんからして見ればね。
最低最悪なバカでしかないのかも。

もう・・・なんだよ。
自分で思っててちょっとヘコんだじゃんか。


「・・・はぁ。」



ヨシコ、梨華ちゃん、そんで自分。
今日は何度目のため息だろう。


530 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:45



・・・ふ(嘲笑)。
ヨシコの勝ち誇った笑みが浮かぶ。
それでも、ごとーはこの賭けに負ける気はないんだよ、ヨシコ。


最悪のスタートをきって。
前進するどころか、明かに後退。

どうも前途多難すぎる気がするのはこの際無視する方向で。
明日はまた梨華ちゃんに会えるし。
それだけのことでここまでウキウキ心が跳ねるのも珍しい。
(更に嫌われたにもかかわらず)

石川サン。
このウキウキ、いつか報われてくれる日は来るんでしょうか。



・・・なんかちょっと来ない気がするのも、できれば無視してしまいたい。



531 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:45





               +++花詰草・オワリ+++

532 名前:+++花詰草+++ 投稿日:2004/06/12(土) 17:48

後藤サン片思いな少女。
なんか黒くない気もしますが、自己中なんですよ。
だってホラ、もう完璧に紺野サンのコト忘れてますよ。

( ´Д`) 梨華ちゃんこっち見てよ〜ぅ

状態です。
533 名前:如月 投稿日:2004/06/12(土) 17:54

517 ROM読者様

いつもありがとうございます。
前スレの花火のりかみき系の藤本様を狙ってみました。
『密かに想う』な藤本様が、書いててとても楽しいです。
でも藤本様だから。
いつか爆発しちゃう恐れもありつつ(笑


518 春雷様

ありがとうございます。
如月的には、あやみきは『悪友』みたいな関係が理想です。
好き放題言い合える、心の置けないお友達。
ガンガン話すのは松浦さんで、それをうんうんって聞いてる、みたいな。
そんな関係であってほしい(願望

534 名前:如月 投稿日:2004/06/12(土) 17:55

>>520-531
花言葉第二弾。
ごっちん嫌われまくりな模様。
後藤サンに明るい未来はあるんでしょうか。

それではお付き合いくださった方、お目汚しを。
感謝です。
535 名前:ジル 投稿日:2004/06/12(土) 18:10
後藤さんと吉澤さんの電話のやり取りが妙にリアルで
面白かったです。
536 名前:ROM読者 投稿日:2004/06/12(土) 22:31
更新お疲れ様です。
すいません!いやぁ〜ROM的には爆笑でした。
後先考えずに本能で行動する誰かさんがツボに
ヒットしまして・・。 (笑う作品ちゃうやん

537 名前:春雷 投稿日:2004/06/13(日) 15:51
なんで、笑ってしまうんだろう(苦笑
自己中な後藤さんがえらくかわいく見えてしまいました。

題の花言葉に受けました
538 名前:名無し読者 投稿日:2004/06/13(日) 15:52
花言葉シリーズいいですね
素キャラのごとーさん面白いです
石川さんを落とすまで続いてほしい(笑
539 名前:名無し? 投稿日:2004/06/21(月) 15:14
オモシロい!!自分からどんどん石川さんに嫌われてっちゃう後藤さん
しかも自分はどんどん好きになっちゃってるのがなんだかカワイイです☆
自分も、2人がウマくいくまで続いてほしいですっ!!(*⌒□⌒)
540 名前:如月 投稿日:2004/06/21(月) 20:38

台風ネタもちょっと考えたのですが。
浮かばなかったので、久々にのほほんを書いてみました。

お付き合いくだされば嬉しいです。
541 名前:+++おやつタイム+++ 投稿日:2004/06/21(月) 20:40


「ああああああああああああああッ!!!!」



洗いたての髪からパタパタと雫をこぼしながら。
石川は絶叫した。

その矛先にはビックリしたような後藤の姿。
口には、ドーナツ(だったであろう)欠片をくわえている。


無言で見つめあう姿に色気なぞあったものではない。



「な、な・・・」
「・・・あの・・・梨華ちゃん・・・?」
「ごっちん何で私のドーナツ・・・ッ」
「あ、食べちゃマズか・・・」
「マズイわよ!楽しみにしてたのに――ぃ!!」



怒りに打ち震える石川を見て、後藤はしばし考える。
くわえていた小さな欠片を手にとって、ちょいっと持ち上げて見せて。



「あ、じゃああの、コレ残り少ないけど・・・」
「いらないわよそんなの!!」



ガッとその欠片を奪って、後藤の口に押し込む。
むぐむぐと最後のひとかけらを食べ終えて、石川を見やれば。



「・・・え。泣いてんの梨華ちゃ」
「泣いてないッ!!」



542 名前:+++おやつタイム+++ 投稿日:2004/06/21(月) 20:42




ボフッと、今度は後藤の顔面にクッションを押し付けて。
石川はバスルームへ逆戻りしてしまった。

突然の衝撃にクラクラしながらも、後藤は石川の後を追ってバスルームへ。
しかし、中から鍵をかけてしまっている。

コンコン



「梨華ちゃーん・・・ゴメンね?」
「声が謝ってない。」
「・・・もともとこーいう声質なんだよぅ」
「ん―――ッ!!!」



ドアの向こうでダムダムと音がして。
石川がうなりながら地団駄を踏む様子を容易に想像し、後藤は小さくため息をついた。



「今呆れたでしょ。」
「ハッ!え!?イヤまさか!!」
「もうごっちんなんか大っ嫌い!!!」
「えっウソマジで!?」



ドアにすがって中の石川の様子を確める。
言いたいことを言ってスッキリしたのか。
もしくは後藤との会話を遮断するためか。

ドライヤーの強い風音が聞こえるばかりで、石川の空気は読めない。



「りかちゃーん・・・」



叱られた子供のように、ドアの向こうに話し掛ける。



「・・・そんなお腹すいてたとは思わなかったんだよぅ・・・」



タスタスと、小さくドアを叩く。
ドライヤーの音にかき消され、恐らく石川の耳には届いていない。



543 名前:+++おやつタイム+++ 投稿日:2004/06/21(月) 20:42




「・・・ドーナツひとつでそんな怒んなくても・・・」



そのことを理解しつつ、言葉を連ねる後藤。



「てか、食べ物で泣くなんて、今の辻ちゃんだってそんなの・・・」



本音をポロリ洩らして、後藤は説得を諦めた。



「・・・・・・ゴメンね?」



ゆっくりと言い置いて、その場を離れた。


ドライヤーの風を髪に吹き付けながら、石川もため息をつく。
確かにドーナツを楽しみにしていたのは事実。
仕事終わりに、辻と加護と共に専門店で買ったもの。

それでも、これほど意地を張る必要は、どこにもないはずだと。
石川は自分に嫌気がさした。

胸にツキンと痛みを覚えながら。
一度キレてしまった手前、簡単に許してしまことは彼女のプライドがさせない。


ドライヤーの電源を切って、床に座り込む。



544 名前:+++おやつタイム+++ 投稿日:2004/06/21(月) 20:44




「・・・いいよ、ドーナツくらい。それ、新作なんだって。美味しかった?」



膝に顔を埋めて、ひとり呟く。



「・・・って、どーして言えないのよー・・・」



と、今更後悔の真っ只中にいる中で。

ガチャガチャ・・・バタン

玄関のドアの開閉の音がした。



「えっ・・・」



慌てて立ち上がり鍵をあけ脱衣所を飛び出す。
玄関に小走りに駆けて見ると、予想通り後藤の靴がなかった。



「・・・帰っちゃったの?」



再びその場に座り込む。

――追いかけようか。
そんな考えもよぎる。

が、すぐに頭を凄い勢いで横に振り、その考えを吹き飛ばす。



「ちょっと大人げなかったけど、勝手に食べちゃったごっちんが悪いんだから!」



時計を見れば、すでに今日から明日へと変わる時間。

――こんな時間に外出て・・・。
頭を振る。



「こ、子供じゃないんだから・・・」



――子供じゃないから危ないんじゃないの!




545 名前:+++おやつタイム+++ 投稿日:2004/06/21(月) 20:44


グルグルと、石川の頭の中で様々な意見が交差する。
そうこうしている間に、タクシーを使えば後藤宅に到着する時間になった。

自分に何も言わず帰って、そのまま連絡を寄越さないような。
そんな心配をかけるような人間ではないことは、よく分かっている。

本当に帰ってしまったのならば、きっと石川にメールの一本は入れてくるはず。

リビングに置きっぱなしになっている携帯に飛びつく。
そのメールも電話も、石川の携帯は受け取ってはいなかった。
何度か問い合わせてみても、受信BOXは空のまま。

いよいよ、石川の胸は不安で覆われる。

Tシャツの上に軽く羽織りサンダルを引っ掛け。
石川は勢い良く玄関を開けた。



ガズッ



「いッ!!!!」
「え!?」



もの凄い手ごたえを感じ、石川は驚いてドアの向こうを覗き込む。
そこには、うずくまって痛みに耐える茶髪の。



「ごごごごっちん・・・!!ゴメンね!?大丈夫!?ドコぶつけた!?」
「・・・・・・全体的に・・・打った・・・」
「痛い?痛いよね!?コブになってない?大丈夫!?」



あわあわと後藤の前にしゃがみこみ、伏せたその顔を懸命に覗き込む。
チラッと瞳を上げた後藤と目が合って、石川はその目を潤ませる。

その石川を見て、後藤が苦笑する。
子供をあやすように、石川に語りかける。



546 名前:+++おやつタイム+++ 投稿日:2004/06/21(月) 20:46




「だいじょーぶだよ。だいじょぶ。」
「あぁぁぁ赤くなってるよ!?おでこ・・・っ」



額に伸ばされた右手をゆるく掴んで、降ろさせる。
その手を握ったまま、逆の腕を石川の頭に寄せた。


かさり。



「へ?」



不思議そうな表情の石川の頭に後藤が乗せたビニール袋。
自由な左手で、その袋を受け取り中を確認する。

そこには、コンビニに売っている100円ドーナツ。



「ゴメンね?さすがにこの時間じゃ、お店あいてなかったんだ。」



申し訳なさそうな笑顔が、ぐにゃりと歪む。



「・・・ぅ〜・・・」
「えっ!やっぱコンビニドーナツじゃダメだった!?」



またも泣き出す石川に慌てて、後藤は早口に言い募る。



「ごとー考えが浅はかだったよね?でもね、コレも結構イケるよ?」



ボロボロこぼれる石川の涙を指で一生懸命拭いながら。
後藤はさらに焦る。



「ゴメンね?明日いっぱいいっぱい買ってあげるから!ね?」



そのまま頬をふにふにと撫でて、なんとか泣き止まそうと必死な後藤。
そのかいあってか、なんとか石川の呼吸も整いだす。



「ご、ごっち・・・」
「ん?なに?」
「ホントはね?ホントはねぇぇ〜」



またも泣き出しかける石川を慌ててなだめる。



547 名前:+++おやつタイム+++ 投稿日:2004/06/21(月) 20:48




「あぁあぁあぁホラ落ち着いて・・・」
「そんな怒ってないの、なのにッ・・・こんな一人の時間に外が女の子でガズッて・・・」
「・・・なんだ。」



何を言っているのかワケの分からなくなっている石川。

それをうんうんと優しく聞いてから。
『ヨイショ』と、石川を抱き起こすように立ち上がらせる。



「怒ってないなら良かった。ごとーは平気だよ?」
「・・・」
「ドーナツ、ゴメンね?」



酷く優しい後藤の声に、石川の心がふわりと楽になった。



「・・・・・・あのドーナツね?」
「うん?」
「新作なんだって・・・美味しかった?」



シミュレーションしたセリフを、涙に濡れた瞳で問い掛ける。
それにふきだして、後藤が嬉しそうに言った。



「・・・美味しかったよ。明日また、二人で食べよ?」
「・・・うんっ」
「ん。じゃあ、取り合えず今日はコレ食べて我慢してね。」
「じゃあお茶淹れるね?」
「・・・お茶淹れて食べるようなモンでもないんだけどね・・・。」



石川の背中にピッタリと張り付いて、そのままドアの向こうに消える。

室内は、安いドーナツと紅茶の香りと。
ほわんとした空気に包まれた。



548 名前:+++おやつタイム+++ 投稿日:2004/06/21(月) 20:48



翌日、娘。の楽屋には石川からドーナツの山が差し入れらて。
ニコニコな石川の隣りで、後藤が渇いた笑いを発していたとか。



549 名前:+++おやつタイム+++ 投稿日:2004/06/21(月) 20:49







             +++おやつタイム・終+++

550 名前:如月 投稿日:2004/06/21(月) 20:50


そんな感じで。
こういう感じの、最近書いてなかったので。
楽しかったです。

551 名前:如月 投稿日:2004/06/21(月) 20:59

535 ジル様

二人のやりとりは書いてて楽しいです。
ノリノリです。


536 ROM読者様

イエイエ、如月の駄文なんて、全てギャグです。
どんどん笑っちゃってくださいませ。
むしろ本望に御座います。


537 春雷様

ROM様同様、もうガンガン笑ってやってください。

タイトルの花言葉・・・。
いい着眼点かもしれません。
なんて、含みを持たせつつ、大したことは考えてないんですが。


538 名無し読者様

石川サンを落とす日が、いつか訪れるのでしょうか(笑
でもリクエストくださるのは嬉しいです。
よし、後藤サン頑張れ。


539 名無し?様

同じく、2人が上手くいく日など来るのでしょ(略
どんどんハマってく一方、どんどん離れてく思い人。
・・・どう収拾つける気でしょうね(他人事


552 名前:如月 投稿日:2004/06/21(月) 21:01

>>541-549


次回は花言葉でしょうか。

では、お付き合いくださった方、感謝です。
お目汚しをいたしました。

553 名前:ROM読者 投稿日:2004/06/21(月) 22:41
更新お疲れ様です。
久しく忘れていた感覚が、ふつふつと蘇ってきました。
日常にありがちな何気ないシーンだけれど、それさえも
大人になっていくための大切なプロセスなのかなって気
がしました。感動しました
554 名前:名のナイ読者 投稿日:2004/06/23(水) 20:33
すごくほんのりとした気持ちになれました。
555 名前:春雷 投稿日:2004/06/24(木) 21:31
優しい後藤さん、
がんばれ後藤さん(笑)

556 名前:如月 投稿日:2004/06/25(金) 10:00

ごめんなさい、花言葉は次回で。
今回はりかみきです。

557 名前:+++会えない長い・・・+++ 投稿日:2004/06/25(金) 10:02


「みーきちゃん。自販行ってくるけど、なんか飲む?」
「んー・・・。」
「・・・美貴ちゃん?」



ハッキリしない返事を疑問に思い振り返れば。
自分を凝視している藤本。



「・・・なに?」
「イヤ、明日って何曜日?」
「日曜日。えー?ミキティったらボケてきちゃった?」
「突っ込まないよ。」
「あはははー・・・」



藤本の向かいに腰かけながら、石川は渇いた笑いをこぼす。



「だってさ、珍しくない?美貴ちゃん曜日狂うのって。」
「んー、いや、分かってたんだけど。」
「うん」
「日曜にちゃんと『日曜日』って、久々な気がしてさ。」



藤本の言葉に、なるほど、と石川が笑う。



「日本語おかしいけど(笑)、確かにねー。」
「でしょ?」
「明日はみんなに会えないワケかぁ。」



石川の言葉に、今度は藤本がなるほどと頷く。



「・・・そっか。日曜日なんだ。」
「ハイ?」
「卒業ってどんななのかなーって。」
「・・・ああ、さっきボケッとしてたのはそれ考えてたから?」
「ボケッとは失礼だろ。」
「ふふ」



558 名前:+++会えない長い・・・+++ 投稿日:2004/06/25(金) 10:04




藤本の突っ込みも、石川の耳にだいぶ心地良くなってきた。
嬉しそうに笑う石川を見て、藤本は少々呆れる。
その空気を払拭するように、石川が話題を戻す。



「『どんななのかなー』って、安倍さんは?」
「美貴入って結構すぐだったからさぁ。モーニング娘。の藤本美貴ってより、」
「まだ馴染んでなかったって?」
「ん〜・・・まだ『おじゃまします』気分があったかなぁ・・・。」



どこか遠い目をして思いに耽る藤本。
石川が呼びかける。



「それで?美貴ちゃん。」
「ん?」
「卒業とは何ぞや。悟ったのは『日曜日』?」



意味がわからないよ、と苦笑する石川。



「ああ、だからさ、ずーっと日曜なんでしょ?ずっと会えない感じ。」
「ん〜、ミキティ面白い感性だね。」
「そ?」
「夏休みに例えるのは違う?夏休みの方が長いじゃん。」
「夏休みって、なんかきっちり期間限定感がない?」
「なんかアバウトだなー。」



おかしそうに笑う石川を見て、藤本も笑顔をこぼす。



「でもなんか感覚は分かるかも。」
「でしょ?」
「うん。確かに夏休みよりは日曜日の方が近いかもね。」
「でしょでしょ?」
「夏休みってもっとこう・・・特別な休みが期間限定でー、みたいな・・・」
「そーそーそー!」



良く分からない会話。

きっと、今から誰かがこの会話に入るのは不可能だろう。
本人たちは、イメージを共有し、大喜びではしゃぐ。



「あー・・・毎日日曜・・・。」
「ん?美貴ちゃん淋しい?」
「うん、それはさすがに淋しいかもね。」
「えっ!?」



すんなり出てきた藤本の言葉に驚愕する。



559 名前:+++会えない長い・・・+++ 投稿日:2004/06/25(金) 10:06
「別に梨華ちゃんに会えないから淋しいなんて言ってないし。」



そのビックリな石川に、さらっとはっきり言い放つ。
軽くへこみながらも、『やっぱりね』という表情で石川が問う。



「ののとあいぼんに会えなくて淋しい?最近仲良いし。」
「も、淋しいよね。」
「カオタン?」
「も、勿論だけど。」



すっと藤本の人差し指が石川を指す。



「えっ!私も!?」
「当たり前じゃん。」



過剰な反応に、藤本の目が可笑しそうに細められる。



「えー・・・美貴ちゃんがそんなコト言ってくれるなんて・・・」
「・・・美貴はどんだけ酷いキャラに設定されてんのさ。」
「あはは、そーいうわけじゃないんだけど。今日は素直だね?」



いつものからかうような笑顔の影に。
一瞬だけ、淋しそうな空気を石川は感じて。



「会ーえーなーい〜♪」



突然藤本の曲を歌いだした。
藤本の目は点。



「・・・ハ?」
「なーがーいなーがーいー日曜日♪」
「・・・いしかーさん?」
「ってトコでしょ、美貴ちゃん。」



今度は、石川の人差し指が藤本を指す。
図星を指されて、反応を返せないでいる藤本に石川は言う。



「大丈夫。会いたいって思ってくれるなら、会いに来るよ。」
「へ?」
「だから、会えない長い日曜日は、キマセン。」



にっこりと笑う石川に、徐々に顔に熱が集まってくる藤本。



「・・・殺し文句・・・」
「へ?」



藤本の赤面の意味を理解できずに、石川は小首を傾げた。
視線を石川から外し、斜め下を見る。

ハァ、と深く息を吐いて、ぱたぱたと右手で軽く顔を扇ぐ。



560 名前:+++会えない長い・・・+++ 投稿日:2004/06/25(金) 10:09



「アホらし。」
「はぁ?」
「なんで美貴がこんな小娘に踊らされなきゃなんないのさ。」
「小娘って・・・タメじゃん。」
「どーせみーんなにそんなコト言ってるんでしょ?騙されないからね美貴は。」



いまいちズレだした会話に石川はますます首をひねる。



「こんなこと美貴ちゃんにしか言ってないけど?」
「え?」
「・・・それがなにか問題でも・・・?」



一瞬の間。
藤本はみるみる嬉しそうに口元を緩める。



「おぎやはぎ〜(笑)」
「もー!なによ美貴ちゃん不機嫌になったりご機嫌になったりー!」



きゃらきゃらと上機嫌に笑う藤本。
意味が分からないと、石川は頬を膨らませた。



「ムカツクから梨華ちゃん奢りね。」
「はっ!?何!?」
「ジュース。行くんでしょ?自販。」
「てかその前に何がムカツクの!」
「ハイハイ、ホラ、行こ行こ。なに奢ってもらおっかな〜♪」
「なんなのよさっきからぁー!!」



石川の雄叫びをスルーして、背中を押して楽屋を出る。

『何なの?何なの?』と振り返り振り返り。
石川は問うが、ニコニコ笑うだけで藤本は答えない。
それどころか歌い出した。



「会ーえーなーい〜♪」
「えーッ!生ミキティだーッ!!」
「あっははははは!!」



完全に前方不注意の2人。
角を曲がったところで、見事に飯田と衝突した。



「キャッ!」



悲鳴と共に、2対1で分が悪かった飯田が勢い良くしりもちをついた。



「わっ!いっ・・・飯田さん・・・」
「大丈夫・・・ですか?」



恐る恐る。
2人が飯田に声をかける。
飯田はうつむいたまま、ふるふると震え出して。



「大丈夫なわけないでしょ――!!」
「「ひぇっ」」



その叫び声に、2人は勢い良く駆け出す。



561 名前:+++会えない長い・・・+++ 投稿日:2004/06/25(金) 10:10




「石川藤本――――!!!廊下は走るな――ッ!!!」
「「ごめんなさぁ――――いッ!!!」」



バタバタと走る藤本の頭に歌詞がよぎる。
それを飛ばすように、軽く頭を振った。



「来ないってさ。『日曜日』。」
「ん?」
「こっちの話〜」


562 名前:+++会えない長い・・・+++ 投稿日:2004/06/25(金) 10:11







   好きよ 好きよ 大好きよ

   伝えられない・・・





                +++会えない長い・・・・終+++



563 名前:+++会えない長い・・・+++ 投稿日:2004/06/25(金) 10:12

時々訪れる藤本様ブーム。
如月がりかみき書くときは、大体藤本様ブーム時です。

564 名前:如月 投稿日:2004/06/25(金) 10:17

553 ROM読者様

か、感動されてしまった・・・
激しく恐縮です。

前に書いた『ホットミルク』系な後藤サンを目指してみました。
子供のような大人な後藤サンと、大人なような子供の石川サン。
みたいな関係が好きみたいです。


554 名もナイ読者様

如月の稚拙い文章で、そんな気持ちになってくださって幸せです。
ありがとうございます。
嬉しいです。


555 春雷様

あ、555ですね。
なんかキリがいいので、リクエストくだされば書きます。
・・・ご意向に添えるもの書ける自信は0ですが。
何かありましたら。


565 名前:如月 投稿日:2004/06/25(金) 10:19

>>557-562

りかみきでした。
藤本様相変わらず片思い。

それでは次回は花言葉です。

お付き合いくださった方、お目汚しを。
感謝です。
566 名前:ROM読者 投稿日:2004/06/25(金) 13:04
更新お疲れ様です。
どうも、ROMのブ−ムもシンクロしているみたいっす。
誰かさんのデビュ−曲も大好きで、いまだに車内で絶叫してますし。

何故か切ないお話が似合ってしまうから不思議ですが、いつか成就
させて欲しい・・・(祈
567 名前:春雷 投稿日:2004/06/27(日) 22:39
マイペースなミキティは面白いですね(笑)
「おぎやはぎ〜」と「小娘・・・」がツボでした

リクいいですか?遠慮なくさせてもらいますよ?
大学生のいしごまが見たいです。
568 名前:如月 投稿日:2004/07/11(日) 13:03
今回のハロモニでウハウハ。
後藤サンてば石川さんに甘〜い(萌

花言葉です。
569 名前:+++小町藤+++ 投稿日:2004/07/11(日) 13:04

・紺野に告られました
・ウソついてふりました
・梨華ちゃんを巻き込んで梨華ちゃんに嫌われました
・でもごとーは好きになっちゃいました
・って、正直に告ってみました
・本格的に嫌われました



以上。
前回までのあらすじ終了。



ってなことで、ごとーは傍から見たらかなり分が悪い。
傍から見なくても、自分的にもかなり不利なことは分かってる。

から、ごめんなさい梨華ちゃん。
ちょっと強引に行こうと思います。



570 名前:+++小町藤+++ 投稿日:2004/07/11(日) 13:05


「おはようござ」
「「りーぃかちゃ〜ぁん」」



梨華ちゃんが楽屋のドアを開けた途端。
辻加護コンビが気色の悪い声と共に突っ込んでいった。

あはは、うろたえてる姿もぷりち〜(盲目)。



「え、え、どしたのよ2人とも・・・」
「んーもう水臭いじゃ〜ぁん。ねぇあいぼん?」
「ねーぇ?ウチらにくらい言ってくれてもいいじゃんねぇ?」



肘でうりうりと両わき腹を突付かれて、意味不明な表情。
楽屋を見渡してるけど、他のメンバーもニヤニヤ。



「ちょ、ちょっと待って。何の話?」



本気で分からない風な梨華ちゃんに、辻加護が顔を見合わせる。
代表で、あいぼんが話し出した。



「ごっちんと付き合ってること。どうしてウチらにまで隠してたの?」



571 名前:+++小町藤+++ 投稿日:2004/07/11(日) 13:06

その言葉に明かに固まった梨華ちゃん。
素直な反応がまたまた可愛い。

あは、可愛いとかも言ってらんないねぇ。
すーげーごとーのこと見てるよ梨華ちゃん。
わー、わー、怖い怖い。



「おはようハニー。ごめんね。バラしちゃった♥」



先手必勝。
爽やかに言い放つ。

梨華ちゃんは呆然としながらも、何か言おうと口をあけた。
と、ほぼ同時に新垣、小川、亀井に囲まれた。



「も〜、石川さんてば水臭いじゃないですかぁ〜」



と小川がバシバシと背中を叩けば。



「そうですよ〜。全然気付きませんでした〜」



と、新垣がのる。



「いつから付き合いされてるんですかぁ?」



あ、亀井マテ。
何ちゃっかり梨華ちゃんに腕絡めてんだコラ。

まぁ、三人ともグッジョブ。
ナイス質問攻め。

これで梨華ちゃんはこの場じゃこの流れを否定しない。
そういう人。


572 名前:+++小町藤+++ 投稿日:2004/07/11(日) 13:07


ホラ、困った顔して笑ってるだけ。
『分かった分かった』と、三人を散らすのに必死。

にやにやとしてるごとーと目が合って流石に切れたのか。
三人を掻き分けて梨華ちゃんが早足にこっちに来る。
がしっと力強く腕を掴まれて、無理やり立ち上げさせられた。



「ちょぉっと来てくれるかしらダーリン!?」



自棄になって叫んで、楽屋をズルズルと引き出される。

・・・ああ『ダーリン』・・・。
良い響きかも。
付き合ったら梨華ちゃんには是非『ダーリン』て呼んでもらおう。

ちょっとトリップしてる間に、気付けば屋上まで連れてこられてた。


青い空と白い雲と。
そして梨華ちゃんの可愛い悪鬼の如く怒れるお顔。



「・・・どうしてあんな話になってるのよ・・・。」
「ごとーと梨華ちゃん付き合ってるって?」
「それしかないでしょ。どう言うことだかちゃんと説明して。」
「怒った顔もカーワイイな。」
「話そらさないで。」



・・・本音なんだけどなぁ。



「紺野と私にウソつくだけじゃ飽き足らずメンバーまで巻き込むの?」
「あ〜・・・巻き込んじゃったねぇ。」
「ってことは紺野にウソついたこと、まだ謝ってないよね。」
「色々考えたんだけど。あのウソ白状するのはややこしいんだよね。」
「ややこしいとか言う問題じゃないでしょ・・・」



飽きれた様に呟いて、カシャンとフェンスに寄りかかる。
それを真似て、梨華ちゃんの横に寄りかかった。

イヤ、そーいう問題でしょ。
てか。



573 名前:+++小町藤+++ 投稿日:2004/07/11(日) 13:11



「でもね、近い未来ウソじゃなくなるし。」
「・・・どーいうこと?」
「ちょっと卑怯だったけど、周りから固めちゃおうかなーと。」
「だからどういう・・・」
「梨華ちゃんはごとーのこと好きになるし、ごとー達はラブラブバカップルになるよ。」



横を見やれば、目を点にして梨華ちゃんもこっちを見てた。

無防備に髪が風に揺れてて。
思わずチューしたくなる衝動を押さえながら。

くるんと梨華ちゃんに向き直って、両腕を梨華ちゃんの横に置く。

両腕を置けば、カシャンと鳴くフェンス。
その音で、梨華ちゃんが我に帰る。



「・・・どうしてそんなコト言うの・・・?」
「好きだから。」
「・・・・・・どうして・・・?」
「えー・・・『どうして』って・・・」
「・・・なんで・・・?」



何で好きになったか?
えーと・・・引っ叩かれて?
え、それじゃアブナイ人じゃん。

答えの出ない思考を放置して意識を戻せば。
梨華ちゃんは両手で顔を覆って、静かに泣いてた。



「え・・・っ、ちょっと待って、何で泣い」
「どうして私にまで平気でそんなウソつくの・・・?」



悲しそうな瞳に、ごとーが映る。
『ウソ』?



「・・・ウソじゃないよ・・・ごとーはホントに・・・」
「ごっちんかなりバカだけど私にまでウソつくような人じゃなかったじゃん!」
「だからウソじゃ」



言いかければ、梨華ちゃんが力いっぱいごとーの肩を押しのけた。
ひらりとごとーのそばから離れて、距離を置いてごとーを見据える。


574 名前:+++小町藤+++ 投稿日:2004/07/11(日) 13:13


「今度そんなコト言ったら、そのときは絶対に殴るから。」
「好きだよ。」
「真希ちゃん!!」



珍しく感情を剥き出しに叫ぶ梨華ちゃん。
梨華ちゃんの腕を掴む。

その目が怒りか恐怖で揺れたって。
そんなコト知らない。

その手のひらをごとーの頬にあてた。



「好きだよ梨華ちゃん。」
「・・・ッ」
「殴って良いよ。」



弾かれるようにごとーの束縛を解いて、梨華ちゃんが後ずさる。



「ごっちんなんか大っ嫌い!」
「わーかったってば。」
「もう絶対!二度とあんなこと言わないで!!」



ヤダよ言うよ。

これ以上神経逆撫ですると倒れちゃうかもしれないから。
口には出さないけど。

梨華ちゃんが走って消えて、屋上が静かになって。

しばらくフェンス越しに空を見上げていたら、重いドアの音がした。
誰かと振り返れば。



「アレ、やぐっつぁん。ゴメン、ここ指定席だった?」
「ちがーうよ。キミら追っかけてきたの。」
「あー、盗み聞きだ。」
「・・・なんでお前はそんなにお気楽なんだよ・・・」



575 名前:+++小町藤+++ 投稿日:2004/07/11(日) 13:14


カシャン、とやぐっつぁんが、さっきまで梨華ちゃんがいたフェンスに寄りかかる。



「おかしいと思ったんだよね。」
「何が?」
「お前らが付き合ってるとかさ。」
「・・・そんなに変か。」



窺うようにやぐっつぁんを見ればチラっろ視線を投げて寄越す。



「変て言うか。アイツ好きなヤツいるから。」
「はぁ!?知らない何それ何で梨華ちゃんごとーには言ってくれないのさ!!」



そりゃ今は険悪だけど。
今までは結構良い感じに仲良しやってきたんじゃなかった!?



「よっすぃも知らないと思うよ。」
「へ、ヨシコも?」
「つーか、オイラも本人から聞き出しただけだから。」
「聞き出した?」
「そ。アヤシイな〜と思ったからさ。酔い潰して聞き出し・・・」
「誰!!どんなヤツ!?」



酔い潰されんなよ梨華ちゃん!
そんで未成年酔い潰してんなよやぐっつぁん!!

つーか誰だよ!!



「知りたい?」
「当たり前じゃない!?」



ガシャっとフェンスから勢い良く離れて、やぐっつぁんが振り返る。


576 名前:+++小町藤+++ 投稿日:2004/07/11(日) 13:15



「石川の頭を撫でてくれた人。」



それだけ言って、やぐっつぁんはノラリクラリと屋上から消える。



「何それ」



問い掛けは呟きにしかならない。
梨華ちゃんの頭を撫でた人間?

こないだヨシコが撫でてた。
あいぼんが撫でてるのも見たことあるし。
あ、辻ちゃんも。

やぐっつぁんだってカオリだって撫でたことくらいありそうだし。
裕ちゃんが撫でてるのも、そういえば見た。


なんとも部分的なやぐっつぁんのヒントは、ごとーの頭を駆け巡る。



「全ッ然参考にならない・・・!!」



577 名前:+++小町藤+++ 投稿日:2004/07/11(日) 13:16




むしろ混乱の極み。


・・・あー、とにかく。
嫌われてる&怒られてる梨華ちゃんの機嫌を直すことと。
その梨華ちゃんの想い人を、梨華ちゃんの思考から取り除くこと。

徐々に複雑化する目標を確認して、ごとーも楽屋に戻るべく屋上をあとにする。


いつかココで。
今日のことを笑いながら梨華ちゃんと話したいな。

空がキレイだねぇなんて言いながらさ。


そんなことを願うごとーは。
そろそろバカなんでしょうか。


578 名前:+++小町藤+++ 投稿日:2004/07/11(日) 13:18







              +++小町藤・オワリ+++

579 名前:如月 投稿日:2004/07/11(日) 13:20

566 ROM読者様

藤本様、本日のハロモニご馳走様でした・・・!!
ってコトで、ROM様からのお許しも出たことですし。
・・・いいですか?りかみき書いてみても。


567 春雷様

大学生。
わぁ(笑

じ、事件の起こしようがない・・・。
ハイ、お待ちください。
頑張ってみまっス!!
580 名前:如月 投稿日:2004/07/11(日) 13:22

もう後→石←藤が書きたくて仕方ないです。
ありがとうハロモニ。
如月はお手軽です。
あれだけで萌え萌えです。

ハロモニ劇場も、麿麿と藤本様カポーが出てれば、いつかネタフリ系でりかまろ出てきそうだなんて。
淡い期待を抱いております。

それではお付き合いくださった方、お目汚しを。
ありがとうございました。
581 名前:春雷 投稿日:2004/07/11(日) 14:04
ごっちん、どんどん自己中になって・・・。

今日のハロモニはよかったですねぇ。
いろいろと(笑)

ぜひ、後藤さんにはレポートの苦しみを味あわせてやってください
582 名前:ROM読者 投稿日:2004/07/11(日) 16:23
更新お疲れ様です。
なんだか凄いことになってますね。イルカに乗ってる場合じゃないぞ
ごっちん。(見ました?)この騒動の顛末が凄まじく気になります。

> ・・・いいですか?りかみき書いてみても。
地の果てまでもお付き合い致しマス。
583 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/07/12(月) 01:10
作者さま。
可愛いいしごまをありがとうございます。

ワタクシりかみき1推しでいしごま2推しですので
作者さんのお話にはかなり期待しちゃってますが
よろしいですか?
584 名前:如月 投稿日:2004/07/13(火) 15:13

そんなこんなでりかみきです。
お暇な方、お付き合い願えましたら光栄です。
585 名前:+++朝顔の夢+++ 投稿日:2004/07/13(火) 15:15



「キスしてくれる?」



と言ったら。
朝顔の花を髪にさした彼女に苦笑して『何言ってるの?』と返される。

前後の会話なんか分からないけど。
そんな夢を見た。


朝っぱらから暑くて、開けたままだった網戸の向こうからは蝉の声。
東京にも蝉なんかいるんだなぁと。

汗でベタつく肌から衣類を引き剥がしながら、そんなコトを思う。

どーでもいいけど。
夢の中でくらいイイ目見させてくれたっていいのに。

嫌な画を頭から追い出してから、シャワーを浴びるべく浴室に向った。



「朝顔似合ってたなぁ梨華ちゃん・・・」



呟いて。







586 名前:+++朝顔の夢+++ 投稿日:2004/07/13(火) 15:15




587 名前:+++朝顔の夢+++ 投稿日:2004/07/13(火) 15:16



「おはよーござーいまーす。」



今日は娘。の仕事は入ってない。
顔を合わせるメンバーは二人。

梨華ちゃんと愛ちゃん。

なんだか三人でのラジオが怒涛のごとく入ってる。


ロケバスが待っているはずの場所までウチから近かったから。
ミキはとろとろ歩いて来た。



「あれー。もしかしてミキ一番乗りっすか?」
「そうだねー。珍しい。」
「何か言いました?」



ちょっと仲の良い女性スタッフと軽く会話を交わす。
まわりもミキたちの会話に、楽しそうに笑いをこぼす。



「あはは、あ、高橋さん今日来ませーん。」
「は?何で?」



違うスタッフが思い出したように言った。
何で?何かあったの愛ちゃん。



「スケジュールのミスで。高橋さん写真集関連のがまだ残ってたらしくて。」
「へぇ・・・じゃあ梨華ちゃんと二人か・・・。」



思わず零れた言葉に、口元を手で覆う。
周りには聞こえていなかったらしく、ホッと胸を撫で下ろした。

嬉しさが言葉に滲んでいたのを自覚していたから。



588 名前:+++朝顔の夢+++ 投稿日:2004/07/13(火) 15:16


「で〜?梨華ちゃんは?遅刻?」
「何言ってんですか。まだ集合時間30分前。」



笑いながら言われて、『ああ』と納得。
今日はウチが近かったからなぁ。
珍しくそんな早く着いちゃったんだ。

とか思ってたら。



「おはようございまーす」



甲高い声がロケバスの外から聞こえてきた。
ええ?とか思ってたら、ぐあらっとドアが開いて。



「おはようございまーす。あ、美貴ちゃんおはよ。やっぱ今日は早かったね。」
「おはよ・・・え、梨華ちゃん早いね。まだ30分前だよ」



驚いてるミキに笑いながら、隣りに梨華ちゃんが座る。



「石川さんはいつも遅くても30分前には入ってますよ。」



からかうように、スタッフに言われる。
軽く睨んでやると、肩をわざとらしく竦めてから外へ出て行った。

クスクス笑う隣りの子も軽く睨むと、『ゴメンゴメン』と苦笑に変わった。



589 名前:+++朝顔の夢+++ 投稿日:2004/07/13(火) 15:17


「あ、そういえば愛ちゃん今日来ないんだって。知ってた?」
「うん。メール来たよ。『一緒に行きたかったのに〜』って」
「わー、ミキスルーかよ・・・。」
「ふふ、愛の差じゃない?」
「愛の差ねぇ・・・。」



コレに関しては。
実はミキが気付かなかっただけで、愛ちゃんはちゃんとミキにもメールくれてたんだけど。
ま、内容は梨華ちゃんへのものより淡白だったけどね。



「映画以来かな?」
「ん?」
「美貴ちゃんと二人きりでお仕事って。」
「あ〜・・・一回あった・・・けどあれはごっちんもいたか。」
「ああ、カラオケ?あれ後半どうなってるの?」
「さぁ?お蔵じゃないの?梨華ちゃんキショかったし」
「えー!!」



梨華ちゃんの言葉が嬉しかった。
少しは『二人きり』を意識してくれているようで。

なんだか気恥ずかしくなって窓の外を見てみる。

と。



「・・・あー・・・」
「ん?」
「ホラ、あんなトコに朝顔咲いてる・・・」



緑の葉を生い茂らせた木の枝の先の方。
涼しげに葉を揺らせているその先に、綺麗に咲く薄い紫の朝顔。



「見えない見えない」
「重い重い」



窓際にいるミキからはよく見えるんだけど。
隣りの梨華ちゃんは『見えない』と、ぎゅうぎゅうミキの方に圧し掛かってくる。

やめてよちょっと。
朝っぱらから欲情させないでよ。
押さえるの大変なんだからこっちは。



590 名前:+++朝顔の夢+++ 投稿日:2004/07/13(火) 15:18


「痛いって梨ー華ちゃん。分かった分かった。分かった、ちょっと外出てみよう?」
「うん。」



何がそんなに珍しいんだろうか。
夏になれば目にするものなのに。

ぐあらっとドアを開け、ミキが先に出て梨華ちゃんに手を差し出した。
無意識の行動に、梨華ちゃんが笑ってその手をとってくれた。



「ホラ、あそこ。」
「あー!ホントだ!!わー、今年初だよ〜」
「あ、そう言えばミキもかも。」
「ねー。綺麗綺麗ー。」



少し高いその枝を見上げながら。
カメラも回ってないのに胸のあたりで手を組む梨華ちゃん。
計算だったらすんげぇムカツクとこだけど、本人無自覚だからなぁ・・・。



「あ、美貴ちゃんてさ。」
「はいはい」
「朝顔っぽいかも。」
「は?どんなトコが?」
「え?ああ・・・綺麗なトコ?」
「イヤ、ミキに訊かれても・・・」



何を言い出したかと思えば。
しかもその理由は一体何事?

ミキと朝顔を交互に見やる気配を感じる。
ミキは朝顔を見る振りをして、そんな梨華ちゃんの様子をおとなしく窺った。

くちびる綺麗だなーとか盗み見ながら。



「なんか、儚げなところとか。」
「儚げ!!ミキが!!」
「え!?だって美貴ちゃん黙ってると凄い綺麗だよ?」
「・・・『黙ってると』ねぇ・・・」
「あ・・・」



591 名前:+++朝顔の夢+++ 投稿日:2004/07/13(火) 15:20


要らない事まで言っちゃうのが梨華ちゃんの悪いクセ。
でも、ウソがつけないトコも、ミキは好き。


ミキ自身が儚いだなんて毛頭思えないけど。
ちょっと当たってるかもしれない。

梨華ちゃんの中のミキは、ちょっとの衝撃できっと簡単に崩れる。

例えば。
そう。



「キスしていい?」



思わず零れたのはそんな言葉で。
ビックリしてる梨華ちゃんよりビックリしてるのは多分ミキで。



「・・・は?」



頭真っ白ですって感じの梨華ちゃんの『は?』に。
今朝の夢がいらんところでフラッシュバックする。

それでも、一度出てしまったものを元に戻すことは容易ではなくて。
アレコレとフォローを考えたけど、特に何も思い浮かばないから。


梨華ちゃんの目の前に人差し指を突き出す。
そして、ひょいっとそのまま朝顔を指差せば、素直に梨華ちゃんの視線も指先を追った。



「あの朝顔。」
「へ?」
「とれたらキスしてね。」
「え?あ・・・」



ふざけたように言ってから。
梨華ちゃんより一歩、朝顔へと踏み出して。



「・・・あれ正夢だったか・・・。」



梨華ちゃんにも聞こえないように、口の中で呟いた。


592 名前:+++朝顔の夢+++ 投稿日:2004/07/13(火) 15:20


ミキには上手い回避方法が浮かばないから。
『朝顔とれたら』なんて、そんなのはただの言い訳。

ミキにあんなトコまで飛べる脚力はないはず。


軽く足首を回して、膝を曲げて。

グッと踏み込んだとき。


隣りで先に風が舞った。



「へ?」



何事かと見れば、既に着地した梨華ちゃんの手には、例の淡い朝顔の花。
頬にかかった黒い髪をさらっと払ってから、ミキにそれを差し出す。



「ハイ朝顔。」
「へ、あの・・・」



呆気にとられてるミキと目が合って、梨華ちゃんはにっこりと笑った。



「とってきたらキスしてくれるんでしょ?」



ミキの手にその朝顔を握らせながら、梨華ちゃんは笑う。
受け取った朝顔と梨華ちゃんを、今度はミキが交互に見やって。



「・・・男前(笑)」
「え〜?」



思わず口をついて出た『男前』の言葉に、梨華ちゃんはちょっと不満そうだったから。



「ウソウソ、ハイ可愛い。」



綺麗な黒髪。
右耳の上に、朝顔をさしてみた。



593 名前:+++朝顔の夢+++ 投稿日:2004/07/13(火) 15:28


「似合う似合う。」
「ホント?」
「ホント。ミキの次くらいに可愛い。」



普段と違う空気が照れくさくて茶化してしまう。



「何言ってるの?」



梨華ちゃんは苦笑しながら耳の上の朝顔を撫でた。
その瞬間、またも頭の中で今朝の夢が巡る。



「あ。」
「え?」
「・・・やっぱ正夢だった。」
「・・・ハイ?」
「何でもない。で、梨華ちゃん。」
「ん?」



首を傾げる梨華ちゃんの動きにつられて朝顔も傾く。



「そろそろ目、閉じてくれる?」



可愛い瞳が一度揺れてから瞼が閉じる。


横の朝顔となんとなく目があった気がして。

心の中では朝顔に感謝しつつ。
隠すようにその花を梨華ちゃんの右耳ごと左手で覆った。


594 名前:+++朝顔の夢+++ 投稿日:2004/07/13(火) 15:29





           +++朝顔の夢・オワリ+++

595 名前:如月 投稿日:2004/07/13(火) 15:31

今日暑いので爽やか系目指しました(玉砕)。
時間軸ぐっちゃぐちゃで申し訳ないです。
まぁ所詮妄想ですのでそのへんは大目に見てやってください。

596 名前:如月 投稿日:2004/07/13(火) 15:38

581 春雷様

如月的には、最も自己中だったのは花言葉その1の後藤サンです。
ドコが?
イエ、そんな気がしてるだけなのです。

大学生、ネタは出来てるのでお待ち下さい。


582 ROM読者様

イルカ・・・テレビ欄だけ見ました。
見ようかと思ったんですけれども・・・。

で、たいした顛末じゃないのであまり期待しないで待っててやってください。

そんなワケで、ROM様のお許しが出たので早速りかみきでした。
でも、如月の中ではいしごまに勝る二人組みはいませんので。
この先もビバいしごま精神は不滅です。


583 名無飼育様

りかみきって書き慣れてないので(石後もですが)
ちょっとどうかなぁと思いながらも。
藤本様の動かし方がいまいち分からない・・・。

期待してくださったとのことですが、こんなので申し訳・・・(汗

597 名前:如月 投稿日:2004/07/13(火) 15:40

>>585-594
念願の(?)りかみき。
爽やかに爽やかにを目標に。

それではお目汚しを。
お付き合い感謝でした。
598 名前:ROM読者 投稿日:2004/07/13(火) 21:43
更新お疲れ様です。
昼間の暑さを忘れる程の爽やかな可愛い作品でした。
両極端なこの二人、かなりマッチングいいですね。
ビバいしごま精神に若干、浮気の陰りが・・・・
599 名前:名無し? 投稿日:2004/08/07(土) 00:31
花言葉シリーズ(?)の続きが気になるぅ(>。<)
待っています!!
600 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/08/21(土) 21:17
続編待っています。
601 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/09/07(火) 22:15
待ってます♪
602 名前:名無し 投稿日:2004/09/23(木) 17:26
小町藤の続き待ってますね
603 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/09(土) 21:12
待ってますよ
604 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/10/30(土) 23:05
待ってますよ〜
605 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/16(火) 11:35
そろそろ・・・
如月さん、カムバッーク!!
606 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/11/20(土) 08:39
どうしちゃったんだろうねー…(´・ω・`)
待ってるよー
607 名前:+++あしおと+++ 投稿日:2004/12/07(火) 11:14

日常の中で。

瞬間。


浮かぶ人がいる。


笑顔だったり怒ってたり、時には寝顔だったりすることもある。

勝手に胸をよぎって、人の心拍数を無駄に上げては消える。



この気持ちを何と呼ぼう。





608 名前:+++あしおと+++ 投稿日:2004/12/07(火) 11:15


からからの風が頬に痛く。

今年は秋が妙にあったかかったから。
なめてかかったらあざ笑うかのような寒さ。

やはり腐っても12月。

手袋なしの素肌に、北風は容赦なく冷たかった。



「さっむ・・・」



電車を降りて駅を出て。
外の空気の予想を越えた冷たさに呟いて。
薄手のコートのポケットに両手を突っ込んだ。

急がしそうに歩く人並みにも、同じように寒さを逃れようとしてる人がチラホラ。


・・・やっぱ突然寒くなるのって卑怯だよねぇ?

と。
心の中で一方的に同意を求めた。


609 名前:+++あしおと+++ 投稿日:2004/12/07(火) 11:15



それでもやっぱり賢い人はいるもので。
何人かは完璧に防寒して、縮こまる人たちの間を颯爽と歩いていく。


天気予報とか、ちゃんとチェックしてんだろうなぁ・・・

なんとなく感心する。


ふとリンクしてきた笑顔は。

想像下で、ちょっと必要以上に着重ねている。
まぁ摩訶不思議なスタイルで眠る彼女のことだ。
ありえなくもないかもしれない。

思わず口元に浮かんだ笑みを慌てて消す。

人込みでニヤニヤ。
明らかに不審者。


気を取り直して頬を引き締めて。
歩調を速めようかと一歩踏み出した時。



610 名前:+++あしおと+++ 投稿日:2004/12/07(火) 11:16




「ひゃー、寒い寒い!」



冷たい空気と共にするりと右腕に絡んできた甘い香り。

突然のことに驚いて思わず腕を引きかけて、留まる。


馴染んだ香り。
知ってる声。

認識するより先に、勝手に騒いだのは心臓。



「おはよごっちん。」



甘い声は、近頃後藤をちょいちょい不整脈に陥れる張本人。



611 名前:+++あしおと+++ 投稿日:2004/12/07(火) 11:16




「おはよぅ梨華ちゃん。今日も可愛いね〜」
「えー?ヤダ何それー。なんかストレートすぎてウソくさい。」
「ホントなんだけどなぁ。」
「あはは、ありがとー。ごっちんも相変わらずカワイイね。」



後藤の想像よりもはるかに薄着の石川が笑う。
それでもやはりマフラーに手袋完備。

さすが。

と、心のうちで呟きつつ歩調を緩める。



「髪茶色。似合うね。」
「あ、ホントー?ちょっと久々だからね、評判が心配だったんだけど。」
「黒髪も良かったけどね。なんか茶髪だと色っぽいかも。」
「あれー?もうすぐ二十歳の大台乗るから若返りを図ったんだけど・・・逆効果?」
「大台って・・・それ裕ちゃんに聞かれたら殺されるよ?」
「あはははは、そしたら今度こそ守ってよー、文麿様。」



他愛ない会話を楽しく感じる。

もう少しこの時間が続けばいいのにと、もっともっとゆっくり歩きたい気分。


右隣の空気がだいぶあったかくなってきた頃。
石川が気付く。



612 名前:+++あしおと+++ 投稿日:2004/12/07(火) 11:17




「それにしても薄着だねごっちん。あ!ちょっと手ぇ出してごらん?」



絡められていた腕をぐいっと引っ張られ、右手が北風にさらされる。
流れにおとなしく従う後藤。



「うっわ寒!」
「・・・梨華ちゃんは寒くないでしょ。寒いのはごとー。ホラちょっと。」
「だーめー!危ないでしょ転んだら。」



急速に温もりを失っていく右手をポケットにしまいかけ、石川に阻まれる。

この歳で滅多にコケたりしないから・・・
と突っ込みつつ、やはり後藤は右手をポケットに収める。



「じゃあホラ、これかたっぽ貸してあげるから。」



言って、石川は自分のしていた『これ』を後藤に手渡す。

左手の手袋。



613 名前:+++あしおと+++ 投稿日:2004/12/07(火) 11:17




「え、いーよいーよ、梨華ちゃん寒くなるし」
「だーいじょうぶだってば。ホラそれ左手にして、右手出して?」



石川の意図を掴みかねたまま、後藤は素直に言葉に従う。



「これで寒くないよ。」



差し出された手のひらをきゅっと握って、石川がニッコリ一言。

状況を判断した途端、一気に上がる後藤の心拍数と体温。
リアルな石川の体温に、不整脈も並ではない。



「・・・小学生みたいだよこれじゃ。。」
「なんでー。だいたいねぇ、手袋もしてこないごっちんがお子様なんでしょ?自己管理は大切に、だよ。」
「いや、うんまぁ・・・」



その『小学生みたい』な行為に、必要以上に照れている自分を自覚して。

さらに顔に熱が集まる。

今さら石川と手を繋いだという事実が。
どうしてこんなにも胸を騒がすのだろうか。



「あ・・・ったかくは・・・なったかな。」
「でっしょ?私もあったかいよ。ごっちんて、見かけによらず体温高いんだね?」



あなたとは違う意味であったかいんだよ。

人の気も知らないで。
よくもまぁそんなにのんきに可愛らしく笑ってくれちゃって。




614 名前:+++あしおと+++ 投稿日:2004/12/07(火) 11:18





このドキドキを何と呼ぼう。


ワクワクするような、ムズムズするような騒がしい心。
答えはホントはもう分かってるのかもしれないけど。

手を繋ぐだけでこの有様。
情けないことこの上ないって感じだけど。

今はまだ、この心に理由をつけるのは難しい。




「ねえごっちん、もっとゆっくり歩こうよ。」
「ん?」
「そんなに急いだら、すぐ着いちゃうよ?」




さぁ、このドキドキを何と呼ぼう。
615 名前:+++あしおと+++ 投稿日:2004/12/07(火) 11:18





                +++あしおと・おわり+++
616 名前:如月 投稿日:2004/12/07(火) 11:31

とりあえず王道な感じで。

ご挨拶があとになりました。
お久しぶりです、如月です。

えーと・・・
いしごまはずーっといつも毎日好きなのですが。
書こうという気持ちが起きず、しばらくなりを潜めていました。
保全してくださる方に申し訳ないなぁと思いつつ。

でも、やっぱり書きたいと思わないで書いたものは、
ただでさえ稚拙な文章に気持ちが入らず、
もう見るも無残なモノとなってしまうので無理矢理は書けませんでした。

久々に書いたいしごまは、なんだかちょっとぎこちないでしょうか。


花言葉は・・・これはあの、これも短編モノの一種として書いていまして・・・
それなりにラストは考えつつも、なんとなくふわふわと書いていきたいなぁ、なんて・・・
それぞれで一応完結はさせている、つもりなのです。

お待ちいただけるのは非常に嬉しいのですが、
如月としてはサンタシリーズと同等くらいで考えています。
申し訳ありません。
617 名前:如月 投稿日:2004/12/07(火) 11:33

>>607-615 あしおと


ではお付き合いくださった方、お目汚しを。
618 名前:名無し読者 投稿日:2004/12/07(火) 13:05
如月さんお久しぶりです。
待ってましたよ。
ごっちんのドキドキがこちらにも伝わってきました。

スポフェスではかなりのいしごま率だったそうなので、
如月さんの創作意欲が高まるのを期待してます。
619 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/08(水) 00:44
待ってました。やっぱ作者さんのいしごま好きですw
620 名前:名無飼育さん 投稿日:2004/12/08(水) 11:15
あったかいお話、ありがとうございました。
621 名前:名無し読者 投稿日:2004/12/08(水) 23:55
やっぱり作者さんの書くいしごま好きかも・・・。
天然石川さんにドキドキ後藤さん良かったです。
622 名前:ROM読者 投稿日:2004/12/10(金) 21:18
更新お疲れ様です。
とても心地良い暖かさが伝わって来ましたよ。
623 名前:名無し読者 投稿日:2005/01/09(日) 21:31
あけましておめでとう保全
624 名前:Liar 投稿日:2005/01/14(金) 18:46
いつも楽しみに待ってます。小町藤のつづきを
楽しみに待ってます。
625 名前:如月 投稿日:2005/01/19(水) 01:24


しまった。
ココに来て気づいた。
石川さんお誕生日だ・・・

ってコトで、誕生日は全く無関係な話です。
ついでにいしごまですらありません。
626 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:26

ふわふわとした、白い空間。
周りは何もなくて。

寒いとか、暑いとか。
そういうのも良く分からない。

くるり、まわってみる。
周りは同じ景色で、まわったんだかまわっていないんだか。
そもそも、自分の体があるのかすら。


ただ、意識がそこに浮遊してる感覚。



627 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:26

「・・・え、と」



ここはいったいどこなのだろう。
私は何でこんなところにいる?
だいたい今は何時なのか。
周りが白くて、それが光なのか闇なのかもよくわからない。

と、いうよりもこんな突発的状況に時間を気にするあたり、かなり動揺しているのかもしれない。

人から見ればそうは見えなくても。

これでも私、紺野あさ美はただいま精一杯焦っています。



628 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:27




「ぱんぱかぱ〜ん!奇跡の復・活♥」



びく。

遠く後方から叫び声。
私は身を竦めて振り返る。
突然の大声に驚きはしたけれど、耳に慣れた高い声は私の心を少しだけホッとさせてくれた。

が、振り返った先にいたのはこちらに背を向けた後姿で。
しかも妙に露出の高い黒の服をまとって。

ピンクじゃないし。


これは石川サン、と言うよりはむしろ。


私が99%の予測をつけてその背中を見つめていると。



「はっぴ〜☆チャーミー石川でぇーっす!!」



629 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:27




にっこりと可愛らしくこちらを振り向きつつ、例の決めポーズで自己紹介。

うん、正解。
ご本人の言葉によって残り1%の可能性を加え、それは100%の確実のものとなった。

自分の予想が正しかったことを密かに喜びつつ。
どうすることもできないまま、まだ遠くにいる石川さんを見つめる。



「やぁだー久しぶり〜♥」



スタスタスタと効果音をつけたくなるような素晴らしい姿勢のまま。
こちらへと歩いてくる石川さん。



「元気だった?らぶr・・・ってぇ!ゲ!!おじゃマルシェ紺野!!」



かなり至近距離まで来て、身を仰け反らす石川さん。



「ああーんもう間違えた〜。ラブリーのトコ行く予定だったのにぃー。」
「はぁ・・・スミマセン・・・。」
「・・・ふぅ、まあ良いわ。間違えた私も悪かったんだし。」



ただ間違えられただけの私にも問題があるんだろうか。
とは思うけど、それは黙っておく。

なにやら行き先を間違えたらしい石川さんは、腰に手をあてて『やれやれ』のポーズ。



630 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:28


「お仕事しないと帰れないし。」
「おしごと?」
「そーよっ、お・し・ご・と。仕方ないわね、ライバルのアナタにこんなサービス癪なんだけど。」



私に対して身体を斜めに向けて、文句を言いながら咳払い。
一瞬の間を空けて、輝かんばかりの笑顔でこちらに向き直る。



「チャーミー石川の、あなたの夢を叶えましょうのコーナー♪」



コーナーが始まってしまった。



「あ、ちなみに『叶えましょう』の『しょう』は、S・H・O・Wの『ショー』にかかってます。」
「はぁ・・・」



誇らしげな笑顔で言って、そのまま静止。
どうしていいか分からないから、私も静止。



「・・・」
「・・・」



しばし無言のまま見つめあう。

それを止めてくれたのは石川さん。



「もー、ちょっとちょっとおじゃマル!」
「変なところで名前きらないで下さい・・・。」
「もうちょっと突っ込むとか乗っかるとか、もしくはヒクとかしてくれないと!」
「・・・スミマセン。」



631 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:28

って言うかヒクのもありなんですか。

あ、コレを口にしたら突っ込みになるのかな。
そうか、そうすれば石川さんのキャラも立つし、この場も上手く盛り上がりつつ収まるんだ。

・・・ああ。
いつもそう。
こうやって、流れにワンテンポついていけなくて。
後で自分がどうしたら良いか理解したってもうどうにもならない。

思わずため息をついた私を何か言いたそうに横目で見て。
何も言わずに、石川さんは話を元に戻した。



「まぁ諸々置いといて。コーナー説明いってみましょう。」
「あの、あの石川さん・・・」
「あ、一つ言わせてもらうとね、・・・まぁ『石川さん』はギリOKかなー、一応『チャーミー石川』なワケだし・・・」
「・・・あの・・・?」
「でもね、チャーミーはチャーミーであって、あなたのグループの可愛い可愛い石川梨華とは別人だからね。」
「は、はい・・・?」



スラスラと、言いよどむことなく自己紹介を済ませていく石川さん。
・・・ああ、石川さんではないのか。
じゃあどうしよう。

・・・『石川(@チャーミー)』さん?



「と、言うワケで『あなたの夢を叶えましょう』のコーナーはですね。」



つらつらと考えを巡らせていると、石川(@チャーミー)さんは先ほどのタイトルコールを説明。



「タイトルそのまま、あなたの夢をワタクシが叶えてしまおうというものです。」
「・・・ゆめ?」
「そう、あー、夢ってか、妄想願望って言う方が近いかなー。」
「がんぼう・・・。」
「ま、カンタンに言っちゃえばコスプレ?」
「こ、コス・・・?」
「そ。もっと平たく言えば、おじゃマルが私に着させたい服をリアルに着ちゃおうってコト。」



コスプレ祭りですね。
・・・でも。



632 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:28

「あの、非常に言いづらいんですけども・・・」
「なぁに?そんな物凄いカッコとか?やだチャーミー照れちゃうな〜。」
「イエそうではなくて・・・」
「じゃあなによ?」



きょとんとして首を傾げられても。
どう言ったら良いのかな・・・つまりその・・・



「別にいーです。」
「・・・は?」
「あのだから、特にないです。石川(@チャーミー)さんに着て欲しい服とか・・・」
「はぁ――!?」



びく。
本日二度目。

目の前で叫ばれて、とりあえず一歩後ずさる。

けどそれを許さずに、石川(@チャーミー)さんは私の両肩をガシっと掴んだ。



「なに言ってんのおじゃマル!!」
「あのスミマセンだから妙なところで切らないでいただきたく・・・」
「こんなラッキーチャンスもう二度とないのよ!?なのにそうもアッサリ『ありません』ってアンタねぇ!!」
「そ、そんなこと言われてもぉ・・・」



あ、あわあわ。
こんなに困ってる今の状況が本当に『ラッキー』?

だって思い浮かばない。
石川(@チャーミー)さんはいつも可愛いけど、だからといってどうのこうのしていただきたいとかは・・・



633 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:29

「・・・アンタ、ホントに思い浮かばないのね。」
「え。」
「ココではね、」



ふー、と息をついて石川(@チャーミー)さんは私の両肩を解放してくれた。



「チラっとでも私に対して妄想もしくは想像すると、それに反応して私の衣装がチェンジするの。」
「『ココでは』って・・・ココってドコですか?」
「・・・アナタ反応鈍いわよ。普通真っ先に訊かない?それ。」
「あ、スミマセン・・・」



少し俯く私に、また何か言いたそうな目をしたけれど。
やっぱり石川(@チャーミー)さんは軽くため息に似た吐息を吐いただけで何も言わなかった。



「そっか・・・ああ、おじゃマルは後藤真希ちゃんの方が良かったのかな。」
「え!!」
「あっははー、可愛い反応♥」
「イエあのそのゆなことは別に・・・」
「あ、じゃあ文麿やったげよか?文麿。」
「・・・ふぇ?」
「ホラ、私も学ラン、結構似合うと思わない?」



目の前でにっこりと微笑まれて。
それはそれはとても綺麗な笑顔。

普段の石川さん・・・じゃなくて、石川(@チャーミー)さんの笑顔より、幾分キリリとしていて。

石川(@チャーミー)さんが持つなら、やっぱり薔薇より百合が合うかもしれない。
少し暗めの髪を後ろで一つに束ねて学ランを着る姿。
ちょっと想像できてしまう。



ぽわん。



・・・ああそうそうこんな感じ。

って。



634 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:30

「ひぇぇぇぇぇ!?」
「あー百合かー。でもコレだと大きすぎて胸ポケットに刺さらないんじゃない?」



ほ、本当に衣装が変わった・・・。

驚き慌てふためく私を気にも留めずに、石川(@チャーミー)さんは自分の姿をチェック中。
背中の方に首をまわしてみたり。
髪を触ってみたり。
しばらく私を放置して、文麿スタイルを確認し終えると。

詰襟が苦しいのか、ちょいちょいといじりながら私を見やる。



「どう?」



小首を傾げると、サラリと髪が流れて。
流し目に、思わずドキリとした自分にミーハーを感じる。



「お・・・お似合いです・・・。」
「あはは、ありがとう。ゴメンね?本物じゃなくて。」
「イエそんな、そんな・・・」
「んー、このカッコしたらやっぱあれよねぇ。」
「・・・アレ?」



ひょいっと私の隣りにやってきて。
ひょいっと肩を抱く石川(@チャーミー)さん。

突然の行動に固まっていると、耳元で囁かれる。



「・・・ボクには分かる。」



静かな声音は、普段のトーンよりも少し低い。
文麿サマの物まねではない、石川(@チャーミー)さん独自の文麿サマ。

その言葉に、ドクンと身体が鳴いてみせた。

反応したのは 、疼くコンプレックス。

635 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:30



固まったままで動けない私からゆっくりと離れて。
石川(@チャーミー)さんは、再び私の正面にまわった。
少しだけある身長差を埋めるように優しく屈んで、私の目を覗き込む。



「分かるよ。おじゃマルは私と似てるから。」



ふんわりと柔らかい言葉。
ドキドキと、胸がうるさい。



「自分になかなか自信が持てなくて。おうちに帰って、何度泣いた?」



真っ直ぐで優しい視線は石川さんそっくり。



「・・・おじゃマル?」



何かを促すように呼ばれて、どうしようかと迷ったけれど。



「私は・・・」



他に誰もいない。



「石川さんのようにキャラクターを突っ走ることも出来ないし、後藤さんのようにカッコ良くもなれない・・・」



ココはただ白い空間。



636 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:31


「まこっちゃんは・・・個性が強くてコント以外でも面白いし・・・」
「うん。」
「里沙ちゃんはサッパリしてて明るくて・・・」
「うん。」
「愛ちゃんはすごく歌が上手だし・・・」
「そうだね。」



苦しい、苦しい、苦しい。



「みんなは・・・ちゃんとモーニング娘。なのに・・・私は、どうしたら良いのか今でも分からない・・・ッ」



泣き言を言う自分は大嫌いだから。
こんなこと誰にも言いたくなかったし言うつもりなんてなかった。

なのに、白い世界で、私は扉を閉じていられなくなってしまった。

しばらく音がない状態で、近く、石川(@チャーミー)さんの呼吸を感じる。
開いた扉をどうすることも出来ず、やっぱり私は石川(@チャーミー)さんの出方を待つ。



「・・・そりゃあ・・・」



口を開いた石川(@チャーミー)さん。
怒られるかもしれない、慰められるかもしれない。

とにかく沈黙が重くて、早くどうにかして欲しかった。

そういう自分も、やっぱり好きになれない。



637 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:31


「石川梨華ちゃんの天性のアイドル性と神が授けたもうた麗しい容姿は素晴らしいけど・・・」



がく。
じ、自分と同じ顔の人間をそこまでべた褒めするんですか。

気が抜けて、ちょっと肩の力が抜けたところで。
石川(@チャーミー)さんがゆるりと笑う。



「アンタが石川梨華になる必要なんてないじゃない。」



笑ったままで、ポンと頭を撫でられた。



「後藤真希になる必要も、小川にも高橋にも新垣にも、なる必要なんかないでしょ。」



「アンタはアンタでしょ?」



ラストに少し強めにポン、と撫でられて。
石川(@チャーミー)さんの手は私の頭から離れた。

アンタはアンタ。

と、言われて。

ググっと心が痛む。



638 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:32


「なーんてねーぇ。」
「へっ?」



それまでの優しい色はドコへやら。
キャラクターのままの横柄な態度と声で、石川(@チャーミー)さんは笑った。



「『自分は自分』。そんなん言われたって困るわよ。分かりきってることだけど苦しいんだもの。」



ただ、その笑顔は全然腹立たしいものではなくて。



「いつまでたったって隣りの芝は青いってもんよ。そりゃ仕方ないの。」



そう、分かってる。
私は私で、私以外も私にはなれないんだ。

それでも、誰かを羨んだり嫉妬したり。
汚い感情は次から次へと湧いてくる。
そんな自分がイヤだし、それを認めるのがイヤ。

だから言い聞かせてきたんだ。

『私は私』。

その言葉を鍵にして、ずっとずっと心を閉じ込めてきた。



639 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:32

「私・・・」
「うん」
「まだ・・・時間があると思ってたんです・・・。」
「なんの?」
「素直に憧れを認める自分に・・・なる時間が・・・。」
「・・・ふぅん?」



耐え切れない涙が頬を伝う。
その感触に、はじめて自分が泣いているんだと気づいた。



「何で泣くの?」
「あ、スミマセ・・・」
「・・・だから、そんな謝ることもないってば。なんか3回に1回くらい謝ってない?」



その涙を拭ってくれる、石川(@チャーミー)さんの手のひらは温かくて優しかった。



「それともそんなにチャーミー怖いの?」



ふにっと頬をつままれた。




「・・・石川(@チャーミー)さん・・・」
「あーもうその『(@チャーミー)』ってヤメテ。ウザったいわ。」
「えっ。ス、スミマセンっ、あっ」



今まさにすぐ謝るなと助言をもらったのに。
ああ、私のバカ。



640 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:35


「だーから、もう〜・・・謝ったって良いわよ。そうじゃなくて。・・・そうね、私の言葉が足らなかったなぁ」
「えーと・・・」
「謝ったことをいちいち後悔しなくても良い。自分の行動に、あんまり落ち込むことないってこと。」



石川さん・・・あ、この場合の『石川さん』は娘。の石川さんで・・・

 ( ああ、もう面倒くさい。
 ( やっぱりチャーミーさんは石川(@チャーミー)さんでいこう。

石川さんのようにまるい空気はないんだけど。
言葉端も、石川さんより少しキツめなんだけど。



「全部が紺野の個性なのよ。悪いところも良いところも。後藤真希にゾッコンなのもね。」



その瞬間、ふっと心がほぐれてく感覚があって。



ぽわん。



間の抜けた音がして、一瞬石川(@チャーミー)さんの姿が薄くなる。
白い膜が晴れた後に再び現れた石川(@チャーミー)さんは、ちゃんと『チャーミー石川』だった。



「あれ?もういいの?文麿。」
「・・・ハイ。」
「そう。なんかよく分かんないけど・・・それじゃ、私もう行くわ。チャーミーは忙しいのよ。」
「ハイ。・・・ありがとうございました。」
「?なにがぁ?」



とぼけているだけなのだろうか。
それとも本気で分からないのか。
小首を傾げて不思議顔。
それが可愛らしくて、私は思わず笑ってしまう。

石川(@チャーミー)さんが扉を開けて中を見せてくれたことで。

私はひとつ、コンプレックスから解放されるきっかけを手に入れた。
少しずつ、自分に正面から向き合っていける気がする。

もうがんじがらめに扉を閉ざさなくても大丈夫かもしれない。

641 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:36


もう一度、お礼を言いたくて。
笑っていた顔をあげて石川(@チャーミー)さんを見上げた。

つもりだったのに、そこは既にただの白い空間。

周りは何もなくて。


そこに誰がいたのか、何の話をしたのか。
スルスルと流れるように、記憶が薄れていく。


ああ、そうか。
コレは夢だ。

自覚したのとほぼ同時に、遠くから呼ばれる声に気付いた。

戻らなくちゃ。
誰かが呼んでる。






642 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:36







643 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:36


「紺野!」



目の前にピンク。

違った、目の前に石川さん。
心配してるバージョンの表情で、私を覗きこむ。



「え、あの石川さん・・・」
「大丈夫?怖い夢でも見た?」



小さな子をあやす様な台詞に、何事かときょとんとしていたら。
そっと頬を撫でる石川さんの手。

あ、私泣いてる。



「ゴメンね?寝かせておいてあげようと思ったんだけど、泣き出しちゃったから・・・」
「イエ、ありがとうございます。大丈夫です。」



644 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:37

そっか、楽屋だココ。
じゃあさっきの白いトコはどこだろう。

ん?白いトコ?
白いトコってなんだろう。

自分の思考が分からなくてぐるぐる頭がこんがらがる。

そんな私を見て、私の手を握りながら。
石川さんが笑った。



「えっ!?私なにかおかしいですか!?」
「ああううん、ゴメンね。ただ可愛いなぁって。思っただけ。」
「えっ・・・」
「・・・あれ?」



ボンっと赤くなったのが自分でも分かる。
目の前の石川さんは困ってるし、私も自分の反応の対処に困る。

すると、後ろで野次が飛ぶ。



「あー、石川ってばなに口説いてんのさ。」
「え!?ちょっと何それよっすぃ」


645 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:37



からかわれながら、吉澤さんに反論しつつ石川さんは私の手を離さない。
きっと、怖い夢を見た(?)私を一人には出来ないんだ。

ソファに座ってる私の前にちょこんと座り込む石川さん。

この人はこうやって、いつだってふんわりと優しくて。
だけど強くて。

知らないウチに、いろいろ助けてくれる素敵な先輩。

まだまだ支えてもらえるような気がしていた。


夢で泣いて、涙腺がゆるんでいたのかもしれない。



「・・・紺野?」



再び泣き出した私に驚いたように。
でも大袈裟に騒いだりしないで。

どうしたの?と覗き込んでくる。

そういうさり気ない優しさ、本当はずっと。


少し目線が下の石川さんに、雪崩れるように抱きついた。
驚きながらも、受け止めてくれる。



646 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:37

「紺野?どうした?やっぱ怖い夢・・・」
「石川さん、石川さん・・・」
「ハイハイ。なぁに?」



泣きじゃくりながら抱きすがる。
背中を宥めてくれる手のひらはやっぱりあったかい。



「石川さん・・・・・ッ」
「紺野?」



まだまだそばにいて欲しい。
それが本音。

せめて素直に伝えることが出来る日まで、待っていてほしかった。

大好きです、石川さん。





647 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:38






「とっとと言っちゃえばいいのに。まったく意気地なしね、おじゃマル。」



ん?


648 名前:+++心のトビラ・紺野の場合+++ 投稿日:2005/01/19(水) 01:40





         +++心のトビラ・紺野の場合・終わり+++

649 名前:如月 投稿日:2005/01/19(水) 01:43

心のトビラ、パート2でした。
前回のトビラがバカモード全開だったのに、同タイトルにしちゃ内容違いすぎでしょうか。
まぁ紺野さんのトビラはこんな感じなのでした。

またトビラを書くことがあったら、次はまた思いっきりバカっぽいのにしたいです。
650 名前:如月 投稿日:2005/01/19(水) 01:51

618 名無し読者様

お久しぶりです。
『待ってましたよ』の一言がとてもとても嬉しかったです。
せっかくお待ちくださったのに、あんなので申し訳ありませんでした。

スポフェスはいしごまだらけだったようですね!
某スレで拝見してニヤニヤしっぱなしでした。


619 名無飼育様

お久しぶりです。
如月も、やっぱりいしごまを書くのは好きです。
あんな稚拙いものを好きだといってくださってありがとうございました。


620 名無飼育様

こちらこそ。
あたたかいレスを感謝です。


621 名無し読者様

うぅぅ・・・ありがとうございます。
やっぱり如月の基本形はああいう二人みたいです。


622 ROM読者様

おっ、お久しぶりです・・・!(敬礼)
ご無沙汰しておりました。
もう忘れ去られてるかと思いつつ・・・
お言葉ありがとうございました。


624 Liar様

ありがとうございます。
いしごまでなくてすみません。
そして、花言葉の方は気長にお待ちください。
651 名前:如月 投稿日:2005/01/19(水) 01:55

>>626-648
心のトビラ・紺野の場合

その2だったりします。
前回のはコチラに↓

http://m-seek.net/cgi-bin/test/read.cgi/red/1073280085/220-249n

全く毛色が違うような気もしますが・・・
どちらも心のトビラを開いた結果ってことで。


それではお目汚しを。
お付き合い感謝です。
652 名前:春雷 投稿日:2005/01/19(水) 20:28
遅くなりましたが、お帰りなさい!!
戻ってきてくれてすごくうれしいです。

あらら、チャーミーさんいい人に(笑
653 名前:Liar 投稿日:2005/01/19(水) 22:56
誕生日おめでとう!!梨華ちゃん。作者さん、がんばって!
654 名前:如月 投稿日:2005/01/20(木) 13:45

一日遅れの石川さんおめでとうブツです。
655 名前:+++変わる音と変わらない声+++ 投稿日:2005/01/20(木) 13:46

年を重ねるごとに質の上がる携帯の着信音。

石川の携帯が震える。
サブ画面に表示される名前に笑顔。



「ハイもしもし?」



通話を始めたのは、ちょうど時計がてっぺんを指した頃。



『ハッピバースデートゥーユ〜♪』



機械越しに届く歌声。
それは毎年変わらない。

携帯を握って時計と睨めっこしていたのだろうかと。

その歌を聴きながら、石川は笑う。



『ハイってことで。お誕生日おめでとーだね梨華ちゃん。』



唄い終えて、改めて言葉で伝える。
石川にとって成人初の“お誕生日おめでとう”。



「すごい、ゴマキ生歌だ。」
『ゴマキゆーな。』
「ふふ、ありがとごっちん。うれしーな。」
『ごとー一番乗り?』
「うん、一番一番。」
『へへ。』



顔を見ずとも石川には容易に想像がつく。
ちょっと照れながら笑っている後藤の姿。

656 名前:+++変わる音と変わらない声+++ 投稿日:2005/01/20(木) 13:46

『今年の誕生日は何がいい?』
「ん?」
『プレゼント。』
「え〜?訊くの?そういうのはさぁ、なんかもっと演出しない?」
『・・・一昨年は気張ったじゃん。』
「一昨年の話でしょ。」
『去年リサーチなしでプレゼントしたら怒ったし。』
「だって美白クリームって嫌がらせ!?」
『アレはウケ狙いで、その後ちゃんと・・・』
「それも去年の話。ひどいな、ごっちんてば釣った魚にエサあげないタイプだ。」



文章に起こせば喧嘩の前触れのような会話。
しかし二人の声は楽しそうに笑う。

たとえるなら、そう。
・・・水辺の恋人たちの水かけっこと同じ類のものか。



『で、何が欲しい?』
「んー・・・・・・」
『ある程度へーきだよ。なんかない?』
「じゃあね、二人で住む白い一戸建て♥」
『ん、オッケ。一戸建てね。』
「え!?うそうそ冗談だよ!!」
『あはっ。うそうそジョーダンだよ。』



慌てる石川の反応を、楽しんで笑う。
一方からかわれた石川は少々悔しい。



「・・・」
『ん?あれ?梨華ちゃーん』
「・・・もー、私のほうが年上なのに。」
『あは、その台詞が今日は響くねぇ。』
「なんたってハタチですから。」

657 名前:+++変わる音と変わらない声+++ 投稿日:2005/01/20(木) 13:46


得意げに言ってみせて、後藤の反応を待つ。
と言うよりツッコミを待つ。

しかし、『キショイ』もなければ『寒い』もなく、『ハイハイ』と流す言葉すら返ってこずに。



「ごっちん?」



どうしたものかと名前を呼んでみた。



『そーだよねぇ。ハタチかぁ・・・。』
「・・・なにそれ?」
『イヤ、ああイヤイヤ。そうだね、大人、おめでとうだね。』
「よっく分かんないなぁ。」
『んぁー。別に深い意味は・・・』
「うん、ごっちんの言葉に深い意味なんてないのは知ってるよ。」
『うっわヒデ。』
「ふふふ。」



ふと気づく。
現在の時間。



「ああ、ごっちん時間大丈夫?」
『うん、ごとーは明日オフだからへーきだけど・・・あ、梨華ちゃんはお仕事だね。』
「そう、いいとも。」
『ストラップ、頑張ってね。』
「とってもあげないからねー?」
『えー?』
「えー?じゃないでしょー。」
『あは、とにかく頑張れ。見られれば見る。』
「うん、頑張る。」



そして二言三言交わした後。
バイバイ、またね、と通話を切った。

ふわぁとひとつあくびをして、石川はベッドに転がる。

そっか、100人アンケートどうしよう。
チラリと考え出したところで、睡魔によって思考は遮断された。

658 名前:+++変わる音と変わらない声+++ 投稿日:2005/01/20(木) 13:47

遮断された思考の続きは、収録前に共に出演した二人が引き継いでくれた。



「あー、100人アンケね。」
「ああ、どうしよっか。梨華ちゃんなんか考えてきたの?」
「んー、考えたんだけど・・・。」
「あ、じゃあアレは?石川誕生日だしさ。『今日誕生日の人』とか。」
「あ、よっすぃ良いねそれ。100いたら一人くらい梨華ちゃんと同じ日いそうだよね。」
「ね、運の悪い人がね。」
「う、運が悪いって何よぅ。」



その夜のこと。
日付の変わる、ちょっと前。

石川の携帯が着信を告げた。


ひょいっと手にとって、携帯にぶら下がるゲットした特製ストラップを見て嬉しそうに笑って。
サブ画面を確認することなく石川は通話ボタンを押す。



「ハイハイ?」
『梨華ちゃん?』
「おぅごっち〜ん、どしたの?」
『イヤ、オメデト、ストラップ。』
「あれ?見てくれた?」
『うん、見たよー暇だったから。』
「・・・素直に『見たよ』って言えないの?」
『あはっ。』



ひゅお、と。
風が鳴く音がした。



「・・・ごっちん?」
『ぁい?』
「いま外?」
『正解。』



そう言えば、声が心なしか震えているようで。



「電車待ち?」
『んーん、梨華ちゃん待ち。』
「はっ?」

659 名前:+++変わる音と変わらない声+++ 投稿日:2005/01/20(木) 13:48

とぼけた声で言われて、一瞬何のことだか分からなかったが。
ピンときて、慌てて駐車場を見下ろせる窓を覗き込めば。
そこには予想通り後藤の姿が。

目が合って、ひらひらと手を振る後藤。



「えっ、なにしてんの!?」
『来てみたの。』
「〜〜〜、と、とにかくこっちに・・・」
『あ、ううん、あがってると終電なくすし。今日はコレで帰るよ。』
「はい!?」



このまま帰ると言うのだろうか。
あまりに突拍子のない後藤の言動に、石川はただ驚く。



『お誕生日、おめでと梨華ちゃん。』
「へ?それはもう――」
『うん、言ったんだけどさぁ。今日のいいとも見てね、やっぱ直接言わなきゃダメかなって。』
「どういう・・・」
『ホラ、考えてみたら今日が誕生日の人って他にもいっぱいいるんだよね。』
「う、ん・・・」
『だからさ、遠くからなまけて伝えても、全部は梨華ちゃんに届かないかもなって。思って。』



それはつまり。



『1月19日に生まれた、“石川梨華”に伝えたいワケだからね、ごとーは。』


660 名前:+++変わる音と変わらない声+++ 投稿日:2005/01/20(木) 13:49

窓越しに視線を合わせて。
白い息を吐きながら、にっこりと後藤が笑った。

思わず見惚れている石川の耳元で、携帯から後藤の声。



『それじゃ、またね梨華ちゃん。』
「えっ!?」
『今度はゆっくり遊びに行こうね。』



どうやら本気でコレのみの目的でここまで来たらしい。
バイバイと言い置いて、プチっと通話が切れた。

窓の下でも、もう一度ひらひらと手を振って。

後藤はくるりと後ろを向いて歩き出した。



「ちょ、ちょっとちょっとちょっと・・・」



薄い部屋着のまま、石川は大慌てで部屋を飛び出した。

エレベーターの扉が開くのももどかしく。
すり抜けるようにフロアに出る。

外に出ると、思いのほか寒さが厳しかった。
一瞬何も羽織ってこなかった自分を後悔したが、道の向こうに止まっているタクシーを見つけて。
そんなものをかなぐり捨てて、石川はとりあえず走った。



「ごっちん!!!」



息せき切らして駆け寄ってくる石川を、ビックリしたように見つめる後藤。
その後藤を放置して、石川はタクシーの運転手に言う。



「スミマセン、行ってください。」
「は!?」
「良いから行っちゃってください!」


661 名前:+++変わる音と変わらない声+++ 投稿日:2005/01/20(木) 13:49

驚いた後藤の『は!?』をシカトして、強めに石川が繰り返す。
そのままドアをバシンと閉めてしまったので、運転手は行ってしまった。



「梨華ちゃんなにしてんの!」
「ごっちんこそ何してんのよ勝手に来て勝手に帰って!ビックリするじゃん!」
「ってか何この薄着!」



後藤は素早くコートを脱いで、バサっと石川にかぶせる。



「い、いいよごっちん寒いじゃん!!」
「・・・そう思うんならこんなカッコで外出てこないで下さいよお姉さん。」



返そうとコートに手をかける石川を制して。
後藤はその上からすっぽりと抱き締めた。

石川は、久々抱擁に思わず固まる。

しばらく両者動かないまま。
布越しの温もり浸る。

662 名前:+++変わる音と変わらない声+++ 投稿日:2005/01/20(木) 13:49

「・・・ごっちん。」
「ん?」
「ありがとう・・・嬉しいよ。」



抱き締められたまま、石川は続ける。



「会いに・・・来てくれて嬉しいけどぉ。」



ぐいっと両手のひらを後藤の頬にあてて。



「触れない距離で会ったって、全然嬉しくないよっ」



むくれるその表情は、とても成人したとは思えない。



「ふは、ゴメン。ありがと。」
「?意味わかんない。」



頬から手を外して首を傾げる。



「ハタチになっちゃって、大人になっちゃってさぁ。なんかちょっと寂しかったんだよ。」
「なにが。」
「なんだろうね。感覚だよ、感覚。」
「今さらだよ。」
「うん、今さらだった。・・・来てよかった。」



肩にするりと擦り寄って、甘えたように囁く後藤。
後藤がよくする仕草だが、それすら久々で石川はやはり動けない。



「・・・あー、梨華ちゃんのおかげで終電無理だよ。どうしてくれんの?」



後藤のからかうような声に笑う。

艶を含んだ言葉に照れながら、抱き締められていた腕を解いて。
大人っぽく笑ったつもりだったけれど。
頬を赤く染めた状態では、後藤にどう映っただろうか。



「とりあえず白い一戸建ての構想でも練ろっか?」


663 名前:+++変わる音と変わらない声+++ 投稿日:2005/01/20(木) 13:51




            +++変わる音と変わらない声+++

664 名前:如月 投稿日:2005/01/20(木) 13:53

・・・リハビリの域をなかなか脱せず。
まぁもともと大したものを書けてたわけじゃないんですが。

いしごまいしごまーって感じで書きました。(どんなだ)
665 名前:如月 投稿日:2005/01/20(木) 13:59

652 春雷様

あ、あは・・・
イエ、もともとどっか行ってたわけではないんですが・・・
ちょっと何故か書けなくてですね。
なので、この先も多分書けたり書けなかったりと波があると思います。
スミマセン。


653 Liraさま

あの・・・スミマセン、レスはとてもありがたいのですが。
出来ればsageでお願いします。。
666 名前:如月 投稿日:2005/01/20(木) 14:01

>>655-663

石川さん、おめでとうございました。

お付き合いくださった方、ありがとうございました。
お目汚し失礼します。
667 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/20(木) 15:48
いしごま不足、十二分に解消されました。
ごちそうさまでした。
668 名前:名無し読者 投稿日:2005/01/20(木) 22:35
待ってましたよ
甘いいしごま頂きました(萌)
669 名前:Liar 投稿日:2005/01/20(木) 22:40
653のLiarです。ス、スミマセン・・・。勝手にageてしまって・・・。実は,
あんまりそうゆうのわかんないで書き込んでしましました・・。お気に障ったらごめんなさい!作者さん、今後もがんばってください!
670 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/01/21(金) 03:11
いしごまいしごまーwう〜んいい話だ。
671 名前:ROM読者 投稿日:2005/01/25(火) 13:40
連投お疲れ様です。さらに筆に磨きがかかりましたね。

どう表現していいのか分かりませんが、超ハートウォーミングな作者様
の感性に、どっぷりと浸らせて頂きました。

どちらの作品も、すごく気持ちが伝わってきて、自分にも、まだこんな
キュンとなれる感覚が残っていたのかと嬉しいやら恥ずかしいやら。  

素敵な作品をありがとうございました。  
672 名前:如月 投稿日:2005/02/06(日) 17:14

飯田さんもついに卒業してしまって。
飯田さんの歴史は娘。の歴史。
今は、なんだかこれで一区切りついてしまったような感覚です。

とか言いながら、飯田さんモノではありません。
もう少し気持ちが落ち着いたら、書いてみたいとは思いつつ。

いしごまです。
673 名前:+++ ひ よ こ +++ 投稿日:2005/02/06(日) 17:15


かしゃ、じじじじじ。
・・・かしゃ。


どことなく聞き慣れた音を遠くに感じて、石川は意識を浮上させる。

まどろむ瞳に映し出されたのは。



「かめら・・・・・・・・?」
「あ、起きた?」



残念、と後藤は笑う。
その手にカメラ。



「・・・なにしてんの?」
「写真。」
「なにとってたの?」
「梨華ちゃんの寝顔&hearts」
「・・・・・・・・・悪趣味。」



ため息混じりに言って目を閉じた。
インスタントカメラを片手で覆って抗議する。

後藤は笑いながら、起き抜けで力の入っていない石川の右手を簡単に払いのた。



「かわいーひよこ。」
「・・・なにそれ」
「だから、梨華ちゃんの寝顔。」



その言葉にイヤそうに瞼を持ち上げて。



「・・・似てないよ。」
「似てるって。」
「・・・・・・キライなんだけど、鳥。」
「ひよこだって。」
「ひよこも鳥でしょ・・・」
「かわいーのに。」
「・・・・・・いくない。」
「じゃなくて、梨華ちゃんの寝顔。」



朝っぱらから妙な展開で口説かれて、石川は少々困惑する。



「それは、どうも・・・」
「いーえ。」



とりあえず無難に応え、石川は再び瞳を閉じた。

ふと気になることがひとつ。


674 名前:+++ 投稿日:2005/02/06(日) 17:16


「・・・ごっちん?」
「んあー?」
「その写真、どうするの?」
「雑誌に載せ――」
「ダメー!」



がばっと起き上がって、本気でカメラを奪いにかかる。
唐突に機敏になった石川の動きに驚きつつ、ひょいっと腕を高く上げてそれをかわす。



「なんでなーんで。昔撮ったじゃん、よしこ達と一緒にそういう写真。」
「あれは寝た振り!リアルに寝てるのなんかイヤに決まってるでしょ!」
「だーいじょうぶだよ可愛いって。」
「いーやー!!」



石川は後藤の手の中のカメラを必死に追いかける。
ひょいひょいと、軽々とよける後藤。

ともすれば楽しんでいるようなその姿に、石川のイライラが募る。



「だいたいそんなカメラどうしたのよ。」
「昨日ここ来るときコンビニで買ってきたんだ〜。」
「最初から寝顔狙ってたの!?」
「そう、だからこんな時間に目覚ましかけて・・・」
「・・・・・・ばかぁ・・・」



朝が苦手な後藤。

自分の寝顔のために根性出さないでほしいと。
へなへなと石川はベッドに崩れ落ちる。

突然張り合いのなくなった石川の反応に、後藤はつまらなそうに首をかしげる。



「りっかちゃん?」
「・・・なんで載せようとか思っちゃったの?」
「ほら、『梨華ちゃんの寝顔はひよこみたい』って言っちゃった手前ね?」
「・・・・・・手前ね?」
「さっきの梨華ちゃんみたく信用しない人がいるからさ。」
「いるからさ?」
「証拠を。」



ひらひら。
『証拠』を収めたカメラを振って見せる。


675 名前:+++ ひ よ こ +++ 投稿日:2005/02/06(日) 17:16


「・・・だいたい今って何時よ?」
「5時。」
「ご・・・・・・・」



絶句。

朝にめっきり弱い後藤真希が。
寝起きが最悪な後藤真希が。
中澤の怒声も『うるさい』と一蹴するときすらある後藤真希が。

自分の寝顔を撮るために5時に起きたと。


その熱意は喜ぶべきかもしれないが。



「・・・・・くだらな・・・」
「あー?ひっどいなー梨華ちゃん。」
「だって・・・」



『くだらない』。
他に適当な言葉が見当たらない。
嬉しい気持ちがないとは言わないが。
ベッドの中でため息をつく。

目だけ出して。



「・・・それ、貸して。」
「?なにすんの。」
「壊す。」
「あっは、ダメだよー。ってか無理っしょ。」



楽しそうに笑う後藤。
何が楽しいんだと睨む石川。

まだまだ寝ぼけ眼の石川の睨みでは、後藤をうっとりさせることくらいしかできない。



「・・・うわかわいい。」
「脈絡ないよごっちん・・・。」


676 名前:+++ ひ よ こ +++ 投稿日:2005/02/06(日) 17:17


何を言っても今の後藤には通用しない。

そう悟った石川はしばし悩んだ末に。



「ごっちん。」
「んー?」
「だっこしてあげる。」



色仕掛けに出た。



「・・・・・・はい?」
「ぎゅーってしてあげるからそれこっちに寄越しなさい。」



ベッドの中から両腕を広げられて。
3秒と悩まず、後藤は勢いよくカメラを放り出した。



「わーいっ!」
「あっ、ちょっとカメ ぐぇ。」



飛び込んできた後藤の勢いに負けてうめく石川。
後藤はおかまいなしに、喉をぐるぐる鳴らさんばかりに懐く。



「ちょ、ごっち・・・重・・・重た、」
「かわいーかわいー梨華ちゃんてば超かわいー♪」
「わ、わかった、分かったからちょっと離れ・・・離れて!」
「えー、約束が違うじゃんか。」
「ホラ・・・、布団ちゃんと入って。まだ5時でしょ?寝直そうよ。」



スケジュール的に見ればあと3時間は余裕で眠れる。
それもそうかと、後藤はもぞもぞ石川から離れた。

ベッドにもぐりこもうとして、ピシっと石川に阻止される。


677 名前:+++ ひ よ こ +++ 投稿日:2005/02/06(日) 17:17


「・・・うおーい?」
「カメラ、持ってきて。」



ピシっと、指差した先には無残に床に転がるカメラ。

少し苦笑して、後藤が拾い上げる。
それを手渡しながら、今度こそ後藤はベッドにもぐった。



「ハイ。」
「んー。・・・ん?45枚撮り・・・」
「うん。」
「が、残り2枚?」



訝しげな視線を受け流して、後藤は改めて石川に抱きつく。



「ちょっと。・・・そんな撮ってるわけないじゃん。どういうこと?」
「そういうこと。ウソだよ、ウソ。」
「ウソぉ?」
「たまたまバッグに入ってたの。現像しそびれてて。で、ちょっと目が覚めて隣見たら、」



ひょいっとカメラを奪い取る。



「梨華ちゃんがあんまりにもひよこだったから、思わず撮ってみたってだけ。」
「・・・」
「お騒がせしました。」



678 名前:+++ ひ よ こ +++ 投稿日:2005/02/06(日) 17:19


起き上がり、ぽん、とそのカメラをソファに放って、素直に謝罪。

なんだかんだと騒いだ自分がバカらしくなり、脱力する石川。



「もー・・・」
「・・・で、あの、梨華ちゃん、」
「なによー。」
「あの・・・だっこは・・・」



恨めしげな眼差しに怯みながらも、『だっこ』を要求する後藤。
それが叱られた猫のようで、なんだかもうおかしくなって石川は笑う。



「おいで。」



だから、猫に接するように呼びかけてみた。

後藤は嬉しそうに、いそいそと石川のぬくもりに甘える。



「・・・ごっちん。」
「ん〜?」
「ひよこって可愛い・・・?」
「えー?かーわいいよーぅ」
「・・・・・ふぅん・・・なら、まぁ・・・いっか・・・」



よっぽど『ひよこ』を根に持っていたのか。
まぁ可愛いというのならばそれはそれでいいかと。
自分を無理やり納得させ、後藤の体温の心地よさに夢の世界へと再び落ちていった。

抱きしめられていた体制を入れ替え、後藤は静かに石川を抱きしめる。



「梨華ちゃんに似てんだから。可愛いに決まってるでしょ。」



だいたい、ごとーが梨華ちゃんの寝顔流したりするわけないじゃん。
これはごとーの特権なんだから。

呟きは夢の中の石川にまで届いただろうか。
679 名前:+++ ひ よ こ +++ 投稿日:2005/02/06(日) 17:20





最近はめっきり寝顔を眺める時間もなくなってしまった。
二人でゆっくりとした時間をすごすのは、実はかなり久々で。

しばらくぶりの独占に、心が満たされるのを感じて。


ひよこの寝顔に唇を落とし、後藤も瞼を閉じた。


680 名前:+++ ひ よ こ +++ 投稿日:2005/02/06(日) 17:20






           +++ ひ よ こ ・オワリ+++

681 名前:如月 投稿日:2005/02/06(日) 17:24

と、いうわけで。
♥の出現に失敗したわけですが。

布団から出たくない季節なので書いてみました。
682 名前:如月 投稿日:2005/02/06(日) 17:34

667 名無飼育さん様

解消していただけましたでしょうか。
如月は、最近立った魅力的な名の某所スレッドで癒されました(笑)


668 名無し読者様

ありがとうございます。
いしごまといえば、萌えのかたまりのようなものなのに。
最近萌え系石後書いてなかったなぁと、書いてみました。


669 Liar様

如月もお名前入れ違えてしまいまして。
申し訳ありませんでした。


670 名無飼育さん様

いしごまいしごま〜。
で、今回もそういう感じで書きました。
いしごまいしごま〜。


671 ROM読者様

いつもあたたかいお言葉感謝しております。
ほわほわっとしたものを、と目指してるので、うれしかったです。

筆に磨き・・・?
ち、遅筆に磨きの間違いかと思われますが・・・
そういっていただけるのは恐縮ながら本当にありがたく思います。
683 名前:如月 投稿日:2005/02/06(日) 17:35

>>673-680

絶対ネタにせねば、と心に決めてましたので。


それではお付き合いくださった方、ありがとうございました。
お目汚しを。
684 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/06(日) 23:11
ひよこネタキテタ―――(゜∀゜)―――!!マジ最高です。
685 名前:春雷 投稿日:2005/02/07(月) 16:33
おばかな後藤さんかわいい(笑)
686 名前:名無し読者 投稿日:2005/02/09(水) 21:35
ひよこをラジオで聞いて萌えて
この小説読んで更に萌えました
687 名前:如月 投稿日:2005/02/10(木) 11:31

時々ひょいっと書きたくなるのがブラック石川。
688 名前:+++咲く+++ 投稿日:2005/02/10(木) 11:35


「人にはそれぞれカラーがあるんだって。」



雑誌を眺めてるあなたに。
言ってみた。



「・・・イメージカラーってヤツ?」
「そんなもんかなぁ?」
「へ〜・・・」



あんまり興味の無さそうな返答。
話す前から分かってたから、気にならないけど。


689 名前:+++咲く+++ 投稿日:2005/02/10(木) 11:35

「てか、相手によって違うらしいけどね。」
「何が?」
「例えば、よっすぃって何色だと思う?」
「ヨシコの色ぉ・・・?」
「そう。」



うーん・・・て、考えてる顔。
ちょっとは話にのってくれる気があるらしい。



「そーだなぁ・・・赤とかかな」
「なんで?」
「うるさいくらい明るいから。」
「あはは。」



雑誌から目を離さないで、よっすぃの色について語る。

690 名前:+++咲く+++ 投稿日:2005/02/10(木) 11:36

「じゃあ梨華ちゃんは?」
「ん?」
「ヨシコ何色?」
「あー・・・そーだなぁ・・・オレンジとかかな」
「赤にオレンジ・・・うるさいヤツ。」
「あはははは、明るさイメージだよ。楽しい感じでしょ?オレンジ」



仲良しだから、暴言もアリ。
そういうの気にならない二人の関係は、見てて気持ち良い。



「じゃあごとーは?」



お、のってきましたね。

691 名前:+++咲く+++ 投稿日:2005/02/10(木) 11:36


「ん〜・・・ごっちんはぁ・・・・・・」
「ハイハイ?」
「・・・黒かな」
「黒。それはまたナニユエ。」



わかんない。
ぱっと浮かんだのが黒だった。



「・・・イメージなんだもん・・・。」
「黒って・・・なんか・・・黒だねぇ」
「なにそれ(笑)」



意味の分からない会話。
ちょっと眠いのかもしれない。



「ねえ、じゃあ私は何色?」
「白。」
「早っ!」



ホントに即答。

692 名前:+++咲く+++ 投稿日:2005/02/10(木) 11:37

「え、ピンクとかじゃないの〜?」
「それは自称カラーでしょ。ごとー的には、白。」
「ふ〜ん・・・なんで?」
「ごとー、黒なんでしょ?」
「・・・うん?」
「梨華ちゃん染める。」



キッパリ言い放って、でも目は雑誌。
どう続けたら良いのか言葉を探していたら、私の携帯が騒ぎ出す。
ごっちんの足元にある、それ。



「・・・あなたとふたりで〜・・・」



携帯にあわせて、軽く口ずさんで。
雑誌を少し乱暴に手放して、私の携帯を拾い上げる。
ごっちんの手の中で鳴り続ける携帯。


軽く右腕を掴まれて、携帯を握らされた。
そのままごっちんは上体を屈める。

首筋に、唇の感触。



「・・・・・・いたッ・・・」



軽くて鋭い痛み。


693 名前:+++咲く+++ 投稿日:2005/02/10(木) 11:38



「・・・いい加減、ごとーだけの色に染まって欲しいんだよね。」



言い置いて、バスルームへと消えてくあなた。

部屋に残ったのは
私と、鳴り止まない携帯
それから、首筋にキスマーク


流れる電子音は

ブギートレイン。

694 名前:+++咲く+++ 投稿日:2005/02/10(木) 11:39



浮かぶ笑顔は白かった。

695 名前:+++咲く+++ 投稿日:2005/02/10(木) 11:40








           +++咲く・ヲワリ+++

696 名前:如月 投稿日:2005/02/10(木) 11:41

ってことで、えー・・・(・・・)
また読んでいただいた方へ委ねるような話にしてしまいましたが;
こういう歪んだ感じって何でウキウキするんでしょうか。
え、如月だけでしょうか。
697 名前:如月 投稿日:2005/02/10(木) 11:46

684 名無飼育さん

や、やっちゃいました・・・。
お気に召していただければ嬉しいのですが。


685 春雷様

なんていうか・・・こう、バカっぽいイメージがあるんですよね、後藤さん。
イヤイヤ、いい意味で。
いい意味で、だからおバカさんvみたいな。


686 名無し読者様

ラジオ聞けずにヘコみました。
でも文章に起こしてあったのを読んで萌えました。
声で聞いたら萌え萌えだったろうにと、さらにヘコみました。
萌えていただけたなら幸いでございます。
698 名前:如月 投稿日:2005/02/10(木) 11:51

>>688-695
染まるか混ざるか、みたいな。

それではお付き合いくださった方、感謝です。
お目汚しを致しました。
699 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/11(金) 08:55
良いですねー。
歪んだ感じ?、私もウキウキします。
ガンバレ後藤さん。
700 名前:ROM読者 投稿日:2005/02/12(土) 23:43
更新お疲れ様です。
一見、相反する作品ですが、ツボかどうかと聞かれれば、
どちらも150kmのストレートを思いっきりミットに受け止
めたような(なんだそりゃ・・)インパクトがありました。

後半、脳内で勝手にペイントイットゴールドが流れていました。
スミマセン。
701 名前:如月 投稿日:2005/02/18(金) 12:49

いってみましょう、いしよしです。
702 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:51


緊張してるんでしょ。
私もだよ。
うーそだぁ、強がんなくたっていいじゃん。
だって指の先冷たいもん。

私もそうなんだ。
ドキドキするとね、冷たくなるの。

ね、コレあげる。

甘いもの食べると落ち着くんだよ。


ハイ、ひとみちゃん。


703 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:51




 ちぇるしー


704 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:51

カオリが泣いて
梨華ちゃんが号泣して

その背中を見て

カオリ卒業の寂しさと、それに重ねて見てしまったちょっと先の未来に。


一瞬苦しくて息が出来なかった。



そんな収録があった日から、数日後の話。



705 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:52

「あれ、早いねよっちゃん。」
「・・・そっちこそ。」



いつもより早く目が覚めた。
だから、いつもより早く朝食を食べた。
だから、いつもより早く家を出た。
だから、いつもより早く現場に着いた。

そしたら、楽屋には梨華ちゃんしかいなかった。



「なに、石川さんっていつもこんな早いの?」
「今日はたまたま〜。」
「ふぅん・・・。」



ふたりっきりとか。
結構困るね。

どこにどう収まるべきか微妙に悩んで。
それを悟られないように、結局ソファに座った。

梨華ちゃんは鏡の前に腰かけてる。

前を向いたままこっちには振り返らない。
仕方ないから鏡越しに視線を探したけど、それすら合わそうとしない。

そういえば、楽屋に入った瞬間しか目を見てない。



「やだなぁ、よっちゃんと二人きりなんてドキドキしちゃうな。」
「・・・それ系のネタ懐かしいね。」
「あはは、ネタじゃないよぅ。」
「じゃあチェルシーいる?」
「持ってないくせにー。」



いつの頃からか、ちょっと妙なおまじない。
チェルシーは、アタシ達の精神安定剤代わり。


706 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:52

「ね、こんな時間に来たならいつもより寝てないんじゃない?」
「へ、あ・・・まぁ。」



自然な言葉が逆に不自然。

どうしたのかと。
無言で訊いた。



「じゃ、寝といたら?静かなうちにさ。」
「・・・梨華ちゃん?」



絶対伝わってるはずなのに、答えをはぐらかす。
名前に込めて問い直した。

『どうかした?』


観念したように吐いた息。

梨華ちゃんは口を開く。
やっぱりこっちは見ないまま。



「ドキドキするの・・・。」



『だからチェルシーを。』
おちゃらけて、そう言ってみようかとも思ったけど。

そういう空気ともまた違うから、アタシはおとなしく先を促した。



「・・・うん?」
「あたし・・・ちゃんと出来てたかな・・・」



それはアタシに、と言うよりは。
梨華ちゃん自身に問うように。


707 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:52

「かおたんの言葉が、重くて・・・」
「言葉?」
「『やりきった』って。言ってたでしょ?」



反復したアタシの声に頷きながら梨華ちゃんは続けた。



「私はあんな風に・・・まっすぐ言い切れるのかな・・・」



不安そうな背中。
小さく感じたのは久々。



「それで?」
「え・・・」
「それでどうしてウチのこと見れないの?」



こっち見なよ。って。
意味を込めて。

だけど梨華ちゃんは振り向こうとしない。
返事もない。

音では勿論、無言の言葉すら伝わってこない。



「梨華ちゃん。」



下手に文章で話すより、名前を呼ぶだけで。
顔を見るだけで。

楽しい嬉しい悲しいムカツク。
お互いにそういう感情を読み取れてしまう。
大抵の気持ちが分かる。

それを理解してるから、きっと。
きっと梨華ちゃんは俯いたまま背を向けて、こっちを見ない。

知られたくない気持ちを抑えてる。


だけどね梨華ちゃん。


708 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:53

「・・・なーんでそんな泣きそうなのさ。」



ぴくんと小さく揺れる肩も。



「声と顔隠したくらいで隠せるわけないじゃん。」



相手はアタシだよ?

そう、分からないはずはない。

たとえ顔が見えなくても。
声が聞こえなくたって。

梨華ちゃんが堪える涙くらい、見つけられないワケがない。



「・・・はは・・」



笑う息と一緒に、喋りだす気配。



「・・・・・・こわいなぁよっちゃん・・・」
「は?」
「ズルイね。最近はSOS、出したってシカトしてくれちゃってたのに。」
「それ、は・・・」
「こんなときに限って・・・ごまかされたフリもしてくれないんだね・・・」



感情を抑えようとして震える声。
消えかかった語尾に、あふれる涙を感じた。

こういうとき、アタシたちはどうしてたっけ。

記憶を引っ張り出して、対処法を探した。


709 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:53

「もう・・・甘えるわけにはいかないのに・・・」



梨華ちゃんの言葉に、タイムリミットを思う。

胸の苦しさ、リターンズ。
苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて、どうにもならなくて。

ふっと、この苦しさの解決策を思い出した。



「・・・つれないなぁ」



き。

立ち上がった反動でソファが軋む。

一歩、二歩。
座ってる梨華ちゃんの背後に立つ。



「愛を誓い合った仲じゃんか。」



上体を倒して後ろから手をまわして背中から抱きしめた。

昔はよくこうやってじゃれたけど、最近じゃ滅多にない。
腕に収まる梨華ちゃんのサイズがなんか懐かしい。



「・・・ふは、」
「ん?」
「・・・ホント。懐かしいね、このネタ。」



涙声で笑う。
まだはぐらかそうとするんだね。



「ネタじゃないよ。」


710 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:54

逃がさない。



「ネタなんかじゃない・・・。」



アタシの前でそんな風に泣いて、どうしてはぐらかすのさ。
ズルイのはそっちだ。



「このままでいなくなるなんて絶対許さない。」



意識したわけじゃなく、抱きしめた腕に力がこもる。



「・・・・・ゴメンね・・・?」
「梨華ちゃん?」
「よっかかって・・・甘えて、・・・重たかったでしょ?」



涙で聞き取りづらい声。
気持ちが痛いくらい、聞こえる声。



「ゴメン・・・ゴメンね・・・ありがとう・・・・」
「・・・ちょっと、待ってよ・・」


711 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:54


甘えてなんかないよ。
寄りかかられてもいない。

SOSのサインだって、それは梨華ちゃんが自己完結しちゃってたんだよ。
一瞬見せる表情は不安そうだけど、それを上手に回避しちゃってんじゃん。

だいたい、梨華ちゃんが全力でよっかかってきたらアタシ倒れちゃうから。

倒れなかったのは。
アタシも梨華ちゃんに体重預けてたからだよ。


ねぇ、だから。

そんな。
最後みたいな言葉、やめてよ。



「愛は永遠なんでしょ?」
「よっちゃん・・・」
「だから、またチェルシーちょうだいよ。」
「・・・ホント、ズルイなぁ・・・。」



712 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:54




だから、ズルイのはそっちだって。


離れていってしまうなんて。
そんなことは言わないで。


アタシの指先の温度。
触れずに気付くのは、キミくらい。

きっとキミ以外に、アタシにチェルシーを渡せる人はいないから。

713 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 12:55





          +++ちぇるしー・おわり+++

714 名前:ちぇるしー 投稿日:2005/02/18(金) 13:01
コレはCPとかで書いたつもりはないんですけども。

如月は元々いしよしの人だったのですよ。

依存とは違う、二人の関係がとても好きです。
4期から入ったってのもあって、この二人には思い入れがありすぎます。
ありすぎて、何が書きたいのかいつも以上にとっ散らかってしまいました。

ちなみにチェルシーは別にチェルシーじゃなくても良かったのです。
キャラメルでもなんでも。
たまたまこれが浮かんだ時に食べてたのがチェルシーだったってだけです。
715 名前:如月 投稿日:2005/02/18(金) 13:04

699 名無飼育さん

いしごまは歪んだ感じもなんか綺麗なんですよねー。
これからも時々思い出したように痛い系に走るかと思います。
お付き合いくだされば嬉しいです。


700 ROM読者様

毎度毎度、有難いお言葉をいただいて・・・。
ホント、こんな駄文へのコメントお困りじゃないでしょうか;
ありがとうございますです。

おお、ペイントイットゴールド。
サラっと如月の石後ソングだったりします(笑)
そっかー、じゃあ金色とかでも良かったなぁ・・・。
716 名前:如月 投稿日:2005/02/18(金) 13:07

>>702-713

いしよしです。

メロンの新曲のフリが衝撃的で。
もしも石後でやられたら凄まじいGによって圧死しかねないな、とか。
余計なことを思いました。


お付き合いくださった方、感謝です。
お目汚しをいたしました。
717 名前:ROM読者 投稿日:2005/02/19(土) 14:38
更新お疲れ様です。
同期以上恋人未満。多分、見た目とは反対のお互いの性格を思うとき、色々な
シーンで石川さんの激情を包み込んでいたのが、吉澤さんの愛情だったのかな、
と。脳内妄想しております。同じく4期スタートのROMでした。

>>こんな駄文へのコメントお困りじゃないでしょうか;
本音を言いますと、レスのために1スレ立てたい気分です。
718 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/20(日) 21:47
ジーンと来て不覚にも涙してしまいました。
自分もいしよしの何ともいえない関係が好きです。
719 名前:如月 投稿日:2005/02/21(月) 17:56

いしよしです(あれ?)
ちょっと・・・ね。
いしよしなんです。
720 名前:わたがし 投稿日:2005/02/21(月) 17:56
よっすぃーよっすぃー、と。
ウザいくらいにつきまとわれてたから、訊いたコトあったね。

それは、まだオイラが梨華ちゃんを快く思ってなかった頃。



「よっすぃーも大変だぁね。」
「何がです?」
「石川さ。面倒なのに懐かれたもんだね?」



他意はなかったし、悪意もなかった。
ただ単純に『面倒な子』だと思った。

よっすぃーは見かけ通りサバサバした子だったし、梨華ちゃんも見かけ通り女の子な子だったし。

絶対的にあわないだろう二人だと思っていたから。
付きまとう梨華ちゃんにウンザリしてるだろうと思ってた。

実際、よっすぃーはそういう風に振る舞って見せてたしね。



「そうですか?」
「んー、正直オイラじゃなくて良かったなぁと思うよ。キミには悪いけども。」



これにも悪意なんかなくて、ホントにそう思っただけなんだけど。
今思えば明らかな悪意だよね。
子供だったんだ、許してよ。
よっすぃーにも、きっと悪意としてしか届いてなかったろうに。

きっと心の中ではイライラしてたんだろうね。
だけどあの頃からキミは大人だった。

オイラのバカみたいな言葉を詰るでもなく、静かに笑って。



「ホントは逆なんです。」
「は?」
「アタシの方が、梨華ちゃんに懐いてるんですよ。」
「・・・はぁ?」
「ホントはアタシがそばにいたいんです。」



一瞬意味が分かんなかった。

721 名前:わたがし 投稿日:2005/02/21(月) 17:57




「でもアタシにはそれがうまく表現できないから、梨華ちゃんがああやってそばに来てくれるんです。」
「・・・ああ、なんだ。」



そんなわけがない。

そう決めつけてたオイラは、その言葉を正面から受け止めるなんてしなかった。
よっすぃーは優しいから、梨華ちゃんを庇ってるんだ。
そう思った。



「まーったくよっすぃーは優しいんだから。だから石川が勘違いするんだよー?」
「そうですか?」



オイラの曲解を無理矢理正そうとしないで受け流す。
だから、その時はやっぱり自分の勝手な解釈が正しいと思ってた。

だけど。



「おはようございまーす。あ、矢口さん、おはようございます。」



物凄いタイミングで、オイラとよっすぃー二人だった楽屋に入ってきたのは梨華ちゃん。

タイミングが良すぎて、あの時はホントに心臓飛び出るかと思った。
聞かれてたんじゃないかって焦ったよ。
・・・ってことは、やっぱ悪口って自覚があったのかな。
うわ、最悪だねオイラ。

思えば、もしかしたら梨華ちゃんは聞いてたかもしれない。
でも梨華ちゃんも、やっぱり大人だったんだよね。
そんな素振りは微塵も見せなかった。

ホント、ゴメンね。


続けざまにわらわらと入ってきた圭ちゃん、辻、加護、なっち。
唐突に騒がしくなった楽屋で、オイラとよっすぃーの会話は問答無用に遮断された。

しばらくはそのまま。
よっすぃーはオイラの隣りでおとなしくしてた。
話すでもなく、ただぼんやりと梨華ちゃんを見てた。

そう、梨華ちゃんを見てたんだ。

だから、オイラはこの時に気付くべきだった。
よっすぃーの言葉に裏がないこと。



「よっすぃー、ね、ちょっと見て見て。」



お決まりのようなピンクい声。
壁に寄りかかったまま、動こうとしないよっすぃー。

オイラは勘違いしたままこう言った。



「ホラ来たよ、面倒なのが。」


722 名前:わたがし 投稿日:2005/02/21(月) 17:58

その言葉に、よっすぃーは軽く俯いて薄く笑った。



「矢口サンだから言ったんです。」
「え?何を?」
「秘密ですよ。」



にっこりと、思わずドキッとしてしまいそうな男前笑顔を残して。
(あの頃はまだ今みたいなアホキャラじゃなかったからね)


『うるさいなーなに?』


と、いつもの調子で梨華ちゃんをあしらう。

あの笑顔は、多分牽制の笑顔。
それ以上はやめてくださいと。
よっすぃーなりの牽制。


ゴメンって。

だってキミらがあんまりナチュラルにそういう構図作るから。
うっかり騙されちゃったんだよ。
そうだよキミらのせいだって。

え、自己中?
あはは、うっさいなほっとけよ。


でもね、変な色眼鏡外してからは、ちゃんと分かったってば。
補ってみたり、蹴落としてみたり(笑)。

複雑怪奇な関係は、つまりはきっと両思い。


723 名前:わたがし 投稿日:2005/02/21(月) 17:59

増えて減って、グループとしてはだいぶ色が変わったかもしれない。
まったくおんなじ、あの時のまま、ではないよね。
キミらも変わったよ、やっぱりね。

でも根本は何にも変わってない。

公式じゃなんもないのに、まるで二人で対みたいな認識されてね。
ツジカゴとはまた違う、無意識の意識。
不思議なヤツらだよ。


・・・もしかしてキミらの思惑にまんまとハマってるのか?

だからなのか知らないけどさ。
なんか寂しい気がするんだよね、変な感じ。
ヤバイよなんか泣きそうじゃん。

何でオイラがこんな気持ちになんなきゃなんないのさ。

ったく、・・・勘弁してよね。


724 名前:わたがし 投稿日:2005/02/21(月) 18:00





甘くてふわふわ。
口にふくんだらすぐに溶ける。

それが魅力?

だったらそれは哀しいよ。


だけどただ見ててもしぼんじゃうだけ。

留めて置くことなんて、不可能なこと。
だから食べてしまうしかない。

なんか悔しい気もするんだけど、やっぱオイラも好きみたいだよ。


抗うことが出来ない、不思議な感触。

優しい甘さ。
725 名前:わたがし 投稿日:2005/02/21(月) 18:00






             +++わたがし・ヲワリ+++

726 名前:如月 投稿日:2005/02/21(月) 18:03

なんで石吉書くとタイトルがお菓子になるんだろう。

と、いうわけで。
ムースポッキー回顧録。

石川さん卒業まで、ここは心行くまでいしよし暴走スレ気味になります。

如月の本命はいしごま。
でもいしよしは言わば如月にとって初恋。
そういうことです(分かりません)。
727 名前:如月 投稿日:2005/02/21(月) 18:08

717 ROM読者様

>同期以上恋人未満

まさに。
如月的石吉はそんなイメージです。

と、いうわけでこのスレはしばし石吉まみれとなります。
ので・・・あの、ご感想とか無理なさらないでくださいね。
あ、催促とかじゃないですよ!?
でも、こういうのって書けば書くほど催促っぽいですよね(汗

>レスのために1スレ立てたい気分です

嬉しくて号泣したい勢いです。


718 名無飼育さん

不覚にも、というお言葉が妙に嬉しかったです。
ありがとうございます。
728 名前:如月 投稿日:2005/02/21(月) 18:09

>>720-725

いしよしです。

それではお目汚しを。
ありがとうございました。
729 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/21(月) 19:34
前回に引き続きの石川さんと吉澤さん。
二人の独特の間がとっても感じられて良かったです。
なぜか読んでると涙がにじむんですよね…
また楽しみにしています。
730 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/21(月) 21:21
リーダー・゚・(ノД`)・゚・。

確かにこの二人の関係ってこんな感じですよね
これも相思相愛というのか(笑
731 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/02/21(月) 23:39
「ちぇるしー」、「わたがし」よかったです!
私も、あの二人のそっぽ向いてても、な〜んか見えちゃう・絆、
みたいのがすごく好きで・・
更新、楽しみに待ってます。
732 名前:Liar 投稿日:2005/02/22(火) 14:15
いしよしの雰囲気がいいですね〜。
でも、私はやっぱりいしごまが本命です。
作者サンならどっちでも大歓迎です。頑張ってください!!
733 名前:孤独なカウボーイ 投稿日:2005/02/23(水) 16:23
更新お疲れ様です☆

あぁ〜いしよし連投にノックアウトです。

734 名前:ROM読者 投稿日:2005/02/26(土) 00:09
更新お疲れ様です。
わたがしな二人を眺めつつモノローグするその心理描写が
絶妙です。この5年間を集約しているような気がしました。

あと・・726に賛同致します。追い掛けますョ(笑
735 名前:名無し読者 投稿日:2005/03/20(日) 14:15
保全ですよ
736 名前:名無し読者 投稿日:2005/04/18(月) 00:35
まってますね
737 名前:如月 投稿日:2005/04/18(月) 22:03

現 実 逃 避 ★

よってパラレルです。
738 名前:+++空の写真+++ 投稿日:2005/04/18(月) 22:06

「最近風景多いんですね。」



わざとらしくシーツにくるまって、シーツをずって。

整理してたうちの一枚を、ひらりと手にとって言う。
寝てたとばかり思ってた子。



「空ですかー。あ、雲なのかな?」



必要以上に体を寄せて、甘く問う。
特別な感情はなかったけど、それなりに可愛いとは思ってたはずなのに。
今はそれすら思わない。

『返せ』という言葉さえ、かけるのが煩わしくて。
背後にいる彼女に、手のひらだけ差し出した。

苦笑とも嘲笑とも取れる笑いを漏らしてから、彼女は意外と素直にそれを返した。



「ごとーさん。」



この子はどうしてこんな風に甘えた声で自分を呼ぶのか。

そういう関係ではないのに。
それは、彼女が一番理解しているのに。

ひとつ、息を吐いて。
イスを回転させて、数時間振りに彼女を見た。



「亜弥ちゃん、まだ寝とけば?」
「松浦は腕枕じゃないと眠れないんです。」
「じゃあ誰か他あたってくれる?」
「今日は後藤さんしかスケジュール空いてなかったんですもん。」



739 名前:+++空の写真+++ 投稿日:2005/04/18(月) 22:07

瓢々と言ってのける彼女。
あっけらかんと言い切るところは楽なんだけど。



「ごとーの腕は今忙しいの。残念ながら。」



キィ

小さくイスを鳴らして、仕事に戻る。



「昔は松浦のこと、よく撮ってくれたのになー。」
「仕事だったからね。」
「いい被写体だーって言ってくれてたじゃないですか。」
「仕事だったからね。」



目の前に広がるのは空と空と、空と。

空ばかりの写真。

だけど、そこには空はなくて。
ただ空っぽな青と白ばかりだ。



「好きだったのになー、ごとーさんの写真。」
「亜弥ちゃんが好きだったのは撮られてる亜弥ちゃん自身でしょ。」
「それもあるけど、」



再び、その中の一枚を手にとって。



「風景でも人物でも、松浦は好きでしたよ、後藤さんの撮る写真。」



頭上から手放す。

ひらんひらんと、それは空っぽの空の中に落ちる。



「お邪魔しました。松浦はもう一寝入りします。」


740 名前:+++空の写真+++ 投稿日:2005/04/18(月) 22:07

ここで帰ると言わないところがなんとも彼女らしい。
パタン、とドアの閉まる音を背中で聞いて目を閉じる。

どんな写真を撮っていたかなんて忘れた。
今撮れる写真はどれも空っぽでしかなかった。
それでも仕事には特に支障がなかった。
だから、これでいいと思う。

心の満足を求めても、仕方がないじゃないか。


閉じた瞼の向こうに朝日を感じる。

本当に、陽が延びた。


そう思っているうちに、いつの間にか眠ってしまったらしく。
気づいた時、既に時計は昼近かった。
勿論彼女の気配はなく、家の中は静かだった。

妙な格好で眠ったおかげで痛む首を回しながら、冷蔵庫を開ける。

ミネラルウォーター数本と、何故かベーコンが一枚。
レタスの切れ端もあるが、・・・これではとても昼食にはならない。

仕方なく財布とジャケットだけ掴んで、コンビニへ向かって家を出た。


腹の立つような良い天気。
一昔前ならば、カメラが欲しいと思えるような良い天気。
今は思いもしないくせにそんな風に思い出すのは。
夜明け前の、彼女との会話のせいだろうか。

741 名前:+++空の写真+++ 投稿日:2005/04/18(月) 22:08

もやもやとした気持ちを如何ともしがたく。
歩調を速めて、近道である公園を突っ切る。

ふと。

聞き慣れた音を耳にして立ち止まった。


カシャ
カシャ


小気味良いシャッター音は、カメラを持つ人の気持ちを表しているようで。
きっと気分良く写すことを楽しんでいる。
そう思えるほど、気持ちが良い音だった。

かつての自分の音と似ている。



「珍しーなぁ・・・」



ダジタルカメラなるものが主流となっている今。
アナログの音をやけに嬉しく感じる。

呟いて、その主を探した。

小さなシャッター音に気付くくらいだ。
その人物は意外とアッサリと発見できた。

桜舞う風に、シャッターを切る女性。

その口元に浮かべる綺麗な笑みや、その雰囲気。


742 名前:+++空の写真+++ 投稿日:2005/04/18(月) 22:08

瞬間、空っぽの空が一気にリアルになる。
自分のなかの何かが。
急激に戻ってくるような、何か。

何も手にしていない指先が勝手に動いて、シャッターを切っていた。


一枚一枚、空間を切り取る楽しみを感じたのは久々。

そして同時に、今カメラを手にしていないことを悔やむこの感覚。
かなり久しい。


それまで、花びらを遊ばせていた風は急に突風に姿を変えて。
カメラを持つ、彼女の髪を乱す。

それに慌てて、カメラをおろして。

宥めるように髪を押さえる。

豪華に風に散る桜の花弁に、幸せそうな笑顔を浮かべたその彼女。



もしかしたら、今この瞬間ほどに。

カメラを手にしていない自分を呪ったことはなかったかもしれない。


743 名前:+++空の写真+++ 投稿日:2005/04/18(月) 22:09

真っ青な空と桜の桃色。

これがあたしと石川梨華との出会い



744 名前:+++空の写真+++ 投稿日:2005/04/18(月) 22:10




        +++空の写真・ヲワリ+++
745 名前:如月 投稿日:2005/04/18(月) 22:14

内容なんかないですよ。
だって逃避なんですから。

思うことはたくさんあるし、納得もいかない。
それでも、この気持ちを上手く言葉には出来ません。
だから、今回の件には触れません。
746 名前:春雷 投稿日:2005/04/18(月) 22:19
お久しぶりです。
現実逃避ブラボーです。どんどんして下さい。
松浦さんと後藤さんの甘くみえて殺伐とした空気がよかったです。
747 名前:如月 投稿日:2005/04/18(月) 22:25

729 名無飼育さん

ありがとうございます。
如月は、いしよしのあの間がとても好きなので、
少しでも表現できていたら嬉しく思います。


730 名無飼育さん

如月的に、いしよしはずっとずっと相思相愛なのです。
多少形を変えつつも、根底は変わらないような。


731 名無飼育さん

更新、お待ちいただいてたのにいしごま(パラレル)という・・・
す、すみません。
近々、またいしよし予定でございます。


732 Liar様

如月も、本命はいしごまなんですけどね。
いしよしは何と言うか・・・
いつまでも特別枠があるような、そんな感じなのです。


733 孤独なカウボーイ様

す、すみませんいしごまヲタがいしよし書いたりしちゃったり・・・!
でも、いしよしは如月にとってやっぱり特別なのです。


734 ROM読者様

せっかくご賛同いただきましたが、うっかり(?)いしごまでした。
大体は出来上がっていたのですが。
今の心理状況でリアルに卒業テーマ含むいしよし・・・
は、さすがに仕上げることが出来ませんでした。

石川さん卒業前に、もう一駄文いしよしはあげようと思っています。
お付き合いいただければ幸いです。
748 名前:如月 投稿日:2005/04/18(月) 22:27

>>738-744

そんなこんなで現実逃避。
何からの逃避なのか、如月本人にもよくわかりません。

ではお付き合いくださった方、ありがとうございました。
お目汚しを。
749 名前:ROM読者 投稿日:2005/04/19(火) 03:00
更新お疲れ様です。

一見パラレルのようですが、その中に潜在するパラドックスを感じます。
現実逃避・・・になっていないかも。むしろ、作者様の心の叫びが聞こえ
てくるような気がします。

答えは人それぞれ、誰にも結論なんて出せません。
750 名前:名無し読者 投稿日:2005/05/06(金) 20:51
まってます
751 名前:名無し読者 投稿日:2005/05/08(日) 21:30
( ´ Д `)<りかちゃん卒業おめでと
752 名前:名無しさん 投稿日:2005/06/04(土) 01:37
まってます
753 名前:名無飼育さん 投稿日:2005/06/26(日) 22:19
戻ってきて欲しいな
754 名前:ななし 投稿日:2005/07/31(日) 02:29
hozensimasune

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